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1958-12-22 第31回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十二月二十二日(月曜日)    午後零時二十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小西 英雄君    理事            仲原 善一君            西岡 ハル君            平島 敏夫君            小柳  勇君            島   清君    委員            稲浦 鹿藏君            高野 一夫君            手島  栄君            松村 秀逸君            相澤 重明君            鈴木  壽君            森中 守義君            竹中 恒夫君            岩間 正男君   国務大臣    内閣総理大臣  岸  信介君    農 林 大 臣 三浦 一雄君    運 輸 大 臣 永野  護君    国 務 大 臣 左藤 義詮君    国 務 大 臣 三木 武夫君   国 務 大 臣 山口喜久一郎君   政府委員    法制局長官   林  修三君    行政管理庁行政    管理局長    岡部 史郎君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁経理局長 山下 武利君    防衛庁装備局長 小山 雄二君    調達庁長官   丸山  佶君    調達庁労務部長 小里  玲君    大蔵政務次官  佐野  廣君    農林省農林経済    局長      須賀 賢二君    食糧庁長官   渡部 伍良君    運輸省鉄道監督    局長      山内 公猷君   —————————————    会計検査院長  加藤  進君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    会計検査院事務    総長      池田  直君    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君    日本国有鉄道理    事       久保 亀夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告昭和三十一年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十一年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十一年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和三十一年度政府関係機関決算書  (内閣提出) ○昭和三十一年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出) ○昭和三十一年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出)   —————————————
  2. 小西英雄

    委員長小西英雄君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和三十一年度一般会計歳入歳出決算昭和三十一年度特別会計歳入歳出決算昭和三十一年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十一年度政府関係機関決算書昭和三十一年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和三十一年度国有財産無償貸付状況計算書を議題といたします。   —————————————
  3. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 十二月二十日及び二十一日の二日間にわたって愛知用水公団工事実施状況について実地調査を行いましたが、これにつきまして、派遣委員から報告をいたします。  派遣委員を代表して私から報告いたします。  愛知用水公団現地調査について報告申し上げます。本調査は本月二十日、二十一日の二日間平島小柳相澤の三委員と私が参加して、長野県、岐阜県及び愛知県で調査を行いました。  今回の調査は、先般行いました当委員会の審議の経過にかんがみ、同公団業務実地調査することとし、その主体工事である牧尾ダムと兼見隧道工事現場について行なったのであります。  御承知のように、当公団は、三十年十月発足したのでありますが、本体工事着工が非常に遅れまして、ようやく三十二年十一月となったのであります。これは一応資金計画変更等の理由もありますが、公団自体における内部的な関係、すなわち業務運営に対する積極的な指導性事業遂行の敏活さに欠くるものがあった点は見逃し得ないことと思われるのであります。  当公団の当初の計画では、三十一年二月着工、三十五年八月完了予定であったのが、遅れて三十二年十一月着工、三十五年十二月完了予定に変更されたのであります。このため、工事施行に無理を生じ、仮締切堤は、当初計画予定された十月から二月にかけての最適期施行ができなくなり、やむを得ず七、八月の施行に変更されたものであります。しかも十年確率の流量千トンとして施行したのでありますが、三十二年七月の出水により、あら締切堤が決壊し、さらに八月には約千三百トンの出水があったため、一応完成した仮締切堤の決壊があった等、施設に多大の被害をこうむり、これによる公団側被害額は約二千五百万円と見積られ、さらに下流住民の受けた被害に対する補償額約二千五百万円、計五千万円に上る多額の損失を招いたのであります。その上地元民に対し、ロックヒル式によるダム実施に対し不安を増大させ、仮締切堤原形復旧についても、猛烈な反対運動を誘致し、工事施行を一時中断するのやむなきに至ったのであります。このため、さらに工事遅延を重ねたばかりでなく、仮締切堤設計を変更し、天端高を増嵩するとともに、前面及び背後にコンクリートの補強をすることとなっているのであります。これも、もとをただせば事業着工遅延に原因しているところでありまして、単に天災による不可抗力の事態とはいえないと思われます。  次に、工事契約について申し上げます。三十二年十一月仮排水隧道工事は、堰堤の本体工事と分離した契約に出したところ、西松建設株式会社は、設計額を一億余万円も下廻る一億四千万円で落札したのでありますが、その後三十三年五月、主体工事である牧尾ダム建設工事西松建設が請負うこととなり、その額二十三億六千万円となったのであります。ここに問題があるのでありまして、本体工事契約をとるため、同社は仮排水隧道工事を不当に安く入札しているとの疑いも起るのであります。のみならず、牧尾ダム本体工事は、当初の請負設計金額約十七億円に対し、最低入札価格は約二十二億円で、不調に終ったため、条件を変更し、公団負担としていた貸与機械定期整備費業者負担とし、また公団支給資材業者負担とすることなどに改め、請負設計金額を二十三億六千余万円として入札に出したのでありますが、これも不調に終り、最低入札者である西松建設と随意契約したものであります。しかし現地状況は、その所要資材、特にダム工事主要資材である粘土、礫、砂利、砂などは、ほとんどすべて現場付近で便利に採取、利用が可能であり、工事施行立地条件は有利であって、予想に反し工事期間の短縮さえも考えられる状況であるばかりでなく、設計変更により、業者負担とした機械定期整備費についても、相当過大な見積りをしているとの感が深いのであります。  従って契約金額の適否については、工事施行の実体と機械整備実績把握を厳正に行い、請負工事費適正化についても、一段の努力を要するものがあると認められました。  本件工事については、今申したように相当問題点があると思われるので、いずれ会計検査院の検査の結果等をも考慮して、さらに究明したいと思います。  次に兼見隧道工事について申し上げます。当公団幹線水路は、延長約百十二キロメートルで、そのうち隧道は約二十八キロメートルであります。この兼見隧道は、幹線水路の最上流に位する五キロメートルにわたる最大の隧道でありまして、工期を三十三年一月から三十五年七月までとし、工事費六億四千六百万円をもって株式会社間組に請け負わせ、施工中であります。隧道の断面は直径四・六メートルの標準馬蹄型で掘さく量十二万立米所要コンクリート量三万立米に上るものであります。  工区を四工区に分け、それぞれ地質に従い施工方法をあんばいしているのでありますが、地質古生層の硬岩から第三紀層の軟岩、第四紀砂礫層と変化し、さらに亜炭坑坑道と交差する個所もあり、工事も複雑しております。現在六個所の地点から掘さくを行なっておりまして、一個所当り一日平均の掘さく進度は五・三メートル程度であります。  着工以来格別の事故もなく、順調に進捗し、派遣委員調査当時の進捗率は、全工程の約四〇%に達し、計画に対しておおむね所期の工程を上げていると認めました。一メートル当り工事費は約十二万円でありますが、工事の難易により、最高十八万円の個所もあります。なお、隧道工事については、特に指摘すべき事項も認められなかったのであります。  以上、現況を申し上げて報告を終ります。  ただいまの報告について御質疑ございませんか。——別に御質疑もないようでありますので、委員派遣報告は、これをもって終了いたします。  なお、提出された詳細な報告書については、別に会議録に掲載することといたします。  速記をとめて。    〔速記中止
  4. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 速記を始めて。  前に引き続き、まず運輸交通関係について質疑を行います。  本件に関し御出席の方は、永野運輸大臣山内鉄道監督局長説明員として日本国有鉄道小倉総裁久保日本国有鉄道常務理事武内日本国有鉄道調査役池田会計検査院事務総長の諸君であります。御質疑の方は、順次御発言を願います。
  5. 相澤重明

    相澤重明君 昭和三十一年度の総括質問当りまして、私は運輸大臣に二、三の点をお尋ねいたしたいと思うのであります。  御承知のように、運輸省昭和三十一年度歳出決算総額は二百六十九億四千六百余万円、非常に膨大なものであります。これらの諸点について、会計検査院から指摘された事項等考えて参りますというと、もっと運輸省全体について監督を強化しなければならんし、さらには、国民の税金というものを重点的に使途する方向というものを考えていかなければならん。こういうことも、私ども決算委員会の中で明らかにしたのでありますが、特に二、三の点を私は御質疑を申し上げたいと思うのであります。  その第一は、国鉄輸送並びに港湾整備等について、一体どういう方向というものを出しておるか、これは輸送力の増強ということは、口に常に言われておることでありますが、なかなか現実的に即応した態勢がとられておらない。こういう点を考えて参りますと、政府としても、特に東海道線新幹線計画というものが実は作られておると思うのでありますが、一体、これについて運輸省として、具体的にどういうふうに計画をされたかまた国鉄も、この中にどういう意見を述べられておるか。第二といたしましては、この新線を作る場合におきまして、予算がどのくらいの規模のものであるか、またこの新線予算に伴うところの一体計画として、運賃を値上げをする考えがあるのかないのか、またこの場合に、政府出資なり、あるいは一般の起債なり、こういうものについて、どういうふうにお考えになっておるか、この点について東海道線新線、いわゆる幹線計画についての一つ報告をいただきたいと思うのであります。  第二の問題といたしましては、昭和二十八年以来の災害対策として、国会においても、常に災害を早く復旧をさせる、こういう点を私どもは、長い間主張し続けて参ったのでありますが、どうも災害対策が、総花的に行われて、そして実質的な効果というものがあまり上っておらない、こういうような中に、特に港湾関係の問題がある、こういうことは指摘をしておったのであります。従って、運輸省直轄工事として港湾対策にどの程度の重点を入れたかということが、一番大きな問題になってくると思う。それは港湾復旧というものが十分に行われなければ、今の国民経済を安定させ、あるいは向上させる外貨獲得への道というものはやはり狭ばまってくる。こういうことが、私は指摘ができると思う。従って、二、三日前に新聞に、たしか出ておったと思うのでありますが、昭和二十八年から三十年までの災害対策については、すでにこれは完成の域に達したと聞いているのでありますが、三十一年度の問題については、どうもその点がはっきりしておらない。私ども三十一年度の決算を上げるについて、こういう点が、全般的にどうなっているか、こういう点を一つ報告いただきたい。  第二の問題は、港湾の、そうした重要使命にかんがみて、現在政府の部内に取りざたされているところの港湾公団法というものが指摘をされているようでありますが、一体港湾公団法というものは、どういう性格のものか、どういう方向で、この公団というものを作るのか、そうしてまた、その内容というものは、どんなものであるか、こういう点について、港湾公団法についての御説明一ついただきたい。  さらには、埠頭整備に名をかりて、政府一般のいわゆる海運業者等埠頭倉庫を使わせない、こういうようなおそれがある。従って埠頭整備に名をかりて独占企業に全部倉庫をとらせるような方向というものは、われわれは全く根本的に問題が出てくると思うのでありますが、こういう埠頭整備法の問題や港湾公団法について、運輸省としては、どういうふうにお考えになっているか。こういう点について、運輸大臣から一つ説明をいただきたいと思います。
  6. 永野護

    国務大臣永野護君) 東海道新線の問題は、昨年九月、日本国有鉄道幹線調査会が設置されまして、限界点に達していると思われる東海道輸送を、どういうふうにして対処していくかという問題が審議されたのであります。そうして本年の二月閣議決定によって設置されました交通関係閣僚懇談会におきましても、この東京大阪の問題は、もう打ち捨てておけない、基本的な対策を講じなければならんということが決定されたのであります。それに基きまして計画を立てまして、千二百七十五億円でしたかの予算で、五ヵ年間に時代に即応する程度の最も新しい東京大阪間を三時間半で突破するという計画を立てた次第であります。  これには、道路との関係をどうするか、あるいはこれが改良工事でやるべきものか、あるいはこれを全く新しい新線として扱うべきかという、いろいろな議論がありました。そういう点を十分に検討いたしまして、具体的の案ができておるのであります。それの事務的、技術的のこまかいことは担当局長から詳しく申し上げますが、東京大阪間の輸送が全く限度に達しておりまして、今からかからないと——すぐかかりましても、五年の歳月を要するのでありますから、その行き詰まるという状態が起る前に、その施設にかからなければならんという観点から、今度の国会に、その第一年度分の要求をしておる次第でございます。  港湾対策のことは、これは申すまでもなく産業に非常に大きな影響を及ぼします上に、ここ数年非常に船が大型になりまして、従来の八メーターや九メーターの港では用をなさなくなりましたのと、そして陸上の埠頭施設につきましても、世界各国の趨勢から、みんな機械化して参っておりますので、最もおくれておる日本の設備を改善しなければならんということで、そういうことの最も大きな影響のありまする輸出専門埠頭と、それから輸入では、鉄鋼材料、それから石油製鉄原料、鉄、石炭石油専門埠頭を作ろうという計画を立てたのであります。それにつきまして、ただいまお話のありましたような、そういう施設をすると輸出のコストは下るけれども、それに伴う労働問題——決して、独占資本のみを擁護するという意味でわれわれやっておるのではありませんので、日本基幹産業を世界的の競争に対抗するような意味で、この計画を立てたのでありますけれども、結果において、非常な労働問題が起きますことはお説の通りであります。従いましてこの計画を立てます上に、その結果生ずる労働問題をどう解決するかということは、われわれもいろいろと構想を練っておるのでありますけれども、これは労働省にも非常に関係がある、あるいは労働省の所管と言ってもいい部門に関することが多いのでありますから、こういうことの機械化によって生じました余剰労働力をどういうふうに整備していくかということにつきましては、関係閣僚ともよく相談いたしまして、御返事申し上げます。  公団法の問題は、この港湾整備には、どうしても埋め立てということが伴いますので、その埋め立て事業会社に処分いたしましたりあるいは借入金といたしましたりする必要上、その部分だけを切り離して、公団機構にしてやります方が、運営がスムーズにいくということで、そういう一種の事業的な仕事をするという面だけをこの港湾対策の中から切り離しまして、公団計画を立てた次第でございます。たまたま建設省でも同様な計画があり、工場誘致という点から通産省にも同じような計画が出ましたので、三省協議の結果、三省共管にして、この公団の問題を取り扱うことにいたしたのであります。
  7. 島清

    島清君 ただいま相澤委員質問に、関連をするわけでございますが、国鉄の方でお使いになっておられまする石炭と油の比率、それからそれの単価の問題、一面には、石炭を燃やすよりも油の方が安くつく、こういう工合に言われております。そこで、石炭を今燃やしておるのは、何か石炭業者との従来の関係から脱することができないで、石油に変わることができないのだとも——真実であるかどうかわかりませんが、そういうふうにも言われております。  そこで五ヵ年計画の中に、石炭から油の方に、安いエネルギーに変えていこうというようなお考えがあるかどうか。今、石炭をどれくらい消費されて、そうして油がどれくらい消費されて、その比率はどうなっておるか。さらに原料費の面からいたしますというと、それがどうなるか。この点について御説明を願いたいと思います。  石炭であるとかあるいは油であるということにつきましては、国全体の産業政策とマッチしていかなければならないということは、私もよく承知をいたしておりまするけれども、それはそういうことを考慮の中に入れられないで、国鉄の採算の範囲内から御説明を願いたいと、こう思います。
  8. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 石炭と油の使用の割合並びに単価につきましては、ただいま、ここで取り調べ中でございますので、あと回しにさせていただきたいと存じまするが、基本方針といたしましては、五ヵ年計画では、できるだけ動力近代化をはかって燃料費の節約をいたして参りたいと、こう考えております。具体的に申しますると、電化及びディーゼル化でございまして、これによりまして高い石炭を使わないで、電気あるいは油というものに動力を転換して、近代化をはかると同時に、このスピードアップその他によりまして、サービスの向上、また国鉄経済的運営ということをはかって参りたいと、こう考えております。御承知のように五ヵ年計画の大きな柱が幹線電化及び支線のディーゼル化という二つが大きな柱でございまして、これに従って五ヵ年計画を目下進捗させている次第でございます。  それでありますから、ただいまちょっと御発言がございましたように、石炭業者との関連石炭を買っていると、またこれを油に転換することをちゅうちょしているというようなことは、全然ございませんから、それだけ申し上げておきます。  それでは、石炭と油の割合道価等、引き続いて御報告いたさせます。
  9. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) それでは、先ほど御質問の中で、ただいまとりあえず手元にあります数字で、御説明申し上げたいと思います。  これは、三十二年度の実績でございますが、石炭は、すべて合せまして約三百十四億ということで、数量にいたしますると五百二十六万トンという石炭を使っております。これに対しまして流動燃料でございますが、これはいろいろございまして、主たるものは、例のディーゼル・カー、あるいはディーゼル機関車、それから一部自動車も加わっております。それからごく一部の区間では、石炭と重油を混焼いたしまして——まぜてたきまして、これが経済的でもあり、かつ能率もいいといったのも小量ありますが、そういうものを合せまして五千万リッター、代価にいたしますと約十億ということになっております。  それから、ついででございますが、電力関係でございます。それは、これも昨年の実績で十億キロワット・アワーで、金にいたしますと四十九億、単位のあれが違いますので、正確にどれだけの割合ということは申せませんが、数量とそれから金額とを申し上げますと、そういう程度でございます。  それから、単価でございますが、ここに石炭単価がわかっておりますが、五千四百五十円ばかり、三十二年度の実績でございます。ただしこれは国鉄石炭は、大多数、実は山元で買っておりまして、民間等との比較は困難でございますが、これも概数で申し上げますと、その他の、大口でございます電力とか製鉄とかに比べまして、大体三百円見当、あるいはものによっては五、六百円トン当り安いというのが実情でございますが、流動燃料は、ちょっと今持ちませんが、これは国鉄の占めるウェイトは、それほど大きくありませんので、市価よりやや安くなっておるとお考えになっていいのではないかと思います。かように思います。  それから、ついででございますが、五ヵ年計画では、ただいま副総裁から申しました近代化観点から取り組んでおりまして、約百億余り動力費だけで節減するというような計画も繰り込んでございます。
  10. 小柳勇

    小柳勇君 相澤委員質問関連しまして、運輸大臣に三点だけ御質問申し上、げます。  第一点は、しばしば言われたことですが、国鉄の現在の投資して改善する方向が、中央偏重主義ではないか、この東京近郊、あるいは大阪、名古屋など大都会なり、中央中心主義であって、偏重しておって、地方の方の改善、スピードアップなどが全体的に見忘られておるのではないか、たとえば北九州などでは私鉄はがたがた、道路もこれも荒れっ放し、国鉄に至りましては、門司から日豊線の大分駅などは、あの線路などでは乗車効率が二五〇から三〇〇、三倍もの人が、とにかく命がけで乗車して、しかも単線運転である。蒸気機関車を使って低速度で、しかも単線運転である。中央の方は、今非常に新しい「こだま」号を運転しておるけれども地方に至っては、なおがたがたの列車が走っておって、輸送を十分果しておらない。利益の問題その他もありましょうけれども、あまりにも中央輸送状況というものと地方情勢というものが、非常に格段の相違があるように見受ける。決算を見ましても、そういうような情勢にありますが、そういう点について、運輸大臣一体どういう方向に、中央地方バランスを持っていかれようとするのか、それが第一点であります。  それから第二点は、幹線計画を、東京大阪間三時間ぐらいで運転したいという広軌幹線計画を話されたけれども運輸大臣として航空事業、それから鉄道、それから自動車道路自動車縦貫自動車道路が、すでに計画され、着々着工しつつあるが、こういう鉄道航空自動車と、どういうようなバランスをもって仕事を進めようとされておるか、この点についての御答弁を願いたいと思います。  それから第三点は、さっきもちょっと言われたように、国鉄経営合理化によって、着々と定員が減らされ、新しい機械がどんどん職場に入っていくけれども、そういうような経営合理化に伴って、労働者だけに犠牲がしいられておる。そういう実績を三十一年度の決算からも見るのでありますが、私ども考えとしては、もちろん新しい機械が入り、その職場がどんどん機械化されていくことについては、近代人として反対できませんけれども、とにかく一億に近い人間が働いていかなければならない、人間が生きていかなければならない。そういう労働者が生活する、人間が生活するという面から労働者犠牲によって、そういう経営合理化がなされてはならないということで、そういうところで国鉄なり、あるいは一般的にも言えますけれども運輸行政全体の中で、経営合理化が進められ、その犠牲に、あまりにも労働者がなり過ぎる、そういう点について、運輸大臣として一体、将来どういうふうな施策を考えておられるか、根本的な方針を伺っておきたいと思う。
  11. 永野護

    国務大臣永野護君) 三点の御質問でございますが、まず第一点の国鉄中央中心主義ではないかという御質問についてお答えいたします。  申すまでもなく、国鉄は、公共性の強い事業であります。従いまして、日本国民全体のサービスに努めなければならぬことは当然と言わなければならぬと思います。ただ、これが独立の企業体という主義を取り入れて国鉄運営をすることになりましたので、いわゆる昔の官営のときとは、幾らかそこに運営に差が起るのはやむを得ぬと思います。すなわちある程度の独立採算の、そろばんを離れた運営がしにくくなっておることも事実だと思うのであります。従いまして採算をとっていくということと、そうして国民全体にサービスをする公共企業であるということと、この二つの要素をにらみ合せまして、許す限り各地方の今御指摘になりましたような、非常に不合理なでこぼこのあることは、修正していかなければならぬと、総体的にはそう考えております。具体的に、どの線をどういうふうに将来やっていくかということにつきましては、国鉄当局からこまかい回答はいたさせたいと考えております。  第二の幹線計画は、将来も、自動車と、つまり道路計画航空計画と、そういう他の乗りものとの間の関係考えたかという御質問であったのでありますが、これは、実は十分に考えまして、大体自動車道路ができましても、それに転化するものは、荷物で五%、乗客で一〇%、残りはやはりこの幹線が背負っていかなければならぬ、そういう想定のもとに、この計画を立てたのであります。しこうして何を根拠にして荷物の五%、乗客の一〇%という数字を出したかということにつきましては、これは具体的にその点についての御質問がございましたら、政府委員からその説明をいたさせます。  それから第三の、経営合理化労働者犠牲においてのみやるのはけしからぬじゃないかという説は、先ほどの港湾行政の問題についてお答えいたしました通りでありまして、企業合理化をいたしますと、必然的に、ある程度余剰労働力を生み出しますことは、必然であります。従いまして、単にどうすることが一番そろばんがよくなるかという点ばかりに重点を置かないで、あとの労働者の待遇をどういうふうに処置していくかということを考えてやらなければならぬと思うのでありますが、特に先ほども申しましたような公共性の強い国鉄におきましては、なおさら、この点は、重点を置いて考えなければならぬと、こう考えております。  実際問題といたしますると、その運営は、なかなかむずかしいのでありますが、少くも先ほど申しました港湾機械化計画なんかを立てますに当りましては、その実行したあとで、失業者の群が町にはんらんしてから対策を講ずるということでなくて、その計画を実行する前に、その余剰労働力をどういうふうに処置をするかということを考えなければならぬと思いまして、すでに労働省とも打ち合せ中であります。まだ成案は得ておりません。ただ何らかの形で、その労務配置転換を考えなければならぬと、こう考えております。
  12. 小西英雄

    委員長小西英雄君) なお、ただいま三木経済企画庁長官並びに山口行政管理庁長官、行政管理局長岡部君の諸君が参っております。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 第一点について、国鉄の方から、もう少し具体的に説明を願いたいと思います。それで、私の質問を終ります。
  14. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) ただいま国鉄は、幹線あるいは中央にばかり力を入れていて、地方については力を入れないのではないかというような御質問でございましたが、決してそうではございません。たとえて申しますると、諸外国、まあ一流国でありましても、いなかは、まだ旅客列車として木製車を動かしている。都会地では鋼鉄車でありまするが、いなかでは、まだ木製車が残っておるというようなことでございまするが、国鉄では、中央地方の別なく、全部鋼鉄車に切りかえてございますし、またディーゼル・力ーなども、どちらかと申しますれば、これを主として支線区に投入いたしております。北は北海道、南は九州、そういうふうなところの、しかもごくローカルな線に重点を置きまして、これは一部、経済的な観点からも立っておりまするが、地方のサービス向上のために、非常にいいディーゼル・カーを入れておりまして、今後ともディーゼル・カーは、どんどん支線区に入れていくという方針を立てております。  それから電化でございまするが、電化も各方面、北陸でありますとか、あるいは東北でありますとか、あるいは九州でありますとか、そういうところを電化すべく計画を立てておる次第でございます。  ただ最近、中央偏重ではないかという声も、ときどき伺うのでありまして、それは最近に「こだま」ができた、あるいは「あさかぜ」の車両がよいというようなことから御注意を受ける向きもございまするが、やはりこれは東海道線は、非常に旅客が輻湊しておりまするし、そういう点でやはり快速な列車を入れる必要もございまするし、また「あさかぜ」に至りましては、東京から博多まででございまして、こういう長距離のお客には、できるだけお楽な旅行をしていただきたいというような意図でございまして、この一、二の例から、国鉄中央尊重主義だというように、御判断にならないようにお願いをいたしておきたいと存じます。今後とも国家全体のために運営をいたしていきたいと思います。  また、ただいま、いろいろなたくさんの路線、新線建設をいたしておりまするが、これは大体、すべて赤字線区でございまするが、これはすべて御承知通りに、いなかの、まだ民度の低いところにばかり新線の建設を促進しておるというような次第でございます。
  15. 小西英雄

    委員長小西英雄君) なお、委員の諸君にちょっと申し上げます。三木経済企画庁長官は、二時より先は先約がございますので、三木長官に対する質疑は早目に願います。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 私は、先ほど運輸大臣に御質問申し上げましたが、この東海道線新幹線計画について、いつ実施をするかという腹がまえ、これを一つお尋ねしたいと思います。  そこで、今の国鉄総裁が言うように、国鉄全線から見ると、営業線で黒字を出しておるのは、きわめて少い。こういう中に、先ほど運輸大臣は、五ヵ年計画で千二百七十五億、こういうように言っておりましたが、これは利子を含めますと、千九百四十八億、約二千億です。二千億のいわゆる予算を投資をして、果して国鉄が現状の採算でこの経費が投入できるのかどうか、こういう点を、前の河野経済企画庁長官は、だいぶいろいろなことを私的に言っておったと思うのであります。私は、いつもこの問題をとらえて言っておるのでありますが、やはり国全体の問題として総合交通政策の中で、いわば、本日も三木長官が来ておりますが、経済企画庁が、十ヵ年計画なら十ヵ年計画の中で、一体こういうものはどうするかという点を出さなければ、場当りでもって、ここは足りないから、ここへ少し五十億投資する、あるいは、こちらへ千億投資するというような場当り的なことでは、私は国の産業の発達には益しない。しかも個々の経営状態というものは、非常に苦しくなっておる、こういうことが指摘ができると思うのであります。  そこで、三木長官にも一つこの点について、総合交通政策について、一体十ヵ年計画というものを昨年度あたりから強調されておるけれども、今、経済企画庁としては、どういうふうにお考えになっておるか。その中に持つ、今、島委員からも国鉄に対する質問があったけれども、エネルギーについてどういう考え方が、たとえば電力の開発あるいは原子力の使用方、そういうものについて、どうお考えになっておるか、こういうことを少しく御説明を私はいただきたいと思います。  それで国鉄の副総裁は、一体二千億にもなんなんとする莫大な投資をして、そうして果して運賃を値上げしなくてやっていかれるのか、あるいは、それはどういう考え方を持っておるのか、こういう点について、この東海道新幹線計画の問題について、第一にお答え願いたい。  それから第二の問題は、運輸大臣は、先ほどいわゆる港湾公団法の問題について、どうもあなたは、すでにコンクリート化したようなことを言っておるが、私は、この問題は非常に重要な問題だと思う。単に労働者の行く末をどうするかという問題でなくて、やはり国の海運政策、あるいは港湾政策というものをどうするか、こういうところに実は焦点があるのであって、前の河野経済企画庁長官の言うように、いわゆる国が管理権を取り上げる、こういうことになると、私は地方自治体の問題として、これは非常に大きな問題を残してくる。しかも港湾荷役等の問題についても、これは軽々にあなたの先ほど説明されただけでは、私は納得ができない。ということは、どういうことかといえば、たとえば神戸にしても、名古屋にしても、横浜にしても、すでに地方自治体として四十億も五十億も投資している。そうして港湾の整備をしているにもかかわらず、それを今度は国が、いわゆる港湾の整備をしなければならぬということで、二億や五億の金をつぎ込まれて管理権まで取り上げてしまう。こういうことは、全く中央集権ばかりであって、何ものでもない。官僚統制の一歩であって、こういうことは、私は地方自治を生かすものではない。こう本質的に考えてくると、昭和二十六年の港湾法を制定したことに全く逆行するコースをとるものだ。こう思うのであるが、この点に対する運輸大臣の見解はどうか。  また経済企画庁長官も、この港湾公団法、あるいは埠頭整備法。こういう問題について、あなたはどう考えておるか。それと同時に、いま一つは二十八国会において、いわゆるとん税、特別とん税、地方譲与税法案という法律をきめた。この法律に基いて港湾の整備をすることになったけれども、このトン税については、従来政府は五円でよかったものを、今度は地方に特別トン税というものをやるから、そこで政府は八円に値上げをして三円多くなっている。ところかその三円多くなったのは、国の利益になる、確かに金がよけいふところに入ったけれども一体何のために使うのか。しかし少くともこの海外貿易政策、いわゆる外貨獲得というものを考えていくならば、地方自治団体のいわゆるもっと資金的な面も考え、そうしてとん税法を作った当時の考えにさかのぼって、むしろ経済企画庁あたりは、この際地方に全部を還元をすべきじゃないか。そういう法律を出すのが、私は経済企画庁の考えであってしかるべきだと、こう思うんだが、経済企画庁長官は、どう思うか。  この点について、関係運輸大臣、経済企画庁長官、それから国鉄当局の三者にお答えをいただきたい。
  17. 永野護

    国務大臣永野護君) 港湾の管理権の問題でありますが、運輸省といたしましては、港湾整備計画を管理権の問題とからませる趣旨ではございません。ただ行政管理庁の方に、そういう構想がおありだと聞いておりますが、まだ表面化してはおらないのでありますが、長官も見えておりますから、この今の管理権の問題は、私からはお答えいたしかねます。
  18. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) お説の通り、やはりエネルギー資源、あるいは輸送力というものが、長期計画の一環として考えなければならぬ。御承知のように輸送力の面においては、年度計画を持っておるのでございます。どれくらいの輸送量になるか、それを国鉄あるいはトラック、こういうことで、どの程度輸送量の増加に対してウエイトをおくべきかという計算があるわけであります。資料として差し上げてもよろしいのでありますが、五ヵ年計画を持っておる。燃料に対しても、エネルギー資源に対しても持っておりますが、しかしエネルギーに対しては、最近原子力なども出て参りまして、十ヵ年計画は持っておるのだけれども、私は再検討をいたしたいという考えを持っておる。このエネルギーに対して企画庁の中でエネルギー部会と申しますか、そういうものをもって今まで決定と申しますか、十ヵ年のエネルギーの長期計画に対しては、これは原子力も含めて検討を加えていきたい。そういう点で、これは近く発足をいたしたいと考えているのでございます。  そういう一環として東海道の問題も、これは単に東海道新線の問題も運輸省が独自で立てた案ではないのであります。交通閣僚懇談会という企画庁長官が、これは世話役をいたしている会議にかけて、そうして日本輸送量の増加の将来から見て必要である、具体的には、これをいつどうするかということについては、今後の課題ではありますが、しかし将来の輸送量の増加から見て、東海道輸送力を増強することは必要である。こういう結論を出したので、これは、やはり総合的な輸送計画の一環として、その必要を認めたのであります。  お説のごとくすべてのものがそういう全体の一環としてものを考えなければならぬ、そういう点で企画庁というものが、そういうものとにらみ合せて、今後の施策の推進をやるべきだという御意見に対しては同感でございます。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 経済企画庁長官は、ちょっとお聞き漏らしだと思うのでありますが、二十八国会で、とん税法並びに特別とん税法が制定をされたのであります。地方譲与がきまったわけでありますが、この三法案の中で、トン税については、従来は国が五円取っておった。ところがこの特別とん税法を制定するに当って、国の五円を八円にふやしたわけであります。そうして特別トン税については、十円は地方に譲与しているわけであります。この五円のものが、八円になった。そこで政府が、一体それじゃ三円ふやしたから、その三円の金を一体どこに重点的にやるのか、こういうことについては、具体的にない。しかも二十八国会の中でこのトン税については、できるだけ地方に還元すべきであるということについて、経済企画庁で、そういう問題については、今すぐじゃ困るけれども、それじゃ一つ何とか考えよう、こういう大蔵委員会の中で話があったはずであります。  そこで私は、もうそろそろこの使っておらない金を経済企画庁あたりで、法律でも出して、地方自治体の財源として、私はやはり生かすべきじゃないだろうか、こう思うのですが、経済企画庁として、長官としてお考えはどうなっているか。  この点をお伺いしているのであります。
  20. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) トン税については、そういう委員会の今御指摘のような経過があった報告を私聞いていないのでありますが、政府委員が、委員会でそういう答弁をした以上は、事務当局の間において検討が加えられていると思います。  もしそういうことがございませんときには委員会の答弁に従って検討を加えるように私が督促をいたすことにいたします。
  21. 相澤重明

    相澤重明君 いま一つは、先ほども運輸大臣質問したように、この埠頭整備法並びに港湾公団法これを前の河野経済企画庁長官は、盛んに宣伝をしておった。アドバルーンを上げておった。しかしこれは、私は軽々にすべきでないので、地方自治体が、地方の住民から取り上げた税金で四十億か五十億か投資して、地方自治法みずからが、そういう一つの再建計画もやり、また現在進めているわけであります。それを今度は、三億か五億を国が港湾を整備するからといって国費を投入するから、今度は管理権をよこせということは、明らかに国の、このいわゆる中央集権化以外の何ものでもない。しかも、たとえば私が先ほど申し上げたのは、埠頭整備に名を借りて、倉庫業の人たちに、金持のための倉庫が作られたら、一般の人たちは使うことはできない、独占企業になってしまう。  こういうことは、先ほど運輸大臣は、管理権の問題については、行管の方からというお話があったけれども、私は、これは経済企画庁なり運輸省なりが、矛、ういう問題については、根本的な討議をしてきめるべきであって、前の河野経済企画庁長官が言ったから、それが直ちに行管の方針として出てくる、こういうことは私はけしからぬ、こう思うのだが、それがどうなっておるか、一つ行管もおるから、行管の方から答弁をいただきたいのだが、これは前の経済企画庁長官の関係があるから、一つ、三木さんから御答弁を願いたい。
  22. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) これは運輸当局、行政管理庁、いろいろ意見があるようであります。それは港湾行政の一元化という角度からいろいろな案があるわけでありますけれども、まだ結論としてこういうふうにするという結論が出ておる段階ではないのでありますが、今御指摘のような、地方自治体の要望もあり、そういう点で、これは、慎重にそういう問題は検討して結論を出すべきものであって、ただ一つの公式論だけでもいかぬと考えております。ただいま結論は出ておりません。
  23. 永野護

    国務大臣永野護君) 今の点に、一言つけ加えておきますが、相澤委員は、国が手を出さなくとも、地方団体がすでに数十億の金を入れておるのだから、ここに二億や三億の金を出して、その管理権を奪取するのはけしからぬという御説でありましたが、実は地方自治体にまかしておいて、この時代に即する専門埠頭などを作るということができますならば、国は、この特別会計だけで百二十九億という大きな金を新しく入れようというので、決して二億とか三億という金ではないのであります。地方自治体の負担能力以上の設備をする必要が迫ってきたから、国がそういうことを考えるようになったのであります。従いまして、御指摘のような地方へまかしておいてもやれるものを、一口に言うと、要らぬおせっかいを国がするというようなことは、実情に反すると思うのであります。  と言うのは、この新しい特別会計による港湾の整備ということは、相澤委員の御主張によれば、一番不満を感ずるであろうところの各地方自治体の首脳部が、こぞって一刻も早くやってくれという陳情をしておるのであります。従いまして、御指摘のような非難は当らないかと、こう考えるのであります。  ただ管理権の問題につきましては、運輸省は、今御指摘のようなことは、今のところ考えておりません。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 これは運輸大臣、重要な問題ですよ、あなたの言っているのは……。  それならば、あなたの言うように一元化という問題に話を突っ込んで、そうして国がもっとこの港湾というものをよくしていきたい、こういう希望であるという、その反面を見れば、それでは、あなたは二十六年に国会が通過させた港湾法というものを改正提案をする意思なのかどうか。私はむしろ現在の場合は、東京にせよ、あるいは神戸にせよ、この港湾法に準じた運輸省の原案というものはあるはずだ、運輸省は原案を持っているはずだ。この運輸省の原案というものを促進することが、港湾を最も健全なものにし、そうして外貨の獲得のためにも役立つことであって、特別にこの港湾法というものを改正をする意思がなければ、河野前経済企画庁長官の言ったようなことには私はならぬと、こう思っておる。そこで、臨海工業の造成等の特別立法なら別であるけれども港湾法については、私は運輸省の筋を通していく、こういうのが現在の段階ではないか、こう思うのだが、あなたはどうなのですか、改正を出すつもりですか。
  25. 永野護

    国務大臣永野護君) 今、私ども考えておりまする港湾の整備ということは、港湾法の範囲内に考えておるのであります。従って、今の繰り返して申しますように、管理権の問題にふれることを考えてはおりません。ただ、行政管理庁で、その問題が研究されておるということを申し上げたにとどまるのであります。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 行管はどうですか。
  27. 山口喜久一郎

    国務大臣山口喜久一郎君) 行政管理庁といたしましては、目下、行政審議会に貿易の振興あるいは港湾行政の改善等について、今後いかがあるべきかの問題の答申を今求めておるのでありまして、鋭意行政審議会において審議中でありますから、その答申に基いて、いずれ国会に御審議を願うことになるだろうと、こう思っております。
  28. 相澤重明

    相澤重明君 国鉄当局は、先ほど申し上げた新幹線計画について、約二千億にも及ぶ投資を必要とするのであるが、この計画について、一体どういうふうにお考えになっておりますか。  先ほど各担当大臣からは答弁があったけれども国鉄はいかがですか。
  29. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 国鉄当局といたしましては、この東海道幹線は、非常にもうかる線でございまして、かえってこれをいたしますれば、将来の国鉄財政に対して非常に寄与してくれる線だと考えております。  どうしてかと申しますると、御承知通りに、東海道日本の一番重要な地区でございまして、総人口の六〇%はこの地区におりまして、なお毎年毎年、人口増加の六〇%は、この東海地区でございます。それから、貨物の生産力にいたしましても、全国のおよそ六〇%は、この東海道沿線で生産されておるのでございます。そういうのを国鉄の方面の輸送の面から見てみますと、大体全国で旅客輸送量を計算いたしてみますと、昭和二十五年を一〇〇といたしまして、日本の全国の旅客の輸送量は三十一年は一四二になっております。二十五年を一〇〇といたしますと全国平均が一四二でございまするが、東海道線だけは一五二になっております。それからまた貨物の輸送量にいたしましても、昭和二十五年を一〇〇といたしまして、三十一年は全国平均が一四一でございますが、東海道線におきましては、これが一八三になっております。  かような趨勢で、東海道線だけは、ほかよりも異常な発達をして参るのでございまするが、現在の東海道線では今後これだけの輸送量を吸収して参ることはできませんが、幸いに新東海道線ができますれば、十分これらの旅客、貨物を運ぶことができる。従いまして、非常ないい線になって参ります。それで、将来のことでございまするから、なかなか収支の状態をはっきりはじき出すのは困難でございまするが、大体この東海道線の建設の計画がありましたときに、一応の収支計算も作ってございます。それによりますと、……
  30. 小西英雄

    委員長小西英雄君) ちょっと小倉総裁、ちょっと閣僚に、時間の迫っている人がありますから、なるべく簡単に答弁願います。
  31. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) ただいまの東海道線が純益が二百億ないし四百億でございまするが、この新東海道線ができますと、約五年後の四十二年あたりには五百億にたりまするし、さらに先の昭和五十年ごろには八百億の収入になるということでございまして、非常に有望な線と考えておる次第でございます。
  32. 相澤重明

    相澤重明君 次に、経済企画庁長官と運輸大臣にお尋ねしたいのは、私鉄運賃の値上げの問題であります。これは、最近盛んに新聞で、どうも年内に私鉄運賃が上るのではないか、あるいはいやそれは、来年に持ち越すのではないか、こういうような何か、もう私鉄の運賃値上げということは、既成の事実として盛んに宣伝されておるように私は思うのであります。  そこで経済企画庁長官にお尋ねしたいのは、一体政府の低物価政策というのは、放棄したのかどうか、これが第一であります。  御承知通り昭和三十三年度のいわゆる国際収支の中で、政府が当初説明されておったのは、三十一億五千万ドルを予想せられた。それが実績として、事実そのように結果がなっておるのかどうか。あるいはまた、今日国民生活の実情からして、一体この運賃を値上げをするということは、他の物価に影響というものはないのかどうか。私は運輸大臣にも前に質問したことがあるのでありますが、私鉄の運賃の値上げをすれば、必ずその連鎖反応というものが起きて、たとえば、すでに高碕通産大臣は、ガス料金の値上げをしたい、こういうようなことも閣僚の一人である高碕通産大臣が言っておる。それに力を得たかどうか知らぬが、町のふろ屋にしても、パーマネント屋にしても、すでに値上げをしてもらいたいという陳情をしているところもある。こういうことは、明らかに政府の低物価政策を放棄したことと、いま一つは、国民生活の中で最も被害を受けるのは、多くの勤労階級だと思う。その勤労階級の生活実態というものはどうなっておるのか。私はむしろ消費生活は、三%ないし五%は、実は政府の当初考えたより上っておるのではないかと思うのだが、経済企画庁長官としては、そういう点をどう御判断をされて、この運賃値上げということを既成の事実としてあなたはお考えになっておるか。  それから、運輸大臣には、国鉄の運賃の値上げが、昨年ああいうふうに一三%の値上げをされた。非難ごうごうたる中に、しかし政府としては、必ず国鉄の運賃値上げをすれば、輸送力の増強ができて国民の負託にこたえることができると、こういう確信を持って政府は運賃値上げを強行した。ところが、今回また私鉄の運賃を値上げをする。値上げをして、果してその輸送力の増強ということ、あるいは国民生活の圧迫を来たさないということ、こういうことができるかどうか。私はこの点について、運輸大臣に率直に一つ御意見を聞かしていただきたい。  こう思いますので、一つ経済企画庁と運輸、両相から御答弁をいただきたいと思うのです。
  33. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 物価政策を改訂する意思があるかどうかというお話でありますが、改訂する意思はございません。現在の日本の物価水準は、ほぼ世界的な物価水準にさや寄せされてきておるのでありまして、貿易の依存度の高い日本が、国際の物価水準に比べて日本が非常な割高であるということは、輸出振興にも、これはマイナスになるわけでありまして、現在の物価水準で安定をさしたい——もちろん、政府は、物価統制をいたしておりませんから、多少の物価に対して、これは含みがあることはやむを得ぬけれども、しかし、現在の物価水準を維持して、物価を安定さすことが、日本の企業経営の上においても、国際貿易の上においても、好ましいことである、これが基本的な考えであります。  ただ、御指摘の私鉄の運賃については、むろん公益事業であるし、独占事業の性質を帯びておりますから、その賃上げに対しては慎重でなくてはならぬというのが、経済企画庁の立場であります。産業の育成も、もとより必要ではございますが、相澤委員指摘のように、利用者の立場も考えるということが政治としてのあり方でなければならないと、そういう点で、慎重な態度はとっておりますけれども、私鉄運賃が公益事業であったにしても、これが経営がやっていけないというような状態に放置をいたしますことは、輸送の安全確保の上からいっても好ましいことではないと、そういう点で、ある程度の私鉄運賃の是正はいたしたいという考えでございます。ただ、その時期とか、あるいはその率とかいうものについて、企画庁でも検討いたしておりますし、政府部内の意見も調整したいと思うのでございます。それが現在の私鉄運賃に対しての段階であります。近く結論を出したいと、出したときには、経済企画庁は、国民になぜこういうふうになったかという理由を明らかにすることが行政の責任だと私は考えておるわけであります。そういう意味で慎重にいたしておるわけであります。しかし、近く結論は出したいと考えております。
  34. 永野護

    国務大臣永野護君) 運輸省が、私鉄の運賃問題を取り上げましたのは、物価政策の面から出発をしたのではないのでありまして、運輸省の責任を持っておりまするのは、この公共機関である私鉄の運営国民生活に不安の念を与えない、あるいは危険を及ぼさないという、安全運転ということに一番大きな重点を置いておるのであります。これは消極的な部面でありますが、今度は積極的に、さらにサービスの向上ということを考えなければならぬと考えておるのであります。  その点から、今の料金では、この二つの——安全運転の点に相当の危惧の念を抱かざるを得ないような状態、いわゆる自分の固定資産の食いつぶしが今日の実情であるという点と、もう一つは、今度は積極面でありますけれども、年々歳々ふえて参ります都市を中心としまする人口の増殖に伴う交通量の激増、それをどうさばいていくかという対策が、今の運賃ではできないという具体的の数字が出ましたので、ある程度の運賃値上げはやむを得ぬと、こう考えておるのであります。
  35. 相澤重明

    相澤重明君 三木長官に、大へん失礼でありますが、先ほどの答弁をいただくと、低物価政策は変えない、しかし私鉄の運賃については、まあ若干の是正もしなければならぬ、こういう御答弁だと私は思うのです。  私は、今残されておる私鉄運賃の値上げの対象の会社、これは関西、関東を通じて大手筋ではないかと思うのです。それがどのくらいの会社が対象になっているか、これは担当の運輸大臣から御答弁をいただきたいのでありますが、その以前の問題として、私は経済企画庁長官にお尋ねしたいのでありますが、現在までの関東、関西の大手筋が一体どのくらいの株主配当をしておるのか。これは私は相当経済企画庁としてあなたの言う慎重にという配慮の中に含まれておると思うのだが、国民にこの点を公表したならば、一体どういう感じを受けるだろうか。私はこれは今年の春だったと思いますが、少くとも十二割、十三割の株主配当を行なっておったという経緯を考えると、これは、私は相当やはり問題であろうと思うのです。  それから第三の問題としては、この大手筋のいわゆる株主配当もさりながら、私はむしろ、大手筋の私鉄が経営をしている系統産業、あるいはその会社、こういうものに対する投資というものは、一体どういうところから出ておるのか、たとえば東急の場合、なるほど東京急行電鉄としての私鉄の数字だけを、たとえば経済企画庁が調べた場合に、なるほど若干の赤字が出るかもしれない、これは私はわかりませんよ、見ておらぬからわかりませんが、あるいは出るかもしれない。しかしそのほかに膨大な不動産会社を経営し、あるいはまた映画館を経営し、デパートを経営し、多くのいわゆるそういう系統の会社を持っておって、そして一方においては私鉄が赤字なんだということが、果して理論的に国民に割り切れるか、こういう点を経済企画庁は、どういうふうに判断をされるのか、どういうふうにあなたは値上げがきまったならば、国民に、まあ経済白書か何かしらぬが、出して説明をするというお考えだと思うのですが、私は、この点はやっぱり国会としては、非常に大きな問題じゃないかと、こう思うのですよ。ですから、そこでそういう面について、どういうふうに経済企画庁としてはお考えになっておるか、この点を一つ長官からお答えをいただきたいと思うのです。
  36. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 先ほど、電車賃は、ある程度是正をしたいというのであります。家計費に占める電車賃の割合は、東京大阪で一・二%程度、名古屋、福岡で〇・九%のものであります。そういうことで、これが国民の消費生活に非常な大きな影響をもたらすという数字ではございませんが、しかし今、相澤委員も御指摘のように、こういうことがやはり諸物価にも心理的な影響がなしとは言えませんから、物価政策に全然無関係とは申せませんけれども、しかしそういって公益事業であるという名のもとに、安全の確保という点について、それが将来懸念が起るというようなことは、これはよろしくない。そういう点で、ある程度の是正はやむを得ないとは思っておるのですけれども、今言ったように、これが物価政策の改訂というような、そういうふうな角度からこれを取り上げておるのではないし、改訂の、今の物価政策を、政府はその基調を変えるという意思は持ってないことは、先ほど申し上げた通りであります。  それと数字的に、私鉄の運賃の値上げをいたします場合に、いろいろ総合的な経営を私鉄がやっておるので、運賃の値上げには、これも勘案すべきだということは、私も同意見に思う。ただしかし、運賃の算定の基礎というものは、適正な、いろいろな償却、そのほか適正価格の算定の要件になるものを中心にして、私企業である以上は、ある程度の適正な利潤というものもなければ資本が集らない。配当の点でも、一番大きいので一割三分、まあ大てい一割程度の配当でありまして、私企業という——これが国有とか国営とかは別として私企業である以上は、やはり増資もしなければなりませんし、この程度の配当があることは、これはやむを得ないと思うのであります。  ただしかし、そういう点で算定の基礎になるものは適正な運賃、適正な利潤、しかし最後には、いろいろ関連して経営しておる事業等もこれは参照すべきであるという相澤委員の御意見に対しては、私もさように考える。しかしそれが基礎ではないと思う。基礎はやはり、この私鉄の輸送事業プロパーとして考えるべきだ。最後の段階で一応個別的に参考にすべきものだと、私は考えておる次第であります。
  37. 相澤重明

    相澤重明君 今の三木長官の御説明によりますと、この暮迫って、あと一週間か十日でお正月を迎えるこの時期に差し迫ってきて、私鉄の運賃を値上げをするということは、私は考えられない、こう思うのであります。  私どもが一番心配するのは、政府はまあ国民の目がそれたときに、まあ言葉が悪いかもしれませんが、ちょっと無関心のときに、一つぱっとやってしまう、政治的にね。こういうことが、いつでも一番国民が虚を突かれた形になって、あとになっておこるわけです。こういうことは、私は今の三木長官の御説明によれば、国民生活をお考えいただき、そしてまた、この低物価政策というものも変えないという本旨からくれば、私はもっと御検討されてしかるべきだ、こう思うので、少くとも来年の一月下旬までは、国会は自然休会になるわけであります。従ってその自然休会後でなければ、私はそういう問題は、提起されない、こう三木長官の御答弁から考えるのでありますが、長官、いかがでありますか。
  38. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) この運賃の問題は、政治的に扱うべき問題でなく、事務的に検討すべきもので、従って運賃の問題を抜き討ち的に値上げをしようということのないことは、新聞紙上でも、これだけスペースのさかれている問題はない、その問いろいろ世論も起っていることだし、そういうことで、これを抜き討ち的に値上げをやろうということが、現在非常に新聞紙上で問題を出して、永野運輸大臣と私と意見が対立している、対立というところまでいかない前触れに新聞に書いて、これは相当新聞紙上でも問題になっているのでありますから、それを見ても、抜き討ちにやろうという意思のないことは御承知通りでありまして、それが、できればこういうことは、国会のあるうちに批判を受けたいと思いますが、しかし国会があるうちでなければならぬとも考えていないのです。事務的にやりたい、それは国会というものが、たとえそれが休会中でありましても、御批判は通常国会で受けるわけでありますから、そういう国会中でなければならぬとか、国会中でない方がいいとか、そういうふうに政治的には考えないで、これを事務的に処理したい、従ってもしそういうふうになれば通常国会で御批判を受けたい、こう考えております。
  39. 相澤重明

    相澤重明君 三木長官の答弁も、まことに政治的な答弁になっているわけです。だからあなたの言う、事務的に処理したいという反面には、やはり政治的な問題であることは間違いない、ということは、国民生活に影響を持つ問題であるから、私鉄運賃の値上げが認められれば、他の物価が値上げされないという政府は保証ができないだろうと私は思う。すでに閣僚の中でも、さっきも申し上げたように高碕通産大臣は、ガス料金の値上げをしたいということを言っている、そういうことからいうと、私は連鎖反応で必ず他の物価に影響してくるだろう、これは国民生活を考えない政治はあり得るものではない、こう考えておりますが、三木長官のお言葉であるけれども、政治的に考えないで、これを事務的にやりたいと言っているが、これほど政治的なものはないと思う。  私は別にここにお二人を揃えて主流派、反主流派ということで質問しているわけじゃありませんが、少くとも国会も、もういよいよあす、あさってには、自然休会に入ろうとするときに、この運賃値上げをぱっとやられると、自然休会に入ってすぐやられるということは、これは三木長官の言うように国民の批判が多く出るので、これは政治的にやるべきことじゃないと思います。事務的に資料を大いに作っていただいて、われわれ国会議員の納得し得る資料をたくさんに作っていただいて、自然休会の後にその資料を提示してもらって、そうして大いに三木先生の言う理論的なところを一つ出していただきましょう。  そういうことで、私鉄運賃については、年内はもちろん、年が明けても、国会の場で大いにそういう政府の意見を聞かしていただき、国民を納得さしてやる、こういうことでやっていただきたいことを、これは、要望になりますかな、最後に一つ、そういうことでこの辺で終りたいと思いますが、時間がありませんから、長官いかがですか。
  40. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 今のことについて、私お約束をいたしかねるということを申し上げておきます。御意見としては十分拝聴はいたしますけれども、これはあとで、もしそういうことが起ったときに、お前は委員会で何とか言ったというようなことが、誤解があっても参りませんので、それは申し上げておきますが、御要望としては承わっておきます。  それと、ガス料金に対しては値上げの意思は持っておりません。そういうことで、この私鉄の運賃の値上げの連鎖反応は極力断ち切りたいというのが、企画庁長官としての意見でございます。
  41. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、大へん時間をかけましたので、私鉄の問題は以上で打ち切りまして、行管長官と経済企画庁長官がおいでになりますから、この際一つ私は、行政管理庁設置法の問題に関係をして、経済企画庁長官にもお尋ねをしたいと思うのです。ということは、先ほど運輸大臣に、私は港湾公団法というのを作るんじゃないか、こういう御質問をしたわけです。それについては、経済企画庁にしても、運輸省にしても、まだ最終的なコンクリート化されておらない、こういう御答弁がありましたが、御承知のように、たくさんの行政管理庁設置法の中には、この第二条に、公共企業体関係あるいは原子燃料公社、公庫、日本住宅公団愛知用水公団、農地開発機械公団日本道路公団及び森林開発公団、こういうふうに、たくさんの公団とかあるいは公庫とか、公共企業体があるわけですね。そういうところのものは、必ず総裁名、副総裁名というのがついておるわけです。これは私どもが、国会でいろいろこういう問題について審議をいたすのでありますが、どうも総裁という資格において出ておいでになるというと、何か担当大臣よりは、おれの方が少し上じゃないか、自分は総裁なんだから、むしろ副総裁局長を出しておけばいいと、こういうような誤まった認識が多いじゃないか、こういう点で、国のいわゆる出資、あるいは国の税金によっていわゆる政府の所管の中におけるこれらの総裁名を使っておられる人たちに対して、一体今の港湾公団法の設置のことも関連するんだけれども、今後も、そういうものをどんどんふやしていく考え方なのか、あるいは行政管理庁としては、今までの実績の中から見て、こういうものは、あまり必要としない、もっと、いわば適切な公団なり公共企業体なりに名前を使わす、たとえば日本銀行であるとか、こういうようなものに使わして、あとは社長制にするとか、あるいは理事会があるならば理事長制にするとか、適切な名前があってしかるべきじゃないか、こう思うんだが、経済企画庁長官や行政管理庁長官は、こういう点について検討されたことがあるかどうか、まず最初にその点から一つお尋ねをしたいと思います。  運輸大臣は、時間がないようですから、その港湾公団法の提案を今すぐするというわけじゃないらしいからいいけれども、やはり、もしあなたが時間が許せば、そういう港湾公団法というのを作れば、総裁というものを置く考えなのか、そういう点について、三者から一つ御意見を出していただきたい。
  42. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 総裁という名前をつけると、ずいぶん偉く見えるというお話であったけれども、私はそうは思わない。総裁にも、事業のスケールによっておのずから等級があるものと思いますので、必ずしも名前にこだわる必要はないので、まあ、しかし全体としての私の主義をどうかと聞けば、大臣とか総裁とかいう名前は、適当な機会にかえたらいいと、私の個人の主義としては思いますよ。しかし相澤委員の言われるように、名前が総裁とついたから大臣の上にあるというふうなことは、私は観念として持っていない。だから、これは今までは考えたことはございません。今すぐに考えてみようというふうにも思いませんが、しかしまあそういう考えもあるのだということは、私の記憶にとどめさしていただきたいと思います。
  43. 山口喜久一郎

    国務大臣山口喜久一郎君) 総裁とか理事長というような名称のつけ方については、別に一定の基準があるようには聞いておりませんが、しかしそれぞれのその事業の量であるとか、あるいは団体の希望というようなことを勘案して、あるいは総裁とつけ、あるいは理事長とつけられておると承知しております。  それらの所管大臣が、適当に名称を考慮されるのであって、これらの団体は、行政機関ではないのでありまするけれども、行政管理庁としては、この機構については、あまりタッチはいたしておりません。
  44. 永野護

    国務大臣永野護君) 総裁という名前が、適当であるかどうかということは、実はまだ本体が生まれるとも生まれぬともきまらぬ状態でありますから、その命名については、考えたことはございません。しかし、かりにそういう話ができたといたしますると、総裁という名前のウエイトについての私の感じは、三木長官と同様であります。
  45. 相澤重明

    相澤重明君 山口さん、一つあなたにお尋ねをしたいのですが、一体政府の所管をするこの各公団なり、あるいは公社なりでもって、総裁名は幾つありますか、総裁名を使っているのは、幾つありますか、ちょっとお答え願います。
  46. 山口喜久一郎

    国務大臣山口喜久一郎君) ちょっと、それじゃ管理局長から……。
  47. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) お答え申し上、げますが、数は、今おぼえておりませんが、行政管理庁設置法第二条に出ておりますうち、公共企業体、すなわち三公社は、総裁を使っております。原子燃料公社は理事長を使っております。それから公庫につきましては、総裁を使っております。それから住宅公団愛知用水公団は、総裁を使っております。農地開発機械公団は、理事長、日本道路公団総裁、森林開発公団理事長、それからも一つ、労働福祉事業団は理事長、こういうことになっております。
  48. 相澤重明

    相澤重明君 それで総裁の給料というものは、どのくらい出しておるのですか。行政管理庁でわかるでしょう。
  49. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 給料につきましては、総裁名を使っている団体が幾ら、理事長名を使っている団体が幾らということはきまっておりませんで、それぞれの団体の事業の大きさ、責任の大きさ、あるいはここに就任せられる職員の賃金の大きさ、その他いろいろな事情を勘案して、そのつどきめるように承わっております。
  50. 相澤重明

    相澤重明君 そういうことはわかっているよ。法律を作るときに、そういうものを、総裁名とか副総裁名を使うということはわかる。給料を幾らにするということは、わかっている。しかし行政管理庁というところは、そのくらいのことは調べておるだろうというのが質問の要旨です。  そこで、私どもが一番考えることは、総裁という名前を使っても、実際には、あまり仕事をしておらない。高い給料をもらっておるけれども、あまり仕事はしておらぬ、こういうのがずいぶんあるのじゃないか、こういう点を私は心配をするのでありますから、行政管理庁は、そういうことを調べたことがあるのか、今後行政管理庁は、行政白書なんというものを新聞なんかに出す、そういうところは抜きにしてしまって、とんでもないところの物価の値上げをするときに、その白書なんか出してきたって、意味がない。管理運営というものが、どうなっておるか、こういうことが、国費を使って、その国費のもとに、いわゆる生活をしておるそれらの人たちが、実際の仕事がよくできておるかどうかが問題です。  こういう点を、私は、やはり行政管理庁としては調べるべきじゃないか。たとえばこれは、一つの話であるけれども、三木長官も、おそらく知っておるだろうと思いますが、岸総裁が、自動車事故にあったということが一部の新聞に出たでしょう。自民党の諸君もびっくりした。しかし岸総裁は岸総裁でも、道路公団総裁であった。こういうことで、実際に同じ名前なり、同じ名称を使う場合に、そういうことが、ともすれば起きがちである。そうしてしかも、そのものが実際に政府の欲しておる公団なり公社なりの仕事が、十分にできておるか。こういう点を、私ども決算の場に臨んで調査してみると、どうもあまりおもしろくない。  そこで私は、そういう総裁名の使用方について、むしろ先ほどは、いわゆる個人的には、三木長官は、そろそろ、そういう時期にあるかもしれぬとおっしゃったが、私は、こういう点を一度検討して出すべき段階じゃないか、こう思います。これが一つです。  それから同時に、大へん、閣僚を前において言いにくいことだけれども、言っておきたいと思うのでありますが、閣僚の兼職禁止について、一体経済企画庁あたりは、どう考えるか。あるいは行政管理庁はどうか。これは、私はやはり非常に重要な問題だと思います。先ほど申し上げた、民間の人たちが、何々公社、何々公団という肩書きを持った人たちが、たくさんの兼職を持っております。だから一ヵ所では、二十万か、三十万の月給かしらぬが、これを十も二十も集めると、大へんな問題だと思います。それで、いわゆるそういうことが、ひいては閣僚の兼職禁止という問題が、なかなか、実はきまらない。こういう点について、岸内閣が主張しておるところの、やはり不正をなくする、汚職をなくする、こういう点からすれば、閣僚の兼職禁止ということは、この際出していいのじゃないか、こう思いますが、総裁名の使用方と、そしてまた閣僚の兼職禁止について、一体どう考えるか。  これは一つ会計検査院のほうで、閣僚で兼職を持っておる者があるかないか。それを一つ、調べてあるだろうから報告を共に願いたい。
  51. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 相澤さんのお話の通り、閣僚は兼職は好ましくないと思います。兼職を持っておる閣僚は、今ございません。建前としては、総理の認可があれば、できるのだけれども、にもかかわらず、やはり好ましくない。閣僚は、兼職を持つべからず、こう思うのであります。  それから総裁は、まあ理事長のような名前のほうが好ましいと思いますが、検討いたす機会があれば、検討いたしたいと思います。
  52. 山口喜久一郎

    国務大臣山口喜久一郎君) 私も、企画庁長官と全く同意見でありまして、私の知る範囲においては、閣僚で兼職を持っておる人はないと思いますが、もしかりにあったとすれば、それは正当な手続きをして、これは支障を来たさないというので、総理大臣の認可を必要としておると思っております。  公団等については、理事等で兼職を持っておるというようなことを聞きましたので、調べておりまするが、総裁や、理事長で兼職を持っておる人はないのではないかと思っております。
  53. 池田直

    説明員池田直君) 閣僚の兼職の関係でございますが、会計検査院の場合は、一般の場合は、直接会計の検査の対象になることはないと考えております。たまたまそういうようなことがありますれば、自然にわかって参りますが、普通の場合は、会計検査院の対象にはならないと考えますので、報告しろということでございますけれども、さよう御了承を願います。
  54. 島清

    島清君 相澤委員の先刻の質問関連をするわけでございまするが、エネルギー対策をお聞きいたしましたときに、三木長官はエネルギー対策については、再検討したい、このような御答弁であったと記憶いたしておりますが、今エネルギー対策ということをいいまするというと、現段階においては、電気、石炭、それから油ということでございましょう。さらにそれに原子力がプラスされるかと思いますけれども、私はそういう広範な問題について、一ぺん三木さんにお聞きしたいと思っておったのですが、きょうは時間もお急ぎのようでございまするから、きょうは油の問題だけお尋ねしたいと思いますが、私はエネルギー対策を再検討いたしまする場合に、油の問題は非常に重要だと思います。  それは、油は、幾らでも入れようと思えば入りますけれども、しかしながら油を握っておりますところの資本は、これは国際的な独占資本でございまするので、そうしてアメリカの石油資本などのために、いろいろ世界的な操作がなされておりまするので、日本は高い——世界も、そうでございますが——石油を買わされているわけであります。そこで国内石油資源を開発しなければならないというので、国策会社ができていると思いまするけれども、しかしながら通産省であるとか、あるいは経済企画庁あたりでは、その国内にありまするところの石油資源を開発しなければならない。これについては、国内の総力をあげなければならないということについては、私は積極的な御意思だ、こういう工合に推定をするわけでございます。しかしながら大蔵省あたりでは、買えるものは海外から幾らでも買えるのだからよろしいではないか、こういうような考え方があるのではないかと、こういうふうに思うわけであります。  そこで、国内の資源を開発することについては、それは同感でございましょうが、具体的にこれをどうやって開発するかということになりまするというと、もちろんこれは、資本関係も資金関係も、非常に大きく作用いたしますので、かりに大蔵省が、国外から幾らでも油は入るのであるから、別に国内石油資源を開発するのに、そうそう予算を使うこともないのではないか、かりにこういうことの考え方であったといたしまするならば、私は根本的にこれは、国内資源開発を阻害するのみならず、総合的なエネルギー対策として一本骨が抜けているのではないか、こういうふうに考えるわけであります。従いまして現段階におきましては、私がただいま申し上げているようなことが憂慮されるわけでございまするが、三木長官といたしましては、今あなたが考えておられるようなエネルギー総合対策としては、なかんずく石油に対しては、どういうような考え方を持っておられるのか、この点を明らかにしていただきたい。
  55. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 島委員の御指摘のように、やはり産業政策としては、国内資源の開発、これが第一義的だと思います。石炭にしましても、経済性からいえば、それは原油を輸入した方が安いことは間違いがないのです。  しかしその国内の産業を開発することによって雇用の問題もありますし、あるいはそのほか産業政策上の見地もございましょうし、そういう意味において、石油のごときも、これはとうていこの日本の国内資源の開発をいたしましても、日本石油の需要を大きく助けるようなものではございませんが、産業政策の見地からして、できるだけ、国内資源の開発ということに対しては力を入れるべく、そういう意味において、御承知のように政府も援助して、その石油会社を作っているわけでございますから、これは、そういうものはもう、あんまり重視しないで、みな輸入したらいいのだという考え方は、私は、そういう考えではなくして、島委員考え方に同調するものでございます。
  56. 小西英雄

    委員長小西英雄君) ほかに質疑はございませんか。——それでは本件に関する本日の質疑は、終了いたします。午前中の質疑は、これをもって終了いたします。  午後三時より再開することとして、これをもって休想いたします。    午後二時二十一分休憩    —————・—————    午後三時三十三分開会
  57. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 休憩前に引き続き、委員会を開会いたします。  ただいま御出席の方は、岸内閣総理大臣左藤防衛庁長官、丸山調達庁長官の諸君であります。  御質疑のある方は、順次発言を願います。
  58. 相澤重明

    相澤重明君 総理大臣にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、昭和三十一年度の決算の総括質疑をこれを終了するわけでありますので、特に総理大臣にお忙しい中をおいで願ったわけでありますが、御承知のように、昭和三十一年度の一般会計の歳出決算額は一兆六百九十二億四百余万円、そのうちで予算執行の結果、予算の翌年度に繰り越された額は四百四十億円以上になっておるのであります。そのうちの特におもなものは、防衛庁、防衛庁施設費二百三十六億六千百余万円、防衛支出金二十二億四千九百余万円、それに沖縄関係の特別措置費十一億円余、こういうふうに非常にたくさんの繰り越された額と、さらに防衛庁の施設費の中で六十億四千三百余万円等の問題については、これは非常に国民の血税の中から多くの予算化をしながら、この予算執行に当ってこういう措置をとらなければならなかったという点はどういうことであるか。こういう点をわれわれも、三十一年度の決算当初に、政府関係者の方々に実はお尋ねをいたしたわけであります。しかし、どうもこの内容も、いろいろお話を聞いて参りますというと、政府があまりにもいわゆる予算編成の際に少し大まかに防衛庁関係は過ぎるのではないか、こういう点が、たとえば調達等の問題についても、全然もうできないものを予算を取っておいて、全額を翌年に繰り越してしまう、こういうような問題があるから、実はそうしたことが行われておるのではないか、こういう点がわれわれはうかがえるのであります。  従って、国の特に重要な防衛関係について、一体、総理大臣としては、この予算執行に当って、三十一年度のこの結果にかんがみて、どうお考えになっておるか、責任をお考えになったか、この点、一つ総理大臣並びに防衛庁長官からお答えをいただきたいと思うのです。
  59. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 相澤委員の御質問は、私は、まことにごもっともな御質問でありまして、いやしくも、国の予算を編成して、これが施行当りまして、非常に巨額な金額が繰り越されるというようなことにつきましては、それぞれ理由はございますけれども、これはなるべく避けるようにしていかなければならぬことであると思います。従いまして、三十二年度以降の予算につきましては、従来の防衛費予算の査定、編成、最後の決定の、三十二年度以降の査定及び決定に当りましては、特に従来の防衛費予算について繰り越しが非常に多額にあるという事態をよく検討いたしまして、その特殊な事情上、ある部分は繰り越しをしなければならぬような性質のものもございますけれども、それを極度に押えて、従来のような巨額のものが残らないように、三十二年度以降の予算編成に当りましては、特に留音して今日に至っているような次第でございます。
  60. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) ただいま総理大臣からお答えをいたしましたように、三十一年度は非常な繰り越し、不用額の多かったことは御指摘通りでありまして、調達庁の機構も十分整いませんいろいろな事情もございましたが、その後ただいまお示しのような御趣旨に沿うように努力をいたしまして、翌年度、たとえば三十一年度は二百三十六億という繰り越しがございましたのを三十九億、不用額も三十一年度は六十億でございましたのが三十二億というふうに、だんだん改善されておりますが、何分にも大きな機構であり、人件費、食糧費等いろいろございますので、御指摘のようなことがございましたことは、まことに申しわけございません。今後はなお一そう努力いたしまして、国民の血税がさようなことになりませんように努力いたしたいと思います。
  61. 相澤重明

    相澤重明君 総理大臣並びに防衛庁長官の御答弁は、一応の御答弁としてはわかるのでありますが、特に総理大臣に、私はこの際、三十一年度の決算として非常に重要な問題であるので、お尋ねをしておきたいと思うのでありますが、三十一年度の予算の中に、政府は、防衛庁がイタリアのスタッキーニ社に契約をして、四千四百万円余の予算を計上をして、いわゆる発注をすることをきめたようでありますが、その納期が三十二年とかいうふうに私ども聞いておったのでありますが、しかもその予算が盛ってあるということで、実際にイタリアの会社によく確かめないで、そして前渡金なるものを渡して、しかもその前渡金が二千万円とかいうのでありますが、それが回収不能になっておるということを聞いておるのでありますが、これは事実かどうか。会計検査院にも加藤院長から、この点、防衛庁の予算執行に当ってそういうことが、三十一年度の予算の中で四千数百万円が計上されておって、イタリアの会社と契約をして、三十二年に納期になっておったのが、納期になってもいまだにその品物は納まっておらぬ。しかも前渡金は渡しておる。こういうようなことをいわれておるが、それは事実であるかどうか。会計検査院としても、調べたかどうか、この点を、会計検査院としても一つお答えをいただきたい。総理大臣並びに防衛庁長官、会計検査院長から一つお答えをいただきたい。
  62. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) ただいまのイタリアの問題につきましては、非常に技術もすぐれた会社でございまして、調査をいたしました上で発注をいたしたのでございますが、非常な争議がございましたり、ついにその結果、会社が破産をいたしましたり、いろいろな事情でいまだに引き渡しを受けられないということになっておるのでありまするが、わが在外公館を通じまして、その善後措置を今いたしておる段階でございまして、もうしばらく推移を一つ見たいと思っている次第でございます。
  63. 加藤進

    会計検査院長(加藤進君) ただいま相澤委員から御質問がありました事実につきましては、会計検査院といたしまして、三十二年度の決算報告におきまして、主として前渡金の回収が不能であるという事態につきまして、所見を明らかにいたしております。
  64. 相澤重明

    相澤重明君 加藤検査院長、一つその点明らかにしてもらいたいのは、契約は何年何月、契約額は幾ら、前渡金は幾ら、そして現在の会社はどうなっておるか。防衛庁長官のお言葉もありましたが、一応、会計検査院長の方から御報告いただきたい。
  65. 加藤進

    会計検査院長(加藤進君) これは三十二年度の決算報告、三十二年三月に随意契約によりまして、ポルベルフィチ・ジョバンニ・スタッキーニ株式会社から航空機搭載用八センチメートルロケット弾及び発射装置一式を四千七百三十四万六千三百六十八円で購入する契約を締結しまして、うち前払い金といたしまして二千二百七十三万百七十五円を支出いたしておりまするが、前払い金の保全に関する措置が適切を欠いたために、契約が履行されない結果となったにもかかわらず、その回収が困難となっております。契約はただいまのところ履行されておらず、それからスタッキーニ会社の方も、現在ではまだこの会社において納入ができるだろうという見込みは立っておりません。
  66. 相澤重明

    相澤重明君 これは委員長、今お聞きの通り非常に重要な問題ですから、私どもは今三十一年度の決算をやっているわけです。ところが、防衛庁の三十一年の予算の中で四千四百余万円を計上して、そうしてイタリアの商社と防衛庁が契約をする、三十二年の三月に一応随意契約をして、そこで入るか入らぬか、相手の商社はもちろん入るというでしよう。しかし、そこで二千万円からの金を、前渡金をして、しかもその会社がつぶれてしまった。一体これで会社がつぶれて、相手の国の——商社ですから、相手の国ではないから、国なら外交関係の中なり、あるいは国の体面の立場からいろいろまた話はあると思いますが、商社になれば個人の問題になります。そういう問題について、会社がつぶれてしまって、一体政府が前払いをしたところの二千二百七十三万幾ら、これだけの額が回収の見込みが立たないと、今、会計検査院では言っているわけです。防衛庁長官はどうして、あなたはいま少しく時間をかしてくれというのだが、どういうふうにお考えになっているのですか、時間をかしてくれということは。
  67. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) 現在相手会社に対しまして、われわれの債権の確保、それをどういうふうにして回収するかということにつきまして、在イタリア日本大使館を通じまして、折衝をいたしている段階でございます。
  68. 相澤重明

    相澤重明君 総理大臣いかがでしょう。防衛庁長官は、日本の大使館を通じてイタリアの商社の方、あるいは向うの人たちと相談をしているようでありますが、事実上の問題として、会社が、もうその作っておった会社がつぶれてしまった。ない、そういう場合に、日本では非常に重要な防衛費を多額に出費しているにもかかわらず、回収の見込みが現状では立たぬ、こういう点について、これは総理大臣は、この場合、これはもう仕方がない、欠損にするのだ、こういうお考えなのか、それとも、あくまでも、個人までも追及をして取り立てをさせようとするのか、どうなんでしょう。
  69. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) お示しの前渡金につきましては、目下在イ大使館の推薦によるダンテという弁護人を依頼いたしまして、債権の回収に今努めているところでございまして、なお保険がございまして、保険会社はオルトレポというのですか、その保険会社に対しましても、同様請求権があるということで、訴訟を提起している段階でございます。
  70. 相澤重明

    相澤重明君 防衛庁長官、これはあなたの今のお話ですと、大使館を通じて折衝することと、いま一つは、契約をした、もちろん、船積み等をする場合の保険があるから、その損害を保険で幾らか埋めよう、こういうお考えに立っているということなんですか。そうして実際に三十二年の三月にも入ろうというものを、もう一年有余にわたって、今日は三十三年の十二月なんですから、今日の時点においては、一年半以上もこの問題が放置されているということについて一どういう一体防衛庁では処分をしたのですか。  それから一つ、これは左藤さんを追及するというよりは、前任者のことなんですね、前任者のことで、大へんあなたにはお気の毒だと思うけれども、これはしかし、担当のゆえをもって御了承いただきたいと思うのですが、一体このときの、契約をしたときに立ち会った幕僚はだれなんですか。それから、その幕僚に対してだれが一体責任を——あなたは最高の責任者として追及されて、そして総理大臣にどういうふうに御報告されて、総理大臣はまた、それをどういうふうにその問題を処置をなさったのか。一年半ですからね。現在の時点に立ってこれは一つ明らかにしてもらわなければいかぬ。というのは、私は、先ほども申し上げたように、三十一年度の国家の歳出決算の中で、防衛庁ほど多い額はないのですね。総理大臣もさっきお答えいただいた通りなんですよ。そういう中でも、特に三十一年に四千四百万円計上した中で、二千万円ぽんと出しちゃった。そのぽんと出したのはいいけれども、それは返ってくるかどうかはわからぬ。こういうことで、これは質問がなければほおかぶりしておくと、あるいは会計検査院が調べなければまあ政府も黙っておく、こういうことであっては、私はまことにけしからぬと思う。こういう点について、防衛庁長官として、担当者として、どういうふうに当時の契約に立ち会った幕僚、そしてそれに対するところの措置、それから最高の責任者である総理大臣に、あなたはどういうふうに御報告をされて、総理大臣はまた、それに対する処置をとったかということを一つ御答弁をいただきたいと思う。
  71. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) 三十一年度予算で三十二年三月に二千二百七十三万円の前渡金を渡しましたことは事実でございまして、当時だれが計画してどういうことをいたしましたか、いずれまた人名等御報告申し上げまするが、これが会社の争議その他の事情によって会社が破産状態になりました。しかし製品は会社にあるので、何とかしてこれを日本側に渡してもらうというので、当時いろいろ折衝をいたしたのでありまするが、先ほどのお話は、日本におけるイタリア大使館というお話でございましたが、私どもが今折衝をしてもらっておりまするのは、ローマにおります日本大使館でございます。品物がほとんどできかかったものがあるものですから、何とかそれを会社が立ち直って、争議等の問題も解決して、これを完成して渡してもらいたいということで、非常に遷延をした事態を見ておったわけでございますが、非常にそれが困難な状態になりましたのと、大使館から向うにおりますイタリア人の弁護人を依頼いたしまして、品物を渡してもらうか、あるいはどうしてもできなければ、この前渡金の回収ということについて折衝をいたしておる。こういう段階でございまして、なおこれを担当しました保険会社にも請求権があるということで、どうしてもスタッキー二の方が破産してしまって、何にももう財産がない、債権の回収ができないということになりますれば、保険会社の方に前渡金の補てんをしてもらうようにという、こういうような訴訟を今提起しておる段階でございまして、もし、これが完全に不可能ということになりますれば、当時の契約に関与いたしました者等を調べまして、なお、果してそれが不可抗力であったかどうか、十分調査いたしまして、私自身としても、総理に対して責任は明らかにいたすつもりでございますが、現在はそういうふうな先方と法律的な交渉をいたしておる段階でございます。
  72. 相澤重明

    相澤重明君 これは防衛庁長官、ちょっと何かあなた次の手が考えられるような、今私は答弁の印象を受けたのでありますがね。左藤さん、どうなんですか。あなたは、イタリアのスタッキーニ会社が破産をしたと、従ってイタリアにおる日本大使館を通じ、あるいはその弁護団を通じて回収の努力をしておる。中には製品があるから製品の引き渡しを受けたい。この製品の引き渡しを受けたいということは、あくまでもこれは前渡金でありますからね。つまり、あなたの方では四千四百余万円のいわゆる三十一年度にイタリアの会社に対する発注の準備をされて、そうして随意契約をしたということで、二千二百余万円の前渡しをしたわけです。あと二千二百余万円をやって製品を受け取ろうという腹ですか、どうなんです、これは。
  73. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) 大へん三十二年三月以来遷延をしておるという話でございましたが、その間の私どものいたしましたことは、品物が完成をして、われわれの注文通りのものがもし引き渡しできるならば、これは残りの金も受け取るようにしたいということで、大使館を通じて努力をしておったのでございますが、それは今言いました通り、困難なようでございますので、そうなりますれば、前渡金を回収いたしたい、こういうように今日までの経過を申し上げたのでございまして、現在のところは、製品を完成して、全額払って受け取るということは非常に困難な状態のように聞いております。
  74. 相澤重明

    相澤重明君 総理大臣、いかがでしょう。総理大臣は、いつごろこの事件を防衛庁からお聞きになったでしょうか。この事件の起きたのをいつごろあなたはお知りになったでしょう。少くとも国の最高の責任者として、しかも、防衛問題についての何ですか、議長さんでありますからね。そういう意味で、いつ、このことをお聞きになりましたか。
  75. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 実は私その事実は、今日まで具体的事実は存じておりませんでした。一般予算の編成や予算施行の大綱につきましては、もちろん報告を受けておりますけれども、具体的な問題は私承知いたしておりません。
  76. 相澤重明

    相澤重明君 どうです、総理大臣、これは。これはもう、これが新聞にこの間ちょっと出たのですが、これがきょうの参議院の決算委員会で三十一年度のをやっておるのですが、私のおそれるのは、総理大臣、大へん気を使っていろいろ御苦労をされておるのですが、先日も衆議院の決算委員会でグラマン機ですか、戦闘機機械の問題がありましたね。いろいろあなたに御質問があったと思うのですよ。とにかく、国家予算としてはたくさんの防衛庁の予算を作るわけですね。計上をするわけです。そうして幕僚会議か何かであなたは議長として、そういう予算を作るのもこれは必要だ、国の防衛だから必要だということで、たくさんの予算を計上しておるものですから、実際にこれを執行するものは幕僚の人たちだと思うのですよ。実際に総理大臣が、あなた自身がお話しになったように、この外国との契約についても、総理大臣は実際は知らない。幕僚がやっておるのだ。で、そういうたくさんの予算を計上をして、そうしてまあ戦闘機を三百機だか幾らか知らぬけれども、議論をされておって、機種がどういうようにきまったとか、きまらぬとかいっておったけれども、あの問題も、国民はかなり疑惑を持っておるのですよ。まあ総理大臣がお答えになったけれども一体どうなったのだろうかという心配を持っておるわけです。そういう中にこの問題が出されたら、一体、防衛庁は何をやっているのだ、国民の税金というものを一体どういうふうに政府考えておるのだ、こういうふうな私は、やはり政治に対する不信の念を持つと思うのですよ。  そこで、この問題について、先ほど防衛庁長官に御答弁をいただいたけれども、できなかったときには、これは総理大臣どういう処置をしますか。防衛庁の関係者に対してどういうあなたは措置をされようとしますか。これは総理大臣としてお尋ねをしておかなければいかぬと思うのです、私は。
  77. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) もちろん、予算国民の租税になるものでありますから、これが施行当りましては、各省とも十分な注意をもってこれが施行に当るべきは言うを待ちません。その意味において、各省大臣がそれぞれ自分の所管の予算施行につきましては、最善の注意と努力をいたしておるのであります。ただ問題は、十分な注意、この場合におきましても、いわゆる善良なる管理者の注意を怠らず、十分な注意はしたけれども、当のイタリアの会社において、契約当時全然予想もできないようなある事実が起って、そのために履行が不可能になって、国に損害を及ぼすような事態がきたという、そうしてまた、その損害を防ぐについては、自後におきましても最善の努力が払われ、だれがやっても当然それだけの以上のことはないと、人力の要するに限りが尽されておるという事実であるならば、私はこれはまことにいわゆる不可抗力で、やむを得ないことであろうと思うのです。しかし契約の当時に善良なる管理者の注意を怠っておって、もうその当時から非常な信用のできないような会社であり、そういうものと契約をして、そうしてそれに非常に十分な注意をせずして前渡金を渡し、そのために国に損害を及ぼしたというような場合におきましては、当然私は、その取り扱ったところの担当官や、その他の責任を明らかにすべきものであると思います。この辺のことは、十分当時の事情なり、そうしてこの納入不可能になった原因、事情なり、またその後におけるその損害を補てんし、あるいはできるだけ少くしょうとしたところの努力なりというものが、当然やるべきことを怠らずに最善が尽されておるかどうかというようなことを、十分調べました上にこれは処置すべきものであると思います。そうしてそれを買い取った場合においても、やはり責任を明らかにしなければならぬ、かように考えております。
  78. 相澤重明

    相澤重明君 私だけで時間を取ってしまっては、他の委員にあれですから、私きわめて簡単に質問しておきますが、私、実は欧州に回ったときに、そういう話も若干聞かないではない、この会社の話をね。私も、イタリア、フランスへ回ったときに、非常にこの会社の人は宣伝がうまいのだそうですね、このスタッキーニは。そういう話を当時、これは私は一九五四年のときでしたが聞きました。そういう話を聞いておるわけです。ところが、その後、日本政府があまり金をたくさんお持ちになっておるということ、こういうことで、少し外交員にサービスをし過ぎたのじゃないかと、まあおそれかあるわけです。そこで、それはそれとして、国の少くとも防衛に関する問題でこれだけの多額の出費をしたのが、実際に役に立たないと、こういうことであっては、これは私は大へんなことだと思うので、一つ左藤防衛庁長官は、まあ前任者のやったことではあるけれども、やはり庁内を引き締めてもらい、国民にそういう疑惑の起きないように私はやってもらわなくてはいかぬ、これが一つ。  それから、総理大臣には大へん恐縮だけれども、この事件の解決について、後刻いずれの機会か国会報告していただいて、そうしてその場合には適正な処置を私はとらなければならぬと思うのです。それを一つ私は報告をしていただくことをここに残しておきたいと思う。  そこで、その次にお尋ねしたいのは、例の国防会議で戦闘機械の問題を議論をされておったのですが、あれはもうきまったのですか、いかがでしょう。
  79. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 次期戦闘機の機種を決定するという問題は、国防会議におきましていろいろ審議いたした結果、本年の四月に一応グラマンと内定をいたしたのであります。これは当時まだ未確定のものが非常にたくさん、データにおいて未確定のものもありますし、具体的にこれを決定するのには、なお正確なる調査を必要とする、技術面からあるいは価格の面から、いろいろな点においてするという意味におきまして内定をいたしたのでございます。その後、御承知のように衆議院におきましての決算委員会におきましてこの問題が取り上げられて、いろいろな論議がありました。その際、私は国防会議の議長として、この問題はさらに国防会議において私が十分に審査して、最後の決定をするつもりだと、そうしてその場合においては、国民がこの問題に関して疑惑を持ったり、あるいは納得をしないということのないように、十分にデータを尽し、そうして具体的な、すべての問題に疑問を残さないような形において、そうして国民の納得する方法においてこれを決定するということを、決算委員会で申し述べてあります。自来、いろいろな方面におけるこの資料をさらに再調査いたしております。そうしてグラマンのみならず、その他の機種につきましても、やはりその後に、相澤委員も御承知通り、飛行機の問題なんかになりまするというと、特にこういう戦闘機の問題は日進月歩でありまして、いろいろ従来不明であった点も明らかになり、さらに検討すべきような事項も出て参っておりますので、慎重に今検討をいたしております。そうしてこれは国防会議において、今中しましたような資料を整えて、そうして国民に疑惑を持たせない、納得がいくような形においてこれを決定したい、かように思っております。
  80. 相澤重明

    相澤重明君 総理大臣のお話ですと、まだグラマン機については最終決定はしておらないと、こう理解をしてよろしいですね。これは総理大臣の前で大へん悪口を言うようだけれども、辻さんや川崎さんが自民党の中で処分を受けたとか、受けないとか、どうもあれはグラマン機のことじゃないかといううわさも出る。主流派が反主流派を追い打ちをしたのじゃないかというので、衆議院の決算委員会が途中でしり切れトンボになったので、そういう印象を受けている。総理大臣は、グラマン機に当初はそういう音向もあったけれども、今は再調査をしておるということで、最終決定はしておらない。いずれ防衛庁と相談をせられて明らかになったときには御報告されると、こう理解してよろしいのですか。
  81. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 今御質問がありましたように、また私答えましたように、決してグラマンに最終決定をいたしたわけではございません。まだあらゆる点から、数種の機種につきましても具体的な調査をして、最後に決定する場合におきましては、十分に、国民が疑問を持たないように、納得するような形において決定をし、そして天下に発表すると、こういうつもりでおります。
  82. 相澤重明

    相澤重明君 あと一つだけで私終りたいと思いますが、次に、軍事基地の管理といいますか、そういう問題について一つお尋ねをしておきたいと思うのですが、丸山長官もおりますから、私は昨年の三月十六日だと思いましたが、参議院の決算委員会で、当時の小滝防衛庁長官と、今の防衛庁の今井次官が調達庁長官の当時、岸さんもおいで願ったときであります。あの際に、厚木の航空基地の拡張の問題について具体的に御質問申し上げたことがある。それで当時、約二十万坪に及ぶ厚木の航空基地の滑走路を拡張をしたいという米海軍の要請があったので、政府考えておるという当時の話があった。そうしてこの決算委員会の私の質問で、ついに防衛庁長官も、調達庁長官も、それではやめようと、こういうことになって、当時私の質問に対して、拡張はおやめになるということをはっきりと決算委員会で御答弁があったはずなんです。ところが、その後の模様を聞いておりますというと、厚木の航空基地の滑走路は拡張はしないけれども、周辺の土地を調達庁が買い上げる、こういう問題が起きておるわけです。これはどういう意味かというと、米軍の飛行機が非常な速度で離陸あるいはおりてくるものでありますから、付近の農民は耕作にたえられぬと、とても今の形でおっては、どうやったところで税金は国に納めなければならぬけれども商売にならぬと、こういうことで、むしろ買い上げてもらいたいという空気も出たということは、実にものすごい音から、また爆風からいってですね、そういう意味で、むしろそういうことを奨励するような形の中に、実は調達庁としては、まあこれは農民の要望であるからという形で、この滑走路の両側の莫大な土地を実は買い上げをしたということがあるわけです。そこで神奈川県の内山知事も大へん心配をして、調達庁長官にもたしかお話があったと思うのですが、米軍の司令官にもこのことは折衝されたようであります。  ここに私は、予算の執行の仕方について、防衛庁なり調達庁が、基地の拡張はいたしませんと、こう言っておったのに、一体その金は、買い上げる金はどこから出てきたのか。それからいま一つは、米軍は明らかに滑走路とはしない、こう言っておるのでありますから、そのことをもし確認をされたとするならば、防衛庁長官あるいは調達庁長官は、それをどう今後管理していくのか。これはもう米軍にまかせ切りなのか、米軍の思うようにされてもいいというのか、こういう点の管理の問題について一つお答えをいただきたい。だから、前段は調達庁の資金、それから第二は管理の面、この問題について防衛庁と両方でお答えをいただきたい。
  83. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) 厚木の問題について、前々長官のときのお話がございましたが、基地の拡張につきましては、砂川等の経験もございまして、できるだけ無理しないように、現在の段階においては、地元の反対等を押し切って無理にする意思はないという意味の私は態度であったと存ずるのでございまするが、御承知のように、厚木につきましては、昭和三十一年の一月十六日の施設特別委員会で米軍から要求がございまして、自来、政府はその妥当性とか要求の範囲等について慎重に検討しておりましたが、お示しの御質問のときには、私がただいま申しましたような態度であったのでございます。御承知のように、厚木の海軍飛行場の滑走路は八千フィートでございますが、これに必要とする安全地帯がございませんために、離着陸に際して基地の内外で事故が相当数発生しておりました。飛行機の発達に伴いまして、本飛行場の滑走路に隣接する南北付近の農民たちから、今のお話のように、航空機の排気ガスであるとか、騒音とか不快感というようなことで、非常に営農がむずかしいから、国において一括土地を買い上げてほしい、こういうような御要望がございました。政府といたしましては、予算の話がございましたが、施設提供の予算の中から、日米双方の被害防止という見地から、地元の要望に沿うように、米軍に対しましては、安全地帯としての用地を提供する、こういうことで、このたび妥結した次第でございまして、小滝長官の申しましたのは、地元のそういう空気が熟しないのに、摩擦を起して、無理をしないという意味であったと私存じておりますのでございます。
  84. 相澤重明

    相澤重明君 防衛庁長官、そうすると、あなたの今の御答弁を聞いておりますというと、米海軍の基地拡張ではない、調達庁として買っておくのだ、こういう意味ですか。
  85. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) 先ほど申しましたように、昭和三十一年一月十六日の米軍からの要望がございまして、しかし私どもは、砂川のような摩擦を起して無理をしたくないということだったのでございますが、地元から話がつきましたので、先ほど申しまするように、安全地帯を作りまして、地元の迷惑を少しでも少くするようにと、こういうことで話ができましたので、これを提供することにいたした次第でございます。
  86. 相澤重明

    相澤重明君 調達庁長官、買い上げた土地は何坪で、予算額は幾ら。
  87. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 今回買収に決定いたしました土地が約七万八千坪でございます。この買収価格といたしまして約一億三千万円でございます。
  88. 相澤重明

    相澤重明君 防衛庁長官に再度お尋ねしますが、米海軍としては、この基地の滑走路の拡張のためではない、こういう点の確認はいたしましたか。
  89. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 先ほど大臣から御答弁のありましたように、今回の土地は滑走路そのものではなく、それに隣接する地帯に安全地帯を設ける。いわゆるオーバーランと申しておりますが、滑走路そのもので本来ならば飛行機が離着陸できる。ところが、場合によりまして、その滑走路を離れても、なお飛び上ることができない場合の、つまり走り過ぎの土地と申しますか、そこ。それからなお着陸する場合に、滑走路の先端にうまい工合に降りて、それによって滑走路の以内でもってすべての処置が済む、これが目的でございますが、場合によりましては、それをはずれたところへ来る、これが安全地帯になっておりませんというと、飛行機がひっくり返る、その他の事故が起るわけであります。そういう意味のものでございまして、今回の土地は滑走路そのものになるものではございません。その旨を軍側にもはっきり確認しております。
  90. 相澤重明

    相澤重明君 調達庁長官の今の説明によると、大へん、そこの境がむずかしいところだ。それは、今の話はどういうことなんです。飛び立つときに草むらへ突っ込んではいかぬ、だから安全地帯がほしいから、そこを延ばしておくのだ、そうすると、それは草むらにして置くのじゃなくて、そこはやはり舗装する、こういう意味にも受け取れる。あるいは着陸する際にも若干の、八千フィートでは短かいので、やはり安全地帯を残しておかなければいかぬ、こういうことで、やはり滑走路ではないけれども、舗装して延ばしておくのだ、こういう理屈にも聞えるように思うのですが、一体、滑走路としないということは、もうとにかく、そこでは飛行機の飛び、おりには使わないのだ、こういうわれわれは日本語の解釈をするのだ。一体調達庁長官はどういうふうに解釈をしておるのですか。
  91. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) お話の通り、飛行機の離着陸は、滑走路そのものの範囲内においてやるのを原則といたしておるわけでございます。しかるに、ある場合、時によりますと、その八千フィートの範囲内では飛び立つことができないような場合ができて、それで走り過ぎの事態が起る。あるいは着陸する場合に、滑走路の先端より手前につくことがある。そういう場合に、そこが平らになっておらないというと、飛行機がひっくり返る、こういう事故を防止するための安全地帯が滑走路の両側にもできるということでございます。
  92. 相澤重明

    相澤重明君 そういう答弁をするから、また、そういうことで農民をごまかすから、農民はわからないから、はあ、はあ、なるほど、それは調達庁長官うまいことを言っておる、その通りだということでもって、買ってくれということになるのだ。あなたの言う日本語の答弁をずっとそのまま聞いてごらんなさい。それはとにかく、あおりを食ってひっくり返るかもしれないから、少し安全地帯を設ける、あるいは着陸するときに、手前に着陸するかもしれないから、滑走路ではないところの、やはり安全地帯を設けなければならぬ、こういうことを言っておるわけなんです。一体それならば、今の滑走路よりはもっと両方に長く安全地帯を、草むらでないものを置かなければならぬということをあなたは言っておるのだ。そうでしょう。はっきり害いなさい。はっきりほんとうのことを、どうなんですか、これは。
  93. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) その通りでございまして、八千フィートの滑走路の向側に約千フィートのそういう安全地帯を設けるならば、今までのような事故を防ぎ、また付近の住民の皆様方にも迷惑をかけない、そのための必要上、そういうような地帯を設ける、その必要性を認めまして、地元の方の御要望に応じて買収契約をいたしたわけであります。
  94. 相澤重明

    相澤重明君 丸山長官、あなたは、滑走路を設けない、滑走路は設けないけれども、私が質問した通り、ほんとうにやはり舗装をして延ばして、そうして安全地帯を設けるということ、今度はそれが八千フィートが一万フィートになって、ジェット戦闘機等が上りおりするようになったら、一体これはどうしますか。これは一万フィートでは足りませぬ。その場合に、また今度、危ないから、その周りに安全地帯を設けなければならぬという。あなた理屈になるわけです。基地拡張をしないという理由になりませんね。これはあなた、すなおに日本語でもってあなたの説明をすれば、基地拡張をしない、滑走路は拡張しないという理由にはなっていないじゃないですか。そういうぺてん師のようなことを言ってもだめですよ。われわれは、この今のような拡張をするならすると、拡張をしたいけれども、なかなか納得してくれないから、仕方がないからそういう便法を使ったというならば、まだかわいいところがある。(笑声)ところがそうじゃない。ほんとうのことを言わないで、表面は、拡張しないんだけれども、両方に安全地帯を設けるというようなことを言って、そういうことをやったというのは、私はまことにけしからぬと思う。しかもこれは、それなら私はさらにお尋ねをしたいのですが、米軍にこれは提供するんですか、それとも、あなたの方で一億数千万円の国費を投じて、施設提供費で買ったんだけれども、提供はしないで、あなたの方で管理するのか。施設提供費で買ったんだから、これは米軍にやってしまい、すべて向うにまかしてしまう、こういうのか、そのいずれなんですか。
  95. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 滑走路と、それからオーバーランという安全地帯の問題、これを専門的に申し上げることもこの際控えますが、滑走路そのものは構造が全然違うのでございます。コンクリートを一メートル以上にわたるものを作るのが滑走路でございましてその両端にできるオーバーラン——安全地帯というものは簡易舗装だけをされるにすぎない。そのなお先には芝生を植える、こういう平らな処置をしておくだけでございまして、技術的、専門的に見まして、滑走路そのものとは全然違うのでございます。従いまして、先生のお話のように、今度平らが延びたから、またその先に作ればまたその周辺が危険になる、こういうことはございませんで、やはりすべて離着陸の地点は滑走路の以内でございます。万一の際にそういうものを設けたもので、決してそういうものが延長されたからといって、またそこに飛行機がおりる、こういうことはないのでございます。  なお、第二の点は、そのようなことで調達庁が買収いたしますならば、米軍側に提供してこれは基地となる、その通りでございます。
  96. 相澤重明

    相澤重明君 基地としない、基地の拡張はしないという大原則を立てておりながら、それでこれは明らかに、提供すれば基地となってもやむを得ないという今のあなたの答弁なんです。どうしてそういうことを言うのですか。あなたは基地の拡張はしないんだと、こう言っている。基地の拡張はしないというけれども、今度は施設提供費で買い上げたからアメリカに渡す。渡せばこれは基地として拡張されても仕方がないということは、一体どういうことなんですか、ずいぶんおかしいじゃないですか。
  97. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 私は別に基地の拡張はしないと申し上げたことはないと思います。ただ昨年の三月、やはりこの当決算委員会におきまして、当時の防衛庁長官に御質問ありましたときに、当時の状況としては直ちに軍側の要求に応じることは今のところは考えておらない、こういうことを申しておるのであります。その通りでございまして、その後あの付近の状況を見ますと、飛行機そのものの事故、またその飛行機の離着陸に伴うところの付近の土地所有者、耕作者の方が、とてもあのように低く飛び、たまたまひっくり返るような事故のあるところでは営農が不可能である、そのための何らかの対策処置をとっていただきたい。昨年の秋ごろからそのような要望が出て参りました。ことしの春になりましては、はっきりした文書をもって買収要望も出て参りましたので、これを種々なる角度から検討しました結果、どうしてもこの今のような措置をとらなければ、この飛行機の事故を防ぎ、また付近の農地の者の被害を防ぐことができない。こういう結論が出まして、それで土地を買うことを政府が決定し、それに基いて土地を安全地帯として飛行場の敷地として向うに提供する、これを決定した次第でございます。
  98. 相澤重明

    相澤重明君 これで終りますが、防衛庁長官に、また総理大臣でもけっこうですが、米海軍基地司令官は、滑走路としては拡張しない、こういうことをはっきり言明をされたと私は思うのです。そこで、防衛庁でもおそらく、その点はお話しになったのじゃないかと思うんですが、その点いかがです。
  99. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) 先ほどから滑走路とオーバーランのお話ございましたが、滑走路は現在持っておりまするので、今延長するということは聞いておりませんのですが、安全地帯がないために、先ほど調達庁長官が申しましたように、非常に訓練の回数が多いために、離着陸に際して、滑走路だけでとまらないで事故を起したということがございますので、その安全のために拡張をしてほしい、こういうことでございましたのです。しかし、前回の御質問の小滝長官のときには、地元等が十分了解もせずに、無理押ししょうとはしない。そういう意味の、無理な拡張はできるだけしないようにしたい、こういうことを申し上げたと思うのでございまして、全然基地を拡張しない、もし今のような、オーバーランが足りませんために、現地へ御迷惑をかけ、皆さん方も御納得いただきますならば、これはやはりそういう御迷惑を少くし、米軍の訓練も事故が生じませんように、私どもとしては協力いたす趣旨でございまして、滑走路の延長ということでは私ども初めから交渉を受けておりませんので、オーバーラン、安全を期するための、地元の十分御了承をいただきまして、それだけの土地を買収いたしまして、これを軍に提供して、繰り返して申しますが、オー八一ランとして使用をするようにいたしたい、こういうことでございます。
  100. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、米軍の横須賀の海軍基地司令官のウイッシントン氏が、この現地の農民に心配があってはいけない。ウイッシントン司令官は、滑走路は拡張しない、こういう約束をするということを言われたというのでありますから、これは一つ政府がやはりこの施策を持っている以上は、最高の責任者である防衛庁長官が、やはりこの基地司令官と文書をかわして、それで滑走路とはしない、こういう点を私はやはり取りかわしてもらわなくちゃいかぬ。これはもう明らかに私はそういうふうに承わっているんです。だから、その点やっていただけるかどうか、一つ長官からお話をいただきたいと思います。
  101. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) 現在買収のお話を進めておりまして、これが全部済みますれば、米軍のかねての要望に従って提供するわけでございます。そのときには、今お話のような趣旨を十分徹底いたしたいと存じます。
  102. 岩間正男

    ○岩間正男君 僕は総括質問に当って、岸総理に決算技術に関連して二、三の点を明らかにしたいと思います。  これはまず第一に、当委員会で問題になるのに三大汚職というのがあるんです。三大汚職ということは、当委員会でよく言われる言葉です。これは岸総理御承知ですか、どことどことどこか。日本に少くとも三つの大きな汚職源がある、毎年々々繰り返している。御承知ですか。
  103. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 岩間委員の御質問になっている三大汚職源ということは、私承知いたしておりません。
  104. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまあ毎年繰り返されるのですから、ぜひ耳をかしてほしいと思います。まあ御存じないようですから申しますが、残念ながら防衛庁です。これはまあ最大です。その次は農林省、食管会計をめぐっての農林省、国鉄、これはまあ三大汚職源とわれわれは呼んでいるわけです。実際に、こういう問題の中で私は特にお聞きしたいのですが、まあ防衛庁、これは軍の機密というようなことでなかなか入っていくことができない。なかなかこの内容が国民の前に明らかにならない。しかも、国民の血税の非常に多くの部分がこれに使われているんです。特にこういう問題について、特にこういう問題をはっきり国民の前に明らかにして、そうして国費の不当な乱用ができないようにする。そういう点について何か努力をされたか。これと関連して、特にこの機密の問題に関連しまして、警察、公安調査庁、こういうようなものの中でもこの機密の分が非常にあるのです。この前、公安調査庁の費用につきまして、調査費なるものが、これが御承知のように年々増加しております。昨年の予算だったと思いますが、一億九千万円もこれは多くされておる、増額されております。この内容を聞いてみた。何に使うか、そうしますと、いろいろ公安のために必要なのだというので、調査をするのだというようなことで、その中にはだいぶわれわれ共産党の調査をやるというようなことで、いろいろな文書を買い込んだり、秘密を聞く、ものによっては五百円から十万円まであるようですが、そういうものを買い込んでいる。しかもそういう経理——この調査の名によって実はスパイ活動だと思うのですが、そういうものをやっておる。その経理についてどうなっているか。まあ公安調査庁の費用というものは各地方調査庁に分けられる。しかも、その調査の明細は会計検査院はタッチすることはできない。伝票の内容はどうかというと、その伝票は詳しく見せる組織になっていない。ただ申告をして、そこから金をもらって、つかみ金でもって、これをどう使うかということは、ほとんど公安調査庁の支出に実際当る第一線の君たちの自由裁量によることになっている。従って、そういうものに会計検査院が入ることができないような仕組みになっております。こういうことになりますと、これは非常に秘密な一つの組織であり、機密費という性格を持っておる。防衛庁の中にも、実に国民のタッチできないそういうような問題が絶えずつきまとっているのではないか、こういうふうに見るわけです。従って、これに対して、特にこういう点についてどのような努力をして国民の疑惑を払拭するか、こういう立場をとっておられるか、これは綱紀粛正の問題と関連するのですが、特に努力をされている点があったら、この際、明らかにしていただきたい。
  105. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 今、岩間委員は、いわゆる三大汚職の一つとして防衛庁をおあげになりましたが、これは大へん私は重大な問題であると思うのです。いずれにしても、官紀振粛によって、このいわゆる汚職のごとき事態が生じないように、あらゆる面において私は全面的の努力はいたしておりますが、ただ、それにいたしましても大きななんでありまして、全然私自身、どこにも汚職がないかと言われますと、なお汚職追放のために努力をしなければならぬものが非常に多いと思います。防衛庁におきましても、あるいはその他の役所におきましても、いやしくもこの汚職の疑いがあり、汚職という事実があれば、これは厳に法律によって罰し、それぞれ将来を戒めて、なくしていくということに対しまして、私は厳正な態度をとっていきたいと思います。また、会計検査の点につきましては、報償費その他、他の費用と違った性質のものもありますけれども、この防衛庁に関する限りにおきましては、全部会計検査院の審査の範囲に属しておりまして、決して軍の機密というような意味におきまして会計検査院の検査を排除するというような取扱いはないと私は理解いたしております。いずれにいたしましても、十分にこれが犯罪になるようなものについては法によって厳に処罰し、将来を戒めてなくし、また、その犯罪のようなものがなくとも、その支出なり予算の執行というものにつきましては、会計検査院の審査によりまして、国民の前に明らかにするという態度をとって参りたいと思っております。
  106. 岩間正男

    ○岩間正男君 私が特にお聞きしたのは、これについて特に内部監査を厳重にするような点に意を用いておられるか、それを組織的に保障する建前をとっておられるかという点でありますが、別にそういう機構的な努力をされておらないわけですね、何か特別に防衛庁とかあるいは警察関係、公安調査関係のようなところは国民の疑惑を招きやすい、こういうところについて特に厳重に綱紀粛正の立場から努力をされている点があるかどうか、この点を伺いたい。
  107. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) 私、就任以来、特に大きな予算であり、国民の血税でございまするので、かりそめにもあやまちがないようにと、厳重に私は監督をいたしておるつもりでございまして、また、私就任いたしまして以来、全然ないとは申しませんが、衆議院の決算委員会等でいろいろお調べがございましたけれども、私の部内にさようなあやまちをした者がなかったことを私は確信をいたしておる次第でございまして、今後とも一つ私、先頭に立って綱紀の振粛ということにつきましては一そう一つ厳重に指導して参りたい。今お示しのような、会計検査院の立ち入りをお断わりするような、そういう機密のものは一切持っておりません。また会計検査院が十分御審議をいただき、決算委員会でお調べいただきまして、全く青天白日のもとにおあずかりいたしました予算の遺漏のないように努力いたしたいと存じておる次第でございます。
  108. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあそういう一つの精神主義といいますか、努力をすると、歴代の防衛庁長官は申して参った。しかし、これは石川五衛門じゃありませんが、跡は断たない。こういうところに、残念ながら機構的にこれを組織する保障がなくちゃならない。こういう点で、特に努力されることは必要だと思うのですが、この点を努力する必要あると考えられますか、られませんか、岸総理はいかがですか。
  109. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 今、政府部内におきましては、御承知のように、一方この行政監査に関する仕事をやる役所もございまして、各省の仕事を行政的に監査をいたしております。同時に、会計検査院があって、会計のなんにつきましては、これを厳格に審査するという制度になっております。そのほか、各庁におきまして、あるいは今お話のように一律にはなっておりませんけれども、各省大臣のそれぞれの権限におきまして、自主的な監査についての委員会等を設けているところもございますし、いずれにしても、一律の制度としては行政管理庁と会計検査院によってこれが万全を期しておるわけでありますが、なお常にそういうことについて留意していかなくちゃならぬと、かように考えております。
  110. 岩間正男

    ○岩間正男君 この点について、具体的に今そういう保障をはっきり実現するというお考えはないようですが、私たちはもっとここのところを明確にする必要があると思います。それと、またもう一つ関連しまして、防諜法の問題、防諜法の制定がこの前の警察官職務執行法と関連して出されるというような予定にあるようによくうわさで聞くのであります。しかし、防諜法というようなものが出ますと、ほとんど今の問題は、これは防諜関係だから軍の機密に関する、あるいは警察行政のこれは機密に関する、従ってこれにはタッチできないという、もう決算委員会は言うまでもなく、会計検査院までなかなかタッチできない面が出てくるのじゃないか。現にこの公安調査庁の業績を見てみますと、この前の伝票さえも切ってない、そういうものを一切比較する資料を出して下さいと言ったら、その資料さえ今日まで出すことができないようなふしだらな形で、伏魔殿のような暗箱の中に投げ出された。これが実施されますと、ますますそれが激化されるのじゃないか。従って、この防諜法というものは、単に軍の機密の範囲を大きく逸脱し、軍の機密の名のもとに実はそのような暗黒面が拡大されるというおそれが十分あると考えます。そういう点からいいまして、よく巷間でうわさされる防諜法の提案、こういう意図を政府ははっきり持っておられる、こういわれるのですが、こういうことと関連して、ますますこれは汚職の問題が明らかにならない、かえって隠されるというような方向に行くのではないか。これはまことに望ましくないような態勢ではないかと思うのですが、この点について岸総理の御所見を承わりたい。
  111. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 防諜法の制定の問題につきましては、いろいろな論議があることは、私もよく承知いたしております。今日独立の国家として、国家のいろいろな機密が、その国に対して好意を持たない、もしくはいろいろな国際情勢から見て、その国の独立にとって不利なように利用されるところの諜報機関にこの機密が渡るということを防止するということは、抽象的に考えますというと、いずれの独立国家もことごとくそういうものを設けておるのでございます。ただ、この制度が、今お話の通り、さらに、今の御議論にはございませんでしたけれども、根本的に個人の言論や、政治上や、あるいは種々の自由というもの、いわゆる自由権の侵害というものになるおそれが多分にある問題でございまして、関連している問題でございますから、こういう問題につきましては、これは非常に慎重な態度で検討しなければならぬ問題でありまして、軽々にこれを提案するというようなこと、もしくはこれを成立せしめるのだというようなことを申し上げるべき筋のものではないと私は思います。しかし、根本的には、先ほど申しましたような点におきまして、現在の国際情勢等から見まするというと、やはり慎重に研究はしていくべき私は題目の問題であると思います。決してこれがために、あるいは憲法で保障されておるところの個人の自由を侵害したり、あるいは機密という名のもとに、会計やその他行政行為の非違が隠されてしまうというようなおそれのあるような法制にすべきものでないことは言うを待たぬと思います。そういう意味において研究すべき題目と私は考えております。
  112. 小西英雄

    委員長小西英雄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  113. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 速記を起して、前に引き続いて質疑を行います。質疑のある方から御発言を願います。
  114. 小柳勇

    小柳勇君 それでは、防衛庁長官が全駐労、いわゆる駐留軍労務者の担当長官であるので、一、二質問いたします。  第一は、先日来、社会労働委員会でも問題になっておりますが、駐留軍の撤退に伴なって労務者がどんどん首切られている。昨日でありましたか電報が入ったところによると、小倉のキャンプでも総員解職になるという情報が入りました。で、そういうことで長官御存じかどうかお答え願って、そのあとまた質問します。
  115. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) 敗戦に伴う進駐のために、たくさんな同胞が駐留軍の労務者としてお働きいただきまして、非常な困難なお仕事を担当していただきまして、一方独立いたしまして、漸次駐留軍が撤退をいたしますために仕事の範囲が縮小せられてくる、これはまことに私どもとしてはつらい立場でございまして、——と申しましても、駐留軍にいつまでもおってくれということは、私ども独立国として迷惑だと思います。非常な私ども悩みを持っておるわけでございますが、急激な予告のない解雇等をいたしまして、多くの人に御迷惑をかけないように、今までも努力しておるわけでございますが、労働省その他とも十分連絡をとりまして、御迷惑の少いようにと、私ども努力をいたしておる段階でございますから、ただいまお示しの小倉のことにつきましては、私、まだ報告を受けておりません。
  116. 小柳勇

    小柳勇君 八月まで総理府総務長官の担当であったので、総務長官といろいろ話し合いながら今までやってきたのだけれども、その後防衛庁の方で問題を担当されたので、今質問を開始したのですが、少くとも労働者が、そのキャンプが全部首切られるという現象が起っているにかかわらず、長官の方に報告がないということは一体どういうことでしょうか。
  117. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) 私、就任いたしましたときから——もっと前からでございますが、前長官、津島長官も私も防衛庁、調達庁の担任閣僚として責任を負っておるのでございますが、特に八月以来は調達庁が防衛庁の外局になりまして、一そう責任を感じて努力をいたしておる次第でございますが、先ほど申し上げまするような事情で、どうしても陸上部隊等、ほとんど撤退いたしまして、各地に整理の状態が起っておりますので、苦慮いたし、何とかして少しずつでも急激な減員等のありませんよう、努力をいたしておる次第でございますが、小倉のことにつきましては、私まだそれを全部閉鎖して解雇の通知を渡したという情報は、私のところへは、私はまだ聞いておりません。
  118. 小柳勇

    小柳勇君 それはきのう、おとついの話でありましたか、電報が来たのですから、長官の方にまだそういう報告がきておらないかもわかりませんが、現在小倉キャンプでは労務者を全部解雇するという軍の通告か、あるいはそういうふうな予告があったと思う。でなければ、私のところに電報が来るはずがありませんから……。直ちに調査して、もしそういうものがあったとするならば、この前に委員会で決議しましたような線に従って、事前にこの労務者の団体があるから、それと話し合って、納得のいくように配置転換なりあるいは対策を講ずるなり、長官の方で一つ、やるという決意を表明して置いていたたきたいと思います。
  119. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) 一昨日、非常に早く情報をキャッチされたようでありまして、昨日日曜日でございますので、私まだ聞いておりません。おそらく内報というようなことだったかと思いますが、早速調査いたしまして、急激に御迷惑をかけることのないように、私としても、調達庁に命じまして最善を尽したいと思います。
  120. 小柳勇

    小柳勇君 もう一つ長官に質問しておきますが、各基地内に離職対策のために職業補導をいたしている職業訓練ですね、そういうような訓練の費用が各県とも非常に少い、割当が少いし、またいろいろな事情によって一年間の予算を年度当初に使わなければならない場面もある、そういうことで、各県なりあるいは現地から予算の流用その他を要請しているが、今なおその措置がとられておらぬために、せっかく楽しんで、その教育なり、離職のための訓練なりいろいろやっているのが、現地の方でできない情勢にあるようです。その点についての長官のお考えなり今後の対策、そういうものについて見解を発表していただきたい。
  121. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) お示しのような各地の実情を十分今調査いたしまして、それを基礎にして、ちょうど明年度予算の折衝でございますので、できるだけ一つそういう方面の努力をいたしたいと、大蔵省等と明年度について折衝しておりますけれども、今年度につきましても、予算の許します範囲において、実情に応じて重点的な配分ができるようにと、それぞれ現地とただいま調査を進めている段階でございます。
  122. 小柳勇

    小柳勇君 具体的に、たとえば福岡などではもう予算を、初め百億しかなかったので、それを使い果して、あとの訓練もできない。せっかく教育を始めたのに、もうとめなければならない。従って幾らかの金を予備金の流用をしてくれないか、こういうことをもう二、三ヵ月前から折衝を重ねているところです。来年度の予算でなくて、今これから来年の三月まで訓練を続けなければならぬから、予備費の流用なり適当な措置を長官としてどういうようにおやりになるか、もっと具体的に御答弁できると思ったのでありますが、長官その点はまだ細部の小さい問題だから、実はお調べでないかと思いますが、もしわかる方があれば、長官にかわって御答弁を願います。
  123. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) お示しの点、大体調査完了したと申しておりますので、予備費その他のやりくりによりまして、できるだけすみやかに措置をいたしたいと存じます。
  124. 小柳勇

    小柳勇君 できるだけすみやかには、もう再三聞いているわけです。従って何かそういう見通しがあれば、時期的な見通し、そういうものを言っていただきたい。県としても、各地でそういうことを進めておりますから、それでなければ閉鎖しなければなりませんから。これは教育ですから、一日二日のことじゃない。それを中断すると、先生を雇うのにも困りますし、また生徒もこれで離散しますから、そういうことについての具体的な見通しがあればお答えいただきたい。
  125. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) 政府委員から答弁いたさせます。
  126. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 今年度の基地内訓練の費用が足りないので、この増額措置を講ずるということで、各都道府県から資料を集めまして検討を加えておりましたのでございまするが、大体数字も最終的な結論に達しまして、大蔵省と具体的な折衝を始める段階に入っております。基地内訓練費が不足するので、これを増額する必要があるということにつきましては、前々から大蔵省に話をしておったのでございまするが、数字が今までのところまとまっておらなかった関係上、具体的な折衝ができなかったということでございまするので、近く大蔵省に話を持って参りまして、今年の終り、あるいは来年の初めころには、府県に対しまして何らかの一応のワク程度のものでも示すことができるんじゃないか、こういうふうに考えております。
  127. 小柳勇

    小柳勇君 予備費の流用は、もう十一月ころ、十月ころからの話ですから、もっとそういうことをすみやかにやってもらえないと、幾らきれいなことを国会で答弁されても、現地において、県などでは仕事ができぬのですよ。そういうことで、せっかくみんなが一生懸命にやろうとしている地方行政というものが、そういうふうな、こちらの方の省なり、そういうふうな庁の事務怠慢のために、せっかくのそういうふうな希望ある仕事が、地方行政でできないでおる。そういうことを、私は今その答弁によって如実に知るわけですがね。で、そういうものを、今一月と言われますけれども、一月では、あともうすぐ二月、三月、年度末ですね。そういうものでは、根本的なそういうふうな離職対策などというものはできないのではないかと思う。どうですか、長官、そういう点一つ、長官として、私の言うことが無理かどうか、見解を発表しいもらいたいと思います。
  128. 左藤義詮

    国務大臣左藤義詮君) 非常に、官僚の処置と申しますか、念には念を入れると申しますか、非常におくれておりまして、おしかりをいただいたのでございますが、調査は、すでにわれわれの方で数字等をまとめておるようでございますから、大蔵省と至急折衝いたしまして、できるだけ早く御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  129. 小柳勇

    小柳勇君 長官は、具体的な数字についてはまだ把握しておられないようでありますが、私は、そういうふうな地方の駐留軍労務者の再教育、配置転換のための再訓練、そういうものに対して、もっと積極的に長官が配慮されるように要請をいたします。それで長官に対する質問を終ります。
  130. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 次に、農林省関係について質疑を行います。  本件に関しての御説明の方は、三浦農林大臣、渡部食糧庁長官、須賀農林経済局長、正井農地局参事官、会計検査院加藤院長の諸君であります。御質疑のある方は、順次、御発言を願います。
  131. 相澤重明

    相澤重明君 三浦農林大臣にお尋ねしたいと思うのでありますが、食糧管理特別会計の三十一年度の決算額歳出八千五百三十三億七千六百余万円でありますが、これらの内容を見ますと、国内産の米穀買い入れ、あるいは外米の買い入れ等があるわけでありますが、特に本年度の米の買い入れ等の問題について、何か農林大臣が、予約についての処理をどうするとか、こうするとかいうことを言ったということで、農民が大へん心配しておるところがあるのですが、この問題は、今農林省の基本的な立場はどういうようにおとりになっておるのか、一つ農林大臣から御説明をいただきたいと思うのです。
  132. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 一応食糧庁長官から説明させます。
  133. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 御承知のように、米の買い入れば、食糧管理法に基きまして、農家の自家保有分は除いて、残りは政府以外には売っていかぬ、こういうことになっております。それを、実際のやり方は、三十年産米から農家の出来秋前に売り渡しの予約の申し込みに応じまして、そうして予約の申し込みをした者に対しましては、予約加算として百円をかけ、それから概算金約米価の二割、二千円を先渡しする、そうして出来秋に実収高が判定いたしました場合には、予約と実収高の開きを追加売り渡しをいただく、こういうふうになっておるわけです。ことしの状況は、四年続きの豊作ということで、八千万石をこえる生産高を確保できておるのであります。この分でいきますと、農家の自家保有米が三千七、八百万石になります。そうしますと、四千万石以上の売り渡しを願わなければならないのでありますが、予約は三千二百二十七万石でございまして、予約と売り渡し可能量との間にはまだ相当開きがある、そういうわけでありますが、一方豊作でありますから、消費者に対しても、現在十四日の内地米の配給をお約束いたしておりますが、これをできるだけ増すように努力することが食糧管理当局の責務と考えまして、予約以上に出し得る数量につきまして、これは建前から言うと、当然売り渡してもらうのでございますが、実際は、御承知通り、相当やみに流れておりますから、そのやみに流さんで政府に売ってもらいたい、こういうことを要請しておるわけです。ところが、御承知のように、二十一号、二十二号の台風で、県によりましては、その前の状況に比べまして、相当実収高が落ちておる地方があります。そういう県では、県内のある村によりますと、予約の売り渡しもできない地方があります。それは減額の補正をいたすわけです。そういう問題をこの月の初めから、各県の農林部長あるいは食糧事務所長、担当官を呼びまして、具体的に出せるものは幾らで、減額は幾ら、こういうことをやっておるのであります。その関係のことが、神奈川県ではことしは予想よりも作が落ちておりますから、多少いきさつがあるのは承知をしております。
  134. 相澤重明

    相澤重明君 それから三十一年度の決算の中で、指摘を特に会計検査院から受けておるのは、アメリカ産のトウモロコシやあるいは米麦ですね。これを買った袋の処理、これに対して時期の判断とか、あるいは価格についての判定を誤まったために不当に安かった、いわゆる国損を生じておる、こういう指摘が実はされておるわけです。そこで、これは外国米のものが、そういうものがよけいに入ってこなければ、それは少いと思うのですが、現在の外米の手持ちはどのくらいになっておるか。そして今年度大へん豊作だと言われたが、先ほど長官がいうよりに、二十一号、二十二号台風を含んで、台風禍によるところの損害もかなりあると思うのですが、外米を、そういうものを、どの程度輸入するお考えがあるのか、その点を一つ概略でけっこうですから御説明いただきたい。
  135. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 最初の御指摘のアメリカ産トウモロコシの不当事項は、これはトウモロコシの保険の関係でありまして、保険の、いわゆるメイズ協定というので、トウモロコシは特に痛みやすいものでありますから特殊の保険約款ができておったわけです。そのきめ方が悪いじゃないか、こういうお話でありまして、これは見解の相違でありまして、この問題としては一応契約をいたしましたのでありますから、処理いたしましたが、その後の問題は、これを変えたい、こう思っております。ただしこれは政府の買うトウモロコシだけでありますが、実際政府の買うトウモロコシはほとんどありませんから問題はなくなっております。本年も政府は買っておりませんから本年もありません。これは今のメーズ・プール協定というものを変える、そういう方針でおります。  それから粉麻袋の問題につきましても、当時は麻袋を政府が調達して、そして配給する外米に売り渡しておった、こういう格好でありますが、現在はそういう格好をやめまして、麻袋の価格の責任は輸入業者に持たして、こちらでは、当時の麻袋の時価を織り込み相場として予定の価格の中に織り込みまして、あとは麻袋込みのものは入札でいけると、こういうきめ方をしておりますから、この問題は今後起らない、こういうふうに考えております。  それから外米の状況でありますが、三十三年度では、お話にありますように、大体三十四、五万トンの輸入をすればいい、こういう予定になっております。具体的には、外貨為替によりまして……便宜会計年度で申し上げますと、米の期首在庫は、四十四万トン、会計年度の輸入は——先ほど申し上げましたのは米穀年度で申し上げております。会計年度で申し上げますと、四十七万、期末在庫は三十万トン、少し在庫を食いまして、これでいこう。これが本会計年度の予算に織り込んでおる数字であります。
  136. 相澤重明

    相澤重明君 特に三十年三十一年に外米で問題になったのは、黄変米というのが非常に問題になった。これはアルコール製品に回したことが多かったと思うのでありますが、三十一年の外米保有米の中で、アルコール分に回したのは幾ら、それでそのアルコール分に回した額がどのくらいの額になったか、いわゆる量とアルコールの製品の額、これを一つ発表願いたい。
  137. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 量で申し上げますと、三十二年の四月十二日に当委員会に御提出いたしましたときの昭和三十二年二月一日現在の病変米の現在高が十一万七千四百トンあった。それを現在までには全部処理いたしました。その内訳は、食品加工用に六万五千二百トン、飲用アルコール用に一万五千二百トン、高級染色のり用に八千トン、工業アルコール用に三万六千二百トン、合計十一万七千四百トン、こういうことになっております。  それから病変米に関する全体の損失額につきましては、今の全部処理しまして、二十八年度から全部の損失を勘定いたしますと、五十億九千二百四十九万円、こういうふうになっております。
  138. 相澤重明

    相澤重明君 これは大へんなやはり欠損になるわけでありますが、その後外米の輸入を大へん制限されたと思うのでありますが、先ほどのお話で、期首が四十四万トン、平均して三十六万トンですか、なったというお話ですが、まず外米を輸入しなければ現在の配給量というものは確保できないのかどうか。一般のわれわれの食生活の中でやはり米食というものにかなりウエイトが重いわけです。あなたのさっき言ったのは、十四日分を幾らか増したいという気持はあるけれども、先ほどの数量の点からいくと、私はかなり思い切った措置をとっても、そんなに足りなくない、こう思うのだけれども、そういう見通しはたたないのかどうか。それからそれをやるためには、どうしても十四日を十八日なり二十日にするというのにはまだあとどのくらいあったらいいのか、こういう点については、これは一つ農林大臣から、これは国民の食糧全般の問題ですから、食生活について御計画があると思いますから、一つお答えを私いただきたいと思うのです。
  139. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) ただいま長官から説明申し上げました十四日分の配給を一日ふやしたいというのは、いわゆる内地米を配給いたしたいということでございまして、このほかに外米等の配給をいたしておる、こういう建前になっております。従いまして今十八日なり二十日分というてもやれるじゃないか、こういうふうな御意見もあったのでございますが、計画的に配給しますにつきましては、大体一日分二百万石程度要るものでありますから、かりに十日としますれば二千万石、これを配給の線に乗せることは非常に困難な問題だろうと思います。問題はおいしい日本米を食べさせるということが大切であり、同時にこれが国民の要望でありますことは御承知通りであります。従いましてわれわれとしましては、いやしくも経済の自立性を保ち、ほんとうにふさわしい国の独立を期待するという意味におきましては、食糧政策の面においても独立した食糧の自給体制を強化いたしたい念願ではございますけれども、ここしばらくの間は困難であろう。われわれとしましては将来に向いまして極力自給体制を強化して、できまするならば食糧だけは国内でまかなえ得るような措置もとりたいと念願しつつ努力しておる次第であります。
  140. 相澤重明

    相澤重明君 農林大臣にそれではさらに突き進んでお尋ねしたいと思うのですが、自給体制を作りたいという今の御意思はまことにけっこうだと思うのであります。私もそうあってほしい。私ども参議院の決算委員会でも実は農地改良等についても全国的に現地調査をしておるわけです。そこで、それではあなたはそういう国民の食生活について不安定を安定せしめると、こういうために一体農地改良あるいはそれらの助成、こういう点についてどういう予算的な一つ裏づけをお持ちか。またそういうことを内閣の中で要望されておるのか。この機会に一つ御発表いただきたいと思う。
  141. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 実は農林省におきましても、歴代の大臣はこの問題に取り組みまして努力し来たったのでございますが、実は本年度の生産状況を見ましても、同時にまた災害事情から見ましても、同時にまた農村の経済の安定の点から見ましても、最も大事なことと考えまして、三十四年度の予算の措置におきましても、これに最大の重点をおきまして、そうしてただいま折衝している次第でございまして、この総額等も農林省の予算の半ばをこすという程度にいたしておるのでございますが、ただいままだ確定いたしておりませんので、具体的な数字は差し控えさしていただきたいと思いますが、大体さような心組みでもって進んでおります。
  142. 相澤重明

    相澤重明君 特に私は、農林省の所管事項の中で決算会計検査院報告によりますと、非常に不当事項あるいは予算の執行に関して当を得ないものというものがたくさん指摘をされておるわけですね。まあ近いうちにまた三十二年度のも会計検査院から出されておるのをわれわれが審議することになりますが、それでもやはり非常に農林省が多い。こういうのでありますが、反面、考えてみますと、農林省関係災害関係というものが最も私はやはり大いと思うのですよ。そういう面について、一面においてはこの厳格なやはり監督指導というものがなくてはいけないということと、いま一つは、災害対策というものを重点的に——いつまでものんべんだらりとした、いわゆる、災害の経費というものをいわゆる総花的に出しておることによって、かえって今あなたの言われた農民のせっかく国民に対する自給態勢というものができない。せっかく金をかけたものがあまり長期間にわたるもののために、かえって国損が多く出ると。こういうことがわれわれ現地調査の上でもやはり出てくるわけですね。そういう問題について相矛盾したことを私は御質問申し上げたい。一面において非常に災害関係仕事が多いためにどうも不当なことが多い。それをどういうふうにして直すかということが一つ。  いま一面においては、災害復旧の事業についてそういう農林省関係としては、特に地方自治体なり農業協同組合にどういうふうないわゆる指導をされ、あるいはまたこれらの重点的施策をどこに基準をおいてお考えになっているか。こういう点を、これは農林省一番問題が多いだけに、一つ農林大臣にお尋ねをしておきたいと思います。
  143. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 農林省関係災害対策の問題でございますが、ただいま御指摘になりました通り、農林省関係のものは実は非常に多岐にわたり、こまかいのでございます。しかしながら、これを放任することになりますと、関係の農民が困るものでございますから、経済の立て直しの意味からしましても、従来やってきたのであります。ところが、こまかいことでありまするならば、今相澤さんも御指摘になった通り、そこに農民のこの予算の経理、あるいは災害に関する設計調査の運用等につきまして、練熟しない点があるわけでございます。ただいまのところ農林省もたびたびの両院の御指摘もあり、同時にまた会計検査院等の示唆もあるものでございますから、極力改善には努めております。従いまして、現地査定等の決定等も逐次その成績を上げておるのでございますが、この間にわれわれの非常に苦心も、困難な点があるわけでございます。しかしながら私たちといたしましては、何といいましても、農業災害等につきましてはめんどうをみて、そうして生産力をカバーしていかなければならぬ、こういうことで進んでおるのでございますが、今御指摘になった通り、経済的効果を上げますためには、短期に、早期にこれは完成するということがまあ必要でありますことは当然であります。われわれとしましても、すでに立法措置によりまして若干の改正はしていただきましたけれども実施の面につきましてもその効果を上げるように、運用上最善を尽して参りたいと、かように考えておる次第でございます。
  144. 相澤重明

    相澤重明君 次に、これは島委員からあるはずでしたのですが、ちょっと欠席しておりますから、私からちょっとお尋ねしておきたいのです。農林省のいわゆる融資関係の問題なんですが、これは農林省というよりは、農林省の監督下における、いわゆる中央金庫等において、非常にまあこれは多くの問題が私はあろうかと思う。大臣もすでに御承知だと思うのですが、農林中金の日本農工に対する融資の問題、あるいはこの北海道におけるいわゆる牛乳の問題でだいぶ問題になったことがあるわけですが、ああいうような点で、融資の面についても、どうも農林大臣の監督というものがおざなりになって、そうして一般世間から誤解を受けるようなことが多いと思うのです。そういう点について、当決算委員会でも、実はもう何回か関係者の方においでを願って、融資の場合の農林大臣の監督というものはどうなんだという点をお尋ねをしたことがあるわけなんですが、すでに三十一年度の決算の中で、私の方から申し上げるよりも大臣の方で御回答がいただけるものと実は期待をしておったわけでありますが、これらの漁業金庫にしろ、あるいは農林金庫にしろ、こういう系統機関に対するところの融資状況の何かその一つの基準といいますか、あなたの方の監督者の立場でお考えになったものがありますか。この点一つ最初にお伺いしておきたいと思うのですが。
  145. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 農林中央金庫の融資といい、同時にまた農林漁業金融公庫の融資といい、これはいずれも重要なことでございますので、年度初頭におきましても、予算の作定の当時から、大所高所からはいろいろ考慮して参ったのでございますが、しかしながら、現在のこの特に中央金庫等は、これはいわば農業協同組合の総元締めそれの中央金庫でございますから、統制的な措置は実はとっておりません。しかしながら、われわれとしましては、その運営につきましては、注意を怠ってはならぬことは申すまでもないのでございます。一般的に、この融資等について監督的な方向をもって規制しているということにつきましては、いたしておらぬのでございますが、従来の取扱い等につきましては、関係局長から一応説明さしていただきたいと存じます。
  146. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) 農林中央金庫並びに農林公庫の融資の適正な運営をはかりますために、農林省といたしましても十分の監督をいたしておりますことは、ただいま農林大臣からお述べになりました通りでございますが、特に農林中央金庫の関係につきましては、関連産業貸し出し、あるいは余裕金運用の基準といたしまして、特に関連産業貸し出し等につきましては、短期貸しにつきましては一定のワクの中で処理をさせております。また、個々の融資につきましては、必ずしも一件一件役所で個々に査定あるいは指導をいたすというわけではございませんが、重要なものにつきましては役所といたしましても十分注意をいたしながら運営をさせておるわけでございます。長期貸しのものにつきましては、農林、大蔵両大臣で個別に認可をいたしまして、運用上誤まりのないように指導をいたしておるわけでございます。
  147. 島清

    島清君 当委員会の方で目下継続審査になっております、この問題と関連いたします日本農林中金の問題については、同僚の相澤委員がただいま御質問申し上げた通りでございますが、先日大臣においでを願ったのでありましたけれども、大臣ちょうど折あしくおいでにならなかったので一言申し上げたいと思いますが、後日資料を提出していただきまして、また本委員会の方で十分な調査をすることになっておりまするので、その折にはまた万障繰り合せて一つおいでをいただきたいと思いますが、大体、当委員会の方におきまして、これは扱い方も非常に不当であって遺憾であった、さらにその上に五千五百万の金を、どろぼうに追い銭で出すということは好ましくないから、そういうものを含めて、好ましくない方法等を排除して、そうして今までの不当なやり方について善処するように、こういう意味の要望の決議をいたしまして御要望申し上げたのでありましたけれども、残念ながら当委員会の希望というようなものは全然考慮されないで、一応今代物弁済を受けた。こういうことになっておりまするけれども、代物弁済を受けたということになりますると、その所有権というものは当然に農林中金の方に移らなければならないはずでございまするけれども、しかしながら、今日の段階においてすら、なおかつその所有権というものは別個な会社になっておりまするので、これが代物弁済を受けたと称してもいよいよ怪しげなやり方である。こう言い得るわけでございますが、どうぞ一つせっかく委員会の決議の趣旨を尊重して善処する、こういうふうな約束事もございますので、そういったような善処を要望しておきたいと思うわけでございます。  そこで、この問題はまた継続審査事項にもなっておりまするので、後日十分に調査をいたしたいと思いますが、もし、私のただいま申し上げた点について大臣から御答弁があれば大へんに仕合せだと考えております。幸いにいたしまして、本委員会でつるし上げを食いました渡部食糧庁長官も、その当時は局長で見えておりましたので、大へん答弁願うのには都合がよろしいかと思っておりますけれども、それを御答弁願えるならば拝聴いたしたいと思います点と、さらにもう一点は、数点ありまするけれども、外米の購入でございますが、外米の購入につきましては商社に一任をしておられる。そこで商社の方が米の買付について足元を見られて、不当に現地において米価がつり上げられておるというようなことを私たちは耳にするわけでございます。しかしながら、その外米の購入の仕方について、果して今のような形でよろしいのかどうか。もし、伝えられるように、商社が損をしたって、どうせ食管会計の損だ、自分たちの方のマージンは確保されておるのだからと、こういうような意味でやられている。そういう高価な米を買わなくとも、もっと安く買い得るので、商社にまかされておるからといって、そういうことであったといたしますならば、断固として私たちはそれを看過するわけには参らぬと思います。従いまして、商社に今購入をまかしておりまするそのやり方について、何か是正の方法を考えておられるかどうか。これは外米のことですが、その点について御答弁を願いたいということと、それから商社のマージンというのは、どういうようなそろばんではじいておられるのか、そこらのことを簡単明瞭にお答えを願いたいと思います。  それから、機械開発公団というのがございますが、これの使いまする機械類というのが、日本に生産をされまする国産品を購入しないで、おもにアメリカの方から購入をしておられるのでありまするけれども、なぜアメリカに片貿易でアメリカの品物ばかりを買わされて、日本の安い繊維製品等を輸出しようといたします場合でも、いろいろと難くせをつけているにもかかわらず、日本でできまする製品をお買いにならないで、ことさらにアメリカあたりからお買いになっておられるかというようなことについて、御答弁をわずらわしたいと思います。  それから砂糖の輸入でございますが、これは総理大臣に質問を申し上げたいと思っておったのでありまするけれども日本の貿易を振興しなければならないということは、国民の輿望であると同時に岸内閣の一枚看板でもあるといわれておるわけでございます。ところが今砂糖を買っておられますところのキューバあたりは日本商品は買ってくれない。そこで、日本の貿易振興と関連をいたしまして、この砂糖の輸入の問題、さらにはもっと国内の砂糖産業を保護育成をしていく必要があるのではないか。こういうふうに考えられるわけでありまするが、そういう問題と関連をして、輸入砂糖とそれから国内砂糖の保護助成というような問題について、どういう工合に考えておられるか、これを御答弁を願いたいと思います。  それから台湾貿易とそれから中共貿易の問題でありまするが、中共貿易、まあ第四次協定をまとめて参りましたところが、台湾の方から横やりが入りまして、そうしてその横やりの方にどうも岸内閣が突き上げられまして、今は日中貿易がまあデッド・ロックに上っているわけでございますが、日本の品物を買ってもらうために台湾のまあわれわれが必要のない品物がたくさん入っているわけでございます。たとえばパイナップルでありまするとかあるいはバナナであるとかいうようなものも、ことしは百万ドル余分に買わなければならないということになっておりまするが、このバナナのごときは、割当をもらいさえすれば、すぐに品物が入らなくても非常に利潤があるというので、とにかくバナナ業者垂涎の利権みたいになっているわけでございますが、これを何か同じく台湾の方からバナナを入れるにいたしましても、食管会計の中に入れて差益金みたようなもので、業者が汚職を起すような形の輸入の仕方というものは、芳ばしくないのではないかと、こう思いますが、農林大臣はこういうような問題について、どのように考えておられるか。さらにパイナップルなんかもやはり入っておりますが、パイナップルなんかもこれは奄美大島を中心といたしました新興産業でございまして、沖縄を含めました日本の需要を満たし得るまでに産業が伸びて参っておるのでありまするが、ことさらに日本の品物を買ってもらうために、その代償としてパイナップルのごときものを輸入しなければならないかどうかというようなことについて、以上数点あげて御質問申し上げましたが、明快に端的に一つ御答弁を願いたいと思います。
  148. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 第一点の代物弁済の問題でございますが、これは法定の手続によりましてすでに移転が行われておる。島さんからも要望されておりまするが、資料等が手元に着きましたならば、登記面等ではっきりしておると思いますので、さよう御了承願いたいと思います。  それから外米の商社とマージンの関係は、食糧庁の長官から答弁さしていただきたいと思います。  第四番目に御指摘になりました機械公団機械の問題でございますが、これは率直に申し上げまして、外資を導入する場合に融資条件として、やはり外国製の機械を購入する場合の資金に充てるということになっておるのでございます。と同時に国産の機械の中にはないもの、まあ能率が非常に落ちるような事情がございまして、そこで外国の機械を購入しておるのでございまして、決して内地の産の機械を無視するということはいたしておりません。その他の面におきましては、国産の機械等も農林省の所管におきまして相当購入してこれを利用しておるということでございます。  砂糖の問題でございますが、御指摘通りキューバ糖は相当買っておったのでありますが、向うの方では日本の商品は買わない、こういうような事情もありましたものですから、だんだんこれを減じて参りました。御指摘になった点は十分に砂糖の輸入の場合には考慮していかなければならぬと考えております。バナナ、パイナップルはジェトロで取扱う方が相当であろうということで進んでおりまして、パイナップルのごときは相当まあ沖縄等でも生産されるようになってきておるのでございますから、それらの事情をくんで輸入の場合には適切な措置をとるべきだと考えております。
  149. 島清

    島清君 国内の糖業の助成策について。
  150. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) ただいまのところ北海道の寒冷地対策としまして、テンサイ糖をだんだん奨励しておるわけでございます。現在におきましても、相当に伸びて参りました。なおテンサイ糖を奨励するように、同時にまたテンサイ糖関係の工場の設置等も要望されてきておるのでございます。他面寒冷地のみならず内地の方面におきましても、いわゆる暖地ビートとしてこの方面においてもだんだん奨励するという要望が出て参りましたが、これらの面につきましては、ただ単に一部の試験研究だけをもって直ちに暖地ヒートを全面的に進めるということも農業上いかがかと思いますので、なお検討を重ねております。われわれとしましては、寒冷地帯におけるビートをなおよく順調に育て上げると同時に、また黒糖の問題がございますので、これら等は彼此事情をよく勘案しまして、そして損をしないような対策をとって参りたい、こう考えておる次第であります。
  151. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 外米輸入の方法について申し上げます。これは食糧庁では商社を指定いたしまして、競争入札をして買い入れることになっております。競争入札をいたします場合には、私どもでは現地の相場、船賃、適正利潤一%ないし二%こういうものでうちの価格を持っておりまして、そしてその予定価格以下のものを買う、こういうことになっております。これはしかし輸出国が有利に立つか輸入国が有利に立つか、つまり買手市場か売手市場かによって違います。つまり向うの方が坐っておってこちらをあやつるときには、御指摘のような点が出てくる。現在のようなときにはむしろ日本が外米の輸入を非常に圧縮しておりますから、台湾その他米価を政府で規制しておるものは相場といっても相場がありませんが、政府が出した現地のFOB価格、それをもとにして競争入札してやっております。
  152. 島清

    島清君 糖業の国内産の助成については、今農林大臣からせっかく御答弁がございましたが、あわせて総理大臣にお答えをいただきたいと思います。と申しまするのは、奄美大島と沖繩県が糖業の、産地でございまするけれども、沖繩県は条約三条によりまして外国扱いにしなければならないという政治的な条件下にあるのでありまするけれども、しかしながら産業経済の面からいたしますると、日本経済の一環として扱ってもらいたいというのが党派を越えた国民の感情でもありまするし、さらに沖繩県民の絶大なる要望である。こういう工合に思います。そこで現地、沖繩県民の要望がございまして、糖業とかパイナップル助成策という意味において、ちょうど北海道の開発であるとか、東北の開発であるといったような国策会社みたいなものを作ってもらって、そして、日本の最も欠けておりまするところのこの糖分を、日本の国策面において育ててもらいたいというような意向が十分にございまして、それを扱っておりまする役所から何といいますか、南方連絡事務所ですか、そこあたりからしばしば大蔵省、政府に向いそういったような会社を作って、そうして一手に買い上げてもらいたいといったような要望が強く出されておるわけでございまするけれども、一向にどうも顧みられてないようであります。従いまして、国内糖業の助成策を講ずるということになりますると、沖繩県であるとか、奄美大島の糖業というものは、これは立地条件によるわけでございまするので、これを無視するわけには参りませんが、祖国復帰を念願といたしておりますところの沖繩県民、しかも経済産業問題においては日本の祖国と一体である。こういうような考え方からいたしまして沖繩の糖業と、ないしまた日本の欠乏しておりまするところの糖分を、まあ一石二、三鳥をねらったところの国策会社を作って助成してもらいたい、ということに対しての総理としてのお考えをこの際承わっておきたいと思います。
  153. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 沖繩の産業経済の問題について、やはり今日施政権はアメリカに属しておりますけれども、沖繩住民の気持から申しましても、さらに日本人全体の気持から申しましても、これはやはり日本の一部としてこれが助成発達をはかるように考慮していかなきゃならぬというお考えにつきましては、私全然同感であります、その趣旨については。ただ、なおまた沖繩さらに奄美大島等における糖業の奨励助長について、何か総合的な見地からこれを考えていかなきゃならぬという御趣旨につきましては、異存ございませんが、今おあげになりましたような、国策会社を作って一手に買い上げるという方法がいいじゃないか、その点について総理としてどう考えるかというお話でありますが、この問題については、今農林大臣に聞いてみますると、あるいは食糧庁で買い上げるというようなことを考えてもらいたいというような意向も一部にあるやでございます。今直ちにそういう国策会社として特殊の会社を作ることがいいか悪いかにつきましては、なお私は、今日の状態においては、直ちにこれがいいから作るということを申し上げるまでには至っておらぬと思います。もう少し事情を調べまして、御趣旨のように、この沖繩及び奄美大島等におけるところの産業経済の総合的の発展のために日本としてどういうことをすべきか、さらに、具体的に糖業についてこれの奨励策について最も有効適切な方法はどうかというようなことを、もう少し具体的に研究しまして結論を出したいと、こう考えます。
  154. 島清

    島清君 御質問を申し上げたときに、総理も問題の本質をつかみがねて、農林大臣に何か尋ねておられたようでございまするので、これ以上お尋ね申し上げませんけれども、とにかく日本から沖繩県だけで八千万ドルの輸出をしているわけです。それから沖繩県から出て参りまする輸入品というものは一千五百万ドル、片貿易なんです。ところが、台湾貿易を見てみますと日本から八千五百万ドルなんですね、片道。日本の八千五百万ドルの品物を売るために、台湾からそう必要でない品物をたくさん買わされておるわけですね。ですから、同じ日本国内でありまする沖繩県が八千万ドルの輸入をしておって、そして沖繩県民が要望する砂糖、パインの保護政策というのも、日本円に直しましてわずか二、三億円程度のことを要求しているわけですから、どうぞ、日本復帰を要望いたしまするこの沖繩県民をこういう面からわずかな金で救済できまするのに、これはまた、沖繩ばかりでなく日本の糖業政策からいたしましても当然まじめに取り上げてしかるべき問題でありますから、十分一つ御研究を願い、早急に実現を願いたいと思います。  それからもう一点。岩間君から早く渡してくれという要望を受けおりますので、一点だけ承わって、また岩間君が終ったあとで私の方へ返してもらいたいと思いますが、それは米の予約制度に基きまするところの免税措置の問題と関連いたしまするが、そのようなことで、日本米の集荷が政府の最善な方法だと思いまして、予約米の免税措置がとられておったと思うのでありまするけれども、新聞報道なんかによりますると政府、自民党は、この免税措置を廃止いたしまして課税するというようなことが伝えられておるのでありまするけれども、そうなりますると、従って、予約米が集まらずに、    〔委員長退席、理事平島敏夫君着席〕 これがやみ米の方へ流れていく。そういうような結果になりまして、食糧政策に東天なるところの影響を及ぼすのではないか、というような心配も持たれるわけでございまするが、この予約米に対しまするところの特典と申しまするか、それの排除と、これから先それが行われたあとの米の集荷に対して支障がないかどうかというようなことについて、農林大臣の方で御答弁を願いたいと思います。そして、もし農林大臣の方で答弁の不十分な点があると思われたら、総理大臣、これをおとり下さいまして御答弁いただきたいと思います。    〔理事平島敏夫君退席、委員長着席〕
  155. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 米の予約に伴います減税でございますが、この恩典と申しますか、これの対象になっておりますのは、三十年度以来これをやっておるのでございまするが、大体九十四万程度でございます。その後、税法の改正によりましてだんだん事情が変って参って、現在では六十五万に下って参りました。今度さらに税法の改正がなりますると、これまた減るわけでございます。そうしますると、一面におきましては、特殊のいわば富農といっちゃあ語弊があるかもしれませんが、その面の人たちでけが非常に恩典をこうむって、その他の人たちはこれに均霑しないという羽目になるわけでございます。同時にまた、税の体系からいってもいろいろ論議があって、そして予約減税を廃止したいという意見のありますこともこれも事実でありますが、まだ、来年度の予算の米価をきめます場合には、最終的にはきめておらぬ段階でございます。
  156. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほどの質問に続いて総理に一点お尋ねしたいと思います。防牒法の問題につきましては、先ほどの総理の御答弁では、とにかく一国として、国家としてこういうふうな防牒法はまあ必要だと、だから研究を続けておる。こういうような御発言でございましたが、非常にこれは重大な問題じゃないかと思う。それはやはり、日本の平和憲法の建前——少くとも平和憲法の現行憲法を守るという建前から、こういうような防牒法を研究して準備するということは、私はこれは非常に正しくないと思う。しかももう一つの問題は、御承知のように、警職法が、ああいう形で、岸内閣の意図とはまるで違った国民の世論がはっきり表明されました。そうして、何とか三十国会では、ほかの法案を犠牲にしてもあの警職法だけは通せ、通したい、こういうことをしば上ば言明されたにかかわらず、御承知のように、これは今日では流産しておる。この防牒法と警職法の関連ということは、非常に警職法に対する国民の世論の中で論議された問題でございます。ほとんど性格的に、人権侵害の面からみまして、また祕密国家、軍国主義、そういうものと関連した問題として取り上げられておるんです。そういう中で、私は防牒法を準備し、また警職法を再提出するそういう意図を進めていられるようにも聞いておるのでありまするが、これはいわば国民の審判が下った今日、このことはどうも私は、世論政治の建前から、非常にこれは納得のいかない問題だと思うのです。私はこれを、決算委員会云の決算の公正を真に徹底させる建前から考えましても、このような防牒法をここで準備するという岸総理の意図を了承することはできないのでありますが、この点についてどうお考えですか。
  157. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 先ほど防牒決の問題についての御質問に対しまして、私は一国の存立に関する最も重要なる機密が、牒報機関によっていろいろ不利な方向に利用されるというような事実は、これは私は、独立国として、その問題についてはやはりこれを防止するというのが今の国際情勢の、独立国のいずれの国もとっていることであるということを申し上げたので、ただその法律については、岩間委員のおあげになりましたように、これが決算を公正にするという問題に関連して、決算の公正を期せないような事態になったり、あるいはさらにおあげになりました日本憲法との関係において、個人の自由を侵害するというようなおそれのあるような規定をすべきものでないことは言うをまたないのでありまして、これらの点に関しては、十分に慎重に研究して参りたいということを申したのでございます。従って、今すぐこれを提案するとか、あるいは今御指摘のありましたような、いろいろな疑惑を包んだような規定をもって国会に提案するというような意図は持っておらないのでございます。
  158. 岩間正男

    ○岩間正男君 岸総理は私はやはり反省が足りないのじゃないかと思っております。警職法に対する国民の世論は、審判ははっきり下った今日の中で、なお、この警職法と深い関係があり、さらにもっと性格的にも大きな関連を持つような法案について準備する、それをやはり必要があれば提案したいという意図を捨てておられないことは、非常に私は世論政治家の立場としては残念に思う。そこで私は決算の問題として申し上げましたが、これはむろん決算の問題もありますが、これも一つの問題であります。一部面であります。しかも、それと関連して、この人権侵害の問題は非常に重大な問題であります。現にどうです。この前官庁スパイ事件というのがありました。それでわれわれ共産党はずいぶん迷惑をした。何より迷惑したのはその当時逮捕された経済企画庁計画官の林雄二郎氏を初めとする方々ですが、何か共産党に秘密文書を渡したというようなことで逮捕された。しかも当時新聞で大騒ぎされた。しかも、その結果を調査しますと、御承知のようにこれはすっかり誤まりである。しかも林氏のごときは栄転せざるを得なかった、他四人も白紙だ、こういう格好で実は結末がついているわけです。こうい形で何か防諜法の防諜の名に隠れて、そうして何かこういうような人権侵害を拡大していくというおそれは十分にあるのです。こういう一つの実例からみましても、これは拡大解釈、そうして拡大適用が行われる危険が十分にある。しかも、国民は非常に岸内閣の現在のやり方というものは、いわゆる逆コースといわれておるこのコース、ことにも、その中であなたがNBCの記者に語った構想、安保条約の改定問題、さらにその後におけるアジアの防衛体制、こういうようなものと関連しまして非常に大きな疑惑を持たれておる最中において、あなたは火中の栗を拾われるというようなことはやるべきではないと思う。少くともこの意図については十分に私は考え直す時期がきておると思う。平和憲法の立場から考えても、ほかの国家ということを例にとられますけれども日本の国は少くとも平和憲法を持っておるわけです。性格的に非常に違うわけでありまして、従って原爆戦争を拒否して、あくまでも戦争をきらい、平和を守るという国民こそが今日の警職法を食いとめた、やめさせたのだと思う。圧倒的な世論の力だと思う。私はこのような現実の問題に直面した岸総理が、古いそういうような構想を捨て切れないでおるとしたら、これは重大問題だと思うわけでありますが、こういうような最近の何か秘密警察的な動き、そうして無実の人たちに対してスパイ事件ということで、どんどんどんどん犯罪を作っていく、そうしてこういうやり方と関連して、私は防諜法のごときはたくらむべきではないと思いますが、いかがでございますか。
  159. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 防諜法についての根本について、岩間委員と私の考えは根本に相違しておることは岩間委員も御指摘通りであります。私はしかし、あくまでも申しておりますが、決してこの問題と個人の人権の侵害の問題や、あるいは会計決算を不明確ならしめる、もし、それについての疑惑をもたらすような意味において立法するような意思は持っておらないということは、しばしば繰り返して申し上げた通りであります。
  160. 岩間正男

    ○岩間正男君 警職法のときにおける岸総理の答弁と今の答弁とあまり差異がないと思うのです。現実に直面して国民の審判が下った中において、おそらく私は岸総理はこれは相当な反省をして出てこられるべきだと思う。私ははっきりこの点で国民の世論を少くとも私は心に体してここに出てこられるべきだと思うのですが、残念ながら今のような御答弁でありますが、われわれはそういうようなことを再び繰り返してはならぬ、こういうふうに考えておるのであります。この点やっぱり深甚なる考慮を促したいと思うのです。  これと関連するのですが、警職法は一応あの形で粉砕されました。しかし実質的に警察を強化する、こういうことが三十四年度予算あたりでもこれは非常にたくらまれているやに聞くのです。たとえば警察官は四千人増強する、あるいはまた警察官の待機の宿舎を作る、警官待機宿舎施設、こういうものに補助金を出す、その他二十九年以来国警と自治体警察が合併してから、当然これは縮小しなければならない、少くともこれは四年間の計画で二万二千人は縮小する、こういう方向になっているにかかわらず、三十年度はもうほとんど縮小しない。現在十二万三千、それを四千人ふやす、こういうことを考えている。警察費がそれだけ非常に膨張するわけです。実質的には警職法は通らないけれども国民の声がうるさいから、一つ一つ既成事実はどんどんどんどん作っていって、警職法の裏づけになるようなものをちゃんと作って、のっぴきならない既成事実の上に立ってさらに警職法を変えるというような構想も考えられるわけです。これはやはり国民の世論に対して私は忠実な道じゃないと思いますが、この点いかがお考えですか。
  161. 小西英雄

    委員長小西英雄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  162. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 速記を起して。
  163. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 警職法のこの前の臨時国会における提出以来のいろんな取扱いの問題等を含めて、いろいろとこれに対して世論の盛り上りましたことは私もよく承知しております。しこうしてその世論の動向につきましても、私はもちろん深甚なる注意と、及びその国民の意図なり世論の動向が、どういう方面にあるかということにつきましても、深く私としては検討をいたして参っております。ただ岩間委員のお話のように、国民世論で国民の審判が下ってこれを粉砕したというふうに岩間委員はこれを結論づけておいでになりますが、私はさようには考えておりません。もちろん警職法をあの形において、ああいう状況のもとにおいてこれを無理に通過成立せしめるということは、これは国民も納得しないし、またこれを許さないという情勢にあることはよく私も承知いたしております。従ってこれが警察官の職務執行に関しては、今後十分に社会情勢の推移とともに私は検討を加えて参って、そうしてわれわれの社会生活の秩序とそうして静穏な生活ができるように、それが多数の組織的な暴力等によって脅かされるようなことのないようなことを考えていく必要があると思う。その意味において十分に一つ内容やあるいは提出する時期であるとか、あるいはこれの取扱いの方法であるとかいうことについては、慎重に私は検討を加えていくべき問題であると思っています。そうして警察官の待遇やあるいはその内容の問題に関しましては、警職法のいかんにかかわらず、私はやはりわれわれの国民生活の実情からみまして、待遇において改善すべきものは待遇において改善するし、また警察官としてやはりその職責を果すことができるためのいろいろな内容の充実も考えなければなりませんし、また、社会情勢からみまして、この員数について、もしもこれを増加する必要があるというならば、やはり増加のことも考えていかなければならぬと思います。要は、私どもいかなる場合においても、国民の全体の人々の安全を考え、そうして生活の安全と秩序が保たれていく、そうしてまた犯罪事実や最近起っているような暴力行為というものを絶滅していくというような社会を作り上げる上において、必要な私は充実や改善は、やはりしていくものがあるならば、していかなければならぬ、かように考えます。
  164. 岩間正男

    ○岩間正男君 非常にまあ抽象的な、私の警官の増員、機構拡大の具体的な問題についての御答弁にならないのですが、そういうことは、私不十分だと思うのです。一般——しかも今の御発言の中に、非常に重要なものがある。やはり先ほどから繰り返して申し上げましたように、これは国民の世論が、はっきり反映して第三十国会は、御承知のような形であります。われわれ今日、二十二日も押し詰まって、クリスマスを前にした中で、道楽者の節句働きのような夜に及ぶ審議をしなくちゃならない、こういうところまで追い落された。かってないようなところに追い落されたことも、実にそこにあるのです。  私はそういう点、深甚の反省をしてほしい。戒心の情が見えないのじゃないか。岸総理は果して国民の審判を真に受けとめておるとは考えられない。やはり条件に応じて警職法はやるのだ、国民の反対しておるのは、そういう形では反対しておりません。どういう形にでも警職法の現状の段階というものは、過去のなまなましい、ああいう被害の実情から考えて、日本の憲法の基本的理念から考えても、おかれておる国際情勢の立場において、岸総理のいろいろ言明された、そういうアジアにおける防衛態勢、アメリカとの関係、原爆戦略態勢との関係において、この点を問題にしておるのです。  こういう点についてやはり平和を守り、平和憲法のもとにあり、しかも今の世界の平和的態勢の中で、はっきり私は、あなた自身の決意が、ここで変らなければならぬし、変ることができないとすれば、やはりその任にたえないのじゃないかと思うのです、こういう点で。しかも一方で、なしくずしに警察規模が強化される、これは重大問題だと思う。私は警官の増員ということがいわれておりますが、警官の数の問題よりも、質の問題じゃないかと思います。この質の問題というのは、あなたたちが警職法の中で、警職法のときに、この警官の質を変えますといった質の問題じゃありません。一体何を任務とするかという問題であります。  私はしばしばこういう問題に最近ぶつかった。たとえば御承知のように群馬に勤評問題が起っております。高知でも起っております。そうしますと、私たちは現地に視察に参ります。こういう中で驚くべきことを発見しております。警官の任務というものは、忠実どころか、実にこれは労働者の弾圧あるいは日本の平和を守り、そしてあくまでもそういう戦争政策に反対する、こういうものに対する弾圧の方向に、非常に大きな力をさいておる。私は群馬に行って驚いたのでありますけれども、とにかく高崎では、校長さんが女の先生のほっぺたに、勤評反対というので吸いがらを三秒も押しつけておるといった事実があります。
  165. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 岩間君。
  166. 岩間正男

    ○岩間正男君 間もなくやめます。  それから、また別な村では、暴漢が女の先生が料理しておるところに入り込んで、そして出刃ぼうちょうでおどかした。そして先生をしばしばなぐっておる。こういう問題につきまして、県警察本部長に、われわれは面会しました、社会党の諸君とも——。こういうものをあなたたち調査しましたかといったところが、新聞には出ておるにもかかわらず、この問題については、いまだ調査をしない、こう答えておるのです。そうして一方では、もう教員諸君の、これはいろいろな一齊行動に対しまして、こういう行動に対して、ほとんど全力をそっちの方に集結されておる。私は、こういうことは一体、許されると岸総理はお考えになるか。警察の任務は、何よりも先に人権を守る、これが最大の第一義の任務でなければならぬと私は考える。ところが残念ながらそういうような形で出ております。沼田でもそういうような問題が起っております。  さらに高知の問題は、私はけさほど現地調査を終えまして帰って参ったのでありますが、実に驚くことが起っております。まず第一に申し上げることができるのは、これは現地の人が、はっきり申しております。これは、単なる暴行事件というような問題じゃない。はっきり集団的な計上画された殺人事件であるということを明確に申しております。
  167. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 岩間君。
  168. 岩間正男

    ○岩間正男君 見てごらんなさい。私は……。
  169. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 岩間君、あんた、あまり約束を守らぬと……。
  170. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう間もなくやめます。  私が調査した中で、これは計画し、統制されていた。まず夕方の、十五日の夕方に河原で石を拾って、目つぶしを作っている。退路をどう遮断するかという、そういう訓練をしている。それから特攻隊みたいな、三十人を作っている、あるいは青少年の青年行動隊というものを作っている。これは少年保護法の適用があるから、これは罪が軽いだろうという想定のもとに、これがなされておる。そうして、どうです、しかもその場に乱入して来ましたところの連中は、電気を点滅する。これは三人の人たちが電話室に入り、そこからピケ隊がスイッチを操作して、そうして目標をつけて電灯を消す。そこへ殺到してなぐるける、そういう中で小林委員長のごときは、人事不省になっちゃった。のびてしまった。そうすると、それに最後に、とどめを刺すというような考えでした。そこに一人々々腹の上に飛びおりているのですね、踏みにじっているのですよ。そうして、なお足りないというので、ミシンをもってきて、その上にあてて、そうしてなおやる。はっきりこれは小林委員長を殺したというふうに彼らは大体確認したのじゃないか、ということは森小学校の宿直室で、さらに、それから乗り込んで、それから、その宿預員に何と言った。今小林を殺してきた。今度は君の番だというので、残虐な暴行を加えておるのです。  こういうところをずっと見ますというと、この形というものは、現地では、もっぱらこれは集団的な暴行行為だということが言われている。こういう問題について、それならば適正な処断がなされているかというと、じんぜん日を送っている。四、五人逮捕されたようでありますけれども、総評の調査団諸君のごときは、一昨日入ろうとした。そうして警察に、これは……。
  171. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 岩間君、約束をお守り下さい。
  172. 岩間正男

    ○岩間正男君 体の保護を頼んだ、佐川警察に参りまして、けれども、この次席が出て参りまして、次席の西村某というのは、とにかく生命の保障はできない。森地区に入るのには生命の保障はできないと、こういうふうに答えているのです。そうすると、日本では警察官によって生命の保護ができないようなところがあるのです。そういう特殊部落で、こういうようなことは私は軽々しく見逃すことはできない。これはヒトラーの例をわれわれは思い起すからです。ヒトラーが、そういうようなファッショ政権に作り変えるときに何をやった。このような立ちおくれた層を、ここのところをあおって暴力的なものにして、あの御承知のようなファッショ政権を作り上げたのです。私は、このことは勤評の本質にもつながっていると同時に、また実におそるべき殺人にさえもつながるところの、人権を人権と思わないところの問題に、これはつながっている。おそらくこのような質問をしますと岸総理は、だから警察官をふやさなきゃならない、こうお考えでしょうけれども、それはまるで本末転倒だと思う。重要なそういう組織労働者に対する問題、あるいは平和を守る運動に対するところの動員、そういうところに力をさいている。そうしてほんとうに人権を一つ一つ守る点については、これは全く手をぬかっておいて顧みない。おそらくこれは森地区の諸君は警察を非常に頼りにしておって、そういう権力の背景によって、これがなされておるのじゃないか。こういう点が非常にこれは出ておる。  こういう点から考えまして、警察の現在のこの使い方は、砂川事件にも明らかにされましたように、彼らが国民を守る、国民の生命財産、人権を真に尊重して、これを第一義の任務としてやるというよりも、実にこれは、わが国におきましては、労働運動とかその他の民主化の運動、こういうような運動に対することの弾圧を任務としているのじゃないか。こういうことが、はっきり私は出ているのじゃないかと思います。  三月一日のことでありますが、あの矢野という少年が警官を撃ちました。ところが、あの犯人をつかむためには、警察は何日かかっても、これをつかむことができない。しかし、あのとき私は、同じく水道橋で学生諸君が原爆反対デモ行進をやっている。そんなところには、警官が殺到している現状を見まして、同じ時刻に、その矢野少年が神宮外苑のところを逃げ回ったり、人の縁側の下にもぐり込んでおったりする。しかし警官は、タイミングを合せて、この犯人をつかむことができなかった。こういう点を私は非常に考えてみますときに、警官の使い方そのものが現在におきましては全くこれは今申しましたような形で不当に、むしろ人権を守るというのじゃなくて、人権を侵害する方で使われている。  こういう点は、まあ私たちこの決算を審議する中に、一体国費の使用状況、この性格はどうかという問題と関連しまして、決してこれは軽々しく見のがすことはできない問題でありますが、今の高知のなまなましい事件で、私は、実際現地に参りまして、見てきて、けさほど帰ったものでございますけれども、こういうものと関連して、警官の第一義的任務は、あくまでも人権を守り抜く、これに徹底すべきものだと、こういうふうに考えて、今度のような暴行事件につきましては、計画的なこのような殺人犯といわれるような事件については、どういうふうに一国の首相としてお考えになりますか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  173. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 森地区の事件につきましては、当時私も、このことはまことに遺憾な事態であって、警察及び検察当局に向っては、厳正に法を執行して、これが原因並びに状況、暴行等の事情に対して、いやしくも法を犯す者に対しては、その動機、理由いかんを問わず厳正にこれを絶滅するようにしろということで厳命を下しまして、厳正に、あくまでも事の真相を明らかにし、今お話になりましたような、傷害を加えておるという、集団的暴行を行なっているという事態に対しましては、いやしくも法は厳正にこれを執行するように命じてありますし、また、警察官をして、そういうふうに行動せしめていくつもりであります。
  174. 島清

    島清君 二点だけ総理に伺いますけれども、総理の約束の時間があと十何分しかございませんので、簡単にお尋ねいたしまするから、簡単に御答弁をいただきたいと思います。  日本の貿易の振興についてでございますが、私は、貿易を振興する手段といたしまして、いろいろあろうと存じます。それは総理の方が御専門でいらっしゃいまするので、釈迦に説法といううらみはございまするけれども、いろいろの手段を講じて貿易の振興をはからなければならないことは申し上げるまでもございませんが、その一つの手段といたしましては、相手国が気持よくその国情に応じて買い得るような態勢をとってもらうということが非常に必要だと思います。  そういう意味におきまして、南米諸国との清算方式でございまするが、なかんずくブラジルの方ではオープン・アカウント方式を望んでおったにもかかわらず現金決済方式がとられて、ブラジルの望んでいるような態勢をとりまするというと、貿易の方ももっと伸びましたし、また、ブラジルの生産品が安く国内の方に入るというような可能性もあったわけでございまするけれども、通産省、外務省、この両省は、オープン方式を望んでおりましたが、大蔵省が首を縦に振りませんので、とうとう大蔵省に押し切られたというようなことがあるわけでございまして私は、その点非常に遺憾だと思っておりまするが、さらに、ブラジルという所は、南米がそうでございまするが、ブラジルという所は、日本移民が非常に評判がようございまするので、移民は、幾らでも受け入れ態勢があるわけでございまして、そこで、今までは五十年間を通じて、農業移民ばかりを日本は送出をしておりましたので、農業移民については、大へん有望な国だといえないかもしれませんが、しかし何と申しましても、非常に親日の国でございまするし、さらに土地は広いのでございまするからりして、私は、農業移民といえども、非常に将来性のある国である、こういうふうに考えておりまするが、しかしながら、外国の方へ移民を送りまする場合には、もう少し、農業だけの移民を送るということは非常に時代おくれの感じがいたしまするので、ブラジルあたりでも、日本の企業の進出を非常に望んでおるのでありまするが、イタリアあたりは、戦後百万以上の移民を送出したそうでございまするけれども日本は、ほんの四、五万でございましょうか、戦後送り出しましたのは。これでは、私は、青少年に希望を与えるといっても、国内では、賭博行為であるとか殺人行為であるというような犯罪が繰り返されているというような社会に、人口が稠密をしている、こういう所で、せっかく総理が努力をされましても、この犯罪のあとを絶つことは困難ではないか。  そこで、青少年などに希望を与える意味においても、移民政策をうんと強く推進をしていただかなければならないのではないかと思いまするが、それと関連をいたしまして企業の進出、中小企業の進出、それと機械、技術、人間がついていくというような形の、私はその資本の進出、人間の進出、そういうものをはかるべきときではないか、私は南米あたりが日本に対して非常に親日であるという今が、非常に重要な時期である、こういうふうに考えております。そのことは、貿易の振興をはかるという一面からいたしましても、あるいは首相の青少年に希望を与えるという意味からいたしましても、非常に重要のことであると考えております。  しかしながら、こういう重要な国策を遂行する意味におきましては、日本国内におきましても、どうも地球の裏側である、非常に遠いという頭がございまするので、ただ観念の上におきましては、そういうことを考えながらも、実際に、いざ具体的な実施の点ということになりますと、やっぱり頭の中に、地球の裏側であるということがこびりついておるようでございまして、輸送力の問題等も、進んでこれを解決しようというようなことがなさそうでございまするので、それで私が御質問申し上げておりますことが、総理の方に御理解を願えるといたしますならば、あわせて輸送力の問題等、いろいろの問題が、ここに解決せられなければならぬと思うのでありますが、そういったような一切の問題を含めて、南米あたりに企業の進出並びに移民の送出、それを解決する資金、さらに輸送力の問題等によって促進されるというようなお考えがあるかどうか。  簡単に一つ御答弁を願いたい。
  175. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 移民、ことに南米に対する移民に対して、きわめて理解のある御意見を含めての御質問でございました。私も全然同感でございます。特に従来の農業移民——今後においても農業移民の前途は、まだブラジルにもございまするし、あるいはパラグァイその他の所にも私はあると思います。これらの土地に対する、農業移民ができるための措置である土地の入手という問題についても、積極的に一つ努力をしたいと思うし、また企業進出の、企業移民と申しますか、企業が出ていくと、これに関連した技術や、あるいはその方面の職場で働く人人も出ていくというお考えは、私も全然同感でございまして、現に御承知のようにブラジルにおきましても、ミナスの製鉄所その他のものもございまするし、さらに今後考えられるのは、中小企業の進出の問題だろうと思う。この点に関しても積極的に考えたいと思います。  またいつも移民の問題で議論になりますのは、移民する場合において、どうしても農業移民にいたしましても、最初に、向うに定住して、その仕事をやっていく上の基礎的なものに対する国の補助なり資金の融通なりという問題と、それからもう一つ輸送力の問題が、おあげになりましたようにございます。これらの問題にいたしましても、私は財政の許す限り積極的に大いにやりたいというつもりでおりまして、実は外務省に移民局を設置する場合におきましても、また日本の移民会社の事業内容等につきましても、一方大いに、こういうことが、海外でも仕事をします関係上、一面ルーズになるおそれもございますから、そういうことは厳格に審査するが、しかし積極的な意欲をもってやるように指導をいたしておりまするし、また送出すべき移民、それは農業移民と工業移民その他のものとを問わず、十分、出て行った国の人々から歓迎をされるような素質を持っておる人を養成し送り出すというような国内の組織や、やり方につきましても、十分意を用いていきたいと考えております。
  176. 島清

    島清君 総理は、就任当時、国民に呼びかけられましたのは、汚職の追放と暴力の追放ということでありましたが、その限りにおきまして、私は国民の共感を得たものであると、こういう工合に信じております。  しかしながらこれが具体的にどういう工合に岸内閣におきまして推進されて参ったかということでございますが、残念ながら私たちが決算委員会の検査、会計検査院報告から指摘をされておりまする批難事項から見ましても、どうも総理が御期待をなさっておられたというような形においては出てないのじゃないか、そういう工合に思うわけでございます。  特に総理といたしましては、三十一年度の会計年度の跡始末というものは、これは総理御自身が責任を負わなければならないということでないと思いまするけれども、しかしこれは、内閣、かわりましても、やはり保守党内閣であるということにおいては、かわりがございませんので、そこでこういったような批難事項等が摘発をされますので、指摘をされまするので総理も、これではいけないというので、いろいろと三悪追放のことをおっしゃったと思うのでありまするけれども、特にそういうことを強く信念として考えられておられまするところの総理が、どういうふうに具体的にこの官吏の精神の振興といいましょうか、粛正といいましょうか、どういったような処置をとられたか。どうも私たちが銀座あたり歩いてみても、かなりやはり役人さんが業者の諸君と遊んでいる姿がキャバレーであるとか、料理屋であるとかというところに、しばしばお見受けをするのです。どうも岸内閣ができましてからも、こういう姿が、私は減少したようには思えないのですが、総理といたしましては、こういったような汚職までとはいわなくても、汚職とすれすれの行為をやっておりまするところの官吏に対して、どういったような自粛の方針をとって臨まれたか。  さらに、私は汚職というものは、憎むべきものであると考えておるのでありますが、それは強盗、窃盗というのは、食えなくてやるというような追い込められた貧困から生ずるということもございまするけれども、しかしながら汚職というものをやる連中は、みんなその条件はいいのです。いい条件のもとで、そしてあえてこういうような犯罪を犯しているのです。そこで犯罪というものの構成要素が安易であるということになりますというと、私は、これは強窃盗よりも非常に憎むべき悪質な犯罪ではないか、こういうふうに思います。  そこで社会を見渡しましたときに、どうもやはり売春禁止法というものを制定いたしましても、売春はあとを絶たない、そして社会には、ばくち行為というものがやたらに行われている。昼間からばくち行為が行われている。こういったように非常に混濁したような社会情勢のもとにあるわけですが、合せて一切ひっくるめて総理は、こういったようなものの根を絶ち切って、そして総理がいわれるような汚職のない世界、暴力のない世界、こういうものを、どういう形で打ち立てていこうというふうに努力されたか、そういうことについて、官吏の自粛に対する総理としてとらわれてきた政策、さらに一般的には、社会のこの混濁した社会をどうやって、一つ清めていこうとされたかということについての考え方を、おやりになったことを一つ承わりたいと思います。
  177. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 三悪の追放につきましては、私実は、そういうことを国民にお誓いをしまして、私の政治の根底として、これをなくするように、あらゆる面から努力をしていく、国民も、それに協力してもらいたいということを申し述べて今日に至っておるわけでありますが、御承知通りこの問題は、いうまでもなくそういう形で発言したのは、あるいは私が、そういう形で発言したと思いますけれども、歴代の首相、政治の衝に当る人は、何人もこの問題に関しては、強い関心をもって、それが絶滅を期するように努力をして参っておると思います。にもかかわらずこれがなくならないということは、非常にこういう問題が根強く巣くっておるといわなければなりません。  そこで、もちろん一片の私が通牒を出し、あるいは官吏に向って、公務員に向って、その職責に対して、十分に厳正な態度で臨み、いやしくも公務員たるの本旨にたがうようなことがあってはならぬということを戒告いたしましても、それでもって、一片のなにであれしたと、私は考えておりません。  そこで問題は、一つは、そういうことが起ってくる機構なり、人事の配置というものも考えなければならぬと思います。漸次そういうことを考えて各官庁におきましてはできるだけ責任の所在を明確ならしめて、そして責任の地位にあるところの者については、相当な公務員としての訓練なり、心がまえをもって当るというふうにしなければならぬ。ずいぶん戦後の新聞等において、社会を驚かしたところの汚職その他に関連しているところの人々が、非常に若い官吏である。公務員である。多額の、億にも上るような金を二十数才の人が、これをごまかしておったというような事実は、実は私、責任の所在や、あるいは人事の配置というものが、当を得ないのだと思う。従ってそういう点における機構の改正や、あるいは人事の配置につきまして、特に各省大臣において、そういう点について特別な配慮を払うように、また一方、機会あるごとに公務員に対しましては、自粛を要望いたしております。  同時に、さらに今お話がありましたが、年々同じようなことについて、会計検査院の批難を受けておる。そうして国会においても、この予算の執行について、いろいろな決議や御意見が出ておる。そういうことが繰り返されておるということについては、これは各省大臣、絶対にいかぬ、それは、多額の予算を使っておることでもありますし、いろいろな複雑した仕事をやっておるから、初めからあやまちなきを期さなければなりませんけれども、全然、このあやまちを初めから全部なくするということは、非常にむずかしいだろうが、一たび批難され、指摘され、若しくは、いろいろの議論を起したような事態を重ねて、それと同じ、あるいは類似したような事件を起すようなことはいかぬ。あるいはそういうようないろいろな仕事を、請け負うところの仕事におきまして、でき上った上で検査するというために、実際は、その途中におけるところの不正というものが、十分にわからない点もある。そうすれば、むしろ工事の途中において、これを監督し、監査して、そういうことを未然に防ぐような方法も、一つ講じなければならぬのじゃないか、そういうことも、いろいろといたして参っております。もちろんこれをもって十分だとは申し上げられません。  また世相につきましても、これは、やはり国民一般的社会の風潮なり、あるいはその方面からの協力も願わなければならぬことでありますが、同時に、やはり奢侈あるいは射幸的な考え方も、これを野放しにしておくことは適当でない。従って競輪や競艇、競馬等につきましても、それぞれ適当な規制を加えていく。また、こういうものの新設の希望がたくさんありますけれども、新しい何は許しちゃいかぬ。そして現存のものについても、行き過ぎのないように、監督していくというふうなことも、私は、こういう世の中一般の人が緊張するための一つの示唆として、そういうことも、実は実施いたしております。しかし、もちろん現在の状況でもって私はこれで足れりとは考えておりません。  暴力の追放につきましても、ずいぶん暴力団その他のものに対しまして、努力をいたしておることも御承知通りでありますが、同時にやはり、ただ暴力団狩りをするというだけでは足りないので、この暴力団の中に入ってる人々が、更生する道をやはり考えなければ、ちょうど売春の問題もお話がありましたが、やはり更生施設について相当に力を用いて、これらの人々が、平和な、また希望のある道が歩めるような方法を講じていくということも、ただ取締りだけでもって目的を達するものではないと思います。  そういう意味において、やはり社会全般の御協力、国民全体の御協力を一そう力強く願うようにしなきゃならぬ、かように思っております。
  178. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 最後に……、いろいろ与党の委員からも通告があったのでありますが、お約束の時間も過ぎて参りましたので、委員長から、一言岸総理大臣に要望いたしておきたいと思います。  国会において、予算審議には、相当な長時間を擁し、そうして懇切丁寧な質疑が行われるにかかわらず、従来、決算委員会においては、きわめて最終的に見えられて、わずかの時間で、それを終結するということについて、委員諸氏からの強い要望がありまして、岸内閣総理大臣に相当な時間を委員長に要求されたのでありますが、いろいろな情勢から、また委員長といたしましても、国民から集められた一兆数千億の金の行方について公正適確に使われておるかどうかという面からも、いろいろ、私が就任して以来、参議院は、特に決算委員会に力をいたそうという申し合せもありまして、決算が毎年繰り返されておっても、不当事項がなかなか容易に少くならぬという事態もありますので、委員会も反省いたしまして、三年前のものを、三年後にいろいろ審議しては、これは実際になまなましい——担当局長がいなかったり、大臣がかわったりして、全く委員会の内容もよくないということから、本年は特に委員の協力を得まして、本日、実は三十一年度全般の審議を終ることにいたしたということは、年明ければ、すぐに三十三年度の決算をやろうという熱意から出たのでありまして、われわれここで、いろいろ指摘の中に、総理大臣は、数字上についてこういうこまかい点にどうかと思われますが、やはり会計検査院の適切な指摘、あるいは各庁における監察官等の活発な働きの結果と見えますが、大体指摘、不当事項についての、三十年度の指摘された不当支出の金が六十六億ありましたものが、三十一年度には二十五億となり、さらに一昨日の新聞に拝見いたしたので、われわれ手元に、その資料はまだ参っておりませんが、三十二年度における会計検査院の不当事項と申しましょうか、その金額は、昨年よりさらに十億減りまして、予算の毎年増大に逆比例いたしまして、三十二年度は、十五億以内に相なったのは、これを国民の一員として、また決算委員会の立場から、非常にこれは、われわれこれで満足いたすものでありませんが、喜ぶべき状態になりつつある。これについてわれわれは十五億という膨大な金であるから、これをおろそかにするのではありませんが、世界各国決算状況から見まして、千分の一、二程度に終る場合は、これは、世界の標準より、さらによい結果になりつつあるということについては、政府各位の決算あるいは会計検査院に対する協力と指導のよき状態になっておるということだけは言えるのではないかと思うのであります。  われわれ当委員会としては、各省における経過状態並びに今後に処するこの税金の適切使用についての問題については、相当な資料と質問の用意をいたしたのでありますが、時間の関係で、また懇切丁寧な答弁が繰り返されたので、委員長から重ねて言う必要がないのでありますが、われわれが、この数ヵ月の間に各省の全体にわたる審査を終って、この三十二年度の指摘事項についての調査にとりかかるために、あらゆる努力をした結果から、本日は、総理大臣を最終的においで願って、長時間にわたっての審議をいたしたのでありますが、会計検査院の努力、また政府のいろいろ指導が、順次よくなっているということについては、われわれは、ここであらためて大いに敬意を表しておきます。  ただし、今後この会計検査院指摘が少くなった場合に、潜伏状態と申しますか、法の盲点を突いて、いろいろ請負の談合制度とか、あるいは談合措置——事前に行われる——予防措置についても、これは決算委員会で、予防決算と言われても、われわれが、事前にいろいろキャッチして、いろいろなうわさがあれば、それに即応して調査にも出て参ったのであります。当決算委員会は、この最終の質問を終るのでありますが、一つ、こういう点について、各庁の協力を願うとともに、今後、今日も問題になった防衛庁、農林省、国鉄等の不当事項の多いものに対しては、十分な指導をお願いいたしまして、本日は、これをもって質疑を終了いたしたいのでありますが、委員長発言に対して、総理の一つ所信の一端を最後にお願いいたしたいと思います。
  179. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) ただいま委員長から、決算委員会委員の皆様が、特に精励されまして、国の予算の執行の全面にわたって、これは、いやしくも国民から徴収せられる租税の行方でございますから、御熱心に御審議になるという御努力に対しまして、私は心から敬意を表しますとともに、大へん私自身が、この委員会をおろそかにしておる印象でありますことは、はなはだ恐縮でございまして、私としては、今後できるだけ時間の許します限りは、やはり皆様のこの熱誠にこたえる意味におきまして、御審議に御協力申し上げたいと存じております。  なお、決算の結果につきましては、漸次多少の改善が見られつつあるということでございますが、私どもは、決して現状で満足するわけではございませんで、十分に、この委員会で御論議なり御指摘なり、また御意見等を承わりまして、関係各省におきましても、十分に一つ留意と努力をいたしまして、委員の御期待に、幾らかでも添い得るように、今後とも努力をいたしていきたいと思います。
  180. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 以上をもって、本日の審議を終了いたしました。  次回は明二十三日午前十一時から委員会を開会いたし、昭和三十一年度決算及び昭和三十一年度国有財産計算書についての審議を行います。  では、これをもって散会いたします。    午後六時四十七分散会