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1959-02-17 第31回国会 参議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十七日(火曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————   委員異動 二月十二日委員井野碩哉君辞任につ き、その補欠として重宗雄三君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     杉原 荒太君    理事            鶴見 祐輔君            苫米地英俊君            森 元治郎君    委員            鹿局守之助君            笹森 順造君            野村吉三郎君            岡田 宗司君            加藤シヅエ君            佐藤 尚武君   政府委員    外務政務次官  竹内 俊吉君    外務省経済局長 牛場 信彦君    外務省条約局長 高橋 通敏君   事務局側    常任委員会専門    員       渡辺 信雄君   説明員    外務省経済局米    州課勤務    藤木 正雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○通商に関する日本国ハイティ共和  国との間の協定締結について承認  を求めるの件(内閣提出)   —————————————
  2. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一日に井野碩哉君委員を辞任され、その補欠として臓宗雄三君が選任されました。   —————————————
  3. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) 通商に関する日本国ハイティ共和国との間の協定締結について承認を求めるの件(本院先議)を議題といたします。  本件につきましては、前回提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。  ただ、その前にちょっと委員長から政府側に申し上げますが、この条約自体説明の前に、ハイティ事情について、要領よく一つ説明願いたいと思います。
  4. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) その御説明を申し上げます前に発言さしていただきたいと思いますが、前回の当委員会で、政府が提案いたしましてただいま議題になっております通商に関する日本国ハイティ共和国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、私から提案理由を御説明申し上げたのでありますが、その中の末尾において、「よってこの協定の批准について御承認を求める次第であります。」と発曲、品いたしたのでありますが、これを次のように訂正をさしていただきたいと思います。「よってこの協定締結について御承認を求める次第であります。」と訂正いたしたいと思います。
  5. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) それでは、ただいま申しましたハイティ事情について、藤本説明員から説明していただきたいと思います。
  6. 藤木正雄

    説明員藤木正雄君) それでは、ごく簡単に御説明申し上げます。  ハイティは、御承知のように、カリビアン・シーにございまして、キューバの東方にありますサントドミンゴという島の西半分を占めております。  人口は三百四十万であります。  面積は、一万平方マイル強でございまして、大体日本四国よりはちょっと大きいという程度でございます。  人種は、九〇%が黒人でございまして、あとの一〇%が黒人並びに白人の混血ということになっております。  言語は、フランスが一七〇〇年代から一八〇〇年代にかけまして同地を植民地としておりました関係上、現在フランス語でございます。  同国歴史は、一五〇〇年ごろにコロンブスの第一回アメリカ大陸発見当時に同国が発見されまして、それから約二百年間スペイン統治下にありまして、その後フランススペインとの戦争によりまして、フランスに割譲されまして、約百年間フランス統治下にございました。一八〇四年に独立をしまして、今日に至っております。政情は、憲法上は立憲共和制をしいておりまして、二院制でございますけれども、上院議員数が二十一名、下悦の議員数が三十七名というような、ざわめて小さい国会でございまして、事実上大統領の独裁制というのが実情でございます。過去非常に内乱の継続という歴史を持っておりますけれども、現在では、どうやら政情は安定しておるというふうに見られております。次は経済情勢でございますが、同国はほとんど工業的なものはございません。産物もほとんど農林産物、コーヒーを主産物としまして、サイザル淋、綿花、ココア、果実、木材といったようなものを産出しておりまして、同時にこれらのものを輸出しております。対外貿易について申し上げますと、大体年間片道四、五千万ドル、年によって多少増減もございますけれども、四、五千万ドルくらいの貿易をいたしております。その最大の相手国アメリカでございまして、輸出入とも約二五%くらいはアメリカが占めております。それから輸出の面ではヨーロッパに輸出しておりまして、ベルギー、フランス、イタリーといったような国に主として輸出をしております。輸入の面ではカナダ、ドイツ、英国といったような国からの輸入が大きな部分を占めております。輸出品につきましては、先ほど申し上げましたような農林産物でございますが、輸入品は主として繊維製品食料品金属製舶機械というような品種があげられ、おります。次は、日本との貿易でございますか、戦前は、かなりわが国繊維品が伸びておりまして、一九三一年ごろだこ思いますが、最盛期には八十万ドル程度わが国繊維品が出ておりましたけれども、その後一九三五年に至りまして、ハイティ求償主義に基きまして複関税制度をしき、日本に対しましても高率な最高関税を課するようになりまして、それ以後、貿易はかなり低調となって参りまして、戦争の勃発前後の一九四一年で、同国との貿易はストップをいたしまして、戦後は貿易が再開されましたけれども、わが国ガットに入りました際に三十五条を援用いたしました関係上、やはり引き続いて最高関税が課せられまして、すこぶる貿易は低調でございまして、戦後の一番大きな数字を示しました一九五六年の数字を見ますと、わが国からの輸出は、わずか十万ドル程度、これに対しまして輸入が百七万ドルで、輸入の大部分砂糖でございます。それからわが方から出しております品物の大部分は、ミシンでございます。翌年の一九五七年におきましても大体同じ傾向でございまして、わが方の輸出が五万ドル、それから向うから入れましたものが九十万ドル、こういう趨勢でもって参った次第でございます。大体以上がハイティに関する概況でございます。
  7. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 ちょっとお伺いいたしておきます。実は、このハイティのことについて、昨年アメリカに参りましたときに、ハイティ経済顧問から私に直接話がございまして、実は、ハイティの国では日本に対して非常な好意と尊敬の情を持っておる。それで、あれだけの規模の大きな熱帯地であるにかかわらず、農業が原始的であって収穫が少い。ことに野菜栽培がほとんどできないために、熱帯地でありながら野菜外国から輸入しておる。それから、果樹園が、栽培の方法を知らないために、くだものを外国から輸入するというような窮状にある。また、海では魚が多いにかかわらず、漁業がまるで原始的であって、とれない。従って、ハイティとしては優秀な外国移住者希望するけれども、どうも考えてみると、日本が一番優秀であると思われるから、日本とそういう意味で交渉したいということを申しておりました。それで、これはただ政府にお伺いをし、また御参考としてお考えいただきたい一つの例にすぎないのでありますが、各国で、最近日本に対する感覚が非常に変ってきて、従来のような好戦的な国民でなくして、平和愛好国民であって、かつ非常に勤勉な道徳的な国民であるという信用がふえて参りました結果、ラテンアメリカ諸国において、日本移住者を交渉したいという感じが方々で起っておるようでございますが、その一つの例が、やはりハイティであります。ただ私は、ハイティヘは四十年前にちょっと参りましたけれども、それほど事情を存じませんから、果してその移住ということが可能であるかどうかは、まだ研究をいたしておりませんけれども、こういう条約ができた機会に、外務省におかれましても、ラテンアメリカ各国のこういう要望にこたえるような調査をされ、また処置をとっていただきまして、この機会において、日本の優秀な人々が外国に発展する機会を作っていただきたいと、こういうふうにお願いをいたしておきます。  それからちょっとつけ加えますが、その場合、また、今繊維品輸入お話がございましたが、日本プラント輸出の話がありまして、日本移住者によって綿をもっとじょうずに栽培をして、日本の技術によって繊維品を作りたい、こういうふうな希望を申しておったのでありますが、私どもは直接このことを少しばかり民間の方と御相談をいたしましたけれども、政府の方針がきまってからと、待っておった次第であります。
  8. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) ただいま鶴見委員より御発言になりました御趣旨につきましては、今回の提案いたしております協定締結等がございますし、今後、それらの問題について、政府としては積極的に調査その他のことをいたします一つの機縁ができるわけでありまして、御趣旨の点、尊重して善処して参りたいと思います。
  9. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) 今の藤本説明員説明に加えて、何か日本側漁業インタレストについてつけ加えることはないですか。
  10. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) カリブ海におきます漁業につきましては、ただいまプエルトリコあたりを拠点といたしまして、大洋漁業が操業いたしております。従いまして、ハイティにつきましても、将来、漁業は確かに可能性のある産業だと思います。ただ、現在までのところ、まだ具体的な話は、ハイティにつきましてはないと存じております。
  11. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 ちょっと、私、先ほど申しおくれたのでありますが、向う漁業で一番困難を感じておるのは、カン諮工業が全くない。従って、日本からカン語工業プラント輸出希望するというようなことが出ておりました。私は、まだこの問題を政府の方にも正式にお話をしておりません。ただ、民町の方でそういう希望者があるかどうかを、まあ私的に聞いておる程度でございますので、こういう正式な条約締結の後には、おそらくは正当な外交経路によってお話が始まることと存じますので、これは非常にけっこうだと思いますが、ただ、つけ加えて申し上げます。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 この条約締結されますと、日本の方からの輸出品もふえるという見込みだとおっしゃるんですけれども、どういうようなものがふえる見込みにあるのか。また、そのことについて、これが締結されると同時に、そういうような話が急速に進むような何か話し合いがすでに行われているのか、その点お伺いしたい。
  13. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 今回、この条約締結されますと、関税の面におきまして半分になるわけでございまして、従いまして、戦前もそうでありましたが、日本からの消興財、ことに繊維品輸出は相当伸びるのじゃないか、ハイティ側には、先ほど説明申し上げました通り工業というものはございませんので、国内産業保護意味からは、別に日本からの繊維品輸入などをとめる理由はないわけでございまして、そういう意味におきましてはこの条約締結によって相当輸出が伸びるであろう、金額の点はまだはっきりわからないのでございますが、向うからの輸入年間大体百万ドルでございます。従いまして、それを多く上回るということになりますと、また問題になるおそれもございますけれども、少くともそれを若干上回る程度までは、すぐに伸びるのじゃないかと思っております。  それから先ほど鶴見先生からお話のありましたプラント輸出につきましては、この間交渉に参りましたダヴィツトと申します非常に有力な上院議員だそうでありますが、その人の話では、たとえば砂糖精製設備なんかも日本から買うことを考えておる、従って、ダヴィット氏の話によりますと、ハイティ側としては、数千万ドルにも上る輸入日本からすることも可能であるということを申しておりました。そのほかカン詰でありますとか、いろいろな機械設備の話もぼつぼつあるようであります。この協定締結によりまして、相当そういう話が進むのじゃないかと考えております。
  14. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 ハイティ土地四国ぐらいで、人口が三百四十万というようなお話でございましたけれども、その土地は山地というようなことから、農耕地になる可能性がある土地、そういうようなものの割合はどんなふうでございますか。
  15. 藤木正雄

    説明員藤木正雄君) 正確な割合は、今、手元にございませんけれども、ハイティは非常に山の多い国だということがいわれておりますので、比較的農耕地は少いのではないかというふうに思われます。
  16. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) 先ほど岡田委員の質問に対する牛場局長の答弁の中に、この協定を結べば、その効果の一つとして、関税が従来の半分になるという説明がありましたが、それをこの条約条文と、向う国内法に即して、念のため説明してもらいたいと思います。
  17. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 関税に関しまする最恵国待遇は第一条にございまして、これにいろいろこまかい規定が載っておりますが、ことに輸入意味ではなくして、輸出についての課徴金などについても最恵国待遇ということが響いてございますが、この中のおもなものは関税でございます。この第一条の書き方は、これはほかの国との同種の条約に大体のっとっておりまして、ガット規定にのっとっておるというふうに御了解願いたいと思います。  それからハイティ関税制度につきまして御説明申し上げますと、関税制度は主として財政目的のものが多いのであります。そうして税率種類は、最低税率最高税率協定税率になっております。最低税率といいますのは、これはハイティ側最恵国待遇を与えている国に対して適用されることになっております。最高税率は、これは最恵国待遇を与えていない国に対して適用されるのでありまして、その税率最低税率の倍ということになっております。そのほかに第三の税率として協定税率というのがございまして、これは、ある種の商品につきまして、ガット関係にある諸国、それから最恵国条款を含む協定を、何らかの形において結んでおる国につきまして適用があるのであります。最低税率よりさらに有利な税率になっております。ただ、協定税率種類割合少いのでありまして、おもなものは、たとえばミシンのごときものであります。これは最低税率のさらに半分くらいになっております。従いまして、今度の条約によりまして非常に日本としては有利な税率がとれるということになっております。
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 一番しまいについている沖縄に関する交換公文ですね、これはなんですか、常識的に言えば、現在沖縄日本施政権の行われているところではない、従ってこれは省くのだ、こういう意味だと思うのですが、裏返しにすると、これは日本潜在主権があるということを、そういうことをうたっておるということなんですか。
  19. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) この沖縄に関します交換公文でございますが、これは御承知通り、ほとんど今までのこの種の通商航海条約には、通例としてこのような条文をはっきりうたっておることは御承知通りでございます。沖縄は、今潜在主権というお雷葉がございましたが、これは経済的な物資の交流に関しては、全然外国その他の関係とは見ずに、われわれは日本の一部としまして、その産品その他を待遇を与えておりますから、これを明らかにここで除外をしたということをはっきりさせておる次第でございます。
  20. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは表向きの御議論。裏返しをすると、こういうところにも日本潜在主権があるということを一応うたっておこうということも、裏の意味としてあるのかどうかということです。
  21. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 確かに御指摘の通り、究極の、突き詰めていくと、われわれはそのような考えを持っておる次第でございます。
  22. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) 他に御質疑はございませんか。  それでは本件に関する質疑は、本日のところはこの程度にとどめ、次回に続行することといたします。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五分散会