○
説明員(
森治樹君)
行政協定につきましては、国民の生活に直結する部門が多々ございますので、現在までに実施しいろいろな問題が発生いたしております。しかしながら、また他面、
行政協定というものは非常に技術的な条約でございまして、
米軍の駐留に伴って
一つのこういう技術的な条約、
施設区域の利用及びその軍隊の地位を規定する技術的な条約というものは必要でございまして、従いまして、従来からの
行政協定をどう運営面で改善をしていくか、また、
協定そのものをいじるとすれば、どういうようにやっていくべきであろうかということにつきましては、十分
検討を重ねて参った次第でございます。よくNATO
協定というのが引かれまして、これとの比較ということが問題になりますけれども、私から申し上げますまでもなく、NATOのいわゆる加盟各国の軍隊及びその相互の関係というものと、現在の日本における
米軍と自衛隊の関係というものは、基本的に相違しておるわけでございまして、また、それから必然的に、たとえば間接調達等にいたしましても、NATOにおきましてはその受け入れ国の軍隊に対する調達機構が、そのまま
米軍の調達のために利用されておるという状態になっておる次第でございまして、そういう面において、日本ではそれまでの国内的な機構というものが整備されておらないという面もございます。またNATO諸国とわが国の間の国情の相違等もございまして、こういう点も考慮しつつ、NAT
○条約の参考にできるところは参考にしていくという
態度をとってきておる次第でございます。ただいま御指摘になりました諸点につきましては、これは大臣も御
説明になっておりますように、二十四条、二十五条につきましては――二十五条の分担金につきましてはこれを削除したいということで
交渉に
努力をいたしておる次第でございます。労務につきましてはいろいろな問題がございます。
協定上はすでに日本の
法律によることになっておることは御承知の
通りでございます。ただ従いまして、駐留軍関係の労務者の俸給あるいは給与、あるいは退職金、あるいは組合
運動にいたしましても、一本の
法律によって規制せられることは当然のことでございまするが、同時に
米軍というものが日本に駐留し、
一つの
施設を持っておりますその中において
米軍の秩序を保持し、その安全を保持するための
米軍の権利というものは、これはある
程度認めざるを得ない次第でございます。ここの調節をどうやっていくかということが、
一つの従来から実際問題として発生してきておることは、ただいま御指摘の保安解雇等の問題に現われておるところでございます。従いまして、これは現存
協定上あるいは運営上どういうふうにやっていくかということは、労務問題はそういう見地から
検討中でございます。
間接調達につきましては、ただいま触れましたけれども、NATO諸国におきましては間接調達を原則といたしております。しかしながら、
先ほども申し上げましたように、軍隊間の、軍隊といいますか、自衛隊と
米軍との関係と、NATOの加盟国と
米軍との関係というものに基本的な相違がありますし、国内の態勢がそこまでいっていないのに、間接調達という方向に踏み切り得るかどうかという点につきましては、相当疑問がございますし、あわせまして間接調達ということになりますと、いろいろな国内の行政機構等にも影響を及ぼしてくる問題でございますので、そういう見地からこの問題を
検討している次第でございます。
十四条の契約者につきましては、いろいろな従来から与えられた特権の乱用等の非難も一部にございますので、真にこれが必要の場合に限定されて使用せられるように、たとえば技術的な見地から、あるいは安全という見地から、こういう特定の業者を利用せざるを得ないというような場合に、これを限定いたしますれば、従来からの悪評の一部というものは除去し得るわけでございますから、そういう点も考慮して
検討を加えております。
なお、入国及び課税の問題につきましては、いろいろな問題もございますし、入国につきましては、すでに国連軍
協定というものは幾分技術的に現在の
行政協定より改善を加えられた跡が見えるわけでございまして、こういう点も参照しつつ入国の点を
検討いたしております。
なお課税の点につきましては、現在の条項にも
米軍は自粛
措置をとることになっております。特権の乱用を防止するために自粛
措置をとることになっておりますが、これをいかようにしたら、より効果的にすることができるか等々の諸点もございますし、これもそういう見地から、ただいま
検討を加えている段階でございます。