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1959-06-18 第31回国会 参議院 外務委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年六月十八日(木曜日)    午前十時三十二分開会   ―――――――――――――   委員異動 六月十一日委員野溝勝君辞任につき、 その補欠として曾祢益君を議長におい て指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     杉原 荒太君    理事            苫米地英俊君            森 元治郎君    委員            笹森 順造君            加藤シヅエ君            佐多 忠隆君            曾祢  益君            石黒 忠篤君   事務局側    常任委員会専門    員       渡辺 信雄君    説明員    調達庁長官   丸山  佶君    外務政務次官  竹内 俊吉君    外務省アジア局    長       伊關佑二郎君    外務省アメリカ    局長      森  治樹君    外務省条約局長 高橋 通敏君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国際情勢等に関する調査の件  (国際情勢に関する件)   ―――――――――――――
  2. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。去る十一日、野溝勝君が委員を辞任され、その補欠として曾祢益君が選任されました。
  3. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) 次に国際情勢等に関する調査議題とし、質疑を行うことといたします。質疑のおありの力は順次御発言を願います。
  4. 森元治郎

    森元治郎君 茨城県の前渡という、昔軍の飛行場のあった所が、現在アメリカ空軍爆撃演習場になっておるわけです。正式な名前は何というのか、アメリカ空軍の正式な名前をまず一つ伺います。  それからその爆撃場については、かねがねその隣接の那珂湊当局はもちろん、農民や漁民の方たち、また東海当局、それに東海村にある例の原子力研究所でも非常に危険であるから、また町の方とすれば、危険と同時に、地元発展のためにこの飛行場を返してもらいたいということを強く要望して今日まできているわけです。ことにゴールドン事件という日本人の婦人を間違って死亡させた事件がありましたが、このゴールドン事件以来は、特に町の当局地元では、この演習場を返してくれ、原子力燃料公社などもあそこへ招致しようという運動もあり、また、来そうな様子もありましたが、何分爆弾付近へ落されておるので、とうとう来ないというようなことで、大へん地元では残念がっておるわけです。その後、この点について調達庁当局政府当局は、どういう態度地元陳情があったのに対して処置しておられたかを伺います。
  5. 丸山佶

    説明員丸山佶君) ただいまのお話のございました茨城県の那珂湊市及び勝田市にわたる地域の空軍演習場がございます。名称は水戸対地訓練区域と申しておりますが、その陸上演習場とそれに接する海面の部分というものが空軍飛行機演習場になっておるわけでございます。ただこの点に関しまして、ただいまお話がありましたように、ゴールドン事件等、昨年の後半からことしの初めにかけまして演習場区域以外に模擬弾が落ちる、そのようなことのためにひんぴんたる被害があり、これの予防措置対策ということを、地元並びに茨城県等からしばしば中央の方に話がございましたが、調達庁といたしまして、また政府といたしまして、合同委員会等を通じまして、これの予防措置対策ということを米軍に申し入れ、双方検討を加えてきておりました。去る四月に結局これの対策措置として最も適切なのは、現在陸上にある標的海上の方へ移動する、これが最も適切な措置であるという結論に達しましたので、そのような措置をとるために、五月の初めから県庁を通じまして、地元にその了解を求めることを調達庁ではいたしました。たまたま地元話し合いの途中におきまして、米軍の方が少し早く船を出しまして、そのために地元漁業組合等現場トラブルができました。米軍としましては、これが従来からの予防措置対策上必要だから、地元了解もできるであろう、なお、たまたまその当時不時着機の引き揚げという作業があったので、それをあわせてやるということで出て参りました。私ども調達庁は、地元と、五月二十日までというので話し合いを進めておりましたが、食い違いができましてそのようなことになったのでありますが、幸い地元で話がつきまして、地元要望通り措置ができましたわけでございます。  なお、この演習場返還の問題でございますが、このことも地元から私どももちろん聞いておりますので、それに関します検討軍側にも要請し続けているわけでございますが、ただいまのところ、あそこの演習場がこの空軍にとりまして関東地方付近の最も主要な演習場となっておりますので、当分の間、ただいまその解除返還ということは非常に困難な見通しでございます。
  6. 森元治郎

    森元治郎君 那珂湊当局の話によると、一日も早く返してほしいという要求を、調達庁を通じて再三アメリカ軍側に出しておるということを、宮原市長なども言っておりますが、再三という要請、これに対して、今、長官お話では、米軍側にも要請しているがという点の関連ですが、ほんとうに真剣に地元返還要求合同委員会において強く要請したのかどうか、再三というんですから数回であろうと思うのですが、一体、何回ぐらい合同委員会を開いて、この地元民要請を訴えたか、その点を伺います。
  7. 丸山佶

    説明員丸山佶君) いつ何回の委員会というものは、ただいま調べて参りませんでしたが、先ほども申しました通り、その上区域外への誤投下問題等関連するその予防措置対策、あわせまして地元から全面的に解除という話ももちろん聞いておるわけでございまして、その話もしておるわけでございますが、遺憾ながら、先ほど申し上げましたような事情で、ただいまのところ、見通し困難でございます。
  8. 森元治郎

    森元治郎君 那珂湊市の宮原庄助さんが、三十二年の十二月の三日に埼玉県にあるジョンソン基地を訪問をして、演習場返還陳情したことは、長官もご存じと思います。多分これはゴールドン事件あとだったと思いますが、そのときの基地司令官から、三十五年ごろまでには返還できるだろうという回答があったというので、それに力を得て、地元では返還要求を続けているんだということであります。もちろんこれは有能な通訳がついて話したんでしょうから、むしろへたな直接話をするよりはしっかりした内容だと思うんですが、この事実については、一体どう考えられるか、今、長官お話では、なかなかこの演習場はほかにかえがたい工合のいい所らしいから、返してもらうわけにはいかないようなお話ですが、こういう事実については、どういうふうに長官考えられますか。
  9. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 先般、那珂湊市の市長が私の方にもおいでになりまして、その際、ただいまのお話のようなことも承わりました。市長ジョンソン基地に直接この問題で陳情に行って、その模様等も承わりましたが、そのときに、三十五年には必ず返せるだろうと言ったかどうかということのお話も確認ができませんが、調達庁あるいはその他の公式の政府筋を通じては、実は軍側のはっきりした意向として、三十五年には返せるだろうということの事実は、まだございませんです。
  10. 森元治郎

    森元治郎君 これは非常に大きな問題ですから、調達庁長官からさような事実があったのかどうか、当時、もちろん大事な会見ですから、簡単なメモでもアメリカ当局ではとっていると思うので、その点を確かめてもらいたいと思いますが、長官いかがですか。
  11. 丸山佶

    説明員丸山佶君) お話通りそれは確かめてみたいと思っております。
  12. 森元治郎

    森元治郎君 続いて……。これだけの要請があって、返還してくれ、あまり爆弾を落さないでくれという気分で地元民がいることは、もう当局は十分知っているにかかわらず、日米合同委員会を開いた際に、地元民反対その他を抑えるためには、爆撃標的というものを移動する、海の方に移動するほかないという結論に達したという先ほど長官お話ですが、これだけの反対があるのに、やすやすと海上に移転するということを、合同委員会で決定されるのに同意するということは、少しく地元民、国民の気持を伝える上において努力が足りなかったように思うんですが、いかがにお考えになりますか。
  13. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 陸上部分にわたる演習場区域と、それの地先海上区域、これは、実はすでに従来からその海上区域につきましても漁業制限区域といたしまして、法律上の措置も済ませ、また漁業組合等に対するいろいろな損害補償ということも年々続けて参りまして、そのように、現在すでにあそこは制限された区域となっているものでございます。従いまして、標的を動かすということがどの程度の影響があるか、これの事情を予測するとともに、一方そのこと自体が日米間の協定上にそう易々としてやるべき事項であるかどうか、それらのことをいろいろ考えましたが、とにかく陸上区域標的があるために、今までのように、いわゆる誤投下事件の頻発もございますので、これに対する措置、それが海上へ動かしても、海上における場所等地元の最も適当と思われる所に施設することにより、そのことによって被害を最小限にとどめる、なお、それの事情によりまして、従来の制限、また制限に基く損害、その損害に対する補償というもの以上にどの程度になるであろうか、そういうものになった場合には、もちろんそれに対する補償措置その他も十分に考える、こういうようなことをいろいろ考えた末において、やはり標的を今の陸上から海上に動かすことが最も適切なる措置考えて、会議でもそのような措置でいこうということになったわけでございます。
  14. 森元治郎

    森元治郎君 そこで、おかしいのは、標的海上に移す、いかにもそれを海へ持っていけば、よほど危険防止になるであろうというように考えやすいのだが、この間十五日に事件が起きた。先月十五日に例の標的所で、アメリカ軍フリゲートが現地へきたときに、漁民がこれを取り巻いて大騒ぎをしました、あの際だったと思いますが、アメリカ軍海上でやるのはアメリカ空軍爆撃隊演習投下爆弾である、依然として丘の方では銃撃、いわゆる機銃による射撃あるいは空軍の方の飛行機対地爆撃標的というものが残っているのだ、こういうことになっているのですが、そうすれば、とにかく海上標的が移ったからあぶなくないと思ったら大間違いで、依然として空軍銃撃爆撃標的陸上にも残っているということになるんですが、その間の事情はどうなんですか。
  15. 丸山佶

    説明員丸山佶君) あの陸上部分海上を含めまして、あれはたしか主たる使用部隊空軍飛行機、これが飛行機から地上あるいは海上に向っての射撃目標に対する演習場でございますが、その間を縫いまして、海軍の方もやはり若干使うものがございます。しかしながら、その飛行機から目標物に向って打つ、その今回問題になりました標的というのは、従来の地上のものを海上に移したものでありまして、従いまして、その同じようなものがもう一つなお随一に残っておるものとは、私存じておりません。
  16. 森元治郎

    森元治郎君 どうもその間はっきりしないのですが、私も現場を見ていないので、それ以上この問題には突っ込めないのですが、一体標的海上に移すということをきわめてあっさりと調達庁アメリカ軍側同意を与えたようですけれども、これは新しい区域拡大、新しい区域供与、まあ行政協定なんかの法律的言葉を用いるならば、新たな区域供与というふうに私は感ぜられるのですが、これはいかがかと思います。これはもし区域の新たな供与ということになりますならば、当然これは行政協定による何らかの取りきめなどが必要だと思うのですが、もし取りきめがないというならば、これは大へんなやみ行為であって、まことにけしからぬことだと思うのですが、どうですか。
  17. 丸山佶

    説明員丸山佶君) その点、先ほども若干申し上げたと存じますが、これは新たなる区域提供、あるいは従来のものの拡大というものではございません。従来から制限をしておる区域、従ってそれに対するまあ国内法上の法的措置あるいは補償措置等をすでにとっておる区域内の問題でございます。
  18. 森元治郎

    森元治郎君 制限区域で、新たな拡大ではないと、制限区域補償をやっているというのですが、あのこれまで使わなかった七十度に扇形に開いている区域というものは、あれは立ち入り禁止区域というだけであって、あそこは自由に爆弾を落す演習場だという意味では私はないと思うのですが、どうですか。
  19. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 立ち入り禁止区域国内措置をいたしましたのは、その海上飛行機等演習が行われて、それの模擬爆弾等が落ちましても差しつかえないと、こういう前提のためにいたしたものでございますので、あの海上をとりまして演習地にして差しつかえないものと思います。
  20. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、立ち入り禁止区域は、もちろん今のお話のようでありますが、これは地上のものがあやまって危ないことになっては大へんだというので、海の方にもああいう立ち入り禁止の幅を取っておいたのでしょうけれども、それはあくまでも立ち入り禁止区域であって、飛行場ではないと思うのですが、どうですか。
  21. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 演習区域といたしましては、先ほど最初に申し上げましたように、地上とあわせてその水上区域演習場区域になっておるものでございます。
  22. 森元治郎

    森元治郎君 今度の海上標的を設置するについては、いろいろな行き違いもあったようですけれども、十分的確にこれは調達庁アメリカ軍意向を承知しておったのか、あるいはそういう計画のあることは知っておったが、的確にいつ通達をしてくるというようなことについての連絡がなかったのか。どうも事前の連絡というのが十分じゃなくて、むしろなめられたような感じをすら受けるのですが、どうでしょう。
  23. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 最初に経緯を若干申し上げましたことでおわかりと思いますが、実は、この標的移動につきましての一番もとは、昨年からことしにかけます地元事情、また地元からの要望によりまして、その対策を講じようという形で、こちらから米軍に持ち出した問題でございます。その検討の結果、四月の末に、今の標的海上移動以外に手があるまいという結論に、双方ともなりましたので、その結果、五月の初め、調達庁としては、直ちに現場の事務所を通じ、また県庁を通じて、地元関係者に御了解を求めておったものであります。これも、先ほど申しましたが、二十日まで待つという事情につきまして、軍側がほかの要務との関連等から五日ほど早く乗り出したことで、その情勢のために、地元とのトラブルが起ったことは、私まことにこれは申しわけないと存じておりますが、まあ幸いに話がつきまして、地元からの要望によりまして、当初の予定の海上一万フィートという所を、地元の御意見によりまして、それは漁業に支障があるというので、五千フィートという地点に変更する、その標的に灯火をつけるとか、その他のいろいろな事情の話をいたしまして、承知いたしたものであります。
  24. 森元治郎

    森元治郎君 ちょっと事情を承わりたいことは、五月の十四日に、県と那珂湊市が、陸上標的を置いて爆撃演習をするのが非常に危険だからやめてほしいという陳情をしておるようですが、その事実はどうですか。
  25. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 五月十四日にやめてほしいということは、地元からどちらへの……。
  26. 森元治郎

    森元治郎君 調達庁の方に言っておるようです。それは調達庁水戸出張所を通じたかどうか知りませんが……。
  27. 丸山佶

    説明員丸山佶君) そのことにつきましては、実は、今の話の五月十四日以前、五月の初旬だと存じますが、調達庁の出先から、及び東京調達局から県庁を通じまして、地元市長さん、関係組合の方にその話をしております。その話の最中、いろいろ皆さんにも了解を求めて、また、それに関連する要望等もあることであるから、とにかく軍側のその実施は二十日まで待たせようという話であったと私は存じます。その話が、軍側との連絡調整が十分とれませんで、その翌日に軍側の船が出てしまったと、これが私は実情だと思います。
  28. 森元治郎

    森元治郎君 陸上標的を置いて爆撃演習をやるのは危ないからやめてほしいと、那珂湊市の地元の人などはこういう気持陳情したのだと言っております。しかし、この意味の中に、だからどこか海の方へ持っていってくれということを言ったのか、あるいはそういう意味を含んだ陳情だったのか、この点大事だと思うので、もう一ぺん長官から承わりたい。
  29. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 陸上標的があるために演習区域外にも落ちるということで、その対策措置を講ぜよということで、地元からはそれを海上へ持っていけということではございません。それは、あくまでも調達庁側、また軍側が、その措置としての検討の結果でございます。
  30. 森元治郎

    森元治郎君 少し酷だと思うのは、どうも危ないからやめてほしいという気持というのは、陸であろうと、海であろうと、とにかく危ないのだという意味であったと思うのですが、それを待ってましたとばかり、陸が危ないので、それじゃ海へ持っていこうか、こういうふうな対策をすぐに米軍側が立てて、調達庁がこれに同意をしたというのは、だいぶ酷といいますか、少し情がないというか、そういう感じが、無理だという感じがするのですが、いかがですか。
  31. 丸山佶

    説明員丸山佶君) その辺の事情先ほど申し上げたと思いますが、第一に、この演習場というものが、当地区、当方面における米軍の最も重要なものでございまして、これを直ちに廃止することができないという事情があります。それの情勢のもとに、あそこにおいて、それならばできる限り地元に対しての御迷惑を少いようにするためにはどうするかということで、米側並びに日本側もその対策を苦慮したのでございます。それを海上に移すということによって、従来の被害事件をなくすとともに、それによっては、あるいは海上の方に従来以上に海上関係漁業組合等に御迷惑がかかりゃせんかということも十分に予測し、考えたのでございます。それで、海上方面実情として、従来からこれこれこういうような制限措置をとり、これこれこういうような補償措置というものもとってきておるが、今回の変動によって、どういうような、なお加重されるような負担があるだろうか、やってみた実情を、あとからでなければわからぬことではありますが、いずれにせよ、そのやることによって負担加重等のことがあれば、これはもちろん国として十分な措置をとらなければいけない。そういう所存のもとに、実は本件をこのようにきめたわけでございます。
  32. 森元治郎

    森元治郎君 行政協定には第二条、第三条あるいは二十六条の合同委員会内容などについて触れておりますが、もちろん前文に掲げてある目的を達するために施設とか区域供与をしたり何かすることが書いてありますが、同時に、その区域施設などの必要性について、アメリカ合衆国はその返還についても、返還目的として絶えず検討することに同意するということも第二条の中に書いてあるくらいで、しかもそれで話がつかなかった、日米合同委員会で話がつかなかったならば、しかるべき手続を経て、もっと上の段階で話をするのだということさえ条文で規定されておる。だから、私はこの問題は、先ほど申し上げたような地元民の非常な熱心な返還希望にこたえて、当然政府は強くアメリカ側要請して一向さしつかえない問題だと思うのですが、条約局長どういうふうにお考えですか。
  33. 高橋通敏

    説明員高橋通敏君) 合同委員会もあることでございますから、合同委員会を通じまして、また合同委員会の結果、両国政府間の交渉として十分議を尽すことはできるというふうに考えております。
  34. 森元治郎

    森元治郎君 私は、これは行政協定の第二条、三条に掲げておる条項で取り上げるべき問題であるかどうかを伺ったのです。政府として地元民のこの気持をさらに強くアメリカ側要請する、これから要請する気持がないかどうか。那珂湊市では近く爆撃対策委員会を中心に、日立市、隣りの東海村、勝田市、水戸市に働きかけて、みんなでこの地帯の発展のために、それから危険防止のために、一つ中央陳情をしようじゃないかという運動が大へん盛んになって、もう動き出しております。いずれあなたのところに三市一村の希望として陳情があると思うのですが、その際はあらためて熱心にこの日米合同委員会に持ち出して、地元民気持を達成する努力をすべきだと思うのですが、どういう態度で臨みますか、伺います。
  35. 森治樹

    説明員森治樹君) 今、森委員の御指摘のように、この施設及び区域提供につきましては、この協定目的のために必要でなくなったときには、いつでも日本国返還する、そして必要性を、返還目的として絶えず検討することになっております。平和条約発効当時二千八百二十四件に上っておりました施設も、こういう常時検討の結果、一昨年六月ですでに三百十九件に減っておりまして、その後も漸次これは検討を重ねまして、施設区域の件数というようなものも漸次減少してきておる次第でございます。従いまして、ただいま問題となっております水戸対地訓練区域につきましても、米軍必要性とにらみ合せまして、必要でなくなったら、情勢変化に応じて、これの返還要請していくべきことはもちろんのことでございまするが、先ほど調達庁長官から申されました通りに、現在は米軍の最も重視しておる施設一つでございますので、現在の状況において、この返還を求めるということは非常な困難な状況なのでございます。従いまして、今後情勢変化に応じまして、果して返還ができるものかどうか、政府としては検討を加えていくということに努力をしていく所存でございます。
  36. 森元治郎

    森元治郎君 アメリカ軍側がこれを重視している、こっちは返還してくれ、だからこれは委員会議題になるのだと思うのです。そこで、同じことばかりが、同一結論に達することばかりが、委員会議題ではないので、向うは重視する、こっちは返還してくれ、そこで話がむしろ進むのだと思うが、情勢変化があればという話ですが、これも最近の日本内地側情勢変化というふうに私は理解するので、やるかやらないか、この点だけを伺います。それを持ち出して向うは直視している、こちらは返還要求する、こういう交渉をあらためて日米合同委員会でおやりになる決意があるかどうか、それを承わります。
  37. 森治樹

    説明員森治樹君) ただいま調達庁長官から申されました通りに、最近においても施設委員会において本件が取り上げられておる模様であります。やり方といたしましては、当然施設委員会で取り上げまして、これを技術的に検討いたしまして、本委員会に上ってくるという段取りになるわけでございます。最近の交渉において、すでに返還は不可能であるという結論が出ておるわけございます。従って、これを今後どう、いつ持ち出すかということは、しばらく検討いたさなければ、早急に結論を出すことはむずかしいと思います。
  38. 森元治郎

    森元治郎君 もう一ぺん、よくわからないので伺いたいのですが、爆撃場立ち入り禁止区域というものは同じような御説明があったのですが、ちょっと納得がいかないので、もともと爆撃場というものはそこに爆弾を落す所、それがはね返って危ないというので、この辺は一つ立入禁止にしておいてもらおうというのではないかと思うのですが、調達庁長官お話では、立ち入り禁止区域なんだから立ち入りをさせない、入っちゃいけない危ない所だから、もともとそこには爆弾も幾らでも区域内どこでも落せるんだというふうな感じがするのですが、もう一回御説明願えますか。
  39. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 先ほどの繰り返しになると思いますが、海上のいわゆる立ち入り禁止区域も実は演習区域でございまして、そのために立ち入り禁止措置をとっておるというわけでございます。
  40. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、演習区域というのは飛行場と実質的に同一というふうに解釈してよろしいですか。
  41. 丸山佶

    説明員丸山佶君) その通りでございます。
  42. 森元治郎

    森元治郎君 一体当局は、地元漁民考えをどういうふうに見ておられるかについてお伺いをしたいと思います。  私たちが見ているところでは、あくまでも基地返還という基本的な態度は変えていないし、これはいつも会合を開くたびに再確認をしております。ただ、条約とか協定できまっているそうだから、何を言ってもアメリカ軍に押えられてしまうというあきらめが、補償問題などを含めた条件闘争になっていると思うんですが、当局はどういうふうに御理解されているか。
  43. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 海上の関係につきましては、もちろん調達庁関係者といたしましても、できるだけ地元実情、その御要望に応じたいと考えております。しかしながら、一方、条約及び協定によりまして、必要な区域米軍提供するということになっております。従って、その必要度合いその他に対しましては、常々地元要望あるいは実情に応じて、これらのものの変更措置ができるかどうか検討を求めておるわけでございます。そういう作業を通じまして、当方の事情の許される調整ということを心がけて地元の御要望あるいは実情に沿うように常々努力しておるわけでございます。
  44. 森元治郎

    森元治郎君 それでは漁民補償についてお伺いしますが、御承知のように向うでは立ち入り禁止区域内の緊急避難、これのために無線の設備の対策とか標的に明りをつけること、それから爆撃のために多分魚床がこわされるだろうから、そこに人工の魚床を作ってくれ、そうして魚族の保護をしたり繁殖をはかってもらいたいとか、それからたとえ軽い模擬爆弾であっても、海の中へ入ればこれは炸裂して網などが引っかかって切れては大へんだから、海の底を掃除してもらいたいというような問題については、どういうふうなことになっておるのか。もう解決したものもあるのか、また爆撃もまだたくさんやってないようですから、海の底はどういうふうになっておるのだということも、今のところはわからないでしょうけれども、とにかくこういう要望が出ておることは、もう調達庁は十分御承知と思うのですが、これが対策はどうだ。  それから爆撃による損害補償だけではなくて、将来これによって生活権を脅かされることに対する完全な補償要求条項にくっつけております。これに対して調達庁は、十分漁民気持を察して米軍側交渉しますという約束を与えられておるようです。補償要望についての具体的な方針を伺いたいと思います。
  45. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 標的に灯火をつけ、暴風雨等緊急の場合には直ちに演習を中止、その避難をさせる、こういうようなことはもうすでにお話し済みでございます。その他のいろいろな地元要望まことにもっともと考えておりますので、その具体的なことを目下検討中でございます。できるだけ一つそういうふうな措置をとろう、かように考えております。
  46. 森元治郎

    森元治郎君 現在までに、海上標的をこの間設置してから、どのくらいの爆撃演習を実際にやっておるのか、私、現地の爆撃を見てないのでわかりませんが、そちらへの連絡はどんどんやっておるのかどうか。
  47. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 私も、実はその最近の事情に対する報告のなにを持っておりませんので、的確なことを申し上げかねますが、まだ非常にひんぱん熾烈な状況にはなっておらないと考えております。なお、この点は私どももただいまお話のありましたように、今後どの程度被害が増加するものであるか、それによっていかなる対策措置あるいは保護措置をとればいいかということの基礎になるわけでございますから、今後の実情をよく調べさして、それに応ずる措置をとっていきたいと考えております。
  48. 森元治郎

    森元治郎君 あと一点。当局の方で、どうも漁民補償金をもらっておるから、多少無理なことをしても結局は泣き寝入りじゃないかといったような、たかをくくった様子が見えるのですが、この点について調達庁はどういうふうにお考えになりますか。
  49. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 先ほども申しましたように、もしできるならば、地元要望を、実情に応じた解除という措置ができて、従って十分に漁業その他のことができるならば、これにこしたことはございません。一方、直ちにこのような措置のとれないという実情にあるので、まあやむを得ずそれによって発生する被害損害ということには、できるだけの措置をとっていかなきゃいけないと考えておりますので、決して補償金を払っておるのだから何をしてもいいなんという考えは、毛頭持っておりません。
  50. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) ほかに御質疑のおありの方はございませんか。
  51. 石黒忠篤

    ○石黒忠篤君 ただいまのを伺っておりまして、私疑問に思うことがありますから、調達庁長官に伺っておきたい。  爆撃場区域の設定、またはそれに連関した立ち入り禁止区域の設定、これは同じもののようにお話がありましたが、私は違うと思いますが、同じものといたしましても、やはり区域をきめる際には、標的というものが中心になってそしてきまるごとだと思う。その標的を移す以上は、区域が変るべきものじゃないかと思いますが、それはいかがでございますか。
  52. 丸山佶

    説明員丸山佶君) この地域は、実は占領直後、旧軍の軍施設の関係もございまして、そのときから米軍がいわゆる接収使用した地域でございまして、そのときに、地上のある地点に標的を設置した。その事実をそのまま引き継ぎまして、従って、講和条約発効によりまして行政協定にのっとっていわゆる提供地域として正式にするというときに、そのままの実情において、特に標的場所はここ、そこというような具体的の明示もなく、その他の条項、制限する区域はこの範囲内、この範囲内の上空におけるところの飛行機演習ということにきめてあるわけでございます。従いまして、今の標的を移すことが使用状況の変更ということになるかならぬか、これは実は部内で、あるいは米軍との間にもなお議論をいたしておるところでございますが、いろいろ議論があります。しかしながら、いずれにしましても、そのような実態変更ということには、やはり地元関係者了解を求むるのが実際の措置としては至当である、こういうところから先ほどるる経過を述べましたようなことに相なっておる次第でございます。
  53. 石黒忠篤

    ○石黒忠篤君 はっきりいたさないのでありますが、私は標的を移せば当然区域は変らなければならぬものだと思う。ただし、標的の移し方によって変えなくていいということがはっきりした場合には、それは変えなくてもいいでありましょうが、標的を中心として最小限度の爆撃場区域及び立ち入り禁止区域というものはきまると思います。もしこれが変るようであれば、当然新しい区域変更の交渉にならなきゃならぬと思います。その点をはっきりしていただきたいと思います。
  54. 丸山佶

    説明員丸山佶君) いわゆる演習場区域全体から見まして、今回海上五千フィートの地点に標的を移した。この標的を移すことによって、全体の区域はこのままでよろしい、このままで支障がないのだというのが結論でありますので、現在のところ、区域そのものを拡張するということは必要ないというのが現状の結論でございます。
  55. 石黒忠篤

    ○石黒忠篤君 そういたしますと、今までの標的でもってきめておった海上立ち入り禁止区域というものは、少しよけいにきめてあったと、こう解釈してよろしゅうございますか。
  56. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 標的陸上に片寄っていたのに海上部分が多過ぎるという点は、必ずしもよけいということとは考えられないので、区域全体の必要は、単に標的に対する爆撃機の当時の行動範囲という点のみならず、その上空における演習の態様上、それだけの区域が必要だったと私どもは推測するのでございますが、いずれにしても、今回このものを移動しても区域は拡充しなくてもよろしいというのが現福の結論であります。
  57. 石黒忠篤

    ○石黒忠篤君 私は長官の御説明はわかりませんが、前に長官のおっしゃった従前から米軍の使っておったのをそのまま認めたという御説明において、前に設定された区域というものが広かったという解釈を、私は自分でいたしまして、私のこの質問は終ります。  ついでに伺いますが、本日外務委員会が開かれましたにつきまして、外務省の方から私に何か質問があるかというお尋ねがありましたが、私は何もないということを申し上げたのでありますが、その前提は、ただいま国際情勢といたしまして、北鮮及び韓国の関係のことは非常に大切なことと思う。外務委員会としてもその実情は御説明があるじゃないだろうかという前提のもとにおいて、それを伺い、私の方から質問しませんでもお話があることだと思って、質問は何もないということを申し上げたのであります。これは外務省の方から御説明があるのでありましようか、ないのでありますか。
  58. 竹内俊吉

    説明員(竹内俊吉君) ただいまの件はお説の通りでございますから、委員長のお計らいで、適当なときにアジア局長から説明いたさせます。
  59. 伊關佑二郎

    説明員伊關佑二郎君) 詳細の点につきましては、個々の御質問に応じてお答えすることにいたしまして、大体の大きな点だけを申し上げますと、北鮮の問題につきましては、本月の十日に実質的な話し合いがついたところでございます。十五日から話し合いのつきました点を協定の文書にいたす作業をいたしているわけであります。しかし、やはりなかなか字句の表現等にも微妙な点がございますので、これがまとまりますまでは、まだ数日かかるのじゃないか、必ずしも簡単にまとまるものと断言できない点がございますが、ただ、実質的な話はついているわけでございますから、字句の表現だけですので、これは何とか歩み寄りができるのではないかと思いますが、目下のところ、それをやっております。それが済みました上で、中身に国際委員会が介入いたします点につきましては、国際委員会の承認を求めなければなりません。これにまた相当の日数がかかるのではないかという点がございます。これもまた必ずしも承認が得られるという見通しも立っておりません。従来は大体承認するものと考えておりましたけれども、いろいろと韓国側の強い反対もございますので、国際委員会としてもそういう情勢も多少は考慮に入れるのではないかということも考えられます。しかし、まず大体承認は得られるのではないか、また得られるように努力をいたしたいと、こう考えています。  それから、それでもって北鮮の問題は最終的にきまりまして、その後準備に大体まあ三カ月くらいかかるのではないかというふうに見ております。これはまあやつてみませんとわかりませんので、なるべく早くいたしたいというふうに考えております。韓国との関係は、この十日に実質的に話がつきました際に、直ちに向うが報復措置をとるというふうなことを申しまして、経済断交をいたしたのでありますが、この点だけは後ほどまた十五口になりましてから、向う政府も確認いたしまして、そこで今経済断交だけが行われているわけであります。協定が正式に成立いたしますと、あるいはその他の報復措置というふうなものがとられるのではないかという心配もございますが、なるべく韓国を刺激しないように、わが方の意図が人道に基いた公正なものであるという点を了解さすべく努力いたしておるというのが現状でございます。
  60. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) 森君、何か御質問ですか。
  61. 森元治郎

    森元治郎君 先ほど調達庁長官の例の御答弁、すなわち五千フィートの沖合いに新しく設定した海上標的、これに伴って、われわれは新しい飛行場区域の設定だというふうな見解で御質問をし、石黒先生からも同様の疑問を提起されたのですが、私はさっきやめたのは、これはなかなかむずかしい問題だから、もう少ししっかり勉強をしてこの次食いついてやろうかと思ったのですが、実はあたためておいたのですが、どうもだんだんしゃべっているとボロが出るもので、調達庁長官は私に答弁したときよりもさらに進んで内実を暴露して、これが使用状況変化となるかならぬかはアメリカ軍ともいろいろ話して、議論のあるところだが、とりあえず地元民との話で五千フィートに置いたと、問題の本質と違うことを一緒にした御答弁でありますが、使用状況変化となるかならぬかは議論があるけれども、政府としては一体どう考えているのか、その点をもう一ぺんこの際承わっておきたい。  それから第二点は、調達庁というところは悪いくせで、占領中のほんとうの御用達機関のくせが抜けないで、向うが言えば何でも五千フィートとか三・三キロ、いろいろなことを、言う通りに動いているのです。ちゃんと協定というものがあるのですから、協定に従って一つ行動してもらいたいと思います。この二点を終りに臨んでもう一ぺん伺っておきます。
  62. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 区域の点に関して私ももう一回実は申し上げる機会を得たいと思っておりました。なるほど、石黒先生から言われます通り、そういうことであるならば、従来の区域が適正であったかどうかという問題が確かにございます。その点はなお私の方も調査検討いたします。しかしながら、従来きめてある区域が、今回の標的移動によってそれを拡充する等のことは、今回の措置には全然入っておりません。このことだけは、はっきり申し上げておきたいと思います。  なお、森先生の第二点の、調達庁は御用機関で何でも向うの言うなりというふうなことでありましたが、実は私としては非常にそのお言葉は遺憾に存じまして、私ども占領時代、あの特殊な時代におきましてずいぶん現場折衝で苦労をいたしておったもので、体験を持っております。それに応じまして、平和条約発効以後の事情、どういう工合にそれを是正するか、最も実情を知っているがゆえに、それに応じた適切な措置をとって、よく地元実情要望その他各方面のことも聞き、最も合理的な解決をはかりたいと日夜努力いたしている次第でございます。ただいま具体的にあがりました五千フィートの問題も、実は軍側の方は一万フィートという案でございましたのを、それらは漁業方面の漁撈等の関係から、地元の御意向をよく聞きまして、この方が適切であるということで、変更をさせたような実情にあるのでございます。それだけ御了解願いたいと思います。
  63. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 アジア局長にお伺いいたしますが、これは私のは新聞報道だから、うそかほんとかわかりませんが、韓国は日本に対して経済断交をした。ただし朝鮮の船が日本に来て商品を積んでいくことは差しつかえない――これははなはだわがままな言い方だと思いますが、これはほんとうなんですか。
  64. 伊關佑二郎

    説明員伊關佑二郎君) 韓国が経済断交をいたしましたが、具体的にいかなる措置をとるかという点につきましては、経済局の方で目下調査いたしております。
  65. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 そういう私の御質問したような実情はあるのですか、ないのですか。
  66. 伊關佑二郎

    説明員伊關佑二郎君) 新聞に出ておりまして、私もずいぶん勝手なことだと感じて読んだのでありますが、目下まだ調査いたしておりますので、しかも経済局になっておりますので、その結果が出まして検討いたしませんと、私の方では真偽のほどは存じません。
  67. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) アジア局長に求めたいのだが、今の韓国のいわゆる経済断交というのは、向う政府からこちらの政府に通告をしてきているのか、あるいは一方的に宣言したのか、それからいずれにしても政府の公式声明等にはどういう内容が盛られているか、その点を明らかにしておいていただきたい。
  68. 伊關佑二郎

    説明員伊關佑二郎君) 先方の一方的宣言でございまして、まだ通告はございません。
  69. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) 内容は。
  70. 伊關佑二郎

    説明員伊關佑二郎君) 内容につきましても新聞発表だけでございまして、そこで中味を今調査しているというところでございます。
  71. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) ほかに御質疑ございませんか。
  72. 曾禰益

    曾祢益君 よろしければちょっと時間をいただいて、行政協定のことで伺いたいのですが、よろしゅうございますか。  私、今安全保障条約の改定というような大きな問題についての御質問をしようとは思っておりません。ただこれに伴って、五月三日でしたか、自由民主党の党の決定として、少くとも安保条約改定と行政協定の改定とは同時並行的に行う。従って、その終りも同時に調印する、そういうような決定がされたようであります。また大体その要綱の中に、行政協定のこれこれこれこれの点について改定なりあるいは少くとも検討する、こういうようなことが発表されておったわけです。元来、私それまでの経過を見ていると、大体外務省及び党側としては、まあ行政協定の方は人体が運営問題で解決できるが、安保条約の改定それだけでも非常に重要な問題であるし、やっかいな問題であるが、行政協定の方はなるべく、露骨にいえばほおかぶりという態度のようでした。存外むしろ党内の方から異論がはなはだ強かった。結局五月三日の段階において新聞等に発表されたものによると、従来まあ問題となったような点に触れて、改定なり、あるいは少くとも改定交渉をするかどうかを研究するというような態度を示されたと思う。そこで、その要点のおもなるものを記憶のまま言ってみると、第一には行政協定第二十四条のいわゆる非常事態における共同防衛、あるいは共同防衛のための協議、この重大な点については、これは川来行政協定の中に入るのはおかしい。非常に重要な問題であるから、これは新条約の中にいわゆる協議事項として入れていく、従って、行政協定の方から落すということのようです。第二の点は、防衛分担金のことはなくするという方向で協定の中から落す、大体はそういうふうに聞いているわけであります。その点についてもはっきりした御答弁を願いたいと思いますが、さて具体的な内容の点についてあげられているところは、第一に保安解雇というような問題。駐留軍に働き、労務を提供する日本労働省が、駐留軍のいわゆる保安上の理由によって勝手に解雇ができる、それ自体が日本の労働法から見るというと、これに反する取扱いであります。この点が今非常に問題になっており、従来から問題であった。大体アメリカが日本で労務なり、あるいは物資等を調達する場合に、日本政府を通さなくて、直接調達の道が許されている。これがいろいろな問題で、従来とかくアメリカの特需という注文に対して、日本の受注者が出血受注をし、そのしわ寄せが労働者にかぶってくる、非常に劣悪な条件で、受注もまたこれに働く労働者も、実際上非常に劣悪な条件でたたかれてきております。そういうような点から、NATO方式といいますか、やはりNATO諸国とアメリカとの関係みたいに、そういう労務なり受品の場合には、必ず政府を通じてやる、こういう問題があるわけです。それもまあ外国の例を研究していくというようなことで、間接調達方式というような、必ず日本政府を通じてでなければやらないというようなところまで、はっきり踏み切った具体的な決定じゃない、まあまあ党内の異論を押えて作文をしたというような程度にしか考えられない、その問題はどうなったか、実際間接調達方式をとるのかとらないか。  それから次にアメリカの特需のコントラクターみたいなものに対して、非常に入国、あるいは税金その他の点において不当と思われるような特権を与えている、この問題をどうするか。  それからさらに、一般的にこのアメリカ軍の軍人軍属等の入国、あるいは課税等における特権が多過ぎるのではないか、さらに問題はいろいろあろうと思いますが、そういった点を少くともあげて、これらの問題も交渉の対象に、少くとも交渉前の研究の対象にしておるような決定が出されておったように思うのであります。そこでそういった問題について目下交渉中であろうと思うから、具体的にこの点はどうなっておるとか、その案文をどうだとか、そんなことまで私は伺おうとは思っておりません。しかし、今申したような、まず第一には、もう一ぺん申し上げまするが、行政協定第二十四条の非常時における協議事項は行政協定から落すのか落さないのか。防衛分担金の問題も落すのか落さないのか。それから保安解雇、労働法の完全適用、完全調達、それから特需契約者、それから入国、税金の取扱いのいわゆる援助に関する行き過ぎを直すのか。そういう問題について、政府はどういう基本的な態度交渉に当っておられるのか、これを伺いたい。
  73. 森治樹

    説明員森治樹君) 行政協定につきましては、国民の生活に直結する部門が多々ございますので、現在までに実施しいろいろな問題が発生いたしております。しかしながら、また他面、行政協定というものは非常に技術的な条約でございまして、米軍の駐留に伴って一つのこういう技術的な条約、施設区域の利用及びその軍隊の地位を規定する技術的な条約というものは必要でございまして、従いまして、従来からの行政協定をどう運営面で改善をしていくか、また、協定そのものをいじるとすれば、どういうようにやっていくべきであろうかということにつきましては、十分検討を重ねて参った次第でございます。よくNATO協定というのが引かれまして、これとの比較ということが問題になりますけれども、私から申し上げますまでもなく、NATOのいわゆる加盟各国の軍隊及びその相互の関係というものと、現在の日本における米軍と自衛隊の関係というものは、基本的に相違しておるわけでございまして、また、それから必然的に、たとえば間接調達等にいたしましても、NATOにおきましてはその受け入れ国の軍隊に対する調達機構が、そのまま米軍の調達のために利用されておるという状態になっておる次第でございまして、そういう面において、日本ではそれまでの国内的な機構というものが整備されておらないという面もございます。またNATO諸国とわが国の間の国情の相違等もございまして、こういう点も考慮しつつ、NAT ○条約の参考にできるところは参考にしていくという態度をとってきておる次第でございます。ただいま御指摘になりました諸点につきましては、これは大臣も御説明になっておりますように、二十四条、二十五条につきましては――二十五条の分担金につきましてはこれを削除したいということで交渉努力をいたしておる次第でございます。労務につきましてはいろいろな問題がございます。協定上はすでに日本の法律によることになっておることは御承知の通りでございます。ただ従いまして、駐留軍関係の労務者の俸給あるいは給与、あるいは退職金、あるいは組合運動にいたしましても、一本の法律によって規制せられることは当然のことでございまするが、同時に米軍というものが日本に駐留し、一つ施設を持っておりますその中において米軍の秩序を保持し、その安全を保持するための米軍の権利というものは、これはある程度認めざるを得ない次第でございます。ここの調節をどうやっていくかということが、一つの従来から実際問題として発生してきておることは、ただいま御指摘の保安解雇等の問題に現われておるところでございます。従いまして、これは現存協定上あるいは運営上どういうふうにやっていくかということは、労務問題はそういう見地から検討中でございます。  間接調達につきましては、ただいま触れましたけれども、NATO諸国におきましては間接調達を原則といたしております。しかしながら、先ほども申し上げましたように、軍隊間の、軍隊といいますか、自衛隊と米軍との関係と、NATOの加盟国と米軍との関係というものに基本的な相違がありますし、国内の態勢がそこまでいっていないのに、間接調達という方向に踏み切り得るかどうかという点につきましては、相当疑問がございますし、あわせまして間接調達ということになりますと、いろいろな国内の行政機構等にも影響を及ぼしてくる問題でございますので、そういう見地からこの問題を検討している次第でございます。  十四条の契約者につきましては、いろいろな従来から与えられた特権の乱用等の非難も一部にございますので、真にこれが必要の場合に限定されて使用せられるように、たとえば技術的な見地から、あるいは安全という見地から、こういう特定の業者を利用せざるを得ないというような場合に、これを限定いたしますれば、従来からの悪評の一部というものは除去し得るわけでございますから、そういう点も考慮して検討を加えております。  なお、入国及び課税の問題につきましては、いろいろな問題もございますし、入国につきましては、すでに国連軍協定というものは幾分技術的に現在の行政協定より改善を加えられた跡が見えるわけでございまして、こういう点も参照しつつ入国の点を検討いたしております。  なお課税の点につきましては、現在の条項にも米軍は自粛措置をとることになっております。特権の乱用を防止するために自粛措置をとることになっておりますが、これをいかようにしたら、より効果的にすることができるか等々の諸点もございますし、これもそういう見地から、ただいま検討を加えている段階でございます。
  74. 曾禰益

    曾祢益君 今のお話を伺っておりますと、大体において研究はしてみるけれども、大体運営で片づけると言わぬばかりの感じを受ける。一々こまかいことを申し上げるつもりはありませんが、たとえば間接調達方式は、つまりNATO方式とは日本とアメリカとの軍事関係も違う。それから行政機構も違う。こういう理由でNATO方式をとることに非常に難色を示しておられるようであります。しかし考えてみると、今度安全保障条約が改定されるものとすれば、大体においてNATOの軍隊とアメリカ軍隊の関係にほとんど実質的に同じようないわゆるヴァンデンバーグ決議を受けた相互防衛的な共同防衛的な性格にいくやにわれわれは聞かされております。従って、今までの例でNATO方式と違うということは理屈にならない。それからいま一つは、なるほど日本の自衛隊の調達機関が即アメリカ軍に対する調達をも引き受けるかどうか。これは確かに日本の行政機構の問題だと思うのです。しかし、これも現在そうやってないから、今までの通りでいいという理屈にはならない。果してそれはどういう形式にしたらいいか、これはもちろん研究を要することでありますけれども、問題は、それよりもアメリカ軍隊が当分日本におるであろうという事実の上に立って、しからばことにNATOの場合と違って、日本の産業構造の脆弱さから見て直接調達方式をとった場合に、これは現に非常に出血受注的な事態が起ることは、過去の経験によってはっきりわかっておる。現実に、ただNATO方式というものを、方式なるがゆえにならえという問題ではなくて、アメリカ軍隊の直接調達方式が事実上日本のあの数の多い中小企業その他の業者をたたいた値段で調達する結果を生み、そのことが、同時に、従来直接アメリカ軍に使われておったものが獲得しておった労働条件よりも劣悪な条件を労働者に押しつける。だからこそ今いわゆるマスター・レーバー・コントラクト、MLCの労働者が、今までアメリカに使われていたのじゃなくて、国の方がもっと安い条件でやろうとすると、いわゆるPDに切りかえるという問題が起る。そういう実態から見て、今までの条件のままでものを考えていくべきじゃないのじゃないか。もしここに行政協定が改定されるとすれば、これを機会に、むしろ頭を切りかえて、少くとも日本の政府としてはアメリカに調達を、便宜供与を与えるという任務はあろうとともに、他面、そのこと自身が日本の経済を撹乱しない、日本の労働条件あるいは犀川状態、雇用条件等に害を与えないような、いわばみずからを守る自衛的な手段を講ずる。そのためからいっても、この際、むしろ思い切って行政機構を面しても間接調達方式をとるべきだという従来の議論を、もっと真剣に考える必要がある。まあ今結論を得ているというふうに聞いておりません。ただ僕の受けた印象から言うと、条件が違うのだから、まあ一応は研究してみるけれども、頭から採用しないのだという感じを与えられるような御答弁だったけれども、それでは私は足りない。もう少し突っ込んだ研究から見た思い切った手段を講ずることが必要なんじゃないかと思いますので、これは私の意見ですから、あえて答弁は求めませんが、申し上げておきます。
  75. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) ほかに御質疑のおありの方はございませんか。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十八分散会