○曾祢益君 ちょっと関連して。ただいまの仰せの中で、一点だけ伺いたいのですが、それはアメリカ軍の
日本駐留の目的と、いわゆる海外派兵の関係ですが、大臣のお
考えを伺っておると、日米安全保障現行
条約とはむしろ建前を変えて、アメリカ軍は第一義的には
日本を守るためにおるのだ、
日本を守ることが安保
条約の中にあるむしろ極東の平和と安全を確保する道だ。そういう建前に立って、原則としては、
日本を、いわゆるあなたの言葉で言えば、あけっぱなしにするようなことがあってはならない。従って、海外出動というようなことは原則としてはあってはならない。しかしそうかといって、全然駐留の目的を、
日本の区域だけを防衛するというわけにもいかないだろうからというので、海外出動の場合には、その海外における戦闘行為が
日本の防衛に直接関係があるというときには、これは相談によっては許すことがあろう、そうでない場合にはこれを許さない。そういう拒否権を含んだ協議権というものを確立していけば、大体不必要に
日本を足場としてアメリカ軍が
日本の外で戦闘行為をする、それに
日本が巻き込まれることがないじゃないか。こういうお
考えのように伺った。ところが現実問題として、アメリカ側の
考え方というものを、これはお互いに知っていることでしょうが、たとえばきわめて最近のダレス氏の新聞会見においても、たとえば金門、馬祖を中共軍に渡すことは、これはフィリピンに対する直接の、何と言いましたか、脅威である、これは政治的脅威かもしれません。あるいは純粋に戦略的にのみ
考えればそういうことが言えるのかどうか知りませんけれ
ども、少くともそういう
考えを持っておるアメリカに対して、かりに台湾海峡において、アメリカがいよいよ中共軍と軍事行動に入ったような場合には、これは
日本は、それはもう向うが必ずしも飛び石を
考えているのじゃないという見地から、これを拒否するということを、
日本の首脳がそこまで
考えるかどうか知りませんが、かりにとったとしても、向うは、いやそれは飛び石なんだよ、金門、馬祖を取らせることが、いわばフィリピンを明け渡すにひとしい。こういう
考えでアメリカとの間に、そこに大きな食い違いがあるのじゃないか。だから、観念的にいうと一応わかったようであるけれ
ども、現実にはそういうような戦略、作戦というものが、いわゆる全地球的なグローバルなアメリカの
考え方、そういうことになってくると、実際として協議権を設けて置いても、
日本が幾ら言ってみたって、しぶしぶ承諾せざるを得ない、そうすると、協議権を設けたことは、逆に海外出勤に
日本側がいや応なしにその
状況下において強い方に従うということを、あらかじめ白紙委任状を渡しておるという結果を生じやしないか。これは非常に通俗的な見方ですが、存外通俗的な見方の方が、純粋に
条約的に
考えるよりも真相に近いのじゃないかということが、これは言えるのじゃないか。そこに非常にロジックとしてはうまく立てられておるようだけれ
ども、やはり
日本に駐留を許し、その海外派兵についてのはっきりした拒否権というものは、実際上この
条約の形にもあるようだけれ
ども協議権を
条約の形で整えることは、かえって白紙委任状を渡す結果になるのじゃないかということが心配の原因になるのじゃないかと思うのですが、そういう点について明快な御答弁をいただきたい。