○岩間正男君 私は残念ながらこの
法案には賛成できない、反対します。
と言いますのは、私の
質問の中で明らかにしたのでありますが、少くとも
法案を出す、そうしてこれを新しい施策に乗せる、こういう含みをもって出される
法案については、少くともその裏づけをやる必要があると思う。ところがこの
法案で見ますと、大体二十年以上の耐用年数のたった鋼鉄船並びに木造船が非常に多い、それを今解消する、さらにそういう老朽船をなくす、こういう目的からいいますと、少くともこの中で、五カ年計画で鉄鋼船の場合には一万八千トン作りかえなければならない、ところがそれがその計画では一万五千トン、それから木造船の場合には一万一千トンくらいの建造がえをしなければならないのにわずかに四千三百トンとなっております。従って
法案の維持
改善という目標には
実態が沿わない、そういう形で名目だけは公共の安全性を守り、そうして航路の維持
改善をするのだと言っておりますが、予算の面で全くそれは果されていない、こういう形で私は
法案というものを出されるべきじゃなくて、少くともこれはうたっている目的をある
程度実現するだけの裏づけのある予算的
措置をつけて
法案が出されなければ、われわれ立法府におけるこれは責任を全うするということにはいかないと思うのです。そういう点ではこれは典型的な
法案であり、もう一ぺんこれは撤回して、そういう問題を徹底的に私は
改善していくべきじゃないか。大体この
法案が出された目的からいいますと、
先ほども大胆の
説明がありましたが、国内の航路の健全性、そういうものを維持するのだということもありますが、もう
一つ大きな問題になったのは数々の遭難事件であります。第二北川丸の問題、南海丸の問題、紫雲丸の問題、連年この問題が跡を断たない
現状であります。これは何かというと、法定耐用年数を割った船が過半に達しておる。この問題を徹底的にここで解決しない限りは人命の安全というものを保全することはできない。ところが、それにこの問題ははっきり対峙して突っ込むという形でなくて、とにかく公団は発足させよう、不完全だけれ
ども、予算不足の中で発足させて、それから先へいって充足するのだと、こういうことを言われておりますが、こういう形では私ははっきりこの問題と対決することにはならないので、従って非常に私はこういうようなやり方には不満であります。第一、予算が足りないので、結局
先ほどからの
質問で尽されたように、公団の安全性ということが最初に立ってくるのであります。公団の運営は独立採算制を何とか維持するということが、公団が発足してしまうと、それが第一の目標になりそうです。しかも経営者のごときを見ますと、二億の
政府投資の
利子一千四百万円で充てるということになりますと、その運営も、公団自身の運営の面からいいましても、絶対これは危険な投資はできない。危険な投資を望むわけじゃないのだけれ
ども、しかしほんとうの政治からいえば、これはある
程度の国家のこれに対する保障があって人命の安全というものをはかるというのが、少くともこの
法案の目的でなくちゃならないのですけれ
ども、公団が非常に貧しい絶対不足の
資金で発足するために、結局自己の保全のためにまず第一に考慮しなけりゃならないというようなことで、実際その運営の面でいろいろな問題が起ってくると思います。これは時間の
関係から尽しませんけれ
ども、とにかくほしいのは、むしろ採算のとれないようなボロ船をかかえているところなのです。これもまたほんとうに早く建造しなきゃならない。ところがそこにはほとんどおそらく金は回らないで、中小企業の中でも大きな採算のとれる、回収の十分見込みのある、そういうところに優先的に出される。そうすると選別融資ということになりますけれ
ども、
資金の総額におきまして約九十四億も要るというところにわずかに五億です。五%です。五%しかない、
資金量で。これを結局選別融資をやるということになりますと、当然これは安全性ということが第一になる。そうでないというような
説明がありますけれ
ども、それなら、そうでないという保証がはっきりあるかどうか。そういうような点で何らこれは
措置がなされていない。こういう点から
考えまして、この
法案にはまことに名目はりっぱに書かれておりますけれ
ども、しかしほんとうに
現状に合わない。私はこういう点でこのような不完全な形の、いわば半産みたいな
法案をたくさん出してきて、これでもって何か、とにかく一応問題に手をつけたのだということをやっていったならば、やはり政治の進展はあり得ないと思う。そういう点から私はこの
法案に残念ながら賛成することができないのです。