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1959-03-19 第31回国会 参議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十九日(木曜日)    午後一時五十六分開会   —————————————   委員の移動 三月十八日委員宗雄三君及び植竹春 彦君辞任につき、その補欠として野田 俊作君及び森田豊壽君を議長において 指名した。 本日委員森田豊壽君、野田俊作君、酒 井利雄君、西田隆男君及び森田義衞辞任につき、その補欠として植竹春彦 君、高橋進太郎君、山本利壽君、近藤 鶴代君及び苫米地英俊君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大倉 精一君    理事            江藤  智君            成田 一郎君            相澤 重明君    委員            石原幹市郎君            植竹 春彦君            近藤 鶴代君            高橋進太郎君            苫米地英俊君            平島 敏夫君            山本 利壽君            松浦 清一君            岩間 正男君   衆議院議員            關谷 勝利君            井岡 大治君   国務大臣    運 輸 大 臣 永野  護君   政府委員    運輸政務次官  中馬 辰猪君    運輸大臣官房長 細田 吉藏君    運輸省海運局長 朝田 靜夫君    運輸省港湾局長 中道 峰夫君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 八木 利眞君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○港湾運送事業法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○国内旅客船公団法案内閣提出、衆  議院送付) ○特定港湾施設整備特別措置法案(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ただいまから、運輸委員会を開会いたします。  委員の異動を御報告いたします。  三月十八日、重宗雄三君が辞任、その補欠として野田俊作君が選任せられました。
  3. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 港湾運送事業法の一部を改正する法律案議題といたします。  本法律案につきましては、去る二月五日、提案理由説明を、二月十八日、内容概要についての補足説明を聴取したのでありますが、衆議院におきましては、本法律案全面修正の上、三月十七日、本院に送付されて参りました。よってこの際、衆議院において修正されました点につきまして、御説明お願いいたします。  なお中馬政務次官並びに衆議院議員關谷勝利君、衆議院議員井岡大治君が出席されております。政府委員として、その他、海運局長朝田靜夫君、港湾局長中道峰夫君、説明員といたしまして、日本国有鉄道総裁小倉俊夫君、総裁室文書課長谷伍平君が出席されております。
  4. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) 修正趣旨並びにその内容の要点を簡単に御説明申し上げます。  今回の政府原案の主なる点は、事業限定登録制度設定登録拒否及び取り消しに関する規定整備私的独占禁止法適用除外の範囲の拡張等以上の三点でありますが、これらのうち最も重要な登録拒否要件整備は、今回若干整備されるとは申しながら、これに該当する者のみを排除するという、相変らず消極的な登録制度が採用されているのであります。  一方港湾運送事業現状をみますと、今後港湾施設が急速に整備されるのに対して、積極的に荷役近代化合理化が強く要請されているにもかかわらず、事業者の乱立、不適格業者出現等に起因して、荷役近代化はおろか、秩序混乱し、労使双方不安動揺を与えているのであります。かかる憂慮すべき事態が生じますのは、事業が単なる登録制であるがため、その実体を的確に把握し得ないためであることは、申し上げるまでもありません。  以上のような実情にかんがみまして、この際、港湾運送事業免許制に改めまして、港湾運送秩序を確立し、事業の健全な発達をはかり、もって公共の福祉の増進に寄与せしめようとするものであります。  次に、内容の主なるものといたしましては、免許制設定に伴いまして、免許申請手続免許基準事業開始義務運送引受義務、運賃及び料金運送約款事業計画変更等の認可、事業改善命令運輸審議会への諮問、罰則及び経過規定等について、他の運送関係法規に準じて整備いたしました。  次に、船積貨物検数事業鑑定事業及び検量事業でありますが、現在、これらの事業は、海上運送法により事業届出制従事者登録制規定されておりますが、元来、これらの事業は、港湾運送事業ときわめて密接な関係を有し、所管も、港湾局の所掌となっておりまして、当然、港湾運送事業法規定すべきであるにもかかわらず、海上運送法が先に制定せられました関係上、変則な状態のまま現在に至ったのであります。  なお、これらの事業は、その性質上、公平かつ厳正を期するはもちろんのこと、特に対外取引上、常にその信用を保持しなければならないのであります。  かような理由に基きまして、これらの事業港湾運送事業の種類に加えまして、免許制とし、従事者につきましては、従来通り登録制を採用することにいたしました。  以上が、修正理由並びに概要であります。
  5. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 本法律案に対する御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  6. 相澤重明

    相澤重明君 衆議院の方から、せっかく修正の御提案がありましたので、ちょっとお尋ねをしたいと思うのですが、第六条の「港湾運送事業免許をしようとするときは、左の基準に適合するかどうかを審査して、これをしなければならない。」この基準というのを、どういうふうに解釈をしたらいいのか、この一、二、三、四と出ておるわけでありますが、現在の事業そのままをお考えになっておるのか、あるいは特に基準というものを別にお考えになっておるのか、そういう点について、衆議院で御討議されたことを一つお伺いをいたしたい。
  7. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) お尋ね趣旨に沿うかどうかわかりませんが、ここに書いてありまする通りのことを基準にいたしまして、これで許可をする、こういうふうなことになっておるのでありますが、お尋ねを、もう少し具体的に聞いていただきますと、よくわかると思います。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 たとえば第一の「当該事業開始により港湾運送供給量港湾運送需要量に対し著しく過剰にならないこと。」現在の事業者というものは、どの程度おありとお考えになっておるのか。  それから、おそらくまあ全国的にお調べになったと思いますから、六大港等の場合のこの事業というものに対して、今後の見通し、そういうようなものについて、おわかりになったならば、一つ説明をいただきたい。
  9. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) これは需給関係で、免許基準道路運送法その他に書いてあります条文をそのまま適用いたしたのでありまするが、これは、需給関係が著しくアンバランスにならないようにというふうなことで、これが免許制の一番大事な点と思いまするが、需給関係を調整しようというふうなことで、これを書いておるわけであります。その数字的な説明につきましては、現在は、やや供給過剰というふうな状態になっておりまするので、そのために不当競争を起しまして、いわゆるダンピングというふうなものができまして、せっかく公示料金でありながら、それをもぐりと申しますと語弊があるわけでございますが、下回るような請負方をやっておるというふうなことで、これを矯正いたしまして、そうして健全な事業形態になり、それによってあるいは施設、あるいは労働者待遇改善というふうなことに資することができるような程度に調整しよう、こういうふうに考えておるのであります。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 これは、おそらく衆議院でも、三十一年から三十二年にかけて、たとえばこの例として、横浜港の米軍荷の荷揚げ問題を御討議されたことがあると思う。私ども参議院運輸委員会でも、当時のいわゆる公示料金ダンピングの問題で、非常に大きな、これは世論を起したわけであります。  そういう点について、もし、この免許制度ということになるわけでありますが、この場合に、よほどこの基準というものに対する的確なやはり判断といいますか、そういうものを今後作るということにしないと、私は、やはり今關谷議員お話のように、将来の問題として、過当競争が行われる。それがひいては料率の引き下げとか、あるいは料金ダンピング等が行われて、働く者に非常な大きな影響を及ぼしてくる、こういう点を、特に、これは三十一年末、三十二年の米軍荷荷役問題が、あれだけ全国で大きな問題になったのですから、こういう点を考えた場合に、やはりはっきりしたものを持たなければならぬじゃないか。  こういうふうに思ったので、御質問を実は申し上げたわけでありますが、その点については、たとえば、それじゃ免許基準というものは、この法律の中には、当然、うたってはないけれども、今後政令なら政令等で、そういうものを明らかにしていこうとするお考えなのか、あるいは、それは現状についての、とにかくあとは行政指導と、こういうことだけでいくのか、この点について、お答えをいただきたいと思う。
  11. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) 港湾運送事業実態を、これによって把握することができまするので、その実態に即応いたしまして、行政措置といたしまして、これらを規制していこう、こういうふうに考えております。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 これは、特に行政措置ということだけで、果していいのかどうかという点ですね、まだ相当、私は問題があると思う。  というのは、現在の事業者が、先ほども御答弁いただいたように、非常にたくさんあるわけですね。しかも六大港、七大港といわれるようなところには、むしろ業者が非常に密集しておるということも、私は取り上げられるのじゃないか。そういう場合に、むしろ現在の形よりも、免許制度にするというその基本的な態度からいけば、登録制から免許制にするということになれば、これはやはり一つ、はっきりした基準というものを示して、この基準に適合しなければ免許はできないのだというぐらいまでお考えがあってもいいのではないか、こう思うのですが、今のお話では、行政措置というお答えですが、これは一つ当局から、そういうお考えがあるかどうか。これは政務次官なり局長から、お答え一ついただきたいと思う。
  13. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) この免許基準につきましては、行政措置でございますが、運輸省といたしましては、運輸審議会が設けられておりますので、運輸審議会を通じまして、厳正公正にやる態度でございますが、現在、なお各港湾運送事業者実態調査を広範囲に調査中でございます。それらを十分検討いたしまして、御期待に沿うように、法律精神が徹底いたしまするように施行いたしたい。  なおこの施行は、十月ということに予定をされておりますので、それまでに、十分の検討をいたしたいというふうに、万全の措置をとりたいというふうに考えております。
  14. 相澤重明

    相澤重明君 その次に、衆議院先生方お尋ねしておきたいのですが、今も、当局から御答弁のあった運輸審議会の問題なんですが、現状運輸審議会のやり方だけで、今後もやっていこうとお考えになっておるのか。あるいは運輸審議会を、大へん口が悪いかもしれませんが、現状では、あまりぱっとしない。従ってもっと強力なものにする、もっと権威のあるものにする、こういうような考え方をお持ちになっておるかどうか。ひいては、それに対する各界、いわゆる事業者の、あるいは労働者意向というものを十分聞いて、そしてこの法の適用をりっぱなものにしていくというお考えを持っておられるならば、たとえば部会といいますか、そういう専門的な人たち意見というようなものをお聞きになるお考えがあるのかどうか、この点、衆議院で御討議されたことをお答、えいただきたいと思います。
  15. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) これは、現在の運輸審議会のままでいいということになっておるのであります。それらのいろいろ学識経験者とか、あるいは何といいますか、労働者等の御意見等は、公聴会等において十分拝聴をいたしまして、それで現在の運輸審議会運用によって、万全を期したい、こういうふうに考えております。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 私は、せっかくのお答えでありますが、どうもその点が、今までの運輸審議会答申あるいはあり方というものを考えてくると、港湾運送事業というものが、非常に重要な役割を持つだけに、三十一条の、運輸大臣港湾運送事業免許あるいは免許取り消しというような事項考えた場合に、やはりもっと十分働いておる多くの人から、あるいはそういう専門部会というようなものをもって、審議会の人が意見を聞くのもいいのではないか。より多くの人に的確な判断というものを建言をしていただく。あるいは諮問をして、そういう多くの意見を聞く、これは關谷先生お話公聴会をやれば、それでいいというだけでは、少し物足りないように思うのですが、この点は、全然、それ以上考えられないと、いういうお考えですか。
  17. 井岡大治

    衆議院議員井岡大治君) 御承知のように、労働省で、これは政令事項ではございませんが、現に港湾審議会を持って、そうして港湾施設改善、並びに労働省のいわゆる福利厚生であるとか、あるいは雇用の問題であるとか、いろいろ審議をされております。従って当面私たちは、その方の成果を待ちつつ、そういう問題を考慮していくべきだ、こういうふうに考えております。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 衆議院先生方の御意向は、私もわからぬわけではないわけでありますが、これは一つ、なお参議院段階審議する中で、私ども意向を、これから政府当局お尋ねをした後に、一つ出したいと思うのですが、まあ確かに運輸審議会という、それだけでいくということについても、やはり免許制度ということになるから、私は、十分その点を権威あらしめたい。運輸審議会を権威あらしめて、なるほどこの運輸審議会答申というものはりっぱなものであるということにするためには、今までの形だけでは、やはり変りばえ——変りばえがないというと大へん失礼ですが、どうも物足りないという点を率直に申し上げて、できるならば、衆議院運輸委員会においても、なお御検討一つお願いをしたい、こう思うわけです。  次に、お尋ねをいたしたいと思うのは、各卒業単位でも、いろいろ働く人たち事業者との意見というものが、まますると、食い違う場合が多いわけであります。  先ほども、井岡先生からのお話で、労働省の中におけるそういう考え方もわかるのですが、むしろこの際、今一歩積極的に進めて、労働者側意見を聞くというようなお考えを、この法律審議の際に、衆議院ではお考えになったかどうか、この点はいかがでしよう。
  19. 井岡大治

    衆議院議員井岡大治君) この法案修正するに当って、いろいろそういう問題を討議をいたしたわけでありますが、先ほども申し上げましたように、かなり労働省の中でも、港湾労働対策なり、港湾行政について、細かく管中等も出て、運輸省の方においても、それらの実施の問題で、十分お考えになっておられるようであります。従って、法そのものには、そういったことを書けないで、具体的に、これらの成果を待ちつつ執行していく、こういうように、私たち考える次第であります。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 次に、法第三条に五、六、七、八と四項目あるわけですが、先ほど関谷先生から御提案のあったように、事業者については、免許制にする、人については、登録制でいくというお話でありましたが、特に経過措置検数事業あるいは鑑定事業検量事業等に対する三カ年という期間を、一般運送事業としては六カ月というのに対して、なぜこの事業だけを三カ年にしなければならなかったか、こういう点について、衆議院修正された経緯を一つお尋ねをしておきたいと思うのです。
  21. 井岡大治

    衆議院議員井岡大治君) これは、三カ年というようにいたしましたのは、先ほど御指摘いただきましたように、現在の港湾運送事業実態等を考慮してみますと、これを急速にやることによって、かなり業者の中で混乱を起すものも出てくるわけでございます。  現に、これらのことについて、業者自体が自主的な立場で、合同なり、あるいは企業合同なり、いろいろなそういう措置を講じておるわけでございます。従ってこれらを現在やつておる方々を、むげにボツにしてしまうというのではなくて、育成をするという立場をとるには、どうしてもある程度期間というものを認めなければならないじゃないか、こういうことで、一応三カ年ということにいたしたわけでございます。
  22. 相澤重明

    相澤重明君 お考えとしては、わからないわけではございませんが、この法が施行されるまでには、今、井岡先生お話のように、該事業育成強化をする。そうして過当な競争をさせないで、民主的な運営をさせるようにするのが、この法の趣旨だと思うのです。  そういうことを考えてくると、おそらく業界自体においても、この法施行の場合に、積極的な御意思というものが出てくるのじゃないかと私は思う。また衆議院運輸委員会でも、そういう御討議があったということになれば、なおさら拍車をかけられるのではないか、こう私ども思うのですが、そうした場合に、この三年までなくても、もっと短期間でもできるのじゃないかという気がするわけなんですが、この辺については、やはり現状事業者をお考えになって、どうしても三年でなければいけない。もっと二年なり一年なりというお考えは、御討議の中であったのか、なかったのか、この点一つお尋ねしておきたい。
  23. 井岡大治

    衆議院議員井岡大治君) 別に、三年でなければいけないということで考えておりません。むしろ一日も早く、現在の混乱した港湾運送事業者が、正常な姿になることを望んでおるものでありますが、行政の指導なり、あるいは法の徹底なりを当局ははかって、そうしてすみやかにこの法案精神にのっとった企業実態になっていくようにいたしたいものだ、こういうように考えております。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 これは、今のお話はわかりました。しかし経過規定の中でも、特にこの三項で言われておるように「この法律施行の際現に改正前の海上運送法第三十五条の登録を受けて検数人、鑑定人又は検量人となっている者は、改正後の第七条の登録を受けた者とみなす。」ということに規定をせられておるわけでありますから、おそらく私は、今先生のおっしゃったように、業界自体としても促進をされると思うわけです。  従って、そういう意向を、私はやはりこの審議段階を通じて明らかにしておく方が、今後、業界のためにもなるのではないか、こう思いますので、この点も一つ衆議院運輸委員会で御討議のある場合は、一つ、何らかの善処方を私はお願いをしたい。参議院においては、これから審議をさしていただくわけでありますから、そういう点は、後刻当局お尋ねをして、できるならば、そういう方向をとっていきたい、これは希望ですが、申し上げておきたいと思います。  それから、いま一つお尋ねをしておきたいのは、現在の運輸省のいわゆる港湾管理官の人がこれを行政指導されると思うのですが、実際に今の管理官室だけで、これだけの大きな仕事というものをやっていかれるのだろうかという、ちょっと心配もあるわけです。  そういう点については、何か設置法の中で、衆議院先生方の方で、お考えになったのか、それとも当局に、そういうことを建言をされたのか、その点も、ちょっとお尋ねをして置きたいと思います。
  25. 井岡大治

    衆議院議員井岡大治君) 御指摘の点については、修正段階で、十分に討議をいたしました。  そこでとりあえず設置法改正するかどうかということも論議いたしたのでありますが、諸種の事情から、今回は、とりあえず一部だけの改正にとどめて、全面的な改正は、一番近い国会なり、適当な機会に、この点を協議しよう、また政府も考慮してもらおう、こういうことで話し合いがまとまりましたので、御了承いただきたいと思います。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 けっこうです。きょうはこの程度に私はしておきます。
  27. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記をやめて。    〔速記中止
  28. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記を起して。  私から、一つ、この法案に関連して、大臣お尋ねしたいのですけれども、現在の免許事業に対する問題がたくさんある中で、第六条にあるような、非常に厳格な規定でもって免許される、その免許した免許業者に対して、当局としては、これを育成するという態度、方針で臨まれるのかどうか、これを第一点、お伺いしておきたいと思います。
  29. 永野護

    国務大臣永野護君) 実は港湾運送事業は、港湾運送機械化に伴いまして、いずれにいたしましても、何とか考えてやりませんと、なかなか自立がむずかしいのではないかと思います。  従いまして、この免許制度にいたしまして、人選も限定してやるようになりますれば、それに伴って、当然、その育成政府としてやらなければならぬと、こう考えております。
  30. 大倉精一

    委員長大倉精一君) もう一つお尋ねするのですけれども、現在、陸上運送の面におきまして、もぐり業者が、非常にばっこをして、輸送秩序混乱をしておるという現況にあるわけなんです。  従って今度港湾運送事業も、免許事業ということになれば、免許業者でないものが、営業類似行為をやる、こういう現象が起ってくると思うのですね。こういう問題に対処するために、現在の港湾行政機構だけではいけないと思うのですけれども、この法案に伴って、港湾行政機構の画期的な強化といいますか、そういう措置が必要だと思うのですけれども、こういう点についての大臣のお考え一つ伺っておきたいと思います。
  31. 永野護

    国務大臣永野護君) 実は、港湾行政につきましては、全般的に何らか改革をしなければならない、一元化がねらいでありますけれども、そういう意味で、今内閣行政管理庁が中心になりまして、港湾行政改革案を練っております。  従いまして、この業界監督がどういうふうな形で行われるかということも、新しい港湾行政あり方によって、非常に違ってくると思います。もぐりを取り締るということの必要なことは、ただいまの御質問通りで御同感でありますが、そのために行政機構を何か考えなければならぬことがあるのではないかというお説でありますけれども、この港湾行政の問題について、この点だけでなくって、大きく今取り上げられておりますから、その点も、十分に考慮して、港湾行政一元化考えるようにということを行政管理庁の方に、私申しておきます。
  32. 大倉精一

    委員長大倉精一君) そうしますと、この免許制度によって、港湾行政というものの機構が、相当程度強化をされる、拡大をされる、こういう工合に了承して差しつかえないですか。
  33. 永野護

    国務大臣永野護君) さようでございます。
  34. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ほかに御意見もなければ、本案に対する質疑は、本日は、この程度にとどめます。   ━━━━━━━━━━━━━
  35. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 次に、国内旅客船公団法案議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  36. 相澤重明

    相澤重明君 私は、一つ大臣お尋ねをしておきたいと思うのですが、今回のこの政府出資金は二億で、資金運用部の借り入れが、三億である、こういうことで、船舶収入として千五百万ですか、あげておるわけでありますが、この積立金という、この前の御説明があったわけでありますが、どうして一般の助成と同じように、資金を借りる場合の利子を差をつけなければならなかったのか、この点について、大臣はどういうふうにお考えになって、利子を七分にしたのか御答弁一ついただきたいと思います。
  37. 永野護

    国務大臣永野護君) お答えいたします。  御承知通りこの業界には、非常に零細企業が多いのでございます。従いまして、その元利の支払いが滞ることが相当考えられるのでございまして、どうしても貸倒準備金的積立金を必要にすると思いますので、それに対する準備といたしまして、少しづつ積み重ねていく。これは業者が小さいと、どうしてもこういう準備か要るのでございます。
  38. 相澤重明

    相澤重明君 大臣、今大臣の御説明ですと逆じゃないですか。つまり大企業なら、これは必らずいわゆる一定の資金というものが融資できれば、これはまあ完璧なんです。ところが中小企業のために、こうした政府資金まで出し、あるいは運用部の資金まで貸し出しをしてめんどうをみて、この公団法に基いた運営をさせようということになれば、むしろよけいに、そこに力を入れてやることが、私は本来の立法の精神ではないか、こう考えるのでありますが、政府は、あれですか、そうすると、中小企業は貸し倒れがあるからということで、大体、没落していくものも見込んでおるのですか、この点いかがでしょうか。
  39. 永野護

    国務大臣永野護君) これは、こういう業者、つまり金融業者は、いつでもある程度の貸倒準備金というものを準備しておくことは、これは常例でありまして、何も、この船舶業者にのみ限る現象ではないのであります。その貸し倒れの率が大企業よりは多いのでございますから、それに対する手当をしておきませんと、たちまち元本がなくなりまして、この趣意に合わぬことになりますので、理想論としては、いろいろございますけれども、実際論としては、ある程度の貸倒準備金は、積み立てておきませんと、まじめな業者が、借りられなくなるというような結果になることをおそれる次第であります。
  40. 相澤重明

    相澤重明君 どうも、それは少し、大臣と議論になって大へん恐縮ですが、どうも、その中小企業を育成して、そうして、この零細業者というものを立ち直らしてやる、しかも、老朽船を早く変えさせて、そうして、今まで起きた北川丸にしても、あるいはその他の今までの海運事故というものをなくしていこうというようなお考えがあって、しかも業界でも、何とか一つ骨を折ってくれということで、この世論として、こういうふうに公団法という特別立法をするように政府も踏み切ったと私は思うのですよ。  そういう点からくると、どうも議論のようで、大へん恐縮ですが、私は、少し政府考えは、弱いものに、なおこのほかのところよりは利子の負担をよけいにさせるということですね。弱いものだから、とにかく作ってもらえばいいのだということになっておる人たちに、無理をし過ぎるのじゃないかという点があるわけなんですが、これは、議論になると思うのですが、運輸大臣、どうですか、その点は、再考慮されるお考えはありませんか。
  41. 永野護

    国務大臣永野護君) 少し話が、例がふまじめなようなおしかりを受けるかもしれませんけれども、大体、こういう貸し倒れの高というものは、援助しなければならない人を相手にする商売ほど貸し倒れの率は多いとみなければならぬのであります。それの手当をしておきませんと、少数の、つまり債務不履行者の存在いたしますことで、多数のまじめな、この資金を使っていこうという人の不便になるわけであります。  まあ、例が非常に悪いのでありますけれども、酒屋さんなんかでも、少数の酒代を払わないやつがおりますと、それは結局、まじめに酒代を払う人が分担して負担したような結果になる例が世間によくある例であります。従いまして、一つも倒れなければ、もう五厘だけ安い金が使えるはずのものが、どうしても、出てくるものですから、実際問題として不払いの人が——そうすると、まじめな人がたえず五厘ずつ、たくさんな金を払う結果になるのでございますが、これは、この業態だけに限った現象じゃございませんので、一般に、そういうふうに扱われておりますから、その点は、一つ御了承を願いたいと思います。
  42. 相澤重明

    相澤重明君 議論のことですから、これは一つ委員会として、あとはなお検討をして、方向を出したいと思うのですが、それから、最初に、やっぱりこれだけはお伺いしておかなきゃいかぬことですが、この法案を作るときに、政府出資が二億円になったというのですが、運輸大臣のお考えでは、当初もっと資金を出してもらうというお考えでおったのかどうか、その経緯をちょっとお知らせいただきたいと思います。
  43. 永野護

    国務大臣永野護君) 最初は五億であったのであります。ところが、大蔵省と折衝いたします途中で、だんだん値切られまして、結局、こういう形に分けたようなことになって、まことに不十分なんでありますけれども、これは、実際やつていきまして、実績を見ましてから、これがいかに必要かということがわかりますと、財布のひもを、ぐっと締めておる人も、そういう必要性が実績として表われましたならば、これをまたふやしていく方途も考えられると思いまするので、とりあえず、これでスタートしてみようという意味で、最初の計画に比べますると、不十分ではありますけれども、そういう意味において、これでまあ発足いたした次第であります。
  44. 相澤重明

    相澤重明君 私ども、手元に国内旅客船の老齢化の数字をちょうだいしておるわけでありまするが、これを見ても、いかに多くの老齢船があるかということがわかるわけです。しかも、政府の一応、税法上の耐用年数というものは、鋼船で二十年、木船で十二年とお考えになっておるようでありますから、そういうものと……資料をちょうだいした中でも、鋼船で二十五年以上のものが四四%、隻数で百隻もある、あるいは十五年以上の木船が三百三十隻で五〇%もある、半分あるというようなことや、それから、いただいたのには、二十トン未満の船舶は、調査の対象からはずしておるように、これではなっておるわけですね。そういうことからいくと、別のプリントで見ると、もっと、鋼船で二十年以上のものは、全鋼船の六〇%ある、あるいは木船で十年以上のものは五五%というような数字が出ておるわけですが、二十トン未満の調査というものは、全然しなかったのか。それとも、これは、こまかい問題だから、当然、その公団ができれば、すぐわかることだと、こういうことでやらなかったのか。  それから、そういうものについて、二十トン未満のものについては、この中に入れる考えがないのかどうか。そういう点について、まあこまかい点ですが、一つお答えをいただきたいと思うのです。
  45. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 二十トン未満の船舶のお尋ねでございまするが、資料の二ページにございます、航路数といたしましては、二十トン未満の船舶が就航いたしておりまする航路数が七百三十二、隻数におきまして一千一隻、総トン数にいたしまして八千七十二トン、こういうのが、そこの資料にあげてあるのでございまするが、ただいまの、船齢の構成を調べなかったのかというお尋ねでございますが、これらは、不登簿船でありまするし、船鑑札等のものが全部でございまするので、まだ、そこまで調査を完了いたしておりませんが、隻数、航路数については、そこにあげておる程度でございます。
  46. 相澤重明

    相澤重明君 それから、特にこの二十トン未満の老齢船の点について、これは早急に、私はやはり調査をする必要があるのではないかと、こう思うので、調査をして、できれば、その内容を資料として提出をしていただきたいと思う。  それから、これに関連をして、海上運送法の旅客船の場合ですね、これは、あとから専門的に松浦先生からもお話があると思うのですが、定員十二名以下の場合の取扱い方が、私ども参議院の運輸委員が現地調査をした場合に、いつも問題になる。一昨年仙台の海上保安庁の調査に行ったときに、これの取締り対象というものがないために、非常に困ったと、こういうお話を聞いたわけです。  そこで法律改正をして、そういう点について、何らかの規制をするとか、あるいはまた、他面、そういう小さい業者に対する助成というものを何かお考えになる点かあるのかどうか、この点について、一つお答えをいただきたいと思うのです。
  47. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 旅客定員十二人以下のものにつきましては、ただいまお話しの通り海上運送法、旅客定期航路事業の法の建前もございまして、この国内旅客船公団においても、同じ線で考えておるのでありまして、十二人以下のものについては、適用考えておりません6  しかしながら、今御指摘の通りの実情もございますので、将来の問題として、実情に応じて検討さしていただきたい、こう考えているのであります。
  48. 相澤重明

    相澤重明君 次に、公団を発足させるに当って、一昨日の運輸委員会で、経常費について御答弁になったと思うのですが、経常費は、どの程度考えになっておるか、それから当面人数は、どの程度考えになっておるのか、いま一度、一つはっきりしたところを御回答いただきたいと思います。
  49. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 公団の管理費といたしましては、政府全額出資の二億の大体、七分に相当いたします千四百万円をもって、予定いたしております。内部の組織につきましては、公団の創立後、責任者等のお考えもございましょうが、私どもといたしましては、詳細な機構までは考えておりませんが、大体、二十人足らずの役職員で発足いたしたい、こういうふうに考えております。
  50. 相澤重明

    相澤重明君 次に、二十人ぐらいでやっていかれるのかどうか、これだけの公団を作って、二十人ぐらいで運営ができるかどうかということを私は大へん心配するわけなんですが、その点については、なお私も業界意見も聞いてみたいと思いますが、おそらく業界では、これでは当局考えが、少し、少な過ぎるのじゃないかという点があると思う。  そこで、たとえば事務所等については、今どういうふうにお考えになっておるのか、これは、東京の中心地でお借りするなり、あるいはまた購入するなりということになれば、相当の金額に私はなろうと思いますが、そういう点は、どっか間借りでもするという考えで発足する考えなのか、できれば、その構想を——坪単価どのくらいのものを、また、どういう所に公団の本部を置くのだという点を、おわかりになったら、一つ御回答いただきたいと思います。
  51. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) ただいま申し上げましたように、二十人足らずで発足いたしますので、大体、一人当り二坪見当といたしますと四十坪ぐらいになるわけでございまして、東京の相当りっぱなビルディングなんかには、とうてい入り得ない管理費の規模になっておりますので、できるだけこの管理費の予算の範囲内におさまるような所でなければ、公団の事務所も借りられない、こういったような実情でございますので、大体、借料が坪二千五百円ないし三千円程度までというようなことを考えているのでございます。  ところが、建設協力費あるいは敷金といったようなものが、りっぱなビルディングに入りますと、相当取られますので、そういうりっぱな所には入れない、そういう敷金とか建設協力費といったようなものがない所を見つけて入るより方法がない、こういうふうに考えるのであります。
  52. 相澤重明

    相澤重明君 今の局長お話を聞いていると、坪二千五百円ないし三千円で、しかも敷金も出さないで入れるなんという所が、東京にありますか、この点、国会の部屋の一部でも使うとか政府の部屋の一部でも使うというなら、これはまあわかるけれども、どうも今のような御答弁では一一体公団というものを発足させて、本気でやる気なのかどうか、こういう点が心配なんですが、これは運輸大臣、どうですか、やはりこの公団、他の公団も、たくさんありますから、そういう点を、やはり一応お考えになる必要があるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  53. 永野護

    国務大臣永野護君) 全く、ごもっともな御質問であります。全体の平均の給料から申しましても、非常に窮屈であるし、家賃その他のことも、御指摘の通りでございます。  ただ私は、この公団を運営してみまして、その必要性が、なるほどこれはいい機構であり、これは必要があると、皆さんがお認め下さいますれば、当然、あれはいかにもかわいそうだから、適当な方法を講じてやろうというような、最初から手直しは予想しておるのでありますけれども、これだけで、ずっとやっていけといわれましたら、相灘委員の御指摘の通りの結果になることを、私もおそれております。
  54. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、政府としては、今後は努力をして、そうして他の公社、公団と同じような考え方で進んでいきたい、こういう意思を持っているということを確認してよろしゅうございますね。
  55. 永野護

    国務大臣永野護君) さようでございます。
  56. 松浦清一

    ○松浦清一君 相澤委員から、各般にわたって、非常にうんちくのある質問をされましたので、私は、もう質問の要がないかと思いますが、私の立場から、若干の御質問を申し上げたいと思います。今まで、いろいろの公団がございますけれども、今度の国内旅客船公団法のごとく、これらの船を利用している人たちの人命、財産等にかかわる重要な公団組織はないように思われます。  提案理由説明にもありますように、本土周辺の離島関係に使われておりますこの旅客船が二千百隻もある、一年に七千五百万人の人たちが、これらの船を利用して交通をしておる。しかも、その二千百隻のうちで、二十トン以上の九百一隻について調べた統計がここにありますけれども、鋼船で、船齢二十五年以上のものが百一隻もあって、しかもそれが、全鋼船の四四%、大体、お客を積む鋼船の耐用年数は、確かなところ二十年ぐらいと私は思うのであります。木造船においては、十二年以上はちょっともう危険期に入るというふうに考えるのですが、しかも、その二十年をこえて二十五年以上のものが百一隻もあるということになり、また木船の方では、ほとんど五〇%以上が、十五年以上たっておる。まことにその七千五百万人の人たちの約五割に相当する人が、だれが考えてみても、すでに老齢危険期に達しておる船を利用して交通をしておるということは、まことに重大な問題を、政府は忘れておった。まあ、それをお気づきになって、こういう法案を出されたということはまことにけっこうなことであります。せっかくできるからには、当初に計画をいたしました通り、早急に、すでに耐用年数をこえておる船舶の代替建造を行なって、七千五百万人の多数の人たちを安全に輸送する方法を講ずるということが、交通運輸政策上、まことに重要なことだと思います。  ところが、今まで相灘委員が、いろいろ質問をいたしておりました通り、せっかくのことであるけれども、当初の計画を完遂するのに、まことにほど一遠い。残念しごくの内容であることを遺憾に思います。  私は、これから順次この法案内容について、十分理解のできておりませんところを御質問申し上げまするが、御質問申し上げる前提になるその精神というものは、七千五百万の人たちの安全輸送、いわゆる法案の第一条の目的にある資金のない船主に対して、資金の調達に協力をして、そうして民生の安定に必要な航路の維持をするという、そういう観点に立って、御質問を申し上げたいと思います。この前の委員会に私は欠席をいたしましたので、あるいは私が、お尋ねを申し上げる点について、ほかの委員から御質問があってお答えになった点があろうかと思います。その点は、この前だれだれ委員の同じような質問があって、こう答えておいたから、速記録を見てくれ、こうおっしゃって下すって、けっこうです。  まず法案第一条の、資金の調達か非常に困難である海上運送事業者、こういうことですが、この資金の調達か非常に困難である事業者の定義というものは、一体どういうところにありますか。その辺のところから、御質問を申し上げたいと思います。
  57. 永野護

    国務大臣永野護君) 金を借りることが、あるいは自己資金を作ることが困難であるということの定義というお話でございますけれども、これは、どうもどこへ行っても貸してくれないと
  58. 松浦清一

    ○松浦清一君 お答えにくかったら、もう一ぺん聞きます。私が聞きたいことを、もう一度重ねて申しますと、お答えしやすかったかと思いますが、たとえば非常に条件のいい所で一隻持っている、お客も多いし、諸般の条件がいい、これが、一隻持っている。それから条件の悪い所で、船を十隻持っている。これは考えてみると、資本の多いものと、少いものがある。まあ、これは仮定ですがね、外見的に見れば、たった一隻だから、金を借りるのに担保物件も少いし、困るだろうと思うけれども、実は、内容は一隻持っておってもいい。十隻船を持っておっても、在来古い航路をやっておって、そうして、まあ赤字々々という航路もあったりして、資金繰りには非常に困難している、そういうものがあろうと思うんですよ。  ですから、そういう場合に、どうしてその資金調達が困難だということを調べるのか、こういうことなんです。
  59. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 前回の当委員会におきまして、江藤先生から、同じ内容の御質問をいただいたのであります。通常金融機関のベースに乗りますものは、いろいろな観点から判断されると思うのでありまして、ここで原則的に、こういうものは資金調達可能だ、あるいは資金調達は困難だという原則を立てることは、きわめてむずかしい問題であろうと思うのであります。  といいますことは、作ります船によっても違いましょうし、それから、それの償還の確実性ということも違いましょうし、あるいはその航路に就航する収益性ということ、資本信用力、人的信用力も含めての問題もございましょうし、これは、金融機関で取り上げて判断をいたす問題でありまして、原則的に、こういったものが調達可能であり、こういったものが調達困難であるということは一申し上げるのに非常に困難の問題であると私は思うのであります。  ただ、一般的に申し上げられることは、ただいま御指摘の通り、全般の運航事業者を見てみますと、零細企業が、大半を占めております。しかも過去における実情から眺めましても、大部分は、金融機関のベースに乗らないものが多い、こういうことを申し上げられると思うのであります。
  60. 永野護

    国務大臣永野護君) 今の資金調達の問題は、今局長お答えしたことで尽きるのでありますが、私ども、こういう仕事をいろいろ実際取り扱ったものの体験から申しますると、資金調達能力というのは、仕事の内容、あるいは持っている財産に匹敵する大きな要素が、人的信用であります。あの男がやるのなら、今はまずいが、きっとよくやるであろうという信用を金融業者に与えますと、今持っている財産は、たとえ少くとも、金を貸してくれるケースが非常に多いのであります。また反対に、今持っている財産はあるけれども、ああいう男が経営しておるのじゃ、将来危いといって、財産があっても、金融業者は、これを相手にしないことがありますので、現実に資金調達能力をどういうものが持っておるかということにつきましては、ケース・バイ・ケースでよく検討いたしませんと、一般論といたしまして、その、物の方は、まだ幾らか客観的の標準が立てやすいのでありますけれども、経営者の人的信用というやつは、人々の好みと申しまするか、信用を判断する材料が違うものでありますから、一般的には、なかなか言いかねるかと思います。
  61. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、海運局長の答えられたように、金融ベースに乗るような資産内容、それから営業成績を持っているようなところは、自己資金で調達できるだろうから、そいつは貸さぬ。それから金融ベースに乗らないような資金調達困難な業者に対しては、助けてやろう、こういう意味ですか。  何か運輸大臣の話を聞いておると、金融ベースに乗るような信用力のあるやつには、貸倒れがないから一貸してもいいが、資金調達の困難のやつは、ちょっと貸し倒れが起るかもしれぬから貸さないような口振りをなすったのですが、感覚が、ちょっと違うのですがね。
  62. 永野護

    国務大臣永野護君) 誤解があるといけませんから、よく正確に申し上げておきますが、最初の標準は、局長が申した通りであると、一応お答えしておるのであります。  ただ、私の事業経験の体験から申しますると、資金調達というのは、人的要素が非常に大きな働きをいたしますので、単に物があるからという、たとえば非常に個人的の私生活が乱れておる人とかいうようなことになりますと、相当内容のいい会社でありましても、いつ、どんなことになるかわからぬというような不安定を与えますと、その資金調達が非常にむずかしくなる実情にあるということを御参考に申し上げておいたのでありまして、全体の客観的の標準といたしましては、海運局長が申した通りでありまして、私が、自分の経験を混えて、補足的にお話申し上げたのであります。
  63. 松浦清一

    ○松浦清一君 だから、これは端的に答えてもらったらいいのですけれども、つまり金を貸しても、あれは大丈夫返すだろうというのに貸すのか。金を貸して、ひょっとしたら、あれは払わぬかもしれぬというやつには、ぼろ船を使っておっても、金を貸さぬのかということなんです。  ほんとうをいうと、私の意見を先に述べれば、やっぱり困って、銀行から金を借れない。人的な関係は別として……、二十五年以上のぼろ船を使っておるけれども、その船を一ぱい持って、やりくり算段してやっておる。しかも離島の非常に危険なところをやっておる。こいつに貸しても、貸し倒れになるから貸さぬ、こういうつもりで、この法律を作ったのか。これは丸損になるかもしれぬけれども、早く船を改造してやらなければ、あるいは新船を作ってやらなければ危ない、そういう見地に立っておるのか。この法案の目的に対する見方なんだ。  重ねて聞きますが、金融機関がありますね、何とが公庫、何とか公庫といって金融機関があるが、そいつは、やつ。はり担保力のあるような、非常に有力なものは、比較的金が借りやすいけれども、実際に、庶民的な金融機関であるにかかわらず、困っておるようなやつには金を貸さぬ。そういう傾向が強くて、ほんとうにこの法案を作ったときの目的というものは、完全に達せられない。そこで借りられなくても、銀行で借りられる、担保力もある、そういうのは、比較的簡単に庶民金融公庫から金を借りて、そうでないものは借れない。だから、法律を作ったときの、言い分はいいのであるけれども、真に法律運用の面において、目的が達成されていないという金融機関か1金融公庫があるわけですよ。  だから私は、私の考えを先に述べれば、やっぱりそういうのは、優先をして金を貸すし、資金調達のめんどうも見るし、それから、たとえばほかの銀行から、海運局長が言われるように、金融ベースにちゃんと乗って、借る能力があっても、今この船が、ちょうど二十年になった、改造せんならぬ。三億円金がかかるけれども、その中の一億は、自己資金でできるのだが、あと二億円は足らぬ。市中銀行から金を借れば、九分五厘も一割も出さなければ、金を借れない。この公庫から借れば、六分五厘なんかの金を借りて、そうして、そのままほうっておけば、三年先でなければ作れぬやつを、二年前にいい船にかえよう。こういうものが出てきたときにも、もう三年待って、お前の信用で金を借りろということを言わずに、その時宜に適当して、現に調達困難なものを優先して、続いて、すみやかに古い船を新しくかえていくための資金調達に困難するものについては、やつぱりめんどうを見ていく、こういう建前であってほしいので、しかりと答えてくれれば、それで満点だ。
  64. 永野護

    国務大臣永野護君) しかりとお答えいたしたいのでありますが、大体、そういうような心持で運営していくつもりでございます。  ただ、一般原則をそういうふうにきめて、縛ってしまいますと、世間のことは、全く千態千様な状態がございますので、結論は、ケース・バイ・ケースできめていく。もっとも、この公団法の趣意にかなうように、すなわち特殊の人ばかりに片寄らないで、広く日本のこういう恵まれざる零細企業である運輸業者に、広く行き渡るようにしたい。それには元利ともに、払える人に貸しておきますと、それが元利が返ってきますから、だんだん広くこの法案の効果が及んで参りますけれども、明らかにこれは貸し倒れになる、あるいは資金が固定してしまうというような人に貸しますと、せっかくの、きわめて限られたる資金でございますから、これが運転がつかなくなるというようなことも考えなければならぬと思うのであります。  従いまして、大体論としては、今、松浦委員のおっしゃる通りのことをわれわれも考えておるのでございますけれども、それを委員会と公けの取りきめとして、きめてしまいますと、非常に窮屈になりますので、大体の方針は、そうでありますけれども、今言った公団を作りました立法の趣意に沿うようにケース・バイ・ケースで判断をしていくというふうに公式にお答えをしたい、こう考えております。
  65. 松浦清一

    ○松浦清一君 それは運輸大臣、あなたは実業家だから、どうしても金を貸して、貸し倒れになったら困るという印象が強いから、そう言うけれども、第一条には、明確に「その資金の調達か困難である海上旅客運送事業者」と書いておるのだ、それは、だれそれが、何がしが、もう二十年以上もたった木造船で旅客運送事業をやっている、それは金を貸したら返らぬかもしれぬという心配のあるやつには、今の大臣のおっしゃる感覚からいえば、金は貸せぬということになる。それでは、この法律の目的が達せられないわけですね。  もし、返らぬ場合は、どうするかということについては、あとからまた聞くけれども、それは返らぬと思っても、やっぱり人命の安全、民生の安定のために、この法律を作るのであるから、その一個の事業者を固定して、それに担保力があるか、経営能力があるか、資産力があるかという、そういうふうな関点から貸していったのでは、ほかの庶民金融公庫と同じように、実力のあるものに、金を先に借りられてしまうというおそれがあるから、それを私は心配するので、言うのです。
  66. 永野護

    国務大臣永野護君) 実は、少し議論が、極端の例と極端の例を比較しているのでありまして、真理は、中間だと思いますが、なるほどこれは最初から、資金調達の困難な者のためにする法律なんだから、ある程度貸し倒れになってもしようがない、その危険を冒してもやるべきだ、こういうお説なんで、それも、ごもっともだと思うのであります。  しかし反面、そうすると、一番最初に借りたやつが、かりにみんな貸し倒れになってしまいますと、その最初に借りた数人で、金を使ってしまうと、あとは、この法律はほとんど死んだ法律になるような結果にもなりますので、どうも、全部返るということを期待するのも無理でありますけれども、全部危いと知りつつこれは最初から、資金調達が困難だという、信用のないやつに金を貸すということを認めておるから、非常に危ないことがわかっておっても、貸すというように取扱いましても、これは立法の趣意には合わぬと思うのでありますから、私は心持ちは、この松浦さんのおっしゃるような気持で運営いたしますけれども、はっきりと、そういうふうに公式の問答として、ワクをはめてしまって、非常に窮屈に運営をいたしますよりは、ケース・バイ・ケースで、最もこの法律の立法の趣意に合うように運営していくという、少し幅を持たせた解釈にしておいていただきたいのであります。
  67. 松浦清一

    ○松浦清一君 それでいいですよ。そのワクを、私はあまりはめ過ぎたらいかぬということなんだ。返済能力のあるなしということが、資金調達に協力をしてやるという、それがもう重要な判断の基礎になってはならぬ。この法律の目的そのものが、公団を経営していくということが目的ではないのですから、公団を経営すること自体が目的ではない、ボロ船を一掃しようというのが目的なんだから、ボロ船で客を運んでおっては、非常に人命に対して危険があるから、これを一掃していかなければならぬというのが、この法律を作ろうとする目的なんだから、ワクをはめないというのが、僕の説なんだ。  優先的に資金調達の困難なものを、たとえばひょっとしたら危ないかもしれぬと考えても、貸してやらなければならぬ場合が起ってくる。しからざる場合においても、もう二年も三年も、ほうっておいたら危険だ、ところが自己資金では、とても作れぬというところには——相当充実しているような会社であるかのごとくに見えても、やっぱり事情によるけれども、お前の方は、もう三年もたてば、自己資金ができるだろうから、今、公団の金を貸す必要はない。資金調達に協力してやる必要はないというふうに、突っぱねるのでなしに、幅を持たしてやってほしい。払えそうもないから貸さぬというふうに考えるのも悪いし、あれは、もう少しおいておいたら自己資金でやれるだろうといって、ほうっておいてもいかぬ。そこは、変転自在に適宜処置をする、こういう感覚で、この法律運用してほしい、こういうことが私の希望なんだ。縛るのじゃない。その余裕を……。
  68. 永野護

    国務大臣永野護君) それなれば、先ほどから私はケース・バイ・ケースという言葉で、御返事いたしておるのでありますが、この立法の趣意か、今、松浦さんのおっしゃる通りなんでありますから、その立法趣意に合うように個々のケースで判断していきたい、こういうふうにお答えしたのでありますが、趣意は、全く御同感でございます。
  69. 松浦清一

    ○松浦清一君 それから、この法律案の付則の第十六条、それによると、これが成立すると、離島航路整備法の利子補給が、この三月末で打ち切られるわけですね。三月末になると、施行日は、いつですか知りませんけれども、この法律成立と同時に、離島航路整備法の利子補給が打ち切られるわけですね。
  70. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 付則の第十六条の離島航路整備法の建造、改造に伴いまする利子補給は、この公団ができまするというと、やめるということでございますが、実は昨年度、三十三年度から新規のものはやめておるのであります。建造、改造のための融資に対する利子補給でありますから、公団による建造、改造が行われましても、事業者は、その費用の三割、あるいは改造においては五割負担しなければなりませんので、理論的には、その存在意義というものは失われるわけでもありませんけれども、負担額は、従来より非常に減少いたしまするし、共有制度を通じまして事業者の経費節減も可能でありますので、この際新規の利子補給というものは停止することといたしまして、同じような種類の助成政策と重複することを避けた、こういう趣旨でございます。
  71. 松浦清一

    ○松浦清一君 これは私は、ちょっと調べが足りていないかもしれませんが、離島航路整備法は、離島振興法と、これは全然関係がありませんか。
  72. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 関係ございません。
  73. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、今のお答えによりますと、この法案施行されるようになれば、従来の離島航路整備法によって船を建造し、または利子補給を受けておったものは、優先をして、これをしてやるとか、——離島ですから、やはり優先をするという考え方でしょうね。
  74. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 従来からのものについては、打ち切ってしまうという意味ではないのでありまして、新規のものに対する利子補給はやめて、この抜本的な公団方式を通じて、建造、改造していけばよいのである。同じものを続けて新規に実施いたしますというと、同種の助成手段が重複するということは好ましくないというふうに考えるわけでございます。
  75. 岩間正男

    ○岩間正男君 今、松浦委員質問された目的の問題と関連するのですが、この前大臣がお見えにならないので、実は、数字をあげてお聞きしたのです。  第一に、この法案の目的を見ますというと、これは、このボロ船をとにかくできるだけなくす。民生の安定に必要な航路の維持、改善をはかる。こういうことをうたっておるのですね。  ところが、この前もらった資料によりますというと、このような現在の資金計画では、この現状の維持さえ困難だ。改善はおろか、維持さえ困難だという実情が、私は明らかになったと思うのです。といいますのは、この鋼船を見ますというと、総計が二百二十一隻、総トン数が七万トン強なんですね。大体、それを五年間で改造するというのが、この資金計画によりますというと、大体一万五千トン、こういうことになります。ところが耐用年数が、やはりこれは法定の二十年、鋼船の場合をとって考えてみるというと、どうしても七万トンの四分の一を、五年間でこれは改造しなくちゃならないということになりますと、一万七千トンですね、これは改造しなければ、維持さえ困難だということがはっきり数字で出てくるわけであります。木造船の場合なんか、もっとひどくなる。木造船の場合ですと、大体五年間に一万一千トン、これをやらなくちゃならぬ。ところがこの計画によるというと、四千三百トン。こういうことになるのでありますから、維持さえ、これは困難でなる。  そこで、法案としてうたっておるものと、この内容は、はなはだ違うのじゃないか。少くとも私は、維持改善というなら、数字的にも、その裏づけのある点は、明確にやはり頭を出すくらいの努力をしなければ、これは法案を提出する価値がないのじゃないか。こういう点が、私の一番根本的な問題なんですが、これは、ただいま松浦委員質問された目的の問題。一体、この金の出し方、どういう性格で、どういう目的を一体重要視して出すのか。この問題と関連してくるわけですけれども、こういうような、つまりはっきり数字的に見るというと、問題にならない解決だけで、そうして法案の目的だけは、大きくうたってあるというやり方は、私は、問題を解決するためには、役には立たないのじゃないかと、こう思うのですが、この点、どうお考えになりますか。
  76. 永野護

    国務大臣永野護君) 先ほども申しましたように、最初私どもは、この政府出資も、今よりはずっと多く要求しておったわけであります。それが、現実の問題といたしまして、最初の目的に比べますと、非常に不十分な点で新発足をせざるを得なかったのでございます。  従いまして、今、一応五カ年計画で、こういうふうになるということを申しましたのは、これで、全部が理想的に解決ができるということではございませんが、今、まだ全く新発足しないときに、万全なことを要求いたしまして、それが容れられなければ、一そうも造るのはやめるというような扱い方でなくて、こういう機構が必要であるということを運営で認めてもらえましたならば、漸次、この金額は増してもらえる。そうすれば、この計画の幅も広がっていくというような意味におきまして、この法案をお認め願いたい。つまり、やり得るこれが最高限の、現実の問題として最高限だということを申しているのでありますが、これで未来永劫、縛っていこうというのではないのであります。  先ほども、相澤委員が御指摘になりましたように、経常費でも、事実上非常にむずかしい。役員なんかに資格の限定をしておいて、それをあの程度の給与でできるとは、なかなか思えないのでありますが、しかし、これも前申しましたように、順次に実情に即するように、これを盛り立てていくという意味において、この法案の御賛成をお願いしているわけであります。
  77. 岩間正男

    ○岩間正男君 この法案を出すに至った動機の一番大きなものは、何ですか。大臣か、特にこの法案を出さなければならない、今国会に、そういうふうに考え、決意されるに至った一番大きな動機かあるわけですか、これは、どういうことですか、今までの過程の中で。
  78. 永野護

    国務大臣永野護君) 私、実は島根の産でございますので、こういう、いわゆる小さな島を通っております船が、実にみじめなものである。これは、非常に零細企業者の手によって運行されておりまして、自力ではできない。しかも、この表にあかっておりまするような、まったく切迫した緊迫な状態にあると認識いたしましたので、少しでも、それの改善に一歩を具体化するということが、非常に必要なことだと、こう考えまして、この法案を提出いたしたのであります。
  79. 岩間正男

    ○岩間正男君 大臣の個人的な今までの心境、そういうこともあったように聞いたのでありますが、しかし、どうですか、最近、非常に問題になりましたね。たとえば南海丸の問題、第五北川丸の問題、紫雲丸の問題、事故が続発している。当委員会でも、この問題は、今まで取り上げてきたのです。そういう中で、ほとんど、国内の公共事業に携わる船の安全性ということが非常に大きな問題になった。  こういうことは、この趣旨は、この法案の中には、この問題を解決するための一里塚だといいますか、一歩を踏み出すのだと、こういう決意は、あるのですかないのですか。
  80. 永野護

    国務大臣永野護君) 日本全体の小型船舶の船質改善ということを目標としておるのでありますから、その中には、御指摘のようなものも含んでおるわけであります。
  81. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう点から考えますと、やはり公共の安全性というものは、非常に私は問題になってくると思うのですが、現在のようなボロ船をかかえておる。しかも法定耐用年数を超過した船が半分以上もある。しかも、この前の事務当局説明では、これは税法上の耐用年数なんだ。しかもこれは、船舶所持者なんかによるというと、それは耐用年数をこえたのも使っている現状なんだ。そういうことは、現状では仕方がないのだ。公共の安全性を確保するということのためには、私は、ここで画期的なやはり船舶行政に対する基本線を打ち込むということが必要じゃないか。  しかも、資金計画を見るというと、外航船舶の場合とか、その他最近とられている今年度の予算計画の中では、ほとんど言うに足りない資金だと思うのです。先ほどから、これを貸すと、貸し倒れになる云々という話がありましたけれども、しかしこれは、国家の財政資金から見て、本年度の五千億に余るところの資金計画の中で、実に、これは微々たるものなんですね。そういう点から考えて、その公共性と、今の金融運用の面、そういうものとの関連というものについて、一体どういうふうに考えておられるのか。松浦委員も、先ほど質問されたように、公団が発足してしまって、公団がかわいくなって、公団の維持経営のために、今度は問題をすり変えていく。最初のこの法案が作られた目的が、すり変ってしまって、公団の自給自足と独立採算制というものが前面に出てきて、そうして一切の中小の中の零細企業が、これは犠牲になる、こういう形が、今後行政の中で、ずっと出てくる可能性があるのじゃないか。  しかも一方では、ケース・バイ・ケースでやっていくのだということになりますというと、この点は、私は、やはりこれは、必ずわれわれは、ケース・バイ・ケースでは、非常にそこのところに含みがあり、これから、やはりプライベートな運用というものが、そこに入ってくる可能性があると思う。  そういう点からいえば、一体公共性をどこまで貫くという覚悟で、この法案が出されたのかということが非常に重要なんですが、この点、やはり明確にしてほしいと思っているんです。
  82. 永野護

    国務大臣永野護君) 公共性の目的が、この法案の一番大きな重点であることはお説の通りであます。先ほどから申しておりますことも、公共性を貫く上にどうしたらいいかということに重点が置かれて論議されておるのでありまして、決して、公団を作りこの公団をどうしてそろばんを合わせるのが一番大切かというようなことを重点に置いて、この公団の運営をなすべきでないと考えております。ただ先ほどから繰り返し申しますのは、いろいろな状態の中で公共性をいかにむらなく、わずかな資金を広く均霑さすのにはどうしたらいいかというようなことで、それも一つの意味の公共性だと思うのであります。ある限られたるところに固まらないで、回転がついていきますと、この公共性の恩恵を受ける人がずっと広くなります。最初貸したのがそのままかりに全部固定したとそういう場合を想像いたしますと、せっかくできた公団の恩恵を受ける者が非常に片寄ってしまいます。かりに全部固定いたしたと仮定いたしますと、それの恩恵を受ける者は、最初に借りた人だけに限定するというようなことも考え得るのであります。従いまして、この回収ということをある程度考えなければならぬというのは、その受益者をなるたけ広範囲に広げたい、それがすなわち公共性を意味しておるものだと、こう考えておるのでありまして、公共性を忘れて公団本位にこれを運営するというようなことは考えておりません。
  83. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ時間がないようですから、実はこれは論議をすれば一つの国策の問題とぶつかるわけですが、現在の外航船の建造の問題なんかとも関連してやっぱり論議しなければ、私はこれらの民生安定、こういう公共性とは明確に対比できないと思います。時間がないようですから、最後にお聞きしますが、どれだけあればいいとお考えですか。現在の投融資を通じて五億、これではほとんど現状維持でさえ困難になっている、数字的にいってどれくらい一体お考えになっておりますか。この点は一つの目標がなくちゃ調達できないと思うのですが、こんな焼石に水みたいな予算のワクでことをしようとすれば、結局これはその中で回収か絶対確実だというので、先ほど松浦委員質問したような心配か出てくると思う。回収の見込みが非常にあやふやだというような場合にはそこにはいかない、しかしそういうところは必要だ、そういうところの方が実際は資金を望んでおるのだが、これは採算の問題、企業の安全性の問題からそれが第一に浮んでくると、そういう点でつぶれて、そういうところから公共性というものが破壊されてくる、こういう点が考えられるわけなんです。資金が非常に少いということから一つ法案というものが完全に実施されないという面が出てくると思うのですが、従って大臣においては一応構想を立てられて、日本の現状調査されその上に立って、大体どのくらいの資金があればいいというふうに考えるのか、こういう点についてはどうですか。
  84. 永野護

    国務大臣永野護君) 老齢旅客船を一掃いたしますために必要な資金は、百三十六億六千七百万円でございます。これによって五百十六隻を理想的に解消できる、こういう数字になります。
  85. 松浦清一

    ○松浦清一君 今大臣が最後に答弁された百三十六億六千七百万円ですね、五百何隻ですか。
  86. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 五百十六隻であります。
  87. 松浦清一

    ○松浦清一君 今の情勢で何年くらいかかる計画ですか。だんだんと老朽船は毎年ふえていくわけだけれども、今の日本の住宅と同じことで、このくらいのことでは追っつかないということになりますね。
  88. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 前回の岩間先生の御意見で、私どもも一応計画とは称し得ないものでありますけれども、お説に従いまして一応のめどを立てたのでありますが、今大臣が申し上げましたのは、船令二十年以上の鋼船、船令十年以上の木船を全部一掃いたしますると、鋼船において百三十九隻、三万三千トンばかり、十年以上の木船は三百六十七隻、一万四千トン、船令五年以上二十年未満の鋼船の二割を改造いたしますと十隻の五千三百トンばかりになりまして、合計五百十六隻、五万三千三百五十トン、こういうことになりまして、その所要資金先ほど大臣が御答弁を申し上げましたように百三十六億六千七百万円ということになるのでありまして、このうち公団が共有で持ち分といたしまして全建造費の七割、改造費の五割を持ちますと、公団の負担額といたしましては九十四億五千九百万円、こういうことになるのであります。従いまして五カ年計画でこれをやろうといたしますならば、各年度平均いたしますと約十九億程度の財政資金が必要であるということになるのでありますが、今のようなテンポでいけは何年かかるかというお尋ねでありますけれども先ほど大臣から御答弁申し上げておりますように、とにかく本年度の予算はこれを発足いたす程度のものでありまして、来年度以降は各年度の予算折衝において資金運用部資金の確保に十分の努力をいたして参りたい、こういうふうに考えておるのであります。
  89. 松浦清一

    ○松浦清一君 それから今の離島航路整備法によって船を作っておったのが、この法律がなくなって、その法律によっては船を作ることはできなくなった、これは明らかになった。それはこの法律の中に包含されてくるということだから、離島航路整備法によって船を作っておった人たちは、この法律が成立することによって離島航路整備法がなくなる、しかし、この法律によってカバーされる、こういうことになりますから被害はこうむらない、こういうことですね。
  90. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) そういうことでございます。
  91. 松浦清一

    ○松浦清一君 それからこれは第二条関係なのですが、先ほど相澤委員からも質問しておられたように、十三名以上のものは海上運送法適用されて、それから十二名までは適用されない、こういうことでなかなかこの辺のところが海上交通秩序維持のために混乱をしている向きがあるというようなのですけれども、この法案自体に関係ございませんけれども、将来海上運送の秩序を保つために、海上運送法を変えるというような御意思はございませんか。
  92. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 将来よく実情を調査いたしまして、検討さしていただきます。
  93. 松浦清一

    ○松浦清一君 それから先ほどの海運局長答弁では、資本金の二億円の利子一千四百万円で公団は運営するのだという説明、これはこの法案がみな成立をして、初年度においても一千四百万円でございますか。
  94. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 初年度につきましては、お手元に差し上げております資料で、運営事務費として一千万円、創業費百万円を見込んでおるものでございます。平年度でいきますと一千四百万円程度になるわけでありますが一六月この公団が発足するということから、大体現実の管理事務費としてその程度を見込んでおる、こういうことでございます。
  95. 松浦清一

    ○松浦清一君 創業費百万円というのはいなかへ持っていくわけではないでしょうが、東京のまん中にどこか事務所を百万円で借りて始めるのだと思うのですが、大体そのくらいで創業できるというお話ですか。こまかいことを聞いて恐縮ですが、どんなところで、どういう家を借りるのですか。
  96. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 創業費の百万円は事務所の借り入れでございませんで、初度調弁費でございまして、一千万円の運営事務費の中に事務所の借り入れ、借料が入っているのであります。どういうところに入れるかという御質問でありますが、この全体の管理費というものはきわめて窮屈であることは事実であります。先ほど来申し上げておりまするように、予算のワク内において極力冗費を節減していただいて運営するより目下のところはいたし方がない、こういうふうに考えております。
  97. 松浦清一

    ○松浦清一君 これ全体の二億円と三億円、合計五億のそれ自体は、運輸省の当初の十億円という要求をしたときのことから考えて、腹はわかりますけれども、とんでもないことだと思う。半額でやるということは、あなた方事務当局としてはこれだけしか予算がとれなかったのだから、これでやれるだけの世帯をもっていくよりほかしようがないと思っているのだろうけれども、これは全くどうにもしようがないのじゃないかと思うのです。来年は全体のその資金のワクを、ことし当初要求された計画通り十九億円大体要るのだから、その主張を強くやられるように今から腹がまえをして、大臣を督励をしてやってもらいたいと思う。これはやれるとかやれないとか、ここで議論をしてみたところで、こんなことではやれるもんかと聞く方は言うし、答える方はやれるようにする、やらなければしょうがない、それ以外に答える方も答えられないと思う。これはまことに気の毒な公団ができたものだと私は思っている。この法律を作った目的はまことにりっぱなもので、そうしてぜひやらなければならぬ法律であるにかかわらず、その事業内容たるやまことにこれは情ない、惨たんたるものであると思う。私はこの機会に、来年度の予算要求のときには、ぜひ全体を含めてことしの三倍ぐらいを要求されることを、この機会に希望をしておきます。  それから利子の七分ということがどうも得心がいかない。資料により、あるいは説明によると、相当危険な分もあるだろうから五厘ぐらいは見ておかなければならない、こういうことで、通常開発銀行の貸し出し六分五厘、ほとんど現在四千四百億も貸している中で九〇%までは六分五厘で貸している。しかも開発銀行が貸し出しの対象としているものの中では、この中小企業たる小型旅客船を持っているものは最も惨たんたる業者ではないか。開発銀行が金を貸している相手としてはね。それに対して危険があるからというので五厘よけい利子をとるということは、これはどうも得心がいかない。先ほど運輸大臣がちょっと皮肉を言いましたけれども運輸大臣だけが考えたことではないかもしれぬが、まあ損のいくものには金を出すな、そういうことではこの法律が死ぬわけですね、実際は。だから返す能力があるのに返さぬというそういうのが悪い。しかし返す能力がなくても、善意でボロ船で旅客運送をもって事業を経営してやっているというようなのには、損をしても資金調達をしてやらなければならぬ。これがこの法律の生命だと思う。もしも危険があるならば、利子の損失補償を別の方法で考えるか何とかその方法がありそうなものだと私は思う。その点については、依然として五厘の危険を見込んで七分が妥当だとお考えになりますか。これは海運局長、なかなかつらいでしょうけれども、これはかわいそうですよ、あなたはどう思いますか。
  98. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 七分といいますことは、御承知通り資金運用部資金利子が六分五厘でありますから、五厘の安全率を見込んで七分程度というふうに考えておるのでありますけれども、これは安全率を見込むということであって、管理費、事務費の方には回らないで、そういうことがなければ積み立てておく性質のものであります。御指摘の通り金利は七分よりももっと低利の方が望ましいことは申すまでもない、そのために利子補給をしたらどうかという御意見でもありましょうが、私は公団というものをここに創設いたしましたときには、政府から全額出資をいたしまする出資金を増額いたしまして、管理費を引いた残りのものが金利が下る方に回っていくということの方が適当な措置じゃないかというふうに考えまして、将来もそのような努力を続けて参りたい、こういうふうに考えております。
  99. 松浦清一

    ○松浦清一君 それは七分がどういうことになるのですかね、実際は開銀に払う利子は六分六厘、そうすると五厘は危険分ということ。開銀に七分払うわけではない。六分五厘の利子を開銀に払うわけですね。あとの五厘は、借りたものを完済していったら五厘残るわけですね。それはどこが持っているのですか、公団が持っているのですか。
  100. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) これは資金運用部資金の融資を仰ぐわけであります。開発銀行ではございませんで、資金運用部の方へは六分五厘の支払金利は払うわけであります。あとの五厘は残っていって公団の処理としては積立金で別にとっておくということであります。従いまして危険率を見込んだ五厘であり、そういう事態が起らないように運営をいたすことはもちろんでありますが、運航事業者の協力も得て貸し倒れのないように続けていきたい。先ほどから貸し倒れの問題が出ておりますけれども、私どもはそういうことも考えまして共有制度というものをとったわけであります。普通銀行から借りる融資のものとは違うのであります。公団が七〇%の持ち分を持つのでありますから、公団は船主の形になるわけであります。普通の銀行で五年、九分四厘九毛という金利を払うような、こういうような条件でこれを建改造をしていくということではないのであります。従いまして相当緩和された条件でもって、建改造を共有制度を通じて行なっていくという点につきまして、貸し倒れということが金融ベースで考えるようなものではないということを補足説明をさせていただきたい、こう考えるのであります。
  101. 松浦清一

    ○松浦清一君 それからこまかいことのようですが、なかなか二十五年以上たっている船が多いので、どれを先にやるかということについての選別の方法ですね、これはどういう方法でやりますか。
  102. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) この問題につきましても、岩間先生から御質疑がございましてお答えいたしたのでありますが、公団の運営に当りまして、業務方法書というものを作成させることにしておるのであります。その業務方法書に記載すべき事項は、運輸省令をもって定めまして、その記載事項に該当するものの出て参りました場合に、運輸大臣がこれを認可する建前にいたしております。その場合においても、業務方法書に今の問題を具体的に書いてもらうという方針をとりたいと思っておるのでありまして、その内容につきましては、大体今われわれが考えておりますところのものにつきましては、代船建造の緊急度……と申しますことは、代替を必要といたしまするところの船舶の老朽度というものが第一になるかと思うのであります。その次に、就航航路の重要性——民生安定に必要な航路とこの法案はうたっておりまするので、そういう航路の重要性、航路事情、それから事業者の適格性ということが大体検討されて、具体的な船舶の代替建造並びに改造というものを決定されるものだと、こういうふうに考えております。
  103. 松浦清一

    ○松浦清一君 そこのところがちょっと危ないな。その方法書の中でも今おっしゃられるようなことを書くことは、これはもう公団経営の面から見れば当然で、そして先ほど運輸大臣との間に問答がありましたように、できるだけ貸し倒れのないようにしようと、これは公団を運営する者の建前からいけば、また、それを監督するあなた方の建前からいけば、危険度の少いやつを選ぼうというようなことになることは、これは当然と思うのだけれども、その際の受け取り方ですね。その事業内容が非常に悪い、その人の事業内容が、方法書に書かれたところを見ると内容が悪い、あれに貸したら、ひょっとするとこの金は返らぬかもしれないと考えるわけだな、方法書を受け取ったときに。ところが、その船はもう二十五年以上もたったボロ船で、この法案の目的からいえば、すみやかに船は作りかえてやらなければいけないけれども、それを延ばしている業者というものは、どうもこの方法書で見ると貸し倒れになりそうだというやつが出てくる、そういう場合にはどうですか。
  104. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、第一に民生安定に必要な航路に就航いたしておりまする船舶の老朽度というものを第一に考えておるのであります。いろいろな要素を調和して総合判断を最終的に公団がするわけでありますけれども先ほど申し上げましたように、老朽度の度合というものがまず第一に考えられなければいかぬ、こういうふうに考えております。
  105. 松浦清一

    ○松浦清一君 まあそれでよろしいですな。  それから、この資料をあなたお持ちですか。(「修正したやつ」と呼ぶ者あり)この資料によると、五カ年計画で鋼船が八十七、木船が百十六、計二百十三隻、これが最後の決定のものですね。まあそれで私いいです。よくはないけれども、きりがないからやめておく。来年度の予算要求の際に、局長、骨が折れるだろうけれども努力をして、当初考えたような五カ年計画でボロ船を一掃するという目的を達成されるよう、そこに江藤さんもおられるので一つ与党に協力を求めて予算獲得に努力して下さい。そうしてボロ船をなくして、そうして人命財産の安全を保つように一つ御努力を願いたい、こう思います。
  106. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  107. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記をつけて。  ほかに御発言もなければ質疑は終ったものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  109. 松浦清一

    ○松浦清一君 先ほどからいろいろお尋ねをして結論的に感じられることは、結局資金調達の額が少いということ、政府の出資金が少いということ、これだけでは当初に考えておった国内旅客船の老朽船を一掃して、人命の安全保障ができないということは政府といえどもお認めにならなければならぬ厳然たる事実ということになったわけであります。だがこの法案そのものは私は賛成をいたします。しかし来年度の予算要求をされるときには、少くとも今年当初に予定されたより以上のものを要求されて、十分当初の目的が達成されるように希望いたします。これが第一。  それから第一は、第一条関係資金調達困難な者に資金調達の協力をするという建前になっておりますけれども、実際の扱いの運用の上で、金払いが悪そうな者には金が回っていかぬというなようことがあったり、あるいは自己資金でできそうだからもう二、三年たてば自分で作れるだろう、というようなことで協力しなかったりすることのないように、優先的には資金調達困難な者に協力してやるが、それからそのほかの者についても十分配慮をしてやっていただくということをお願い申し上げまして、本案に対して賛成をいたします。
  110. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は残念ながらこの法案には賛成できない、反対します。  と言いますのは、私の質問の中で明らかにしたのでありますが、少くとも法案を出す、そうしてこれを新しい施策に乗せる、こういう含みをもって出される法案については、少くともその裏づけをやる必要があると思う。ところがこの法案で見ますと、大体二十年以上の耐用年数のたった鋼鉄船並びに木造船が非常に多い、それを今解消する、さらにそういう老朽船をなくす、こういう目的からいいますと、少くともこの中で、五カ年計画で鉄鋼船の場合には一万八千トン作りかえなければならない、ところがそれがその計画では一万五千トン、それから木造船の場合には一万一千トンくらいの建造がえをしなければならないのにわずかに四千三百トンとなっております。従って法案の維持改善という目標には実態が沿わない、そういう形で名目だけは公共の安全性を守り、そうして航路の維持改善をするのだと言っておりますが、予算の面で全くそれは果されていない、こういう形で私は法案というものを出されるべきじゃなくて、少くともこれはうたっている目的をある程度実現するだけの裏づけのある予算的措置をつけて法案が出されなければ、われわれ立法府におけるこれは責任を全うするということにはいかないと思うのです。そういう点ではこれは典型的な法案であり、もう一ぺんこれは撤回して、そういう問題を徹底的に私は改善していくべきじゃないか。大体この法案が出された目的からいいますと、先ほども大胆の説明がありましたが、国内の航路の健全性、そういうものを維持するのだということもありますが、もう一つ大きな問題になったのは数々の遭難事件であります。第二北川丸の問題、南海丸の問題、紫雲丸の問題、連年この問題が跡を断たない現状であります。これは何かというと、法定耐用年数を割った船が過半に達しておる。この問題を徹底的にここで解決しない限りは人命の安全というものを保全することはできない。ところが、それにこの問題ははっきり対峙して突っ込むという形でなくて、とにかく公団は発足させよう、不完全だけれども、予算不足の中で発足させて、それから先へいって充足するのだと、こういうことを言われておりますが、こういう形では私ははっきりこの問題と対決することにはならないので、従って非常に私はこういうようなやり方には不満であります。第一、予算が足りないので、結局先ほどからの質問で尽されたように、公団の安全性ということが最初に立ってくるのであります。公団の運営は独立採算制を何とか維持するということが、公団が発足してしまうと、それが第一の目標になりそうです。しかも経営者のごときを見ますと、二億の政府投資の利子一千四百万円で充てるということになりますと、その運営も、公団自身の運営の面からいいましても、絶対これは危険な投資はできない。危険な投資を望むわけじゃないのだけれども、しかしほんとうの政治からいえば、これはある程度の国家のこれに対する保障があって人命の安全というものをはかるというのが、少くともこの法案の目的でなくちゃならないのですけれども、公団が非常に貧しい絶対不足の資金で発足するために、結局自己の保全のためにまず第一に考慮しなけりゃならないというようなことで、実際その運営の面でいろいろな問題が起ってくると思います。これは時間の関係から尽しませんけれども、とにかくほしいのは、むしろ採算のとれないようなボロ船をかかえているところなのです。これもまたほんとうに早く建造しなきゃならない。ところがそこにはほとんどおそらく金は回らないで、中小企業の中でも大きな採算のとれる、回収の十分見込みのある、そういうところに優先的に出される。そうすると選別融資ということになりますけれども資金の総額におきまして約九十四億も要るというところにわずかに五億です。五%です。五%しかない、資金量で。これを結局選別融資をやるということになりますと、当然これは安全性ということが第一になる。そうでないというような説明がありますけれども、それなら、そうでないという保証がはっきりあるかどうか。そういうような点で何らこれは措置がなされていない。こういう点から考えまして、この法案にはまことに名目はりっぱに書かれておりますけれども、しかしほんとうに現状に合わない。私はこういう点でこのような不完全な形の、いわば半産みたいな法案をたくさん出してきて、これでもって何か、とにかく一応問題に手をつけたのだということをやっていったならば、やはり政治の進展はあり得ないと思う。そういう点から私はこの法案に残念ながら賛成することができないのです。
  111. 江藤智

    ○江藤智君 私はこの法案に賛成をします。しかし審議の過程で明らかになりましたように、資金の面において目的を達成するには相当に不十分な点が明らかになっておりますので、来年度以降におきまして資金あるいは融資の面において、さらに格段の一つ御努力をされることを政府に要望いたします。なお問題となりました信用程度の低い業者に対して、融資が実際問題として行われなくなるのではないかというような面におきましては、これは私見でございますが、中小企業に対して保証をしているような、そういうような考え方政府出資金のようなもので、そういう保証金を積み立てて、そして利子やなんかはやはり開銀の外航船舶に対する融資と同じ率に、できるだけ持っていくというような方法について、さらに一つ真剣な御検討を願いたいと思います。残念ながらただいま同僚の岩間委員は、十分でないから賛成できないというお話でございましたけれども、しかし不十分であっても、少くとも二方六千トンという船はこの原案においても新造あるいは改造できるのでございますから、そういう意味におきまして私はこの法案はぜひとも成立させたい、ただいまのような貧弱な離島航路の船を少しでもよくしたい、こういう意味におきまして賛成をするものであります。
  112. 相澤重明

    相澤重明君 私は原則的に不十分であるこの法案については、もっと政府も努力してもらいたいというまず要望を申し上げます。先ほど松浦委員から御指摘がありましたように、今後努力をするということで、今まで人命が多数失われた苦い経験をなくする、そして中小企業のこれらの人たちに、安定した業務運営をさせるというような面で、今江藤委員からも御指摘がありましたように、私どもは十分この点を政府考えてもらうということで、附帯決議をつけて私どもは賛成をいたしたいと思います。委員長から附帯決議の内容について御了解が得られるならば朗読をさせていただいて採決に入っていただきたい、こう思うのです。
  113. 大倉精一

    委員長大倉精一君) どうぞ。
  114. 相澤重明

    相澤重明君 よろしいですか。    国内旅客船公団法案に対する附帯決議案   政府は国内旅客船の整備を促進し且つ海上旅客運送事業の発展を図るため速に左の措置を講ずべきである。   一、国内旅客船公団に対する政府出資金を増額すること。なお資金運用部資金の融資を十分に確保するとともに外航船舶建造に対する利子との均衡を考慮して船舶使用料を定むること。   二、海上旅客運送事業の健全な発展を期するため    1 航路補助金の増額を図ること。    2 海上旅客運送事業実態にかんがみ、事業税、固定資産税等の軽減を図ること。    3 船員の福利厚生施設整備を図るよう指導すること。  以上の附帯決議によって賛成をいたしたいと思います。
  115. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ほかに御意見もなければ討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 御異議ないものと認めます。   ━━━━━━━━━━━━━
  117. 大倉精一

    委員長大倉精一君) この際、委員の異動について報告いたします。  野田俊作君、酒井利雄君、西田隆男君、森田義衞君が辞任され、補欠として高橋進太郎君、山本利壽君、近藤鶴代君、苫米地英俊君が選任せられました。   ━━━━━━━━━━━━━
  118. 大倉精一

    委員長大倉精一君) それではこれより採決いたします。  国内旅客船公団法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  119. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 多数でございます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に討論中述べました相澤君提出の附帯決議案を議題といたします血  相灘君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  120. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 多数と認めます。よって相澤君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。  ただいまの附帯決議に対し、政府当局から発言を求められております。これを許します。
  122. 中馬辰猪

    政府委員中馬辰猪君) ただいま国内旅客船公団法案につきまして本決議が採択されましたが、政府といたしましては、老朽旅客船の早期一掃と、本公団の業務の円滑化のため政府出資金を増額しますとともに、今後の資金運用部資金の融資を十分に確保できますよう、またその他の点につきましても関係当局と協議の上、御決議の趣旨に沿って努力いたしたいと存じます。   ━━━━━━━━━━━━━
  123. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 次に、特定港湾施設整備特別措置法案議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  124. 相澤重明

    相澤重明君 この特定港湾施設整備特別措置法案については、私どもも賛成をいたすものでありますが、特に私はお尋ねをしておかなきゃならぬのは、資金計画が私はやはり十分とは認められない。しかも前回も御質問で申し上げたんですが、地方自治団体のやはり債務行為というものが非常にこの中にふえておる。将来この形のままでいくとこの融資を受けた利払いだけでも地方自治団体は相当な苦労をしなきゃならぬということが考えられるわけです。従ってまず利子をできるだけ低くしてもらうことと、いま一つは国の資金を多く今後出せるのかどうか、こういう点を政府として積極的に措置がとれるかどうかお尋ねをいたしておきたいと思います。
  125. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) お尋ねになりました政府資金の点でございますが、この点につきましては、この前の当委員会で江藤先生からも御質疑がございましたように、この特別会計によりまして、重要なる港湾施設を急速に整備するということにつきまして、この財源置措といたしまして、国家、政府資金と地方の起債また預金部資金からの借入金を財源とするわけでございますが、今回の措置につきましては港湾法によりまして、負担率を決定いたしておりますのを適用いたしまして、負担を国及び地方団体が負担をする建前になっておりまして、一部特別利用料という形で工事の財源に充てるという形になっておるわけでございます。この特別措置によりまして、昨年の三十三年度に比較いたしまして新しく今回この特別会計が設定されまして、そのために従来の港湾公共事業費が約五〇%増額を見ておるわけでございます。しかしお話のようにこの特別会計の事業量といたしましては、大体四年程度を予定いたしておりますが、お話のように地方負担等の点は相当苦しくなってくるのではないかと思いますので、この前申し上げましたように、今後地方負担の軽減、国庫負担の増額等につきまして、一そうの努力を払いまして、この計画が一そう円満に遂行できるように進めていきたいというふうに考えている次第でございます。
  126. 相澤重明

    相澤重明君 で、この荷役機械あるいはこの岸壁の建設等については、少くともこういう特定港湾施設整備を促進する、そうして外貨の獲得も多く行うということが目的になるわけですから、そういう面からいくと、今の形ではやはり非常に私は不十分じゃないかと、こういう点があるわけですが、これらの施設等について、政府はさらに積極的に施設等を政府の仕事としてやる考えがあるのか、それともやはりそういうところまでなかなかいかぬから、地方自治体にできるだけまかせると、こういう考え方なのか、どうもこの中で考えられることは、非常にこの整備をすると言っているけれども、今言った限定四カ年の時限立法でありますから、そういう点からみると不十分なように私思えるのですが、政府考え方はどうなのか、お答えをいただきたいと思います。
  127. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) お話のように、港湾を立体的に利用いたしますために、岸壁、防波堤、航路泊地等の基本的な施設とあわせまして、港湾の機能的な設備すなわち道路、鉄道、上屋、それから荷役機械等も、これは同時に施行しなければならぬわけであります。今回の措置といたしまして、私どもは当初荷役機械等も、総合計画といたしましてこれを樹立いたしまして、それに対する国庫負担を要求をいたしたわけでございますが、国家財政上の都合もございまして、今回ではこれを従来の港湾通り、地方の負担でまかなうということになっております。ただその場合に地方の起債事業といたしましても、これを受託行為といたしまして、仕事は基本施設と同時に国が直轄事業で行いまして、港湾の全体的な施設を完備するというふうに考えている次第でございます。
  128. 相澤重明

    相澤重明君 ですから今あなたも御説明になったように、仕事は国がやるのだ、しかしその資金は地方に融資をしてやって、その融資で国が仕事をやるのだと、こういうことなんですね。だから実際の港湾施設を、ほんとうに国が国策としてやるということになると、全部これは国でもってやるなら、これはまあいいわけだ。ところがそうではなくて、地方自治体に金がない、金がないから政府が融資をしておいてやるぞ、しかしその仕事は国がやるんですよということで、実際は地方は金は借りたわ、仕事は国でやってもらうけれども利子は元利ともに払っていかなくちゃならぬ、こういうところに地方自治体の非常に苦しいところが私はあると思う。そういう点を将来はなくするように努力してもらえるかどうか、この点を一つ運輸大臣から御答弁いただきたいと思います。
  129. 永野護

    国務大臣永野護君) 理想といたしましては、相灘委員の御指摘の通りが望ましいのであります。現実問題といたしますると、国の財政運営の上から申しまして、とりあえず地方自治体にやらせて、少くも帳簿上国の負担にはならないというような施設をしたわけであります。これは実は施設の面から申しますると、相澤委員の御指摘の通りでありますけれども、こういう完備した施設ができますと、いろんな意味においてその地方自治体が繁栄いたしまするので、地方自治体の収益は、一面において負担はいたしますけれども、他面において地方自治体の負担能力を増すいろいろな事業が起きてきますことによりまして、借金をしょうのでありますけれども、しかしそれにはいろいろな使用料も取れますし、またその港自体の繁栄から地方自治体の財政能力を増すというような利益もございまするので、とりあえずはこういう仕組みでやっていこうと、決してこれを相澤委員の御指摘のような点がないと言うのではございません、望ましい姿は、今相澤委員のおっしゃる通りでありますけれども、現実問題としては、この程度のことで一つお認めを願いたい、こういうことでございます。
  130. 相澤重明

    相澤重明君 そこで今も大臣がはしなくもお答えになった中にあるように、特別使用料、利用料を徴収するということなんですね。これは少くとも国が積極的にやるというのに、業者から使用料を特別に徴収して、さらに負担をかけていくというようなことは、これはもう私はなくさなければいかぬではないか。そういうことと、いま一つ同じ徴収する場合でも、既設のものと新設のものとどうするのか、これは実際問題として甲乙はつけがたいというような点から考えてくると、この政府の御提案趣旨と、この現実にやろうとしていることとは矛盾するのではないか。こういう点で今大臣お話がありましたけれども、将来はこれをできるだけなくそうとするのか、つまり十分政府資金の中でまかなうように努力をされるのか、それとも、いやこれは金が足りないのだからやむを得ずこういうことを強行していくのだ、今後もその通りなのだ、こういうお考えなのか、この点一つ大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  131. 永野護

    国務大臣永野護君) 先ほども申し上げましたように、理想案としては、こういう国の産業に重大な関係のある特別のものでございますから、政府が全額負担してやってやるのが理想だと存じます。しかし一面において、国の財政計画の上に限度かありますのが一点、もう一点は、これらの産業はみんな具体的に施設の恩恵を受けますので、ある程度の使用料を払いましても、この施設がないよりは利益を受けるという点もございますので、両々見合いましてこの程度の案でも必ずしも実情に即しないとはいえない。ただし、理想案でないことは一番最初に申し上げた通りであります。
  132. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、少くとも政府は、今後は今の提案趣旨からいっても、国の費用でそういうものは促進をしていかなければならないということは、お考えをいただいたと思いますが、さらに、管理者の問題でありますが、港湾管理者として、国が仕事をするからすべて国が今度は管理権というものを持つのだ、地方自治体の今までの長い間の経緯、あるいは投資をしたこと、すべてもう運輸大臣が管理権も握ってしまうのだ、こういうふうにお考えになっておるのか。それとも、これはこの法律提案趣旨にあるように、とにかく緊急整備をして、そして外貨獲得をするのが主たる目的であって、地方自治体にできるだけのやはりそういう事業が盛んになることを望むということであるので、地方自治体の意見というものがこの中に十分盛られるのだと、こう考えていいのか。管理権の問題について、運輸大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  133. 永野護

    国務大臣永野護君) 港湾の管理権の問題は、港湾行政一元化のときにも大きく取り上げられた問題であります。先般の閣議の席でこの点私は特に発言いたしまして、行政管理庁長官以下の意見を求めたのでありますが、港湾行政がどうなりましても、従来の自治体の管理権には一切傷つけないということ、工事をするのは国が直轄でやりますけれども、できたものはそれは自治体か管理していく、こういうふうにはっきりと意見がまとまりましたから、そのように御返事を申し上げておきます。
  134. 相澤重明

    相澤重明君 それは大へんけっこうです。  そこで最後に私書口だけ、これは要望も含んで大臣にお考え願いたいと思うのでありますが、今の港湾で出入船舶からとるトン税の問題であります。これは大蔵委員会、決算委員会で、それぞれ私いつも申し上げておることでありますが、一回、運輸委員会でもこの前大臣に御質問申し上げたのですが、国全体から見るとトン税は五億そこそこなんです、国全体から見れば。しかもこの法律案提案をするときに、大蔵委員会においては、今政府法律案を出すのだから、今すくここで出したときに修正をされては困るぞ、従って、これはいま少したってまあ何とか善処をしたい、こういうのがその当時の大蔵委員会の話だった。そこで、国全体から見れば五億かそこらですが、これが地方自治体に、港に、たとえば収入を地方自治体に移管をするということになれば、これは非常に大きな役割をするわけです。そういう点で、一つ運輸大臣は、大蔵大臣等とお話をして、将来トン税をいわゆる地方に還元をする、いわゆる地方に譲与税として出すお考えがあるかどうか。これはまあ国の予算の中からいけば、大蔵大臣はどうも自分の方でできるだけとっておきたいから反対するだろうと思うのですが、しかし、これは港の管理権というものが、今大臣のおっしゃったように、地方自治にまかせるということになれば、地方自治体でもできるだけ港には力を入れうると思う。そういう面で非常に大きなやはり資金源ということになりますから、大臣のお考え一つお尋ねしておきたいと思います。
  135. 永野護

    国務大臣永野護君) 先ほども申しましたように、港湾の管理権は将来とも地方自治体にまかすという基本原則がきまりました以上、今御指摘のトン税の問題も、これは自治体に渡すのが筋が通ると思います。しかし今相澤委員も御指摘の通り、大蔵省なかなかそう簡単にはこれは放さないと思います。しかし運輸省といたしましては、できるだけ御主張のような線に沿うて努力をしていく決心でございます。
  136. 岩間正男

    ○岩間正男君 この際二、三点大臣にただしておきたいのですが。  この法案を見ますと、産業基盤の拡大、これと関連して特殊、特定港湾強化する、こういう工合になっていると思います。しかしこの計画を見ますと、ほとんどこれは表日本——大阪、神戸、そういうようなところを初めとして表日本だけの港になっておりますが、これは立案のときに、裏日本のとにかく対中国との貿易というものは、将来非常にやはり関連か出てくると思うのだが、こういう問題についてどれだけの考慮を払ったのか。どうもこの法案を見るとそういう形になっておるので、これはやはり長期安定した今後の日本の貿易計画の面からいうと、その点非常に片手落になっておる。その結果はいわゆる自由主義国家群というものに日本をはっきり結びつけてしまう。こういうふうな偏向が出てくるのじゃないか、この点心配するのですが、この点についてどういうような考慮を払われたかお聞きしたい。
  137. 永野護

    国務大臣永野護君) この特別会計でやります工事は、現在ただいまの日本の現状を前提として立案いたしたのであります。将来ソ連または中共との貿易関係あるいは通商関係が大きく動きますときには、そのときの実情に即した案をまた考えなければならぬかもしれませんけれども、今日のただいまの実情では、大体において御指摘の通り、東海岸の港湾にこういう特に国が施設をしなければならない産業が集中いたしておりまするので、現在の実情に即して考えますと、こういうような分布になるのであります。しかし裏日本の方は全然何にも考えないというのではないのでありまして、これは一般会計の方で、日本全体の他の地方の港湾と同様に公平に改良工事をやっていきたい、こう考えております。
  138. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは現在政府のとっておる方針と関係があることで、ここでは、論議をすれば長くなりますから、あまりやりませんけれども、たとえば鉄鉱石一つとってみても、これは日本の将来の基幹産業の中でずいぶんこの問題は考慮されなくちゃならない問題だと思うのであります。しかしこれは現在の政府の、特にまあ最近社会党の訪中使節団が参りましてそれとの関連で、今国会で論議されている問題なんですが、この点については、その場になって、対中国貿易というものが打開されてからあわてることなく、この問題はどうしても打開せざるを得ない問題ですから、これは今から準備を整えておくことが必要な段階じゃないかというふうに考えるのですが、この点全然裏日本については考慮しないわけじゃないが、幾分手を当てておるという話でありますけれども、とにかく資金量から見たって、今度の特定港湾のようなものとはまるで性格が違うと思う。こういう点について先の見通しというものをも考慮して何か案を持っておられるのか。それから立案に対してこの点について一体どういうような論議をなされたのか、この点伺っておきたい。
  139. 永野護

    国務大臣永野護君) ただいま岩間委員の御指摘になりました、たとえばとおっしゃった鉄鉱石なんかの問題について申し上げますと、鉄鉱石は製鉄所がなければそこに持って上っても仕方がないのであります。従いまして鉄鉱石、たとえば鉱石専用船などというものを使う場合を予想いたしましても、それは製鉄所の岸壁にこれを着けるということが絶対条件になるのでございますから、将来ソ連とか中共から非常に有利な鉄鉱石が入るということを前提として、東日本の製鉄所で間に合わない部分を裏日本の海岸にこれを設立するというような客観的な条件が熟したときには、北日本側にも鉄鉱専用の埠頭を作るというような必要が起るかもしれませんけれども、今日のところでは、北日本側に大規模の製鉄所を作るということは考えられておらないのであります。従いましてその専用埠頭を作るというようなことは、今のところは考えなくてもいいのではないか、東日本側の鉄鉱専用船を受け入れる埠頭を作ることによって十分間に合う、こう考えておるのであります。
  140. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは私も二、三年前からやはり対中国貿易の構想の中にこういうものを一体入れるのか、入れないのか。こういう点で、やはり港湾施設などの仕方が非常に違うのじゃないかということについて意見を質して参ったのでありますか、ほとんど今までは従来の限られた通商の中で対策をや石、こういうことで、この問題が全体としての長期かつ安定した市場を確保するという、こういう観点からは施策か進められていないのじゃないかと思うのです。それで今度の法案を見ますと、ことに鉄鉱石、石炭、石油というような、いわば非常に独占的な物資、こういうものが中心になるその港を強化するということになっておるのですか、こういう形から、こういう強化によりまして、今後やはり対中国的な貿易がもう一方に非常にゆがめられて、そこにはっきりした一つの何といいますか実績が出てしまうと、なかなかやりにくくなる。そういう点については、これは出てくると思うのですが、考慮されたかどうか。この点どうですか。
  141. 永野護

    国務大臣永野護君) 今われわれが目途としております鉄鉱石、石油、石炭というものは、基幹産業のほんとうの米の飯に当るものでありまして、これのコストが下ることが、日本の輸出貿易を振興する一番基盤となるコスト・ダウンにサービスすることができるのであります。従いまして、中国の問題に対する扱い方がどうなりましょうとも、日本の輸出製品のコストを一般的に下げていくということはやらなければならないことでありますから、日本の輸出産業を進展させますための基本的条件であります生産コストのコスト・ダウンということに重点を置いて考えてみますると、港湾施設は今あげましたような諸港に集中せざるを得ないという結果になるのでございます。
  142. 岩間正男

    ○岩間正男君 コスト・ダウンの問題が当然問題になれば、私は対中国の貿易をこれは徹底的に打開するために積極施策をとる方がもっと手っ取り早いと思う。私は今資料を持っておらないが、これは明白だと思う、とにかく運賃もほとんど二倍以上になっておる、こういうことのために、これは非常にコスト高になっておるこういう点を解消すれば現在のつまりコスト高のやつを大きく転換することができると私は思う。これは今資料がありませんから、資料の数字をあげることはできませんが、ところがそういう問題を二方で御承知のように、はぐらかしておいて一方でこのような国家資金相当投入し、それから地方財政のこれは裏づけ、さらにある意味においてはそれらの犠牲によると思うが、こういうものによって、そしてコスト・ダウンをはかるのだと、こういう点で現状やむを得ないということで、実際は一つの既成事実の上に立って、そこだけで政策の転換が行われない、このことについて一つの非常に大きな問題があると私は考えるのですが、この点はどうですか。
  143. 永野護

    国務大臣永野護君) 鉄鋼原料の供給源として中国をどう考えるかということは、いろいろな観点から考えていかなければならないのでありますが、私見を申し上げますと、中国はきわめて近い将来に鉄鋼原料のむしろ輸入国になると思います。六億五千万の人間の鉄の消費量が今のカーブで進んで参りましたならば、今も言われております、たとえば海南島の鉄鉱などというものは全く一瞬にして使いきる程度のものだと思います。今までの中国に全く高級な生産設備のないときに、鉄鋼材料の供給源として見た鉄鉱石または粘結炭というようなものは、中国の産業が今のスピードで進んで参りますと、逆に今の現在考えられておりまする鉄鋼の供給源のごときは実に微々たるものになります。これは私の私見でありますけれども、東洋——中国、日本を加えましておそらく鉄鉱源の供給地はインドになると私はそう考えておるのであります。インドの埋蔵量はこれらはけた外れに大きいのであります。南米ならべェネゼェラ地方だと思います。従いましてとかく言われまする中国の粘結炭や、海南島の鉄鉱石を、日本の鉄鋼国策をきめるときの資料として考えることは実情に沿わないと私はこう考えております。それはすべてシナが植民地経済であって自立の生産工業を作ることを許されなかった時代の数字だと私はこう考えております。
  144. 岩間正男

    ○岩間正男君 この点は資料をつき合わしてやらなければならないのですが、ここでの論議は一応やめておきますけれども、その後の開発の問題もありますから、そういうものを含めて現状の中国をはっきり把握されるという努力がされて、その上に立ってのこれは御意見かどうか、私は非常にその点は危ぶむわけです。いずれこの点は現実は現実ですから、はっきりやはり検討して、これは他日の論議にしたいと思いますが、とにかく現状から見ましても船賃が大部分だと思います。これは御承知のように石炭も鉄鉱もこういうような中でわざわざ遠い所から二倍以上の船賃を払って輸入している。そうして日本の生産コストを下げるその下げるしわがどこに行っているかというと、やはり国家財政から公共事業費の名で支出しなければならない。それに足りない、当然それに対して地方財政が、これは地方も利益を受けるのだから当然これについて見なければならないという形で実は行われておる。ここに私は非常にやはり問題があると思うのです。この点につきまして、こういうやり方はなるほどこれによって独占資本の進めておる現在の、つまり貿易をなんとか生産のコストを低くして、そしてまあ南方に進出する、こういうような最近の取られている方策は進めることはできる。しかしその影響するところは非常に私は大きいと思うのです。これはしかし論議だからここでやめておきます。  第二にお聞きしたいのは地方財政との関連です。相灘委員からも今質問があったのですが、これはどうなのでしょうか。たとえば今年度の地方財政を見ますと、これは大体一番大きな問題になっているのは、今までこれは概略の数字ですが四七%交付税交付金で出しておる。そして仕事をさせているのは七〇%以上だというのです、国家の仕事が。こういう格好です。あとの二十何パーセントだけが地方財政でまかなっている。その一バック・アップをしているという形です。地方財政はそういう意味では国家財政との関係では非常に収奪関係になってきている。そういう中で今年度は交付税を二百五、六十億円出す。しかし公共事業その他の形で四百億以上の仕事が地方にこれは転嫁されていると思うのです。そういう中でまたこれが地方の一つの大きなウエイトを占めているわけです。地方のこれに対するバック・アップは非常に大きくなるわけです。こういう点で地方も利益を受けるからと言うのですが、しかし地方公共団体の立場ではこのようないわば独占資本に直接つながるようなこの鉄鉱、石炭、石油そういうような特殊港湾は、そういうものを地方財政の負担により行うということについて、必ずしも私はこれは同調していない面があるのではないかと思う。従ってこの立案をされるに当って大体そういう関係者から意見を徴されたかどうか。それから今後やはりこれについて徴する必要があると思うのですけれども、こういう点について手段を尽されたかどうか。この点は地方財政の行き詰りと関連して今年はもっと深刻な問題になってくる。その中でこういうような膨大な地方財政のしわ寄せというものは軽々しく見逃すことはでない。しかもこの対象は全くこれは独占的な物資です。これは特殊港湾です。そういうものが地方財政の一般の支出によって賄われていいものかどうか。これは全く私は現在の国家の財政経済政策そのものの性格がはっきりこういう形で出ている、こういう、ふうに思うのですが、従ってこれは永野運輸行政の中で私は一つの重要な。ポイントを占めている法案である、こういうふうに考えるのですが、どうですか。
  145. 永野護

    国務大臣永野護君) 先ほどから申しますように、こういう施設は地方の産業開発のために非常に貢献するところが多いと思います。従いまして財政負担をいたしましても、その負担によって生ずる圧力よりも、それを作ることによって地方の潤う方がはるかに多いと思います。ことに今業者がその半分、五割ずつ負担しておりまして、残りの五割を国と地方とが二割五分ずつ負担するというのでありますけれども、それに対してもはっきりした償還の見込みもついているのでありまして、この港湾計画を立てましたときに、地方管理者とは十分打ち合せをしております。むしろ私どもが直接触れました間でも、その施設をもらう候補地として奪い合いでありまして、現在、地方の負担、つまり地方がいやがっているものを国がこの施設をするということはございません。非常に地方財政のためにもプラスになると私は感じております。
  146. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも今の問題、これは大臣と必ずしもわれわれどうも一致をしないわけです。ですから地方自治体の関係者とか、地方における受益者、それから地方住民とかいろいろの立場から意見を聴取することが必要だと思いますが、この法案は上げてしまうのですか。公聴会でも開く必要があると思うのですが、この法案は非常に性格からいって重要なんです。どうですか、その余裕はありますか。私は必ずしもそうじゃないと思うのです。永野さんの会っている業者は、そういう人はきっとおそらくありがたい、待っていたと言うでしょう。しかし地方住民は、われわれ地方を歩いてきたけれども、今声がかれているのはそのためですが、そういう声は、ずっと歩いてきますと、やはり耳にします、運輸委員としまして。そういう点で地方財政は全く行き詰っている。そういう中でたとえば広畑なら広畑を見ましたが、あそこの港をこれ以上大きくする、二万トン級の船を入れる、こういうことになりますと、地方住民は広畑の港に行って何を感ずるか。あそこで自分たちの税金が投入されている。何分の一ですか、四分の一ぐらいの税金が投入されている。その利益は一体どこにいくのか。全部会社があそこで操業をやってそれがどんと輸出されて、間接的には幾分地方財政には戻ってきましょう。しかし果して投資した分だけのものは帰ってきているかどうか、地方の住民から考えるとそういうふうにはいかない、必ず広畑のなにをやっている経営者はあなたの言われる通り言うにきまっています。しかし政治というものはそういうわけにはいかない、そういう大きなとにかく受益者だけを対象にするわけにいかない。やはり大衆の問題です。大衆が果して今の芳しい中でこういうあれを感ずるか、こういう点について一体もう少し、あなたたちのいわば仲間同士のそういう話だけであって、いつでも私はあなたと対決するとそうなるけれども、この前の私鉄運賃の値上げのときもそうなんだけれども、もう少しやはり国民大衆の気持について、どういう問題をお考えになったか。やはりこの法案はこういう点では最も典型的な、三十四年度の財政投融資をとにかく千二百億ふやす、財政計画を一千億ふやす、そうして産業基盤強化資金から何から予備金から全部つぎ込んで財政金融をふやして、そのほとんどを投資の現状を見ると大きく基幹産業にぶち込んでいく、こういう態勢の中で私はやはり歩いてきて、国民が非常に疑問を持っておるのでございます。こういう点、どうです。
  147. 永野護

    国務大臣永野護君) 遺憾ながら君間委員と非常に観測が違うのであります。私は、これらの企業が、しかも一応直接には大企業が便益を受けたように見えますけれども、しかし、その大企業は数人の重役なる春の企業ではございませんので、数万人の従業員が、その会社が盛んになればベース・アップもできるでしょうし、生活も非常に楽になれば、いろいろなそれの関係商人もみんな潤ってくる。その会社が参りますと、従業員ばかりでありません。その会社によって生活しておりまする多数の中小企業もみんな一緒にいけなくなってしまうのでありますから、まず根元をしっかりさしておいて、そうして従業員、あるいは各種の中小企業を初め、その地域の住民が恩恵を受けることは、これは確かであります。従いまして、結局少数の独占企業者の利益のためにこういう計画をいたしたのではございません。広く大衆の生活水準の向上ということがこの投資の結果から起る、こう私どもは観測しておるのであります。
  148. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは議論をやると時間がうんとかかるからやめましょう。大体その点、地方の人たちなんかの意見をもっと率直に聞いて、端的にどう見ているか。とにかく、現在のやり方、ことに強化されているこの投資計画なり、そういう点で率直に意見を聞かれる必要があると思う。とにかく、私が寒風の中を歩いてきた感じでは、ずいぶん違っていますね。その点感想だけ述べて質問は終っておきます。
  149. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記をやめて。    〔速記中止
  150. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記をつけて。  別に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  152. 相澤重明

    相澤重明君 私どもは、この法律案については原則的に賛成をいたします。ただし、質疑の過程で明らかになったように、政府の国策として重要港湾に対する緊急整備を行うのでありますから、もっと地方自治体の資金というものについても十分配慮があってしかるべきだ。  それから、先ほども岩間委員からも指摘のありましたように、本来ならば、多くの人の意見を聞くということは大事なことであります。しかし、要は非常に地方自治体で希望をいたしておる問題でありますから、予算に関係もありますので、この際私どもは賛成をいたしておきたいと思うのです。  それと次に、先ほど大臣の御答弁をいただいたので、間違いは私はないと確信をいたしますが、港湾の管理権については、これはやはり地方自治体の主体性、これはあくまでも一つ運輸省は堅持し、また政府もその通りやってもらいたい。それから、できるだけ資金の問題については、これを政府が支出をするように今後努力をしていただきたい。これは要望を申し上げたわけですが、さらに大蔵省との関連もありますが、とん税等の問題についても、地方譲与税としてできるだけ早い機会に還元できるように政府の努力を要望したいと思います。  以上のような点をもちまして、私は附帯決議をつけて本法案に賛成をしたい。委員長の御了解をいただければ、附帯決議案を読ましていただきたいと思います。
  153. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 内容を朗読願います。
  154. 相澤重明

    相澤重明君 朗読します。   特定港湾整備特別措置法案に対する附帯決議案  本法案の目的を達成するためには港湾の機能が最高度に発揮されるよう諸施設の均衡ある整備が必要である。又不特定多数の利用者より徴収する特別利用料の如きは港湾運営の面から再考を要すると認められる。よって政府は左記事項につき至急検討を加え善処すべきである。  一、上屋、荷役機械、埠頭用地等を本法案の対象施設とすること  二、特別利用料徴収に関して再検討を為すこと  以上です。
  155. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、残念ながらこの法律案に、先ほど質問で尽したような意向から反対します。  御承知のように、日本の貿易は、昨年度最初の予定を下回りまして、非常に赤字を出しております。そういう原因の中には、中国との貿易第四次協定が実施に移されなかった、これだけでも、一億ドル以上の赤字になっているのであります。従って、長期安定した市場を求める、そうして、それにのっとったところの政策をはっきり立てるということが、少くとも今の国策の中では、重要な、しかも国民の要求であり、また世界の平和共存の向に、はっきり政策を変えていくという中で必要だと思う、ところが、この法案は、今年度、膨大な財政投融資、さらにまた、財政投資によりまして、公共事業の名によりまして一膨大な増額をしておる。そうして、しかもこのような石炭、石油、鉄鋼というような大独占資本の利益に奉仕するような形で、これは強化された。しかも地方財政が、このために非常にやはり圧迫を受けておる。国家財政と地方財政のいわば犠牲によって、これが強化されておる。それで生産のコストを下げて東南アジアを中心とする市場に貿易を拡大するのだというのが、岸内閣の現在の構想になっておるようでありますけれども、私たちは、このような方策が、果して一体、日本の将来を考えるときに望ましいかどうか、疑問なきを得ない。特に、安保条約改定との関連の中で行われておる一連の岸内閣の現在の政策と、この問題は、やはり関連さして考えざるを得ないのであります。  こういう点から考えまして、実にこの法案は、いろいろな問題をはらんでおります。われわれとしては、やはりあくまでも平和共存の方向に日本の政策を憂えて、対中共との貿易を拡大する、そうして即刻、これを打開するために、積極的な努力をする、これは今、国民のあらゆる層の要望になっておりますし、そういう点に立って、日本の態勢を大きく平和と平等の貿易に変えていく、そういう中に立つならば、このような一つの独占資本擁護的な政策をとらなくても、ほんとうに国民の利益を増すことができる。こういう観点から、この法案は全く今年度の財政計画の政策の一つの具体的な現われとして、私たちは賛成することができない。  以上をもちまして、共産党としましては、この法案に残念ながら反対の意を表します。
  156. 江藤智

    ○江藤智君 私は、この法案に賛成をいたします。  特に、来年度の港湾予算につきましては、特別会計及び一般会計を含めまして、今年度よりも七〇数%の増加をみるわけでございまして、これは全予算を通じて、その増加率が最も大きいものでございます。その意味におきましては、運輸大臣初め運輸当局の努力に対しましては、非常に敬意を表する次第であります。  しかしながら、予算審議の過程においても検討せられましたように、私といたしましても、全面的にこれをもって、十分であるとは考えるわけには参らないのであります。これは残念ながらそういう意味におきましては、野党の相澤君が言われました希望と、私も同じ意見を持っておるわけでございます。従いまして本法案は、もちろん成立をさせたいのでございますけれども相澤君から提出されました附帯決議案につきましても、採決決定をするということを条件にいたしまして、私は賛成をいたしたいと考えます。
  157. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ほかに御意見もなければ、討論は終局したものと認めて、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   一
  158. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決いたします。  特定港湾施設整備特別措置法案を問題に供します。  本案を、原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  159. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中述べられました相澤君提出の附帯決議案を議題といたします。  相澤君提出の附帯決議案を、本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  160. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 多数と認めます。よって相澤君提出の附帯決議案は、多数をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決定いたしました。  ただいまの附帯決議に対し、政府当局から発言を求められております。運輸大臣
  162. 永野護

    国務大臣永野護君) ただいま相澤委員から御提案のありました附帯決議の趣旨は、十分に了承いたしまして、御趣旨に沿うように努力いたしたいと存じます。
  163. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 本日は、これをもって散会いたします。    午後五時三分散会