○田中(織)
分科員 どうもその点納得がいかないわけであります。憲法に規定する公けの支配に属しない
教育というものを狭く解釈するということになりますれば、いわゆる狭義の
教育ということの中に入らない体育その他の
社会教育団体の行いますレクリェーションだとかいうようなものに対しては
補助金を出してもいいような解釈になると思うのでありますが、
局長の言われるように憲法八十九条の
教育というものは――体育はいわゆる
教育学のコースの中に現に入っておる問題であります。そういう意味であなた方文部行政全体を統括する立場の人たちが体育関係を
教育の課程からはずそうという考え方は、きわめて便宜的な考え方だと思う。現に
大学の進学コースの中におきましても、
教育学部の課程の中には
教育学と並んで体育関係のものがあるという現実を無視した議論だと思うのです。この点については、なおそういう考え方で
社会教育法の十三条を変えていこうということについては――私はどうも内閣の法制局というものが憲法の解釈等をその時の
政府に都合のいい考え方に持っていくということはけしからぬことだと思っておる。現に憲法第九条の解釈の問題などにつきましても三百代言的な、自衛のためには戦力を保持してもいいのだというような解釈をする結果が、けさの新聞に出ておるように安保条約の改定の問題で、防衛区域が拡大された場合に、自衛隊が
日本の国土以外に出動するということに抵触してくるというような問題で――これは別の例でありますけれ
ども、現に新しい問題を投げかけておるのと同じ意味において、
社会教育の名において特定の政治目的に持っていくところの
教育活動というものが行われていくという危険があるのであります。
日本を今日のような敗戦国としての
状況に追い込んだ基本的な考え方のものは、そういうところに出てくると思うのでありますが、他の質問者も待っておるようでございますから、私はこの点についての議論は、文部委員会なり他の機会に続けたいと思います。
それからもう二点伺いたいのであります。先ほど
上林山
分科員が
私学の問題について触れたのでありますがこの問題についても私多くの
大臣にただしたい点もあるのでありますが、一点だけ実は伺いたいと思うのでありますが学校
教育法の五十四条に、「
大学には夜間において授業を行う学部を置くことができる」という規定がございます。その結果官立
大学にはございませんけれ
ども、
私立大学におきましてはいわゆる二部なる名称のもとにおいて夜間に授業を行うといった学部があるわけでございます。ところがいわゆる夜間部ということになりまする関係から、せっかく優秀な成績で出ましても就職の点においても障害が出て参ります。現にこれは同じ学士であっても、二部を出た学士と一部の学士とが同じ先生について正規の勉学をいたしても、実
社会へ出る場合に差が設けられるということは、私は基本的にいって憲法で保障された
教育の機会均等という精神にももとることになると思うのであります。そこでこれは今日きのう
あたりから各
大学の入学試験が始まっておりますので、そういうこととも関連をいたすのでありますけれ
ども、むしろ学校
教育法の第五十四条を
大学のすべてが夜間において授業を行うことができる、それだから昼間に授業を受けるか夜間に授業を受けるかは、ある意味から見れば勤労しながら勉学をするというような勤労青年等の関係を考えまするならば、むしろ
学生の選択の自由にまかした形で当然昼間働いて夜間授業を受ける、あるいは夜間働くために昼間授業を受ける、そういうことについては区別のない形をやればいい。現実に
大学関係において、官立なり公立の
大学においては夜間授業はやらないのであります。短期
大学等は別でありますけれ
どもやらないわけでありますが、私はむしろそういう点から見て、入学難のいわゆる受験地獄の解消の観点からいたしましても、官立の
大学におきましても私はやはり夜間に授業を行う――もちろん夜間授業を行いまする関係から、電灯料あるいはその他特に最近はほとんど鉄筋になっておりますが、火災等の関係等についての特別の配慮なり
経費ということもかさんでくることも考えなければなりませんけれど、私はそれは夜間においてもやはり学校の
施設を活用して、いわゆる白線浪人として、早稲田
大学等の例を見ましても各学部が何十人に一人というような受験地獄を解消する意味においても、この際根本的に考えなければならぬ点じゃないか、その点からこの五十四条は、むしろすべての
大学はやはり夜間においても授業を行うことができるという規定に対しまして、一部、二部の区別を私は廃止すべきだ、かように考えるのでありますが、この点について
文部大臣が御検討になられたことがあるかどうか。もしないとすれば、私は受験地獄の問題と、現実に夜間部
卒業生が実
社会へ出た場合に、夜間部の
学生だという形で勤労のかたわら勉強をしてりっぱな学士として
社会へ出されて差別的な扱いを受けなければならぬということを避ける二点からも、
文部大臣に
一つお考えをいただきたいと思うのですが、そういうお気持があるかどうかお答え願いたい。