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百田政府委員 ただいま申し上げました
積立金の三十二年度末で五百三十九億、その約半分に当りまする二百五十億というものは、実は三十一年、三十二年といわゆる神武景気のときに蓄積されたものでございまして、その他の年におきましては、大体七、八十億あるいはもうちょっと三十億
程度、あるいは欠ける場合もあったわけです。ところで、現在そういうふうになりましたのは、
失業保険も今日まで十一年余を経過したのでございますが、現在被保険者の数も一千万こえるという状況になっておる。それから長い経験によりまして、大体の
失業率というものも、年によっては変動はございますけれ
ども、一応の目安がつくようになりまして、その結果、保険料率は当初においては、御
承知と思いますが、千分の二十二という非常に高いものでございました。これは
失業保険制度をわが国で初めて行うということのために、予測も困難であったわけでございますが、その後千分の二十二を二十とし、さらに千分の十六とするというふうに下げて参ったわけでございます。同時にまた、保険給付の
内容の問題につきましても、従来からこの制度の改善につきましては、われわれも終始検討して参ったわけでございます。今お話のございました、その一つとしての給付期間の延長という問題をどう
考えるかというような御質問であったわけでございますが、大体
失業保険制度というものは摩擦的な
失業に対処するための一つの短期的なものだというのが世界どこの国でも
考えられている通念でございますが、わが国では、制度の当初から、六カ月、百八十日ということでやって参りました。外国におきましても、大体百八十日
程度がほとんど大部分でございますが、これより短いのも多いわけであります。その意味では遜色はないところでございますが、さらにいろいろな実情も
考慮いたしまして、
昭和三十年来、特に雇用期間の長いものにつきましては、七カ月あるいは九カ月まで延長し得るという措置を講じて参ったのでございます。従って、一つの制度としての給付期間といたしましては、私は大体この
程度で十分ではないかとは
考えますけれ
ども、ただ、ただいまお話もございましたように、非常に
失業の情勢が悪化するというような場合におきまして、
失業保険の支給を、期間が切れるまで
就職できない者が非常に多くなるというような場合については、一時的にそうしたことも
考えなければならぬ場合も出て参ると思うのでございます。そういう点についても検討いたしてみたのでございますが、
昭和二十四、五年から最近までの支給終了者の割合というものがそう大きな変動を示していないのであります。そういう
関係から、現在のところでは、これを延長ということまでは踏み切っておりませんが、今申し上げましたように、短期的な摩擦
失業に対処するものだ、ところが、わが国の場合には、特に非常に構造的な部面に入るものが多く、ことに
失業保険の支給期間が切れて、なおかつ切れるものの中の様子を見ますと、年令の高い人あるいは女子というようなものが非常に多いことから
考え、現在の状況から見ますと、いわゆる中年層以上の
就職が非常に困難だというようなことのために、こういう問題についても、わが国独自の
立場から
考えねばならぬじゃないかというような問題もあるわけであります。こういった点につきましては、いろいろ議論もございまして、われわれの方にございます三者構成の職業安定審議会等におきましても、今後十分に検討いたしたい、こういうふうな状況にあるわけでございます。さらに、その給付期間の延長も重要なことであるかも存じませんが、同時に現在におきましては、五人以上の
事業所が強制適用になっておりまして、五人未満についてはこの手が及んでおらない。ところが五人未満の
事業所というものは、われわれの推定で、全国で百十万
事業所、
労働者の数にして約二百二十万、やはり現在あるものの
内容をよくする前に、これにできるだけ広く適用を拡大していくということが必要じゃなかろうかということで、昨年来
失業保険法を改正いたしまして、五人未満の
事業所に対する適用拡大の措置をとって参ったのでございます。われわれといたしましては、絶えず
失業保険制度の
内容の改善ということについては、今後とも研究して参りたいと思っております。