○佐藤国務
大臣 先ほどの
総理並びに企画庁
長官にお尋ねになりましたことにも関連をいたすので、
予算を編成いたします際の構想と申しますか、どういう
考え方であたかということを一応御披露いたしたいと思います。勝間田君は先ほど来三十二年度
予算あるいは三十三年度
予算、また三十四年度
予算というものがどうも景気の変動を無視して)財政投融資の観点だけから
予算を作ておるのじゃないか。そのためにどうも景気の波動と財政
計画などが一致しておらぬ、こういうことを冒頭に言われたように思います。それに対しまして
総理から御
説明いたしましたように、三十三年度
予算は、三十二年度の
予算を受けた後の
経済情勢の変動を一応念頭に置いて三十三年度
予算を組んだのであります。従って、社会党の諸君から、中間において刺激を与えるような補正
予算を組めと言われたが、そういうことに耳をかさないで、三十三年度
予算を忠実に実行することが
経済に対応する、こういう
考え方から昨年は社会党の要望に沿わず、補正
予算を組まないで経過いたしたのであります。しかし、私
どもが想定いたしましたように、三十三年度
予算を忠実に実施することによて、いわゆる
経済の調整過程を終え、最近はこれが上昇に向ておると言われておるのであります。この事実は勝間田さんも
現実の
経済情勢の
動きというものについては御承認になるところだろうと私は思います。今回の三十四年度の
予算を組みます場合も、当然三十四年度の
経済情勢というものを想定をいたし、これは、
経済企画庁
長官から申し上げましたように、
経済企画庁の想定資料を
基礎にして、そうして
予算を組んだのであります。今回の
予算が非常に膨大であり、繰越金、剰余金その他みな使い果しているだろうから、三十五年度以降は非常に困るのじゃないか、ずいぶん思い切った
予算の作り方だ、二千四百億の散布超過もここに招来している、従って、金融の面でどういう措置を今度おとりになるのか、こういうことですが、私
どもは三十四年度の一般
予算あるいは財政投融資
計画を立てます際は、三十三年度に引き続いての三十四年度の
経済の
情勢を想定いたし、これにふさわしい
予算を組んだつもりであります。私は、昨年の臨時
国会でも申し上げましたように、
経済に対して、財政なりが特に刺激を与えるような措置は望ましいことではない、もちろん
経済のあり方は、これは
経済の成長にまかすべきことであり、特にその成長が急激に上昇するような場合にはブレーキをかけることもいいし、また非常に下向きに強いような場合にはささえをすることも必要だと思うが、財政の面から、
経済に対して特に力をかすことは望ましいことではなつい、
経済の着実な、健全な成長ということを念願する上から見ると、そういうことはすべきでない、こういうことで、昨年の補正
予算の要求などについても、実は耳もかさないで参ったのであります。しかし、今回の
予算は、御指摘になりますように、一般会計においても、また財政投融資におきましても、三十三年度の当初
予算に比べると、相当大幅な増加の
予算であります。しかし、財政投融資などは、昨年は年度途中におきまして相当増額補正をいたしておりますから、それに比べれば、ただいま言われるように、一千二百億というようなことにはならないわけでございますけれ
ども、しかし、とにかく金額は相当ふえておる。この
意味で、あるいは非常に刺激的だ、あるいは非常な積極性を持っておる、あるいは意図を持っておる
予算だ、こういう見方をされる向きもございますが、私
どもはただいま申し上げますように、三十四年度の
日本経済のあり方、成長の度合いにふさわしい
予算、これに相応し、同時にこの
経済をささえていく力が十分ある、実はかように
考えて作っておるのでございます。
そこで、問題になりますのは、二千四百億予定しておるこの散布超過の問題だと思います。この二千四百億——あるいは実施いたしました結果、それを前後することだろうと思いますが、とにかく相当多額の散布超過にはなっておる、この散布超過を一体どうするのであるか、これをそのままほうっておけば、過去において経験したような不要不急の方向にまたこの資金が使われたり、そうしてまた
経済のアンバランスが膨脹を来たしたり、
日本経済として非常に心配な
状況が起るのじゃないか、こういう点の御指摘だと思います。私
どもも、この散布超過といいますか、財政投融資と民間資金との一体的運用という表現はいたしておりますが、このあり方というものが、
経済に対して、いい
意味にも悪い
意味にも非常に影響を持つということを実は心配いたしておるのであります。この
意味から、過日の財政
演説でも申し上げましたように、この散布超過も、使い方によれば非常に有効適切な効率を上げ得るのじゃないか、しかしながら、それを誤まるならば、御指摘になるような危険な要素すら実は持つのではないか、これを有効適切に使うということを申しますのは今日の金融の
正常化の面に必ずこれは役立っていくに違いない、これを金融の
正常化の面に役立たすということ、これがまず第一の私
どもの
考え方でございます。御指摘になりましたように、
経済の発展につれまして絶えず注意をし、特に意を用いなければならないことは、通貨価値の安定にあることは申すまでもないところであります。従いまして、この散布超過の事後処理とでも申しますか、その処理の方法を通貨価値の安定の方向に役立たすことができるなら、
日本経済の成長の面から見ましても、非常に有効適切なものだと思うのであります。ただ、私が申し上げたいのは、私
どもの
考え方では、どこまでも資本主義、
自由主義経済の
原則を立てております。ことに金融の面におきましては民間の創意と工夫、その活動に待つ。
〔重政
委員長代理退席、
委員長着席〕
そうして
政府は、財政的な一体的運用をいたしますが、同時に金融のあり方なりまたは事業のあり方等につきましては、いわゆる法律が認めておる程度の日常の指導監督の範囲を実は出ない。主たる面は、この
日本銀行を
中心にしての金融の操作を指導する。たとえば公定歩合の操作にいたしましても、あるいは公開市場の操作にいたしましても、これは
日本銀行自身のやるところであります。しかしながら、これは
日本銀行がやるのだからといって、
政府はそれをまかし切るというわけにはいきません。ここで最も必要なことは、私
どもは
日本銀行と絶えず密接な連携をとりまして、そしていわゆる一部で懸念しておるような過熱論、これに対しての警戒も必要でありましょうし、同時に思ったほどの
経済の伸びが実現しない、あるいは下降するという場合でありますならば、また金融機関の
協力を得て、これに対するささえの役目ということをしていかなければならないと思います。しかし、今回の
予算編成から
考えます場合におきましては、このささえ的な効果よりも、今まで一部で
議論されておるような
経済に対する過熱的な悪影響を生じないように、絶えずその注意をしていく。その
意味におきましては、この
日本銀行が
中心になってやりますものについて絶えず連携を緊密にして、すなわち時期を失しないで、適切な措置を講じていくという方法をとりたいと思っておるのでございます。