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1959-03-28 第31回国会 衆議院 本会議 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十八日(土曜日)  議事日程 第二十九号   昭和三十四年三月二十八日     午後三時開議  第一 岸内閣不信任決議案淺沼稻次郎君外四名提出)(委員会審査省略要求案件)  第二 昭和三十四年度一般会計予算補正(第1号)  第三 特許法案内閣提出参議院送付)  第四 特許法施行法案内閣提出参議院送付)  第五 実用新案法案内閣提出参議院送付)  第六 実用新案法施行法案内閣提出参議院送付)  第七 意匠法案内閣提出参議院送付)  第八 意匠法施行法案内閣提出参議院送付)  第九 商標法案内閣提出参議院送付)  第十 商標法施行法案内閣提出参議院送付)  第十一 特許法等施行に伴う関係法令整理に関する法律案内閣提出参議院送 付)  第十二 特許法等の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)     ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件  日程第一 岸内閣不信任決議案淺沼稻次郎君外四名提出)  日程第二 昭和三十四年度一般会計予算補正(第1号)  日程第三 特許法案内閣提出参議院送付)  日程第四 特許法施行法案内閣提出参議院送付)  日程第五 実用新案法案内閣提出参議院送付)  日程第六 実用新案法施行法案内閣提出参議院送付)  日程第七 意匠法案内閣提出参議院送付)  日程第八 意匠法施行法案内閣提出参議院送付)  日程第九 商標法案内閣提出参議院送付)  日程第十 商標法施行法案内閣提出参議院送付)  日程第十一 特許法等施行に伴う関係法令整理に関する法律案内閣提出参議院送付)  日程第十二 特許法等の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)     午後三時十四分開議
  2. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) これより会議を開きます。
  3. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 日程第一は、提出者より委員会審査省略申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。  日程第一、岸内閣不信任決議案議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。伊藤卯四郎君。     〔伊藤卯四郎登壇
  5. 伊藤卯四郎

    伊藤卯四郎君 私は、日本社会党を代表してここに岸内閣不信任案提出いたします。その主文を読み上げます。(拍手)  衆議院は、岸内閣を信任せず。   右決議する。   〔拍手〕 以下、その詳細なる理由について申し上げます。  岸内閣政治的責任感良心があるならば、わが党の不信任案を待つまでもなく、当然総辞職すべき立場に追い込まれているのであります。(拍手さき臨時国会において警職法改悪案を抜き打ち的に国会提出し、これに対して国民の総反撃を受くるや、これを廃案にするというその不見識、また、本国会における重要問題である非核武装宣言について、総理大臣自民党総裁との二枚舌の使い分け、インドネシア賠償に際しての一業者のブローカーにもひとしい利権行為、さらに、本年一月早々の池田、三木、灘尾重要閣僚辞職による閣内の不統一、これらは、いずれもその一つ一つが、責任を重んずる政治家であるならば、当然総辞職すべき重大な事件であったはずであります。(拍手)ところが、岸首相態度はどうであるか。自民党多数の上にあぐらをかいて黒を白と言いくるめ、政治権道であると放言し、民主議会政治をじゅうりんしていることは、断じて許されないのであります。(拍手)わが党が、ここに岸内閣不信任案提出するのは、まさに国民の声であり、おそらくは、自民党議員の心ある諸君も、ともに心からなる賛同をされていることを、私はかたく信じているものであります。(拍手)  岸内閣不信任の第一の理由は、外交政策上の問題である。すでに、自民党議員の中にも、予算委員会において、公然と岸内閣外交政策における無為無策による数々の失敗を痛烈に攻撃をしていたが、この事実を岸首相は知っておるはずである。(拍手)  今や、世界歴史は大転換をしており、東西対立は、軍事的対立の時代から経済競争にその重点が移っているのである。ソ連中国経済の目ざましい発展の事実に、何人といえども目をおうことはできないのである。(拍手ソ連中国生産力僅々十年足らずのうちに米英生産水準に追いつくことは、何人といえども否定することはできないのである。(拍手)ところが、岸首相は、この世界政治経済変化の中で、日本の運命をいかに導いていこうとするのか、その識見、方策は何ら持ち合せていないのである。  なるほど、岸首相は、一昨年来、東南アジア諸国を訪問した。さらにアメリカを訪問されたが、しかし、その収穫は何であったか不明である。東南アジア訪問は、まさに日米資本のセールスマンであることをみずから紹介しに行ったにすぎなかったではないか。(拍手台湾においては、蒋介石総統に対して大陸反攻の成功を激励し、世界じゅうの日本外交に対する疑惑不信の念を拡大させたのみではなかったか。(拍手アメリカに行っては、一体何をしたか。当時の外字新聞は、岸首相アメリカ議会で百パーセントの優等生として卒業したと皮肉な採点をつけているではないか。(拍手)  岸首相は、ワシントンにおいて、両院議会演説機会を与えられたにもかかわらず、日本国民の切望を大胆率直に何一つも述べておらぬではないか。(拍手日本国民アメリカに強く要求するものは、一、小笠原、沖縄の即時返還、二、日本に対する核兵器持ち込み等絶対取りやめ、三、駐留米軍即時撤退軍事基地の撤去、四、ココム、チンコム廃止、五、日米片貿易の是正、これらの諸点について、岸首相は、アメリカに要請するどころか、アメリカからの帰り道、ハワイにおいて、日米の新時代来たると発表するとともに、社会党と対決をすると大みえを切って、アメリカに対して絶対なる忠誠の誓い、いわば対米従属外交を表明しただけではないか。(拍手)  岸首相の今日までの外交政策としては、第一に、昨年五月以来、日中貿易機会を破壊してしまった。(拍手欧州各国東西貿易拡大方向に向って突進をしているのに対して、わが国は、これとは反対に、中国に対しては積極的静観といって、門戸を閉ざして、一切を遮断してしまったではないか。(拍手)  第二に、昨年の秋、岸首相は、NBCのブラウン記者に会見して、憲法九条の戦争放棄条項は廃棄すべきときがきていると公言している。(拍手)さらに、日韓台三国の軍事同盟を結んで台湾海峡を守り、金門馬祖両島を守るのは、単に台湾政府の問題ではなくして、自由主義国家群共産主義国家群攻撃から守ることであると、公然と中国を敵視する態度を明らかにしたではないか。(拍手)  第三に、アメリカとの約束に従って、日米安全保障条約相互援助条約水準まで強化改定しようとしている。この改定のねらいは、自衛隊海外出兵安保条約義務条項として、憲法九条を事実上空文にしてしまうことではないか。(拍手国民は、台湾海峡局地戦に際して、横須賀、佐世保軍港及び空軍基地より駐日米軍が動員されていく実情をまのあたりに見て、岸内閣の対米追随外交生命の不安と危険をすら感ぜざるを得ないでおったではないか。(拍手)  岸内閣外交政策とは、結局、日本アジアの孤児たらしめ、日本国民の目を隠し、手をもぎ、足をとり、再び戦火の危険に近づけるものといわざるを得ないのである。(拍手岸首相は、かつて大東亜戦において三百万同胞を死に追いやった戦争責任者である。岸首相の両手は、その血潮でよごれておるではないか。(拍手)そうして、再び公然と日本国民を死の谷間に追い落そうとしているのである。(拍手)われわれは、このような岸内閣外交政策を断じて許すことはできないのである。(拍手)  岸内閣不信任の第二は、岸首相民主政治を否認する言動である。この二日の衆議院予算委員会において、わが党の質問に、岸首相は、「国会非核武装宣言決議されることについては、私は全然同感であります」と言明した。ところが、わが党が自民党に対して共同決議宣言の提案をしたところ、自衛のための核兵器の保持は当然であるとの自民党反対意見に支配されて、ついに共同宣言決議成立をしなかったのである。その過程において、まことに不可思議千万ともいうべきことは、岸首相は、「首相としては私は賛成である。しかし、決議国会できめることである」と答弁し、自民党総裁としては、この共同決議成立を阻止したのである。首相与党総裁が同一人であるにもかかわらず、その性格は両極端に分裂をして、岸首相は、自民党政党内閣責任政治を、みずから三文の価値なきものであることを暴露したのである。(拍手)そして問うに答えずして語るに落ちた点は、自衛隊小型核兵器持ち込みを認めた事実である。  三月の十六日、参議院においての政府答弁は、在日米軍の装備や行動については憲法上では何らの制約もない、このために、かりに米軍が原水爆を持ち込んでも憲法とは関係がないという、まさにわが国に駐留する米軍は野放しであることを示したものであるといわねばならぬのである。(拍手)また、十八日の衆議院における答弁では、保有兵器のどれが攻撃的であり、これが防御的であるのか、全く政府の見解は不統一であることが暴露されたのである。(拍手政府は、国会答弁を口先でごまかしながら、核武装を着々と進めているのである。われわれは、国民生命世界の平和を脅かす、このような戦争火つけ役岸内閣の存在を、断じて許すことはできないのである。(拍手)  岸内閣不信任の第三は、岸内閣経済政策失敗である。岸首相は、政権ほしさに、大局的に何らの抱負経綸もなく、一千億の減税、一千億の施策を掲げる昭和三十三年度の膨張予算を、石橋内閣よりこれを受け取り、成立させ、一萬田尚登君が大蔵大臣になるや、さき予算は大腸カタルを起したから、今度は下痢どめをやるといった、極端に金融を引き締めたのである。これは、きのうはお祭騒ぎ、きょうは葬式の悲しみと変えたのであるが、岸首相は、これに対して、イエスともノーとも、一言も発言をしておらぬのである。あまつさえ、できもしないところの三悪追放をもって国民をごまかしてしまったではないか。(拍手)この点、岸首相は、まさに知能犯的大悪人であるといわざるを得ないのである。(拍手、発言する者あり)  岸内閣経済政策の無能と失敗によって国民の受けた損害は、あまりにも大きいのである。その一例を鉄鋼業にとってみるならば、昭和三十二年の春には、神武景気と謳歌して、大企業鋼材需要に追随して鉄鋼材輸入関税を免除して、外国鉄鋼材を二百万トン以上も一挙に輸入したのである。そのために国内生産を圧迫した。これに驚き、わずか五カ月間で関税免除廃止のやむなきに至ったではないか。この岸内閣の朝令暮改を無能と言わずして何と言うか。(拍手)  石炭業に至っては、現在も生産過剰による貯炭は千二百万トンを突破して、石炭産業の最大の危機といっているのである。その他、繊維工業を初め、重要産業をことごとく不況のどん底に陥れた。特に、中小企業の破産、倒産は、あまりにも深刻であったのである。岸内閣不況対策は、大企業に対してのみ国の財政投融資として資金を流し、大企業の再建と安定化にのみこれ努めている。これが岸内閣産業政策の正体であり、明年度予算実体である。かつ、また、金融政策実体ででもあるのである。  国民のこの不平不満をごまかすために、昨年五月の衆議院選挙の折に、七百億円の減税を公約しておきながら、明年度予算案は、その提出内容を見れば、減税の幅はわずかに四百億円台ではないか。一方ではガソリン税物品税等を増徴し、実質的減税はわずかに百億円台にすぎないのである。岸内閣の悪質な欺瞞を最も暴露したのが明年度予算であるといわなければならぬのである。(拍手)  岸内閣は、減税国民年金福祉国家予算の特徴であるかのごとく宣伝をしながら、実際に支給する金額にはいろいろな制約条件をつけて二階から目薬というか、スズメの涙ほどにもすぎないのである。(拍手)この補助をもって今日の生活保護を受けなければならぬ諸君が、何の恩恵を受けることができるか。一般会計予算の歳出で最も多く増額されているのは防衛費賠償費関係である。二千八百二十七億円で国家予算の二割を占めている。新憲法によって戦争放棄宣言しておる国家として、これは実に重大なる問題であるといわなければならぬ。(拍手)ところが、これを不思議とも何とも思わずに、どんどん拡大する岸内閣は、次の戦争へのもろもろの準備をしているといわなければならない。これは明らかに憲法違反であって、断じて許すことはできないのである。(拍手)  さらに、今年一月、私鉄運賃値上げを許可すると同時に、NHKの料金値上げを初めとし、各種公共料金値上げを許可しようとしている。このような点を計算するならば、減税による恩恵はゼロとなって勤労国民家計負担は逆に増加せざるを得ないという現状ではないか。(拍手岸内閣減税とは、まさに看板に偽わりあり、右から与えた格好をして、左からこれを奪い取る、これまさに、すりのするところのインチキ行為ではないか。(拍手)  岸内閣不信任の第四は、陰険にして露骨なる反動文教労働政策である。文教政策においては、文部官僚が作成をした勤務評定を、天下り的に、一方的に、教職員にこれを押しつけたのである。そのために、今なお、全国的に、教職員諸君との間には深刻なる紛糾を続けているではないか。これに対して、昨年、各大学の総長、学者の人々が、政府に対して円満解決のあっせんに立とうとしたが、岸内閣は、これに一顧だにしなかった。新しい民主教育とは、世論をよく聞くことである。(拍手専門学者意見を無視して、文部官僚の作成した古い道徳教育復活プランの実施を急ぎ、教職員思想統制を前提としての勤務評定を強要するがごときは、これまさに、義務教育岸内閣は計画的に私物化し、民主教育を窒息せしめんとするものであって、われわれは断じて許すことはできないのである。(拍手)  労働政策について見れば、全国各地における労働争議軍事基地化による土地取り上げに対する農民の反対など、勤労国民の切実で深刻なる大衆運動に対して、警察の圧迫、干渉、介入は実に露骨になってきたのである。岸内閣は、警職法改悪を今後必ずやると、公然と宣言している。これまさに、勤労国民の自由と人権生活権を弾圧するために、警察官の警棒をピストル、サーベルに再び変えるようなものであると断言せざるを得ないのである。(拍手岸首相権道思想によれば、この変化は当然かもしれないが、われわれは、国民の自由と人権を守るために、岸内閣反動政治と徹底的に戦うことを宣言するのである。(拍手)  不信任の第五は、岸内閣政治道義腐敗堕落、底知れぬ汚職そのものについてである。(拍手)そもそも、広範な権限を持つ政治権力者である総理大臣並びに閣僚諸君については、おのずから道義的な制約政治的な責任義務があるはずである。ところが、どうか。アジア諸国に対する賠償支払いについて、金権政治の財源というか、巣くつにも利用され、さらに、岸首相はみずから特定の業者のために随意契約をあっせんした疑いは依然として残っている。この事実を岸首相は何と釈明することができるか。この疑いある限り、国民岸内閣を断じて信用することはできないのである。(拍手政治に対して国民不信の念を持つのは、こういう点から当然といわなければならぬのである。汚職事件は、賠償関係のみならず、グラマン機事件その他、大小数え切れないほど山積しているのである。  岸内閣にこのような疑いがかけられているときに当って、二月十三日、本院の予算委員会で、わが党議員がこれを追及していた際、岸首相初め閣僚諸君答弁自信がなく、責任のなすり合いをし、右往左往する姿は見るも哀れであったといわなければならぬのである。(拍手さきには戦犯、今日では金権の権化と化した厚顔無礼岸首相といえども、いまだ一片の良心があるならば、あのような醜態は演じなかったであろうと思うのである。(拍手)弁解の余地は一言もこれに対してはないのである。私が傍聴していて驚いたのは、このとき、自民党予算委員並びに傍聴していた与党議員諸君の中で、岸首相閣僚答弁に対して、口きたなくこれをヤジっていた事実である。(拍手自民党内における岸首相は、もはや、全くその信用を失ってしまっているのである。  さらに、本年一月、自民党大会総裁選挙対立候補となった松村謙三氏は、「私は総裁選挙で破れることは覚悟してやる。これは、岸君の権力金力による政治を打破して、自民党議会政治を守るためである」と言われているのである。(拍手)結果はどうだ。結果は、岸総裁反対をして松村氏を支持する者が三分の一以上あったことである。もはや、岸総裁の威信はまさに地に落ちたといわねばならぬ。(拍手)  自民党内においてかくのごとし。さらに世論調査においても、岸内閣を支持する者は約四分の一である。なおかつ、かくのごとき状態の中にあって政権の座にあぐらをかいているということは、政党責任政治のその責任者として、果して資格ありやといわなければならぬのである。(拍手)ここにおいて、いさぎよく総辞職せざれば、戦争責任者の上に、さらに政権亡者の汚名を重ねるだけである。(拍手)  かつて二十数年前に、二・二六事件と称せられる青年将校クーデターが勃発したことがある。この事件は何ゆえに起ったのか。それは、当時の政党政治腐敗堕落し、すなわち、若槻民政党内閣松島遊郭事件田中政友会内閣売勲事件私鉄事件朝鮮総督事件など、大疑獄事件が続発したにもかかわらず、当時の検察庁は政府の圧力に屈して全く動かず、ついに政府に対する不信の声が二・二六事件のごとき右翼クーデターを惹起したのである。(拍手)この疑獄事件はいかにして起ったか。それは、政府政商と結託をして私利私欲をたくましくし、政治腐敗堕落の極に陥れたからである。当時の政商とはだれか。世人これを番町会と呼んだ。まさに歴史は繰り返す。番町会の亡霊はいまだに生きている。(拍手)それはだれか。その衣鉢を継いだ直系の代表が岸首相の側近にいるではないか。(拍手)みずから担当する政務である船舶賠償関係のある一業者から私用の乗用自動車の提供を受けて平然としている人物が、ここに列席しているではないか。(拍手)今や、岸首相は、一門一家の繁栄のみ願い、そしてその豪奢な生活ぶりは、政治家、公人として天に恥じないかと鋭く攻撃され、岸君よ、身の潔白を証明せよと迫られても、自分の収入、財産を公表できないではないか。(拍手国民疑惑をますます深めるだけではないか。  岸首相に対するこの疑いは、単に偶然に発生したものではないのである。岸首相がかつて歩んだ立身出世の役人街道は何であったか。すなわち、官僚軍部、これと結合する大企業特権政治街道ではなかったか。この特権を守るために、岸信介という人物は、常に官僚勢力を背景にして軍部に迎合し、国民戦争にかり出し、勤労国民生活を破壊して、ついにこの日本を滅ぼしてしまったではないか。(拍手岸首相は、このおのれの重大なる責任をとることを知らぬとは、何たる無責任な恥知らずであるか。(拍手岸首相のやり方は、一将功成って万卒枯るるの権道政治以外の何ものでもないのである。(拍手)われわれは、かかることは、断じて民主主義議会政治立場から許すことはできないのである。(拍手)このような岸首相総理の席にある限り、外交は行き詰まり、対外信用はいよいよ失墜し、中国との国交回復は絶望である。それは、わが党の訪中使節団中国側との交渉の経過を見ても、きわめて明らかである。(拍手)  国内にあっては、経済政策をあげて大企業の利益のために奉仕し、勤労国民生活向上は永久に絵にかいたもちにすぎないではないか。貧乏追放とは何をもって言うのか。(拍手)しかも、国の政治を一日々々と核武装海外出兵方向に向けて、みずから戦争火つけ役をあえて買って出ているといわなければならぬのである。(拍手)  また、本国会における岸首相態度はどうか。自分の意図する重要法案は何一つ提出し得ず、それは、党内の反岸派をおそれて薄氷を踏む思いでこの国会に臨んでいるからである。もはや、この一点においても、岸内閣は国政を担当する能力も資格もないのである。(拍手)あまりに政権亡者の悪名を重ねないうちに、いさぎよく総辞職をすることが、岸信介君の将来のためであると思うのであります。(拍手)  われわれは、国民生活と平和を守り、日本の正しい議会政治を確立するために、日本社会党は、ここに立って、国民の総意を代表して、また天にかわって、岸首相金力権力、悪魔の政治を弾劾し、すみやかに岸信介君が総理の職を去らんことを要求して、岸内閣不信任演説を終る次第でございます。(拍手
  6. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) これより討論に入ります。福永健司君。     [福永健司登壇
  7. 福永健司

    福永健司君 私は、自由民主党を代表して、議題岸内閣不信任決議案に対し反対討論を行います。(拍手)  社会党内閣不信任案提出は、もはや年中行事に属し、社会党自己満足以外、何らの意義もないものでありますが、ただいま拝聴いたしましたところによりましても、今回の不信任決議案は、特に、理由のない、空虚なものといわざるを得ないのであります。(拍手社会党諸君にもよほど自信がなかったと見えまして、出しかけては引っ込め、引っ込めてはまた出してきたのが、この色あせた不信任決議案であります。(拍手)  そもそも、議会政治下における内閣不信任案というものは、みずから議会主義を尊重し、実際の政治をになうに足る政党によって提案されてこそ、初めて意義権威を持つものでありまして、現在の社会党のような、反民主的、かつ非現実的傾向政党に、果して内閣不信任案提出する資格ありやということについては、いささか疑いなきを得ないのであります。現在の社会党が、真に議会主義に立つ政党であるかどうかは、はなはだ疑問とせざるを得ないのであります。  いわゆる向坂論文社会党左派思想を代表するものとも見られますが、これは明らかに議会主義の否定であり、暴力による階級独裁論でもあります。すなわち、この論文は、「権力を最終的に奪取する戦いに、何らかの意味で力を考えない方法はあり得ない」と強調し、「交通、通信労働者の組織だけがストライキをやうても日本政治経済を麻痺させることができる」と、暴力革命戦術論まで明らかにしているのであります。(拍手)このような思想社会党の底流に根強く流れている事実は何人も否定できず、社会党の本質はむしろそこにありというのが、今や国民多数の常識となっております。(拍手)  しかも、鈴木委員長みずからがこのような階級独裁的思想を容認している事実を、私は看過することができません。去る一月十九日の社会党拡大中央委員会における鈴木氏のあいさつには、「二大政党は、本質的には階級的性格を持つ政党である」と言い、また、「英国のように無期限に政権のシーソー・ゲームが続いてはならない」と申しているのであります。これは、表現の上では多少ぼかしてあっても、明らかに社会党階級政党と規定し、政権の交代を許さない永久政権論を主張しているものでありまして向坂論文とも根底において相通ずるものがあるといわざるを得ないのであります。(拍手)  社会党議会主義軽視思想は、実際の行動の上にも明らかに現われているのであります。この国会においては、厳粛に国会運営正常化を約束したにかかわらず、社会党は一再ならず国会の審議を放棄しているのであります。(拍手)これは、あたかも労働争議における職場放棄に類する行為でありまして、みずから国会議員としての責任を軽んじ、国会権威を失墜するものであるといわざるを得ないのであります。(拍手)  このような社会党によって提案された内閣不信任案に何らの権威のないことは言うまでもなく、私が反対する理由の第一はここにあるのであります。(拍手)  第二の反対理由は、今回の不信任案が根拠のない理由に基いているからであります。昨年四月二十五日本院において上程されました内閣不信任案理由も、今回のものと大体似たようなものでありましたが、その後間もなく行われました総選挙において、国民の公正な審判は、わが自由民主党を圧倒的に支持し、社会党にきびしい反省を求めたことは、社会党の各位も御記憶のところであろうと存じます。(拍手)この総選挙以後におけるわが国経済の好転と国民生活の向上安定は、まことに見るべきものがあり、わが自由民主党に対する国民の信頼はいよいよ高まりつつあるのであります。(拍手)  すなわち、第一次岸内閣成立以来実施してきた経済調整政策は、その運用よろしきを得て、今や、わが国経済は好調の一途をたどりつつあります。わが国経済の最も重要な指標ともいうべき国際収支の傾向を見ても、三十三年の一カ年間における実績は、優に五億三千二百万ドルの黒字を出しております。国民貯蓄の増加も著しく、三十三年度一年間の目標である一兆三千億円は、すでにはるかに突破し、一兆六千億円にも達するものと見られております。また、金融正常化も見るべきものがあり、オーバー・ローンも着々解消し、金利もまた次第に低下いたしております。さらに、生産も国民所得も着実な向上の足取りを示しつつあり、従って、国民生活もいよいよ安定して参った事実は、数字が明らかに立証しているところであります。(拍手)  岸内閣の施政の成果は、すでにこのように見るべきものがありますが、三十四年度は、公約の完全な実行によって経済も民生もいよいよ充実発展し、戦後最良の年となることが期待できるのであります。(拍手)平年度七百億円をこす公約減税の実施と、国民年金制度や国民皆保険の推進は、国民生活を一そう豊かなものにすることも必定であります。一兆円の道路五カ年計画や、港湾事業、治山治水等の飛躍的な拡充は、わが附の経済基盤をいよいよ強固にし、国土の保全開発を促進し、ひいては民生の安定同上に資することも疑いなきところであります。五カ年計画によるすし詰め学級の解消、危険校舎の改築、科学技術教育の振興等の諸施設も画期的に充実され、新しい時代をになう青少年に明るい希望を与えているのであります。(拍手)  岸内閣の施政は、内政面においてこのような明るい前途を約束するだけでなく、国際関係の面においても、世界の平和と民族の繁栄のために着々成果を重ねつつあります。自由主義諸国との協調を基調とする国連中心主義と、アジア善隣友好の外交路線は、わが国経済繁栄と相待って国際信用を高め、国際外交場裏における発言力を強め、世界の平和とアジアの繁栄に貢献する機会を多からしめているのであります。  社会党不信任理由としてあげられたことは、このような厳然たる事実にことさらに目をおおい、曲解とデマで固められたものでありまして、一々取り上げて論ずるほどのこともないのでありますが、私は、この際、社会党の本性を明らかにするため、若干の反駁をさらに加えたいと存じます。(拍手)  まず申し上げたいことは、外交に対する社会党の主張と態度についてであります。今や、社会党外交路線は、共産党と選ぶところのない、ソ連、中共一辺倒の容共反米外交であることが、きわめて明らかとなりました。(拍手)今回の淺沼書記長の中共人民外交学会における講演や、社会党使節団と中共との共同声明の内容をよく検討しまするに、これは、わが国民の圧倒的多数によって支持されている現在のわが外交方針を根本よりくつがえし、中共政府の要求に無条件で屈従し、その隷属に甘んじようとするものにほかならないのであります。(拍手日米安全保障条約は破棄し、台湾国民政府を否認し、あまつさえ、わが国の友好国である米国に対し、日中共同の敵として戦うという、激しいものであります。そもそも、一国の外交というものは、たとい政権が交代しても、その継続性を尊重することが、国際信義上きわめて大切なことであります。現存の外交関係を一挙にくつがえすような暴挙は、戦争暴力革命の場合のほかは、世界においてほとんどその例を見ないのであります。(拍手)しかるに、淺沼発言等に見られる社会党外交政策は、国際信義をじゅうりんし、わが国の置かれている国際地位を無視し、百八十度の転換を行い、しかも、アメリカ帝国主義を日中共同の敵として戦うとさ、え放言しているのであります。このような挑戦的な言動は、社会党が決して平和を愛好する政党でないことを、みずから暴露するものと見るべきであります。(拍手)  戦争に破れたわが国が、独立回復後七年余にして今日の繁栄と安定をもたらし得たゆえんは、国民各位の真摯なる努力と相待って米国を初め自由主義諸国との友好親善、経済交流による貿易の拡大と、日米安全保障体制による独立と安全の保障があればこそであります。(拍手)米国を敵とし、自由主義諸国との友好関係を断絶するような社会党外交政策によっては、とうてい今日の繁栄はあり得ないことを、断言してはばからないのであります。(拍手)わが党といえども、中共関係の改善打開を念願するものでありますが、これは、あくまでも相互に政治的、外交立場を尊重することを前提としなければ、公正にしてかつ実際的な解決は困難であると信ずるものであります。(拍手)また、昨年四月までは、事実、このような関係において、中共との貿易は支障なく年々拡大して参っていたのであります。(発言する者あり)しかるに、今回の共同声明と淺沼発言は、中共側の一方的要求の前に無条件降伏することを求むるものでありまして、わが国民の名誉と自尊心がこれを許さないものであります。(拍手)私は、社会党の使節団が、真に国家国民のためを思うならば、中共側のかかる要求に対し再考を促し、わが国立場を常々と主張することこそ、当然の任務と信ずるものであります。(拍手)独立国の公党としての自主性を捨てあたかも中共の代弁者のような言動に終始されたことは、まことに遺憾に存ずるととろであり、このままいけば、淺沼ではなく、どろ沼に入ったような、抜き差しならぬ羽目に陥ることを深く憂うるものであります。(拍手)  さらに、私は、安保条約の改正につき一言いたします、日米安全保障条約の合理的改正は、国民的願望であります。現在米国と集団安全保障関係にある国は、全世界で四十五カ国もあり、その中で、日本を除く四十四カ国は、平等の立場に基く自助と相互援助の原則によって条約を結んでいるのであります。しかるに、日米安全保障条約は、日本がまだ無力なときに、平和条約と同時に締結された関係もあって不平等かつ片務的な性格を持っていることは否定できません。すでに国力を回復した今日において、これを国情と民族感情に合致するよう平等の立場に立って合理的に改正しようとすることは、政府として当然の責務であります。(拍手)  核武装に関する社会党の非難も全くの逆宣伝であり、岸内閣核武装を行わないという決意は、国会における総理大臣の再三再四の言明で、きわめて明らかであります。また、原水爆禁止に対するわが党及び岸内閣の不断の努力が次第に世界の同調を得つつあることは、厳然たる事実であります。  教育、労働政策、治案対策に関する不信任理由は、これを要するに、社会党の反民主的、破壊的性格をみずから立証するものにほかなりません。(拍手勤務評定道徳教育に対し、社会党と日教組が一体となって、あるいは集団暴力により、あるいは違法の学校スト等によってこれを阻止しようとするのは何ゆえであるか。それは、革命教育がこれによって困難になるからでありましょう。(拍手)すなわち、公正な勤務評定の実施は、教壇を捨てて違法闘争に狂奔したり、法の精神をじゅうりんして偏向教育に専念するような一部教師に対し峻厳な反省を求めることになり、日教組の教育支配と、これを通下る革命教育の浸透を困難にするからでありましょう。(拍手)また、国民の公益や産業平和を無視して年中行事的争議行為を支援し、はなはだしきに至っては、苫小牧争議、和歌山勤評闘争のような公然たる集団暴力行為を肯定し、扇動するような社会党態度ほ、暴力革命に通ずるものとさえ感ぜられるのであります。(拍手)法治国において、このような組織的な違法行為が許されるわけはなく、これをできるだけ未然に防止し、公共の安寧秩序を守るために必要な措置を講ずることは、政府としての当然の責任と信ずるのであります。(拍手)これをもって労働運動の弾圧と言うがごときは、法治国を否定する思想といわざるを得ないのであります。(拍手)  内閣不信任理由の中で、はなはだ不謹慎というべきものは、ことさらに事実無根の汚職容疑を取り上げていることであります。いかに国会の言論が自由とはいえ、いやしくも個人の名誉に関し、また内外の信用に関するような問題を、信ずべき証拠もなくして内間不信任理由とするがごときは、祉会党の名誉をも傷つけるものであることを知るべきであります。(拍手政治に携わる者、身を持することもとより清潔でなければなりません。同時に、みだりに根拠なく他に猜疑の目を向け命ことも戒めなければならないと存ずるのであります。(拍手)  第三の反対理由は、社会党の政策の非現実性と、実際政治に対する非力にあるのであります。  まず申し上げたいことは、現在の社会党に果して統一した意識と政策があるかということであります。(拍手)右は比較的現実的な社会改良主義から、左は共産党とほとんど選ぶところのない暴力革命主義に至るまでが雑然と寄り集まった現在の社会党は、向坂論文が痛烈に暴露しているように、統一した政党というより、イデオロギーの雑居する一つの寄り合い世帯とも見られるのであります。(拍手)さらに疑わしいのは、社会党の主体性であります。社会党が総評という極左的団体に引きずり回され、あたかもその手先のごとく動かされている事実は、多くの人の認めているところであります。  さらに指摘したいことは、その政策の非現実性であります。社会党外交政策が実行性のない観念論であることは前申した通りでありまして、もしも万一社会党の主張するような外交路線を進むならば、わが国は自由主義陣営より離脱し、世界の力の均衡は破れ、しかも、わが国は防衛上の真空地帯となり、わが国の平和も安全もたちまち脅かされ、その終着駅が独立の喪失と共産帝国主義への隷属であることは、火を見るよりも明らかであります。(拍手社会党は、米、ソ、中共を含むアジア平和保障体制の確立を一枚看板としているのでありますが、これは現実の問題として痴人の夢にひとしく、このような一方的な希望をもとにし、自衛力の全廃や日米安全保障体制の廃棄することは、亡国に通ずる暴挙であるといわざるを得ないのであります。(拍手)  さらに、社会党経済政策について申し上げます。これを一言にして尽せば、貧乏の平等化ということであります。経済活動の自由を奪い、私有財産権を制限し、非能率にして独静的な経済統制を行わんとするのが、社会党の根本思想であります。しかも、その背後には、自由諸国からの離脱と共産陣営への隷属という外交政策があるのであります。かかる政策が、わが国経済活動を著しく萎縮させ、産業の発展を困難にし、貿易の激減を招き、国民経済を混乱と貧困に陥れるものであることは、説くまでもありません。(拍手)富める者が食しくなるばかりでなく、貧しい者もいよいよ貧しくなり、ただむさぼる者は一部の労働貴族と不良役人だけとなるのがその行方であります。(拍手)  以上のように、社会党は主体性が怪しく、その政策は根本において革命的、非現実的なものであり、とうてい政権を託するに足らないのであります。国民の大多数が、常に国民とともにある責任政党、わが自由民主党の、堅実に前進する、安定感ある政策を支持し、信頼していることは、最近相次いで行われた各種選挙において、わが自由民主党系が圧倒的勝利をおさめつつある事実によっても明瞭に立証されているところであります。(拍手)知事選挙における八連敗あるいは十連敗のごときも、さしずめ、横綱なら引退問題も起るところであり、社会党さんもさぞ頭の痛いところであろうと存じ上げる次第であります。(拍手)平和を唱えながら闘争に狂奔し、民主政治の擁護を説きながら国会の機能を障害し、中立を標擁しながら共産陣営への隷属に甘んじようとする矛盾撞着は、国民の良識が今やこれを許さないのであります。国民に信頼されない政党が、国民によって選ばれた内閣に退陣を求める資格ありや、と私は申し上げたいのであります。(拍手)ここに議会政治の根本原理もあろうかと存じます。  以上の理由により、私は、今回提案されました内閣不信任決議案に断々固として反対いたすものであります。(拍手
  8. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 山本幸一君。     [山本幸一君登壇
  9. 山本幸一

    ○山本幸一君 私は、ただいま上程の岸内閣不信任案に対しまして、日本社会党を代表して賛成の討論を行うものであります。(拍手)  第三次岸内閣は、組閣以来一年を迎えようといたしておりまするけれども、いまだに、残念ながら、見るべきものは何一つございません。しかし、その反対に、不信任の数々はあまりにもあり過ぎて、私があきれ果てるばかりでございます。ここに、私は、問題を数点にしぼりまして、岸内閣不信任を証明いたしたいと存じます。  まず、その第一は、前国会における警職法の政治責任でございます。先ほどの趣旨弁明にも明らかな通り、この法律案ほど岸内閣の反動性を露骨に現わしたものはございません。(拍手)すなわちこの法律案は単に国民の自由や基本人権のじゅうりんのみでなく、かねて計画中の防諜法、秘密保護法、これらの制定であるとか、日米安保条約体制の強化及び憲法改悪をねらいとして提案せられたものにほかなりません。これらの制定や改悪は、平和を念願する国民のひとしく反対することはもちろん、また、そのため国民的な大衆行動が起きる亀とは必然と見られるのでありますから、これをおそれた政府は、それらの大擬行動弾圧の武器といたしまして警職法を提出したことは、何人も容易に予測できるのでございます。(拍手)しかも、かくのごとき悪法を、唐突に、全くやみくもに提案し、これが成立のために抜き打ち会期延長をはかりまして、聞くところによりますと、開会ベルの電源をひそかに他に移動するがごとき、まことに卑劣きわまる手段をもって成立をはかったのでございます。(拍手)だが、政府のごの悪質な計画を看破した世論と、わが党の反対は、ついにこれを粉砕、廃案に終らしめたことは、よく諸君の御承知のところでございます。  警職法はまさに岸内閣政治生命をかけたものであることは、当時の政府の言明によっても明らかなところでございます。歴代内閣の事例によっても、かくのごとき政治生命をかけた重要法案が未成立に立ち至った場合は、いさぎよく政治責任をとって退陣いたしておることは、御承知のところでありましょう。(拍手)しかるに、岸内閣の場合は、単なる未成立、廃案ではございません。文字通り国民総反撃によってみごと粉砕されたのでありますから、寸刻たりとも台閣にとどまることは断じて許されないのであります。(拍手)私は、内閣不信任の多くを申し上げなくとも、この一事のみによっても、岸内閣はいさぎよく退陣して国民にその不明をわびてこそ、責任ある政治家のとるべき当然の道であろうと存ずる次第であります。(拍手)  その第二は、岸内閣憲法改悪の企図と、憲法違反の事例でございます。憲法改悪の企図は、岸内閣によって始まったものではございません。吉田、鳩山内閣から引き続く保守党政治の最大眼目でありますが、そのうちでも岸総理は特に熱心な改憲論者であることは、世間周知の事実でございます。あなたは、かつて自民党憲法調査会長をみずから買って出まして、いわゆる岸試案なるものを公けにしたほか、昭和三十二年、すなわち首班指名を受けて間もなく、鳩山内閣時代に停頓いたしておりました憲法調査会を発足させ、公然と改憲意図を明らかにいたして参ったのであります。  しかも、最近、最も具体的な改憲意図は、すなわち、昨秋のNBC放送記者ブラウン氏との会見によって、憲法九条を廃棄すると語り、国会はもちろん、国の内外に、いたく衝撃を与えております。また、先般来の各委員会における岸総理を初め関係大臣の答弁は、憲法九条は日本の自衛のための軍備の規定であって、交戦権を持つ米国の核武装核兵器持ち込み憲法適用外の問題であると公言をいたしておるのであります。そもそも、憲法九条を規定した精神は、戦争行為を何ものにもまさる罪悪として、日本は、再び武力行為を起したり、また戦争に参加したり、巻き込まれたくないという、世界に誇る平和宣言であることは、私が言うまでもございません。(拍手)しかるところ、今申し上げました政府答弁によれば、米軍核兵器を持ち込むことは憲法上これを制約できないというのであり、ますから、これほどおそるべき憲法違反の考え方はないと私は存じます。(拍手)また、あなた方がいかに口先で核兵器を持ち込まないと言いましても、このような態度は明らかにその持ち込みを企図いたしておると見られても、一言も弁解の余地はないと存じます。岸内閣の論法によれば、米軍日本核兵器持ち込み、不幸にして戦争が起き、日本が戦場となることも、また、国民がみな殺しになるような被害をこうむっても、あえていとわない、という考え方にほかならないのであります。(拍手岸内閣こそ、平和憲法、また民主主義の最大の敵であると申し上げましても、この意味において過言ではないと存じます。(拍手)  しかも、防衛の美名のもとに年々自衛隊の増強をはかり、また、今回は日米安保条約改悪に手を出し、日本をして日韓台軍事同盟の一員に加えんとするのほか、事ごとに中共を敵視する政策を進め、その結果、国民に平和への不安を抱かしめているのであります。これらのすべては、改憲への既成事実を作り上げようとする、憲法じゅうりん以外の何ものでもございません。(拍手)われわれは、日本の平和と民主主義の宿において、岸内閣の存在を一日たりとも許すことはできないのであります。  第三は、岸内閣のうらはら政治であります。岸さん、あなたほど国会答弁にそつのない総理は、今日まで他にその例を見ません。同時に、あなたほど、答弁と信念の食い違いの、すなわち、うらはら政治家の悪名を世界にはせた人もまた珍しいのであります。(拍手)岸さん、あなたの体内に、一かけらでもよいから、信念の持ち合せがございましょうか。私は、あなたの信念のない例を一々ここにあげようとは思っていませんが、これだけは申し上げておかなければなりません。  先般来、わが党の核非武装宣言決議案に、あなたは賛成をしておきながら、党内から異論が出ると、あれは、総理大臣、すなわち行政府としての答弁であって、自民党政府との意見に相違のあることは珍しくないという御答弁でございました。私は、これほど二軍性格政治を最もよくさらけ出しておる事実はないと存じます。(拍手)もちろん、私も立法府と行政府性格の異なることは十分存じておる一人でございます。しかし、御承知の通り、新憲法下における政党内閣・議院内閣制のもとでは、政府、与党は一体不可分の関係にあるのでございまして、手品つかいなら知りませんが、総理、総裁の使い分けは断じて許すことができません。(拍手)ましてや、個々、ささいの政策ならともあれ、核非武装宣言のごとき、日本民族の生死に関する基本問題については、なおさら私は許さるべきものではないと信じます。そのくらいのことは、官僚的能力を身につけた総理が百も承知のはずでございましょう。しかるに、それを承知の上で総理、総裁の使い分けをなされているならば、あなたは典型的な二枚舌の持ち主であり、全くもって政治家の風上に置くことはできないと存じます。(粕手)およそ政治家たるもの、強い信念を必要といたすものでありまして、二枚舌政治こそ、まさに国の一大不幸といわなければなりません。私は、国家国民のため、すみやかに岸内閣の退陣を要求するものであります。(拍手)  その第四は、あなたの公約が行方不明になっておることであります。あなたは、昨年の衆議院の総選挙以来、多くの公約をいたしたのでありますが、なかんずく、社会保障制度と減税、さらに汚職の絶滅は、公約の柱となっておることは論を待ちません。しかしながら、現実はいかがですか。  まず、政府自慢の国民年金制を見てごらんなさい。三十四年度予算一兆四千余億円に対し、この年金予算は、わずか百億程度、すなわち、〇・七%にすぎない、鼻くそ程度のものであります。(拍手)また、人によっては保険料の掛け捨てとなり、あるいは、世帯によっては自己の掛金を給付してもらう程度でございます。保険料徴収制度もまた、勤労階級の生活に何らの配慮もなく、全く非情なものでございます。これでは、一体、どこを押して社会保障の体をなしていると言えましょうか。社会保障、国民年金などと、名誉ある言葉は、今日以後使わないでもらいたいと存じます。(拍手)  次に、減税公約による税制改正なるものを見てごらんなさい。なるほど、当初年度五百億円余の減税案でございますが、内容は、依然として下積みの者に恩典はなく、減税々々の宣伝に反してガソリン税などの増税を強行することによって、実際は三百億円足らずのものでございます。加えて、運賃、ラジオ聴取料等の物価値上げが行われているのでございます。私の知る限りにおいては、物価値上げによる国民生活へのはね返りは、一世帯当り年額五千円前後になります。かりに二千万世帯といたしまするならば、驚くなかれ、一千億円以上の物価値上げとなるのでございまして、減税額を上回ること実に七百億円となり、加うるに、政府お家芸の水増し徴税が本年も見込まれておりますので、減税どころか、驚くべき増税といわなければなりません。(拍手)  先ほどの年金にいたしましても、この税制にいたしましても、およそ公約実行などとは言えません。もしこれが公約実行だとするならば、公約実行という言葉の前に「ガマの油売り」とつけ加えていただきたいと存じます。(拍手)  さらに、汚職の追放に至っては問題になりません。前国会から今国会を通じて、グラマン問題を初め、戦闘機種の汚職が、わが党の委員から鋭く追及されているのでございます。この事態危うしと見ました政府与党が、わが党委員の発言中に審議打ち切り動議を提出するなど、全くもって卑怯、悪質な行動が平然と行われて参ったのでございます。また、予算委員会におけるインドネシア等の賠償にかかわる汚職の疑いは、国民をして、りつ然とせしめるものがございます。すなわち、――よくお聞きいただきたいと存じます。木下商店なる鉄屋が、知らぬ間に造船会社に化けまして、大手筋の造船会社をしり目に、ほとんどの契約にあずかりました。こともあろうに、一国の大統領と総理の会合の席上に鉄屋のブローカー的政商が参加するなど、何人が見ても、そのくささは、ふんぷんとして鼻をつくものがございます。(拍手)また、永野さん、あなたは先ほど福永さんの反対討論でにやにや笑っておられましたが、永野運輸大臣一家に至っては、自宅の隣に、問題の政商の車庫を、作らせたのか、あるいは作ってあったのか存じませんが、その政商の高級車をわがもの顔に乗り回すなど、全くもって鼻持ちならぬ事実でございます。(拍手)岸さん、うそでもよろしい、清潔を口にする者なら、この一事によっても、かかる不届きな大臣に対しては即刻罷免をしなくてはなリません。それができないところに、岸さん、あなたの哀れな姿がございます。(拍手)  なお、自民党諸君にはお聞き苦しいかもしれませんが、ごしんぼう願いたいと存じます。去る二月二十六月の予算委員会第一分科会では、岸総理が総裁をしておられる自民党の委員から、岸総理金権政治の実態がいやが上にも明らかにされました。いわく、岸総理は機密費を使い過ぎるというのであります。いわく、一国の総理として国民の師表たるべき身でありながら奢侈に流れる傾向があるというのであります。いわく、安保条約改定は総理の思いつきであるというのであります。いわく、岸内閣は何ら取り上げるべき業績を果していないというのであります。(拍手)岸さん、これは、ほかならぬ、あなたが最もよく知る自民党の代議士の言葉でありますぞ。(拍手)  また、昨年暮れの自民党総会において、勇敢なる二、三の代議士諸君による金権政治攻撃もさることながら、この一月に行われた自民党総裁選挙では、岸総理対立候補松村謙三さんさえ、そのスローガンとして、岸総理金権政治権道政治打破を掲げられたのでございます。今日まで、たびたび  総裁選挙が行われたのでございますが、このようなスローガンを掲げられたことは、かつてございません。岸内閣の裏面を最もよく物語っておると私は存ずるのであります。(拍手)岸さんは、みずから、政治は力と金なりと公言しておられるそうでありますが、かくのごとき金権政治の横行は、必然的に、金のかかる政治、すなわち汚職のつきまとう政治になることは、論を待たないと存じます。(拍手)汚職追放を看板とした岸内閣の身辺がこのような疑惑に包まれたことだけでも、重大な政治責任を感ずるべきだと信ずるのであります。(拍手)  最近の地方自治体における汚職事件を見てごらんなさい。政府は、去る二月二十七日、地方自治体に汚職についての注意を促したそうですが、このことなどは、まさに目くそが鼻くそを笑うたぐいであります。(拍手)  岸総理、あなたは最近の新聞をごらんになりましたか。新聞の世論訓告を見ますると、岸内閣支持は、時とともに急激に後退して、さながら冬の寒暖計のように低下しつつあります。(拍手)前国会で、あなたは、わが党から三悪温存ときめつけられて、色をなして怒ったそうでありますが、今や、三悪追放でなくして、あなたのうらはら政治、弾圧政治憲法改悪の三悪追加となったのでございます。(拍手)  総理、いかがです。この声は、私の声ではない、国民全体の声と思わなければなりません。(拍手)この際、総理は、この国民の声を体して即刻に退陣し、その政治責任を明らかにすべきであろうと信じます。(拍手)  第五は、労働政策に現われた岸内閣の反動性でございます。政府は、労働問題の基本となるべきILO条約第八十七号の批准に対して、かねがね、労働問題懇談会の結論を尊重すると答弁に努めて参りました。幸いに、去る二月十八日、労働問題懇談会は、批准すべき旨の答申をいたしたことは言うまでもございません。しかるに、政府態度はいかがです。国内法の整備をたてにとって、できる限り批准を引き延ばそうといたしているのであります。それのみか、国内法整備に名をかりて労働関係法の改悪がたくらまれていると聞いているのでありますが、それほどまでにして、何のために独占資本家べの奉仕に努めなければならないのか、全く不思議の感がいたします。これでは、政治献金に関係があると疑られましても、やむを得ないことになろうと思うのであります。(拍手)ILO条約の批准と政府の企図する労働関係法の改悪とは全く背反したものであることぐらいは御承知であろうと存じます。  また、最低賃金法に至っては、業者間協定を骨子にすることによって、より正そうの低賃金政策を強行しようといたしているのであります。かかる最低賃金法は、低賃金政策法と今後は読みかえていただきたいと存じます。  さらに、岸内閣成立以来、石田労相、倉石労相を通じて日教組、国鉄、全逓、全電通、王子製紙などに加えられた弾圧は、無数に上っておるのでございます。いわく労働秩序の維持、いわく法秩序の維持という美名に隠れて、警告労政から弾圧労政へと、日増しに露骨な弾圧政策に変っているのでございます。岸総理、あなたは、各地の遊説で、口を開けば、労働階級に、ばかり、雑言を浴びせ、労働組合と一般国民との離間策をねらうことによって自己の選挙活動戦術の武器といたしているのでありますが、いつまでも国民を欺瞞することはできません。  岸内閣性格からしても、また独占資本を背景とする点からいっても、労働組合の抗議集会など、大衆行動や争議行為がおきらいなことではありましょう。しかしながら、おきらいならば、なぜその前に国民生活の安定をは、かられないのか。御承知の通り、だれがすき好んで争議行為や大衆行動をとるものがありましょうか。あなた方が食えないようにするからであります。あなた方が平和を脅かすからであります。岸さんも、働く力は国の宝であるという言葉を御承知でございましょう。札束や金銀を山と積んでも、物の生産、すなわち、一粒の米も、一きれの。パンもできません。物の生産は、中小企業者、労働者、農民の持つ労働の力によってのみ生まれることを、お知り願いたいと存じます。だからこそ、われわれが、労働の力を尊重する政治をやれと主張するのであります。今の日本経済組織を見てごらんさない。金の力のみが一切を支配して労働の力は資本家階級の搾取の対象にすぎないのであります。このことをわきまえない岸内閣こそ、働く人々の敵だといわれても仕方がありません。(拍手)  かくて、私は、非情にして無理解きわまる岸内閣の即時退陣を要求いたさなければなりません。  最後に、皆さんに一言つけ加えて申し上げておきたいことは、それは、ただいま、私の尊敬する福永君が、どういう御心境で反対討論に立たれたか、私はよく存じません。しかし、福永君をあまりにもよく知る私は、福永君の演説をじっと耳にしながら、まことに痛々しい思いがいたしました。(拍手)私が思うに、稲永君の良心政党人との板ばさみに抜き差しならぬつらい立場に追い込まれた福永君の心情たるや、まことに察するに余りあるものがございます。(拍手)  なお、私が先ほど来るる証明いたしました岸内閣不信任の声をお聞き願った自民党の各位の中に、しゃくにさわったといってお聞きになった方がありましょう。あるいは、場内をずっと拝見しますると、中には、もっとやれ、その通りだ、けしからぬ、やれといって、腹の中で激励する諸君もありましょう。(拍手)私は訴えます。私を腹の中で激励する諸君に、どうか、数分後に迫る、数刻後に迫る不信任案に対する態度におきまして各位の良識によって、過ぐる総裁選挙に現われた松村謙三さんに対するあの行動をもつ、おこたえ願うならば、どんなに国民は喜びましょう。(拍手)私は、国家国民のために、諸君の良識に強くお訴えいたしまして、賛成の討論にかえるものであります。(拍手
  10. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。この採決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白票、反対諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕
  11. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  12. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 三百九十五  可とするもの(白票) 百四十二     〔拍手〕  否とするもの(青票) 二百五十三     〔拍手
  13. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 右の結果、岸内閣不信任決議案は否決されました。     ―――――――――――――  淺沼稻次郎君外四名提出岸内閣不信任決議案を可とする議員の氏名   赤松  勇君  茜ケ久保重光君    淺沼稻次郎君  足鹿  覺君    飛鳥田一雄君  淡谷 悠藏君    井伊 誠一君  井岡 大治君    伊藤卯四郎君  伊藤よし子君    猪俣 浩三君  池田 禎治君    石川 次夫君  石野 久男君    石橋 政嗣君  石村 英雄君    石山 權作君  板川 正吾君    今澄  勇君  受田 新吉君    内海  清君  小川 豊明君    小沢 貞孝君  大貫 大八君    大野 幸一君  大原  亨君    大矢 省三君  太田 一夫君    岡  良一君  岡田 春夫君    岡本 隆一君  加藤 勘十君    風見  章君  柏  正男君    春日 一幸君  片島  港君    片山  哲君  勝澤 芳雄君    勝間田清一君  角屋堅次郎君    金丸 徳重君  上林與市郎君    神田 大作君  川村 継義君    河上丈太郎君  河野  正君    木下  哲君  木原津與志君    菊地養之輔君  北山 愛郎君    久保 三郎君  久保田鶴松君    久保田 豊君  栗原 俊夫君    栗林 三郎君  黒田 寿男君    小平  忠君  小林  進君    小林 正美君  小牧 次生君    小松信太郎君  小松  幹君    五島 虎雄君  河野  密君    佐々木更三君  佐々木良作君    佐藤觀次郎君  佐野 憲治君    坂本 泰良君  櫻井 蚕夫君    實川 清之君  島上善五郎君    島口重次郎君  下平 正一君    東海林 稔君  杉山元治郎君    鈴木  一君  鈴木茂三郎君    田中幾三郎君  田中織之進君    田中 武夫君  田万 廣文君    多賀谷真稔君  高田 富之君    滝井 義高君  竹谷源太郎君    楯 兼次郎君  館  俊三君    塚本 三郎君  堤 ツルヨ君    戸叶 里子君  土井 直作君    堂森 芳夫君  中井徳次郎君    中澤 茂一君  中島  巖君    中嶋 英夫君  中原 健次君    中村 高一君  中村 英男君    成田 知巳君  西尾 末廣君    西村 榮一君  西村 関一君    西村 力弥君  野口 忠夫君    長谷川 保君  原   茂君    原   彪君  平岡忠次郎君    廣瀬 勝邦君  帆足  計君    穗積 七郎君  北修 秀一君    堀  昌雄君  松尾トシ子君    松平 忠久君  松前 重義君    松本 七郎君  三鍋 義三君    三宅 正一君  水谷長三郎君    武藤 武雄君  門司  亮君    本島百合子君  森島 守人君    森本  靖君  八百板 正君    八木 一男君  矢尾喜三郎君    柳田 秀一君  山口シヅエ君    山崎 始男君  山下 榮二君    山田 長司君  山花 秀雄君    山本 幸一君  横山 利秋君    吉川 兼光君  和田 博雄君    志賀 義雄君  正木  清君  否とする議員の氏名    安倍晋太郎君  相川 勝六君    逢澤  寛君  愛知 揆一君    青木  正君  赤城 宗徳君    赤澤 正道君  秋田 大助君    秋山 利恭君  淺香 忠雄君    足立 篤郎君  天野 公義君    天野 光晴君  綾部健太郎君    荒木萬壽夫君  荒舩清十郎君    五十嵐吉藏君  井出一太郎君    井原 岸高君  飯塚 定輔君    生田 宏一君  池田 清志君    池田 勇人君  池田正之輔君    石井光次郎君  石坂  繁君   石橋 湛山君  一萬田 尚登君    稻葉  修君  今井  耕君    今松 治郎君  岩本 信行君    宇田 國榮君  植木庚子郎君    臼井 莊一君  内田 常雄君    内海 安吉君  江崎 真澄君    小川 半次君  小川 平二君   小澤佐重喜君  大久保留次郎君    大倉 三郎君  大坪 保雄君    大野 市郎君  大野 伸睦君    大森玉一木君  岡崎 英城君    岡部 得三君  岡本  茂君    奧村又十郎君  加藤 精三君    加藤 高藏君  加藤常太郎君    鹿野 彦吉君  賀屋 興宣君    金丸  信君  上林山榮吉君    亀山 孝一君  鴨田 宗一君    川崎末五郎君  川崎 秀二君    川島正次郎君  菅家 喜六君    簡牛 凡夫君  木倉和一郎君    木村 武雄君  木村 俊夫君    木村 守江君  菊池 義郎君    岸  信介君  北澤 直吉君    北村徳太郎君  吉川 久衛君    清瀬 一郎君  久野 忠治君    倉石 忠雄君  倉成  正君    藏内 修治君  黒金 泰美君    小泉 純也君  小枝 一雄君    小坂善太郎君  小島 徹三君    小平 久雄君  小林かなえ君    小林 絹治君  小山 長規君    河野 一郎君  河野 孝子君    河本 敏夫君  佐々木盛雄君    佐藤 榮作君  佐藤洋之助君    齋藤 邦吉君  坂田 英一君    坂田 道太君  櫻内 義雄君    笹山茂太郎君  志賀健次郎君    始関 伊平君  椎熊 三郎君    椎名悦三郎君  重政 誠之君    篠田 弘作君  島村 一郎君    正力松太郎君  進藤 一馬君    周東 英雄君  鈴木 正吾君    鈴木 善幸君  砂原  格君    世耕 弘一君  瀬戸山三男君    關谷 勝利君  園田  直君    田口長治郎君  田中伊三次君    田中 榮一君  田中 角榮君    田中 彰治君  田中 龍夫君    田中 正巳君  田遊 國男君    高石幸三郎君  高碕達之助君    高瀬  傳君  高橋清一郎君    高橋 禎一君  高橋  等君    高見 三郎君  竹内 俊吉君    竹下  登君  竹山祐太郎君    武知 勇記君  谷川 和穗君    中馬 辰猪君  津島 文治君    塚田十一郎君  塚原 俊郎君    辻  寛一君  綱島 正興君    寺島隆太郎君  渡海元三郎君    徳安 實藏君  富田 健治君    内藤  隆君  中井 一夫君    中垣 國男君  中川 俊思君    中村 梅吉君  中村 幸八君    中村三之丞君  中村 寅太君    中山 マサ君  永田 亮一君    永山 忠則君  灘尾 弘吉君    夏堀源三郎君  楢橋  渡君    南條 徳男君  二階堂 進君    丹羽喬四郎君  丹羽 兵助君    西村 英一君  野田 卯一君    野田 武夫君  野原 正勝君    羽田武嗣郎君  馬場 元治君   橋本登美三郎君  橋本 正之君    橋本 龍伍君  長谷川四郎君    長谷川 峻君  八田 貞義君    服部 安司君  濱田 幸雄君    濱田 正信君  濱地 文平君    濱野 清吾君  早川  崇君    林  讓治君  林  唯義君    原 健三郎君  平井 義一君    平塚常次郎君  平野 三郎君    廣瀬 正雄君  福家 俊一君    福井 順一君  福井 盛太君    福田 赳夫君  蒲田 篤泰君    福田  一君  福永 一臣君    福永 健司君  藤枝 泉介君    藤本 捨助君  藤山愛一郎君    船田  中君  古井 喜實君    保科善四郎君  保利  茂君    坊  秀男君  星島 二郎君    細田 義安君  堀内 一雄君    堀川 恭平君  本名  武君    前尾繁三郎君  前田  郁君    前田 正男君  益谷 秀次君    増田甲子七君  松浦周太郎君    松岡嘉兵衛君  松澤 雄藏君    松田竹千代君  松田 鐵藏君    松野 頼三君  松村 謙三君    松本 俊一君  三池  信君    三浦 一雄君  三木 武夫君    三田村武夫君  三和 精一君    水田三喜男君  南  好雄君    村上  勇君  村瀬 宣親君    毛利 松平君  粟山  博君    森   清君  森下 國雄君    八木 一郎君  保岡 武久君   柳谷清三郎君  山口喜久一郎君    山口 好一君  山口六郎次君    山崎  巖君  山下 春江君    山田 彌一君  山手 滿男君    山中 貞則君  山村新治郎君  吉田 重延君  早稻田柳右エ門君    渡邊 本治君  渡邊 良夫君    亘  四郎君      ――――◇―――――
  14. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 日程第二、昭和三十四年度一般会計予算補正(第1号)を議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員長楢橋渡君。     [楢橋渡君登壇
  15. 楢橋渡

    ○楢橋渡君 ただいま議題となりました昭和三十四年度一般会計予算補正(第1号)につきまして、予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本予算補正は、去る二月三日委員会に付託されたのでありますが、同月六日一たん付託取り戻しとなり、去る三月十七日再び委員会に付託されたものであります。     [議長退席、副議長着席〕 予算委員会では、二十六、二十七の両日にわたり審議の上、可決いたしました。  本予算補正の規模は、歳入歳出とも二百五十億七千三百余万円の追加でありまして、国際通貨基金及び国際復興開発銀行べの出資増加に伴うものであります。今回の出資額は、国際通貨基金へは一億五千万ドル、また、国際復興開発銀行へは四億一千六百万ドルでありまして、その結果、この両機関べの出資総額は、それぞれ五億ドル及び六億六千六百万ドルとなるのであります。本予算補正は、この払い込みのために必要な経費の追加を行うものであります。この財源には、日本銀行所有の金地金の評価がえによる益金の納付見込額を充てることとしております。しこうして、今回の予算補正の結果、昭和三十四年度一般会計予算総額は、歳入歳出とも一兆四千四百四十三億二千二百余万円となるのであります。  次に、委員会における質疑の若干について申し上げます。  まず、質疑の第一は、「この補正の内容をなす経費の追加は、三十四年度の本予算編成当時において見込むことができたはずである。それにもかかわらず、本予算と切り離して編成し、しかも、本予算審議の総括質疑が行われているときに予算委員会に付託したことは、形式上も手続上も不当である。しかも、昭和二十七年の第一回の出資の際は、逆に出資金が未確定であったにもかかわらず、予算に見込額のまま計上しており、外債発行、インドネシア賠償等、対外債務の予算編成上の取扱いに一貫性がないように思われるが、どうか」との質疑がなされたのであります。これに対する政府答弁は、「昨年の総会で、わが国は特別増加出資を引き受ける意思を表明したのであるが、その実現のためには一定期間に加盟国の必要な支持票を得なければならず、その見通しがつかないうちに勝手に予算に計上することは、国際的な配慮から差し控えた。しこうして本予算編成後の一月三十日に加盟国の確認を得てからは、国際信義上も早急に予算措置を講ずることが適当であるので、衆議院で本予算審議中にもかかわらず、補正として提出したものである。これに引きかえ、二十七年における第一回の出資は、わが国が国際経済社会の一員として国際機関に復帰するものであったため、わが国の意図を予算面で事前に明確に示しておくことが加盟を容易ならしめるとの配慮から、金額の確定を待たずに、見込みだけで予算案に組んだものである。国際関係の経費の予算上の取扱いは、その都度慎重にしている」との答弁でございました。  第二の質疑は、「世界銀行は国内資金の調達困難なものに対して貸付を行うものであるが、わが国の場合、先般のブラック総裁の発言もあり、また、借款が外債発行と抱き合せに行われた例から見ても、今後の世界銀行からの借款は困難を予想される。にもかかわらず、特にこの際特別増資を引き受けた理由は何か」ということでございました。これに対し、政府は、「今回の増資額は、わが国の増大した経済力に即応するものであって、今・後も、わが国は、長期低利の世銀借款に期待すべきものが多い。現在のところ、外債は、金利の点からも、引き続いて発行する計画はない。また、世銀等の出資額の多寡は国際的地位の基準をも示すものであり、わが国の地位を高めるためにも特別増資をすることにした」との答弁でありました。  以上のほか、日中国交回復問題、仲裁裁定問題、賠償支払いに関連する綱紀粛正問題、外交問題、安全保障条約改定問題等、外交、内政各般にわたり活発なる質疑応答が行われたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることを御了承をお願いいたします。かくして、質疑終了後、討論、採決を行いました結果、本予算補正は政府原案の通り可決した次第でございます。右、御報告申し上げます。(拍手
  16. 正木清

    ○副議長(正木清君) これより講論に人ります。楯兼次郎君。     〔楯兼次郎君登壇
  17. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 私は、日本社会党を代表し、政府提出昭和三十四年度予算補正(第1号)に対し、わが党が反対する趣旨をここに明らかにいたします。     〔拍手)  この補正予算案は、国際通貨基金に対する出資額一億五千万ドルを五億ドルに、国際復興開発銀行に対する出資額二億五千万ドルを六億六千六百万ドルに増額するため、これに伴う払い込4費用として二百五十億七千三百九十七万九千円を計上し、これの財源とし、日本銀行所有の金地金の帳簿価格を改定することにより生ずる再評価差槻に相当する金額の受け入れ見込額を同じ金額だけ計上したものであります。わが党が本案に反対する第一の理由は、本案は財政法の規定による適正な棚正措置として認めがたい点にあります。すなわち、財政法第二十九条によれば、補正予算とは、予算作成後に生じた事由に基くか、または既定の予算では不足を生じた場合に限って編成することができるのであります。ところが、今回のごとく、衆議院において当初予算の審議に入りましてまだ二日もたたないうちに提出をされましたことは、財政法始まって以来最初のケースであり、これは明らかに財政法をじゅうりんする、まことにとんでもない前例となるおそれありといわなくてはなりません。(拍手政府は、国際通貨基金と国際復興開発銀行べの出資増額が確定をしたのは本年二月二日の加盟国の投票締め切り日である、従って、当初予算が閣議で決定をした一月二十三日以降に補正予算として提出せざるを得なかったと釈明をいたしているのであります。しかし、出資増額が確実に予見し得たのは、昨年十二月十九日の同基金の理事会による決定であったわけであります。このことは、政府みずから、この経緯を国会で正式に説明をいたしております。従って、政府は、当然、当初予算にこの補正予算額を計上すべきであったのであります。二月三日本案が予算委員会に付託をされまして、わが党の強い反対により、一たん委員会付託を取り下げたのを見ましても、財政法における予見し得る歳入についての解釈自体が政府内部において全く混乱していることを物語っているのであります。われわれは、立法府として、政府のかかる責任を追及するとともに、政府が歳入予算についての統一ある見解を持ち得るまで本案の提出を延期するのが当然であると考えるわけであります。(拍手)  本案に反対をいたしまする第二の理由は、歳入補正の財源として、政府は、日銀納付金の補正増額をもって充当しているのでありますが、われわれは、これを確定財源として認めることはできない点にあります。日銀が資金勘定として保有をしている金地金は百二十九トン、帳簿価格四億四千七百万円であります。しかし、うち四十四トンは、現物はございません。政府と日銀との債権債務関係として、未整理な証書だけが残っている状態であります。しかも、政府は、この未整理の四十四トン分についてどう一体処理をするのか、今日何らの具体策すら持っていないのが現状であります。すでに接収貴金属の処理に関する法案が国会提出をされましたのは、昭和二十八年十二月、第十九回国会であります。自来、今日まで満五カ年以上を経過したにもかかわらず、その間、自民党政府は何らの具体策をも用意し得なかったのであります。大蔵当局の怠慢はもとより、大蔵大臣総理大臣責任は実に重大といわなくてはなりません。もし、かりにこのような未確定財源の使用を本案で認めるとするならば、未整理の四十四トンの処分については、やがてその犠牲の転嫁が国民の租税負担においかぶさってくることは、火を見るより明らかなことであります。すなわち、四十四トンの返済を政府が日銀に対して行うといたしましても、それは政府保有の金地金、または貴金属特別会計で毎年買い入れておりまするところの、新しく産出をされる金によって処理されなくてはなりません。政府がこのような措置をとるならば、それによって生ずる貴金属特別会計の欠損を一体何によって補てんするのか。結局、一般会計よりの補てんにより穴埋めする以外に道はございません。かかるおそるべき予想、おそるべき不安が残されている未確定財源を、岸内閣に白紙委任状をつけて承認をすることは、われわれ社会党は、国民の名において、断じて許されないのであります。(拍手)  本案の成立に必要な関連法である接収貴金属処理法案、あるいは国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置法の改正案の双方とも、聞くところによりますると、自民党諸君ですら、今国会において成立することを強く期待してはおられないようであります。このことは、両基金への出資増額が、ことしの九月までに実施されれば十分間に合うことが明らかでありまする今日、本案のごとく財政法に違反し、かつ、未確定財源を使用することにちゅうちょされているのではないかと、私どもは考えているわけでございます。  しかるに、岸内閣は、なぜ本案の提出を急いでおるのか。大蔵大臣は、各委員の質問に答えて、国際的な礼譲として、急いで財政措置をとりたい、と常に説明をいたしているのでありまするが、一体、岸内閣の国際的礼譲とは何であるか。中国の国旗を侮辱いたしました不遇の徒の処分を今日まで怠っておりましてあえて中国敵視の政策をとっている岸内閣のどこに一体国際的礼譲があるでありましょうか。われわれは、こういわざるを得ないのであります。(拍手岸内閣が両出資の増額を急ぐゆえんは、国内の大命業のために、両基金より多くの融資を受けられるよう措置するためであり、大企業木位の経済体制をさらに強化せんがための措置であって、三十四年度予算の骨格となっている大企業のためのサービス、日米安保条約を改定して核武装せんとする再軍備の意図、この骨格がそのまま本案の基本的な意図である、こう断言しなければなりません。  もし、本案が、以上申し上げました二つの疑点を解明することなく、諸君の多数をもって、この補正案を押し切ることがあるとするならば、三十四年度一般会計予算の合計は一兆四千四百四十三億円となり、当初、「一兆ヨイクニ」、こう言って自民党諸君が自画自賛されておりましたところのごろ合せば、「ヨイクニ」どころか、「イノシシシミをつける」、すなわち、先ほど来論議をされておりましたように、まことに汚職ふんぷんたる汚点多き予算となり終るでありましょうということを申し上げたいのでございます。(拍手)  私どもは、以上の理由から、本案に対しまして断固反対であることをここに表明いたしまして、私の討論を終ります。(拍手
  18. 正木清

    ○副議長(正木清君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。この採決は記名投票をもって行います。本件の委員長の報告は可決であります。本件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君は白票、反対諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕
  19. 正木清

    ○副議長(正木清君) 投票漏れはありませんか。投票漏れはありませんか。1投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開箱。――開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  20. 正木清

    ○副議長(正木清君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読]  投票総数 三百二十三   可とするもの(白票)  百九十六     〔拍手〕   否とするもの(青票)  百二十七     〔拍手
  21. 正木清

    ○副議長(正木清君) 右の結果、昭和一二十四年度一般会計予算補正(第1号)は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)     ―――――――――――――  昭和三十四年度一般会計予算補正(第1号)委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名    安倍晋太郎君  相川 勝六君    逢澤  寛君  青木  正君    赤城 宗徳君  赤澤 正道君    秋田 大助君  秋山 利恭君    足立 篤郎君  天野 公義君    天野 光晴君  綾部健太郎君    荒舩清十郎君  五十嵐吉藏君    井出一太郎君  井原 岸高君    飯塚 定輔君  生田 宏一君    池田 清志君  池田正之輔君    石坂  繁君  一萬田尚登君    稻葉  修君  今村  耕君    岩本 信行君  宇田 國榮君    植木庚子郎君  臼井莊一君    内田 常雄君  内海 安吉君    江崎 真澄君  小川 半次君    小澤佐重曹君  大倉 三郎君    大坪 保雄君  大野 市郎君    大森 玉木君  岡崎 英城君    岡部 得三君  岡本  茂君    加藤 精三君  加藤 高藏君    金丸  信君  上林山榮吉君    亀山 孝一君  鴨田 宗一君    川崎末五郎君  菅家 喜六君    簡牛 凡夫君  大倉和一郎君    木村 武雄君  木村 守江君    岸  信介君  北澤 直吉君    北村徳太郎君  清瀬 一郎君    久野 忠治君  倉石 忠雄君    倉成  正君  小泉 純也君    小枝 一雄君  小島 徹三君    小平 久雄君  小林  錡君    小林 絹治君  河野 孝子君    佐々木盛雄君  佐藤 榮作君    坂田 英一君  坂田 道太君    櫻内 義雄君  始関 伊平君    権名説三郎君  重政 誠之君    篠田 弘作君  正力松太郎君    進藤 一馬君  周東 英雄君    鈴木 正吾君  鈴木 善幸君    砂原  格君  世耕 弘一君    瀬戸山三男君  關谷 勝利君    園田  直君  田口長治郎君    田中 榮一君  田中 角榮君    田中 龍夫君  田中 正巳君    田遷 國男君  高石幸三郎君    高碕達之助君  高瀬  傳君    高橋清一郎君  高橋 禎一君    高橋  等君  高見 三郎君    竹内 俊吉君  竹山祐太郎君    谷川 和穗君  中馬 辰猪君    津島 文治君  塚原 俊郎君    辻  寛一君  綱島 正興君    渡海元三郎君  徳安 實藏君    富田 健治君  内藤  隆君    中井 一夫君  中村 梅吉君    中村 幸八君  中村三之丞君    中山 マサ君  永山 忠則君    灘尾 弘吉君  松橋  渡君    南條 徳男君  二階堂 進君    丹羽喬四郎君  丹羽 兵助君    西村 英一君  野田 卯一君    野田 武夫君  野原 正勝君    羽田武嗣郎君  馬場 元治君   橋本登美三郎君  橋本 正之君    橋本 龍伍君  長谷川四郎君    長谷川 峻君  八田 貞義君    服部 安司君  濱田 幸雄君    濱田 正信君  濱地 文平君    濱野 清吾君  林  讓治君    原健 三郎君  平井 義一君    廣瀬 正雄君  福家 俊一君    福井 盛太君  福田 赳夫君    福田 篤泰君  福田  一君    福永 健司君  藤枝 泉介君    藤山愛一郎君  船田  中君    古井 喜實君  保科善四郎君    保利  茂君  坊  秀男君    細田 義安君  堀内 一雄君    本名  武君  前尾繁三郎君    前田 正男君  益谷 秀次君    増田甲子七君  松浦周太郎君    松岡嘉兵衛君  松澤 推戴君    松田竹千代君  松田 鐵藏君    松野 頼三君  松本 俊一君    三池  信君  三浦 一雄君    三田村武夫君  三和 精一君    水田三喜男君  南 好雄君    村上  勇君  毛利 松平君    粟山  博君  森   清君    森下 國雄君  八木 一郎君    保岡 武久君  柳谷清三郎君   山口喜久一郎君  山口 好一君    山口六郎次君  山崎  巖君    山下 春江君  山手 滿男君    山中 貞則君  山村新治郎君  吉田 重延君  早稻田柳右エ門君    渡邊 本治君  渡邊 良夫君  否とする議員の氏名   赤松  勇君  茜ケ久保重光君    足鹿  覺君  飛鳥田一雄君    淡谷 悠藏君  井伊 誠一君    井岡 大治君  伊藤よし子君    猪俣 浩三君  池田 禎治君    石川 次夫君  石野 久男君    石橋 政嗣君  石村 英雄君    石山 權作君  板川 正吾君    受田 新吉君  内海  清君    小川 豊明君  小沢 貞孝君    大貫 大八君  大野 幸一君    大原  亨君  大矢 省三君    太田 一夫君  岡  良一君    岡本 隆一君  加藤 勘十君    風見  章君  柏  正男君    片島  港君  片山  哲君    勝澤 芳雄君  勝間田清一君    角屋堅次郎君  金丸 徳重君    上林與市郎君  神田 大作君    川村 継義君  河上丈太郎君    河野  正君  木下  哲君    木原津與志君  菊地養之輔君    北山 愛郎君  久保 三郎君    久保田鶴松君  久保田 豊君    栗原 俊夫君  栗林 三郎君    黒田 寿男君  小平  忠君    小林  進君  小林 正美君    小牧 次生君  小松信太郎君    小松  幹君  五島 虎雄君    河野  密君  佐々木更三君    佐々木良作君  佐藤觀次郎君    佐野 憲治君  櫻井 奎夫君    實川 清之君  島上善五郎君    島口重次郎君  下平 正一君    東海林 稔君  杉山元治郎君    鈴木  一君  田中幾三郎君    田中織之進君  田中 武夫君    田万 廣文君  多賀谷真稔君    高田 富之君  滝井 義高君    竹谷源太郎君  楯 兼次郎君    館  俊三君  塚本 三郎君    堤 ツルヨ君  戸叶 里子君    土井 直作君  堂森 芳夫君    中井徳次郎君  中澤 茂一君    中島  巖君  中嶋 英夫君    中原 健次君  中村 高一君    中村 時雄君  中村 英男君    成田 知巳君  西村 関一君    西村 力弥君  野口 忠夫君    長谷川 保君  原   茂君    原   彪君  平岡忠次郎君    廣瀬 勝邦君  北條 秀一君    堀  昌雄君  松尾トシ子君    松前 重義君  松本 七郎君    三鍋 義三君  三宅 正一君    水谷長三郎君  武藤 武雄君    門司  亮君  本島百合子君    森島 守人君  森本  靖君    八百板 正君  八木 一男君    柳田 秀一君  山口シヅエ君    山崎 始男君  山下 榮二君    山田 長司君  山花 秀雄君    山本 幸一君  和田 博雄君    志賀 義雄君      ――――◇―――――
  22. 正木清

    ○副議長(正木清君) 日程第三、特許法案日程第四、特許法施行法案日程第五、実用新案法案日程第六、実出川新案法施行法案、日程第七、意匠法案日程第八、意匠法施行法案日程第九、商標法案日程第十、商標法施行法案日程第十一、特許法等施行に伴う関係法令整理に関する法律案日程第十二、特許法等の一部を改正する法律案、右十案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。商工委員会理事中村幸八君。     [中村幸八君登壇
  23. 中村幸八

    ○中村幸八君 ただいま議題となりました特許法案外九件に関する商工委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  現行の特許法、実用新案法、意匠法及び商標法の、いわゆる工業所有権四法は、大正十年に制定せられたもので、今日まで数回の小改正を行なったのみで、根本的改正は全然行われていないのであります。しかるに、この間、科学技術の進歩は目ざましく、産業界もまた著しい変貌を遂げていることは、御承知の通りであります。よって、この際、今日の技術並びに経済情勢に合致するような根本的改正を行うべく、今回の法案が提出されたのであります。  また、特許、実用新案、意匠、商標の四法案は膨大なものでありまするので、通常立法の場合は附則とすべき施行期日と必要な経過措置等は、それぞれ独立した施行法案として提出されております。しかしてその施行期日は昭和三十五年四月一日と定められております。  また、特許法等四法の制定による関係法令整理を行うため、特許法等施行に伴う関係法令整理に関する法律案提出されたのであります。  なお、特許料並びに登録料を新法施行の日を待たず繰り上げて現行料金の約二倍に値上げを行うため、特許法等の一部を改正する法律案があわせて提案されたのであります。  次に、基本法である工業所有権四法案の概要を、現行法と比較して、その相違点につきまして簡単に申し上げます。  まず、四法案共通のものとしましては、一、権利侵害に関する規定の新設、二、審判制度を二審制より一審制に改正したこと、三、権利範囲の確認審判を特許庁の解釈と改めたこと、四、実施権の明確化、五、特許料、登録料及び手数料の値上げを行なったこと等であります。  第二に、特許法案関係といたしましては、一、外国頒布の文献記載の発明は不許可としたこと、二、特許要件に発明の進歩性の規定を追加したこと、三、不特許発明に原子核変換方法により製造されるべき物質の規定を追加したこと、四、特許権の存続期間の延長制を廃止したこと、五、関連数発明を一出願にてなし得る道を開いたこと、六、公益上、特に必要な発明は国以外のものでも実施できる規定を設けたこと、七、無効審判請求の除斥期間は一部を除き廃止したこと、八、特許権の効力は業として実施するものに限定したこと等々であります。  第三に、実用新案法案関係といたしましては、一、実用新案権の対象を型から考案に改正したこと、二、特許出願との間に先、後願の相互関係規定を設けたこと、三、特許法案に準じ規定を改正したこと等々であります。  第四に、意匠法案関係といたしましては、一、外国において公知、公用または頒布刊行物記載の意匠を不許可とする規定忍追加したこと、二、販売、展示等による公知は、六ヵ月以内に限り許可となり得る例外規定を新設したこと、三、組の物品の意匠の規定を新設したこと、四、意匠権の存続期間を十五年に変更したこと、五、特許法案に準じて規定を改正したこと等々であります。  最後に、商標法案関係について申し上げますが、一、商標の不登録事由を追加したこと、二、商標権の自由譲渡を認めたこと、三、商標の使用許諾と質権の設定を認めたこと、四、団体標章制を廃止したこと、五、商標権の存続期間を改正したこと、六、防護標章制度の規定を新設したこと、七、不使用取り消し制度を強化したこと。  以上が四法案のおもなる内容であります。  なお、特許法案等十法案は、参議院において次の諸点について政府原案が修正されたのであります。  一、実用新案法案意匠法案における「許可」という言葉を、すべて永年慣用の「登録」に修正したこと、二、審査官、審判官の資格につき、政令べの委任規定を新たに設けたこと、三、権利の技術的範囲について特許庁に「解釈」を求めることになっているのを、「判定」とするとともに、審判官「三名以下」とあるを「三名」と修正したこと、なお、判定の手続事項を政令に委任する規定を新設したこと、四、自己の発明等を実施するため、他人の権利を利用する場合に、他人の利益を不当に害するときは、通常実施権が与えられない旨の規定を追加したごと、五、商標登録が受けられないもののうちから、功労章と同一または類似の商標を除くこととしたことなどであります。  以上の十法案は、三月十三日本委員会に付託され、三月十七日中川通商産業政務次官より提案理由の説明を聴取したのであります。自来、数次にわたり熱心な質疑が行われ、また、三月二十五日には学識経験者、発明関係者等八名を参考人として招致し、その意見を聴取したのでありますが、質疑の内容等は会議録を御参照願いたいと存じます。  かくて、昨二十七日質疑を終了したところ、日本社会党田中武夫委員より、自由民主党、日本社会党の共同提案にかかる修正案が提出されました。その要旨は、特許法等施行に伴う関係法令整理に関する法律案第四条に規定されている私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の第百条削除とあるのを改め、同条中、「実施権」を「専用実施権若しくは通常実施権」とすることに修正したものであります。  引き続き採決いたしましたところ、特許法等施行に伴う関係法令整理に関する法律案は修正案の通り修正議決すべきものと決し、他の九法案はいずれも参議院より送付された原案の通り全会一致をもって可決すべきものと決した次第であります。  なお、特許法案に対し、自由民主党及び日本社会党両党提案になる附帯決議を付すべしとの動議が自由民主党小泉純也委員より提出されました。その要旨は、今回の値上げ増収分は、あげて人員の増加を初め特許事務促進のために充当すること、滞積せる未処理件数の一掃対策を樹立すること、審査官、審判官の特別給与制を考慮すること等であります。  採決いたしましたところ、これまた全会一致をもって提案通りの附帯決議を付することに決した次第であります。  以上をもって御報告を終ります。(拍手
  24. 正木清

    ○副議長(正木清君) 十案を一括して採決いたします。十案中、日程第十一の委員長の報告は修正、その他の九案の委員長の報告は可決であります。十案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     [賛成者起立]
  25. 正木清

    ○副議長(正木清君) 起立多数。よって、本案とも委員長報告の通り決しました。
  26. 正木清

    ○副議長(正木清君) 本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十六分散会