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1959-03-25 第31回国会 衆議院 文教委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十五日(水曜日)     午前十一時四十三分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 加藤 精三君 理事 木村 武雄君    理事 永山 忠則君 理事 小牧 次生君    理事 櫻井 奎夫君 理事 西村 力弥君       木村 守江君    清瀬 一郎君       鈴木 正吾君    竹下  登君       灘尾 弘吉君    松永  東君       八木 徹雄君    野口 忠夫君       長谷川 保君    堀  昌雄君       山崎 始男君  出席国務大臣         文 部 大 臣 橋本 龍伍君  出席政府委員         法務局参事官         (第二部長)  野木 新一君         文部政務次官  高見 三郎君         文部事務官         (大臣官房総務         参事官)    齋藤  正君         文部事務官         (体育局長)  清水 康平君 委員外出席者         議     員 西村 力弥君         専  門  員 石井  勗君     ――――――――――――― 三月二十五日  委員原田憲君、高橋英吉君、北村徳太郎君、山  本勝市君及び三木武夫君辞任につき、その補欠  として高石幸三郎君、天野光晴君、渡海元三郎  君、吉田重延君及び田中榮一君が議長の指名で  委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十五日  高等学校における生徒編制及び教職員設置  の基準に関する法律案西村力弥君外二名提出、  衆法第五八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十四日  社会教育法等の一部を改正する法律案成立促進  に関する陳情書  (第四  五八号)  同  (第五六三号)  義務教育施設費国庫負担制度確立に関する陳情  書(第四九一号)  義務教育学校施設費半額国庫負担制度確立に  関する陳情書(  第四九二号)  教育行政充実等に関する陳情書  (第四九三号)  養護教諭各校必置に関する陳情書  (第五六一号)  公立義務教育学校教職員定数確保等に関す  る陳情書  (第五六二号)  教育基本刷新等に関する陳情書  (第五六四号)  義務教育学校施設整備費国庫負担制度確立に  関する陳情書  (第五六五号)  青年学級に対する補助金交付に関する陳情書  (第五  六六号)  危険校舎改築費国庫負担率引上げに関する陳情  書(  第五六七号)  公立小学校屋内運動場建築費国庫負担法制定に  関する陳情書  (第五六八号)  学校敷地購入費国庫負担法制定に関する陳情書  (第  五六九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本学校安全会法案内閣提出第一二一号)  国立及び公立義務教育学校児童及び生徒  の災害補償に関する法律案山崎始男君外三名  提出衆法第四号)  高等学校における生徒編制及び教職員設置  の基準に関する法律案西村力弥君外二名提出、  衆法第五八号)      ――――◇―――――
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 それでは会議を開きます。  まず、高等学校における生徒編制及び教職員設置基準に関する法律案議題とし、提出者より趣旨説明を聴取いたします。西村力弥君。     —————————————     —————————————
  3. 西村力弥

    西村力弥君 ただいま議題となりました高等学校における生徒編制及び教職員設置基準に関する法律案につきまして、提案者を代表して、その理由及び内容概略を御説明申し上げます。  戦後六・三・三・四の新教育制度が実施せられ、義務教育中学校まで延長され、憲法、教育基本法に保証されました教育機会均等民主教育の推進に大きく寄与いたしましたことは、まことに喜ばしいことであります。  しかしながら、急激な人口増加に伴う就学児童生徒の増大に対しましては、終戦直後のわが国力をもってしては、その校舎及び施設設備を完備いたしますことが、難事であったことは推察にかたくありませんが、今日のわが国状におきましては、もはや、戦前の水準を上回る国力を回復しているものと思考いたされます。  さて、教育行政全般を通じまして感ぜられますことは、高校教育教職員定数施設設備においてきわめて劣悪な条件のもとに行われていることであります。すなわち高校教育が今日にあっては、半義務制化しており、昭和三十三年度における高校生は三百万人を突破し、公立高校生の数は二百二十四万人に達しており、今後さらにその増加が考えられます。一方これに対しまして、校舎は大部分が旧中学校、旧女学校をそのまま転用したものが多く、一般教室はもちろん、特別教室における設備、図書館、講堂、運動場等一つとして満足なものがない状態であり、特に産業教育学校施設設備は老朽化しており、果してこれで高校教育産業教育振興できるかどうか疑われる次第であり、また老朽校舎改築を要するものが七万坪にも達し、その多くは倒壊寸前の危険な状態にあり、寸刻も猶余を許さない実情にあります。このように校舎施設の改善はもちろんでありますが、その規模においても文部省令で定めている基準は実施されておらない現状であります。  さらに高校教育質的内容を低下せしめ、生徒指導を困難ならしめるものとして、すし詰め学級教職員定数の不足が大きく影響いたします。学校教育法第三条によって、昭和二十三年一月に定められました文部省令第一号の高等学校設置基準第七条に「同時に授業を受ける一学級生徒数は、四十人以下とする。」と規定されていますが、多くの高等学校において五十人から六十人の学級編制になっており、工業、農業や水産課程においてすら四十人から五十人の学級編制となっているのが現状であります。その上、さらに激増する高校進学者地方財政窮迫理由に、大部分の府県が省令基準を無視する傾向にあります。  また、高等学校設置基準において規定される教職員定数基準についても、無視されており、乙号基準甲号基準暫定基準として定められたものでありますが、省令が施行せられましてより十一年を経過いたしました今日におきましても、なお、乙号基準の八六%にしか達していない実情にあります。  特に定時制課程におきましては、勤労青少年教育振興のかけ声にもかかわらず、校舎施設はもちろんのこと、教職員定数は、乙号基準の六九%にしかなっておりません。  以上申し述べましたような実情も、御承知のように公立高等学校教育費地方交付税交付金の中に盛り込まれており、その単位費用の額が実態経費をはるかに下回っておることと、交付金ひもつきになっていないことから、財政窮迫地方団体におきましては設置基準の維持が困難にならざるを得ないのであり、また設置基準省令であって法律でない点からも、とかくなおざりにされる結果ともなっております。  このような状態を放置いたしますことは高等学校教育の本来の目的を達成することができぬのみならず、将来の日本を背負って立つ青少年教育を考えるとき、まことに憂慮にたえないのであります。  すし詰め学級を解消し、教職員定数を確保し、もって高等学校教育充実振興をはかることが必要であると信じ、ここに本法案提出いたした次第でございます。  次に、高等学校における生徒編制及び教職員設置基準に関する法律案の骨子について説明申し上げます。  第一には、第三条において、高等学校教育における教育効果の向上のため、高等学校授業における生徒編制を三十人以下と規定いたしました。  第二には、第三条より第六条において、教諭養護教諭事務職員実習助手定数を第十条において、用務員、警備員技術職員及び作業員定数規定いたしました。  第三には、教職員定数夜間定時制課程以外の課程夜間定時制課程について、それぞれに定数基準を適用するよう規定いたしました。  第四には、通信教育についても文部規定で定める基準を本法律案に盛り込みました。  第五には、高等学校分校であって、当該分校生徒の総数が百八十人以上であるものについては、一学校とみなすように規定いたしました。  第六には、休職者等学校を離れて授業を担当しない教職員定数から除外いたしました。  第七には、附則におきまして七カ年計画で本法が実施されるように規定いたしました。  以上、高等学校授業における生徒編制及び教職員設置基準に関する法律案提案理由及び内容概略を申し述べました。  何とぞ、慎重御審議の上すみやかに御賛同下さいますようお願いいたします。
  4. 臼井莊一

    臼井委員長 本法案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  5. 臼井莊一

    臼井委員長 次に、日本学校安全会法案並びに国立及び公立義務教育学校児童及び生徒災害補償に関する法律案一括議題とし、審査を進めます。質疑を許します。堀昌雄君。
  6. 堀昌雄

    堀委員 前会、学校安全の責任所在の問題について伺ったわけでありますが、本日は法制局がお見えになっておりますので、ちょっとこの問題の法律的な見解を伺いたいと思います。  まず原則的にちょっと伺いたいのは、この前、実は私が学校安全の責任という形で御質問いたしましたところが、非常にその幅が広いようで、答弁として非常に困ったというふうな話を伺ったので、基本的にある行為の最終的な責任というものが、刑法民事訴訟法、あるいは行政上の各個の観点から個々に違うということがあり得るかどうか。大体一つ行為があって、それの責任をどこかでとるという場合には、以上の三つについて同一でなければならぬと私は思いますが、法制局の方ではどういう御見解であるか伺いたい。
  7. 野木新一

    野木政府委員 御質問は、なかなか範囲が広くて、しかもむずかしい問題に関連しておりますので、うまく御納得のいくような答弁ができるかどうかわかりませんが、おっしゃったように、行政法、あるいは民事訴訟法、あるいは刑法、そういう名前をおあげになりましたが、それぞれの法律による学校安全に関する責任が全部同じかと言いますと、その点につきましてはむしろそうではない。それぞれの法律は、それぞれの法律が規制しようとする目的、あるいは保護しようという法域、そういうものに従いまして、何がその責任者であるということは、各それぞれの法律でその目的なり保護せんとしておる法域に従って規定しておるわけでありまして、一概に全部その責任者が同じだということは必ずしも言えないわけでございます。
  8. 堀昌雄

    堀委員 それでは具体的に、学校安全についての刑法上の責任はだれが負い、民事訴訟法規定する責任はだれが負い、行政上の責任はだれが負うかを、法文上から一つお示し願いたいと思う。この法律によって学校安全についての刑法上の責任はここにその所在があり、この法律に基づいて学校安全の民事訴訟法の相手方、要するに責任者というものはこれこれである、行政上の責任はこの法律に基づいてだれであるということを、一つ具体的にお答えを願いたい。
  9. 野木新一

    野木政府委員 その御質問も非常に範囲が広くて、おそらくその関連する法律はずいぶんたくさんあると思います。その全部に一々言及することは、とても私は今ここで記憶にない点もありますので、最も典型的なものを一つあげて、それについて御説明申し上げたいと思います。実は問題点がはっきりしませんでしたので、あまり準備もしてきませんでしたが、今ここであり合わせた知識で申し上げます。  まず第一に刑法の方から申し上げます。たとえば学校先生が体操時間とか授業時間中に何か興奮して生徒傷害を与えた。それは学校の中で起った事件でありますが、これなどは明らかに刑法上の責任といたしましては、刑法は原則として行為者自身を罰する、そういう立場をとっておりまするから、そのけがをさした先生が、刑法二百何条ですか、傷害罪の罪によって十年以下の懲役または罰金に処せられる、そういうことになります。しかしながらそれに関連して今度は……。
  10. 堀昌雄

    堀委員 ちょっと待って下さい。そういう例じゃ、幾ら伺っても時間が空費するだけで、これは伺わなくても、だれかがけがを与えたら、それはけがを与えた者に刑事責任があるということはわかっていることでありますし、私はそういうことでなくて、もう少し本質的なところで伺いたい。
  11. 野木新一

    野木政府委員 私は今の問題からも順次御質問の点に触れていき得ると思っておりましたが、今大臣からもちょっとお話を聞きまして、ここで具体的に問題になっている点はどういう点であるという論点が大体わかったので、それに関連さしていま一度説明し直します。  たとえば学校老朽校舎がありまして、天井が落っこちて生徒けがしたという場合にどうか、あるいは学校先生臨海学校生徒を連れていって水泳でもやっている。そうすると先生注意が足りなくて子供が死んでしまったという場合はどうなるか。そういう例に関連づけて一応御説明申し上げたいと思います。全部御納得できるように説明ができるかどうか、多少心もとない点もありますが……。そういう場合に、まず刑法がありますから、刑事罰の点から申し上げますと、老朽校舎天井が落っこちて生徒が死んだという場合におきましては、これは具体的の場合についてさらに故意過失とかいう点が追及されなければなりませんので、具体的事件については非常に問題になりますが、普通から言いますと、刑事上の責任というのは先生については生ずることがあまりないのじゃないかと思います。しからば学校設置者についてはどうかと申しますと、学校設置者故意責任が生ずるということはほとんど考えられません。過失責任はどうかと言いますと、学校管理者として、そこで生徒けがをすれば傷害になる、それが過失によるなれば、過失による傷害罪が成立するかどうかという問題になりますが、これも具体問題といたしましては、普通の場合はなかなか立証とかなんとかが困難だろうと思いますが、非常にはなはだしい場合については、理論的に証する余地がないかと言いますれば、刑法の、過失によって他人傷害さしたという要件に該当する場合があれば、それに該当することになると思いますが、普通の場合は、具体的の問題としてはなかなかそこまでいくことは少ないと思います。(「それはおかしいよ、それは設置者責任だ」と呼ぶ者あり)刑法上の責任ですよ。しかも今の場合設置者というのは法人であります。小学校でありますと市町村ということになりますから、市町村に罰則がいくということは、ことに刑法の方は設置者市町村にいくということはないと思います。法人罰がありませんから……。ただ市町村等の首長とか、その監督者が具体的に業務学校施設監督している人が、何か過失があったかどうかという点になりますと、具体的の問題になりますから、因果関係とかなんとかで非常に遠くなってしまって、実際問題としてはなかなかむずかしいんじゃないかと思います。  それからいま一つ臨海学校の例で言いますと、これもたとえば先生先生として児童監督する、そういうような責任を負うておるわけでありまして、これがいわゆる業務上の責任であります。それから業務上負っている義務を尽さない、そのために生徒がおぼれて死んだというような関係になりますと、理論的にはあり得ると思います。というのは、これは学説にも今言った業務上の傷害過失致死というものは、たとえば自動車の運輸手とか、本来の危険業務、そういう場合だけ業務過失が生ずるという学説があります。北海道で、登山部先生注意を怠ったために、登山した生徒が山へ行ってここえ死んだというような事件で、業務上の過失か何かで起訴して一審は通った、これは何年か前、戦争後でありますが、そういう事件があります。それは一審で確定して最高裁までいきませんでしたが、そういう例があります。それでありますから、先生の場合も業務上の過失傷害が全然生じないか、今言った臨海学校のような場合、これは具体的の場合非常に困難でありますが、全然論理的に考えられないかといいますと、今言ったような判決もありますから、これは考えられると思います。  それから民事上の責任でありますが、たとえばさっきの校舎の例でいいますと、これは国家賠償法に明らかに規定がございまして、国家賠償法の二条ですが、「道路、河川その他の公の営造物設置又は管理に瑕疵があったために他人損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」ということで、民事上の責任といたしましては、公立小学校の例でいいますと、設置者である市町村がこの要件に該当いたします場合には責任を負う、そういうことになります。  それから今言った臨海学校の例のような場合に、先生過失があったというような場合、これは営造物設置と言えない。もっとも臨海学校でも飛び込み台などがありまして、飛び込み台から飛び込んで生徒が死んだというような場合には、その解釈飛び込み台営造物だという解釈下級審——高裁までいきましたが、最高裁でありませんが、下級審判決ではこれで認めた例もあるのであります。しかしそうでなくて、そういうことは抜きにしまして、きゃたつとかなんとかいうことで、不注意だという場合には国家賠償法の、これは二条ではありませんから、一条の、「国又は公共団体公権力行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」これに当るかどうかという点が問題になるわけであります。しかしながら、そういう臨海学校のような監督が果して公権力行使になるかどうか、一つの問題のある点であります。懲戒処分は、先生が先徒を懲戒するためになぐって死亡させたという場合は、公権力行使に当ると思います。臨海学校とか遠足に行ったとかいう場合が果してこれに当るかどうか、問題があると思います。しかし、これに当らない場合には民法七百十五条があります。七百十五条で「或事業ノ為メニ他人使用スル者ハ被用者カ其事業執行ニ付キ第三者ニ加ヘタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス但使用者カ被用者選任及ヒ其事業監督ニ付キ相当注意ヲ為ヲ為シタルトキ又ハ相当注意ヲ為スモ損害カ生スヘカリシトキハ此限ニ在ラス」というような条文があるわけです。これと見合って、たとえば普通の市町村小学校の場合を、一番適例の場合を頭に入れて考えますと、小学校先生というものは市町村公務員になっておりまして、市町村監督責任を持っておるわけでありますから、市町村民事上の損害賠償責任は負う、そういうことになるわけであります。  それで一応刑事上と民事上の責任説明はいたしました。  次に、行政上の責任とでも申しましょうか、たとえば今申し上げたように学校老朽校舎があって、天井がくずれそうだ、そういうような危険校舎がある場合に、それを危険なからしむるとつった行政上の責任はだれが負うかというと、その学校設置管理している設置者市町村である、そういうことになってきます。それから、今いった遠足というような場合にも、究極的にはその先生監督する責任監督について責任を負うのは市町村であると思いますが、その間に、行く途中のそれぞれの段階において、校長なり中間段階責任はそれぞれのところが負うということになろうかと思います。
  12. 櫻井奎夫

    櫻井委員 議事進行委員出席を見ますと、委員会が始まるときだけは、政府与党の方は辛うじてわれわれと同数の委員をそろえていたが、審議が始まると、今はたった一人しかいない。このような状態では審議を続けるわけにいかない。われわれは休憩を要求する。
  13. 臼井莊一

    臼井委員長 今呼びに行きますから、そのままでちょっと待って下さい。——それでは暫時休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕