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1959-06-15 第31回国会 衆議院 農林水産委員会甘味資源に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和三十四年三月十二日(木曜日) 委員会において設置することに決した。 同日  本小委員委員長指名で次の通り選任され  た。       安倍晋太郎君    吉川 久衛君       高石幸三郎君    永田 亮一君       丹羽 兵助君    本名  武君       保岡 武久君    實川 清之君       中村 時雄君    西村 関一君       松浦 定義君 同日  吉川久衛君が委員長指名で小委員長に選任さ  れた。     ————————————— 昭和三十四年六月十五日(月曜日)     午前十一時三十二分開議  出席小委員    小委員長 吉川 久衛君       倉成  正君    本名  武君       三和 精一君    中澤 茂一君       中村 時雄君     —————————————  出席国務大臣         農 林 大 臣 三浦 一雄君  小委員外出席者         農林水産委員長 松浦周太郎君         農林事務官         (振興局参事         官)      林田悠紀夫君         農 林 技 官         (振興局園芸特         産課長)    西村 周一君         食糧庁長官   渡部 伍良君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    村田 豊三君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部食品課長) 黒河内 修君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 六月十五日  小委員安倍晋太郎君三月十七日委員辞任につき、  その補欠として倉成正君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員保岡武久君四月四日委員辞任につき、そ  の補欠として三和精一君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員西村関一君三月十九日委員辞任につき、  その補欠として中澤茂一君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員中村時雄君同月十日委員辞任につき、そ  の補欠として中村時雄君が委員長指名小委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  てん菜振興対策等に関する件      —————・—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより農林水産委員会甘味資源に関する調査小委員会を開会いたします。  最近の甘味資源、なかんずくテンサイ振興対策について、農林大臣より説明を求めます。
  3. 三浦一雄

    三浦国務大臣 従来の経過につきましては、一応食糧庁長官から説明させますから、御了承願います。
  4. 渡部伍良

    渡部説明員 先般の国会甘味資源総合対策を御説明申し上げますときに申し上げましたように、まず、テンサイ糖につきましては、北海道で十年間に三十万トンを期待し、内地で十万トンを期待し、合計四十万トンを期待する、こういうことで、結晶ブドウ糖は十五万トン、沖縄及び西南群島では二十万トンのカンシャ糖を期待する、こういうことになっております。  テンサイ糖につきましては、これを実現に移しますためには、そのときも御説明申し上げましたように、北海道におけるテンサイ作付可能面積を測定いたしまして、これを市町村別年度別に打ち立てまして、そして今後の工場導入をはかつていこう、こういうことでその後鋭意努力をいたしております。最近に至りまして、北海道庁から、三十四年度を基準といたしまして三十九年度までの五ヵ年の年度計画の大体のあらましが来たのであります。それによりますと、三十四年度作付面積は四万九百三十ヘクタール、三十五年は四万六千ヘクタール、三十六年は五万五百ヘクタール、三十七年が五万五千ヘクタール、三十八年は五万九千ヘクタール、三十九年が六万二千ヘクタール、こういうふうな数字になっております。そういたしますと、この五カ年間に大体三工場新設操業ができる程度作付面積の伸びが期待できるのでございます。  これは第一次の五ヵ年計画とも申すべきものでございまして、残りの五ヵ年計画につきましてはさらに精密な調査をいたします。と申しますのは、北海道土地改良あるいは土壌改良、そういう問題をもう少し根本的に検討いたしませんと残りの五カ年の計画はできない。しかし、それができるのを待っておつたのでは工合が悪いので、とりあえず最初の五ヵ年間に今のような数字を策定いたしたのでちります。  これを地方別に、どの地域に伸びるかということを考えでみますと、やはり十勝を中心にしたその周辺ということになるようでございます。今まで北海道町村別五ヵ年計画数字を出しているところを見ますと、最初の三十六年ごろまでには北十勝で一工場を増設しても集荷に差しつかえないだろう、三十七、八年ごろに空知または上川地方、三十九年あるいは四十年ごろまでに東十勝の地域工場導入しても各工場集荷が円滑に行われる可能性があるだろう、こういう見当を持ってきたのであります。まだ最終的な詳細な調査はここ両三日待ってくれとけさも北海道から電話がかかってきております。しかし、大筋の見当といたしましては、今まで出しておる資料でそう狂いがない、こういう話でございますから、農林省の方では、大体それでいいのじゃないか、こういうふうに考えております。北海道ビートにつきましては、その計画をもとにいたしまして今後の工場導入について施策を進めていくようにいたしたい、こういうふうに考えております。  内地ビートにつきましては、これは先般のときにも御説明いたしたと思いますが、東北北部でフジ製糖が青森、岩手を中心にして新しい工場導入しようという計画を進めております。それから岡山では横浜精糖、大分では新光製糖、これが県と連絡をとりまして、ビート試作計画的に進めております。三年ないし五年の間には新しいビート工場を作りたいという計画で、諸般の施策を進めております。それからまた、三楽酒造では、現在のビートの千斤あたり三千百五十円程度ならばカンショを使うと同様のコストでアルコールができるということから、熊本方面ビート試作を進めております。この試作が成功すれば、これも砂糖の製造に乗り出したい、こういうふうな考えを持っておるようであります。また、協和発酵におきましても、山口、広島等中心にしてそういう計画があるようでございます。また、そのほかの製糖会社におきましても、各地域ビート試作を進めたいというので、それぞれ各府県当局相談をしておるようでございます。その他のものにつきましては、まだ具体的に、県との協定と申しますか、県との約束ができたということは聞いておりません。今県と打ち合せておるというふうなところが随所にあるようでございます。  それから、結晶ブドウ糖の問題でございますが、昨年の年度末に東海精糖など四社に農林漁業金融公庫の融資をいたしました。さらに、最近もう一社含めまして五社に残額を融資することを決定いたしました。予定計画に従って結晶ブドウ糖も順次生産計画が進んでおるような状態でございます。ただ、結晶ブドウ糖輸入糖に比べて甘味が少い、それからまた、新しい製品であるということで、販売に非常に苦心をいたしております。従って、これにつきましては、この販売をもっとうまくいくように、私どもでいろいろな施策考えております。まだ最終的結論に到達しておりませんが近々話をまとめたい、こういうように考えております。  西南諸島琉球等でも分みつ糖製造する計画が順次進んでおります。ことに沖縄では、製造業者だけでなく、協同組合側も、分みつ糖製造いたしたいから、こういうふうな相談が来ております。それらにつきましても漸次検討を重ねております。また西南諸島の徳之島、鬼界島その他の島でも順次生産が進んでおるようでございます。  大体その後の経緯は以上のようなことでございます。
  5. 吉川久衛

    吉川委員長 ただいま渡部食糧庁長官から農林大臣にかわつて説明がありましたが、これに対して質疑の通告がございますので、順次これを許します。本名武君。
  6. 本名武

    本名小委員 ただいま長官から概略の御説明を伺いましたが、時間の関係で、ごく簡単に、端的に二、三お伺いしたいと思います。  まず大臣にちょっとお伺いいたしますが、今の計画を伺いますと、大体五ヵ年、今年から六ヵ年間で六万二千町歩作付ができる、従ってそれに相応した工場新設してもいいじゃないかということだろうと思うのですが、この数字を見ますと、大体三十四年から五年に五千町歩ちょっと、それから三十六年から三十八年まで大体五千町歩前後の作付増を見なければならない、こういうことになっておりますが、まず第一にお伺いしたいことは、三十八年までにこれだけの生産増を見込むには相当施策が必要だと思います。申し上げるまでもなく、予算をもって土地改良耕種改良あるいは機械導入または家畜導入等あわせてやらなければならぬと思いますが、それらに対して相当予算的な、あるいは営農指導的な御計画が樹立されてこの生産計画をお立てなつたかどうか、もちろんそういうような確信を持ってお立てなつたと思いますが、それならば、一体年々これだけの畑をふやすについてどういう予算措置を具体的におやりになるつもりであるか、まずこの点をお伺いしたい。
  7. 三浦一雄

    三浦国務大臣 具体的な予算措置等ができておるか、こういうお尋ねでございますが、これはまだできておりません。大体、今度の甘味対策、ことにテンサイ糖北海道に普及させる場合に、土地改良等につきましても、振興局等予察的調査によっても、約百億程度要る、こう申しております。そうしますと、十ヵ年計画といたしましても、これを十ヵ年に配分いたしますと十億程度予算が要るわけでございますし、それから、五ヵ年計画とした場合に、いかほどこれに投入すべきかということが今後の問題かと思います。従いまして、ただいまのところ予算は成立しておりませんが、われわれの期待といたしましては、北海道畑地の振興問題は朝野をあげての重要問題でありまするし、これは北海道開発のキー・ポイントだと私は思います。従いまして、今後の農林省の態度としましては、この畑地の改善、同時に、最も優秀な作物でありまするこのテンサイ糖の奨励に重点を置いていきたいということで、農林省を督励しまして、部内一致しまして、予算計画等につきましては、この計画を推進いたしたい、しかし、具体的にきまつているかといいますと、別にまだ予算はきまつておりませんから、来年度以降の予算に取り組みたい、こういうふうに考えております。
  8. 本名武

    本名小委員 もちろん五ヵ年間の予算を今から想定することはできないわけでありますが、少くとも三十五年度に五千町歩余をふやすというからには、明年度予算概算要求としてすでにどの程度のものをやられるか、あるいはまた、その内容において、ビート増産のためにどういう方向でいくか。従来のような土地改良土壌改良、あるいは家畜導入のような方法だけで果していいか悪いかということは相当疑問があろうと思います。今年はたまたま昨年より五千町歩ほどの作付増を見られておりますが、この調子で従来のような予算措置あるいは指導方針で来年度からもさらに今の計画が伸びていくというふうには、われわれは安易には考えられないのであります。  そこで、まず第一に、私は今大臣から伺つたことで一応現況としてはやむを得ないと思いますが、三十五年度予算において少くともどのくらいの予算確保をしたいのだ、あるいは指導の面でこうやりたいのだ、こういうことを実は伺いたいと思うのであります。と申しますことは、ややともすると、たとえばビート増産北海道農業に必要である、それから営農の安定のためにも必要であるということだけはわかるのですが、逆に、工場ができれば畑がふえるんだという考え方は私は当らないと思う。もし、そういう考え方で、一応合理的なような数字をここに並べて、その上に立って新設工場が何年に幾つ必要だというようなことになると、これは逆になって、結局は終局において耕作農民生産者にしわ寄せされるという心配も出てくる。もう一つは、現にことしは、地名は申し上げませんけれども、会社新設で地元としては相当熱意を入れて運動しておられる。ところが、現実に会社はもう何か建設事務所まで作つて積極的に建設の準備を進めているにもかかわらず、生産はことしは減退している、こういう事実があるわけでありますが、そういうようなことの一例ですけれども、こういうことをあげても、工場ができたから生産者は喜んで生産に邁進するんだということは、私は当らないと思う。従って、結局はやはり畑の始末から営農始末まで相当めんどうを見ていかないと、私はこの六ヵ年間における六万二千町歩という目標は達せられないと思うのであります。  こういうことで、この予算措置は今後いろいろ検討されると思いますが、あわせてお伺いしたいのは、さっき長官から説明があったかもしれませんが、もう一度大臣から、この計画に其いて一体工場をどういうふうに設置していかれるか、そしてそれをいつごろ御決定なさるか、こういうことを、差しつかえない範囲一つお漏らしをいただきたいと思います。
  9. 三浦一雄

    三浦国務大臣 三十四年度、本年度以降土地改良その他にやりますことにつきましては、後ほどまた振興局から一応説明させていただきます。  それから、今渡部君から御説明申し上げたのでございますが、基本的には、いかよう土地にどういうふうに持っていくかということにつきましては、食糧庁としてもまだ取りきめかねておるわけでございますし、他面、御承知の通り、もう数社から出願が出ておる。今御指摘になつた通り、まだいわば原料確保の施設が整つておらぬ、こういうようなことでございますけれども、これは民間のインブェストメントの方としては非常に進んでおるこういうようなことでございまして、調整がとりにくい。そこで、食糧庁としましては、今北海道庁意見を十分に聞き、同時にまた各省との間に意見調整した後にこの問題は取りきめたい、こういうふうに進んでおりますので、私も、その線は捨てるわけにいかぬ、こう思いまして、食糧庁長官をして各省と具体的ないろいろな打ち合せをさす、こういう段階であります。
  10. 本名武

    本名小委員 そうしますと、大体、さっき長官が御説明なつた三十六年ごろには北十勝と言われましたが、西十勝ですね。それから三十七、八年には空知上川、三十九、四十年には東十勝、これで大体三十九年までの工場新設態勢を整える。そうすると、現在われわれが聞いておるところだけでも七社か八社新設要請をしております。その新設要請する動機というか目的というか、これは企業者のことでありますからいろいろあろうと思いますが、そうすると、大体七社か八社要請しておりますが、この案でいきますと、三十九年度までには三社しか許可できない、こういうことになると思うのです。そこで、その七、八社の要請の中から三社をどういうふうにしてお選びになるか、それから、お選びになつたならば、その西十勝とかあるいは空知上川とか東十勝とかおっしゃっていますが、そういうばく然とした地域をどういうふうにその三社に結びつけていくのか、これは非常に重要なことであろうと思います。反面また、これが扱いについては非常に御苦心をなさるところであろうと思いますが、そういう点について、新聞紙上によると、かなり具体的に発表されております。われわれも、この委員会を持つた理由は、寒地農業あるいは日本の甘味資源増産のために当局がどう考え、また国会において今後予算その他の措置をするためにどうすべきかということを検討するために開いておる。今いろいろお話を伺つてみますと、相当計画が進んでおるようです。今突然ここで具体的な御報告を聞いたわけですが、こういう重大なことをこのままおきめになるのかどうか、と同時に、今申し上げたその七、八社のうちの三十九年度まで三社というのもどういうふうに御選定御決定なさるのか、その点、差しつかえない範囲でお聞きしたいと思います。
  11. 渡部伍良

    渡部説明員 御指摘通り北海道におけるテンサイ工場設立の希望は八社あります。これは、先般の国会甘味資源総合対策で御説明申し上げましたように、十年後の計画としては、それを満たす場合の規模を私の方は見当をつけております。しかし、何と申しましても十年を経過しなければその全部を満足することができないのであります。どの社にどこへという問題は非常にむずかしい問題でございます。これも前にちょっと御説明申し上げたと思いますが、私の方で現在までの日甜、芝浦北連工場操業のための集荷地域調整については、非常にトラブルを起して、その指導調整に苦労しておりますから、まして、いわんや、今後の新設工場がこんなに出てくる場合には、一方におきましては、その工場を早く建てたいという意欲をできるだけ伸ばしたい、こういう考えがございますが、一方では、先ほど御指摘にありますように、それによって農家に迷惑を及ぼすということがあつては困る。それからまた、芝浦精糖が当初に仕事を始めましたときに相当もんちやくがありまして、工場建設について、これは私の見方でございまして、あるいは見方が違つておるかもしれませんが、相当建設期間に無理があった。従って、初年度操業には非常に苦心をされまして、会社の言い分だと、初年度で二億あるいは三億の赤字か出た、こういうことで、次年度テンサイの買入価格の決定につきまして相当やかましい問題がありました。そういうことを考えますと、やはり、工場生産意欲事業者生産意欲もさることながら、計画が円滑にいくということが必要であると思いまして、私の方では、先ほど来説明がございますように、年度計画作つて、そしてその年度計画に合うような工場設立を行なつた方が一番いい、こういうことで、当初から北海道庁相談していろいろな資料を作成してもらつてつたのであります。  また、一方、八社の申請状況を見ますと、これは今お配りいたしました表でごらんのように、大体東十勝に工場申請が集中いたしまして、会社から事業計画をとつたときに、一つ資料として、一体そこに工場を作つた場合に原料をどこから集荷する予定にしているのだ、こういうことを町村別の表をとりますと、ここに色分けてございますように、東十勝は各社が思い思いにこの村からこれという数字を出しまして、ある村では畑の大部分をテンサイを作らなければこういう計画は成り立たない、こういう数字になるのでございます。そこで、私の方では、それをありのままに一表にいたしまして、そして申請者各社を呼びまして、こういうふうな状態になっておるのだから、もう少し計画を変えるなり、あるいはお互いに妥協した方がいいのじゃないか、こういうことを申しておきましたけれども、各社はそれぞれ、おれのところが一番いいのだ、ほかのところは知つたことじゃない、こういうことで、われ先にと農地転用申請とかいろいろな手続をしておるようでございます。しかし、御指摘がございますように、会社が自分が畑を耕すのではないのでありまして、農家に頼まなければならない。そのためには、生産基礎条件土地改良とかあるいは土壌改良とか営農指導、そういう問題がございますから、一体そういうものとマッチしてどこまでいけるのか、こういうことで、最終的には、御指摘ございますように、町村別計画、それに対する予算裏づけ等の詳細については、整理中でありまして、今すぐは御説明いたしかねますが、それを合せまして、地域別にどこの地域にどの工場を、そういうことをきめなければならないのであります。  ところが、三十九年あるいは四十年にかけまして、それまでに三工場最高限度ということでございますれば、申請は八社でありますから、そのいずれをとるかということは、これは、これだけ重複いたしておりますと、そう簡単にはいかないのでございまして、私の方でも苦慮いたしておるのでございます。いろいろな案があると思います。イギリス等は十数社が一社に合同した、こういう例もございますし、あるいはこの間私の方の係をイタリアに調査に出したその報告では、そういうふうに競合すれば、その競合した同士が企業合同をして新しい工場建設する、こういうことも言っております。そういうのも一つ方法であろうし、あるいはまた、今まで出た人が幸いにして全部精糖工業会のメンバーでございますから、精糖工業会の中で協議をいたしまして、どの地域にどの工場を入れるかということをきめていただくのも一方法じゃないかと思います。そういう方法につきましては、目下私の方でいろいろな案を検討しておるのが実情でございます。
  12. 本名武

    本名小委員 そうしますと、長官は当初において、当初といいますか、各社申請を出した当時においては自主調整をして適当に競合のないようにしろという指導は一ぺんなさった、しかし、その後において、各社は、それぞれ農地転用申請をし、そうして、農林省計画が進まないうちに、あるいは道庁の計画が進まないうちにこういう状態なつた、こういうことなんですが、悪い表現をすれば、農林省は非常に怠慢であった、それほど重大なことなら、なぜそのときにもっと押し切つて自主調整を強硬に主張しなかったか、あるいはその当時にもっと早く生産計画立ててやらなかったか、こういうことにもなるけれども、しかし、事ここに至って私は悪い解釈はしたくない。  そこで、大臣にお聞きしたいのは、今長官の話を聞きますと、ようやく生産計画も三十九年まではできた、将来は十年間の計画立てていきたいと思うが、三十九年までできた、それでしかも八社の要請があるが、それ全部は今満たせないから、十年のうちには何とかしたいと思うけれども、とりあえず三十九年までは三社くらいにしたい、しかし、それも、生一産計画の実行の可能性や、あるいはまた各社のいろいろな実情や、あるいは立地的な関係からして、ただいま直ちに決定するわけにいかぬ、今検討中だ、こういうことでございますが、さっき大臣にお伺いしたように、一体それならばいつごろこれを決定なさるおつもりであるか、これを伺いたい。と申しますことは、今長官が言われた通りすでにもうことしの問題ではなくして数年前から各社競つて工場設置要請をしていた。ここにずるずると二年目を迎えたが、いまだこういうことであるということは、私は、やはり一面においては早く決定なさつて強力な増産態勢農林省みずからが打ち立てられると同時に、企業に対しても、あるいは企業に連なるところの地方生産者に対しても、早く決定して安定させるということが必要であるけれども、なかなか今の長官説明を聞いているとそう簡単には参らぬようでありますが、大臣は一体いつごろそれを御決定になる御方針であるか、ちょっと伺つておきたい。
  13. 三浦一雄

    三浦国務大臣 食糧庁長官の意向はよくおわかり下さつたと思うのでありますが、私は、率直に申し上げまして、このテンサイ糖北海道における対策は、御指摘になつた通り農林省も非常にエラーがあると思う。というのは、土地改良であるとか、あるいはまたどういうようなめどをつけるということが先決でなければならない、こういうことです。しかし、なかなかそうはいかぬ。これは一つにはやはり従来の沿革的な理由がある。というのは、率直に申し上げまして、従来は、テンサイ糖等は、まあ農林省等がやるんだということで、北海道庁では、この案の作成なり、こういうことについては不十分だったと思う。これは過去のことを責めてもいけないのでございますが、そういうことでございます。従いまして、昨年以来お願いした資料等も延び延びになっており、そうして三月中にも出てこず、結局新知事のもとにある程度の提案が出てくるということでございました。さりとて農林省はこれを独断的にきめるわけに参りません。そういうようなことで推移したのでございますから、過去のことは一つこれは御了承をお願いしたい。今後の方針といたしましては、できるだけ北海道庁と協調を保つて、事前に農業計画等も策定して、先般こちらで御審議願つたあの寒冷地の対策もそれの一環でありましようし、今後またなさなければならぬ土地改良等もあわせて考慮しつつ、この将来のなにを積極的に計画化する、そうしてこれに基いて今の工場新設を認める、こういうふうにしなけばならぬと思うのでございます。これは将来の問題であります。  しからば現実の問題をいつきめるかということでございますが、ただいまのところ、私は、ここでいつきめるのだということを申し上げることはむしろ不適当な時点にあるということを御了承いただきたいと思います。
  14. 本名武

    本名小委員 大臣は、今直ちにここでいつきめるということを述べることは不適当だとおっしゃる。これは無理はないと思う。なぜかというと、今日伺つた生産計画の上に立って今の工場なりあるいは位置を決定することは容易な段階ではないということは、長官説明その他によってうなずける。従って、大臣としては今ここで発表できないとおっしゃるのも無理はないと思います。しかし、われわれとしては、これから来年度予算のことを考えたり、あるいは特に今日問題になっている北海道の畑作営農改善やその他の関連した安定策を考えますと、やはり、相当沈着に、しかも果敢に、しかも反面敏速にやらなければならぬ。けれども、長官説明を聞くと、なかなかそう簡単にはきめられないということがうなずける。一応大臣のお話と長官説明を聞きまして、早急にはきめられない、少くとも何か今までのいきさつから言ってよほど熱を上げてピッチを上げられるでしようけれども、一ヵ月や二ヵ月ではなかなか容易でないように思われるのですが、そういうふうに判断してもいいかどうか。  それと、もう一つは、(「一つ一つ聞け」と呼ぶ者あり)それじやそれを伺いますが、今、その場合、大臣ははっきりおっしゃった。今、大臣としては、ここで述べるのは適当でない、あるいは今きめるということは無理だというふうに考えられる。事務当局として、それじや、今いろいろお話のあった決定に必要な要素というものの準備というものが大体いつごろできるか、長官にちょっと伺つておきたい。
  15. 渡部伍良

    渡部説明員 これは、御指摘がございますように、作付面積が果してこうなれば、それに要する施策のための財政支出がどういうふうになるか、それから、三工場を作るといたしますれば、それに要する資金ですね、北海道開発公庫なり、あるいはそのほかの資金がどういうふうになるか、それからまた、機械の輸入について外貨の所書要量はどういうふうになるか、こういうことが全部そろわなければいけない。大体機械輸入なり資金計画はできております。あと私の方で、今の財政支出で営農指導なり土地改良なりに当初の五年間にどのくらいの規模の金を期待し得るかということを今ちょっと確かめて、それができなければ各省の話はできません。しかし、これはせいぜい大急ぎで相談していきたいと思います。年度計画等につきましては、これは農林省の主張が当然いれられるべきだ、こういうことは言えますけれども、あと予算をどういうふうに年度別計画するかということについては、多少主計局等とも話し合わなければならない、こういうふうに存じております。
  16. 本名武

    本名小委員 聞きたいことをはっきり伺えないわけなんですが、その機械の輸入とか、外貨の割当がどうだとか、融資がどうだとか、これは、やろうと思ったら、会社がきまつてから申請する。だれにでもいいから貸しますというきめ方はない。会社がきまれば、どこの会社だから貸せる、どこの会社だから貸せないという問題も起きるかもしれないし、あるいは外貨の都合で、農林省の方は三十六年度から新設工場をやるといっても、あるいはできないかもしれない。しかし、それができたとおっしゃる、それはけつこうなことだ。しかし、それよりも大事なことは、事務的に準備することはいつまでにでき上るかということが伺えない。それはなかなか微妙なところでしようけれども、私の聞きたいのはそこを聞きたいんですよ。ということは、私は、やはり早く安定させることが必要だということで、早くきめるべきだという考えは持っているのです。しかし、もし間違うと、せつかく農林省が今日まで御苦心なさったこと、あるいは親心というもの、あるいはわれわれの期待するいき方に大きな支障を来たしては大へんだということで、慎重を期していただきたい。  そこで、私は大臣一つ希望的に申し上げておきたいのは、今いろいろ聞いておりますと、時期を明確にされませんけれども、それは私は無理ないと思いますが、決してあわてる必要はないと思う。あわてる必要はありませんから、三十九年までに六万二千町歩という一つの大きな計画をお立てになって、この計画立てること自体が私は大臣として大仕事であろうと思います。従って、さらにその上に立って三十九年までに六万二千町歩というものをどうして実現するかということを、大臣としてははっきりした自信をここにお持ちになって、一つ事務当局を鞭撻されて、これはもう完全にできるのだという計画の実行性を一つ明示されておくことが必要であろうと思うのです。  そこで、話をもう少し進めまして、実はこの前の国会テンサイ関係の法律を二つ三つ作られました。そのときに、一つの基本になる問題は、今後の甘味資源をどういう方法で充実していくか、自給度をどういうふうに高めていくかということが問題になつたわけですが、一応七十五万トンの計画立てられた。この七十五万トンの中身はともかくとして、これを実現するためには、ビートのみならず、結晶ブドウ糖においても、あるいはカンシャ糖においても相当な努力が必要であろうと思われるのですが、当時、将来のいわゆる甘味の自給度を高めるために、国内生産を引き上げるために、一つの基準として、テンサイの場合には糖価は七十三円の水準においておきめになつたようでしたが、当時の御計画とその後の推移がどういうふうに違つているか。私は、企業者は自分みずからの創意と責任においてそろばんをとつて工場建設の要望をされるけれども、行政なり政治としては、ただ企業者が引き合うからやらしてくれと言つたからやらしたのでは、大目的であるところの国内の甘味の自給に重大な支障を来たすと思うのでありますが、当時計画されたことと、その後の推移を一つ聞かしていただきたい。
  17. 渡部伍良

    渡部説明員 糖価はこの春になりまして急激に暴落いたしました。最低は二セント八〇台まで下りました。従って、日本の国内市場の糖価も七十円を割つたのであります。しかし、最近ではニューヨーク相場は多少持ち直してきておるようでございますが、日本の内地の相場は大体七十二、三円見当まで持ち直しておるのでございます。(中村(時)小委員「なぜ二セント八〇が七十二、三円になるのか」と呼ぶ)相場でありますから、そういう相場が出たのであります。
  18. 中村時雄

    中村(時)小委員 ちょっと関連。  余分のことで話が脱線して、ビートからとんでもない話が出てきたのだが、この前あなたと私が話し合いをしたときに、あなたは、基準を三セント二〇に置いて大体ビートの値段を決定していく、こういう姿を打ち出され、そうして当然今後の問題として三セントを下ることはないとはっきりあなたは言い切つておる。これは当時の速記録を見ればわかる。私は三セントをおそらく下るであろうということを言つた。これは議論の結果ですから、そのときにはそういう見通しであったでしようが、結果において現実は三セントを割つておる。片方は、溶糖制限もすれば、お互いに業者が話し合つて、コストを七十二円のところへ持っていくために、あなた方の農林省から工業会に対して、七十二円の基本線を打ち立ててもらうためにはどうすればよいか、早く七十二円のところへ持っていってもらいたいということを逆陳情をしていっているような状態です。これは人為的なものとして国内でやつている。そういう現実がはっきりある。だから、今言つたように、七十二円という基本線、三セント二〇という基本線、そういう中からテンサイ糖というものが非常にもうかる、もうかるから今業者としては必死になって争つている、そういう結論も導かれてくると思う。それに伴うそういう責任はどうとられるのか、食糧庁長官にお伺いする。
  19. 渡部伍良

    渡部説明員 これは、私の方は、斥当り七十三円の国内相場を目標にしてそれを維持したい、こういうふうに申し上げたのであります。そのときの議論は、私の立論は、国際砂糖協定があるんだから、底値一五以下になれば国際砂糖協定で手を打つだろうから、一時的には下つてもそれがいつまでも続くことはないであろう、こういうことを申し上げたのでございます。これも速記録を見ていただけばはっきりわかるのであります。従いまして、現在の状況ではまだその相場が回復しておりません。しかし、これは見方が非常にございます。今のキューバ革命の関係でこれがいつまで続くのか、こういう問題で、早ければもう夏には相場は回復してくるだろうと言う人もあるし、おそくても秋、これは見通しでございますからわかりません。しかし、ニュースで見れば、キューバ革命党の人がアメリカの方へ行っておりますから、これも多少変化が出てくるのではないかと思います。しかし、いずれにしても、日本の国内糖価があまり下つたのでは、結晶ブドウ糖も売れないし、ビートも売れない。七十三円を保つことによって結晶ブドウ糖なりビートが売れ行きが可能であるというところでございまして、七十三円になつたからビートが非常にもうかるとか、結晶ブドウ糖がもうかる。こういうような工合にはなっておりません。むしろまだほかにもっと問題がありまして、七十三円の糖価は安過ぎて、もっと結晶ブドウ糖なりビートが売れるような糖価水準があるべきだという議論も、その後の澱粉の売れ行き等から見ますとございます。しかし、これは国際砂糖なり国内の甘味資源の両方をにらみ合せながら順次調整して手直しをしていかなければならぬ、こういうふうに考えます。
  20. 中村時雄

    中村(時)小委員 関連だからしつこくは聞かぬけれども、結果において出てきたものが三セント二〇を割つておるという結果から見て、どういうふうに考えられるかといえば、問題の中心は、あなた方の手持ちの澱粉処理をどうするかということに基本がある。その澱粉処理をどうするかということから値段の割り出しをしている。だから、較差が出て幅が出たときには、高くなつたからどう吸い上げ、安くなつたからどう援助するかという、そういうことはなかなかむずかしいが、現実にはそう現われてきているんだから、そのむずかしいところを、あなた方の冷静なしかも明敏な頭脳によってあなた方が解決するのが責任じゃないかということを私は言おうとしている。あなたに期待するところがそれだけ大きいのだから、しつかりがんばつてもらわなければ困る。これ以上あなたを追求していったのでは次の問題が起りますから、もう申しませんけれども、よくそこを考えて、ただ頭だけで解決するのではなくて、現実を取り入れた方針をはっきり打ち出すように、今後とも注意しておきます。
  21. 本名武

    本名小委員 今の関連でだいぶ具体的な質問があったのですが、私のお聞きしたいのは、そういう想定のもとに、しかも自信があつてあの計画をお立てになり、しかも、十年間に、北海道で三十万トンのビート内地合せて四十万トン、その他の甘味資源を合せて七十五万トンという計画立てられた。たまたま北海道ビート生産の問題を考えてみますと、私が今言つた糖価基準の維持ということは、ある程度人為的にできますでしようけれども、将来のビート等の生産の大きな問題の一つは、何といっても、いかにして製造コストを下げるかということが一つの大きな課題であろうと思う。しかもこれが十年計画で三十万トンの生産ということになると、さらにまた三十九年以降の四ヵ年、五ヵ年間のうちに少くとも三万町歩以上の耕作面積がなければならぬと思うのでありますが、その場合に、一体今日想定されている七十三円の糖価基準を維持しながら、しかも計画に必要な生産工場というものを新設していきながら、将来の糖価、製造価格というものがどういうふうに推移していく想定のもとに、この計画——第一段として五ヵ年計画をお立てになっているか、主としてコストの点についての計画と関連した御意見を承わつておきたい。
  22. 渡部伍良

    渡部説明員 これは現在テンサイの指示価格は千斤当り三千百五十円になっております。それを目途として計算いたしております。ただ、これは、もうちょっと先にいかなければ工合が悪いと思うのですが、反当収量が上るか、あるいは土地改良土壌改良相当やるとすればもっと下つていいんじゃないかということを検討目標にしております。しかし、今のところは、そういう施策を講ずることによって現在の三千百五十円がどれだけ下るかということは一応めくりまして、そして量的な面、原料価格は同等という考え方計画を進めておるような次第でございます。
  23. 本名武

    本名小委員 生産者原料価格を下げるということは大きな目標としては私は必要だろうと思うけれども、実際に畑作生産物の今日の価格基準からいきまして、また将来の価格の推移を考えてみまして、私は必ずしも三千百五十円というものを将来そうやすやすと下げられないと思う。ということは、端的に申し上げれば、ほかの畑作生産物の価格とビートの三千百五十円を対比してみますと、そのままの畑作だけを考えると必ずしも有利じゃないということです。だから、私は、三千百五十円というものをいかにして下げるかという努力は必要だけれども、それを下げられるということを前提にした考え方というのは、今日の畑作営農上はそうやすやす考えられないと思うのです。と同時に、また反面、私は、原料価のほかに、やはり製造価格というものをどう改定していくか、改善していくかということも一つの大きな課題だろうと思うのです。従って、新設工場はもちろんでありますが、既存の工場においてもこれを合理化し、コスト低減のための努力というものが今後において引き続きもっと積極的になされなければならぬと思うのですが、そういう点について、いわゆる工場を今新しく作らせようとするときに、当局としては一体その製造価格の低減というものをどういうふうに考えておられるかということが一つ。  それから、もう一つは、さっき長官からちょっとお話ありましたように、英国においてはすでに統合している。台湾の過去の例を見ましても、あるいは北海道の将来を考えても、おそらく、この十年計画を達成されるためには、少くとも五年、六年後においては地域的かあるいは全道的かいずれにしても統合しなければならぬ。今申し上げた製造原価の低減というものは容易に期せられない時代が来やしないか、そういうことを今日において想定して、今の新設工場計画、あるいは許可方針あるいは増産計画というものをお立てになっているかどうか、この二点についてお伺いしたい。
  24. 渡部伍良

    渡部説明員 コストの低下の問題は、これは当然考えなければならないと思う。これは、最近新設工場の状況を見ましても、あとからできる工場ほどやはり設備もいいし、操作の検討もできておりますから下つております。これは私の方でやかましく言わぬでも当然できることじゃないかと思います。しかし、その点につきましてはさらに一そう私どもの方も指導して参りたいと思います。  それから、将来の北海道におけるテンサイ企業形態をどうするか、こういう問題でございますが、これは非常にむずかしい問題で、私の方でこうしろといって頭からきめるわけにはいかないと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、むこ三人に嫁八人という格好でございますから、それはいつまで待っておつても張り合つてつたんでは解決する方法がないので、今申し上げましたような方法一つであろうし、あるいはその他の方法もいろいろあるだろうと思いますが、そういうことで十分論議を尽した方がいいんじゃないか、こういうふうに考えます。
  25. 本名武

    本名小委員 抽象的な御意見としてはよくわかるのですが、われわれの知りたいのは、もう少し具体的な計画を知りたいと思ったんですが、なかなか事務当局に伺うことは無理かもしれません。  それじや一つ私の方から具体的に伺いましょう。さっき申し上げた甘味の自給度を高めるために、企業として一体北海道——これから内地も性格こそ違いますがビート等の生産をやらなければならぬときに、北海道がいろいろな意味で一つのモデルになると思います。たとえば、工場の規模そのものは内地にそのまま適用にはならぬにしても、少くともコストを低減し、あるいはビート等の生産を合理化するためにはやはり経済プラントというものが一応あろうと思うのですが、今日までのしきたりで、当初は三百トン、五百トン、あるいは六百トン、このごろでは千二百トンが一工場の単位だなんということが言われているのですが、一体それは、どこからきめられたものか。それから、目途としては、そういうことの目的を達成するために、経済プラントはどの程度にお考えになっているのか。原料の消費料はどの程度の設備が最も経済的であるということをお考えになって居るのか。(中村(時)小委員「六千町歩、四千百斤」と呼ぶ)それから中村さんから今御発言になつた一工場六千町歩、反収四千百斤ということが一つの基準になっています。こういう基準は一体いつごろまでの基準として考えておられるのか。原料の反収の増加であるとか、あるいは工場の規模等によって、さらにまた経済プラントの大小によって、それぞれそういった要素が変つてくるので、そういう内容についてどういうふうにお考えになって今日の段階で工場新設計画をお立てになっているか、その点を伺いたい。
  26. 渡部伍良

    渡部説明員 まず第一点の、工場の規模が一体どの程度が一番いいのかということは、これは工場それ自身できめることはむずかしいんじゃないかと思います。集荷区域の問題もございますし、それから、たとえばことしの芝浦なんかは、数字が違つておるかもしれませんが、当初は千二百トンということでやつてつたが、実際はことしは千四百トンを消費しております。これは、原料の歩どまりが当初一二%あまりのものが一四%近くにもなつた、こういうことになればそういうことも言い得るんじゃないかと思います。私の方で一つの基準としておりますのは、今までの工場で千トン規模であるとかあるいは千二百トン規模であるとかいろいろの規模のものがございますが、ただ、新しく工場新設するのには、最低六千町歩で四千百斤ぐらいございますれば、大体トンぐらいの工場で百二十日の操業ができる、これを目標にして割り振りをした方がいいんじゃないか、こういう一つの目標をこの前甘味資源対策あるいは現在のテンサイ糖工場集荷調整に関連してそれを打ち立てたわけです。従って、反収も北海道ではだんだん上げていくという計画を持ってきております。そうしますと、四千五百斤ならそれに相応して集荷面積を減していく、こういうことになると思います。しかし、あくまでも、そういう工合でなければ工場は採算がとれない、それよりよけいになれば当りまえで、それ以下になれば工場は採算が非常に悪くなるのだということで、六千町歩・四千百斤・百二十日操業、こういう基準を出しておるわけであります。  暖地ビート関係では、これもまたむずかしい問題でありまして、暖地では今までの成績では反収が北海道、寒冷地よりももっとよけいになるのではないかという期待を一つ持っております。いや、そうはいかないのだ、これは土壌等の関係があつて、あるいは作付時期の関係でそうはいかないのだというようなこともございます。これらは、ある一定の試作期間を経て、その地方々々に適した作付体系というものができなければいけないのではないか。少くとも食糧庁ではこの暖地ビートを積極的にやつておるのですが、その積極的にやるという前提には、農林省でまだ、暖地ビートのどういう品種がいいか、どういう作付方法がいいか、どういう地域に適するかという一つ指導基準というものを確定しておらない。しかし、製糖会社では、それぞれの研究で、農林省指導基準というものを待てないということでございますから、待てないならば、百姓に迷惑をかけない限度で、あるいはまた国に補助金をくれとか財政支出をしてくれとか、こういうことを要求しないという前提に立って、業者が出ていくことを認める、場合によってはいろいろな援助を与えてもいいのではないか、それを押える必要はないのではないか、こういうふうな考え方でやつております。先ほど私が申し上げましたような会社では、十分そういう点を考慮して、相当の自信を持って、あるいはあまり自信がなくて、そのかわりに試作期間も予定より延ばさなければならないかもしれない、こういうふうな考え方でやつている、こういうふうに私は了解しているわけであります。
  27. 本名武

    本名小委員 そこで、砂糖の製品価格を下げるということについて、今いろいろ伺つたのですが、たとえば今の基準は六千町歩・四千百斤・百二十日操業だということですが、一体ここにどういう合理性があるのか、今の説明ではわからないわけですが、しかし、少くとも、将来製造原価をどう引き下げるかということの努力と、最も経済的な設備というものはどのようにあるべきかということは早くめどをつけないと、十年計画を実行するさ中に、あるいは実行後において、直ちに、先ほど申し上げたようないろいろな統合問題を初めとしての混乱が起きはしないか。と同時に、これは政府はいろいろな武器を持っています。関税、消費税の操作という武器を持っているから、ある程度指導面においてそういった操作によって糖価の調整はできるとおっしゃるか知らぬが、いつまでもその手は使えないと思う。今日の段階において、依然として六千町歩・四千百斤・百二十日操業というこの基準というものは、もう少し合理性を持って新設計画立てていかなければならぬ。反面また、私は、ここらで一つ合理的な設備というものが一体どの程度であるかということのテストをしてみる必要があろうと思う。そういう点、積極的にこの基準というものを合理化する。まあこれは今の数字は今日までの経験から合理的だとお考えになって立てられた基準であろうと思うけれども、さらに一歩進めて、将来のことを考えた場合に、これを改定して、そうしてここに今日の段階においてはモデルのような意味で一つ新しい生産設備の合理化をおやりになるような指導をおやりになるようなお考えはないか。
  28. 渡部伍良

    渡部説明員 これは非常にむずかしい問題で、一つの装置の設計で何トンの能力が出るかということと、その装置を運転して実際にどのくらいの能力になるかということはきめていないのです。どの事業でもきめていないのです。あるいはきめてあると言う人があるかもしれませんが、それはある過程で計算しておるだけでありまして、取引では、何トン出る、それ以下ならば何ぼ割引、あるいはそれ以上ならばどうというような一つの標準になっておるかもしれませんが、全然きめていないのが実際であります。従いまして、大体どの程度の規模のものがよいだろうかということはやれると思います。たとえば、今暖地ビートの方でやつているのは、百トン、三百トン、六百トン、千トン、こういうのが一つの基準になっております。北海道ビートでは千トンないし千二百トンということを言われている。これがどれが一番よいかということは、必ずしもこれでなくちやならぬということをきめる必要はないのじゃないか。それによって採算がとれないから政府の援助を求めなければならない、そういうことならば、そういうのをやめたらいいじゃないか、採算の伸びるのをやつたらいいじゃないか、こう言えばいいのであつて、統制時代のように一定のワクにはめてそのワクの範囲内でやるというのとは違いますから、企業の自主的な選定ということ、ただし、それによって政府に迷惑をかけたり、消費者あるいは原料生産者に迷惑をかけるようなことのないよう、それだけ願つておればいいのじゃないか、そういうふうに考えております。
  29. 本名武

    本名小委員 現状としては長官はやはりそういうお話しかできないと思いますが、やはり、一つの基準をそこに持って計画立て工場の配置を考えられるので、これは一応無理ないと思いますが、大臣にちょっとお聞きしておきたいのでありますが、今長官が言われたように、とにかく一つの強制力もなければ何もないのであるが、基準としてこの程度という考えで今やつておられるわけですが、私は、やはり、欧米の実例を見ましても、だんだん設備を合理化、拡充していって、ある程度の限界に達したときに初めてこれが一番集荷区域や工場生産の実態からして合理的であるという線に進歩していっておる今日、これを考えないで工場新設許可を十年間に五工場なり十工場なりやるということになると、今日の大切な基礎的な段階において、無方針計画でいわゆる将来の生産増強の基盤を極端に言えばこわしてしまうような結果にならないかということが心配されるわけです。私は、そういうことを念頭に置いて、もし要請があるならば、そういうような設備の増強による新しい角度からの考え方を実行すべきではないか。それでないと、何かたくさんの会社がやりたいやりたいと言って来たから、仕方がないから、今の場合は一ぺんにやれないから、とりあえず三つだけやつておこうじゃないか、そういう印象を与えられて、これではほんとうのいわゆる指導というものはできないと思う。今三社をかりにきめるのだと、さっきの話だとおっしゃるが、この点に対しては、私は反対するわけではないが、しかしながら、三社をきめることについては、将来はこうなるのだという一つの構想がなければならぬ。この三社をきめたことは、会社がたくさん要請したから、一ぺんにできないから、とりあえずこれを順々にやつたのだという格好だけであつて、いわゆる甘味資源自給の大目的のためにはわれわれは納得できないから、一つ慎重を期してやつていただきたい。と同時に、既存の工場というものが五つなり七つなりあるわけですから、これらに対しては、将来のいわゆる合理化ということについて、この機会に積極的に指導すべきではないかと私は思うわけであります。  そこで、たまたま問題になるのは、それならば集荷区域をどうするか、工場建設についても認可とか許可ということは法律上何の規定もないと思います。集荷区域の指定ということは、これはてん菜振興法である程度指導をするということになっているので、当局ではその指導をする。このこと自体に私はけつこうだと思う。しかしながら、私どもが今のような説明を聞き、あるいはまた私どもが受けている感じからすると、近い将来において相当またこの集荷区域の問題で混乱を来たしはしないかということを非常に心配いたします。  これについていろいろお聞きしたいが、一人でしやべつてもいけないのですから、この点一時留保して、一つだけお聞きします。こういう重大な段階に立ち至って、私は、もっと先にやるべきことがあると思う。たまたま前国会において社会党からいわゆるてん菜振興法の改正案が出ております。私はその社会党の提案の内容については一々賛成しがたい点もたくさんありますけれども、しかしながら、少なくとも振興法を改正するという意欲に対しては、私は社会党に敬意を表する。同時に、これだけの大きい仕事を新しく再出発しようというときには、このいろいろな懸案、あるいは、先に行って突つかかるであろうと予側される問題があると思うので、私は、政府において率先しててん菜振興法の改正をおやりになる意思がないかどうか、また、そういうことを腹案に持ちながら今後の処置をなさるのかどうかということを大臣にお聞きしておきます。
  30. 三浦一雄

    三浦国務大臣 振興法改正のことでございますが、いやしくも行政、産業の奨勵というものは、一日といえども停滞を許さない、常に進歩を求めていかなければならぬことは申すまでもございません。従いまして、改正案の中身が問題になるのでございまして、実態に即して改正もし、この進歩に応ずるという態勢は常にとらなければならぬと確信いたしております。ただ、しかし、現状においていかようなところを改正し、いかよう措置をとるかということは今後の問題でございますから、社会党の案といわず、また皆様の御意見も十分に拝聴いたしまして、検討を加えて合理的な措置を講じたい、これがわれわれの立場でございます。
  31. 本名武

    本名小委員 実は、結論として、大臣のお話では、今のところ政府としては振興法を改正してまでこの措置はやろうと思ってない、今のところは用意はないということだろうと思うのですが、私は、政府は積極的にこの検討をする時期が来たんじゃないかと思う。近くは先般来の牛乳の問題を初めとしていろいろな問題がございましたが、ビートも先へ行ってから思わざる壁にぶつかるようなことのないように、一つ政府においてはその用意もなさることをここに希望いたしまして、一応私の質問は終ります。
  32. 吉川久衛

  33. 中澤茂一

    中澤委員 農林大臣はいずれ近いうちにおやめになるだろうと思っておりますが、おやめになる直前に、一体なぜこの三社に——新聞を見ると、大日本製糖、名古屋精糖、明治精糖、これが非常に有力候補となっている。なぜ一体おやめになる前に速急にこれを決定しなければならぬか。そこで、大臣の発言としてはこういうことを言っておる。北海道テンサイ糖工場については既設工場を除いて有力メーカーの申請を許可したい、許可の具体的方針は佐藤蔵相と話しあつて近日中にきめる考えである、日本経済新聞によるとこう発言しておるのです。何か中村君の持っている新聞を見ると、これはまさに食い逃げだ、こういうことを書いてあるんですね。なぜ一体今きめなければならぬか。あなたがおやめになつたあとの大臣がおきめになっていい。また、今食糧庁長官の話を聞けば、雲をつかむようなものを決定するということはおかしいと思うのです。こういうことを私は非常に疑義をもっているのです。ほかのいろいろな情報もありましたが、私は、長いつき合いの大臣だし、大臣の終りにいろいろの発言は一切しないという考えを持っていたのですよ。ところが、またこういう問題が出てくると、これらの私の持っておる疑惑に対して一応解明してもらわなければならぬ。なぜ一体そう急がなければならぬのかということから一つ御答弁を願いたい。
  34. 三浦一雄

    三浦国務大臣 これは、私の在任中に急いでやるというふうなことじやございません。というのは、今も御指摘あった通り、これは見方でございますが、私は、就任して以来の問題でもありますし、また、北海道庁を督励しまして、そうして基礎的、な資料をも得たいということであったが、なかなか出てこない。こちらは、先ほど申し上げました通り、一方的な資料で判断するわけにいきませんから、北海道の一応整備した資料をほしいということだったわけです。たまたま北海道庁からも資料が出て参りましたし、かたがた、私としましては、基本的なものだけは一応線を取りきめしておきたい、こういうことでございまして、どさくさまぎれにそれを処理するというふうなことでは行っておりません。この点は一つ御了承得たいと存じます。  同時に、今新聞の記事をいろいろ御指摘になりましたが、たとえば、いかにも何か大蔵大臣と話して急速に云々というようなことを書いておるということでございますが、こういう事態でございます。先ほども事務当局からもお話しましたが、この問題はただ単に農林省農地転用というだけでは片づかぬ問題であることは御承知の通りです。そこで、為替の管理の問題もありましようし、それから膨大な資金等も要るものでございますので、これらの事情をやはり関係の者には連絡しなければならぬということで、北海道開発庁長官あるいは大蔵大臣等にも連絡したということでございまして、話の上にそうしてやつたということではございません。それは御了承を得たいと存じます。
  35. 中澤茂一

    中澤委員 これは巷間のうわさですが、北海道開発庁長官の山口君や、南條徳男氏が非常にあなたにはつぱをかけた、これは巷間のうわさだから事実かどうか知りませんよ。あなたがいつも意思が弱いものだからふらふらと巻き込まれた、そこで、早く決定しなければいかぬ、こういうことをうわさされておるのですね。それはあなたの長い政治生命のために非常にマイナスだと思う。しかも、ここに、私は今まであなたの最後にこういうことは言うまいと思っていたのですが、あなたがこの四業会の方々を招いて、その席上で政治献金を要請したという情報が前々から私に入っているのです。私はあなたの最後にこういうことを言うことははなはだ残念なんだ。私も遺憾なんだが、その業会というものはどこかといえば、精糖業会、製粉協会、油脂業会、これらをあなたが招いて五百万ずつの政治資金の要請をした、こういうことが言われておる。そのために油脂製造業会で非常に今問題が起きているという情報が入っているのです。そういう事実は一体あったのですか。
  36. 三浦一雄

    三浦国務大臣 私から政治献金を要請した事実はございません。ただ、油脂業会の今扱つておる者が農林省の出身の者でございますから、別途に党からいろいろ呼び掛けもあるだろうと思う、政治献金については協力できるものであれば協力してほしいという程度のことは連絡をいたしました。しかし、油脂業会等ではいろいろの事情がございまして、それは協力はできないということで、おそらく党へも全然その方面のなには行っていない、こういうふうになっております。従いまして、今の四者を呼んで云々のことは事実とは違います。
  37. 中澤茂一

    中澤委員 あなたが事実と違うとおつしやれば、それは違うかもしれませんが、とにかく、油脂製造業会で杉山会長が何のために辞職したかというのです、また、桧垣専務が今、これは業会の内輪もめもあるようですが、非常に窮地に立って、これも辞職するかしないかの境におる。こういうような油脂製造業会に波紋を起した原因は一体どこにあるかというと、これは新聞にも若干出ておるのですが、あなたが業会を呼んで依頼したということを杉山会長が他言をしたというのが、油脂業会の紛争、混乱の原因だったらしいのです。そこで、こういう政治献金という極秘の問題を、油脂製造業会の会長の杉山氏が大ぜいの人に、五百万円献金を要請された、しかし、その要請されたという反面に、なぜ出さなければな雇いかという理由は、ソ連大豆かすを輸入されては困る、だから、ソ連大豆かすの輸入を阻止するために、この五百万円の献金はやむを得ないであろうということを発言したというのが問題になって、ついに杉山会長は引責辞職をしたわけですね。そこで、桧垣専務もその問題について口走つたということで、油脂業会は今桧垣専務がやめるかやめないかでまだ非常にもんでおる。その反面において、聞くところによると、そういうことは私もあまり好きじゃないから徹底的な調査もしませんが、中小企業油脂業者からの話によると、その五百万円は杉山会長が立てかえ払いしてしまつたのだ、あなたの御要請によって豊年製油が五百万円を油脂業会各社から集めずに立てかえ払いしてあなたに献金してしまつたのだ、そのために豊年だけがうまいことをやるというのがこのもめごとの発端だということです。だから、あなたが要請しないとおっしゃっても、これだけの事実が出ておる。しかも三浦農相から依頼されたということを杉山会長からはっきり言明しておるのですね。これはやはり私は大きな問題だと思うのですよ。これが、党の幹事長が行って業会からこれだけの資金を献金してくれという話なら、私はいいと思うのです。しかし、現職の大臣、しかも行政官の最高責任者のあなたが、一つ選挙資金の応援をしてくれぬかという要請をしたということは、これはまさに、法律的な責任の問題の前に、政治家としての、すなわち公務員としてのあなたの問題が一つあると思うのですよ。それで、あたたは要請しませんと言いますが、ここには、はっきり、三浦農相から依頼をされた、そこでソ連大豆かすをどうしても止めなければいかぬから、この際五百万円仕方がないから出そうじゃないかということが発端だというのですが、どうでしょうか。あなたは今要請しないと言うし、それから、杉山会長のやめたのは、あなたから要請されたということを他に漏らしたということで会長を引責辞職した。この事実から見れば、私はあなたが要請したと思うのですが、その辺はどうでしょうか。
  38. 三浦一雄

    三浦国務大臣 私が杉山さんにお会いしたのは、杉山さんからは、その業会の事情上せつかくの要請に協力できないという結果を聞いたのでございまして、今御発言になつたその内容は、私は関知しておりません。  それから、ソ連大豆かすの問題でございますが、これは当時通産省ではソ連との経済協定を完成させたいというのでずいぶん執拗な希望がございました。しかし、同時にまた反対もございました。しかしながら、この問題は、御承知の通り、全購連等の関係者か飼料対策をやりたいというのでソ連邦まで出かけていっていろいろやつたという事情もありましたので、反対どころではなく、これはむしろ通産省等の希望もあり、それからまた農協の傘下団体等の希望もありましたので、すなおに輸入するということに承認したのでございまして、決して油脂業会等の関係はございません。従いまして、その記事にいろいろ散見しておりますが、ソ連大豆かすの輸入の問題について云云ということは全然われわれの関知せざるところでございまして、その点ははっきり私から申し上げておきます。
  39. 中澤茂一

    中澤委員 しかし、私は直接、こういう人の裏ばかり掘るようなことはきらいですから、やりませんが、精糖業会、精粉協会、油脂製造業会、これらをあななたが集めて、そうしてそれを要請したとはっきり言っているのです。そのために杉山氏が責任をとつたということを言っているのです。ビートの問題もからんで考えるに、あなたがなぜ早く決定しなければならぬかということは、私の非常に邪推した推測かもしれませんが、すなわち、精糖業会からも五百万円献金させた、これについてどうしても早く自分の在任中にこれをきめなければならぬという、あなたは道義的な責任を感じて急ぐのではないかというふうに私は推測するのです。だから、そういう点においてあなたが今これをすぐきめなければならぬという、近日中に決定するということを書いてあるのですが、私はそこにやはりあなたの要請した政治献金の問題とからみ合つた問題がありはしないかという疑惑を持っているのです。その辺はどうでしょうか。この砂糖の問題も、五百万円精糖業会から自分が口をきいて出させたから早く決定するのだ、こういういきさつというものはないでしょうか。
  40. 三浦一雄

    三浦国務大臣 杉山さんの意見として、四者を集めたとか、呼びつけてやつたようなことが書いてあると今言っておりますが、私は全然呼んだことはありません。杉山さんからむしろ事情はこうだということで、一度お会いしただけで、その点はございません。従って、同時に、献金問題等は全然関係はございませんし、そうしてまた、早く決定するなどというようなことを、いろいろ記事には出ておりますけれども、さようなこととは牽連が全然ない。やはり、懸案でございましたので、基本的な問題が取りまとめられるならばその問題は取り片づけていきたいというだけでございまして、その問題とは全然関係ございません。この点をよく御了承を得たいと思います。
  41. 中澤茂一

    中澤委員 少し執拗なようで、あなたの最後を飾るにはあまりおもしろくない話ですが、はっきりと油脂業会で問題になつた。会議の席上ではっきりこれが出ているのです。農林大臣から油脂製造業会、製粉協会、精糖工業会に対し政治献金の要請があったので、杉山会長が五百万円くらい出したいと思っているという趣旨の談話を話したというのが、この業会の会議で問題になつたのです。そこで、結局杉山氏に責任をとれという問題になっているのですね。だから、あなたが全然要請しないのを、杉山さんがしかも責任までとつて辞職したということの裏には、やはりあなたが要請したと見る方が私は正しいのじゃないかと思うのです。さもなければ、あなたが要請しないで幹事長が要請したとかいうことなら、杉山会長が何も責任までとつてやめなくてもいいのだが、結局、私の推測では、この記事から見ても、あなたが要請した、現職の農林大臣要請されたものを、極秘事項であるものを杉山会長が業会に発表した、それはまことにけしからぬということで油脂業会が彼に対してやめろということで、これはこれを言つたという引責辞職なんですから、どう考えてもあなたが要請したとしか思えない。そういうような疑惑がこの問題にはからんでいるわけです。それ以外にほかにもいろいろ三浦農相から要請されたということがあらゆる面で出ている。もしこれが事実とすれば大問題だと思うのです。これは、事実とすれば、たといその献金が政治献金で正規な政治資金規正法に入っていても、刑事問題だと思う。少くともあなたが現職の大臣でなくして友人としての杉山君なら杉山君に要請したものなら、これは刑事問題にならぬ。だけれども、現職の行政最高責任者がその業会に対して要請したということは、まさに収賄問題にからんでくると思うのです。だから、この点について、あなたはどうしてもそれは知らない、そんなことをおれは言つた覚えはない、そういうことなら、私ももう少し調査を進めてみてもいいと思うのですが、そういうことであなたの引きぎわをきたなくしたくないと思って、実は、こういうことをやつているのだ、けしからぬ、だから農林委員会で徹底的にやつてくれといって中小油脂業者の人が二、三私のところへ来たのですが、しかし、私は、それは少し待て、どうせ近いうちにおやめになるのだから、あまり問題を起しても悪いと思って、実は今まで伏せておいた。ところが、今この製糖の問題とからんでくると、製粉協会、精糖業会、それから油脂製造業会、この三者をあなたが——まあ私はこんなことは調べませんが、あなたが某所へこの人たちを招待したということを言われておる。これはある農業新聞の記者がそう言っているのです。私はそれもどこへ何日に農林大臣が呼んだということはしいて調査しないのですが、そういうことも言われておる。そうなってくれば、これは実に大きな問題だと思うのです。今の御答弁で、あなたはどうしてもそんなことをした覚えがないというのだから、ないでいいでしようが、しかし、客観的に判断すれば、どうしてもあなたが要請しなければ、何で一体杉山会長が引責辞職するまで追い詰められるか。桧垣専務がこの問題について窮地に立っているこういう事態は一体何のために出たかといえば、やはり現職農林大臣要請したところに問題の発端があると思うのです。それとからんで、この精糖業会の問題も、五百万円献金しておるのだから、何らかそこに政治献金とあなたの要請した問題とからんで三社をあなたの在任中にきめなければいかぬという問題があるというふうに、だれの推測も、邪推じやなくてもそういうふうに考えられるのです。しかも、あなたという人は非常に善人で、私、さんざんあなたの悪口を長い間言いましたが、そう腹のすわつた方とも見受けられないから、おい、あのとき金を出さしたじゃないか、この際お前の在任中にこの三社を決定しなければいかぬじゃないかという圧力を南條氏あるいは山口氏あたりからかけられて、そんならおれの食い逃げみやげにやるか、——食い逃げみやげということを新聞も書いておるのですが、そういういきさつがあったとすると、はなはだ遺憾だと思うのです。
  42. 吉川久衛

    吉川委員長 中澤君、大臣の名誉に関する発言でありますので、穏当を欠くところのないように。なお、引用文や用語に御注意を払われるようにお願いいたします。
  43. 中澤茂一

    中澤委員 大臣、今の点どうですか。
  44. 三浦一雄

    三浦国務大臣 どうも杉山さんの御発言は私は納得できない。先ほど申し上げた通り、桧垣が専務をしておるものですから、党の方から別途にお願いしているということである、しかし御協力できるというならば御協力するように一つなにしてほしい、これだけです。従いまして、私に対する献金でないことはもちろんでありますが、党へしからば来たかといえば、杉山さんは、話はできなかった、結局話がまとまらぬということで、党へも献金はしておらぬ、こういうことでございます。同時に、杉山さんはいろんな他の関係のないところまで御発言になっておりますが、そのなにをどういうところからお話なすつたか、私には理解できません。同時にまた、ソ連の大豆かす云々のことについては、全然事実が違います。  それから、最後に、南條君もしくは山口国務大臣等からのさようなことによってやるというようなことはございませんので、これは決してさようなことがないことをはっきり申し上げておきたいと思います。
  45. 吉川久衛

    吉川委員長 中村君。
  46. 中村時雄

    中村(時)小委員 これは非常に重要な問題で、中澤さんの言っていらつしやることとあなたの言っていらつしやることに食い違いがあるわけです。当然これは杉山さんを呼んで一応是非をはっきりさせていただかなくちやならない。これが一つある。  それから、もう一つは、同様のことを私関連して大臣にお聞きしたいのは、たとえば、あなたは今、油脂業会の方からはそういうことは醵金としてはなかったというその中において、党の方からそういうことも言っているのだったらそれに対して協力をしてくれということを現職の大臣として言っておる。それから、もう一つは、精糖工業会に対してあなたは同様なことを言っているかいないか、その点を一つお聞きしたい。
  47. 三浦一雄

    三浦国務大臣 私から別に申し上げるようなことはございません。
  48. 中村時雄

    中村(時)小委員 これもやはり同様なのですが、これは私醵金しておると断定してもいいのではないかと思っておるのです。その問題も含めて、これは当然参考人かあるいは証人換問の形を将来とつていきたいと思うが、工業会に対しても同様なことが出ておるはずであります。これも、そういう意味においてその人と話し合つてみたい、こう思っておりますが、たしか三百万円くらいのものを農林大臣としてあちらこちらに割り当てておるのだから、その意味において政党に醵金するのではなしに農林大臣個人にするのはおかしいじゃないかという意見すらその会議において出ておるという情報が私たちに入っております。そういう点から関連しても、この問題の疑義は非常に大きい、深いものがあると思います。そういう立場をとつて私どもが考えた場合に、今問題になって新設工場に対する関連性があるかないかはわかりませんが、当然そのことの態度がはっきり出てきた結果においてこの工場の問題の打ち出しができるであろう、このように思いますが、この疑義をまず究明していきたい。  これは委員長にお願いしておきたいと思いますが、将来参考人なり証人換問の措置をとつていただきたいと思います。その結果においてこの新設の問題がはっきりされてくるのではないかと思いますから、この点お含み願いたいと思います。
  49. 吉川久衛

    吉川委員長 中澤君。
  50. 中澤茂一

    中澤委員 最後に私から大臣に申し上げておきますが、これは私の方からも本格的に調査をすればいろいろデータが出てくると思います。農業新聞の某記者などがやれやれといって私のところに何べんも言ってきておりますが、私の方もそういうことをやりたくないから今まで延引してほつたらかしておりましたが、そういう疑惑を持たれることは、やはりよした方がいい。当初に言つたように、なぜこんなに急がなければならぬのか。今食糧庁長官の話を聞いても、ちつともわけがわからぬ。しかも土地改良その他で百億くらいの財政投融資をしなければ、ビートそのものの栽培面積の拡張ができないような悪い土地もあるということを聞いておる。そういうものを完全に国が財政投融資をするならして、そうして、いよいよこれでいいという体制を作つてから初めて工場をどうするという問題が出ればいいが、その前提条件が変らないのにまず工場だけ決定しなければならぬということは、これは非常にあなた自身が疑惑を持たれる。だから、私はあなたのために言う。あなたの在任中にこれをきめるとかきめないということはあまりお触れにならない方がいい。あなたの将来の政治生命を考えるならば、そういうまぎらわしい変な疑惑を残してあなたがやめるということは、結局あなたのためにならないから、私は言うのです。だから、これはいろいろないきさつやわれわれにわからない裏の事情もあるのだろうが、この際この問題はもう——どうせ二十二日までにはおやめになると思うのです。それでも御留任ならばはなはだおめでたい話ですがそのやめぎわにこういうことを強引に押し切るということは、献金問題の疑惑をみなが持つ。だから、私は、あなたのために、この最後にきてそれをやらぬ方がいいということを御忠告申し上げる。本問題は今中村時雄君から今後も調査を進めて証人換問を行いたいという意見がありましたが、実は私はこの問題は党の方にもまだ話をしていない。これは私の一存で今まで黙つておりましたが、本日こういう問題が出たので発言をせざるを得なくなつた。こういう点については、社会党自体としてこの問題をどういうふうに調査し、どういうふうに究明していくかは、今後社会党の問題でありまして、私の個人の問題ではないが、こういう疑惑を持たれるものはおやめになつた方がいいということだけを最後に御忠告申し上げておきます。
  51. 吉川久衛

    吉川委員長 中村君。
  52. 中村時雄

    中村(時)委員 私は、この工場新設の許可方針に関する農林省意見を聞く前に、一点だけお聞きしておきたいことがある。それは、先ほど関連質問で申し上げました澱粉処理のためにブドウ糖を作る場合に、そのブドウ糖を作る根拠は必ず将来採算上から言って砂糖の何万トンかをそちらに回すような問題になりやしないかということで、農林委員会で決議になつた場合にもそれを却下させるようなことになつた。そういう前からの問題がからんできておる。最近になってそういううわさがちらほらしてきた。すなわち、砂糖行政としての今の配分状況を、今度は澱粉からとつたところのブドウ糖に混合さすという意味において、また再び、輸入されてくる原糖をある程度そのブドウ糖の工場の方に回そうじゃないかという意見すらちらほら耳にするのですが、私はそういうばかげたことをやるとは思っておりませんけれども、そういうような事柄を考えていらつしやるかどうか、お聞きしておきたい。
  53. 渡部伍良

    渡部説明員 日本の畑作の一つの安定作物であるカンショ、バレイショの澱粉の消化として結晶ブドウ糖が登場しておるわけでございますが、これは、先ほど御説明申し上げましたように、糖度が少し足りないので、最近できてきましても売れ行きが悪い。これは一つは糖価が下ることもございますが、いずれにしても、甘味資源総合対策の中でも申し上げましたように、人工甘味料をまぜるということも一つ方法として考えております。人工甘味料の消費もいろいろ問題がございます。従って、これは私の方の食糧研究所等で混糖の工合を研究さしておりましたところ、大体精製糖に二割程度までのものが一番いい、こういう結果がでましたので、これを一つ実施に移しまして、そうして結晶ブドウ糖の消費の一部に役立てたい、こう考えて今案を練つております。
  54. 中村時雄

    中村(時)小委員 だから、今から二年前にもその問題を取り上げて、将来こういうことになるのじゃないかと言つたときに、そういうことはありません。ブドウ糖の問題と、今言つた砂糖の行政の問題とは別個の問題でありますと、はっきり農林当局は言っておる。ところが、今になってそういう問題がまた蒸し返してくる。しかも、そうなればそうなるで、また方法は幾らでもあると思う。たとえば、澱粉を安く譲ればそれで済むことなんです。ところが、それは食管の赤字だということになって、食管の赤字を解消するためにそういうことになるのじゃないかといううわさすら出ているが、その面に関してはどうなんです。
  55. 渡部伍良

    渡部説明員 食管の手持ちの澱粉を廉価で払い下げるということは、この前の甘味資源総合対策の中でうたつております。問題は、どの程度下げればどの程度の採算になって、どの程度の消費が出るか、こういう問題でございます。当時、十貫千五百五十円というような売渡価格を出しておりましたが、もうちょっと下げる値段でということにも最近きめております。しかし、それにしましても、やはり新しい商品でございますから、どうしても消費者になじみをつけることが必要である。そのためには、先ほど申し上げましたように、普通の砂糖に二割程度までのものは味もいいし栄養もいい、こういう結果が出ましたから、それを一面から言うと採用した方がいい、こういうふうに考えておるのであります。どれか一つ方法で問題が片づくというわけにはいきませんので、いい方法は全部取り入れる必要がある、こういうふうに考えております。
  56. 中村時雄

    中村(時)小委員 いい問題はどれでも取り上げるというから、これは将来おもしろい問題がたくさん出てくると思うのですが、いい方法か悪い方法かは、それぞれの立場によって見解が異なるわけです。あなたははやての伍良さんという何か異名があるようですが、頭ばかりでつかくて、先になっていつでも困っているという状態がわかつているから、幸いに、農林委員会の連中あるいはその他の連中が、まあまあいいからということでいくから済んでいるのでいいようなものですが、その問題はまだ将来においてもその方法論というのはたくさん出てくる。そこで、私は資料の提出をお願いしておきたい。それは、今言つた甘味料で行つた歩どまり、それから、なぜそういうふうな必要性が生まれてくるかを科学的に一つ分析されたものを各委員に配つておいていただきたい。今言つた混糖の需要量に対するところの混入の仕方、そういうようなものも全部資料を提出していただきたい。それによって私たちはもう一回検討し直してみる。その検討をし直してみる間は、そういう軽挙なことだけはやめてもらいたい。これだけは言っておきます。  それから、本論に少し入ってみたいと思います。まず農林大臣にお尋ねしたいのは、これはちまたのうわさでありますので、その是非論は申し上げませんから、その点でお答え願いたい。私は、あなたのようなりつぱな人が左右されてこのビート工場の問題の決定を急いでいるとは思っていない。また、あなたのような方が次の農林大臣になって下されば、農林行政がいい意味においてまつすぐにいくんじゃないかという期待すら持っておる一人ですから、善意に解釈して、これからの質問に答えてもらいたい。  まず第一に、先ほどの中澤氏及び与党議員の方が申されましたように、ビート工場新設に対しては、すでに事務当局を離れ、農林大臣の権限によって決定される時期に来ているんだ、そこで農林大臣の意思一つによってどうにでもなるんだというお考えを持っておるかどうか。もしそういうことになれば、これからの質問は角度が変つてくるから、その点をまずお答え願いたい。
  57. 三浦一雄

    三浦国務大臣 私は自ままでもってやろうとは考えておりません。今御指摘のような心境ではありません。
  58. 中村時雄

    中村(時)小委員 それでは事務当局にお尋ねしたい。まず第一に、新設工場の指定に当つて市町村別の長期計画を基礎として、その原料集荷区域、そういうものを設定する必要があると思うが、今度のそういう決定に関して、十分なる配慮をし考慮をされてこの問題と取つ組んで発表されたものかどうか。
  59. 渡部伍良

    渡部説明員 これは、先ほどからしばしば申し上げますように、最終的には細部の点できまつていない部分もございます。しかし、大部分の点では大体この見当で間違いないだろう、こういうことでございます。従いまして、町村別に一町一反も違わぬということの意味においては最終的ではございませんが、大体の見当はこれでいい、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  60. 中村時雄

    中村(時)小委員 この前の甘味資源の問題の際に、小委員会を作り十分そういう問題を検討したいということの意向を、あなたは知っていらつしやるかどうか。
  61. 渡部伍良

    渡部説明員 承知しております。
  62. 中村時雄

    中村(時)小委員 ならば、あなたの大体こうだという構想、その資料を提出したかどうかを聞きたい。
  63. 渡部伍良

    渡部説明員 今まで出しておる以上の資料は出しております。
  64. 中村時雄

    中村(時)小委員 そうすると、今まで出している資料の中においては、この三工場地域別あるいは工場規模別というような問題は出ていないと私は記憶しておる。町村別の長期計画の基礎並びに原料集荷区域の設定、——新しいんですから、今の三工場に対するそういう問題は、私たちはまだ手元に持っていない。まだいただいた覚えがない。そうすると、基本的な問題ですらみんなに十分関知させずして、あなた方自身が独断的にきめていったということは、農林委員会を非常にないがしろにした態度ではないかと推察するが、これに対してどう考えるか。
  65. 渡部伍良

    渡部説明員 私の方では、町村別計画は、まだ最終的にできておりませんから、差し上げてございません。これはでき次第差し上げます。
  66. 中村時雄

    中村(時)小委員 今一応確認しておきたいのは、そういう町村別の長期計画はまだ十分できていないから、そこで、でき次第これを配付するということが出てきたわけで、これは農林大臣も確認しておいていただきたいと思う。  それから、第二点は、既存工場集荷区域との関係、これは当然慎重に検討されたと思う。新聞に見聞きいたしましたところによりますと、既存工場というものは一応別の問題として取り上げられておるようですが、各工場別の原料集荷区域及び原料生産の見込量の見通し、私はそのいうようなものから決定されていくものであろうと推察するのですが、その間のお考え方を伺つておきたい。
  67. 渡部伍良

    渡部説明員 これは、歴史を申し上げますれば、日甜が全道でテンサイ作つてつたのであります。そこへ芝糖が進出し、北連が進出し、台糖が進出し、今後さらに数社が進出しよう、こういうことでございます。工場建設するのには、北海道の気候の関係で、どうしても二ヵ年かかります。一冬越さなければできません。その間に、新しい工場ができて、初年度はその数字等でいかぬにいたしましても、六千町歩・四千百斤・百二十日の操業ができるだけの集荷面積の見当がつかない限り、新しい工場導入することは、これは行政の指導としてはおもしろくない、こういう考えから、市町村別年度別作付計画をとつております。それをとりまして、三十三年度市町村別にどういう工場にどれだけの原料を、どれだけの面積を作つたかということははっきりしております。三十四年度は今作付しておるのでございますが、多少紛議はございます。どう取り扱うという問題もございます。しかしこれも三十四年度にははっきり出ております。それらをもとにいたしまして、三十五年度以降のそういう市町村別作付計画、それには町村の事情によって町村の平均反収というものも出てくるのでしよう。どういうふうな手を打てばこの面積を確保することができるか、こういうことも出てきます。それをもとにしまして、既存の工場集荷区域を一定の工場別の能力で検討いたしますと、その間にゆとりができてきます。そのゆとりの一番多いところに新しい工場しを導入した方がいいのではないか、こういうふうに考えて、先ほど申し上げましたように、第一次が三十六年に十勝西部、第二次は三十七、八年ごろに空知上川の隣接地域、それからその後十勝の東部、こういうふうな一つのワクが出てくるのであります。しかし、それも、計数的にはっきりした町村別のものが、できなければ、今どういう町村までどういうことを申し上げるのはちょっと早いのじゃないかと思いますが、大体の見当は今の程度であります。
  68. 中村時雄

    中村(時)小委員 今言つたように、十勝を中心とした一つ理由や、あるいは歴史的な変遷はよくわかつているわけです。その歴史的な変遷と関連いたしまして、そういうお答えがありましたので、お尋ねしますが、たとえば北の方にある三工場はすなわち、日甜、芝浦北連などについての地域といいますか、耕作面積は非常に少い。そこで、原料は非常に少なくなっているので、その問題から、この前にも芝浦と日甜との話し合いによってその地域差をはっきりときめていって、農林省が中に立つた、そういうようないきさつもあるわけであります。この地図を見てみますと、そういうようないきさつのもとにこれを考えてみた場合に、たとえば、北十勝あるいは上川地方、それから四十年度におけるところの十勝の東というふうに分けられてくるわけですが、その東なら東におきましても現在三工場申請して出ているわけです。大阪を入れると四工場になってくる。というのは、大阪、日新、池田におけるところの明治、大日本製糖、こういう工場があるわけなんです。そこで、地域としても、かなり広いところにある。場所としても今言つた四ヵ所になっている。町村別考えた場合にどこに重点を置かれるかということをお聞きしたい。
  69. 渡部伍良

    渡部説明員 これは私どもの方で、先ほど申し上げましたように、その四社の色刷りがダブつて書いてございますが、町村別作付予定面積をとりますと、町村の名前はちょっと記憶がありませんが、ある町村では畑作面積の大部分を耕さなければ集荷はできないというような状況になっております。御承知のように、テンサイは少くとも五年あるいは七年の輪作ということになっておりますから、そういうことはとうてい不可能であります。従って、そういう計画でどこの地域工場を作つたらいいかということは判断できません。それは、その地域で、私の方で東十勝なら大体三十九年ないし四十年にどの市町村くらいを集荷区域にしたらいいかということの見当をつけますから、その中で、集荷に一番便利な、あるいは工場操業に水が要るとか、廃液処理の問題がございますから、そういう問題のないところに工場を選定すればいい、どこでなければならないということは一概に言えない、こういうふうに考えております。
  70. 中村時雄

    中村(時)小委員 それは、見方によって、どこがいい、どこが悪いということはいろいろあると思うのです。あるいは地元の熱意の問題も出てくるだろうし、あるいは今言われた耕地の肥沃度の問題、適地生産の問題等も出てくるであろう。そういう問題が含まれるから、どこがいいということは出てこないのがほんとうだと思う。農林大臣も、今私がお尋ねいたしましたように、一工場を作る、あるいは地域が広まつて工場を作るのもけつこうでありましょうが、しかし、どこに作るといった地域の選定は、事務当局においてもまだ調査しなれけばならないし、そういう町村別地域差の問題も出ていないという状況なので、どこということも農林大臣自身も今お考えになっていらつしやらないのかどうか、お聞きいたしたい。
  71. 三浦一雄

    三浦国務大臣 今別にそう指定しておりません。
  72. 中村時雄

    中村(時)小委員 それはわかりましたが、同様なことが空知、あるいは上川地方にも言えることなんですが、それをお尋ねします。
  73. 渡部伍良

    渡部説明員 どこの地域でも同様な考え方であります。
  74. 中村時雄

    中村(時)小委員 そうすると、それを調査し、的確に持っていくためには、どのくらいな日数を考えて、——というと具体的になりすぎるかもしれませんけれども、大体どの程度の月日を考えていらつしやるのでしょうか。
  75. 渡部伍良

    渡部説明員 これは私の考えで、あるいは最終的には北海道庁その他と相談しなければいかぬことになるかと思いますが、三十六年に一工場、三十七、八年に一工場、三十八、九年あるいは四十年に一工場、こういう順序をつけますれば、先ほど申し上げましたように、工場建設するのに二ヵ年かかるわけですから、その地域生産の状況あるいはその伸びの可能性を見て、それぞれそこを担当する会社見当をつけていただけば、——私の方で、たとえば農地の関係で非常にむずかしいということになれば、これはほかに行ってくれという注文をつけるかも知れませんけれども、そういう関係のない限りは、やはりここを建設する人が工場の能率を上げるのに一番どこがいいかということで検討していただけばいいのではないかというふうに考えます。
  76. 中村時雄

    中村(時)小委員 大臣もそういうお考えですか。
  77. 三浦一雄

    三浦国務大臣 工場がかりに許されるということが前提としてきまりました場合に、具体的の決定はやはり経営者が決定すべき筋合いであろうと考えます。
  78. 中村時雄

    中村(時)小委員 先ほど本名さんから御質問がありましたように、生産立地という市町村別のことが大事なことであつて工場ができたから原材料が非常にたくさんふえるのだという意味ではないということに対して、その通りだと大臣はお答えしていらつしやつたようですが、そうすると、今言つたように、立地条件がまだはっきりしないし、競合がたくさん——競合というのは工場の競合ではない。生産に伴うところの農地の競合が方々にたくさんできてくる。そういうことを検討するということにいたしますと、一体大臣といたしましてはどの程度の期日をお考えになっていらつしやるのか、ここ十日なりあるいは一ヵ月くらいの間にこれを決定しなくちやならぬという考え方を持っていらつしやるのか、お聞きいたしたい。
  79. 三浦一雄

    三浦国務大臣 私は、先ほど本名君のお尋ねに対しましてお答えした通り、この時点におきましてそのことを申し上げることは不適当であろう、こうお答えしたのであります。と申しますのは、大体食糧庁長官説明通り、一応の資料はそろって参りました。しかしながら、現在八社も出ておるのですから、この問題の調整がまだ残つているわけでございまして、これらはそう勝手に政府側だけでもってやり得ることでもなかろうと思います。これらの点がありますから、これらは、基本的な今の資料等が整備された後に、やはり諸般の事情を勘案しましてとりきめをするということが適当であろう、こういうふうに考えております。
  80. 中村時雄

    中村(時)小委員 そうすると、だんだん核心に触れるのですが、八社出ておる中でどこをどうするという考え方は持ってなくて、ただ、新聞やいろいろな報道に出ているものは、それはもう新聞社の勝手な推察であつて、現実的にはどこにどうだというお考え方の発表をしたこともなければ、そういうお考え方も今のところ持ってなくして、基本的な筋を通してやつていこうというのが農林大臣のお考え方になる、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
  81. 三浦一雄

    三浦国務大臣 まだ熟してはおりませんでしたが、この過程におきましては、すでに工場を持っておる側におきましてはこの経営の合理化を期待する、従って、今食糧庁長官も話した通り、五ヵ年計画等で三工場をしたい、こういうふうになっておるのですが、八社出ておるわけですから、この八社の調整をどうするかというのが今後の検討すべき重要な課題であろう、こう考えております。
  82. 中村時雄

    中村(時)小委員 八社が出ておることはわかつておるのです。そこで、自分が大体この三社をというような一応腹案をして、そしてこういうふうに調整しようという考え方を持っていらつしやるのか、そうでなくして、今言つたように、筋を通して、生産立地がこういうふうになっていて、客観情勢はこうだというような一つの具体的な、要するに農業経営の面から考えていってその線が出てきたときにおいて初めて考慮するという考え方を持っておるのか、三社にしぼつていこうとされるのか、そこの食い違いですね。それをどうお考えになっていらつしやるか。
  83. 三浦一雄

    三浦国務大臣 工場設置の条件が具備されるということが前提になっておりますから、これは、先ほど来申し上げました通り北海道庁等の意見も聞き、食糧庁としても十分検討をさしておる、こういうことでございます。
  84. 中村時雄

    中村(時)小委員 そうすると、あの新聞等にありますように、具体的に言いましたら、東の方は大日本製糖、西の方は名古屋精糖、それから明治を由仁の方に持っていくとか、そういう報道が現実には新聞に出ておる。しかし、そういうことは農林大臣としては関知しないことであつて、あくまでも、——農林大臣の立場上から言っても私たちはそうでありたいと思っておるのですが、筋の通った、そういう生産立地をきめない限りは考えていないのだということが本質的なものかどうかということをお聞きしておきたい。
  85. 三浦一雄

    三浦国務大臣 記事の出方はどういうことでもって出たか私申し上げかねるのです。というのは、私からああいうような示唆をしたことはございません。従って、筋の通った、基本的条件が備わつたならば、それに即応して、今後調整しつつ三社をきめるというふうにするのが相当だと考えております。
  86. 中村時雄

    中村(時)小委員 それで、私たちも、自分たちが考えたことと農林大臣考えと同じで、やつぱりりつぱなものだったと実は喜んでおるのですが、そういう新聞記事が出るということ自身の疑義を私はこの際はっきりこ釈明しておいていただきたいと思うのです。そうでないと誤解を招きます。誤解を招くのみならず、その中に推察に推察を生んでいろいろな問題が現われてくると思うのです。ですから、そういうような立場をとつて農林大臣がお考えになれば、本質的な問題をやはり筋を通してきつちりしていきたいという基本的なお考え方を持っていらつしやる、そうして、その本質的な問題というのは、生産立地の条件、それに伴う工場の設置、それから来るいろいろな問題、そういうふうな段階を経つていかれるというふうになっていくと思うのです。そういうふうなお考えを持っていらつしやるかどうか、大事な点ですから、くどいようですが、誤解をここで解くという意味におきましても、私は農林大臣の立場としてはっきりさしておく方がいいんじゃないかと思うのです。
  87. 三浦一雄

    三浦国務大臣 大体において中村さん御指摘のような態度をもって臨んでおります。ただ、記事の出方でございますが、これは、実は、北海道関係の人たちは知事さんと会談したりいろんな曲折を経ておりますから、その間に相当まあいろんな記事として出た傾向もないではなかろうかと思います。同時にまた、私も、しばしば人と会いますと、すぐに、どういう会談であった、その内容はどうだというようなことを尋ねられます。私は、今までは、北海道庁の知事さんがこういう考え方で、本省にその考え方を持ってきているという程度の話はしたのでございますが、工場の選定その他については私の独断的な話はしておりません。先ほど申した通り、一貫して、中村さん御指摘のような態度をもって臨むということでおりますから、その点は御了承をいただきたいと思います。
  88. 中村時雄

    中村(時)小委員 それでもうすつきりしたわけなんですが、そういう新聞のことだけを中心にして考えていくと、まあいろいろなうわさですから、これも耳に入れておきたいと思うのですが、たとえば、事務当局の方はつんぼさじきにおつて大臣が勝手にそういうことをしたといううわさすら表には流れておる。あるいは、本名さんもここにいらつしやいますが、本名さんは、こういうことはけしからぬじゃないかと言つたらば、そんなばかなことはないと言われる。たとえば、南条さんに、本名さんに、農林大臣に、それから松田さんに長官、これらの方が会つて、そうしてその席上で決定したのだといううわさすら流れておる。ところが、本名さんに聞いてみると、そういうことは絶対にございませんと、こうはっきりさしておるのです。そういうことがうわさにうわさを生んで、そうして農林大臣の在任中というような前提をつけておるのです。農林大臣が在任中にやるのは不思議じゃないじゃないか、——不思議じゃないことはけつこうなんですが、在任中ということも、筋を通していけば、在任であろうとあるいは更迭されましてもそのことを受け継いでいくのが正当な一つの立場だろうと思うのです。そういう立場に何もこだわる必要はないと思うのです。そういう立場で農林大臣がはっきりと打ち出されたことは、一応私はそれを正しいと見ながらこの質問を打ち切りたいと思います。というのは、もしもそうでないということになれば、いろいろな質問を私も考えておるのですし、またいろいろな問題の取り上げ方もあると思いますが、私は今の農林大臣の言質を本質とみなして、私はそれを多といたしまして一応質問を打ち切ります。ただし、そのことがそうでないということになれば、直ちに小委員会を開催してもらいたい。  それと同時に、もう一点、これは委員長にお願いしたいし、同時に農林大臣にも確約しておいていただきたいと思うのは、今言つたように、まだ農林省当局からも立地条件として最も正しいという一つの筋を通した資料すらも出ていないのですから、その資料を出して、十分われわれもそれに伴つて検討していき、そうして、農林大臣考えていらつしやることを是とするならば、われわれも一緒に協力していきたいと思っておりますから、その点を十分一つお含みの上で、今後における施策、いろいろな問題に関しては、小委員会の開催の上に立っていろいろ御検討を願いたい。それを最後につけ加えておきたいと思うのですが、その最後のつけ加えた問題に対して農林大臣の御意見一つお伺いしておきたい。
  89. 三浦一雄

    三浦国務大臣 最終的な資料北海道庁からまだ全部は来ておりませんが、これらはお目にかけたいと存じます。同時にまた、そういうようなことで条件がどうだというようなことについては、小委員会等の御納得のいくような努力を重ねて参りたい、かように考えております。
  90. 中村時雄

    中村(時)小委員 それでは、委員長、今の発言ではっきりいたしておりますから、一応私自後の質問は打ち切ります。
  91. 吉川久衛

    吉川委員長 中澤君。
  92. 中澤茂一

    中澤委員 大臣、こういうふうに新聞記事が……。あなたはお読みにならなければ、読みますが、閣議後の記者会見で、あなたは最初米価のことに触れ、テンサイ糖に触れ、日韓会談に触れておるのです。北海道テンサイ糖工場新設問題は町村北海道知事らと話し合つた結果、三十六—三十九年度に三工場新設を認可する基本方針をきめた、こう出ておるのですね。それから、「この三工場の対象会社には既設工場を持つ二社は除き、有力メーカーから申請を認可したい。認可の具体的方針は佐藤蔵相とも話し合つて近日中にきめる考えである。」、こういうふうに出ているのです。そうすると、きめたと出ておるのですね。「基本方針をきめた。」、この基本方針をきめれば、ここにいろいろ解説記事が出ておるのですが、基本方針をそういうふうにきめて、既設工場の二社を除く、こういうことをきめれば、必然的に出てくるのは、今言う大日本製糖、名古屋精糖、明治製糖という三者が非常に有力候補になってくるという解説記事を日本経済が書いておるのです。だから、きめたというのは、一体閣議で何をきめたのですか。
  93. 三浦一雄

    三浦国務大臣 閣議では全然これは話は出ません。従って、きめておりません。ただ、こういうことです。北海道庁の持ってきた考え方を大体において採用しようじゃないか。それは何かといいますと、生産条件等を見てやろうということについては、これはもうわれわれは北海道庁資料を待っておつたのですから、そういうようなことに私は了解しております。
  94. 中澤茂一

    中澤委員 これは何もまだ基本方針をきめたわけではないということなんですね、今の御答弁では。そうすると、私は、既存工場の二社を除くというのもちょっとおかしいと思うのですよ、そういう基本方針をきめること自体が。御承知のように、これは、新設工場は全部コストが消費者へかぶつておるわけですね。結局消費者が高い砂糖を食わされて、そして新設工場を作れば作るだけ高い砂糖を食わされるわけでしよう。現に日甜なんかは政府の買い上げるコストでは剰余金が出るというので、あの法律を作つて今度テンサイ糖の伸展をやろうというのですが、むしろ既存工場に対して拡張を認めてやれば、経験もあるのですから、結局砂糖の原価も安いと思うのです。だから、既存工場の一社を除くという考え方ではなくて、消費者を考えてみた場合にはむしろ既存工場にさせるべきではないか。そしてなるたけ低コストの砂糖を作らせて、そして砂糖の消費者価格をなるべく引き下げるような努力をしていくのが、私は国民大衆に対しての政治じゃないかと思うのです。それを、今後新設工場をどんどん作る。これは非常にコストが高い。しかも場合によれば政府が融資のめんどうまで見なければならぬ。こういうことは、一体消費者を考えておるのか何を考えておるのか、その基本方針自体がわからないということが言えると思うのです。しかも、もしこういう基本方針をきめると、結果的には、今言う大日本製糖、名古屋精糖、明治製糖の三社が有力候補になってくる。そうすると、大日本製糖というのは、御承知のように外務大臣の藤山さんの息子さんですか弟さんですかがやつておられる会社です。それから、名古屋精糖というのは、かつては当委員会においても非常に問題になつたように、池田勇人さんの非常に懇意な会社だ。こうなってくると、国民はますます政治に対して疑惑を持つと思うのです。こういう政界の有力者どもがやつておる会社新設工場としてあらためて許可する。そして非常にコストの高いものを作つて、一日も早く消費者価格を一銭でも下げてやらなければいけないのに、ますます高い砂糖をいつまでも食わせる。この三社が今度きまれば、八社出してあるのだから、あとの五社も黙つていないと思うのです。この次の三十九年度計画以降においてはわれわれ漏れた三社を入れろということがまた出てくると思うのです。それをまた入れるとすると、一体いつになつたらわれわれは安い砂糖を食わせてもろえるのか見当がつかなくなってくると思うのです。だから、それは私は政治ではないと思うのです。政治なら、国民大衆に一銭でも安い砂糖をなるべく早く食わせてやろうということでなければならぬ。これではまるで政治のやみ取引だと言っては言い過ぎかもしれませんが、外務大臣の藤山さんの弟さんだか息子さんだかがやつている会社がやるんだ、あるいは池田勇人さんの非常に特殊な間柄にある名古屋精糖がやるんだということは、それをやる人たちはいいかもしれませんが、あなた自体が非常に変な色目で見られると思うのです。変な色目だか、事実先ほど申し上げたようなことがあるのかどうか知りませんが、とにかく、そういう点において、これは今あなたの在任中あと一週間や十日ではどう考えてもきまる問題じゃないと思うのです。きめたらこの問題は非常に尾を引きますよ。そういうような非常に何か国民に疑惑を与えるものは解明しなければならぬから、われわれ社会党としてもこの問題は相当追及、調査しなければならぬと思うのです。そういう点について、どうでしょうか、あと一週間や十日、しかも長官の方から言えばわけのわからないような五里霧中みたいな話をしているのですから、そういうものはおやめになつた方がいい。どうですか、おやめになる意思はありませんか。
  95. 三浦一雄

    三浦国務大臣 私は、中澤さんのおっしゃる通り、いやしくも疑惑を生ずべきような措置はとらぬということをはっきり申し上げておきます。
  96. 吉川久衛

    吉川委員長 中村君。
  97. 中村時雄

    中村(時)小委員 もう一つお尋ねしておきたいのは、先ほどあなたが、いいことならばあらゆるものを加味してやつていきたいと言われた。それはけつこうなことなんです。そこで、今の六千町歩の耕地面積、あるいは四千百斤の問題、そういう基本的な一つのワクがあるのだけれども、たとえば、一応一千トンできても、それの採算がとれる、そして今言う耕地としての立地条件がととのうということになれば、当然問題を取り上げて、一千トン工場つてできる可能性があればやらしていっていいと思うのですが、あなたのお考えはどうですか。
  98. 渡部伍良

    渡部説明員 これはむずかしい問題でございまして、たとえば、今の地域をきめましても、その地域の伸びの推定がいろいろあります。これをやればこれだけ伸びるのだから大きな工場を作るんだと言われても、それは困るのであつて、おのずからそこに限度というものが出てくるのじゃないかと思います。
  99. 中村時雄

    中村(時)小委員 私の言うのは、そういう技術的な問題はよくわかるのです。ただ、問題は、輸入砂糖が非常に多いということです。そこで、国内砂糖を少しでもやつていこう、もう一つは、北海道におけるところの農業経営の基本的な問題からこれを打ち出していこう、こういう考え方が基本的な問題にあるわけです。そういう面から考えて、採算がととのい、そうして今言つた工場一つの線が打ち出せるならば、五百トンであろうと、千トンであろうと——これは言い過ぎかもしれませんが、そういうような立地条件がととのうならば、そういうような問題も当然含めて今後考究する必要があるのじゃないか、技術というものも進歩してきますから、そういうようなことも配慮してやつてもらいたいと、こういうことなんです。
  100. 渡部伍良

    渡部説明員 ちょっと意味がよくわからないのですけれども……。
  101. 中村時雄

    中村(時)小委員 それは、たとえばあなたが既成的に六千町歩と限定し、あるいは四千百斤なら四千百斤と限定しても、あるいは工場の発展もあれば、あるいは政治の問題から来るいろいろ歩どまりの問題も出てくるでしよう。さらに将来。品種の改良もやるでしよう。そういう場合に、北海道農業の基本的な政治がその中にあり、あるいは今言つた外国の輸入されてくる原糖の割当に対する減少の問題もある。両々相待ってプラス面が出るというのならば、今言つた千トンであろうと、二千トンであろうと、そのときのそういう時期に応じてそういう考え方も打ち出すべきじゃないかということを考えておるのです。
  102. 渡部伍良

    渡部説明員 それは当然でありまして、私が六千町歩・四千百斤と言っておるのは、現在のところその程度でバランスをとるのがいいじゃないかということを言っておるのでありまして、それよりいい方法があればそれを取り入れることは当然であります。
  103. 中村時雄

    中村(時)小委員 ということは、それはなぜかと言えば、暖地ビートにも出てくる。暖地ビートは、六千町歩といっても、即座にこうせよああせよといってもできるものではない。当然、百トン工場にするか五百トン工場にするか、そういうこともその過程においては出てくると思う。そういうことから、当然そのことが配慮してあつて、そのことが同時に北海道農業にも関連してくることですから、そのことを同時に言つたわけです。  最後に、私質問打ち切つたのですけれども、大臣に一点だけお聞きしておきたいのは、大臣在任中に問題の解決ができなかった場合、こういう重大な問題は当然後任に継続してしかるべきじゃないかと私は思うのです。おれの在任中にあくまでも決定してしまうのだ、こういうようなことはおそらくないと思うのでありますけれども、そういうところに一番の大事な疑義を持っておるわけでありますから、その点をもう一度はっきりと発表しておいていただきたいと思うのです。
  104. 三浦一雄

    三浦国務大臣 いやしくも疑義を招くような不当な措置をとるというようなことは絶対にいたさぬ考えであります。
  105. 吉川久衛

    吉川委員長 本名君。
  106. 本名武

    本名小委員 いろいろな角度から質問がありまして、大臣を初め当局の御意向というものが大体わかったわけでございますが、今後テンサイ振興並びにテンサイを通じての国内の甘味資源確保するために当小委員会としても今後も重大な関心を持っておるわけでありますが、私はこの機会に小委員長のお許しを得て小委員会として一つ申し合せをしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  107. 吉川久衛

    吉川委員長 どうぞ。
  108. 本名武

    本名小委員 お許しをいただきましたので、申し合せをいたしたいと思いますが、その内容をちょっと申し上げたいと思います。    てん菜振興対策に関する件   てん菜の振興は、わが国の畑作改善及び甘味資源の自給度向上のため重大な関係をもつが、去る三月十二日「日本てん菜振興会法案及び臨時てん菜糖製造業者納付金法案に対する附帯決議(別添資料)第三項、第四項及び第五項等において当委員会の意志を表明した如く、今後における製造工場新設許可に当っては、生産農民の利益を擁護し、製糖業界の無用の混乱を防止するためてん菜生産計画、これに対する助成措置原料の出荷計画等諸般の計画を確立し、将来への見透しを予め明確にすることが肝要である。   よって、政府は、てん菜振興に関する右の根本計画の策定を急ぐとともに、その最終的な決定の後、工場新設の適正な許可を行うべきである。   昭和三十四年六月十五日     衆議院農林水産委員会甘味資源に関する調査小委員会  以上が申し合せの案文でございます。ただいままでの答弁によりまして大体の御方針というものがわかったわけでございますが、どうか、この上とも遺憾のなきよう、政府当局に対して小委員長は適当な処置をとられて、本申し合せを御通達あらんことを、そして実行せられるよう呼びかけあらんことを希望いたします。
  109. 吉川久衛

    吉川委員長 ただいまの本名武君の提案についてお諮りいたします。  すなわち、てん菜糖振興対策に関する件を本小委員会決定事項とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認め、さように決定いたしました。  なお、ただいまの決定事項の取扱いにつきましては、委員長と協議の上、小委員長において適当に善処いたしたいと思いますので、さよう御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時十分散会