○増田
政府委員 山村対策についてでございますが、日本列島の地勢から参りまして、日本の農村の中における山村の占める割合がきわめて大きいのでございまして、そこには相当の人口が生計を営んでおるわけであります。これに対して、いろいろ、農林省といたしましても、できるだけ統一した方針に基きまして総合的なしかも具体的な政策を打ち出したい、かように
考えておるわけであります。今
お話しになりましたように、生活
改善の上からとか、また山林
行政、国有林
行政の方面からも、いろいろ検討は続けておるのでありますけれ
ども、私
どもの所管しております農業の面からも、特にその中で土地
改良の面につきましては、
農地局所管のいろいろな仕事と力をあわせまして、できるだけのことはいたしたい、このように思っております。以前は、やはり、御
指摘のように、土地
改良の限度を、しかも
補助の限度をどこで区切るかという問題に関連しまして、ここ数年来いろいろな御意見があったわけでございます。そういういろいろな御意見の中で一応実を結んだ形になりまして、普通の場合におきまして、灌漑排水とかいったようなものは五十町歩、それ以外の土地
改良の場合にはおおむね二十町歩、——原則論でございますが、そういうことで区切りを打ち出しまして、それ以上のものは
農地局で当然
補助事業の
対象にしておるわけでございます。しかも、それ以下のものが問題でございますが、その場合に、特に山村だけを
対象にしまして、小団地開発整備
事業という
事業を三十
年度から実施いたすことになったわけであります。現在まで四カ年実施しておるわけでございますが、まず
予算の上から申し上げますと、実はこの
予算には私
ども満足しておるわけではございませんが、三十四
年度には、この山村対策の支柱をなしますところの小団地開発の整備
事業の
予算額が三億一千五百万でございます。これに対する
対象市町村数が三百三十三あるわけでございます。三十三
年度はどうかと申しますと、
補助額が二億二千七百万、市町村数が二百四十でございます。一応このごろの
予算の計上の仕方から見ますと、やや大幅に増額したと言ってもいいんじゃないか。特に、私
どもの所管しておる非常に微細な
振興局の
予算から見ますと、まあまあ相当大幅な増額だろうと思うのでありますが、問題の根本に照らしまして、山村対策であり、しかも土地
改良が中心であるということを
考えますと、とてもこの
予算では満足し得ないものがあるわけであります。今後の発展の方向をこの方面に私は傾注いたしたいと
考えるわけであります。
そこで、計画を簡単に申しますと、これは、先ほど申し上げましたように、
昭和三十
年度より十カ年計画で発足しておるわけであります。この前私が申し上げました市町村と申しますのは旧市町村でございます。町村合併以前の
調査に基きまして計画が出発したのでございますので、旧市町村を使っておったわけでございまして、現在山村——この山村は、御
承知の
通り、林野率七〇%以上、その町村におきます全体の土地面積の中で林野が七〇%以上を占めるということで機械的に割り出してございます。これは、たしか当時の市町村の数が一万くらいでございまして、その中で二千八百が該当する、こういうことであります。そうして、この二千八百の町村に対しまして、一町村当り一回九十万円の
補助をする。
事業費にしますと平均三百万円になるわけでございます。三百万円の三割の
補助で九十万円になる。現在若干
予算の節約の点で少し端数が出ております。そういう
考え方で出発しております。一町村の平均
事業費三百万円の三割
補助、これを土台にしまして、二千八百町村ずつ十カ年に二回やろう。いろいろ準備の都合もありますから、一ぺんにどかんと金をやってもなかなかできませんので、この
事業費に基きまして一ぺんやって、そして十年間には二回またそこに戻ってくるということで、結局二千八百町村の二倍の五千六百町村を十年間でやる、こういうことでございます。現在の実績は、実はこの計画からとりまして、三十三
年度までに千五百五十町村しか実施をされていない、こういうことでございまして、進捗率はまだまだ低いのでございます。三十四
年度ではとうてい半分になりません。半分以下でございまして、ずっと率が低いわけでございますから、大いに努力しなければいかぬと思うのであります。
それから、山村対策の特性にかんがみまして、できるだけこの
事業の
内容に山村特有のいろいろな仕事をつけ加えていく、こういう考慮をいたしておるわけでございます。
農地局の方で従来大きいものに対しまして
補助事業をやっておられるのでございまして、沿革的にはそれの引き続きの問題として出てきたわけでございます。
事業の
範囲といたしましては、
農地局で普通おやりになっているもの以外に、たとえば
農地局でお取り上げになっておらない共同の増反開墾、
農地局も非常に大きい
事業をもちろんやっておりますけれ
ども、増反の開墾、それから林野関係の林道も取り上げてございます。畜産関係の牧道とか、あるいは
牧野灌漑排水、それから
牧野の隔障物の設置な
ども取り上げております。こういう
事業の種類別に若干
補助率が違うわけでございまして、
補助率は平均三割と先ほど申し上げましたが、
事業別に、三割のものが大部分でございますが、ものによっては四割、あるいは農道などは二割でございます。
小団地開発に関しては以上の
通りでございますが、これに関連しまして、特に山村を
対象としてはおりませんが、私の方で例の新農村の建設総合対策
事業がございます。この
事業で、実は山村も当然この受益
対象として入ってくるわけでございまして、現在までに、土地
改良の面におきましても、山村におきましては新農村建設
事業の
補助並びに国庫融資を利用しまして相当な
事業が行われております。
振興局のやっております
事業として特に大きな
事業は二つでございますが、そのほかに、これも山村と銘打っておりませんが、先ほど申し上げました
通り、やはり小団地整備の
事業に関しましては五町歩という限度がございますが、この五町歩という一番下の限度に対しましては、新農村の場合にはこれをさらに引き下げております。従って、五町歩という限度にとらわれないということであります。これは山村の場合には非常に活用できると思います。そしてまた、この小団地開発という場合に五町歩で押えられた点を、ささやかでございますけれ
ども補うものに、私の方で農業
改良資金というものがございまして、農業
改良資金の面で私
どもの方で
考えておるわけでございます。これは、小団地開発整備
事業でとらえられない、しかも一方では
公庫融資でもつかまえられない、こういういろいろな小さい
事業を農業
改良資金の面で土地
改良を実施していく、こういうことを
考えておるわけでありまして、これは非常に小さい金額でございますけれ
ども、一件当り十二万五千円というのが
農林漁業金融公庫の限度でございますから、それ以下の
事業でもこの農業
改良資金を貸し出しておる。これは各県に農業
改良資金として国の三分の二の
補助で
基金を設置してございます。従って、そういう
基金を今度は活用できるのじゃないかと思います。
以上でございますが、何分、土地
改良の面に関しましては、いずれあとで
農地局長から詳細
お話があると思いますが、
補助事業に関しましてもそのようにいろいろな種類がございます。さらに、
農林漁業金融公庫の面に関しましても、三分五厘の融資の問題がございまして、こういう問題とのからみ合せもございます。特に山村としてそれぞれ特定されておるわけではないのでございますけれ
ども、山村の場合に大いに活用できるのじゃないか、かように
考えております。特に、金丸先生のおいでになる山梨県のように、果樹県などの場合には、
農地局の
補助事業でありますと、いろいろやかましい条件がついておりますし、果樹園ないし蔬菜園だけではこういう造園
事業やあるいは土地
改良がむずかしい面もあると思うのでありますが、山村などにこういう特殊作物、果樹、蔬菜等の適地があって、ささやかな面積でいろいろ開畑をする、あるいは土地
改良をやるという場合のために、私
どもの方の
事業に関しましては、小団地開発整備
事業におきましても、新農村の特別
助成におきましても、それから
農地局御所管の非
補助三分五厘の融資
事業にしましても、こういう場合に対して相当門戸を広げておるわけでございまして、できるだけそれぞれの
地方の実態に即しました新しい農業の方向に即応しようという努力をしておるわけでございます。