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1959-03-10 第31回国会 衆議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十日(火曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 松浦周太郎君    理事 大野 市郎君 理事 吉川 久衛君    理事 丹羽 兵助君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君 理事 石田 宥全君       安倍晋太郎君    秋山 利恭君       五十嵐吉藏君    大森 玉木君       倉成  正君    笹山茂太郎君       田口長治郎君    高石幸三郎君       綱島 正興君    内藤  隆君       永田 亮一君    松岡嘉兵衛君       三和 精一君    八木 徹雄君       保岡 武久君    栗林 三郎君       實川 清之君    中村 時雄君       松浦 定義君  出席政府委員         農林政務次官  石坂  繁君         農林事務官         (振興局長)  増田  盛君         食糧庁長官   渡部 伍良君  委員外出席者         議     員 石田 宥全君         農林事務官         (振興局参事         官)      林田悠紀夫君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   大和田啓気君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    諌山 忠幸君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    昌谷  孝君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月十日  委員倉成正君、高石幸三郎君及び角屋堅次郎君  辞任につき、その補欠として保科善四郎君、中  垣國男君及び八木昇君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員中垣國男君、保科善四郎君及び八木昇君辞  任につき、その補欠として高石幸三郎君、倉成  正君及び角屋堅次郎君が議長指名委員に選  任された。      ————◇————— 三月六日  飼料需給安定法の一部を改正する法律案芳賀  貢君外十三名提出衆法第四一号)  農産物価格安定法の一部を改正する法律案(芳  賀貢君外十三名提出衆法第四二号)  農業共済基金法第三十九条第一項の特別積立金  の処分等に関する臨時措置法案内閣提出第一  七九号) 同日  漁業協同組合整備特別措置法制定に関する請願  (芳賀貢紹介)(第二一七七号)  同(松浦周太郎紹介)(第二二〇五号)  水産業改良助長法制定に関する請願芳賀貢君  紹介)(第二一七八号)  開拓者救済に関する請願鈴木善幸紹介)  (第二二〇四号) は本委員会に付託された。      ————◇————— 本日の会議に付した案件  飼料需給安定法の一部を改正する法律案芳賀  貢君外十三名提出衆法第四一号)  農産物価格安定法の一部を改正する法律案(芳  賀貢君外十三名提出衆法第四二号)  農業共済基金法第三十九条第一項の特別積立金  の処分等に関する臨時措置法案内閣提出第一  七九号)  小かん加糖れん乳等製造の用に供するため売  り渡す国有てん菜糖売渡価格特例に関する  法律案内閣提出第一三〇号)  日本てん菜振興会法案内閣提出第一六四号)  臨時てん菜糖製造業者納付金法案内閣提出第  一六五号)      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    松浦委員長 これより会議を開きます。  去る六日本委員会に付託になりました、芳賀負君外十三名提出飼料需給安定法の一部を改正する法律案農産物価格安定法の一部を改正する法律案、及び、内閣提出農業共済基金法第三十九条第一項の特別積立金処分等に関する臨時措置法の三案を順次議題といたし、審査に入ります。  まず三案の趣旨について逐次提出者説明を求めます。石田宥全君。     —————————————
  3. 石田宥全

    石田宥全君 ただいま議題となりました飼料需給安定法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  飼料需給安定法は、政府輸入飼料買い入れ保管及び売り渡しを行うことにより飼料需給及び価格の安定をばかり、もって畜産振興に寄与することを目的として昭和二十七年に制定され、その後昭和三十一年に、政府保管する輸入飼料について、その品質低下のおそれがある場合、これを買いかえまたは交換ができる旨の一部改正を行い、今日に至っておりますが、わが国畜産業の現状を見ますに、自給飼料生産はいまだ十分でなく、購入飼料に依存するところなお大なるものがありますので、飼料価格をできるだけ低位に安定させることは畜産振興をはかります上に真にゆるがせにできない問題であります。それがためには、自給飼料対策の確立をはかりますとともに、購入飼料についても、養畜農民に対してなお一そう低廉かつ豊富にこれを供給するための各般の対策を強力に推進する必要があるのであります。  このような見地に立って、政府輸入飼料買い入れ保管及び売り渡しを行う場合の準拠法たる飼料需給安定法を検討いたしまするに、二、三の点において重大な欠陥の存することが明らかでありますので、この際これを是正し改善することが緊要であると存じ、ここに本案提出した次第であります。  以下、この法律案内容を御説明申し上げます。  第一点は、第五条第二項の飼料売り渡しに関する規定改正についてであります。すなわち、輸入飼料政府売り渡しは、現行規定によれば、入札の方法による一般競争契約によることを原則とし、政令で定める特別の事由があるときは指名競争契約または随意契約によることができるようになっており、実際には、ふすまについては一般競争入札により、その他のものについては、若干の商社または団体指名し、そのもの随意契約を取り結んでこれを行なっているのであります。従いまして、輸入飼料の実際の需要着たる養畜農民またはその構成する団体以外の多数の中間業者政府契約を締結して輸入飼料売り渡しを受け、かなりの中間利潤を得て農民に転売し、そのために飼料価格の上騰を来たしているというのが実態であると存ずるのであります。そこで、輸入飼料売り渡しについては、今後は、家畜を飼養している者が直接または間接の構成員となっている団体農林大臣の指定するものに対してのみこれを行うこととしたのであります。  第二点は、第七条第一項の規定に関する改正であります。すなわち、政府は、国内飼料需給か特に逼迫し価格が暴騰した場合において、飼料需給安定審議会に諮った上で政府所有小麦を売り渡す場合に、その小麦から生産されるふすまの譲渡または使用に関し必要な条件を付することができることになっておるのでありますが、この規定を発動する場合の条件が余り厳にすぎるきらいがありますために、現実にその必要があるにもかかわらず、本法施行以来、いまだに本条の適用により所要の措置を講じた事例がほとんどないという状態でありますので、政府譲渡制限等規定の適用される場合を拡大いたし、飼料需給及び価格の安定を図るため政府が必要と認めるときは前記の条件を付するものとするよう、同条同項を改正することといたしたのであります。第三点は、飼料需給安定審議会に、専門事項を調査させるために専門委員を置くことができるようにいたしたことであります。  以上が本法案提案理由並びにその概要であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決賜わらんことをお願い申し上げる次第であります。  次に、農産物価格安定法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  農産物価格安定法は、昭和二十八年に制定されて以来、今日まで、米麦に次いで重要な農産物であるイモ類菜種及び大豆について、これが正常なる価格水準から低落することを防止して参り、農業経営の安定をはかる上において相当の効果を発揮してきたことは疑いないところであります。なかんずく、イモ作の安定と生産力の維持に寄与した役割については見るべきものがあったと存ずるのであります。しかして、農産物価格安定法運用上の最も重要な事項一つ農産物等の買入数量及び価格決定する機構でありますが、現行法規定によれば、政府生産者団体意見を聴取しそれを尊重して決定するという仕組みと相なっておりますことは御承知の通りであります。米麦価格決定当りましては農林大臣米価審議会に諮った上でその決定が行われておりますが、この点に関しては、イモ類菜種大豆は、米麦に準ずる重要農産物でありますにもかかわらず、生産、流通、消費の各方面の関係者あるいは学識経験者等意見を徴する機構に欠け、単に生産者団体意見だけを聴取してその決定を行うこととしておりますことは、行政上全く均衡を欠く措置と称しても過言でないと存ずるのであります。  これにかんがみ、この際、農産物価格安定法改正して、農林大臣諮問機関として、生産者団体のみならず、国会議員及び学識経験者等を含めて構成される農産物価格安定審議会を設置し、農産物価格の安定に関する重要事項を調査審議することにより、畑作対策一般を含め各界の意見を十分に取り入れることが適当であると思料し、ここに本案提出した次第であります。  以下、本案の骨子について申し上げます。  まず、さきに申し述べました趣旨にかんがみまして、農林省に新たに農産物価格安定審議会を設置することといたしております。しかして、審議会は、農林大臣諮問に応じ、農産物価格の安定に関する重要事項について調査審議するとともに、必要に応じ農産物価格安定に関する重要事項について関係行政庁に建議することができることとしております。また、審議会は、農林大臣が任命する委員十五人以内で組織することとし、その構成は次の通りといたしております。すなわち、衆議院議員のうちから衆議院指名した者四人、参議院議員のうちから参議院指名した者二人、生産者団体を代表する者四人以内、学識経験のある者五人以内、なお、専門事項を調査するために、審議会専門委員を置くことができることとし、専門委員は、学識経験を有する者のうちから審議会の推薦に基いて農林大臣が任命することといたしております。  しかして、政府農産物等の買入数量及び価格決定する場合におきましては、審議会に諮りその決定を行うことといたしております。  以上農産物価格安定法の一部を改正する法律案のおもな内容について御説明申し上げましたが、何とぞ御審議の上すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。
  4. 松浦周太郎

  5. 石坂繁

    石坂政府委員 ただいま議題となりました農業共済基金法第三十九条第一項の特別積立金処分等に関する臨時措置法案提案理由を御説明申し上げます。  農業共済基金は、農業災害補償制度の重要な一環として、この制度の円滑な運営をはかるため、昭和二十七年に設立され、自来会員たる農業共済組合連合会事業不足金の融資を行なって参ったのでありますが、農業共済基金資本金三十億円のうち十五億円は政府設立の当初に出資いたしており、残り十五億円は、この基金会員たる連合会が主として農家拠出金を財源として分割して払い込むことになっているのであります。今日まで会員はすでに十二億六千三百八十八万円を払い込んで参りまして、その最終回の出資残額二億三千六百十二万円を昭和三十四年三月三十一日までに払い込むことによって出資が終ることとなっておりますが、農業災害補償制度運営実態にかんがみまして、この際、この会員出資のための負担農家より徴収することなく、特別積立金をこれに充当することによって会員出資を完済することといたしたいのでありまして、この臨時措置に必要である法案提案した次第であります。  すなわち、農業共済基金は、設立以来特別積立金を積み立てて参りまして、その額が昭和三十三年度において約二億六千七百万円となっており、その処分法律をもって定めることとなっておりますが、ただいま申し上げました趣旨によりまして、今回、臨時措置として、この特別積立金の一部を取りくずし、これを会員の未払い込みとなっている最終回の出資金に充当して処分することができることとするとともに、その処分があったときは、これをもって農業共済基金会員出資払い込みが完済したものとみなすことといたしたのでございます。  以上がこの法律案提案理由でございますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。
  6. 松浦周太郎

    松浦委員長 これにて三案の趣旨説明は終了いたしました。  三案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  7. 松浦周太郎

    松浦委員長 次に、小かん加糖れん乳等製造の用に供するため売り渡す国有てん菜糖売渡価格特例に関する法律案日本てん菜振興会法案及び臨時てん菜糖製造業者納付金法案、以上三案を一括して議題とし、審査に入ります。  質疑を続行いたします。質疑の通告があります。これを許します。中村時雄君。
  8. 中村時雄

    中村(時)委員 私は、この質疑に入る前に、委員長に一、二お尋ねしてみたいことがあるのでありますが、それは、私も今まで委員会出席し、各委員協力をし一生懸命に努力をしているという姿に常に感激をしておるわけなんです。ところが、先ほど聞いておりますと、委員会における委員発言に対しましていろいろな規制の問題が起っておる。たとえば、今度の問題に関しまして、この法案質疑に対しまして二時間ならば二時間ときめるということ、それもけっこうであります、一つ規制をすることでありますから。しかし、委員会というものは、少くとも、でき得る限りのそれぞれの発言を認め、その内容を十分に国民に知らすだけの責任と義務があろうと思う。同時に、その法案自身の持つ内容のいかんによってそれが決定されるものであろうと本質的には考えられる。しかるに、二時間なら二時間でもういいじゃないか、あるいはまた、同じことを言ってだらだらしておっても仕方がない、——そういう同じことの発言をするかしないかということは、質疑応答をする結果において出てくる問題であって、それに対してその相手の人格を傷つけるような発言というものは私は委員長としてとるべき姿ではないと思う。もしかりに委員長がそういうふうに次の発言者に対しての問題を取り上げるなれば、この定員を見てもおわかりになる通り委員長みずからがきっちりとした定員をそろえ、その結果においてそういう発言をし、あるいはそういう規律を求めていくなれば、私も何も言うことはありません。しかし、事実をごらんなさい。にもかかわらず、次の発言者に対してそういう態度をとるということは、委員長としてとるべき行動でないと思うが、この点に関してお答えを願いたい。
  9. 松浦周太郎

    松浦委員長 お答えいたします。本案に対しましては、正式ではないけれども、両党から小委員をあげて相当検討いたしました。その結果、去る六日の理事会において、その三案の質疑を終了する申し合せを行なっております。けれども、その代表質問に立たれた芳賀君は十分質疑をせられましたが、まだあとに質問される方があるというので、特にきように延ばしたのであります。従って理事会においては先ほども一人一時間を目途とするということにいたしましたが、まだそれ以上おありになるならば、私はこれを認めるにやぶさかではございません。従いまして、委員会運営はあくまでも民主主義的にこれを行いたいと思っておりますから、どうぞ御質問願いたい。
  10. 中村時雄

    中村(時)委員 今の委員長の御発言を聞いておりますと、まことにそういうことはあり得ないので、委員会は民主的に行う、こういう御発言であり、まことに名委員長ぶりを発揮したわけなんでございますが、その趣旨にかんがみまして、私もそういう意味合いにおきましてこれから質疑を続行していきたい、このように思っております。  ただ、一言づけ加えておきたいのは、そういうりっぱな委員長がここにいらっしゃるのですから、私たち委員も各自お互いに出席を一生懸命やっていきながら委員長を補佐し、ある意味においては協力をしながら、十分なる質疑をやっていきたい、このように思っておる次第であります。
  11. 松浦周太郎

    松浦委員長 ちょっとお答えいたします。やはり良識が必要だと思いますから、その点を失わないようにお願いいたします。
  12. 中村時雄

    中村(時)委員 まず第一にお尋ねしたいのは納付金関係の問題でありますが、本日は参議院において予算の最後の折衝があるようなので、こちらに農林大臣出席ができなかったことは一応了とし、以下質疑を進めていきたい、このように思っております。  まず第一点といたしまして、今度のこの提案を見てみますと、一キロ六円の算出をいたしておりますが、この一キロ六円の算出基礎はどういうところから打ち出されたものか、この点をお聞きしたいと思います。     〔委員長退席丹羽(兵)委員長代理着席
  13. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは、日甜の現在の生産状況、それから将来状況を勘案しましてこの数字を出したのでございます。  その考え方は、まず第一に、日甜の旧三工場の現在の想定コストは、斤当り四十五円五十銭見当でございます。それから、日甜の旧三工場は相当古い工場でございまして、三十四年度以降五年間にわたりまして工場の設備の更新をするために追加投資の計画がございます。三工場で二十六億円の追加投資ということになっております。そうしますと、これが毎年ピクル当り六十九円九十九銭ということになります。斤当り約七十銭。それから、日甜美幌工場が三十四年に操業を開始することになります。この操業開始の初期におきましては、私どもが現在新設工場から買う場合には、初年度歩どまり標準歩どまりよりも一%低く推定いたして原価計算をいたしております。第二年度は〇・五%低くして原価計算をしております。これは、新しい工場でありますから、いろいろな機械装置整備とか、あるいは受け入れ施設のふなれもございますから、今までの状況を見まして大体この程度標準歩どまりを緩和しまして、初年度工場操業の損失が将来その工場負担にならないようにしよう、こういうことでございます。そうしますと、この初年度一%二年度〇・五%歩どまりが低いということを勘定しますと、初年度においては、ピクル当り四百二十円、斤当り四円二十銭、第二年度においては、その半分、約二百十円、斤当り二百十銭ということで、標準コストよりコストが高くなります。これを旧工場生産物でカバーするということになりますと、旧工場コスト増は、第一年度ピクル当り百四十円、斤当り一円四十銭、第二年度はピクル当り七十円、斤当り七十銭、こういうことになります。そうしまして計算いたしますと、三十四年から三十八年までの、五年間にわたりまする日甜コストは、五カ年区平均で、標準コスト——標準コストというのは一般工場ノーマル運転の場合であります。新設工場ノーマル運転の場合、それを五十三円十四銭といたしております。今の諸費用を見ましても、先ほど申し上げましたように、日甜の旧三工場コストは四十五円五十一銭、これはキログラム当りに直しまして八円五十二銭の差が出てくる、こういうことになるのでございます。  そこで、これは私の方で日甜が自由に販売する場合ということを予定します。すなわち、政府で買い上げない、日甜で自由に売るということを前提といたしまして、さらにまた、将来いろいろ予期しないコスト増も考えなければならない、こういうことで、八円五十二銭をそのまま納付せしめることは酷であるということで、大体その七掛を納付させたら適当でないか、こういうことで、キログラム当り八円五十二銭が五円九十六銭になりますが、ラウンドにしましてキログラム当り六円、こういう数字を算定いたしたのであります。
  14. 中村時雄

    中村(時)委員 食糧庁長官に一言御注意申し上げたいのですが、私はあなたほど頭がよくないので、またいろいろ内容もわからないのでお聞きしているわけなんですが、たとえば、一斤四十五円五十銭か一足飛びに一斤四円二十銭になってみたり、斤とキロとがちゃんぽんになる御答弁があったようでありますが、そういう点はよほど注音していただかないと……。
  15. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ピクルを斤に直して……。
  16. 中村時雄

    中村(時)委員 そういう点はそうとはっきりおっしゃらないと、一斤当り四十五円五十銭、キロ当り八円五十二銭とか、その差額が一斤当り四円二十銭というような状態になっているように聞き取れまして、あなたにはよくわかっていると思うけれども、われわれにはそういう点をはっきりさせていただかないとわかりにくいと思いますから、以後御答弁の際にははっきりと御答弁していただきたいと思います。  そこで、今申しました一キロ算出基礎というものはそれでわかりましたが、一キロ当り六円といたしまして、総額で年間は一体幾らになりますか。
  17. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 法律規定によりまして日甜の旧三工場というものを予定いたしておりますから、この三工場生産される額にこれをかけますと、年三億三千万円という予定でございます。
  18. 中村時雄

    中村(時)委員 五年間では幾にならりますか。
  19. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 十六億六千万円です。
  20. 中村時雄

    中村(時)委員 その場合に、現在ある工場年間4産出を、幾らに踏んでやられておりますか。
  21. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 五万五千五百トンを三工場でということになっております。
  22. 中村時雄

    中村(時)委員 日甜の三十三年度の生産量は一体幾らになっておりますか。
  23. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 七万二千トンでございます。
  24. 中村時雄

    中村(時)委員 そういたしますと、美幌工場の建設の完了すると、三十四年度の生産量は一体どうなりますか。工場別見込みを言ってもらいたい。
  25. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 日甜の三十三年の生産額は七万二千トンでございまして、三十四年には美幌工場が動くことになります。なお、三十三年度は、美幌工場か三十四年度に動き出すということで新規工場分に回さなければいかぬテンサイの作付分も一部生産いたしましたから、今まで旧三工場でやっておった六千町歩・反当四千百片・百二十日の操業をもっと長く操業しております。従って三十三年度は七万二千トンということになりますが、三十四年度は四工場で七万五千トンから八万トンの間を予定しおります。そのうち三工場で五万五千トン、こういう予定をいたしておるのであります。
  26. 中村時雄

    中村(時)委員 先ほどあなたの御答弁では、三十三年度の生産量幾らかとお聞きしたら、七万五千二百トンとおっしゃった。ところか今度は七万二十トンに変っているのです。どっちがほんとうですか。
  27. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 七万二千トンとは申し上げましたが、七万五千トンとは申し上げておりません。
  28. 中村時雄

    中村(時)委員 じゃ速記録を見てごらんなさい。
  29. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 三十四年度は七万五千トンから八万トンの間、こういうふうに思っております。
  30. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、あなたの見込みを考えましても、現在まで三十三年度までには今言った七万二千トンからの生産量をやっている。三十四年度になって美幌工場ができる、そちらの方に原料を回していくから、それを加味していって、減っていくような数字が出、五万五千トン、こういう状態になっている。ところが、美幌の方に回すことになりますと、減税の問題がその中から出てくるわけです。ですから、そのことは別にあとから御質問するとして、三十三年度においては現実の今の工場そのものにおいて七万二千トンできているものを、今度は五万五千トンという数字において次に来るところ七十数円の金額に持っていくような状態になっている。  そこで、そのことを考えた場合に、非常にあなた方の査定というものは甘く見ているのではないか。かりに七万二千トンできているものを七万トンと仮定しても、年間に計算してみると四億二千万円から上っている。五年間においては当然二十一億円からになってくる。そうすると、この分だけでも大衆と課税になってくる。この一つの消費税あるいは関税を含めたそういう問題の中から減税処置でもとるというお考え方をお持ちかどうか。七万一千トンあるんだからそれを七万トンぐらいに押えてでも、そういうような処置をとる御努力をされるかどうかということをお聞きしてみたい。
  31. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ちょっと質問の要旨がよくわからないのですが……。
  32. 中村時雄

    中村(時)委員 それは、三十三年度は先ほど言ったように七万二千トンなんです。あなた方はその生産量を三十四年からは年間五万五千トンと押えている。ところが、現実にはこの三工場において七万二千トンできるわけなんです。そうでしょう。七万二千トンできるんです。だから、その間を考えてみると、非常に甘いものの考え方をしてやしないか。そこで、それをかりに七万二千トンのうち二千トンだけほうっておいて七万トンに押えてみた場合、その七万トンでも、年間に四億二千万円ぐらいになっていく。五年間にすれば一十一億円の余分なものが出てくる。だから、そういうようなものを減税処置として考えてみるお考え方をお持ちかどうかということを聞いているのです。
  33. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 それは、先ほどの説明がちょっと足りないのですが、新しい工場を作ると、ぱかっとそれに必要な六千町歩・四千百斤・百二十日操業の作付は期待できないわけです。従いまして、二月以降の操業になると含糖量がビートを貯蔵しておく関係で減りますけれども、やはり、新しく工場予定する場合には、新しい工場に持っていく準備行為とでも申しますか、その前の年には新しい工場に向ける地域の分も旧来の工場操業日数を延ばして処理しておかなければ、新しい工場にすぐその生産地域を引き継がすことができないわけでございます。これは生産を相当指導していかなければいかぬのでありますから、新しい工場を中心にして、将来はこの地域を新しい工場に分担させるのだということを当てにして作っていく。作ったものはやはり歩どまりが下っても操業日数を延ばして処理しなければいかぬ。だから、ことしは三月に入っても操業しまして、歩どまりが二月、三月になってうんと落ちてきておるのであります。ですから、そういうことをやめまして工場の本来の経済的操業に合わすような操業をやるとすれば、旧三工場で五万五千トンという計算をいたしおるのであります。
  34. 中村時雄

    中村(時)委員 旧三工場で五万五千トンというのはちょっとぴんとこないのですか、それはそれとして、そうすると、キロ六円の億出に際しては美幌工場コスト高も織り込んでおるという結果が出てくるのですが、そうであれば、その場合美幌工場生産量は一体どういうふうに見ているのか。
  35. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 美幌工場は、先ほど申し上げましたように、普通のノーマル運転——日甜の古い工場は旧式ですから操業工合が少し悪いのでありますが、今度のやつは新しい工場でありますから、標準原価斤当り、五十三円十四銭というものをもとにしまして、それと旧三工場斤当り四十五円五十銭と比較しまして、その差額だけ美幌工場コストか高くなるのですが、それを旧三工場コスト四十五円に加算しまして、先ほど申し上げました旧工場コストに見て、四十五円を修正して標準コストと比較しているわけであります。
  36. 中村時雄

    中村(時)委員 私の言っているのは、その場合における美幌工場生産量がどうなっているかということを聞いているのです。
  37. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ですから、それは、反当四千百斤・六千町歩の原料を、大体平均歩どまり一三%と見て、百二十日で処理する、こういう計算から出しております。
  38. 中村時雄

    中村(時)委員 それで幾らになっておるのですか。
  39. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 一応標準でやりますと一万五千トンぐらいになります。
  40. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、私の考え方からするとまたそこに一つの問題が出てくるわけですが、今言ったようなことをお聞きになってもおわかりになったと思うのですが、キロ六円の算出に際しては美幌工場コストが織り込んである、そういう結果が出てくれば、私は、当然コストというものはあくまでも標準コストで考えていくべきじゃないか、こう考えられるわけですが、それに対してどういうふうにお考えになりますつか。
  41. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 それはどこの工場のことですか。
  42. 中村時雄

    中村(時)委員 それは旧工場であります。
  43. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 旧工場は旧工場コストを見まして、新工場負担——日甜としてはやはり新しい工場のものも古い工場のものも合せて砂糖の平均原価を算出しなければいけませんから、新工場負担を旧工場にかけなければ日甜としては収支計算ができなくなりますから、旧工場にかけております。
  44. 中村時雄

    中村(時)委員 そのできるかできぬかということはあとから御質問いたしますが、その問題は一つお預けにしておきます。  それから、美幌工場ができる場合、今お聞きしますと、既設の日甜の三工場の集荷地域分から美幌に回される分があるということをおっしゃったわけですが、大体その点の調整というものをどういうふうにするのか、お聞きしたい。
  45. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは、元来三年前までは日甜だけが北海道でテンサイ糖を製造しておった、そこに芝糖が出、北連が出、それから台糖が出て、さらに日甜美幌工場が出るわけであります。先ほど御説明申し上げましたように、工場の経済規模からいくと、一つの標準は六千町歩・反当四千百斤・百二十日操業、こういうことで集荷地域の調整をいたさなければなりません。しかし、北海道の畑作振興、農業振興の上から言えばテンサイ作付地域をどんどん拡大していかなければいかぬ、こういうことでございますから、旧来の工場の集荷地域の農家生産が増加するということになりますれば、その増加の可能性を見まして、先ほど申し上げました六千町歩・四千百斤・百二十日操業以上に生産可能が出ればそれに新しい工場を導入しなければならない、こういうことでございますから、従って、それぞれの工場を作るに際しましては、将来そういう事態が起ったときには、お互いに譲り合って新しい工場の導入をいたそう、こういうふうな指道をしてきておるのでございます。従いまして、現在問題になりますのは、芝浦、北連の斜里、その間に美幌工場ができますからもともと日甜の地域に新しい工場ができ、日甜が新しく作った場合にはその集荷地域の調整をやろう、こういうことで新しい工場ができました。それはやはり、日甜の旧工場の分、それから新しい芝糖、北連の斜里、それらを全部含めて集荷地域の再調整が必要である、こういうことになります。
  46. 中村時雄

    中村(時)委員 確かに、あなたのおっしゃるように、北連の斜里、芝浦の北見、そのまん中の美幌に持ってきてこういうものができる、その場合、斜里、北見においてすらも耕作面積が足らないといって以前から問題があったわけですが、ところが実際やってみると現実にはそうではなかったという結果が現われてきたということを考えてみた場合に、その問題はその問題として、元に返ってこの法案を見ますと、またあなたの御答弁から見ますと、こういう問題がその中の問題から私は出てくると思う。つまり、法案によってみますと、美幌工場生産分から納付金は坂らないことになっている。そうした場合に、日甜としては原料テンサイをできるだけ美幌に回していく方が経営上非常に大きな有利になってくるわけです。ところが、法文でこういうふうにいろいろな取り上げ分を規定するとかいうことになっている以上は、この問題もはっきりと法文化しておく必要があるんじゃないかと私は思う。そういう意味において、この法文そのものに不備があるかないかということをあなた方にお聞きしてみたい。
  47. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私ども、五カ年の将来を推定いたしますと、一部芝糖なり北連の集荷区域を譲り受けても、大部分の原料は十勝地域から持っていかなければならない、こういうふうに美幌工場については考えます。そうしますと、輸送距離等から見まして、今の芝糖の地域あるいは北連の地域が五年以内に——相当今までは作付面積が伸びておりますが、これが五年間に倍にもなるということになりますれば、そのわれわれが予定している十勝から持っていく量を減してもいいのですが、そういうことは五年以内ではできないのではないか、こういうふうに思っております。そうしますと、やはり会社といたしましては、今の美幌工場で作ったコストが、これは結局新しく工場を作るのでありますから固定資産が従来の工場の十倍にもなりますので、従ってその工場コストは高いわけでございますし、その上に今の集荷距離のハンディキャップも出てくる、こういうことになりますれば、やはりその工場の最も合理的なコストで運転できるように四工場操業をやるもの、こういう推定を下しておるのであります。従って、それを法律で、従来の工場は何トン、新工場は何トン、こういうふうなきめ方をするのは少し行き過ぎではないか、こういうふうに考えます。将来永久にということになりますとあるいは御指摘のようなことを考えなければいかぬかと思うのですが、五カ年間の納付金でございますから、そういう前提に立って数量規定しなかったのであります。
  48. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたのおっしゃるように、それは日甜というあれだけりっぱな会社が意識的にそういうことをするとは私は思っておりませんが、しかし、せっかく法文を体系立ててここまで持ってくるならば、旧工場幾ら——なぜなれば、新工場に対しては今言ったように納付金はとらないということになれば、経営上から見れば、自由にしておけばそちらに回されるということは、商人としては、当然なんです。特に、日甜というものはどうか知りませんか、砂糖業界というものはいいかげんで、この間そこらに屋台店を出していたあめ屋さんが数億の金を持つのに、何も自分の努力でなくて、機構みずからの中でそういう利潤が浮いてくるようなことなんです。あなた方が放任する——あなた方は放任しないのでしょうが、どういう事情か放任されている現状にかんがみますれば、当然、政府原案として出してくる以上は、そういう規定をきっちりしておいて、そういう疑惑を持たさないようにするのが、私はより重大な問題だろうと思う。そういう立場から考えたときに、旧工場においては幾ら、新工場においては幾ら——なぜならばそういう納付金の問題もあるのだから、当然そういうところの筋道はきっちり立てていくべきであろうと思うのです。そういう点は十分御再考を願いたいと私は思っております。
  49. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私の方では、お話のように、会社としては最小の経費をもって最大の利潤をあげるということに努力する、今の美幌工場が、遠い先のことはこれは別といたしまして、少くとも五カ年程度、この地域のテンサイの生産の伸びの可能性から言って、美幌に持っていくことが必ずしも有利でない、こういう結果の計算か検討されましたから、これはむしろ企業の採算から言って私どもが予想しているようなコストのかかる原料集荷は会社としては避けるべきはずのものであろう、こういうふうに考えましたので、数量規定する必要はない、こういうふうに考えております。
  50. 中村時雄

    中村(時)委員 どうもそういうところの認識があなたと私とはちょっと違うのですが、私の方としましては、今の日甜生産原価から言って、十分な利潤がこの工場にはあると見ている。それに伴って新設工場にそういうような問題があり、今言ったところの納付金という問題が排除されるということになれば、やはり、経営上から見た場合にはどうしてもその排除される方面に送り込んでいく数量が多くなりはしないか。あなたはそれが多くならないと言う。そこで、多くなるならぬということは平行線でありますが、そういう立場から言っても、それが規制できない問題ではない。規制できる問題なんだ、そこで、そういう事柄のいろいろな揣摩憶測をとられないように、きっちり規定をしておいた方が有利なんじゃないかと、私は法文の体系上からそう考えるわけだ。
  51. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは、私の方では一応六千町歩反当四千百斤・百二十日操業ということを予定いたしております。しかし、先ほど申し上げますように、この地域ではその平均で頭打ちというふうに私は考えません。反当収量も、これは年によって天候等の関係で多少違うと思いますが、しかし、傾向としてはだんだん反当収量は上ってきております。また、農家の経済状態から見てもテンサイの生産の規模はだんだんふえてくる。そうしますと、五年間にわたりまして毎年の各工場生産数量をこれということを規定することは、かえって不得策ではないか。私どもは五カ年間のうちにも多少の砂糖の生産の増加を期待いたしておるのでありますから、数量法律できめるということは得策でない、こういうふうに考えます。ただ、お話のように、やはり行政の指導なら行政指導で、きっちり、旧工場についてはこれくらいを期待しているのだ、だからそれに合うようにせよということは、年々五万五千トン予定いたしておりますので、その年の作柄とかあるいは生産の伸びから言って増減の余裕はあっていいと思いますが、そういう期待量を行政指導で与えることはあるいは必要かと思います。
  52. 中村時雄

    中村(時)委員 ここに問題が一点現われまして、法文化するか、行政指導にするかという問題が行われたのですが、なぜなれば、美幌ということを考えてみましても、片一方には斜里があり、片一方には北見があり、そこで、あなたのように生産量生産量がと言ったところでこの美幌を中心にこの生産量が飛躍的に起るとは思っていない。そこで、五年間というものを考えていった場合には、少なくとも旧三工場から今言ったような分配といいますか、納付金が要らないのですから、どうしたってそちらの方に転換さしていくということは、商人としてはそれも当然の考え方になって現われてくると私は思う。もしもそれが行なわれた場合に、行われましたとあなた方が言って事が済む問題ではないと思う。そういう立場を考えても、やはり、一応の行政指導にしてもけっこうでしょう、そういう点の意識だけははっきりとここで打ち出しておいていただきたい。将来に禍根を残すような問題が必ず出るだろうという推察を持つわけです。あなた方が考えている机上プランと、商人の考えている実利を追求する問題とは、おのずから相違が出てくると思う。
  53. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 同じことになると思いますが、もう一つ違う面からいきましても、先ほど申し上げましたように、操業日数を長くすれば歩どまりが下りまして、決して工場としては得でない、原料ビートの有しておる糖分の最高限において処理した方がよい、こういうこともありますし、それから、先ほど申し上げました美幌が、芝糖の地域が三十三年度は八千町歩近くになって予想よりもうんとふえておるということもありますし、向うの地域で原料を近くからとることができて操業を延ばすということは有利になると思いますけれども、十勝から原料を運んだのでは、これは美幌工場の運転としてはあまり得策ではない、こういう事実に基きまして私どもは構想を立てております。しかし、これはやはり、御注意もありますように、念には念を入れて必要な行政指導をやった方がいい、こういうふうに考えます。
  54. 中村時雄

    中村(時)委員 それから、もう一つ、あなたが非常に重大なことを言ったのは、美幌と北見と斜里の調整をやりますと、こう簡単におっしゃいますけれども、これは大へんな問題だと私は思うのです。だから、その点は十分将来においていずれ何かの機会に——どういう基本的な問題をもって考えていらっしゃるか、いろんな問題がその中から発生してくるわけですが、その問題は一応あと回しにするとして、さらに私はもう一点不備な点があると思う点を言っておきたいと思うのですが、今までの政府原案ではっきりした通り、六円というものが、五万五千トンというふうに生産量をきわめて甘く算出しておる、そういうふうに見受けられるのです。そのほかにさらに減免の規定はここにあるのですが、増徴の規定が全然ないというのはどういうわけですか。
  55. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 納付金をとるゆえんは、制度の更改によって反射的に特別な利益が出る。その利益をそのまま放置することがビート業界あるいは一般の砂糖業界に撹乱的要素を持つ、こういうところから納付金をとっておるのでございまして、それ以上の利益が出るということは、糖価が予定の糖価より上ったとか、あるいは企業努力によって企業の合理化を非常にやった場合とか、こういうことでございまして、これは一般の製造業者と同じ立場にある、従って、特別の納付金をその者からとるということは行き過ぎじゃないか、こういうふうな考え方から、今私が申し上げましたように、特別の利益が出るという原因が、一般の製糖業者と別な理由によってでない限りは、ほかの業者と特別な扱いをすることは不適当である、こういうふうに考えます。
  56. 中村時雄

    中村(時)委員 私の言っているのは、今言ったように非常に甘い政府案だと思うのです。そういう甘い点から見て、そこに一つの差額金がある。差額金かあれば、それだけもうかるということだから、そのテンサイ糖を安く市場に出回らすという、どう言いますか、価格の今までの基本を乱していくような方向がなきにしもあらずと私は考えられる。そういう点が一点あるわけなんです。また、たとえば、砂糖が一般的あるいは対外的事情から騰貴するという場合にも、それがプラス・アルフアなって現われてくるから、そういうような規制を一応はっきりした方がいいじゃないか。それはできぬことでもないのだし、それを行政指導にするのか何にするのか知りませんが、そういうことは今までの糖価の変動から言って当然考えられることじゃないか、そういうことはどういうふうにお考えかということを聞いておる。
  57. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは砂糖行政一般の問題として処理しなければいけない問題だと思います。この問題は今回は触れてないのであります。将来の問題としては、どうしてもその問題まで突き進んで片づけていかなければならぬと思います。これは数年前に糖価の異常な暴騰でいろいろ問題を起したのでありますが、そういうことが起らないような手段を講じなければならぬ。ただ、現在では、為替の規制によりまして政府が輸入を調整するという権能を持っておりますから、外貨事情が非常に逼迫するというようなことを予想しない限り、輸入量の調整で糖価の異常な変動というものはある程度防止できるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  58. 中村時雄

    中村(時)委員 私は過去の経験からそういうことを言っているのであって、この問題を出すときには、少くとも砂糖行政としてどう持っていくか、あるいは消費者対策をどうするかということの一環として、やはり全国民を対象とした中の一環として北海道の特出殊な事情における農業経営上から地下作物に転換させていく、そういう立場からテンサイ糖を保護していくという立場をとるべきだと思うのです。テンサイ糖に対するところの保護という問題に対しては私たちは異存はないけれども、そういう立場を考えた場合に、今言ったような砂糖の暴落——暴落というのはほとんどないのですが、暴騰の状態を見ても、結局、そのことが、先ほど言ったように、この間までそこら辺であめ屋をやっていた連中が数億の金をもうけたというようなことが、行政指導が不手ぎわをきわめた結果において出てきておる。だから、そういうことが将来ないようにということならば、そういうことのないような根拠をはっきりさせておく必要があるのじゃないか、こういう立場から言っておるわけです。
  59. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 過去の砂糖の暴騰は、一つは外貨不足によって輸入数量規制したということ、一つは、これは突発事項でありまして、スエズ問題から国際糖価が暴騰した、それにつれて国内糖価も暴騰した、過去の砂糖暴騰の原因を私どもはこの二つに考えております。そうしますれば、そういう問題は、今の国際変動によることは、政府が補給金を出すとかそういう手段でも講じない限り、日本だけがのがれるというわけにはなかなかいかぬと思いますが、需給のアンバランスによる砂糖の価格の異常な変動というものは、これは、輸入量、それに基く溶糖の糖価に合せた規制によって除去し得るのじゃないか、こういうふうに考えております。
  60. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたは非常に甘いものの考え方をしていらっしゃるようですが、たとえば、スエズの動乱がどうとか、あるいは輸入量の規制によって糖価の今後の値上げを押えていくとっか、いろいろな考え方を持っていらっしゃるようだけれども、事実はそういうところにあるのじゃない。糖価が値上りしたのは、たとえば、台湾が戦時態勢になったときに、船の制限をしてみるとか、あるいは日本の精糖工業会から出ていって、そのために糖価が暴騰をするとか、あるいは溶糖制限を意識的にやってみるとか、そこで食管の長官名をもってその問題を何とかしようとしてみたところが、逆にちっとも言うことは聞いてくれなかったり、また、国内的な業者の利潤を追求するという立場においていろいろな問題があるわけです。そういう事柄を考えていくと、やはり、それが規制できるものはすべきなんです。だから、法律の上においてそういういろいろな問題をはっきりさせておく方がいいのじゃないかと私は御忠告をしておるわけです。
  61. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 御設例になったような場合でも、たとえば台湾が砂糖を制限しても、台湾の砂糖は国内の消費量から言えば三十三年度の最高で四十万トンでございますから、ほかの地域から砂糖を輸入することはできるわけでありまして、需給の調節によって価格の安定はできると思います。しかし、これは、御指摘のように、過去におきましては、昭和二十八年ですか九年ですか、割当制をするために設備の登録というものをやりまして、その際におけるいろいろな砂糖業者の思惑というものが尾を引きまして、それと今の外貨不足による輸入量の規制というものから、お話のようないろいろな操作ができたのでございますが、現在は、為替資金の面から言っても、あるいはまた輸入先の状況から言いましても、過去におけるがごとく砂糖業者が市場を操作してそれによって巨利を博するというふうなことは、そうないのじゃないか、また、それは容易に行政的に指導ができるのじゃないか、こういうふうに考えます。しかし、これは別な問題があるのでありまして、消費税関税が非常にかかっておりまするから、その分をもっと有効に使ったらいいじゃないかという議論もあると思います。
  62. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたのお答えを聞いているとほんとうに内容を十分に知っていらっしゃらないと思う。たとえば、台湾の数量が少いからよそから持ってくればいいじゃないかと言ったところで、船の手配も要ります。それから、それを集荷するところの輸送期日もかかります。きょう高くなったからといってすぐにはとれないです。少くとも一カ月前後というものはかかる。その間に砂糖屋さんというものはもうけるだけもうけてしまっているのです。一年間騰貴すれば一年間の利益は全部ふところに入るというくらいなんです。あなたの言っているようにいけばけっこうです。しかし、過去の実績が示しているように、ほとんどが行っていないというのが現状です。そういう点から見てあなたに忠告しているわけです。一般行政のそういう対外的な問題について、あなたは過去の実績についてはまだ十分でないように見受けられますので、私はその問題を省いて、法案を中心にして質疑をしているのですから、法案に対するあなたの考え方というものは、絶対にやれないのか、あるいは行政指導や何らかの方法でそういうことをやっていかなくちゃいけないのか、そういう点だけをお聞きしておきたいと思います。
  63. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは前段が中村先生とはちょっと見解を異にするのであります。そんなに砂糖の相場というものは支配できるものでなくて、外から入ってくる可能性があれば、溶糖というものは相当な期間が必要でありますから、あとから入ってくるということになれば、砂糖の相場が、これは取引所で一日二日暴騰、暴落かあるかもしれませんけれども、末端の消費者の砂糖価格はそう大して変動するものではない。これは、あくまでも、スエズの動乱のごとく砂糖を手配しようと思ってもできない、あるいはまた外貨が不足で一カ月先二カ月先に砂糖か入ってくる見込みがない、こういう場合でなければ相場というものはそんなにひどく変るものではない。これはもう統計が示してでいる通りでありますから、それはちょっと見解が違うのです。過去においては必ず外貨が不足であったとかほかのかかわりがあったとかで、これは見解の相違でございますけれども、私の方は、将来そういう防止し得べからざる撹乱要因が出れば、これは先ほど申し上げましたように糖価を安定するための特別補助金というものでも考えない限り安定の方法はないのじゃないか、ほかのところは、需給のバランス、溶糖の行政指導、こういうものでいけるというふうに考えております。しからば法律を必要とするかどうかという問題でありますが、現在の段階では法律はなくていいのじゃないか、こういうふうに考えております。
  64. 中村時雄

    中村(時)委員 法律がなくていいといった場合、そういうことが実際に起り得ると、私はそう思っておるし、あなたはそう思っていないということで、見解の相違とおっしゃった。そこまで行けば、たとえば、この前砂糖の行政の問題を委員会において取り上げたときに、諸種の打った手によって砂糖の変動を来たしておるという事実もあるし、また皆様方が努力をして砂糖のつり上げまでしようとする事実もあるし、そのために砂糖の値段か上っておるという事実もある。そういうことの事実はこの次の機会にこの問題を取り上げていきたいと思います。  きょうはその問題について私の手元に十分な資料もありませんし、帰ったら十分な資料もありますから、その問題についてはまたあとで十分質疑応答をやりますから、委員長、その点を含んでおいていただきたいと思います。  含んでおるというお返事として一応うなずかれたので、それは別といたしまして、次に、納付金法案の第四条の第二号の「砂糖の価格の長期にわたる異常な低落」という具体的な内容はどういうことか、御説明を願いたい。
  65. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私の方では、この制度を切りかえた場合に糖価を七十三円というふうに想定しております。それは、ニューヨークの砂糖相場三セント四五、国際砂糖協定の中値を標準にいたしまして、現在の船運賃をもとにしまして、新しくきめられた関税、消費税を入れると大体七十三円見当というので、これを標準にしておるのであります。これが維持できないという原因は、一つは国際砂糖相場が三セント四五よりももっと下る、それからまた船運賃がもっと下る、それからまた需給のバランスがくずれていってオーバー・サプライになる場合、この三つの場合が予想されるのであります。需給の関係は国内で輸入の手控えなりあるいは外貨割当の手控えなりあるいは溶糖の規制でできますが、国際砂糖相場あるいは国際運賃というものはわれわれの方で規制することはなかなかできない、こういうふうに考えます。そうしますと、それだから、現在想定しておるところによりももっと下った場合には、それが長期にわたって回復しない場合には、ただいま御指摘のような状況が出てくる、こういうふうに考えます。
  66. 中村時雄

    中村(時)委員 七十三円の建値をつけるために三セント四五の国際砂糖の中間的なそれをとっておるのだ、こうおっしゃっておる。そうすると、現在一体幾らしておるか。現在三セント一〇です。三セント一〇と三セント四五ということでは大きな違いです。そうするとこれは暴落をしておると見るべきではないか。「異常なる低落」ということはどういうことを言っておるか、私にはぴんと来ないので、それをお教えいただきたい。
  67. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 何をもって暴落かというのですが、大体〇・一〇で五十銭ですから、今の三セント四五と三セント一〇では三五の開きがあります。邦貨に換算すると一円七十五銭程度の開きになっております。これを暴落といいますか、あるいはまたこれが長く続いてそれによって国内でテンサイ糖が売れないということになりますればこの四条の発動が問題になってくると思います。その程度で異常な暴落ということができるかどうか、こういうのはそのときの経済情勢で判断しなければいかぬのではないかと思います。
  68. 中村時雄

    中村(時)委員 三セント四五で一トン当り幾らになりますか。また三セント一〇で一トン当り幾らになりますか。
  69. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 三セント四五はトンで七六・〇六ドルでございますから、それは二万七千三百八十円になります。三セント一〇だと二万六千円余りになります。これは三セント四五をそのままトンに換算したものであります。
  70. 中村時雄

    中村(時)委員 今言ったように、三セント四五で計算した場合においてすらトンに直してみたら一千円から違ってきている。だから私は甘いと言う。現実にそうなっているでしょう。あなたの言う長期といい。異常な低落といい、きわめてあいまいなのです。行政官庁の主観だけでどうにでもなる。そのような規定は私は問題だろうと思うわけです。だから、もとへ返って、その規制というものをはっきりさせて置く必要があるのではないかと思うのだが、どうですか。
  71. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ちょっと質問の趣旨がよくわからないのですが、この四条の二項では、異常な低落が起って、そのために納付金を納めることが適当でないと認めるときは、砂糖は非常に損をしなければ売れない、こういう場合……。
  72. 中村時雄

    中村(時)委員 もっとはっきり言いましょう。それはどういうことかといいましたら、こういうことを意味しているのです。かりに今言ったように、一カ月間の建値三セント一〇とした場合に、ISCの輸出額の削減においても、逆に三セント一〇を割るといった現状のあることもあり得るが、このような環境は、世界の製糖諸国が増産によって必然的にもたされた結果であって、実際を忠実に反映したと私たちは見るよりほかないのではないか、こう思うのです。三セント一〇というものは、増産によって三セント一〇というコストに落てきたものではないか、こう思うわけです。今まであなたが考えていた三セント四五の建値が現在三セント一〇になっているということは、低落したということになる。低落した理由は、その後の情勢がよくなって、生産がどんどん上ってきて、そのために砂糖というものが低落したものであって、これからより以上に高値になっていくということはあまり考えられないのではないかということが言えるわけです。従って、今後も経済的な事情の変動がない限りこの世界水準というものはある程度このままで維持をされるのではないかということは、あなた方はどいうふうにお考えになっておるか、この点をお聞きしたい。
  73. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 国際砂糖協定では、下値三セント一五、上値四セント、こういうので、その間に価格が落ちつくようにということで、下値を割った場合には輸出量を減らす、上値が維持できない場合には輸出量を増す、こういうことをやるのでありまして、あくまでもそのワクを維持する建前になっております。もしこれがあなたが仰せられるように維持できないということになれば、国際砂糖協定がくずれるのでありまして、その場合にはこちらもそれ相応の対策を講じなければならない、こういうふうに思っております。
  74. 中村時雄

    中村(時)委員 くずれるくずれないというよりも、もう三セント一〇になっているのが現実なんですね。そうすると、三セント一〇というものを今度はドルに直してみると六十八ドル三四になる。それにもってきて運賃を六十シリングとすれば、CIFの価格は八十ドル十セントになる。だから加工賃を斤当り九円五十銭とした場合において、現行の税率でいった場合のコストというものは三十七円、新税率でいった場合には五十四円三十七銭となってしまう。そうすると、農林省のその基準に比べて、斤当り四円五十銭安となる。三セント一〇で計算してごらんなさい、そうなりますよ。そのことは何を意味するかと言いますと、逆に言えば日甜のテンサイ糖の方が売れないということになるのです。そうでしょう。片一方の価格が安くなって、片一方の方では価格を押えてしまうのですから、そういうことになるでしょう。だから、そういう場合もあるのだが、そういう場合におけるところの法律内容をはっきりさせておく必要があるのではないか。こういう質問をしたのです。
  75. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ですから、そういうふうに非常な低落で、テンサイ糖業者の責めに帰すことができない場合には、納付金を納めなくてもよろしい、一部または全部を減免をいたす、こういうことを考えておるわけであります。
  76. 中村時雄

    中村(時)委員 だから、そういう場合も実例としてあるのだから、その逆の場合、高くなっていった場合のことも一応考えられるのではないか。低落した場合にそういうことをやるならば、高くなった場合においてもその規制をはっきりしておく必要があるのではないか。納付金なら納付金でもよろしい、ほかの別な考え方でもよろしい、またそのほかいろいろな考え方があれば——それだったら今度は関税を上げればよろしいというようなことになったら大へんなことになるのですけれども、そういうふうな方法で国内整理ができるのではないかということを先ほどから言っておったのです。
  77. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 そのことはよく承知して申し上げておるのでありまて、たまたま糖価が上ったから日甜だけがそういういい待遇を受けたのでなくして、別の製糖業者もみんなそういう待遇を受けておるのですから、日甜だけからよけいに取るということは不当だと思います。
  78. 中村時雄

    中村(時)委員 だから、その場合に、私がさっき言ったのは、日甜だけの問題でなくして、要するに砂糖行政の一環として日甜を考えていくべきじゃないか、そういう考え方を打ち出したわけです。
  79. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 納付金制度というものは、第一条に書いてありますように、制度の切りかえによって反射的に特別な利益が出てくる、その特別な利益だけをほかに持っていってたな上げしよう、こういう考えでございまして、今の糖価の変動による砂糖行政をどうするか、こういう問題と納付金とは直接の関係は出てこないと思います。
  80. 中村時雄

    中村(時)委員 だから、私の言うのはこういうことです。長期だとか異常な低落とかいうことが、ある意味では日甜に対してそれを受け入れるようにしてやろう、そういうことでしょう。要するに、高騰した場合に、そういう受け入れが日甜だけではけしからぬというのがあなたのお話です。そのことは、ほかの法律を作って一般の砂糖に対してもはっきりさしておけばいい。幸にしてここに日甜が上ってきておるのだから、その上ってきている日甜に対してそこのところをきっちりしておけば、次には当然そういう砂糖行政の方に逆に考えられていくのじゃないか。砂糖行政の一環として、日甜を中心にして砂糖行政の基本を作っていくということが正しいのではないか。もしかりにこのままにしておいてその方法をある程度あいまいもこにしておくと、政府と業者の間のいろいろなデマやうわさがその中から出てくる危惧さえ私たちは抱いてくるわけです。だから、この際それをはっきりしておい方がいいんじゃないか。
  81. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ですから今の日甜だけを取り離して日甜だけからそういう一般糖価の上ったことから来る利益をとるということは、これは日甜に対する差別待遇でありますから、ほかの業者も同時にやらなければ案にならないということになると思います。日甜をここでやっておけばほかに影響があるから、ここでやるということにはすぐならないと思います。ほかを規制する制度を同時に考えなければならぬ、こういうわけです。
  82. 中村時雄

    中村(時)委員 私はちょっと考え方が違うんだが、たとえばこの法案が出てきておるのは日甜を中心にやっておるのでしょう。そうすると、日甜そのものを舞台の中心にして基本的にはっきりさしておけば、ほかをやる場合にはっきりした線が出てくるんじゃないか、こういう考え方です。
  83. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 御質問がよくわかりませんが、日甜だけが。……
  84. 中村時雄

    中村(時)委員 わからなければもう一回。それはこういうことなんですよ。今せっかく日甜をここに出してきている。そして暴落するあるいは高騰するという問題が行われてきておる。そこで、暴落の場合の規制をここでやっておる。だから、高騰の場合の規制をはっきりしたってものの順序は立つじゃないか、こういうことなんです。あなたはそれはないとおっしゃる。ないということの理由に対しては、過去においてそういうことがある。そこで、この問題を規制しておいたら、次には一般砂糖行政の中においてもそういう規制もできるじゃないか、こういうことを言っておるわけです。
  85. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 日甜規制するという意味が私にはとれないのでありまして……。
  86. 中村時雄

    中村(時)委員 テンサイ糖を規制する……。
  87. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 テンサイ糖を規制するということは何も出ていないので、日甜から制度の切りかえによろ反射的特別利益をたな上げするということだけをやっておるのでありまして、そのたな上げする際に、それはあくまでも平常糖価でこの程度の利益は出るであろうという予定に基いて、その予定に基く利益をたな上げしておるわけです。ところが、糖価が維持できないから予定の納付金を納めるべき利益が出てこない、従ってそういう場合には減免の措置を講じておるのでございますから、これはあくまでも納付金の制度の場合の規定でございます。逆に暴騰した場合には、日甜からその暴騰分をとっておけば、それが直ちにほかの砂糖業者からそういう糖価の暴騰による特別の利益をとる足がかりにはならないのであります。それはあくまでも他の砂糖業者からとるという制度を立てなければ、日甜とそのほかの業者に対するこちらの態度の構成が立たない、こういうふうに私は考えます。
  88. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたの言うこともわからぬことはないのです。要するに、あなたのおっしゃっておるのは、日甜の納付金の問題と砂糖行政とを別個に考えて、高騰した場合には砂糖行政の中でそれを取り上ぐべき別の問題にすればいいじゃないかというお話なんです。私の言っておるのは、そのことはよくわかっている、今そういうものは何もない、ただあなたの考えだけだ、ところが、現実日甜の納付金の問題が出てきた、だからこれを機会にそういう点をはっきりさせておいた方がいいじゃないかということを言っておるのです。
  89. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 それは全然つながらないのであって、これは、あくまでも、日甜制度の切りかえによって特別な利益が出る、それだけをねらっておるのでありまして、それはある前提のもとにおいてそういう利益が出る、その前提がくずれた場合にはその利益が出ないのですからその納付金は減免するということだけを規定しておるだけなんです。
  90. 中村時雄

    中村(時)委員 もっと具体的に言いますと、そうすると、最もはっきりしておるのは、そういうある程度の線を引かずと、政府がテンサイ糖に対する全量購入をやって、その規制をきちっとすれば、それはできるじゃないかと言いたい。
  91. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 そういう議論は私たちもやったのであります。砂糖は輸入糖も国内糖も全部政府が買い上げ、そして個別価格で買い上げて適正利潤を保証すれば、かりに糖価を七十円にしても七十三円にしても、税金が三十八円今度は出てくるわけですから、少くともその分だけは政府の利益になる、それを国内の農業振興に使うような考え方は当然出てくると思うのです。しかし、それは、現在の税制の建前から、砂糖の関税、消費税の税収がある税度一般財源として予定されておるし、また、少くとも今までは関税、消費税が逆になっておりましたから、政府が買い上げなければコストの安い日甜といえども自由市場に売れば損するという状況だ、それをまず直して、食管の赤字をなくし、それだけ売りやすくする、そうすれば企業の努力によってはさらにテンサイの振興に役立つのではないか、こういうことを考えておるのでございます。それで、第一段の処置としては、そこまで突き進んでいかなくとも、先ほど申し上げましたように、糖価の暴騰暴落は、先ほど御指摘のありましたように〇・三五セント下ったらそれはただちに暴落だとは実は私ども考えない、あるいは糖価七十三円が七十五円になっても暴騰だとは私どもは考えないのでありまして、この前ありましたように八十円とか九十円ということになりますと、これは消費者に非常な迷惑を及ぼすことになりますから処置しなければならない。しかし、その点は、従来の暴騰の原因がほとんど需給のアンバラによる暴騰である、外貨事情が平常に復した現在では、為替の許可あるいは溶糖の指導によってそういう糖価の暴騰暴落は防げるというように考えておりますから、別にもっと突き進んだ考えまでいくのは、現在では当を得ないのではないか、こういうふうに考えてこの案を出したわけであります。
  92. 中村時雄

    中村(時)委員 どうも私はわからないのです。暴騰暴落にまだこだわるようでちょっと悪いかもしれませんけれども、たとえば、あなたのおっしゃるように、国際砂糖協定において三セント十五を最低と言っておる。ところが、実際には、三セント十ということは三セント十五を割っておるのです。あなたは国際協定だ国際協定だと非常に固執しておるが、その最低が幾らかといえば三セント十五。今は三セント十で下回っている。少くとも三セント十五から三セント四十五までを基準にするというならば、その上下にくるものは、あるいは高騰しあるいは低落する、こういうふうにある程度常識的に見ていいのじゃないか、私はこう考えるので、こういう考え方の中から質問が出てきているのです。それはともかくとして、ともかく、あなたの方の考えていることは、三セント四十五という基準が今の状態から言っても高過ぎる、このことだけははっきりしてきたと思う。先ほども言ったようにトン当り一千円前後というものが変ってきているのですから、そういうことを考えた場合、どうしてもあなた方は先ほどから聞いていると七十三円というものに固執しているのじゃないか、こう思うわけです。私としてはどうしてもそれが納得できないのですが、あなたはどうしても七十三円でなければいけぬというので——また、七十三円から逆算していってものの考え方を出そうとすれば、法律体系から何から何まで全部固執していかなければならぬという結果が出てくると思うのです。ですから、その点もう一度はっきりしてもらわなければならぬ。
  93. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 三セント十というものが、御質問によりますと、もう上らないのだ、こういう前提からいろいろ御質問をなさっていると思いますが、私はそうは考えない。かりに国際相場が四セントまで上ることはないとしても、もう一つの大きなファクターとして国際運賃、これは最低でありまして、最近は運賃の上昇気運も出ているわけであります。それと、とにかく国際協定をやっているのでありますから、三セント十五の最低を維持できない期間が相当続けば、必ず今の輸出量を制限してこれを回復する。もうすでに理事会が動いているのでありますから、三セント十が当りまえで、お話のようにもうそれ以上は上らない、こういうようには考えないのであります。そこに一つ考え方の相違があると思います。これは、しかし、そうは言っても、キューバの革命によってキューバの製糖資本の力がなくなって、どうしてもキューバは国際的にダンピングする、そういう状態が出るとか、あるいはほかの国で砂糖の生産か大きく伸びて、国際砂糖協定には入らないでアウトサイダーで国際市場を荒らす、こういうようなことがありますれば、それはやはり、今の国際砂糖協定の仲値をもとにしてきめている糖価の七十三円を維持しようとすれば、今度は関税を上げるということにならざるを得ぬのでございますが、現在の状況ではそういうことを断定するのはまだ早いのじゃないか、こういうふうに考えておるのであります。  それから、七十三円を出したのは、一つは、国内の畑作改善から、澱粉を処理するために結晶ブドウ糖を育成しなければならぬ、あるいはまたアンサイ糖も七十三円程度の価格で消費税を十二円六十銭にすれば普通の新規の工場ノーマル運転でどうにかペイする、こういう計算ができましたから七十三円という数字を出しておるのであります。これは、国内のテンサイ生産者あるいはカンショの生産者から言えば、砂糖の値段をもっと高くして、もっとイモが消化できる、あるいはビートの生産価格を有利にしてくれ、そういう相当強い声がありますが、私の方では、最近三カ年の平均糖価を見ますと七十五円程度になっておりますので、七十五円でもいいのじゃないか、こういうふうに考えましたけれども、そうしますと関税の率を相当上げるということにいたさなければならない。それにも程度というものがあるので、いろいろな検討を加えられた結果、大体七十三円程度ならば結晶ブドウ糖の処理のための糖粉の価格ももう少しつり合いがとれる、あるいはビートの砂糖もノーマル運転工場なら十分に売ることができる程度であるというので七十三円を出しておるので、その前提が狂えば、これはまた別に考えなければならぬと思います。
  94. 中村時雄

    中村(時)委員 それではっきりしてきたんですが、七十三円というものが、今言ったビートあるいは澱粉、そういうものを基礎にしておいて行なっていったものであるというような建値であるから、どうしたって七十三円というものを固守せねばならぬ、こういう結果が出てきた。固守することはけっこうです。私は、ビートはビートとして考えるべきであり、また澱粉は澱粉として、あなたのような優秀な頭を持っているのだから、別の方途で考えるべきであって、そのことを守るために大衆の消費者に対してより高いものを背負わしていくという考え方自身に問題があろうと思うわけです。  そこで、大体における相場を今あなたが盛んにおっしゃいましたが、一つお尋ねしておきたいのは、現行の砂糖税によるところの徴収税、それが現在百十五万トンとして一体関税が一キロ幾ら、消費税が一キロ幾らの収入減になっておるのか。それから、続いて、改正案によるところの一キロ四十一円五十銭ですか、それから消費税が二十一円ですか、それが百十五万トンといたしまして、消費税の方はおそらく九五%歩どまりくらいな勘定になるだろうと思いますが、それを一応お聞かせ願いたいと思います。
  95. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 三十四年度から砂糖の消費税と関税を変えるのでありますが、三十四年度の砂糖の輸入量、国内生産量を見合いまして、関税は、従来の税率でいきますと一キログラム当り十四円、今度の改正案でいくと四十一円五十銭になります。そうしますと輸入見込みを粗糖で百十七万五千トンというふうに予定しておりますから、その税収が、現行法ならば百六十四億、改正法ならば四百三十七億、差額は二百七十三億の増になります。消費税の方は、現行で消費税が一キログラム当り四十六円六十七銭、それが改定で二十一円になります。そうしますと、消費税分は、関税のかかる輸入品のほかに国内の砂糖のテンサイ糖その他の量を勘案いたしまして、現行法による収入が五百八十九億、改正法によりますと三百十五億、差引二百七十三億の減。それで差引大体とんとん、こういう予定をいたしております。
  96. 中村時雄

    中村(時)委員 おかしいな。それは差引とんとんどころじゃないのだがね、僕の計算からいくと。現行法の関税が一キロ十四円として百六十四億、消費税が五百八十九億、すると足したら幾らになりますか。あなたのおっしゃる勘定でいくと、新しい関税の方が一キロ四十一円五十銭として、消費税を二十一円として勘定すると、関税の方が二百七十三億、消費税が三百十五億、合計五百八十八億。それから現行法でいくと関税一キロ十四円として百六十四億、消費税が四十六円六十七銭で五百八十九億、合計七百五十三億になっている。それを差引合計しましたらとんとんになるという発言はないと思う。
  97. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ちょっと説明が飛んでおります。今のは粗糖でございます。関税一キログラム四十三円六十八銭というのか精糖換算でございます。百十七万七千五百トンを精糖に直しますと百十一万二千トンになります。
  98. 中村時雄

    中村(時)委員 今あなたのおっしゃるのはおかしいのですがね。関税は粗糖そのままで入ってくる関税ですよ。消費税の方は今言ったように精糖にしていくのですから、九五%なり九六%の歩どまりでやっていく、こういうことになるわけです。
  99. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 あなたの今計算されたのはちょっと聞き取れなかったのですか……。
  100. 中村時雄

    中村(時)委員 計算されたのじゃない。あなたが発言した計算じゃないですか。
  101. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 発言は間違いありません。
  102. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたの発言したのは、関税が一キロ十四円にして百六十四億円、それから消費税が四十六円六十七銭で五百八十九億円、これは現行法です。合計すると七百五十三億円。同じじゃないですか。片一方の改正の方が、一キロ当りが四十一円五十銭で二百七十三億円……。
  103. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私はそう申し上げません。四百三十七億で、差額が二百七十三億と申し上げたのであります。
  104. 中村時雄

    中村(時)委員 二百七十二億……。
  105. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 新しい改正法ならば関税収入が四百三十七億、現行法は百六十四億、その差額が二百七十三億、こう申し上げたわけであります。
  106. 中村時雄

    中村(時)委員 それじゃ、あなたのおっしゃったのはそれでとんとんになりますか。
  107. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 なります。
  108. 中村時雄

    中村(時)委員 それじゃお尋ねしますが、あなたのおっしゃったのは、私の聞き違いかもしれませんからもう一回聞いておきます。関税の方が四百三十七億ですか、それから消費税の方が百六十四億ですか、消費税は幾らですか。
  109. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 改正法に基くと三百十五億です。端数切り捨てでございますから……。
  110. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、七百五十三億と七百四十二億、こういう計算の仕方になってくるわけですね。現行法からいくと七百五十三億、それから改正法によると七百四十二億、そういうことですね。
  111. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 七百五十二億です。これは端数を切り捨てておりますから、一千万円単位でもっと正確に申し上げますと、現行法では、関税が百六十四億五千万円、消費税は五百八十九億一千万円、合計七百五十三億六千万円、それから、改正法によれば、関税が四百三十七億八千三百万円、消費税が三百十五億七千二百万円、これが七百五十三億五千万円、こういう計算になります。
  112. 中村時雄

    中村(時)委員 この問題は、ちょっと私が計算したのと違っておるようなので、これはあと回しにしていきたいと思っております。  それから、時間がちょうどになっててしまったわけなんです。実はこれから現実的にいろいろな問題を聞きたいのですけれども、私の方も時間がきめられた以上はそれを守っていきたいと思っておりますが、振興会の法案の問題がまだ残っておるので、一応松浦君の方からのあれがありますから、それが済んでからあとでやらしていただきたいと思っております。
  113. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 午前の会議はこの程度とし、午後一時半より再開して質疑を続行することとし、これにて休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後一時五十一分開議
  114. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  松浦定義君。
  115. 松浦定義

    松浦(定)委員 私は、本日議題になっておりまする振興法案以下三案について、大体六日の委員会芳賀委員が相当の質問を続けておるようでありますし、午前の中村委員の質問もありましたので、極力重複を避けながら質問をいたしたいと思います。  私は、今度別にこういう振興法案なるものを作ってアンサイ糖業の振興をはかるという目的つにいては、提案理由で御説明になった通りではあろうと思いますが、少くともテンサイの問題については十カ年の臨時措置法でテンサイ振興に対する法律が実はあるわけであります。それは三十七年までこれが存続しておるのでございますから、従って、今この振興法案を出されるに至ったまでにおいて、前の生産振興臨時措置法との関連はどういうふうにお考えになってこれを提出されました、その考え方についてお伺いいたしたいと思います。
  116. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 てん菜生産振興臨時措置法は、法律に書いてありますように、まず第一点は、「寒地における農業経営の合理化を推進する」、こういうことで。一つの寒冷地対策としてとられたのであります。しかし、テンサイ糖は寒冷地の農業においては非常に重要である、これが昭和二十九年、三十年の冷害からはっきり認識され、また土壌、肥料なり品種の点から言っても日本で大いに増産の可能性があるということがわかり、さらにはまた、寒冷地のみならず暖地におきましてもテンサイが日本の水田以外の耕地の農業経営に非常に資するところがあるというところから、この際大いに寒冷地のテンサイの生産を急ピッチで発展せしむるとともに、暖地におきましても、畑作改善その他非水田の耕地の利用というところから取り上げていったらいいじゃないかということで、この際砂糖に関する関税、消費税の切りかえによりまして相当の財源が政府に入るということになりましたので、従来テンサイを大いに伸ばさなければいかぬということであったにもかかわらず手の及ばなかったところを急速に取り上げていくという意味から、振興法案を作ったのであります。  そこで、てん菜生産振興臨時措置法との関係でございますが、てん菜生産振興臨時措置法は、従来は第四条で「買い入れることができる」ということになっておったのを、関税、消費税の切りかえで、買い入れなくともいいような条件が形成されることになった、従って、そういう部面に対する多少の運用の変化を考えなければならないということでございます。しかし、あくまでも、このてん菜生産振興臨時措置法のねらっておるところはより強力に推進していかなければならない、こういうふうに考えております。
  117. 松浦定義

    松浦(定)委員 ただいまの御説明ですと、飛躍的に増大をせしめるためには、やはり生産振興臨時措置法だけではいけない、でありますから振興会法を作る、こういうお説であります。今お話にちょっとありましたように、第四条の買入れの問題に触れておるということでありますが、そうしますと、今の考え方では、その臨時措置法については、そういう問題があるけれども、運用の面でやっていって、改正をするというお考えがないかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  118. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これはいろいろ議論をしましたが、先ほどちょっと触れましたように、テンサイについては、寒冷地の適用作物ということだけでなく、やはり暖地においてもこれから畑作改善その他で農業経営の中に大いに取り上げていかなければならない、しかるところ、暖地のテンサイにつきましてはもう少しいろんな点を整備した方がいい、その上で寒冷地のビートのみならず暖地のビートをあわせまして新しい見地に基いて新しい対策を講ずる、要すればそれを法制化する必要かあるのではないか、こういうふうに考えまして、さしあたりは、その研究を待っててん菜生産振興臨時措置法改正するならば改正した方がいいじゃないか、こういうふうに考えております。
  119. 松浦定義

    松浦(定)委員 暖地ビートの振興に伴ってその内容を検討する、こういうお話でありますが、少くとも生産振興臨時措置法が十カ年の期間がある限りにおいては、その期間終了後において他の問題が出てくるなら別としても、まだあと年間あるというときに出てくるとすれば、私は少くともこれは親法であると思うのです。臨時措置法が親法であって、次に必要だといって出てきたものは、少くとも親法に対して解釈をまぎらわしいようにされる点についてはこの際修正をしておく必要があるのではないか、そういう意味で私はお尋ねしたのでありますが、そういう点については、わが党におきましては明日修正をする用意をいたしておるわけでありますから、そのときに一つまた御質問、あるいはまた御意見を聞きたいと思いますが、いずれにいたしましても、非常な関連性があるということだけは今の御説明でわかったわけであります。  従って、もう一つ出ております納付金の問題でありますが、この親法があり、さらにまた振興会法を作って、しかもその資金というものは相当予算上の措置がされなければならぬのでありますが、納付金法案とこの振興法案との関連についてはどういうふうにお考えになって立法されましたか、お伺いをしたい。
  120. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 法律的には全然別個の関係になっております。ただ、テンサイの振興をはかるためには試験研究を強力にかつ急速に推進した方かいい。そのためには試験所の整備をはからなければならない。しかるに、現在までのところでは、普通の一般予算の中ではまだまだ他の米その他の主要作物についてやることがあってテンサイまでは手が及ばなかったのであります。たまたま関税、消費税の制度の切りかえによりまして特定の会社に反射的に特別な利益か出てくる、それをそのまま放置することが砂糖業界あるいはテンサイ糖業界におもしろくない、こういうことで、その反射的な特別な利益を政府に納付さした力かいいということで納付金法案を出しておるのであります。その法律によって納付金が出るならばこれを一般会計につっくるめて入れまして、しかしこれはテンサイ糖から出てくるのであるからほかのものに使われたのではかなわない、これをテンサイの振興の方に使ったらいいじゃないかということで、法律的には何らの規制はございませんが、納付金法案政府に一ぺん入れて、それに見合う金を毎年振興会の方に出資または補助をしてもらうという考え方で振興会を作っておるのであります。そういうことでありまして、一般会計から支出する試験研究の経費はともすれば主要作物にとられるという今までの経過をたどらないように、特殊法人を作ってそこに入れて、実際の運用につきましては政府の試験所と同じような運用をする、それだともっと弾力的な運用ができる、あるいはもっと急速な試験研究ができる、こういうふうなことをねらっておるのであります。
  121. 松浦定義

    松浦(定)委員 再三の御説明で、そういうことをやっておられるようでありますか、法律的には無関係であって実質的にはこれは関係があるということでありますけれども、そういう誤解を招くようなことをしないで——これほど重要な問題を、先ほど申し上げましたようにいわゆる生産振興臨時措置法がある中でさらにこれを拡大するというのであれば、私は一番問題は予算の問題であると思うのです。今までの農業予算等いろいろな問題につきましても、政策的には重要でありますけれども予算がつかないからということでありますから、一番大事な予算をそういう納付金制度でまかなうというようなことを一応考えてやるということについては、私どもはあまり全面的な賛成はできかねるのです。というのは、そのことが果して実際的な効果があるようになるのかどうかということについてはあとから御質問いたしますが、今までやっておる工場、これから新設しようという工場、そういうものを、あるいはまた地域の問題等と関連いたしまして、これより方法かないというなら別でありますけれども、私は、まだまだ方法があるんじゃないか、こういう意味で、そういう点についてもう少し明らかにしていだきたいと思います。現状で必ずこれが実行ができる法律であるというふうにお考えになりますか、もう一度御説明願います。
  122. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 現状では、もし一方で納付金が出る、それを一般会計に入れますと、技術研究所なら技術研究所の経費として配当されます。そうすると、今度は、技術研究所の中でそれぞれを分配するときに、いろいろな技術研究所としてのやることの重点の置き方が変ってくるわけであります。ですから、そういうふうな、せっかくテンサイの金に利用するものがほかのものにまぎらわしく使われるというようなことを防ぐためには、やはり一定の期間ははっきり特殊の機構でやる。これはまた、振興会法を作ったゆえんは、金だけの問題ではなくて、その職員については、日本にテンサイの技術者というものは十分でございませんから、あるいははまた役所の中の人では十分ございませんから、民間なり外国の技術者を入れる、そういう場合に、国家公務員法あるいは定員法、こういうふうなものによってわずらわされない方がよい。いつでも試験所を作るとちびられて、急速にやろうと思うものがひまがかかるというようなことをしばしばわれわれは経験しておるのであります。それはそういうことをしないようにしたらいいじゃないか、こういうお話でございますけれども、現実の姿は、今までの経験によりますとそういうことでございますから、その弊害をテンサイでまた繰り返すことはおもしろくない、こういう考え方から、特殊法人として振興会を作っておるのでございます。
  123. 松浦定義

    松浦(定)委員 今お聞きしましたのは、各法律との関連性についての考え方をお聞きしたのでありますが、それでは、大体この法案について御質問いたしたいと思いますが、この振興法案がそういう形で御説明通りにできるとすれば、やはりこれは相当現地における耕作農民その他関係団体等の意見あるいは会社間等の関係が相当調整された上でないと私は成功ができないのじゃないかというふうに実は考える面が多々あるわけであります。従って、この法案で参りますと、一番最初、第三条には、「主たる事務所を東京都に置く。」ということになっておるのでありますが、現在の段階では、先ほどもお話がありましたように、暖地ビート等でもできた場合にはいずれ考えるというお話でありますが、今日の段階では少くとも寒冷地帯におけるビートを問題としてこれは考えられておると思うのであります。東京都に事務所を置き、さらに従たる事務所を地方に置くということに考えておられるようでありますが、その従たる事務所のうちで少くとも北海道は一応優先すると思いますが、私は、むしろ逆に、主たる事務所が北海道の現地にあって、従たる事務所というものがやはり東京にあってさらにそれを全国的な問題等について考えるということの方が正しいのではないかと思うのですが、こういう点について、その所管その他の点についていろいろあろうと思いまするが、お考えをお聞きしたいと思います。
  124. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 振興会の仕事は、法律に書いてございますように、二十三条で規定いたしております、テンサイに関する試験研究、テンサイの原原種及び原種の生産及び配布等々でございまして、試験研究に重点を置くのでございまして、従って、本部は東京に置きますが、研究所は現地に置くのであります。研究員のほとんど全部は現地におる。本部では、農林省の技術行政あるいは技術研究所、技術会議との調整、そのほかの作物との調整、あるいは毎年の予算、あるいはテンサイの将来についてどういうふうに発展的に研究を進めていくか、そういうことを本部でやっていく。本部では少数置くのであります。現地に試験研究を置くのでありますが、これはまず最初には北海道に置きます。研究所の本部というものを北海道に置きまして、暖地ビートは現在府県にいろいろな研究を委託したりあるいは民間で研究いたしておりますが、それもにらみ合して、研究所の支所とでも申しますか、そういうものを暖地の方に置いたらいいじゃないか、こういう考え方でございまして、研究の実体は現地が主になるのでありますから、そういうふうに御了解を願いたいと思います。
  125. 松浦定義

    松浦(定)委員 むろん研究か目的でありますから、そういう形で本部的なものをその主たるところに置くということは、これは当然だろうと思うのですが、やはり、私は、いろいろの面からいくと、本部というもののその考え方といいますか、そういう力の入れ方というものが、現地の事情によく詳しくなるほどこの問題の成功が期せられるのじゃないかという意味合いから、従来北海道でたとえば日甜なら日甜があの問題を長い間やっておることにつきましても、現地にちゃんと会社の本店を持って、東京は出張所である、このくらい力を入れてようやくあそこまできたということから考えますと、政府の今度の考え方についても、事務所はやはり重点的に主たるところ、研究をやるところに置いた方がいいのではないかという考え方で実はおるわけでありますが、内容の問題になりまするので、こういう点は今後の内容の検討でまたお伺いすることにして、次に進みたいと思います。  この四条の、「政府は、必要があると認めるときは、」、こういうことでありますが、これは解釈のしようでいろいろ誤解を招く面があると思うわけであります。でありますから、「必要があると認めるとき」ということについては、もし考え方が違った場合には、必要かないと考えたからこうだというふうに誤解される向きもないわけでない、かように考えますが、この場合の解釈というものはどの程度の基本を置いてお考えになっておるか。
  126. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 先般資料でお配りしてございますが、政府出資金は、納付金法案で五カ年間で納付する、その予定は、毎年三億三千万円、それを五カ年間に納めていただく、こういうことでございますから、第四条第二項で、振興会に追加出資する額は、三十五年度から三十九年度の間に毎年三億三千万円ずつ出資、こういう財政当局との話し合いでこの条項を書いてございます。ただ法律の文字だけから見ますとお話のような点がございますが、これは法律の例文と御了解願った方がいいのじゃ、ないかと思います。あの納付金法案の中に免除または徴収の猶予というのがございますけれども、そういうことがあってそれに基いて出資かおくれたのでは振興会の仕事は工合が悪いですから、かりにそういうことがありましても振興会の仕事ができるように、予算は五カ年間計上するわけでございます。こういう約束でこの法律が立案されておるのであります。
  127. 松浦定義

    松浦(定)委員 それでは次に進みますが、この問題の今後の運営のためには審議会会を置くということをうたっておるわけであります。これが私は一番大事なことでなかろうかと思うのでありますが、たとえば、先ほどお話のありましたように、東京に主たる事務所を置くということになっておりますので、おそらくこの審議会というものは、東京における本部的な考え方の運営に対する審議会というようなことで、地方の意見が直ちにそこへ反映するということは不可能でないか、こういうふうに考えるわけであります。でありますから、こういう点については、先ほどお話がありましたように、たとえば北海道には研究所の本部的なものを置くということになりますと、やはり現地の事情というものが相当中央にも反映しなければならぬということでありますから、法律の上からいけば全体的な審議会を中央に置くということは私はいいことだと思いますが、地方におきましても、大体それに準じたような、やはり諮問機関的なものであっても、地方運営審議会といったようなものを置く必要があるのじゃないか、こう思いますが、この点についてはどのようにお考えになっておりますか。
  128. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 それは運営審議会運営の仕方になるのじゃないかと思います。その点、運営審議会には補助的に専門委員というようなものを置かれることが予想されるのでございますが、場合によれば、運営審議会を開く前に下調べをそういう人に、具体的の問題については具体的の経験者にお願いする、あるいは現地の事情の問題であれば現地の事情に詳しい人を入れるとか、あるいは、場合によれば、特定の問題について現地と密接な関係があるものについては、運営審議会を現地において開催して、直接運営審議会のメンバーに現地の意向が反映できるような運営の仕方もできると思いますから、これらは運営審議会をそういうふうに現地がうまく活用できるような観点から運用していいじゃないか、こういうふうに考えます。
  129. 松浦定義

    松浦(定)委員 そうしますと、現地の意見を十分聞くし、場合によっては現地において審議会を開くということでありますが、この委員は十人以内ということでありますが、この十人以内の委員はどういう立場の人とか、あるいはそういう地域的なことを考えてやるというような点について、一応その人選を今どの程度に進めておられるか、その内容について伺いたいと思います。
  130. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 業務の執行は理事がやりますが、その理事にこういうことをやったらいいああいうことをやったらいいと、この会の運営全体について理事長の諮問に応じて調査審議をしていただくのでございますから、これはあくまでも北海道なら北海道、内地なら内地のビートのこれからの振興についてどういう点が研究さるべきであるかということに関係してくると思います。従いまして、ビートの育種の関係の人とか、あるいは一般栽培の関係の人、あるいは土地改良の関係、土壌、肥料の関係の人とか、それからまたビートから砂糖に製造する関係の人とか、そういうビートの生産、ビート糖の生産、これについて各方面から最もいい結果が出るような知識が出るという広い範囲から選びたいと思っております。従いまして、これは、国の官吏なり地方の官吏のみならず、大学の先生とか、地方庁の方とか、あるいは農民の代表とか、あるいは製造業者の代表とか、それぞれ代表できるような学識経験のある人を広くお願いしたいと思います。
  131. 松浦定義

    松浦(定)委員 今お話の通りのメンバーがそろえば、確かに審議会としてはりっぱなものができると思いますが、ただいまお話になりましたような農民の代表、あるいは農民を代表できるようなということでありますが、農業団体も農民代表であるということは一応今までの例でいっているわけでありますが、これは農民団体というものでなくてやはり全くの耕作農民の代表を入れるべきであると思いますが、そういう点、どうお考えになりますか。
  132. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これはちょっとむずかしい問題でございまして、耕作者の中に、いわゆる篤農家的に、ビートならビート、あるいは農業経営なら農業経営について相当まとまった学識経験を持っている人がございますれば、当然選任していいと思います。これは具体的な問題になってあれですが、それを排除するという気持はございませんが、果してそういう適任者が得られるか得られないかという問題になってくると思います。
  133. 松浦定義

    松浦(定)委員 私はこの点は明確にしておいていただきたいと思います。これはあとからいろいろ問題が起りますから。たとえば、今私が申し上げましたような耕作農民、実際作っておる者の代表、そういう人があるかないかと言われるけれども、とにかくなかったらこれだけのビートを作らせようということは考えられないわけで、りっぱな人があるから、それを入れるということをはっきりしておかなければいけない。なぜ私がそういうことを申し上げるかというと、耕作農民でなく、農業団体でも耕作者の代表である、こういう話が実はあるわけですね。そうしますと、今度に限って北連というものが一つの農民の代表という組織でもって工場運営しておるわけです。でありますから、農業団体ということになりますと北連との関係があるわけです。農民にしてみれば、北連は自分のものであるということで運営はしておりますけれども、やはり、他の業者との対抗上、初めの発足はそうであったけれども、現在においては、北連だけでいくということは、特にこういう法律によって縛られる場合には、政府としても特別な保護はやれないと思うのです。でありますから、農業団体の代表が即農民の代表であるということになりますと、やはり業者の代表と同じような形でいかなければならぬ。でありますから、ほかのことは別としても、この問題だけは、農業団体の代表が即農民の代表であるというのでなくて、実際耕作をしておる人の中から——少くともこれだけの原料を提供しておるのでありますから、技術者よりもむしろ私はりっぱな意見を開陳できる人があると思うのです。この点は、今はっきり、農民の耕作者の代表を必ず一名ないし二名、数のことはまだ私は申し上げませんが、入れるということでなければ、この性格そのものが先ほど御説明になりましたようにいかないと思いますから、こういう点を一つ明確にしておいていただきたいと思います。
  134. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは私の方でもちょっと考えなければいかぬと思うのです。すなわち、今まで、そういうことで出てきますと、自分の経営が留守になりまして、いい人が出てこない、こういう経験にしばしば私自身あっているのであります。非常にこの人はいい人だけれども、出てきているうちに経営がお留守になって、今までの成果を失ったとかいうことがある。運営審議会ともなれば、自分のことでなしに相当ほかのことをやるわけでありますから、農作業で都合の悪いときでも出てきていただかなければならないときかしばしばあるわけであります。そういう点から言いますと、私の方でこの人に出てきていただきたいと思っても出てきていただけない、必ずそれを出さなければいかぬということになると、そこへそれほどでない人が出てくる、こういうこともございますので、これはやはり具体的な問題として解決さすようにしていただいた方がいいんじゃないかと思います。
  135. 松浦定義

    松浦(定)委員 くどいようでありますが、現地においてこういう審議会を持たれたらどうか。本部における審議会の中へ入れないとすれば、それに準ずるような地方審議会というものを作っておけば、東京へ来るには経費がかかりますけれども、札幌へ呼ぶには何もそんなに経費がかからないでやれる。そういう人が審議したとなれば、七万、八万の耕作農民は納得をする面が出てくる。従って、そういうものが全体の運営をよくしてくれる、そういうことが出てくる。そのために経費がかかるとか、そのことによって仕事ができないから気の毒だということでなしに、これだけの大きな問題を解決しようとするのでありますから、そのときは完全にその人が自分の経済に影響しないくらいの手当を特別に私は出してもいいと思う。そのくらいの考え方を持たないと運営はできないと思うのですが、その点はどうですか。
  136. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 そうでありますから、そういう人は専門具なら専門員として運営審議会へ常に出ていただくのでなくして、特定の地域の問題なり特定の時期の問題についてそういう人の意見を聞く運営の仕方が必要である、こう申し上げておるのでありまして、運営審議会のメンバーとなれば、やはり定期的にやらなければいけませんから、これは相当の手当を払うといたしましても、その経営をまかなうだけの手当は常勤でありませんから払うわけにいきませんから、運営審議会のメンバーはそれにたえる人に来ていただきたい、その審議をするに際しての知恵づけ、専門的な方は広く選んだ方がいいんじゃないか、それの方が運営審議会運営の仕方としては実際的である、こういうふうに考えております。
  137. 松浦定義

    松浦(定)委員 たとえば、米価の場合には、米価審議会にはやはり農民の代表という方が出ておるのです。そういうことから考えたら、その経済の問題ということだけでそれができないというようなお考えでなしに、やはり耕作農民の中から入れるのだという方針だけは立てておいて、それでなおかつそういう問題が出た場合にはどうするかということをさらにそのときになって考えるということでも私はいいと思うのです。頭からただ経済的に困るからそういう人は入れないのだ、しかしそういう人の意見はいろいろな形で聞くのだということでなく、農民団体的なあるいは農民組織的な委員は私はむだとは申しませんけれども、やはり、耕作に当っては、いろいろあとからも御質問いたしますけれども、やはり重要な問題がありますので、考え方だけは、農民の代表、耕作者の代表を入れるようにすべきではないか。それは場合によれば十分代表し得るような人ということになろうかと思いますけれども、ただ経費の問題で出せないとか、それは困るということでは、私はあまりにも誠意がないんじゃないかと思うので、その点をもう一回だけ一つ明確にしておいていただきたいと思います。
  138. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 今米価審議会の例を引かれましたが、米価審議会は年に一ぺんか二へんでありますから、これはいいのでありますが、運営審議会というのは、われわれが予想しているのは、少くとも毎月最低一回、問題によっては継続的に開かなければならない、こういうふうに思っております。少くとも振興会ができまして数年間は、たとえば研究所の建設についても、あるいは支所を設置するについても、あるいは試験研究のやり方についても、そういう問題については相当しばしば開かなければいかぬと思います。ですから、米価審議会の例とは同一に論ずることはできないと思うのでございます。従って、人数といたしましても、そうたくさんは予算ではいかぬというので、十人、しかも運営はあくまで衆知を集めるという運営の仕方にしなければならない、こういうふうに考えております。
  139. 松浦定義

    松浦(定)委員 この点については、私どもは極力そういうことを要求することにして、次に移りたいと思います。  次は業務の問題ですが、二十三条の一の、「てん菜に関する試験研究を行う」ということ、これはもう当然でありますし、さらにまた、「てん菜の原原種及び原種の生産及び配布を行う、」その次に、その三の中で、「委託を受けて前号の生産に係る原種によるてん菜の種子の生産及び配布を行う」、こういうことが出て参っておるのでありますが、従来これは会社がやっております。それから、さらに、国並びに道府県の試験場においても、従来からの方針としてはこの問題は相当重く扱って参りましたので、それぞれの施設を持ちながら実はやっておるわけであります。従って、技術者等においても相当あるわけでありますが、こういうものに対して全然それから切り離してしまうということであっては、その間における地域的な問題とかいろいろな関係で私は相当混乱が起るんじゃないかと思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  140. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 二十三条の第三号は、テンサイの種子の生産及び配布は原則としては振興会は行わないということを表わしておるのであります。しかし、現在はテンサイ糖の製造会社で採種事業を行なっておりますが、振興会でやってくれという委託があれば、委託があった場合に限っては採種事業も行う能力を与えていこう、こういうことを第三号で規定しておるのでございます。
  141. 松浦定義

    松浦(定)委員 私は、この点は明らかにしておかないと、原則としては行わないけれども、委託を受けてそういうことについてはやることができる、こういうことでは、やはり今までの会社なら会社というものがやっておったものをどういうふうな形で引き継ぎをするとか、あるいはまた、これからもし会社がどうしても自分でやりたいというものについて規制をしていくとかいうことが、ここでどういうふうな解釈ではっきりできるかということか問題になろうかと思いますが、この点を一つ明確にしていただきたいと思います。
  142. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 採種については、現在は少くなくとも現状を変えようという意図は私の方にはございません。ただ、北海道庁で採種公社を作って各製造会社に配布をしたらいいじゃないかという案がございました。しかし、それもいろいろ検討を加えておりますが、三十四年までに七工場を運転することになりますが、それまでに必要な種の生産配布では現状をあまり変える必要はないのじゃないかと思っております。ただ、私どもが計画いたしておりますように、十年後に今の三倍にするということになりますと、果して採種の適地が各製造会社に都合のいいところにあるのかどうか、これが多少問題になってくるのじゃないかと思います。現在女満別、上川の方の二個所でやっておりますが、そこを拡大しただけで十分であるのか、あるいはほかの製造会社の地域に採種適地があるのかどうか、こういう問題はこれから研究しなければいかぬと思います。従って、たとえば適地が現在のところ以外にないといたしますれば、その適地にほかの会社から行って採種事業をやるということも変だから、他の製造会社に頼むか、あるいは新しく公社を作るか、あるいはこの振興会にそういうものを委託するか、こういう三つの方法しかないだろうと思います。これらは今後の研究で解決したらいいのじゃらいかと思います。その際に、もし振興会にやらしたらいいじゃないかという議論が出てきたときに、振興会にその能力がないということでは支障があるのじゃないか。しかし、振興会はみずから進んで積極的に採種事業をやるのだということじゃなしに、あくまでも各製造会社の共通の利益に資するように、会社から頼んできた場合だけにやるという制限的な規定を置いて、振興会は採集事業に乗り出すというような心配を与えない方がいいのじゃないかということで、こういう委託を受けてというまくら言葉を置いて、制限的な規定を置いたのでございます。
  143. 松浦定義

    松浦(定)委員 そうしますと、この法律の目的は、やはり、「てん菜及びてん菜糖に関する試験研究、優良なてん菜糖の原原種及び原種の生産及び配布」、そういうことになっておりますから、その一番の目的に対して、この項でどちらかというとあまり明確でないのじゃないかというふうに私どもは考えるわけです。もし今のような話であり、この目的がそうであるならば、私どもは、この一号ないし三号については、もう少し政府は責任を持っという形から、たとえば一と二の問題については、やはり農林大臣が指定をして、そして指定をしたものに対してこれは委託させることができるというような形にでもしないと、今やっておるものはそれでいいのか、これからやるものに対してどういうふうに規制するかということが問題になろうかと思うのですが、こういう点は、やはり目的がそのことだけと言っても過言でないくらいの重要な任務を持つこの一と二でありますから、現在やっておるものの関係、さらにまた、これから起ろうとするものについて、やはりもう少し明確にする必要があるのじゃないか。こういうことについてどういうふうにお考えになっておりますか。
  144. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 原原種、原種は振興会が責任を持ってやります。それを今度もっと広げて実際にまきつける種子は、これは原則として振興会は行わないということでございまして、実際にまきつけ用の種子は、両説あるようでございますが、それぞれの会社にまかせたらいいというのと、先ほどのように、北海道庁が心配するように適地がないということになれば共通の機関を作ったらいいということになりますが、これはまだここで結論を下すのは資料不足でございます。ここ一、二年後にその結論を出せば十分間に合うのであって、少くとも現在はまきつけ用の種子は各社でやった方がスムーズにいくのではないかと考えております。しかし、たとえば、その中で、台糖なら台糖が二十四年度から操業いたしますが、三十五年の種子は振興会なら振興会でやってくれというふうなことがあれば、それは振興会にその能力の準備ができればやってもいいんじゃないか、しかし、積極的にはおれの方で種子の採取はやるのだということは認めない、こういう趣旨でございます。
  145. 松浦定義

    松浦(定)委員 北海道で今原種のまきつけ用をやっておる地帯は、少くとも他にもそんなに例があるという地帯ではないわけです。特殊な地帯でやっておるわけでありますから、こういう点が今度はこの問題によって多少左右されるというようなことになりますと、現在の耕作者が非常に困るので、こういう点はどういう形であってもやっぱり明確にしておいていただかないとうまくない、こういうふうに考えて申し上げておるわけであります。
  146. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 現在のやり方を変えようということは全然ございません。もっと将来発展的にそれだけで足りなくなった場合にどうするかということをこれからきめたらいいじゃないか、こういうふうに考えております。
  147. 松浦定義

    松浦(定)委員 それから、同条の七でありますが、六と七と大体同じようなことを言っておりまして、「前各号に掲げる業務に附帯する業務」、さらに七号で、「前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するために必要な業務」というのですが、これはどのような範囲のものか、お示しを願いたいと思います。
  148. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは法律の書き方の技術上の問題になるのでありますが、この第一条には、「てん菜及びてん菜糖に関する試験研究、優良なてん菜の原原種及び原種の生産及び配布等」とありますが、それを四号までに具体的に書いております。それから、五号は、これは全般的に関係することで、テンサイ及びテンサイ糖の発展なりテンサイ糖工業の発展に寄与することになると思います。それと、六は、それに附帯する業務。七は、そのほかのことで書いてないことはテンサイの生産振興が書いてございませんので、その他第一条について六までに書かれてないものという意味でございます。具体的にはそういう広い書き方になっておりますが、ここで言わんとしたところは、テンサイの生産振興ということを重点的に考えておるのでございます。
  149. 松浦定義

    松浦(定)委員 この法案提案理由説明の中で、「農民及びテンサイ糖製造業者等の意見を十分に反映させ、」というふうにはっきり出ておるのですが、この場合の農民の意見を十分に反映させるというのは、どういう形でこれをお取り上げになるのか、この点を一つ明確にしていただきたいと思います。
  150. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは、先ほどからございました運営審議会等で十分ここに書いてあることはできるというふうに考えております。
  151. 松浦定義

    松浦(定)委員 それで、私が先ほどその審議会の問題で強く申し上げたのは、ただその審議会でそれを代弁させてやるからそれでいいのだという考え方だけではいかないということを申し上げたのですが、やはり、こういう形で少くとも十分反映させるということになりますと、ただ聞いただけでこれで努力したのだということではいかないということから、先ほどの審議会に農民の代表を出せということを申し上げたので、少くともこの説明の要旨の中ではっきり言っておる限りにおいては、何らかの形で現実的に、農民がちょっと見ても聞いてもわかるようにしておいていただきたい、こういうふうに実は考えておるわけであります。  それから、先ほども申し上げましたこの二十三条の問題については、やはりいま少し私どもの方としてもどうしても研究をしなければならぬ項目が相当あると思いますから、こういう点もあわせて一つ含んでおいていただきたいと思います。  次に、納付金の問題でありますが、これは、先ほどのお話のように、これからの関税あるいは消費税の振りかえによって相当の余剰が出てきた、これをさらにビートの振興のために使うのだということであります。そういうことでありますと、一面には、はっきりしておりますように、実は買い上げをする会社としない会社と出てくるわけです。特に日甜の現在の三工場については買い上げをしないということをはっきりされておるようでありますが、現在、農民側では、やはりこれでは困る、でありますから、これは一つ全量買い上げてもらいたいという要求をずいぶん長くやっておるようであります。さらにまた、各糖業協会でも、われわれ業界の中の調整が非常に困難であるというような意味から、現段階においてはやはりこれは全量買い上げるべきだ、こういう主張をなされておるのでありますが、こういう点について、先ほどいろいろありましたけれども、どうしてもこれは買い上げることができないというものであるかどうか、お伺いいたします。
  152. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 先ほど中村委員、それから前に芳賀さんから御質問があったときに説明しましたが、従来までは、関税、消費税の関係から言って、幾ら日甜のようにコストの安い会社でも、損をしなければ輸入糖の相場に太刀打ちして販売することはできなかったわけであります。そういうことで、毎年々々、農林省の原価計算で、これが安いとか高いとかトラブルを重ねて、個別的な価格をきめておる。さらにはまた、他人の会社はうまくきめてもらっておるけれども、おれの会社はきつくやられておる、こういういろいろなトラブルがございます。そういうことは必ずしもおもしろい状態ではない。そこで、消費税を少くして関税を上げまして、その結果ノーマルな運転ができるならば自由に販売ができ輸入糖と太刀打ちができるような一つ条件を作ったのであります。そういうふうな条件を作りますと、新しい工場では、先ほど来お話がありますように、国際的な相場の変動に基く糖価の見通し等もなかなかめんどうだ。従って、私の方の計算では、原価計算をいたしまして、販売経費を見て、すれすれで販売可能というところの輸入糖の相場まで予想されるのであります。そういうことで、あと心配でおちおちテンサイ糖の製造もできないというおそれもありますから、非常に生産費の安い日甜を除いては、創業早々のものはこれを買わなければならぬ、その他のものは標準価格で買上申込みがあれば買い上げるということで、てん菜生産振興臨時措置法の第四条についても運用方針をきめておるのでございます。ところで、日甜の場合でございますが、これは本年度三十三年の価格をきめましたが、それは四十五円五十銭でございました。普通の標準糖価は五十三円十四銭ということになっておりますから、そこに非常な開きか出ております。そうしますと、この法律このままでは、政府に売れといっても、政府に売ったのでは、関税、消費税が切りかえられた後においては損をいたしますから、法律規定を直さなければ売ってこない。すなわち、第四条では「てん菜糖の買入をすることができる」ということになっておりますか、それを、テンサイ糖を売り渡さなければならない、こういうふうな強制命令を出さなければ売ってこない、こういうことが予想されます。従って、全量買い上げということは、法律規定を直さぬ限り、こちらが幾ら予想してもこれを強制することはできない。また、もしそれを強制するということになれば、輸入糖の精製業者におきましても、これはピンからキリまであるので、非常に採算のいいものと悪いものとございますか、それらについても、もし日甜のように強制買い上げしなければならないということになれば、一般精製糖も強制買い上げしなければつじつまが合わない、こういうことにもなるだろうと思います。そういうわけで、強制買い上げは工合が悪いということであります。  さらに、御指摘のありました一般製糖業者との関係でございますが、製糖業者は、日甜のものだけは買い上げてくれ、そうして政府はテンサイ糖をたな上げして輸入糖をもっと有利に精製ができるようにしてくれ、こういう虫のいい実情でございますから、私が申し上げますように一般の精製糖も一緒に買い上げるならば必ずしも理屈か通じないことはないと思いますけれども、テンサイ糖だけを、政府が買い上げなくてもいいものを、買い上げるということになれば、それだけ輸入糖の増ということも考えられるので、おもしろくない。さらにまた、そういう有利なテンサイ糖業者がいると、農民の売り渡し価格に悪影響を持って、Aの工場で千斤三千百五十円できめられておる価格以上に払ったならば、Bの会社もそれと同様な価格を要求されるだろう、こういう日甜以外の会社の意見として全量買い上げということを言っておりますが、日甜で余裕があればその地域のものはある程度得をすることができる条件は出てくると思いますが、それを無理に各地域とも強制的に同様にするということも多少、行き過ぎじゃないか、こういうふうな関係がございますので、やはり、制度の切りかえによって反射的に出る特別な利益は納付金で吸収しますけれども、その残りは企業努力によって各社が競争し合った方がいいじゃないか、こういうことで、非常に生産費の安い日甜のものは買おうと思うても今の法律のままでは買えない、こういうことから、先ほど御説明しましたような三十四年度以降の買い上げ方針をきめてございます。
  153. 松浦定義

    松浦(定)委員 今お話がありました中の、たとえば買い上げる工場と買い上げない工場との傘下における耕作農民のいろいろな動きというものは御指摘の通りなんです。そこで、そういう問題がもし起ればということを仮定しながらこの問題を強制するということになりましたならば、指定区域というものを全然考えないならいいけれども、指定区域というものはこういうふうにする、そうしてしかもこうだということになりますと、たとえば有利な所に行こうと思っても行けないし、あるいはまたもう少し拡大しようと思っても拡大できないというっとが出てくるわけです。従って、そういう指定区域の問題はあとでも出てきますけれども、少くとも農民が安心しておれるように、どこへ売っても三手百五十円だということでないといかぬ。たとえば日甜なら日甜の方が多少余裕があるというならば、全体の価格が三千二百円なら二百円になるように何とか調整するということも考え方によってはできると思うのですが、そういう農民が非常に迷うような制度の中に置きながら、しかもこれから起きる新工場の設置等については地域というものが非常に問題になっておるわけなんですから、その地域の問題の解決にそういうことが非常な支障になるのではないか。しかも、この目的というものは、これからまだまだ新工場を作りたい、増反計画も立てなければならぬということでありますから、こういう問題はあくまで耕作農民が納得するような形でなければいけない。今のところではまだ納得していないと私は思うのです。相当説明されておるようでありますれども、していないのでありますから、こういう点はもう少し検討をしていただかなければいけないのではな、いか、こういうふうに考えるのですが、とりあえず、今お話がありましたように、日甜なら日甜の傘下の農民には多少右利になるのではなかろうか、あるいはまた、ぜひともこれは全部買い上げてくれという要請の中から出てくるような問題を、少くとも業者間においてでだけでも解決していただかなければいけないと思うのですか、今のままでこれを通しても、ことしの作付あるいは地域について自信を持って解決ができるとお考えになっておりますかどうか。
  154. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 今のテンサイの集荷地域の問題は、買い上げを継続するかしないかとは別の問題でございます。これは、先ほどもいろいろお話がございましたが、要するに、テンサイの生産は発展的であるのでございまして、テンサイを新しい地域にだんだん導入いたしまして、それになれてくると、各農家のテンサイの生産面積はふえてくるわけです。そうしますと、ある一定限度まではその集荷区域から出る生産をその工場で処理します。私の方では、標準の工場の基準を、反当四千百斤で、六千町歩、百二十日操業が一番模範的であると考えております。ところが、農家のテンサイの生産意欲がふえ、また北海道庁なり政府かテンサイを作れ作れと言い、また農家がこれは価格支持の関係で非常に得をするということから、だんだんふえてきます。そうしますと、今の反当四千百斤・六千町歩・百二十日操業でなしに、反当の収量も上ってくるし、面積もふえてきますと、結局操業日数を延ばさなければならぬ。ところが、これが、操業日数を延ばしまして、ビートを掘り上げてから貯蔵しておきますと、糖度が下るのでございます。ある限界までくると製糖工場としては損をするということになりますから、その限界を見計らって新しい工場を導入しなければならないのでございます。新しい工場を導入しますと、同じ地域に同系列の会社の工場ができるのであれば、従来の地域をその二つの工場に分け合うことに問題はないのでありますが、たまたまそれが異なる系列の工場でございますると、それがしばしばでございますから、そこで自分の工場で処理し得る以上の生産が出ているのだけれども、それを新しい工場に分けることについてのトラブルができてきておるのでございます。これは、しかし、私の方では、テンサイの生産がもう固定的になっておるのではなくして発展的でございまして、私どもの目標としましては十年後に今の三倍の生産をあげたい、工場数にしても、三十四年から七工場動きますが、少なくとも十五工場くらいまでには持っていきたい、こういうふうになっております。そこで、どうしても先に操業して工場の集荷地域とあとからできてくる工場の集荷地域の調整の問題が必要になってくるわけです。そこで、私どもの方では、先般、その調整を北海道庁、農林省、生産者、製造業者等の協議会で調整していったらいいじゃないか、そういうことを通牒しまして、全体としてテンサイの生産高、テンサイ糖の生産が伸びる方向に調整を加えていくべきである、こういうことを考えております。そのことは、すぐどの地域——工場は動かないのでありますから、工場の経済集荷範囲におのずから限界があるわけでありますから、どこからでも無制限に高くして集めるということはできないわけございまして、おのずから集荷地域がきまるのであります。しかし、工場の経済集荷範囲がオーバラップするという地域もありますから、そういう所では、A工場がよけい払えばB工場もそれに近い地域はよけい払わなければならない、こういう問題はどうしても出てくると思います。これは、三十三年産のテンサイの買い入れについても、やはり農家の方は一銭でもよけい高く工場に買ってもらった方がいいのですから、各所でそういう問題が出ております。これはやむを得ないのではないかと考えます。
  155. 松浦定義

    松浦(定)委員 今そういう問題が起っておることがおわかりになっておって、そうして今度の買い入れについては日甜だけは買えないような法律になったということでありまして、農民としてはやはりどの会社に売っても同じ額であれば文句はないというふうに考えられますけれども、それぞれ会社としても自分の力である程度反別を確保したい、そういう意味で、余裕があればあるほどそういう点農民に対する差はついてくるわけです。これは従来からもたとえば価格なり耕作諸条件団体の交渉的なものをやる場合に多くあったわけです。しかし、これらの団体交渉は、そういう一つの線が画されておりますので、応じられないとか応ずるとかいろいろな問題があって、特にそれがはね返ってきて、地域の問題では今言われたようなこちらから指令を出したような形には私はいかないと思うのです。特に最近そういうようなことについては現地においていろいろ調整をするというお話で、指令を出しておられるといいますけれども、今までやって参られた面についてはまだ不調整の点があるわけです。そういう点を明らかにして、さらにこの問題をよく納得をさせ、これからの新規工場の設置等については今の御構想のようにやはり相当数のものをふやすということになりますならば、この間において、いかに買い上げる買い上げないは別としても、耕作農民の受ける影響というようなものについては何ら支障がないのだということか明確にならないといけないと思うのです。そういう点については全然心配がないというようにお考えになっておりますか。もしそうだとするならば、どういう方法でそれをこれから推進されようとするのか、お伺いいたします。
  156. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは、少し極端に言いますと、千斤当り三千百五十円というのは最低支持価格でございます。従って、それ以上支払い能力があったら、支払ってはいかぬと言うわけにはいかないものであろうと思います。これらはやはり、新設工場なり、あるいは新規の導入地域と、熟練工場あるいは従来からの導入地域とでは、おのずから多少の差異は出てこなければおかしいのではないか、こういうふうに考えるのであります。それを、買い入れば告示価格斤当り三千百五十円、これは不動だ、こういうわけにはいかないのではないかと思います。そこで、私どもか心配するのは、その三千百五十円を抑圧するような方向に制度を切りかえるのであれば、これはお話のように農民に対して不当な取扱いということが言えると思いますが、やはり年数を経て順次優良な工場を模範として他の後続の工場も努力するし、これは工場かできますとその集荷地域を全然遠方へ持っていくということはほとんどできないわけでありますから、あの地域ではこれだけ払っておるのにおれの地域では工場の成績かあまりよくないからこれだけだというのでは困るということは、やはり農家からの要求で工場の精製糖の生産の合理化なりあるいはその低下への刺激になるのではないか、こういうふうに考えるのであります。これは精製糖業者には多少つらいところが出ると思いますが、テンサイの生産者にはこの切りかえが悪い影響を持つとは私ども考えておりません。
  157. 松浦定義

    松浦(定)委員 そうしますと、今のお話では、生産農民については有利だという立場に立てば、この三千百五十円というものは最低である、であるから、たとえば買い上げる工場と買い上げない工場とでは多少それに色がつくのが当然だというふうなお考えだと解釈してよろしいのですか。
  158. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 多少の開きが出るのはやむを得ないと思います。
  159. 松浦定義

    松浦(定)委員 その点が、多少にも限度かありまして、やはりこれからまだまだ工場を新設しようという意欲が会社にもあるわけですから、酪農振興法のときと同じように、会社を作るときはどんどんサービスするけれども、できてしまったらうんと下げるといったように、私どもそういうことを今予想しておるわけです。でありますから、そういう点についてあまりやられますと、それは私はいいですよ、少しでも高くなること自体については今のお話はいいと思うけれども、やはり、地域間においていろいろな問題が起ると、現在起っている問題を解決するのが相当むずかしいのではないかというふうに考えるわけであります。そういう点でお聞きしておるわけですが、今そのような形で、工場別によって多少そういう差が出ても仕方がないんだということになりますと、今日これからの問題については今御説明通りに調整をされる用意があろうと思いますが、すでにできている地域、すなわち網走管内の問題については、聞くところによると、三十四年度は三十三年度と同様であるといったような指令が、前の振興局の所管であった当時に通牒で出ておった、こういうことでありますが、これについてはどういうふうに——今度制度が食糧庁の方に回ったのですが、それでもなおかつ、前の振興局で出したあれについてはそのまま踏襲するお考えであるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  160. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは、三月三日付で北海道知事あて、「てん菜の集荷に関する調整について」という通牒の中に、「てん菜糖の政府買上制度、その他てん菜生産に関する事情の変更があり、この点を考慮して、昭和三十三年十一月七日、三三振局三四三〇号、振興局長通牒(昭和三十四年度の綱走支庁管内における各社別原料てん菜集荷区域について)の方針はこの際改められることとなったので、その後の事態に即し妥当なものにするように留意されたい」ということで、前のものを訂正いたしております。
  161. 松浦定義

    松浦(定)委員 そういう形で前のを訂正されたということについては一応理解できますが、それでは、どういう方針で——すでに今は三月ですから、農家としてはもう作付計画を立てておるわけです。町村計画もむろんそれによって立てておるわけですが、その計画の中で会社の地域というものがどういうふうに理解されて今進められておるか、それに対して現状はどういう経過か、おっしゃっていただきたいと思います。
  162. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 今までのやり方は、どちらかといいますと、現地の調整を、会社同士の話し合いの中に入って農林本省においてきめておったわけです。これからのやり方といたしましては、やはり地元の道庁が中心になって現場に即して調整をしてもらう、こういうことでこの通牒を三月三日に出しましたから、現在は、道庁の方において、三十四年度の作付計画、すなわちこの地域のビート糖工場を経済規模で動かすのにはどういう調整をしたらいいかということで作業を開始しておるものと考えております。
  163. 松浦定義

    松浦(定)委員 私の聞くところによると、それは全然解決がつかない、こういうふうに聞いておるわけです。たとえば芝浦と北連と日甜——日甜美幌工場になるわけですが、芝浦は、既設の地域はわれわれの努力によってこれまでやったということで、一歩も譲らない。北連は北通としてそういうふうに言っておる。美幌の分については十勝管内から持っていくということを前提としてそこに許可されて建ったものだから、これは当然十勝から持ってくるべきだということで、ほかの二工場はその地域を譲らないわけです。ほかから持ってきてもその工場はやるんだという考え方自体が、これから振興しようという地域の問題等については大きな影響があるわけです。そういう点は、道庁にまかせたとはいいながら、やはり、これからの工場はどういうふうにどこで建てられるかということの方針がある程度出てこないと、そこだけで解決するのはむずかしいのじゃないか、こう思うわけです。
  164. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは、これから工場の新設をやる場合と、今お話しの現在の場合と、二つに区別してお考え願いたいと思います。これまでの問題は、私の方で、今までの芝浦の工場を導入し、斜里の北連の工場を導入し、美幌工場を導入するについては、それぞれ三社が寄り合って、あくまでも暫定集荷地域だということで話し合いを進めながらやって、その話し合いに基いて、農林省からそれぞれの社に、そういう注釈付きで通牒を出しておるわけでありますから、お互いに年がたって生産が伸びておりますから、お互いに譲り合って調整ができるはずでございます。しかし、それは、お話のように、おれが開発したのだから他人には譲らないということもあるやに聞いております。しかし、これは、もっとさかのぼれば、そもそも日甜の集荷地域で目甜が開拓したところに新しい工場を入れたのでありますから、これはやはり同じ立場で話し合いをつけなければならない、こういうふうに考えます。そこで、当面の問題としましては、道で今三十四年度の十勝、紋別、網走、この地域の作付可能面積を出しまして、それに基いて、美幌工場を動かすのには十勝からで足りるのか、足りなければ果して紋別の方によけい出るのか、網走の方によけい出るのか、そういう数字を作業している段階だと思います。それができますれば、道議会であらためて最後的な結論が出るということになると思います。この点は、私どもの方で議論しましたときには、むしろ今まで農林省があまり出すぎておったのだ、北海道庁の方にまかせれば僕の方でやるのだという話も出ましてやっておるわけでございます。将来の問題としましては、これは年度別の町村別の作付計画を見まして、そして何年になればこれだけの可能性があるのだから、その地域に新しい工場を入れればその集荷地域は大体こういうふうに変更するのだという見通しをつけてからでなければ、導入はできにくいと思います。ことにこれからは先進地よりも後進地の方に発展する面積が多いだろうと思いますから、なおさらそういう問題は工場を導入する前にはっきりした見当を立ててからやらなければならぬ、こういうふうに考えております。
  165. 松浦定義

    松浦(定)委員 そうしますと、これはやはり農民の意思を尊重して地域をきめるのか、たとえば道庁にしても政府にしても自分たちの考え方でずっときめてしまうのか、その点私は明確にしなければいかぬと思うのです。農民の意思をどうしても尊重するというなら、やはり今の網走管内の三工場というものは網走管内で三工場が維持できるようにすべきだと思うのです。実際問題としては、現在一万五千町歩あるのですから、平均に割ったって五千町歩あるわけです。三十四年度にはやはり一万七千ないし八千町歩になるでしょうから、十分三工場か維持できるくらいになるわけです。たとえば、十勝から持ってこい、そしてもう一工場作るという動きの中に置いておいたのでは、私はこの地域の問題というものはいかに道庁にまかせても裁定はできないと思います。そういう点で、少くとも地域性というものを考慮して、そしてやらなければいかない。というのは、今まで日甜なら日甜が何十年の間北海道全体の地域性を見てやっておりましたが、それか今度は細分化された。しかし、細分化されても、あくまでもこれからは地域性の中からそれを維持していくというのでなければいけないのだが、やはり、自分のところでは既設の工場をできれば二つにふやすとか、足らないものはあくまでも他の管内から持ってこいというようなことはいけないと思います。それはおわかりになると思うのですが、今の三十三年の三月三日の指令ば、あくまでそういうことを前提として断行するというか、そういう決意でこれをやられるのか。もしそうでなしに、今の日甜については、北見では余っておるくらいだけれども、一方においてはずっと操業を延ばす、片一方では足らぬ分は三十四年度よりは十勝から持ってこいということでことしやられるというならば、先ほど申し上げましたように、やはり私は新工場設置には相当問題か残る、こう思うのです。そういう点で、地域性というものを十分考慮して、網走管内一万五千町歩のやつを一万七千、八千町歩にする、だからそれを三等分する、しかしふえたときにはどの会社がもう一工場建てるということについては、そのときに考えるというふうに明確にしていただかないと、どうもこれからのあれについては相当問題があると思うのです。こういう点についてまず御意見を承わりたいと思います。
  166. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 大体お話の通りでございます。ただ、あの地域にすぐ三十四年度からその地域だけで原料をまかなえといっても、これは無理でございますから、やはり、年を追ってテンサイの生産を伸ばしていくということになれば、順次今までほかの地域から入れておったものもその地域でまかなわなければならない、それが原則だと思います。ですから、私の方では、この通牒は前出した方針を変えておるので、役所としてはちょっとつらいのであります。しかし、今後の新しい工場を導入するものについて、計画を立てて将来トラブルがなくなるようにしなければならないという前提からすれば、どうしてもそこへ返ってこなければいかないというので踏み切っておるわけであります。
  167. 松浦定義

    松浦(定)委員 今は会社の能力によって必要なものは他の管内から持っていってやることはいいが、満度になる時期がきたときには他からは受けないということにして、満度以上になりかけたからまた別に作ってまた入れるというような、そういう方針はいかないということだけは確認を願いたいと思います。  そこで、そういう形になりますと、たとえば三十八年までに三工場くらいのものができるという方針は、これは極力増反計画をやらなければならぬと思いますからできると思いますけれども、その場合にたとえば十勝においてこれからどこのどういう工場をだれが建てるかということが問題になる。それは町村計画を立てましてその上に立ってやってもらうという方針でいいと思います。いいと思いますが、やはり地域の問題がいつまでたってもやはり問題になると思います。私はこれは一応意見としてお聞きしたいと思うのですが、少くともこれだけ力を入れて政府がやる、そうして今申し上げましたようにいろいろの形で農民もある程度これを了解するに苦しむようなものがあるとするならば、農民も安心し、あるいは会社におきましてもその点について心配のない操業ができ、あるいは会社の施設についても話し合いの中でできるとするならば、少くとも指定地域というものは全然しないで、そうして、たとえばテンサイ原料出荷の一つの協同組合的な機関を作って、それが全部総括して、五万町歩できれば、それを工場の能率に応じてわける、たとえば一元集荷多元販売になるわけですが、そういう形でやれば、これは地域の指定は問題ないし、あるいはどこに会社を作ろうと、それは農民の立場からいけば問題はないわけであります。それはあくまで重点的に経済効果のあるところへ工場を立ててやればいいということになるので、たとえば道庁がやる場合におきましても非常にこの点は促進されると思う。そのくらいまで一歩前進させてやるように指導されたらいいんじゃないかと私は思うのですが、それについてのお考えをお聞きしたいと思います。
  168. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 実は、北連の工場を作るときに私は反対したのであります。その趣旨は、北連は北海道全体の農民の組織であって、斜里にテンサイ糖工場を作れば、斜里地域だけの農民の恩恵になる、これは北連の本来の姿を逸脱しておる、むしろ、お説のように、北連はテンサイの集荷を全面的にやって、それを各種のテンサイ工場に届けて、取引条件等の公正等をやることこそ北海道経済連の本来の仕事ではないかということを言ったのでございます。しかし、それは実現できなかったのでございます。しかし、お話の点は非常にもっともなのであります。イギリスの区歴史を見ますと、イギリスには十七のテンサイ工場がございますがそういう問題から一つに合同してしまったのであります。これは、一つの産業の発展過程においては現在やっておるようなものをもう少し合理的にやることができるかできないか、できればそれでよい、できなければお説のような問題も取り上げなければならない、こういうふうに考えております。
  169. 松浦定義

    松浦(定)委員 大体私の申し上げたことに反対ではないというあれですから、この点については十分これから検討していただきたい。私は、そういう形にしないと、この法律に基いて振興されるということについての方策が並行していかないんじゃないかと思う。こういうことになりますから、この点一つ十分御検討願いたいと思います。  それと最後に、いろいろそういうような問題もありますし、すでに道の方へ三月三日に指示されましても、なかなか道の段階ではめんどうであろうかというふうに私どもは考えております。さらに、三千四年度以降の新設につきましても、各工場が競って申請をしておるということでありますから、これらについても相当政府当局としても御配慮はされておると思いますが、今幾つの工場の申請が、たとえば農地転用の申請等が中央まで上ってきて、どういう経過になっておるか、この点をちょっとお伺いいたしたいと思います。
  170. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 それは、お手元に「砂糖に関する資料」を配っておりますが、その三十二ページをごらん願いたいと思います。これは、大日本製糖が十勝の本別町、明治製糖が同じく池田町、名古屋精糖が芽室町、日新製糖が幕別町、それから目甜の帯広第二工場か帯広、大阪製糖が同じく浦幌町、芝浦の第二工場が空知の由仁町、台糖が上川支庁空知の富良野、こういう八工場が北海道には名乗りをあげております。そのうち六工場が十勝平野に出ておるのでありまして、現在までに大日本製糖と明治の二社が農林省まで農地転用の申請が上ってきております。
  171. 松浦定義

    松浦(定)委員 それで、政府の方針としては、大体これらの新工場が何年度に設立することが適当であるとお考えになっておりますか、お聞きしておきます。
  172. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 現在まで作業をしましたトータルの数字を先般資料としてお配りしておりますが、三十八年に作付面積が五万九千町歩、その当時の反当平均収量は四千三百八十斤、こういうことになっておりますから、三十八年までにはあと工場導入できる計算になります。しかし、これは一応北海道のビートの作付可能面積を支庁別に推定して出しておるのでありまして、これを町村別にブレイク・ダウンしますと、今の集荷地域等の関係から言って、実際に導入できるピッチは多少ずれるんじゃないかと思っております。そこで、大体町村別の数字が四月になれはできまずから、それを見合いまして、先ほど来お話がありましたように集荷地域で紛議が起らないような限度において工場の導入を考える、その工場をだれが始めるかということは、今までの関係の方々の間で協議決定していただかなければならない、こういう段取りになろうかと思います。
  173. 松浦定義

    松浦(定)委員 時間がちょうど一ぱいになりましたので今度は委員長にちょっとお願いしておきますが、お聞きの通りに、この振興法案あるいは納付金法案については相当私は重要な問題があると思うわけなんです。従って、先ほど申し上げましたように、農民の方では全量買い上げてほしいと言っておるし、業界についてもそういう陳情をいろいろされておるわけなんです。ぜひとも全量買い上げるようにしてほしいということを当委員会においてもわれわれ陳情を受けておるわけです。しかしながら、この問題をこのままにして、きょうあたり討論採決したいというお気持があるようですけれども、われわわとしては、これをもう少し検討する必要があると思う。しかし、いつまでもこの問題を長引かせようとは考えておりません。従って、この両法案につきまして、今三十三年度の地域の問題で討議しておりましたように、日甜と芝浦、北連の地域協定が道にまかされたといいながら、これはすぐにも解決しなければいかぬ問題でありますから、そういう点をこちらからある程度促進する意味において、また、さらに新設工場工場の申請があり、三十八年までにはどうしても三工場ぐらい新しい工場ができるように増反計画も立てたいというのでありますならば、この際そうした新設工場の申請をしている各会社、あるいは現在地域の問題でいろいろ対象になっている会社、さらに納付金あるいは振興会の法律によっていろいろ問題になっている各業界から、これは代表的な方でけっこうだと思うのですが、参考人として当委員会に明日でも来ていただいて、それらの方の意見を聞いた上で、皆さんが十分納得してこの法案の可否を決定する、こういうことで最終的にきめるべきであるというふうに考えますので、一つ理事会においてお取り上げになってよろしく御検討願いたいということを委員長に要求いたしまして、私の質問をきょうは一応これでとどめておきたいと思います。
  174. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 後ほどまた御相談いたします。  中村時雄君。
  175. 中村時雄

    中村(時)委員 先ほどの続きになるわけですが、先ほど長官は、日甜美幌工場生産量は一万五千トン見当と予定しておる、こうおつしゃられたのですが、それはその通りだと思います。また、そうだとすれば、三工場で五万五千トンということもおっしゃられたわけですが、美幌で一万五千トンですから、これを合計いたしますと七万トンになって、今年の三工場生産量七万二千トンよりも少くなってくる、こういう計算が出てくるのですが、これは一体どういうことですか。
  176. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは、六千町歩・四千百斤・百二十日操業、そういうことで見ているわけでございます。
  177. 中村時雄

    中村(時)委員 それで見ているにしても、現実に考えてごらんなさい、今よりも減っていくのですよ。先ほどの答弁では、日甜美幌工場生産量というものは一万五千トン見当を予定しておる、こうおっしゃった。そうだとすれば、三工場で今年度は幾らかと言ったら、大体七万二千トンから七万五千トン出ているとおっしゃる。それをあなた方が言われるのを百歩譲って五万五千トンとしても、美幌工場が一万五千トンですから、これを合計してごらんなさい、七万トンになる。そうでしょう。そうすると、今年度三工場で七万二千トンにかかわらず、今度それよりも減ってくるのはおかしいじゃないかと言うのです。
  178. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 今年の実績は反当収量からいきましても四千百斤を越えているわけでございます。歩どまりの計算も今年は非常にいいわけでございます。で、今の七万五千トン、七万二千トンと申しましたのは、まだ最終的な締め切りができていないのでありますが、二月までの実際の工場歩どまり生産量から言ってそれだけできたので、それを毎年期待することはちょっとむずかしいのでございまして、来年も天気がよくて、歩どまりあるいは反当収量が上ればそれは予想できるのでありますが、それが常にそうであるということを予定して計画を立てていきますとそごか出て参るものでありますから、安全をとってそういう数字を出しております。
  179. 中村時雄

    中村(時)委員 どうもあいまい模糊としておるのだが、計算してごらんなさいよ。ともかく三十三年度は三工場で七万五千トンできておる。そうでしょう。それをあなたのおっしゃるように平均にいたしまして五万五千トンと見てやっていった場合には、美幌工場において一万五千トンというのですから、三工場プラス一万五千トンということにして幾らになるかというと七万トン、四工場になって七万トンでありながら三工場のときには七万五千トンになると、非常に甘いものの考え方をしているのではないか。先ほど言ったのはこういうことを言ったのです。
  180. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは、先ほどからいろいろ議論が出ておるのですが、新しい工場を導入するまでには新しくふえていくわけであります。これを端的に言いますと、三十三年は五工場で三万五千町歩であります。三十四年には七工場操業しまして四万二千五百町歩ですから、一工場当りのあれは減るのでございます。ですから、どうしても、たとえばもっと端的に言えば、日甜の地域から、台糖に四千五百町歩分けなければならないわけですから、それだけ食われるわけです。伸び切って、操業日数を延ばしてそうして歩どまりを落してまで操業するのが、これは仕方ない、農家に作らしているのだからしなければいかぬので、それが果して工場として採算的な操業であるかどうか、こういう問題でございます。これは二つの見解があって、今松浦さんが言っておった、おれの方は少々歩どまりが落ちても芝糖の北見の工場は七千五百町歩処理するのだといって分けないというのですから、ある段階ではそういうでこぼこができるのはやむを得ないのであります。
  181. 中村時雄

    中村(時)委員 ですから、先ほど松浦さんか不審に思って言ったのもそれなんです。まずその地域、耕作面積、それに伴う買入価格の問題、そういうものを総体的にして三工場で七万五千トンできて起るのだから、それを確保しておいて別のところでまた別に作るというなら話はわかるのです。しかし、あなたのおっしゃ、るようにそういう新設工場に対して作ったものが数軍が減るということになると、どうも解せぬ問題が出てくるんじゃないか、こういうことになるのですが、その点はこれ以上問題は出しませんが、よく御配慮を願いたい、こう思うわけです。  それから、最初の一、二年間というものは美幌に原料を分けるとしても、漸次美幌中心の作付が拡大される、これはもう当然のことだと思うのです。そこで、旧三工場美幌への原料供給は少くなってくるわけです。そうでしょう。そこでまたその旧三工場中心の作付は逆にふえることになる。そこで三工場生産は漸次増加することになってくるわけでありますが、いずれにしても、五万五千トンというものは、そういう換算から言っても、非常に五カ年間の平均としては私は少な過ぎるように結論的に考えられるのではないかと思います。一体あなたはどういうふうにお考えになります。
  182. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは、先ほど資料で御説明申し上げましたように、十勝には六工場の申請があるのであります。これは、お話のように、美幌工場が順次オホーツク海沿岸で原料を確保する、そうするとそこに入る余地かあるということが一つのねらいでございます。そうしますと、途中の段階では、今ことしと来年の比較の御指摘がありましたように、ある時期にはふえることがあります。しかし、そこに一工場入れればまた下る、こういうことになるわけでございまして、その関係の五カ年の推移を見て五万五千トンと平均値を出しておるのでございます。
  183. 中村時雄

    中村(時)委員 まあそこまでいけば、五カ年間で五万五千トンで今の現状の三工場よりも減っておるということになれば、何も作らぬでもいいじゃないかという結論も出てくるわけなんですが、それはそれとして、次にお尋ねしたいのは、国際糖価が三セント一〇ということを先ほど私は言ったわけです。そこで、あなたは、それも長く続かない見通しである、またそのような非常な低落等は考えられないということをおっしゃいましたが、納付金をとるときに、現在のような状況でもということは、今三ドル一〇ということはもうすでに三カ月も四カ月も続いているわけなんです。現状のままで移行されるような場合においてもこの納付金六円というものはとるつもりでおるのかどうか。
  184. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 まず第一点に、その第四条で減免しない程度の値下りの場合にはどういうふうにするかという、こういうのでありますが、それは第八条で、「砂糖の価格が長期にわたり政令で定める価格水準より低落した場合その他政令で定めるやむを得ない理由がある場合において、特別てん菜糖製造業者が納付金を一時に納めることが困難であると認めるときは、政令で定めるところにより、その納めることが困難であると認められる金額を限度として、その者の申請に基き、三年以内の期間を限り、その徴収を猶予することができる。」、こういう規定がございまして、たとえば七十三円が七十一円ということになれは二円の差が出てくるのですが、その計算はこういうふうにしようと思っております。一年間の砂糖相場を、これは取引所の引揚を日銀の卸売物価指数の平均で出しまして、それと、政令で定むる糖価水準というのは七十三円ということにしておりますので、その差額か出ますから、それにその年の生産数量をかけた金額の範囲内において申し出があれば猶予しよう、こういうことであります。
  185. 中村時雄

    中村(時)委員 ところが、予算の上においてはこれはきちっとしてあるわけでしょう。その予算の関係等は、どうなってきますか。
  186. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 予算の関係は、先ほど御質問にお答えいたしましたように、通常の場合において五カ年問に十六億六千万円の納付があるものという前提で、毎年三億三千万円ずつ平均的に納付を行う、こういうように予定しまして、それは一般会計の予算にてん菜振興会に対する出資金として予算を計上します。片や歳入の雑収入の納付金の方に三億三千万円の収入として計上されます。これは何も直接のつながりは出てこない、別々に計上するわけでございます。それはあくまでも通常の場合にはこれかあるということで、もし通常の場合でなくなった場合には、今度は納付金の収入が実行できない、こういうことになるわけでございまして、大蔵省との話し合いでは、振興会を作った以上は、五カ年間に十六億六千万円を予定しておるのでありますから、振興会に対しては支障ないような毎年の財政支出は考えていただく、こういうことで一般会計出資金並びに補助金として計上することになっています。
  187. 中村時雄

    中村(時)委員 ちょうど大蔵省からはだれも来ていないのですか、だから大蔵の主計局長にも来てもらってその問題の解明をしてもらいたい、このように思うわけなんですが、その問題は後日に譲るとして、この法案の要綱によれば、先ほどから長官がおっしゃっているように、年間五万五千五百トン、それが日甜のビートを対象に今後五年間に十六億六千万円ですかの納付金を目甜から納付させるために、斤当り三円六十銭、キロ当り六円の差益を徴することになっておる。しかし、この差益徴収の基礎はどういう基礎でやったかということを先ほどお聞きしましたら、ビート工場の標準価格を、これはおそらく斤当り二円の資本利子も含めているのだろうと思いますが、五十三円十四銭、こうおっしゃっている。旧三工場価格は今までは四十五円五十銭ですか、さらに新規の美幌工場及び旧三工場の改良補修といいますか、そういう問題に関しての投資償却額を二円五十銭と見て、おそらくこれらの差額五円十四銭を、さらに七〇%にしていったのじゃないか、こういうふうに私たちは見てとっているのですが、いかがですか、その通りですか。
  188. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 その通りです。
  189. 中村時雄

    中村(時)委員 その通りであるというなれば、この差額金の七〇%を対象にした意味は非常にある意味では不確定な要素を織り込んでいるのではないか、旧来の三工場コストが四十五円五十銭としたところに疑問が一つあるのじゃないか、こう思うのですが、さらに、標準原価を五十三円十四銭とした根拠が、あなた方が考えている今までの答弁を見ると、非常に理想的な状態を想定しているように見受けられるわけなんですが、実情とはへだたりがあって差益徴収となるおそれが出るのじゃないか、私はこう思っているのが一点あるわけなんです。というのは、そのことはこれから説明いたしますが、それはどういうことかといったら、標準価格が五十三円十四銭、これはビートの原料、先ほど言っておりました千斤当り三千百五十円ですか、それから二番目には作付面積をあなたは五千町歩とおっしゃった、それからもう一つ工場の日産能力が大体千二百トン、これを基礎にしていられた、こう思うわけなんです。その三点を前提にして、この条件のもので経済操業を行なった際には今まで言いましたところの原価になるということであって、現実には、北海道ビートに進出する場合に初年度から六千町歩という土地が果して確保できるかどうか、こういう問題が新設工場には出てくると思うのです。そうすると、その三点を原則にしていった場合に、耕作面積の六千町歩というものがすでになかなか入手困難という状態になりはしないかと私は思うのですが、どうですか。
  190. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 その通りであります。ですから、初年度は、今後進出するものについてはその工場の特殊性を織り込んだその工場の特別価格というものを作って買い上げる、こういうことにいたしたいのであります
  191. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、現実に今の日甜価格と今度の新設される工場価格というものとは大きな相違になると私は思うのですが、その点いかがですか。
  192. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これから新設する工場とは大きな開きになります。しかし、新設のものは今申し上げましたように政府が買い上げますから、日甜とは直接競争関係には立たないと思います。
  193. 中村時雄

    中村(時)委員 競争関係には立たないけれども、その較差に対してどういう対策をとろうとしていますか。
  194. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは政府が買い上げるのでございますから、あくまでも、初年度操業上のいろいろなトラブルなりあるいは原料の、つまり新しい工場ができるまで旧来の工場が育成をすることはできないのでありますから、台糖が今四千五百町歩、それ以上にはなかなかふやすのに非常に苦労をしておるような工合でありまして、一ぺんに一躍適正なところまで持っていくことはできない、しかし、それをそのまま標準価格で買ったのでは初年度の打撃が非常に大きいから、それはテンサイ糖業の育成あるいはテンサイの育成とは背馳しますから、その分は初年度の特殊事情として特別の価格で見てやる、こういうことであります。
  195. 中村時雄

    中村(時)委員 新設工場はそれでいいのですよ。特別の価格で買い取るわけなんだが、しかし、それに基いて日甜なら日甜というものは非常に格安のものになって現われてくるということになります。その場合、較差のある場合に安い値段で操作をしようとした場合に、糖業界全体に非常に価格の乱れが来やしないか、こういうことを心配するわけなんです。それに対して何かお考えがありますか。
  196. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは、おそらく、先ほどの私の方の計算で、差額の七割を見て、三割の余裕を残して、その三割の余裕だけ競争力がまだ残っておって、一般市場に暴れる余地を残しておるのじゃないか、こういうお話じゃないかと思います。その点は私の方も考慮に入れておるわけでございます。ただ、私の方で計算した場合に、販売経費七円ないし八円ということで見ております。これは、精製糖業者の関係の方から言えば、それはやってやれぬことはないけれどもちょっときつい、大体十円くらいの販売経費がなくてはいかぬ、こういうふうな説もあるわけですから、そういう点とか、あるいは糖価が、御指摘のように、長い目で見ればたとえば七十三円で維持できるとしても、そのつど多少のふれは起り得るわけでございますから、そういう際にやはり売れなくては困る、こういうことを考慮して七割という線を出しておるのでございます。きちっと計算通り政府が買い上げるならば、販売の苦労なんかは個々の業者に与えないが、政府が買い上げる場合政府の販売経費は五円くらいになります。入札でもって売ることになりますか、しかしそれが売れなければ長期に持たなければならぬから金利保管料がかかります。今までの実績はそのくらいになる販売経費の見方もあるわけであります。
  197. 中村時雄

    中村(時)委員 もうちょっと具体的に進めてみたいと思うのです。大体四工場の加重平均というものは斤当り四十八円四十五銭、こういうふうに見て、一歩を譲ってこれを正しいとした場合、それも非常に甘いということを取りのけて正しいとして見た場合に、同社の納付金を納めたあとの保税価格は一体斤当り幾らになりますか。それと、消費税込み一体幾らになるか。先ほどからのお話をずっと聞いておると、私たちの想像では、保税価格斤当り五十三円五銭、消費税込み六十四円六十五銭、こういうことになるのですが、これは間違いがあるかないか。
  198. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 お話のコストをかりに四十八円といたします。それに納付金斤当り三円六十銭、五十一円六十銭、それに販売経費を八円と見れば、五十九円六十銭、十円と見れば六十一円六十銭、それに消費税十二円六十銭というものをなにしますと、七十二円二十銭と七十四円二十銭、その間におちつく、こういうことに考えていただきたいと思います。
  199. 中村時雄

    中村(時)委員 ちょっと私ははっきりわからないのだけれども、私の聞いたのは、消費税込み幾らになっておるか、消費税込み六十四円六十五銭という計算の仕方なのか。
  200. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 今の四十八円というのは販売経費が入ってないのであります。ですから、これに販売経費を加えると、四十八円に三円六十銭、十二円六十銭で、六十四円二十銭になります。
  201. 中村時雄

    中村(時)委員 国内糖価の斤当りの七十三円というのは販売経費を含めていますか。
  202. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 そうです。
  203. 中村時雄

    中村(時)委員 委員長から時間の制限をだいぶ強硬に受けたので、一応これでやめますけれども、良識をもってという委員長からの御忠告もあったので、そういう点ははっきりとさせておきますが、少くとも私たち社会党の各委員は、そういう時間的な問題はきっちりといたしますし、重複もさせないような状態で討議もしておるわけです。そういう観点から一応これで控えますが、最後に一言お願いしておきたいのは、この問題の質疑はまだたくさん残っておることはおわかりの通りであります。そこで、いずれこれは小委員会で一応結論を出して、そうしてお諮りをしていただきたい。そのように思っておりますので、その点最後に委員長から答弁をしておいていただきたい。
  204. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 お申し出、承知いたしました。後刻御相談申し上げます。  保岡武久君。
  205. 保岡武久

    ○保岡委員 この前私も南西諸島におけるサトウキビ、カンシャ糖の問題につきまして御質問申し上げたのでありましたが、その御質問はまだ中途半端でありましたので、二、三続けてお伺いして、御答弁を願いたいと思います。  この前農林政務次官からいろいろお答えがあったのでありますが、カンシャ糖に今後十年間に二十万トンの増産の目標を立てておられるわけであります。そのうち十四万トンを大体沖縄諸島に依存し、あと六万トンを奄美群島並びに種子島その他沿岸地方というようにお話があったようでございますが、現在その他の地域は非常に少いのでございますから、奄美群島だけを考えてみますと、一万五千トンをちょっとこえている程度の黒糖生産が今行われているということに相なっております。今後は、この前も申し上げましたように、黒糖ではもうすでに需要の限界がきておりますので、今後増産するものにつきましてはどうしても分みつ糖に移行していくことになるわけでありますが、六万トンの目標に対して現在わずかに一万五千トン、各地合わせて二万トン程度しか生産されておらないのであります。従って、これを三倍に増産するということはなかなかの問題だろうと思うのです。奄美群島だけの耕作面積を考えてみますと、大体四千三百町歩前後になっておるのでございますけれども、これはすでにあの島の耕作面積の非常に少いところにおいてなお三四%程度カンシャ畑に使っておるということでございますので、これを三倍に増反するということはとうてい不可能であります。従って、やはり栽培技術を高度に発展させまして反収の増加を飛躍的にはかっていくということが大事ではなかろうかと考えておるのでございますが、これについて政府のお考えになっておられる指導は、非常に不徹底と言っては申しわけありませんか、非常に研究が足りないのじゃないか、かように考えられるわけであります。そこで、南西諸島における今後の増産という問題につきましては、政府といたされましても相当なお考えでこの増産の指導に当っていただかなければならぬのでございます。私はこの前どういう計画を持っておられるかということを伺ったのでございますが、その計画についてのお答えがあまり具体的でなかったと思いますので、この際一つ承わって、もしなければ、今後それの強力な計画を立てるというような御方針なりとも承わっておきたいと考えます。
  206. 石坂繁

    石坂政府委員 一応私から今後の増産並びに指導の概略の計画を申し上げまして、なお事務当局から具体的のお答えをいたしたいと思います。  目下御承知の通りに鹿児島県の種子島に国立の試験地を設けております。ここで試験研究に当っておりますが、新たにわせの品種であるCPができまして、これがようやく普及段階に入ったところであります。従いまして、この方は奄美群島その他の島だけでなしに鹿児島県の大隅半島、薩摩半島にもこの品種を導入いたしまして、さらに九州西南地方の畑作試験地もあわせまして、今後これが普及指導に十分力をいたしまして、サトウキビの生産につきましてもこれらの試験地を中心といたしまして研究、普及をはかって参りたいと考えております。
  207. 保岡武久

    ○保岡委員 お話はよくわかるのでございますが、先ほど申しますように、増産には相当な指導力が必要なことは申すまでもないのでございますけれども、種子島にある試験地だけでは徹底した指導はできないのではないかと考えておるのでございますが、試験地の施設をもっと拡充される御意思はないかどうか、伺いたいと思います。
  208. 石坂繁

    石坂政府委員 私どもも、種子島の試験地だけでは十分でなくて、将来徳之島に試験地を設けたらどうかという地元の御意向のあることも承わっております。従いまして、こういう問題につきましても今後十分に検討をいたして参りたいと思っております。その他の具体的のことは事務当局からさらに補足いたします。
  209. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 先ほど政務次官から申し上げましたように、栽培面積は五千五百町歩ほどございますが、それを将来種子島、屋久島で二千町歩、奄美大島で五千町歩、鹿児島県の大隅、薩摩半島で三千町歩、大体一万町歩ぐらいにいたしまして、倍程度に持っていきたい。それから、品正極といたしましては、今まではPOJという品種であったのでありますが、最近CP三六あるいはF一〇五というような品種が入って参りまして、これによりまして反収が相当増加するということになって参ったのであります。こういうことによりまして、現在三万トン近い生産量でありますが、それを倍の六万トンくらいに持っていきたいということでございます。  それから、試験地は、現在種子島に二研究室がありまして、そのうちの一研究室が暖地ビートとカンシャの研究に当っておるわけでございます。この種子島のカンシャの研究はなお今後伸ばしていくということに考えております。その他奄美大島におきましても現在こういうカンシャの増産計画がございまするので、それを拡充していきたいというふうなことで研究をいたしておるような次第でございます。なお、本土につきましては、今度都城の近くに畑作の試験地を設けることにいたしておりまして、そういうところにおきまして研究をしていくということにしております。
  210. 保岡武久

    ○保岡委員 増産、指導についてはわかりましたが、今後分みつ糖に移行していくためには相当高度な企業施設を持っておる工場の進出が必要なのは御承知の通りであります。すでに黒糖をできるだけ搾汁の度を高めるために高度な機械力を持っている工場が若干進出いたしておりまするが、これらがおそらく分みつ糖工場に移行すると思うのでございます。なお、その他にも、今度の税制改正によりまして、分みつ糖工場を現地に作りたいという希望が相当あるように聞いておるのでございます。しかしながら、一面から考えてみますと、ちょうど北海道のテンサイ糖の工場と同じように、やはり原料供給という問題が相当重大な問題になって参るわけであります。その意味から、これは現地においてもいろいろ苦心することと思うのでございますが、政府としましても、たとい小さいところでありましても、やはり十分にそういう実情を把握せられまして、そして適切有効な御指導をしていただくようにお願いすると同時に、また、そういう進出する工場等につきましては、一つの国策の線に沿うて今後融資等の問題についても特段の御協力をわずらわしたいわけで、これについてのお考えを承わりたいと思います。
  211. 石坂繁

    石坂政府委員 ただいま保岡委員から御指摘の点は、これを十分に心得て参りたいと思います。
  212. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 次会は明十一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時三分散会