○角屋
委員 木曽川下流の三重県の既得利水権の問題については、用水樋管名、取水個所、水利権者、用水量、灌漑面積、こういう形において二十カ所の用水樋管名ごとにそれぞれ用水量が具体的に数字で示されまして、合計として三十二・二五七立方メートル毎秒、こういうふうにはっきり実は数字として現われておるわけでございます。その点で、愛知県側の調べと三重県側の調べとの間に食い違いが生じておることは常識的には
考えられないわけでございますけれども、御承知のように、最近愛知県その他で
新聞をにぎわしております東海製鉄誘致問題について、愛知県側では、御承知の知多半島の横須賀町付近の地先に埋立工事をやって、
先ほど来質問の
経過でも明らかなように、愛知用水
事業の用水路を地先として使って工業用水を得ながらそこに工場を建設したい、こういうことについて愛知県から公団、農林省にこういう運動が行われ、あるいは三重県側においても、桑名あるいは四日市の埋立工事を海岸地帯にやりまして、工業用水等に対する設計計画等も立てながら誘致運動をやっておる、こういう状態にあることは御承知の
通りだと思います。この工場用水をいずれに誘致すべきかという問題については、政治力の差であるとかあるいは動きの巧妙・拙劣などによって
決定されるべきでないことは当然であります。いわゆる木曽川の水というものを新しく分水すべく、愛知用水方面に具体的にはどの程度振り向け、本来の本家たるべき木曽川の流域にどの程度に向けるべきかということは、政治問題ではなくして、やはり科学的な立論の基礎と過去の既得
権益というものを十分に尊重した
立場から真剣に
考えられなければならぬ問題だと思います。従って、
先ほど来申し上げておりますように、愛知用水の計画について具体的に基本計画というものはすでにできており、その計画の
変更を伴うような問題が今日いわば政治的な問題として出てこようとしておる、こういう場合に、農林省として、あるいは
関係各省としてどう対処すべきかという問題については、十分慎重を期さなければならない問題だと私は思うのであります。そこで、この問題の推移いかんによっては、具体的に現地の設計計画あるいは現地の実態、こういうものに基いて、かりに愛知県側の要請のような問題が生じた場合にそういう科学的な
根拠がなくそれが実施された場合、木曽川の下流におけるところの塩害問題、あるいは将来の利水の
増大傾向に対する支障問題、あるいは木曽川の下流におけるところの治水からする当然流さなければならない水の枯渇問題、こういうものが生ずることによって
関係住民に大きな支障が出た場合、その補償の
責任は一体どこが負うのか、こういうふうな問題にも発展しかねない性格を持っておるだろうと私は思う。こういう問題については、やはり
関係各省で慎重に
考えなければならぬし、同時に、この地域が木曽特別開発地域として計画がなされ、いわゆる伊勢湾臨海工業地帯の工場配置を具体的にどうするのが中京地区におけるところの将来の発展から見て妥当であるか、こういうこと等も十分勘案して
考えなければならぬ性格の問題だと思うのであります。この点について、今当面問題になっております東海製鉄の問題に対する基本的な農林省としての態度について、これは政務次官も従来の
経過についてはわれわれ
委員からも
お尋ねがございまして御承知だと思いますけれども、率直にお答え願いたいと思います。