運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-03-18 第31回国会 衆議院 内閣委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十八日(水曜日)     午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 内海 安吉君    理事 岡崎 英城君 理事 高橋 禎一君    理事 平井 義一君 理事 前田 正男君    理事 受田 新吉君 理事 木原津與志君       植木庚子郎君    小金 義照君       纐纈 彌三君    始関 伊平君       綱島 正興君    富田 健治君       橋本 正之君    船田  中君       保科善四郎君   茜ケ久保重光君       石橋 政嗣君    石山 權作君       柏  正男君    中原 健次君  出席国務大臣         国 務 大 臣 伊能繁次郎君  出席政府委員         総理府総務長官 松野 頼三君         防衛政務次官  辻  寛一君         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (教育局長心         得)      小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  山本 幸雄君         防衛庁参事官         (衛生局長)  石橋 卯吉君         防衛庁参事官         (経理局長)  山下 武利君         防衛庁参事官         (装備局長)  小山 雄二君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 三月十七日  委員安倍晋太郎君、濱地文平君及び森清君辞任  につき、その補欠として高橋等君、田村元君及  び町村金五君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月十七日  文官恩給調整に関する請願鈴木正吾紹介)  (第二二九五号)  同(荒舩清十郎紹介)(第二二九六号)  同(帆足計紹介)(第二三四三号)  同外四件(菅家喜六紹介)(第二四七一号)  同外三件(八田貞義紹介)(第二四七二号)  同外五件(助川良平紹介)(第二五〇一号)  同外二件(八田貞義紹介)(第二五〇二号)  同(三和精一紹介)(第二五二四号)  同(天野光晴紹介)(第二五四二号)  同外一件(齋藤邦吉紹介)(第二五四三号)  召集旧軍人関係恩給加算制復元に関する請願  外一件(荒舩清十郎紹介)(第二二九七号)  同外二件(高石幸三郎紹介)(第二二九八  号)  同(大久保武雄紹介)(第二三三〇号)  同(高橋等紹介)(第二三五七号)  同(池田清志紹介)(第二四四四号)  同(福田篤泰紹介)(第二五二三号)  同(内藤隆紹介)(第二五四五号)  恩給法の一部を改正する法律案の一部修正に関  する請願加藤常太郎紹介)(第二二九九  号)  同(三和精一紹介)(第二三五六号)  同(岡崎英城紹介)(第二四四六号)  浜坂町及び温泉町の寒冷地手当引上げ等に関す  る請願小島徹三紹介)(第二三〇〇号)  建国記念日制定に関する請願藤本捨助君紹  介)(第二三〇一号)  同(山本猛夫紹介)(第二四七四号)  寒冷地手当増額に関する請願外二件(石山權作  君紹介)(第二三四四号)  同(小沢貞孝紹介)(第二三四五号)  同外二件(栗林三郎紹介)(第二三四六号)  同外四件(鈴木一紹介)(第二三四七号)  同(中島巖紹介)(第二三四八号)  同(松平忠久紹介)(第二三四九号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第二三五〇号)  八鹿町の寒冷地手当引上げ等に関する請願(小  島徹三紹介)(第二三五一号)  同(小島徹三紹介)(第二四四八号)  関宮町熊次地区寒冷地手当引上げ等に関する  請願小島徹三紹介)(第二三五二号)  同(小島徹三紹介)(第二五二一号)  出石郡下の寒冷地給級地の不均衡是正等に関す  る請願小島徹三紹介)(第二三五三号)  日高町八代地区寒冷地手当引上げに関する請  願(佐々木良作紹介)(第二三五四号)  期末手当増額等に関する請願外二件(石山權作  君紹介)(第二三五八号)  同外二件(栗林三郎紹介)(第二三五九号)  同外三件(鈴木一紹介)(第二三六〇号)  恩給法の一部改正に関する請願佐々木盛雄君  紹介)(第二三六一号)  公務員の扶養手当改訂に関する請願外一件(石  山權作君紹介)(第二三六二号)  同外三件(栗林三郎紹介)(第二三六三号)  同外三件(鈴木一紹介)(第二三六四号)  高学歴教員俸給是正に関する請願外二件(石  山權作君紹介)(第二三八一号)  同外二件(栗林三郎紹介)(第二三八二号)  同外三件(鈴木一紹介)(第二三八三号)  金鶏勲章年金及び一時金復活に関する請願外一  件(池田清志紹介)(第二四四五号)  同(北村徳太郎紹介)(第二五二二号)  養父郡下の寒冷地手当引上げ等に関する請願(  小島徹三紹介)(第二四四七号)  旧軍人関係恩給加算制復元に関する請願(菅  家喜六紹介)(第二四七〇号)  同(大野市郎紹介)(第三五〇〇号)  豊岡市の寒冷地手当引上げ等に関する請願(小  島徹三紹介)(第二五一九号)  村岡町及び美方町等の寒冷地手当引上げ等に関  する請願小島徹三紹介)(第二五二〇号)  建設省職員定数改正に関する請願鍛冶良作  君紹介)(第二五四四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九四号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  九五号)  農地被買収者問題調査会設置法案内閣提出第  一六一号)      ————◇—————
  2. 内海安吉

    内海委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案一括議題とし、質疑を許します。保科善四郎君。
  3. 保科善四郎

    保科委員 防衛法案に関連して長官に若干質問いたします。  第一の点は、きのうも総理に御質問申し上げたのでありますが、日米安全保障条約改定は一昨年の岸訪米以来の懸案でありまして、これに努力をして対等立場に立つ改定をすることは当然だと思うところがこの当然なことに対していろいろな批判が起っているわけであります。私はこの日米安全保障条約改定に関しては、やはり防衛庁がこの問題に対して真剣に取り組み、そうしてそのいろいろな準備を通じて国家安全保障ということに関する国民の注意を喚起し、また理解を深めるということをやっていただくことが一番大事だと考えておるのでありますが、そういう点からいうと、防衛庁でやるべき準備作業というのがあるのじゃないかと思う。たとえば日米安全保障条約装備に関することとか、あるいは兵力の移動に関するようなことをこれからいろいろ話し合うということになれば、当然これは機密保護というものがなければできないことなんです。従って機密保護に関することを積極的にやり、これができるような施策を講じられるということ、それから、これから自主的に対等立場で話し合っていくということになれば、われわれは一体どういう自衛立場に立って、どういう防衛力を造成するのかという長期的な一つのプランがなければ、向うとの話し合いにおいても結局自主的な立場はとれぬということになる。しかもきのうも石山委員から話があった通り防衛力の造成については、どうしても防衛生産力というものがなければ防衛力にならないことは明瞭でありまして、防衛生産力再建をいたしますためにも、この防衛長期計画が立たないと生産力再建計画が立ちません。そういう観点からいうて、ほんとう防衛力を造成するという意気込みに立つというような準備がやはり必要ではないか、そういう観点に立つと、従来の防衛庁機構あり方あたりでも、何も費用が要らなくて、能率的に防衛態勢を強化するという意味合いにおいて、防衛機構に対する整備とか、あるいはそれをどういうように運用していくかというような機構に関することあたりも再検討して、態勢を整えるということが先行するということに、それをやりながら国民理解を求めるということによって、初めて外交が——それをどういうように現わしていくかという外交技術がそれに続くべきである。ところが今はそれが逆になっているような印象国民に与えておると思う。こういう点において、私は防衛庁長官がもっと積極的に主役を演じられる必要があると思うのですが、これらの点に関する長官の御所見を伺いたいと思います。
  4. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 ただいま保科委員の御指摘のごとく、日米安全保障条約制定当時と、現在改定を両国間においていろいろと折衝をいたしております現段階におけるわが国防衛現状との間には飛躍的な差異が出てきており、御承知のように自衛力の漸増につきましても、一応三十五年度を目標とする第一次整備目標も、やや目標に近い段階にまで一応参っております。しかしながらこの点も御承知のように、わが国自身が独力で国を守るということは、世界状況から先般来総理も申し上げておりますように、一国でその国を守るということは、現在においてはほとんど不可能である。しかしながらわが国の特殊な事情から、最小限度防衛力を逐次整備していくということも、独立国として当然なされなければならぬ。かように考えておりまして、それについては御指摘のごとく、防衛産業の健全な育成、この問題は一般の産業経済発展と切り離すことのできない問題でもあろうかと存じまして、防衛の基本的な観念は、申し上げるまでもなく国民生活の安定、向上を基礎として行われなければならない。そういう観点から、私どもとしては防衛費というものは最小限国民所得の二%程度が、まずわが国の現在の国情、国力からして適当ではないか。かように考えまして、その方向にあらゆる努力を傾けておりますが、いまだその域に達しておらないことは御指摘通りで、今後これらの面に向ってはあらゆる努力を傾けて参りたい。従ってわが国産業経済発展、ことに科学技術の飛躍的な発展に伴う新しい各種産業、ことに防衛産業のごときは、常に科学技術の高度な発展前提といたしておりますので、それらの問題についてもわれわれとしてあらゆる努力を傾けて、今後全体としての調和のとれた整備努力をいたして参りたい。ただこれにつきまして、当面の整備問題等につきましては、御指摘のように、日米相互援助協定に基く秘密保護法の設定はございますが、一般的な秘密保護法制定ということはございません。しかしこの点については、世論のいろいろの動向並びに客観的な情勢等も十分判断いたさなければならぬと考えておりますし、昨日も総理から御答弁申し上げましたように、秘密保護法の問題については、十分慎重な検討も目下遂げておるという段階ではございますが、私どもとしてはこの点については、いわゆる言論機関言論統制とか各種の法制的な方向でない、純粋の防衛的と申しますか、率直な言葉で申しますれば、軍事的な機密保護観点だけにでも厳格に限局をしたもので考えてみたい。しかもそれらの点について、広く世論等の意見も伺った上で、何らか研究の上成案を得たい、かようにも考えておる次第でございます。この点は御承知のごとく、われわれガイデッド・ミサイル等の新しい兵器の問題につきましても、いろいろアメリカ等とその供与方について折衝をいたしておりますが、現在の段階においては、日本には秘密保護法がないので、それらの問題が供与しがたい、こういう状況等にもありまして、新しい装備最小限度の新しい自衛力という観点から考えて、自衛力の増強にも大きな支障を来たしておるということも事実でございますので、これらの点は今後防衛庁内の御指摘機構整備、この問題等についても、昨日前田委員から国防省の問題等について総理お尋ねがありましたが、われわれとしてはそういった問題の前提として、まず内部機構の能率的な整備等、ことに防衛庁全体として統幕機構あり方、また内局等についても作業能率化さらに各方面隊管区隊等において指揮統制の合理的な能率的な方法等についてももっぱら研究を遂げておるような次第でございまして、これらの点については十分速急に研究をいたした上で成案を得たい、かように考えております。またさらに今後の整備目標の問題、これは日米安全保障条約において、今後対等立場相互防衛をいたして参りたいというような観点からも、われわれとしては急速に次期整備目標等決定しなければならぬ、かように考えておりますが、当面の一応第一次整備目標の達成にもっぱら最善の努力をしておりますが、次の段階につきましても、目下部内において鋭意研究中でございますので、適当な機会成案を得ましたらまた御審議を賜わりたい、かようなつもりで、あらゆる角度から御指摘のような点の整備については、われわれもできる範囲においては努力をしておる、かように考えておる次第であります。
  5. 保科善四郎

    保科委員 この自衛力整備については、現在の憲法では防衛庁ではおやりにくい点が非常に多いと思いますが、しかし日本ぐらい防衛に関して不可思議、奇怪なる言論の行われておる国は世界でも類例がないと思います。これはどうしてもこういう事態をよく国民理解をしていただいて、そういう議論をすることは恥かしいというような事態にならぬと、日本ほんとう独立を完成するような事態にはならないのじゃないか、こういうように考えるわけで、こういう点からいうといわゆる広報宣伝という点に対して、特に防衛庁が力をいたして、ほんとうにわれわれは戦争を抑制し、平和を護持するためには、どうしても現在の事態においては、それに適合する処置をとらなくてはならぬというようなことについて、国民理解を求めるということが非常に大事だと思います。こういう点から見ますと、広報宣伝に関する予算あたりの獲得についても、非常に重点が少いように私は考えるのでありますが、この点に関して、これは単に防衛庁だけでなくて、国民全体にそういうことをわからせるような手段をおとりになる具体的な、もっと積極的な方策をお持ちになっているかどうか、それを伺いたい。
  6. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 政府施策広報宣伝に関しましては、内閣等においてある程度のことを努力をいたしてやっておりますが、御承知のように広報宣伝ということは、そのこと自体がきわめて重要にして、かつ必要であるということが理解されながらも、現実の政府部内施策、あるいは率直に申し上げて予算の確保、かような面になりますと常に閑却されがちでございまして、私どもこの点については非常に遺憾だと存じております。例を防衛庁にとりましても、過去の実情は御指摘のように必ずしも万全と申しますよりは、きわめて不十分な状況に相なっておりますので、これらの点につきましては、私ども常に政府全体として、単にあらゆる角度調査、諜報の資料というような方面だけでなく、さらに政府施策を率直に国民に御理解を願う。ことに自衛隊のごときは、御指摘のごとく戦後の新しい、世界類例を見ない自衛権に基く最小限度防衛力自衛力というものの姿が今の自衛隊現状である。しかも自衛隊の現在の整備配備、現に活動をし、平和を守り、世界の平和に貢献し、日本の安全を確保する面における実際の活動状況等についても、今後十分な努力をいたして参りたいと私ども考えておるのでありますが、経済的な、予算的な角度から御指摘のように十分な努力がなし得られない。この点は単に金の問題でなく、機構としても、また内部においていろいろな角度から努力をいたさなければならぬ、かように考えまして、私どもとしてはささやかではありますが、各方面有識者の方にいろいろと御参集を願うとか、また各方面民間のそれぞれの団体あるいは新聞でありますとか、あるいは企業団体等とも協力をいたしまして、広く防衛思想普及等については、あるいは博覧会あるいは展示会その他自衛隊会報等によって、予算をあまり使わずしてなし得ることについてはできる範囲でやっておりますが、御指摘のような一つの統括したある目標を持って全体を指導していくというような集中的な計画について、まだ十分な実施がなされておらないということについては御指摘通りで、今後この問題については極力研究をいたして参りたい、かように考えておる次第であります。
  7. 保科善四郎

    保科委員 だいぶ各県で連絡部のできているところがございますようでありますが、今制服連絡部長が出ていらっしゃるようですから、これは制服の方でもけっこうであると思いますが、思い切って民間の人を登用して、そういう方面のもっと幅広く国民にわからせるような人材の適用をお考えになっておられますか。
  8. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 地方連絡部につきましては、御指摘のように制服の人を中心に目下仕事をいたしておりますが、非制服職員も絶無ではございませんで、御指摘のようにかような仕事は当該の制服自衛官がいたしますよりは、広く民間人とタイアップして、ほんとう国民の間にこれらの思想を普及せしめるには、やはりそういった形でなされることが望ましい、かように考えまして、われわれとしてもそういうように制服人はもっぱら整備、訓練、また防衛自体の本来の目標という方向に今後進めたい、かように考えておりますが、現状においてはなかなか人員の増備配備等が困難でありますので、いろいろ御示唆をいただきましたので、せっかくその方面にも研究して万全を期したい、かように考えます。
  9. 保科善四郎

    保科委員 次は戦闘機の問題でちょっとお伺いいたしたいと思うのですが、日本の防空の主力になるべき新戦闘機機種が今もって混迷の状態にある。これはことにこういう技術的な問題が政治問題になっているということに対して、私は非常に遺憾に考えておるわけであります。この機種をどう決定するかというような問題は、当然技術的に検討をされ、そして防衛庁が責任を持って決定さるべき問題であります。私は前防衛庁長官から機種決定経緯を聞いて、まことにりっぱな経緯をもって決定の筋をたどっておられると思っておったが、それが今日までこれが決定されず、そうして生産に従事している人々が四散をしなければならぬような状況になっておるということは、大へん国家のために損失だと考えておるわけであります。しかしこういう問題が起った以上その疑惑を解いて、そうして防衛に関するこんな国家の重要なる基本的問題に対して、国民疑惑を招くようなことは絶対にこの際解くことが必要でありますが、同時に空白を一日もすみやかになくするような努力をされないと、それでは時期的にいつまでたってもいいのかというふうな印象国民に与えては大へんなことになると私は思う。こういう点に関して長官の率直なる御所見を伺いたいと思います。
  10. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 次期戦闘機機種決定の問題につきましては、御指摘のように昨年の秋前長官から、防衛庁としてのこれに関する経緯を詳細に国会において御報告を申し上げた次第でございますが、私どももそれを受けまして、その後の経緯についてはあらゆる努力をして、できるだけ早い機会にこの機種決定の目鼻をつけなければならぬ、かように考えております。世上往々にいたしまして次期戦闘機機種決定に際していろいろと取りざたをせられておりますが、私どもとしては昨年次期戦闘機について国防会議で内定せられたということについては、その後の国防会議経緯から考えまして、内定の線は何らくずれてはおらない。ただその後の新たな状況等については、防衛庁としてはこれを処理すると申しますか、決定せられた機種を運用する立場にありますので、その後の新しい諸般の状況等についても鋭意調査中でございまして、私も就任なお日が浅いのでございますが、この問題は防衛庁としては最も重大な問題である、かように考えまして、就任政府部内において、あるいは総理あるいは関係閣僚等とも協議をいたし、目下防衛庁においてその後の各般の状況整備中でございますので、その上で最近の機会政府部内における首脳部等にもこれが解決についての促進を急速にはかって、できるだけ早い機会次期戦闘機機種決定いたしたい、かように考えておりますが、他面お話のございましたように、この点について忌まわしいいろいろな取りぎたもされましたが、防衛庁に関しましては私どもいろいろそれらの問題についての関連の、国会において御指摘のあった点等については十分明確にもいたしておるつもりでありますが、これは国会においてもできるだけ早くこの御承認を願うと同時に、われわれ自身といたしましても御指摘のように相当の期間この機種決定がおくれましたことによって、防衛産業にも若干のずれを生ずるというような形で、全体の防衛力整備の上にも影響を与えておるということも事実でございますので私どもはこれをなるべく早い機会決定をいたしたいと考え努力中でございます。
  11. 保科善四郎

    保科委員 今の問題は、産業に対する影響はもちろんですが、私は自衛隊の士気の上にも非常に悪い影響を与えておると思います。こういうような技術的な問題が政治問題化されて、そうしていつまでも重要なる問題の決定がおくれておるということは、大へんに悪い影響を及ぼしておるわけでありますから、今長官がおっしゃったようにすみやかにこの促進をおはかりになって、国防会議において十分な検討の上決定せられんことを格別に希望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  12. 内海安吉

  13. 木原津與志

    木原委員 昨日同僚議員から共同防衛、つまりアメリカ軍自衛隊との共同防衛について若干の質問がありましたが、私もきょうはこの共同防衛ということについてあなたに若干の質問をしたいと思うのであります。大体従来、自衛隊アメリカ軍との共同防衛ということはよくいわれておったのでございますが、特に最近自衛隊アメリカ軍との共同防衛ということが強く国会でも論議されるようになりましたのは、これは私の考えでは今度の安全保障条約改定につきまして、日本側からの改定の希望の中の一つに、アメリカ日本国防衛の義務を条約において明らかにする。それに見合って日本では日本国防衛に当るアメリカ陸海軍に対して基地を提供する。いま一つ日本防衛に当るこれらのアメリカ軍に対する外国攻撃があった場合に、この攻撃日本では日本国の平和と安全に対する危険と認めて、アメリカ軍とこの外敵に対して共同防衛する、こういう規定安保条約の今度の改正の中に入れるということが日本側で構想されておる。この構想から共同防衛ということが一体どういうものであるかということについて国会で論議になっておるものと、私はこういうふうに解釈しておるのです。そこで長官お尋ねするのですが、アメリカ軍との共同防衛ということにつきましては、これは自衛隊が発足した当時は、こういうような米軍共同して戦闘をやるというような観念は全然なかったのです。そこであなたも御承知のように自衛隊法のどの条項を見ても、よその国の軍隊と共同して戦闘をやるということについての規定がないわけである。そこで私が疑問に思うのは、一体共同防衛ということを安保条約の中に規定される場合に、一体自衛隊法というものは改正せぬでそのままで共同防衛ができるのか。もしこの法律でそのまま共同防衛をするのだということになれば、一体現在の自衛隊法のどの条項によって共同防衛をやるのか、その点をあなたにお尋ねしたいのであります。
  14. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 お尋ねの点につきましては、今回の日米安全保障条約改定の内容に相なると存じますので、私どもとしてはただいま当面のお尋ねの問題につきましては、外国が急迫不正の侵害によって日本攻撃をして参ったという際に、それは日本に対する攻撃である、かように考えまして、その点においては日本アメリカとがどういう形で日本の国土を防衛するかということを、これから日米安保条約において規定をしよう、こういう形にわれわれは考えておる次第でございまして、日本としてはあくまで日本自衛隊は国土を守る、こういう形においてわれわれは考えておるような次第でございます。
  15. 木原津與志

    木原委員 日本に対する急迫不正の攻撃自衛隊が守るというのだったら、それは共同防衛というものではないでしょう。それは日本自衛隊の本来の任務に従って行動をするのであって、そういうのを共同防衛とは言わない。言うべきではないのです。それは自衛隊の本来の任務、性格に基く発動であって、それは共同防衛観念には入らない。あなたは勘違いをしていはせぬか。
  16. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 さいぜんのお尋ねにもありましたように、当初の日米安全保障条約成立当時におきましては、日本自衛力を持たなかったということで、日本防衛アメリカにやってもらうという関係のものでありましたが、これらの条約につきましてはそれをいかに規定するかということが今後の条約の問題でありまして、従ってアメリカ日本を守ってくれるという義務を負う、われわれは日本を自分の力でも守る、こういう観点におきましては目的が共同であるので、これを同じ一つの目的に向ってどうして日本防衛するかというやり方等については、今後の条約の内容によってきめたい、かように考えております。
  17. 木原津與志

    木原委員 日本に対する不正の侵害、攻撃に対して自衛隊が発動するということは、これは問題じゃない。問題は日本を守るために駐留しておるアメリカ軍に対する攻撃を——日本に対する攻撃ではないのですよ。アメリカ軍に対する攻撃日本の安全に対する危険と認めて、そうしてこれに対してアメリカ軍共同して戦闘をやる、防衛をするというところに、共同防衛ということがここで言われておるのでしょう。そうじゃないですか。そうだとすれば一体、現在の自衛隊法改正するなら別だが、現在の自衛隊法のどこにそういうような行動をする、発動する権限があるのかどうかということを私は聞きたい。もしないということになれば、あなた方は今後それならば改正検討するのかどうかということをお聞きしたい。
  18. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 ただいまのお尋ねでございますと、日本本土に対してのアメリカ軍に対する攻撃、こういうお話でございましたが、仮定の問題でございますのでその観点からお答え申し上げたいのでございます。事情がどういうことでありましたかの御説明はございませんので、ただ日本にあるアメリカ軍に対する攻撃があった場合において、日本がどうするかというお尋ねでございますが、この点につきましては政府としては、従来日本本土にあるアメリカ軍に対する攻撃は即日本本土に対する、日本に対する攻撃である、かように考えまして、日本自体もこれを守らなければならぬ。さような観点においてアメリカとどういう共同的な防衛行動をやるかということは条約によってきめたい、かように考えております。
  19. 木原津與志

    木原委員 大臣のおっしゃるその点が、私にわからぬところがあるのです。自衛隊の今の規定からいけば、日本に対して外国が侵害する意思を持って侵害してきた場合に、その防衛のために発動をするということになっておる。ところが今度は安保条約改定して、日本に対する攻撃の意思が相手国にあるわけじゃない、日本に駐留しておるアメリカ軍に対してのみ攻撃する意思を持って攻撃をした場合に、日本もこれを日本自身に対する攻撃と認めて、その場合共同防衛をするということになっております。だから、そういう共同防衛という観念が、現行の自衛隊法のどこにそういう行動のできる可能性があるかということを私はお聞きするのです。
  20. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 お言葉でございますが、私どもとしてはさいぜん来御回答申し上げておりますように、日本に対する攻撃ではなくて、日本におるアメリカ軍に対する攻撃ということは、即日本本土に対する攻撃と結果的にはなるわけでございます。これは日本自身が明らかに攻撃をされるという結果に相なりますので、この点についてわが国としては、当然自衛隊がこれを防衛するのが本来の任務である、かように私どもは解しております。
  21. 木原津與志

    木原委員 そうじゃありませんよ。あなたは私の言うことを勘違いしておられる。今度の安保条約改定というのはそういう意味じゃないですよ。アメリカ日本を守る義務を条約において負う、そのかわり日本も積極的にこの義務にこたえるために、日本に対する攻撃ではないが、日本を守るために日本に来ておるアメリカの駐留軍に対する攻撃日本に対する攻撃と認めて自衛隊を発動し、そして共同防衛に当ろうという構想なんです。だから、あなたの言うのとは違うのですよ。今度改定しようとする条約で、自衛隊の発動の範囲を拡大しておるのです。そういう拡大をする場合に、現在の自衛隊法で間に合うかというのです。今までの自衛隊法はそういう観念の起る前にできておる法律であるから、当然現在の自衛隊法ではそういうことはできないと私は思う条約ではもちろんできるでしょう。二国間の条約ですからどんなことでもできましょう。しかしそういうことを条約で実現させるためには、それに伴って国内にある法規も改正しなければならぬ。改正するには、自衛隊法というものをそれに適合するように改正しなければならぬと思うから、あなたの方にそういうふうな用意があるか、改正する気持があるのかということを私はお聞きしておる。そんな無理な解釈をしてはつまりませんよ。大体今まであなた方がよって立っておる自衛隊法には、そういうふうな観念はなかったのです。ないものをさらに行うのに、今までの観念のなかった法律をそのまま持ってきて行おうということは、これは論理の倒錯ですよ。そういうことはできない。できないとすぐあなた方は拡大解釈をして事を処理しようとするから、私は念のために、法律改正する用意があるかどうかということをお聞きするわけです。いま一ぺんそれに対する大臣の御答弁を聞きたい。
  22. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 お尋ねでございますが、私どもとしてはあくまでもその点に関しましては、同時に日本自体に対する攻撃であるという観点と解釈に立っておりますので、現状で差しつかえない、かように解釈しております。
  23. 木原津與志

    木原委員 それでは私あなたにお聞きするのですが、日本に対する侵略というのはどういう意味なんですか。日本を侵略する意思を持って侵略してきた場合が日本に対する侵略であり、このときに初めて自衛権が発動して自衛隊が行動を起すことができるということにならなければならぬ。これは憲法上も自衛隊法上もそうなんです。それをあなた方の方で、日本に駐留しているアメリカ軍に対する攻撃日本に対する侵略と認める、そして自衛隊が出動する、またそういうことを条約できめようというのですから、日本攻撃する意思がない第三国がアメリカ軍攻撃する場合に、これを日本国への攻撃と認めると解釈される根拠は、あなたは一体日本のどの法律からそういう解釈を持ってこられるか、その準拠する法律を聞きたい。
  24. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 この点は事情のいかんを問わず、わが国自体に対する攻撃は、私はあくまで日本に対する攻撃である、かように解釈をいたしております。
  25. 木原津與志

    木原委員 日本攻撃の意思のない第三国が、たまたま日本条約によって駐留しているアメリカ軍攻撃を加えてくるという場合に、日本軍が発動するのは安保条約によって発動するのじゃありませんか。日本法律によって発動するのじゃないのです。条約ははっきりしている。もう一ぺん言いましょうか。米国が日本国防衛の義務を明らかにするのに対して、日本側の義務は、日本国防衛に当る米国の陸海空軍に対して基地を提供する、さらに日本防衛に当るこれらの米国軍に対する攻撃日本国の危険と認めて共同防衛に当るということでございますから、日本の発動する義務は、憲法その他自衛権に基くものではなくて、安保条約に基いてわが国の危険とみなして発動するのであります。その点は明らかなんです。それならば現在の憲法及び自衛隊法——少くとも自衛隊法改正によらなければ、そういうようなことを日本に対する侵略と認めて出動するということはできないのです。これが論理です。その点についていま一回御答弁をお願いいたしたい。
  26. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 御指摘の点、意思がないというお話でございますが、意思の有無は別として、かりにないといたしましても、日本に対する攻撃の行動というものはあるわけでございます。行動というものがある以上、これは率直な卑近な例であるいは当らないかもしれませんが、気違いがわれわれの家を焼く。気違いが焼くについては、あるいは精神喪失でございますから、意思のない場合ということもあり得ると思います。さような場合でも、私どもはその放火に対しては防止するという当然の措置をとらなければならぬ。これは例が当るかどうかは別といたしまして、アメリカに対する侵略である、かようにいたしても、行動としては日本の国自体攻撃を受けるということになれば、日本自衛隊は発動し得る、私どもはかように考えております。
  27. 木原津與志

    木原委員 自衛隊の発動は、厳粛な意味における自衛権による発動なんでしょう。それ以外に発動することはできない。それならばこのアメリカ軍に対す攻撃に対して自衛隊共同防衛をするというのは、これは条約によって共同防衛するようになるのでしょう。そうすると自衛権の発動とその条約による発動との関係はどうなるのですか。
  28. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 私ども自衛権の発動に基いてやるものだと解釈しております。
  29. 木原津與志

    木原委員 そうじゃありませんよ。日米安保条約に基いて発動するのでしょう。本質的には自衛権の発動じゃありませんよ。それが自衛権範囲以外にわたろうとも、今後の条約改正によって、アメリカ軍に対する攻撃があった場合には日本自衛隊は出動しなければならぬ。出動する義務を負うのです。これは自衛権の発動とはまた観念が別なんです。この点についていま一回お尋ねいたします。
  30. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 再々のお尋ねでございますが、私どもはあくまでも日本本土に対する攻撃は当然自衛権の発動として自衛隊は行動し得る、かように従来から解釈をいたしております。
  31. 木原津與志

    木原委員 日本本土に対する攻撃ではないじゃないですか。日本本土に対する攻撃と認めて発動するのでしょう。認めて発動する場合に自衛隊ということでなくて、認めるのは安保条約によって認めるのじゃないのですか。今後この共同防衛というのは安保条約によって発動するのですよ。自衛権とは直接関係がないのです。私どもがこの条約改正について大きな疑問を持つのはここなんです。そういう場合に自衛権の発動だといってあなた方が出るということになれば、これはまた大きな拡大解釈にならなければならぬ。そうなってきたらこの共同防衛はあなたの言われるように、あるいは自衛隊法改正せぬでもやれるようになるかもしれない。しかしそういうような法の解釈は許しませんよ。政治的にどうしようとも、法の解釈としてはそういうことは認められません。あくまでもこの際の、アメリカ軍に対する外国攻撃に対して、日本自衛隊共同防衛に当るというのは、直接自衛権の発動でなくて、この安保条約に基く日本の義務としての発動であるといわなければ、論理は一貫しませんよ。いま一回その点についてお尋ねいたします。
  32. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 私ども日本に対する攻撃であると認めるのは、日米安全保障条約に基いてではなくして、日本攻撃を受けたその事実に基いて自衛権が発動する、かように解釈いたしております。
  33. 木原津與志

    木原委員 それならばこれは安保条約改正の条文を見てからにいたしますが、具体的な日本の条文の案のように、そういう攻撃に対しては日本は直ちに自衛のために共同防衛に入るということを書けば、法律の体裁としてはそれでいいわけですよ。しかしそう書かないで、わざわざ米軍に対する攻撃日本国の平和と安全に対する危険と認めて共同防衛に当る、こういうような言い回しをするところに、これは自衛権とは別個なもので、条約によってその発動の義務が起るのだということを、率直にこの案文が表わしておるじゃありませんか。すなおに法律を読めばそうなるのです。
  34. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 私どもの解釈は従来申し上げた通りでございますが、私はまだ不幸にいたしましてさような日米安全保障条約の案なるものを見たことがございませんので、その点については、私どもとしてはあくまでわれわれが解釈する観点に立ってお答えを申し上げておる次第でございます。
  35. 木原津與志

    木原委員 あなた、失礼なことを言う。安全保障条約改定について、政府がこういうような構想を持っておるということは、しばしば新聞等に発表されておる。おそらく、閣議の内容のことについてわれわれは知らないけれども、それについて外務大臣の説明その他もあったはずなのだ。なければ新聞に堂々と政府の腹案として発表されるはずがない。それをあなた知らぬというなら、あなたはよっぽどどうかしておりはせぬか。もしそういうようなことで、今度の重要な安保条約改定の問題は外交問題ではなくして、直接あなたの所管される防衛問題の中枢なのです。それについて、あなたが案なるものを知らないということは、一体防衛大臣としてそれでよろしいと思われますか。
  36. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 私が申し上げましたのは、閣議においてはこの問題はまだ一度も取り上げられたことはございません。閣僚懇談会におきまして藤山外務大臣から説明を承わり、また私は防衛庁立場から、防衛庁の希望等については常に藤山外務大臣に対して、外交一元化の観点から政府部内の意見として申し上げておりますが、ただいま御指摘になったような案文は、私は拝見をしたことがない、かように申し上げておるわけでございます。
  37. 木原津與志

    木原委員 それではいずれ、日本駐留の米軍に対する外国軍隊の攻撃日本の侵略と認めて自衛隊が出動するということが、条約による義務としての出動か、あるいは日本固有の国際法上に基く自衛権による出動か、この点についてはあなたの解釈が政府の統一された解釈であるかどうかは、いずれまた総理に直接お尋ねすることにいたします。
  38. 受田新吉

    ○受田委員 関連して。一言だけ今の問題で、一つ問題が起る。あなたの御説であると、アメリカと他の国とが交戦権を発動する可能性があった場合にはどうなる。憲法では交戦権はこれを認めないことになっておる。在日米軍が他国から攻撃を受け、それがやがて交戦権の発動となった場合の日本自衛隊あり方はどういう立場になるか、これをお答え願いたい。
  39. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 その際には日本としては自衛権範囲内において行動することに相なります。
  40. 受田新吉

    ○受田委員 自衛権の発動は、日本軍とそれから交戦権の発動をする米軍とが共同作戦をとる、かように了解してよろしゅうございますか。
  41. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 その場合には、あくまで条約の趣旨に基きまして、日本としては自衛権範囲内において協議をした行動をとる、かように相なります。
  42. 受田新吉

    ○受田委員 全くおそろしい事態をわれわれは予想せざるを得ないです。そこまであなた方が割り切っておられるならば、日本の憲法の第九条は全く空文にひとしいものになってします。日本における米軍が他国と戦闘状況に入った、交戦権が発動された、そういうときに米国と他国との交戦権は認めるが、日本自衛権の発動しか認めないという今の長官の御答弁は、事実上は全く同じ戦闘状態になって、交戦権を発動しておる米国と、そして自衛権の発動と称する日本とは全く同じ戦闘状態、形の上においては全く同じ戦闘状態に入るということを長官は御存じですか。
  43. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 事実の問題についてはいろいろ具体的なケースによって異なると存じますが、私どもは常に申し上げておりますように、さような際には米軍装備、使用、配備等についてはあらかじめ協議をするという条項によって処理をいたしたい、かように考えております。
  44. 受田新吉

    ○受田委員 私はここまで自衛隊活動範囲が拡張されるということを、非常に残念に思います。今木原委員との質疑応答を通じて、この政府の企図しておられるところは、日本は結局憲法第九条を放棄して、完全に米国と共同防衛の美名のもとに日本は交戦権を発動する米軍の支配下に属する、いかに自衛権の発動といいながら、全く同様の形の戦闘状態に入るという危険を私は感ずるのです。さような事実問題がそういうところへ発展することを長官、お考えでございますか。
  45. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 私どもはあくまで憲法九条に沿う自衛権範囲内によって行動をいたしますので、さようなことは考えておりません。
  46. 受田新吉

    ○受田委員 形の上においては完全に在日米軍と運命共同体としての、日本は交戦権を発動している米軍と同じような形で戦闘状況に入っておるということが考えられるが、これはおわかりでございますか。
  47. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 アメリカが他国と戦争をする際の場合と、私どもが他国から侵略を受けて自衛権を発動する場合とについては、明確な区別があります。
  48. 木原津與志

    木原委員 今の長官の御答弁にまた疑問が出たからお尋ねしますが、それでは自衛のための武力行使と、憲法で禁じておる交戦権の発動とはどこが違うのか、その点。
  49. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 われわれは交戦権を放棄いたしておりますので、いわゆる国際法上に定められておる国際紛争処理に関する戦争の権と、たとえば占領地行政その他のものを持たないということは当然でございますし、従って自衛以外にわが国自衛隊が行動をしないということで、海外派兵等も行いませんから、あくまで日本領土を守るという立場以外にはございません。
  50. 木原津與志

    木原委員 それはあなたの答弁の通りなら、放棄しておる交戦権と自衛のための武力行使との区別は全然ないじゃありませんか。
  51. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 私どもは明確にあると考えております。
  52. 木原津與志

    木原委員 それでは時間もたちますから、共同防衛の次の点に移ります。共同防衛をやるということになれば、これは事実上どういう形になるか、あるいは作戦命令系統というようなことについていろいろな問題が起ってくると思いますが、共同防衛について自衛隊の指揮その他の関係について、現在の自衛隊法で差しつかえない指揮ができると思いますか。それとも共同防衛という形で米軍との共同作戦をやるという場合においては、現在の自衛隊法改正しなければならぬ点がありますか。もし改正しなければならぬ点があるとすれば、その点をどういうふうに改正する構想、用意があるか、お聞きしたい。
  53. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 お尋ねの点でありますが、実は御承知のように日本のような交戦権を放棄した国と、アメリカのような交戦権を持っておる国との間における安全保障条約でございますので、これを今後どういう形にきめるかということにつきましてはこれからの問題でございまして、私どもはただいまだんだんとお答えを申し上げたような考え方で、自衛隊を国土の防衛のために整備をして参りたいとかように考えておりますので、ただいま御指摘のような具体的の問題等につきましては、今後の日米安全保障条約の締結の内容によって、今の具体的の問題が考えられるわけでございますが、現在のところ私どもとしては現在の法律で支障なくいける、かように考えております。
  54. 木原津與志

    木原委員 それではさらにお尋ねしますが、自衛隊法によって行動する自衛隊は、申すまでもなくあなたもその最高の指揮の責任者であるし、さらに最高の指揮権は内閣総理大臣が持っておると思う。この内閣総理大臣の指揮権、あなたの指揮権、こういうのは昔日本の憲法にありました統帥権というようなものでありますかどうか、どうあなたは観念されるか。
  55. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 自衛隊法に掲げられております総理大臣の最高指揮権並びにその命を受けて私が所管いたします部隊に対する指揮権につきましては、統帥権の内容ももちろん含んでおりますし、それ以外に軍政上の指揮命令権もあると考えております。
  56. 木原津與志

    木原委員 そうするとあなたの持っておられるあるいは内閣総理大臣の持っておる自衛隊に対する統帥権、この統帥権はその人だけ単独で行使するものであって、他の命令その他の指揮を受けてもいいものかどうか、絶対に独立のものであって、他の支配、他の干犯、指揮というものを認めてもいいものであるかどうか、これは自衛隊法上特に統帥権については御承知のように憲法に一言一句の規定もございません。だから私は、自衛隊法の中にもそういう規定がありませんが、今後この問題が起ってくる可能性がありますので、特にあなた方の御見解を聞いておきたい。
  57. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 お尋ねの本意がよくわかりませんので、具体的に何かどういう点でさようなことをお尋ねでありますか、さらに御説明いただきたい。
  58. 木原津與志

    木原委員 具体的に申し上げますと、昔の日本の軍隊の統帥権というのは天皇にあったのです。天皇にあった統帥権で、これは干犯を許さなかった、また他人によるあるいは他国の指揮もこの統帥権に加わることができなかった、そのために戦前に統帥権の問題でいつも問題が起っておったのは、外国との共同戦闘共同作戦をする場合に、いつも困難が起っておったのです。旧憲法の天皇指揮の軍隊のもとにおいては、他国との共同作戦、特に指揮命令を受ける日本軍が、たとえばアメリカ軍共同作戦において、アメリカ軍の作戦の指揮を受けることができなかった、そのために日本軍の行動というのが非常に困難であるということが、共同作戦という面において非常に行動の制約を受けておるということがいわれておったわけなんです。今度はそのもとの旧憲法時代に問題になっておった統帥権を、あなた方の自衛隊に行使される上において、現実に日米安全保障条約によって日米共同作戦というか、そういうことが行われる。行われるということになれば、これは戦闘でございますから、二つのアメリカ日本の軍隊が別々に戦闘をしておったのでは話にならぬ。これはどちらかの指揮命令に従わなければならぬということは、私は戦闘の指揮をしたことはないけれども、そういうことは常識として起り得る。そういう場合に、もしあなた方の統帥権というものが昔のように絶対に他国の作用を受けることができないということであるならば、あなた方が言う共同防衛ということをやっても、事実上それは不可能になる。何となればアメリカ軍の作戦指揮を受けることができない。あなた方の方でアメリカ軍日本自衛隊の指揮権を全面的にあるいは部分的にでも移譲するということができなくなるのじゃないか。そうなれば共同防衛ということもやってみたって、何にも価値はないじゃないかと思う。そうすると現在のアメリカ日本の軍の作用の上で、力の上において共同防衛をするということになれば、アメリカの指揮権に従う、そういうようなことも自衛隊法上可能であるかどうかということをお尋ねしたい。
  59. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 御承知のように現在の安全保障条約におきましては、さような事態は起ってもおりませんし、またさような事実もないわけでございますが、かつての昭和二十年以前においても、北支等において統帥権の一部他国の指揮官への委託というような事態が絶無であったとは私ども考えておりません。しかしこの問題は別として、ただいまお尋ねの点は日米安全保障条約をいかに締結するかということを前提としてのお話のようでございまするので、私どもとしては日米安全保障条約のいわゆる共同防衛という点の内容につきましては、できる限り明確に日米間の問題を処理して参りたい、かように考えておりまするので、現在のところさような仮定の議論について——現在でもお互いに事情等の連絡についてはいたしておりますが、そういう有事の際にどういう形をとるか、連絡協議の問題について万全を期したいと思っておりますが、御指摘のように日本の限られた国土でございますので、一つの指揮下に入らなければ一切の行動ができないというふうにも私ども考えておりませんので、それらの点については今後十分研究いたしたい、かように考えております。
  60. 木原津與志

    木原委員 なおこの共同防衛という点は、もしかりに沖縄が日本の領土ということで、沖縄にも条約の効力が生じて、沖縄の防衛の義務を持つということもあり得るかと思う。そういう場合にはどうしても日本から部隊が沖縄に行くのでしょう。そうすると今の自衛隊法では、沖縄を守るために行った日本の軍隊は、あなたまたは総理大臣の指揮によって行動をするということになる。統帥権はあなたの方にあるのだから、自衛隊法によって指揮をする。そうすると事実上アメリカの大きなあの部隊の中に、日本の部隊が一部入って共同防衛をする場合に、あなたの方で指揮命令がやれるものじゃないと思う。これはやはりアメリカの軍の管理権と申しますか、言葉は悪いかもしれませんが、アメリカ軍の管理のもとに行動をするということになると、その範囲内においてあなた方の指揮権、統帥権というものは及ばなくなってくると思うのです。そういうことが共同防衛という形で現在の自衛隊法で認められていいものかどうかということをお尋ねします。
  61. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 沖縄の処理の問題につきましては、防衛庁長官としては条約上の問題についていろいろな事情がございますので、発言を差し控えさせていただきたいと存じます。従いまして仮定の論議に相なると存じますが、われわれは現在までのところ防衛庁の見解といたしまして政府に申し上げておりまするところは、防衛庁の力をもってしては沖縄防衛の任に当ることは、とうてい困難であるということでございます。
  62. 木原津與志

    木原委員 仮定の問題だと言われますからもう申しませんが、ただ私は最後にこのことだけは言っておきます。あなた方は共同防衛共同防衛と心やすく言っておられますが、現在の自衛隊の統帥の権と自衛隊法の性格の中から、他国との共同防衛をそう簡単にできるものじゃないです。もしあなた方がこれを実現しようとする、安保条約の内容によって軍を動かそうということになれば、これは自衛隊法を根本的に改正しなければ出てこないのです。そういう時期が、安保条約改正は四月に調印されるか五月に調印されるかわかりませんが、その後その条約に見合うような自衛隊法改正が必ず起ってくるということを私は確信しておるのです。それだから、これをなあた方にどういう考えでおられるかということを聞いたのですけれども、あなた方は仮定の問題だとして答えられようとしない。もしこれを改正するということになれば、さらにまた憲法上の問題として私どもはあなた方を追及しなければならぬし、共同防衛の一点だけでも私どもは現在の法規からするならば、絶対に反対して戦う用意を持っておるわけなのです。その際はあなた方の方でも共同防衛というようなことを簡単に考えて、現在の自衛隊法あるいは憲法によって無理押しをして、世間をめくらにして力で貫き通そうというような考え方は、あなた方自身の自滅になると思いますから、その点については十分の戒心と、御忠告を申し上げて、さらに先ほどの問題については総理の回答を求めるために質問を留保いたしまして、私は終ります。
  63. 内海安吉

  64. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 今出しました問題でまずお伺いしたいと思います。今度の安保条約改定交渉に当って、日本政府としては自主性、双務性というものを確保したいと言っておるわけです。そこで一番中心になりますのは、現在の安保条約では米軍駐留の権利を認めておるけれども、これに見合う米軍には日本防衛の義務が明確に規定づけられておらぬ。だからアメリカ日本に駐留する限りにおいて、日本防衛する義務を持つようにさせたい、こういうことを岸内閣は言っておられます。ところが日本側が自主性、双務性というものを主張すると同様に、米国側にもやはり自主性、双務性というものを主張する根拠があるわけです。一体日本防衛する義務をアメリカに負ってもらうという日本の要求に対して、アメリカとしてはそれに見合う何らかのものがなければならぬ。ギブ・アンド・テークでなければならぬと思うのですが、それは一体何ですか。
  65. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 私ども承知しているところでは基地の提供と考えます。
  66. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それは今の安保条約ですでにアメリカとしては確保している権利なんです。それに何もプラスするものがなくても、アメリカとしては了承しますか。
  67. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 条約の内容等について私から詳細に申し上げることは差し控えたいと思いますが、私はさように承知をいたしております。
  68. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 先ほどの論議は、私はこのように考えたい。もうすでに米軍は現行条約日本駐留の権利を持っております。しかもこの日本に駐留しております米軍に対する攻撃をも日本に対する攻撃とみなす、こういうことも日本政府は言明いたしております。それだけのものをちゃんとアメリカは確保している。そこへ持ってきてわざわざ日本防衛の義務をさらにつけ加えられて、それに見返りとしては何もないという交渉に一体乗ってくるのでしょうか。閣僚の一人として一つ御答弁願いたいと思います。
  69. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 世界平和のために東洋における日本の地位を確保したいという観点から、アメリカはこの点を了承いたしておる、かように考えております。
  70. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それ以上に新たな要求は絶対にしてこないだろうというようにお考えになっておりますか。
  71. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 その点は外交交渉の問題でございますので 私は答弁申し上げることを差し控えたいと思います。
  72. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 しかし防衛の問題、特に先ほど大臣そこではっきり申しておりましたように、外務大臣と密接な連携をとっておる、またそうでなくちゃならぬと私も思います。そうしますと、私は防衛の問題だけをお伺いしているわけです。防衛の義務というものをアメリカに持たせる。それに見合うものとして、現在アメリカが持っておる権利以上のものを要求してくることはないでしょうねということについて、一応の御見解は言明されていいのじゃないですか。
  73. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 私ども防衛上特段のことは聞いておりません。
  74. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは質問に入ります。この間私関連質問でちょっとやりましたが、片がついておりませんのでお尋ねしたいのですが、核兵器の問題です。御承知と思いますけれども、この核兵器の持ち込みあるいは日本自衛隊がこれを持つというようなことが憲法上どうかという問題は、もう長い間論議されているわけであります。私ここに持っておりますのは、岸内閣になりましてからですが、昭和三十二年四月二十五日に政府の統一解釈というものを出しておるのです。これはもう十分に御承知だと思います。しかし参考のためちょっと読み上げてみます。そのときも非常に問題になった。総理大臣、法制局長官、それから当時の防衛庁長官の小瀧さん、この人たちの言うことが少し食い違いがあるのじゃないかというのでだいぶ論議され、追及された。そこでいやそういうことはございませんと、それでこの三者で一致しない点があるのではないかというお尋ねもあったのでいろいろと速記録も調べた結果、われわれの考えはこういうものに間違いありませんというので、統一見解なるものを発表しているわけです。これをまず読み上げます。現在核兵器といわれているものは原水爆が代表的なものであるが、他のものも伝えられているところによれば、多分に攻撃的な性質を持つもののようである。そうとすればこの種の核兵器をわが国が自ら持つことは憲法の容認するところではないと考えられる。以上でございます。これが岸内閣の統一解釈です。いわゆる核兵器の問題と憲法との関連、明確にこのような統一解釈が当時なされておるわけです。それが先日の参議院におきますあなたの発言によりますと、オネスト・ジョンならば違憲ではないのじゃないか。かりに核弾頭を装着しても、オネスト・ジョン程度のものならば違憲ではないのじゃないかというふうに変ってきております。これは明らかに当時明確に示されたこの岸内閣のいわゆる政府の統一見解と食い違いを見せておると思うのですがいかがですか。
  75. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 私ども政策として核兵器を持たないということについては、今さら申し上げるまでもないところでございますが、科学兵器の進歩につきましては、これは申し上げるまでもなく日進月歩の問題でありまして、岸総理が本委員会においても申し上げたと存じますが、日本が急迫不正の侵害によって核兵器その他の砲爆撃等で座して死を待つ以外に道がないというような際には、積極的にこれを阻止し得るような行動もとり得る、かような見解も申し述べましたように、今日の科学兵器の進歩の段階において、憲法上の解釈として観念的にいかなる場合でも持ち得ないかどうかという議論が、たまたま設例によって論議をされました際に、私は、御指摘の点についての論議はありますが、明らかに防御的兵器であり、他に道がないというような場合において、その観点からも観念上の解釈の問題として持つことが、座して死を待つという同じ角度からは必ずしも違憲ではないのじゃないか、かように申し上げた次第です。
  76. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そらさないで一つ明確に答えていただきたい。私が言っておるのは、これは明確に政府の統一解釈でございますと言って小瀧防衛庁長官が当時岸内閣の統一解釈として出したものなんです。これによると、先ほど朗読したように原水爆以外のものも多分に攻撃的性質を持つもののようだ。そうとすればこの種の核兵器をわが国がみずから持つことは憲法の容認するところではないと、はっきり明言しておるのですよ。あなたがオネスト・ジョンくらいならいいだろうと言うことと、この統一解釈とは違うじゃありませんか。明らかに変化があることをお認めになりますかと言っている。
  77. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 当時の論議から今日に至るまでの考え方について、私はその後の内閣その他の変更によって、われわれの現在の解釈において、私ども観念的にいかなるものも持ち得ない、かように解釈いたしておりません。
  78. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 当時の内閣って、これは岸内閣ですよ。防衛庁長官はかわっているかもしれないけれども、岸内閣はかわっておらないじゃありませんか。総理と法制局長官防衛庁長官の言うことがどうも食い違う、しっかりと意見をまとめてこい、その結果現われたのがこの統一解釈なのです。これは岸内閣の統一解釈ですよ。これで明確に言っております。「この種の核兵器をわが国が自ら持つことは憲法の容認するところではない」その理由は何かといえば、原水爆以外のものも多分に攻撃的性質を持つからだと言っているじゃありませんか。あなたがオネスト・ジョン程度ならいいと言っていることと当時の解釈と、はっきり違うなら違うとおっしゃったらいかがです。
  79. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 当時の解釈といたしまして、現在核兵器といわれているのは原水爆が代表的なものであるが、その他のものも伝えられるところによれば多分に攻撃的な性格を持つもののようである。かように持つもののようである、もしこの前提が正しいとすれば、かかる核兵器を持つことは違憲であると概略的に申し上げたものである。オネスト・ジョンについては昭和三十年にすでに鳩山内閣時代に、侵略的のいわゆる攻撃的兵器と解しておりませんとお答えしておるので、従来のオネスト・ジョンの軍事的性質については考え方は変っておりません。かような趣旨から、私どもとしては多分に攻撃的の性質を持つものでない、かように解釈をいたしております。
  80. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それではここ二、三年間にオネスト・ジョンの性格が変ったとでも言うのですか。その点いかがですか。
  81. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 オネスト・ジョンにつきましては性格と申しますか、兵器として現在においてはアメリカの各普通師団が全部これを保持しておるというように、普通兵器化されておるという点等から考えまして、最近においては全く攻撃的の性質のものではなく、ことに日本現状に当っては防御的なものと私は解釈をいたしております。
  82. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは当時オネスト・ジョンが攻撃的な性質を持つというふうに判定いたしました根拠、どのような点が攻撃的性質を持つとお考えになったのか、一つ明確に答えて下さい。
  83. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 当時オネスト・ジョンは攻撃的、侵略的性質のものではないというように解釈いたしておりました。
  84. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 「原水爆が代表的なものであるが、他のものも伝えられているところによれば、多分に攻撃的な性質を持つ」と言っておるじゃありませんか。その「他のものも」という中に、当時一番身近にわれわれが指摘したのはオネスト・ジョンですよ。これが入っているのです。
  85. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 「持つもののようである。」と言って、そのあとにオネスト・ジョンは攻撃的なものではない、かように申しておる次第であります。
  86. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 どこにそんなことが書いてありますか。当時の解釈は、しかもそのあとにつけ加えている小瀧さんの、いわゆる答弁の補足、つけ加えておる中に、「現在について申しますならば、現在核兵器といわれておるものは、それは、この性格にもかんがみて、憲法の規定に反するという解釈をとっておる次第でございます。」と明確に言っておりますよ。オネスト・ジョンならいいなんて当時どこに言っておりますか。そういうごまかしを言うのはやめなさい。少くともその当時は攻撃的な性質を持つものだ、だから今はそうではなくなったというならば、それなりに認めていいのです。おかしいけれどもそれなりに認めていい。認めるためには、しからば当時はオネスト・ジョンのどの部分が攻撃的な性質を持っておると判定されたのか……。
  87. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 TNT一万五千トンないし二万トンというような大きなものが攻撃的な性質と認められたのではないかと思いますが、私は現状にかんがみて、オネスト・ジョンのごときは、きわめて小さい型のものは、目下生産せられておると同時に、各普通師団に装備をせられておるという点等からかんがみて、私どもとしては最近においてはそういう解釈に相なっておる、かように考えております。
  88. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 小さい型とおっしゃいますが、重さによってきまるのですか、威力によってきまるのですか。どちらの方にウエートとがありますか。
  89. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 言葉が不足をいたしましたが、通常兵器として通常師団等に用いられ、日本の実情にかんがみましては、性能その他についても防御的なもの、かように解釈いたしております。
  90. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そういうことは聞いておりません。少くとも昭和三十二年の四月二十五日、岸内閣がいわゆる核兵器についての統一解釈というものを述べたときには、原水爆はもちろんのこと、それ以外の核兵器も多分に攻撃的な性質を持つもののようだ、あらゆる情報を集めてですよ、これは十分に余裕を与えて相談の結果まとまった文章なんです。情報を集めて検討した結果、多分に攻撃的性質を持つもののようだという断定をしておるのです。もちろん自分が、自衛隊が持っておるわけじゃない、国内にあるわけではないから情報でしょう。だからこういう表現になったと思う。「伝えられているところによれば、」というのは、その当時の情報によれば、「多分に攻撃的な性質を持つもののようである。そうとすればこの種の核兵器をわが国が自ら持つことは憲法の容認するところではない」こういうふうに規定づけておる。明らかに当時は攻撃的性質を持つものだと断定しているのです。それが最近あなたは、いや防御的なものだ、オネスト・ジョンが二年前には攻撃的性質を持っておったのに、二年たった現在は防御的な性格に変った、一体どのように変ってきたのか。威力というものは増大してはおっても、決して減殺されておりません。一体どのような攻撃的部分の性格が変ってきたのかということを私はお伺いしているのですから、当時攻撃的と思われた点、それだけについてまず言って下さい。
  91. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 一般論として私は申し上げておりまして、さいぜん来申し上げておりますように、最近のアメリカの普通師団等においても装備せられるようにも相なり、またその兵器の性能上TNT一万五千トンないし二万トンというようなものから、五百トン程度、千トン程度のものもできておるというように聞いておりますので、そういう点から最近私は攻撃的な兵器とは言い得ないというように考えてお答えした次第であります。
  92. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 最近はあなたは防御的な性格のものだとおっしゃっておる。私はそれを認めませんが、そうおっしゃっておることはわかったのです。二年前に岸内閣が攻撃的性格のものだと断定されましたその根拠を示しなさい。あなたが当時防衛庁長官をやってないからわからぬというなら、当時からおった人がたくさんおるのですから、そこで十分説明を聞いて、そうして当時この統一解釈を述べるに当っては、このような部分が攻撃的性質と判定されたのだ、こういうようにお答え願えればいいのです。
  93. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 当時においてはオネスト・ジョンが云々というようなことは言っておりませんで、「多分に攻撃的な性格を持つもののようである。」ということで、すべてがそうだというようには私は解釈をいたしておりません。
  94. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そういう詭弁を弄するのはやめようじゃありませんか。何度でも読みましょうか。「核兵器といわれているものは原水爆が代表的なものである」いいですか。原水爆というものは別にして、その他の核兵器というものと並べておる。いいですか。その他の核兵器の中に核弾頭を装着したオネスト・ジョンというものが当然入るじゃありませんか。また当時日本にあったのは、核弾頭は来ていなかったけれども、オネスト・ジョンはすでに来ておった。国内においての一番関心事だったのはオネスト・ジョンだ。この中にオネスト・ジョンが入ってなかったなんて今さら言われませんよ。そういう詭弁はやめて下さい。二年前に核弾頭を装着したオネスト・ジョンを、どの部分が攻撃的性質を持っておると判定されたか、明確にお答えを願います。
  95. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 二年前においてすべてのものを一つ一つ検討になったというわけではないと思います。従いまして最近の状況においては、私どもの判断ではオネスト・ジョンのごときは防御的な、もっぱら自衛的に用いる、ことに日本現状からはさような性格のものであるから、憲法の解釈としては違憲ではない、かように私は考えております。
  96. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 二年前の、その「他のもの」にオネスト・ジョンはそれでは入ってなかったというわけですか。オネスト・ジョンに核弾頭を装着したものが核兵器だということを、あなたはお認めになっておりますね。それは、その核兵器は当時は入れてなかったのだ、こういうことですか。
  97. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 核兵器の全部を網羅して論議されたというふうには私は承知いたしておりません。これはその事前のことでありますが、三十一年もしくはその前においてオネスト・ジョンが論議された際には、鳩山内閣あるいはその後の船田長官等の場合におきましても、オネスト・ジョンのごときはわが方としては防御的なものである、かように明らかに答弁をいたしております等の趣旨から、「攻撃的な性質を持つもののようである。」ということの裏には、すべてが含まれておったとは解釈をいたしませんが、かような字句の問題は別といたしまして、私としては最近の状況においては、オネスト・ジョンのごときは、もっぱら日本現状に徴して自衛の目的以外には使えない、従ってかようなものは憲法解釈としては違憲ではなかろう、かように考えております。
  98. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 すべての核兵器について触れてなかったなんて、そういう無責任なことが言われますか。少くとも岸内閣というものが国会の論議の中で、頭をしぼった結果出したその統一見解の中で、核兵器といわれているものはと、核兵器というものと憲法との関係を説明する中で、すべての核兵器を考えたのじゃなかった、そういうでたらめなことが言われますか。あなたがそういうことを言うなら、委員会質問国会の論議も意味をなさないじゃありませんか。それでは当時は核兵器の一部だけ検討したのですか。一番日本で関心があったオネスト・ジョンの核弾頭を装着した場合というのはわざわざのけておった、こうおっしゃるのですか。あなたが今盛んに通常兵器だ何だと言っているのは、オネスト・ジョンについては核弾頭が日本にきてないのだ、核弾頭はつけようにもつけられないのだ、だから通常兵器だという論議が盛んになされておったのです。核弾頭をつければ核兵器だということは当時からも認めております、今もあなたがお認めになっておるように。現実に当時日本にあったのは、オネスト・ジョンだけじゃありませんか。わざわざそのオネスト・ジョンをのけておいて、ほかの核兵器はどうも攻撃的な性格を持っておるから日本の憲法は許さぬようだ、そんなひねくれた統一見解を当時述べたとおっしゃるのですか、いかがですか。
  99. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 いろいろと論議がございますが、私としてはさいぜん来申し上げておりますように、最近の軍事科学の進歩の段階からいって、オネスト・ジョンのごときはアメリカの普通師団もすべて保持しておる、しかも憲法上の解釈として、これを日本に適用した場合においては、もっぱら防御用以外には使い得ないから、かようなものは解釈としては違憲ではない、かように考えております。
  100. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私は今のことを聞いておりません、今度も言うように。委員長も注意して下さい、私が質問しておることに答えてくれと。二年前の岸内閣の統一見解の中で、明らかに原水爆もその他の核兵器も一切攻撃的性質を持つもののようだ、だから日本の憲法でみずからこれを持つことは認めるものではないと、当時国会に対して責任ある解釈として岸内閣が出したもの、そのものについて私は聞いているのです。あなたが答えられないというなら、委員長にお願いして岸総理に来てもらいますよ。どちらでもいいのです、岸内閣の統一見解ですから。岸内閣は当時原水爆もその他の核兵器も、明らかに攻撃的性質を持つもののようだと断定しているじゃありませんか。その情報は防衛庁からいかないでどこからいきます。そういう情報を提供した責任者がたくさんここにいるじゃありませんか。あなたはその当時在任しておらなかったかもしれませんが、補佐する人たちはみんな当時からおったのです。当時は攻撃的な性質を持っていたのが、今は防御的兵器に変ったなんというたわけた答弁は、われわれは聞くことができない。これはゆっくりでいいですよ。あなたが答えられなければ、岸さんに来てもらって答えてもらってもいいのです。当時攻撃的性質を持っていると防衛庁が判定して、岸内閣の統一見解を述べる際に情報を提供した、そのときの論拠を明示してもらえばいいのです。当時はどの部分が攻撃的性質のものだと指摘されたのか。
  101. 内海安吉

    内海委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  102. 内海安吉

    内海委員長 速記を始めて。  暫時休憩いたします。午後一時より再開することといたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後一時二十九分開議
  103. 内海安吉

    内海委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石橋政嗣君
  104. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 一応午前中お尋ねいたしておりますから、答弁を用意していただいているのではないかと思いますが、まずそのお答えを願うことにいたします。
  105. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 午前中お答え申し上げましたと同様に、お尋ねの趣旨については、私どもとしては憲法解釈上差しつかえないと考えておりますが、さらに詳細に申し上げますれば、御指摘の昭和三十三年参議院内閣委員会におきまして、核兵器についての政府の統一解釈をいたしました際の趣旨として、現在核兵器といわれているものは原水爆が代表的なものであるが、その他のものも伝えられるところによれば多分に攻撃的性格を持つもののようである、かように申し上げておりまするが、もしこの前提が正しいとすれば、かような核兵器を持つことは違憲であると概括的に申し上げたものでありまして、すべての核兵器について網羅的に断定したものではないわけでございます。そこで私が設例として申し上げましたオネスト・ジョン等についても、この点はすでに昭和三十年の鳩山内閣当時から、時の杉原防衛庁長官、またその後の船田防衛庁長官等におきまして、攻撃的なものではない、攻撃的なものと解釈しておらないということをしばしばお答えいたしておりますし、従来のオネスト・ジョンの攻撃的性格についての考え方が変ったわけではございません。私はその後の核兵器の研究開発によりまして、核弾頭が漸次小型化しておるという最近のオネスト・ジョンの現状から、最近のオネスト・ジョンを念頭に置きまして、最近のオネスト・ジョンのごとき一応防御的——私ども日本の地理的な状況から申し上げまして、防御的なものは憲法解釈上は違憲でないとお答え申し上げたのでございまして、前述の統一解釈と矛盾はいたしておらない、かように考えます。ことに岸総理自身も、すべての核兵器、核兵器なるがゆえに違憲であるということについては、そういう見解をとっておらないという解釈を、本委員会その他予算委員会等でもしばしば申し上げておりますので、私どもとしてはこの統一解釈と今回の私の見解について矛盾をしておらない、かように解釈をいたしております。
  106. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 まあ苦しいのはわかりますけれども、あまりにもそれではこじつけですよ。というのは、三十年に岸内閣が統一見解を述べたときに、オネスト・ジョンというものはなかった、その後できたものであるというなら別ですよ。それならあなたが今御説明になったことで十分納得いくわけだ。けれどもそうじゃない。もう現にそのときオネスト・ジョンはあったし、しかも日本の国内にあった。核兵器に一番近いものといえばオネスト・ジョンで、国民の関心も国会の関心も、一番オネスト・ジョンに向けられておったときの論議なのです。そのときに、こういう統一的な見解を岸内閣は国会に提示したわけなんだ。ところがその統一見解でいうところの核兵器の中には、核弾頭を装着したオネスト・ジョンは入っておらないなんというばかなことがどうして言えますか。どうしてそういう解釈が出て参りますか。一番肝心なものとして当然入ってこなくちゃならぬじゃありませんか。ほかの兵器は国民一般は知らないのです。オネスト・ジョンだけはみんなが知っておった時期なのです、これが論議されたときは……。だからあなたがおっしゃるような理屈がこうひねくり回して出てきたとしても、オネスト・ジョンだけ当時入れてなかったという解釈は成り立ちません。そのときはあったかなかったか、国民国会も知らなかったが、その後の科学の発達、兵器の進歩その他で新しく生まれてきた兵器、それを今度あなたが長官になられて、これは違憲ではないとおっしゃるなら、理屈として成り立つかもしれぬけれども、当時あったものを、そのときにはオネスト・ジョンだけはのけておったのです、そのほかの核兵器はどうも攻撃的性質を持つようだ、こういうふうに考えたのだ、そんな論弁はおやめになった方がいい。あなたは当時長官でなかったからと、それで気持の上では済むかもしらぬ。しかし補佐しておられる方は、ずっとその当時からおられた方だ。この統一見解を政府が作られるときに、まず頭に出てこなくちゃならぬのは原水爆、そのほかの核兵器は何だといえばオネスト・ジョン、これが核弾頭を装着したときまず頭にこなくちゃならぬ。それでは核弾頭をつけたオネスト・ジョンは一体どういう性格を持っているだろうか、伝えるところによれば、やはり攻撃的性質を持っておるようだ、こうなくちゃならぬと私は思うのですが、わざわざオネスト・ジョンだけが統一見解を述べるときにはのけておったのだという解釈が、どうしてどこから成り立って参りますか。それからオネスト・ジョンの性格は、二年前と今と比べた場合に、性能はうんとよくなっている、威力も増加している。現状維持あるいはそれよりも低下したということはあり得ません。そこからいっても、今おっしゃっているような理屈は成り立たないと思う。それから日本自衛隊が持てばどうしたって防衛的なものになるのだとおっしゃるならば、それならほかのものだって、日本自衛隊は何でも持てるじゃありませんか。持つものによって攻撃的か防御的かきまるというなら、日本自衛隊はとにかく攻撃的なことは一切禁じられているし、しないから、使う場合には全部防御的に使うのだ、こういう理屈をおっしゃるなら、どんなものでも持っていい、こうなるじゃありませんか。アメリカでは通常の歩兵師団その他が持っている、こういう理屈をおっしゃるなら、それならオネスト・ジョンだけじゃありません。その他の核兵器だって、普通の師団あたりが持っている場合だってございます。原子砲だってあるでしょう。そうすると、オネスト・ジョンだけを違憲じゃないという解釈も成り立たない。とにかくつじつまが合いませんよ。ああいう例を出されたことが私は間違いだったと思う。こんな重大な問題はもっと慎重に検討すべきじゃないか。国民にいたずらに不安動揺を与えるべきじゃないと私は思うとにかく二年前に岸内閣が統一見解を述べた際の核兵器の中には、オネスト・ジョンは入ってなかったのだなんて、そういうばかなことは私絶対承知できません。あくまでそれを固執されますか。
  107. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 その点につきましては、ただいまも申し上げ、またさいぜんからも申し上げておりますように、すでに昭和三十年において、この統一見解の行われます前に、しばしばオネスト・ジョンが問題になりましたときに、杉原大臣、船田大臣等、いずれもオネスト・ジョンは防御的なものである、かように申し上げてある通りということを私は指摘いたしておりましたことと、同時にまた当時の考え方として、原水爆というような大きなものを基準にし、さらにIRBM、ICBMとかいうふうなものについて、いろいろ攻撃的な性格を持つという観点から、その他の兵器もというように政府の見解を申し上げたので、すべてのものを網羅的に申し上げた趣旨ではない。今御指摘のように、その後の科学技術の進歩におきまして、オネスト・ジョンのごときは進歩をしたということも事実であります。従ってはるかに小型のもの、核弾頭装備としては小型といいますか、小さな核爆発のものもでき、また通常兵器として装備されるというようなことになって参りますと、これは核兵器であると同時に、通常兵器的な性格のものに相なるだろうというようなことも申し上げておりますので、御承知のように、現実の問題としてあくまでも岸内閣は持たない、しかもすべてのものが、核兵器なるがゆえに憲法に違反するという趣旨のものでないという見地から、私は設例としてオネスト・ジョンのごとき、二年前におけるものと最近のオネスト・ジョン等の実情にかんがみて、防御的な性格のものではないか、従って必ずしも違憲ではない、かように申し上げた次第でございます。
  108. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それではオネスト・ジョンについては、もう性能から何から、詳しくあなたは承知しておられるわけですね。
  109. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 一応調査いたしました点は承知いたしております。
  110. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 この破壊力といいますか、この点で、広島型というものに比べてどの程度の威力を持っておるのか、まず御説明を願いたい。
  111. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 大体八分の一程度の威力かと思います。
  112. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 間違いありませんか。私どもが二、三年前に調べたときにも、大体四分の三ぐらいの威力があるのじゃないかといわれておったのですが……。
  113. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 四分の一程度であります。
  114. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 広島、長崎型の四分の一でもいいです。私が軍事評論家の諸君に聞いたのでは、四分の三程度の威力がある、こう聞きました。あなたは最初八分の一と言い、今四分の一と言ったのですから、とにかくあまり確信はないようです。その程度のことで防御だとか攻撃だとか言えますか。あなたがおっしゃるように、かりに広島型の四分の一でもようございます。広島や長崎においてどれだけたくさんの人たちが一瞬死んだりけがをしたりしておりますか。それのかりに四分の一の威力でもいいですが、その程度の偉大な威力を持ったものを、あなたは軽々にそういうものを持っても憲法違反にはならぬと自信を持って言えますか、いかがですか。
  115. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 最近のオネスト・ジョンの性能がただいま申し上げましたように非常に通常兵器的に核兵器としては爆発力等も小型化されておるという実情にかんがみまして、私は申し上げたわけでございます。
  116. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 あなたが今おっしゃるような理屈でいくと、原子爆弾というものは憲法違反だというように岸内閣は常におっしゃっておる。原子爆弾の中にはうんと小さいものもありますよ。私の知るところにおいては、あの広島型の原子爆弾、当時は何トンという重量があったそうですが、今はあの程度の威力を持ったものは何百キロだということを聞いております。うんと小さなものもできておるのです。そうしますと、原子爆弾もうんと小さな小型のものならいいという解釈も成り立つじゃありませんか。その点いかがです。
  117. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 原爆、水爆等につきましては御承知のように攻撃的に、航空機その他をもって相手を攻撃するという前提に私どもは解釈しておるものですから、その意味で攻撃的なもの、かように考えております。
  118. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 一体攻撃的とか防御的とかはどこで区別するのですか。それではお尋ねします。この間もあなたは、敵基地から攻撃を受けた、他に適当な手段がない場合には、その基地を攻撃するために爆撃したっていいとおっしゃったじゃありませんか。兵隊を連れていって、いわゆる向うに上陸してやることは海外派兵になるからいかぬけれども、爆撃したり誘導弾でやっつけたりすることはいいとおっしゃったじゃありませんか。それは攻撃的ではなしに防御的に、いわゆる自衛のためにということなんでしょう。その自衛のために出かけていく。爆撃機か戦闘機か知りませんが、敵の基地を攻撃するための飛行機が原子爆弾を積んでいったってかまわぬという解釈が成り立つじゃありませんか。用途によって、それは攻撃したのじゃない、報復したのだ、自衛のためだ、こういう解釈をとるならばそうなりませんか。
  119. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 ただいまの問題は、設例として先般来政府が説明いたしておりますように、八千五百万の者が座して死を待つ、他に方法がないという場合には、相手の基地に対してそれを阻止する何らかの方法を講ずることも、日本人の生存権を守るという意味から違憲ではあるまい、かような設例として申し上げたわけであります。
  120. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そういう場合の措置は攻撃のための措置じゃない、防御のため、自衛のためやむを得ない措置だ、こういう解釈なんでしょう。いかがです。
  121. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 憲法論としては御指摘通りだと思います。
  122. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうしますとやはり自衛防衛ということを考える以上、そこまでぎりぎり考えておくべきじゃないですか。憲法上できるというなら、それの実質的な武器というものも伴わなければ話にならぬ、空論じゃないですか。爆撃できる、誘導弾で対抗できる、それは違憲じゃないというならば、その爆撃機なり誘導弾なりというものを持つことも違憲じゃないということになりませんか。使うときに用心しさえすればいい、攻撃的に使いさえしなければいい、こういうことに結びついて参りませんか。
  123. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 いろいろ極端な例をとってお話でございますが、私ども攻撃的な爆撃機であるとか大きな爆弾を持つということは、他国に脅威を与えるという、自衛の建前上、通常そういうものは攻撃的と解釈いたしておりますが、御指摘のような、日本民族八千五百万が座して死を待つような、他に方法がないという場合には、相手を阻止するような何らかの措置をとるということは違憲でもあるまい、かような考え方でございます。
  124. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは憲法上他国に脅威を与えるような爆撃機あるいは長距離ミサイル、弾道兵器というものは絶対持てない、こういうことですか。
  125. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 絶対持てないということにつきましては、これは通常の場合と極端な議論があるわけでございますが、さいぜん来申し上げましたように、日本が座して死を待つ以外に道がないというときには、何らかの措置は考えるのが日本の生存権を守る上において当然ではないか、こう私は申し上げたわけであります。
  126. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そのときに備えて対応的武器は持てるということなんですか。爆撃機もいい、弾道弾もいい、長距離ミサイルもいい、違憲ではない、持とうと思えば持てる、こういうことですか。
  127. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 将来のことは将来のことといたしまして、現在の態勢におきましては、われわれは日米安全保障条約態勢から米軍防衛力に依存している、かように考えております。
  128. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それはわかっておりますよ。憲法論を聞いている。あなたは先ほどは爆撃機を持つとか長距離ミサイルを持つということは、他国に脅威を与えるからだめだとおっしゃった。ところが私が今再度追及したら、どうもしどろもどろだ。明確におっしゃったらいい。それは違憲ですか、違憲じゃないのですか。爆撃機は持てるのですか。持とうと思うか思わないかは別です。日本の憲法は爆撃機だろうと長距離、ミサイルであろうと弾道兵器であろうと、とにかく自衛のために使いさえすればそのようなものでも持てる、憲法違反ではないという確信があるのですか。
  129. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 さような日本の運命に関する際の問題を想定してお話しているわけではございませんので、座して死を待つ以外全く他に道がないという場合には、適当な措置をとるべきであろうと私は考えております。
  130. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 他国に脅威を与えるというのは今あなたがおっしゃったのですよ、爆撃機とかそういうものを持つということは。しからば憲法上持てるのですか、持てないのですかと私は聞いているのです。岸内閣が持てないということはもうわかっております。憲法上持てるのですか持てないのですか、いかがです。
  131. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 政府が統一解釈をしている通りでございまして、他に道がないというような場合にはそのときで考えるとして、現在においては持てないと思います。
  132. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 現在のところは持てない、将来は持てるかもしれない、憲法解釈というものはそんなものですか。攻撃的性格を持っているものが憲法上持てるか持てないかということで現在と将来と解釈が変りますか。攻撃的かどうかということの解釈は変るでしょう。しかし攻撃的な武器そのものは変るわけではないですよ。私が具体的な例をあげればそれは変るかもしれません。しかし攻撃的な性格を持つもの、そのものが憲法の認めるものか認めないものかというのが、現在と将来で変るはずはありませんよ。いかがですか。
  133. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 ただいまお答えした通りでございます。
  134. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そう口を惜しまなくてもいいじゃないですか、大臣たくさんしゃべるのがお好きなようだから。あなたは、爆撃機だとかあるいは長距離、ミサイルとかいうようなことをさっき私が例としてあげたときに、そのような攻撃的な性格を持ったものはいけない、こうおっしゃった。その具体例はそれでは一応引っ込めてもいいのですけれども攻撃的な性格を持つものは憲法上持てますか、持てませんか。現在の憲法が生きている限りにおいて持てますか、持てませんか。他国にそういった攻撃的な脅威を与えるようなもの、いかがですか。
  135. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 自衛観点からは、攻撃的性質を有するものは、私は持てないと解釈いたしております。しかし日本が座して死を待つというような場合に何らかの措置をとる、さような極端な設例をもってわれわれが考える場合には、そのときに適当な何らかの措置をとるべきだ、その点は私は区別して考えております。
  136. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それは憲法改正でもされれば別ですよ。私は現在の憲法というものが厳存するということを前提にしてお尋ねしている。そう考えていくと、どうも矛盾しはしないかという感じがするわけです。大臣は今、他国に脅威を与えるような攻撃的な性格のものは現行憲法上持てない、こうおっしゃいましたですね。その点からそれでは確認いたしますが、間違いございませんか。
  137. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 その通りでございます。
  138. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ところが外国から攻撃された、やむを得ない、今はアメリカがおるからいい、アメリカにまかす、こうおっしゃるかもしれません。しかし日本自衛隊は、便々といつまでも永久にアメリカの御厄介になるような、そんな気持で作っておられるとは思いません。少くとも平時駐留くらいは早くやめよう、そのくらいの気魄は持っているはずです。いざというときには御厄介になるかもしれないけれども、ある程度応援にくるまでがんばろうということは、いつもおっしゃっているじゃありませんか。そういうときに応援まで間に合わぬ、他に適当な手段がない、やむを得ない、敵の基地を攻撃することができるのだ、それは憲法上違反じゃない、こうおっしゃっている。そうすると、そのときのいわゆる実力の裏づけが要るはずだと私は思うのです。口だけ勇ましいことをおっしゃって、座して死を待つのが憲法の精神じゃない、こう思うからとおっしゃるが、ないじゃないですか、実力は。他国に攻撃的な脅威を与えるような兵器は持ってはいけないと言う。しかしいざやむを得ないときには、敵の基地をもやっつけるようなそういう手段も憲法上とってよろしい、二つの答弁はつじつまが合ってないのですよ。それでは一体そういうときに、座して死を待つ、そういうことを憲法は考えておらぬはずだからやるのだ——陸上自衛隊は持っています、船もある程度持っていますから、隊員を乗せて連れていくならできるかもしれぬが、それには憲法上できぬと言う。どうしたって爆撃に行くか、あるいは誘導弾で敵の基地をやっつけるかする以外に方法はない。それはできるとおっしゃるが、さてそれでは何でやるかというと、そのやるべき武器は憲法上持てぬ、こういうことになるわけですね。明らかに矛盾しているじゃありませんか、いかがですか。
  139. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 極端な仮定の問題について議論をいたしましても私は勝てないと存じますので、さいぜん来申し上げましたように、明らかに敵に脅威を与えるような攻撃的兵器を持つことは憲法違反である、かように考えております。
  140. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 いや、勝つ勝たないの問題じゃありません。私は少くとも自衛隊というものは、長官はいざ知らず、ほんとうに国を守るためにおれは入隊したのだという意欲を持った者ならば、いつまでもアメリカ日本におってもらって、そしてとにかく困ったらアメリカさん頼みますよなんという気持でやっておらぬと思いますよ。そんな気持でやっているのですか。できるだけ早くアメリカには帰ってもらおう。それは一国の防衛は一国の力ではできぬということはあるかもしれない。それにしたって、十年も百年も永久にアメリカに基地を貸しておってもらおう、自分たちはそういうものであればいい。そんな気持で、自衛隊の隊員として気持よくやれますか。与党の諸君が言っておる、愛国心とか士気の高揚とか幾ら言ったって、あなたがそんなことを言ったのではくそにもなりませんよ。少くともできるだけのことは自国で、自分の力でやろうということが前提になっているはずです。足らざるところを一つアメリカにも補ってもらおう、やむを得ぬ、こういう指導をやっておられるわけでしょう。私たちは必ずしも本質的にそういう考えに賛成しません。しかし少くとも日本の憲法は自衛のためならばある程度の戦力——戦力と言いたくなければ、自衛隊を持つことができると認めておる。この自衛隊は国を守るために一生懸命やるのだ、ほんとうにそういう気持でおるならば、私が今言っているようなことになるはずです。なるべく早くアメリカにも帰ってもらおう。いざというときには応援にかけつけてもらうにしたところで、普通には日本自衛隊が全責任を持ってやる。そういう態勢が一日も早くくることを望んでいるわけです。現に今の防衛力整備目標三カ年計画整備完了すれば、米軍撤退の基礎はできると、歴代長官は断言しているじゃありませんか。あなたもその点は間違いありませんか。
  141. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 国家防衛力につきましては、常に集団保障というものを前提にいたしておりますので、私は現在の自衛隊が、国際連合のもとにアメリカと集団保障をやるということによって、士気が衰えるとは考えておりません。
  142. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 話をそらさないで下さい。それでははっきり言います。日本自衛隊は現行憲法の厳存する限りにおいて、他国の脅威となるような攻撃的な性格の兵器は持てない、これはお認めになる。しかし敵から攻撃をされた場合、他に適当な方法がなければ、敵の基地を爆撃することもできる、こうおっしゃっている。しかしそれをやろうとしても気持だけであって、それがやれる実力、具体的には兵器、そういうものは残念ながら憲法上持てない。だから気持だけの話、こういうことになるかと思いますが、いかがですか。
  143. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 さような場合には、私どもは集団保障態勢の援助を期待しておる次第でございます。
  144. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それは他に適当な手段があるときだとおっしゃっているのです。他に適当な手段があるときとは何だといえば、それはアメリカもおる、こういうことをおっしゃっておる。だからアメリカにやってもらう。しかしアメリカもおらぬ、やれない、そういうときには自衛隊みずからが爆撃もできるというのがあなた方の答弁でしたよ。お間違えにならないで下さい。自分の答弁したことを間違ってもらっては困る。自衛隊でもできるのだ、現行憲法から敵基地の爆撃ができるのだ、それは海外派兵の範疇に入らぬというのがあなたの答弁しておる内容なんですよ。しかしできると言うけれども、やるための武器は憲法違反だから持てぬと言う。一体何のことですかと私、一生懸命聞いておる。勝つとか勝たないとかいう問題ではないのですよ。真剣にそこまで突き詰めて考えておくべきじゃありませんか。必要ならば持てるという解釈が出てこなければならぬ、そういうぎりぎりの場合を考えて。持てないというならば、そんなこじつけの解釈をしてみたところで、これは空論ということになるわけです。二つ切り離していいはずだなんて、そんなばかなことはありませんよ、そんなことではだれも納得しませんよ、いかがですか。やろうと思ったって、敵基地を爆撃することは憲法上できるとあなたがおっしゃってみたところで、そのやるための武器は憲法上持てぬということは、一体どういうことですか、矛盾でございませんか。休憩していただいてもいいのですよ。
  145. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 私どもはしばしばお答えした通りでございまして、そういう究極の場合における仮定の議論については現在考えておりませんし、何らかの措置をとるべきだという私の見解でございます。
  146. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 自衛隊の責任者がそんなことで済みますか。しかも私はここで仮定の論議をしておるのじゃありません。あなたが答弁しておられるところを私は具体的にお尋ねしておる。あなたが答弁した内容がおかしいじゃないかと言って聞いているのですよ。おかしいとお思いにならないのですか。他国に脅威を与えるような攻撃的な武器、攻撃的な性格を持った兵器、武器、そういうものは日本の憲法上持てません、これを一つ言っている。片一方では他国に攻撃をされた、他に適当な手段がない、やむを得ない、たとえばアメリカがすぐにかけつけてきてやってくれるというような事態が間に合わなかった、そういう場合には自衛隊みずから敵基地を爆撃することも、あるいは誘導弾で攻撃することもそれは憲法上できるという、できるとおっしゃるから国民は頼もしい、ああいいこと考えておられると思うかもしれない。防衛庁長官はさすがだ、それは確かに座して死を待つ、そんなことはないといって同調者はたくさん出てこられるかもしれません。しかし、さてしからばその勇ましい気持を実行するための武器は持てないというのに、一体何でやられるのですかと私は聞いておる。アメリカがおるとか集団安全保障にたよるとかいうことの次の段階を、あなたは答弁しているのじゃありませんか。そういうのが他に適当な手段があるときなんです。他に適当な手段がないときには自衛隊みずからやれる、こうおっしゃっているのですが、やるための武器はない、それは憲法で持てぬ、一体何のことかと私は言っているのです。そういう国会を愚弄するような答弁、国民を欺瞞するような一時のがれの答弁はおよしになったらいかがですかというのが、私の質問の趣旨であって、私が勝手にこういう場合、ああいう場合と想定を設けてあなたに質問しているわけではありません。あなたの答弁の裏づけがないじゃないかということを言っている。
  147. 内海安吉

    内海委員長 これ以上答弁できますか。
  148. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 これはできないと思うのです。私もできないことを聞いてつらいです。しかしできもせぬことを答弁なさる方に責任があるのであって、これは質問する方に責任があるのじゃないのです。それはおわかりになってもらえると思うのですよ。だから防衛庁長官に私がここで質問して答えろといっても、おそらく答えられないだろうと思う。そこでいかがですか、もう少し、総理に来ていただいて、頭をそろえて相談していただいてもいいのですよ。あなた方明確に答弁していることを、私は裏づけのないインチキ答弁、ごまかし答弁はおよしなさいと言っているのだから、あれは間違いでしたからお前の言う通りなら言う通り国会を通じて国民におわびをするならおわびをしていただいてけっこうです。これでケリがつきましょう。
  149. 内海安吉

    内海委員長 次の機会一つ……。
  150. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 いや、そんな次の機会では……。
  151. 内海安吉

    内海委員長 なかなか答弁はできないようですから、直ちにあなたの御質問に対してちょっと……。
  152. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 できないならあやまったらいかがですか。
  153. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 私はただいま申し上げた点で仮定の論議を重ねておりますので、必ずしも矛盾しておらない、かように考えております。
  154. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 仮定の論議といったって、私が設けた仮定じゃありません。あなたが答弁したことを私は例にあげてお話している。そんなことを言ったって、ほかにたくさん質問を持っていますけれども、先へ進まれませんよ。そういうごまかしでは、お互いがそういうことでは、国会の審議というものは意味をなしません。その場その場でごまかしていくなら、私もわからないのにわかったような顔をして引き下るというわけにいかぬですよ。ところがどうしても今私が言ったことに対して、今言ったこと以上に答弁できないというなら、すぐここでできるような方法を委員長考えて下さい。私は待ちます、何ぼでも。
  155. 内海安吉

    内海委員長 とにかく石橋さんの仮定の事実をもって、仮定の理論をもってのいろいろな御質問に対しては答弁はなかなかできない、こういうことを大臣の方でも答弁されておるようでありますから、今ここで……。
  156. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 仮定じゃないです、大臣の答弁を使っている。
  157. 内海安吉

    内海委員長 大臣はそういう仮定の事実に対しては答弁がなかなかできないとおっしゃるのですが、どうでしょうか、その点。
  158. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私がここで設けた仮定じゃないのですよ。私は明確に大臣が答えておる答弁に基いて、その答弁の裏づけがない、ごまかし答弁だ、ごまかし答弁でないならば御説明なさいと言っているのです。説明できなければごまかしだということを、一時のがれだということを認めればいいのです。
  159. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 私は憲法上の問題として、明らかに他国に脅威を与えるような大きな原爆、水爆並びに爆撃機等については、憲法上持つことは適当でない、憲法の解釈として適当でない、かように申し上げておるのであります。またそれに対して、それでは他国から攻撃を受けて、他に方法がないという場合はどうだということでお尋ねでありますから、それについては集団安全保障態勢のある際にはそれに依存すべきだ、それを越えた場合の仮定のお尋ねでありますから、その際には八千五百万が座して死を待つ以外に何らかの方法をとることが一番適当であろうということをお答えをいたしておるわけであります。
  160. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そういう抽象的な答弁をしておりませんよ。敵基地を爆撃することもできるとおっしゃっておるじゃありませんか。そこまで明確におっしゃっておるじゃありませんか。そういう場合には座して死を待てないから、敵基地を爆撃することもできる、自衛隊がみずから出て行くのは海外派兵だけれども、飛行機で爆撃したり誘導弾で攻撃したりするのは違憲じゃないとおっしゃっておるじゃありませんか。違憲じゃないと言ったって、それをやろうったって武器がないというのは、一体何のことかと私は聞いておるのです。
  161. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 私は爆撃をするという言葉を使った記憶はございませんし、もし使っておればさようなことは訂正したいと思います。私が今日まで使いました言葉は、他に何も方法がない場合には座して死を待つよりは、これを阻止するに何らかの措置を講ずることが適当であろう、かように答えておる次第でございます。
  162. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 敵基地を爆撃することはできるとおっしゃってないというのですか。これは総理もあなたも述べておられた、おかしいですよ。食言になりますよ。言っておりませんか。
  163. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 答弁のときにさような答弁をいたしたこともあるかと存じますが、その点につきましてはわれわれとしては、真に日本国民が座して死を待つ場合には、何らかの措置をとることが適当であろうと考えております。
  164. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私が明確に覚えておるのは、これも実は私が船田さんが長官のときに質問して、当時政府の統一解釈として出てきたのが初まりなんです。そのときに座して死を待つことはできないから、爆撃できるとこうおっしゃった、これは鳩山内閣の船田防衛庁長官時代に確立した思想だ、それを岸内閣も踏襲する、はっきり最近の各委員会であなたも、それから総理も述べておられます。それには具体的に爆撃することもできる、自衛隊がみずから行くことはできぬ、こう述べておられますよ。それは間違いだといったって、あなた一人がおっしゃっておるなら、取り消したら済むかもしれないけれども総理も各歴代長官も言っておることを、あなた一人がここで取り消しをしたら、大へんなことになりませんか。
  165. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 先般来総理もまた各国務大臣も申し上げておりますように、御指摘のごとく他に方法がないという場合においては、法規上の問題を離れて自衛上何らかの措置をすることは適当であろう、かように私ども考えております。
  166. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 新聞の見出しにも、敵基地を爆撃することができると書いてあったのを皆さん御記憶だと思っておりますが、敵基地を爆撃することができるとはっきり言っておるのでありますけれども、私に今五分時間を与えてくれれば速記録を出します。それでは言ってないと明確にお答えになりますか。言っておった場合にはどするということまでお約束できますか。
  167. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 さいぜん来私も言ったことがあるとお答え申し上げております。
  168. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 言っておるのですよ。敵基地を爆撃することができると言っているのです。自衛隊はみずから出かけていくことはできぬけれども、爆撃したりあるいは攻撃したりすることはできるとおっしゃってますよ。ところが、それは何ら裏づけのないことだということをお認めにならないわけですか。やろうと思っても、そのときに使える武器というものは憲法上持てないのだから、どうも理屈だけで——できぬならできないとはっきりお認めになったらいかがですか。そうしたら先に進めますよ。
  169. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 お説の通りでございまして、憲法上は攻撃的な、自衛範囲を離れたことができない、かように解釈をいたしており、これは御指摘通りでありますが、その際に、御指摘のように他に方法がない、かような場合においては、自衛上爆撃その他何らかの措置をとる、これはあくまでも仮定の議論でありまして、私どもとしてはこれ以上どういうふ答えもできかねるということを申し上げておきます。
  170. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それではあくまで堂堂めぐりなさるつもりですか。仮定であろうと何であろうと大臣は、憲法上攻撃できる、爆撃できるとおっしゃったのです。爆撃しようと思った、ところが爆撃するための武器は憲法上持てぬ、長距離誘導弾、弾頭兵器、そういうものがあれば敵基地の攻撃もできるかもしれぬ。爆撃機があれば爆撃もできるかもしれぬ。しかしそういったものは憲法上持てない。一体どういうことですか。どちらかに矛盾があるのですよ。どちらかにごまかしがなければ、二つの問題が合わないはずがないじやありませんか。どちらに無理があるのですか。片一方では憲法に違反する。同じ行為についてですよ。行為については憲法に違反しない。兵器、武器については憲法に違反する、そういう全く矛盾した答弁を岸内閣はやっておるのだが、どちらが間違っておるのですか。そういった爆撃機とか、長距離ミサイルとか、弾頭兵器とかいうものを憲法上持てると言ってしまえば、最悪の場合、他に適当な手段がない場合、敵基地を爆撃することができるということも裏づけられる。しかしそうではない。そういった他国に脅威を与えるような攻撃的な性格のものは持てぬとおっしゃっている。これは一貫しておっしゃっている。ところが、そういうものでなければできないような行為は、憲法上できるとおっしゃる。こんなばかな話は、私が頭が悪いからわからぬのじゃない。正常な頭を持っているものはわからぬ。であるから、ノーマルなものにわかるようにどうしてもお聞きしたい。今すぐできないというならば、私はお待ちします。
  171. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 本件につきましては、私どもは従来政府において一貫した答弁をいたしておると存じますが、その仮定の議論に対して御了承が得られないとすれば、この問題に関する限り政府部内で協議をいたしまして、適当な回答をいたしたいと思います。
  172. 内海安吉

    内海委員長 石橋さん、大体御了承願えませんか。
  173. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 了承はします。ただし大体のお約束を願えませんか。
  174. 伊能繁次郎

    伊能国務大臣 明日御回答申し上げます。
  175. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは、その分についてはさらにあらためて答弁に基いてまた質問することにいたします。
  176. 内海安吉

    内海委員長 防衛庁に関する問題は、明十九日午前十時より続行することといたします。     —————————————
  177. 内海安吉

    内海委員長 次に、農地被買収者問題調査会設置法案を議題とし、まず政府より提案理由の説明を求めます。松野総務長官。     —————————————
  178. 松野頼三

    ○松野政府委員 ただいま議題となりました農地被買収者問題調査会設置法案についてその提案の理由を御説明申し上げます。  戦後のわが国の農業生産力の発展に対して、農地改革の寄与しておりますところは、まことに大きいのでありますが、反面、これが非常に大きな社会的変革でありましたために、従来の社会的経済的基盤が大幅に変更され、その際農地を買収された者に関してもいろいろな社会的な問題が起っていると思われます。言うまでもなく、農地改革は、正当な法律に基いて正当に行われたことであって、これを是正する意味における補償は考えられないのでありますが、現行の農地法の問題とは別に、この農地改革の副次的結果ともいうべき被買収者に関する社会的な問題について、その実状を明らかにするとともに、要すれば所要の措置を講じて参りたいと存ずる次第であります。以上申し上げましたような見地から、この際総理府にその付属機関として、農地被買収者問題調査会を設置し、広く各界の学識経験者の意見を聞き、農地改革により農地を買収された者に関する社会的な問題を調査し、何らかの措置を講ずる要があるかいなかを審議することといたしたいのであります。  次に本法律案の概要を御説明申し上げます。農地被買収者問題調査会の任務は内閣総理大臣の諮問に応じ、農地改革により農地を買収された者についての社会的な問題を調査審議することであります。調査会は、二十人以内の委員で組織することとし、さらに十人以内の専門調査員及び十人以内の幹事の設置を考えております。調査会の調査審議は、おおむね二年を目途にその結論を得たい考えのもとに、この法律の有効期限を昭和三十六年三月三十一日といたしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いする次第であります。
  179. 内海安吉

    内海委員長 本案についての質疑は、次会以後に譲ることといたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時二十二分散会