○茜ケ久保
委員 松野総務長官は事務官僚でないのでありますから、御
答弁はもっとさっぱりしていただきたいと思うのであります。と申しますのは、
皇居はだれも
制限はしていない、参観したい者には参観さしておるとはおっしゃいますけれども、非常にめんどうな手続も必要ですし、だれか上京して参りまして、
天皇がおられる
皇居にも入りたいと思うとき、隣の家に行くようなさっぱりした気持で
国民が行けることが大事なんです。軽い気持で行けるところに意義があると思うのです。私もこの間初めて入ってみましたけれども、そこに問題があるのです。ただシャット・アウトしていないのだということではないと思うのです。一の問題についてはこれ以上触れませんけれども、私はまだまだ今の
政府の頭の中には、
天皇を特別な扱いをしている点があると思う。私が
国会に来て一番不思議に思ったのは、正面の玄関、あそこが立ち入り禁止なんであります。
国会議事堂は
国民のものなんですよ。
国民のものであるのに
国民がだれも入っていけない。正面の一番大事な玄関が立ち入り禁止なんです。代議士も入れない。何をするのかと思ったら、
天皇が開会式に来るだけなんです。
天皇は主権者じゃありません。主権者は
国民なんです。
国民のすべての者を裏口から身体検査をして暗いところを上らしておいて、
天皇だけが
国会の正面玄関から一人入る。今ごろこんなばかげたことはありませんよ。私はこれを不思議に思って、ずいぶん議運なんかで言ったけれども、なかなか直らない。こういうこと自体がおかしいと思うのです。作ったときには
天皇主権でしたから、ああいうばかげた
天皇の御座所のあるのもやむを得ないでしょう。しかし今日
国会の正面の玄関から
天皇しか入らぬというばかげたことはないと思うのです。これは改革できないものか。私は議員が入るか、あるいは一般
国民が正面から入って、この
国会議事堂を参観するのが正しとい思う。
民主化された
国会というところに厳としてそういうことがあること自体、
国会自身もおかしいし、
政府もおかしいと思う。これはあなたに今改正しろと言っても仕方がないけれども、
一つの例であります。これが依然としてどうにもならずにあるということ自体の中に、
天皇に対するいわゆる現在の支配と申しますか、政治力であるところの
政府なりあなた方の
考えの中に、やはり
天皇を特別扱いにしているという消すべからざる思想があると思う。これは私は、やはり
皇居造営とかあるいはいろいろなことに反映して、今
八木君も心配したように、
国民を押えるに一番都合のいいのは
天皇です、
天皇というものを昔のところに引き戻せば一番やりやすいのです。
天皇の御命令でみんな死んでおるのです。私なんかも
天皇という名前で四年も刑務所に連れられた。昔は
天皇が一番大きいのです。今の為政者の中には、岸総理を初め
天皇を利用した昔のあれが非常に多分に残っておる。そこで私どもがこの
皇居造営ということに対してこれほど熱心にお聞きするのは、そういうことが再現したのでは
天皇自身も不幸であるし、またまして
国民が非常な不幸に再会する危険があるから、こういう機会でないと私どもこういうことは言えないから、はっきり申し上げるのです。
松野総務長官は聡明な方であるし、少くとも新しい空気も多分に吸っていらっしゃるだろうから、あなた自身はそういう気持はないかもしらぬけれども、あなたのバックにある政治権力はそういうものに大きな郷愁を持っていると思う。それは開会式における総理大臣以下がモーニングをつけて、
天皇があそこに見える。何もこういう態度をしなくてもいいのです。もっとさっぱりしたらいい。何か非常にうやうやしい態度を見ると私は非常に不愉快なんです。国の総理大臣以下全
国会議員が、あの参議院の本
会議場でああいう行事をすること自体がおかしいと思う。そういうところにいろいろな問題があると思うのです。そこで、この際時間がないそうですからやめますが、そういうものがだんだん復活する危険を
感じますので、ぜひそういう点も十分に勘案していただきませんと、せっかくりっぱな
宮殿を作っておる反面に、
国民を不幸に陥れる
一つのきざしが生まれたのでは困る。そういうわけで、
総務長官、これはぜひあなたの聡明さによって、そういったものが生まれる可能性をぜひつみ取っていただいて、ほんとうに私どもが喜べるようなものにしてもらいたい。こういうことを要望いたします。