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1959-02-27 第31回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月二十七日(金曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 淺香 忠雄君    理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君   理事 進藤 一馬君 理事 橋本登美三郎君    理事 粟山  博君 理事 片島  港君    理事 小松信太郎君 理事 森本  靖君       木村 武雄君    武知 勇記君       塚田十一郎君    平野 三郎君       小沢 貞孝君    金丸 徳重君       原   茂君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 寺尾  豊君  出席政府委員         郵政政務次官  廣瀬 正雄君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      大塚  茂君         郵政事務官         (経理局長)  西村 尚治君  委員外出席者         郵政事務次官  小野 吉郎君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 二月二十七日  委員栗原俊夫君辞任につき、その補欠として小  松幹君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一〇二号)      ————◇—————
  2. 淺香忠雄

    ○淺香委員長 これより会議を開きます。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。  質疑の通告があります。順次これを許します。  金丸徳重君。
  3. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 先日の委員会でいろいろお伺いいたしまして、はっきりいたしましたことは、郵政当局の非常な御苦心、御計画にもかかわらず、必ずしも現在の伸展の状況が将来に向って安心していけるような状況にはなっておらぬということでございまして、これをお配りいただきました資料によって見ましても、簡易保険民間保険及び農業共済保険といいますか、そういうものの足取りを比較してみますると、これは政務次官、表によってぜひごらんおきをいただきたいのであります。省議その他の席上でよく御記憶になっておることとは思うのでありますが、この席上さらに復習するという意味においてごらんをいただくのでありますが、この表によりますると、二十五年度におきましてはわが国における保険分野の中で、簡易保険が占める件数の率は七七%、金額が四六%、こういう数字を示しておるのであります。それが二十六年に至りますると、件数で五八%に減り、金額が三四%に減ってきた。こうしただんだん減る傾向をたどりまして、三十年度に至りますると、簡易保険件数において三九%、金額におきましてはわずかに二三%程度であります。それから三十二年度、昨年度におきましては件数がさらに率を低めまして三三%、金額にいたしましてはわずかに一九%ということであるのであります。これに対しまして、民間保険がぐんぐん伸びておることは、これは申し上げるまでもないのでありますが、さらに新しい傾向といたしまして、数年前から始められておるところの農業共済保険が、件数金額ともに年を重ねるごとにふえておるのであります。こういう状況は、なるほど簡易保険金額及び件数ともにふえてはおるけれども、ふえる率というものはわが国における生命保険事業界事業全体の足取りに比べますと非常にのろい、消極的といいますか、比較いたしますと非常に足踏みしておるような状況でありまして、何といいますか、よそさんが進むのについてこちらの方はおくれてきておる、ますますおくれる傾向が強くなっておるというような状況になっておるのであります。こうしたことを私は非常に憂えるのであります。その原因を先般もお尋ねいたしたのでありますが、あるいはサービス面において遺憾な点もあるようであります。今後大いに改善しなければならない面もあるようであります。そうしてその改善策一つといたしまして、今回御提案になっておるところの家族保険というような新しいものをも御考案になったことであります。私どもは大へん苦心のあるところは十分お察しできますし、従いまして全幅の賛意も表したいのであります。しかしながら、これをもってして今のような非常に足取りののろくなっておる状況を一挙に挽回するということは、容易ならぬことだと思います。とうていそれをもって満足し、将来に期待をかけるということはでき得ないのではないかと思いまして、その辺にさらにもっともっと工夫をこらしていただかなければならない点があろうかと思うのであります。  そこで、そういう民間保険の非常な発展状況あるいは農業共済保険における、年とともに発展していく状況と比較いたしまして、簡易保険がどうして管理者及び現場従業員諸君苦心惨たん努力にもかかわらず、こうした状況に陥っているかということをつぶさに見てみますと、ここにはたとえばどうも人手が足りないのではないかということも考えられるわけであります。あるいはまたその足りない人の給与の面なり、あるいは訓練教養の対策などにおいて、これは国家公務員というようなワクの中にはめられておるからやむを得ないという事情もおありかもしれませんけれども、しかしながらそうしたことがやはり大きな原因一つになっておるのではないかと思われる節もございます。それからもう一つの点といたしましては、サービス面において大いに改善しなければならないと申しながら、先般来問題になっておるところの保険金額において、今の経済状態に比較してあまりに低きに失しておるというような、言ってみますれば現場職員活動面が非常に狭められておるというような点も大きな原因でありましょうし、さらに保険料の問題でありますが、最近新聞の伝えるところによりますると、民間保険におきましては保険料の低下を計画いたしておるそうであります。そうすると、ここにまた大きな問題をはらんで参るのでありまして、簡易保険は低料にして簡便なる保険を提供するといいながら、民間保険と比較して必ずしも低料ではないのだ、案外高いのだということになりますと、一そうこの足取り伸びを阻害する、減殺するというような結果を招くのであります。これらにつきましても心配の種と申さなければならないのであります。そのほか福祉施設の問題でありますとか、あるいは、私はきょう最後の問題としてお伺いしなければならないと思っておるのでありまするが、積立金の運用に関しまして、長い間御苦労なさっておるのにもかかわらず、現在の状況が必ずしも簡易保険事業進展のために役立つような方向あるいは方法においてやられておらないのではないかというような心配もございます。そうした幾つかの問題がからみからんで、わが国における保険事業の全分野が非常な大きな足取りをもって進んでおるのにかかわらず、簡易保険がこのような停滞状況の運命に陥っているということになろうかと思うのであります。さような意味におきまして、きょうは少しこまかくなるのでありますが、一つ一つお聞きをいたして参りたいと思います。  第一に定員の問題でありまするが、現場の声をたまたま私どもが耳にいたすところによりますれば、やはり今のような募集難あるいは維持難が訴えられるときにおいて、手不足あるいは人不足というような面がかなり現われてきておるのではないかと思うのであります。最近数年間における簡易保険従業員定員増加状況というようなものを一つお示しをいただきたいと思います。
  4. 廣瀬正雄

    廣瀬政府委員 ただいまの金丸委員の御意見でございますが、簡易保険の現在並びに将来を深憂されまして、まことに真実あふれる御意見を拝聴いたしまして、私ども全く同感でございます。さような各種の難関がございますけれども、こういうような難関を克服することにあらゆる工夫をこらしまして、この事業発展のために今後とも努力して参りたいと思っております。御質問の事項につきましては事務的にわたりますので、局長から答弁させていただきたいと思います。
  5. 大塚茂

    大塚政府委員 お尋ねの最近におきます増員状況でございますが、これは昭和三十年に定員として二百名増員をいたしました以降におきましては、定員として増加をいたしておらないという状態でございます。ただ賃金で三十三年度から集金要員として二百名分賃金が新たに認められておるという状況でございます。
  6. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 三十年度に二百人の定員の増があった。以来今日まで定員として増員されたものはない。そうすると、二十五年以来といいますか、ずっとなかったということになるわけですか。その点が一つ。それから三十三年度に二百人増員になったそうでございますが、これは賃金。それで賃金というのはどういう方面にどうお使いになる予定であられるのか、お伺いしたいと思います。
  7. 大塚茂

    大塚政府委員 二十五年以来といいますと、昭和二十八年に行政整理がございまして、むしろ減員になっております。それから増員は先ほど申し上げた通りでございます。  それから三十三年度から認められました賃金の二百名というのは、集金件数がふえるのに対しまして要員として認められたのでございますので、集金要員として地方に配算をいたす次第でございます。
  8. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そういたしますと、定員的にはほとんどふえていないと見る以外にないのであります。集金雇い人夫でやるというようなお考えのようで、わずかに昨年度二百名の雇い人を使うことになったということでありますが、こういう状況にあることが、私は今の簡易保険を非常に苦境に陥れておる大きな一つ原因ではないかと思うのであります。私の口からあらためて申し上げるまでもないことでありますが、保険募集でありまするとか維持でありまするとかいうようなことは、単なる雇い人夫といったような考え方で、そうした人でもって間に合うべきものではないと思うのであります。非常に経済界実情にも通暁しており、そうして人情の機微にも触れることのできるような教養訓練と、何といいますか人柄を兼ね備えたような人が、初めてこの重大なる困難の仕事にも耐え得るわけであります。そういうような意味におきましては、雇い人夫で間に合せるというような考え方であってはいけないと思うのであります。りっぱに定員化された人であり、将来に望みを持ち得る人であり、勉強もし、張り合いを持ってこの仕事に熱と誠をこめ得るような状況下において、初めて保険勧誘なりあるいは維持の熱を出してもらえるわけであります。そういうような意味におきまして、今の三十年以降の定員措置といいますか、人手に対する措置は非常に不十分であるように思われるのでありますが、御見解はいかがでありましょうか。
  9. 大塚茂

    大塚政府委員 御承知のように、集金件数は年々ふえて参りますのに対応しまして増員は認められておりませんので、結局集金は欠くことができませんので、募集方面人手がその方に回されるという状況にあることは確かでございます。そういう点がまた影響しまして募集面伸び停滞状況にあるという一つ原因にもなっておるというふうに私ども考えておる次第でございます。従って、できるだけ増員をわれわれとしては望んでおります。また増員の場合に応ぜられますように、なるべく身分を安定して希望を持って働ける定員として認められることが望ましいことは、私ども同感でございます。しかしいろいろの事情困難性もございますので、集金合理化といいますか、併合あるいは団体払い込み等の奨励によりまして、なるべく集金の手数を省いて増員不足を補うというような措置を講じて参っておる次第でございます。
  10. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 それで今度の家族保険創設——まあ創設ですね、それに伴いましては、どういうような措置を講ぜられておりますか。
  11. 大塚茂

    大塚政府委員 家族保険の実施に伴いまして、これも賃金で二百八十九名分が来年度予算案に一応織り込まれております。
  12. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 これも賃金雇い人夫というようなことでございますが、実際問題としてこれで事足ろうとは考えておられないのではないかと思うのです。新しい仕事を考案される場合においては、当然のことをして定員の増があるべきだと思うのです。どうして定員の増がとれないのか、あるいは計画なさらぬのか、計画されておるのにかかわらず、なお——先ほどは諸般事情というお話がありましたが、諸般事情というのはどういう事情がおありなのか、その辺をお伺いしておきませんと、あとの話がちょっと進まぬわけでありますが、どんなふうでありますか。
  13. 廣瀬正雄

    廣瀬政府委員 定員の問題でございますから、私どもに責任がございますので、私からお答え申し上げたいと思います。  郵政事業につきましては仕事が年々ふえておりますし、また簡易保険のごときはどんどんふやして参らなくちゃならぬわけでございますから、定員を大いにふやしたいという念願を持ちまして、実は明年度予算についても一万二千名以上の定員増員考えておったのでございますけれども、いろいろ予算の編成の折衝におきまして、すでに御承知のように、三千八百人の増員しか認められないということに相なったわけでございます。私どもは、郵政事業特別会計であり、しかも年年仕事がふえていくという仕事でありながら、その事業に即応した定員をもらえないというのは、まことに理不尽というように考えております。こういうような問題は一般会計とも違いますので、スライドして定員増員を安易に認めてもらいたいというように考えておりますけれども、国全体の建前、政府の方針として、さようなことが容易にできないことを事業人としてまことに遺憾千万に思っているわけでございます。しかし三千八百人の定員増員は、従来かってなかった定員増加でございまして、御承知のように、本年度のごときも大へんよくとれたと申しました年度であったにもかかわりませず、二千六百人の増員であったのみでございますが、明年度は幸いに三千八百人はとれましたけれども、私ども考えておりました一万二千名の増員の要求に対しましては、まことに僅少であったわけであります。国家全体の財政の都合から申しまして、やむを得なかったのではないかと思いますけれども、他面において、事業人としてまことに遺憾千万に思っておるような次第でございます。ところが、三千八百名の増員の大部分は郵務関係あるいは電気通信委託関係というようなことに充当いたしておるのでございまして、簡易保険関係におきましては定員増加を認めることができずに、家族保険創設に伴いまして辛うじて二百九十名程度賃金要員増員ということでやっていかなくちゃならないということになっておるわけであります。今後も定員の確保につきましては十分努力をいたしたいと思っておりますが、せんじ詰めれば私ども努力が足らなかったのではないかと思いますので、まことに遺憾千万に思っておる次第でございます。
  14. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 増員の必要はあるとお考えになったにもかかわらず、そうしてまたそれについての努力を十分なさったにもかかわらず、ついにわずかに二百九十名足らず賃金要員が認められただけで、新しいこの家族保険というものを始めなければならないというようなことになったというお話であります。この点は、私は、非常に大事なところでありますから、御努力に対して不足がましいことになって失礼になるかもしれませんが、もう少しお伺いをいたさなければならないのであります。  先ほど申し上げましたように、非常に簡易保険の運営といいますか、勧誘及び維持について、現場においては特に苦しくなっておる、そういうことは政務次官もよく御承知になっておられることであります。そういう中においては、人をふやしてもらう、あるいは人の使い方について考えてもらうというような方向以外に、この状況を救う道はない。これも繰り返すようでありますが、そう見るより以外にないわけであります。そこで定員問題というのは、今の簡易保険状況から将来を考えますと、絶対に私は譲り得ない線だと思うのであります。スライドするということを今おっしゃいましたが、そういうようなただ単に数が増すからそれにスライドする、収入が増すからそれにスライドするという以上に、苦労が増すのであります。よそから攻め込まれてくる、自分たちの働く面はだんだん狭められてくる、条件はますます悪くなるのだという、そういう環境をも加味してのスライドを考えてもらいませんと、間に合わなくなるのではないかと思うのであります。ところが、ここ数年来認められておりませんし、今度の家族保険という重大なチャンスを迎えたにもかかわらず、ついにこの壁が破り得なかったということが、私は非常に将来に向って心配しなければならないのであります。そこで御尽力下さった、省内におきましてはずいぶんと問題にされたようでありますが、おそらく私はこれは想像するのでありますが、省のそうした要望、意見、御努力にもかかわらず、ついに涙をのんで増員をあきらめなければならなかったというのについては、予算折衝上、大蔵省方面その他においてかなりの難関があったと想像せざるを得ないのでありますが、これにつきまして大蔵省あるいは人事院でありますか、そういう方面との折衝状況過程というものを、関係経理局長もお見えになっておりますので、どなたからでもいいのでありますが、一つお聞かせいただければありがたい。
  15. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 保険業務関係定員につきましては、先生のおっしゃる通りでございまして、最近これが認められておりませんから、新年度におきましては新種保険もできることでありますし、ぜひとも何がしかの定員を実現したいということで、これは保険局長の方からお話があったかと思いますが、新年度保険関係の分といたしましては、事務量増加に伴うもの六百十名ばかり、それから加入者ホーム新設に伴うものを二十三名ということで折衝したわけでございます。加入者ホーム新設に伴うものは五名定員化を認められたわけでございますけれども保険年金事務量増加に伴う六百十名につきましては、いろいろと議論が沸騰いたしまして、私どもは、年々取扱い件数も非常に、ふえておるのだし、現場でも非常にオーバーワークに苦しんでおるのだから、何とか実現してほしいということを言うのに対しまして、向うは、件数はふえておるのだけれども、それは全国の総取扱い件数はふえておっても、それを簡易保険業務を取り扱う個々郵便局に当てはめてみれば比較的わずかではないか、それは既存の定員の中で消化吸収されるはずだ、保険業務の内部についてもいろいろ管理部門合理化だとかあるいは機械化だとか、そういったようなことでもう少しあなたの方も事業経営合理化をやったらどうですか、ということを繰り返し申しまして、いろいろ議論をして、何とかということで努力したのでありますが、結局時間切れになりまして、それではやむを得ぬ、賃金だけでもとにかくあれしてくれということで、今、保険局長が申しましたような二百数十名の周年使役長期使役賃金でありますが、これで新年度は何とか工夫してやろうということで、手を打たざるを得なかったという実情でございます。
  16. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 非常に御努力なさったにもかかわらず、時間切れという言葉がありましたが、終局まであきらめなかったという腹の中だと私は察しまして、時間切れとあればこれもやむを得ないわけでありますが、時間切れであればあるだけ問題は今後に続いておると考えざるを得ないのであります。今、六百五十名の増員を計画されたということでありますが、私は家族保険創設、それから今日までの三十年度二百へ増員以来、三十一年、三十二年、三十三年と増員にならなかった実情にかんがみまして、これからも悪条件の一そう増してくるというような傾向にかんがみまして、六百五十人というものはずいぶん内輪に見積った——今、各官庁も定員はなかなか増すことが困難だというようなことをも十分腹の中に入れておいて内輪に見積って、言ってみますればずいぶん遠慮した数字だと思うのであります。その遠慮した六百五十人さえも削られてしまって、わずかに三百足らずの臨時といいますか、定員外の人によってまかなわなければならないということは、なかなか大へんなことだと思うのです。今、承わりますると、関係の方ではいろいろ差し繰る面があるのではないか、現場の方では全体としてはそうであるけれども一つ一つ個々郵便局に当てはめれば、一人増しとか二人増しという数字は出てこないというようなことを言われておるのだそうでありますが、これは私非常に危険な考え方だと思うのであります。郵便、貯金、為替あるいは保険年金といったようなものを個々に見てみますれば、そういう各郵便局で、しかも全国の一万数千の郵便局にこれを割当てると、なるほど一人増し、三人増しというような数字は出てこないかもしれない。けれども全体の傾向としては、現場手不足はそういうものが集積していって、増してこなければならぬ事態になっておると思います。そういう意味において、この六百五十人というきわめて遠慮がちな数字というものは、今度の予算においてやむを得ず涙をのんだといたしましても、将来、来年度において、あるいは最も近き機会においてこれを実現されるような御努力をお払い願わなければならないと思うのであります。ことに私が心配いたしましたのは、先ほどから繰り返して申しておるのでありますが、今後保険勧誘員というようなものは、いきなり新しいものが入ってきて、きょうからすぐ間に合うというような仕事ではないのです。逓送だとか集配というようなことはある程度間に合うにいたしましても今のような経済状態の中において民間保険と競争し、農業共済保険の人々と競争をして、そうして一つ一つ加入者を説得する、勧誘するというようなことについては、相当の時間をかけて訓練もし、勉強もしておかなければならないと思うのであります。しかるに今お伺いするところによりますと、ここ数年来新しい人が入っておらぬということになる。もちろんほかの方から差し繰っていろいろとやっておられると思います。実際の問題としてはそうだと思いますけれども、しかしこの形の千から見ますと、新しい人が入っておらぬ、きておらぬ、これない状況になっておる。そうしますと後援続かずという状況が近く現われてくると見なければならない。年々百人なり何百人なりの新しい気鋭の人たちを採用して、そこで何年間か訓練をして、勉強もしてもらって、そこで外野に出てこの仕事に携わるという態勢をとっておりませんと、近き将来において人事が行き詰まる、あるいは老朽化してしまうという心配を持たざるを得ない。そういう意味において、今年度はいたし方がないということになるかもしれませんが、私はこの点を非常に重大に思うのであります。この点、政務次官から何かお考えがありますれば承わりたいと思います。
  17. 廣瀬正雄

    廣瀬政府委員 明年度予算折衝につきましては、今、経理局長から御説明した通りなんでございますけれども、私ども折衝には参画いたして参ったわけでございます。ところが郵政事業におきまして、いろいろの重要な柱がありますうちにおいて、特に最近三つ四つ起しました柱の一つ定員増加であったわけであります。ところがわれわれの立場からいたしますと、仕事が年々ふえていく、労務は非常に加重してくる、そういう仕事の量に即応いたしまして定員をふやす、定員獲得の問題が予算折衝におきまして重要な柱である、最も重点的にわれわれが努力しなければならぬ問題であるということがすでに変則だと思うのでありまして、予算折衝の場合におきましては、そんなことでなくて、積極的にサービスの向上あるいは事業の整備というような問題であってこそ好ましいことでございます。定員なんというようなことは当然解決しなければならない問題であって、そうさしたる労苦なくしてさような定員獲得ができるというようなことでなくちゃならない問題が最も重要な問題であることは、まことに悲しむべきことであるというように考えておるのであります。そこで私どもといたしましては、郵政事業特別会計におきましては郵便初めその他の事業量の増加に伴ってスライド的に定員増加を認めてもらうというような、スライド制と申しますか、そういうものを確立しておくべきだということを党の政調会あたりに対して明年度予算折衝に当りまして、今度は間に合わなかったけれども、三十五年の予算以後は、かつて郵政事業においてさようなことがあったようにさような方針を再び確立しておく必要があるんだということを強調しておいたのでございます。おそらくさような方針が何とか実現するようなことになりはせぬかと思っておりますけれども、この上ともさようなことにつきまして努力を重ねて参りたい、かように考えております。
  18. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 同じことを繰り返して質問しませんけれども、私は今度の家族保険創設という重大なチャンスをついに見送らざるを得なかったということについては、特に何度繰り返しても遺憾なことに存じます。これは今後において一つ償いをしていただくようにお願いをいたしまして、次に移りたいと思うのであります。  その次に問題になりますことは、契約者に対するサービスを改善していかなければ、今のこの苦境の原因を除くわけにはいかないのではないかと思われるのであります。昨日の当委員会における森本委員の御質問にもありましたが、保険料の改善と申しますか、低下のことについては、御研究になっているようであるが、それはそういう方向に御努力を願うことといたしまして、さらにまた保険金額の引き上げ問題につきましても、これはもう長い間繰り返されていることであります。そしてまた十分尽力されるお話もございました。これを私はここで繰り返してお伺いいたすことは遠慮いたすことといたしまして、さらにそうした加入者へのサービスの改善は、いろいろの面において考えられるのではないかと思うのであります。たとえば、今はそういうことの実現は困難かもしれませんけれども、戦前におきましては健康相談所といいますか、保健相談所というようなものを作っておいて、加入者の健康相談に応ずる。これが非常な好評を博しておった。今は厚生省との間にいろいろの問題もありましょうから、その通りのことを再びここで実現すべきであるという主張は私は持たないのであります。しかしながら考え方といたしましては、そういうことについてはずいぶん検討もせられ、実行に進められてもいいときが参っておるのではないかと思うのであります。  加入者ホームというようなものが各地にこしらえられることになりまして、これも好評を博しておるようでありますが、これも東京あるいは別府、あるいは北海道のどこと重点的に置かれることもさることながら、でき得べくんば、規模の小さいものであっても、重要都市といいますか、各県庁所在地くらいにはそういうものの計画をなさって、加入者にサービスをなさるということは非常に大切なことのように思われるのでありますが、こういうことについてのお考えはどの程度にお持ちになっておられますか、一つお尋ねしたい。
  19. 廣瀬正雄

    廣瀬政府委員 御指摘のように、加入者のサービスの向上ということにつきましては、絶えず考えなくちゃならぬ問題でございまして、保険料のごときも、資産の運用をますます高率にいたしまして、保険料に検討を加えるということも必要であると考えるわけであります。お尋ねの診療所あるいは加入者ホームにつきましては、診療所は最近は増設をいたしておりません。と申しますのは、最近の統計で調べてみますと、診療所の一日の利用者が一カ所で平均二十二名程度でございます。これに対しまして、職員の方は医師初め雑務者に至るまで十一名平均配置しておるというような状態でございますので、診療所は加入者から大へん好評を博しておりますことは御指摘の通りでございますけれども、実態がさようなことでありますので、最近は増設はいたしておりませんが、巡回診療は一日平均が五十六人というようなことになっておりまして、なかなか利用者も多いようでございますので、これはかなり活発に引き続きやっておるようでございます。  それから加入者ホームにつきましては、御承知のようにすでに三カ所設置いたしておりますし、明三十四年度におきましても一カ所の設置の予算が幸いにとれたのでございまして、少くとも一カ所ずつ加入者ホームを増設していきたい、かように現在のところ考えております。二カ所くらい置くべきだ、そうしてなるべく早く全国各地方地区別にあまねく——と申しましても数に限度があるわけでございます。加入者ホームは急いで設置すべきだというような意見も省内にございますけれども実情といたしましては、明年度一カ所新設というような程度になっておるわけでございます。
  20. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 加入者ホームについてそういう方向に進んでおるというお答えでありますので、それは実現の日を御期待いたすという以外にないのでありますが、さらに先ほどお答えの中に出て参ったところの巡回診療の施設、これなども現地において見ておりますると、大へんに期待されておるのであります。もちろん無医村というようなものが解消されてきておる今日でありまするから、昔の巡回診療ほどのものはないにいたしましても、ああした施設が現地に参ることによりまして、契約者、加入者から喜ばれるということもさることながら、現地の従業員が非常に勢いを盛り返して参ります。言ってみますれば援軍来たるというようなことでそれを機会に大いに世間にアッピールいたします。力を新たにして活動を開始するというような例はたびたび見ておるのであります。そういう意味におきまして、統計上に表われてくる巡回診療の利用者の数がどうだとかこうだとかいうこと以上に、むしろそれをねらってやられてもいいと思われるくらいに、現地において勧誘に苦労しておる、あるいは集金に苦労しておる人たちは、この援軍を非常に待ちこがれておるわけであります。さような意味におきまして、今後これらについても考えをお進めになっていただく必要がありはしないか。なぜ私がこういうことを申し上げるかといいますと、今さら簡易保険の根本思想云云などということを申す必要もないのでありますが、一人でもよけいに仲間をふやすということは、簡易保険事業の根本の使命であるわけであります。加入者に対するサービスを増すということの最大のものは、仲間をふやしてやり、一人でもよけいに契約者をふやしてやる、加入者をふやしてやるということにあろうかと思います。そういう意味におきまして、加入者をふやす、契約者をふやす施設を増すための努力を、現場に即するような方向において進めていただきたい、こういうことを申し上げたいのであります。そうして、そのためには今の巡回診療というふうなものが比較的おもしろい効果を発揮しておると思っておるわけであります。  次に、問題を移しますが、そうしてサービスを改善するということは大切なことであり、それについての計画も進められておるようでありますが、問題は、それにいたしましても現にあるところの財産運用の問題、積立金運用の問題が郵政省当局の理想とせられるような点に進んでおられるかどうかについて、若干私は心配を持つものであります。先般ちょうだいいたしました資料によって見ますると、簡易保険民間保険との財産運用上の利回り状況は、簡易保険が二十二年度におきましては四・三%、民間保険は当時六・三〇%、それが二十八年ごろにおきましては簡易保険が四・八九%、民間保険はがぜん増しておりまして一二・九四%、こういうような数字を表わしておる。最近におきましては若干改善されたようでありまするが、それにもかかわらず、昨年三十二年度におきましては、簡易保険が五・七六%、民間保険が九・六二%というようになっておる。こういうふうな利回りの実績が結局加入者、契約者に対するサービスの改善上大きな隔たりを来たしておる。これはもう明らかな事実だと思うのであります。このことがやがて料金低減のことにもなって参りましょうし、あるいは長期還付金、割り戻し制度の程度を決定することにもなるでありましょう。この利回りの状況は今後どういうふうな足取りといいますか、改善を持つお見込でありましょうか。最近どんどんと進んでは参るようでありますが、これはどの程度まで伸びるお見込みでありましょうか、お伺いをいたしたいのであります。
  21. 大塚茂

    大塚政府委員 御指摘のように、簡易保険の運用利回りは非常に低いのでございますが、われわれとしましては、第一次的には現在認められた方法と範囲内においてできるだけこれを有利にするということをまず努力いたしておるわけでございます。さらにそれ以上といたしましては、運用範囲の拡張をして、もっと高利回りのものに投資できるようなふうに改正をいたしたい。また余裕金を資金運用部に預託するというような建前になっておりますが、これなどもできることなら改正をしたいというようなことなどを考えておりまして、次第に利回りを向上しまして、近いうちに六分五厘くらいまでの線にはぜひ持っていきたいというふうに考えておる次第でございます。他方、民間保険におきましては、おそらく今後金利は低下の傾向をたどると思いますので、現在よりもだんだん低くなっていくということが考えられて、その民間とわれわれとの差は次第に縮まっていくというふうに現在考えておる次第であります。
  22. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 六分五厘程度までは持っていけるというお見込みであります。大へんこれは明るい見通しでありますが、しかしながら、それをもっていたしましてもなお民間保険との利差、運用上の隔たりは相当あると見なければなりません。しかし簡易保険には簡易保険の運用上の基本的な原則があるわけでありますから、何でも高いのに飛びつく、利息さえとれればいいのだというわけには参らない。これは私どもにもよくわかるのでありますが、しかしながらそれにいたしましても、今の余裕金の問題などについてはなお相当考えてみるべき余地があるでありましょうし、それから今後における運用先といいますか、あるいは運用の条件などにつきましても必ずしも六分五厘というふうに拘泥される必要がないように思われるのであります。元来有利確実に運用をして、その利益を加入者に還元するというところが国営保険、非営利保険のねらいなんです。ですから、運用先のことも考えなければなりませんし、同時に、同じものであるならば高い方へ持っていくことも十分考えなければならない。ことに余裕金の運用問題については、これはひとり簡易保険ばかりでありませんで、預金その他にもあるようですが、十分一つ考えをいただいて、今後すみやかにそれらから得るところの運用利というものは十分はかっていかなければならないように思います。これはまあお考えは同じでありますから、お答えはいただかなくてもいいことといたしまして、そこで運用の問題は運用先のことをも考えなければならないからということであります。まさに大事なことでありまして、運用先、それから運用の仕方というものが簡易保険にとっては非常に大事な問題だと思われるのであります。そのことのゆえに簡易保険事業は終戦以来運用の自主性を回復しようということで、長い間苦労されてこられたのであります。今さら私がここで申し上げるまでもないのでありますが、戦争という特殊事情に災いされたといいますか、特殊事情のためにやむを得ず国家資金の統制に服しておった。それが戦争が終って、各般の事業がそれぞれ自主的に本来の使命に立ち返って運営せられるときになった場合においては、当然簡易保険の運用も、簡易保険の運用としての使命に徹する方法、手段においてやらなければならない、そういう主張のもとに運用部からの自主性といいますか、復帰を念願しておった。これが終戦以来逓信委員会における最大の事業、最大の努力目標でもあったように思われるのであります。そうして幸いにいたしまして二十八年度でありまするか、当局及び当委員会の御尽力によりまして運用権が回復されたようであります。さてしかし、実際問題としてその当初念願したところの簡易保険の使命に即するような運用の実態が現在行われておるかどうかについて、私はいなかの方におるものですからよくわからないのでありますが、果してそういう実態が現に現われておるのかどうかお伺いをしたい。
  23. 廣瀬正雄

    廣瀬政府委員 簡易保険積立金の運用事務を郵政大臣に奪回する、復元すると申しますか、さような問題は、昭和二十七、八年ごろの私どもの大きな課題でありましたことは御承知通りでありまして、幸いに皆様方の御協力によりまして、一応形は郵政大臣に権限が返ってきておるわけであります。実際の状況におきましては、国の財政投融資の一翼をになっておるという簡易保険積立金のことでもございますので、その方面からかなり大きな規制を受けておるわけでございます。私ども郵政省の立場から申しますと、明年度予算編成につきましても、多少遺憾な点がなかったではないと思いますけれども、今後その運用権が郵政大臣にあるというはっきりした認識を関係省において持ってもらって、そうしてこの積立金の運用については遺憾のない措置を進めてもらうというようなことに努力をしなければならない、かように考えておるのであります。
  24. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 簡易保険積立金が、国の財政投融資の基本方針に沿ってやられるということも、それはやむを得ない措置として了承いたすといたしましても、その運用の方法、あるいは運用先というようなものにつきましては、果して郵政大臣の考えが及び得るような体制になっておるかどうかということを私は疑うのでございます。元来この積立金の運用の自主性を回復しようというときのねらいは、これは二十二、三年あるいは四、五年というときに当りまして、地方自治体の財政が非常に苦しくなっておった。当時は特に占領軍の指令によっていろいろなことがとり行われておるようなときでありましたものですから、一そう窮屈な思いをしておった。それで地方団体としては、せめて簡易保険積立金だけでもいいから、一つ昔のように郵政当局と地方自治体、あるいは自治体以外の団体との間に直接交渉によって貸し借りができないものかどうか、素朴ではありますが、しかし強い念願のもとにこれが要望されておったことは御承知通りであります。それでまた逓信委員会で急いでこれを何とかしょうといって御苦労なさったときも、そういうような地方の切実なる要望に一刻も早く沿わんがためであったようであります。ところが現在の状況は、なるほど財政投融資の中で、地方団体に回すところの簡易保険積立金の額が相当のワクで認められたとしても、貸し付ける対象はよそさんで選んでおるのではないかとさえ思われる節がございます。郵政大臣とかあるいはその出先の郵政局長、さらに出先の郵便局長というものは、自分たちの集めた金がどの地方団体にどういう方法でどれだけ貸してやられておるのか、それがきまってからようやくこれを知らされるというようなことでありまして、この点が当初のねらいとはよほど違った方向に進んでおるのであります。あるいは違った結果を招いておるのではないかと思われるが、実情はいかがでございましょうか。私はよくわからぬものですから、そういう要らざる心配をするのであればよろしいのですが、実際のところを承わりたいのであります。
  25. 大塚茂

    大塚政府委員 簡保資金の地方公共団体に対する貸付につきましては、ワクにおきましては資金運用部と協議ということでございますが、相当のワクを確保いたしております。ただ具体的に融資先を決定いたします場合は、運用再開の二十八年に大蔵、自治、郵政三大臣の三者協定というものがございまして、事業別、個別の融資先の決定というものは、大蔵省と自治庁で相談して決定をするというようなことになっておりまして、     〔委員長退席、秋田委員長代理着席〕 実際にどこに幾ら政府資金を融資するかということは、大蔵省と自治庁によって決定される。その中で、郵政省と資金運用部で、どちらが幾らずつ持つかということを大蔵省と協議してきめるというような建前になっておる関係上、仰せられますように、実質的にはほとんどきまったあとで融資の手続だけをするというような実際的な姿になっておる次第でございます。しかしそれも運用再開当時、いろいろ地方団体に非常に複雑になって迷惑をかけるということ、あるいは郵政関係で、そういう事務になれてないからというような点もあって、そういう三者協定もできたことと考えるのでありますが、今日におきましては、そういう事情も大部分解消してきておりますので、この協定をそろそろ改定すべき時期にあるというふうに考えて、私ども関係方面と話し合いを進めておる次第でございます。
  26. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そうすると、やはり私が心配いたしましたように、よそさんできめてきたものについて、ただもう手続だけをするということであるようでありますが、これはこの運用再開の趣旨を没却するもはなはだしいと申さなければならないのであります。現状に決して満足することではなくして、これの改善策考え折衝を始められることでありますから、それを待つ以外にないのでありますが、ただ先ほどからも問題にいたしたように、非常にこの簡易保険が苦しくなっておるときに、何らかの方法をもって地方に呼びかける、あるいは地方の人々の了解あるいは応援を得るというようなことは、非常に大切な状況になっておるのであります。そうしたときに、せめてこの地方団体への貸付の場合において、現地の郵便局長がこれに関与できるような、相談ができるような体制をとっていくということは非常に大切なことに思われるのであります。元来、終戦前の積立金の運用は、当時は自治庁もなかった、全く直接交渉で、契約の状況なり今後における加入の見込みなりというようなものを勘案しながら、ずいぶん事業者としての自主的判断が加えられて運用されておった。これはひとり地方行政団体ばかりではなしに、ある場合におきましては住宅組合でありますとか水道組合であるとかいうふうなものにまで直接貸すことができた。そうして、そういう直接貸すことができたということの上に非常にそうした地方の人々と親しみがわいてくる。その親しみがわいた状況下において現場職員は勇躍加入者の勧誘もできる、あるいは集金も比較的楽に、三度行かなければならなかったところを一度で済ますことができるというような状況にもあったのであります。しかるに今日におきましてはそういう手づるといいますか、そういう状況下に置かれておりませんために、ひどいところになると、簡易保険に入ってもその金は全部中央へ持っていかれてしまうのだ、そうしてあるいは船の金になるとか、その他の方面に使われてしまって、現にこの町のこの村の橋をかけ学校を作るのには役立たぬのだ、そのためにはむしろ農業共済保険に入った方がより適切であるというようなことを言って勧めておる面もある。そういうのに対して、もとより現場郵便局長は、いやそうではないのだ、あなた方の金はやがて回り回ってこの橋となりこの道となりこの水道となるのだということを説明はするのでありますが、なかなかわかってくれないのが現在の地方の実情なのであります。これが一たびそういう事業団体と郵便局長との交渉が持てるということになりますれば、どれだけ現場の職員も身にしみてそういう働きの上に張り合いを指つことができるかわからない、こう思うのであります。もう十分御了解になっておられることでありますから、私は簡易保険局長にこの点についての御決意を承わる必要もないわけです。ただ問題は、大きな政治問題にからんでおるので、かつて二十八年にこの運用法が問題になりましたときのいきさつを私はそのころの記録によって勉強したのでありますが、ずいぶん大蔵省方面からは簡易保険の運用再開について、言葉はあるいは適切ではないかもしらぬけれども、妨害があったように了解される節も見えた。そういうのを排除してようやく形だけは整えたということでありますが、さらにその形の上に実体を持たせようとするためには、二十七、八年ごろお払いになったところの努力以上の政治的努力を払っていかなければならないと思うのであります。これらについて政務次官、大臣がいらっしゃればお二人から承わりたい、いかがな考えをお持ちになっておりますか、またどういうお見通しを持っておられるかについてお伺いをいたしたい。
  27. 廣瀬正雄

    廣瀬政府委員 積立金の運用につきましては御指摘の通りなのでありまして、私どもも現状全く遺憾に思っております点が多々ありますけれども、その対策につきましてはいろいろ省内でも考えております。大蔵省あるいは自治庁に申し入れをしなければならないとか、あるいはもう少し現在の制度そのものの運用につきまして認識を深めてもらわなくちゃならないとかいうようなことを考えておるのでありまして、いろいろ具体的な方策も考究いたしておりますけれども、要は結局運用の実権を握っております郵政大臣の立場というものがその通り尊重されていないということに私は尽きると思うのでございます。将来、関係大蔵省あるいは自治庁との連絡を緊密にいたしまして、そういうような他省庁の一方的な考え方によってとやかくの異論のないように努力していかなければならない、かように思っております。御指摘のことはよく私ども体して、御期待に沿うように努力していきたいと思っております。
  28. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 大体の方向はそういう方向に進められるといたしまして、今の状況でどういうところにどれだけ振り向けるかというようなことについて、事務的にも何ら事前の相談がない状況になっておるのでありますか、それとも何か相談があることになっておりましょうか、お伺いをいたします。
  29. 大塚茂

    大塚政府委員 財政投融資計画におきまして地方貸付が幾ら、公共団体貸付が幾らというワクがきまりますと、それを資金運用部と簡保で分担をする相談をするわけでございます。それに続きまして、しからばそのうちのどういう事業について簡保が持つ、たとえば小学校に対する貸付は簡保が持つ、中学校建設資金は資金運用部が持つ、というような大きなワクでの資金の振り分けというか、分担は両者で協議をして決定をいたすわけでございますが、それではその小学校建設には具体的に市町村から起債申請あるいはその起債承認という手続がなされます場合におきましては、現在のところ郵政省関係の出先はそれにタッチをしておらないという状況でございます。
  30. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そうしますと、ある団体にどれだけ貸すということについて、それは目的が小学校であろうと、水道であろうと、あるいはその他の事業であろうと、いいにいたしましても、どこのどの団体にどれだけ貸すということについて、簡易保険の加入の状況であるとかいうようなことが何ら勘案されてないというように了解せざるを得ないのでありますが、実情そうでありましようか。
  31. 大塚茂

    大塚政府委員 起債許可の方針をきめます際にわれわれ協議を受けておりまして、また先ほど言いました事業別の資金の分担を大蔵省ときめます場合に、なるべく保険の加入者の多いところのものは保険の方へという希望は申し出ておりますが、具体的にはそれが考慮されてないというような状況でございます。
  32. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 非常に残念な状況にあるのでありますが、元来加入者の金というものは加入者になるべく返すといいますか、資金還元の原則などということが昔からいわれておりますように、そうならなければならないと思うのであります。それを勘案されてこそ初めて簡保の積立金の使命が果されるわけです。それを全然考えられないということは大へんなことだと思います。それらについて、せめてこういう団体についてこれだけの金を貸したいが、簡易保険事業的に見て適切なりやいなやということについて、事前に相談を受けるくらいのことは私はとられておく必要があると思います。いかがでありましょう。
  33. 大塚茂

    大塚政府委員 ごもっともでございまして、私どもとしましてもぜひそういたしたいということで、目下関係のところと話し合いを進めておるという状況でございます。
  34. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 もう一点お伺いしたいのでありますが、それでは貸付後の監査といいますか、果してそれが協約通り返済されるかどうか、また貸し付けた金が目的の事業に適合するように使われておるやいなやについての事後措置なんかについては、郵政当局としてはどの程度にタッチされておるか、実情を承わりたい。
  35. 大塚茂

    大塚政府委員 貸付をいたします際にも、実際は先ほど申し上げた通りでありますが、建前としては、自治庁、大蔵省で起債承認をしたものにつきましても、郵政省で貸すか貸さぬかということを決定する権限があるという建前になっております。しかし実際問題としまして、起債許可は財政投融資できめられたワクだけしかいたされませんので、断わればそのほかどれに貸すという余地もないという結果になりますので、実際問題としては自治庁と大蔵省が起債承認をしたものは大体そのまま貸すという実情になっておるわけでございます。  それから、貸し付けましたあと、それが目的通り使われておるかどうか、あるいは計画通り償還される見込みがあるかどうかというような事柄につきましては、郵政省で独自の立場から監査あるいは調査等をいたしております。
  36. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 大ワクをきめるときには相談を受けるけれども、実際に具体的に貸付対象に折衝する場合には何もタッチしないという状況それ自体が、非常に残念な状況であります。これについては早急に改善の方途を講ぜられるということでありまするから、すみやかにその方途をとっていただきたいと思います。ただ、先ほど御説明の中にありました、郵政当局としてはしばらくこの運用の実務から離れておったから、そこで当分従来通り大蔵省が実務をやるんだというようなことも、当時の二十八年ごろの一つの言いのがれといわざるを得ないのでありますが、とにかくそれが一つの理由になっておったそうであります。そこで、それからさらに数年たっておる今日におきましては、今仰せのような監査事務については実際にやっておるということからいたしまして、ずいぶん運用上の実務にもなれてきておると見なければならぬし、またそういう方向に持っていっておられると思うのでありますが、そういう意味におきましても、まさに呼吸は整ったと申さなければなりません。それをぜひ一つお進めを願いたいと思います。ただ、そういう方途を講ずるにいたしましても、当初の問題に返るのでありますが、人が足りないと思います。現に大蔵省国家資金の運用の実務をやっておる現地機関は、各県に地方の財務部というものを持っておって、多きは数百人、少くとも百人以上の要員をかかえて、そして貸付事務あるいは事後における監査事務をやっておるのであります。郵政当局におかれても、この積立金の運用は戦前においては相当の手を持って、相当の研究もしながら、きわめて適切に、また有効に積立金の運用をし、その運用を通じて事業の経営に大きく役立っておったのであります。そういう時代を近く期待するという意味におきましても、やはり相当の人手増して、そしてその用意をしておかなければいけないと思うのであります。私は大蔵省などが現地に相当大きな役所を持ち、スタッフを持って仕事を進めていかれるのを見るにつけても、少くとも簡易保険——現にこの数字によりますれば、地方への融資の半分近いものを簡易保険積立金が受持っている。といたしますと、大蔵省の持っている財務都の半分近い人数は、各県ごとに持ってもいいのじゃなかろうかとさえ私は思うのであります。財務部の要員が、すべて貸付及び監査の仕事に携わっておるとは思いませんけれども、しかしあの中の相当数がそういう仕事に携わっておるとしますならば、少くともその半分くらいの者は、各県に配置されるくらいの用意は、今からしておきませんと、そのときになって間に合わぬ。いつでもあなたの方では、手が足りませんぞ、なれておりませんぞという、言いのがれにかかってしまう心配がある。そういう意味において、お心がまえはどうでありましょうか、これも一つ政務次官から承わりたい。
  37. 廣瀬正雄

    廣瀬政府委員 運用の再開を名実ともに郵政大臣の権限にさせるということにつきましては、努力しなければならないことはさっき御答弁した通りでありますが、定員関係につきましては、先刻お答えいたしました郵政事業の全体の定員獲得というようなことに含めて考えなくてはならない、かように考えております。
  38. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 だいぶ時間が過ぎましたので、あとのことは、大臣がお見えになってからの方があるいはいい点もありますので、午前中の私の質問はこれで打ち切ります。
  39. 秋田大助

    ○秋田委員長代理 午後は一時より再開することとし、午前中は、この程度で休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ————◇—————     午後三時六分開議
  40. 淺香忠雄

    ○淺香委員長 これより再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を続行いたします。金丸徳重君。
  41. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 午前中のお尋ねで大体のところはわかったのでありますが、大臣もお見えでありますので、最後の結論的な点についてお尋ね申し上げて、私の質問を終りたいと思うのであります。  けさ私は、簡易保険がなかなか容易ならぬ状態に入ってきているところにもってきて、今度は家族保険という制度をお立てになった。これは大へんけっこうなことと思われるのでありますが、いろいろ関係御当局にお尋ねいたしてみますと、たとえば定員にいたしましても、その他のことにいたしましても、十分なる措置がとられていなかったようであります。そこでそのほかそうしたことは、今後において努力を大臣に率先して続けていただく必要があろうかと思われる。さらに運用の問題につきましてお尋ねいたしてみますると、これは二十八年にせっかく積立金運用がもとへ戻ってきたにもかかわらず、形だけが戻ったというだけでありまして、実際は依然として大蔵当局もしくは自治庁当局の方に握られておるというようなことでございまして、この点非常に残念に思います。郵政政務次官簡易保険局長にお尋ねいたしたら、目下それについては大いに努力をして、ほんとうに本然の姿に返すというようなことを承わったのであります。しかしこれは地方自治団体に対して直接貸したいという本来の姿ばかりでなしに、どうもこれからお尋ねするところにも問題があるのでございます。といいますのは、そのほかの点、たとえば農林漁業資金、あるいは中小企業金融公庫、あるいは住宅金融公庫といったような面におきましても、往年逓信省が運用権を自主的に持っておったときにおいては、当然直接にその貸付対象に向っていろいろと折衝ができ得たのにかかわらず、今日はただそれだけのワク、金額をつかんで渡してしまって、そうしてそれがどういう方面にどう貸し付けられるかについては、全く住宅金融公庫なり、あるいは農林漁業金融公庫といいますか、そういう方面の自由にまかされておるようであります。これらの点につきましても、相当私は考える必要があるのではないか。もちろんそれはその当局が当然責任を持って貸し付け、また回収をいたすべきことではありまするが、しかしそれにしても、何にもこれに対して発言でき得ないということは非常に残念に思うのであります。これらについてどういうお考えを持っておられるか、お伺いを申したい。
  42. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 金丸委員の御指摘のように、簡保資金の運用は郵政大臣が法的には持っておりながら、現在においては実際的には全く大蔵省あるはい自治庁その他が相談をしたり方針をきめ、そのワクをきめた後にそれらの処置をする、あるいはそれを容認するという形になっておることはまことに申しわけない状態であります。郵政省が今日この資金、特に簡保あるいは年金等の財政投融資に対して非常な比重を持ったものを郵政省の全従業員の努力によって獲得しておきながら、その運用に対して自主性がない、しかもほんとうに大蔵省当局のほしいままにされておるということは非常に遺憾であり、また私といたしましても全く申しわけがないと思っております。ただ歴代の大臣が相当強硬にこういったことの自主性の回復と申しますか、運用に対して実際上の責任を持つという形をとるべく非常に御努力を賜わったのでありますけれども、いかんせん、いまだにそれが実質的にはその獲得ができていないということでありまして、今回の三十四年度のこの簡保運用資金の運用の問題についても、大蔵大臣にもしばしばこのことを強く要望いたしましたし、また佐野大蔵政務次官等も郵政省の方に招致いたしまして、この問題を要望したわけでありますが、向うはこちらの言うことに対して恐縮をしておると申しますか、十分理解をしておりながら、現実はさような結果をもたらしていない。こういうことでありますので、私は過日も佐野君にも、今回はもうわれわれとしては国会に対しても自分たちの責任においても非常に遺憾にたえない、少くとも今後においてこの簡保資金の運用については運用権は郵政大臣にあるのであるから、大蔵当局はこのことの現実を認めて、そういう方向に根本的に建て直してもらうということを強く要望したのでありますが、佐野政務次官もそういうことについては十分自分たちもわかっておるんだから、そのことについては強力に努力するから——こういうようなことに向うも、誠意が現われなければ何にもなりませんけれども、言葉の上では、努力をするということで、過日も郵政省で相当長時間にわたって本問題を検討したわけであります。大蔵大臣にもこのことは郵政省としてはどうしても実行してもらわなければならぬ、またそういう方向一つ年度、少くも今後の運用についてはわれわれとしてはあくまでも要望するからということを申しておるわけでありますが、これは私のみでなく今後の郵政省の立場といたしましても、そういった運用の方法を確立いたしますまでは、全努力を傾注して強力にこの問題を解決したい、かように考えております。
  43. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 この問題についての大臣初め政務次官関係局長の御苦労についてはよくわかりました。ただ、実は長い間の問題でもありましたし、またこれに望みを託して待ち焦がれておったのは、現地の郵便局長、郵便従業員ばかりではなくして、広く世間一般でもあったのでありまして、またそれを体して十年間にわたって——十年間にわたってというのは少し言葉が過ぎるかもしれませんが、三十八年のあの法律が通るまで、逓信委員会において衆参両院ともたびたび決議をいたしましたり、また本会議あたりでも全会一致の決議をされておるようなことであったのであります。三十八年の法律が通って以来は全く安心したといいますか、待ち焦がれていた子供が帰ってきたような気持で現地の人たちは喜んでおったのでありますが、さてその喜んだものが実は中身はからっぽであったということでありますれば、まことにがっかりすることと思う。私も今までそのようなことではあるまい、建前としてこうなるであろうと思っておったのでありますが、けさから伺いまするとやはり実際問題として中身はからであったというようなことを思うにつけて、非常な落胆をするのでございます。つきましては、どうか今後も一そう力を注いでいただきまして、現地の苦労をしており、そのゆえに待ち焦がれておるところの郵政職員、及びそれによって何とか協力態勢をも整えていこうと考えてくれているところの、世間一般の人々の期待に沿い得るような体制を一日も早く作っていただきたいと思うのでございます。そこでこれに関連いたしまして、さような状態に置かれておりますると、実は地方の方におきましては、あるいは土地改良など、また水道事業などにおきまして、公共団体としてではなくて、みんなの申し合せによって、関係者の組合というようなものを作って、それによって簡単な仕事は進めようじゃないか、それについてはかねがね頼みに思っておったところの保険積立金などは借りられないものだろうかという相談を、私たびたび受けるのでございます。そうしたことを郵政省当局にお願いをいたしましても、現段階においてはいかんともしがたいということでありますと、そこで次善の策といたしましても、そうした者たちが寄って自分たち積立金を契約者貸付の方法によって借りて、その金によって事業をしたいというようなことも出てくるのではないかと思うのであります。前には団体貸付と申しておりますが、そういう方法は今どうなっておりましょうか。可能な状況になっておりましょうか。また可能な状況になっておるといたしますれば、そういう態勢をどの程度に実現の運びに持っていかれるか、お見込みのところを伺わしていただきたいのでございます。
  44. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 実は団体に対する貸付というものが郵政省の責任において行えるということは、見解としては私どもはさような見解を持っておりますが、これは一応今行われていないというような実情でございます。このことは過日も大蔵大臣にも政務次官にも、こういったようなことについての実際問題については、今後は自分の方では方針を定めて要望する、こういうことも言っておりますから、土地改良区であるとかあるいは土地区画の整理組合、水害予防組合、こういうような政令で指定をしてやるというような団体に対する貸付は、私としては実情を大蔵大臣にも十分説明をして、こういうことに対して大いに強力にそのような方向に認めさせていくという努力をいたしたいと思いますが、なお事務的な方法といたしましては、一応局長からも御答弁をさせていただきたいと思います。
  45. 大塚茂

    大塚政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたのは、法律に規定しております地方公共団体に準ずる公共組合に対する団体貸付ということでございまして、これはただいま大臣のおっしゃられた通りでございます。そのほかの契約者団体に対する貸付ということにつきましては、これもただいま中止をいたしておりますが、再開をいたすべく今考慮中であります。
  46. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 契約者の団体に対して貸し付けるというようなことはなかなかめんどうなことでありますし、従ってもし他にいい方法があるならばそれによるべきであって、団体貸付というものを慫慂しあるいはこれからそう進めるということは、事業全体といたしましては、私もほんとうは好ましくないように思います。しかしながら、今の手も足も出ないような貸付運用の状況から考えますと、やむを得ざるベターの策として、そういう方向に持っていかなければならないような事態になるのではないか。実際地方におきましてはそういう要望が強いのでありまして、どうしてわれわれの積立金をわれわれの事業に使い得ないのかという声さえも上りかけておるのであります。さような意味におきまして、これらをも腹の中に納めておいていただいて、大蔵省なりとの交渉にも当っていただいたらどうかと思うのでございます。  もう一つ、これは最後に小さいことでございますが、事業がいろいろな角度からいって非常に困難であるという意味において、私どもは何か現地の方で地方の一般の人たちの協力を得る態勢とでも申しますか、そういうことをとられる必要があるのではないか、こう思っております。承わるところによりますと、加入者の会というようなものをも勧められて、これを見ますれば、地方の応援団体とでも申しますか、協力態勢とでも申しますか、そういう方向に進めていかれるようなお考えがあるようであります。今のような保険事業界の趨勢からいきまして、ことに今度は、これは前々回かのときにもお伺いをいたしておったのでありますが、国民年金制度がしかれて参りますと、死亡保険の場合はともかくといたしまして、養老保険においてはずいぶん影響を受けるので、老後の生活の安定をはかるがための簡易保険というものが、国民年金制度によって肩がわりをされるということは、ずぶいん考えなければならないわけであります。しかしながら、そういう中において、なおかつ簡易保険事業を進めていかなければならないとしますならば、郵便局人たち自分たちだけの力ではなしに、世間一般の協力も得、応援も得てこの仕事を進めていく。勧誘にいたしましてもあるいは集金にいたしましても、五へん行くところを三べんで用が足りるようにするとか、今まで三べん足を運ばなければならなかったのが一度でも足りるようにする。今の状況からいきますと、逆に一度でいいところを三度も四度も足を運ばなければならぬということになりそうですから、せめて今まで通り一度で済むところは一度で済むように、世間一般の協力、応援を得るようにしていかなければならぬと思うのであります。そういう意味におきまして、加入者の会というものができておるようでありますが、これらをどういうふうにしてお進めになるつもりなのか。今のようなただ形だけで済まされておくのか、それともこれをもっと実際的に役に立つようなものにまで育てていかれる御方針なのか、承わりたいのであります。
  47. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 全く金丸委員の御所見のごとく、私どももほんとうに心からさようにしなければならぬと思います。ことに他の金融機関等が勧誘に関しまして好条件等をもちまして、盛んに地方の農業関係の組合までが積極的にやっておる。そういうときに郵政省が手をこまねいておる、そしてその協力が足りない、しかもそれが形式だけだというようなことであれば、お示しのようにだんだんこれは保険なり年金が衰微をしていくということは、全く金丸先生のおっしゃる通りだと思います。従って加入者会でありますとか、これが一般世間の大衆にも協力をしてもらうというようなことは、積極的に政府としてはやらなければならぬ。きわめてわずかではありますけれども、三十四年度にはこの予算も一応計上した、こういうことでもありますから、さらにその予算もよりふやして参りまして、こういったものをさらに成果あらしめるように、簡易保険あるいは年金等が上昇をいたしますために大きな協力をいただく、こういうことを積極的に一つやっていきたい。全くお示しの通りにしなければならぬ、かように考えております。
  48. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 これで終ります。
  49. 淺香忠雄

    ○淺香委員長 森本靖君。
  50. 森本靖

    ○森本委員 今の金丸さんが言われました加入者の会でありますが、これは今度の予算に組んであるというお話でありますが、今年が初めてですか。
  51. 大塚茂

    大塚政府委員 国の表向きの予算にその経費が認められたのは、来年度三十四年度が初めてでございます。
  52. 森本靖

    ○森本委員 幾らですか。
  53. 大塚茂

    大塚政府委員 わずか七十万円でございます。
  54. 森本靖

    ○森本委員 大臣が大きなことを言って答弁をしたのが、全国で七十万円ということであるとするならば、これは全く笑いもならぬようなことになります。それでも七十万円でも、これはやらぬよりやった方がましだということはいえるわけでありますが、そこで去年あたりまでやっておった加入者の会というのはその経費はどこから出ておるわけですか。
  55. 大塚茂

    大塚政府委員 加入者の会は従来差し繰りでやっておったわけでございますが、結局奨励費の中から差し繰ってやっておったということでございます。
  56. 森本靖

    ○森本委員 それは、どことどこで三十三年度の加入者の会をやりましたか。
  57. 大塚茂

    大塚政府委員 全国で会の数が大体六百余りございます。それで実際に会合をいただきますのは、必ずしもどことどこということではなしに、いろいろ経費の都合によってやるところとやらないところがあるという状況であります。
  58. 森本靖

    ○森本委員 別にこれは他意ある質問じゃないから、大臣もきげんを損ぜぬように聞いてもらいたいと思うのですが、そういう非常に貴重な金であって、ちょうど昨年、これは大臣も私も同じ選挙区でありますが、大臣が高知の選挙にお帰りになったときに、初めて高知県でこの加入者の会が行われた。しかも郵政局の人々が来られて、それで大臣はおそらくそういう内容は詳しく御存じあるまいと思いますが、加入者が集まってきまして、そこへ大臣が行かれて一席あいさつをしていかれた。こういうことで、それも私は非常にけっこうであります。けっこうでありますが、そういう非常に少い予算の中において、六百の中でそういうことが実際に行われたのは何だろうかということで、そのときに事務当局の方々には、つまらぬことをやって大臣のごきげんをとるようなことをするもんじゃないという意味の一言の注意を私は与えたことがありますが、これは同じ選挙区であって私は一つも知らぬ。しかも私は逓信委員会に長いことおって全然これを知らぬ。私は社会党の逓信部長もやっておるし、逓信委員会理事もやっておって一向に知らないということで、これはいつか機会があったら申し上げておこうと考えておったわけでありますが、たまたまきょうは簡易生命保険法の一部改正において今加入者の問題が出ましたので、こういうこともあったということを一つ大臣も御記憶願っておきたいと思います。これは事務当局の罪でもないと思いますけれども、将来は、こういうことはどなたが大臣になろうが、政務次官になろうが、こういうふうなやり方をするよりか公平なやり方をすべきであるということで、一言この際、質問じゃございませんが、忠告をちょっと申し上げておきたいと思うわけであります。  それから、そういう質問はやめにして、もとへ戻します。きのうこれは政務次官の方に質問をいたしまして、政務次官からは御答弁をいただいたわけでありますが、今日の簡易生命保険事業の一番のあり方について金丸委員からも申されましたように、この資金の運用の利回りの問題が一番ここでは問題であります。それから、この最高額の引き上げの問題についても考えていかなければならぬ。それからもう一点は、この最高額の引き上げをやって、民間と一つの競走をするということをいつまでも繰り返すということよりも小額保険というものがやはり終戦前にありましたように、簡易生命保険は独占をして行うというようなことを基本的に考えていかないと、いつまでたっても民間保険との競合が行われてどうにもならぬ。この問題と一つ真剣に取り組んで考えてみなければならぬのじゃないか、こういう点を申し上げたところが、全くその通りであって、これは将来大いに研究をしていこう、こういうことでございました。それで最高制限額の引き上げについても将来検討して、なるべくなら引き上げるような方向にいきたい、こういう御回答であった。それからもう一つ、資金の運用の利回りについては、これはやはりもうちょっと利回りがよくなるような方向においてやらなければならぬ。それがためには法律改正ということについては、昭和三十二年の法律改正のときの経過を私が申し述べまして、政務次官としてもそれは大いに尊重しなければならぬ、特に政府が長期信用銀行それから興業銀行とかいうようなことについて非常に考えておるようでありますが、それも今日の地方公共団体に貸す分が満配になったような現状においてはけっこうであろう。しかしそれと同時に、やはり労働金庫あたりにもこれを貸し付けるというようなことについても考えていっていいじゃないか。そういうことはすべて含めて一つ検討いたしましょう、こういうような答弁でありましたが、これはおさらいではありませんけれども、一応大臣としても今私が言ったようなことについては、政務次官と同意見かどうかということをまずお聞きしておきたいと思います。
  59. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 これは昨日政務次官からお答え申し上げましたと同様であります。私もさように推進をして参る決意でございます。
  60. 森本靖

    ○森本委員 けっこうでございます。  そこでこの法案の内容でありますが、これはあとの附帯決議の問題とも関連をいたしますので、ちょっと御質問いたしておきますが、「第十七条第一項に次のただし書を加える。但し、第七条の二第二項又は第三項の規定により家族保険の被保険者となる場合については、この限りでない。」こういうことがあるわけでありますが、この条項を具体的にちょっと説明を願いたいと思うわけであります。これは大臣でなくて、事務当局でけっこうです。
  61. 大塚茂

    大塚政府委員 最高制限額が十七条で二十五万円ということにきまっておるわけでございますが、この家族保険は、その子供が当然に被保険者になるということになっておりますので、たとえば途中で養子をもらったという場合に、その養子が養子に来る前にすでに簡易保険に入っておった、ところがその家がちょうど家族保険に入っておって、その前に入っておったのと来てから適用になった家族保険保険金額と、合せますと二十五万円をこえるというような場合が出てくるわけであります。しかしこれは全然悪意があって超過契約をするわけではございませんので、そういう場合に限ってこの制限額超過の例外を認める、こういう趣旨の規定でございます。
  62. 森本靖

    ○森本委員 それは養子縁組のときだけですか。この条項で見ると、一般の子供の場合でも当てはまるということになるのではないですか、そうではないですか。
  63. 大塚茂

    大塚政府委員 具体的な場合としては養子縁組のほかにちょっとないと思います。ただそのほかの場合としましては、家族保険では生まれてから一カ月間は子供は被保険者にならぬということになっておりますが、その一カ月の間に普通の従来の保険になら入れるわけであります。一カ月の間に、生まれてすぐその日か何かに普通の保険に入っておった、そして一カ月たたぬうちに家族保険か何かにまた家族が全部入って、合せたらオーバーするというような場合も含まるわけでございます。
  64. 森本靖

    ○森本委員 だから子供の場合でも、そういうことはおそらく現実の問題としてはないとしても、立法上は、これが子供の場合は、たとえばその一カ月間と今度の場合の五万円と加えてこれが三十万円になってもよろしいと、こういう条項なんですね。
  65. 大塚茂

    大塚政府委員 そういう例外の場合に限ってよろしいと、こういうことでございます。
  66. 森本靖

    ○森本委員 それからきのうちょっと質問をしかけました、現在の従業員に対する保険募集手当についてはどうなっておるか。それから契約雑費については現在どうなっておるのですか。
  67. 大塚茂

    大塚政府委員 募集手当の支給は普通局と特定局と異なりまして、普通局においては第一回保険料の六〇%、それから特定局におきましては第一回保険料の一一〇%、それに八万円以上の高額契約をとりました場合はその保険金額の千分の二を加えた額というのが募集手当として支給をされるということになっております。  それから契約雑費の方は、当該局におきましてとった契約の、これまた普通局においては第一回保険料の四分、それから特定局におきましては一割というものが、その局の契約雑費として配分されておるとういことになっております。
  68. 森本靖

    ○森本委員 高額者保険契約手当でありますが、現在八万円で千分の二ということでありますが、これが家族保険の場合、加入した場合にこれの全部の合算になりますか、どうなりますか。これはこまかいようですけれども、従業員にとりましては募集する場合非常に意欲に関係してくるわけでありますから、どうなりますか。
  69. 大塚茂

    大塚政府委員 まだ家族保険については、はっきり確定いたしたわけではございませんが、一応私ども考えておりますのは、この千分の二は契約者といいますか、主たる被保険者、養老保険のつく人の保険金額だけにかけるというふうに考えております。
  70. 森本靖

    ○森本委員 これは、よほどよくその点は考えなければならぬ点だと思いますが、人を使うコツですよ。やはりそういう場合、これを一般の養老保険と同じようにしたら、そんなことをして子供がやっぱりついていくと、子供の場合の単独契約が今度は入れなくなるわけですね。募集がしにくくなるわけです。そういう場合は親子保険家族保険の場合についてはやはりこれは合算をやるというふうな技術的な問題はいかぬものですか。これはそうしないと、家族保険をやらずに一般の従来の保険でやった方がましだ。あとの一般の家族に対する募集の余力が残るわけでありますから、その点はどうですか。
  71. 大塚茂

    大塚政府委員 御説ごもっともの点もございますが、要するに募集手当といいますのは、その保険募集するに要した実費的な性質、また報労的な意味を含めたものでございます。ところが保険金額は同じでございましても家族保険におきましては保険料が少し高くなるわけでございます。というのは、家族の分が入っておりますから、従って同じ率をかけましても、家族保険の場合には少しよくなるということになるわけでございます。ただその場合、配偶者及び子供の保険金額も合算したものについて、その高額手当といいますか、千分の二というものを適用したらというお話でございますが、そうしますと普通の保険に対して非常に割りがよくなりすぎますし、かつまたその家族の分の保険金額というものは、契約のときに必ずしも確定いたしませんで、その後に子供が生まれればその部分がふえるし、妻が途中で離婚をすればそれだけ減る。いわば浮動性のものでありますので、これを基準にしてやるということもなかなかむずかしい問題でございますので、一応私どもとしては主たる契約者の分だけを対象にするというふうに考えております。
  72. 森本靖

    ○森本委員 それは私も別に離婚が全然ないとと言っておるわけでもない。それから子供が生まれないと言っておるわけでもない。この法律を読んだらわかるかと思いますが、そうかといって、この場合に主たる契約者のみを対象とするということじゃなしに、それは私が言いましたように全部を一切がっさい合算するということもちょっと無理な点があるかもわかりません。しかし他の保険と違った何らかのものを考えてみる必要があるのじゃないか。あなたがおっしゃられるように全部主たる契約だけだということじゃなしに、家族保険というところの妙味がそこにあるわけであって、だから募集技術者に対してもその妙味を若干加味するということも考えていいじゃないか。全部が全部私は合算をせよということを無理に言うわけではございません。やはりそういうものを若干考えていった方が人を使うコツとしてはいいのじゃないか、こういうことを言っておるわけであります。これはここですぐどうこうといってきまるものではございませんから、おそらく組合当局ともお話があろうと思いますから、そういう点も十分考慮して、一がいに主たる契約者ということだけではなしに、技術的にいま少し検討してみたらどうですか。
  73. 大塚茂

    大塚政府委員 私、先ほども、まだ確定したわけではございませんが、一応私が考えておる案はということで申し上げたわけでございまして、御趣旨もございますので、なお確定までにはよく研究をいたしたいと思います。
  74. 森本靖

    ○森本委員 先ほどの契約雑費でありますが、この契約雑費というのは普通局が四分で特定局が一割ということになりますが、私も決算委員の一人として決算委員会で三十一年度の決算の審議をいたしておりますが、その関係もあってちょっとお聞きしておきたいと思いますが、何か契約雑費について会計検査院から指示があなたの方に出ておって、その指示が各郵便局の末端にまでいっておるやに聞いておりますが、どういう指示になっておりますか。
  75. 大塚茂

    大塚政府委員 三十年の会計検査だったと思いますが、会計検査院から、契約雑費が部内者の士気高揚にのみ多く使われておる、従ってこれをもっと対外工作とか、あるいは周知宣伝にも使うべきではないかという指摘を受けました結果、三十年八月ごろからその使用について一応の基準を通達いたしたことがございます。しかし、その後、特に特定局等におきましては絶対額が非常に少額でございまして、あまり使い方を指示するとかえって効率的な使用ができないというような面もありましたので、その後実情を検査院等にもお話をしまして了解を得て、特定局についてはそういう制限を除いております。ただ、たしか報奨物品を従業員にやる場合に、一人当り幾らをこえないようにといったような制限はまだ一部残っておりますが、対外工作にどうとか、士気高揚に幾ら使えというような制限は、特定局についてはなくなっております。ただ普通局におきましては、まだ契約雑費総額の三〇%を下らざる額を対外工作あるいは周知宣伝に使えというような指示が残っておるという状況でございます。
  76. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、この契約雑費の会計検査院の指示というのは普通局だけ、三〇%を下らざるものを対外工作、周知宣伝に使え、こういうことですか。
  77. 大塚茂

    大塚政府委員 具体的にパーセンテージまで示されての指示を受けたんではなかったかと思っておりますが、私どもやりました結果、現在指示いたしておりますのはそういうことでございます。
  78. 森本靖

    ○森本委員 これは会計検査院の指示があったらその通りやらなければならぬものですか。これは決算の報告書なんかで明確にこういう報告指示事項というものが出ておるわけですか、決算の中に。
  79. 大塚茂

    大塚政府委員 当時の事情ははっきりいたしませんが、正式な指示事項としては国会報告には出ていないようであります。結局こういう指示を郵政省が自発的にとるということにいたしましたので、会計検査院としては正式な指示をいたさずに終った、こういうことであります。
  80. 森本靖

    ○森本委員 これは正式に指示してもらうならば指示してもらって論争してもいい問題だと思います。というのは、この契約雑費というものの歴史から考えていかないと、単なる会計上の問題を考えておると、こういう実情をわきまえない指示事項をせざるを得ない立場になると思うので、これはやはり郵政省としてもこの問題は募集に非常に影響のある問題でありますから、これはやはりこういうふうにワクをはめてやるということではなしに、その当該郵便局において一番募集ができ得る形にこれを使えばいいのであって、そういう目的でこの契約雑費というものは出しておるわけでありますから、一番募集がしやすい環境にする。その場合は一般の国民に石けんなりタオルを配る場合もありましょう、あるいはまた従業員が使われておる場合は士気高揚に使う場合もありましょう。こういうものを一つ一つ明確に指示をして統一をしていくということは、保険募集の技術上の建前からいっても、私は不可解な指示だと思うのです。だからこういうふうなちょっとした指示が、あなたの方で下部に通達を出さなければならぬほど影響のきつい指示をするならば、正式に決算報告に出してもらって、国会の場において論じてもらった方がもっといいのではないか、こう考えるわけです。こういう点については、末端の郵便局から管理者も従業員も両方こぞってこういう通達を出してもらうということはかえってやりにくい、こういうものは一切まかしておいてもらいたい、こういう声も強いわけなんです。こういう点は将来この問題を扱う上に当っては、特に逓信委員会からもこういう強い御叱責と要望があったと、これは速記録にも残りますので、この点を十分考えて、もし会計検査院あたりとのやりとりがあった場合は、こちらの方の委員会等においてもそういう意見があった、また事実現場の実態を見た場合にはそういうことも言えるということを、あなた方も強くこれは要望しておいてもらいたい。また会計検査院が言うからその通りやりましたということでは、やはり保険事業の責任者としてちょっとまずいじゃないか、こう思うわけですが、どうですか。これは大臣から聞いた方がいいと思いますが、大臣は契約雑費の内容についておわかりですか。——ちょっと誤解のないようにしておきたいと思いますが、大体はっきり言いまして、郵便局で一番うるさい仕事、またいやな仕事というのは保険募集仕事なんです。それがためにこれは一般の民間から見ると、あるいは会計検査院等から見ると、優遇し過ぎるというようなことも言われる場合もありますけれども保険募集手当というものを特別に出しておるわけなんです。これは正規に給与としてそれぞれの従業員に入る。その上にいわゆる対外工作費なりあるいは士気高揚という形においてこの契約雑費というものが、今、保険局長が言われました普通局が四分、特定局が一割の保険料に当るものが出ておる。そうしてこれは歴史的に見ましても、従来とも特定局におきましても普通局におきましても、その当該局において局長なりあるいは課長なりが従業員ともよく相談をして、加入者にタオルを配ったらいいとか、あるいはチラシを配ったらいいというような場合には、そういう方法もやっておりますし、あるいはまた場合によっては従業員が一ぱい飲んで士気高揚をやって、そのあおりで行けというようなこともやっておる。大体そういう方面に使っておる率が多い。会計検査院というのは、それはけしからぬということで怒っておるのですが、これは人間でありますから、ときどき油もさしてネジを回してやらぬと、なかなか勢い込んで募集しにくいという面もあって、これは現場においては欠くべからざる金なんです。それを会計検査院が今言いましたような厳重な指示をしてきておるわけです。大体会計検査院としては、おそらくこんなものは必要ないという御意見が高じて、必要ないと言ったところが、郵政省がねばったからこういう指示をしたのだろうが、こういうものは一々そういう指示をせずに、当該郵便局管理者なり、あるいはまた従業員がみんな集まってこういう方向に使った方がよろしいということで、一番保険募集のしやすい環境っに合う方向に使った方がいいのであって、これを全国画一的にこういう指示を与えてやるということは、私はちょっと保険募集の技術上から見てもまずいのじゃないか、こう思うのですが、大臣はどうでしょうか。
  81. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 お説の通りだと思います。これはほんとうに募集するその職員の身になり、気持になり、しかも気持になるばかりでなく、そういう人たちが、お示しのように進んで愉快に募集ができるということにすべきであるということは、当然過ぎるほど当然のことだと思います。従って、これはむしろ会計検査院の方に十分その点を徹底させるように、省としては説明をいたしまして、しかもそれは若干弾力性を持たせる、こういう全く森本委員の御指摘のような方法でこれを扱っていくということにいたすべきだ、かように私は考えるわけであります。
  82. 森本靖

    ○森本委員 今の大臣の御答弁でけっこうであります。  そこで次に、普通局と特定局との募集手当の十一割、六割ということでありますが、この十一割と六割という違いはどこからきておるわけでありますか。
  83. 大塚茂

    大塚政府委員 いろいろありますが、特定局は地方で不便でありまして、募集にも相当能率が悪いというような点、あるいは特定局は総合服務でございますので、保険にのみ専念できないという従業員も相当おるわけでありますが、そういう人たち募集の困難を補う意味において経費の面で補いをつけるというような点とか、そういった要するに特定局方面が、普通局のあります都会地に比べて募集困難性が多く、また能率が上げにくいというような点を考えて、かような差ができておるわけであります。
  84. 森本靖

    ○森本委員 いろいろ説明がありましたが、これはその他の説明よりも定員関係じゃないですか。
  85. 大塚茂

    大塚政府委員 定員と申しますと、先ほど申し上げましたように総合服務と専務者との関係というような点もございますわけであります。
  86. 森本靖

    ○森本委員 ございますわけでありますというよりも、それが主たる理由じゃないですか。そうじゃないと十一割と六割、五割違っておりますから——これはもう前の委員会でも、そういう答弁をはっきりと郵政省がしておるわけでありますが、これは定員関係でしょう。
  87. 小野吉郎

    ○小野説明員 必ずしも定員関係ということではございません。と申しますのは、先ほど保険局長から答えましたように、都市の方面と農村関係というものは募集の環境が非常に違っております。それと現在はやっておりませんが、都会では大体いつも募集ができるわけでありますけれども、農村方面にいきますと、農繁期についてはほとんど募集しにくいというような苦労もありまして、比率を高くやっておるというようなことが伝統的な実情になっております。
  88. 森本靖

    ○森本委員 それは非常におかしい話でありまして、それなら都会地の無集配特定郵便局募集したらやはりこれは十一割でしょう。それは概念的には普通局というものは都会地であり、それから特定局というものはいなかであるという考え方ですけれども、しかしそれなら東京都内の無集配郵便局保険募集をできぬかといえば、できぬことはない。すればそれだけの募集手当はついてくるわけです。そういう今、次官が説明したようなことも若干の加味はあるにしても、一番の根本はやはり定員の問題じゃないですか。定員の算出の率が違うのでしょう。普通局と特定局の場合、保険の方の率が違うのでしょう。違うはずですよ。定員の算出根拠がそうじゃないですか。
  89. 大塚茂

    大塚政府委員 定員は、おっしゃられますように専務定員と総合服務定員ということで違いがあるわけであります。しかしそれだけではございませんで、先ほどから申し上げましたような募集環境の難易というような点もございます。それからもう一つは普通局に対しましては一般奨励費というものが特定局よりもよけいに配算になっております。そういうものを総合いたしますと——総合しても多少普通局が低くなるとは思いますが、そう六割、十一割そのままの差が出てくるというわけではないわけであります。
  90. 森本靖

    ○森本委員 これはそう別に深追いをいたしませんが。しかしどうもこれは昔からあなた方はすっきりしたことを言っておいて、国会になると案外すっきりしたことを言わぬので、特に繰り返し質問をしておったわけでありますが、今の問題はそれではこれでおきましょう。  今出ました奨励費の問題でございますが、奨励費は普通局と特定局の場合どういうふうな配算の方法をしておるわけですか。
  91. 大塚茂

    大塚政府委員 奨励費は、従来は特定局には契約雑費だけでございまして、奨励費というのはなかったのでございます。たしか昭和二十七年ごろだったと思いますが、特定局にも幾らか奨励費を配算することになったわけでございます。配算基準といいますか、大体局の大きさを標準にして配算をするというようなやり方であります。
  92. 森本靖

    ○森本委員 大体局の大きさを基準にして配分するという野放図な説明はないと思うのです。一応各郵政局においては人口、戸数あるいは局の規模とか従業員とか、いろいろなものを一つの対象として配算をしているはずなんです。しかしまあ、それは今すぐ言えといってもなかなか言えないようでありますので、いいです。そこで、大体どのくらいいっておるわけでありますか。その前に、特定局はどういう単位で奨励費を配算していますか。
  93. 大塚茂

    大塚政府委員 奨励費は各局ごとに配算をしておるはずでございます。それから配算の額といたしましては、総額が一億二千二百万円でございまして、そのうち普通局が七千万円、特定局が五千二百万円程度ということになっております。
  94. 森本靖

    ○森本委員 一億なんぼということになりますと、無集配をのけて集配局だけになりますと、これはかなりの金額になるわけですが、特定局の場合は特定局個々配算してありますか。
  95. 大塚茂

    大塚政府委員 個々でございます。
  96. 森本靖

    ○森本委員 それでは、今この局長代理のおるような特定郵便局では、年間大体どのくらいいっておるわけですか。数字が出ておりますか。——なければけっこうであります。ただ私がこういう問題を執拗に繰り返している真意を——保険局長も、小さいことは聞きませんから、一つよく聞いておいてもらいたい。私が小さな問題をいろいろ突っ込んで聞いておると、あなたの方も答弁が詰まったりして長くなりますので、私の言わんとするところは、ややともいたしますと——保険募集手当そのものは非常に明瞭になっておるわけです、これは個人給与でありますから問題はございません。ただいつも問題になりますのは契約雑費、それから奨励費というのがよく問題になるわけ、です。特にこの奨励費、契約雑費等は、犯罪になるかならぬかというきわどい問題が全国でも非常に多いわけでありまして、われわれとしては契約雑費なりこういう奨励費というものは、あくまでも純粋な意味における保険募集成績向上のために民主的に使われるように、こういうことを言いたいわけであります。そのことを一つよく保険局長としては下部の方の現業に徹底をさしていただきたいということを考えておるわけでありますが、その点どうですか。
  97. 大塚茂

    大塚政府委員 御趣旨ごもっともでございまして、私どももそういう方向になお一そう努力いたしたいと思います。
  98. 森本靖

    ○森本委員 それでは順次、次に聞いていきたいのは、政府は今日、簡易生命保険の加入者に対するサービスをやっておりますが、今大体全国でどういう状況ですか。
  99. 大塚茂

    大塚政府委員 加入者のサービスと申しますといろいろございまして、配当をすることも一つサービスでございますが、福祉施設として私どもが加入者のためにやっておるというものを申し上げますと、逓信診療所を全国的にたしか二十八カ所くらい設けております。それからその診療所に巡回診療用の診療自動車を、これもたしか二十七台くらい配置をしております。それから瀬戸内海には巡回診療船という船も一隻ございます。それから老人ホームが全国にただいま二カ所、もう一つ今でき上りつつあるという状況でございます。そのほか例のラジオ体操も、もともとは簡易保険局で制定したものをNHKにやってもらっているということでございます。それから保健衛生関係のパンフレットを作るとか、あるいはそういうものに基いて、料理とか育児とかについての講習会を開くといったような施設をいろいろいたしております。
  100. 森本靖

    ○森本委員 映画なんかもずっと巡廻しているのではないですか。それから浪花節から落語なんというのもやっているのじゃないですか。
  101. 大塚茂

    大塚政府委員 やっております。
  102. 森本靖

    ○森本委員 そこで注意しておきいたと思います。映画をやるのはけっこうでありますが、あまり古くさい映画を持ち回ってやるということは、かえって簡易生命保険の品位を傷つける。これは金がないからやむを得ず古い映画を買ってきて回っているのだろうだろうと思いますが、これはどうかいなと思う古い古い映画を持ち回っていることもあるわけであります。それから漫才をやるのも落語をやるのもけっこうでありますが、そういう場合も、ほんとうにいなかでやる場合に、何というか、ほんとうのいなかまる出しの漫才なり落語なりを、安いかどうか知りませんが、買ってきて、しかも簡易生命保険の加入者慰安大会、こういうことでやっていることが非常に多いわけです。これは金がない点でやむを得ないこともわかりますが、われわれも郵政部内に関係している一員として、こんな古いものを、こんなつまらぬものという気がするものがだいぶんあるわけです。あれだったらやらぬがましだという場合もあるわけでありまして、こういう点は簡易生命保険の品位を保つためにも、国家事業という点から考えても、よく考えて検討してもらいたい、それから実行してもらいたい、こう思うわけです。  それからもう一つ、先ほどの診療所の二十八カ所でありますが、これは将来さらにふやす考えがありますか。
  103. 大塚茂

    大塚政府委員 いろいろの考え方があるわけでございますが、私どもといたしましては、現在健康保険組合というのも相当普及いたしましたし、その他の医療機関等も相当普及して参りましたのでしばらく現状で様子を見ましてまた考えたいというふうに考えている次第でございます。
  104. 森本靖

    ○森本委員 これは全国でかなり要望があると思いますが、状況を見ているということはどういうことですか。
  105. 大塚茂

    大塚政府委員 いろいろ事情がございますが、一つはなかなかその従業員の定員がとりにくいという点もございますし、他面、先ほど申し上げましたように、医療機関が相当普及してきた。実際現在の利用状況等を見ましても、大体一カ所で一日二十一人ぐらいの平均診療になっているというような実情もありますので、確かにあればこれが現地の保険募集等にプラスであるということは間違いないのでございますが、そういったいろいろの事情考えまして、一回り既設のものの内部整理に一応重点を置くというような考え方をとっておるわけであります。
  106. 森本靖

    ○森本委員 予算が一番重点でやれないということでございましたら、これは一応やむを得ぬといたしましても、この診療所なんというのは、今、保険局長が言われましたように、保険募集の面からいきましても、各県のいわゆる県庁の所在地くらいには一つくらいの診療所を全部置いていくということが最も望ましいわけであって、たとえば老人ホームなんというのを今作っておりますが、これは一つ作るのは相当な金額が要るわけでありまして、この診療所はもっと手軽にできるわけです。これは少くとも各統轄郵便局があるところには一つはほしいというのが今の郵政省の下部の実態だ、私はこう思っておるわけであります。そこで、なかなか予算的にできにくいということでありますが、これは今各県に、この診療所ではありませんが、逓信診療所というものが二つないし一つは必ずあるわけであります。そこにはちゃんとしたお医者さんもレントゲン技師も、それから看護婦さんもおるわけであります。こういうところの一日の診療というものがどのくらいあるかということは統計をとってもらえばわかると思いますが、こういうところにあと二人くらいの医者をふやして、そして部内の従業員の診療もすれば、簡易保険の加入者の診療もするということにすれば、これは総合的な考え方であって非常にいいんじゃないか。わざわざ診療所があるのだから、また別個に簡易保険の加入者に対する診療所をこしらえるよりかは、そういう総合的な診療所を作った方がずっといいんじゃないかという気がしますが、一方は共済組合の所管事項でありますけれども、この辺は技術的にどうなんですか、私が今言ったようなことはできそうですか。
  107. 大塚茂

    大塚政府委員 私、趣旨にきわめて賛成でございまして、実は人事部長時代に共済で診療所を作ります場合、当時の保険局に無理を言いまして、盛岡でございますが、初めて合同の診療所というものを作った経験がございます。いろいろ会計的にむずかしい面はございますけれども、さようなわけでやれるわけでございまして、現にやっております。
  108. 森本靖

    ○森本委員 現にやっておるということなら、これは一つ早急に全国的に進めてもらいたい。これは大臣の選挙区であります高知あたりでも前から要望が出ておりますが、なかなかできにくいということですけれども、これは非常にこの簡易保険の加入者も要望しておるわけであります。簡易保険の加入者というものは案外数が多いわけでありますから、これは少くとも私は全国の各県庁所在地には一つくらいできた方がいいんじゃないかと思うし、そういう総合診療所をこしらえた方がかえって従業員も充実した医療を受けられることがあって、従事員も得だし、それから一般の簡易保険の加入者にも非常にサービスになる。それにもってきて簡易保険事業のいわゆる維持、さらに募集成績にも大いに影響する、こういうことを考えた場合には、こんなにいい問題は私はどしどしやってもらいたい、こう考えておるわけでありますが、これはどうですか。これから先もどしどしやっていくということですか。
  109. 大塚茂

    大塚政府委員 方針としては、作る場合はそういうことでぜひやりたいと思っております。共済の方も同様でございますが、医療定員予算がなかなかとれないという点が一番難点になっておるわけでございます。
  110. 森本靖

    ○森本委員 難点はよくわかりますけれども、ただ難点々々と言って、ナンテンの木みたいなことではいかぬと思う。やはりいいことは、できるような方向にぜひ一つ努力をしてもらいたい。各県とも相当の要望があります。これは保険局長が幸いに前人事部長で、共済の方の所管もやっておったので、一番内容も知っておるわけでありますから、一つぜひそういう方向を方針として進めてもらいたいと思いますが、郵政大臣の方針として、そういうことを来年度あたりから大いにやっていくということでけっこうだろうと思いますが、どうですか。
  111. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 すでにそういったような、盛岡とかではそういう総合のものが運営されておる、こういうことでありまするし、問題点であります診療所の方も、一日わずか二十一名だというようなことも、むしろこれを一緒にする、総合して有無相通ずる診療が完璧に近いものが期し得られるということでありますならば、これは早急に十分検討いたしまして、御趣旨に沿うようなものを一つ検討してみたい、かように考えております。
  112. 森本靖

    ○森本委員 それからもう一つ、先ほどの老人ホームの件でありますが、今まで別府と熱海にできております。その後、当委員会においてもやかましく言われまして、次から次へとこしらえていくということになっておりますが、別府と熱海の次は、どこに今できておりますか。
  113. 大塚茂

    大塚政府委員 今、北海道小樽市の郊外、朝里温泉に建設中であります。
  114. 森本靖

    ○森本委員 この北海道については、当委員会でも、たしか椎熊委員だったと思いますが、発言をせられて、熱海と別府にできたあとは北海道がもっともだということで、委員一同は賛意を表したことがありますが、それが幸いにして今北海道にできつつある、こういうことでありますが、その北海道のやつは三十二年度ですか。
  115. 大塚茂

    大塚政府委員 三十三年度予算でございます。
  116. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、三十四年度予算には新しいのを組んでおるのですか。
  117. 大塚茂

    大塚政府委員 一カ所組んでございます。
  118. 森本靖

    ○森本委員 今度は中あたりにできたら一番無難でありますが、それは大体どういうところに作るつもりですか。
  119. 大塚茂

    大塚政府委員 まだ決定をいたしておりませんが、大体本州の中ごろ辺ということになります。
  120. 森本靖

    ○森本委員 本州の中ほどというと広うござんして、なかなかわかりにくいのでありますが、私が聞いたところによりますと、具体的には有馬と白浜が候補地に上っておるようであります。郵政省としては、なかなかいずれにもきめかねておるような点があるわけでありますが、こういう問題はなるべく早くきめた方が私はいいと思う。あまり延ばしておりますと、いろいろ政治的に事が込んで参りまして、なかなかむずかしい場面があります。こういう点、私はどちらがいい、こちらがいいということを申し上げませんけれども、おそらく郵政省は郵政省としての判断において、最も適当な地域に置くべきが至当であります。至当でありますけれども、あまりあっちにもこっちにも気がねしておったのでは、いつまでたってもでき上らぬ。やはりこういう問題については一つの英断をもってやらなければならぬのでありますから、こういう問題は極力早期に決定をして、そうして早くやるようにしてもらいたいものだということを考えておるわけでありますが、これは政務次官、あなたはどうですか。
  121. 廣瀬正雄

    廣瀬政府委員 三十四年度には本州の中央あたりに作らなくちゃならぬと思っておりますが、場所につきましては、御指摘のように二カ所のなにも承わっております。今各方面からの調査を進めておりまして、適当な場所に設置したいと思っております。
  122. 森本靖

    ○森本委員 早急に一つ、これは決定せられますか。
  123. 廣瀬正雄

    廣瀬政府委員 なるべく早く決定いたしたいと思います。
  124. 森本靖

    ○森本委員 なるべく早くという答弁が一番都合のいい答弁でありますが、政務次官のことでありますから、その言を信用いたしまして、この問題をおきますが、この老人ホームを設置するについて、一言私は申し上げておきたいことがございます。それは私と武知元郵政大臣とそれから早稻田委員と三人で、昨年九州方面の視察をいたしまして、その際に別府の老人ホームを若干見せていただいたわけでありますが、三人の意見が三人とも、この工事そのものについて、予算の額とでき上っておるところのこう建物を見た場合に、これはあまりにも貧弱ではないか、それからこの建て方、とり方というものについてもあまり芳ばしくないではないか、こういう一致した意見でございました。おそらく全然先入観のない人があの老人ホームを見た場合、その予算その他を聞いてみた場合は、そういう意見が出てくるのは、私も、もっともなやり方ではないか、建て方ではないかという気がいたしましたが、これは一度建てると、なかなかそう改築をしたり、やり直しをしたりするということは困難なことでありますので、建てる場所の決定等についても非常に重要でございますけれども、建てる際には十分そういう点については細心の注意を払って、設計それからその他の工事等についても十分老人が生活しやすいように、また老人が休養しやすいようにという意思のもとに考えてやっていただきたい。私はまだ熱海は見ておりませんのでそのことは言えませんけれども、別府のものについては昨年行って見ましたので、そういう感じを率直に抱いて、報告書の中にもそういう意見が出ておるはずであります。だから今後建てる老人ホーム等については、そういう点を十分に考慮して万遺憾なきを期せられたい、こう思うわけであります。  そこで、時間も迫って参りましたので元へ返りまして、簡易生命保険法の一部改正案についての家族保険ができることについて内務事務の複雑化ということについては、具体的にこの保険が始まりますとこれはどういう状態になってくるわけでありますか。
  125. 大塚茂

    大塚政府委員 内務事務と申しましてもいろいろございますが、まず契約締結事務から申し上げますと、被保険者の数が多くなるわけでございますから、従って、それだけ告知義務その他に対する審査とかその他の点が多少複雑にはなります。しかし子供のやつは申込書にも証書にもなるべく記載をさせない、最初は統計をとる必要上記載をさせますが、そういうふうな配慮もいたしておりますので、そう大して複雑になることはない。それから保険料徴収事務につきましては、これは全然同じでございます。ただ支払い関係におきまして、被保険者が多い関係で多少従来のものより多くなるということがあり得るというふうに考えております。
  126. 森本靖

    ○森本委員 これを実行するに際しては十分にそういう点を考慮に入れて、現場に適切な指導を一つお願いしたいということを要望しておきたいと思います。  それから、きのう私が申し上げました加入のできる年令の、特に配偶者の点で、配偶者が妻の場合にあっては七年以内、夫の場合にあったら十二年以内ということは、これは冗談でなしに、数字的な根拠が何かありますか。
  127. 大塚茂

    大塚政府委員 結局この年令は、保険料計算の上から申しまして、私どもの方は夫の年令だけによって保険料をきめるという建前をとっております。しかし実際は妻との年令の差によって多少保険料が違ってくるわけでございます。その差が年令があまり開きますと相当大きくなって、これを無視するということが困難になりますので、そのめどを大体保険料で七円五十銭以内の差ぐらいにとどめたいという点を一つ考えたわけであります。もう一つは、実際の婚姻者の年令差を調べますと、妻が七才といいますか八才以上年長であるというものは全体の〇・四%程度であります。それから妻が夫より十二才といいますか十三才以上年下だというのは全体の一・四%程度でございますので、これは数としてはきわめて少い、従って除外されても差しつかえないのじゃないかということからきめたわけであります。
  128. 森本靖

    ○森本委員 これは妻の場合にあっては七年以内ということは、今日八年や九年のものはあると僕は思うのですが、それはそれとして、一応こういう場合には夫婦で七年と十二年以内の違いのものが全部で大体どのくらいあるかという調査はしてみたのですか。
  129. 大塚茂

    大塚政府委員 それは年令別に調査をいたしました結果、先ほど申し上げましたように八年以上年長がパーセンテージにしまして〇・四%、それから十三才以上の年下が一・四%というような数字が出たわけであります。
  130. 森本靖

    ○森本委員 保険数字からいくとそれは一応そういうことになるとしても、ほんとうを言うと、これは憲法上からいってもこういう規定をきめるということ自体が私ははっきり言って人権じゅうりんだと思うのです。これは男女が一緒になるものが、七年以上だったらいかぬ、十二年だったらいかぬということは、ほんとうを言うとこれこそ私は野放しでけっこうだと思う。わざわざこういう規定なんか作る必要はないと思うが、あなた方の良識において作っておるので、数字上必要だということでおそらくこれは作ったのだろうと思いますが、本来からいえば私はこういう制限はあまり課すべきでないという趣旨がほんとうではないか、こう思うわけです。  それから、きのう申し上げました保険金の倍額支払いと廃疾による保険金の支払いでありますが、これはここにおられます田中前大臣のときにこの法律案が当委員会に提案されて、われわれはこれを全会一致で賛意を表して、この倍額支払いと廃疾による保険金支払いのなにができたわけであります。せっかくこの簡易生命保険というものが保険事業の本来の趣旨からいって、保険金の倍額支払いというものと廃疾による支払いというものをわれわれも賛成をしてきめた。ところが今回の家族保険については、この家族保険の趣旨そのものについては非常にわれわれも賛成をするにいたしましても、その場合にけちって、郵政省としてはその主たる契約者だけの倍額支払いと廃疾による保険金の支払いを認めておきながら、その子供あるいは配偶者に対する保険金の倍額支払い、廃疾による保険金の支払というものを認めぬということは、簡易生命保険のあり方からいったらちょっとおかしい。これはやはり当然認めるべきである、認めるべきではあるけれども、現在あなたたちのこの資産の運用あるいは簡易保険事業の会計のあり方からして、これだけの金が出てくるのは困難である、こういうことで今回載せてないということになれば、先ほど来、質疑応答に出てきておりますところのいわゆる資産の運用の利回りがふえてきて、収入が増加してくるということになった場合には、当然この家族保険保険金の倍額支払い、廃疾による保険金の支払いというものはやっていいのではないかと思うわけでありますが、ちょうどこれは前大臣と現大臣がおりますので、非常にけっこうでありますが、どうですか。
  131. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 お説の点は私も同感でございます。従ってこれをさらに検討いたしまして、そういう結果が現われましたときにはさように一つ考えるべきものじゃないか、かように考えます。
  132. 森本靖

    ○森本委員 それから、先ほど金丸委員も言われておりましたが、契約者の団体貸付の問題であります。これはいつから中断になっておりますか。
  133. 大塚茂

    大塚政府委員 昭和二十八年運用再開になりましたときに、その必要がすでになくなったというようなことで中止をしたということになっております。
  134. 森本靖

    ○森本委員 これは近く再開するという考え方はございませんか。
  135. 大塚茂

    大塚政府委員 先ほど大臣からも申し上げましたように、市町村以下の部落単位あるいはその他でいろいろ施設をする場合に要望がございますので、われわれも再開の方針で今その方途を考究中でございます。
  136. 森本靖

    ○森本委員 それはいつごろからやるつもりですか。私たちも非常にこれは要望を聞いておるわけでありますので……。
  137. 大塚茂

    大塚政府委員 いつからと、今はっきり申し上げかねますが、できるだけ早くいたしたいと思っております。
  138. 森本靖

    ○森本委員 本年の予算のいわゆる契約者貸付というものは、昨年の予算から見てどのくらいふえておりますか。
  139. 大塚茂

    大塚政府委員 十四億たしかふえておると思います。
  140. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、本年の予算の内部においても、この契約者団体貸付を復活しようと思うならばできますか。
  141. 大塚茂

    大塚政府委員 これはできます。もしそれで足りない場合は、多少また保留もございますのでできる予定でございます。
  142. 森本靖

    ○森本委員 それから最後の問題でありますが、これは非常に簡単な問題でありますけれども、たとえばこの家族保険ができた場合の一般の国民に対するPRの方法でありますが、実にこういう点がまずいのではないか、こう思うわけであります。これは今の逓信委員会あたりでも電波放送をよく論議をしておって、しかもその放送の主管官庁である郵政省というものがこういう電波や放送関係を利用して広告をするということを忘れておるのじゃないか。特に今の民間放送の利用という点については広告ということは一般の加入者には非常にきくわけであります。こういう点のPRを、今までのようなこそくなPRでなしに、もっと飛躍をした宣伝方法を十分に考えていってもらいたいということを強く要望しておきます。  それから最後に、いつの法律案が通過するときでもそうでありますが、大臣なり政務次官なり事務当局というものは、御趣旨ごもっともで、その通りでございます、将来よく検討いたしますという返事がいつも多いわけであります。しかし、そのたびにそういうことが毎年繰り返されるという事項が多いわけであります。今回の法律案が通過をするに際しまして、この間からいろいろ金丸委員からも専門的に皆さんに対して、前保険局長としての権威ある質問を行なっておるわけであります。皆さんの方も誠意のある答弁であるということは認めますけれども、ただここで答弁をせられるだけではだめでありまして、将来その方向に実行するという努力が一番大事でありますので、そういう点を十分に大臣以下事務当局も考えられまして、ここで答弁をせられたことについては、今後は誠意を持って実行の方向努力をするということを、一つ最後に大臣から御答弁を願って、私の質問を終りたいと思います。
  143. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 御指摘の点につきましては、誠意を持ちまして、責任を持ちまして実行をいたします。
  144. 淺香忠雄

    ○淺香委員長 他に質疑もないようでありますので、これにて本案に対する質疑を終局いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 淺香忠雄

    ○淺香委員長 御異議なしと認め、本案に対する質疑は終局いたしました。  これより討論に入るわけでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  本案に賛成の諸君の御起立を求めます。     〔総員起立〕
  146. 淺香忠雄

    ○淺香委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。  この際、森本君より発言を求められております。これを許します。森本靖君。
  147. 森本靖

    ○森本委員 私はただいま議決されました簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対しまして、自由民主党、日本社会党の共同提案として次の附帯決議を付する動議を提出いたします。  附帯決議の案を申し上げます。    簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議  一、最近における経済情勢の推移並びに家族保険創設にかんがみると、簡易生命保険の現行保険最高制限額をもってしては、簡保事業の使命を果すにじゅうぶんでないと認められる。    よって政府は、なるべ近い時期に、右最高制限額を引き上げるよう措置すべきである。  二、簡易保険の経営の趣旨にかんがみ、政府は、保険料率の引下げ、福祉施設の拡充強化等契約者サービスの向上を図るよう努力すべきである。  三、家族保険創設の趣旨にかんがみ、政府は、加入対象から除かれている父子世帯及び母子世帯の経済生活の安定を図るため、母子保険等の実施について研究を進めるべきである。  右決議する。  ただいま附帯決議の案文を申し上げましたが、すなわち、第一点の簡易生命保険保険金の最高制限額につきましては、去る第二十八回国会において、二十万円を二十五万円に引き上げる際、本委員会は全会一致をもって、「政府は、なるべく近い時期に、最高制限額を引き上げるよう措置すべきである。」旨の附帯決議を付したのであります。すなわち、昨年二月当時すでに現行制限額では不十分であるという意思表示がなされたのでありますが、このたび新たに家族保険の制度を創設することとなり、その趣旨は、家族全体を一団として被保険者とし、家庭の経済生活の安定を確保しようとするものでありますから、従来の個人を単位とする場合に比し保険金最高制限額はさらに高められなければならないのは当然であります。離縁、養子縁組等によって、新たに家族保険の被保険者となったものが、すでに単独で簡保の被保険者となっていますと、その保険金額家族保険保険金額と加算されるため、二十五万円の制限額をこえる場合が生じ、本改正案においては、この点に関する救済規定がありますが、このことは、家族保険創設により、現行保険金最高制限額が低きに失するに至った一つの例証であります。よって、なるべく近い時期に保険金最高制限額相当額引き上げる必要があるというのが第一点の趣旨であります。  第二点は、まず保険料率の引き下げでありますが、現行保険料は、一例を三十年養老全期間払い込み、契約年令三十才、保険金額十万円の場合によりますと、保険料月額、民保二百八十円、簡保二百七十円、農協生命共済二百六十円という状況になっていますが、民保は近々料率を大幅に引下げるやに聞き及んでいます。その結果、簡保は他のいずれより高率となりますから、簡易保険法の第一条の目的に従い、国民の保険的保護を万全ならしめるためには、簡保においても経営の許す限り保険料率の引き下げを行うべきであると存じます。次に、加入者の福祉増進であります。現在福祉施設としては、診療所二十八カ所、保養ホーム三カ所その他の施設がありますが、決して十分とは言いがたく、加入者の熾烈な要望にこたえるため、各種施設の拡充強化をはかり、保険料率引き下げと相待って契約者へのサービス向上をはかるべきであるというのが第二点の趣旨であります。  第三点は、このたびの家族保険においては父子世帯及び母子世帯の加入は除外されているため、特に四十七万余の多数に上る母子世帯はその恩恵に浴することができないので、現在社会的保護を最も必要とされているこれら世帯の経済生活安定のため、母子保険等の実施について研究を進めるべきであるというのがその趣旨であります。  よって、政府は、簡易生命保険事業経営の本来の目的のため、以上の三点について、これが実現に努力すべきであると存じますので、右の附帯決議を付したいと思うのであります。各位の御賛成をお願いする次第であります。
  148. 淺香忠雄

    ○淺香委員長 ただいま森本靖君より提出の動議の通り本案に附帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 淺香忠雄

    ○淺香委員長 御異議なしと認め、森本君提出の附帯決議を付することに決しました。  この際、寺尾郵政大臣より発言を求められております。寺尾郵政大臣。
  150. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 本法律案改正につきましては、連日真摯な御審議を賜わりまして、ただいま可決を賜わりましたことは感激であります。同時に、これらにつきましての附帯決議をもただいまちょうだいをいたしました。この三点につきましては、特に留意をいたしまして、責任を持ってこれが実現を期したい、かように考えております。まことにありがとうございました。
  151. 淺香忠雄

    ○淺香委員長 本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 淺香忠雄

    ○淺香委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次会は三月四日水曜日午前十時より現事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十九分散会      ————◇—————