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1959-03-06 第31回国会 衆議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月六日(金曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 鈴木 善幸君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 吉田 重延君 理事 阪上安太郎君    理事 門司  亮君 理事 安井 吉典君       相川 勝六君    飯塚 定輔君       加藤 精三君    津島 文治君       富田 健治君    太田 一夫君       佐野 憲治君    北條 秀一君  出席政府委員         自治政務次官  黒金 泰美君         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      奧野 誠亮君         総理府事務官         (自治庁税務局         長)      金丸 三郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁税務局         市町村税課長) 鎌田 要人君     ————————————— 三月五日  委員天野光晴辞任につき、その補欠として犬  養健君が議長指名委員に選任された。 同日  委員犬養健辞任につき、その補欠として天野  光晴君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第一五三号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第一六六号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一七七号)      ————◇—————
  2. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたしますが、理事会の申し合せによりまして、地方税法等の一部を改正する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案の三案につき、来たる九日に参考人より意見を聴取することとし、参考人人選等につきましては委員長に御一任を願っておきたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木善幸

    鈴木委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。     —————————————
  4. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これより地方税法等の一部を改正する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので順次これを許します。安井吉典君。
  5. 安井吉典

    安井委員 昨日、地方財政計画に関連いたしましていろいろお尋ねいたしておったのでありますが、なお一点これにつけ加えてお尋ねいたしまして、地方税法の問題に入りたいと思うわけでございますが、それは会計年度変更の問題でございます。いつかも私、ちょっと問題として出したことがございましたが、国の会計年度関係で、補助とかあるいは起債等がだいぶずれてくるわけであります。そういうことによりまして特に積雪寒冷地帯等におきましては、工事その他の事業がそういうものにきわめて不適当な時期に行わなければならない、そういうような状態に陥りましていろいろな不都合を生じておるようなわけであります。これに対しまして自治庁でも会計年度変更の問題につきまして検討をしておるというふうなお答えを前に聞いているわけでございますが、その後どういうふうな状態に今あるか、一つお答えをいただきたいと思います。
  6. 奧野誠亮

    奧野政府委員 会計年度は、現在の制度が非常に長く続けられて参っておるわけでございますけれども、御指摘のような問題からなお検討を加える必要があるのじゃないかという気持で、三十四年度の予算編成の際に自治庁から大蔵省側申し入れをいたしております。しかしながら、なかなか関係するところ、影響するところが大きいのでございますので、なお従前通りになっておるわけでございまして、私どもといたしましては、将来とも検討を続けていくべきものだ、かように考えているわけでございます。
  7. 安井吉典

    安井委員 検討検討というのがだいぶ続いてきているわけでありまして、もう少し具体的な面に入ってくるかという期待をいたしておったのが、まだそういうものかという気がするわけでありますが、その変更が具体的になされるにはどういうふうな措置が必要なんですか。
  8. 奧野誠亮

    奧野政府委員 率直に申しまして、私たちの希望は、国の会計年度暦年にしてもらえないだろうか、地方会計年度は現在のままでいきたい、こういう気持でございます。そうしますと、会計年度改正の問題は、国の会計年度でありますと大蔵省発議者になって参らなければなりませんし、そういう意味でまた大蔵省に対しまして自治庁から申し入れを公式に行なった事情があるわけでございます。
  9. 安井吉典

    安井委員 これに対する大蔵省態度はどういうふうなことなんですか。
  10. 奧野誠亮

    奧野政府委員 大蔵省としましても、問題が全然ないというふうには考えておられないようであります。しかしながら、非常に関係するところが広いわけでありますし、単に会計だけの問題ではございませんで、いろいろなところにやはり影響してくると思います。国会予算編成時期も変ってくるわけでもございますので、なかなか踏み切りがたい、一長一短という問題もあるというふうに考えられておるように承わっておるわけであります。
  11. 安井吉典

    安井委員 ただお互いの話し合いでやりたい、しかしめんどうだ、そういったようなことではこれはいつまでたったって足踏みのままで前進はないと思うわけでありますが、もっと具体的にそういう問題を協議会でも持って検討をするとか、適当な諮問機関諮問をいたしまして結論を待って進めるとか、そういうふうな現実にかつ具体的に進めるというお考えはないですか。
  12. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先年も国会でこの問題が大きく取り上げられまして、大蔵省当局との間の質疑応答も承わっておるわけでございます。大蔵省側としては、自治庁ほど積極的な気持がなくて、むしろ現在のままでもよろしいのではないかという気持が濃厚なのだろうと思うのでありまして、私たちとしましては、地方事業実施状況等を見まして、あるいは補助金の決定がおくれているのが常態だというようなことから、むしろ積極的に改正したいという気持を持っておるわけであります。そこに若干のずれがあるというふうに思うのでございます。なぜ検討ばかりやっているのか、こういうお気持、私たちに対しましてはそれが当てはまるのでございますけれども、国の会計制度を扱っている者にとっては、やはりどちらかといいますと、現状を積極的に動かす必要というものをそれほど認められていないというふうなことでこのままになっている、こう思うのであります。要するに国の会計年度地方会計年度は非常に深いつながりを持っておりますので、両方がうまく運営されるように持っていかなければな らない。そういう意味で私たちとしては、今後もなおこれでもうよろしいのだという気持になり切ってしまえないわけでありまして、なおそういう意味で相談を続けていきたい、こう思っておるわけであります。
  13. 安井吉典

    安井委員 これは事務当局だけの問題ではなしに、政府が責任を持って問題の解決方向を見出して押し進めていく問題だというふうにも考えるわけであります。その点事務当局だけでなしに、政府としてのお考えはどうなっておりますでしょうか。
  14. 黒金泰美

    黒金政府委員 この前にも一回同様の御質問がございまして、お答えしたかと思います。私の選挙自体も雪国でありまして、今おっしゃるような点の弊害は痛感いたしております。ただこの問題は、御承知かと思うのでありますが、国が暦年でやりましたのが明治の初年にごくわずかあったかと思います。その後に歳入関係その他いろいろな関係をにらみ合せまして現在の四—三の会計年度になっておる。それが非常に長い間続いております。やはり続いてきたということ自体一つ存在価値があり、また習熟もございますために、終戦後園の財政制度を立て直します際にも、相当大規模な検討をいたしたことが実はございましたが、利害得失いろいろ考えまして、今も財政局長からお答え申しましたように、いろいろな方面、特に国会の御審議関係予算編成関係、あるいはまたおそらくは租税の納付時期の関係、こういった非常に広範にわたりますために、そこまで手をつけなくても今のままでやっていけるんじゃないかというようなことで、その際は見送ったような次第でございますが、一部の市長会なり町村長会なり、そういった地方団体からの強い要望もございます。従いまして、われわれといたしましては、今の事務当局考えだけでなしに、あるいは閣議に問題を提起いたしますなり、あるいは一面におきましては、最近皆様に御審議——これは委員会が違ったかと思いますが、願っております地方会計制度の問題、これは帳簿関係が主でございますが、そういうところでも専門家意見を十分に徴しまして、具体的に話を進めるように持って参りたいと思います。
  15. 安井吉典

    安井委員 それでは会計制度の問題につきましては、財政局長からもお話がありましたように、これは自治庁だけの問題でなしに、大蔵省がその気持に一番先になってくれなければいけないということでもあるわけでございますし、単に事務当局だけの問題でなしに、政府といたしましても一つ真剣に検討方向に持っていっていただきたい、そのように要望をいたしたいと思います。
  16. 佐野憲治

    佐野委員 関連いたしまして。交付税の問題をめぐりまして昨年の八月、九月に普通交付税の配分問題、昨年の暮れにおける予算折衝におきましてもこの問題が大きく出ております。ことしの二月二日の次官会議においても問題が大蔵省自治庁の間にいろいろ論議された。昨年の八月の両者覚書がいろいろ問題になってくる。こういうことを耳にいたすわけでありますが、ことに私たちが聞いておりますところの、自治庁大蔵省の間におきまして標準税収府県分八割を九割にする、市町村分七割を八割にする、これを三十五年度から実現する、あるいはまた実現することのために検討することを約束する、どちらかしりませんが、そういう申し合せがあるようにも聞いておりますし、たばこ消費税を譲与税化する、これも三十五年度から実現するんだ、あるいはまた三十五年度から実現するように検討するんだとか伝えられておるわけでありますけれども、こういう事実があったのかどうか。この点に対してお尋ねしておきたいと思うのであります。
  17. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいまお話の点につきましては、両者間に問題があるということは事実でございまするし、またわれわれとしましても謙虚に検討すべき問題であるとは考えております。従いまして、今後そういった問題を中心交付税が適正な妥当な配分ができますように検討をしていこう、こういう覚書はできております。しかし、今お話しございましたように三十五年にこれを実現するために検討をするというようなことはございません。
  18. 佐野憲治

    佐野委員 大蔵委員会における論議をいろいろ速記録中心として検討してみますと、大蔵省の方では、当然自治庁がそういうことを前提として検討するんだ、だからこそ二月の二日の次官会議から紛糾して二月の二十一日ですか、小林次官森永次官との間に折衝が行われて、二十四日の閣議に提出する。それほど紛糾したということに何か隠されているもの、何か未解決の問題があるのではないか。というのは、遠い将来に大きな問題を残すのではないか。ですから、そういう点に対するどういういきさつがあったのかという点をこの際率直に明らかにしていただきたいと思います。
  19. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今政務次官からお答えになりました通り、別に隠された問題は何もございません。ただ国家財政に携わっておりますものと、地方財政に携わっておりますものとの間には必然的に考え方食い違いが起ってくるのではないか、こう私は思うわけであります。たとえば地方税減税を行う、今の地方財政状況ではとてもそれだけの穴のあいたものをほっておけない。こういう気持がございます。自然国に対しまして地方交付税税率を引き上げてもらいたい、あるいはたばこ消費税税率を引き上げてもらいたいという注文をいたすわけであります。国の側から申しますと、富裕な団体の方には余裕があるではないか、その財源貧弱団体に回せば解決ができるではないか、財源調整をもっと積極的にやればいいではないか、こういう気持が出てくると思うわけであります。また地方自治考えて参りますと、軽々しく独立の自治団体固有財源をあっちにやったり、こっちにやったりすること自体に非常な疑問を持つわけであります。そういうふうにどちらかと申しますと、財源だけでものを考えていくか、あるいは自治精神を非常に重要視していくか、そこに基本的な食い違いが起ってくるというのは、これは私はやむを得ないことではないかと思います。そういう問題が中心になりまして、大蔵省自治庁との間に絶えず論争が行われていくのではないかと思っております。別に表面に出ております問題以外に隠れた問題は私どもはないと思います。
  20. 佐野憲治

    佐野委員 しかしながら、明年度における重大な問題になってくるのではないか、今年度よりも大きく問題が発展してくるのではないかということをおそれるのですが、交付税に対する二つの分類と申しますか、見方があると思います。この点に対して特に国と地方公共団体との間の財源調整にいたしましても、垂直的な財源調節考え方と水平的な財源調節考え方、いわゆる富裕団体貧弱団体との間に財源を調節する機能を強化しなければならない、こういうふうな考え方と、国と地方団体とにおける均衡を保たなくてはならない、いわゆる言って参りますならば垂直的な財源調整と申しますか、こういった考え方がやはりあると思うのです。そういう二つ考え方に対して、大蔵省自治庁との間に根本的な考え方の違いがあるのではないか。そういう問題は、今申しましたようないろいろな表面現象として現われてくるのではないか、そういう問題に対する大きな食い違いがあるのではないかと考えるのですが、その点はどうなんですか。
  21. 奧野誠亮

    奧野政府委員 問題を分けて考えれば、御指摘通りだと思います。一つは国の分担しておる事務に見合った財源地方の分担しておる事務に見合った財源、いずれも国民に負担してもらうわけでありますので、その負担してもらえる限度に見合って一つ国地方とで分け合っていくかという問題。もう一つは、地方団体間においてどういうふうに財源を与えていくかという二つの問題があると思います。この二つの問題について、やはり考え方食い違いが起ってくる。どうしても地方の側から見ますと、国の方はゆとりがあるように見えますし、国の側から見ますと、地方の方にゆとりがあるように見える。そういう場合に、国の方から金をよこす場合に、国の方では、あえてそうしなくても地方団体の方でやりとりすれば問題は解決するのではないか、そういうものの見方が起りがちだ、こう申し上げておるのであります。そういう場合に自治精神というものを重視していく場合には、財源のやりとりをそう軽々しくできるものであろうかという疑問が起ってくるのですということも申し上げておるわけでございます。この問題は来年度、さ来年度と絶えず繰り返されていくだろうと思いますけれども、それ以外に隠された問題があるわけじゃございません。こう申し上げておるわけであります。
  22. 佐野憲治

    佐野委員 最後に、ですからその問題に対する大蔵省自治庁の大きな見解の相違が出て参っておるということも、地方自治の将来に対する大きな問題点が含まれておる。かように私たち判断されるのですが、その意味から先般次官が言われましたことに対して納得いかないのは、交付税法の第二条七号にいわゆる必要な経費に対する単位費用ですが、これに対しまして定義しておる。「地方団体が合理的、且つ、妥当な水準において地方行政を行う場合又は標準的な施設を維持する場合に要する経費を基準とし、」こういう工合に規定されておること。もう一つ、同じく同法によりますところのいわゆる第六条の三の二項に「各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなった場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」とありますが、こういうことが行政として正しく実行されておるかどうか。こういう考え方に立って、地方行政のあるべき行政水準という考え方にもっともっと取り組む必要があるんじゃないか、かようにも考えられますので、自治庁のこれらに対する考え方——次官は非常に割り切った形でこの間言っておられましたのですけれども、今申し上げました問題も、こういう法に基く地方財政計画の策定、それらを中心として減税の問題、地方債の総額の問題、地方のあるべき行政水準がどうなっておるかという点がやはり真剣に検討されなければならないじゃないか。それを差しおいて、いわゆる富裕団体貧弱団体という形で一つワク内において、だから財政調整機能を強化しなくちゃならない、こういう大蔵省見解も出てくるのじゃないかという意味から、自治庁はやはり自治の本旨にかんがみて、あるいは地方交付税法に、法律によって示されておる順序においてもっと強い態度も必要じゃないか、かように考えるわけですが、どうですか。
  23. 黒金泰美

    黒金政府委員 まあ非常に御鞭撻賜わりまして恐縮に存じまするが、われわれといたしましても、今おっしゃるような方向で全力をあげておるわけでございます。ただやはり予算関係の問題で、財源その他いろいろ制約を受けますために、十二分ということはとても参りませんし、不満な点がありますけれども、でき上った今の財政計画というものを考えてみますれば、まあまあこの程度なら、非常に苦しいかもしれませんけれども昭和三十四年度の地方財政というものは何とかやっていける。御不満ではございましょうが、これで御満足を願いたい。こう申し上げておるような次第で、今お話のありますような点につきましては、おそらく一両年でそうすぐ解決がつく問題でないと思いますけれども、どこまでも今おっしゃるような地方自治精神を基礎にいたしまして、そして交付税の配分なり、いわばその総ワク分配方法に今後ともに善処して参りたい考えでございます。
  24. 加藤精三

    加藤(精)委員 関連いたしまして、ちょっと一つだけお願いいたします。私、本日は力の入った質問をいたしたいのでございますが、私、昔地方行政にいた関係——今でもおりますけれども専門地方行政におりましたときからのことを忘れまいと思って、若干の学術雑誌をそのつど読んでいるのでございますが、その学術雑誌大学の教授以上に指導しておられるのが、本日御列席行政局長さんや財政局長さんでございます。それで私は、わが国の地方行政財政学問的最高峰はこの二人だと思っているのでございますので、きょうの質問はすべてお二人にお答えになっていただきたい。それから、これは自民党内部関係もございますが、自民党の中にいろいろ行政財政について私と著しく違った見解を持っている委員がおるのです。それが昔、ちょうど藤井さんや奥野さんの立場に立った仕事をしておられた方なんです。その間のことでいろいろありますが、とにかく端的に私はここで御意見を承わって、そうして記録にとどめておきたいのでございます。これは私自身がずっと地方事務官といいまして、地方にずっとおりまして、地方の実情を見ている。本日御列席の私の前におられるお三人の方は、知事さんやそういうことばかり地方でやっておられたもので、地元を見ているということについては、私の方が見ていると思う。そういう面から一つの違った次元があると思うのです。それで中央的な、いわゆるケンブリッジ・オックスフォード型のような、イーデン、マクミランみたいな秀才型ですか、それからわれわれ現場の側との間の意見調整をはかることは、また国政上重要なことだと思う。(発言する者あり)不規則発言をなさる方も、われわれと現場で長年一緒に市町村長をやった代議士でございますので、十分に私の足らぬところを補っていただきたいと思います。  そういう前提のもとにお尋ねするのでありますが、たとえば山口でしたかどこでしたか、市長が四千万円もの収賄をしたり、町に損害を与えたりして、今度獄中から解散請求をして解散になった。たしかなったのでございますね。解散でまた選挙費用がかかるわけです。解職直接請求要求書とか、またリコールのほんとうのものとか、いろいろまたあらためて経費がかかる。そうやって、非常に貧弱だから、自分の市が財源が乏しいので、財政が苦しいあまり工場誘置をしようとした。そういう場合にはおそらく私は赤字が出るだろうと思うのです。赤字が出た場合に、それは悪い市長を選んだのだからということの自業自得で、住民はしようがないということが——この問題なんです。この問題は直接地方行政の本義に関係していると思うのですが、そういうことで、たとえば私にむすこが五人おるとして、一人のやつは非常に悪い、自分で勝手に酒を飲んだりばくちをしたり女買いをしたりして、今度は梅毒になってどうしようもないからそういう者は捨てておけ、こういうことはできないのじゃないか。そういうことにおきまして、そうならぬように地方自治を道義的に締めていくのと同時に、いよいよ困った場合には救済してやるということが必要だろうと思うのです。この点、この前の発言で若干亀山さんにほめていただいたのでありますけれども市町村理事者汚職なんかの最大の原因は藤井局長があげられたものより以上に、非常に文明が進歩して、金さえあればどんな享楽も栄華もできる。しかしながら、それを充足するほどに国民所得が十分でない。そこにつまり不満足感が起る。そういうようないら立たしさが、やはり個人の場合と同様に、市町村の場合、また市町村理事者もあわれな人間でございますから、そういうことがあり得るということは何千人に一人、何万人に一人、何千万人に一人はあり得るという時代のネセサリー・イーブルだと思うのでございます。今度のこうしたような意味の、山口市でありますか、今のような事例はたしか……。(「相模原だよ」と呼ぶ者あり)相模原山口というようなところだろうと思いますが、そういうような事態が、私は今日の時代思潮時代風潮から見て相当あるだろうと思うのでありまして、ことに町村合併前後の混乱時代事務に不習熟なものがまだ非常に多い。自治大学もまだ十分に全国的に吏員を訓練しておらぬ。そうしてまた同時に、全国府県知事の中において、市町村がどうなるか、その運命について泣くようなそういう名知事が現在非常に少いということを私は思っておりますが、ある自治指導者の相当な経験家によりますと、全国総務部長、それを専門にやるべき総務部長すら、市町村自治ほんとう運命財政ということについて、泣くほど考えているような誠実な総務部長というものは非常に少いということがあるのであります。これは起債を県に割り当てて、そうしてその起債ワクの中で、県と市町村とが分配しろというようなこともあったような記憶がありますが、いろいろそういうふうな心なきわざ、政府当局のやり方もあった時代もあると思うのです。そういう事実を私は事務的に精緻な論証はできるわけではないのでありますけれども、あったようです。それで、いろいろなこともありましょうけれども、私は、何といっても府県市町村を子供のように教え導くより高い段階にありまして、行政の組織も知識水準もより高いのが普通でありますから、そういうふうに教え導くという何か親子の関係のようなもの、それが日本的な地方制度であり、政府地方団体を導いてどこが悪いのか、これはいろいろ社会党さんからのお考えはあろうと思いますが、相当強力に指導するのが、子を愛しているために親が指導するのでございましたら、相当しつけをつけていいのです。日教組が自由教育、自由教育ということばかり言って、しつけが十分でないことが今日の不良少年を出した理由だと私は考えておるのでございまして、そういう意味において、どうも私はこの自治行政には今日もの足らないものがあるのじゃないか。そう思うのでございまするが、今のような非常に貧困であるがゆえに工場誘致をしたくて、工場誘致をしようとして不正事件があって、市町村に膨大な損害をかけ、赤字を出した。そういうような事例は相当あるようですし、また、非常に市町村事務が悪い、あるいは誠意がないために、非常にたくさんの赤字が最近相当全国市町村に出ている。出ている場合、そういうものは直接地方交付税の対象にもなりませんし、そういうもののために起債を準備することはないのでありましょうけれども、これは結局は何らかの財源付与をしなければならぬ。そういう場面にあった地方団体住民の苦しみというものは、結局救われなければならぬ。  それで、これは本論じゃないのですけれども、まず第一に、そうしたような場合の新しい意味の再建整備法を作るか、あるいはこれの期間の延長をするか、何かそういうことに対してのお心がまえがあるかないか。府県知事総務部長ほんとう市町村というものを考えて涙を流してくれなければ、本省が涙を流してくれる以外にないということが一つ。  それからその次に私が申し上げたいのは、こういうことの原因の一つは私は市町村という自治団体自治体制が十分ではないのではないかと思う。この前、門司先生の持論をとりまして、東京大学等にシティー・マネージャーの養成所を作って、それを一つ学科にしたらどうかということまで申したのでありますが、そこまでいかなくとも、吏員の養成と指導ということが現在の機構ではどうも少な過ぎると思うのでございまするが、それには人口の少い、そして負担力の総計が少い市町村では何としても不十分ではないか。これは非常に物議をかもすことで、党からもしかられるかもしれぬけれども、私は現在の町村合併の程度でも、まだ強力自治体を構成するのには足りない。ことに社会党の政策として外部に発表されておるものによりますると、もう十年か十五年は現在の町村合併のままで、これは無理をしないで、そうして自治の建設をやって、しかる後にこの府県市町村に対しての再編成のことを考えるべきだという御議論が社会党の自治政策にはございますが、私は、この今の時代は非常に進んで、ことに市町村の具体について申し上げますれば、どこにも道路が発達し、電灯がともり、ラジオが聞え、テレビが全国国民の意識を一本にするような時代になって、この狭い地域に自治体をたくさん並立さしておくということは、どうも私はおかしいのじゃないかと思う。それで、たとえば東京ではたった十五分くらい走っている間に、自治体である東京都の区を三つも四つも五つも通るわけであります。こういうようなことはどうもおかしいのじゃないか。農村に行きましても、一時間走っている間に自治体を五つも六つも通ると思うことは、もう実にたくさんある。こういうふうに能率上からも財政力から見ても、あまりに細分し過ぎておる。これは思い切ってさらに大きな段階で統合して、そうして現在の地方行政財政事務は非常に複雑でございまして、自治法発布十周年記念に自治庁が出されました、この地方自治行政の目標と、各省別の施設事業等を取り入れましたる地方自治の将来というものに対しての御展望も拝見しておりますが、昔と違って、地方団体は相当なサービスをしなければ、こういう時代になったら住民が不便で困るのです。そういうようなことでございますから、もう少し強化してやっていかれる御意思はないかどうか。  さらに、この現在の府県住民という概念は終戦後新しく作ったのでございまするが、この府県住民という概念は、それ自体結果においては、先ほどの総務部長さんたちほんとう市町村運命について泣くという気持が少くなったと同じように、この府県住民という概念があったために、府県住民の方に重きを置くか、市町村住民の方に重きを置くかという、こういう競合の時代になった。こういうことであるならば、むしろ相当強力な市町村団体を備えて、この完全自治体は市町村だけにして、府県というものは、国の行政地方的設備である面が現在非常に多いのだから、簡単にいえば、現在の県庁の建物の三分の二くらいを国の行政地方的設備として道州出張所等にしまして、そうして全国を五つか六つくらいの道州に区画いたしまして、そこに相当権限を与えた国の総合官庁を作ることが急務じゃないか。そうして国家公務員の九割が出先機関に現在している以上、これは膨大なる経費の重複、むだがあると思う。これを思い切って節約することによりまして、市町村行政の内容を強化することが必要じゃないか。現在のまま兵庫県と岡山県と鳥取県と統合して何になるかということを考えるのでございます。本員がかねて皆様のお耳に通しておりますところの道州制論、それから古井先生の道州合併論の利害得失、可否についての御意見の一端でもお漏らしいただきますことは大へんありがたいことだと思うのであります。どうも、府県というものは明治の初年に作ったもので、これは特別大事なものだというような天賦人権論的な考え方、これを住民の便益という行政事務、挾間先生のいわれる行政自治というような観念に切り変えるべき時期にきたのじゃないかということを強く感ずるものでございますが、これに対する特に藤井局長の御意見を承わりたいと思います。  それから地方自治に対して——黒金政務次官はあまり私が愚論をはくのでお困りのようでありますが、しばらくの間ごしんぼうをお願いいたしたいのでございますが、どうわが国の古来の地方自治は、封建制の時代には真の意味自治がなかったということをいう学者も多いのでございますが、社会党の自治政策によればそうだけでもないようでございまして、そこに私は門司さんや北山さんの英知を見出すのでございますが、私はどうも道徳面というか、そういう面が稀薄になるように思うのでございます。そこで、この前地方行政委員会審議時間が長くなって夕方になって、理事さんたち発言を中止されまして尽しませんでしたので、きょうの機会に一言申し上げますが、わが国の市町村の現段階には公民館というものがある。これはスイスの山の中の地帯とかそういうところにも、民衆の家とか村の家とかいうものが相当あるらしいのですが、そのほかには全世界に類例のない公民館という一つ制度があり、それが市町村一つのお茶の間、そうしてあらゆる社会教育団体等の連絡場所というキャッチ・フレーズで宣伝されまして、それがたまたまわが国民性に非常に深く合致しましたので、それが今おそろしい勢いで発達している段階でございます。昨日参議院を通過いたしました社会教育法の一部改正案は、さらにこれに強力な支持を与え、特に起債ワクについても若干は伸ばしてやろうという財政局長の非常に深い御理解、また公民館を指導し、社会教育団体を指導する社会教育主事の必置制につきましては、この地方行政委員会理事さんたちが特に御理解を持って自治庁にも話して下すったという、非常な感激のもとに進展しているのでございます。この公民館の日本的な性格、そうして地方行政的な性格、地方自治的な性格というものは、非常に多くの道徳的要素を含んでおり、部落経営、町内経営をこれによってやるという一つの目標を慣習法的に持つことになった現状にかんがみまして、この公民館には、部落の各戸の台帳とかいうようなものも自治的に備えているわけでありまして、協議費に対しましての出納簿とか、そういうようなものをすべて備えておるわけであります。それに、この地域とできるだけ一致した町村合併後の措置として、例の巡回指導のほかに強く押しておる連絡員制度事務所をそれに並行して置くということによりまして、公民館長、公民館主事、部落、町内連絡員と、地方自治法上の地方団体公務員であるところの連絡員事務所、その職員、それと並行してやることが非常に大きな下部行政機構としての得策ではないか。この点につきまして指導的な姿勢を自治庁と文部省とが協力しておとりいただくことになることは、ことに町村合併後の下部行政機構につきましては、非常に慎重で控え目過ぎると思われる鈴木俊一さんがこの自治庁のいろいろな統制をしておられた時分に、少し控え目過ぎると思っておりましたが、その欠陥を非常に補うことになるのではないか、こういうようなことを強く感ずるのでございます。その点につきまして藤井局長の御意見を承わりたいのであります。  それからその次に、以上のような点、現在の地方自治というものは悪貨が良貨を駆逐しておる面がないでもありませんので、それが市の理事者の汚職その他非常な混乱に導いておる。市の理事者はその議員に対して断わるという勇気を知らぬ。国会議員もそういう傾向が少しあって、私は国家のために非常に憂えておるのでありますが、そういう断わるという勇気は現代における倫理の最大のものじゃないかと思うのであります。そういう面から見まして、遺憾ながら、そうした方面からの放漫さ、不器用さ、赤字等があります場合に、この地方財政計画、それから起債の計画等ではまだ不十分なものがありはせぬか。そういう場合に——必要なのは必要なんでありますから、後年に残せばその赤字はもっと悪性な高い利子によって支弁していかなければなりませんので、そういう残酷なことはさしておられません。御承知のごとく農協から高利で借りたり、高利貸しから高利で借りたりするということは実際にあるのです。私たち市町村役場におりまして、吏員に月給が払えないときのその悲しさは、まことに市役所全体が暗くなる。婦人会の人たちが、月給が払えないそうですね、お気の毒ですね、何とかわれわれお力添えをしたいというようなことを言ってきたことも覚えております。私は市長在任中のことから考えて、理事者の不正事件には身をつまされる。私刑務所にも入りませんので、ここにおります市長出身の相当数の委員とともに、汚職の経験がない。しかしながら、その危険は私たちは非常に経験してきている、そういうことにも思いやられまして、この安い金を、高利貸しその他不当に高い一時資金等を借りないで済むように、あるいは長期の金を借り得るように、公募債の自由というものをもう少し広く大蔵省と御折衝になる気持はないか。これにつきましては何より大事な質問一つといたしまして、財政局長さんの誠意のある御答弁をお願いしたいと思うのであります。非常に多岐にわたりましたが、どうぞ私の誠意をお信じ下さいまして、売名の質問ではございません。それをお含みの上、どうぞ適当なる御回答と御支持をいただきたいと考えております。
  25. 藤井貞夫

    藤井政府委員 非常に熱意のある地方自治を愛するお気持からの御発言で傾聴いたした次第でございますが、加藤委員考えておられます理想的な地方行政組織の構想というものは、そんたくをいたしまするに、上級の団体といたしましてはいわゆる道州、これはどちらかといえば、いわゆる行政ということを主体にいたしました性格の強いものとして考えている。その下の組織といたしましては市町村、しかし、この市町村も現在の特に町村の規模では十分ではない。さらにもう少し規模の拡大された、行財政能力を強化された町村というものを想定をしていきたい。しかしながら、ここでは地域的に必要な地方的な問題は大部分が処理をされていくような方向に持っていくというのがよいのではないか。しかし、そのように広域化された市町村におきましては、おのずから住民の痛いところ、かゆいところに手の届くような行政というものはなかなか不可能にもなるし、いわゆる住民自治の理想というものも生かせないうらみもあるので、それに適応させるための制度といたしまして、公民館主体のいわゆる市町村末端の行政組織というようなものを考えていくことによって、理想的な地方行政構造というのが生まれてくるのではないかという大体の構想じゃないかというふうに承わったのであります。一つの有力な考え方であり、傾聴すべき御意見であるというふうに承わったのであります。順次お触れになりました点について、私の考えを申し述べたいと思います。  第一は、府県市町村との関係でございます。これはお話にもございましたように、戦後府県市町村との関係というものが非常に水くさくなったということは、これは否定のできない事実ではないかと思います。もちろん制度改正によりまして、旧制度下におきまするように、府県というものは市町村に対して封建的な監督の態度をもって臨むということは、これは好ましいことではもちろんございません。戦後の地方自治制度改正も、これらを主眼として大きく転回をしたわけでありますが、このことの制度的現われが、府県市町村というものをいわゆる完全地方公共団体として規定をいたしたのであります。上級下級、広域狭域というような差はございますけれども、同じく地方公共団体としては、府県市町村とは同資格であるということが制度の根本となっておったのであります。そのことが、いろいろ戦後に行われました自由主義的な民主主義的な社会風潮というものを背景といたしましてここに特記すべき傾向が出て参ったというふうに承知をいたしておるのであります。すなわち、市町村の側から言いますると、従来の重苦しくおおいかぶさっておった府県の圧力というものがはねのけられて、自由に羽を伸ばせるようになった。そういうような立場から、府県に対して地方団体としては同格なのだ、従来のような建前ではいけないのだというようなことで、非常にその独立自主性というものを府県に対しても主張するというようなことが出て参ったのであります。ことごとにそういうような面から府県市町村との間にいろいろ意見の対立というものが必要以上に出て参った。一方府県の立場から申しますと、市町村がそういうような態度でくるならば、われわれもそういうことに対応した態度をとらざるを得ない。従来のように市町村のめんどうというものをほんとうに親身になって見ていくというような態度がだんだんと薄くなってきた。そういうような情勢の際に、いろいろ毎年々々生起をして参りまする財政の問題等におきまして、府県市町村との間にいわゆる財源のとり合いというようなおもしろくない現象等が起って参りまして、それらを通じまして、ますます府県市町村との間に何か感情的にも非常に冷たい傾向が出て参ったのではないかというふうに思います。それと、府県といたしましても、府県自体において行わなければならない仕事が非常にふえて参りましたために、市町村のことまでなかなかめんどうが見切れないというような、必要やむを得ざる現実の情勢もあったことはあったのでございますけれども、いずれにいたしましても、府県市町村の従来のいい面というものが失われてきた。これが地方行政というものをあたたかいものにし、また非常に有効適切な能率のあるものとして総合的に運営する方途というものを見出すについて、きわめて困難な事態を現出せしめておるのではないかという感じがいたします。事実、県の市町村に対する指導態勢というものを見てみましても、その点はどうもしっくりいっておらないようであります。先刻もお話がございましたが、最近のところでは、府県知事が管下の市町村の仕事のことについて、具体的に申せば起債の問題にしましても、あるいは交付税のことにいたしましても、府県自体のことは非常に一生懸命になられますけれども知事の立場において市町村のことをいろいろめんどうを見て、自治庁あたりに熱心にやるというような方は非常に数が少いというような状況になってきておることも事実であります。しかしながら、この点は府県自治市町村自治というものの体系的な立場というものを非常に強調し過ぎた結果でありまして、そのことによって従来の伝統的ないい面がこわされてきた結果となって出てきておると思うのであります。こういう関係はこれは望ましいことではございません。この点は、もう少し府県市町村との間に血を通わせていって、相ともに同じ区域をその行政の対象とし、同じ住民をその対象としてやって参ります行政には違いないわけでありますので、その点お互いの立場をよく認識をいたしまして、府県市町村との間にもっと緊密な、しかも手を取り合って地域行政の伸展に挺進していく、そういうお互いに血のふれ合った、情味のこもった行政というものが行われて参りますことが必要なのではないかということを私としては痛感いたしておるのであります。府県につきましては、先般の地方自治法の改正においてお述べになったような性格に、だんだんと法的な取扱いとしての整備を見つつあるのであります。すなわち、府県市町村とはともに自治団体であるけれども、おのずからそこに性格が異なり、機能についても異なるものがあるということで、府県については御承知のように広域の行政、統一処理を要する行政、さらに市町村間の連絡調整事務、それに市町村のやれない仕事をやっていく、いわゆる補完行政事務、これを主体にすべきものとして規定をいたしておるのであります。これは法の建前だけでなく、現実の面といたしましてもそういう方向にだんだんと進めて、施策の面からもそういう方向に重点を置いてやることにいたしまして、府県市町村との制度的な面における改善措置もはかっていけるのではないかという感じがいたしておる次第でございます。  次に、町村の再合併問題の点でございますが、この点については、いろいろ議論のあることも私は承知をいたしておりまするし、また新しく生まれました町村の規模がこれで十分なものであるというふうには考えておりません。もう少し徹底した町村合併の仕方があったのではないか、また今後考えらるべきでないかというような議論も一考に値する問題であるとは思うのでございますが、今回始めました町村合併というものは、一応方針を立てて、いわゆる弱小町村の解消を目標といたしまして、標準的には人口八千ということを目安として進められて参ったのでありまして、御承知のように、国の計画に対しましてすでに大体四%を突破する一〇四%という進捗率を見ておるのであります。この間、関係市町村等におきましてはいろいろ問題が多く、紛争を惹起した面も数多くあったわけでございますが、大体全国的にも町村合併の問題は終止符を打つ段階になってきております。この段階において、また再合併ということをこの際打ち出しますことは、せっかく落ちついて新市町村建設に精進いたしておりまする関係団体、あるいは関係住民にとりまして、きわめて適当でない事柄でございまして、私たちとしましては、ここしばらくはやはりできました新市町村を、腰を落ちつけてじっくり建設していくという方向に重点を置いていくべきではないだろうかという考え方を持っております。ただ一つ考え方といたしまして、最下部団体である市町村の規模なり組織なりというものを、もう少し能力のある——具体的に申せば高等学校は維持できる、あるいは保健所は経営できる、社会福祉事務所は十分にやっていける。少くともその程度のものにすべきではないかという点は、これは一つ考え方として十分首肯するに値することであろうと思います。しかし、当面の問題といたしましては、やはりでき上った現在の新市町村というものの健全なる育成発展に努力すべきじゃないかと考えておる次第でございます。  第三に、府県の再編成の問題でございますが、この点につきまして、加藤委員もいろいろ非常に貴重なる御見解を持っておられることは承知いたしております。また地方制度調査会におきましても、一応この改革の方向といたしまして地方制というものを打ち出しておることも先刻御承知の通りでございます。だんだんそういう方向に持っていくべき社会経済上の必要はあると思います。しかしながら、この点につきましては、いずれも高度の政治的配慮というものを加味しなければならない問題でもございますので、政府といたしましても、いまだ本問題に対する最終的な態度を決定をいたしかねておる状況でございます。しかしながら、いずれにいたしましても、方向といたしましては府県の再編成ということは時期の問題ではあるまいか。かように考えておるのでありまして、その場合において、私自身としていまだその再編成方向としてどのようなものが最善であるかということにつきまして、ここで言明をする限りではございませんが、地方制度調査会において打ち出されております答申の方向というものが、やはり一つの有力なる見解ではあるまいか、かように思っておる次第でございます。  最後に、公民館の問題でございますが、この点は一部の市町村におきまして公民館の経営をきわめてうまくやっておるところがございます。しかも、その公民館を場といたしまして、それに他面、いわゆる部落会的、町内会的な性格を持たせて、総合行政的な妙味を発揮しておるところもあるように聞いておるのであります。これらの点につきましては、私自身ももう少し実情等もよく見まして、いろいろ研究をいたしたいと思っております。なるほど、公民館という施設もあることでございますし、それが社会教育の場所でもあり、また肩の張った集合の場所ではなくして、いろいろレクリエーションあるいは修養の場所としてそこに自然に人々が集まってくる。それを拠点といたしまして、末端行政組織としての性格をあわせ加味させていくということによって、きわめて効果のある行政ができるということは、なるほど一つ見方であり、また考えの立て方であろうと思うのであります。ただそれを制度的に、画一的に取り上げていくということになりますと、その点、部落会、町内会というものが廃止された経緯等もございまして、これに対する取扱いというか、もう少し慎重に事を考えていただきたい。それと同時に、公民館自体が社会教育法に基きます施設でございます。そういうような点で、そういう社会教育の場所を行政的な性格とマッチせしめることは果してどういうことであろうか。しかも、それを法律等によって制度的に画一化することについてはどういうものであろうかというような問題につきましても、あわせて考慮をいたして参らなければならぬ問題点を含んでおるのではないか、かように考えておりますが、しかし、現実にどういう運営がなされておるかということについて、実地についてもう少しよく検討いたしました上で、私の方といたしましては私なりの結論を出したい、かように考えておる次第でございます。
  26. 安井吉典

    安井委員 だいぶ時間が過ぎまして質問の時間がなくなりましたので、質問が残りましたら、私来週はおりませんので、一つ再来週まで保留させていただきたいと思います。  きょう地方税の税法改正の問題に関連いたしまして、各税目につきましてもいろいろお尋ねを進めて参りたいというふうに考えておったわけでありますが、時間が少くなりましたので、それに入ります前に、若干全体的な問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  昨年の衆議院選挙におきまして自民党は、その選挙公約におきまして平年度七百億、初年度六百億というふうな減税の公約をなさいました。そのうち地方税は三百五十五億。さらに御丁寧にその内訳がついているわけで、個人事業税が六十五億、法人事業税百億、固定資産税百八十億、法定外普通税十億、こういう数字まで出ておったのを私ども記憶いたしておるわけでありますが、今度の税制の改正におきまして、それがどの程度実現されたとお考えになっているか、そのところから初めに一つお答えをいただきたい。
  27. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいま御指摘の点でありますが、私ども選挙公約の中では、御承知の通りに総額において大体の目安を置きまして、公約自体には金額は出ておらなかったと思います。所得税の減税事業税、固定資産税の合理化、こういったことを公約いたしておりまして、これの解説的なものにおおむねの目安として総額七百億、初年度六百億、それからまた付属のコメンタリーみたいなものでもこまかい数字が出ておったように私は記憶いたしております。従いまして、その後政府なり党の中におきましては、いろいろな調査会その他を設けまして、各般の御意見調整し、今回御提出申し上げておるような国税、地方税を通じました減税を行おうとしておるのでありますが、総額におきましては、大体その当時予定しておりました額に達しておる。ただ内訳におきましては、地方財政の現状なりあるいは国の予算の実情というもの、あるいは各般の御意見等も徴した上で、今回御提出した通りの額に決定したわけであります。その当時いろいろと付随したコメンタリーに出ておった額とは、内訳において違うかもしれませんが、それはおおむねの目安でございまして、私どもとしましては、総額において大体において所期の目的を達そうとしておる、こんなふうに考えております。
  28. 安井吉典

    安井委員 ただいまのお答えでありますが、今度御提出になりました地方財政計画の中からいいましても、ふえたものを差し引きますと、帳じりは四十八億八千六百万円というのが地方税の税制改正による最後の数字になっているわけであります。一応表面は百一億の減税額というふうな御発表をなさっているようでありますが、しかし、国税の改正に伴う増加もございますし、あるいは軽油引取税は、これは公約の中になかったかもしれませんが、キロ当り八千円のものが一万二千円、五割増しにもなるような案になっているわけであります。国税の揮発油税の方は三割増しでありますが、軽油引取税の方は五割増し。中小企業者の方はびっくりして腰を抜かさんばかりの状態に現にあるわけであります。先ほどの加藤さんのお話にもありましたように、現在の道徳面の希薄ということが心配されるわけでありますが、約束を守らないということくらい現代の倫理の中で大きな問題点はないと思うわけであります。さらにまた今の御答弁の中におきましては、細目的な問題は公約の中にはなかったというわけでございますが、それの説明のところまで目を通しております有権者に対しましては、それぞれ、固定資産税はこれくらいまで安くなるのだな、あるいは事業税はこれだけ安くなるのだなという一応の期待を持たせたことは事実だと思います。総額がどうあろうと、約束を守れなかった責任は重大でないかと思います。つまり、約束した減税はおやりにならないで、約束しなかった増税の方をおやりになった。そういう結果が、今度の地方税法改正案の中に私どもは見とれるわけであります。そこで、このように公約と実際の税法の改正とがだいぶ内容の違ったものになったその理由はどういうところにありましょうか。
  29. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいまお話がございましたが、私ども自由民主党の選挙公約におきます減税は、所得税標準世帯月収二万五千円までを無税、これはむしろそれ以上に減税公約を実施しておると思います。物品税その他の間接税につきましても、御承知の通り物品税法の改正をやっておる。地方税におきましても、個人事業税について所得二十万円以下のものを免税とするほか、中小法人の法人事業税に対する軽減等、中小企業の負担軽減をはかる。固定資産税の軽減合理化をはかる。家畜税、ミシン税等零細な法定外普通税を改正する。こういうふうな公約をいたしておりますので、私は、内容につきましていろいろな御議論はあると思いますけれども、しかし、おおむねこの公約は果しておる。そのほかに今御指摘のありました揮発油税なり、あるいは軽油引取税の問題でございますが、これは減税公約とは別個のものだと私ども考えております。従いまして、一方には別個の理由でもって税が動いた、減税公約とそれを差引すれば云々とおっしゃることは、これは少し無理じゃないかしら。私どもとしては、減税公約は減税公約通りいたしましたし、また、一種の目的税的なものであります軽油引取税なりあるいはガソリン税につきましては、やはり道路五カ年計画の改定なり、そういったものに伴いまして別途の理由で生じましたもので、これは別にお考え願いたいと思うのであります。
  30. 安井吉典

    安井委員 総額においてはつじつまが大体合っておる。地方税で少くても、たとえば所得税の方で増しておる。そういうようなお答えではあります。しかしながら、御承知のように農家の人々にいたしますと、所得税のかからない人が大部分です。ところが、固定資産税というのは残さずかかるわけであります。だから、固定資産税に対する期待は、たとい所得税が扶養家族の問題等によりまして減税になりましても、その人の期待はかなえられないわけです。そういうような点、全体的なつじつまが合っても、中身において、国民に対する公約の違反という面の責任はきわめて重大だと思います。今私は、実際の公約と税法改正との内容の違いがどういう形の中からできたのかということをお尋ねしたわけでありますが、それに対する答えは今なかったわけでありますけれども自治庁側が、もう地方財政には減税の余地がないというふうな主張をされる。大蔵省側は、いや地方団体は黒字が増しているじゃないか、そういう現況から、経費の節約や合理化でそれくらいの財源は出せるはずだ。こういうようなことで昨年から本年にかけましての最大の政治論争の一つがここにあったということを私どもはよく知っておるわけであります。私はその紛糾の責任は、あげて政府や与党が負わなければならないと思います。選挙公約はきわめてむぞうさに人気取りで、そういった形において作られたわけであります。しかしながら、ほんとう地方財政の実態というものを正確につかんでおられなかったということをそこで暴露しておると思うわけであります。そういう点どういうふうにお考えですか。
  31. 黒金泰美

    黒金政府委員 先ほども申し上げましたように、公約は先ほど読み上げた通りでございます。あといろいろと解説的なものがあったかもしれませんが、それはやはり公約自体ではございませんで、それに対します一つのごく目安にすぎません。公約自体といたしましては、私どもは、さっきから申し上げております通りに、内容についていろいろ御議論はございましょうけれども、おおむね実現を見ておる、このように考えております。
  32. 安井吉典

    安井委員 しかしながら、今までの大蔵省側自民党側と、あるいはまた税制についてのいろいろな懇談会や協議会、あるいは自由民主党内部におきましても、地方税減税をどうするかというのは、結局一体公約をどうやって果すか、それを中心にしての論議なり論争なりじゃなかったのですか。
  33. 黒金泰美

    黒金政府委員 先ほども申し上げました通り、公約を実現はいたしております。地方税におきましても、固定資産税の軽減合理化は行なっておりますし、また事業税につきましても、所得二十万以下のものを免税にする。これは今度の法案に出ておりますし、中小法人に対する法人事業税の軽減も今度いたしております。同時に家畜税、ミシン税等零細な法定外普通税を廃止する、廃止という言葉は少し不適当だと思いますが、法定外の普通税はそのようにお願いをする。かようなことでいたしておりますので、私どもといたしましては、調査会の段階その他におきましていろいろと議論はございました。議論はございましたし、また議論があることが当然期待もされますし、あってしかるべきだと思っておりますけれども、この公約自体につきましては、今度の法案とお照らし合せ願いまして、大体実現はできているんじゃないか、こんなふうに考えております。
  34. 安井吉典

    安井委員 私先ほどから申し上げておりますように、その減税案のコメンタリーとでもいうべき、個人事業税は六十五億、法人事業税百億、固定資産税百八十億、法定外普通税十億、こういうふうな説明書の内容につきましても、これはあくまでも実現されてないと言わざるを得ないわけであります。ことに地方財政政府だけで上げたり下げたりするという筋合いのものでも現にないわけであります。あとで時間があれば事業税の問題にも触れるはずでありますが、たとえば事業税にいたしましても、今度の法の改正の中で標準率は下げたというふうに規定はいたされるわけでありますが、しかしながら、これは果して実質的な減税になるかどうかということにもなるわけであります。標準税以上とっておる府県も現にあるわけですし、また法律が変りましても、それまで下げなくてもいいことになるわけであります。地方財政というものはそういうものだろうと思うわけでありますが、いずれにいたしましても、当初の公約の際におきまして、地方財政に対する理解なり関心なり、そういったようなものが十分に自民党におありにならなかったということだけは確かなことだろうと私思うわけであります。ところで、地方税制あるいは国税にいたしましても同様なことで、あくまで安定的なものでなければならないと思います。将来への見通しを持った税制というものが当然打ち立てられなければならないわけでありまして、来年はどうなる、再来年はどうなるというふうな目安の上に地方公共団体予算を組み、この仕事はことしはできなくても来年はやるんだ、そのための財源はどうだ、そういう見通しも持たせるということ、これが国の地方財政に対する考え方でなければならぬと思います。ところが、今度の地方税法改正におきましては、一体来年はどうなるんだ、その次はどうなるんだという見通しすらもできてないという面がたくさんあります。たとえば今度の住民税の改正にいたしましても、今度の改正案では出ておりませんけれども、所得税の改正に伴いまして当然昭和三十五年度においては大幅な減収措置というものがとられるに違いないということは、これはわかり切っておると思います。あるいはまた固定資産税の制限税率の引き下げの問題にいたしましても、昭和三十四年度に対する対策はあります。しかしながら、その後の昭和三十五年度以降は一体どうなるんだ、そういう見通しすらも全くないわけであります。だから、こういうところからいいましても、公約という問題を中心にいたしましたその場のがれの措置だけが今回の改正においてとられているだけで、その場さえのがれたらあとは何とかなるだろう、こういうことではないかと思うのです。これじゃ困ると思います。この点についてどうですか。
  35. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいま御指摘の点、三十五年から住民税が下る、これは一応予定をいたしております。同時に、これに対します補てんの措置を検討しいろいろと審議をして参りましたが、今度の法案までに間に合いませんでしたので、そこで留保してあるわけでございますが、しかし、われわれといたしましては、この上ともに、たとえばたばこ消費税の引き上げというようなことでもいたしまして、そして地方財政に御迷惑のかからないようにして参りたい。また御指摘のありました固定資産税の制限税率の引き下げというものにつきましても、非常に急いでおりましたために、今年は非常に中途半端といいますか、起債でまかなって、あと元利補給するといったような方法しか講じられておりませんけれども、これにつきましても、その後にもっと突っ込んだ検討をいたしまして対策を講じて参りたい。このようなことで今後の善処を考えておる次第であります。
  36. 安井吉典

    安井委員 そういうふうに思うんだというようなところですから、地方公共団体は、一体今後の地方財政はどうなるんだ、そういったような不安におののいておる。そういう姿が今度の税制の改正措置の中から現われておる、かように私は思うわけであります。具体的な問題はさらに出てきた際にそのつどまたお尋ねしていきたいと思うわけでありますが、この間佐野委員質問のときに言われましたように、減税の問題は地方財政への全体的な考慮から出発する。そういうところから零細負担の排除や負担の均衡、そういうようなものを第一義として税制改正に対処すべきであるわけであります。それがあとさき反対になっておるから、今のようなことに現実に現われてしまっておるわけであります。これはもちろん自民党にしても、地方財政のわからない人ばかりいるわけじゃなしに、大へん心配されておる若干の良心的な人がいることも私知っておりますし、あるいはまた事務当局も大へん苦労しておるのもよくわかるのでありますけれども、それだけに、今日の政府や与党の無理解な態度には強く警告をしておかなければいかぬ、かように思うわけであります。  次に固定資産税の問題につきまして若干お尋ねをいたしたいわけでありますが、社会党は、固定資産税につきましては、地方交付税率を現行の二七・五%から三〇%に引き上げるということを前提にいたしまして地方税制全体の問題を考えているわけでありますが、固定資産税につきましては、まず第一の問題は、課税の基礎である対象価格の評価を公正に行うことだ、それから零細負担の排除のための免税点の引き上げ措置、その上に立って制限税率を百分の二ぐらいまで引き下げる。このような主張をしてきているわけであります。ところが、今度政府が出されております地方税法案におきましては、単に表面的な免税点と、それから制限税率の問題とだけを取り上げておられるわけであります。免税点の方はとにかくといたしまして、制限率を百分の二・五から百分の二・一までに引き下げて、いわゆる超過課税を少くしようというところにねらいがある今度の考え方におきまして、幾つかの根本的な誤まりが犯されているような気がいたします。  まず第一番目に、税率だけにかかわって、肝心の評価のことはたな上げにしているということであります。御承知のように現実の市町村のあり方は、自治庁の示された評価よりも高く評価をいたしておって率を低くとっておるところもあります。逆に評価が低いけれども率の高いというところもありますし、評価も高いし率も高いというところもあるわけであります。そういった基礎的な事情というものが全く無視されまして、単に率だけに問題が持ち込まれているわけでございます。そういうことになりますと、現在の固定資産税の持っております矛盾をむしろ一そう拡大していく、そういうような感さえあるわけであります。いかがでしょうか。
  37. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいまの評価の点につきましては、安井さんのおっしゃる通りだと私は思います。従いまして、この調査にとりかかろうということで、おくればせでまことに恐縮ではありますけれども、これを調査いたしまして、全国均衡のとれたものにしていきたい。同時に、これも御承知と思いまするが、固定資産の評価というものが相続税なり、あるいは登記税なり、いろいろと国の税金の方にも関係がございますので、そちらとも力を合せてやって参りたい。ただ、私も実は役人当時に土地賃貸価格の調査その他やったことがございますが、非常に手間のかかるものでございます。やり方を検討し、また実際に当ってみまするには相当に時間がかかりますので、まことに恐縮でございますが、二、三年の時をかしていただきまして、その間に均衡のとれたものにいたしたい。その点はまことにごもっともでありまして、おくれておりましたが、その点に重点を置いて今後仕事をして参りたい考えでございます。
  38. 安井吉典

    安井委員 この間大蔵省の国税庁の発表で、宅地の賃貸価格の発表がありまして、たとえば日本で一番高いのが銀座の町かどで坪百五十六万円ですか、そういうのが新聞の社会面にも出ておったわけでありますが、そういうような相続税や贈与税に関連しての大蔵省の今のものと、自治庁の評価との調整を将来とっていくということになれば、結局固定資産税の膨大な値上りと評価の膨大な引き上げ、そういうところで落ちつくわけですね。
  39. 黒金泰美

    黒金政府委員 率直に申しまして、これは安井委員御承知だと思いますが、時価によって評価するのが一番よいのでありますけれども、今までの沿革その他がございまして、土地につきましても、あるいは家屋につきましても、大体時価よりはるかに安い評価が基礎になっております。ただ、それが場所によりまして区々であることも事実でありますが、総体としてはるかに低い。従いまして今仰せの通り、時価に合せて評価いたしますれば、価格が相当上る。上った場合にはこれを税率において調整いたしまして、そうして適当な財源を見る。さっきお話が出ましたが、率直に申して、そういう改定ができて税率調整をいたしますれば、このために交付税を引き揚げるというようなことはまずあるまいと考えておりますが、そういう検討は今後とも十分に行なって参りたいと考えております。
  40. 安井吉典

    安井委員 ですから次の段階には当然評価がえが行われるということが明らかになっておりますのに、このことは一応そのままにしておいて、率の引き下げだけを大急ぎでやって、減税するのだ減税するのだと宣伝するこういうやり方は、何か納税者をごまかしておるというような行き方に考えられるわけでありますが、これは特に地方選挙が近づいてきておるので、それの人気取りにとにかく減税というにおいだけでもかがせておこう、こういうような考え方が裏にあるのじゃないですか。
  41. 黒金泰美

    黒金政府委員 その制限外の課税の一番多いのが安井さんの北海道であり、次が私どもの山形であります。山形の地方選挙知事なんかも済んでしまいました。お宅の方はまだこれから知事選挙があるのですから、あるいはそういうふうにお考えの点もあるかもしれませんが、われわれは決してそんなふうに考えておらない。標準税率と比べてあまりに制限外税率の最高が高過ぎます。あまりに違いますので、これを徐々でありましてもできるだけ妥当なところに縮めて参りたい、このように考えておりまして、別に他意はございません。
  42. 安井吉典

    安井委員 北海道でこういううわさがあります。今度の知事選挙にからみまして、ある候補予定者が、これはまだ立候補しておるわけではないのですから予定者ではありますが、その人が、道内に事業場を持っております大企業家たちから選挙資金の応援をしてもらう。その反対給付として、つまりその約束として現在の固定資産税を安くしよう。これは固定資産税の引き下げによりまして一番利益を受けるのは大きな企業者の人たちであります。だから、ぜがひでも無理をして今度の減税を行おうとしたのだ。そういうようなうわさがありますが、どうでしょうか。
  43. 黒金泰美

    黒金政府委員 うわさでありますから、われわれ答弁の限りではないと思いますが、私どもが立案いたします際には、そういうようなことは考えておらずに、かりに同じ設備でありましても、北海道にあるがために固定資産税が非常に高い、原価計算が非常に違っておる。こういう点はもちろん考慮いたしますが、今申しました通りに、あまりに標準税率と制限外の最高とが違い過ぎておりますので、これを幾らかでも縮めて参りたい、こういう考えのほかに他意はございません。
  44. 安井吉典

    安井委員 私ども、もちろん減税がいけないというわけではありません。減税は当然必要のあるものにつきましてはやるべきだというふうに考えております。しかしながら、その減税が何か選挙のためや、特殊な利益を一方に与えたいがためにやる、そういうものであっては当然いけないと思います。うわさがうわさであってくれればよろしいわけでありますが、私どもは、そういうふうに考えます。もちろん税の高いことが経営の障害になっております農民や漁民を救ったり、あるいは各種の企業が固定資産税が高いことで安定しないということのためにも、固定資産税の引き下げも大切でしょう。できるならばもっと公正かつ大幅な減税を行うべきだというふうに私ども主張しておるわけであります。それがほんとうの納税者間の不均衡や地方財政を無視した場当りの措置であっては困る、そういうことを申し上げておるわけであります。  ところで、固定資産税は、率のことも大切でありますけれども、評価のあり方がもっとほんとうの基礎的な重要さを持っておると思います。たとえば農業の場合で言いますと、国税と地方税を合せました農家の全体の税負担のうち、固定資産税の占める位置というものは年々大きくなってきております。国税である所得税の部分が全体の二〇%ないし三〇%に減少してきておる。反面に地方税部分の割合が七〇%ないし八〇%と逆転をしておるわけです。その地方税部分のうちでも特に固定資産税は、昭和三十一年度の調べでも全体農家負担の四三・三%という比率を占めておるわけです。ところが、その固定資産税は全国の農家の九九・六%までが固定資産税を納めております。所得が十万円以下の農家でもその九八・五%の農家が負担させられている。そういうふうな状況であります。だからずっと下層農においては滞納がふえてきているというのが当然なわけであります。所得の低い農家ほどこの固定資産税で苦しい目に会っているというのが実際の姿であります。ところが、現在の日本農業の実際の姿からいいますと、田畑に対する課税標準はもっとほかとの比較において三分の二くらいに引き下げらるべきだというふうな主張を私どもいたしておるようなわけであります。というのは、地代部分が高ければ現在の日本農業はもう成り立たない、そういったような姿にもあるわけであります。今の特に農地の価格について、農地に対する固定資産税の評価の問題につきまして、どういうふうにお考えになっておられますか。
  45. 金丸三郎

    ○金丸政府委員 農家の税負担につきましては、わが国の農業の現状と申しましょうか、また将来のこと等を考えましていろいろ基本的に考えがおありだと思います。私も農業の専門家でもございませんので十分なお答えができかねますけれども、ただ総体的に申しましていえますことは、わが国のことに零細な農業を保護していかなければならないということから各種の助成が行われ、また税の面におきましては各種の税が相当に非課税と申しましょうか、また軽減すると申しましょうか、そういうようなことから相当に配慮が行われておる。私どもはかように考えるのでございます。農業の方の各種の税を検討いたしてみますと、ことに零細な農業に対しましては、事業税にいたしましてもいろいろな面で考慮が払われておる。府県市町村にいたしましても、ことに府県財政の十分でないところは、農業に対するほかに課税ができない。その農業に対しては実際面として課税ができませんから非常に財政が困難である。その面を地方交付税でまかなってそういう自治団体の運営ができるようにしてやる、こういうことになっておるわけでございます。固定資産税は自治団体としては最も普遍的な税でございまして、そういう面で、できるだけ広く住民が負担をしてもらうというようなことで税率等も考慮されておるわけでございます。農地につきましては——宅地、家屋等は御承知の通り時価で評価する建前になっておりますけれども、農地につきましては収益還元価格で評価するようになっております。時価に比較しますと相当に低廉になっておるのではないか、私どもはかように思うのでございます。従来の実情等を考慮いたしまして三十三年から三カ年間の据え置きになっておりますが、たとえば北海道のように連年冷害のありましたようなところでは、内地につきまして相当に指示平均価格を引き上げました際にも、昭和以来の経済統計に基きまして特に引き上げ率を少くして、三十三年からもずっと三年間は据え置いていく、こういうふうになっておる次第でございます。零細な農家がきわめて少額の税金にも困るようなところもあろうとは思いますけれども、そのように私は、農地や農家あるいは農業に対する地方税の面におきましていろいろな配慮が加えられておる、こういうふうに考えておる次第でございます。
  46. 安井吉典

    安井委員 農業についてのいろいろな配慮が加えられておることについてのお話もあったわけでございますが、三つの例だけ一つ御参考までに申し上げたいと思うわけであります。北海道の上川盆地といいますと、米作の好条件の地帯でございますが、ここでのある農家はこの間こう言っております。二町五反を耕作しておりますと、大体豊作の年も凶作の年もあるわけですが、平均して大体お米の販売が年間四十万円くらいだというのであります。ところがそれについての支出は、公租公課が六万四千円と肥料代その他の生産費が十二万円、大体二十万円そこそこがこの人の生活費になっておるわけであります。家族労働三人働いて二十万円がこの人たちの賃金だ。もちろん米とか野菜は自家用になるわけですが、二十万円がこの人の一年間のかせぎ高であります。ところが、二町五反とその人の家を全部ひっくるめて売りますと、一つ一つの評価では高くなりましても、実際は売り買いいたしますと二百五十万円くらいだそうです。その二百五十万円が現金になった場合に、年利が七分で十七万五千円、年利一割で二十五万円くらいになるわけです。何も働かないで現金にかえて寝ていた方がかえって金がよけいできる。こういった数字が現われておるところからいいましても、農業についての固定資産税のあり方というものは考え直すべき時期がきておるのではないか。あるいはまた同じく北海道のずっと北の方の宗谷支庁管内に中頓別という町がございます。その町の農業委員会に集団で農地を買い上げてくれという陳情が来て、これを北海道の農業会議でいろいろ調査をいたしております。といいますのは、ここの村の大体百八十戸くらいの人たち、これがごく貧農層に当るわけであります。大体負債の昭和三十三年度の年賦償還金が総額百八十戸で四千三百万円くらいになっておる。ところが、この地帯はバレイショだけの地帯ですから、一年間の生産高が二千八十一万円くらいだ。ですから総生産高を出しても年賦償還金に間に合わないというふうなきびしい地帯さえあるわけであります。ですから農地法第十六条で自分の土地を国に買い上げてもらいたい、そういうことで借金を払って国の小作人にしてもらいたいのだというふうな考え方さえ現われているわけであります。農業に対する固定資産税につきましては、先ほど次官も言われましたように、評価の問題についての検討の機会があるそうでございますので、一つ十分御検討をいただきたいと思うわけであります。  次に固定資産税の激変緩和の措置についてお尋ねいたしたいと思いますが、今度の場合は、税の標準率の変更ではなくて制限率の引き下げであるという点におきまして、市町村の自主財源を圧迫するという姿においてなされるわけであります。ですからこれは地方自治の本旨にそむくのではないか。これはこの間阪上委員も言われておったわけでありますので、これには一応触れないといたしましても、政府の一方的な意思で、さらでだに困難な財政の中から市町村財源の一部をもぐわけですから、そのような市町村の歳入を補てんする対策というものを政府は積極的に考えていくというのが当然だろうと思うわけであります。ところが今回の措置では、その穴埋め財源は一応金を貸してやろうというふうな打ち出し方でありますが、そういうことでなしに、一つ現年度で補給してやるということが当然ではないかと私ども考えるわけでありますが、いろんないきさつの結果こういうふうになったということを聞いております。この根本的な理由は一体どこにあったのですか。
  47. 黒金泰美

    黒金政府委員 私もあなたと同じように、できることなら現年度の予算に組みまして政府から金を出したら一番よかったと思っております。ただ、だんだんにこの問題を折衝しております間に、国の予算の計数がきまってしまいましたので、何とも間に合わない。予算に六億なり何なりの金が出てこないものでありますから、やむを得ずことしは今度御提案申し上げておるような方法で解決をしましたが、今後ともに今おっしゃるような御意向をも尊重して善処して参りたいと思っております。
  48. 安井吉典

    安井委員 予算を締めてあっても、すぐ補正という方法があるわけです。現に今予算委員会でも、予算を締めてから出てきた補正案が、それじゃ困るということで今ストップしておるような事情もあるのは御承知の通りでありますが、一兆四千百九十二億で一兆よいくにが六億プラスされて一兆悪い国になったってかまわないと思うのです。また今後におきましても、六億ですから補正の方法は幾らでもあるわけです。どうでしょう。
  49. 黒金泰美

    黒金政府委員 そうまでおっしゃらなくとも、ことしはこれで格好がついておるのですから、そこまで追い打ちをおかけにならずにこれでやらしていただいて、もう少しあとまで検討さしていただくということでいかがなものでございましょうか。補正でやればやれないことはない、その通りでございますけれども、そこまでやらなくとも、一応この法律を出して格好——と言っては言葉が悪いのですが、補てんの道を講じておるのですから、一つことしはこれでやらしていただけたら幸いだと思っております。
  50. 安井吉典

    安井委員 地方公共団体におきましては、将来において元利補給をしてくれるといっても、果してやってくれるかどうか、実際のところはふたをあけてみなければ、このごろの政府のことだからわからない。いつか忘れられてしまうのじゃないか、そういうふうな心配をしておるわけです。だから私、しつこくお聞きするのです。
  51. 黒金泰美

    黒金政府委員 そこまで信用がなくなると政府も困るのでありますけれども、この問題につきましては法律できめていただきまして、しかもそのこまかい点は政令できめて参りますので、ちょっと法律違反はできないと私は思いますから、この点は少くとも御安心願ってしかるべきではないかと思います。
  52. 安井吉典

    安井委員 条文ではたしか交付するというふうに表現がなっておると思いますが、この交付金の性格はどういうようになるわけですか、既往のどういうふうな制度に分類されますか。
  53. 金丸三郎

    ○金丸政府委員 やはり一種の減税に伴います減収を補てんしますための特殊の補給金と申しましょうか、性格的にはそういうものと申してよろしいのではないかと思います。形の上では起債の償還の財源を別途に国の方から交付するという形、あるいは手続をとって参るわけでございますが、実質は減税に伴います財源を補てんしますための補給金と申してよろしいのじゃないかと思います。
  54. 安井吉典

    安井委員 そうすると、交付税の中に入れられるわけではないわけですね。そうすると、財源はどういうことですか。
  55. 金丸三郎

    ○金丸政府委員 これは交付税とかその他のものとは全然違いまして、予算に所要の金額を計上いたしまして、政令で計算いたしました金額を市町村ごとに交付いたすわけでございます。
  56. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、その減収という表現は政令できめられるわけですね。その減収の計算の方法はどういうふうにお考えになっておられますか。
  57. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 政令案の内容につきまして目下検討中でございますが、ただいま考えておりますのは、三十三年度の現年度分の収入予定額を前提に置きまして、当該市町村の採用しております税率を二・一まで引き下げたために生ずるであろう減収をはじき出して、それに見合う分を起債で補てんしていく、こういうふうに考えている次第であります。
  58. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、評価がまちまちであるとか、あるいはまた特定の年に特別な事業をやるために税率が特殊な上り方をしたり下り方をしていたということには無関係なわけですね。
  59. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 考え方といたしましてはいろいろあると思います。三十四年度においてその市町村に大きな工場ができた、そういう場合にはあえて埋めてやらぬでもいいじゃないか、こういう議論もあると思いますが、考え方といたしましては、一応三十三年度の状態において推移するとした場合に、税率が下ったことによって生ずるであろう減収、こういうふうに考えて参りたい。従いまして、個々の評価の問題ということにはかかわりなくなって参るわけでございます。
  60. 安井吉典

    安井委員 やはりそれを一日も早くはっきりしなければ、市町村予算がきめられないと思います。将来の計画の進め方も。それは早目にしっかりしたところで御決定していただかなければいけないと思います。ことに木材引取税等の問題におきまして毎年混乱を起しているような際でありますので、そういう点は十分御配慮願わなければいけないと思います。起債の方につきましては千百億のワク外になるわけですね。——そういたしますと、市町村別に承認限度額というものが一応きめられるといたしますれば、その適用外になるわけですか。
  61. 奧野誠亮

    奧野政府委員 千百億円の地方債の計画の外でございます。一件当りの限度額は、これは法令の問題ではなしに、運営の問題できめているわけでございますので、個々の事例にあたりましても若干例外措置を認めているわけでございまして、この問題につきましても同様の措置をとるべきものだと考えております。
  62. 安井吉典

    安井委員 限度額の外にしなければこれは大へんなことになると思います。それでその点は、はっきりそうなるわけですね。
  63. 奧野誠亮

    奧野政府委員 その通りであります。
  64. 安井吉典

    安井委員 当面の問題はそれでよいといたしましても、それでは三十五年度以降につきましてはどういうふうなお考え方を持っていらっしゃるわけですか。
  65. 黒金泰美

    黒金政府委員 先ほどお答え申し上げた通りに、この問題につきまして根本的に解決策を講じて参りたい、今後ともに努力を続けて参ります。
  66. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと現在のところは、三十五年度以降につきましては何らの保障がないということですか。
  67. 黒金泰美

    黒金政府委員 まだ閣内の意見の一致を見ておりません。今努力をいたしておるところでございます。
  68. 安井吉典

    安井委員 これはやはり困ると思うのです。一年だけはとにかく今の減税減税の波に乗って格好だけはつけた。しかし三十五年からあとのことは全然どうにもならない、これから相談するのだ。そういうふうな場当り的な財政指導では困ると思うのです。閣内において相談をしようということであるそうでありますが、自治庁としてはどういう態度を持っておられるか、伺いたい。
  69. 黒金泰美

    黒金政府委員 先ほどお話がございましたように、評価額その他が変って参りますればまたいろいろな事態になるかと思います。少くともそれまでくらいは何とかこれは埋めていかなければいかんじゃないかということで努力をいたしておりますので、場当りというのも少しお言葉がきつ過ぎるんじゃないかと思いますが、まあ一生懸命いたしますのでお許しを願いたいと思います。
  70. 安井吉典

    安井委員 場当りという言葉はきついかもしれませんけれども、しかしながら、ほんとうに減って、たとえば大きいところになりますと四千万も五千万も減るのです。そういうところもあると思います。大きな市で四千万ぐらいある市はあるはずです。小さな二百、三百万というのはざらにあるのです。そういう財源が一ぺんにごそっとなくなって、しかもそれに対する何らの救済措置も今度の法律改正の中に考えられてないということになりますれば、私が場当りと言ってきついとお考えになるかもしれませんが、そういうふうな市町村長の身になってみれば、それこそその言葉でも弱過ぎるとさえ言うだろうと思うのです。ですから、地方財政の元締めとしての自治庁としては、もっとしっかりした態度をもっていただかなければいけないと思います。もっときびしい決意というものをお聞かせいただけませんか。
  71. 黒金泰美

    黒金政府委員 誠心誠意努力をいたします。
  72. 安井吉典

    安井委員 いつも誠心誠意で、ほんとうにしておりますとあとでごまかされるわけです。たとえば木材引取税の問題がございます。ちょっと横道にそれますけれども、この木材引取税につきましては、かつて内輪方式と称せられておりましたことで各市町村は安心をしてそろばんをはじいて財政を組み立てていた。ところが、今度実際に計算をするという段階になりまして、それでは金が足りな過ぎるから別な方式にする、そういうようなことでこの間も大騒動があったわけであります。私が昨年の秋にこの問題につきましてお尋ねをした場合にも、奥野財政局長からは、はっきり内翰方式でやりますというようなお答えをいただいておったと思うのでありますが、ところが、実際の場合になりまして大へんなことになったわけであります。もっとも、それがいわゆる誠意なのかもしれませんけれども、一応後に計算の上にプラスされまして、一応納得をして団体側も引き取っていったようでございますけれども、しかし、この木引にいたしましても、昭和三十四年度以降につきましてはどうなんでしょう。
  73. 奧野誠亮

    奧野政府委員 これは三年間減収額を補てんしていきたいということを申し上げておるのでございまして、昭和三十四年度は三十三年度分の半額、三十五年度分は三十四年度分の半額という方式で特別交付税を決定したい、かように存じておるわけでございます。
  74. 安井吉典

    安井委員 その場合の計算方式はどうですか。
  75. 奧野誠亮

    奧野政府委員 原則として、すでに三十三年度分について決定しておりますので、この額を基礎にすればよろしいのじゃないだろうか、こう思っております。
  76. 安井吉典

    安井委員 とにかく約束を守らない自治庁では、これはせっかくたよりにしております自治庁でありますので、地方公共団体の立場からぜひとも——自民党の方は約束をお守りにならなかったかもしれないが、少くとも自治庁だけは十分に約束を守っていただかなければいけないと思うのです。  そこで固定資産税の問題も、一応時間もだいぶ過ぎて参りましたので締めくくりたいと思うわけでございますが、ただ私、はなはだ不満に思います点は、今度固定資産税をこういうような形でいじられたわけでございますけれども、最も重要な根本的の問題を政府がお忘れになっておるのではないかと思うわけです。今度の場合に、表面的に現われました標準率のオーバーがどうだこうだということを言われておりますが、しかし、固定資産税になぜ超過課税が現実に市町村において行われているか、しかもきわめて高い超過課税が行われているか、そういうものに対する本質的な解明というものがなされていないと思うのです。そのための対策を積極的に講じようという御意思がどうも見当らないような気がするわけでありますが、超過課税がどうして多いのか、行われなければいけないのか、その原因の探究でありますとか対策というものを、真剣にお考えになったことがありましょうか。
  77. 黒金泰美

    黒金政府委員 それを固定資産税の中に限って申しますれば、先ほど来御指摘の評価の問題だと思うのでございます。おくれておって恐縮だとは申し上げましたが、今後これも三年間ぐらいの間には解明をして参りたい。また同時に、大体においてこういう地方の農業中心の地帯は貧弱地帯でございます。従いまして、こういう地帯に対してどういう財源をもってしたらいいのかというような問題、あるいはこういった地方に対してどういう計数をつけていって交付税その他を見ていったらいいか、こういったいろいろな問題につきましても、今までもいろいろと検討はいたしておりましたが、今後も国と地方全体を通じまして、この点をよく検討して、早い機会に根本的な解決策を見出したい。調査会その他も設けまして、そうして真剣に取り組んで参りたい決心でございます。
  78. 安井吉典

    安井委員 これは、今の標準率オーバーの団体全国で約一千市町村ですか、三七・五%ぐらいの数字がこの資料の中にも出ておりますが、青森県、山形県、新潟県、福井県、長野県、島根県、長崎県、熊本県、それからその他は全部北海道、北海道は特に二百二十九市町村のうち九八・三%の市町村が超過課税のようであります。札幌市、室蘭市以外は全部超過課税だ。こういうふうな姿のようでありますが、昨年北海道の国政調査が行われまして、その報告がこの委員会でありました際に、この超過課税の問題に対しての対策がきわめて重要だということを、私、お話しも申し上げていたと思うのでありますが、特に、北海道におきましては市町村の税収入が全体の歳出総額に対して四二・五%、全国は平均して四五・四%で、北海道は猛烈な超過課税をしておきながら税収入が三%も全国の平均よりも低いというような姿もあるようでありますが、これは北海だけではなしに、今政務次官がおっしゃったように各未開発地域、行政水準の低い後進地域あるいは積雪寒冷地域等の特徴だと思います。ですから、その後進性から一定の水準まで背伸びをするための投資的な経費の比率が大きいとか、あるいは雪寒地帯のために諸経費が割高になるとか、そういうようなものに対する積極的な対策が、固定資産税の問題をあれこれいう以前になければいけない。少くともそれに関連してなければいけないというふうに考えます。それについての御検討、しかもそれも御検討という言葉だけであってはいかぬわけでありまして、一つ真剣にお考えをいただかなければならないと思うわけであります。ですから地方交付税の中でも十分に配慮をする、こういう面は若干今度の法改正を拝見いたしておりますとなされているようでございますが、その上に開発事業に対するところの地元の負担、そういうものが非常に地方財政に対するマイナスの要素になってきているというふうな事情もございますので、地方財政と開発との関連というような問題につきましても、大きな検討問題であろうと思います。そういうような点につきまして一つ十分な御考慮をお願いいたしたいと思うわけであります。  それでは時間がおそくなりましたので、財政の問題につきましては一応ここで打ち切りまして、昨日臨時職員の問題につきましての質問を申し上げ、これは中井さんからも御発言があった問題でありますが、中井さんお見えになっておりませんけれども、この問題につきまして若干お尋ねをいたしたいと思います。定数外職員につきましては、職務内容は定数内と全く変らないにもかかわらず、あるいはまた定数内の職員よりもむしろよけいに働かされているにもかかわらず、給与水準は低いし、身分保障は全くないし、労働条件は劣悪で、しかもそういような人々がずいぶん長い間そのままの姿で放置をされておる。こういうふうな実情があるわけでございますが、今度政府地方財政計画の中で、三十三年度の二 〇%繰り入れの措置に引き続きまして、七%だけさらに繰り入れよう、こういうふうな対策を打ち出しておられるわけでありますが、これではもちろん不十分でございますけれども、とりあえずこの問題を各公共団体に対しましてどういうふうに進めていかれるお見込みか、その点一つ……。
  79. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 定数外職員の定数化の問題につきましては、お手元に御配布を申し上げております資料の一番おしまいに三つの資料がございますが、その一番おしまいの昭和三十一年八月に自治庁次長名をもって各県知事あてに通知を出しておりますが、その法則で自治庁といたしましては今まで指導を加えてきておるのであります。すなわちその職務内容等において定数内職員と実質上変らないというようなものについてはこれをできるだけ定数化し、待遇についても改善を加えてもらいたい。それと同時に安易な再雇用というようなこととか、また定数外職員の増加をはかるというようなことは戒めてもらいたい、こういう方針をもちまして今までやってきておったのであります。この方針に従いまして、各県それぞれ遅速の差はございますけれども、ある程度定数内繰り入れの措置その他待遇改善の方途が進められてきておったのであります。そこへもって参りまして三十三年度の措置といたしまして、国では当初政府の案では約二割の定数内繰り入れの措置を講じたいということで、関係法律並びに財源の所要措置を行いたいという方針がきまりまして、所要の手続が進められておったのでありますが、これに基きまして自治庁といたしましても、やはり国がそういうふうにはっきりと二割定数繰り入れという方針をきめた限りにおいては、今までの一般方針というものにもマッチすることでもございますし、さらに国の施策と並行して強力にこれを推進をする必要があるのではないかということで、三十三年の三月七日にこの旨の通達をいたしたのでございます。ところが、その後国会審議の過程におきまして、修正がなされまして、繰入率というものの二割をさらに引き上げまして、二割七分という措置がとられることに相なったのであります。当時すでに財政計画というものは決定をいたしてしまっておった状況でございますし、それから七%自体に要する所要財源というものも決して少くはございませんが、しかし全体の計画をもう一度決定をし直す、変更するというほどの必要性もないのではないかということでございまして、ただ行政局の方針といたしましては、国において二割七分ということをやります際に、こちらといたしましてもやはり二割七分、同様の行政指導をすることが必要であるということを考えまして、部内においても意見調整をはかりました結果、その後に地方財政の運営についてという通牒を五月八日に出しました際には、七分の繰入率の引き上げということが、すでに方針として確定をいたしておったこともございますので、この点について注意を喚起をいたしますために、財政運営の通達の中にその旨を織り込んだのでございます。そうして行政運営の実際の指導面におきましては、随時人事課長会議あるいは地方課長会議等の席上におきまして、この点をはっきり指示をいたしまして、二割七分の線で一つ繰り入れの実現について努力してもらいたい、このようなはっきりとした方針を打ち立てまして、現在まで指導を行なってきておるというのが実情でございます。
  80. 安井吉典

    安井委員 今回の措置をも入れまして二七%に一応なるわけでございますが、そのような指導の結果を確認されておりますか。
  81. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 まだ年度が全部終っておりませんこともございまして、私の方に今報告が参っておりますのは三十二道府県でございますが、これによりますと、各県によりまして繰入率については一律ではございません。ある程度いろいろ事情がございますので、繰入率については差異がございますが、その点はある程度はやむを得ないと思います。しかしながら、一番繰入率が高いところでは、北海道あたりは四四%の繰り入れをいたしております。秋田が三六%、栃木が三五%、福岡が三三%、こういうところが高いところでございまして、こちらの方針通り二七%の繰り入れをやっておりますのが山形、茨城、群馬、山梨、長野、鳥取、長崎。それに近い二六%の繰り入れをやっておるところが新潟と宮崎というところでございます。一番低いところは、これはいろいろ事情があったと思いますが、福井につきましては一割の繰り入れしかやっておりません。その他大体二割以上の繰り入れをやっておりまして、平均をいたしますと、報告のありましたものについての平均でございますが、二割四分の繰入率ということが現在われわれ聴取いたしております実情でございます。
  82. 安井吉典

    安井委員 つまりこの限度といいますか、二七%に満たないところに対する問題、あるいはまた二七%以上の数において残されております人たちについての考え方、これをお聞かせをいただきたいと思います。  それからなお、地方自治体は別に政府の指示に従わなければ定数を増して悪いということじゃ決してないわけで、幾らでもできるだけ繰り入れを多くしていくということはこれは差しつかえないし、進めてよいことではないかと思います。そして政府が一応指示をいたします場合においては、地方におきましては財政的な見地等もあって、政府としてはそれは最低線だという指示はしなくても、とる方では最高限度というふうな考え方になりがちだろうと思います。ですから、今日までの措置から残された人に対しまして積極的に自治庁側で配慮しなければいけないだろうと思いますが、どうでしょうか。
  83. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 方針としては安井委員のおっしゃる通りでございまして、私たちもできるだけすみやかに定数外職員の繰り入れ措置を了するように指導したいということでやって参っております。先刻も申し上げましたように、すでにその点は、いち早く三十一年の八月に方針を決定いたしまして、定数内繰り入れをできるだけやれということで指導をして参っております。ある程度その効果が上ってきておるとは思うわけでありますが、なお財政状況その他のいろいろな関係から繰り入れを了しておらない向きもまだ残っておるのでありますが、それらの点につきましては、今後もなお積極的な指導を行いまして、定数内繰り入れの措置が完了いたしますように努力をいたしたいと思っております。
  84. 安井吉典

    安井委員 なお、切りかえのときには、臨時の時期における現給というのは非常に低いのじゃないかと思う。ですから切りかえされる場合には、それがそのままじゃなしに、適当な号俸に引き上げて、今日までの、ただ働きではありませんけれども、日陰に置かれましての苦労の多い働きに報いてやる。そういったような御指導もお尽しをいただきたいと思うわけであります。  それからなおこの点もちょっと伺いまして終りたいと思いますが、新市町村の職員の給与の改善の問題につきまして、いつかお尋ねをいたしました際に、現在調査を進めているというふうなお話がございましたが、その進行の状況等につきまして承わりたいと思います。
  85. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 現在統計局を中心に鋭意集計の作業を進めております。何分にも対象人員が多いことでもございますので、なかなか手間がかかっておるのでありますが、大体六月ごろには結論が出るのではないかというふうに考えておりまして、結論が出ました暁におきましては、来年度の財政関係等ともにらみ合せまして、適正なる指導の方途を確立して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  86. 安井吉典

    安井委員 今度の地方財政計画には全く配慮はなかったわけですか。
  87. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 来年度の財政計画の場合は、これは三十年に行いました調査を基礎にいたしまして、その後の昇給等を理論的に割り出したものを基礎といたしておる次第でございまして、調査の結果がまだ出ておりませんものですから、これを特に配慮いたすことはいたしておりません。
  88. 安井吉典

    安井委員 三十年度ということでだいぶ時期的なずれがある。むしろ現在の実際の姿よりも低水準に置かれておるというきらいはありませんか。
  89. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 その点はございません。むしろ計画に入っておりますのは理論給与でございまして、問題としては、町村あたりで、その財政計画に乗っております理論給与というものより低いものが非常に多いわけであります。われわれといたしましては、一時には参りませんけれども、少くとも財政計画において予定しておりますところにまではできるだけ上げるように努力いたすようにということで行政指導をやっておる次第でございます。
  90. 安井吉典

    安井委員 新市町村の中には、不均衡という問題と同時に、今お話しになりました本質的な低さという問題があるわけで、たとえばこの間来た人にちょっと話を聞いてみましても、高等学校の卒業で役場に入って七年になるけれども、七千四百円だ、ことしからようやく八千円になった。これでは嫁さんももらえない。こういうふうにこぼしておりましたし、あるいは大学を卒業してから四年だという人でありますが、一万一千円ぐらい。もう一人の人は子供が高等学校へ行くくらいな年令でありますが一万三千円。これではやはりどうもならないということであろうと思います。昇給や昇格の制度も十分に確立していない面がたくさんあるようでありますし、特に市町村の場合におきましては、政府財政措置、行政指導の明確なものが出ない限り、単に市町村側の積極的な態度に待っていたのでは改善は期待できないのじゃないか、こういうようなことが考えられるわけであります。地方財政計画よりもさらに下回るような給与の水準であるということにおいては、これは論外でありますけれどもほんとうの下積みになって苦労をしております人たちに対する十分な報いができるようにお考えを、それこそ単に言葉だけじゃなしに、積極的にお進めをいただきたいと思うわけであります。時間がずいぶんおくれましたので、ここで一応終ります。
  91. 鈴木善幸

    鈴木委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後一時十九分散会