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鈴木(琢)
政府委員 現在の日本の消防力の状況は、消防の現状の本の中にも書いてありますが、大体われわれが考えている消防の基準の四割弱というような状況であります。これはかねがね私
どもが消防強化十年計画を立てて、標準まで持っていきたいということで数年来
努力して参ったのでございますが、いずれにいたしましても財源の問題が一番隘路になるわけであります。従って、先ほどお話のありましたように、消防の特定財源を創設して、安定した
財源措置を求めればこの計画は達成できるわけでございます。現在のところ御
承知のように遺憾ながらその計画通りには進んでいないということで、今大体消防ポンプで例を申し上げますと、消防ポンプの存命というのは十年とわれわれは見ております。無理に使って十五年、十五年になりますと非常に能率が減るものですから十年と見ておりますので、十年以上の計画というものはあまり
意味をなさぬようなことになります。それで十年計画というものを立てておりますが、それが一方に財源の都合で思うようにいかないということでございます。先ほ
どもお話がありましたように、結局、消防の特定財源を求めて財源的に安定することが第一の要件かと存じますが、現在ではやむを得ずわずかばかりの
国庫補助を呼び水として従来数年間やってきておるわけでございます。これでも相当な効果を現わしまして、この数年来相当消防
施設が整備されてきております。ただ数から申しますと、大きな消防ポンプに換算いたしまして現在全国で七、八千台しかないのでございますが、一万台ぐらいはまだ不足といえるような実情でございますので、今後も、先ほどお話がございましたような特定
財源措置ということとも考えあわせまして、消防強化のために
努力していきたいと考えております。しかし、たといわずかな
国庫補助でございましても、これが呼び水となり刺激となりまして、この数年来
市町村の消防
施設並びに消防の訓練が非常に行き届いて参りまして、統計でごらん願えればはっきりいたすのでございますが、火災の件数は——これは社会の生活
状態がだんだん変って参りまして火災の原因となる条件が多くなって参っておりますので、火災発生件数は毎年ふえてきておるのでございますが、火災の損害額、それから建物で申しますと、建物の焼損坪数はだんだん減ってきておる。特に三十二年度は相当に減っておるのでございますが、引き続き三十三年度も、坪数におきましても、損害額におきましてもずっと減少をいたしております。これは気象条件その他が著しく有利だったとは言えないと思うのでございまして、ひっきょうこの数年来、こういう
補助などによる消防の力の入れ方が強くなって参った効果として消防
施設がだんだんと全面的に強化されてきたということと、それから消防職員、団員の消火技術能力というものが非常に強化された、向上したということが
一つの大きな原因であろうかと思っております。もちろん、
一般の国民の火に対する警戒心なり、あるいは新しい科学、文化生活に対する知識がだんだん広まってきたということも
一つの大きな原因かとは存じますが、こういったいろいろな
補助金その他の施策によって、消防が設備の点においても、また人的面においても、非常に全面的に強化されてきたその結果が、やはり統計上にはっきりと現われた。火災損害あるいは焼損坪数の減少という結果になって現われているのじゃなかろうか、さように考えております。