運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-02-13 第31回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十三日(金曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 鈴木 善幸君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 吉田 重延君 理事 阪上安太郎君    理事 安井 吉典君       飯塚 定輔君    加藤 精三君       田中 榮一君    津島 文治君       富田 健治君    野原 正勝君       太田 一夫君    加賀田 進君       佐野 憲治君    下平 正一君       北條 秀一君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     原田  章君     ————————————— 二月六日  委員松永東辞任につき、その補欠として三木  武夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員三木武夫辞任につき、その補欠として松  永東君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月七日  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三四号)(予) 同月十一日  消防法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四七号)(予) 同月十三日  市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六四号)(参議院送付) 同月五日  遊興飲食税減免に関する請願大野市郎君紹  介)(第九〇五号)  同(永田亮一紹介)(第九〇六号)  同(西村直己紹介)(第九〇七号)  地方税減税に伴う財政措置に関する請願田中  彰治君紹介)(第九三九号)  市町村職員共済組合法の一部改正に関する請願  (石村英雄紹介)(第九七七号)  同(田中龍夫紹介)(第一〇五三号)  同(中原健次紹介)(第一〇五四号)  地方財政確立に関する請願小沢貞孝君紹  介)(第九七八号)  同(松平忠久紹介)(第九七九号)  同(下平正一紹介)(第一〇一九号)  同(吉川久衛紹介)(第一〇五二号)  地方財源増強等に関する請願鈴木善幸君紹  介)(第一〇五一号)  国有資産等所在市町村交付金増額に関する請  願(上林山榮吉君紹介)(第一一一〇号)  公衆浴場業固定資産税軽減に関する請願(田  中角榮紹介)(第一一一一号) 同月十日  遊興飲食税減免に関する請願臼井莊一君紹  介)(第一一七〇号)  公衆浴場業固定資産税軽減に関する請願(内  海安吉紹介)(第一一七一号)  国有資産等所在市町村交付金増額に関する請  願(床次徳二紹介)(第一一七二号)  同(前田郁紹介)(第一二四六号)  農地法による地方公共団体経費負担改正に  関する請願前田郁紹介)(第一二〇三号)  地方財政確立に関する請願小川平二君紹  介)(第一二四七号)  税制改正に伴う地方財政確立に関する請願(  八田貞義紹介)(第一三一五号)  中小企業事業税撤廃に関する請願外二件(塚原  俊郎君紹介)(第一三一六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  警察法の一部を改正する法律案内閣提出第五  〇号)      ————◇—————
  2. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  警察法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許します。阪上安太郎君。
  3. 阪上安太郎

    阪上委員 ただいま上程になっております警察法の一部改正につきまして、警察庁長官に簡単に質問いたします。  過般、委員会において科学捜査研究所観察いたしました。率直に申し上げまして、われわれの考えといたしまして、きわめてお粗末に過ぎる、こういう感じがいたしました。幸い今回これをさらに強化しよう、こういうことでございますが、われわれといたしましては、きわめてこの点につきましては賛成でございますけれども、なお過般の内部機構等説明によりましても、疑問の点を一つ持っております。それは電波捜査関係問題でありますけれども、これに対するところ部門ができていない、こういうことなんであります。警察庁では、電波捜査というようなことについて、何か必要性がないように考えておられるのじゃないか、こういう向きもわれわれは感じたわけであります。しかし諸外国の例、ことにアメリカあたりの例を見まするならば、テレビ等捜査に果している役割というのはかなり大きいだろうとわれわれ考えるのです。そういう意味合いにおいて、そういった問題、そういった研究をどの部門で取り上げるか、またやる意思があるのかないのか、こういった点についてお伺いしたいと思います。
  4. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先般委員の方に御視察を賜わりまして、いろいろ御教示をいただいたことを、ここであらためて御礼を申し上げます。  ただいまのお尋ねは、電波捜査についての研究がなされていないのではないか、そういう必要性を認めないかという御質問と受け取つたわけでありますが、警察庁といたしましては、電波関係は非常に技術的な面が多くありまして、その技術の面につきましては、警察庁通信局が設けられておりまして、ここでいろいろ有線、無線、すべてそうした問題についての研究をし、また警察通信学校等においても、基本的な訓練とまた研究をいたしておるわけでございます。もっとも、一般不法電波につきましての規制と申しますか、一般的な調査は、電波監理局の方でいたしておるわけでございますが、警察といたしましても、特殊な不法電波について、これを捜査しなければならないという必要も痛感いたしておるわけでありまして、これはただいま申し上げました通信局技術面と、また捜査専門の知識を要するという面から、ただいま警備局の方でこういう研究を進めておるわけでございます。もちろんいまだ十分な成果を上げるに至っておりませんが、御指摘のような研究必要性は認め、これは科学捜査研究所においては、今まで特にこの問題を取り上げて、通信局を中心にして検討を進めておる次第であります。
  5. 阪上安太郎

    阪上委員 次に研究職員問題ですが、現在研究職員給与の状態は一体どういうふうになっておりますか。それから聞くところによると、人材を求めるのに非常に困難を感じられておるようでありますけれども、その原因はどこにあるのか、そういった点について一つお答えを願いたい。
  6. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 研究員待遇問題 でございますが、これは若干警察官も入っておりますが、多くは技官でございまして、技官については、国家公務員給与規定に従って支出されるということになりますので、特別の専門家等について多額の報酬を出して研究させるということが、部内の技官については非常に困難な点があるわけでございます。これは国家公務員給与に関する規定がきわめて一般的に規定されておりますために、やむなく十分の待遇ができない。従って本部の職員としては、よほどの熱心な人、これに魂を打ち込むというような方でなければ、待遇の面からこれに引きつけられて来るというようなことはまずまずないような低い待遇だと思います。しかしながら、わずかではございますが、いろいろ研究費等検討をいたしまして、待遇自体には十分なことはできないにしましても、研究に支障のないような方途は今後もできるだけ研究して参りたいと思いまするし、また部外の専門家についても、特定の事項については委嘱をして研究を進めるというようなことで、不十分ながら、できるだけそういう点も今後御指摘の面を生かして参りたいと考えておる次第であります。
  7. 阪上安太郎

    阪上委員 過般研究所を見ましたときに問題となっておりました資料公開一般公開することの必要性というものは認められておるのでありますが、その施設がきわめて不十分であるというふうにわれわれは見ておりますが、この点につきまして、今回の拡充伴つて、思い切つてそうした一般公開のために便を与えるような、そうして科学捜査研究所の方へ一般国民がほんとうに喜んでやつてきて、そうしてその資料を見て参考にするというような機会が与えられるかどうか、そういうことに対するあなたの方の案というものがあるのかどうか、こういった点について伺いたい。
  8. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 科学捜査研究所資料公開するということは、まことに大事なことであり、国民のこういうことについての関心を深め、また警察への親近感を持っていただくというような意味におきましても非常に大事なことだと思います。もちろん、資料のうちごく一部は秘密を要するものもあるかと思いますが、大部分については広く一般公開をいたしまして、できるだけ一般の方の関心を高め、警察への協力態勢の一助になるということを念願いたしておるわけでございますして、現在でも、お申し込みの団体等につきましては、できるだけ便宜をおはかりしておるわけでございますが、まだまだ警察の広報も足りません。従って、ああいうものがあるということすらお知りにならない方が多いような状況でございますので、今後はそういう面につきまして、お話のような御趣旨に沿って、できるだけ広く見ていただけるような方途を講じて参りたいというふうに考える次第であります。
  9. 阪上安太郎

    阪上委員 もう一点だけですが、これは簡単なことですが、どうもあの建物を見ておりますと、老朽化して、科学捜査研究所がきわめて非科学的な感じを受けるのです。あれに対するところの何か対案を持っておられますか。
  10. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 確かに御指摘のように建物としても非常に貧弱でございます。これはすでに科学捜査研究所ができましてから十年に相なるわけでありますが、われわれ努力はいたしておりますが、予算等関係でなかなか遅々として進まない。特に必要なものをごくわずかだけ認められるというような状況で、次々に少しづつ継ぎ足していくというようなことで、特に表から見たところは、最も古い建物が正面にあるというようなことで、内容についても不十分でありますが、外観きわめて貧弱なことは御指摘通りであります。これにつきましては、今後もできるだけ大蔵省等理解も深め、また先生方の御理解、御協力も得て、できるだけすみやかに整備した建物、充実した資材、資料というようなものを備え、さらに人的構成におきましてもこれを強化して参るということに努力をして参りたいと思います。
  11. 北條秀一

    北條委員 関連いたしまして二点だけ伺つておきたいのであります。第一に、名前を今度変えるわけでありますが、名は体を表わすといいますが、科学捜査という今までの名前科学警察というのは、一体どういうふうな認識に立っておられるか、この点についてまずお伺いいたしたいと思います。
  12. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいままでは、御承知のように主として鑑識面、いわゆる捜査の面が主でございましたので、科学捜査研究所ということで発足をいたしたわけでございますが、今回防犯少年関係あるいは交通関係という、広く警察の活動の基本になるべき研究をするという意味におきまして、警察諸般問題についての科学的な研究をさせるという意味において、ちようど内容が広がるという時期を見まして、名前も変えて、一つ一新した気分で運営をして参りたい、こういう趣旨でございます。
  13. 北條秀一

    北條委員 ただいまの御答弁、私は不十分だと思いますが、先ほど阪上委員の御質問にもありましたが、第一、警察機構の中にある一つの部署でありますから、中にあるのですから従って警察という字をあえて使わなくてもいいのではないか。あるいは全体に、一般世人にこういう科学捜査研究所があるのだということを広く知らせたいということは、先ほどの御説明にございましたが、そういう際でございますから、むしろそういった世論を啓発するという点からいっても、また大衆に親しまれるという意味からいっても、従来の名前の方がいいのではないかというふうに、私は先般あそこを見学させていただいたときにも感じましたし、今の御説明を聞いてもそういうふうに考えるのですが、これは見解の相違になってきましようから、議論平行線をたどると思いますので、これ以上議論はいたしません。  もう一つ伺いたいのは、警察科学の中に防犯少年部というのがありまして、内容はわかりましたが、しかし少年補導ということがある。少年補導ということが警察科学の中に入るのか、こういう問題ですが、これについてどういう見解を持っておられるかお伺いいたします。
  14. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 第一線の警察官が、少年非行化を防止する意味において  事実非常に多くの件数補導ということをやつておるわけでございますが、このやり方等につきまして、単に警察官のそのときそのときの気持で動いていくという、行き当りばつたり的に悪いことをさせないというような、単なる気持でやるということだけでなしに、いろいろ子供の環境であるとか、あるいは心理状況であるとか、体質であるとか、そういうものに応じて、補導の仕方も科学的に研究していく面があるのではないか。今度防犯少年部と申しましても、行く行くはいろいろ広い分野防犯的な研究もされることになるかと思いますが、さしあたりましては青少年非行化防止ということに全力をあげて参りたい。従って、そこで環境調査であるとか、あるいは心理的な調査であるとか、あるいは突き進んで補導の仕方についての技術的な研究であるとかいうようなことを主たるねらいとして考えておる次第であります。
  15. 北條秀一

    北條委員 もう一つそれに関連しまして、非行少年補導という問題は非常に大きな問題でございますが、単に警察側の独自の立場に立って、いわゆる警察科学の中に立って、心理学的に勉強をやるとか、あるいは情操を高めるというふうな教育学上の研究を進めていく際に、警察警察の象牙の塔の中に閉じこもってやるのでなくて、たとえば広く文教であるとか、社会教育関係であるとか、そういう方面と有機的な連絡をとつて研究を進めていくという態度を持っておられるのか、あるいはあそこの中だけでおやりになろうということを考えておられるのか、その点を一つ
  16. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 お話のように、少年問題は決して警察だけでこれを措置していけるものではないと思います。むしろ、その警察措置の前と申しますか、それよりも大きい意味において、経済、政治、文教各般問題があるのだろうと思います。従いまして、政府におきましても、中央中央青少年問題協議会を設けまして、関係各省の次官が委員になり、また民間の有識な方を委員に加えて検討しておられるわけであります。そういう中の一部門としまして、われわれ今度防犯少年部で行いますものは、その中で総合的な視野から、警察が受け持つ分野につきましてどういうふうに科学的にやっていくべきであるかということを検討しようということで、もちろん今お話のように、科学警察研究所で行います少年問題につきましては、それよりもし上位と申しますか、それの前提として、総合的な施策の研究とか対策とかいうものが立てられ、それの一部門として検討を進めていくことになろうかと思うのであります。これは決して警察だけが警察のワクの中に閉じこもって、ほかと接触なしに、警察でやれるんだから警察でやらなければいかぬというような気持は毛頭持っておりませんし、できるだけ他の機関との協力関係の上に立ってわれわれのやるべきことを掘り下げていきたい、こう考えております。
  17. 北條秀一

    北條委員 幸いにそういうところ心理学なり、教育学なり、文学なり、いろんなものを勉強されるのでありますが、防犯でありますから、今度は警察自体防犯、と言うと行き過ぎかもしれませんが、たとえば職権乱用というような場合に、心理学的に研究して、あらかじめ警察官職権乱用にわたらぬようにというふうなことについて研究することを、ああいう中でやつたらどうかと思うのでございます。実験材料はあなたの方にたくさんあるのですから、こういう人たち研究材料にして、そういうところまで突つ込んでやるという気持があるのかどうか。
  18. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ときに警察官非行あるいは職権乱用ということが起つて、非常に世間の批判を浴びることもあるわけでございますが、ただいまお話しのような職権乱用心理的研究というのは、行く行くはそういう問題が起つてくるかと思います。またわれわれ警察庁におきましても、そういうことにつきましては警務局なり、あるいは刑事局なり、警備局なり、それぞれ深い研究とは申せませんが、個々の事件について、そのよって来たるところはどういうところにあるかというような検討は常にいたしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、今回の防犯少年部におきましては、何と申しましても人員もごくわずかしかとれておりません。また研究費も十分とは申せないので、まずさしあたつて少年非行化防止ということに重点をしぼつて、幾らかでもそこに成果を求めていくというふうに考えておるわけでございまして、ただいまお話しのようなところまで、今直ちに科学警察研究所研究するのだということは申し上げにくいかと思います。
  19. 北條秀一

    北條委員 これは今もお話がありましたが、行く行くは警察官職務執行とか職権乱用についても研究しなければならぬということですが、今が一番必要なときなんです。これからはそういうことをしなくても、長官がいつも言われておりますように、逐次警察官の素質を向上するように努力されておるのでありますから、職権乱用はだんだん日を追うてなくなるべきはずであります。でありますから、実際は終戦後今日までが職権乱用が一番多かったのであります。また現状がそういうことで一番研究すべきときではないか。もしあなたが、そういう意味で、それはそうだ、大いに研究するんだとおっしゃるなら、われわれ野党側としては、予算がなければ、幸いに三十四年度予算の審議中ですから、大いにくつつけるべくやるでありましょう。だから行く行くということでなしに、現在職権乱用がある、これを心理学的にいろいろ検討してやるという必要が絶対にあると私は考えておるのです。ですから、その点は行く行くやるという考えはやめてもらいたい、こういうふうに希望いたしますが、どうですか。
  20. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 さっき言葉が足りなかったと思いますが、今度の科学警察研究所拡充ということにつきまして、直接的には少年非行化防止重点を置きたい。しかし、職権乱用というようなことについて国民の御批判があり、われわれもそういうことが起りますことを非常に遺憾に存じておりますし、これは主として現在の段階において教養の不足、それから警察官待遇とか、いろいろな問題があるのではないかというふうに考えますので、そういう面につきましては、従来とも職権乱用の絶滅ということを期して進んでおるわけでございまして、今後もそういうことについては十分の努力を払つて参りたい、こう考えておる次第であります。
  21. 北條秀一

    北條委員 それでは防犯少年部は、あの見学したときに私は質問したのでありますが、むしろ少年防犯部というふうにしたらどうかという意見も、そのとき座談的に出した。お話を聞くと、防犯少年部というけれども、一般防犯もやるという説明であった。ところが今のお話では、非行少年についての防犯をやるのだということで、結局前の懇談のときと——私は言葉についてぐずぐす言うわけではありませんが、防犯少年部というのは、すなわち少年犯罪を防止するための機関である、こういうふうに理解していいのですか。
  22. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 部を作りますときには、一般防犯とまた少年非行化防止、広く言えばこれも防犯関係するわけでございますが、一般防犯も含んだものとして考えておるわけでございますが、さしあたつて、とにかく重点をしぼりませんと成果もなかなか上りにくいということで、間口を広げないで、出だしはとにかく少年非行化防止ということに重点を置いて参りたい。もちろんその副次的な作用として、近い将来において一般防犯分野においても研究が進められるということはあり得ると思いますが、今私ども考えておりますのは、あまりこれもやろう、これもやろうということで間口を広げ過ぎては、全体について成果が高められないのではないかという意味におきまして、さしあつて少年非行化防止重点を置きたい、こう申し上げた次第でございます。
  23. 北條秀一

    北條委員 では最後に関連して。時間をとつてすみませんが、警察官職務乱用、それをしないようにということについての科学的な研究は、警察庁の中でどこでやつているのですか。
  24. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 人事の面、教養の面を担当いたしておりますのが、警察庁におきましては警務局でございます。従いまして、警務局を主体として人権侵害等のことのないように努力をいたしておる次第でございます。
  25. 鈴木善幸

  26. 安井吉典

    安井委員 このたびの警察法改正案上程機会に、警察制度の全体的な問題につきましていろいろお聞きしたいと思っておりましたけれども、大臣もおいでになりませんので、当面の問題であります科学警察研究所の直接の問題にしぼりましてお尋ねをいたしたいわけですが、憲法三十八条で、供述の不強要、自白の証拠能力につきましての規定がはっきりできまして、拷問や脅迫、そういった暗い雰囲気の中で捜査が続けられるのではないということをはっきり国民がきめたわけでありますが、そういう中におきまして犯罪捜査を科学的に進めていくということは大へん大切なことだと思います。そういう意味におきまして、今度の研究所の充実、整備拡充問題は時宜に適した問題だというふうな気がするわけでございますが、最近の新聞や、そしてまた新しい週刊雑誌等で取り上げている問題で、埼玉県の本庄署におきましての拷問事件、そういったような問題があるわけでございます。身がわり三等警官の怒り、ある拷問取調べ事件秘密、あるいは別な雑誌では、暴行は幹部がやつた本庄署をゆさぶつた爆弾上申書、こういったような大へんセンセーショナルな見出しでいろいろ問題を取り上げているわけであります。せつかく憲法規定の中から今申し上げましたような印象を国民が持っておるにかかわらず、そういった際にこういったような問題が強く打ち出されるということは、大へん残念なことだと思うわけでございますが、それらの内容につきまして、おわかりの点につきまして一つお話しを願いたい。
  27. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 埼玉県の本庄におきまする二重逮捕事件に端を発しました拷問問題、これはたしか昭和三十年に起つた事件だったと思いますが、その当時警察として監察をし、できる限りの調査県当局としていたしたわけでございますが、その際においては、今上申書を出しております元巡査にそういう行為があったという結論になりました。しかし、これも規律違反程度ではないかということで、検察庁としては起訴するに至らず、行政処分だけにとどめておつたわけでありますが、これに対して弁護士側から準起訴の手続がなされ、第二審まで有罪という判決が下されておつたわけでございます。その後本人から、実はあれはおれがやつたのではないという趣旨上申書が出されまして、また最近はわれわれの方にも、埼玉県のあの事件については十分中央監察をしてほしいというような要望がなされておるわけでございます。ああいう事件がありましたので、そのときとは幹部もだいぶ変つておりますが、さつそく埼玉県当局をして鋭意これについての再監察と申しますか、再調査をいたさしておるわけでございます。これの結論はまだ出ておりませんが、十分に真相を明らかにして、もしあの人が言う通りであったならば、これは非常に大問題でもあろうと思いますし、そういう点についての真相を的確に把握するように今努めておるわけでございます。もしまた埼玉県においてやることについて、意に満たない点があれば、さらに上級の機関において調査をするということもあろうかと思いますが、現在は埼玉県当局において再監察をしておる段階でございます。
  28. 安井吉典

    安井委員 この問題は、私ども、今の御説明新聞報道くらいしか内容はよくわかつておらぬわけでありますが、二重逮捕といいますか、三重にいろいろな問題が重なり合つておるような気がするわけであります。まず第一には、本来の二重逮捕という問題で、ほんとうの犯人じゃない者を犯人とした。そういったような二重逮捕の問題一つ。それからもう一つ重大なのは、ほんとうの犯人じゃない者を犯人に仕立てる際に、一種の拷問的なことがあったということ。もう一つ、これもきわめて警察の内部的な問題として重要な問題だと思うのですが、この三上という元巡査の言葉がほんとうだといたしますと、警察部内におきまして、そういったような問題をひた隠しに隠そうとしたような行為が行われたということ。この三つが重大でありまして、その順序は、単なる二重逮捕という問題から、しり上りに非常に問題の重要さが増してきておるような気がするのです。従いまして、初めの問題の犯人を見間違えるというようなことは、ある程度やむを得ないという場合もないわけでもないと思うのでございますが、しかし、当面いたします拷問というような問題に対して、できるだけあらゆる努力を払つて避けていただかなければならないということ。もう一つは、いかに部内の問題でありましても、悪いものはやはり悪いとして、はっきりした措置を講じていただかなければならぬわけであります。特に終りの拷問問題と部内隠匿とでも申しますか、そういった問題につきまして、重ねて長官の今後の対策、あるいはまたそれをどういうふうにしてお進めになるかという所信を一つ伺いたいと思います。
  29. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私ども、常々警察官職務執行に当つて公正に、しかも人権を十分に尊重して行うべきであるということは申しておるわけでございますし、各種の教養機関等におきましても、そういうことについて努力をいたしておるわけでございます。ただ遺憾ながら、一部の警察官の間にそうした問題が起り、それによって世間に御迷惑をかけ、また批判を浴びて、警察自体の威信にも影響する、信頼感にもひびを入らせるという事件が起りますことは、まことに遺憾に存じておるわけでございますが、こういう問題につきましては、従来とも努力をいたしておりますが、今後一そう人権の尊重ということに警察官が意を払うよう努めて参りたい、こう考えております。
  30. 安井吉典

    安井委員 一番最後の部内の威信を傷つけないということにつきまして、そのために部内に起きた問題——今のところ結論が出ていないわけでありますが、しかしながら、そういった問題を隠そうということだったら、これは大へんだと思うわけであります。その点についてどうです。
  31. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私は、一たん非行があったという場合におきましては、これを明白にいたしまして、十分に鋭い批判を浴びせるということは当然のことであると思います。従いまして、警察のやつたことにつきまして、一時の威信を保つというような観点からこれを隠して知らぬ顔をするというようなことは、とうてい許さるべきことでないというふうに考えておる次第でございまして、日ごろの地方からの報告等につきましても、私どもは、その点を率直にあやまちはあやまちとし、これを反省の資としていく。今後の適正な法の執行ということの資料とするというような気持をもちまして、くさいものにふたというような考えは毛頭持っていないつもりでございますが、そういう点につきましても、各地方の責任者を通じまして、今後そういうことの起ることのないように十分努めて参りたいと考えておる次第でございます。
  32. 安井吉典

    安井委員 この問題につきましては、まだ結論が出ているわけではございませんので、今過程にある問題でありますから、本日はこの程度でこの問題には触れないことにいたしますが、今長官お話がありましたように、警察制度全体の中におきまして非常に重大な問題だと思いますので、御指導の万全を期していただきたいというように考えます。  次に、たとえば現在荒川事件というふうな事件が起きているわけでございますが、そういうふうな一つ問題が起きまして、それがセンセーショナルに取り扱われており、それに対する関心がぐつと高まつているわけであります。しかし、それが一段落つきますと、何か線香花火みたいに消えてしまうというおそれがあるわけであります。ですから、そういうような問題について、一つ徹底的な科学的な究明を加えることによりまして、次の段階におきまして同じ犯罪の繰り返しが行われないようにしていくということが非常に大切だと思います。そういう意味におきまして、今度の科学警察研究所という研究所名前からいたしまして、その行き方からいたしまして、改められたわけでありますが、一方法務省におきまして、何か報道によりますと、今度総合刑事政策研究所というふうなものを作ろうというような考え方があるようでございますが、そちらとの関連等を一つ伺いたいと思います。
  33. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 法務省にも新たに法務総合研究所でありますか、そういうものが設けられる。これは今までの研修所を拡充して、単なる検察官の教養ということだけでなしに、各種の総合的な研究をされるやに聞いておるわけでございますが、あるいはそういう研究と私どもの研究とが、ある部分において重複すると申しますか、関連を持つようなことがあろうかと思います。しかしながら、この点につきましては、法務省としては、やはり法務省の立場において検討される問題でありまして、おのずからその研究の方法とか、あるいはねらう成果というものについての違いがあろうかと思いますが、何と申しましても似たような仕事でございますので、重複する面が出てくる場合もある。そういうことについてはよく法務当局と連絡協調を保ちまして、いやしくも国費を二重に同じような研究に注ぐ、あるいは人員をそういうことに充てるというようなことのできるだけ少くなるように努力して、運営の万全をはかつて参りたいと考えております。
  34. 安井吉典

    安井委員 おそらく法務省関係におきましても、犯罪の発生原因の研究でありますとか、あるいはまたそういう防犯措置を積極的に講じていく、いわゆる刑事政策的な配慮が、社会政策、経済政策、あるいはまた心理学、社会学、そういったいろいろな分野について研究がなされるのではないかというような気がするわけでありますが、そういう面は二つの研究所がダブるわけですね。
  35. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私、まだ法務総合研究所の計画しておられる仕事の内容を知悉しておりませんので、どの程度似たような研究が行われるかということをはっきりとここで申し上げることはできませんが、おのずから両者の間には、究極の目的はかりに同じでありましても、それぞれ分担する仕事の分野というものがございますので、研究の方法であるとか、あるいは直接の目的というようなことについては、それぞれ差異が出てくるものであろうと思いますし、先ほど北條委員からお話がありましたように、法務省は法務省に、警察警察に立てこもって、何ら連絡なしに研究するということでなしに、高い視野に立って総合的な対策を考え、その過程においてそれぞれの分野において忠実に研究を進めるということでありますならば、おそらく重複し、非能率的、不経済的な研究がなされずに済むのではないかというふうに考える次第であります。
  36. 安井吉典

    安井委員 研究分野の協定でありますとか、連絡協調をどういうふうに遂げていくとか、そういうことについての具体的な考え方はまだできていないわけですね。
  37. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 これから十分に打ち合せをして参りたいというふうに考えております。
  38. 安井吉典

    安井委員 たとえば同じ少年犯罪研究にいたしましても、そういう大きな分野は一致いたした面があつても、それを内部的に区分をして、これだけは法務省の研究所でやる、こちらは警察研究所でやる、そういうふうな区分の仕方も、これは非常に大切ではないかと思います。今のお話にありましたように、あくまで国民の税金によってできている施設でありますので、それぞれがセクショナリズムに陥つて対立し合うというようなことがないように、一つその点十分な御配慮をお願いいたしたいと思います。  それからなお、先ほども質問の中に出ておつたわけでありますが、専門的な研究員がその研究所の中に十分獲得されなくてはいけないわけであります。そのためには予算問題とか、いろいろ問題がたくさんあるわけで、思ったようにいかないような場合も多いと思うわけでありますが、各大学の研究室等との連携ということも非常に大切だと思うわけであります。そういう点につきまして、どういうふうにお考えでしょうか。
  39. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほども申しましたように、研究技官としてとることについては、よほど特殊な関心を持つた人でないと、高給をもって迎えるということが困難な事情にありますので、むずかしかろうということを申し上げたわけでございます。しかし、やはりこうした特殊な研究でございますので、相当熱意を持ち、待遇等にこだわらずに参加して下さる方もあろうと思います。また、ただいまお話しのような、各大学等においてそうした専門研究をしておられる方とはできるだけ緊密な連絡をとり、あるいは研究所で直接技術的に研究しにくいような事案につきましては、大学の教授等に特殊な問題を委嘱して研究していただき、両々相待って成果を上げていくというようなことについても考えていきたいというふうに思っているわけでございます。
  40. 加賀田進

    ○加賀田委員 関連して。警察が科学的な力を持つということに対してもいろいろ質問があったようですが、質問の中で、警察官拷問問題とかいろいろな問題は、やはり警察全般の非科学的な要素が原因をなしておると思うのであります。実は先日研究所へ行つたときに、うそ発見器がありましたが、あれは一体現在全国的に何台くらい配置されているのか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  41. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 あのうそ発見器と申しますか、あの機械を実際に使うのは、同意を得てこれを使用するということにいたしておりますが、おそらく正確なものは、今ちょっと私資料を持っておりませんが、各県に少くとも一台以上は備えてあるはずでございます。
  42. 加賀田進

    ○加賀田委員 もう一点、今ちょっとお話があったのですが、あれは取調べの一つの方法だと思うのです。被疑者が拒否すれば、現在のところあれはできないわけですね。
  43. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 被疑者が拒否すれば、これは使わないということになっております。
  44. 鈴木善幸

    鈴木委員長 他に御質疑はありませんか。——別に御質疑もないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終局することといたします。  この際阪上安太郎君から、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨弁明を聴取することといたします。阪上安太郎君。
  45. 阪上安太郎

    阪上委員 私は、両党を代表いたしまして、次のような附帯決議案を提案いたしたいと思います。   政府は、警察活動の科学化を推進することの必要性にかんがみ、科学警察研究所の機 構施設を更に一層整備し、所期の目的達成に遺憾なきを期すべきである。   右決議する。  次いで提案の趣旨弁明を若干いたしたいと思いますが、過般の警職法の審議の経過の中で、国民は非常に警察の科学化を望んでおります。その意図たるや、きわめて痛切なものがあったように私は見ております。同時にまた、最近の警察の活動の中で、若干非合理的な面が各所に出ておるということも事実でありましょう。こういった警察活動の欠陥排除、これに対しまして国民はやはり先刻申し上げましたように、警察がもっともっと科学化されるということがその解決点であるというふうに考えておるようであります。われわれもまたこれに同感でございます。わが国の警察の権威を高めるために、もっと思い切つた経費を投入して、そして科学警察研究所の基礎になるこれらをもっともっと拡充すべきである、こういうようにわれわれは考えるのであります。政府は、特にこの点について格段の配慮を払つていただきたいということを申し添えまして、よろしく御審議を賜わりたいと思います。
  46. 鈴木善幸

    鈴木委員長 次に討論に入る順序でありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  47. 鈴木善幸

    鈴木委員長 起立総員。よって、本案は全員一致をもって原案の通り可決いたしました。  次に、附帯決議を付すべしとの動議について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  48. 鈴木善幸

    鈴木委員長 起立総員。よって、附帯決議を付することに決しました。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成並びに提出手続等につきましては先例によって委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 鈴木善幸

    鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  50. 鈴木善幸

    鈴木委員長 この際、亀山孝一君より発言を求められておりますので、これを許します。亀山孝一君。
  51. 亀山孝一

    ○亀山委員 この機会警察当局資料をお願いしたいと思います。一つは最近の犯罪の傾向、特に青少年の犯罪の傾向、それから最近の交通事故の傾向、それから最後に、アヘン麻薬犯罪及び覚醒罪、これらに関する傾向の統計でけつこうですが、数字をもってお示しを願いたい、なるべく早くお願いいたします。
  52. 鈴木善幸

    鈴木委員長 本日はこれにて散会いたします。     午前十一時四十五分散会      ————◇—————     〔参照〕 警察法の一部を改正する法律案内閣提出第五〇号)に関する報告書     〔別冊附録に掲載〕