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1958-12-18 第31回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十二月十八日(木曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 鈴木 善幸君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 吉田 重延君 理事 中井徳次郎君    理事 門司  亮君       相川 勝六君    天野 光晴君       飯塚 定輔君    金子 岩三君       田中 榮一君    高橋 英吉君       津島 文治君    富田 健治君       野原 正勝君    山崎  巖君       久保田 豊君    佐野 憲治君       阪上安太郎君    北條 秀一君  出席政府委員         自治政務次官  黒金 泰美君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      奧野 誠亮君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   相澤 英之君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 十二月十八日  委員太田一夫辞任につき、その補欠として久  保田豊君が議長指名委員に選任された。 同日  委員久保田豊辞任につき、その補欠として太  田一夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十三年七月、八月及び九月の風水害によ  り被害を受けた地方公共団体起債特例に関  する法律案内閣提出第五号)      ————◇—————
  2. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる昭和三十三年七月、八月及び九月の風水害により被害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますから順次これを許します。渡海元三郎君。
  3. 渡海元三郎

    渡海委員 今年度の七月、八月及び九月の風水害による被害相当甚大でありまして、公共施設にかかる被害だけを見ても、約七百五十億に上るといわれておるのでありますが、この被害が特に局地的に集約しておりました関係上、相当地方財政に対しましても大きな影響を及ぼしておると思うのでございますが、これが地方財政に及ぼした影響の概況、並びに今回提案されましたこの特例もこれらを救済するための特例でございまして、まことに時宜を得たものと存ずるのでございます。これ以外にも種々の手をもってこの財政運営を助けることと思うのでございますが、これらの概要について一通り説明を承わりたい。
  4. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘通り、私たち昭和二十八年に次ぐ大きな被害をもたらしておると考えておるわけでございます。被害報告額が七百五十億円をこえているわけでございます。査定が完了いたしませんと確定的なことが言えないわけでありますけれども、大体補助災害部分につきまして、地元負担が百四、五十億円に上っているのじゃないかというように存じております。これらの点につきましては、さきの国会で補正予算措置が講ぜられたわけでございまして、今年度行われます補助事業、これに伴います地方負担額が三十二億円弱になっております。この部分につきましては、若干地元受益者負担金を徴するものもあるわけでございますので、三十億円程度を予定すればよろしいのじゃないか、かように考えておるわけでございます。さしあたり今年度は、この部分について全額地方債を起していきたい、こういうことで、一昨日御報告申し上げましたように、地方債ワクを広げるということにいたしているわけでございます。また単独災害復旧事業費公共査定額の一六・四%というような見方をいたして参ってきておりました。そういたしますと、その部分が五十五億円前後になるのじゃないだろうかと考えております。本年度内に施行を要しますものを月別に一応推定いたして参りまして、総平均では四割分くらいの事業量を見込めばよろしいのじゃないだろうかというように考えております。そういたしまして、二十一億円前後の金額が出て参るわけでありますが、この部分もさしあたり全額地方債を充当して参りたいということで、単独地方債ワクも増額いたしたわけでございます。なお、そのほかに局地的に激しい被害をもたらしていることにもかんがみまして、現在提案しております法律に基きまして、歳入欠陥等のための財源補てん考えているわけでありまして、その部分で五億円程度を予定したり、あるいは災害対策に二億円程度のものを予定いたしたりしておりますので、今申し上げましたように、被害あるいはこれに対します対策として、大体府県市町村財政運営はやっていけるのじゃないかというように存じておるわけでございます。そのほかに、一昨日も申し上げましたように、国におきましては、ものによりまして国庫負担率を引き上げる措置がとられておるはずであります。また地方交付税の配分に当りましても、特別交付税による補てん措置ども考えることにいたしておるわけであります。
  5. 渡海元三郎

    渡海委員 ただいまの御説明によりますと、本特例で予定する起債は、この赤字補てんの分が大体五億、それから災害対策の分としてニ億、合計七億、こう解してよいのですか。
  6. 奧野誠亮

    奧野政府委員 現在提案しております法律に基きまして強化いたそうとしております地方債の五億円でございますが、そのうち、第一条の一号に該当します歳入欠陥補てん部分を三億円程度、二号に該当します災害救助対策の費用を二億円、こう推定いたしているわけでございます。
  7. 渡海元三郎

    渡海委員 本法の第一条によりますと、地方公共団体のうち政令で指定するものにこの特例を行うというふうになっておりますが、大体政令概要を、きのう御説明もございましたが、もう一度御説明を賜わりたい。
  8. 奧野誠亮

    奧野政府委員 大体従来の例に準じて政令で定めたい、かように考えておるわけでございます。そういたしますと、災害復旧事業費の総額がその国体の標準税収入を上回るような団体、こういうもので、第一条の一号、二号に掲げておりますその合計額起債を認めるに足るような金額に達する団体、こう指定いたしたい、かように考えておるわけであります。
  9. 渡海元三郎

    渡海委員 このたびの災害の特質といたしまして、小災害が非常に局地的に集中しておったということを聞いておるのでございまして、これらに対する救済が行われなければならない、かように考えるのでございますが、政府におきましてもこの点を考慮しまして、十一月四日の閣議決定におきまして、地方公共団体の行う公共施設及び農地小規模災害復旧事業に関する地方債起債を認めること、こういうふうな閣議決定がなされた、こう聞いておるのでございますが、どうでございますか。
  10. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘通りでございます。
  11. 渡海元三郎

    渡海委員 大体昭和二十八年の災害のときには、これらの農地小規模災害に対しましては補助率限度が引き下げられるというふうな措置が行われたのでございますが、このたびの災害におきましても補助率限度を引き下げるということを当然行うべきじゃないかと考えるのでありますが、いかがでありますか。またこのたびのただいま言われました閣議決定は、これを行わないから起債で行うというふうに変更されたものだと思うのでありますが、この間のいきさつについて御説明を賜わりたいと思います。
  12. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話のように補助限度額を引き下げるかどうかということが問題になったわけでございますが、二十八年の災害の際には、農地に例をとりますと、一件当り十万円をこえる部分について五割の補助金、さらに農家一戸当り被害額が大きくなりますとその補助率を引き上げる、こういたしているわけでありますが、限度額を引き下げると同時に国の補助率も引き上げるという措置がとられました。今回は、結果について先に申し上げますと、被害の激しい部分については補助率農地につきましてさらに引き上げる措置がとられたわけでございますが、十万円以下の部分については限度額を引き下げるという法律改正は行われなかったわけであります。この部分をどうするかということで紛糾したのでありますが、引き下げるとした場合には一件々々の査定が非常に困難だ、また補助金適正化法の問題もあるのでさらに複雑になってくる。しかしこれを放擲できないじゃないかというようなことから、大へん問題になったわけでございます。そこでさしあたり限度額を引き下げた場合には補助金が出るわけだから、その部分については地方債を認めてもらいたい、残り農家負担に属する部分については農林漁業金融公庫の方から融資をする、こういう問題が起ってきたわけであります。その際に補助金相当分について、地方債をしても、残り個人負担に属するものについて市町村工事を行うということになって参りますと、あとでなかなか受益者負担金を徴収できないという問題も起ってきて、市町村財政にも響いてくる。しかもそういう措置を特に農地についてだけとるとした場合に、中小企業水産業者などの施設についても同様な措置をとれという要求が起ってきて、市町村としては問題をまとめにくい、こういう話があったところから、個人負担に属する分については市町村に迷惑をかけない、そういう意味で農林漁業金融公庫の方から確実に融資をするのだという話が出て参った。それなら補助金にかわる市町村債であるから、それはそれなりに国の方で元利補給をする、国からの元利補給を前提にして小規模の農地災害復旧事業についても市町村で行うということにして地方債を認めることにしたい、こういうふうな態度自治庁としてはとったわけであります。ところが、大蔵省側から元利補給につきまして異論が出て参ったわけでございまして、もし元利補給が行われないならば地方債を認めるわけに参らない、こういうようなことを私どもとしても主張してきたわけであります。その結果、先ほどお話になりましたような閣議決定が行われたわけでございまして、農地小規模災害復旧事業に関する地方債を認める、この原則がまず定められたわけであります。同時にまた、この地方債元利償還金については国においてその財源保障する、こういうことも定められたわけであります。ところが、私たちは国においてその財源保障するということは、今まで申し上げて参りました考え方からも明らかでありますように、国がその部分について元利補給をするのだ、こう考えていたわけであります。ところが大蔵省側では、財源保障をするのは三十四年度以降の地方財政需要額を計算する場合に全体としての財政需要額に入れる、入れればまた同時に地方交付税基準財政需要額の中にその地方債元利償還額を算入していく道があるじゃないか、それで解決できるじゃないか、こういうことを言っているわけであります。従いまして、国においてその財源保障する具体的の方法につきましては、なお政府部内で話がついていないというような状態にあるわけでございます。自治庁としては、財政負担筋道として、農地個人所有に属するものでありますので、その復旧についても個人が責任を負う。しかし被害が激しい場合には国で援助をする、こういう道がつけられているわけであります。言いかえれば、農地復旧について援助する場合に国庫補助金というものが予定されているわけでありまして、地方債をつけますのは国庫補助金にかわる地方債だと考えているわけであります。どちらの負担に属するかということになって参りますと、国の支出に属するものだ。これを交付税で見るということは、本来市町村負担に属するものについて地方交付税でめんどうを見ていく、これはよくわかるわけであります。しかし、国の負担にかかるものを地方交付税負担するということになって参りますと、将来の財政負担筋道を間違えていくことになるのじゃないか、こう心配をするわけであります。金高の問題ではございませんで、財政の筋を通していかないと、将来どこで負担するかということがわけがわからなくなってくる。そのとき、そのときの便宜措置でやられてしまうことになるのじゃないか。こういうことを心配しているものでありますから、私たちは、補助金にかわる地方債はぜひ別途に、元利償還金については国において元利補給措置をとってもらいたい、こういう主張をいたして参ってきておるわけであります。
  13. 渡海元三郎

    渡海委員 ただいまのいきさつによって大体了承したのでございますが、この提案されております特例の法案の中には、ただいま言われたような小災害部分に対するものは全然出ていないのであります。その点まだ大蔵当局自治庁当局の間に懸隔があったということも、ただいまの答弁によりましてよくわかりますので、この際大蔵当局を呼んで聞いてみたい、かように考えるのでありますが、委員長においてお取り計らいを願いたいと思います。
  14. 鈴木善幸

    鈴木委員長 ただいま参議院で答弁中で、からだがあき次第こちらに見えることになっておりますから、御了承願います。
  15. 渡海元三郎

    渡海委員 大蔵当局が参りましたら再度この点についてお尋ねいたしたいと思いますが、その間、なお自治庁にいま少しお尋ねいたしておきたいと思うのであります。  それは閣議決定事項にある小災害のことにつきまして、本特例の中に全然出てきていないのでございますが、この点は閣議決定通り財政法の第五条に基いて小災害についても救済される、起債を出されるというお気持であるかどうかという点を確かめておきたいと思います。
  16. 奧野誠亮

    奧野政府委員 本来農地復旧農地所有者が行うものだと思います。しかしそれをまとめて市町村がかわって行います場合に、やはり地方財政法の第五条で地方債を許可しようと思えば許可できるものだ、こう思っております。市町村で行う災害復旧事業費ということで組んでいけるわけであります。従いまして、そういうことで市町村から起債の申請をして参ります場合には許可をいたしたい。また許可できますように一応その地方債の資金も用意いたしておるわけであります。ただ問題は、その跡始末が明確になりませんと、市町村としても、どのようなやり方をするかということについて多少踏み切りがつきにくいという事態が生ずるのではないかということは心配をいたしております。
  17. 渡海元三郎

    渡海委員 ただいまの御答弁によりまして、農地の小災害に対しましても、閣議決定案通り起債を認められる方針であるということは了解したのでございますが、先ほども御答弁がありました通りこの起債を許す根本方針は、本年度災害補助率の引き上げということが行われたのですから、当然これに伴うべき措置として、災害限度を引き下げるという措置を行うべきであったが、事務的な関係、検査の関係その他において困難が伴うために、それにかわるものとしてこの農地小災害を許可される方針である、こう考えてよろしゅうございますか。
  18. 奧野誠亮

    奧野政府委員 その通りでございますが、その場合でも、先ほどもちょっと申し上げましたように、補助金にかわる地方債だということが明確にならなければ地方債は許可すべきでない。私たちとしてはこういう考え方でおったわけであります。また閣議決定も、私たちはその趣旨で行われておると思いますが、なおこれにつきましては政府部内で異論があるわけでありまして、まだ十分まとまっていないわけであります。
  19. 渡海元三郎

    渡海委員 この点につきましては、大蔵当局が参りましたらよくお尋ねしてみたいと思うのでありますが、閣議決定には右の地方債元利償還については国においてその財源保障する、こういうことになっておるのでありますが、この保障の仕方につきまして特例法に出てくるべきが当然だとわれわれは考えておるのでありますが、出てきていないところに、まだ政府部内において意見の一致を見ていない点があるからそうなったのではないか、かように思うのでありますが、国が当然保障するという以上は、地方交付税等において見られるということは根本的に間違いである、私たちはかように思うのであります。この点御答弁もございましたが、単独災害債を国において基準財政需要額の中に入れられます額は二八・五%になっておると思います。補助災害が九五%、それから緩慢災害が六〇%、そういった率がきめられておるのでございますが、この率を引き上げることによって保障することになるのだというふうな意見大蔵省当局は言っておると聞いておりますが、そうなりましたならば、単独災害債は、単にこの問題に限らず、ほかの単独災害債に対しても補助率を上げなければならぬ、基準財政需要額に入れるものを上げなければならぬという問題が起ってくると思いますが、単独災害債を二八・五%に、ほかの災害債と比べて基準財政需要額に繰り入れる基準を下げておられるのには、おのずから理由があることでありまして、これらは簡単に引き上げられるようなものではないと考えておるのでありますが、この点に対する御見解を承わりたいと思います。
  20. 奧野誠亮

    奧野政府委員 第一に私たちは、本来府県なり市町村なりの負担に属するもの、そういうものについて府県市町村財源不足を生ずる、その場合に不足額地方交付税によるものだ、こう思っております。従って基準財政需要額というものは元来市町村負担に属するものについての保障の問題であります。国において保障するというような筋合いのものではない、こういう考え方を第一に持っております。  第二に、単独災害復旧事業につきましては、単独災害復旧事業でありましても、あとう限り一般財源でまかないまして、また災害を予定いたしまして積立金等平素から用意をする。災害が起りましても財政が混乱に陥らないように、それぞれの団体平素から慎重な態度で臨んで参ってきておるわけであります。その場合に、起債をたまたま認められた、あるいは一般財源であった、そのうちのたまたま起債の認められた部分だけを大量に保障していくということになりますと、非常に不公平になって参ります。のみならず、単独災害復旧事業につきまして、公共災害復旧事業のように国が実地に査定をいたしたわけでもございませんで、たまたま地方団体の希望する額に基きまして、またその間に相当改良工事が行われましても、必ずしも厳格な原形復旧でなければならないというような態度もとっていないわけでございます。そういうようなことから考えまして、公共災害復旧事業の場合と取扱いを別にいたして参ってきておるわけでございます。
  21. 亀山孝一

    亀山委員 ただいま渡海委員奥野財政局長との間にいろいろ質疑がありましたが、この際私は政務次官にちょっとお伺いしてみたいと思うのです。どうも原案のままでありますれば、今まで論議されました小規模農地災害問題の地方債については、元利保障という問題は地方交付税によらざるを得ぬような案だと思うのです。それは今の質疑でも明らかなように、どうもわれわれふに落ちない。これを地方交付税でいいということは納得できない。当然これは地方交付税以外の国庫支出によってこの元利を補給すべきものだと思うのですが、その点についての政務次官の御見解をこの際ちょっとお伺いしておきたい。
  22. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいま亀山先生からお話がありましたように、本来国が補助をするかしないか、この程度のところまで大きな災害のときには、一般よりも範囲を広めて補助するかどうかということが一番の根本の問題であります。しなければしない、するならするということで、ただ補助をいたします際に、先ほど局長からもお話し申し上げた通り、いろいろ技術的な点で補助がむずかしいものでありますから、これを起債の方で一応立てかえておいてくれ、立てかえた分を補助と同じようにあとから返します、これが一番筋の通りましたことで、今お話しの通りに、交付税で見ますことは、かりに額が全部補てんされましたといたしましても、やはり地方負担区分を乱るおそれがあると思います。率直に申し上げまして、私どもが主張しておることが正しいと信じておるのでありますが、いまだに政府部内をまとめることもできず、まことに恐縮に存じますが、なお万全の努力を続ける決意でございます。
  23. 亀山孝一

    亀山委員 ただいま黒金政務次官から明快な御答弁を得まして、まことにわれわれ満足いたしますが、小規模農地災害の問題については、先ほど渡海委員から述べられましたように、二十八年は補助限度を引き下げて、今度はそのかわりに地方債で認める。これは二十八年の補助限度の引き下げというものがいろいろの弊害を伴って、その実あまり行きわたらなかったという実情があったようにも聞いております。今後はやはり災害の発生について、小規模農地についてはおそらくこういう問題が起ってくると思う。この際、これを交付税でまかなうというような方式を立てれば、私はゆゆしき問題だと思うのです。従って、われわれとしてはやはりはっきりと、この分については交付税によらざる国庫で補給すべきものである、かように確信をいたししておりますので、あるいは当委員会において、社会党の方のお考えもあるようですから、これに対して修正するかもしれぬという場合に、政務次官はどうお考えになりますか、修正を希望されますか。
  24. 黒金泰美

    黒金政府委員 非常に率直な御質問でありまして、率直にお答え申し上げますが、われわれといたしましては、当初来主張しておりますことなので、まことにありがたい御修正だと思います。ただ、私ども政府部内の一員でございますから、大蔵省とも一応は相談いたしました上で政府態度をきめたいと存じます。
  25. 渡海元三郎

    渡海委員 自治庁当局にもう一つだけ聞いておきたいのでありますが、今問題になっております農地並びに農業施設に対する小規模災害復旧事業の予定される額と、もう一つは先般の閣議決定の中には、公共土木施設災害復旧事業起債については被害甚大なる地域にある地方公共団体に対しては、次年度以降においても、財政状態を勘案してあとう限り全額起債を考慮する。こういうことを備考としてつけ加えられておると聞いておるのでございますが、当然この農地関係におきましても、こういうふうなことが考えられるのじゃなかろうかと思いますので、同様な趣旨で配慮される予定でございますかどうかお聞きいたしたい。
  26. 奧野誠亮

    奧野政府委員 農地災害復旧事業で一件当り三万円をこえ十万円までの部分、その部分を二億円余りと予定しているわけでございます。農地のこの種の災害復旧事業については十万円以上しか補助対象にならないわけでございますが、補助率は五〇%であります。従いまして二億円の五〇%の一億円を地方債として予定しております。残り部分につきましては、農林漁業金融公庫から個人なり農業協同組合なりに融資される、そしてそれを通じて事業を行います市町村受益者負担金として納付される。地方債の一億円と農林漁業金融公庫を通じて融資されて参ります一億円を合せまして二億円の金で農地小規模災害復旧事業市町村がやって参る、こういうことを予定しております。  農業用施設小規模災害三万円ないし十万円のものを五億円余りと予定しております。これが一件当り十万円をこえた部分につきましては六五%の補助金が交付されます。従いまして六五%に当りますところの約三億円、この部分地方債として予定しているわけでありまして、残り部分についてはやはり農林漁業金融公庫等からの融資が行われる、こう考えているわけでございます。従いまして両方合せますと四億円、こういうことになって参るわけでございます。  なお公共土木施設災害復旧事業費地方負担分についての起債は、現年度分は一〇〇%充当する。過年度分になりますと、できる限り一般財源を充当してもらいたいという関係から、充当率を引き下げているわけでございますけれども、御指摘のように集中的に被害の起った地域につきましては、可及的にその充当率を引き上げて参りたいと考えているわけでございます。  小規模農地農業用施設災害復旧事業については、今申し上げましたような趣旨地方債を認めていくわけでございますので、集中的に起っているから、本来個人負担に属するものにつきましてこの地方債充当率を引き上げるというような考え方は持っていないわけであります。五〇%ないし六五%に相当する部分について地方債を認めていきたい、かような考え方をいたしているわけでございます。ただ地方団体所有に属しまして、本来地方団体負担していかなければならないような農業関係施設があるといたしますれば、その部分につきましても、地方団体負担程度に応じて十分な起債考えていかなければならないだろうというようには思っております。
  27. 渡海元三郎

    渡海委員 相澤主計官にお聞きしたいのでございますが、このたびの災害は大体公共施設災害で七百五十億、かように見積られているらしいのでございますが、しかし、その災害の性質をながめますと、災害が局地的に集中したということをいわれているのでございまして、これに対する対策を立てなければいけない、かように思いますので、そのために先般十一月四日の閣議でこれらの小災害に対する決定が行われた、かように考えているわけでございます。ところが昭和二十八年度におきましては、災害の額も大きかった関係か、農地の小災害というものに対しましては、補助率の引き上げを行うと同時に、補助限度も引き下げられた。このたびはこの補助限度が引き下げられずに、補助率の引き上げだけが行われたのですが、これは先般の二十八年の、補助率を引き上げても、その事務的な手続その他において困難性が伴ったために、その実をあげることができなかったために、これにかわるものとして、十一月四日の閣議決定の行われたような起債を認める。こういうふうな決定がなされたのではなかろうか、かように考えるのでございまして、国の援助がされるのが当然である、かように考えての処置をとられたものではなかろうかと思うのであります。そのために、閣議決定におきましても、これらの地方債元利償還については国においてその財源保障する。こういうふうに考えておるのではないかと考えるのですが、この点について大蔵省の御見解はいかがですか。
  28. 相澤英之

    ○相澤説明員 農地の小災害起債及びこれに対する元利補給の問題についての大蔵省見解いかんという御質問でございますが、従来農地につきましては起債がどうなっていたかと申しますと、それが一件の金額十万円以上で補助対象になっております場合の地方負担、それからそれ未満の金額市町村の単独事業として取り上げている場合の地方の負担、それに対する起債は、これは起債の詮議方針の上から参りますと、原則としてしぼっております。その表現は、これは農地とは書いておりませんが、「私有財産の改良または復旧に関する事業に対しては、受益者負担金を考慮し、起債財源とすることが適当でないと認められるものについては、起債を許可しないものとする。」これは昭和三十三年度地方債に関する許可実施細目にそういうことがうたわれておるのでございますが、同様の趣旨の規定は、三十一年度でもあったと思いますが、以降入っておるわけであります。それ以前はこういった縛りがございません。そこで農地も私有財産といたしまして、その改良または復旧に関する事業については、ここに書かれております通り受益者負担金を考慮し、起債財源とすることが適当でないと認められるものについては起債を許可しない。しかしながら、市町村がこれを取り上げて、市町村災害復旧事業として行う場合も、全然これは否定しているというものではないのでありまして、現に私どもの直接取り扱っております理財局の地方資金課の調べによりますと、三十二年度におきましても、農地災害復旧事業に関する地方債の承認額は二百五件、四億四千六百十万円に及んでおります。このうち過年度災害補助が百四十三件の二億九千九百六十万円、現年発生の災害補助事業が四十五件、一億一千七百六十万円、それから現年発生の単独事業といたしまして十七件、二千八百九十万円という起債を認めております。そこで、農地災害復旧市町村として取り上げることはむしろ例外的でございましょうが、しかしながら、その災害程度とかあるいは態様によりまして、市町村がこれを自分の事業としてやるということはあり得ることでありますし、まあ同じ私有財産と申しましても、農地に関しましては、現に国もその災害復旧の場合について、一件十万円以上のものは補助をする。普通の商工業者の災害と違いまして、この方は施設その他については全然そういった手当をしておりませんけれども農地の方は政策上の観点から、従来ともそういった国の手当なり、また地方団体が自分の事業として取り上げることもこれはやむを得ないのじゃないか、差しつかえないのじゃないか、そういった観点からこういった地方債も認められておったのであります。  そこで今回の閣議決定趣旨は従って私どもといたしましては、従来全然認めていない農地災害復旧に関して地方債を認めるという趣旨ではなくて、そういう例外的に認めるという従来の立場ではなくて、原則として今年度に関しては農地災害復旧についての地方債を認めるのだ、こういうふうに解釈しているわけでございます。そこで、このような農地災害復旧に関する地方債について、元利償還金がどのようになっているかと申しますと、これは従来の他の単独事業に関する元利償還金と同じく、昭和三十二年度までは特別交付税において、昭和三十三年度以降は普通交付税においてその償還額の二八・五%を見ることになっております。昭和三十三年について申しますと、総理府令の第七十三号、地方団体に対して交付すべき地方交付税のうち普通交付税の額の算定に関する総理府令の第六条におきまして、途中文章を少し省略しますが、「国庫負担金を受け、若しくは受けないで施行した暴風、こう水、高潮、地震その他の異常な天然現象によって生じた河川、海岸、堤防、砂防施設、道路、都市計画事業による施設、港湾施設農地農業用施設、林業用施設、漁港施設その他の公共用施設及び公用施設災害復旧事業にかかる経費」云々とありまして、「の財源に充てるために起した地方債」または「当該年度分元利償還金」、これにつきましては一円につき九十五銭の三割、すなわち二十八銭五厘を見るというようなことになっておるわけであります。そこで過去におきまして、農地災害復旧事業にかかる地方債として発行されましたものにつきましては、その元利償還金の二八・五%がここにおいて見られておるわけでございますから、今年発行いたしました地方債につきましても、国としての手当を厚くする必要があれば、その二八・五%の率を倍ないしそれ以上に引き上げるということが考えられるのではなかろうか、そういった手当によりまして、現に被害を受けまして農地災害復旧事業を施行しました地方団体については、その元利償還に必要な財源保障されるのではないか。こういった観点から私どもとしましては、交付税の配分を通じましてこの元利償還金の問題を処理すべきではないかというふうに考えております。現に公共土木等の補助を受けて行う災害復旧事業につきましては、その元利償還金の九五%を普通交付税の算定基礎に織り込んでおりますことは皆さん御承知の通りでございまして、この補助事業の場合の九五%と単独事業の場合の二八・五%の開きが、すでに現在におきまして相当大き過ぎるという点についても批判があるのでありまして、この際これを引き上げることは、私どもといたしましては妥当な措置ではないかというふうに考えております。
  29. 渡海元三郎

    渡海委員 相澤さんから農地起債のことにつきまして大体大蔵省見解を明らかにしていただいたのでございますが、私が尋ねましたのは、そうじゃなくて、閣議決定を出されましたのは、当然このたびの農地災害補助率の引き上げが行われた、従ってその補助限度額もこれと見合って引き下げられるべきが当然ではなかったか。しかしながら、過去の実績に徴してそれが行われない、実際に行いにくいというふうな経験から、これを起債でまかなうというふうな便宜的措置がとられた、それが閣議決定になって現われたのじゃないか、この点を聞いたのです。この点に対するお答えを願いたい。
  30. 相澤英之

    ○相澤説明員 お話のような経緯があるいはあったかと存じますが、私の承知しております範囲におきましては、農地等の災害について補助の対象となる事業限度を引き下げるということは、これはその事業査定その他の点からいいまして、農林省もあまり賛成しないというような経緯がありまして、ではどういうふうに手当するかということになって、その起債の問題に及び、さらにまた元利補給をどうするかという問題に及んだのであります。そこで元利補給の点につきましてはただいま私が申し上げました観点で、地方交付税において従来も処置しておるから、その手当の度合いを強めることによって国としては対策がとれるのじゃないか。そこで閣議の決定におきましても、はっきりと元利補給という文字を使わずに、元利償還金については国において財源保障するといったような非常に腕曲的な表現を使っておるのです。しかしその実体は、交付税でその処置をするのだというふうに——自治庁の御見解はどうか知りませんが、私どもとしてはそのようなふうにきまっておるのだというふうに話を聞いておるわけであります。
  31. 渡海元三郎

    渡海委員 農林省等がこの前に行いましたように、補助率を引き上げるように、これに見合うところの限度額を下げなかったということは、事実においてこれが困難であるということに原因しておるのでありますが、困難であるということは、補助限度率を下げなくて起債でいいのだという意味じゃなくて、国の援助は行わなくちゃならないのだが、実際に行いがたいから起債によろうとしたのであって、このたびの起債というものは、当然私は補助限度率を下げるかわりとして行われたものである、かように解する方が当然ではないかと思うのでございます。この前相澤主計官から、農地災害復旧に対しましても、過去において起債で認めておる、こういうふうな御説明がございましたのですが、これは前の会議のときにいろいろ議論されまして、相澤主計官もすでにこれは非常に例外的であったということを認められたものであると思いまして、私はここで云々申しませんが、ただこの点に対する今まで取り扱われた自治庁見解をお聞きしておきたい。
  32. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘になりましたように、会合の席で明らかになっておるので渡海さんは御存じだと思いますが、個人所有に属しますものについて、その復旧事業地方団体が行う場合でも、農地復旧については地方債を認めない建前をとって参っておるわけであります。なお、もし大蔵省が言われますように、地方債を認めてきているのなら、地方債を認めるのだという閣議決定をする必要はないと私は考えます。閣議決定をしたということは、地方債を認めていないからわざわざ地方債を認めるのだという閣議決定をしたのだというふうに心得ておるのであります。  もう一つは、単に市町村の事情によって起債を認めるのではなくて、対象の農地復旧事業があります限り、もちろんその市町村政令で指定して参るでありましょう。しかしながら、政令で指定された市町村の中で、それらの規定に該当する農地復旧事業があります限りは、必ず地方債は認めるということであります。便宜認めることではないのであって、制度的にそういう建前をとろうとしているのが今回の閣議決定趣旨だ、こう私は心得えておりますので、お話を伺っておりますと、問題の本質のつかみ方が非常に違っているということを、私はここで驚いておるわけであります。
  33. 渡海元三郎

    渡海委員 ただいま額をあげて、これまでに農地についての災害起債を認めた例を言われたのでありますが、私も地方公共団体の出でありまして、実際において農地災害起債をもらったこともありますが、それは本来町村が行うのが普通で、自己財源で行うようになっておる場合においての町村が管理しておる農業用施設というものがございます。こういった場合も私はその数字にあげられているのじゃないかと思うのであります。しかし、この場合にいうところの個人の財産でございましても、今相澤君は、今までもやっておるのであるからやった方がいい。商工業者の場合はとにかくとして、農地といったようなものはやってもかまわぬという観念でありますが、本来の市町村の行政において、個人のものを負担するという意味は、国がほかの農業政策に対する観点からこれに対して援助を行うという点とだいぶ異なるものがある。この点は県、町村におきましてもやはり行うべからざるものではないか、私はこのように考えるものでございますが、この点に対して見解はどうですか。
  34. 相澤英之

    ○相澤説明員 前回の会議におきまして、起債農地に関してほとんど認めてないということを認めたのじゃないかというお話がございましたので、若干その点について所見を申し上げますと、当時私は農地に対する正確な数字を実は聞いておらなかったわけであります。その後、理財局の地方資金課を通じて調べて参りました数字が先ほど申し上げたようなものでございまして、この数字は、農業用施設も含まれ、農地災害復旧事業として報告があった起債の額である。それから農地に関する地方債起債を認めるということが、やはり新しい制度を打ち立てるものだという財政局長答弁がございましたが、これは従来の例外的な取扱いを原則的に認めるという点では確かにその実態が変っておるのでありますが、しかしながら農地災害復旧事業に関して、従来も地方債を認めることを地方財政法令で禁止していることはないのでありまして、その点は今回災害起債特例法を出します際に、農地災害復旧事業を例外的に認めるという条文がないことをもってしても明らかではないかというふうに考えております。
  35. 渡海元三郎

    渡海委員 農地に対する起債の問題につきましてはこの程度でやめますが、ただいまの元利償還金の問題について、起債決定の閣議決定の文句を使われて、当然交付税においてまかなうことを予定しておるのだ、こういうふうに言われたのでございますが、閣議決定の後段におきましては、国においてその財源保障する——われわれは交付税はひもつきの財源でないと考えておる。これは地方財源であると考えておる。その場合に、国において財源保障するというものを、これを交付税において見合うということにいたしましたならば、私はこの閣議決定にあるところの、国においてその財源保障するという言葉に当てはまらぬものだ、かように考えるものでございますが、いかがでございますか。
  36. 相澤英之

    ○相澤説明員 この閣議決定の字句をどうするかにつきましては、政府部内の問題でございまして、今申し上げるのは適当かどうか存じませんが、いろいろと経緯がございました。そこで私どもは、やはり地方交付税といえども、国から地方団体財源調整的意味をもって交付される国庫支出金でありまして、国からの財源付与であるというふうに考えておるわけでございます。そこでこの元利償還金については、国においてその財源保障するという字句は、実はこの元利補給をするということを書くか書かないかといった経緯がありました末に落ちつきました文案で、このようになりましたことでございまして、私どもは、これは交付税で見るんだというふうに閣議決定としてきまったと聞いておりますものですから、そういうことを申し上げているわけでございます。
  37. 渡海元三郎

    渡海委員 ただいまの交付税の性格については、私はそのような考え方では納得できない。これはあくまでも地方財源だ。従ってとれによって保障するということは、一般経費に振り当てらるべき他の市町村団体の分をここへ持っていって穴埋めしておる。他の市町村の犠牲においてこの災害復旧をやっているにすぎない、われわれはこら考えておるのでございますが、この点はあらためて聞きません。ただそういった場合、不交付団体は、当然保障するといいましても、交付税でやられる場合は基準財政需要額の中へ入れられるものと思いますが、不交付団体におきましては、全然国が保障をしないということになりましたならば——不交付団体でそういうふうな市町村がありましたら、当然市町村の議会において問題になる。個人の財産に町村が、そのことをたとえ起債でやるといえどもやるべきかどうかという問題になりまして、政府の意図しておるような復旧ができないという現実が生じてこないかと思うのでございますが、この点についてどうお考えになりますか。
  38. 相澤英之

    ○相澤説明員 普通交付税の配分の際に、この地方債元利償還金基準財政需要額に織り込みましても、不交付団体については財源はいかないのではないかというお話でありますが、もしその基準財政需要額元利償還費の二人・五なり五七なりのパーセンテージを織り込んでも、なおかつ基準財政収入額が上回るような団体については、これはほかの財政需要の場合も同じなんでありますけれども、国としては、その団体財政的にやれると考えざるを得ないから、それに対してあくまで財源付与を考えることはないんじゃなかろうかというような気持でおるわけであります。
  39. 渡海元三郎

    渡海委員 その場合は、ただいまも質問申しました通り、各市町村において個人の財産に市町村費をもって、ほかにも災害がいっておるのに、たとえ不交付団体といってもあり余った金でないと思う。個人の財産にまでそういったことをやり得るかどうかということは非常に問題になる。これでは閣議決定で意図したような事業が行われないんじゃないか、かように私たち考えるのでございます。もら一度この点に対するお考えを……。
  40. 相澤英之

    ○相澤説明員 おっしゃる通り、私有財産たる農地災害復旧市町村費をもって負担することが適当かどうかということにつきましては、問題があるかと思います。しかし、先ほど私が申し上げましたことを繰り返すようでありますが、農地につきましては、経済上また社会上持つ意味の重要性に顧みまして、従来とも国はいろいろな手厚い保護を加えておるわけでございます。災害復旧につきましても補助をする。この補助もへ理屈を申すようでありますが、やはりその主たる財源一般の国民の負担する税金でございます。市町村農地災害復旧をやります場合の財源も、やはり市町村税あるいは交付税、いずれにしましても国民の税金が主たる財源になっておるのでございまして、一般の国民から徴収しました税金を財源といたしまして農地災害復旧にこれを充当するということは、国が補助金を出す場合も、市町村が単独事業で行う場合も、いずれも同じではないか。市町村税を財源とするのはおかしくて、国税を財源とするのは適当であるということも、ちょっと私どもはふに落ちないというふうに考えておるのでございます。
  41. 渡海元三郎

    渡海委員 その点は私は見解を異にしておるのであります。国が農地災害復旧を行いますのは、先ほど申しましたように、米価対策あるいは農業対策等、国として行わなければならぬ対策上行われるのであって、これは国税でまかなわれるのは当然である。市町村の税金というものは、市町村行政を行うために出されておるのであって、これを私有財産にまで及ぼすのであれば、その他の商工業者あるいは漁業者に対する災害復旧等も当然これに見合うものとして、市町村の行政において行わるべきものである。現在の地方財政計画では、これらを行うほどの計画は何ら出されていないという現状になりましたならば、農地だけ行うというような問題は、市町村財政の中におきましては、私は相当問題が残るものではないか、かように考えるのでございます。この点は見解を異にいたしますが、あえて問いません。  ただ、先ほど申されました中に、交付税率の、基準財政需要額の中に算入するところのパーセンテージを引き上げたらどうか、それで保障できるではないかというようなお話がございましたが、補助事業の場合の補助率と、緩慢災害の場合の補助率と、単独災害の場合の補助率との間のパーセンテージが違いますのは、おのずから理由があって行われたものと思うのでございます。ただいまこの点につきましては、自治庁当局見解を聞いたのでございますが、相澤さんの言われるような御意見では、この災害だけでなく、今まで出された単独災害の率も低いのだから全部変えてしまえ、こういう意味で言われたのでございますか、それともこの場合は閣議でこう決定になったのだから、この災害だけを引き上げよ、こういう意味で言われたのか。私はこの災害の分を引き上げるようなことであったなれば、他の災害も当然引き上げぬことにはつり合いがとれない。そうなりましたならばこれはゆゆしき問題だ、かように考えるのでございますが、いかがでございますか。
  42. 相澤英之

    ○相澤説明員 災害復旧事業につきましては、補助事業の場合は特に国から高率の補助負担金があり、たとえば三分の二の補助負担金がありますと、その三分の一は地方負担、地方負担については起債充当率が百ないしそれに近い非常に高い率になっておる。しかもその元利償還金については九五%を交付税保障するということになりますと、その災害補助負担にかかる災害復旧事業でやりました市町村については九八・九彩まで国からの財源付与によって事業ができるという形になるわけでございます。ところが単独事業につきましては、これは農地に限りません。起債充当率につきましても、必ずしも補助事業の場合の起債充当率まで達していない。その元利償還金については二八・五%しか認められない。そうしますと、片や補助負担を受けて執行する災害復旧事業については、市町村ないし地方団体は自己負担は一%か二%、ところが単独事業については六、七割も自己財源でやらなければならぬ。この開きは、考えてみてもあまり開き過ぎているのじゃないか。やはりこれは、農地問題もいろいろな経緯がございますけれども、調整すべき点ではなかろうかというふうに私どもは感じておるわけであります。ところでどの程度これによって国の財政需要額がふえるかと申しますと、現在災害復旧事業につきましての補助負担にかかる災害復旧事業元利償還金基準財政需要額に織り込んでおる額は、百億をたしかこえておったと思います。そして推計でございますが、公共災害九十四億、三十三年度の普通交付税の算定に際しまして基準財政需要額に織り込まれております災害関係の需要は、公共災害補助負担分は九十四億、それから緩慢災害が四億、単独災害が約十五億でございます。従いまして、農地に限らずすべての単独事業につきまして、既往の分も含めて普通交付税算定における単位費用をかりに倍にいたしましても十五、六億の問題ではないか。今申しました災害関係基準財政需要の総額が百十四億三十三年度においてあったことを考えますと、その一割かそこらの程度の増額にとどまるのじゃないかというふうに考えております。
  43. 渡海元三郎

    渡海委員 ただいま補助災害の分と単独災害の分とあまり開きがあるのじゃないかというお話がございましたが、私は、これは当然であると考えるのであります。といいますのは、補助災害の分は、市町村においてそれを行うだけの力がない、だからその分は限度額を設けて国が援助する。単独災害の分は、当然そのような財源は普通の市町村財政の中で見ていく、従って充当率も少いということは、一般財源においてこれをやるのが普通なんだというふうに考えてやられております。そうしたならば、起債を与えたものだけを全額需要額で見て、結果的において国が保障するというふうなことになりましたら、その間における不公平という姿が当然起るのじゃないか。また単独事業の場合における査定におきましても、いろいろ困難の点は伴いましょうとも、原形復旧そのものだけが行われるのではなくして、当然改良復旧、関連事業も行えるのじゃないか、こういうことも考えて二八・五%——二八・五%ということが果して妥当であるか疑問があるとしても、ただいま相澤さんがお話しになったような考え方は直ちには出てこない、かように考えておるのでありますが、この点に対する自治庁見解をもう一度お尋ねしておきたいと思います。
  44. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話のように、私たちは、災害復旧事業でありましても、平素からそういう不時の際に備えまして、財政面が円滑にいけるように財政調整積立金等の制度を活用して当っていくべきものだと考えております。そういう際に公共災害のような、一々実地について厳格な査定をして、そうして復旧事業費を算定するようなやり方をしない。むしろ起債でやるか一般財源でやるか、全く地方団体の選択にゆだねておるわけであります。しかも、ある程度改良復旧事業がありましても、厳格な原形復旧を要求いたしません、またすべきものでもないと思うのであります。弾力ある地方団体の運用でいくべきものだと考えるのであります。そういう意味におきまして、交付税財源保障するということは、私は、地方団体財政の健全な運営ということを考えました場合、非常な弊害を残していくという心配を多分に持っております。
  45. 渡海元三郎

    渡海委員 大体この点に対する大蔵省見解はわかったのですが、十一月四日の閣議決定は、今次災害に当って当然妥当の御処置であると思うのでありますが、この法案の中には、この点についてのことが具体的に何ら規定してないということで、この閣議決定趣旨が実際において行われていないという結果になるのではないか。従いまして、先ほど亀山委員が言われましたように、当然この閣議決定に盛られた趣旨を実現するためには、この点に対する規定が本法律案の中に盛られるのが当然である、かように確信をいたしますが、大蔵省考え方をもう一ぺんお聞きしておきたいと思います。
  46. 相澤英之

    ○相澤説明員 私どもといたしましては、農地災害の問題につきましても、他の単独災害復旧事業の場合と同じく、起債の手当をした先の処置といたしましては、元利償還金を織り込むという処置、そうしてその織り込み方が現在の二八・五%は低いと思いますけれども、これを上げるという処置をとることによって対処することができるのではないかと考えております。
  47. 渡海元三郎

    渡海委員 大蔵省見解はわかりましたが、私は、それでは閣議で決定された国が財源保障するということが実行に移されないと思います。というのは、先ほど申しましたように、最もはっきりしておるのは不交付団体であります。また元利償還金基準財政需要額の中の率を引き上げると言われましても、一〇〇%にこれを引き上げるときは、ここに書いてある通り国が保障することになりますが、そうでありましたならば、他の緩慢災害その他の率も考慮しなければならないということになりますと、これは大きな問題じゃなかろうか。しかも根本的に、交付税というものは地方財源であって、ここに政府がいわれるような保障をするということは、一種のごまかしであるにすぎないと考えるのでありまして、この法律案は当然修正さるべきものじゃないか、かように考えておりますので、その点だけを申し伝えまして私の質問はこれで終らせていただきます。
  48. 鈴木善幸

  49. 久保田豊

    久保田(豊)委員 ただいま公共並びに農地、農用施設の小災害の問題が問題になっておるのでありますが、今渡海さんの御質問で、大蔵省並びに自治庁見解はほぼ明らかになりました。しかし、これは要するに政府部内の意見の不統一であります。私も災害地の人間でありますが、これをおっつけられて法案がきまらない、そうして法案から抜かしておくというようなことでは困るのであります。この問題はよく御承知の通り、あの災害の際に岸首相みずからが現地においでになりまして、現地におきましては、私も立ち会いましたが、町村長その他の前でこの点を確約されておるのであります。そのほか山口さんもおいでになって確約をされておる。さらに予算委員会等において、私も質問いたしましたけれども、大蔵大臣も、この点については心配をかけないといってはっきり確約されておる事項であります。その事項が、今この法案を出しておる段階になって政府部内の見解が不統一であり、そのために法案にもその趣旨が全然盛られておらないということでは困るわけであります。しかも、従来の与野党の間の災害対策に対する話し合いの中でも、この点は与党の諸君も、政府と連絡をとってはっきり約束されておる事項であります。それなるがゆえに、私どもも不満足ではありましたけれども、大体において与党の諸君を信頼いたしまして一応妥結をいたしたという経過がある問題であります。こういう点でありますので、自治庁大蔵省見解がどうだというようなことのために法案が成立しない、従って今度の起債あるいは元利償還措置一つも決定しないということであっては実は困るわけであります。特に現地の方では、非常にこういう災害が多いわけでありまして、これは単に伊豆だけの問題ではないと思います。最近のこういう水害等の状況をずっと見ますると、山の奥地ないしはこういうところにおける小災害というのは非常に数がよけいできております。従ってこれらに対しては当然国は基本的に施策を講ずべきである。しかし、どうもいろいろ技術的な困難があるというので、ここでは三十三年度限りということに従来の話し合いがなっておるわけでありますので、この点については早急に一つ措置をしていただきたいと考えるわけであります。この点について自治庁次官の——法律技術上のいろいろな見解がどうであり、政府部内の見解自治庁大蔵省で違っておるということを言われても、われわれは困るわけであります。この点をいつまでにはっきりやって——そういう意味において法案の修正は当然されなければならぬ。ある意味において政府の公約事項であります。その公約事項を、実施の段階になって、政府部内の意見の統一がないから法案に盛られないでは困るわけであります。従って、はっきりこの点について見解を統一されて、これはもし政府でできなければ委員会修正するのを一つ認めていただく、この基本の原則を、私ははっきり御確認をいただきたいと思うのでありますが、この点についてはどうでありますか。
  50. 黒金泰美

    黒金政府委員 先ほど渡海委員からの御質問にもお答え申した通り、私どもといたしましては、これは国が補助すべき事業である。それは今補助しないで、とにかくただ起債でいこうということでありますから、当然元利補償をしていただく筋合いのものだと考えて主張をして参ったのでありますが、まことに説得力が弱くて、この法律が出ますまでに政府部内の意向をまとめることができませんでした。御審議の途中におきましても、政府部内、与党内の意見をまとめまして、私ども意見に持ってこようということで努力を続けております。率直に申し上げますが、きようも実は与党内の政策審議会におきまして、結論が出そうなことになっておったのでございますが、この委員会が開かれたりしておりますためにまだ開議に至っておりません。できることならば、きょうあすじゆうにも与党内の意見をはっきりきめたいという考えでおりますので、一両日中は御猶予願いたいと思います。
  51. 久保田豊

    久保田(豊)委員 いろいろの議論は大体拝聴しておりますが、私ども自治庁見解が正しいと思っております。大蔵省のは一応のごまかしであります。最初の出発はそういうことではなかったはずであります。ですから自治庁見解についてはっきり別個に、補助金といいますか何といいますか、起債元利償還については、社会党の案にありますように明確な、交付税とは別個の法案措置をとっていただかなければならぬものだと考えております。できればこれを一般原則にしていただきたいと思うのですが、そこまでは今の段階ではつきかねるかもしれません。少くとも三十三年度災害につきましてはこの措置をはっきりとっていただきたいと思うわけであります。従ってさっきのお話の点で与党並びに政府部内の意見の調整を早急にされて、委員会がこれを修正する場合は認めるという御意図と了解をしてよろしゅうございますか。
  52. 黒金泰美

    黒金政府委員 先ほどもそういう御質問がありましたが、政府全体の意見をまとめなければお返事できないので、調整をやっておる途中でございますから申し上げかねるのでありますが、私見といたしましては、非常にありがたい御修正だと考えております。
  53. 久保田豊

    久保田(豊)委員 自治庁としては、政府部内においてはっきりその立場を固持していっていただきたいと思います。大蔵省側意見のように、ごまかしであつちへふらりこっちへふらりやったのでは困ります。  現地の事情を特に申し上げますが、本年度は、全体としての政府の予算措置が非常に少なかったのであります。実際には農地の方については約三〇%くらいのものがいっておりますけれども農業施設については一八・五%程度しか事業費のワクはいっておりません。その修正も今農林省を通じてやっておるわけであります。しかも、この小災害の問題が片づきませんので、実はそういう問題とひっからんで、現地の町村はどうにも処置がつかない、めどがつかないというのが今日の実情であります。借金をしてやろうにも、その引き当てがないものですからはっきりしない。めどがつかなくて困っておるというのが今日の実情である。しかも、これらの問題は早く措置をしませんと、来年の六月なり何なりの植付ができません。今のような行き方でおっては……。この点、どうかそういう差し迫った実情を勘案されまして、自治庁としては——私どもいろいろの関係の文書を拝見いたしまして、四日の閣議の内容も聞いておりますが、そういう意味で、その当時は与党の諸君もこういう内容で調整ができないからがまんをしてくれということだから待っておった。それを今日法案を出す段階において、調整がつきませんから法案から落しましたといったのでは、私は、政府としてまことに無責任過ぎると思います。どうか一つ私見でなくて、自治庁の責任者としてはっきりこの点を明確にして、一つ自治庁見解でもってまとめていただく。しかもそれは長い時間を要しては困ります。ぜひ一つ委員会修正等の形におきましてはっきりこの点をまとめていただくというように一段と御努力をお願いいたしたいと思います。  その次に、二、三技術的な問題について、現地の方のいろいろな要望に基いてお伺いをいたしたいと思います。それは、今の問題がこの法案についての一番大きな問題でございますが、それ以外に、ここにはいろいろな条項がずっと、起債特例になる対象の仕事があるわけでありますけれども、今申しましたような災害を受けた町村は、実はいろいろの起債をたくさん受けなければならぬわけであります。公共施設の十万円以上のものについての起債も当然受けなければならぬ、農地等についても起債を受けなければならぬ、それからさらに農業施設起債も受けなければならぬ、あるいは今言った小災害の問題が、これによって法文化されればこれの起債も受けなければならぬという問題、そのほかの起債もたくさんあるわけであります。そういう場合に、私はしろうとでよくわからぬのでありますが、現地で一番心配しておるのは、そういうものを全部まとめて百万円以上になった場合に起債を認めるのか、一項目々々々について、その年度々々が百万円なければ認めないのか。この点が明らかにならぬので、現地としては起債措置をどうしていいのかわからぬということを言っております。この点は自治庁の所管事項でありますから、はっきりいたすと思いますが、いろいろな小災害を全部まとめて起債を認めるのか、あるいはこれとこれとは一つにして、たとえば農地農地を一括して百万円以上になれば認める、あるいは公共施設についてはこうだ、農業施設の小災害、これもまとめて百万円になれば認めるのか、こういう点についてはっきり御説明をいただきたいと思うのであります。
  54. 奧野誠亮

    奧野政府委員 小さい市町村でありますと、個々の災害復旧事業費が必ずしも起債限度額に達しないという問題が起って参ります。従いまして人口十万未満の市町村につきましては、なるたけいろいろな災害復旧事業費をまとめていきたい、こう思っておるわけであります。そういう意味で、たとえば公共土木関係と農林関係というふうな大きな区分でまとめて参りたい、そうして限度額に達すれば起債を認めるようにしたい、こういう考え方を持っております。
  55. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その場合にはあれですか、今の小災害なら小災害で別グループになりますか。それとも農地農地で、十万円以上の小災害はこれをひっくるめてやる、また公共施設についてもこれをひっくるめて百万円ということなのか、この点の扱いはどうなるのですか。
  56. 奧野誠亮

    奧野政府委員 小規模の農地農業用施設災害、これはひっくるめて一まとめにしたい、こう考えております。
  57. 久保田豊

    久保田(豊)委員 これはくどいようでありますが、それは大規模のものをまとめて百万円ならいいというわけですか。小規模のものはこれだけまとめて百万円以上というのですか。
  58. 奧野誠亮

    奧野政府委員 私たち考え方では、小規模の農地農業用施設起債につきましては、元利全額の償還をすべきだという考え方を持っております。従ってそれは一まとめにしたい。あと補助金を受けて行う仕事については、地方負担関係があり、従ってそれについての起債はまたいろいろな指示があるだろうと思いますが、農林関係は一括してまとめていきたい、こういう考えでおるわけであります。
  59. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その次に、さっきのお答えの中にありましたが、起債については、現年度つまり本年度だけは認めるが、来年度は、これについてはある程度の規制を加える、こういうお話でありましたが、それはどういう趣旨でしょうか。なかなか現地の事情は非常に件数が多いわけです。しかも現地は、たとえば私どもの方で一番大きな中伊豆町というのは、十万円以上の災害だけで約十億ある。町村でやらなければならぬものが九億幾らでございます。それに公共を入れますと十三億くらいになります。これをとにかく今後何年かでこなして参らなければならぬ。しかも、これらはすベて、御承知の通り設計から図面から一切作らなければならぬわけです。しかもその実施についても、町村にはほとんど技術屋がいないわけです。ですから、県の方へ五名ばかりの者を頼んで応援をさして、どうやら——これでもやれるかどうかわかりませんけれども、そういう措置をとっているのです。ですから、小規模の単独災害については、公共についても、農地農業用施設についても、非常に書類あるいは設計等が困難で、場合によりますと、実情を申しますと、一部は次年度に繰り越しということになるかとも思うのであります。そういう際に、ことしのまとまった分だけはいいが、来年度はいかぬということになりますと、実際現地は非常に困るわけですね。それで来年度になったら、町村の財政が少しよくなるだろうというお見込みがあるかもしれませんが、事実は、今年も困るかもしれませんが、来年度は一番困る。そういう状態の中で、一部のものだけはこれでやった、一部のものはやらないということになると、非常に困るわけです。ですから私どもは、こういう特に災害のひどいところについては、現年並びに過年度分としても、いわゆる全額の起債を認めてもらいたいと思いますが、この点はどうでしょう。
  60. 奧野誠亮

    奧野政府委員 一般的に申し上げますと、現年災については一〇〇%、過年災につきましては一律にある程度一般財源でまかなってもらうということで、充当率を引き下げて参るという措置をとっております。しかし団体によりましては、集中的に被害を受けたようなものは、ある程度過年災につきましても充当率を引き上げておるわけであります。御指摘になりましたような性格のものにつきましては、私たちも一〇〇%を目途に、過年災にありましても充当率を引き上げなければならない、かように考えておるわけであります。
  61. 久保田豊

    久保田(豊)委員 これに連関して二、三お尋ねしますが、現地の実情から言いますると、今年の住民税ないしは固定資産税の減免が規定によって行われたのですが、一反歩当りが六十円くらいになる。実際には一期分だろうと思いますが、そういう状態で、現地の住民側としては、それではとても満足できない。従ってどうしても支払わないという格好がどんどん出てきております。現地の事情は、もう食糧はなし、まだ仕事は始まらぬというのでありまして、せっかく全国からいろいろ同情していただいてもらった救援物資をぼつぼつ売り食いをするという状態で、また裸になりかかっているのが実情であります。そういう実情でありますから、ある程度——一期分六十円程度を減免したからといって、とても納められないという状態で、住民税についても同じようなことが当然出て参ります。従って規定上の減免が行われても、実際の税金収入が入らぬということになりますが、これらの住民税、固定資産税等については、あの規定以上の減免をしなければならぬように考えますが、その場含には、つまりこれの穴埋めとして、交付税なり何なりが特別に行われるわけですか。これについて特別の起債を認めるわけですか、どうですか。ここには手数料その他の問題しか載っておりませんが、こういう点については今年どういうようにお扱いになるのですか。
  62. 奧野誠亮

    奧野政府委員 この中には手数料だけではなしに地方税のことも入っているわけであります。第一条の第一項第一号に書いてあるわけであります。
  63. 久保田豊

    久保田(豊)委員 わかりました。さらに減収分についての非常に大きい問題は、自然減といいますか、一応の減免をしましても、それ以上に営業が非常に不振になって収入がないわけですから、自然減収がよけいに今出てきております。一例をとってみますと、たとえば伊豆長岡町という町は温泉場ですが、温泉そのものは被害を受けなかったからよかりそうなものですが、私の調べたところでは、一番多いところで、申し込みの取り消しが一軒で四千五百人くらい、十月のかき入れどきの減収がそういう状態です。これが修善寺とかほとんど全部がそういう状態です。それがはっきり現われている実情を申しますと、あの温泉場地帯には労働組合がどんどんできております。というのは、従業員にほとんど給与を払えない状態であります。そういう状態ですから、当然これは減収として税金にも大きく響いて参ります。復興が相当程度軌道に乗るまではおそらくこれが続くと思います。従ってそういう意味の減収が非常に多いわけであります。これは当然はっきりした減免でなくて、そういうものが多い。こういうものについては、何らかの措置を別途お考えになっておりますかどうか。  この点と逆に、町村の方は支出は非常によけいになるわけであります。私も町村長をやっておりましたからよくわかっておりますが、何しろ今までやったことのないような、一村で十三億もの土木事業だけでもやらなければならぬということになりますと、これにはたとえば農地については三分とか、農業用施設については四分とか、公共施設についても四分とか、いわゆる事業費はついてはきます、ついてはきますけれども、その相当部分というものは実は吸い上げられてしまう点が多いわけです。しかも、それをやらなければ現地の復旧はできない。こういう状態になりますので、これにたえていくためには町村の支出というものは非常によけいになるわけであります。今ずいぶん節約もしているようでありますが、幾ら節約しても節約はし切れないと思うのでございます。そういう場合の支出は多くなりますけれども、逆に収入は、減免したもの、あるいは自然減収とでも申しますか、そういうものも含めてほとんど収入はなくなるというのがここ二、三年は続こうと思います。そういう場合には、普通だと特別交付税を二%程度やるということになろうと思うのでありますが、これもはっきり二%でやれるものかどうか、あるいはそれでもなおかつ足りないという場合においてはどうするかということでございます。県の案によりますと、相当締めてやって、それでも赤字が出るというような一応の見通しのようでありますが、私は、そう甘くいかないというふうに見ているわけであります。こういう点について何らか具体的な自治庁のお考えがありますかどうか、明確にお伺いしておきたいと思います。
  64. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今年度分の普通交付税の決定は終っているわけであります。その際に見込んでおりました基準財政収入額、これが災害によって予定通り確保できない。そこで減免額につきましては、あるいは特別交付税、あるいは今提案しております法律による地方債というようなことで運営を円滑にやってもらう、こう考えておるわけであります。もとより災害諸施策の費用につきましては、地方債でやりくりをしてもらう。そういう地方債につきましては、将来元利償還額基準財政需要額に一定部分加算されていくわけでありますので、財政収入が入ってきません限りは、それらの財源が補償されていくということになって参ります。来年度以降は、来年度状態において基準財政収入額を算定して参りますので、収入の減少して参りますものは、当然交付税の計算上、その姿において出て参るわけでありますので、交付税の交付額は当然増加していくことになって参るわけでございます。
  65. 久保田豊

    久保田(豊)委員 もう一点お聞きしますが、この政府案の第一条の二の方に「風水害に係る災害救助」云々というように、特に経費の膨張する面について起債を認める事業がある程度限定してあるわけです。ところが実際に一番出るのが、つまり公共その他の復旧事業とそれに連関する仕事でありますが、これは事務費といいますか、正規ないわゆる農地そのものの事業の方に使うのではなくて、その事務をやるために相当大きなものが要るわけであります。今の事業費についても、事務費が四%とありますね。それだけでは実際にはとてもやり切れないだろうと思います。今はどうかといいますと、こういうことをみなやっております。町村ではしようがありませんから、土木屋を臨時に頼むわけです。そうしますと、これは飯を持って一日千五百円くらいどうしてもとるのであります。それでなければやりません。そういうのを四人も五人もやっていかなければならぬというと、これだけの事務費ではとても足りないのです。それだけではとうてい復旧事業ができません。またそのほかにもたくさんの経費がいろいろかかるわけであります。そういうものはこの中に、「その他これに類する命令で定める災害対策に通常要する費用」、こういうぼけた表現になっておりますが、この中に入るのですか、入らないのですか。
  66. 奧野誠亮

    奧野政府委員 法律の第一条の第二号に列記をしておりますものは、そのほかに農産物対策の費用でありますとか、畜産対策の費用でありますとかいうような言葉を命令で書くようにいたしておりまして、なおこれらに類する費用というような表現も加えたいと思っております。そういう意味で、もし御指摘の点が農産対策に当るのだということであれば、これに入ると思います。そうでなしに、あるいは図面を引くために土大関係の技術者を雇ってきたのだ。ところが、それが一律四%の計算ではとてもまかなえないのだというようなことでありますならば、起債復旧事業費という言葉では当然読める費用じゃなかろうか、こう思うわけでございまして、起債の額を決定する場合の見方の問題に落ちてくるんじゃないだろうか、こう存ずるわけであります。
  67. 久保田豊

    久保田(豊)委員 これはいずれ命令でこの事項、事業対象をはっきりきめることだと思いますが、その際、単に営農復旧のためにいろいろの町村としての事業をやらねばいかぬということではなくして、当面ここ二、三年は、そういうことよりは、今申しましたような公共ないしは農地農業用施設等の復旧をやるための、いわゆる純粋の意味の事業費でない経費が非常にかかります。私どもは自分でやったことがありますけれども、特に今度のような災害の場合は、町村は特殊な土木技術者をほとんど持っておらないわけでありますから、これを一時全部借り上げをして、そうして工事監督もやらなければいかぬ、何もやらなければいかぬということになりますから、そういう経費が非常に膨張すると思います。従ってそういうこともぜひ入れていただきたいと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  68. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話の点で、どういうような具体的なつかみ方をすればめんどうを見られるか、よくわかりませんので、また別個に具体的にお教えをいただいて検討して参りたいと思います。
  69. 久保田豊

    久保田(豊)委員 もう一点。起債についての査定といいますか、こういう点はどういうふうにおやりになるつもりですか。今まで私どもの聞いた点は、十万円以下の単独災害についての起債の一件々々についての査定は、中央としてはやらないというふうなお話です。やるとしても、抜き取り程度である程度やる。おまかせした県の方で大体やるというふうなお話であります。今言ったように、一件々々について必要な設計書なんていうことは、とうてい件数が多いので、実際にこれを書く人がいないわけです。それをやっておったら大きな方の災害の方に手が回らぬというのが実情であります。従って、これに応ずるような簡便な措置をとるように県の方へ私どもとして働きかけて、県もどうやらそういう措置をとり始めておるようでありますが、書類の点と、起債についての査定の点はどんなふうに扱われるおつもりか。これは非常に大きな問題で、これで非常にやかましいことをいわれると、一村で多いところは小災害が千件以上もありますから、そういうのを一々めんどうくさい設計書を作らせていったら、ほかの仕事が全部ストップしてしまう状態にあります。町村としましては、こういう仕事をほかに回してやるというようなことはできたものでもなし、おそらくそうはしないと思います。これらについての書類はどういうふうにされるのか、また査定はどうされるのか、お伺いいたしておきます。
  70. 奧野誠亮

    奧野政府委員 まだ公共災害査定が確定いたしていないのであります。確定し次第、これを基礎にして府県別に一定のワクを割り当てて、そのワクの中で市町村ワクを決定される。その場合には、御指摘になるように一件々々のこまかな査定の仕方をすることは私も不適当だと思います。国が府県に割り当てます方式に大体準じたような考え方でいく方がよろしいんじゃないかと思っております。
  71. 久保田豊

    久保田(豊)委員 大蔵省見解をお伺いいたしますが、今渡海さんとのやりとりをお聞きしましたが、どうも大蔵省見解は、私どもとしては納得がいきません。これは交付税とは別途の財政措置をするのが当然だと思う。この問題の最初からの経緯から見ましても、そうされるのが当然だと思います。実情にもまたその方が十分合うと思うのであります。特に大蔵大臣も、この前予算委員会等で質問をいたしましたときは、非常に政治的な答弁で、心配するな、こういうことでした。なおその後佐藤さんや主税局長等も、国会ではなかったけれども、会ってお話ししたときも、その点は大丈夫だから心配するなというお話であります。それが今の段階になって、まだあなたの方と自治庁見解の統一をされないということで法案にも盛られない、あとどうなるかわからぬということでは、政府が、現地においても至るところにおいて約束してきたことが公約違反になるわけであります。いろいろこまかい御見解があると思いますが、どうも私どもの聞いたのでは、自治庁の持っておる財源の中へこれを押し込んでしまえばいいじゃないかというふうな印象を受けざるを得ない。結果はおそらくそうなってくるんではないかと思います。こまかい議論はやめますけれども、ぜひこの点はもう一度考えて、あらためて政府の公約通り、これを早急に政府部内の意見を統一をしてもらいたい。われわれの前で、それは自治庁見解だ、私の方はこういう見解だと言われても、それは政府部内の問題であって、部内で問題を議論されればいい。こっちにはまとまった結論を持ってきてもらいたい。そうでなければどうにもなりません。至るところで総理も現地においてはっきり確約をされ、山口国務相も現地において町村長を前にはっきり確約され、国会の予算委員会においても確約をされた事項が、この法案に盛られない。そんな無責任な行政のやり方はないと思います。ぜひ一つこの点は、責める意味じゃございませんけれども大蔵省側としても、いろいろの理屈はあろうと思います。理屈を言えば切りがないもので、どっちも理屈の立てようはあります。しかしながら、この問題の発端がそういうところでなかったということははっきりしている。しかも現地の実情からいいますと、特別の財政措置をしてもらわなければ、交付税でやられたのではやっていけないという実情でありますので、この点も単なる理論や理屈でなくこれをやって、とにかく現地のひどい災害の復興を早く軌道に乗せてもらわなければ困るわけです。私は決しておどかす意味じゃございませんけれども、来年の六月に植付ができないというようなことになりますると、これは大へんな騒動になります。しかもその結果は、地方財政なんというものはめちゃめちゃになるわけです。財政問題等において片のつく程度の問題じゃなくなります。非常に現地はそういう意味において今あせって、険悪になってきております。そういう事情も十分考慮せられて一つ早急に——今まで私どもに、与野党、政府を通じてお約束をいただいておったことも、自治庁見解に私は集約されると思う。ぜひそういう線で大蔵省としても再考されて、早急にまとめて、そしてこの法案の修正に応じていただきたいということを申し上げておきますが、これに対して何か御見解がありますれば伺っておきたいと思います。
  72. 相澤英之

    ○相澤説明員 前に申し上げましたことを繰り返すようになるところは省略しますが、私は、本件に関しましては、この法案の閣議決定あるいは今回の起債特例を出す際に、おおむね元利償還金についての財源措置交付税でやるんだという建前になっておるというふうに承知しておりますから、先ほどのような答弁をしておるわけであります。なお、御意見の点は十分検討いたしたいと思います。
  73. 鈴木善幸

    鈴木委員長 次会は明十九日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十四分散会