○相澤
説明員
農地の小
災害の
起債及びこれに対する
元利補給の問題についての
大蔵省の
見解いかんという御質問でございますが、従来
農地につきましては
起債がどうなっていたかと申しますと、それが一件の
金額十万円以上で
補助対象になっております場合の地方
負担、それからそれ未満の
金額で
市町村の単独
事業として取り上げている場合の地方の
負担、それに対する
起債は、これは
起債の詮議
方針の上から参りますと、原則としてしぼっております。その表現は、これは
農地とは書いておりませんが、「私有財産の改良または
復旧に関する
事業に対しては、
受益者負担金を考慮し、
起債を
財源とすることが適当でないと認められるものについては、
起債を許可しないものとする。」これは
昭和三十三
年度地方債に関する許可実施細目にそういうことがうたわれておるのでございますが、同様の
趣旨の規定は、三十一
年度でもあったと思いますが、以降入っておるわけであります。それ以前はこういった縛りがございません。そこで
農地も私有財産といたしまして、その改良または
復旧に関する
事業については、ここに書かれております
通り受益者負担金を考慮し、
起債を
財源とすることが適当でないと認められるものについては
起債を許可しない。しかしながら、
市町村がこれを取り上げて、
市町村の
災害復旧事業として行う場合も、全然これは否定しているというものではないのでありまして、現に私
どもの直接取り扱っております理財局の地方資金課の調べによりますと、三十二
年度におきましても、
農地の
災害復旧事業に関する
地方債の承認額は二百五件、四億四千六百十万円に及んでおります。このうち過
年度災害の
補助が百四十三件の二億九千九百六十万円、現年発生の
災害の
補助事業が四十五件、一億一千七百六十万円、それから現年発生の単独
事業といたしまして十七件、二千八百九十万円という
起債を認めております。そこで、
農地の
災害復旧を
市町村として取り上げることはむしろ例外的でございましょうが、しかしながら、その
災害の
程度とかあるいは態様によりまして、
市町村がこれを自分の
事業としてやるということはあり得ることでありますし、まあ同じ私有財産と申しましても、
農地に関しましては、現に国もその
災害復旧の場合について、一件十万円以上のものは
補助をする。普通の商工業者の
災害と違いまして、この方は
施設その他については全然そういった手当をしておりませんけれ
ども、
農地の方は政策上の観点から、従来ともそういった国の手当なり、また
地方団体が自分の
事業として取り上げることもこれはやむを得ないのじゃないか、差しつかえないのじゃないか、そういった観点からこういった
地方債も認められておったのであります。
そこで今回の
閣議決定の
趣旨は従って私
どもといたしましては、従来全然認めていない
農地の
災害復旧に関して
地方債を認めるという
趣旨ではなくて、そういう例外的に認めるという従来の立場ではなくて、原則として今
年度に関しては
農地の
災害復旧についての
地方債を認めるのだ、こういうふうに解釈しているわけでございます。そこで、このような
農地の
災害復旧に関する
地方債について、
元利償還金がどのようになっているかと申しますと、これは従来の他の単独
事業に関する
元利償還金と同じく、
昭和三十二
年度までは
特別交付税において、
昭和三十三
年度以降は普通
交付税においてその償還額の二八・五%を見ることになっております。
昭和三十三年について申しますと、総理府令の第七十三号、
地方団体に対して交付すべき
地方交付税のうち普通
交付税の額の算定に関する総理府令の第六条におきまして、途中文章を少し省略しますが、「
国庫の
負担金を受け、若しくは受けないで施行した暴風、こう水、高潮、地震その他の異常な天然現象によって生じた河川、海岸、堤防、砂防
施設、道路、都市計画
事業による
施設、港湾
施設、
農地、
農業用施設、林業用
施設、漁港
施設その他の公共用
施設及び公用
施設の
災害復旧事業にかかる経費」云々とありまして、「の
財源に充てるために起した
地方債」または「当該
年度分の
元利償還金」、これにつきましては一円につき九十五銭の三割、すなわち二十八銭五厘を見るというようなことになっておるわけであります。そこで過去におきまして、
農地の
災害復旧事業にかかる
地方債として発行されましたものにつきましては、その
元利償還金の二八・五%がここにおいて見られておるわけでございますから、今年発行いたしました
地方債につきましても、国としての手当を厚くする必要があれば、その二八・五%の率を倍ないしそれ以上に引き上げるということが
考えられるのではなかろうか、そういった手当によりまして、現に
被害を受けまして
農地の
災害復旧事業を施行しました
地方団体については、その
元利償還に必要な
財源が
保障されるのではないか。こういった観点から私
どもとしましては、
交付税の配分を通じましてこの
元利償還金の問題を処理すべきではないかというふうに
考えております。現に公共土木等の
補助を受けて行う
災害復旧事業につきましては、その
元利償還金の九五%を普通
交付税の算定基礎に織り込んでおりますことは皆さん御承知の
通りでございまして、この
補助事業の場合の九五%と単独
事業の場合の二八・五%の開きが、すでに現在におきまして
相当大き過ぎるという点についても批判があるのでありまして、この際これを引き上げることは、私
どもといたしましては妥当な
措置ではないかというふうに
考えております。