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1959-03-26 第31回国会 衆議院 大蔵委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十六日(木曜日)     午後二時三十六分開議  出席委員    委員長 早川  崇君    理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君    理事 坊  秀男君 理事 山下 春江君    理事 石野 久男君 理事 佐藤觀次郎君    理事 平岡忠次郎君       内田 常雄君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    鴨田 宗一君       進藤 一馬君    田邉 國男君       竹下  登君    西村 英一君       濱田 幸雄君    福田  一君       福永 一臣君    古川 丈吉君       毛利 松平君    春日 一幸君       竹谷源太郎君    廣瀬 勝邦君       松尾トシ子君    横山 利秋君  出席政府委員         法制局長官   林  修三君         法制局参事官         (第三部長)  山内 一夫君         公正取引委員会         委員長     長沼 弘毅君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  坂根 哲夫君         大蔵政務次官  山中 貞則君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         国税庁長官   北島 武雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    吉國 二郎君         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      泉 美之松君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部組合課長) 井土 武久君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月二十六日  委員石村英雄君辞任につき、その補欠として足  鹿覺君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第一七八号)      ————◇—————
  2. 早川崇

    早川委員長 これより会議を開きます。この際申し上げます。昨日小委員長より審査経過報告を聴取いたしました酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本日の理事会においてその取扱いを協議いたしましたところ、これより直ちに委員会において審査を行うことになりましたので、御了承願います。  続いて酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。竹下登君。
  3. 竹下登

    竹下委員 いろいろ論議が重なっておりましたが、最初に政務次官にごく簡単にお聞きいたしたいと思います。  清酒というものにつきましては、原さんの答弁その他いろいろな答弁からも、非常に大きな問題としては、原料統制であるということが一つ、いま一つは、酒税確保という問題、この二つの問題点を大きく表面へ出しますならば、これは勢い計画経済という問題になってきます。しかしながら、わが国経済全体の動向とか、また基本的な経済のものの考え方からいたしますと、おのずから自由競争というものが前へ押し出されてくる。法律的に酒税の問題を見てみましても、戦前に比べて、今やまさに販売価格の中における酒税の持つパーセントというものは非常に高くなっておる。これも一つ国家経済動向に基いて、ケース・バイ・ケースと申しますか、そういうことになってきたということが是認されるわけでありますが、まず第一に私がお尋ね申し上げたいことは、計画経済自由経済との調和点と申しますか、そういう問題を、この酒類に関して基本的にどこに求めるという考え方であるかということをお伺いいたします。
  4. 山中貞則

    山中政府委員 私どもの党と申し上げることは、今の立場上あるいは言い過ぎかもしれませんが、自由民主党の作っております内閣考え方としては、やはり統制経済というものが過去のやむを得ざる事由によって存続しているものがありますならば、その存続せざるを得なかった理由等もよく考えながら、やはりわれわれの原則である自由主義経済に逐次直していくということが、私どもの変りない政策の基本でなければならぬと思っております。今大きな問題としては、米の統制と今の酒の統制が残っておるわけでありますが、私どもは、今申した原則にのっとりまして、なるべく近い将来にこれは原則自由経済に乗せるべきものであろう、こういう方針は一貫して持っておりますし、また私どもはそうすべき立場の者ではないかと思っております。ただ、しかしながら、今日まで非常に特定の部門にだけそういう状態が残っておりましただけの理由が、酒屋業界と申しますか、酒造界にそれ相当理由があるわけであります。その理由を十分に考え、かつまた半面今国の三税の基本となっております酒税を野放しにいたしました際には、いかにして確保していくかということも、また考えていかなければならない半面の大きな要素でありましょうから、私どもといたしましては、原則は将来自由に持っていくんだということに置いて、しからば、その自由を求めるために、しかもなるべく早くやろうとするならば、いかような点を、酒税確保立場から、しかも急激な変革を伴わずに実現していくかという点において、苦慮しているところであります。
  5. 竹下登

    竹下委員 基本的なものの考え方はただいまよくわかりました。そこで、わが国経済動向から申しましても、酒税確保の問題について苦慮しておるとおっしゃったのでありますが、その酒税の問題につきまして、現在から将来に対して減税というのは理想でありますが、酒税の持つパーセントというものは、どの程度までいくのが最も妥当な線であるとお考えでありますか。
  6. 山中貞則

    山中政府委員 将来どの程度ということを簡単に規定することも非常に困難な性格のものかと思いますが、現在三税収入の約六五ないし七〇%のうちに、酒税の占めておりますものが二〇%でございまして、大体三税の文字通り三分の一を占めておるという形を示しておりますので、将来これをもっとふやす気か、あるいは将来は酒税というものを減らす気かということになりますと、これはまた基本的に検討も加えなければならない問題でありますが、現在のパーセントは大体三税の中の大きな一本の柱で二〇%程度であるので、この程度酒税確保ということは、やはり将来わが国財政収入の面において、なるべく確保していきたい。パーセントだと考えております。
  7. 竹下登

    竹下委員 二〇%程度のものを、将来わが国財政状態からいって、確保していきたいという基本的なお考え方のようであります。そういう考え方に基いた場合、やはり酒税保全という考え方から、どうしても自由競争場裏に置く以前に、計画経済としての酒造業そのもののあり方があるのじゃなかろうかという強い印象を受けたわけでありますが、その問題は別といたしまして、さらに酒税の今後の推移につきまして、これは主税局長にお尋ねしたいのでありますが、将来造石税にするお考えがあるかどうか、御意見を承わりたい。
  8. 原純夫

    原政府委員 ただいまの酒税税金の取り方は、造石税ではなくて、移出税でございますが、別段これで非常に困るとか矛盾があるとかいうような声を特に強く聞いておりませんので、私ども、さしあたりの問題として、造石税にするということはただいまのところ考えておらないわけであります。何か検討すべき点がありますれば、聞かしていただいて、検討さしていただきたいと思います。
  9. 竹下登

    竹下委員 私が造石税と申しましたのは、造石税の場合、一定の率によってその元酒に対して税を賦課していく、それでそのあとは野放しの自由競争にするという造石税の場合の方が、現在の移出課税の場合よりも、自由経済としての要素をよけい持っておるんじゃなかろうかという考え方からお尋ねしたわけであります。そうすると、手続の煩瑣な問題とかいろいろございますけれども現行制度においてあまり支障も起っていないし、現行のままで進めていきたいというお考えでありますが、そのお考えの裏から申しますと、ここでさらに酒税確保のためにも、酒類業全体の計画経済のにおいというものがよけい強く出ておるんじゃなかろうかというふうに、私なりにそういう感じを持って承わったわけであります。  さらに、いささか矛盾した形になりますけれども、現在の密造酒の問題でありますが、これにつきまして、これは非常に逆説的な考え方でありますけれども、昔から大体老若男女、日本全国民を通じて、一人当りおよそ一斗の酒を飲むというのが一つの常識のようにいわれておったのであります。科学的根拠は希薄でありますけれども、そうなりますと、現在ビールの消費が非常に上っておる。洋酒、雑酒等がありますけれども、これをおよそ十五度程度に換算いたしまして、七百五十万石程度じゃなかろうか。もっと厳密な資料があれば別でありますけれども、私の計算ではその程度ではないかと思います。そうすると、ここに二百万石程度密造酒というものが逆にあるのではないかということが出てくるわけであります。密造酒がなぜ作られるかというと、これはやはり酒の値段が高いということが原因だと思います。この密造の問題を解決することによって、いわゆる酒類業界の混乱も起らないだろうし、また酒税確保の問題はもとより非常に大きな問題であろうと思いますが、この密造酒の絶滅と申しますか、予算も含めた対策についての一つ考え方を承わりたいと思います。
  10. 原純夫

    原政府委員 密造酒の問題はおっしゃるように非常に困ったことでありまして、量が二百万石あるかどうか非常にむずかしい計算ですが、私ども試算では、百万石ちょっとぐらいというような試算が一応出ております。かって二百何十万石、三百万石といわれておった時分に比べますと、それは八、九年前のことでありますが、その時分に比べますとだいぶ減ってきております。お話趣旨は、やはり酒税確保のために酒についてはいろいろな規制が要る、密造酒規制が要るということであろうと思います。私どもそれはその通りだと思っております。そのために、酒については免許制というような他の業界にない制度をしいておいて、生産販売のいろいろな部面におきまして、政府側としても、経済生産、流通が乱れないようにということを常に念じております。密造酒はいわばそういう規制からはずれるものでありますので、これを押えていかなければ、規制自体意味がなくなるということになります。御案内の通り密造酒については毎年度相当額予算を計上していただいて、これの抑圧、撲滅をはかるということで現在努力いたし、これに業界も十分御協力を願うという態勢でやっておりますが、半面、あまりに無理な税率でやると、密造への誘惑というものが非常に強いということも事実であります。そのために、戦後一時は非常に高い税率であったのが、その高いところから二度か三度減税が行われております。そしてやはりあまり高いのは持たないということで、だんだん下ってきているということが一つあります。また、酒類の中でも、密造に対して競争してこれをそういう自然の勢いで押えるというような意味において、しょうちゅうの税率というものは、アルコール度からいいますと、非常に安くなっているというようなことがございます。二十度しょうちゅうというようなものを特別措置法で作るというようなこともやっている。この辺には、だんだん酒税税率全般が軽減され落ちついて参ると、それがいつまでも今まで通りのバランスでいいかどうかという問題がありますが、ただいまのこの問題の対処方法を申し上げると、大体そういうようなところが密造問題についての対処の手段であろうというふうに考えております。
  11. 竹下登

    竹下委員 今のそれが密造酒の問題の一つ基本的な考え方だろうと思うのですが、それでは、密造酒取締り対策予算というもの、これは不勉強で知りませんけれども幾らぐらいですか。
  12. 泉美之松

    泉説明員 三十四年度予算におきましては、約一億四千万円を計上いたしてございます。
  13. 竹下登

    竹下委員 これは一緒に聞けばよかったのですが、たばこの方は幾らでありますか。
  14. 山中貞則

    山中政府委員 今来ておりませんので……。
  15. 竹下登

    竹下委員 それでは、たばこの方はあとから承わります。私が一つ印象として受けることは、たばこと酒とで、専売益金税金性格は異なりますが、財政収入の面からこれを同一視してきた場合、予算的にたばこが非常に大きくて、酒が少いのではなかろうかという感じを持っております。これについては、将来の問題でありますので、政務次官におかれまして、将来その問題を善処していただきたいと思います。  さらに、ここで一つ、これは私の研究した問題についての全般的な問題になりますが、密造酒取締りという見地からでなく、ここに俗に米酒交換制度と申しますか、私どもの方では委託醸造という言葉を過去において使っておったのでありますけれども供出米完納農家に限り、一定限度内においての米酒交換制度というものがあるが、これについての考え方を承わりたいと思います。
  16. 原純夫

    原政府委員 前から米酒交換の問題はいろいろ御要望があるのでありますが、農家への特配というのはまだ現在も残っております。そういう面で、ある程度農家の酒の需要を安い税率の酒で満たすということをやっているわけでありますが、さて、密造に全面的に取り組むといいますか、密造を押えるというような意味で、米酒交換というようなこと、しかもそれを非常に安い税率でやるということになりますと、ほんとうに密造するよりも都合がいいということになりますが、何かその辺で、税率が安いと結局公認された密造ということになってしまうわけで、農家だけは酒税を払わないで酒が飲めるということになる。それは結局、裏返していえば、密造にまるきり頭を下げてしまったことになるのです。おっしゃる趣旨は、そこまでいかないでも税率の適当なところでやれということになるのでしょうが、やはりここまでくれば、一般の税率で押えていくことがいいのじゃないか。さて、軽減税率幾らで自由に米酒交換をやらせるかということは、ちょっとなかなか判断することがむずかしい問題じゃないかというような感じが私はいたします。そういうようなこともあって、年来その問題が提起されておりましたが、現在の密造の問題については、要するに密造はなくしたいというかまえで進んでおる次第であります。
  17. 竹下登

    竹下委員 ただいまの御答弁を聞いておりますと、まだただ単に原さんの感じ程度であって、いわゆるこの密造酒対策についての米酒交換制度というものについて、部内において検討を加えられたことがないという印象を受けたのでありますが、これについて部内において何らかの検討を加えられたことがあるかないか、お伺いします。
  18. 泉美之松

    泉説明員 米酒交換制度につきましては、昨年たしか奧村委員からもお話がございまして、国税庁といたしましては、この制度につきましていろいろ検討をいたしておるわけであります。一つ問題点は、御承知のように、現在清酒につきましては年々生産計画というものを立てておりまして、三十四、五年度において三百四十九万石という生産計画を立てておるわけでありますが、米酒交換制度を取り入れるということになりますと、これの生産計画との関係からいたしまして、技術的に非常に困難な点が出てくるわけであります。というのは、米酒交換数量一定限度に押えるということは当然行わなければならないと思いますが、米を幾ら持ってきた場合に酒幾らを渡すという制度でございますから、それを全国各地域になかなか計画的に行い得ない面が出てくるのであります。確かに、米酒交換ということは、密造防止のためには非常に大きな役割を果すであろうと思われるのでありますが、いま一つ清酒の計画的な生産消費の体系からいたしますと、大きな拡大要素になる。こういうような点につきまして、どうもなかなか踏み切るまでに至らないのが現状であります。
  19. 竹下登

    竹下委員 ただいまのお話を承わっておりますと、この米酒交換につきましても問題点はございましょう。なかんずく原料米統制の問題もございます。事実上、米の問題にいたしましても、供出完納農家に限るといったところで、それでは、供出完納農家はそれだけ余るかということになると、食わないで酒を飲んでいるのだというような逆説も成り立つというようなことで、いろいろ困難な問題がありますが、ここで、私は、今の泉さんの答弁からいたしまして、米酒交換というものには一定限度もあるし、また原さんの答弁の中にもございました、いわゆる酒税に関してこれをゼロにするわけでもなく、ある程度ということはもとより私の考えの中にあるわけでありますが、今の答弁からいたしましても、ここから出てくるものとして、この米酒交換制度生産高に対して一つの混乱した要素を投げ込むのじゃなかろうかというおそれがある。そこにおいても、私は、やはりこの清酒醸造自体が、統制経済というよりも、計画経済のワクの中で物事が考えられる面が非常に強く出ておるという印象を受けたのであります。そこで、総合いたしまして、私が政務次官から承わりました、酒税というものはやはり将来二〇%程度確保していきたいという一つの声、また移出課税というものが私のものの考え方では造石税より計画的なものではないかということ、ただいまの米酒交換自体計画生産に対しての一つの混乱させる要素を持つということ、それぞれの答弁から承わりましたところにおきましては、この計画生産計画経済の占める分野が酒造業自体に非常に大きなウエートを持っているという印象を強くいたしたのであります。さすれば、ここに公債撤廃の問題が起きてくるのでありますけれども、その計画生産計画経済の中において、しかも公債撤廃という自由主義経済理論の上に立った大原則というものをどう調和させていくか。その調和一つ方法として、ここにこのたびの酒団法改正が出されたのではないかというふうに解釈をいたすわけであります。
  20. 奧村又十郎

    奧村委員 ちょっと関連して。  米価交換につきましては、ただいま泉間税部長からの御答弁にもありましたように、前回の当委員会において御質問申し上げたところ、政府としては必ず近い機会に、これはぜひ実現したい、そのように研究する、こういう御答弁をいただいたのでありますが、ただいま竹下委員からの御質問に対しての泉間税部長の御答弁によりますと、考えてみたがどうも困難な点があるので結論を得ておらぬ、こういう御答弁であります。しかし、今度の酒団法改正案につきましては、価格の問題だけじゃなしに、生産数量販売数量などの数量協定の規定も含まれて、これに対しては御承知通り特に改正案の中に合理化のための数量協定という修正が行われておる。従いまして、それに関連して米酒交換に対する政府の明確な御方針をここで言明が願いたい。そこで、泉間税部長の御答弁はいろいろ差しさわりがあるということですが、一体どういう差しさわり、困難な点があるのか、あるいは農林省原料米の御相談の上に差しさわりがあるのか、あるいは数量協定の上に差しさわりがあるのか、そこらをもう少し明確に困難な点を御指摘になり、できるだけ解決しようという政府熱意のほどを示していただきたいと思うのであります。
  21. 泉美之松

    泉説明員 奧村委員からのお話でございますが、前国会私が御質問を受けましてお答えしたのでありますが、あのときは実現するということは申し上げなかったと思います。ただ、この制度につきましてはいろいろ検討すべき点が多いので、十分検討もしたい、こういうように申し上げたと思うのでございます。  その検討の点は、第一は、農林省との関係で、供出といいますか、今は予約制度でございますので、予約数量を出したあとの問題になるわけでありますが、農林省としては、できるだけ多く食糧用米を集荷して国民に配給いたしたいという見地から、予約農家が全部予約量を出したあとであっても、それについて自由に販売するとか自由に交換に持っていくということについては、非常な異論があることは御承知通りかと思います。この点が一つでございます。それから、いま一つは、先ほど竹下委員にお答え申し上げましたように、現在の清酒製造業者計画生産量をきめておりまして、その生産量に基いて各醸造家幾らずつ生産するということをきめておるわけでありますが、もし米酒交換制度をとるということにいたしますと、どうしても農村の付近の酒造家の方へ交換の申し込みが多くなってくる。そういたしますと、各業者の間の製造数量の予定が全然狂ってきてしまうということになるわけでございます。その点に現在の業界といたしましてはなかなか困難な点があるわけでございます。     〔委員長退席坊委員長代理着席
  22. 奧村又十郎

    奧村委員 竹下委員の御質問にもありますように、密造をなくするということのためには、米酒交換制度が一石三鳥の非常に効果のあるやり方なのだ。今の間税部長の御答弁によると、農林省の方が反対するのだ。それはこの制度を認めると、予約米供出が減る心配があるということでありますが、現に、御承知通り東北六県とかあるいは高知県とかは、非常に農家どぶろく密造が多いのです。どうせどぶろくにつぶすような米があるのなら、それを供出に回し、その供出に回した一部の米を清酒にする。御承知通り正規醸造家にまかして作れば一升の米が四升の酒になる。ところが、ないしょでどぶろくを作るということになれば、一升の米が一升五合の酒にもならぬ。しかも、ないしょでやりまするから、中には腐らす。また衛生上はなはだ悪い。密造地帯におきましては、農家の方の中には、胃かいようとかあるいはいろいろな胃病にかかって手術をする人が多い。これはどぶろくを飲むためであります。従って、保健衛生上からもこれはやめなければならぬということなら、どぶろくにつぶす米を一部正規醸造家に回せば、税金も入る。米も有効に使われる。私のこの前申し上げたのは、予約米を十分に完納したあげくの農家だけにこれを許す、農家にしても、そういう恩恵をもらえるなら、無理にでも予約米を出して、その上でどぶろくの分を一部さいて酒にしよう、こういうのでありますから、農林省にしてもいわば予約米奨励になる。そのために、大蔵省は、従来いわゆる供出米奨励のために、供出米に対して清酒なり合成酒特配を出してこられた。その精神をくみ取るならば、これは何でもない。農林省が反対するというのだが、一体農林省食糧庁のどなたとどのように御相談をなさって、どういう理由で反対なさるのか、そのお話の内容を一つ。そうじゃないと、政府の御熱意のほどがどうもわからぬ。
  23. 泉美之松

    泉説明員 食糧庁は業務第一部長とそれから総務部長、その辺と私どもは接触いたしておるわけでございます。お話のように予約数量を全額出したあとということでありますけれども一体予約数量幾ら出せばいいかという適正量は、個々の農家についてきまっておるわけではないのであります。そこで、農林省といたしましては、そういう制度を出しますと予約申し出数量が減りまして、予約した数量だけはなるほど農家として出していただきましても、予約のもとの数量が減っておったのでは工合が悪い、こういう点からいたしまして、また予約制度につきまして、そういう特典と申しますか、優先権をつけるのはどうだろうか、こういう点から反対があるわけでございます。
  24. 奧村又十郎

    奧村委員 大体二百万石ともいわれる密造のしょうけつを大蔵省は根絶せしむることができない。それなら何とか、この取締りだけでなしに、法制上もう少しきめ手を探さなければいかぬ、こういうことから米酒交換制度を申し上げておるのでありまするから、政府ももっと熱意を込めておやり願わなければいかぬのです。農林省が賛成せぬといわれるけれども、私どもの言うのは農家から出された保有米、これは予約米の中に含めて食管へ入れる、そうしてこれを醸造家の方へ特配する、こういうことでありまするから、予約米は減るのじゃない。当然、国で一括して納まった米の総ワクから、清酒の方へ、あるいはみりんの方へ分けるのでしょう。現に、去年の二月ですか、いろいろなこういう運動があって、一応割当が済んだにかかわらず、食糧庁の方が一万石また特配をするとかせぬとかいう話もあったのであります。そうすれば、これは農林省がで、間税部長農林省へ持ち込まれる御熱意のほどが少し足らないように思うのです。そこで……。
  25. 坊秀男

    ○坊委員長代理 ちょっと速記をとめて下さい。     〔速記中止〕
  26. 坊秀男

    ○坊委員長代理 速記を始めて下さい。
  27. 奧村又十郎

    奧村委員 竹下君を差しおいてまことに恐縮ですが、私も、竹下君の質問が終ったら、あとで独禁法と今度の酒団法改正案の諸規定の関係を十分お聞きしたい。ここには公正取引委員会の長沼委員長がお見えであります。また事務局長もお見えでありますが、内閣法制局長官主税局長、三者で一つとっくり法制上の問題をお聞きしたいと思います。しかし、法制局長官がまだお見えでありませんので三者おそろいになりませんから、竹下君の御意見はどうかわかりませんが、私は委員長のお指図に従いたいと思います。
  28. 坊秀男

    ○坊委員長代理 この際暫時休憩いたします。     午後三時十四分休憩      ————◇—————     午後三時四十八分開議
  29. 早川崇

    早川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹下登君。
  30. 竹下登

    竹下委員 ちょっと途中で関連質問にとられまして、いささか議論が中断いたしたかの感がありますが、以上の問題についてはしばらくおくといたしまして、次に酒団法自体の問題であります。これは九十三条でございますか、独禁法の大きな除外規定であるというふうに私は解釈いたしておりますが、この場合、いわゆる再販価格の問題は、国税庁としては酒類のどれを対象としてお考えになったものであるか。
  31. 泉美之松

    泉説明員 これは先般小委員会奧村委員質問にお答え申し上げたのでございますが、国税庁といたしましては、この法案ができ上りまするならば、洋酒とビールを指定いたしたいと思っておるわけでございます。そのうち、洋酒につきましては、現在独占禁止法の方ですでに指定がなされております。
  32. 竹下登

    竹下委員 私がお尋ねいたしましたのは、この前、私ははっきり記憶しておりませんけれども、あるいは特級酒という言葉があったやに記憶いたしております。速記録を見ておりませんので、その点承わりたいと思います。
  33. 泉美之松

    泉説明員 お話のように、清酒特級につきましても再販売価格維持契約でやっていけるのではないかというふうに思っておるのでございますが、果してやっていけるかどうかにつきましてはなお検討いたさなければならないので、将来指定する見込みで検討中であるという次第でございます。
  34. 竹下登

    竹下委員 私、速記録を見ておりませんので、はっきりいたしませんけれども、特級酒の場合においては、指定する見込みということの前提の上に立って一応検討を今後お加えになる、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  35. 泉美之松

    泉説明員 さようでございます。
  36. 竹下登

    竹下委員 特級酒の場合につきましては特級酒というものが現在の状態からマル公がはずれてきて、将来の問題について思いをいたしますと、特級酒の問題も、勢い限られた少数メーカー、銘柄の通った少数のみにおいて特級酒が出されるという可能性がきわめて強いと私は思います。しかし、それ以上に、今のビールの問題になりますと、これは何としても少数独占でありまして、少数独占という形を今後より強くとるではなかろうかという懸念がございますが、その場合再販維持契約というものを締結することを妥当とお考えになるかどうか。この問題は公取の委員長からお伺いしたいと思います。
  37. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 御指摘のビール会社は御承知のように数は少いのでございますが、これは、経済上の規模から申しまして、あらゆる小規模の競争者が輩出するという性質のものではないと思います。従って、一種の自然独占のような形でありまして、他のアウトサイダーからやたらに競争させるということが自由競争だ、というふうには受け取れない性格のものだと思います。  それから、第二点は、ただし現在の数社の間には相当熾烈な競争が現実に行われておるわけです。簡単に話し合いがつくというふうにも考えておりません。ただし、価格の点について協定するということでありますと、これは、酒団法によりまして、一般消費者の利益に反するかどうかという観点から、大蔵大臣が認可をするかしないかというふうな問題になると思います。
  38. 竹下登

    竹下委員 非常に私は重要な点であろうと思います。むずかしい問題でありますけれども、自然独占、少数独占という形になった場合、やはり共同謀議した場合、私的独占というものが成り立つ。こういう前提に立ってものを考えますると、どうも現状においても少数独占、自然独占の形がとられておるという認識を私自身持っております。しかし、競争自体が行われていないわけでももとよりありませんけれども、再販契約はビールの場合は独禁法に触れるという感じが私非常に強くするのでありますが、この場合公取は認可をされますか。
  39. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 今度大体の法律の建前といたしまして、独禁法の再販売価格維持の二十四条の規定は、酒類に関する限りはこの酒団法に譲ってしまうわけでありまして、われわれの法律の直接適用はないわけであります。従いまして、認可をするとかしないとかいうことも、公取の立場から何とも申し上げられないのでございます。
  40. 竹下登

    竹下委員 これは法制局へ承わったが妥当かとも思いますが、独禁法というのは、私ども経済人の考え方から申しますならば、やはりこれは経済の憲法であるという強い前提の上に立っておる。その経済の憲法よりも、酒類に関する限りこの酒団法が優先するということについて、そのことは法的にはそうなりますけれども、いわゆる独禁法の番人という言葉は非常に失礼ですけれども、そういう建前からいって、酒団法において独禁法以前の効力を持つということに対する公取の委員長考え方を承わりたい。
  41. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 これは特別法と一般法の問題でございまして、酒団法は、一般法である独禁法に対する特別法でございますから、それがまず最初に適用されるということは法律の常識でございます。ただし、酒団法の方にも、独禁法と同様な、消費者の利益を害しない、販売業者の利益をやたらに害しないというふうな消極的な要件が盛られてありますので、その精神は大部分生きておるというふうに考えております。
  42. 竹下登

    竹下委員 いわゆる独禁法の精神といいますか、その大部分が消極的な要件として酒団法の中に生きておる、そのことはわかります。一般法と特別法の問題もわかりますけれども、あなたの考え方として、こういう独禁法というものが経済のいわば大憲法として現存する今日、非常に表現がむずかしい問題でありますけれども、こうした酒団法のような法律が、独禁法というものがある現在においてあることが好ましいかどうかという問題を承わりたい。
  43. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 私の私見から申しますと、適用除外法はできるだけ少い方がいいと思います。あまり多くなりますと独禁法の根本の姿勢がくずれてくる。これは御承知通りであります。しかし、酒類などに関しましては、特別な一つ要素がある。これは、一般の商品と違いまして、先ほども申されましたように、酒税確保という非常な大きな国家的要請があるわけであります。従いまして、特殊の法律を作ることもやむを得ないと思います。
  44. 竹下登

    竹下委員 だから、あなたの立場から申しますならば、酒税の担保という大きな国家的な任務をになっておる酒類であるがゆえに、独禁法自体からいうなれば、そうした特殊な特別法の問題は、気持の上では好ましくないが、少数やむを得ないというように理解していいかどうか。
  45. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 けっこうであります。
  46. 竹下登

    竹下委員 そこで、この問題については、非常に率直な御発言をいただいたと私は認識をいたします。この問題について、そうした公取の意思と申しますか、独禁法の精神というものからして、ビールの現状並びに将来を考えた場合に、再販売価格維持契約というものについて、大蔵当局の考え方というものを承わりたい。
  47. 原純夫

    原政府委員 ビールにつきましては御案内の通り非常に業態も大きい。協定価格というような制度は、実際に果して適当かどうかというような点がかなり疑問が出ると思います。一方、ビールの場合には、再販売価格維持契約を適用するに妥当するような業態的な構成は、酒類の中でも一番条件はあるのじゃないかというふうに私は考えております。もちろんどんな状態でこれを適用するかというのは問題でありますけれども感じとしてはそういう感じであります。
  48. 竹下登

    竹下委員 最後のところが聞き取れなかったのですが、今のどんな状態でというところを承わりたい。
  49. 原純夫

    原政府委員 ビールの取引と再販売価格維持契約というものとの関係をお尋ねでありますから、私どもは、ビールに再販売価格維持契約を適用するということは、多分にあり得ることだというふうに考えて申したのであります。ただ、適用の際に、公取法にありますような点については、公取委員会も先日の答弁で十分考慮したいということを言っておられるわけであります。
  50. 奧村又十郎

    奧村委員 関連して。  どうせ私は独禁法と酒団法との関連性を十分にお聞きしたいと思うのですが、今の御答弁はちょっと不明確でありますから、お尋ねいたしたいと思います。  竹下君のお尋ねは、どう考えても再販売価格維持契約にビールを指定するということは考えにくいのだが、一体どういう状態においてビールを指定しようとするのか、その状態をお尋ねしているのですが、これは私も聞きたいのです。洋酒、ビール、特級酒を指定するということは、前回の委員会において、ここにおられる国税庁間税部長で明確に御答弁になっておる。それだから、その中のビールは、どういう状態のもとに——ビールというものはやはり独占企業のような疑いを持たれやすい。だから、こういうものはどういう状態の場合にこういう例外の処置をするのか、そこをはっきり御答弁願いたい。
  51. 原純夫

    原政府委員 私は、ビールのように、業界が製造者と卸と小売という各段階に非常に系列的にできているというような場合に、再販売価格維持契約というものをやる一つの素地はあるのじゃないかと思っているということであります。実際に維持契約をやってそれを承認するという場合には、もちろん公取法の精神、規定というものも私ども十分考えなければいけませんし、公取委員会は、私どもの協議に対してその立場でチェックされるだろうと思うのでありますが、ビールは業態としては再販売価格維持契約を認めていい業態ではないかと私は思っております。
  52. 奧村又十郎

    奧村委員 そうしますと、だいぶ答弁が食い違ってきておりますね。洋酒の場合は、御承知通りすでにマル公が現在ははずれておるのです。これはあるいは考えられると思います。けれども、ビールの場合は、この酒団法改正案が通れば、再販売価格維持契約に指定しようか。しかし、先日の委員会においては、ここにおられる公取の事務局長は、ビールを指定する場合に、大蔵省から同意を求められても、公取としては直ちにこういうものを認めるわけにはいきませんという明確な御答弁なんです。そこで、竹下君の御質問は、それじゃビールの取引状態がどういう状態とか、あるいはどういう条件に立ち至った場合に指定するのか、こういう質問でありますから、それははっきり言うてもらわぬと審議が進まぬ。
  53. 原純夫

    原政府委員 私は、ビールにつきましては、大体再販売価格維持契約の対象になる酒の種類として指定してよろしいのではないかというふうに思っている。ただ、それについて、具体的に公取に協議するという場合には、具体的な場合々々について公取で御意見が出るだろうということを申したわけであります。
  54. 奧村又十郎

    奧村委員 主税局長、もっとあなたは明確に要点をはっきりと御答弁なさらぬと、当委員会としては、できるならば政府の御意思にも沿うてこれを早く審議したいというのですが、あなたの御答弁振りでは、これは審議が進みませんがね。今竹下委員質問に対してのお答えのように、公取の委員長としては、再販売価格維持契約というものはなるべく例外中の例外にしたい。その例外という意味はちゃんと書いてある。独禁法二十四条の二の二項に、この再販売価格維持契約を指定する場合は、「当該商品について自由な競争が行われていること。これの大原則がある。そこで、先般の委員会では、ビールの指定の同意を求められても、公取としては今直ちに同意はできないということを、はっきり事務局長は答弁されておる。そこで、一体ビールに対してこの例外規定を認めるについては現状でいかぬことは、この間の質問でわかっておる。そこでどういう状態に立ち至ったならばという竹下委員質問に対しては、明確にお答えにならなければ、一番の焦点がぼけてしまう。重ねて御答弁を望みます。
  55. 竹下登

    竹下委員 今の問題でありますが、原さんのお答えは、ビールを指定していいものと考えておる。そのかくかくしかじかの条件に基いて指定していいと、自分としては考えておる。それを一つ明確にお答えいただきたい。
  56. 原純夫

    原政府委員 私は、公取法や独占禁止法の第二十四条の二の再販売価格維持契約の前提となっておりますいろいろな条件に、必ずしもビールの取引が反すると思わないということを申し上げたわけであります。それは大業者でありますが、やはり四社の間では競争が行われるという態勢でありますし、かつそれぞれが系列化しておるということでありますので、品目として指定してよろしいのではないかと思っております。
  57. 竹下登

    竹下委員 そのところは指定していい要件にあると思う、こういうことでありますが、自由に競争が行われておるという認定の上にお立ちになっておる。将来このビールというものについては、共同謀議というと非常に語弊がありますが、少数独占という形がますます強くなる傾向というものをお考えになるかどうか。
  58. 原純夫

    原政府委員 その点は大へんごもっともな御心配であります。私どももそういう点は十分気をつけて参らなければならぬと思っております。
  59. 竹下登

    竹下委員 そういう少数独占が行われるおそれというものについて十分注意をなさるということですが、少数独占というものが行われるおそれがあるものならば、現段階において自由な競争が行われておっても、再販売価格維持契約というものに指定するということについては、やはり現段階においては、この指定というものをなさらない方がよくはなかろうか、こういう感じを私は受けたわけでありますけれども、かりにもし将来少数独占というものが行われた場合には、これをどうするか、こういうことについてお答えいただきたい。
  60. 原純夫

    原政府委員 少数独占が行われるといいますか、四社が何らかやみ協定みたいなことをやるというようなことがあった場合というお話であろうと思いますが、自由になった場合には、私どもとしては、極力、行政指導というと言葉は悪いですけれども、できるだけそういうことのないように気をつけたいと思います。
  61. 竹下登

    竹下委員 これは少数独占という言葉でもって最近特に言われておる問題でありますが、この少数独占の問題が行われないように極力注意しておるといっても、あなたの立場から申しましたならば、やはりこれは、酒税保全の問題が先に立った場合には、あえて少数独占をも許すというほどまでではなくても——少数独占の問題を行政的な立場から強く指導されるのは、これは公取の分野になるのではなかろうかという感じを私自身持つわけでありますが、これについて公取はどう考えておられますか。
  62. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 少数独占のような状態であることは確かだと思います。ただし、先ほど申し上げましたように、資本的規模から申しましても、だれでもが競争できるというものでも性格上ないと思います。従って、現状は好ましくない、やむを得ない状態であろうかと思っております。第二段に、数社が集まって不当な価格を協定するというようなことになりますと、これは私の方で同意いたしかねる場合があると思います。
  63. 竹下登

    竹下委員 不当な価格を共同謀議するというような状態が見えた場合には、同意いたしかねる場合があるということですが、現段階におきましては、そのおそれというものはないというお考えでありますか。
  64. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 それは、現在そういう共同謀議の問題が起っておりませんので、私の方で調査いたしておりません。従いまして、ちょっとお答えいたしかねます。むしろ大蔵省の方が実情に通じておると思います。
  65. 竹下登

    竹下委員 どうも独禁法の問題とこの酒団法の再販売価格維持契約の問題、なかんずくこれがビールの問題につきましては、私はこの少数独占の独占価格を生ずる可能性というものを非常に強く認めざるを得ないわけでありますが、これについては、そういうことがないように極力注意し、行政指導をするという御答弁でありますので、しばらくこの問題はおいて、あとからまた質問があるようでございますから、この問題につきましては私はこれで打ち切りたいと思います。  中小企業庁は見えておりますか。
  66. 早川崇

    早川委員長 中小企業庁の組合課長が来ておられます。
  67. 竹下登

    竹下委員 そういたしますと、ただ一つだけ、組合課長に対する質疑になるかどうかはっきりいたしかねますが、中小企業としての角度から見た清酒業界に対する金融措置等の面につきまして、現在行われておる、また今後のこれに対する考え方があれば一つ承わりたいと思います。
  68. 井土武久

    ○井土説明員 金融問題につきましては私の方の所管でございませんので、的確な御答弁ができかねるのでございますが、金融措置につきましては、組合につきましては、商工組合中央金庫がございまして、組合の金融を担当しております。また、設備資金並びに長期運転資金につきましては、中小企業金融公庫が中小企業の金融をいたしております。さらに、市中金融機関からの金融につきましては、政府におきまして中小企業信用保険公庫を設立をいたしまして、この中小企業金融に対する危険について信用保険公庫が保険をいたしております。さらに、地方公共団体を中心にいたしまして、中小企業信用保証協会が設立されておりまして、保証協会から中小企業に対する市中銀行の金融につきましては保証をいたしまして、中小企業に対する金融の促進をいたしております。このような措置を中小企業の金融に対しましては講じておるような次第でございます。
  69. 竹下登

    竹下委員 今私が承わりたい問題に答弁の方として該当しておりませんので、この問題はこれで打ち切りたいと思います。これは、酒団法と申しますよりも、一般的な業界全体の問題になると思いますので、機会を改めて質疑をいたしたいと思います。
  70. 早川崇

  71. 奧村又十郎

    奧村委員 私はいろいろ質疑がありますが、特に質疑の焦点としては、独禁法と今度の酒団法改正案の規定との関連です。今御質問にあったように、独禁法の適用除外、その適用除外の独禁法の規定と酒団法の規定と矛盾するという点が、私かなりあるように思われます。しかし、これは先般小委員会で取り上げて、事務局長から大ざっぱでありますが答弁をいただいておりますが、やはり何といったって長沼委員長はこの方の一番の責任者ではありますが、あまり理論にわたってもいけませんし、水かけ論になってもいけません。従って、法制局長官にもお越しをいただいて……。
  72. 早川崇

    早川委員長 山内部長が見えておられます。
  73. 奧村又十郎

    奧村委員 これはやはり重大な問題ですから、法制局長官と、立案責任者としての主税局長、それと公取の委員長——せっかくお二人はいわば最高責任者がお出ましになっておりますが、これは法制局長官にお越しをいただきたい。法律上の非常な重大な疑義でありますから、長官に責任のある答弁を求めたいから、長官の御出席を待って私は質問を続行いたしたいと思います。
  74. 早川崇

    早川委員長 山内第三部長が担当の部長ですが、いかがですか。
  75. 奧村又十郎

    奧村委員 責任ある答弁はやはり法制局長官ですから、委員長の御善処を願います。
  76. 早川崇

    早川委員長 それでは、田邉國男君。
  77. 田邉國男

    ○田邉委員 それで、今の酒税法の改正案が提案されたことについて、全国の酒類のいわゆる中小企業の業者が、これは重大な死活問題であるということで、ガソリン税の反対のあのたすきはかけないまでも、非常に国会に陳情をしておる。こういうことはいまだ酒造業界にはないことであります。私は、こういう陳情を受けたときに、これは大へんに重大な問題だと思う。こういう現実の事実について国税庁の長官はよく御存じでしょうか。
  78. 北島武雄

    ○北島政府委員 御承知のように酒類業団体は八つございます。そのうちで、清酒製造業者をもって組織いたします酒造組合中央会におきましては条件付反対というようなことで、私のところに決議文を持って参りました。反対の御空気が強いということは存じております。しかし、他の七団体はおおむね賛成、その中でしょうちゅうの団体のうちの地域的な一部門が、反対の決議をして、陳情書を持ってこられたはずでありますが、その他の団体は賛成、ぜひそれを早期に成立してほしい、こういう陳情を受けております。
  79. 田邉國男

    ○田邉委員 今国税庁お話によって、大体消極的条件付賛成だというお話なんですが、それと、もう一つは、合成酒、しょうちゅうの小さい業者の反対があったという話なんですが、私の見るところでは、要するにこの七業界というものが賛成で、清酒業界が反対、特に合成のうちでも小さいメーカーが反対であったということは、大企業の方はこういう統制撤廃を前提条件とする酒団法改正というものには賛成である、しかしいわゆる中小企業の業者というものはこれに対して非常に反対が強い、ということについての御認識はどうなんですか。
  80. 北島武雄

    ○北島政府委員 清酒の製造業者の方の御不安は私もよくわかるのでございます。今まで物価統制令によるところの公定価格によりまして一応業界が安定しておる、こういうふうに業界の方方は考えておられた。そこへこの法案が提出されましたので、あるいは公定価格の撤廃が直ちに行われるのじゃないか、こういう御懸念が一部に、というよりも清酒業界の方々にあるようでございますが、その御心配のほどはよくわかります。しかし、私どもは、この法案によって、いわゆる公定価格を直ちに撤廃するということではございませんで、今までの公定価格制度の矛盾をなくして、これを本質的にすっきりした価格制度のものに移行させるという目的をもちまして、各酒類においてそれぞれ適当した価格体系がとれるよう、これが万全の案と考えて実は提案いたしたわけでございまして、私どもといたしましては、清酒製造業者の方々ができるだけそういう御心配、御不安の念を解いていただきまして、そうしてこの案の真意をよく看取されまして、御賛成あらんことを希望しているわけでございます。
  81. 早川崇

    早川委員長 ちょっと田邊君、恐縮ですが、法制局長官に参議院の予算予員会から無理に出席をしてもらいましたので、先ほどの奥村君の御質問を続けるようにいたしますから……。
  82. 田邉國男

    ○田邉委員 けっこうです。
  83. 奧村又十郎

    奧村委員 私の要求した政府委員がおそろいになり、なお山中政務次官も幸いお見えになりましたので、一つこの酒団法改正についていかにわれわれが苦しんでおるかということについて十分御認識になって、やはり質問は十分して、修正すべきことは修正し、できるだけすなおに話し合いでいくというふうにしていただきたいと思います。  それについて、独禁法との関係がどうもわれわれに解釈ができないのです。それだけならいいが、ビール、しょうちゅう、合成酒、みりんその他酒類間にこの規定が非常に利害相反する。そうした場合に、公正取引委員会の見ておられるところの独禁法とか、こういう経済の大原則に照らして公正な判断をしなければいかぬ。そういう意味で、この独禁法と酒団法の諸規定との関係ということをお尋ねしておるのです。法制局長官に御足労願いましたが、そういう解釈上の問題が先般の委員会でも実は非常に答弁が食い違ったのです。きょうもまた答弁が食い違っておるので、長官には正当な判断をしてもらわなければならぬので、その点特にあなたにお越しいただいたのです。あなたは、この法律案提案までに、特に独禁法との関係なんかは間違いないかどうかということで、大蔵省から相談を受けたんでしょうね。いつごろそういう相談を受けたんですか。
  84. 林修三

    ○林(修)政府委員 政府の提案いたします法律案は、すべて私の方で審査するわけでございまして、この原案を作りましたのはもちろん大蔵省でございますが、この法案は、公正取引委員会の所管する独禁法とも密接な関係があるわけでございますので、当然両方の間で協議があったのでございまして、そういう結果に基いて、私の方に原案が出て参りました。で、私の方で審査した上で、閣議決定を経て国会にお出ししたわけでございます。当然、私の方としては、いろいろな法律との関係審査した上で出しております。その日にちがいつだったかちょっとはっきり覚えておりませんけれども、原案を持ってきて提案するに至るまでは、当然私の方で審査いたしております。いろいろな法律との関係はもちろん私の方で検討いたしております。
  85. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは、公取の長沼委員長にお尋ねいたしますが、この酒団法は、現行法でもずいぶん独禁法との関係が深いのでありますけれども、今度の改正案には、御承知通り基準価格とか、維持価格とか、あるいは制限販売価格とか、独禁法との関係が非常に深いように解釈されるのであります。これについては大蔵省からの相談はあったのでしょうが、公正取引委員会として正式に御相談になって、そういう会議録もできておるのですか。その辺はどうなんですか。
  86. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 これは、私の方も、当然独禁法と関連がございますので、あらかじめ御相談を受けまして、委員会において正式に検討いたしまして、差しつかえはあるまいという返答をいたしております。
  87. 奧村又十郎

    奧村委員 委員会の議事録というものは文書になってやはりちゃんとあるのでしょうな。それを見せていただきたいと思うのですが、見せていただけますか。
  88. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 こまかな議事録というものはないのでございますが、結論的な議事録と申しますか、記録はございます。
  89. 奧村又十郎

    奧村委員 これはわれわれしろうとが読んでも非常に疑義のある問題が多いのですから、いわんや、公取においてこういう重大な適用除外を同意するとか、あるいは特に法律にするということは重大なことでありますから、それに対しては、公取の委員の方々の中でもずいぶんいろいろ議論が出たことだと思う。その重要な議論は当然速記録に載せらるべきであると思うのですが、それはあるのでしょうか。あれば、ぜひそれを見せていただきたいのです。
  90. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 速記録というものは実はないのであります。
  91. 奧村又十郎

    奧村委員 一体それはどういうふうにおきめになるのですか。これは公取は場合によっては審判をするという厳正中立なものですから、その速記録をとらずにきめるということになると、どうなりますか。そこらは結局委員長の判断ということになるのですか。
  92. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 これは、独禁法によりまして、委員長を含めまして五人の多数決ということになっておりまして、私個人の判断ではないのであります。
  93. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは、これはいつ委員会をお開きになって、どれだけの委員がお出ましになってきめたのか、その会議のなにをお聞かせいただきたい。
  94. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 いつでございましたか、はっきり記憶がございませんけれども——月の中旬だそうです。
  95. 奧村又十郎

    奧村委員 一回ですか。
  96. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 二回か三回やりましたですね。
  97. 奧村又十郎

    奧村委員 まことにたよりない御答弁ですが、それじゃ、何も書いてなくても、議事録というものはあることはあるのですね。それはお出し願えますか。
  98. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 議事録はございません。
  99. 早川崇

    早川委員長 長沼君、差しつかえないという決定のあれは書類になっているのでしょう。
  100. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 それはあります。差しつかえないという決定を委員会においていたしたという記録はございます。
  101. 奧村又十郎

    奧村委員 どうもそういう手順が少し不明確ですから、事務局長、すぐ取ってきていただきたいのですが、取ってきていただけますか。
  102. 早川崇

    早川委員長 差しつかえないという決定をしたのは記録になっているのでしょう。その速記はとってないけれども、決定した記録だけはいつでも出せるのでしょう。
  103. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 はい。
  104. 奧村又十郎

    奧村委員 それじゃ、その書類のくるまで、ぼつぼつお尋ねをいたしたいと思います。申すまでもなく、独禁法は、経済取引の大原則経済上の憲法とも申すべき法律であって、これに基いて取引の自由というものを保障してあるわけでありますが、その間において、いろいろな事情でいわゆる私的独占の除外例あるいは公正取引の除外例……。
  105. 早川崇

    早川委員長 ちょっと奥村君、御質問中ですが、衆議院の予算委員会法制局長官答弁を要求されているのですが、法制局長官に対する御質問がありましたらそれを先に一つ……。
  106. 奧村又十郎

    奧村委員 それじゃ、法制局長官が向うの委員会を済ましてお越しになるまで、私の質問は待ちます。あなたは、向うが早く済むなら、向うを済ましてこっちに来て下さい。
  107. 早川崇

    早川委員長 速記をとめて。   [速記中止]
  108. 早川崇

    早川委員長 速記を始めて。
  109. 奧村又十郎

    奧村委員 これから本論に入って、どうしても二、三時間お尋ねしたいのですが、おしりを浮かしておられるお姿が見えますと、私もつい気がひけて十分に御質問ができぬので、願わくは、向うの方がそんなにお急ぎなら、向うの方をお済ましになって、ここにおいでになっていただきたい。私は夜中になってもけっこうです。
  110. 早川崇

    早川委員長 第三部長が代理で答弁しますから、そうあんまり無理を言わぬで……。
  111. 奧村又十郎

    奧村委員 その処置は委員長におまかせして、続行いたします。  公取の委員長にお尋ねいたしますが、この私的独占の除外例あるいは公正取引の除外例というものは、独禁法において明確に規定しておる。これは当然ですね。その除外例の中に酒類業団体法の諸規定が入ってくるわけですが、その除外例と酒団法の規定との間に矛盾があるのじゃなかろうか、これが私のお尋ねの焦点であります。まずお尋ねいたしますのは、独禁法の第六章の「適用除外」を見てみますと、二十一条の自然的独占でもなし、二十二条の公益事業の独占でもなし、二十三条の無体財産権の独占でもなし、二十四条でもなし、といたしますと、酒団法の諸規定の独禁法除外規定というものは、一体独禁法の除外規定のどこに該当するものですか。これは全体の問題として……。
  112. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 これは二十二条にございますが、事業法令に基く正当な行為、これに該当するものであります。
  113. 奧村又十郎

    奧村委員 間違いありませんか。
  114. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 間違いありません。
  115. 奧村又十郎

    奧村委員 これは、先般の委員会において私が公取の事務局長にお尋ねしたときの事務局長の御答弁と全く食い違っておる。事務局長は二十二条の除外じゃないとおっしゃる。それじゃ、今委員長の御答弁通り二十二条であるとするならば、二十二条をごらんの通り、二十二条の二項、「前項の特別の法律は」つまりこの法律に基いての除外規定は「別に法律を以てこれを指定する。」その「別に法律を以てこれを指定する。」というその法律は、御承知の適用除外の特に指定した規定、この法律をちょっと見ていただきたい。昭和二十二年の法律第百三十八号、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律、この中に酒団法が入っておりますか、あるいは酒類業組合法が入っておりますか。
  116. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 これはどうもはなはだ不始末な話なんでありますけれども、全部網羅してないそうでございます。
  117. 奧村又十郎

    奧村委員 それじゃ、この適用除外の法律が漏らしたので、その法律が悪いのか、あなたの御答弁が悪いのか、どちらです。
  118. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 法律が不備であると思います。
  119. 奧村又十郎

    奧村委員 われわれも国会で法律を作っておるんですがね、法律が不備ですと言うてそれで通せますか。酒団法とも酒類業組合法とも書いてなくして、しかも二十二条を適用すると、そんなこと言えますか。それだから私、法制局長官におって下さいと言うたのです。第三部長、そんな答弁でいいか、あなた長官にかわって堂々とやってごらんなさい。
  120. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 これは精神は私も独禁法の二十二条だと思います。しかし現在まで独禁法の除外規定を設けたものでここへ載せてないのはずいぶんございます。それは、立法の不備という意味で、われわれこれに載せなかったという意味じゃなくして、ずっと今までこれに載せておりませんので、これも載せなかったわけでございますから、非常に広く考えますと不備ということにあるいは相なるかとも存じますが、ずっと今までそういう例がありました。これは輸出入取引法でもそうでございますし、海上運送法あるいはいろいろな規定でそうなっておりますので、それでこれは載せなかった次第でございます。
  121. 奧村又十郎

    奧村委員 あなた、一体どういう役職でもって国家から月給をもらっておられるのですか。法制局の長官を補佐して法制を守っていく立場でしょう。そんないいかげんな御答弁になりますと、あなたの地位にかかわりますぞ。そんな答弁で説明ができますか。私はまだまだ大事な問題をお聞きしたいが、いろはの「い」で間違うておる。独占禁止法を守るべき公正取引委員会委員長が、いろはの「い」で間違う。それなら第三部長お尋ねいたしますが、二十二条、これは子供でもわかる。これは公益事業などの除外規定です。酒類の醸造が公益事業でしょうか。酒類業団体は公益事業じゃないでしょうな。頭から二十二条の適用というのは問題にならぬです。そんなことを委員長もぬけぬけと答弁するし、第三部長が、これを法制的にもっと公平に言わなければならぬのに、それをまた変なことを言う。何ですか。委員長のっけからこういうことですがね。さあ長沼委員長、今の御答弁をお取り消しになりますか。それなら話はわかるが、あくまでも正しいというなら、これからじわじわといきますぞ。
  122. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 もう一度お答え申し上げます。精神といいますか、事業に付随した意味で、事業の特殊性から私的独占をはずすというのは、二十二条の精神と同じだろうというふうに私は申し上げたのでございますけれども、単独法でそれぞれ今までずっとはずしておりますので、二十二条そのものというわけでないと私は思います。ただこの独禁法の適用除外法律をずっと一覧的に定めておく方が、この公正取引の法体系を一覧的にわかるという意味ではよろしいかとも思うのでありまするが、こういうふうにはっきり各法律で適用除外をするというふうに言った場合には、重ねて今までずっと一つ法律にその適用除外のあり得る法律というのを掲げてはおりませんので、そういう意味でこの法律にあげるというようなことはいたさなかった、かように考えておる次第でございます。
  123. 奧村又十郎

    奧村委員 公正取引委員会委員長なり、主税局の主税局長なり、第三部長なりに申し上げますが、それはお忙しいおからだですから、そんなに法案のすみずみまで気を配り、目を通すということはおできにならぬと思うので、それは私もお察しします。しかし、独禁法の適用除外の根拠規定という一番大筋の根本だけは押えておられなければ、これは議論にも話にもならぬ。そこで、適用除外の根拠規定というのは二十一条以下二十四条まであるのでしょうが、その中のどの規定に該当するのかということくらいは、これはいろはの「い」ですよ。そのいろはの「い」において、二十二条に該当するというのをあっさりお取り消しになるなら話はわかるが、取り消しにならぬのなら私はお尋ねします。第一、酒類の醸造というのは公益事業ですか。二十二条は公益事業の適用除外の規定でしょう。しかも「この法律の規定は、特定の事業について特別の法律がある場合において、」「その法律又はその法律に基く命令によって行う正当な行為にこれを適用しない。」しかも、第二項に、「前項の特別の法律は、別に法律を以てこれを指定する。」その法律が私的独占の昭和二十二年の法律百三十八号、そうしますと、長沼公取委員長の御答弁は——今の御答弁は正しいので、ただ法律百三十八号に指定が落ちておる、こういう御答弁ですか。一つ再確認しておきます。
  124. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 今法制局から御答弁申し上げました通り、適用除外法の一覧表をずらっと並べて作るということは最も望ましいことでありますが、必ずしも全部これに包括しておりませんで、それぞれの単独法によりまして適用除外の実態をつかんでおるという例もあるわけです。この酒団法というのはその例の一つということでございます。
  125. 奧村又十郎

    奧村委員 あくまでも強情を張ってお取り消しにならぬのなら、別の方に聞いておきましょう。主税局長あるいは主税局長の下の方でこれを立案しておられた方、この酒団法は、全体として独禁法の適用除外の法律のどの法律に該当して適用除外をしておられるのですか。あなた方も同じ御答弁ですか。
  126. 原純夫

    原政府委員 この酒団法の九十三条に適用除外が書いてあります。先ほど来のお話と合せていただけば、それはこれらの各条に必ず書かなければならぬか、あるいは単独法において除外をしていいかということは、後者の解釈でやっておられるのではないかと私は思います。
  127. 奧村又十郎

    奧村委員 やっぱり公取委員長の御答弁と同じという御答弁ですか。
  128. 原純夫

    原政府委員 そうでございます。
  129. 奧村又十郎

    奧村委員 これは大した御答弁ですな。そうしますと、重ねてこれは速記録に載せておいていただきますが、二十二条によって除外を指定しなければならぬ。ところが、法律百三十八号の適用除外の法律酒団法並びに酒類業組合が、本来は入れるべきだが、政府の落度で落ちたのだ、こういう御答弁ですね。
  130. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 この二十二条は、精神は担税をしていることに着目した意味で独禁法の適用除外をいたしますれば、精神は二十二条の精神と相通ずるものがあるかと思いまするが、二十二条の方は適用除外という規定を盛っていないのを掲げておりまして、各特別法でそれぞれ適用除外をしたときはここへ書かないことになっているわけです。その点から申しますと、やはり書い方が、どの部分だけが独禁法の適用の除外があるのだということを国民の皆さんにわからせる意味で、立法技術としてはあるいは適当かとも実は思うのでございまするが、今までずっと個々にやっていたのは書いてございませんので、そこで私どもは前の慣例に従いまして書いていないのでございます。
  131. 奧村又十郎

    奧村委員 御三者とも似たような御答弁で、私の質問には明確には答えておられませんが、要するに適用除外の法律酒類業組合が落ちたのだという、非常に手落ちなことを言うておられるのですがね。それがはっきりせぬと次の質問が私は続けられぬです。まあ、どうも意地が悪いようですが、これはあなた仕方がない。私ものっぴきならぬ質問ですから、どうですか、もっとざっくりと、これは今言うたことは誤まりだから取り消して、もう一ぺんすなおに答弁するとおっしゃったらどうですか。あなた、ちゃんと書いてあるでしょう。事務局長、あなたこの間もっと上手な答弁をなさった。公取の事務局長、この間の御答弁一つやりなさい。その方が話はすっきりするわ。
  132. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 重ねて同じことを答弁するようになって、あるいはおしかりをこうむるかと思いまするが、もう一度申し上げまするが、二十二条そのものでは私はないと思います。ですから、二十二条関係法律の中には掲げてございませんですけれども、ただ独禁法の全体の体系の精神からいえば、二十二条あたりのところに淵源がある、こういうふうに思っておるわけでございます。二十二条の適用除外というものを各特別法でやりました場合の独禁法の規定の精神にどこがつながるか、こういう意味合いでありますれば、二十二条をあげるべきではないか、かように思いますけれども、二十二条そのものというふうに私は思いません。精神がここにあるといえばある、かように考えております。
  133. 奧村又十郎

    奧村委員 酒類業団体法の独禁法適用除外の規定というものは、今度の改正案ばかりでなしに、現行法でも不況要件に対する協定とか、いろいろ適用除外があるのです。これは昭和二十八年に制定されたんです。私もそのとき審議したのですが、適用除外の法律に載ってなかったということになると、過去七年来そういう間違いを政府が犯してきたということでありますから、これは重大きわまることで、公取委員長の責任問題だけじゃない。立案者である主税局の責任であり、また公取の事務局長の責任でもある。これはあまりこじらしていきますと責任問題になりますから、今の答弁が間違ったのなら間違ったと、あっさりかぶとを脱いだらどうですか。
  134. 早川崇

    早川委員長 奥村君、これはあなたが委員長のときに通した法律で、あなた自身の責任にもなるから、このくらいにしたらどうですか。(笑声)責任問題はやめましょう。
  135. 奧村又十郎

    奧村委員 ただいまの委員長の名仲裁には私もおそれ入りました。私が委員長をしておったんだ……。(笑声)
  136. 早川崇

    早川委員長 話題を変えて御質問下さい。
  137. 奧村又十郎

    奧村委員 では話題を変えて……。(笑声)  話題を変えるといったって、あまり変えられないのですが、それじゃ再販売価格維持契約、これは午前中も竹下委員からかなりお尋ねがありました。私も実は関連質問でお尋ねしたかったが、法制局長官がお見えでなかったので留保したのですが、もう少し明確でない点がありますからお尋ねいたします。  公取の委員長にしっかり御答弁をいただきたいのは、先ほどの竹下君に対する御答弁においても、再販売価格維持契約というものはなるべく例外にしてしぼっていきたいということだったが、独禁法の除外規定を二十四条の二に入れてあるのでありますから、もし酒類の中でこれを適用するものがありましても、あくまでもやはり本家本元の独禁法でそれを指定なさるべきもので、酒団法の中にこの同じ再販売価格維持契約という規定を入れて、おもやまでもすっかりとられるような法律を作るということは、独禁法を守っていかれる公取の委員長としては、失礼ですが、少し軽率のきらいがあると思うのですが、それほどにしなければならなかった理由をお尋ねいたしておきます。
  138. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 二つに分けて御答弁いたします。第一点は、私ども独禁法を守る立場の人間といたしましては、適用除外という法律がやたらにたくさん出てきて、お説のようにおもやがくずれてしまうことは、原則として望ましくないという態度に変りはございません。ただし、その態度をどうしても変えざるを得ない特殊の事情が今それぞれの分野にございます。ことに、独禁法二十四条によりますと、再販売価格というものは、自由競争が行われており、それから銘柄品であるというようなことで、供給者と需要者との間の直結した関係をねらった法律であります。ところが、酒税になりますと、そこに国家が特に非常に重い税金をかけて、酒税保全という副次的な目的が入ってきております。従いまして、供給者と需要者というふうに直結した場面だけでは考えられないものが出てくる。しかも、その酒税の重さたるや、三税のうちの三分の一という程度のことでございますので、やむを得ないかと思います。
  139. 奧村又十郎

    奧村委員 今の御答弁によりますと、なるべく除外規定は入れたくないが、高率な酒税を負担しておるからやむを得ぬということです。その論法でいくと、高率な酒税というのは、洋酒やビールだけではない。酒類全体が高率な酒税を受けておるのですが、酒類全体をこの規定からはずして、酒団法の中に入れていこう、こういう御趣旨の御答弁ですか。
  140. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 そうでございます。
  141. 奧村又十郎

    奧村委員 そういたしますと、酒団法における再販売価格維持契約の法律規定に基いて、大蔵大臣が酒類を指定しようとして公取の方に同意を求めるという場合には、今の御答弁でいけば、簡単に同意を与えるような趣旨になりますね。そうなりますか。
  142. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 適用除外の法律は特殊の事情のかぶっておる場面だけでありまして、同意を求められた場合にわれわれがどういう判断をするかということは、これはもう一回独禁法の精神に戻って判断するということになると思います。
  143. 奧村又十郎

    奧村委員 釈迦に説法ですが、公正取引委員会というものは、そういう適用除外がみだりに行われて、経済自由競争が阻害されることのないように、お目付役としてしっかり見ておられるのでしょう。それなら、その中で酒類だけは元らいはずしてしまうようなことを言われるが、今度は大蔵大臣から指定しようというときに公取の同意を求める場合はそう簡単には同意はできぬのだ——簡単に同意ができぬのなら、公取で酒類の指定をなさればいいので、こんな大事なおもやまでも酒団法に渡さないでもいいじゃないですか。問題は、実はこれから入っていくが、酒類の中でビールや洋酒はこれで指定しよう、清酒やしょうちゅうは指定できぬという酒類間の争いが起ってくるから、それでこの国会が十日ほど委員長初めみんな頭痛はち巻なのです。それだから、あなたにはっきりしたことをおっしゃっていただかなければ困る。少くとも公取へ同意を求められたときに、強くしぼっていかなければならないのだ、そう簡単に同意できぬものなら、そういう大事なおもやまで大蔵省にやらぬで、再販売価格維持契約の公取のワクの中で御指定になればいいのだが、なぜ法律をそういうふうになさったか。
  144. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 これは一に酒団法だけにかかる問題ではございません。適用除外の法律はたくさんある。それぞれの独禁法の立場から同意とか協議を求めるということになっておりまして、これだけに限っておらないわけであります。
  145. 奧村又十郎

    奧村委員 なるほど適用除外はほかの法律にもあります。しかし、再販売価格維持契約の規定の適用除外は、私は不敏にしてほかには聞いておりません。再販売価格維持契約においてほかの法律で規定してある場合がありましたら、一つ答弁願います。
  146. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 ほかにございません。
  147. 奧村又十郎

    奧村委員 あなたの答弁はどうですか。さっきあなたは、ほかにもこういう例がたくさんある、酒団法ばかりではない、こういうことを言われました。
  148. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 こういう意味なのでございます。再販売価格維持におきましてはこのほかに適用除外法はございませんけれども、ほかのいろいろな問題について独禁法の適用除外法律はたくさんある、こういう意味でございます。
  149. 奧村又十郎

    奧村委員 そういうことは、われわれもこの法律を審議する以上はよく知っております。一番の適用除外は中小企業団体組織法でしょう。それは一般的な話です。今あなたとこれほどしのぎを削っておるのは再販売価格維持契約、これをおもやを渡すように、法律をもってほかの大臣の権限に委任するというようなところはほかにはないでしょうが。その肝心かなめのところで上手にお逃げになるというのは、どうも少し、これは議論にわたりますので……。  そうしますと、さて主税局なり国税庁長官の方にお尋ねしますが、今の御答弁だと、ずいぶん無理して公取とお話になったようですが、これを政府原案の通り通過さした場合に、政府としては、この再販売価格維持契約の規定に基いて、まずどの酒類を指定なさるつもりですか。これはこの前御答弁いただいたが、大事なことですから重ねて御答弁をお願いします。
  150. 原純夫

    原政府委員 ただいまなぜこっちへ持ってきたかという点になりますが、私の方が強くお願いしたのだということを申し上げたいと思います。これは頼めば聞くかという問題じゃなくて、やはり酒というものが非常に重い税を背負って生産され販売されるということから、その生産流通についてよほど気をつけなければならぬというのが、この酒団法の本来の建前であります。そういう意味で、あるいは勝手だという御批判が出るかもしれません。しかし、特定の酒類について、あるいはある酒類の特定の銘柄品について、こういうものを再販売価格維持契約を認めたい、それを一つ一つ公取になにする前に、一応事業の所管官庁としてこれをふるいにかけることもやりたいという意味で、この法律に盛ることをお願いして、お認め願ったわけであります。  そこで、どういうものについて指定するかということでありますが、ビールとか洋酒というようなものは、まず指定の対象になるのじゃないか。しかしながら、他の酒類におきましても、たとえば清酒におきましても、名の通っております銘柄品は、特にそのうちの少数のものについては下部まで販売網を持っているのがあります。こういうものが再販売価格維持契約を使いたいということもあろうと思います。そういう際には、私ども検討いたしまして、やはり指定の対象にするということになろうと思っております。これは清酒だけに限らず、他の酒類にもいろいろございます。
  151. 奧村又十郎

    奧村委員 これが酒類全体に適用されるのなら、酒類間にそんなに争いは起らぬのですが、これは再販売価格維持契約の、特に独禁法二十四条の二の二項の規定の精神を読んでみると、酒類の中でもそう簡単に指定はできぬ。現にこれは公取の事務局長が先般そういう御答弁をなさった。そこで、酒類の中に、いわゆる憎い子とかわいい子ができるから、それじゃそれはただですら円満を欠く、各酒類業者間にますます争いを巻き起す、そこをどうするかというので、われわれは苦心さんたんしておるわけであります。そこが表面に現われて、七団体賛成、清酒は反対ということになってきておる。まあ率直にいえば、そういう争いが起きたということは、失礼ですが、主税当局がそういう争いの種になるような規定をお作りになったということにもなるのじゃないか。その理由は、私がこれからお尋ねすれば、だんだんわかってくると思う。  そこで、それじゃ公取の委員長にお尋ねいたしますが、この再販売価格維持契約に指定する、現に指定しておる酒類は何でありますか。
  152. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 雑酒であります。
  153. 奧村又十郎

    奧村委員 雑酒というのは何ですか。
  154. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 洋酒でございます。
  155. 奧村又十郎

    奧村委員 公取の委員長、あなたも以前は大蔵次官をしておられて、政府委員答弁においでになったのでしょうが、何もかもうしろから入れ知恵がないと答弁ができないというのは大へん心細いですな。雑酒というのは、洋酒というのは、これは何ですか。
  156. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 雑酒と申しますのはウィスキー、ブランデー、それから強酒精酒、甘味ブランデー、甘味果実酒、薬剤甘味果実酒でございます。
  157. 奧村又十郎

    奧村委員 それはいつ御指定になりましたか。
  158. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 昭和二十九年でございます。
  159. 奧村又十郎

    奧村委員 そうしますと、この法律が通って施行になって新たに指定しようというものは何ですか。国税庁長官あるいは主税局長にお尋ねいたします。もう洋酒は指定してあるなら、ほかに何をやるのですか。
  160. 原純夫

    原政府委員 ビール並びに他の酒類についても、先ほど申しましたような意味で指定の対象になることであろうと私は思います。なお、実施いたしますまでに十分検討して、結論を出したいと考えております。
  161. 奧村又十郎

    奧村委員 法律をわれわれが審議する場合は、それが国会を通過したらすぐにでも施行するという前提のもとに審議するのだから、法律の通った場合に何を指定するかということは、われわれだけではなしに、業者においてもずいぶん関心の的である。これはあとからもお尋ねいたしますが、再販売価格維持契約というものは不況要件がない。何時でもできる。協定価格というものは、これは乱売がある、あるいは乱売のおそれのある場合だから、協定価格と再販売価格維持契約とはずいぶん価格が違う、そういう特権的な価格をきめるということにおいて、酒類の中にこれとこれとは指定するが、これとこれとは指定せぬのだというのじゃ争いの種をまく。だからこれははっきり言っていただかぬと困る。そうすると、さしずめまずビールですか。
  162. 原純夫

    原政府委員 これは小売と生産者と卸売との間に一種の系列的な取引網というものがなければ、指定してみたところでどうにもしようがないわけです。そういうものが先ほど申した灘、伏見の大手の銘柄酒というようなものにはあります。それから、その他の酒類でも、だんだん業界が努力をしておるわけですが、そういうものがあるのに応じて、あるものを指定の対象としていくということでございます。
  163. 奧村又十郎

    奧村委員 そうしますと、つまり生産者、卸売、小売と一貫した体系的な取引網のあるものから先である、こういうことですね。——そうすると、それに該当するのは結論としてビール——ビールは御承知生産者、卸売、小売というものが直結して、キリンならキリンというものは生産者から小売まで一貫になっておる。ビールと、それから今の御答弁に沿うて探っていけば、清酒でいえば特級酒ですな。そういたしますと、一級酒や二級酒なんというものは、これは問屋さんに入れて、卸屋へ入れて、これはどこの小売屋へ売るという何の指定もないし、直結もないから、自由である。だから、今の御答弁でいくと、特級酒だけは指定する。ほかのものは指定はできない。しょうちゅうでいうと、やはりこれは宝は指定できるが、直結のない、そこらの中小企業者のしょうちゅうは指定できぬ、こういう段取りになるのですか、その通りですか。
  164. 原純夫

    原政府委員 この再販売価格維持契約というのは、御案内の通りメーカーと卸売、小売というものがお互いが契約をするのでありますから、どこのどういう酒かなかなか世間に名の通らぬというものは、遺憾ながらこういう契約はできないと思うのです。それから、系統的な販売網を持っておるものは、もう当然おっしゃる通りキリンだ、サッポロだということでやりたいという気持を持つでしょう。その中間に、必ずしも販売網を持たないでも、全国に銘柄が通っておるというようなものなら、生産者がこれで売ります、卸はこれで売って下さい、小売はこれで売って下さいということをいうて、卸小売が同意すればこれはできぬことはないわけです。私どもは何もこれをビールに限るという気持は毛頭ありません。やはり酒の流通面における価格の構成がなるべく安定したものでありたいというのが、この法律を通しての精神であり、そしてそういうことが他の酒類についてもできる事情があるなら、これは大いにやりたいという気持で私どもはおります。
  165. 奧村又十郎

    奧村委員 これは大蔵大臣のお考え通りでどうにでもなるのなら、私はここまで突っ込んでお尋ねしませんが、公取の同意を得なければならぬ。しかも、公取は、この二十四条の二に基いてかなり厳格にしぼろう。現に、公取の事務局長は、先般の委員会においては、ビールはさしずめ指定に同意しないとはっきりおっしゃっておられますが、そうすると政府の御答弁と公取の事務局長の御答弁とが食い違ってくる。これは、われわれにしたって、ビールを指定したのじゃ独禁法がまるで骨抜きですよ。そこに全くどうも判断に苦しむのです。どうですか、ビールを指定した場合に公取は同意できぬという事務局長の御答弁ですが、同意できぬでは、こんな法律を通したって、まるで争いを巻き起して収拾つかずになってしまうのですが、事務局長はこの間の答弁で変りはありませんか。
  166. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 この間私は断定的に明確にイエス、ノーは申し上げておらないはずでありまして、それは慎重に取り扱います。しかも、私は、公正取引委員会が決定するものであるから、ここでは何とも申し上げられません、こう答えております。
  167. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは、ビールは四社でしょう。この価格の問題と離しても、これはどうも企業が集中し過ぎて、独占のきらいがあるように私どもは思う。現に国会内でも——このビールなんというのは、ドイツに行きますと、釈迦に説法ですが、これは至るところビールを作っておる。五百石か千石くらいの単位でビールを作っておるそうです。ビールは、そんなにだれでもが作りたければ、そこそこの施設があればできるという話で、日本でもせめて府県に一つずつくらいのビールの認可や許可があってしかるべきだという意見が国会内でもかなりあるのですが、だから四社で独占させるということにもかなり弊害がある。現に、ビールの販売においては、卸マージン、小売マージンがまるでないようなもので、八団体のうち七団体賛成というけれども、卸、小売は、実は腹の中はビールのマージンの薄いのにまことにふんまんやる方ない気持を持っておるのでありますが、どういうわけか表面には賛成というので、今度はこれを通したらまるきり文句を言えぬようになる。そこで、そういう独占的な企業に対して再販売価格維持契約を認めたならば、まるでこれは専売みたいになる。しかも、これを読んでみると、ビールは明らかに該当しません。「当該商品について自由な競争が行われていること。」自由な競争というのは、ビールを作りたければ新たに工場を認可しましょう、こういうことがなければ自由な競争とはいえぬ。また「当該商品が一般消費者により日常使用されるものであること。」これはビールの場合は問題ないとしても、特級酒の場合は問題になる。特級酒一本千何百円するものを、一般消費者がそんなに気楽に飲めるものじゃない。どうですか、ビールをこの法律に基いて認可を求められた場合、これは何もマル公を撤廃にならなくても、この法律を今晩でも通したら、あしたにでも指定できるのですから、それを大蔵省から指定しようとしてビールを公取の委員会の方へ同意を求めた場合、委員長はこれに対して同意を与えますかどうか。明確に……。
  168. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 そのときの事情によりまして、今あっさりお答えができかねますけれども大蔵省と公取とが意見が食い違いがあるのは当然でありまして、それがすなわち同意を求められることでありますから、大蔵省の意見に必ずしも賛成しないということであります。
  169. 奧村又十郎

    奧村委員 ビールは、現在事実上は、新たに免許を付与して新たに製造者がふえ競争者がふえるということは、今のところはできがたい事情があると思うのです。そういう場合は二項の二、当該商品について自由な競争が行われておるというこの条項には当てはまらぬと思うのですが、その点はどうです。
  170. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 これは一つに先ほど申し上げましたけれども、ドイツあたりとおそらく事情が違うのだろうと思いますが、日本の現在集中されておる事情というものは、おそらく経済事情からきておるのです。やむを得ない事情で、弱小資本ではなかなか太刀打ちができないという自然的現象だろうと思う。従いまして、私どもは、今のところはこの四社間なら四社間において自由競争が行われておるかどうかということを判断するよりしようがあるまいと思います。
  171. 奧村又十郎

    奧村委員 あなたの御答弁なら、それじゃあなた、ほとんど何でもこの規定で指定すればいいということになるでしょう。あなたは、先に言われた、なるべくこういう除外規定、例外規定は許可しないけれども、ビールのようなものを、これはわが国の置かれた事情によって考えるというけれども、私の言うのは、そういう事情にあるものは適用できぬのだからやむを得ぬ適用しないのが本来です。けれども、ビールは、わが国の特殊事情だから、法律にはちゃんと自由な競争ということは条件になっておるけれども法律を曲げてでも指定しなければならぬ、こういう答弁になるのですね。公取の委員長としての御答弁としては、少し話が甘過ぎるじゃないですか。
  172. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 私は、指定するとかしないとかいう自由をその場合の判断によって決定する、こういうように申し上げたのであります。
  173. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは、今度の法律改正において公取と主税局と御相談になったときに、一体これを通した場合に何を御指定になる予想を持って、お話し合いになったのですか。
  174. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 特にその内容は審議いたしておりません。
  175. 奧村又十郎

    奧村委員 まるであんた、パンツもズロースも皆脱いでしまったようなもので——国会で質問すれば、今これを通したら、酒類の中でどれを指定するかということで、われわれも、また業者においても注視するのですよ。同じ条件ならいい、これは特別の独占的の除外でしょう。こんな恩恵的なことは酒類全部平等にやるならいいけれども、特別にやったんじゃこれは騒ぎの的じゃというのだから、これを聞かずにわれわれは法律は通せぬでしょう。そんなことはあなたも予想しておられる。そんな中身は考えずに上げたって、まるであなた、娘を嫁さんにやるのに、婿さんはわからぬけれども、ともかくもらいにきたからやったのじゃ、そんな答弁では……。
  176. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 それは制度の問題でありまして、何をするからこういう法律を作る、こういうふうに私ども考えていないのであります。  それから、そのときどきでどういう酒類を指定してくれという同意を求められるかということは、私どもとしてはあらかじめ予想はつかない、そういう意味であります。
  177. 奧村又十郎

    奧村委員 この法案が提案されてお尋ねする場合に、こういう問題は当然国会で質問されるということはあなたは予想しておられはずだから、あまりあいまいな御答弁でありますと、質疑の時間が長くなりまして、委員長もだんだん御心配が深まると思う。だから、委員長のこともちょっと御同情になりまして、はっきり協議のあったことは協議のあったようにお話しになった方がいい。私もまた、お尋ねする以上は、ある程度はっきりしたことをお聞きするまでは、絶対にこの場は引かぬつもりでお尋ねをしておる。  それでは、一つ尋ね方を変えていきます。清酒、これは原料米によって生産が割り当てられる。米は統制されておる。従って、いかに酒を作りたいと申しましても、いわゆる実績によって原料米の配当を受けなければ清酒は作れぬ。従って、自由な競争は全然あり得ない。こういう場合には、自由な競争というのは、これは常識で判断しても全然行われておらぬ。これは清酒に関し、特に一級、二級に関して、もし大蔵省から指定の同意を求められたら、これは同意できますか。もし同意するとすれば、同意するための条件というものがなければならね。条件があればお聞きをいたしておきたいと思います。
  178. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 原料米の割当というものは私よく存じませんけれども政府が一方的に割り当てるというだけのことではなくして、供給が大体において限度にきておるというようなことからくるのだろうと思います。
  179. 奧村又十郎

    奧村委員 だろうと思いますじゃ困るですね。大事なことです。原料米が食管の法律で規定されておることぐらいは御存じでしょうが、困ったな。こういうことを私にこれからどんどんやらせるというのは、何か少し判断が……。そうしますと、原料米統制によってでありますから、これは酒団法に基いた統制でもないのですね。これは全く食糧管理法に基いた統制でありますから、食管法に基いての米の割当を受けるものでなければ、これは作れぬ。だから、この意味においては、自由な競争は行われていないというふうに見なければならぬのですが、公取としては清酒の今の生産の割当方法というものは、自由な競争とお考えになりますかどうか。
  180. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 これは完全な自由な競争とはいえません。あるいは相当の制限を、たとえば原料米の割当等につきまして受けておりますから……。販売方法その他におきましては、相当競争の余地がある、こう考えております。
  181. 奧村又十郎

    奧村委員 それじゃ、はっきりと第二十四条の二の二項の二号に清酒の場合は該当するとお考えですか。
  182. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 清酒全般について申せるかどうかわかりませんけれども、大体において自由な競争が行われておると私は考えております。
  183. 奧村又十郎

    奧村委員 そうしますと、清酒も場合によっては申請があれば同意する、こういうことですね。それでは、しょうちゅうですが、これは同意を求められたら同意を与えますか。委員長はこれはあまり相談を受けておらぬですね。
  184. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 これも、自由な競争が行われておるということでありますれば、指定せざるを得ないと思います。
  185. 奧村又十郎

    奧村委員 現在自由な競争が行われておるかどうかという認定の問題です。あなたが裁判官ですよ。その裁判官がわからぬような御答弁ではどうもならぬ。(原政府委員発言を求む)あなたに聞いているのじゃない。
  186. 原純夫

    原政府委員 お願いですけれども……。
  187. 奧村又十郎

    奧村委員 公取委員長質問しているのです。
  188. 早川崇

    早川委員長 奥村君、発言を許しましたから……。
  189. 原純夫

    原政府委員 お願いですけれども委員長が酒の個々の業態についてどういう実情かということのお答えはなかなかむずかしいと思いますので、恐縮ですが、私どもの気持を申し上げさせていただきます。私どもの気持は先ほど申した通り、酒の価格が安定していることが望ましい。だからやはり再販売価格維持契約もできる限りお願いしたいという気持でおります。そういたしますれば、清酒については、お話通り、ある程度の制約の問題はありますけれども、しかし、それはいわば酒の免許制度、また米の割当制度という非常に大きくかぶさったワクの問題であって、そのもとで自由競争ということをいう余地は十分あるのじゃないかと私は思っております。同様に、しょうちゅうあるいは合成酒についても、数量規制がただいま御存じの通り行われておりますけれども、そのもとについてこの競争があるということは御承知通りで、そういうワクがあれば自由でないということは必ずしもいえない。やはりその中で自由な競争ということがあり得るのじゃないか。また、指定するしないについては、自由かどうかという問題だけでなく、こういう契約が製販三層の間にできるかどうかということにもかかるわけでありますが、ただいまお話しのラインにおいては、しょうちゅうあるいは合成酒というようなものも適用の対象になり得る、こういうように私は考えておるわけであります。
  190. 奧村又十郎

    奧村委員 公正取引委員会は、御承知通り経済の裁判所のごときもので、内閣の中でも、これはどなたに直属しておるのですか。委員長にお尋ねします。
  191. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 総理大臣の所轄であります。
  192. 奧村又十郎

    奧村委員 総理大臣の所轄であるが、これは国会に対して内閣から承認を求めて、公取委員長というものをわれわれが承認を与えたのです。あなたは最高裁判所に次いだ権限と責任を持っておられるのです。そのあなたの重大な権限である中の、特にしぼりにしぼらなければならぬ再販売価格維持契約の権限を大蔵大臣に委任しようというのでありますから、これはあなたも今度の酒団法改正については相談に乗られたはずである。そこで、酒類の取引あるいは生産などの実情がおわかりにならずに、こんなことにあなたは承諾を与えたわけじゃないでしょう。ところが、今の主税局長答弁は、あなたに助け舟を出すつもりでおっしゃったのでしょうが、どうも公取の委員長酒類の取引などについては実情にあまり詳しくないから、私がかわって答弁します——そうすると、あなた酒類の実情をおわかりにならずに、今度の法律改正に賛成なさったのですか。どうも委員長の権威と申しますか、責任上重大なことですが、それはどうですか。
  193. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 私ども立場は、大蔵大臣が認可しようという場合に、同意ないし協議を受けるという受け身の立場にございますので、その際に、事前に非常に事情に通暁しておるということは最も望ましいことでございますけれども、なかなかそう手が回りませんので、具体的には協議ないしは同意を求められたときにまた研究をするという、はなはだどうも手が回りかねるという事情にもございますので、実際はそうでございます。
  194. 奧村又十郎

    奧村委員 あなたはそうおっしゃるけれども、現に洋酒は独禁法に基いて二十九年に指定しておられるじゃないか。そうしたならば、今度の酒団法でまた新たに大蔵大臣にそのあなたの重大な権限と責任を委任すこるとはないじゃないですか。それほど委任しなければならぬのなら、さしずめ何を指定なさるのですか。あなたは十分業界の実情を把握なさって同意なさったのでしょうから、さしずめどの酒類を指定なさろうとするのですか。それははっきりさせてもらわなければ、そんなぬらくら答弁ではだめです。現に洋酒はやっているじゃないか。
  195. 原純夫

    原政府委員 酒の種類の指定は、機動力といいますか、イニシアチブは大蔵大臣にあるわけでありますから、大蔵大臣が指定をしたいというときに、公取の方に御相談するということになりますので、公取の方からこれを指定するつもりだというなには、順序がそのあと問題になってくるのであります。
  196. 奧村又十郎

    奧村委員 しかし公取の重大な権限なんです。その重大な権限を大蔵大臣にこの法律に基いて委任しようというのでしょう。それなら、この酒類の中に何を指定するか、どういう条件のものを指定するかということは、ある程度御協議になり、予想がついて、この法律を出されたのでしょう。われわれも、何を指定するか、全然チンプンカンプン、わけもわからぬということで、この法律を通せといってもできぬでしょう。委員長重ねて……。
  197. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 これは、何回も申しました通り、私の方は、私の方で指定するのじゃないのでありまして、大蔵大臣が指定する、それを受けて立ちまして、私の方でそれが妥当であるかどうかということに同意権を持っておるわけでございます。あらかじめ私の方で全般的に調査をするということはいたしておりません。
  198. 奧村又十郎

    奧村委員 まるで大蔵大臣に白紙委任状を渡したような御答弁ですが、しかし、現に現行法でもって、独禁法で、洋酒に価格維持契約であなたが指定なさったんでしょう。だから、もし大蔵省から、ビールをぜひ指定したいと思ったら、それをあなた持ちかけられたら、独禁法に基いてあなたは御指定になればいいので、その間に、何も酒団法に白紙委任状を渡さなければならぬ理由はないでしょう。白紙委任状を渡なければならぬその事情を聞かしていただきたい。
  199. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 私は必ずしも白紙委任状とは思っていない。同意をする権限が独立にあるわけであります。
  200. 奧村又十郎

    奧村委員 その同意の法律的な効果というものをお聞きいたしておきます。
  201. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 同意しなければ、大蔵大臣は認可はできません。
  202. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは、酒団法にこの再販売価格維持契約の規定を入れたのも、現行法でいくのも実態は同じと、こういうことですか。
  203. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 現行法と多少はだ合いが違いますが、何分にも酒団法というものは酒税確保という最大目的があります。従って、その目的から業界の取引の安定ということを目途としておるわけでございまして、酒税確保という大前提がありますので、従って、独禁法で正面から取り扱っている品物とは多少性格が違うのでございます。
  204. 奧村又十郎

    奧村委員 同意を与えなければ大蔵大臣は指定できないということなら、独禁法でもって、自由な公正な取引を守っていこうとする立場からいけば、何も酒団法に委任しなくとも、洋酒のごとく、直接公取が指定するという現行法の規定でいいじゃないか。それを酒団法で特に一ぺん大蔵大臣の権限に移して、そうして公取が同意する。実態は変らぬが、そういう回りくどい規定を入れたというのは、それはどういう違いがあるのか。
  205. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 これは、公取というのは凡百の品物、商品を扱っておりますので、常時酒類なら酒類というものの特殊な事情について通暁しているというわけにはなかなか参らない。これは大蔵大臣が最も通暁しておるわけであります。まず大蔵大臣のもとにおいてスクリーンを受ける、こういう建前になっております。
  206. 奧村又十郎

    奧村委員 そうしますとどうせこれから先はかなり議論にわたりますから、それはそれとしておきまして、さっきお尋ねしたしようちゅうですが、これは指定する要件があるかないか、この点についてお尋ねいたします。
  207. 長沼弘毅

    ○長沼政府委員 私はまだ実情をよくわかっておりませんから、指定の同意を求められた際に十分研究することにいたします。
  208. 奧村又十郎

    奧村委員 では、主税局長の御答弁を求めます。
  209. 原純夫

    原政府委員 酒の価格が安定していることは望ましい。この再販売価格維持契約をこっちがおっつけてやろうといっても、業界のことでありますから、なかなかできないわけです。各業界で、自分のところはやりたいという話が出てくるだろうと思います。そういう場合に、このいろいろな条件を見て、結論を出す。抽象的には、先ほど申したように、しょうちゅうの中でも、銘柄が通っている、それから卸、小売まで、販売網という自分の網は持たないでも、これを契約で縛れるというだけの強い——強いといいますか、というだけの製造者があるというような場合に、そういう要望があれば、私どもはできる限りそれにこたえるというようなつもりでやりたいということを、先ほど来申しているわけでございます。
  210. 奧村又十郎

    奧村委員 そうしますと、どうですか。宝酒造が作っている宝焼酎というのは、これはかなり世間に知れておるし、取引も、生産者、卸、小売と、かなり直結した——しょうちゅうの中で指定しようとすれば、宝あたりが一番先ということになるのですか。そういうことになりますか。
  211. 原純夫

    原政府委員 指定は酒の種類で指定しますから、しょうちゅうで、かりに宝なら宝の分が具体的に再販売価格維持契約をやらせられる、やらした方がいいということになりますれば、指定はしょうちゅうとして指定するわけです。そうして、二項ですか、一項ですか、引き続いて契約の認可申請が来るということになりますから、指定は宝の何という酒を指定するというのではなくて、その場合はしょうちゅうというグループを指定して、そのグループの中で、その宝の何という酒についてという契約の認可があるということになります。
  212. 奧村又十郎

    奧村委員 主税局長、御承知通り、宝とか、酒類でも月桂冠というような特殊のものは、一般にも名前が知れているし、指定することになる。だから、指定というのは、その場合に宝を指定するためには、しょうちゅうを指定するのだ、こういうことになるのですな。そうすると、しょうちゅうの中でも、御承知の五百石とか八百石の小さなしょうちゅう会社というのは、販路も確立しておりませんし、余れば東京あたりの問屋にどさっと固めて売る。こんなものは生産者と卸小売の直結した体系ではない。そうすると、しょうちゅうを指定しても、宝のような銘柄は指定に該当するが、中小企業者のしょうちゅうは該当しない、こういうことになるのですか。
  213. 原純夫

    原政府委員 中小業者のものでも、あるいは地方的に売っており、その地方では名が通っておるし、大体小売まで縛れるというのは、この認可の申請があれば、もちろん、ただいまのような気がまえで、できるだけ考えるということでありますが、また、宝だけがかりにこの認可を受けたとしても、それが非常に悪いことかというと、私は決して悪いことはない。業界で中小が一番おそれるのは、大業者がどんどん値を切って売ってくるというのをおそれるわけですね。宝がこの小売の末端に至るまでこういうのでやりますと、その場合に、もちろん私どもあまり安い値を認めるなんということはいたさぬわけです。そうすると、適正なとこでろ宝はやってくれる、あるいはほかの大手がやってくれるということはしょうちゅうのような業界では決して悪いことはない、むしろ歓迎される面があるのじゃないかと私は思うのですけれども、これは卒然たる感じですから、なおよく検討いたします。
  214. 奧村又十郎

    奧村委員 そこをあなたは非常に楽なことを気楽におっしゃるけれども、そばで公取の委員長や事務局長は聞いているのですよ、あなた。宝はそれで該当するかもしれぬが、それじゃ中小企業のしょうちゅうを再販売価格維持契約で届出してやった場合には、独禁法の規定というものはまた変なものになってしまう。だから、おそらく、私がこれからあなたに、種類について、しょうちゅう、合成酒、みりんとお尋ねしていって、あなたの御答弁を速記録にとっておいて、さあ今度は公取の委員長や事務局長はこれに対してどうお考えかといえば、必ずここで食い違いが出てくる。そういうあいまいなことで法律を通して、こんなことで業者に説明して、まるで騒ぎの種をこしらえるようなものだ。だから、そこを私は十分時間をかけて、政府の意のあるところ、公取の御苦心になったところをお聞きして、妥当なところでと、こういうのですが、何しろ今晩かあしたこの法律を衆議院を通せという。だれの指図でどうなさるのか知らぬが、ちっとひど過ぎると思う。特に公取の委員長はめったに国会にお出ましにならぬお方で、やぶから棒に荒っぽい御質問を申し上げて、私は長沼さんには非常に敬意を表しておるのですが、こんなことでは大へん申しわけないのですが、お疲れのようですから、このまま続行するか、それとも夕飯を食ってそれからまたもう一ぺん……。
  215. 早川崇

    早川委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止]
  216. 早川崇

    早川委員長 この際暫時休憩いたします。     午後五時五十一分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕