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1959-03-24 第31回国会 衆議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十四日(火曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 早川  崇君    理事 足立 篤郎君 理事 押谷 富三君    理事 小山 長規君 理事 坊  秀男君    理事 石野 久男君 理事 佐藤觀次郎君    理事 平岡忠次郎君       内田 常雄君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    鴨田 宗一君       川野 芳滿君    進藤 一馬君       田邉 國男君    西村 英一君       濱田 幸雄君    福田  一君       細田 義安君    山本 勝市君       石村 英雄君    久保田鶴松君       田万 廣文君    廣瀬 勝邦君       松尾トシ子君    山下 榮二君       山花 秀雄君    山本 幸一君  出席政府委員         大蔵政務次官  山中 貞則君         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      村上孝太郎君  委員外出席者         日本専売公社総         裁       松隈 秀雄君         日本専売公社塩         脳部長     小林  章君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 三月十九日  委員奧村又十郎辞任につき、その補欠として  野澤清人君が議長指名委員に選任された。 同日  委員野澤清人辞任につき、その補欠として奧  村又十郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員中村梅吉辞任につき、その補欠として田  邉國男君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十日  揮発油税等引上げ反対に関する請願小川豊明  君紹介)(第二六一二号)  高級織物物品税新設反対に関する請願外十件  (田万廣文紹介)(第二六一三号)  同外六十六件(田万廣文紹介)(第二七一八  号)  同(柳田秀一紹介)(第二七一九号)  物品税廃止等に関する請願辻寛一紹介)(  第二六一四号)  同(江崎真澄紹介)(第二七六二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  塩業整備臨時措置法案内閣提出第一六三号)      ――――◇―――――
  2. 早川崇

    早川委員長 これより会議を開きます。  この際、専売事業に関する小委員長より、小委員会における塩業整備に関する問題についての調査の経過並びに結果について報告を聴取することにいたします。専売事業に関する小委員長濱田幸雄君。
  3. 濱田幸雄

    濱田(幸)委員 塩業整備臨時措置法案につき、専売事業に関する小委員会における審議経過報告いたします。  塩業整備に関しましては、昨年来本委員会におきましてもしばしば論議せられまして、特に十二月の二十三日には塩田整理に関する決議が行われたのでございます。本年の二月二十五日塩業整備臨時措置法案が本委員会に付託されることと相なりましたので、専売事業に関する小委員会におきましては、特に本法案に対する審議を行うために、二月の二十五日、三日の五日及び同十二日の三回にわたり会議を開き、さらに三月十八日には小委員懇談会を催して、法律案の処理につき慎重なる協議を遂げたのでございます。  御承知通り塩業整備臨時措置法案は、国内における塩の需給の調整と塩価低減国内塩業基盤強化及び専売事業の健全なる運営に資する目的をもって、いわゆる塩田整理を行うため提案せられたものであります。すなわち、政府は、これによりまして、国内製塩能力年産百二十五万トンのうち、三十万トンに相当する塩田または製塩施設整理して、その製造者交付金を交付することといたしております。しこうして、この塩業整備昭和三十四年度及び三十五年度の二カ年度にわたり行われる予定でありまして、これがために、日本専売公社では、総額八十七億円を限り支払うべき旨の債務負担行為を三十四年度においてなすこととし、そのうち三十四年度に三十七億一千万円の支出を行うため、目下参議院において予算案審議を受けておりますことは、御承知通りでございます。  小委員会における法律案審議の内容の詳細につきましては、すべて議事録によって御承知を願うことといたしますが、そのうち特に重要なる質疑応答の行われました点を若干あげてみますれば、次の通りでございます。  一つは、塩業整備を行わざるを得ざる今日の事態を引き起しましたことについて、政府及び日本専売公社は従来の専売事業運営上責任を負うべきではないかということ。第二には、今回の程度整備によって、所期の目的、すなわち塩価低減とか、国内塩業基盤強化とか、または専売事業の健全なる運営というようなことを達成することが果してできるかどうかということであります。第三は、国内塩輸入塩に比較して価格の面において著しく割高でありますために、消費者側立場から考えますと、現状のままでは塩専売制度の存続の意義はないではないか、むしろこれを廃止してみてはどうかという点であります。第四には、政府原案による塩業労働者に対する退職金はあまりにも僅少であるから、これを増額する必要があるではないかという点、大体以上の四つの点であります。  なかんずく、塩業労働者に対する退職金につきまして、政府原案であるところの整理案要綱を相当修正せしめる必要ありとの意見が強くて、前述のごとく特に小委員懇談会を開いて、政府並びに日本専売公社側と小委員との間で十分なる協議を遂げ、結局次の通りに処理することといたしたのでございます。  一、政府原案によりますと、塩業労働者に対する退職金を支払うための費用として日本専売公社より製塩業者に交付する額は、昭和三十三年中に支払われた基準内賃金基準として、勤続年数一カ年につき一・二カ月分に相当する額から退職給与積立金相当額を控除する額とし、しかも製塩廃止の日に現に在職する常用従業者に対する分のみを交付するということに相なっていたのでございまするが、小委員会においてこれを次の通り修正することと協議したのでございます。すなわち、まず在職期間一カ年につき一・二カ月分を一・五カ月分とすること、次に、基準内賃金は、昭和三十三年中の実績によらず、整理時期現在の賃金基準とする趣旨によりまして、三十三年中の給与実績額に五%の昇給率を加算したものとすること、次に、在職年数の短かいものにつきましては、一カ年につき一・五カ月分の交付率をさらに相当程度引き上げて交付すること、次に、退職給与積立金の控除をとりやめること、最後に、製塩廃止の日に現に在職するもののみについて退職金相当額を交付するという建前を緩和して、実情に即応する取扱いを行うこと、大体以上のごとき修正を行うことにより、政府において当初の原案より一応積算してみたところの塩業労働者に対する退職金相当額三億六千六百万円は、五億六百万円程度に増加することと相なるのでございます。  なお、塩業整備当り設置せられることになっておりまする臨時塩業整備審議会委員塩業労働者代表者学識経験者として委嘱すべしとの社会党側総員の強い要望がありましたが、政府側では、本審議会の性格上、業者代表委員に委嘱する考えは本来ないのであるが、右の要望につきましてはなお慎重に検討を加えてもよろしいという意向であります。  以上、簡単でございますが、御報告申し上げます。
  4. 早川崇

    早川委員長 これにて小委員長報告は終りました。  続いて塩業整備臨時措置法案を議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。石村英雄君。
  5. 石村英雄

    石村委員 塩業整備法律案に関連しまして、私も以前から大蔵委員をしておった関係上、塩の問題は相当頭に入っておったつもりであったのですが、この整備法案を読んでみると、結局何が何だかわからないということになってしまいましたので、かなり重複する点もありますが、ごく簡単にお尋ねをしたいと思います。従って、特に断わらない場合には事務当局の御答弁で差しつかえありません。必要のある場合に、大蔵次官なり総裁なりにお尋ねいたします。  まず第一点としてお尋ねしますが、現在の昭和三十三年度、これは暦年度でもどちらでもかまいませんが、昭和三十三年の許可数量幾らであるか、それから生産実績幾らであるか、このことをお答え願いたいと思います。
  6. 小林章

    小林説明員 三十三年度現在の許可高は約百四十四万トン、それから、今年度の実績は、今のところ年度経過中でありますので、最終的にわかっておりませんが、百十万トンをオーバーする模様であります。
  7. 石村英雄

    石村委員 許可量は百四十四万トン、生産実績は百十万トン余りということですが、今度これを機械製塩で十万トン、塩田製塩で二十万トン、合計三十万トン整備して、約九十五万トンに押えよう、こういう御趣旨に伺ったわけですが、一体許可量にも達しないときにこれを下げなければならないということが合点がいかないのです。許可量をオーバーしておってどうにもならない、従ってこれを整備するというのならわかりますが、まだまだ公社許可された数量にも達していない。それを引き下げなければならない、過剰生産力だということは、一体どういうわけなんですか。
  8. 小林章

    小林説明員 今年度の生産見込みは大体百十万トン余りと申しましたが、このままで経過しますと百二十五万トンないし百三十万トンまで生産される見込みでありますので、今回整備をしていただくというように政府にお願いをした次第であります。
  9. 石村英雄

    石村委員 御答弁は私の質問がおわかりにならないのかと思いますが、私は、許可するということは、それだけの生産を認めるということだと思うのです。その百四十四万トン許可するということは、百四十四万トンの生産を認めるという意味で許可されたのだと思うのです。それを九十五万トンに押えなければならない、これがわからないというのです。なぜそれなら最初から百四十四万トンも許可されたのか。許可量をオーバーしてできるから、これは制限しなければならないというのならこれはわかりますが、許可量にも達しない。許可ということは、やはり需給状態を勘案して許可されたのだと思うのです。やみくもに許可されたのではないのです。それにも達しないのに引き下げなければならない。これはどうも合点がいかぬということをお尋ねしておるわけです。これは総裁にお尋ねした方がいいかと思います。
  10. 松隈秀雄

    松隈説明員 前会御答弁申し上げたと思うのでありますが、塩の製造許可をいたしましたのは三十一年度まででございます。それまでの間といたしましては、内地の食料塩自給達成をするという閣議決定がございまして、できるだけ早い機会に食料塩の全量を自給したい、こういう考えからいたしまして、公社といたしましては増産対策をとっております。従いまして、できるだけ多くのものが早く必要量の塩を作ってもらいたいものだ、こういう考え方のもとに許可方針を立てておりましたので、勢い、許可するに当りましては、ことに塩田製塩等にありましては自然条件に相当左右される場合がありますので、ほかの工業生産品と違って、がっちりとした数量を押えることは非常にむずかしいのでありますが、その場合にできるだけ多目といいますか、許可高を多く見て早く目的を達成したい、こういう意欲が動いておった。それが自然許可するに当りまして最高限度といったようなところを目標に許可を与える。しかし、各種の条件考えてみると、最も条件が十分達成された暁において、その程度にいくであろう、こういうような数量を目ざして許可を与えたのであります。その際に、なお先般来問題になっております流下式とか枝条架式に対しまする生産量の見積りにおいて認識を誤まっておった点がありましたので、それが加わって、それが先ほど申し上げましたような希望条件がついたものですから、つい許可高が実際よりも相当高目のところにきめられたというのが実情でございます。
  11. 石村英雄

    石村委員 もちろん普通の単純な工場生産と違いますから、現実にでき上る生産量というものは確実には把握できないと思います。しかし、それだからといって百四十四万トンの許可を与えるということは、場合によっては百四十四万トンできるということを前提としておられたはずだと思うのです。これは百四十四万トンの許可をするが、実際は百万トンか九十万トンしかできないであろうというので百四十四万トンの許可をざれたという御説明かとも思うのですが、どうもそこがはっきりしない。自然にできたとかあるいは枝条架が予想以上多かったとかいう御説明です。なるほど、今までの御説明では、枝条架が二百トンくらいだと思ったら何ぼできたというお話ですが、それにしても百四十四万トンの許可を与えられた場合には、一定の採算、そろばんを置いてやられなければおかしいと思うのです。もしそれが実現したときには、赤字になってどうにもならないということになるかならないか。百四十四万トン許可すると、これは当然できることを一方では予想しなければならない。現実にはそれを下回るかもしれないが、許可するのですから、百四十四万トン作られても文句はないのです。従って、公社として百四十四万トンの許可をせられるときには、その百四十四万トンで食料塩自給状態がりっぱにでき上って、そうして公社としても赤字で困るというようなことが起らないという前提がなければ、そんな許可ができるはずはないと思うのです。それを百四十四万トン許可しておいて、そうして今度は九十五万トンにしなければどうにもならぬというのでは、最初百四十四万トンを許可されるときには一体どのような判断のもとに許可されたのか、それがわからないというわけです。予想以上によけいできた、数量がはっきりつかめないという事情はわかりますが、しかし、百四十四万トン許可するという前途についての考えというものは、はっきりしてなければおかしいと思う。百四十四万トンを超過したから、これが赤字になるとかなんとかいうならわかりますが、それにも達しないうちに、やれ去年が二十億とか何ぼとかの赤字だ、このままではどうもならぬから九十五万トンに押えます――それでは、最初百四十四万トン許可されたときには、公社は一体どのような判断許可されたか、それをお聞きしたい。
  12. 小林章

    小林説明員 ただいまの御質問に対しまして、私若干当時の経過を顧みて御説明申し上げたいと思います。  この問題につきましては、先般来小委員会でいろいろ御質疑があったのでありますが、ただいまの許可を百四十四万トンしておきながら、今さらというお話でありますが、実は、先ほど石村委員御自身もおっしゃったように、新技術関係もありまして、この流下式というものの能力が的確に把握できなかったきらいもあったのでありますが、それにいたしましても、御承知のように塩は増産々々で参りまして、それで昭和三十一年六月に初めてこれで今後は大体国内塩食料塩の自給自足ができるという見通しができまして、当時の総裁談でもう今後は新増設は認めない、今までの計画でやれるのだ、これがいわゆる百十万トンでできるということで発足いたしたのであります。しかしながら、これで当然流下式、枝条架その他の転換なり新しい技術なりの工事にかかったのでありますが、実はあらかじめそのときに許可台帳を変えるのではなくて、大体その計画だということで工事を始めさせたのでありますけれども、その当時流下式能力は一応一ヘクタール当り百八十トンと押えておりましたけれども、的確にわからなかったわけでありますので、工事が進みまして、昭和三十二年度になってそれが済んだころに大体わかってきたところの流下式実績で見ますと、それが当初の予定よりもオーバーしておったというようなことで、ここにその許可数量を上回っておったというような状態でありまして、それをそれぞれの許可台帳追認して集計したものが百四十四万トンということに相なったわけであります。当初は百十万トンということで発足したのが、その後の経過で三十二年度内に百四十四万トンというところに許可台帳が変ったということであります。同時に、三十二年度になりまして、そういうように食料塩が漸次オーバーするということがわかって参りましたので、御承知かと思いますが、これは別途塩業界の問題として、今後オーバーするから何とかしなければならぬということで、公社といたしましても、塩業者やまた政府と御相談して、例の三十二年末の今後の基本方針を発表いたしました。こういうことになっておるわけであります。
  13. 石村英雄

    石村委員 もっと率直に御答弁願いたいと思うのです。私が言っておるのは、公社が百四十四万トンの許可を与えたことが問題だと言っておるのです。百四十四万トンできれば赤字になるというなら、最初百四十四万トンの許可を与えることが問題なんです。     〔委員長退席小山委員長代理着席〕 そうすると、この百四十四万トン許可したことを合理化しようとするならば、公社は百四十四万トンの許可はするが、さか立ちしたって百万トンできるかできぬかわからぬ、できやしないという前提で、まあ百四十四万トン書きつけだけはやろう、実際はできやしないのだから、というような気持で百四十四万トンの許可をされたということよりほかに説明がつかぬと思うのですが、どうですか。
  14. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 ただいまいろいろ公社の方から御説明がありましたが、少し説明の足りないところがあると思いますので、私から申し上げます。実は百四十四万トンの中の三十五万トンは三十二年に許可されたわけであります。ところが、この三十五万トンというのは、実は生産力の新しいものを認めたわけではないのでございます。なぜそういう三十五万トンの許可がなされたかというところに、百四十四万トンまで許可したという現在の結果をもたらしたキー・ポイントがあるわけでありますが、それは今まで何度も申し上げましたように、企業実態については昭和三十一年度までの許可で大体終了したわけであります。そのときには、大体百十万トンというのは、枝条架、流下式の一ヘクタール当り百八十トンと計算して百十万トンの生産が生まれるであろうという予想のもとに、企業実態を認めたわけであります。ところが、その後枝条架方式生産力が非常に伸びまして、一ヘクタール当り百八十トンというのが二百五十トンとか三百トンということになりましたので、企業としては新しく認めたわけではないのでありますが、それまでに認めておった企業生産力修正追認的に行なったというのが、三十二年度の三十五万トンになっているわけでございます。これは、公社としまして新しく企業生産力を認めて、百四十四万トン作っていいのだということを言ったわけではないのであります。昭和三十一年度までの許可において枝条架方式生産力見通しが誤まったのを、そこで追認したというだけにすぎないわけであります。
  15. 石村英雄

    石村委員 追認であろうが、何であろうが、それだけの生産許可を認めたということになるのじゃないですか。追認だからかまわぬ――追認だからこそむしろ悪いとも言えると思う。そんなときになぜ追認するのです。最初公社が塩の需給ということに安易な考えを持っておったからじゃないか。これだけできたらどういうそろばんになるか、食料塩全部、業務用だとか家庭用塩とかありますが、それに対して公社はもうける必要もないでしょうが、もうけないとしても、赤字は出ないようにしなければならぬと思います。赤字が出ないようにするためには、国内でどれだけ生産すればいいか、足りないところは安い外塩でどれだけ補えばいいか、もし全部国内でまかなえば安い外塩でもうける利潤の生まれてくる余地がないのだから、それはどうする、販売価格を引き上げるとか、あるいは途中のいろいろな経費をうんと削減するとか、それで補えるかどうかわかりませんが、何ら対策なしにばく然と百四十四万トン、しかもそれが三十五万トンが追認だとかなんとかいうのでは、そして今日になって八十何億とかいう金を出して整理しなければならぬという事態に立ち至っているということは、何といっても、冒頭において公社が、全く見通しなしに、ばく然と塩を作らなければならぬ、塩を作らなければならぬといってやった結果で、これはばかでもできる、そんなそろばんを度外視して作りさえすればいいなんという考え方でやるなら。そこが問題じゃないですか。あなた方は、もっと率直に、公社責任をここではっきりと、この八十何億という膨大な国民の血税を使って処理しなければならぬという事態に立ち至ったときには、過去の自分たちの無定見というか、何も考えずにうっかりやってしまったということに対する反省、国民に対する陳謝というものをこの席でなさるのがむしろ当然じゃないですか。それをむしろ反対に、予想外に多うございましたとかなんとか、枝条架がよけいできました、そんなばかなことを言ったって、国民承知しないのであります。許可量以上にできたから何とかしなければならぬというならまだわかるが、許可量にも達しないのを整理して九十五万トンに押える。これでは何のことかわからぬ。もっとはっきり責任があるなら責任があると、陳謝すべきものがあるなら陳謝して下ざい。陳謝すべきでないなら、もっと納得のいくような説明をしてもらわなければ困る。これは松隈総裁にお尋ねいたします。
  16. 松隈秀雄

    松隈説明員 見通しなし、あるいは計算を度外視して実施したというわけではございませんので、当時といたしましても、流下式にしろ枝条式にしろ、モデルのケースを作りまして、そこで実地試験も行いました上、それを漸次拡充して参ったというわけであります。ただ、その場合において、どちらかといえば塩不足の時代を乗り切りたいという考え方がありましたから、勢い内輪目計算をするという傾向があったことは事実のようでありまして、当時におきましては大体ヘクタール当り百八十トンということで議論をいたしました。それよりも多いという説もあり、またそれよりも少いという説もあったのを、一応百八十トンとして結論をつけまして、それの結論からいたしまして全国的な許可件数をきめて参ったのでありますが、今日において考えますと、結果的には、先ほどお話がありましたように、二百五十トンとかあるいはそれ以上できるというような地域がだんだんによけい出て参りましたので、見通しを誤まったということをいわれますれば、まさに御指摘の通りでありまして、この点事実の把握が不十分であったということについては、何とも申しわけないと思っております。
  17. 石村英雄

    石村委員 しきりに総裁総裁立場をしてそういう弁解をするよりほか手はないのかもしれませんが、見通しを誤まったとこうおっしゃるのですが、私は、見通しを誤まったというよりも、当初の計画というものがずさんであったということに問題があると思うのです。これは当初から生産量を九十五万トンに押えておった、それが予想外に百三十万トンもできるように、その九十五万トンの許可量の範囲の施設で百二十万トンもできるのだというならまだわかる。ところが、その許可量というのは百四十四万トンにしておるのです。九十五万トンに許可量をしておって、現実にできるのがそれ以上オーバーしていくというのならわかりますが、そうじゃないのでしょう。だから、結局百四十四万トンという生産設備を認めるというときには、百四十四万トンできたらどういうことが起るかということの検討というものが全然やられていなかった結果だと、こう言わざるを得ないと思うのです。私の結論が間違いなら間違いで、はっきり理由を明らかにしていただきたい。九十五万トンに押えておったのなら、私はこういう議論はいたしません。それはなるほど枝条架は予想外によけいできたということの御説明納得をいたしますが、許可量が百四十四万トンだというなら、これは納得できないと思います。
  18. 小林章

    小林説明員 ただいま当初の計画云々お話がございましたが、この点につきましては、先ほど申し上げましたように計画は実は百十万トンであったのであります。法律上の形式上の許可云々の行為は三十二年度に方針が出たのでありますが、百十万トンということで計画されまして、これで今後はもう心配ないということでやったのが、先ほど総裁が申しました通り、その流下式ヘクタール当り百八十トンという見通しが、その後の技術の進歩その他枝条架の運用等によって伸びまして、三十二年度になってそれが当初の計画よりも実績がふえて参りまして、それに伴って、先ほどこれもまた監理官が説明しましたように、法律上の許可行為を追認してこれを改めたということなのであります。当初九十五万トンがよかったか、百十万トンがよかったかという問題はありましょうが、当初の計画は百十万トンで出発いたしたのであります。それで、これが百十万トンをオーバーするということが同時に三十二年度にわかりましたので、三十二年度から、あらためて、これはいかぬ、これをどうするかという点に公社としては取り組んで参ったのであります。
  19. 石村英雄

    石村委員 その百十万トンというのは何ですか。機械製塩ですか、あるいは問題の錦海湾とかを含めて百十万トンであったのですか。
  20. 小林章

    小林説明員 その通りであります。
  21. 石村英雄

    石村委員 そんなら百十万トンを今度オーバーする追認をなぜなさったのです。百十万トンをオーバーしても追認するというのは、そういう生産を認めるということだと思うのです。なぜ追認したのですか。またいろいろこれは私の聞き間違いかもしれませんが、枝条架についても最初は五%程度のことで公社はやっておった、ところが、それを業者の方では生産量を上げて生産費を安くしよう、こう考えるので、どんどん枝条架をふやしていく、それをぼう然として見ておった、手をこまぬいてそれをまたどんどん追認していったということが、こういうことになったのじゃないですか。そのときはっきりした五%なら五%に押えて、それ以上施設をしてよけい作ったって認めませんぞ、また海に流させますぞという態度をはっきりしておれば、これほどのことは起らない。業者の方では――いつか私はある地方局で聞いたのですが、なぜこの地方では最初の伝え聞く公社の方針よりも枝条架の方がパーセントが多いかということを聞いたら、自分の金で作る分はいたし方ありません、こういう答弁だった。結局やはり公社が安易な考えで、ただあれよあれよと見ておった結果がこういうことを生んだのじゃないか。また百十万トンは許可量だというのですが、それなら今度の制限も百十万トンに押えればいい。それを九十五万トンに押えるというのは、やはり百十万トンの許可したときも見通しを誤まっておった。百十万トンできたときに、塩会計にどういう影響を及ぼすかということを何ら判断をしないでやったんだ。百四十四万トンでなしに百十万トンにしてもそういう議論は成り立つと思う。どうですか。
  22. 小林章

    小林説明員 まず最初に、どうして百十万トンのものを百四十四万トンまで追認したかというお尋ねでございますが、これは総体としてやったというわけではなしに、個々の業者に計画を与えて流下式転換の工事をやらしたわけであります。それが完成してやってみるとこれだけとれるということになりましたので、個々の業者の許可をあらためてそこで認めたのでありまして、それを集計しますと百四十四万トン、三十二年度で三十五万トンの増ということに相なったわけであります。そこで、個々の業者に専売法に基いて許可しているものを、それをとめるというわけに参らない。それと同時に、次の枝条架をどんどんふやしたことはけしからぬじゃないかということと関連するのでありますが、これも、先ほど来御説明申し上げておりますように、当初流下式並びに枝条架の能力と申しますか、そういうものについてこれくらいであろうというのが、だんだんそのコンバインされた二つの方法の運用がうまくなり、まただんだん見通しがついてきて併用すればたくさんできるというようなこともありまして、許可面積がふえたというようなこともあるのでありますが、その際に、専売法上許可してやっておるものを、一方的にこれをとめるわけにいかない。従いまして、先ほど来申し上げておりますように、これはやはり話し合いでやる、こういう世の中でありますので、三十二年度に当時の公社塩業者政府等と話し合いに入ったわけであります。話し合いでこれを何とか防ぎたい、またあるべき姿に返したい、こういうことにいたしたのであります。  なお、当初計画の百十万トンでありますが、これは、その当時の計画といたしましては、百十万トンで食料塩の全量は自給できる。何分閣議決定食料塩の全量自給ということになっておりますので、これで食料塩の全量は自給できるし、なお同時にその当時としては塩の価格も早く下ってくれるだろうという見通しもあったようでありますが、その方がなかなか思うように下らない場合に生産量の方がふえていくというようなこと、これまた、先ほどお話がありますように、その辺の見通しが誤まったじゃないかということを言われますと、結果的にはそういうことに相なったかといえるのでありますが、一応当時としてはそういう計画であったと、今から振り返って言えるのであります。
  23. 小山長規

    小山委員長代理 石村君、申し合せの時間が十一時半で、あとまだ質問者が三人おるのです。結論があるなら結論の方にだんだん論旨を進めて下さい。
  24. 石村英雄

    石村委員 結論を出そうと思って要求しておるけれども、一向結論通り答えられないから、いつまでも押し問答しなければならぬ。だからお許し願いたい。どうも小林脳部長は、しきりに、一つの事実が結果として起ったことをただ何じゃかんじゃおっしゃるだけで、当初の計画とかなんとかについての責任に関連することは全然おっしゃらない。ただやってみたら、よけいできましたとかなんとか、そんなことばかり言っておる。さっきの答弁の中にも、全体をやるんじゃない、個々の工場にやらせるのだから、やってみたら多かった、そんなばかげた話が一体ありますか。専売公社は全国的に統一した公社でしょう。全国に一々専売公社があるわけじゃない。だから、個々の工場にやらせるというときには、そういうものが集計されたらどうなるかということを、中央の本社ではっきりと検討を加えて、それを許可するとかしないとかをやらせなければならぬ。もう個々の工場がやる分はやらしておきまして、やってみたところが、集めてみたら大へんな数字であきれておりますというような、そんなばかげた答弁が一体ありますか。もっと率直に、公社本社として全国的な見通しを誤まっておった、全然それに対する検討を加えないで、安易なやり方をやっておって相済まぬ、こう国民の前に、ここであやまって下さいよ。さっき言った八十何億という膨大な国民の血税を出すというだけではなしに、今日やめさせられる業者としても、これは大へん迷惑ですよ。公社が認めてくれるからそれでせっかく作った、もう二、三年すればよくなるだろう、こう思っておったとたんに、もうやめろ、そんな冷酷な言い方がありますか。しかし、まあ現実にほっておけば赤字がどんどん出て国民に迷惑をかけるということになって、やむを得ず整理しなければならぬかもしれませんが、しかし、それに対する公社責任を何じゃかんじゃ言ってごまかされるようでは、これは委員長、いつまでたったってこの質問は続きますよ。私が打ち切ったところで、ほかの方がやるでしょう。はっきりして下さい。
  25. 松隈秀雄

    松隈説明員 先ほどからたびたび申し上げておりまするように、新技術関係もありまして、把握が十分でなかった、その結果今日の事態を引き起しておるのでございまするから、公社一体として見ますれば、確かに見通しを誤まった、その結果塩業者にも迷惑をかけまするが、また同時に国民負担においても御迷惑をかけるというような事態に至っておりますことは、まことに遺憾に存じます。
  26. 石村英雄

    石村委員 それで、今のはきわめてあいまいな陳謝でありましたが、陳謝があったので、お尋ねしますが、これは松隈総裁責任を私は追及しておるわけではありません。松隈総裁は、この間、一年前ですか、一年半前になられたばかりで、跡始末でむしろ苦労しておいでになると同情いたしますが、一体こういう事態を生むに至った昭和二十何年ですか、七、八年ごろからでもいいですが、総裁、副総裁はどういう方がいらっしゃって、現在何をしていらっしゃるか、それをお尋ねします。
  27. 小林章

    小林説明員 総裁はたしか人間野総裁であったと記憶いたします。
  28. 石村英雄

    石村委員 副総裁は。
  29. 小林章

    小林説明員 副総裁は松田さんだったと記憶いたしております。
  30. 石村英雄

    石村委員 松田だれですか。現在何をしている人ですか。
  31. 小林章

    小林説明員 松田令輔さんです。
  32. 石村英雄

    石村委員 現在何をしている。――こっちの方では、しきりにそんなことを言うな言うなとおっしゃるのですが、私は、個人的には、何も個々の人を、今過去の誤まりを引っぱり出して、それをあばくというようなことは、情においてはもちろん、浪花節の好きな日本人はあまり好みません。(笑声)しかし、これほどの事態を引き起して責任者が平然としておるということをそのままにしておいては、今後の日本のためによろしくないと思うのです。いつでも、やった、やった人はやめちまった、新しい人が出て、新しい人は、あれは前任者のことでどうもいたし方がありません。こういうことになっては、いつまでたったって、お役人というか、公社の方の責任というものが明らかにならぬ。そういうことではろくなことにはならぬと思うのです。今聞けば人間野さんと松田さんだそうですが、人間野さんはなくなられたようであります。なくなられた方をあの世へ行って追及するわけにはいきませんが、松田令輔さんは何をしておるかと聞いたら、御答弁になりませんでしたが、北海道東北開発公庫の総裁松田令輔、あの人じゃありませんか。(「知っておるじゃないか」と呼ぶ者あり)御答弁願います。それとも同姓同名の異人であるかどうか、はっきり明らかにして下さい。答弁願います。
  33. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 石村委員の方がよく御存じのようであります。
  34. 石村英雄

    石村委員 そうすると、今後のこともあるから、責任者として、こういう事態を引き起した――まああとになって結果がわかったとも言えるでございましょうが、しかし、いずれにしても、当時の総裁と副総裁責任であることは間違いないと思います。そういう責任者が、その失政の結果、八十数億円という国民の血税を出し、また多くの業者を困らせるような事態に立ち至った責任はやはり負うべきであると私は思うのです。しかも、その人が、一般の民間会社にいらっしゃるとか、あるいは引退して晴耕雨読かなんか、そういうことをしておいでになるのなら、こちらも追及することもありませんが、そういう人が現在依然としてやはり重要な政府機関の総裁という責任のある地位におられるということは、これは問題にすべきだと思うのです。私は松田ざん個人には気の毒だと思うのですが、こういうことをいつまでも続けておったら、ろくなことにはなりませんよ。役人というものは、やってしまったら、問題の起ったときはすぐ転任して、もうしようはありませんという今までの日本のやり方を改める必要があると思うのです。しかも、ただ単なる失政というだけでなしに、もう現実に八十何億という金、多くの業者はやめなければならぬ――私は実はこの二日の休みにちょっと帰りまして、公社がやめさせる部類に入れられるあの三田尻の塩田を見てきましたが、あそこがやめるということになると、もちろんあるいは工場が来て工場敷地に将来なるところもありましょうが、現在これをすぐ農地に転換するなんて容易なことではありません。そうしてやめさせられるのです。あの西浦塩業なんというのは、昨年あたりやっと枝条架が完成して、今までは困ったが、これから何とか息がつけるぞと、こう考えておったそのとたんに首切りです。やめさせられるわけです。業者の苦痛というものは、私が申し上げなくても、総裁はよく御承知であろうと思います。こういう事態を引き起して、依然としてその人が、同じ専売公社ではないにしても、重要な政府機関の総裁の地位におられるということはおかしいと思うのです。まあ罷免する法律はないかもしれませんが、おそらく、松田さんに良識があれば、きょうを限りにおやめになると思うのですけれども、こういうことははっきりさせなければいかぬと思う。これは松田さんの良識と政府当局の善処を求めて、問題を次に移します。  もう次の方がいらっしゃるそうですから、あまり聞きませんが、今度は一応希望でやめさせる、やめてもらう、それで機械製塩十万トン、塩田製塩二十万トンというのですが、これはやはり十万トン、二十万トンはそれぞれの部類で十万トン出す、あるいは二十万トンの希望を出す、こういうことなのですか。それとも全部一緒なのですか。
  35. 小林章

    小林説明員 十万トン、二十万トンと申しますのは、一応予算的にそういう算出をしたというだけでありまして、実行につきましては、ただいま石村委員から言われましたように、できるだけ希望によってやる、かように考えております。
  36. 石村英雄

    石村委員 それから、小委員会で、西村さんが、この三十万トンをオーバーした申し出があったらどうするか、こういう質問をされておるのです。会議録を読んでみますと、総裁はそれに対して直接の答弁をされておりませんが、これはどうなるのですか。
  37. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 塩の生産力は一応三十万トンと考えておるわけでございますが、三十万トン以上に希望がありました場合には、予算的にはその希望をいれるわけにいかないわけであります。これは結局今後の一般会計の財源とも見合いまして、次段の措置として検討いたしたいと思っております。
  38. 石村英雄

    石村委員 そうすると、場合によっては予算補正というようなことも考えられて認められるということなのですね。
  39. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 予算補正ではありませんで、来年度の予算として新しく問題として取り上げたい、こういうことであります。
  40. 石村英雄

    石村委員 まず希望の申し出を受けて、そうしてその過程にも勧告ということがあるのですが、最後の段階、つまり三十万トンに到達しないときには著しく生産能力の低いものを強制的にやめさせる、こういう法律条項があります。この著しく生産能力が低いというのはきわめて抽象的ですが、具体的にはどういうことが考えられますか。私はちょっと考えてみたのです。答弁がしいいようにこちらから申し上げますが、一番生産費の安いのからずっと残していって、九十五万トンをオーバーするところからやめさせるという意味なのですか、どうですか。
  41. 小林章

    小林説明員 実はこれも、石村委員承知のように、実行といたしましては、あの取り消しという規定は避けたい、できるだけ話し合ってやっていきたい、また三十七年度一万円という塩価の目標もございますので、それぞれそろばんを置いていただければ話もわかるだろう、できるだけ話し合いでやっていきたい、かように考えておりますが、どうしても話がつかない場合には、おそらくただいま石村委員のおっしゃられましたようなことも考えられるのではなかろうかと思うのであります。いずれにしても、三十七年度に一万円、その後の塩価もできるだけ下げたい、こういうことはわれわれとしても十分考えております。また塩業者もよくわかってくれておると思いますので、そういうことで話し合いを進めたいと考えております。
  42. 石村英雄

    石村委員 そうすると、なるべく強制は避けたい。これは当然のことだと思いますが、しかし場合によっては強制しなければならぬ。そこで、境目なんかのとき、さっき私が言ったような形で整理するとすると、その境目にひっかかるところと、その次との間に、著しい中産力の差はおそらくないということになると思うのです。必ずいろいろ問題を残すだろう。おれのととろをつぶしてあそこを残すのか、生産力幾らの違いがあるかという問題が起るでしょうし、また、そういうときに、これは私の想像ですが、一体おれのところの生産力が低いといっても、枝条架を自分の希望通りに作らせていないじゃないか、そうしておいて生産力が低いなんて何を言うか、こう言われたとき、どういう答弁をしますか。
  43. 小林章

    小林説明員 枝条架についての御質問がありましたが、これにつきましては塩業審議会の答申にもあるのでありますが、現在なるほど三十二年度来いろいろ話し合いがありました結果、凹凸があるようでありますので、今度整備するにつきましては、いろいろ生産能力の把握等、しゃくし定木を作ってやらなければならぬと思っておりますが、その際に、枝条架のアンバランス等につきましては、当然最小限度のところで並べて線をそろえてやりたい、かように考えております。
  44. 石村英雄

    石村委員 そうしますと、枝条架のパーセントなんかを一定の水準を置いて、その水準の点で生産費のいい悪いを判断する、こういう意味なのですね。
  45. 小林章

    小林説明員 そういうふうにしたいと考えております。
  46. 石村英雄

    石村委員 それから、今度の九十五万トンというのは、これは許可量なのですか。実際の生産量なのですか。それとも許可量イコール生産量、こういう意味なのですか。
  47. 小林章

    小林説明員 この点については、先般来百二十五万トンないし百三十万トンですか、塩業審議会の答申では百三十万トン程度という言葉を使われておりますが、その後塩業審議会では専門部会等でそれぞれ専門の先生にお願いして実測をして参りました。今考えられる科学技術の水準で大体百二十五万トンないし百三十万トン程度生産で押えておりますので、従って、九十五万トンと申しますのも、これからはすべて実生産能力ということで考えていきたいと考えております。
  48. 石村英雄

    石村委員 そうすると、許可された個々の塩業者数量をオーバーしたときには、これは買わない。買わないからどこにも売るわけにいかないから、海にまた流すか何かしなければなりませんが、そういうはっきりした方針をおとりになるでしょうか。でき上ったからしようがない、塩専売法では塩を買わなければならないというから、また買いますというようなことでは、九十五万トンなんて言ったところで、またどんなことになるかわかりません。この点を明らかにしていただきたい。
  49. 小林章

    小林説明員 その点については、ただいま提案しております法律でははっきりいたしておりませんが、専売法の趣旨におきましても、今後は許可量と実生産力とを合せて、今後二度と知らぬ間にふえたということのないようにいたしたい、かように考えております。
  50. 石村英雄

    石村委員 次にお尋ねいたしますが、さっきの著しく生産力が低いという問題です。この申し出は来年の三月三十一日までだと思うのですが、この後強制ということを発動されるのですが、そのときに、まだ現在稼働していないものがやはり残るというかもしれません。そのものの生産力判断して、強制の部類にかりに入れられるとすれば入れられるわけですが、また入れられないとすれば、どういうわけで入れられないのか。まだ稼働していないのですから、どれだけの生産力があるかはわかりません。これを向うがいいかげんに言って、それをそのまま信用して、生産力が多いから、著しく生産力が高いから残しますというようなことは言えないと思うのです。稼働していないものですから、稼働していないものは明年の四月以降はないのかもしれませんが、なければ問題はありませんが、どうなんですか。
  51. 小林章

    小林説明員 三十五年度以降はそういうものが少くなるのではないかと思いますが、いずれにしても取り消し規定の発動については、臨時塩業整備審議会に諮ってやることになっておりますので、臨時塩業整備審議会において十分に審議してもらい、またその段階では、必要があれば専門の方々にもそういういろいろな把握等についてお願いしたい、かように現段階では考えておる次第であります。
  52. 石村英雄

    石村委員 あなた方は実にけしからぬ答弁をされるわけです。この前やったときには、何とか答申を待つ、今度は、具体的にやるときには、審議会がやるからそれが判断するだろう――この法案審議するときに、今私の聞いたようなことに対する公社としてのはっきりした見解を示していただかなければ困るのです。それを全部今後できる審議会判断にまかせる、だからこの法律を通せ、こうおっしゃっても通しようがありませんよ。それでははっきりした公社の方針を明示していただきたい。
  53. 小林章

    小林説明員 この法案の取り消し規定を発動する場合には、臨時塩業審議会に諮るようになっておりますので、その通り私申し上げたのであります。
  54. 石村英雄

    石村委員 なるほど諮って実施するんでしょうが、その基本方針くらいはここで明らかにしてもらわなければ困る。何もかもみんな整備委員会責任をなすりつけて、それで適当にやりますから、まあそのやるところをごらん下さい、そんな答弁はないと思う。稼働してないものに対してはどう判断するとかいうことぐらいの答弁ができないようでは、こんな法律を通すわけにはいかぬ。
  55. 小林章

    小林説明員 稼働しているものも未稼働のものも、許可しているという建前では同じでありますので、両者とも同じように扱って考えたい、かように考えております。ただ能力その他の点等につきましては、それぞれ必要によって専門的に研究したい、かように考えておるわけであります。
  56. 石村英雄

    石村委員 そのまだ稼働してないものの能力がわからないんじゃないか、こう言うんです。単なる幾らできるだろうという能力じゃありませんよ。生産費が著しく低い、つまり著しい生産性の悪いところという判断、これが著しく悪いかいいかという判断が、稼働してないそんなわけもわからぬものに、著しく生産力が高いとか低いという判定ができますか。
  57. 小林章

    小林説明員 流下式に転換の際には、いろいろ見通しの誤まり等があったわけでありますが、そういう過去の失敗にこりまして、今回はできるだけ十分勉強さしていただいてやらしてもらいたい、かように考えて、昨年来塩業審議会審議の段階でも、それぞれ専門の先生方に依頼して、各方面からいろいろ専門的な勉強をお願いしたのであります。従いまして、現段階に荒きましては、専門の先生方にお願いしてやれば、生産力の把握なりまたそれに基く生産費なりは一応推定がつく、かように考えております。
  58. 石村英雄

    石村委員 それは先の問題ですからおきますが、一万円の収納価格というのは、間違いなしに三十七年度は一万円、これは一応いろいろの経済情勢の変動全然なしという条件をつけなければいかぬでしょうが、現在の情勢のもとでは、必ず一万円におやりになることは間違いありませんね。そうしてこの一万円というのは三十七年度で、三十八年度にはさらにこれを引き下げるというような方針でもあるのかないのか、経済情勢に変動のない限りは、五年も十年もずっと一万円でいくというのかどうか、なるべく引き下げていくという方針であるかどうか、この点明らかにしていただきたい。
  59. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 石村委員のおっしゃいますように、昭和三十七年度一万円ということを堅持いたしたいと思っております。  なお、三十八年度以降につきましては、塩業審議会から、その場合の価格決定については、六十万トンから八十万トンの間にある企業生産費を基準として価格をきめるというふうなことが出ております。それに従ってきめていきたいと思っております。
  60. 石村英雄

    石村委員 そうすると、一種のバルク・ラインを引かれるということになるわけですね。ところで、さっきの未稼働の分の生産性の問題ですが、夫稼働のやつが今度やめない、残ります、また整備委員会の判定も生産力は高い、こういう判定だが、やってみたら案外悪かった。その一万円あるいは将来の引かれる線、バルク・ラインで引かれる線ではとうていやっていけない、こういう事態に立ち至ってやめる場合には、今度のようなこういう補償というものは全然考えられないのであるか、それともまた何か温情と称するものをお出しになるのかどうか。
  61. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 これも、塩業審議会の答申にございますように、三十四年と三十五年に廃止をいたしますものに適正な補償をしよう、こういうことでございます。法案も三十四年、三十五年にやめるもののみに交付金を渡すつもりでありますので、そういう事態が起りましても、われわれは交付金を出さないつもりでございます。
  62. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ちょっと今の御答弁に関連質問いたしますが、許可があって今施設を作りつつある、まだ塩ができない、そういう未稼働のものがやめるという場合には、この法律に基いて交付金なり補償金が出るのかという石村委員の御質問に対して、政府委員の御答弁は、三十四年、三十五年中にやめる場合はこの法律を適用しない、つまり交付金、補償金を渡さない、こういう明確な答弁ですが、(「逆だ、三十四年、三十五年は渡すのだ」と呼ぶ者あり)渡すのですか。渡す場合には、それではその補償金の基準はどうなりますか。どういう計算で渡すのですか。
  63. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 今石村委員のおっしゃいましたことは違うのでございます。石村委員は、三十七年度以降の価格政策で、やっていけると思って残ったところが、やっていけなくなって、自分の都合でやめたいというものにも金を出すかとおっしゃるから、出しませんと申したのであります。  今奧村委員のおっしゃるのは、まだ塩が出てないものがやめるときに、交付金の適用ほどうなるかということでございますが、それは交付金のそれぞれの規定に従いまして、たとえば現実の存在する工事途中の施設の価値が塩の製造を廃止することによりいかに減価するかというふうな基準により、法案第三条が適用されるわけであります。
  64. 石村英雄

    石村委員 最後に一つお尋ねしますが、それは、予算面で見ますと、八億ですか残存業者が金を出す、法律で一トン二百円以内の金を残存業者が出す、こういうことになっておるのですが、政令案ではそれが二百円でなしに五十円というふうに引き下げられておるようです。この引き下げられたのは、いろいろの含みもあるようですが、場合によっては、この百五十円の開きを、都合によると一万円から、さらに三十七年度は事情によっては百五十円くらい収納価格からお引きになるということもあり得るわけですか。二百円を五十円に引き下げたその処置との関連において、そういうことも起り得る、こう理解していいですか。
  65. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 われわれは五十円でやっていきたいと思っております。
  66. 石村英雄

    石村委員 あくまで五十円だということになりますと、なぜ百五十円というものをそのままおまけになったのかという質問が出ざるを得ないわけですね。これにはいろいろ理由もあるようですが、だから私は必ず百五十円を引きなさい、引くのかと聞いておるわけじゃない。事情によっては、つまり、整理に関する残存業者としての協力と申しますか、そういうことの程度いかんによっては、収納価格を引き下げるというやり方も考えられるかどうかということを聞いておる。はっきり、いや考えます、必ず引き下げますとかなんとかいう答弁を要求しておるわけじゃない。事情によってはそういうことも考えられるかと言っておる。これは総裁の御答弁を願います。
  67. 松隈秀雄

    松隈説明員 残存業者の負担しまする金額は一応二百円を予定したのでありますが、いろいろの含み、あや等がございまして、五十円ということに引き下げました。そこで、お尋ねのように百五十円という問題が残っておることは事実でございます。これをどうするかということにつきましては、公社としては慎重な検討をしたい、かように考えております。   [小山委員長代理退席、委員長着席]
  68. 早川崇

    早川委員長 奧村又十郎君。――奥村君はおりませんか。それでは田万君。
  69. 田万廣文

    ○田万委員 村上監理官にお尋ねいたします。今度の法案を見ますと、労務補償の性格については、退職金を支払うための費用ということになっておりますが、これは、本来の意味からいったならば、転業のための資金というふうに解釈していいものではなかろうかと考えるのですが、その点はどういう御見解をお持ちですか。
  70. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 退職金がいかなる意味を持っておるかということにつきましては、いろいろの見方が成り立つと考えられるのであります。今回の塩業整備に際しまして、われわれが、離職される労務者の方々の退職金についてできるだけ手厚くいたしたい、こう考えました理由は、塩業というものの立地性あるいは塩業労務者というものの性格上、なかなか次のたつきの道々見つけることが困難であるということから出発をいたしたわけでございますが、退職金がこういうふうに次のたつきの道を見出すまでの生活をささえる資金として使われるという見方、これは考えようによってはそう見られると思います。
  71. 田万廣文

    ○田万委員 業者の方は転業資金ということにはっきりなっておるわけですね。同じところで働いておる労務者が、生業を失って生活に困るというような同じ状態に置かれるものを、片一方は転業資金、片一方は退職資金というような差別をつけることには、どうも疑問があるのです。やはり、業者と同じように、そこで働いておった労働者が失業する、その生活保障というふうに解釈することが親切な解釈ではないのですか、どうですか。
  72. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 塩業者に対する交付金を転業資金だ――これは実は塩業補償という言葉を使っておったのです。塩業補償といいますと、機械製塩なんかにもちょっと観念の混合を生ずる可能性がありますので、そこでその金の実態等も観察いたしまして、結局、今後の整備につきましては、整備によって企業の借金が返せるということ、それから企業関係者が社会的混乱を起さずに次の生業を探すようにできるだけいたしたい、こういうふうな今回の整備の大目的から申しまして、そういうことに使われるということから、塩業者という名前の採鹹人に対する交付金を、私はしばしば転業のために必要な金だというふうに御説明申し上げたかと思いますが、実態に着目して考えれば、塩業者に対するものも、それから労務者に対するものも、社会的な混乱を起さずに次のたつきの道を見出すまでの生活のささえをするということにおいては、変りないと思っております。
  73. 田万廣文

    ○田万委員 今度の委員会でいろいろわかったことは、地方によっては非常に塩田労務者の賃金ベースが安いところがある。特に今度の補償問題については、極端に著しく安いものについては交付の金を増してやる、最低のボーダー・ラインを引いて、それから以下のものを上げてやるという考え方、思いやりといった点について、監理官はどういうお考えを持っておられるか。
  74. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 昨年の公社賃金実態調査によりますと、真空式の平均勤続年数は大体十年になっておるようであります。それから基準内賃金の水準は一万三千円程度ということになっております。また、塩業労務者の賃金水準は、これも、実態調査によりますと、当該企業生産性の高低と申しますか、そういうものよりも、むしろ地域的な労務事情に支配されておるのが相当あるようであります。従って、被整理事業の賃金水準が、残存事業に比べて必ずしも低いとも言えないようであります。しかし、御説のように、もしこの実施の段階によりましてはなはだしくお気の毒な低賃金の者があるというようなことがありました場合には、実施に際しては何とか善処をいたしたい、こう考えております。
  75. 田万廣文

    ○田万委員 いろいろお考えをいただいておると思うのですが、私どもの調査した結果では、まじめに、一生懸命塩の増産のために働いておる労務者の賃金が非常に安くなっておるということがわかった。これは一々事例を申し上げなくても、総裁並びに監理官の方でよく御承知だろうと思う。その点につきまして、もし今度の整備という段階になった場合においては、格段の思いやりをそこへ与えていただくことを重ねて願っておきたいと思うのであります。  その次にお尋ねしたいことは、勤続年数の算定について、業者間にいろいろアンバランスがあるということがなかろうか。あるいはあるかもわからない。そういう場合においてはどういうような考慮が払わるべきであるか。どういうお考えを持っておるか。私どもの考え方といたしましては、そういうアンバランスができた時分には、やはり労働組合というようなものと協議してそれを御決定になる、それもよろしいといろ考えを持っておられるかどうか、この点をお伺いしたい。
  76. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 この問題は、この交付金に対します会計検査院の監査もあとであることでありますし、基準の算定につきましては、厳格にかつ統一的にいたしたいと思っております。おっしゃるようなことがあるのかどうか、私はないと思うのでありますし、そういう勤続年数の出し方については、おそらく、交付の細則をきめます場合には、公社あたりから統一的な基準を指示しまして、それによって積算するようなことになるのではないか、こう考えておるわけであります。従って、おっしゃるような御心配のことはないと思います。
  77. 田万廣文

    ○田万委員 もしなければけっこうですけれども、あった場合にどういうことになるか、どういう取扱いをすればいいかということについて、監理官のお考えを率直にお聞きしたい。
  78. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 これは仮定の問題でございますので、私もあれですが、そういうことがありましたら、いろいろ慎重に検討いたしたいと思います。
  79. 田万廣文

    ○田万委員 総裁に一、二お尋ねしたいのですが、私はこの小委員会から引き続いてずっと問題にしておるが、今度できる塩業審議会委員の選考について、これは、従来は学識経験者という名前のもとに塩業企業家の代表の方が入っておられる。収納価格審議会にも入っておられるということをわれわれは聞いておるが、労働者の代表を入れないという従来の行き方、これは全く時代錯誤的なものの考え方だろうと思う。今度の生まれるべき整備審議会委員に、学識経験者として業者の代表を入れる考えがあるか、あるいはそれと並行して労働者の代表を入れる考えがあるか、いずれも入れない考えであるかどうか、この点をお答え願いたい。
  80. 松隈秀雄

    松隈説明員 塩業整備審議会のおもなる仕事を考えてみますと、整理に伴います苦情の処理、企業診断の仕事、これが大部分であると考えます。従いまして、現在のところといたしましては、企業診断ができる、それもきわめて広い視野から判断できるというような意味で、学識経験者の中から委員を委嘱したい、かように考えております。特定の業者の代表であるというような意味の選考は避けた方がいいと考えます。
  81. 田万廣文

    ○田万委員 私は、その反対に、むしろ今までのいろいろな塩行政の失敗というものが官僚独善のために起きておった、あるいは学識経験者の中に塩業行政に対するあまり知識のなかった人間が多かったがために、間違ったことができておるとも考えられる。従って、できるべき塩業審議会の中には、業者の代表を入れることに私は必ずしも反対でない。むしろ入れていいのではないか。と同様に、やはり労働者を同じ資格において塩業審議会に入れてやることは、円満な塩業行政あるいは企業診断の行き方についてよろしい、こういうものの考え方に立っておるのです。必ずしも排斥的な立場でものを言っておるのではない。従って、総裁、あまりかたくならずに、塩業整備審議会の中には業者の代表を入れない、あるいは労働組合の代表を入れないというかたくななものの考え方でなくて、おおらかな気持で、ほんとうに日本の塩の行政の過去の失敗を今度清算するのだという、この重大な委員会であることにかんがみた場合に、あらゆる階層の学識経験者、いわゆる業者も学識経験者と見てよろしい、労働者はもちろん学識経験者の中に入ってよろしい、こういう考え方をおとりになるということにした方が私はいいと考えます。これはあなたの考えで大体きまるべきものだと思うのであって、さらに率直なお答えをお聞きしたい。私どもは言葉じりをとってどうこうということを決して考えておりませんから、安心してお答えを願いたいと思います。
  82. 松隈秀雄

    松隈説明員 塩業整備審議会委員については、まだ具体的な人選を始めておりませんで、今日の段階では、抽象的に、先ほど申し上げましたように、苦情処理なり企業診断なりが広い視野からできる人を選びたい、かように考えております。その意味で、塩業者の代表あるいは労働者の代表が適当であるかどうか、慎重な検討を加えたい、かように考えております。
  83. 田万廣文

    ○田万委員 よくその点考えてやっていただきたいと思います。  それから、次に監理官にお尋ねしたいのですが、今度の法案を見ますと、一ヘクタール百五十トンに満たないものを、一応ベース・アップして百五十トンとして補償金を交付するというような規定があるのですが、これに対応する労務者に対する規定がないのですが、これはどういうことでそういうことになったのでしょうか、その点を一つお尋ねしたいと思います。一方業者には非常に親切であって、労働者に非常に不親切のような条項に見える。アンバランスがあるように見えるのですが、その点一つお尋ねしたい。
  84. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 先ほど濱田委員長からもお話がありましたように、退職金の算定に当りましては、勤続年数の短かい者、法的には三年未満の者について退職手当の最低補償をつけるようになっております。あるいはまた、先ほど田万委員から御質問のありましたように、われわれはそういう著しく低賃金のお気の毒な方はないと思いますけれども、もしありましたときには、実施上の段階において何とか善処いたしたいというふうに答えたわけでありますが、そういうものが先ほどおっしゃいました百五十トンとのいわば見合いになっている、そういうふうに考えております。
  85. 田万廣文

    ○田万委員 この残存の廃止業者に対する見舞金についてですが、これは労務者に対しても何か見舞金を出すというようなことにしてもいいと考えられるのですが、これはどういうことになりますか。
  86. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 五十円の納付金を取るわけでございまするが、これは八十七億のワクを広げるわけではございませんので、八十七億の原資になるだけでございます。従って五十円の納付金によってそれぞれの交付基準が変るわけではございません。それ以外のことは、われわれは現在のところ承知いたしておりません。
  87. 田万廣文

    ○田万委員 いろいろ村上監理官の御答弁があったのですが、われわれはその内容を今後の整備に当っての忠実な態度に見たいと思いますが、誠実に今お話しがあったような方針でやっていただきたいと思います。  最後に一つ、私は錦海の問題についてお尋ねしたいと思います。これはしめくくりの意味で申し上げます。昨年の十二月十六日から開かれました本委員会における質疑におきまして、率直にいって、錦海は未稼働のものであって、しかも、われわれのいろいろ調査した結果に基きますと、塩田としての適格性を欠いておるということが出ておるわけです。しかも、こういうのに対して錦海の関係の諸君は猛烈に運動しておると思いますが、紙の上では、いわゆる公社に対しての申請の場合にも、見込みがあるというような報告をしておる。しかしながら、現実に三十七年度において一万円のコストに引き下げてしまうという場合に、あのような不良な塩田で、しかも多額の経費のかかっておるところで、こういう安い価格のものができるかどうか。紙の上では何ぼでも書けます。幾らでも安く書けますが、実際においてこれができるかどうか疑問なんです。むしろ、疑問というのは、できないという方の疑問が大きい。こういう段階において、この錦海の塩田に対する今度の政府の取扱い方について、あなたの方では、塩業審議会の結果においてそれが出てくるのだという、おそらくお答えをするでありましょうけれども、現実審議会結論を見るまでもなく、あなたは塩業のオーソリティとして実態を把握しておられる立場からいって、この錦海塩業の問題については整理すべきであるというふうに、これは客観的に考えなければならぬ。たびたびあなたに質問しましたが、あなたはとやかく申して、どうも錦海を援護しておるような答弁になっておると私は考える。奥村委員も同僚の西村委員もいろいろその錦海の問題について聞かれた。率直なお答えが出ておりませんが、これはやめてしまったらどうですか、率直にお答えを願いたい。
  88. 松隈秀雄

    松隈説明員 今日の段階におきまして、錦海塩業を整備に入れるということを公社総裁として言明するわけには参りません。そういうものを含めまして整備のための法律案を提出いたしておりまするので、この法律案の御審議を願いまして、この法律案通りましたならば、その法律案趣旨に基いて善処いたしたい、かように考えておるのであります。その場合において、おそらく錦海塩業は本年の四、五月ごろから塩の生産が始まって参ると思います。従って、全然未着手の企業と違いまして、実態が一部において出て参ります。そこで、その一部の実態を基礎に、フル稼働をした場合にはどういう計算になるかということについて、もちろん会社側の説明を聴取いたしまして、それを塩業整備審議会にかけますが、とかく自分のことは欲目でよく見たがる、こういう傾向があることは確かでありまするし、それから、本国会におきまして――錦海は予想以上に投下資本がかかっておる。この点は私どもも途中で堤防が決壊したために生産コストが高くなるということは承知いたしておるのでありますが、国会においていろいろ論議があって、会社が机上で作った資料だけをうのみにすると非常に危険である、そういう御注意があったという点もあわせて企業整備審議会に披露申し上げて、企業整備審議会なりあるいはそれに付属いたしまする専門委員会でよく審議をしてもらって、その結果に基いて処理するのが適当である、今日ではさようにお答えするほかはお答えのしようがないというわけでございます。
  89. 田万廣文

    ○田万委員 佐世保と香川県に一つ未稼働のものがございますが、これは当然整備の対象として考えてよろしいですか、どうですか。
  90. 小林章

    小林説明員 まず、今度の法案の内容が、先ほど来いろいろ議論されましたように、希望を主にしてもらうということになっておりますので、各業者が、三十七年度一万円、それからなお合理化して値下げするということを頭に置いて、その申し出を待って、やっていきたい、かように考えております。
  91. 田万廣文

    ○田万委員 未稼働の、まだ完全にでき上っておらない塩田、そういうものは、これは当然、審議会結論を待つまでもなく、公社としては整理のうちにはめるべきではないか。それを強制的にやるという方針をとることをあなたは非常にきらっておられることはわかるけれども、実際は強制も何もない。動いていないのです。こういう工事もできていないものを整理の対象にするということは当然じゃないですか。あなたはそれまで業者に遠慮をなさる必要はないと思いますが、いかがですか。
  92. 小林章

    小林説明員 ただいま申し上げましたのは、現在御審議願っております法案の建前で申し上げたのであります。御趣旨の点につきましては、三十五年度からになっておりますので、まず希望、勧告ということになりますと、当然そういうものにつきましては御希望があることを期待いたします。なお、希望がなければ勧告という問題も当然塩業整備審議会にかけなければならぬと考えておりますので、そういうように取り計らいたい、かように考えております。
  93. 田万廣文

    ○田万委員 錦海塩田の問題は非常にはなやかになっておるわけですが、これはやはり、自民党といわず、社会党といわず、合理的な線の上から判断をして、政党を越えて大いに研究せなければいかぬ問題だと思っております。しかも、これが補償ということになれば相当金もかかることでありますから、よく研究せなければいかぬと思いますが、この錦海塩田が三十七年度に一万円の塩価に切りかえができるという保証がはっきりつきますか、総裁。今日の段階においては私はなかなかむずかしいと思うのです。現にまだ塩々作っておらないのですから。しかも、工事半ばにして土手が崩壊して、またたくさんの金を入れて、そしてコストが高くかかってくると私は考える。一万円の塩価なんてとても――口に言うのはやすいけれども、紙の上では簡単に書けるけれども、実際言って私は不可能だという心があるのですが、総裁はいかがでしょうか、その点。
  94. 松隈秀雄

    松隈説明員 これは錦海塩業という会社自体の問題でありまするので、私が推測するのは非常にむずかしいのでありまするが、三十七年度に一万円でできるかできないかということは、会社が目論見書を作って持って参ると思います。その場合において、単純な机上計画であるか、実績をもとにしてできたものであるかということが判定の基準になると思います。なお、錦海の場合には、一つの特徴といたしましては、一ヵ所にまとまって約十万トンという許可量を持っておりまするので、会社が今後枝条架方式流下式方式にどの程度力を入れ、あるいは新技術の導入ということをどう考えておるか、こういうようなことについては全くわれわれも予測ができないのであります。いずれそういうものについての考えも明らかにして、フル稼働した場合においてどうなるか、そして三十七年度においてはどういうコスト計算になるかという綿密な書類を出して参ると思いますので、それについて審議をいたし、なお、先ほど来申し上げました通り、国会においても相当議論があったということを注意して、審議をしてもらうようにしたいと思っております。
  95. 田万廣文

    ○田万委員 最後に一つお尋ねしておきますが、この錦海は、許可になったのは三十年で、例の長崎の全国業者の大会から後に出ておるわけです。あなたの説明によれば、二十七、八年ごろですかに一応内認可を与えた、従ってそれを許可せなければいけないということで、時間的には業者からもう新規塩田許可はしてもらいたくないという要請があったことは知っておるけれども、許可せざるを得なかったという御答弁になっておると私は考えております。そういう事情の中で、時間的には、すでに塩の増産が思ったよりも非常にたくさんできて、許可しなかったらよかったという時代に許可した。それが、大きく言うならば、今日の塩業整備の案を出さなければならぬという一つの理由にもなっておることにかんがみまして、しかも、十万トンという、一つの塩田で相当多額の塩の生産ができるという見込みを持っておる錦海塩田のこの新規許可に対して、多くの既設の塩田業者が十万トンに相当するものだけ泣かされてしまう。新しく出ましたやつを、しかもそれがコストにおいて必ずしも公社考えておられるような安い価格でできないという見通しの多いこの錦海塩田のために、既設の塩田業者が泣かされておるこの事実は、どうしても納得できないのです。従って、今度の整備につきましては私どもだけでなくて、自民党の諸君も、心ある人はこの錦海塩田を早急に血祭に上げろというような勇敢な意見を出されておるのであります。それが正しいのであって、公社においてもよく考えていただきたい。  そこで、この錦海塩業を整理するという必要が起った場合に、今石村君なりに対する答弁によると、三十四年、三十五年にそういう事態が起きたならば、この法案で補償してやるということでございます。しかし、それから将来、三十五年を過ぎてこれがいけないという場合には、やはり補償してやるつもりですか。私はもう今日非常に無理して残しておるという事情からいって、補償する必要はないと思う。こんなに全国の同業者の中から反対を持たれて憎まれておるこの新規錦海塩田に対して補償をやるということは、これが国民の血税であるという点からいえば、この際整理すればともかくも、そうでなければやる必要はないというふうに考える。これに対して総裁のお答えを願いたい。
  96. 松隈秀雄

    松隈説明員 錦海塩業が三十四、三十五年の間にこの法律に従ってやめますれば、法律の定める補償を与えますけれども、それから後に計算を誤まって立ち行かなくなったからといっても、これは絶対補償を出すということにはならない、こういうふうに考えております。
  97. 早川崇

  98. 奧村又十郎

    ○奧村委員 時間も経過いたしましたが、私は、先般来、専売小委員会において、この法案についてたびたび質問をいたしました。これは非常に重要な規定がたくさんありまして、政府あるいは専売公社総裁の明確な御答弁を得られなかった点もありますので、なるべく質問をしぼりまして、ごく短時間取りまとめの意味で要点だけお尋ねいたしたい、かように存ずるのであります。  そこで、今も御質問の中には、大体今日こういう法律をもって整理をしなければならぬことになったのは、過去数年間に放漫に許可をし設備をさした専売公社責任があるのじゃないか、こういうことが言われております。私も実は同感で、この点は小委員会でたびたびお尋ねしたのでありますが、これは繰り返しません。しかし、この法案を読んで、これをいよいよ実施する場合に、非常に中途半端な規定が多いので、また同じような失敗を政府、専売公社が繰り返すのではないかという不安がありますから、今後重ねて失敗しないように、その意味でお尋ねするわけです。というのは、この法律の目的は、過剰設備を整理して塩価を下げようというのです。果して昭和三十七年において一万円に塩価が下るのか、それを一つはっきり確信のある御答弁を得たい。先般来調べてみますと、食用塩の国際的な価格の比較、アメリカやイギリスにおいては、家庭で使う食用塩が一キロ五円ないし六円で売買されておる。日本において専売公社の売るのは、一番高いのは一キロ五十円、あるいは小売屋でかますにおいて売るのが一キロ二十円、これは、たばこのように税金をとるのなら別ですが、そうでないのに、専売公社が扱うがゆえに特に塩が高くなるということでは、これはいかにしても専売というものの基本に触れて方針を変えなければいかぬということでありますから、塩業審議会においても何とか合理化しなければいかぬ。その目的からこの法律案が提案された。百歩譲って、さて昭和三十七年に一万円になるのか。そこでこの法案を読んでみますと、この塩価について、第十一条には、今後残存する業者に対しては一応合理化の計画書を出さす、それについては政令で定める基準価格によって――ということは一万円を言うのでしょうが、これで健全経営とすることを目標として作成させるというが、しかしこういう合理化の計画書を出さすが、それに基いて政府はどういう処置をするか。そういうことは何も書いてない。また、合理化の計画書というのはいつ出さして、これに基いてどうなるのだということが、この法案だけでは全然わからぬ。またこの一万円というものはここへ書いてない。これだけでは、まるで訓示規定と申しますか、魂が入っておらぬ。確固たる政府の信念というものが明らかでないから、昭和三十七年には塩の価格は一万円になるのだということをはっきり実行する政府の信念のほどを示していただきたいし、またその信念がどの法律のどの条項にはっきりうたわれておるのかということを、御明言願いたい。
  99. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 昭和三十七年度塩価が一万円というのは、いわばこの法のかなめでございます。従って、先ほど来社会党の委員の方々に御答弁申し上げましたように、われわれとしては昭和三十七年度一万円の塩価というものを必ず実現いたしたいと思っております。ただ、政令に定めると書きましたゆえんのものは、前回小委員会で御答弁申し上げましたように、経済事情その他について変動がないというふうな前提がありますと、法律に書くのはむしろ法律を生硬ならしめるゆえんでございますので、政令に譲ったというだけでございまして、ここに私が明言いたしますように、一万円にいたしたいと思っております。  それから、合理化計画書を提出させますのは、昭和三十四年度できるだけ早く政令で期日をきめまして、第一・四半期または第二・四半期くらいまでの間に合理化計画書を出させまして、この内容を精査することによりまして、第二条にございますように勧告の規定を発動する資料といたすとともに、もし昭和三十四年度中の廃止申し出者が三十万トンに満たない場合に、その満たない部分について取消権を発動いたしますその基礎としても使いたい、こういうふうに考えております。
  100. 奧村又十郎

    ○奧村委員 やめる場合の今の勧告などはわかります。しかし、残存業者に対して、この提出する合理化計画書を実行する義務というものは何も規定されておらぬので、魂が抜けておる、こういうふうに私は申し上げるのです。これはちょっと議論にわたりますから、その次に移りたいと思います。なぜ私は強くこの点を申し上げるかというと、この法律によって先祖伝来の塩作りをおやめになる、いわばお気の毒なお方々、あるいはそれどころか、やめようかやめまいか、こういって迷うておられる全国の塩業者がずいぶんたくさんおられると思う。残存される人にしても、もう今までのような中途半端な気持ではいきませんぞというふうなこと、そういう判断をきっぱり業者にさせて、あとくされのないように、塩価を下げるために涙をのんで一つきっぱりやめようという気持を起させるためには、政府の不動の信念というものをはっきり明確になさらなければ、やめようかやめまいかというお方方、特に先祖伝来の商売をやめるお方については、今の状態ではまことにお気の毒である。実は、かように申し上げるのは、私は昭和二十五年まで自家製塩をやっておった人間であります。その当時の金で百万円以上の施設をやって、それが大蔵省の命令一本でやめて、その当時はびた一文の補償金も出ませんが、しかし、これも国策とあればやむを得ぬ、こう思ってやめたのであります。今日こういう法案を見ると、同じ業者でがんばってやっておったものは今度補償金をもらえる、同じやめるなら、わしも意地を張ってやっておればよかった、今さらながら残念に思のですが、そういうやめてからあと味の悪い思いをさせちゃいかぬということと、また消費者大衆に対して今度の法律でいよいよ塩は安くなるんだという確信を持たすために、私は特に突っ込んで言うのです。  そこで、問題は、先ほど他の委員からもお話がありましたが、この整理の方法について、過去三、四年の間に非常にたくさんの許可をし設備をやらせ、また夫稼働の設備をやりつつある機械製塩、こういうものに対してどうしようかということ、これに明確な御答弁がないので、重ねて申し上げるのは恐縮でありますが、別の角度で申し上げます。現にこれは、わが大蔵委員会において、去年の暮れ、特にこの整理の問題について、参考人として山口県の塩業組合の連合会長、あるいは生島塩業株式会社の専務理事、あるいは日本塩業労働組合連合会長を呼んで意見を聞いた。その人たちが口々に言うことは、ごく最近に許可し今設備しつつある機械製塩八工場及び十万トンの錦海湾、これを何とか善処させれば、昔からの塩業者をそうばたばたやめさせぬでもいいじゃないかということを言うておられる。これについて政府のもう少し明確な御答弁がないと、おそらくどなたもみずから進んでやめますということには言い切れぬと思います。ですから、私としては与党ではあるが、やむを得ずこれだけは確かめておかなければならぬ。この点については、おそらく、政府立場からいいますと、それは機械製塩で新しい技術を入れればどんどん塩価は下るんだから、塩価を下げるためにやむを得ず新規の許可もせねばならぬと言われるが、先ほども御質疑があったけれども、中にはトン八千円でできるとかトン七千円でできるという計画書を出して許可をとりながら、実際工場ができたらその倍の一万六千円もかかっておる。それをどうするか、先般から私はお尋ねしておる。北陸製塩はようやく昨年設備が完了して、塩ができてみたらトン一万七千八百数十円もかかっておる。当然これは整理しなければならぬ。あるいは錦海湾は今お話しの通り。そうすると、これも自発的にやめるということを言うてこなければ整理の対象にならぬのですが、それならほかの普通の塩田業者もやめる人はおそらくよけいはおらぬと思う。これを何とか政府の明確な御方針をおっしゃっていただくわけにはいかぬでしょうか。特に現在まだ設備は作りつつあり、未稼働です。これに対してどうするのか。これだけは聞かせていただきませんと、これからやめようとする人の腹がきまらぬと思う。またこれがはっきりしなければ、塩価一万円に下るという確信が持てぬ。現に去年できた北陸製塩がトン一万八千円近くかかっておる。錦海湾なんかは途中で工事が失敗したのだから、これも完成したってトン一万何千円かかる。こういうものをやらせておけば、この法律を執行したってトン一万円にはならぬのです。特に問題は、北陸製塩や錦海湾や、こういう最近作らせたものは、農林漁業金融公庫や農林中央金庫、みな国の金を使っておる。あなた方、それがいやならやめさせるとか、自発的にまかせるとか言っておるけれども、資本金はごくわずかです。大かた国の金ですよ。これがうまくいかなければ、みな国の欠損です。これをどうしますか。一つはっきり御答弁願いましょう。
  101. 松隈秀雄

    松隈説明員 ただいま奥村委員のおっしゃったことは、私としては全く同じような考えを持っておるのでございます。将来の塩価を一万円にして、そのめどをはっきりして業者の進退を明らかにさせるということについては、全く同感であります。塩価一万円ということは、かねがね塩業者公社の話し合いにおいても出ておったことでありまして、たとえば昭和三十二年の十二月に塩業者との間に国内塩生産対策というものができまして、そのときにおいても将来の収納価格は、食用とソーダ工業用とに区分し、前者については一万円程度、後者については輸入塩価格を目標とし、別に設定する収納価格審議会に諮問して毎年決定する、こういう取りきめができておりますので、一万円が目標であるということについては異論がないのであります。ただ、このときには、まだいつ一万円にするかということがはっきりしておらなかったのでありますが、その点を先般の塩業審議会においても審議していただきまして、このときに三十六年度で一万円でもできる、こういう説もありましたけれども、特に慎重を期しまして、塩業審議会昭和三十七年度においては白塩一トン当り一万円とすべきである、こうはっきり答申をいただいておりますので、この答申を受けまして、先ほど監理官から説明がありましたように、三十七年度には一万円にする。ただ、これを法律に書かずに政令に譲った理由は、先ほど説明があった通りであります。そういう理由で政令に書くことにしましたけれども、方針といたしましてはあくまで三十七年度一万円の塩価にはしたいのだ。従って、これでやっていけるかどうかということ、企業自身の判断が必要である。そうして、その判断においてやっていけないということで、企業の方から申し出のありました部分は、これは希望として優先的に整理をしていく。そうして、一万円を目標としました起業目論見書を塩業整備審議会において審議をいたしまして、業者が自己に有利なようにことさら作為して作ってあるものであるか、あるいは、第三者が見た場合において、それが適当であるかいなかという判断をいたしまして、それが不適当である、やはり一万円では無理であるというような企業診断がつけば、塩業整備審議会の意見も聞きまして勧告をする、最後には取り消しをする、こういうことになりますので、この法律が実施されて円滑に運用されますれば、ただいま個個の会社のお名前をおあげになりましたけれども、一々の会社について言うことは避けますが、一万八千円もするというような生産費のところであれば、どんなにしても三十七年度までに一万円に下るという計算は常識的には出そうもないので、そういうところであれば、みずから希望整理を申し出る、あるいは塩業整備審議会の議を経て、これに勧告もしくは取り消しをする、こういうような整理の仕方をしていきたい、かような方針を公社は確固として堅持しまして、この両年度間において整理をするものに限って補償金を与え、その後は与えないということも明らかにしつつ、業者の決意を促したい、かように考えております。
  102. 奧村又十郎

    ○奧村委員 どうも苦しい御答弁のようですが、それでは角度を変えまして、せめて今未稼働の設備中のものをこの際計画くらいは縮小変更させたらどうですか。これは塩専売法によって規定されており、計画の縮小、変更はやらせられると思います。たとえば錦海湾については今十七億ほど金が出ておる。これを当初の計画通り完成させるには三十五億要るのだから、まだ十八億つぎ込まなければならない。この金はほとんど政府の金である。そんなものをつぎ込んですっかりやってしまって、できてしまったが、それがうまくいかないということなら、三十五億ものとうとい資金というものはむだになってしまう。ですから、どうですか、十七億はやむを得ないとして、今ここで計画を変更して、あるいは錦海湾の工場は幾つも作るのだから一つだけでやめさせて、あとの未着手工事は許さないとか、塩田も四百ヘクタールも二百ヘクタールに減らすとか、これは公社の専売法の権限に基いて指図ができるのだから、そういうふうにして、むだな国の金やその他の資金をこれ以上見込みがつかないのにつぎ込ませることのないように善処なさったら、もう少しこの法律は生きてくると思いますが、どうですか。
  103. 小林章

    小林説明員 お答えいたします。  錦海塩業の塩についてのお話のようでありますが、現在錦海塩業も工事をいたしておるところであります。現在の専売法上では、これを強制的に縮小させるということは法的にはできないわけでありますが、お話通り現在一方ではこういう問題も起っておりますので、現実問題といたしましては、錦海塩業組合の方は工場を作りたいという希望もあるようでありますから、現在のところ、これは事実上の指導まで一つやっていけということで、やらせているような実情であります。
  104. 奧村又十郎

    ○奧村委員 昔から製塩をやっている人でも、この法律によって、場合によっては廃業させるような規定、権力をあなた方に今預けるのですよ。にかかわらず、まだできもしないものを、計画の変更くらいはさせられるであろうというような御答弁では不満足です。これはこの前も申し上げたので、これ以上やってもむだでありますからやめます。  それでは、次に、これまた塩業者の特に聞きたいところでありますが、工業用塩についての今後の方針です。御承知のように、国内で使用する年間の塩の総量は三百万トンで、そのうち約二百万トンは工業用で、いわゆる自己輸入を認めておる、一トンについて四十円の手数料と申しますか、差金と申しますか、それを専売公社に納めれば、自己輸入であっても、自己輸入したものは、そういう工業用塩に使うものに自由にさせてやる。だから、私も先般来調べてみると、これは事実上、この工業用塩に関する限り、塩専売法の規定から除外した取扱いをしておる。これは、実際の必要上からこうなったので、やむを得ないと思います。私はこれは決して悪いことではないと思います。そこで、それなら、それに相伴うように、その他の食料塩についても、明治以来のこの厳格過ぎる規定をもう少し緩和すべきじゃないか。たとえば、静岡県の方面で、いまだに自家製塩を内緒でやって、近くの農民の人に内緒で塩を分けてやる。そんなことは別に国家に被害を及ぼすわけではないんだから、大目に見ておけばいい。それをやはり、法律に基けば何年以下の懲役とか、二十万円以下の罰金とか、そんなことはこの際はおやめになって、なるべく今日の事態に即応するようにしなければいかぬと思うのであります。ただ、ここでお尋ねいたしたいのは、工業用塩の輸入はそういうふうに委託して自己輸入して自由になさるなら、たとえばイオン交換樹脂膜と申す新技術の成功のめどがついて、これが軌道に乗って、将来外国から輸入する工業用塩と価格において競争することができるという見通しがついてきたら、国内の工業用塩を何も輸入ばかりにまかせずに、国内で製造するということは、これは奨励すべきである。そうしたら工業用塩の製造については自由に許可なさったらどうですか、ただ、これが食料塩に横流れしないという取締り規定だけは置いて、工業用塩の範囲内においては作ることは自由にやらす、こういうふうになさったらいかがですか。これはことし来年の問題ではないが、塩業者の今後の心がまえとしては重大な問題ですから、将来の問題として専売公社総裁のはっきりした御方針を一つ承わっておきたいと思います。
  105. 松隈秀雄

    松隈説明員 工業用塩を将来国内において自給したらどうか、その御方針については全く賛成でございます。これにつきましては、これも先ほど申し上げました三十二年十二月の塩業者との協議によってできました国内塩生産対策のうちにも、今後の新規製塩は輸入塩価格程度価格でソーダ工業用塩を生産するもののみに許可する、こう書いてございますので、国内塩の方の増産当り製塩設備の新増設は行わないとはっきり断わる一方において、工業用塩で輸入塩価格で引き合うものは許可してよろしいという条項が入っております。それを受けまして、塩業審議会におきましても、答申の中に、さらにでき得れば国内塩の需要を逐次工業用塩にまで円滑に拡大していくことが真に国民経済の利益に合致し云々と、こういうことで塩業審議会もその方針を認めております。ただ、具体的な問題になりますと、イオン交換樹脂膜法によります製塩にいたしましても、現在の技術の進歩の段階から申しますと、着手してすぐに輸入塩価格と匹敵するような価格ではまだできにくい。ある期間保護期間というようなものを置かないと、それはむずかしいのじゃないか。そこに問題がございますが、これは、将来ある経過を経て、日本としては工業塩の国内自給にまで進んでいくべきものだ、かように考えております。
  106. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私に与えられた時間はもうわずかでありますが、最後に、これは大蔵大臣に御出席をいただきたかったが、お見えにならぬので、そのかわりに村上監理官、それから松隈専売公社総裁に、これは私の希望として、御答弁は求めませんが、ちょっと申し上げます。  今度の法案審議してみまするのに、専売公社の機構、性格、制度が非常にあいまい、責任の不明確な点が多いのであります。これは歴代専売公社総裁の御心配になったことであるし、歴代大蔵大臣も御検討のことでありましょうが、こういう状態をいつまでも放置しておいたのでは、それは不測の災いを残しますから、一つ早急に専売公社制度を再検討して、悪いところを改めていただきたい。たとえば、その一つの例として申し上げますと、たびたび話が出て恐縮ですが、錦海湾塩業組合その他の塩業組合というものは、一体法人としていかなる性格か。御承知通り、塩業組合というものは、もともと事業協同組合の発展したものである。事業協同組合というものは、これは中小企業協同組合法あるいは農業協同組合法、そういう協同組合組織でありますが、この協同組合というものは組合員の相互扶助が真の目的である。従って、組合員の資格、同業者であり、同じ地区におる、この地区と同業者であるという組合員たる大原則があるにもかかわらず、塩業組合はこの規定が非常に不明確であります。たとえば、錦海湾塩業組合というと、組合長の田畑何がしという人の御家族の方が日本にたくさんおられるが、それが全部株主、出資者である。それがみな塩業者である。その地区が岡山に限られておるのが、地区と全然合わぬ。そういうことができるということは、その原因をさかのぼってみると、そういう組合の定款の認証はだれがするかというと、専売公社の職員がなさる。この登記は専売公社がなさる。監督は専売公社がなさる。まるで何もかも専売公社の内輪で――国鉄は国鉄一家と申しますが、専売公社は専売公社一家で、内輪で何もかもやる。しかし定款の認証や登記は法務省の所管である。これは第三者でもって冷静に見なければならぬ。そういう間違いがずいぶんあると思う。従って、特に今度の塩業整備の法律でやめさせるとか、残すとか、あるいはこれに対して補償金、交付金を出すということは、これは大きな純粋な行政事務です。国の行政事務というものは、国家公務員がなすべきである。国家公務員の資格、責任は明確になっておる。専売公社の役職員は国家公務員でない。そこに根本から間違いがある。専売公社の役職員は国家公務員でないから、私企業との関連が非常にルーズであります。専売公社をおやめになると、みなこういう取り締らるべき組合にどんどんお入りになる。あるいはまた、今度の交付金、補助金を差し上げるのでも、そこに情実因縁がからむ心配も起ってくる。あるいは専売公社の職員は国家公務員でないから、選挙運動は自由にできる。こういうことで、国の行政事務をいろんな形で専売公社一家でなさるということは、間違いの生ずるもとである。こんなことは、私から申し上げるまでもなく、きょうまでに皆さんはお気づきのことと思う。調べてみると、これは私見でありますが、専売公社はかなり近ごろ乱脈な点もあって、非能率、不経済、無責任の個所がかなりあるから、どうぞこの際一つ思い切って公社の制度を再検討なさって、出直されることを私は希望として申し上げて、質疑を終る次第であります。
  107. 早川崇

    早川委員長 石野久男君。
  108. 石野久男

    ○石野委員 ただいま奥村委員から質問がありました点で、奥村さんは、与党の関係上、もっと突っ込むべきところをよう突っ込めない事情があったと思う。特に錦海塩業組合の問題につきまして、その企業が今後どうあるかということについては、非常に重要な問題だと思う。今回の塩業整備の問題については、生産は非常に過剰になってきておるし、コストは低くないということから、この整備が出てきたものだと思います。従って、既存企業整備するという問題について、専売公社運営の上で非常にまずさがあったとしたとしても、見てやらなければならぬというような事情をるる述べられておるわけでありますが、私たちとしては既存の企業整備するという状態になれば、企業の常識からいうと、未稼働になっておる建設中であるものなどについては、当然そこでは一つの方針が明確に出てこなければいけないと思うのです。先ほど奥村君からも錦海塩業については少くとも計画の変更くらいはさせたらどうだという話が出ておるわけです。特に錦海塩業の持つ企業計画というのは、三十五億という非常な膨大なものでもあるし、それのうちまだ十八億しか使ってない。あと十七億これから注入されなければならない。しかもそれは国家の資本がこれに入っていく。しかも、ここに融資するのは、農林漁業金融公庫の金が相当入るわけであります。そういうことになって参りますと、そこに使う金をほかに使ったら、もっと有利になるだろうということを、われわれも政策的に見ると考えなければならぬ面がたくさんあるわけです。専売として、事業がこういう事態になって整理をしなくちゃならないということになりますならば、当然のことですから、これはやはり錦海塩業の計画を一応中断させるのがわれわれから見ればいいと思いますけれども、計画変更くらいはさせるという着意がなければいけない。先ほど小林さんからのお話によりますと、法律の建前上できないのだということを言っておりますけれども、それじゃまずいのじゃないか。塩業についての専売がなさなければならないところの考え方というものは、全体を含めて日本の塩業者がどうなるかということを考えなければいけませんし、既存のものについてどういう思いやりをお持ちかという問題をここで十分考えないと、将来必ず破綻が出てくるだろうと思います。従って、私は、ここでまず第一に、先ほど奧村氏からの質問のありました、いわゆる錦海塩業についての計画変更の線を考える着意があるかどうかということを、総裁に一つ聞いておきたいのであります。  それから、私は、時間がないのであまりたくさんの質問ができないのですが、それに関連して、奥村氏からもいろいろな話があったように、錦海塩業そのものは、これを構成しているところの人的要素の問題についても、率直に申しましていろいろな疑義があるわけです。特に組合役員の名簿などを見ますと、もと専売の役員をしておられた方々が入っておられて、そして実際問題として現在組合を結成している方々の中には、やめたいというような方も七割から八割おられる。そういう実態が専売としてはわからないわけじゃないと思うのです。私は、こういうような組合の構成内容の問題でもいろいろ問題があることを勘案し、今日一方では既存の企業がようやくめどがついて、やれやれと思うところを止めさせるという事態考えますと、未稼働である、まだ建設中であるというような問題については、いわゆる計画変更というものをさせるような考え方をするのが、従来専売がとってきたところのいろいろなあやまちを改めるのに非常にいいものではないか。そしてまたそれは国家的にも非常に有利になるのじゃないかと思う。この際一つ総裁から、計画変更についての問題点をどういうふうに考えるかということと、なお、私は、組合の構成内容についてあなた方の方からもらっておるところの名簿などを見ましても、そこには非常に不純なものがあると思う。やはり企業組合というような形でできてくるものについては、その法の精神に従って、もっと明確に塩業者の実際の意図というものがそこに集中されるような杉にならなければいけませんので、これは委員長にお願いいたしますけれども、組合の構成などについての問題点についても、答弁によりましてはあと一問だけ質問させていただきたいと思いますが、まず最初にその点についての総裁考え方を聞かしていただきたい。
  109. 松隈秀雄

    松隈説明員 錦海塩業につきましては、先ほど小林脳部長から答弁申し上げましたように、法律の問題として計画変更を命ずるというのには、現存の塩の専売法規が不備でありまして、実行しにくいのでありますが、実際問題といたしましては、塩が非常に生産過剰になって参っておる事情をよく話しまして、話し合いの結果、煎熬設備などは当初の計画よりはかなり縮小したところに計画を変更しつつあるというところが実情であるようでございます。  それから、塩業組合法でありますが、この法律は少し御批判があるように、今日であれば検討の結果直すべき点もあるかと思うのであります。将来これが改正をどういうふうにすべきかということについては、公社としても検討して参りたいと思うのでありますが、現在の法律の建前からだけ申しますと、すぐに錦海塩業の構成メンバーでは不都合である、こういうふうに論ずるわけにもいかない、かように考えております。
  110. 石野久男

    ○石野委員 錦海塩業の当初計画が、いろいろな事情を話した結果縮小されておるということは、われわれもある程度はわかっておるわけです。当初四十数億の計画が三十五億になってきておるということもわかっておりますが、一方では現在の設備をやめさせなければならぬという状態のもとで、三十五億というものがまだ半分しか仕事ができていないということになると、この事態の中では、当然塩業を管理しあるいは指導する専売当局としましては、これを若干縮小されたんだから、それでよしとするわけにはいかないだろうと思う。少くとも総裁がこの問題を真剣に取り上げて国家の問題として考える場合には、これは当然いま一度やはり考えなくてはならぬ線に来ておるのではないか。この点はもはやこの委員会において総裁がその考え方をはっきりしておく必要があると思うのです。もちろん、これらの問題については、それぞれの手続や勘案しなくてはならぬ問題がありましょうけれども、われわれは、この問題については、すでに廃業しなくてはならない、非常に塗炭の苦しみにあえぐような塩業者がたくさんおるということを、一方では見ておるのであります。それにもかかわらず、一方では、構成内容においても非常に疑義を持つところの錦海塩業というものが、新しい設備を、しかも膨大なものを作るということになると、これはどうも政策の中に矛盾があるように思われる。私たちとしても、できるだけコストを下げることには賛成だし、またそれはしなくてはいけないと思いますが、そういう点で、政策問題として、総裁は明確にその考え方をはっきりここでわれわれに出していただくことが大事だと思うのです。そういう点で、やはり総裁考え方だけをはっきりいま一度示していただきたいと思います。
  111. 松隈秀雄

    松隈説明員 国会におきまする議員各位の御議論は十分傾聴すべきものがございます。それと同時に、現在の塩専売法並びに目下御審議をいただいております塩業整備臨時措置法に従いまして十分善処いたしたい、かように思います。
  112. 早川崇

    早川委員長 廣瀬勝邦君。
  113. 廣瀬勝邦

    ○廣瀬(勝)委員 今日まで論議は尽されてきたわけでございますが、今回のこの整備法案国内塩を対象にしております関係上、案外この法案の出されました底流である、実は工業塩として年々歳々国内需要の三分の二以上を輸入しておること、これによって国内塩生産が約三十万トンずつ年間過剰である、これに要するいわゆる赤字が三十億ほど出る、それを何とか整備しなければいけない、かような観点からこの法案が出されておると思うのです。だとするならば、この外国塩の輸入、これが、現在いわゆるソーダ工業とこれの関連工業について、果して今のような専売公社外塩輸入の取扱いでいいのかどうか、こういう点について公社考えられたことはございますか。
  114. 松隈秀雄

    松隈説明員 工業塩につきましては、品質も問題でありますが、価格が一番問題でございます。ソーダ工業は各種の化学工業の基礎産業になっておりますと同時に、外国との競争にもたえていかなければならない。ところが、御承知通り、外国の原料塩は安い、内地で生産される塩は高いということになりまするので、もし日本のソーダ工業が内地塩を使わなければならぬということになりますれば、ソーダ工業のコストにおける塩の占める割合が相当高いものですから、ソーダ工業が引き合わなくなってくる。これは外国の競争力にも負ければ、また国内の基幹産業としての役目にも立たずというところから、どうしても輸入塩をもって充てるというほかはないわけでありまして、従来その政策がずっととられてきたわけであります。ただ、輸入の方法につきましては、時期によりましては公社が輸入をいたしまして、これにある程度の費用を割りかけて売り渡す方法をとった時代もございます。また業者が公社の委託を受けて輸入をするという方式をとったこともございますが、最近におきましては、昭和三十一年度から、ソーダ工業界と公社側と話し合いがつきまして、業者の自己輸入、しかし、専売という建前上、公社がソーダ工業者に委託をさせて輸入させる、そうして公社はその輸入検査あるいは帳簿の整理等のためのわずかの費用をかけて、輸入した価格にその費用だけを加えたもので売っておる、こういう形式をとっておることは御承知通りであります。
  115. 廣瀬勝邦

    ○廣瀬(勝)委員 現在のソーダの価格、これが国際価格に比較して高い、こういうふうに総裁は言われますが、果して現在そうでございますか。状況は少し変ってきているんじゃないか。それで、私の申し上げたいことは、この外塩輸入につきましても、専売会計の中で、いわゆる食管会計と同じような扱いにして、二重価格とまではいかなくても、若干の取扱料というようなものを考えてもいいんじゃないか、かように思うのでございます。大ざっぱなところでトン当り百円、そうしますと、この年間三十万トンの赤字はすぐ解消される問題ではないか、かように思われますが、昨年来ずっと続けておられました塩業審議会において、そういうふうなことは論議されましたか。
  116. 松隈秀雄

    松隈説明員 昭和三十一年に従来の方式を変えまして、まだ年月がそうたっておりませんので、またここで方式を変える方がいいかどうか、ことに、それに対して、今おっしゃったように一トン百円程度の手数料を公社がかせぐというような方式がいいかどうかということにつきましては、これは十分検討した上でなければ容易に結論を出しがたい問題であると思うのであります。  なお、塩業審議会におきましては、先ほどもちょっと触れましたが、日本のソーダ工業の現状からいえば、やはり輸入塩によるのはやむを得ないだろう、しかし、できるだけ早い機会に日本の国内塩業整備を行い、残存塩業者基盤強化し、それから新技術の導入をはかって、逐次国内塩をもって輸入塩に置きかえていく方向に進むべきである、こういうような趣旨の御答申はいただいております。
  117. 廣瀬勝邦

    ○廣瀬(勝)委員 直接聞いたわけではないからわかりませんが、聞くところによりますと、会長の石川さんあたりは、そういうような方向は考えてもいいのじゃないかというような御意見だったように聞きます。やはりこの法案と関連しまして、外塩の扱いについてはそういうことを考えてもいい時期にきている、われわれはかように思っております。今後もしそういうふうになられましたら、総裁はこういうようなことをやられますか。
  118. 松隈秀雄

    松隈説明員 ソーダ工業をどの程度に保護育成すべきかということは、これは日本の工業政策の一つの大きな柱であると思うのであります。従って、単に専売事業会計の収支からのみこれを論ずるというわけには参りませんが、ただいまおっしゃったような情勢もあるということでありますれば、この問題は通産省がソーダ工業の方の主管官庁でありまするので、通産省の意見も聞きました上、現在行なっているような方式を続行する方がいいか、あるいはこれを三十一年以前の公社の直接輸入、そうして一定の金額を付加した売り渡し方式に変える、その場合どの程度の金額をつけ加えることができるかということについて、お話もございまするので、検討いたしてみたいと思います。
  119. 廣瀬勝邦

    ○廣瀬(勝)委員 それでは、今後とも、日本の塩の問題は、国内塩だけで考えず、外塩も包容した問題である、しかも、私たちの見るところでは、専売公社は大メーカーに奉仕しているような形が出ている、こういう悪い印象は払拭していただきたいと思うのであります。
  120. 早川崇

    早川委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  これより討論に入ります。通告があります。これを許します。廣瀬勝邦君。
  121. 廣瀬勝邦

    ○廣瀬(勝)委員 ただいまより採決されんとする塩業整備臨時法案に対し、日本社会党より反対討論をいたします。  まず、専売公社は、今日なぜ国内塩生産施設整理統合を行わんとするかという点であります。昭和二十八、九年以来、国内塩自給態勢確立のためという打ち出しで、公社の指導により膨大なる資金を投下せしめ、旧来の入浜式塩田施設を枝条架、流下式塩田に転換させ、煎熬部門の真空式あるいは機械製塩を慫慂し、逆にその投下資金の償還すら終っていない現在、年間約三十万トンの過剰生産になるからとの理由で、昨年以来これを逆に価格政策で締めつけ、さらには今般の強制的整理を行わんとしているのであります。しかもそのために八十七億という国家資金の支出が要求されております。このことは、いかに専売公社がわが国の塩需給に関し無定見、無方針であり、旧態依然たる塩専売という特権意識の上にあぐらをかいて、みずからの主管責務をさえ没却した無責任きわまる失政であると断ぜざるを得ないのであります。  また、年間需要約三百万トン、うち工業用二百万トン、食料塩約百万トンという数量は、国内製塩施設の近代化方式転換計画開始のときに、すでに明らかになっていた数字であり、転換開始後、当初工事の進捗によって、国内製塩百二十万トンないし百三十万トンの工場生産見通しもほぼ立っていたにかかわらず、その指導計画の手直しすらもなし得なかった公社運営の弱体性は、公益専売の名のもとに大メーカーの奉仕に堕している実質的な工業用外国塩のメーカー直輸人とともに、根本的に再検討を要します。しかも、なお、今回このような大幅、大規模の国内製塩の強制整備を行なっても、近き将来に予想され得る新技術、たとえばイオン交換樹脂膜等の採用により、これが外塩相場との見合いで、今後とも国内製塩が価格政策のみで指導される以上は、また新たなる第二次、第三次の整理が行われる可能性は十分にあるのでありまして、その大半が中小企業の域を脱せざる製塩業者への今後の保障はどこにも得られないのであります。  以上の諸点から、大蔵省並びに公社自体は、十分な責任ある指導性をもって、生産、需要、供給、流通の各面にわたり、塩専売制度自体のあり方を、弥縫的なその場当り対策ではなく、抜本的に考慮すべきであります。  次には、今般の整備案に伴っての整理と補償問題の諸点についてでありますが、すでに先刻来申し述べたる通り、今般の整理が一にかかって監督当局の重大なる需給関係見通しの誤まりによって招来せられた以上、当然具体的なる整理の内容、業者補償、労務者補償についても十分なる考慮を払わねばならぬのであります。しかるに、その実態が明らかにされるや、ほぼ予測されるその整理対象の選定に業界並びに関係者一同を納得せしむるに足る妥当性を欠き、塩行政不明朗との印象を払拭し得ないのであります。  さらに、実質的な補償の点につきましても、これまた不十分のそしりを免れず、父祖伝来営々としてわが国塩業のために努力してきた中小業者、実際労務に携わる塩田労務者に犠牲、負担がしわ寄せされているのであります。転業資金とはいうものの、今日の経済機構の中で、これら関係者が今後の生計を立てていく安定職場が一体どこに見つけられましょう。単に職業転換までの食いつなぎの資金としても、今回の補償額はあまりにも少額に過ぎるのであります。  以上の諸点に立って、日本社会党は本法律案反対の意を表明いたします。
  122. 早川崇

    早川委員長 これにて討論は終結いたしました。  続いて採決に入ります。本法律案原案通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  123. 早川崇

    早川委員長 起立多数。よって、本法律案原案通り可決いたしました。  次に、西村英一君より本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際提出者の趣旨説明を求めます。西村英一君。
  124. 西村英一

    ○西村(英)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、本案に対して附帯決議を付したいと思います。  附帯決議を朗読いたします。     塩業整備臨時措置法案に対する附帯決議   わが国の塩業が整備を受けざるを得ない事態に立到ったことに付ては従来政府並に日本専売公社の施策に欠くる所多きものがあったと認める。   依って政府並に日本専売公社は今回の整備当り既存企業の保全に努力し止むを得ず整理せられる廃業者に対しては細心の注意を払い万遺憾なきを期すると共に、残存業者に対しても金融その他の面に於て一層の協力と援助を行わなければならない。   なお、塩専売事業の健全なる運営のためには今回の塩業整備のみを以ては十分とせず、事業全般に亘り再検討を加えこれが徹底的合理化を図る必要がある。  附帯決議の案文は以上でございます。  あえて付言する必要もないのでございますが、本委員会におきまして、委員の方々からたびたび指摘されましたように、今回の整備はやむを得ないものとわれわれは認めましても、政府並びに専売公社は、従来の専売制度になれて、やはり行き届かないところがあった。ことに市場並びに技術の面におきまして、非常に欠くるところがあった、かように思われますので、前段のような附帯決議を付した次第でございます。  しかも、その整備当り最も注意しなければならぬと思われますのは、やはり既存業者は長い間塩の生産につきまして非常に努力をしてきた方々でございますので、その保全につきましては努力をし、やむを得ず整理しなければならぬ方々につきましては、同情を持って、細心の注意を払って転業その他の面を考えてやる、こういうことでございます。既存業者に対しましては、従来の塩価が高かったということにかんがみまして、金利その他の面が非常にかさみましたので、そういう金融の面につきましても、十分長期低利の金融に努力しなければならぬと思われるのでございます。  最後に、塩専売でございますが、非常にむずかしい場面に逢着いたしておると思います。従いまして、新技術を取り入れるとか、あるいは現在の企業の合理化をはかるというようなことは、今後とも十分一つ従来の例にかんがみまして注意をいたしてもらいたい。事業全般にわたりましてもこの際一つ再検討を加えまして、決して塩が生産過剰というのではなくて、価格との関係において生産過剰になっておるのでございますから、十分新技術等に着目されまして今後やってもらいたい、かような意味で附帯決議をつけた次第でございます。
  125. 早川崇

    早川委員長 これにて提出者の趣旨説明は終りました。  続いて採決いたします。  お諮りいたします。本附帯決議案を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、附帯決議を付することに決しました。  なお、この際本附帯決議につきまして政府の所見を求めます。村上政府委員
  127. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 附帯決議の内容となっております御趣旨は、従来小委員会なり委員会において多数の委員の方々から拝聴いたしました議論でありまして、われわれも十分に理解できるところでございます。今後この法案が成立いたしまして実施の段階に至りましたならば、この御趣旨を念頭に置きまして、円滑なる実施をいたしたいと思っております。
  128. 早川崇

    早川委員長 この際お諮りいたします。ただいま可決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成並びに提出等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  この際暫時休憩いたします。     午後一時二十六分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕      ――――◇―――――