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細郷説明員 三十二年度決算は、昨年の秋ごろ
自治庁の方で
調査いたしまして発表いたしました。それで、その結果については、今御
指摘のあったように、再建債等を考慮すれば、なお赤字の要因がある。それらもあわせて発表いたしました。そういった赤字の
状態をどれだけ頭に入れて三十四年度の
財政計画を作るか、こういう御
質疑だろうと思います。お
考え願いたいことは、
財政計画と決算との間に開きがあるということであります。今
お話のありました三十二年度をとってみましても、三十二年度の
財政計画と三十二年度の決算との間には、歳出を見ても千七、八百億の開きがございます。もとより決算は、単純に府県、
市町村をそのまま集計して参るだけでありますと、府県を通じて
市町村に流れる補助金もありますし、また
市町村から府県に納める負担金もあったりいたします。そういった重複勘定がかなりございます。そういったようなものを除いても、なおかつ相当開いておるのであります。例年開いておるのであります。その開いておりますものを見て参りますと、
一つは給与
関係の経費で、三十二年の場合を見ましても、かれこれ五百億ほど開いております。四百九十三億開いております。また投資的な事業においても四百五十億ほど開いております。どうしてこういう開きができるのかと申しますと、
一つには、
財政計画自体が、
地方の決算見込額を集めて見込んで作ったものではなくて、年度当初におきまして、国の
予算とのからみ合いにおいて、国の施策が
地方にはどういう姿で反映されていくだろうか、同時に国が
地方団体に対してどういう施策を期待しておるだろうか、具体的には、たとえばことしでいえば、文教五カ年の計画によりましてすし詰め教室の解消、道路五カ年計画の執行とか、そういったようなことを国として
地方団体に期待しておるものがあるわけであります。そういったようなものを織り込んでおります。そうして、同時に一方では、各
地方団体を通じた標準的な経費また標準的な
収入というものについて、これを計算いたしておるのであります。従って、端的に税収で申しましても、標準税率による課税分だけが
財政計画には上っておる、同時に、
給与費についていえば、
国家公務員ベースに準じたべースによりますものだけが上っておる、こういうようなやり方で、
財政計画が毎年組まれております。しかるに、現実の
地方団体の決算は、あるいは
給与費において標準を上回るものあり、あるいは下回るものあり、また税収においても超過課税をするものもございます。また国から出ます補助金が年度がずれて、たくさんの補助金がずれて出ることがございます。国は当年度でも、
地方は翌年度に受け入れる。また同じ
地方債でも、
財政計画では
許可の年度によってこれを組んでおる。三十二年度分として
許可をしたものを
財政計画としては最初に見込んでおるわけであります。現実の
地方団体は、
許可を受けた
地方債の資金化が年度がずれてくることがあるわけでございます。三月三十一日に
許可になったものを、すぐその日に借り入れができないことがございます。また、
財政計画の外にあります転貸債のようなもの、厚生年金の還元融資のようなものも
財政計画の外にありますが、決算では中に
地方債として入っておる、そういったようないろいろな違いがございます。さらに、
地方団体がたとえば信用保証協会に融資をする、それをその年度内に再び回収するといったような場合に、融資をするときには歳出に立て、回収の方は歳入に立てる、そういったような見せかけだけの規模の増大といったような面もあったりいたしまして、
財政計画と決算というものは必ずしも
一致しない。むしろ、今申し上げたような
関係上、食い違うのが当然な姿になっておるわけであります。そこで、私
どもとしては、毎年翌年度の計画を立てますときには、前年度の当初
財政計画に対して、翌年度はどういう歳出面における需要の増があるであろうか、
給与費についてはどうであろうか、あるいは公共事業についてはどうだろうか、こういうふうに需要の増を立て、それに見合う
地方の
財源を
地方税、交付金あるいは国庫支出金等に求めて、そうして収支が突合するように
財源の確保をはかっておるわけでございます。従いまして、そういう
意味合いで計画と決算の違いがございますので、来年度についても、計画の面では今申し上げたようなことで
財源の確保をはかっておる、こういうことでございます。