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1959-03-10 第31回国会 衆議院 大蔵委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十日(火曜日)     午前十一時十分開議  出席委員    委員長 早川  崇君    理事 足立 篤郎君 理事 押谷 富三君    理事 小山 長規君 理事 坊  秀男君    理事 山下 春江君 理事 石野 久男君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君       荒木萬壽夫君    内田 常雄君       奧村又十郎君    鴨田 宗一君       小西 寅松君    西村 英一君       濱田 幸雄君    福井 順一君       福田  一君    古川 丈吉君       山村庄之助君    山本 勝市君       石村 英雄君    春日 一幸君       久保田鶴松君    田万 廣文君       廣瀬 勝邦君    松尾トシ子君       山下 榮二君    山花 秀雄君       横山 利秋君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         大蔵政務次官  山中 貞則君         大蔵事務官         (主計局長)  石原 周夫君         大蔵事務官         (主税局長)  管原 純夫君         大蔵事務官         (理財局長)  正示啓次郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政局         財政課長)   細郷 道一君         大蔵事務官         (主計官)   相澤 英之君         大蔵事務官         (主税局調査課         長)      細見  卓君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月十日  委員横路節雄君辞任につき、その補欠として石  村英雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月九日  賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一八〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一八〇号)  税制に関する件  金融に関する件      ————◇—————
  2. 早川崇

    早川委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。ただいま本委員会において審査いたしております酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、税制並びに税の執行に関する小委員会においてその審査を行うことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  4. 早川崇

    早川委員長 昨九日付託されました賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府より提案理由説明を求めます。大蔵政務次官山中貞則君。
  5. 山中貞則

    山中政府委員 ただいま議題となりました賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  カンボジアは、昭和二十九年十一月二十七日、わが国に対し、カンボジア日本軍の占領に基因する賠償請求権を放棄する旨を通告してきましたので、政府は、今回、カンボジアの好意ある措置を考慮して、日本国カンボジアとの間の経済及び技術協力協定を締結し、無償経済及び技術援助を供与することといたしました。この協定につきましては、国会の承認を経るため、別途今国会提出して御審議を受けているところでありますが、政府におきましては、この無償経済及び技術援助のための債務処理に関する経理を、ラオスの場合におけると同様、賠償等特殊債務処理特別会計において行うことが適当であると認め、この法律案提出した次第であります。  以上が、この法律案提出いたしました理由及びその内容であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願いいたします。
  6. 早川崇

    早川委員長 これにて提案理由説明は終りました。  本案に対する質疑次会に譲ります。     —————————————
  7. 早川崇

    早川委員長 次に、税制に関する件及び金融に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。鴨田宗一君。
  8. 鴨田宗一

    鴨田委員 地方交付税の一部改正法案提出されておりますので、この法案をめぐりまして、国並びに地方税の問題につきまして一、二質問をいたしたいと思います。  昭和三十四年度の地方財政計画というのが発表されておりまするけれども、大体一兆三千三百二十八億、国の昭和三十四年度の予算とほぼ近いような膨大な数字が出ております。しかしながら、その内容をつぶさに考えてみますると、地方自治体といたしましては、自分の力でやるところの単独事業予算は、その膨大な予算の中でわずか五十三億という、ほんとうに僅少な予算でございまして、あとの大部分は国のひもつき、並びに国家公務員と同じように人事院勧告によりまして昇給いたしまするところの給与費が大部分でございます。こういうわけで、実は終戦後、シャウプ勧告によりまして、地方自主性ということが特に認められ、しかもまた一般には、自治天賦人権論——これはちょっとめんどうな言い表わしでありますけれども、個人にも天賦人権があると同じように、自治体にもやはり天賦人権説がある。こういう線が実はまだまだ強く一般国民の中にはしみております現在におきまして、結局、地方自治体自主性を持ち、しかも独立性を持つという面から考えまして、現在の地方行財政あり方というものが非常に逆行しているように実は考えられます。もちろん、今回の地方交付税の一部改正によりまして、わずかながら百余億の交付税が増額になるようでありますが、そういうふうな面だけで、こうやくばりだけで地方自治体行財政の難関を切り抜けるということはでき得ないところであります。  一例を申し上げますと、現在国と地方におきます税の構成一つ取り上げてみたいと思うのであります。国と地方の税の構成が非常にアンバランスであるということは数字が示すものでありまして、たとえば、国の歳入の直接税、間接税という比率を見ましても、直接税におきましては五〇%占めておりますし、間接税におきましては四六・一%を占めておるという数字がはっきりしております。しかし、地方の方へ参りますと、その点間接税が非常にわずかなパーセンテージでありまして、これは皆様方、特に専門の大蔵省の方でお調べになりますと、十分御理解できるのでありますけれども、非常に率が僅少である。直接税の方は七〇%であり、間接税の方は二二%ということになっております。その数字だけでも、国は弾力性のある税を占めておって、地方弾力性のない税源だけしか実は与えておらぬ。こういうことが、とりもなおさず、昭和三十四年度の地方財政計画を拝見いたしまして、わずか五十余億の単独事業費だけしかないということと実は表裏一体をなすものであります。こういう面からいたしまして、大蔵大臣がちょうどおいでになっておりますので、私はちょっとお聞きしたいと思いますけれども大蔵大臣といたしましては、地方自治というものが、いわゆる戦後与えられましたほんとう自治体自主性独立性という面からいたしまして、現在のままでいいかどうかということを、一つお聞きいたしたいと思うのでございます。
  9. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 新憲法下地方自治制、しかも民主的な地方団体として発足する、この地方自治制度でございますが、実施に当りましていろいろ問題がただいまあると思います。今どうこうするという考え方ではございませんが、鴨田さんのお話も、たぶん、財政的見地に立って、各地方団体の力の相違、あるいは産業の分布状況なり、あるいは地理的関係、たとえば海岸線が長いとかいうような問題だとか、いろいろ考えさせられる面があるということの御指摘だろうと思います。同時にまた、日本地方自治体といいますのは、いわゆるアメリカ式のステート、州ではないのでございますから、そういう意味においての中央との連係の点においても、私どもは今日なお考えていかなければならないものがあると思います。完全自治を強く要望して、中央に依存しなくてしからばやっていけるのかといいますと、そうもいかない。やはり中央中央立場において、各地方自治を尊重しつつも、国全体としてのりっぱな成績を上げていくということでなければならないだろうと思います。いずれにいたしましても、非常な理想を盛った行政組織というものが、戦後きわめて短かい期間経験しか持たないのでございますから、今後工夫を要する点は非常に多いだろうと思います。私どもが特に念願をいたしたいことは、どこまでも民主政治建前に立ちまして、中央地方を通じ、りっぱな国を作ることに役立つように、そういう意味工夫を双方で考えていくべきじゃないか、かように考えますが、いずれにいたしましても経験が浅いものでございますから、今後の問題として、過去の経験等からいろいろ工夫を要する点があるだろう、かように考えております。
  10. 鴨田宗一

    鴨田委員 日本の現在の、特に終戦後の日本産業構造というものが非常に都市に集まっておるということはいなめない事実でございます。こういう面から首都圏整備というような問題も表面に出てくるわけでございますけれども、結局都市に集中されて参りますあらゆる産業から上って参ります税の収入と、貧弱団体に上って参ります税の収入が、あまりにアンバランスであるということは、いなめない事実でございます。こういう面からいたしまして、国、地方を通じます税制の改革、あるいは国のお仕事があまりに地方へ押しつけられつつあるというこの重圧に対しまする考え方大蔵大臣としてはどういう考え方を持っておられますか、一つ所信を承わりたいと思います。
  11. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 現在の財源確保の観点に立ちまして、いろいろな問題が工夫されるわけですが、一つ方法といたしましては、交付税配分に当り特別態容補正等考えて、特殊地域について非常な不均衡のないようにしたいという考え方をいたしております。また、税制そのものにつきましても、十分地方で不均衡のないように、また景気、不景気等の変動にかかわりなく地方財源が確保できるという意味で、実は事業税等については相当の減税をすべきではないか、また事業税に非常に依存しておる地方財政というものが、そういう意味ではアンバランスを非常に助長していないか、だから別な財源をとるべきではないか、こういうような工夫を実はしておるのであります。しかし、事業税減税等につきましては、まだ未熟な状態でありましたが、今回は私ども考えておるようには必ずしもいかなかったと思います。あるいはまた、たばこの税の問題等にいたしましても、やはり在来のような分け方でなしに、もう少し工夫余地があるのではないか、こういうことで、これまたいろいろ研究をお願いしておるというのが現状でございます。ただ国から足らないものだけみんな補てんしてしまって、それを公平に分配するということだけでは、いかにも制度そのものとしてはまずいもののように思いますので、現在あります税制建前についても、地方譲与税だとかその他の点でも、やはり工夫すべきではないか、こういうふうに私ども考えております。そういう点が今回皆さんの御審議をいただいております税制調査会で取り上げる大きな題目の一つのように思っておるのでありまして、御承知のように、税制調査会では、企業課税あり方だとか、間接税あり方だとか、あるいはまた中央地方との財源分配考えての税のあり方というようなことも、大きな柱として考えておるわけでございます。やはり基本的な問題として考えて参りませんと、地方団体を一括しての地方予算に対して、総体としての不足が幾らだから、それを国から補てんするという単純な理屈だけではいかない。それこそ中央からの指示を非常に強めるということにもなりますし、地方自治としては、やはりみずからの力によってみずからが行政を行なっていくという建前が本旨でございましょうから、そういう意味から見ますと、やはり税制あり方から根本的に工夫していくべきだ、かように考えております。しかし、その点が片づかない現状におきましては、先ほど申しましたように、交付税配分に当り、あるいは態容補正等処置によりまして各県の不均衡を是正していく、こういう処置をとっております。
  12. 鴨田宗一

    鴨田委員 実は、大蔵大臣のただいまの御答弁で、私といたしましては昨年の九月でしたか、また続いて十二月、一月と、大蔵省で強く御意見を吐露せられました交付税の一部改正について、最初大蔵省では〇・五%というのであったのが、大蔵大臣非常に地方自治体に御理解がありまして、これをさらに〇・五%増して一%ということに相なったわけでございます。もちろんそれでは足らないところでありますけれども、しかしまあまあというところで落ちついたわけだろうと思うのでありますが、ただその基準算定方法配分方法ということが大きな問題になってくるだろうと思うのであります。過日大蔵省で、特に富裕団体基準財政収入に対して、今まで八〇%かけたものを九〇%かけようじゃないか、市町村については七〇%を八〇%にしようじゃないか、こういうふうなことを強く言明せられておるのでありますが、この点について一つどんなお考えであるかお伺いいたしたいと思います。
  13. 山中貞則

    山中政府委員 御指摘交付税算定に当りましての基準の問題で、各県の基準財政収入額の八割で算定しておるのを九割に、市町村は七割を八割にするというのは、一応基本的な、しかも最も機械的な貧富団体間の財源調整方法といたしまして、私ども強く念願いたしておったところでございますが、ただこれを即時実行をいたしまする際には、貧弱県市町村においては非常な恩恵があるいは期待されるといたしましても、地方自治体相互に持っております財源の中の調整ということになるわけでありまするから、減る団体等については相当な急変が起るということも予想されまするし、主管省であります自治庁等も、そういう急変を本年度起すことについての処置につきましては、ちゅうちょいたす点もございまして、両省協議いたしましてこの問題を研究課題といたしました。その方法も含めて、ただいままでるる御指摘のような地方団体間の財源の再分配調整の問題と、それから大臣お話しになりましたような基本的な地方財政あり方、あるいは税制あり方等についての問題とともに、今後に研究課題として残した次第であります。なお、その他のこまかい諸種の交付税の計算上の問題につきましては、ただいま、自治庁の方から、当該所管委員会でありまする地方行政委員会地方交付税の一部改正法案として提出を見ておりまするが、これについては、財政主管省といたしまして、私どもも、現状において両省合致し得る最大の一致点を見出しまして、大体八〇%くらいの目的を達しておるものと考えておるのであります。
  14. 鴨田宗一

    鴨田委員 佐藤君の時間が必要だそうでありますから、一応私は審議をこれで休ませていただきますが、一つ大蔵大臣に伺っておきたいことは、先ほど申しました通り、いかんとしても弾力性に乏しい財源しか持っておらない自治団体においては、大蔵省といたしましてはいろいろ御研究せられておるようでありますけれども、先ほどちょっと大臣から言われましたたばこ消費税、これが現在のところは県に八%、地方自治体、特に市町村に一一%、こういうふうになっておるのです。実はこれから本論交付税の方へ入って特に御質問申し上げたいのでありますけれども、先ほど申しました通り、先に佐藤君の方にお譲りをいたしますので、一点だけお聞きいたしますが、たばこ消費税を将来率を引き上げるというお考えはないでしょうか。ちょっと一つお聞きしたい。
  15. 山中貞則

    山中政府委員 たばこ消費税につきましては、大臣から先般お話がありましたように、ただいまの配分方法をそのまま持続していきますれば、たとえば、本年度の所得税減税が、三十五年度に予想されておりまする地方住民税はね返り減額補てん等につきまして、一律何パーセント引き上げ等議論に当然なってくるでございましょうが、しかしながら、私どもといたしましては、たばこ消費税を論議するに当りましては、先ほど来鴨田委員も御指摘になっておりますような考え方に立ちまして、たばこ消費税配分方法というものを考え直そう。理想とするところは、たばこ貧富の差と申しますか、金持ちの吸うたばこの量、あるいはそれに及ばざる一般の人々のたばこの量というようなものが基礎になって配分されまする方法よりも、各県の人口に応じてその消費量配分基準となるということが理想ではなかろうか。ただし、その際には六十億程度の大づかみの予算がワク内で動きまするし、それに、大府県と称されまするあたりは、非常な高級たばこ消費比率として多いところでありますから、大きなショックも与えることになります。そういう点につきまして自治庁との間にも意見一致をいたしませんでしたし、さらにまた中間案といたしましては、本数割ということも考えていいのではないかということ等も考えておりますが、これは金額にいたしまして約三十億くらいの移動が地方財源相互間において行われるかと思います。そこらの点につきまして自治庁も当然考慮すべきことであると考えまして、ことしの実施については意見一致しませんでしたが、相互研究をしていくということを打ち合せいたしておるわけでありまして、そういう方向に向ってたばこ消費税は検討を続けて参りたい。率引き上げ等は、三十五年度の地方財政計画の輪郭をつかみまする際において、総論の一環として議論をしていきたい、こう考えております。
  16. 鴨田宗一

    鴨田委員 ただいま次官の言われました人口割による云々の御意見もございましたけれども、御承知通り地方自治体といたしましては、たばこ消費税が上ってくるということで非常に財政的に恵まれておるところもございまするし、人口割でいたしますると、地方自治体は、たばこ収入によって得る威力を非常に減退するおそれがありますので、この点よく御考慮になりまして、御算定を願いたいと思います。  さらにもう一点大蔵大臣にお聞きしたいのですけれども地方自治体砂糖消費税を与えるようなお考えがございますかどうですか、ちょっとお聞きをいたしたいと思います。
  17. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 結論だけ簡単に申して恐縮ですが、ただいまさようなことは考えておりません。先ほどのたばこ消費税の問題にいたしましても、なかなか一がいに御賛成はないかと思いまするし、また各地方自治体状況が非常に複雑でございますから、そういう意味でなかなか賛成しかねるという向きがあるかと思います。それよりも元の率をふやせというような御議論があろうかと思いまするが、しかし、これは、地方自治体が相当強く地方自治を要望されるといたしますれば、いずれの財源にいたしましても、みずからの力相応のものをとにかく確保するような建前で、工夫を練らなきゃならないと思います。ことに地方財源は非常につらいと言われますが、納める方からいえば、国税だろうが、地方税だろうが、納める国民によりましては同じことなのです。そういたしますと、居住の場所によりまして負担に甲乙のあることは望ましいことではない。こういう意味では、やはりその点を工夫していただいて、各自治団体間において、これは別に私どもお互いに利害衝突するところはけんかなさいというわけじゃございません。ございませんが、そこにお互い立場を十分理解し合って、そうして何らかの妥結方法考えていただきたい。これが私どもの実は念願でございます。間接税であるから、いつの間にか知らないうちに負担し納めておる税だという気持はございますが、国の財政あり方なり、また地方自治体財政あり方等から勘案いたしまして、やはり強固なものにするということになりますと、基本的なものでもいろいろ工夫する余地があるように思います。こういう点は自治庁自治体相互間の問題でございますので、いろいろ御苦心の点があるだろうと思います。大蔵当局といたしまして一案を強行する考え方はもちろんございませんが、地方自治体におきましても、各府県間の問題、また県と市町村との関係等についても、それぞれの立場を十分御考慮願って、それで公平な分配を心がけていくように工夫して参りたいものだ、かように考えております。
  18. 鴨田宗一

    鴨田委員 佐藤さんがお待ちのようでありますので、私これでちょっと中止をいたしたいと思います。まだ本論であります交付税法の一部改正交付税の方に参りませんで残念でございますけれども、先輩の佐藤さんにお譲りいたします。
  19. 早川崇

    早川委員長 佐藤君が済んだあと鴨田君にまたお許しいたします。佐藤觀次郎君。
  20. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 大蔵大臣にお伺いするのですが、最近株の値が非常に上りまして、ダウで七百二十円をこえておるような状態でありますが、最近中外証券という証券会社がつぶれたのですが、それについてどういう措置大蔵大臣はとられておるのか、お伺いしたい。
  21. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 中外証券の問題は相当長い期間この対策を大蔵当局としてとって参ったのでございます。最近になりましてようやく結論を出しまして、免許取り消し処置をとりました。同時にまた、債権者等の損失を防ぐという意味であらゆる工夫をいたしまして、ただいま一応債権者諸君も了承した解決案を示して、その実行に入っておる状況であります。詳細もし必要でありますれば、事務当局から説明いたします。
  22. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 重要なポイントは前の大蔵大臣のときに問題があるように思われますが、ただ、前の大蔵大臣のとき許可になったものについて大蔵大臣はどれまで責任を負われるか。前に取次があったかどうか。中外証券のことにつきましては、たしか昨年の五月に減税貯蓄投資許可が下りたようなわけで、おそらく佐藤大蔵大臣の前だと思いますが、そういう問題がからんできておりますので、そういうことについて大臣は全然知らなかったかどうか、知っておられたかどうかということをお伺いしておきます。
  23. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 もちろん過去のことは私存じてはおりません。しかし、この中外証券経営者が今回のような不始末を生じましたについて、いろいろ取り調べました結果、よほど古く大正十年時分に問題を起して、そして処分を受けた、こういうことがあるそうでございます。今回の免許が、過去においてそういう経歴のあるものに許したことがどうか——さらに調査をいたしましたが、これは戦前大正九年、十年の時分の事柄でございますので、その後の経過から見まして、長い間とめ置いたからというので、一昨年ですか、これを許可したわけであります。その関係においては、おそらく手続上には遺漏はなかったものだ、かように考えます。
  24. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 実は中外証券がつぶれたのは氷山の一角のように思われますので、これを中心としていろいろお伺いしたいと思います。  正示理財局長にお伺いいたしますが、かつて証券正会員であって、つぶれた証券が幾つぐらいあるか、お答え願いたい。
  25. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほど来大臣がお答え申し上げましたように、中外証券関係は一応登録を取り消すということになっております。私どもの方で登録を取り消す処分をいたしましたものの数字をお答え申し上げますと、証券取引所再開昭和二十三年からの累計でございますが、昭和三十二年度まで二百八十九取り消し処分にいたしております。
  26. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それから減税投資貯蓄許可が下りてつぶれた証券が幾つありますか。
  27. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは中外証券以外にはございません。
  28. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 これは重大な問題で、かつて正会員ではつぶれたのがあるけれども減税投資許可を受けてつぶれたのは今回が初めてである。しかし、それを許可したのは大蔵省でありまして、それがために千二十人という大衆が非常に迷惑しておるわけです。大蔵省の責任はどういうところにあるか、その点一つ大蔵大臣並びに正示局長からお伺いしたいと思います。
  29. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。この中外証券減税月掛投資業務というものを承認をした。これにつきましての先ほど来の御質問でございます。中外証券というのは、これは御承知のように資本金五千万円、東京証券取引所の正会員でございます。私どもは年々御承知のように検査をいたしておるのでありますが、これはいわゆる証券取引法に基く行政的な検査であります。その検査によりまして、一応非違なきことを認めて参ったわけであります。そのために、昨年、三十三年の五月二日付をもちまして承認を与えたわけであります。しかしながら、この承認に当りましては、月掛投資家の損害を保全することに万全を期しましたのでありまして、中外証券一般的な業務から切り離しまして、月掛投資の業務に関する勘定は一切別個に扱わしたわけであります。そういたしまして、この証券等もすべて証券金融会社に寄託させるという特別の措置を講じましたために、貯蓄控除保証基金というものが設定されておるわけでありまして、この基金によりまして月掛投資家に対しましては全額払い戻しをいたしたわけであります。一般的な中外証券の業務に関連をいたしましては、先ほど大蔵大臣も申されましたように、これは、現在の登録制また証券取引法に基く検査制というふうな行政的な制約のために、ある程度われわれの方の監督が十分でなかったという点はまことに遺憾に感じております。そのために一般的な投資の面におきましての損害はございましたが、月掛投資に関する限りは一切損害を与えていない。この点は明確に申し上げておく次第であります。
  30. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 五月に許可したものが、もう十一月にはつぶれておるわけです。そういうあやふやなものをどうして大蔵省許可されたのか。これは、正示さん、上からの命令でおやりになったのか、どういうような方法でこういう許可をなされたのかということをお尋ねいたします。
  31. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。この減税月掛投資の業務は、御承知のように貯蓄奨励の必要にかんがみまして、特別の法律を御制定をいただきまして、その取扱い機関として証券業者が金融機関と対等の立場で認められましたのは、画期的なことでございます。一方、この法律が施行されまして特に支障のない限り、できる限りその効果を早く上げたいという考え方がございました。そこで、私どもは、きわめて事務的に、従来の検査の結果を最も重要なる資料といたしまして、個々の証券業者の認否をきめたわけであります。申し上げました通りに、例年の証券取引法に基く検査によりますれば、この中外証券に関する限り特別の非違を見出すことができなかったために、これを資本金その他の関係から申しまして、また一応いろいろ協会その他の考え方からいたしましても、この月掛投資を認めてよろしいと判断いたしまして、事務的に承認を与えた次第であります。従いまして、この検査につきましては、もとよりわれわれとしては、一応権限的に強制捜査権がないとか、あるいは岩井会長のやったことが個人的な信用に基く一種の詐欺行為でありまして、これは機関としての中外証券会社の機構的なチェックではなかなか発見できなかったというふうな特殊の理由がありますが、いずれにいたしましても、信用機関であるところの証券業者が投資家に対しまして損害を与えたことは、きわめて遺憾であります。しかし、月掛投資に関する限りは、先ほど申し上げましたように、さらに万全の措置を講じて、直接の投資家には損害を与えないようにいたしたわけであります。
  32. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 万全の措置をとるのは当然だけれども、万全の措置をとる前に、減税月掛投資をやるということは、銀行と同じような権限が与えられるので、おそらく大衆はこれを信用したと思う。しかし、今言われました岩井猪三という人がどういう人であるかということは、理財局長は知っておられますか。
  33. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私は一般的な監督の責任を持っておりますので、この会社の業務の検査等につきましての資料は承知をいたしておりますが、個人的には全然知らない人であります。
  34. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 岩井さんはなくなっておりますけれども昭和二、三年ごろに、すでに中央証券というので、四百万円くらいの金が、この人によってつぶれて、相当信用がないはずであります。しかも、この人が牛耳っておるこういう証券会社を、大蔵省は、たとえば脱税や何かのときには非常によく調べられて盛んにやりますけれども、どうしてこういうような不正な中外証券のような、わずか半年か四月か五月の間につぶれるような、そういう脆弱な会社をどういう方法でお認めになったかということが、われわれには理解できないのです。そういう点で、関東理財部長の羽柴君なんかもその事情は知っておるということを聞いております。しかし、これは何といっても重要な問題でありまして、大蔵省としてもこれについての国家補償をする意思があるかどうか。これは大蔵大臣にお伺いしたいのですが、大蔵省がこういう減税月掛投資というものを認めたばかりに、信用度が非常に高められて、これがために非常に多くの大衆が迷惑しておるわけです。七億円からの大きな損害を出しておるわけですが、今は資産はわずか六千万円といわれております。そういうようなことが、ずっと前なら別ですが、大蔵省が絶対に信用できる、銀行と同じように信用ができるようだというような太鼓判を押して、そのあとわずか五カ月の間につぶれておるわけです。そういう点で、中外証券というのは絶対大丈夫だぞという太鼓判を押して、あとは知らぬぞでは、大蔵省としては責任のがれはできないだろうと思うのです。こういうような処置に対して大蔵大臣はどういうお考えで対処されますのか、大蔵大臣からお伺いしたいと思います。
  35. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま許可の経過については詳細に理財局長からお話しいたしましたので、経過は御了承いただけるかと思います。特に減税月掛投資について非常に詳細にわたっての指示をいたしておりますので、今回の不始末につきましても、減税月掛投資というこの関係の方々は、全額を返してもらっておるというような処置になっております。こういうことを考えますと、減税月掛投資ということ自身についての大蔵省の指示なり業務の人なりは、これは万全を期しておったということが言えると思います。ただ、佐藤さんが御指摘になりますように、資本金五千万円の会社が相当広範にわたって証券の取引をしていた、そういう場合にかえって減税月掛投資を許可した、それこそは中外証券の信用を裏書きしたものじゃないか、こういう意味で、一般業務関係においても損失をこうむった者を、政府は補償する責任はないかというお尋ねでございますが、私はこれは相当論理的な飛躍もあるのではないかと思います。もちろん、ただいまこの種の証券会社が不始末をいたしましたからといって、これはその証券会社とお得意さんとの信用取引の問題でございますし、また銀行等におきましても、これは同様なことが言えるのでございまして、そういうものについての国家補償という処置考えられる筋ではないと思います。ただ、私ども、この種の事態が起ることについて、減税月掛投資については、先ほど来申すようなこまかな指示がございますから、その元本が返ってくるような処置はとりますけれども、今の証券取引の実際から申しますと、元本を保証してない証券取引でございます。ここに一つの問題が確かにあるのであります。そこで、証券業者に対しましても、組合なり団体なりと申しますか、相互助け合うということ、業界自身でお互いに自粛自戒、助け合うような制度を考えていくということで、今日までも指導して参っておるのであります。この中外証券の問題が起りました際も、やはり業界内においてこれを引き受けるとか、あるいはそれを何か補てんする方法はないかということで、いろいろ業界の協力等も求め、あっせんもいたしたのでございますが、結局そういうことがいずれも実を結ぶことができませんで、中外証券については、登録を停止するというか、業務の取り消しをするという結果になったのであります。従いまして、私、監督官庁の責任、これをのがれる言い方をいたすわけではございません。かようなことができましたことは、ただいま正示局長も申しておりますように、大蔵省としてまことに遺憾に存じております。しかし、今日の検査の実際から申しますと、検査官より以上の知識のある人たちが工夫いたしますと、なかなか眼光紙背に徹しないものもあるのでございまして、こういう点においては、私どもの検査の仕方についてもなお工夫を要するということであるし、あるいは少し手不足であるとかいうこともありますので、今後大衆に及ぼす迷惑ということに重点を置きまして、検査や日常の指導において万遺憾なきを期すという意味で、機構も整備し、また検査官の指導、教育等もいろいろし直して、そうして大衆に迷惑の及ばないように、あらゆる努力をいたしております。そういうような措置をとることは当然のことだと思いますが、今日こういう中外証券のような事件が起きて、多数の方々に御迷惑をかけておることを、ほんとうに遺憾に存じております。
  36. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 大蔵大臣になられる前にこれは許可になっておるので、佐藤大蔵大臣をそう責めるわけにいきませんけれども、しかし、現在の大蔵大臣が言われることで私たちが非常に納得のいかないのは、個人の脱税を調べるときの調査というものは、非常に微に入り細にわたっておやりになると思うのです。これはほんとうにおそろしいくらい、ひどいくらいに査察をやられるとわれわれは見ておるのです。しかるに、こういうわずか四月か五月でつぶれる中外証券のような会社を、どうして見のがして調査をしなかったか。これは私たちは非常に片手落ちじゃないかと思う。弱い者に対しては非常に強い大蔵省が、強い者には知らぬ顔をしておられる。あとは月掛の投資だけは返したからいいというだけでは済まされぬ問題があると思う。少くとも中外証券の問題については、証券取引法の第五十五条に、証券業者が過当なあれをやったときには大蔵大臣許可が要るということの規定があるわけですが、大蔵大臣には証券界に対しては絶対の権限が与えられているにかかわらず、なぜそういう権限が用いられなかったかということと同時に、私が不審に思いますのは、前の大蔵大臣のときにどさくさにまぎれて許可にでもならなければ、こういう不始末は起きなかったように思うのですが、そういう点については正示理財局長はいささか知っておられますので、その点について私たちの納得のいくように御説明願いたい。今まで二百九十つぶれている中で、一つきり例外の、しかも一番トラの子のような、大蔵省が月掛減税投資を認めるような、そういう大きな信用のあることをやっている中外証券がつぶれたということは、私たちが何か疑惑を持たざるを得ない点があるわけです。だから、先ほど正示さんに聞きましたが、正示局長は大蔵省の上の方からそういう指令を受けておやりになったのか、あるいは運動が激しくておやりになったのか、その点をわれわれにはっきりわかるように説明していただきたいと思います。
  37. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私は事実だけはっきり申し上げますが、まず第一に、これは私、大臣その他上司から特に減税月掛投資を許可するようにという指示は一切受けておりません。先ほど申しましたように、もっぱら事務的な手続をいたしまして、差しつかえないという結論におきまして、事務的に許可をいたしました。この点をまず第一に申し上げます。  それから、先ほど証券検査と脱税の検査等につきましての御意見でございますが、これは、大臣からも申されましたように、証券業というものの今日の社会における重要性から考えますと、今日われわれのやっておりますやり方、また制度、それがこのまま妥当であるかどうかということは一応問題になり得るかと存じますが、現在の制度だけをありのままに申し上げますと、御承知のように、脱税につきましては、これは司法権の発動といたしまして、検察庁と一体になりまして、令状をもって検査をいたしておることは御承知通りでございます。これに対しまして、証券業者の検査は、いわゆる証券取引法に基く行政検査でございます。いわば相手方の善意に基礎を置きました、協力関係をもとにいたしましての検査になっております。従って、これはもともとこういうものが登録制であることがいいか悪いかという問題にまでなって参ろうかと存じますが、今日銀行等は非常に厳重に営業の免許というふうな形になっておるにもかかわらず、証券業は登録になっておる、また検査が今申し上げたように行政権の範囲にとどまっておるというふうな点につきましては、今後大いに研究を要する問題かと思うのでありますが、しかし、われわれといたしましては、先ほど申し上げましたように、今日までのところは大体この検査によりまして、ある程度事前に業者の経営の内容を把握いたしまして、それによって処分をして参ったわけであります。これによって損害をこうむられた方々もございますが、建前登録制であり、また自由なる商売の関係になっておるということから、一応今日の建前というものが認められて参ったと思うのであります。ただ問題は、減税月掛投資というものにつきまして許可を与える、この点については、私どもとしては、過去の検査だけの実績に一応信頼をいたした点に非常に問題があったかと思います。従って、これは、今後におきまして新しい許可を与えるような場合には、さらに念査をいたしまして、その点について手落ちのないようにしていく大きな戒めになったかと思うのであります。この点は率直に私どもは遺憾であったということを申し上げたわけであります。ただ、減税月掛投資は、その性質にかんがみまして、一種の元本保証的な態勢を整備していく必要があるという点に考慮をめぐらしまして、これに対しましては特段の措置を講じたことは、先ほど申し上げた通りであります。今後の証券業の行政の進め方につきましては、大臣からも種種のお話がございましたように、私どもとしては、業界が一体となり、一種の連帯的な責任の道義を確立して参るということがぜひ必要であり、またそれを推進していくためには、制度的に、行政的に、種々われわれとしても研究を要する問題がある、かように考えている次第であります。
  38. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 大蔵省はいい戒めになっていいかもしれぬけれども、損をする千二十人の人はどういうふうになるかということを考えていただけば、そういう点についての反省だけでは済まされないと思う。そこでそういう跡始末の問題も一つ残っております。  それから、私どもがあなたに一つだけお尋ねしたいのは、七億近くの負債の中で、帳簿を調べると運用貸しで二億九千万の金があるわけです。これは少くとも証券取引法の四十三条で兼業の制限がありまして、証券会社証券以外の仕事をやるときには、やはり大蔵大臣の管理が必要になっているわけです。ところが、この会社は二億九千万円からの大きな運用貸しをやっているというような、法を全く破った方法で経営しておったわけです。こういう点について何でこの調査ができなかったか。少くともこういうような会社で二億九千万円という金が運用貸しに回っておったというような事実は、いかにも大蔵省が見て見ぬふりをしているのではないかといわれても仕方がない、こういう結果が出ていると思いますが、その点はどういうようになっておりますか。
  39. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど申しました正示君の答弁でいいかと思って、私そのまま黙っていたのですが、この制度の問題は、一方は司法権の発動であり、一方は行政権の発動で、おのずから限度があるということ、これは本質的な問題でございます。しかし、それかといって何もかもみな司法権の発動というわけにいかないことは、これは佐藤さんにも御了承がいただけるだろう。なるほど影響するところは非常に大きいのでございますが、やはり私どもが検査いたします範囲はおよそ常識的なものがあるのでございまして、警職法一つの問題でも、前国会で非常な議論が出たように、官僚だからといって何もかもみんな力でどうこうするという筋のものではない。だから、これは行政権の発動の範囲でやる場合の検査といたしますと、なかなか隔靴掻痒の感があるわけであります。ただいま御指摘になりました中外証券の実際の事務の仕方にいたしましても、これが明らかになりましたのは、検査後裏帳簿による処理というものがだんだんはっきりしてきた、それで初めてこういう問題の全貌が明るみに出てきた、こういうことであります。しかしおそらく全貌とまではいかないのかもわからないという、まだ一まつの不安があるわけであります。先ほど申しますように、検査する方が一つの限界を守り、その限界でいたします場合に、最初から非常な悪知恵を働かして参りますと、これは簡単な検査などではわかりっこないということでございます。だから、先ほど私が申しますように、その知恵に負けないように、検査官といたしましても眼光紙背に徹するような検査法を採用せざるを得なくなる。しかし、それかといって、主権を侵害するというようなこと、自由を拘束するというようなことをするつもりは毛頭ございません。そういう点にこれで一つの苦い経験を得たということになるのであります。結局、こういう問題が起きたから申すわけではございませんが、やはり対人信用というような点についてあるいは調査が疎漏であったかもわかりませんし、大衆に直ちに損害を及ぼすような、また申しますならば信用取引を基本的にこわすような重大な証券業者でございますから、そういう意味におきましては、一般の対人信用より以上のものが十分保証されることが必要だろうと思います。在来におきましてもやはり身元保証団体等のものを作って、そうして連帯的な保証制度なども考えておったと思いますが、今回のような事件が起りますと、特に対人的な信用、個人的な問題、そういう点についての調査は一そう厳重にしなければならない、かように私どもも痛感をいたしておる次第であります。一言その点をつけ加えて説明しておきます。
  40. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま大蔵大臣から全体の御方針についての話がありましたが、先ほどの御質問についてやや詳しく申し上げますと、結局私どもの方の検査は、どこまでも表の営業の帳簿、これを十分調べまして、それで経営の内容というものが表の帳簿に関する限りははっきりいたした。ところが、ただいま大臣のお述べのように、岩井という会長がなくなりまして、その以後にこの岩井会長個人の信用を基礎にいたしまして種々裏帳簿関係でやっておりました操作が直ちに表に現われて、それが不渡り手形を出すということから、取付騒ぎというふうな形になったのであります。そこで、だんだん事態が明らかになりまして、ただいま佐藤委員の御指摘のように、本来ならば、表業務としてならば当然これは兼業承認を受けてやるべき事柄を、もっぱら巧妙な裏帳簿で経理をして従ってまた、当然許可を受くべきこと、あるいはその他法令に違反するような事柄が裏の経理に出て参った。これは法令違反がはっきりいたしておりますから、この会長に関する限り、この会長の責任を承継いたしました方は、私どもは、どうしても刑事的な責任を免れない、こういうふうに考えておりますが、遺憾ながらこの点は行政的な検査に関する限り、そういう二重帳簿、裏経理の面まで及ばなかったために把握できなかった、こういう実情でございます。
  41. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 ちょっと関連いたしまして、この事件の前後処理につきまして、具体的な問題を伺います。実は、この被害の一つのグループとしまして、飯能市に中外証券の支店がございまして、この事件に関する限りは三千万円の実損でございます。関係者は百数十名、この破産の報が一たび伝わりますと、この関係者が債権者会議とも申すべき会合を開きました。これはどうしてそういうふうになったかと申しますと、飯能の中外証券の支店長という方は、土地の有力者、元の飯能銀行の頭取をやっておった佐野作次郎という人なんです。この人、今教育委員長もやっておるし、どこから見ても非のない人なんです。そこで、その人の人徳を隠れみのとしながら、この悪だくみが行われてきた。ところで、債権者会議を開きましても、中外証券の実際上の支店長に当る人たちは、本社の方でまだ片がついておらぬし、方針もきまってないということで逃げの一手、佐野さんという人は法律的には責任はないのでしょうが、道義的な立場で、自分の山か何か売りまして、ちょうど一割になる三百万円を暮れに投げ出しまして、そうしてこれを債権者に気持だけということで誠実を尽して弁償したわけです。これは法律的には何も弁償の義務はない人でしょうが、やはり山間の都市のいろいろな道義的な慣行、こういうことがありましょうし、現実に三百万円を投げ出しておりますが、私の聞くところによりますと、六億円ほどの食いつぶしがある。しかし、銀行等の担保に入れた分を清算いたしまして、六千万円ほどがあとに残っておるということを聞いております。これは六千万円であるかどうかは知りませんが、そうしたときに、やはり債権者に対しまして当然清算されると思うのです。そのときに今言ったような個人的に一部をしりぬぐいしたというケースにおいては、どういうふうに善後処理の指導をされるか。要するに、佐野さん自身の個人的負担というものに対して、まずそれを消すというような処理をされるかどうか、こういう問題についての大蔵省の指導方針をちょっとお伺いしておきます。
  42. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。ただいまお話しの会社の整理の一応の見積りでございますが、会社の残余財産、それから取引所の正会員であったための一種の見舞金、それから飯能その他の出張所の譲渡あるいは本社の役員の私財の提供というようなことが一応今清算の財源として見込まれております。ただいま平岡委員お述べの飯能の支店長が私財を提供されたということにつきましては、この中には入っていないように私ども承知いたしております。そこで、そういう本社の責任におきましての財源によりまして、一方会社の社員の退職金等清算のためにどうしても必要な費用を差し引きました残余の分配は、大体におきましてこれは見込みでありますが、一割五分くらいには大体行くのではなかろうかというのが、ただいまの見込みでございます。そのほかに、ただいまのように特に奇特な方のあるようなものは、このほかになるものというふうに考えるのであります。私どもはいまだそういうお話を正式には伺っておりませんが、これらはその方の意思等も十分考慮いたしまして、会社において責任を持ってフェアに解決すべきものというふうに考えております。
  43. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 その通りでしょうがね。実際に一割五分があとで清算されるということになりますと、佐野さんの場合には、ちょうど一割を提供しておるわけですから、この三千万円の一割の三百万円を提供して、今正示さんのお話ですと、一割五分ほどもらってくるんでしたら四百五十万円ほどが支払われますね。そうしますと、飯能の債権者に四百五十万円がなまで与えられる。四百五十万円を全部債権者に弁償していくというのであるが、何かその債権者会議の場合、本社の方から清算があった場合においては、佐野さんが提供された三百万円というものは返そうというような契約ですか、申し合せがあるらしいのです。全額返ってくるときは問題がありませんが、中途半端で返ってきたときには、三百万円を返してしまえばあと百五十万円しか残りません。ですから、その点は、やはり大蔵省なら大蔵省の方で、この際は多少そういう指導的な方針でも示してやらないと、もんちゃくが起りそうな気がするのです。そういう点はどうされますか。
  44. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ちょっとむずかしいケースのように私思います。これは、佐野さんと言われる方の三百万円出された気持、自分も飯能で長くごやっかいになっておるから、また自分の名前でずいぶん扱われた方もあるだろう、こういう意味で非常にきれいな気持でやられたのか。会社でやるかもしれないが、自分のものは自分のものとしてやろう、こういうようなお気持かもしれないし、そういう場合だと、それが表面に出るのがいいのか悪いのか、これも一つの問題だと思います。これを表面化する結果、飯能の人たちはその三百万円を差し引かれて百五十万円になるかもしれない。それが隠れておれば、四百五十万円プラス三百万円で、七百五十万円になるかもしれない。これは佐野氏の気持がどういう気持なのか、十分そこのところも確かめてみないと、これはちょっと一がいには言えないだろう。そして、佐野氏自身が、どうせ会社はあとで清算はするだろうから、清算して、お得意に分ける場合の一部として、まずこれを提供しておく、自分の方の提供したことについては、会社と自分との関係で清算する、こういう気持であるなら、それはまたその通りされてしかるべきものなんですから、いつまでも隠さないで、これは表面に出さないとおかしなことになるでしょうし、特に中外証券の他の地のお得意さんに対しましても、飯能のお得意さんに対しては佐野というような人がいたから三百万円プラスしてもらったけれども、その他にはそういう者がいない。ことに債権者会議になって財産処分するというような場合には、おそらく出した金は全部一括してそれを分配するのが筋だろうと思います。そういうことになって参りますと、佐野氏の跡始末といいますか、これも非常に楽なんですね。楽なんですが、そうすることは飯能の債権者だけが利益を受けるわけにいかないことになるので、これは全部公平な分配だということになる。佐野氏の扱い方自身がどんな気持であったのか。会社の清算とは別なんだという気持なら、これはもうそれだけで全部消えてしまうのでしょうが、表面に出ない金であれば……。しかしながら表面に出る金だと、これはもう一括して、飯能と言わず、東京と言わず、全部の債権者がこの三百万円はやはり均霑して利益を受けるということにならなければならぬのじゃないか、こういうように思います。これはここで取り上げて右とか左とかということはどうも不適当じゃないか、ことに、この種の問題になりますと、先ほどの人柄等のお話を伺ってみましても、今非常に山まで売ったというので同情いたされておられる方だろうし、また地方のいなかの純朴な気持からやっておられるものでもございましょうし、ちょっとここでお話をすることは不適当じゃないかというような感じがいたします。
  45. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 そうしますと、少くとも三百万円はこのプールの中に入らないことだけは事実ですね。そういうことですね。それからそのあとの話は、佐野さんと、必要ならば大蔵省の方も入られまして、最も適当な処置をとっていただく、こういうことで了解しておいてよろしゅうございましょうか。
  46. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ちょっと一言だけ……。
  47. 早川崇

    早川委員長 佐藤さんに発言を許していますから……。
  48. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 実は大蔵大臣からも調査がむずかしいという話を聞きましたが、しかし、今巷間伝えられるところによりますと、名前は申し上げませんけれども、同様に二、三の証券会社が危ないというような声も聞いております。そこで、一体こんなずさんなやり方で、果して今後こういうような事件が起きはしないか、大蔵大臣、どういう処置をとられて、こういうような犠牲者が今後出ないようにされるのか、その御意思をまずちょっと承わっておきたいと思います。
  49. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来申しますように、問題は最近の証券扱いが非常に大衆化しておりますから、そういう観点から、大衆に及ぼす影響ということで、非常に検査を厳重にやらしております。従いまして、最近いろいろ検査上から私どもが注意をするような店がないわけではございません。そういう店がございますが、そういう店が出て参った場合には、まず第一は、業界相互でその跡始末をするという方法が非常に望ましいだろうということで、まず第一段の指導といたしまして、そういう処置をとっております。直ちに営業停止を数日やるにいたしましても、そのことは直ちに信用にかかわりますので、停止そのものも特殊な事件についての停止でありますれば比較的行いやすいのでございますが、検査の結果内容が悪いとかいうようなことで停止することは、影響が非常に大きいものですから、その影響を十分考えまして、できるだけ極秘のうちに処理をつける、そしてどこかの業者でこれを引き受けてもらうといいますか、連帯保証的な建前で自後処理をするということを第一段に考えております。最近のように検査がうまくいくようになって参りますと、比較的早期にかような事実を発見することができますので、自後の処理としても比較的容易なんです。非常に金額が多額に上りますと、あとの引き受けなどはまずできないことでございます。そういう意味で、これをまず業界で引き受けてもらうことによって跡始末をつける、こういうような処理をとっております。一般的な問題といたしましては、どこまでも信用に関する問題でございますから、日常の業務の扱いにおいても、過大な広告やまた過当の競争などを避けるようにすることだとか、あるいはまた、法規はとにかく厳守していただかないと、あの法規そのものが乱れるというようなことによって問題が起るのでございますから、そういうような意味だとか、あるいは資金調達方法等につきましても、いろいろ絶えず指導しまして、本来間違いの起らないようにはいたしておるつもりでございます。起りました場合は、ただいま申し上げましたように、業界でこれを助けるということを第一段の処置とし、それが大体成功し得るような状況に実はあるのであります。最近は、一般銀行等につきましても、あるいは相互銀行等につきましても、そういう意味で仲間による援助といいますか、救済といいますか、そういう方法を強く指導いたしておりますから、比較的多数の皆さん方に迷惑をかけないで済んでおるのじゃないか、かように考えております。
  50. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 実は、この証券界の問題は今回初めて起きたわけではなくて、昔からいろいろ問題があって、昔は通産省の所管になっておりましたが、これが非常に問題があるということで大蔵省所管になったことは、大蔵大臣御存じの通りでございます。そこで、今自主的にやるといっても、今度のような事件が起きますれば、結局残るところは国民大蔵省を憎むというような形になってしまう、もう破産をしてしまったんだから。  そこで私が大蔵大臣に一点お伺いしたいのは、最近株の値上り、株が少いということで、非常に一般に関心を持たれて、何も知らない人が株を買うような情勢が出てきました。これは証券民主化のために非常にいいことでありますけれども、しかし、それかといって、それがために大衆が非常に大きな迷惑を受けるようになれば、やはり大蔵省がもっと腰を入れて、今までのような登録制じゃなくて、免許制にしたらどうかという意見も出てくるわけです。こういう点について大蔵大臣はどういう御意見を持っておられるか、それが一点。  第二点は、整理の問題でありますが、ただいま理財局長は一割五分くらいのものは返ってくるだろう。七億円のところで一割五分では大したことはありませんけれども、この金をどういうように分配されるのか、その分配方法もこの際理財局長から承わっておきたいと思います。
  51. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 登録制を免許制にしたらという御意見——そこまでの御意見かどうかは別といたしまして、そういうお尋ねでございますが、このことは事柄の性質上私ども十分慎重に研究しなければならないことだと存じます。ただいま免許制にするとかしないとかいう、こういうような考えではございません。これは十分慎重に検討すべき事柄だ、かように思っております。  なお、あとの問題は正示君から答弁いたさせます。
  52. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 まず、順序といたしまして、先ほどの平岡委員の御質問に対する答えが欠けておりますので、その点をお答え申し上げますが、先ほど私が申しました整理の見積り予想に対しましては、これはただいまお伺いいたしました飯能支店長のものが入っていないというふうにわれわれは考えております。今後のことにつきましては、これはあとからの佐藤委員の御質問に対する答えにも関連をいたすのでございますが、もとより中外証券の整理は会社の責任者と債権者との間の問題でございます。いわば私法的な問題でございまして、法律的にはこれに政府が直接関与すべきではございません。しかしながら、先ほど大臣もお述べになりましたように、こういう証券業の特殊性から申しまして、証券業協会という強力な同業者の団体もあることでございます。こういう協会が、会員の全体の信用にかかわる問題といたしまして、種々アドヴァイスをいたすことと考えます。つきましては、この協会に対する監督は大蔵省がいたしております。この協会等から意見を求められるような場合におきまして、また一般的な監督の権限といたしまして、この処理が適正に参るように、あらゆる機会に指導して参りたい、間接的でございますがそういうように考えております。  なお、ただいまの佐藤委員の御質問でございますが、これは先ほど申し上げたような一応の財源考えられておるわけでございます。これを今後どう分配するかという点についての御質疑でございますが、これまた一般的に申し上げれば、会社と債権者との間の私法的な、プライベートの法律関係といたしまして処理するわけでございますが、今申し上げたような協会が入りまして、公益的な見地から適正を期して参ることはもとよりでございます。われわれとしては、どこまでも公正、適切な処理ができるように、せっかく協会等を通じて今後も指導して参りたい、かように考えております。
  53. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 あまり同じようなことを質問してもおかしいのですが、しかし、私たちとしてどうしても納得できないのは、大蔵省がこういう不良な証券会社に対してどうして減税月掛投資を簡単に認可したかという問題に不審を抱くわけです。そこで、これは証券取引法第六十六条にも詳しい規定がありまして、大蔵大臣の権限の拡大がちゃんと書いてあるので、どうしても私たちがもう一点正示さんに伺いたいのですが、昨年の五月に認可ができて半年もたたないうちにつぶれるというようなことは、これは株がうんと下ったとか上ったというようなことなら理由はつくけれども、そういうような情勢もなかった。ところが、そういうような認可に至るまでの過程にどうもわれわれが理解に苦しむ、納得のいかぬ点があるのですが、一体初めてのこういうようなケースで、普通の正会員でつぶれたのならば、二百十九の例もありますけれども大蔵省が月掛投資で銀行と同じ資格の権限を与えて、しかも信用があるようなこういう中外証券がつぶれた、どういういきさつでそういうようなことがやられたかということについてどうも不審を抱くのですが、この点について、これは正示さんが理財局長をずっとやっておられますから、私らが納得のいくように説明をしていただきたいと思います。
  54. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは、先ほど申し上げました通りに、中外証券に対しまする審査というものは、その前の検査の結果及びこの減税月掛投資を始めますときの資料を基礎にいたしまして、一応の書面審査ということで認めました。従って、裏帳簿についてわれわれとしては感知できなかったために、不審を抱かずして認めたというのが実情でございます。しからば、こういう許可を与えてから短日月の間に破綻をしたということについてはどうであろうかというお尋ねでございますが、これは、先ほども申し上げましたように、会長の岩井氏がもっぱら個人的な信用で会社の名を看板としておったことは事実でございましょうが、会社の表の営業とは全然別個に裏で経理をしておった。この無理な経理が岩井氏の死亡ということを契機に表に現われた。そのために不渡手形を出しまして、これが裏経理に破綻を来たした。その点が結局今回の中外証券破綻のきっかけになった。いわば岩井氏の死亡ということがたまたまこういう裏経理破綻のきっかけになっておりまして、それが三十三年の十月でございますか、参った。そういうことのために、五月の許可が短日月の間にそういう不幸なことに遭遇したということでありまして、この点は、いわば中外証券の表の営業についての検査を基礎にして許可を与えたのに対しまして、裏の関係から破綻が生じたために、われわれとしてはこれを把握できなかったという点に根本の原因がある。これは、先ほど申しましたように、私どもとしては非常に遺憾でございますが、事実はさようになっておる次第でございます。
  55. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 正示さんにお伺いしますが、取りつけがあってから約二ヵ月の間そのままになっておりました。そこで山一証券などと関係して何とか再建するように小池会長が骨折ったことも聞いておりますが、どうして早くこれも処理しなかったかということにいろいろな疑惑があるのですが、この点についてはどういうふうにその経過がいっておりますか。
  56. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは、先ほど大蔵大臣から冒頭にお述べになりましたように、でき得る限り債権者の方々に及ぼす損害というものを極力少くしたいというそれだけの考えで、種々われわれとしましても同業の方々でこのあとを引き受ける方はないかというような点、それからさらにそういうことがだんだんむずかしいということになって参りましたが、それにいたしましても、持っております資産の処分問題等につきましても、できる限り債権者に有利にできますようにということで、債権者の御意向等も尊重いたしまして、登録取り消し処分までにある程度の時日をかけたわけでございます。これはもっぱら他意なく債権者の損害をできるだけ少くするということだけの考えでやったわけでございます。
  57. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来いろいろ過去の登録を許しましたについての疑問というか、許した後にこういう不始末を起してまずいじゃないか。これはお説の通りでございます。今後の問題としては、私どもも、十分、こういうことが重ねて起らないように、新しく登録を許すというような場合におきましては、在来の調べよりも一そう念を入れまして、影響するところの大きい点に思いをいたして、慎重に扱って参りたいと思います。  ただ、ここで一言そういう意味考え方で申し上げて参りますと非常に困ると思いますのは、どうしても四大証券といいますか、大きな証券会社は比較的信用があるということで扱いは楽で、中小の店はこれから発展し拡大していかなければならないのだから、そういう場合について非常にやかましいことを言うというような、扱い上の問題がきっと起るだろうと思うのであります。これは、役所といたしましては、大だろうが、中だろうが、そういうところに区別をしないで、十分公平にまた親切な取扱い方をするつもりでございますが、そういう点がもし起りましても、どうかあまりおしかりを受けないようにして、そうして問題はどこまでも大衆に迷惑を及ぼさない、こういう意味大蔵省も特に工夫をしておる、こういうことを御了承いただきたいと思います。
  58. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 大蔵大臣としてはそういう弁解よりしょうがないと思いますが、しかし、大衆はやはり自分が損をすれば大蔵省を恨むことになるわけです。そこで具体的な問題としてこういう中外証券の不祥事が起きたが、現にとかくのうわさになっておるようなこういう証券会社があると聞いておりますが、そういう点についての調査を実際やっておられるのかどうか、未然に防ぐ方法を具体的にやっておられるかどうかを正示理財局長にお伺いいたします。
  59. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほど大蔵大臣からお答えがございましたように、われわれとしてはさらに検査を励行して参るということを基本の考え方といたしまして、一応三十四年度の予算におきましても、御承知のように現在大蔵省理財局に証券課という一課がございまして、各財務局にそれぞれ検査官を配置いたしております。しかしながら、在来のような地方の第一線中心のやり方というものにつきましても、ある程度反省を加えるようにいたしたい。機構をいたずらに膨大にすることが能ではございませんが、所要の予算も認めていただいております。中央にある程度最小限度に検査の機構を強化するようなスタッフを置きたいと考えております。また、財務局におきましても、検査官を、従来のような単に定期の検査という観念ではなくて、もう少し徹底した検査をやるように、たとえば、御指摘のようにとかくの信用のうわさのあるような会社につきましては、随時臨時検査を励行できるような体制にしたいと考えております。現在のところは特に危ないというふうな証券会社については聞き及んでおりませんが、ただいま申し上げたような体制で、常に業者の把握に努めるようにいたしたいと考えます。また、これは私の特に痛感しておるところでございますが、先ほど大蔵大臣も別の表現で申されましたが、やはり一種のPRと申しますか、こういう信用を基礎にするような営業でございますから、役所の上からの検査だけで実態を把握することはむずかしい。そこで、横のつながりといいますか、同業者のいわばほんとうに内情に通じたような同業者が、横から常にお互い状況を見て、それが得た情報をわれわれはキャッチするという態勢がどうしても必要だということを常に感じております。そういう意味で、第一線におきましても、中央におきましても、常にこの協会とか取引所といったような公的な団体とのつながりを密接にいたしまして、その会員、業者の実情につきましては、単なる検査による実情把握ではなくて、常時緊密な情勢の収集によりまして、今のようなことが起るおそれがあるような場合には、きわめて前広にそういうことにつきまして情勢が把握できるような態勢をとりたい。これを私は強調いたしておる次第でありますから、今後におきましてはかようなことのないようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  60. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま申しましたように、最近非常に検査が励行されております。従いまして、私ども、検査の報告を十分詳細に受けまして、そして非常にこまかな事柄でございますが、取扱い等についても正確を期しております。従いまして、ただいまなお数店でもあるかのようなお尋ねでございましたが、そういうような不安な状況のものはございませんから、その点だけをはっきり申し上げておきます。
  61. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 私は大蔵大臣に特にお願いしておくのですが、減税投資許可を与えるような証券会社には、もし損をした場合には国が補償するくらいの十分な調査をしてから許可をお願いしたいということが第一点。それから、最近これに関連しまして投資信託法案大蔵省がお出しになるというような話も聞いておりますが、それをいつお出しになるのか、おやりになるのかどうかについて、この二点だけ大蔵大臣にお伺いしたい。
  62. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 前段につきましては、御注意を受けるまでもなく、十分今後一そう厳重にいたすつもりでございます。後段につきましての投資信託法という問題は、まだ省議といたしましてそれが確定いたしておりません。しかし市場育成その他の面からいろいろ工夫はいたしておりますが、まだ投資信託法を考えるという段階には至っておりません。
  63. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 最後に、実はきょうは藤山外務大臣を呼んで、前の日東化学の社長でございましたので、そういうものとの関連がありますので、お伺いしたいと思いましたが、きょうは渉外関係でおいでならぬので、そういう問題は他日に残しますが、とにかく中外証券の問題は氷山の一角でありまして、私たちはおそらくこういう問題が次々と起るであろうということを、遺憾ながら心配しておるわけでございます。そういう点について、少くとも大蔵省国民の恨みの的にならぬように、特に最近株の大衆化、株の値上り等の関係で、多くのいわゆるしろうとの人がたくさんそういう方面に殺到しておるように伺っております。そういう点で、日本では戦前と比べまして株の需要が非常に多い。株は少いのに昔の十倍ぐらいの需要があるというようなことで、最近非常に株が値上りをしております。そういう観点からも、非常に重要な現在の段階でございますので、大蔵大臣並びに理財局長は、国民が安心して株を買えるというような措置をさっそく講じていただきたいと思いますが、その点についてどういう見通しとどういうお考えを持っておられるのか、最後にお伺いして私の質問を終ります。
  64. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 株の問題が昨年来いろいろ問題になり、大蔵当局といたしましても、不当な株の値上りについては十分警戒すべきではないか、また非常な激変は株の値段として好ましくないということで、いろいろ注意をいたしておりますが、御承知のように、株の値段は、これはなかなか自由にならないものでございまして、これはもし自由になるようでございますれば非常に楽なことでございますが、なかなか思うようになりません。ただ私どもが非常に心配いたしておりますのは、先ほど来お話がありますように、株の扱い方が大衆化されておりますだけに、大衆に非常な迷惑をかけないようにしたいものだ、そういう意味で、株価の健実性という観点に立ち、また証券会社の成績等も不良にならないように、そういうことを特に留意いたしておるのであります。いろいろな理由がありまして今日の株価が生まれておると思いますが、それらの詳細は省略いたしますが、いずれにいたしましても、ただいま申し上げるように、株自身が持つ経済的意義また大衆的な価値、こういう点に思いをいたしまして、十分警戒し、これを指導していく、こういう態度であることを、きわめて簡単でございますが、お答えいたしておきます。
  65. 横山利秋

    ○横山委員 この際私は資料の要求をいたしたいと思うのであります。先般参議院におきまして岸内閣総理大臣の所得についていろいろと質疑がございました。その問題については今なお不可解のままになっておるわけであります。そこで、私どもは、国会対策委員会の決議に基きまして、また国会法百四条、規則五十六条、五十七条に基きまして、次の通り資料を要求いたしたいと思います。  それは、岸信介氏の昭和三十年、三十一年、三十二年、三十三年、それから今月の十五日で終る三十四年、この五カ年間にわたる確定申告書または修正確定申告書、それを提示願いたいのであります。同時に、その申告書に基いて確定をいたしました税額、その内容等の資料を提出を願いたいのであります。  私どもがこの資料の提供を求めますゆえんのものは、法並びに規則に基き、それから衆参両院におきまして混迷をいたしております問題について、問題の所在を明確にいたしたいとする所在でございますから、委員長におかれましては、すみやかに私どもの要望に対して善処し、本委員会提出せらるるようお手配を願いたいのであります。
  66. 早川崇

    早川委員長 横山委員より提出されました資料要求の動議につきましては、行政上の秘密事項になっておりますので、直ちに御提案通り運ぶわけには参りませんが、なお明日の理事会においてその取扱いを協議いたしたいと存じますので、御了承を願いたいと存じます。  午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      ————◇—————     午後二時四十三分開議
  67. 早川崇

    早川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。鴨田宗一君。
  68. 鴨田宗一

    鴨田委員 交付税制度の問題に関連しまして、実は過日大蔵省の首脳の方がこういう言明をしております。「財源に余裕のある団体が存するのであるから、国からの財源補てんを考えるにあたっては、まず地方団体間の財源調整をはかって、必要な減税財源を生みだすよう努力すべきである」こういう言明をいたしました。これに対しまして、自治庁の有力な某課長さんは、「大蔵省原案は、地方税減税と同省のいわゆる財源調整による貧弱団体財源充実とを同時に強行し、後者をもって前者の補てんにすりかえようとしている点において、まさに重大な過誤を犯している」「このことは、単に地方財政の実情を認識しない暴論であるばかりでなく、あまりにも国家財政本位の立場に偏した措置であるといわざるを得ない」と悲憤慷慨をしておるというのが実は出ております。その後、今回の交付税の引き上げに対しまして、またその引き上げに関連いたしましての財源分配に対して、大蔵省自治庁の方ではどういう話し合いができたか。よく私たち伺いまするに、大蔵省に対して、自治庁もいつもいつもいろいろとおしかりを受けるし、どうも自治庁が非常に不利な立場にいつも追いやられておる——もちろんそうとは思いませんけれども、そういうふうなことで、今自治庁大蔵省と同じような格であるので、一つ自治省の方へと飛躍的に発展する案まで出ておるようであります。自治庁から自治省へという案が出ておりますのも、今までいつも大蔵省にばかにされておる、こういうふうな考え方がそこに流れておるような言い分でありますし、また大蔵省としては、財政のことは大蔵省にまかせろ、こういうふうな考え方で、そこにいろいろそりの合わないところがあるのではないかと思うのだけれども、その後の経過を一つ説明願いたいと思います。
  69. 山中貞則

    山中政府委員 鴨田委員の御指摘になりました点、あるいは当っておる点の方が多いと思いますが、ただ経過段階におきまして、大蔵省考え方に対する自治庁考え方等においては、相当大きな懸隔があり得たことは、私は否定できないと思います。たとえば、今の大蔵省は、財源の補てんと調整とを一緒くたにして、むしろ貧弱、富裕がかりに分れているとしても、さらでだに乏しい地方団体相互間のワクの中でのやりとりをさせようと、それを強行しようとしているというような批判が、自治庁としてはたびたび主張されました。しかし、私どもの、たとえば、事業税を免税点引き上げでなく一律二%の税率引き下げでやった場合にはどうなるかというようなことにつきましては、昨日でありますか、地方行政委員会における参考人ですか、たしか参考人だろうと思いますが、交付税法の一部を改正する法律案意見の開陳に当って、秋田県知事の小畑さんあたりは、これはやはり免税点引き上げでなくて、事業税は税率引き下げの線でいくが正しいものである、でないと、免税点では、農業県を中心とするいわゆる中小企業的な形態しか持たない弱小府県にしわ寄せが大きくくるから、ということを述べておられるようであります。こういうふうに、自治庁は最大公約数としての庁の立場を主張いたすのでありますが、各県の態様の差によりまして、知事会の中にもそういう意見と相分れておるというようなことが証明できると思うのです。  ところで、財源補てんと調整とを一緒くたにして、ということでありますが、私どもといたしましては、過程の論争は別といたしまして、そういうような、知事会におきましても賛否相分れる、いずれの線からも主張の正しさが認められる中において、いろいろ案を検討いたしたわけでありまして、最終的には自治庁の方と非常にうまく話をつけて、今回の実施をいたしたわけであります。今日までの過程を振り返りますと、大蔵省自治庁ともに打ち合せが割にスムーズにいってなかったのではないかと見られる傾向外が、部におりましても感ぜられたのであります。それはやはり考え方の問題でありまして、自治庁は今の自治省構想等にも見られますように、もっと地方に主体を置いた主管省としての全面的な権能を与えられたい、それによって名実ともに責任を果して参りたいという主張がありましょうし、一方大蔵省は、やはり国家財政の規模にほぼ匹敵する地方財政の規模が存する以上は、財政当局として事前のいろいろの施策についての打ち合せを財政的な見地からすべきであるという見解が、これは当然分れるところでありましょうが、そこらをことしは相当激しく言い合ったりいたしました。それでも、結果においてはよく連絡がとれて、大よその常識の範囲内で落ちついて、府県においてもそれぞれの不満やいろいろのニュアンスの差はありましょうが、一応の前進であることは否定しないという案が私できたように思うのであります。本来、地方財政問題は、府県の体質によりまして、シャウプの作りました原案に基いて施行いたしておりまする現在の地方税収あるいは税というものは、非常なアンバランスが、午前の委員会でも御指摘通り、ありました。今のままの税目ではとうていこのアンバランス調整するということは困難であると思われる点もたくさんございます。事業税にいたしましても、遊興飲食税にいたしましても、あるいは先般譲与税化いたしました入場税にいたしましても、やはり大府県といいますか、都市の体質を持つ県と純農村的な県とは、税目そのものにおいてすでに格差が予想されるところであります。そこで、私どもといたしましては、本年度は——いろいろとこまかい点の御質問があればお答えいたしますが、交付税法による部面もしくは総理府令等による部面等それぞれこまかく折衝をいたしまして、計算上のいろいろな基準等の変更などもございまして、現在の主管庁たる自治庁が、この程度ならば地方財政に激変を与えないであろうという範囲一ぱいの話し合いが実はついておりました。あと残された問題といたしましては、午前中に御指摘になりました基準財政収入額算定に当って、標準税収に適用される割合が、府県の九割もしくは町村の八割くらいという問題、たばこ消費税配分の基本的な方向、特別態容補正を今後どういうふうに持っていくか等について、早急に結論を出す意味のペンディング事項として残しております。これについては、せっかくいい慣習を財政当局と地方財政主管の自治庁との間に作り上げたばかりでありますので、これを相互に尊敬しあるいは理解し合うという立場で、ただいまの御意見にありまするような方向に努力を重ねていきたい、こう考えております。
  70. 鴨田宗一

    鴨田委員 ただいまの政務次官のお話で、私たちが懸念しておりました自治庁並びに大蔵省との間のトラブルも、ほんとうにスムーズに解決できたように感じられますが、ちょうど幸いに自治庁財政課長さんがおられますので、一つ自治庁の方の御意見も伺いたい。
  71. 細郷道一

    細郷説明員 今大蔵省の政務次官からお答えがあったわけでありますが、やはり一番お互いの間で基本の問題になっておりますことは、国と地方の間にどう財源を分けるか、国の側からいえば、地方団体に対してどういうふうな財源の付与の仕方をするか、ここにおそらく基本があろうと思います。御承知のように、現在国民からとっております租税の中で、実際には地方団体は三割しかとっていないのでありますが、補助金とか交付税とかいうような形を通じまして、六三%を地方団体が使用しているわけであります。従いまして、現在の行政事務の国と地方配分、それにぴったりマッチした財源の付与の仕方ということになりますれば、六三%まではどういう財源で与えていくかということを、まず考えなければならぬわけであります。もとより六三と三七は、これは現状を申し上げているだけでありますから、将来の姿は別の問題であります。その場合に現在とられております財源の付与の仕方としては、一つ地方税を与え、税制によってこれをやる。一つは国からの交付税とか譲与税とか一種の調整財源でやる。一つは国からの補助金という形でやる。これはそれぞれ特徴のある、また長所のある、あるいは逆にいえば欠点もあるだろうと思いますが、制度だと思うのであります。その場合に、地方自治ということに重点を置いてこれを見るならば、でき得べくんば、その六三%全部を地方税によって与えるのが望ましいのではないかという考え方が当然出て参ります。逆に、国の方の立場で、なるべく個々の仕事の執行を確保したいということになりますと、ある意味では、国庫補助金というようなものにウエートがかかるというようなことも考えられるわけであります。そこで、私どもの方としては、やはりわれわれの仕事自体が地方自治にウエートを置くという考え方に立っております関係上、まずその六三%なら六三%になるような財源をどういうふうにして与えていくか、それには第一番目の方式による税制によって与えるのがいいのではないか、という主張を一つ持っておるわけであります。そこいらのところが、おそらく先ほどお読み上げになりました文章の中にも気持が現われておるのではないかと思います。ただ、その場合に、現実の問題として、いろいろ税制が偏在しておるというようなこともございましょうし、また国民の租税負担の限界ということもございますでしょうし、また国の負担金の制度によります仕事の実行性といったような問題もあると思います。また交付税というものを非常に大きな額にすることが果して妥当かどうかといったようないろいろな問題がございまして、現状においては今のような姿になっておるわけでありまして、そこにおける主張の違いが、やはりそれぞれ同じ政府の中でも、主管といいますか、重点を置いている省庁の間においては、基本的にだいぶ違って参るのだろうと思います。しかしながら、そういったいろいろな前提のもとにおきまして、今回は、先ほどお話のありましたように、団体間におきます財源をできるだけ平均的にしていこうという考え方に立った改正を講じたのであります。
  72. 鴨田宗一

    鴨田委員 大蔵省並びに自治庁の見解は、今までの私たちの考えておりましたことより一歩前進をいたしまして、非常にスムーズにいっておりますのを、私としては喜んでおるわけであります。  さて、今回提案しておりまする交付税の一部改正の問題でありますけれども、この問題につきまして二、三お伺いしたいのでございます。まず、この交付税改正は、今回の減税の補てんといたしましてのこの一%の引き上げという面と、また先ほどちょっと触れました財源調整というふうな面をあわせ考えたときに、ここに従来の交付税そのものの歩み方というものが、現存しておりまする消費的あるいは投資的な経費を前提といたしまして算定をしておりました関係上、私たち実際理事者をやっておりました者といたしましては、結局今後あるべき、将来なすべき百年の大計を作っていくという面からいたしますと、非常にこの点は恩典に浴することがなかった。勢い、結局これを何とかして行政水準に向っていくには、急いで起債でもお願いいたしまして、そうして起債の範囲内において行政水準の向上に向っていかなければならない。こういうような面が出て参りまして、二十九年、三十年あるいは三十一年と、非常にこの地方財政というものが起債の面からも窮屈になってきたわけでございます。しかし、また、これに着眼をしたと申しましょうか、これでは地方財政はいかぬというので、自治庁の方では、いわゆる地方交付税法第十三条でありましたか、その規定に基きまして、結局、先ほど大蔵次官の言われました通り、現在非常に強くクローズ・アップされております特別態容補正というものが持ち出された。しかし、自治庁に質問をするのでございますけれども、最初は、自治庁といたしましても、これに相当のウエートを持ちまして、貧弱団体を何とかしてまあ一つ向上させようという面から、この辺のいわゆる特別の補正についてはかなりの思い切った処置をとったようであります。また過ぐる三十二年もそういうふうな措置をとってきたけれども、今度は、昨年になりますと、これが少し減額をされたように実は数字的に出ておるわけです。そうしますと、従来の富裕団体がさらに富裕団体としての面目を発揮しまして、富裕団体の中には、六五%も財政収入が上ったなんというところの県も昨年は出てきたわけであります。しかし、そのときに、大蔵省の方としては、先ほど山中次官の言われました通り、この特別態容補正というものは強く打ち出すのが当然である。こういう面で、われわれは、大蔵省の方は幾らか地方自治体の方をカバーしたように記憶しておるのでありますが、そんなようなことはありましたか。
  73. 細郷道一

    細郷説明員 今特別態容補正のお話がありました。私ども考え方だけ申し上げておきます。特別態容補正は、おっしゃった通り昭和三十一年の起債が非常に減った年に、これにかわるものとして一応考えた制度でございます。ただ、総体的に起債が減ったというんでなくして、いわゆる財政力の弱い団体への起債の配分をうんと減らしたわけであります。従いまして、その弱い団体へ何か他の財源を与える。交付税財政需要の計算におきましては、大体起債の対象になるような施設につきましては、償却という形をもって需要の計算をしておるわけであります。従って、起債にかえて直ちに財政需要を大きくするためには、単位費用を引き上げるということがまず考えられます。ところが、三十一年の場合に、全般的に単位費用を引き上げるだけの財源もなく、また余裕もなかったために、暫時の方法として、特別態容補正という方法をとったわけであります。従いまして、この補正自体は、本来から言うならば、経過的なものであるべきであったわけであります。その点は、私どもも、そういう考え方のもとに、その後に処して参ったわけであります。同時に、この特別態容補正と申しますものは、御承知通りに、端的に申しますと、その県の県税収入一人当りの収入が少ければ、需要がよけいにかかるという計算の仕方をするわけでございます。従って、たとえば河川費についてこれをかける場合には、県民一人当りの税収入が少いと、河川の需要がよけいにかかるという計算の仕方を実はしておるのであります。このこと自体、他に方法がなければあるいはやむを得ないかと思いますが、このこと自体にはあまりはっきりした結びつきを見出しにくい性質のものであります。同時に、交付税の計算は、御承知のように、需要額を一応計算をして、それから収入額を差し引いたものを交付税とするわけでありますから、その県の収入額というものは他に差し引く方法があるわけであります。それをもう一回その県税収入額を使って、需要を逆比例して出しておる。二度収入の要素を使うような格好になっておる。そういう意味合いにおいても、私どもとして、あまり交付税の制度本来のものになじみにくいんじゃないか。そこで、それでは他にかわる方法があるかどうかということをいろいろと検討いたしまして、今回新たに面積というような測定単位を新しく作る、あるいは今までございました数値区分によります補正の差を縮める、こういったような方法をとることによって、財政力の弱い団体の財源を漸次上げていくというやり方をとっておるわけであります。
  74. 鴨田宗一

    鴨田委員 ただいまの自治庁の方の説明で幾らか了解できるのでありますけれども、ただ私が強く申し上げたいことは、この特別態容補正を、いろいろ測定の単位を細分化するとか、あるいは補正の方法を合理化するとか、今申しまする通り単位費用を増額するとか、いろいろ考えもあるだろうと思うのでありますけれども、こういうふうなことをやりましても、やはりある一定の限度というものがあると思うのです。そうすると、その限度が行き詰まってしまうと、どういうことになりますか、それを一つお聞かせ願いたい。
  75. 細郷道一

    細郷説明員 限度という意味がどうもあまりはっきりいたしませんが、最後には財源総額がどうなるかという問題だろうと思います。結局、先ほどお話のございました、基準収入の率を八割から九割に上げるというのも、一つ意見だろうと思います。けれども、上げた場合に、結局やはりそれだけ需要がふえることを期待して上げるわけであります。それだけ交付税財源がふえるわけでありますから、それだけ基準財政需要額がふくらむであろうということを前提として、交付税がよけいくるとかこないとかいうことを考えるわけであります。従いまして、そういった場合においても、これは行き詰まるところは、一応財源はきまっているわけでございます。従って、全般的な財源の分け方ということになって参りますと、先ほど申し上げたような基本的な問題にぶつからざるを得ないのじゃないか。そういったこともあって、われわれとしても、なお、来年いろいろ税制改正についての審議機関もできるようでありますので、そういった機会を通じて検討を続けて参りたい、こう思っております。
  76. 鴨田宗一

    鴨田委員 結局交付税の態容補正をいかに合理的にやりましても、やはりある一定の限度がある、こういうふうに私も考えられまするし、またそういう立場からさらに突っ込んで参りますると、現在の交付税あり方におきましては、必要最小限度の需要を満たすというところに、一つの限定があるわけであります。結局それは、とりもなおさず、裏を返しますると、富裕団体貧弱団体、これはまあ両面でありまするが、そのまん中の行政水準をいくところの地方公共団体を育成していくというところに、大きな自治庁としての今後のねらいがなければならぬ、こういう面からいたしますると、貧弱団体には交付税以外に何か手はないんですかね。これを一つお聞かせ願いたいと思うのです。
  77. 細郷道一

    細郷説明員 財源の付与の仕方は先ほど申し上げたようなことなんであります。交付税以外にということになりますれば、やはり独立税をふやすという方法工夫せざるを得ないのじゃないか。そういった場合に、私どもとしては、やはり行政事務の国と地方配分という基本の問題をなお検討する余地があるんじゃないか。と申しますことは、現在行政事務の国と地方配分を、一応いろいろ制度的にできておるのでありますが、なお工夫をして、もっとこれを市町村の段階にまかせるのが適当じゃないか、あるいはこれは県の段階にまかした方が適正ではないか、こういったような工夫余地が相当残っておると思うのであります。従いまして、そういった事務の配分を検討いたしまして、その上で、その事務ごとに、負担の区分はどうしたらいいか、国がどれくらいこれは持って、地方がどれくらいこれは持つかということを検討いたしまして、その上で、必要財源を与えていくやり方をとるべきだろうと思うのであります。従って、現在の姿のままにおいてすぐどうこうというようなことになって参りますと、いろいろ制度でございますから長所もあれば短所もあるといったようなことで、その新しい改正に対してなかなか踏み切りがつかぬわけであります。私は、やはりそういった面での根本的な改正というのは、慎重な検討を要するのじゃないかというふうに思っております。
  78. 鴨田宗一

    鴨田委員 大蔵省の方にお聞きいたしたいと思いますけれども、私がただいま自治庁の方へ質問をいたしました交付税というものは、ある一定の限度になるといわゆる点を打つ。しかし貧弱団体は依然として貧弱団体である。この貧弱団体行政水準のレベルまで持って参りますには、何か抜本的な処置があるようですけれども、税の問題のみならず、いかがでございますか、明敏なる政務次官のお考えを……。
  79. 山中貞則

    山中政府委員 午前中に大臣からも答弁をいたしたところでありますが、単に自治庁もしくは私ども財政当局ばかりでなく、そういうような角度からの根本的な検討を既往にとらわれずできますように、主として税の面からでございますが、政府税制調査会を今回法律によって設置いたしまして、時間を相当かけましても、わが国の中央地方財政のあるべき姿を答申してもらいたい、こういう構想を私どもとしては持っております。従って、今ここで、個々の問題としては、今の交付税の中の基準を、八割を九割にするとか、あるいはまたたばこ消費税の譲与税化をはかって人口割にするとか、いろいろと個々の問題は持っておりますが、何せ現在の税制というものが、先ほども申し述べましたように、基本的な格差を性格そのもので持っておりますので、やはり抜本的に税制の再度の合理化ということから出発しなければならぬと考えます。しかし、他面地方財政はあくまでも自主財源をふやしてやることが基本だと申しながら、現実の面においては、特定の府県、市町村を除きましては、大多数が国の交付税を中心といたしまする補助、起債その他によって自分のところの県市町村財政を運営しておるというのが圧倒的な数字でございまして、むしろ、それぞれの県市町村の単独の税収入は全く一割ないし二割というような、自主性いずこにありやというような現状であることもまた無視できませんので、抜本策の研究と同時に、半面においては地方財政の大宗を占める交付税その他の中央が直接関係いたしておりまする問題の合理化ということも引き続き進めていきたい。その具体策については先ほど申し述べた通りであります。
  80. 鴨田宗一

    鴨田委員 一部の国内の有力な学者と申しましょうか、この方の権威のある方の意見で、貧弱団体に対しては国家財政において抜本的な補助政策をしなければならぬ、交付税は抜きにいたしまして、こういう考え方がございます。参考までに申し上げておきたいと思います。財政的な補助——国で仕事をやってしまうのです。そしてある一定のレベルまで引き上げてしまう。それから今までの交付税でやっていく。こういう考え方があるので、参考までに頭をしぼっていただきたいと思います。  さらに、今度は観点を変えまして、実は大蔵省自治庁の見解の違うところをちょっと質問いたしたいと思います。これは数字に出ておることでありますけれども昭和三十二年のいわゆる地方自治体の決算が大蔵省から発表されております。それによりますと、歳入歳出差し引いて約六百四十五億の黒字に実は自治庁の方の発表はなっておる。しかし、実質的な黒字は、繰り上げによるところの翌年度の財源がございますので、これを差し引きますと、実質的な黒字は三百九十七億、こういうふうな数字に出ております。さらに長い間の再建債を含めました、いわゆる赤字額が四百七十五億ありますので、差し引きますと、形の上では黒字のようでありますけれども、実際は七十八億の赤字ということが計数的に出ております。これに対して、自治庁としては、昭和三十四年の予算、いわゆる自治庁予算を計上するに対しましても、こういうふうなことを土台にして、三十四年の地方自治体の集計を実は出しておるわけでございます。もちろん、三十四年の自治庁のこの集計には、純公共事業費であるとか、単独費とか、あるいはまた、その他この表面に出ておりません住民の負担は歳入面には入っておりませんので、数字的から見ますと実際正確なものとは言えませんけれども、とにもかくにも、こういうものを土台にして予算が計上されておるわけであります。昭和三十二年の今の決算の結果七十八億の赤字があるということがいわれるのですけれども、これに対して、大蔵省が、これは赤字じゃないのだ、それは繰り延べの、いわゆる再建債を計上したということは、再建債というのは一ぺんに出さなくていいものだから、これは計数的には一つ抜く必要があるのではないか。そうすると、結局昭和三十二年度においては少くとも二百四十億の黒字である。これは、税収が六百四十七億であったにかかわらず、黒字が二百四十億の黒字にとどまっておることは、地方財政がさらに放漫政策に流れつつあるから、注意を要するという勧告があったようであります。これに対して政務次官どういうふうに考えますか。
  81. 細郷道一

    細郷説明員 三十二年度決算は、昨年の秋ごろ自治庁の方で調査いたしまして発表いたしました。それで、その結果については、今御指摘のあったように、再建債等を考慮すれば、なお赤字の要因がある。それらもあわせて発表いたしました。そういった赤字の状態をどれだけ頭に入れて三十四年度の財政計画を作るか、こういう御質疑だろうと思います。お考え願いたいことは、財政計画と決算との間に開きがあるということであります。今お話のありました三十二年度をとってみましても、三十二年度の財政計画と三十二年度の決算との間には、歳出を見ても千七、八百億の開きがございます。もとより決算は、単純に府県、市町村をそのまま集計して参るだけでありますと、府県を通じて市町村に流れる補助金もありますし、また市町村から府県に納める負担金もあったりいたします。そういった重複勘定がかなりございます。そういったようなものを除いても、なおかつ相当開いておるのであります。例年開いておるのであります。その開いておりますものを見て参りますと、一つは給与関係の経費で、三十二年の場合を見ましても、かれこれ五百億ほど開いております。四百九十三億開いております。また投資的な事業においても四百五十億ほど開いております。どうしてこういう開きができるのかと申しますと、一つには、財政計画自体が、地方の決算見込額を集めて見込んで作ったものではなくて、年度当初におきまして、国の予算とのからみ合いにおいて、国の施策が地方にはどういう姿で反映されていくだろうか、同時に国が地方団体に対してどういう施策を期待しておるだろうか、具体的には、たとえばことしでいえば、文教五カ年の計画によりましてすし詰め教室の解消、道路五カ年計画の執行とか、そういったようなことを国として地方団体に期待しておるものがあるわけであります。そういったようなものを織り込んでおります。そうして、同時に一方では、各地方団体を通じた標準的な経費また標準的な収入というものについて、これを計算いたしておるのであります。従って、端的に税収で申しましても、標準税率による課税分だけが財政計画には上っておる、同時に、給与費についていえば、国家公務員ベースに準じたべースによりますものだけが上っておる、こういうようなやり方で、財政計画が毎年組まれております。しかるに、現実の地方団体の決算は、あるいは給与費において標準を上回るものあり、あるいは下回るものあり、また税収においても超過課税をするものもございます。また国から出ます補助金が年度がずれて、たくさんの補助金がずれて出ることがございます。国は当年度でも、地方は翌年度に受け入れる。また同じ地方債でも、財政計画では許可の年度によってこれを組んでおる。三十二年度分として許可をしたものを財政計画としては最初に見込んでおるわけであります。現実の地方団体は、許可を受けた地方債の資金化が年度がずれてくることがあるわけでございます。三月三十一日に許可になったものを、すぐその日に借り入れができないことがございます。また、財政計画の外にあります転貸債のようなもの、厚生年金の還元融資のようなものも財政計画の外にありますが、決算では中に地方債として入っておる、そういったようないろいろな違いがございます。さらに、地方団体がたとえば信用保証協会に融資をする、それをその年度内に再び回収するといったような場合に、融資をするときには歳出に立て、回収の方は歳入に立てる、そういったような見せかけだけの規模の増大といったような面もあったりいたしまして、財政計画と決算というものは必ずしも一致しない。むしろ、今申し上げたような関係上、食い違うのが当然な姿になっておるわけであります。そこで、私どもとしては、毎年翌年度の計画を立てますときには、前年度の当初財政計画に対して、翌年度はどういう歳出面における需要の増があるであろうか、給与費についてはどうであろうか、あるいは公共事業についてはどうだろうか、こういうふうに需要の増を立て、それに見合う地方財源地方税、交付金あるいは国庫支出金等に求めて、そうして収支が突合するように財源の確保をはかっておるわけでございます。従いまして、そういう意味合いで計画と決算の違いがございますので、来年度についても、計画の面では今申し上げたようなことで財源の確保をはかっておる、こういうことでございます。
  82. 相澤英之

    ○相澤説明員 数字の問題でございますので、私から御説明申し上げたいと思います。  御質問の趣旨は、三十二年度の地方団体の決算につきまして、赤字の見方が自治庁大蔵省と違うじゃないかということにあるかと思いますが、私どもの方としましては、別に地方団体財政収支の集計はいたしておりませんので、その数字はもっぱら自治庁のものによっているわけでございます。違います点は、結局その数字につきまして見方の相違ということになるわけでありますが、三十二年度の決算によりますと、実質黒字額は府県で二百八十一億、市町村で百十六億、締めて三百九十七億円になっております。三十二年度の単年度についてこれを見ますと、府県が百六十八億、市町村が七十二億、計二百四十億の黒字となっております。ここまでは自治庁の発表も同じであります。ただ、私どもがこの数字を見ます際に問題といたしましたのは、これから先の問題でございまして、自治庁は、財政再建債の未償還元金が三百六十四億八千万ある、それから三十一年度に借りかえ債を発行いたしておりますが、それの未償還元金が三十四億三千万ある、それから二十七年度以前の未納の直轄分担金が七十六億九百万ある、これらを締めますと、四百七十五億一千九百万円になりますが、これは赤字の要因と考えるべきであるから、これを控除してみると、七十七億の赤字になる、こういう説明になっておるわけでございます。私どもが問題にいたしますのは、この財政再建債等のいわゆる赤字というものが、決算を見る場合に果して赤字と考えるべきものかどうであろうかという点にあったわけであります。財政再建債の未償還元金を赤字に加えて見るといわれましても、現にそれだけの地方債が発行されておるのでありまして、それが歳入に入っている。そしてその毎年度の元利償還金はそれぞれ地方の歳出に立ち、地方の決算においては同様これが上っておるわけであります。従いまして、そういう支出も含んだところで地方財政の決算が上っておるわけでありますから、その債務の現在高をつかまえて直ちに債務と見るということはおかしいじゃないか。もしそれを債務、赤字と見るというならば、三十二年度末で五千四百億円をこえる地方債を別に抱いておりますが、その地方債全部を赤字と見なければ話のつじつまが合わないのじゃないか。それから、借りかえ債につきましても、同様の趣旨で私どもはこれを赤字と見ることは問題だと思いますし、また二十七年度以前の未納の直轄分担金でありますが、これは、御案内の通り、直轄事業にかかる地方負担が、当時現金納付であったものが、途中で昭和三十年でありましたか、交付公債に切りかえられた。その二十七年度以前の発行の直轄分担金だけを赤字に見ているわけであります。ところが、その後におきましても、毎年度直轄事業に伴う交付公債というものが発行されておるわけであります。その交付公債の方は別にこれは赤字と見ていない、それはおかしいじゃないか、そういったような点から、見方の差でありますけれども、こういう財政再建債の未償還元金その他の数字を赤字と見ることには問題があるので、これは一応決算を見る場合には除いて考えるべきではないか。そうしますと、自治庁の発表されておりました通り数字、三十二年度末においては三百九十七億、三十二年度単年度においては二百四十億の黒字ということに相なるのではないか、かように考えるわけであります。
  83. 鴨田宗一

    鴨田委員 いま少しく詳しく質問をいたしたいと思いますけれども、時間がないようでありますので……。  ただ、先ほど来総括いたしましてお答えを拝聴しておりますと、結局、地方自治体行財政、特に財政構成というものが、よその国と比較いたしまして強く中央べ依存しておる。この中央べ依存しておるということは、裏を返しますと、中央財源が非常に弾力性がなくなってきておる。これは大蔵当局としてもおわかりのわけでございます。こういう面からいたしまして、このままに推移するということは、御承知通り日本の新しい誕生に対しましても、特に地方自治体は民主主義の学校といわれているようなこともあるのでありまして、そういうふうな面からいたしましても、よほど抜本的な施策を施していただきまして、先ほど大蔵次官の言われました通り、いわゆる地方財源調整なりあるいはまた国税と地方税の間のアンバランス、二重課税を何とかしてやめさせるとか、さらにまた国家事務と地方事務をほんとうにはっきり、先ほど自治庁の方から言われました通り、してもらうとか、そういうふうな面から一つ抜本的な改革を施しませんと、毎年々々交付税の引き上げという、いわゆるいたちごっこのことばかりが地方公共団体と自治庁大蔵省との間に起きてくるということは、地方自治の発展のためにも、また国家の発展のためにも、非常にこれは阻害されるのじゃないかと思いますので、本日幸い大蔵省自治庁非常に仲よく今後やっていってもらえるような言質が得られましたので、私も全く安心をいたしました。どうぞ一つその意気で、今後地方自治発展のためにやっていただきたいということを、大蔵当局にも心からお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  84. 早川崇

    早川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十一日午前十時十五分より開会することとし、これにて散会をいたします。     午後三時三十二分散会