○山村(庄)
委員 大蔵大臣に、ごく簡単に、今度の税の
改正に関連して、私に言わせるならば新税と称するものがこの議題の中に入っているので、その点について大臣の心がまえを一応聞いておきたい。きょうは私約一時間ほど質問をお願いしたところが、大臣も時間がないそうでありますから、あさって、政務次官または事務当局の皆さん方に、こまかい点については時によっては一問一答の形式においてお尋ねをしていきたい、こう思っております。
税の
均衡をはかる、地ならしをする、公平を期する、こういうことはまことにけっこうなことであります。またその
通りにこの要綱案の中にもうたってありますが、ただし、その
均衡を期する、公平を期するという
意味の
もとに
——しかもこれは時と時節がある、また社会情勢というものをよく見てもらわなければならぬと思うのでありますが、ことしのこの際に新税を課するというようなことは、私はわが党の一員としていまだかつて聞いたこともない。ここへ出てきて初めてびっくりしておるというようなことであります。われわれは、選挙に当っても
減税を主張し、何々税はどのくらい、何々税はどのくらいということまで
国民に
公約をしてきておりますが、ここに申し上げる織物税のごときものは新しい税として取るのであります。いまだかつて取っておらぬものを取ろうとしておるのであります。神武以来なかったものの税をここにあらためて課するというようなことでありますならば、これは非常に、党内において、また
政府間においても、いろいろと論議、研究をすると同時に、新税を取るということは
国民に新しい義務を負わせるのでありますから、従って、どうしても取らなければならぬという理由を長きにわたって
PR運動もやり、
国民に納得して税を払ってもらうということにしなければいかぬと思う。それがぽかんと出てきておるので、これは
大蔵大臣に、ことしの税法の
改正について、こんな小細工のような便乗主義で持ってきて
増税をやっていこうというような
考え方があったかどうか。もしそういうことがあったとしたら、これは、われわれ
国民全体が、日本の財政、
経済、
税制の大番頭として
大蔵大臣にお願いをした趣旨とは違う、私はそういうふうに
考える。
与党である私がこういうことを申し上げますと、あいつ一年生のど新米のくせに何を言うておるか、いいかげんにしておいたらいいのだ、こういう
考え方もあるかもわかりませんが、しかし、私は、ことしは大きな手をあげて、全
国民に向って、
減税を断行するのだ、こういうことを、しかも、選挙でないときであるならいいです。われわれの身分に
関係するような選挙のときに旗じるしを掲げてやっておるのです。その実際の問題が、五百二十億という大
減税をことしやる。来年から七百億をやる。これは非常にけっこうですが、わずかに四億か五億の新税のために五百二十億を死なしてしまうというようなことを、大臣はどう
考えておるか。これは政治家としてはまことにとるべきことでない。ばかの骨頂の、あほうこの上ないやり方だと思います。私はこういうふうに率直に
考えておる。あるいは、こまかいことであるから、そんなものは入っておらぬのだ、
予算全体のうちに入っておるというなら仕方がないけれ
ども、閣議において、こういう新税を取るということをあまりにも軽々に
考えて、ちょっとそこヘチェックしてまぜ込んでおいたらいいのだというような、官僚事務的のやり方において出てきたというなら、これは納得できません。私も長い間
税金を取る方の総大将をやってきた。これは
地方で、一部でありますけれ
ども……。だから、この
税金を取るということについては、いろいろと私は私なりに
考えておることもある。また、この要綱なり
予算なりを見ましても、中にはインチキなものがあり、またピンハネのものがある。そういうようなことについては、あさってとくと一ぺん聞いてみるつもりでおります。(笑声)もう
国民というものは
税金に一番関心が深い。しかも、こういう
税金の問題については、御承知のようにこの間からうしろはち巻、玉だすきというようなことで、まるで親のかたきを探し回るような格好で、この国会の中にも、あるいは
政府の方にもどんどん
国民がやってくる。こういうことはもう社会党の諸君が教えたことなんだろうが、(笑声)それで国会の周囲を取り巻くというようなことをやっておるのであります。あれはおもろいというので、
国民全体があんなことをもしやらかしたら何でもいけるのだということ、うしろはち巻玉だすきで、陳情隊がわれわれを威嚇するような格好で大挙して圧力を加えるというような手段、方法、こいつはもう愚にもつかぬと私は率直に思っているけれ
ども、しかし、間違った、あるいはそういう精神の方向がもし無理であるというのなら、これはよほど
考えなければならぬ、かように思うのであります。私は、
与党でありまして、こういうことを言うのはまことに済まないと思いますけれ
ども、(笑声)しかしながら、こういうふうに表に出てきている以上は、私は黙っているわけにはいかない。従って、もし大臣の気持がどういう方向であるかということのいかんによっては、私は私なりの覚悟がある。(笑声)この点につきましては、ときによってはあるいは利敵行為としかられ、あるいは除名も覚悟しなければなりません。私はこんなむちゃな新税ということについてはよほど慎重にやって、前から
税制調査会、研究会等において、あるいは
政府の諮問、機関において十分検討して、そうして世論もそれに向いてきた、そういうときに初めて税をかけるべきだと思うのであります。諸君あるいは他の人が新税と言っている中に、私はまだそうでないものがあると思う。トランジスターのごときは、私は新税とは言わない。同じラジオに
税金がかかっておる。大きいか小さいかにすぎない。小さい精巧なラジオに
税金をかけるというのならば、税の公平という面から、これは私は何も新税とは言わない。衣料品には
税金がかかっておらない。かかっておらないものに今度初めて
税金をかける。これは神武以来なかったものに初めてかかる。税というものは
国民の協力を得なかったらいかぬ。しかもその税は喜んで納めてもらうような
体系にならなければならない。まるで、
政府を相手に、あるいは国会を相手に、親のかたきというような
考え方を
国民に持たして、それで日本の政治がほんどうに平和に、うまいこといきますか。こういう点から
考えてみまして、こういうものは一応相談的に要綱案として出したらどうかというて出しておるんだ。もしまずかったら、時によっては修正もすれば、あるいはまた相談という手も
考えるということなら、私は幾らでも相談に乗ります。四億や五億の財源が、これがないとどうしても困るからやらなければならぬというのなら、大きな
減税の旗じるしを下げなければいかぬ。私がやっておった大阪府の財政
予算年額、特別会計を合せて五百億円のうちでさえも、四億や五億だったら私がやりくり算段します。しかも一兆四千億という膨大な
予算を
佐藤大蔵大臣に
国民はまかせておる。その中から四億や五億のこの問題のために、この大きな
減税が無になってしまう。それは
減税してもらった人は黙っておる。ところが、
増税されたり、新税をかけられた人はぼろくそに言うて日本国じゅう騒ぎよる。これが悪いのです。これでは、わが党が苦労して社会党が協力してくれても何にもならぬ。すべてのやりそこないはアリの一穴からということがありますが、ことしあたり、
減税どころか、こういうところで新税をとる。
増税ならまだいいが、これは新税です。だから、
大蔵大臣は、これを新税と認めない、でこぼこ調整のためにやる、こういうことを
説明要綱には書いておる。しかしこれは私に言わしたら絶対に新税です。新税というものは、大小のいかん、金額のいかんにかかわらず、よく
国民に納得をせしめて、あらゆる機関を通じてやってもらわなければいかぬ。わが党において、これを総務会に諮り、代議士会に諮り、党大会にこういう新税をとるということを諮りましたか。私はそういうことを一向聞いておらない。どうなっておるか。その責任はわれわれ
与党の者が持たなければならぬ。それだから、大蔵官僚が筆の先で
——官僚と言うて工合が悪かったら
——やってきたことが現実になって現われるというようなことになると、その責任はわれわれ全体がとらなければならぬ。社会党もその責任はのがれるわけにいかぬのです。これは議員全体の責任なんです。そう
考えてみると、こういう法案は容易に通るものじゃない。そうすると、大臣は、ここは一ぺん
考え直してみる必要があると思うが、あなたの心境、心がまえを一応聞いておきたい。