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1959-02-17 第31回国会 衆議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十七日(火曜日)     午前十一時十八分開議  出席委員   委員長 早川  崇君    理事 足立 篤郎君 理事 押谷 富三君    理事 小山 長規君 理事 坊  秀男君    理事 山下 春江君 理事 石野 久男君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君       荒木萬壽夫君    内田 常雄君       奧村又十郎君    加藤 高藏君       鴨田 宗一君    進藤 一馬君       夏堀源三郎君    濱田 幸雄君       福田  一君    福永 一臣君       古川 丈吉君    毛利 松平君       山村庄之助君    山本 勝市君       久保田鶴松君    田万 廣文君       廣瀬 勝邦君    松尾トシ子君       横山 利秋君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  石原 周夫君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (理財局長)  正示啓次郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  石田  正君         大蔵事務官         (為替局長)  酒井 俊彦君  委員外出席者         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 二月十四日  委員加藤高藏辞任につき、その補欠として古  井喜實君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員南條徳男辞任につき、その補欠として福  井順一君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員古井喜實辞任につき、その補欠として加  藤高藏君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十三日  昭和三十三年分の所得税確定申告書提出期  限等特例に関する法律案内閣提出第八八  号)(参議院送付) 同月十四日  国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第一五一号)  国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正  する法律案内閣提出第一五二号) 同月十六日  高級織物物品税新設反対に関する請願(櫻内  義雄君紹介)(第一四一〇号)  同(田中龍夫紹介)(第一四一一号)  同(相川勝六紹介)(第一四二九号)  同(小坂善太郎紹介)(第一四三〇号)  同(小山長規紹介)(第一四三一号)  同(前田正男紹介)(第一四三二号)  同(足鹿覺紹介)(第一四七三号)  同外一件(愛知揆一君紹介)(第一四七四号)  同外一件(芦田均紹介)(第一四七五号)  同(石村英雄紹介)(第一四七六号)  同(江崎真澄紹介)(第一四七七号)  同(大野市郎紹介)(第一四七八号)  同外二件(川野芳滿紹介)(第一四七九号)  同外一件(小島徹三紹介)(第一四八〇号)  同外一件(高橋禎一紹介)(第一四八一号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第一四八二号)  同(服部安司紹介)(第一四八三号)  同(松田竹千代紹介)(第一四八四号)  同(吉川兼光紹介)(第一四八五号)  同(猪俣浩三紹介)(第一五二七号)  同(今澄勇紹介)(第一五二八号)  同(内海清紹介)(第一五二九号)  同外二件(片島港君紹介)(第一五三〇号)  同外一件(菊地養輔君紹介)(第一五三一  号)  同(佐々木更三君紹介)(第一五三二号)  同(田中武夫紹介)(第一五三三号)  同外一件(谷川和穗紹介)(第一五三四号)  同(松平忠久紹介)(第一五三五号)  同(淺香忠雄紹介)(第一五六八号)  同(石坂繁紹介)(第一五六九号)  同(石田博英紹介)(第一五七〇号)  同(内田常雄紹介)(第一五七一号)  同外二件(小川半次紹介)(第一五七二号)  同(奧村又十郎紹介)(第一五七三号)  同(押谷富三紹介)(第一五七四号)  同(鍛冶良作紹介)(第一五七五号)  同外一件(金丸信紹介)(第一五七六号)  同外一件(川崎末五郎君紹介)(第一五七七  号)  同(菅野和太郎紹介)(第一五七八号)  同(木村武雄紹介)(第一五七九号)  同(木村俊夫紹介)(第一五八〇号)  同外三件(菊池義郎紹介)(第一五八一  号)  同(黒金泰美紹介)(第一五八二号)  同(小泉純也君紹介)(第一五八三号)  同(小平久雄紹介)(第一五八四号)  同(小西寅松紹介)(第一五八五号)  同(坂田英一紹介)(第一五八六号)  同(正力松太郎紹介)(第一五八七号)  同(田中伊三次君紹介)(第一五八八号)  同(田中榮一紹介)(第一五八九号)  同(高見三郎紹介)(第一五九〇号)  同(武知勇記紹介)(第一五九一号)  同(田邉國男紹介)(第一五九二号)  同(塚田十一郎紹介)(第一五九三号)  同(辻寛一紹介)(第一五九四号)  同(内藤隆紹介)(第一五九五号)  同(中村幸八君紹介)(第一五九六号)  同外一件(中村三之丞紹介)(第一五九七  号)  同(中山マサ紹介)(第一五九八号)  同(長谷川峻紹介)(第一五九九号)  同(濱田幸雄紹介)(第一六〇〇号)  同(藤枝泉介紹介)(第一六〇一号)  同(古川丈吉紹介)(第一六〇二号)  同(堀内一雄紹介)(第一六〇三号)  同(増田甲子七君紹介)(第一六〇四号)  同(松田竹千代紹介)(第一六〇五号)  同(八木一郎紹介)(第一六〇六号)  同(山口六郎次紹介)(第一六〇七号)  同(山田彌一紹介)(第一六〇八号)  同(山村庄之助君紹介)(第一六〇九号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第一六一〇号)  戦傷病者所得税減免に関する請願高瀬傳君  紹介)(第一四三三号)  同(永山忠則紹介)(第一四三四号)  畑作改善及び麦作対策としてビール税率引下げ  に関する請願松田鐵藏紹介)(第一四八六  号)  同(中村寅太紹介)(第一四八七号)  同(保利茂紹介)(第一五三八号)  多賀城町国有地の所管がえ等に関する請願(菊  地養輔君紹介)(第一五三六号)  同(日野吉夫紹介)(第一五三七号)  猟銃に対する物品税小売店頭課税移行反対に  関する請願佐藤虎次郎紹介)(第一五六七  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十三年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律案内閣提出第四五号)  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第六  九号)  昭和三十三年分の所得税確定申告書提出期  限等特例に関する法律案内閣提出第八八  号)(参議院送付)  税制に関する件  金融に関する件  外国為替に関する件      ————◇—————
  2. 早川崇

    早川委員長 これより会議を開きます。  税制に関する件、金融に関する件及び外国為替に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。平岡忠次郎君。
  3. 平岡忠次郎

    平岡委員 大蔵大臣に質問いたします。まず、私は、最初税金の問題につきまして政府所信をただしたいと思っております。三十四年度予算案における税金は、総括的に見て増税であるのか、減税であるのか、それをお答え願います。
  4. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 公約減税を織り込んでございます。
  5. 平岡忠次郎

    平岡委員 私が質問しているのは、総括的に見て、三十四年度予算案における税金が、果して増税であるのか、減税であるのか。あなたの方の与党減税公約されて、その線に沿うてやったということをいわれているのですけれども、私は、きわめて皮肉かもしれぬけれども、この予算案について言う限りにおいて、税金増税であるか、減税であるか、これを率直にお答え願いたい。
  6. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 減税でございます。
  7. 平岡忠次郎

    平岡委員 では、お尋ねいたしますが、政府の出されました資料、具体的には大蔵省主税局資料の「昭和三十四年度租税及び印紙収入予算説明」の四十五ページを見ますと、結局、国税地方税とを合せた国民税負担の総額と国民所得との比率におきまして、三十四年度は二〇・三%、昨年と申しましょうか、三十三年度は二〇・二%でございまするから、総体的に明らかに税金は重くなっているわけなんです。その点はどのように御説明下さいますか。
  8. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 ただいまの四十五ページの負担率でごらんになりますと、なるほど三十四年度国税のみで一四・一%、三十四年は一四・二%、こうなっていますから、実はふえているじゃないか、これは負担増じゃないか、こういうような御説明かと思います。同時に、お手元に配付いたしました同じ資料の三ページをごらん願いたいと思います。その一番下の総計欄のところをごらん願いたいと思います。その上は税制改正による増減収額、それが一つ所得税等一般的減税が(D)、その他の改正、これはふえるものでしょう。それから差引計としてそこへ出ておりますように、実は金額的にはっきり出ております。その金額的に減が出ておるにかかわらず、負担率が 〇・一%ふえておるじゃないかという点でございます。これは技術的な問題で、なお主税局長から説明さした方がいいと思いますが、所得税などになりますと、累進課税税率が高くなって参ります。そういう意味のものがこの表には出てくる、こう御理解をいただけばおわかりがいただけるのじゃないかと思います。その三ページの方に減額になっておる、この事実でその点を御了承いただきたい。
  9. 原純夫

    原政府委員 若干技術的な点でございますので、ちょっと補足さしていただきますが、これは、平岡委員も御案内の通り国民所得がふえて参りますと、所得課税のもの、特に所得税におきましては、累進税率関係で、国民所得伸びるよりも、所得課税税金ふえ方は多いわけであります。国民所得伸びの二・五倍あるいは三倍というように、相当大きくふえて参ります。これは、だれしも、自分が現在五十万の所得がある、百万の所得になったら、五十万なら五%しか負担しないが、百万になれば、それの倍じゃなくて、四倍も五倍も出してよろしいと思うのでおわかりのように、それは負担の増というのじゃなくて、所得が多くなることによって当然多くなるのだから、それは増税だとは思わないわけです。従って、三十四年度所得がふえる、そのために、一応負担は、率では大きくなるわけです。これは私ども増税だとは思っておりません。その大きくなったところから減税をして下げる、下げた結果がもとの率には戻らないでも、必ずしも増税だというには当らない、やはり減税減税であるというふうに考えるわけです。もちろん、国民所得伸びが、単にインフレ的な理由で実質所得伸びでないのに伸びる場合には、お話のような議論がいわれますが、最近のように通貨価値がずっと安定しているというベースにおいては、ただいま申しましたような事情になるのではないか。もちろん、それでも最後の数字をなるべくふやさぬようにというような考え方はあろうと思いますが、これは決してそういう意味増税ではない。かつ、今回のは、一般的な減税とそれから特殊の特別措置を整理したための増税、それからガソリン税というような、特殊な目的のための増徴というようなものとが差し引きになっておりますから、一般的なふところに響く税負担感というものは、これよりももっと大きく減るというようなわけでおります。
  10. 平岡忠次郎

    平岡委員 総体的に二〇・二%が二〇・三%になっても、たった〇・一%である、従って、その総体的な数字それ自体からいっても、わずか〇・一%ということが一応あなたの方のお気持の上にあろうかと思う。そのくらいのことは、今言うた所得税累進度とか、そういう所得がふえていく場合における累進率が強いから、当然そういう結果が現われるのだということであろうと思うのです。この点はきわめてこまかいことで、あなたの方としてもその程度で何とか納得してくれということであろうと思うけれども、当初予算のときにはこれは一九・九%だった。ですから、〇・四%総体的にも税金が重くなっているのですから、今言うた二〇・二と二〇・三のわずかのところだというのも見のがし得ないと思う。私は、あなた方は率直に、今回は総括的には増税であると言ってもらった方がいいと思います。もう一回お答えを願います。
  11. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 ただいま平岡さんが御指摘になったところで非常に明白になるのです。今御指摘になった点と、先ほどの主税局長説明とを結び合せてお考えをいただきたい。当初予算の際は経済成長率見方が低かった。それを途中で直しまして、経済成長率をいろいろの材料から見きわめた結果、名目的に六・一%の経済成長率と見たわけです。最初はたしか経済成長率を五%と見たのじゃなかったかと思います。その経済成長率がわずか一・一%の伸びでありますが、それが、税の面になると、所得税等累進課税計算の面から大きく響いて参りまして、それが実は四%とかいうような数字となって出てくるのでございます。だから、当初予算見方は、どこまでも経済成長率は一応低いところで予想を立てておった、けれども経済成長率が、その後各方面資料を総計してみますと、当初見たよりも大きい、六・一%だというので、これを基準にして税の計算をしたということでございます。だから、ちょうど御指摘になった点と主税局長説明とあわせてごらんになると、一応御了承がいただけるのじゃないかと思います。
  12. 平岡忠次郎

    平岡委員 それでは、政府減税をされたということを一応了承した上で、政府は今回の減税重点をどこに置きましたか。何を減税し、何を増徴すべきかの選択の基準をどこに置かれたか。しかして、この増と減とを差し引きまして結局減税ということになるであろうと思いますが、減税重点をどこに置いたか。その指導的な理念と申しましょうか、それはどういうことであるか、一つ説明をお願いします。
  13. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 これは公約事項をまず第一に取り上げた。公約事項では、国、地方を通じて国民負担軽減をするということをお約束し、特に中小企業等負担軽減あるいは勤労所得者負担軽減、こういうことを考えて、平年度大体七百億円の減税ということを申し上げて参ったのでございます。前回の委員会でも御説明をいたしたと思いますが、やや事志と変りましたことは、地方税減税が当初計画通りなかなか参りません。結局、これは地方財源の補てんというような問題もありますし、地方財政の見地から、あるいはまた地方税としてなじんでおる税であるというような点で、なかなか思うような改正ができなかったのでございます。そこで、一部地方税減税で計画したものが予定通りの額に達しない。そういう意味では国税に幾分か振りかえたものがございます。ございますが、その点では、大まかに申しまして、大体予定通り減税公約を実施することができた、こういうように考えておるのでございます。この負担軽減をはかるということが第一点であります。  第二は、この改正に際しまして税の体系一つ整備しよう。特にこの意味では間接税が問題でございますので、間接税についての諸般改正を加えたのでございます。そこで、この間接税について諸般改正を加えて参りました際に問題になりますのが、いわゆる物品入場税等軽減もありましたが、同時に、いろいろ御批判をいただいておりますように、一部新しく課税をしたものがございます。これは、各物品間の公平という観点に立って、物品税体系を整えたということでございます。  第三の点は、租税特別措置改正でございます。これは十分ではございませんが、今回そのおもなものについて所要改正手続をとった。しかし、これは、主として時限立法として租税特別措置をとりましたものを、今回期限がきた、その際に期限の延長をしないとか、あるいはまた期限が到来したものについて所要改正を加える、こういうことをいたしたのであります。  それから、その次の問題は、政策上の要請から税に工夫をこらした。一つは、砂糖消費税砂糖の関税、いわゆるテンサイ糖関係でそういうものを工夫いたしましたが、同時に、これから御審議をいただくことになっておると思いますが、道路整備所要財源としての揮発油税の増収をはかることにした。  大体この四点、そこへ持ってきて、さらに、本日閣議決定をいたしましたが、国税徴収法も全面的に改正するということでございます。  重ねて申し上げますれば、与党公約事項を取り上げ、その機会税体系整備し、また間接税等について均衡を保つように、あるいはまた、ただいま申すように、税制の面で特別措置幾つもあったが、それについての所要改正を加える、さらにまたこういう機会政策の面から必要な税の整備をする、こういうことでございます。
  14. 平岡忠次郎

    平岡委員 結局、大蔵大臣お答えになったことは、公約をまず忠実に守ろうということが一つ。しかし結果においては必ずしも公約通りにいかなかったことは、たとえば国税偏重——偏重というのではないが、結果としてそうなった。それから、七百億というのはばく然と打ち出したけれども、せんじ詰めてみたら、これは平年度計算であって、初年度においては五百三十三億だから、この点は公約とは矛盾せぬ、こういうふうな御説明がありました、この点は議論ですから、水かけ論になるからやめておきます。しかし、そうであるならば、結果として、私どもは、政府減税をあとづけてみますと、何か減税させていくのに、どれをまずやるべきかということが必ずしも明らかになっていないのです。この結果の数字から見る限りにおいては、所得税減税というものを非常に大きくやっております。こういうことは目につくのでありますが、いわゆる公約減税というものがあまり公約通りになっていないということなら、次には減税それ自体一つ指導方針があったのではないかということをお聞きしたのですけれども、これも、税体系の整理ですか、税体系を改めていく、こういうこととか、あるいは政策的なものを加味したとか、そういうことで、原理的なことにつきましてのお答えが今なかった。私が聞かんとすることは、たとえば、生活費には税金としては課税すべきでないという原則が今度の減税においてどういうふうに前進されたかというようなこと、あるいは、租税公平の原則というものは、やはり政府の今回の減税施策において取り入れられておるかどうか、意識的に、意欲的に盛られておるかどうか、こういうこと等につきましての御所信をお伺いしたかったのであります。この点につきましてもう一回御答弁願います。
  15. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 もちろん、税の改正をいたします際に、生活費等について特に意を用いなければならないことは御指摘通りであります。今回の所得税控除におきまして、扶養控除の金額を引き上げたというのも、そういう税体系理念に基いておるものであること、これは、御指摘になるまでもなく、御了承がいただけるだろうと思います。あるいはこれで不十分だとおっしゃるかもわかりませんが、もちろん税を見ます場合にはそういう考え方もとに立てておるのでございます。また、負担の公平と申しますか、こういう点からいろいろ批判のありますものは、租税特別措置であろうと思います。それは掘り下げてみるとまだ幾つ議論があると思いますが、非常に目につくものが税の特別措置だ、こういうふうに思います。そういういろいろのものをこの際思い切って整理する。負担の公平の点から見まして、物品税所要改正を加えた。税を課すというのも、ただいま言われるような点にあるのでございます。  ただ、私この機会に御了承を得ておきたいと思いますことは、今回の税制改正は、金額的には相当多額のものでございましたが、非常に早々の間にこのものを取り上げ、これを実施に移すために、今お尋ねになりますような基本的な問題から見ると、あれもしたい、これもしたいというものが実は相当あるのでございます。今後この改正もいたしますが、同時に、政府といたしましては、法律に基き税制調査会を設置して、一つ本格的な税制あり方についての研究をしよう、こういう考えでございます。ことに、そういう際に取り上げなければならないものは、企業課税あり方であるとか、あるいは間接税あり方であるとか、あるいはまた今回経験をなめて参りました国と地方との財源分配の問題だとか、こういうような大きな三つの柱について、もう少し時間をかけ、同時に各界の権威者の御意見によるりっぱな審議会を設けて、その結果によっていろいろ直していかなければならない、本格的な改正に取りかかるべきだ、かような考え方をしておることをつけ加えさしていただきたいと思います。
  16. 平岡忠次郎

    平岡委員 政府減税数字から見まして、給与所得所得税関係は相当大幅に減税になっております。それで、どちらかというと、政府としましてのPRチャンピオンみたいに取り立てられておると思うのですが、しかくこの減税が大きなものであるとお考えかどうか、十分な減税であるとお考えかどうかをお伺いします。
  17. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 所得税軽減について、ことに勤労所得税軽減につきましては、当初予定した以上の減税を実施することができまして、私は、この点では各方面の非常な支持を得ておることだ、かように考えております。ただ、問題は、給与基礎控除あるいはその扶養控除、こういうような問題があるわけでございますが、やはり、勤労所得者から見ると、給与自身基礎控除というものに非常な魅力を感じられることだと思います。過去におきましてその種の改正を二回かやりましたために、最近は、先ほど御指摘になりましたように、生活費的な見方というものを相当考慮に入れなければいかぬじゃないか。扶養控除という方が、やや給与所得減税の場合に十分見ておられない形があるように見受けましたので、実は今回は扶養控除を中心にして減税をいたし、これで、勤労所得者に対しましては、低い程度ながらも均衡のとれた所得減税を実施することになった、かように考えております。
  18. 平岡忠次郎

    平岡委員 勤労者税金が重いか高いか、こういうことを論ずるときに、一番手近なものは昨年と比較することです。課税されない標準家族所得限度が二十七万円から三十三万四千円になりましたが、その限りにおいては確かに減税は前進されました。しかし、家計費計算からいって、この程度でいいかどうかということになりますと、問題があると思うのです。昨年の総理府統計局数字ですが、この統計局数字標準世帯というものは、全国平均で四・四六人をもってした数字がございますが、いろいろな計算のいきさつは省きまして、結論的に、昨年三十三年七月中一カ月の、いわゆる税法でいうところの五人の標準家族におきまする家計費支出は、三十六万三千六百円になるのです。そのことからいきますと、まだ生活費税金が食い込んでおるということが指摘できるわけなんです。そこで、政府としての減税PRチャンピオンをもってしても、実態からいいますると、まだ減税は十分でないという結論が出るわけなんですが、この点につきまして大蔵大臣お答えをいただきたいと思います。  それから、なおその前に、国民税金が感覚的に重い重いといわれているわけなんですが、この感覚的に重いといわれているのが錯覚であるのかどうか。こういう点で少しく数字的なせんさくを試みましたところ、昭和十年の国民一人当りの税金、これは国税地方税を合せたものですが、二十七円でございました。この二十七円を貨幣価値の変動を顧慮しまして是正いたし、かりに三百六十倍いたしますと九千七百二十円でございます。ところで、昭和三十四年度税金中央地方を通じましての租税の純計を、人口九千三百万といたしまして——九千三百万は仮の数字です。昨年が九千百九十万でございますから、かりに九千三百万ということは当らずといえども遠からざる数字であろうと思いまするが、これで除しますると、一万九千五百六十円という数字が出るのです。二倍強であります。ですから、国民税金が高い高いといわれるのはゆえなきにあらず、感覚的なことばかりではなしに、昭和十年のいわゆる日本の非常に平静な時期に比べまして、ちょうど完全に二倍になっているわけですね。これは国民一人当りおしなべて平均しての税額の比較でありまするが、このところに持ってきまして、まだ国民大衆には相対的な税の重課のしわ寄せがあるわけであります。たとえて言いまするならば、勤労所得におきまする先ほどの免税点が、標準家族で三十三万四千円でございまするが、これが配当所得だけで生活している五人家族の場合には百五十三万五千円まで非課税なんですから、そうしますと、今言った平均的に見た国民の税額も、戦前に比較してちょうど倍になっているところへ持ってきて、相対的な大衆課税のしわ寄せがあるわけですから、この二倍という比率はもう少し大きくなるはずです。ですから、こういう大きな現在の税の重課を背景とするならば、今回サラリーマンの給与所得に対しましての減税が相当前進したということは一応認めますけれども、やはりあなた方におかれましてまだ錯覚に陥っている点が多分にあると思うのです。ですから、こういう問題につきまして、大蔵大臣は将来税制審議会等を法的に発足させて検討するということを申されておりまするが、この問題につきましてどういうようにお考えになっているか、お答えをお願いします。
  19. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 いろいろ基本的なものの考え方のお話でございますが、御承知のように、一般的に申しまして、私ども国会の仕事で一番大きいものは何かといえば、おそらく仕事をすることも大きなことだと思いますが、国民負担軽減させ、そうして国民生活向上の方向へ持っていくというか、むだ使いしないということ、それが一番大きな仕事だろうと思います。国会の始まった由来から見ましても、そういう意味で私どもいろいろ考えているわけでございます。そこで、いろいろ国としてはしたい仕事もあるし、その仕事は全部国民負担の面で、租税でそれをまかなっているわけであります。しかして、仕事をするという方向と税を軽減するというものは、両方が衝突する事項でございますから、政治のあり方として、そこで適正な税負担というものを考える。また、仕事の量にいたしましても、したい仕事はもう山ほどあるけれども国民負担はあまり課さないような方法で順次それをやっていく。これは御指摘通りの政治の基礎だと思います。  そこで、勤労所得の問題でございますが、勤労所得の問題については、私ども実は少し自慢めいたことを言って社会党さんに怒られるわけでございますが、当初計画いたしましたのは、年収三十万までは無税にするというような表現をいたしたものであります。しかし、今回の税の扱い方を見ますと、結局、ただいま御指摘になりました夫婦二人、子供三人のいわゆる標準家庭におきましては、この公約したものよりだいぶ上回って参りまして、三十二、三万になる。この点はみずから少し顧みまして、いい結果になったと実は思っておるのであります。しかし、これをもって十分だと言えないことは、ただいま御指摘通りであります。ただ、平岡さんに申し上げたいのは、先ほどの三十六万何がしというものが、これは平均家計費にはなっておると思いますが、いわゆる最低生活費というものでは必ずしもないわけです。この点を御了承いただかないと、そこらに感じの相違があるわけであります。大体日本の国では国民生活が低いといわれる。これは一般に、賃金の面においても、もっと高賃金であるべきだという議論が出ている。今別の委員会でやっておる最低賃金にしても、私どものような考え方だと一つ割り切ったものを持っていますが、社会党さんの方から見れば、これは平均賃金制でなくてはいかぬとか、こういう議論にまでなっています。ただいま御指摘になった点が、おそらくそういうことをも裏づけるような御議論ではないかと実は拝聴いたしたのでありますが、私ども、もちろん、今の国民生活をこのままの水準でいいとか、あるいはまた現行の税のままでいいとか、こういうような考え方は毛頭持っておりません。やはり国民生活は日に月に向上させていくように、これはどうしても政治として持っていくべきであると思います。  そこで、問題は、負担というか、税というものがむだに使われないという意味のものの一つに、ことしは社会保障制度を全面的に基礎づけて推進していこうとしている。この社会保障制度を進めていきます場合に、やはりこの年金制度は、加入者の負担もありますが、国庫の負担も当然であります。一体国庫の負担というものはどこから出てくるのか。これはやはり税でまかなうよりほかに方法がない。ですから、一人で老後の安定を得るための貯金をするということになると大へんだが、国民全般の力によってやるとすれば、そういう救済方法が立つのだということから、社会保障制度が生まれるのだと思います。だから、そういうふうにお考えを願うと、税全体はできるだけ軽くはしたいと思いますが、りっぱな国、りっぱな社会を作るために必要な歳入は確保する。それは国民としてもやはり負担していただかなければならない。その場合に、どこまでも各人の間に均衡のとれたものであり、同時にまた富裕者はよりたくさん負担していくということで、全体をまかなっていくということであってほしいと思うのであります。  日本の経済なり歳入なりは、戦後ずいぶんみじめなものであり、またそれをまかなうためにずいぶん国民負担も大きかったと思います。しかし、これは、数回の改正によりまして、だんだん率は下って参っておる。お手元に配付した、先ほど御指摘になりました、あの四十五ページをごらんになりましても、戦後二十三年、二十四年をピークといたしまして、国税はずっと順次下り、三十年以後少しずつまた上向いてはおりますものの、総体としては見出雇えるように下ってきておる。戦後吉田内閣時分にいわれましたことは、とにかく税の負担は高い、これではいかぬからというので、あらゆる軽減の方法をとって参ったと思います。それが今ようやく国民所得に対しまして一四%程度でおさまっているところへきていると思います。ところが、これを他の国の例をとってみると、アメリカなどのような非常に富裕な国では一体どうなっているかというと、現行税法、地方税の計は二七・九%、これは非常に高いものを負担しております。あるいはイギリスにおいては三二・五、西独でも二二・四、こういうように実は国民所得に対する税負担率というものは他の国は相当高い。もちろんこの率だけでとやかくの批判はできないのでありまして、所得自身が小さい場合には、その率は小さくても、生活面から見たら非常に苦しいということも言えるのでございますから、率そのものからとやかく言うわけではございませんが、日本においての国民所得に対する税負担は、戦後それを境にしてあらゆる努力をして、今日までは下げる方向でやってきておる。そのために仕事の面でやや立ちおくれてきたものもあるかと思います。しかしながら、最近のように、国民生活もある程度安定し、向上し、また経済自身も安定してくる。こうなりますと、今まで取り残されておりました社会保障制度なりその他のものも、やはり順次国民負担によってまかなっていく、こういうことであるべきではないかと思います。しかし、これはどこまでも率そのものが問題ではないので、国民生活、国民所得から見て、それが苦しいか、重いかどうかという、それの見方の問題である、こういうふうに思っております。
  20. 平岡忠次郎

    平岡委員 財政需要が多くて、税金の絶対額はなかなか低くならぬということ、反対給付があればよろしいですけれども、この点は別に争います。ただし、財政需要のもとをなす税金それ自身が、今あなたがおっしゃった通り、公平な立場において徴収されなければならぬということは、こうした重課の背景があるだけに、ますます大切なことだと思うのです。  そこで、先ほどもちょっと申し上げたように、配当所得という資産所得に対して非常に優遇されて、五人家族で配当所得だけに生活を依存している人たちは百五十三万五千円が免税されて、百五十三万円までの所得には一文も税金がかからぬ。片や三十三万五千円で勤労所得者に対してはかかるということ、こういう点は現行税法のきわめて不公平な断面図であろうと思います。この点につきまして、租税の公平化は尊重さるべしだという大蔵大臣としては、どういう御所見をお持ちでございましょうか。
  21. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 配当所得課税の問題、これは今までも議論のあったところであります。おそらく今まで事務当局なり政府当局の説明しておりまするところは、法人所得といいますか、法人税でとっているというようなことで、個人の配当所得については、まあ法人の負担という意味において二重になるというような話をして参ったことと思います。しかしながら、私ども、その理論だけで、今の制度のままでいいとは実はなかなか納得のいきかねるものもあるだろうと思います。そこで、先ほど申しました、将来に譲ったようでまことに申しわけございませんが、配当所得だけの問題でなしに、法人所得なり法人税なりその他法人関係全部、いわゆる企業課税あり方というものをやはり検討すべきそういう段階において、御指摘のような点については考うべきではないか、かように実は思っておるのでございます。  この配当課税の問題に比較的似通ったようなもので、銀行等における長期預金の利子に対する課税の問題、これなどは、今回不十分ではございますが、一歩前進した処置を取ることにいたしまして、税法の基本にはなにしませんけれども、一割課税をすることにいたしました。これなども、今の税制調査会の場合には、企業課税あり方とあわせてやはり考うべきではないかと思っております。
  22. 平岡忠次郎

    平岡委員 要するに、問題を煮詰めますと、これは法人に対するもの、個人に対するもの、いずれにせよ租税特別措置法はやはり抜本塞源的にもう一回見直さなければならぬという必要が出てきておると思うのです。  ついでですから申しますと、先ほど申しました勤労所得と配当所得の矛盾ばかりでなしに、大きな法人と中小法人との間にえらい不均衡がございます。その点を参考までに数字をもちまして指摘したいと思うのです。三十二年度の各カルテルの実効税率、実際上の税率は次のように表われております。同じ法人でも、マイニング、鉱業におきまして一二・一%、十大紡績で二四・〇%、化学繊維のごときは三・四%、製紙が二二・九%、それから肥料工業におきまして二二・六%、鉄鋼三社を初めとする十ほどの鉄鋼カルテルにおける実効税率が二二・七%、それから、たとえば三菱電機とかこういうところは二六・五%、貿易商社におきまして二二・九%、電力のカルテルにおきまして二二・四%、それから市中銀行の実効税率二五・六%でありまして、三十二年度におけるところの法人税は三八%であります。一般の中小企業の場合、退職手当の引き当て等におきまして、中小企業としてもやはりフェーバーを受けるものもございますが、なべて効率として二八%の名実ともの税金を払っているときに、今申し上げました十の大きな独占カルテルの実効税率は以上のような数字が出ています。これは幾何平均すべきでありましょうが、単純に算術平均いたしましても三〇・六%であります。要するに、一般の中小法人が三八%払っておるときに、こうしたカルテルが、算術平均にいたしましても二〇・六%ということで、きわめて軽減税率が実際的に行われているということ、こういう点は徹底的に改めなきゃならぬことと思うのですが、大蔵大臣はどのようにお考えになり、どのように取り扱われるか、一つこの際御見解をお示し願いたいと思います。
  23. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 ただいま数字をおあげになりましたが、いろいろ問題がございます。特に、ただいま化学繊維など非常に安いものがある。これなどは明らかに租税特別措置の影響に違いない、こういうふうに思います。この租税特別措置の問題ですが、これはその都度皆様方の御審議を得て、御批判もいただいておることだと思いますが、これは一がいにけしからぬとは実は言えないものもありはしないか。それぞれの理由があって実は設けてきておる。それを大まかに申しますと、今までの租税特別措置で、まあいろいろな理由がございますが、こういうものもある。戦争で非常におくれた日本の産業が、近代化を取り入れるというか、技術の前進をはかる、そういうような場合に、特に税制的なめんどうも見ておるということもございましょうし、それからもう一つは、そういう場合に特別償却を認めるということもあります。それからもう一つは、輸出というか、貿易の関係で、いろいろ競争場裏においてひけをとらないようにという意味で、税制特別措置を各国ともとっておりますが、そういうようなものもある。その理由自身は特に不都合なものというものは私は実はないように思っております。おりますが、これがいつまでも長い期間そういうことがあってはいろいろ弊害も伴うものでございますから、やはり時期的にこれを整理していくとか、時期的にこれが適用を排除していくとか、よほど工夫していかなければならないのじゃないかと思っております。今回なども、この国会にそういう意味で二、三の点について御審議をいただいておりますが、非常に根本的な問題がございますから、先ほど申します企業課税あり方そのものから見まして、特にこういう点については研究を重ねていくべき問題じゃないか、かように私考えております。
  24. 平岡忠次郎

    平岡委員 私が、今国民のうちにかなり多くの部分を占めておるところのサラリーマン階層の税金が絶対的にまだ高いのだということを指摘した。それから、中小企業と大企業カルテルとの間に、同じ法人でありながら、これほど差別待遇があるということを指摘しました。そうすると、私は、次の段階に、農民の所得、農民の税金国民所得全般との関係について一応触れなければならぬと思っております。     〔委員長退席、足立委員長代理着席〕  そこで、総じて農民の課税国税においては低いのですね。そのために大体中小企業者とか勤労者の方が農民より高い課税を課せられておる。こういう、いわゆるディヴアイド・アンド・ルール的な言動がときたまあります。これは間違っておると思うのです。農民の場合には確かに所得税はきわめて少いです。今年度予算におきましても、農村から徴収すべき国税は微々たるものでありますが、この点は次のように言えると思うのです。国民所得は、今度の予算に表われてきました計算によりますと、八兆九千二百八十億円でございます。ところが農林水産の所得というものは一兆三千五十億円です。この比率を見ますと一四・六%です。つまり農林水産所得国民所得の総額において占める割合は一四・六%です。ところで、農民人口は総人口のうち約四五%を占めております。そうすると、人口構成において農民人口は四五%であるにかかわらず、その所得においてはたった総所得に対して一四・六%だけしかないということです。そうなると、これは租税論議の前の問題になるわけです。だから、税金が安いのは当りまえ過ぎるほど当りまえのことなんですから、これは租税論議の前の問題であるということなんです。ですから、農村からの税金が少いということに対しましては、もっと根本的な問題があるということ、また、このことこそが、政府が今もって米の二重価格政策をとっていることの基本にもなっていると思うのです。国税としてあらゆる階層から租税をプールしておく。そのプールから低い農業所得に対して補いをする意味において——需給を勝手にしておけば米というものは相当下るかもしれぬのに、政府政策価格というものを示して、それを買い上げて、そうして消費者に対してはそれよりも安い価格で売る、その差額を国税全般のプールから持ち出していくということ、このことは合理的なんです。ですから、現在の二重米価制度それ自身は、こうした農民所得の劣悪性というものを顧慮されて、このことが経済的には根本的なものとなっていると思うのです。ここで私の申し上げたいのは、先ほどたまたま大蔵大臣が、社会党案と政府案の例の最低賃金の問題におきまして、これは社会党さんと政府あるいは与党との間のニュアンスの違いなんだ、これは判断の違いなんだということを仰せられましたけれども、ちっぽけな点でのニュアンスの違いはあってもいいのです。しかし、最低賃金制が確かに必要だというゆえんのものは、今回の税法におきましても、たとえば、勤労所得において、二十七万円以上の人は三十三万六千円まで非課税になるというので、そこでフェーバーが与えられた。ところが、もともと二十七万円以下の方々というものは、今回の減税によって何ら恩典がないのです。減税のらち外にあるわけですから、減税の恩典がありません。それにもかかわらず、その見返り的な運賃の引き上げという被害の方だけはこうむっているわけです。租税の論議がここで展開さるべきでしょうが、それを囲繞する問題としまして、租税の外の問題ではありまするが、この最低賃金的なてこ入れが国家の税金のプールの中からさるべしという議論は十分成り立つと思うのです。米価の二重価格制の根拠と同様に、国民所得において水準に達せざる方々が約一千万人もあるということになりますと、これは単なる社会政策の対象にすべきであるというように、限定的にものを考えることはできません。一千万という低所得層というものは、これは国民のうちのきわめて例外的な脱落者だという取扱いであってはならぬはずだ。そこで、今言うた賃金ベースの底上げということが当然考えられなければならぬと思います。私は、この賃金論をここで展開しようとは思いませんでしたが、先ほど佐藤大蔵大臣がそのことに触れられましたので、社会党の八千円ベース、ときに六千円べースというような最低賃金の要求というものは、これは確かに妥当な一つの要求であるということを申し上げておきたいと思うのです。いずれにいたしましても、農村におけるところの課税問題、それから中小企業の課税問題、サラリーマンの課税問題、かたや大企業の租税特別措置法の不当な減免、それから高額所得者、特に資産所得者の優遇、こういう問題は完全に対立しておるものでありまするが、道を譲るべきは、やはり高所得層、資産所得層、それから法人のカルテル、こういうものであろうと思いますので、抜本塞源的に大なたをふるって、審議会を通じてりっぱな税制を作っていただきたいと思うのです。今のままですと、政府には租税政策がなくて、政策租税になっている。やはり一連の利害層と結びつく政策租税になって、国民のための租税政策はないということを私どもは憂えるのであります。大蔵大臣の処女性に期待しまして、今までのような変な惰性でなしに、エポツクメーキングのりっぱな租税政策がこれから発足するように、私は心から祈念するものであります。これは少し意見が入り過ぎましたが、なお、御所見がありましたら承わりたいと思います。
  25. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 平岡さんの御高見を拝聴したのでございますが、私、結論についての批判をいたしませんが、農村についての見方が少し私どもと違っておる、重大な事実を見落していらっしゃるではないかと思う点が実はありますので、これもいろいろ議論が出てくることだと思いますが、その点だけ少し話をしてみたいと思います。  今の農家人口構成四五%といわれておりますものが純農漁業、林業、こういうものにだけ専念していると見る見方は、これは実際には合っていないじゃないか。日本の農業の発達から見まして、非常に兼営の分野が広いのであります。そういう点、また新しい家族制度にまで発展しておらない面もある。こういう点をやはり考慮にお入れいただかないと、今の所得税負担、人口構成だけでは一がいに言えないではないかと思います。この点が私どもと見方の相違である。しかしながら、農業あるいは漁業、林業に関係しておられる方は、いわゆる近代産業から見ると非常に立ちおくれておる。これだけは見のがせない事実でございます。だから、そういう意味においての保護政策というものが他の面で実は出てくる。たとえば、米麦を初めといたしまして、主要農産物等について価格支持の方法をとっていること、これは農漁林に対する大きな特例じゃないか、かように思います。漁民の方はそういうものは比較的ないと思いますが、農村ではそういうものが非常に強く響いてきておるのだ、かように私ども考えております。この点、農業、林業に対しまして、国の特別な助成方策、これはどうしても必要ではないかと思います。ただ、米の二重価格制というものについて、お説のような考え方には全面的には賛成しかねる。だから、今後の米価のあり方についてはもう少し考えて参りたいと思いますが、米価のきめ方は、最近、平岡さんのような言い分から、所得補償の建前で決定すべきだ、パリティ計算の方法は合わないとか、こういうお話が一部に出ております。     〔足立委員長代理退席、山下(春)委員長代理着席〕 出ておることは私どもも認めますし、在来のようなパリティ方式だけでいくことの適否なり、あるいはただいま言われておる全体を見ての所得の最低線を設けろというような考えから見ますと、農村に対しても所得補償方式を考えろという議論になってくるだろうと思いますが、私どもはそこまでは実は賛成しかねる。今の農村の生活態様というか、産業態様自身非常に割り切った単純なものとしてお考えになることは、これは少し無理じゃないか、こういうように考えますので、農村あるいは農民生活の向上について、今やっておる程度の価格支持方策で十分だと申すのではございませんが、先ほど言われるような方法で片づけることには、私は必ずしも賛成しかねるということだけ、一応申し上げにおきたいと思います。
  26. 平岡忠次郎

    平岡委員 議論するつもりはありませんが、農家の経営それ自体から劣弱な立場になったのはやむを得ぬという、レッセフェールの考え方があろうと思うのですけれども、私は必ずしもそうは考えておりません。日本がインフレーションを起さずに、かなりまでの毎年度の財政拡充というものができたのは、やはり天候に恵まれたか、あるいは化学肥料のためかしれませんが、農家の営々たる働きの結果、農産物、米麦の増産が非常に見られまして、そのために食糧の自給度が増しまして、食糧を買うお金も鉱工業原料の方に回すことによって、その点がうまくいったということは否定できないと思うのです。年に三億から五億ドルぐらい——全輸入数量の二割ぐらいを農家の成果に依存できたために、それなかりせば、鉱工業生産のための原料というものは、たとえば年間五億ドルなら五億ドル入ってくるものが、こないわけです。その五億ドルというものは、単なる鉱工業のための原料である限りにおいては、約二十倍の生産を興すわけであります。ですから、五億ドルの外貨が日本の農業の自給度の上昇によって得られたとするならば、工業における日本の繁栄というものは五億ドルの約六倍、三十億ドルが鉱工業の、第一次工業、第二次工業、第三次工業合せまして、その生産が興るわけですから、そういう意味においては、農家は積極的に国民経済に寄与しておるわけです。ですから、そういうことを考え合せましても、この人口構成から見て、所得構成上非常に隔たりのある低所得というものに対しましては、やはり国家の当然の義務として、あなたのいわゆる保護政策が加えられてしかるべきだと思います。これは保護ではない。当然の農民が権利として要求できるものであるとすら私は考えております。そういうことがまず私としましてあなたのお答えに対して申し上げなければならぬことであろうと思っております。     〔山下(春)委員長代理退席、委員長着席〕  それから、中小企業にもそれ相応に国家の施策を施すべきだ、そういう中小企業対策も政府としては考えたということを仰せられましたが、私をして言わしめれば、中小企業政策はかえってやってほしくないのです。これはどういう意味かと申しますと、きわめて逆説的なことなんですけれども、私ども、大蔵委員会で、一年半ばかり前にヨーロッパ諸国を回りまして、中小企業対策の問題を各国はどう取り扱っておるか、このことを資料テーマの一つしまして、ずっとやってきました。ところが、小国としてのデンマーク、それから大国としてのイギリス、そういうところへ行きましても、税法の点においても、あるいは金融の点におきましても、中小企業政策というものは特にやっておらぬということなのです。要するに、中小企業政策というものは問題意識のうちに入っていないということが、調査の結果わかりました。これは非常に大切なことです。わが国におきましては、大企業集中政策として、恩恵的な施策というものが至れり尽せりになっている。そのしわ寄せが、中小企業関係とかいうものを非常に劣弱な立場に追いやっている。頭をぶんなぐっておいて、そしてあとでその頭をなでてやっているようなことが、現在政府のとっている中小企業政策だと思う。ですから、私は、中小企業にあえて政策をとらぬでもいいような、きわめて根本的な、公平な一つの施策というものが、わが国においては要求せられておるのじゃないか、こういうように考えます。だから、いわゆる頭をなでるような話において、中小企業のためにはこうやってやったんだというようなことを言う前に、中小企業政策はとらぬでもいいような政治の方向に持っていかなければ、日本の繁栄はあり得ない。こういう点を特に申し上げたいと思うのです。
  27. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、私どもの方の中小企業対策も、平岡さんの言われる通りのことを考えておるのでございます。効果を十分あげますれば、もうこれからは中小企業対策など言う必要はない。産業政策だとか、中小企業対策だとか、大企業対策だとか、そんなものはないのだ、こういうような事態が望ましいと思います。これは御指摘通りでございます。ただ、問題はどうあろうと、現状において中小企業が、非常に、先ほど御指摘になった農民同様に、苦しい立場に置かれているこの現状だけは、どうしてもこれから抜け出ていくように、政府自身が力をかさなければならぬことは、これは申すまでもないところであります。そういう意味で、現状における産業構造から見まして非常に弱いと見られる中小企業に対する力は、どうしても入れていかなければならぬのであります。中小企業については、それはいろいろの点が考えられると思いますが、やはり一面は金融の問題であり、一面は税の問題だろうと思います。さらにまた、産業全体の構造の面で、大企業と中小企業との連携、関連を十分考えていく必要もあるだろうと思うのであります。外国の例をとってみましても、イギリスなど産業革命を受けた当時のことを考えてみますと、これは大へんな問題であったに違いないし、その後産業の構造がよほど変ってきて、今は見違えるようになっておるかもわかりません。しかしながら、また、戦後のような科学の進歩から見ますと、いつまでもこれでよろしいという事態にはなかなかならない。だから絶えず目を光らしていかなければならない。先ほど来お話をしておりますように、金融の面並びに税の面において特に意を注ぐべきではないかと思います。今回おそまきながら中小企業に従事される諸君に対する退職金の共済制度など考えるということも、それは効果は相当あるのじゃないか。他の面から見ますと、大企業の方の雇用の関係もなかなか思うようにいかない、設備改善その他がどんどん進んでいくと、その方の就労状況もうまくいかない、そうすると、雇用の面でも中小企業に転嫁していくのじゃないか、こういうような議論もあると思いますが、確かにそういう問題もあるに違いない。しかし、中小企業そのものもどんどん近代化され、科学化されて参るのでございますから、やはり中小企業だからといって、その形態が小さいということと、それから経営そのものが非常にプリミティブだということとは違うのでありまして、そういう点は、広い意味の雇用対策から見ても、これは重大な産業構造の要素として私ども考えて参りたい、かように思っております。
  28. 平岡忠次郎

    平岡委員 私は、なお、このたび西欧十四ヵ国が自国通貨の対ドル交換性を回復しました。この問題は非常に大きな問題でありまして、わが国の貿易政策等に大きな影響があることであります。その点で大蔵大臣の御見解を承わるつもりでおりました。しかし、与野党の理事会できめました私の質問時間に制約がございまして、このことにきょうは触れ得ませんが、後日このことについて質疑をする権利を保留しまして、一応私の質問はこれで終りたいと思います。
  29. 早川崇

    早川委員長 山村庄之助君。
  30. 山村庄之助

    ○山村(庄)委員 大蔵大臣に、ごく簡単に、今度の税の改正に関連して、私に言わせるならば新税と称するものがこの議題の中に入っているので、その点について大臣の心がまえを一応聞いておきたい。きょうは私約一時間ほど質問をお願いしたところが、大臣も時間がないそうでありますから、あさって、政務次官または事務当局の皆さん方に、こまかい点については時によっては一問一答の形式においてお尋ねをしていきたい、こう思っております。  税の均衡をはかる、地ならしをする、公平を期する、こういうことはまことにけっこうなことであります。またその通りにこの要綱案の中にもうたってありますが、ただし、その均衡を期する、公平を期するという意味もと——しかもこれは時と時節がある、また社会情勢というものをよく見てもらわなければならぬと思うのでありますが、ことしのこの際に新税を課するというようなことは、私はわが党の一員としていまだかつて聞いたこともない。ここへ出てきて初めてびっくりしておるというようなことであります。われわれは、選挙に当っても減税を主張し、何々税はどのくらい、何々税はどのくらいということまで国民公約をしてきておりますが、ここに申し上げる織物税のごときものは新しい税として取るのであります。いまだかつて取っておらぬものを取ろうとしておるのであります。神武以来なかったものの税をここにあらためて課するというようなことでありますならば、これは非常に、党内において、また政府間においても、いろいろと論議、研究をすると同時に、新税を取るということは国民に新しい義務を負わせるのでありますから、従って、どうしても取らなければならぬという理由を長きにわたってPR運動もやり、国民に納得して税を払ってもらうということにしなければいかぬと思う。それがぽかんと出てきておるので、これは大蔵大臣に、ことしの税法の改正について、こんな小細工のような便乗主義で持ってきて増税をやっていこうというような考え方があったかどうか。もしそういうことがあったとしたら、これは、われわれ国民全体が、日本の財政、経済税制の大番頭として大蔵大臣にお願いをした趣旨とは違う、私はそういうふうに考える。与党である私がこういうことを申し上げますと、あいつ一年生のど新米のくせに何を言うておるか、いいかげんにしておいたらいいのだ、こういう考え方もあるかもわかりませんが、しかし、私は、ことしは大きな手をあげて、全国民に向って、減税を断行するのだ、こういうことを、しかも、選挙でないときであるならいいです。われわれの身分に関係するような選挙のときに旗じるしを掲げてやっておるのです。その実際の問題が、五百二十億という大減税をことしやる。来年から七百億をやる。これは非常にけっこうですが、わずかに四億か五億の新税のために五百二十億を死なしてしまうというようなことを、大臣はどう考えておるか。これは政治家としてはまことにとるべきことでない。ばかの骨頂の、あほうこの上ないやり方だと思います。私はこういうふうに率直に考えておる。あるいは、こまかいことであるから、そんなものは入っておらぬのだ、予算全体のうちに入っておるというなら仕方がないけれども、閣議において、こういう新税を取るということをあまりにも軽々に考えて、ちょっとそこヘチェックしてまぜ込んでおいたらいいのだというような、官僚事務的のやり方において出てきたというなら、これは納得できません。私も長い間税金を取る方の総大将をやってきた。これは地方で、一部でありますけれども……。だから、この税金を取るということについては、いろいろと私は私なりに考えておることもある。また、この要綱なり予算なりを見ましても、中にはインチキなものがあり、またピンハネのものがある。そういうようなことについては、あさってとくと一ぺん聞いてみるつもりでおります。(笑声)もう国民というものは税金に一番関心が深い。しかも、こういう税金の問題については、御承知のようにこの間からうしろはち巻、玉だすきというようなことで、まるで親のかたきを探し回るような格好で、この国会の中にも、あるいは政府の方にもどんどん国民がやってくる。こういうことはもう社会党の諸君が教えたことなんだろうが、(笑声)それで国会の周囲を取り巻くというようなことをやっておるのであります。あれはおもろいというので、国民全体があんなことをもしやらかしたら何でもいけるのだということ、うしろはち巻玉だすきで、陳情隊がわれわれを威嚇するような格好で大挙して圧力を加えるというような手段、方法、こいつはもう愚にもつかぬと私は率直に思っているけれども、しかし、間違った、あるいはそういう精神の方向がもし無理であるというのなら、これはよほど考えなければならぬ、かように思うのであります。私は、与党でありまして、こういうことを言うのはまことに済まないと思いますけれども、(笑声)しかしながら、こういうふうに表に出てきている以上は、私は黙っているわけにはいかない。従って、もし大臣の気持がどういう方向であるかということのいかんによっては、私は私なりの覚悟がある。(笑声)この点につきましては、ときによってはあるいは利敵行為としかられ、あるいは除名も覚悟しなければなりません。私はこんなむちゃな新税ということについてはよほど慎重にやって、前から税制調査会、研究会等において、あるいは政府の諮問、機関において十分検討して、そうして世論もそれに向いてきた、そういうときに初めて税をかけるべきだと思うのであります。諸君あるいは他の人が新税と言っている中に、私はまだそうでないものがあると思う。トランジスターのごときは、私は新税とは言わない。同じラジオに税金がかかっておる。大きいか小さいかにすぎない。小さい精巧なラジオに税金をかけるというのならば、税の公平という面から、これは私は何も新税とは言わない。衣料品には税金がかかっておらない。かかっておらないものに今度初めて税金をかける。これは神武以来なかったものに初めてかかる。税というものは国民の協力を得なかったらいかぬ。しかもその税は喜んで納めてもらうような体系にならなければならない。まるで、政府を相手に、あるいは国会を相手に、親のかたきというような考え方国民に持たして、それで日本の政治がほんどうに平和に、うまいこといきますか。こういう点から考えてみまして、こういうものは一応相談的に要綱案として出したらどうかというて出しておるんだ。もしまずかったら、時によっては修正もすれば、あるいはまた相談という手も考えるということなら、私は幾らでも相談に乗ります。四億や五億の財源が、これがないとどうしても困るからやらなければならぬというのなら、大きな減税の旗じるしを下げなければいかぬ。私がやっておった大阪府の財政予算年額、特別会計を合せて五百億円のうちでさえも、四億や五億だったら私がやりくり算段します。しかも一兆四千億という膨大な予算佐藤大蔵大臣国民はまかせておる。その中から四億や五億のこの問題のために、この大きな減税が無になってしまう。それは減税してもらった人は黙っておる。ところが、増税されたり、新税をかけられた人はぼろくそに言うて日本国じゅう騒ぎよる。これが悪いのです。これでは、わが党が苦労して社会党が協力してくれても何にもならぬ。すべてのやりそこないはアリの一穴からということがありますが、ことしあたり、減税どころか、こういうところで新税をとる。増税ならまだいいが、これは新税です。だから、大蔵大臣は、これを新税と認めない、でこぼこ調整のためにやる、こういうことを説明要綱には書いておる。しかしこれは私に言わしたら絶対に新税です。新税というものは、大小のいかん、金額のいかんにかかわらず、よく国民に納得をせしめて、あらゆる機関を通じてやってもらわなければいかぬ。わが党において、これを総務会に諮り、代議士会に諮り、党大会にこういう新税をとるということを諮りましたか。私はそういうことを一向聞いておらない。どうなっておるか。その責任はわれわれ与党の者が持たなければならぬ。それだから、大蔵官僚が筆の先で——官僚と言うて工合が悪かったら——やってきたことが現実になって現われるというようなことになると、その責任はわれわれ全体がとらなければならぬ。社会党もその責任はのがれるわけにいかぬのです。これは議員全体の責任なんです。そう考えてみると、こういう法案は容易に通るものじゃない。そうすると、大臣は、ここは一ぺん考え直してみる必要があると思うが、あなたの心境、心がまえを一応聞いておきたい。
  31. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 お答えいたします。山村君は大阪におられて、ずいぶんその道の権威でもあられるし、地方の税の問題については非常に御苦労なさったことだと思います。私自身、今回の税制改正に当りましては、これはもうお話があるまでもなく、慎重な上にも慎重に、手続上万遺漏なきを期するはもちろんでありますが、政治的な効果というか、それも十分に考慮に入れて実は結論を出したつもりでございます。お話にもありましたように、また先ほど平岡君のお尋ねにも答えたのですが、議会政治そのものが、非常に端的な表現をすれば、国民負担が適正なりやいなやということを審議するのが一番最初に起きた議会政治だといってもいいほど、国民負担の問題が一番中心でなければならぬ。これは御指摘通りであります。また、国民自身の協力を得ない限り、税制というものも維持できないし、国の歳入の確保もできない。これももちろんであります。こういう意味では、国民自身が納得のいく税の建前でなければならぬ。これはもちろんであります。私自身も、昔はいわゆる官僚でございますから、いつまでも官僚のくせが直らないので、今回の税制改正においても、大蔵官僚と結託して官僚的にやったのじゃないかというような御批判があるかとも思いますが、もしそういうことがありましたら、その点は誤解を解いていただきたいと思います。  今回の税制改正に当りましても、税制審議会において十分論議を尽されたのでありますし、ことに高級織物課税の問題については、今まで過去において神武天皇以来と言われますと、つい二十五、六年までは織物消費税というものがあったのですから、この点は神武以来初めての新税ではなくて、織物消費税というものがあったのでございますから、いわゆる新税だとか、新しく財源あさりをしてこういう税金を作ったものでないことだけは、ぜひ御了解いただきたいと思います。特に、少くとも、かつてあったものを一たん廃止した、そういうものを復活するという意味で、税制審議会においても非常に慎重を期したものでありますし、また事務当局はもちろんのこと、有経験者の連中も慎重に審議をいたしたものであります。こういう国会の委員会の席上で党内の審議の経過をお話しすることはいかがかと思いますが、もちろん党内の政策審議会その他を通じまして十分に皆様方の御意見を伺ったものでございます。山村君を初めとして反対意見の強かったこと、これは私どもも承知しておりますが、この点は党内の問題でございますから、ここでくどくどしく御説明は申し上げませんが、最終的に今御審議いただいておるような案を提案いたしまして、皆様方の御審議をいただいておる次第であります。  問題は、織物消費税ではない。いわゆる高級織物についての課税をどうするか。物品税そのものの建前から申しますと、申すまでもなく高価なものというか、いわゆる担税力のあるもの、こういうものについて税を課すのは税の公平論からいけば、第一ページというか、イの一番に決定さるべき問題だと思います。しかし、お話しになりますように、そういう税でありましても、今までなかったもの——それが復活にしろ何にしろ今までなかったものに今度課すということになると、先ほど来お話がありましたように、いろいろの批判のあることは当然でございます。別に財源を探してどうしてもこの財源がなければというわけではございませんが、一面税を負担しておる人たちから見ますると、われわれが負担しておるものに比べて、どういうわけでこういうものだけは除外されるのか、こういう負担の公平論というものが必ず税には出てくるのであります。そういう観点に立ってみますと、私どもは、高級織物を一体幾らの金額にするのがいいかという、その点はもちろんあると思いますが、ただいま提案しております一反二万五千円、帯一本二万五千円、あるいは洋服地にして一メートル五千五百円、こういうようなものについて見ますと、いわゆる高級なものでありまして、庶民の負担を増加するというものでもない。そういうものだと、これは特に今まで税を払わないで済んでいたので、地方によりましては非常に不都合があり、不便があるに違いないが、全体の建前から見ると、ぜひとも御賛成を願いたい、こういうことでただいまの案を出しておるのでございます。最近私どものところにもいろいろ各方面から陳情を伺っております。ことに、関西方面におきましては、なるほど全体から見れば絹織物のうちのわずかコンマ三%かしらないが、われわれの地方については一〇〇%だ、こういうような御議論もございますし、なかなかこの税を課すという上から見ますと、むずかしい問題であり、重大な問題だ、こういう感じはいたしておりますが、ただいま申し上げますように、手続並びに最終的な結論を出しますまでにおきましては、慎重の上にも慎重を期し、最後の決断を下して、ただいま御審議をいただいておるような案になっておる次第でございます。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  32. 山村庄之助

    ○山村(庄)委員 えらい御丁寧に詳しい説明をいただいて——私は心境だけを聞いているんです。その金額とかいうことについてはよく知っておるんです。ただし、この問題について、時には社会党と組んでも——組んでもと言うんで、僕は組むとは言っていない。(笑声)そのようなことは言いませんけれども……。
  33. 早川崇

    早川委員長 山村君に申し上げますが、もし速記録を調べて不穏当な個所があれば、委員長において適当に善処いたします。
  34. 山村庄之助

    ○山村(庄)委員 私自身そのくらいの心持はある。しかし組んだら、それは大へんですよ。(笑声)しかし、お互いに気持が通ずれば、私はそれでいいんです。  もう一つお尋ねしておきたいことは、今も言う通り国民は大蔵省をかたきのように考えている。これは税制、税法、税の執行に関するやり方が上等であっても、また下手なところがあるんじゃないかと思う。だから、これはだれでも言うことであるけれども、納得納税ということは非常に大切なことであります。国民から税金をもらって、その税金によって国家一切の大計がやっていける。お互いの福利増進もはかっていける。それを、国民にいやな感じをさせないで、喜んで税金を納めるということに持っていくようにするのが、税制の上において大切なことです。大蔵大臣は、この点について、将来、しかも今年度からどういうふうに持っていこうという考え方を持っておりますか。景気は上向いているんだから、ほったらかしておいても、勝手に税金は何ぼでも入ってくるんだというような甘い考えでおったら、なかなかそううまいこといきません。国家の経済は年々成長していきます。そのようにまた国民から年々税金をもらっていかなければならぬ。しかし、天皇の大蔵官僚というような考え方で、頭からひったくるんだ。税務署の役人なんか、このごろ検事よりも警察よりもこわがっているんです。そうして民衆はびくびくしておるというようなことは、これは大蔵大臣のさしがねが下手だからこういうふうなことになるんだ、私はそう思う。だから、税務署へ国民が喜んで税の相談に行く、行ったら丁寧に教えてもくれればまた協力もしてくれるんだというふうに持っいかなければいかぬ。それを、何もせったの土用ぼしや天神様の脇差しのようにそり返ったりひっくり返ったりしないで、おれは税務官吏だというような考え方を早々と捨てて、そうして国税を納める者みんなに、地方々々において納税感謝大会というようなことをやって、一年まともに納めた者、二年まともに納めた者、五年連続して納めた者については、感謝状とかあるいは大蔵大臣の賞品ぐらいやるようにして、そして国民を、悪くいえばおだて上げて納得させて、また映画も余興として見せたり映画に限りませんが、そうしてあんた方の税金のおかげで日本の国土もよくなるのだ、おかげで学校の教育もできるのだ、おかげで難儀な方々を助け合うていける、更生の仕事もやれるのだということを、大臣が先頭に立ってやる。あなたに全部やれとは言わぬが、主税局長も税務局長もやればよろしい。あるいはまたその地方地方の代議士も一はだ脱ぎますよ。そして国民が安心して税務署へ何でも相談に行ける。それが、税務官吏といったら検事よりもこわい、警察よりもこわい、こんなもの、のぞくだけでもかなわぬ。しかも小売課税に製造課税をどんどん持っていったりして、片っ端からおどかしてこわがらして、そして税金を取るというような取り方は、私は下手だと思う。上手に取ってうまいこと納得させていく。それには、たとえば紙一枚でも大蔵大臣佐藤榮作と書いてあれば、そんなものを一枚持っても、喜んで自分の応接室に掲げておいて、そして来年から熱心に税金を納めるのだということになる。そういうように、審議会というたら大げさだけれども、内輪で研究してもらって、そしてもっと民衆と直接くっついて、納得納税という——税は喜んで国民が納める、これは国民の義務だ、この義務は、お互いにこういう段階においてはこのくらいだ、こういう段階はどうだというように、納得めできるようなPR運動がどうも大蔵省の方では少いように思うのです。ですから、通産省でいろいろ補助金を出したり、奨励金を出したり、組合を作らせたり、中小企業育成だとやいやい言ってやっても、大蔵省の官僚が行ってぎゃあぎゃあとひったくったら、じきにつぶれてしまう。だから、通産省も大蔵省も一緒になってそういうものをやっていく、一つ政府だという考え方でやってもらったら、みんなお互いにおもしろおかしく税金もたくさん納まって、国家は繁栄もしていく。こういうことで一つ考えてもらいたいと思いますが、大蔵大臣どうですか。
  35. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 ただいまのお話は、大へん大事な問題というか、私どもの基本に関する点を、山村君が非常にわかりやすく御説明になったことと思います。私ども、税務署の署員あるいは徴税官吏というものに対しまして、特に平素注意をしている点を、ただいま御指摘になったように思います。かっては、戦後非常に歳入が思わしくないというような際に、あるいは国税局単位に、あるいは割当予算を作って、そうしてそれまではどうしてもあげていく。いわゆる苛斂誅求がある。そこで、ただいま御指摘になるように、検事よりも警察官よりも税務署員がこわがられている、こういうような話も過去において聞かないでもない。しかし、最近のように経済が立ち直って参りまして、よほど落ちつきを取り戻しましてからは、そういう非難をあまり聞かなくて今日参っておりますが、それにいたしましも、非常に税務署が国民から親しまれるというか、親しまれなくても、何でも遠慮なしに相談を受け得るような役所であってほしいと実は思っているのであります。そういうことを申し上げると、皆様方はどういうようにしておられるかと思いますが、今ちょうど申告の時期になっておりますが、代議士諸公でも、自分の所得申告を、人手を借りないでそのまま申告のできる方は非常に少いのじゃないか。私自身も、実は自分の申告を自分自身でまだなかなか手がけられない。おそらく、税法に関しましては、私どもが知らないようなものもいろいろあるし、手続上の面についても非常に不十分だと思います。代議士諸公でもそうだといたしますと、一般の方々が、納税の義務というか、納税しなければならぬということはよくわかっておりましても、それに手続やその他から見て、十分な報告を、悪意でないにしても、なかなか思う通りのものはできないのじゃないかと思います。青色申告にしても、時に問題が起きたりするというようなことを考えてみますと、やはり法律そのものがもう少し親しまれるというか、税務署の署員が何でも相談を受けるようになっていくと、これは非常に仕合せだと思う。非常にばかげた話でございますが、勤労所得にいたしましても、勤労所得全部を課税の対象にするわけじゃない。当然控除さるべきものもあるのですが、そういうようなものについてまでも、納税者自身で不十分な知識もあるようです。そういう意味で、最近は特に税務署にも相談部を設けて、どうか遠慮なしにおいでをいただくように、あるいはまた税務署の署員が行っていろいろ調べて、そのときの扱い方がどうも不親切であるとか、あるいはいたけだかであるとか、あるいは冷酷そのもので法律一点ばりだ、こういうような苦情も聞きますものですから、あるいは国税局あるいは税務署等にも相談も受けるが、同時に苦情相談所まで設けまして、よく御相談に応ずるようにはいたしておるのであります。しかしながら、なかなかこういう点は、いわゆる官僚のやるということが、わかってなければならないことですが、十分御理解をいただいておらない点もあるように見受けるのであります。  また、先ほど非常な納税成績のいい者に対しては表彰したらどうかということですが、今日やっております表彰は、団体なり個人に対しまして、非常に成績のいい者に対してそういう表彰状をすでに出しておる。しかし、山村さん自身も、今日そういうものを出したらどらだ、こういうお話になるほど、われわれのやっておる仕事については理解が実は十分できておらないのじゃないか。こういう点はまことにPRが不十分だと思いますが、今日税制改正に当りまして、各方面から税のあり方がいいか悪いか、果して公正であるか、また公平が保てておるか、同時にまた徴税そのものが非常にあたたかい気持を持ち、ほんとうに国民が国家そのものをまかなっていくという立場において、心から理解し協力しているかどうか、徴税官吏がそれに対してどういうように協力なりあるいはまた御相談に応じておるか、こういう点は、今後の問題として、特に私どもも気をつけて参りたいと思っておるのであります。  少し具体的な話を申しましてまことに恐縮でございますが、たとえば今回の高級織物についての議論にいたしましても、一部においては、今回はなるほど高級織物という非常に高いところのものを目当てにしておるが、政府はかっての織物消費税のように非常に全般にわたってこういう制度を始めるつもりじゃないか、もしもそういうことであるなら、これはとんでもないことだ、今回の高級織物なら、これは幾分か理屈はわからぬことはない、納めたくはない、非常に迷惑ではあるが、理屈はわからぬことはない、同時に、それは一歩譲ることによって、全面的な非常に広範にわたる課税をするつもりじゃないか、こういうようなことがまず一点あるようですが、そんな考え方はもちろんございません。それから、もう一つは、高級織物を、たとえば一年に一反や二反、十反も扱ったとか、一カ月に一反でも扱った、そんなものでもみんな見のがさずに摘発するんじゃないか、そういうようなことになると、自分たちと税務署との間の折衝は、その織物のために全体の収益にまでいろいろ指図を受けるようになる、とても煩にたえない、こういうような問題もあるように実は伺うのでございますが、そういうような点は、ただいま基本的な考え方で申し上げましたように、私どもはそういうような無理をする考え方は毛頭ないということ、この点を一つ御理解をいただきたいと思うのであります。ちょうど幸いに大へん大事なポイントであり、多数の者がぜひとも強く要望しておられる織物消費税、しかも高級織物を二つ拠点にして非常に広範に課税をしたり、あるいはまた高級織物を扱ったということで自分たちの大福帳までひっくり返される、とても煩瑣にたえないじゃないか、一体どういうことなんだ、こういうようなことについての誤解もあるやに伺いますので、今の基本的な考え方にあわせて、私ども考え方を御披露いたす次第であります。
  36. 山村庄之助

    ○山村(庄)委員 なるほど各国税局等を中心に税務署あたりで納税者の督励あるいは感謝ということをやっております。やっておるが、これは大阪府でも——わしはよそのことは知らぬので、大阪の例ばかり言って済まぬけれども、一年間に三十人か四十人もおりませんくらいな人だけを、その功労というのか、正直に納めたというのか、その人だけを寄せておる。そうして裁判所長官だとか大阪府知事だとか、そういう人が来賓に出て行ってぎょうぎょうしくやるが、三十人か四十人。そういうことをやるより、もう一歩踏み下げて、大衆を相手に、納税の義務をうまくやったらこういうふうに表彰をしてもらえるんだということを、国民全体にわたってくるような方法をやってもらいたい。上の方の雲の上だけで、ちょっちょっと何ぼ銭よけい使うて、赤はだ焼をやったり、伊賀焼をやったり、みんなしておる。それは知っておりますよ。それよりも、もっと大衆的に下の方まで及んで納税を納得させるようにしてもらいたい。  それから、高級織物税の問題なんか、これは大臣はえらい熱心にいろいろ言いなさるけど、わしは時期と方法が悪いと思う。これをよく考えてみてごらんなさい。出す時が違う。これはわれわれがせっかく努力して今日まで苦労してやってきた、しかも減税の旗じるしにちょっとでも反するようなことがあったら、大きな功労が小さい悪のためにつぶれてしまう。それを一つ考え直してもらいたい。答弁は要りません。もう一ぺんよう大臣考えておいてくれ。これだけお願いして、私の質問を終ります。     —————————————
  37. 早川崇

    早川委員長 次に、昭和三十三年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案酒税法の一部を改正する法律案昭和三十三年分の所得税確定申告書提出期限等特例に関する法律案の三案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。佐藤觀次郎君。
  38. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 この臨時特例の問題でお尋ねいたしますが、三十四年度からは産米に対する臨時特例を設けない、こういう話を聞いておりますが、政府はどういう方針であるか、その点を一つ承わっておきたい。
  39. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 政府は三十四年度産米のもの以後は臨時特例を設けないということでございます。今日まで臨時特例を設けておりましたものを、いわゆる米価の中に織り込むということにいたしておるのでございます。
  40. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 これはもう米価の問題と非課税の問題は非常に重要な問題でありまして、農民への影響もあり、いろいろと問題になっておりますが、この供出米に対する問題と関連していろいろむずかしい問題があるわけです。だから、こういうような法案については、われわれは賛成をしますけれども、しかし、今後こういうような法律の中で、もうこれでおしまいだというような形にしないで、やはり今割当制度になっておりますが、そういう点についての確たる方針を打ち立てないと、米の事前割当というような問題ともいろいろ関連いたしまして問題になると思うのですが、そういう点について、もう一度大臣のお考えをお伺いしたい。
  41. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、これはいろいろ基本的に考究しなくてはならない問題があるのでございます。この臨時特例を設けました趣旨は、御承知のように早場米奨励その他供出を促進する、それによって食生活に不安なからしめるという基本的な考え方でスタートいたしたものだと思います。しかし、最近の供出状況その他を考えてみますと、こういう点についての特別な方法を考えるという前に、まず農民全体、国全体の米価の適正なりやいなやということを考うべきじゃないか。私どもは、ただいま申すような臨時特例であるならば、その必要がなくなれば臨時特例を廃止するだけで事足りるように考えますが、それでは農村の皆様方に対しまして処遇が不十分のように思う。臨時特例を廃止するその機会に、米価を、やはり国全体を通じまして農民所得が上るように工夫すべきじゃないか。言いかえますならば、臨時特例で相当の減税をいたしておりますが、その金額を一般農家に返すといいますか、割り振りするような意味で、これは石当り七十五円というものにして、今の予算米価の際には実はそれを織り込んでおるのであります。ことしの米価は今後どういうことになりますか、米価審議会において最終的決定を見るわけのものでありますが、そういう際に、ただいま申すように国全体の米価のあり方を研究していきたい、そういうことを考えて今回はこの処置をやめていこう、こういうことであります。これをやめることは、国自身の税所得考えるわけではなくて、ちょうどそれに該当する金額だけは農民に還元していく、こういう考え方をしております。
  42. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 これに関連してあとで法案が出ると思いますが、食管の赤字の問題は、大臣はどういうふうに処理されるのか、この点もあわせてお伺いしたいと思います。
  43. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 食管の赤字は、この前赤字の処理をいたしまして、そうして相当資金をただいま持っておりますので、ただいますぐその食管会計の赤字ということで考究しなければならないものがあるとは実は私ども考えておりません。先ほど二重米価の話が出ておりますが、やはり特別会計もあらゆる工夫をいたしまして赤字を作らないように指導して参らなければならぬと思います。過去において赤字を生じましたのは、食糧事情が特に悪い状況にあった、そういう意味からいろいろ食管会計も困難な状況に置かれておったと思いますが、最近のように食糧が増産され、まだ麦の問題は一つ残っておりますけれども、総体としてこれは按配していくように絶えず工夫して参りたい、かように考えております。ただいますぐの問題はございません。
  44. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一点、酒税法のことについて。先回も平岡君が質問したのですが、みりんの税率は今度だいぶ下ってきました。今問題になっております二級酒あるいはしょうちゅうとか、なおしとかいうものについての減税は考慮されていないのかどうか、これも関連してお伺いしておきます。
  45. 佐藤觀次郎

    佐藤国務大臣 酒の問題にはいろいろ問題があるのでございますが、ただいま取り上げましたのは、御審議をいただいておりますみりんでございます。それ以外の問題は、ただいま手がけておらないのでございます。
  46. 早川崇

    早川委員長 これにて三案に対する質疑は終了いたしました。  三案に対する採決に入りまするが、三案については、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。  採決いたします。三案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、三案はいずれも原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま可決いたしました三法律案に関する委員会報告書の作成並びに提出等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十九日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時二十一分散会      ————◇—————