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1959-02-13 第31回国会 衆議院 大蔵委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    二月十二日  本小委員委員長の指名で次の通り追加選任さ  れた。  税制並びに税の執行に関する小委員       奧村又十郎君    竹谷源太郎君     ————————————— 昭和三十四年二月十三日(金曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 早川  崇君    理事 足立 篤郎君 理事 押谷 富三君    理事 小山 長規君 理事 坊  秀男君    理事 山下 春江君 理事 石野 久男君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君       奧村又十郎君    加藤 高藏君       鴨田 宗一君    西村 英一君       福田  一君    古川 丈吉君       細田 義安君    毛利 松平君       山村庄之助君    山本 勝市君       久保田鶴松君    田万 廣文君       山花 秀雄君    横山 利秋君  出席政府委員         大蔵政務次官  山中 貞則君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         国税庁長官   北島 武雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    塩崎  潤君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    吉國 二郎君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   大和田啓氣君         専  門  員 拔井 光三君     ————————————— 二月十一日  特定港湾施設工事特別会計法案内閣提出第一  四四号) 同月十二日  一般国民年金税法案八木一男君外二十七名提  出、衆法第二三号)  労働者年金税法案八木一男君外二十七名提出、  衆法第二四号)  国民年金特別会計法案八木一男君外二十七名  提出衆法第二五号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第一四八号) 同月十日  高級織物物品税新設反対に関する請願(秋山  利恭紹介)(第一一七四号)  同(小沢貞孝紹介)(第一一七五号)  同(原田憲紹介)(第一一七六号)  同外一件(淺香忠雄紹介)(第一二〇四号)  同(伊藤よし子紹介)(第一二〇五号)  同(堀川恭平紹介)(第一二〇六号)  同(堂森芳夫紹介)(第一二五三号)  同(門司亮紹介)(第一二五四号)  同(亘四郎紹介)(第一二五五号)  同(中山マサ紹介)(第一二五六号)  同(古川丈吉紹介)(第一二五七号)  同(小林進紹介)(第一三二〇号)  同(加藤常太郎紹介)(第一三二一号)  同(佐藤虎次郎紹介)(第一三二二号)  同(高橋清一郎紹介)(第一三二三号)  同(帆足計紹介)(第一三二四号)  同(赤澤正道紹介)(第一三七四号)  同外一件(大西正道紹介)(第一三七五号)  同(岡本茂紹介)(第一三七六号)  同(櫻井奎夫君紹介)(第一三七七号)  同(中村時雄紹介)(第一三七八号)  じゅうたん等物品税免税点引上げに関する請  願外一件(菅野和太郎紹介)(第一一七七  号)  揮発油税等引上げ反対に関する請願金子岩三  君紹介)(第一二五〇号)  同(綱島正興紹介)(第一二五一号)  同(福井盛太紹介)(第一二五二号)  畑作改善及び麦作対策としてビール税率引下げ  に関する請願足鹿覺紹介)(第一三一九  号)  葉たばこ減収に伴う生産農家助成に関する請願  (八田貞義紹介)(第一三二五号) は本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  特定港湾施設工事特別会計法案内閣提出第一  四四号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第一四八号)  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第六  九号)  昭和三十三年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律案内閣提出第四五号)  昭和三十三年分の所得税確定申告書提出期  限等特例に関する法律案内閣提出第八八  号)(予)      ————◇—————
  2. 早川崇

    早川委員長 これより会議を開きます。  去る十一日付託になりました特定港湾施設工事特別会計法案及び昨十二日付託になりました租税特別措置法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  政府より提案理由説明を求めます。大蔵政務次官山中貞則君。
  3. 山中貞則

    山中政府委員 ただいま議題となりました特定港湾施設工事特別会計法案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由とその概要を御説明申し上げます。  まず、特定港湾施設工事特別会計法案につきまして申し上げます。  政府は、新長期経済計画に即応して特に伸長を予想される輸出物資、石油、石炭及び鉄鋼原材料を取り扱う港湾整備の重点的な推進をはかるため、今国会に、別途特定港湾施設整備特別措置法案提案して御審議を願っているのでありますが、同法案規定する特定港湾施設工事にかかる港湾管理者負担金相当額資金運用部から借り入れることによる事業規模の拡大と、この工事にかかる受益者負担金経理明確化の見地から、同法案規定する特定港湾施設工事及びこれに密接な関連のある工事で国が委託に基いて施行するものに関する経理につきましては、これを一般会計区分して行うことが適当であると考えられますので、新たに特定港湾施設工事特別会計を設置することといたしまして、この法律案提案いたしました次第であります。  次に、この法律案概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、この会計におきましては、一般会計からの繰入金港湾管理者負担金地方公共団体負担金納付特例に関する法律規定により納付された地方債証券償還金及び利子企業合理化促進法第八条第四項後段規定による事業者負担金受託工事にかかる納付金借入金並びに付属雑収入をその歳入とし、特定港湾施設工事に要する費用受託工事に要する費用事務取扱費借入金償還金及び利子一般会計への繰入金並びに付属諸費歳出として経理することといたしております。  第二に、この会計におきましては、この会計の設置の趣旨にかんがみまして、その歳入歳出及び資産、負債の整理並びに予算配賦等工事別等区分に従って行うことといたしております。  第三に、この会計におきましては特定港湾施設工事に関する費用で国が負担することとなる金額は、一般会計からこの会計に繰り入れることとし、また、受託工事にかかる納付金のうち当該工事について一般会計が支弁した経費に相当する金額は、この会計から一般会計に繰り入れることといたしております。  第四に、この会計におきましては、特定港湾施設工事に関する費用のうち、港湾管理者負担金の額に相当するものの財源に充てるため必要があるときは、国会の議決を経た金額限度として、この会計負担工事別等区分に従って、借入金をすることができることといたしておりますとともに、その借入金のうちその年度内に借り入れをしなかった金額があるときは、その額を限度として、かつ、歳出予算繰越額財源として必要な金額範囲内で、翌年度において借入金をすることができることといたしております。  以上申し述べましたほか、この会計予算及び決算の作成及び提出予備費使用剰余金処理余裕金預託等、この会計経理に関しまして必要な事項を規定いたしております。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府は、昭和三十四年度税制改正に関して、すでに所得税法の一部を改正する法律案を初め関係法律案提出して御審議を願っているのでありますが、今回の税制改正の一環として、現在の経済情勢に即応しつつ租税負担の一そうの公平をはかることを目途として、租税特別措置法の一部を改正することとし、ここに同法案提出することとした次第であります。  以下簡単に法案内容について御説明申し上げます。  まず第一は、預貯金等利子に対する特別措置に関する改正であります。現在、長期性預貯金公社債等利子については非課税措置がとられているのでありますが、その期限到来を待って廃止することといたしました。なお、今後二年間は、預貯金公社債等利子につきましては、一〇%の税率による分離課税特例適用することとしているのであります。  次に、配当所得については、現在一〇%の軽減税率により源泉徴収を行うこととしているのでありますが、利子所得に対する特別措置と並んで、本措置についても、これをなお二年間継続することとしております。また、証券投資信託収益の分配については、昨年その課税方式の変更に伴い、税負担激変緩和の意味で一年間特別に六%の軽減税率適用することとしたのでありますが、今回、その適用期限到来とともに、一般配当所得と同様に一〇%の税率により源泉徴収を行うよう改めることとしております。  次に、企業資本の充実をはかることの重要性に顧み、法人増資費用軽減に資するため、増資登記登録税軽減することといたしております。すなわち、昭和三十四年一月一日において存する法人昭和三十六年三月三十一日までに増資登記をした場合には、その登記登録税税率を千分の七から千分の五に軽減することとしているのであります。  次に、輸出振興に対する特別措置に関する改正でありますが、輸出振興重要性に顧み、輸出所得控除制度につきましては、昭和三十六年三月三十一日までその適用期限を延長するとともに、特許権等技術輸出について特にその控除率を引き上げることとしております。  次に、交際費損金算入制度に関する改正であります。この制度は、今後なお存続する必要があるものと考えられますので、その適用期限を二年間延長するとともに、この際、交際費使用実情に即するよう交際費損金算入基準改正することとしております。すなわち、損金算入しない額の計算に当っての実積基準による限度額を、昭和三十四年一月一日を含む事業年度開始の日前一年以内に開始した各事業年度において支出した交際費等の額の合計額の八〇%相当額と、旧基準年度交際費額の六〇%相当額との、いずれか多い金額によることとしているのであります。  次に、価格変動準備金制度につきましては、その運用実情に顧み、本制度趣旨に照らして準備金の取りくずしの方法を合理化することとしております。すなわち、所得が減少した場合には、通常の場合の繰入限度額からその減少した所得金額に前年または前事業年度所得金額に対する価格変動準備金勘定への繰入額の割合を乗じて計算した金額を控除したものを、その年または当該事業年度の繰入限度額とすることとしているのであります。  次に、土地収用法等により資産が収用された場合の課税特例について全面的な改正を加えることといたしております。現在、土地収用法等により資産が収用された場合には、その資産昭和二十七年以前に取得したものである場合に限り、当該資産につき収用等により受ける補償金等の額を再評価額として再評価を行うことを認め、再評価税課税のみにとどめているのでありますが、この制度は、昭和二十八年以後に取得した資産が収用された場合にも軽減措置を講ずることが適当と認められますので、今回この制度を改めることとしているわけであります。以下その内容を申し上げますと、土地収用等により補償金等を取得した場合に、その補償金等により一定期間内に代替資産を取得したときは、納税者選択により、収用された資産譲渡がなかったものとして代替資産につき圧縮記帳的な処理を認めることとし、納税者がその選択をしないときまたは代替資産を取得しないときは収用された資産譲渡により生じた所得の二分の一に相当する金額非課税とすることとしているのであります。なお新たに公有水面の埋め立てに伴う漁業権消滅等についてもこの特例適用することといたしております。  以上のほか、重要外国技術使用料について現行の軽減税率による源泉徴収適用を受ける範囲を縮小するとともに、その適用期限昭和三十六年三月三十一日までとし、外貨により取得した公社債利子等に対する所得税課税特例を廃止することとしておりますが、既存のものについては、所要の経過措置を講ずることといたしております。  また、航空機の乗客に対する通行税特例措置及び農地等の交換による所有権取得登記登録税軽減措置は、昭和三十六年三月三十一日まで、航空機燃料用及び工業用揮発油に対する揮発油税及び地方道路税免税措置は、昭和三十八年三月三十一日まで、それぞれその適用期限を延長することとしております。  このほか、新たに低アルコール度清酒及び合成清酒に対する酒税特例を設け、アルコール度が十三度以上十五度未満のものについて、アルコール分に応じ比例軽減税率を設けることとしているのであります。  なお、本年十二月三十一日をもって期限到来する貯蓄控除制度輸出損失準備金及び海外支店用設備等特別償却については、これらの措置効果等に顧み、その適用期限の延長を行わないこととしております。  以上がこの二法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げる次第でございます。
  4. 早川崇

    早川委員長 これにて提案理由説明は終りました。  本案に対する質疑次会に譲ります。     —————————————
  5. 早川崇

    早川委員長 続いて昭和三十二年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案酒税法の一部を改正する法律案及び昭和三十三年分の所得税確定申告書提出期限等特例に関する法律案の三案を一括して議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。平岡忠次郎君。
  6. 平岡忠次郎

    平岡委員 政府の出して参りました昭和三十三年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案につきまして疑義がございますので、お尋ねいたします。  この法律案では、三十三年産早場米についてのフェーバーを、売り渡し時期を五期に分け、段階的に処理せんとするものでありますが、昨年の同じような臨時特例法律と違う点があります。それはこの段階三つ目の区画なんですが、昭和三十三年十月十一日から同月二十日までの間に売り渡した米穀については、玄米換算正味六十キログラムにつき六百四十円、こういう価格一つあります。ところが、昨年はこの期間が十月の十一日から同月の二十一日までになっておったはずであります。一日の違いがあるのです。たった一日だからということでありまするが、六百四十円が適用されずに、一日違いで五百六十円の適用になりますと、八十円違うのです。農民の方は、この前の法律早場米期限において十月の二十一日に持ち込んだために、このフェーバーを受けたという記憶があるわけです。そこで、すでにこれは三十三年の十月の当初において、農民諸君早場米を出すために一日を争う、こういうことで、微妙な多忙な間の処理ですから、やっと二十一日に間に合ったということで持ち込んでみたところが、ここでこの法律が二十日ということできまりますと、結局一日違いフェーバーは八十円だけ減額するわけなんですね。私、具体的に四国の方からの陳情を受けました。四国でこの一日違いに該当する石数だけ百万石あるそうですから、八千万円違うのです。ですから、なかなか影響するところが大きいので、私どもとすれば、どういう事情か知らぬけれども、昨年は二十一日になっている。だから、やはり昨年にならって、農民が二十一日までに処理したということを考慮すべきであって、この点は二十一日に直すべきだと思うのですが、大和田企画課長のお考えをお述べになっていただきたいと思います。
  7. 大和田啓氣

    大和田説明員 ただいまの御質問でございますが、昨年はたしか三号が、十月十一日から二十一日までの間に売り渡した米穀については六十キログラム六百四十円というふうになっておりました。これは二十日が日曜日でございました関係で、第三期の早場米のつける時期を二十一日まで延ばしたわけでございます。御承知のように、九月三十日までは八百円、以下十日刻みで六百円、四百円、二百円というふうに早場米の時期別格差を落して参っております。その早場米の時期別格差に合せて減税対象額も逓減してございますから、ここに出ております法案で、昨年は二十一日まででございますけれども、ことしの二十日までというのは、時期別格差関係で、それに合せてございます。日曜日の関係でございます。
  8. 平岡忠次郎

    平岡委員 これは税法特例対象フェーバーですが、買い上げ価格の時期別格差もあるのだ、この時期別格差においても第三期間は二十日までとしてあるから、やはりそれと同様の取扱いをした、それから昨年は二十日がたまたま日曜であったので二十一日ということにした、こういうお答えですね。それでは、おととしはどうだったのですか。
  9. 大和田啓氣

    大和田説明員 おととしの曜日は実ははっきりいたしておりませんけれども、昨年十月二十一日までに時期別格差を増額いたしましたのは、二十日が日曜日でございましたからそうやりましたので、ことしは実は二十日までしかこれに該当する時期別格差を出しておりません。もしも税法で二十一日までということにいたしますと、時期別格差の額と税法減税額と食い違いが生ずるものでございますから、それを合せたわけでございます。
  10. 平岡忠次郎

    平岡委員 おととしは三段階なんです。ですから、ことしと同じような五段階が発足したのは去年なんです。従いまして、去年きめられた各期間の区割というものは、かなり権威があると思うのです。おととしは二十日であった、去年だけがたまたま日曜だから特例として二十一日になったのだというならば、ことし二十日に戻ったのだという理屈はつきますけれども、おととしは全然比較する余地はないのです。そこで、私は、これは農民フェーバー政府の方の意図によって侵害すべきではないと思う。この前がそうであったからというので、やはり二十一日までに出せばいいのだという気持が農民にあろうと思う。二十一日に出したところが、法律があとから出て、二十日ということで、締め切ったということになれば、これは不測の被害を与えるわけですから、やはり法律上はそういうことを最大限に救済する措置をとるべきであろうと思います。従いまして、あなたが後段でおっしゃった時期別の買い上げ期間というものも、二十一日に逆に直すべきなので、収納された買い上げ価格期間が二十日であるから、税法の方もそうしなさいということは当らぬと思う。逆にお直しになって一致させればいいと私は考えますが、いかがですか。
  11. 大和田啓氣

    大和田説明員  おととしと申しますと三十一年産米でございますが、三十一年産米では、現在の法案と同じように五段階になっております。それで、三段階目は十月十一日から十月二十日まで、二十一日というのは去年の特例でございます。
  12. 平岡忠次郎

    平岡委員 その点は去年を先例として踏襲するかおととしでやるかだけに限られてきました。あなた方の材料は、おととしの点では幾らか反撃が前進したわけです。それはそれで争いませんが、要するに、農民の立場ですね。しかも早場米を奨励するという政府の基本的な政策に協力させるということなのですから、譲るべきはやはり政府側でなければならぬと思う。ですから、私は、やはりこれは、昨年が二十一日ということがあるならば、農民不測の損害を与えないために、あっさり二十一日に改訂するのが当然と思います。これは御所見を聞いても繰り返しでありましょうから、私はこれを要望いたします。  委員長にお諮りします。後刻理事会を開きましてこの問題の調整をする。もちろん政府側も参加していただいてけっこうですから、そういうふうにしていただきたいと思います。  なお、この問題に関連しまして、この臨時特例を来年からはやめるのだということは、農林当局と大蔵省の主税局の間に、公的か非公的か知りませんけれども、大体話が取りつけられておるようにも聞いておりますが、その間の消息を主税局長から伺いたい。
  13. 原純夫

    原政府委員 来年、つまり昭和三十四年産米以後については、お話のようにこの特例はやめようということに考えまして、農林当局ともお打ち合せして、そういうふうに政府部内では意思を決定いたしております。従いまして、三十四年度予算の見積りにおきましても、申告所得税中農業の納めます分には一般減税による減収額を見るほか、本件の廃止による増収額を見て、はっきり計上いたしております。  その、どういうわけでといいますか、どういうやり方でやめるかという点を申し上げておきますが、これが、税の公平、税の理論からいって問題の多い制度であるおいうのは、もう皆様おわかりの通り、六百万農家のうち、これによって利益を受けるのはせいぜい五十万くらいの農家である。大きければ大きいほどよけい利益を受けるというようなことになっておりまして、年来、類似の税制調査会等において、いつも当然やめるべきだという答申をいただいておったものであります。しかし、実際上こういう措置ができてきました経緯を考えますと、やはり米価というものに関連がある。米価の方で何らか措置をしないで、ただやめるやめるといっても、できないのではないかという議論がそこに強くあったわけです。私どもも、年来、米価の方で何とかしてという形で、その向きへの要望は出しておったのですが、今回ちょうどそれができたわけです。というのは、食糧管理特別会計予算において、三十四年度米価の中に、予約加算を従来百円であったものを百円のほか七十五円というものをはっきり石につけて出す。この七十五円といいますのは、この特例によってそういう限られた農家の受ける減税額所得税減税額住民税減税額と、これを合計いたしまして、その合計額予約供出石数、たしか三千二百万石と見積ったと思いますが、これで割りますと七十何円、それを切り上げまして七十五円ということにいたしたようなことであります。つまり年来いわれておった不公平をやめて、そしてこれによって五十万戸の農民利益を受けておった額は、総額を米価の形で全供出農家供出量に応じて利益になるようにいたすということにいたしたわけであります。これが、単純にやめるのでなくて、この措置の発生的な経緯を考えた配慮であるということであります。  なお、もう一つ特に今回そういうことに踏み切っていただいた大きな事情は、所得税改正案といたしまして、御案内の通り、四百二十億ばかりの、平年度減税額の大部分を扶養控除の増額によって減税するということにいたしました。これは、実際問題としていいまして、一納税者当り扶養親族の数が農業において特に多い。農業ではたしか六人近くなっておったと思います。一般のその他の何では三人かそこいらのものであります。今回の扶養控除改正は、それに全体として重点を置いたということのほか、四人目以下の扶養控除は一万五千円から三万円という倍額になるという改正をいたしております。従いまして、農家に対する減税というものは、そっちの面でも非常に大きな額があるわけです。論理的にはこれは何も関係があるわけではないわけですが、実際問題としてこれは一つのいい条件であろうというようなこともありまして、関係省も御同意いただいて、政府内でそういう意思決定をしたわけでございます。
  14. 平岡忠次郎

    平岡委員 きょうは、何か来週早々この三法案を通してくれという中にこの臨特の問題がありましたので、お伺いします。それにつきまして、今のあなたのお答えの中には、それをなお進展させて、租税特別措置法とか、臨特と同じカテゴリーの租税特別措置法とか、そうした広範な内容を含んでおると思いますが、きょうはまだ私の方の野党の総括質問を終っておりませんので、その問題はあなたの今の説明を聞きおく程度で、一応この問題は打ち切りたいと思います。
  15. 早川崇

    早川委員長 横山利秋君。
  16. 横山利秋

    ○横山委員 三法案関連して、税法一般について質問したいのですが、大臣も政務次官もお見えになりませんから、事務当局に、事務的な意味において、少しあとの本格的な質問の布石としてお伺いしたいのです。  最初は、ガソリン税であります。事務的に聞きますから、どうぞ事務的にお答え願いたいのです。この五千五百円という数字をめぐる決定に至る経緯についてお伺いしたいのですが、まず第一は、この増税はどこへ転嫁されるという想定のもとに立っておるかという質問であります。つまりトラック、タクシー、バス会社の利益率の中で吸収されるということになっておるのか、あるいはまた消費者の運賃値上げという想定に立っておるのか。これはもう、政治的な御返事でなく、事務的にどういう経緯を持っておるかという御質問をしておるのですから、まずどこへ転嫁されるかということについて伺いたいと思います。
  17. 原純夫

    原政府委員 間接税でございますから、転嫁を前提といたしております。まず転嫁されるであろうというふうに思っております。もちろん転嫁の議論はなかなかむずかしいもので、一部転嫁されないという場合があるということは御存じの通りでありますが、建前としては転嫁されるであろうと思っております。
  18. 横山利秋

    ○横山委員 転嫁されるとすれば、納税者は油を売るということになりますから、結局、あなたの言う理論的な転嫁でいえば、最終的に車に乗る人あるいは荷主、そういうところに転嫁される。すなわち運賃値上げを予定しておるという事務的な判断は間違いありませんか。  それから、二番目に、一部は転嫁できないとすれば、そのもう少し上、すなわちトラック、タクシー、バス、そういう経営者が利益の中からこれを負担するという想定にも立っておる、こういうことで差しつかえありませんね。
  19. 原純夫

    原政府委員 転嫁されますれば運賃が上る。それから、今申したように転嫁はなかなか複雑な関係がありますから、過渡的に、あるいはまた程度的に転嫁されない部分があるかもしれない。それはもちろん運輸業者の利益を食うということになります。が、反面道路整備によりまして道がよくなる。従って道路運送業のコストが安くなるという面の利益が相当にございます。これは、よくいわれますように、増税したらすぐそれがフルに出るというものでなく、何年かの長い先にわたって出る利益でありすけれども、それを集積すると税負担の増よりも利益の方が多いという計算を私どもはいたしておりますので、長い意味の国民経済における影響としては、結局さしあたりは運賃の値上げなり業者の利益に食い込むということが若干あるにしても、長い間にはこれを取り戻して余りあるということであります。
  20. 横山利秋

    ○横山委員 議論はいたしません。それでは原さんのおっしゃる資料を一つ出していただきたい。まず第一は運輸業者でありますが、あなたの言う運輸業者がどのくらい吸収するか。その前提となる運輸業者はどのくらいの収益率を持っておるか。これはもう国税庁でお調べになっておられるはずでありましょうし、今回の調査によってできておるはずでありましょうから、トラック、タクシー、バスの利益率、収益率、それを出してもらって、そうして想定して運賃値上げ分とそういう運輸業者が吸収する度合い、その度合いのきっちりした数字は出まいけれども、一部の政府の想定しておる数字を出して下さい。それから、三番目に、あなたの今おっしゃった道がよくなればそれだけ得するはずだという、得する分ですね。大体どれくらいか。これは資料は出ております。皆さん御存じないかもしれませんが、資料は出ておる。率は出ておる。その出ておる数字に議論があるわけです。政府と業界の間で相当議論がある。どれくらい得するかということと、それからそれはいつごろ得するかということですね。あなたは税金を出して道路がよくなるから結局プラスになる、こういう議論だが、いつごろからどのくらいプラスになるか。そういう数字を一つ出して下さい。それは出ます。必ず出ます。  それから、第二番目の質問は、五千五百円という決定要素であります。私があなたに聞きたいのは、本来これは一兆円道路という大前提がある。一兆円道路を達成するには幾ら税金を取ったらいいかという逆算方式によってこれが計算されておる。こう考えて間違いありませんか。
  21. 原純夫

    原政府委員 その通りであります。
  22. 横山利秋

    ○横山委員 そうすると、一兆円が先に行って、その次に何が来ましたか。つまり税金を増税するならばどの限界まで増税するかということが先に来たか、それとも、一般財源から投入するのはこのくらいが限度だから、あとはしようがないから、税金で取れという議論であるか、どっちですか。
  23. 原純夫

    原政府委員 両方であります。
  24. 横山利秋

    ○横山委員 両方なんてそんなこすい答弁はない。私の言っておることはおわかりだろうと思うけれども、それでは、今度こういう増税を負担する業界が、五千五百円までは絶対に取れるという理論的数字をお持ちですか。
  25. 原純夫

    原政府委員 もちろんその面からの判断もいたしております。財政上の必要の面からの判断と、それから負担される側に負担をしていただいてもよろしいという判断と——よろしいというと何ですが、負担をしていただいてもやむを得ないという判断と、両面でいたしております。  なお、先ほど御要求の資料のうち、最初の、どの程度吸収されるかということの判定はちょっとむずかしいので、これはごかんべん願いたい。と申すのは、転嫁がどの程度いくかということは非常にむずかしい問題ですから、これはだれもわからぬだろうと思うのです。もしあれば、前回あるいは前々回上げましたときに、過去の実績から見て前回の増税はどれだけ運賃に響いたかというようなデータができれば、それは差し上げるようにいたしますが、今回の分はごめんこうむりたいと思います。あとの二つは出します。
  26. 横山利秋

    ○横山委員 けっこうです。前回税金を上げた、上げたけれども運賃は上らなかったじゃないか、そういう証拠をお出しになるなら——おそらく、あなたの御意見は、前回税金を上げたにかかわらず、運賃は上らないんだから、まだしぼれるじゃないかという資料だと思うのでありますが、それならそれでもけっこうでありますから、前回から今日までの経緯一つ資料として出していただきたい。  そこで、今の最初の御意見ですが、それだったら、一兆円道路ではなくて、一兆一千億円道路だったらどうなりますか。一兆三千億円道路だったら、やはり財政上の事情と業界の限界を考えて、五千五百円が六千五百円なり七千五百円になる可能性がある、こういう判断ですか。
  27. 原純夫

    原政府委員 今のお話は先ほどお話の出た両面のうち、負担面における判断増加というのの限界といいますか、程度というものだろうと思いますが、これは、五千五百円がぎりぎりの限界であるとかいうようなきわどい判断はなかなかできないものであります。私どもとしては、各国の負担を考え、またこれによる受益も考えまして、この程度の負担はしていただいてもよろしいのではないかという判断をいたしましたので、幾らでもよろしいということにもなりませんけれども、まあこの前後の数字は、そういう角度では十分御納得願えるのではないかという判断をいたしたわけでございます。
  28. 横山利秋

    ○横山委員 抽象的な御答弁で、私の質問に対するお答えになっておりません。もう一つ逆の面、別の面から見ますと、この道路整備五カ年計画の一兆円道路の収支計画は、五千五百円を増税すれば絶対に達成し得るというきちんとした計画になっておるのですか。
  29. 原純夫

    原政府委員 さようでございます。
  30. 横山利秋

    ○横山委員 そういたしますと、少くとも、道路整備五カ年計画が達成されるまでは、ガソリン税とか地方道路税とか軽油引取税とかの増税はあり得ないという想定に立っておるのですか。
  31. 原純夫

    原政府委員 今のは、一兆円計画でいく限り、揮発油税、それから軽油引取税、地方道路税、これは今回御提案申し上げておる改正以外にはしないかというお話ですが、それはその通りです。
  32. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、次会に道路整備五カ年計画の年度割計画、その収支の具体的なものを一つ出して下さい。  それから、その次の質問は、租税特別措置法航空機用ガソリンの免税が継続をされるということなんですが、これはあとの本格的質問の中に入るかもしれませんけれども、これはどうしてもあなたの方としてはガソリン税の増税と全然別だというふうなお考えですか。これが一つ。それから、そういう考え方でやるならば、たとえば洗たく屋の使用するガソリンについては問題は別だというふうにお考えですか。
  33. 原純夫

    原政府委員 航空機用のガソリンにつきましては、お話のように、道路に財源を与えるというような意味で、累次増税が行われるというような事情もあり、また航空輸送というものについての配慮もありいたしまして、これを免税にするということを相当期間続けておりますし、今回またこれを延長したいということで、措置法に条文をもってお願いをいたしておるわけであります。同様なことが、おっしゃるような洗たく屋さんのガソリンというものについても言われる筋合いはあると私どもも思います。しかしながら、やはり反面執行面の問題も考えなければなりませんしいたしますので、揮発油税がいわば道路整備費の目的税のようなものになりまして以来、いろいろそういう話はございましたが、揮発油については原則として揮発油税負担をしていただくということにして、航空とかその他特に必要度の強いもの、そしてまた執行面でも問題のほとんどないというようなものについて、措置をいたしておるという状況でございます。
  34. 横山利秋

    ○横山委員 とにかく、洗たく屋にも目的税としてのガソリン税を負担しろ、増税も負担しろというのは、どう考えてもこれは理論的に矛盾きわまるもので、あなたの実行上の問題がかりにあるとしたところで、これはもう毎年の国会で議論になっておるわけであります。これは、私がどうにも納得ができぬと同様に、それでは、航空機用ガソリンを毎年々々税金をまけてやると言っておるのですが、今日航空機に対する至れり尽せりの国家財政の援助という点からいって、また飛行場というものに対して政府が一生懸命手をかして直している状況からいって、またこっちの方はまけてやるというし……。これはまたあとで質問しますけれども……。  それでは、わかりましたから、次の資料を出して下さい。ここ数年来のガソリン税の予算、決算、それから消費見込み、消費の決算、及び今後数年間、つまりこの前数年間と今後数年間のガソリンの税金の予算、決算、消費見込み及びその確定数字等を、少くとも道路整備五カ年計画の終るまでの数字を出して下さい。それから、前のときにも問題にしたのですが、もういいかげんに調査ができ上っておると思いますが、自衛隊が全国の道路をこわしておる詳しい状況についての統計を出してもらいたい。それからまた直した状況についての資料を出してもらいたい。(笑声)これは、あなたお笑いになるけれども、全国の自衛隊の大型のトラック、大型の戦車が道路をこわしておるというのは大へんなものでありまして、どこへ行っても私は聞くわけです。まあ、自衛隊は、おれがこわしたとわかっておったら直してやるという規定になっています。けれども、通ったうしろからのこのこついて行って、ああこわれたこわれたと確認する人はいはしませんから、そこで泣きほうだいという格好になっておるのですが、この際自衛隊が道路をこわしておる状況及びそれを直しておる状況を一つ克明に、もう調査ができ上っておると思いますから、報告を願いたい。ガソリン税については一応そういうことで……。  今度は、入場税。長官もお見えになりますから、長官にお聞きしますが、今度入場税をお下げになるという目的は——これはやはり事務的に聞くのですが、どういう目的でありますか。またどこにそのねらいがありましたか。
  35. 原純夫

    原政府委員 間接税全般についての体系的な検討をして、間接税を体系的にバランスのとれたものにするようにということは、この委員会で、一昨年の春御決議になったところであります。自来私どもあらゆる努力を重ねまして検討を続けて参りました。その際、入場税につきましては、こういう角度で非常に疑問が提起されたわけであります。現行の入場税の税率は、特別なものは別でありますが、原則税率は一割から五割の全額累進税率ということになっておりまして、同じ映画を見るのに、五十円の料金の場合は一割であるし、二百円の料金の場合は五割とる、こういうことになっております。従いまして、税額にいたしますと、五十円の税額は一割の五円であります。二百円の税額はその五割で百円になります。税額が実に五十円の場合の二十倍ということになるわけであります。間接税でこういう累進税率を盛ることも、もちろん考えられないでもないのでありますけれども、要するにあまりにひどいではないかという疑問が出たわけであります。これは物品税あたりにおいて、同じ写真機では三万円のものと三千円のものでは率は変らない、同じ三割であるというのと比べても、いかにもバランスがとれない。従って、まずこうも急なる累進は改めるべきだろうというのが一つであります。  もう一つは、しからばどういうところを中心にしてそれを改めていくかということになりますと、他の各種消費に対する課税の程度から考えまして、結論としては、まず二割というものが中心税率になってよろしいじゃないかという結論になりました。それをあわせますと、二割を中心にして現在の一割から五割までの累進税率を全部一本の二割にするということも考えられますが、実際問題として、それじゃ下の方の一割を二割に上げるかという問題にもなります。これはできかねるということから、二割を中心にして、下に一割の軽減税率、上に三割というものを置くことになったわけであります。従いまして、その結果としては、ごらんになります通り、おっしゃる通り五割、四割の税率がなくなって、三割のところにいくというようなことに相なりますが、趣旨は、そういうことで体系的な整備をはかり、不当に高いものはかりに大衆的でないといいますか、上の方の料金の高いところのものであっても、やはり税制として整備していくべきだろうと考えたわけであります。もちろん、その反面、消費者にこの減税利益が完全にいくようにという配慮から、今回は今まで法律的には例のなかったことでありますが、減税額は税込み料金をそれだけ下げなければ減税をいたしませんと、いつまでもそう言っているわけにいきませんから、半年の間はそういたしますということを提出法案の中に入れて、消費者の負担自体が下るようにという配慮をいたしたのであります。
  36. 横山利秋

    ○横山委員 原さんは慎重に言葉を選んで、率を合理化するというお話でありましたが、本来ならば、これは、映画を見たい日本の低所得層の人のために、入場税を減税する、という話が出てくるのが当然ではないかという感じがするわけなんです。今の話のようにおやりになりますと、どういうことかといいますと、結局現在の五十円までが一割、八十円までが二割、それが、改正案でいきますと、五十円まで一割で、百円までが二割ならば、五十円から八十円までの分はこれは縁もゆかりも何もないのです。私の記憶しているところによりますと、三十二年度が税込みで七十五円二十七銭、これが全国平均だと承知しておりますが、間違いありませんか。
  37. 原純夫

    原政府委員 私、手元に数字を持っておりませんが、間違いないように思います。
  38. 横山利秋

    ○横山委員 委員長に断わらなくて申しわけありませんが、ここに掲げた表をごらんいただきますと、この五十円から八十円までは変りがない。これは税込みじゃなく税抜きです。八十円から百円までは一割下る。百円から百三十円までは変りない。百三十円から百五十円までは一割、百五十円以上は二割下る。そうすると、全国平均のところはこの辺でありますから、みんなが見る、圧倒的多数が見るというところは一文も下らぬじゃありませんか。百五十円以上が二割下るのでありますから、金持ちで日比谷映画劇場や有楽座へ行く人たちが一番得をするという考えじゃありませんか。あなたの言うには、一、二、三、四、五と、数字が五つもあったが、これを三つに分類するのだ、だから分類すればこっちの方がよくなるのは当りまえだと言わんばかりの話であります。それ、税体系にとらわれ過ぎて、何のために減税するかという本質的なものが全然ないような気がするが、いかがですか。
  39. 原純夫

    原政府委員 私は、やはり現行法がすべていいものだという考え方でこの問題に対処してはいけないということで、この問題に初めから対処したわけであります。というのは、一昨年の春御決議なさったのも、やはり、間接税体系というものは、非常に沿革的なものが多くて、ずいぶんでっこま、ひっこまがある。ことに、御趣旨の中には、物品税の中あたりでは非常にそういう問題があるというようなセンスを持ってお出しになったわけです。私どもは、すっからかんの素っ裸で問題に取り組んだ場合に、一体どういう種類の消費、またどの程度のクラスの消費に、どういう負担をしていただくのがいいかという角度から考えますならば、今申しましたように、写真機ならば、三万円の製造者価格の写真機は、その三割で九千円の税を納める。三千円のものは九百円の税を納める。元値と同じ比例で税を納めるわけであります。映画の入場に限って、五十円の税抜き料金の場合と二百円の場合とが、なぜ四対一でなくて二十対一にならなければならないかということになれば、とうてい説明はつかない。また、税抜き料金に対して五割という負担は、この入場という消費の性質を考えましても、とうてい妥当だと言い得ないという判断をしたわけであります。そういうことでありますから、現在に比べて、おっしゃるような八十円から百円、あるいは百三十円をこえるものというようなところまでしか影響がないというのは事実でありますが、率直に申しますれば、現在の税率の盛り方に相当大きな問題があるというのを、この際根本的に直したいということであります。なお、入場税全体として減税という角度で直すかどうかということになりますれば、先ほど申しましたように、入場税は全体としては二割程度が中心であってよろしいという考え方は、大きく減税をしなければならぬという感覚でものを処理したわけではございません。
  40. 横山利秋

    ○横山委員 どうも原さんの答弁は自信と確信に乏しい答弁だと思います。税金を下げるということは、単に、あなたの言うように、金持ちにはちょっとえら過ぎるから下げたというのでなくして、やはり国民の圧倒的多数を納得させる説得力を持ったものでなければいかぬと思うのですよ。それでは、今、日比谷劇場や有楽座に入る人が、必ず税金が高い高いと言って入りますか。必ず前売り切符を買って、恋人と待ち合せ、奥さんと待ち合せて、自動車で行く人ばかりじゃありませんか。その人が、何で税金が高い高い、これはあなたに頼むと言うものですか。やはり全国の圧倒的多数の、おとっつぁん、おっかさんに金をもらって映画館に走る人、あるいは働きながらたまに一日映画館に行く人、こういう人たちのことを考えなければなりますまい。そうすると、それには全然お他力なしという実情であります。これは原さんの一対五倍という理論にだれも私は納得しないと思うのですよ。これはやはり下の方を安くしてやらなければならぬ。圧倒的多数の大衆に安くしてやらなければならぬ。そういう点で、今回の入場税のせっかくの案だけれども、これは私は与党の皆さんだってほんとうに納得しておられないと確信をするわけであります。  第二番目にお伺いしたいのですが、このごろ成人向け映画というやつがある。私もあまり見たことはありませんけれども、「十代の抵抗」ですか、ああいう式の映画が非常に多い。あれと一般向け映画、それから教育映画、文化映画、それを比べてどうですか。少しは区別をしてやる必要を感じませんか。見るな見るなというと見たいのが人間の本能かもしれませんけれども、国家がほんとうに映倫で、あれは成人向けだ、あれは教育映画だ、文部省推薦映画だと、あまり官僚的になっても困るけれども、これはほんとうに若い人に見てもらいたい、あるいは文化映画として国民が見てほしい、そういう気持があるとするならば、これは税の面で区別する必要がありませんか。たとえば、私は選挙区が名古屋でありますが、名古屋でも子供の時間というのがある映画館があります。日曜日の午前中にお母さんと子供だけという場合があるわけです。それに対して現行では税がみな一緒なんです。そういうような教育映画とか文化映画あるいはニュース映画等に対して、興行家にしても犠牲的奉仕をする場合がよくあるのですが、そういう場合の税率について区別をしてやる気持はありませんか。
  41. 原純夫

    原政府委員 これは議論としてはあり得る議論だと思うのです。ただ、結論を申しますと、私どもの執行上の難点、それから実際やってみた場合にもいろいろ問題のことが起るというようなことから、これをにわかにとるのはいかがかと考えております。それをもう少し申しますと、要するに境目が非常にむずかしい。よくいわれるところは、文部省の特選映画だ、あるいは映倫の特定の審査を経てある分類に入れられたものということなのでありますが、そういうものとそうでないものとの境目がなかなかむずかしいように思いますし、また、そういう判定をされる主体自体も、現在果して統一されたなにになっているかどうかというような問題もございますし、また、実際にいいとして選ばれたものも、どうも見ていると、いろいろな人が入場税があるから入らぬというようなものでない、もうあとからあとから見にいく、大てい入っているというようなこともあるのですね。なかなかちょっと簡単にはおっしゃるような区別はつかぬということであります。
  42. 横山利秋

    ○横山委員 それは見解が異なります。区別がつかぬとおっしゃるけれども、映倫管理委員会の劇映画の昨年度の審査の結果は、青少年向け推薦映画は四十二本、一般用映画は五百十一本、成人向け映画は三十二本、青少年向け映画の税金は十億五千万円と、ちゃんと区別がついているわけですよ。それは映倫を信用するかしないかは別ですが、映倫はやはり政府が作った機関ですから、これはあなたの言うように信用しないというわけにはいきますまい。ただ、私が多少危惧を持つのは、そういう政府のお墨つきの推薦映画ということをすることが官僚的になりはせぬかということでありますが、しかし、それは映倫にしっかりしてもらって、何も教育映画、修身映画になってはいかぬという点は、映倫の諸君といえども御存じのはずでありますから、ここに映倫の自主性、文化性というものを期待すれば、区別のつかないことはない。要するにこれはやる気持があるかないかということになる。私はそう思う。ほんとうに何でもそうですが、やる気持があったら、十億五千万円の税金に対して、それじゃこういう教育映画、青少年向け映画、ニュース映画についてはぜひ税率を減らしてやろう。そこで、「十代の抵抗」や「砂漠の肉体」とかなんとかいう妙な映画——そんな映画があったかどうか知りませんが……。(笑声)とにかくやる気があるかないかということによってきまると思うのですよ。次代をになう青年について、岸総理大臣が、あの国会のたびに、青年諸君、青年諸君よと言うくらいなら、こんなことはとっくの昔に原さんが献策をしておって当然だと思うのです。ほんとうに私はそう思う。それは、山にヒュッテを作ったり、青年の家を作ったり、徒歩旅行なり宿泊旅行のあれを作ったりするのはいい。けれども、今勤労青年でそれでは日曜に山に旅行できるのが何人おると思いますか。圧倒的多数は映画を見るのですよ。まさにそれは飢えたる者の本能のように映画を見るのです。乏しい給与の中から映画を見るのです。だから、岸さんの心理がほんとうのものであるならば、この青少年向け映画なり、あるいは文化映画なり教育映画なりに対しまして多少税金を負けたって、原さん、あなたは佐藤さんや岸さんからほめられこそすれ、しかられるようなことは絶対にないと思いますが、どう思いますか。
  43. 原純夫

    原政府委員 今おっしゃったその映倫というのは、私の知っているところでは政府の機関じゃございません。映画製作会社何社かが集まってやっているもので、おっしゃるような選定をするというような場合には、そういう意味でかなり問題があると思いまするし、また一方に文部省特選映画というものがあり、その辺のややこしさもあるということを先ほど申したわけです。そのほか実際に選に入る映画というのは、見てもあまり楽しゅうないが見ろというようなものじゃなくて、かなりいいのが入るわけですよ。消費税全般に、なるほど酒は飲んで酔っぱらう、あんまり足しにもならぬものだから税金をよけい負担しろという思想はあるのですね。それから、必需的なものになればなるほど、税率は安くしろという思想はあるのです。ですから、入場税の中でもそういう意味での娯楽性といいますか、今言われた成人映画といわれる式のものの場合は、より高くてもいいという理屈はあると私は思うのです。しかしながら、同じ品物についてそういう消費のあや目を分けて税率を盛るとなると、これは非常に複雑なことになると思います。従って、ほかのものではなかなかそういうことはやれないというのが現状であります。映画の場合でもそういうふうに思いますので、そういう理屈はないではないとは思うけれども、どうも、結論としては、おっしゃるような気持に私はなり切れないというふうに申し上げておるわけでございます。
  44. 横山利秋

    ○横山委員 腹の中ではうんと言いたいけれども、まあ一応そうはいくまいというようなお顔つきのようですが、ちょっとついでに伺いますが、三十五ミリ映画撮影機、映写機、現像用具は今度の物品税の改正で三割が無税になるわけですか。
  45. 原純夫

    原政府委員 今度の物品税の改正は、物品税全般についての処置をする。今回お願いしております法案には、法律事項だけ入っているわけです。そのほかに政令事項があり、政令事項には例の課税最低限の問題がありますが、同時に、法律ではある概括的な品目をあげて、政令で細目の品目をあげていくというような場合がございます。今おっしゃった撮影機とか映写用の何とかというものは、政令のこまかい品目指定に入るものであろうと思います。私ども、それは一つの問題であると思って、お話のありましたような趣旨を相当大きく考えておりますが、政令の最終の結論をつけるのは三月一ぱいでございますから、ただいまそういう気持でおるという程度のことで、今回御提案している中にはまだ入っておりません。
  46. 横山利秋

    ○横山委員 私の聞いているのはそういう意味ではないのですよ。政令でやることはわかりましたが、漏れ聞くところによりますと、三十五ミリ映写撮影機、映写機、現像用具等は三割を無税にするというお話だそうです。また、漏れ聞くところによりますと、十六ミリはあかぬというお話だそうで、一体三十五ミリと十六ミリとはどう違うのか。今私は教育映画なりそういうような観点で伺っておるわけですが、十六ミリが今個人の娯楽用に使われておるということはほとんどないですね。実際問題としてそうじゃないのですか。その場合に、三十五ミリはいい、十六ミリはあかぬということであるならば、それは一体どういうことなのかということを私は聞きたいのです。
  47. 原純夫

    原政府委員 三十五ミリの分をそういう処理をしようかという考えが出ましたのは、年来、映画について今お話の入場税がかかる、その上に撮影機、映写機までとるのはどういうわけか、あれは生産手段ではないかというような議論がだいぶ強くなったんです。それはフィルムでも同様な議論があったんです。フィルムは生産手段であるという議論があったんです。そういえば、たとえばパチンコ屋のパチンコ台でもかかる。一方で、入場税ではありませんが、地方税の娯楽施設利用税というのがかかっているわけですね。そういうものはある。あるが、やはり道具自体が消費の対象になって、それが減価する、償却される過程で、その償却される分をお客さんが消費するのだということをいっておったわけですが、フィルムはそういう意味でそうだろう。しかし、撮影機あたりになると、入場税との関係なんかも相当問題になるからどうかということは、年来疑問に思っておったところでございます。そこで今回こういう考え方が出た。十六ミリについては私も詳しいなにをまだ聞いておりません。どういう用途に使われるのか、その辺のなにをよく調べてみたいと思いまするが、撮影機、映写機、三十五ミリのものが問題にされている角度はそういう角度であります。なおよく検討いたします。
  48. 横山利秋

    ○横山委員 それじゃ、八ミリは最近はやりの個人の趣味や娯楽というこがあるから多くは申しませんが、この入場税に関連して、映画界の問題について勉強しました過程で、あなたの方の三十五ミリと十六ミリとを区別なさるという話を聞いた。これは何ら意味がない。あなたのおっしゃったように、三十五ミリが生産手段なら十六ミリも生産手段である。この間に区別のつけられるような理由があったら今私は承わりたい、こう言っておるのです。承わるべき理由もないようでありますから、一つ善処をしていただきたいと思います。  その次は、国税庁長官についでに一つ伺いたいのですが、入場税の保全担保の問題であります。現在、入場税法の第十四条ですか、保全担保について定められております。「臨時に興行場等を設け、又は興行場等をその経営者若しくは所有者から借り受けて催物を主催する場合」、第二番目は、「経営者の資力がその納付すべき入場税額に比して薄弱であるため、入場税の納付を怠る虞がある場合」、この二つには担保を出せ、そうでなければ入場券はやらぬといって、税務署ががんばっておるわけであります。その担保が銭か国債ないしは社債、土地、建物、保証人等々、保全担保を要求されているわけですが、ぐるぐる回っております興行としては、たとえば東京でやっておって名古屋に来た、名古屋に来て小屋を借りて興行するのに、そんな建物なんか保有しないから、結局銭ということになる。商売も、まだ興行もせぬうちに銭はありはせぬ。だから借りてくる。こういうしかけになる。そうすると、この間私が調べてみましたら、前進座でいきますと、二カ月間東京、大阪、京都など回ると、一千万円くらいの予納を必要とする、いういっておる。彼らは予納といっておる。法律上は保全担保と称せられるのでありますが、これは一種の予納でございますね。そんな、前進座といえば逃げ隠れもするようなところでもありますまい。文学座だって——文学座は小屋を持っておりますけれども——俳優座ですか、そういうような、逃げ隠れもしないような一応筋を通しておる劇団が巡回興行していくときに、担保をとらなければ入場券をやらぬというようなやり方というのは、どんなものでありましょう。これは、昔はともかく、今は少し改善する必要がありはせぬかと思いますが、担当していらっしゃる北島さんの御意見を伺いたい。
  49. 北島武雄

    ○北島政府委員 国税庁といたしましては、法の定めるところによって運用しているわけでありまして、臨時開催者等につきましては、えてして入場税の保全に全きを得ないわけでありますので、大体におきまして、法の定めるところに従って、臨時開催の場合、それから資力薄弱の場合につきましては、原則として担保をいただく、こういうことにしております。それからなお前進座のような劇団については要らないんじゃないかというお話もございますが、何と申しましても、やはり臨時の興行というのは相当不安定な分子がございます。それから、私の記憶では、前進座につきましては、たしか過去に相当滞納があったようでございまして、問題があるのでございます。そういうような状況からいたしまして、私の方では、できるだけ入場券につきましてはその保全の確実を期する意味におきまして、十四条を適用いたしております。
  50. 横山利秋

    ○横山委員 北島さんよく考えて下さい。あなた法の原則ということをおっしゃるけれども、もうかったら税金を払えというのが税法趣旨でしょう。もうかるか、もうからぬかわからぬけれども、お前は税金を払わぬおそれがあるから、税金を早く出せ、やる前に出せ、そういう趣旨に私は根本的に間違いがあると思う。かりに税金を払わなかったら、あとになって払うような措置をすればいい。それを、お前は入場料の税金を払わずに遁走するおそれがあるから、興行する前に税金を出せということを原則的にやることは誤まりであるということにあなたは気がつきませんか。これはどうも怪しいから予納を例外的にさせるというなら、私はこれは実情を聞いてもよろしい。しかし、原則的に、相手が脱税するものなりときめつけて、その保全担保を取るということは、これは誤まりもはなはだしいと私は思う。これは、しかし、北島さんが言うと、私は長官でありますから法の命ずるところをやるのですから、隣へ言って下さいと——その点は原さんにもお答えをしてもらいますが、北島さんにもお考えを願いたいのは、十四条の中で、そうめちゃくちゃに取らぬでもいいじゃありませんか。「国税庁長官、国税局長又は税務署長は、左の各号に掲げる場合において、入場税の保全のため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、経営者等に対し、金額及び期間を指定して、入場税につき担保の提供を命ずることができる。」とある。だから、この十四条の運用で、とにかくしゃくし定木に取るのだという運用に誤まりがある。これを北島さんに言いたいのです。たとえば前進座を例にとってみましょう。あなたのおっしゃるように、かつて前進座が経営不振の際に滞納をしたことがあったとしましょう。私はあったかないか知りませんけれども、もしないとしたならば、いつまでもそういう目で一つの劇団なり劇場を見ることはどうでしょうか。あなたも昔は貧乏長屋のむすこだったかもしれない。今は長官ですから、あなたを長官として見るでしょう。しかし、昔の人なんかが見たらどう思いますか。税についても、やはりそのときにおける客観的条件というものを見て、この劇団はそういうおそれなしと見たならば、その十四条の運用については幅を持ってもいいじゃありませんか。その点を北島さんに聞き、それから、原さんに対しては、この十四条の保全担保については、戦後の混乱のときならばいざ知らず、今日のような状況であるならば、これは改善をすべきであると思いますが、御両所からこの点についての意見を承わりたいと思います。
  51. 北島武雄

    ○北島政府委員 先ほども申しましたように、入場税はえてして問題の多い税金でございまして、臨時開催者の場合におきましては、原則として事前に担保を取りませんと、入場税の確保ができないわけでございます。先ほど滞納がないじゃないかというお話がありましたが、それは保全担保を取っておりますので滞納はないということであります。ただ、実際のやり方といたしましては、まず分割して、ある程度の担保を取りまして入場券を渡し、それが、前売りで売りさばかれて、また次の担保を取って入場券を渡す、こういう方法をとっておりまして、実際に一度に全部の担保を取るようなことはいたしておりません。できるだけそういう便宜をはかっておりますが、原則として、やはり臨時開催の場合におきましては、担保を取るのは私どもの職責じゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  52. 原純夫

    原政府委員 この保全担保は、入場税法、それから酒税法にある制度でございます。かってこの担保がなくて非常に困ったのが事実であります。今長官からるる言われたように、納まるべき税金が納まらないというようなことが非常にあったわけであります。それにつきましては、ただいまおっしゃいましたように、入場税というものはもうけがあったら、もうけの中から納めさせるべきだというお話でありますが、これはもう税の性質が全然違うわけであります。これはおわかりでしょうから一々言いませんが、これはやはりちゃんと納まるようにしていただかなければなりません。そのために、やはり必要な場合には担保を出していただく。しかも実際に困った実情からできた制度でありますので、その運用については今後もまた苦心のいるところがあるかとも思いますけれども制度としてはこれは必要な制度だというふうに考えております。
  53. 横山利秋

    ○横山委員 お二人とも、今までの経緯から、入場税の納入状況が非常に改善されておるという事実は御存じのはずであります。ですから、私が申し上げていることについて、画一的にお考えにならないで、過去から今日までの状況から考えまして、この入場税の保全担保のあり方については、この際多少の改善をしたらどうかという観点に立ってお考えをしてほしいのです。私もあなた方のおっしゃる保全担保は要らないという意味で言っているわけではありません。私も北島さんの言うような点もわかるから、劇団なり納税成績のいいものについてはどうかというようなやり方にお考えを変えられたらどうかと思うのです。私の言うのは、たとえば、いきなりぽんと劇団ができて、ぽんと一回やって逃げてしまう、解散してしまうというのではなくて、継続的に興行しているもので、今まで保全担保を二回なり三回なり確実に提供しているものについては、これは保全担保を免除することができる、そうしたらどうか。そして、そういう免除をされた興行者がまた間違いを起したら、今度はそれに対する応報を別途に考えればいいではありませんか。おわかりになりますか。もう一ぺん言いますが、私の案は、継続的に興行しているものであって、そうして今まで保全担保を二回なり三回なり確実に出している、そういう納税成績を持っているところは、この次からは保全担保を免除する。そうして、今度は入場税を確実に納めていきましたら、これは資力、信用ともに過去の納税実績ありと認めて、保全担保を免除することができるということにしてはいかぬのかというのであります。ですから、全部が全部保全担保を免除しろというのではありません。あなた方のお考えは、もう原則的に保全担保を提供しなければならぬという考え方で、そういう考え方は頭の切りかえを少ししていただいたらどうか。私の言っているのは無理でしょうか、いかがですか。
  54. 北島武雄

    ○北島政府委員 お気持は十分わかるのですが、ただ臨時開催の場合は各地を転々として歩くのでありまして、当該税務署において一々そういう判定をすることは実際になかなかむずかしいのでありまして、税務署によって取扱いを異にすることは工合が悪い。しかも、臨時開催は短期間で、次の開催地へ移動するものでありまして、実行上なかなかむずかしいのではなかろうかと思います。
  55. 横山利秋

    ○横山委員 できますよ。私の案はこういう案です。たとえば、東京でやるでしょう。また名古屋、福岡、小倉へ行くでしょう。そういう場合には、この保全担保十四条の規定に従って税務署へ必ず行くのです。そして保全担保の免除願いを出す。そのときに、お前のところはよろしいということで、税務署が保全担保免除の判を押す。とにかく興行するときにはその地の税務署に必ず行かなければならぬようにしておけば、あなたのような心配は要らないわけです。
  56. 北島武雄

    ○北島政府委員 ちょっと私の申し上げたのが御了解がいただけなかったかと思うのでありますが、そのようにして税務署を転々として歩くわけであります。そこで、短期間に、税務署におきまして、果してその劇団等の興行者が今まで確実に各地で保全担保を提供して歩いたかどうか、入場税の税金を滞納したことがないかどうかということを、そのつど判定することがなかなかむずかしいのではなかろうか。あるいは中央で統一的に何かやったらどうかというようなお話かとも思いますけれども、なお、具体的な点につきましてはやはり相当問題がありますので、やはり原則として、各地を転々として歩くようなものにつきましては、入場税の確保を期する意味におきまして、担保をとって入場券を交付するのが適当ではないかと思いますが、お話の点もありますので、なお実行上よく検討してみたいと思います。
  57. 横山利秋

    ○横山委員 最後に言った、お話の点は十分検討するということを、それだけ言えばいいのに、断わっておきますが、一応はというような、そういう不親切な誠意のない答弁をおっしゃるものじゃありません。私の言うのは、劇団が、納税実績表といいますか、何かそういうものを持って歩くのです。それから、保全担保を提供した証明、免除してもらった証明というものを持って歩かせる。そういうものを持って歩かないところからは、保全担保をとったらいいのだから、問題はない。免除してもらいたいという、資力信用があり、恒常的にやっている劇団は、それを持って歩くようにさせるのです。北島さん、あなたは首をひねっていらっしゃるが、本気でやる気になったら簡単です。     〔委員長退席、押谷委員長代理着席〕  そこで、私は委員長を通じてお願いをしておきたいのでありますが、この入場税の保全担保に関する問題につきましては、今私がいろいろ申し上げました点で各位おわかりであろうと思うのです。少くとも、地方税におけるマージャン屋や何かもそうだそうでありますが、収入がある前に税金をとにかく出させるという点については、私は原則的に税法上おかしいと思う。しかし、やむを得ざる問題があるならば、これは譲る。だから、この観点に立って、入場税の保全担保の措置につきましては、別途理事会において政府側をもう一度呼んで、必要によっては小委員会を設けまして、一つ十分に善処していただきたいというように考えます。  局長並びに長官におかれても、ほんとうに誠意をもってお考え願えば、決して私どもが無理なことを言っているわけじゃありませんから、この点を一つ十分に善意をもって検討していただきたいと思いますが、いかがでありますか。
  58. 北島武雄

    ○北島政府委員 善意をもって検討いたします。
  59. 田万廣文

    ○田万委員 関連して。  今の保全担保の件について、結局私も詳しいことは存じないのですが、現金で入場税の担保を提供するというところに大きな悩みがあるように聞くのです。従って、裁判所なんかがよくやっておりますが、信用保証というような制度——御存じだと思いますが、保証書を出さしめて、そして現金にかえて入場税の担保に充てるということができれば、担保はとるのですから、それも一つの方法じゃなかろうか。そうすれば、あなた方が心配しておる、担保はとったが現実に不履行の場合は、その人の財産で弁償を受けることができるということになれば、現金がなくても保証書でまかなえると思うのですが、いかがですか。
  60. 北島武雄

    ○北島政府委員 入場税法第十五条には、担保の種類の中に「国税庁長官、国税局長又は税務署長が確実と認める保証人の保証」ということがございまして、保証もできるようにはなっております。そして保証する場合には銀行保証というのを建前にしております。しかし、実行上におきましては、現金の予納担保、これが実際に行われております。保証人の保証について、これを活用していないということは確かにあるかと思いますので、そういう点は一つ十分に検討してみたいと思います。
  61. 田万廣文

    ○田万委員 現金にかわるべき信用、これを税務署長が確認されれば、それで十分じゃないですか。銀行までいかなくてもいいのじゃないですか。
  62. 北島武雄

    ○北島政府委員 保証人が必要ということになっております。ただこの場合にやたらの保証人では困るので、実行上保証人というのは銀行の保証をもって最も確実なもの、こういうふうに考えて取り扱っているわけでありまして、ただ、申しましたように、実際には銀行保証も活用しておりませんので、現金の予納という格好で担保をとる。これについてはあるいは検討すべき余地もあるかと思います。なお検討いたしたいと思います。
  63. 田万廣文

    ○田万委員 やはり少しかたいように思います。だから、個人の動産あるいは不動産、特に不動産の土地家屋の登記簿でこの人間にどれだけの財産があるということが証明されるようなことであるならば、その担保力を信じて、現金を積み立てなくても保全担保ということで代用できるような考えが法律上できぬことはないわけですね。裁判所で、これは小さい金額かもしれませんが、たとえば保釈その他の保証金、これについてはずっと現金で担保を提供せしめておったわけです。それが、今言ったような意味で、現金でなくても、裁判所ですらも保証書で代用せしめている。かたいといえばあなた方のところもかたいが、裁判所も相当かたいところですが、保証書で通用しているわけです。たとえば私が三千万円持っているとします。私が保証しますという保証書を入れるわけです。もし甲なら甲という人間において義務不履行があった場合には私が一切の責任を負いますという保証書、しかもその保証する人間が国税庁なら国税庁、税務署なら税務署に信用がなければだめです。信用を裏書きする書類を持っていって、それが確認されておる場合においては、全国どこへ行っても信用されるというような、かたい通念に立った信用保証書というものをあなたの方に提供すれば、それでいいじゃないですか。結局、目的は不履行があったときに取れなかったら困るという心配で、先に取るということでしょう。だから、その点だけ完全にカバーできるならば、無理に現金を積まさなくても、そういう方法もとり得るのではなかろうかということを、私はお尋ねしているわけです。考えてもらいたい。
  64. 北島武雄

    ○北島政府委員 臨時開催の場合ですと、担保につきましてもやはり相当制限的に考えないと、実際は工合が悪いのじゃないかと思います。ただ、ただいま申しましたように、ただ現金だけに限るのがあまりかた過ぎるじゃないかというお話だと思いますが、実行上といたしましては、たとえば千枚切符を売るという場合に、千枚に相当する担保をまず持っていかなければならぬということはございませんで、百枚に相当する担保を出してもらって、そして百枚の入場券を交付し、そしてこれを前売りでお売りになったその金で、あとの担保を提供されてやっているのが実情でございます。そういうふうに分割して金銭の担保をとっているのが実情であります。しかし、やり方は一つ検討いたしたいと思います。
  65. 田万廣文

    ○田万委員 これで私はとめますが、一つよく検討していただきたい。私、前から信用保証という制度がとり得るものと考えるのだから、無理に現金がなければいかぬというようなかたいことでもないと思います。予納させる趣旨はよくわかっております。その趣旨に反しないでその実効が上れば、現金でなくてもいい。これは法律的に可能だと私は確信しております。従って、あなたの方も、かたい立場ではあろうけれども、少し融通性を持って——その融通性が脱線してはいかぬが、法規の許す範囲内における解釈でそういう方法がとれるというならば、とってもらいたい。とり得ると思います。研究して下さい。
  66. 横山利秋

    ○横山委員 もう少しです。東京でこういうことが行われています。月一回青少年シンフォニー・コンサートというのがある。それは外人が行なっておるそうでありまして、学童を、今月はこの学校、今月はあの学校というふうに巡回して、無料招待をしておるそうであります。これが第七条の入場料金を領収したとみなす、みなし課税に該当するというわけで、税務署との間にトラブルがあるそうであります。どうしてそういうことになるのか私にはわからないのでありますが、一つ説明を願いたいと思います。
  67. 北島武雄

    ○北島政府委員 ちょっと私実情を耳にいたしておりませんので、調べましてから次の機会にお答えいたします。
  68. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、モデルをこの青少年シンフォニー・コンサートにいたしますが、私の言いたいこと、このみなし課税についても非常に不可解な点が多いと思っております。そこで、この際、このモデルを中心にいたしまして、第七条の実際運用についてどういうふうに行われておるのか、二、三の例を次会に出していただきたいと思います。  合せて資料の要求をしておきます。料金別館数といいますか、映画館の料金別の館数、たとえばあそこの表にありますように、五十円までの料金は全国で何館ある、何館あるという館数。それから先ほど言いました税込み七十五円二十七銭と判断をしておりますが、入場税決定の参考になるこれらの数字を、いろいろあろうと思いますけれども一つ出していただきたいと思う。  それから、委員長に重ねてお願いをしたいのでありますが、この入場税につきましてはいろいろ問題がございますが、この入場税を下げるという根本の趣旨というものはどこにあるのか。翻って考えてみますると、日本の映画、外国の映画との関連性、あるいは映画館における長時間興行等、たくさんの問題が私は関連をすると思うわけであります。そうして、そういう点をも合せて考えなければ、ほんとうに入場税を軽減したいという私ども国会趣旨に沿わぬという感じがいたしますから、入場税の審議に際しましては参考人を呼んでいただいて、そして私どもがいろいろ考えております諸点について参考の意見を述べる機会を一ぺん考えていただきたい。これを要望いたしまして、私の入場税に関する質問はまた資料が出てからいたすことにして、きょうは一応これで終ることにいたします。
  69. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 平岡忠次郎君。
  70. 平岡忠次郎

    平岡委員 来週火曜日にぜひ上げてくれという三法案がありますので、そのうちの一つ酒税法、これの一部改正は尺貫法による計量単位がメートル法に変るということの当然の処置ですから、私どもも賛成をするつもりではおりますが、みりんの税率についての実質上の改変が意図されておるようで、何かちょっと見るとばかにややっこしいことが書いてあるのですが、これをわかりやすくちょっと説明しておいて下さい。     〔押谷委員長代理退席、早川委員長着席〕
  71. 原純夫

    原政府委員 今回本みりんの税率改正いたしたいということで御提案を申し上げております。これは、現在一石当り四万五百円メートル法に直して一キロリットルにいたしますと二十二万四千五百十二円になりますが、これを約三割七分軽減いたしまして、一キロリットル当り十四万円にしたいという趣旨改正案でございます。これを改正しようと思いました趣旨は、みりんの消費というものが、現在は御案内の通りお正月用のおとそに飲むというのがじかにみりんを飲む——一応そのままで飲むというもののケースはほとんどそのくらいのもので、あともちろんまれにはそのまま飲む人もいると思いますけれども、大部分は調味料に使われるということであります。その量の推定はなかなかむずかしいのですが、やはり一割と九割くらいではなかろうかという感じですね。そうしますと、そういう用途から考えると相当重いという御議論があるわけです。一方、しかし、やはりアルコールを含有しておる致酔飲料であることはまた間違いないことですから、酒税税率の体系からの要求というものもあるわけです。それで、調味料だからうんと下げてしまえ、味の素でも製造者価格の一割ではないかというような考え方だけではいかないということであります。そこで、今回考えましたのは、いろいろな角度からこれを検討いたしまして、やはり下げないわけにいくまい、下げるについてはどうしたらよろしいかというので、いろいろな角度からの計数をはじいてみたわけであります。一つには、みりんがあまり高いので、清酒を使う、そうしてお砂糖を入れて同じ効用を上げるというようなことをやっておられる向きがあります。そういう消費との比較ですね。つまり清酒の二級、これは石当り今二万五百円のものですが、これを使い、それに砂糖が加わる、そうすると砂糖には砂糖消費税が入っておる、そういうものの税金を全部合せてみたらどうだろうかというのも一つの見方でした。それから、第二の見方とりしては、ただいま申したように、酒税の体系の中で他の類似のものとの比較をしてみるというようなやり方もやってみました。それから、第三としては、酒税の体系における位置づけの検討の一つでありますけれども、まあ率直に申して、戦前におけるみりんの税率と現在の税率との位置を比較してみたわけです。戦前はお酒一般が一本の税率で、たしか石当り四十円だったと思いますが、みりんもそれと同じだったわけです。戦後になって、現在では今申すように清酒の中でも二級酒は二万五百円、特、一級はずっと高いですけれども、その中にあってみりんが四万五百円、二級酒の倍のところにあるというあたりは、やはり相当反省しなければいかぬのじゃないかと思ったわけです。これはやはり、みりんというものはお米を使う。で、戦中戦後を通じてお米が足らない。そこで配給割当で非常にそういう角度からの制約が多かった。そういう際には、やっぱりみりんというものが相当上等だということが響いて、現在の体系の中でついに二級酒の倍近いような形になっておる。その辺にひずみがありはせぬか。それでは、そのひずみを直す意味で、酒税税率が特、一級、二級全部を通じて戦前に対して何パーセント伸びているかという計算をいたしてみました。みりんをどの程度に置くべきかということは問題だけれども、一応戦前の四十円というものに物価の変動を加味して、酒の全体の伸びくらいのところというのが一つの目安だろうというような角度での検討もいたしました。これらの数字を出してみますと、大体石当りにして二万五千円前後のところにくるのです。そういう角度から、私どもとして、これは率直に申して非常にむずかしい判断だと思いましたが、できる限りのそういうような研究をいたしました結論として、石当りで二万五千円余り、キロリットルに直して十四万円というものを国会に御提案申し上げたわけであります。なお、付言いたしますが、みりんは、こういう税の重圧もあるせいだと思いますが、戦前の石数に比べまして現在は非常に減ってきており、戦前は年間に八、九万石出ておりましたが、現在ではその四分の一くらいというようなことになっております。
  72. 早川崇

    早川委員長 この際政府に御注意申し上げますが、最近政府提案法律案には非常にあやまちが多い。すでに今回の入場税、物品税、砂糖消費税、全部合せましても、これだけの正誤表を出されますと、一々われわれ法律案と照らし合さなければなりませんので、とうていその煩にたえません。いやしくも、国会提案される法律案は、よほど慎重に照合していただいて、あやまちのないように取り計らわれたいと思います。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることにし、これにて散会いたします。     午後零時四十二分散会