○酒井
政府委員 それでは
国際的な
関係を順序を追って
説明申し上げますと、御
承知のように、昨年の十月にインドのニューデリーで
IMF及び世銀の総会がございました。その席上において両者に増資をするという一般
方針が総務の間で認められました。しかして、どういうふうな割当でいくかという総務の決議をする原案、あるいは草案と申しますか、そういうものを
理事会で検討しろということで、
理事会に委任されたわけでございます。そこで、
理事会といたしましては、その後検討の結果、十二月十九日に
理事会としては一応の増資の草案を決定しまして、これを総務の投票に付するように勧告したわけでございます。その勧告は十二月二十二日に各国総務に送付されました。そして同月の二十九日にそのことが発表されたわけでございます。これの投票期限は今年の二月二日、この間の月曜日でありますが、こちらの日で申しますれば三日、火曜日でございます。そういうことでありまして、その後の連絡によりますと、ことしの一月三十一日に——これはまだ非公式でございますが、
日本から出ております
理事から電報がありまして、三十日の正午現在で
IMFは八〇%以上が賛成投票をした、それから世銀の方につきましても四分の三の多数の決議は得られたということを、向うから言って参ったわけであります。それが確認されましたので、これはそのための
措置を要するという事態が発生いたしたわけであります。投票の最終期限は二月二日でありますが、昨日になりまして公けに全部賛成であるという通知が参りましたので、そこで一応基金、世銀とも増資を決定したわけでございます。これからの
手続でございますが、世銀につきましては本年九月一日まで、それから
IMFにつきましては今年の九月十五日までに国内のあらゆる
措置を完了いたしまして、そうして
日本は同意をするという通知をしなければいけないことになっております。基金及び世銀の協定の第何条でありましたか、要するに五分の四の多数をもってきめる。ただし加盟国の同意を要する。加盟国というのは、
日本がやりました場合には、
日本自身がさらによろしいというふうに言わないと、
日本の増資は実現しない、そういう規定になっておりますので、その通告を世銀については九月一日まで、
IMFについては九月十五日までにしなければならない。その通告をいたします前には、債務負担行為でございますので、従って
国会の御承認を得なくちゃならない。それには、
補正予算、所要の
法律、そういうものをすっかり整備をして、そうしてそれに間に合せなくちゃいけない。現実の払い込みは、
IMFは十月十五日が払い込み期限になっております。それから世銀の方は十二月三十日ということになっておりますが、少くともその同意をいたします前提として、国内の
予算措置を必要とする、こういうことでございます。
なぜ緊急性があるかという御
質問だろうと思いますが、
日本は、実は、一昨年の総会で、基金が今のような規模では世界経済を安定させるのには足りぬのじゃないか、もう少し増資をしたらどうだという提案を一昨年はいたしております。去年も総会においてそういう話を出したわけであります。そういうわけでございまして、
IMF世銀というような
国際的な公的機関、しかもそれは
日本が
理事国として加盟しておりますが、そういうことにきまりました場合に、これをじんぜん日を延ばしているのは
国際的感覚からいってもいかがであろうかということであります。そこで
予算措置をいたしたのでありますが、当時はもうすでに本
予算はきまっておりまして、
あと財源をどうするかということになりまして、
日銀の保有金のうちまだ旧法によって低く
評価されております差額を
評価し直したらどうか。これは一応
評価をいたしまして、金を買って
IMF、世銀に
出資をいたしまして、たとえば
IMFにつきましては、いわば第二線準備といいますか、一昨年の基金に際しましても一億二千五百万ドルのドルの買い入れをいたしております。
出資と申しますか、割当額の半分まではいつでも貸してくれる。七五%までは貸してくれるわけでありますが、半分まではあまり文句を言わずに貸してくれるということであれば、第二線準備として
国際収支が変動する場合にはすぐそれを利用できるということでもって、
日銀が金を持っておることと実態はあまり変らぬというか、それの倍額借りられるということで、第二線準備で
日銀が持っておる金であろうが、
IMFに
出資した額であろうが、要するに
外貨準備の一部と
考えてよろしい。そうすれば国民経済に対してそれほど影響はないのではないかという意味で、財源を探し出したわけであります。ほかに適当な財源もございませんので、これをお願いし、そうしてまた、一方、
国会で御
審議中の現在の
接収貴金属の
処理法案が、私
どもは必ず今度は
成立していただけるという確信のもとに、あれが
成立いたしました場合は、
審議会にかけて諮問したい、そういう気持でおるわけであります。