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1959-02-06 第31回国会 衆議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月六日(金曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 早川  崇君    理事 足立 篤郎君 理事 綱島 正興君    理事 坊  秀男君 理事 山下 春江君    理事 石野 久男君 理事 佐藤觀次郎君    理事 平岡忠次郎君       荒木萬壽夫君    奧村又十郎君       鴨田 宗一君    夏堀源三郎君       西村 英一君    福永 一臣君       古川 丈吉君    細田 義安君       毛利 松平君    山本 勝市君       久保田鶴松君    田万 廣文君       竹谷源太郎君    廣瀬 勝邦君       松尾トシ子君    山下 榮二君       山花 秀雄君    山本 幸一君  出席政府委員         大蔵政務次官  山中 貞則君         大蔵事務官         (理財局長)  正示啓次郎君         大蔵事務官         (管財局長)  賀屋 正雄君         大蔵事務官         (為替局長)  酒井 俊彦君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局接収貴         金属監理官)  池中  弘君         大蔵事務官         (為替局総務課         長)      鈴木 秀雄君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 二月六日  委員綱島正興辞任につき、その補欠として加  藤高藏君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事福田一君同日理事辞任につき、その補欠と  して押谷富三君が理事に当選した。 同日  理事綱島正興君同日委員辞任につき、その補欠  として山下春江君が理事に当選した。     ————————————— 二月五日  砂糖関税及び消費税率引上げ反対に関する請願  (小林絹治紹介)(第九〇八号)  揮発油税等引上げ反対に関する請願外一件(町  村金五君紹介)(第九一〇号)  同(大西正道紹介)(第九四一号)  同(河上丈太郎紹介)(第九四二号)  同(五島虎雄紹介)(第九四三号)  同(佐々木良作紹介)(第九四四号)  同(田中武夫紹介)(第九四五号)  同(堀昌雄紹介)(第九四六号)  同(山中吾郎紹介)(第九四七号)  同(中村幸八君紹介)(第一〇五七号)  減税に関する請願河野正紹介)(第九四八  号)  多賀城町旧海軍工廠敷地の旧地主に対する返還  又は再補償等に関する請願外一件(佐々木更三  君紹介)(第九四九号)  映画の入場税減免に関する請願堀昌雄君紹  介)(第九五〇号)  高級織物物品税新設反対に関する請願(田村  元君紹介)(第九八四号)  同(藤本捨助君紹介)(第一〇五八号)  同(小林かなえ紹介)(第一一一三号)  同(中島茂喜紹介)(第一一一四号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第一一一五号)  同(濱田正信紹介)(第一一六号)  同(原彪紹介)(第一一一七号)  同(佐々木盛雄紹介)(第一一一八号)  輸入関税引上げ等に関する請願福永健司君紹  介)(第一〇〇四号)  たばこ小売手数料引上げに関する請願吉川久  衛君紹介)(第一〇五六号)  酒類の減税に関する請願川野芳滿紹介)(  第一一一二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  連合国財産返還等に伴う損失処理等に関す  る法律案内閣提出第九六号)  接収貴金属等処理に関する法律案内閣提出  第二五号)(予)      ————◇—————
  2. 早川崇

    早川委員長 これより会議を開きます。  連合国財産返還等に伴う損失処理等に関する法律案接収貴金属等処理に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑に入ります。質疑の通告があります。これを許します。佐藤觀次郎君。
  3. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 本日は大蔵大臣がおられませんから、そういう大蔵大臣の問題のことにつきましては問題を保留して、主として事務当局から、最近日銀アメリカから五千万ドルの金を購入したということがいわれておりますが、そのいきさつをここで説明していただきたいと思います。
  4. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 お答え申し上げます。  日本銀行が昨年末、十二月とことしの初めに五千万ドルの金を買いましたことは事実でございますが、それは、世界各国中央銀行と申しますか、そういったものが相当の金を持っておるということは事実でございまして、日本のみが非常に少いということもいかがと思われますところから金を買った、こういうことでございます。
  5. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 金準備の問題については、政府がどのような構想を持っておられるのか。この点について、今までと違った形が出てくれば問題になるので、一応そのいきさつ、あるいは政府計画、そういうことについてお伺いしたいと思います。
  6. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 計画と申しますような大きな意味のことではございませんで、外貨も逐次たまって参りましたので、日本銀行が持ちます外貨のうち、それをいかなる形で持っているかという問題でございままして、これを、ドルのみ持っておるということでなく、若干は金を持つ、こういうことで踏み切ったものでございます。
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それでは、これは外国の例でありますが、イギリスとか西ドイツのようないわゆる健全財政をやっているところにおいては、金準備はどのくらいの比率になっておるのか。それから現在の日銀金準備の状態はどうなっているのか。ここでその比較をして説明してもらいたい。
  8. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 現在、外国の例でございますが、これは、外貨準備といいますか、金為替準備という格好でIMF等に統計が出ておりますが、このうち、アメリカはもちろん一〇〇%金を持っております。カナダにつきましては外国為替準備のうち五六・八%、ベルギーが八六・一%、西独が四二・五%、いずれも金の比率でございます。それからイタリアが四一・一%、オランダが七一・三%、スイスが九四・一%、イギリスが八七・九%、インドが三五・一%、日本の場合におきますと、従来金属特別会計が戦後買いました二千三百万ドルというのがございます。これと今回の日銀の五千万ドル、足しますと一月末の外貨準備で八億六千八百万ドルのうち、ちょうど八・四%になるわけでございます。
  9. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そうすると、外国と比較して非常に金の比率が少いのですが、今後いろいろなことでこれをふやしていかれるのかどうか、その方針一つ聞かしていただきたい。
  10. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 今後の問題はもちろん外貨準備がどういうふうになるかということでございまして、そのうちどういう比率を金で持つかということになると思いますが、これについては慎重に検討していきたい、こういうふうに思っております。
  11. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 これは前々から問題になったのでありますが、今後接収貴金属の六十二トンを予算に組んでおるわけですが、これはまだ法案参議院審議中でありますし、しかも三年か四年前にこれは流れて、なかなか難航している法律であります。ところが、政府が勝手に——先回もこれは理財局長に追究したのですが、銀の問題のときにも、昨年当委員会で問題になりましたにもかかわらず、勝手に、補助貨幣に使ってしまった。政府のものなら法律によらずに何でもやってしまうのなら、これはもう国会無視ということになりまして、非常に遺憾だと思うのです。この点について、理財局長が来ておられますが、法律を作らずにどんどんどんどん政府が勝手なことをやるのなら、国会なんか要らない。大蔵省だけで勝手にやればいい。そういうことを無視しておやりになるのかどうか、こういう点について理財局長から説明をいただきたい。
  12. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先般、補助貨幣の材料といたしまして接収貴金属の中の銀を使用いたしましたときに、当委員会で御質問がございまして、政府としての考え方を申し上げたのでありますが、われわれといたしましては、むろん法律を出しております建前から申しまして、できる限りこの法律によりまして、いわゆる特別の処理をいたしたいという方針をとって参ったことは、御指摘の通りでございます。ただ、本来の所有権関係から申し上げますと、接収貴金属所有関係は、これは現在の民法その他の関係によりましても明確なところでございまするので、政府といたしまして、明らかにその所有に属し、また特定をしておるというふうなものにつきましては、これを処理する権限はあるという点につきましても、従来から法律論としてはさように御説明して参ったわけでございます。さような関係から先般銀を使用いたしましたが、これにつきましては法律的な見解をはっきりと申し上げたわけであります。今日接収貴金属処理法案を提出いたしまして、なお従来通りにできる限りこの法律のすみやかなる制定をお願いいたしまして、これによって正々として特別の処理を進めて参りたいという考え方に変りはございませんが、しかも、法律関係から申し上ぐれば、その中で特定のものにつきまして処理をする権限法律的にあることにつきましては、これは接収貴金属の中でさような関係にある金あるいは銀について同様の見解を持っており、また先例も、たとえばIMF出資等においてさような事例があるわけであります。その点については今申し上げたように考えておるわけであります。
  13. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 非常にむちゃな議論で、大蔵官僚の言いそうな発言でございまして、それならば何で法律を出すか。接収貴金属が勝手に使えるなら、何でこんな法律を出してわざわざ国会審議するかということになわけです。こういうような法律無視の精神が、これは岸内閣の大体の構造でありますので、事務当局に言っても悪いですけれども、一体政務次官はどういうふうにこれを考えておられるか。法律を出しておいて、その法律を無視して政府の勝手にやるということをやるならば、法律をなぜ出したのかという問題になるのですが、大蔵政務次官にそこのところを御説明いただきたい。
  14. 山中貞則

    山中政府委員 法律を出さざる前になぜこういう措置をするかということでございますが、これについては、これの法律をもちろんまた提出いたすわけでありますけれども、私どもといたしましては、接収貴金属のうち、はっきりとあらゆる証拠書類その他が法的に完備いたして、疑問の余地のない六十二トン分についての措置をいたしておるのでございまして、他にまだこの六十二トンを含めて総額といたしまして約八十五トンぐらいはあると思うのですが、そのうち確定したものだけについて実は措置しようとしておるわけでございます。ただ、しかし、一方においては非常に不運の星のもとに生まれた接収貴金属処理法案が、たびたび国会において、いろいろな外部的な理由その他によりまして、この法案の本来の責任でない理由等で流れて、今日に至っておりますので、その間この取扱いに苦慮いたしまして、先般の地金の銀の処理の際にも一部おしかりを受ける点があったでございますが、法的には何ら疑問のない処置とされるのでございますが、せっかく国会にそういうふうに提案をいたして審議を願っておりますものでありますだけに、私どもといたしましては、今後そういう疑問が生じないように、すみやかに、接収貴金属処理法案を今国会においてはぜひとも成立をさせていただきたい、そうしていろいろな議論の行われて参りましたこの貴金属論一般についてピリオドを打ってもらいたいということを念願しておる次第でございます。
  15. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 非常に詭弁的な意見でありまして、私は、この問題はまたあと佐藤大蔵大臣から説明を求めますが、当時、銀の地金のときにおきましても、民間から非常に非難がありました。一緒にやっておるものを政府のものだけは勝手に処理して、民間の方はどうしてくれるかという非難があったのです。こういう点について正示理財局長はどういうふうにお考えになるのか。一緒にやっておるものを、政府のものだけは勝手に処理する、民間のものはそのままになっておるような形であるのですが、こういう非難をどういうふうに受けるのか、これは片手落ちじゃないかという非難が出てくるわけですが、今回の大蔵省やり方は非常に理不尽なものであって、現に法律参議院審議中でありまして、これが通るか通らぬかということは今後の問題でありますけれども、しかし、政府のものは勝手に処理する、民間のものはどうでもいいというようなやり方は非常に片手落ちだと考えるのですが、そういう点についての正示局長の御意見を承わっておきたいと思います。
  16. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 先ほど政務次官あるいは理財局長から御答弁がありましたように、接収されました貴金属のうち、特定と申しますのは、あらゆる資料等を総合勘案いたしまして、これは確かにAならAの人が所有しておった金なり銀であるということがはっきりいたします分につきましては、もともと接収という行為は没収ではない、つまり所有権は被接収者にあるという法律的な見解をとっておりますので、そういったはっきりした接収貴金属につきましては、もとの所有者に返すことについては、何ら法律的には疑問がないということでございます。それで、政府の分につきまして、銀においてその例を見、また今回IMF出資のために、日本銀行所有しております金について一部その評価がえをしようということでございますが、政府の銀についてそのような措置をとったのであれば、民間所有しておる接収貴金属についても同じようなことがいえるではないか、この議論は確かにごもっともでございます。しかしながら、翻って考えてみますと、民間接収されました貴金属の中には、そういうふうに特定しておる、はっきりしておるものもありますれば、あるいは占領中に、A、B、Cといろんな人の所有権があります貴金属を溶解しあるいは混合して形を変えておるものもあるのでございまして、そういった形を変えておるものにつきましては、民法一般原則によりますと、関係者の非常に多いことでございますので、なかなか処理がしにくいというところから、例の接収貴金属の特別な処理の仕方を定めております法案を出しておるわけでございます。この法案通りません間に、特定しておる分だけを返しまして、そうでないものを返さないということでありますれば、人によって非常に不公平が生じます。そういった関係から、民間特定分だけを先に積極的に政府返還いたしますことは、行政上適当じゃないのではないか、こういう考えでございまして、民間の分につきましては、この接収貴金属処理法案通りましてから、統一的に、一緒にお返しするのが適当であるという考えのもとに、かりにこの返還の要求がありましても、お待ちいただく、こういうつもりにいたしておるわけであります。  なお、この接収貴金属処理法案によりますと、民間にお返しいたします分には一割の納付金をとることにいたしておるのは御承知通りでございますが、もし特定されますからといって、さきに、この法案成立前にお返しいたしますれば、これはとることはできなくなりまして、社会党のおっしゃっておられます点にも反するということもございますので、できるだけこれは法案成立してからお返しするということにいたしたいと考えておるわけであります。
  17. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 賀屋管財局長が認めておるように、非常にむずかしい問題があるわけです。そういう問題があるからこそ、法案を出して国会処理しようとされておるのに、いまだはっきり結論が出ていない先に、都合のいい問題は勝手に処理するというようなことは、あまりに片手落ちじゃないかということが言われるわけです。そういう点について、まだ法律案は今参議院審議中でありまして、これが通るか通らないかわからない。しかも、そういう場合にこういう評価がえをやって、政府だけが勝手にやるというようなことは、どう考えてもわれわれは納得いかない点があるわけです。これはわが党でもいろいろ問題がありまして、民間接収貴金属についてはいろいろ議論がありまして、それの法案がそう簡単に通るとは思われませんし、今までも、賀屋さん御存じのように、法案が絶えず足踏みをしておる。こういう事態を考えておれば、こういうふうな不的確な評価がえのような予算国際通貨基金の中に入れて処理するということは、もし万が一それが通らなかったような場合には、国際上非常に日本の信用がなくなる、こういう結果が出ると思うのです。こういう不的確な予算を計上して、そうして三十四年度補正予算に組んでおるのですが、非常にけしからぬ。しかも、こういう問題が、法案が通らなかった場合には、これは重大な問題になると思うのですが、何で政府はこのような不的確な予算をこの中へ入れてやるのか、それがわれわれに納得できないのですが、そういう点の納得できるだけの説明をしていただきたいと思います。
  18. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 今回のIMFの増資に伴います出資に充てるために、日本銀行所有の金を評価がえをいたしまして、それを特別納付金によって政府歳入としてこれを見込んでおるのでございます。今の御質問を伺っておりますと、その評価がえを今すぐいたすようにお考えになっているようでございますが、私どもは、あくまでも、この接収貴金属処理法案が今国会で通過いたしまして、それに基きまして金を日本銀行返還いたした後におきまして評価がえをする、こういう予定にいたしておるのでございまして、接収貴金属処理法案審議中において評価がえをするということではないのでございます。その点は一つ御了承をいただきたいと思うのでございます。  それでは、その接収貴金属処理法案がまた通過いたさなかった場合にはどういうことになるか、こういう御質問かと思うのでございますが、その場合におきましては、先ほど昨年行いました銀について申しましたように、国家の特別な緊急の必要性がある場合におきまして、所有権がはっきりといたしております分については、これを旧所有者返還するということは法律的には何ら差しつかえないのみならず、国家的な要請であるということから例外的な措置といたしまして、接収貴金属処理法という特別な法律がなくても、民法一般原則に従いまして日本銀行返還いたしまして、その上で評価がえをする、こういう考えにいたしておるのでございます。
  19. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 どうもやり方が勝手なやり方だと思うのです。法案が現在まだ審議中であることは賀屋さん御存じ通りです。これが通ったあとでやればいいが、通らぬ場合はどうするか。現にいろいろ民間からも問題があるし、特に久保田委員が、この接収貴金属については、昔から不当財産委員会で問題にしたし、今日まで引き続いて絶えず政府が出されるけれども、この法案が通らない。通らないのはむずかしい理由があるからです。そういうむずかしい理由があるのに、通るであろうということで予算考えることは、私どもどうも納得いかない点があるのです。的確なこういう理由がある、民間側にもこういうあれがあるという親切な態度がほしいと思う。御承知のように先回も流れて、現在また参議院先議審議中です。まだきまらない。初めてのことじゃない。何度も通らなかったものです。われわれどうも納得いかないし、政府のやっていることは法律無視の傾向があるように考えるのですが、こういう点、われわれが納得いくように説明していただきたい。
  20. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 同じことを繰り返すことになろうかと思いますが、政府予算を組みます際には、一応接収貴金属処理法案国会に提案することを前提といたしまして、その法案が通った暁におきまして、その法律に基いて処理をいたしまして、この歳入に組むということでございます。通らなかった場合においてどうするかということは、先ほど申し上げましたように、接収貴金属処理法案といえども特定物につきましては、特殊の必要があります場合には、国が独自の、大蔵大臣責任におきまして返還をするということは一向法律的には差しつかえない、こういう考えをとっておりますので、それに基きまして返還をいたしまして評価がえをする、こういう考えにいたしておるのでございます。  それでは、なぜこの特定物のようなものを法律に予定しておるか、接収貴金属処理法案特定物については全然対象外にしたらいいのではないか、こういう議論が次に出てくるかと思います。接収貴金属処理法案は、御承知のように、あの法律が施行される日に、現在政府が保管しております接収貴金属対象にしておるのでございまして、この中には、先ほど申しましたように、いろんな資料からはっきり特定されるものと、そうでないものと、いろいろまざっておるわけであります。接収占領軍いろいろ形を変えて、溶解したりなんかしておりまして、接収した当時のそのままの形で残っておりますものもありますれば、そうでなくて、いろいろ混合、溶解して一つのインゴットとなっているものもございます。そういったものを特別な規定によりまして処理をしようというのが、あの法律でございます。しかしながら、特定物については、国が勝手に使ったりあるいは民間に返すというようなことであれば、法律対象にしなくていいではないかという議論が出るのであります。特定するかどうかということは、もちろん今日ただいま特定するものもございますが、今日特定しておるものが特定物のすべてではないのであります。この辺はおわかりにくいかと思いますが、今日接収貴金属で私どもがお預かりしております中には、特定分がたくさんあるわけでございまして、ただいま問題になっております日本銀行の銀も特定するのでございます。しかしながら、特定する貴金属はそれのみではないのでございまして、本人からの申請をとり、それから今後いろいろな方面から資料を収集いたしまして、あるいはあの法律によりまして審議会を構成いたしまして、審議会委員の方々の御意見をいろいろ伺って、その上で特定するものもまた今後たくさん出てくるわけでございます。ある日時を限りまして特定物をはずした法律を作るということは、法律技術的に非常にむずかしいのでございまして、従いまして、現在の法律は、法律が施行される日現在貴金属特定しておろうが特定しておるまいが、全部対象とした、そういう法案の構成にならざるを得ないのであります。そこで、その法案が通らなかった場合においては、特定物につきましては、先ほど申しましたように民法一般原則からいって、好ましくないといえばいえるかもしれませんが、別に国家的に緊急な要請がある場合がございますれば、例外的な措置としてこれを処理しようというわけでございまして、法律的にはこれは問題がない措置でなかろうかと思うのであります。
  21. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 どうもわからないんです。あなたは勝手なことばかり言っている。国家的な緊急なことというのは、今度初めて予算に入れたものだから緊急だという。それでは、法律二つにして、民間の分と政府の分と別にして出せばよかったんです。今になって緊急というのは、予算に組むから緊急というのでしょう。そういう点どうもわれわれは納得がいかない。そういう勝手な解釈、今度予算に入れて国家的に緊急だということならば、なぜ五年前、十年前に入れなかったかという疑問が起きるわけです。そういうことが、政府民間に対しては勝手なことをするという一般民衆からの非難を受ける原因になるのだと思うのです。なぜ二つ法案を出さぬか。私たちとしてはその点が納得のいかない点なんです。
  22. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私が先ほどお答えいたしました点に少し不明確な点があったと思いますから、つけ加えさしていただきます。管財局長が申し上げておりますように、接収貴金属処理法というものは、新しい権利関係を作るものではない、権利関係は現在の法律ではっきりしておる、処理法というものは返還手続を定めるものである、こういうことをまず最初に申し上げなければならぬと思うのであります。  そこで、その手続に関連をいたしまして、先ほど管財局長からお話し申し上げましたように、事務管理の実費を国にいただくというような規定が、御承知のように入っているわけでございます。そういう関係で、返還手続に関連して法律をお定め願わなければなりませんので、民間の分はなかなか法律成立を待たずしてお返しするということはできない。しかしながら、国なり日本銀行の分につきましては、権利関係がはっきりいたしておりますから、万一法律が不成立になりましても、これは好ましいことではございませんが、やむを得ず処理する道はございます。こういう意味で不確定ではないということを申し上げたわけであります。ちょうど補助貨幣の材料に銀を使いましたことと同じでございます。
  23. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 今の正示君の話はまたあとにして、国家的な緊急性と言うが、賀屋さん、それなら前にも、当然、これはこういうふうに使うならば、五年前、十年前にも、あるいは七、八年前にも作れたはずです。今度予算に組んだから緊急性があると言うことは押しつけることだと思う。こういう点について、国家的緊急性というものは、去年おととしはそれがなかったかということになる。そういうふうにあとで理屈をつけることは、今度補正予算に組んだからこういう理屈をつけるということになると思うんですが、その点われわれの理解できるように説明していただきたい。
  24. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 例外的な処理として国家的な緊急の必要に基いて処理する場合には、あの法律によらなくてもいいということを申し上げましたが、御承知のように、接収貴金属処理法案は、一番最初出しましたのは十九国会でございまして、昭和二十九年でございます。それから今日まで成立を見ておらないのでございますが、その間におきましては、別段接収貴金属をどうしても用いなければならないというような必要性はなかったのでございます。昨年の通常国会で、接収貴金属が——それまでは大体継続審議になっておったのでございますが、昨年は、解散の関係もございまして、通常国会において廃案となりまして、法律の空白状態があったわけでございます。その間におきまして、ちょうど造幣局におきます貨幣鋳造用の銀が払底いたしまして、どうしても接収されておる、もともと国が持っております銀を使わざるを得ない、こういう緊急の要請があったわけでございまして、たまたま法律も継続審議にもなっておらないというときでございますので、先ほど来申しておりますような民法一般原則によって特定しております分を、国の所有に返したわけでございます。それを私は言っておるわけでございます。今度のIMF出資につきましても、手続が十月に行われるのですが、その点は為替局長が出ておられますので御質問願いたいと思いますが、今年の秋にどうしても払い込みをしなければならない、こういう要請があるわけでございまして、私どもはもちろん接収貴金属処理法案が今国会におきまして成立いたしますことを期待いたしておりますし、私どももその努力をいたしておりまして、この法案通りましたあとで、この法案に基く処理をいたしまして、評価がえをするということを予期はいたしておりますが、万が一にも通らなかった場合におきましては、やはりこれは、国際的な関係からいいましても、国家的にどうしても必要な処理といたしまして、これを日本銀行所有に返すという処理をせざるを得ないと存じておるわけでございます。そのことを申し上げておるわけでございます。
  25. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 相当無理なやり方だと思う。通らなければ勝手に処理して日銀に返す。通ればいいけれども、通らなければそれでやるということは法律無視だと思いますが、しかし、国際的緊急性、それについて、為替局長から、どういうわけでそうなったかということを、われわれの納得のいくように説明していただきたい。
  26. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 それでは国際的な関係を順序を追って説明申し上げますと、御承知のように、昨年の十月にインドのニューデリーでIMF及び世銀の総会がございました。その席上において両者に増資をするという一般方針が総務の間で認められました。しかして、どういうふうな割当でいくかという総務の決議をする原案、あるいは草案と申しますか、そういうものを理事会で検討しろということで、理事会に委任されたわけでございます。そこで、理事会といたしましては、その後検討の結果、十二月十九日に理事会としては一応の増資の草案を決定しまして、これを総務の投票に付するように勧告したわけでございます。その勧告は十二月二十二日に各国総務に送付されました。そして同月の二十九日にそのことが発表されたわけでございます。これの投票期限は今年の二月二日、この間の月曜日でありますが、こちらの日で申しますれば三日、火曜日でございます。そういうことでありまして、その後の連絡によりますと、ことしの一月三十一日に——これはまだ非公式でございますが、日本から出ております理事から電報がありまして、三十日の正午現在でIMFは八〇%以上が賛成投票をした、それから世銀の方につきましても四分の三の多数の決議は得られたということを、向うから言って参ったわけであります。それが確認されましたので、これはそのための措置を要するという事態が発生いたしたわけであります。投票の最終期限は二月二日でありますが、昨日になりまして公けに全部賛成であるという通知が参りましたので、そこで一応基金、世銀とも増資を決定したわけでございます。これからの手続でございますが、世銀につきましては本年九月一日まで、それからIMFにつきましては今年の九月十五日までに国内のあらゆる措置を完了いたしまして、そうして日本は同意をするという通知をしなければいけないことになっております。基金及び世銀の協定の第何条でありましたか、要するに五分の四の多数をもってきめる。ただし加盟国の同意を要する。加盟国というのは、日本がやりました場合には、日本自身がさらによろしいというふうに言わないと、日本の増資は実現しない、そういう規定になっておりますので、その通告を世銀については九月一日まで、IMFについては九月十五日までにしなければならない。その通告をいたします前には、債務負担行為でございますので、従って国会の御承認を得なくちゃならない。それには、補正予算、所要の法律、そういうものをすっかり整備をして、そうしてそれに間に合せなくちゃいけない。現実の払い込みは、IMFは十月十五日が払い込み期限になっております。それから世銀の方は十二月三十日ということになっておりますが、少くともその同意をいたします前提として、国内の予算措置を必要とする、こういうことでございます。  なぜ緊急性があるかという御質問だろうと思いますが、日本は、実は、一昨年の総会で、基金が今のような規模では世界経済を安定させるのには足りぬのじゃないか、もう少し増資をしたらどうだという提案を一昨年はいたしております。去年も総会においてそういう話を出したわけであります。そういうわけでございまして、IMF世銀というような国際的な公的機関、しかもそれは日本理事国として加盟しておりますが、そういうことにきまりました場合に、これをじんぜん日を延ばしているのは国際的感覚からいってもいかがであろうかということであります。そこで予算措置をいたしたのでありますが、当時はもうすでに本予算はきまっておりまして、あと財源をどうするかということになりまして、日銀の保有金のうちまだ旧法によって低く評価されております差額を評価し直したらどうか。これは一応評価をいたしまして、金を買ってIMF、世銀に出資をいたしまして、たとえばIMFにつきましては、いわば第二線準備といいますか、一昨年の基金に際しましても一億二千五百万ドルのドルの買い入れをいたしております。出資と申しますか、割当額の半分まではいつでも貸してくれる。七五%までは貸してくれるわけでありますが、半分まではあまり文句を言わずに貸してくれるということであれば、第二線準備として国際収支が変動する場合にはすぐそれを利用できるということでもって、日銀が金を持っておることと実態はあまり変らぬというか、それの倍額借りられるということで、第二線準備で日銀が持っておる金であろうが、IMF出資した額であろうが、要するに外貨準備の一部と考えてよろしい。そうすれば国民経済に対してそれほど影響はないのではないかという意味で、財源を探し出したわけであります。ほかに適当な財源もございませんので、これをお願いし、そうしてまた、一方、国会で御審議中の現在の接収貴金属処理法案が、私どもは必ず今度は成立していただけるという確信のもとに、あれが成立いたしました場合は、審議会にかけて諮問したい、そういう気持でおるわけであります。
  27. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 どうも為替局長の御答弁は緊急性がない。あなたの思いつきでやったように思うのですが、社会党にはなかなか強硬論者がおりまして、あなたが考えておるようにそう安直には通らないと思います。安直には通らないし、今まで二度も三度も流れたのですが、そういう点で説明納得できない点もあります。これは賀屋さんの責任ではありませんが、こういうようなむずかしい法律を出す前に、今日銀所有のものと民間所有しておるものを別個に法案を出せば、ある程度理解ができると思うのです。ところが、今日になって急に二、三日前に電報が来たからどうのという為替局長説明で、日本国際的な関係があるからということで出されることは、いろいろ大蔵省の解釈もあると思うのでありますが、われわれとしては、この接収貴金属の問題が長い間の問題になっておりまして、国家のやり方について民間が実際にいろいろな犠牲になっておる。それから、しかも、この接収貴金属の中には、的確に自分の個人の名前まで入っておるものがあるそうでありますが、そういうような問題とからんでいろいろな問題があると思う。それだから、そういうめんどうなことを処理しなければならぬような問題ならば、なぜ今日銀の持っておる金銀、そういうものを別個の形で法律で出すことができなかったかということを疑問に思うのですが、その点はどういういきさつになっておったのか、賀屋さんにちょっと説明をしていただきたいと思います。
  28. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 接収貴金属処理法案は今日御審議を願うことになっておりますが、最初に提案いたしましたときからずっと考え方を変えておりません。つまり法律的には接収ということは没収ではない。所有権はもとの所有権者に残っておるということでありますが、あの法律を出しましたゆえんは、接収というのが敗戦に伴う特殊のケースでございまして、しかも接収されました貴金属は膨大な数に上るし、関係者も非常に多い。戦後においてはとかくいろいろな風評も立っておった。こういうような問題でございまして、これを処理するにつきましては、一つはとにかく国会の御審議を経た法律によって処理するのが妥当ではなかろうか、こういう政治的理由からいたしまして、民間のものも政府のものも、あるいは特定しておるものも特定しておらないものも、すべてを対象といたしまして、事実関係その他につきまして、国会の御審議を十分経た法律によって処理するのが妥当ではないか、こういう考えであのような形の法案を出しておる次第であります。技術的に申し上げますれば、もちろん国のものと民間のものを切り離した法律を出すということも、理論的には可能でありましょう。また、特定物と非特定物とを分けまして、特定物民法の規定で法律が要らないというならば民法の方にまかせておいて、不特定物だけを対象とした法案を出したらいいというような議論も成り立ち得るわけでございますが、私どもは、先ほど申しましたような観点から、とにかくこれは一ぺん全部法律対象といたしまして統一的に処理したらいい、こういう考えでもってあのを法律を出しておるわけでございます。また政府民間の分を区別した法律を出すという考え方につきましては、先ほど来申し上げておりますように、政府の持っておりました、接収されました貴金属民間人の持っておりました分とが、占領軍接収中におきまして混合して形を変えておる、こういうようなものもあるわけでございまして、それを切り離して処理するということは困難でございますので、あの法律によりまして政府民間の分も統一的に処理する、こういうことになっておるわけでございます。それから、特定分と不特定分を分けて法律を出したらどうか。この議論につきましては、先ほど申し上げましたように、特定、不特定というのは結果的にわかることでございまして、もちろんある一時に特定しておるというものもあるわけでございますが、それのみに限らない。あとから、いろいろな資料によって、あるいは本人の申し立てによって特定するものもあるわけでございます。それをある一時の特定分を除いたものを対象にする法律も理論的にはどうかというようなことでございまして、私どもは、もちろん、この民法の規定からいって特に法律の規定が必要がない、そういったものでありましても、とにかく全部を対象にした法律案国会の御審議を経まして、通過いたしまして成立しました法律によりまして処理するのが一番妥当ではないか、こういう考えでおるわけであります。
  29. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 関連して。  補正予算の財源は日銀に保管の金地金評価益によるかなり無理な政府の提案の仕方なのですが、とどのつまり酒井さんのおっしゃる世銀とIMF、この二つへの出資のためにこんなことをしなければならぬ、こういうお答えでありましたが、私どもも世銀並びにIMFに対する出資の増額、この必要性は社会党としても認めます。しかし、必要性を認めるからといって、緊急性を直ちに認めるわけにいかぬ。あなたのお答えを聞きますと、出資の応諾の時期が世銀において九月一日、払い込みの期限が九月三十日、片やIMFにおきましては、応諾の時期が九月十五日まで、払い込みが十月十五日、こういうことでありまするから、なお八カ月あるわけですね。そこで、あなたの必要性を緊急性にすりかえている御回答に対しては、私どもは満足いたしておりません。もう一回緊急性の点を一つ説明をお願いしたい。
  30. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 繰り返しになって御了承いただけないかもしれませんが、さっき申しましたように、日本も加盟しておりまして、しかも日本はあのうちで順位からいえば相当上の方の大国になっております。これが同意した、それで各国とも全部同意の投票をしてきたという場合に、現在通常国会開会中でございます。これが五月初めまで会期がある国会でございます。従いまして、この国会におきまして日本はあらゆる準備を整えたということが、国際的な解釈からいってぜひ必要であるということでございます。なお、接収貴金属法律が私どもは今度は成立を見るように、皆さん方御協力いただけるものと思っておりますが、それを通じてやりますことになりますと、指定に若干の日にちもかかります。そういった意味で、要するに早く、もう世銀、IMFできまったことでございますから、しかも現在通常国会中であるという意味で、ぜひともこの国会で準備を整えておきたいというのが、私の申し上げる緊急性でございます。必要性と緊急性がおわかりにならぬとお話しになるかもしれませんが、私どもはそういう意味で緊急だと考えております。
  31. 山本幸一

    山本(幸)委員 ちょっと関連して。  酒井さんにちょっとお尋ねしますが、これはやはり重要な問題なんですよ。あなたの説によりますと、最終期日までにはそれぞれ八カ月近くある。あなたの気持はわかるのです。何とかして通常国会開会中に承認願いたいという気持はわかる。私どもも、今平岡理事が言ったように、この必要性は認めております。かりに必要性が認められても、今度の補正予算が、その手続に疑義がある、特に財政法上違法である、いや適法であるという議論が両党間で行われております。そこで、この補正予算予算委員会に付託せられたものを、わざわざ両党間の話し合いで一応取り消して、再び議長の手元に帰ってきておる。その意味で、昨日運営委員会で、この扱いについて適法であるかどうかということについて議論が盛んに行われて、いまだに保留になっておるのです。こういう事態であることは御承知だと思うのです。そこで、私が申し上げたいのは、要するに、あなたの方は、いずれにしても通常国会に通してもらいたいということなんでしょう。補正予算にしても、今の接収貴金属にしても、この通常国会を通ればいいということになれば、両党で財政法についての疑義があるような問題を無理してこれをおやりになると、国会運営上に重大な支障を来たして、そのことは国会運営上混乱を起すことになる。そこで、私は一体どこに緊急性があるのかと思うのです。何となれば、それは当初予算処理された後に補正予算を出されても、この国会中には政府、自民党の方に統一性と力があるならば通過できると思うのです。今のようなごたごたの内紛があれば別ですが、統一性と力があれば通過し得ると思うのです。従って、あなたの期待するようにそういう条件が整うならば、この国会を通ることになりますから、どこに緊急性があるかということです。その意味においても、緊急性はないですね。私ども百歩譲歩してやりましても、この国会を通るとするならば、十分に八ヵ月の期間のうちには、あなたの方の手続は間に合う。それはあなたの方では国際信義等のこともおっしゃるでしょう。あるいは同意を早くすることも必要だということもおっしゃるかもしれませんが、しかし、最長期間が九月一日、それから九月十五日に規定されておるのだから、できるだけ早いことには越したことはないけれども、いろいろな疑義のあるものを無理しておやりになって、そのことが障害になることの方がむしろ困難だと思うのです。従って、私は、すんなりと、いわゆる当初予算処理された後に手続しても結局間に合う。同時に手続しても間に合う。だとすれば、一つも緊急性はそこには発見されない。私はそういう一つの大きな疑問を持っておるのです。その点について、あなた、明確な答弁をして下さい。
  32. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 ただいま、IMF及び世銀に関する補正予算につきまして、いろいろ御意見のあることは、私も承知いたしております。これは私どもからお答えするのは適当でないと思いますが……。(山本(幸)委員「関連しておる」と呼ぶ)それは十分承知いたしております。ただ、この問題につきましては、IMF出資と同時に、日銀の金の再評価をやって、その再評価を国庫に納付せしめるという点につきましては、これはもちろん予算と非常に関連がございますが、十分な御審議をいただくために、ぜひともこの国会成立するというふうにお願いしたいために、できるだけ早く御審議に入っていただきたい、こういうことでございます。
  33. 山本幸一

    山本(幸)委員 いや、その気持はわかります。あなた方は当面の仕事をやっていらっしゃるのだし、また政府自民党はそれをカバーするための政党でもありますから、それは十分わかります。わかりますが、そのことは今直ちにもってやらなければならぬという緊急性はないということです。国会の運営に支障を来たすほどの重要な要素を乗り越えてまでの緊急性はないということを、あなたは確認されたわけですね。それだけでけっこうなんですよ。私どもは大いに協力する点はしますよ。それだけの緊急性はないということだけは、あなたは確認したわけですね。
  34. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 緊急性がないという確認をしたというふうに私の答弁をとられましては、はなはだ困りますが、予算の方も私は緊急性があると思っております。同時にこちらも緊急性があるので、ぜひ両方とも早期に御審議をいただきたい、こういうのが私の気持でございます。
  35. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一度賀屋さんにお尋ねしたいのですが、もしこの接収貴金属法案が通らない場合、これは仮定ですけれども、通らない場合がわかったら、どういうような心がまえで日銀評価がえをいつごろおやりになるのですか。
  36. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 今国会の会期のぎりぎりまで、私ども通るようにお願いいたすわけでございますが、会期が終了いたしまして通らなかったという事態が生じますれば、至急そこで手続をいたしまして、昨年銀を返しますときには、その道の専門家と申しますか、学識経験者あるいは法制局、会計検査院の方々もお集まりいただきまして、私どもの持っております資料を洗いざらい出しまして、まる一日かかってしさいに点検いたしまして、これは明らかに国が持っておったものだということの御確認を願って実施したのでございますが、今回もそういうような措置をとりますかどうかは、まだただいまのところは決定いたしておりませんが、それをするにいたしましても、できるだけ至急に資料を整えまして、場合によりましては閣議の決定を経て返還するという措置をとりたいと思いますので、払い込みの時期までには十分間に合うと思っております。
  37. 山中貞則

    山中政府委員 接収貴金属の権威久保田委員も控えておるようでありますから、あまりうるさくならないうちに、私の方で一応総括的な答弁をしておきたいと思います。  どうも、問答が、国家的な緊急牲という言葉などで非常にきびしくやりとりがされておりますが、そういうかた苦しい話でなくて、山があるから登るのだということのように、財源を求めた際に、大体こういうものはまとまった財源措置が必要でありますから、一応ただいまのような法的解釈等も成り立ち得る金というものを求めたということでございます。また、国会の意思、議決というものを軽視しておるのではないかという意見もありますが、逆に非常に重視いたしておりますから、こういうことをやっておるのであります。私どもといたしましては、国会がこうたびたび流産を続けては権威にも関しまするので、この国会あたりでは、接収貴金属法案というものが、公正なる論点の上に立って処理されることを信じ、そしてその処理されたあとの事態というものに立って、この法律案を出しておるわけでありまして、非常に国会に対して尊敬の意を払っておる取り扱いだと思うのでございます。  それから、昨日の議論とまた逆に、本日は予算措置が早かったのではないかという議論があるのであります。すなわち、あと数ヵ月を残して具体的に払い込みの時期がくるのであるから、予算措置は、今国会においても本予算参議院に行ったあと、あるいは成立の見通しがついたあと等の時期、もしくは次の臨時国会という話もありませんが、そういうあと措置等でよかったのではないかという議論もありますけれども、御承知のように、昨年の予算編成の際におきまして、ベトナム賠償のつけ落し等で非常におしかりをいただきまして苦悩いたしました経験もございますので、あつものにこりてなますを吹くわけじゃございませんが、手落ちのなからざるようにという念願が、なるべく早い機会に、しかも早い機会とは、予測し得る予算編成の材料ではございますが、対外的な国際機関に対する日本責任振込額の決定についてでありまするから、スケジュールにのっとりました理事会の投票が最終的に締め切られた日の直後ということで、最も早い時期という意味を込めまして御提出をしたのでございまして、もしこれを提出せずにおきますと、予測されるものをなぜ財政法にのっとって予算に組まないかというようなおしかりが逆にありますので、政府といたしましては、最大限の技術的な、そして良心的な努力の結果がこの措置であるとお考えをいただきたいと思います。
  38. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 山中政務次官はなかなか答弁がうまいので、口でだますのがうまいから、今の話についても了承はできませんけれども、この問題について私が申し上げたいのは、為替局長理財局長、その他管財局長もおられますが、大蔵省のこういう方々は、ややもすると、事務的なことに追われて、国会を無視してやるような傾向が間々ある。国会があるにもかかわらず、しかも国会の開会中に、ただ事務的な処理が必要だということで、勝手な解釈でどんどん無視してやられるということに対しては、十分に検討していただきたいと思います。こういうふうに考えておる。また、いずれ大蔵大臣が来られましてからいろいろ伺うつもりでありますが、そのことについては他日に残しまして、今日はそのことはこれで終ります。  もう一つ。これは賀屋さんに関係のある法律でありますが、今度連合国財産返還処理についていろいろの問題があるわけであります。その処理については、実は、私の方へ、早くやってくれというのと、こういうようなことをやっては困るというような、両方の強い陳情があるわけであります。この法律は、この間山中政務次官から簡単な説明を聞きましたけれども、どういういきさつがあるのか、私たちは台湾に行ったことはありませんが、台湾から帰ってきた人々の中には不幸な人もあり、また一部において銀行の方の方が非常にうまいことをやっておるんじゃないかという疑問もあるようであります。両方からの陳情を私は受けておりますので、この連合国財産返還処理についてのあなた方の心がまえを一つお知らせ願いたい。
  39. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 ただいま御審議を願っております連合国財産返還等に伺う損失処理等に関する法律案でございますが、この提案の理由説明につきましては、すでに本委員会において済んでおるわけでございまして、その中にも述べてあったと思うのでございますが、御承知のように、戦時中におきまして英、米、蘭等の当時の敵国人が持っておりました財産は、敵産管理法によりまして、日本政府の命令によりまして、敵産管理人がこれを管理いたしまして、そうして希望者がありました場合に、これを日本国民に売却という措置をとったのでございます。売却いたしましたときの代金は、これを横浜正金銀行に設けられておりました特殊財産管理勘定の中に入れまして、敵国人の名義でもって保存しておったのでございますが、戦争が終結いたしまして連合国占領軍が参りまして、その指令によりまして、元敵産管理人から買い受けた敵産の所有者は、もとの連合国人に返還をしろ、こういう命令が参りました。そこで、日本政府から命令をいたしまして、もとの連合国人に返還させたのでございます。その際に無償で返還させたかと申しますと、そうではないのでございまして、一番最初に敵産管理人から買いますときに払い込んだ代金が今のようにあるわけでありまして、その代金は別途返還を命ぜられた人に返したわけでございます。しかしながら、御承知のように敵産を買いましたのは戦時中で、十七、八年ごろでございますが、この返還を具体的にさせられましたのは、戦後二十三、四年から、おそいのは三十年ごろまでずっとあるわけでございます。その間におきまして、不動産その他一般の物価は非常な値上りをいたしておるのでございます。にもかかわりませず、先ほど申しましたように、財産は返した、そのかわりに受け取ったものは一番最初自分が買ったときの代金だけであるということで、その間に非常に損失が出ておるわけでございますので、その損失処理をどうするかということにつきましては、返還関係を規定いたしております政令が三本ございまして、一つは連会国財産の返還等に関する政令、それから株式についても同じようなことが起りまして、連合国財産である株式の回復に関する政令、もう一つは譲渡政令と申しまして、連合国財産上の家屋等の譲渡等に関する政令、この政令の中にそれぞれ損失処理あるいは損失の補償についてはあと法律を定める、こう書いてあるわけでございまして、法律を出すということをお約束しているという形になっておるのでございます。ところが、今日までこの政令が出ましたのは、返還政令は昭和二十六年、それから株式の回復政令は二十四年、譲渡政令は二十三年というふうに相当古いのでございますが、今日約十年をたちましてまだ法律が出ておらなかったのでございます。この法律が出なかった点につきましては、毎国会と、当大蔵委員会におきましても、ある委員の方から、怠慢ではないか、どうしてこの法律を早く出さないかという御質問をたびたび受けておったのでございますが、いろいろ政府において資料の検討ということもございましたし、また政治的には他の戦後処理に対する措置との関連ということもございまして、今日まで踏み切り得なかったのでございます。しかしながら、もうおおむね戦後処理も完了いたしまして、残されておるのは本件だけということになりましたので、このあたりで法律を出すのが適当ではなかろうかということで、今回法律案を提出したわけでございます。今のお話の中に賛否両論があると御指摘になりましたが、まさにその通りでございまして、考えようによっては、そういう敵産を買った人に対して今さら補償する必要はないではないかという議論をする方もございますし、なお、法律で今まで出すと約束をしておきながら今日まで出さなかった、不当に権利を侵害されてそのまま放置しておくのはけしからぬじゃないか、こういう議論も片一方では成り立つわけでございます。ことに、法律が具体的に財産を返しましたのは個々ばらばらの時期であるにもかかわらず、この損失の補償をあとから、今後この法律によって一気に追っかけて行う、こういう形でございますので、損害の処理損失の発生の時期の見方等につきましてもいろいろ困難な問題がございますが、私どもこの法案において考えておりますことは、他の戦後処理との関連等も十分考慮いたしまして、この程度の損失処理は、法律的に考えましても、あるいは政治的に考えましても、当然すべきことであり、かつ行き過ぎた補償でもないという観点でもって、この法案を出しておる次第でございます。     —————————————
  40. 早川崇

    早川委員長 それでは、質疑はこの程度にとどめ、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事であります福田一君より理事辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって許可するに決しました。  なおまた、理事である綱島正興君が本日委員辞任されましたので、ただいま理事辞任を許可いたしました。福田一君と計二名の理事が欠員となっております。  続いて理事補欠選任を行います。これは先例によって委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、それでは委員長において押谷富三君及び山下春江君をそれぞれ理事に指名いたしました。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時五分散会