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1959-03-04 第31回国会 衆議院 商工委員会小売商業特別措置法案外一件審査小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月四日(水曜日)     午前十時五十一分開議  出席小委員    小委員長 小平 久雄君       小川 平二君    岡本  茂君       中井 一夫君    中村 幸八君       前尾繁三郎君    大矢 省三君       勝澤 芳雄君    田中 武夫君       松平 忠久君    水谷長三郎君  出席政府委員         法制局参事官         (第三部長)  山内 一夫君         中小企業庁長官 岩武 照彦君  小委員外出席者         議     員 南  好雄君         検     事         (民事局第四課         長心得)    味村  治君         厚生事務官         (社会局生活課         長)      中村 一成君         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      富谷 彰介君         通商産業事務官         (中小企業庁指         導部長)    馬場 靖文君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月四日  小委員加藤鐐造君同日小委員辞任につき、その  補欠として大矢省三君が委員長の指名で小委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小売商業特別措置法案内閣提出第二一号)  商業調整法案水谷長三郎君外二十三名提出、  衆法第一三号)
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより小売商業特別措置法案外一件審査小委員会を開会いたします。  小売商業特別措置法案及び商業調整法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。  勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    勝澤委員 昨日に引き続きましてお伺いいたしたいと存じます。まず長官に、購買会生協というものについての認識がどらも今までの経過の中でも、言葉の上では違っているという発言をされておるのですが、法案に出ている状態を見てみますと、あるいはまた回答の中で問題点として出てくる状態を見ますと、どうも相違点というのを、中小企業庁長官として、あるいは通産省として、同じように見ているのじゃないだろうか、こういう感じを受けるのです。従来の質疑の過程の中で見ますと、購買会生協については本質的に違うというふうな御回答がなされておるのでありますが、法案自体考え方、感じ方というものは同一考え方をもって臨んでいるようであります。そこで長官答弁を見ましても、何かまだ購買会生協というものを同一視して、同一の中でこれを規制しようとしている、こういう点が見えるのであります。従ってこの際、私は特に購買会生協というものは違うのだということについて、もう少し長官認識をただしたいと思います。
  4. 岩武照彦

    岩武政府委員 購買会消費生協、これは申すまでもなく組織趣旨、それから実体、それに対する法律規制の仕方、これはもう異なっていることは御説の通りであります。その点はわれわれとしましても十分了解しているつもりであります。そういう意味内海委員の御質問に対しましても答弁したようなわけです。ただわれわれが申し上げたいのは、この法律では昨日も申し上げました通り小売商小売商でない小売行為を営むものとの間を調整しようというのが一つの大きなねらいであります。そうしますと、調整する問題点が一番起りますのは、やはり両組織から言いますれば、従業員にあらざる者、あるいは組合員でない者に対しまする販売ということが問題になってくるわけであります。そこでこの法律建前としましては、そういうふうに小売商業者影響を著しく及ぼすものについて調整するというのでございますから、その面から見ますれば、法律規制の仕方は同一になることじゃないかと思います。繰り返して申し上げまするが、両組織つまり購買会消費生活協同組合も、その中の組織員、つまり購買会で申しますれば従業者、あるいは消費生活協同組合で言いますれば組合員、これに物品供給しあるいは施設利用させるということが、あくまで両組織目的でございます。あるいはその組織ができている趣旨でございますから、従いまして、それをはずれました、いわばはみ出たところは小売商の方の利害の調節の面から言いますれば、これはこの法律としましては同様に扱っても別段不思議はないだろう、こういうふうに考えております。
  5. 勝澤芳雄

    勝澤委員 購買会でも生協でもないよらな安売りをやっている売店というものについては、どういうふうにお考えになっておるのですか。
  6. 岩武照彦

    岩武政府委員 これも前々来申し上げておりますが、消費生協にいたしますれば、やはりできるだけ付近の小売商との摩擦が少いという意味で、員内者に対しましても市価販売ということでその利益をむしろ組合員に還元する、つまり利用分量の配当ということがこの組織運営の本旨ではないかと考えております。それから購買会の方は、これは利益還元ということは組織の性質上とれませんから、むしろ現在のように経営者側がそれに要しますいろいろな人件費あるいは運搬、管理、保管等の費用を負担するということによって安くするのではなくて、いわば独立採算的に、そういうことの購買会事業を一括して原価的に計算をして、それによって供給するという立て方がほんとうだろうと思います。どうも両組織とも現在のところは、そういう趣旨から見ますと、ややはずれた運営が行われているかとも思われます。購買会につきでましても、そういうふうな独立採算的に運営するということで今後指導して参りたいと思っております。おそらく消費生協の方もそういう趣旨で指導されていると思っております。だからその点は、員内者に対する供給関係でも、そういうふうにして行われるのが望ましいだろうと思っておりますが、これはまたいろいろ再販売価格維持契約等によりまする商品等につきましては、普通の小売商市価より安くなるのは当然であります。そういう点は別段問題にしておりません。全体の運営の本質としては、そういうことが組織本来の目的ではないかと思っております。
  7. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今の私の質問がちょっとわかりにくかったと思うのですが、こういうことなんです。生協でやると、いろいろ法律的な規制があってめんどうだ、それだったら、生協でない売店を作ったらどうだという意見というものは必然的に出てくると思うのです。生協でないもの、購買会でないもの、町のまん中にどこかの株式会社のようなものを作って売ってもいいということになるわけですか。こんなに生協認可をとること自体が相当やかましい規定があって、がんじがらめにされ、半年一年たってようやく認可をもらい、そのしまいに生協法で縛り、小売商業特別措置法で縛り、そしてなおかつ間違いがあれば、きのうの質問じゃないですけれども、大へん重い罰を食う。そういうめんどうなものを作るよりも、同じシステム、同じような状態で現実に安く売れている状態があるのですから、結局そういうものを作ろうとしたならば、何も規制されることがないということになりやせぬでしょうか。そうすると、生協を縛ってはみたけれども、今度は生協なんというものよりも別の角度でこういう運動が伸びたら、その取締りというものはどういうようにお考えになっているのか、こういうことなんです。
  8. 岩武照彦

    岩武政府委員 私ちょっと御質問趣旨がくみ取りかねておるのでございますが、そういうふうに消費生協という法律上認められておる形をとらぬで、小売商が普通に物を売るということでありますれば、これは何ら規制の対象にならぬわけであります。しかし考えてみますと、消費生協経営者がそういうことをすることは考えられませんし、小売商が任意的にそういう行為をしますれば、これはどの法律で取り締るというわけにも参りませんので、放任されておるような状態でございます。
  9. 勝澤芳雄

    勝澤委員 実情にだいぶ暗いようであります。最近の生協の動きの中から新しい型というものが全国に出ておるのです。それは生協認可しなければならないほど、結局生協でない労働者の店といいますか、あるいはまた働く者の店といいますか、そういうものが出ておるのです。ですから、そういうものについては何も規制しようがありません。こういうことなんですね。
  10. 岩武照彦

    岩武政府委員 ちょっと私、実情に暗いもので、どういうことが行われておりますかわかりませんので、どうも御答弁しようもございません。
  11. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは農協水産協同組合、あるいは中小企業協同組合、こういうものについては員外利用が二割から五割認められておる、あるいは共済組合員外利用制限がない。これらはどういう根拠員外利用が認められたり、あるいは制限がなくなっておるのか、こういう点について一つ……。
  12. 岩武照彦

    岩武政府委員 農協あるいは水産関係協同組合、あるいは森林関係もそうだったと思いますが、員外利用が二割ないし五割認められております。これはいろいろ調べてみましたが、はっきりした根拠に基いてそういう割合がきめられておるものでもないようでございます。ただわれわれが推測いたしますに、農村なり漁村、山村等におきまして、組合供給すると同じような商品なりサービス供給する小売商あるいはサービス業等がほかに少ない場合がかなり考えられるのでございます。そういうときに、幸いにしてと申しますか、農協なりその他の協同組合施設があれば、これは利用さすのが本体じゃないかという趣旨からだろうと思います。それもいろいろ生活用品の問題もございましょうし、あるいは農林漁業用生産資材の問題もあろうと思います。なお商品販売だけでなくて、いろいろな施設利用という問題もあるようでございますが、これは山間僻地全部というわけではないかもしれませんけれども、要するに実際上の利便、それからまた、そういうことによって小売商なりサービス業者を別段圧迫するようなおそれもないようなことを予想しまして、そういう規定を作っているのだろう、こういうふうに考えております。
  13. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、農協やあるいは中小企業団体あるいは共済組合等が今日行なっているこの問題、員外利用というものが許されておっても小売商には影響がない、こういうふうな現況なんですね。
  14. 岩武照彦

    岩武政府委員 中小企業関係協同組合販売行為ではございません。共同施設利用行為でございます。中小企業協同組合は都市あるいは山村にもあるかもしれませんが、日用品とか生活用品といったものを扱っておりませんから、これはおもに共同施設利用でございます。物品販売というようなことはやっていないわけでございます。それから農協その他の協同組合の場合でございますが、これにつきまして実は員外利用をそういうふうに辞します結果、小売商摩擦が起る場合が観念的には考えられると思っております。そういう場合には、先日も御質問がございましたが、都道府県知事あっせん調停、つまり一般消費者に対してそういう行為をするということになりますので、弊害が起きればあっせん調停ということで処理したい、こういうふうに考えております。
  15. 勝澤芳雄

    勝澤委員 共済組合関係でも私は小売商影響を与えていないというふうに中小企業庁長官理解されていると思うのですが、その通りですか、農協あるいは中小企業協同組合水産協同組合、こういうようなものが、……。
  16. 岩武照彦

    岩武政府委員 比較的少いと思っております。ただ私就任しましてから、一、二東北地方農協小売商との摩擦が起っている例も聞いております。これは員外利用の結果であるか、あるいは員内者に対する関係でも、今まで扱ってなかったものを農協が扱うということの結果そういう問題を起したのか、はっきりせぬところもございますが、もしそれが員外者関係であれば、あっせん調停ということでいきたいと考えております。比較的少いとは存じますが、やはり全然員外利用によって小売商摩擦が起らないというふうには考えられません。
  17. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は員外利用を認めているのがけしからぬというふうなことでなくて、生協だけが員外利用を認められてないのは不合理ではないか、こういう立場でお話しているのですから、御理解願いたいと思います。  その点はあとにいたしまして、厚生省の課長に一つお尋ねいたしたいと思いますが、昔私たちが聞いたところでは、厚生省という省は、十分理解されないうちは圧制省だということがよく言われた。今日ではようやく厚生省の存在といいますか、厚生省がわれわれ弱い者の立場を守る役所であるという理解がされて参りました。従って、そういう理解の上に立って、これから私は特に弱い消費者団体である生協の問題を中心にお伺いいたしたいと思うのです。生協法については相当今まで実情に沿った改正が行われてきたようでありますが、やはり時代の進歩とともに、いろいろと生協法についても変えなければならぬ諸点が出てきたんじゃなかろうか、こういうように思うのです。その場合に、実際に仕事をやっている人たち意見というものを十分取り入れてこれを改正すべきじゃないだろうか、こういうふうに思うのですが、今厚生省として生協法改正についての御意見があれば、また生協側の方から、どういう点を改善してもらいたいという意見があれば、その点について御説明賜わりたいと思います。
  18. 中村一成

    中村説明員 厚生省といたしまして、生協法についての改正問題につきましては、本国会生協法の一部改正を提案いたすことにいたしまして、すでに閣議決定を見ておるのであります。これは生協が行います事業の中で、組合員生活共済をはかる事業があるのでございますが、この共済をはかる事業につきまして、生協法規定の中で整備する必要のある部分がございますので、その点を改正いたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。  それから、実際仕事をやっておる方々から生協法改正について意見を聞いておるかということでございますが、私どもの方でも、関係団体あるいは個々の組合からいろいろと御意見は承わっております。現在それらの団体等からの改正についての一番強い要望といたしましては、員外利用生協法では完全に制限をせられておるわけでございますけれども、それにつきまして、ほかの協同組合と同じように、もう少しゆるめてみてはどうかという意見であります。その他技術的な問題で御意見が出ておりますけれどもあとは技術的な問題かと思いますので、省略さしていただきます。
  19. 勝澤芳雄

    勝澤委員 二月六日の中小企業庁長官答弁あるいは昨年の十月二十三日本会議における厚生大臣答弁によりますと、購買会生協に順次切りかえていく方針ということを明確にされたようでありますが、具体的に厚生省としてはどのように指導されているでありましょうか。
  20. 中村一成

    中村説明員 消費生活協同組合と申しますのは、これは組合員の自発的な意思によって生まれてくるわけでございまして、政府として強制的に生協を作れというような態度で臨むべきものではないわけでございます。ただ、今回の小売商業特別措置法案につきまして、購買会に関して種々の御議論が本国会であったようでございますが、その場合、購買会については生協と全然性格を異にするものであり、生協につきましては、御承知の通り法律上のはっきりとした根拠があるわけであります。購買会につきましては、会社その他におきまして、いわば職員のための、従業員のための厚生活動としてやっておられるのであります。私どもとしましては、職域生協というものがございますので、そういうようなものが職域における消費生活協同組合として独立して、そうして生協法で定められました物資の供給であるとか、あるいは共同利用施設であるとか、共済事業というようなものを営めることがいいんじゃないか、こういうふうに考えております。ただ、具体的に、じゃ、どういうふうにして切りかえをやらせるかということにつきましては、これは私どもとしましては、各関係府県において生協のPRと申しますか、御認識を得るようにお話し合いを申し上げるという方法で、漸次進めていくべきものだと思っておる次第であります。
  21. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、大臣が御答弁になったように、購買会の本来の目的以外のものは生協に切りかえていくように積極的に指導しているということなんでしょうか。
  22. 中村一成

    中村説明員 厚生省といたしましては、消費生活協同組合が国民の生活の中において今後ますます発展していくことを願っておるものでございまして、そういうふうに指導をいたしております。従って、従来からあらゆる機会をとらえまして、消費生活協同組合が数の上においても発展をし、その内容も向上するように指導いたしておる次第であります。
  23. 勝澤芳雄

    勝澤委員 購買会というのは好ましくないという建前で、順次生協に切りかえていくという答弁がなされた、こういうように理解しておるのです。が、購買会生協に切りかえていくのだ、こういう立場なんでしょうか。
  24. 中村一成

    中村説明員 私ども購買会というやり方がいけないというふうには決して考えていないのでございます。そういうような購買会をやっておられるところのそれぞれの当局のお考えによってやっておられるのでありまして、それがいけないというわけではございませんが、ただ、そういうような場合に、職域消費生活協同組合という組織を作ることができる。それで、そういうふうな消費生活協同組合という形において運営されることが望ましい、こういうふうに考えておる次第であります。
  25. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ほかの協同組合には員外利用許可されておるにかかわらず、生協だけはどういうわけで許可されていないかという点について……。
  26. 中村一成

    中村説明員 他の協同組合法に関しましては責任ある御回答ができないのでございますが、消費生活協同組合法が他の協同組合法と建て方が違っておるところは、組合員になる資格の問題であろうかと思うのであります。たとえば農業協同組合がございますと、まず農民であるということが組合員になる条件であろうかと思われます。ところが、消費生活協同組合の場合におきましては、組合員資格といたしまして、一定の地域に住所を有する者、あるいはその職域になる組合につきましては、その一定職域に勤務する者という条件があります。それで、本人が希望いたしますれば、そういう職業上の区別なく、だれでも入れるわけです。農業協同組合の方で申しますと、農民でなければ入れない。ところが、ある農村なら農村におきまして、農民以外の方が、農民でないためにその施設利用することができないということでは不便があろうというので、そういう一種の職域的な協同組合においては、ある程度員外者利用は認めておるのではなかろうか、そういうふうに考える次第であります。
  27. 勝澤芳雄

    勝澤委員 諸外国の例を見てみますと、員外利用禁止制限をしているのはないように思うのであります。日本だけ員外利用生協の中で制限している、こういうように理解するのですが、厚生省としては外国状態についてどのように把握されておりますか。
  28. 中村一成

    中村説明員 ただいま諸外国制度につきまして的確な資料を持って参っておりませんが、最初に協同組合の発足しました英国等におきましては、協同組合運営をします場合、そのような法律的な規制制度的な規制がなくとも、おそらく協同組合としては、その組合員利便を第一に考えているではないかと思うのでございます。
  29. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私が調べたものによりますと、ILOの協同組合部国際協同組合同盟資料によっても、協同組合員外利用禁止制限している立法というのは外国には認められないのでありまして、日本だけが員外利用規制をしておる、こういうふうに私は理解をしております。そこで生協は、設立認可につきましてなかなか認可条件がやかましいようでありますが、最近の認可状態といいますか、認可申請を出してからどれくらいかかって今正式な御認可をなされておるか、そこら辺の点について……。
  30. 中村一成

    中村説明員 先ほどの御質問の中でも、生協認可につきまして非常に時間がかかるというようなお話があったようでございますけれども、私どもといたしましては、一般供給事業、あるいは利用事業を営みますところの生協につきましては、それほど時間はかかっていないんじゃないかと思います。ただ、どれくらい時間がかかっておるかというようなこつとにつきましては、ここに資料を持って参りませんので、よくわかりませんが、消費生活協同組合法の中で、設立に関しましては、実は行政庁を縛っておる規定があるのでございまして、設立申請がありました場合におきまして、特別な理由がない限り、しかもその理由というのが明記してあるわけでございますが、設立認可しなければならないというふうに書いてありまして、なお申請書を受理した日から二ヵ月以内に——一定の期間に行政庁の処分がなかったときには認可されたものとみなすというような規定もございまして、条件を備えておるものにつきまして、行政庁が自由にこれを押えるということができないようになっておる次第でございます。
  31. 勝澤芳雄

    勝澤委員 生協特別税金とか金融の面でめんどうを見てもらっている、こういうことがしばしば本委員会に出ておりますが、具体的に、どういう税がどのように特別な措置を受けられているかという点について御説明を承わりたいと思います。
  32. 中村一成

    中村説明員 生協に関しまして、第一は法人税と、それから地方税中の事業税等に関しまして一般法人税よりも五%税率が低くなっております。それから租税特別措置法によりまして法人税免除がございます。これは留保所得出資総額の四分の一に達しない組合、この場合は非課税、その他のものについては法人税免除される。それから印紙税、それから地方税中の不動産取得税等免除がございます。それから利用高に応じまして割り戻しいたしますところの剰余金につきましては、これを損金として落すことができるということでございます。
  33. 勝澤芳雄

    勝澤委員 国から生協に対する貸付制度があるようでありますが、それについてもいろいろと今まで答弁がなされているのであります。どうも毎年々々減っているようでありますが、これらの貸付金について今後ある程度プール的な計算をして、片方で縛るならば、やはり生協自体が十分成り立つような形というものを考えなければならぬと思いますけれども、その辺についてのお考えはいかがですか。
  34. 中村一成

    中村説明員 御指摘通りでございまして、消費生活協同組合資金貸付に関する法律という法律昭和二十八年にできまして、毎年貸付金予算が計上されておるのでございますけれども、これは年々減少をいたして参っておる次第でございます。この点は私どもとしましては、まことに申しわけなく存じておる次第でございます。それで、私どもとしましては、この貸付金に関する要望も非常に多くなって参りますし、また本日まで貸し付けましたところの資金は非常に有効に使われておるようでありますので、今後予算増額等につきまして努力いたしますし、一方またこの資金回転等につきまして、もっと有利にできるように制度につきまして検討をいたしておる次第でございます。
  35. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この貸付金プール制の問題だとか、あるいは労働金庫活用、あるいは厚生年金還元融資の適用、あるいは中小企業金融公庫等活用、こういう問題についても一つ十分な御考慮を賜わりたいと思います。
  36. 中村一成

    中村説明員 御指摘通りに今後とも努力いたします。
  37. 勝澤芳雄

    勝澤委員 生協法の十二条の三項で「組合は、組合員以外の者にその事業利用させることができない。但し、当該行政庁許可を得た場合は、この限りでない。こういうことになりまして、行政上の措置がここに出されておりますが、今日の員外利用許可基準につきましてはこのように現在も行われておるのですか。
  38. 中村一成

    中村説明員 この生協法第十二条第三項の規定に基きまして、私どもの方から員外利用許可する場合の基準昭和二十九年に都道府県に通達されておるのでございますが、非常に厳格なしぼりをいたしております。その後現在におきましても、この通達の通りに厳格に都道府県認可をいたしております。その関係で認められておるところの件数も非常に少いわけでございます。
  39. 勝澤芳雄

    勝澤委員 二月四日に岩武長官内海委員質問に対して、員外利用については現在厚生省で指導されておるような範囲のことであればやむを得ない、こういう御回答をなされておる。厚生省が今日行なっておるこの員外利用のやり方については、この程度ならばよろしい、こう回答されておるわけであります。ここでこの員外利用については許可を得なければいけない、こうなっておるわけであります。許可を得ない場合においてはこの百条におきまして、理事、監事あるいは清算人に罰金の行政罰があるわけでありますが、今日までこの規定に違反をして処罰された例がありましたら、具体的にどこでどういうことがあったかという点を御説明願いたいと思います。
  40. 中村一成

    中村説明員 今日まで十二条三項に関する違反のケースは聞いておりません。
  41. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、この生協法の十二条の三項は守られている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  42. 中村一成

    中村説明員 私どもとしましては、数年前言、二問題のことを承わったことはございますけれども、現在におきましては、消費生活協同組合は十二条三項の規定を順守しているものと考えております。
  43. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、先ほどの君武長官内海委員質問に対する答弁と、それから今課長の言われました生協法十二条三項は守られておる、こういう立場から言うならば、今回生協法員外利用に対して特に二重的な形で行政を行うということについての理解がわからないわけでありますが、どういうわけで——中小企業庁長官も今の取締りなら十分よろしいと言われておる、厚生省でも法律がこのまま守られているという御答弁があって、なおかつ小売商業特別措置法で二重のものを作るのだという点について一つわかりやすく御解明を賜わりたいと思います。
  44. 中村一成

    中村説明員 これは厚生省に対する御質問かと思われますのでお答えいたしますが、私どもは現在の消費生活協同組合法規定並びに厚生省の通達に従いまして運営される限りにおきましては、今回の小売商業特別措置法案第三条で規定せられるところと現実は変らないと考えます。ただ第三条の規定というのは、おそらく小売商業を保護するという立場から入念の規定として、こういう規定がなされたもの、こういうふうに解釈いたしております。
  45. 勝澤芳雄

    勝澤委員 小売商業を保護する立場で出されておるという言い方をされておるのですが、員外利用につきましては、ちゃんと許可を得なければできないということになっておるわけでありまして、この十二条で十分守られるというふうに厚生省としては理解をしているわけですね。
  46. 中村一成

    中村説明員 その通りでございまして、結果といたしまして、十二条第二項の規定並びに厚生省の通達に従って地方庁におきまして事務をいたします場合におきましては今回の法案の第三条で保護しようとするところの法益を守ることになるであろう、こういうふうに申し上げたわけであります。
  47. 勝澤芳雄

    勝澤委員 生協法で十分守られているというにかかわらず、小売商業特別措置法の第三条で同じことをきめなければならぬということについては、厚生省はどういうふうにお考えになっておりますか。
  48. 中村一成

    中村説明員 これは結果としては同じでありますが、小売商業の保護という面から、このことを別な言葉をもって書いたものと考えられます。
  49. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、生協法の十二条と小売商業特別措置法の三条とは同じだ、こういうことでございますか。
  50. 中村一成

    中村説明員 完全に同じという意味じゃございませんで、生協法の十二条でもって非常に厳格な員外利用許可をやっておるといたしました場合に、そういうふうな厳格な制限のもとに許可をされる場合においては、おそらくはその許可された場合に中小小売商事業活動に影響を及ぼし、その利益を著しく害するおそれがあるという場合には入らないであろうという意味でございまして、完全に同一だという意味ではないわけでございます。
  51. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、厚生省生協法を作っておって、この法律法律通り守られておるけれども、信用ならぬから、今度は通産省でこの小売商業特別措置法を作る、こういうふうに私は理解するのですが、厚生省がそう理解しないのは私はちょっと理解に苦しむのですけれども、その点ちょっと御説明を賜わりたい。
  52. 中村一成

    中村説明員 私どもといたしましては、この小売商業特別措置法案を作ることによって、消費生活協同組合に関しますところの厚生省行政が信用されていないというふうには解釈いたしませんで、たまたま中小小売商の保護のためにできますところの法案におきまして入念な規定が行われておる、こういうふうに解釈いたしております。
  53. 勝澤芳雄

    勝澤委員 入念な規定といっても、私は大へん厚生省は情ないと思うのです。先ほど私が言いましたように、厚生省というものは昔は圧制省だと言われておった。最近ようやく厚生省というのは、国民の特に埋もれた階層を守る省だと理解をされた。しかし厚生省が作っている生協法で十分守られるにかかわらず、通産省の行政の中でわざわざそれを二重に法律的に規制をしなければならぬ、こういうことは厚生省の言っておることは信用ならぬ、だから通雄省がやらなければならぬ、こういう裏書きだと私は思うのですが、もう少しはっきりした御答弁を賜わりたいと思います。厚生省にお尋ねいたします。
  54. 中村一成

    中村説明員 私どもといたしましては、先ほどから申し上げております通り消費生活協同組合につきましては、消費生活協同組合法に基きまして指導と監督をいたしておりまして、これにおきまして今回の法案で保護しようとする利益は十分保護されておるというふうに考えます。従って結果としては、今回の第三条の規定におきまして御迷惑をおかけすることはなかろうと考えております。
  55. 勝澤芳雄

    勝澤委員 結果としてという言われ方をしておるのですが、何も内容は違っていないじゃないか。員外利用はできないときめてあるのです。員外利用許可するときにはこうこうだ、こうなっておる。その条件が同じであるならば、まるきり同じだ。同じことを厚生省ができないから通産省でやるのだ、こういうように書かれてある法律ではないでしょうか。それについて圧制省でない、もう少し厚生省らしい回答一つ賜わりたいと思います。
  56. 中村一成

    中村説明員 厚生省消費生活協同組合法運営につきましては、もちろん消費生活協同組合法規定に従ってやっていくわけであります。その場合におきまして、たとえば十二条の第三項の解釈、指導というものは、組合員以外の者にこれを利用させることができないという制限がございまして、ただし許可を得た場合にはその限りでない。その許可の方針につきましても、十二条第三項のただし書きの前の本文の規定に従って非常に厳格なる指導をいたしております。ただ、しかしながら厳格に指導いたしますけれども小売商との関係がどうのこうのということは、厚生省としてはもちろん考えておりますけれども法律建前としては、小売商業を保護するということは、生協法では具体的には出てきていないわけでありまして、従って非常に強く制限するために、おそらくその強い制限の中から許されるというのは非常に狭い、狭い場合においては、おそらく中小小売商に御迷惑をかけない、結果としてそうなるだろうということでありまして、生協法として小売商業を保護せよということは、筋がやはり違うのではないかというように考えまして、今回の小売商業を保護する立場から書かれた規定につきましては、別に生協法の従来の方針と違うものでもございませんし、差しつかえないと思います。
  57. 勝澤芳雄

    勝澤委員 結論的に、中身は一緒だ、生協法でちゃんと締めてあるけれども、今度は小売商を保護する立場で同じことを書いたのだ、だからこの法律はあってもなくても同じだ、むしろ、これは見せかけで、小売商が何か言っておるからこれを作ってやれ、こういう立場で通産省がごまかしておる、私はこういう理解をするのですが、厚生省としてどうですか。
  58. 中村一成

    中村説明員 厚生省の見解といたしましては、今回の小売商業特別措置法規定は、小売商の活動を保護するために規定されているものというふうに考えております。
  59. 勝澤芳雄

    勝澤委員 厚生省で十分責任を持ってこれと同じことが出ておるにかかわらず、通産省と相談をしてきめなければならぬということは、どういうことなんでしょうか。
  60. 中村一成

    中村説明員 これは小売商業を保護する立場におきまして立案されている法律案でございまして、厚生省の方といたしましては、生協に関します規定が入って参ります関係で、もちろんこの法案につきまして提案者の一人となっておるわけでございますけれども、これはまた同じ政府部内でございましても、小売商を保護する立場におきまして立案されたものでございます。従ってわれわれとしては、そういう意味におきまして、同じ政府仕事の中のまた別な面におきます行政としてでございまして、別にこのために、厚生省あるいは生協のことにつきまして、影響を受けることはないと考えております。
  61. 勝澤芳雄

    勝澤委員 生協員外利用の問題についてはだいぶ明確になってきたと思うのです。そこで長官にお尋ねしたいのですが、長官はしばしば員外利用があって小売商影響を与えているということを発言されている。しかし答弁の中では、今日やられておる厚生省の取締りではやむを得ないであろうということを長官は言われている。今の厚生省答弁の中でも、員外利用について処罰したことはありません、具体的にはこの法律は守られていますということです。それは当然です。岸内閣が作った法律ですし、法律を守る守るといって作られたのですから、必ず守られていると思う。法律は守られている、員外利用はない、こう言っている。それをあなたは、員外利用があるから何とか規制しなければならぬ。大きく答弁が食い違っていると思うのです。あなた自体答弁の中でも食い違っている。この点についてこの法律を作らなければならなきに至った生協の実態について、もっと私は承わりたい。
  62. 岩武照彦

    岩武政府委員 消費生活協同組合法の施行、ことに員外利用の点につきまして、厚生省が十分厳重な監督を行われているということは、前々から申した通りでございます。ただ、いろいろ全国組織もございまするし、広うございまするから、厚生省のせっかくの指導監督が徹底していないうらみがあるのじゃないか、というふうにわれわれは考えておるわけでございます。その意味は、前回申し上げましたが、われわれの方にも参っておりまする報告等によりましても、員外利用許可を受けないで員外利用をやらしているというような報告が各地から参っておることは、前回御紹介した通りでございます。問題は、せっかくの厚生省本省の善意にかかわらず、末端におきましてこの善意が守られていないうらみがあるということが問題のところでございます。そこで、それを守られるようにしますことが、むしろ消費生活協同組合法の本質でもございますので、これを何でもかんでも守らすというよりは、むしろ問題になっておりまする小売商との紛争という点に焦点をしぼりまして、消費生協法をより完全に守らせ、施行されるようにしよう、そうして小売商との紛争を少くしようというのが、今度提案している法律案でございます。その点、何といいまするか、両方の法律自身もそう矛着したところもございませんし、また私と厚生省当局との答弁も食い違っておるようなことはないだろうと思っております。ただ問題は、府県でそういうことを取り上げて告発した例はございません。かなり事実はあるかとも思われますが、これはいろいろ行政の問題もございましょうから、ちょっとした違反で、すぐ問題にするというのは、行政の態度でもないかと思いますので、その点は先ほど生活課長が申し上げた通りであります。
  63. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、あなたの持っているその資料が全部でたらめだとは言いませんけれども、大へん不正確なものだというふうに思います。あなたの資料は現地でとられたのか、通産省が行って調べたものかどうか知りませんが、今までの説明の中でも、大へん不親切な、そして現状を理解していない、その上に立ってこの法律案が作られておると思う。たとえて申し上げますれば、神戸の勤労者生協員外利用の問題についてあなたは言われておりますが、私は員外利用は行われていないというふうに理解しておる。あなたの持ってきた資料はどこから出てきた資料か、それは想像の域を脱しませんけれども、私はそういうふうに思います。今のあなたのお話の中で大へん問題になるのは、員外利用許可を得ていないでやっておると言っているのです。生活課長は、この法律生協は守っておると言っているのです。ですから、守られておるということは、生協法通りに、許可を得ていないところは員外利用はやられていないと、私は法律通り解釈いたします。あなたは、厚生省が指導監督してうまくやっておる、法律通りにやられておるということを言っていながら、片方では、員外利用許可を得ていないで、員外利用をしておる。そこで次には何を言っているかというと、員外利用許可を得ていないでやっておるということで、全部取り締られようとしているのではないか。小売と問題になっているところだけを規制しようとしているんだ。そうすると、員外利用は小売と問題にならないところは全部やってもよろしい、こういうふうになると思うんですが、その点はどうですか。
  64. 岩武照彦

    岩武政府委員 私の立場は、中小企業者の立場を守るのでございますので、員外利用がほかの方と問題を起していないところは、これは私の方でとやかく申す筋はございませんし、この法律で取り上げることでもないかと思います。ただ員外利用は、多くの場合に小売商摩擦を起すことが過去の事実によって明らかでございます。その他の点で問題があるとしますれば、これは別の角度から必要とあれば規制すべきだろうと思います。
  65. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私はますますわからなくなったのですが、過去の例で、はっきりしておる。過去の例では、とにかくこの生協法の十二条が守られていなくて紛争が起きた、こうあなたは言われておる。厚生省の方は十二条は守られておりますと言っておる。大きな食い違いですよ、これは。あなたは、生協法は守られていませんと言われておる。その半面では、厚生省のやっておる監督指導はその程度はやむを得ません、こう言っているのです。これは大きな問題だと思う。この生協法の十二条の三項において、こういうふうに法律規制が行われておる。そしてそれはその通りに今規制をされておる。その上に立って——あなたは、この第三条は同じ立場でしょう。立場が違うといえば、ただ小売だけを考えただけなんです。厚生省は全体的なものを考えていっているのですから、厚生省の方が取締りはもっと厳重です。ですから、一部を取り上げて、あなたは小売商というものをこうやっておる。そうすると、今の法律で取締りが十分できておる。厚生省で厳重にがんじがらめにしておる。あなたの方も今度は同じことをやろうとしておる。これで生協員外利用の取締りができると思うのですか。
  66. 岩武照彦

    岩武政府委員 御質問趣旨がよくわかりかねますが……。
  67. 勝澤芳雄

    勝澤委員 わからなければ、もう一回説明しましょう。私の質問がわからないで答弁されても無意味ですから……。生協法の十二条で、員外利用というのはちゃんとできません、できるときは、ほんの例外です、といってきめてあるのです。そしてその例外についてちゃんときめてあります。今度はこの小売商業特別措置法では、一部分だけ、小売という立場についてだけ員外利用を取り締って、小売以外の問題については現実に員外利用という問題が起っても仕方がないとあなたは言われておりますが、これは別です。生協法員外利用をきっちり取締りをしているにかかわらず、その法律が守られているにかかわらず、なおかつ、ここでもう一つ小売商業特別措置法法律を作るということになれば、法律を二つ作ればあなたは取締りができると思っておるのですか、どうですか。
  68. 岩武照彦

    岩武政府委員 消費生活協同組合法の施行につきましては、ことに員外利用の面では、厚生当局が非常に厳重な指導監督を行われておる。これは先ほど来申し上げた通りでございます。ただ日本にはいろいろ組織もございまするし、広いことでございますから、末端におきましてはそれを徹底せぬうらみもあるということは、これまた事実でございます。前回私が各府県あるいは商工会議所の報告を読み上げましたのもその一例かと思います。従いまして、そういうふうになかなか中央の指導が十分に末端に徹底しないうらみもございまするし、しかも、その問題点が、やはり小売商という点との関係で紛争を起しておることが多いのでございますが、われわれ小売商業者を守る立場に置かれておりまする役所としましては、その点に焦点を合せまして、員外利用規制を行なった方がベターじゃないか、こういうふうに考えております。従ってこの法律規定は、消費生活協同組合法員外利用規制趣旨は同じであるのみならず、むしろ消費生協法の施行を容易ならしめるといいますか、適正に行わしめるというふうな使命も持っておるかと思っております。
  69. 勝澤芳雄

    勝澤委員 どうも大へん不満足で了解に苦しむのです。私は生協の問題は、生協法律があって、それについて生協許可をする場合いろいろなむずかしい問題があり、いろいろな取締りを行い、それはただ員外利用だけでなくて、もっと生協運営その他についても十分指導監督をしている厚生省があるわけです。あるいはまた生協なるがために援助と、いうこともあるわけです。ですから、そういうもの、あるいはそういうやり方だったら、貸付金を貸さぬぞとか、いろいろな行政の中で十分効果が上げられるわけなんです。十分効果が上げられるにかかわらず、それを通産省が、厚生省法律ではどうも心配だから、その上にかぶせてもう一つ法律を作れば、これで小売商が守られると考えているところに、中小企業庁長官として、ほんとうに小売商と、生協との摩擦を何とか調整しようとして考えているのかどうかという点について、私は疑問があるのです。こういう問題は、生協と小売業者と十分話をさせる、そして行き過ぎをためさせる。許可を得ていなければ当然行き過ぎなんですから、その間に立って厚生省あるいは県の民生労働部が十分これを調整をさせる。民生労働部がやろうとすれば、できるわけなんです。なぜできるかといえば、認可権あるいは指導監督権を持っているのですから。十分話し合いをさして規制をしていく、ルールを作っていく。またルールを作って今日まで努力をしてきたその成果が上ってきた、そして何も問題が起きていない、こうなってきているときに、法律だけを、また作る。どうもあなたは法律だけ作れば何でも守られる——それは今の自民党政府のやり方は、法律さえ作れば何でも守られると思っておるわけです。自分が法律を守っていなくて、法律さえ国民に押しつければ、守られるというように思っている本質的な間違いなんですけれども、しかし、せめて中小企業庁がほんとうの小売商の代弁者として、小売業者を守るんだという立場に立つならば、やはりその間に立って、話し合いを十分つけて、そして調整をしていく、法律でなくて話し合い、こういうふうになぜならないのでしょうか。だから、私はきのうから言っておりますが、この法律というものは生協を弾圧する以外に何も考えていない法律なんだ。中身は生協法できめたことと、この小売商業特別措置法できめておることは同じなんです。違うといえば、罰金の二重取り以外にないわけです。ですから、真にあなたが小売商立場を守るという立場考えるならば、法律規制よりも、現実に作られておる法律をもっと十分守り、効果が上るような手だてというものを今日までなぜやってこなかったのですか。その点について……。
  70. 岩武照彦

    岩武政府委員 厚生省法律、通産省の法律ということなんでございますが……。(勝澤委員「そうですよ」と呼ぶ)われわれ国会に出します法律は、国会を通過いたしますれば、これは国の法律になりますもので、決してどの省の立場で云々ということは考えておらないわけであります。(「小売商立場だ」と呼ぶ者あり)小売商立場ということは、前から申し上げておるわけでありますが、これは国の立場でありまして、厚生省といえども、もちろんこれは同感だろうと思います。  なぜ一体そういう紛争解決の具体的な手段をとらないかという御質問でございますが、これは申し上げるまでもなく、いつもこの例を出してはなはだ残念でございますけれども、例の米子の生協のごときはこれは商工会議所を中心に何回も話し合いということをやろうとしたわけでありますが、自分たちは商業者じゃないということで、その話に応じてこなかった事例、これは一番顕著でありますが、その他、府県あるいは会議所の報告を見ておりますと、その他にも若干交渉に応じてくれないとか、あるいは交渉をしておるが解決を見ない、あるいは申し入れたが返事をしないとかいうところがございます。実はこの法律も、ただこういうものを出しっぱなしで、しかも措置命令を出せば片づくというわけではございません。やはり現実的には県当局なりあるいはその他の人を仲介にしまして、具体的な話し合いが要るわけでございますが、そういうことも、ただ現在のままではなかなかむずかしかろうというのが、実は今までの各地の現況でございます。そこでわれわれとしましては、やはり消費生協員外利用というものは、小売に非常に影響を及ぼす場合があるのだ、だから、国としても、それが行き過ぎのようなことになる場合にはやはりある種の措置考えざるを得ないということの国の考え方をはっきりさせまして、そういうことで員外利用の問題を消費生協の方にももう一ぺん反省していただき、また周囲の小売商といたしましても、具体的に消費生協と十分な話し合いをするとかいうことが残るわけでございます。従ってこの法律はただがんじがらめに頭から命令を出して縛るというわけではございませんで、そういうふうな話し合いを進める一つの指針にもなるわけでございましょうし、また員外利用というものは、今までは消費生協法の考え方だけで見られておったわけでございいますが、これはやはり国としては、こういう面から見ることも必要だということを示します意味でも、この法律の意義は大いにあると思っております。
  71. 勝澤芳雄

    勝澤委員 員外利用ですが、消費生協立場でばかり見るのでなくて、小売商の立つ場で見るということも、また国の政策で当然だ、こう言われる。生協立場厚生省立場で十分今あなたの言われた小売商立場はこのやり方でできる、こう厚生省では言われておるのです。あなたもまたこれは納得されておるのです。言葉の表現が違っておるだけであって、何もこの三条と同じようなことを——この員外利用許可の場合においては、厚生省としては当然結果として同じになりますと、こう言っておる。ですから、何も本質的に違いはない、一体どこが違うのですか、その点からまず……。
  72. 岩武照彦

    岩武政府委員 厚生省の指導方針は、小売商保護ということも入っておると思いまするが、なかなかそれが末端に徹底していないということを前会来るる申し上げている次第でございます。一々のことは省略いたしますが、やはりこの法律を作りまして、員外利用規制の問題について小売商保護という見地を、入れることが必要だろう、ということを申し上げたわけであります。
  73. 勝澤芳雄

    勝澤委員 末端に徹底していないということは、末端に徹底していないから生協法が守られていない、こういうことなんですか。
  74. 岩武照彦

    岩武政府委員 守られていない場合もあるようでございますし、守られているけれども、それが行き過ぎているものもあるようであります。
  75. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大へんな問題だと思いますね。(「厚生省はどう言っている」と呼ぶ者あり)厚生省はさっきはっきりこの法律は守られていると言っている。あなたは守られていない、こう言っている。生協申請を出す場合に、厚生省はどういう手続によって許可をされているか、厚生省はどういう監督をやられているか、あなたは知っているか。大へん失礼な質問ですけれども生協はどういうふうにやられているかということ、厚生省の監督あるいは認可状態、これについてあなたの認識一つお伺いしたいと思う。
  76. 岩武照彦

    岩武政府委員 あまり他官庁のことを申し上げることもどうかと思いますし、私は具体的な手続内容、認可の方針等はそう詳しくは承知しておりません。ただ問題はやはり私たち消費生協の問題を法律の対象としましたことは、われわれの仕事関係が出てきたからであります。本来ならばあまり関係ないことではないかと思っておりますが、不幸にしまして、小売商との関係で、私たちの方が消費生協員外利用があるということを知ってきたわけでございます。これははなはだ残念でございますが、どうも事実でございます。やはりその仕事関係で調整して参ることが必要だろう、こう考えたわけであります。
  77. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は調整することについては何も反対しているのではないのです。法律が守られているか、いないかという立場で聞いてみますと、どうも大へんあいまいな形なんです。ですから、じゃあ、あなたは生協法という法律を知っているのですかと言えば、あまり、別の官庁だから、こういうことなんだ。とにかく生協申請して認可をとる、あるいはそれについての監督というものは実にやかましいものなんですよ。厚生省都道府県の監督を無視して生協をやろうたって、それはとうてい不可能なことなんです。そういうちゃんとしっかりした権限を持っているところがあるにかかわらず、横っちょの方からちょっと出てきて、通産省が同じことをやればできるということ自体がわからない。  そこで具体的な話を聞きますと、米子の例が問題になっているようであります。話し合いをやってみたけれども、話し合いがなかなかうまくいかない、そうすると、この小売商業特別措置法ができればうまくいくのですか、具体的に一つ説明願いたい。
  78. 岩武照彦

    岩武政府委員 米子の例は話し合いをするということに応じないわけであります。これは二度も三度も当りまして、県当局も仲に入っているようでありますが、話し合いに応じないというのが実態でございます。それからあとの方であげました例は話し合いに応じたけれども返事がないとか、話がつかないというのもかなりあるようであります。まだ何か話し合いに応じないというのもあったようでありますが、いろいろあるようであります。だからこれは私が考えますのに、消費生協員外利用というものはこういう問題があるのだ、国としてもそれを十分に憂えてこういう法律を作ったのだということが、はっきりすることがやはり必要だと思っております。消費生活協同組合法律上の存在であることは当然でありますが、それが無制限員外利用をするということがかりにあるといたしますれば、これはやはり法律の本質ではないぞ、ということをこの小売商業特別措置法ではっきりするわけであります。そういう意味で、この小売商業特別措置法消費生協に関する規定は、小売商保護の面のみならず、消費生協の員外活動という問題の解明につきましても必要なことだと考えております。
  79. 勝澤芳雄

    勝澤委員 長官、私はもっと具体的に聞いているのです。米子の問題は、話し合いをしようと思ったけれども話し合いができなかった。この法律ができたら話し合いができるのですか、どうですか。話し合いがつかないならばどういうやり方をするのですか。
  80. 岩武照彦

    岩武政府委員 この法律ができて話し合いがつくかどうか。これは私、具体的に米子の組合の責任者と話したわけでもございませんし、彼らの意図を知るわけでもありませんので、何とも申し上げかねますが、しかし必要なことは、要するに員外利用小売商と問題を起しているのだから、それを調整するのが国の意思だということをはっきりさせることが必要だと思っております。この米子の場合は、一ぺん員外利用許可を得てあとで取り消された組合でありますが、そういうことで、員外利用に対する国の考え方があるいは徹底しなかったのではないかという節もございますし、そこらあたりは、やはり国の方針としまして、この考え方をはっきりすることが必要だと考えております。
  81. 勝澤芳雄

    勝澤委員 こういういろいろな結果が出てきた、ここに原因があった、だから、この原因をこういうふうにすれば結果は直る、こういう立場でこの法律はできているのです。ですから、抽象的なことではなくて、米子の問題です。この法律ができたら、米子の問題はどういう解決ができるのですか、どういう効果があるのですか、もっと具体的に説明をしていただきたいと思う。そのためにこの三条、四条ができたのではないですか。
  82. 岩武照彦

    岩武政府委員 もちろん米子の組合のために作った法律ではございませんで、各地で先刻来申し上げましたような事態がございますので、この法律を作ることになったわけでございますが、米子の場合にこの法律ができたら、一体どうするのだというお話になりますと、これはいろいろ現地の知事の判断もあるだろうと思います。この法律に基いてすぐ措置命令を出すようなことをいたしますか、あるいは消費生協の幹部と十分に話し合いをして、員外利用について十分自省するように具体的な話し合いを進めますか、その辺はやはり現地の行政を預かります者で、具体的な事情に基いて処理するのが一番適当だと思っております。あまり中央から、ああせい、こうせい、この次はこういう段階だというようなことを府県の責任者に申すことは少し行き過ぎだと思っております。やはりこの法律の精神に基いて、具体的な事態を都道府県知事が解決するということが一番適切だろうと思っております。
  83. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたが都道府県を担当する場合に、この法律をどういうふうに適用されるのですか、こういうことなんです。もっと具体的に一つ……。
  84. 岩武照彦

    岩武政府委員 私が鳥取県の知事だったらどうするかというお話だと思いますが、その点私まだ事情がわかりませんので、何とも申し上げかねます。
  85. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、この法律がどういうふうに適用されて、どういう効果があるかということを見なければいけないと思うのです。今ちゃんと生協法という法律があるのです。そしてこの法律が守られている、こう言っている。しかし中小企業庁長官は、この法律が守られていないから、二重三重に作れば米子の問題は解決すると言う。だから具体的にどう解決するのかと言えば、その具体的な解決の方法を示さないじゃないですか。この法律の効果は一体どこにあるのですか。この三条、四条の効果を説明して下さい。
  86. 岩武照彦

    岩武政府委員 先ほど来申し上げましたように、員外利用を行わせないように具体的に組合と話すことも、場合によっては必要だろうと思います。そういう話し合いの足がかりにもなるわけでございます。あるいは組合員外利用をかたく禁じて行わせない、そのためにはこういうことをするということで、十分目的を達すると思いますが、この法律措置命令まで出す必要のない場合もあるだろうと思います。しかし、どうも組合側がそういう誠意のある態度を示さない、どうも員外利用が盛んに行われそうだ。付近の小売商からも盛んにそういうことを訴えてきておる、現に過去においてもあったようだということがありますれば、これはやはりこの措置命令を出す場合もあるだろうと思います。
  87. 勝澤芳雄

    勝澤委員 どうもあなたの話はよくわからないのですよ。(「質問者がどうかしているよ」と呼ぶ者あり)質問者がつどうかしているなら、一つ私はその人にあとでお尋ねしたいと思うのです。員外利用について問題が起きた場合には、都道府県知事が話し合いを、今の生協法の中でも十分できるわけですね。十分できて、それが守られない場合には、許可を得ていないのですから、当然生協法で同じ行政罰の処分というものがあるわけです。だから、ことさらこれを作って、うしろに同じものがあるのだという理解をしているだけなんです。だから、私は、今の法律の中で十分監督ができるにかかわらず、米子ができない、そのできないところは、この法律ができたからといって、話し合いというのはできないんですよ。今までの法律でやってきたけれども、できないといっているんですからね。この法律ができたときには、措置命令を出す。措置命令でできなければどうなるんだ。私は具体的にあなたがほんとうに小売商を守らなければならぬという立場考えるなら、どうするんだ、こういうことを聞いておる。あまり答弁を……。
  88. 岩武照彦

    岩武政府委員 その点はこういうことじゃないかと思います。現在の消費生協法のままですと、厚生省累次の通達もございますが、小売商保護という見地がそれほど強く出ておらないかと思います。その後厚生省におきましても、昭和三十一年の秋に、昨日申し上げました通牒を出しておるわけでございますが、これはまだ日浅くして徹底していないところもあるだろうと思います。そこで申しますことは現在の消費生協法の規定だけですと、中央官庁の非常な努力にかかわらず、やはり末端においてその指示が徹底していないんじゃないか。先ほど、来みたよらな、米子生協のごとき非協力的なことになることも考えられるわけであります。そこで国としては員外利用の問題については厚生省もはっきりしているんだ、この点を国が重要視しているんだということを、法律ではっきりいたしますれば、それはまた相手の消費生協の幹部も人間でございますから、なるほどそうか、今までは員外利用を一本で考えておったけれども、これはやはり小売商との摩擦もなるほど国としても十分に考えていることだから、それでは県との話し合いに応じようということもございましょうし、やはりそういうことで員外利用に対する国の考えがはっきりしますれば、消費生協側にもそういう反応もございましょうし、そこはやはり行政の問題だろうと思っております。なお、それで、いや、違う、員外利用はやはりやるべきだ、付近の小売商との摩擦なんか考える必要がないということであれば、残念ながらこの法律措置命令を出さざるを得ない、こういうことになるだろうと思います。やはりそういうことが行政の要諦でございまして、決して今までの消費生活協同組合法が悪いと申しませんけれども、やはり何ゆえに員外利用の問題が起るかという点が、現在の消費生協法でははっきりしていないのじゃないかということであります。それで、こういうふうな法律で、現下非常に問題になっております小売商との問題にこれがあるんだということをはっきりさすのが、やはり立法の任務だろうと思うのであります。
  89. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この法律の任務は、国が、小売商摩擦が起きた場合においては、員外利用というのはしちゃいかぬのだということを明白にさせる任務がある、こら言われておる。国の考え方というのは、生協法員外利用はできないとはっきりしている。国の考え方厚生省が声明しただけではいかぬから、通産省もやるんだ、こう言っている。そこで米子の場合、員外利用というようなものをなおやるべきだというのだったら、措置命令を出す。どうも私は、生協法という法律が守られていないということが——あなたは守られていると片一方で言いながら、守られていない、守られていないと言っている。三十一年の秋に通達を出したけれども、それがまだ徹底していないと言う。通産省の法律なら徹底するけれども厚生省法律なら徹底しない、こう言う。同じ国の法律で、二様の取扱いをしている。基本的なものの考え方というのは通達じゃ徹底しない。岸生省のこの法律じゃ徹底しない。小売商の特別措置法なら徹底する。その根拠一つ……。
  90. 岩武照彦

    岩武政府委員 通産省の法律厚生省法律じゃございませんで、やはりこれは国の法律でございますので、国として小売商の保護ということは大切だ、員外利用の問題はその点において問題を起すおそれがあるということがこの法律でございますから、別段あの法律じゃどうだ、この法律じゃどうだということじゃない。両法律一体となってこの消費生活協同組合の発展をはかり、小売商との摩擦を解消するということが、この両法律のねらいでございます。
  91. 勝澤芳雄

    勝澤委員 厚生省意見とそれから中小企業庁長官意見とは、だいぶ意見が相違していると思うのです。この相違点については委員長自体もよくおわかりになるだろうと思うのです。これは私は大へんな問題だと思うのです。  そこで、先ほどからだいぶ長官も疲れておるし、私の方で田中委員が来まして、ほかの問題で今すぐ質問したいと言っておりますから、私の質問はしばらく保留をして、発言を田中委員一つ譲りたいと思います。
  92. 小平久雄

    小平委員長 田中武夫君。
  93. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 先ほど来の勝津委員岩武長官との質疑応答を聞いており、なおかつ昨日私が質問した点等を考え合せまして、ますます疑問が深くなった、そこであらためて御質問いたしたい、このように思います。  先ほど来の勝澤委員との質疑応答を聞いておりますと、結局は、中小企業庁長官の言うところは、この法律で国の意思をはっきりさすんだ、それで話し合いができなければ四条の措置命令を出すんだ、こういうことです。ところが、第四条の措置命令の裏には、二十六条の罰則がある、こう考えてみた場合に、この法律目的は何かと勝津委員が尋ねておりましたが、私から答えるならば、二十六条によって過酷な過料を生協に課す、これが目的であるといわねばなりません。長官それをはっきり言いなさい。ということは、二十六条の規定に関連して、私きのう法制局第三部長にお尋ねいたしましたところ、四条のたとえば二号の措世令に違反した場合、一人の員外利用者に対して一件のいわゆる行政命令違反事項が起きる。百人の場合ならこれが百件になる。そうして最高二万円、こういう過料、たとえば百人の興外利用があった場合、そのつど百万円ずっとられる、こういうことです。しかも二十六条の規定を見ました場合に「命令に違反した組合の理事は、」とある。そうすると、理事は大体各生協におきまして十二、三名ないし二十名おる。そうなれば、四条二号の、たとえば利用券を持たない者に利用せしめた、こういうことで、すでに件最高一万円、これが十二人の理事あるいは二十人の理事にかかるわけだ。百人あれば千二百万円から二千万円とこうなるのです。これによっておどそうとしておる。これがこの法律目的である、こう言わねばなりませんが、第三部長、私のこの見解が間違っていますか。理事一人々々に対して同じ処罰が行われる、こういう見解なんですがね。
  94. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 純粋に法律的に申し上げれば、田中委員のおっしゃった通りになると思います。ただ、その過料は、現実の行政上の実際を見ても、あまり課せられた例はありません——というよりも、やはり行政罰でございますから、なるべく制裁を課さないで事柄を処理していくのが、私ども見ておって、各行政庁行政の実態だろうと思います。それと理屈は、先ほど申しましたように、田中委員がおっしゃった通りでございますが、この過料が非訟事件手続法で課せられました場合に、違反をずっとやった事態を見まして、そうしてこれを、かりにこの理事さんには過料を一万円なら一万円課すというふうに一度そこで決定をいたしますと、その決定をした理由書にあがりましたその事態といたしまして考えられた違反については、もう次にはその違反行為については重ねて過料を課せられるということは、これはございませんのです。消費生協なりこの小売商業特別措置法なり、保留的に御説明をつけ加えまするが、純粋に理論的にいえば、田中委員のおっしゃった通りになります。
  95. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 法制局に私は行政論を聞いておりません。法律論を伺えばけっこうなんです。今言われたように、各理事に対し一万円以下の過料が、一人々々に一件ごとに発生する、これが法律上の理論なんです。それは間違いありません。ところが、岩武長官にお伺いいたしますが、それならば、二十五条は、これは生協に対する規制、これに対する命令違反と同じ意味のことの購買会に対しての規定であります。ところが、購買会の場合には、業務を執行する役員となっておるのです。これはおそらく一名だろうと思います。業務を執行する役員、これは一名、あるいは二名かもわからぬが、全役員ではありません。ここにも、この過料の問題一つつかまえても、生協に対する扱い方と購買会に対する扱い方が違っておる。しかも、先ほど来勝澤委員が申し上げているように、一生協はその設立に当っては、厳格な審査を受け、今日ではそうたやすく認可せられないというのが実情であります。そのような強い認可手続を経て、しかも厚生省生活課長の御答弁によると、十分に指導監督がなされておる。そのような生協に対して、二十六条でいうように全理事に対して過料罰をかける。ところが一方においては、これは任意にできるわけなんです。しかも何ら今日まで法によるところの監督指導といったようなことはない、任意なものなんです。これに対しては、業務を執行する役員、こういうことで、業務を執行するという意味は、おそらく専務理事——理事という言葉を使うのか、購買会はどらか知りませんが、専務とか常務とかいう範囲に限られると思うのです。そうすれば、これは一、二名を出ないと思うのです。そうすると、この二十五条、二十六条の取扱い方は、生協購買会に対する取扱いが、罰則の点においても大きな違いがあり、先ほど来言っているように生協いじめの法案といわねばなりません。その点いかがでしょう。何ぼ首ひねってみても同じことですよ。
  96. 岩武照彦

    岩武政府委員 二十五条と二十六条、これは法人に対する罰則の規定でありまして、大体例文のような書き方かと思います。二十五条の場合にはこれは罰せられる相手方が少いが、二十六条は多くなる、これはちょっと私お話はどういう事柄かわかりませんが……。
  97. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 そうじゃないか、一方は業務を執行する役員じゃないか。業務を執行する理事となぜ書かない。
  98. 岩武照彦

    岩武政府委員 これは法律規定の書き方だと思いますから、法律の権威者が御答弁した方がいいと思いますので……。
  99. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 いや、僕が聞いておるのは、法律上の問題ではないのです。一方においては全理事に課するというような建前をとり、一方はなぜ業務を執行するというような限定を貫いたか。この考え方があなたの生協を見る目が間違っておる、こういうことを指摘しておるのですよ。
  100. 岩武照彦

    岩武政府委員 これは法律の響き方でございまするので、別段この辺で差別待遇をするようなけちなことは考えておりません。
  101. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 法律の書き方だと言うが、業務を執行する役員とあるなら、なぜ一方は業務を執行する理事というふうに書かないか。一方は法人にあっては業務を執行する役員、法人を代表するという見地に立つならば全理事ですよ。ところが一方においては、購買会が法人格を持ったものかどうかは別として、かりに法人格を持っているとすれば理事がおると思う。その場合は理事全体とは書いていないのですよ。業務を執行する役員とだけなっておるのですよ。購買会の場合には業務を執行する役員だけに罰則をかけて、生協の場合は常務理事以外の理事全体にもこれを及ぼそうとしておるところに、私は、これは考え方が違う、差別待遇をしておる、それ自体裏を返せば、先ほど来言っているように、この法律目的生協いじめのものであるといわねばならぬ、こう言っておるのです。
  102. 岩武照彦

    岩武政府委員 両方の場合とも過料を課せられる理事は、やはり業務を執行する理事あるいは役員だろうと思います。その辺は同じ事犯について組合の理事を三人も五人も罰するということはないと思います。その辺は私はよくわかりませんが、私は法律上の書き方だろうと思いますので、法制局から御答弁をした方がいいと思いますから……。
  103. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 それでは法人登記の場合に定款の記載事項、登記事項の変更を生じた場合、二週間以内に登記せよということがあるのです、これを怠った場合には理事に過料を課すという規定がある。この場合は全理事にいっておるわけでありますけれども、その事実を知っておりますか。この事実をわからなくて、なぜこんな法律を作ったのか。
  104. 岩武照彦

    岩武政府委員 今の法律上の慣例ですから……。
  105. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 そんな認識のないことをしてもらっては困る。
  106. 小平久雄

    小平委員長 第三部長の話を聞いてから長官から聞きましょう。
  107. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 それはあとで聞く。今の点で全理事にいかないという点だよ。現にやっているのだよ。登記義務違反の場合過料だ、それは全理事にきておりますよ。いかがですか。(「全理事にいっていない」と呼ぶ者あり)ちゃんときているよ。(「実例をしたまえ」と呼ぶ者あり)ああ出してやるよ。
  108. 小平久雄

    小平委員長 お静かに願います。第三部長……。
  109. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 第三部長でなしに、企業庁長官の話を聞いてから第三部長に聞く。
  110. 岩武照彦

    岩武政府委員 そういうこまかい法律上の実務を知らない人に聞きますよりも、法律の専門家に聞いた方が的確だと思いますから……。
  111. 小平久雄

    小平委員長 田中君、ちょっと一回専門のあれを聞いてみたらどうですか。わからない者に聞いたってしようがないから、そうして下さいよ。
  112. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 わからないことを言うから聞いているのだ。
  113. 小平久雄

    小平委員長 あと幾らでも許しますから……。
  114. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 二十五条の法人にあっては業務を執行する役員という、このものが二十六条にいうところの組合の理事——組合の理事というのは業務を執行する。消費生活協同組合にあっては、業務を執行する役員が理事であるという考え方で私どもは書きましたので、この二十五条と二十六条との間を差別する意思は私ども毛頭ございませんです。
  115. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 しかし、なぜそれでは業務を執行する理事とか、組合を代表する理事とかいう書き方をしないか。これならば、法律的にあなたがどんなに言おうと、全理事に及ぶことは当然ですよ。法制局がそういう政治的な答弁をしてはいかぬですよ。あなたは法律的に答弁をしなさい。
  116. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 組合の理事は執行権を持っている役員だというふうに私考えておりますから、同じことだと思っております。
  117. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 理事は執行権を持っている。法人体の理事は全員執行権を持っているんですよ。そうでしょう。いかがですか。
  118. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 ここで先ほど申し上げましたのは、二十六条の命令に違反した役員、理事が罰則にかかるのでありまして、確かに先ほど全員とは申し上げました。それはこの命令に違反する理事がすべてであれば、当然そうなるということを申し上げたのであります。たとえば会計をやっているところの理事があるといたしますれば、これがこの命令に違反した場合に、それが全部かかるというふうには私は申し上げなかったつもりでございます。
  119. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 命令に違反した組合の理事ですよ。命令に違反するということは、これは理事個人に対して四条の処分命令は出ないんでしょう。措置命令は組合に対して出るんですよ。そうすると、その組合が違反しておるとすれば、理事全員ですよ。
  120. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 そういう御質問でございましたか。それは「命令に違反した組合の、理事」とお読みいただかないで、「命令に違反した、組合の理事」と詰めて読み取っていただきたいと思います。と申しますのは、この命令というのは確かに組合が受けることでございます。それですから、田中委員のように、受けた組合の理事と、こういうふうにお読みになるのは、ある意味ではうなずけないことは、ないのでございまするが……。     〔「違う」、「違うなら違うでいい。そんなことを君が言うなら、討論をやろうじゃないか」と呼ぶ者あり〕
  121. 小平久雄

    小平委員長 私語を禁じます。
  122. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 そういうふうにお読みいただきたいと思います。それで、私の前の説明がほんとうに悪かったと存じまするが、法人であるところの組合が罰則を受ける場合と違いまりして、機関が受けまする場合には、その機関が当然そういう職責にあった場合において受けるというふうに考えるわけでございます。そうでないと、連座罪的な——しいて申しますれば、憲法に相いれないような事態がそこに生じまするので、私どもはそういう場合には常に当該の職質にある理事に罰則がかかる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  123. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 専門家に対してちょっと理屈を言うようですが、法律的に人とは自然人と法人なんだ。法人そのものにも自由刑とか、そういったもの以外のこういう過料罰は課せられるわけですよ。そうでしょう。そうしたら、そういう趣旨なら、なぜその組合自体、法人に課するというふうに持っていかないのか。これを理事とした場合は、十人おれば十人、二十人おれば二十人という目的なんだ、私はこう言っておる。そうきめてあるわけだ。この法律は何といったってそう読まざるを得ないですよ。いかがですか。もしそれ一つだけ違反したものというなら、これは自由刑の場合は法人に対しては課せられないから、法人の代表権を持つ自然人に課する。しかしながら、こういう罰金刑とか、科料刑、財産刑は法人そのものに課せられるわけですよ。その点いかがですか。
  124. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 確かにそういう田中委員のおっしゃるようなお考え方はあると思います。それで、普通はこういう場合におきましては、両罰規定と申しまして、法人と理事にかける例がむしろ多いのでございますが、産業組合法以来、現行法で申しますと、協同組合は大体におきまして両罰規定をとりませんので、大体理事にかけておるのがほとんどの例でございます。そういうような立法の例をずっと刑事局も主張いたしまして、これはほかのこういった種類の立法例にならいまして、理事だけを対象にするというふうに私ども刑事局とも打ち合せをいたしたのでございます。この場合において、法人にだけかけるという考え方も確かにございまするが、今申しました立法政策上、今までの立法の例との均衡から申しまして、私どもこういうふうにいたしたのでございます。この場合には、先ほど申しましたように、当該の職責にある理事にかかると思います。(「その理事は一人ですか、十五人ですか」と呼ぶ者あり)それが一人か、二人かというの、そこで共同的に責任を持つ場合には二人になりますし、三人になる場合もありますし、あるいは営業所なんかを手分けで持っていれば、当該の経営の理事にかかりますし、数はその具体的な場合に応じて対象になる、こういうふうに私ども思っております。
  125. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 法の規定の均衡上ということですが、私は均衡を失しておると思うので、ここで言っておるのです。近来のということを言われますが、たとえば労働基準法違反事項に対して罰則規定がありますね。その場合は、財産罰はその会社自体にかける、そうしてそれが懲役とか自由刑になった場合、会社にかわって使用者の立場で命令した者に課するという書き方になっておるわけです。そういうふうな場合とこれとではだいぶ書き方が違うじゃないですか。いかがですか。
  126. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 おっしゃるように、労働基準法あたりの罰則とはこれは確かに違いますが、こういった協同組合の方の側は大体こういうふうになっております。なぜその組合にかけないかというのは、私もまだよく詰めて考えておりませんので、よくわかりませんけれども、結局組合が一種の制裁の主体になるという場合には、組合の財産からお金を取るということになると思うのでございますが、その組合の財産というものは、どうも組合全体の共有物であるというような感覚がやはり残っていて、それで協同組合のそういった財的の基礎を免税措置やなんかで強化をしているというところから、さらに税金を取るということはいかがかというふうに思われて、法人である組合からお金を取らないという思想に出ているんじゃないかと私は一応思っております。ただ、それは推測でございますから、もう少しそこらのところはよく調べてみたいと思いますが、例としては、ほかの方が大体そういうふうになっておるということで、それにならったのでございます。
  127. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 さっき言ったように、四条の措置命令は法人たる組合に出されるんですよ。組合行政命令に違反した、これによって課す場合に、その組合の理事に課すと、こうなっておる。いわゆる生協の執行権は理事の合同体なんです。そうするなら全員だ。二十五条の場合は、いわゆる購買会でも法人格を持っておる。そんならやはり理事がおるわけです。そんなら法人にあってはその理事というようになぜ書かなかったか。「業務を執行する役員」となっておる。そんならこちらも業務を執行する理事となぜしなかったかという点なんです。私が言うておるのは、これだけを読みますれば、一方は十二人ないし二十人おれば、それに全部課せられるというのだが、先ほど中井弁護士からそういう事実はないと言われる。事実がないというんなら、私の方からも事実を出しましょう。先ほど例をあげました登記義務違反の場合その理事全体にきたのがあります。こういう点がはっきりしない限り、この法律は今後審議を進めることはできません。——それじゃ一ぺん法務省を呼んで下さい。そんな事実があるかないか、一ぺん調べてみます。われわれはそれまでこの審議に応ずることはできません。
  128. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 法人になぜ課さなかったかと言われると、私は今まで申したことを繰り返して申し上げる以外にないわけでございますから、これは蛇足になるので申し上げませんが、組合の理事が罰せられる場合には、法人に命令が出ておるのにかかわらず、その機関に対して、罰則がかかるというのは、両罰規定その他に幾らも例があることでありますから、非常にとっぴの立法であるというふうには私どもは思っておりません。
  129. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 そういうことがないと、中小企業庁長官もおっしゃり、権威ある中井弁護士がおっしゃるなら、それがはっきりするまで質問をやらぬ。——休憩を要求します。
  130. 中井一夫

    ○中井(一)小委員 議事進行について。ただいま田中委員から私の名をさして御発言がありましたので、議事進行に関する意見として申し上げたいと思います。法人の理事全体に対して処罰があったと言われるのでありますが、私どもはそういう事実はないと考えておるのであります。従って、そういう事実があると言われる田中委員の手元においてその事実をお知りになった上でなくては、そういう御発言はあるべきではないと思うのであります。しかるに、みずからその実例をお持ちにならずに、刑事局長を呼んで、あるかないかをお聞きになると言われるならば、ただいまの御発言は、はっきりした事実を持たずにあると言われたと思わざるを得ぬのでありまして、はなはだ遺憾に存じます。この点をはっきり、私は田中君の御意見というものは、みずから主張しながら、その事実に基かずして主張し、問題になって初めてあるかないかを他人から聞くのだ、はなはだ遺憾な御発言だということだけは明らかにしておきます。
  131. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 海員組合生活協同組合で登記義務違反に対する過料が理事全員にきたという事実があります。
  132. 小平久雄

    小平委員長 暫時休憩いたします。     午後零時四十三分休憩      ————◇—————     午後二時十五分開議
  133. 小平久雄

    小平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  休憩前の質疑を続行いたします。田中武夫君。
  134. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 休憩前の私の質問に関連いたしまして、中井小委員から生活協同組合の登記事項に変更を生じたときに三週間以内に届けろという、このことを怠ったということで、各理事に過料が課せられた、こういう事実がある、こう申し上げたところが、そういう事実は一件もない、また中小企業庁長官答弁もそういう全員に課せられた事実はない、こういうことでございました。そこで今私の手元にあるだけの、全員に課せられた事実について申し上げます。  まず第一は、全日本海員組合生活協同組合に対する問題であります。生協法違反事件により宮城県塩竈の法務局より海員生協塩竈支部理事十七人に一人五百円ずつの過料を全員に課せられた事実があります。これは事件番号は三十七年ホ第四号です。  次に、同じく全日本海員生協に対しまして登記事項遅滞事件により理事全員に過料、この過料は理事が全国におりますので、おもしろい結果になっております。それぞれ地域的な管轄の所管によりまして、その罰金が違っております。同じ事案に対しまして、九州若松では五千円、横須賀では二千円、東京では千円、大体、平均二千円を全理事が過料に処せられております。事件番号は二十八年ホ第二十六号であります。  次に、中井委員もよく御承知の兵庫県の灘生活協同組合の事件でございます。これは三十二年三月一日、年度末決算において二週間以内に出資口数の変更登記をすべきところ、これがおくれたために理事全員が五百円の過料に処せられて、神戸在住者はその後申請をして不処分になったが、大阪は不処分にならず、全部五百円ずっとられております。  それからこれも同じく灘生協の事件ですが、三十二年十一月に理事の一名が死亡いたしまして、期末に届を怠ったために三十三年六月に届をしたところ、三十三年八月ごろ理事全員が各千円の過料に処せられております。  兵庫県の生活協同組合連合会の事件、これは三十二年五月三十日役員を変更して、その届出が職員の交代により二カ月おくれたところ、理事全員が五百円の過料に処せられております。  なお、ここに全日本海員消費生活協同組合の理事全体に課せられました決定書がありますので、一応読み上げてみたいと思います。  昭和二八年(ホ)第五号     決 定   横須賀市大津一三四六番地の二〇        被審人 青木  敏   横浜市港北区大熊町五五一番地        被審人 中山 唯男  右の者に対する昭和二八年(ホ)第五号消費生活協同組合法違反事件について、当裁判所は当事者の陳述を聴き検察官の意見を求めた上、次の通り決定する。     主 文  被審人等を各過料金弐千円に処する。  本件手続費用は被審人の負担とする。理由は省略いたしましょう。   昭和二十九年十月二日      横浜地方裁判所民事第二部        裁判官 荒木 大任 という決定書が出ております。何でしたら委員長のもとべ提出いたしますが、この通り一人々々に出ておりますので、あとで記録にとどめっておいていただきたいと思います。  さらに二十七年(ホ)第十一号事件、これも同じです。全員に来ております。  今申し上げましたように、先ほど来の御意見によって、事実があるならば示せというので、その事実の五つばかりを示したわけでございます。必要であるならば、その裁判記録もこうして持っております。従って、何なら委員長のもとへ提出をいたしまして、記録にとどめていただきたい、このようにも考えます。  さて、そこで先ほどの質問に戻りますが、中井委員はそういう事実はない、こういうことをおっしゃいました。これは委員間のことでございまして委員会質問じゃございませんが、議事進行ということで発言を求められました午前中のあのお言葉は取り消しを願いたい、このように考えます。委員長、お取り計らいを願います。
  135. 小平久雄

    小平委員長 中井委員、どうなさいますか。
  136. 中井一夫

    ○中井(一)小委員 田中委員の御主張は、理事全体に対して過料が課された事実があると言われるのであります。理事全体というところに特に留意されんことを望みます。従ってそういう事実を主張せられるならば、その事実の証拠をお持ちにならなければならぬ。それがなくてはそういう主張はできぬはずだ。それだから、そういう主張をせられるならば、これを主張せられる田中委員みずからが、その事実を明らかにすることのできる証拠をお出しになればたくさんなのです。それを、その問題に関係のない、いわば第三者ともいうべき刑事局長あるいは民事局長、そういう者をお呼びになっても、それは無意味ではないか。あたかも私の行くところはどこですかと他人に尋ねるのと同じことなのです。私は、そういう意味において、刑事局長を呼ばれることの理由のなきこと、その必要なきことを申し上げるために申し上げたのでありまして、まさに議事進行に関する当然の発言だと信じます。従って、何らこれを取り消す必要はございません。なお田中委員が御提出になりましたものにつきましては、果して田中委員が言われる通りのことを立証し得るに足るべきものであるかどうか、ただいま初めてお出しになったのでありますから、拝見いたしました後に、私のこれに対する意見はあらためて申し上げる機会を得たい、こう思います。特に申し上げますが、田中委員の御発言は、過料を理事全体に課したる事実ありと言われたのであります。従ってその場合におきましても、果して言われるところの協同組合の理事は何人あったのか、そうして現に処罰せられたりという理事は、そのうちの何人なのか、さような、一事実につき全員に対して処罰をするなどというようなことは、われわれの法律常識では考えられぬことであります。必ずその間に、何らかの誤まり、考え違いがおありに相違ないと思うのであります。あるいは二人あるいは三人、それらの者は、特にその職務を執行するに当って共犯の関係で、一人だけ罰してやむことができないというので、三人全体にその責任をとらせた、こういうことはあり得るでしょう。しかしその職務に直接関係のない、先ほど法制局の方のお話のあったような方面の、全然職務に直接関係しない会計理事、そんな者までやられるなどということはあり得べきことではないのでありまして、むしろそういう事実があれば、それはそういう処罰をしたることが大へんなあやまちだと言わなければならぬのであります。そういう意味において、刑事局長または民事局長等を呼ばれることは無意味だ、こういう意味における私の議事進行についての発言でございますから、私は当然のことと考えます。取り消す必要はございません。
  137. 小平久雄

    小平委員長 中井委員の御意見はお聞き及びの通りであります。田中武夫君。
  138. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 私はそういう事実をただいま示しました、それに関連して法務省関係の方にそのことをお尋ねしたいので、私は当然委員会へ出席を求めてしかるべきものだと思います。  なお中井委員のただいまの御発言に関しましては、私は同先輩の面目もあるだろうから、あえて取り消しということにはこだおりませんが、しかしただいま申しました、たとえば昭和二七年(ホ)第四号事件、この宮城県塩竈法務局の決定ですが、先ほど申しましたように理事十七人に対し一人五百円ずつ全員に来ております。何でしたら一応委員会を休憩にしていただきまして、ここに登記簿がありますから、登記事実に基く理事と判決に出ている理事、これを御対照いただいてけっこうかと思います。
  139. 小平久雄

    小平委員長 それは本案の審議と直接関係ないことですから……。民事局長は病気中で、第四課長が来ております。田中君御要求の方が政府当局から来ておりますから、どうぞ御質問なさって下さい。
  140. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 それでは今の問題につきましては、後ほど休憩のときに懇談会等で十分話せば、わからぬようなお方でないと思いますから、保留しましょう。  さて法務局から来ていただいておりますから、ちょっとお伺いしますが、大体今の質疑応答で、来ていただいた理由はおわかりと思いますが、問題は今当小委員会において審議をいたしております政府提出小売商業特別措置法案の第三十六条の罰則に関連してであります。「第四条の規定による命令に違反した組合の理事は、一万円以下の過料に処する。」こういう規定があります。これは四条の措置命令に違反した組合の理事には一万円以下の過料に処するという規定でございます。この理事という点は生協の理事全員が一つのいわゆる合議体で、そして各自が代表執行権を持っている。そこで一つの違反事項があれば、この全員が一万円以下の過料に処せられるであろう、こう申しまして、その例としてただいま申しました登記事項の延滞事件について今まで二、三申しましたような合理王事がその過料に処せられた事実を示しておるわけなんです。ところが政府委員中小企業庁長官ないし自民党の先輩の御意見ではそういう事実がない、そういうことがあったら示せ、こういうことだった。今申しましたような決定書全文を委員長の手元まで出しましたが、今申しましたようなことのほかにも私はあると思うのですが、大体こういう事件に対して全員を過料に処したというような事実は、ほかにもあると思いますが、いかがでしょう。
  141. 味村治

    ○味村説明員 実はお示しのような事件につきまして、理事全員を過料に処したかどうかという点につきまして、実は私ども資料を持っておりませんので、的確なお答えをいたしかねるわけでございます。ただいまお示しになりましたように、確かに記録に基いてそういう事実があるのであれば、これは確かに法律上あり得るということは消費生活協同組合法規定の上から明らかであると考えます。と申しますのは、消費生活協同組合法の第八十五条は変更の事実があれば、その変更の登記を理事がしなければならないということになっております。この場合には理事全員が登記義務があるわけでございます。理事のうちのだれかが登記義務があるのではなしに、理事の全員があるわけでございます。従いまして義務がある人が怠っておれば、それについて全員が怠っておるわけでございますから、全員について過料が課せられることは法律上当然であると考えます。
  142. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 私の主張をお認めになったと思うのです。だがまだ疑問を持っておられる方もあるようですから資料を要求いたしますから、先ほど申しました宮城県塩竈法務局の昭和二十七年(ホ)第四号、この事件、それから先ほど私が読みました横浜地方裁判所の民事第二部の昭和二十八年間第五号、この事件、この二つぐらいでいいと思います。それから昭和二十八年(ホ)第六号、この三つについて一つ裁判記録といいますか、決定の記録を調べていただきたいと思います。よろしいですか。全員にいっておるかいっておらぬかということを、まだ疑問を持たれているようですから、それを一つ資料として出していただきたい。
  143. 味村治

    ○味村説明員 これは私の方で調べて資料として出せ、こういう御趣旨でございますか。
  144. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 そうです。それともこれは高等裁判所の関係になるなら、そちらに来てもらいますか。
  145. 味村治

    ○味村説明員 これは裁判所の関係でございますので、過料の通知は登記所ではいたしますけれども、これは裁判所の職権の発動をうながすだけでございまして、過料に処するのは裁判所になっております。
  146. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 だから三つ言いましたうちの宮城県の塩竈法務局のものは法務省関係ですね。
  147. 味村治

    ○味村説明員 これは通知をいたしまして、すべて裁判所で過料を課するわけでございます。ただ通知だけを登記所がいたすわけでございます。それで過料と申しますものはすべてこれは職権でやる、裁判所が職権で調べて職権で課するというのが建前になっておるのであります。ただ登記所はそのきっかけを与えるだけにすぎないわけで、刑法の事件のように検事が起訴しなければ裁判所が動かないというわけではございません。そういうことになっております。
  148. 中井一夫

    ○中井(一)小委員 関連です。田中委員のお説は、ただいま一応拝聴いたしました。そうして事案の内容は理事全部が一つ申請をしなければなはぬということを法律規定しておる場合に、その理事全部がその申請を怠ったという場合でございます。その他の場合も結局同じような場合のことをさされておると思うのであります。それならばすべての理事が、その責任があるのでありますから、その処罰はすべての理事に来たることは当然のことであります。ただいまお出しになりましたその事実は私ははっきりこれを認める、ただ私どもが問題といたしますことは、先ほど来この委員会で田中委員のお説を聞いておりますと、小売商業特別措置法案政府原案に関連いたしまして、その法定の命令、法定の事柄に違反したる場合、すべての理事が処罰に付されるという趣旨のことを、すかさず御追及のようでありましたから、そういうことはあり得ない、すなわちそれにはそれぞれの職務権限が当然協同組合内においてあるはずでありますから、それに関連したるところのいわゆる当面の責任者のみにその処罰が与えらるべきものである、これは当然のことです。その以外のものにまで同じくその組合の理事なるのゆえをもって処罰をせられると、そういうような乱暴なことはあり得ないという趣旨において私は田中委員のお説に対し異議らしきものを申し上げたにすぎないのであります。従いまして田中委員の仰せのごとき理事全部が申請の責任を持つ場合に、その理事全部が申請の責任を果さなかったということのために処罰せられる。そういう場合には理事全部が責任を負うのは当然でございまして、ただいまいろいろ仰せになりましたごとく全部賛成でございます。従ってその点につきましてはわざわざ書類をお取り寄せの必要はございません。決して田中委員のお説に疑いを抱くものでないということを明らかにしておきます。
  149. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 それでは先ほど要求いたしました資料は、どうやらお認めになったようですから、撤回します。ただしこれを申し上げたら横道へそれるから申さぬことにしましょう。とにかく中井先輩はさすが法廷で千軍万馬の間を往来せられた方でなかなかうまく逃げられたと思いますが、そこで政府委員にお伺いしますが、登記の場合でも私は全員が登記をやる、いわゆる事務専任理事ではない、その場合に全員がやはり受けておる、それならこの場合でも業務を執行しておる上に立って、先ほどからいっておるが、措置命令は法人組合に対してなされる、それならそれの執行の任にある理事は全員ですから、同じ結果になると思いますがいかがです。これは第三部長に……。
  150. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 今の田中小委員のお尋ねについては、私は、中井小委員がおっしゃったのと同じような考え方を持っておるのでございます。たとえば、消費生活協同組合の報合でも、設立の登記につきましては八十三条がござまして、この場合には「役員の全員の申請に因ってこれをする。」こういうふうになっております。「役員の全員の申請」ということが要件になっておりますから、この場合に役員が申請をせず、あるいは不実の登記をいたしますれば、これは全員が処罰されることになるだろうと思います。  それから今の変更の方でありますが、これはどうもこの条文からいって必ず全員が処罰されることになるのかどうか、私としては一応疑問がございます。その登記につきまして、職制上すべてだれでも登記をしてもいいことになっているか、つまりその登記についての分掌がきまっていないのか、きまっておってもそれは当然登記の特殊性からそういうことになるのか、私としてはこの点に関する限り、にわかにお答えできないような気持でおります。一般に今の中小企業協同組合法の第四条の規定による命令に違反するような場合で規定している例は各所にございますが、これは、私どもは当該の職責にあるものについて命令違反が行われた場合、そのものの責任を追及するというふうにずっと深く信じておりまして、これ以外の法律もすべてそういうふうな解釈でやっておりました。それで、これがほかのものも処罰されるということになると、これは大へんなことであり、ほかの法令もすべてその形で考え直さなければいけないと思うのですが、この点については、私ども今まで疑ったことはなかったものですから、この登記と今の変更登記との関連において、その違いをどう考えるべきかについては、なおもう少し検討さしていただきたいと思いますが、この点はその解釈でよろしいんじゃないか、かように思っております。
  151. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 専門家である法制局の第三部長がなお研究を要さねばならないというようなむずかしい条文は、これが法律となった場合、民をまどわす最たるものになる。こういう点についてはっきりしない限り、私は別にこの審議を云々するわけではありませんが、審議ができぬ。何回も言っているように、いかにうまく言いのがれようとしても、四条の措置命令は組合にせられるのです。そして、その組合の執行は理事全員がやる。そうしたら、全員だ。わかり切っておる。中小企業庁長官は、先ほど私が示した事実に対しましても、先ほど来、そんなことはありません、こういうお答えであるが、この事実はお認めになると思う。二十五条と二十六条は、いかに申されようとも違った規定になっている。この点をお認めになりますか。どうですか。
  152. 岩武照彦

    岩武政府委員 生協法の方で全員と書いてあるのですから、全員罰することは当り前であります。こちらは「違反した組合の理事」と書いてありますから、違反した者が罰せられるのは、これも当り前であります。その点は別段前の言葉を取り消す必要もございませんし、今まで各政府委員並びに専門家が申し上げた通りであります。
  153. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 生協法の、全員と書いてあるのは何条ですか。
  154. 岩武照彦

    岩武政府委員 八十二条であります。
  155. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 これは設立の登記でしょう。私の言っているのは設立の登記ではないのです。変更の登記です。
  156. 岩武照彦

    岩武政府委員 変更の登記の理事の解釈については、先ほど法制局の方からお話がありました通り、これは全員ではないかという解釈だと思います。小売商業特別措置法二十六条は「違反した組合の理事」と書いてありますから、違反した理事が罰せられる。全員ではないと思います。
  157. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 どこに違反した理事と書いてありますか。「違反した組合の理事」ですよ。
  158. 岩武照彦

    岩武政府委員 それは午前中第三部長が申されました通り、違反した理事と読むのだそうです。そういうふうに御解釈願います。
  159. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 あなたがおっしゃるような趣旨なら、なぜ同じように業務を執行する理事とか、法人にあっては、その役員とか書かなかったか。そこに書き方が違っている。だから解釈が違ってくるのは当り前です。
  160. 岩武照彦

    岩武政府委員 「違反した組合の上と書いた場合と、「業務を執行する役員」の違反と、解釈は同じであります。こういうのはいろいろ法律の書き方がありますので、何でもかんでも全部が全部書くわけにもいかぬですから、こういうふうにちゃんと違反した者を罰する、二十五条も六条も当然のことが書いてあると思います。
  161. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 違います。あなたは二十五条、六条を同じことだとあくまで言い張るのですか。
  162. 岩武照彦

    岩武政府委員 私の申し上げることは、先ほど来申し上げておることと同じでございますから……。
  163. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 そういうことであるなら、これ以上進められぬ。速記をとめて下さい。
  164. 小平久雄

    小平委員長 速記をとめて下さい。     〔速記中止〕
  165. 小平久雄

    小平委員長 速記を始めて。法制局第三部長説明を求めます。
  166. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 私の説明が不十分だったと思います。私も先ほど今お話のありましたように申したつもりでおりましたけれども、あるいは言葉が実は足りなかったかと思います。第二十六条で考えておりますのは、第四条の規定による命令に違反した理事のつもりでおりますけれども、理事というのは消費生活協同組合の理事であるということを確認する意味で「組合の」というのをかぶせただけでございまして、田中委員のおっしゃいますように、第四条の規定による命令に違反した理事があって、その理事が、組合が違反したがゆえに理事が全員罰せられるという考え方ではないのでございます。これは確かにおっしゃるように言葉だけから言いますれば、第四条の規定による命令に違反した組合の理事は全部罰せられるのではないかという読み方も、その文字通りにはあるかと思いまするが、私ども、これを罰則の関係から言いますると、これは当該の責任者を罰するのであって、ほかに業務にタッチしていない者が罰せられるというようなことに、当然読まれるべきではないということを十分考えてと申しまするか、当然そうであるというふうにこの規定自身については読める、こういうふうに思いましたので、こういう表現をいたしましたので、決して、組合にまず違反があって、そのあったがゆえに組合の理事全部が処罰を、受けるというような意味はここでは毛頭ないのでございます。
  167. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 毛頭ないということは何回も聞いております。しかしながら、この条文はそう読まざるを得ないのだ。それではあなたにお伺いしますが、一体法人の執行権というのはどこにあるのですか。
  168. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 法人の執行権というのは、抽象的には理事が持っているわけでございます。ただその中に、職務の分掌というのはお互いにありまして、職務の分掌があれば、その限りにおいて仕事をしていく、こういうふうな形になるだろうと思います。
  169. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 法人の執行権は理事全員の合議体ですよ。先ほども申しましたが、いわゆる自然人と法人と、法律上の人を分けて、その意思を持たない、執行力を持たない法人に対し、自然人と同じ執行力、意思力を与えるのは理事という機関なんです。どうなんです。
  170. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 理事が合議によってその職務を具体的に決定していく、事務を理事が合議によって決定していくことはむろんあると思います。しかし具体的な仕事のそれぞれの分担は、たとえて出しますれば、内閣と各省大臣というような関係でもって、ある大綱をきめて、あとは個々の理事にまかせていく場合もありますし、その具体的な状態については、それぞれその組合実情によって違うだろう、かように私は考えます。
  171. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 民法の法人の規定を読んだ場合に、どういう解釈が出ます。定法の法人の規定からくる意思の決定と、執行というような点はどういうふうになります。
  172. 山内一夫

    ○山内(一)政府委員 法人の職務が、すべて微細にわたるまで合議によってきめるというふうに必ずしもならなくてもいいし、そうなってもむろん差しつかえないのですが、なった場合には、その制裁規定はむろん今日員に働くかと思いまするが、当該の責任者がきめて大綱を決するというような場合に、大綱の参画の仕方にもよりまするけれども、そういった内部的な意思決定が合議体にかかるということと、個々の事務について執行の責任が個々の理事に生ずるというようなことは、必ずしも矛盾いたさないと私ども考えております。
  173. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 中小企業庁長官答弁もあなたの答弁も、午前中と午後とでは食い違っておる。と申しますことは、まず第三部長答弁を思い出してみますと、一番最初私が言ったときに、理論的には全員であるということを確認せられたのです。それが今になったら、そうじゃないとおっしゃる。それから中小企業庁長官は、私が登記事項について全員に過料があった事実があると言ったら、そんな事実はないと言った。今になると、なるほど法律に全役員の登記義務があると、条文をかさにとって、そう答弁が変ってきた。だからこの点については、議事録ができて、その議事録を確認して、それから行いたいと思います。それまではこの件についての私の質問を保留いたします。議事録ができまして、その議事録で午前、午後の答弁を一々確認して、そして食い違いがあるかないか、はっきりっしてから審議を進めたい。従って、この三十五条、二十六条についての質問を保留しておきます。委員長に申し上げておきますが、議事録ができてから、それを確認して行います。  せっかく前から来てもらって、他の問題で待っていただいておりました農林省の農業協同組合部長にお伺いいたします。農業協同組合のやり得る業務といたしますか、これは販売、購買、利用及び信用、こういうように指定せられておると思います。この四つを農協はやり得る、こう理解しておりますが、それでよろしいですか。
  174. 富谷彰介

    ○富谷説明員 ただいまお話がございました信、販、購、利、それ以外に現在では、農協法第十条によりまして、八号まで列挙されておりますが、おもなものを申し上げますと、そのほかに、指導事業、それから共済事業その他がございますが、大体はさようでございます。
  175. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 そのうちの販売事業は、いわゆる農協組合員の生産したものを一般消費者販売する、これが目的だと思のですが、どうでしょうか。
  176. 富谷彰介

    ○富谷説明員 一般消費者に直接販売する場合もございます。
  177. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 中小企業庁長官に、もうばからしいから聞くのはやめようかと思ったけれども、聞かなければならぬので、もう一ぺん確認しておきますが、あなたは十五条の三号「中小小売商以外の者の行う一般消費者に対する物品販売事業に関し、云々、この「販売事業」の解釈を、生協農協等にあっては、この組合員に対する供給事業、これは含まない、しかし組合員以外の者に販売した場合を含む。こういうように解釈しておられましたが、このことは間違いありませんね。
  178. 岩武照彦

    岩武政府委員 間違いありません。
  179. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 それではお伺いしますが、農業協同組合のうちの販売事業、これは大体組合員のために販売するのでなくて、組合員以外の者に組合員の作ったたとえば牛乳、あるいは木炭、あるいは青果、こういうものを販売することがその目的だと思います。そうするならば、もしこの法律の十五条の第一三号が真正面から適用せられるとするならば、農業協同組合事業のうち、販売事業はこれを抹殺するという結果になると思いますが、いかがでしょうか。
  180. 岩武照彦

    岩武政府委員 これは農協法の規定にありますように、販売の場合は二つあるかと思います。一つ組合員事業または生活に必要な物資の供給という場合であります。もう一つ組合員の生産した物資の販売、米とか、今お話のようなものがこの例だろうと思います。そういうことでございますから、どういう場合にいろんな紛争が起りますかわかりませんけれども、やはり組合員に売る場合は、これはもうこの法律の対象外でございます。
  181. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 販売事業ですよ。販売組合員以外の者に、一般消費者に売るでしょう。そうすると、この前の質問と関連してだが、生活協同組合組合員のための供給所を設ける、これは三号には該当しない。しかしそれが員外目的のためなら該当する、こういうことであった。農協が牛乳とか、あるいは木炭等の直売店を持つといいますか、そういったものを置いた場合、これは当然最初から員外利用です。組合員以外の人に売ることが首的なんです。これは真正面から三号の該当事項になるのですか。
  182. 岩武照彦

    岩武政府委員 だからそれはそういうことによって小売商との間の摩擦が起ればあっせん、調停の対象になる。こういうことを申し上げたのです。
  183. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 農林省の組合部長はそういうことで、各農協販売直売所といいますか、そういったものを置いていますね。それが本法の第十五条三号の該当事項になって、そこに調停、あっせんという問題が起きてくるのですが、そういう点については御承知でしょうか。
  184. 富谷彰介

    ○富谷説明員 確かにお説のような場合には、この十五条が適用になります。それは承知いたりしておりますが、実際問題といたしまして、農協販売事業は、単位農業協同組合から直接消費者に売るという場合は、むしろ例外でございまして、これが販売連合会、現在経済連合会と申しておりますが、経済連に上って参りまして、この経済連が大きさな消費者、問屋とか、あるいは市場、そういったところに持っていって売るという格好になっております。御指摘のような場合は一部で、生産地の牛乳なんかの場合に起るかと思いますが、その場合に十五条が適用になるということは承知いたしております。
  185. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 私は、この十五条三号が発動した場合、これは農協のうちの今の販売事業のほとんどが抵触しておる。こう解釈するのですが、なるほど経済連といいますか、そのあたりでやっている。しかし牛乳等ではどんどん直売店を設けようというあれがあるのじゃないですか。その場合、一つ一つここにかかってくるということになると思いますが、いかがでしょうか。
  186. 富谷彰介

    ○富谷説明員 連合会でなしに、単位組合が直売所を設けるという例、連合会でも同様でございますが、これはまだそれほど盛んではございません。しかし、もしそういう場合が出れば、当然十五条の適用を受けるわけでございます。
  187. 田中武夫

    ○田中(武)小委員 農林省の方でもそれを覚悟だとおっしゃるなら、それでけっこうです。  まだいろいろ質問いたしたいのですが、きょうは四時までだそうで、勝澤委員質問あと残っておりますから、私一応休みます。しかし申し上げておきますが、この問題に関連いたしまして多くの疑問のあることは、質疑の中で明らかであります。大臣の出席をぜひ要求いたしまして質問をしてみたい。そうでなかったらできないということ、それから先ほど申しました二十五条、二十六条は議事録ができますのを待って、その議事録に載っておる記載事項を対照の上、午前の御答弁と午後の御答弁中小企業庁長官も第三部長も食い違っておる。この点を指摘しながらこれを明らかにするまでは、私はこの質問を終りませんので、それだけは特に申し上げておきます。
  188. 小平久雄

  189. 勝澤芳雄

    勝澤委員 午前に引き続きまして質問を続行いたしたいと存じます。  第三条の「小売商事業活動に影響を及ぼし、その利益を著しく害するおそれがあると認めるとき」、この問題につきまして、先般どなたか質問いたしまして回答がなされたようでありますが、やはり抽象的で、その回答が不明確でありますので、もう一度具体的な問題について御説明を賜わりたいと存じます。
  190. 岩武照彦

    岩武政府委員 どの点でございますか、発動の手続の点でございますれば、こういうふうに御説明したいと思います。
  191. 勝澤芳雄

    勝澤委員 発動の手続でなくて、「その利益を著しく害するおそれがあると認めるとき」、この具体的な例を御説明願いたい。
  192. 岩武照彦

    岩武政府委員 「影響を及ぼし、」この「及ぼし、」のところのポツは「及ぼし、かつ」とか「その結果」というふうに読むのだということは、この前申し上げた通りであります。それで「利益を著しく害する工ということでございますから、一つ利益——単に一人、二人の小売商の売り上げが減るということではこういう事態には該当しないだ、ろうと思います。やはりある範囲の、相当数の小売商の売り上げがかなり減るとかいうことになりますと、「この利益を著しく害する」ということに該当するかと思います。それから「おそれがあると認める上ということは、認定の問題ではありますが、単にそういう心配があるというふうなことではいけないわけでございます。小売商側から単にそういうことを言うてきたということだけではこれは都道府県知事としてはそういう認定をするわけに参らぬと思います。やはりそういう員外販売を許せば、今までの組合の員外等に対するいろいろな計画その他から見て、これはやはり客観的に見てそういう心配があるだろう。これは売る店舗の場所等によりましょうし、あるいは商品の種類によりましょうし、いろいろあるだろうと思います。そういうことも考慮して、いわば客観的に行政庁が判定しなければいかぬだろう、こういうふうに考えております。
  193. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、こういう理解になりますか。従来認可をしてきたけれども認可をしてきた中でこういう事実があったけれども許可がされておったら新しくここへ入れた、こういう理解でしょうか。
  194. 岩武照彦

    岩武政府委員 これはこの法文の第二行にありますように、今まで員外の許可がなかった場合であります。なかった場合で、新しく員外利用をさしてもらいたいという許可申請があった場合に、こういう事態があると認めれば許可をしてはいかぬ、こういうことでございます。
  195. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、今まではこういう問題はなかったので、新しくこういうふうにつけた、こういうことですか。
  196. 岩武照彦

    岩武政府委員 これも午前中ちょっと御説明したところでございますが、員外利用許可する場合には、こういう点について考え許可をしなければいかぬということは、厚生大臣からさきに通牒が出ておるわけでありますが、それになお加えまして——と申しますのは、その通牒には、たとえば山間僻地でありますとか、あるいは生活要保護者にこういうことでやれとか、あるいは酒、たばこ云々ということがこまかく書いてありますが、小売商事業活動に影響を及ぼすような場合ということはあまり述べられておりませんので、今回小売商との調整をはかりますために、こういうことを許可条件につけ加えた、こういうことになるわけであります。
  197. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、厚生省から出ているこの通達にはこういう精神が入っていない、こういうことなんですか。
  198. 岩武照彦

    岩武政府委員 厚生大臣の通牒にありまする員外利用許可する場合は結果的には小売商事業活動に影響を及ぼさないような場合だけのようであります。けれども、正面から、こういう場合には許可してはいかぬということは述べられておらぬのであります。その通牒の精神を生かし、なお現下問題になっておりまする小売商との事業調整ということをはっきりとこの規定でうたった、こういうことでございます。
  199. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、通牒も結果的にはこの第三条の中身が入っている、こういう御答弁ですね。違うのですか。
  200. 岩武照彦

    岩武政府委員 結果的に入っていることにはならぬかと思います。ただ実際問題として、通牒が認めておりまする場合は、小売商事業活動に影響を及ぼすことが少い場合のようでございます。しかし、正面から、事業活動に著しい影響を及ぼす場合には許可してはいかぬぞということはうたっておりませんので、それをこの際はっきりさせよう、こういうことでございます。
  201. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、結果的にはこの厚生省許可基準の中には入っていないので、この実情は無視されて認可されておる、こういうことですか。
  202. 岩武照彦

    岩武政府委員 実情が無視されて認可されている場合が、あるいはあるかもしれませんが、それよりも、許可する場合の心がまえをはっきりさしたわけでございます。
  203. 勝澤芳雄

    勝澤委員 午前中の厚生省の課長の答弁とあなたの答弁との食い違いがますます激しくなってきたと思うのです。そこで、私は今度はあなたの発言を読み上げてみたいと思うのです。二月四日の委員会におきまして、あなたはこういう発言をされております。「員外利用を肯定いたしますことは、これは中小企業庁立場といたしましてはごかんべん願いたいと思っております。やっぱり農協その他とは事情も違いますので、全然一人もまかりならぬとまでは申しません。これは山間僻地その他の事情もございましょう。現在厚生省で指導されておるような範囲のことがあれば、これはまたやむを得ませんが、現実は厚生省の御指導よりもだいぶん員外利用がふえておるようであります。それを放任いたしますような制度になりますと、これは協同組合趣旨からもちょっと違うだろうと思いますし、また小売商に対する影響も大きいと思いますので、現在程度のことで、しかも員外利用制限が確実に行われるような方向にしたい、こういうふうに考えております。」こうあなたは言われておるのです。この中では、「現在厚生省で指導されておるような範囲のことがあれば、これはまたやむを得ません」、ですから、厚生省で指導されておることが確実にいけるならば、やむを得ませんと、あなたはこう言っておられるのです。そういうふうに、やむを得ないと言っていながら、ここで新しくまたこういうものを作るという理由が私は見つけられないと思うのです。
  204. 岩武照彦

    岩武政府委員 私がそのとき申し上げました趣旨は、厚生省の通牒で員外利用を認めている範囲のことがあれば、これは小売商との摩擦が少いことでございましょうから、これはやむを得ないことだと思っております。ところが、実際は員外利用許可を得、あるいは得ないで、午前中申し上げましたように、いろいろと小売商との摩擦を起しておる場合等があるようでございます。そういたしますと、結果的には厚生省の指導にかかわらず、末端でやはりトラブルを起しておるのでございまするから、こういうことをはっきりさした方がいいだろう、こういうことでございます。
  205. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、あなたは中小企業庁長官という立場で、員外利用許可を得ないで販売が行われている、この生協法の十二条の三項というものは守られていないと、こういう御答弁ですね。委員長に申し上げますが、法律の十二条の三項が守られていないということを中小企業庁長官から言われるということになれば、これは当然厚生大臣の責任問題になりますから、一つ大臣の出席を求めて解明をしていただきたいと思います。もしそれに対する中小企業庁長官意見があるならば、一つ出して下さい。
  206. 岩武照彦

    岩武政府委員 先々来この席で各地の組合実情を申し上げましたように、消費生活協同組合の活動につきましては、いろいろと小売商とのトラブルを起しております。員外利用許可を得ないでトラブルを起しておるのもあるようでございます。その点は厚生省としましては、そういうことのないように指導されておりまするけれども、やはり末端にいろいろな問題が起っておることは事実のようでございまするので、こういうふうな立法を考えたわけでございます。
  207. 勝澤芳雄

    勝澤委員 まあこの法律が守られていないということを、同じ政府委員の中で言われているのですから、その点はあらためてまた厚生大臣の御答弁を願うことといたしまして、しからばこの小売商業特別措置法によれば、その員外利用規制が確実にできる、あなたはこういう確信をもってこの法律を作られたわけですね。ですからこの法律を作ればそれが規制できるという具体的な根拠を示していただきたいと思う。
  208. 岩武照彦

    岩武政府委員 その点も午前中申し上げたことでございまするが、現在員外利用規制に関する通牒は、先ほど申しますように、小売商との摩擦を回避しろという趣旨のことが、はっきり現われておらないようでございます。その点あるいは末端の指導に当る者あるいは消費生活協同組合等においては、あるいは誤解もあるかもしれぬというのが今朝申し上げた趣旨でございます。それで国の法律としまして、こういうふうに員外利用の場合には、やはり中小小売商のことも十分考えてせねばいかぬということも、この法律ではっきりさした方がいいだろう、こういうことでございます。
  209. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたは法律ではっきりさえすればこれが立ちどころに消える、こういう立場で物事を考えておらるるようでありますが、実情にもあまり詳しくないように私は思うのです。その実情に詳しくない上に立って、特に今まで厚生省で苦労されて調整をされてきた。そしてその調整がうまくいっておるといわれているのに、うまくいっていないから、おれの方で口出しをしよう、こういう考え方なんです。  そこでその問題はしばらくおくといたしまして、あなたの答弁の中で出てきた問題がありますが、あなたは石川島生協を見てこられた、あれはうまくいっている、こういう御答弁をされていますが、その通りですか。
  210. 岩武照彦

    岩武政府委員 石川島生協は私も見て参りました。うまくいっていると申しますのは、あの店舗の位置、と申しますのは、事業場のすぐそばにございまして、付近にあまり小売商等もないようでございます。従ってあの消費生協の店舗があります結果、員外利用がたくさん行われるとか、あるいは付近の小売商に被害を及ぼすということはないようでございますから、その意味でうまくいっていると、こう申し上げたのであります。
  211. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私よく各地に行って見るのですが、野原に工場ができる、工場ができれば物資供給のための生協ができる。理髪屋ができ、警察の派出所まで会社が作ってやっておる、こういう実情が見えるのです。しかしあとから小売商ができて、小売業者がおる。生協が先にできて、小売があとからみなその辺に入る。そこで小売業者に影響を及ぼしたということになれば、この法律が適用になるのですか。
  212. 岩武照彦

    岩武政府委員 この法律が適用になるのは、やはりこれは員外利用の問題でございます。今のお示しのような工場が人煙まれなところに独立してある場合には、やはり員外利用ということはあまりないのじゃないかと思っております。その辺はやはり具体的な事実の問題じゃないか、こういうふうに考えております。
  213. 勝澤芳雄

    勝澤委員 では具体的な事実の問題で、石川島生協でこの利用券と引きかえに、または利用券に必要な事項を記入しなければ物品供給事業利用させない、こういうことになった場合、具体的に石川島生協は相当私はこの法律のために規制されて打撃を受けると思うのです。現在あなたはそれでよろしいと言っている。この法律を作ったために、かりにこういうことが起きてきた場合にはどうせられますか。
  214. 岩武照彦

    岩武政府委員 先ほど来申しましたように、石川島生協はあの店舗の位置で、ああいうふうな営業の仕方でありますれば、中小小売商事業活動に影響を及ぼし、その利益を著しく害するおそれは、普通の場合はないというのが、行政庁の健全な常識じゃないかと思っておりますので、そういう場合にはおそらく第四条のような措置命令を都道府県知事が出す場合もないのじゃないと思います。しかしこれは事実の問題でございますから、今後また情勢が変っていけば、そういうことも起きるかとも思います。
  215. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は戦争中は配給手帳というのをみんな持っていたと思うのです。これは配給手帳を持っていた上、なおかつクーポンを出さなければならない。これは戦争中よりもなお悪く規制をしているのですよ。あなたはこれは利用分量の問題だからと、こう言われております。なるほどもっともだと思うのです。利用分量の配当のたりめに、石川島生協なんかは売り上げの値段ですか、こういうものをチケットでもって利用分量の配当の請求をされております。そういう点から考えれば、二重に縛る。あるいはまた証明書の問題も同じことです。証明書を持っていなければ利用させない、こう書いてある。参考人の意見の中でも出て参りましたように、それではお父さんが証明書を持っていって、奥さんがまた買う、子供が学校の帰りに買う、こういうことになったら証明書の乱発じゃないか、こういうことを言われました。では一つの証明書を三人がぐるぐる回りに使うのか、こういうことを考えただけでも、私はこの「証明書を提示しない者には、」ということでなくて、現実にやはりわかっている者については何ら証明書を提示する必要はないのじゃないか、こういうふうに思うのですが……。
  216. 岩武照彦

    岩武政府委員 そこは実際のやり方の問題でありまして、証明書を家族の数だけ出すかどうかという問題も実は出てくるかと思います。あるいは組合員証は一つで、それのかわりになるものを出すということもあろうかと思います。そこあたりは実際措置命令を出します場合に、この条項の範囲内で実行可能な、かつ組合のそういう正当な事業活動を阻害しないような方法を考えていただきたいと思います。それで一、二、三のこの措置命令事項も建前として選択的にするようになっております。
  217. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると顔を知っているような人、あるいは顔を知っているような奥さんには別に証明書を一々出さなくてもいい、こういうふうに考えていいですか。
  218. 岩武照彦

    岩武政府委員 やっぱりこういう第二号にありますような証明書云々という措置命令が出ました場合には、そういうことはちょっとまずかろうと思います。
  219. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうするとあまり組合意見を聞かずにやる、こういうことになるわけですね。幅のない法律で、ちゃんとここに提示しない者には物品利用させないと、こう書いてあるのですから、そうするとあなたは実情に沿ってやると言っても、この中では実情に沿ったことは何もやれない、こういうことですね。
  220. 岩武照彦

    岩武政府委員 そこはやはり出します場合に、お話のありましたような工合に一方的に都道府県知事が命令を出しぱなしにするということはないと思います。組合の実態に応じまして、どうしたらこの条項は守れるかというふうなことを考えてやるだろうと思います。その点につきましてはわれわれとしても法律施行の際は十分な留意をしたいと思っております。ただ余談でございますが、いつか申し上げましたように、組合員のだれにどういうふうに売ったか、利用させたかということを確認する方法はやはり消費生協としても要るだろうと思います。その点は消費生協の健全な発達のためには必要な措置だと考えております。
  221. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それは組合の必要によって現在行われておるのです。それはあなたが、私が先ほど聞きましたように、石川島生協を見てきた、石川島生協は現にあなたの言っておるようにやっておるわけです。しかしこの法律ができたことによって、今度はやり方を変えなければならぬという点が起きてくるのです。そうすると十分その点を考えておりますということは、組合員証とか利用券は通産省が作って配給してくれるのですか。
  222. 岩武照彦

    岩武政府委員 先ほど来申し上げましたように、この二と三のところは、これはやはり組合の実態に合いますように、出します前に都道府県の方も十分に組合側の意見も聞いて措置した方がいいだろう、こういう工合に考えております。
  223. 勝澤芳雄

    勝澤委員 措置すると言っても、幅というものはちゃんときまっておるのです。一、二、三ときまっておる。これ以外の幅があるとあなたはお考えだったら、具体的にどういうことかという説明をしていただきたい。  それから厚生省は、組合の健全経営の建前から、なるべく掛売りはやらずに現金取引でやれというのが趣旨なんです。しかしこの利用券を発行すること自体によって、厚生省考えておる現金取引という問題と、片方ではクーポン、こういう問題との食い違い、厚生省考えておる指導のやり方と、この法律の中に出ておる通産省の考え方というものは食い違っておるのです。それはどういうことかといいますと、石川島でも買ったものは結局レジからもらってちゃんと自分のところへ持っていく、それをためて利用分量の配当の請求をするわけです。今度はそうでなくて逆になるわけです。逆になることによって結局今度は伝票買いの形がよけいふえてくる。ですからこのもの自体生協の実態に即したものではない、こういうふうに思うのです。その点も一つ
  224. 岩武照彦

    岩武政府委員 この利用券は前々から申しますように、これは一つの整理券みたいなものであります。例がいいか悪いか存じませんが、たとえば映画館で学生割引のときに学生が学生証を出す、もちろん現金を添えて出すわけであります。例が適切でないかもしれませんが、そういうふうな性質のものであります。別段現金売りを押えるとかいうことではございませんで、これはそれぞれの組合でやっております決済方法によられてけっこうだと思っております。ただその際だれが幾ら利用したかということがわかるようにというのが、この趣旨でございます。ある意味ではこれは二の事項と重複するかもしれません。そこらあたりはやはり組合の実際のやり方がございましょうから、それに合わしてやったらどうか、こう考えております。
  225. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうするとこの法律と変っても実情に合わせればいい、こういうことですか。
  226. 岩武照彦

    岩武政府委員 そういうわけではございませんで、私が申しましたのは、この利用券というのは、やはり組合員利用するのだということを表わす一つの方法でございますから、利用券というふうな制度を、いろいろな事務上その他の関係利用しにくければ、これはこの方法で、だれだれ組合員だということがわかるようにしておけばいいだろう、こういうことでございます。
  227. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると三の事項というのは、今石川島生協を見てきたあなたには大へん不可能だということになると思うのです。二でもいい、こういうことですか。
  228. 岩武照彦

    岩武政府委員 石川鳥生協員外利用を許しておりまして、小売商の活動の利益を害しているのではないだろうと思いますので、実は今のあれとしては悪い例じゃないかと思います。ただいろいろほかの組合実情もございましょうから、一、二、三のうちで適当な措置都道府県考えてやってもらいたい、こういうことでございます。
  229. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そのものに当てはまらぬかもしれないけれども、それを適用された場合どうなるかという前提で話を進めているわけです。私は適用された場合、三号をやる場合に支障があると言っているのです。あなたも見ているから知っていると思うんですが、あなたはそれが学生が映画館に入る割引だというふうに理解をされておりますけれども、そういうものとは本質的に違うわけです。それはちゃんとここに書いてある。「利用券に必要な事項を記入するのでなければ」と書いてある。印刷したものをそのまま証明書をくっつけて渡すわけじゃない。これは組合も必要なんです。生協自体も必要なんです。こっちから向うに流れるのじゃなしに、逆に向うからこっちに流れている。だからあまり実情を知らないのじゃないかと私は言っているのです。
  230. 岩武照彦

    岩武政府委員 今の御指摘の点は確かに、レシートに組合員証のナンバーを記入して返すということになれば、流れは逆でございます。私も実情にうといものでございますから、そういう措置が多く用いられておるものかどうかよく存じませんが、あるいは三の方法は組合によりましては、若干実行のむずかしい点はあるかと存じております。
  231. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ですから昨年の暮れ、クリスマスの日に、わざわざ商工委員会として現地を見ようじゃないかということで、私たちは調査に参りました。私も初めて石川島に参りまして石川島生協の実際のやり方が、この法律ではどうなってくるであろうか見ている。中小企業庁長官が、この法律を出すに当って石川島生協を見ていながら、この三号が、石川島生協に当てはめてみた場合無理だということを、今ようやくにして気がついた。こういう立場法律を作られては大へんだと思うのです。それはやはり生協法律を見て、この法律の中でどこに問題点があるかというふうに考えてみれば、小売との調整が問題なんです。小売との調整がなぜ行われないかということを突き詰めて調べてみずに、どらもあちこちゃっているのが気に食わぬから、おれの方でやろう、おれの方でできる。中身は同じなんです。午前中私が質問した通り、何も違っていない。厚生省の方でもちゃんとこの三条に書かれていることは、終局的には員外利用許可する場合にはこうなりますといっている。当然これは考えに入れますといっている。そうするとわざわざここでこの法律を持ってきて、そうして厚生省がやっている行政をまた二重にからめる、ここがどうしても私にはわからないわけなんです。あなたの説明を聞けば聞くほどわからない。聞けば聞くほど根本的な違いというのは、厚生省の行なっている行政の中では、とにかくこの許可基準というものがあって、許可基準はいい、間違いない、許可基準の中で十分にやられておればいいけれども許可を受けていなくてやられているものがあるといっている。厚生省立場からはそれはないと言うのは当然でしょう。法を施行している立場で、法律が守られていないなんていうことは、厚生省は言えぬでしょう。あなたは気が楽だから言っているのだと思うんです。通産大臣厚生大臣が言ったら大へんなことだと思うのです。同じ政府のもとに行われている法律が、行われていない、そこにまだ矛盾があると思う。だから私は基本的に、行われているかいないかということは、雑談の中でも先ほど出てきましたいろいろなことがありますから、それは言いません。言いませんけれども、それをどうやって調整していこうかという立場考えると、あなたでなくても、厚生省で十分あなたの意図している方法というものが守られるような措置がなされると思うのです。なされないということは、一体どこに問題があるのですか。もう少し突き詰めて解明していただきたいと思います。
  232. 岩武照彦

    岩武政府委員 これは厚生省だからできない、中小企業庁だからできるという問題ではございませんで、やはり政府として小売商保護のために一体となって、こういうことをしようということであります。たまたま小売商の主管になりますのが、中小企業庁でございますから、私の方で立案したものでございます。  それからなお、ちょっと余談になりますが、一、二、三の事項は選択でございますから、都道府県知事が判断いたしまして、たとえばかりに石川島生協員外利用を盛んにやってらしい、しかしあそこは三に類するといいますか、今御指摘のような事業をやってる、それで員外利用がほんとうに規制されると思えば、あるいは二だけで済ますかもしれません。そこは先ほど申しましたように、組合々々の実情に応じてこの全部あるいは一部を発動したらよかろう、全然こういう措置を講じていないところは全部新しくやるかもしれません。そこは組合実情々々だろうと思います。
  233. 勝澤芳雄

    勝澤委員 生協には生協の方法があることは御存じの通りでありまして、員外利用基準について明確にされておるわけであります。だから、同じ問題をなぜここで取り上げてやらなければならないのか、母法の生協法でやるのが正しいと思う。母法でなくてなぜここでやるのか、ここでやればなぜあなたの意図してる方法が守られるのか、この点もう少し明確にしてもらいたい。
  234. 岩武照彦

    岩武政府委員 いつか申し上げたことでございまするが、やはり消費生活協同組合法は、第一条の目的にありますように、組合の活動の発展を企図しておる法律でございます。小売商との摩擦を調整するという趣旨のことは、少くとも法文の面には現われておりません。従いまして、現実に小売商との摩擦が起ってるという事態がございますれば、やはりこれを規制する措置も必要かと思っております。それでほかにも小売商との関係規制する事項もございますから、そういう事項をあわせまして一つ法律にまとめた、こういうことでございます。
  235. 勝澤芳雄

    勝澤委員 生協法律組合の保護の立場だということで、立場があなたの考えてる立場と違うようでありますけれども、ちゃんと監督の規定もあるわけです。それは御存じでしょうか。そうして、それに違反した場合に処罰の規定があるということも御存じですか。
  236. 岩武照彦

    岩武政府委員 それらの事項は主として組合の健全な発達をはかるという趣旨の監督ないしそれに違反した場合の罰則だろうと思います。
  237. 勝澤芳雄

    勝澤委員 正常な発達を守るためだ、こう言われる。しかしあなたのこの法律はそれを抑えつけようという立場じゃないでしょう。結局問題の、競合する点を何とか調整をしようというのでしょう。そうすれば、母法の中で調整ができてるじゃないですか。あなたは午前中の質問に対して百条の十二に違反して処罰した例はないという回答をしたことを御存じでしょう。すると裏を返せば、員外利用については許可を得なければならぬ、許可を得てやっておる。許可を得ていないのがあったら許可を得るような指導を当然やるべきじゃないですか。それをちゃんとやるようになってるんですから、その通りにさせればいいのであって、それをさせずにおいて、なぜ同じことをきめようとしておるのか。同じことをきめればそれが守られると思っておるところに疑問があるのです。
  238. 岩武照彦

    岩武政府委員 許可を受けないで員外利用をさせていくところに端を発しまして、小売商とトラブルが起っておることは、前々申し上げておる通りでございます。なぜそれをとめるようにしないか、あるいは告発しないか、あるいは員外利用許可をしないか、これはいろいろ問題があるだろうと思います。一々どういうことをしておりますかわかりませんが、ちょっと申し上げましたように、いろいろと事態を解決しますために、都道府県の方でも話し合いとか、いろいろなことを今進めておるようでありますが、なかなか片づかないのも、これまた先ほど来申し上げておる通りでございます。そこでこの法律でやれば、ほんとうにうまくいくかというようなお話かと思います。これはやはりこの法律を施行しまして、うまくいくように全力を上げたいということは当然でございまして、先ほど来由しましたように、この法律規定を頭から振りかぶって消費生協に臨むということではなくて、できるだけ話し合いで両者の間を調整して、なお片づかない場合には遺憾ながら法律の発動ということになるかもしれませんが、そこはやはり実際の行政のやり方でございまして、できるだけ指示、命令というようなことをせずに、しかも事態が片ずくように、これは十分事前の行政指導は必要だと思っております。
  239. 勝澤芳雄

    勝澤委員 また午前中の問題に戻ってきたのですが、今の法律で片づかないので、この法律をやればうまくいくと言われておる。ですからうまくいくのには、具体的に今の法律のどこに欠陥があって小売商とうまくいかないのか。うまくいかない原因は法律にあるんじゃないのでしょう、どうでしょうか。
  240. 岩武照彦

    岩武政府委員 今の生協法法律の立て方は、員外利用の場合には非常に抽象的でございます。どういう場合に許可するのか、これはもっぱら行政官庁の方にまかされておりまして、厚生省といたしましても、通牒で指導されておりますけれども、それがなかなか末端におきましていろいろな問題を起しておることは、これは前々申し上げた通りでございます。しかもそれを片づけようということで、いろいろ関係方面は努力しておるようでございますけれども、やはり小売商の保護という点の国の政策がはっきり現われておりませんので片づきにくいのだろうと思っております。そこでこの法律小売商員外利用との調整ということを取り上げまして、そういう行政庁並びに消費生協等に、員外利用の問題は小売商の営業活動との摩擦が起るのだ、この調整が必要だということを、この法律ではっきりさすということが解決の一番根本だろうと思います。
  241. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ますますわからないのですよ。この通牒が末端に徹底していないからと、こう前提に言っておるのです。通牒が徹底していないからうまくいっていないとすれば、通牒を徹底させるのはあなたたちの役目じゃないですか。そうすると役目をやっていないからこうなったのだ、だから法律を作らなきゃいかぬのだ、こういうことになると思うのです。もし小売商を保護する政策が、今まではっきりしていなかったというのなら、この通牒の中でそういう点をはっきりさせたらいいじゃないですか。なぜここまで持ってきたのですか。そして同じことを今度官庁が違う立場でやればできる、この点もわからないのです。
  242. 岩武照彦

    岩武政府委員 昨日申しましたように、昭和三十一年の秋に、厚生省並びにわれわれの方から都道府県知事に対しまして、消費生活協同組合の活動については、小売商との摩擦を起すようなこともかなりあるようだから、消費生活協同組合認可あるいは員外利用許可の場合、それから小売商との紛争の調整の問題等につきまして、当時の合理化審議会の商業部会の答申もつけまして、十分に監督指導をしておるわけでございますが、やはり何といたしましても、そういうことだけでは徹底してないようだというのが実情でございます。残念ながらわれわれの指導が足らぬのかもしれません。それと申しますのは、やはり現在までの法制のもとでは、小売商員外利用との調整ということが必要だという国の態度がはっきりしてないからじゃないかと思われます。これはやはり通牒だけでは事足りませんで、はっきりと法律でそういうふうな趣旨並びに具体的な手続その他をきめることが必要だろうというわけで、この法律案を作ったわけであります。
  243. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ですから私は権力政治だと言うんですよ。弾圧立法だと言うのです。私は法律よりも通牒の方が、今日の行政の中では最も優先を上して取り上げられていると思うのです。法律でやっているやつを、それをワクをもっと縮めながら、あるいはものによっては拡張解釈をしながら行政指導をやっている。なぜ行政指導ができるかといえば、その裏の保護政策というものがあるからできるんですよ。生協について何らの補助的な政策も行わずに野放しにしておいて、法律だけ守れ守れと言っておる。ここに問題がある。ですから、生協法の中でそれを守っていくことが生協が伸びることなのだというふうにしておけば、これは監督官庁の言うことも聞くでありましょう。あなたは聞かない、聞かないと言うのですけれども厚生省では徹底してやっておるというのですから、これもまた大きな違いです。三十一年の秋に通牒を出したという。私も今多少見せていただきましたが、この通牒が現実に行われていないという証拠を一つ示して下さい。
  244. 岩武照彦

    岩武政府委員 その点は、先ほどでございますか、いろいろな組合の実例を申し上げた通りでございます。やはり通牒だけですと十分徹底しないうらみもございますし、またわれわれの行政を通牒だけでやるということでは、これはやはり独断に走ってもいけませんし、国として許されたはっきりした法規の趣旨のもとに動くということが必要だろうと思っております。
  245. 勝澤芳雄

    勝澤委員 通牒では徹底しない、法律では徹底するということですが、あなたは生協がちゃんと一々認可をとり、監督官庁の指導監督のもとに行われているということを知っているのですか。監督官庁の指導監督のもとにいろいろな規制の中で生協が行われている。それにもかかわらず、徹底していない、こう言っているんですね。そうすると厚生省とか都道府県知事とかいうのは、あなたの出した通牒を一体どうやっているんですか。そのあなたの認識しておる厚生省の怠慢の実情と、それから各都道府県実情一つ説明して下さい。
  246. 岩武照彦

    岩武政府委員 都道府県における消費生協の実態は、これはもうこの前申し上げた通りでございます。いろいろと問題化しておるわけでございます。都道府県におきまして、昭和三十一年に通牒を受けて具体的にどうしているかということでございますが、いろいろな報告を見ておりますと、具体的に消費生協小売商との間に入りまして、妥結の道を講じようということでやっている例もかなりあるようでございます。ところが本朝来申し上げましたように、ある場合には組合側から、そういうことで一緒に話し合うことは無意味だということで拒絶された例もございます。あるいはある種の申し入れを行なって交渉して、それを県が中に立って取りつけているのもありますが、なかなか片づかないというのもあります。いろいろあるようでございます。かなり努力はしておるようでございますが、何といたしましても、通牒だけでありますと、やはり具体的な場合の解決の指針というものが、ともすればはっきりいたさないこともあるようであります。やはり小売商員外利用との調整度ということを、国の意思として国会の御賛成も得てはっきりさすということが、この立法の趣旨でございます。なおこれは消費生協ばかりのお話でございますが、ほかに購買会もそういうふうな問題を起しておりますので、この際、本来員内者に対する販売利用目的としましたものが、員外者との関係小売商に強い刺激を与えているという場合に、一緒に立法していこう、現在のように小売商問題もなかなか世論がありまして、何とか小売商問題を片づけようというときには、やはりこういう事態を一緒にして立法するというのが、この立法の態度でございます。
  247. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると三十一年十月十日に通牒を出したけれども、何も改善されていない、あなたはこう理解されているのですか。
  248. 岩武照彦

    岩武政府委員 都道府県におきましては、やはりその通牒の趣旨に基いていろいろ努力しておりますが、結果的にはまだ片づいたという例はそうたくさんないようでございます。そこでこういう立法を考えておるのであります。
  249. 松平忠久

    ○松平小委員 ちょっと関連して。都道府県知事に通牒を出されて一年たった三十二年に、実情がどういうふうになっておるか、この通達の結果がどういうふうに動いておるかということを、通産省なり厚生省で、都道府県知事に号番号で報告を求められたことがございますか。
  250. 岩武照彦

    岩武政府委員 その報告を求めましたのが、いつか委員会で読み上げました報告でございます。なおあのときは全部の朗読は省略いたしまして、員外利用許可を受けなくてトラブルを起している例を申し上げたわけであります。大体その中に、この通牒の結果かと思われまする相互の調整のために、都道府県あるいは商工会議所が入っている例がいろいろ見えております。
  251. 松平忠久

    ○松平小委員 それは都道府県知事から来た報告ですか。
  252. 岩武照彦

    岩武政府委員 その際申し上げましたように、都道府県知事あるいは市、あるいは商工会議所等でございます。
  253. 松平忠久

    ○松平小委員 通達は都道府県知事以外に、市とか商工会議所へも出したのですか。
  254. 岩武照彦

    岩武政府委員 三十一年の通牒は都道府県知事あてでございます。
  255. 松平忠久

    ○松平小委員 しからば通達の実施状況というものを、責任ある機関から報告を受けるということは、それは都道府県知事から受けなければならぬと思うが、それをやられたわけですか。
  256. 岩武照彦

    岩武政府委員 そういう通達の結果を求める意味も含めまして、一年後の三十二年の十二月ごろ求めたわけでございます。
  257. 松平忠久

    ○松平小委員 求めたというのは、都道府県知事に求めた以外に、市とか商工会議所に求めた、こういう意味ですか。そういうところは通達を受けていないじゃないですか。通達を受けておらぬところへ通達の結果はどうだというような、そういうばかげたことをやったわけですか。
  258. 岩武照彦

    岩武政府委員 各県からの報告をとっております。なお商工会議所のは、こちらの別のルートからの報告のようであります。しかしこの内容は、つき合せてみますると、大体大同小異で合致しております。
  259. 松平忠久

    ○松平小委員 その報告は全部都道府県知事から出てきておりますか。それとも出さない県もあるのですか。都道府県知事から来た通告は何通企業庁の方へ報告がなされておりますか。
  260. 岩武照彦

    岩武政府委員 かなりの府県から来ておりますが、その報告の数は、御入用でございますれば今数えますけれども、大体これくらいあるわけであります。
  261. 松平忠久

    ○松平小委員 その中でトラブルがあるというのは何件ですか。私は今の都道府県のことを言っておるのですよ。商工会議所とかなんとかいうのは言っていない。これは責任ある機関からの通告による方が正しいと思うから……。
  262. 岩武照彦

    岩武政府委員 今一覧表にしておりますものだけでも十五の件数に上っております。そのほかに一覧表にしてないので漏れているのもあるかと思います。
  263. 松平忠久

    ○松平小委員 それに対して通産省は、厚生省に対していかなる措置をとるべきことを要求しましたか。
  264. 岩武照彦

    岩武政府委員 厚生省には具体的にどういう連絡をいたしましたか、私まだ聞いておりませんが、やはり当時この小売商業特別措置法案国会に提案しておったわけでございます。この法律の成立を待って、こういう問題の打開に乗り出そう、こういうように考えておったのであります。
  265. 松平忠久

    ○松平小委員 それではあなた方は忠実じゃない。もしそういうものがあるとするならば、即刻厚生省に話して、厚生省からさらに通達を厳重にするという措置はとられなかったのですか。
  266. 岩武照彦

    岩武政府委員 口頭でいろいろ申し上げたかどうか、私今ちょっと存じませんが、書面ではおそらく出さないと思っております。
  267. 松平忠久

    ○松平小委員 あなたが知らないというのはいかぬと思うが、それでは課長かだれか厚生省へ、十五件こういうものが来ていると言って、それをやったかどうかということをはっきりしてもらいたい。課長や何かも来ているのだから……。
  268. 中村一成

    中村説明員 具体的に、個々のケースに対してこういう問題があるからということで、厚生省に連絡はいたしておりませんが、前々からいろいろ問題がありますので、生協の監督についてはいろいろと連絡をとっているわけであります。個々のケースについてはこの問題について連絡をとっておりません。
  269. 松平忠久

    ○松平小委員 個々のケースについて報告が来ておるのだから、個々のケースについて一々言わなければだめじゃないですか。一般論として言ってもだめです。個々のケースについて、どこどこの県からこういうことを言ってきておるから、これをやれということをなぜ言わないか。
  270. 岩武照彦

    岩武政府委員 個々のケースについて一々本庁の担当者をわずらわすということは、適当な措置ではないと考えたのであります。先ほど申しましたように、小売商業特別措置法の立案をつやっておりますので、やはりそういう法律問題でこの問題を解決する方が、中央官庁としては適当の措置だと考えたのであります。
  271. 松平忠久

    ○松平小委員 通牒を出して、その通牒に行政措置をして報告を求めた結果、十何件か員外利用のおそれのあるものがある、こういうトラブルのあるものがあるというならば、それを一年もほったらかしておくという方が怠慢じゃないかと思う。個々のケースだからやらなかった、一般論としてやったということは、これはいかぬと思う。行政官庁としてはそういうものがあるならば、むしろ厚住省に移牒して、そして一つ一つそれを改めさせていく、こういうことをしなければならぬわけです。そういうことをせずして、いたずらに立法措置をとるということが間違っておりはしないか。あなた方の義務を果していないじゃないか。そこで厚生省は、その一般論として言ったことに対して、それを聞いてどういう措置をとったか。
  272. 中村一成

    中村説明員 厚生省といたしましては、ただいま中小企業庁の担当課長が申し上げました通り、具体的なケースについては中小企業庁から伺っていないのであります。
  273. 松平忠久

    ○松平小委員 具体的なケースについて中小企業庁から言ってやらぬというのがおかしい。それでは君らが法律を作るにしても、現行法をできるだけ守らせるという趣旨からいって、はなはだ怠慢であったといわざるを得ない。これはやらなかったのだから答弁の必要はないが、一言申し上げておきたいことは、法律を施行する立場にあるんだから、君たちの方でそういう情報があって、しかも小売商影響があるというようなことであるならば、中小企業庁法律を作ろうとする考え方すらあるんだから、そうなれば即刻それは担当官庁に移管して、個々のケースをやめさせていく、こういう態度をとるべきであった、私はこういうふうに思う、それだけ申し上げておきます。
  274. 勝澤芳雄

    勝澤委員 法律があるのにその法律を十分適用せずに、その通牒も生かさずにおいて、こういう実情がある、こういう実情がある、結局自分の怠慢を法律でカバーして、法律さえ作れば守れる。しかしこの法律も私が見れば見るほど、これはまた変った形の問題点がたくさん起きてくると思うのです。そこで私は午前中もちょっと質問をいたしたのですが、任意の消費組合というような名前や、あるいは任意の福祉団体とかその他の社団法人とか財団法人、こういうところで購買会のように事業主が主体でなくて、生協と類似のような組織を持って事業を行なっておる数多くのものがあるのを私は知っておりますが、それらは購買会でも生協でもない団体ですが、どのような取扱いになりますか。
  275. 岩武照彦

    岩武政府委員 午前中申し上げましたように、実は私そういう実態を全然予想してなかったわけでございます。どういうことになりますのか、これはもう少し現実のやっておることを見ませんとはっきりしませんけれども消費生協法の認可を受けておらなければ、やはり消費生活協同組合としての保護も恩典もないだろうと思います。単なる小売商であるかどうなりますか、その辺ちょっとこれは実際の問題を見ないと私何とも御答弁できないわけでございます。
  276. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ですからあなたの手元に出されている資料の中に、これと類似のものが入って、これが小売商業を阻害しているというものが私は数多くあるんじゃないだろうか、実はこういう憶測をするわけです。生協員外利用の問題で規制をしなければならぬということは、生協人たち自体団体として考えておられるのですから、これは当然であります。しかし農協とかほかにも協同組合がたくさんあるにかかわらず、これだけ取り上げている。そしてほんとうに生協だけが問題を起しているのかといって聞いてみると、今のような状態で何らの行政的なものも指導も監督もしてないにかかわらず、法律だけ作ろうとしている。そうすると、それらの法律的に何にもないものは見のがしておいて、法律的にがんじがらめになっている生協だけに、なおかつ強いこういう法律を作るということは私は不当だと思う。こうなると、私は今日でさえ、なぜ消費組合とか、社団とか財団とか購買会とか、あるいは生協でないものが起きている現象は、生協認可をとるのがめんどうくさい、実にうるさいのです。またこの認可をとるためにいろいろ苦労をする、最後にはさっきのような罰金です。ですから。そんなめんどらなものだったら、とにかくあまりもうけないようにやればいい、こういう形のものが自然発生的に現実に起きてきているのです。ですから、これはあなたは知らなくても、私は厚生大臣は知っておると思うのです。だから購買会というような形ではどうもよろしくない。やはりそれは生協法という法律の中に入れて、一つの保護政策を加えながら、片方では小売商と問題になるような員外利用については規制していかなければならぬ、こういう考え方を持って、本来の姿になるように、建設的な努力をしておるのです。建設的な努力をしておるにかかわらず、あなたの方は今度は小売商を守るんだといって、この建設的な努力をぶちこわしているのがこの法律なのです。もしそうでないとするならば、この際三条、四条程度のことは厚生省の通達の中で十分生かされて、効果ある方法というものができるわけなのです。参考人の公述の中にも、その点は小売商団体からも明確に出されておりますし、むろん生協の方からもわれわれは小売商とともに栄えていくのだ、こういう立場法律に行き過ぎている分については、自主的に自分たち組織の中で是正をしていこうとすら言っているのじゃありませんか。生協の実態を今まであなたは知らなかったというが、それがだんだんわかってきたのだから、三条、四条については、もう一度考えてみる気持はないでしょうか。
  277. 岩武照彦

    岩武政府委員 御注意ありがとうございますが、現在の状況等見ますれば、やはりこういう立法が要るのだと思っております。ただ今朝来申し上げまするように、施行の仕方につきましては、何もすぐ措置めいて押えるということじゃなくて、もう少し実情に合うように十分に発動に当って都道府県知事が心してもらいたい、そういうことをわれわれも都道府県に対して十分な注意を申したいと思っております。ただ根本的には何らかの立法は要るだろう、しかも大体こういう筋で考えることが必要だろうと考えております。
  278. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私はもう言うべきことはたくさん言ったと思いますが、あなたがいかに生協の実態を知りらないでこの法律を作ろう、そして生協をどう規制されようとしているかと考えると、なおさら私は不可解でならないのです。法律を作ればそれが守られるというが、今日ある法律が同じような状態になっている。ですから私にはこの法律の違いというの、今の生協法ではどうも罰が軽いから、もう一回それに二重の罰を加えようというものしか見えないのです。それでなければ効果というのは出てこないのです。そういうふうに考えてみると、わざわざ健全な発達をしていこうと考えている片方で、監督権を持って行政上の認可とかいろいろの問題点で十分接触をして指導しているところがあるわけですから、それをなおざりにして横っちょからやる、この分だけだとこれはうまく行きっこないわけです。そういう点を考えてみると私は大へん問題だと思う。  時間も参りましたし、だいぶあなたの意見厚生省の課長の意見とも食い違っておりますし、ましてや法律がどうも守られていないなんということは重大な問題ですから、私は通産大臣あるいは厚生大臣の出席を求めて、この法律の持っている目的、そして現実に今起きているのをどうしたら解消できるかという点を、お互いに裸になって、もっと消費者立場あるいは小売商立場、こういうお互いの立場から、どうして調整していこうかという点で、よりよい意見というものを集約してみたいと思うのです。そういう点で私はまだ質問がありますけれども、追って両大臣が見えてからすることにいたしまして、質問を保留して次の大矢委員に譲りたいと思います。
  279. 小平久雄

  280. 大矢省三

    大矢委員 同僚各位から微に入り細にわたって御質疑がありましたが、私のまだ納得いきさかねる点だけを、時間も迫っておりまするから、ごく簡潔にお聞きしたいと思うのであります。法律を作る場合には必ず完全に国民が守れる法律でなければならぬことは申すまでもないのです。ところがこの法律を見ますと、どうも一番悪いくせの、官僚の考えるいわゆる官治というか権力というか、そういうことによってこれを取り締ろうというにおいがきわめて強い。先ほどから聞いていますと、生協の問題にしても四条ですか、これらの一、二、三に対しても、これは選択事項だ、このうちのどれかを選んで罰則をつければいいんだというふうに説明をいたしておりましたが、この都道府県の知事が行うのでありますから、その知事の考えによってこれは三つに行い得る。もっと詳しく言いますならば、組合員にあらざるものには供給事務はやらせぬ、あるいは組合員としての証明書を示さなければならぬ、さらにまた利用券に対して必要な事項を記入しなければならぬ、これは選択事項だから、このうちどれか一つあったらいいというのか、あるいは地方長官考え方によっては、この三つをしなければならぬというのか。たとえば卸売業として許可を得てあるもの、特に繊維市場といいますか、大阪でいう丼池ですが、そこでは小売はいたしませんと書いておきながらちゃんとやっておる。これは一々監督して回るわけにいかぬ。しかしはなはだ困難であるが、困難だからといって、これを放任するわけに参らぬでしょう。これはちょうどあの遊興飲食税の伝票を書けというのと同じで、未亡人だとか二、三の人があんなものを一々つけるはずがない。できぬとわかっておって、こういう法律を作って、できないと罰する。ただ罰するわけにはいかぬから、見込みでこれをかける。これははなはだ迷惑です。あるいは最近のやみの米の問題にしてもそうです。戦時中に行なったものを今は適用できぬ。必要でない、できない法律を次から次に作って、いたずらに罪人を作る。これには国民迷惑している。国民の迷惑は、すなわち言いかえれば立法者たるわれわれ、これを審議したものは良心的な責任を感ずるわけです。そういうことになれば、この法律は徹底的に行えるような、実害のないような、同時にまた公衆を保護するようなものでなければならぬ。保護される方は商店でありますが、それに関係している多くの消費者はこれまた国民であることは申すまでもないのであって、お互いは日常生活に必要欠くべからざるものを買おうとしている。そのために非常に制約を受ける。商人も大切であるし、過渡の競争を防ぐということは必要なことかもしれませんが、その行き過ぎのために消費者が迷惑するという法律であってはならぬと思う。私はこの点について特にそういう立場からお聞きをいたしたいのであります。  まず第一に、この法律を作る場合に、一体厚生省と徹底的に相談をされたかどうか。これは厚生省大臣が来ておりませんから、わかりませんが、あなたたち事務的な立場で双方に協議を願ってここに出したのかどうか。特に今度は六回目の国会です。その間にいろいろ社会党も出し、現政府からも出しまして、そのいいところをよって一つ案を練ろうという院議の決定によって出てきたのが、これです。これから見てよくなっているか悪くなっているか、あなたたちに徹底的に一つ聞きたいと思います。この間もマーケットを建設省の住宅課がやっておるということで問題になりましたが、そういう管掌は別といたしまして、直接関係のある厚生省と通産省と御協議になったかどうか、なった結果、こういうふうにいろいろな改正ができたのか。改正の点で私の聞きたいことはあとから聞きますけれども、そういう相談をなさって意見の一致を見たかということをまずお聞きしたい。
  281. 岩武照彦

    岩武政府委員 厚生省とも相談いたしまして、意見の一致を見まして、通産、厚生両大臣で閣議提出をしております。
  282. 大矢省三

    大矢委員 私の聞くところではどうも厚生省が反対している。しかし党の方で前の院議もあったからこれを決定しなければならぬから出した。特に他の問題では、たいてい党の最高の総務会といったところで決定するということですが、自民党では総務会、私どもでは政策審議会あるいは執行委員会ですが、とにかくそうした総務会の決定を経ていないということを私ども聞いておるのですが、その点あなた方党に説明に行って、総務会で決定したということをお聞きになったかどうか、その点をお聞きしたい。
  283. 岩武照彦

    岩武政府委員 自民党内部の手続のことは、政府から申し上げるのはいかがかと存じますが、通常の法案提出の手続によって処理したと思っております。
  284. 大矢省三

    大矢委員 それは長官としては関係はないでしょう。しかしこの法案政府提案として、その政府の与党である自民党の最高の総務会で決定したかどうかくらいは調べて、あるいは聞いておくくらいの必要はあるでしょう。しかしまあこの点はあえて御答弁がなくてもけっこうです。  それから午前中からの御答弁を私どもずっと聞いておりますが、いろいろな点でどうしても納得しない点が多くあります。しかしこれは平行線ですから、もう多くは聞きませんが、次に第五条、小売市場の許可権の問題、これが前の政府案ではいわゆる直接関係のある、また行われるであろうところのいわゆる指定市の長にこれがあったのを、今度は関係の知事と書きかえてある。いわゆる許可権の権威者というのが、市正長が知事になっているのですが、この政令で指定する市というのは、あの自治法の二百五十何条でしたかにあるところの、いわゆる人口五十万以上の市ということになっておるのか、あるいは現に指定されているところの大阪、名古屋、神戸、横浜、こういう五大市だ、こうなっているのか。その点の指定市あるいはこれは特別区も含むというのですが、この政令で定める指定市というのはどの範囲なのか、具体的に一つ説明願いたい。
  285. 岩武照彦

    岩武政府委員 この指定地域と申しますのは、今お話がありましたいわゆる五大市には限らないわけです。その他の市でも小売市場が乱設されて、いろいろ商業秩序を乱すようなおそれがあるところは指定するつもりにしております。
  286. 大矢省三

    大矢委員 何かこの間の参考人の説明によりますと、今法の適用を必要とする、また受けるその地域というものは大体五大市だ、特に隣接の大阪市においては布施、守口、この二カ所が関係があるので、あとは大体市内だけであるということを聞いておりますが、今申し上げたような政令で指定する市というのは、具体的に大阪の場合には布施並びに守口というものが入るのかどうか、その点お聞きさしたい。
  287. 岩武照彦

    岩武政府委員 大阪市の周辺の市を指定するかどうか、これはもう少し十分検討したいと思っております。  それから五大市以外の、たとえば今問題になっているのは札幌でございますが、これを指定すべきかどうか、実はわれわれ事務当局間で慎重に検討中でございます。
  288. 大矢省三

    大矢委員 それから先ほども申し上げましたように、前の法案では当然当該市の関係のある市長が許可権を持っておったのですが、今度それが変った理由はどういうのですか。
  289. 岩武照彦

    岩武政府委員 前回に政府案として出ました小売商業特別措置法案は、これは小売市場につきましては登録制をしいております。登録というのは、当時の考え方を申しますと、要するに登録を受理して一定の台帳に登録する、いわば制限規制というものを、あまり含まない措置かと思っております。今回はやはり小売市場の問題はそれが乱設を防止正するということをうたって、初めて小売商業の保護ということになると考えましたので、今度許可という制度を採用したわけであります。これは今度の法律の一番の改善された点でございます。許可となりますと、登録と違いまして、やはりある程度規制ということを考えまするので、そういたしますれば、この広い範囲の行政区域ということで考えた方が妥当と思われまするし、かたがた五大市等におきましては、市営の小売市場もかなりあったようでございます。自分がやっておって自分が許可するということも、民営とのいろいろな競争あるいは比較上、公正な処置を疑われる可能性もあるかとも考えられましたので、これはあげて都道府県知事、こういうふうに考えたわけであります。
  290. 大矢省三

    大矢委員 自分の経営しているところに自分が許可するということは、どうもおかしいから、これはそうしたんだというのが第一の理由、それからできるだけ地域の広い方がよかろう、こういうことが第二の理由のようでございますが、こういう法律を作る場合に、行政の二元化といいますか、二重監督といいますか、これは法の適用を受ける住民にとってはきわめて煩瑣で、迷惑をこうむっている。このことは、長年自治法に規定されているところの特別市というものが問題になりまして、とうとう特別市を除くかわりに十七項目にわたる五十万以上の大都市が行うところの権限というものを委譲して、そして特別市という条項を廃止し、指定市にこれこれのものを渡す。その中には市民生活、特にこういう日常生活必需品の市場に関する規定というもの、これは当然市が行うことになっている、あなたも御承知の通り。それを十分この機会に研究していただきたいと思います。現に中央市場はどこにでもある。その中央市場から小売市場に流すために、毎日正当価格をちゃんと表示して、それらのものを迅速に回して、一日のそのときのいわゆる物価指数を、ちゃんと徹底するような機関がある。のみならず食料品でありまするから、保健衛生その他についてはきわめて重要でありまして、環境衛生のことについては全部市がやっている。これは関係ありません。それから建築、消防はもちろんのこと、ことごとく市長の権限になっている。届出、調査についても、監督権を持っているからして、市がこれを行うのであります。これが徹底しますると、今度は市と知事に二重にやらなければならぬことになる。私はこれは市場関係の人はきわめて迷惑だと思う。この間もいろいろの陳情あるいは参考人としてこれを強く言っておった。私は実際の当事者として非常に迷惑を受けておることと想像ができる。こういうことで、なるほど大阪市は百六十ですか、その中に四十、五十近いところの公設市場、つまり市の市場を持っておりますが、これは競争のために持っているんじゃない。店舗が少くて困るからというので、市民生活に重要な関係がある市場として市がやっておる。従って私設市場も公設市場もこういうように競争して——今度の法律のねらいのように、つとめて公平な家賃で、利権者がこれを利用することのできないように、特に家賃の規制が強くうたわれておると同様に、その精神を持ってできたのが、すなわち公設市場なんです。その公設市場を市が許可して、市が経営しているから、同一のものだからいかないということは、これは実情に沿わないことなんです。第一今のそういう理由というものは——こういうことでありまするから、もしこの法律がこのまま通るとするならば、実際にあなたたちが保護しようとする小売市場が、手続上上その他非常に煩瑣になって困ることになる。建築のごときは、長年府県にあったものが、いわゆる十万以上の都市には建築事務は一切その市に置くことができる、ただし知事と協議しなければならぬということで、五大市中大阪が最後までがんばりまして、なかったものが、今度の、今申しましたいわゆる政令の十七項目を委譲することによって、建築事務はほとんど来ておる。これはよけいな話かもしれませんが、建築はまず第一に都市計画にかかっておる、明示願いが要る、消防が要る、建築の様式がちゃんと基準法に定められておるものをつけて、それを監督検査を受けなければこれはできぬ、これが一切一つの窓口でできる。今までは府に行く、市に行くで、きわめて迷惑しておったのがこれだけになったのが、またこういうことになりますと、二重監督をみな受けることになる。こういう行政立場を、政府もしばしば言明いたしておりますように、きわめて簡素にすべきだ。それはいろいろな点で重要でありますが、特にその関係の住民の利害のために、そういうことをしなければならぬということでいろいろ御苦労なさっておるようでありますけれども、そういう意味からして、むしろこれは逆行であります。私はこれはただ知事に権限があるとか、あるいは市長が権限を持ちだいとかいう権限争いではないと思うのです。これはわれわれの長年主張してきた問題でありまして、二重監督、二重行政をあらゆる機会になくしていかなければならぬ。ほんとうからいうならば、市町村が自治体の主体であって、広域範囲の監督行政をやるのが府県だ、こういうことになりますならば、少くとも二百万も三百万も擁するところの大都市のごときは、何で一体あっちへ行き、こっちへ行き、二重監督を、しかもこうした法律、政令によってちゃんと十七項目のいわゆる行政の委譲のあった今日、ここにまたこんなことをやるのは、私はどうしても理解できない。先ほど来、実情に沿わない、実情に明るくない役員が考えられたということをしばしばお伺いしたが、その通りだ。私はこういう点を説明する必要はないと思う。どうせあなたたちは陳情なり、あるいはいろいろな書類でもってごらんでありましょうが、いろいろな不便が感じられるということを十分留意していただきたい。この点は、よく変ったならばいいけれども、悪く変っているということも考えますから、この点を特にお聞きしたのですが、そういう不便を感じられぬかどうか。
  291. 岩武照彦

    岩武政府委員 御指摘のような点から見ますれば、あるいは市に権限を与えた方がいいのかもしれません。ただ、私が申しましたように、今度の法律は前のように無制限に登録するということじゃなくて、一定規制を加えようということでございます。そういたしますと、問題は二つありまして、一つは先ほど申しましたように、たとえば五大市の中で五大市の経営する公設小売市場と普通の民間業者が段置いたします市場と競願になった場合、一体これが五大市に許可権があったなら、どういうことになるだろうか。もちろん公平にやるだろうと思いますが、しかし、考えて見ると公正な処分をしないのじゃないかということを疑われるようなことになっても、まずいだろうと思うわけでございます。従って、都道府県であればその憂いはまずないかと思います。  もう一つは、五大市の境界付近と隣接の市との関係でございますが、そういう場合に許可権者が違っておりますると、いわば心ならずも結果的に乱設になることもあるのじゃないか。きわめて近接した地域に許可することも考えられまするので、そういう意味から広い範囲で考えたらよかろう、こういうことで、あるいは若干の不便があるかもしれませんが、全体的にこの問題を公平にさばいていただきますのには、やはり都道府県の方がいい、こういうふうに考えたわけでございます。
  292. 大矢省三

    大矢委員 それはただ単に一方的に、市の立つ場だけを考え許可するおそれがあるから、そうしたという御答弁でありますが、私はこういうものを徹底する場合において、いろいろ審議会なり、商業団体その他の団体意見を聞かないで勝手にきめるのはどうかと思う。市は営利事業じゃないから、特に民間から競願があった場合に、市の方でとるだろうというものの考え方はおかしいと思う。私はそういう議論はあまりいたしませんけれども、今度の市場関係で最も関心を持っている許可権、あれはほんとうの許可権ですかね。私は家賃制限令だと思っている。新しい市場の許可などという大それた内容の法律じゃないと思う。現に店舗の数なり家賃をちゃんと政令の定める通り届け出てきたら許可しなければならぬと書いてある。幾らこんなところに必要はないと思っていても拒否することはできない。これでは市場の乱立を制限できるなどとは毛頭考えられない。どういうことでこんなことをしたか知りませんが、何べん読んでもこれは数と家賃の統制令なんです。建築業者が利権を得るために市場を乱立して、その結果周囲の商人の公正な競争を害してはいかぬから、建築業者の利権を押える法律だというかもしれぬ。しかしこれを実行した結果は親類とか友だちがやってきて、こうしておきなさいとかあとはこうしろとかいって、やみの家賃ができたりして、これはなかなか取り締れるようななまやさしいものではないのです。この間も保守党の人が尋ねたように、日本人は裏ばかり考えておるから、こういう法律ができたらすぐやりますよ。従って、私は、もっと権威ある審議会でも作って、ほんとうに制限しようとするなら、それだけの内容を持ったものでなければならぬと考えますが、これによると、政令に定める家賃なり数なりの条件を備えていれば、それで許可しなければならぬのですから、拒否する理由はどこにもなくなってくる。その通りやってきたらどうしますか。これには距離とか人数とかいうものは一つもない。こういうことではいわゆるザル法であって、この法律ができたためにかえって乱立するおそれが多分にあると思う。許可をするなら、知事の一方的な考えでなくて、ほんとうに地方の消費者、商人はもちろんのことでありますが、そういう人たちをも入れ、第三者も入れたところの公正な審議会によって許可するかしないか決定する、私はそういう機関でもなければ、とうていこれは行われるものじゃないと考えますが、その点はなはだ甘く考えていらっしゃる。ほんとうに、これで許可認可して乱立を防止するなんて大それたことは、この法律の内容では言えない。なまいきなようですが、こういうように私は考える。あなたはこの許可で乱立を防ぐと言っていらっしゃるが、こういう規定条件をちゃんと具備しておれば許可しなければならない。これでは私は乱立を防止することはできないと思っておりますが、法の権威のために、ほんとうにこれで大丈夫だと考えられるかどうか、この点を一つ承わりたい。
  293. 岩武照彦

    岩武政府委員 この法律は御承知のように貸付契約の条件規制したわけでございます。この趣旨につきましては、たびたび申し上げましたが、要するに小売市場がたくさんできるのは、御指摘のように何かうまみがあるからだろう。うまみというのは、結局そこに建物を建ててこれを貸したりして、権利金あるいは家賃等でうまみがあるからたくさんできるのだろうと思っております。その方をしぼれば、そういう小売市場を設置しようとする動きも、かなり減るだろうと思います。そういうわけでございまして、それで全部小売市場を作ろうとする者がなくなるというまでは自信を持っておりませんが、多くの場合は防げるだろうと思っております。
  294. 大矢省三

    大矢委員 それはお答えの通り私もそう思います。これは利権を防ぎ、そういうものをなくすれば、乱立が防止されるであろうということも想像できますが、それだけにしぼられている。もっと大きく解釈して——そういうことももちろん必要であるが、それ以上に、もっと場所なりあるいはそれぞれの人口の配合等も十分考慮した上できめる。しかしそれが家賃が安いだけであってもならぬ、必要でなければ許可しないというふうなもっと強いことが行われなかったものかどうか。これはもちろん憲法に違反するとか何とかいう議論があるようでありますが、ある一定の地域に限って、それが消費者のためになり小売商人のためであるならば、私はそういうことは憲法違反にならないと思っておりますから、もっと強いものがあっていいのじゃないか。といいますのはどうも自民党の考え方というか、今の保守党の役員の方もそうですが、自由主義の競争を野放しでもないし統制するでもない。何でもそうなんです。この間の繊維の問題でもそうだが、もっと徹底してやるならやる、それとも野放しで大いに競争して弱肉強食、優勝劣敗やむを得ぬでもいたし方ないが、なまはんかをやられるから困るということをしばしば言われる。この点は今度の法律案でも、あるところは締めておる、あるところは自由にやらしておく。一体どこをねらっておるのか。しかもこれは実際問題としては徹底一方であってはならぬかもしれない。いわばそういう厳重なところと、また自由にやるところもなければならぬかもしれませんが、出てきたことを場当り的につかまえて、いろいろああやってみたりこうやってみたり、結局その間に法の盲点をくぐって、結果からいうと逆に現に迷惑しておるようなことができたと思う。今日の質問の中にもありましたが、いろいろ地方におけるスーパー・マーケット、名店街その他これに対してはどうにもできない。こういうところは野放ししておいて、市場だけを厳重に許可制にする、こういうことでははなはだ不徹底だと思う。しかし、今後も大いにやるのだというならば、そういう計画性を持ってやってもらいたい。私は、まだ特に市場の認可の問題その他いろいろお聞きしたいと思いますが、私ちょうどどうしても四時に帰らなければならぬので、きょうはこの程度にして、次に質問を保留しておきたいと思います。
  295. 小平久雄

    小平委員長 次会は公報をもって御通知することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十八分散会