運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-03-27 第31回国会 衆議院 商工委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十七日(金曜日)委員長の指 名で次の通り小委員及び小委員長を選任した。  請願審査小委員       小川 平二君    小泉 純也君       小平 久雄君    中村 幸八君       南  好雄君    加藤 鐐造君       田中 武夫君    松平 忠久君  請願審査小委員長                  中村幸八君 ————————————————————— 昭和三十四年三月二十七日(金曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 長谷川四郎君    理事 小川 平二君 理事 小泉 純也君    理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君    理事 南  好雄君 理事 加藤 鐐造君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       新井 京太君    岡部 得三君       岡本  茂君    木倉和一郎君       坂田 英一君    始関 伊平君       關谷 勝利君    中井 一夫君       野田 武夫君    板川 正吾君       今村  等君    内海  清君       大矢 省三君    勝澤 芳雄君       小林 正美君    鈴木  一君       堂森 芳夫君  出席政府委員         法制局事務官         (長官総務室主         幹)      吉國 一郎君         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  坂根 哲夫君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監理局長)  山口  酉君         大蔵政務次官  山中 貞則君         通商産業政務次         官       中川 俊思君         特許庁長官   井上 尚一君  委員外出席者         議     員 清瀬 一郎君         通商産業事務官         (特許庁総務部         長)      伊藤 繁樹君         通商産業事務官         (特許庁総務部         工業所有権制度         改正調査審議室         長)      荒玉 義人君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月二十七日  委員坂田英一君及び鈴木一辞任につき、その  補欠として小坂善太郎君及び河野密君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員小坂善太郎辞任につき、その補欠として  坂田英一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十六日  百貨店法の一部改正に関する請願野田武夫君  紹介)(第二八五六号)  日中貿易再開に関する請願中垣國男紹介)  (第二八九五号)  同外八件(阿部五郎紹介)(第三〇一六号)  同外八件(中村高一君紹介)(第三〇一七号)  同外六件(野口忠夫紹介)(第三〇一八号)  同外六件(正木清紹介)(第三〇一九号)  日中貿易再開の決議に関する請願野田武夫君  紹介)(第二八九六号)  中国産生漆輸入に関する請願阿部五郎君紹  介)(第三〇二〇号)  同外三件(田中稔男紹介)(第三〇二一号)  同外七件(原彪紹介)(第三〇二二号)  同外八件(門司亮紹介)(第三〇二三号) は本委員会に付託された。     —————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長の選任  に関する件  特許法案内閣提出第一〇八号)(参議院送  付)  特許法施行法案内閣提出第一〇九号)(参議  院送付)  実用新案法案内閣提出第一一〇号)  (参議院送付)  実用新案法施行法案内閣提出第一一号)(参  議院送付)  意匠法案内閣提出第一一二号)(参議院送  付)  意匠法施行法案内閣提出第一一三号(参議院  送付)  商標法案内閣提出第一五八号)(参議院送  付)  商標法施行法案内閣提出第一五九号)(参議  院送付)  特許法等施行に伴う関係法令整理に関する  法律案内閣提出第一六〇号)(参議院送付)  特許法等の一部を改正する法律案内閣提出第  一五七号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 これより会議を開きます。  特許法案特許法施行法案実用新案法案実用新案法施行法案意匠法案意匠法施行法案商標法案商標法施行法案特許法等施行に伴う関係法令整理に関する法律案特許法等の一部を改正する法律案、以上十法案を一括して議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 私は特許法関係法案につきまして、順序を立てて御質問をいたしたいと考えておりましたが、他の委員会との関係等政府委員出席等関係もございますので、散漫になりますが重点的に御質問いたしたいと思います。  まず第一に長官にお伺いいたしたいことは、一昨日の八名の参考人のうちで、まず発明協会の会長でしたか理事長でしたか、斎藤さん、それからあと井上さんと村瀬さんは審議会のメンバーとして参画した人である。この人を除く五名の人は反対の態度を明らかにいたしております。その反対理由は、一口に言うならば、四十年来の特許法関係法律改正するに当って、何もそう三カ月か半年を急がねばならないであろうか、もっとじっくりやったらいいのではないか、こういうことと、関係者もこのことについて十分に前もって知らされてなかった、こういうことが大きな理由のようであります。このことについて長官にお伺いいたしたいのでありますが、本法は施行は来年の四月一日になっております。特許料金だけが本年四月一日ということでございますが、法の施行は来年の四月一日です。それならばなぜそんなにあわててこの法案を処理しなければならない理由があるのか、こう考えるわけなんです。井上参考人は、それのために六年ないし八年の準備をした、十年近い十分の準備期間があったのだから早く上げてくれ、こういうことなんです。私時間があれば参考人にも伺いたかったのですが、準備期間が長かったから国会審議は短時日でいいということは言えないと思う。来年の施行に関するものであるにかかわらず、なぜそんなに急がねばならないのか、一つお伺いいたします。四十年来ほっておいたものである。しかもこれを改正する理由、いわゆる審査の書類がたまる、手続がおくれるということは、法等の問題でなく機構の問題ではなかろうかと思う。あるいはまた、たしか斎藤さんであったかと思いますが、参考意見の中には、日本外国特許植民地になる、だから早く直してくれ。しかしそれも直接法と関係があるとは考えられない。そういう点についても逐次御質問したいと思っておりますが、今申しましたなぜその必要があるのか、施行は来年ではないか、この点について急ぐ理由特許料値上げだけではなかろうか、こう思うのですが、いかがですか。
  4. 井上尚一

    井上政府委員 本法案は、実は去年の通常国会に間に合えば準備のできた分だけでも提案したいというくらいに考えておったわけでございましたが、ちょうどいろいろ国会の都合、空気等関係もあったものでございますから、今回の提案ということになった次第でございます。その法律改正を必要とする理由でございますけれども、これは先日今回の提出法案提案理由の説明中にも申しました通り、今度の改正項目といたしましていろいろな点がございますが、ただいま御指摘の、参考人といたしましての発明協会理事長発言関連しましての御質問がございましたので、この点に関連して申し上げてみたいと思います。  まず第に、今回の特許法改正理由の点といたしまして、国際的視野の拡大と申しますか、具体的に申しますれば、発明新規性判断の基準につきまして、外国で頒布された刊行物記載をもこれに加えることと改正した点がございます。特許を受けることができる発明と申しますのは、言うまでもなく御承知のように新規なものでなければならないわけでございますが、その新規な発明とは何かという場合に、現行法におきましては、国内で公知または公用でないもの及び国内で頒布された刊行物記載されていないことというふうになっているわけでございまして、その地理的範囲国内というふうに現行法では限っている次第でございますが、今回は刊行物に関しましてはこれを拡大しまして、外国で頒布された刊行物記載されているようなアイデア、そういう発明につきましてもこれを特許しないということに、この点を改正したいと考える次第でございます。この理由は、一言で申しますれば、外国では刊行物にもうすでに記載になっている、言いかえれば、外国では特許にならないそういう発明アイデアにつきまして、その刊行物がたまたま日本にはまだ来ていない、頒布されていないというだけの事情で、日本特許出願しますれば、それが堂々と特許権として認められるということでは、これは日本産業経済に対する不当な圧迫になる、かように考える次第でございます。言いかえますれば、国際交通、通信が非常に発達しました今日としましては、外国において頒布された刊行物記載されてあるような事項につきましては、何人もこれを利用することができるような状態にあるわけでございます。そういうようなものも、これを新規性がないものとして扱うことが必要である、かように考える次第であります。言いかえますれば、こういう現行法状態を続けて参りますると、外国では特許にならないようなそういう発明、そういうアイデア日本出願して参りますれば、すぐ右から左に、日本ではそれが特許として通るということは、いろいろな点からこれは不都合であり、また日本産業経済に対する非常な圧迫になるということを思う次第でございます。この点が先刻引用になりました発明協会理事長発言のあった点かと考える次第でございます。なおこの事由以外としましても、われわれといたしましては、たとえばきのうの委員会で申しましたような原子核変換方法により製造されるべき物質、そういう物質発明につきまして特許出願がございました場合、現行法ではこれを特許するほかないということになるわけでございますが、そういう今日の科学技術進歩の所産でございまする原子核変換方法により製造されるべき物質というような重要な発明について特許を認めるということは、原子力政策の点から申しましても、あるいは日本原子力産業の今日の発達の段階から申しましてもこれはきわめて不適当である、そういうふうに思う次第でございます。そういう理由から、これをやはり不特許理由といたしまして至急加える必要があると思う次第でございます。なお、このほかいろいろな改正項目中、なるべくすみやかに改正をこの際加えますことが特許制度運用、ひいては日本産業の発展という点からきわめて必要であるという点が、権利侵害に関しましての規定その他いろいろございますが、これは省略したいと思います。一、二の例を申し上げましてこの法律改正ができるだけすみやかに制定されますことを、われわれとしては念願いたしておる理由の一端を申し上げた次第でございます。  それから次の問題としまして、この法律改正ということと審査促進ということとは、必ずしも直接関連がないではないかという点についての御指摘でございますが、これは法律改正の問題が、審査促進迅速化ということに関連を持っている面もございますが、同時に持っていない面、すなわち法律自身の問題ではなくして、むしろ特許行政の実際上の運用改善の問題という両面がございます。すなわち、何と申しましても審査促進ということは、人員の増加でございますとか、あるいは審査官、審判官の実力の涵養でございますとか、資料の整備であるとか設備の改善であるとか、そういう予算的措置を要する面がたくさんございますが、こういう問題は直接には法律改正の問題ではなくて別の問題でございますけれども、同時に法律改正の問題としても、審査促進関連した点が少くないわけでございます。これの一例を申しますと、今度実用新案法改正の一環といたしまして、従来実用新案権利対象は型ということになっていましたのを、今度は考案というふうに改めた次第でございますが、この点につきましての詳細な理由は、別の機会に申し上げたいと存じます。従来発明は、特許対象としての発明と、実用新案対象としての型とを峻別して運用して参りました。また法律もそういうふうに区別をする建前でございましたが、そういう軍用の結果、同じものに対しまして一方では特許権が認められる、一方では具体的な型に着目して、これには実用新案権が認められるということでやって参りましたので、従来はある考え発明について特許権を得ようとするものは特許出願をしますと同時に、この発明から生まれるべき具体的な型が想定されるものをいろいろ防衛の必要上、他人がその型について実用新案権を取っては非常に困るという意味合いから、防衛の必要上、実際自分としては積極的に権利を取る意思なきにもかかわらず、実用新案登録をどんどん出願してくる、そういう面もいろいろあったわけでございます。こういう点が実用新案登録出願を、現実の必要以上に増加させておるという面が確かにあるわけでございます。そういう面の改正が真に必要な、真によい考案についてのみの実用新案登録出願の件数の減少、よい意味での実用新案登録出願減少という効果が、ここにあるわけでございます。そういった点は裁定の迅速化という点に相当な関連を持っておる点でございます。  次に第三の問題点としまして、来年四月一日から新法実施施行をするというのに料金改定のみはこの際至急やろうとする理由は何かという御指摘でございます。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 僕の質問をあなたは曲解している。一つ一つ言います。長い答弁は要りませんから。私の言っておるのは、法がかりに今国会で通ったとしても、実施は来年の四月一日なのです。本年四月一日から実施するのは特許料金だけなのです。それならば、そう急いで何も今国会でぜひ通すと言わなくても、先日の参考人意見にもあったように、もっと期間をかけて検討さしてくれ、来年の四月に間に合わせればよいじゃないか、急いでおるのは特許料値上げの点だけと違うのか。来年の四月にやるのに、なぜ急ぐ必要があるのか。そういうことなのです。
  6. 井上尚一

    井上政府委員 今度の改正は非常に大きな改正でございますので、この改正内容産業界に対する周知徹底にも相当の時間を要するわけでございます。そういう準備を要する関係と、それからもう一つ法律施行関連して政令省令準備を行う必要がございます。これも量的に相当大きなものになる予定でございますので、そういうような政令または省令準備法律改正内容周知徹底という点から、どうしても改正法律実施には相当長期の期間準備を要するというわけで、来年四月一日からということに新法施行考えておりますが、料金の点につきましては、実は現在特許料については前もって数年分特許料の納付を行うことができるという建前があるわけでございます。     〔委員長退席中村(幸)委員長代理着席〕 来年四月一日以降からの料金改定ということで、われわれは当初考えたわけでございますが、そうなりますと、来年四月一日になりますまでの間、非常に長い間将来に向って効力を発揮するような特許権についての特許料前納、一括しての前納が殺到する。そういうことはむしろこの際考える必要があるというわけで、立法方法としては、この新法中、料金に関する部分につきましては、従来料金改定の普通のやり方としまして、公布と同時にこれを実施をするというのが通常方法でございますので、新法中この料金改正に関する部分を抜き出しまして、新法公布と同時に実施をやりたい、かように考えた次第でございます。制度が変ります関係上、それが法律技術的にむずかしいものでありますので、やむを得ず現行法中の料金部分のみを改定いたしまして、そうして現行法新法移行する、その移行を円滑にしよう、こういうわけで、料金部分につきましてのみ、新法公布と同時に料金改定実施効果を上げよう、こういう考えでございます。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 法を出される以上は、ある程度政令等についてはもう考えられておると思う。施行のための政令を用意する、それだけに一年の余裕は私必要ではないと思う。また膨大な法であるから周知徹底せしむるために期間が要る、当然だと思います。だがしかし、国会提出に至るまで、先日の参考人意見では、ほとんど秘密裡に作業が行われたごとく申しております。それならば、国会提出以前に十分関係者意見を聞く機会を持つとか、あるいはまた十分徹底せしむるようにしてやれば、改正になる点が国会修正になっても、そう根本的な修正になるわけじゃない。準備期間というか、一般関係者に知らしめるための期間ということも、何も来年の四月から実施する法律をそんなに急ぐという必要は、私はないと思う。先日の参考人意見の中に、弁理士会においても、ほとんど知らされなかったと言っておる。あなたは知らしておったと言っておる。私が聞いたところでは、この「パテント」という雑誌の一九五七年十月号、すなわち一昨年の十月号で、これは第三読会の案だそうですが、それが掲載せられている。それで初めて知った、こういうことなんです。しかしその中では、だいぶん提出法案とは違う点がある。たとえば第三読会の六十九条あたりが変っておる。また特許料値上げの問題なんか、ほんとうに突如として出されたものである、このように聞いておるのですが、周知徹底せしむる準備期間が必要であるというならば、今までにそういうことは十分行い得べきだと思う。それをやらずして、法を通してから一年ということは、私前後の関係はあろうとしても、それだけが急ぐ理由とは考えられない。いかがでしょう。
  8. 井上尚一

    井上政府委員 もちろん法案の立案の過程を通しまして、われわれとしましては、要綱の発表法案の原案、草稿の発表、そういったことを通しまして、できるだけ関係方面に、この内容につきまして、いろいろ周知徹底をこれまでもはかって参りました。が、同時に、これは非常に関連を持つ範囲が広い性質法案でございますので、新法公布になりましてから施行になりますまでの間は、相当やはり準備期間を設けまして、一そうの周知徹底、浸透を十分期して参ることが適当であろうと考えた次第でございます。当初実は、率直に申しますと、来年一月一日から施行ということを予定しておったわけでございますが、政令特に登録令等非常に法律技術的にむずかしい問題がございましたり、その他省令等特許実用新案意匠商標四法にまたがります関係上、これにつきましては十分慎重な準備を期するという関係で、この新法実施は来年四月一日というふうに万全を期した次第でございます。この料金の問題につきましては先ほど申しましたように、料金改定という事柄の性質上、これは公布と同時に施行するというのが、すべての場合の普通のやり方でございますので、この点につきましては新法公布と同時にこれを改定したい、かように考えたのでございます。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 私が言っている点とはちょっと食い違いがあるように思うのだが、こういうことばかりやっておっては何もならぬので、どんぴしゃいきたいと思いますが、先ほどちょっと例に上げた「パテント」の一九五七年の十月号に第三読会の案が出されておる。これをもって初めて弁理士会の会員の人は知った、こういうことです。しかもその中に相当また提出法案とは変っておる。その一つとして第三読会の六十九条、これがなくなった、こういうような点がある。それに関連して、今あなたが答えたことについては、他の政府委員の方、直接関係のない方に対する質問を急ぐために除いておいて、あとからまたゆっくりあなたに聞いていくことにいたします。それは、改正案では七十一条関係になりますが、第七十一条は参議院において「解釈」となってあったのを「判定」と修正になっております。ところが、この判定修正したこの七十一条は変っておるのだが、それに関連して、たとえば百七十七条その他の法案整備ができていない。そこに疑問が出てくると思う。そこでお伺いするのですが、この判定行政処分ですかどうですか。
  10. 井上尚一

    井上政府委員 これは特許庁としましても鑑定に類する行為であると考えております。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると行政処分の一種ですか。
  12. 井上尚一

    井上政府委員 行政処分ではございません。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると百七十七条の訴願とかあるいは百七十八条等にある他の行為とは違うのですか、一緒ですか。たとえば百七十七条にある決定、査定、審決あるいは審判または再審云々と、こういう行為と、これの判定とは法律上の性質として同じですか、違いますか。
  14. 井上尚一

    井上政府委員 私は先ほどの判定と申しますのは、こちらの百七十七条に規定する処分には該当すると思います。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、この判定異議のある者は百七十七条の訴願はできるわけですか。
  16. 井上尚一

    井上政府委員 できると思います。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしたら百七十八条以下の訴訟対象にはなりますか。
  18. 井上尚一

    井上政府委員 百七十八条の規定には該当しないと思います。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、この判定異議のある場合は百七十七条による訴願は許されるが訴訟対象にはならない、こういうことですか。
  20. 吉國一郎

    吉國政府委員 今特許庁長官からお答え申し上げました通り、百七十七条の処分の中には七十一条の判定は入ると考えております。もちろん訴訟対象にもなりまするが、百七十八条であげておりますような東京高等裁判所専属管轄になりますような訴訟ではございません。一般行政事件訴訟特例法によりまする訴訟として地方裁判所に回ることになると存じます。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 今の法政局答弁長官答弁とは食い違いました。長管はこの判定行政処分ではないとおっしゃる。私は行政処分だと思う。法制局がおっしゃっておるのは行政処分として一般訴訟対象になるということなんです。
  22. 吉國一郎

    吉國政府委員 百七十七条の「この法律又はこの法律に基く命令の規定により行政庁がした処分」の中には入ると申し上げたわけでございます。特許庁長官答弁も百七十八条で申しております訴えの対象にはならないと申し上げただけでございまして、一般訴訟としては七十一条の第一項の判定もその対象になり得るということでございまして、答弁食い違いはないと存じております。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 私の言っているのは、判定法律的な解釈としては、行政処分として解釈していいかどうかなんです。長官行政処分ではない、あなたは行政処分だという上に立っての答弁なんです。
  24. 井上尚一

    井上政府委員 先ほどの私の言い方があるいは不正権であったかと存じますが、判定特許庁鑑定考えるべき性質行為であるが、これは広い意味における行政処分というふうに考えてよいと考えております。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 広いじゃなしに、行政処分なんですよ。この点あとでもっとやりましょう。  大蔵次官が急いでおられるそうですから大蔵次官に先に御質問いたします。  実は御承知のように当委員会において特許法関係その他の工業所有権立法法案審議を今やっております。そこでちょっと大蔵省としてのお考えを伺っておきたいのですが、今日特許あるいはその他の意匠とかあるいは新案、その他の出願から決定にいたるまで期間が相当かかる。これは機構の問題が多いのです。よく特許庁予算関係を調べてみましたら、三十二年度の歳出歳入を見た場合に、いわゆる歳入歳出を三千万円上回っておる、すなわち黒字である。これが国庫の収入となっておるわけです。ところがこの法案によって約二倍に特許料を上げようとしておる。その結果三十四年度で大体四億何千万円の黒字になるわけです。特許庁を特別会計というお考えであるならば、歳出歳入関係をそういうように考えていってもよいと思うのだが、一般会計です。大体大蔵省の見方は特許庁を独立会計といいますか、独立採算制を考えておられるのか、言いかえるならば特許事務を一つの企業のように考えて、政府はもうけようとしておられるのか、この点を一つお伺いいたします。
  26. 山中貞則

    ○山中政府委員 私の役所はとることに非常に熱心な役所のように思われておるのでありますが、ただ特許庁に関しましては私どもは独立採算をしいる、もしくはそれを基本とする考え方には立っておりませんで、やはり特許行政の上に必要な行政経費というものを盛り込んでいく。今回たまたま御指摘の八億五千万円ほどになりまする料率改定による増収、すなわち約二倍と言われましたが、飛躍的な増収を期待いたしまする料率の改定と、実行歳出面の予算等を飛躍的にさらに二倍にするかという関連的な考え方に、実は立っておりませんで、やはり特許行政のあり方については必要経費を計上していくという考え方を、基本にいたしております。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど長官と質疑応答をやっておったときに、法の施行は来年の四月一日、料金だけはことしから上げると言う。そういうことでありながら、三十四年度の特許庁歳出予算を見ましてもあまりふえていない。従って人員その他機構等の関係で、特許事務が渋滞しておる、こういうことなんです。しかも予算を見た場合に、たとえば先ほど言ったように三十二年度では三千万円の黒字をあげておる。それならば少くとも特許事務をスムーズにやるためには、特許庁の人員その他について、あるいは今度の改正によって外国刊行物その他を十分調べなければならないということになります。そういうような予算が十分あるかと言いましたら、そういう予算も十分つけられていない。また本法の国会提出に当りまして出されてきておりますところの特許事務なんとか七年計画というのでは、人員等も逐次ふやすという計画もあるわけです。そういうことに対して今後大蔵省としては十分に配慮をしていくという用意があるのか。さしあたり三十四年度には、一躍二倍の特許料をとるとなれば四億一千万円の黒字がもう明らかにわかっておるわけなんです。少くとも来年を待たずして——来年度でも直ちにもっと機構を拡充する、従って特許庁予算をもっとふやす必要があろうと思う。そうでなければ、少くとも三十四年だけで四億一千万円をもうけようとしておる、こういわざるを得ないわけです。そこで補正予算でも出して、この法案がかりに国会を通った場合に実施するに当って十分な予算をつけるだけの考えを持っておられるか、この点を確かめておきたいと思います。
  28. 山中貞則

    ○山中政府委員 純粋に予算的な立場から最初にお答え申し上げますと、料率改定のみを一年早く実施することにつきましては、特許庁長官あたりからすでに話が行われておると思いますので詳しくはふれませんが、現在の旧料率前納制度が拒否できない以上は、前納殺到といいますか、そういう形式も予想されますし、さらに、さなきだに御指摘を受けておりますような事務をさばく能力と申しますか、特許庁の能力では非常に事務の混乱を予想されますので、やはり料率改定だけは先にやっておこうということにしたわけでありますが、そういたしますと御指摘のような飛躍的な約二倍に近い増収が歳入面に見込まれる。一方三十四年度の予算に当っては、そのような増加が見込まれてない。根本的な考え方につきましては、先ほど特別会計的な収支採算を考えていないということを申し上げましたが、本年度飛躍的にふえておらないといいまするのは、一つには前年度に退職金の見積りと、共済組合の負担金の計上に当りまして、特許庁と私の方との話し合いに若干の見込み違いと申しますか、結果的に言いますならば、実績によって相当な残が出ましたので、やはりこれも実績に応じて義務計上の金額でありますから載せるのが至当であろうということ等が関連をいたしまして、こういう予算になったわけであります。予算的にはそうでありますが、さて今後どうするかという問題でありますが、補正予算等の場合において歳入に見込んで、相当大幅な特許庁歳出考えるかということについては、私どもは現在のところ、本年度歳出予算としては考えておりません。しかしながら、しからば特許庁の予算、すなわち規模に応ずる行政能力はこれでよろしいかということになりますと、これは巷間種々言われておりまするように、単に特許出願関係者ばかりでなく、日本特許行政の事務遅滞と申しますか、そういうことにおいていろいろの非難あるいは意見等が出ております。私どもの日本人の持っておりまする能力のうちで一番金のかからない、そして一番すぐれた頭脳から発する資産と申しますか、そういうものをもっと有効に生かすためには、諸外国等の文献、もしくはその他の特許事務参考書類等についてすみやかにこれを照合し、もしくはそれに伴って事務がすみやかに片づけられるということが、やはりわれわれの理想でなければならぬと思います。従って、私どもといたしましては、料率改定による増収等も十分考えまして、来年度の予算の編成におきましては、これに対して十分の配意を用いていくつもりであります。幸い官庁の配置転換等が予想されておりまするが、特許庁も、通産省等が出て行きますると、事務の部屋の使用上も非常に円滑になると思いまするので、そういう面からも考えまして、私どもといたしましては、皆様の御指摘なり、御希望になっておりまする方向に、予算を十分配慮していきたいと考えております。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 特許事務といいますか、工業所有権付与ということを企業と考えて、もうけよう、政府がこういう考えでないことだけは一応了解しましょう。だが、再来年度、三十五年度からは考えようということなんですが、今現に審議されておる——二、三日のうちに通るらしいが、三十四年度の予算を見た場合に、この特許値上げによる四億一千万に近いものが歳入の画で考えられていない。また歳出の面で、これだけをもうけるのならば、補正予算でも出して人員の強化を直ちにやる。先ほどの特許庁長官の話では、かりにこの国会でこの法案が通っても、実施の来年まで一年間ぐらいいろいろの準備が要る、こういうことです。従って、本法が施行せられてから新しい人員を入れても、直ちに役に立たない。そのためには、すでに本年度から人を養成する必要がある。そういう点で、補正予算でも考えるお考えがあるのかどうか、三十四年度予算を補正するお考えがあるのかどうか、これをお伺いします。
  30. 山中貞則

    ○山中政府委員 特許庁長官からお答えのニュアンスもよく聞いておりませんからわかりませんが、合っておると思いますが、先ほどお答え申し上げました通り、私どもといたしまして、この料率改定を一年早くやりました理由は申し上げた通りでございまして、こをもって、歳入の大幅な増加があったから、まあ御表現によればもうけ過ぎるということでありますが、私どもとしては、もうけるためにやっておる意思は毛頭ないのであります。現実にそれだけの増収のあることは、これはそれだけ法律改正その他によりまして、今後新しい事務も習熟せしめなければならないし、あるいはそれに応ずる内容も整えてやらなければならぬということが伴うものであることは十分承知いたしております。しかしながら、じゃこれを本年度補正ですぐ見てやるかということにつきましては、本年度予算といたしまして、二十名増加の分を一応予算上は認めておりまするので、さらにこれを補正でどうするということについては、私の方としては考慮いたしておらないつもりであります。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 二十名の増員ということは、すでに本年度の歳出に認められておる。それに比べて、料金を二倍に上げると四億一千万円の増収になる、黒字になるのです。来年度からこの大きな法律実施せられる。これを完全に実施するためには、もっと人員も必要である、だから、三十五年度で考えたとしても、入って直ちに役に立つものじゃない。長官は一年の準備期間は必要だ、こう言っておる。それなら、そういう人員についても、本年度から入れて準備する必要もあろう。あるいは外国刊行物等も調べるというなら、予算も足りない。だから、大蔵大臣をお呼びしておったんですが、大臣が予算委員会等の関係があって、親愛なる次官が見えておるんだから、大臣にかわって次官から、ここで一つ補正予算も考えると言ってもらわないと、四億一千万円ただ取りするんじゃないか、こういう心配があるんですが、どうですか。
  32. 山中貞則

    ○山中政府委員 非常に親愛感を表現してもらいまして、私もそういう気持で答弁いたしますが、先ほど来申し上げておりますように、事務に習熟する必要があるということは、直ちにここで法律改正して実行するということが、実際すぐにマッチしない点があろうから、一年延ばして習熟させるという意味であろうと思うのであります。長官答弁もそうであろうと思う。だから、そのために人員を今から備えて一年後に広げておかなければならぬのだということに直接結びつくものではないと私は考えます。歳入が飛躍的にふえるのであるから、人間もふやしたらどうかということになりますと、特別会計的な議論と違いますので、私どもの部下でありまする国税庁の職員が非常に努力をいたしまして、国税をふやしたら人間がふえるかということになりますると、そういうことにも参りませんし、またそんなことをいたしますと、国税徴収の強化というようなことで、国民の非常な非難をも受けると思いますから、ここらのところは親愛なる政務次官におまかせを願いまして、補正予算を組むなどという言明を期待されることを、そちらの方から親愛感をもって一つ御削除願いたいのであります。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 板川委員から関連質問をするそうですから私はやめますが、そういう答弁ならやはり特許でもうけようという観入念が残る、こう言わざるを得ないですが、どうですか。
  34. 山中貞則

    ○山中政府委員 もうけるという考えは全然ございません。
  35. 板川正吾

    ○板川委員 大蔵政務次官にお伺いしますが、大蔵次官のお話を承わっておると、特許行政に非常に御理解を持っておられるようであります。しかし、数字を見ますと、どうも話は話、金の方は金の方という感じがするのです。大体三十四年度の予算を見ますと、昨年より特許行政に使う金が、大蔵省として、大へん話の方はりっぱなんですが、六十万円ばかり減っているのです。これはそういう話と金の方があまりにも違い過ぎると思うんですよ。それで、この予算によると、収入の倍額というものは全然見込んでおらないのです。ですから、これは特別会計じゃなくても、実際において収入支出の見合い点がなければいかぬことだし、それはわかるんですが、今度歳入が倍額になるのですから、ここらで特許行政というものを、口先だけでなくて、もうちょっと御理解を願いたいと思うのです。これはよく知ってもらいたいのですが、たとえばアメリカではつい三年ほど前には、二十二万件も木処理の件数がありました。これは一九五六年です。ところが、アメリカで人工衛星の前後を通じまして、ソ連より科学技術が非常に劣った、その原因はどこにあるか、こういうことが深刻に自己批判されたんです。特許行政でアメリカは一九五六年にはざっと二十二万件、処理能力からいえば四年四カ月分が残ってしまったのです。これはアメリカの科学技術がソ連におくれをとったということは、そういう特許行政が遅滞しているのだ、こういうことを深刻に自己批判して、五七年から八カ年計画ということで、そういう未処理の件数を一掃するという特許行政の画期的な迅速化ということを立案したんですよ。それで五七年から予算が非常にふえまして、収入二十五に対して支出六十一ですか、二倍半くらいに支出をふやした。そういうことでアメリカの特許行政が改革をされまして、最近は四年四カ月もたたなければ手がつかないものが、大体八カ月くらいになっておる。西ドイツやイギリスなどは六カ月だそうであります。日本は今二年七カ月ですが、これはむずかしい発明なんかですと、四年か正五年かかるそうです。  こういうことで今の発明家の一番の願いは、法律改正よりも早く審査をしてくれ、出したら半年くらいで手をつけて、一年くらいでイエスかノーか判決をしてもらいたい、審査を終了してもらいたい。こういうことを要望しておるのです。それでそういう体制を組むためには、何といっても予算なんです。予算は各国を見ましてもどこの国でも、アメリカは非常に歳出をよけいにしておりますが、イギリス、西ドイツ、フランス等も大体とんとん、歳入歳出見合っているのです。これは特別会計ではないのですけれども、特許行政はその辺で見合っておる。国家予算案の中ではウエートは少いのです。四億もうけても、飛行機一台分ですから、ほんとうにわずかなものであります。そういうことで四億なり五億なり使って特許行政を拡大しても、これは日本の財政に影響ある数字じゃないのです。それによって発明がもっと促進されるならば、私は自民党の立場からいっても、非常に奨励すべきじゃないかと思う。何で三億や四億の金を惜しんでいるのだと、こう思うのです。それでお伺いしたいのですが、どうも特許庁長官はなかなか人柄がやさしくて、思うことを言わないのです。法律を出してぜひ通してもらいたい。最初は通さなくていいのだろうと思ったのです。ぜひ通してもらいたいと言うなら、新しい法律が通った後、特許行政に見合った予算をなぜ計上しないかというのです。ところが予算を見ると、昨年よりも六十万円減っておって、それでよろしいと言う。腹の中ではどうか知らぬけれども、やむを得ない。一方において画期的な特許行政の改革をはかる。どうもつじつまが合わぬですよ。そこでこれはやはり親愛なる大蔵政務次官にお願いするほかはないのだが、ここで何らかの方法で本年度四億一千万近く、予算にはないですが、この法律が変ればもうかるのですから、ただ二億な三億なり来年は画期的にいたしましても、当面これに何らかの考慮を払うということを、はっきりしてもらいたいと思うのです。参議院では、ごらんになったと思うのですが、大蔵大臣もなかなかいいことを言っていますよ。ですからそれにいまちょっといいことを言ってもらいたいですな。そうでないと私はこの法律特許庁長官が通さなくてもいいのではないかと思うので、どうしても通してくれというなら料金のところだけ倍額は来年になってやりたいとこう思うくらいですから、社会党は料金値上げに賛成するというのは画期的な態度なのであって、ですから賛成しようと思いますから、そのためには一つ金を出してもらいたいということを、どうお考えになりますか。それから特許行政は理解をするという答弁用ではなくて、日本の科学技術を進歩させる一番の窓口なんですから、私はほんとうに真剣に考えていただきたいと思うのですが、大蔵次官の見解はいかがですか。
  36. 山中貞則

    ○山中政府委員 本三十四年度の経常予算につきましては、先ほど申し上げた通りでございまして、これは退職金と共済組合の負担金を前年度、すなわち三十三年度の実行額から見まして、約八百五十万ないし九百万くらいでありますが、実績よりもよけい計上してあることが明らかになりましたので、やはりこれは義務的な経費でありまするから、業績に合わした力がいいだろうということによる、約八百五十万ほどの減が基本になりまして、こういう数字になっておりますることは御理解願えたと思いますが、今後の問題におきまして、科学技術の飛躍のためには、どうしても特許行政というものにその重点が置かれなければならぬということは、私もよくわかります。ただ特許行政というだけでもありませんが、科学技術の飛躍的な振興が、日本の場合にはどうしても必要でありますから、とりあえず科学技術関係の図書資料その他の収集のためにそれぞれの役所はございますが、一応国会に所属しまする国立国会図書館の中に、科学技術の図書費を三倍ほで、実は昨年よりよけいに計上いたしました。こちらの方でもその事務をなるべく早くさせて、国民全般の参考にしたい、そうして科学技術の振興に資したいと考えて実行いたしております。  なお日の当らぬ役所と思われがちの特許庁に対しまして、皆様の御意見を承わりますと私も同感でございますが、予算編成のときなどに当りますと、議員の方々もいろいろと各方面に御加勢を願いまして、いい意味のプレッシャーがかかるのでありますが、遺憾ながら特許予算については私の方には与党、野党を通じまして、だれも予算を今年よけい組まなければならぬという御注文はなかった、委員会の御意見を聞きますとまことに頭が下るのですが、来年度からは佐藤大蔵大臣がそれを実行しようとするには留任運動も要りましょうし、またかわられるときにはどうしても大臣の意思としても引き継いでおかなければならぬと思いますし、また皆さんも一つよき意味のプレッシャーを予算編成におかけになりまして、佐藤大蔵大臣の参議院における言明並びに私のただいま申し上げた通りの基本的な考え方が、予算の上に実現いたしますように協力をしていただきたいと思います。
  37. 板川正吾

    ○板川委員 先に法案審議も進めなければならぬと思いますので、今のお話しですと、こういう法律が固まってしまってからの話では、政務次官といえども動かすのはなかなか大へんだと思う。ほんとうは固まる前にこうい話をしなければならぬのですが、そのときには法案が出るか出ないかわからなかったそういう点では特許庁の方がもうちょっと真剣にそういう圧力をかけるべきであったと思うわけです。とにかく何らかの機会に、今の日本特許行政が非常に弱体であるということをお考えになって、歳入が非常にふえるということもお考えになって、ぜひ何らかの対策をされることを御了解願いたい、それについては特許庁の方からいろいろの要求がこれから出て参ると思います。それからぜひとも一回特許庁を見ていただいて、戦後十五年間かかってちょうど焼けビルの中のような執務態度でございますから、ああいう点をよく見てもらいたい、でないと日本の科学の進歩はない、こう思うのでありまして、一つ真剣に言葉だけでなくて、本気になって対策を心配してもらいたいということを要望いたします。
  38. 山中貞則

    ○山中政府委員 建物のことにつきましても、先ほどちょっと触れたのでありますが、通産省が近く移転をいたしますので、事務的にも十分ゆとりのある事務がとれますように、私も国有建物管理の家主といたしまして、十分建物のことを考えております。なお来年度予算につきましては、はっきりと善処を約束いたしたいと思います。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 質問をもとに戻します。先ほど申しました七十一条関係判定ですが、それでは行政処分解釈をし、従って訴訟対象にもなる。そうすると百七十七条の「この法律に基く命令の規定により行政庁がした処分(補正の却下の決定、査定、審決及び審判又は再審の請求書の却下の決定を除く)」に不服があるから、直さなくてもこれはこの中に入る、こういうことになりますか。
  40. 井上尚一

    井上政府委員 さようであります。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 百七十七条による訴願一般訴訟対象にはなる、こういうことは確認できますね。
  42. 井上尚一

    井上政府委員 その通りでございます。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 じゃもうこまかしい条文に入りましたので、この際問題になっております除斥期間の問題についてお伺いいたしたいと思います。除斥期間外国に例がない、こういうことが一つ理由のようである。それからもう一つは、除斥期間があれば、その期間の間じっとあっためておいて異議申し立てができなくなったときにそれを出して、第三者に影響を与える、こういうことが理由のようであります。しかしこれを除く結果は、権利関係の安定ということが最後までできない、すなわち権利関係が、いわば無体財産権というか、工業所有権がいつまでも全期間不安定のままに残されることになるわけです。そうするとこれは法制局の方にまず伺いたいのだが、一般の債権請求権に対する消滅時効、この時効の観念は、そういう権利関係を一定期間過ぎれは、事実はとにもかくにも、権利関係を安定させよう、こういう考えからあるところの制度だと思うのです。同時にかりにそれに対する請求権を持つ者であっても、ある一定期間それを行使しなければ、いわゆる法は権利の上に眠れる者を起さず、こいう観念による権利安定をはかった制度だと思うのです。この請求権の消滅時効と、除斥期間の存在は相通ずる観念だと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  44. 吉國一郎

    吉國政府委員 ただいまの民法上の消滅時効の立法理由につきましてお述べになりました点は、私も全く同感でございますが、本件につきまして私法上の消滅時効の立法理由と同様に除斥期間の点を考えることが、公法と私法との相違から申しましても問題ではないかと、私は考えております。
  45. 田中武夫

    田中(武)委員 私法と公法との関係、私は特許法は、もちろん公法とか私法とかいう法律論も出てきますが、民法上のなにとは若干違う。しかしその審判に対する権利の設定に対する異議申し立てということは、やっぱり一つの請求権的な観念がある。かりに百歩を譲って公法上のことを考えた場合に、それでは刑法の刑の時効、あるいは刑事訴訟法における執行の時効、これとの関係はどうですか。
  46. 吉國一郎

    吉國政府委員 その刑法の公訴権について時効を認めなければならないという立法上の理由と、それから本件のように無効審判の請求について除斥期間を設けるか設けたいかということは、私はおのずから問題が違うことであると任じまして、それぞれその制度性質によりまして考えるべき問題であると考えております。
  47. 田中武夫

    田中(武)委員 少くとも公法上あるいは私法上の両方を考えてみても、ある一定期間を過ぎたならばそういう関係を、かりにその事実が正当でなくてもその時間的な流れというものが、そういうものを洗ってしまって、新たな事実関係がなくても事実関係を出すというのが、この考え方だと思うのです。そこに相通ずるものがあると思うのです。除斥期間の問題もこういった公法とか私法とか、あるいは取得時効とか消滅時効とか、性格は若干違うが、根本的な観念からいけば、この権利関係の安定をはかるということ、あるいはかりにこれに対する異議を持つ者がありとするといえども、先ほど申しました一定の期間を経過することによって、それは権利は消滅するという考え方が、すべてのこういう性格のものの根底じゃなかろうかと思うのです。そういう点から私は相通ずるものがあると考えておりますが、いかがですか。
  48. 吉國一郎

    吉國政府委員 時効の点につきまして田中委員のおっしゃいました点は、まことにその通りであると存じますが、特許権あるいは実用新案権意匠権、商標権につきましての除斥期間を問題にいたします場合には、単に権利者の権利がどうこうなるという面のみでございませんので、その権利があることによりまして、独占権でございますから、権利者以外の者は、たとえば特許権でございまするならば、物の発明でございますと、その物を製造し、あるいは販売することは全部禁止されるわけでございます。その意味でもしも誤まって権利が設定せられた場合には、公益に重大な侵害を生ずるわけでございます。その意味一般の単なる一人の権利と他のとの関係において考えられるような消滅時効の理論とは、やや違う問題があるということを申し上げたいのでございます。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 請求権の消滅時効では、そういうことがあると思うのですが、刑法あるいは刑訴の時効といったものと一方において相通ずるものがあると思うのです。今法制局の方がおっしゃった点からいうと、債権のように一対一の問題でなく、いわゆる一人と多数の者との関係である、こういうことが違う、こうおっしゃっておるわけです。しかし刑法あるいは刑事訴訟法の時効はこういった関係にあるのじゃないか、こう思う点が一つと、もう一つは、この特許法全体を通じて、この審議会一般部会長であった兼子さんは相矛盾した二つのものがこの中にあって、おかしなものになっておる。そういうことをジュリストですか、こういうものに書いておられますが、あなたの言っておられる言葉から受けたものに、やはり二つの相矛盾したものが出てくる。特許権が独占的なものであるから、それをある一定の期間において安定さすということはよくないのだ、こういうようなことなんです。これが消滅時効との違いである、こういうことを言う。ところが一方において、これはあとから一つ聞きたいと思っておるのですが、特許法等施行に伴う関係法会の整理に関する法律案の第四条によって、独禁法の百条を削除する、これはこの結果特許権の乱用という問題が起きてくる。そこに相矛盾したことが出て参る。同時に、除斥期間が各国の例がないから、こういうことが一つ理由、そうするならば、独禁法と、すなわち独占禁止の関係特許権との関係、この点における外国の動きではどうか、ここに矛盾が出てくるのです。話がこっちへ変ったので、一つその方を聞きましょう。  それでは公正取引委員会の事務局長に伺いますが、特許権の乱用と独占禁止の関係における外国の事例を一つ、どういう動きかお伺いいたします。
  50. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 特許権外国の独占禁止法との動きというお話でございますが、これは独占禁止法は何といっても母法はアメリカでございますから、アメリカの最近の動きを見てみますと、立法的には、いわゆる特許権という一つ権利の行使の乱用にわたる場合には、それは反トラスト法で抑えるということはありますが、ただいまちょっと御指摘に出ましたが、百条のような規定はアメリカの反トラスト法の規定の中にはございません。ただいろいろな学会だとか、考え方として、特許権の持っておる固有の権利、独占的な性格と、これが実施される際に伴うところの乱用の問題ということは、絶えず論議はされておりますが、それじゃその理念を立てて法制的に明確にしたということはないように記憶しております。
  51. 田中武夫

    田中(武)委員 私はここにカナダ、イギリス、アメリカの事例を持っておるので、これを読み上げて聞きたいと思うのですが、これは話が二つになるから、あとにします。     〔中村(幸)委員長代理退席、委員長着席〕 除斥期間に戻します。というよりに、ともかく二つの相対立した観念がここに入ってきているわけです。外国の事例がないからなくするのだというのならば、ほかの点もそれにならうべきじゃないか。ところが、一方においては、外国の例と違ったことをここに盛ろうとしておる。そうして除斥期間のときには外国の事例がないということが一つ理由なんです。それから一つは、なるほど除斥期間があれば、その間だけあたためておいて、そうして何人といえども異議が唱えられなくなったとき出してきて、大いに猛威をふるおうという人もあるだろう。しかしまた一方、この除斥期間がなくなるために、常にその権利関係が不安定である、こういう弊害は残ってくる。同時に、このことに対しての弊害を受けるのは中小企業が多いと思う。さて、これが無効であると異議を申し立てる、こういうとになれば、やはり弁護士とか弁理士等を頼んで、訴訟その他の方法によるわけなんです。そうするなら、結局は、優秀な弁理士と優秀な弁護士を使い得る者が勝つということなんです。そういう考え方は、やはり金のある者、財力がある者が、除斥期間を除くことによって守られていく。金のない、訴訟能力が乏しい、訴訟費用が乏しい、そういう手続をとる優秀な弁理士を使うことができない人が負ける、これは今日の実際の実情なんです。しかも弁理士の中には図面をかいたり手続を書いたりするよりか、そういうことの穴をねらっておいて、そういうことに対して訴訟を起して、一挙に、他人の長年の苦心を、そこに若干の瑕疵、こういうことでそれを奪還する方が、もうけがいいというような方もおるようです。ことに、かりに審判なり裁判の結果が、その訴訟なりそういうことが却下せられるようなことであったとしても、特許に基くもので取引をしておる、それに対して異議の申し立てが起きれば、その内容のいかんにかかわらず、それが正当であるか不正当であるかは別として、ただ異議の申し立てがあったというこの事実だけで、百貨店等ではすでに取引を中止する、こういうのが今までの事例なんです。そういうことならば、この除斥期間を除くことは、とりもなおさず中小企業者あるいは町の財力を持たない発明家に対する圧迫である。あとからまた申し上げますが、先ほど申しました独禁法百条削除という考え方とともに、この特許法の改正を流れるものは、大企業、独占企業を擁護し、中小企業、町の財なき発明家を圧迫するものであると断定せざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
  52. 井上尚一

    井上政府委員 特許制度は、大体根本的には発明者または権利者と、一般第三者の利益、両方の利益の調和妥協の上に立っているわけでございます。申すまでもなく、権利について申しましても、権利者の側からいえば、長ければ長いほどいい、第三者の方から申しますならば、あまり長いことは不当に圧迫が続くということになるわけであります、この除斥期間の存廃の問題につきましても、やはり権利者の見地から考えるか、第三者の利益擁護という見地から考えるか、どちらに重点を置いて考えるかという判断の問題であろうと存じます。今御指摘通りに、今日までこの制度法律上ありましたゆえんは、権利の安定化ということに重きを置いて、これを考えたものでございますが、本来特許権は、申すまでもなく、当該事実を自余の全部の第三者に対して、これの使用を禁止する強力な独占権でございます。そういう強い権利でございますので、これは何人も納得するものでなければならないと思います。そういう意味異議申し立てでつぶしたり、無効審判でつぶしたり、そういう道が設けられておる次第でございまして、そういうフィルターを通しまして、なおかつ残りました神聖な権利についてのみ、こういう強力な独占的効力が認められておる次第でございます。今日までの長年の運用をやって参りました経験に徴しますと、この権利の存在によりまして、本来無効になるべき、権利になるべからざる権利が、一定の時間の経過によりまして完全な権利として確定する、そうすることによって、その自後もはやこれをいかんともすることができないということによって、非常に迷惑をこうむる第三者が非常に多かったわけでございます。その場合におきましては、御指摘通り、中小企業者が権利者である場合ももちろんございますけれども、むしろ権利者でない中小企業者が、その権利侵害として訴えられて迷惑をこうむる、そういう苦痛をなめた中小企業者も反面非常に多いわけでございます。言うまでもなく、特許制度は、大企業、中小企業ということには関係なく、無差別公平な制度でございますので、その点について、こういうような除斥期間制度の廃止か、中小企業者はとって不利であるというふうに考えるということは、非常に一方的な考えではないかとわれわれは思う次第でございます。現に長年の運用を通しまして、ある公知の事実がございまして、多くの中小企業者がそれを文献で見あるいは伝え聞いて、その事実を使って事業経営をやっておる。そうすると突然としてどこかから権利侵害として訴えられてくる。そんなはずはない、この技術はもう前から公知であったはずであるというふうで、よく調べてみますと、これが何らの異議申し立てもなく権利として設けられておって、それに対して無効審判をこれから請求しようと思うときは、除斥期間がもう経過しておるという事例が、これまで非常に多かったわけでございます。そういうような具体的例は、あるいは御要求に応じていろいろ申したいと存じますけれども、そういうふうにこの制度の存在の結果といたしまして、むしろ権利者でない中小企業者が、いかに大きな広い範囲でもって、苦しい、苦い経験がこれまで多かったかという点につきまして、十分御了承願いたいと思います。  なおまた、権利が不安定であれば困るという点は、まことにごもっともでございますけれども、権利者がかりにこの除斥期間制度が廃止になりまして、五年以後の無効審判によって権利が無効になったとしましても、当該技術を継続してこれを利用するということは可能でございまして、すぐに事業を中止するということにはならないわけでございます。権利が無効になるということは一般の第三者に対する禁止の効力がなくなるというだけでございますので、その点につきましては住々そういう外部の声としまして業者間では誤解がございますので、一言申し添えた次第でございます。
  53. 田中武夫

    田中(武)委員 それは一長一短はあるだろうと思うのだ。もちろん今言われるように除斥期間があればその間じっとあたためておいて、その期間が切れてから持ち出す、こういうことによる弊害は確かにあったと思う。だがしかし私の言っておるのはそういうことではなくて、いつでもやれるということであれば、結局権利がいつまでも不安定である。たとえば中小企業の人が一つ発明あるいは考案をやる、それを唯一の生活のかてとして取引をやっておる、ところがそれに対する異議の申し立ての理由いかんにかかわらず、異議の申し立てがあったという事実だけで、百貨店等は全部取引をやめるそうだ。しかも先ほど言ったように、こういうことに対しての争いは、結局は訴訟でもそうだが技術の問題なんです。民事訴訟にしたってそうなんです。技術の問題なんです。そうすると優秀な弁理士、優秀な弁護士を頼み得る、訴訟あるいはそういう無効審判請求に対する費用を多くかけ得る者が勝つということなんです。そうすれば結果は言うまでもなく財力の強い者を擁護することになる、そういうことになるのです。そこで権利関係はある期間、五年なら五年という除斥期間を設けて、その間に十分異議のある者は申し立てることができるようにしておいて、権利の安定をはかる。その結果おっしゃるような不公正な取引、あるいは特許権に基く権利の乱用等があるならば、それは公正取引委員会において独占禁止法という立場、不公正取引という立場から押えるようにしていくのが一番いいのではないかと私は考える。ところがこの改正案は、この両方を切っておるのだ。どうです。従ってこのことは大資本を持つ者、独占企業を擁護する考えの上に立っておると言わざるを得ない。あなたもこのジュリストの三月十五日号はごらんになったと思う。その二十五ページ、ワクの中ですが、Sというのでだれが書いたかわからぬが、「実用新案法改正の悲劇」こういうことが載っている。必要なら全部読みますが、初めをちょっと読んでみると、「実用新案法というわが国中小企業の寵児にとって、今回の改正ほど不吉なものは過去数回の経験を省みて、まったくなかった」こういう書き出しで始まっておるわけなんです。いいですか。あなた方は最初実用新案、この制度をなくしようと考えておった、これが今まで中小企業をどれほど守ってきたかということは、あなたも御承知通りである。これをなくしようということ、独占禁止法百条を切ろうということ、除斥期間をなくしようということ、これはすべて大企業擁護の観念の上に立つものと考えざるを得ません、あなた方がどうおっしゃろうとも、私の考えはさっき言ったように、ある一定の期間の除斥期間を設けて、そして権利の安定をはかる。だがしかし、おっしゃるような権利乱用があるならば、独占という立場、不公正取引という立場から公正取引委員会にこれを持ち出してそれを抑えるというような方法が、一番いいのではないか、こう私は主張せざるを得ないのですが、いかがですか。
  54. 井上尚一

    井上政府委員 先刻も申しました通り権利を中心としまして攻撃する立場と防御する立場と両方があるわけでございますが、そういう場合に、中小企業者が権利者として防御に回る場合もございます。同時に権利者でない事業者として攻撃に回る場合もこれまた非常に多いわけでございます。そういう実情を従来の経験等を通してわれわれとしては十分考えてみますと、むしろ除斥期間制度があることによって、非常に多くの中小企業者が困ったという例が多かったわけです。今一つの例だけ申し上げてみたいと思います。(田中(武)委員「例はいいですよ。弊害のあることもわかっているのだ。」と呼ぶ)  この権利の独占権としましての弊害がもし生じました場合には、今度の改正法案で八十三条とかあるいは九十三条とかいろいろございますが、そういう強制実施を命ずるというような道が開かれているわけでございまして、言いかえれば、権利者であって不実施である、そしてその結果独占の弊害がある、あるいは権利があってその権利実施が公共の利益という観点から、権利者以外の者にも実施をやらせることがどうしても公益上必要であるというような場合には、九十三条の規定によって強制実施について通産大臣が裁定することができる道が設けられているような次第でございまして、そういうふうに実際的な場合々々に応じまして、強制実施の道を設けることによって、そういう弊害の防止は可能である、かように考えている次第でございます。
  55. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたは除斥期間があった今までの除斥期間を利用しての悪い面だけを考えている。この法案が通って実施せられた後に、どういう状態が起るかを考えてみたい。そのときには訴訟能力を持ち、よりよき弁護士、弁理士を使い得る者が財力にまかせて何ぼでも異議申し立てができるのですよ。それによってくるところの弊害ということをあなたは、どう考えるか。現に弁理士の中には、そういうことの方が金もうけになるということで考えている人があるということです。そこで私が言うように、権利の存在を安定させるという方法考えなくちゃならない。しかしそのことを乱用し、そのことによって不公正な取引を行う、あるいはまた特許権による極端な——特許権というのは一つの独占権ですからね。しかしながらこれが極端な取引上における独占形態を作っていく、こういう場合には独禁法で押える道を講じていく、これが一番いいのではないか、利はそれを主張している。公正取引委員会の立場はどうです。
  56. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 ただいま田中先生から独禁法との関係をいろいろお述べになったようでございますが、私どもは今回の独禁法の百条の削除は、独占禁止政策と特許権の今度の改正法との調整の観点から見て、従来独占禁止政策を運営している経験から見て問題はないと考えて、この削除に同意しているわけです。ということは独占禁止法二十三条で特許権の正当な行使は独禁法の適用除外になっているわけです。しかしながらその特許権を持っている人が実施計画をするときに、不公正取引あるいはただいま田中先生のお話しになりましたような価格協定、実施権者が寄りまして価格協定をやるというような場合は、現行二十三条の権利の行使を越えるものとして、十分取り締ってきているわけであります。過去十年間の特許権の国際契約に関する審決の例は、全部この不公正取引方法で審決を下しているわけでありまして、百条を特に用いる観点は一度もなかった、こう考えております。
  57. 田中武夫

    田中(武)委員 私が言っているのは、あなたは百条にこだわっておりますが、今言ったようないわゆる権利者と一般との調和の関係を、除斥期間というものをなくしていつまでも不安定にしておくということ、こういう関連においてこの除斥期間を今まで通り置くということによって権利関係を安定させる。だがそれを乱用して今まであったような弊害が起きる、そういうことに対しては独禁法すなわち公正取引法が動く、この道によって押えていった方がいいんじゃないか、こう言っているんですよ。その点はどうなんです。
  58. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 その問題はどうも特許法自体の問題がありまして、われわれとしてはこの二十三条の特許権の正当な権利範囲を越えた乱用については、不公正取引方法あるいは三条の規定によって取り締る、こういう建前をとっております。
  59. 田中武夫

    田中(武)委員 だからそういうことは独禁法においてある程度押えられるのだ。今までそういうことが著しい弊害があったということは、公正取引委員会がぼやっとしておるからだ。そういう長官がおっしやるようなことが事実あるならば、そういうことは除斥期間との関係ではないと思う。これは一般的にいうところの権利乱用であり、不公正な取引である、こういうことになるのです。除斥期間の問題ではないのです。除斥期間があったからといって、それをそういったように悪用することはある。これは除斥期間の問題ではなく権利の乱用の問題なんです。それにはそれぞれの法があり得ると思うのです。除斥期間の問題ではないと思う。それよりか残ることは、今言っているように訴訟技術に長じた者、そういう無効審判の手続に長じた者、そういう者を雇い得る者、こういう者が勝利を博するということなんです。それはすなわち財力のある者、こういうことなんです。悪賢い者が勝つ、こういうことなんです。そういう結果しか残らないと私は言っておる。あなたの心配しておる面は、独禁法あるいは権利乱用によって幾らでも救済の道はあり得るのですよ。
  60. 吉國一郎

    吉國政府委員 今の無効審判を請求することによって、権利者を不当に脅かす心配はないかというお話でございますが、無効審判の審理におきましては、民事訴訟の審理とやや異なっておりまして、審判官が職権によって審理をすることが認められておりますので、一般の民事訴訟におきまするように、非常に技術の巧妙な弁護士を雇って相手方を攻撃して、不当に相手方の利益を害するというようなことは、まあまあ御懸念なさるほどのことはないと考えております。と申しますのは、一般の民事訴訟におきましては、全く当事者の攻撃防御によって事は決せられるわけでございますが、無効審判におきましては、特許庁の審判官というものが自分の職権によって審理をする道を認められておりまして、たといかよわい中小企業者が十分に言説をつくすことができませんでも、その特許権がもしも神聖なものである、権利を与うべきものであるということが認定せられますならば、審判官においては無効審判の請求を退けるわけでありまして、御心配のようなことは現在の特許庁の審判の機構をもっていたしましても、私はないと考えております。
  61. 田中武夫

    田中(武)委員 その結果いかんを待たずして、先ほど来言っているそういう無効審判の請求の申し立て、異議の申し立てがあった。その事実によって、そのことだけに、よって取引を中止するとかやるんですよ。財力がある者があれを倒そうと思えばいつでも倒せるという結果が残るのです。結果がどう出ようとも、瑕疵ありとして、そういう問題が起ったという事実だけで、たとえばさっき言うように百貨店等は取引を中止するんですよ。だから、あなたがおっしゃるように、なるほど民事訴訟と違って攻撃防御のいわゆる手続上の争いは、公法的な立場から審判官が行えるとしても、しかしやはりそれを出すこと、それは少くとも弁理士だ。弁理士の中には、私が聞いているところでは、もしこういうことになるならば、あらゆる公法等を調べて瑕疵あるやつを握り、それを売り込むことによって、金もうけをした方が早いという人たちがいるということだ。そういうことがわかっておりながら、こういうことは許すことはできません。
  62. 吉國一郎

    吉國政府委員 無効審判の結果につきましては私が御説明申し上げたわけでございますが、そういうことでございますから、無効審判の請求をするについても、請求人の側としては乱訴ということは考えられないわけでございまして、今御指摘のございましたような、たとえば無効審判の請求があれば百貨店が取引をとめるとおっしゃいましたが、そういうような例は、権利者の方の側にも無効審判の請求をされるだけのきずがあるというような例の場合ではないかと存じます。この除斥期間がなくなったから、当然に権利者の方が脅かされるということはないと私どもは考えたわけでございまして、特許権と申しましても全く客観的に確定できないようなものばかりではありませんで、これはだれが見ても特許権として権利を与えられるに足るものであるというようなものについて争うということは、むしろむだなことであるということは、請求人の側としても考える場合が大多数であるというふうに考えております。
  63. 田中武夫

    田中(武)委員 判決がどうであろうとも、ともかく仮処分をかけるというのと同じように、その結果がどうあろうとも、それを出した、そういう申し立てがあったという事実で、現実にそれをとめるんですよ。しかもこの第百二十三条は、「特許が次の各号の一に該当するときは、その特許を無効にすることについて審判を請求することができる。」これなら、だれでもできることになる。従ってあれを倒そうと思ったら財力のある者ならいつでも倒せる、こういうことです。従って先ほど来言っているように、この法改正の底流をなすものは大資本擁護であり、中小企業圧迫であると言わざるを得ない。
  64. 井上尚一

    井上政府委員 先ほど来、従来こういう除斥期間制度関係権利がきまってしまって、その権利の弊害が多いということをいろいろ申しましたが、そういう場合には権利の乱用として、これは独禁法の方で何とか方法がつくのではないかというような御意見があったかと存じますが、これは権利の正当な行使であって、言いかえれば、権利の乱用には該当しないような場合、権利の正当な行使であって、なおかつ一般の第三者の利益を非常に害するという場合が、除斥期間制度の結果として生じてくる。言いかえれば、権利が間違って認められた、無効の原因がある権利が除斥期間の経過によって完全な権利になってしまうというところに問題が胚胎しているわけでございまして、そういうような無効の原因があるような権利が一定期間の経過によって完全な権利になり、その結果として権利の正当な行使、言いかえれば、権利の乱用ということに該当しないような場合においても、一般の第三者が非常に迷惑をこうむる場合が多い。そういうような実情を十分御了解願いたいと思います。
  65. 田中武夫

    田中(武)委員 これが権利の乱用であるかどうかということの判定はむずかしいと思う。しかし権利乱用が今日民法上の通念として考えられることは、これはもうだれでも認めておる。それともう一つは、それが正当な行使——その正当なという範囲も問題であろうが、あったとしても、その取引それ自体が不公正で、だれが考えてもむちゃだというようなことは、公正取引委員会の方で不公正取引としてやれる、そういうことを私は申し上げておるわけです。
  66. 井上尚一

    井上政府委員 特許権の正当な行使でございますれば、先ほど申しましたような独禁法の第二十三条の規定で、これは権利の行使に該当する場合には独禁法の適用外であります。ですから、権利の正当な行使であっても、一般の大きな原則から見まして、これは善意の第三者を害するという場合には、どういうような原因でそうなるかと申しますと、すなわち先ほど申しましたように、無効の原因を持っておるような権利、すなわち、本来いつでもつぶさるべき権利が時間の経過によって、除斥期間が経過したことによって完全な権利になるというところに問題の原因があるわけでございますので、われわれとしましてはこの制度をやはり廃止をしまして、無効原因を持っておるような権利はいつでもつぶすことができるということがこの際どうしても必要である、大きな見地から、多くの第三者の利益の擁護という見地から、これはどうしても必要であると考える次第でございます。
  67. 田中武夫

    田中(武)委員 時がすべてを解決するということ、このことは先ほど来私が時効に関連して申し上げたのと同じことなんです。本来瑕疵あるものが時の経過によって完全なものになることは不合理だということなら、本来逮捕できるものが時の経過によって逮捕できなくなる、刑の執行をすべきものができなくなるという、これとの関連はどうですか、本米正当ならざるものを時の経過によってその間権利を行使するものが権利行使はやらなかった、そのことによって本米存在すべからざるものを存在を認めている、その時というものの観念があるわけなんです。そこに時効の問題とか除斥期間の問題が相通ずるものがあると私は先ほど来申し上げておるのです。あなたのような論法で、本来瑕疵あるものが、除斥期間の経過によって正当として存在することが不合理であるというならば、刑事訴訟法並びに刑法を改正して、刑の執行の時効及び刑法上の時効は削除すベきである。
  68. 井上尚一

    井上政府委員 これは特許権という独占権としての性質という点が問題であろうと考えます。すなわち権利者以外の自余のすべての人は、その権利内容である当該技術を使用することができない、禁止される。そういう権利者以外の、全部の第三者を拘束する権利、こういう効力を持っておる権利でございますから、これは単に当事者その者だけの利益という観点から問題を考えるということは適当でないのでございまして、やはり発明者あるいは権利者という関係と、それから自余の第三者の大きな利益と、どちらに重きを置いて考えるかという比較考量の問題であろうと存じます。
  69. 田中武夫

    田中(武)委員 いわゆる公益上の立場から考える点において、刑法並びに刑事訴訟法の時効と相通ずるものがあると言っておるのです。
  70. 井上尚一

    井上政府委員 繰り返しがあって恐縮でございますが、私は特許権等の権利内容に該当する技術を現実に第三者につきまして、それの使用、実施を禁止する効力を持っておる、そういうことは、これは自余の第三者の事業の経営あるいは大きく申しますれば日本の大きな産業の運営上、非常な拘束、制約が多いわけでございますので、そういう場合に、権利者の見地から考えて、時間の経過によってきずがあってもこれを完全な権利として考える方がよいか、あるいは三者の利益の擁護という見地から考えて、こういう従来のような制度はやめて、こういう無効の原因が内在しておる、持っておるような権利は、むしろ権利としての存在を抹殺するという方がよいか、どちらがよいかという問題であります。私どもは工業所有権行政という見地から、また従来の運用の経験に徴しまして、これをやめるということが適当であろう。また同時に外国立法例において、こういったような類似の制度を現在持っておる国は、世界を通じてないわけでございます。
  71. 田中武夫

    田中(武)委員 あとで言うた外国の例を出すなら、ほかのことについて外国のものと比べますから、その点は除きましょう。今言っておることは、そのあとでは外国の例云々ということは理由にならぬ。理由にするならば独禁法の関係からまた矛盾してくる。そういう点は別として、今言っておるように、あり得べからざるものが除斥期間を経過することによって、正当に存在することは許されない、こういうことであるならば、本来逮捕すべきものであり、本来刑を執行すべきものが、ある一定時期を経過することによってそれが許されるという不合理と相通ずるものがあると思うがどうだ、こういうことなのです。すべて時がものを解決する、すべての関係においては、すべて物事をいつまでも不安定な状態に置くべきでない。そういうところに除斥期間考え方もあり、あるいはまた民法刑法、刑事訴訟法等々を通ずる時効の観念もあると思う。しかも、それは審決があれば直ちに権利が不動になるというのではなくて、ある一定の期間を置くのだ、その間にそういうことがあるならば申し立てたらいいわけだ。ある期間を過ぎてしまって、その間にその権利を行使しないようなものは、これは法の上に眠れるものは保護せず、こういう観念によって、今までそういった時というものが、不安定なものを安定化せしめるという観念の上に立って、法律一つの体系ができておると思う。それをここで変えるということ、こういうことなら時効の問題等についても検討しなければならぬ。しかもその結果が、あなたが言われるような悪例も、今まであったことは認めます。だがしかし、私の言うような大企業の財力を持つもの、これが財力を持たない中小企業に対して圧迫になる、こういう点だけは何と言われようとも残るのです。あなたは工業所有権行政の上に立って云々と言われた。しかしそれは結局一般的な法を通ずる一つの観念と同時に、あなたのおっしゃるようなことは、独禁法によってやれるようにすればよい。私はそう言っておるのです。
  72. 井上尚一

    井上政府委員 先ほど申されましたような権利の安定化という効果がある、あるいは時効ではございませんが、時効のような、時間の経過によっては、きずがあってもこれは一応黙認しようというような考えでもって、従来この制度現行法上あったわけでございます。従来われわれ四十年間という長年の運用の経験を通しまして、その弊害があまりにも大きいということで比較考量しました結果、やはりこの制度はやめた方がよい、こういう結論に達した次第でございます。  なおまた無効審判が殺到してというような御懸念が多少あるようでございますが、最近の状況としましては、特許実用新案の現存権利数が約二十万件ございますけれども、毎年年間の無効審判請求は三百件か四百件くらいでございまして、その三百件、四百件中、申し立てが通りますものはまた何割という程度であるというような、この状況について申しましても、そうおっしゃるような心配、弊害、不安というものはないのではないか、かように考える次第でございます。  それから一番最後の点につきましては、先ほど言いました点の繰り返しで恐縮でございますが、権利通常の行使であって、すなわち独禁法の違反という範囲に入ってこない問題である、正当な権利の行使であって、しかも、この除斥期間制度が存する結果としまして、第三者が不測の損害をこうむる場合が多いということを繰り返して申し上げて御了承願いたいと存じます。
  73. 田中武夫

    田中(武)委員 正当な権利の行使であるが、それが経済的位置、優位性を利用して不公正な取引をすれば、これはあまりにも極端な場合は不公正取引としてやれるのです。これは公正取引委員会ではやれるはずなんです。しかもあなたが今例を引いて言われたことは、除斥期間がある、いわゆる現行法による頭でものを考えている。この法が通ったときにどういう状態が起きるかということを、一応考えに入れた場合、私が言っているような、中小企業いじめになる、こういうように私は主張しているわけなんです。
  74. 井上尚一

    井上政府委員 先刻申し上げましたのは独禁法第二十三条について申したことでございまして、繰り返しになりますから、省きたいと思います。  それから、後の点につきましては、今のように除斥期間制度がございますれば、無効審判請求しようという人間は、五年以内にやらなければ間に合わないという気持がございますから、むしろ審判は多かるべきはずでございます。制度が廃止になりますれば、いつ何どきでも無効審判請求をなすことができるということになるわけで、この点は現在のように制度がある前提と、これが廃止になった場合とでは、事情がもちろん違うわけでございますが、現状としまして、すなわち除斥期間制度がある、五年以内でなければすることができないという状況下において、なおかつ現存権利特許実用新案二十万件につきまして、毎年無効審判の請求の事件というものは三、四百件ぐらいであるということを申し上げた次第でございます。
  75. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、先ほど来主張しているように、すべての時効という制度と相通ずるものがある、その除斥期間を存置するということによって、不安定な権利状態を安定化さす、経済的にも一般的にも社会的にも、いつまでも不安定なものを置いておくということはいけない、だから安定化さすことが正しい、しかしこの制度を乱用する、あるいはこの制度があることによって、今まであったような弊害の問題については、不公正取引の面として、独禁法による規制を考えていく、そういうことをあくまで主張いたします。理由は、先ほど来申し上げておるように、こういうことになれば、財力のあるものが財力のないものをいじめる、こういう結果しか残らない。これはあくまで私は主張いたします。  それから、百二十三条によるとだれでもできることになるが、そうなんですか。
  76. 井上尚一

    井上政府委員 第百二十三条の無効審判の請求でございますが、今度の法律では、だれでもできる場合には、特にそういう文言が入っているわけでございます。たとえば商標法の五十一条とか五十三条には、何人もという文句が入っております。ですから、これがない場合には、結局利益がない場合には訴えがないという原則に返るわけでございまして、結局実質的にはやはり利害関係がそこにあるということが、当然の必要な条件になる、かように私は私えております。
  77. 田中武夫

    田中(武)委員 あるところには何人といえどもと、こうなっておる、ここには何も入っていない、おっしゃるところを見ると、これは利害関係者はと解するのですか。
  78. 井上尚一

    井上政府委員 従来は、利害関係人と明記されておったわけでございますが、実質的には従来と大体変りはない、こういふうに御了承願いたいと思います。
  79. 田中武夫

    田中(武)委員 それではここに利害関係者と入れなかった理由はどうです。いわゆる何人といえどもという観念と利害関係といえどもという観念との中間的な観念があるのですか。
  80. 井上尚一

    井上政府委員 利害関係人という明白な文言がない場合におきまして、もし当事者間で利害関係の存在について争いがあるという場合には、当然それの審理に入るわけであります。従来は利害関係人という積極的な明文がございましたので、むしろ本論に入ります前に、利害関係の存否について、不当に必要以上に争う時間を多くした、そういう弊害があったわけでございます。今般は利害関係人という文字を削ったわけでございますが、実質的には従来と変りはないもの、こういうふうにお考え願いたいと思います。
  81. 田中武夫

    田中(武)委員 言われることが私はあいまいだと思うのですよ。実質的に利害関係者ということであれば、それを明記すべきである。がしかし、あなたか言われるような利害関係者でなければ無効審判手続はとらないだろう、そういうものはたいてい利害関係者である、しかし今までのようにそれを明記しておくと、そこに入る前に争いがある、だからこれをはずす、従って利害関係のない者でもやれるということなら、何人でもということに戻ってくるわけです。何人もということを入れることと、こういう文句の場合と、利害関係者は、こういうこととの三つの法律上の違いを一つ法制局からお伺いします。
  82. 吉國一郎

    吉國政府委員 百二十三条の第一項の審判の請求をするということができる者はどういう範囲に限られるかということにつきましては、今特許庁長官がお答え申しましたごとく、その特許が無効であることについて審判を請求するについて法律上利害の関係を有する者に限られるというふうに解釈するのが、従来の法制に徴して、これは争いのないところであると私は考ええております。
  83. 田中武夫

    田中(武)委員 それならなぜ入れなかったのか。利害関係者はと入っておる場合と、こういうように何も書いてない場合、何人とこういっている三つの法律文句があった場合に、この違いはどう解釈すべきか。
  84. 吉國一郎

    吉國政府委員 何人もと背きます場合には、およそ何人であっても請求ができるということを、その法制として強調しなければならない場合でございます。それからこの百二十三条の第一項のように書きました場合は、今特許庁長官が申し上げましたように、現行法では第八十四条の第二項におきまして、利害関係人ということが明記してございますが、明記した場合と、この第百二十三条第一項のように利害関係人ということを書かない場合におきましても、その間に法律上の解釈といたしましては差はございません。ただ、なぜそれを書かなかったかと仰せられますならば、従来利害関係人ということを規定したために、従来の運用上非常にその点に重点が置かれ過ぎたという弊害がございましたので、その点はむしろ書かない立法例に従いたいという考え方でございまして、その第百二十三条第一項のような書き方をすることも、法制上は十分に考えられると思います。たとえば民事訴訟におきましても同様に相なっております。
  85. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると何人といえどもというのと、利害関係者というその中間的な範疇があるわけですか。
  86. 吉國一郎

    吉國政府委員 中間はございません。何人といえどもというものと、それから利害関係のある者が請求できるという二つの範疇でございます。その利害関係のある者のみが請求できるという書き方といたしまして、特に利害関係人と書きます場合と書かない場合かあるということでございます。
  87. 田中武夫

    田中(武)委員 書いた場合と書かなかった場合はどう違いますか。
  88. 吉國一郎

    吉國政府委員 本条の解釈といたしましては、利害関係人ということを書きましても書きませんでも、解釈は全く同一であると考えております。
  89. 田中武夫

    田中(武)委員 百二十三条は利害関係者とこう解釈していいわけですね。
  90. 吉國一郎

    吉國政府委員 その通りでございます。
  91. 田中武夫

    田中(武)委員 長官もそれでよろしいか。
  92. 井上尚一

    井上政府委員 けっこうでございます。
  93. 田中武夫

    田中(武)委員 除斥期間の問題につきましては、議論が並行したままで置いておきましょう。それから独禁法の関係ですが、先ほどちょっと伺いましたが、何でしたら私の資料を読んでもいいのですが、カナダ、イギリス、アメリカ、これは特許権の乱用に対する独禁法の関係はむしろ強化せられつつある。この事例は認められると思います。しかも今日独占形態は、いろいろありますが、多くは、特許を中心としたいわゆる特許カルテルと申しますか、お互いに特許権を交換する、こういうことによって一つのグループだけで独占をはかっていく。あるいは特許を中心とする国際的なそういうカルテルが起きる。国内はもちろん国際的にもそういうカルテルが起きる。あるいは特許交換等によるいわゆる国際的トラストが起る、こういうことはお認めになると思うのでありますが、いかがでしょうか。
  94. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 ただいまの御指摘の点は認めます。
  95. 田中武夫

    田中(武)委員 その際百条を削るということは特定な場合だからいいのだ、こういうことですが、しかしこれは百条では特許権によって独占強化、そういうようなことをやった場合には、東京高裁ですかが、独禁法違反事件として実施権の取り消しを命ずるとか、あるいは判定をするというような意味のことなんですね。これがなくなることはやはり特許権の乱用を抑える一つの関門がなくなったということになると思うのです。いかがでしょうか。
  96. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 ただいま田中先生はちょっと趣旨をお間違いになっているように私は受け取るのでございますが、先ほど特許庁長官が言われましたように独禁法は二十三条ですか、特許権権利の行使の範囲は適用除外をしておるわけであります。しかしながら独禁法の七条あるいは二十条によりまして、七条というのは国際契約でございますが、それによってたとえば国際契約の中で、相手国から特許権実施協約を受ける、しかしその特許権実施協約の中に相手国の特許権者が、おれの持っている原料を使わなければこの特許実施権を与えないといったときには、それは独禁法違反で今日までもきちっと審決をしておるわけでありまして、要するに排除措置及びこれに対する罰則は百条を除いても十分現行法でやれる、こう御了解願いたいと思います。
  97. 田中武夫

    田中(武)委員 九十六条の第三項かを削るのでしょう。この九十六条というのは特許権の乱用に対する公取の告発権ではないのですか。
  98. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 百条を削ったから九十六条三項の第百条第一項第一号を削る、こういうことです。
  99. 田中武夫

    田中(武)委員 告発権はあるのですか。
  100. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 告発権は一項にありますから当然ございます。
  101. 田中武夫

    田中(武)委員 特許権乱用の場合でもあるわけですね。
  102. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 その通りです。
  103. 田中武夫

    田中(武)委員 百条を削った意味は、どういうことなんですか。
  104. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 百条は特許法の今度の改正で、特許権の取り消し制度の廃止ということがありましたから、これを従来の独占禁止政策の運用とを勘案いたしまして、従来たくさんの特許権の乱用についての審決がございますが、これを廃止しても十分取り締り得るという建前で百条を廃止する、こう考えております。
  105. 田中武夫

    田中(武)委員 そうするとかりにこの特許法が通るならば、独禁法百条はあっても空文になるから削ったということですか。全然無意味はないのですか。
  106. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 独占禁止政策の建前からは、百条はなくても現存の七条なり二十条なり、あるいは先ほど先生がおあげになりました特許権のプールであるとか、あるいはトラストであるとか、カルテルによればこれは三条でやれる、こう考えるわけであります。
  107. 田中武夫

    田中(武)委員 かりに特許法のこの改正が通って、そうして百条が残っておったときにはこの百条は役に立たなくなる、こういうことですか。何か残りますか。
  108. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 これは将来の問題ですが、私どもが十二年やった結果、この百条に該当するケースはありませんし、それからこの問題が出ましたときにいろいろ検討いたしまして、法制局にも御検討をお願いいたしましたが、どうも百条の立法趣旨言がはっきりしていないようでございまして、私は当時はもちろん関係しておりませんが、司令部の方のアンチ・トラスト・セクションにおいて、当時のアメリカが特許権の乱用についてかなり苦い経験を持っておりましたから、そういう思想をバックにして、この規定が入ったように私は記憶しておりまして、この規定が十分に活用されるということは今の段階では考えられない、こう申し上げておるわけであります。
  109. 田中武夫

    田中(武)委員 「特許又は実施権の取消及び政府との契約禁止宣告」ですね、このインデックスは。そうすると特許の取り消しという制度が今度の改正で、なくなる。しかし無効とかなんとかという、今まで存在しておったものが取り消しの場合はそれ以後、無効の場合はさかのぼるということもあるが、特許権の存在しておったものがなくなるということは、特許法が通っても残るでしょう。そうすると、もう一つそれと関連しての政府との契約というものがあとに残るのじゃないですか。
  110. 井上尚一

    井上政府委員 第一項の第一号取り消しの問題について申し上げたいと存じますが、従来特許法の第四十条、第四十一条等にはいろいろとこういう制度はございましたけれども、この点につきましてはきのうの委員会でるる申し上げたわけでございますが、これまで取り消し制度はございました。無効の問題は全然別個の問題ですから、これは当然従来通り進めていくわけでございます。この制度かなくなりました理由は、取り消しという制度は、従来の経験では、長年の間一度も発動した経験がない。と同時に、そういうような存在理由がない。どういう理由でこれ今般廃止を、したかといいますと、きのうも申しましたように、特許権というものは、本来ある発明によりまして産業の発進あるいはその他の大きな進歩に寄与貢献した、その代償として認められるという関係で、これはできるだけ尊重保護する必要がある。同時にこれでもって、もしほかの方に特許発明実施を必要とする場合は、これに強制実施を命ずることによって特許権者の利益と一般の公益との調和は達成が十分可能であるというような理由で、今般この制度をやめた次第でございますので、特許法におきまする制度を前提としまして、独禁法の方で規定か設けられました。この規定はこの際同時にむしろ廃止をすることが必要であるということを、第百条等第一項の第一号取り消しという問題に限定しまして、私は申し上げるわけでございます。
  111. 田中武夫

    田中(武)委員 しかし二号の政府との契約の禁止、この問題があるのです。しかし取り消しという制度がなくなったが、今まで存在しておった特許権、こういうものが、いわゆる無効の審判とかそういうものによってなくなる。取り消しと無効審判とは将来に向って遡及してといこうことにおいて違いがあるが残る。取り消し制度がなくなったから百条全体が意義がなくなったとは考えられない。なおかつ、先日申し上げたように、政府は独禁法緩和をはかっておる。それはあらゆる法律がそうなんです。特別法によって適用を除外し、あるいは他の法令の附則によってこれを除外する、こういうことが繰り返し繰り返し行われておって、昨年秋その本拠をつくべく独禁法の改正を出してきたが、御承知のような状態審議未了、廃案となった。今日また理事会でこれも審議未了、廃案にすることを申し合せましたが、輸出取引法の改正は明らかな独禁法緩和の法律であります。そういう政府の考え方、そういう面がこの特許法の改正に便乗して、しかも何だか長たらしい「特許法等施行に伴う関係法令整理に関する法律案」というような、いわば今審議しておる法律にちょっとついてきたというようなことの中に、こういう意図を盛っておるということについて、私どうも了解できませんので、これについてはあとで大いに話をしてみたい。そうでなかったら私はここで了解はできません。この特許法が変ったら、百条自体が全然意義がなくなったというものではないと思う。しかも政府との契約禁止宣告がなくなった場合、そこに私は論ずるなら論じてもよろしいが、いわゆる政府との間のいろんな関係、こういうものが出てくる。先ほど理事会のときに笑い話に出ておったように、グラマン問題のように発展するというところまでくるかもわからぬ。しかも政府との契約は、今日ほとんど大企業がしておる。そこで政府あるいは官公衙とか中小企業との契約といいますが、官公衙の需要に対して中小企業にも契約さすべきである、こういう趣旨の官公需の中小企業に対する発注の確保に関する法律案、これは御承知のようにわが党が今国会に提出をしておる法律です。そういう点から考えましても、この政府の無効宣言がなくなるということ、このことは、政府との契約禁止の宣言がなくなるということは、どうも私考えられない。こういうことがなくなれば必ずより一そう大企業と政府との間の契約が促進する、こういうことになる。その結果は汚職にまで発展する、このように考えます。従ってこの点も保留いたします。
  112. 板川正吾

    ○板川委員 公取の事務局長にお伺いしますが、外国人の特許昭和三十二年度によりますると、出願の総数の二割一分かを占めている。それから登録された割合から見ますると、三割六分であります。これは三十二年度でありますが、こういう傾向が残ってきておりますから、多分三十三年度では四割近くは外国人の特許である。日本における登録件数からいってそういう状態であるということは御承知と思うのです。そこでその外国人の特許のうちで四割近くがアメリカの特許であります。それでアメリカの商社が日本において非常に特許権をとって、独禁法違反の傾向というものがあると思うのでありますが、これに対して公取として、最近どういうような情勢であるか、それをまずお伺いをしたいと思います。
  113. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 ただいまの御指摘のようなケースにつきまして、公正取引委員会で最近特許権の不公正取引方法として審査したケースは、ございません。むしろ私どもの公正取引委員会として特許権権利の乱用としてやったケースは、独禁法六条によりますところの国際協定、あるいは国際契約、これにたとえばイギリスならイギリスの造船会社の特許権日本の船会社が借りて、ロイアリティを払って、その特許自身をやる。その場合に先ほど例にあげましたように、向うの造船会社が自分の特許を貸与するかわりに、自分の指定するところの会社から原材料を買い取るとか、こういう場合はいけない。あるいはまたロイアリティが不当に高い、独禁法の対価が不当に高いものであるというようなケースでやったものはたくさんございますが、今先生の御指摘のような問題は、今日までまだ審査しておりません。
  114. 板川正吾

    ○板川委員 それからこの独禁法百条の改正についてですが、開くところによりますと、百条の一項の一号については特許庁では改正をいたしたいと言ったが、公取の方から積極的に百条全体を削除すべきだ、こういうことで、公取の方から百条全体を削除すべきだという積極的な意見が出されて、この百条削除が提案されたというのですが、こういう説をきのう清瀬一郎先生からお伺いしたのですが、そういう実情があるのですか。
  115. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 ただいまのような御指摘の点は、私どもはよく存じておりません。
  116. 板川正吾

    ○板川委員 そうしますと、独禁法を改正する理由として、百条は大して必要がない、空文化しているからだ。きのうもそう言っておりましたし、きようも大体これがなくてもできる、こう言われておりますが、きのうの説明ですと、長官の説明は繰り返しそうなんですが、特許法で取り消し制度がなくなったから、従って百条は要らないのだ、こう言われておるのです。しかし独禁法は経済憲法と言われておるのですから、先ほど事務局長も言われましたが、二十三条があっても私は罰則の規定として独禁法に百条があってどこが悪いのだ、こう思うのです。  これは特許法が改正されたら、当然に独占禁止法を改正すべきだ、関連はあるかもしれませんが、当然に改正すべきだ、何か特許法の方が優先するような考え方でおることは、本末転倒した法理論ではないかと思うのですが、私は百条があってどうして悪いのだ、こう言いたいのです。この点に対して公取の見解いかがですか。
  117. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 ただいま御指摘の点は先ほど来申し上げましたように、百条がなくても十分取り締り得る、しかもわれわれの方といたしましては特許権の乱用行使に対しましては審判を開いて審決をやりまして審決をやるについては八十九条、九十条で罰則をかけ得るわけであります。そういうことからいたしまして、独禁法上から見た特許権権利の乱用は、これがなくても取り締り得る、こう考えておるわけであります。
  118. 板川正吾

    ○板川委員 それならば独禁法の改正案をこの前出したときに、そういうことができるならば、なぜ、この案を出してこないのですか。そのときには原案の中にありませんから、なくて今になってなくてもできるのだ、こう言うのは論旨が合わないじゃないですか。
  119. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 仰せのごとく昨年秋の臨時国会に出しました独禁法の改正法案の中には、百条を削除する規定はございません。しかしこれはカルテルの問題で、当面必要な実態的な面を改正することにいたしましたものですから、そういうとおしかりを受けるかもしれませんが、特許の取り消しというような手続の問題にまで頭が至らなかった、こう御了解願いたい。
  120. 田中武夫

    田中(武)委員 あまりたくさん改正すると日立つから、こういったわけのわからぬところから少しは直していこう、こういう考え方であったことを認めます。いずれにしろ百条が特許法が改正になったら、全然意義がない、こう言い切れないと思う。少なくとも政府との契約禁止の宣言、これはいかなる場合にも残る。それから取り消しということがなくなっても、先ほど言ったように、存在した特許権がなくなるという事実はある。そのことについて必要ならば取り消しという言葉を、無効宣言とかいう言葉にかえる必要があるかもしれぬが、それは全然百条が意義がなくなるとは考えられません。それから今まで百条を適用する場合がなかったというが、事実なかったのか、サボっておったのかこれも疑わしい。現在のような公正取引委員会の気魄と機構ではそこまで目が届かない、自分たちの本城を一角々々くずされて、あしたに一城、タベに一城くずされて、すでに本城を大変更されるというようなところまで後退する。公正取引委員会が十年間事実がなかったからといって、それが事実あったのかなかったのかわからぬ。従ってこの独禁法の関係については、あくまで意見は並行ということを認めておいて、あとに問題を残します。  そこでもう一つだけやりたいことがあるのですが、審査官、審判官の資格身分保障の問題についてお伺いしたいと思います。その前に井上局長にお伺いいたしますが、先日審査官、審判官の資格について参議院修正になり、これを政令で定める、こうなった。それで私はいわゆる政令の原案というものがあるだろう。それを示せと言っておったが、まだ出ておりませんが、お示し願います。
  121. 井上尚一

    井上政府委員 お配りしたはずでございます。
  122. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ具体的に質問いたします。これはまず人事院にお伺いしますが、先日の私と長官との質疑応答の結果を聞かれたかと思いますが、この審査官、審判官は若干意味は違いますが、審査、審判官の性格は、行政的な仕事というよりか、むしろ司法的な仕事の方に近い。先ほど来の質疑応答の中にもあったように、独自の立場からこれに対する見解をきめる、こういうことをやる。しかもその仕事は、いわゆる上司の命令を受けてやるのではなくて、独立の立場でもって処理をしていく。こういう点は行政官よりかむしろ司法官に近い。そういう点から審査官、審判官については——司法官は憲法によって、あるいは裁判所構成法によってその身分が保障せられておる。そこまでする必要はないにしても、一般行政官と違った身分保障を必要と考えておりますが、人事院としてはどうでしょう。
  123. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまの問題は、私給与局長でございますので、先ほど総裁がおりましたが、ちょっと席をはずしておりますが、給与局といたしまして関連があることがございますから多少申し上げますと、現在の司法官と仕事がよく似ておるではないかというお話でございます。そのような点はあると思います。しかし、やはり行政部内にたとえば海難審判官というものもございますし、広い意味におきましてはやはり行政官としてわれわれは現在やっておる次第でございます。
  124. 田中武夫

    田中(武)委員 単に行政官であって、準司法的なことをやっておるのがあるから同じということでなく、私の言っているのは行政官ということで、現在は海上審判の方もそうでしょう。公正取引もそうでしょう。準司法的な審判、こういった権利の設定、あるいは義務の設定をやる、いわば司法官の判決と同じような効果を持つことをやる人は、むしろ行政官と考えるよりか、司法官と考える。そういう考え方の方が正しいのじゃなかろうか。でなければ、行政官だけがやはり上司の命令ということがある。そこに独自の立場から判定、審判、審決、こういうことができないのではなかろうか。同時にその裏づけとしては、やはり身分的なある程度の保障、これは憲法で司法官の保障があるようなものではなくとも、いわゆる上司による身分が勝手に左右せられないような保障を必要とする、こう考えるのですが、どうでしょう。ほかにあるからこれもいいのだということでなく、ほかにあるならそういうものは全部そうしてしまったらいいじゃないか、こういうことです。
  125. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 話が立ち入りますと、これはまた人事院総裁にあらためて御質問願いたいと思うのでありますが、ただ行政官といたしましても、ほかにあるからいいという考え方ではないのでありまして、行政官の中に、やはり上司の指揮命令を受けないで、独自の判断でその権限を持ちまして、その権限を行使する職があるわけでございます。
  126. 田中武夫

    田中(武)委員 だからそういうのは、むしろ身分的な保障をしてやらなければ、上司の意見に左右せられて、独自の立場に立っての判断が下されない。だから審判官、審査官だけでなく、そういった性格のものは一般的に言ってそういうことが必要じゃないか、こういうことです。
  127. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 行政官でも、そういう審判、審査というようなことに従事いたします行政官は、やはり、法律によりましてそういう権限が設定されておるのでありますから、上司の指揮は受けるわけでございますけれども、その法律に基きましてその権限を行使する。従いまして、行政官であるから、それに支障があるというふうには、われわれ考えておらないのでございます。また行政官は、これは公務員法によりまして身分保障が一般的にされておる、このように考えております。
  128. 田中武夫

    田中(武)委員 公務員法によって保障されておるが、公務員法は保障ではないのです。むしろあれは組合的な行動を規制する法律なんだ。今教員の勤務評定の問題が大きな問題になっておる。同じように、いわゆる行政官であるならば、上からの命令によって身分が脅かされる、そういうことであるならば、独自の見解に立って判定ができない。従って法律によって仕事をすることはわかっておる。だが、自主的にほんとうに独自の立場に立って判断をするには、上司が勝手に身分を脅かすことができないような保障を必要としなければ、仕事ができないのじゃないか、こう言っているのです。勤務評定の問題にしても、これは教員という特殊な問題から、そういうことはよくないのだということで争われておるわけなんです。ことに準司法的な判定を下すのです。いかがですか。
  129. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほど出し上げましたように、行政部内に審判、審査というような機能が存置されておるということは、そういうことでやっていけるということでできておるものと、われわれは了承しております。
  130. 田中武夫

    田中(武)委員 やっていけるということであるが、絶対公正なものができるか。それじゃ何のために司法官は身分保障があるのか。そういう必要は認めませんか。どうです。
  131. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほど冒頭に申し上げましたように、私は関連事項について申し上げたのでありまするので、その点はあらためて人事院総裁にお尋ね願いたいと思います。
  132. 田中武夫

    田中(武)委員 だから初めからだめだといっておるのだ。途中になってから私じゃ答弁できませんというなら、初めから答弁に立つな。給与の面なら答えができるでしょう。そういう人に対しては一般職よりか、ある程度よくする必要があるんじゃないか、こう考えるのだが、どうです。
  133. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほどからお話が出ておりまするが、われわれは科学技術振興という立場に立ちまして、行政部内並びに研究所における研究官、このような方々につきまして給与上の考慮をいたしたい。審判官、審査官につきましてもそういうことを考える際には、研究官あるいは行政部内の技術官、このようなものと合せて考えたい、このように考えております。
  134. 田中武夫

    田中(武)委員 審査、審判官には職務除斥の規定がある、この点一般の行政官とは違います。かつまた秘密漏洩等の罪も一般行政官よりか重いものが課せられることになっている。こういう点を見ただけでも、一般行政官よりか変った待遇を与えるべきではないか。同時にあなたの範疇でないということであるか、準司法的なものとして身分保障を考えるべきではないか、こう考えておるわけなんですが、給与の点だけであなたの考えを伺いたい。
  135. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほどから申しておりまするようにわれわれは審判官、審査官というものは、一般行政官の中における職でございまするので、行政部内におきまする各職とのバランスというものを考えましてこの給与を考えたい。ただ、先ほどから申しておりまするように、科学技術振興という一つの国としての目標があるわけでございますから、そういう観点から、行政部内における技術官あるいは研究所における研究官、こういう方々と合せまして、特許審査あるいは審判の仕事に従事されておりまする方々の給与の問題を考えて参りたい。こういうふうに考えております。
  136. 田中武夫

    田中(武)委員 なんだか抽象的なんですけれども、私の言っているのは別個な給与体系を考える必要はないか、こういうことなんです。
  137. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 御説のような考え方も場合によってはあり得るかと思いまするが、われわれが現在考えておりまするのは、やはり科学技術振興という観点から、この技術官あるいは研究官と合せまして特許審判あるいは審査の仕事に従事しておられる方々の給与を考えて参りたい、こういうことであります。
  138. 田中武夫

    田中(武)委員 先般来判事と検事が給与の問題でけんかしましたね。ところが遂に判事に軍配が上った。これはやはり職務の独立性の問題から来たと思うのです。そうすると一般行政官とこういった審査、審判官、あるいはあなたがおっしゃるように他にもあるというが、こういう人たちは違った立場です。同時に違った義務を仰せつかっておる。義務についての法律その他があるわけです。そうならば給与体系も別個なものを考えていくのがいいのではなかろうか、一般職の給与体系ではなく——その主張を認めることはできないか、私はそう申し上げておる、その方がいいんじゃないか、一般職給与体系と違うものを考えるべきではないか、こういうことを言っているのですが、いかがですか。
  139. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 司法官は行政と利個にあるわけでございます。なるほど準司法官的な職務があるということは事実でございまするけれども、やはりこれは行政部内の職員でございます。従いまして行政部内におけるバランスを考えまして、こういう方々の給与をわれわれとしては考えたい。ことに行政部内の職員の給与を考えまする際には、民間の給与あるいは生計費というようなことを基本にして考えるということが、これは公務員法に原則としてあるわけでございまして、そういう点とそれから現在一般職の職員が同様のものを受けておるかと申しますと、これはそうではないのであります。行政部内におきましても、それぞれの職務の特性等によりまして、いろいろ考えておるわけでございます。ただ審判官、審査官の俸給表を別個に考えるかどうかということは、これはいろいろ問題があるのでありまして、現在のところ、人事院はそういうところまでは考えておりません。
  140. 田中武夫

    田中(武)委員 私の申し上げておるのは、先ほど来言っておるように審査官、審判官、あるいはこれに類する他の行政官、こういう人には、法律によって職務を行なっておるので、従って特別な義務が課せられておる。先ほど言ったように、審査、審判官に対しては、職務の除斥あるいは秘密漏洩に対しては一般公務員よりか、強い義務を課せられておる。そういうことであるなら、義務だけ課せられずに、給与の方も考えていかなければならぬのではないか。こういうことを申し上げておるのでありますが、それでは、この点は人事院総裁に聞くことにいたしまして、給与局長にはそういうことを要望いたしておきます。  それから、この特許法改正一つの目的、先ほど来若干触れられましたが、それは、いわゆる滞貨が多い。書類がたまってしまって、出してから決定に至るまでの時期が長過ぎる、こういうところにあるわけなのです。しかしながら、私は、それは法律のためではなく、機構のため、人員のためであると考えておるわけです。この法改正の参考資料としてもらっておる特許庁審査、審判事務促進正常化七カ年計画、こういうのが出ておりますが、これによると何年には何名定員をふやす、こういうようなことになっております。こういうことに対して行政管理庁は、この定員をふやすということについて、審査、審判の促進というような点と関連し——われわれはこの七カ年計画自体も、のろ過ぎると思うのだが、定員をふやす、あるいは待遇を変える、これはどっちの範疇に入るか知らないけれども、行政管理庁の見解を一つ伺いたい。
  141. 山口酉

    ○山口政府委員 お答えいたします。実は、七カ年計画ということは、まだ私どもは存じておりませんけれども、お話のように、特許庁の人員が不足をして事務が渋滞しておるということは、行政管理庁で調査をいたしまして、結論もそういう結論が出ております。三十二年には百名増員をいたし、その後さらに昨年もいたし、本年度も二十名増員することにいたしております。その考え方といたしましては、定員でございますから、臨時的に処理をするという問題につきまして、定員をふやすということは、理論上もなかなかむずかしいのじゃないかと思っておりますが、年間提出されるようなものを処理する上に要する正常な人員は、定員化する必要がある。しかし、もちろんその滞貨を早く解消するという考慮も必要ですが、ただ、従来調査した結果では、今田中委員のお話にございましたように、機構並びに運営の問題にもかなり問題がございまして、能率的な処理方法を検討する必要がかなりあるという問題もございます。これらは早急に行かなくとも、特許庁の方でいろいろ御工夫を願わなけばれならぬ点がある、そういう点を彼此勘考いたしまして、本年度は二十名の増員にいたしたのであります。なお、将来の特許庁の御計画は十分拝聴した上検討いたしまして、増員の要があるようでございますれば、しかるべき措置を研究いたしたいと思います。
  142. 田中武夫

    田中(武)委員 井上さんに伺いますが、先日の板川委員質問で、何年には何人ふやして、どうとかこうとかという答弁をしておりましたね。そういうことについて、まだ関係庁の間には話が進められていないようでありますが、あれはあなたの構想だけなのですか。そうするなら、滞貨一掃という、特許事務促進ということは法律の問題でなしに、機構の問題だと私は思うのです。若干法律関係もあるとしても、大体は機構の問題です。あなたが強調しておるその点については、あなたの作文にすぎない、こういうことになるのですが、どうですか。
  143. 井上尚一

    井上政府委員 これは特許庁としましての計画でございますから、今後、大蔵省、行政管理庁、そういう関係各省とはいろいろ折衝したい、こういうように考えております。
  144. 田中武夫

    田中(武)委員 十年も準備したのでしょう。しかも今日の特許の渋滞ぶりは、あなた自身が身をもって知っているわけなのです。こういう大きな法律改正案を出すときには、少くともそれの裏づけになるようなことは、関係庁の間で十分話し合って出すべきじゃないか。そういうことになると、いよいよこの法案準備不足だ、こう言わざるを得ないと思うが、どうですか。
  145. 井上尚一

    井上政府委員 審査審判促進計画につきましては、これは状況が変りますから、ほとんど毎年のように、予算の交渉前には、こういう計画をわれわれとしては作っておるわけでございます。もっともいろいろ出願件数の見通し等の基本的な数字が変ります関係上、この計画の改定は当然必要でございますが、従来は、毎年こういうようなある目標を持って計画を作って参る、そして大蔵省その他等とは、従来といえども交渉を続けて参った次第でございます。今回はこれを新規に、また最近の情勢に応じまして、こういう新規な計画を作ったわけでございます。
  146. 田中武夫

    田中(武)委員 新規な計画を立てて、少くともこれに基いて滞貨の一掃をはかり、特許事務の促進化をはかっていくということを、あなた、この委員会において、先日述べたわけなのです。ところが、それは関係庁との間には、何ら了解が——それは最終的なことは、先のことですからいいとしても、大体の計画の打ち合せもなければ、ただ単にあなたの作文にすぎない。今おっしゃったように、従来でも、予算、人員等については、あなたは主張しておられたのでしょう。だが、いれられずして、今日の体たらくですよ。従って、あなたが幾らそういうことを考えて、法律だけを早く通してくれと言ったって、その準備ができていない、こう言わざるを得ない。もう時間もないので、それのことについてはとやかく言わぬが、準備不足です。こういうことは認めざるを得ない。  それから、行政管理庁ですかに申し上げておきたいことは、この法案審議関連して、当委員会において一番問題となったのは、今言っているように、特許事務の渋滞、これが科学技術振興発展という意味においても、大きなマイナスになっておる。こういう点は認めざるを得ないのです。従って、今後の定員の問題等については、この滞貨一掃という上に立って——これは法律の問題でなく機構の問題である。従って、十分考えていただきたい。こういうことを要望しておきます。  いろいろ聞きたいのですが、時間がありませんので、最後に、人事院総裁に、先ほど給与局長質問して保留になっておる点だけを明らかにしておきたいと思います。御承知のように審査、審判官の職務は、上司の命令ということは独立して、独立の立場から審査、審判を行います。その結果は権利の設定あるいはその取り消しというか無効、こういうことも行う。従ってその仕事は行政管というよりか、むしろ司法官的な仕事に近いのじゃないか、こういうように考える。なおかつこういう仕事の性格上、たとえば職務の除斥の規定とか、あるいはまた秘密の漏洩について、一般公務員よりか強い義務が課せられておる、こういう点も司法官に近いようなものである、こういう点から審査、審判官その他これに類するたとえば海難審判等ありますが、こういう人たちは一般公務員である行政官とは違った身分保障を必要とするのではなかろうか、あるいは違った給与体系を必要とするのじゃなかろうか、こういうように考えておるわけですか、またそうしなければ公正妥当な判断を独自の立場からすることはできない、こういうように考えますが、いかがでしょうか。
  147. 淺井清

    ○淺井政府委員 問題は二つあるように思います。一つは身分保障の問題で、一つは給与の問題であろうと思います。身分保障につきましては、現行制度の公務員法上、一般職の公務員は全部身分保障を持っております。ただお尋ねの点は、それでいいのか、さらにこれを強化する必要があるかどうかという点だろうと思っておりますが、これは特許庁の方でさらに強化するようなお考えでございますれば、われわれとしても異存はございません。それから給与の点でございますが、給与局長からちょっと申し上げましたけれども、これは公務員全体の給与、技術者全体の給与あるいは医療職の給与、研究職の給与等とある程度バランスをとらなければならぬと思います。しかし仰せられた問題点はよくわかっております。実は二、三週間前に参議院の商工委員会でも同じような問題が取り上げられました。そこで人事院といたしましては、この特許審判に従事する技術者の給与問題について研究をすることにいたしました。このためにはまず所管庁である通産省の公けの見解を聞きたいということを二、三週間前に通産省へ通知しておりますが、けさほど聞きましたところでは、まだ何も言ってきていないようであります。これを出発点として研究していきたい思っております。
  148. 田中武夫

    田中(武)委員 井上長官、ただいま人事院総裁の御答弁、お聞きの通りであります。あなたの方で立案するならば、十分話し合いに応ずるというか、聞く用意がある、こういうことをよくわかっていただいたと思いますから、私の希望するところは審査、審判官その他、ほかの官庁にもこれに類するものがあると思います。こういうものについては、やはり独自の立場から判断をして公正な結論を求める、こういうことで、一般公務員とは違っておる。従ってただいま総裁がおっしゃったような、一般公務員と違った職務であり、違った義務を負わされ、またそれが上司の考えによって身分を脅かされるようなことであるならば、独自の見解で公正妥当な判断ができない、こういうようなところから別個な考え方を持つのじゃなかろうか、それは身分、待遇両方にまたがることでありますが、これらについて関係官庁と、そこを十分話し合っていただきたい、こういうことを要望いたしておきます。時間がありませんから一応休みます。これで質問を終ったのではありません。十分疑問の点が残っております。そういう点だけを申し上げておきます。
  149. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 暫時休憩いたします。     午後一時二十九分休憩      ————◇—————     午後四時四十九分開議
  150. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、小委員会設置の件についてお諮りをいたします。本委員会に付託されております請願審査するため、小委員八名よりなる請願審査小委員会を設置するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  次に、ただいま設置いたしました小委員会の小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長より指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 御異議なしと認め、小委員には   小川 平二君  小泉 純也君   小平 久雄君  中村 幸八君   南  好雄君  加藤 鐐造君   田中 武夫君  松平 忠久君以上八名を、小委員長には中村幸八君を指名いたします。     —————————————
  153. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 次は、休憩前に引き続き特許法案関係法案を一括して議題といたします。審査を進めます。  この際、特許法等施行に伴う関係法令整理に関する法律案に対し、田武中夫君外七名より、自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる修正の動議が提出されておりますので、これの趣旨の説明を聴取することといたします。田中武夫君。
  154. 田中武夫

    田中(武)委員 私は自民党の委員各位の御了解を得まして、特許法等施行に伴う関係法令整理に関する法律案に対する修正を提出いたしたいと存じます。  まず案文を朗読いたしたいと思います。  特許法等施行に伴う関係法令整理に関する法律案の一部を次のように修正する。   第四条中第九十六条第三項及び第百条の改正規定を次のように改める。   第百条第一項及び第三項中「実施権」を「専用実施権若しくは通常実施権」に改める。  以上でございます。  本修正案を提出いたします理由につきましては、本委員会におきまして政府委員との間にいろいろと質疑応答を重ねましたので、その詳細を申し述べることを避けたいと存じますが、独占禁止法第百条の規定特許または実施権の取り消し及び政府との契約禁止宣言の規定でございます。第四条の原案は、特許法の改正に伴って独占禁止法の第百条を削除し、それに伴って九十六条の一部を削除する、こういうようなことでありますが、つぶさに独占禁止法の内容あるいはその性格を調べましたときに、単に特許法の改正によって特許の取り消しを従来あったものをなくした、こういうだけで百条全体を削除するという点につきましては、その範囲をこえた改正のようにも考えられます。  そこで今申しましたような修正案を提出いたしたわけでございます。この修正に当りまして独占禁止法の存在の価値につきましては、われわれ社会党と自民党委員各位との間には、若干の認識が異なるとはいえ、われわれの修正案提出に対しまして、快く御賛同いただきました自民党の各委員に敬意を表しまして、修正案の趣旨説明を終りたいと存じます。
  155. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終りました。  お諮りをいたします。十法案並びにただいま提出をされた修正案の質疑を終局するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  次に十法案並びに田中武夫君外七名より提出された修正案を一括して討論に付するのでありますが、通告もありませんので、これを行わず、直ちに採決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 御異議なしと認め、これより順次採決をいたします。  まず特許法案特許法施行法案実用新案法案実用新案法施行法案意匠法案意匠法施行法案商標法案商標法施行法案及び特許法等の一部を改正する法律案、以上九法案を一括して採決をいたします。  以上九法案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  158. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 起立総員。よって各案はいずれも原案の通り可決をいたしました。     —————————————
  159. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 次に特許法等施行に伴う関係法令に伴う関係法令整理に関する法律案の採決をいたします。  まず自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる田中武夫君外七名より提出をされました修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  160. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 起立総員。よって本修正案は可決をいたしました。  次にただいまの修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  161. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 起立総員。よって本案は自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる田中武夫君外七名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。  次に本日議決をいたしました特許法案に対し、自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる附帯決議を付すべきであるとの動議が提出されております。これの趣旨説明を求めます。  小泉也君
  162. 小泉純也

    小泉委員 ただいま可決されました特許法案に対しまして、自由民主党並びに日本社会党共同提案になる附帯決議案を提出いたします。  まず案文を朗読いたします。   特許法案に対する附帯決議  政府は、特許法を初め、工業所有権に関する新法の制定とともに、特許行政についても、画期的改善を加え、特に左記諸点については、速やかに方策を樹立するとともに、その早急な実現を図るべきである。     記  一、今回の改正による特許料登録料及び手数料の値上げに伴う増収分は、あげて人員の増加を初め、審査、審判事務の促進のための経費に充当し、出来得れば補正予算で措置すること。  二、累積せる審査、審判件数の一掃につき、応急、恒久対策を樹立すること。  三、審査官、審判官については、その職務の特殊性並びに有能人材確保の困難性に鑑み、妥当適正な特別給与制度を考慮すること。  四、工業所有権関係新法運用に当っては、常に技術の進歩及び時代に即応するよう措置すること。なお、速やかに、弁理士法の根本的改正法案を提出すること。  五、特許発明の企業化促進のため、一般に対する発明内容の周知に努めるとともに、補助金制度等を拡充強化すること。  以上の趣旨につきましては、質疑を通じてすでに明らかでありますので省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同あらんことを希望いたします。
  163. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 以上で趣旨の説明を終りました。  この附帯決議につきましては質疑の通告もありませんので、直ちに採決いたします。  小泉也君外七名より提出された動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 御異議なしと認め、よって特許法案に対しましては、小泉君外七名より提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際通商産業政務次官より発言を求められております。これを許可いたします。  中川通商産業政務次官。
  165. 中川俊思

    ○中川(俊)政府委員 特許法案等に関しましては連日御審議をいただきまして、まことにありがとうございました。ただいま御可決になりました附帯決議の趣旨を十分体しまして、この新法施行については、今後万全を期する覚悟であります。何とぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  166. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 本日議決をいたしました特許法等法案に関する委員会の報告書の作成等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  本日はこれにて散会をいたします。     午後五時散会     —————————————