○板川
委員 大蔵政務次官にお伺いしますが、
大蔵次官のお話を承わっておると、
特許行政に非常に御理解を持っておられるようであります。しかし、数字を見ますと、どうも話は話、金の方は金の方という感じがするのです。大体三十四年度の予算を見ますと、昨年より
特許行政に使う金が、大蔵省として、大へん話の方はりっぱなんですが、六十万円ばかり減っているのです。これはそういう話と金の方があまりにも違い過ぎると思うんですよ。それで、この予算によると、収入の倍額というものは全然見込んでおらないのです。ですから、これは特別会計じゃなくても、実際において収入支出の見合い点がなければいかぬことだし、それはわかるんですが、今度
歳入が倍額になるのですから、ここらで
特許行政というものを、口先だけでなくて、もうちょっと御理解を願いたいと思うのです。これはよく知ってもらいたいのですが、たとえばアメリカではつい三年ほど前には、二十二万件も木処理の件数がありました。これは一九五六年です。ところが、アメリカで人工衛星の前後を通じまして、ソ連より科学技術が非常に劣った、その原因はどこにあるか、こういうことが深刻に自己批判されたんです。
特許行政でアメリカは一九五六年にはざっと二十二万件、処理能力からいえば四年四カ月分が残ってしまったのです。これはアメリカの科学技術がソ連におくれをとったということは、そういう
特許行政が遅滞しているのだ、こういうことを深刻に自己批判して、五七年から八カ年計画ということで、そういう未処理の件数を一掃するという
特許行政の画期的な
迅速化ということを立案したんですよ。それで五七年から予算が非常にふえまして、収入二十五に対して支出六十一ですか、二倍半くらいに支出をふやした。そういうことでアメリカの
特許行政が改革をされまして、最近は四年四カ月もたたなければ手がつかないものが、大体八カ月くらいになっておる。西ドイツやイギリスなどは六カ月だそうであります。
日本は今二年七カ月ですが、これはむずかしい
発明なんかですと、四年か正五年かかるそうです。
こういうことで今の
発明家の一番の願いは、
法律改正よりも早く
審査をしてくれ、出したら半年くらいで手をつけて、一年くらいでイエスかノーか判決をしてもらいたい、
審査を終了してもらいたい。こういうことを要望しておるのです。それでそういう体制を組むためには、何といっても予算なんです。予算は各国を見ましてもどこの国でも、アメリカは非常に
歳出をよけいにしておりますが、イギリス、西ドイツ、フランス等も大体とんとん、
歳入歳出見合っているのです。これは特別会計ではないのですけれども、
特許行政はその辺で見合っておる。国家予算案の中ではウエートは少いのです。四億もうけても、飛行機一台分ですから、ほんとうにわずかなものであります。そういうことで四億なり五億なり使って
特許行政を拡大しても、これは
日本の財政に影響ある数字じゃないのです。それによって
発明がもっと
促進されるならば、私は自民党の立場からいっても、非常に奨励すべきじゃないかと思う。何で三億や四億の金を惜しんでいるのだと、こう思うのです。それでお伺いしたいのですが、どうも
特許庁の
長官はなかなか人柄がやさしくて、思うことを言わないのです。
法律を出してぜひ通してもらいたい。最初は通さなくていいのだろうと思ったのです。ぜひ通してもらいたいと言うなら、新しい
法律が通った後、
特許行政に見合った予算をなぜ計上しないかというのです。ところが予算を見ると、昨年よりも六十万円減っておって、それでよろしいと言う。腹の中ではどうか知らぬけれども、やむを得ない。一方において画期的な
特許行政の改革をはかる。どうもつじつまが合わぬですよ。そこでこれはやはり親愛なる
大蔵政務次官にお願いするほかはないのだが、ここで何らかの
方法で本年度四億一千万近く、予算にはないですが、この
法律が変ればもうかるのですから、ただ二億な三億なり来年は画期的にいたしましても、当面これに何らかの考慮を払うということを、はっきりしてもらいたいと思うのです。
参議院では、ごらんになったと思うのですが、大蔵大臣もなかなかいいことを言っていますよ。ですからそれにいまちょっといいことを言ってもらいたいですな。そうでないと私はこの
法律は
特許庁長官が通さなくてもいいのではないかと思うので、どうしても通してくれというなら
料金のところだけ倍額は来年になってやりたいとこう思うくらいですから、社会党は
料金の
値上げに賛成するというのは画期的な態度なのであって、ですから賛成しようと思いますから、そのためには
一つ金を出してもらいたいということを、どうお
考えになりますか。それから
特許行政は理解をするという
答弁用ではなくて、
日本の科学技術を進歩させる一番の窓口なんですから、私はほんとうに真剣に
考えていただきたいと思うのですが、
大蔵次官の見解はいかがですか。