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多賀谷委員 私の手元に福岡県鉱業関係市町村連盟から資料が参っておるわけであります。それは
石炭合理化臨時措置法施行による炭鉱買い上げに伴う失業者の発生
状況調、
昭和三十三年十二月末現在ですが、これは現在までに買い上げを決定し、及び申請をなし閉山せるものの分、こういうことであります。現在までに福岡県において出ております閉山並びに失業者に対しまして、各町村別にしさいにデータが出ておるわけでありますが、それによりますと、今までで閉山をいたしました炭鉱の当時の従業員数が一万五千五百三十六名、それから離職後、他に就職した者がそのうち五千六百四十一名、さらに離職後他の市町村に転入をした者が三千百五十三名、さらに完全失業者という言葉を使っておりますが、この完全失業者というのは
政府の定義とは違う。これは
政府の方は一カ月の終りの一週間に一時間も働かなかった者、こういうことでありますからこれは違いますが、とにかく六千二百二十六名という
数字をあげております。これはかなり失業保険をもらっておる者が入っておるのじゃないかと推定されるわけでありますが、こういう
数字を出しております。それから生活保護法の適用を受けております者が七百二十二名、それから今度炭鉱の
不況によって今まで就職しておった者で離職が予想される者、これが私はきわめて重大な
数字になってくると思うのです。今まで炭鉱が
好況でありましたから、一回閉山後離職いたしましても、次に同じような炭鉱に就職しておる、それが同じような
規模の炭鉱ですからそれがまた閉山になる、こういうような問題あるいは閉山にならなくても首切りになる、こういう問題、この
数字が二千四百七十一名、こういう推定をしておる、こういうようにはっきりしておるかどうかわかりませんが、少くとも二千四百名
程度は一度就職した者が再離職をするのではないか、こういう推定が行われておるのであります。そこで
雇用対策を必要とする者が八千七百九十七名という
数字をあげておるわけでありまして、これは私は
数字そのものは、厳格に言いますと必ずしも正確でないかもしれませんが、大体の傾向は変らないのではないかと思う。そこで今度この
合理化法案百万トンに伴う失業者というのは、百万トンだけの失業者を対象とするわけにいかない、過去の三百三十万トンにさらに百万トンを加えまして、四百三十万トンの買い上げによるそのしわ寄せが一度にここにやってくるということを想像しなければならぬと思うのであります。そこで今度の失業対策というのは、きわめて私は重大な問題であると考えるわけです。そこで私たちは、
昭和三十年度の
石炭合理化法案が通過いたしました際に、非常に苦い経験をなめているわけでありまして、当時の労働大臣は一体
合理化法案が通過することによる失業者の問題はどうするかということに対して、きわめて明細に
数字をあげてお答えになっておるのであります。ところがそれが全部狂っておる、ここに非常に問題があるわけであります。当時労働大臣は、とにかく
昭和三十年度においては電源開発工事で四百名、河川改修その他で千七百五十名、さらにその内訳として遠賀川に五百名その他に千二百五十名。道路
事業に千五十名、鉄道建設改良
事業に九百名、合計四千百名を吸収する、こういうことをはっきりおっしゃっておるわけです。ところが実際はどうかといいますと、鉄道建設
事業のごときは、もうすでに同僚議員からお話があったと思いますが、
不況のさなかには工事は行われなかった、二年後ぐらいにやっと工事が始まり出した、こういう
状態にある、そうして現在はどうかといいますと、この前地元の町村長が見えてのお話でありますと、四百名予定のところが三名しか雇っていない、お茶くみ三名だと、こういう話です。建設
事業に携わる人人は、みなよその方から雇ってきて請負が入ってきておる、こういう事情だそうであります。これは私は何をいいましても労働省の怠慢であると思う。実はその当時の川崎―油須原線の建設工事は、労働省が予算をとって運輸省に移管をするという話でこの話ができた、ところが
合理化法案が通過した後には、労働省の方はそっぽを向いて運輸省独自で全部金のめんどうからその他をやらなければならぬ、こういう事情にあったと思う。しかし運輸省の方は何も失対の人々を使う義務はない、こういう気持ではないかと思う。こういうように私たちは実際の運営をながめてみますと、
合理化法案が通過したときの国会の答弁と全然異なったことが行われておる。なるほど当時は若干事情が違って炭界が
好況になったという理由もあるでしょう。しかし現実に買い上げ後の閉山を受けました炭鉱に行ってみますと、まことに悲惨な
状態です。従来マル石といいまして
合理化法案に伴う離職者に対しましては、全員失対
事業に行けるようにしておった。ところがいつの間にかそれはやめて、一般の日雇いと同じような扱いをする。ところが炭鉱の世帯というのは、おやじさんが一人で働いておるという世帯は珍しいのです。とにかく低賃金なものですから、おやじさんも働き、家内も働き、むすこも働いておるというのが大体炭鉱の実態なんです。そういたしますと、ほっぽり出された世帯からは一人しか日雇いに行けない。ほかの者は、同世帯において世帯主並びにそれに準ずる者しか日雇いに行く資格がありませんから、行けないという
状態になっておる。現に私たちがその閉山後の離職者に会いましたら、
政府はだましたじゃないか、最初はマル石といって全部雇ってくれたけれども、今ごろは世帯主しか雇わぬ、こういう
状態になっておるじゃないか、こういうことであります。こういう
状態でありますから、実際めんどうを見てやると言いながら放置されておる労働者に対しまして、われわれ自身も責任を感じますし、労働省としても責任を感じなければならぬと思うのです。そこで従来マル石という制度があったじゃないかということを言いましたところが、県の労働部長は新任でありまして、そういうことがあったでしょうか、こういうふうに逆にいうくらい、もう忘れられた
状態になっておる。そこに私は非常に問題があるのじゃないかと思のです。そこで今抽象的に大臣お話しになりましたけれども、私は具体的に的確に、一体この地点にはどれだけの失業者が予想されて、どの仕事をやるのかということを明確に表を出してもらいたいと思う。私たちは二度とあやまちを繰り返したくないと思う。実際三百三十万トンプラス百万トン、計四百三十万トンのしわ寄せがここにくるという事態に、労働大臣の抽象的な上手な答弁で、私たちは満足するわけにはいかない。だから具体的に
一つ表を出していただきたい。