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1959-03-05 第31回国会 衆議院 商工委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月五日(木曜日)     午前十一時五十六分開議  出席委員    委員長 長谷川四郎君    理事 小川 平二君 理事 小泉 純也君    理事 中村 幸八君 理事 南  好雄君    理事 加藤 鐐造君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       新井 京太君    岡本  茂君       鹿野 彦吉君    坂田 英一君       始関 伊平君    關谷 勝利君       細田 義安君    渡邊 本治君       板川 正吾君    内海  清君       大矢 省三君    勝澤 芳雄君       小林 正美君    鈴木  一君       堂森 芳夫君    水谷長三郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       大島 秀一君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (企業局長)  松尾 金藏君  委員外出席者         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月四日  工場立地調査等に関する法律案  (内閣提出第一三五号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  工場立地調査等に関する法律案内閣提出第  一三五号)(参議院送付)  輸出品デザイン法案内閣提出第一三一号)      ————◇—————
  2. 長谷川四郎

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  小売商業特別措置法案商業調整法案硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法の一部を改正する法律案輸出品デザイン法案工場立地調査等に関する法律案の五法案を一括して議題といたします。  この際工場立地調査等に関する法律案について、通商産業政務次官より趣旨説明を聴取することといたします。大島通商産業政務次官。     —————————————     —————————————
  3. 大島秀一

    大島政府委員 ただいま議題となりました工場立地調査等に関する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  わが国経済安定的成長をはかるためには、激甚なる輸出競争に打ちかつことが必要であり、そのためには、徹底的な企業合理化が要請されることはあらためて申し上げるまでもないことであります。およそ、企業生産活動におきまして、その生産を営む場所選定いかん場所立地条件いかんが、企業合理化を左右する決定的要因となることは論を待たぬところであります。  通商産業省といたしましては、これまで工業生産基盤となりますところの道路、港湾、工業用水道等のいわゆる工業立地条件整備につきましては、産業基盤強化のための施策の一として、経済企画庁に設けられました鉱工業地帯整備協議会を通じて、整備事業費重点的確保をはかりますとともに、特に、最近著しく工業生産の隘路となっております工業用水確保につきましては、所管省として特別の重点をこれに指向し、種々積極的な措置を講じて参った次第であります。  しかしながら、一方企業立地地点選定につきましては、従来わが国全般工場適地立地条件に関する的確かつ公正な調査資料が十分に整備されていなかったために、企業としては、みずからの限られた調査立地点を求めざるを得なかったのであります。その結果、今日見るように、既成工業地帯におきましては、必要以上に工業が過度の集中をし、種々の問題を惹起いたしております一方、新しい工業地帯工業化は、なお促進されないままに今日に至っているものが少くない現状であります。  わが国のごとく、狭隘な国土資源に恵まれない国におきましては、適地通産主義にのっとりまして、それぞれの工業にふさわしい場所工業を誘導し、もって国土資源有効利用をはかることが最も必要であります。このためには、国が全国的視野に立って、わが国工場適地につきまして、その立地条件調査を行い、企業立地に当り、片寄らない資料を提供し、国としても企業としても望ましい地点へ望ましい型の工業立地せしめるようにはからわなければならないのであります。  通商産業省におきましては、このような観点から、本年度、全国主要工業適地について、立地条件調査を行い、この調査資料通商産業省の本省及び各通商産業局内に設けられました工業立地指導室に収集、整理いたしまして、新たに工場を設置しようとする場合これらの資料を活用することによって、工場立地に当りましての企業者の経費の節約をはからしめるとともに、工場誘致のためになされる地方公共団体の諸々の施策の効果的な指導を行うべく志して参りました。今回さらに本調査重要性にかんがみまして、その制度的に欠けた点を補うとともに、これを拡充強化いたし、十分上述の用に耐え得るものといたしますため、ここに本法案を立案し、工場立地適正化に寄与いたしたいと考えるものであります。本法案の主たる内容は、次の通りであります。  第一に、工場適地調査についてであります。まず、工場適地調査につきましては、調査地区選定を行い、その地区内の団地ごと実地調査及び地形、地質等自然条件用水事情輸送条件その他の立地条件に関する資料を収集することにより行う旨を規定し、さらに本調査の適正を期するため、必要がある場合は、関係事業者より業務の状況について報告を徴集し得るよういたしました。  第二に、工場適地調査利用方法についてであります。第一に述べました調査の結果に基きまして、工場立地調査簿を作成し、これを利用する者の閲覧に供するとともに、新たに工場を設置しようとする者の求めに応じ必要な資料の提供または助言をすることにより、工場立地適正化をはかるよう措置いたしました。ただし、事業者より徴集いたしました報告につきましては、秘密事項閲覧簿に記載しないこととし、秘密保持をはかるようにいたしております。  第三に、工場立地調査審議会の設置についてであります。工場立地に関する調査につきにましては、学問的にも、政策的にも、未開拓の分野であることにかんがみまして、学識経験者をもって組織いたします審議会を設け、調査地区選定調査方法、その他の調査に関する重要事項はあらかじめ審議会意見を聞くものといたしましたほか、工場立地調査全般に関する重要事項につきましても、十分に調査、審議しまして、本法の運用の誤りなからんことを期した次第でございます。  以上が、この法律案を提出する理由でございます。何とぞ慎重審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。
  4. 長谷川四郎

    長谷川委員長 ただいま議題となっております各案について質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。板川正吾君。
  5. 板川正吾

    板川委員 ただいま議題となりました輸出品デザイン法案について若干の質問をいたしたいと思います。  まず第一にお伺いいたしたいことは、この法案はなぜ必要か。こういう理由説明願いたいと存じます。
  6. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 先般本法案の提案理由におきまして、御説明を申し上げている通りでございますが、要するに輸出貿易の振興という点から考えますと、内外デザイン盗用を防止する。よってもって海外に対して日本輸出品に対する不安なり悪評なりをなくしていくということであります。同時に国内におきましても、あるものがいろいろ研究しまして、りっぱなデザインを考案をした。ところがすぐほかのものがそれをまねしまして、輸出をするというようなことになりますと、輸出貿易におきまして優秀なデザインでもって、より多くの外貨を獲得しなければならぬ場合におきまして、それらの意欲を減殺するということになるわけであります。従いまして要するに内外デザイン盗用を防止するということによって輸出貿易の健全な発達をはかる、こういうことであります。
  7. 板川正吾

    板川委員 盗用防止のためにこういう制度を必要とする、こういう御説明でありますが、意匠などの盗用防止等については、いわゆる工業所有権制度があろうと思うのですが、この法律でそういったことが取締りができないものかどうか、その理由を伺います。
  8. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 お説の点はごもっともでございます。しかしながら現在の工業所有法によりますというと、いわゆるそういう権利の侵害のあった場合におきましては、その是正を求める措置はとれるのでありまするが、それだけにたよっておりますと、要するにあとの祭になる心配があるわけでありまして、意匠権の侵警をしたような輸出をいたした場合におきましても、あとで追及はできませんが、出してしまったものはしようがないということになるわけであります。本法におきましては、輸出の前に認定機関認定を要するわけでございます。いわゆる輸出の前にそういう予防的措置を講じまして、そういうあやまちをなくしようというのが根本的なねらいであるのであります。  なおつけ加えて申し上げますならば、工業所有権の場合におきましては、これはそもそも権利の設定をいたしますので、登録等には相当の時日がかかって慎重を期してやらなければならぬ。本法におきまする登録は、これは認定機関認定円活、迅速に行うためのいわば便宜手段として行う、いわば行政的な一つ手段にすぎないのでありますので、疎漏であるわけではございませんが、簡単にできない。それらの点も違いますし、要するに輸出の前にチェックをいたすところが、根本的に違う点であります。
  9. 板川正吾

    板川委員 本法で予定しておる特定貨物というのは何と何ですか。
  10. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 さしあたり特定貨物として予定いたしておりますのは、万年筆鉛筆サラダボール家具釣具と一応予定しております。
  11. 板川正吾

    板川委員 それらの雑貨数輸出先は主としてどこですか。
  12. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 サラダボール釣具につきましては圧倒的にアメリカ市場が多いのであります。もちろんアメリカだけでもございませんが、大部分がそういうことになっております。その他万年筆鉛筆になりますと東南アジア、あるいはアフリカ、相当広範な地域に出ております。
  13. 板川正吾

    板川委員 この意匠盗用されて輸出上の信用を損う、こういうことがこの法律を作る大きい動機の一つであるということを説明されておりますが、そうした実例を何点か仕向国別アメリカではこういうことがありたというようなことを説明を願いたい。
  14. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 まず海外デザイン盗用した事例といたしましてはいろいろあるのでありますが、最近の新しい例を一つ申し上げますと、西洋カミソリドイツゾーリンゲン社という商標を付して、その上にさらにドイツ製である旨の虚偽の原産地の表示をいたしまして、タイ国輸出した事例があるのであります。本件は本邦輸出業者国際的信用を非常に害した一例でありまして、これは輸出入取引法に基きまして相当の処置をいたしたのでありますが、その他の雑貨類についてもいろいろ例はございます。もし詳細なものをということでございますれば、あと資料で御配付申し上げたいと思います。また国内相互門デザイン盗用をやったために問題を起した例といたしまして、これまた雑貨でございますが、万年筆に例があるわけであります。日本のある有名なメーカー万年筆が、一ダース三十八ドルで外国輸出をされておったのであります。ところが他の業者がこれにそっくりまね万年筆を作りまして、しかも一ダース一ドル五十セントという安値で輸出したという例などは、最も最近のこういう例でございます。こういうふうなケースは、海外におきまして日本品信用を著しく落すのみならず、取引面では非常な不当な値段で出したというようなことになります結果、正常な輸出取引秩序を著しく乱すような結果になったのであります。
  15. 板川正吾

    板川委員 たとえば万年筆の例を取り上げてもいいのですが、これはバイヤーが来てこういうものと同じものを作ってほしい、日本生産業者はそれがどこのものであるかよくわからぬから、バイヤーの言う通り生産して出したらば模造品であった、こういうことになって問題を起したと思うのですが、そういう場合には主としてバイヤーが悪質である。そういう悪質なバイヤーの悪質な行為を予防するために、こういう法律が必要だ。これは一例ですが、そういうふうに考えてよろしいですか。
  16. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 お説の通りでございまして、実際の輸出取引の面を見ますというと、まあ五〇%以上は外国バイヤーの注文によってデザインを模倣して出したという場合であります。日本業者が故意に模倣したというか、不注意で出したというふうな場合が多いかとも思うのであります。しかしながら結局その問題が起りますとメイド・イン・ジャパンの商品外国まねをしたというふうなことになりまして、信用を失墜することは同じ結果を生むわけであります。今回の法律によりましては、これらの問題に対してある程度の解決をはかることになるのではないか、こう考えております。
  17. 板川正吾

    板川委員 この法律の二条を見ますと、「輸出入取引等秩序の確立に関する法律規定による適法な共同行為をもってしては、その目的を達成することが困難であると認められる貨物」に限って特定貨物という指定をする、こういうふうにございますが、ただいまのような輸出秩序を乱して外国貿易信用を落すというような場合には輸出入取引法、これによるところの一つ規制があり得ると思うのです。実際に輸出入取引法によって業者が自主的に規制をしておる団体もあるのでありますが、なぜこの特別法を作って、それを規制しなくちゃならないか。輸出入取引法によって規制できないか。こういう点を一つ明らかにしてもらいたい。どうしてこういう新しい法律を作らなければいかぬか。
  18. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 ごもっともな御指摘と思います。輸出入取引法におきましては業者協定によりまして、いわゆる意匠協定ができることになっておるのであります。今も御指摘がありましたように、繊維意匠センター、あるいは陶磁器センター、あるいは雑貨センターにおきまして、輸出入取引法に基く業者協定によりまして、ある程度の目的は達成をいたしておるのであります。考えますに元来こういうデザインの問題は本則といたしましては、業者の自主的な協定によって解決をはかっていくのが理想であり、最も望ましい形態であるというふうに考えておるのであります。従いまして御指摘がありましたように、特定貨物として指定する場合には、この輸出入取引法の「規定による適法な共同行為をもってしてはその目的を達成することが困難であると認められる貨物」、こう考えておるのであります。取引法による共同行為業者協定というものは、御存じのようにいわゆる多数決主義といいますか、組合におきまして総会を開き、そこで多数決できめていくことになるわけでありますが、実際問題としてなかなか共同行為のそういう決定ができない場合も、特に雑貨の方においては多片あるのであります。そこで理想はやはりあくまでも業者協定に基いてやることであると思うのでありますが、その業者協定によってどうしてもできない。業者協定そのものができない。共同行為ができないというふうなものにつきましては、本法のような、やや強権的な措置になるわけでありまするが、政府貨物指定し、また認定機関を、業界からの申請にはよるわけでありますが、指定をいたしまして、登録なり認定なりの業務をやらせる必要あろうかということであります。あくまでわれわれはこれを次善の策と考えております。指導方針といたしましては、できるだけ業者協定解決できるものは解決をさしていく、しかしそれでどうしてもいかないものをこれで取り上げていく、こういうように考えておるのであります。先ほど申し上げた特定物質の予定の品目につきましては、かねて業者協定でどうかというような議も議論されたのでありますが、なかなか意見統一に至らないという物資であります。がしかしその必要は大いにあるということでありまして、そういう場合を本法でカバーをしたい、こう考えております。
  19. 板川正吾

    板川委員 この予定されておる五品目特定貨物ですが、これがどうしていわゆる輸出入取引法による輸出組合自主規制ができないのですか、その点、できないということはわかるのですが、どういう事情でできないかということがどうも説明にないと思う。望ましいというならば、法律を作るばかりが目的ではありませんから、まず既存の法律通産省指導をして、その結果どうしてもできないというなら別であります。ところが指導をしたかしないか、これを伺いたいのでありますが、どうせだめだということで次々法律を作っていくということは、どうかと思うわけであります。なぜ五品目万年筆鉛筆釣道具家具サラダ・・ボールこの特定貨物産業に対しては輸出入取引法輸出組合方式自主規制ができないか、その点を一つ明らかにしてもらいたい。
  20. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 これはごもっともな御指摘のようでありますが、一つは現在の雑貨輸出組合構成そのものの問題に帰着するかと思うのであります。御存じのように、今の雑貨輸出組合というものは多数の雑貨を包含いたしておる。そうなりますと非常に利害関係の強い人と薄い人がございます。ところが総会で決議をするということになりますと、先ほど申しましたような商品にあまり利害のない人もおられる、そういう人たちの同意を得ることがむずかしい、もちろん関係をされている人でも反対をなさる場合もあります。組合自体が非常に多数の品目を包含しておるために、ごく特定した一部の商品についての取りきめをいたすということができにくい場合がかなり多いのであります。現状はそうなんであります。その点と、それからもら一つは、何と申しますか雑貨メーカー、いわゆる中小メーカーとそれから輸出業者の立場というものとが必ずしも一致しない。雑貨中小メーカーはできるだけ自分の作っている商品デザインについては、人にまねをされぬように保全をはかりたいという気持が強いのでありますが、輸出業者としては輸出取引さえできればいいわけでありますので、場合によれば特定メーカーの作っているものを、他の中小メーカーに模倣させて出したいというような場合もあるわけであります。これは業界の醜態の面でございますが、実際問題として、そういう問題のために意見調整がなかなかつきでにくい。もちろん長くかかってやりますれば、全然話がつかないというわけでもありませんが、こういうものに長くひまをかけておりましても、——時間のことも考えなければならないような次第であります。これまで物資を担当する局におきましても、いろいろ指導いたしておるのでありますが、なかなかそういう意見統一ができにくいものが相当あるわけであります。そういうものを対象にしたい、こういう趣旨であります。もちろん先ほど申し上げました商品におきましても、本法施行の前におきまして、業者協定でやりたいのだということで、業界意見が一致いたしますれば、もちろん本法の適用からはずしまして、その業界の自主的な決定の方に譲るという方針であり、あくまでこの業者協定を第一義に考え、本法によるやや強権的なやり方は第二次策と考えているわけであります。
  21. 板川正吾

    板川委員 こう言うのですか。雑貨センターに集まっているものが非常に多種多様である、それで理事多数決主義をとっておられるから関係ない人がそれに加わる、従ってどうもいろいろの人が集まっている雑貨センターではまとまりにくいからこういう法律を作る、こういうことなんですか。たとえばこの万年筆にいたしましても、家具類にいたしましても、零細な品物としては非常な輸出価額になっておりますね。ですから、通産省指導によってその輸出業者だけで組合ができないものかどうか。ライター等については輸出組合ができているようでありますが、なぜ万年筆鉛筆釣道具家具サラダボール等業者組合を作らないか、そういうように指導しないか。どうも多数決主義で、関係のない人がその組合に入っているので非常にやりつらいから、こういう法律を作る、こういうふうに聞こえるのですが、どういうことですか。
  22. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 この団体構成がこういう業者協定をいたす場合の困難点一つになっているということを申し上げたのであります。今御指摘雑貨センターでございますが、雑貨センターはいわゆる登録をし、認定をする一つ実行機関であります。業者協定をいたす機関といたしましては、いわゆる雑貨輸出組合で、雑貨センターではないわけであります。ところが先ほど申し上げましたように、雑貨輸出組合と申しますのは多数多様の商品を包含する、その中でごく特定物資協定をしようということになりますと、利害関係の薄い人、無関係の人が多いりわけであります。総会でなかなかその結論に到達しないという一般の原則を申し上げたのであります。これは困難点一つでありますが、そればかりではなく、特に先ほど申し上げました五、六の商品につきましては、中小メーカーの方は割にまとまりがいいわけでありますが、それを取り扱っている輸出業者団体が非常に数が多いということで、従来の行政指導の結果まとまりがつき得なかったのでございます。従いましてこの団体そのものの性格からくる理由、それからもう一つメーカー輸出業者利害のある程度の衝突から、その業者協定になり得ないという場合もあるわけでございます。どちらかといいますと、先ほど申し上げましたこの五つ、六つの商品の例は、メーカーサイドは非常に希望しているが、輸出サイドの方は比較的冷淡であるというようでございます。
  23. 板川正吾

    板川委員 現在繊維関係陶磁器関係ライター等輸出では、輸出組合を作って、自主規制が割合にスムーズに行われておる、こういうことを聞いておりますが、そのような輸出組合式で、そういう方式がらまく片方にできておるのだから、そういうふうに指導していったらいいんじゃないかと思うのでありますが、この輸出入取引法によって輸出業者輸出取引に関する協定が第五条でできる。しかし第五条でどうも自主規制がうまくいかないという場合には、二十八条によって輸出に関する命令通産大臣はできることになっております。これはこの二十八条によりますと、第五条の自主規制だけでは十分に目的が達せないというときには、通産大臣規制命令を発動して、いわゆるアウトサイダー規制までできるようになっておる。しかもその規制に違反した業者は、一年以内品目仕向地を定めて輸出停止ができる、こういうことになっておるわけであります。この現在の法律でそういう規制命令確保すれば、輸出秩序というのは確立できると思うのですが、この点どうお考えですか。
  24. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 御指摘通りに、自主規制の場合におきましては、当然ある程度のアウトサイダーが予想される。そのアウトサイダーをどうしても規制しなければ自主規制目的が達成できないという場合におきましては、二十八条によりまして、俗称アウトサイダー規制命令というものが、もちろん出せるのでございますが、アウトサイダー規制命令を出した場合に、どういうことになるかといいますと、いわゆる政府そのもの輸出承認制その他を通じまして、業界意匠協定をかわって実施するという格好になるわけであります。従いましてそういう場合を想定いたしますと、本法による場合と非常に似て参るわけであります。二十八条のアウトサイダー規制命令を出しましたときには、政府みずからがそういう登録なり認定なりをいたすということになってしまう。本法による場合は、あくまでも業者協定ではございませんけれども、民間機関認定機関といたしまして、そこで登録をし、その認定機関認定する、いわゆる民間知識経験を十分に利用して、事務を迅速に処理するということになるわけであります。従来の例を申し上げますと、昭和三十年の九月に綿織物について意匠協定が発足いたしまして以来、今日までかなりの品目について意匠協定が発効いたしておるわけであります。いずれも二十八条の規制ということではございませんで、若干、一割なり二割なりのアウトサイダーはございましょうが、大体の目的が達成できるというものについて、実は意匠協定が締結され実施をされております。従いまして法制上の建前からいいますと、今御指摘のごとくアウトサイダー規制命令をやるということは考えられるわけであります。その場合は、政府自身が全部協定の実施をひっかぶるような格好になりまして、これはなかなか大へんな業務なんであります。そのことを考えますと、おそらくそういう二十八条をやらなければならぬというような場合におきましては、本法によりまして特定貨物として指定をして、この民間認定機関にやらせるということが、より効率的であり、より迅速に行くであろうというように考えておるわけであります。従いまして、法理論としては、先生の御指摘の点はごもっともでありますが、現実問題といたしまして、二十八条のアウトサイダー規制命令を発動しなければ目的が達成できぬというような場合は、本法によって実施をする方がベターではないかというように考えております。
  25. 板川正吾

    板川委員 どうも私は、輸出入取引法の二十八条二項による通産大臣アウトサイダー規制の問題は、官庁がきめるといっても、それは民間の意向を聞いて、よく調査の上公平にきめるのであって、そう間違った片寄った考え方はしないと思う。今度のこの法律の場合は、民間団体認定権をまかせるといっても、その業務規定については、あらかじめ通産大臣に承認を求めるということになっておつりますから、その民間団体の運営というものは、この前のプラント輸出法と違いまして、あらかじめ通産大臣認定を受けた中で運営をする、こういうふうにできておるから、この点は、通産大臣がやられても民間団体にまかせても、そう違わないのではないか。とにかく私の考えからいえば、輸出入取引法の運用によって何とかできるのではないか、こう思っておったわけであります。  次は、この法律を限時法としなかった理由であります。軽機械振興法のときは、これは本来ならば、やはり中小企業団体法によるべきである、その中小企業団体法の工業組合調整機能によってやるべきである、これは与党の委員の方も同調をいたし、どうも官僚統制になるおそれがあるのではないか、だから一つ団体法によるべくその指導をする上にこの法律を必要とする、こういうことで五年の限時法になりました。原案はそうではなかったが、そういうふうに修正をされた。この場合局長が再三申しておるように、本来ならば既存の法律、すなわち輸出入取引法あるいは工業所有権確保、さらに輸出検査法、こういうふうに運用をすれば、こういう新しい法律を作らなくてもできるのではないか、こう思うのですが、軽機械輸出振興法と同じように限時法として、その間政府指導を待っている、そうしてある時期が来たらば既存の法律にまかしてこれは消滅する、こういうふうにしたらどうかと思うのでありますが、これを限時法としなかった理由について説明を願いたい。
  26. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 ごもっともな御指摘だと思います。実はこの輸出品デザイン法と類似の法といたしましては、今もお述べになりました輸出品の検査法がございます。輸出品の検査法は、輸出品の品質あるいは包装の検査でありまして、これは時限法ではございません。日本輸出貿易の発展上、そういう品質あるいは外装検査というものが今後必要であるという判断に立っておるためなのであります。この輸出品デザイン法におきましても、率直に申し上げますならば、どういう物資が今後この法の対象として必要になって参るか、実はわからぬわけであります。そしてまたそういう事柄の性格としては、長きにわたってこういう法律でもって、よそのデザインまねはしないのだということで、新しいデザインを考案しようという意欲もまた起ってくるわけなのであります。そういう角度から考えまして、日本輸出貿易に伴って現在問題になっております一つの問題といたしましてのこのデザインにつきまして、盗用を防止し、またはそのデザインについての環境をよくして、各自が優秀なデザインの考案に努力をさせる、こういう気持であります。従いまして、これを三年とか五年とか十年とかいう時限法で規定することは、かえってむずかしいというか、無理ではなかろうかと思っておるわけであります。法の建前といたしましては永久法になってはおりますが、他方輸出入取引法もあるわけでございますので、業界輸出入取引法でいこうということでありますれば、いつでもそちらに乗り移れるわけであります。従いまして、業界にチョイスをまかしておるというふうに申し上げた方がいいのじゃないかと思いますが、そういう関係で、時限法にいたすのは少し無理ではなかろうか。相当長きにわたりまして、こういう本法を実施する必要があるのではないかというように考えております。
  27. 板川正吾

    板川委員 軽機械輸出振興法のときも、まあ本来なら、これは中小企業団体法によるべきである、しかしそれではなかなか業者がまとまらないから、この軽機械輸出振興法を出して、一つ当面業者間の統制をはかっていこう、しかしこれはどうも官僚統制のことになるから、五年間のうちに業者に対する行政指導をして、そうしてはずしていって、この法律をなくそう、こういうことで修正になったのですよ。それとこれは非常に似ておると思うのです。とにかく、できればこれはやはり既存の輸出入取引法を運用して、業者輸出組合によって、自主調整あるいは規制を行なってもらいたい、そうあるべきだと、こう説明をされているわけであります。ですからたとえば万年筆鉛筆釣道具家具サラダボールの各業界が、輸出入取引法による輸出組合を作れば、これから全部抜けていくわけですね。抜けていけば実際法律はなくなってしまう、対象がなくなるのですから……。しかもその輸出組合、これによる業者の自主調整規制の方がいいといっているのですから、いいということを一つ行政指導をされて、ある時期これを必要としても、その間に行政指導されてなくしたらいいのじゃないか、その方がいいのじゃないかと、こう思うわけです。どうもその点私納得できないのですが……。
  28. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 先ほど申しましたように、時限法にいたさなかったのは、例があまり適切ではないかもしれませんが、輸出品の検査法と同じような意味を持ちまして時限法にいたさなかったのであります。今御指摘にありました特定貨物に予定をしておるものにつきましては、一応本法の適用がふさわしいと考えておるわけでありまするが、もちろんこれは民間の自主協定によって、輸出入取引法によってやろうということになりますれば、そのときにはいつでも特定貨物としての政令指定をやめればいいわけであります。もちろんそれは弾力的にわれわれは考えておるわけであります。一たん指定したものは、業界が何といっても押していくのだというつもりはごうもいたしておりません。  それからいま一つは、ちょっとお触れになりました、本法によって特定貨物指定していくならば、輸出組合の対象からはずれるのではないかというような御指摘がございましたが、この点は先ほど申しました品目は、現在のところ雑貨輸出組合の対象品目となっておる。従ってその品目について本法による特定貨物といたしますれば、その雑貨輸出組合につきましては、この品目について意匠協定の必要はなくなるわけであります。輸出組合にいたしますれば意匠協定のほかに価格あるいは数量の協定あるいはその他いろいろ取引条件についての協定が、必要な場合を満たすわけであります。別段この輸出組合品目がなくなる、それによって輸出組合の権限を非常に侵すということはなかろう。ただその意匠協定に関する限りは、本法による実施に移り変る、こういうわけでございます。
  29. 板川正吾

    板川委員 輸出組合協定事項は、ただいま申されたように、価格、数量、意匠その他ということになっております。ですからこの特定貨物指定された業界が、将来数量、価格等を輸出組合によって調整をしよう、こういうことになった。その場合に一つ意匠もできるのですから、意匠一つこの中でやっていこう、輸出組合で自主調整をしよう、こういうふうになった場合には、この特定貨物の中から取り去られていくのでしょうと逆に私は聞いたのです。そうすると実際特定貨物業界が全部輸出組合に行った場合には、この該当輸出品というものはなくなってしまうのではないか。またそういう形が望ましいといわれておるのだから、時限立法にしていいじゃないか、こう言ったわけです。
  30. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 ただいまの御指摘の点は、理論的にはまさしくその通りであります。輸出組合におきまして数量価格の協定と同時に意匠協定もやる。従って本法による特定貨物にする必要はないという事態が参りますれば、われわれは喜んで本法による特定貨物を政令からはずしましてやるわけであります。しかしながら輸出品は申し上げるまでもなく凡百の物資がありまして、大企業中小企業のものあり、また先ほど来申しておりますように輸出業者メーカー間の利害も必ずしも一致しないというようなこともありまして、どういう貨物が出て参るか今後の推移を見なければわからぬわけでございまして、従って今これを時限法にして一定期間ということでは、どうしても本法目的は達成し得ない。私が業者協定が最善の策であると申し上げましたが、これはもちろんこういう問題の性質上、業者の自主的な解決でもっていくのが望ましいという理想論を申し上げたのでありまするが、現実はなかなかそう行きにくいわけでございます。また品目の数も多いということで、繰り返して同じようなことを申し上げておるようではなはだ申しわけありませんが、われわれといたしましては、これを一定期間を限って、こういう法律を実施するということにはとてもいかぬだろう。やはり長期にわたってやる。しかし実際の情勢の推移で、特定貨物はかなりふえる場合もありましょうし、また特定貨物にすることによって業者の自覚が出て参って、業者協定でやるという場合もございましょうし、それは実際の情勢の推移を見て運用いたすべきではなかろうか。もちろん本法の適用になる特定貨物一つもなくなった、またその後そういう必要がないということになりますれば、もちろん本法を廃止して差しつかえなかろうと思います。今われわれが想像しますのに、これを一定期間を限って運用するということは、ちょっと実情にそぐわないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  31. 板川正吾

    板川委員 それでは先へ進みましょう。ちょっとお伺いしますが、四十二条によると「当該認定に係る特定貨物輸出価格の千分の三」を手数料として納める。千分の二以内にということになっておりますが、輸出組合の場合には組合費はどのくらいですか。千分の三と比較して高いですか、安いですか。
  32. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 現在雑貨センターでとっておりますところの認証料はFOB価格に対して千分の一、陶磁器につきましては陶磁器の意匠センターがやっておるのですが、特別手数料として仕向国別に若干の差異はございますが一万分の六になっております。それから繊維につきましては繊維の意匠センターが実施いたしておりますが、これは一ヤード当り二銭、なお最低を一件につきまして六十円というような基準を設けておるのであります。この四十二条の手数料といたしまして千分の三といたしておりますのは、大体これらの例を見まして、いわゆる手数料が高いということは、やはり輸出業者の負担にもなることでありますので、できるだけ低い手数料でやらねばならぬという建前で、実はこの千分の三ということをマキシマムにきめたわけでありまして、輸出検査法におきましては、この法律にあります最高限度は百分の一ということになっております。しかし実際問題として百分の一をとっているものはないのであります。それは最高限度でありまして、千分の三、高いもので千分の五ないし六ぐらいが高いものになっておるわけであります。この法案による手数料といたしましても、一応マキシマムが千分の三ということになっておりますが、心づもりでは千分の一前後で運用をいたすべきではなかろうか。これはできるだけ負担を軽減するという建前から考えていくべきであるというふうに考えております。
  33. 板川正吾

    板川委員 認定機関について伺いたいのですが、認定機関は省令で各区分ごとにきめるということになっておりますが、当面どことどこへ認定機関を予定しておりますか。
  34. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 差しあたりといたしましては現在ありますところの雑貨意匠センターを考えているのであります。繊維、陶磁器につきましては、大体現行の業者協定によって目的を達成いたしておりますので、これは業界から御希望があれば別でございますが、自主協定でその二つはやっております。雑貨につきましては、先ほど来申し上げておりますように、意見調整がなかなかとりにくいような事情もありまして、差しあたりは雑貨意匠センター認定機関としてこの指定をすることになろうかと思います。これはもちろん申請があってやることになりますが、大体そういうことになると思います。
  35. 板川正吾

    板川委員 この認定機関認定する場合には、この法律はプラント輸出よりも、先ほど申しましたように割合によくできておって、運営の業務規定を作って通産大臣の認可を要するということになっております。その業務規定の内容の根子となる考え方——これはどういう点を骨子とされておるか、許可の基準と申しましょうか、それを一つこの際明らかにしてもらいたい。
  36. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 この認定機関指定する基準といたしまして、第二十二条に規定している通りでありますが、この認定機関業務規定で定める事項として今考えておりまするのは、たとえば業務を行う場所、それから時間及び休日に関する事項、審査員の配置に関する事項、登録台帳の取扱いに関する事項、手数料の収納に関する事項、こういうような事項を予定いたしております。
  37. 板川正吾

    板川委員 この法律通りますと、まず登録して輸出をするとき認定してもらうという手続になると思うのですが、登録または認定に、手続として大体幾日くらいかかる見込みでありますか。非常に時間がかかると、これは法律を作って、かえって業者輸出のめんどうが、めんどうくさいという業者もあるのでありますから、この日にちが大体幾日くらいでやれるとお思いですか。
  38. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 御指摘登録と実際の輸出をするときの現物の照合といいますか、その場合の認定と二つに分れるわけでありますが、大体ペーパーまたはサンプルによる認定でございまするので、最もおそくとも三日くらいでやれるのではないかというふうに考えております。これは現在の各意匠センターがやっておりまするやり方から判断して、さように考えておるのであります。できるだけ早くこれらの事務の処理をいたすということを、実は念願として考えておりまするが、現実の貨物認定ということになりますと、大部分は輸出品の検査機関場所におきましてやりまするので、これはほとんど何時間あるいはその日に大体済ますということになろうかと思います。
  39. 板川正吾

    板川委員 認定機関認定の基準と申しましょうか、これは三条、四条等に考え方が出ておりますが、仕向国の法令により保護されているデザインまたは商標、これは工業所有権による保護を受けるものだと思うのです。それから仕向国の間で広く需要者に知られておるデザインまたは商標はまねしたり似たようなものを作ってはいかぬということになっておるのですが、その表現、の裏を返しますと、仕向国の法令で保護されてないもの、それから仕向国であるにしても、あまり有名でないもの等については、類似模倣もいいんじゃないか、こういう逆な解釈もできるわけです。これも考えると、要するに仕向国で問題が起らなければ、多少の模倣はあってもいいんじゃないか、こう思うのですが、問題にならないものとなるものとの考え方、判定の基準といいましょうか、そういう点について、一つ何か考え方があったら、この際示しておいてもらいたいと思います。たとえばこういう程度のものは多少類似されておってもいいんだということがあろうと思うのでありますが……。
  40. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 仕向国の観念を表示いたしましたのは、現実の問題としまして、全世界的に注意をいたすということになりますと、今も御指摘のように非常に窮屈なことになるわけであります。従いましてアメリカならばアメリカを仕向国にする場合に、アメリカ工業所有権でもって登録されておるもの、これはもちろん問題ではございません。同じものをかりにインドネシアに輸出をするという場合、インドネシアではまだアメリカ業者登録しておらぬという場合に、どうするかという問題であります。本法の建前といたしましては、インドネシアならインドネシアにおいて工業所有権として認められておらなければ、一応輸出してもよろしいという建前をとっておるわけであります。しかしながらアメリカデザインが世界的に周知されておる、たとえばパーカーの万年筆だとか、あるいは先ほども例にあげましたよらなゾーリンゲンのマークというようなものは、世界的に刃物のマークとしては通っておる。そういうものはかりにその仕向国において工業所有権として登録されておらなくとも注意をいたさなければならぬ、こういうように考えております。従いましてそこの限界をどの辺に持つかということになりますと、これは実際問題として非常にむずかしいのでございますが、それぞれの商品につきましてまたそれぞれの商慣行がありますし、専門家の民間機関が判断をして、この程度ならばよかろう、これは相手方に工業所有権として確認されておらぬでも、アメリカの製品として世界的に知れているから、これはいいだろうということで、認定機関の自主的な判断にまかしたいというふうに考えておるわけであります。確かに非常にデリケートの問題でありますので、一応われわれといたしましては、こういうところで線を引くという線の引き方が実はございませんので、あくまでも認定機関の良識ある、善意ある運営に待ちたい、こういう工合に考えております。
  41. 板川正吾

    板川委員 雑貨数ですと、万年筆にしましても何にしましても、人間が考えることと使う便利さからいうと、形、デザインというのは大体共通なものがあるわけです。ですから認定の基準というのはこれならば類似しておっても、この国に来た場合には大して問題にならないということ、そういうふうなことならばかまわない、輸出は認める、こういうことですか。全然問題にならないような地域でも似ておるものはいかぬ、仕向国によって似ておるものは輸出はいかぬというふうな認定をするのですか、登録するときでも認定するときでもけっこうですが、要するに基準というものは非常に狭く、きびしく登録の基準を設けるか、あるいは問題が起らなければ大丈夫だろうということで、ゆるく基準を設けるか、それによって多少輸出関係の方も違うと思うのですが、その考え方について伺いたい。
  42. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 これは先ほども申しますように非常にデリケートのポイントなんでありますが、その点は特許庁でいたしますところの工業所有権の場合におきましてもあるわけであります。本法の場合におきましても類似と非類似の限界点というものは、これは認定機関の能力に待つほかいたし方ないわけでありますが、その仕向国別に考えた場合には、われわれといたしましてはあまりきつくいたしますと非常な障害になる、要するにこれをやることによって問題が起るか起らないかという角度から判断をいたすべきではないかというふうに考えております。
  43. 板川正吾

    板川委員 次にお伺いしたいのですが、たとえばこれは例ですが、ある業者万年筆輸出しようと思って、バイヤーと契約して、一つの新しい型のデザインを作った。この場合はこの法律によって、まず試作をして、とりあえずこの認定機関へ持ってきて登録をするわけですね。登録をするときには一応諸外国仕向地等を見てこれは心配ない、そういうことで二、三日たって登録が許可になった。許可になったためにその万年筆を大量生産して、一万ダースなら一万ダースとにかく輸出をした。それは契約の半分であって、半分輸出をした。あとの半分を送ろうと思ったら、実はそれが外国仕向地で問題になってやはり類似しておるということになった。そうしますと問題が起ると認定機関登録の取り消しをすることになりますね。あとの半分を輸出しようと思ったら、前のは間違えましたと登録を取り消されて輸出ができない。そうしますとその輸出業者は損害を受けるわけです。この場合損害の負担といいましょうか、これは泣き寝入りですか、それとも認定機関で補償するのですか、どういうことになりますか、そういう場合には。
  44. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 その認定機関がよろしいということで認定をして輸出したものが、向うで類似ではないかというような問題が起った場合でありますが、これが果して類似になるかならぬか、認定機関としてはあらためて検討をいたすわけであります。向うから類似だと言われたからといって、簡単にすぐ取り消すというわけではもちろんござごいませんが、いろいろ慎重に調べた結果、これは類似の観念に入るということになると、やはり取り消さざるを得ぬかと思っております。その場合の賠償責任という問題があります。これは輸出検査法によりまして輸出検査を検査機関がいたしました場合でも、同様の問題が起るのでありますが、これはあくまでも行政的な措置でありまして、認定機関がこういう事務をやろうとやるまいと、クレームのつく場合にはクレームもつくし、また向うから訴えられて損害賠償を請求される場合が起るわけであります。ただ自然のままに放置するよりも、こういう機関を作って、登録とか認定をする方がよりベターだという角度でやっておるわけであります。従ってそういう場合における認定機関の損害賠償の責任はない、こういうように考えております。
  45. 板川正吾

    板川委員 この四十三条第二項に「前項の未遂罪は、罰する。」こうありますが、輸出入取引法の罰則には未遂について罰することはないようであります。なぜ本法だけこういうように未遂までも罰するのか。また罰するとすれば、どういう基準でこれを罰しようとするのか。それを一つ説明願いたいと思います。
  46. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 輸出入取引法は、業者の自主協定を独禁法の除外例として認めるということが、根本原則であります。業者の自主協定だけでは円滑にものが処理できないという場合に、やむを得ずアウトサイダーによる規制をいたすということで、あくまでも取引法の精神というものは、業者の自主調整ということに置いておりますので、罰則が比較的軽くなっておりますことは事実でありますが、最近の輸出検査法におきましては、やはり未遂罪も罰しておるのであります。従いまして、くどくなりますが、輸出品デザイン法は、大体輸出検査法の体系を採用しましたので、未遂罪も罰することにいたしました。  そこでどこで未遂、既遂になるかというけじめでありますが、要するに輸出でございますので、税関に対してまず輸出申告をいたすわけであります。輸出してしまえば、これは輸出の完了ということで既遂になるわけであります。輸出の申告の段階でもって、未遂か未遂でないかということを規定するわけであります。
  47. 板川正吾

    板川委員 もう一つ、この異議の申し立てでありますが、四十一条で、通産大臣または認定機関の処分に対して不服がある者は、文書をもって通産大臣に異議の申し立てをすることができる、この場合において、認定機関の処分に対する異議の申し立ては、その処分をした認定機関を経由してしなければならない、こういうふうにありますが、認定機関の処分に異議の申し立てをして、まず認定機関がこれを審議するだろうと思う。さらにそれで不服ならば通産大臣が裁定を下すということになるのじゃないかと思うのですが、そういう二審的な審議の方式をとるのですか、それともこれは認定機関通産大臣というのは一つに考えていいのですか。
  48. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 第四十一条の第一項の後段の点かと思いますが、認定機関を経由して異議の申し立てをしなければならない、これはただ単なる経由機関でありまして、認定機関がそこで審議をするものではございません。
  49. 板川正吾

    板川委員 その点はプラント輸出法と若干違います。それで通産大臣の処分に異議がある場合には、これはどこへ申し立てて、さらに争うことになりますか。
  50. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 その場合はこれは一般の例にかんがみまして、行政訴訟によることになるわけであります。
  51. 板川正吾

    板川委員 行政事件訴訟特例法による、こういうことですね。
  52. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 さようでございます。
  53. 板川正吾

    板川委員 最後ですが、この法案に対して業者間でいろいろ、こういう法律ができるとめんどうくさいという意見があったり、官僚統制になるのじゃないかという心配をしておる業界もあるそうでありますが、この法案に対して反対といっても、どういう程度のことを主張されておるのか。実は私本日までにそういう業界の反対があるならば、反対者の意見を聞いてみたいと思ったのですが、その機会がなかったのでありますが、通産省として察知した業界の反対の理由等について、一つ説明をしていただいて、おしまいにしたいと思います。
  54. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 反対のあるという例を私があまり申し上げますことは、いかがかと思いますが、お尋ねでもございますのでお答えをいたしますと、まず繊維の意匠センターからは若干の反対があったことは事実でございます。それは先ほども申し上げましたように、業者協定で円滑に行っている。そこでこういう法律ができると、何かそこへ引き人れられるような気がするという、いわば感情的な問題もあるようであります。先ほど申し上げましたように、繊維業界としては特に古くからデザインの保全なり盗用防止につきましては、非常に積極的であって苦労をされてきただけに、この種の問題は業界が自主的に解決をいたすべきものである、政府にあまり介入をしてもらわない方がいいのじゃないかというような意見に基いておるのであります。これは繊維業界の言われることはもっともであるのであります。従いまして先ほども御質問があり、お答えをいたしましたように、輸出入取引法でやれないものを貨物指定するというふうに、特に明定したのもそういうところからであります。その他の陶磁器及び雑貨業界におきましては反対はございません。しかしぜひやってくれというグループと、どっちでもいいというグループとあることはやむを得ませんが、そう強い反対はございません。どっちかというと、こういう法律ができることによりまして、彼らが長年問題にして悩んでおった問題が解決できるのではなかろうかという期待感、それからもう一つはこういう法律ができることによって、これまでとかく業界でいろいろとむずかし屋が意見を申しておったが、それを一つ業界でやろうじゃないかという機運にかえってなるのじゃないかという面を期待されておる向きもあるようであります。繊維を除きましてはおおむね賛成だと判断をいたします。
  55. 板川正吾

    板川委員 以上をもって私の質問を終ります。
  56. 長谷川四郎

    長谷川委員長 始関伊平君。
  57. 始関伊平

    始関委員 ただいま詳細な御質問がございましたので、私は二、三の問題点につきまして簡単に御質問をいたします。  最初の問題は政務次官にお答えを願いたいと思うのでございますが、この法案のねらいであるデザイン盗用なりあるいは模倣の防止、これは長い間国際的にも国内的にも非常に紛議の種になっておりまして、日本信用を失墜し、輸出貿易を阻害するという支障があったのでございまして、今回はこれを法律で防止策を講じていきたい、こういう意味でございますが、翻って考えてみますと、デザイン盗用問題というものは、これは元来が商業道徳の問題であるというふうに考えるのでございます。従いましてこれは同時に商業取引の問題でもありますし、弾力的な判断が必要である。またきわめて迅速に処理しなければならぬ、こういう要請があるわけでありまして、根本的には商業道徳の高揚によらなければ、解決できないものであるというふうに考えられるのであります。このような問題につきまして政府法律をもって臨むということは、かえって煩瑣になって、今申しました迅速性を欠き、また弾力性を欠くというような弊があるのみならず、罰則をもって罰するということになりますので、これは一番の根本である業界の自覚を促して、モラルを高揚させるということには逆行になる心配がないかという気がいたすのでございますが、この点に対する政府の見解を伺いたいと思います。
  58. 大島秀一

    大島政府委員 そのようなこともあろうかと思いますが、やはり政府といたしましても、なるべくは業者間の協定によってその目的を達成したいという気持が非常に多いのですが、やはりそれだけではほんとうの目的を達成することができないというようなために、どうしてもこのような法律を作らなければならないというので制定いたしたような次第であります。そのために非常に迅速を欠いて、いわゆる商売が非常に円滑を欠くようなことがあっても困るじゃないかということも考えられますので、その運営に対しましては最も迅速に取り扱うようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。この精神はやはり何といたしましても商業道徳を十分に守っていただくように側面からもこれを教育するような態勢を確立いたしたい。その意味も含んでおるというように私どもは考えておるわけであります。
  59. 始関伊平

    始関委員 この法律制定の効果でありますが、本法の適用を受けるいわゆる特定商品というものについては、デザインについての海外からの苦情は全然なくなる、こういうふうなお見通しであるかどうか。効果についての見方をちょっと伺っておきたいと思います。
  60. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 特定貨物に関する限りにおきましては、相当程度におきまして海外からの非難はなくなると確信いたしておりますが、全然なくなるかという問題につきましては、これも認定機関の能力にも関するわけでありますし、それから現地のいろいろな工業所有権を調べる時間という問題もありますので、全然なくなるかということになりますれば、全然問題が起らないということは私は言えないかと思うのでありますが、本法を制定する前と後と比較いたしますと、大部分は法律によって問題が解決していけるのではないか、こういうふうに考えております。
  61. 始関伊平

    始関委員 ただいまのお話によりますと実益がない、こういうことでありますが、認定機関認定した輸出品について、今お話のようにデザイン侵害のクレームがあった場合、認定機関としての法律上の責任問題があると思うのであります。先ほどのお話では責任はないということでございますが、この点は故意、過失の関係その他いろいろの条件がございますけれども、国なり認定機関において賠償責任があるということになるのではないかと思うのであります。この辺の見解を、もう一ぺんはっきりとお示し願いたいのであります。
  62. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 先ほど板川先生に対しまして、さような場合におきましては認定機関の責任は一応ない、こういうふうにお答えを申し上げたのであります。少しこまかくなりますがお答えを申し上げますと、まずそういうクレームが起るという場合は、まず輸出したものに対してなされることは言うまでもないのであります。問題はその輸出業者のクレームによる責任について、その当該輸出業者認定機関にさらに損害賠償を請求し得るかどうか、こういう問題かとも思うのでありますが、認定機関の賠償の性格を国家賠償に準じて考えますか、あるいは民法上の損害賠償と見るか、若干疑問がありますが、まず認定機関の側における故意または過失あるいは権利の違法な侵害というようなことがありませんければ、損害賠償の責任は生じないわけであります。まず第一に当該輸出業者が、その認定機関認定という行為によりまして何らか自己の権利が侵害されたであろうかどうかという問題にもなるわけでありますが、そういう認定機関認定行為によりまして、輸出業者権利侵害にもならない、よってもって結論を申し上げますれば、そういう場合には認定機関の道義上の責任というものはあるかもしれませんが、経済上の損害賠償等の責任はない、こういうふうに考えております。
  63. 始関伊平

    始関委員 この法律の実際の適用と特許庁の方でやっております意匠法との関係でございますが、これについてはもう少しはっきりしておく必要があると思うのであります。第一に特許庁の方で意匠登録を受けましたものを、認定機関としてはどういうふうに扱うのかという点を伺いたいと思います。それからもし完全に同一のデザインであるという場合には問題はないわけでありますが、類似のデザインの場合には、いろいろな問題が起ってくると思うのでありまして、特許庁の方の判断では類似にあらずと認め、逆に本法による認定機関の方では類似のものであるというふうに認めた場合におきましては、これは同じ国家機関あるいは国家的な機関認定が、相互にそごするということになりまして、非常に妙なことになるかと思うのであります。この場合におきまして両者の関係はどういうふうに調整されるのかという点につきまして、なおまたこの場合に損害賠償責任があるかどうかというような点につきまして、まず御説明を願いたいと思います。
  64. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 特許庁におきまして、意匠権あるいは商標権等の登録をいたしておる場合に、本法認定機関におきます登録につきましては、業者から申請がありますれば意匠の方は登録をする建前にいたしております。しかし別段登録を強制といいますか、要請するわけではございません。本人が実際現実の貨物輸出に当って事務を簡素化したいということから、認定機関登録しようということでありますれば、喜んで登録を受ける建前になっております。しかし必ずしもこれは意匠権ではございません。  それから第二点は、本法による認定と、それからいわゆる工業所有権の場合の差異、あるいは類似の差異があった場合に起る問題であろうかとも思うのでありますが、例をあげて申し上げますと、たとえば甲が意匠権を有する意匠と同一の意匠を施した特定貨物認定を乙から申請をいたしましても、認定機関認定いたしませんから、この甲のものの意匠権は乙のものによって侵害されることはごうもないわけであります。ただ第二点といたしまして、甲が意匠権を有する意匠と類似の意匠を乙が申請をしても認定機関ではもちろん認定をいたしませんから、同じく意匠権侵害の問題は生じない。ただ類似判断に、これは人間のやることでありますので若干の幅がある。特許庁でやれば類似と判断したであろう意匠を、万一認定機関が非類似だという判断を下しまして、乙が認定を受けて輸出をするという場合も一応考えられる。そういう場合にはどらかということになるわけであります。万一甲の意匠権を侵害するというようなことが起りましても、この場合には甲はもちろん成規の手続によりまして、自己の意匠権を主張することができるわけであります。ただ現実の問題として考えますと、認定機関の行う類似判断というものは、特許庁の場合よりもむしろシビアであろうと想像しておるのであります。特許庁であれば類似と判断したであろう意匠を、認定機関が非類似と判断をし認定することは万々一なかろうというふうに考えております。といいますのは、特許庁は非常に間合が広く、どの商品でも受けつけてやるということに、建前上はなっておるわけですが、本法認定機関の場合は、特定貨物だけでありますので、その特定貨物について深く研究し、業界の知識も持っておるようでありますので……。(始関委員「万一あった場合どうするのですか」と呼ぶ)万一あった場合には、認定機関としては、先ほど来お答えをいたしましたように、故意過失という場合は別でありますが、その他の場合は責任はないというように考えております。(始関委員「取り消すのですか。」と呼ぶ)もちろん取り消します。
  65. 始関伊平

    始関委員 こういった場合はどうなりますか。甲という者があるデザインの出願をしておる、それが登録になりませんうちに、同じものを乙という者が認定機関認定を受けた、こういう場合にあとで甲の方の登録が確定した、こういう事態も起ろうと思うのでありますが、こういう場合はどうなりますか。
  66. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 そういう場合も起るかと思いますが、その場合は取り消しをいたすわけであります。
  67. 始関伊平

    始関委員 この法案を通覧いたしますと、デザインの模倣防止対策という点に重点が置かれておる。これはこの法律目的から見まして当然でありますが、積極的な意味でのデザインの振興策というものが盛られておりません。わが国におきまして、世界中の国からしょっちゅう苦情を受けるようにデザイン盗用が多い、その根本原因はいろいろございましょうが、これはわが国産業におけるデザインという観念が非常に不十分であり、安易であるというところに一つの根本原因があると思われるのでありまして、盗用問題ということは、要するにそういう観念の不十分から来る一つの現われにすぎなかろう、このように考えます。御承知の通り欧米などにおきましては、デザインという問題は一九三〇年ごろから非常に目ざましく発展をしてきておる、デザインによる市場競争が経済発展の推進力にもなっておる、こういう状況のようであります。欧米の企業がいかにこのデザインのために多くの金と人と時間を使っておるかということは、想像以上のものがあるのでありまして、今後きびしい世界の市場競争に対処するためにも、わが国として積極的なデザイン振興の施策が必要ではなかろうか、そうすることによりましてこういう法案の効果というものも十分に上るような一つの背景が出てくるのではないか、このように考えるのであります。  さらにまた最近の海外市場の傾向というものは日本趣味を求めている、一部には日本ブームというような言葉さえあるのであります。このことはわが国デザイン創造による輸出拡大の可能性を期待させるものであるというふうに考えるのでありますが、こういう点についての政府の所見、それからこういうことについて、何らかの点で従来施策が行われているならば、その点簡単に御説明をいただきます。
  68. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 御説ごもっともでございまして、本法案の条文中には、今も御指摘がありましたように、消極的な取締り規定ばかりでありますが、積極的な規定といたしまして第三十四条に国の援助に関する規定があるわけであります。それだけが積極的な規定なんでございます。しかしこのデザインの創作を奨励いたしますためには、相互にデザイン盗用されない環境の確立が、まず第一でなければならぬと考えるのであります。この意味におきましては、本輸出品デザイン法案が間接的にデザインの振興に寄与するところはきわめて大きい、こう確信をしているのであります。  なおデザインの模倣防止と並行いたしまして、デザインの積極的な助成策も強力に行なつ、ていく所存でありまして、三十四年度におきましては、それらのデザイン関係の積極的な助成施策といたしまして、予算を約四千万円ばかり計上いたしているのであります。いずれも海外から優秀なデザイン商品を集める費用、あるいはまたデザイナーを海外に派遣をして勉強させる費用、あるいは学校へ留学させる費用、あるいは内地にジャパン・ハウスを作って、優秀デザイン商品を集めましてお互いに勉強し合う、いわば中心センターにいたしたいというような予算もありますし、その他優秀デザイン商品の展示会を、相当な商品について時々開催をしていくというような予算も盛られているのであります。またアメリカ等におきます日本ブームの関係もありまして、いわゆるラッセル・ライト計画というものを実施をいたす予定になっております。これは日本の優秀なデザイン商品を、アメリカのラッセル・ライトという非常に有名なデザイナー兼マーケッティングをやる人でありますが、これに依頼をいたしまして、アメリカの有名なデパートに展示会を開催して回る計画であります。そういうことでデザインの積極的助成策も及ばずながら逐次進めていくつもりであります。
  69. 始関伊平

    始関委員 私の質問はこれで終りますが、この法案の第二条の第二項に輸出入取引等秩序の確立に関する法律、こういうのがございますし、また二十一条にも同じようなことが出ておりますが、この法律の名前は間違いではありませんか。
  70. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 ただいま本委員会に現行輸出入取引法の改正法案の御審議をお願いいたしております。その改正法案の新しい名前といたしまして、輸出入取引等秩序の確立に関する法律ということになっておりますので、輸出入取引法改正法案を御審議願えるものと思いまして、かように書き改めておる次第でございます。
  71. 長谷川四郎

    長谷川委員長 ちょっと委員長から一点お伺いしておきます。板川君の質問の中に最も重要な点が含まれておって、また始関君もこれに触れておりましたが、しかしはっきりしておらないと私は思うので質問するのですが、たとえば登録をしたところが、その類似品が仕向先が違った場合は、これを許可するのだというようなお話でございますが、そういうことがありますか。
  72. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 仕向国別の観念を導入いたしました理由については、先ほどの御質問に対してお答えをした通りでございますが、アメリカ工業所有権アメリカにおいて登録されておるというものを、アメリカ以外の登録されていない地域に出す場合は、一応周知になっていなければ、大体かまわないという判断に立っておるわけであります。
  73. 長谷川四郎

    長谷川委員長 もう一つ伺います。これは輸出デザインですが、国内でもデザインという点について、たとえば機械工業あるいは衣料、意匠、こういうようなもので今日非常にむずかしい問題がたくさん起っておると私は考えております。従ってこれは国内の問題も当然解決つけていかなければならない。国内解決をつけることによって、輸出というものが奨励され、また各国のPRが盛んになっていくのだと思うのですが、こういう点について国内に対するデザイン法というものを、早急に考えることができないかどうかという点を伺っておきます。
  74. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 輸出の振興のみならず、いろいろ国内の経済の発展に対しまして、デザインのますます優秀になっていくことは当然必要であるわけでございます。通産省といたしましても、デザイン行政をいま少し積極的に集中的にやりたいということで、昨年の五月に通商局にデザイン課が設けられたのでありますが、この課の設置も、大いにこのデザイン行政について横面的に力をいたしたいという趣旨であります。なお、今意匠奨励審議会というものをもちまして意匠の研究あるいはそういう環場の醸成に努力をいたしている次第でございます。
  75. 長谷川四郎

    長谷川委員長 本日はこれにて散会いたします。  次会は明日午前十時より理事会、午前十時二十分より委員会を開会いたします。     午後一時五十四分散会