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1959-02-26 第31回国会 衆議院 商工委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月二十六日(木曜日)委員長の指 名で次の通り小委員及び小委員長選任した。  小売商業特別措置法案外一件審査小委員       岡本  茂君    小川 平二君       小平 久雄君    中井 一夫君       中村 幸八君    前尾繁三郎君       加藤 鐐造君    田中 武夫君       永井勝次郎君    松平 忠久君       水谷長三郎君    小売商業特別措置法案外一件審査小委員長                 小平 久雄君     ――――――――――――― 昭和三十四年二月二十六日(木曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 長谷川四郎君    理事 小川 平二君 理事 小泉 純也君    理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       赤澤 正道君    新井 京太君       岡部 得三君    岡本  茂君       鹿野 彦吉君    木倉和一郎君       坂田 英一君    始関 伊平君       關谷 勝利君    中井 一夫君       野田 武夫君    細田 義安君       渡邊 本治君    板川 正吾君       今村  等君    内海  清君       大矢 省三君    勝澤 芳雄君       小林 正美君    鈴木  一君       永井勝次郎君    水谷長三郎君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  坂根 哲夫君         厚生事務官         (薬務局長)  高田 正巳君         通商産業政務次         官       中川 俊思君         通商産業事務官         (大臣官房長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (重工業局長) 小出 榮一君         中小企業庁長官 岩武 照彦君  委員外出席者         厚生事務官         (社会局生活課         長)      中村 一成君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     加納 久朗君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 二月二十五日  委員川野芳滿君及び西村直己辞任につき、そ  の補欠として福田赳夫君及び前尾繁三郎君が議  長の指名で委員選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任  に関する件  小売商業特別措置法案内閣提出第二一号)  商業調整法案水谷長三郎君外二十三名提出、  衆法第一三号)  特定物資輸入臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第六〇号)  プンラト類輸出促進臨時措置法案内閣提出第  一〇一号)      ――――◇―――――
  2. 長谷川四郎

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  この際小委員会設置の件についてお諮りいたします。目下審査中の小売商業特別措置法案及び商業調整法案の両案は重要法案でありますので、綿密に審査号する必要があろうかと存じます。よって、この際、両案を慎重に審査するため、小委員十一名よりなる小売商業特別措置法案外一件審査小委員会を設置することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  次に、ただいま設置いたしました小委員会の小委員及び小委員長選任並びに小委員辞任の許可及び異動の際の補欠選任に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  小委員には    岡本  茂君  小川 平二君    小平 久雄君  中井 一夫君    中村 幸八君  前尾繁三郎君    加藤 鐐造君  田中 武夫君    永井勝次郎君  松平 忠久君    水谷長三郎君以上十一名を指名いたします。小委員長には小平久雄君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 長谷川四郎

    長谷川委員長 小売商業特別措置法案商業調整法案特定物資輸入臨時措置法の一部を改正する法律案プラント類輸出促進臨時措置法案硫安工業合理化及び輸出調整臨時措置法の一部を改正する法律案並び輸出品デザイン法案、以上六法案を一括して議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますので順次これを許可いたします。なお小売商業特別措置法案及び商業調整法案の両案審査のため、参考人として日本住宅公団総裁加納久朗君が出席されております。それでは質疑をいたします。田中武夫君。
  6. 田中武夫

    田中(武)委員 私は小売商業特別措置法案につきまして、ただいまから若干の御質問をいたしたいと思います。大臣出席の要求をいたしておきましたが、大臣見えておりませんので、大臣に対する分はあとに譲りまして、幸い大臣にかわって政務次官が見えておりますので、政務次官にまずきわめて愚問ではありますが、お伺いいたしたいと思います。御賢答をお願いいたします。  きわめて愚問ですが、この法案目的は何ですか。
  7. 中川俊思

    中川(俊)政府委員 小売商業特別措置法案目的ということでございますが、十分御承知と思いますから、どうもあまりこまかいことを私が答弁するのもなんですから、事務当局から答弁いたさせます。
  8. 田中武夫

    田中(武)委員 それはおかしいと思うのです。僕は大臣質問しようと思っておったけれども、大臣が見えていないから政務次官にお伺いするのだが、こまかなこととか大まかなこととかいうことじゃなく、少くとも法案提出するに当りましては次官会議を経たはずでありますし、閣議を経たはずであります。立案せられたのは、なるほど中小企業庁かもしれませんが、私は政治的にこの法律案がどのような意義を持ち、どのような目的を持って提案せられたかをお伺いいたしておりますから、これは長官ではいけません。大臣次官でないと私は答弁を求めません。
  9. 中川俊思

    中川(俊)政府委員 田中君は委員会に御出席になっておりますから十分御承知と思いますが、この法案につきましては提案理由説明もいたしております。要するに、小売商が今日組合並びに百貨店その他の大企業から圧迫を受けておる。これをいかにしたら小売商振興に資するか、こういうことが目的なのです。ですから提案理由をお持ちでしょうから、一つ十分ごらん下されば、私がここでるるいろいろなことを申し上げなくてもおわかりでございます。百貨店、大企業の進出、購買会消費生活協同組合、これらによって小売商が今日非常に圧迫を受けつつある、これをいかにしたらいいかということがこの眼目でございますから、大へん恐縮ですが、提案理由説明十分一つ御検討願いたいと思います。
  10. 田中武夫

    田中(武)委員 なるほど提案説明も承わりました。また本法第一条にはその目的が明記せられております。だがしかし、羊頭を掲げて狗肉を売るとかいう言葉がありますが、この提案説明ないし目的とその内容とが、あまりにもかけ隔てがあるというところでお伺いしているわけです。ただいま次官は、小売商振興のためにこの法案を出した、こういうことでありますが、この法案の中をつぶさに検討した場合に、どこをもって小売商振興がこの法律ではかられるか、こう言いたいのであります。そのことについては逐次申し上げたいと思いますが、まず、小売商振興だということでありますので、お伺いいたしますが、御承知と思いますが、商売元値にある、こういう言葉が昔からいわれております。そのことは、小売は、売ることも大事だが、仕入れの方がより大事だということであります。ところが政府は、今国会では提出を見合わすとかいうことでありますが、前国会にはすでに独占禁止法改正法案を出されました。今また輸出入取引法改正法案を出しておられます。これらの改正案を見ました場合は、その内容はいわゆるカルテルを認める、緩和する、トラストを認めていく、すなわち住産者段階における価格引き上げ目的とするような、それを意図するような改正案であります。そういうような処置をとっておられまして、小売商が物を買う場合に、高いものを仕入れなくちゃならない、このような措置を一方にとりながら、このちゃちな法案を出されまして、これをもって小売商振興法とは私受け取れない。まずそのような点についてお伺いいたします。いかがでしょう。
  11. 中川俊思

    中川(俊)政府委員 いろいろ御意見があるようでございますが、政府といたしましては、いろいろな点から検討して、この法案を出したのであります。しかし、もし今田中さんがおっしゃるような点で、非常に、不都合な点がございますれば、十分御審議を願って、そうして、こういう点がいけないからこういうふうにしたらどうか、この点はこういうふうに是正したらどうかという御意見を拝聴して、それを審議願うのが、この商工委員会の使命だろうとも私は考えておりますから、もし政府が出しました点につきまして、具体的にいろいいろな問題についてございますれば、一つこれはこういうふうに是正したらどうか、この点はわれわれはこう考えるがどうかという御意見を拝聴いたしまして、そうしてそれがなるほど妥当であるということになりますれば、適当に修正なりあるいはいろいろな点について字句の挿入なりをしていただければいいと思うのでございまして、ただ抽象的に、これをちゃちな法案であると言われましたが、どの点がちゃちなのか、私どもはこれがいいと思って出したのでありますから、どうぞ一つしかるべく御審議を願って、その結果にしたいと思います。
  12. 田中武夫

    田中(武)委員 次官承知かと思いますが、二十八国会、ちょうど解散前であったと思いますが、昨年の四月に、この法案社会党が出しております商業調整法案、この二つが、解散が目の前にあるからこれの審議はできない、そこで当委員会におきましては、両案を十分にしんしゃくせられた上で、いいところはとり、よりよき法案提出してもらいたい、こういった意味決議を、昨年四月にしております。ところが、その後出されたところの本法案は、前の法案と比べまして、決して進歩したものとは考えられません。今次官がおっしゃったように、いろいろ御意見を伺って、いいことがあればそれに修正してもらってけっこうだ――もちろんわれわれは修正したいと思っておりますが、その前に、当委員会において、よりよきものとして出すように、こういう決議をしておりますにかかわらず、その決議に基いた検討をなされずして、前法案よりかむしろわれわれは後退しているとも思える法案をなぜ出してこられたか、お伺いいたします。
  13. 岩武照彦

    岩武政府委員 前々国会の当委員会附帯決議はよく承知しております。今御質問によりますと、何か今回の案がその前の政府案よりも後退しておるというお話でありますが、これはそうではございません。よくごらん願いますとわかりますが、小売市場の問題につきましても、あるいは生協等の問題につきましても、小売商保護のためには前の政府案よりもかなり改善されておると思っております。また製造業者あるいは卸業者と小売業者との関係調整につきましても、前回政府案ではあまりはっきりしておりませんのを、今回は手続的にも、またやり方につきましてもかなりはっきりしております。前回の御決議小売商業調整法案によれという御決議でなかったと思います。両方をよく参酌していい案を作ってくれということでありますから、両方を十分勘案いたしました結果、とるべきものはとり、捨てるべきものは捨てまして、いい案を作ったつもりでおります。
  14. 田中武夫

    田中(武)委員 もちろん商業調整法案によれという決議はしておりません。だが両案を十分にしんしゃくをしてよりよきものにするようという意味決議だったと思います。とるものをとり、捨てるものを捨てた、こういうのですが、とるものはあまりとらずに、捨てるものばかり捨てて出されてきたような感じがいたします。その点については今から逐次御質問をしていきたいと思っております。  それではまずお伺いしたいのですが、これで十分考えられたとこういうことでありますが、この法案内容を見ました場合に、一番重点を置かれておるところは消費者に対する関係だけなのです。ちょっと話が横へいきますが、かつてイギリスが七つの海に雄飛をしていわゆる大国となった。それは植民地政策成功だといわれておる。その植民地政策成功とは何かといえば、分裂政策成功であるといわれておる。治めるものから治められるものに対する分裂政策、これの成功植民地政策成功となり、そしてイギリス大国基礎をなした、こういわれておる。この法案を見た場合、小売商消費者あるいは生協との間を分裂政策をもって臨もう、こういう目的法律にほかならぬと私は思うのです。あなたはいろいろといいところをとったと言われますが、あとで詳細にお伺いしたいと思っておりますけれども、小売市場の件にいたしましても、直接的にこれを規制するような内容ではありません。重点を置かれておるところは消費者に対する面だけであります。その点についていかかでしょう、私は分裂政策であるとこう断ぜざるを得なかったと思います。
  15. 岩武照彦

    岩武政府委員 消費生協に関する御質問でございますが、これは前々回の御審議のときにも申し上げましたが、われわれの考えておりますのは、消費生協というのは、組合員に対して物品販売あるいは施設の利用等を行わせるのを本旨としておるのでございます。従って員外者に堂々と利用させるとか、あるいは市価よりも著しく安い値で売って付近の小売商に迷惑をかけるとかいうのが、消費生活協同組合の本質ではないと考えております。むしろ市価販売、普通の市場条件で販売いたしまして、その利益を組合員に還元するというのが、消費生活協同組合の本来の行き方だろうと思っております。そうしますれば組合員に利用させるのが本来の姿でありましょうし、またその組合員がどういうふうに利用しておるということを確認する方法ができておるのが、本来の運営の方法だろうと思います。私は消費生活協同組合言の行き方はよく存じまんが、必ずしもそういう趣旨で全部が行われておるとはいえないように思います。従って政府案にありますような措置一つの例かと思いまするが、こういうふうな措置ができれば、ある程度本来の業務を遷宮するのに便利じゃないかと思っておるわけでありまして、決して消費生協の活動を抑えたり、あるいは消費生協一般消費者あるいは小売商との間を分裂さすというふうな意図を持っていませんし、またそういう結果にもならぬだろうと思っております。
  16. 田中武夫

    田中(武)委員 とおっしゃいますが、この法案を見ると一番重点を置かれているのは消費者に対する面だけなんであります。従って小売商消費生活協同組合との間を相争わしめるという分裂政策にほかなりません。そういうふうに思います。今値引きをして云々というようなお話もありましたが、それではお伺いしますが、一体小売価格はだれがきめるのですか。
  17. 岩武照彦

    岩武政府委員 いろいろなきめ方があると存じております。たとえばメーカーなり問屋小売価格をきめて内口銭の場合もございましょうし、あるいはその地域々々の競争関係できまる場合もございましょう。それからこれはすでに成立している法案でございますが、再販売価格維持契約というので役所が認めているものもあると思います。いろんな場合のきまり方があると思いますので一がいには申せないと思います。あるいは個々の小売商経営状況いかんで安く売る、あるいはある程度の値段で安定しているという売り方もございましょうし、一がいにきめられるものでもないと思っております。
  18. 田中武夫

    田中(武)委員 もちろん政策的に法規命令をもってきめる場合は別です。そうでない場合は小売値段小売商がきめるものじゃないと私は思う。先ほど申しましたが、仕入れのときにすでに小売値段というものはきまるのです。そう思いませんか。
  19. 岩武照彦

    岩武政府委員 経理的に申しますれば、仕入れ値基礎になるべきことは当然だと思います。しかし仕入れ値を維持し得ない場合もあることは、これまた事実でございます。あるいはいろんな特約関係とかその他の関係を通じましておのずから売り値もきまってくる場合もあるわけであります。いずれにしても、健全な経営でありますれば、仕入れ値基礎としたものに若干の経費、マージン等を見るのが普通の正常な経営状態であろうかと思っております。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 その通りですよ。ともかく仕入れ値段によって、その経営を維持するに足る、相当といいますか、適当なマージンをつけて売るのが普通の商売だと思う。小売商振興だ、こう大きくうたわれておるが、先ほど申しましたように、政府はまず独占禁止法緩和をはかる、輸出入取引法改正を考えて、それが国内のカルテルにまで及ぶというようなことを考えておる。そういうことは小売商仕入れ値段を高く維持しようという政策じゃないですか。そういうことを一方にとっておりながら、こういうちゃちなものを出して、これでもって小売商振興だなどとよく言えたものと私は思うのですが、いかがなものでしょうか。
  21. 岩武照彦

    岩武政府委員 独占禁止法改正についてはいろいろな御意見もあるだろうと思います。われわれとしては若干の意見もありまするが、今御指摘の点はむしろ不況期価格暴落を防止するという措置の点だろうと思います。その点になりますれば、これはいろんな見方があるだろうと思います。小売商といたしましても、あるいはその他のメーカー関係におきましても、元値がむちゃくちゃに下る、動くということでは商売ができにくいのは当然でございます。しかしながら一面におきましては、下るべきときに価格が下らないということ、価格硬直性を維持する作用を持つこともこれまた当然だろうと思います。そこらあたりはむしろ法律運用の問題でありまして、一がい独占禁止法緩和小売商経営の安定を阻害するというふうには言い切れないだろうと思います。
  22. 田中武夫

    田中(武)委員 独占禁止法のことについては、またあらためて争う場合もあるかと思いますから深く入りませんが、少くとも独占禁止法改正せられるということは消費者中小企業小売商に対して大きな圧迫であることは言うまでもありません。これはあくまで独占価格を維持される産業政策を一方に考えておりながらこの法律を出して、われわれは小売商のために考えておる、こういうことを言うのはおこがましいと申し上げているわけです。政府自民党中小企業政策というか、小売商政策がどういうものであるかということは、この法案を見ればよくわかる。何れも私が申し上げておることは、長官あるいは次官も御承知と思いますが、今日小売商八つの願いというか八つの要望を掲げていることは御承知と思います。この八つのうちこの政府案にどれだけのことが盛られているか、こう見ました場合に、上とか下とかいう言葉は適当でないと思いますが、小売商中心に考えて、それより資本に近いといいますか独占資本企業に近い面に対しては何ら触れていない。そうして小売商から同列以下の――以下という言葉はどうかと思いますが、下に対して小売市場に若干の配慮があるといってもこれも間接規制で、それから消費者に対する面だけが、これにうたわれているといわざるを得ないと思います。そのことは、あなた方の中小企業政策小売商政策が、いわゆる資本企業、大企業に対しては何ら手を施すことなく傍観をしておりながら、消費者の面に対してのみ圧力をかけておることによって、中小企業政策だと考えておられることを明らかに物語っておると思いますがいかがでしょう
  23. 岩武照彦

    岩武政府委員 小売商関係法案で何でもかんでも小売商関係のあるすべてのことを解決するということは、立法技術的になかなかむずかしい問題だろうと思います。お説のように、政府与党から出ております各種の経済措置とあわせお考え願えれば、そういう点ははっきりするだろうと思っております。われわれとしましては、小売商側から出ておりますいわゆる八つ希望条件もよく承知をしております。これにつきましては、前回も申し上げましたように、小売業者登録制等につきましては、これは全般的の雇用配置等産業政策が確立いたしませんと、この面だけで制限措置を講じてもおそらく意味がないのじゃないかと思っております。座敷のごみをちょっと玄関に捨てるだけの話でありまして、やはり玄関から、家全正体をきれいにする必要がございます。小売商と同じような立場にありますいろいろなサービス業の各分野につきましても、同じような問題が起りますので、これはもう少し総合的な全般的な雇用配置等政策と関連をもって解決すべきものだと思っております。これは前々回説明した通りであります。  それから、あと小売商側希望は、その趣旨におきましてはだいぶ入っておると思っております。ただいつか申しましたが、たとえばメーカー問屋小売行為法律で押えるという問題がございますが、これは立法技術ないし行政の円滑な運用のためにいかがかと存じまして、むしろ申し上げまするように問題をケースバイケース関係官庁が責任をもって片づけ得るように、あっせん調整という制度を設けた次第でございまして、おそらくはこの方が一律一体的な取締り政策よりも実効をあげることだと思っております。
  24. 田中武夫

    田中(武)委員 長官大臣も同じようなことを言うのです。ケースバイケース、おいおいよくしていくんだ、こういうことを言われているのですが、そういうことでは間に合わぬと思う。これはあとで申し上げますが、それからいろいろな総合的な面で、もちろん小売商振興を考える、こういうことなんですが、それでは今日やかましく言われておるのは百貨店からの圧迫、あるいはこれの傍系とも見るべきスーパー・マーケットこういうものがありますが、百貨店のことについては、すでに当国会社会党百貨店法の一部改正案を出し、当委員会に付託になっております。次官にお伺いしますが、ただいまの局長答弁に関連して社会党百貨店法改正案に、誠意を持って与党政府審議に応ずる用意があるかどうかお伺いします。
  25. 中川俊思

    中川(俊)政府委員 その前に先ほどちょっと私の答弁というようなことがございましたから申し上げておきたいと思いますが、田中さんは先ほど英国の例を引いて消費者との分裂政策をとっておるのじゃないかというような意味お話があったと思うのですが、社会党というお立場上、そういうお言葉も出るのかと思いますが、しかし政府は決してそういうような意図は全然ございません。これは私はこの小売商特別措置法を出しますときにも、事務当局からよく聞きまして、今のお話のような点が、もし社会的に誤解を及ぼすと非常に困るから、この点は十分注意をしなければならぬということは、私も実は注意したくらいなんです。それは全然ございません。ただいかにも生協員外利用がひどいというような点から、小売商をこのままにして放置しておい危ならば、小売商というのは百貨店なり生協なりの挾撃を受けて立ち行かなくなる。これは何とかしなければならぬという観点から、この法案を出したのですから、もし御心配のような点がございましたならば、こういう点はいかぬじゃないか、これがこういうふうな誤解を招くじゃないかということを、一つ十分に御注意もいただき、また審議の過程におきまして、そういう点は十分御審議をいただいて、そういう誤解のないようにお互いに努めたいと思いますから、一つその点は御了承おきを願いたいと思います。  次に、最近御承知通り百貨店のかけ込み建築なんかが一時行われまして、非常に一般小売商に対するところの圧迫がひどいというようなことも、あの当時議論になったわけです。そういう点につきましては、社会党さんの方でお出しになりました点、その他政府の方でも十分検討して、御趣旨に沿いたいという気持を持っておりますから、一つ御協力を願いたいと思います。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 この法案小売商消費者あるいは生協との分裂をねらっておる、こういうことに対する次官の弁明があったのですが、私が社会党立場からそう言ったとおっしゃるならば、あなたは政府立場からそう言わざるを得なかった、こういうことでおいておきましょう。  もう一つ百貨店法改正についても、今はっきりと誠意を持って審議に応ずる、こういう御答弁があったのですから、これを了承いたしましょう  そこでこれはむしろ長官の方がいいかと思いますが、先ほども長官答弁に出ておりましたが、いわゆるメーカーの直売、あるいは卸の小売の問題については、いろいろの場合があるので、ケースバイケースでやるということでこういうことにしたのだ、こういうことなんですが、もちろんわれわれも豆腐屋さんが自分で作った豆腐を卸小売することを云々するものではございません。しかしながらすでに御承知のように大きな面においてこういうことが小売商の大きな圧迫になっておる、こういう点があることを御承知と思います。その一例としまして私は医薬品について申し上げたいと思うのです。これはもう長官も御承知と思いますが、一月二十五日の朝日新聞にビタミン剤の安売り合戦という見出しで出ております。それから二月十二日の読売新聞がずっとこのごろ出しておる共存共貧――共存共栄ではありません。共存共貧という見出しで、過当競争等の面についてのいろいろな記事を出しておる中に、今申しました二月十二日に特に薬の問題について出しております。それによると六割引の乱売店、こういうような見出しがついておるのです。御承知と思いますが、いわゆる現金問屋なるものが大阪あるいは神戸にも、東京にも最近できたようですが、ありまして、その問屋がどんどんと小売をやる。そういうことで付近の薬局と申しますか、売薬店がもう数軒倒れているというような実情が、各所に現われておる。こういう事実は御承知でしょうか。
  27. 岩武照彦

    岩武政府委員 大阪方面で特に薬関係の不当廉売が激しいということは承知しております。またその根が薬の問屋にあるようだということも承知しております。また別に大阪で、御承知と思いまするが、千日前だと思いますが、問屋がある種の建物を借りて、派手な小売行為をやっておる。府からも何とか方法はないものかという照会を受けております。そこで早くこの法律が成立しなければ手が打てないのだ。国会にも早く通過していただくようにお願いしょうと言ったばかりでありますが、そういうようなことで、実はそういう問題を解決するためには、この法律が要るのだ。逆に全部禁止ということになると、たとえば御承知と思いまするが、大阪の丼池あたりで生地問屋、織物問屋がありますが、そこへ来るお客さんが一々小売商か、あるいは消費者か身元を調べて売るというようなことでも、これも商売はできません。そこらあたりはやはり私が先ほど来申し上げました通り、御指摘のような顕著な事例を解決いたしますために、われわれの方の政府案のやり方が実際に合うのではないか、こういうことを申し上げた次第であります。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 本法第一条には御承知のように「小売商業の正常な秩序を阻害する要因を除去し、」とあるのですね。今一例として申し上げましたところの薬の現金問屋なるもの、こういうものは正常な小売の秩序を乱す行為ではないでしょうか。
  29. 岩武照彦

    岩武政府委員 さようでございますから、それを除去するためにこの県知事のあっせん、調停という制度を設けたいと考えておるのであります。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 調停、あっせんでは私はだめだと思うのです。この件についてはまたあとでお伺いしますが、私はやはりわが社会党提出いたしております商業調整法のように直接的にメーカーの直売あるいは卸の小売行為を規制する方法を考えなければならないのじゃないか、このように考えておるわけなんです。これはまたあとで調停の方でお伺いすることにいたしまして、ちょうど薬の問題を出しましたので、薬務局長が見えておりますから若干の質問をいたしたいと思います。  今申しておるような実情は薬務局長承知と思いますが、むしろ売薬につきましては中小企業庁というよりかあなたの方の管轄ですが、そういうような実情について薬務局長は何らかの対策をお考えになっておりましょうか、お伺いいたします。
  31. 高田正巳

    ○高田(正)政府委員 大体大阪あたりが一番問題が多いのでございますが、大阪を中心として、関西の他の地域にも若干波及し、東京にも若干実態が違いますけれども、多少の混乱というものが現存しておるということは承知をいたしております。実は私どもも田中先生と同じような憂慮をいたしておるわけであります。ほかの商品でも同じことでございますけれども、医薬品の場合におきましては、さようなことが行われることによりましていろいろ混乱を生じて、ひいては良質な医薬品を生産し、これを国民に使用させるということについても、このままほうっておきますと心配だ、国民保健衛生にも関係が出てくるようなことになりかねない、まだそういう事態でないと思いますが、なりかねないということで私ども憂慮いたしております。それでこれらの現象をどうするかということで、通産省あたりともいろいろお知恵を拝借して、なお現地の府県当局ともいろいろ相談をして考えておるわけでございますが、現在の法律の建前ではなかなかこれをぴたりと何とかするというわけには参らぬのでございます。私の方に薬事法という法律がございまして、これはむしろ保健衛生の立場から取り締る法律でございますが、さような法律で相当こまかい規制をいたしておるわけでございます。しかし立場があくまでも保健衛生を維持するという立場法律でございまして、純然たる経済行為の規制ということはただいまいたしておりません。従ってすでに成立をいたしておりますいろいろな中小企業保護というような法の運用によって何とかならぬかということになるわけでございますが、なかなか今までのものではうまく参らないのでございます。それで新たな法律が制定せられますれば、この問題に対処いたしますにつきましても、一つの手助けになると思いますが、私どもといたしましてはとりあえずこれが業界自体の経済問題に関することであって、しかもメーカーと卸、小売とのお互いの問題として解決をする分野がある程度あるんじゃないか、こういうことで実は昨年来メーカー小売、卸の三者の協議会を全国的並びに地方的に持ってもらいまして、これでいろいろと原因を追及し、お互いにためていかなければならぬことを話し合いでやってもらっておる、こういうふうな現状でございます。  大阪の場合におきましては、ある程度商品の流れの実態等が把握されて参りまして成果を上げつつある、かように私どもは考えております。しかしながら今後いろいろな知恵をしぼりまして、この問題については真剣に対処して参つりたい、かように考えておるわけであります。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 憂慮をしており、真剣に対処していきたい、こういうことですが、事態はもうすでに大きな社会問題にまで発展しようとしておるわけなんです。そうのんびりとしておれないと思うのです。そこで一つお伺いしますが、この現金問屋と称せられる薬の乱売をやっておる問屋と言いますか、これは資本系統は三国人じゃないでしょうか。三国人の資本が入っておる、こういうようにも思われますが、そういう点はいかがでしょうか。
  33. 高田正巳

    ○高田(正)政府委員 資本系統は、これらの問屋が全部三国系というわけではございません。さような系統の資本もあるやに聞いておりますが、それはごく一部であると私どもは考えております。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 この医薬品につきましては、先ほど局長も言われたように、薬事法によっていろいろと規制監督の規定があります。ところがこれが今日どのように運営せられておるのかということに対しまして、われわれ若干の疑問を持つわけです。たとえば薬事法によりますれば、その二十六条ですか、これは手数料を納めて登録さえすれば、幾らでも売薬が作られる、こういうように思うわけなのですが、少し薬を作り過ぎておるのではないですか。言うならば厚生省は、害にならなければきかなくとも許可する、こういうような方針のように思うがいかがでしょうか。害さえなければきくかきかぬかは第二なんだ、こういうことで許可しているように思うのですがいかがでしょうか。あまりにも多過ぎる。
  35. 高田正巳

    ○高田(正)政府委員 薬の許可の方針といたしましては、もちろん無害有効な薬を許可しておるわけであります。その有効の度合いというものは、薬によっていろいろございまして、その度合いを越えた、実際に持っているその力以上の広告等を誇大にいたしますると、それはその面で取り締る、こういうしかけになっておるわけであります。それからあまり許可をし過ぎるのじゃないかという仰せでございますが、薬は御承知のようにいろいろつな処方がございまして、また種類もいろいろございまして、さらにその上に処方がいろいろございますので、あるものを許可し、あるものを許可しないというわけにも参りません。有効無害であれば原則として認めていく、こういう立場をとっておるわけでございます。ただ今御指摘になっておりまするような乱売問題等を起しまする一つの遠因となっておるようなこととして考えられまするのは、薬の種類をあまり許可するということよりは、むしろ作る量が全体的に慢性的な生産過剰のような格好を呈しております、むしろその方が問題であろう、ただしかし作る量につきまして規制をいたすということは、現在の建前では役所の立場といたしましてはいたしておらぬ、かような実情でございます。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 薬の量も多過ぎるし、また薬の数も多過ぎるし、作る量も多過ぎる。ここにこういう問題が起ると思うのです。たとえばビダミン剤一つをとらえてみても、今各社の出しておるビタミン剤が何種類あるかということを、局長自体も御存じないと思う。どうでしょう。それはもう答弁要りません。それほど多いのです。しかも私の聞いておるところでは、まず需要の面からいきますれば月間七十億円くらいのものだ。それに対して薬の生産は百十億か百二十億くらいの月産である。約百二十億程度の月産に対して実際の需要は、日本人は薬好きだといわれてよく使うのですが、それで七十億なのです。そうすると五十億というものが生産過剰になっておる。ここに私は乱売の一番大きな原因があると思うのですが、この点につきまして何か監督官庁として手は打てないか。先ほどもちょっと触れられたようですが、これは野放しするよりほかに手はないのですか。
  37. 高田正巳

    ○高田(正)政府委員 御指摘のような実情が確かにあると思います。監督官庁といたしまして、法律的に権限といたしましてこれに手を打つわけは参らぬと考えますが、業界自体の自粛といいますか反省といいますか、さような観点からこれらの問題に対処していくものと考えております。さような空気を醸成することにつきましては、私どももいろいろと苦心をしておる。さような空気が業界自体にすでに相当強く出て参っておりますので、それらの点は今後相当効果を上げて参るものと私は考えておるのであります。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 このような状態であれば、月に五十億ずつよけい実際の需要を越えて生産していればいっかは破綻すると思う。今日テレビを見ても新聞雑誌を見てもラジオを聞いても、一番広告をよくしておるのがまず電気機械器具、それからこの薬、化粧品、それから繊維、次が酒類、こういうふうにあります。一番よくやっているところが、やはりそれだけ苦境に追い込まれつつあると思う。先ほどお話のありました薬事法の三十四条ですかには、誇大広告についての規定がある。これはその効果を越えてやった場合に云々といわれておるが、これはその限界をどこにとるかということは大へんむずかしい問題だと思うのですが、もうこのラジオを聞いておってもテレビを見ておっても、ほとんどこればかりで、要はきくということより、いい薬だということよりか、より多く人の耳にその薬の名前を吹き込む、これが商術といいますか、商売のようになっておる、このように考えるわけです。しかもこれらの大きな広告費は一体だれが負担するかといえば、結局は消費者が負担しておる、こういうことになろうと思います。これはこういうのがあって民間放送なりテレビ会社なりが成り立つのだろうと思うが、こういう状態を、薬事法という法律があり誇大な広告を禁止する規定があるという立場から、局長はどのように見ておられますか。
  39. 高田正巳

    ○高田(正)政府委員 医薬品の広告が非常に多いということは私も十分承知をいたしております。その中で今御指摘の三十四条に触れるようなものにつきましては、私ども相当精力を費して取締りをいたしておるわけでございますが、三十四条に触れないいわゆる一般のPR、これにつきましては、今御指摘のようにこれも相当多いことは事実でございますが、ただこのことを必ずしも悪いと言ってしまうわけにも参らないのでございます。と申しますのは、医薬品というのは非常に種類がいろいろございまして、やはり長い間の研究の結果あるものを作ってこれを世間に出しますには、最初ある程度知らせるということが必要なんでございます。しかも日進月歩でこの製品が進歩りし変って参りますので、それであればあるほど知らせることが必要になってくる。知らせませんと量産もできない。そうすると非常に一つ一つのコストが高くなって参りまして、結局薬も非常に高いものにつく。この他の商品も同じようなことでありますが、医薬品におきましては特にその事情が強いのでございます。従って必ずしも広告をいたすということが、非常にけしからぬことであるというふうには私どもは考えておりませんけれども、しかし御指摘のように広告が非常に目につく、中には医薬品として三十四条には触れないけれども、どうも社会常識上いかがであろうか、かようなものもなきにしもあらずでございます。この点は十分自粛をしてもらいたいというふうに私ども考え、またこのような方針で対処をいたしておるわけでございます。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 外国のやり方をいろいろ見てみますと、医薬品の製造許可をとる場合に、広告の方法あるいは小売価格等をちゃんと最初から許可事項にするといったような方法をとっておるところも多いようです。日本の場合は薬事法でやっておるんだが、実際に今言ったような状況になっておるわけです。これをもう少し変えて、許可をする場合に、広告の方法とか最終販売価格ということまでも許可事項にするというような方法はとれませんか。なお定価販売と一応銘打って、箱なり入れるものに定価の入っておるもの、たとえば今の薬あるいは化粧品あるいは電気機械器具、こういうものが一般小売乱売のおとりに使われておる。ほかのものなら大体幾ら日銭があってどうということはわからぬ。だが薬とか今申しました化粧品、電気機械器具等は一応小売価格が入っておる。それを何割か安く売るということで、他の商品もこれは安いであろうという印象を与える商売をやっておる。そういうおとり販売にこういうのが使われておる。しかも国民の保健衛生に直接関係のあるこういう医薬品が、そのようなおとり販売に使われるというような傾向に対して、薬務局長としては、監督官庁の立場からどのようにお考えになりますか。
  41. 高田正巳

    ○高田(正)政府委員 全般の広告の方法なりあるいは最終小売価格、定価と申しますか、それを許可をいたす場合に、それも含めて許可をいたして、さようなことりを規制するようなことは考えられぬかという仰せでありますが、これは結論的に申しまして、そこまでやりますと、現在の医薬品といえども一つの化学子工業の製品でありまして、反面保健衛生に用いられるということでございますが、同時にまた一つの製品でございまして、現在の産業経済の建前からそこまで参りますことは、なかなかこれは法律上も問題があるのじゃないか、かように私は考えております。  それからこの広告につきましては、今外国の例を引いておられましたが、お医者さんが使います医薬品の広告は、一般紙等にはさせぬようにしたらどうかというような御意見もあり、他の方法によってお医者さんだけに知らせるようなことを考えたらどうかという御意見もあるようであります。いろいろ調べてみますと、さような方法でやりますと、PRの手段としてはむしろ高くつくというようなことにもなるやに聞いております。その辺でなかなかむずかしいところがあるのでございますが、しかし全般的な気持といたしましては、先ほど申し上げましたような気持で、その方向でこの問題を取り扱って参りたい、かように考えております。  それからマーケット等で医薬品のようなものだけを安く売って、一種のおとり的にこれを扱っておるのがあるが、それに対してどう思う、こういう御質問でございますが、私もさような傾向があるということを現場の人々から聞いております。はなはだ不適当な事態である、かように考えております。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 はなはだ不適当なというだけじゃ物事は解決しませんし、これはあくまても国民の保健衛生に直接関係のある問題でございますが、現在のような状態ではほんとうに憂慮すべき問題だと思うのです。十分な今後の対策、措置を要望いたします。  ついでに、これは本法には直接関係はないかと思いますが、医薬品の問題に触れましたので、ここでちょっと局長の御意見を伺っておきたいのですが、まあ薬剤師という称号といいますか、その人たちは、昔でも高等専門学校あるいは国家試験、今日では薬学大学、大学の薬学部というような最高の機関を出た人なんです。こういう人たちが今日では店番をして歯みがき粉や化粧品を売っておる、こういう状態については、人当資源の活用の上からいっても、私はあまりかしこいやり方ではないと思う。少くとも最高の専門的な知識を得ている人々であるから、その人たちが町の科学者といいますか、少くともお医者さんの診断を必要とする以前といいますか、その程度の病人等からいろついろと保健的な相談を受けるような立場で、これは当然あるべきだと思うのです。そういうような点を生かしていく必要があろうと思うのです。ところが今日毎年新規に薬学大学、大学の薬学部を出る人が三千人近くおります。すでに今日においても、先ほど申しましたような現金問屋と称せられるような薬の乱売が行われておる、既存の薬局ですら維持が困難である、毎年三千人ずつ新しく出てきた人、これは製薬会社なりあるいはその他の適当な方面へ行かれる人もあろうが、その大半がやはり町の薬剤師として巣立っていかれると思うのですが、これは将来一体どのようなことになりますか。ことに医薬というりような国民の保健衛生に直接関係のある問題だから、適正配置ということが当るかどうかわかりませんが、いわゆる薬局の許可といいますか、所在地を適当に配置するとか、方法も考えていかねばならないのではなかろうかと思うのです。しかも、きょうは文部省の人たちは見えておらぬので、これも呼んでおったらよかったと思うのですが、聞くところによるとなおさらに新しく薬学大学とか薬学部を三、三許可しようという動きがあるそうです。そうするとますます薬剤師を製造していくが、これの消化といえば言葉が穏当ではありませんが、これらの人たちを適当にそれぞれの技術、教養を生かして国民の保健衛生に寄与せしむるという方法が欠けておるのじゃないか、このように思いますが、今後の対策を一つお伺いいたしたいと思います。
  43. 高田正巳

    ○高田(正)政府委員 薬剤師というものは今御指摘のように最高の学問をおさめて、しかも国家試験を受けまして初めてなり得る資格であります。これが今日十分にその使命を果していないじゃないかという御指摘、それは一面の真実を御指摘になっておると思います。まず薬剤師の使命といたすところは調剤をするということが使命であります。それからさらに薬品の製造等に従事をいたしていくというふうなことも大きな使命でございますが、さらにまた医薬品の販売その他の取扱いをいたすというようなことも大きな使命でございます。今日欠けておりますのは、薬剤師の非常に重要な使命でありまする調剤ということで、病院に勤務いたしておる薬剤師はやっておりますけれども、いわゆる町の開局薬剤師はその方の使命をほとんど果していないというふうな現状であることは事実でございます。これに関連した問題がいわゆる数年来やかましく騒がれました医薬分業の問題でございます。しかしこれも御存じのような格好に、一応結論が打ち出されまして、今日では法律制度ということよりは、むしろ現実に処方せんがどんどん町に出てくるような具体的な方策を、どうしたらとれるかということでございます。さような段階にきておるわけでございます。ここ一年来処方せんの出方も相当急カーブで上昇をいたしております。しかし全体から見ればわずかなものでございますが、最近非常にふえてきたということは事実でございます。今後ますますふえるような方向に私どもとしましては努力をいたさなければならぬ、同時に薬剤師各位の努力も必要かと思いますけれども、努力をいたして参るべきものだと思います。  そこでちょっと申し上げておきたいことは、町の科学者としていろいろ御活躍を願うということは大へんこれはけっこうなんでございますが、お言葉のございました医者に行かぬでもいい程度の病人の相談に応じて云々ということでございますが、あなたの病気はどこが痛いのだ、それはこういう病気だろうからこういう薬と、こういうことになりますと、医者の分野に入り込むことになりまするので、若干そこはデリケートなところがございますが、さような御趣旨の御質問でなく、むしろいろいろと町の科学者として相談に応じるというふうな御趣旨の御質問であったと了解をいたしたいと存じます。  それから適正配置の問題でございますが、これは結論的には私どももさようにいたしたいと考えております。今日都会には非常に密集しておりますが、薬剤師、薬局の全然ない村もあるわけでございます。こうなりますと、医薬分業等が実際行おうとして行えないということになりますので、さようなことでないようにいたしたい、かように考えておるわけでございますが、その方法、一体どうしてそれを実現するかということにむずかしさがある、一部の御希望では、法律でそういうふうなことをきちんと規制してしまったらどうかというような御要望もあるようでございます。これもプライベートないろいろ開業を規制するというふうなことは、なかなかめんどうな問題であるようでございますので、この点につきましては、私ども今後十分検討して参りたい、検討々々と言っていつまでもけしからぬじゃないかというお言葉が次に出るかもしれませんが、さような意味合いでなしに、ほんとうに本格的にこれは取り組んで参る態勢で今進んでおります。ただ非常に方法はむずかしいということだけは、一つこの席でも申し上げておきたいと存じます。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 私が申し上げたのは、いわゆる診察という意味でなくて、頭が痛い、かぜだ、こういうことになった、それならこういう薬、こういうような相談ですね、ところが今日あまりにも、くしゃみ一つで何三錠、というふうな広告が出ておりますから、この広告で、頭が痛い、かぜを引いた、相談なしにこれだ、こうきめてしまいますね。これは広告をある程度規制することによって専門的な方面で広告をする、こういうかぜだといえば、こういうのがいいのじゃないですかというような相談相手になり得るような意味で、私は考えておるわけです。それからそれは適正配置といいますか、規制の問題につきましては法律問題としてやるとかいうことになりますと、いろいろ問題もあろうと思いますが、何か基準法のようなものを設けて、都会地といいますか市街地なら何メートルとか、人口何人というような考え方等も、一つ方法ではなかろうか、このように考えます。  それからついでですから申し上げておきますが、俗に自由業といわれる弁護士とか計理士、公認会計士、いろいろあります。そういうふうにあげた場合に、学歴、国家試験等から考えても薬剤師は同じような範疇に入ると思うのです。ところが独立した薬剤師法という法律がない。字もこの師が違いますか、どっちのシが偉いのか私知りませんが、とにかくそういうような点から見ても、この点に対する監督官庁としての全般的な、総合的なお考えが抜けておる点が若干あるのじゃないか、このように考えますので、そういう点について要望いたしておきまして、この点は終りたいと思います。  続いて話をもとへ戻しまして、中小企業長官にお伺いいたします。八つの要望のうち今二つ済みまして三つ目に入りますが、スーパー・マーケットの問題です。これはわれわれの考え方といたしましても、小売商特別措置法あるいは商業調整法ということでなく、あれは百貨店法一つの脱法行為だというような考え方を持っております。われわれはスーパー・マーケットの規制ということについては百貨店法で考えていく、このようなことで現にそのことを考えに入れた改正案を出しております。先ほど政務次官からもこれについては社会党提出といえども、政府も誠意を持ち、自民党も誠意を持って審議に応ず、こういうことですが、中小企業庁長官はスーパー・マーケットの問題については、どのようにお考えになっておりますか。
  45. 岩武照彦

    岩武政府委員 スーパー・マーケットというのはこれは字が示しますようにアメリカで行われている言葉であります。日本でいわゆるスーパー・マーケットというのは一体何だろうという問題が一つあるわけであります。いろいろ商業関係の専門家、その他の意見によりますと、スーパー・マーケットというのは、少くとも以下あげまするようなものがその概念の概要になるのじゃないかと思っております。第一点としましてやはり食料品を中心にして扱っておる店。その次には、これはやや技術的な問題がありまするが、陳列の方法その他でやはりデパート式に品目別に陳列している売場を持っておる。それから第三点としましてはセルフ・サービス方式を、全部の売り場とは申しませんが、少くとも大部分の売り場に採用していることが一つの要件です。それから第四点としましては、かなりの売り上げの規模があるということが一つの要件になりはせんか、これは一日の売り上げ等のいろんな考え方もあるかと思いますが、アメリカでは大体一日五万ドル以上売り上げがある、こういうものを大体スーパー・マーケットといっておるようであります。これにもう一点、一般の店舗より値段等において若干の差があるということも要件のうちに数えておる人もあります。要するに今申し上げましたような販売方法、店舗の構造等を持っておりますことが、日本でいうスーパー・マーケットという概念に当るものじゃないかというふうに考えております。  それから今百貨店の変形ではないかというお話がございましたが、これは実は全国各地にありまする以上申し上げましたようなスーパー・マーケットを調べてみますといろいろな形態があります。百貨店の系統に属する大資本経営しているスーパー・マーケット方式の店も若干あります。また他方場所によりましては従来ありました小売商が共同出資で自分の店舗を提供してやっておる、あるいは数人の小売商が集まって一緒に出資してやっておる、それから中には消費者が出資してやっておるというふうなものもございます。いろいろございますので、必ずしも百貨店の変形だというふうに見るのは、これはちょっと実態に合わないのではないかと思っております。従ってわれわれの方としましては、問題はそういうふうな大資本系統のスーパー・マーケットが各地にできて、付近の小売商に被害を与えるということは困るわけであります。それから一がいにスーパー・マーケットを押えるということは、これは消費者の利便の問題もありましょうし、またその企業形態の問題もございますから適切でないので、むしろ先ほど申し上げましたように、問題になるものをそのつど解決していくということで、これは都道府県知事のあっせん調整の対象にしたいと考えております。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 今私が問題にしているスーパー・マーケットは百貨店の脱法行為というか、そういうのを問題にしているわけです。今言われたような付近の小売商が一緒になって経営するのと違うのです。私の考えが違っているかどうかわかりませんが、いわゆるスーパー・マーケットと市場との違いは、営業主体が一個であるか数個であるかということで区別したいと思っているのですが、この問題についてはあとでまた長官質疑応答を重ねていきたいと思っております。  参考人の住宅公団の総裁が何かはかの委員会に呼ばれているそうですから、総裁に対する質問を先にいたしたいと思います。と申しますのは昨年の十二月二十四日、われわれ商工委員はこの小売商業特別措置法案商業調整法案審議に当りまして、実際の状況を視察するということで横浜の市場あるいは東京都内の東光ストアその他を見て回ったわけです。そのときにわれわれは学芸大学前の東光ストアを見たわけですが、そのときに驚くべきことを聞いたのです。あの東光ストアは経営者は東急系統の資本ですかが建物を建ててやっておると思っておったところが、あれは何か住宅公団のいわゆるげたばき住宅といいますか、下を店舗にして上を住宅にする、あれの下全部を借り切ってスーパー・マケツトにしておる、こういうことを聞いて私は驚いたわけです。総裁承知のように、日本住宅公団法にはその第一条に目的が明記してあります。あらためて読んでみますと「日本住宅公団は、住宅の不足の著しい地域において、住宅に困窮する勤労者のために耐火性能を有する構造の集団住宅及び宅地の大規模な供給を行うとともに……」こういうことになっているわけです。すなわち住宅難緩和目的としたものだと思うそのことによって法人として出発し、政府の援助も受けておる。ところがその住宅公団が建てたの店舗を、一つの東光ストアなるものに貸し付けて、そこ全体がいわゆるスーパー・マーケットになっておるというようなことについては、住宅公団法第一条の目的に即した運営と考えておられますか、いかがでしょうか。
  47. 加納久朗

    加納参考人 住宅公団の使命は今おっしゃった通りでございます。従って住宅公団といたしましては原野あるいは山林というようなものを宅地に変えまして、あるいはそういうところを買い取りまして、そしてその上に住宅を建てて都市に通う人たちの住宅を作って住宅緩和に努めておるということは申すまでもございません。同時にまた住宅公団は土地の入手で非常に困っておりますので、都会の空間をできるだけ利用して、そこに住宅を建てるということが、都会で働いている人たちの時間を節約いたしますし、交通費を節約いたします。それで建てておるのであります。従って施設付の住宅を建てるということは、やはり住宅の緩和に大へんに便利なのであって、土地を言うかわりに……。(田中(武)委員「そうじゃないのだ、学芸大学前のスーパーマーケットを提供しておることを知っておるのかどうか、それが目的に反していないかどうかということです。」と呼ぶ)施設付の住宅の申し出がありましたときには、できるだけ店舗の上の空間をわれわれの方が利用いたしまして、住宅を建てて住宅の困難の緩和に努めておるわけであります。従いまして施設付の住宅を作っていくということが、土地の節約になるわけでありまして、住宅公団の目的に沿うておると私は信じております。  それからその次に、下の設備を東光ストアに貸したことは目的違反ではないかというお話でございますが、この場合は北村と申します薬屋さんの土地でございまして、薬屋さんの施設を住宅公団が作りまして、その上の三階だけを賃貸住宅を作って、それは住宅公団の所有でございます。下は今申しましたように、薬屋の北村と申す者にその施設を作ってやったのでありまして、所有者は北村なのであります。従って北村の薬屋もそこに出しておりまして、余った分を北村が他に貸し与える、こういうことになっております。下の施設分につきましては、政府出資の金を入れておりません。上の賃貸住宅に対しては政府の出資と、市場から借りました金をまぜて作っておるわけでありまして、下の部分は北村の所有に属しております。それでこの問題が、地元の商店街の組合から文句が起りまして、北村とその商店街との間にもんちゃくが起って、スーパー・マケツトを作ることが不都合ではないかというようなことが起りましたので、住宅公団といたしましては広瀬区長にこの解決あっせんを願ったわけであります。区長の方がこの点はあっせんするからということで、区長にあっせんを委託したようなわけでありまして、住宅公団といたしましては、たとい北村に貸した場所でありましても、それが施設を保てないとか、保全が不十分であるとか、あるいは下にできるところのものがパチンコであるとかその他の風紀を害し、住宅に入る人のために非常に環境を悪くするというような場合でない限りは、これは承認せざるを得ないような状態でございます。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 私は二階以上を住宅に貸しておることを違反だとは言っておりません。なるほどあの中には北村さんか何か知りませんが、一画は薬局です。その他が全部東光ストアなんです。それが地元商店街の圧迫になり、商店街の人たちと問題をかもしておるわけなんです。あなたはその建てるときに、すでにこれが東光ストアの店舗になるということは御承知だったのでしょうか。
  49. 加納久朗

    加納参考人 北村から自分の店舗、それから自分の貸店舗を作りたいということが出ておるだけでありまして、東光ストアであるということは出ておりません。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 なおほかにもそういう資金で東光ストアはいわゆるスーパー・マーケットを各所に作る、こういうようなことも聞いております。これでは一体住宅公団というところは何をしておるのか、こう言わざるを得ない。あなたは知らなかったというが、それでは済まされぬと思う。それは北村という人と契約をし、北村という人が今度貸したのだから、おれの方は知らない、こう言うかもしれないが、今小売商にとっては大きな問題となっておる。スーパー・マーケットに使うということはあなたは承知で建てたと思う。建ててたときからそういう計画がないと建てないわけでしょう。今後そういうことをやるとすれば、私は大きな問題だと思うのです。  この住宅公団の監督は建設省ですな。建設省の何局が知らぬが、その関係局長を呼んで下さい。大体これはけしからぬと思う。
  51. 加納久朗

    加納参考人 今御質問の、最初から東光ストアに貸すということを承知の上でやったじゃないかという御質問でありますが、それは間違いでございます。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 それは知っておったか知らぬとかということは、押し問答になると思うのです。しかし少くとも……。(加納参考人「事実でないことは言えない。」と呼ぶ)現在そういうことになっておる。今日どう解決しようとあなたは考えておられますか。
  53. 加納久朗

    加納参考人 今の問題は解決しようがありません。区長にあっせんを委託いたしまして、私の方は設備の保全及び割賦金が払えるかどうかという点、環境が悪くなるかどうかという点を考慮しただけで、これを承認せざるを得ません。しかし将来においてあくまでもこういうことのないようにすることは申すまでもございません。現にただいままで東光ストア以外に大きなものが、そういうふうに出てきたという例はございません。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 今後そういうことのないようにということならば、現に行われておるところの学芸大学前の東光ストアの問題については知っておったとか知らぬとかということは二段にして、好ましいことではないということはお認めになるのですね。
  55. 加納久朗

    加納参考人 住宅公団といたしましては、ただいま申し上げましたように、作りました設備の保全、それから割賦金が必ず入るということ、環境を害しないということで、あくまでも住宅の人たちのために考えて、そうしてやったわけでございまして、この今あります問題につきましては、私の方といたしましては所有者とそれから商店街の人との間の問題であって、それは他の区長なり何かのあっせんで、こういう問題を解決していただくべきだと思います。大家は北村なんでありまして、私の方が北村に売り払ったものなんでございます。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 区長に解決してもらうよりしようがない、こういうのは私は少し責任回避といいますか、勝手な言い分だと思うのです。建てて北村に貸したから、北村という人から先のことはおれは知らないのだ。住宅公団というのは、建てるときに大体どういうことで下が使われるのかというようなことは考えずに建てられるのですか。そんなたよりないものなんですか。
  57. 加納久朗

    加納参考人 商店に使われるということで作りました。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃスーパーマーケットは商店ですか。物を売っておったら合部商店、百貨店も商店、それは言えると思うのですが、商店という意味――少くともあのげたばき住宅は、下を各店舗にして、住宅建築とともに、いわゆる小売商人等の店舗提供ということが目的じゃないのですか。どうなんです。
  59. 加納久朗

    加納参考人 店舗を持っておる商店の人が、自分の商店を下に作ってもらって、そうしてわれわれの方がその上の空間を借りるというわけでございます。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ今の学芸大学の場合の東光ストアは、そういう格好になっていますか。
  61. 加納久朗

    加納参考人 さようでございます。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 そうじゃないでしよう。店舗を持つ北村さんという人は一画だけなんですよ。
  63. 加納久朗

    加納参考人 店舗を持つということは、所有者だけの盾舖というわけじゃありません。下を店舗に使うからということで申し入れがありまして、それでわれわれの方は店舗に使われるように作った、こういうわけであります。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 それは下をある程度に切るとか、区切らないとかいうことには関係はないのですか。少くともあれは一つも区切ってないわけですね。従って区切ってないということは、それ全体が一つ経営者によって使われる、すなわち東光ストアというようなものによって使われるということが、初めからわからなかったというはずはない。建築の図面のときからそういうことになっていると思う
  65. 加納久朗

    加納参考人 建築の図面は、大体すべてスペースはとってございません。そうして所有者があとから区画をして、店舗に貸している、こういうわけでございます。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 建てるときに、へいとか区切りというようなことを、図面には載せないのですか。
  67. 加納久朗

    加納参考人 載せません。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 ではあなたはあくまでもあの方法は間違いでない、こう言い切られるのですね。
  69. 加納久朗

    加納参考人 間違いでないと断言いたします。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 間違いでないとこう言っているのに対しては、これ以上言ったって水かけ論になりますから、おきます。監督の建設省がいますか、そこでもっと明らかにしたいと思います。
  71. 長谷川四郎

    長谷川委員長 建設省は今いないのです。
  72. 大矢省三

    ○大矢委員 関連して。これは大阪のことですが、最近いわゆるげたばきの建築ができまして、そのげたばきの建築でそれを貸し付ける場合に、その地方で長年得意先を広げ、努力の結果せっかく店が立ち得る。その場合に、近くにそれができるということで、それを希望するのです。遠いですから。その希望した場合に、優先的にそれを貸す御意思があるかないか。これはそういうことじゃない、個人々々で、そういうことは条件なしに新しく選ぶんだ、こういうふうにお考えか。これは各方面にそういうことが起きているので、お伺いします。
  73. 加納久朗

    加納参考人 大体施設付の住宅を作ります場合には、全部の土地をある店が持っておるという場合には、施設付を作って、その所有者が自分で全部を使うなり、また他の人にそれを貸し付けるなり、その人の随意でございます。その他の場合には、大阪でいたしました場合には、東久宝寺問でやったわけでございますが、五軒、六軒の小さい店を持っております人たちの合同のたのみによりまして、店を作りました。その場合には、御注文通り区画をして、家を作って、その上に住宅を乗せる、そういうことでやっております。従ってほかの方がそれを借りられるかどうかということは、所有者とその方の交渉によってきまるわけでありまして、別に住宅公団はそれのあっせんというところまではいたしません。
  74. 大矢省三

    ○大矢委員 希望のあった場合はその通りでよろしい。何らの希望もなしに、最初から公団自身が、土地が高いから、先ほど御説明があったように、二階の方は住宅にする、下だけを店舗にする。それを新しく条件なしに建てた場合に、申し込んだ場合に近くの店舗の人を優先的に扱われるかどうか。
  75. 加納久朗

    加納参考人 別に近くであるから優先的というふうな原則は持っておりませんけれども、家賃がちゃんと払えるという見込みがあり、それから上の住宅の環境を害しないというような商売である場合には、もちろん考慮いたします。
  76. 大矢省三

    ○大矢委員 これは私はあとからいろいろ実際問題として、具体的に公団の方にお話しいたしますが、それができたために、先ほど言ったように、せっかく開拓した商人が、同業者がここへ来ると困る。そういう場合に、そういう人が困るから、もし希望があれば、そういう人に優先的に貸すかどうか。実際問題として、公団が建てたために、その近くのせっかくしにせをこしらえて努力したのが困るから、それを希望があった場合に入れるか、このことなんです。
  77. 加納久朗

    加納参考人 今の御質問にお答えいたしますが、大きな団地を作りました場合には、七百戸、干戸という団地を作りますと、どうしても店が必要なわけでございます。そういう場合に、公団が店舗を作ったときには、その土地の商工会議所にお願いして、そうして適当に推薦をしていただき、公団自体がこの店この店というようなことはしないようにいたしております。それはとれ大きな団地を作った場合でありまして、市街地の場合にはまだそういう例に出っくわしておらぬと思います。
  78. 大矢省三

    ○大矢委員 これはまたあとで詳しくお伺いいたします。それから大阪の西の例の高級アパート、これをごらんになりましたか。これは下は店舗で、家賃は大きさその他でいろいろございましょう。ところがその上のいわゆる高級アパートというものは、最低一万から一万五千円、二万円近い。もちろん四つ、五つの間がある。一体こういう商敵な住宅が果して必要かどうか。あるいは公団の目的が十分達した後においては、こういうものが必要かもしれませんが、今この住宅が払底しているときに、二万円近い家賃をとることは実際できませんよ。こういうことは一体どうしてやるのか、私どもどうもわからない。従って結局ここには長居をしない。高級の家賃を払おうとすれば、そこにはいわゆる私設の社交場ができたり、あるいははなはだよろしくないようなことが行われることは当然なんです。二万円近い家賃というものはとうてい払えません。今ごらんの通り一万数千円ですよ。そういうことですから、これは一つぜひ合後の建築計画の上に考慮してもらいたい。私はそれがいかぬというのではないのですよ。もっと先にやるべきことがたくさんある。そのことを御研究願いたい。  それからいま一つ、これはどこの都市でも同じですが、今お話のあったように、住宅難で、土地がない、土地をどうしても確保するためには、場末あるいは周囲の衛星都市に集中します。これはもう当然でしょう。その際に一番考慮してもらいたいことは、五階建、六階煙りのアパートがたくさん建ちますると、勢いそこには一つの社会施設としての小公園なり託児所なり、一群大事なことは学校です。それから道路が必要である。その道路の中には下水、上水道――上水道なんかは料金が入ってきまずから、長い目で見ればそう大したことはないかもしれませんが、第一下水をいける道路の敷地を買わなければならぬ。その学校、道路の整地あるいはそういう施設に各都市とも莫大な負担を負わされる。そこで私はこの際にぜひお願いしたいことは、そういう土地を確保する場合に学校その他社会施設に対しての土地の買い入れに対して、その都市なりあるいは府県に対して合議の上で計画性を持ってやったらどうか。そうでなければ、公団は公団の目的でどんどん家を建てる、それから塵芥処理なり下水なり道路なり学校なりあるいは公園、託児所、こういうものをみな作らなければならぬことになってくると、各地方財政の赤字の状態はさらに負担が多くなる、そこで結論として申したいことは、ぜひ一つこういう計画のある場合、あるいは土地を確保する場合に、これは地方公共団体と共同でそれを買い入れるとか、あるいは計画に学校もそういうものもちゃんと最初から入れて、これだけつの建築があれば、どれだけ道路が必要だということで一緒に計画してもらわないと、これは地方でもはなはだ迷惑している。その点を現在やっておられるか、将来もっとそれらも合せて、土地を確保する場合に公団が確保して、そしてその価格でちゃんと公共団体にやらせる、こういうふうにやる御意思があるか、あるいは現在までにそういうことをやられたかどうか、そのことについて一つ……。
  79. 加納久朗

    加納参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。大阪の場合に一万何千、二万円近い家賃のアパートはございますが、これは建築の構造上やむを得ず上の方にそういうのを作った、そういう場所が出てきたものでございますので、やむを得ず作ったということと、一つは都会地にこのくらいのものもどういう需要があるかということで、ためしでやってみたわけでございます。しかしこれは公団の作っております家のうちから申しますと、ただいま十一万のアパートの所有者になっておるわけでありますが、その中の数十というわけでありまして、非常に少いのであります。どうも一万円以上の家賃はやはり評判も悪うございますし、今後はすべて一万円以下に押えたい、そして大体平均のところは六千円程度でいきたい、こういう方針で三十四年度の計画は立てておるわけでございます。その点御了承願いとうございます。それから今の住宅公団が団地を作っていくのに、地方公共団体と十分連絡をしていくようにというお話でございます。これはもう極力市、町村、府県と協力してやっておるわけでございます。それから学校の場合のお話がございましたが、学校につきましては市町村が学校を建てることのできなかった場合には、住宅公団が敷地及び建物を提供いたしまして、三年賦、四年賦で市町村の都合のいいようにして年賦で市町村に売り渡すことにしておりまして、今日十五の学校を作っておる次第でございます。それから下水、汚水処理等につきましては、団地を作りますときには最初から下水道と水道とガス管を入れまして、しかる後に道路を作ってわきに家を建てる。こういうようなやり方でやっていますので、これはぜひ私どもの仕事をごらんになっていただきたい。日本としては画期的な宅地造成をやっているわけでございます。
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 住宅公団の総裁にもう一点だけ確かめておきますが、あなたは下の方を店舗にする場合に、環境を乱すようなものはやらない、こういうことだったですね。少くともそこへ東光ストアのようなものが入って付近の商店街、小売商との間に物議をかもす、こういうことは環境を乱すということにならないかどうか、どういうふうにお考えになりますか。
  81. 加納久朗

    加納参考人 私はそういうふうに考えておりません。私の申す環境というのは、住宅に入っている人のために悪に環境を作っては相済まぬというふうにだけしか考えておりません。まことに思慮が至らぬのでありますけれども、それだけしか私の知恵が回りません。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは上に住んでおる人の環境さえよければ付近はかまわない、こういうことですね。
  83. 加納久朗

    加納参考人 どうもその今の御質問は少し極端な御質問のように考えます。環境の悪いところには住宅を作つちやならぬのですから、非常に環境が悪くなればやっちゃならぬと思います。
  84. 田中武夫

    田中(武)委員 そういう問題を起すとか、物議をかもすとかいうことがわかっているところへ、そういうものを持っていくということはどうか、こういうことなんです。
  85. 加納久朗

    加納参考人 物議をかもすと思わないで作ったわけでございます。
  86. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ物議を現にかもしているから、これは考慮しますね。
  87. 加納久朗

    加納参考人 物議をかもしているとすれば、できるだけその物議の小さくなるように今後努力いたします。
  88. 田中武夫

    田中(武)委員 わかりました。物議をかもすならば考慮する、けっこうです。そこで次へ入りたいと思います。時間もだいぶんかかりましたので、私は簡単にいきたいと思うのですが、東光ストアに関連してですが、今度は公正取引委員会にお伺いしたい。駕籠町の東光ストアの問題につきまして昨年の二月十日、地元の商店代表の方から公取に私的独占禁止法三条違反の提訴がなされております。このことにつきましては、去る七月三日私から若干の質問をいたしましたが、その後の経過を一つ承わりたいと思います。なお提訴せられてすでに一カ年、その間結論が出されていないようですが、それはどういうわけなのか、あるいはこれは憶測ですが、独禁法緩和の動きと相待って、独禁法緩和をせられたならばこれを却下するというつもりで延ばしているのではなかろうか、こういうふうに思いますので、その間における経過を、簡単でけっこうです、要点だけをとらえて言っていただき、同時に見通しを言っていただきたい。
  89. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 ただいま田中先生からの御質問、まさに二月にわれわれは申告を受けまして、それから当委員会でもたしか二度ぐらい状況を聞かれました。結論から先に申し上げますと、二月から私の方の審査都で十分審査いたしました結果、提訴の私的独占に該当する事実がないということで、十一月の委員会で、日にちは忘れましたが、一応本件は不問にするということに決定いたしております。その私的独占に該当しないということは、現在の独禁法の法上から申し上げますと、これはもう田中先生十分御承知だと思いますが、私的独占のあの三条の規定から申しますと、排除する行為というものが、一定の取引分野における競争を自主的に制限するという、排除する行為が非常に強く出て参らなければならないのでございますが、東光ストアの場合は、特に人為的にこれを排除するという法律解釈が成り立たない、こういう建前をとったのでございます。
  90. 田中武夫

    田中(武)委員 今の御答弁によると、この三十三年二月十日に出された申告は、独禁法三条には該当しない、こういうことで却下、こういうことなんですね。ではお伺いしますが、そのときの調査に当りまして、東急のコンツェルンというか、これの実態等を御調査になりましたか。
  91. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 十分調査して資料も詳細なものを作りまして、その東急が持株会社に該当するかどうか――資料もございますけれでも、これは長くなりますが、一応法律解釈は独禁法の九条の持株会社には該当しない、こういう結論になっております。
  92. 田中武夫

    田中(武)委員 いわゆる独立機関で準司法的な存在である公正取引委員会の去就に対してはとやかく申しません。そこで要求をいたしたいのですが、それの結論をせられるに至る調査事項、ことに東急コンツェルンの実態とそれから三井物産等のあの実態、こういうことについての調査の資料をいただきたいと思います。しかる後にまたあらためて当委員会において意見を聞きたい、このように思います。時間がありませんから次に市場の項へ入りたいと思います。長官にお伺いいたしますが、市場の項なんかは十分考えられた、こういうことですが、去る二月五日に参考人意見を求めたときに、市場代表者が、ちょうどあなたのすわっている場所かその隣りだったかではかれた参考意見は、長官も十分聞かれたと思うのですが、政府案においていわゆる市場の乱立の防止が可能であるとお考えですか。
  93. 岩武照彦

    岩武政府委員 前々から申しておりまするように、可能だから提案したわけであります。
  94. 田中武夫

    田中(武)委員 これは賃貸契約を抑える、こういうことだけですね。その市場を建てること自体は抑えない。従って市場を建てて、一つ一つ区分をして売るという場合は、これはもう規制できませんね。どうですか。
  95. 岩武照彦

    岩武政府委員 お尋ねの点が建売りということであれば、これは規制できないと思います。なぜ乱設防止になるかというのは、この前から二度も三度もお答えいたしておりますので、省略いたします。
  96. 田中武夫

    田中(武)委員 それで答弁は済んだのですか。えらい簡単だな。市場それ自体を押えるのでしょう。ところがいわゆる建売り屋が建ててどんどん売っていった場合は、幾らでも市場はできますね。
  97. 岩武照彦

    岩武政府委員 買った人がどういう条件でそれを貸し付けるかということで規制できると思います。このこと自体は規制できないわけです。
  98. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると政府のといいますか、あなたの市場に対する規制の考え方は、建てた市場を賃貸しするときに、その契約で見ていこう、こういう点だけであって、建売り屋がどんどん市場を建てる、それをどんどん一軒々々区切って人が買っていく、そうした場合は幾ら市場が建ってもそれは本法ではどうにもできないし、そういうような市場は小売商の正常な秩序を阻害するものではないという見解なんですか。
  99. 岩武照彦

    岩武政府委員 市場の建物を建てただけでは、これは市場にならないのであります。それを数個の小売商に貸し付けて初めて市場になるわけであります。建売りでたくさん作ってもけっこうでありますが、それを買った人が適正な条件で小売商に貸し付けられるかどうかというところが問題であります。われわれの解釈によりますれば、要するに貸し付けることに、何らかの小売市場という建物の増加あるいは転貸の理由、建売りの盛行を来たす何か理由があるのだろうということを申し上げたのであります。従って建物を建てるのは自由でございますが、それを小売商に貸して市場というふうな形になるかどうかというところは問題であります。われわれはこういうふうなうまみのあるのを押えて、そういうものの建設を防止しよう、こういうわけでございます。
  100. 田中武夫

    田中(武)委員 いや市場を建てるより、それを一つ一つ貸したときには貸す契約によって押えていける。それを一人々々が、甲乙丙丁が買う場合ですね。買って入るんですよ。この場合抑えられませんね。それはやはり市場としての機能を果さないのでしょうか。借りて入るのと買うて入るのとではどう違いましょうか。
  101. 岩武照彦

    岩武政府委員 部分的な建売りのお話だと思います。そういうことができますかどうか私よく存じませんが、もしそういうようなことがいろいろな不動産の手続上できるということでありますれば、それはこの法律では防止できないと思います。登記その他の関係でそういうことはなかなかむずかしいだろうと思います。
  102. 田中武夫

    田中(武)委員 いわゆる建売り屋というのですか、これは相当賢いと思います。こういうのができると今度は一つ一つ売るということをやっていく。少くとも賢明な長官はそのことは御存じだと思う。御存じでありながら、底抜け、かご抜けのざる法を作ることが最初から目的だった、こう断ぜざるを得ないと思いますが、いかがですか。
  103. 岩武照彦

    岩武政府委員 われわれはざる法を作るような考えは毛頭ございません。大部分の場合はこれで規制できると思います。ただ世の中には、なかなか狡猾な法網をくぐる人が多いわけでございますから、そういうようなことで、脱法的にいろいろなことをすることがあり得るのですが、そのときにはまた別途こういう法律改正しなければいかぬだろうと思いますが、私の見通しによりますれば、この法案によりまして多くの場合は防止できると思います。
  104. 田中武夫

    田中(武)委員 すでに法律を作るときに脱法行為のあり得ることがわかっておるのにその法を作るということは、立法者としてはどうなんでしょうね。
  105. 岩武照彦

    岩武政府委員 私はそういう場合はたくさん行われるとは思っておりません。ただ取締り法規ができますれば必ず裏をくぐるのが出てきますのは、今までの法律通りであります。しかしそういうことがいろいろ手続的にできることがどうか。私はあまり賢記法とか、その他のことを存じませんけれども、少くともこういうことで、多くの場合は当然規制できる。第一そういうことをやりますれば、相当高い権利金とかなんとかになりましょうから、そうなれば中に入っておる店がやっていけないという問題がありますので、動機は経済的な動機でありますから、動機を抑えるのが一番の根源だろうと思っております。
  106. 田中武夫

    田中(武)委員 一ぺんに払わなくても――これは賃貸契約を抑えるのでしょう。売買契約をして、その価額は月賦で支払うという契約なら抑えられないわけです。私は、長官としては、もうすでに脱法行為が行われ得る可能性の強い法規は作るべきではないと考えまして、でき得ればこの法案を撤回せられるよう勧告したいのですが、しかし法律はあなたが作るのではなくてわれわれが作ります。従って十分与党の諸君とも相談をしていきたい、このように考えております。それから次に、いつでしたか、昨年末の中井委員質問に答えての御答弁の中に、市場とは生肉、生果、生魚ですか、何かなまの三つがそろうたものを市場という、こういう御見解のようですが、そうですが。
  107. 岩武照彦

    岩武政府委員 今世の中で言われております小売市場というものは、そういうふうな生活必需品を売っておるのが通常でございます。従って普通一般の集団店舗と区別する点は、やはりそこにあるのだと思っております。
  108. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、その三つのうち二つだけははずす、こちら側はその三つのうち一つだけはずす、こういうのなら可能なのですね。
  109. 岩武照彦

    岩武政府委員 そういうふうにもぐってくれば、そういうこともできるわけであります。
  110. 田中武夫

    田中(武)委員 語るに落ちるで、中小企業庁長官は、小売市場の件については十分考えられずに、すでに抜け道を考えてこの法案を出された、こう断定せざるを得ないと思います。委員長に申し上げます。私実は八項目にわたって質問をする予定で、現在四つ半ばでございます。あとその一番いいところの生協の問題等が残りますが、時間の関係もございますので、この点を保留をいたしまして一応質問を中止いたします。しかし次には大臣にぜひ出てきてもらって、あとの四項目に対しての質問をさせていただくことをお願いしておきまして、ちょっと休みます。
  111. 長谷川四郎

    長谷川委員長 小売商業特別措置法案審査は一時保留いたします。     ―――――――――――――
  112. 長谷川四郎

    長谷川委員長 特定物資輸入臨時措置法の一部を改正する法律案プラント類輸出促進臨時措置法案の両案につきまして質疑を進めます。板川正吾君。
  113. 板川正吾

    ○板川委員 プラント類輸出促進臨時措置法案の大体私の質疑は終ったのでありますが、参考人を呼びました結果、参考人意見等を聞いた上で、最後に一つ確認をし、質問を一、二申し上げて終りたいと存じます。参考人によって明らかにされましたが、中小プラント・メーカーは、本法の成立によって政府より業務を委託される社団法人日本プラント協会が、その委託業務を執行するに当って、公正を欠く運営をすることをおそれておるわけであります。そこで中小プラント・メーカーの一致した希望といたしましては、委託業務を執行するに当って委員会か何か設けてほしい、そうしてその委員会には、日本プラント協会加盟メンバーのほかに、中小プラント・メーカーの代表者も参加さしてほしい、こういうことが要望されておるのが第一点であります。第二点は、本法はプラント輸出に関して補償関係を規定いたしましたが、プラント輸出の隘路となっておるところのコンサルティングの体制強化という点については、実質的に触れておらない。そこで中小企業プラント・メーカーとしては、これを強化してほしい。そうして技術者のチャーターができるような措置を将来講じてほしい、こういう要望をいたしておるわけでありますが、この二点に対して、実は大臣にお伺いしたがったのでありますが、出席できないようでありまするから、重工業局長に御答弁を願います。
  114. 小出榮一

    ○小出政府委員 プラント類輸出促進臨時措置法に関連いたしまして、先般参考人の御意見も拝聴いたしました。ただいま板川先生の御指摘になりました二点につきましては、まず第一段の、このリスク補償業務は指定機関といたしまして、とりあえずは社団法人日本プラント協会に業務を委託いたしまするけれども、プラント協会の構成その他から見まして、中小のプラント・メーカーなり、あるいは中小のコンサルダントの意見を十分運営面に反映し得るような組織を考えたらどうかという点につきましては、私どもも全く同様に考えておりまして、実際これを運営いたしまする際には、先般もお答えいたしましたように、まあ実際はどういう形になりますか、一つ方法としては運営のための委員会というようなものも設けまして、プラント協会の本来の業務とは切り離しまして、別個の組織を作って、そこに中小のプラント・メーカーなり、あるいは中小のコンサルダントの意見を十分反映し得るような組織を考えていきたい、かように考えます。それから第二段の御指摘がございました、この法律はプラント類の輸出促進ということが眼目でございまするが、その中身はリスク補償制度のことだけに触れておりまして、本来の目的でありまする、日本における強力なコンサルタントを育成強化するという面においては、確かに不十分であると思います。従いまして、今後そういう面につきましては、とりあえずはプラント協会その他のコンサルタントの育成強化に努めまするけれども、できますならば、将来はその中核体になるような強力な、たとえば政府出資の特殊法人というものも考えたいと思いますけれども、とりえずは既存の各種の手段を強力に進めて参って、技術者等もできるだけ広くプールし、チャーターできるような組織に育ちますように運営して参りたい、かように考えております。
  115. 板川正吾

    ○板川委員 以上、私重工業局長の御答弁によって、私の質問を終ります。
  116. 長谷川四郎

    長谷川委員長 始関伊平君。
  117. 始関伊平

    始関委員 時間がございませんので、問題をしぼりまして、簡単にお尋ねをいたします。特定物資につきまして、外貨の割当が行われるわけでございますが、これは一般の為替管理法に基いて行われる。その際におきまして、国内の需給関係、従って国内における生産の事情も考慮されるわけでございますが、しかしながら、外貨の割当そのものは、これは為替管理法の第一条にございますように、外貨資金の有効な利用をはかる、こういう建前であって、国内産業の保護というものをあまり直接に目的とするものではない。この点は、この前の委員会通商局長からはっきり御答弁がありましたので、あらためてお尋ねをする必要はないと思います。これを時計の場合に当てはめて申しますと、国内でだんだん生産が伸びてきた、こういう事実、それと同時に、それにもかかわらず外国産の腕時計についても相当な需要があるということ、そうしてそれを裏づける材料として、いわゆる密輸が驚くべきほど多数あるということが推計せられる、こういったような事情を考えて、同時に、時計というものの国民生活から見た緊要度、それも考えて、外貨資金の割当をする、この辺までは何人も異論のないところであると思うのでございます。ただしかしながら、例の特定物資法に基く為替管理の認め方につきまして、国内の時計産業というものの保護をねらっておるというよりほかには説明のしようのないような、そういう運用をしておるとすれば、これは為替管理法第一条の趣旨から見て適当ではない、こう思うのでございます。ここで問題になりますのは、時計の輸入につきまして、ムーヴメントでは四ドル半、また完成品では六ドル以下のものはいかぬのだ、こういうふうになっております。外国の時計といえども、きのうも中川政務次官が言われたように、すべて優秀な時計というわけでございませんので、非常に下等な粗悪品については、これを輸入を認める必要はない、これは外貨の有効利用にはならぬという趣旨において、私はこれを了承いたします。ただ、そこまでこまかい規制をするのが適当であるかどうか。またこういう例はほかにはない。外国にはもちろんない。そういう意味で、あまり好ましい制度ではなかろうと思いますけれども、それはよろしかろう、こう思います。一方、国内でできます時計というのは、元は五千円内外、それがだんだん品質がいいものができまして、ただいまでは一万円ぐらいのものまでできる、こういうことになっております。ところが、時計メーカーの業界におきましては、特に全部とは申しませんが、少くともその一部では、国内で一万円までの時計ができるならば、それと同じと申しますか、同一以下に値するような、そういう品質の時計というものについては、輸入を認める必要はないんだ、こういう考え方がある。これはかつて通商、電工両当局に時計業界の代表が、十ドル以下の時計の輸入は禁止してもらいたいというような陳情をいたしたことによっても、私は明らかであると思うのでございます。ところが、さっき申し上げたように、結局外国の腕時計の輸入を認めるということは、これは密輸の防止である。あるいは国内産業に刺激を与えるのだとかいろいろございますが、要は国内に需要があるからこれを認めるのだということに私は帰するのだと思います。国内に需要があるという点におきましては、一万円以下も以上も同じである。一万円以下については国内でも需要がないのだ、国産品で間に合って、外国品は需要がないのだということならば別でありますが、事実はそうではないのでありまして、密輸品もこのランクに位するものが一番多いという事情によっても、一万円といラインであるいはこれは将来もう少し上のものができるとして、一万五千円のラインで、輸入を認めるとか認めないとかそういう規制をすることは、これはまったく意味がない。もしそういうことをすれば、これは国内産業の保護を直接にやっておるという考え方にならざるを得ない。これは先ほど申し上げました為替管理法第一条の精神から見て適当でない。それで私は通産省の御当局は、重工、通商両当局もだんだん関連がはっきりいたしまして、ただいま私が申したような意味での輸入制限禁止価格というものを考えていらっしゃらないようでありますが、この問題は将来とも問題が起って参る可能性がきわめて大きいと思います。この際通商、重工両局長、特にこの問題に関係の深い、重工業局長の明解なる御答弁をお願いいたしまして、その答弁が満足いたすものであれば、御質問は一回限りでやめる、こういうことでございます。
  118. 小出榮一

    ○小出政府委員 腕時計の輸入につきまして、昨日主として密輸の問題に関連をいたしまして、関税当局あるいは警察当局から詳細御答弁がありまして、密輸の関係については御承知通りでありますが、ただいま御指摘がございますように、腕時計につきまして現在輸入について外貨割当方式をとっておりまする趣旨は、御指摘の通り外国為替管理法の第一条に書いてございまする外貨の有効利用というところに主眼があるわけでございまして、これは輸入一般について同じようなことが言えるわけでございますが、できるだけ国産品を助成し育成していく、不必要な輸入は抑えるというのは当然でございますけれども、腕時計の場合におきましては、やはり同様に外貨の有効利用という趣旨に基きまして、外貨資金の割当方式をとっておるわけでございます。直接に国産品の保護、国産品メーカーの保護をせんがために、それを直接の目的にしてやるという建前ではございません。従来ある程度輸入の場合につきまして平均単価についての一定の制限をいたしておりまする趣旨も、やはりその外貨の有効利用という趣旨町に基きまして、できるだけ粗悪品の輸入を防止いたしまして、将来国産品につきましても漸次品質の向上をはかるような刺激を与える意味におきまして輸入を続けていきたい、こういう趣旨でございます。かたがた、一方において密輸の抑制という面も両々相待ちまして、そういう趣旨において運用して参ったわけでございます。将来におきましても、ただいま御指摘になりましたような一万円とか、あるいは一万五千円とかいうような線で、これを線をひっぱっていくという考え方はとらないつもりでございまして、やはり外貨の有効利用という大前提に基きまして、国産品の品質向上に刺激を与えていき、粗悪品の輸入を防止するというような趣旨と密輸の防止という点を考えまして、この方式の運営を今後続けていきたい、かように考えます。
  119. 田中武夫

    田中(武)委員 特定物資輸入臨時措置法改正法案について、一言だけお伺いしておきたいと思います。本法の改正は六年延長ということになっておりますが、ちょっと不思議に思うのは、基本法といいますか。最初が三年で出発して、改正がその倍の六年になっておるところに、ちょっと長過ぎるんじゃないか、このように今考えますのと、あるいは最初の三年が短か過ぎたのか、こういうことも考えられますが、三年のものを二年とか一年延ばすのならともかく、三年を六年延ばすということが、ちょっとふに落ちぬ点があるので、その点をお伺いしたいのと、この六年の間に、もっと別なことを考える余裕があるのかどうか。この点をお伺いいたしておきます。
  120. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 実は現行法の三年を六年に改正を願っておるのでありますが、これは結局あともう三年延長していただきたい、こういうことなのであります。結局日本の国際収支の状況が、今後どうなるかという問題に関連するわけでございますが、われわれといたしましては、まだあと三年程度は、それほど輸入制限を大幅に緩和するようなことはないのではないかという前提に立っておるわけでございます。しかし幸いにしまして輸入管理の必要が漸次薄くなって参りますれば、もちろんそのあと三年の有効期間内におきましても、品目を削除するなりいたしまして、事態に即応する、こういうふうに考えております。
  121. 田中武夫

    田中(武)委員 三年を六年というて、六年延ばすのじゃない。私が最初から言っておるのも、三年を倍にすることはない、こういうことをお伺いしておるのです。
  122. 松平忠久

    松平(忠)委員 最後の点について、ちょっと田中君の質問に対する答えが、私明確を欠いておったと思うのだけれども、この制度自体はあまりいい制度じゃない。従ってこれは時限法になったわけです。バナナにしろその他いわゆる特定物資を、こういうような制度でもって差益を取ってやっていくことが、日本の貿易政策並びに関税政策等からいって、きわめて例外的なものなのです。だから三年以内に何らか新しい制度を考える必要があるのではないか、こういうふうに思うと同時に、田中君の質問もそこにあったと思うのです。そこで念のためにお伺いしたいのだけれども、この制度自体に対して何らかそれを改善していくか、違った制度にこれをしていこうとする考えがあるのかないのか、またこの三年以内にそういう考えに基いて研究してみるつもりがあるかどうか、こういうことなのです。その点について念のためにもう一度お伺いしておきたい。
  123. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、確かにわれわれもこの制度がよいやり方とは実は考えておらないわけであります。いろいろな国際的な貿易慣行から申しましても異例のことに属しますので、事情の許す限りはこういう制度は早くやめる方がよいのではないか、こう考えております。ただ情勢がこういう制度の廃止を許さない場合においても、何か別の新しい考え方がないかというお尋ねかとも思うのでありますが、これはわれわれはまだ定まった考え方ではございませんけれども、御存じのように東南アジア市場一つをとりましても、若干割高な物資を輸入いたしまりせんければ、その地域への輸出もできないということもありますし、またこれらの物資、今特定物資のごときものについて差益が全然なくなってしまう、いわゆる通常の利潤以内におさまってしまうこともあるいは考えられないといたしますれば、それをかみ合せたような方法なり組織なりについて考える必要があるのではないか。といいますれば、輸出振興のために輸入の振興もいたすという場合に、やむを得ず発生する差益を利用するような方法なり機構も、実はかねてから考えておるのであります。まだ今のところは成案を得ておりませんが、一つなおそれらの点について今後考えを進めたい、こう思っております。
  124. 長谷川四郎

    長谷川委員長 この際お諮りをいたします。特定物資輸入臨時措置法の一部を改正する法律案及びプラント類輸出促進臨時措置法の両案についての質疑を終了するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
  126. 長谷川四郎

    長谷川委員長 引き続き両案についての審査を進めます。まず特定物資輸入臨時措置法の一部を改正する法律案についてお諮りをいたします。本案の討論につきましては通告がありませんので、これを行わず、直ちに採決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。採決をいたします。本案を康案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     ―――――――――――――
  129. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次に、プラント類輸出促進臨時措置法案についてお諮りいたします。本案の討論につきましては、通告がありませんので、これを行わず、直ちに採決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。採決をいたします。本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって本案は原案の通り可決いたしました。なお、本日議決をいたしました両案に関する委員会の報告書に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。本日はこれにて散会をいたします。次会は明日午前十時より開会をいたします。     午後一時一分散会      ――――◇―――――