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1959-02-25 第31回国会 衆議院 商工委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月二十五日(水曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 長谷川四郎君    理事 小川 平二君 理事 小泉 純也君    理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君    理事 南  好雄君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       新井 京太君    岡部 得三君       鹿野 彦吉君    川野 芳滿君       木倉和一郎君    始関 伊平君       關谷 勝利君    中井 一夫君       西村 直己君    濱田 正信君       細田 義安君    山手 滿男君       板川 正吾君    今村  等君       内海  清君    大矢 省三君       勝澤 芳雄君    小林 正美君       鈴木  一君    堂森 芳夫君       中嶋 英夫君    水谷長三郎君  出席政府委員         総理府事務官         (警察庁長官官         房長)     原田  章君         通商産業政務次         官       中川 俊思君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (重工業局長) 小出 榮一君         通商産業事務官         (繊維局長)  今井 善衞君         通商産業事務官         (鉱山局長)  福井 政男君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         保安課長)   中村 隆則君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      木村 秀弘君         通商産業事務官         (通商局次長) 中野 正一君         参  考  人         (日本バナナ輸         入団体連合会副         会長)     並川 義隆君         参  考  人         (バナナ業者同         志会会長)   柴田  勇君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 二月二十五日  委員福田赳夫君辞任につき、その補欠として川  野芳滿君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一三二号)  繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一四一号)  特定物資輸入臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第六〇号)      ————◇—————
  2. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 これより会議を開きます。  まずプラント類輸出促進臨時措置法案小売商業特別措置法案商業調整法案特定物資輸入臨時措置法の一部を改正する法律案硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法の一部を改正する法律案石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律案及び繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案、以上七法案一括議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。鈴木一君。
  3. 鈴木一

    鈴木(一)委員 石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律案についてお尋ねしたいと思いますが、十九日の委員会で若干お尋ねしまして質問を保留してありますのでそこから続けていきたいと思います。  政府の御答弁では開発計画がまだはっきりしないために予算総則にも盛ることができなかった、こういうふうなお答えであったと思いますけれども、私から申し上げるまでもなく、五カ年計画進行中のことでもありますし、またこの法案の第八条を見ますと「会社は、毎営業年度の開始前に、その営業年度事業計画資金計画及び収支予算を定め、通商産業大臣認可を受けなければならない。」というふうなことがはっきり規定されておりますので、開発計画がまだはっきりしないということは、ちょっと私どもにはふに落ちないわけでございます。その点一つお尋ねしたいと思います。
  4. 福井政男

    福井政府委員 ただいまの御質問の点につきましてはごもっともな御質問だと思いますが、ただこの前も申し上げましたように、開発地点をきめまして、具体的な金額をはっきりとはじきますのは、石油資源開発の性質からみまして、年度当初に必ずしもはっきりと概定し得ない点がある、こういうことを申し上げたわけでございます。ただこの前申し上げました点に一つつけ加えてお答え申し上げたいと存じますのは、そういう状況にございますが、ただ年度の一般的な感じから見まして、日本開発銀行融資に期待いたしておりますのが相当部分ございます。従いまして本年度開発銀行融資で相当まかない得るのではなかろうかというような感じを持っておりますが、この点は現在の見込みでございまして、もう少し開発地点の具体的な計画が進展いたさないと最後的なことははっきりわからないと存じますけれども、大よそのところ開銀資金で間に合い得るのではなかろうかというような感じを持っております。
  5. 鈴木一

    鈴木(一)委員 そうしますと開発銀行の方と会社の間で、あらかじめ大体どのくらいの開発資金がほしいというようなことの打ち合せができて、内諾のようなものがとってあるわけでございますか。
  6. 福井政男

    福井政府委員 一応開発銀行にいろいろ計画を説明いたしまして、従来からずっと打ち合せをいたして参っております。開銀の方に期待いたしております金額は、三十三年度分の資金としまして五億程度のものを期待いたしておりましたが、これもまだ融資が行われませんで繰り越されて参っておりますので、会社開発銀行との資金計画の打ち合せば、従来からずっと緊密に連絡をいたして参っております。
  7. 鈴木一

    鈴木(一)委員 そうしますと今度の法改正によって国の債務保証が確立されれば、会社開発銀行に目下交渉中の開発資金は大体間違いなく借りられる、こういうことになりますか。
  8. 福井政男

    福井政府委員 今回の債務保証によりまして、資金の供給を確保しようというふうなことを意図いたしておりますのは、市中銀行融資がなかなかつかないということで、債務保証規定を置いていただくことにいたしておるわけでございまして、開発銀行政府機関でございますので、おそらく開発銀行から借りますものにつきましては、債務保証関係は必要がないであろう、かように解釈いたしております。
  9. 鈴木一

    鈴木(一)委員 第八条では会社事業計画資金計画収支予算通産大臣認可を得なければならないことになっておりますが、この計画通産大臣のところにはまだ出てないのですか。
  10. 福井政男

    福井政府委員 会社事業計画認可申請でありますが、間もなく三十四年度分が出ると思います。これは予算を現在国会に提出しておりまして、この関係政府出資が入っておるわけでありまして、これのきまりましたのが一月でございますので、会社は具体的な事業計画を、現場と検討をいたしましてようやく最後的な段階になっておるわけでありますが、ただ先ほど来お話の出ました当初確定し得ないかどうかということにつきましては、事業計画が間もなく三十四年度分が出て参りますけれども、はっきりいたしました地点で、今度債務保証関係するような部分か出てくるというようなことになりますと、変更の認可申請が出て参ると思います。
  11. 鈴木一

    鈴木(一)委員 法律第一条に「会社目的」として急速かつ計画的に石油資源開発を行うことになっており、その趣旨に沿うて五カ年計画も立てられている、こういうふうに理解するわけでございますが、しかもこの政府出資あるいは債務保証というふうな予算関係のある問題もからまってきておりますので、少くともこの十二月中あたりまでにはその翌年度会社事業計画ができるというふうに事が運ばれる方が、万事都会がいいのではないかというふうに考えるのでございますが、そういう点では少し会社やり方あるいは政府やり方計画性がなさ過ぎる、ルーズ過ぎるような感じも持つわけですが、その辺はいかがなものでしょうか。
  12. 福井政男

    福井政府委員 仰せの点はごもっともでございますが、探鉱計画なり開発計画は、一般的にはずっと計画的にやっておるわけでございますが、今度各年度の具体的な事業計画になりますと、御承知のように政府出資に依存する資金が大部分でございますので、その関係予算できまりませんと、最後的な事業計画はできがたい。それから御承知のように政府出資が三十四年度二十億でございまして、そのほかに民間出資七億五、六千万を予定いたしておりますが、これも民間融資の方をはっきりと見当をつけなければなりません。そういうようなことでございまして、なかなか事業計画の具体的に立ちますのが、予算等の関連で若干おくれてくるということでございまして、できるだけ私ども早目にするように努力いたしたいとかように考えております。
  13. 鈴木一

    鈴木(一)委員 この法律が通ったあと、債務保証の問題が起ってくるわけでありますが、大体金額にしてどのくらいのものが予定されておりますか。
  14. 福井政男

    福井政府委員 現在のところまだはっきりした額が先ほど来申し上げておりますように、出ておりません。ただ三十四年度は先ほど申し上げましたように、あ錢いは大体開銀資金で間に合うのではなかろうかというような感じも持っておりますが、大きい地点で具体的な計画ができるような段取りになりますと、やはり民間資金に依存しなければならぬという関係が出てくると思っております。しかしそう大きな額にはならないだろうとかように考えております。
  15. 鈴木一

    鈴木(一)委員 大体了解したのでございますが、予算がきまらなければ従って計画が立たないんだ、政府出資その他がきまらなければ計画も立たないんだということでございますけれども、大体十二月あるいは一月初めには予算のと原案ができるわけなんですね。こういうわれわれ全員一致できまった法案、しかも国内資源開発という非常に重要な問題に関する法案でございますし、会社出資が少いとか、そんなことでけちつけるわけでもありませんし、一応その予算できまれば、そのまま通っただろうと思うのですね。ですからもう少し早く予算がきまらなければ計画ができないんだということでなくて、大体予算がきまるころには会社計画もできているんだというふうに運ばれなければ、五カ年計画のすみやかな実施というものは私、できないんじゃないかというふうに考えますので、その辺については答弁は要りませんから、今後特段の工夫をお願いしたい、こういうふうに思います。  それから五カ年計画のことでちょっとお伺いしますが、大体この五カ年計画国産原油をどのくらい生産するのが目的であったか、その点お伺いします。
  16. 福井政男

    福井政府委員 五カ年後に既存の従来生産いたしております量と合せまして、百万キロの国産原油生産を確保いたしたい、これが五カ年計画目的でございます。
  17. 鈴木一

    鈴木(一)委員 三十三年度でどの程度まで国産原油が出るのですか。
  18. 福井政男

    福井政府委員 月に約二千キロ程度でございます。
  19. 鈴木一

    鈴木(一)委員 それで進むと、二十七年度には予定通り百万キロリットル生産できるのですか。
  20. 福井政男

    福井政府委員 私ども確保いたしたい、かようなことで努力いたしておるわけでございます。
  21. 鈴木一

    鈴木(一)委員 五カ年計画によりますと、これは修正された五カ年計画であろうと思いますけれども、二百六十本井戸を掘る、こういうことになっておると思いますが、三十三年度実績では百二本しか掘っていないのですね。そうすると、三十四年度計画では、私の伺っているところでは、三十八本掘る、このうち海底が五本、陸上が三十三本というふうになっております。おそらく三十五年度も、この調子では三十四年度程度の四十本くらいしか掘れない、こういうふうに思うわけでありますが、そうしますと、三十三年度実績百二本に対して、三十四年三十八本、三十五年大体四十本というふうに見ますと、百八十本しか掘れない。そうすると二百六十本に対して七〇%の遂行率にしかならないわけでございますが、これで予定通り百万キロ・リットル生産するということができるのかどうか、その点を一つお伺いしたいと思います。
  22. 福井政男

    福井政府委員 五カ年計画では一番最初の計画では、ただいまのお話にございました試掘口数では二百八十八本というふうな予定をいたしておるわけでございますが、それを修正いたしまして百十本ということにいたしまして、その実績が百二本、かようになっております。この数字は三十年から三十三年度までの実績でございます。従いまして修正計画に対しては大体近い数字をとっておるということになっておりますが、もともと当初の試掘計画といいますのが、やはり少し大き過ぎたのではなかろうか、かように考えております。いずれにしましても生産の方でございますが、試掘は掘っていっておるけれども、まだなかなか思うように油が出てないというのが仰せのように実情でございまして、これが三十六年度に所期の目的を達成し得るかどうかということは、一に今後の探鉱開発に待つところでございますが、日本石油資源を大がかりに調査するのはこの五カ年計画が初めてでございまして、これによって大いに石油資源を探し当てたい、こういうことで努力いたして参ったわけでございます。これからまたやるわけでございますが、なかなか資源状況から生産量につきましては思うような成果を得ていない、これが実情であります。
  23. 鈴木一

    鈴木(一)委員 その成績が上ってないというふうな原因、また五カ年計画予定通り進行していないというような原因は、結局資金がないためにできないのか、あるいは技術が悪くてうまく掘り当らないのか、あるいは日本の自然的な条件が非常にむずかしいのか、あるいはこの三つの問題が相互にからみ合っておるのか、その辺の事情をお伺いしたいと思いますが、私はやはり国の積極的な助成が足りないために予定通り計画が進んでいないのじゃないか、こういうふうにも思うわけでありますが、その辺の事情主管官庁としてどういうふうにお考えになっておりますか。
  24. 福井政男

    福井政府委員 仰せのようにいろいろの関係が総合しておると存じますが、今までのところでは、石油資源開発株式会社では、会社としましては非常に力を上げて努力をいたしておるわけでございます。ただ今までの実績から見まして油が出ないということは、賦存状況のいいところに当らなかったということであろうと思います。今後私どもは海洋掘さくにも本格的に手をつけますし、何はともあれ、大いに油の出ることを実は期待いたしておるわけであります。  それから資金量につきましては、会社計画に対しましてはかなり削減された数字になっておりますが、当初の五カ年計画のときの計算から見ますと相当開きもございますが、何分当初の計画はほんとうの計画であったような面も多分にございまして、現在実行いたしておりますのは、やむを得ず最大限の予算の範囲内でやっておる、こういうところでございます。ただ仰せのように全体的に見まして、外国石油資源探査等の国の資金のつぎ込み方等から見まして、今後私ども資金の獲得にはなお一段の努力をいたして参りたい、かように考えております。
  25. 鈴木一

    鈴木(一)委員 今局長みずから言われましたように、外国の例と比べて国の援助あるいはその他の協力が足りないというふうなことでございますが、アメリカあたりの例を見ましても、もちろんそれは立地条件がいいという点があるかもしれませんけれども、成功した井戸一本に対して計算してみれば、四億くらいの金がつぎ込まれておるというのが実情のようでございます。わが国のようなところでは、アメリカとは国力も違うし、同じようなことをしろといってもできないかもしれませんけれども、国の方がせっかく法律を作って、こういう会社を発足さしておるわけでございますから、もう少し国の積極的な資金援助も必要であろうと思いますが、政務次官、その点どういうふうに思われますか。
  26. 中川俊思

    中川(俊)政府委員 お説ごもっともです。ただ私は先ほど来ここで鈴木さんと局長との問答を聞いておって感じますことは、大体金をうんとつぎ込んでどんどんやらなければならない。そして石油を出さなければならないのでありますが、日本における石油資源というものが非常に乏しいということが、一番大きな問題であろうと思うのです。しかしそれならば乏しければ、何も日本でそんな金を使わないで、石油のあるところから持ってきたらいいじゃないかという議論にもなりますけれども、できるだけ内地でとれるものはとりたいという観点から、乏しい財政の中から若干の金をさいてやっておるわけでありますが、安物買いの銭失いということがありますが、どうも金のたくさんない者は、いい品物を買えば長く持つのだから、いいものを買ったらいいじゃないかということになるのですが、やはり金がなければいいものを買うことができない。やはり安物を買ってその場をしのがなければならぬというのと、やや似た例でございまして、やはり国家の財政の乏しい中から若干をさいて、石油を何とかして掘り当てようというところに無理があるだろうと思うのです。しかし鈴木さんのお話の点、十分政府といたしましても考慮しまして、できるだけ多くの資金をさいて、石油が出るような方向に持っていきたいと努力を傾注いたしますから御了承願いたいと思います。
  27. 鈴木一

    鈴木(一)委員 一つ年度予算あたり政府が大いに努力したところを見せてもらいたいと思いますが、それまで一つ政務次官やっていていただきたいと思います。  その次にお伺いしたいのですが、五カ年計画が一応予定通り終らなかった場合どういうふうにされるのですか、さらに期間を延長してその分だけのものをやっていくのか、あるいは第二次の五カ年計画をそこで立てて、その上で残りの分を第一次五カ年計画の中に織り込んで進んでいかれるのか、その点はどういうふうにお考えですか。
  28. 福井政男

    福井政府委員 現在御承知のようにまだ五カ年計画進行中でございますし、それからまたここ一両年の成果というものが、非常に将来の決定に大きな関係を持つわけでございまして、この第一次五カ年計画の様子を見まして十分検討いたしたい、かように考えております。
  29. 鈴木一

    鈴木(一)委員 本年度出資は二十億でございますが、これはどういうふうな根拠で二十億になったのか。何らかの基準あるいは根拠があって二十億になったのか。あるいはまあ大体金がないからこの辺でがまんしろということで二十億になったのか。その辺をお伺いしたいと思います。
  30. 福井政男

    福井政府委員 大体政府出資二十億、それから民間出資が三十三年度七億六、七千万程度でございますが、同じような期待を民間資金にいたしまして、二十七億余りになるわけです。そのほかに営業外収入見込み等が若干ありまして、まあ二十九億程度になるわけでございますが、この程度なれば何とか三十三年度と同じテンポ事業がやっていけるであろう。こういう大体のところで二十億という予算を割り当てたわけであります。
  31. 鈴木一

    鈴木(一)委員 三十三年度と同じテンポでやっていったのでは、五カ年計画はどうしても遂行できないと思うのです。あらかじめできないということがわかっていて、こういうふうな出資をきめたのか、その辺は私ちょっとふに落ちないのですね。どうしても五カ年計画予定通り遂行するということであれば、民間出資はそんなに期待できないと思うのです。こんな当るか当らないかわからないような危険の多い産業民間出資するということはなかなか困難だろうと思うのです。そうすればどうしても政府出資を多くしなければならないということになってくると思うわけでありますが、政府の方であくまでも五カ年計画予定通り遂行したいということであれば、少くとも主管しておられるところの皆さんの方から、五カ年計画を遂行するためには三十三年度の倍くらいのものをやらなければならないというふうなことで、強力に大蔵省の方に折衝していかなければならぬと思うのですが、そういうふうな経過はなかったのですか。
  32. 福井政男

    福井政府委員 予算の折衝の経過はいろいろございましたが、先ほど申し上げましたようにこの程度の規模でということで折り合ったわけであります。ただ三十二年度事業計画と大体同じテンポで参りますと申し上げましたが、それは陸上試掘についてでありまして、それに三十四年度は海洋掘さくが本格的に行われる、こういうことになって参ります。
  33. 鈴木一

    鈴木(一)委員 あまり満足した答弁が得られないのですけれども、時間の関係もありますので先に進みますが、この法律の第一条、会社目的というところに「石油資源開発株式会社は、石油資源開発を急速かつ計画的に行うことを目的とする株式会社とする。」ということになっておりますが、この石油資源開発というのは国内石油資源のことなのか、あるいはまた海外石油資源開発も含まれておるのか、その辺の事情をお聞かせ願いたいと思います。
  34. 福井政男

    福井政府委員 第一条には仰せのように「石油資源開発を急速かつ計画的に行うことを目的とする株式会社」というふうになっておりまして、国内国外に関する何らの規定がないわけであります。この石油資源開発株式会社法のどこにも、それに関係した規定はございません。実は文字解釈から参りまして全然制限がないわけでございまして、海外でもやり得る、こういう解釈になり得るわけでありますが、もちろんこの会社の性格からいたしまして、立法の趣旨国内石油資源探鉱開発を主眼としたものであるわけでありますが、何らわが国における石油資源開発というような規定の仕方をいたしておりません。また積極的に海外事業をやることを禁止する規定も先ほど申し上げましたようにないわけでございまして、法の解釈論としては現行法のもとでも、海外事業に従事できないことはないというふうに解釈いたしております。この点につきましては、石油資源開発株式会社法が制定されます際に、昭和三十年の第二十二国会で審議されました際に、当時の石橋通商産業大臣川上政府委員から、この法律のもとにおいても必要があれば国外開発をなし得るという答弁がなされております。
  35. 鈴木一

    鈴木(一)委員 会社の幹部の方々も海外油田開発会社でやりたいということを希望しておったやに聞いておりますし、また業界新聞にも、フィリピンとかあるいはまたインドネシアの石油資源の調査のために、石油資源開発株式会社がいろいろ関係をしておるということも出ておるわけでございますが、もちろんそれは招きがあれば技術を提供するということも、あるいは積極的に開発に協力するということも、私悪いことじゃないと思います。やっていいと思いますけれども、やはり今局長が言われましたように、この開発会社目的は第一義的には国内石油資源を急連かつ計画的に開発するということを目的としておると思いますので、国内の方の五カ年計画も満足に進まないような状態において、今度は海外の方に出ていくというようなことは結局二兎を追う結果になって、私はこの会社の設立の趣旨にも反するじゃないかというふうに考えるわけでございます。政務次官その点どうですか。
  36. 中川俊思

    中川(俊)政府委員 そうしゃくし定木に考えぬでもいいんじゃないかと思うのです。たとえば国内で一牛懸命やる、やるが出ない、幾らやっても出ない場合にむだな金を、どんどんそこへつぎ込むことが果していいかどうか、こういうふうに考えて参りますと、きわめて好条件のもとに近い海外に、そういう資源が得られるということになりますれば、そちらへ出ていってもいいのじゃないかというふうに考えているわけでございます。しかし原則としてはこの石油資源開発株式会社というものは、国内資源開発ということなんですから、この原則論はあくまでも守っていかなければならぬと思います。しかしだからといって当初申しましたように、それに必ずしもこだわる必要もないのではないかというふうに実は考えております。
  37. 鈴木一

    鈴木(一)委員 私も決して四角四面に原則にこだわっているわけではないのです。ただしかし、せっかく五カ年計画を立ててここまで米て、要するにこれは資金の裏づけがないから予定通り開発ができない、私はそういうふうに見ております。ですからそちらの方を十分やった上で、なおかつ国内石油資源開発は非常に困難であるというような見通しがはっきりしたならば、あるいはほこ先を転じて海外に出ていくことも日本石油政策として私は妥当だと思うのです。片一方は予定通りやらないで、中途半端にしておいて、うまくいかないから今度はそっちの方をやるのだということではけじめがつかない、こういうことなんです。ですから、やるならやるでけっこうですから、国内の方ももっと積極的に五ヵ年計画をあるいは四ヵ年に繰り上げて、能力があるからそちらにも出ていくのだというふうな態勢が望ましい、こういうことなんですよ。
  38. 中川俊思

    中川(俊)政府委員 了承いたしました。
  39. 鈴木一

    鈴木(一)委員 ちょうど政務次官もおられますので、この前通産大臣がおいでになりましたときに若干伺ったのでございますけれども日本国内の精製業者のあり方について若干お尋ねしてみたいと思うのであります。  戦前と戦後を比較することは、いろいろ状況が違っておりますので、無理だろうと思いますけれども、戦前にも外資の導入が精製業界にあった。しかし戦後は特にその外資の導入が量が多くなって、重要なる二、三の工場ではほとんど半分は外資が入っているというような状態であるわけでございます。精製業者のうちの七〇%、それから元売りの八〇%は外資によって占められているというふうな状態であるわけでございます。もちろんこれはいろいろ経過もあってここまで来たわけだと思いますけれども、企業のあり方としては少し行き過ぎではないかというふうな感じも私はするわけでございます。ですから今すぐこれをどうしろというわけではないわけでございますけれども、通産省としては、今の状態は好ましい状態であるのか、あるいは漸次これは改善しなければならない状態なのか、そういう点について御意見を伺いたいと思います。
  40. 中川俊思

    中川(俊)政府委員 今鈴木さんからのお話の点ですが、私も石油、いわゆる原油の外貨の割当なんかの場合に、それを実は痛感をしておるのでありますが、外国資本の多く入った会社に大きく割当をして何も外国にもうけさせることばかりしなくてもいいのではないか、民族資本の会社に割当をすべきではないかと、私も累次にわたって主張してきたわけであります。ただ従来のいろいろな観点からそういうふうにならざるを得なかった事情があるだろうと思う。しかしこれは今鈴木さんのおっしゃる通り、逐次に改善していって、そうしてどうせもうかるなら国内の業者にもうけさせる、さらにもうけを少くして値段を下げるとかいう方向に持っていかなければならぬということは十分考えております。またそうしなければならぬということも念頭に置いてこういう行政の指導に当りたいと思っております。お説は全くごもっともでございまして、できるだけ民族資本の会社がやっていく、外国資本はできるだけ駆逐するというような方向に持っていかなければならぬだろうと思いますが、ただこれは早急にはできないだろうと思います。御趣旨は十分了承しておりますから御了承願いたい。
  41. 鈴木一

    鈴木(一)委員 将来そういう方向に持っていかれるように、一つ特段の努力を願いたいと思います。これは金がなかったから結局外資がどんどん入ってきたということにもなると思いますけれども、金がないことはわかっております。ですから、設備資金を借りるとか、そういう形で、借款の形ならば、これは将来もうかったら返していけばいいわけでございますから、私はそれはやむを得なかったと思います。しかし資本としてこれが入ってきて、しかも半分は外資である。しかもその資本の入り方は、余っている原油を持ってくるとか、あるいはまた設備を持ってきて現物を出資するとか、あるいは特許料を出資に振りかえるとかいう形で、いわばこれはぬれ手でアワをつかむような、そういうやり方なんですね。しかも外資が半分入っているとすれば、二割五分の配当をするとすれば、二年間にはその元本は回収されるというふうな形になって、これほどうまい外資の入り方というものはないだろうと私は思う。しかも日本に導入された外資の約半分は、この精製工場あるいはまた元売りの段階に入っておるというようなことは、将来の日本産業のあり方から見ても私は健全ではないと思う。今すぐこれをしろといっても、これは無理かもしれませんけれども、将来はこういうふうな外資も漸次こちらの日本の方で回収していくというふうな方向に特段の一つ努力を願いたい、こういうふうに考えております。  ついでにもう一つ伺いたいのですが、国内の原油が非常に少いために、結局これは外国から買わざるを得ない。外国から買おうとする場合は、相手先はどこであろうとも、強大な国際カルテルの傘下にあるところから買わざるを得ないわけでありますが、ソ連と日本との通商協定の中に、石油を約十万トン日本に輸出してもいい、こういうふうなことになっておると思いますが、この十万トンの石油の輸入について、通産省の方としては、もちろんこれは義務的にしなければならぬことでもないと思いますけれども、この十万トンを受け入れる意思があるのかないのか、その点をお伺いしたいと思います。
  42. 福井政男

    福井政府委員 お話のように、ソ連との協定では十万トンということになっておりますが、ただいま先生から御指摘のように、義務になっておるわけではございません。石油外国からの買付につきましては、御承知のように、どこから買っても買付先はフリーにいたしておるわけでございまして、また半面、どこからこの部分については買いなさいというような制限をつけることもいたしていないわけであります。従いまして、原油外貨の割当を受けました精製会社が、ソ連から買付をするということは、私ども何らの規制を加えていないわけです。しかしそれかといって、特別なフェイヴァーを与えるというようなことも、現在ではいたしていないわけであります。
  43. 鈴木一

    鈴木(一)委員 外貨をもらった業者の方では、それぞれ従来のつながりがあるだろうと思います。それはまた同時に国際的なカルテルの傘下の相手先から買うということになりますから、今ここで毛色の違ったソ連から十万トンの石油をとりたい、従って従来のワクの中でそれを消化したいというふうなことは、なかなか後難をおそれて言ってこないだろうと思うのです。ですから、ここで十万トンのソ連からのワクを新しく設定して、そうして希望する者にこれを引き取らせるというふうな措置が講ぜられないものかどうか。このソ連の場合は、こちらでそれだけのものをとれば、また同時にこちらからそれだけの金額のものが、精製品なりその他通商協定に結ばれた品目が、向うに出ていくということになって、決して一方的に片道の貿易じゃなくて、こちらからも向うにそれだけのものが出るわけでございますから、十万トンくらいのものならば、業者の方ではそういうことでみずから言い出し得ないというような苦しい立場もあるわけでございますから、通産省の方で特に十万トンのワクを新しく没足して、希望する業者にとらせるというふうなことはできないものかどうか、そういう点も伺っておきたいと思います。
  44. 福井政男

    福井政府委員 ただいま申し上げましたような方式をとっておりますので、要はソ連原油がコマーシャル・ベースに乗るかどうかということが根本的な問題でございまして、コマーシャル・ベースに乗れば、買付をしたいというところも私は相当出てくると思います。現に一万トン余りの原油を、昨年、四国にございます太陽石油という小さい会社でございますが、その精製会社が買付を実施いたしたわけでありまして、にれはまあ非常に価格その他の条件が有利でありましたので、商談が実現いたしたわけでございます。今後お話のように対ソ貿易につきましては、向うさんが買ってくれるからこちらも買う、両方が相待って通商関係が拡大するということになりますので、大いに向うが日本の物資を買い付ければ、こちら側も買い付けざるを得ない、その際に石油一つの大きいアイテムであることは、私どもよく承知いたしておりますが、現在のところ何と申しましてもただいま申し上げますように、コマーシャル・ベースに乗るかどうかという点が根本的な問題でございまして、私ども今まで承わっておりますところでは、相当不利な点もあるやに聞いております。そこら辺が解決いたしますれば、おのずから取引の打開ができるのではなかろうか、かように考えております。
  45. 鈴木一

    鈴木(一)委員 昨年度の協定では積出港が黒海沿岸であったろうと思うのです。従って船賃も高くつくし、コマーシャル・ベースに乗りにくかったという実情があったと思います。ことしの通商協定に際しましては、特に日本側から、極東諸港から積み出してもらいたい。極東諸港というと、具体的にいえば樺太ということになるだろうと思いますけれども、そういう日本側の希望に対しまして、ソ連の方でも、善処するということをはっきり申しておるわけです。ですから、どこかの業者の方でソ連と内々そういう点で交渉してみて、そうしてコマーシャル・ベースに乗るんだというふうな場合は、従来の外貨のワクの中で消化するのじゃなくて、新しくここで外貨を十万トン分割するということができるかどうかお尋ねしたいと思います。
  46. 福井政男

    福井政府委員 私どもの承わっておりますところでは、ただいま申し上げました太陽石油が第二回目の商談を一万二千トン程度行いまして、これが話が成立いたしまして、三月の上旬には到着するように承知いたしております。この場合に、この会社には外貨の手持ちがなかったわけでございまして、従って外貨面で行き詰まったわけでありますが、ほかの精製会社で一時立てかえのできるところを見つけてあげまして、そこから一時立てかえをして差し上げて、そうしてこの南淡が成立するようになったわけでございますが、今までのところそういったことをやっておりまして、根本的に外貨割当の方式を、ソ連について特別にワクを設定するというところまでには至っておりません。これはまあ外貨割当方式全般の問題にも関連して参りますので、今後私ども十分考究いたして参りたい、かように考えております。
  47. 鈴木一

    鈴木(一)委員 その点がはっきりしなければ、せっかく通商協定で十万トン入れるんだということをきめても、実行はおそらくできないだろうと思いますね。もちろんこれは義務的な問題ではなくて、こちらの方で買いたくなければ買わないんだ、そういう考えであれば、これはいたし方ありませんけれども、しかし向うから買えば、それだけこちらの方の品物が出るというふうな有利な条件があるわけですから、もう少しそういう点についてはっきりする必要がありはしないか、立てかえるなら立てかえる、そのかわりあとでこれを政府の方で特別に埋めるのだというふうなことまではっきりしなければ、この通商協定も単なる空文に終りはしないかというような感じが私はするわけでございます。少しでも安いものを入れるということは、国内価格の引き下げの一つの牽制にもなるわけでございますから、そういうふうな材料として、この十万トンの原油が役立ち得るものならば、やはり政府の方でも特段の措置が必要じゃないかというふうに考えるわけであります。今の局長答弁では、やるのだかやらないのだかはっきりしないと思うのです。もう少しその点はっきりしてもらいたいと思います。
  48. 福井政男

    福井政府委員 お話のようなよい方の面もございますが、私どもの方では石油行政全般なりあるいは対外交渉全体の観点も考慮いたして参らなければならぬわけでございまして、そういう点から申しますと、何と申しますか、ソ連原油について特別にこのメリットをつけるとかいうような変則的な輸入を促進するというようなことは、従来はとりたくないという考え方で参っておるわけでございます。
  49. 鈴木一

    鈴木(一)委員 くどいようでございますけれども、そうしますと、こういう日ソの貿易協定というふうなものは、あらかじめやはり通産省の方でも十分検討されて、代表団が向うに行って話し合いをされているのだろうと思うのですけれども、そうじゃなくて、代表団が思いつきに架空のできもしないような数字をあげて、ただ形式を整えるためにやってきているのか、その辺の事情はどうなのですか。
  50. 福井政男

    福井政府委員 お話の点につきましては、十分検討いたしましてやっておるわけでございます。先ほど申し上げましたようにコマーシャル・ベースに乗りますれば、現に商談が成立をいたしておるわけでございまして、コマーシャル・ベースに乗るような話し合いになれば、相当買付が行われるのではないか、かように期待いたしております、
  51. 鈴木一

    鈴木(一)委員 この問題はまた別の機会にやりたいと思います。  最後にお伺いしたいのは、水溶性のガスの問題でありますが、日本にはそういうふうなガス資源がどの程度埋蔵されておるのか、その開発に対して国としてはどのような考えでおられるのかお伺いしたいと思うわけであります。なるほど先ほどからお伺いしますように、石油資源はなかなかうまく拠り当らないということであるわけでございますが、天然ガスの方は、やり万によっては相当期待ができはしないかというふうな感じもするわけでございます。私から申し上げるまでもなく、イタリアの化学工業が今日の隆盛に立ち至った原因も、国が積極的に大然ガスの開発努力をして、今日のイタリア工業の基礎を作ったというふうなこともいわれておりますが、国内の天然ガスの資源の埋蔵量あるいはまたこれに対する開発の仕方というにとに対して、国の方ではどういうふうなお考えであるか伺いたいと思います。
  52. 福井政男

    福井政府委員 わが国の天然ガスの埋蔵量でございますが、まだ確定的な埋蔵量というところまでははっきりした数字が出てはおりませんが、地質学的には非常に日本の地層は天然がガスを埋蔵しておるというふうに見られております。一応の数字としましては二十億立米程度はある、あるいはまた数字が倍にもなりますが、四千億立米は十分あるというような数字も出ておりますが、これは今後の地質調査にさらに待たなければはっきりいたしたところは出ませんが、いずれにしましても、わが国の地層の関係は地質学的に非常に天然ガスの埋蔵については有望である、かように見られております。開発に対します政府の心構えと申しますか、お話のように天然ガスが、戦後特に化学工業原料として非常に貴重な資源になって参ったわけでありまして、今後特段にこの開発に力を入れて参りたい、かように考えております。
  53. 鈴木一

    鈴木(一)委員 石油及び可燃性天然ガス資源開発法によって、天然ガスの開発に対して国が補助金を交付するというふうな条文があるわけでございますが、今日どの程度の補助金が天然ガスの開発に出されたのか、また三十四年度はどの程度出される予定なのかお伺いしたいと思います。
  54. 福井政男

    福井政府委員 ここのところ年間二千万円の補助金を出しております。三十四年度予算では同じく二千万でございますが、ただ五%の節約を一律にするということになりまして、実額としましては千九百万円の補助金が計上されております。
  55. 鈴木一

    鈴木(一)委員 国の方で策定しました新長期経済計画の中にも、天然ガスは四十二年度までに十七億立米を生産したいということにもなっておりますし、また東北開発促進計画の中にも、四十二年までの間に東北関係で十四億立米を生産したいというふうな数字が載っておるわけでございますけれども、やはりこれも石油資源開発と同じで、なかなか金もかかると同時に、また一般金融のべースに乗りにくい企業だと思いますが、もう少しこれに対して国の方で補助をしないことには、とうていこれの積極的な開発はできにくいというふうに考えておるわけでございます。今日まで大体一億五千万程度の補助金が出されておるというふうにも聞いておりますが、なるほど一億五千万というと、個人の資産とすればこれは莫大なものになるわけでございますが、しかし、あるいは比較が適当じゃないかもしれませんけれども、ジェット機一台にも当らないというようなわずかな金額にもなるわけなんです。ですからこういうふうな、わが国に相当の資源があるであろうというふうに推定をされております天然ガスの開発に対しましては、もっともっと積極的に国が力を入れなければ、せっかくの資源をいつまでも眠らしておくというふうな結果にもなると思いますので、一応長期経済計画の中にもそういうふうな数字も出ておることでありますから、できたらこの天然ガスの関係に対しては単独の立法でも作るなら作る、あるいは作らなくても従来の立法措置で十分できるわけでざいますから、もう少し国の方で新しい一つのエネルギー源を獲得するという観点から、今よりも特段の積極的な助成政策が必要ではないかというふうにも考えられるわけであります。
  56. 福井政男

    福井政府委員 ただいまお答え申し上げました三十四年度予算についてちょっと考え違いがございましたので、訂正させていただきます。三十三年度は二千万円でございましたが、三十四年度は三千万円にふやしまして、この五%の節約で二千八百五十万円でございます。その点訂正をいたしておきます。  それから積極的にもう少し開発すべきではないかという御意見でございますが、全く私どもも同感でございまして、天然ガスの開発には、もう少し私どもも力を入れなければいかぬということを痛切に感じております。本年度は今申し上げましたように、一千万円の増額程度にとどまったわけでありますけれども、来年度はもう少し努力をいたしたい、かように考えております。それから法律の問題につきまして、お話がございましたが、仰せのように私どもも天然ガスの開発については何か単独立法でもして積極的に大いに開発を進めたい、同時にまた合理的な開発をやって参りたい、かように考えておりますが、今後極力研究いたして参りたいとかように考えております。
  57. 鈴木一

    鈴木(一)委員 どうか今後探鉱に対する補助とか、あるいはまたガスが出たあとの水の排水溝の補助とか、あるいはまたガスを導入するパィプの補助とか、あるいはまた廃水の化学処理の研究に対する補助とか、あるいはまた現在新潟で問題になっておりますところの地盤沈下の対策、こういうふうなことに対してなお一そうの行政上の創意工夫を期待するわけでございます。  これで一応終りますが、委員長のお許しを得まして、この前委員会でちょっとお尋ねしてありました国立公園関係の補償問題といいますか、この前お尋ねした問題について、その後経過がどうなっておるのか、局長からお伺いしたいと思います。これで福井さんにもお目にかかる機会はないだろうと思いますので、この際、今日までの経過一つお聞きしたいと思います。
  58. 福井政男

    福井政府委員 本日きれいに解決いたしましたということを御報告申し上げることができませんのは、非常に遺憾でございまして、申しわけがない次第でございますが、私どもとしましては、厚生省と連絡をいたしまして、厚生省にしょっちゅう担当のものが参っておるわけでございますけれども、今申し上げましたように、まだ解決するところまで至っておりません。私どもも何とかこれをうまく解決いたしたいということで、せっかく努力をいたしておりますが、何分にも関係するところがいろいろございますし、通産省だけで解決することはできません問題でございますだけに、はなはだ遺憾でございますが、一つ御了承願いたいと思います。
  59. 鈴木一

    鈴木(一)委員 どこに問題があるのか、私たちからすれば自然公園法に基いて、業者の補償をやってやってもいいし、あるいはまた鉱業法に基いて補償をやってもいいし、どちらでもできるだろうと思うのです。とにかく業者には何らの過失がなく、行政上の措置が悪かったために、せっかく設備したものを全都むだにしてしまったというふうなことであるわけで、この件に関して何らの落度も業者にはないだろうと私は思うのです。全くこれは行政上の落度だけだろうと思うのですが、どこが一体問題で、今日まで解決しないのか、もう少し具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  60. 福井政男

    福井政府委員 自然公園法を適用いたしまして、取り消しをして補償するというようなことになれば、これも一つの解決の方法であるわけでありますけれども、取り消しにつきましては、やはり厚生省の方でも問題があり、そういうことで問題がなかなか解決しないわけであります。
  61. 鈴木一

    鈴木(一)委員 取り消しをすれば問題があるというのでございますけれども、どういうふうに問題なのですか。あの法律を見れば、国立公園の存続のために、鉱業活動が望ましくないというところは取り消しをして応分の補償をするのだ、その補償は業者の方から請求してこい、その請求によって国の方で審査をして、適当な金額にきめるのだということが条文に載っておるのです。ですから厚生省の方でどうしても国立公園の存続上取り消しをしなければならないということであれば、自動的に法律を適用することによって問題が処理できるだろうと私は思う。それができない原因というのはどこにあるのか、それを伺いたいと思う。でなければああいう法文を作る必要はないと思う。ああいう法文があればにこそ、業者の方でも国の方で何とかしてくれるだろうと思って待っておったんだろうと思う。行政措置を出さなければきまらないというならば、これはああいう法律も何も要らない。これだけの損害を受けたから国の方で補償しろといってくればいいわけでありますが、その前にはっきりした自然公園法の中に補償の条項も出ておるわけでありますから、業者としては今まで仕事をさせてくれない、いくら仕事をさせてもらいたいという認可を出しても何らの返事がないということは、おそらく仕事をさせたくないのだろう、国立公園の存続上仕事をすることはまずいんたろうというように考えるのが当然だろうと思う。待てど暮せど、向返事がない。しかも業者を擁護すべき立場にある皆さん方の方でも、積極的に厚生省の方に対して何ら交渉されてない。一回か二回行ったかもしれませんけれども、大したこともやらないということであれば、一体善良なる第三者の被害を受けたものはどこに向って補償を請求せられるのか、私は非常に困るだろうと思う。そのうち福井さんも栄転されるでしょう。係の人も栄転されるでしょう。そうするとまたいろはのいの宇から始めなければならぬ。そうするうちにまたかわってしまう。結局これは善良なものがばかをみるという結果になるだろうと思うのですが、そういうふうにさせないのがわれわれの責任でもあり、また皆さん方の責任でもあるのでありますけれども、この前お伺いしたとき以来何一つとして問題が進展しないということは、やはり皆さんがたの方で誠意がないか、あるいは大蔵省の方に話を持っていくと、とんでもないということでけられるので、それがこわくてやらないのか、一体どうなのか、もう少しはっきりしてもらわなければ困ると思う。
  62. 福井政男

    福井政府委員 おしかりの点はごもっともな点でございますが、何分にも硫黄の出ますところは非常に景色がいいということになりまして、今度地元の関係から申しますと、景色のいいところは自然公園なり国定公園なり国立公園にして、大いに観光客を誘致したいというようなことで計画されるわけであります。そういう際には今度鉱業権者の方は一鉱業権者でありまして、地元の声というものは非常に大きい声になるということで、県なり市なり、そういったところはこういう国定公園なり国立公園にする運動が盛んになってくる、こういうようなことになるわけでございますが、ただいま先生の御指摘になりましたように、予算等関係ももちろんございます。一つの例が出ればあと陸続として、そういう例が出てくるのじゃなかろうかというような懸念も、もちろんこれはあると思いますが、私どもとしては何とかこれを円満に解決したいということでせっかく努力いたしておるわけでございますが、今日ここに解決した旨の御報告を申し上げることができないことは非常に遺憾でありますが、さような次第でありますので御了承を願いたいと思います。
  63. 鈴木一

    鈴木(一)委員 どうもちっとも要領を得なくて、了解に苦しむのですが、今後陸続としてそういう補償問題が起ってくるかもしれないというふうにも言われますけれども、これはやはりそのときそのときの話し合いで、国立公園の風致を損しない程度に仕事をやってもらって、そうして自発的にやめてもらうというふうな話し合いも、私は十分できるだろうと思うのです。現に同じ国立公園の地域内におってそういう措置をとって、業者も満足して、来年からは仕事をやめますというふうにもやっておるわけです。ところがこの問題だけはそういうふうな話し合いは一切せず、長年にわたって施業案の認可を保留してしまったというふうなことで、明らかにこれはあなた方のミスであろうと私は思うのです。ですからそういうふうな特殊なもので、今後そういうものがたくさん出てくるであろうというふうな、予想されるものとごっちゃにするということは、私は当らないだろうと思うのです。しかもあなたの方でも土地調整委員会から勧告が出た。ところが都合のいいところだけはちゃんと勧告を受け取って、あと補償の問題になってくると、そちらの方は一向そのままにしておいて、そして土調委の意見は尊重いたしますということですが、いいところだけは尊重して、あなたたちに都合の悪いところは尊重しないで無視する、こういうふうなやり方をしていると思うのです。これは明らかに行政上の大きなミスであろうと私は思うのです。ですからそういう問題をいろいろ差しさわりがあるから、ちょっと待ってもらいたいということでは、私は答弁にならないだろうと思うのです。この前はっきり年内に解決してもらいたいということをお願いしておった。従ってその鉱山に対して貸金のある人たちも、これで何とかなるだろうということで大いに喜んでおった。また労賃の不払いを受けた労働者たちも、一応これで解決するだろうということで、福井さんの善処を信じて、あるいはまた通産大臣あるいは厚生大臣の善処を信じて、首を長くして待っておった。ところが相変らず同じようなことが言われているということでは、何らこの問題に対して国の方は誠意がないんだということになるだろうと私は思うのです。この前の答弁と何も変っていないのです。委員長そうでしょう。委員長も聞いておったと思うのです。
  64. 福井政男

    福井政府委員 どうも御満足のいかない答弁を繰り返すようなことで、はなはだ恐縮でございますが、私ども通産省だけの問題でもございませんので、なかなか御指摘のように簡単に解決しないということははなはだ恐縮に存じますが、なお一段と解決に努力いたしたいと考えております。
  65. 鈴木一

    鈴木(一)委員 この問題については保留しておきます。
  66. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 中村幸八君。
  67. 中村幸八

    中村(幸)委員 私は特定物資輸入臨時措置法によりまして指定されておりまする腕時計の密輸入の取締りの件につきまして、関税当局並びに警察当局にお尋ねいたしたいと思います。  政府におきましては、従来とも外国産の腕時計の密輸防止対策を実施して参っておることは承知いたしておりますが、これがときに散発的であり、その完璧を期しがたいものがあったのであります。現在正規の輸入量は年間二十数万個でありますが、これに対しまして密輸量は年間約百万個と推定せられております。これらの密輸品は従来主として香港などから流人されておるのでありますが、沖縄の自由港化に伴いまして、今後さらに容易に不正輸入されることが考えられると思うのでございます。巷間聞くところによりますると、取締りの衝にある者がこれらの密輸業者と結托して、あるいは買収されて、手先となって働いておるという事例もあるやに聞いております。また不正規品の摘発調査に際しましても、その動向がいち早く事前に漏れ、取締りにそごを来たしておるというようなことも聞いておるのであります。他面正規の輸入品の証明書である輸入時計証紙が偽造されまして、この偽造証紙が流通しておるということも聞いておるのであります。これが取締り対策はいかにいたしておるか承わりたいと思うのでありまするが、わが国の腕時計メーカーは現在四社あります。この四社のうち一社の生産能力は月産十万個あるいは十二万個と承知いたしております。密輸品はたまたまこの一社の生産量にも匹敵するような膨大なものでありまして、これをこのまま放任するということはゆゆしき事態であり、外国産腕時計の輸入秩序確立の上においても、非常に悪影響を及ぼすものであり、徹底的にこれらの密輸については取締りをする必要があると思うのでありますが、関税当局また警察当局のこれに対する考えを承わりたいと思います。
  68. 木村秀弘

    ○木村説明員 今御指摘にございましたように、時計の密輸入は非常に多うございまして、大体検挙されておる密輸入の中の二割五分くらいが時計でございます。時計は小さくてしかも相当高価でございますので、密輸の物件としては格好なものになっております。また税率も非常に高うございますので、取締りをいたしましてもなかなか跡を断たないというような状況でございます。現在推定されております密輸入の個数、これはもちろん推定でございますのではっきりいたしませんが、年間三十万個前後かと推定いたしております。これに対しまして検挙されておる実績が、大体一割内外というところでございまして、年間二万個ないし三万個程度しか検挙しておりません。最近密輸もなかなか巧妙になって参りまして相当計画的に、また職業的に行われております。ただいまの取締りの態勢といたしましては、御承知のように正規の輸入時計に対しましては証紙をはってもらって、それで密輸品との区別をいたしております。また定期あるいは不定規に小売商ないし卸売商の店頭に参りまして、商品の検査をいたしております。なお港におきましても検査網を増強いたしまして、そういうものの摘発に努めると同時に、情報をいち早く得るために香港等と連絡いたしております。また郵便物等で印刷物の中に入ってくるものも相当ございますので、今年度からは外国郵便の係にはエキス線を備えつけまして、内部の点検をいたしていくというような計画にもなっております。いずれにいたしましても、今後密輸の時計の検挙摘発に、一そうの工夫を加えていきたいと存じております。
  69. 中村隆則

    中村説明員 最近密輸事犯が増加の傾向を示しておることは、ただいま御指摘のあった通りでありますが、特に外国製の時計については著しいものとわれわれも考えております。その犯罪の方法、手段につきましても、海外の密輸のボスと緊密な連絡を保っておりまして、また国内におきましてもその処分が組織的なブローカー等によって行われて、ますます悪質、潜在化しておる傾向にあるとわれわれも考えております。ただいま関税当局からも御説明がありましたが、私の方におきましても、全般的に密貿易の取締りに重点を置いておるのでありますが、なかんずく時計の問題には特に重点を置いて取締りをやっていきたいと考えております
  70. 中村幸八

    中村(幸)委員 関税当局並びに警察当局において、いろいろ苦心せられておる点はまことに多とするのでありまして、たとえば今お話のように証紙を張って密輸品としからざるものとを区別するとか、あるいは時計商について実地に調査する、あるいは郵便物の点検をする、その他いろいろの手を打っておるようでありますが、密輸品が年間三十万、これに対して検挙が一割ということでは、はなはだどうも心もとないように思うのです。今後一そう取締りについては厳重にやっていただきたいと思うのであります。しかしこの密輸の防止につきましては、単に関税の取締りあるいは警察当局の取締りだけでは解決できないものがあるのじゃないか、こう思うのでありまして、輸入が完全に自由化されており、関税とかあるいは物品税が撤廃されれば、密輸品の存在する余地はなくなるはずでありますが、現状ではこれは不可能であります。そこである程度の正規輸入を認めるとともに、その販売秩序を確立する、輸人口のルート及び販売分野の縮小に協力せしめる、こういうようなことも必要ではないかと思うのであります。さらにまた、ここに問題は、特定物資輸入臨時措置法に基く差益金の問題であると思います。通産当局よりちょうだいいたしました資料によりますると、特定物資のうちで台湾産のバナナについては、三十一年度に差益率が一〇六でありましたが、三十三年度には七三・二になっております。またパイナップルのヵン詰については、三十一年度には四八及び六三・七でありますのが、三十三年度には三六に下っております。またスジコについては、三十一年度において七三でありましたのが、三十三年度には五九・三こういうように下っておりまするが、ひとり腕時計については、三十一年度に三五でありましたのが、三十三年度には三八%と上っております。この差益金が高いということも、密輸人を助長する一つの要素になっておるのではないかと思うのでありまして、この際少しでもこの差益金を低減するということが、密輸防止の一つの方法ではないかと思うのでありまするが、この点について通産当局のお答えを願いたいと存じます。
  71. 中野正一

    ○中野説明員 腕時計の密輸防止の問題につきましては、ただいま関税当局なり警察当局からお答えがありましたが、第一にはやはり取締りを強化するということでございます。これは着々関係当局でやっていただいておりますけれども、通産省といたしましても正規の輸入をある程度認めるということによって、やはり密輸防止ができるのじゃないかということと、国産の腕時計も最近相当品質のいいものができまして、数量も相当ふえて参りましたが、なお輸入する必要もあるということで、現在特定物資の法律に基きまして一定の差益をとって正規の輸入を認めておるわけであります。その面で密輸防止という面はできるだけ通産省としても協力をしたい、それからもう一つは、先生から御指摘もありましたが、密輸品の販売についてこれをできるだけボイコットいたしまして、販売流通秩序を確立いたしまして、それによって密輸品の販売の縮小、排除ということを考えていきたい、この点につきましては、関係の時計輸入協会、生産関係をやっております時計協会、卸の協同組合あるいは時計の小売の協同組合、こういう関係団体が寄りまして、密輸入品のボイコットの申し合せをいたしまして、大蔵省の税関部も協力いたしまして、テレビでやるとか、ラジオそのほか新聞等、ポスター配布というようなことで、一般大衆に対するPRもやっておる。大体この三つの方法を着実に進めていくことによって、密輸防止もだんだん効果を上げていくのじゃないかと考えております。ただ、御指摘の差益率を幾らにしたらいいかということにつきましては、これは時計の販売の実際の状況を相当詳細に調査をいたしまして、法律にも適正に差益率をきめなければいかぬということになっておりますので、そのときそのときの調査の結果によりまして、幾分差益率は変動はございますが、要するに差益率についてはあまり高くとっても工合が悪いし、低過ぎても、これはやはりわれわれも一応会計検査院なり何なりの検査を受けますし、現在のところは三八%ということが適正じゃないかというふうに考えております。ただ数量につきましては、昨年度は年間百五十万ドルの割当をいたしたのでありますが、それでは少し少いのじゃないかということで、数量はやはりある程度ふやすということが密輸を防止して流通形態を整えていく上に最も効果があると考えまして、本年度は百九十万ドルに増額をいたしておるわけでございます。
  72. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 今の中村委員質問に関連して、私少し質問いたしたいと思います  時計の密輸問題は、日本経済に非常に大きな影響があるものと私も考えます。輸出増進が緊急の問題として国策の重大なる一環として取り上げられておる現段階において、これは日本の時計工業の発展助長策の上からいきましても、また日本経済の正常なる秩序を維持するためにも大きな問題じゃないかと思うのですが、現在日本は戦いに敗れて十数年になり、いろいろな点で秩序が回復されて参ったわけでございますけれども、こうした密輸の問題というようなことについては終戦当時と何ら変らない。ますます密輸が助長せられて、そうして公然とこういうようなことが行われる。今中村委員の発言の中にもありましたように、警察当局が密輸業者に買収されておるのだというようなうわさが飛んでおるというようなことで、何ら取締りをやらないというようなことすら流布されておるという今の発言に対しまして、警察当局はどのようにお考えになるか、承わりたいと思います。
  73. 原田章

    ○原田(章)政府委員 時計の密輸関係が非常にふえておりますことはまことに残念なことであります。これの取締りにつきましてはもとより鋭意やっておるわけでありますが、非常にその方法が巧妙、悪質、潜在化しておりますので、なかなか所期の目的を達しておりません。これにつきましては、もちろん密輸関係の段階におきましてチェックする、また中間ブローカーその他末端の店頭取締りという面におきましても力強く取締りをしなければならぬと考えております。  なお、時計の密輸に関連しまして、取締り係官がそれに共謀しておるというようなうわさがございますが、私主管局長でございませんので詳細わかりませんけれども、私は確かな点につきましては聞き及んでおりません。
  74. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 私は官房長が主管局長でないことも承知しておりますが、警察当局全般の問題として、すなわち御承知のように先国会において警職法の問題なんかも非常に重大な問題となったわけでございますが、なおその問題の論議の際におきましても、警察当局が当然やるべきものをやらないでおるという点が非常にあるのじゃないか、こういうようなことが相当論議されておりますし、こうした密輸団というようなことに対しましては警察当局は大いに——幾らやってもやり過ぎたというようなことでどこからも非難も何もないし、国民から歓迎される問題でありますので、大いに警察行政の正常化のために、こうした問題に対して特別なる熱意を表していただきたいと希望いたしておきます。  なお、ただいま中村委員質問の中には、時計の密輸の個数は年間百二十万個にも及ぶという発言がありましたが、税関当局は、三十万個というようなことに対しましてどのような調査がされておりますかどうか、また警察当局もこうしたことについての関心を持っておられるかどうか、あるいは調査をされておられるかどうかというようなことについて、また通産省の当局はどのようにこうした問題を認識しておるか、承わりたいと思います。
  75. 木村秀弘

    ○木村説明員 ただいまの、私三十万個前後ではあるまいかと申し上げたのは、これはもちろんお断わり申し上げたように推定でありまして、検挙されたものははっきりわかっておりますけれども、大体の推定でございます。その推定いたしました根拠は、大体国内の年間の需要量を四百八十万個前後に押えております。それからそれに対しまして国内生産を四百二、三十万個と押えております。それから正規の輸入が二、三十万個と見まして、残るところ大体三十万個前後と推定をいたしておるわけでございます。  それから検挙いたしました実績ははっきり押えておりますが、昨年が二万五千個、一昨年が四万五千個、一昨々年が七万八千個というように非常にでこぼこになっております。これはどうしてこんなにでこぼこになるかと申しますと、最近の密輸入が非常に大がかりになっておりますので、一件検挙いたしますと、大きいのになりますと、大体七千個から一万個くらいのものが検挙されるというようなことで、でこぼこになっております。三十万個というのは、これは確かでございませんが、推定をいたしました根拠はこういう次第でございます。
  76. 中村隆則

    中村説明員 密輸の問題は警察としては決して等閑に付しておるのではなくて、最も重点的にやっておるつもりでございます。昨年保安局が警察庁の一局としてできましてから、保安課がその仕事を担当しておりますが、私の方の課におきましては、いわゆるこういった行政関係事犯の取締りのことについて所管をいたしております。その中でもこの密貿易の問題を重点的に考え、中においても時計の問題を重大に考えておる次第でございます。取締りの実績におきましても累年検挙件数は上っておるのでありまして、昨年度実績で申しますと、時計の個数にいたしまして十七万個程度の検挙をいたしておりますし、三十三年度におきましても一月から六月までの実績について集計しますと、約八方一千個程度のものが検事の対象になっておる状況でございます。そういうわけでございまして、警察としましてはこの取締りに重点を置き、ただいまちょっと問題になりました警察の不正事件等も、保安局発足以来、そういうことは絶無でございまして、取締りに対して係官はほんとうに昼夜を分たず誠心誠意やっておる次第でございますので、この点をまず第一に申し上げておる次第でございます。
  77. 中野正一

    ○中野説明員 通産省として密輸の時計がどのくらいあるかということは、各方面の意見を聞き、また資料等からいろいろ考えておりますが、一応われわれの方としては、税関当局で推定されておるような数字も、一つの参考にしております。ただ時計の実際の輸入を担当しておりまする協会がございますが、ここで一応推定した数字がございまして、これも一つの見方じゃないかと思いますが、その見方は香港に輸入された時計の量が幾らかということを一応出しまして、それから香港の島内消費、それから正規に香港から許可をとって輸出されるものというものを引きまして、その残った数字が香港からの正規の輸出でないものと見て、その半分くらいが日本にくるかというような数字を出しますと、年間約百万個という数字が出るわけでございます。従いまして、各方面の意見なり資料等から、一応通産当局でわれわれが推定をするとすれば、三十万個よりはもっと多いのではないだろうかというようなことを考えておりますが、そう正確な資料は持ち合せておりません。
  78. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 私は警察当局ことに保安課長に対してお願いしたい。今あなたは非常に面をきつくして、自分たちは、大いに自信を持ってやっているのだ、こういうようなことなんだが、私はもっと謙虚になって、自分たちのやっていることが一体どのようなことだろうか、こういう反省をしていただきたいと思うのです。今百万個が輸入されておることは常識です。ところが百万個に対して三万個の検挙数ということで一体どうなるか、密輸というものは取締りがなきにひとしいということになるのではございませんか、このことを私は反省してほしいと思うのです。そして、一生懸命にやっておるでしょうけれども、われわれのやっているのは筋の違ったところをついているのだというようなことを、私は反省していただきたいと思うのです。今後警職法改正案なんかが成立するにつきましても、やはり正常なるところの運営をやっておるというところの認識を得て、初めてそういうものが成立するのだと思いますから、特に一つそういうことについての反省をお願いしたい。三十万個に対する一割の三万個ではないというのは、これは常識です。  それからまた偽造証紙の問題もありますが、偽造証紙の調査、そうしたものを警察当局がやられたことはございますか
  79. 中村隆則

    中村説明員 ちょっと声が荒立ちまして失礼いたしましたが、とにかく私の体験でも、神戸に実は行って参りました。そして実は取締官の実情を聞いて参りました。この取締りの活動状況を見ましたところ、ほんとうに場合によって生命の危険すら感じてやっている実態に触れましたものでありますから、そのような努力をしている警察官の気持を察していただきたい、こういう気持で先ほど申し上げた次第であります。  それからただいまの証紙のことでございますが、やはり偽造されることがありましたならば、この取締りに対して考えなければならぬと考えておりまして、まだ結末はつけておりませんけれども、一件私の方で、そういうことで捜査をしておる段階のものもあると考えております。
  80. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 この偽造証紙の問題についても、一つあらためて認識願いたいのは、百二十万個あるいは百万個前後のものが密輸されておるというものに対して、全部偽造証紙が張られておるわけです。そうしてこの偽造証紙は、一枚五百円前後で公然と売買されておるというのが実情です。こうしたことについても取締り当局が認識を持たないということは、まことにこれは遺憾なことでありまして、私はこの問題を特に強調いたしますのは、日本経済にとって、こういうものを中心とする密輸品が、どれほど大きな擾乱工作をやっておるか、撹乱作用をやっておるかということの認識が、私は非常に大きな問題であると考えるから、今たまたま中村委員から質問された機会に、私も関連の質問を申し上げておるわけでございます。つきましては通産省当局も、混然と、今の差益金の問題などについても、現状がよろしいというような認識に立たれないで、実際密輸を防止するためには、差益金をどのような状態に置くか、あるいは国内産業、いわゆる国内メーカーを保護するためには、どの辺にこれを置いたらよろしいのかという、いわゆる論人口と密輸と、国内主席というもののバランスを考えながら、十分これを検討していくということが私は必要なんじゃないかと思います。この際中川政務次官から御意見を承わりたい。
  81. 中川俊思

    中川(俊)政府委員 いろいろお話があるようですが、お説の通りでそういうふうになれば問題はないわけなんです。ところが私は、どうもいろいろ根本問題を考えてみますと、取締り当局であるとか、通産省であるとか、いろいろそれは先ほど来問題になっておるような点について、十分反省もし、考慮もし、善処もしなければならぬとは思いますよ。思うが、問題はやはり外国の時計がいいのですよ。だからそういう面ばかりを考えずに、やはり国内業者も十分反省して、これに劣らないような品物を作る——あなた方だって、外国の時計をみな持っておるでしょう。だから、そういうふうな点から考えますと、一般の国民も、やはり外国の時計をほしがる。そこに私はこの問題が起るのだろうと思う。しかし、私ども決して責任のがれをしようと思いません。先ほど来皆さんからいろいろ御注意のあったような点については、十分考えなければならぬと思うし、また警察当局も、やっている、やっているというけれども、どの程度やっているのかということに対する疑問も、これだけの莫大な数が実際に摘発されておりますから、あるだろうと思います。ですから、そういう点については、政府当局としては十分考えなければなりませんが、国内の業者も外国品に劣らない品物を製造するということに専念すると同時に、また私は政府だけのやり方では、この問題は防げないと思います。やはり業者なり国民全般がこれに協力するという態勢を整えざる限りは、この問題は、いかに議論をしてみたところで、解決できる問題じゃないと思います。しかし、といって、政府が決してこの問題に対する善処をしないというのではありません。先ほど来申し上げます通り、いろいろな御忠告を体して善処いたしますが、なお私が申し上げました点については、国民各位の御協力も待望してやまない次第であります。
  82. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 中川政務次官に私がおもに質問申し上げましたのは、差益金の適正なる線をどこに置くかということについて、通産当局が一つ考えていただかなければならぬ、こういうことで、その点について、おもに政務次官のお考えを聞かしていただきたい、こういうことです。
  83. 中川俊思

    中川(俊)政府委員 技術的な問題ですから、事務当局をして答弁をいたさせます。
  84. 中野正一

    ○中野説明員 差益率の点につきましては、先ほど申し上げましたが、密輸防止あるいは国内産の刺激というようなことで正規輸入に努めておりますので、そういう観点から差益率をできるだけ十分調査いたしまして、適正にするように努力いたします。
  85. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 これで終りますが、いずれにしましても一つ警察当局も、偽造証紙の実情を御認識ないようなことがないように、一つ皆さん認識していただいて、大いに一つがんばっていただきますとともに、税関当局におきましても、この問題の重要性を認識いただきまして、善処いただきますようお願いいたしまして、私の関連質問を終ります。
  86. 中村幸八

    中村(幸)委員 もう一点だけ通産当局にお尋ねいたしますが、正規の輸入外貨割当を受けたものが、密輸で摘発されたということを聞いておりますが、はなはだどうもけしからぬ話でありまして、こういうものに対しては外貨の割当を停止するとかなんとか、もっともっと厳重な態度をもって、こうした悪質業者に臨むべきであると思うが、この点通産当局はいかに取り扱っておりますか。
  87. 中野正一

    ○中野説明員 御指摘のような、いわゆる密輸の常習犯というようなものが正規の輸入の割当を受けておるというようなことは、お説の通り通産省としてもけしからぬことだと思っております。実は時計の輸入に際しましては、たとえば関税法なりあるいは外国為替管理法違反というようなものがありました者については、相当厳罰をもって臨む。たとえば割当を停止いたしますとか割当を削限するとか、そういう相当強硬な処置をとることにいたしております。ただこういう正規の割当の停止というようなことは、関係の業者に非常な影響を与えますので、できるだけ慎重に取り扱うつもりではおりますが、できるだけ厳罰の方針で、現に一件そういう問題がありまして割当を停止したために、通産大臣に不服の申し立てがありまして、現在裁判所で係争中になっております。
  88. 中村幸八

    中村(幸)委員 要するに密輸防止ということは、今お話のようにいろいろ手を打っておられるようでありますが、一朝一夕に効果を期待するにとはなかなか困難でありますが、ぜひどうか政府当局においては確固たる腹をきめて、強力なる推進態勢を整えられることを切に希望いたしまして私の質問を終ります。     —————————————
  89. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 お諮りいたします。参考人出頭要求に関する件につきまして、小売商業特別措置法案及び商業調整法案の審査のため、日本住宅公団総裁の加納久朗君に、参考人として委員会に出席の要求をすることとし、その日時に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに対する御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————
  91. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 なおこの際お諮りいたします。石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律案及び繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案の両案についての質疑を終局するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————
  93. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律案についてお諮りいたします。  本案の討論につきましては、通告がありませんので、これを行わず、直ちに採決することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  採決をいたします。本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。円異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————
  96. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 次に、繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案についてお諮りをいたします。  本案の討論につきましては、通告がありませんので、これを行わず、直ちに採決することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  採決をいたします。本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と、呼ぶ者あり〕
  98. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって本案は原案の通り可決をいたしました。  なおただいま議決いたしました両案に関する委員会の報告書の作成等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし上と呼ぶ者あり〕
  99. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 御異議なしと認めそのように決します。  午後一時から特定物資について参考人の出炭頭を願っておりますので、時間の関係上一時三十分に再開をいたします。暫時休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇————— 午後一時五十三分閣議
  100. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を聞きます。  特定物資輸人臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本日、本法案審査のため参考人として日本バナナ愉人団体連合会会長並川義隆君、及びバナナ業者志会会長の柴田勇君の両君が出席されております。  この際参考人の方々に—言ごあいさつを申し上げます。本日はきわめて御多忙中にもかかわらず、本委員会の要望をいれて御出席下され、まことにありがとう存じました。どうぞ忌憚のない御意見をお述べ願います。ただ時間の関係もございますので、最初に御意見をお述べ願う時間は大体十五分程度にしていただき、後刻委員から質疑があると存じますので、その際に十分お答え願いたいと存じます。  なお念のため申し添えておきますが、規則の定めるところにより参考人の方が発言なさる際には委員長の許可が必要でありますし、また委員が参考人に質疑することはできますが、参考人が委員に質疑をすることはできないことになっておりますので、以上お含みの上お願いいたします。  それでは、まず並川参考人に御意見をお述べ願います。
  101. 並川義隆

    ○並川参考人 特定物資の法律をもう三カ年延期するという問題でございますが、私たち日本バナナ輸団体連合会の会員といたしましては、本法案を延期することにつきましては賛成でございます。それは特定物資の法律が実施になりました当時と現状において別に変ったことがございませんので、この法案をそのまま存続されることでけっこうだと思います。そのほかに別に意見はございません。
  102. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 次に柴田参考人にお願いをいたします。
  103. 柴田勇

    ○柴田参考人 私はただいま御紹介をいただきました柴田勇でございます。私はバナナ輸入を行なっている者でありますが、本日の商工委員会で私の意見を申し述べる機会をいただきましたことを光栄と存じます。  今回の一部改正により本法の施行を当分の間延長せられることは賛成でありますが、現在は本法の施行当時に比べて情勢も変っておりますので、この運用については実情に即して次の事項を取り入れていただきたいと存じます。なお詳しいことはお手元の資料に明記しております。  一、差益金(特別輸入利益金)の納期は、現行では四ヵ月以内となっておるのでありますが、これを七ヵ月に延長していただきたい。二、現在の差益金は、国内価格の安定や、輸入するフロア・プライスの引き下げに一つのガンとなっておりますので、情勢に応じて大幅に引き下げていただきたい。三、差益金の徴収方法は、市況の変化によって、昨年のパイナップルカン詰のように価格が暴落した場合は、差益金を納め過ぎたことになりますので、今後の徴収は、平均見積り利益の二分の一を差益金の対象として、残り二分の一の額は一般の所得税から徴収していただきたい。四、現在特定物資は五品目に限られておりますが、品目を広げて、同じような利潤がある物資にも適用して、公平な調整をお願いし、また特定物資は一定の国に限られているが、これも範囲を広げていただきたい。五、現在特定物資でありましても、さらに輸入ワクの増加と差益金の引き下げによって、大衆物資となるよう御配慮をお願いします。  これで終りでございます。
  104. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 以上で参考人の諸君の一応の意見の開陳は終りました。  次に質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。中嶋英夫君。
  105. 中嶋英夫

    ○中嶋(英)委員 今両参考人から御意見を承わりましたが、いわゆるこの問題について参考人がお二人ここにお見えになったという経過の中に、私どもの聞いておる限りにおいては、業界に意見の不一致があった、たとえば割当の配分の問題について意見の相違があるというようなことを聞いておるわけですが、私はこの際両参考人に伺いたいのであります。この問題が委員会にかかりますと、ああバナナかという何か失笑ぎみな笑いと申しますか、好ましくない笑いの中でバナナという名前が出てくるのです。何か業界がそういう批判を受けるところに問題がありはしないか、こういう点について両参考人、どのようにこういう風潮を把握されておるか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  106. 並川義隆

    ○並川参考人 私からお答えいたします。バナナについてあまりおもしろくない風潮があるということは、私もかねがねからいろいろ聞いておりまして、できるだけ業界が安定して、問題をあちらこちらに持ち込んで業界のぶざまをさらけ出さないように努力いたしてきております。それはバナナがもうかるからというので、だんだんと各方面からそれに割り込んでこようということで、そのために旧来の実績者がこれを防ごうとする。新しく実績をとりたいという人は、いろいろの手を通じてこれを獲得しようとする。そういうことのために、たとえば前回この商工委員会で特定物資の法律の初めて施行になりますときに大いに問題になりましたように、輸入業者以外に加工業者に割当をやる、こういう問題で、市場法の改正までやってそういうことをする必要はないのじゃないかというようなことで、その間に何かあったんじゃないかというような質疑応答がこの委員会会議中に行われたこともございまするし、その後柴田君が人口割りの問題を持ち出しまして、しばしば請願書を出し、また参議院においてはその請願書の通過についていろいろ議論が出て、そのためにその請願書に委員長の意見書がついて当時通過したというようなこともある。また、請願書が出て役所が直ちに人口割りを取り入れないということで、いろいろと参議院の委員会で論議されて、役所の方が困られたという事実もあり、何かにつけましてバナナの割当をめぐって国会関係に陳情をしなければならない、あるいは役所に陳情をしなければならない、まあいろんなことでごたごたしておるような感じを常に持たしておりまするので、私たちは日本バナナ輸団体連合会というものを作りまして、旧来バナナを輸入してきた団体は全部網羅して一つの連会にいたした。さらに今日におきましては、加工業者も輸入業者になっているのだから、この連合会にお入り下さるならいつでもお入り下さい、また華商というものは別扱いにしておったのでありまするけれども、華商もこの連合会にお入り下さるならいつでもお入り下さい、こういうことにいたしまして、各方面の方が一つの団体の中に溶け込んで、お互いに意見を戦わして、そして役所との割当の交渉のときには、自分らの主張すべきことは一本の窓口でやる、そういう方法をとりまして、業界の意見がばらばらになって、業界に何かごたごたがあるような感じをできるだけ起さないように努力をいたしておるのでございます。なるべく今後におきましては皆様方に御迷惑をかけないようにいたしたいと思っております。  ただ、先般私たちも衆議院並びに参議院の商工委員の方々をおたずねして、いろいろと自分らの立場を人口割りの問題に関連して申し述べたのでございますが、これにつきましては、ある議員の方から笑い話のように、君たちはちっとも陳情に来ない、そうすると柴田さんの意見だけが取り上げられて、相撲でいえば不戦勝みたいなものだ、だから、これはやっぱり述ぶべきことはあちらこちらに述べたがよかろう、こういうお話もございまして、私らも、なるほど柴田さんだけがいろいろ活躍されて、人口割りも獲得される、こういうようなことになると、私たちといたしましても、自分の立場上いろいろ説明に回っておくことが必要じゃないかと思って回りましたけれども、なるべく両者の意見を一致さすようにして、努めてそういうことでお互いに両方で陳情合戦をするというようなことはしたくない、こういう考えでおります。御了承を願います。
  107. 柴田勇

    ○柴田参考人 現在までのバナナの実績の分布を見ますと、ほとんどが都会に集中しております。それで昭和三十二年上期割当の際、新規の業者に二五%の割当をする通産省の方針らしいので、同じ新規に外貨資金の割当をするのならば、これを加工実績によって割り当てると、また現在の輸入実績のように都会に集中する、これを地方の人にもできるだけ安く食べさすようにするのには、せめて総体の四分の一だけでも都道府県別の人口に比例して新規の業者に判り当てていただきたい、同じ割当をいただきましても、都会の生活水準といなかの生活水準には差がありますので、せめて地方の中流階級以上の人には、ほしいとき、たまには口にすることのできる程度にしていただきたい、そういうことを、陳情いたし、また二十六国会で請願したのであります。そのほか、これはいろいろ長くなりますので、その後のことについては二十九国会の請願並びに陳情によって詳しいことが申し述べてありますから、この点で御了承願いたいと思います。
  108. 中嶋英夫

    ○中嶋(英)委員 業界をいずれ円満にまとめていきたいということは、ぜひお願いしたいと思うので、バナナという言葉だけで何か審議する委員の方があまり愉快でないように感ずるということは非常に残念なことですから、この点十分御配慮願いたいと思います。ただ、今柴田さんの意見が発表されまして、要望がありましたけれども、手元に配られました御意見の書類によりますと、人口割りの問題について触れておられませんが、この点は撤回されたのですか。
  109. 柴田勇

    ○柴田参考人 撤回したというわけではありませんが、できるだけ業界円満のために通産省においてもいろいろ御考慮を願っておりますので、ただいまのところ通産省一任の形でおるのであります。
  110. 中嶋英夫

    ○中嶋(英)委員 そうしますと、通産省の方でこれからどうなさるかという問題があるわけですが、その前にやはり柴田さんに伺っておきたいと思うのです。今のお話のバナナを地方の中流階級の人にもたまに食べてほしい、食べさせたい、いわば業界からいいますならば、食べてもらえば商売になるわけですが、大都市と地方都市、あるいは地方の末端の町村等のバナナの商店の店先における値段は均一化しているのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  111. 柴田勇

    ○柴田参考人 大体秋のバナナにしまして、六大都市八十円の場今、地方都市におきまして百円程度、四、五、六のくだもののない時期におきまして、都会で八十円ないし百円するときは百二十円、百二十円は現在までの最高でありました。大体において大都市と地方に約二割の較差があります。これの値段の点は都会が安くて、いなかが高い、買う消費者の収入の画は、反対に、いなか側の方が少くて都会の人が多い。これでは食べたくても地方の人が食べられない。地方を安くまではしてもらわなくても、せめて同値段で、全国津々浦々とは申しませんが、せめて市という市には、市内ならバナナを売っている店が二軒や三軒あってもいいんじゃないか。そうすると、病人なんかがバナナを食べたい、昔のバナナのたたき売りを思い出して、食べたいときに食べられるようにしたい、これが私たちの信念であります。
  112. 中嶋英夫

    ○中嶋(英)委員 そこで私は非常に疑問を持つのですが、都道府県別の人口割りの比率が多くなった場合、あるいはこれをしいた場合に、私は地方都市でバナナの商店の店先における値段が上るのじゃないか、下りはしないのじゃないか。たとえば今までバナナがない町にバナナが入ってきた場合、珍しいものだということで——珍しいものは高いものだという通念があります。これが店頭における商人と一般需要者の間において、たとえば割当がちょっとふえたから今度は安くするんだという形になっておっても、安くしなくても、そういう場合は買っていく。地方にもやはりお金を持っている人々がいますから、そういう人々は喜んで買っていくという形で、値段の変化はあまりないのじゃないか。ところが大都会の場合は、今度は入荷が減ったということで、店頭の品物が少くなつたということで、商人はバナナの値段を上げていく、こういう奇現象が生まれはしないか。ですから、都合で値が上って地方で下るということならば、まだこれは、あるいは地方にもそういう安くバナナを食べてもらうということで、一つの効果があると思うのですが、都会では上る、地方でも下らない、こういう奇現象が起きると思うのです。この点はいかがですか。
  113. 柴田勇

    ○柴田参考人 その点は確かに地方の方と都会の値段が同一にはなりません。また同一の値段になりましても、今まであまり食べていなかったところが非常に消費をしだすと、同じ数量を輸入した場合には全国的にやや——たとえば百のものが平均百五になる。今までは百と百二十または百十という地方による差がある。それできわめてバランスというものがうまくとれておる。私の申しますのは、同じ数量を人口割りをした場合には、食べなかったところも食べますから、全般的には何ぼか上ると思います。それを防ぎますには、徐々に輸入量を増加して、差益金を安くしてもらえれば、全般的に下るようになる。業者とし消費者としては、欲でございますが、なるだけ差益金を安くしてもろうて、量をふやしてもろうて、まあ昔のなつかしいバナナのたたき売りをもう一ぺん街頭でやってみたい。たたき売りまではできなくても、子供らがほしがるとき、お父ちゃんバナナ買うてくれというときに、だめだと言うて怒らなければいかぬのは、ふところ工合を勘定して、食べさせたいが食べさせられないとき、その程度考え方でごさざいます。
  114. 中嶋英夫

    ○中嶋(英)委員 夜店のバナナのたたき売りを小都市に再現したい、地方の問でも再現したいという気持はわかるのですが、それは結局割当の問題ではなくて、絶対量がふえればおのずからそうなるわけです。たとえば、あなたの方でおっしゃるように、ワクをふやして、差益金を下げて、量が出回ってくれば、おのずからそうなってくる。都会で量がふえれば、あなた方敏感な商人はすぐ地方に持っていって、地方の夜店のバナナのたたき売りが起きると思う。ただ問題は、今、日本実情の中で、そういうように量をどんどんふやすことが問題があるというところに、この法律の設定の意義があると思う。大体日本はくだものは、よその国に比べて決して乏しい国ではない。現に国費を相当補助して、あるいは地方自治団体が予算を組んで、柑橘類地帯における柑橘類の増産をやる、加工をやる、輸出について相当の配慮をしておる。あるいはリンゴにおいてもそうです。季節的にくだものの少い時期、多い時期はありますけれども、これもある程度国内の態勢によって埋め合せがつく。あるいはイチゴにしても柑橘類にしても、貯蔵方法が進んでくるとか、こういう現状があるわけです。そういうときに私は、結果的には、都道府県別人口割り云々というけれども、ワクを余分にはしいというのが本音じゃないか、このように私は感ずるのですが、その点はどうなんですか。
  115. 柴田勇

    ○柴田参考人 人言割りをいただく根本は、都会の業者が輸入をしまして、その輸入をしたものを地方の事者が買うのには、現在の段階におきましては、まず輸入業者の次に市場もしくは加工業者がありまして、その加工業者が加工をして地方の市場へ流す。地方の市場からまた、仲買人の手を通じる場合もあれは、通じなくて済む直接の小売の場合もありますが、そういうふうに中間段階が三つ、四つあります。だれもただで働くことはできません。わずかな利益ながらも、人の手にかかればかかるほど、それだけ小売帰の末端にいくとにろのコストは高くなる。それをせめて市場の線で、論人業務に直接参加して、共同輸入方法をとって、要るべき経費は要りますけれども、中間の業者の利益ということをなぐすれば、運賃だけはよけいに要りましたとしても、中間の手数料というものが省けますから、都会といなかの販売価格において差をつけずと売ることができるのじゃないか。それで、外貨資金の割当りをもらうのが目的であり、値段の点から外貨資金がはしいということを唱えておるのでまあります。
  116. 中嶋英夫

    ○中嶋(英)委員 今私の質問したこと以外のことでお答えになったのですが、その問題については私は、中間の手数料はかからないようにして、最終的値段が安いのに賛成です。その場合に、それをもし御主張なさるのでしたら、全面的にやっていただきたい。そういう簡易な方法を全面的にやってもらいたい。割当のうちの四分の一はそうする、四分の三は従来通りやはり煩雑なものが残ってくる、こういう点が心配なんで、やるならば一つ全面的にそういう簡素な方法を今後業界の中で御研究願いたい。これは私の希望です。  ただ私の心配なのは、都道府県別の人口割りということが、先ほど申し上げたように、結果的には東京あるいはその周辺、あるいは名古屋、阪神地帯におきましては、バナナの値が——たくさんのワクをふやすなら別ですが、少しぐらいワクをふやしたのでは、かえって今度は入荷が少かったからということで、すぐ値段が上る。それが、むしろ、いい藉口といいますか、理由になって、上げられる危険性があるのです。地方へ行っても、山ほど一ぺんに、夜店のたたき売りが起きるほど、たとい若干のワクがふえたとしても、今の見通しでは、そんなに出回るとは思われない。そうすると、やはり珍しいもの、たまに食べるものということから、値段は結果的に下らない。こういうことが実際八百屋さんの店頭には起きる危険性がある。こういう点については、通産当局と折価なさる場合に、よくお考え願った上で折衝なさる方がいいのではないか、こう思っているのです。他の質問の方もあろうと思いますので、私の質問があまり長くなってもどうかと思いますから、これで終ります。
  117. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 始関伊平君。
  118. 始関伊平

    始関委員 最初に並川さんにちょっとお尋ねをいたしますが、バナナの輸入、それから国内への配給のいろいろな機構なり経路なりがございます。これはずっと昔からあるわけだと思いますが、三年前に特定物資の輸入臨時措置法というものができまして、バナナがその適用を受けた。その以後におきまして、従来の取引経路といったものは変更を受けたのか、あるいは昔のままなのかということを、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  119. 並川義隆

    ○並川参考人 取引経路といたしましては、やはり最後の末端の小売商それから加工業者、そういうものに連絡のいい者がバナナをできるだけ委託を受けて、そして自分のものと一緒にそういう方へ実情に沿うように流しておるというような状態でございまして、特定物質の方が変りましたとか、その後いろいろな人が割り込んできたとかいうようなことによりまして、取引の実態には別に変りはございません。
  120. 始関伊平

    始関委員 そこで、同僚議員の質問にもございましたように、バナナについても、取引の経路というものは別に変っておらない。輸入の総員というものがある程度確保されるということであれば、これはたとえば青森県のようにリンゴのあるところもございますし、いろいろその地方の特殊のくだものが多いわけですから、一がいに言えませんが、需要に応じて流れるような態勢にはなっておる、こう理解してよろしいわけだと思うのですが、いかがですか。
  121. 並川義隆

    ○並川参考人 お答えいたします。この点につきまして、少し詳しくお答えいたしたいと思います。先ほど中嶋先生の御質問に対して、柴田さんからいろいろお答えをしておられましたが、大体バナナが大都会に集中しておる、またバナナを扱う業者が大都市に集中しておって、バナナの消費が偏在しておる、こういうお話であります。人口割りにおいてこれを是正したいという御意見なんでございますが、大体現状におきましては、ここ一、二年の実態は、東京都に、全体の輸入数量の三割五分くらい入っております。それから大阪に一割四、五分人っております。その他の都市、六大都市と福岡県を加えますと、バナナの輸入量の七五%は、一応その地方に流れております。それからそのほかに北海道あるいは広島、山口、静岡あたりを加えますと、九〇%くらいのものはその地方に流れております。これは港へバナナが上りますと、その前に、何日にどういう船で幾ら積んできて、どの業者がどれだけ積んできておる、こういうことがはっきりいたします。そういたしますと、業者がみな港へ集まりまして、そうしてそれぞれ自分の地方に必要なものを買うて帰るわけでございます。そういうことで、東京には大体三割五分くらいのものがいつも流れておる状況であります。それならば、これは全部東京都で消費するかと申しますと、これは青のままで幾分外へ流れるものもございますが、大部分は加工されまして、千葉県、埼玉県、栃木県、群馬県という関東の県、それから遠方では北陸、東北方面あるいは北海道に流れるのもあるというようなことで、一応は集散地がございまして、そこへそれぞれ持っていって、それからまた地方へ流す、こういう格好になっております。  バナナの輸入につきましては、柴田さんが先ほど納付金を四カ月になっているのを七ヵカに延ばしてくれとおっしゃったように、一年に二度くらい割当があるといたしますれば、半年くらいの間にそのバナナが入ってくるわけです。今度三月に割当になりますと、これは七月とか八月ごろまでに大体入れるという予定のものであります。そのバナナを入れる場合におきまして、一ぺんに持ってくるということはできないわけです。またそれぞれの需要がございますし、船の事情がございますし、産地の生産事情がございますから、工業製品みたいに自由にいつでも持ってくるということができませんので、それぞれ毎月配船計画をきめて、そうして必要量だけを、何船神戸に入れる、何船横浜に入れる、こういうようにして持って参ります。そういうことで、バナナを入れるにつきましては、差益金を納めるということで、まず保証状を出しておきまして、信用状を組んで、そうして台湾に送ります。そうすると、台湾の方では、その信用状で何ぼとりたいという電報が参りますと、これによって登記をいたします。つまり輸出の順番をどうしできめるかといいますと、こっちから注文の電報の行った順序で持ってくるわけでございます。それですから、いつでも自分のものが好きなときにとれるということはありませんので、登記の順位がおくれますと、半年先になって一番需要期を過ぎた暑い時分に入ってくるということもございます。この操作は非常にめんどうなものです。入りましてすぐにそれを分けるということも、その金を取り立てるということも、それから台湾の方との連絡をするとかそういう操作が非常にめんどうなものでありますから、それをうまくやらないと、せっかくもらって、ほかの人はもうけておっても、自分のものは一番悪い時期に入ってくるということもあります。そういうことで人口割りで地方の人たちに割り当てても、実際はその地方の商社の方が、そういう銀行の手続から電報を打って台湾との輸出の交渉をするということはとてもできませんから、結局人にまかせざるを得ません。そうすると、われわれ業者がまかされます。われわれ業者が持ってくるときには、自分のものも入ってくるし、その人のものも入ってきましようけれども、登記の順序で入ってきまずから、その人の分が入ったときが一番悪いときで、その人に上げると、これは損したからというので、非常に文句を言われます。またそんなに一ぺんにたくさんのものを地方にやる必要はありませんから、ちょびちょびやります。そういうことになりますと、これを神戸で分けて貨車一ぱいに詰めてずっと送るというようなことができませんので、自然われわれの方で加工業者に渡して加工したものを、ぼつぼつとってもらうというような格好になります。そういたしますと、自分の高いものが入ったときにその人に上げなければならぬこともあり、またその人が安く入っても、自分の方がまた引き受けてやらなければならぬときもある。結局プール計算になりますから、値段は浜相場で買ったときと大して違わないことになってくる。そうしなければ、委託を受けましてもなかなか操作ができにくいということになるわけです。またその人に損害をかけるおそれもあるわけです。そういうことで実際に人口割りで分けても、また浜で買いましても、大したことにならないので、ややもすればそれは権利として売られてしまって、利権化してしまって、その荷物がそのまま地方に行くということがありませんので、大体バナナは需要のあるところへ流れて、そうして権利があっても、いなかへはなかなか品物は流れないというのが実情でございます。そういうことで、人口割りというものは、私は柴田さんの言われる理想はけっこうです、できるだけ広く地方に出したい、安いものを出したいというのは私たちの希望でございまして、それには中嶋先生が言われたように、数量をふやす方法以外にない。しかし、とうてい特定物資の法案から除くほどの数量が入ってくることはありませんから、相当安いものをいなかに送るということは困難なことでございます。自然今のような状態で流れるだろうというのが実情でございます。
  122. 始関伊平

    始関委員 そこで、ただいまお話しの人口割りでございますが、特定物資輸入臨時措置法の運用の問題として一番重要であり、かつ一番むずかしいのが割当の方式、また割当の基準の問題であろうと思います。これにつきましては、いろいろ原則なり、今までの慣行なりがあるわけでございますが、そういう観点に立ってみますと、人口割りというふうな観念は実際珍しい観念でございまして、特定物資輸入臨時措置法の適用を受けておりますほかの品目についてもこういう観念はない。のみならず、広く為替管理令の適用を受けて外貨割当を受けておりますものについても、こういう観念はない。非常に珍しい考え方だと思います。ただいまの柴田さんのお話では撤回したわけではないが、通産当局に一任しているのだ、こういうお話でございますけれども、当局に一任されましても、当局としては、一般的ないろんな割当についての基礎的な方針なり従来の慣行なりがございますし、また行政技術的にそれが果して可能であるかどうかということも、はっきりさせなければならないわけでございまして、ただ抽象的な一つの理想と出しますか、そういうものを掲げてこれを実行しろといっても、行政当高は何ともしょうがない、こう思うわけでございます。  そこで中身へ入って伺いたいのでございますが、かりにABと二つの県がある。Aの県は人口三百万だ、Bの県は人口百万だという場合には、三対一の割合で割当をしよう、こういうお話と思うのでございますが、この場合Aの県の中で具体的には一体どういう資格を持った者に割当をしろとおっしゃるのか。ただいまお話がございましたように、この外貨割当の一番基本的な原則は、最終の需要者に割り当てるか、それは今並川さんのお話のように非常にむずかしくて、とてもできることではないわけでございますから、輸入業者としての適格性を持った者に割り当てる、こういうことでなければならないと思うのでございます。ところが、そうでない者に割り当てますと、ただいまお話が出ましたが、輸入の委託ならまだよろしいが、初めからそういうことをやったことがないので、ここにこれだけのアロケーションがある、これを幾らで買えというようなことにもなるのでございまして、私は千葉県でございますが、かりに千葉県を例にとってみますと、一体あなたのおっしゃるような新規に割当を受けるべき適格者というのにどういう者がおるのか、私としては全然見当がつかないのでありますが、今私の申し上げたような事柄に関連して一つお話しを願いたいと思います。
  123. 柴田勇

    ○柴田参考人 人口割りを受ける資格者といいますのは、その地方の輸入するに適当と認められるだけの資力のある者、なお人口割りの外割を受けてそのバナナを地方に配分するに適当と認められる業者、それを標準にしております。輸入の方法といたしますと、各県がたとえば今度の二十九国会において請願の通りました百万ドルの外貨資金をかりに全額人日割りに割当を受けたとしても、各県がばらばらに輸入をして、年間その地方の店先に常時あるように輸入することは不可能なのでございます。それで全国四十六の代表者を集めまして、ここに全国青果物輸出入協同組合というものを昨年募れに設立いたしました。農林省の登記も十二月十七日に受けました。そうして人口割りを受けた場合には、権利売りなどは一切しないという各自からの誓約書をとりました。過去三年間においてわれわれの主張してきたこの同志に恥をかかすようなことがあってはならぬ、その場合には、いつ何どき無条件でその外割を取り上げられようと、どういうことを受けようと苦情は言いません、という誓約書を書いた。そうしてこの外割を受けるような用意をしております。全国に一律に、たとえばここに十万かごの数量と仮定します。それを六カ月間に入れますならば、一回一万七千かごしかない。その一万七千かごを四十六に分けるといたしますと、三百かごしかない。そういうふうに各都道府県に分配するについては、最善の注意をしまして、船が入るごとに十かごでも二十かごでも全国に回るような用意をしております。あなたの千葉県の場合の代表者は市川の中長市場の島根仙太郎という人であります。私ども同志会の会員として適格かどうかということはお調べいただいたらわかると思いますが、大よそ現在四十六の代表的な人は、地方都市の場合で年間一億以上の扱い高のないような人ではちょっと無理だなというような考え方でおります。
  124. 始関伊平

    始関委員 あなたのお話はどうも少しピントがはずれておりまして、行政当局としてはとても受け取りにくいものだろうと思う。と申しますのは、今資力という条件一つあげられた。それから国内の配給能力という点をあげられた。しかし問題はそうでなく、先ほどから私が申しておりましたように、輸入業者としての適格性というものが問題なんです。そうでなければ自分で輸入はできませんから、実際に輸入の意思と能力がある者にこの割当をやるんだというこの法律の基本的な原則が——今のお話のようなことでは、行政当局にまかすとおっしゃっても、当局の方ではとても引き受けかねるような状態だと思う。後段の方のお話は私よく聞き取れませんでしたが、小売商なら小売商の団体に割り当てるというような方針でやるといたしますと、これまた大へんなことでありまして、パイカンにしても、腕時計にしても、小売業者の団体がある、そういうものにまた別に割り当てるということでは、国内の取引、配給の秩序というものは、全く混乱してしまうのみならず、そういう団体それ自体も、どういう代表者がおりましても、私は輸入というものがそう簡単に組合員の利益になるようには実行できないだろうと考えますので、もう一ぺんお答えを願います。
  125. 柴田勇

    ○柴田参考人 その点は、各自がばらばらでは、今始関先生の言われたように、これはちょっとむずかしいという人もある程度あると思います。中にはできる人もあると思いますが、それで、ばらばらにおったのでは、外割を受けても利権売りをするような人が生じてはいかぬから、そこで中小企業等協同組合法による協同組合を組織いたしまして、そうして協同組合で一括輸入業務を取り扱うのですから、各自は一かごに対する経費の分担金だけを払えば、直接輸入の事務はしませんが、直接の輸入事務をしたと同じような形で荷受けできるような方法をとっております。
  126. 始関伊平

    始関委員 私は組合なんかでやるということは、完全な割当の基準でやるし、また組合の努カからいいまして、組合の利益になるような輸入の実務ができ得ないと思います。押し問答いたしましてもなんでございますが、ただその小売組合なんかの団体で、割当と、申しますか、扱いますものは、いわゆる加工の済んだあとのバナナ、いわゆる色づきバナナではございませんか。
  127. 柴田勇

    ○柴田参考人 われわれの組合の主たる人は、青果物公認荷受け機関、市場を主体にしておるのであります。バナナの色づけというものは、簡単にできるものでありまして、それほど必配するものではないと思っております。
  128. 始関伊平

    始関委員 もう一点伺いますが、あなたのお仲間で希望者がたくさんあるという場合には、どういう基準で割り当てますか。頭割りでありますか、標準割りでありますか。
  129. 柴田勇

    ○柴田参考人 その点につきましては、全国一律に線を引くということはなかなか不可能と思いますので、各地方の青果会社、みなそれぞれ団体とかいろいろなものがあります。その県内の実情に即応して、その地方の公認荷受け機関の人で、ある一定の線を引く、その適格者とみなされる人が話し合いの上で割当を受ける資格、一応外割を受ける通産省からの資格者は、県の代表者一本をもって、その資格者として割当を受けるようにすればいいとしております。
  130. 始関伊平

    始関委員 そこでもう一つ伺いますが、おそらくそういうことになりますと、割当の基準もございませんし、私は収拾のつかぬ状態になると思う。むしろその場合には、この臨時措置法では、いわゆる差益金の徴収につきまして、競争入札制度も採用できるわけなんだから、そこまで範囲をお広げになれば、私は思い切ってそういう制度に切りかえた方が、優勝劣敗といいますか、まだ業界がすっきりした形になる、こう思うのでありまして、輸入の実績というものを基礎にする。ところがなたのお話では、実績のなついものにどこまでも広げよら、こういう説明でございます。資料によりますと、十万くらい小売商があるというお話でありますが、おそらく全部がそれに参加せざるを得ない。そういうことであれば、むしろ根本的にやり方を変えて、入札制でやった方がいいとはお考えになりませんか。
  131. 柴田勇

    ○柴田参考人 その点は、先ほども再三申しておりますように、もしその入札制をした場合には、いなかでは食ぜんに上らない。それというのは、第一部会の人と、いなかの人とは生活水準が違います。人口割りの趣旨は、ある程度地方の中流以上の人にでも口に入れられる値段にしてこそ初めて人口割りの価値があります。法外な百五、六十パーセント、昔の入札のように法外な高い、バナナを食べるのか、税金を食べるのかわからないようなことをせられては、地方でその消費についてくるものは一%か二%か、わずかな数字になってしまいます。われわれの理想としますのは、国内のくだもののこともよく考慮いたしまして、年間で一番高いくだものといえばビワくらいのものです。それが百目四、五十円だから、せめて小売七、八十円くらいで消費者の手に入るような値段でこの人口割りをやっていただきたい。ただ優勝劣敗の方法をとられましたのでは、人口割りの趣旨、根本の考え方がくずれてしまうことになる。
  132. 始関伊平

    始関委員 ただいまのお詰を伺っておりますと、国内に入ってからあとの配給機構の問題と、外国から持ってくるといういわば全く別の分野である輸入の問題、この違う問題を混淆しておるように思いますが、そういうふうにお考えになりませんか。
  133. 柴田勇

    ○柴田参考人 先ほど中鳩先生にお答えしたかと思いますが、直接外貨資金の割当をもらって共同輸入をする場合の各自に入ってきた品物の原価と、現在のように三段階、四段階の階段を経て入ってきたバナナとは、同じバナナは入ってきましても、人の手にかかればかかるほど手数料が要ります。そのためにそれだけ高くなるから、この点もできるだけ安くしたい、そういうような点から、直接外貨資金の割当をもらいたい、そういうことであります。
  134. 始関伊平

    始関委員 もう一つ伺いますが、あなたの考えていらっしゃる方式で参りますと、直接輸入を受ける社と申しますか、立場になるもの、あるいはそういうふうに希望するものが、見通しとして全国およそ付千名くらいおりますか。
  135. 柴田勇

    ○柴田参考人 まずわれわれの会員としての数字は、昭和三十二年四月が三百五十名、三十三年十月に四百五、六十名、これではどんどんふえるからしようがない、何とかある一線を引いて一応の資格を作らなかったら、われわれがお願いするときに通産省で困られるだろう、そう思いまして、ある一定の線を引きまして現在は百六十三人——百六十三人という数字は、全国に青果会社として荷受機関として仕事をしておるものが約手五、六百、そのうちからまず一割程度大きなところを網で一ぺんすくって、これでいかがでしょうか、まだあまりひど過ぎると言われれば、もう一ぺんこれにかける、そういう方法でやっていけば、うまくいくんじゃないかと思うのであります。ふるいのときの細のつけ方につきまして、六大都市と人口十五万以上の都市と、それ以下の都市というところで、甲乙丙の三段階くらいに分けなければ、地方の人がその網から漏れてしまいはせぬかということもありまして、その点は目下研究中であります。
  136. 始関伊平

    始関委員 それでは最後に並川さんに伺います。ただいま柴田さんのお話では、全国で十万くらい小売商があるのだが、そのうちから自分たちの仲間百六十名程度のところで線が引けるこうおっしゃるわけですが、そういう客観的にはっきりした線を引き得るものかどうか。これは私はきわめて困難だと思いますが、百六十名という都合のいいところで落ちついて、文句の出ないような、そういううまい線の引き方があるのかどうかという点についての御意見を伺います。もう一つただいまの通産省から輸出の割当を受けておりますものの総数、これはだんだんふえたりしておるようでありますが、ただいまそういう点はどういうふうに移り変りつつあるか、こういう点をお答え願いまして、私の質問はこれで終ります。
  137. 並川義隆

    ○並川参考人 柴田さんのお話は、バナナ同志会という団体に数を割り当ててくれということのようでありますが、役所としては団体の割当ということはこれまで例がございませんので、むずかしいと思います。そのときは団体を構成しておられる各人に割当をする、その場合におきましては、今までは輸入業者と加工業者の両者で、輸入業者には通関の実績という基準があり、加工業者には室を持っておるとか使用しておるとかいう建前と、加工の実績という基準がございましたから、それによってある一定の商社に限定することができる。柴田さんの関係のような商社になりますと、数が非常にふえて参ります。どれを省いてどれをやって参るかということは、役所で勝手にやって参るわけにはいかない。柴田さんが勝手にこれがいいと言っても、それと同じ程度の商社が自分に割り当ててもらわなければいかぬということで、結局は数を限化するというとができません。役所の者といたしましては、実際の割当問題としては柴田さんの行き方では私はできないと思う。  それからただいま商社の数をお尋ねになりましたが、三十一年の上期で特定物資の法律が実施されまして加工業者も入りました当時は、加工業者数が五百五十五軒、輸入業者の数が百八十四軒で七百三十九社でございます。それからその次の三十二年の上期の割当のときに、加工業者のうちに幽霊加工業者が入っているのではないかといろいろ調査いたしまして、納税の証明書をとるとか、あるいは今までの市川村長の証明書を商工会議所の証明書に切りかえるとか、いろいろやりましたところが、三百二十六社に減ってしまった。加工業者が三百二十六社で、それと百七十四軒、全部で五百軒あったのが三十二年の九月の実情でございます。通産省といたしましても、五百祉というのは、これくらいのバナナを扱うのにそんなにたくさんの商社がおってはとてもやつていけない、もう少し適限数量に減らしていったらどうだろうかということで、五百かご以下の者は一応五百かごまでに合わしていこうということになりまして、その結果現在では五百社のものが百九十六社になりましたが、それも五百かごくらいでは少いから、千かごくらい扱わなければ輸入商社とは言えないだろうということにいたしますと、それがまたその半分くらいになるというようなことで、幾らか整理の段階に入っております実情であります。
  138. 小平久雄

    ○小平(久)委員 関連して私は一点だけ柴田さんの方に伺っておきたいと思うのですが、過去何回か人口割りについての請願の出たことは私も承知しておりますが、どうも人口割りっやれという趣旨が私には実際のところよくわからない。先ほど来のお話を聞いておりますと、地方の人にも中くらいの都会にはバナナを食べられるようにしてやりたいという趣旨のように聞くのです。御趣旨は一応けっこうなのですが、しかし割当をするということと、だれが割当を受けるということと、一般の人が食べられるということは別問題ですね。かりに地方のある県の人が割当を受けても、その商品の処分というものが自由になっている以上は、必ずしもその土地の人が食べられるとは限らない。あなたの趣旨のようなことを徹底しようとすると、結局昔のような切符制度をやらなければ、実際問題としては食べられない。少くとも希望者には切符をまずやって、切符を持っていけば必ず買えるのだということにでもしなければ、食べることを確保できないわけです。商品がどこに飛んでいってしまうかわからない。その点はどういうふうに考えておるのですか。私は何回か請願を受けましたが、どうもそこのところが私にはよくわからないので、教えていただきたい。
  139. 柴田勇

    ○柴田参考人 それは全部を人口割りにしてくれと言うのではない。前には四分の一、今度の場合は増額になった百万ドルを人口割りにしてくれと申すのであります。それを実行する場合に、都会の人にもやはり人口割りでいくわけなのです。そうすると二割五分を全部人口割りと仮定いたしました場合には、都会の人が五本食べられる場合に、いなかの人は一本の比率にしかならない。率としまして七五%は都会の実績によって割り当てるということになりますから、そうするとある程度の値段になれば、おそらく大人も子供もバナナがきらいだという人はあまり聞いたことがない。まあまあ値段さえ適当な値段であれば、食べてみたいなという人が大部分です。全部を人口割りにしてくれというのはなるほど無理かもしれません。総体のわずか二割五分で、都会の人が五本食べれば、いなかの人にも一本食べさせてくれという程度ならば、そう無理な要求ではないと私は思っております。
  140. 小平久雄

    ○小平(久)委員 その趣旨はわかりますよ。ある地方の県なら県に、あなたのおっしゃるように、ふえた分の二割五分が人口割りで入ってくる。なるほど輸入する人はそれだけ輸入しましょう。しかし、それだけの品物がその県内に確保されるということは何によって証明するのですか。あるいはその地方の人が食べられるということがどうして証明できるか。かりに値段が付近の都会の方が高い場合もありましょうし、あるいは同じ県の仲間だって、片方が高くて片方が安い場合もあるだろう。商品だから、ましてや青果物だから、そういつまでもほうっておくわけにはいかない。どんどん外部に流れていってしまう。あなたの気持はわかる。輸入する者にはそういうふうに人口割りにできるかもしれないけれども、需要者側に何らか手を打たなければ、果して地方の人の口に入るかどうか。輸入業者に輸入させるというだけにとどまるならまだいいのです。地方の人に食べさせるのたと言うから、どうして食べさせるのかということを聞いておるのです。
  141. 柴田勇

    ○柴田参考人 過去三年間、われわれ業者は国会にもいろいろお世話になりまして、人口割りにバナナをもらいました。そうして人口割りでバナナがきました。商人には商人道徳というのがありまして、その道徳というものは、自分らの唱えてきたこと、人にうそを言ってはならないという商人道徳なのです。人口割りでもらったバナナを何ぼもよそに——たとえば千葉とか埼玉にもらって、それを東京が値がいいからといって、東京に持っていって売ることはすぐできます。しかし、それではまず第一、小売屋がぐずぐず言い出します。すぐには言わなくても、そういうことで市場がさびれ出した場合、今後どういう言いたいことがあっても、人の前で並々と意見を述べることもまたできなくなる。その点は商人は商人道徳一本で、もらいましたら、けっこうやっていけると思います。
  142. 田中武夫

    ○田中(武)委員 関連。さっきからいろいろと御意見を伺って重複する点も出てくるかと思いますが、この際二人の方に一、二お伺いしておきたいと思います。大体砂糖やバナナとかいうような甘いものにはアリが寄るように、これをめぐっての利権争いというものはどうも常につきまとっておるような感じがいたします。三十一年でしたか、バナナの外貨割当を高値入札制度にしたときなんか相当当委員会でも取り上げられたと思います。それ以来バナナの外貨割当問題には何らか私は不明朗な点があるのではないか、このように私個人の感じですが、感じを受けておりますので、この際二、三伺っておきたいと思います。  まず第一番にお伺いしたいのは、大体バナナが高過ぎると思うのです。なぜこんなに高いのか。現在メートル法になっておりますので、一キログラムということを単位にとったらいいのか、十キロがいいのか、あるいは一貫目でもよろしい。とにかく輸入から消費者に渡るまでの原価計算を二人で出して下さい。バナナの輸入のときは幾らで、それがどういうふうにきて、小売から消費者に入るときに幾らになるか、この原価計算を二人からお伺いしたいと思います。
  143. 並川義隆

    ○並川参考人 原価計算のやり方はいろいろございます。私の申し上げることがそれでいいかどうかということはまた御判断願うことといたしまして、私から申し上げますと、現在バナナ一かごが二千五百二十円、これはフロア・プライスで一定したものです。七ドル。それから関税と荷役の水揚料、そういうものが五百七十九円——関税が二割かかりまして五百四円、水揚料が七十五円で五百七十九円、それから信用状を組んだり保証状を組んだり、その他いろいろ経費がかかりますが、それが約二百円、それから差益金が、この次に割当になりますのは一一七。七%でございますから、これは一かごのバナナ二千五百二十円よりも少し高うございます。一七・七%だけ高うございますから、二千九百四十八円、それで利潤を幾ら見るかということでございますが、これは私たちといたしましては、非常に腐敗しやすいむずかしい品物でございますから、一かご五百円くらいほしいという気持を持っております。そういうことで見ますと六千七百四十五円、こういう値段です。これは浜まで持ってくるまでの相場です。それを加工業者が買いまして、加工いたしまして、小売の方に参ります。そうすると大阪へやりますのと、神戸へやりますのと、東京へ参りますのとでは、二百円なり三百円という運賃がよけい要る。それに加工料というようなものを加えますと、小売のところで大かた百目が九十円から百円近くなるだろうと思います。
  144. 田中武夫

    ○田中(武)委員 大体二千五百二十円、これが小売段階では二万円くらいになるのでしょう。
  145. 並川義隆

    ○並川参考人 いや、そんなになりません。     〔発言する者多し〕
  146. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 ちょっとお待ち下さい。並川さん、あなたがお取扱いになっておるのですから、たとえば青が着いたときの原価が二千五百二十円で、関税が幾らで、諸経費が幾らかかって、差益金が一一七%幾らで、それが一応の原価であって、さらにそれを加工して加工料が幾らで、それでもって小売段階に入るときの原価は幾らだ、それがあなた方は出せないのですか。そんなにむずかしいのですか。
  147. 並川義隆

    ○並川参考人 私の方は輸入業者でありますから、輸入までのものははっきりしておりますけれども、加工業者の方は、一応私らの常識的に推定した価格を申し上げたわけであります。
  148. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 それはおかしいじゃないか。あなたの方はただ輸入すればいいというのではなくて、加工が幾らぐらいかかるということは知っておらないのですか。
  149. 並川義隆

    ○並川参考人 それですから、今申し上げたくらいの数字が……。
  150. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 それをはっきりもう一ぺん言って下さい。
  151. 並川義隆

    ○並川参考人 それでは先ほどの六千七百四十五円まではよろしゅうございますね。それから加工業者の手数料、運賃も入っておりますからそれで千円、それから小売の手数料五百円です。
  152. 田中武夫

    ○田中(武)委員 ただいまの参考人の御答弁によりますと、大体百目で八十二、三円、こういうことになろうと思いますが、実際そんなにバナナは安いのですか。
  153. 並川義隆

    ○並川参考人 大体これくらいの値段で売られておる。時期によりまして、春先の一番高いときの値段を標準にして、今度の割当を基準にして言っておりますから……。原価なんかも、七三・三九%という差益金のときもございますから、その時によって、需要期の春先はバナナが非常に高くても売れる。それから夏秋、冬の小需要期に入りますと、バナナの値段は、差益金も安くなる、自然全体的にもっと安くなる、こういうことであります。
  154. 田中武夫

    ○田中(武)委員 高い時期の計算かどうか知りませんが、最近私不幸にしてまだバナナを百目買いしたことがないので、値段はよくわかりませんけれども、今の高いときで八十二、三円という、こんなどころじゃないと思います。こんなに高い原因がどこにあるのか、こういうことを疑わざるを得ないのです。同時にまた、だからこそ、このバナナの外貨割当をめぐって、醜い争いをやっておる、そういうことが出てくるのだろうと思うのです。大体バナナの高い理由はどこにあるのです。
  155. 並川義隆

    ○並川参考人 ちょっと申し上げますが、今の利潤とかなんとかいうことは、これは私たちの希望の数字を申し上げたのでございまして、これはもちろん輸入の場合の値段がこれより下ることもありますから、そういうことで、必ずしもそれだけの利潤が得られるということは考えられない。しかしながら、まあこれくらいのものはほしいという希望の価格を申し上げたのであります。それでこの八十何円という数字は、これは平均してそういうくらいのことになるだろうということで、地方によってはもっと高いところもございましょうし、また都内でも、高いところと安いところと、品物のいい悪いがございますから、そういうことで相違がある、こういうわけのものでございます。
  156. 田中武夫

    ○田中(武)委員 バナナの高い理由がどこにあるか、まずこういうことをわれわれは追及していかねばならないと思います。同時にまた、外貨割当をめぐっていろいろと陰で争いがあるということも聞いております。そうまでして外貨割当をもらおう、こういう動きは、やはりそこに甘い汁が吸えるからであろうと思うのです。そこで、二人の参考人の方及び通商局長にもついでにお尋ねしたいのですが、大体バナナの輸入外貨の割当方法はいかなる方法がほんとうに一番いいのか。口では、地方の人に食わせたい、消費者に安いものを食わせたいと言っておるが、腹の底はそうでないと思う。実績割当がいいのか、人口割当がいいのか、あるいは高値入札制度がいいのか、私にもよくわからぬ。たが一体消費者に安いバナナを食わすためには、どういう外貨割当が一番いいのか、もう一度参考人二人の方と、それから松尾局長にお伺いいたします。
  157. 並川義隆

    ○並川参考人 バナナの価格を下げますのには、輸入数量をふやしていって、そうしてやっていきますれば、自然差益金も、それから輸入数量をふやすために、台湾側のフロア・プライスを下げさせますことにいたしますから、そうすると同じ一かごにいたしましても、関税も下りますし、それから差益金も、同じ比率でも価格が下りますから、差益金の金額が下ります。できるだけよけいのバナナを入れない限りには、なかなかバナナの価格を下げるということは困難だろうと思います。
  158. 柴田勇

    ○柴田参考人 それでは私は同志会の会員から、バナナを買う立場になってお話したいと思います。たとえばことしの四月、五月、六月のバナナの一番高いときを、まず百円と見ます。そうすると百ポンドですから、一かご十二貫、十二貫輸入しましても、小売に色をつけて百目ずつ売るときには、これは十貫目でしか売れない。そうすると一万円です。小売屋の手数料は二割ないし二割五分というのが標準であります。そうすると小売屋の手数料が少かったとして二割、一かごの売り上げが一万円、一方円だから、原価を八千円よりは高く買えない。七千五百円くらいにせよ、まずこういうわけです。これをよしんば加工屋さんの言うように八千円で買ったとして、加工賃が二百五十円ないし三百円、お前のところのもうけは三、四百円にしておけ、それで加工屋さんの加工料と手数料を引いたとして七百円か八百円、一割でやっておりますから、一割にして八百円、そうすれば七千二百円、それが東京としますと、青で七千二百円だから、運賃が三百円かかって六千九百円、加工屋が輸入した人から買う値段は、輸入業者としては一割手数料がほしいが、これは八分にしておけ、野菜は一割なのだから、これは五、六百円、そうすれば六千四百円、最高のときで六千四百円、春の相場の一番高いときですよ。これが浜値をつける標準の相場です。浜値のところでやんやんつり上げるから、それでずっとそれに比例して、小売のところまでが縮められてしまう。縮められるので、小売屋がやり切れぬから、小売屋が高値で売る、だから差益金が高うなる。何のことはない、いたちごっこで、両方がもののつり上げばかりをしておる。およそ小売の値段を標準にして、二万五千円ないし三万円そこそこの月給で食べられる値段にするためには、まず小売の値段から下げて、順次適当な利潤をとりまして、それから差益金というものの認定をすべきだ。差益金を先にきめてしまって、先に高いこととるから、いたちごっこで、ここにバナナの下らない原因があります。
  159. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 やはりバナナの小売価格を安くいたしますためには、根本的には輸入量をふやすという問題かと思います。これは並川さんもその趣旨のことを言われたのですが、御存じのように現在台湾との間の通商取りきめによりまして、従来は年間四百五十万ドルのバナナを輸入するという建前になっておりましたが、昨年度からはそれが百万ドルふえまして、五百五十万ドルということになっております。百万ドルふえたのではありますが、やはり需要も非常に伸びておりますので、論人がふえたことがあまり価格の上には影響を及ぼしていないのではないかというふうにわれわれは見ております。また来月から日台通商取りきめの交渉が始まるわけでありまして、三十四年度の輸入ワクといたしましては、やはりバナナの価格を下げるという建前に立ちまして、輸入量の増加を若干でもはかりたいと思っておるのでありますが、ただこれも限度がございまして、国産の青果物の価格に影響を及ぼすようなことになってもいきませず、また外国交渉でございますし、日本の農産物あるいは水産物等の輸出振興にそれが寄与できるような方法も考えなければいけませんので、その辺の交渉のテクニックはもちん考えなければいけないのですが、方向といたしましては、協定量を増加する、しこうしてこの小売価格がトるという方向に考えたいと思ってわります。ただ、今もいろいろ御指摘がありました政府の徴収する差益率が高いために小売価格が高くなっているのではないかという点でありますが、われわれはさようには考えておりません。差益率の算出のときには、過去におきます浜相場の推移、それから輸入量その他を勘案しまして、大体春先では若干高くなるのでありますが、四、五、六、七の価格、あるいは秋、冬の価格というようなものを勘案しまして、まず浜相場が大体にの程度になるであうということを想定しまして、C—Fの輸入価格はこれは当然機械的に出て参りますので、それと輸入取扱い業者の適正マージンというものを考慮に入れまして差益率を算出しておる。決して差益率が高いために価格が高くなるというようなことのないように、これはバナナだけではございませんが、配意をしているつもりであります。
  160. 田中武夫

    ○田中(武)委員 今のそれぞれの御答弁によると、ともかくバナナが高いのは、輸入数量が少い、こういうところに帰着するようでありますが、さりとて、そのために貴直な外貨をそう多く使うこともできないだろう、こう思います。いずれにしても、私は八ナナが高過ぎる、これだけははっきり言えると思う。今の数字なんかもらよっと合わぬ点が出てきましたが、たとえば並川さんの言われたいわゆる小売段階におけるマージンと、それから柴田さんの言われたマージン等も、だいぶ数字が食い違っているようであります。いずれにいたしましても、私はこの外貨割当をめぐっていろいろな競争が行われておるということ、そのことは、何か知らぬが、やはりそこにうまい汁が吸える、だからやっているんだという感じを受けるのです。割り当てられた外貨を横流しするというようなことは往々他のいろいろなものにもあり得ることなんですが、バナナにおいてはそういうことはありますか。並川さんにお伺いします。
  161. 並川義隆

    ○並川参考人 これはほかの方の外貨につきましても、そういう問題がありますが、バナナにも絶対にないとは申し上げかねると思います。横流しというよりも、委託販売という格好になると思いますが、多少横流しに近いようなものはないことはないと思います。
  162. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それは割当が細分化せられる結果、そうなることになるのでしょうか。
  163. 並川義隆

    ○並川参考人 今のお話のように、割当が細分化されますと、その中には、それだけの手続のできない人が出ますから、自然そういう問題が起ります。
  164. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私はこれはなかなかむずかしい問題だと思うのです。というのは、輸入にはやはり外貨という上からいって限度があると思う。それを実績主義ばかりを貫けば、これは特定の人だけの独占的な輸入権というようなことになりかねない。これは私はよくないと思う。新しい人も入れるべきである。そうかといって、みだりに数をふやすならば、特定の限定せられた輸入外貨を多くの人に割り当てるから、従って細分化する。横流しという言葉が正しいか、委託輸入というのが正しいか知りませんが、そういったものが行われる。こういう点が私はなかなかむずかしいと思うのです。ただ、私が言えることは、これは一つ局長に御答弁を最後に願いたいと思うのですが、実績主義が今行われておるし、いろいろ検討しても、それが今のところでは次善の策として一番いいんじゃなかろうかということで行われているようなんですが、これをあまり貫けば、やはり先ほど言ったように、一つの独占化する、こういうおそれがあると私は思う。そこで、新しいものをも加えるという方が、いわゆるものの進歩発展という上においていいのではなかろうかと思う。だが一面、先ほど言ったように、みだりにその幅を延ばせばまた細分化せられて横流しというようなことになりかねない、にういう点をうまくにらみ合せて、実績主義、AA制度ですか、これをあくまで貫くというよりか、ある程度進歩性を持たして新しい方面にもやはり認めていく、そういうところに業界の発展があるのではなかろうか、こう思いますが、いかがなものでしょうか。あまり独占化ということは私は避けたいと思う。
  165. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 御説ごもっもなんでありますが、しかしわれわれの行政基準からいたしますと、輸入実績というはっきりした基準をとる以外にいい方法がないということで、現在のところ特定物資といわず、他の商品につきましても、輸入実績または生産者の生産実績といいますかを基準にしている場合が多いわけであります。今も御指摘のように、実績だけに片寄りますと、権利の上に眠る傾向のあることは御存じの通りであります。従って、場合によればそういう新規のものも考える、新しい風を吹き込むという必要も認めるのでありますが、バナナの事情を一言申し上げますと、これももう数年の歴史を経てきておる。かつてそういう議論が数年前に非常にやかましかったために、新規業者を入れたらどうだということになりまして、しからば新規業者を一部加えよう、その方法としてどういう方法をとるべきかということになりました結果、いい基準はないが、輸入業者に最も近い段階といたしましては加工業者である、従って、加工業者をある程度輸入業者として認めていこうということになりましたのが、加工業者に対して外貨の割当をした最初であります。その後、先ほども並川さんからも御説明がありましたように、当初は七百人、それから五百人になり、現在は百九十何名かになってきておるわけであります。百九十何名かの割当になってはおりますが、それでも、先ほども御指摘がありましたように、全都の人が輸入業務を営んでおるかというと、そうでない。これは確かに委託輸入というような形式ではありましょうが、人に割当書を使ってもらっておるというか、そういう人もあろうかと思う。そこで、われわれといたしましては、今のバナナの輸入の段階からいいますと、ほんとうに輸入業務を営む人にやってもらうという段階ではなかろうか。新規業者を入れる段階は、数年前に一回やったわけであります。従いまして、今はどっちかというと、ほんとうの輸入業務を営む人に割当が公正に行くように考えるべきではなかろうかというふうに考えておるのであります。そこで、これもいろいろ議論が分れるのでありまするが、最低取扱い量五百かごという限度を設けましたのも、普通の輸入取引をするならば、五百かご以下じゃ実際問題として商売にならぬ、結局は人に頼んで、人まかせの仕事になるということで、先般来取扱い量を五百かごということにした結果百九十何名に整理をしたわけであります。まだ五百かごの最低取扱量というものは、今の業界の実情からいうと若干低過ぎる、千かごなりその程度に基準を上げることによって、先ほど御指摘がありましたような委託してやっておる人、いわゆる眠っている人を整理する時期ではないかと思うのであります。そういう時期が一応過ぎまして、なおかつそれでも実績業者が非常に横暴するとか、暴利をむさぼるとかいうようなときには、その新規業者の問題も考えるべきだ、こう思っております。従いまして理論的には、また原則論としましては、実績業者に固執するべきではないということをわれわれは重々承知をしておるのでありますが、具体的なものの段階によりまして、そういう時期とまた逆に現在の実績業者をなおしばっていく時期とがあってしかるベきじゃないか、バナナにつきましては、私はどっちかというと、一たん非常に広げたあとの整理の過程を今たどっておるのではないか、従いましてこの際バナナについて新規業者を大いに考えていくというのは、ちょっと時期ではないんじゃないかというふうに考えております。ただ実績となりますと、いろいろな複雑な手続を経ました結果、不注意でもってそのときに申請を忘れておったとかいうふうな事故が出て参っておるわけであります。そういう不注意で実績があるにかかわらず漏れておったというのは、これはいわば過失でございまするので、そういうものはこの際ある程度考えていくべきじゃないか、その辺の調整はいたすべきじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  166. 田中武夫

    ○田中(武)委員 最後に、これは別に答弁は要りませんが、私参考人の方々の意見を聞いており、あるいはこれまでのいろいろな陳情書なんかを拝見しましたところの感じを申し上げて終りたいと思うのです。とにもかくにも、安く消費者に渡すようにとか、あるいはどうとかいうもっともらしい理由はっけておられるが、腹の中はやっぱり自分にも外貨を割り当ててくれ、こういうことだと思うのです。それなら率直にそういうように申し出た方がいいと思う。同時にまた先ほど局長の御答弁がありましたが、私は権利の上にあぐらをかく、実績の上にあぐらをかくというようなことを許すということはよくないと思う。従って物事を独占化していく、こういうことは私は避けるべきだと思う。だがしかし、またみだりにふやしていくこともできない。そこでまず現在の実績主義の上に立って、権利の上にあぐらをかいておるようなあまりよくない業者は落してもいいじゃないか、そのかわりまた熱意があるならば新しいもつのを入れればいいじゃないか、このように考えますので、その点はしかるべくやっていただく。同時に両方の意見を代表しておられる両参考人の方々も、安いバナナをともかく多くの人に食わすんだ、これはもう筆や言で言うだけでなく、ほんとうにその気分になってやっていただきたい、このように思いますので、一応希望を述べまして終りたいと思います。
  167. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 鹿野彦吉君。
  168. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 私はこの際簡単に通産当局に質問いたしたいと思います。今各委員からお話がありまして、このバナナの割当問題については非常に困難のあることは私もわかります。それで局長も今実績主義だけに沿うということについての苦悩を考えておられるということを承わりましたが、新しくこうした問題で割当を要請するというような人々の中に、たとえば今日本は、いろいろ日本経済の立場から輸出の増進を国の一番大きな太い政策の線として、その輸出をやった人々に対してはいろいろな恩典が与えられるというような政策が採用されておる。そうした場合に、バナナを販売することによって、外貨の獲得に一生懸命に努力しておるというような人々が外貨の割当をほしいというような要請があった場合には、どのようなことをされる考えを持っておられますか。
  169. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 ただいまの鹿野先生のお尋ね、非常にむずかしいお尋ねなんでありますが、もちろんこの輸入外貨の割当に当りまして輸出振興というような観点を加味することは、これはある程度われわれもその必要性を認めておるのでございます。たとえば肥料輸出のために砂糖を割り当てるというふうな問題もあります。あるいはまた非常に輸出のしにくいものの輸出のためには、安い雑豆の輸入割当をするというような問題も実はあるわけであります。このバナナにつきましても青果物の輸出振興のために少し輸出実績を加味して割当をしたらどうかというふうな考えも実はあるのでありますが、しかしこれらの措置は、商品の事情々々を具体的に検討してやりませんと、非常に弊害の面も多いわけでありまして、何でもかんでももうかる物資に輸出振興の名にかりて飛びついてくる、その結果ダンピングになるというようなこともありますので、これは一がいにはなかなか言い切れないわけでありますが、われわれといたしましてはその商品の実情に沿いまして弾力的に考えていきたいというふうに考えておるわけであります。今バナナについて云々と言われましたが、バナナについて具体的にどういうふうなやり方をいたしますか、まだそこまで実は研究もいたしておりませんが、なお具体的な問題に当りまして、一つ研究をさしていただきたい、こう思うわけであります。
  170. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 その場合々々について考えたい、それは大へんけっこうなことだと思います。しかしながらその場合について具体的にそういう問題があった場合には、やはりこうした矛盾きわまるところの外貨の割当をやっておるわけなんだから、少しでも日本経済に寄与するように外貨の獲得に努力しておるという実際の事情がわかった場合には、当然割り当てる気持にならなければならない。また行政を担当する人々としては、それは架空のものであるか、実際外貨の獲得に役立っておるかということを調べて、そうしてそれに対してただほったらかしておかずに、そういうようなことについて少しでも努力してみるという気持を持つことが行政官としての仕事であるかないか、この点を私は承わりたいと思う。
  171. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 非常にむずかしいお尋ねでありますが、もちろんわれわれは努力をするにやぶさかではございません。常時努力をいたしておるつもりでございますが、その具体的の場合になりませんと、ここで明確にお答えがなかなかしにくいということを、一つ御子承を願いたいと思います。
  172. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 私はこういうことを聞いております。進駐軍の人々にバナナを販売するのに一生懸命になっておる業者が非常に多くの外貨を直接に獲得しておるという実績を持っておる。で、こうした問題について外貨を割り当ててくれたならば、なお一そうよけいにこれを販売し、そうして外貨の獲得に努力をすることであるから、ぜひこうした問題について、外貨の割当をほしいということを数年前から通産当局に申請しておる。ところが、こうした問題については一顧も与えないということを聞いておりますけれども、そうした事実は御存じでございますか。
  173. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 存じております。
  174. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 存じておって、しからばそれをどうして等閑視し、ほったらかしておいたわけですか。ただいままでの局長の話によりましても、少くともそうした場合がありましたならば、ケース・バイ・ケースで十分考えていかなければならぬというような話がありましたが、ケース・バイ・ケースでこの問題を取り扱ったか、それともただそのままほったらかしておいたのかどうか承わりたい。
  175. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 進駐軍にバナナを売っておる人は、その結果としてもちろん外貨の獲得になるということは事実でございますが、先ほどの人口割りの議論もありましたように、小売の業者であり、バナナの輸入業もやる立場の人ではないということが一つの難点であったわけであります。それともう一つは、果してそういう小売業者に割当をすることによって外貨の獲得がふえるかどうかの問題であります。ちょっと普通の輸出振興の場合と違いまして、漸次減少していく進駐軍を相手に商売をする事業でもありますので、その辺の判断が非常にむずかしい。ただ一般の輸入したバナナを小売業者として買うよりも、直接輸入割当をしてもらった場合には、利益が多いということはこれはうなづけるわけであります。またその結果として進駐軍に売る価格を若干安くすることは、これは可能かもしれぬのでありますが、まあ要するに対象は小売業者であるということ、果して制度の改善の結果、どの程度の外貨の獲得の増加が見込めるかどうかということと、今いろいろ問題になっております一般の新規業者との関係もありまして、非常にわれわれは同情的にこの問題を取り上げ、真剣に研究したのではありますが、なかなか結論に到達しなかったのであります。ただバナナの取得にもし困難を感じておられるということでありますならば、われわれの行政上の指導といいますか、あっせんによりまして輸入業者なり加工業者から、もう少し十分にバナナが入手できるようなお手伝いは、これは十分にいたしたい、こういうふうに考えておりました。その後実は時間の経過もありましたために、そのままになっておったというと、はなはだ申しわけないのでありますが、そういうふうな経緯でありますから御了承願いたいと思います。
  176. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 私がこの問題をこうして出すということは、これは実際大した問題じゃございません。小さい問題でございましょう。しかしながら問題はバナナの割当そのものが全体として、先ほどから田中武夫委員からも発言がありましたように、矛盾きわまるもので、確かにこれを実際上やっていこうとするならば、だれもがほんとうに適正な割当方式を止み出すということは困難でございましょう。こうしたことを前提にして、私はこうしたバナナの割当に対して、少くとも日本経済に寄与する外貨の獲得に一生懸命に努力する面が認められるというような問題に対しましては、当然これはまじめに考えられ、取り扱わるべき問題でなかろうかと思うから、私はこの問題を出したのであります。伝えるところによると、いろいろうわさでは通産省の通商局は、まともにいったのでは通らないという話すら飛んでおるというような問題でありますから、こうしたまじめな問題については、やはり割当そのものに非常に矛盾をあなた方も感じておられることであるから、こうした問題について正当に外貨の獲得に対して努力されるという向きがありました場合に、今のように割当をした方が外貨がふえるかふえないかということは、値段も安く供給されるならば、外貨の獲得がふえることは当然であります。こんなことは簡単な問題でございましょう。そうしたことは私は議論は申しませんけれども、少くともそうしたまじめな問題については、こうした実績主義にのみ偏するのでないという考え方を持つ以上、今後ともまじめな問題に対して、大いにまじめに考えていただきたいということを希望いたしまして私は終ることにいたします。
  177. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 川野芳滿君。
  178. 川野芳滿

    ○川野委員 他の同僚諸君の質問がございましたけれども、私簡単に二つの点についてお尋ねを申し上げてみたいと思います。  先ほど来御説明を聞いておりますと、地方のバナナの値段が高い、こういうこともこれは事実であります。従って地方のバナナが大都会よりも高い、こういう点については輸入後の配給の問題ということについて、通産当局は少し考えておかなければならないのではなかろうか、かように考えるわけであります。そこで先ほど並川参考人からいろいろ聞いたのでありますが、バナナを輸入するまでは先ほど説明の通り。しかし日本に輸入後におけるバナナができるならば普遍的に安く配給されるということを考えなければならないのではなかろうか、かように私は考えるわけであります。そういたしますると人口問題等の問題も解決するのではなかろうか。人口問題を唱えるゆえんのものは、地方におけるバナナが少いという問題もございまするが、値段が高いという問題が一番大きな問題だろうと存じております。私の選挙区の宮崎県においては百匁が百二十円。福岡地方においては六十円ということである。そこであまり値段の差が違っておるということが、こういう人口問題を云々する原因になるのではなかろうか、かように考えるわけでありますから、輸入後のバナナの配給問題について今後検討される御意思が通産当局にあるかどうか、この点をまず伺ってみたいと思います。
  179. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 ただいまの輸入後の配給ルートの問題でありますが、私どもも同様の考えを持っております。実は柴田さんの方の団体からいろいろの議論が出てはおりますが、その多くの不満は、やはり輸入そのものというよりも、そのものを扱いたい、扱いたいが量が限られておるために輸入業者、加工業者それから地方の問屋さんというものに特殊のルートができてしまって、新しい者はなかなか扱いにくいという不満から、一つ新しい割当を獲得したいというような動きになっておるということにも聞くのであります。私たちはこれは別段責任のがれをするわけではありませんが、物資の所管といたしましては輸入後の問題は農林省の所管になるわけでありますが、輸入割当をいたします責任から申しますれば、最後のところも関心を持って見届けるようにいたさなければならぬわけであります。今後とも輸入業者には御指摘のような配慮をするように強く勧告をいたしたい、こういうふうに思っております。きょうは並川さんお見えでありますが、私らも同感であります。その趣旨に沿うて及ばずながら努力したいと思います。
  180. 川野芳滿

    ○川野委員 ただいま局長から意のある返事をいただき敬意を表するわけでございますが、その点につきまして並川参考人の方におかれましても輸入業者と話し合いの上に、このバナナ業者同志会でなくても、こういうものに属している方面にも輸入後のバナナを円満に配給するという問題を御検討になるならば、こういう問題が起らぬのではなかろうか、と申しますことは、あまり国会等におきましてバナナ問題を持ち出されるということは、バナナが非常に多額の利益を得ているという印象を与えるわけです。ところが聞いてみますとそう暴利をむさぼっておらない。こういう点から考えますと、できるならこういう問題が起らぬように皆さんの方で解決されるということが必要であるから、こういう問題について今度は業者間で一つ話し合う、こういう御意思がございますか。
  181. 並川義隆

    ○並川参考人 先般来柴田さんの同志会の方々で、ぜひバナナを扱いたいという人がだんだんと現われてきております。そのうちには同志会の常務理事の梅田さんなどもっともっと神田市場からバナナを買ってこられた方が、——私たちも実際は梅田さんと取引があったこともあります。今は取引はございませんけれども、御希望があればできるだけあっせんもしたいし、分けてあげてもいい、その他の方々にもこういうことで問題が解決できるのならば、われわれの輸入業者の団体が持っておるバナナをできるだけ御希望に沿うようにお分けしたい、こういう気持をみな持っております。役所からもそういうお話が出ておりますが、それに沿うてやりたいと思います。
  182. 川野芳滿

    ○川野委員 現在の輸入業者も下部配給の問題については、熱意を持ってこれに当りたいというお話もございますし、通産当局におきましても指導するという御返答でございますから、こういうことで一つ通産当局は解決に努力していただきたいと思います。  さらにもう一点お尋ね申し上げたいのでございますが、ドルの割当が従来は四百五十万ドルであったのが、百万ドル増して五百五十万ドルになった。しかし現在のバナナの値段が高いというのは、やはりドルの割当が少い、こういうのが原因だろうと思うのです。そこでどうしてもドルをもう少し増す必要があるのではなかろうか、かように考えます。そういたしますと、先ほど田中委員から新しい風を吹き込めというお話もございましたから、今後ドルがうんと増す場合には、新規の業者を少しくらい加えられてもいいのじゃないか、現在のドルでほかに新規業者を加えるということについては、現在の輸入業者の反対も強いと考えますが、ドルがたくさん増すという場合には、少しの新規加入者も加えても、現在の輸入業者も異論がないのではなかろうかと考えますから、そういう場合については新しい業者もさらに加える、こういうお含みはないものでございますか、この点を伺っておきたいと思います。
  183. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 その問題は、結局新規業者をどの程度認めるかという問題に関連をするわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、やはり輸入の事業を営む者に割当をするということ、そこでかりに今度の新しい通商交渉によりまして、何万ドルかふえた、その分を新規業者にやる分には既存の業者に影響がないじゃないか、先ほど来いろいろ議論がありましたように、現地側の出荷の状況、輸送の状況、荷受けの状況等から考えまして、果して今二百人になんなんとする輸入業者、これでもう多いのじゃなかろうかと私は思っているわけであります。従ってかりにある基準がありまして、新規業者を入れることにいたしましても、先ほど御批判の出ておりました結局転売をするというか、委託をするというか、そういう業者をふやすことに結果はなっていくのではなかろうかというふうに考えているわけであります。あくまで新規業者の問題はそのときどきの事情によって考えるべきであって、協定によってワクがふえたから、それが一つのチャンスというのでは少し工合が悪いのではないか、先ほど来申しておりますように、われわれの見るところによりますと、二百人になった輸入業者がほんとうの輸入業者になりつつある今の段階において、これをまたもとのような状態にふやしていく、転売をする者をふやすというのはどうもおかしいという感じを持っておるわけであります。原則的にはわれわれも新規業者の問題を全然考慮しないわけではございませんが、バナナにつきまして今大幅の新規業者を考えるということは、少し時期が尚早ではなかろうかというふうに考えているわけであります。
  184. 川野芳滿

    ○川野委員 私の言葉が少し足らなかったので、ただいまの御答弁になったと思いますが、私の申しましたのは、ドルが増しただけ新規業者に割り当てる、そういうわけではございません。ドルが増した部分を充てて新規業者を増す、こういうわけでございまして、しかもその新規業者も資本力においても能力においても適当である、こうお認めになる人があった場合のことでございまして、そういう適任者がない場合は、これは新規業者を増すといっても資格のある人がないのでございますからやむを得ませんが、そういう人がありました場合には、ドルが増した場合等におきまして、新規業者を加えるということも、私はこういうバナナ界が混乱しておる時代においては適当な救済策でなかろうか、かように考えますから、私はこういう発言をいたしたのでございます。どうか一つこういう点も慎重に——これは答弁ただかぬでもけっこうですが、考慮していただくように希望を申し上げまして、私の質問を終ります。
  185. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 委員長から並川さんと当局に対して御質問を申し上げます。お話を承わっておりますと、ただいまのは新規業者のお話のようであります。かつて、戦争まで青を直接輸入をして加工をりっぱにやっておったというような実績者があることは、並川さんは御承知だろうと考えます。従いましてこの人が不幸にして商工会議所の怠慢からその選に漏れたという事実を、わが委員会は認めております。従ってその認めたものに対して請願を受理しております。こういう点について並川さんは、そういう不注意からそういうことが国内に何件かあるかないかということを、あなたは今までの体験の上、また今までの実績者として御承知になっておるかどうかという一点を承わりたい。  さらにもう一つは当局でありますが、当委員会は最も妥当なりと決定をして、請願の取扱いをしております。その請願の取扱いについて、当局は今日いかなるように処理しようと考えておるか。その請願は今国会でなくて二、三回前の国会のことでございますので、それに対する御答弁をお願いいたします。
  186. 並川義隆

    ○並川参考人 答弁をいたします。実績のある業者で、とり方が、とる時期の関係で、ちょうど割当を受けられなかったとか、あるいはいろいろの問題があって、遠慮して実績がありながらそれを届け出でなかったので、もらえてないというような人たちは、私たちも聞いておるところで何人かございます。そういう方々については今度も幾らか調整をなさるという役所のお考えのようであります。そういうことであれば、われわれも喜んで協力するつもりでおります。
  187. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 この過去の実績のとり方によりまして、たまたまその年度はやっておらなかったが、その前の年度やっておったというふうな人もありまして、不公平の出ておりますことはわれわれも認めておるのであります。それらの点につきましては逐次是正をいたしまして不満のないようにいたしたい、こういうふうに考えております。  それから、いま一つの請願の問題でありますが、請願は一般的に人口割りの請願ではなかったかと思うのでありますが、これにつきましては、先ほど来いろいろ御説明を申し上げておりましたところで御了解願いたいと思います。御存じのように一部人口割りを試験的に加味したのではございますが、なかなかその成績も思うようにいきませんので、やはり本来の趣旨に立ち返りまして、大体輸入実績者に割当をするという方針でいきたいというような回答を、わが省といたしましては内閣の方にしたかと思っております。そういうことで御了承願います。
  188. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 それでは局長さんにもう一点お伺いしなければなりませんが、あなたは請願を見ておらない。人口割り問題ではありません。それはただいま私が並川さんに申し上げたと同じケースを申し上げたはずでございまして、請願はその点について受理されております。でありますから、人口割り云々でなくて、かつてそういう業者があったということをわれわれははっきり認めて、そうして請願を受理しておりますから、お帰りになりましたら十分御検討をして、そうしてただいまの並川さんのお話があったように、政府もそういう考え方を持っておるそうでございますから、そのように善処願いたいと考えております。  大体質疑は終了いたしました。参考人の方々には、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べ下さいましたことは、まことにありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。次会は明日午前十時より開会いたします。     午後四時三分散会      ————◇—————