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1959-02-19 第31回国会 衆議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十九日(木曜日)     午前十一時十八分開議   出席委員    委員長 長谷川四郎君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 中村 幸八君 理事 加藤 鐐造君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       新井 京太君    岡本  茂君       鹿野 彦吉君    菅野和太郎君       木倉和一郎君    始関 伊平君       中井 一夫君    渡邊 本治君       板川 正吾君    内海  清君       大矢 省三君    勝澤 芳雄君       小林 正美君    鈴木  一君       水谷長三郎君   出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (重工業局長) 小出 榮一君         通商産業事務官         (鉱山局長)  福井 政男君   委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局 中村 隆則君         保安課長)         大蔵事務官         (主税局税関部 木村 秀弘君         長)         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 二月十八日  特許法等の一部を改正する法律案内閣提出第  一五七号)(予)  商標法案内閣提出第一五八号)(予)  商標法施行法案内閣提出第一五九号)(予)  特許法等施行に伴う関係法令の整理に関する  法律案内閣提出第一六〇号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  特定物資輸入臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第六〇号)  石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一三二号)      ————◇—————
  2. 長谷川四郎

    長谷川委員長 これより会第を開きます。   この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。プラント類輸出促進臨時措置法案及び特定物資輸入臨時措置法の一部を改正する法律案の両案についてそれぞれ参考人より意見を聴取することとし、参考人の選定並びに御出席願う日時等に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたします。     —————————————
  4. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次に、プラント類輸促進臨時措置法案小売商業特別措置法案商業調整法案特定物資輸入臨時措置法の一部を改正する法律案硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法の一部を改正する法律案石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律案及び繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案、以上七法案を一括して議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。鈴木一君。
  5. 鈴木一

    鈴木(一)委員 石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律案について質問いたしたいと思います。   最初にお伺いしたいことは、政府がこの会社債務保証するということが要点になっております。こういうふうな法律案は今度の国会が始まる前から予定されておったのか、どうか、ある  いは国会が始まってから急にこれを出すことになったのか、その辺の事情を伺いたいと思います。
  6. 福井政男

    福井政府委員 石油資源開発株式会社債務保証につきまして、その株式会社法にこういった債務保証の規定を入れたいということは、かねがね私  ども研究をいたしておったわけでございまして、実は昨年の予算時期にもこういった問題を検討いたしておりましたけれども、なかなか法案に入れるところまで熟しませんで、以来ずっと検討して参りまして、今回ようやく提案をする運びに相なった次第でございます。
  7. 鈴木一

    鈴木(一)委員 予算を提出するときにおいて、債務保証の問題については当然予算総則にうたって、そうして法律案を出してくるというのが順序だろうと思うのです。予算総則には全然うたってないし、もう少しその間の事情を詳しくお聞かせ願いたい。
  8. 福井政男

    福井政府委員 ただいまのお説につきましてはごもっともでございまして、私どもも、本来ですと、これは法律案を出しますと同時に予算総則限度を入れていただくというのが普通の場合でございますが、御承知のように、石油開発といいますのは、なかなか初めからはっきりと確定し得ない要素を非常に持っておりますので、今回の改正案につきましては、法律上一応債務保証し得るという根拠を作っていただきまして、そういう開発地点がはっきりいたしました場合に、その金額等を計算いたしまして、予算総則保証限度を入れていただく、かような段取りにして参りたいというふうに考えております。
  9. 鈴木一

    鈴木(一)委員 今の御答弁を聞いていますと、開発事業については計画的な見通しが立たないというふうなことが原因のようでございますけれども、しかし五カ年計画は実際今日も進行中ですから、その五カ年計画の中において、どれだけ会社自身自己資金でやるか、あるいはまたどれだけ足りない分は他に依存するかということがはっきりするわけですから、今ごろ計画がないから予算総則にもあらかじめうたうことができなかったというような御答弁では筋が通らないと思いますが……。
  10. 福井政男

    福井政府委員 お話ような点につきまして、私どももさよう感想ずる点がないでもございませんけれども、ただ、ただいま申し上げましたように、具体的にこの開発地点をきめまして、その開発計画かどういうふうになるかということは、しかも今年度の資金計画まではっきりその地点について金額が計算し得るということになりますには、その下に油があるということが出ましても、どの規模一体地下に賦存しておるか、その量を確定する必要がございますし、それからまた量が確定いたしまして、今度どういう施設をして採油するのが適当であるか、それには下の方の地質がどういう状況になっておるからどういう施設をしたらいいか、あるいはまたその規模をどの程度規模にしていくかというようなことを具体的にきめまして、生産数量なり開発資金を計算いたしますのには、各地点につきましてそれだけの要素を十二分にはっきりいたさないと金額は出ないわけでございまして、そういう段階になりますれば、その金額をはじきまして予算総則に計上する措置をとりたい、かよう考え方であります。
  11. 鈴木一

    鈴木(一)委員 ちょっと委員長質問を保留します。
  12. 長谷川四郎

  13. 始関伊平

    始関委員 実は最初に予定いたしております質問は、政務次官に答えていただきたいと思っておりますので、順序は少しおかしくなりまするが、それ以外の問題から始めたいと思います。  最初に、バナナの問題についてお尋ねをいたしますが、バナナ割当方式といたしまして、割当総ワクのうちの何パーセントかを、いわゆる人口割によって都道府県に割り当てろ、こういうよう要望か一部からあったようでありますが、バナナ割当方式について、ただいまどういうふうになっておるかということ。それから、バナナに限りませんで、パイカンども同じだと思いますが、こういう種類のものにつきましては、最終需要者に割り当てるということは困難であって、結局は輸入業務を行う者に割当をするということにならざるを得ないと思うのでございますが、この辺につきまして一つ説明をお願いいたします。
  14. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 バナナその他の数品目特定物資の実際の輸入割当方式でございますが、今御意見の中にもありましたように、輸入業者、いわゆる輸入実務を行う者に割当をするという原則で参っておるのであります。ただ、バナナにつきましては、第二十六回の国会かと思いまするが、人口割比を加味した割当をするようにというような請願もございましたので、それが採択もされたということで、その趣旨を尊重しまして、輸入業者の中で、いわゆる加工実績を持っておる者、これがまあ輸入実務に一番近い段階にある者でありまするが、それを対象といたしまして、いわゆる新輸入業者として加工業者を考えろという問題がありましたので、その加工業者割当有する際に——これは加工業者というよりも新輸入業者に対する割当なんでありますが、その割当をいたします場合に、一部人口割観念を入れて試験的にやってみたのでありまするが、現実の問題といたしましはば、なかなかうまく参りません。元米こういう人口割観念というものは、国内流通上の問題かと思うのであります。輸入外貨割当基準として考えますと、非常に難点も多いのであります。また人口割比の問題の場合には、ある特定の団体に一括割当をするということが、あのねらいであったかと思うのでありますが、こういうことも実際問題として弊害が非常に多うございましたので、二回ばかりそういう人口割比観念を入れてやったことはございまするが、現在のところは、やはり輸入実務にタッチする者を対象にして割当をするという方式の方がいいという確信を強めておるのであります。今後の外貨割当の方針といたしましては、そういう方法で参りたいというふうに考えております。
  15. 始関伊平

    始関委員 これも実はあとで伺う予定にしておったのでございますが、この法律によりまして指定を受けましたいわゆる特定物資は、差益徴収を受けるわけでございますが、この差益算定につきましては、これはこの適用業界方面からはできる限り少くしてもらいたいという要望があるのは当然でございますし、一方におきまして、会計検査院関係とかいろいろございまして、当局ではどの程度差益徴収するのが過当であるかという点についていろいろ御苦心があると思うのでございますが、これはまた後ほど申し上げますけれども、一体為替なり貿易なりの管理によりまして輸入制限されておる事情のもととにおきましては、程度の違いはありましても、国内需給というものはある程度均衡になるわけでございますから、そこでこの法律のねらっておりますような、いわゆる通常利益をこえる超過利潤と申しますか、いわゆる差益でございますが、こういったものは、相当多くの商品について生ずる傾向にある、こう思うのでございまして、そのような点から申しますと、指定を受けました者だけが過酷な、あまりに厳密な差益徴収を受けるということは、必ずしも適当ではないのではないかという気がいたすのでありまして、そのよう観点からいきますと、ただいま徴収されておりまするパイカンの三〇%その他は、いささか酷に失するのではないか、またその後の市況変化等適用しない点があるのではないかという気がいたすのであります、が、この点についての所見を伺いたい。  それから、その問題に関連をいたしまして、業界ではこの差益率をなるべく少くしてもらいたいという希望があるのでございますが、一体どういうふうな条件が整えば、たとえば時計の三六%というようなもの、パイカンの三〇%というようなもの、これを下げることになるのか。またいわゆる特定物資として差益徴収するわけでございますが、特定物資として考え得る差益の最低の率というものは一体どの程度なのか、そういう点について御説明を願います。
  16. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 ただいまお尋ねの点は非常にむずかしい問題なのであります。御存じよう法律の第一条におきましては、「通常生ずる利益をこえて異常な利益を生ずると認められる物資」ということになっております。そこで、通常生ずる利益なり異常利益というものが、どの程度のものであるかという判定が、実際問題として非常にむずかしいのであります。またこれは商品によりまし、て、またその場合々々の外貨割当の量のいかんによりまして、ある期には比較的多くのマージンが出るが、ある期にはあまりマージンが出ないという場合もございます。いろいろな場合がありまして、非常に判断がむずかしいのでありますが、われわれといたしましては大体輸入業者マージンといたしましては、通常の場合三%ないし一〇%程度がいわゆる適正な利潤ではないかと思っております。もちろん大量物資である場合とそうでない場合、あるいは原料物資である場合と直接消費者需要者に回る物資とによりまして判断を変えなければいけないのでありますが、大体そういうところが通常マージンではなかろうかと思っております。従いまして、これを大幅に上回るときにまず特定物資とし得るやいなやということを検討いたしておるのであります。ただ単純に通常マージンを一時的に上回っておるからといって、すぐに特定物資にするというわけではございませんが、一応基準としてはそういうところを基準に考えておるのであります。  それから市況変化に対応して差益率についても弾力的に考うべきではないかというお尋ねの点でございますが、これにつきましてはわれわれもさように考えております。率直に申しまし、差益を多くとるというばかりが能ではないのであります。会計検査院との関係もございますが、やはり輸入量が多くなる、あるいは需要関係をもちまして国内市場相場価格というものが下落傾向にあめる場合には、それに追随をいたしまして差益率を加減するつもりで、現在まで運用いたしております。従いまして、物によりましては上期では低いが下期では高いというものもございますが、総じて見ますれば漸減の方向に運用をして参っておるのではないかと思うのであります。どういう場合に、では差益率を下げるかというようお尋ねもございましたが、今申し上げますように、大体におきましてバナナあるいはパイカンというような場合におきましては、協定その他の関係によりまして輸入量が急にふえ、国内相場下落傾向にある、従いまして、差益算定をするときの想定市場価格というものが下るという場合には、従来の例にとらわれずに差益率を下げて市況に合うようにいたしておるのであります。  それから次には差益率につきまして、これもなかなか一がいにははっきりと御説明しにくいのでありますが、まず差益率が一〇%ないし一五%というふうなことになりますと、果して特定物資として存置すべきやいなや、われわれとしてはあらためて検討したい、こういうふうに考えております。今何%になればやめるとかいうはっきりした基準を実は設けてはおりません。
  17. 始関伊平

    始関委員 政務次官がいないようでございますから、しようがありませんからさきに返りましてお尋ねいたします。私はまず特定物資臨時措置法による特定物資とは何か、また何であるべきかという点についてお尋ねをいたしたいと思います。ただいまのところこの法律でねらっておりますのは、先ほどお話に出ておりますようバナナパイカン腕時計その他二、三のものでありますが、この法律適用を受けますと、輸入業者利益の大部分というものをごっそり政府に吸い上げられるということでございますから、これはその商品を扱う側からいえば、あまりありがたくない制度だと思うのであります。そして、先ほどもちょっと申したのでありますが、外国商品輸入為替管理によって制限されておる。そういうことでありますと、これは程度の差はございますけれども、多かれ少かれ国内における需給が不均衡になる。例外の場合は別でございますが、原則として不均衡になる。そういうことでありますれば、輸入によって通常生する利益がどの程度かということはむずかしい問題でございましょうか、この法律でねらっておるよう通常生ずる利益を若干越えた利益が生ずるということは、これはきわめて一般的な傾向であるということに認めざるを得ないと思うのでございます。さてそこで、そういったようなものの中で、最も顕著なものを二、三あげてみますと、これは中川さんがきょうお見えになっておりませんが、中川政務次官がこの委員会の席上でも言明されたのでありますけれども外国自動車、これは輸入を認めると、そのとたんに値段が倍になる。非常な差要があるわけであります。それから韓ノリ輸入、これなども非常にやかましい問題である重要な理由の一半は、やはりこの輸入差益というものが非常に大きいということに私は起因すると思うのでありまして、しかもこの法律を読んでみますと、今申し上げました自動車なり、あるいは韓ノリというものを、この法律適用なきものとして除外すべき理由と申しますか、必然性というものは全く見出らないように思うのですが、一体バナナパイカン、ああいうものだけを指定して、それと全く同じような経済的な条件のもとにあるこれらのものを入れておらないというのはどういう理由なのか、将来これらのものを追加して入れるということを考慮されるのかどうか、その辺を一つ伺いたいのであります。
  18. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、通常生ずる利益あるいは異常利益判定か非常に困難なのでございますが、一応現在特定物資として掲げられておる物資につきましての通常マージンというものは六%ないし一〇%というようなつもりで、実はいたしておるのであります。そこで今御指摘よう自動車ノリ等については、しからばどうだというようお尋ねかと思います。自動車について申し上げますと、現有の輸入割当方式において最終需要者であるタクシー業者、あるいは報道機関というようなものに内示書を発行する、いわゆる割当方式がありまして、その最終需要者内示をもらい、それから発注書をもっった輸入業者外貨割当を行うということでありまして、従いまして、輸入業者段階における利益というものは、これは至って合理的なものでありまして、異常な利益を発生しておりません。また御存じように、最終需者輸入し要ましたところの自動車の転売につきましては、三年間これはできないというふうなことにもなっておるわけであります。従いまして、この輸入の仕方が、輸入してそれをだれでもほしい人に転売するというふうな方式でございますれば、これはあるいは御指摘ように、かなり輸入業者段階においてマージンが発生するかと思いますが、輸入割当方式が、今申しましたよう最終需要者に割り当てる。そうすると、最終需要者輸入業者輸入を依頼するということでありまして、その間合理的なもので動かしておるということでありますので、輸入業者段階における異常マージンというものは、今のところ発生しておらぬのであります。その点を一つ御留意願いたいと思います。なおノリにつきましても、御指摘ような問題は、われわれも実は常々研究をいたしておるのでありますが、これも韓国からの輸入時期、輸入量、それと国内におきますノリの豊凶によりまして、非常に価格が上ったり下ったりいたしておるのであります。若干通常のものに比べましては多い利益の出ていることは、われわれも認めるものでありますが、これを今特定物資として指定をするということになりますと、技術的にも非常にむずかしいというふうな点もありまして、従来私どもといたしましては、その輸入が継続的に行われるということと、それから異常利益の発生も、若干の増減はありましても、大体経常的に捕捉できるということを一つ条件として考えております。もちろん、そのほか国際条約と申しますか、国際的な関係のある、たとえば自動車で申しますならば、現在入っておりますのは、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスというところが主でございますが、国際的な関係から申しましても、かりに先ほど申したよう割当方式でなくて異常利益が若干ありました場合におきましても、そういう国際関係から見て、特定物資にはいたしかねるのじゃないかというふうに考えるのであります。さようにいたしまして、判断をいたします場合には、単なる通常生ずる利益をこえた利益というもののほかに、国際的な情勢その他も考えて、指定をするかしないかを判断いたさなければならない。現在のところ、指定されておりまする五品目以外には、直ちにこういう物資が適当であろうというような考えを持っていないわけであります。
  19. 始関伊平

    始関委員 これは先ほど申し上げましたように、指定を受ける側からいえば非常に不利なことでありますから、同じよう条件のもとにある他の商品、業種があるとすれば、公平を期するという上からも指定すべきであると思うのでありまして、それらの点は今後も御研究を願いたいと思います。  この点に関連いたしまして、もう一つお尋ねしたいのでありますが、政府の出されました臨時措置法期間延長提案理由説明によりますと、この法律は結局不要不急物資適用するのだというふうに書いてあるのであります。しかしながらこの法律の第一条の趣旨には、これは不要不急物資というふうなことは全くないのでありまして、不要不急物資については外貨割当か少いから、結局ここにいう大きい差益を生ずる場合が多いという意味においては了解いたしますけれども、この不要不急物資に限るのだという考え方は、私は法律の精神から見て適当でなかろう、こう思います。なお同時に不要不急物資というようなことを言われるのは、言われる側から見ても、あまり気持のいい話ではないのでありまして、バナナにしてもパイカンにしても、不急物資というならばまだしも、不要物資だというのでは何人も納得しない。また不要であると認定しながらその輸入を認めておるというのもおかしいのでありまして、この点について当局所見を伺いたいと思います。
  20. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 確かに御指摘ように、特定物資輸入臨時措置法第一条によりますれば、そういう不急不要物資というよう表現は全然用いてはいないわけであります。しかしながら現在の外貨割当の別状からかんがみまして、外貨有効利用観点から、必要物資、いわゆる原材料物資等につきましては、さほどの制限をいたしていないわけでありますが、他の物資につきましては、かなりの輸入制限をいたしておることは事実であります。その結果として異常の利益が生する場合ということでありますので、特定物資不急不要物資というのはこれは若干表現が正確でない、一言に言い現わすためにやや近い表現をかりたということなのでありますが、大ざっぱに考えまするならば、不急不要物資というものが特定物資になる可能性が多いのだということはいえるかとも思うのであります。若干表現につきまして、率直に不急不要物資というよう表現をいたしましたことは、いささか適切でないとは思いますが、まあ俗に考えますれば、そういう原材料なり緊要物資以外のものというつもりで、不急不要物資という表現を使いましたので、その点は一つ御了承願いたいと思っております。確かに不急不要物資そのものではないということは言われる通りでございます。
  21. 始関伊平

    始関委員 次に私は、この法律にいう差益というものの性格のようなものについてお尋ねをいたしたいのであります。現在の差益率パイカンが三〇%、腕時計三六%、バナナは一〇〇%前後、こういうことになっておるのでありますが、こういうよう差益徴収は、国内に同じよう種類産業がある場合——ある場合と申しますと腕時計がございます。それからパイカンにつきましては国内にはございませんけれども沖縄にこれがある。しかもこれは関税上並びに為替管理上全く無制限の扱いを受けておりますので、いわばこれは一応国内に準じて考えてよろしかろうかと思うのでございます。そういったようなものがあります場合には、その国内産業についてちょうどこれは保護関税がそれだけ増徴されたような結果になり、反射的に非常な利益を受けると思うのでございますが、この差益徴収という制度は、国内産業保護ということは、その目的には全くない、このように了解をいたすのでございますが、この点について所見をお伺いしたいと思います。
  22. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 この法律の第一条から見まして御指摘ように、直接には国内産業保護目的にいたしていないことはお説の通りであります。要するに輸入制限されたために需給の不均衡が著しくなりましてその結果、通常生ずる利益をこえて異常な利益が生ずると認められる物資、こういうことになっておるのであります。しかしながら何ゆえに輸入制限されるかということになりますと、これは貿易為替管理法にさかのぼって解釈をいたさなければならぬわけです。この法律そのものからいいますと、国内産業保護という観念は全然出ては参りませんが、輸入制限という角度から見れば、場合によりますれば間接的に産業保護的な色彩が出て参る場合もあり得るということは御了解を願いたいと思います。
  23. 始関伊平

    始関委員 少くとも直接的には国内産業保護目的とするものではないということでございますが、そこで私は具体的に沖縄のパイカンの問題についてお尋ねをいたします。先ほど申し上げましたよう関税並びに為替管理の建前から申しまして、これは国内産に準ずるものというふうに見て差しつかえないと思うのでありますが、琉球の政府筋、それから琉球におけるパイカン業の代表者の意見を直接私ども聞いておるのでありますが、この差益金というものは保護関税と全く同じものである。自分たちはこういう制度があるので沖縄の新しい産業としてのパイカン業を始めた、こういうふうに申しておるのでございますが、そこまで考えることは明白に沖縄における業者の行き過ぎであり、一つの誤解のようなものであると思うのであります。しかしながらそれはそれといたしまして、沖縄の特殊ないろいろな事情というものも考えてやらなければならないと思うのでありまするが、なお一方におきましては、沖縄のパイカン業の保証のためにこの制度を継続してららいたいということのほかに、台湾産パイカン輸入割出の削減、特に本年度百五十万ドル残っておるということでございますが、これは削減してもらいたいというふうに申しておるようであります。この点は役所の方にも陳情が参っておると思うのでありますが、沖縄のパイカンに対する当局の方針を伺いたいと思います。
  24. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 ちょっとただいまのお尋ねに対してお答えいたします前に、先ほどの問題について補足さしていただきますと、現在の貿易為替管理法におきましても、国内産業保護するという趣旨は何らないわけでございますが、外貨有効利用をはかるということになっておりまして、外貨有効利用の手段として輸入為替を許可するということが認められておるわけであります。ところがその場合におきましてやはり限られた外貨を有効に使うというふうな角度から、必要物資を優先する、国内産業で間に合っているよう物資は、かりにそれが重要物資でありましても、若干考え方順序を低くして考えるということはお認めを願えるかと思うのであります。その結果といたしまして、輸入制限の運用が国内産業保護的に間接的に効果を持つ場合があり得るだろうということは、一つ御了解を願いたいと思うのでございます。  それからただいまお尋ねの琉球パイン産業の問題でありますが、御指摘ように琉球という地域の特殊性にかんがみますれば、これは輸入観点から申しますれば外貨を支払うわけであります。ドルを支払っておるわけでありますので、外国ではございますけれども、地域的また民族的な感情から申しまして特別な配慮をいたしておるわけであります。それがために琉球からの輸入につきましては全部無税にいたしております。またあらゆる輸入につきまして自動承認制下において、ほとんど日本国内と同様の扱いを貿易面ではいたしておるわけであります。従いまして琉球パイン産業につきましては、国内産業に準じた考え方をいたさなければならぬかと思っておるのでありますが、他方パイカンにつきましては、台湾政府との協定がございまして、現在までのところ年間二百五十万ドルの輸入をいたす約束になっておりまして、上期におきまして百万ドルの割当をいたしましたために、下期におきましては百五十万ドルの割当が残っておるのであります。そこで琉球側の御要望もあり、また台湾との通商協定履行の関係もありまして、われわれといたしましては、できるだけ両方の顔を立てると申しますか、両方の利益保護するということで考えておったのであります。先般来琉球政府代表のみならず業界代表もお見えになりましたので、日本側の関係省及び関係業界等で十分議を尽しまして協議をいたしました結果、この辺ならば大体両方の利害を調整し得るのではないかという結論になりまして、百五十万ドルの台湾の輸入割出をいたすことにいたしたのであります。差益率も、従来の三六%を三〇%に引き下げたのであります。台湾政府から見ると、若干不満のようではありましたが、沖縄問題の特殊性もあり、台湾側も了承してくれたというふうな状況であります。今後琉球パイヵンの輸入は、先方におきまする生産の増に伴いまして、ますますふえて参るわけでございます。三十四年度におきましては、一応五十六万ケースというふうにいわれておるのであります。従いましてこれを日本で輸入し、消化することも、われわれは考えなければなりませんし、他方日台通商協定は、本年三月で一応切れて、四月から新協定になるわけであります。実はこの三月から東京におきまして、通商交渉を開始する予定になっております。現在のところ琉球パイカン価格が若干割高であります関係もありまして、どうしてもこれを消化いたすためには、台湾側に譲歩を願って、協定上はかなり削減をいたすほか方法がなかろうかというふうに考えておるのであります。戦前におきましては、国内においては百万ケース以上のパイカンの消費かあったわけでありますが、現在のところは価格の高い等の関係もありまして四、五十万ケースくらいの消費かと思います。今後の一年間といたしましては八十万ケースくらいの消費を予想いたしております。要は価格を引き下げまして輸入を多くするということなんで、そのためには琉球側におきましても価格の引き下げに御努力を願わなければいけないわけであります。琉球の価格基準にしてものを考えておりますと、どうしても琉球そのものの消費すら困難であるというふうな事情もあろう、先般も琉球政府にその点はよくお話を申し上げて善処を願うようにお願いをしておるような次第であります。
  25. 始関伊平

    始関委員 もう一つ質問が残っておりますけれども、留保して、きょうはこれでやめておきたいと思います。
  26. 長谷川四郎

    長谷川委員長 暫時休憩をいたします。    午後零時十四分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕