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1959-03-12 第31回国会 衆議院 社会労働委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十二日(木曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 園田 直君    理事 大石 武一君 理事 大坪 保雄君    理事 田中 正巳君 理事 八田 貞義君    理事 小林  進君 理事 滝井 義高君       亀山 孝一君    河野 孝子君       齋藤 邦吉君    中山 マサ君       二階堂 進君    古川 丈吉君       柳谷清三郎君    山下 春江君       亘  四郎君    伊藤よし子君       岡本 隆一君    多賀谷真稔君       堤 ツルヨ君    中村 英男君       八木 一男君  出席政府委員         人事院事務官         (事務総局職員         局長)     矢倉 一郎君         総理府事務官         (調達庁労務部         長)      小里  玲君         厚 生 技 官         (医務局長)  小澤  龍君         労働政務次官  生田 宏一君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      堀  秀夫君         労働事務官         (職業安定局         長)      百田 正弘君  委員外出席者         厚生事務官         (医務局管理課         長)      北川 力夫君         労働事務官         (婦人少年局年         少労働課長)  萱野  喬君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 三月十二日  委員二階堂進君及び多賀谷真稔辞任につき、  その補欠として大久保留次郎君及び水谷長三郎  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大久保留次郎君及び水谷長三郎辞任につ  き、その補欠として二階堂進君及び多賀谷真稔  君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  労働関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 園田直

    園田委員長 会議を開きます。  この際委員派遣承認申請に関する件についてお諮りします。内閣提出国民年金法案並びに八木一男君外十四名提出国民年金法案、及び国民年金法の施行及び国民年金と他の年金等との調整に関する法律案、以上各案審査のため地方委員を派遣いたしたいと存じますが、衆議院規則第五十五条により議長委員派遣承認を求めることに御里(議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 園田直

    園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  なお、派遣委員の氏名、派遣期間派遣地等につきましては、委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 園田直

    園田委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  なお、開会中のことでもあり、派遣先の一部については航空機往復利用承認を得たいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 園田直

    園田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  6. 園田直

    園田委員長 労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。滝井義高君。
  7. 滝井義高

    滝井委員 まず委員長から松野総務次官丸山調達庁長官、それから外務省の行政協定関係を担当する責任者外務大臣を要求しておるのですが、それだけを一つ至急にしていただきたいと思います。
  8. 園田直

    園田委員長 今連絡をとります。
  9. 滝井義高

    滝井委員 その前に労災の問題を、それらの方がおいでになるまで先にやらしていただきます。  最近問題になっておる労働者災害補償保険医療の問題です。これについて労働省当局いろいろ見解をただしたいのですが、現在労災を受けた労働者はそれぞれ指定医療機関治療を受けておる。ところがこの医療機関指定する場合の基準というようなものが、一体どういう基準で行われておるかという点です。地方病院から申請をしてもなかなか許可をしないというようなこともあり得るわけです。私はこれは病院診療所であってしかもそれを希望するならば、何かそこに非常な欠格条項のない限りは指定をしてもちっとも差しつかえないものじゃないかと思うのです。それの方が労災を受けた労働者にも非常に便利なんです。現在政府が皆保険政策をとろうとするなら、現に、国民健康保険を担当するか、健壁保険指定医になるかということは全部申請によって、これが特別な理由のない限りは許可をしているのです。特に労働者災害というような非常に労働者がノイローゼになって自分病気を早く直して再び生産の場に入りたい、こういう状態から考えると、特別の欠格条項のない限りは指定をすることが私は妥当だと思うのです。一体指定医療機関というものはいかなる基準指定をしておるか、これを一つ承わりたい。
  10. 堀秀夫

    堀政府委員 労災保険療養給付政府が行う場合、その代行機関として政府指定する病院診療所においてこれを行えることになっております。これがただいま御質問病院診療所指定の問題でございます。そこでこの指定に当りましては、診療機関医療関係者及び設備内容程度その他この地域の事業場数労働者数等、実情を考慮いたしまして、適当と認める病院または診療所指定することとしているのでありますが、これにつきましては各都道府県基準局におきまして、それぞれ現地におきまして各地の医師会あるいは指定医会等の御意見も十分承わりながら指定をいたす、このようなことにしておるわけでございます。従いましてこの病院診療所指定に当りましては特に強い制限基準というようなものはありませんで、要するに労災保険療養給付まん行うのに適当であるかどうかという点を審査いたしまして、それと医療関関係者の御意向等を伺いながら、指定を行っておる、こういう状況でございます。     〔園田委員長退席八田委員長代理着席
  11. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、いろいろその病院診療所の配置の状態労働者の数、事業所の数それから設備それから医療関係者の力というのか、何かそういうようなものを参考にして、別に制限はしていないとこうおっしゃるのですが、私のところにいろいろたくさん投書も来ておりますが、実は私がある基準局指定申請をしたのは昭和二十六年でありました、いつまでたっても返事が来ないので基準局に行ったら、申請書類が出ていないといわれました、それでさらにその区の監督署にいったところが、人事の異動で申請書類をなくしました、もう一度出してくれといわれました、そこで新しく提出したら却下された、理由は独立した手術場がないということであった、そのうち手術場を作りました、そして二階に入院室も建てるので設備の改善を行なって再び申請を出しました、これも却下された、今度の却下の理由には何も理由は書いておりませんでした、こういうのがある。そういうように私は何も、どの病院指定しても  ちっとも差しつかえないんじゃないかと想うのです。それから先は、労働者がどの病院を選択しようかということは自由なはずなんです。たとえば生活保護だってほとんど網羅的に指定をしておりますよ。特別の問題か何かあるのは指定しておりませんが、大体全部指定している、結核だって申請すれば指定してくれておるのですよ。労災けが何か特別のものだけを指定をしなければならぬという理由はどこにもないのです。だからこれは内科であろうと外科であろうと、外科医者が見て、内臓にも異常がある、あるいは肋膜とか結核を併発しておりはしないかというときには内科医者にも見せなければならぬ、従って申請をする医者はだれでも一応申請を認める、しかしそこに何か労災において前科があるとか欠格条項があるというならば、それは一つ正規社会保険中央社会保険医療協議会地方社会保険医療協議会ができておるように、そういうものをあなたの方でお作りになって、そうしてそこの意見を聞いて、これは許可しないという場合にのみやったらいいのですよ。何か今あなたの言われるように医師会とか指定医会等意見を聞くと、こうおっしゃるけれども、指定医会というものはいわば労災指定を受けておる人の団体ですから、そういう同業者がふえない方がいいということでなかなか指定をやらないということもあり得るかもしれません。だから私はこの際まず原則としては、すべて指定申請をしたものについては指定をするということが原則だ、しかしその指定をするについては、これはあなたの方で拒否しようとするならば、新しく作った審議会の議を経なければならぬ、その審議会が、これは拒否してもよろしいというときにあなた方が指定を拒否する、こういうような何か民主的な機関を作ってやらないとこれは労働者を、あとでいろいろ言いますが、労働者はどこへ行ってもいいのですよ、ところがそういうことのためにどこかあなた方の指定するところに行けということになると、労働者はしぶしぶそこに行かなければならぬ、こういう羽目に陥る。どこでも自由選択にしたらいいということが一体なぜできないのかということなんです。おやりになる意思があるかどうか。
  12. 堀秀夫

    堀政府委員 ただいまの御質問の点はごもっともであると考えますが、労災保険におきましては、御承知のように直接療養給付を行います場合と、それから労災保険において労働者療養をいたしまして、それにかかりました療養費給付するという場合言と二つあるわけでございまして、直接療養給付を行うという場合は、ただいま申し上上げました指定医において行うということになっておるわけでありますが、労働者の例といたしましては、その指定医でなければ労災医療は受けられ一ないということではなくて、他の診療所におきまして療養をいたしました場合には療養費の支給を労災保険から行うというような道もあるわけでございます。しかしながら事実問題といたしまして、やはり指定医のところに労災の患者が多く行く、こういうことになることは当然であるわけでありまして、その場合につきましては、私どもといたしましては、労災診療というものはやはり独特のいろいろな内容を持っておるわけでございまするから、その労災診療を行うのに適当な内容をを持っておる診療所でなければならないわけでありまするが、そういうような適当な内容を持っておりますれば、それ以上に特に制限を加えるというようなことは適当でないと考えておるわけであります。ただこれにつきましては、現地におきまして医師会あるいはその他の関係者の方といろいろ、たとえば単価の問題その他につきましても御相談を申し上げて、労災保険運営を行なっておる状況でありますので、そのような方々の御意見も伺って参りたいと考えておるわけでありまするが、不当に労災指定医指定を受ける道を狭めるというようなことはこれは適当でないと思います。そこでただいま申し上げましたような考え方に基きまして、今後においても指定区の指定を行なって参りたいと思っておるわけであります。お話のような点は、実は労災保険におきまする医療適正化をはかっていくという問題も、現在必要があるわけでありまして、中央におきましてはその問題について権威者にお集まり願いまして、労災医療適正化の問題についてもいろいろ御相談願っておるわけであります。こういうものと関連いたしまして、ただいまのような御意見もあるわけでございますから、さらに今後の運営を今のような考え方でやっていくためには具体的にさらにどうしたらいいか、それからただいまお話しのような、申請をしたけれども、こちらの基準局関係者が交代してわからなくなったというようなことはまことに遺憾でありまするから、そのようなことのないようにすることについて、今後とも努力をいたしたいと考えております。
  13. 滝井義高

    滝井委員 こういう労災の問題が他の医療と非常にかけ離れた姿であるということは、これは私はよくないと思うのです。もちろん業務外業務上というふうに、病気の原因については違っております。しかしその治療内容については、そう本質的な違いがあるものじゃないと思うのです。他のものは申請すれば大体許すのですよ。それが建前なんです。だれだって、医者免許を持っておって指定医になれぬ、労災だけ見れぬというはずはない。従ってあなたの今言われたように直接の給付と、それから労災指定を受けていないところは療養費払い、そういうふうに療養費払いをやるという手続があるならば、直接の給付をやらして、基準局から直接金をお払いになったらいい。労働者にめんどうくさい書類を書かしたりしないで、直接基準局でやったらいい。あなたの方が間違っているのです。だからまず全国医者に、厚生省国民健康保険医になる人は一つ申し出ろ、こういうのと同じですよ。全国医師に、労災指定医を志願する人は申し出なさいと申し出さして、その中で特にあなたの方でこれは拒否しなければならぬという人は、あなた方がこれを拒否しては工合が悪い、労災指定医会とかの意見を聞くとおっしゃったのだけれども、そういうところの代表を入れた機関を別に新しく作って、あなた方も加わって、そしてそこでこれはだめだという認定をしたものだけは却下してだめにする、あとは全部やっていくということにした方が、どのくらいフェアプレーで、どのくらい民主的で、どのくらい働く大衆が安心してどこへも自由に行けるようになるかわからない。そして、それはできないはずはない。そういう方向にやっていただけるかどうかということなんです。これは生活保護法なんかでもみんなやっておることなんです。労災けができないはずはない。中央はそういう点、セクト主義なんです。開放すべきですよ。国鉄なんかもそういうことをやっているのです。国家が鷹師免許を与えて、その医師労災指定医であるかどうかで差別をつけるのはいけない。開放すべきだ。あなたが答弁できなければ、次官一つ伺いたい。
  14. 堀秀夫

    堀政府委員 ただいまのような御意見も実は最近伺っておりまするので、労働基準審議会あるいは、その他お話のような適当な機関を設けるというような方法を考えまして、各界の御意見をいましばらく伺いまして、この問題について十分検討いたしたいと思います。
  15. 滝井義高

    滝井委員 ぜひ一つそのように検討して下さい。今のような状態で今までどういう欠陥があるかというと、非指定医になりますと直接基準監督署から金をもらえないわけです。労働者にいろいろの文章を書いてやって、治療領収書を渡して、それが基準監督署に行って、そうして災害を受けた労務者が金をもらうことになるわけです。するとすぐには金はくれない。二カ月、三カ月後になって初めて労災補償費一緒医療費がもらえる。今から三カ月も前に医者にかかった治療費が、やっともらえる。労働者が困っているとそれが生活費に回ってしまって、必ずしも医者に回らないという状態が出てくる。そういう不合理は許されない。そういう欠陥がある。非指定医治療を受けてもいいという原則がある限りは、みな指定してやらしたらいい。あと労働者自主性にまかしたらいいというんです。こういう欠陥があるということもあわせてお考えになっておいていただきたい。  次にはその場合、千円未満療養費というものは事業主が払う。ところが今中小炭鉱はいわゆる合理化のためにみなばたばたと倒れるか、買い上げの対象になっている。だから千円以下の金も事業主医者に払わない。一体これはだれが責任を持ってくれるのかということです。
  16. 堀秀夫

    堀政府委員 労災保険法第十二条の規定によりまして、一定の程度以下の療養費につきましては、ただいまお話のように、労災保険では負担しないことになっておるわけでありますが、これにつきましてはもとより労働基準法労災補償適用はあるわけでございます。使用者としては当然無過失賠償責任建前前から、業本務上の病傷につきでましては労働者賠償の責があるわけでありますから、労働基準法災害補償条章に基きまして、使用者労働者に支払うようにわれわれは指導いたしており、またこれをやらない場合には基準法違反の問題が起きてくるわけでございますが、これは労働基準監督署におきまして監督を行うことにしておるわけであります。
  17. 滝井義高

    滝井委員 先般来私がここで問題にしておりましたように、労災保険料さえ払わぬ事業主が出てきておる。しかも保険料を払わなかったために、労災を受けた労働者給付制限が行われておるということを、ここで再々質問したことがある。その制限を行なったときに、最終的にはどこがどういうふうに責任を負ってくれるんだと聞いたら、国が何とか特別の場合には責任を負いましょうと堀さんが答弁してくれたんです。この医療費の千円未満のものについても、事業主責任にはなっておるけれども、それはいわゆる労働者災害補償保険法という法律に基いてやってきておるわけなんです。いわゆる監督責任基準局にある。ところがそれは今言ったように保険料も払えない事業主、しかも労働者には制限給付という悪い押しつけをやるという事業主、そういうものが今度は医療費まで払えるかというと、絶対払えない。従ってその千円未満というものの最終責任使用者に負わしてしまうということが一体いいか悪いかということです。この点、あなた方はこの際考え直さなければいかぬと思うのです。千円未満のものは事業主にやらせるということは、これは第三者である医療機関に非常な迷惑をかけておる。これを払わないことの最終責任はあなた方の基準局責任を持つべきだと思う。そうすると基準局最終責任自分のところに持ち込まれたら大へんだというので、この千円未満を払わせるようにするか、あるいは事業主からみずから取り立てるか、何かやらなければいかぬと思うのです。この点、あなた方はどう考えます。そういう迷惑が及んだ場合に、あなた方は監督するといっても、今言ったように制限給付労働者に負わせておるというような事業主はどうもこうもならぬです。医者がいって差し押えをするというわけにいかぬ。そこらのことはどうしますか。
  18. 堀秀夫

    堀政府委員 これは労災保険政府で実施いたしましたときにおきまして、労災保険というものは、本来労働基準法に基いて、使用者業務上の傷病につきましては災害補償責めがあるわけであります。ところが一挙に多額の損失を伴うような事故が発生いたすというような場合書の危険をプールする意味におきまして、労働基準法裏つけとして労災保険法運営していくことが適当である、このような考え方で設けられたわけでありますから、非常に少額のものにつきましてはそのプールの考え方をそこまで及ぼさなくてもいいじゃないかという考え方で、ただいまお話のような制度になっておるわけでございます。しかしながら、これはもとよりその根本には基準法適用があり、基準法に基いて使用者が当然災害補償責めを負うわけでございますから、ただいまいろいろお話がございましたけれども、都準局監督署といたしましては労働者業務上の傷病をこうむるというような場合に、これを補償しないというようなことは、基準法のいろいろな条章がございますが、これは基準法のたとえば他の形式的な手続違反というような問題と異なりまして、労働者にとりましてはきわめて重大な問題でございますから、われわれとしてはぜひこれは使用者に払わせるという方向監督も厳重に行う方針でございます。  なお、労災保険法及びそれに基く命令も、ただいまの基準をもう少し改正したらいいじゃないか、こういう御意見でございますが、これにつきましては千円未満のところまで労災保険を及ぼすということになりますと、事務量の増加あるいは保険料の問題その他いろいろな問題が関連して参りますので、これらの問題についてはただいまの御意見を承わったのでありますから、今後におきましてさらに検討をいたしたいと思いますが、さしあたりのところといたしましては労働基準法条章に照らして基準局監督署がこういう問題については重点的に監督し、その実施を使用者に確保させていく、この方向で進めて参りたいと考えます。
  19. 滝井義高

    滝井委員 どうせ治療したものは、千円以上は、指定医である限りにおいては今基準監督署請求書を出しておるわけです。それならば千円未満のものも基準監督署に出さして——千円以上のものはプールした労災保険金の中から医者に払っておるわけです。ところが千円以下のものは、今度はあなたの方でメリット制をおやりになっておるのだから、保険料のほかに千円以下のもつのはこれだけといって別ワクにおとりになったらいいのです。第三者医療機関に迷惑を及ぼすことはよくない。今のような千円以下のものを医療機関にとらせる結果どういう結果が出ておるかというと、まず第一にこういうことが起ってきた。まず千円以下のような小さいものはもう労災でやるということになると、メリット制ですから労災がふえるわけです。保険料が多くなるという可能性が出てくるので、事実上みんな健康保険でやってくれという要望事業主の中から起ってくる。そして、それはどういう結果が出るかというと、労働者に、いわゆる現場における公傷証明がなかなか出にくいのです。公傷証明が出にくいので、労働者は泣く泣く保険証を持って医者にいく。そうすると、医者保険証を持ってきたからには、一体これがけんかしてやったのか、自己過失によるけがなのか、それとも業務上の傷害なのかという見分けをやらなければならぬ。ところが、医者はそのやったものを、けがの簡単な処置をしたものを、必ず今度は備考欄に赤で、これは簡単なものですが、けんかしたものでもないし、それから業務上の負傷ではありません、これは全く自己が誤まって自転車から落ちてけがしたものですというようなことを書かないと、これは労災のいわゆる業務上の傷病健康保険でやったのではないかと、健康保険の方で怪しまれてしまうのです。こういう問題をそのまま放置することは許されないと思うのです。今の千円以下ということは、そういう問題を一つ誘発するということです。  もう一つは、健康保険でやれるという、こういう傾向とともに、なるべく千円以上にして下さいという要請が今度起ってくる。なぜならば、事業主が千円を払うことは、保険料の方が安いのです。まった簡単な治療でも、先生、二日でなおることでも五日ぐらいにして、千円以上にして下さいという要望が起ってくる。  それからもう一つは、今言った事業主にしても払ってくれない、こういう形で今度は基準監督署に行って、払ってくれといっても、いや、それは私の方の権限外でございます、こうなってしまう。それは、払わないものを一々準局監督署がやるだけの能力がない。自動車もないし、てくてく歩いて仕事しておるのです。だからこういう点からいっても、千円以下のものを負わしておる弊害は大きい。それならば千円以下のものは別個に請求書を全部一緒に出してしまう。それを今度はメリット制で、保険料事業主から取り立てるときに、千円以下の医療費一緒に取り立てて医者に払う、こういう制度の方が、どれくらい合理的かわからぬが、こういう点どうですか。千円以下のものをやはり考えてやらないと、非常に労働者は泣いておる。そのために今言ったように、なかなか証明が出ない。あるいは千円以上にしなさいという要求が事業主から起っておる。こういうことでは医者も困りますから、医者も悪の道に追い込まれていくのです。そうすると、今度は、もし健康保険でうかつにやると、保険医の取り消しになる。こういうことが出てくる。こういうところに労災健康保険は非常に微妙な翼係がある。あとに触れるけい肺法なんかとの関係は、実に微妙です。こういう点、もう少しあなた方と厚生省との間に有機的な連絡をとって、そこら調整を考えなければならぬと思う。こういう点の弊害があるので、千円未満については、ぜひ検討してもらいたいと思いますが……。
  20. 堀秀夫

    堀政府委員 お話の点につきましては、今後さらに各方面の御意見を伺いまして、十分検討いたしたいと考えます。さしあたりの問題といたしましては、労働基準法のこの面に対する監督は重点的にいたしたい、このような考え方で進みたいと思います。
  21. 滝井義高

    滝井委員 委員長、外務省の大臣、アメリカ局長、総務、長官、調達庁の長官を要求しておるのでありますが、もう一、二問で終りますから、すみやかに来てもらうようにして下さい。  次には、今度は労災診療報酬の問題に移るのですが、その前に、実は労働基準監督署が、医者からこういう誓約書をとっておるところがある。それはどういう誓約書かというと、「労働者災害補償保険療養保障費については、左記事項を熟知し貴署に対し絶対に御迷惑をおかけしません。」こういうことなんですね。これは今言った千円以下なんかにも関係してくるのです。もう取れぬからといって基準監督局にねじ込んでいくというようなことがあったら、基準局長は迷惑な話だからという考え方がここにひそんでおるのです。「万一労働者との間に療養保障費の問正題がおきましても、当病院責任に於て処理します。右誓約します。記、一、本件の様な取扱いは貴著のみにつき含みおきます。二、診療については労災保険の趣旨を体し貴署の行政方針っに協力すると共に、その報酬については指定病院同様、指定病院の報酬内規に従い料金を請求します。三、療養保障費の金員を受領する際は、予め貴署より労働者に発送した、支払通知書と労働者の印鑑又は所定の領収書労働者の住所氏名及び捺印せるものと併せて、労働者より当院に対しての委任状とを持参し、受領致します。四、本件取扱い期間は、昭和三三年十一月一日より昭和三四年三月三一日までとします。五、本件取扱い期間といえども、不慮の事件発生せるときは、速かに取消されても、何等差支えありません。」そして診療機関、所在地、名称、代表者氏名、印、こういうことになっております。これはおそらく指定医療機関ではないところのものではないかと思うのです。指定医療機関でない、自由に医療をやれるところに労働者が行くのでさえも、こんなものを出させている。いわんや指定医療機関になったら、どれくらいあなた方が手かせ足かせをはめておるかわからぬと思うのです。こういう封建的なことを、労働者の生活の解放をやり、労働者の保護をやるところの省がやっておるのです、こんなばかげたことはないのです。だから私は、少くとも指定医療機関というものを作ってはいかぬ、どの医療機関でも自由に労働者が行けるようにしなさいということは、ここなのです。医療機関というのはインテリですよ。インテリがこういうあなたの末端の機関に、七重のひざを八重に折って頼んで、誓約書まで出さなければ——労働者が自由にどこでも行ける権利、どこでも診療を受ける権利というものが制約されなければならぬという、こんなばかなことはないですよ。こういう状態ですから、私はここで取り上げざるを得ないのです。こういう点はやはりもう少し考えなければいかぬ。こういうものをお出しになっておるのですよ。知りませんか、あなた方は。
  22. 堀秀夫

    堀政府委員 労災保険診療につきましては、各現地におきまして医療関係者の各位と十分に御相談を申し上げて適正な医療を行なっていく、このような方針でおります。その間におきまして、労働基準局関係者医療関係者に対しまして強圧的な態度に出るということは、これは厳に慎しまなければならないところであると考えております。ただいまのお話は私ども存じませんけれども、そのような強圧的な態度に出るというような事実があるとするならば、これは遺憾でございますからつ、われわれとしても十分現地を調査いたしまして、今後においても、強圧的な態度で医療関係者を抑えるというようなことはないように、努めて参りたい考えであります。
  23. 滝井義高

    滝井委員 そういうように、きわめて非民主的な労働行政、特に基準行政が、この労災労働者の受診の面について行われておるということは、私も一、二知っておりますし、はっきりしておるのです。労働省は一つ十分考えてもらわなければならぬと思うのであります。  次に、この労災医療費の支払い、すなわち診療報酬というものは一体どういう方針でおやりになっておるか、診療報酬の支払い関係はどういう方針で、どういう基準でおやりになっていますか。
  24. 堀秀夫

    堀政府委員 労災保険における診療は、業務上の傷病に対しまして、迅速的確に医療を行い、または一般的に妥当と思われる療養補償費給付することによりまして、災害を受けた、あるいは業務上の病気にかかりました労働者の保護をはかろうとするものでございます。そのような必要な療養を行うという趣旨から、診療費につきましては、各地の実情に応じまして、各地方ごとに、都道府県基準局関係医療団体との間におきまして十分協議をいたしまして、妥当な診療費を定めて実施して参っておるわけであります。
  25. 滝井義高

    滝井委員 堀さんも御存じのように、国民健康保険全国に、昭和三十五年末までにできようとしております。すでに健康保険ができてから、昭和二年以来三十年をこえておる。国民健康保険昭和十三年にできてから、二十年をこえておる。そうしてこれらのものは、今や医療内容もだんだん平均化してきておるし、診療報酬も全国に一本化の傾向ができておるわけです。ところがわが労災においては、実に驚くなかれ、全国ばらばらなんです。それはなるほど、あなたのおっしゃるように、特殊性でおやりになるのかもしれない。ところが、今のような強圧的な基準行政をやるところは、  一体どういうことになるかということで。誓約書まで取られてお金の支払いを受けなければならぬということになれば、その価格というものは引き下げられる。単価が引き下げられることは必然です。単価が引き下げられたときには、一体だれにその影響が及ぶか、労働者です。労働者業務上の災害けがをして、そうしてあすより、早く順当なる労働力として再び職場に帰りたいと思っても、こういう基準行政が行われておる限りは、それはできないのですよ。だから、あなたの方では、少くとも全国の最低基準はこの程度のものだという、一つ基準を示さなければいかぬ。それが各地方まちまちで、この狭い日本の四つの島の中で、九州の果てと北海道の果てとが全く違ってもよろしいんじゃということはいかぬと思う。やはり単価というものは最低限度の、たとえば一点単価が十円なら十円、あるいは十二円なら十二円という線をお引きになって、それから上のことは、それぞれの特殊な治療、特殊な療法があるだろう。たとえばけい肺とか脊髄障害なんというものは、そう画一にはいきません。あるいは手術でも、むずかしい手術になると画一にいかぬところがあると思うのです。そういうものについてはある程度弾力を加えて、全国で最低の医療というものはこの程度というものがなくてはならぬ。ところが現在を見てみますと、滋賀県のごときは一点単価が十円。そうして一番高いところは、兵庫県のごときは十七円です。こういうように七円も差がある。こういうように全国ばらばらな状態診療費の単価がやられるということは、けしからぬと思うのです。しからば、滋賀県と兵庫県との健康保険の単価は一体どうなっておるか、それは同じです。しかし、そこにおける一件当りの平均点数というものは、幾分違っております。違っておりますけれども、やはり労災の一点単価の最低のものはどの辺だということをやらなければいかぬのです。
  26. 堀秀夫

    堀政府委員 労災保険診療費についても、社会保険医療療養全国的に統一したらどうかというような意見もあるわけ区でありますが、労災保険法建前からいたしまして、これはそもそも基準法に基く無過失賠償責任労災保険のプールによって担保する、このような考え方で出ておりますから、必要な、かかった費用を補償する、こういう考え方がもとにあるわけでございます。そういうような法律の趣旨、並びに現在の労災保険災害医療の現状からいたしまして、各地方に、やはり事実上かかる経費が違うというような面があるわけでございます。そこで現在におきましては、各地方におきまして医療関係者の団体と協定をいたしまして、そうしてそれに基いて必要適正な診療料金をきめていく、このような考えでおるわけでございます。しかしこれは将来におきましては、今のような問題は医療内容適正化と並行いたしまして、漸次その不均衡の点は是正されて、統一の方向に向っていくということは、これは望ましいことであると私は思っておるのでございます。ただ現在におきましては、私どもいろいろ医療関係者の御意見も何っておるわけでございまするが、やはり労災につきましては、全国一本で統一するというようなことなしに、各地で現状のように話し合って、必要妥当な料金をきめていくのが適当である、こういう御意見が強いようにわれわれは伺っておりまするので、現在はその方向でやっておりますが、これをやる場合におきましても、漸次ただいまのような不均衡の点は日是正して、これをならしていく、この方向に向って進めなければならないという基本的考え方のもとにお話し合いを進めておるわけでございます。  なお健康保険の問題等との関連でございますが、これは各県によりまして相当高い料金のところもございますし、安い料金のところもございますが、健康保険の取扱いを下回るというようなことは、労災保険ではいたさないようにいたしておるわけでございます。
  27. 八田貞義

    八田委員長代理 滝井君に申し上げますが、出席要求のありました外務大臣、これはちょうど衆議院の外務委員会から参議院の予埠委員会に出席されるから都合が悪いそうです。アメリカ局長は役所を欠席されておりますので、田中参事官がアメリカ局長のかわりに参議院の予算委員会に出席されておりますから、外務省関係はちょっと要求に応ずることができないということです。それから総務長官は参議院の内閣委員会と予算委員会、社会労働委員会にずっとしばられておるので、そのかわりの人を今連絡いたしております。それから調達庁の長官は、防衛庁で会合があるため出席できないということですから、かわりに労務部長が出席することになっております。ここに出席したらすぐに参議院の予算委員会に出席することになっております。
  28. 滝井義高

    滝井委員 労務部長は来ておりますか。
  29. 八田貞義

    八田委員長代理 出席されております。
  30. 滝井義高

    滝井委員 だれか内閣の総務長官のかわりが来なければしょうがないですから、一つ来るように言って下さい。  今のように労災を地域的な特性によって大体おやりになっておる、こういうことなんですが、私が言いたいのは、地域的な特性というものは、それはあってよろしいと思うのです。しかし全国労災をやるのに、最低の線というものがやはりなくちゃならぬと思う。ところが今あなたの方ではどういうことをやろうとしておるかというと、みなそれぞれ基準局長というものが健康保険の単価で契約を結ぼうとしている。そういう傾向が非常に強い。そこでああいうものが出てくるのです。いわゆる健康保険の単価で結んだところの局長が腕がいいことになる。ここにいわゆる圧政行政というものが出る。私が言いたいのは、労働者にこれがすぐ響くのですから、やはり全国の最低の労災基準というものは、どういう程度のものでなくちゃならぬということは科学的に出ますよ。四つの小さい島で、アメリカの南北というような広いところじゃないのですから、すぐ出る。それを出すためには、あなたの方の労災の専門家がたくさんいらっしゃる、これらの専門家と、それから学術関係の大学その他の教授、それから現場の医師会関係の者、これらの者を集めて一つ一、二カ月精力的に作らしてごらんなさい。そうして労災の最低基準というものはこういうものだ、この最低基準にそれぞれの地域の特殊性というものを上にかぶせたものでおいきなさい、それがいわば慣行料金というものになる。そういうことをやらずにおるからこういうことになる。もしあなたがここで健康保険というものが最低基準で、それ以上のものは一つ自由に特性を加えよ、これなら話はわかりますよ。ところがそうではない。今言ったように、十円なんというところがある。だからその間の明確な方針というものを打ち出さなければいかぬのです。最低基準というものは健康保険だ、それ以上は一つやってもよろしい、これならいいのです。そこらあたりの最低の方針を示して下さい。
  31. 堀秀夫

    堀政府委員 これは私が先ほど御答弁申し上上げましたように、健康保険は最低の基準にするというあなたの御質問の通りの考え方で取り扱っておるわけでございます。ただいま十円というのが健康保険より下回るじゃないかとおっしゃいましたが、これは新点数でございます。旧点数にしますと十一円五十銭であります。新点数で十円ということになっておるわけであります。
  32. 滝井義高

    滝井委員 私の言うのは旧点数のことで話しておるのです。新しい点数になったら全く違ってきておる。じゃちょっと各地の状況をお読みになって下さい。
  33. 堀秀夫

    堀政府委員 これはただいまお話のありました滋賀におきましては、旧点数で十一円五十銭、新点数で十円でございます。これが各県全部当ってみまして最も低い単価でございます。あとは全部これを上回っておるという状況でございます。
  34. 滝井義高

    滝井委員 じゃあとでその各県の資料を私の手元まで出して下さい。  確認をしておきます。労災における治療の最低の基準健康保険である。それの上にプラス・アルフア、上積みとしてそれぞれの実情に応じてやるのだ、こういうことなんですね。その上積みの状態というものについては、これはやはり甲表をとるところと乙表をとるところといろいろ違ってくるわけなんです。しかし甲乙両表というものの関係と、いわゆる健康保険の下の線ですね、これは地域によって今度はアンバランスが出てくるのです。こういうむずかしい問題があるので、私が言いたいのは、健康保険というものを参考にして、労災労災独自のものを一応お作りなさい。そうしないと、同じ労災でも甲表と乙表でアンバランスができて、これは労働者は大へんですよ。厚生省がああいうまずい行政をおやりになったために、こういう問題が連鎖反応として労災まで及んでくるのですから、一労災は独自のものであるならば、独自の立場で権威ある者をお集めになって意見を聞いて、労災の最低基準というものをきめたならば、その上にプラス・アルフアとして地域の特殊性がついていく、これならば話がわかる。それが今やられていないのですよ。ところが、健康保険を最低としてあなた方がおやりになるというけれども、基準局長は、健康保険以上になれば金はうんと払うのですから、労災医療費の支出が多くなる。医療費の支出が多くなるということは、業者にはメリット制というものをとっておるのですから、これは行政の上からいえば基準監督局長の腕が悪いということになる。だからそういう現場の責任者責任を買わせる形じゃなくて、新しい基準というものができておれば、それによってやるのですから、あとは地域の特性だから局長責任じゃない。そういう点をもう少し合理的な、行政をやる人がやりいいように、そうして労働者が幸福になれるように、療養担当者も満足して協力できるというような表を作ってもらいたいと思うのです。こういうばらばらな状態は、私はまず最低線が引かれた上でのばらばらでなくちゃならぬ。その労災独自の合理的な、科学的な根拠をお作りになる意思がありますか。
  35. 堀秀夫

    堀政府委員 この点につきましては先ほどから申し上げておりますように、健康保険を最低線といたしまして、その上に労災の特殊性を加味して積み上げていく、このような方向で考えるわけでございます。それから、しかしそれ以上のものにつきましても、これはやはり理想といたしましては漸次各県間のアンバランスが是正されて、統一された方向で進んでいく合理的な方向が望ましいと思いますので、その方向で研究はしておるわけでございます。またその根本といたしましては、何と申しましても、各労災現地におきますところの労災医療適正化という問題が根本として必要だと考えておるわけでございまして、この点につきましては、実は昨年の下期以来各界の権威者にお集まりを願いまして、そうしてこの労災医療適正化の問題については、きわめて御熱心に御検討をいただいておる状況でございます。これらの研究と並行いたしまして、将来そういうような方向につきましてもわれわれとしては十分検討し、この労災保険診療費の適正化という問題についても、今後はそのような方向で努力したい考えでございます。
  36. 滝井義高

    滝井委員 もう一つつけ加えておきたいのは、たとえばけい肺法において労災を三年受けるわけですね。それから今度は保護法の方を二年受けるわけです。それが終りますと今度は臨時措置法になっていくわけです。これが二年です。ところがこの保護法から臨時措置法に移る場合にどういうことになるかというと、保護法までは非常に手厚く、今言ったような健康保険を最低線にして、さらにその上に特殊性を加えたものでやってくれるのです。ところが一たび今度は臨時措置法にいくとどういうことになるかというと、これはもう健康保険並みだ、実情はこういうことになっちゃうのです。ここなんですよ。こういう問題が出てきている。だから私は、少くともああいう二カ年の臨時措置法をお作りになったからには、やはり同じような保護法においてけい肺なり脊髄の障害患者に与えておったと同じものを与えなくちゃならぬ。ところがそこになってくると、きわめて当局は冷淡になってくる。こういう実態というものは許されぬと思う。これはどういう指導方針でやっていますか。やはり保護法のときと同じように手厚い治療をやってくれるのですか。
  37. 堀秀夫

    堀政府委員 この点につきましては先般臨時措置法におきまして、保護法の適用期間の終った方に対しましてはさらに二年間過渡的に療養給付を継続する、こういうことになっておるわけでございます。これらの患者につきましては、これは高度の設備を有する労災病院にできるだけ収容し、十分な効果のある療養を受けさせるように指導しておったのでございます。この療養内容についてはわれわれといたしましては制限は加えておりません。今日の医療水準から見て最も適切な医療が行われるよう、昨年の秋から専門家の意見も伺いまして療養方法等を検討し、さらに療養対策に万全を期したい考えでございます。
  38. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、確認しておきますが、臨時措置法になっても健康保険治療を下げるというようなことはない、十分保護法と同じように治療をしていく方針だと確認いたしておきます。  そうしますと、今度は転医をする場合が起ってくるわけです。保護法でずっとやっておる、ところがある程度病状がよくなったので、臨時措置法をやるにしても他の病院に転医していくことになる。そうするとその転医の制限をやるわけです。これは労災では日常ざらです。なかなか転医の証明を出さないのですよ。だからこれらのものについても患者が自由に転医できるような方法をとってやらぬと、労働者は大へんなことになる。こういう点をもう少しあなた方が末端にこの行政を——私はそうむちゃくちゃに弾力を持たせよとは言いません、しかし生きた、しかも不幸な災害を受けた労働者治療の問題ですから、もう少しあたたか味のある弾力のある融通のきく行政というものをとってやらなくちゃいかぬと思うのですよ。そういう点については転医制限ということが至るところで行われておる。これはどうしてかというと、今までAという医者でずっとやっておるわけなんです。ところが今度はその医者からBにかわる場合には、その医者証明書ですか、そういうのを持って次の病院に行くという状態があるために、労働者はなかなかその医者に言いにくいという場合もあるわけであります。と同時に、今言ったように指定という関係もあって、今度は基準監督署がなかなかよそにやらない、こういうことにもなる。だからまず指定医療機関というものを開放すると、どこに行ってもいいのだという思想が充満をしてくる。と同時に、基準行政も指定医療機関とのくされ縁、といっちゃおかしいが、少数のものを指定しておるとくされ縁ができる、広く開放しているとそういうものは少くなる、そこで自由に行ける道が開けてくる、こういう関係にもなるわけですね。だからそういう点一つ制限をしないように周知徹底を指定医療機関基準監督署にもしていただきたいと思うのです。もう一つは、たとえば一番わかりやすいのは、脊髄障害で保護法から臨時措置法に持っていくか持っていかないかというときの症状の基準ですね。こういうところがやはりどうも全国ばらばらのような感じがするのです。大ざっぱな労災治療基準と申しますか、そういうようなものをやはり全国医療機関なり基準監督署に周知徹底をある程度せしめておく必要があると思うのです。そういう点で、たとえば脊髄障害の場合で尿路の障害とか、褥瘡、床ずれ、それから尿閉、尿が詰まる、それから導尿、尿を取ってやる、あるいは疼痛というようなものがあればなお見てやるというようなことになっているようにあるのですが、そこらの認定の問題というものがやはりどうもばらばらになってくる可能性があるのです。こういう点、最近の労災行政全般を見ていってみますと、どうも確立されていないですね。労災法ができてから何年になるか、相当長期間になるけれども、治療体系と申しますか、そういうものが確立されていない感じがするのです。そこで私はすみやかにこれらの治療体系というものを、少くとも健康保険くらいにはそろえていく必要があるのではないかと思うのです。そういう点、やはり根本的に検討する時期がきておると思うのですが、今のような点どうですか。
  39. 堀秀夫

    堀政府委員 臨時措置法に保護法から移るという場合の基準につきましては、これは外傷性脊髄障害につきましては、第三十九回日本整形外科学会のお定めになった基準に従って行うようにしております。これはその旨を労、使、中立三者構成のけい肺審議会にお諮りいたしまして、その御同意を得まして、この日本整形外科学会の定めた基準によって認定を行うように都道府県基準局長あてにも十分徹底しております。しかしこれをさらに現地で具体的に認定いたします場合には、それぞれ専門医の御意見を十分伺いまして、そうしてこの基準に基いて認定をしていただくようにしておりまして、今後におきましてもそのような考え方で進んでいきたいと思います。  なお、ただいまお話のありました労災医療体系のさらに整備、確立という問題、それをあわせましてけい肺、さらに外傷性脊髄障害患者に対しますところの保護対策の根本的な樹立という問題につきましては、先ほどお話申し上げましたように、現在専門の医療関係権威者の方にお集まり願って、医療適正化の問題について御検討を願っております一方、けい肺、外傷性脊髄の保護対策の根本問題につきましては、昨年の中ごろ以来、けい肺審議会、さらにけい肺審議会の中における専門部会におきましてきわめて御熱心な御検討を願っておるところでございます。これらの御意見を参考といたしまして、今年中にけい肺外傷性脊髄障害等に対する根本的な改正法案については、その成立を急ぎたいと考えておるわけでございます。
  40. 滝井義高

    滝井委員 一つすみやかに根本的な検討を立てて、来年度早々ぐらいからは新しい制度でいけるというようにやっていただくことを御希望申しておきます。
  41. 大石武一

    ○大石委員 滝井君の質問に関連してお伺いいたします。あるいは滝井君の質問に多少ダブるかもしれませんが、先ほど局長の御答弁で、機関でなくとも指定になった労災保険病院ですね。あと治療費の明細書を持っていって請求することかできると言いましたが、その診療所なり機関というものはどういう資格ですか。
  42. 堀秀夫

    堀政府委員 それは一般の診療所なり医療機関に支払った報酬の明細書を持っていけば請求できるわけであります。
  43. 大石武一

    ○大石委員 その場合には、労災保険指定機関が直接診療をしてその報酬を請求する場合と、明細書を出して報酬を請求する場合とでは、差別待遇はございますか。
  44. 堀秀夫

    堀政府委員 それにつきましては、同様な取り扱いをしておると承知しております。
  45. 大石武一

    ○大石委員 それでは、そのようなどっちでもいい待遇であり、どっちでも請求できるものであるならば、なぜ特別に指定する必要があるのですか。何ら指定がなくてもいいと思うのですが。
  46. 堀秀夫

    堀政府委員 これは労災保険療養給付は、療養費の支給という場合と直接の療養給付と、この二つのいずれかによるということに法律上なっておるわけであります。その場合に、療養給付というものは本来国が行うものでございますが、国にかわりまして、国が委任申し上げたような形で療養給付を行なっていただくのが指定医でございます。それらの場合につきましては、先ほど申しましたような考え方で、国にかわって直接療養給付を行なっていただくという診療につきましては、これを指定医ということで指定いたします、こういうことであります。
  47. 大石武一

    ○大石委員 今の話はおかしいですね。なるほど法律で、直接に医療することと金を払うということと二通りになっているかもしれませんが、なぜ二通りにしなければならないのですか。直接国で療養給付をするのとあとで払うのと二通りにしなければならない決定的な理由はどこにあるのですか。
  48. 堀秀夫

    堀政府委員 労働者がお医者さんにかかれば、療養のための必要な費用がかかります。その場合に、その療養を受けた上で一時療養者が立てかえるわけですが、そのあとで、そのときにかかった必要な費用の請求があれば、これは療養費として支給する、こういう考え方でございます。ただいまお話しのように、あまりその区別は現在必要ないのじゃないかというお考えもございますが、基準法労災保険法制定当時におきましては、直接療養給付を行うという場合には国が指定したお医者さんで行うことが必要であるという考えで、適正な療養が行われるようにという意味で指定申し上げているわけでございます。ただ労災保険法は、先ほどから御説明申し上げておりますように、基準法の裏づけということで設けられたものでございます。そこでその場合におきまして、労働者がほかのお医者さんに行って事実上療養を受けて金を出したときは、その金はやはり払わなければならぬ必要な給付でございますから、これは払わなければならないということで、その場合には療養費を差し上げる、こういうことでございます。この間この区別を別にする必要がないじゃないか、こういう御意見もございますが、こういう点につきましては、最近の医療の発達状況とにらみ合わせまして、関係者の御意見も伺い、こういう根本問題についても目下いろいろ検討いたしておるのでございます。
  49. 大石武一

    ○大石委員 今のはおかしいですね。それは医学の発達状況やなんかと関係がないと思う。なぜかというと、国で指定したものは直接医療を行う、労働者は金を払わなくてもいい。ところが片方の場合、指定しない医者にかかるときは、その労働者が金を立てかえた上に、あとで国に請求してもらうというわけでしょう。それじゃなぜそういうことを区別しなければならぬのですか。おそらくは、その指定したのが間違いないいい機関で、指定しないのは間違いがあるといけないからあとで審査しって別の取り扱いをするということならばともかくですが、医学の発達には関係がないと思うので、もう少しそこのところははっきりした考え方を示していただきたいと思うのです。
  50. 堀秀夫

    堀政府委員 療養給付をいたします場合には、ただいまお話のように、適正な療養が行われることが必要でございます。そこでこれにつきましては、指定した診療所病院等において直接療養給付を行なってもらうという考え方でございます。その場合に、無過失賠償責任という基準法の裏づけという考え方からいたしますと、指定医以外の特別のところで療養して、これだけ金がかかったというときは、これはもちろん審査いたしまして、その上で実際これだけかかることが社会通念上上当然であったと思われる額を療養費として支給する、こういう考え方で一応分けておるわけでございます。
  51. 大石武一

    ○大石委員 今の保険の制度の立場からいって、審査するのは当然でございます。実際審査がいいか悪いかは別ですが、審査するのは当りまえです。ところが直接国で指定する医療機関にかかった場合には、その医療機関から請求する費用は審査しないのですか。
  52. 堀秀夫

    堀政府委員 これにつきましては、各地でこの療養費につきましては医療関係団体と相談いたしまして、その話し合いに基づく基準によりましてきめておりますので、それに合っているかどうかという審査はいたします。合っておればその通り支給する、こういう考え方でございます。
  53. 大石武一

    ○大石委員 ちょっとおかしいと思いますがね。先ほどの御答弁で、直接国で指定する医療機関と、指定医療機関でない診療所で患者を見た場合と、その報酬の請求に対しては差別待遇をしないと言われたことと、今の御意見とちょっと違うじゃないですか。しかもわざわざ国できめた指定医療機関に対しては、お互いこういうことでやりましょうという範囲をきめている。その範囲に合っているかどうかということだけを審査して支給する。それはなるほどけっこうです。事務の繁雑な手続を省くわけですから。しかしなぜほかの指定医療機関でない診療所病院にもそういう処置をしないのですか。労働者診療を受ける権利がある。しかも支払った診療報酬を請求する権利があって、国がその金を支払うというのに、なぜ指定医以外のものにそういうややっこしい審査なんかをして、国全体がむだな費用を使ったり、あるいは診療所病院が削られたりするようなことをしなければならないのですか。それはおかしいと思うのですが、それについてはどういうお考えでしょうか。
  54. 堀秀夫

    堀政府委員 指定を申し上げた診療機関におきまして療養給付をされるという場合には、先ほど申し上げましたように、医療関係団体に御相談申し上げて定めました基準に合っているかどうかという審査をいたしまして、その上で診療報酬に見合う経費を差し上げて、いるわけでございます。これはやはりわれわれの方といた七ましては、指定医につきましては絶対に間違いがないという考えで一応処理しておるわけでございます。それ以外の診療所病院につきましては、事実上その療養を受けた場合におきまして、果してその療養給付内容が社会的に見て妥当なものであるかどうかという点につきまして、やはり一応審査をいたしまして、そしてそれによって、これだけはかかるのが当然であったと思われる点につきましては支給を申し上げる、こういう考え方でございます。ただこの点につきましては、先ほどからいろいろ御意見もございました、また先生の御意見もございました。われわれもそういう御意見にごもっともなことが多多あると思っておりますので、今後におきまして十分検討いたしまして、さらにその内容合理化をはかりたいと考えております。
  55. 大石武一

    ○大石委員 あなたは検討するとかなんとか簡単に言うけれども、そういうわけにいかぬのですよ。今のような場合に、指定診療機関でない診療所病院労働者が手当をしてもらって、金を立てかえておいた。そこでその労働者は今度は基準局の方にその費用を請求するわけですね。かりに五千円金を医者に払った。その場合に審査号をされて二千円しか認められなかった。あとの三千円は払わないとなれば、その費用は労働者の負担になるわけですか。
  56. 堀秀夫

    堀政府委員 その場合におきまして、必要な限度を越しておるという場合には労働者の負担になるわけでございます。
  57. 大石武一

    ○大石委員 そのような審査をする場合には、今までの保険のいろいろな実例に徴しまして、非常に削られることが多い。そつうすると、今のような考え方をすれば、労働者指定医療機関にかかる場合以外には、ある程度自己負担ということを覚悟しなければならないということになるわけなんです。現実の問題として、そうなる場合労働者に対しては不公平だ、非常に気の毒だと思う。あなたのお考えでは、労働者はそのようなことがあるから結局は指定医療機関にかかれ、ほかの医者にかかってはならぬ、結論的にそうなるんです。そのような御方針とわれわれは考えてよろしゅうございますか。
  58. 堀秀夫

    堀政府委員 この点につきましては、要するに果して乱療乱給が行われるかどうかという問題でございます。この点につきましては各地の診療機関におきまして、医療適正化がはかられて、適正な医療が行われておるかどうか、こういう問題でございます。そこでその点につきましては、昨年の下期以来医療関係権威者にお集まりを願いまして、労災療養内容につきまして詳細、具体的にその基準を作りまして、これを指定医であると指定医でないとを問わず、全医療関係者に周知いたしまして、その内容に沿った診療療養が行われるようにぜひやって参りたい、このような考え方で努力しておるわけでございます。
  59. 大石武一

    ○大石委員 日本中のすべての診療所なり医院に通知した医療内容というのは、そうすると健康保険とは違う内容ですか、どういうことなんです。
  60. 堀秀夫

    堀政府委員 現在これにつきましては、関係者に鋭意御検討を願っておりまするが、労災の特殊性からいたしまして、健康保険に合致しておるものばかりではなしに、それに相応した特殊ないろいろな内容もあるわけでございます。
  61. 大石武一

    ○大石委員 各すべての医療機関にそのような労災で扱うという丁寧な内容を通知しているというのはけっこうです。しからば、そんなことをするくらいなら、ぜひ一体今の指定医療機関基準局ですか、そういうことを、お互いに話し合いをつけた内容を、他の指定医でない医療機関にも連絡しないのか。当然それはすべきだろうと思う。そうすれば労働者のむだな費用も省けると思うし、審査で削られて労働者が負担するというようなことはなくなるんですが、そのようなお考えはございませんか。
  62. 堀秀夫

    堀政府委員 この点につきましては、現在の指定医の範囲をもう少し広げていくという考え方もございましょう。それの方法も検討したいと思います。  それから私どもの考えでは、この指定医療機関との間の話し合いの基準は、それ以外の方々についても当然周知徹底されなければならないものと考えております。そのような方向で検討してみたいと考えております。
  63. 大石武一

    ○大石委員 ただいま指定医療機関の範囲をもっと広げる方針だというお話でしたが、指定医療機関指定医療機関でないものと、どのような区別があるわけですか。どのような区別をして指定されたり、指定されないのか、その基準を伺いたいと思います。
  64. 堀秀夫

    堀政府委員 この点につきましては、各地の医療関係者と御相談を申し上げ、その御意見を参照とし、さらにその診療機関医療関係者設備内容程度事業場数、労務者数等、実情を考慮して適当と認める医療機関を現在のところ指定医療機関としております。
  65. 大石武一

    ○大石委員 そうすると、各地の医療関係者というものがはっきりしませんが、どういうことですか。医師会あるいはそういうものですか。それから基準というのがありましたが、指定するしないという基準をお示し願いたい。基準がなくて、いいかげんでああする、こうするというのは非常にけしからぬ、非常にあいまいだと思います。その点を伺いたいと思います。
  66. 堀秀夫

    堀政府委員 医療関係者と申しますのは、各地の医師会もしくは医師会の中に労災部会というような部会が設けられてあるところもございます。これらの方々、これは現地によりましていろいろ差異がございますが、要するにそういうような関係者の方に伺っておるわけでございます。その基準につきましては、私どもは今のような内容を考えて御指定申し上げるというわけでありまして、具体的に制限規定を設けておるわけではございません。
  67. 大石武一

    ○大石委員 内容と申しましても、それはおそらく大学の付属病院のような大きな施設を持ったものでなければできないような治療内容もありましょうし、あるいは一つの手術室を持っておれば、医者一人あるいは二人でもあれば、十分手当のできるような労災災害内容もあると思いますが、それはどういうところに基準を置いて指定されるわけですか。大学病院でなければならぬような設備を持ったところだけを基準とするのか、あるいは手術室があって、医者一人でも十分ある程度の手当ができますから、そういうことも考えておるのか、どういうことを考えておるのですか。     〔八田委員長代理退席、委員長着席〕
  68. 堀秀夫

    堀政府委員 これにつきましては、要するに労災療養として適当な設備を持っておるかどうかという考え方でありますので、大学病院並みの施設を持っていなければならないというようなことではなく、先生のおっしゃいますあとのような、要するに労災内容の適当な療養を行えるかどうかという点を見まして、適当であればこれを御指定申し上げるわけでございます。
  69. 大石武一

    ○大石委員 医療にしろうとの方に対して議論を申し上げるのははなはだ失礼だと思いますが、その意味がはっきりしないと思うのです。労災に必要な設備を持っている病院とはどういうことなんですか、もう少しはっきり聞きたいと思います。
  70. 堀秀夫

    堀政府委員 これはたとえば手術室を持っておるとか、あるいはレントゲンの施設を持っておるというような場合には、これは適当である。しかしその内容等につきましては、これはただいま関係者医療の専門家も参っておりませんが、大体そういうような適当な手術室あるいは適当なレントゲンの設備というような適当な施設があれば、私はそれで適当である、このように考えます。
  71. 大石武一

    ○大石委員 局長医療に関してはしろうとでありましょうから、そうくどいことは聞きませんが、適当なる手術室、適当なるレントゲンというのは一体どういうことなんですか。はなはだ当を得ない答弁だと思うのです。これは明日までに関係者にたとえば何ボルト以上のレントゲンを持っておるものとか、どの程度の手術室を持っておるものとか、どの程度やり得るものという基準を、おありになるならはっきり示していただきたい。こういうことではいいかげんなことになります。なぜ私がこういうことを言うかと申しますと、私はこういうことを聞いておるのです。ある医者の方々の陳情を受けたのですが、今の労災保険指定というものが一つの権利になっている。それを持った者は多くの患者を集められて繁盛するが、持たない者は非常に設備がないという一般の認識を受けて、そうしてはやらないのだという。そこで労災保険指定医になることが非常な大きな一つの権利になっておる。それは今の大都会の実情がそうであります。でありますから、当然すべての国民に対して平等でなければならぬのに、特に労働省が、そこに何ら不正なことがあるとは思いませんが、しかし特別な権利をある者に与えるということは非常な危険があると思う。どうしてもそのものでなければならない理由があるならばわかりますが、今のような、ある適当な労災に対するレントゲンとか、手術室とか、こんなことはさっぱり話にならぬことなんですから、そういう特殊な者だけ与えるということは非常な危険があると思う。そういう意味でこういうことを質問しているのですから、あなた方のこれに対するお考えなり基準なりについて、あしたでもあさってでもいいですから、お示しを願えればけっこうです。
  72. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 関連して。労災の問題でお聞きしておきたいのですが、事業主が保険で集めて、そうして数カ月不払いにしておる場合に、その労災補償責任はどこにあるのですか。
  73. 堀秀夫

    堀政府委員 ただいまの御質問は、事業主労災保険料の未払いを行なった場合におきまして、かりに基準局でそれを理由にいたしまして労災保険給付の支給制限を行なった場合に責任はどこにあるか、こういうお尋ねだと思いますが、そのような場合には当然労働基準法に基いて災害補償の規定の適用があるわけでございます。そこで、使用者労働基準法に基いて労働者に対して補償義務があるわけでございます。使用者に義務が残る、こういうことになるわけでございます。
  74. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そういたしますと、その事業主保険料を徴収しておきながら払わなかった、そうしてその事業所が倒れてしまって行方不明になったという場合には、だれによってその労働者は補償されておりますか。
  75. 堀秀夫

    堀政府委員 御承知のように労災保険使用者保険料を全額負担しておるわけでございます。そこでその使用者労災保険に加入して保険料を納めて成規の運営がなされております場合には、当然業務上の災害がありますれば労災保険に基いて支給を行うわけでございます。ただ労災保険の適応がないという場合には、使用者が補償義務を行う、こういうことになるわけでございます。
  76. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 保険料の徴収問題は私が錯覚して申しておりましたが、事実上その事業主の怠慢によって、被保険者でありながら補償を受けられない場合、今度はその事業主が被保険者に対する補償の能力がなかった場合、あるいはまたもう事業がつぶれて行方不明になってしまった、どこにいるかわからぬという事態が生じた場合、事業主に補償しろと言っても事実上不可能でありますから、従ってその労働者は全く何らの労災補償が得られないということになってしまうわけです。事実そういう事例があったわけなんです。そうしてみると、その労働者は数年にわたるところの労務不能の状態にあって、しかも非常に生活困窮の中に陥ってしまって、ようやく生活保護法によって治療を受けておるというふうな状態にあるのでありますが、そんな場合、一つには事業主責任もありますが、同時に労働者側の監督不十分というところに大きな責任があると私は思うのです。当然労働者は権利を持っておりながらしかも当局の監督の不行き届きのために保険料の徴収が完全に行われておらなかった、そのために受給の権利を喪失しておるという場合に、被保険者としての労働者は何らの責任がないというお考えに立っておられますか。
  77. 堀秀夫

    堀政府委員 この点につきましては、実はいろいろな御意見もありまして、われわれそれを取り入れて運営していきたいと思っておるわけであります。要するに問題は、保険料の滞納が続いたような場合に、労災保険によりますと支給制限ができることになっておるわけでございます。しかしその場合におきまして法規通り厳格なる支給制限を行いますと、結局はね返ってくるのは災害を受けた労働者であるということになるのはお話しの通りでございます。そこで結局災害を受けた労働者にしわ寄せが来るような実情にあると認められます場合には、支給制限に関する適用は弾力的に行いまして、やはり労災保険の方で労働者が事実上給付を受けられるように運営をして参っておるところでございます。
  78. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 今度は、たとえば十名以上を使用している事業場があって、労災に全然最初から加入しておらないというような場合には、基準局ではそういう事業場があるということはわかっているわけです。わかっておって労災保険に加入しておらなかったという点について加入させるだけの努力を十分しなかったとも言うことができると思います。そういう事業場で全然初めから被保険者でなかった労働者災害を受けた場合には、あなたの方は知らぬとおっしゃりたいだろうが、労働者の立場にすれば同じことになって参りますが、その点についての責任の所在はどうなりますか。
  79. 堀秀夫

    堀政府委員 その場合には、使用者労働者に対して労働基準法に基く補償義務を負うわけでございます。
  80. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 基準法に基く補償義務があるとおっしゃいましても、二年、三年の間事業場が加入しないでいるのを放置しておいたということについての責任はあると思うのです。従ってそういうような事態がないように、あらゆるものをきちんと労災の中に入れておくための努力をしなければならないし、またそういうふうな労働者が出ないような措置、あるいは出た場合に、労働者の立場に立ったものの考え方を今後していただかなければならないと思いますので、特にその事例がございましたのでお願いしておきたいと思います。
  81. 滝井義高

    滝井委員 今、労災の問題で岡本さんや大石さんから関連質問がございましたが、どうも医療行政をしろうとの労働省がおやりになっているようでありますので、実を言うと非常に欠陥が多いのですよ。もう少しあなた方も根本的な検討をされまして、それから各界の意見も聞いて、すみやかにこの態勢を整えることを一応要望しておきます。  時間がございませんから次に移りますが、外務省や総務長官の御出席を要求しているのですが、参議院の関係があって出てこられずに、調達庁の労務部長さんだけが、せっかく出てきて下さったので、駐留軍の労務関係だけをやらしていただきたいと思います。御存じのように政府は、昨年の通常国会で、法律百五十八号、駐留軍関係離職者等臨時措置法という法律を制定したわけです。そして駐留軍労務者の失業対策を推進をしておるわけですが、すでに法律を制定してて現在に至るまでに相当の労務者が首を切られているのです。一体どの程度の労務者が法律制定以来首を切られておりますか。
  82. 小里玲

    ○小里政府委員 概略労務者の解雇状況を御説明申し上げますと、昭和三十二年度に約三万四千人、それから昭和三十三会計年度中に解雇になる予定の者が全部で約二万六千人ございます。従って昭和三十二年と昭和三十三年度を合計いたしますと、約六万人の解雇者が出る予想でございます。昭和三十三年度は、まだこの三月が終っておりませんので予想の数字でございますけれども、約二万六千人程度の労務者が解雇になる予想でございます。法律制定以来何名かということでございますが、去年の通常国会が終りまして、六月以降の数字を申し上げますと、六月が三五千二百三十二名、七月が一千五十三名、八月が一千四百二十一名、九月が四千三十六名、十月が二千四百九十五名、十一月が一千百八十一名、’十二月が一千五百五十名、大体そういう趨勢でずっと解雇になっておりまして、これを集計いたしますれば大体数字が出るわけでございます。
  83. 滝井義高

    滝井委員 あなたの今の御説明で、昭和三十二年度に三万四千、三十三年に二方六千の見込みだ。そうしますと、三十二と三十三年度で六万人の首切りが出たわけです。今年度になって二万ちょっとの者が現実に出ておるし、合後なお三、四千の者が解雇せられることになるのですが、その根本的な対策というものを今から聞かなければならぬと思いますけれども、松野さんがおいででないので、労務問題だけに限ってお聞きしたいと思います。  アメリカの会計年度は今年の七月から始まるわけです。そうしますと、今三月の中ごろになろうとしておるのですが、アメリカの会計年度まで、すなわち今年の一月から六月末までの情勢というものをあなた方はどういう工合に見通しておるかということなんです。今十二月まで言って下さったのですが、一月、二月の状態も説明していただき、同時に三月、四月、五月、六月と、アメリカの会計年度が終るまでに一体どういう人員整理の状態が出て参るのか、しかもそれを各基地の状態で見ると、重点的に主としてどういう基地にアメリカの新しい会計年度の始まる七月までに出てくるのか、こういう点を少し御説明をいただいておきたいと思うのです。
  84. 小里玲

    ○小里政府委員 今年の一月からアメリカの会計年度が終る六月末までに約一万名余の人員整理が行われるものと予憩いたしております。どこでそういう人員整理が行われるかということでございますが、御承知のように現在駐留軍労務者の勤務しております基地がほとんど東京、神奈川、埼玉の三県に集中的になっておりまして、そのほかの県といたしましては、北から北海道、青森の三沢、それから西の方に参りまして広島、山口、福岡、長崎、こういうことになっておりますので、米軍が人員整理を行います理由は、予算の削減でございますとかあるいは基地の閉鎖でありますとか、軍の撤退でありますとか、あるいは作業の合理化のための人員過剰を整理するというような理由がありまして、各地とも散発的に人員整理が出ておりますが、主として東京、神奈川、埼玉の米軍基地において人員整理が多数に出る予想でございます。
  85. 滝井義高

    滝井委員 アメリカの会計年度の新しく始まる六月末まで、すなわち一月から六月のこの六カ月の間に約一万人とすると、月に千五百人程度、すなわち十二月のべースで平均的に見ますと行われていく。そしてそれが主として東京、神奈川、埼玉に集中的に現われる、こういうことになりますと、主として東京、神奈川、埼玉だから近代均な大都市に近いところにそれらの失業者が集中的に現われてくる。一体これらの状態をどういう工合に処理していくかということなんです。御存じの通り日本の会計は四月から始まるわけです。今予算の審議中ですが、特に一万名程度が、一、二、三月にどの程度になって、四、五、六月にどの程度に配分されますか、つまり日本の三十三年度の会計年度と三十四年度の新しい会計年度との配分はどういう工合になるのですか。
  86. 小里玲

    ○小里政府委員 この一月、二月、三月が約六といたしますと、四、五、六が四の割合だと予想しております。
  87. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、当然今後四ですから四、五千出ることになるのですが、過去の者もひっくるめて、ここういう者に対するそれぞれの対策をアメリカの会計年度の終るまでの間に講じて、あわせて来年度におけるアメリカとのいろいろな折衝をやらなければならぬと思うのです。それで少くとも今年になって出る一万人の対策というものを、あなた方はどういうような雇用計画といいますか、失業対策をお立てになっておりますか。
  88. 小里玲

    ○小里政府委員 このような多量の失業者に対する将来の問題でございますが、御承知のように臨時措置法が前通常国会で通過をいたしまして、この線に基いて各省の協力を得て、中央には中央の駐留軍関係離職者の協議会、地方には地方の都道府県駐留軍関係離職者等の協議会を設けまして、そこで総合的に施策を立て、計画を実施に移しておるわけであります。失業対策の問題につきましては、調達庁は涙川主の立場でございまして、調達庁だけでとうてい万全を期するわけには参りません。金融であれば大蔵省、本来の失業対策であれば労働省、事業の免許可等であればそれぞれの行政官庁、それぞれ各省の協力のもとに、たくさん出ました労務者の将来の就職、あるいは各個人が集まって企業組合合等を作って新しく事業を始めよう、そういう人もたくさんございまするが、各方面にそれぞれの希望に応じて政府としてもできるだけあたたかい手を差し伸べ、また行政措置としても優先的に処置をとっていきたい、こういうことでやっております。もちろんこの駐留軍の労務者は終戦後相当長期間にわたって、ああいう基地という特殊な環境の中で働いておりまして、その基地の中で働いた知識経験が社会に出て直ちに役に立つという面も、なかなか普通の民間会社等と違った面もあると思います。その上に年令も高年令であり、家族も多いという方もたくさんございますので、政府がただいま申しましたような方向で努力はいたしておりまするけれども、なかなか十分には参っておらない。今後とも、今までの経過を参照もいたし、できるだけりの措置をとって参りたいということで、中央協議会等でもたびたび会議も開きまして協議もいたし、今後その推進をはかっていきたい、かように存じております。
  89. 滝井義高

    滝井委員 今後はかっていきたいじゃなくて、あの法律ができてからすでに足かけ二年程度経過しておるわけなんですが、埼玉とか東京とか神奈川というような特殊な地帯に多発的に駐留軍労務者の失業者が出るし、あるいはわれわれが今までやって参っておりましたあの炭鉱の石炭合理化による多発的な失業者の発生、これら駐留軍と石炭鉱業の二つは、いわば現在の日本における失業多発の典型的な形をとろうとしておるわけですが、一体労働省はこれらの者に対して具体的にどういう工合にやっておるのか。しかも昨年中に二万有余の駐留軍の労務者が失業者として出てきておるわけですが、一体これらの者のどの程度が救済をされて職についておるのですか。そしてそれに対してなお具体的にどういう雇用計画というものをお立てになっているのか、どういう状態でそれがうまく失業者を吸収していきつつあるか、それを御説明願いたいと思うのです。
  90. 百田正弘

    ○百田政府委員 この問題につきましては、ただいま調達庁からもお話がありましたように、総理府にあります駐留軍離職者対策協議会を中心にして各省密接に連絡してやっておることでございまして、事の性質上対策は総合的でなければならないと考えております。各方面においてそれぞれの対策を講じておられるわけでありますが、労働省関係といたしましては持に職業紹介と職業訓練を中心にしてこれが対策に当っておるわけであります。御承知の通り、特に今お話もございましたように駐留軍関係の離職者が非常にふえて参りまして、東京、神奈川、埼玉地区が一番多いのであります。われわれといたしましても本年度の予算におきまして、職業訓練の関係におきましては約一万人を訓練し得るだけの予算をもちまして、これらの計画を作りますと同時に、特に昨年、昭和三十三年の二月でございましたか、この方面における離職者が多いという予想のもとに、東京、神奈川、埼玉に特に職業訓練所を予備費をもって新設いたしました。これは従来の臨時のものではなくて、そうしたものも昨年は設置いたしたわけであります。  それから職業訓練関係といたしましては、今申し上げたように一万人程度訓練できるというだけの措置を講じておりまして、さらに三十四年度においても同様な予算措置を臨時の施設その他において講じてあるわけであります。  さらに職業紹介の面におきましては、地域的にたくさん出るという関係のために、できるだけ広域にわたって職業紹介をする必要があるということで、数回にわたりまして福岡あるいは大阪あるいは東京におきまして、関係職業安定機関の間におきましてこれら職業紹介を行なっておる。昨年の四月以来本年の一月までに安定所によって就職いたしました者が約一万二千六百人でございます。もちろんこの程度で十分であるというわけには参りませんので、各省と連絡いたしまして、返還基地に対する企業の誘致等の措置をあわせて、講じていく必要があるわけでありますから、われわれの方といたしましても実情に応じて、一つは駐留軍労務者の組合の要望等もありまして、東京地区等におきましては、職種として自動車の運転手の方が非常に多いという事情等もございますので、これらの離職者の結成せられた労働組合に対して、労働組合の行う労働者供給事業を許可いたしまして、組合員の就労をはかるというような措置を可能ならしめたのでございます。さらにこれらの措置によってもなかなか就労できないという人があるわけであります。これはただいま滝井委員のおっしゃったように、石炭の問題と同様な措置を講ずる必要がございますので、三十三年度におきましては駐留軍失業者の多発地域といたしまして、特に集中的に公共事業等を行うわけでございます。昭和三十三年度において、駐留軍関係だけといたしましては公共事業等によって百三億八千七百万円、一日吸収人員七千六百人というものを中心といたしまして事業を進めておるわけであります。特に昨年の秋以来追浜地区におきまして駐留軍労務者の大量の首切りがございましたので、これについても昨年直ちに予備費をもちまして臨時の職業相談施設並びに臨時訓練所を設置いたしますと同時に、横須賀地区も昨年から特に多発地域ということに指定いたしまして、今後の状況によりまして、さらに公共事業等をこれに実施していくというような考えでございます。
  91. 滝井義高

    滝井委員 今いろいろ御説明をいただきましたが、特に神奈川、東京、埼玉等に集中的に出てくるわけですが、当然労働省として失業対策をやる場合に、一体どういう状態でその三県に集中的に出るかを把握する必要があると思うのです。アメリカの会計年度の終る六月末までに、日本における今会計年度の終る三月末までと、新しく始まる四、五、六とこれが六対四の割合で出ると言われたのですが、その東京、神奈川、埼玉の発生の数を一つ教えてくれませんか。東京にどれくらい、神奈川にどれくらい。できれば基地別に教えてもらいたい。
  92. 小里玲

    ○小里政府委員 それは基地別にははっきりわかりません。大体の見当としてでございますので、基地別のはっきりした数字はわかりません。
  93. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、大ざっぱに、東京に大体どの程度、神奈川にどの程度、埼玉にどの程度ということもわかりませんか。これは今多発地域に集中的に公共事業を行うために、大体駐留軍関係で百三億八千七百万、七千六百人分の予算を組んでおるわけです。そうしますと、当然新しく都道府県が予算を組む場合には、公共事業ですから地元負担が出るわけです。だから配分をする場合に、やはりそこに人数が出ていないと、失業多発地帯に、どこにどのくらい金を配分するかということが出てこないわけです。もう国の予算の審議をして衆議院を通って参議院に行っておるし、地方自治体も、もうすでに予算を審議中です。だから、およそどの程度の見通しか、大体どのくらいの失業者が出るのかという見通しがなければ、予算の組みようがない、共共事業費の配分のしようもない、こういうことになるのですよ。
  94. 百田正弘

    ○百田政府委員 ただいま私が申し上げました数字は三十三年度分でございます。三十四年度分につきましては、現在政府部内において配分を協議中でございます。
  95. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、その駐留軍関係に三十四年度に幾らいくかということは全然わかりませんか。
  96. 百田正弘

    ○百田政府委員 われわれといたしましては、特に追浜地区等にも重点を置かねばいけませんので、昨年度以上の額になるように折衝中でございます。
  97. 滝井義高

    滝井委員 当然公共事業費は今年大幅に増額をされておるし、昨年五月の選挙以来、経済基盤の強化、いわゆる港湾、道路の拡大政策をとることが岸内閣の四つの大きな政治的スローガンの一つになっておる。しかも、一審公公共事業がふえておる。公共事業で今年失業対策に使う分は、昨年に比べて二十万八千人以上増加するということは、これはもうすでに労働大臣初め、各大臣が言明をしておることなんです。そうしますと、当然失業多発地帯と目さるべき東京、神奈川、埼玉のこの多発の原因というものは、主として駐留軍関係なんです。従って、それがどういう状態で出るかということが、もう予算が衆議院を通過した現段階でさえ、なおわからぬということは、これは了承できないと思うのです。一体その雇用主になる調達庁は、およそその数くらいはわかるはずなんですがね。そうでなければ地方庁は予算が組めないし、労働省もまた公共事業による失業対策費の配分ができない、こういうことになるのじゃないですりか。しかも、それは三人か五人の失業者が出るのじゃなくて、少くとも、四月から五、六の三カ月間に四千人出るのですよ。その四千人出るのに、それらの者に対して何ら雇用の計画も、もう予算が衆議院を通った段階で、まだ話し合いができていないということはおかしいと思うのです。それは雇用主としての政府の怠慢になるのです。これは全くあなたは法律を作っておって、協議会も作っておって、そうして予算が通ったのに、まだそれはどこにどれくらい出るかもわからぬ。しかし数は二万六千くらいは出るだろうと思います。しかも三カ月のうちに四の割合で出るのだというところまで言明ができて、その四が一体三つの県でどの程度に集中して出るのかということがわからぬということはおかしいのです。もう少しわかるはずなんですがね。
  98. 小里玲

    ○小里政府委員 労務者の解雇の数は、一応の情報として、米軍側から日本政府に通知がございまするが、これがしょっちゅう異同をいたします。普通の会社等と違って、作戦命令上至急に部隊を移動するというようなことも起ります。そういう関係でなかなか現地部隊自体におきましても、今後一カ月あるいは二カ月以内にどういう人員整理が出るかというようなことについての確信を持った数字というものがなかなかわからない。これは軍隊の特色でもあろうと思いまするが、そういうことでございまするので、なかなかこの的確な数字がわからない。従って解雇の通知等がございましても、それが途中でまた変更になって、取り消しになるとかあるいは追加になるとかいうような例がたびたびあるのであります。従って雇用主である調達庁といたしましては、できるだけこの年間の雇用計画というようなものをはっきりつかみまして、それに基いた予算措置等も講じたい気持はやまやまではございまするが、今申しましたような事情から、なかなかそれが思うように参らないというのが実情でございます。従って先ほど私が申しましたことしの一月から六月までの予想につきましても、これははっきりした数字ではございません。一月、二月のは過ぎた問題でございまするからこれははっきりいたしておりますが、三月なり、四、五、六というのは、これがまたどういうふうに異同するかということは保証の限りでないわけでございまして、その点御了承いただきたいと思います。先ほど来滝井委員からお話の中で、多少私の申しましたところと、私が申し間違えたのかとも思いまするが、一月——三月が六の割合とすれば、四、五、六が四の割合と、こういうふうに御了承いただきたいと思います。そこでそれがどこでどういうふつうになるのかということでありまするが、主としてやはり大宗は神奈川県でございます。神奈川県がほとんど大郎分で、東京管内、埼玉管内は神奈川県に比較すればほとんど問題にならないような数字でございます。
  99. 滝井義高

    滝井委員 今の御答弁で、いわゆる行政協定三条の基地管理権と、行政協定の十二条なり十五条の労働者の保護の問題ですね。こういう問題に対する日本政府の自主権というものがどうも非常にはっきりしていないのですよ。今この御答弁を聞いても、もうアメリカの言いなりなんだ。アメリカの軍の都合で勝手にやっていく。アメリカは日本を守るために自衛力がないので来てもらっているので、アメリカが勝手なことをやるために来てもらっているのじゃないのですよ。そういう点をもう少し日本政府は腹を固めてやらなければならぬ。これはあなたに言ってもしょうがない。それで実は外務省に来てもらいたかったのです。まるっきり裁判権だって何だって、むちゃくちゃです。裁判があるといってもアメリカは出てきやしない。こんなばかげた法治国家というものはありはしない。だからそういう点で、もう少しあなた方が強腰になって、やはり日本の大事な国民が働いているのですから、その働いている人たちが何も予告なしに首を切られて、しかも路頭に迷わされるというようなことは、雇用主の政府としても迷惑な話です。だから当然日本の法律で、労働三法で保障されておるようなものは、保障されておる形をやはりアメリカ政府に押しつけなければならぬ。そうでなければアメリカは帰ってくれ、これくらいのことは言わなければうそですよ。それを向うの言いなりにやるところに日本政府の屈辱的な外交があり、労務政策があると思うのです。これはあなたに言ってもしょうがないので、松野さんなり外務省が来たら、この次にやらしてもらいますが、今のような態度ではどうにもならぬです。実はそれと関連してくるのですが、青森県の三沢や福岡の芦屋等で、昨年の暮れにバスを民間業者に切りかえをするときに、組合が非常に反対闘争をやったのです。そのときに、民間にバスを払い下げても政府雇用の労働者というものは首切りをしないという約束が行われておった。ところが実際は芦屋に今年三月出ておる。四月には今あなたの説明があったように、青森県の三沢あたりにも出ようとする情勢があるわけです。こういうことは明らっかに約束違反なんですが、一体あなた方はどう考えておるのか、これが一つ。  それから今一、二、三月に六と、四、五、六月に四の割合、これはあなたにお聞きした通り理解しておるのですが、そうしますと問題は、勤続年数が七年以上と七年以下では解雇されたときの退職手当の割増金の率がずいぶん違うのです。それで今年の四月二十八日になりますと、みんな大がい七年になるのですけれども、それ以前にぱっとやられちゃうと労務者は哀れなものです。退職手当の割増金が非常に減ってくる、こういう例も出るわけですね。今大事なところに来て時間が来たのですが、これだけはっきり要領よく答えてもらいたいと思うのです。前の二つの点、約束をしておって、君ら解雇しないというものを解雇するという情勢なり実質的な解雇が行われているということ。それからいま一つの、四月ごろになってだっと首を切られてしまうと、四月二十八日になれば七年以上のものがずっとふえてくるわけなんです。そうならばもうちょっと、待たしてもいいじゃないかということなんです。こういう二点について政府はどう考えているか。
  100. 小里玲

    ○小里政府委員 青森県の三沢あるいは芦屋基地において、ハス輸送をPDに切りかえる、そのときに人員整理をやらないという約束を米軍がした、その通りでございます。PD業者に仕事を切りかえますと、そのために要らなくなった労務者を解雇するというのが普通の行き方でございますが、これは日本政府側から強くアメリカ側に反省を求め、PD切りかえによる労務者の解雇はできるだけ中止をしてもらいたいということで折衝しました結果、アメリカ側としては最近に至りまして、ほとんどPD切りかえによる労務者の解雇ということを中止しておるような現状でございます。全然中止してはおりませんが、やむを得ざる場合は実施をしておる場合もございますが、一時のごとく多量の労務者が解雇されるというような状況はその勢いをにぶらせておるというような状況でございます。そこで三沢あるいは芦屋等においてPDに切りかえる場合に、労務者を解雇せずにほかのところに配置転換をする、そうして労務者は首を切らない、こういう措置をとったわけでございます。そこで私ども日本政府といたしましても、PDに切りかえて、そのために労務者を解雇するということになると、日本政府が反対をし、あるいは労働組合等も騒ぐということで、一時の言いのがれでそのときだけは解雇をせずに配置転換をしておいて、あとからほかの理由で解雇するというようなことであってはならぬということは、軍側にも強く申し入れをいたしております。従って軍側としても、一時はやらないけれどもあとになってやるというっようなことはやらないという方針で今まできておりまして、今度の三沢なりあるいは芦屋の基地の解雇が、一時つないでおったものをあとから首を切るというような、そういう卑劣な手段でやるのか、あるいはそうでなしに本来的な人員整理としてやるのかということになりますると、なかなかその関係がむずかしい問題だと思います。日本政府としてはあくまでも、一時首を切らずにほかに配置転換をしておいて、あとで首を切るという卑劣なことは絶対にやってくれるなということは強く申しておりますので、かりに三沢あるいは芦屋の解雇がそういうことであれば、これは米軍側に厳重に抗議をいたしたいと思います。そういうことのないように日本政府としても努めたいと思います。  それから今年の四月二十八日になりますると、駐留軍労務者が講和発効後勤続年数が満七年になるわけであります。満七年になりますと、退職手当が相当増加をするということになりまするので、日本の会社その他一般的には、解雇をする場合には労務者に退職手当もできるだけよけいに差し上げようと、やむを得ず解雇する場合でも有利な条件で解雇するというのが一般でございまするので、米軍側に対しましても、四月二十八日になれば労務者が有利な条件で退職ができるのだから、それまで一つ解雇を延ばしてもらいたいということは今までも米軍側に申し入れをいたしております。ただ米軍側としては、軍という特殊な社会でございまするので、どうしてもそれまで労務者をつないでおくことができないという事情もある場合もございまして、その点は日本政府側でも米軍の立場もわかってもらいたいということは言っておるのでありますが、私どもとしてはできるだけ、万難を排して四月二十八日以降に延ばしてもらいたいということを折衝いたしておりまして、これは今後におきましても上層部の折衝に移しまして、米軍側にできるだけの温情ある措置をとってもらいたいということで交渉を続けて参りたいと思います。そういう私どもの言い分を聞いてくれたかげんかどうか、四月に解雇の通知が来ておりまするのが二百名足らずでございまして、普通の月ですと千名、二千名、三千名の首切り通知があるのが普通でございまするが、ただいまのところでは二百名足らず程度におさまっておるという実情でございます。
  101. 滝井義高

    滝井委員 今言われた二点につきましてはなお今後の努力をお願いして、きょうはこれで終って、あとは次会にさせていただきます。
  102. 園田直

    園田委員長 この際、本会議散会後まで休憩いたします。     午後一時十九分休憩      ————◇—————     午後四時二十七分間議
  103. 園田直

    園田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  労働関係基本施策に関し質疑を継続いたします。伊藤よし子君。
  104. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 私は婦人労働者の生理休の問題について労働省に御質問申し上げたいと存じます。ます最近の婦人労働者の生理休の実施状況についてお尋ねしたいと思います。
  105. 萱野喬

    ○萱野説明員 少年局長が海外に行っておりますので、私かわりましてお答えを申し上げたいと思います。  生理休暇の実施状況でございますが、これは女子の全労働者の大体二四%がとっております。そういたしまして、これらの一回、一人当りの平均は一・四日になります。それからその回数から見ますと、大体一年間一人当り、五・三回とっております。三十一年と三十二年を比較いたしますと、全産業におきまして三十一年は二三・五%、三十二年は二四・七%、で、一・二%の増加を見ております。それから女子労働者の全体から見ますと、一年間に一人当り一・五、大体一日半とっておる状況でございます。以上が大体生理休暇をとっておる現状でございます。
  106. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 これはお調べがなければあとでもけっこうですが、全体的に平均してとつっておりますか、それとも業種によって違っておりますか。
  107. 萱野喬

    ○萱野説明員 お答えいたしります。大体産業別にはとつておりますけれども、大企業におきましては大体よくわかるのでありますけれども、中小企業になりますと、ちょっと不明な点がございます。数字のこまかいところは今持ち合わせがございませんので、後刻お知らせしたいと思います。
  108. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 そうすると、ただいまのお話によると、こまかい数字がおわかりにならなければ民間の状況はおわかりにならないわけなのですね。一般の民間と申しますか、中小以下のような婦人労働者の場合には、ちょっとお調べがつかないわけでございますか。
  109. 萱野喬

    ○萱野説明員 三十人以下になりますと、ちょっと不明になります。それまではやや明確にわかっております。
  110. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 それではただいまお答えのあった、労働者の大体二四%がとっておるとおっしゃいましたのは、三十人以上の企業についての場合でございますか。
  111. 萱野喬

    ○萱野説明員 そうでございます。三十人以上でございます。
  112. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 関連して。ただいまのお答えでございますけれども、二四・七%でしたね、それは三十二年度でございますか。この制度ができましてから今日まで、一番女子が生理休暇をたくさんとっておった年度はどの年でございましょうか。そしてそれはどのくらいな割合であったか。それから官公労と民間産業に分けて、そちらの方で統計をとっておりますか。この二つをついでにちょっとお知らせ願いたいと思います。
  113. 萱野喬

    ○萱野説明員 生理休暇の実施状況でございますが、これは年々と増加いたしております。従いまして今申し上げましたのが三十二年でございますが、今わかっておりますところでは三十二年が一番多いと思います。それから民間と官公労の問題でございますが、民間の方はさような状況でつかめますけれども、官公労の方におきましてはつかんでおりません。
  114. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 私は人事院の方にお尋ねしたいのでありますが、女子公務員のやはり同じ生理休暇の実施状況について、お答え願いたいと思います。
  115. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 公務員につきましては大体三十二年の五月に人事院規則を制定いたしまして、それから制度が一応確立されたという状況でございます。それまでは大体労働基準法の準用をいたしておりまして、それによって三十二年の五月に人事院規則を制定し、それから本格的な制度が運用されておるという状況でございます。それまでは大体労働基準法の準用という形で生理休暇を扱っております。この生理休暇の実態でありますが、今申し上げましたように、三十二年の五月から本格的に動いておるわけでございますが、実態調査は私の方でばいたしておりませんので、現在の段階では、どの程度のパーセンテージの者が生理休暇をとっておるかということは、数字的に明瞭に御説明できないのは非常に残念であります。ただこの際申し上げられることは、一応生理困難な人については、この規定の上から言いますと、生理休暇は他の年次休暇と異なりまして、非常にとりよい状況にあると思われます。ただ私たちがかりに実態を調べるといたしました場合でも、非常に実態がつかみにくいと思われますのは、いろいろ私たちの知る範囲におきまして伺うところでは、生理休暇というのは、やはり女子職員の方々もなかなか生理休暇と言いにくいというふうな面がございまして、年次休暇でおとりの方もあるような状況でございますので、なかなか実数がつかみにくい現状にあるように存じております。
  116. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 ただいまおっしゃったことは、人事院規則一〇—四の職員の保健及び、安全保持というところでありますが、その十七条の二項には、「各省各庁の長は、生理日の就業が著しく困難な女子職員又は人事院の定める生理に有害な業務に従事する女子職員が請求した場合においては、その者を生理日にその業務につかせてはならない。ただし、生理に有害な業務に従事する女子職員については、人事院の定める措置を講じた場合は、この限りでない。」というようになっております。ただいまの御答弁によると、非常にとりよい状況にあるということをおっしゃいましたが、ここに「著しく困難な女子職員」という限定がございますが、これはどういうような基礎によって「著しく困難」ということを御判定になりますか。私どもいろいろ調べたところでは、どうもただいまの御答弁のようにとりよい状況ではないように伺うわけでございますが、その点について御見解を伺いたいと思います。
  117. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 お答え申し上げます。ただいま申し上げました点は、つまり「著しく困難」ということが一応規定の文言に現われておりますが、この点につきましては、結局人事院としては各省庁におまかせしているような形になっております。そのとり方の問題、でございますが、「著しく困難」ということの認定ということになりますと、結局職員自身が自分で困難だと言った場合には、その判断によらざるを得ないという結果になってしまうであろうと思います。生理休暇の認定については、実は管理者の側においても「著しく困難」という限度の判断がむずかしいと存じます。従って結局は職員が自分は非常に生理困難であるということを表明すれば、それに従っていくということにならざるを得ない。そういう意味で申し上げたわけでございます。
  118. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 そういう意味でとりいいということをおっしゃったわけでございますか。
  119. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 とりいいという言葉が必ずしも適切であったかどうかわかりませんが、私の申し上げましたのは、年次休暇になりますと、一応その休暇をとる場合には管理者の側で仕事の都合によって年次休暇を与えるかどうかの決定をいたすわけでございますが、生理休暇で生理困難だということになりますと、これはつかせてはならないということになっておりますので、従ってさような意味で申し上げましたので、念のために補足申し上げておきます。
  120. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 ただいま申しました第十七条によりますと「生理に有害な業務に従事する女子職員については、人事院の定める措置を講じた場合は、この限りでない。」ということが書いてございますが、その「生理に有害な業務に従事する女子職員については、人事院の定める措置」というのはどのような措置をお考えになっておりますか。
  121. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 お答え申し上げます。その「人事院の定める措置」というのは、たとえば休憩するための特別な施設を設けるとかいうふうなことがその場合でございます。
  122. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 その措置は実際に行われておりますか。どういう状況でございましょう。お調べがございますか。
  123. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 私の方も実態調査をいたしておりませんので、実は詳細なことを申し上げかねるのでございますが、今申し上げました休息施設のようなことは、いわゆる有害業務として指定されているところでは行われてりいるようでございます。
  124. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 ようでございますというばく然としたお答えですが、実際にはあまり詳しく……。
  125. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 実態調査をいたしておりませんので……。
  126. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 次に厚生省の医務局にお尋ねしたいのでございますが、ただいまの生理休暇の問題で、国立病院あるいは療養所における請求の実施状況についてはどういうことでございますか。
  127. 北川力夫

    ○北川説明員 療養所の生理休暇の状況につきましては、先ほど人事院の方からもお話がございましたように、この規則が三十二年の五月に施行されまして以来、実は実態的に年次休暇を持っておりますとか、そういったいろいろむずかしい問題がございますし、今のところ全国的にまとまった統計というものは、はなはだ残念でございますが持ち合わせておりません。
  128. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 そういたしますと、国立病院療養所において現在どういうふうに生理休暇がとられているか実態がわからないわけでございますね。
  129. 北川力夫

    ○北川説明員 実態は今申し上げましたように明瞭に、何人に一人ございますとか、三十二年度で何名でございますとか、どこの病院で、あるいはどこの療養所で何名でございますとか、個別的には資料がございますけれども、全体のまとまった資料というものは実は持ち合わせておりません。もちろん人事院規則に定めてあります通り、その趣旨にのっとりまして、請求のありました場合にそれを人事院規則の定めの通り与えるということの趣旨の徹底はもちろんいたしております。
  130. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 もう一つ医務局の方にお尋ねしたいのでございます。看護婦についてでございますが、著しく生理に有害な業務に従事する女子職員ということがございまして、生理に有害なる業務についてはいろいろ規定がございます。その中で看護婦さんは第一の「作業時間の大部分にわたって立ち作業又は下肢作業を必要とする業務」という点にも当てはまると思いますし、第二の「著しい精神的又は神経的緊張を必要とする業務」という点にも当てはまると存じますし、第三の「任意に作業を中断できない業務」という点にも当てはまると思います。また四の「運搬、けん引、持上その他相当の筋肉的作業を必要とする業務」という点につきましても、患者の運搬等に当てはまると思うのでございますが、そのように御解釈になっておりますかどうか。
  131. 北川力夫

    ○北川説明員 看護婦に対します生理休暇の場合に人事院規則のどの条項を適用するかという問題につきましては、最終的には人事院の方できめていただくことと存じますが、私どもといたしましては現在の段階におきましては、看護婦に対する生理休暇という問題は、生理日の就業が著しく困難なときという前段の条項の適用でありまして、看護業務が生理に有害な業務である、それに該当するというふうには考えておりません。     〔委員長退席、大石委員長代理着席〕
  132. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 その点私は非常に不審なんでございますが、ただいまあげましたような条項に看護婦さんの場合には特に当るのではないかと思うのでございますが、必ずしもそれには当っていないというふうな御見解でございますか。
  133. 北川力夫

    ○北川説明員 ただいま御指摘の通り、生理に有害な業務には該当しないと考えております。ただ最初に申し上げましたように、この問題につきましてもちろん私どもはそういう見解でございますけれども、最終的にこれに該当するかどうかということの問題の解釈はやはり人事院の方できめらるべきではないか、このように考えております。
  134. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 それでは人事院の方にあらためてもう一度お尋ねしたいと思いますが、ただいま申し上げましたように看護婦さんの場合には人事院の指令の十の七の著しく生理に有害なる業務であるという規定の中の一、二、三、四に当ると思いますが、人事院の方の御解釈はどういうことでございましょうか。
  135. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 看護婦さんのいろいろな仕事については種類も非常に多うございますし、これにつきましては大体そこに今おあげいただきました条項は一つの例示なんでございますが、現在看護婦さんの仕事については人事院といたしましてもそこの指定業務に入るというふうには考えておらないのでございます。
  136. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 関連して、厚生省の方と人事院の方と両方にお伺いしますが、私たちしろうとが考えてみましても、看護婦の仕事というのは、ただ病人につき添って病人の世話をしているだけじゃないのです。たとえば外科医者についておる看護婦ということになって参りますと、週に何回かあるところの手術日には、白衣を着て、非常に神経をとがらせて、医者の助手にひとしい仕事をやりながら、非常にこまかい仕事を、手術室の中で、湯気の中でやるわけなんです。看護婦といえば、病人の身のまわりの世話だけでベッドのまわりをうろうろしているという解釈を、ともすれば、ことに男性の方は持っていらっしゃるんじゃないかと思うのです。しかし私は、交換台にすわってたくさんの交換業務をやっている交換手と同じように、あるいはもっと神経をとがらせて、非常に危険な状態にある重患の患者についておる医者と同じ仕事をやる看護婦の立場、手術室に一緒に入っていく看護婦の立場、こういうものは、単なる看護をする婦人という解釈でなしに、もっともっと精神面で過重な労働をし、しかも立ち作業をやるというふうに拝見するのでありますが、こうしたことに対して厚生省並びに人事院はどのようにお考えになるか。今伊藤さんの質問に対して、看護婦の仕事というのは、そう大して生理日にこたえるような仕事じゃないというような概念でお答えになっておる。しかも、先ほどからの答弁を聞いておりますと、人事院におきましても、厚生省におきましても、この生理休暇の問題については関心をお持ちつになっておらないように思います。私たちが現場へ行って婦人労働者からいろいろな実態を聞きますと、生理休暇というものを、正式に申し出て、そして生理休暇をとったならば、周囲の目が白くこの人に向けられる、また、あなたは私たちが休まないときにたくさん休むのだから、私たちに仕事がおっかぶさってくるというのでいろいろな目で見られる、だから、先ほど人事院の方がおっしゃったように、できるだけ年次休暇の中にごまかしてとらざるを得ないような圧迫感を感じておるという女子労働者が、私は九〇%だと思うのです。こういう実態を一体人事院や厚生省は御存じなのか、あるいは知っておって知らぬふりをしていらっしゃるのか。これが積り積りますと、産前産後の休暇とあわせて、婦人の労働者は男と比べて生理的にこういう欠陥があるのだから、職場から追っ払ってしまえといって、第一線の労働戦線から婦人が追われる一番大きな原因になる。追われてしまっては食っていけないから、追われないようにするためには年次休暇の中にごまかしてとらなければならぬ。同時に羞恥心がある。こういうものに合せて目立たないようにはやっておりますけれども、大へんな重労働と戦いながら、とれるものをとっておらないという結果に終っておる。これについて、どうも人事院や厚生省に親心がない。看護婦の仕事と言いうものは、看護程度なんだから大したことはないという解釈を今のお二人の答弁者が持っていらっしゃるように思うのですけれども、たとえば手術室に入っておるとか、あるいは重患の人に縦ないでつき添っておる看護婦というものに対してどういうお考えを持っていらっしゃるか、一つお聞きしたいと思います。あるいは健康なお方であって、答弁者自身が入院生活や手術をなさったことがないからそういう見当がつかないとおっしゃれば、またこれは別な問題でありまして、これは見当がつく方に担当していただかなければ女子労働者はたまらないと思う。その辺いかがでございまか。
  137. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 ちょっとおしかりを賜わりましたが、看護業務につきましてはいろいろな職務の内容があると存じます。従ってこういった看護婦の仕事の実態については、これは厚生省の方が一番よく御存じでいらっしゃるわけなのでございます。従って私たちはこの看護業務について、いわゆる有害な指定業務となるかどうかという点については、やはりそういった実情を一番よく御存じのところの意見に従っていくという態度を一応とらざるを得ませんので、これまでは、これは国家公務員の、国立病院等の看護業務ばかりではなしに、その他の一般的な病院の実態をいろいろお開きした範囲におきましても、実はそういった意味で指定される有害業務というふうになっておらないように承知いたしております。従って人事院といたしましては、これを指定する有害業務というふうに判断をしておらなかったわけでございます。
  138. 北川力夫

    ○北川説明員 ただいま人事院の方からもお話がございましたが、確かに堤先生の御指摘の通り、看護婦の業務は非常に多種多様にわたっておりまして、しかも作業の内容自体も非常に困難な場合もあると思っております。決して、私どもは、看護婦の作業というものが困難ではないとか、あるいは非常に単純なものであるとか、そういうふうな考え方は持っておらないのでございますけれども、ただいま御答弁のございましたように、現在の段階で看護婦の業務というものが全部一律に有害業務であるというふうには断定できないと考えております。
  139. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 厚生省にお尋ねするのですが、私は一年生でしろうとでございまして、実は今意外なお答えをいただいて驚いているわけでございます。私は、自分病院へ入院したり、あるいはたびたび入院患者なんかございまして参りますと、国立の病院の看護婦さんは、深夜とか、昼夜三交代でございますね。つき添い看護婦と違いまして、特に国立病院の看護婦さんにおきましては、立ち作業というよりも走り作業のようなのが実情でございます。また一定の基準による定員がございましても、先ほどお話がございましたように、年休だとか週休をとるような方に回されまして、私が調べましたところによりましても非常に少数な常勤の人しかおりませんので、生理に大へん有害な業務だというふうに考えます。作業時間の大部分にわたって、立ち作業または走り作業といってもいいようなあれだと思いますし、また手術——手術ばかりではございません、重症の方のときには精神的な、また神経的な緊張を非常に必要とする業務だと存じますし、また任意に途中から中断できない業務でもあると思いますし、入院とか退院の場合、急患の場合などでも、運搬などという仕事も看護婦さんがしていらっしゃる面から見ても、私はこの点に当てはまっていいものだと思っていたのでございますが、非常に意外な御答弁で実は驚いたわけでございます。それにつきまして前提の問題といたしまして、この生理休暇の規則ができました立法の趣旨というものをあらためて一つお聞かせ願いたいと思うのであります。     〔大石委員長代理退席、委員長着席〕
  140. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 この人事院規則を制定しましたのは、労働基準法の線を大体踏襲するという考え方が出発点でございますが、その本旨といたしますところは、やはり女子労働者が、生理ということによっていろいろな障害が起る、それが勤務に、直接的間接的に影響を与えるというふうな点から、いわゆる健康保持というふうな点を建前として制度化されているのでございます。
  141. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 この法の精神というものは、わが日本の国のような特殊な社会的経済的条件や、また職場の環境とか女子労働者の低賃金とか、そういういろんなことから考えまして、女子労働者の母体、それを保護するためにこういう生理休暇の問題が出てきた、制定されたのじゃないかと思うのでございますが、そういうふうに解釈してよろしいのでございましょうか。
  142. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 御趣旨の通りだと存じます。
  143. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 医務局の方にもう一度お尋ねいたしますが、そういう立場から、立法の趣旨から申しますと、ただいまお話のございましたように、特に国立病院とか療養所におきましては、現在のような定員では、非常に看護婦さんたちが無理をしているのが実情でございますので、そういう点について、厚生当局は、無理をしていない、今の定員でいいとお考えでございましょうか。その点を一つ……。
  144. 小澤龍

    ○小澤政府委員 入院患者にできるだけよい看護をさせたいという願いは私ども常に持っておるわけでございます。大体今の医療法で、入院患者四人について一人の看護婦を配置するということを、これは標準とするという言葉を使ってございます。そういう標準を作りましたのが昭和二十三年ごろであったと思います。その当時、実は看護婦さん方の希望からいたしますと、入院患者三人半について一人くらいの看護力がないと、十分行き届いた看護ができないのだ、四人に一人では少し看護婦の数が少な過ぎるから、二人半について一人くらいの制度にしてほしいという御要望も出たのでございます。ところがその当時の看護婦さんの数と病院の規模、入院ベッド、外来患者数等をにらみ合わせますと、当時全国病院診療所で取り扱っておる患者数に比べますと、看護婦さんが比較的少数でございました。結局さような標準を法制化することは困難である。さような標準を法制化すると、ほとんどすべての病院がその標準に当てはまらぬということになるのでございます。そこで、それらのことも勘案いたしまして、たしか四人に一人という数字を出したのでございます。その後看護婦制度につきましてもいろいろ制度的に考えをいたしまして、できるだけ多数の看護婦さんを養成することに努力して参りました。御承知のごとくに、准看護婦制度というものはそのために作られたものでございまして、今日では、普通の看護婦さんは年々約三千人、それから准看護婦さんは年々約一万人、これが新たに看護婦として世の中に送り出されておるのでございます。一方、さように看護婦の養成に力を入れ、また実績を上げたにもかかわらず、その後医療保障が進むに従いまして、病院の新設、拡充というものが非常な勢いでもって進んで参りました。従いまして現在ただいまで申しますと、全国病院のベッド数は約五十五万床でございます。それから絶えず入院しておる患者さんの数は大体四十五万から五十万人の間でございます。それから一方実際に働いておる看護婦さんは約十四万人でございます。それからさらにそれ以外に、外来として取り扱われる患者さんは、相当病院にもございますし、診療所にもございます。ただいま申し上げましたのは病院のベッド数でございますけれども、診療所自体もベッドを持っておりますので、このベッド数はたしか二十万と記憶しております。さような関係からいたしまして、今日も現に働いておる看護婦さんの実際の数が、まだ現在日本にありますところの病院診療所の実際の働きに比べまして現在の標準を上げるという程度にまで至っていないことは非常に残念だと存ずるのでございます。それから私は、ますますよき看護をしなければならないということは先生と同じように考えておりますので、できるだけ今後も看護婦の養成にはさらに力を入れまして、看護の十全をはかりたいと考えております。
  145. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労働省にお尋ねしますが、今の生理に有害な業務の範囲ですが、看護婦さんの場合には女子年少労働基準規則の十一条に列挙しておりますが、一、二、三、四、五、六、まあ一五までですが、これについて一つづつ考えてみますと、必ずしも全都的確に人っておるとは言えないかもしれません。しかしこれを総合的に見ますと、確かに有害な業務として適用しても付ら均衡を失することはない、こういうように考えられるわけです。そこででおそらく労働省の方で、これは労働大臣の指定業務になっていない関係もあるのではないかと思うのですが、たとえば今伊藤委員からも御指摘がありましたように大部分の労働時間が立ち作業である、これが第一号であります。その次の二号は、著しく精神的または神経的緊張を必要とする業務である。三号は任意に作業を中断することのできない業務、この一つ一つをとってほかの企業と比べてみると、なるほど一つ一つは百パーセント満たしていないかもしれませんが、総合的に見ると三〇%ずつでも九〇%になるし、四〇%ずつ見ると総合合的には一二〇%で、十分に有害な業務に入ると思うのです。ですから私はこういった点を総合的に勘案されて考えるならば、今まで有害業務であると指定したよりも以上の法の精神に合致した業務ではないか、こういうように考えるわけですが、次官はどういうようにお考えですか。
  146. 生田宏一

    ○生田政府委員 看護婦の業務がきわめてナーバスなものであるということは私もよくわかっております。高度の緊張も必要であるし、それから生理的変化が非常に影響する業務であるということもわかりますが、しかしともかく厚生省においては、今までの考え方としては厚生省政府委員から御答弁した通りの解釈でやってきておるわけでございますから、将来の問題としてはそれを厚生省なりあるいは労働省の間で意見の交換をして、もしこれを加えることが必要ならば加えてもいいというふうに考えておりますが、それは一つ検討さしていただきたいと思います。
  147. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 法律でそのものずばりを業務指定とするというのが、たとえば開業医の場合なんか一人しか看護婦がいないという場合等に、これは実態から言いますとあるいは困難な点があるかもしれない。そうすると生理休暇のためにほかの看護婦を雇うというわけにはいかない。ところが厚生省が管轄されておりますうちで国立療養所等はかなり看護婦を雇っておるわけです。ですから同じ法の適用につきましても、末端の一開業医までを規制するということが困難にしても、私はそこは指導でできるのではないかと思うのです。少くとも厚生省が管轄する国立病院においては、これは有害業務と同じようにみなして扱う、こういうことができないこともないのです。     〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕 ただ開業医専の場合には法律をそのまま順守していくのは、おそらくきわめて困難であるから、私はこれが有害業務に入っていないのじゃないかと思う。そういう点から支障があったのではないか。そこで指導要項としては、当然かなり使う能力があり、また使っておる療養所、病院等についてはそういう指導を厚生省はすべきではないか、こういうように考えます。そのことは人事院においてもやはり同じような指導をされるのが至当ではないか、こういうように考えるわけですがね。とにかく労働法——あるいは基準法でもそうですが、私は政府みずから率先をしてそういう法の精神の方向に行くべきだと思うのです。民間ではまだ実施が困難でも、少くとも政府が使っておる病院等においてはそういうことを率先して指導する、そうして民間に強制する前に政府みずからやるのだということが必要ではないかと思う。労働基準法というのは全国一律に適用するものですから非常な支障がある場合がある。それかといってそれをいいことにして、その最低の基準を人事院規則できめるということは、これは私は政府の指導性がないと思うのです。ですからその点を十分勘案していただきたい。
  148. 生田宏一

    ○生田政府委員 実はこれは個人的な考えが強いかと思うのですが、男性が女性の生理関係のものを論じてみましても、実ははっきりしたことまでわからないと思うのでございます。これはその人その人の体質によって、軽度の職業であってみてもきわめて就労に困難な体質もあれば、またかなり重労働であってみても耐え得るような体質の女性もあるわけでございますから、実はその点を画一的にきわめるということは、房性が女性の生理状態を問題にするのですから、はなはだわかりにくいと思うのでございますが、労働基準法などで一律にものを書きます場合に、実は実際とは即さないような面が出てくるのではないかと思いますので、だいぶこれはむずかしいことではないかという気がしておるわけであります。
  149. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今の点せっかく答弁を願ったのですが、最初答弁をいただいたので私も黙っておればよかったのですが、あとから答弁をいただいたものですから全く体系がくずれてしまったわけです。しかし法律の六十七条には個人的な差というのを書いてあるのですね。ところが個人的なその差が実際は非常に実施されないところに問題があるわけです。ですから私はむしろそういうものについては一律にやった方がいい、ただし民間のそういった開業医その他のところに支障があるから、むしろ政府の方が指導をされて、少くとも国立病院においてはそうされたがよろしい、こう言っておるわけです。せっかく答弁をいただきましたけれども、個人差を言われますと、法律がちゃんと書いてありますので、その個人差では運営がうまくいかないというところに問題があると思う。一つ十分研究をして、やはり厚生省で扱っておられる国立病院の看護婦さんには一律にやっていただきたい、こういうことをお願いするわけです。
  150. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 政府委員の方々の各省の御答弁から、私は一つこの際お願いしておきたいのですが、まず医務局長にちょっとついでに聞かしていただきたいのです。しからば厚生省に働くところの女性公務員はどの程度生理休暇をとっていらっしゃるかあなたは御存じか、そして厚生省の本省におられるところの女子職員の方と看護婦とはどちらが生理がこたえると思われるか。それからまた労働省、人事院、政務次官にお願いしてお尋ねしたいのは、男性が女性のことを言ってもなかなか見当がつかないとおっしゃる。それならば見当のつく女性の適当な人をポストに置いて、それを専門におやりになっても、全国の女子労働者のためには大切な問題なんです。見当がおわかりにならないならば、なぜおれたちでは見当がつかないんだから適当な女の人を置いて、しかるべき調査、統計の上に立って今後の方策を立てていこうという策をおとりにならないか。私は先ほどから労働省、人事院、厚生省、全部伺ってみると、怠慢以外の何ものでもない。女子労働者の生理休暇の問題などは、労働問題の末端の末端であって、こんなことは役所が統計をとったり問題にしたり、金をかけたりしなければならないような問題ではないと考えていらっしゃるような臭気がふんぷんといたします。医務局長自身も労働省のお役人にもおわかりにならないならば、一つ適当なポストに適当な女性を置いて、これ専門の対策を立ててもらいたいということが日本の女子労働者の願いなんです。一つお願いしておきます。医務局長にお答え願いたいと思います。
  151. 小澤龍

    ○小澤政府委員 実は生理休暇に対して、生理休暇だけを取り上げて統計を調べたことはないのであります。従いましてその資料はただいま持ち合せておりません。しかしながらこの問題は非常に重要な問題で、私どもはこのままにしておけない、何らかの方法によって実態をきわめていって適当に善処していきたいと思っております。ただ私も実は医者でございまして、それから若いころは相当長いこと病院勤めをしておりましたので、一般の方よりは男性であっても実態をよく知っておるつもりでおるのですが、先ほど個人的な個人差を言われては議論にならないのではないかという御注意がありましたが、生理休暇については個人差を考えなければ判断できないのです。一人々々が違う。何でもない人もあれば、麻薬を注射しなければいても立ってもおれないような人もある。それから病院におきましてはお互いが看護婦さんでありますから、普通の女性よりかもこういう方面の知識が非常に進んでおります。そこでお互いの苦しさということが、大部分の人が同じ宿舎に寝とまりしておりますし、普通の職場よりかよくわかっておるのです。そこで私どもの経験から申しますと、これは学問的な統計はございませんが、どうしても苦しさのために職務につけないという人は看護婦さんの社会では四十人のうち一人前後ではなかろうかということを昔から考えておりました。そういう人はやはり職場の配置がえをしてあげなければならない。たとえばその人が手術室の勤務であれば、それよりか楽な職場なり、ほかの方の勤務に配置がえを考えてあげて、その人の負担を軽減してあげるという処置をしなければならないと私は考えておりますが、事実そういうことは考えております。現に私が若いころ勤めておった病院では、そういうふうにやって参ったのであります。ただ統計がございませんので、統計的には申し上げることはできませんが、重要な問題なので今後その点はなお具体的に事を明らかにして善処して参りたいと思っております。
  152. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私が漏れ承わるところによると、厚生省本省の六百人の女子職員は、割合に完全に近いほど生理休暇をおとりになっておると聞いております。本省の女子職員と立ち作業をする看護婦と、大体その度がいかがなものであるかと申しますと、やはり多賀谷さんがさいぜん言われ法文でも明らかなように、本省の人たちが完全に近いものをとっておるならば、看護婦の人たちにもやはりとらせてやるという親心を医務局長がお持になるのがほんとうではないか。それからもう一つ医務局長は、私は医者であるので非常に理解があるはずだとおっしゃいますけれども、もちろんあなた様の医学者としての権威には私しろうととして敬意を表しますが、今は厚生省医務局長という立場にあるのでございますから、医者としての立場でものを考えるよりは、合理的な運営の実をあげていく、国立の病院療養所を監督していくという非常にこわい立場におられる方でありますので、締めていく一方であります。医者としての良心はあっても、叱吃激励をせざるを得ないという立場にあなたが追い込まれておるところに第一線の看護婦からこういう陳情があるのではないかと思いますので、そこは一つもう一度あなたの局長という立場に戻ってもらって考えてもらわなければならない問題が起ってくるということを申し上げまして、伊藤さんに質問を譲ります。
  153. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 私はもうちょっとお聞きしたいのですが、生理日の就業が著しく困難だという認定でございます。これはどういうふうな認め方をしておいでになりますか、本人の申し出によってやっていらっしゃいますか、その点をちょっと……。
  154. 小澤龍

    ○小澤政府委員 国立病院においては、現に生理のために勤務ができないような人に対しましては休暇を与えておるのであります。これは本人の申し出によって与えております。ただ先ほど申しましたように看護婦さんの社会であり、共同生活をしている一員でございますので、そのことは看護婦さんの仲間でも非常によく了解されまして、お申し出がある者につきまして、私どもはこれはもっともである、こういう考え方をするわけでございます。
  155. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 私がちょっと調べましたところによりますと、国立下総療養所、習志野療養所なんかでは、生理日の休暇をとるに当って診断書をとっていらっしゃるということを聞いておりますが、そういう事実はございますか。
  156. 小澤龍

    ○小澤政府委員 実は生理日であるかどうかということは、診断によって明らかになりますが、そのために本人がどれほど苦しいかということは医学的診断からはなかなか判定ができにくいものでございます。下総や習志野で診断書をとっておるということは実は初耳でございます。すぐに現地を調べまして、不適当であるならば取りやめさせたいと存じます。
  157. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 私は最近ちょっと機会がございまして、世田谷の国立病院に参りまして、看護婦さんたちとお話しする機会がございましたが、そこにおきましても、生理休暇をとるようならば副院長が診断をしなければならぬということをおっしゃったそうでございます。生理休暇の問題は、私は女でございますからよくわかりますが、休暇をとるのでも、女の立場から申しますと恥かしいような気持がしておりますところへ、特に診断をとってというような事態は絶対避けなければならないと思うわけでございます。これは人事院規則の中にも、そういう診断書をとるような方法はいけないということが書いてあったように思います。「今後女子労働者が生休を請求した場合には右の趣旨にかんがみ、医師の診断書のような厳格な証明を求めることなく一応事実を推断せしめるに足れば十分である」とあったと思います。この問題は、私は人権じゅうりんにもなるのではないかと思います。ただいまも申しましたように大体とりにくいところへ、診断なんかと申しましたら、大がいの女の人はしんぼうしてしまうわけでございます。そういう事実のないよう、重ねて厚生当局の御配慮を願いたいと思います。  それからもう一つは、「著しく困難」だという認定でございますが、これは私ども自分の経験から申しましても、特に病気のような症状の方は別といたしましても、期間中はだれも非常に不愉快な、いやな思いをするわけでございますので、外からの認定でなく、自分から生休を申し出をした人にはすぐとられるような状態にしていただきたいと思うわけでございます。  それから、ただいま申しました世田谷病院へ参りましたときに、私実情といたしまして伺ったのでございますが、一つの総合病棟で現在二十五ベッドあるところで、大体四ベッドに一人の看護婦さんでございますから、六人—七人の割当てになるのでございますが、実情は三交代でございますので、二十四ベッドに対して二人といったような関係になるわけでございます。生理休暇のみではなくて、週休をとるだけでも大へんなんで、回り回って譲りあって、やっとのことで週休をとっているというような実情であるということでございます。年休は二十日間あるそうでございますが、平均して年休も七・五日くらいしかとっていないという現状でございます。生理で非常に気分が悪いときでも、実質的に常勤の状態にある人は昼間でも二十五ベッドに対して二人ぐらいになり、特に入院、退院の患者があるときには、食事をする間もないような非常に重労働で、いつも走っているというような実情で、生理休暇どころではないという状態でございます。御監督の立場にある厚生省出局としては、そういう重労働にもなっている看護婦さん方でありますので、なおさら休暇をとりたい時にはすぐとれるような状態にしていただきたいと思うのでございますが、そういう点に対しての御監督あるいは御考慮、御配慮を特に払っていただけるかどうか。
  158. 小澤龍

    ○小澤政府委員 七日に一回休暇は必ず与えなければいけないというふうにして、私ども実は指導しているつもりでございますが、中には、ただいまのお話ではそれの抜かっているところもあるように聞きました。実は来月、私どもは全国病院療養所施設長会議をいたす予定でございますので、ただいま御指摘の問題は非常に重要な問題でありますので、それぞれの施設につきまして現状をきわめて、不当の行為のないように指導して参りたいと思います。
  159. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 持にお医者様に御関係のある看護婦さんなどにおきましては、一般の婦人労働者のお手本を示すようにしていただきたいと思うのです。一般民間の方はもっとひどいのだろうと推察されますので、せめて国立ぐらいは週休もとれ、あるいは困難な生理の人には安心して休暇がとれるような状況にしていただきたいと思うのです。繰り返すようでございますが、ただいま二十五人のベッドを持っている看護婦さんは、ほんとうに休みたくても休めないのが実情だということを非常に訴えておられましたので、そういう点も、今後厚生省当局としては民間病院の手本になるように、定員の点も十分お考えいただき、看護婦さんたちが生理休暇も無理なくとれ、気持よく働けるようにしていただきたいということを特に婦人の立場からお願い申し上げたいと思うわけでございます。
  160. 小林進

    ○小林(進)委員 関連をいたしてお伺いいたしたいのでございますが、同じくこれは新潟療養所の問題でございまして、この前も山田看護婦に対する警察の不当尋問というようなことがございまして、これは私警察庁長官に質問をいたしている。しかし長官がお見えにならないで刑事局長がお見えになったものですから、いま一回来て詳しくその状況をお伺いすることになって、質問を留保したのであります。従いましてこの問題はよろしゅうございますけれども、新しく起った問題、これも一月中の話でございますから、若干時日を経過しておりますが、われわれにはまだ一般質問をする機会がありませんので、今日になりましたけれども、今の女子職員の生理休暇の問題でございます。これは地元からなまにわれわれに訴えてきましたものを、ここで一つ読み上げますと、女子職員が生理休暇届を提出したところ、施設長あるいは病院長が——これは決して療養所長の個人の意思ではないと思うのです。やはり上から、皆さん方かどこからか、圧力があったからやらざるを得なかったのだと思いますが、「施設長は人事院規則によりこれを実施する努力を怠り、生理休暇を取らせない手段として、医師の総退陣、手術の中止、療棟閉鎖など患者に不安動揺をあたえるせんどうを行い、混乱を」起すに至った、一体こういう問題をどうお考えになっておるか、こういうようなことを訴えてきておるのでございます。局長、いかがでございますか、事実こういうことがあったのかなかったのか、具体的に一つ御答弁を願いたいと思います。
  161. 小澤龍

    ○小澤政府委員 新潟療養所につきましては、月々数名の看護婦さんが生理休暇をとっておられたのは事実でございます。ところが本年の一月になりまして、突然多数の看護婦さんから相次いで、生理休暇がほしいという願いがあったわけであります。非常に長い間さようなことがなくて、またないということを前提のもとに療養所を運営して参ったのでありますけれども、きわめて卒然として、一月に入りまして多数の看護婦さんが相次いで生理休暇をとるという事態が起きたのでございます。そういたしますと、私どもといたしましては、どうもこれは従来とり方が少な過ぎたと言わんよりも、むしろ一月に入ってから非常にたくさんの看護婦さんが生理休暇をとったということ自体が異常な状態ではなかろうかと、実は考えたわけでございます。そして国立病院その他の施設の一般的な平均的な状態から見て、これは少しく常軌を逸している、かような判断に立ちまして、ほんとうに困る人は休んでもけっこうだけれども、働ける人は働いてほしいというふうに、私の方から看護婦さんの方に要望したという事実は、確かにございます。
  162. 小林進

    ○小林(進)委員 ここで私は局長と原因について議論しようというふうな考えはございませんけれども私どもに提訴して参りました人たちの話としては、国立療養機関でありながら、収入の増加を強制する厚生省の方針から、各施設では、少い人員でより多くのサービスを要求し、インチキ基準看護を申請し、患者より不当な料金を徴収するとともに、働く者に犠牲を負わせている。それを言わないでおけば言わないほど、だんだんそういう過当な作業を強化しつつあるのではないか。なるほど今おっしゃるように、大体月平均し三・八人ずつ生理休暇をとっておるという現状だそうでございますが、それはあなたの言うような基準通りの看護婦がそろっている中の三・八じゃないか、みな足りないのを黙っていれば、いつまでもそれを当りまえのようにさらに次から次とオーバー・ワークを命ぜられてくるので、どうも肉体的、精神的に耐えがたくなって、今まで蓄積してきた当然の権利、当然もらうべき休暇の要求をわれわれはがまんしきれなくなって自然発生的に出した、その出した数字が、たまたま監督官庁なり経営者、あなた方の方から見られると、急に出してきたから何か不穏当なデモでもやってきたのではないかというふうにおとりになったかもしれないけれども、こちらの出す方から言えば、精神的、肉体的に疲弊どん底に落ちて、やむを得ず自然発生的に出したという状況でございますから、こういう点はあなたの方からあたたかい目で見ていただかなければならないと思うのであります。  なおその次に、その混乱が一時的なら一時的でよろしい、それはよろしゅうございますが、それを出さなければならない理由を、もっとあったかく究明していただかなければならない立場にある厚生省が、「医務局管理課長補作遠藤事務官、療養所課長補佐松井事務官、小井土技官、医務局関信出張所太田次長、計四名を新潟に派遣し、組合員の権利である生理休暇を中止するよう指示すると共に患者をせんどう、更にこの闘争を弾圧するため書記長に停職一カ月の徴戎処分を合議、施設長より発令させる役割を果した」こういうことをおやりになったかどうか。おやりになったとわれわれに訴えてきているわけですが、こういうことが事実あったのかどうか。厚生省はこのようにして、一体弾圧をおやりになっておるのかどうか、這般の事情を伺いたいと思います。
  163. 小澤龍

    ○小澤政府委員 実は新潟療養所という療養所は、私どもの方の療養所といたしましては、質的に優秀な療養所でございます。新潟県下でも、結核療養所としては定評のある療養所でございます。なかんずく肺臓手術ということで有名でございまして、そういう意味合いから患者さんからも信頼を受け、多数の患者が入院しておったのでございます。ところが、先ほど申し上げましたように、一月に入りましてから突然に、多数の看護婦さんが相次いで休暇をおとりになり、そのために療養所としてすでに予定しておりました手術もできなくなって、繰り延べ繰り延べということなりまして、療養所としての本来の機能が発揮できないという状態に相成ったのでございます。そこで私どもは、その間の事情を調べまして正しい運営に立ち返らせるように、ただいまお読み上げになりました人間を派遣したことは事実でございます。これは職員を相次いでと申しますつか、あるいは交互と申しますか、必要に応じて現地に派遣いたしまして、看護婦さん方とも話し合いをし、委員長とも相談する等々いたしまして、これが平常化に返るように努力せしめたのであります。ただいまの御指摘で、患者を扇動してとございますが、実は施設側、病院側が患者さんを扇動した事実は、全くございません。患者さんの方で療養に非常に不便を感じられましたので、そのふんまんを施設側の方にも爆発さして持って参ったのでありますけれども、私どもとして特に患者を扇動して、そうしてそれを弾圧するための方便に使った、道具に使ったという事実は、全くございません。それから書記長を休職にしたということでございますけれども、この人は前々から勤務態度があまりよろしくなかった。ときどき職場を黙って離れて、そうして正常な業務につかないということが前からあったのであります。この点に関しまして、施設側からしばしば本人に注意を発した、しかしなかなか改めていただけないので、業務につくように数回にわたって指示したのでありますが、どうしても本人が聞き入れないで、職場を離れる度数があまりにひんぱんでありますので、やむを得ず、人事院規則によりまして停職一カ月に処分したことは事実でございます。
  164. 小林進

    ○小林(進)委員 私は、厚生省責任においてそういう紛争が起きたのでありますから、その原因調査並びに取りまとめたためにこういう方々を派遣せられたというその答弁は、ごもっともだと思うのです。それはちょうだいいたしますが、ただ突然に生休を出したから驚いた——これはとかく経営者側のいわゆる弾圧——私の言う弾圧、あなたは弾圧じゃないでしょう。そういうふうな、言いわけとしては実にいいですよ。けれども、あなたは医務局長として患者を扱っているならば、そういう経営者のような言葉をお使いになっちゃいけませんよ。先ほど私が申し上げているように、やらなければいつまでたっても——だんだんと定員を減らし、そうして仕事をふやしてこられるだけなんですから、か弱き者だけががまんし切れなくなったときに、どこかで一度は爆発しなければならない。それを突然休んだ、突然サボタージュしたということでこの人たちを遇せられるあなたのその思想がよろしくない。だからそういう言葉で説明されることは、少くともこの国会の中で言われることは、私はやめていただかなければならない。もう少し客観的にしていただかなければならないと思うのですが、同時にこの患者を扇動したということは、おそらく局長さ、んがおっしゃるようなことだと思う。これは組合側が、あるいは馘首せられた方から言ってこられたのでありますけれども、それは扇動したのじゃない——私は厚生省側の御答弁を実はそのままちょうだいしたいと思いますが、しかしどちらかといえば第三者の立場にいなければならない患者の方から、われわれのところへ記名できたり、あるいは無記名の投書の形できたり、あるいはこういうふうに印刷物できたりしているのでございますけれども、——私はそこに勤めていられるお医者さんのことは言いたくないのです。医者も非常に犠牲を払って患者を見ておられるのでありますから、お医者さんも患者や職員の敵側として見て弾劾するような言葉は慎しみたいと思いますけれども、やはり相当患者に不安動揺を与えるような言葉を現実に吐いておられます。その吐いておられる言葉をすなおに受け取れば、やはり生休を患者の側からも非難攻撃せしめて施設側を有利に導くような形の言動が現われているのです。これは十分注意していただかなければならないと思います。  次に、これは労働省からも御返答をいただかなければならないと思っておりますけれども、しばしば職場を離脱したことを理由にして書記長を停職一カ月にした。しかし長い慣行といたしまして、これは専従であるとあらざるとにかかわらず、労働組合の委員長、書記長というものは相当職場を離脱するということは、あなた方はお認めになってきた。お認めになっていないというならば、この渡辺書記長が一月二十日まで同じく組合の仕事をしているものを、なぜ出勤扱いとして処理せられておったか、一体労働省はこういう職場を離脱する問題に対して、直ちに停職処分にせいという新しい指令をお出しになったのかどうかお伺いいたしたい。それから次には、厚生省側は何のために、それこそ唐突として、今まで長い慣行できたものを停職一カ月などという過重な処分に付さなければならなかったのかという理由をお尋ねいたしたい。
  165. 生田宏一

    ○生田政府委員 今のお話は労働省としてはいまだ少しも承知をしておらぬわけでございますし、かつ厚生省の所管のことでございますから、どのような処分があったとか、どのような内容があったとかいうことは報告を受けていないものでございますから、全然知らないことでございます。しかし他省の所管の問題について今御質問がありましたような処分をしようとかしないとかいうことは、私の方からむろん申すはずもございません。しかし今承知いたしましたから、これから事情を調べるということでございましたならば、必要に応じていたしたいと思っております。
  166. 小澤龍

    ○小澤政府委員 私どもといたしましては、職員組合の役員が職員組合の用務のために業務を離れることのあり得ることは当然だと考えております。従いまして私どもの扱いの慣例といたしましても、役員が職員組合のために職場を離れるということは、実はある程度大目に見てと申しますか、了解して参ったのであります。しかしただいま停職処分に付した人は、その程度がはなはだしく不公平である、はなはだしく公務員規律を逸脱している。その役員には他に委員長やその他の役員もおりますけれども、しかし私たちとしましては、その職員が特に職場規律を乱り、施設側の勧告を聞かないという事態が著しいので、こういう処分を加えた次第でございます。
  167. 小林進

    ○小林(進)委員 今はなはだしく職場離脱をしたということをおあげになりましたが、あくまでも先ほどの御答弁のように、書記長を停職一カ月にしたのは、いわゆる生休の問題とは関係がないのだ、職場離脱をはなはだしくしたからだと言っておりますが、それでは職場離脱をはなはだしくという、そのはなはだしいというのはどの程度のものなのか。それからいま一つ関連しておりますが、一体職場を離脱したということは、組合運動をする書記長や委員長のことだけであって、組合運動やその他に関係のない仕事ならば、はなはだしく職場を離脱しても、これは一体懲戒処分の材料にならないのかどうか。それから職場離脱の問題で、組合員以外に職場離脱しているのを私はたくさん知っておりますけれども、それで今日までに何人こういう懲戒処分をおやりになった前例があるか、あわせてお尋ねいたしたいと思います。
  168. 小澤龍

    ○小澤政府委員 既往のことは実は調査してみなければわかりませんが、私が医務局長になりましてから、多分初めてのケースだろうと思います。
  169. 小林進

    ○小林(進)委員 一体厚生省のお役所の出勤時間は何時ですか、その時間をお尋ねいたしたい。私も質問をするからには調査いたしますが、その決定している時間に、あなた方局長、課長、事務官がちゃんと三百六十五日そろっておいでになりますか。こういうときに一時間、二時間もおくれてくる方々を、これを一体何というか、職場離脱というのか、単なる遅刻というのか、そういうものは処罰の対象にならないのか、一つお尋ねいたしたいと思います。
  170. 小澤龍

    ○小澤政府委員 私自身は大体午前九時ちょっと過ぎくらいに登庁しております。  それからこれは各般所々々にそれぞれの慣習もございまして、そのために通常の業務の正常な運営が妨げられては困りますけれども、妨げられないということであれば、ある程度容認しているというのが社会の通例ではないかと思うのであります。ただいまの場合は、この職員につきましては炊事を担当する職員でございます。やはり炊事を行わなければならない時間においては炊事業務に従事していただきたいのでございますが、それが炊事業務に従事していない回数が非常に多かったというようなことから、やむを得ずこのような処置をとったのであります。
  171. 小林進

    ○小林(進)委員 しかしそういうことは、あなた方のいわゆる支配階級的な、実に封建的なものの考え方なんです。あなた方のような局長や課長等の上に立つ者は、社会慣習なり今までの業務に支障がなければおくれて来てもよろしい。十時が十一時でも、あなたの今この論拠で言うならば、仕事に支障がなければ、午後一時半でも二時半でも、一週間に一日でも二日でも出ればいい、こういう議論になってきますよ。自分たち高級官僚、経営者の立場の者は、いわゆる社会慣習でよろしいけれども、いやしくも組合運動をするような者は、少しでも職場離脱をすることは相ならぬというので一カ月の懲戒処分にするということは、実にふらちきわまるものの考え方です。しかも私は個人関係を言うわけではないが、この渡辺というのはよく知っております。私の長い間の友人です。しかし、この人の個人関係は言いたくないけれども、組合の書記長をやって、あなたの言うような職場離脱をして、炊事の任務をやるかやらないかということは、きょうやきのうやおとといの問題ではないんです。私はその個人から頼まれて質問をやっているわけではありません。けれども、そういうふうな理由であなた方は首を切るというのは、いわゆる経営者と労働者との大きな一つの不公平があるのではないか、これが一点です。  いま一つ私はお尋ねしますけれども、高級官僚ならば、仕事に支障がなければ何時に出勤してもよろしいんだというこの言葉は、ここだけは私は了解することはできませんから、これはこの問題の重大な発言として、私は一つ胸におさめておきます。必ずこれは問題に出します。  いま一つ伺いたいんだけれども、国立病院とか療養所においても、医師というのは研究その他、あるいは私用、他用で職場離脱ということをみなおやりになっているじゃないか、野放しと言ってもいいほどです。一体どういう法的根拠でこれをお許しになっているのか。やはり人を責めるには、みずから省みてみずから正しくなくちゃいかぬ。病院なんか行ってみると、お医者さんなんか、一週間に何回出てこられるんですか。法的規定の上に、常勤の法的給料をとりながら、その実は一週間に一回か二回というのが、これは通例として行われているじゃないですか。これは一体処罰されないのですか。これもやはり作業、事業に差しつかえなければこれでよろしい。しかし下級の組合員、職員だけは、断じて一時間も三十分も十分も五分も職場離脱は相ならぬ、こうおっしゃるのか、明確にお答えを願いたい。
  172. 小澤龍

    ○小澤政府委員 私どもは何時に出勤してもいいということを申し上げたのではございません。おのずからなる慣習、おのずからなる社会秩序というのがございます。さようなものに違反することはできないことは当然のことでございます。  それからただいま医師等の勤務についての御質問がございましたけれども、御承知のように、医薬の向上ということは、これは病院療養所の内部においても必要でございます。よりよき医療を行う、そのために私どもは、病院勤務の医者につきましては、病院運営上差しつかえない限り、あるいは学会にも出てもらう、あるいは大学なんかに行ってものを見てきてもらう、あるいは学問上の話を討論してきてもらうということは、これはそれぞれの病院医療の質を向上させるために必要なことと存じまして、病院運営に差しつかえない範囲におきましては、積極的にこれを奨励しているというような実情でございます。これはひとえに、よりよき医療を行いたいためでございます。
  173. 小林進

    ○小林(進)委員 これだから局長は、あなたの考えは実にけしからぬというんですね。実にけしからぬよ。あなたはいやしくも厚生行政を担当していくならば、そのあなたの思想から改めていかなければならない。医者だからこそ、支障のない限りにおいて研究もしなさい、あるいは勉強も調査もしなさい。そうしてよりよき医療のために努力しなさい。けっこうです。しからば一方組合の諸君はどうです。組合の書記長が職場離脱をしたというけれども、何も個人を委員長や書記長にしてはおきません。やはり病院に勤めている組合員の生活を一歩でもよくしよう、みんなを一歩でも仕合せに近づけようと働いている。人間の向上のためにみずから職場を離れて犠牲になっておるのでありますが、そのことと医者が研究したり調査したりすることとどう違うんですか。あなたの思想でいえば、書記長が職場を離れて組合活動をしているのは言語道断だ、これこそ首にして差しつかえないというけれども、科学の医者だけは、医療の向上のために職場を離脱してもこれは正当だという言い方は、まさに下級の労働者というものを人間的に見ない、言語道断のものの考え方であります。そんなことじゃいけませんよ。
  174. 小澤龍

    ○小澤政府委員 ただいま医者について申し上げましたけれども、ひとり医者だけではございません。これは看護婦につきましても同じような措置をとるべきであるし、とっております。たとえば病院の給食につきましても同様でございます。病院の給食の質を上げるために、他のいい施設を見学に行く、あるいは上手にやっているところから来てもらって指導してもらう。あるいは汽罐手につきましても、石炭を効率的にこれをたくということにつきまして、やはり外に勉強しに出てもらう、また外からも来てもらうということはやっておるのであります。従いまして、これは医者けが特権的に考えておるわけではございませんで、病院全体につきまして私どもは考えておる次第でございます。  なお職場離脱の問題でございますが、私どもは最初申し上げましたように、それは職員組合の役員であれば、役員たるのゆえをもっていろいろ職場を離れなければならない事情のあることはよくわかります。従いまして私どもはでき得る限り便宜を与えたい、かような心がまえで対処しております。現にたまたま今回気の毒なと申しますか、行政処分事件があったのでございますけれども、たくさんの国立病院、たくさんの療養所にたくさんの組合員がおられます、役員がおられますけれども、そういう方々に対しましては、一般の社会秩序あるいは一般の社会通念によって許される範囲のことはできるだけ私どもの方では便宜を与えてやってきておるつもりでありますし、今後もやっていくつもりであります。
  175. 小林進

    ○小林(進)委員 そんなことでは答弁になりません。あなたは組合の三段というものを知っているでしょう。組合の中での書記長というものの仕事はわかっておるでしょう。他の一般組合員と書記長というものは一緒にできないということは組合活動のいろはじゃありませんか。ほかの人間は差しつかえなければかまわないという、そういうごまかしの答弁はやめて下さい。調理人でも、みんな病院でやることは、医者だけではない、当りまえです。管理者として有利なときは、炊事でも何でも研究させる。ただ私がここで言わんとするのは、炊事であろうと医術であろうと看護であろうと、その重要性と、今定員もなく、からだを張って、働いている者のために組合活動をしている、そういう者の生存権や生活権のために組合活動をしている、その組合運動の重要性をちっとも均等に考えないというあなたのものの考え方がけしからぬと言っているんだ。あなたは、組合運動をやる者は、何か職場離脱をしてやれば悪党だ、悪人だ、こういう考えだから、忠告しても忠告しなくとも、これは首にしてしまうというので、その正当性を言われたけれども、私は、その人個人が怠けて、自分の利得や個人の私欲のために職場を離脱したというのならば、それは馘首の理由としてちょうだいするけれども、現にこういう問題が起きているじゃありませんか。職員全部の問題が起きているじゃありませんか。病院閉鎖の問題が起きているじゃありませんか。看護の問題が起きているじゃありませんか。そういう問題が起きて、みずから組合員のために書記長の義務に基いて働いている者を首にするということは、いかに言おうとも組合弾圧以外の何ものでもありません。そういうようなことをいま少し明確に、実は弾圧したなら弾圧したとはっきり答えたらどうですか。ごまかしの答弁は私はちょうだいできません。はっきり言って下さいよ。
  176. 小澤龍

    ○小澤政府委員 私は組合の健全な発達を心からこいねがっておるものの一人であるつもりでおります。従いまして組合運動がりっぱに育ち、発展していくことを心から期待しておるものでございます。従いまして組合運動というものは、かりにあったとしても、組合運動を弾圧するような意図でこれをやったつもりは毛頭ございません。ただその職員個人につきまして、先ほど来申し上げましたような事情で、やむを得ず行政処分に付したことを御了承願いたいと思います。
  177. 小林進

    ○小林(進)委員 しかし、あなたはそういうような個人とおっしゃいますけれども、そういう多年の習慣です。多年の習慣を破って今日ここで初めてあなたは首にせられた。しかも一月二十四日から七日といういわゆる生休問題でちょうど組合が運動を行なったさなかにあなたは首を切られた。そしてしかも個人格でもってやったと言われる。そういうような理由は、あなたがいかにたくみに言われても、私は了承することができません。同時にこういうことをおやりになったならば、今も言うように今後の問題だ。いわゆる病院の施設の幹部、医師、あるいは調理人、看護婦でもよろしいです。そういう人々の勝手な無断欠勤、勝手な職場離脱というものは、今日の通りにおやりになって、労働組合に関する限り、やはり今後もこういうふうに職場を離脱すれば、ぼんぼん首をお切りになるお考えかどうか。この一点だけ伺っておきます。はなはだ不満足でありますが、こうやっていたのでは時間の際限がありませんから、一応きょうのところは質問を終ります。了承したわけではございません。
  178. 小澤龍

    ○小澤政府委員 実は本日の午前中も職員組合の方々とこの問題についてお話をいたしたのでございます。私どもは一方的に権力を行使するということはできるだけ避けていかなければならぬという基本的な考え方に立っております。今後ともこういうふうな問題は話し合いの上において円満に解決していくことを原則としてやっていこうじゃないかというふうに話し合ったような次第でございまして、その点について御了承願いたいと思います。
  179. 小林進

    ○小林(進)委員 厚生省がやはり組合の価値というものを認めながら、あなたが今お話しのように円満に話し合うといわれることは、私は非常に賛成であります。どうかそうやってもらいたい。しからばそのことに便乗して言いますが、今この一カ月の停職を話し合いの上においておやめになるかどうか。
  180. 小澤龍

    ○小澤政府委員 この問題につきましても、本日午前中全国労の人々と話をしたのでありますけれども、これは私どもの方ですでに処分を決定いたしたものでございます。また処分を受けた人は人事院に提訴しておりますので、すでにこの問題はそういうふうに処分の進行が始まっておりますので、これは人事院の公平なる御裁断をこのケースについては待とうじゃないかということを実は午前中も話し合いしたのであります。どうぞ御了承願いたいと思います。
  181. 小林進

    ○小林(進)委員 人事院に提訴されて、今事態が進行中であるとおっしゃいますが、これは両方が取り下げれば、取り下げることは可能な問題でありますが、しかしおれの責任にならないからというので両方ともお取り下げにならないで、人事院のこの問題のさばきを待つというふうになれば、私もそのさばきを得るまでこの質問はいたしません。私はこれで終りますけれども、やがてまた後日、日を期して関連する問題でいろいろ局長にお尋ねをします。
  182. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 私は最後にちょっと御要望をかねて申し上げておきたいと思いますことは、日赤病院の長橋チヨ博士、その傘下の女医さんの最近のお話によりますと、月経時には、何もしていないで寝ていても重労働したのと同じくらい疲労した状態にあるということを言っておられますが、これは大多数の男の方にはおわかりになりませんが、とにかく生理というものは女にとりまして非常に不愉快な大へんなことでございますので、特に、国立病院療養所の夜勤などをお続けになって、先ほど著しく困難な、著しく有害な業務ということにはならないとおっしゃいましたが、私が思いますには、相当重労働に当ると思いますので、このような国立病院の看護婦さんたちが生理休暇を要望しましたときに、遠慮をしないでとれるような状態に厚生当局としても御指導御監督をいただきまして、生理休暇に対しまして診断書をとるというようなことが絶対にございませんようにしていただきたいということ。それからもう一言でございますが、ただいま最初に小林委員がおっしゃいましたが、これはやはり世田谷病院で聞いたのでございますが、どうも国立病院でございましても、非常に収入の点などで、お医者様にもでございましょうが、看護婦さんなどにも、患者が多くなるようにまるで営利機関のような要求がある。要求というよりも、いつも圧力があるようなことを伺っております。たとえば、食堂などに本日は何人の患者が入ったとか、少いときには赤字、十分にありましたときには黒字というような、食事をしながらでもその日の成績が出ていて、お医者さんたちも大へんそれを気にしていらっしゃったというようなことを聞きましたが、そういうような国立病院などにおきましては営利事業と違いますので、そういうことによって労働強化などにならぬように、こういう点も厚生当局としては御監督の立場から十分御注意いただきますように御要望申し上つげまして私の質問を終りたいと思います。
  183. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 看護婦さんの生理休暇の問題に触れましたとき、幸い労働省の政務次官がおいでになりますので、一応問題を提起しておきまして、労働省の中で研究をしていただきたいと思います。生理休暇の問題ももちろん含まれておるので私はこういうことを申し上げておくのですけれども、滋賀県の八日市という私の町にある紡績工場から兵庫県の西脇に転職をしていった女の子から、元の職場の委員長に実は非常に気の毒な手紙が来ております。これはあらためて委員会に持ち出して政務次官のお目にもかけたいと思いますが、どういうことが書いてあるかと申しますと、前の職場はつらいと思っておったけれども、今度の職場に比べると非常楽だった。こんなのならば兵庫県に変っていくんじゃなかったと思って今は非常に残念に思っております。これはどういうことかといえば、二交代をいたしております。工場の暁の出勤時間が二時であって、そうして昼から工場を出してもらうのが一時四十五分だと書いております。そうしてそれと交代いたしました人たちが工場の中から出るのが夜中の二時、こういうことで完全に十二時間近く工場の中に入って働いている。一体労働基準局というものは何のためにあるのでしょうか。知って知らぬふりをしているようですが、経営者との間に何かあるんじゃないでしょうか。私たちの貴重な税金でこうした労働省の役人を雇っておるならば役人は要りません。やめさしてもらいたいと思います。こういうような切々たる訴えが来ておる。こういう手紙を見てみますと、女子の生理休暇の問題は、こうした過激な労働をしている町工場において一体どんなだろうかと想像いたしますと、おそらく私はとっておらない立場に追い込まれておるのではないかと思う。従って、これは一つの例でございますけれども、青少年並びに女子労働者に対しましては、それを守らなければならない立場にある厚生省の人々や労働省の役人の方々は、このごろだらけていらっしゃるのではないか。もう少し親切な行政があっていいのではないか。基準監督署の出先機関に対しましても、経営者と迎合する役人に対する批判がごうごうとある町が多いのでございまして、こういうことを考えますときに、実に低賃金にあえぎながら、しかも重労働のもとに労働基準法にきめられた以上の労働に非常に苦しんでおる労働者が多い。しかも文句を言うと首を切られ、白い目で見られるというので、何流都市かの片隅に人間に価しない生活をしておる女子労働者がたくさんあるということを考えまするときに、私は真剣に労働省は考えていただきたい問題があるのではないかと思いますので、一つ政務次官は、責任を持ってこの問題を省内で検討していただくと同時に、私もこの手紙を持ってこの委員会に臨みますから、あらためて御答弁をいただき、善処方をお願いいたしたいと思いますが、政務次官いかがでございますか。
  184. 生田宏一

    ○生田政府委員 深夜業の禁止は、厳重にこれを監督しておるつもりでございますが、もしお示しのようなことが実在しますならば、これを直ちに停止せしめることは申すまでもなく、将来についても戒めたいと考えておるわけでございます。
  185. 田中正巳

    ○田中(正)委員長代理 多賀谷真稔君。
  186. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ちょっと厚生省にお尋ねいたしますが、先ほどの小林委員からの質問で、全医労の新潟支部の渡辺書記長の停職処分の問題ですが、処分の理由というのは、職場離脱をする、こういうことです。私はこのことはきわめて大きな問題になるのじゃないかと思います。と申しますのは、組合の専従者が置けないようなところでは、役員、幹部は、いわば組合運動に必要な時間というのは今まで職場離脱をしておる、それを認めておるというのが慣行ですね。いい悪いは別として、そういう実情にある。そうしますと、何か事件が起った、そつういたしますと職場を離脱するからということで首を切られるならば、現在そういう専従職員を持たないようなところは、これは民間でも同じ、官公労でも同じ、そういうことになりまして、ほとんど停職処分なり解雇をされる、こういうことになるのですね。ですからそれは単に職場離脱の限度の問題ではなくて、今まで慣行として認めておりながら、何か事件が起きたときに——その事件の扇動者として国家公務員の場合首を切るというなら、いい悪いは別として、はっきりしている。ところがそのことを隠して、そうして職場離脱をするからということで解雇をされるということになりますと、私はほとんど解雇もできる停職もできると思うのです。ですからこういった問題については、どついうようにお考えであるのか。実際には事件が起きてその責任をとらしたのでしょう。ところが理由はそうでなくて、今まで職場離脱をしておるから、こういう理由ではどうも今までの慣行を無視したやり方ではないか、こういうように考えるわけですが、それはどういうようにお考えですか。
  187. 小澤龍

    ○小澤政府委員 職員組合運動に関連いたしまして、支部部長でも副支部長でもあるいは書記長、執行委員でも、それぞれ職員組合の仕事のために職場を離れて役員としての仕事に従事しなければならないということは、先ほど申し上げました通り私よくわかっておるつもりであります。またできるだけ便宜を与えるべきだと考えております。ただ今回のケースだけは非常に特異でございまして、それがわれわれの社会通念的に、あるいは職場秩序と申しますかそういう範囲で了解できないくらい程度がはなはだしく逸脱しておったため、やむを得ずかような処置をとったのでございます。通例は、先生のおっしゃる通りわれわれといたしましては十分組合活動に対して便宜を与えるべきである、今後とも与えていかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  188. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私、どうもやはり離脱を理由としておるというところに非常に問題がありはしないかと思うのですよ。それを全国の官公庁が利用しましたならば、ほとんど現在の国家公務員及び地方公務員の役職員は専従者以外ならばほとんど処分ができる、ですからそのことでなくて真意は別にある、しかしそのことを理由とされておる、こういうようにしか考えられないわけでありますが、これは事件を詳しく調査して、小林委員とともに別の機会に質問いたしたいと思いますけれども、こういうようなことをおやりになるならば、これは私は非常に大きな問題を残すと思うのです。かって判例もありましたけれども、まだこれは組合が十分成熟していない初期の段階でした。ある工場において組合を作った、ところがそれはまだ専従者を置くだけの組合でなかった、こういう場合に解雇をしたということはこれは不当解雇じゃないかという問題が起った、また、不当解雇であるという判例を下した場合があります。あるいはまた組合結成の場合にもそういうことが言われる。でありますから、私は職場離脱というその理由で解雇されるということになりますと、これは非常に大きな問題が事実上起るのじゃないか、こういうように考えておりますので、この問題につきましては別の機会に質問をして御答弁を得たいと思います。
  189. 田中正巳

    ○田中(正)委員長代理 次会は来たる十六日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後六時十五分散会