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1959-03-25 第31回国会 衆議院 建設委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十五日(水曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 木村 守江君 理事 佐藤虎次郎君    理事 瀬戸山三男君 理事 二階堂 進君    理事 中島  巖君       逢澤  寛君    井原 岸高君       川崎末五郎君    砂原  格君       武知 勇記君    西村 直己君       橋本 正之君    村瀬 宣親君       東海林 稔君    塚本 三郎君       武藤 武雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 遠藤 三郎君  出席政府委員         建設政務次官  徳安 實藏君         建設事務官         (計画局長)  美馬 郁夫君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君  委員外出席者         参議院議員   田中  一君         建設事務官         (計画局総務課         長)      國宗 正義君         専  門  員 山口 乾治君     ――――――――――――― 三月二十五日  委員荒舩清十郎君、松澤雄藏君及び島上善五郎  君辞任につき、その補欠として武知勇記君、西  村直己君及び山中日露史君が議長の指名委員  に選任された。 同日  委員武知勇記君及び西村直己辞任につき、そ  の補欠として荒舩清十郎君及び松澤雄藏君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十四日  古川筋上部高速道路計画反対に関する陳情書  (第五二八号)  同  (第五三  五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二五号)(参議院送付)  土地区画整理法の一部を改正する法律案内閣  提出第一四六号)(参議院送付)  道路に関する件      ――――◇―――――
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  建築基準法の一部を改正する法律案議題として審査を進めます。まず本案中の参議院修正にかかる部分につき、修正案提出者参議院議員田中一君より説明を聴取いたします。田中一君。     —————————————   第六条第一項ただし書中「但し」を「ただし」に、「又は改築し」を「改築し、又は移転し」に、「又は改築に」を「、改築又は移転に」に、「延べ面積」を「床面積合計」に改め、同項第一号中「延べ面積」を「床面積合計」に改め」、同項第四号中「町村」を「市町村」に改め、同条第六項中「延べ面積」を「床面積合計」に、「五百円」を「千円」に、「三千円」を「一万円」に改め、同条中第七項を第八項とし、第六項の次に次の一項を加える。  7 第一項の規定による確認申請をしようとする者は、申請に係る計画に第八十七条の二第一項の昇降機に係る部分が含まれる場合においては、前項の手数料の外、当該昇降機一基について千円をこえない金額の範囲内において政令で定める額の手数料を、同項の区分に従い、市町村又は都道府県に納めなければならない。     —————————————
  3. 田中一

    田中参議院議員 参議院におきまして修正いたしました部分手数料最高限度を、一万円を二万円にしたという理由は、大体終戦後数々の制定されました法律のうち、手数料が最近に至って相当更改されております。そのうち極端なものにつきましては、たとえば無線局落成検査手数料等は、三千六百円から二万二千円になっておりましたものが、三十三年の改正によりまして、一万六千円から九万九千円になっておるというような例がございます。従って建造物規模によりまして、手数料が相当増額されているという点でございまして、政府説明によりますと、大体一万平米程度、三千坪程度のものを最高建築規模というような想定のもとに、この一万円という手数料の額が算定されております。そこでその実例として、参議院におきまして調査をさせました結果、このような事実が判明いたしております。最近できましたところの五十数億円かかりました大手町ビル、これは延べ数が三万三千四百坪でございまして、これに要しましたところの費用は一万三千四百四十円かかっております。内訳を申しますと、確認審査所要時間は二十八時間、現場検査所要時間は回数で二十回、延べ人員三十三名、時間といたしまして八十四時間、所要時間の合計が百十二時間となっております。平均一人当りの一時間実費を百二十円といたしまして、所要実費が一万三千四百四十円となっております。また同じような日本橋のビルでございますが、これは約三千坪のものでございますが、これも確認審査所要時間が二十二時間、現場検査所要時間が十六回、延べ人員二十五名、時間にいたしまして六十三時間、所要時間の合計が八十五時間、同じように一時間一人当り実費百二十円といたしまして、一万二百円が実際にかかっております。従って最近の傾向として、相当大規模建築ができている関係上、この政府提案法律案の中にあります三千坪までのものを標準として、一万円というものが一万円を伸びておるというところから見ましても、相当な大ビルに対しましては、手数料の増額が当然であるというような見解から、自民党緑風会に相談の上、一万円を二万円限度に引き上げようということになったわけでございます。以上であります。
  4. 堀川恭平

    堀川委員長 質疑通告があります。これを許すことにいたします。中島巖君。
  5. 中島巖

    中島(巖)委員 参議院修正は、第六条の第六項によるところの修正であると思いますが、ただいま修正提案者であるところの田中参議院議員から説明がありまして、大体その事情は了承できるのでありますが、いろいろお伺いをいたしておりますと、上げたことに対してはわれわれも異議のないものであるが、果して二万円が妥当であるかどうかという、こういう問題になるわけであります。従いまして、今御説明のありましたように、相当大きなビルでは、これが検査と申しますかに、一万数千円を要しておる、こういう御説明でありましたが、おそらくそうだと思います。従いまして、延べ坪によりましてもう少し階層をふやして、そうして金額も、たとえば何坪までのものに対しては二万、何坪以上のものに対しては三万、ある大きな坪数をこえるものは五万とかいうような方式に改正すべきではないか、とかように考えるのでありますが、参議院のこの修正過程において、そういう論議が戦わされたかどうかというような点についてお尋ねいたしたいと思います。
  6. 田中一

    田中参議院議員 お尋ねでございますが、その点は十分に論議をかわされました。そうして一つビルディングができまず場合に、行政機関が受け取りますところの手数料というものの総額等調査いたしました。その結果、ただいまの大手町ビルにいたしましても、汽鑵鑵体検査手数料、あるいは汽鑵溶接検査手数料昇降機竣工検査手数料給水給湯検査手数料、井戸の水質検査手数料等々ございまして、大手町ビルの場合には、七万一千二百五十円が現在実際に支払われた額でございます。電気その他の点に関しましては、大体慣例として工事費請負金額の内容に含まれておりまして、これは発見できませんでした。そこで、そういうふうな方法でやったらどうであろうかという今中島さんの説のような形の徴収方法を今後政府は取ることを望む、こういう意思表示を、参議院といたしましては審議過程において政府に申し述べております。そこで政府としては、それに対する答弁として、小さなものに対しましては、現行法の二百円程度、これも、従来は六坪のものを、今回の政府改正措置によって九坪程度に伸ばしまして、現行法の二百円の手数料を、規模によりまして段階をつけて徴収しよう、最高を二万円にしようということでございました。自民党緑風会諸君等も、もっと額を伸ばしてもいいではないかというような論議もございましたけれども、とりあえず一万円が二万円になって、倍額でございますから、今回はこの程度にしたらどうだろうかということに話し合いがついたわけであります。なお政府考えとして、この法律が通りましたならば、どういう段階で、規模用途等によって徴収の違いをつけようという案は持っておるそうでありますから、住宅局長から説明をお聞き取り願いたいと思います。
  7. 稗田治

    稗田政府委員 手数料の限界は、法律にきめてあるわけでございますが、政令でなおこまかく規定しておるわけでございます。それで、現行政令にきめてある手数料を申しますと、二十平方メートル、六坪でございますけれども、それまでが二百円、それ以上百平方メートル、三十坪でございますけれども、これが五百円、それから百平方メートルをこえまして二百平方メートルまでが七百円、二百平方メートルから三百平方メートルまでが千円、三百平方メートルから五百平方メートルまでが千五百円、五百平方メートルから七百平方メートルまでが二千円、七百平方メートルから千平方メートルまでが二千五百円、千平方メートル以上が三千円、こういうように現行規定されておるわけでございます。それで、今回手数料の上限を引き上げたわけでございますけれども、なお今日の諸般の事情から考えれば、規模の小さな建物を建てる零細な建築主につきましては、できるだけ額を小さくとどめたいというような考えから、今日考えておりますのは、三十平方メートル、九坪までが二百円、つまり六坪から九坪までは、現行は五百円でございましたけれども、これを二百円に下げるわけでございます。それから三十平方メートルから六十平方メートルまでが五百円、これは現行のまま据え置くわけでございます。六十平方メートルから百平方メートルまでが千円、以下ずっと坪数の引き上るにつれまして段階的に上げていくつもりでございます。これは、現在局で考えておる一試案でございますので、今後まだ十分検討したいと思うわけでございますけれども、零細な建築主負担はできるだけ軽くしたいというように配慮するつもりであります。
  8. 中島巖

    中島(巖)委員 これは、第六条の六項の金額に対するところの今の質問であったのですが、これが基本になるのは第六条の第一項でありまして、これを全部読むと長くなりますので、ポイントのところだけ読みますが、「当該工事に着手する前に、その計画当該建築物の敷地、構造及び建築設備に関する法律並びにこれに基く命令及び条例の規定に適合するものであることについて、確認申請書提出して建築主事確認を受けなければならない。」こういうことになっておるわけで、この申請書を受け付けっぱなしでおくわけにはいかない、従って確認申請書提出したら、建築主事確認をしなければならぬ、こういうことにこの法律でなっておるわけです。従って大きなビルなんかにおいては、ただいま修正案提案者田中参議院議員から説明のあったような相当膨大な費用が要る。たとえば六坪、九坪のものであっても、二百円の申請手数料建築主事申請書確認をせねばならぬ。従ってこれだけの手数料をとっても、政府が吐き出しになっておるのじゃないかということが現在必配なんですが、そういうようなことも、調査をおやりになったことがあるかどうか。
  9. 稗田治

    稗田政府委員 この基準法確認事務でございますけれども、これは、特定行政庁というものがやることになっておるわけでございます。国が直接基準法の第一線の仕事を扱っておるわけではないのでございます。特定行政庁と申しますのは、この法律によってきめられました建築主事という資格を持った者を、確認事務をつかさどらせるために置いておる地方公共団体をさしておるわけでございます。普通の場合は、府県が扱っておるわけでございますけれども五大市の場合とか、あるいは県と市と協議がととのった場合には、五大市以外の市でも、建築主事を置いて確認事務を扱っておるわけでございます。  そして実際の建築基準法施行に要する事務費が、この手数料でまかなえるかどうかということでございますけれども、これは、まかなえるようにはなっていないわけでございます。大体特定行政庁によりまして、陣容その他で負担の割合はいろいろ変っておりますけれども全国を通算して考えますと、大体この手数料から上る額は、基準法施行に要する事務費の二分の一から三分の一程度ではないかと思います。ただ建築基準法でいろいろ建物の規格なりきめて施行しておるわけでございますが、御承知のように、建築基準法の中には都市計画的な面、つまりそういった都市の構成をよくするというような立場から、いろいろ公益的な規制もしておるわけでございます。従いまして、建てる人のためにだけ検査するというのではない面もあるわけでございます。そういうわけで、全部確認手数料でまかなうというまでには至っていないわけでございます。
  10. 中島巖

    中島(巖)委員 非常に複雑で、これというきめ手がないものだと思いますが、少くとも確認は、申請書手数料によってまかなえる程度の値上げはやむを得ないと思います。従いまして、今後これらについて、参議院からの御議論にもあったように、一応これは臨時措置として、さらに政府において検討を願いたい、かように思うわけでありまして、他にもいろいろありますけれども参議院修正に対しまして賛成いたすものであります。
  11. 堀川恭平

    堀川委員長 この際お諮りいたします。本案に対する質疑は、これにて終局するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議なしと認めます。よって質疑は終局いたしました。  これより討論に入るのでありますが、討論通告がありませんので、討論を行わず、直ちに採決いたします。  建築基準法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  13. 堀川恭平

    堀川委員長 起立総員。よって本案は、原案の通り可決すべきものと決しました。  なおただいまの議決に伴う報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  15. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、土地区画整理法の一部を改正する法律案議題といたしまして審査を進めます。質疑を行います。武藤武雄君。
  16. 武藤武雄

    武藤委員 土地区画整理法の一部を改正する法律案の中で最初にお聞きしておきたいのは、今回の改正によりまして、公共施設用地土地区画整理事業により造成した場合において、施行者は、その公共施設管理者に対して、土地区画整理事業費用の一部または全部を負担させることをできることを明文化した点は、時宜を得た点だと思いますけれども、元来、土地区画整理事業は、公共施設整備改善及び宅地利用増進という二つの使命を持っておるものであります。両者がたての両面のような相互関係にあるといいましても、最近非常に地価の値上りが激しいものですから、用地取得難に陥っているところが全国的に非常に多いと思うのです。そこに、単にこの公共用地を生み出すためだということで、土地区画整理事業重点が置かれる傾向がなきにしもあらず、こういう心配があるのでありますが、今回の処置をとることによって、そういう傾向がさらに拍車をかけられるというようなことになるおそれが多分にあるのじゃないかと思いますが、そういうことに対して、一体政府はどういう考え方ですか。
  17. 美馬郁夫

    美馬政府委員 ただいま御質問がありました土地区画整理事業目的でございますが、これは、御承知のように、二つ目的がありまして、宅地利用増進という目的と、公共施設整備改善という二つ目的を必ず持っていなければならないのであります。しかしながら現実事業を見ますと、どちらが中心に置かれているかというふうな傾向はありまして、そういう点から見ますと、現在土地区画整理事業といたしましては、全国で約六百カ所という個所をやっておりますが、その中でほとんど大部分は、主として宅地利用増進目的とする、こういう事業の部類に属するものだと思います。従って、主として公共施設整備改善目的とするための土地区画整理事業と申しますと、現在その六百のうちの約一割近くがこれに該当するのであります。しかしながら、この公共施設整備改善目的とする事業が、現在道路事業なり河川事業用地取得の点で非常に問題がありますので、土地区画整理事業という事業をその手段として選びたいというのが、地元から非常に要望が多いのでございます。従って、公共施設整備改善を主たる目的とする土地区画整理事業というのが、最近の傾向といたしましてはだんだんふえて参っておるのでございます。しかし大勢といたしましては、ただいま申し上げたような状況でございますが、今後は、私どもいずれの方面にも重点を置きまして、両方を並行的にやっていきたい、こういうふうに考えております。
  18. 武藤武雄

    武藤委員 そういう傾向多分に見られると思いますから、一つその点は特に注意をしてやっていただきたいと思います。  それから立体換地を行う場合に、現在は床面積の小さな宅地を整備する場合と、それから権利者同意がある場合だけに限られておるわけですね。それを今回第九十三条の第二項を新たに設けまして、市街地における土地合理的利用と、災害防止のため特に必要がある場合においては、防火地域にあって、高度地区内の宅地については、過小宅地の場合と同様に、個々の権利者同意を得ることなく、権利者代表機関である土地区画整理審議会同意を得れば、立体換地ができるように改正されるわけですけれども、その場合に、この特に必要がある場合とは一体どういうことをさしておるか。
  19. 美馬郁夫

    美馬政府委員 現在区画整理事業をいろいろやっておりますが、特に最近問題になっております大阪の駅の前であるとか、あるいは名古屋の駅の裏側であるとか、あるいは東京にもぼつぼつ出て参っておりますが、特にこういう市街地密集地帯駅前広場を作る場合であるとか、そういうような場合におきましては、相当家屋が密集しておりまして、しかもその地帯都市計画の上から申しまして、高度地区と申しまして、建物を建てる場合には相当高いものを建てなければならぬ、しかもそれは防火性のものを建てなければならぬというふうな制限がございまして、そういうところで、たとえば幹線街路を作っていくとか、あるいは広場を広げるというふうな仕事をやって参りますと、どうしても従来の区画整理事業のようなやり方ではだめでございまして、建物を立体的に上に上げていくという手法をとらなければなかなかむずかしいのであります。また現実にも、そういうやり方が最もふさわしいのでございます。こういう地区を私ども立体換地対象地区考えまして、特に必要があるというふうな場合には、立体換地手法をとっていきたいというふうに考えております。
  20. 武藤武雄

    武藤委員 その場合に、これはおそらく土地ではなくて建物だと思うのです。その場合に、新しい換地あるいは建物も当然考えなければならぬわけですが、その場合に、本人が、どうもああいうところではいやだということで拒否をした場合に、おそらくねらいは、強制力を伴うという法律建前だと思いますが、そういう建前だと考えていいわけですか。
  21. 美馬郁夫

    美馬政府委員 その通りでございます。
  22. 武藤武雄

    武藤委員 その場合に、土地収用法と同じような建前で、民法との関連は問題ない、こういうわけですか。
  23. 美馬郁夫

    美馬政府委員 民法との関係も、私どもこの法律を作る過程におきましていろいろ議論したのでございますが、現在の土地区画整理法建前は、こういう換地制度というものを設けておりまして、その換地一つの特例といたしまして、土地に対しては土地、あるいは金銭というのが原則でございますが、特に建物の一部を与えていくという形をとっておるわけでございます。しかし、これはあくまでも何かを補償ないし現物を対象として与えなければならないというのは、憲法に保障された原則でございますが、その場合に、価値において同等または同等以上の土地に相当する建築物の一部を与えるということで、法制的には割り切っておる次第でございます。
  24. 武藤武雄

    武藤委員 その場合、審議会同意を経れば、本人同意を得なくてもよろしい、こういうことになっておるわけですけれども、こういうことは、往々にして審議会が非常なボスぶりを発揮する場合が各省に例があると思うのです。やはり本人立場というものは、強制力が伴えば伴うほど慎重に考えて、その利益を保護しなければならぬのが政治の建前だと思うのです。そういう場合に、審議会がそういう順序を無視した運営が行われないように、政府として適切な指導監督をどういう形で行われるのか、一つお伺いいたします。
  25. 美馬郁夫

    美馬政府委員 私ども、とりあえずこの地区対象となる予定の地区は、最近では、今申しましたように、大阪駅前地区というふうに非常に限定的に考えておるのでございまして、全国六百数十個所行なっておりまする各地区は、とりあえずは対象としておりません。従って、私ども監督も非常に重点的に行えることになっております。この法律によりまして、建設大臣監督権土地区画整理事業に対しましていろいろな面においてやれますから、そういう点から、特に個人の権益の保護という面につきましては、審議会に対しましても十分指導監督ができるつもりでおりますから、御安心なすってけっこうじゃないか、こういうふうに考えております。
  26. 武藤武雄

    武藤委員 それから施行地区内の宅地についての所有権以外の権利、たとえば地上権、あるいは賃借権等で登記のない権利を有する、そういう当該宅地の場合に、当該宅地所有権者との連署によって権利を生ずる書面を申告することに従来はなっておったわけです、ところが連署証明書を出す場合に、移転または行方不明だとか、あるいはどうしても相手側同意が得られない、こういう場合を予想いたしまして、そういう手続の不備も考えられまして、今回法律改正をやろうということでありますけれども、その場合に、二つの問題があると思うのです。正当の理由なくしてこの連署による申請を拒んだ場合、一体この正当の理由なくして拒むというのは、どういうことをさしておられるのか。それから双方からの証明が必要だったわけですけれども、それを一方からの証明だけでできるという場合に、往々にしてはっきりした事実が明確でないと、自分の都合のいい一方的な書類だけによって処理されるという危険が起きないかどうか。
  27. 美馬郁夫

    美馬政府委員 あとの方の御質問でございますが、要するに権利の変動があった場合、はっきりした書類とか証拠がなければわからぬじゃないかという御質問でございますが、私ども現在考えておりますのは、たとえば訴訟のあった場合、確定判決書であるとか、和解調書であるとか、あるいは公正証書契約書、こういうふうな書類をもって一応確かにその人が権利を持っているのだというふうに考えたわけでございますが、たとえば、場合によりましては、なかなか正規な契約書等もむずかしい場合もありましょうから、そういう場合は、たとえば家賃の領収証というようなものも、正当でありますればこれに該当いたしまして、そうしゃくし定木にむずかしい点も考えておらない次第でございます。まあ一般的に審議会にどうせかけることでございますから、皆さん方で、なるほどその人が権利を持っているのだというふうなことであれば、これはもうそういうふうにやっていきたいという方針でございます。  それからもう一つ、正当な理由でございますが、今申し上げましたようなことがはっきりわかっておりまして、確かにその人が権利人であるということがわかっておるにもかかわらず拒んだ場合には、一方的なことでも認めていこうというふうなことでございます。
  28. 武藤武雄

    武藤委員 あとの方は、いろいろ手続上のはっきりそうかどうかということが確認されれば、そういうことを明確に確認してやれば、そう問題が起きることはないと思うのですが、前の方の、相手がおって困るといって拒んだ場合に、それが正当な理由であるかどうかということはなかなか判断がむずかしいし、また拒んだ者の利益を全然考えないで、ただ貸しておる地主とか家主とか、そういう者だけの考え方で強行されるということは、やはりできるだけ避けなければならぬと思うのです。だから、その点は、運用に当っては特に注意してもらう必要があると思うのです。  それからもう一つは、審議会委員の任期を三年を五年に延ばしたい、その他総代会もそうですけれども政府の提案によりますと、やはり事業が長期にわたるということと、それからもう一つは、選挙に七十日もの期間を要する、それから、大体においてあと一カ年間延長すれば事業の目鼻がつくところが大半だということが理由だと思うのですけれども、往々にして、この審議会はだいぶいろいろの権限をこれから持つわけです。相当大きな強制力の権限も持つわけですから、そういう場合に、やはり審議会が長ければ長いほどボス化する傾向が強いと思うのですけれども、どうしても任期を延長しなければならぬという理由が、単にそれだけの理由以外にまだあるのですか、ただそれだけの理由ですか。
  29. 美馬郁夫

    美馬政府委員 実は審議会委員の任期の問題でございますが、現在三年になっておりまして、これを最高五年までやれるように改めたわけでございます。この問題をやるにつきましては、いろいろ内部でも議論がありまして、そういう点はよく検討したのでございますが、何さま昭和二十九年からこの区画整理事業をやってみまして、先ほど申しましたようないろいろの事業をやっておりますが、戦災復興事業は非常に大規模事業でありましたから、長くかかっておりますが、その他の事業でございますと、一番短かいところで三年、普通四年ないし五年というのがケースとして非常に多いのでございます。従って原則から申しますと、一事業につきましては、一つのなれた委員でやっていくのが一番常識的じゃないかというふうな意見が非常に強かったわけでございます。それが一般的でありますが、特に戦災復興事業につきましては、先ほども申し上げましたように、三十四年度に終る事業で、そのためにわざわざ選挙をやり直す必要はないじゃないか、そういうことで、再び選挙をやり直すのは中途半端なことになるのではないかという立場になったわけでございます。しかしながら、この場合に考えなければならないのは、委員なり、いろいろな役員のボス化の問題でございます。この問題につきましては、私たちもいろいろ検討いたしましたが、そういう心配のないように、私どもいろいろ指導をやっていきたいと思いますし、またこの審議会委員等につきましては、各地区民、利害関係者が選挙するのでございますが、解任請求権というのがございまして、非常に悪質な者がおりましたら、利害関係人が寄りまして解任請求をして、やめさせる手続もございまして、そういう点は一応制度的に救済する建前になっております。法律は、こういうふうに五年ということになっておりますが、その実施は各事業主体にまかしておりまして、各事業主体が条例または規則によりまして、自分の方の事業は三年で終るのだからいいのじゃないかということであれば、三年ということできめますし、まだあと二年かかるから五年にしようということになれば、五年というふうに今後きめられるわけでございます。その場合に、現在の役員を再任させるか、あるいはまた新しく選挙させるかということも、これは審議会自体がきめていけるような建前になっておりますから、その点は、私ども指導監督と相待ちまして、十分やっていけるのではないかというふうに考えております。
  30. 武藤武雄

    武藤委員 大体わかりましたが、ただ全国的には、この法律が通過して効力を発生するまでに、すでに選挙をやらなければならぬところ、あるいは委員の任期が切れてしまうことが予想されるところが相当あるのではないですか。この法律が通過した場合に、そういう点の混乱は起きないのですか。
  31. 美馬郁夫

    美馬政府委員 この法律が、たとえば四月から施行されるとなりますと、たとえば戦災復興事業等についてみますと、もうすでに三月中に任期が満了になりまして、この法律が出ましても救済できない個所も少しはありますが、ほとんど大部分地区は、これが通りますと、選挙はやり直さなくてもこれでやっていけるようなことでありまして、その他の区画整理事業につきましても、大体混乱なくこの方針でやっていける、こういう見通しでございます。
  32. 武藤武雄

    武藤委員 次に、事業計画の軽微な修正については、従来の手続を省略することができるというふうに改めることになるわけですけれども、これは、ほんとうに軽微な修正であれば問題はないと思いますが、やはり地元民の権利に相当な影響を及ぼすということが、今度の法令の中にも心配があるのではないかと思うのです。たとえば幅員四メートル以下と、こういうふうに規定しますと、逆に今まで一メートルの道路を四メートルに拡張するというような場合には、これは、距離によっては相当の影響を土地所有者や何かに与えるのではないかと思うのです。それを、単に事業主体の独断にまかしていくという結果になると、これは、相当利害関係に影響が出てくるのではないかと思うのですけれども、そういう場合の処置は、一体どういうふうに考えておられますか。
  33. 美馬郁夫

    美馬政府委員 その点は、まことにごもっともな点でございまして、これは、今後政令できめることになっております。この政令できめる場合には、私ども考えといたしましては、ただいま御指摘がありましたような個々人の減歩に影響する場合、たとえば四メートルの道路を新設する、そのために一般の減歩が、従来約束しておった減歩よりもさらにきつくなるというような場合には、私どもは、これは軽微な修正というふうには考えないで、除外していこうというふうな気持をただいま持っておる次第でございますから、御懸念の点はない、こういうふうに考えております。
  34. 武藤武雄

    武藤委員 そうすると、政令の方でよく考えて定めていきたい、こういうことですね。——わかりました。特にその点は注意してもらいたいと思うのです。  それから最後に、百三十六条の改正の中で、従来は「都道府県知事は、事業計画若しくは事業計画の変更について審査する場合又は事業計画を定め、若しくは変更しようとする場合において、当該土地区画整理事業が、農地の廃止を伴うものであるとき、又は用排水施設その他農地の保全若しくは利用上必要な公共の用に供する施設を廃止し、変更し、その他」云々という場合には、この「当該農地を管轄する農業委員会(農業委員会が置かれていない市町村については、市町村長)及び当該施設を管理する土地改良区の意見を聞かなければならない。」こう書いてあるのです。それを今度は、単に経由をするにとどまっておるにすぎないから、これを省略して農業会議に諮問するだけでいいではないか、こういうのが改正の趣旨だと思うのです。しかし法律の内容からいえば、やはり相当重要に考えて、結局土地区画整理法というものは、将来農地を大体においては宅地に転用するということが眼目であると思うのです。そうしますと、この農業委員会との関係は特に密接でなければならぬと思うのですが、その場合に、従来は単に経由するにとどまっているということでございますが、従来の法の内容からいえば、相当重要に考えて、当該地区の農業委員会の意見を聞くということになっておるのですけれども、それを単に経由する機関だという認定をした根拠と、もう一つは、そういうふうに改正をする場合に、特に農業委員会との関係が密接でありますから、農地法との関係で、これは農業委員会等の意見、あるいは市町村長等の意見を十分に聞いて、運用上心配がない、こういう意見に基いてこの法案の改正がなされたのかどうか、この二点について伺います。
  35. 美馬郁夫

    美馬政府委員 実はこの法律を出すのにつきまして一番問題になったのは、農林省との折衝が一番問題になりまして、そのときに、御指摘がありましたように、この土地区画整理事業と申しますのは、農地との関係が非常に大きい問題になっておるのでございます。各地にいろいろな問題ができておりますが、そういう点で農林省といろいろ折衝したわけでございます。現在の法律建前から申しますと、事業計画をきめるときに、農地に非常に影響ある場合には、その地元の市町村農業委員会の意見を聞いてやっていくということになっております。区画整理事業がいろいろ問題を起します一番根本問題は、最初の地区をきめる場合、どういう地区をやっていくかというような場合、その地区に指定されました農民に非常に重大な影響があるわけでございます。それからその次に農地転用の問題が起って参りまして、この転用ができない、できるということで非常に問題になってくるわけでございます。ここにあります法律は、転用の場合に、とりあえず関係があるわけでございますが、転用の場合におきましては、農林省ともいろいろ折衝したのでありますが、現在の法律は、地元の農業委員会という体制になっておりますが、実際農地転用について権限を持っておりますのは、地元の農業委員会ではなくて、府県の農業会議が、知事がこの転用をきめる場合に、その諮問を受けて、それに意見を言うというふうな立場になっておりまして、むしろ農地転用を今後スムーズに行う場合におきましては、地元の農業委員会よりも府県の農業会議にした方が、区画整理事業が、農林省の立場から見ても建設省の立場から見ても、非常に円滑にいくのではないかという話し合いになりまして、こういうふうにしたわけでございます。しかしこれだけでは、私ども土地区画整理事業が円滑にいくとは考えておりませんで、今回この法律改正をするにつきまして、農林省当局といろいろ折衝いたしまして、一つの覚書等も交換しているわけであります。その覚書によりますと、現在住宅公団なり各府県市町村がいろいろ区画整理事業をやっておりますが、こういう事業計画をきめる当初のときに、農林省当局とよく打ち合そうじゃないか、そうしてその一致のときにいろいろ議論して、じゃ、ここをいろいろやっていこうというようなことがきまりますれば、その後の農地転用等の問題はスムーズにいくようにしょうでないかというような話し合いができた次第のございまして、そういう両面相待って、この事業が何とかうまくやっていけるようになるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  36. 武藤武雄

    武藤委員 その事業計画を進める場合に、事務的な手続としては、建設省、農林省との間において、県の農業会議の諮問だけでやった方がいい。それは、上の方だけできめてしまうのですから、確かにスムーズだし、いいと思うが、その場合に、実際の利害関係の伴う現地の農業委員会、あるいはこれの影響を受ける農民、そういった人たちの意見を一体どういう形で聞いてやっておりますか、単にこれは、農業会議に出ております委員だけを通じて聞けばいいというお考えですか。
  37. 美馬郁夫

    美馬政府委員 法律的に申しますと、これは府県単位の農業会議ということになっておりますが、現在の実際の運用が、その府県の農業会議には、関係地区の農業委員会委員も代表として出ているようでもありますし、また現実の行政運用が、事件がかかりますと必ず農業会議の方が、地元の農業委員会の方の意見を聞いておるような慣例になっておるようでありまして、そういう点から、十分利益の保護はできるんじゃないかというふうに考えております。
  38. 武藤武雄

    武藤委員 これで終りますけれども、特にその点はあなたまかせの運用にしないで、あなたたちは、農業会議という格好で、そういうものを代表もしているのだから、そこで意見を聞いてこいという態度じゃなくて、やはり地元民のいろいろな意向がそのまま反映できるように、事業計画をする場合に、一つ当該官庁というものは、これに対して十分意を尽すように、法の実施に当ってはやってもらわなければならぬと思うのです。ただ、農業会議は代表も出ているのだということでなしに、そういうことを運用の面で十分考慮するように要望いたしまして、質問を終ります。
  39. 堀川恭平

  40. 中島巖

    中島(巖)委員 本人が承諾しない場合においては、どういう方法をとってこの目的を達するのか、その点をお伺いしておきたい。
  41. 美馬郁夫

    美馬政府委員 おそらく立体換地の場合だと思いますが、これは本人が承諾しないでも、こういう法律によりまして、平面換地じゃなくして、建築物の一部をやれるような建前法律でする。これは区画整理の建前が、法律全体の建前が、換地という建前から、本人の承諾なしに、いろいろ減歩等をやりましてやる建前になっておるのでありますが、特に立体換地は、今回全面的に相当大きく取り上げましたが、その一部は、現行法につきましても、すでに本人の承諾を得ないでも立体換地ができるようになっておるわけであります。たとえば過小宅地の場合というような場合は、本人の承諾なしに、法律によりまして換地をするという制度になっておるわけでございます。
  42. 中島巖

    中島(巖)委員 この提案理由説明を見ても、「防火地域内であって、高度地区内の宅地について権利者代表機関であります土地区画整理審議会同意を得た上で宅地の立体化ができるようにし、」こういうことになっておりますから、おそらく今計画局長のそういう答弁があるだろうと思っておったのですが、さてそこで、権利者が、この審議会の決定を見ても不服である場合が必ずあるだろうと思うのです。この土地区画整理の施行主体は、一般にどういうものであるか、その点、お伺いしたい。
  43. 美馬郁夫

    美馬政府委員 区画整理事業を一般的に申しますと、施行者は個人の場合もありますし、区画整理組合の場合もありますし、市町村の場合もありますし、また府県あるいは行政庁と申しまして、府県知事とか市町村長とか住宅公団とかいろいろございますが、立体換地に問題を限定いたしますと、この立体換地がやれるのは府県とか市町村とか、そういう公共的な事業主体の場合でございます。
  44. 中島巖

    中島(巖)委員 おそらくこれは地方庁であろうと思うのですが、結局そうしますと、そういう場合においては行政処分になるわけですか。
  45. 美馬郁夫

    美馬政府委員 立体換地処分は行政処分、とこういうことになるだろうと思います。
  46. 中島巖

    中島(巖)委員 行政処分であるとすれば、これに対して行政訴訟を起せるような規定がなければ、非常に不備だと思うのですが、この区画整理法においては訴願ができることになっておるが、行政訴訟を提起することを規定されてないように思うのですが、規定されておりますか。
  47. 美馬郁夫

    美馬政府委員 この区画整理法には、その条文がございませんが、これは一般の原則からいいまして、不服ある者は行政訴訟も起し得る、こういう解釈になっております。
  48. 中島巖

    中島(巖)委員 そうしますと、行政訴訟を起す場合においては、どういう条項に基いて、どういう法律に基いてやるのであるか。例の都市計画法においては、行政訴訟を起すことができる、それを適用してよいことになるのですか、その点をお伺いしたい。
  49. 國宗正義

    國宗説明員 御質問の点の訴訟につきまして、土地区画整理法に特別の定めがないと申しますことは、まず第一に、出訴期間を一般の原則に従うわけでございまして、特に短かい期間に制限はいたしません。そうして、こういう行政訴訟の一般の原則といたしまして、行政事件訴訟特例法の適用を受けるわけでございます。従いまして、この場合は、やはり訴願前置主義ということになるわけでございます。
  50. 中島巖

    中島(巖)委員 今の御説明だと、行政訴訟は直接は起せるのだ、訴願前置主義によって、訴願を起した後において行政訴訟を起すのだ、こういうような説明のように伺ったが、それでよろしいのですか。
  51. 國宗正義

    國宗説明員 行政事件訴訟特例法によりますと、訴願の前置を認めた事件につきましては、訴願の前置を経た上でなければ訴訟ができない、このようになっております関係上、訴願を前置し、そうして訴訟にいく、こういうことになっておるわけでございます。
  52. 中島巖

    中島(巖)委員 それでは重ねて類似した例を出してお伺いしたいのでありますが、法律で見ますと、例の都市計画法によるところのものは、訴願前置主義になっておらぬですね。たしか二十五条か二十六条だと思ったが、訴願前置主義になっておらぬと思ったのです。この扱いについては、あなた方の方ではどういうふうに扱っておられますか。
  53. 國宗正義

    國宗説明員 ただいまの区画整理の換地処分等の区画整理法に基く行政処分の訴願及び訴訟との関係都市計画法に基く訴願及び訴訟との関係とは、一応何の関係もないわけでございますが、都市計画法によりますと、都市計画法に基く処分でございまして、それに不服ある人には訴願を許しておるわけでございます。さらに、行政裁判所に出訴する場合におきましては、訴願をすることができないといたしておりまして、これの実際の都市計画法につきましての運用は、すでに御承知のように、訴願もできるし、訴訟もできる、このような扱いに従来いたしておる、こう考えるのでございますが、都市計画法自身の固有の事情がございまして、従来の運用におきましては、国民の利益のためにそのような運用をいたしておるわけでございます。ただ、同種の、よく似た法律で、おおむね同じような表現をとっております河川法におきましては、若干違う扱いをいたしておりますのは、それは河川法自身の事情によるものかと考えるのでありまして、都市計画法につきましては、先ほど申しましたような扱いになっておるわけであります。
  54. 中島巖

    中島(巖)委員 私が今質問する要旨は、二つあるわけなんです。土地区画整理審議会で意のままに土地を取り上げられるようなことがあると困るということが一点と、それからもう一点は、今課長が言われたように、建設省の中に土地区画整理法であるとか、あるいは都市計画法であるとか、あるいは道路法であるとか、河川法であるとかいって、いろいろ法律があるのですが、その法律の中に、訴願と行政訴訟の件を、行政訴訟特例法があるにもかかわらず、その法律にまた特例を設けてある。それが同じ建設省の中でまちまちの解釈をして、訴願前置主義でいくのだというのと、直接行政訴訟を起せ、こういうようにまちまちになっておるのです。それで、私の言わんとすることは、この前に大臣にそのことを質問して、大臣はこれを、建設省内としては、そういうことがあるとすれば、必ず一つ取扱いにするようにしますと言っておりますけれども、その後機会がありませんので、まだ質問しておりませんけれども、そのような特例を一つのものにすべきものじゃないか、こういうふうに考えるのが一点と、もう一つは、この審議会において決定すればどんなことでも通るということになると、これまた重大な問題で、憲法二十九条は、「財産権は、これを侵してはならない。」とはっきり規定いたしまして、その第三項において、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」これを拡大解釈しまして、そして個人の所有権を、こういうようなもろもろの枝葉の法律によって自由に国家が取り上げてしまえる、こういうことではいけない。しかし、国家が策定した事業が進まぬということもはなはだ困る。従ってこういう法律を設けた以上は、その裏づけになるところの個人の財産権を守るところの法も整備しなくてはいけないのではないか、こういうことを申し上げておるわけであります。大臣も見えたようでありますから、土地区画整理法の一部を改正する法律案に対する私の質問は、これで打ち切ります。
  55. 堀川恭平

    堀川委員長 ほかに御質疑はないようでありますから、この際本案に対する質疑は、これで終局するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議なしと認め、さようにします。  これより本案討論に入るのでありますが、討論通告がありませんので、討論を行わず、直ちに採決を行います。  土地区画整理法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  57. 堀川恭平

    堀川委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、ただいまの議決に伴う報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  59. 堀川恭平

    堀川委員長 この際、中島巖君より発言を求められております。これを許します。
  60. 中島巖

    中島(巖)委員 大臣に質問と申しますか、御意見を承わりたいと思うのでありますが、政府といたしましては、この通常国会劈頭におけるところの岸総理の施政方針演説におきましても、道路整備五カ年計画、一兆億予算というものが大きく打ち出されておる。さらに大蔵大臣の財政演説の中にも、これが大きく打ち出されておるわけであります。また五カ年計画におきましては、有料道路二千億というような計画が織り込まれておるわけでありまして、今後の道路政策は、この高速自動車国道を幹線として道路網を形成せねばならぬ。これは各国の情勢でありまして、わが国もそういう情勢になってきたわけであります。そこでわれわれ委員会といたしまして、これは社会党といわず自民党といわず、いろいろ協議いたしまして、外国の高速道路網の形勢などを見てくることが、どうしても道路行政を審議する上において絶対に必要だ、こういうような結論に達したわけであります。しかし国会の予算といたしましては、御承知のような予算でありますので、これは国会から予算をとって行くというようなことはできないから、自弁で視察をしようじゃないかというような意見が非常に多いわけです。これは絶対に必要だと思って、私も希望いたしておるわけでございます。そういう場合においては、政府は、物質的のことは別問題といたしましても、できるだけこれらに対して便宜を与える用意があるかどうか、この点について大臣の御意見を承わりたい、かように考えるわけであります。
  61. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 今回の道路の五カ年計画が、私もかねがね申し上げておりますように、世界的な規模でやろうという考え方を持っております、日本の経済の基盤を確定いたしまして、世界のコスト競争に応じて負けないような、日本の経済の体質の改善をするというような大きなねらいを持っておるのでございます。もし委員会の皆さんに、世界各国の非常に進んだ道路政策というものを見ていただくことができ、それを日本の道路政策に反映させていただくことができれば、私どもの年来の理想を実現するに非常に有効であり、しかも最も意義のあることであると思いまして、私は大賛成でございます。政府としては、よく委員長とも相談をいたしまして、できる限りのお力添えをしたい、こういうふうに思います。むしろこちらからお願いしても、行って見ていただいてもいいのじゃないかというふうな考えを持っていることを申し上げたいと思います。
  62. 二階堂進

    ○二階堂委員 ただいま中島委員から発言がありまして、それに対して大臣から賛成の御意見が述べられたのでございますが、御承知の通り、大規模道路政策を今後政府とされましても遂行されるわけであります。これらの道路政策を遂行するにつきましても、いろいろ国内においても、相当な議論も今後起ってくるだろうと思っております。つきましては、私も中島委員の発言に関連いたしまして、将来、先進国である、道路等についてはきわめて進んでおりまするアメリカ、あるいはヨーロッパ、特にドイツ等の道路、あるいは高速道路を中心とする諸問題の研究に、われわれも積極的に出ていって勉強いたしたいと考えておるわけでございますが、何しろ自分の力で外国へ出ていって勉強するというような機会もないわけでありまして、こういう機会に、政府におかれましてもわれわれ委員の希望を十分取り入れて、道路政策が順調に遂行できるように一つ御配慮願いたい、こういうふうに私は希望を申し上げておきます。  次にもう一点、大臣がお見えになりましたので希望を申し上げて、できますならば、次回の委員会に資料も提出していただきたいと思います。御承知の通り、相当大規模道路計画を樹立されて、昭和三十四年度以降向う四カ年間でこれらの道路事業を遂行されるわけでありますが、私は、この予算に関連して、最初大臣にも希望申し上げて意見を申し上げておいたのですが、一級国道、あるいは公団の道路等相当大規模事業が次々に遂行されなければなりませんが、中でも立体交差、これは国鉄、私鉄すべての軌道と関連する道路事業が相当出て参っております。私もちょっと資料を検討いたしたのでございますが、全国にまたがって相当数多くの個所で国鉄、私鉄と交差する事業が行われんといたしておるのであります。従来道路を作る場合に、鉄道との立体交差の事業につきまして、国鉄との交渉は非常に困難を来たしておる事例が多いのであります。昭和三十二年度以来国鉄と交渉いたしておる個所もありまして、その交渉がいまだにまとまっていないというような個所もあるやに私は見ております。昭和三十四年度に着工して、三十四年度に完了しなければならぬ個所も相当あるように私は資料で見ておるのです。従来のように国鉄当局と交渉して、それが相当な時間を要するということになりますと、せっかく政府考えておりますような大規模道路事業が思うように進捗しない、こういう結果にもなろうかと考えております。特に国鉄の関係は、御承知の通り、電気通信施設その他四部門か五つの部門にそれぞれの工事の担当の部局が分れておるのであります。これらの各部局に事業の担当諸官庁、あるいは地建、あるいは地方の諸官庁を通じていろいろ交渉をいたしておりますが、一部局がまとまりましても、電気においていろいろ問題が起ってくるとか、あるいは通信施設において議論がなかなかまとまらない、こういうようなことでは、事業遂行上きわめて大きな困難が今後も重ねて起るのではないかというふうに考えますので、こういうような交渉をされる場合に、従来のようなのんびりとした交渉ではとても思うように事業の遂行はできない、こういうことを私は非常に心配をいたしておるわけでございますので、どういうような心がまえでこれらの交渉を進めていくつもりか、また次の委員会でもけっこうでございますが、建設省関係道路関係の資料、特に一級国道並びに公団の予定しております個所等についての資料も、次回の委員会には提出をしていただきまして、さらにこれらの問題について私は検討を加えてみたいと思うのでありますが、これらの問題を解決するについての大臣のお考えを承わっておきたいと思います。
  63. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 国鉄関係との交差の問題についてのお尋ねでありますが、実は私は、この問題についてはこういう考え方を持っております。事務的にやって参りますと、いろいろ事務的な理屈が両方に出てくるのであります。しかし大きな政治的な目から見ていきますと、何も問題はないはずであります。大原則としては原因者負担で、鉄道が通っているところへ道路がいく場合には、道路の方で負担すればいいし、道路のあるところへ鉄道がいく場合には、鉄道の方で負担すればいい。そしてずっと前のやつは、いつから始まっておってどうだということを議論をしてもしようがない。そんなものは半々でやればよろしいということできめてしまえば、きまってしまうのであります。いずれも政府負担するわけであります。国鉄といっても、形の変った政府であります。道路といっても、政府が大半を負担するわけでありますから、しかもねらっているところは、大衆のために安全な交通路を確保するということでありますから、何も議論はないと思うのであります。そこで、今までいろいろ事務的な議論があったこともよく承知しておりますが、運輸大臣と私とはまるで兄弟のようにやって参っておりますので、解決できぬような問題は何もないと思っております。それで、問題をずっと出してしまいまして、どこの問題がつっかかっておるかということを調べて、もう一度話し合えば、これは解決してしまう問題だと思いますから、早く解決したいと思っておりますので、委員会の方でもいろいろ御援助をいただきたいと思います。そしてこれは永野運輸大臣の面子がつぶれるとか、私の面子がつぶれるとか、そういうけちなことは考えないで解決したいと考えておりますので、何分の御援助を願いたいと思います。
  64. 二階堂進

    ○二階堂委員 大臣のお気持だけで仕事が進めばいいのですけれども現実の問題としては、なかなかそう簡単にいっておりません。私はその資料をいただいておりませんが、三十一年から交渉に入って、まだまとまっていないものがあるのであります。道路の方は、建設省なり道路公団なりが大きな工事をやるわけですが、国鉄の方は、部局が四つか五つかに分れているわけです。ところが、たとえば九州地建の局長に聞きましても、施設関係でレールの方だけ話がまとまっても、電気通信の方の話がまとまらぬ。電気通信の方がまとまると、ほかの係の者が文句を言ってくるというようなわけで、非常に手を焼いておるというような個所が実際にあるのです。遠藤建設大臣は、永野さんと非常に懇意だし、国が負担する問題だから話し合えば解決するとおっしゃいますが、その通り仕事がはかどれば、問題はないわけです。ところが現実には、そういうようなごたごたがあっちこっちに起っておるわけです。だから私は、そういう交渉の窓口を一本にするなり、何か事務的にもっと早く解決ができるような命令系統と申しますか、そういう交渉の窓口を一本にして当局と話を進めるような工合に持っていっていただかぬと、なかなか下に参りますと——たとえば九州は、国鉄の関係は門司ですか、そこで、その課長とか、あるいは係長がおりまして、話を円満に進めるように当面はなかなか努力しておるように見えても、いよいよ仕事を始める場合になると、なかなかそれが思うように解決していかない。ですから、そういうようなお気持を下まで浸透さして、早急にこの話がまとまるようにしていただかなければならぬと思っております。昭和三十一年度、二年度から交渉して、まとまっていないところがあるのです。それは、資料をよく調べて下さい。次回の委員会には、道路関係で、実際三十四年度着工しなければならぬ個所が一体どのくらいあるのか、あるいは三十一、二年ごろに交渉しておって、いまだにまとまっていない個所が何個所くらいあるか、これは公団の関係の資料も委員会提出していただきたい。私もまた、委員会に国鉄の関係の方も来ていただきまして、これらの仕事が順調にはかどるようにいろいろ質問をして、善処してもらいたいと考えておりますから、一つそういうようなお気持で、さらに気持だけの問題ではなくして、事務的にもそれらが大臣のお気持のように促進されるように、善処願いたいと思います。
  65. 武藤武雄

    武藤委員 ただいまの二階堂委員の趣旨、全面賛成、私、特にこういう点を一つ大臣に考えてもらいたいと思うのです。最近国鉄の営業政策として、全国的に全部無人踏み切りにしようという動きがあるわけであります。私どもの常磐でも、最近第二次砂川事件みたいな事件に発展する可能性までいったのですけれども、ようやく妥協いたしましたけれども全国的にそういう傾向をとるということをいっています。ですから、将来は至るところに無人踏み切りという問題が出てくる。それで、この際やはり政府当局として、単に国鉄だけでなく、私鉄まで含めて、新線に対してはやはり全部踏み切りはいかぬ。たとい踏み切り警手をつけようが何しようが、踏み切りはいかぬ。新しい線を引く場合には全部立体交差をする。あるいは現在引いておる線路も、一つ何カ年計画かでやはり立体踏み切りに切りかえていくというような計画性のある特別立法化を関係各省と連絡をとってやらなければ、これは議員立法でもやらなければならぬと思うのですけれども、予算の伴うことでありまするから、各関係各省と連絡をとって、ぜひとも、とにかくこれからどんどん線が引かれる場合には、厳重にそのことが規制されるように、今は踏み切りを作って警手を置いても、営業上そろばんが合わなくなってくると、今度は無人踏み切りに切りかえていくというのでありますから、新しい線の建設の場合には、もちろんそういうことを条件にする。それから現在行われている踏み切りにおいても、踏み切りにする場合には、立体交差にするというような特別立法的なことを考える必要があるのではないか、最近踏み切りにおける事故が激増しておる。国民の生命等から考えても、ぜひとも必要ではないかと思う。特にこの点を御考慮願いたい。
  66. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 御意見の点は、一々ごもっともであります。全く同感であります。従って事務的にもちゃんと筋を通すようにいたしまして、大きな目からいえば、政府関係の機関が張り合っておってそれが解決できないということは、国民に対してまことに済まぬことだと思う。大至急これを促進するようにいたします。
  67. 堀川恭平

    堀川委員長 本日はこの程度にとどめまして、次会は二十八日土曜日の午前十時から開会することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時十四分散会      ————◇—————