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1959-02-18 第31回国会 衆議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十八日(水曜日)     午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 木村 守江君 理事 瀬戸山三男君    理事 二階堂 進君 理事 南  好雄君    理事 上林與市郎君 理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    井原 岸高君       川崎末五郎君    橋本 正之君       林  唯義君    村瀬 宣親君       神近 市子君    兒玉 末男君       東海林 稔君    塚本 三郎君       武藤 武雄君    山中日露史君  出席政府委員         建設政務次官  徳安 實藏君         建設事務官         (計画局長)  美馬 郁夫君         建 設 技 官         (道路局長)  佐藤 寛政君  委員外出席者         建設事務官         (道路局次長) 関盛 吉雄君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 二月十八日  委員石川次夫辞任につき、その補欠として神  近市子君が議長指名委員に選任された。 同日  委員神近市子辞任につき、その補欠として石  川次夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  首都高速道路公団法案内閣提出第一〇四号)  道路法の一部を改正する法律案内閣提出第一  ○五号)  道路整備緊急措置法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一〇六号)  日本道路公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第一四〇号)  都市計画に関する件      ————◇—————
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を始めます。  この際、三鍋義三君より都市計画に関する件について発言を求められております。これを許すことにいたします。三鍋委員
  3. 三鍋義三

    三鍋委員 私は、当委員会相当長い間席を置いて、建設行政のいろいろな問題に携わっておるのでありますが、自分建設行政を通じて国の政治というものを考えてみましたときに、何かそこに割り切れないものを多々感ずるのであります。ざっくばらんに申し上げるならば、行き当りばったりで、計画性というものが全然ない。そしてその結果、国民の血税というものがどうもむだ使いされているという面を強く感ずるのであります。そればかりてなくして、結局いろいろの問題で泣き寝入りさせられるのが国民である。こういった姿をあらゆる面から感ずるのでありますが、こういった建設行政の根本問題に対しましては、いずれまた総括的に大臣並びに当局所信をお聞きするつもりでおりますけれども、今ちょうど都市計画関係予算関係審議に入っておる関係上、私は、こういった問題について具体的な事例を一つ取り上げて、そしてなぜこういうことになるのか、こういうことで国民に泣き寝入りさせておいていいのか、もう少し計画的に国の資源というものを、また国民の税金というものを効果的に使うことができないか、こういう観点から、政府当局所信をただそうとするものであります。  お手元に印刷物を配付しておるのでありますが、一応御参考にごらん願えればと思うのであります。それは、練馬区の西大泉学園町の地区におきまして、東京電力が、電気事業関係上、新たに高圧線を新設しようとする、これにからむところの地元の利害反するところの農民の素朴なねらい、こういうものを中心といたしまして、今までにおけるところの事業認定されるに至りますまての推移、こういうものにつきまして、計画局長から、概略でよろしゅうございますから、一つ御説明願いたいと思います。
  4. 美馬郁夫

    美馬政府委員 ただいま御質問のありました東京電力株式会社起業者であります野方線、こういう特別高圧送電線新設工事につきまして、私どもの方に事業認定が参りまして、慎重審議の結果、特に念を入れましていろいろ検討いたしました結果、土地収用法による事業認定を出したのでございますが、そのいきさつを申しますと、この事業概略は、武蔵野変電所から練馬変電所に至る約十キロの間に、六万ボルトの特別高圧送電線を設置するものでありまして、練馬区及び北多摩郡保谷町を起業地とするものであります。この事業は、練馬目白方面に対する不安定な電力供給系統を是正するために新しい計画をやろうというものでありまして、私どもは、この問題につきましては、いろいろ地元意見等もございましたので、慎重に検討いたしまして結論を出したのでございますが、この事件につきましては、三十三年の九月四日に電気事業法に基くところの通産大臣許可を得ておりまして、この許可に基きまして、事業認定申請を十月七日に出して参りましたから、私どもは、地元意見等もありましたので、通産大臣に対して本件に関する意見を照会しまして、なお慎重を期したのでありますが、通産大臣の方におかれましても、本事業については、この計画で仕方がないんだ、いろいろ他の代案も検討したが、この計画は、事業として一番適当であるという回答に接しまして、私どもは、その意見も十分考慮して、先ほど申しました事業認定の手続をとったわけでございます。私ども土地収用法を所管いたしております部局といたしては、事業官庁立場と異なりまして、収用法目的といたしております公益私有財産権との調整という問題につきましては、かねがね慎重に考慮しているところでございますが、この問題につきましても、特にその点は念入りに検討いたしまして、通産大臣等に対しても、土地収用法に基く正式の意見照会を出しておる次第でございます。その結果、先ほど申しましたような認定処分をしたという概況でございます。
  5. 三鍋義三

    三鍋委員 事業認定をされたのはいつですか。
  6. 美馬郁夫

    美馬政府委員 三十四年の一月三十日でございます。
  7. 三鍋義三

    三鍋委員 ちょっと私解せない点があるのですが、三十三年の十月七日に認定申請通産大臣からしてきたのに対しまして、建設省として、大臣意見聴取をした、この辺のところがちょっとわからないのですが、大臣は、通産省はこれが妥当と認めて、そして認定申請してきたのに、それに意見を求めるということは、どういうことなんでしょう。私は、やはり建設省建設省立場において、土地収用法という法律を適用する上においては、非常に地元住民に深い関係があるから、その独自の立場において、建設省考え方を持って判断さるべきであって、認定申請してきた者に、どうだろうかというふうに意見聴取をするということは、何か筋が通らないように思うのですが、その点、どうですか。
  8. 美馬郁夫

    美馬政府委員 その事業認定申請をするのは、通産大臣ではございませんで、これは、企業者である東京電力株式会社から土地収用法事業認定をしてもらいたいという申請が、三十三年の十月七日にありまして、それに基きまして、その後通産大臣意見照会をして、建設大臣処分をした、こういうことでございます。
  9. 三鍋義三

    三鍋委員 わかりました。しかし、それにいたしましても、これは事業者通産大臣とは密接な連絡をとっておるものだと思います。もちろん、通産大臣通産大臣の独自の立場において認定をされるわけでありますが、ここら辺のところに、私は何かはっきり了解できない問題が存在しておるように思います。そこで、ただいま局長お話しになりましたこの土地収用法の第一条には「公共利益の増進と私有財産との調整を図り、もって国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする。」こういうはっきりした条項を第一条に掲げておるのであります。そこで、この公共法益個人法益、これはなかなか、いずれを重く見るかということはむつかしい問題で、苦心を要するところでありますが、これに対しまして、どのように考えておられるのか。私は、やはり個人法益というものは、これは非常に重大な意味を持っておると思うのです。それは、憲法百三条の全文の中で、約三分の一はこの基本的人権というものを擁護する条項なんです。そういう点から、個人法益というものは非常に大事にしなければならぬということは、憲法がうたっておるわけなんです。そういう観点からいたしまして、この土地収用法を適用する場合には、非常に慎重な態度がなければならぬ、こう思うのでありますが、どうもしかし、役人方々、あるいは一般国民自体が、やはり公益のためには私益、個人法益というものは犠牲にしなければならないのじゃないか、それがやはり道徳の美しいところであるといったような、古い昔の憲法考え方役人自体にもあるし、一般国民にもあると思うのです。国家のために個人法益というものが全然顧みられないということは言えなくても、国家の下に個人法益というものがあるといった考え方がなお存しておるといたしますと、これは、やはり昔の滅私奉公のああいう思想に通ずるものでありまして、私は、憲法精神からいっても、この第一条の適用というものは、実に重大な意義を持っておると思うのでありますが、この公共法益個人法益と、これに対してどういう考え方をもってこういう判断をなし、そうして事業認定をする上の考え方をどのように進めておられるか、この点について、政務次官に御所見を承わりたいと思います。
  10. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまの御質問、私どもも同様な考えを持っておりまして、個人法益を国からあまり極端に圧迫するようなことはしては相ならぬと考えておるのでございます。今回の案件につきましても、申請のございましたときに、私も大臣もずいぶん気を使いまして、いろいろと実情等聴取いたしまして、法の精神に反しないように努力したつもりでございますが、結果におきましては、ただいま申し上げましたように、事業認定をいたしたのであります。その根本的な考え方といたしまして、先ほど局長が申し上げましたように、電気事業法に基く許可は、すでに通産大臣がいたしておりますが、それと全く別個な立場におきまして、建設大臣事業認定をいたします。その趣旨が、先ほど三鍋委員お話しになりましたような、法の精神をはき違えないようにいたさねばならぬことは、当然だと思うのであります。そこで、こっちの方といたしましては、十分書類審査もいたしましたが、さらに地元意見等も十分聴取する必要があると思いましたので、地元練馬区長及び保谷町長申請書の写しを送付し、あるいは公衆の縦覧に供したというようなことは、もう当然の処置でございますが、さらに申請者の求めにも応じ、あるいはまた神近先生の御要諸等もございまして、前後何回か私どもの係官も現地にやりまして、実情聴取もいたしまするし、あるいはまたさらに専門的な仕事でございますから、通産大臣にも公式の書面をもちまして、この事業を行いますのには、これ以外にも適当な方法はないのかということにつきましても、再三折衝いたしたのであります。地元の御要請等につきまして、あるいは西武鉄道の池袋線に転架する方法はないか、あるいは武蔵野変電所から埼玉県側を通る南葛線に転架する方法はないか、あるいはまた白子川の河川伝いに建設する方法はないかどうか、あるいは電線を地下ケーブルにする方法等個人利益を擁護するためにも、そうしたことにつきまして相当慎重に検討をみずからもいたし、また当該主管省でありまする通産大臣にも照会等いたしまして、その意見を求めたのでありまするが、結果におきましては、やはり先ほど申し上げましたように、認定をせねばならぬような事態にもなったわけであります。ただ私どもがここに最も遺憾に思いますことは、当該事業者、いわゆる東京電力がこういう申請書を出すことにつきまして、やはり近郊の土地ではございますが、将来いずれは市街地になるような場所でもございますから、全線を通じて最初から事業認定等申請をなすべきである。それによって、建設省といたしましては、全体を通じて将来ということも考えまして、果して事業認定をなすべきか、あるいは他に適当な方法をさらに検討すべきであるかというようなことを、十二分に大きな立場から検討すべきであると私どもは思うのでありますが、たまたまこの申請して参りました十月七日、その後の調査によりますと、もうすでに大部分了解済みであり、すでにその線につきましては、金銭等の授受も行われておりまして残る方々、不賛成と申しますか、結局この買収その他に応じられない方がございますために、そういう方の処置として事業認定申請したというようなこそくなやり方であります。こういうことは、まことに遺憾なことでございまして、最初から会社が、全体にわたっての計画にかかる前に、事業認定申請してくるべきではないか。そこで、私ども現実の姿を見ますと、すでに大部分の方が承知をされた、あとの方が承知をされないために事業認定をするんだというような行き方というものは、決して感心したやり方ではないと思います。しかし現実の問題といたしましては、従来の私どもが調べました処置というものが、果して妥当であるかどうか、またそういう賛成者が、一体ほんとう数字的にこれまで私どもに示してくれておったものが正しい数字であるかということを、きのうも念を押したのでありますが、大体数字も参っておりますから、必要でございましたら申し上げたいと思いますが、この関係者からすでに承諾済み、また未解決のものというようなものを数字的に申し出ておりまして、この数字から見ますと、大部分の方が大体御了承なさっておる。ただあとの方が、一割か二割の方が御承知にならぬ。すでに承知なさった方を全然空にしてしまって、あとの方のみにF定をしないというような立場もとりかねたような事態もございまして、すべての点を勘案し、また工事量につきましてもいろいろと調査をさせましたが、建設費等につきましても、現計画からいきますと一キロが三千万円ぐらいでできるそうでございますが、地下線になりますと、一キロが一億円もかかるというような関係等経営自体並びに料金等関係もございまして、現段階ではこれよりほかに方法がないだろうということで、いろいろ苦労はしたのですが、そういうような結論に達したわけでございます。私どもとしましては、先ほど三鍋委員お話のように、個人利益というものをできるだけ保護せねばならぬ、擁護せねばならぬということは、申し上げるまでもないことでありまして、今後におきましては、そういうことにつきまして、会社側に十二分に注意を与えまして、中途でかような書類を出さないように、初めから事業認定書類を出させまして、そして全般等をにらみ合せて、妥当であるかないかということについて十分研究をする余地のあるような処置をとりたいもの、かように考えておりまして、近く当該関係起業者に出頭を命じまして、そうした点について十分警告をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  11. 三鍋義三

    三鍋委員 ただいま政務次官から、当局の御苦心になった詳細なる御答弁を願ったのでありますが、私は、それではどうしても満足ができないのであります。この土地収用法の第二条によりますと、「土地利用上適正且つ合理的であるときは、」こういううたい方をしておるのであります。その適正であり合理的であるということをどのようにして判断したかということを、私はやはり疑問に思うのであります。これは略図でありますから、このままの印象で判断することはやはりいけないと思うのでありますが、ここに原図を持っておるのでありますが、これを見ましても、ちょうどクモの巣を張ったようになっておるじゃありませんか。そこにまた一本架設するということが、果して適正かつ合理的な考え方であるか、これは、だれが見たってこれほど不合理、不適切なやり方はないと思うのであります。これは、今さらこんなことを言ったって仕方がないのであって、自由主義資本主義経済、弱肉強食のこの経済下におきましては、やむを得ない、とにかくやったもの勝ち、その権力のもとに泣いておるのは農民である。こういう姿は、何も高圧線の問題だけでなく、あらゆる建設事業を推進していく上において、至るところに出てきておるのであります。そこで、やはり公共法益個人法益の問題が微妙な姿となって現われてくるのであります。  そこで、もう一つ事業認定の要件、二十条の第三号を見ましても、「事業計画土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること。」というようにうたってあるわけであります。これらを見ますと、農民がどうしても納得できないのは当然だと思うのです。しかし、ただいまの政務次官の御答弁によりますと、大体において了解を得ておられるようであります。私の手に入れた資料によりましても、百三十六人中二十七人のまだ了解を得ていない程度でありまして、大体において了解を得ておるのでありますが、これは、やはり私は法解釈の問題があると思うのです。やはり民主主義的法治理念に立ったときには、法の拘束というものは、権力者にあるのである。今までの法解釈は、権力者国民を拘束した、こういう理念に立っておったと思います。新しい憲法下におきましては、やはり法治理念というものは、主権者であるところの国民権力者に対して、お前、これ以上のことをやってはいけない、拡大解釈をしてはいけない、これが近代の民主主義的法治理念根本精神だと思うのであります。そういう点から考えましても、どうも権力が弱い者に大きな力で押しつけておる、おおいかぶさってくる、国民自体にそういう気持があるのです。やはりお上のやられることには間違いないのだ、私たちは泣き寝入りするのが運命なんだ、こういう考え方が、やはり国民のどこかにまだあるのです。だからこそ、大部分の人がおかしいなあと思いながら、心ならずもこれに承諾した人があるのじゃないかと思うのです。もちろん中には、ああそれでけっこうです、公けのためにけっこうですといった気持で賛成された方もあるでしょう。しかし大部分の人は、上の方からそう言われるのだったら仕方がないのだ、やむを得ないのだ、こう言って、腹の中で何かすっきりしないものを持ちながら、泣き寝入りしている人が相当にあるのじゃないかと思います。現にこの高圧線が通ることによって——大体ここら辺は、先ほど政務次官お話しになりましたように、ここは市街地になるのです。これは私実際見て参りました。実によい土地なんです。宅地としてどれだけ使えるかという制限も、もちろんあることは知っておりますが、これは、年がたてばたつほど地代がずっと上っていくのです。ところが高圧線が架設されることによりまして、これはもう全然死んでしまうのです。大体今七千円から一万円くらいの土地価格だと思いますが、ここに高圧線が引かれたならば、四千円程度で買いたたかれてしまうのであります。私たち政治をやるときには、やはりその人の身になって考える、これが一番大事だと思うのです。その人の身になってこれを考えてあける、こういう立場に立たないと、ほんとう政治ではないと私は思うのです。今までは二、三千円の、あるいはもっと安いたんぼじゃないか、畑じゃないか、それが一万円にも一万五千円にも売れたならばけっこうじゃないか、何をそれ以上欲ばったことを言うのか、こういう考え方をしてはいけないと思うのであります。事実、これは先ほど申し上げましたように、何年か後には、ほおっておけばほおっておくだけ、どんどんと上っていくのです。それを、こういう公益の名のもとに、ここに高圧線が通ることによりまして、地面が永久に死んでしまうのであります。そうすれば、事業費がかりに高くつこうとも、ただいまのお話では、高架線では三千万円、地下ケーブルにすると一億、こういうようなお話がありました。これは大きな事業費の差額があります。ありますけれども、これを地下に入れてあげることによって、だれにも影響を与えないのです。つまり三千万円と一億と、七千万円の違いです。これだけを営利事業——電気事業営利事業とはいえないかもしれない、公益事業でありますが、これを負担することによって、その住民に永遠に不安なく安心した生活をさせることができれば、私は七千万円はそんなに大きなむだな金ではない、こう思うのであります。私は、今さらこの事業認可されたものを取り消せとか、そういうことは言いませんけれども、こうやって泣き寝入りしていく人々権力によって、あるいは利益の大きな追求によって、むざむざと顧みないでほおっておいていいものかどうか。認定されるときには、やはり建設省独自の立場に立って、きぜんとした態度をとってもらいたいと思うのです。何と考えてみましても、これは、皆さんのお手元にお渡ししてありますが、クモの巣みたいになっているではありませんか。自分は、この高圧線の下に住居を持っておる、また何がしかの土地を持っておる、その立場になってみれば、おのずからこれは真剣にならざるを得ないし、十分に考えてあげなければならぬ問題であることははっきりしている。それをあえてやられたところが、私はどうも納得がいかない。農民気持がわかるような気がするのでありますが、これに対するところの政務次官の御所見を、もう一ぺん一つお承わりしたいと思います。
  12. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまお話しの御趣旨は、私どもも全く同感でございます。あくまでもこうした問題につきましては、その関係人々気持になって考えてあげねばならぬということは、私どもも常々から考えておりまして、断じて官僚独善に陥ってはいかぬと思います。今回の事件につきましても、それなるがゆえに、ずいぶん慎重な取扱いをさしたつもりでございますし、土地収用法の、先ほどお話しになりました土地の適正かつ合理的な利用というような問題につきましても、そうした法理上の解釈等は、また当該事務局からいたさせますが、精神だけは、私どももくんで善処したつもりでございます。ただこの事業が、私企業でありますれば、こんなものをもちろん許すはずもございませんし、許可する必要もないのでありますが、公益的な事柄でございますし、その方面における電力需給の強化という重大な使命もございます関係から、この線をたといほかの方法によるといたしましても、いずれにしましても、通産省としましては、どうしても許可せざるを得ない事件のようでございますし、問題は、ただこの線を通るべきか通らざるべきかの問題でございますが、この点につきましても、先ほど申し上げました通り最初から事業認定が出ておりましたならば、私どもも再考の余地があったのではなかろうか。また今は住宅街でないところを通っております。しかし将来は、今三鍋委員お話し通り、やがては住宅街になる場所であろうかと、私どもも感ぜられるのでございます。従って、この付近の宅地をお持ちになっておる方に大きな影響のあることも、考えられるわけでございまして、こういう点については、全般的なにらみ合せから、十分に利害関係人方々個人利益というものを勘案していかなければならぬということを強く考えて、慎重を期したわけでございますが、先ほど申し上げましたように、各人々々で御了承いただきますれば、事業認定なくして、いわゆる監督官庁であります通産省許可だけでどんどん進む事業でございまして、たまたまそこに障害が起きましたから事業認定をしてきたというような、こそくな行き方なんであります。そのときには、すでに大部分は了承されておるというような形でございまして、それにいたしましても、ほんとうに他によるべき適当な措置がございますれば、私どもの方も、すでに了承済みのものも、全部白紙に返してでもというような考え方で、先ほど申し上げましたように、重ねて通産大臣の方にも、幾本かの地元の要望せられる線等も書き出しまして、こういう点はならぬものか、ああいう点はいけないのかということを専門的に調査を依頼し、意見も求めたのでございますけれども、現段階では、そうした地元の要請されるようなものにつきまして、通産省といたしましても適当でないというような公けの意見の申し述べもございまして、ほんとうにこれは、やむなく了承したような関係でございます。従って今お話しのように、一般国民権力のもとに屈従していく、いやがおうでも屈服をしていくのだという思想は、今後もあってはなりませんし、建設省の仕事は、そういうことがあってはいけないと思いますので、十分気をつけて独善に陥らぬように、国民気持政治の上に反映するような政治をしていかなければならぬ、かように実は考えて、努めて私どもも、十分その点は事務当局にも話をして進んでおるつもりでございますけれども、本件につきましては、まことに遺憾な点もございますので、従って会社等につきましては、十二分にその点を言い聞かせまして、地元方々ができる限り御納得のいく線で話し合いができますように、一つどもの方も警告もし、注意もいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 三鍋義三

    三鍋委員 政務次官は、非常に温厚な性格でありまして、こういう点は十分御配慮願っておることは、ただいまの御答弁で私は十分了解できるのであります。私は、先ほど権力者が法によって国民を拘束する、こういう言葉づかいをしたと思うのでありますが、私は、この場合においては、やはり起業者だと思うのであります。権力者というものは、権力あるいは財力を持っておりますから、いろいろの手を使うのです。非常に合理的に、非常に温情的に、だれが聞いてもだれが見ても、ああなるほどと思うような進め方が彼らはできるのです。現に今、大部分の人がこれに対して承諾を与えたということをお聞きしたのでありますが、私は、実際に聞いたのでもありませんし、見たのでもありませんけれども、電力会社地元に対して、こういうやり方をしておると思うのです。反対をすれば、土地収用法によって無償で土地を収用する、取り上げてしまうのだ、これまで言うてもわからぬか、こういう言い方、これは素朴な農民の前で、りっぱそうな紳士がそういう工合に言われると、普通農民は、そうまで言われるならばといったような気持になるのです。ほんとうかうそか知らぬけれども、年末の非常にお金の入り用なそうい時期に、カバンの中へ札束を入れて、それをちらつかせて、そうしてどうだ話し合いに応じたらといったようなやり方もされたやに、これは私は見たのではありませんから、事実はわかりませんけれども、そういうやり方をするのです。そうすると、弱い立場の人は、そういう言葉あるいは現物に惑わされる、そして心ならずもこういう場合が、私は出てくるのじゃないかと思うのです。こういう点につきまして、私はなお幾多の疑問を持つのでありますが、なおこの問題に対しまして、地元民から直接にいろいろと訴えを聞き、そしてともに心配してこられたところの神近先生が、きょうここへおいでになっておりますから、残余の質問は、神近先生に譲るといたしまして、私は今後のこともありますから、こういった場合において、建設当局は、きぜんたるところの自主的なる立場において、公正なる判断を今後されますように心からお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  14. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまのお話、まことにそういうこともありなんと思います。私どもも、過去においてもそういうことを見聞したこともございますから、あるいはそういうような処置を当該起業者がとったこともあるのではないかというようにも一応は想像されますので、そうしたことを見抜いて政治を行うのが、ほんとう政治なのでございますから、そういう点については、御注意の点、十分私の方も事務当局にも話をいたしまして、今後におきましての戒めといたしますが、また本件につきましても、先ほど申し上げましたように、当該起業者にもよく注意をいたしまして、かりそめにもそうとたような誤解や、また疎漏のないように、私の方から厳重な申し渡しをいたしたいと考えております。
  15. 堀川恭平

    堀川委員長 それでは次に神近委員
  16. 神近市子

    神近委員 今次官からいろいろ事情聴取の御発表がありましたので、別にその点で不満足のわけではございませんが、すでに承諾した者が、あるいは売り渡した者が農民の中の百三十六人、その中の二十七人というものが別になっている。その区分けでございますけれども、これは解放農家——御存じだろうと思うのですが、終戦後小作人が、土地を解放されて持っている人が非常に多いので、この承諾した東電からの申し入れによって容易に土地を放した人たちは、大部分が解放農家に属する人たちだ。それからあとの二十七人といいますものは、先祖代々の耕作農家でございまして、おまけに集約的に土地を持っているのです。ちょうどこの図のまん中に当りますところに、いろいろ制限が今ございますから、二町とか三町とかいうものを集約してそこに持っている人たちがおる、この点を一つお耳に入れておいていただきたいと思います。  それから今建設省調査、あるいはその他について非常に親切にしていただいたということは、私は感謝いたします。部下の方々をよく督励下さって、大へん調査その他に耳を傾けて、また実地を見て下さったということについても、大へん私はありがたいと思っております。ただその結果が事業認定になってしまったということに、私どもは、一体あれだけ努力して下さったものは、何のためであったのかという疑いを持つわけなんです。その点が、感謝をいたしますと同時に、私どもこの事業認定をなさったことが、どういう形かで取り消しは一体できないものかどうか、面子とかあるいは法規に、どこにもそのことは土地収用法にはなかったようでございますが、一体こういう便法というものは、政治力によって行われ得ないかどうか、こういうことで、私は少し御質問を申し上げてみたいと思うのです。  この地図でごらんになるように、この七千ヘクタールというのが、ちょうど電線の谷間にあるのでございます。私おかしなたとえでございますけれども、この電線は、南葛線が十二万ボルトでございます。板橋線が六万ボルト、高井戸線が六万ボルト、そのほかに国鉄線が多分六万ボルトでございましょうと思います。ちょうど三十万ボルトというものが、この七千ヘクタールの土地を取り巻いているわけなのです。今問題にされている農民たちは、土地所有者たちは、そのまん中に、たとえてみると小さな池があって、そして強力な電線に取り囲まれている池のまん中に固まっている農家だと考えていいと思うのです。その池の中に、辛うじてまん中の方に避難をしているのに、それに一枚板を渡そうというのが、今度の新架線でございます。そうすると、今まで安全を守っていた人たちが、それが守れなくなるということになるので、実際に三十万ボルト、その上にまた六万ボルトを、この少数の人たちが被害を受けなくちゃならぬ、あるいは頭の上に乗せなくちゃならぬという、これがこの問題の深刻な点でございまして、この反対は非常に強かったのです。たとえば、三十一年には練馬の区議会が、これに反対決議をしているのです。そのことは、練馬の三十数万の住民を代表してこれに反対していたということは、御存じだったのでしょうか。建設局長に伺います。
  17. 徳安實藏

    徳安政府委員 区会の模様につきましては、公文書はとっておりませんが、私どもの方に、調査に参りました係の者の報告によりますと、大体賛成者の方が多いということを数字的にも私どもに報告いたしておるようでございますが、しかし事柄が事柄でございますから、公けの決議でもなさそうでございます。なお非常に親切にやってくれたが、結局その親切が役に立たなかったというお話でございまして、私ども非常にそれは遺憾に思っております。神近先生お話だからというので、私の方もできるだけ御親切に、また私どもの手の尽せるだけは十二分に地元の皆さんの意見を聞くようにということを、再々申してもございまして、御希望になるべく沿うようにという考え方で努力はしたのでございますが、結果的に見ますというと、その努力が無になったということになるのであります。しかし、先ほど申し上げましたような事情で、万やむを得なくこうなりましたので、今さらこれを取り消すということは、建設省としては考えておりませんので、今後の処置につきましては、先ほど申し上げましたように、十二分に当該関係者を督励もし、また監督もいたしまして、そうして地元民の方々に、なるべく御不満があってもやや満足していただけるような協力や指示をいたしたい、かように考えております。
  18. 神近市子

    神近委員 三十一年の十月ですか、それには区会で正式に反対決議しているのです。そうして西武線の上に乗せるか、あるいはケーブルにするかということが、今その決議はまだ取り消されておりません。現場に調査に行って賛成意見が多かったということを仰せになった方があるのですが、これは今三鍋委員からも申し上げましたように、東電のいろいろの、何と申しますか、策動があったということは想像されるのでございます。現に東電からあいさつがあったと議長が言っていたということも、私ども聞いております。一人々々にあいさつに回っているはずだということは、うっかりその内容を——あいさつということですから、どういうあいさつかということが、私どもには想像できませんけれども、そういうあいさつの結果として賛成——たとえば議員の中でございましたら、そういう人たちが多少、多少どころでない、大きによろめいていたということは想像できます。ともかくほんとうの区の利益と、あるいは七千ヘクタールという土地に行ってみますと、非常に広い土地でございまして、また上等の土地でございます。今まで東京のほとんど四分の一ぐらいの蔬菜が、あそこで供給されたところなのでございます。その土地公共の、あるいは区民全体の利益の上から考えて、一応これを反対して、何か線の上に乗せろ、あるいはケーブル以外には認めないという人たちが、今度は態度を改めた、その態度を改めたところで御調査になっているわけで、それで二十七人だけがじゃまになって、二十七人だけが反対しているじゃないかという数と数の——耕作農家とか、あるいは解放農家であるとか区別してお考えにならないで、ただ数字の上だけで、この百三十六人と二十七人とは違うじゃないかという考え方でものを決断していただいては私たち困ると思うのですよ。それで、手続上でまだ地元の人たちがいろいろと疑惑を持っておりますことを、一つはっきりと伺っておきたいと思います。  大体今の民主主義というものが、こういう農民たち、あるいは金のない人たち、あるいは権力に大へん遠い人たちのために、何かをする役割を果すことができるのかどうか。私は、その点できょうは次官に少しお伺いしてみたいと思うのですが、変える可能な線は二通りあったのでございます。通産大臣許可をお出しになるときの要件にも、公益事業を推進するに足る財政的基礎と技術を持つものということが、一つの要件になっております。これは電気事業会でも同じことをうたってございます。そうすると、わずかな金によって、この土地の人たちにも迷惑をかけず、恨まれもせずできるということであったら、なぜ通産省は、その方法で推進するようにお勧めにならなかったか。今空中架線をいたしますと三千万、地下ケーブルにすると一億、その距離はたった二キロでいいんです。たった二キロ地下ケーブルにすれば問題はないのでございます。これがどういうわけで有効、合理的な対象にならなかったか。結局差額は一キロに対して七千万、二キロに対して一億四千方あれば、こういう多くの人たち——大体そこの住民は、古くからの耕作農民でありまして、六、七百の人口ですけれども、一体その二キロを地下ケーブルにするということが、どうして御賛成できなかったのか、これを一点伺いたい。
  19. 徳安實藏

    徳安政府委員 先ほどお話しになりました区会の反対決議でございますが、私どもは、先ほど局長から申し上げましたように、昨年の十月七日に事業認定申請がございましたので、それ以後からの動きや情勢を、地元の方からも聞くし、また神近先生お話もございまして、拝見したというようなことになっておりまして、その前の実情は、あまり詳しくは存じておりませんでした。同時に、己憚なく申しますならば、こうした場所にこうした施設をするということにつきましては、常識から考えましても、やはり考えなくてはならぬのだと私も考えるのです。ですから、最初事業認定を、全計画を持って参っておりましたならば、私どもにももっと考え方があったのではないかと思うのです。しかしながら先ほど申し上げましたように、事業認定の参りましたのは——大体事業認定を得なくても、起業者地元利害関係人との話し合いがつきますれば、どんどん運んでしまっておることでありまして、ものによっては事業認定を受けずに、こうした送電線のできる場合もたくさんございまして、あわよくば——とは申しませんが、とにかく東京電力もこうした法の力を借りなくても、十二分に関係者と話し合って了解の上でできる、建設省事業認定を受けなくてもやれるだろうという考え方でやっておったんではなかろうか。悪意でやったのではないと考えますけれども、ただ私どもの方にきましたときには、もうすでに大部分の者が了承されておるという事態——先ほど数字お話がございましたが、私どもの方に入りました数字によると、鉄塔の立っております場所で、利害関係人が五十一人あるそうでございますが、会社側の方の私どもに対する報告によりますと、すでに四十九人がこれには御賛成をいただいており、二人が未解決だ。それから線の下でございますが、これには人の重複はございましょうが、延べにして百九十四人御了解を得ておりまして、二十六人が御了解を得ていない、こういうような数字が私どもの方に参っておるわけでございます。こうしたような現実事態から考えまして——二十六人、二十七入という数字は、これは、先ほど神近先生お話数字と大体一致するように思いますが、こうした工合に、すでに七、八分了解が済んでしまったあとこうだというような案件でございますために、しかもそれを変えることが容易でございますれば、私どもももう一ぺん独自な立場から踏み切る方法もあったと思います。しかし今申し上げましたように、他の適当な方法につきまして、地元からの御要請をつぶさに私どもの方でも検討し、通産省の方は専門家でありますから、その専門家の方の意見も徴しましたが、それは、非常に困難であるというような事態になりまして、また先ほど申し上げた一キロ三千万円と一億円の問題でありますが、反対なさっている場所は二キロだそうでございます。しかし、そこだけをしてあとを架空にするというわけにも参りませんで、やるとすれば、原則としましては従来通り、住家の密集地帯はケーブルにする、その他のところはできるだけ住居地域を避けまして、空地地区を経過するという、架空送電線ということになりますれば、大体においてケーブルにすべきところは一・六キロメートル、そうでないところが八・四キロメートルというようなことになっておりますので、この一・六キロメートルにつきましては、地下ケーブル計画しているそうでございます。残るところは人家の密集していないところ、しかも大部分が空地地区ということで、全国的の施策といたしましては、大体この空地地区は架空線で持っていくということを、原則として許可するそうでございます。そこで二キロだけというわけには参りません。やるとすれば、やはり八・四キロメートルを地下にせねばならぬ、こういうような工合になるのだそうでございます。そうしたようないろいろな関係から、御趣旨に沿えなかったことはまことに遺憾であると考えますが、以上申し上げましたような次第で、御趣旨に沿うように、また地元意見にも十分沿うように努めたはずでございましたが、結論はそういうふうに参りませんでした。ほんとうに申しわけないと思いますが、しかし施工に当りましては、先ほども申し上げましたように十分に注意を与えまして、そうして先ほどお話のように、会社側の方でいろいろな権謀術数を弄したというようなことも、これは世にありがちのことでありますから、私ども先ほど三鍋先生にお答えいたしましたように、おそらくはそういうことも、法的に触れるようなことがなかったといたしましても、会社側としてはこれを早くやりたいあまり、いろいろな権謀術数を弄したことも、あるいはあるのかもしれぬと思います。がしかし、そうした点につきましても、ただいま私どもに明確な資料もございませんし、先ほど申し上げましたように、十月の七日にその認可申請が出まして、その後のことを一応基準にしてこの問題を考えたものでありますから、その以前の事柄等につきましての議員さんあたりの気持の変化——賛成しておって、今度は反対されたかというようなことにつきましての資料も持っておらぬわけでありますから、この点は、非常に私どもも残念に思っておりますけれども一つ御了承願いたいと思います。
  20. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 ちょっと関連して。この議論をここでいろいろやられても、どうにも結論が出ないと思います。私今までいろいろ御質疑や当局の御説明を承わっておったのですが、それだけでどちらがどうという判断もなかなかつかない。ただ私がここで感じておりましたことは、御承知のように、特にわれわれの委員会では、土地利用ということを常に頭に置いてやつっておるわけであります。特に国土の狭いわが国において、どういうふうに土地利用するのが一番国のためと申しますか、国民のためにいいかということを頭に置いて、諸般のことを考えておる。特にこれは全然飛んだ話でありますが、東京都を中心とした地域については、東京都の今日の状況から見て、将来のことも考えて各般の施策が考えられておるわけです。特に土地の状況が非常に逼塞いたしておりますので、最近においては東京湾の埋め立て、土地造成ということも常に具体的にいろいろの考案がされておるという状況です。そういう場合に、私は現場の状況を全然知りませんけれども、ちょっと今図面等で見ただけでありますから、直ちにいずれという判断はつきかねますけれども、こういう問題は、ただ二、三の農民の人たちが特別に不満があったとか、あるいは不服があったとか、いろいろ事情があると思いますけれども、私ども立場としては、こういう架設物をする場合には将来のことを考えて、どうした方がよいかということを検討する必要があると思います。重ねて申し上げますが、土地が足らない、地上の土地利用だけでは足らないので、東京湾の埋め立てでもいたそうかということを、現に今日でも私どもは案をいろいろ検討いたしておる状況であります。こういう土地をどういうふうに——こういう電線を上空に架設した方がいいか、地下に架設した方がいいかということ、これは金銭の問題でない場合がある。私はそういう感じがいたしますので、できれば当委員会において一応現場を見てもらって、そうして検討した上で、もし法律上こういうことは取り消しができるというような場合には、法律にあるかないかは、これは検討しなければなりませんけれども政治的に将来のことを考えて、日本の国土の利用ということから、どういうふうにしたらよいかという結論が出るという可能性がありますれば、政府と話をして、将来に対する見通しを立てて、別な方途をとる必要があるということになれば、別な方途をとった方がよいのではないか。その判断が今日できるわけではありませんけれども、そういうふうな取扱いをしていただきたい。それでなければ、ここで幾ら質疑応答がありましても、それは過去のことを言うておるだけで、政府としても、役所のことでありますから、法律にある通りちゃんと手続を踏んだことを、今取り消しますというわけにもいかないでしょう。まあそれがいいか悪いかということも、ここでお話があっても判断がつかないのではないか、こういうふうに思いますので、一応これは別に質疑をするとういうわけではなくて、委員長にお諮りをいたします。
  21. 神近市子

    神近委員 今の瀬戸山委員の御発言は、私は非常にありがたいと思います。事業認定も終りまして、土地収用法を拝見いたしますと、ほとんど農民には打つ手がないのでございます。今日の御質問は、いわば委員会に対する提訴の意味も半ば以上含んでいたのでございまして、委員会で御調査いただいて妥当な結論を出して心ただくということは、私ども代表しております者にとりましては、まことにありがたいことでありまして、ぜひ論議を、あるいは御協議をその方に進めていただきたいと思います。
  22. 二階堂進

    ○二階堂委員 議事進行について。今の瀬戸山委員の御発言でございますが、一応委員会として現場を見てみることも必要かと存じますので、理事会においてその取扱いをきめていただくように、委員長にお願いを申し上げます。
  23. 堀川恭平

    堀川委員長 ただいま瀬戸山君から御発言がありましたが、委員長といたしましても、この御意見には賛成する向きが相当多いと思います。なお神近委員といたされましても、これに御賛成であるようにも見受けられますし、この点は、今神近委員から御質問になっておられますが、御質問に対する答弁の点でも、実に丁寧な答弁ではありますが、すでに済んだことの答弁でありますので、気分をよくするというだけのことでは何にもならぬと思います。こういう意味から、今二階堂委員が言われたように、一応理事会の問題といたしまして、その上で実地検証いたしまするか、どうするかということを決定するようにいたしましてはどうでありましょう。皆さんの御意向を伺いたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 堀川恭平

    堀川委員長 異議がないようでありますので、さようにいたします。     —————————————
  25. 堀川恭平

    堀川委員長 それでは、次に道路法の一部を改正する法律案道路整備緊急措置法の一部を改正する法律案首都高速道路公団法案及び日本道路公団法の一部を改正する法律案につきまして、これを一括して議題といたしまして、審議を進めることにいたします。  塚本三郎君。  塚本委員に申し上げますが、きょうは、道路局長は道路審議会に出席しておりますので、次長が出ておりますから、どうぞそのつもりで御質疑願いたいと思います。
  26. 二階堂進

    ○二階堂委員 議事進行。道路審議会は午後もあるのですか。
  27. 関盛吉雄

    関盛説明員 大体午前中で終る予定になっております。
  28. 二階堂進

    ○二階堂委員 それでは、午後引続いてやってもらうようにお取り計らい願いたいと思います。
  29. 堀川恭平

    堀川委員長 それでは、暫時休憩いたします。     午前十一時三十三分休憩      ————◇—————     午後一時四十三分開議
  30. 堀川恭平

    堀川委員長 休憩前に引き続きまして会議を開きます。  塚本二郎君。
  31. 塚本三郎

    ○塚本委員 建設次官にお尋ねいたします。ただいま首都高速道路公団法が上程せられておりますが、この公団法は、私たちのこの東京都内における交通の実情から考えてみまして、必要性は非常に認めておるのでございます。しかし、御承知のように、こういうふうに交通が繁雑になるということは、ただ東京都だけに限らず、おそらく大阪を初めといたしまして、その他の大都市におきましてもこういうふうな実情になりますことは、おそらく時の問題ではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。さきに道路に関しては、日本道路公団という公団ができておりまするにかかわらず、そのほかにまた新しくこういうふうな首都高速道路公団という、新しい公団が生まれるということになりますると、大阪にもそういうことが必要である、あるいは名古屋や福岡にも、あるいはまた横浜にもこういうものが必要になってくるというふうな場合、別個に一つずつそういうふうな性格の公団をお作りになるおつもりなのか、あるいはまた各地方ごとの公団を統括して、また日本道路公団とは別個の、都市内における交通緩和だけを目ざすところの総合的な公団をお作りになるのか、あるいはそれらの問題は、事に当面したときに対処しようというおつもりなのか、この辺のところを、先の見通しを立てた政策をお持ちになるかどうかの点についてお尋ねをしたいと思っております。
  32. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまの御質問、御疑念はごもっともだと思います。道路公団が誕生いたしておりまして、全国的な有料道路をそこで取り扱っておりますることは、御承知通りでございますが、本来から申しますならば、一本立でこの道路公団にやらしていいじゃないかという御意見も、理論としては成り立つのであります。ただ特にこの首都の交通関係が、ただいま非常に混雑いたしておりますことは、御承知通りでございまして、特別な処置を必要とするではないかという関係から、この首都高速道路公団というものが芽ばえて参った次第であります。その理由といたしましては、再三申し上げておりますように、この都内におきまする高速自動車道は、全国的な幹線道路網の一部をなすものではなくて、もっぱら都内の街路交通の円滑をはかることを目的とするローカル的な道路であるということが一つ。それから道路公団でやりますことについて、資金面において道路公団は全国的なものを扱っておりますから、東京都、いわゆる首都の一番緊迫した高速道路の建設につきましては、手が回りかねるというような関係から、むしろこれを別個のものにいたしまして、そうして資金面におきましても首都が一役を買い得るような制度にいたしませんと、国家資金だけでは——全国的な道路公団のやっておるものと、それから東京都内における高速道路とは一本でできれば、これにこしたことはないと思いますけれども、資金面において必ずしも満足すべきものがない。つまり言葉をかえて申しますと、今度の首都高速道路公団におきましては、資金面におきましても国が相当負担いたしますが、その一面において東京都が、あるいは資本金におきましても半額を出す、あるいはまた借入金におきましても、預金部と公団債に分れますが、ややその半分以上の公団債というものは民間資金を吸収せねばなりません。そういうような場合において、都があっせん努力をいたしまして、そうしてあるいは三百億に近いような金をそちらの方であっせん努力をするとか、あるいは東京都が交付金を出しまして、そうしてこの計画によりますと、五カ年間に七十五億も交付金を出すことになっておりますが、そういうような都を中心とした特別的な行き方でなければ、緊迫した交通、混雑した交通網を整備して、そうして交通の円滑をはかるということは困難であろうというような点、それからまた非常に街路関係にこの道路の関係がございまして、主事施行上の理由からいたしましても、やはり都市計画街路事業の主体であるところの東京都と密接な関係のある公団において施行することの方が、行政的におきましても非常に便利だ。一例をあげてみますと、街路関連事業がその間に二八%もある。この街路事業を無視しての今度の高速道路の整備は、不可能でございますが、そういうものと関連しておるものでありますから、そういうものを全部あわせ考えますと、やはり別個なものがよかろうということで、資金の面、それから事業を遂行いたしまする面等から勘案いたしまして、道路公団から切り離して、特別な公団を作るということに政府の方針がきまったわけでございます。しからば地方の方にも同じようなことをするのかというお話でありますが、横浜には首都高速道路公団で、将来は施行区域と申しますか、事業ができるそうであります。ただ大阪その他につきましては、もしやるとしますれば、別なものをこしらえなければなりませんが、しかし現在の考え方といたしましては、道路公団であとう限りそうしたものはやる。東京は首都であるだけに、別個な考え方でいこうというわけでございまして、各主要都市に交通緩和のために別個な公団を立てるというような考え方は、今のところは持っておりません。大体地方の方は、今の道路公団でやらせる。しかし首都だけは、別個な機関でなければやれないだろうというような考え方で、別個な考え方をいたしておるわけであります。
  33. 塚本三郎

    ○塚本委員 全般的に深く検討はいたしておりませんけれども、たとえば住宅関係にいたしましても、住宅に関する幾つかの外郭団体といいますか、こういうようなものがあるわけですね。金融関係やら住宅公団やら協会というようなものがある。これと同じように、道路につきましても幾多のそういうものが出てくるような気がいたすわけでございます。そういたしますと、これはもう少し整備しておかないと、しろうと考えで申し上げますと、何か建設省役人の人たちあとの出場の始末を考えるために、公団をたくさん作るのだ、こういうような声をジャーナリストの中では立てておるわけです。私どもはそうは思わぬのでありますけれども、しかししろうとの勘というものは、案外本質を突いておるような場合が多うございまして、こんなことは、私たちが黙っておってはいけないのじゃないかという感じがいたしますので、首都だけに限ってだということを次官が今おっしゃいましたけれども、それが必ずそうだと言い切れるものであるかどうか、もしそうであるといたしますと、たとえば大阪においても、こういうような実情に何年後か知りませんけれども、やがてなる。こういう交通難緩和のための方策として、同様な問題が出てくるという場合、これは地方公共団体にやらせるのか、あるいはまた日本道路公団をしてやらせるのか、大阪もおそらく今考慮しておかなければならぬ問題だと思うのです。そういたしますと、今後こういうふうな実情が発生して参ったときには、首都に限ってという次官のお話によりますと、その他の地方におきまする、特に都市におけるこういう問題は、日本道路公団の別途会計でやらせるのか、地方公共団体にやらせるのか、その辺の見通し、これは全然予測ではなくて、時の問題として早晩出てくる問題だと思いますが、その場合はどういうふうになさる計画なのか、この点をお聞きしたいと思います。
  34. 徳安實藏

    徳安政府委員 とりあえずは、結局大阪くらいが問題になるところだと思うのです。地方の方は、大体そう御心配にならなくとも、現在の道路公団の行き方でやれるのじゃないかと思いますが、大阪の場合は、将来当然問題になろうかと思いますけれども、しかし公共団体でやりましても、あるいは道路公団でやりましても、こういう道路は、有料であることには間違いないわけであります。そこで将来大阪にやるというようなことは、ただいま考えておりませんが、しかし客観情勢によりまして、あるいはその方が非常に便利だ、また首都と同じような性格から考えてみて、せめて大阪くらいは別個なものを作らなければならぬという事態がくれば別でございますけれども、ただいまのところは、道路公団で事足るだろう、こう考えておりますから、現在東京都の首都という立場から、別個な一つのものを作ることは考えておりますけれども、それ以外のものにつきましては、ただいま考えていない。要するに道路公団で十分事足りるように努力していきたいという考え方であるということだけで、御了承いただきたいと思います。
  35. 塚本三郎

    ○塚本委員 それでは、首都だけであって、あとは道路公団ということのようなお話でございますが、そういたしますと、道路公団で現在まで行なって参りました首都高速道路というのがございますね。これは数寄屋橋のところのあれだと思いますが、あれは、道路公団としてはどういう見通しのもとに今日まで進められて参ったのか。この関係が非常にややこしいと思いますが、私は以前のことはよく存じておりませんので、蛇足になるかもしれませんけれど、日本道路公団が今日まで行なってこられた計画と見通し——商店はすでに開店いたしておりますけれど、道路としての用は何らなしておらないように思いますが、これは、どういう見通しと計画のもとに今日まで進められてきたか、この点、お聞きしたいと思います。
  36. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまお話の銀座のあの高速道路でございますが、これは道路運送法による一般自動車道でありまして、新公団の建設する首都高速道路は、道路法による道路でありますから、性格が異なりますので、その管理は別個に行う予定でございます。その他のことにつきましては、政府委員から御答弁することにいたします。
  37. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 道路公団の本年度に実施しております首都高速道路について、塚本委員の御指摘がありましたので、その点についてお答えを申し上げます。  日本道路公団が昭和三十三年度に実施いたしておりますのは、首都高速道路計画のうちいわゆる一号線と申しますか、羽田から都心へ入ってくる部分の一部について、事業費一億三千万円で事業を実施するように相なっております。これにつきましては、本年度事業として予定通りできるだけ促進させるようにいたしておるわけでございますが、ただいま御審議をいただいております首都高速道路公団の設立によりまして、来年度におきましては、できるだけ早く新しい機構の方に引き継ぐようにいたしたいと考えております。
  38. 塚本三郎

    ○塚本委員 今お聞きいたしますと、建設次官と道路局長とのお話が違っておるように見ます。というのは、次官は、法律は別であるから別途管理するというお話であり、道路局長の方は、引き継ぐというお話でありますが、その点、もう一ぺんお伺いします。
  39. 徳安實藏

    徳安政府委員 これは、局長答弁と私の答弁とは、答弁の根本が間違っておったらしいのです。私は、あの数寄屋橋のところのお話のようにさっき承わったものですから、あすこにすでに高架でできておりますあれの取扱いをどうするか、またその経過はどうかというお話のように考えましたので、その性格を申し上げたわけであります。局長の方は、三十三年度の事業と今度の公団との何か引き継ぎのことを御答弁申し上げたようでありますりから、両方とも間違ってはいないのですけれども、説明する目標が違っておるわけなんです。その点を一つ了解願っておきます。
  40. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 ただいま数寄屋橋の付近にできておりますあの道路は、いずれは今度の公団によって作られます高速道路と接続して、その一部に相なるわけでございますが、ただいまのところでは、あれは公団関係とは全然別の、公共道路ではございませんで、道路運送法によります一般自動車道路、この付近では、箱根等にいろいろ会社の経営しております一般自動車道路というのがありますが、あの一般自動車道事業として、運輸省と建設省の共管の免許によって実施をいたしておるもので、道路公団あるいは首都高速道路公団の考えておりますものとは、ものといたしましては全然別でございます。
  41. 塚本三郎

    ○塚本委員 そういたしますと、あれは公共とは全然関係がないということであって、今の場合別途なものだという次官の説明が正しいようにお聞きするわけですけれど、そういたしますと、あれはこの首都高速道路公団とは全然別個である。やがてはあれを引き継ぐという見通しとか、そういうことはないというお考えなのか、私は今よく聞いてなかったのですが、やがては引き継ぐというふうな意味にもとれる御答弁であったように見受けますが、あれは、将来とも全然この首都高速道路公団とは別個のものなのだというお話なのかどうか、この点、もう少し明確に御説明いただきたいと思います。
  42. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまの御質問に対しましては、先ほど申し上げましたように、性格が全然異なっておりますので、首都圏整備計画に基く既存の高速道路をも含んだ一貫した道路網を都市計画として決定する、そして一体としては考えますけれども、これにつきましては、無料の道路でございまして、全然有料でないのでございます、今数寄屋橋にできておりますのは。でありますから、全然別個な形でいくわけでありますから、誤解のないようにしていただきたいと思います。あれは有料道路でございません。無料で通す道路でございます。
  43. 塚本三郎

    ○塚本委員 複雑になってきたようでございますけれども、そうしますと、現在まだあれは通っていないと思うのですが、あれはいつごろ通して、無料になった場合は、公共の道路でなくて無料だ、こういう状態ですと、ちょっと特殊なケースであるかと思いますが、その場合に、やがては有料道路の中に編入し、その一環としてこれを活用するというふうな見通しがあるものなのか、やはり全然無料のものであり、公共じゃないのだから高速道路公団の中へ編入することは、全然話は別個のような御答弁を次官は今なさったわけですが、全く別個のものと理解していいのかどうか。
  44. 堀川恭平

    堀川委員長 道路局長計画局長、どっちにしても、今お尋ねになっておる道路のでき上りからちょっと話して上げた方が、わかりやすいのじゃないかと思うのです。
  45. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 それでは、ただいま委員長の御指示もございましたから、簡単に経過に触れて御説明を申し上げます。  あの数寄屋橋の道路は、正確な年月はちょっと覚えておりませんが、昭和二十八年か九年ごろ、初めはあの外堀を、公有水面の利用をいたしたいということから始まったようでございます。その後あの外堀を埋めまして利用する、道路とは何の関係もないことから始まったようでございます。外堀を埋めて、その土地利用いたしたい、そのために一つ会社ができまして、そういうことを東京都へ願い出て許可を得てあるようでございます。そういうふうにして堀の埋め立ての許可をとった。その地域に建物を建て、その上を道路にいたしたいという点で、一般自動車道事業としての出願を運輸省と建設省へして参ったわけでございます。私どもは、道路運送法に基きまして、公有水面の埋め立てができるという前提に立って、その自動車道を作る事業の認可に対しまして審査したのですが、その場合に、下をいろいろなものに利用するという御計画があるようですから、それからまた会社自身も、できた道路の通行に対しては、料金を取ることは考えていないということを申しておったようであります。そういう会社の意向もあり、無料道路として自動車道事業で実施することはよろしい、こういう形で、運輸省と一緒になってあの事業の認可を与えておるわけでございます。その後いろいろ実施計画等をとりまして検討し、またいろいろな意見を求めてきたのでございますが、いつ竣工するかというお話がございましたが、この竣工は、書類の上では、本年の九月までに一応竣工すればよろしいということになっております。あそこの道路利用の期日は、非常におくれておりますが、そういうことになっております。
  46. 美馬郁夫

    美馬政府委員 私から、この公団と、今後今の会社関係がどういうふうになっていくのかという点について御説明申し上げます。  お配りしてある図面をごらんになっていただきますが、第八路線——計画の中には八という字で入っておりますが、いわゆる基本計画の中には、この線路は入ってきますが、事業の実施の関係は全然別でございまして、今後できる首都高速道路公団は、会社がやっている部分については、全然事業をやるわけではありませんし、全然別の関係でございます。ただこれは、全部一貫した計画になっておりますから、その点、接続されて一環としてぐるぐる回すような形にはしなければなりません。そのために、基本計画なり都市計画の決定は、全部一本でやるようになりますが、ただ事業の実態は、公団の事業とは全然関係のない部分である、こういうことでございます。
  47. 三鍋義三

    三鍋委員 関連して。今塚本委員が主として質問しておられるわけでありますが、こういう問題を一々取り上げていくと、大へんな時間といろいろな問題が出て参ります。先ほど道路局長が御説明になった説明は、私たちが今まで携わってきた内容から見ますと、若干違っているように思うのです。どういうわけか、いつの間にか車の通らない高架道路ができまして、その商店がデパート以上の繁栄を来たしているのでありまして、これは、私たちとして非常にわけのわからないものができているという印象、何かしてやられたというような強い印象を受けているのです。高速度で走るといいましても、入り口と出口が狭いのですから、ヘビが卵を飲んだようなもので、現在作られつつある状況が、高速度で走られるものでは絶対にないのであります。そこで、この首都高速道路計画、これによりましてずっと延長されて、初めてこれは効果が上るのでありますが、それまでどうするのですか、これは、第八路線で一番最後ですね。計画からいえば、これは一番最後になるのではないですか。そうすると、首都高速道路ができましても、これは用をなさないのですよ。用をなすのは、下の商店だけなんです。一体でき上ったと仮定して、料金はどうなるか、現在作られつつあるものは、むろんそれに環状に接続されるのか、こういういろいろな問題があるわけで、私が横からちょっと要らぬことを言うたように思いますけれども、塚本委員は、こういう従来のいきさつを御存じにならないから、純真な立場審議を進めておられるのですが、この辺のところを、やはりだれにも納得のいくように御説明があってしかるべきではないか、こう思うのです。
  48. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 ただいまのところは、橋梁が全く完成しているというわけには参りませんので、交通路としての使用にはなっておらないわけでございます。ただしかし、現在すでにあの混雑しておる銀座におきまして、自動車の駐車場としての効果は、相当発揮しているかと思いますが、交通路としての効果は、御指摘の通りでございます。この交通路としての効果は、先ほども申しましたように、書類の上からいうと、この九月までに竣工しなければならぬことになっておる。そうしてただいまの工程の進行状況を見ますと、一応この計画してある事業は、九月ころまでには必ずしもできないことはない、できるだろうという見通しを持てる工程のようでございます。  それからなおあの道路は、一般自動車道事業法で免許をいたしますときに、無料道路として免許いたしておるわけでございます。
  49. 武藤武雄

    ○武藤委員 関連して。だれが考えても、あの道路はおかしな道路です。時間はかかると思いますけれども、埋め立てに要した費用、それから建設した費用、それから商店に貸し与えた権利金、そういった収入のバランスがどのくらいになっているか、一つ調査をして委員会に出してくれませんか。あれはどう考えても伏魔殿みないなものです。
  50. 徳安實藏

    徳安政府委員 実はあの道路は、いろいろと問題の起きた道路のようでございまして、私どももまことに遺憾だと思っております。ただこれは、法の盲点かもしれませんが、現在のところではそういうものを求めるような、要するに監督権が私どもの方にないそうでございまして、従来も委員会にお呼び出しになって、ずいぶん関係者に究明されたそうでございますけれども、結局それが建設省の方の手の及ばない場所であるというような形で、つい追及しっぱなしのようになっておるようでございます。そこで私の方でも、もう一ぺんよく研究はいたしますが、大体事務当局に今聞きますと、事務当局の説明によりますと、ただいまのところでは、そうしたような経過をたどっておるようでございますから、一ぺんよく研究いたしまして、資料も求められるものは求めるようにいたしたいと思います。
  51. 二階堂進

    ○二階堂委員 関連して。今問題になっておりますのはあの入口もない、出口もない道路ですか、これは、最初から駐車場という目的でお作りになったものでもなかろうと思う。また百貨店を作るというような目的許可なさったものでもなかろうと思う。これは、道路を作るということで認可なされたものだと思いますが、その認可をされたのはどこですか、だれが認可したのですか、東京都ですか、建設省ですか。
  52. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 最初堀を埋めて、あの種の建物を建てるという御計画でスタートしたようでございますが、その辺は建設省ではございません。東京都です。
  53. 二階堂進

    ○二階堂委員 これは、川を埋め立てるということで、東京都が許可したわけですか。その目的は、道を作るということでは全然許可してないわけですか。結局下に店ができて、上に道ができてしまったので、道とも考えられるし、駐車場とも考えられるし、デパートとも考えられる、こういうわけのわからない怪物ができてきてしまったので、一体それを取り締る監督権はどこにあるかということが明らかでないとかいうような政務次官の御答弁では、どうも監督官庁として少し無責任過ぎると思いますが、どうなんですか。
  54. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 公有水面を埋め立てた結果、デパートのようなものができておりますが、それは、全然道路の関係ではございません。そうして私の方といたしまして、その上を一般自動車道事業によって自動車道を作るという出願がございました。これに対しまして、有料でない、無料ということで許可をしたのであります。
  55. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 関連して。この問題は、私はずいぶんかって質問をしたことがあるのであります。また東京都からも、副知事その他を呼び出して、だいぶ現地にも見に行って、出たコーヒーも飲まないで、みながずいぶん現地を回ったことがあるのでありますが、当時東京都の答弁によりますと、これは上を高速度道路にして、下は倉庫にするんだ、それ以外の用途に使う場合はこわさすのだと、ちゃんと速記録にも載っております。そこで私は、そういう答弁は成り立たぬと言った。当然でき上った場合には、いろいろと権利をとって部屋を貸すんだろう、莫大な利益を得るはずだが——当時申請者の出しております書類によりますと、広告によって経費をまかなうので、部屋料というものは大して見ておらないというような設計書も出ておったのであります。そうして最初申請によりますと、浮御堂のように、川の中にぽつんと作る、両方埋め立てないのだ、こういう設計の申請を出しておったのであります。私は、そんなことを言っても、工事が進むにつれて、必ずこれを埋め立てるだろう。そうすると、これはりっぱな道路に面した部屋ができるので、倉庫などには断じて使うはずはない、これはきっといろいろ権利を取って家を貸すんだろう、家を建てるのが目的ではないか、車を通すのが目的ではなくて、家を建ててもうけるのが目的ではないかということを、繰り返し巻き返し言っておったのであります。この許可の点は、盲点をついた、いろいろ勘違いになる結果を生んでおったようであります。いずれにいたしましても、当時の会議録を見れば、そのときの質疑応答は明らかになっておるのでございまして、その後不法な、いわゆる申請に偽わりをして不当に利得を得るというようなことがはっきりいたしました以上は、十分監督並びに警告なりをして、それらの使用について、もし向うの答弁通りならば、取りこわすと言っておったのでございますから、それらについて、どのような経過で私が追及した通りの結果になり、しかも一方それが、最初申請目的を果しておらないということでありましたならば、当委員会としても、私は、将来の一つの慣例を作る意味において、何らかの厳重な処置をとるべきだ、かように考えるのでありますが、これらに対する経過を一つ御説明願いたいと思います。
  56. 徳安實藏

    徳安政府委員 私は、もう皆さんからかえって教えられるくらいでありまして、過去のことはあまりよく承知いたしておりませんが、しかし不可思議なものだというようなうわさは、しばしば聞いておりまして、もうすでにああいう店ができましてからだいぶ長い間、そのままになっておりますので、その経過等につきましては、私もここに資料を持っておりません。また同時に、その当時の質疑応答もございますようでありますから、一応よく検討させていただきまして、私どもの監督の不行き届きの点がございますれば、もちろん監督もいたさなければならぬが、資料等もそろえて、次の機会に御説明申し上げるようにいたしますから、きょうは、この程度で一応お許しを願りいたいと思います。
  57. 塚本三郎

    ○塚本委員 話がとんでもない方に行ってしまいましたけれども、何か道路局長お話を承わっておりますと、公有水面を利用して、そこに何か建てて、それを利用したい、そうしてあとから天井を道路に使用したい、こういう申請が出てきたという形ですと、公有水面を個人会社に対する私企業のために利用して、公けに対する弁明のために、道路がその弁明の具に供された、こういうふうな感じを受けるわけであります。しかしこのことは、ただいま次官が答弁なさったように、次会に経過について御報告があると思うし、武藤委員からも、その経緯に対する内容の説明を要求せられておりますので、これは、また派生的な問題だと思いますから、後ほど私お尋ねいたすことにしたいと思っておりますが、これがまだはっきり御答弁の中ではしてないように思います。この首都高速道路公団という計画の中に利用せられるような形に、受け継がれるということにおそらくなるのじゃなかろうかという感じがいたしますが、これは、全然ないというふうに断定せられれば別な問題になりますが、もしこれが利用せられるということになるならば、しかもまた、これがりっぱに筋の通ったものであるなら、大いに私は利用して差しつかえないと思うわけです。     〔委員長退席、二階堂委員長代理着席]その場合の料金が、無料であるというのと有料であるのと、こういう形が出てきますが、利用はしないということならけっこうでございますが、もし利用するという形になると、これば、有料と無料という問題が出て参ると思うのです。これを将来にわたって、あんな大事なところにああいうりっぱな道路ができるのですから、おそらくは利用しなければ、道路としての価値が全くなくなってしまうのではないかと思うのです。だから、当然これは利用せられるような感じがいたすのですが、そうすると有料、無料の問題が出てきます。全然ないと断定なさるのかどうか、その点、もし利用するならどうするのか、そのことは、全然考えてないということなのか、この点、お聞きしたいと思います。
  58. 美馬郁夫

    美馬政府委員 利用の問題は、一環としてやはりそのルートの上に乗せてやりませんと、この高速道路は、御承知のように副都心部から都心部に入ってくる線と、それからそれを結ぶ環状の線があって、ぐるぐる回って、お互いにみんな重要な地点を接続していくという機能になっておりますから、機能としては利用さすようにするということでございまして、有料と無料との関係も、さほど私ども困難な問題と考えておりません。これは料金の徴収の技術の問題として解決できると思いますが、ただ財産の引き継ぎとか会社の合併とか、そういう意味の関係は、これは全然ございません。ただ、できた道路は、機能的に今後首都高速道路公団の道路とは接続さす意味においては、利用ということになりますが、財産関係その他債権債務関係、主体の問題等につきましては、これは全然関係ありませんで、現在会社計画している分については、会社がそれをやって完成する、それだけの問題でございます。
  59. 塚本三郎

    ○塚本委員 私、何度も先ほどから申し上げておるのですけれども、しろうとの勘というものはよく当るものでありまして、またあそこを、個人会社がデパートのような商店街を作って、そしてまたあそこを利用するときに、首都高速道路公団として引き続いて使う場合、使用料として、またその会社へ取った料金を払い込んでやるというような形が出てきやしないかという感じさえ持つわけです。将来のことを申し上げることは、大へん差し出がましい意見だとは思いますけれども、しかし案外最初説明なさっておられるのと、そしてでき上ってしまいますのと、現在のあの一つの建物と申しますか、道路といいますか、それ自身でも、専門の建設委員の皆様方でも、与党、野党を問わず、いまだに疑問がある。それは、最初に出された説明と、徐々にときの移りかわり、工事の進捗状態とともに変ってきておる経過を見て参りますると、やはり最初しろうとが言ったようなことが当てはまってきてしまう。こういうことになりますと、やはりその使用の問題等も、簡単のようでありますけれども、二重にあそこをつないで、またあの会社にもうけさせてやるような、こういう形に想像ができてしまうわけでございます。こんな点も、将来とも一般の都民の疑惑を招かないような方法を十分考慮していただかないと、役人よりも商人の方が数段狡猾な、そしてまた深謀遠慮のもとに行われておるのが通例だと思っておりますので、その点、十分御注意してやっていただかなければならぬと思っておりますが、その問題はもう別にいたしまして、これができるに当って、いろいろなことが想定せられるわけであります。たとえば、ここに街路を利用するということになっております。そういたしますと、ああいうふうな、今議論になりましたような形で、街路そのままで、下は街路として使用し、また上に高速道路を作る、こういうことになると思いますが、その場合、下を何らかの形で街路以外の目的利用するようなことがあるのか、どうなのか、この点をお聞きしたいと思います。
  60. 美馬郁夫

    美馬政府委員 今回この五カ年計画計画しておる高速道路の土地利用関係が、どんなふうになるかということから御説明した方が御納得がいくと思いますが、全体の中で、川を利用する部分が三七%ございます。お配りしてある資料にもございますが、それから街路を利用していくところが三八・五%、一般宅地が二四・五%、こういうことになっておりまして、川を利用していく場合でございますが、これは、ほとんど大部分が川の上に高架の高速道路を建てる場合でございまして、もちろんこの場合には、治水上の配慮は十分しなければなりませんが、この高架の下を一般の民家なり、あるいは事務所に開放するという問題は起って参りませんし、また私どもも、それは認める方針ではおりません。それから街路を通過する三八・五%でございますが、これも、下が街路でございますから、街路上には、道路法によって一般の住宅を建てたり、店舗を設けたりすることができない建前になっておりますので、これも私どもは、原則として一般の住家なり事務所を認めるということはしない方針でおります。ただ問題は、一般の民有地を切っていく場合がありまして、たとえて申しますと、この線路にもございます浜町あたりを切る場合でございますが、これは、現在のところ全然道路もございませんで、民家があるところを高速道路が貫いていくという形になりますから、その場合には、高架の下を、たとえば事務所であるとか店舗であるとか、そういう場合を設けまして、立ちのきをする人々を収容する施設は、考えなければならないのではないかというふうな気持でおります。大体の気持といたしましては、これによって立ちのきを受ける人家が約三千戸近く全体計画で想定されております。こういう人々に対しては、できるだけ何らかの形において収容していかなければならないのではないか。場合によっては、高架の下を利用さしてもらうというような方針をとっております。個々の具体的な問題につきましては、高架の下を公団がいろいろ利用さす場合には、建設大臣の認可になっておりますから、役所の方で、つまらない目的のために利用できないように、十分監督もできるというふうな建前になっておる次第でございます。
  61. 塚本三郎

    ○塚本委員 そういたしますと、原則としては、立ちのきを食った人に対してだけ下を住宅として考慮しておって、あと一般に開放して利用するということに対しては、あるいは施設を作ろうということに対しては考えておらない、こういうお話でありますが、数寄屋橋の話を引例に出して恐縮でございますけれども、ああいうふうな一般の疑惑がかからないような形であり、そして交通に不便がないという形ならば、土地を高度的に利用するという意味からいっても、もっと正しい意味で利用していくならば、窮屈な考え方というものは、しなくてもいいのじゃなかろうか。あるいはそういうふうに高度に利用することによって、その料金等を安くするとか、あるいは償還期限を短かくするとか、こういうことも大いに考えてもいいのじゃなかろうか。もちろん下が一般の道路だということになりますと、これは多少不便は感ずるでしょうけれども、たとえば駐車場であるとか、あるいはガソリン・スタンドであるとか、道路に必要なものを設けさせるということも、だれが考えても当然であるというような利用の仕方、あるいはまた、もっと日本の、あるいは首都の交通難緩和のために役立つような施設をすることは、これは、うしろめたいところの計画や腹づもりさえないなら、より親切な方法でもあるのじゃなかろうか、こういうふうにも思うわけです。在来行われておりますこういった種類のものに対して、うしろめたいような、疑惑の持たれるようなことがあったがために、非常に窮屈なことを計画局長も考えておられるのじゃないかと思いますが、その点、断じてそういう必要はないというふうにお考えなのか。たとえばガソリン・スタンドや駐車場ということなんかは、有料無料という形も出てきますけれども、こういう点、もっとおおらかに考えて、そうしてでき得べくんば料金を安くする、あるいはまた償還期限を短かくして、早く一般に開放してやれるような方策を講ずることの方がもっと親切じゃなかろうか、こういう考え方もいたすわけですが、その点、どうでしょうか。
  62. 美馬郁夫

    美馬政府委員 私の言葉が多少足りなくて、誤解を起しましたが、私が申し上げましたのは、これに関連ない、全然無関係人々を自由に事務所なり店舗として入れるのは、原則としてお断わりする、こう申し上げたのでありまして、まだいま仰せられました駐車場、あるいはガソリン・スタンド、その他これに類する施設につきましては、現に公団といたしましても、この計画におきまして、何カ所か計画しておりますし、また支障のないところは、そういうふうな駐車場であるとか、あるいはガソリン・スタンドであるとか、そういうところには十分利用していただくような考えで、ただいまおるのであります。
  63. 塚本三郎

    ○塚本委員 大体構想もわかったようでありますが、そうでないと、どうもあそこの数寄屋橋をもしつないだとしますと、あそこだけは商店があって、ほかにも同じような利用の価値があるという場合において、今はいいですけれども、やがてちぐはぐなものができてくる。これは、みなが納得するような形で利用していくような形にならなければ、都市としておかしいような感じがするわけです。ただ、今日まであったようなああいう疑念というものだけは、これは、一点の余地も残さぬようにしておいてほしい、こういうふうに思うわけです。  それから、こまかい質問になりますけれども、この高速道路は、大体どれくらいの時速で走り、また償還期限は、大体どれくらいの期限でもって償還がなされるのか、この予算に対する見通し、こういうものについて御説明願いたいと思います。
  64. 美馬郁夫

    美馬政府委員 この高速道路の設計といたしましては、一時間約六十キロ、こういうスピードが出せるような計画になっております。御参考までに申し上げますと、現在の都内の中心部の平均速度が約二十キロということになっておりまして、この高速道路では六十キロ出せるということになっております。  それから償還の関係でございますが、この公団は資本金とか、あるいは東京都の補助金、あるいは借入金等の関係がいろいろございまして、その組み合せ等の関係でいろいろ違いますが、私どもの今までの予定では、大体二十年から三十年くらいの間に償還できるようにやっていきたい、こういうふうな立場で、目下具体的な数字は、大蔵省当局と折衝中でございます。
  65. 塚本三郎

    ○塚本委員 今の六十キロというのは、平均でございますか、最高ということですか。平均ということで理解していてよろしゅうございますか。
  66. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 いわゆる設計速度でございます。従いまして、その速度を基準にして路面なりカーブの半径なり、また勾配部の関係なりを設計いたす。従いまして、安全に走れる最高、こういう工合に考えてよろしいかと思います。
  67. 塚本三郎

    ○塚本委員 それでは、一般に理解しております高速道路ではなくて、普通の道路とほとんど違わなくて、ただ信号等でとめられるということなく、立体交差でまっすぐに通れるというだけで、一般の道路とほとんど違わない。都内の一般道路と比べて、高速であるというふうな理解をする方が通例ではないかと思いますが、そんな程度と解してよろしゅうございますか。
  68. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 大体さようでございます。
  69. 塚本三郎

    ○塚本委員 それはよくわかりました。それでは今度は街路の問題でございますが、一般の街路を走るということになりますと、道路によって今日受けておる受益者というものは、たくさんあるわけでございます。一般の道路の沿道の商店にしてみますと、今日の道路利用者の立場から考えて参りますと、その通行者が目的へ到達するだけが道路の役割ではなかったはずだと思うのです。その沿道の商店などにいたしますと、それが非常に宣伝のいい場所になる。家の前に看板をかけておくだけでいい宣伝になるでしょうし、あるいはまたお客をいざなってくれるところの役も果しておるわけでございます。そうすると、この高速道路ができることによって、非常に周囲に対しては影響力が大きいと思うのです。あるいはまた民家などに対しては、太陽光線を受けるために、利用していいか悪いかは別として、道路があるがために、自然と家の中へも光線が入ってきて、住宅として完全な役を果しておる、こういうふうに沿道に対する受益者——これは道路と所有者は別ですから、受益者は文句が言えないということはそうかもしれませんけれども、しかし、どういいますか、原始取得とでもいいますか、道路によってその沿道の民家なり商家は、自然と利益を受けておると思うのです。これは、長年の間そういうふうに今利益を享受している人たちが、今度ここに高速道路ができるということになりますと、それがために日陰になるとか、あるいはお客の通行に対して非常に妨げになるとか、いろいろな問題等がここに起ってきて、おそらく地元等において反対運動等が起ったり、いろいろな場合が想定せられるのではなかろうか。これも、私ども専門の立場でございませんから、杞憂に帰すればけっこうでありますけれども、ありがちなそういう反対運動等も出てきたりなんかするということになるのではなかろうか。今ならば、前を通ってもらってストップしてもらえるが、しかしながら、それがすっと通行してしまう形になってしまって、そうして高い建物らしきものが目の前にできてくるということになりますと、日が当らなくなってしまって、お客様はいたずらに通り過ぎるだけである、こういうような点等を考えて参りますと、地元でいろいろな問題が起きてくると思いますが、そういうことに対する何らかの考慮をしておいでになるのかどうか。そういうことは全然考えなくていいのかどうか、この点、どうでございましょうか。
  70. 美馬郁夫

    美馬政府委員 ただいまの問題は、これは道路の性格によりまして、いなかの道の場合であるとか、あるいはまた風土を縦貫する遠距離間の高速道路であるとか、あるいはまた東京都内の一般の街路の場合、また今回の高速道路の場合等、利害関係がまちまちでございまして、いろんな問題がございますが、この首都高速道路に関しましては、お説のように、これは副都心から都心に至る主として通過交通の問題でありまして、沿道の人々にとりましては、あまり利益がない。ほとんど利益がないと申しましょうか、そういう場合が多いと思います。しかしこれは、たとえば国道等をとってみましても、同じような場合も出てくるのでありまして、今度の計画の上におきましては、そういう点はできるだけ避けるように、路線の選定なり、また設計上のいろいろの配慮をしなければならぬ。こういうことは十分考えて、場合によっては金銭上の補償の問題、その他代替施設の問題、いろいろな問題を十分考えていきたい、こういうふうに考えております。
  71. 塚本三郎

    ○塚本委員 公共利益のためには、こういうことの犠牲もある程度やむを得ないのではなかろうか、こういうことは、当然施行者の立場になりましたら考えるところだと思っておりますが、ただいつも問題が起りまするときに考え出されることでありますが、十分納得のいくような説明を先に与えておいて、それから事業に取りかかる、こういうことをしていただかないと、きっと問題が出てくるのではなかろうか。黙ってずっと事業を実施してしまうと、感情的な問題が特に道路なんかの場合においては多いと思いますから、この点、一つ公共のためだというだけで推し進めるようなことにならないように、十分先に理解させるような方策を考えておいて、この仕事を進めていただきたいというふうに考えるわけでございます。  それからもう一つ、河川の上に三七%という路面を使うことになる、こういう計画でございますが、河川というのは特殊な性格を持っておりまして、おそらくこんなことを私が申し上げなくても、十分その点は考慮しておいでになると思いますが、おそらく十年か十五年に一回というような出水に対するときに、そのときだけ河川のありがたさ、あるいはいいということを、私どもは災害のたびに気がつくわけでして、一般は、排水くらいにしか私どもは思っておらないわけです。ところがその十年か十五年に一回という大きな出水こそが大被害をもたらし、そしてまた河川の近くの民家や商家に対するおそろしい被害をもたらすことは、これはもう各所に例を見ておるわけでございます。この点に対しては、技術的に特別の施策がなされておると思いますが、一体この点は、全く大丈夫だというふうな施策が行われるかどうか。この点に対する御説明を承わりたいと思っております。
  72. 美馬郁夫

    美馬政府委員 参考資料がありますので、参考にごらんになっていただくとわかるのでございますが、図面がございますから、この首都高速道路公団参考資料の十二ページを開けていただきたいと思います。この十二ページをごらんになっていただくと、二といたしまして、河川の上を高架で通過する場合の図がございます。たとえば古川の場合、神田川の場合、その他でございますが、ここにございますように、河川の原型は全然変えませんで、天井を相当高くいたしまして、高架の部分を建てまして水面上にふたをするというふうな設計ではございませんで、こういうふうな設計になっております。これは、実はこの高速道路を設計する上におきまして技術委員会等を設けまして、特に治水との関係、川の上を通る関係も、その技術委員会で十分検討していただいたのであります。その結果、川の上を通る場合はこういうふうにして、治水上の心配は全然ないようにしたいということのためにできたのでありまして、ただいま申されましたような心配は全然ございません。
  73. 木村守江

    ○木村(守)委員 関連して。日本道路公団法の第二十六条には「公団は、建設大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは短期借入金をし、又は道路債券を発行することができる。」ということがあります。その第二項は、「前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができない金額に限り、建設大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。」ということになっております。その第四項には「道路債券の債権者及び公団に対して資金の貸付をしている国際復興開発銀行は、公団の財産について他の債権者に先だって自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」とありますが、この「他の債権者」というのはどういうものがあるのか、これをまず第一にお伺いします。  それからこういうふうな法律ができた場合に、今までの道路債券との債権の権利の比較、その順位はどういうふうになって参りますか。  それからこの改正法律は、その趣旨が国際銀行の債権者としての地位を保護するために作られようとする法律でありますが、その国際銀行から金を借りるような事業につきましては、その他相当いろいろのところから借入金があると思います。そうした場合に、これは、返済が不可能になることを考えて、こういうような法律改正を織り込んだのではなかろうか。実際償還不可能なことがなければ、こういうことは考えなくてもいいのじゃないかと思うのですが、償還不可能の場合——これは最悪の場合ですが、そういうことを顧慮してこういうような改正が出ているのではないかと思うのですが、不幸にして償還不可能になった場合には、一体どうするつもりなんですか。この法律の改正を見ましても、債権者について非常に甲乙をつける。もちろん外債に対しては、特別の保護規定が必要であるために、こういう法律を作ったのかもしれませんが、しかし債権者に対しては、外債であっても内債であっても、大体において同じような権限がなくてはならないのではないかと思うのですが、償還不可能になった場合に、どういうような順序で、どういうふうにこれを弁済していくのか、その点をお尋ねします。
  74. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 その他の資金は何があるか、借り入れでございますが、その点につきましては、道路債券と外資を借りるほかに、預金部資金をずいぶん借り入れるわけでございます。そのうち一般からの借り入れ、つまり道路債券と、それから世銀から借り入れる分に対しては、何といいますか、弁済権を同順位にしておこう、こういう趣旨に相なっておるわけであります。従いまして、最後の償還関係でございますが、世銀の償還については政府保証してございますが、世銀が特に優先されるというものでなく、一般道路債券と優先弁済度は同順位になっておる、こういうことであります。
  75. 三鍋義三

    三鍋委員 先ほど兒玉委員から資料の要求があったのでありますが、この東京高速度自動車道路の問題は、やはり一応私たちはすっきりした形で納得しておかないというと、現在提案、審議されている法案を十分審議していく上においても、これは大へん関連性が深いと思いますので、毎回、当局は御迷惑と思われるかもしれませんけれども、新しくおいでになっておる方もたくさんおられますから、一つ今までの経過、資料、それから現在どのように進捗しておるか、どのような運営がされているのか、そういった資金面等いろいろな関係、これをできるだけ詳細に一ぺん御提出願いたいと思うのです。     〔二階堂委員長代理退席、委員長着席〕  それらをやはり一つの参考といたしまして、実例があるのですから、ああいう疑惑のないようなものにしたい。また今あるのが、私たちがただ変だと思っているだけで、実際すっきりしたものになっているのかもしれませんし、そこいらのところを、現在のものをはっきりと見きわめるとともに、今度の首都高速道路公団法案が適正に運営されるように十分審議していきたいと思いますから、資料の御提出一つ重ねてお願いいたしておきたいと思います。どうか委員長、よろしくお願いいたします。
  76. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまの資料の要求につきましては、でき得るだけ詳細に、御納得のいくような数字提出を求めまして、委員会提出することといたします。
  77. 堀川恭平

    堀川委員長 それでは、本日はこの程度にいたしまして、次会は明後二十日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時五十四分散会