○
遠藤国務大臣 建設省関係の
昭和三十四年度
歳入歳出予算につきまして、その概略を御
説明申し上げます。
まず総額について申し上げますと、
建設省所管の
一般会計予算といたしましては、
歳入九億一千三百余万円、
歳出一千五百二十四億二百余万円でありますが、このほかに、
予算計上の
所管は異なっておりますが、実質上
建設省所管の
事業として実施される
予定の
経費が、別途総理府に、
北海道開発関係として百九十五億七百余万円、
離島振興関係として四億八千三百万円、労働省に、
特別失業対策事業関係として三十億七千八百万円が計上されておりますので、これらを合せて前年度に比較いたしますと、
昭和三十三年度当初
予算は一千三百八十五億三千九百万円に対し、
昭和三十四年度一千七百五十四億七千一百万円でありまして、三百六十九億三千二百万円の増加となっております。
次に、個々の
事業予算について御
説明申し上げます。
第一に、
治水事業につきましては、総額三百六十八億九千四百余万円でありまして、前年度当初
予算三百二十六億八千五百余万円に比較しまして、四十二億九百余万円の増額となっております。
その
事業別内訳について申し上げますと、河川
改修等百九十一億五千六百万円、海岸保全五億四千四百万円、多
目的ダム百億九千七百余万円、砂防六十三億三百万円、機械
整備費七億九千四百万円となっておりますが、このほか、直轄河川
改修事業のうち、狩野川外七河川につきまして、その
改修工事に付帯する橋梁、水門等の工事で二カ年以上にわたる契約を必要とするものに、財政法第十五条の
規定に基く
国庫債務負担行為二十億円を
予定いたしております。
治水事業につきましては、最近における災害の発生状況にかんがみ、重要な河川の
事業の促進をはかるほか、特に小規模河川の
改修の強化及び砂防
事業の進推をはかるとともに、最近における灌漑用水、工業用水、発電用水等の諸用水の需要の増大にかんがみ、多
目的ダム
建設を促進し、治水利水の総合対策の強化に努める考えであります。また、重要海岸地帯における海岸保全施設につきましても、その
整備を推進して参りたいと考えております。
そのおもなる
事業の内容を申し上げますと、河川
改修のらち、直轄河川におきましては、継続施行中の利根川外九十三河川及び北海道開拓
事業に
関連ずる特殊河川十四河川について実施する
予定であります。
補助事業におきましては、中小河川として継続施工中の三百五河川のほか、特に緊急に
改修を要するもの二十二河川を新規採択するとともに、小規模河川の治水対策を強化するため新たにこれらの河川に対する助成を行うこととし、
昭和三十四年度において、特に緊急を要するもの五十河川について実施を
予定いたしております。また、高潮対策として継続施行中の
東京都江東地区の
事業につきましては、その促進をはかることとしておりますが、新規に大阪地区における地盤沈下対策
事業を実施するほか、隅田川、淀川の汚濁対策
事業を行うことといたしております。
砂防
事業につきましては、直轄
事業として施工中の利根川外二十四水系を継続施行するとともに、昨年大水害をこうむった狩野川水系の砂防
事業を、その緊要性にかんがみ、
昭和三十四年度以降は、直轄
事業として実施することとし、合計二十六水系について実施することといたしております。
補助事業におきましては、直轄河川等重要水系の工事の促進及び昨年甚大なる被害が発生した
地域における砂防及び地すべり
防止工事の促進に重点を置いて参りたいと考えております。
河川総合
開発事業につきましては、特定多
目的ダム
建設工事特別
会計に対する繰入金を増額する等
資金を拡充して、継続工事を促進し、岩木川目屋ダム及び肱川鹿野川ダムを完成するとともに、新規に利根川矢木沢ダム等四ダムに着工することといたしております。その他
一般会計といたしましても、継続工事を促進して矢部川日向神ダム(福岡県)及び綾川綾北ダム(宮崎県)を完成せしめるとともに、新規に空知川金山ダム(北海道)、三財川立花ダム(宮崎県)外九ダムに着工することといたしております。
最後に、海岸保全
事業につきましては、
補助事業として五十余カ所を
予定し、有明海沿岸等の堤防修築及び日本海沿岸、東播海岸等の浸蝕対策に重点を置いて実施したいと考えております。
第二に、
災害復旧関係
事業でありますが、
災害復旧関係の
予算といたしましては、総額二百八十六億五百余万円で、その内訳は
災害復旧事業費二百四十七億九千百余万円、災害
関連事業費三十八億一千三百余万円であります。
災害復旧事業につきましては、直轄
事業は
昭和三十三年以前の過年災害の全部を完了する
予定であり、
補助事業におきましては、
昭和三十一年以前の過年災にかかる残
事業の復旧を完了し、
昭和三十二年及び
昭和三十三年発生災害にかかるものについては、
国庫負担法の趣旨にのっとり、緊要工事については、おおむね三カ年で復旧を完了するよう実施したいと考えております。
また、災害
関連事業につきましては、
災害復旧工事との均衡をはかって実施することはもちろんでありますが、昨年の災害による被害の特に甚大な河川については、新規に河川助成
事業に採択して改良的復旧を行い、復旧対策の万全を期したいと考えております。
第三に、
道路整備事業について御
説明申し上げます。
ここ数年間わが国の経済の発展は予想以上であり、これに伴い
道路輸送も飛躍的に増加しつつあることは御
承知の
通りであります。
政府といたしましては、今後の経済の発展に伴い予想される
交通情勢に対処いたしまして、緊急に
道路を
整備し、もって経済基盤の強化に寄与するため、
昭和三十三年度以降五カ年間に総投資額一兆円を規模とする新しい
道路整備五カ年
計画を樹立し、
昭和三十四年度はその第二年度分として大幅に
事業量を拡大することといたしております。
このために必要な
道路整備特別
会計の
資金につきましては、
一般会計からの繰入金等を増額することとしておりますが、特に経済基盤強化
資金の投入も行われております。
昭和三十四年度の
道路事業関係
予算額は、
一般会計分九百十七億五千四百余万円で、前年度六百二十三億七百余万円に対し、二百九十四億四千七百余万円の増額となりますが、特別
会計の
借入金七十六億八千余万円を加えますと九百九十四億三千五百万円となり、前年度六百七十六億三千余万円に比較し、三百十八億四百余万円の増額となっております。
道路整備特別
会計の内容につきましては、後に御
説明申し上げますが、
一般会計には
道路整備特別
会計に対する繰入金といたしまして、
建設省に七百四十五億六千百余万円、総理府に、
北海道開発関係として百四十二億三千三百余万円、
離島振興関係として三億七千六百万円、労働省に、
特別失業対策事業関係として十五億二千九百万円、合計九百七億円が計上されております。
このほか、
昭和三十四年度におきましては、長大橋等の大規模工事で二カ年以上にわたる契約を必要とするものにつきまして、財政法第十五条の
規定に基く
国庫債務負担行為三十億円を
予定いたしております。
なお、
昭和三十三年度に引き続き、
一級国道のうち
交通量の特に多い
区間を、国が直轄で
維持修繕を行うこととしておりますが、
昭和三十四年度におきましては、さらにこの
区間を七百九十キロメートル追加いたしまして、合計約二千二百キロメートルとするとともに、
交通量の多い大
都市内において
舗装、補修等の工事を実施する場合には、極力夜間に行うこととし、
交通に
支障を及ぼさぬよう留意して参りたいと考えております。
次に、
日本道路公団の
有料道路について御
説明申し上げますと、
昭和三十四年度における
日本道路公団の
資金といたしましては、
道路整備特別
会計からの
出資金四十五億円、
資金運用部
資金の借り入れ八十四億円、民間
資金の借り入れ六十五億円、外資の導入八十九億円、合計二百八十三億円でありますが、これにより京葉
道路外十五カ所の継続
事業を促進するほか、新規
事業にも着手し、特に
高速自動車国道中央
自動車道(小牧━吹田線)及び
高速自動車国道吹田━神戸線につきましては、第三年度として本格的な
建設工事を促進することとし、公共
事業費による
道路整備とともにわが国
道路網の
整備に寄与したいと考えております。
また、最近におきましては
東京都内の
自動車交通がますます激増し、
現状のまま放置するときは、
昭和四十年には、
自動車交通が
麻痺状態となることも予想されますので、
昭和三十四年度におきましては、新たに
首都高速道路公団を設置することとしております。
同
公団の
資金といたしましては、
道路整備特別
会計からの
出資金十億円、
東京都
出資金十億円、
東京都交付金六億円、民間
資金の借り入れ九億円、合計三十五億円を
予定しておりますが、これによりまして
東京都の区の存する
区域及びその
周辺地域における
自動車専用道路及び
自動車駐車場の本格的
建設を促進する考えであります。
第四に、
都市計画事業について御
説明申し上げます。
昭和三十四年度における
都市計画事業の
予算は、総額百五十二億二千二百余万円で、前年度百八億四百余万円に比し、四十四億一千七百余万円の増であります。
このうち、
道路整備五カ年
計画の実施に要する
経費として
道路整備特別
会計に計上されております額は、百三十五億九千四百万円でありますが、これによりまして
立体交差、
舗装、橋梁及び
一般改良等の
街路事業を実施するとともに、五大市を除く各戦災
都市の復興
事業を完了し、また、戦災を免れた
都市のらち、特に人家が密集し、
街路の幅員が狭降で
交通に
支障を来たす等
都市の発展上
整備を要する
地域に対し、土地区画整理による
都市改造
事業を推進いたしたいと考えております。
なお、
一般会計に計上されております
都市計画事業関係
予算額は、総額十六億二千八百万円で、下水道、公園等の
整備をはかることといたしております。
下水道関係の
予算額は、十四億四千八百万円で、前年度に比して五億九千余万円の増でありますが、なお地方債の増額をもはかることとし、
都市施設中最もおくれている下水道
事業の促進に努める所存であります。また、
事業実施に当っては、公共水の汚濁
防止の見地から、工場廃水のはなはだしい
地域にこれを一括処理するための特別
都市下水路を設けるとともに、
道路掘り返しによる手戻り工事を極力
防止するよう、
道路整備事業の進捗状況を勘案して参りたいと考えております。
第五に、住宅対策について御
説明申し上げます。
昭和三十四年度の住宅
建設につきましては、住宅不足の現況を
昭和三十二年度以降おおむね五カ年間で安定させる既定方針に基き、
政府の
施策による住宅
建設戸数として二十一万一千戸を
計画いたしております。この戸数は、前年度と比較いたしますと一万二千戸の増となっておりますが、特に坪数の引き上げ等質の向上をはかるとともに、低額所得階層に対する低家賃住宅の供給を増加し、また、宅地取得難の現況に対処いたしまして、宅地供給量の増大及び大
都市内における既成宅地の高度利用を
計画いたしております。
また、民間自力によって
建設される住宅につきましては、最近の実績からみて、約三十五万戸程度の
建設が見込まれますので、これらを合せて
昭和三十四年度において約五十六万戸の住宅
建設を目標といたしております。
政府の
施策によって
建設する二十一万一千戸の内訳は、
公営住宅四万九千戸、住宅金融公庫融資住宅十万二千戸、日本住宅
公団が
建設する住宅三万戸及び厚生年金融資住宅等三万戸、計二十一万一千戸であります。
これに対する
予算措置といたしまして
公営住宅に対しましては、
一般会計予算として百十六億一千八百余万円を計上し、第一種住宅二万九百戸、第二種住宅二万八千一百戸、計四万九千戸の
建設に対して
補助することとしておりますが、
昭和三十四年度におきましては、六坪住宅等の狭小住宅の
建設をとりやめ、質の向上をはかるとともに、低家賃住宅の供給の増加をはかっております。
住宅金融公庫に対しましては、産業投資特別
会計からの
出資金四十五億円、
政府低利
資金二百八十五億円、合計三百三十億円を
予定しておりまして、これにより十万二千戸の住宅
建設のほか、住宅用地の取得、造成、災害による被災住宅の復興等に要する
資金の貸付を行うこととしておりますが、特に個人、分譲住宅の融資坪数の引き上げをはかるとともに、住宅用地の取得及び造成に必要な貸付
資金の大幅な増額を
計画いたしております。日本住宅
公団に対しましては、産業投資特別
会計からの
出資金七十五億円、
政府低利
資金七十七億円、民間
資金二百億円、合計三百五十二億円を
予定しており、賃貸住宅二万戸及び分譲住宅一万戸の
建設並びに宅地造成
事業等を行うことといたしております。
また、
都市における火災その他の災害の
防止をはかるとともに、不燃高層化の促進をはかるため、耐火建築物の
建設に対する助成金として、
一般会計予算において一億円を計上し、防火建築帯造成
事業を実施することといたしております。
このほか、
昭和三十四年度におきましては、
市街地再
開発の見地から、不良住宅一千戸分の清掃
事業を
計画しており、これに要する
補助金として
一般会計予算において一千四百万円を計上いたしております。
第六に、官庁営繕について御
説明申し上げますと、官公庁施設の
建設等に関する
法律の
規定により、
建設省で実施いたします官庁営繕のうち、
建設省所管予算として計上されておりますのは、二十四億二千五百余万円でありまして、前年度の十七億八千四百余万円に比し、六億四千百万円の増額となっております。
その他、
昭和三十四年度
予算中おもなるものにつきまして御
説明申し上げますと、
道路事業の画期的躍進に備えまして、地方
建設局における
道路工事関係の定員を二百九十名増員し、
事業の遂行に万全を期することといたしております。
また、
建設技術及び
建設業の海外発展の重要性にかんがみまして、
大臣官房に海外
建設協力の推進を所掌する一課を新設する等、東南アジア、中近東その他の
地域との経済協力の推進をはかることといたしました。
試験研究機関につきましては、前年度に比し八千万円以上を増額いたしまして、試験研究施設等の充実をはかることといたしました。
産業
開発青年隊は、前年度実施の直轄キャンプ六、府県キャンプ三十三を継続実施するとともに、新規に直轄三キャンプを実施することとし、その
費用として四千三百余万円を計上いたしております。
以上をもちまして
建設省関係の
一般会計予算の
説明を終りますが、次に特別
会計予算の概要を御
説明申し上げます。
まず、特定多
目的ダム
建設工事特別
会計でありますが、本
会計の
昭和三十四年度
予算総額は百三億円でありまして、
昭和三十三年度の九十一億二千八百万円に比して十一億七千二百万円の増額となっております。
この
資金の内訳といたしましては、
一般会計からの繰入金六十四億五千七百余万円、
資金運用部
資金からの借り入れ二十一億六千三百余万円、電気
事業者等の負掛金十億九千七百余万円、その他五億八千百余万円となっております。
昭和三十四年度の
事業計画といたしましては、継続
事業の岩木川目屋ダム等十三ダムの促進をはかるとともに、新規に利根川矢木沢ダム及び下久保ダム、筑後川下筌ダム並びに川内川鶴田ダムの合計四ダムについて実施
計画調査を行うこととなっております。
次に、
道路整備特別
会計でありますが、本特別
会計の
昭和三十四年度
予算総額は、千五億六千百余万円でありまして、この
資金の内訳は、さきに申し上げました
一般会計からの繰入金九百七億円のほかに、直轄
道路事業の地方
負担金相当額の
資金運用部
資金からの借り入れ七十六億八千余万円、付帯工事納付金、受託工事納付金、雑収入及び予備収入二十一億八千余万円となっております。
その
歳出の内訳といたしましては、
一般道路事業に七百四十六億二千六百余万円、
街路事業に百三十五億九千四百万円、機械
整備事業に四十六億六千余万円、
日本道路公団出資金として四十五億円、
首都高速道路公団出資金として十億円、その他付帯工事、受託工事、予備費等に二十一億八千余万円を充当いたしております。
なお、
一般道路事業及び
街路事業の中には、前年度に引続き、臨時就労対策
事業として七十七億円、特別失業対策
事業として十五億二千九百万円を
予定いたしまして、失業者の吸収をもあわせてはかるほか、積雪寒冷特別
地域に対する
経費として、機械費を合せて十七億七千万円が含まれております。
以上をもちまして、
昭和三十四年度の
建設省関係の
一般会計予算及び特別
会計予算の
説明を終りますが、御
審議のほどをよろしくお願い申し上げます。