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佐藤国務
大臣 問題は、ただいま御指摘になりましたように、予見し得た事項ではないか、また予見したらどうして一般本予算に組まないのかということだろうと思います。これは扱い方といたしまして、いろいろ私
どもも苦心をいたした点でございます。実は大へん苦慮をいたしたのでございます。予算を二
通り作ることも、また今回のようにすぐ引き続いて
提案することも、これは異例です。また、事柄が事柄でありますだけに、どういうように処置したらいいか、実は
相当工夫いたしたつもりであります。ことに今回の増資割当につきましては、
日本としては
相当多額の割当を引き受ける意向を事前に漏らしております。いわゆる平均のところではない割当まで要求をいたしておりますので、問題はそこにあるわけであります。今
お話になりましたように、昨年の十月にインドで増資を
決議し、それからさらにその増資の
総会の
決議に基きまして、もう昨日も
お話したことだと思いますが、十二月十九日に
理事会が報告及び
決議案を作り、十二月二十二日に、今度は各総務あてに、割当
決定の投票開始の通知をしておるということでございます。
日本が
賛成投票をいたしましたのは一月二十六日という経過でありますし、最後に一月二十九日になりまして
——二十九日のところではまだ法定の投票数を得ておりませんが、三十一日になりますと、おおむね法定の投票率まで票を獲得ができたということでございます。この経過は、昨日詳しく申し上げたことだと思います。そこで私
どもが非常に心配をいたしましたことは、ただいま申し上げますように、
日本が非常に強く要望しておることで、できるだけ早く予算に計上することの方が
日本の意向といいますか、これをはっきりさす上においても有効じゃないか、さらにまた財政法上の根本から見ても、それも差しつかえないことじゃないか、こういう議論も省内ではもちろんいたしたのであります。しかしながら、事柄がIMFや世銀でありますし、また参加国も非常に多いことでございます。しかも、
日本が普通のクォーターより以上の割当を受けるということでございますので、事前にその種の
手続をとるということは、加盟国に対しましても礼儀を失すことじゃないか。また、財政法的に
考えてみますと、世銀がこれを
決定したというだけで、もう予見し得る必要な支出だということも、やや早計な感じがする。はっきり申しますならば、五分の四なり、あるいは四分の三なりの投票数をIMFや世銀でとったときが、はっきり予算を提出するといいますか、組む義務を生ずるといいますか、そのときに確度とでも申しますか、これが非常に強くなる。予見はなるほどできますけれ
ども、予見の確度を確かめるのには、この程度まで待つ方がよろしいんじゃないか、それが、同時に多数の参加国に対しましても、礼を失しないゆえんじゃないか。そこで、実は大へん
手続は複雑になると
考えましたが、やむを得ず、本予算に計上しないで、補正で組むことにいたしたのであります。
同時に、もう
一つ御了承をお願いしたいのは、在来の補正予算が出ておりますのは、大体予算編成後に生じた事由によって補正予算を組みますけれ
ども、本予算の総括質問の最中に補正予算を出したような例は、実はないのであります。ことに払い込みの実際の時期は
相当おくれるのでありますから、十分審議をいただくといたしましても、総括質問中に出すということは一体どうだろうかということも、実は
考えたのであります。先ほど来申しますように、IMFや世銀の多数の加盟国の諸君も
賛成してくれたものだ、こういうことであれば、やはり事前からもいろいろの御議論があるようなことでもあるし、また異例には属することのようだが、予算編成後にはっきり生じた事由によって補正予算を組むんだから、これは一日も早く
提案して、皆様の御審議も得、同時にまた
関係諸国に対しても
日本の熱意を示すことが本筋だろうというので、非常に率直な、実は編成なり
取扱い方をいたしたわけであります。