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1959-03-25 第31回国会 衆議院 外務委員会 第16号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十四年三月二十五日(水曜日) 午前十一時三分
開議
出席委員
委員長
櫻内
義雄君
理事
宇都宮徳馬
君
理事
佐々木盛雄
君
理事
床次
徳二
君
理事
中曽根康弘
君
理事
戸叶
里子君
理事
松本
七郎
君
理事
森島 守人君 菊池 義郎君 小林
絹治
君
椎熊
三郎
君 千葉
三郎
君 野田 武夫君 福家 俊一君
前尾繁三郎
君 森下 國雄君 山村新治郎君 大西 正道君 岡田 春夫君 帆足 計君
穗積
七郎
君
出席政府委員
外務政務次官
竹内 俊吉君
外務事務官
(
アジア局長
) 板垣 修君
外務事務官
(
条約局長
) 高橋 通敏君
農林事務官
(
水産庁次長
)
西村健次郎
君
委員外
の
出席者
専 門 員 佐藤 敏人君 ――
―――――――――――
三月二十四日
委員日野吉夫
君辞任につき、その補欠として高 田富之君が議長の指名で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
三月二十五日
所得
に対する
租税
に関する二重
課税
の
回避
及び
脱税
の
防止
のための
日本国
と
デンマーク王国
と の間の
条約
の
締結
について
承認
を求めるの件(
条約
第九号)(
参議院送付
) は本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
三月二十四日
存日朝鮮人
の
帰国促進
に関する
陳情書
(第四四九号) 同(第四五〇 号) 同(第四五一号) 同(第四五二号) 同 (第四五三号) 同(第四八四号) 同(第四八五号) 同(第五 二五号) 同(第五二六 号) 同(第五五三号)
日中関係打開
に関する
陳情書
(第四 八三号)
在日朝鮮人
の
北朝鮮
への
帰還反対
に関する
陳情
書(第 四八六号)
在日朝鮮人
の帰国問題に関する
陳情書
(第四八七号)
浜久丸
の
釈放等促進
に関する
陳情書
(第五二二号)
国連憲章
再
審議
に関する
陳情書
(第五四二号) 日韓問題に関する
陳情書
(第五五二号)
在日朝鮮人
の
帰国促進等
に関する
陳情書
(第五五四号)
在日朝鮮人
の
北朝鮮帰還反対
に関する
陳情書
(第五五五号) 同(第五 五六号)
韓国抑留漁夫
の
帰還促進
に関する
陳情書
(第五五七号) は本
委員会
に参考送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した
案件
所得
に対する
租税
に関する二重
課税
の
回避
及び
脱税
の
防止
のための
日本国
と
デンマーク王国
と の間の
条約
の
締結
について
承認
を求めるの件(
条約
第九号)(
参議院送付
)
国際情勢
に関する件 ――――◇―――――
櫻内義雄
1
○
櫻内委員長
これより
会議
を開きます。 まず
日ソ漁業交渉
の問題について
水産庁当局
より
発言
を求められておりますので、これを許します。
西村政府委員
。
西村健次郎
2
○
西村
(健)
政府委員
ただいま開かれております
日ソ
の
漁業委員会
の
交渉
の
経過
につきまして、そのごくあらましを御
報告
申し上げたいと思います。 ただいまの
委員会
は
条約
に基く第三回の
委員会
ということになっております。 去る一月十二日に
会議
を開きまして、まず
最初
に
議事日程
の
採択
ということで二日ばかり時を費しました。これは
議事日程
の順序ということで
日ソ
間に
意見
の相違がありまして、そこでひまどったわけであります。結局
議事日程
は二、三日ほど要しまして
採択
になりました。その後におきまして、まず
議事日程
の第十一番に入りました。この十一番からが
議事日程
の実質的な
番議内容
でありまして、それまでは
会議
の
議事手続
のようなものでございます。十一番に入りまして、ここでまず
ソ連
から前年における
条約
の諸
規定
及び
会議
で
決定
されたことの
実施
に関する
双方
の通報ということがありました。ここで一番大きな問題として、
ソ連並び
に
日本側
から
違反船
の
通告
がありました。これにつきましては一口に申し上げますと、
日本側
の
違反船
ここに無
許可船
の数が非常に多いということで、
双方
でいろいろ
論議
を重ねました結果、
委員会
の
最初
の
決定
といたしまして、
決議
という格好で、「
委員会
は、
条約
及び
委員会
の
決定
により、
サケ
、
マス漁業
につき定められた
漁業規定
の
実施
を保障するため、両
条約締約国政府
が
適正かつ
より効果的な
措置
をとるよう勧告する。」これは
双方
双務的なことになっておりますが、実際にはこの
違反船
というものが
日本側
に非常に多いわけでありまして、端的に申し上げますと、この点についてより取締りを強化する、そういうことを
両国政府
に勧告するという
決議
を
採択
したわけであります。 そこで
議事日程
の第十一を終りまして、次に、
議事日程
の第十二、
サケ
、
マス
の
資源状態
、それから
規制区域
内における
年間
総
漁獲量
の
決定
及び
漁業
の
規制
、この、
サケ
、
マス
について最も実質的な重要な
議題
に入ったわけです。そこでまず
サケ
、
マス
の
資源状態
ということから
論議
が始まったわけであります。これが一月二十二日の第八回の本
会議
であります。ここで
双方
から
サケ
、
マス
の
資源状態
についての一般的な
見解
が表明され、さらにこの場におきまして、
日本側
の
見解
といたしまして、本年の総
漁獲量
も一昨年を下回ることはないということをもちまして十六万五千トンというものを
委員会
に
提案
したわけであります。これに対してもちろん
ソ連
として何らの反応を示さず、そこで、
サケ
、
マス
の
資源状態
につきまして
科学技術小委員会
に付託するということに相なったわけでございます。越えて一月二十八日に
科学技術小委員会
が開かれまして、
サケ
、
マス
の
資源状態
について
審議
に入ったわけであります。この
サケ
、
マス
の
資源状態
の
審議
に関しまする
科学技術小委員会
は、一月二十八日に始まりまして、三月六日に、
科学技術小委員会
としての
サケ
、
マス
の
資源状態
についての
審議
は一応終っております。 この
科学技術小委員会
で討議しましたことは、第一番目に、
サケ
、
マス
の
資源状態
の
評価
ということの一般的な問題、第二に、
サケ
、
マス
の未
成熟魚
、まだ成熟してない魚、これの問題、それから第三番目に、
マス
についての
資源
の問題、第四番目にシロについての問題、第五番目がベニの問題、第六番目がギン及び
マスノスケ
の問題、第七番目といたしまして、一九五九年、本年における
サケ
、
マス資源
の一般的な
評価
、こういうような七
項目
でありまして、これについて
日ソ双方
におきまして
意見
が戦わされたわけでございます。この
内容等
につきましてはまた後ほど申し上げようと思いますが、三月六日にただいま申し上げましたように
科学技術小委員会
で
サケ
、
マス
の
資源状態
についての
審議
が終りまして、直ちに本
会議
にこれを
報告
し、同
日本会議
が
科学技術小委員会
の
報告
を
採択
、同日より次の問題であります
規制措置
の
問題——規制措置
と申しますと、
漁期
の問題とか
禁止区域
の問題といった実質的な
漁業
の
規制
の
内容
についての問題でございます。この
審議
に入ったわけでございます。 この
審議
に入りました際におきまして、すでに
新聞等
で御
承知
と思いますけれ
ども
、本年
ソ連側
から、
日本
の
北洋規制区域
内における
サケ
、
マス漁業
の
操業区域
及び
操業
の始期及び終期について、非常に重大なる
提案
があったわけでございます。その
内容
はすでに
新聞等
で御存じと思いますので、ここにあらためて申し上げませんが、これにつきましては
日本国内
においてわれわれといたしましても非常なショックを受けた
内容
でございます。 次に、三月七日の本
会議
におきまして、さらに
ソ連側
より
ベニザケ
の
規制
というような問題も
一つ提案
がありました。そのほか
サケ
、
マス
の問題としましては
えな
わ
漁業
というなわ
漁業
がございます。これについての
ソ連側
の
提案
もございました。話は前後いたしますが、これにつきましては大体
日ソ両国
間で
合意
に達しまして、当初
ソ連
は非常に
ドラスティック
な案を出しましたけれ
ども
、結局これにつきましては、
日本側
がこれ以上は
えな
わ
漁業
の規模を増大しないということで
合意
に達しました。ただ
先ほど
申し上げました
ソ連側
の
規制措置
、禁漁区、
漁期
についての
提案
につきましては、その後
双方
において
見解
が
対立
したまま今日に至っているわけでございます。
日本側
としましては、御
承知
のようにこれらの
規制措置
のほかに、この
議題
十二における最も重要な問題、
年間
総
漁獲量
の
決定
ということにつきまして一日も早く
審議
に入る必要もありますので、その後本
会議
から引き続き
日ソ両国
の
委員
だけの非公式な会談をしばしば開きまして、局面の
打開
に努めているわけでございます。さらに一両日前よりは、本
会議
を開き、この
規制措置
について引き続き
審議
を進めているような
状態
でございます。 ごく簡単に日時的に
経過
を申し上げますと以上のようなことでございますが、多少
内容
に入りまして申し上げますと、まず
サケ
、
マス
の
資源状態
ということが実質的に非常に大きな問題として当初
審議
されたわけでございます。結局
サケ
、
マス
の
資源状態
についての
日ソ両国
間の
見解
と申しますか、これは
対立
したまま
平行線
をたどった形になっておる。 〔
委員長退席
、
佐々木
(盛)
委員長代理着席
〕 従いまして、
先ほど
の
科学技術小委員会
のレポート、本
会議
に対する
報告
もおおむねそのような
方向
で表現されておる次第でございます。この
資源状態
の問題及び
規制措置
がやはり総
漁獲量
の
決定
と
密接不可分
の
関係
にありますもので、いずれにしましても、わが方としては言うべきことを言い、
向う
のことも聞き、
双方
の
見解
が今申し上げましたように
対立
しているがために非常にひまどっているわけでございますが、まず
資源状態
につきまして
ソ連側
の基本的な
考え方
を一口に申しますと、これは生物学的な問題になりますが、
資源状態
の判断をするために
沿岸区域
の
親魚
、川に上ってくる
親魚
及び産卵して下っていく稚魚によって
資源状態
を判断すべきである。要するに
サケ
、
マス
の
淡水生活
、
河川
における
生活期
の
生物学的資料
に基いて
資源状態
は判断すべきだ、これが
ソ連側
の
主張
であります。
日本側
としましては、
沿岸
の
生物学的資料
を無視することはもちろんできませんが、現在の
段階
におきましては、これはきわめて不十分で、
基礎
にできない。さらに一方
海洋
における
サケ
、
マス
の
生活
というものも重要なものである。わが方といたしましては、結局現在の
段階
におきましては、長い間の
漁獲統計
を生物学的な
基盤
で分析して判断することが正しいというような、
一つ
の
主張
の
対立
があるわけでございます。そのほか、たとえば
ソ連側
は、
沖取り漁業
は
沿岸漁業
にきわめて大きな
影響
を与えるということを言っておる。あるいは
日本
の
沖取り漁業
は、これは相当技術的になりますが、未
成熟魚
を非常に多くとっている。それから
日本
がよく、先回の
委員会
でも言っております
サケ
、
マス
の未
利用資源
ということを言うが、これはないというようなこと、それから全体として総
漁獲量
の
決定
について一番大きな要素を占めます
マス
の
資源
につきましては、
ソ連
では従来は
奇数年
が
豊漁年
で
偶数年
が
不漁年
とされておったのでありますが、近年になりますと、
豊不漁
の
反対循環
というものが現われてきて、
カムチャッカ
、オホーツクの方は
奇数年
が
豊漁
だが、アムールとか樺太、千島という方はむしろ逆に
奇数年
が
不漁
である。従って、本年は
豊漁年
と一般にはいわれておるけれ
ども
、むしろ
低位豊漁年
であるというようなことを
ソ連側
は言っておるわけでございます。
日本側
としましては、これらの
ソ連側
の
主張
に対しまして一々われわれとしての論拠をもちまして反駁しておるわけでございますが、たとえば
沖取り漁業
が
沿岸漁獲
に大きな
影響
を及ぼすということにつきまして、
影響
が皆無だとはもちろん私
ども
は申しませんが、その
性格
及び
影響
の
程度
というものの
評価
につきましては、
ソ連側
と
見解
を異にしておるということ、それから
沖合い
と
沿岸
との
資源
を
評価
する場合には、
沿岸
の個々の
区域
について考えてはならない、全般的に総合的に考えるべきではないかというようなこと、それから
先ほど
の
サケ
、
マス
の未
利用資源
はないということを
ソ連側
は言っておりますけれ
ども
、
日本側
としては、それはあるはずだ、と申しますのは、
カムチャッカ
なり
極東水域
の幾百の
河川
に
サケ
、
マス
が上るわけでございます。現実にそのうち
漁獲
として利用されておる
河川
はごく一部である。従って、ほかの
河川
に上る
サケ
についてはこれはいたずらに死滅するだけである。従って
沖合い
で
漁獲
する場合におきましては、特定の
河川
の
サケ
、
マス
のみをとるのではなく、全般的としてとるわけですから、結局そういう未
利用資源
というものを
沖合い
でとり得るというようなことは従来からの
日本
の
主張
であります。この点については、
日本側
としても本年も強く
主張
しておるわけであります。 さらに
沖取り漁業
と
沿岸漁業
との
関係
につきましては、
日本側
として従来から言っております
沖合い
における
サケ
、
マス
の死亡というものが、
河川
に
上り成魚
となった時期において、従来考えられたよりもはるかに多いのではないかということで、その
調査
を昨年から始めました。まだ完全な
データ
ではございませんが、中間的な
データ
をもってこれを裏づけるべく
主張
もしておる、こういうようなことをいたしております。結局
資源状態
につきましてはいろいろ問題はありますけれ
ども
、いずれにいたしましても
ソ連側
と
日本側
との基本的な
考え方
、
見解
というものが違っている場合がございますので、
先ほど
申し上げましたように
科学技術小委員会
の
報告
は平行的なものとしてあげられている、こういうことで本
会議
に
報告
されたわけでございます。 次に
規制措置
につきまして、
先ほど
申し上げましたように、すでに
新聞
で御
承知
のような
一定
の
たんざく
型の区画を作りまして、そこを
操業区域
として、しかも
漁業
の期間を切ってくるという非常に
ドラスティック
な
提案
が
向う
からあったわけでございます。これにつきまして私
ども
としては、従来からこの
漁業条約
で予定されているものは
禁止区域
であります。これは
資源
の
保存
のために必要な
禁止区域
ということでありまして、この
条約
の
精神そのもの
からいって、公海における
漁業
の自由ということを
基盤
にしつつ、そこに必要な
資源保存
のための
規制措置
を講じて、
禁止区域
というものが
サケ
、
マス
の生態というものから考えますと
河川
の
沿岸
あるいは
河川
の周辺というもので必要である、昨年まではそういうふうな
禁止区域
で
両国
間に
合意
が達せられたわけであります。
ソ連側
のことしのような
提案
は、
条約
の
精神そのもの
からいってはなはだおもしろくないものであると同時に、実際に
資源保存
のためにも必要でないものであるということで、わが方としましては従来と同様な
沿岸
における
禁止区域
というものを
反対提案
として出しておるわけでございます。この点につきましては、
先ほど
の
資源状態
というものと関連いたしまして、
ソ連側
は相当強い
態度
をもってきておる。これは
先ほど
も申し上げましたように、次に来たるべき
年間
総
漁獲量
の
決定
というものの
前提要件
となる事項だけに、これにつきましては、これからの
話し合い
がなかなかむずかしいのではないか、こう思っておる次第でございます。 ただいまのところは大体その
程度
でございますが、ただここで
一つ
、あるいはこれは
経過
の
報告
の一部と思いますけれ
ども
、本年におきます
ソ連側
の
態度
というものは
——
これは
条約
上当然であろうと思いますけれ
ども
、
委員会
において全部物事をきめていく、総
漁獲量
も
決定
する、他のすべての
案件
も
決定
することになっておりますので、あくまで
資源論
なり、あるいは
規制措置
なり、全体の一環としまして
漁獲量
をきめていくということの
態度
が、むしろ従来より明らかに出ているように私
ども
は看取されるのであります。この点は
条約
の本旨からいえば当然なことであります。従いまして
委員会
といたしましては、現在デッド・ロックと言っては言い過ぎだろうと思いますけれ
ども
、
一つ
一つ
問題を片づけるべく
両者
の
委員
によりまして毎日おそくまで
会議
を続け問題を進展させていきたい、こういうふうに考えております。 それからただいまは
議題
十二まででございますが、このあとに
議題
十三としましては
ニシン
の問題、それから
議題
十四としまして
カニ
の問題、これらの問題が控えておる。その他の二、三の問題もございますが、実質的な問題としましては
サケ
、
マス
のほかに、
ニシン
及び
カニ
についての
審議
というものが、大きな
議題
として残されておるわけであります。これにつきましては
サケ
、
マス
についての
議題
を終了しました後におきまして
——議題
の終了といいますか、一応全部の
議題
に当りましたときにおきまして、これらの問題に入っていく、こういうことにおそらくなろうかというふうに思っております。 大へん簡単でございましたけれ
ども
、一応御
報告
申し上げ、なお御
質問
がございましたらお答えいたしたいと思います。
佐々木盛雄
3
○
佐々木
(盛)
委員長代理
ただいまの
発言
に関し質疑の
通告
がありますので、これを許します。
床次徳二
君。
床次徳二
4
○
床次委員
目下漁業交渉
は
交渉
中でありますので、私といたしましては
日本側
の代表が十分にわが方の
意見
を
主張
し、その目的を貫徹せられるよう要望するわけでございますが、一言お尋ねしておきたいと思います。 毎年
交渉
をいたしているのでありますが、ただいまお話がありましたように、本来科学的に
漁獲量
というものがきまって、これを
基礎
に毎年円満に進行すべきが
条約
の
建前
だと思いますが、実際面におきましてはそういう結果になっておらない。
政治的妥結
を毎年繰り返しておるのであります。しかもその結果が毎年々々わが方の
漁獲高
の制限という形、また
規制
の強化という形になって結末をつけているという
状態
に対しましては、はなはだ遺憾な
感じ
を持つのでありまして、国民といたしましてもこの点納得しがたいと思うのであります。 それに関して伺うのでありますが、科学的に各小
委員会
がそれぞれ努力しておられるのでありますが、今日まで
科学的取扱い
に関する
見解
が小
委員会
において大体
一定
の
方向
にまとまりつつあるかどうかということをお伺いいたしたいのであります。常に
対立
だけしているのか、あるいはある
程度
まで全般的な立場から見まして
一つ
の共通な結論に
向う
ものがあるのかどうかということについてお尋ねしたいのです。
西村健次郎
5
○
西村
(健)
政府委員
結局
規制措置
は
漁獲量
を
前提
として
——規制措置
と申しますか、全体といたしましては要するに
サケ
、
マス
の
資源状態
の
評価
というものが
前提
になるだろうと思います。これにつきまして
先ほど
申し上げましたように、
科学技術小委員会
におきましては
資源論
に関し七つの
項目
について
議論
をして、おおむね
平行線
をたどっているということを申し上げます。遺憾ながらこれらにつきましては
一致
を見ておるかおらないかということはニュアンスの問題もございます。たとえば
沖取り漁業
が
沿岸漁業
に
影響
を及ぼすかどうかという問題、これにつきまして
日本側
としては
影響
は皆無だとは言
えな
い。それは
影響
があるという言葉で言えば、これは
一致
しているわけであります。しかし単に
影響
があるというだけでは問題は片づかないわけであります。
日本側
としましてはその
関係
がどういうふうな
性格
であるか、
影響
の度合いとか、それから
評価
、
影響
の
程度
というような問題を
前提
として考
えな
いといけない。そういうところまでこれを具体的にと申しますか考えますと、この
沿岸
、
沖合い
の問題もまとまっていない、こう言わざるを得ないということになるわけでございます。もちろん
日ソ漁業条約
というのは、他の
漁業条約
と同様に
科学的調査
に基きまして、政治的という意味でなしに、科学的なべースの上に立っていろいろな
措置
をきめていくものでありますから、
方向
としてはその
方向
にいくべきでありますけれ
ども
、
先ほど
も申し上げますように、
ソ連
は
沿岸
についてのみの
漁業
をしている、
日本
は
沖取り漁業
をしているということで、本質的に両方の
漁業
の態様も違いますので、これらが全体として
一つ
の同じ場合において
議論
ができるようになるということが、今までのところなかなかむずかしい、こういうことが根本的なところであろうかと思います。もちろん将来におきまして、
科学的知見
が増し、その結果
両者
において
見解
の
一致
するものも出てくることは十分考えられます。こういうふうに私は考えております。
床次徳二
6
○
床次委員
本年の
科学技術小委員会
において、
意見
の
対立
しておることはわかったのでありますが、過去において数回毎年々々やはり同様の問題を議しておると思いますが、過去の
意見
の
対立
というものの推移から見まして、依然として当初から今日に至るまで毎年々々
対立
のままにきているのかどうか。
西村健次郎
7
○
西村
(健)
政府委員
一般的に申し上げまして、私がただいま申し上げましたように、
ソ連
は
沿岸
、ことに
淡水域
における
サケ
、
マス
という基本的な
態度
、
日本側
はやはり
海洋
におけるこれまでの
漁業
としての経験でございます。
データ
もその方からとっております。従いまして、そういう基本的なベースの違いということがありますので、
程度
とか、具体的な問題、これは違いまするけれ
ども
……。 〔
佐々木
(盛)
委員長代理退席
、
委員長着席
〕従来とも
ソ連
と
日本側
とが
生物学論争
において、完全な
一致
をいたしたということには参っておらないのであります。ことしのみ特にきわだって
対立
しておるということく見る必要もなかろう、こう思っております。
床次徳二
8
○
床次委員
従って科学的な
データ
の上に
漁獲量
その他
規制
が行われることになっておる
条約
上の
建前
でありながら、実際面におきましては、なかなかその
条約
上の
建前
通り
実施
されていないというところに、はなはだ遺憾な
感じ
を持つわけであります。
一つ政府
におかれましても、一そうこの間の
折衝
において新しい進展を見るように努力されんことをこの際要望して
質問
を終ります。
椎熊三郎
9
○
椎熊委員
関連して。今のは
サケ
、
マス
に関する
委員会
の問題を取り上げて、御
論議
になっておるようですが、それに関連して、北海道で最も
関係
の深い
コンブ
の問題なんですね。
歯舞
、
色丹
が
釧路コンブ
の主産地です。これは領海の問題に引っかかって、そこへとりに行くとたまたま拿捕されるという場合が非常に多い、しかしながら
歯舞
、
色丹
は目の前にある島なんですから、そこで
零細漁民
が自由に
コンブ
を採取できないということになると、これまた非常に大きな問題になる。今度の
委員会
ではそういう問題にまで触れて
論議
せられておるのかどうかということなんです。
西村健次郎
10
○
西村
(健)
政府委員
今度の
委員会
におきましては今
椎熊委員
の御指摘の点については、全然これは討議の
対象
に上っておりません。
椎熊三郎
11
○
椎熊委員
そうすると
旧来通り
、今までは危険を冒しつつとっておるのですが、そういう
状態
でことしも続けられていくので、何ら
沿岸漁民
が保障されないことになるのだが、そういう点を等閑に付しておいていいのかどうか、こういう機会にこそお
話し合い
があってしかるべきだと思うのですが、どういうものでしょうか。
西村健次郎
12
○
西村
(健)
政府委員
御
承知
のように、現在の
日ソ漁業条約
におきまして、
条約区域
内において
規制
の
対象
となる
魚種
は
サケ
、
マス
、ギンザケ、
ベニザケ
、
マスノスケ
の五種の
サケ
、
マス
でございます。そのほかに
カニ
と
ニシン
につきましてはこれはやはり
規制
がございます。それだけでございます。
コンブ
とか、そういう海藻の採取あるいは
色丹あたり
のほかの
漁業
がございますが、こういう問題は
条約
の
規制
の
対象
にはなっておらないわけでございまして、この点は全然別個の問題で、御
承知
のように、昨年もたまたま
日ソ漁業委員会
の第二回の
委員会
がモスクワに開かれました際にも、
委員会
の場においてではなく、並行的に
門脇大使
から
向う
に申し入れをした、こういうことになっております。私の方としましては、この問題につきましては、従来から一刻も早く、あの辺におきまする
零細漁民
が安全に
操業
できるように、そういう日の実現することを強く願っておるわけでございます。
椎熊三郎
13
○
椎熊委員
今の問題は、今度の
委員会等
と別個に
外交折衝
として従来もやっておるが、今後もそういうことを続けていくというように了解していいわけですね。
西村健次郎
14
○
西村
(健)
政府委員
外交折衝
になりますと、ここに
外務政務次官
もおられますけれ
ども
、私がそこを申し上げると僣越でございます。私
ども
としては、
先ほど
申したように、従来も外務省にお願いして、その点は強く言っていただく、その点は変りございません。
椎熊三郎
15
○
椎熊委員
わかりました。
佐々木盛雄
16
○
佐々木
(盛)
委員
関連して承わっておきたいのでありますが、今度の、突然
ソ連
の出して参りました禁漁
区域
の設定並びに
漁期
の制限の設定、これは非常に重大なものであり、かつまた先刻来の説明を承わりましても、元来の
日ソ漁業条約
の根本精神をじゆうりんしたものだ、われわれはかように考えるわけです。そこで、今のお話を承わっておりますと、その一番問題の総
漁獲量
の
決定
の
基礎
をなすものは、やはり
資源論
であると思うのです。ところがこの
資源論
において、
日ソ両国
は全く相
対立
する立場に立っておるわけであります。しかりとするならば、最後の総
漁獲量
決定
のときにも、この
資源論
というものが持ち込まれていって、そうして根本的に
意見
が
対立
してくる、こういうことになる危険性が非常に強いと思うのでありますが、そういうことになる見込みではございませんか。
西村健次郎
17
○
西村
(健)
政府委員
逆に申し上げますと、かりに
資源論
で
日ソ
間に
意見
が
一致
すれば、総
漁獲量
というものも当然出てくるということもいえるだろう。従いまして、今御指摘のように総
漁獲量
の
決定
というものは、やはり
資源論
というものと
密接不可分
なものでございますから、
資源論
でぴったり
一致
した上でないと、総
漁獲量
がきまらないということになると、これはなかなか容易なことできまらない、こういうことになるかと思います。その辺に
日ソ漁業委員会
と申しますか、この
交渉
の従来からの非常なむずかしさ、
条約
そのものに書いてある通りになかなかぴたっといかない事情もあるか、こういうふうに考えております。
佐々木盛雄
18
○
佐々木
(盛)
委員
そうすると、最終的にはこれは政治的に
話し合い
で解決をするということになると思うのです。そのときに十六万五千トンという一昨年の線を割らないで現状維持ができるというような大体のお見込みでありますか。
西村健次郎
19
○
西村
(健)
政府委員
そうすると政治的解決というお話でございますが、政治的解決という意味はいろいろあろうかと思いますけれ
ども
、要するに
委員会
のべース以外で解決するということが政治的であれば
——
これは何も、
先ほど
申しました
委員会
で
決定
することも可能だと思います。というのは、やはり
資源論
の論争につきまして
両者
の
意見
が平行しておりましても、
委員会
におきまして
両者
が歩み寄りしまして、そのおのおのの多少の妥協ということも考えられる。そうして
委員会
で総
漁獲量
をきめるということも、これはもちろん可能であります。
資源論
について、
先ほど
のような基本的な
考え方
が
平行線
をたどっておりますがゆえに、必ず政治的といいますか、
委員会
外の、場の外におきまして解決がされるということには私はならないと思います。 そこで十六万五千トンというものは、
日本側
といたしまして、これは何も政治的な数字として出したわけでございません。一昨年十六万五千トンというものを
提案
いたしました、その際におけるわが方の
主張
のべース、その
基礎
としての
データ
を、いろいろ事前において十分検討いたし、さらに本年もこの量を
提案
する以前におきまして、わが方としての総
漁獲量
、過去の
漁獲
実績、あるいはその他のものからあるいは罹網率と申しますか、網にかかる
サケ
の率、こういうものから本年における量はどの
程度
であるかということを考えました際におきましては、やはり一昨年よりことしの方が
資源
的には悪いということはどうしても出てこない、むしろほかの数字を出すことによってかえってこれは政治的な数字として扱えるということで、十六万五千というものを出したわけであります。これをどのように固執しますか、これは二国間の
話し合い
の問題でございまして、私がその点につきまして今お答えするわけにはちょっと参りません。
佐々木盛雄
20
○
佐々木
(盛)
委員
あなたの事務当局の立場はよくわかりますが、その
資源論
から出てきて
規制区域
の中にさらに禁漁
区域
を設けるという
ソ連側
の
提案
あるいは
漁期
についても制限をする、そうなりますと、今までの
日ソ漁業条約
の公海
漁業
自由の原則というものを根底からくつがえす立場に立っての
提案
であるとわれわれは考えるわけであります。かりに
話し合い
によって十六万五千トンをあるいは十五万トンにする、十万トンにするというような
交渉
になったときに、その
前提
はどうなんです。いわゆる公海
漁業
自由という原則をじゅうりんした禁漁
区域
の設定とかあるいは
漁期
の制限、こういうものに対して
日本側
はある
程度
妥協をするのですか、そういう基本原則には断固としてわが方は応じることはできないという立場をとっていかれるのか、どうです。
西村健次郎
21
○
西村
(健)
政府委員
今の点お答え申し上げますが、
条約
そのものが
先ほど
も多少申し上げましたが、
規制区域
というものを定めまして、その中で必要な
規制措置
を行うということになっております。それでたとえば
保存
のための禁漁区が必要ならば、
先ほど
申し上げましたように、
資源保存
のために必要なところにとどめるべきである、これは方式としてはいろいろあろうかと思います。
日ソ
条約
が予定しているものはそういう禁漁区というようなもの、たとえばベニにつきましては相当広い
区域
が七月二十日以降に設定されておる、こういう方式でやっております。わが方としまして今度
ソ連側
の
提案
しましたもの、これについてもちろん私
ども
の方としては反対しておりますが、むしろ禁漁区という
規制区域
の中に
操業
を許される
区域
を
たんざく
型に認める、こういうことはやはり
ソ連
としてはおそらくはかのところを広い
区域
を禁漁区にすることは
資源保存
のために必要である、おそらくそういう
主張
でございましょう。そもそも
条約
の予定しているところとだいぶ違うじゃないか、そういうことになりますと、単なる量的な問題じゃなく、質的な問題
——
公海自由の原則というものに基いて
条約
が予想しているところとだいぶ違うということで、
日本側
としては強くこれに対しては反対の
態度
を表明しておるわけでございます。
佐々木盛雄
22
○
佐々木
(盛)
委員
そうすると、具体的に今までの
条約
による
規制区域
の中に
ソ連側
の
提案
により新しい禁漁
区域
が設けられますと、その地域はどうですか、面積、海面というものは、もし
ソ連
の
提案
を受諾したとするなれば、実際に魚のとれる地域はどのくらい狭められてくるのですか。
西村健次郎
23
○
西村
(健)
政府委員
私の聞きましたところで、今正確な数字を持っておりませんが、たしか全体の
区域
の一八%が
操業
を認められる
区域
でございます。
ソ連側
の当初の
提案
につきましてはそういうことになろうかと思います。
佐々木盛雄
24
○
佐々木
(盛)
委員
操業
を認められる
区域
が一八%ということは、禁漁
区域
が約八〇%ということなんですね。そうすると従来
条約
によって認められておった
区域
の中の八〇%が禁漁
区域
になるということでしょう。これは重大な公海自由の原則というものを根本から踏みにじったところの
提案
であって、これに
日本
が応ずるというわけには私は原則論からいっても参らないと思うのです。それからもう
一つ
は、かりに八〇%が禁漁
区域
になったときに、実際問題として十六万五千トンというものはどれくらいに減ってくるのですか。
西村健次郎
25
○
西村
(健)
政府委員
これは毎年の漁況が変っておりますし、海流状況等も違いますので、ぴたっとそこへ
——
日本
の北洋における
漁業
のパターンと申しますか方式と申しますか、まだ年数が浅いものでございますから、たとえば五六年はブルガーニン・ラインの東寄りで
操業
しておる、五七年は非常に
豊漁
だ、五八年は昨年、ですから
一定
の数字はこれというふうになかなか出にくいのでございます。しかし私
ども
としては三万トンもとれないのじゃないか、二万七、八千トンか九千トンがあの
区域
であの期間フルにやるとしましてもとれる最大量であろうと思います。
佐々木盛雄
26
○
佐々木
(盛)
委員
面積において八〇%が禁漁
区域
になる、また総
漁獲量
において十六万五千トンが三万トン足らずになる、そういう
提案
を、
向う
は科学的根拠を
資源論
に求めてきておるわけでありますが、いずれにしてもこれは私たちが常識的に判断しまして、彼らのいう
資源論
とは、要は総
漁獲量
あるいは漁区や
漁期
というものを制限するための方便にしかすぎないと私は思うのです。あまりにも従来の
日本
に許されておった範囲からいって、今度の制限というものは問題外で、私はこういう
提案
に
日本
が政治的に応ずるというようなことは、する余地はないと思うのです。そこで万一
資源論
において
双方
の
意見
が合わないときには、政治的な
折衝
の余地も私は簡単にないと思うのです。またそんなことに容易に妥協をしてはならぬと思うのです。ではもし
交渉
が妥結しなかった場合には
日本
の漁民はどうするのです。
西村健次郎
27
○
西村
(健)
政府委員
佐々木
委員
の御
質問
でございますが、私
ども
といたしましては現に
日ソ漁業委員会
、
両国
の代表が毎日心血を注いで
——
もちろん
両者
いろいろなかけ引きもありましょうけれ
ども
、まじめに問題を解決をする、これは
ソ連側
も同様でございます。一日も早く問題を解決したい、こういうことでやっておりますので、私
ども
としまして、ここで妥結に至らなかったらどうするのだということにつきまして
——
私
ども
はそういうことは必ず妥結をする方へ持っていきたい、こういうふうに考えております。
佐々木盛雄
28
○
佐々木
(盛)
委員
ソ連側
の先刻来申し上げます
提案
は、公海
漁業
自由の原則をじゅうりんしたものであり、従って従来
日ソ漁業条約
の根本精神を踏みにじったものである、そういう
前提
にはお立ちになっておるのでありますか。
西村健次郎
29
○
西村
(健)
政府委員
私
ども
としまして、
日本側
としましては、このような二〇%足らずのきわめて限定された
操業
しか認めないというような
規制
方式というものは
条約
に予定したことでないし、公海自由の大原則、
日ソ漁業条約
の根本精神というものに考えても承服できないということについての考えは変っておりません。
佐々木盛雄
30
○
佐々木
(盛)
委員
従って従来の漁区の八〇%までを
禁止区域
にする、あるいは十六万五千トンがわずかたった三万トンになったならば、
日本
の漁民たちは一体どうするのか。これは重大な問題です。
ソ連側
の
提案
はあなたが
先ほど
おっしゃったように文字通り非常に
ドラスティック
なあまりにも理不尽きわまるところの
提案
である。安易な妥協は私はしてもらいたくないと思う。この
ソ連側
の理不尽なる
提案
の
内容
をむしろ国民の前に明らかにして、われわれはもっときぜんたる
態度
を持って臨みたいと思うのでありますが、
ソ連側
のこういう
提案
に対しましては容易に応じない、場合によっては決裂しても仕方がない。
日本
の
主張
はあくまでも貫徹するのだという強い決意を持ってお臨みになっておりますか。
西村健次郎
31
○
西村
(健)
政府委員
今問題になっております
規制措置
につきまして、
日本
として非常に強い
態度
を持つということは、すでに
新聞等
で御
承知
だと思います。御
承知
の通りに
日ソ漁業委員会
というのは
両国
の
委員
の
合意
によって初めて問題がきまるわけであります。
日本側
としては現に
新聞
に報道されますように
ソ連側
の二〇%
程度
しか認めないという、そういう
規制
方針というものについては、これはあくまで承服できない、認めるわけにいかないという強い
態度
で臨んでおります。
佐々木盛雄
32
○
佐々木
(盛)
委員
あなたに実際問題ではなく
条約
文だけについて私はお聞きするのですが、万一不幸にして
日ソ
間の
話し合い
が円満妥結を見るに至らずして会談がついに決裂をしたというときに、
日本
の漁船が従来の
条約
にのっとって出漁したときには法律上これはいかがになりますか。
西村健次郎
33
○
西村
(健)
政府委員
条約
上の問題につきましては、あるいはこれは外務省の御当局の方から御答弁いただいた方がいいと思います。私
ども
としましては
先ほど
から申しますように、この
委員会
というもので、できるだけ早い機会に問題を逐一片づけて妥結に持っていく、こういうことで全力を尽しております。もちろん妥結せんがために
主張
すべき点を譲るというようなことはいたしません。私
ども
としましてはそういった
合意
に達しない、
漁獲量
も
決定
しないで出漁せざるを得ないというような事態が発生しないように、これは
ソ連側
も同様であろうと思いますが、今
委員会
において
両国
委員
がせっかくこの点については努力している次第でございます。
佐々木盛雄
34
○
佐々木
(盛)
委員
せっかく努力してもらっていることに対しては感謝をするわけでありますが、先刻来お話を承わっておっても、
ソ連側
の
提案
があまりにも従来の
条約
を無視した
態度
に出ている。そこでわが方が従来の
態度
を堅持し、従来
日本
が持っておった権限を十分に行使していこうと思いますときに、とても話はまとまらない、私はかように考えるのです。
ソ連側
の外交方針はややもするといつでもこういう難問題を出しておいて、次の問題の取引にする。つまり
資源論
というものをぶっつけてきて、これで非常に
日本
を悩ましておいて、最後には今度は総
漁獲量
の点について
日本
と何らかの取引をしようというのが、従来の
ソ連
外交の手です。そういう手にまんまと乗せられないように私はきぜんたる
態度
を持って臨んでいただきたい。少くとも
日本
の公海自由の原則を無視したような理不尽なる
提案
には、理論上これは受け付けることができないという
態度
を堅持していただきたいと思うのです。そこに
条約局長
がお見えになっておりますが、今私がさきに
質問
いたしました万一これが不調に終ったときに、
日本
の漁民が従来の
条約
の精神にのっとって出漁した場合においては、
条約
上はどういうことになりますか。これは
条約
上違法であるとか違法出漁ということになりますか。
高橋通敏
35
○高橋(通)
政府委員
ただいま御指摘の点でございますが、われわれとしましても今次長のお話の通り、何とか
話し合い
でこれをまとめて、妥結の方へ持っていこうと考えておる次第でございますので、私
ども
としましても妥結しない場合に
条約
上どういうふうなことになるかということは、まだ具体的には考えている次第ではありません。ただいかなる場合にも、われわれは
条約
の原則は
資源
の
保存
でございますから、
資源
の
保存
という立場に立って、できるだけこの
条約
に従った
措置
を自主的にとっていかなければならない、このように考えておる次第でございます。
佐々木盛雄
36
○
佐々木
(盛)
委員
あなたの言うのは政治論だが、私は法律上、また
条約
の立場からいって、そういう場合に話がまとまらないからといって従来の
条約
の精神にのっとって出漁したときに、これは
条約
違反の罪を
日本
が背負わなければならぬのかどうか、総
漁獲量
というものは年々
決定
することになっておると思うのですが、総
漁獲量
が不幸にして
決定
しない場合において、
日本
の漁船が従前通り出漁した場合においては、それは
条約
違反になるのかどうか。
高橋通敏
37
○高橋(通)
政府委員
条約
違反ということにはならないかと思いますが、しかし
条約
の趣旨としては、両方でこの
程度
とれば
資源
の
保存
に障害がないというところを両方の
意見
があったところで出漁してとるということになっているかと思っております。従いまして、
漁獲高
が全然両方ともきまらないという
状態
におきましては、これはやはりわれわれの考える自主的な
措置
及び
資源保存
の立場に立って、一番妥当と思われる線に従って、またその他の点についてはこの
条約
できまり、付属書できまった点はそのまま順守して、きまっていない点は法理上の問題、仮定の問題として申し上げるわけでありますが、こちらの自主的立場で、
保存
上最も妥当な線ということで出漁するほかはないかと思っておる次第であります。ただそれが
条約
の違反とか、
条約
がどうなるかということは法律的な問題でありますので、ちょっと考えさせていただきたいと思います。
佐々木盛雄
38
○
佐々木
(盛)
委員
私はもうこれで
質問
を打ち切っておきますが、どうも水産庁も外務省も非常にこの
日ソ漁業交渉
に対する見通しが楽観的で、甘いと思うのです。そうして最後の場合においてはいいかげんのことで妥協しようと考えておる。これは私はもってのほかだと思うのです。先刻来申し上げておりますように、とかく
日本
の外交というものは
ソ連
に対しては非常に軟弱と申しますか、すぐに何でも言うことを聞いてしまう。これではいけないのです。こういうばかげ切った、従来の
漁獲量
の十六万五千トンを三万トンに制限をしてくるとか、あるいは今までの漁区の八〇%を禁止してしまうというような全く荒唐無稽な
提案
に対して、そういう無理なことでも、まあいいかげんなところで妥協すればいいというような、まあまあ式な妥協論ではなくして、もっと筋を通して、
日本側
の正しい
主張
に立って、場合によっては決裂したっていいです。決裂しようと、イワシや
サケ
によって
日本
人が死ぬというわけではないのです。しかしこういう
日本
の自主性を失った屈辱的な外交を続けておったのではだめです。万一の場合に会談が決裂した場合にはどうするのだということ、法理論上も実際問題においても、また現に漁民たちをどうして救ってやるのか、こういうことについて、あなた方はもっと真剣に取り組んでもらいたい。まあまあせっかく話をしておりますからというような、そういうありきたりの
考え方
では深刻さがないのですよ。万一の場合の漁民の保護の問題も、あるいは
日本
の権威の問題についてももっと真剣に取り組んでいただきたいということを特に要望いたしまして、私の
質問
を打ち切っておきます。
櫻内義雄
39
○
櫻内委員長
大西正道君。
大西正道
40
○大西
委員
今
佐々木
君からの御
意見
のように、
ソ連
の
提案
に対しては私
ども
納得できない数々のものがあるのでありますが、こういうふうな非常に不当な
提案
がされるその根底には、やはり歴史的に考えてみなければならぬ問題があると思う。それは、昨年の
漁期
を前に控えてのいろいろな
話し合い
におきまして、またその以前においても、河野さんが
向う
といろんな取りきめをした。その取りきめの
内容
につきましては河野さんの弁明するところと
ソ連
当局の言明するところと食い違っておる。しかし私
ども
は河野さんの言明を信用したいけれ
ども
、どうも信用できないというようなところもあるのであります。それでこういうふうな非常に不当な
提案
がされるその根底には、やはり歴史的に過去の
日ソ
の
漁業
会談においての非常に明瞭でない取りきめというものが、こういう今日の事態の大きな原因をなしているのではないか、こういうふうに私は思うのであります。具体的に申せば、わずか一万トンの
漁獲量
をふやしてもらうためにオホーツク海におけるところの魚をとることを放棄する、こういうふうな先例が今回のような
提案
の
一つ
の根底になっておるのではないか、こういうことを考えますと、今日までの
日ソ
交渉
の
経過
を顧みて、外務省におきましてどういうふうな
見解
を持っておられるか。
竹内俊吉
41
○竹内(俊)
政府委員
ただいま大西
委員
からの御
発言
にありました過去の
日ソ
交渉
においてそういう原因を作ったかどうかという点については、私はつまびらかにいたしませんが、この
交渉
はその年度々々において
委員会
においてものを
決定
していくのが原則であります。でありますから、たといそういうことが多少あったにしても、公正な
資源論
及びその他の条件から判断して、
一つ
一つ
ものをきめていくのが本質であろうと思います。さようなことが非常に大きく原因しているとは思いません。またオホーツク海の問題は一万トンと取りかえてやったというような事実はないのであります。これは全く別個の問題としてオホーツク海の
資源論
から出た
一つ
の結論でありますから、今後これをどうするかということは、今後に残された問題であると私は理解しております。
大西正道
42
○大西
委員
この問題は大臣がいないから、これ以上やりません。 今前
質問
者の
質問
におきまして、農林省の水産庁の方では最悪の場合はどうするか、こういう
質問
に対して、今誠心誠意
交渉
を続けておるのだからということでありましたが、この前の
委員会
におきましては、同じような趣旨の
質問
に対しましては、最悪の場合はこれは自己
規制
をやって強制出漁をやる、こういうまことに威勢のいい答弁が局長からされた。こういうふうな考えを今なお外務省としては堅持されるかどうか。なおその際もし強制出漁で自己
規制
をやるといったような場合には、今
日本
政府が
主張
しておりますところの十六万五千トンを目標にして自己
規制
をやるのか、あるいはそれ以外の数量を目標にしておるのか。自己
規制
をやって強制出漁をやるということを言った以上、いかなる目算のもとにやるのか、これを
一つ
念のために聞いておきたい。
竹内俊吉
43
○竹内(俊)
政府委員
先般当
委員会
において欧亜局長からお答えしたのは、今大西さんがお述べになったような大体の趣旨だと私
ども
聞いておりましたが、それは仮定のまた仮定の問題を述べたのでありまして、われわれはそういう決裂の
状態
が今事実として現われてくるという的確な見通しを持っておるわけではございません。あるいはそういうこともあり得るかもしれない、その場合にはどういう方法が考えられるかという
程度
のことをお答えしたのであって、従ってその問題から出た具体的なことを
質問
されましても、今こうこうということを答えるのは適当でないのではないか。しかも今会談が進行中なのでありますから、さようなことは外交当局としてはしばらくお答えしない方がむしろ適当だというふうに考えます。
大西正道
44
○大西
委員
仮定の仮定というのは何か私にはわからぬけれ
ども
、あれはかなり元気のいい
発言
であったけれ
ども
、軽率ではなかったかというように私は考える。あなたの方も今のこの
段階
におきましては、円満な解決を目途としておるのだからそういうことには答えられない、こういうことを言っておられる。そういたしますと、前のいろいろなああいう不穏な
発言
と申しますか少し感情走った
発言
は妥当でない、こういうふうに訂正されますか。
竹内俊吉
45
○竹内(俊)
政府委員
先般の金山局長の
発言
は仮定のまた仮定でありますから、訂正といっても訂正するほどのことでもないとは思いますが、具体的なことを今お聞きになったわけでありますが、それにはむしろお答えしない方が適当じゃないか、こういう意味であります。 —
——
——
——
——
——
——
櫻内義雄
46
○
櫻内委員長
次に移ります。
所得
に対する
租税
に関する二重
課税
の
回避
及び
脱税
の
防止
のための
日本国
と
デンマーク王国
との間の
条約
の
締結
について
承認
を求めるの件を
議題
といたします。 本件について質疑はありませんか。
——
別に質疑がなければ、これにて本件に対する質疑は終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
櫻内義雄
47
○
櫻内委員長
御異議なければ、これにて本件に対する質疑は終了いたしました。 本件については別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。
所得
に対する
租税
に関する二重
課税
の
回避
及び
脱税
の
防止
のための
日本国
と
デンマーク王国
との間の
条約
の
締結
について
承認
を求めるの件は、これを
承認
するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
櫻内義雄
48
○
櫻内委員長
御異議なしと認めます。よって本件は
承認
することに決しました。 なお本件に対する
委員会
報告
書の作成につきましては
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
櫻内義雄
49
○
櫻内委員長
御異議なければさよう取り計らいます。 —
——
——
——
——
——
——
櫻内義雄
50
○
櫻内委員長
次に
国際情勢
に関して
調査
を進めます。質疑の
通告
がありますので、順次これを許します。帆足計君。
帆足計
51
○帆足
委員
もう時間もお昼を過ぎましたので簡単に申し上げますが、
在日朝鮮人
の帰国の問題ですが、この問題は人道の問題であり、基本的な人権の問題として政府が解決に努力されておりますことにわれわれは敬意を表しておりますが、本来これは人道の広場における問題でありますから、いずれの国とも基本的
対立
はなかるべき性質の問題でございます。従いまして、これはお互いに理解し合って進みますならば、必ずや明るい見通しがあるものと確信いたしております。特に国際問題につきましては自分の考えだけの独善では何事もうまくいかぬのでありまして、相互に相手の立場を尊重しながら、対等の資格で理解し合って進むという
態度
が必要だと思います。 このたび島津総裁から朝鮮赤十字に打電されました電報は、慎重に考慮を払いましてその大意を読みますと、多少あいまいな点はありますけれ
ども
、合理的な線に歩み寄ろうとする御努力のほ
ども
見られますが、多少意余りて言葉足らない点も、電文のことでありますから、ありますので、二、三政府の意向を確かめたいと思います。また政府としても言わんと欲するところを、こういう機会において内外に明らかにされるということは、諸国赤十字との理解を深める上においても有利なことかと存じますので、率直なる御答弁をお願いしたいと思います。 この問題につきまして、
先ほど
申し上げましたように、人道の問題ですから
意見
の
対立
、利害の
対立
というものは私はないと確信いたしておりますから、きわめて楽観的に問題を見ておるのでありますが、朝鮮赤十字側においてこの問題について多少ちゅうちょし、また難色を示しておる点があるやに見受けられます点をしさいに検討いたしてみますと、第一にはこのたびの帰国の問題は、抑留者や捕虜収容所におけるような問題ではありませんで、正常なる居留民の随時自由な帰国の問題と連関しておりますから、一々に立ち入っていわゆる
調査
選別をされることは、どうもよろしくないという考えと、国際赤十字が司会をして上から成案を強制しはしないかということについての若干の批判と、それから会談の手順等について多少の
意見
のずれがあるのではないかと存じます。これらの問題につきましては相互に理解し合い、譲り合えばおおむね解決つくことではあるまいかと存じておりますのでお尋ねいたしますが、第一に朝鮮側が、帰国意思の確認または選別という言葉を使っておりますが、えり分けについて反対であると言っております。これは補虜収容所の問題などと違って自由帰国の問題でありますから、朝鮮側としてこういう要求を出されることは、私はそれなりに合理的論拠のあることであると思います。
日本
政府もこの点はよく理解されておりまして、
調査
選別のようなことはしない、ただ帰国意思の確認という言葉、これは
日本
語で確認ということになっておりますが、これは意味が二つありまして、
一つ
は今の
調査
選別のようなこと、これはいたさないと政府は明確に
意見
を表わしておるものとわれわれは理解しております。ただ帰国意思を黙っていては手続ができませんから、自由に帰国意思を表明し、その申請の手続をするということは当然必要になって参りまするが、大量帰国の問題でありますから、その申請手続をだれが見ても異存がないように公平にやりたい、その仕組みにつきましては赤十字としても公平な案があろうが、朝鮮赤十字の
意見
も聞き、また国際赤十字の
意見
も聞いて、何人といえ
ども
日本
政府が不当なる圧力によって帰国手続をしておるのではないというようなことをあかし立てるような仕組みを考えたい、こういうふうに私
ども
電文を読みまして理解いたしておりますが、そのようなことでありましようか。内外の誤解を解きますために、
調査
選別などということはしない、そして政府のお考えはこういうような申請手続に関する仕組みの問題であるということをもう少し明確にしておいていただきたいと思います。
竹内俊吉
52
○竹内(俊)
政府委員
島津社長から北鮮側への三月十九日の返電は、今帆足
委員
の述べられました大体その通りでございまして、意思の確認をするという真意は、
在日朝鮮人
を選別する、えり分けるというようなものでは全くないという、自由で公正な意思の表明を重んずる方法によって、その意思を自由に表明できるような方法を選んで、それを重んじて確認方法をやりたい、こういうことを申し入れまして、北鮮側の誤解と申しますか、それに対してそれを解くようにするとともに、この自由な意思の表明の仕組みとして、赤十字国際
委員会
に仲介を頼むのだという点を明らかにしたわけであります。もう一点は、こういう意思については今お述べになったように
双方
話し合うことが事を運ぶ上において順調でもあるし、また話し合わなければ明確にならない点もあろうと思うから、電報一本ではどうもそういう点がうまくいかないから、とにかくジュネーブに出てきて話し合うことを望む、こういう二点を明らかにしたわけであります。政府としてもこの島津社長の打電はきわめて妥当である、こう考えております。
帆足計
53
○帆足
委員
ただいま政府は立ち入って意思の
調査
選別という意味の確認はやらないということを明確に伺いましたので、これをわれわれは多とするものでございますが、第二には、国際赤十字は、この問題が基本的人権の問題であって、そして万国赤十字としても理解し、支持せねば、モラル・サポートを与えねばならぬ問題であるということはすでに意思を表明しております。私
ども
はこの国際赤十字のモラル・サポートに対してこれを多とするものでありますが、そのような雰囲気のもとにおいて国際赤十字が、会談の手順として日朝両赤十字の腹蔵のない会談から始めたらどうであろうか、われわれはその共同の会談の成果をしんぼう強く待っておって、窓を決してふさがない、こういう懇篤な
態度
に国際赤十字は出ておるようにわれわれは開いております。人道の問題は赤十字社だけの独占物でなくて、あらゆる人道に関する機関が人間の幸福のために働いておりますが、それだけで解決のつかない特殊の問題を赤十字がこれに介入し、各国の赤十字だけで解決のつかない問題を国際赤十字がさらにサポートする、こういうことに手順としてなるのであると思います。すでに国際赤十字の一般的サポートはなされており、また適時における国際赤十字のよき助言も聞いておりますことですから、それらの一般的雰囲気のもとにおいてまず日朝両赤十字が話し合って、そうして問題点を整理したらどうであろう、こういう意思の国際赤十字からの勧めもあることですから、日朝両赤十字の会談から始めて、そうして共通の問題があったときに、これを万国赤十字並びに各国の関連赤十字の協力も得、支持も得る。私はこれで閣議了解の線とびたっと合っていることとも思っております。そういう手順に大体いくものと、島津さんの電報もそういう含みであるものと理解しておりますが、いかがお考えでしょうか。
竹内俊吉
54
○竹内(俊)
政府委員
ただいまお述べになった点でわれわれの考えているところと多少ニュアンスが違いますので、誤解等あってはなりませんから明確にしておきたいと思いますが、実はこの問題の起きました、閣議で了解がつきましたその了解を得たのは二月十三日でありますが、二月十六日に北鮮側から、北鮮赤十字でありますが、この問題は二国間の赤十字会談でものをきめようという申し入れがあったわけであります。しかしながらわれわれの
考え方
は、この問題は人道上の問題でありますかり、政治的な条件なり
影響
がからむことは厳に戒めなければなりませんので、あくまでもそういう方法から考えますと、赤十字国際
委員会
において仲介あっせんあるいは指導援助のもとに
話し合い
をすることが適当である、こういう考えを持っております。そのあと三月六日、再び
向う
の朴社長から大体同じ意味の書簡が参ったのでありますが、これに対する答えも同様の
考え方
で返事をしておるわけであります。でありますからまず日朝両赤十字において話をするということはわれわれとしてはとらない。あくまでも国際赤十字
委員会
の指導、援助あるいは仲介によって日朝両赤十字が
話し合い
をする、こういう手順をとることがこの問題の解決のためにきわめて適当である、こういう考えを持っております。それから日朝両赤十字の
話し合い
をすることをもちろん拒むわけではありませんが、そういう手順を踏むことが閣議のきめましたことにも沿うわけでもある、また事柄を円満に運ぶためにも、その方がきわめて妥当であるという考えは今日も変っておりません。
帆足計
55
○帆足
委員
先ほど
の意思確認、選別の問題は、すでに解決いたしまして明朗になったわけでございますから、そうすると単に会談の手順の問題でございます。従いまして会談の手順ということならば、すでに国際赤十字にわれわれいろいろ申し出て、国際赤十字からも適切な助言があって、しかもその仲人役たる国際赤十字が、
一つ
姉妹団体で会ったらどうであろうと言っておるのですから、私はこの手順ですなおに会って、それがやはり閣議了解の線に沿うており、広義の意味において国際赤十字が助言し、そのモラル・サポートのもとに姉妹団体は動いておる、こういうふうに理解できるものと思っておりますから、ことさら
一つ
一つ
の会談を
——
三々九度まで仲人がついているか、お部屋の中までのぞくなんという仲人さんが昔はいたものです。お寝床入りなんといって、ふすまの陰で耳を澄ましている、こういうのは悪趣味だと思うのです。私の親戚などは、同じ仲人でもそういう悪趣味でなしに、友人であるかのごとく、いい人がおるから世間を、目を広めるために
一つ
あの青年と会ってみないか、こういうことから始めて、そして人物を知るためにも多くの友を持つ必要がある、こういうことで会わせるというのが近ごろの新タイプの仲人であります。従いましてすでに国際赤十字に
日本
赤十字も朝鮮もそれから韓国もみんなそこの会員で姉妹団体ですから、兄弟姉妹が会うのに何のはばかるところがあらんやで、上級の国際赤十字はそれをあたたかい目で見、常に
報告
を聞き、理解し、その雰囲気で会うわけでありますから、小さな字句にとらわれることでなくて、閣議了解の精神において、そしてその会談の途中、あるいは結論について、随時必要に応じて
関係
赤十字及び韓国赤十字の理解と支援を得るということがよいのではないかと思っております。先日外務大臣の御答弁でも、それは機械的な意味ではない、総体として、そういう精神で国際赤十字の理解のもとに事を進めるという意味であって、一々ガール・フレンドと会っているところを仲人が紋付を着て横へはべっておるという意味ではない、こういうふうに私は伺っておりましたが、その辺のところ、弾力性のある方法で、すなわち上から
一定
の成案を押しつけるということではなしに、岡赤十字が対等の資格で共通の問題について話し合う、親団体である国際赤十字は、その過程をよく理解しつつ必要なる助言を与える、こういうことでいくべきものであって、これは次官のお考えとそう隔たりはないと思いますけれ
ども
、ことさら隔たりを作られるようなことでは困るわけで、どう九民意を尊重してやっていただきたいと思います。
竹内俊吉
56
○竹内(俊)
政府委員
ただいまお述べになったようなことならば、大体われわれの考えと近いのでありますが、赤十字国際
委員会
を媒介役として日朝
両国
赤十字が話し合うということを拒んでいるわけでは、毛頭ないわけであります。ただこれを抜きにして二国間の
交渉
という形ではまずい、こういうことを申し上げたので、決して機械的に、こまごましたことまで赤十字国際
委員会
のすべての指導によって行う、そういう弾力性がない意味ではないということを申し上げます。
帆足計
57
○帆足
委員
それでは、不覊奔放な自由恋愛でもないし、封建時代の仲人結婚でもない、その中間的なところでいきたい、こういうようなところで、すなわち国際赤十字の理解と協力のもとにおいて行いたい、そういう精神でいきたい
——
私はその精神自身には、万国赤十字会員のだれも反対でないと思うのです。しかし、問題はその手順にあり、それからその
態度
にあるわけですから、
一つ
日本
赤十字と朝鮮赤十字とが対等の資格で、一方が他方に、
日本
が朝鮮に押しつけるとか、朝鮮が
日本
に押しつけるということではなしに、人道の広場の問題を虚心たんかいに語り合って、そして中心団体たる国際赤十字の理解とサポートも得る、こういう順序でいっていただけば、おのずから問題は氷解するのではあるまいかと思います。 それから最後に、このように政府並びに
日本
赤十字が御努力なさっておるところを、日赤の井上外事部長が、この人は関東軍というあだ名があるそうですけれ
ども
、しばしば越境されまして、今までもだいぶ外事部長としては権限を越えた御
発言
がありましたので、各方面から御注意が参っておったのですが、せっかく島津総裁がこういう
態度
で諸国の理解を求めておりますときに、突如としてまた長文の
新聞
声明を出しました。その
内容
におきましても、多少不穏当なものがありますほかに、その会談の手順としても、これから会談を始めようという
交渉
をしているときに、こういう問題を突如として発表するということはまことに不謹慎なことであって、せっかく葛西副総裁がおられることですから、語りたいことがあれば、葛西副総裁がみずから政治性をも考慮して語られることが当然であるのに、外事部長のこういう不謹慎な
発言
があるということは、一体赤十字の職員規則に統制があるのであろうかということについて、まことに私は遺憾に思う次第であります。これはやはり総裁、副総裁がおられるので、一職員があまり立ち入った
発言
をすることは好ましくないと思います。
一つ政府
当局からも厳重に、赤十字あてにこの点は御忠告のほどお願いしたいと思います。まことにこれは遺憾なことであると思います。またその
発言
の
内容
に立ち至っては、時間がありませんから申し上げませんけれ
ども
、多少礼を失し、また不穏当なところがある。こういうことは小
委員会
か何かで、お互いに統計をあげて話し合う問題であるのに、全世界に向けて放送したというごときは、まことに非常識、あきれ返ったことであると思います。井上君の赤十字的論理は、前半の一個間滞在の間は非常な御努力をなさっておりましたが、一週間たってぼつぼつ退屈されて、例の放言癖が始まったことと思われますので、ここら辺で召還するか、箝口令をしくか、どちらかした方がさっぱりしてよろしくないかと思います。葛西さんもおるのですから、外国滞在ももうだいぶ長いことですし、お疲れになったようで、多少ノイローゼ気味であろうと思いますので、ふるさとに帰らせることが適当でなかろうかと思いますが、いかがなものでしょう。
竹内俊吉
58
○竹内(俊)
政府委員
御指摘の点は、二十二日の日赤の井上外事部長の
新聞
声明であろうと存じますが、これは申し上げるまでもなく、
日本
赤十字側の
意見
を表明したもので、政府の
考え方
を伝えたものでもありませんし、また公式には、その通りの
発言
をしたかどうかということも、われわれは現地からの
報告
を受けておりませんので、
新聞
で見ただけでありまして、政府がこれを支持するとかしないとかいう事柄ではないと思います。この声明の
内容
につきましては、外務省としては大体同意の点が多いのでありますが、部分的には誤解を招くのではないかと懸念される点も多少あります。外務省としては、その事実については全く関知しない点も部分的には相当にあることを申し上げておきたいと思います。 なお井上外事部長の身分に関することは、これは政府の及ばざる点でありまして、せっかくの御要望でありますが、何ともお答えができないと思います。
帆足計
59
○帆足
委員
それでは最後に、民間のことに対しまして政府があまり出過ぎたことは言わないというその精神は、私も大へんいいことだと思いますから、言うべきことは赤十字に申しますが、赤十字に申しましたところが、赤十字も、これは総裁の全然関知しないところであって、あの
発言
については、全然赤十字総裁の意思にないものと考えてもらいたい、従って、赤十字総裁の意思は、朝鮮に出したあの電文だけからおくみ取り願いたい、こういうことでございました。竹内さんの御答弁も大体そういう趣旨であったとわれわれは理解いたしますが、問題点が今微妙なところで、国と国との距離が非常に離れておりますから、やはり雑音を立てないで、結局
——
あとで大西
委員
からも御
質問
申しますが、
調査
選別等はしない、これは明確である。ただ意思表示の仕組み、その手続の仕組みについて、何人の非難も受けないように、公正な方法を考える。それについて朝鮮赤十字と懇談し、また国際赤十字の支持、理解も得たい。それから会談の順序のことは、一般的に国際赤十字のあっせんと申しますか、そういうことは考えておるが、こちらから窮屈に、
一つ
の成案でもって朝鮮赤十字を縛るというような意味でそれを言っておるのでなくて、国際赤十字の中立的、道徳的理解を得たいという心持から出たものであるということは、よくわかりましたが、会談それ自身はそういう雰囲気の中において、常に国際赤十字が主宰せねばならぬことも、立ち会わねばならぬことも、機械的に
一つ
一つ
の場合そういうことをせねばならぬこともないわけですから、その点は弾力性のある
措置
をわれわれとしては切望いたしまして、大西
委員
からも
質問
があるそうですから、私はこれで……。
大西正道
60
○大西
委員
簡単に申しますが、今自由意思確認の件について、帆足
委員
の
提案
を了承されたかのように聞えたのでありますが、何かまた若干食い違いがあるような気もするのでありますが、この点はいかがなんですか。自由意思の確認は、方法はいろいろあろうかと思いますが、いかなる方法においても、そういうふうな北鮮の意思に反してやる必要はない、やらなくてもよろしい、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
竹内俊吉
61
○竹内(俊)
政府委員
帰還意思の確認によって帰還者の何らかのリストを作成いたしますことが実際上必要だ、帰還者がどれぐらい帰りたいのか、健康
状態
もありましょうし、子供の場合もありましょうし、そういうことがありますから、たとえば率直にいえば百人帰るのだという場合の
日本
の国内便益の与え方と、千人の場合と、一万人の場合と、十万人の場合と、それぞれ違ってくるわけです。たとえば新潟から乗船するにしても、運輸その他について国内便益を与えます場合には、そういうものがわかっていないと方法がたたない、特にどういうことになりますかはっきりいたしませんが、
向う
へ帰ってからの
生活
資金をポンドなりドルなりに取りかえて差し上げるという場合においては、人数いかんによっては、
日本
の財政上にも外貨にも相当響く問題でありますから、数を的確につかむ、またそれにはどういう人たちが行くのかということでこれらの世話もしましょうし、いろいろなことがありましょうから、そういうことで名簿を作るということはあると思います。その名簿を作成する手順としてどういうことをやるのだということを、むずかしくいえば帰還意思の確認という言葉で言われておるのだと思います。別にやり方についてまだきまったわけではありませんが、抽象的にいわゆるスクリーンする、ふるいにかける、選別するということはしないということは繰り返して申し上げておるわけであります。それを、たとえば市町村ごとに受付の窓口を設けてそこに登録する方法をとったらいいのか、あるいはその他にもっといい方法があればそれも考えようというのが、今の
考え方
であります。まだ赤十字国際
委員会
とも相談しておりませんし、いろいろ国内でも相談しなければなりません。的確にはまだきまったわけではありませんが、そういう方法をとるというのが今の考えであります。
大西正道
62
○大西
委員
かなり明らかになりましたが、その
程度
ならばわれわれも賛成ができるのであります。すでに帰還意思を明らかに表明している者は十数万の数に上っておるのでありますが、これに反対する向きはそれは金をやって意思を表明させたんだとか、あるいは
一つ
の権力のもとにそれをさしたんだとか言い触らしている。国際的にも言い触らしている。だから悪くするとその自由意思によるところの帰還の意思の表明に対してまた選別をやるとか、さらにそれに対して何らかの機関を通じてその意思の再確認をやる、こういうことをやりますと、これは非常に危険なことであって、われわれはそれを確認できない、こういうことを言っておるわけです。その点については今了解が得られたようであって、もちろん一万帰るか十万帰るかそれ以上帰るかということについては、いろいろ政治的に援助もしなければならない、手も打たなければならぬのでありますから、それに対しては政府側の確認を求めることは当然であります。そういうふうに自由意思の確認に対して、自主的な自由意思以外に何らか新たなる機関を設け、あるいは手段をもって選別するということはやらないんだ、こういうことを確認すればそれで事は足りるのであります。
竹内俊吉
63
○竹内(俊)
政府委員
先ほど
お答えいたしたようなことを考えているわけでありますが、新たなる機関という意味がどういう意味か、国際赤十字
委員会
の協力によって事を進めていくわけでありますが、実際の事務を扱うものは何らかのまとまった機関と申しますかそれを扱うものでなければならぬわけであります。それをあとの機関といって、そういうものを設けるのは反対だということでは理屈が通らないのじゃないかと考えます。でありますから、実務は日赤の組織を通してやるにしても、それがその北鮮帰還という単独の仕事をある期間やるわけであります。それは新しい機関と見るか見ないかという点であろうと思いますが、われわれはそういう
程度
の機関ならばやむを得ないのであります。
大西正道
64
○大西
委員
自由意思の確認ということは、これは個人々々の自由の意思が表明される、その
段階
のことなんでありまして、それが何千何万集まったのをどういう方法でこれを援護したり何かするかというようなことは、これは当然のことだから、私
ども
はその前の個人の意思が表明される
段階
において何らかの機関によってこれが選別されることさ
えな
ければよろしい、こういうことを言っておるのでありますから、これを御了解が得られたように思います。ぜひその線は
一つ
くずさないようにお願いをいたしたいのであります。 これに関連しまして
在日朝鮮人
の韓国側の組織はもちろんのこと、本国政府からのいろいろな指令に基きましていろいろな宣伝を開始いたしておりますが、私の調べた範囲では、中立的な立場にある人さえも何か
日本
政府が事をかまえて朝鮮人をこの際いびり出しをしておるのだ、こういうようなことを言っておる向きがあるのであります。この点につきましては国際的な
新聞
の記事なんかを見ましても、韓国政府のあるいは韓国赤十字の働きかけによってそういう点がときどき見える、まことに遺憾です。これは
日本
政府の宣伝、啓蒙の不足もこういう面に現われておると私は思うのであります。こういう点に対しましてはもちろんのことでありますが、明確に
一つ
この席を通じてそういうふうなものではないということを、もう一回明らかにしておいていただくことが必要だと思います。
竹内俊吉
65
○竹内(俊)
政府委員
その点は当
委員会
においてしばしばお答えしておる点でありまして、
在日朝鮮人
は自由なる自己の意思によって帰還するかしないかを本人がきめればいいわけでありまして、何ら拘束するとかいびり出すとかいうことはみじんもないわけであります。これは次第に理解されてきたとわれわれは考えておるのであります。今大西さんからPRが足らないという御注意がありましたが、最近では大体
日本
の意のあるところが理解されておって、これは全く人道上からの
措置
であって、
日本
のとっておる
措置
は適当であるというふうに世界の世論も傾いておるように理解いたしております。
大西正道
66
○大西
委員
私の申し上げておるのは、NANA通信のブラウン氏という人の報道にも非常に露骨に韓国の代弁者のような趣旨が報道されておるのです。こういうのも一報道機関の記事だということでもって見のがすことなく、あまりにも事実を曲げたこういう報道に対しましては、しかるべき対策が必要であろうと思いますが、いかがでしょうか。
竹内俊吉
67
○竹内(俊)
政府委員
ただいま御指摘の通信そのものは私読んでいないのでありますが、なるほど
最初
は韓国側が今大西
委員
の述べられたような趣旨でだいぶ海外宣伝をやった形跡があるわけであります。わが方としても在外公館を通し、あるいは国内のいろいろな機関を通して世界に対するPRに相当の力を入れまして、
先ほど
申し述べましたように、最近においては
日本
の
措置
が適当であるという
考え方
が世界的に認められておる、こうわれわれは理解しております。
大西正道
68
○大西
委員
具体的にこれに対しての牛は打たぬということですね。それから今も井上外事部長の
発言
の問題をめぐっていろいろとありましたが、事実がはっきりしないのに、それ以上とやかく申しませんが、やはりそれと関連してこの前にも問題になりましたが、警察が意思の確認
——
お前は帰るのかというようなことを調べておるということが、以前から言われておるのでありますが、今日こういうふうな警察のこの問題に介入するということは厳に排除されておるのでありましょうかどうでありましょうか。これはすでに公安
調査
庁でも帰る意思の者は四万人とかなんとかいうようなことを言っておるところを見ますと、ただ単に末端でそういうことを偶発的に調べたのだということ以外に、やはり計画的に
一つ
の
調査
が企図されたということが、この公安
調査
庁の四万という数字の発表によって私は裏づけられると思うのであります。だから、こういうことはいろんな誤解を招き、事件のスムーズな発展を阻害するものですから、厳にこういうことのないようにしなければならぬと思いますが、いかがでしょう。
竹内俊吉
69
○竹内(俊)
政府委員
井上声明にもその点御指摘の通り、警察の
調査
では四万から五万の間となっている、こういうふうに言ったと報道されております。果してこの通り言ったかどうかということは、われわれは事実を確認しておりませんから何とも言えませんが、警察がこの問題について帰還者の
調査
をしておるという事実はわれわれは聞いておりません。また外務省に対してもそういう
報告
はありません。そういうことをしていないということは聞いているわけであります。また御指摘の、この声明で言いますと、五、六、七の朝連の
関係
でありますとか、民団の
関係
でありますとかをここでうたっておりますが、これも外務省といたしましては、かような事実につきましては関知しておりません。
大西正道
70
○大西
委員
そういうことをやっていると思わないということでありますが、こういうことはすでにたびたび警告を発したことでありますから、そういうことは絶対やっておらないし、やらないのだ、こういう確認を私は求める必要があろうと思うのです。私の四万というのは、井上外事部長がしゃべったからというのではないのであって、別の機会に公安
調査
庁の四万という数ははっきりと出ておるのですよ。だから、それに対してそういうことは今後は絶対にしないのだ、させないのだということの確認が私は必要だと思う。
竹内俊吉
71
○竹内(俊)
政府委員
その点は外務省から警察当局にさようなことをしないようにという要請はいたしております。事実またそういうことをしていないとわれわれは理解しております。
大西正道
72
○大西
委員
それから国内の韓国人が朝鮮人の北鮮帰還を阻止するためにいろいろと運動をやっておる。それを盛り上げるために韓国の三人の国
会議
員が
日本
に派遣される、入国の許可を求められるというようなことを私は聞いておるのでありますが、この点についてはどういうことになっておりますか。
板垣修
73
○板垣
政府委員
ただいま韓国から非公式に三人の人が
日本
に来たい。
日本
における韓国人の実情を
調査
のため来たいという名目で申請は来ております。しかし私
ども
といたしましては、一方釜山の
日本
人漁夫に対する弁護士派遣の問題もありますので、ただいまのところ
向う
に何らの返答をいたしておりません。
大西正道
74
○大西
委員
そうしますと、釜山における弁護士派遣の問題が許可されればこっちも許可してもいい、こういう含みでありますか、いかがでありますか。
板垣修
75
○板垣
政府委員
この問題は大きな立場で見ますれば、特に何と何とをひっかけるというほどの問題ではないと私は思っております。従って、一方また釜山の弁護士を派遣すれば、これを許可するというところまでひっかけて考えておりませんけれ
ども
、まあ一応今のところは、弁護士の問題なり、あるいはまた、別の
日本
人の韓国に対するその他の目的による入国の問題等、いまだ例もございませんので、そういうような問題について韓国側はどう考えているか。今後の方針等について
向う
に反省を促しておるという事態で、これとこれとをひっかけるというところまでは実は考えておりません。
大西正道
76
○大西
委員
適当な方法によって、朝鮮人の北鮮帰還を実現したい、これが
日本
政府のみならず、
日本国
民の
一致
した意思であります。これに対して、それを阻止しようというような人物は、これは好ましい人物でありますか、好ましい人物でないとお考えでありますか。
竹内俊吉
77
○竹内(俊)
政府委員
言論の自由といいますか、そういう原則は、在日の朝鮮人にも許されているわけでありますから、そういう範囲内で反対運動をする、その人の
考え方
によって反対運動をするということは、これを適当な手段においてやる範囲内においては、これを拘束すべきじゃない、こう考えます。
大西正道
78
○大西
委員
好ましくない外国人は、国内におっても外国に撤去を命じ追放するのです。まして
日本
の国策と相矛盾するようなことを理由に、はっきりと初めから入国を求めてきた者に対して、言論の自由だというようなことでもって入国を許すということは、私はどうかと思うのでありますが、この点についてもう一回反省を求めておくものであります。
竹内俊吉
79
○竹内(俊)
政府委員
在日朝鮮人
全部がそうだと思いますが、いわゆる
日本
の入国許可を受けて、査証入国ではないのですから、この点は第三国人としても特殊の地位にある。こういう原則に立って、
在日朝鮮人
の問題を考えているわけでありますから、他の第三国人の場合と同様の扱いをするということは、そういう
建前
からすると適当でないのではないかと思います。
大西正道
80
○大西
委員
それじゃこの三人の議員が
日本国内
に入るということに対しては、政府は何らこれに対して拒否したり許可をしたりするような権限はないとおっしゃるのですか。
竹内俊吉
81
○竹内(俊)
政府委員
ただいま申し上げましたのは、もともと
日本
におりまして、平和
条約
によって朝鮮が独立したために第三国人になったわけであります。これから入ってくる朝鮮人は、もちろん査証入国でありますから、これに対しては第三国人としての正当な扱いをすることは当然であります。
大西正道
82
○大西
委員
そうすると鄭雲甲、これは韓国の自由党の代議士、それから在千というのは民主党の代議士、李載というのは無所属の代議士ですが、これはかつては
日本
に居住しておった人なんですか。
竹内俊吉
83
○竹内(俊)
政府委員
日本
にかつて居住しておりましても、継続していわゆる居住しておった場合と、本国に帰ってまた査証を受けて入ってくる場合とは、非常に大きな違いがあるのでありまして、これはあくまでも査証入国でありますから、査証入国の第三国人として取り扱うのが当然だと思います。
大西正道
84
○大西
委員
だから私が言っているこの朝鮮人は、過去の歴史的な事情から見て、単なる外国人ではない。いろいろな
生活
保護の適用その他をやっていることは、あなたから言われるまでもない。そんなことを聞いているのではないのであって、北鮮送還阻止のために、在留韓国人の意思を盛り上げるために、李承晩政府の意思を受けてここに入国しようとしている三人の議員に対して、あなた方、
日本
政府としてはこれを歓迎して許可するかどうかということを言っている。あなた方はそれに対して、自由意思ならば何とも言
えな
いと言われるのはまことにおかしな話です。
竹内俊吉
85
○竹内(俊)
政府委員
私はその三人の入国の許可云々ということではなくて、一般論としてお尋ねになった、こう理解してお答えしたわけでありますが、その三人の方が入ってくることに対して許可するしないは政府の権限でありますから、適当の処置をいたしたいと考えます。
大西正道
86
○大西
委員
その適当な処置を私は聞いておる、こういう者は入国させるべきではないということを言っておるのですが、いかがですか。適当な処置どころじゃないじゃないですか。これははっきりしておるのですよ。いかがですか。
板垣修
87
○板垣
政府委員
先ほど
も申し上げましたように、今三人の入国申請は、実は表向きの理由は、
在日朝鮮人
の
調査
という名目になっております。従って入ってきて、阻止運動をするのかどうかは申請の目的にはっきり出ていないわけであります。その問題は別といたしまして、ただ今の三人を入れるかどうかという点についての大西
委員
の御
意見
は、御
意見
として私
ども
伺っておきます。ただ今のところ、入れるかどうかということはまだ
決定
はいたしておりません。
大西正道
88
○大西
委員
表面の理由は
在日朝鮮人
の実情
調査
をするということで、これはあなたも言っておるように表面の理由だ。その真意は明らかに
向う
の
新聞
にも、正式の発表にも
——
これは北鮮への帰還を阻止するために指導するためのオルグなんです。こういう者を入国させるということは、これは
日本
の政府のやらんとしておるところの政策の阻止を考えるのですから、こういう者は好ましからざる者であるとして入国を許可しないというのが当然のことじゃないですか、大西
委員
の
意見
は
意見
として聞くなんて、そういうことを言う必要はないと思うのです。何らかまだこれに政治的な考慮を払う余地があるのですか、私は即刻こういう者に対しては好ましくないということをお答えになってしかるべきだと思うのです。何に対してそうびくびくしておるのですか。
板垣修
89
○板垣
政府委員
びくびくしておるというわけでは毛頭ございません。しかしこれは今絶対に入れないと言い切るほどの大きな問題とは考えていないのであります。しかし入れるという含みはほとんどないというふうに御理解になってもかまいません。
大西正道
90
○大西
委員
なかなか気の大きいところを見せていただいたようでけっこうですが、
一つ
気の大きいところで押し切ってもらいたいと思うのですよ。気の大きいところを見せてもらって、そういう意思がないということになればけっこうです。 それから今度は、この前竹内政務次官からも
報告
がありましたが、
日本
弁護士会から
向う
の裁判が非常に不当だということでもってこれの
調査
をするとか、あるいはもっと端的にいえば、弁護に当りたい、こういうので韓国に入国をしたい、こういうことについての申し入れに対していろいろなやりとりがあったけれ
ども
、いまだ正式の許可がきていない、こういうことであったわけでございます。その後時日もたっておりますが、どのようになっておりますか。
竹内俊吉
91
○竹内(俊)
政府委員
先般当
委員会
で、この問題について大西
委員
からの御
質問
があってお答えいたしたのでありますが、その際に、この問題は今まで外務省としては内面指導的なことでやってきたが、もうここまでくれば表面に出て援助すべきだ、こういう考えのもとに、今方法を考えておりますとお答えしたのでありますが、あのお答えしたあくる日に、当方から口上書をもって韓国代表部に弁護士の渡航に関しての許可についての申し入れをいたしたのであります。
内容
はここにありますが、長くなりますので、もし必要があれば後刻……。
大西正道
92
○大西
委員
その結果は……。
竹内俊吉
93
○竹内(俊)
政府委員
その結果は、まだ
向う
から返答がございません。この
内容
は、
向う
側は、裁判所の許可書の添付がない限り申請書は不備であって、受け付けることができない、この点が
向う
の
主張
のおもな点でございます。外務省としては、これに対して、
決定
の通り、留守家族代表からの、大韓民国釜山法院院長に対する二名の選任許可願を送付するから、韓国代表部が右許可願を前記法院に対して送達するとともに、その返事をもらいたいということで、公式に申し入れたわけでありまして、何らかの返事があるべきでありますが、まだその返答が参っておりません。
大西正道
94
○大西
委員
これで最後ですが、初めの目的は、
向う
の裁判の状況も調べたいし、抑留漁夫の弁護もしたい、こういう趣旨であったのでありますが、これは
考え方
によっては、
日本
政府としましては李承晩ラインというものは認めてないので、従いまして、あそこで拿捕されたものは、裁判にかけられること自体が不法なことである、われわれは認めていないのであります。そういう
建前
をとっている限りにおいて、その裁判の
内容
が公正に行われているかどうか、その弁護のためにここに弁護士を派遣するための
交渉
をやるということは、
考え方
によっては、裁判にかけられること自体を認めた、すなわち李承晩ラインによって拿捕されることはやむを得ない、こういうふうなことになりかねないと私は思うのであります。われわれは、そうではない、二段がまえで、それはそれとして不法性をなじりながら、しかも現実に裁判にかけられている者に対して、あまりにもひどい仕打ちに対しては、これに対しての弁護をしたい、こういうような気持はわかるのである、そういう答弁であろうと思うけれ
ども
、
影響
するところは、やはり
日本
政府は李承晩ラインを認めた、そうしてその裁判の罪の軽重を争うのであるというふうな宣伝の具に供せられはしないか、この点を私はおそれるのでありますが、それらに対してどういう配慮がありますか。
竹内俊吉
95
○竹内(俊)
政府委員
李承晩ラインは
日本
としては認めていないことはお説の通りでありますから、この裁判そのものも、裁判に付すること自体が不法であるという点が弁護のおもなる拠点であろうと考えます。でありますから、そういう朝鮮の一方的な国内法規によって、国際的に認められていないことをしておる点を
向う
の法廷において
主張
するということも意味があることである。これは李ラインを認める、認めないということの弁論もそこになされるというふうに考えますので、今御心配になったように、李ラインを認めるということにはならない、こういう
考え方
をしております。
大西正道
96
○大西
委員
この要請は
漁業
会社からの要請であり、それに対して政府がいろいろの援助をしておるわけでありますが、そういうふうな弁護士の派遣、あるいは
日本
弁護士会のそういう
決定
に対しては、今おっしゃったような
内容
に立ち入って十分の打ち合せがしてございますか。将来そういうことをおやりになって、おっしゃったような、誤解がないようにされるお考えがありますか。
竹内俊吉
97
○竹内(俊)
政府委員
先般この弁護士の方が外務省にも来られましたし、万全かどうかはちょっと申し上げにくいと思いますが、連絡、打ち合せと申しますか、そういう点で話し合っていることは事実であります。弁護士としては、これはもちろん無罪を
主張
するわけでありまして、無罪のおもなる弁護の主点は、今申し上げたようなところにある、こういうことでありますから、
日本国
が李ラインを認めたという印象を与えることは万々なかろう、こう考えます。
大西正道
98
○大西
委員
それからもう
一つ
、抑留された留守家族の二人がジュネーブに立つわけでありますが、これはまことに御苦労なことであろうと思うのであります。これに対しまして赤城官房長官が、先般、こういうことを日赤がやらせるということはどうもけしからぬ、今さらお涙ちょうだいをしてもそういうことは意味がないということを言ったということで、
新聞
にかなり大きく出ておるのでありますが、これは私は何かの誤解ではなかろうかと思うのであります。しかし、全然そういうことのないのにああいう記事は出ないと思うのでありますが、こういうことをもし考えているとすれば、これはまさに留守家族に対する十分な思いやりとはい
えな
いと思うのであります。これに対して、あなたもあの記事は見られただろうと思いますが、訂正されますか、どうですか。
竹内俊吉
99
○竹内(俊)
政府委員
実は赤城官房長官がどういうことを言われたか、私実は旅行していまして見ていないのでありますが、抑留されております家族か、
向う
の赤十字の代表者に会って意のあるところを申し述べて、その不法な行為に対して反省を求めるということが
——
もちろん赤十字は政府を代表するものではありませんが、この問題の解決のために私は有効であると考えますので、お二人がジュネーブに参りますことは私は相当に意味がある、こう考えております。
櫻内義雄
100
○
櫻内委員長
戸叶
里子君。
戸叶里子
101
○
戸叶
委員
私は一、二点外務当局に伺っておきたいと思うのですが、実はルバング島の
日本
の元の兵隊さんの放った銃弾が水牛を殺したという事件は、よく調べてみたところが、そのたまは
日本
のものではなかったということがはっきりしたということが、けさの
新聞
に出ているわけでございます。そうなってみますと、結局この山の中にフィリピンの脱走した人かあるいはどこかの人がいて、そして銃弾を使ったということが考えられるわけでございますけれ
ども
、今までフィリピン側としても、
日本
の脱走兵が山奥に隠れていて、そして来るもの、ぶつかるものに対して銃弾を放っているのだというような
考え方
をしていたわけでございますけれ
ども
、今度の発表によりますと、フィリピンの
日本
の大使館から厚生省を通して、このたまは
日本
の物でなかったというふうに言ってきた、こういうふうに
新聞
に出ていたわけでございます。そこで、外務省としてもフィリピンと
日本
の国民との感情をやわらげるといいますか、非常にフィリピンがいろいろ
日本
の国に対してのそういうような感情を持っているわけでございますけれ
ども
、そういうふうなものをなくす意味においても、はっきりと
日本
のたまでなかったというようなことを正式にフィリピンの大使館なり何なりにお申し出になったかどうか、そしてそれについてどういうような方法を考えておられるか。なお、
日本
兵二人を連れてくるためにはどういうふうな手段を外務省として考えておられるか、確かめておきたいと思います。
板垣修
102
○板垣
政府委員
ただいまお話のように、銃弾を調べてみました結果によりますると、当時山の中に入った
日本
兵が持っておった銃では使
えな
い銃弾であるということだけはわかったわけであります。しかし、すぐ、それでは山の中におるのが
日本
人じゃないというところまで確認するのはまだ早いと思います。しかし、いずれにいたしましてもあそこにおるのは完全に疑いなく
日本
人だということに対しては幾分の疑惑が出たわけでございますので、今お話のような点につきましては、フィリピン側も、従来の
状態
よりは少し疑問の点があるということになって参ったと思います。この点につきまして、フィリピン側と
話し合い
をするところまではまだ進んでおりません。 それから、今後の救出方法でございまするが、ともかく、銃弾だけではこれが
日本
人であるかあるいはその他の者であるかわかりませんが、いずれにしましてもこれを救出し、あるいは確認する努力はしなくちゃならぬと思うわけであります。御
承知
のように、現在は連絡箱を作るとかビラをまくとかいうような方法でやっておりますけれ
ども
、これだけでは十分ではないという結論がほぼ出ましたので、別途の方法で、たとえば親戚だけでやる、あるいは昔の旧友だけで小規模の
調査
隊を派遣してやるというようなことにつきまして、ただいま厚生省の方におきまして研究中であります。もし派遣することになれば、来月の下旬ころにでもまず第一隊を派遣いたしたいということについて検討中であります。
戸叶里子
103
○
戸叶
委員
今
アジア局長
のおっしゃった通り、ほんとうに
日本
の残留兵であるかどうかということは確認されないわけでございますけれ
ども
、やはり誠意だけは尽して、今おっしゃったような方法で調べていただくことは、これは当然だと思うわけです。けれ
ども
、フィリピン側としては、当然
日本
の残留兵が放ったたまではないかというような情報が非常に伝わっているんじゃないかと思いまして、これが日比の感情を悪くするのじゃないか。それにもかかわらず、外務省の方で、まだその点については正式にフィリピン側と、
日本
のたまでなかったというような
話し合い
をしていないというお話でありますけれ
ども
、こういう点はやはり正式機関を通して、一応たまはそうではなかった、しかし、これから
日本
兵がいるかどうかを確実な方法で捜査したいから御協力を願う、こういうふうに
一つ
のけじめをつけていきませんと、フィリピンの国民の中には、やはり
日本
の兵隊がたまを放ったのではないかというような疑心暗鬼も持たれると思いますので、その点は正式機関を通してはっきりさせる必要があると思いますが、いかがでございましょうか。
板垣修
104
○板垣
政府委員
銃弾の検出の結果がわかりましたのは、ここ一両日のことでございますので、私の
承知
している現在の
段階
においてはまだやっていないと思いますが、まあ一両日中にやることになると思います。
戸叶里子
105
○
戸叶
委員
そういうことはなるべく早くしていただきたいと思います。 それからもう
一つ
ですけれ
ども
、北ベトナムの方から九人の方が帰ってこられたわけで、私
ども
もまことに喜んでいるわけでございますけれ
ども
、その中でも残念なことには、一人の方が、しかも上陸寸前に自殺をされた。この方は沖縄の人で、沖縄に寄ってみて、沖縄がアメリカからすっかり占領された形で、英語が話せなければ就職もできないとか、親がなくなられたとかで、あまりの
日本
の変りように驚いて、非常なショックを受けたというようなことも、いろいろな情報を集めてみますと
感じ
られるわけでございます。そこで、私は二つのことを考えるのでございますけれ
ども
、こういうふうな方たちに情報を知らせておかなかったということの政府の責任と、それからもう
一つ
は、やはりそういうふうな方が早く引き揚げ得るような努力をもっとしなければいけないということと、それからもう
一つ
は、沖縄が自分の郷里であって、しかも沖縄に寄っていろいろ聞いているのですけれ
ども
、そして沖縄の肉親と会いながら、門司まで連れてこられなければならないというところにも、非常に矛盾があるのじゃないか。もしも沖縄の人であるならばそのまま沖縄に上陸させてあげたらよかったのじゃないかと思いますけれ
ども
、もしもその方が生きて
日本
に帰ってきた場合に、また沖縄に行くとするならば、何らかの手続をしていかなければならないのかどうか、この点も伺いたいと思います。
板垣修
106
○板垣
政府委員
私も詳細なことにつきましてつまびらかにいたしませんが、故国に上陸寸前において自殺をされたことは、まことに気の毒に存じます。今御指摘の通り、ことに沖縄などのような変った情勢というものについて、やはり事前に周知をさせるということの必要も、確かにあろうと思いました。その点について手抜かりがありましたが、今後の処置におきまして十分留意をいたしたいと存じます。 なお、私もなぜ沖縄でおろせなかったのかどうか、その辺の事情はわかりませんが、これは日赤当局、厚生当局とも、その辺の事情をよく確かめたいと思います。 それから、
日本
から沖縄に入る場合は、手続につきましてはやはり
向う
の軍政府当局の許可が要るのだろうと思いますが、この点は、そういう場合には簡単に許可がとれるものと思いますけれ
ども
、そういう手続が必要ではないかというふうに私
ども
は考えております。
戸叶里子
107
○
戸叶
委員
アジア局長
も、なぜおろせなかったのだろうかということに対しての疑問をお持ちになると思いますけれ
ども
、私も、当然自分の郷里に帰っていながら、そのまま連れてきてまたお帰しをするというようなことは非常に手数の要ることであって、やはり沖縄の人が沖縄に帰ったのですから、沖縄におけるアメリカの政策に気がねをすることなく、もう少しあたたかい扱いをしてあげたならば自殺をしなかったのじゃないか。
日本
の政府のあり方というものが少し沖縄のアメリカ軍政府に対して気がねし過ぎて、こういう気の毒なことをしたのじゃないかと私は思いますが、この点はもう少し詳しくよくお調べになって、この
委員会
を通してお知らせを願いたい。こういうことを私はお願いいたしますが、いかがでございましょうか。
板垣修
108
○板垣
政府委員
これはアメリカの政策に気がねしたとかいう問題ではなくて、手続上の問題だろうと想像いたしますが、何分事情を今つまびらかにいたしませんので、至急、
関係
の向きとともに、事情を確認いたしまして、お答えをいたしたいと思います。
戸叶里子
109
○
戸叶
委員
またこういうような問題も起きるといけませんから、その点を重々お考えになっておいていただきたいと思います。 それから、帰国者の方のお話によりますと、なお確定された残留邦人が二十数人いるし、そしてまた山の奥には
日本
人が四、五十人は確かにいるというようなことを言われているわけでございますけれ
ども
、御
承知
のように北ベトナムと
日本
とは国交も回復しておりません。どういうような形でそういう方々の引き揚げを御努力なさるか。こういう方の御家族の身になってみれば、一日も早く帰ってきてほしい、もう終戦後十三年にもなっているのに何しているんだというような気持になるのは、当然のことだと思います。そこでこういう方々の引き揚げに対しましては、これは厚生省だけにまかせられない問題だと思います。外交上の問題、たとえば今の政府が南ベトナムとだけ賠償を結ぶなんということになりますと、この引き揚げにも非常に大きな
影響
を及ぼしてくることになるわけでありまして、やはり何らかの手を打たなければ、厚生省だけの手ではこれらの方々の引き揚げということもむずかしいと思いますけれ
ども
、どういうふうなことをお考えになっていらっしゃるか、この点も念のために伺いたいと思います。
板垣修
110
○板垣
政府委員
御
承知
のように北鮮、中共、北ベトナム、こういう
日本
と外交
関係
のない国々からの邦人の引き揚げにつきましては、遺憾ながら政府といたしましては外交
関係
がないために直接の
話し合い
をしませんでしたし、またできなかった実情であります。従ってこういう地域からの引き揚げにつきましては、日赤を中心といたしまして、その他の友好団体の協力も得まして、従来円滑に引き揚げを
実施
して参りました。今度の北ベトナムの問題につきましても、日赤が中心となりまして、先般現地で北ベトナム当局と邦人引き揚げに関する協定ができたことは御
承知
の通りであります。これに基いてさしあたり最近帰ってきた者、今後もぼつぼつと
——
現在はぼつぼつとしか出てこないようでありますが、帰国希望者が出て参りますれば、それは帰してもらうということにつきまして、
向う
側とも十分に
話し合い
がついておりますから、その点につきましては、
日本
政府は直接北ベトナム政府当局と話ができないのは残念でございますけれ
ども
、今申し上げましたような日赤その他の団体の力によりまして、大体の道はできたものと私
ども
は考えております。
戸叶里子
111
○
戸叶
委員
帰ってきた方々がこんなに多数いることをはっきり言われたわけでございますから、大体の話はついたから大丈夫だろうというような形でなくして、なお何らかの形で御努力願いたいということを要望いたしまして、私の
質問
を終ります。
櫻内義雄
112
○
櫻内委員長
本日はこれにて散会いたします。 午後一時十三分散会
——
——
◇—
——
——