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1959-03-13 第31回国会 衆議院 外務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十三日(金曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 櫻内 義雄君    理事 岩本 信行君 理事 宇都宮徳馬君    理事 佐々木盛雄君 理事 床次 徳二君    理事 戸叶 里子君 理事 松本 七郎君    理事 森島 守人君       北澤 直吉君    椎熊 三郎君       野田 武夫君    森下 國雄君       大西 正道君    岡田 春夫君       帆足  計君  出席国務大臣         外 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         外務政務次官  竹内 俊吉君         外務事務官         (アメリカ局         長)      森  治樹君         外務事務官         (条約局長)  高橋 通敏君         郵政事務官         (郵務局長事代         理)      曾山 克已君  委員外出席者         専  門  員 佐藤 敏人君     ————————————— 三月十日  委員高田富之辞任につき、その補欠として西  尾末廣君が議長指名委員選任された。 同日  委員西尾末廣君辞任につき、その補欠として高  田富之君が議長指名委員選任された。 同月十一日  委員高田富之辞任につき、その補欠として竹  谷源太郎君が議長指名委員選任された。 同月十二日  委員竹谷源太郎君及び大西正道辞任につき、  その補欠として日野吉夫君及び山花秀雄君が議  長の指名委員選任された。 同月十三日  委員山花秀雄辞任につき、その補欠として大  西正道君が議長指名委員選任された。 同日  委員田中稔男辞任につき、その補欠として岡  田春夫君が議長指名委員選任された。     ————————————— 三月十一日  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国パキスタンとの間  の条約締結について承認を求めるの件(条約  第三号)(参議院送付)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国ノールウェーとの  間の条約締結について承認を求めるの件(条  約第四号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第七八号)  日本国アメリカ合衆国との間の小包郵便約定  の締結について承認を求めるの件(条約第一  号)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国パキスタンとの間  の条約締結について承認を求めるの件(条約  第三号)(参議院送付)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国ノールウェーとの  間の条約締結について承認を求めるの件(条  約第四号)(参議院送付)  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 櫻内義雄

    櫻内委員長 これより会議を開きます。  竹内外務政務次官より発言を求めておられますので、これを許します。
  3. 竹内俊吉

    竹内(俊)政府委員 前々回の当委員会において大西委員より御質疑のあった点について、調査の上でお答えをすることをお約束した点についてお答え申し上げます。  第一にインドネシアにおける残留日本軍人現況についてでありますが、この問題については在外公館当然の任務としてその真相を把握すべく不断の努力をいたしておりますが、何分にも現在この問題の中心はいわゆる消息不明者調査にありますので、なかなかはかどらない事情にありますことを御了承願いたいと思います。現在行なっておる調査は、厚生省からの強い御要請もあって、最終的調査になる性質調査でありますので、外務省としてはインドネシア政府機関その他地元の協力をお願いして鋭意行なっておる次第であります。以上を前提に申し上げて現況を御説明いたします。  残留日本軍人の員数でありますが、昨年十一月一日厚生省調査作成したインドネシアにおける未帰還者名簿によれば、インドネシア地域夫婦還元日本軍人軍属数は六百六十六名で、そのうち消息が判明している者は三百七十六名であります。内訳は次の通りであります。ジャワ地区帰還者数は二百三十四名で、そのうち消息のわかっております者が百十七人、スマトラでは未帰還者数三百四十名で、そのうち消息のわかっておる者が百五十六名であります。セレベス、小スンダ、モルッコ地区帰還者数は六十名で、そのうち消息のわかっております者は三名であります。ボルネオ地区帰還者数は二十四名で、うち消息のわかっておる者はございません。ニューギニアでは未帰還者数が八名で、消息のわかっている者はございません。これを総計いたしますと、先ほど申し述べましたように六百六十六名で、うち消息のわかっている者が三百七十六名であります。  それから帰化の問題で、人数及び手続の有無でありますが、前回委員会でも御答弁申し上げました通り、未帰還日本軍人軍属帰化した者は、現在までのところはございません。インドネシアでは昨年八月一日に新国籍法を公布したが、この国籍法によれば、「インドネシアの兵役に服したことがあり、国防大臣の定める条件に該当する外国人は、国防大臣又は国防大臣の任命する者にその旨を届ける場合にはインドネシア共和国国籍を取得する」と規定されておりますので、向う側としては手続を踏んだ者があるようでありますが、正当な帰化手続をとっておるものとは認められておりません。  昨年十月、在インドネシア大使館調査した残留日本軍人実態表によれば、調査表を提出した元軍人軍属、百七十七名のうち、インドネシア帰化希望者数は百四十八人、日本国籍を離脱せず、インドネシア在住を希望する者は十四名、国籍選択考慮中の者が九名、二重国籍取得希望者は五名、ただしこれは国籍法によれば不可能であります。条件付で帰国を希望する者は一名。右の残留軍人軍属は、大部分インドネシア独立軍に投じ、インドネシアがオランダから主権を移譲された一九四九年十二月後退役しているものであります。  次に、該当者日本国内における身分上の取扱いでありますが、現地離隊後、現在まで未帰還の元日本軍人軍属は、日本国内では未帰還者等として終戦後留守家族留守家族手当が支給されていましたが、しかし昭和二十四年八月十五日をもって留守家族手当の支給が廃止され、一般邦人並みとして取り扱われることになっております。  未帰還者等の中には、現地離隊消息不明の者も申し上げたようにあり、厚生省では目下外務省を通じて、出先公館協力現地政府協力等によって、ただいま申し述べましたように消息不明者調査中でありますが、厚生省では該当者に未帰還者等名称を使用しておるようであります。未帰還日本軍人軍属で、消息が判明し現地残留している者は残留邦人名称を使用し、未帰還者等と区別しております。  その次に今後の処理の方針でありますが、目下、厚生省外務省を通じて行なっている調査は最終的なもので、消息不明の未帰還者等対象としております。従って残留邦人対象外としております。調査結果を待って、消息不明の未帰還者等に対して失綜宣告等、何らかの国内的措置が講ぜられる予定であります。  以上、インドネシアにおける残留日本軍人現況について御説明を申し上げた次第であります。  次に日韓会談における秘密協定があるかどうかという問題でありますが、韓国の駐日柳公使日韓会談にはその途上において秘密協定がある、場合によってはこの秘密協定を暴露してわが方に報復するという意味のことを公言しておるのであるが、秘密協定が実際あるのかという大西委員お尋ねに対して、そのような秘密協定はない、ただ会談中に日韓間で取りきめた事項でこの部分だけは公表しないでおこう、いわゆる非公表双方合意した部分が若干あるとお答えしたのでありますが、その非公表事項は何々かというお尋ねでありますので、その点をお答えするわけでありますが、これは昭和三十二年十二月三十一日抑留者相互釈放及び日韓会談再開に関し日韓間で取りきめた事項中非公表分の項目を申し上げるわけであります。  その第一は合意議事録についてでありますが、その中に三点あるわけでありまして、その第一は抑留者相互釈放実施期間、第二は日韓会談議題及びその細目、第三は日韓請求権問題の処理、これが合意議事録についての今申し述べました非公表事項であります。  第二は文化財問題の取扱いに関する口頭伝達事項であります。これも双方合意の上に非公表事項としております。  第三は大村収容所仮釈放者帰還について。以上非公表事項としては今申し述べました一、二、三の三件がございます。  第三に大西委員お尋ねになった点で弁護人韓国に送って不法拿捕されておる漁夫の裁判に当って弁護するという件でありますが、前回委員会においてもあらましの御説明を申し上げましたが、今までの経緯をもう一度申し上げますと、去る一月二十二日いわゆる李ラインを侵犯したかどによって韓国警備艇に不法拿捕された大洋漁業所属の第一八三及び第一八五明石丸乗組員二十五名は、現在韓国海洋警備隊に身柄を拘束されており、近く釜山地方法院において裁判されることになる予定であります。この間右乗組員留守家族に対して一月三十日付で韓国海洋警備隊司法警察官警正ていきてんから拘束通知書が送付されてきました。本通知書によれば韓国刑事訴訟法第八十七条によって弁護人を即時選任することができると述べておるのであります。右の通知書によって大洋漁業留守家族依頼を受けて直ちに弁護人選任手続を開始したのでありますが、元来韓国刑事訴訟法第三十一条によれば、弁護人弁護士中から選任しなければならないと規定されており、この意味において在日の外国人韓国弁護士資格を持っている者を探し出すことが第一条件となったので、いろいろと手がかりを求めた末、富国ビルにおいて民事の弁護士をやっている米国人ヘンダーソンが右の資格を有することを確認し、同氏に対して弁護人依頼を行なったのでありますが、同氏はこれを受諾しませんでしたので、同氏の知人である同じく米国人のマーレイ・スプラング、これは韓国弁護士資格を持っていないのであります。この方を紹介してきましたので、大洋漁業はこのスプラング氏と日本人弁護士守谷英隆氏を弁護人とすることとして、守谷氏の旅券下付を三月九日に受けて、同日入国査証申請書類を持って韓国代表部におもむいて、本人が旅券査証下付を求めたのであります。ところが韓国李総領事及び陳三等書記官が一行を応接しましたが、韓国弁護士でない者を弁護人として選任する場合には韓国地方法院許可が必要であり、右の許可書を持ってくるのでなければ査証申請書類は不備であって受けつけることができないと主張し、これに対し大洋漁業測は入国申請許可されてこそ、韓国地方法院に対し、直接に情理を尽して事情説明し、弁護人選任許可を求めることができるのであるから、まず入国申請を受理せらるべきであると主張しましたが、韓国はこれを了承しなかったのであります。右話し合いの最後に、大洋漁業側から、しからば守谷氏及びスプラング氏の渡航目的を法廷における弁護のためということでなくて、韓国に入って韓国弁護士資格を持つ弁護人選任訴訟手続の打ち合せという名目に変えたならば、申請を受けつけて入国許可するかという交渉をしましたところ、先方はそれはニュー・プロブレムであるから本国政府に問い合せて十一日ごろに返事すると約束をしましたが、まだその返事が大洋漁業には参っていないようであります。  今後の措置についてでありますが、韓国刑事訴訟法第三十一条によれば、弁護人弁護士中から選任しなければならないとなっており、ただし大法院以外の法院は、特別な事情があれば弁護士でない者を弁護人として選任することを許可することができるというようになっております。従って、韓国代表部の言う、まず法院許可が先決であり、それがあって入国の可否を論議するという議論はもっともな点もありますので、守谷氏とスプラング氏の弁護人選任許可願を直接釜山地方法院に郵送するとともに、できれば別に米人一名、日本人一名を立てて韓国弁護士選任のための入国許可を並行して推し進めることが、最善の措置であろうと考えます。外務省といたしましては、これについてもはや表面に出てこれらの問題について援助をしてしかるべきときと考えますので、今明日中に韓国代表部に対して、この入国許可に対して何らかの交渉をするつもりであります。その交渉は書簡によりますか口頭によりますか、今明日中にそれをきめて交渉する手はずにしております。  以上、お答えいたします。     —————————————
  4. 櫻内義雄

    櫻内委員長 参考人招致の件についてお諮りいたします。国際情勢に関する件、特にベトナム賠償問題について参考人を招致し、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 櫻内義雄

    櫻内委員長 御異議なければさよう決しました。  なお、参考人の人選につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 櫻内義雄

    櫻内委員長 御異議なければさよう取り計らいます。  また日時につきましては、来たる十六日月曜日午前十時より開会する予定でございますので、御了承下さい。     —————————————
  7. 櫻内義雄

    櫻内委員長 外務省設置法の一部を改正する法律案及び日本国アメリカ合衆国との間の小包郵便約定締結について承認を求めるの件の両件を一括議題とし、審査を行います。  質疑の通告がありますので、これを許します。松本七郎君。
  8. 松本七郎

    松本(七)委員 今の議題質問に入る前に、委員長にちょっと資料要求をしておきます。それはこの前の予算委員会分科会加藤勘十さんからインドネシア賠償にからむ不正の疑いについてのビンタン・チモール紙報道を詳しく知らせてくれという要求を出したのに対して、前回外務委員会外務大臣から報告があったわけです。しかし、その報告はただ向う報道をそのまま伝えられておるだけであって、これを今後どう扱うかについて多少資料が必要ですので、これから申し上げる資料を至急出していただきたい。それはインドネシアに限らずフィリピンそれからビルマ、なお交渉中のベトナム一切賠償に関する物件並びに品目その数量、価格、取扱い商社関係業者、これを一覧表にして出していただきたい。これをお願いいたします。
  9. 櫻内義雄

    櫻内委員長 承知いたしました。できるだけ御要望に沿いたいと思います。
  10. 松本七郎

    松本(七)委員 最初に日米小包郵便約定質問を続行したいと思いますが、この前もこれはちょっと問題にして取り上げたのですが、答弁の中にもありましたように、日本沖繩との間の郵便小包取扱いについては、万国郵便連合の規定を準用して行われておるということは、はっきりしておるわけです。ところが万国郵便連合には日本も加盟しておるばかりでなしに、日本小包郵便約定にも加入しておるわけです。ところがアメリカ万国郵便連合には加盟しているけれども小包郵便約定には加入していない。まず第一に問題になりますのはなぜアメリカ連合に加盟しながら約定に加入していないかという点です。
  11. 曾山克已

    ○曾山政府委員 ただいまの松本先生の御質問に対してお答えいたします。アメリカ万国郵便連合に加盟しておりながら、なぜ万国郵便連合の多数国条約である小包約定に加入していないかという御質問でありますが、先般の会議のときもお答えしたと思いますが、単にアメリカだけでなくて、たとえばオーストラリアとか、従来イギリスとかソ連とかいう国もこれに入っておらなかったのでございます。それはそれぞれの国の特殊性に基きまして、主として万国郵便連合小包約定で定めますところの料金条件が、それぞれの国に不満足である。つまり非常に広大な地域をかかえております国にとりましては、万国郵便連合小包約定によりますところの料金は安過ぎるという点が不満でございまして、それらの国が入っておらないということが一番大きな条件でございます。なおそのほかにきわめて技術的な不満足な条件があるために入っておらない点もありますが、そういった点は技術的でありますので、これがもしできるといたしましても、料金の点が最も各国にとりまして適用できないために、これらの国々が入っていない。今特に御指摘になった、アメリカが入っておらないという工合になっております。
  12. 松本七郎

    松本(七)委員 その約定アメリカが入っていない理由はいろいろありましょうけれども、それはともかくとして、元来条約というものは、当事国のみ効力を有するものだ、非当事国は何らの効力も及ぼさないことは当然なんですが、沖繩との今の郵便扱いについて、万国郵便約定に基いて取り扱うということになると、施政権を持っておるアメリカ日本政府の間には、この取扱いについての何らかの約束がなければならない。しかもアメリカ万国郵便約定には入っていないのですから、なおさらのこと、特別の取りきめというものが当然なければならぬじゃないか。これはこの前も御質問したことですが、そのままいつまででも今日の状態で放置しておいていいものかどうか。今後何らかの取りきめをされるおつもりがあるのかどうか、この点をもう一度お聞きいたします。
  13. 曾山克已

    ○曾山政府委員 先般の会議でも問題になりました沖繩地域日本本土地域との間におきますところの特に小包郵便物交換につきまして、何らかの取りきめが必要ではないかという御指摘でありますが、それにつきましては、私どもも理論的には先生のおっしゃる通りではないかと思います。ただ先般も申し上げましたように、またスキャッピンを持ち出しますとおしかりを受けるかもしれませんが、一応沖繩地域日本との関係におきましては法的な規制として、つまり法源があったわけでありまして、平和復交後はその内容を同一といたしまして、つまりもちろんスキャッピンに基くものではございませんが、日本アメリカとの間におきまして、沖繩地域との間の郵便関係につきましては従来の関係を継続するという合意をいたしたわけでございます。従って、その合意に基きまして、私ども日本アメリカとの間に、沖繩郵便上の地位につきましても総括的な取りきめができたものと解釈いたしまして、先ほど申しましたような小包交換を実施しておる次第でございます。
  14. 松本七郎

    松本(七)委員 そこで、外務省条約当局にお聞きしたいのですが、講和条約ができた以後も、スキャッピンがそのまま効力を持って、それに基いて事が行われているという例がほかにもありますか。
  15. 高橋通敏

    高橋(通)政府委員 これはもう御承知通り効力はなくなりますし、それに基いて行う場合は、国内的な、または国際的な措置が必要であろうと考えております。ただこの問題につきましては、特にそのような約束をせずに、実際上そのようなやり方でやって支障がないから、現在のところはそれでやっていこう、こういうふうな関係でやっているのじゃないかと思います。
  16. 松本七郎

    松本(七)委員 それは、いかに実際上の取扱いはそれで差しつかえなくても、法的にはきちっとしておかなければ根拠というものがないのであって、今までは、占領命令メモランダムスキャッピン根拠にして扱われておった。それを、今度はスキャッピンというのが効力をなくすならば、当然、今取り扱っておる実際の取扱い占領時代と同じ取扱いであっても、その法的な根拠というものはあらためて確立しなければならなくなる。そういう意味で、万国郵便約定というものを準用して取り扱われておる以上は、この万国郵便約定というものにアメリカ当局は入っていないのだから、沖繩についての郵便小包をどう扱うかということについては、当然、あらためてアメリカ日本政府の間に何らかの取りきめがなければ、条約上は、国際法上はおかしくなるじゃないか。条約上から外務当局はどういうふうに考えておられるか、外務当局の意向を聞きたい。
  17. 曾山克已

    ○曾山政府委員 外務当局からの御答弁があります前に、私の答弁が不十分でありました点を補足いたしますが、今松本先生お話によりますと、取りきめが必要じゃないか、あるいは何か内国的な法制が必要じゃないかということだと思いますが、実は先生も御承知のように、沖繩日本との関係におきましては、私ども郵政省関係で例をとりますと、郵便為替交換につきましての取りきめが一つあるのでございます。ところが御承知のように、郵便為替と申しますものは、やはり外貨つまり通貨管理関係におきまして、何らかのきわめて厳密な取りきめをいたしませんと、為替管理関係で非常に困るという意味におきまして、郵便なんかとは少し性質が違うのでございます。そこでその取りきめをしましたときに非常に問題になりましたのは、沖繩地域日本との間に国際法上の取りきめをいたしました場合に、その取りきめというものの効力が、果して条約なのか、いわゆる国家間の取りきめなのか、それともいわゆる内国法上の一種の通達的な効力を持つものかということが問題になったそうでございます。そこで日本といたしましては、郵政省及び外務省法制局関係官庁で相談いたしました結果、これは前者でなくて、つまり国家間の取りきめというものではなくて、内国法上の通達形式に基くものであるというふうに解釈をしたいという工合意思統一をいたしまして、現在沖繩日本との間の——これにはアメリカ民政府長官が署名しておりますけれども、取りきめがあるのでございますが、郵便につきましては、先ほど高橋条約局長もおっしゃいましたように、また先般の会議でも申し上げましたように、事実上郵便の、特に普通郵便交換につきましては、万国郵便連合というあらゆる国を網羅いたしましたところの組織があるわけでありまして、ちょうど空気と、あるいは水と同じように、事実上交換し合うことこそ条約の精神でもございますので、そういった非常にむずかしい条約上の、あるいは法律上の見解の相違のありますような問題は一応さておきまして、私ども沖繩日本本土との間の郵便交換を、万国郵便連合上の例外的な関係という、条約第九条に基きますところの解釈をいたしまして実施しておる、そういう次第でございます。
  18. 松本七郎

    松本(七)委員 郵政当局が、沖繩地位自体が非常に複雑な立場にあるのだから、これをめぐるところの国際法上のめんどうな問題をさしおいて、とにかく事務が円滑にできるようにという取扱いをされることは、それはよくわかるのです。だけど私の聞きたいのは、外務当局としてはどう考えるか。今郵政当局からお話がありましたけれどもアメリカ沖繩外地扱いしている、いかに日本国内扱いをすることが便利であり、また従来のスキャッピンに基いてこれをやってきたんだからそれでいいという実際の取扱いはそれでよくても、アメリカ側外地扱いをしておる。しかも万国郵便約定アメリカは入っていない。そしてスキャッピン効力はすでにないということになれば、国際的には当然これはアメリカと何かのこれに対する取りきめがなければ——施政権自体向うが持っているのだから郵便に関する限り施政権の返還ということがなされるか、それでなかったら何らかの取りきめが日米の間に必要じゃないか。外務当局は一体どう理解されますか。今まで事務的に扱ってそれが差しつかえなくやられておれば、それは放置しておいていいと考えられるのか、何らかきちっとけじめをつける必要がありと認めれるか、この点を明らかにしていただきたい。
  19. 高橋通敏

    高橋(通)政府委員 御指摘の点、よく今後も考慮してみたいと思っております。ただ現在のところは、御承知通り沖繩はあのような一つの暫定的な性格を持っているものだとわれわれは考えております。それからもう一つは、アメリカとのそういう話し合いがございまして、非常に技術的な問題でございますので、こういう話し合いによって実際上行われておる。従いまして、これを特に新たに条約にするとか、協定にするとかいうふうに、形式をはっきり整えてやる必要はない、今のところ実際的な話し合い、それによってやっていったらいいじゃないか、このように考えております。
  20. 岡田春夫

    ○岡田委員 関連して伺いたいのですが、今高橋君の言われたことで、スキャップの問題は法的に認められるのですかどうですか。国際法上権利義務を生ずるのですか。
  21. 高橋通敏

    高橋(通)政府委員 効力その他の点については、私はちょっとはっきりしたことをつまびらかにいたしませんが、おそらくスキャップ関係の権利義務関係は、あとで国内法的に裏づけできるようにしたのではないかと思っておりますが、この点私は一般的にはっきりしたことはちょっと申し上げかねます。
  22. 岡田春夫

    ○岡田委員 国内法的な裏づけがあっても、そのこと自体が国際法上の権利義務を生ずるかどうか。
  23. 高橋通敏

    高橋(通)政府委員 おもに国内的な問題でございますので、国外的な問題は別じゃなかろうかと思っております。
  24. 岡田春夫

    ○岡田委員 しかし沖繩扱いについては、何らそれ以外の措置というものはないわけでしょう。そうすると沖繩の今の郵便上の問題で国際法——国際法上ということに問題があるといえばそれまでだが、その問題によって権利の喪失が起るという場合には、この扱いをどうしますか。
  25. 高橋通敏

    高橋(通)政府委員 ただいま御指摘の点は、発生的、経過的にはそういうことがあったということであろうと思っております。それがその後の問題としましては、内容が同じであるかもしれませんが、新たなる合意と申しますか、新たなる約束として続いているものである、新たなる意思表示と申しますかによって行われているものである、こういうように考えます。
  26. 岡田春夫

    ○岡田委員 そうすると、何らか新たなそれに基く協約、あるいは契約か、権利義務を規定するような裏づけがあるということになりますか。
  27. 曾山克已

    ○曾山政府委員 その通りでございます。そこで約束をいたした次第でございます。
  28. 岡田春夫

    ○岡田委員 そうすると、そこで新たなる約束をすると、その限りにおいては、スキャッピンというものの、先ほど答弁されたことはそこで切れているとみなしていいのですか。
  29. 高橋通敏

    高橋(通)政府委員 そのように考えていいかと思っております。
  30. 岡田春夫

    ○岡田委員 そうすると、さっきスキャップがこう言ったからどう言ったということは、全然間違いであって、答弁を訂正されなければならないわけですね。
  31. 曾山克已

    ○曾山政府委員 岡田先生の御指摘の趣旨の通りでございますので、もし私の答弁が不十分でございましたら訂正させていただきます。ただ私の申し上げた内容がそうであったというだけのことでございますので、その点誤解のないように願います。
  32. 岡田春夫

    ○岡田委員 内容がそうであったという経過よりも、問題は、スキャップがこうなんだからこうなんですよという言い方をとかくあなた方はしたがるので、それだけにあなたが、皆さんにおしかりを受けるでしょうがと前置きをして断わられたのですが、こういう点ははっきりしておいていただかないと、どこの政府の答弁をしておられるのかわれわれわからなくなるから、そこの点ははっきりしておいていただきたいと思うのです。その点は内容の経過の点よりも、ここで答弁として速記録に残るものはそういう点なのですから、御注意までに申し上げておきます。取り消されたのですから、あえて私は追及いたしません。
  33. 松本七郎

    松本(七)委員 今度の日米小包郵便約定の案件は、実際の取扱い上その他の問題をスムーズにする意味では、通さなければならぬ問題だと思うのですけれども、しかしこの前から問題になって、きょうも今論議しているように、沖繩における法的な根拠というものは非常に不明確なのです。だから、いずれにしてもこの点をもう少しはっきり今後処置するという約束を、私は政府当局からとらなければならぬ。当時のスキャップによるいろいろな権利義務関係を、国内法的に規定して継承しておるということの当否もありますけれども、かりにそこまでは譲るとしても、沖繩に関するスキャッピン国際法的な効力というものはないことは明らかなのだから、これは講和ができてから特に国際的に取りきめられた約定に、片一方は入っておって、アメリカが入っておらないというような複雑な事態に対しては、はっきりと法的なけじめをつけておくことが絶対に必要だと思います。そういう点がはっきりしないのに、これを通すということは、大へん問題が多いと思うのですが、他面郵便事務の円滑化ということからすれば、これはやはりなるべく早く通さなければならぬ点もあると思います。このところは十分政府も考えて今後処置してもらわなければならぬので、この段階でもある程度それに対する政府の考え方を明らかにしてもらわないと、さらにこまかい質問を進めていく上に困ります。もう少しわれわれの納得のいく答弁をできないものでしょうか。
  34. 高橋通敏

    高橋(通)政府委員 ただいま御指摘の点は、今後よく検討してみたいと思っております。現在のままでいくか、それとも何か取りきめ、協定——協定といいますか、沖繩当局を相手として取りきめを作った方がいいのかどうか、その点よく検討させていただきたいと思います。
  35. 松本七郎

    松本(七)委員 今後なお検討すると言うけれども、今まで日米の間でスキャッピンにかわる何らかの取りきめをやった方がよくはないかというような意見さえも、外務当局としては出たことはないのですか。全然関知していなかったということですか。
  36. 曾山克已

    ○曾山政府委員 外務省当局とも下相談をいたしましたが、おそらく正式にこれを取り上げるというところまではいっておらなかったのじゃないかと思います。ただ先ほども申し上げましたように、アメリカ合衆国との間におきましては合意はあったわけでございますので、その合意は、厳密に言えば国際法上の取りきめということになるかと思いますが、私ども事務当局の間の取りきめがあった次第であります。
  37. 松本七郎

    松本(七)委員 今の合意というのは、アメリカ合衆国の政府から沖繩の民政府を通じて意思表示されたのですか。その点はどうですか。
  38. 曾山克已

    ○曾山政府委員 アメリカ日本との関係でございまして、沖繩を通じてはおりません。
  39. 松本七郎

    松本(七)委員 その合意のできたのはいつですか。
  40. 曾山克已

    ○曾山政府委員 それは昭和二十七年か八年の初めでございましたか、たしかそのころだと思います。
  41. 松本七郎

    松本(七)委員 その合意は、もちろん協定文にはなっていなくても、文書として何か交換公文とか、そういう形で記録は残っておるのですか。
  42. 曾山克已

    ○曾山政府委員 交換公文であったかどうか私記憶がございませんので、調べて御報告いたします。私の記憶ではたしか手紙と申しますか、いわゆるレターの形式だったと思います。
  43. 松本七郎

    松本(七)委員 それは外務省を通じないで郵政当局がやるのですか。
  44. 曾山克已

    ○曾山政府委員 私ども事務的な取りきめというくらいに解しておりまして、従って郵政当局がやりました。
  45. 松本七郎

    松本(七)委員 これはまだだいぶ問題があるのですが、少し先に進みましょう。  この小包の料金ですが、これは陸路、航空それぞれ料金が異なるわけですが、わが国の輸送機関と米国の輸送機関によっても輸送料金が違う。つまり三条の規定ですが、その一覧表でもありましたら資料として出していただきたいと思います。
  46. 曾山克已

    ○曾山政府委員 詳しい一覧表は後ほど資料として提出することといたしまして、大まかに申し上げますと、先生の御質問の第一点、つまりアメリカの船舶を利用する場合と日本船舶を利用する場合と料金が違うかというと、これは違いません。つまり日本アメリカの船舶を利用しましょうと、日本の船舶を利用しましょうと、日本の公衆から取る料金は同一であります。同じくアメリカ合衆国におきましても、アメリカ郵政省アメリカの船舶を使いましょうと、日本の船舶を使いましょうと、やはり同一でございます。
  47. 松本七郎

    松本(七)委員 それから三条の規定によるところの両国間の収得額の清算は、どういうようにしてなされますか。
  48. 曾山克已

    ○曾山政府委員 三条によるところの収得額の清算でございますが、これはアメリカとの関係におきましては、四半期に一回ずつ日本の取り分とアメリカの取り分の差額を、それぞれ権利郵政庁から請求して取る、そういう仕組みになっております。
  49. 松本七郎

    松本(七)委員 大臣が来られましたから、一般情勢の問題に切りかえなければなりませんので、今の小包とそれから外務省設置法の大臣に関するところだけちょっと質問いたします。大臣、今日米小包郵便約定の前会の続きの、沖繩の法的な問題、沖繩をめぐるところの日米間の取扱いスキャッピンに基いてなされておる。スキャッピン国際法上は当然講和発効後無効になっておる。そのスキャッピンに基いてなされておった。法的な裏づけをするためには当然日米間ではっきりした新しい法的な根拠を作るべきだという問題ですが、今の郵政当局の話では、外務省を通ぜずに郵政当局からアメリカ政府に申し入れて、スキャッピンに基いてやっておったものをそのまま継承するという合意がなされておる、こういう答弁なのですね。単なるそういう手紙のやりとりによる合意では不十分じゃないか。やはり占領政策というものを打ち切った以上は、効力がなくなった以上は、はっきりした取りきめを今後ここでやって法的なけじめをつけてもらうという約束をしてもらわない限りは、われわれとしては日米間の郵便小包の円滑化をはかる上から、この協定がいかに必要であるといっても、簡単には通せないじゃないかということを申し上げているところなのです。当局としては今後十分検討したいという御答弁があったのですが、この点は大臣からはっきり、今後善処するということを確約していただかないと、非常に大事な問題なので審議が進められません。この点をお伺いしたい。
  50. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 今日まで実際上支障なくやっておりますので、特に取りきめの必要はないとは存じておりますけれども、御意見もありますから、十分今後考慮して、御意見のようなふうに考えて参りたいと思います。
  51. 松本七郎

    松本(七)委員 その必要はないと思うというところに実は問題があるのです。そういうことを言われたのでは困る。実際の実務は今まで通りでもやれるのです。またやってきたのです。ただその今までやってきた実務の法的根拠は何であったかというと、これは占領時代メモランダムスキャッピンだ。だからそれが効力がない現在においては、その実務は今まで継続してきた実務なのです。その法的な根拠は新たなものをここに作らなければならないじゃないか。だからこのままでは差しつかえがあるわけなのです。その差しつかえがあるからこそ、今郵政当局はすでにアメリカ側と手紙のやりとりで合意ができたと言っている。その手紙のやりとりの合意ではなお不十分であるから、今後はっきりした日米間の合意を何らかの形でやってほしいということを私ども要求しておるのですが、その必要性は認めて、どうやっていつごろやるかということはさらに検討するということなら、まあわれわれは郵便小包の業務の円滑化のためにこれは至急通すという結論が出ると思う。その必要がないが研究してみましょうでは、話にならない。この点、はっきりしてもらいたい。
  52. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 実務を今日までやっておりまして、手紙のやりとりで支障がなかったわけでありますけれども、ただいまの御意見がありますれば、むろんそうした取りきめができることは悪いことではございませんから、十分考慮して参りたいと思います。
  53. 松本七郎

    松本(七)委員 まだあいまいですけれども、時間もあれですから、小包郵便約定の大臣に対する質問はこの程度にとどめておきます。  それから今度は外務省設置法の方を一、二点いたします。まず第一には提案理由を大臣が述べられた中に、「経済協力部を設置することは、外務省の権限を拡大するものではなく、また、同部は、他省庁の機構と何ら重複するものでもありません。すなわち、改正法律案には、所掌事務の規定を二項起す形式をとっておりますが、これは、新たな事務を追加するものでもなく、従来の経済局の所掌事務を整理した上、そのうちから経済協力関係事務を引き出して、これを新たな部に移すための措置にすぎないのであります。」こういうことを言ったのです。どうも非常に遠慮深い説明のように、遠慮深いというよりもちょっと卑屈に感ずるのです。ほんとうに経済外交、経済協力というものを積極的にやろうとするならば、そしてそのために経済協力部の必要があるのなら、むしろ外務省の権限を拡大してでも積極的にやるべきだ、そういう方向を強く打ち出さなければ非常に弱い感じを与えますが、この点どうなんでしょうか。むしろ機構は少々重複しても、重複したところは今後さらに整理していくとして、さしあたりは外務省にこういう部を設けて、今は企画庁とか通産省とか、いろいろなところと関係があるから急には簡単にはいかないでしょうけれども、この新しくできる経済協力部にだんだん権限を集中し、権限を強めてでもこれを強化して、積極的にやるのだという熱意がどうも現われてこない。その点非常に不安でもあるし、何だか弱い感じがするのですが、どういうおつもりなんでしょう。
  54. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 経済協力ということは、われわれがいわゆる経済外交をやっております上において非常に必要でもあり、重要でもある。従って外務省としてこれに力を入れ、熱意を持ってやらなければならないことは言うまでもないことであります。ですからただいまお話のように、外務省を鞭撻していただきましてありがたいことなのでありますが、われわれとしてもその意気でやるつもりでおります。ただこうした制度上の問題をいじって参りますときには、いろいろな関連を持っておるわけでありまして、従って最初のスタートとしては若干遠慮ぎみというお話もありましたけれども、若干そういう点があるかとも思いますが、しかし決して将来とも遠慮しいしいやっていくという問題でない、こう考えております。御趣旨に沿うように、できるだけ今後ともやって参りたいと思っております。
  55. 松本七郎

    松本(七)委員 その次は経済協力部の所掌の中に、「本邦からの海外投資に関する利益を保護し、及び増進すること。」こういう点があるようでございます。これは非常に重要な点だと思うのですが、従来は海外投資に関する利益を保護するために、陸海空軍という強力な軍隊によってこれが守られ、あるいは必要な場合には戦争ということになるわけです。今後日本の海外投資を守る方法は、当然従来のやり方とは違ったものがなければならないし、それからこれを受け入れる方もだんだんにおもな基本産業の国営が進んでくるだろう、こういうふうになると、日本の海外投資の保護のやり方は相当変ってくるのじゃないか、それについての新しい構想、大臣のお考えは、基本的にはどういうところに置いておられるか、伺っておきたいと思います。
  56. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 お話のように日本の海外におきます利益を擁護していくということは、むろん今日外交上の方法、手段をもってやって参らなければならぬことでありまして、他のいかなる力でもそういうものをやるべきではむろんないと思います。従って外務省が海外各地におきます日本人の投資その他を保護していくにつきましては最善の注意と経験とをもってやって参らなければならぬと同時に、しかし今御指摘のありましたように日本人の権益を十分保護はして参らなければなりませんけれども、やはりそれぞれその国の実情がございます。その実情に応じてわれわれも保護という問題を考えて参らなければならぬのでありまして、なおそれと同時に国内通産行政とも関連をして参ると思います。でありますから、そういう意味において慎重にそれらの問題を考えて参らなければならぬこと申すまでもないのでありまして、われわれといたしましてはできるだけそういう点に、在外公館の機能を充実しまして、そうして万遺漏なきを期していくということが必要であろうかと考えております。
  57. 松本七郎

    松本(七)委員 そこで外国との経済協力の面で今後一つ問題になるのはいわゆる後進国との関係において、後進国に外貨が足りないので、自分のところで輸出できる物をなるべく高く買ってもらい、外国から入れる物はなるべく安くしてもらいたい、こういうことが特に最近は中国に対して、あるいはソ連に対して、いわゆる社会主義諸国に対してはそういう要求が出るわけです。そうすると国営貿易をやっておるところでは国策として、また後進国をほんとうに援助するという建前から、いわゆるダンピングとは違った政策上の建前から、自分の国の物を特に安く提供して、そして相手の米なりあるいは綿花なりを特に高く買ってやるというような経済援助協力の方法が具体的に最近非常に進展してきているわけです。そういうやり方が果して今後の日本でやれるものかどうか。これをやろうとするためには、社会主義諸国がそういうやり方をやっている中に伍して、ほんとうに後進国と日本とが経済協力の実績を上げていくためには、やはり何らかそういうやり方を加味していかなければ、ただ商業上の採算本位でやっておったのではとてもこれはできないと私は思うのです。だから今までのやり方になれておる資本主義諸国から見れば、表面づらだけから見ると社会主義諸国はダンピングをやっているのだという非難をするわけですが、ところが実際はダンピングではない。やはりほんとうに後進国を援助するために、みずからの国を犠牲にしてでもそういう貿易ということがなされつつある。そういうことがだんだん進展する中で日本が後進諸国、東南アジア諸国とほんとうに友好関係を結び、そして経済協力の実をあげるには、このようなやり方を加味していかなければ太刀打ちできないのではないか。そうなった場合に国がやはり国際貿易、国際間の経済協力に何らかタッチしていくべき面が今後だんだん出てくるのではないか、また出てこなければやれなくなるのではないかという気がするのですが、そういう点について何らかお考えがございますでしょうか。
  58. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 お話のように、後進国におきましては経済財政金融上の安定を得ておりません国が非常に多いわけでありますから、それらの国と今お話のように貿易を増進し、あるいは経済協力をやって参ります場合に、何らかの形でもって国がある程度考えていかなくてはならぬということは、これは当然起り得ると思います。たとえば現在、御承知のように東南アジアにおける米の問題にいたしましても、日本が非常に農作であればあまり数量的には買えないというような場合が起ってくるわけです。そうしますと、数量的に買えないけれども、それをどういうふうに米産国に割り当てていくかというような問題は、外交上やはり非常に重要な問題だと思うのでありまして、やはり農林当局あたりがこれらを扱います際にも、われわれとしてはこの国との貿易バランスというものはこうなっている、従ってこの国から米を買ってもらわなければ困る、また数量は少いけれどもB国からも買ってもらわなければ困るというような問題も、現に起っており、またそういうやり方を農林当局にも現地事情から見てお話してやっておるわけなんです。ですからそういう考慮は今後も十分して参らなければ、後進国に対する貿易、特に第一次産品を多く生産しておりまして、しかもそれはほとんど熱帯でありますから、共通の品物が多い場合があります。そういう場合については十分な考慮をいたして参らなければならぬ、こう考えております。
  59. 松本七郎

    松本(七)委員 それではまだ二、三ありますけれども、これは事務当局に対する質問に譲って、国際情勢に対する質疑に切りかえていただきたいと思います。     —————————————
  60. 櫻内義雄

    櫻内委員長 国際情勢に関して調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。宇都宮徳馬君。
  61. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員 ちょっと議事進行についてお聞きいたしますが、採決はあとでやられますか。
  62. 櫻内義雄

    櫻内委員長 そうです、あとでいたします。
  63. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員 外務大臣質問をいたしますが、先般安保条約について岸総理大臣にただしまして、政府の構想、意のあるところは相当わかったのでありますが、なお残っている部分について簡単に質問をいたします。  その前に、藤山外務大臣条約を仮調印でも急いで調印したい、こういう御意思のように承わっておりまするが、仮調印せられる意思はありますか。
  64. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 これは手続上の問題でありまして、条約を作りますときには、一応仮調印と本調印とがあると思うのです。ですから、いかなる場合でも一応仮調印をし、さらに本調印をするという形にはなって参ると思います。ただ仮調印と本調印との間に時間的にどれだけの時間がかかるかということは、その条約性質なりあるいは調印の場合の全権の問題とか、そうしたいろいろな問題が考えられると思うのでありまして、それ以上に仮調印と本調印との間の時間的な関係というものは、特別にないと思っております。
  65. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員 すべての条約を一応仮調印するということはあると思いますが、仮調印というものが特に重要な意味を持ちますのは、仮調印のままいろいろな事情でもってしばらく本調印ができない。そういうことで特に仮調印に外交的な意味が出てくると思うのですが、そういう意味の仮調印ではなくて、常に行う事務的な仮調印、仮調印というのはこういう意味でございますか。
  66. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 今宇都宮委員の言われました通り意味であります。従って今回の場合におきましても、まだ実は条約そのものの正式の交渉に深く入っておりません。従ってまだその問題を考えておりませんけれども、たとえば調印の場所をどこにするとか、あるいは調印をする場合には何らかの形で全権団を作るか作らないかとか、そういうような問題があるわけでありますから、そういうことは今後の問題として考えていきたいと思っておりますが、そういう意味で仮調印と本調印との間に、条約のいかんによっては、若干の時日がかかる場合があろうと思いますけれども、その取扱い方を特にそれ以外の要素で何か考えるということはございません。
  67. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員 仮調印をいたしましたら、これは特別の事情がない限り本調印のときに変更できないと思います。ただその本調印は正式なものであり、実質的には仮調印で済ます、こういうことだと思うのですが、いろいろな事情で安保条約の本調印が長引く。そこで仮調印をよほど前に済ますということになりますと、そういう仮調印をするくらいならば仮調印をあとにずらせまして、それこそ本調印と前後して事務的にやる、特に仮調印ということを言われる必要はないと思いまするが、そういうふうに理解していいわけですか。
  68. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 ただいまお話しのありましたように、条約を作ります場合の普通の意味における仮調印と本調印とをわれわれ考えております。
  69. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員 そうすると、今度たとえば安保条約で仮調印をなさるという場合には、本調印との間に長い期間はない、こう見ていいわけですか。
  70. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 普通の場合に二カ月なり何なりはあり得る場合が多いのであります。その程度の普通の場合を想定していただいてけっこうだと思います。
  71. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員 この前総理大臣に質問いたしましたときに、この安保条約の改定は実は新条約である。従って行政協定自身も法的には一応消滅する。また行政協定自身の内容にいろいろ問題があるから、これは新行政協定の際に徹底的に改める必要があるということを、私の質問に対して総理大臣も言われた。そしてそれゆえに行政協定の全面的改定ができてから本調印をする、そういう意味で仮調印をされる、こういう意味ではございませんか。
  72. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 行政協定と条約とはなるべく同時に処置をして参りたい、こういうふうに私は考えております。その考え方でもって、アメリカ側にも交渉をしてみたいというのが私の考え方であります。
  73. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員 藤山外務大臣は行政協定の改定につきましては、二十四条と二十五条の(b)項だけに限るというふうに言われております。これは今度の条約改正の場合に、それだけに限って、その他の改正は今度の条約改定としては取り扱わないというふうにお考えですか。
  74. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 私がかねて申していましたように、私としては二十四条の削除、二十五条の(b)項の廃止ということは、ぜひともアメリカ側要求してみたいということをかねてから申し上げております。果して承諾を得るかいなかは別といたしましても、それはぜひやってみたいと考えております。その他の問題につきましては、むろん改正すべきものがあれば改正する必要もあろうかと思いますが、しかし実際の問題として、十分内容を検討して参らなければなりませんし、現在の行政協定の二十八条にも、両者が合意すればいつでも改定できるという条項もございますから、必要な場合には新協定ができましても、その後でも改正ができるわけでありますから、必ずしも今全面改正ということをすぐに持ち出すのが適当であるかどうかということについては、私自身はまだ十分考えていかなければならぬ、こう思っております。
  75. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員 条約を自主的にかつ対等の立場から改正されるということになりますと、やはり行政協定が非常に重要だと私は思うのです。それで、ただいま二十四条、二十五条の(b)項ということを言われましたが、二十四条などは、本来本条約に当然入るべきものが、そのときのいろいろな事情でまぎれ込んでいるということでありまして、これは条約改正の場合に当然すべきであって、安保条約を自主的に改定する、従って行政協定の二十四条を改正するということに私は別にならぬと思う。当然のことであります。また二十五条の(b)項にいたしましても、今までの交換公文等によりまして、金額などは明らかに減っているわけです。実情に合わせるという意味からいって、二十五条の改定というものはせざるを得ない、現在の実情に合わせるというだけからいってもせざるを得ないのでありまして、行政協定の改定ということにはならぬわけであります。そういたしますと、国民も相当知識があるのですから、安保条約を自主的に改定した、行政協定を改めたといっても、一体行政協定のどこを改めた、二十四条と二十五条の(b)項だというようなことでは、あなたがおっしゃった自主的、対等の見地から直したといっても、国民は、大事な行政協定が少しも直ってない、ただ実情に応じて直さざるを得ない面だけを直したということになると思いますが、それについて御意見はどうなんですか。
  76. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 むろん本条約をただいまお話しのように直して参りますと、行政協定で当然直されなければならぬ部分があると思います。今お話しのように、二十四条はまあそうだと思います。二十五条の(b)項につきましては、必ずしも当然じゃないかというほどには考えません。ですからこれは新しく要求して本条約が直ったから当然直したんだとまでは言い切れない問題じゃないか、こう思いますけれども、できるだけそういう趣旨のもとにやって参りたいということをかねがね申し上げておるわけでありまして、その他の問題につきましても、これは私ども決して軽視しているわけではございません。国民生活に相当つながった問題もございます。ただやはり行政協定を十分検討してみる必要はございますけれども、しかし同時に、あるいは完全にNATO諸国並みにできない点もあろうかと思います。またNATO条約並みのものもありますから、そういうものはあるいは改定することが無理じゃないかとも思っております。また精神的に同じであっても、表現方法が違っているためにまずいという点もあるように思います。それから実際に違っておる点ではあるけれども日本の特殊事情というものも考えてみなければならぬ場合もあろうかと思います。ヨーロッパの生活と日本の生活とは必ずしも同じような状況にない場合に、その点は考慮しなければならぬという点もあるわけであります。従いまして、そういう点を十分考えながら、改定その他の問題について考慮をして参らなければならぬと思います。今安保条約改定そのものを相当強力に推し進めて参る上において、それらの問題について、どの程度まで第一段階として改正に手をつけるか、また第二段の問題として将来やはり改定し得るのでありますから、これらのものを改定していくという方法をどの程度まで織り込んでいくかという問題は、今検討をいたしておるわけであります。いろいろ御議論もあるようでありますから、それらの御議論を承わった上で最終的には考えていきたい、こう考えております。
  77. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員 たとえば行政協定第七条「公益事業及び公共の役務を利用する権利並びにその利用における優先権を享有する権利を有する。」というような事項は、これは今回のNATO条約におきましても、その他の条約におきましても、軍隊の駐留に関する規定ではない、非常に強いものだと思います。こういうような条項はたくさんあります。たとえば軍票なんかの規定にしてもそうです。軍票を管理する金融機関を特に保持する権利、それから航空管制の問題とか、あるいは電波の問題とか、普通のこの種の協定にはないいろいろの権利を持っているわけであります。これは日本として守ってもらうのだ、だからアメリカに相当権利を与えてもいいじゃないかという常識論も成り立ちますけれども、しかしながら安保条約を自主的に改正するという大きな旗じるしを掲げておる以上、やはりこういうものを残しますと、将来相当やはり禍根になるのじゃないかと私は思います。でありまするから、私は安保条約を改正なさる際に行政協定をおいじりになるならば、二十四条、二十五条の(b)項だけというようなことはおかしいと思います。二十五条の(a)項にいたしましても、こういうふうに無償でいろんな施設その他を提供するというような規定も珍しい。いろいろございまするが、この点は十分お考えになって、そうしてあまり急いで自主的の名前だけで、実質は少しも自主的にならぬというようなことがないように御注意願いたいと思います。それから行政協定等も、当然ほんとうの相互防衛条約ならば改められる。ところが改められないということは、結局政府は、この条約は自主的、双務的にするのだ、これはごもっともな話で当然なんですが、しかしながら自主性については、私はこの前いろいろ質問して、政府の意図する自主性というものはどういうものかということは、ある程度までわかったような気がするのですが、双務性とか相互性ということになりますると、たとえばアメリカの防衛義務を明確にすることは、相互防衛条約では当然と思うのですが、日本のこれに対する反対給付と申しますか、それによって初めて双務性、相互性はできるというわけです。私はこの前総理大臣に、沖繩、小笠原をたとえば条約区域に含む場合、これは米国の領域としてするのか、あるいは日本地域としてするのかというふうに質問いたしましたら、日本地域とする、ということになりますると、沖繩、小笠原を条約区域に含む場合にも少しも双務性が出てこない、相互性は出てこないということになるわけであります。それで政府としては双務性、相互性、こういうものをどこで一体——二十四条が行政協定にあるということも、おそらくこれを本条約に盛ったら、アメリカの上院等を、バンデンバーグ決議等に縛られ、とても通過する見込みはないから、二十四条も行政協定に入っているのだと思いまするが、一体今度は、そういうアメリカが納得するような双務性、相互性というものはどこにお盛り込みになるのですか、これを一つ伺いたいと思います。
  78. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 今回の改正に当りまして、大体今まで申し上げたような構想でもって進めて参りたいと思っております。従って、それを自主性とか双務性とか、どういう概念に当てはめて、あるいはどういう範疇にあてはめて整理するかということなのでありますけれども、私どもとしては、そうした言葉の上の概念だけにとらわれることなしに、実体の上から言いまして、今まで申し上げておりますような形においてまとまりますれば、それは自主性が現在の条約よりも盛られた格好になり、また双務的と申しますか、一方では非常に今までの条約が片務的であったという意味において、今度の改正によって、それが双務的という言葉が使われれば使えることになろうと思うのでありまして、アメリカの上院等においても、おそらくそういう意味からして、何か特別に日本に膨大な、従来と違った義務を負わせるというようなことは考えておらぬのではないか、こう存じております。
  79. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員 その点があいまいである。ということは、ある意味では日本が有利のようにも見えます。日本アメリカに防衛義務だけを負わせる。こっちはそれの代価となるような相互的なものも新しく追加しないということは、ある意味では私は日本の利益のように見える。しかしながら注意しなければならぬことは、うっかりすると実質的な保護国のようなものになってしまう。つまり保護国というものは、他の国を外部の侵略から防衛することを代償として、その国の外交権を支配するというようなことが保護国の定義でございまするけれどもアメリカに外部からの侵略を守ってもらう、そうしてそれに対応する日本の義務というものは非常に不明確であるということになりますると、実質上外交権を支配する表面上の条文はなくても、実質的にそういうことが強くなるということになりますると、私は非常に問題だと思う。こういう点について一つ確信ある御意見を承わりたいと思うのであります。
  80. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 むろんアメリカ日本の防衛義務を負いますに対して、われわれも基地の提供その他サービス等いろいろな関係においてそれに対する義務を負いますことは、これは当然のことだと思います。そういうことでありますが、今お話のように、何かそれが若干足りないのではないか、またそういうようなことのために何か日本人が外交権でもとられたような圧力を感じるのではないかという御心配だと思うのでありますが、私は、現在において日本国民の独立的な決意というものは強いのでありますし、決してそういう状況にはならぬし、またアメリカ自身も、そういうことによって日本を拘束し、あるいは日本を指導しますことが、アメリカ自身の恒久的な国際政治に対する立場から考えてみて、適当だとはアメリカの人は考えないと思います。でありますから、そういう点については、むろん日本自身もしっかりした考えをもって今後の外交政策をやって参らなければならぬことは当然でありますけれども、それに対して特にアメリカ側が何か優越感を持つようなことは、私はアメリカ人の常識から見ても、また今日までの日米関係から見ても、あり得ないことだ、こういうふうに思います。
  81. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員 私はこの前の質問でも、現行の安保条約は非常に暫定的性格を持っている、つまり占領終結後の米軍の駐留を規定する、そういう意味で非常に暫定的な性格を持っている、その中にあるいろいろな不平等性というものは、そういう暫定的性格のゆえに許されるというふうに考えるのです。しかしながら、これを暫定的ではなくするということになりますると、私は非常にそういう点を慎重に考えなければならない、こういうふうに思うわけです。占領終結後の暫定的な規定ではないので、日米間の根本的な関係を相当恒常的に規定しており、また同時に国際的な安全保障体制の中の日本地位も、相当恒常的に規定しているということになりますから、ただいいかげんというと失礼ですが、ばく然とした自主的な文面にかえて、いろいろな点で実質的な不平等が残るということは、私は非常に重大なことだと思う。これは、もし悪い結果になりますると、外務大臣の非常な責任になりますから、この点は十分一つ慎重にやっていただきたい、こう思う次第でございます。  それから、政府部内で、安全保障条約をいじる場合に、現行のMSA協定をやはりいじらなければならぬというような話があるということを聞いておりまするが、これはその通りでありますか。
  82. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 政府部内には現在まだそうした意見はございません。MSA協定を見ましても、安保条約を引用しておりますごく事務的な訂正以外にはないと思います。
  83. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員 この点につきまして、条約局長から説明してもらいたいと思います。
  84. 高橋通敏

    高橋(通)政府委員 ただいまの大臣の答弁と同じでございますが、補足さしていただきますれば、実体的には何ら関係がないと思っております。ただ、引用した部分が技術的にありますが、これは、これを改正するとかしないとかいう問題でございません。今後新しい条約によって当然対応するものとして読みかえられるか、もしそれがなければ当然効力がなくなったと考えるか、いろいろ技術的には考え方があろうかと思います。
  85. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員 条約の名前が変ったから、その条約の名前が入っておる部分を読みかえるという以外にほとんどない。こういうことでありますね。——わかりました。私の質問はこれで終ります。
  86. 櫻内義雄

  87. 大西正道

    大西委員 この間の参議院の予算委員会で、わが党の議員の質問に答えて、総理は、在日米軍に加えられた攻撃は、同時にこれは日本に加えられた攻撃と見なす、こういうことを言っておられるのでありますが、この総理の見解に対しては外相も同じ考えを持っておられますか。
  88. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 同じ考え方を持っております。
  89. 大西正道

    大西委員 在日米軍に対する第三国の攻撃という場合にはそれはいつでも侵略的なものである、こういうようにお考えでありますか。
  90. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 日本に米軍がおりますのは、日本を防衛することでありますし、また同時にこの侵略から守るためにおるわけであります。同時に日本の基地を使用しておるわけでありますから、当然何らかの形における侵略と見なすのが適当だと考えております。
  91. 大西正道

    大西委員 それでは外務大臣は、米軍の日本を基地にした行動というものは、すべてこれは防衛的なものであって、侵略的なものは絶対にない。こういう断定の上に立たれるのですか。
  92. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 それは当然国連憲章の範囲内の行動でなければなりませんし、またよそに出かけるというような場合も協議事項になっております。
  93. 大西正道

    大西委員 ところが具体的な例をあげますと、台湾海峡におけるあの問題であります。この問題については米軍の方は、これは中国側の攻撃だ。これに対してアジアの平和を維持するために作戦をやっておるのだ、こういう建前をとっておるでありましょう。しかしながら中国の側に立ってみますと、現実に言いかえますと、むしろこれは内政干渉であり、米軍がいたずらに中国の領土内に干渉をするのだ、攻撃を加えてくるのだ、こういう自衛の主張をしておるのであります。これはどちらが正しいかということは、また政治的な判断によることだと思うのであります。しかし事ほどさように防衛といい、攻撃といい、これは非常にむずかしい問題だ。こういう観点から見ますると、米軍の行動それ自体は、米軍としてはもちろん日本を守るための防衛のためだ、こういいましても、やはり今申しました立場から、第三国はむしろこれは米軍の攻撃だ、それに対する防衛措置として駐日米軍を攻撃するということが私はあり得ると思うのであります。こういうことについていかがお考えですか。
  94. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 日本と友好国になっております国が、日本を守るためにおります米軍をみだりに攻撃することはないと思っております。また同時に先ほど申しましたように、米軍の行動というものは国連憲章に従ってやるわけでありますから、そうみだりに米軍が行動をするわけにもいかぬと思います。     〔戸叶委員「大臣、もう少し高い声で言って下さい」と呼ぶ〕
  95. 大西正道

    大西委員 何言っているのか私にはちっともわからない。もう少しはっきり言っていただきたいのだけれども、そうしますと、あなたは米軍の行動にはもう無条件で信頼性を持つ、こういうことになると思うのです。米軍は日本を守るためにおるのだから、そうして国連憲章に従って行動するのだから、これに間違いはない、こういうふうな無条件に米軍の行動に対する信頼性を持っておられるのかどうかということであります。
  96. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 無条件という言葉がどういうことでありますかわかりませんが、しかしわれわれとしては今申し上げたような見地からして当然アメリカ軍は行動するものだと考えております。
  97. 大西正道

    大西委員 だから私はそういう場合に、米軍の立場としては、これは自衛であり防衛であると申しましても、相手側から見ればこれは攻撃だと見て、そうして自衛措置として日本におるところの米軍を攻撃するということはあり得ることなんです。その事実として私は台湾海峡の例を申し上げておるのであります。こういうことについて国連憲章に従って云々とかあるいはまた安保理事会の処置云々とか申しましても、なかなか——それは抽象的なことでありまた時期的にも非常にいろいろな問題があって的確にはそういう判定は下せない、こういう事実に立つと、私は今申し上げました外相が、米軍に対する攻撃は直ちに日本に対する攻撃であると見る、こういう見方は非常に危険きわまるものであると私は思うのです。この点についてはただ単なる国連憲章に従って行動するであろうから、それは間違いないと思う、こういうようなことじゃなしに、もう少しそこにこまかい分析、すべて米軍が防衛の立場のみではない、従って第三国の日本に対する攻撃も、これは防衛として第三国の自衛措置としてあり得るということも私は考えざるを得ないと思うのですが、いかがでしょうか。
  98. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 日本の基地から今のお話のように台湾海峡に飛び出していく、そういうことは日本政府と協議せざるを得ないわけなんです。ですからみだりにそう飛び出していって、第三国が自分の自衛だから攻撃するというようなことは、そう起り得ないのではないかと考えておるわけであります。
  99. 大西正道

    大西委員 それじゃ具体的な問題でなくてもう少し抽象的に申しますと、米国と極東におけるある国との間に紛争が起きる。そういう場合には、第三国が米国に対して侵略を行なった、こういう場合に米国がこれに対する防衛的な立場から行動する、こういう場合もあり得ると思うのです。しかしまた反対に、米軍が武力攻撃を行う、そこで第三国も適法な自衛措置を講ずる、こういうことだってあり得るのではないかと思うのでありますが、この点はいかがでしょうか。
  100. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 そういう場合の米軍の行動というものが侵略であるか、侵略でないか、自己防衛であるかどうか、それは国連憲章に従って行動することでありますから、おのずから判定されるわけだと思っております。
  101. 大西正道

    大西委員 国連憲章に従って行動し、国連によって判定をすると申しますが、それに対しましてはいろいろな経過があり、いろいろな時間的な条件があるわけなんです。ところが攻撃が起きた場合に、そういうものについてのいろいろな処置をし、判断をする時間がない場合が多いと思う。ですから現実の問題として、私はただ単に米軍の行動は、すべてこれは適法な自衛行動のみである、こういうふうに言い切ることができない場合があるのじゃないかと申し上げておるのであります。そこで私は具体的な問題じゃなしに、理論上もう一回申し上げますが、第三国自身が米国に対する侵略者である場合、これに対して米軍が受けて立つ場合がありますが、反対に米軍が武力攻撃を加え、それに対して第三国が適法な自衛措置をとるという場合が理論上あり得ると私は思うのです。理論上ですよ。国連憲章云々とかどうとかいうことでなしに、そういうことがあり得ないと思いますかどうですか。
  102. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 申すまでもなく相互が侵略するということは理論上は考えられると思いますが、今お話のように、そういう場合には国連憲章に沿ってやらなければならぬところであります。その義務はわれわれみんな知っておるわけなんでありますから、国連憲章に違反して侵略行為をやるというようなことは考えられないのではないか、こう思うのであります。
  103. 大西正道

    大西委員 それじゃ外務大臣、国連に加盟しておる国々の間で今なお現実に世界の各地において紛争が起きておるのです。現実に起きておるのです。いずれも国連に加盟しておる以上、国連の精神にのっとって行動しているのですよ。しかしながら、現実に紛争が起き、戦争が起きているのです。これは事実でしょう。こういう事実を前にして、私が申しますこの二つの場合があり得るかどうかということなんです。あり得るのです。他のいかなる国がどうあろうとも米国だけは絶対にみずから攻撃を加えることがないというのかどうか。この二つの場合があり得るじゃないかということを私は申し上げているのです。
  104. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 私どもアメリカ以外の他の国もそういうことを特にしているとは考えておりませんし、御承知のようにそうした事態が起りますれば、二十四時間以内に国連が緊急総会を開いて問題を解決する、あるいは判定を下すというようなことにいたしておるわけでありますからおのずからそこに限度と申しますか、があると思っております。
  105. 大西正道

    大西委員 国連のそういう措置以外に、理論上この二つの場合があり得るのではないか、こういうことなんです。事前に国連における総会を開いて、今の場合こっちが攻撃したらこれは国連憲章違反だ、こちらが攻撃したらこれは国連憲章違反でないということは言えないでしょう。当然事件が起きてから緊急に国連総会なら国連総会に持ち込んでやるということになる。しかし、今の戦争の態様を見ますと、そういうことは考えられない場合がある。考えられないのが普通なんです。そういう場合に、あり得るであろうということを私は言っているのであります。あり得ないとあなたは断言いたしますか。もしそういうことを言うならば、これはどう申しますか、世界情勢の認識において全く現実離れしていると言わざるを得ない。いかがですか。
  106. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 そういうような何かが起りました場合に、両当事国がおのおの自分の主張として、自分の方は侵略じゃない、攻撃を受けたのだと言う場合はあろうかと思います。しかし、その場合は、今お話し申し上げましたように、二十四時間以内に国連がそうした問題を判定することになり、また国連憲章に従って行動することにならざるを得ない、こう思っております。
  107. 大西正道

    大西委員 それでは国連憲章によって国連の判定を待つまでは、双方ともお互いに自衛もがまんしておりますか。こういうことになりますか。現実の戦争の様相としては、これはボタン戦争とまで言われている現段階において、不当な攻撃が加えられれば、これは自衛という名目のもとに直ちに報復攻撃をすることは当然だと思うのです。その場合に国連によって判断をしてもらうまで待っておるというようなことはおそらく私どもには考えられない。国連はもちろん国連の機能を最大限に発揮して、こういう紛争についてどちらが侵略者であるかということの判定を下すために最善の努力をするであろうけれども、今日まで国連のそういう判定、そういう処置というものが必ずしも適切に、効果的に行われていないというのが現実の問題なんです。私が言っているのは、国連の判定に至るまでの事態をあなたに聞いておる。そういう場合があり得るかどうか、あると言えば簡単なんです。あり得るんだから。
  108. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 何か非常に抽象されたものとしてならばあるいはあり得るのかもしれませんが、私どもとしては、相互に自分が侵略をしたのじゃないんだ、自分はこれは防衛なんだというようなことを言う場合はあろうと思います。しかし、それはやはり国連が判定することでありまして、ことに軍事行動というものは必ずしも同時に両方がやるものではないので、必ずどちらかが先に出てやるというような形になろうかと思います。従って、われわれとしては、やはりその状況によってどちらかが侵略したというような形に見ざるを得ない場合はあろうと思います。
  109. 大西正道

    大西委員 だからどちらかという場合に、米国の場合だってあり得るでしょう。あなたは、米国の場合は全然そういう場合がない、神がかり的にそういうふうに考えておられるような御答弁だからおかしいのだ。中ソの侵略だけあって、米国側には絶対に侵略というものはない、こういうふうにあなたがお考えであるならば、私はまたそれはそれでよろしいのです。(「侵略するものと同盟なんか結ばない」と呼ぶ者あり)私はあなたに聞いてないんだから……。外務大臣、どうですか。それほどあなたはアメリカの行動に対し全幅の信頼を持って、国民に対してその責任を負うことができますか。気持の上、観念の上では持ち得ても、現実に台湾海峡におけるような問題につきましては、諸説ふんぷんなんですよ。もう一回最後に聞いておきます。それから話を進めます。
  110. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 今お話しのように、日本におりますアメリカ軍が、台湾海峡の問題のようなときに、日本と協議しないで出ていくことはあり得ないと思いますし、そういう意味においても、私はどの国でも侵略をみずからやるというようなことは今の世界では考えられないことだと思います。特にアメリカみたいに自由主義の指導者としての立場を持っている以上は、しかも国連憲章に従って行動する以上は、そうしたことが起り得るとは考えられません。
  111. 大西正道

    大西委員 その点については押し問答してもなかなか本音を吐かれない。しかし、今ちょっとおっしゃった台湾海峡のような問題で日本の了解なしに出ていくことはないとおっしゃるけれども、それはそういう場合もありましょう。しかし、日本から出ていかなくても、台湾海峡に対して、あるいは韓国におるところの米軍が、あるいはフィリピンにおるところの米軍が、もっと直接的には台湾におるところの米軍が、これに出動する、こういうことは当然あり得るし、あり得たのだ。そういう場合に、米軍の極東における戦略体制から申しますと、それは米比、米台、あるいは日米安保条約によって、それぞれの国との間には規定されておっても、戦略的には相手国は、これは日本から来た飛行機だから撃たないんだ、あるいはこれは中国から飛んで来た飛行機だから、これについては中国だけを報復爆撃をする、自衛のための措置をするのだというふうに区別をするとは考えられない。そんなことをしていたら戦争にならない。当然相手側としては、米軍であれば、日本基地から飛び立ったものであろうと、台湾から飛び立ったものであろうと、それが攻撃と考えれば自衛措置として最も有効な報復爆撃を、あるいは台湾に、あるいは韓国に、あるいは日本にだってするということは、当然戦略上考えられると思うのですが、いかがでしょう。そういう場合だと、何も日本に駐留している米軍が出なくても、今の極東における日米、あるいは米韓、米台等のこういう軍事的なつながりの中においては、当然日本が報復爆撃を受けるということも考えられるが、いかがですか。
  112. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 日本におります米軍が、日本以外の地域に作戦に参加しておらぬ場合に、日本の基地をたたくということは、私は、おそらく相手国においてもそういうことは日本との親善関係からいって考えないだろうと思います。
  113. 大西正道

    大西委員 これはあなたの独断であって、そういう甘い独断のもとに安保条約やいろいろな外交問題を考えられては困るのです。これは具体的な例をあげれば幾らもありますよ。そういう外相の考えだったら、これは考え直してもらわなければならない。日本から米軍の飛行機が飛び立つ、あるいは日本にもし将来持ってくるであろうところの誘導兵器から攻撃を受けないから日本を攻撃しないんだという保証はどこにありますか。あなたはそういうことは常識的にあり得ないだろうと言われるだけのことである。中国、ソ連の考え方とすれば、日米の安保条約それから米韓、米比、米台の条約は、結局は個々のものであっても、底を流れるものは沖縄を中心にするところのNEATOの構想であるということをはっきり言っているのであります。そういう大きなアメリカの対中国、ソ連に対する戦略的な体制に対して、いざ戦争となったときに自衛権を行使するという場合に、日本におるところの米軍だけをカッコに入れて、そこでいろいろな判断をして、これに爆撃を加えないということが保証されますか、その根拠は何ですか。
  114. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 日本の基地におります飛行機が、かりに日本の基地以外に、何か極東に紛争が起りましたときに作戦行動に出ない、そして日本の基地におるというのを相手国が討つということがありますれば、それ自体はやはり侵略ではないかと思います。おそらくその国と日本とが友好関係にある間、日本の国におりますアメリカの飛行機が飛び立たないのにたたくなんということを考えるのは、相手国に対しても敬意を失するゆえんじゃないかと思います。
  115. 大西正道

    大西委員 それではその考えは、外相の戦略戦術論として私は聞いておきます。後にこの問題は発展させたいと思います。私は安保条約の現行法に規定されておるところの駐留米軍が、極東の安全と平和という名目に藉口して、いろいろな作戦行動を当然やると思います。その場合には米軍としては、これは自衛である、あるいは安全の保障のためにやるんだと申しましても、台湾海峡のような場合は、明らかに相手側はこれを侵略と見ておる。そうして自衛行動をとると思うのです。その場合に日本だけが、日本の基地から飛び立たなかったからということだけで局外にあり得るということは、私は考えられないと思う。この点あなたの考えがはっきりしたから後にまた申し上げたいと思います。  鳩山総理のとき以来、またこの間もこういうことを言っておられる。それが自衛のためなれば、万策尽きた場合は座して滅亡を待つことはできないから、その敵基地を攻撃することもこれまた自衛なり、こういうことを言っておられる。その初めの駐留米軍に対する攻撃は日本に対する攻撃なり、それから今申しました最後の場合は、座して滅亡を待つことはできないから相手の基地も攻撃できる、それは自衛である、こういう二つの考えをここにつなぎ合せるときに、私は非常に危険な問題が出てくると思うのです。今申しました第三国がアメリカの攻撃によって、自分は自衛措置として駐日米軍基地を攻撃するんだ、これは自衛なり、こういうふうに考える場合も私はあり得ると思うのです。この点についてだけ一つお聞きします。これはアメリカの場合じゃないのです。第三国が自衛措置として駐日米軍の基地を爆撃することも理論上あり得るじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  116. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 日本におりますアメリカ軍が、その第三国をたたかないといたしましたら、日本におりますアメリカ軍を自衛のためにたたくという理由はないのではないかと考えております。
  117. 大西正道

    大西委員 たたかないという保証はないのです。軍の作戦というものは、道義的なそういう期待だけでもってはとうてい律も得られない。米軍は攻撃する場合もあり得る。それに対する自衛ということになって、日本の米軍の基地を自衛のために攻撃するということだってあり得るのであります。それがないというようなことだったら、あまりにも事態を楽観し過ぎていると思うのです。現実の事態の想定として考える場合には、そういうことがないと言われるのであるけれども、理論的に私は申すのであります。日本が自衛のために座して滅亡を待つことはできないから、相手の基地を攻撃することも自衛なりということを政府ははっきり言っている。そうなれば、第三国といえどもその自衛のために在日米軍を攻撃する、こういうことも理論上当然あり得るのです。理論的に申し上げてあり得るのです。そういう場合に、自衛のための軍事行動によって戦争が起るということは矛盾じゃないと思う。あなたは、アメリカは絶対に侵略的な行為をやらぬと言っておられるのだから、その見通しはそれはあなたの考えとしますが、理論上申し上げているのです。日本が相手の基地を自衛のために攻撃するということがあり得るならば、第三国が日本における米軍の基地を自衛のために攻撃し得るこういうことも認められますか。
  118. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 今まで申し上げておりました通り日本にあるアメリカ軍の飛行機が、第三国に行くという場合、あるいは日本から長距離弾なんかを撃つということがない限りにおいて、第三国が自分の自衛のために日本におるアメリカ軍を攻撃するというのは、あり得ないのではないかと思うのであります。
  119. 大西正道

    大西委員 それじゃ具体的に言うが、台湾海峡のときに、直接日本の基地から飛行機が飛び立たなかったと私は思う。しかし日本におったアメリカの艦隊は、直ちに台湾海峡の方へ急航しているのですよ。これはおそらく公知の事実です。こういう場合に、直接行ったのか、何か別の名目で移動したのか、こういうことは一方的な判断なのです。相手方はやはり日本の海軍基地から艦隊が台湾海峡へ移動した、こういうことになるのであります。この事実をあなたはよく御存じのことだと思うのです。当時日本におるところの米軍の艦隊が、台湾海峡の方へ出動したということは御存じでしょうね。
  120. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 かりに日本におります艦隊なり飛行機なりが移動いたしましても、そのこと自体、日本から繰り返して飛び立つわけではないのです。従ってこのことだけで日本を攻撃する理由はあり得ないのです。
  121. 大西正道

    大西委員 それはまあ米軍の考えであり、あなたの勝手なお考えであって、たとい補給基地であっても——私は補給基地ではないと思う。はっきり作戦基地だと思う。私は今回の台湾海峡への米海軍の移動の実情を見ますと、日本は作戦基地となっておる。その作戦基地を相手が、そこでさらに大きな戦争が巻き起れば、日本は海軍作戦基地である以上、これを攻撃しないなどということはあり得ないと思う。あなたはそういう場合に補給基地的な意味をなすように言っておられるが、そういう場合の判断の相違なんです。相手側はそれに対して、これははっきりと作戦基地としてあそこに日本におることろの米軍の艦隊が出動した、こういうふうに判断したときには爆撃だってあり得るじゃありませんか。いかがです。
  122. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 今の大西委員の想定されるようなことがあり得ることだとしたら、その場合はやはり日本に対する侵略だと思います。
  123. 大西正道

    大西委員 米軍の行動に対して打った相手の何は侵略だというのですね。おそれ入りました。(「日本人らしい質問をしろ、日本の国会議員じゃないか、どこの国に忠誠を誓っているのだ」と呼ぶ者あり)君に聞いているのじゃない。委員長、つまみ出して下さい。質問ができません。
  124. 櫻内義雄

    櫻内委員長 私語を禁じます。質問を継続して下さい。
  125. 大西正道

    大西委員 質問は継続するが、継続できるような雰囲気を作って下さい。こういう無頼の徒がおって、政治的な話に茶々を入れるというのは、大臣もさぞ迷惑だろうと思う。  この問題はこのくらいにしておきましょう。  次に現行の安保条約第四条の解消の問題でありますけれども、この前お伺いいたしましたときには、あなたのお考えは十年間、それ以後は一方の意思によって廃棄したいということであったのでありますが、その通りでありますか。考えの進歩はありませんか。
  126. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 まだ最終的に交渉して決定するわけではございませんから、はっきりしたことは申し上げかねますけれども、大体十年間くらいがこちらとしては適当な時期だ、こう考えております。
  127. 大西正道

    大西委員 十年という根拠を何に求められるのですか。
  128. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 この種の条約というものは、あまり短期間でも適当だとは思いませんし、そうかといって非常に長期であることも必ずしも適当であるとは思いません。そういう意味から判断するわけであります。
  129. 大西正道

    大西委員 短期も適当でない、長期も適当でない、だから十年だ、こういう結論ですか。これはまことにおそれ入るのだが、そういうあなたの思いつきみたいなことだけで十年をきめられたのじゃないと思います。もう少し国民を納得させる十年なら十年というその根拠を私ははっきり示してもらいたいと思います。
  130. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 現在のいろいろな国際情勢から見まして、また現在膨大な軍備を持っておりますソ連、中共等の関係も考え合せまして、またアメリカも現在膨大な軍備を持っておりますが、軍備縮小ということが果してどれだけ進んで参りますか、わかりません。またそれらの情勢を見てわれわれも考えていかなければならぬわけであります。現実には軍備縮小の問題も相当世界的に取り上げられつつある問題であります。われわれの見地からいいますれば、いろいろなそうした情勢をにらみ合せて参り、また日本の国内における自衛隊の充実その他の関係も考えてみまして、一応あまり長期でなく、あまり短期でもないというような時期を選ぶべきではないかと考えております。
  131. 大西正道

    大西委員 今のお答えに対する質問を続ける前に、前の問題で忘れておったことを質問いたします。在日米軍に加えられた攻撃は日本に対する攻撃だという解釈は、いつごろから政府としては立てられたのでしょうか。
  132. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 いつごろからと申されても、今日までそういう解釈をとってきたわけであります。
  133. 大西正道

    大西委員 それは御勉強でないからそういうことが出るのだろうと思いますが、これは日米双方合意の上にこういう解釈を設定したのですか、いかがですか。
  134. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 これは日本アメリカ軍がおることでありまして、日本がそういう解釈をとって当然しかるべきだと思います。何もアメリカと特に相談しなくてもいいのじゃないかと思います。
  135. 大西正道

    大西委員 そうしますと、これはアメリカと相談して合意の上でなったところの解釈ではない、日本政府独自の解釈だ、こういうことですか。
  136. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 むろん日本政府としてのそういう判断でありまして、アメリカ側から押しつけられたものでも何でもございません。
  137. 大西正道

    大西委員 それではもう一ぺん申しますが、日本独自でこういう解釈をとっているというなら、いつごろからこういう解釈をきめられたのですか。
  138. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 私は初めからそういう解釈をとっておりました。
  139. 大西正道

    大西委員 日米間にいろいろな委員会が持たれておって、その間にこういう重大なことが話し合われ、そしてその合意の上にこういう解釈が出たのではないということは、私は考えられないのです。この形を見ますと日本が義務づけられている点が多いのです。米軍としては望むところでありましょう。しかし安保条約それ自体の条文から見ます場合に、こういうふうな解釈というものは、自然に出てくる解釈ではないと私は思う。これは新しい観点からまさに拡大解釈していることだと私は考えます。今までの安保条約は片務的で、そして日本を防衛する義務はない、こういうことを言われておった。そのかわり日本はまた向うに対しても基地を提供するという以外に義務がないように言われておった。もしあなたの言われるように、駐留米軍に対する攻撃は日本に対する攻撃だ、こういうふうに見て、少くとも日本にいる米軍に対しては共同防衛的な立場をとるということになりますと、その本質は今日まで言われた日米安保条約の基地提供の基本精神とはだいぶん違うと思う。そうでしょう。今日まで学問的にも常識的にもそうです。アメリカには基地を提供しているということだけであります。しかも日本を防衛する義務がないということに対して問題があったのであって、私どもはその当時から駐日米軍に対する攻撃は日本に対する攻撃なりと見るような、そういう共同体的な考え方、義務は負わされていなかったと見るのが至当である。今の外務大臣の初めからだと言われるようなことは、簡単に言われたけれども、これは非常に重大だと思います。いかがですか。
  140. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 少くもアメリカ日本を防衛する義務を負うのでありますから、それはわれわれとして、日本を防衛する米軍が攻撃されたときは、当然日本が攻撃されたものと見ざるを得ないと思います。
  141. 大西正道

    大西委員 それは何を言うのですか。現行法においてはアメリカ日本を防衛する義務はないのですよ。あなたの言葉では、日本を防衛する義務があるから当然米軍に対する攻撃は日本に対する攻撃だ、義務を負う、こう言われるけれども、現行法においてはアメリカ日本防衛の義務はないですよ。
  142. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 私は、今回の条約改正でアメリカは義務を負うのですから、その限りにおいてやはり私の申したことが正しい、こう思います。
  143. 大西正道

    大西委員 いや、それは今度の改定の問題なんですよ。あなたの言うのは、今日までの解釈の問題として私は聞いておる。今日までの現段階においては現行安保条約は何も日本を防衛する義務はありませんよ。そうでしょう。それはそうですよ。返事はないですか。
  144. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 それは義務を負ってませんよ。
  145. 大西正道

    大西委員 その負ってないときに日本だけが米軍に対する攻撃に対して共同防衛の義務を負うというようなことは、当時は考えられていなかったんですよ。今も考えられていないというのが私はほんとうだと思う。いつからこういうお考えになったかということなんですよ。しかもそれは日本だけがこういうことを義務を負う、進んで危ない火中のクリを拾うような義務を負うということは、あり得ないことなんです。おそらく米軍との間に各種の委員会で話し合いがあって、こういう解釈が出たのだろうと思うのです。こういうことを当然そういうことだ、前からそういうふうにきまっておったなどと言うことは、これは事実に相違すると私は思う。
  146. 高橋通敏

    高橋(通)政府委員 ちょっと補充さしていただきます。現在の安保条約関係解釈の問題でございますが、現在の安保条約解釈——解釈と申しますか、安保条約によって今御指摘の義務を負ったというふうに解釈するということは、ちょっとどうかと思っております。それを離れましても日本アメリカの軍隊がいる、アメリカの施設及び区域がある、ところがもしそこに攻撃が加えられますれば、それはもちろんアメリカに対する攻撃でもありますけれども、その上にそこは日本の領土でございますから、当然それは条約の義務の有無にかかわらず日本に対する攻撃である、そういうふうに見なければならないのじゃないかと考えているわけであります。
  147. 大西正道

    大西委員 当然そういうふうに見なければならぬじゃないかということにつきまして、これは大へん重大な国の義務に関する問題です。防衛上重大な問題であります。だから当然そういう解釈をとるのなれば、単に日本の権限を拡大するというのならいざ知らず、大きな義務を負うということにつきましては、私は条約上当然こういう結果は出ないものをそういうふうに解釈するというなれば、それはしかるべく国会に対して報告をしてその承認を求めるなり、もう少し慎重な態度がとられ、少くとも国民全般とは言わないがこの外務委員会ぐらいにおいて、もう少し早くそういうことについての意見を聞かれる、こういうことが必要ではなかったかと思う。今になってからこういうことは当然のことであったということにつきましては、私は納得ができない。そのことはまた後に申します。  そこで新しい条約の中に、今お考えになっておるところの駐日米軍に対する攻撃は日本に対する攻撃なりとみなす、そしてさらに鳩山内閣以来、座して滅亡を待つことはできないから、敵地を攻撃することもあり得る、こういう一連の考えのもとに新しい条約の改定の中にこれを盛り込まれるのかどうか、この点です。
  148. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 現在条約の正式交渉をいたしておりませんから、そういうところまで盛り込むことになりますかなりませんかは、今日まで考えておりません。しかしながら今お話のように日本に対する攻撃がありましたこと自体は、日本に対する侵略であることは間違いないという考えのもとに、条約締結は進行さしております。
  149. 大西正道

    大西委員 そうすると新しい条約にはこういう趣旨のものを盛り込む、こういうのがあなたの構想である、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
  150. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 盛り込むとか盛り込まないとかいうことは、考えておらぬわけであります。
  151. 大西正道

    大西委員 どこまでも逃げられるけれども、そういうお考えがはっきりしておるのならば、当然これはその中に盛り込むべきがあなた方の考えとしては当然でしょうが、われわれはこういうことに対しては反対であります。  それから話が戻りまして、十年の問題でありまするけれどもアメリカも大へんな軍備を増強しているし、ソ連も大へんな軍備を持っている、だから十年だ、こう言われるのですが、そこから十年という議論は出てこないと思うのですが、もう一回お伺いいたします。なぜ十年というふうに期限を切られるのか。
  152. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 期限の問題は、それは九年なり十年なりいろいろな考え方があり得ると思います。しかしながら、少くとも現在世界は軍備縮小ということにも頭を使っております。従って今後の国際情勢の推移その他を考えてみますと、そう長期にわたる条約もいかがかと私は思います。そうかといいまして、この種の条約でありますから二年、三年というような短期は適当ではない、そういう時期にいろいろの情勢の変化があろうとも考えられません。従って、私は何も十年を固執しているわけではございませんけれども、しかしそういう考慮をいたしますれば、適当な時期というのはやはりあまり長くない、そうかといってあまり短かくないというところが適当ではないかと思うのでありまして、そういう意味からやはり十年ということが考えられると思います。
  153. 大西正道

    大西委員 この条約を改定される場合に、あなたは特異な日本の安保条約の形を、むしろこの種の国際的な各種の条約並みに改めていく、こう言われておる。この点につきまして、そういたしますと、大体こういうふうな安全保障条約あるいは相互防衛条約というようなものにつきましては、期限の問題についてどのようになっておるか、これを一つお伺いいたします。
  154. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 ワルシャワ条約もNATO条約も二十年になっております。
  155. 大西正道

    大西委員 ワルシャワ条約、NATO条約のほかに条約はございませんか。
  156. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 たくさんあると思いますが、今事務当局から御説明いたさせます。
  157. 大西正道

    大西委員 いや、事務当局ほどのことでもないですよ。あなたが一番目の前にぶら下っているのを二、三あげて下さい。ワルシャワとNATOだけをおあげになって、そうして十年とかそこに期限をつける根拠になさるという魂胆はわかりますけれども、もっと日本に近い、アメリカが極東において直接結んでいる条約もあるはずです。
  158. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 事務当局から説明させます。
  159. 大西正道

    大西委員 あなたの知っておるところでおっしゃって下さい。
  160. 高橋通敏

    高橋(通)政府委員 米韓、米比、米台、いずれも無期限で、ただ一年の予告をもって廃棄しております。
  161. 大西正道

    大西委員 おわかりになりましたか、米韓、米比、米台、いずれも無期限であります。これと同じ形におやりになったらいかがですか。
  162. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 御意見としては承わっておきます。
  163. 大西正道

    大西委員 御意見として承わっておくのではなしに、私の意見をあなた聞いていただけませんか。あなたは前もって他のこの種のものとなるべく似たものにしたいということは言っておったわけです。米韓、米比は無期限です。そうしてその間に一方が解消の意思表示をすれば一年の後に効力を失う、こういうことなんです。米韓、米比、米台、日本の近くじゃありませんか。あるいは中ソに対して置かれている立場というのは若干違いはありましても、似たようなものであります。日本アメリカとの関係もこれらの国々との間の関係とよく似ているじゃありませんか。これらに範をとられるということがしごく妥当であり、しごく常識的だと思うのですが、いかがですか。
  164. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 私は必ずしも米韓、米比等と同じくすることが常識だとは考えておりません。
  165. 大西正道

    大西委員 なぜですか。あなたはワルシャワ条約なんぞを今例にあげました。そういうあなた方があまり好かぬところの国々が作っている条約の例をこういうときにだけ出されて、NATOと言われましたが、NATOというようなああいう集団的な安全保障の形式と、日米間の今回のこういうような条約の形式とはこれはかなり違っておるのです。だからやはり範をとるというなれば、最も近いところの類似性のあるところのをとるのが妥当じゃないか。それを排して、ことさらに世界のすみを求め、数多くの条約の中でも特異の例であるところのNATOやワルシャワだけを取り上げて、これでございますと出されるということは、これは腹の底では、だれだってこんなものは特異の例だと見ておりますよ。どうしてもっと普遍的な身近な米比、米韓、米台の無期限、そうして一方が廃棄を通告すれば一年の後に効力を失うというこのノーマルな形をとらないのですか。
  166. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 私は現在の段階におきまして、やはり一定の期限のある安定した条約を作りますことは適当だと考えております。
  167. 櫻内義雄

    櫻内委員長 大西君に申し上げますが、他の審議の都合もございますので、大体この程度にしていただきたい。
  168. 大西正道

    大西委員 あなたは、それでは自主性だとかあるいは初めにこの条約を改める場合の基準について、他のこの種のものに近づけるというようなことを放棄された。安定だといわれるが、十年間をきめるというのが安定ですか。自民党はまだまだあなたのお考えではずっと政権を維持していかれるというのでしょう。こんな条約を十年と期限を切らなくても、自民党の政権のある以上、まさか内部においていろいろなごたごたがない以上、決して不安定ではないじゃないですか。条約にこういうものを求めなくても、保守党の政策というものは、一貫して米国との間にはこういう種の条約を維持していくということが方針であるならば、何もこういう条約によって縛らなくても、あなた方の方針が変らなければ、何が不安定なんです。どういう意味の不安定なんです。何の不安定もない。不安定だということに対しては理由にならぬと思う。
  169. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 私どもは、やはり日本が他国からの侵略を守るという必要が現在あると思います。そうして、そうしたことを考えて参りますと、その意味においては、十年程度のものは、やはり日本として自衛隊の力も足りませんし、当然ある時期はこうした条約が必要だ、こう考えております。
  170. 大西正道

    大西委員 あなたの十年という根拠は至って薄弱で、そんなことで期限を勝手につけられては迷惑しごくです。私はもう一つ問題を考えてみます。あなたといえども、国民の意思には忠実でなければならぬ。今日、国民が、この安保条約を十年と期限を切る、あるいは五年なり二十年の期限をつける、その間はどうしても廃棄できないということに対して賛成しているかといえば、必ずしもそうではない。しかし今は自民党の勢力が多い。だからこの考え方に賛成しておるといわれれば、それもよかろう。しかし、近き将来、選挙の後に、情勢の変化によって社会党が政権を取ったという場合にどうなる。社会党と自民党との政策の相違点はいろいろありますけれども、外交の問題におきましては、中立政策とアメリカ依存政策の違いなんです。社会党が政権を取ったという場合に、国民の大多数の意思は、外交の問題、日米関係については安保体制は危険なり、だからこれを解消して、社会党の言うところの中立主義が正しいという、こういう認定のもとに社会党に票を投じたということを、もし社会党の政権ができるとなれば言い得ると思う。それは必ずしも十年後とは限りません。次の選挙のときにでもその機会は訪れるかもしれません。そういう情勢ができたときに、その場合には、国民の意思に従って日米安保条約は解消するということが、私は政府の責任であろうと考える。そういうときに障害になるような十年というものをなぜここに置くのか。そういう点からも私は反省を促したい。十年間を限って、その間は、なんぼ日本が廃棄してもらいたいと思っても廃棄できない、解消できない。あなたは安定だといわれるけれども、安定じゃない、これは固定だ、縛りつけだ。社会党の政権になったときにどうなります。それに拘束を加えるような、世界にも類の少いような形でもって、今なぜこういうことをやられるのか。
  171. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 私どもは今申し上げたような見解で、日本を他国の侵略から守るためには、若干期間を安定的に保障した形で置くことが適当だと思います。大西委員が言われますように、社会党が天下を取られましたならば、アメリカ交渉して、有効な手段をおとり下さることができると思います。
  172. 大西正道

    大西委員 社会党が政権を取ったらアメリカと有効などというけれども、有効な手を打つことができないように縛ってしまうではないか、そこを言っておる。そのときには有効な手が打てるように、当然こういう十年というようなもの、これはやはりこの際規定すべきではないということです。  最後に日韓問題について一言だけ聞いておきます。  北鮮送還の問題につきまして、ただいま井上外事部長がジュネーブで奔走中であります。いろいろな報道がいろいろな通信社から乱れ飛んでおります。私どもはその真意の捕捉に苦しむのであります。一体今どのような進行状況にあるか、見通しはどうなのかということであります。今回また葛西副社長がすでに出発さるべきところを延ばされた。ところが韓国の方は、すでに数人の人があそこに詰めかけて、今回の日本の北鮮送還というものは人道に違反するものだ、あるいはまたきょうの新聞によりますと、張特使は、これはこの問題に対する日本政府との間の秘密的な取りきめに違反するものだ、こういうことを言っておるのです。日韓間の問題については秘密的な取りきめがたくさんあるので、これについては私がこの前に資料要求いたしました。ここに五つの秘密協定らしきものの項目だけが提示されておる。私はこの内容をも聞きたい。何がゆえにこういうことを公表しないのか。どちらの意思によってこういうことをしておるのか。新しい情勢に際して、今は公表すべきでない、こういうことも聞きますけれども、そういうふうに韓国の方は宣伝に大わらわです。当然取り上げてもらわなければならぬところの国際委の決断というものがいまだにおくれている。その理由は何か。私はやはりその一つには、日本政府の宣伝啓蒙が足りなかった、PRが足りなかったということも一つの原因ではなかろうかと思うのです。これらの点につきまして、今後どういうふうに諸外国の協力を得るための手を打たれるか、その見通しはどうか、こういうことであります。先般松本委員から質問がありまして、北鮮と赤十字との間の話し合いは、これは下交渉になれば直接でもよかろうというような弾力的な見解の表明があったのでありますけれども、これらの点につきまして、今日停滞している原因は何であるか。北鮮がもし国際赤十字のあっせんに応じないというのなれば、これをいかに打開しようとするのか、そしてその見通しはどうか。これらの点につきましてお伺いして、私の質問を終ります。
  173. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 日赤の葛西副社長は、本日立ってジュネーブに行かれることになっております。日赤の井上外事部長が行かれまして、国際赤十字の委員の集まる委員会と申しますか、そこに出まして、非常に長時間にわたって説明をされまして、委員の各位は十分日本の立場を理解したと考えております。ただ御承知のように、国際赤十字は政治問題に介入することを非常にきらっておりますし、また介入すべきではないという考え方におるわけでありますから、その意味において、これらの問題の取扱い方について非常に慎重であるのは当然であろうかと思います。従って、まだ国際委員会では何らの決定をいたしておりません。ただ国際委員会としては、北鮮に対しましてジュネーブに出てくるように招請をいたしておるように考えております。それらの問題は、まだ最終的にいかようになりまするか、結末がついておりません。そうした意味において、国際赤十字が非常に慎重であろうとすることは当然のことだと思うのであります。従って、なお推移を見ていきたいと考えております。日本のこの問題に対するPR活動が非常に手ぬるいのではないかというお話でありますが、われわれとしてはむろん最善を尽して、これらの問題については正しい理解を各国に与えなければなりませんし、またその上に立って支持してもらわなければならぬと思う。従って、先般この決定をいたしました直前に、今までの経緯を各在外大公使館に打ちまして、任地の政府に対して十分説明をするようにいたしております。その後も日本側におけるいろいろな経過なり考え方なりについては、数度にわたって在外公館に打ちまして、それを任地国に十分了解させるように努力をいたさせております。なお国連に関しましても同じ手段をとって、国連の代表部全員に対して松平大使から十分な説明をいたすようにさせております。その他むろん新聞報道関係につきましても、できるだけ正しい日本の立場を説明することが必要でありますので、そういう意味において、できるだけの努力はいたしておるつもりでありますけれども、なお足らぬ点もあるかもしれませんから、今後できるだけ日本の主張が正しく支持されていくように努力をしていきたい、こう存じております。
  174. 大西正道

    大西委員 国際赤十字が慎重なのは当然だというようなことを今言われておりますけれども、それはまことに心外だ。私から言わせれば国際赤十字がかつてハンガリーのあの問題について非常に積極的な手早い処置をとった、あの事実を考えますと、何がゆえにこれに対してこんなに遅疑逡巡しているかを疑わざるを得ない。国際赤十字精神にのっとって、もっとてきぱきやってもらいたいというのが私どもの見解です。外務大臣はそれは一半の理由があると考えられてはいけません。  それからもう一つ、今のお話のように北鮮赤十字との話を今からやると言われますけれども、私は実はこういう話を国際赤十字に持ち込む以前に、すでに北鮮赤十字との間には何らかの形で接触が保たれておったか、了解が進められておったのだと見ておったのです。それがなしに、いきなり向うへ行って——国際赤十字から北鮮赤十字へ出てこいという招請が出たのではなしに、ジュネーブへ行って日赤の井上さんが北鮮に対して出てこい、初めてそこで会おうということになったらしいのであります。これは私どもの予想に非常に反しておった。この点については、もちろん国交の回復がないとはいいながら、すでに中国紅十字との間にはいろいろな折衝了解が講ぜられておる、そういう事実を見ますと、北鮮赤十字に対してもなぜ事前にもう少し了解工作をしなかったか。いきなりこの問題を国際赤十字に持ち込むものだから、われわれの真意とは反して、北鮮赤十字の方は何か今どきぐずぐず言うて、帰国の意思を確認するとはけしからぬ、当然のことをなぜやらぬのかというような強い論調で日本政府を非難しておる。私どもは、もっともっと理解を深めればこういうことにならなかったであろうと思うし、もっと国際赤十字の決定も早かったのではないかと考える。この点について、国際赤十字の今日までの遅滞した決断に対して一半の理由であるように考えられる藤山外相の考えを是正していただきたい。それから北鮮に対する事前の十分な了解がなかったことについて遺憾に思うのですが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
  175. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 国際赤十字がこれを取り上げまして熱心に検討していることむろんでありまして、われわれはその立場を十分認めて協力をしてもらうようにやらなければならぬ現在、国際赤十字をいたずらに非難することは私はいかがかと存じております。なお北鮮赤十字との事前に連絡云々ということでありますが、この問題は北鮮側でも帰還を希望しておった問題でありまして、私どもとしてはそういうこともあわせ考えておったわけでありまして、従って特別なそうした問題が起ってこようとは考えられなかった状態でございます。     —————————————
  176. 櫻内義雄

    櫻内委員長 次に、日本国アメリカ合衆国との間の小包郵便約定締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を続けます。質疑の通告がありますのでこれを許します。松本七郎君。
  177. 松本七郎

    松本(七)委員 大急ぎで小包郵便協定の方の事務当局に対する質問をいたしたいと思いますが、その前に先ほどの設置法で外務大臣に対する質問を一つだけ割愛しておりますから、それを一つお願いしたいと思います。  それは経済協力関係してベトナム賠償——賠償日本政府も経済協力の一つだというふうに考えてやっておられるようですが、ベトナム賠償についてこの前の委員会でも最恵国待遇を中心にした問題の現段階における成り行きを聞いたのですが、その後の新聞報道によりますと、久保田大使が十六日ですか一たん帰国して、そしてアジア公館長会議に出席した後に、大体最恵国待遇についての日本側の要求をベトナム側が了承したので、一つの報道によると三月一ぱい、ある報道によれば五月には調印する方針を政府は大体きめたように出ております。これは非常に重要な問題で、賠償問題全体が国民の関心の的になっておるし、特にベトナム賠償については先方の受け入れる方も事情がだいぶ変ってきており、特に北と南の関係においてはますます事態が複雑化してきておって、場合によっては北ベトナム側の日本に対する貿易契約、新しい協定が結ばれるのではないかというような事態にも発展しかねない状態、そういうときに、この賠償協定に対する政府の態度としては、三月一ぱいあるいはすでに国会が自然休会の形になって、地方選挙あるいは参議院選挙に入ろうというときに調印というような方針を打ち出されるならば、それは調印したあとでまた問題が起ったというようなことになれば、日本国内の問題ばかりでなしに、相手国にとっても大へんまずい結果になるのじゃないか。従って調印するならばやはり調印直前まで国内で十分論議をしてから調印するのが、私は先方に対しても正しい態度だろうと思うのです。そういう意味でこの調印はなるべく急がないで、調印される前に十分国会の論議の議題に政府が進んでこれを提供されるべきだと思うのですが、その取扱いについての外務大臣のお考え方。それから一部の新聞に報道されておるように、近くこれを調印される方針をすでに内定されておるのかどうか。この二点について簡単でよろしゅうございますから……。
  178. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 新聞にありますように、問題がすべて解決したということはまだございません。まだ二、三の点が残っております。われわれとしては長い間の交渉でありますので、それぞれ問題が解決して参りますれば当然調印に持っていかざるを得ないと考えております。
  179. 松本七郎

    松本(七)委員 それで調印前に国会の論議ですね、少くとも外務委員会あたりで調印に至るまでの経過、それからその時点における政府の考え方、その案の内容、そういうものを進んで説明されて論議するおつもりはございませんか。
  180. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 この種の条約締結します場合に、事前にすべてを論議するというわけにはなかなかいかぬ場合があろうかと思います。しかし政府としてこれらのものを秘密にやっておるわけではございませんので、その経過なり何なりを申し上げることは、それはいたしても一向差しつかえないと思います。
  181. 松本七郎

    松本(七)委員 なるべく国会の方で問題にしやすい時期を選んでいただきたい。休会中だとか、あるいは十分審議できないようなときに調印だけしてしまうというようなやり方は、これは慎しんでいただきたいと思うのですが、この点考慮していただけましょうか。
  182. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 われわれは、相手国との交渉でありますから、何も国会が休会中だから、あるいは国会が開会中だからという考慮を実は特にいたしておらぬわけでありまして、開会中だから困るから延ばそうとか、あるいは休会中だからやめようというような考慮は、特にいたしておりません。
  183. 松本七郎

    松本(七)委員 これはまだ交渉が進んでいる過程ですから他の機会にまた御質問します。  小包協定ですが、こまかいことになりますけれども少し急いで御質問したい。  最初は第五条の禁制品の規定の(d)項に「両国のいずれかにおいて現行の関税その他に関する法令により輸入を許されていない物品」というものがあるのですが、これは両国間の郵政庁において十分に周知されているのかどうか、その一覧表というものがあるのかどうか。
  184. 曾山克已

    ○曾山政府委員 ただいまの問題につきましては、先生のおっしゃった通り国内に十分周知してございます。つまりこの条約の規定に基きまして、両国におきまして、輸入を禁止しております物品を相互に通報し合うことになっております。そして、通報し合いましたものを、日本国におきましては省令でもって告示しております。従って公衆は十分承知しておると考えます。
  185. 松本七郎

    松本(七)委員 この(d)項と同条の3の禁制品と同意義に解していいですか。
  186. 曾山克已

    ○曾山政府委員 その通りでございます。
  187. 松本七郎

    松本(七)委員 それから禁制品、つまり爆発物だとか、風俗を害するおそれのある文書、絵画、これらを発見した郵政庁が棄却するということになっておるわけですが、これに関して差出人または受取人は刑事上の責任は課されるのですか。
  188. 曾山克已

    ○曾山政府委員 日本からアメリカに送りました場合を例にとりますと、向うの省におきまして棄却した、ただそれだけのことでございまして、刑事上の責任は負いません。
  189. 松本七郎

    松本(七)委員 この棄却すべきものと決定する場合の認定は、だれがやるんですか。
  190. 曾山克已

    ○曾山政府委員 それは、日本の場合におきましては税関がいたします。当方もありますが、当方といたしましては旧郵便法におきましてその手続がきめてあったのでありますが、現在の郵便法ではそれを取っておりますので、関税法に基きましてやることになっております。従って税関職員がやることになっております。
  191. 松本七郎

    松本(七)委員 この認定には相当の幅があるんじゃないかと思うのです。たとえば裸体画がある。果してこれは美術品であるか、あるいは棄却すべきわいせつ画であるかというところになると、かなり認定者の主観が入ってくると思うのです。そういうところに紛争が起きた場合には、どこで処理するのですか。
  192. 曾山克已

    ○曾山政府委員 今の先生の御質問につきましては、日本国アメリカ国とでその扱いが違いまして、日本国におきましては認定の権限の幅がきわめて少くなっております。特に郵便法でできないようになっておりますので、きわめてそのおそれが少い。ただアメリカ国におきましては、アメリカ郵便法の規定が認定の権限を非常に幅広く認めておりますので、向う側におきましては、今先生の御懸念になったようなおそれが相当あるのでございます。一例を申しますと、ちょうど今先生があげられました例でありますが、当方におきましては何ら問題はないような物が、向うにおきましては没収棄却されるというような例もございます。
  193. 松本七郎

    松本(七)委員 次は十二条ですが、小包の取りもどしまたは名あて変更の請求に際して、差出国郵政庁は差出人から料金を徴収することができるという規定ですね。日本においてはそれを五十サンチームと規定しておるにかかわらず、米国では「内国規則で定める料金」となっておるわけです。なぜ米国ではこの料金を明記することができないのか、また適当ではないのか。
  194. 曾山克已

    ○曾山政府委員 非常に痛い質問をいただきまして、私どもも実は先生の御意見のように、日本におきまして五十サンチームというふうにきめましたのは、アメリカにおきましても同じように料金を明示すべきではなかろうかというふうに考えまして、だいぶ交渉いたしたのでありますが、アメリカの方におきましては、料金をこういう国家間の取りきめで明定することについては、必ずしも賛成しないという工合にどうしても申しますので、こういう工合に、向うの内国規則で定める料金というふうに妥協いたしましてきめた次第でございます。
  195. 松本七郎

    松本(七)委員 それから、この約定による一フランは邦貨にして幾らで計算するのですか。
  196. 曾山克已

    ○曾山政府委員 百十七円六十銭でございますが、繰り上げまして百二十円にいたしております。
  197. 松本七郎

    松本(七)委員 それから十四条でいう「権利者上というのは、差出人と受取人いのずれをさすのですか。
  198. 曾山克已

    ○曾山政府委員 差出人でございます。
  199. 松本七郎

    松本(七)委員 それから、十四条の規定で、損壊しまたは腐敗のおそれのある物品は、送達の途中で売却することができることになっておるわけですが、この権利者が売却価格に同意しない場合の紛争は、どこで解決するのですか。
  200. 曾山克已

    ○曾山政府委員 権利者のクレームに基きまして両郵政庁で決定いたします。
  201. 松本七郎

    松本(七)委員 この十四条の行為について、権利者が事前に、すなわち送達前に周知されるように当局は措置しなければならぬわけでしょうが、これはどういう手段をもってするのですか。
  202. 曾山克已

    ○曾山政府委員 この条約自体が国内法としての効力を持たすようにしておりますので、公衆は本質的にはこれで知ることになっておりますが、私どもできるだけ親切に公衆に周知した方がよかろうと思いまして、郵便局におきましてこういう意味のことを掲示いたしまして、十分周知をはかっております。
  203. 松本七郎

    松本(七)委員 十五条ですが、誤送によって損害を受ける場合がある。そういう場合に、郵政庁としてはいかなる責任措置をとるか。
  204. 曾山克已

    ○曾山政府委員 誤送されました郵便が、たとえば日本からアメリカに送るべき郵便をオーストラリアに送りまして、それが途中で損壊したという場合におきましては、そういう誤送も含めまして、オーストラリアと日本との関係におきまして、責任がオーストラリアにございます場合は、オーストラリアが日本賠償いたします。それを日本郵政省が、差し出しました公衆に払うという仕組みになっております。
  205. 松本七郎

    松本(七)委員 十七条4の「求償権を生ずることなく賠償することができる。」という規定がありますね。これの意味がよくわからないのですが、求償権と賠償との関係ですけれども賠償というのは元来一方の責任によってできた損害に対して支払われるものであろう。従って、賠償である限りは、他方はその受けた損壊に対する補償としての求償権が当然生じてきているわけですね。であるから、ここにいう求償権を生ずることのない賠償ということ自体が矛盾ではないか。ここでいうのは俗にいう見舞金という意味なのか、そこの意味がはっきりしないのですが……。
  206. 曾山克已

    ○曾山政府委員 求償権と申しますのは、国と国との関係におきまして償いをするという意味で使ってあるのでありまして、この賠償というのは公衆に対しまして損害賠償する、こういう意味で使っております。従って、今先生のあげられました例におきましては、日本側がアメリカ側に小包を送りまして、それがアメリカ側でなくなった、そういう場合に、日本郵政省アメリカ郵政省に対しましては求償いたしませんで、国内だけで、日本郵政省の負担において公衆に払う、つまり公衆の便宜をおもんばかった規定でございます。
  207. 櫻内義雄

    櫻内委員長 他に質疑はありませんか。——他に質疑がなければ、これにて質疑を終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 櫻内義雄

    櫻内委員長 御異議なければ、これにて本件に対する質疑は終了いたしました。  本件については、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。日本国アメリカ合衆国との間の小包郵便約定締結について承認を求めるの件は、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 櫻内義雄

    櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって本件は承認することに決しました。     —————————————
  210. 櫻内義雄

    櫻内委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国パキスタンとの間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国ノールウェーとの間の条約締結について承認を求めるの件の両件について審査を行います。  両件について質疑はありませんか。——別に質疑がなければ、これにて両件に対する質疑は終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 櫻内義雄

    櫻内委員長 御異議なければ、これにて両件に対する質疑は終了いたしました。  両件については別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国パキスタンとの間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国ノールウェーとの間の条約締結について承認を求めるの件の両件は、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 櫻内義雄

    櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって両件は承認することに決しました。  なお、本日議決いたしました三件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 櫻内義雄

    櫻内委員長 御異議なければさよう取り計らいます。  本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十三分散会