○宇都宮
委員 たとえば行政協定第七条「公益事業及び公共の役務を利用する権利並びにその利用における優先権を享有する権利を有する。」というような
事項は、これは今回のNATO
条約におきましても、その他の
条約におきましても、軍隊の駐留に関する規定ではない、非常に強いものだと思います。こういうような条項はたくさんあります。たとえば軍票なんかの規定にしてもそうです。軍票を管理する金融機関を特に保持する権利、それから航空管制の問題とか、あるいは電波の問題とか、普通のこの種の協定にはないいろいろの権利を持っているわけであります。これは
日本として守ってもらうのだ、だから
アメリカに相当権利を与えてもいいじゃないかという常識論も成り立ちますけれ
ども、しかしながら安保
条約を自主的に改正するという大きな旗じるしを掲げておる以上、やはりこういうものを残しますと、将来相当やはり禍根になるのじゃないかと私は思います。でありまするから、私は安保
条約を改正なさる際に行政協定をおいじりになるならば、二十四条、二十五条の(b)項だけというようなことはおかしいと思います。二十五条の(a)項にいたしましても、こういうふうに無償でいろんな施設その他を提供するというような規定も珍しい。いろいろございまするが、この点は十分お考えになって、そうしてあまり急いで自主的の名前だけで、実質は少しも自主的にならぬというようなことがないように御注意願いたいと思います。それから行政協定等も、当然ほんとうの相互防衛
条約ならば改められる。ところが改められないということは、結局政府は、この
条約は自主的、双務的にするのだ、これはごもっともな話で当然なんですが、しかしながら自主性については、私はこの前いろいろ
質問して、政府の意図する自主性というものはどういうものかということは、ある程度までわかったような気がするのですが、双務性とか相互性ということになりますると、たとえば
アメリカの防衛義務を明確にすることは、相互防衛
条約では当然と思うのですが、
日本のこれに対する反対給付と申しますか、それによって初めて双務性、相互性はできるというわけです。私はこの前総理大臣に、
沖繩、小笠原をたとえば
条約区域に含む場合、これは米国の領域としてするのか、あるいは
日本の
地域としてするのかというふうに
質問いたしましたら、
日本地域とする、ということになりますると、
沖繩、小笠原を
条約区域に含む場合にも少しも双務性が出てこない、相互性は出てこないということになるわけであります。それで政府としては双務性、相互性、こういうものをどこで一体
——二十四条が行政協定にあるということも、おそらくこれを本
条約に盛ったら、
アメリカの上院等を、バンデンバーグ決議等に縛られ、とても通過する見込みはないから、二十四条も行政協定に入っているのだと思いまするが、一体今度は、そういう
アメリカが納得するような双務性、相互性というものはどこにお盛り込みになるのですか、これを一つ伺いたいと思います。