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1959-02-25 第31回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月二十五日(水曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 赤澤 正道君 理事 秋田 大助君    理事 前田 正男君 理事 岡  良一君    理事 原   茂君       小平 久雄君    佐々木盛雄君       丹羽喬四郎君    西村 英一君       平野 三郎君    内海  清君       田中 武夫君    松前 重義君  出席政府委員         法制局参事官         (第二部長)  野木 新一君         科学技術政務次         官       石井  桂君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   原田  久君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   佐々木義武君  委員外出席者         原子力委員会委         員       石川 一郎君         科学技術事務次         官       篠原  登君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  法貴 四郎君         総理府事務官  加舍  章君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局管理課長)藤波 恒雄君         大蔵事務官         (主計官)   海堀 洋平君 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件     —————————————  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇三号)  科学技術行政に関する件      ————◇—————
  2. 小金義照

    小金委員長 これより会議を開きます。  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本法案に関連し、この際、欧米における原子力災害補償について、その調査の報告を聴取することといたします。加舍説明員
  3. 加舍章

    加舍説明員 それでは、私が欧米諸国を調査して参りました原子力災害補償制度につきまして御報告申し上げたいと存じます。  米国におきましては、御承知のように一昨年の九月に、アンダースン・プライス法と申します原子力法一部改正法が通過いたしまして、それによりまして原子炉の被許可者ファイナンシャル・プロテクションを要求されることとなりました。そうしてファイナンシャル・プロテクションを立証いたしました上は、連邦政府が五億ドルの範囲国家補償をするということをきめられたわけでございます。その法律に基きます暫定規則というのが同じく一昨年の九月に出ておりまして、それによりましてファイナンシャル・プロテクションの額というのがきめられておるわけでございます。それによりますと、最高が六千万ドル、最低が二十五万ドルであるという内容でございます。そして、その公式となりましたものは、熱出力一キロワットにつきまして百五十ドルという比例をもってその間を埋めておるわけでございます。その後、昨年になりましてそのファイナンシャル・プロテクションの公式をもう少し再検討すべきじゃないかということになりまして、現在検討いたしておるわけでございますが、その内容といたしますところは、まず、その最低の二十五万ドルというのを三百万ドルに引き上げるべきかどうかという点が一点でございます。そのほかに、その原子炉設置の位置によって、その付近の人口密度というものを加味すべきかどうかという点でございます。第三点は燃料サイクル要素を加味してファイナンシャル・プロテクションの額をかげんするかどうかということでございまして、その三点について論議が戦わされておるわけでございますけれども、米国政府担当者の言によりますと、第三点については、技術的にも少し問題があるので、その点は、おそらく日の目を見ないだろうというふうに申しております。従って、最小限度の二十五万ドルが引き上げられること、それから人口要素を加味した係数が取り入れられるであろうというふうに想像しておるわけでございます。それから米国法律は、ほとんど無過失責任に近いような責任体制になっておりますほか、昨年の八月の一部改正によって、非営利教育炉につきましては、特例を設けることといたしました。それは二十五万ドル以上の賠償責任に対しては責任を持たなくてもよいというものでございまして、ファイナンシャル・プロテクションの立証も要求されておらないわけでございます。それから、もう一点の法律改正がございましたが、それは同じく昨年の八月でございまして、原子力船サバンナ号についてもこの法律適用原則としてあるということをきめたわけでございます。それから最近の動きとしては、その暫定規則の中に、政府と被許可者との間に結ばれるであろう五億ドルの補償契約契約書ひな形と申しますか、それを暫定規則の中に入れたい、それから、もしファイナンシャル・プロテクション原子力責任保険によって求めるのであれば、その責任保険証券ひな形は、次のような形式でなければならないというふうな、形のひな形暫定規則に取り入れたいという動向でございます。  それから、英国について述べさせていただきますと、英国は、昨年の十月の終りに原子力施設法案というものを政府提出いたしまして、国会で審議されておるわけでございます。すでに上院を通過いたしまして、下院で審議されておるわけでございますが、その内容といたしますところは、原子炉の被許可者——正確には原子力施設敷地使用者ということでございますが、その者は五百万ポンドのファイナンシャル・プロテクションを具備しなければならないということでございまして、これは原子炉の型だとか、大きさによりませず、一律に五百万ポンド、すなわち、五十億円程度のものを要求されるわけでございます。そして、その上の部分につきましては、当初の政府提出法案の中では、それ以上は一切原子炉設置者は支払う必要はないのだというふうになっておったわけでございますが、その後の、つまり、上院審議過程で修正がございまして、その点については、どんどん原子炉設置者は支払ってもいいのだ、ただ、五百万ポンドをこえるような事態であるという場合には、パーリアメントがその支払い方法についてと決定し得るような余地を残したわけでございます。従いまして、その決定方法と申します内容は何もきめられておらないわけでございまして、可能性といたしまして、国家の経済的な補完ということも考えられるという程度でございます。  それから、欧州諸国の中で法案を準備しております他の国といたしまして、ドイツスイスとがございます。ドイツにつきましては、これもすでに国会で審議されておる状態でございますが、その内容といたしますところは、五億ドイツマルク補償と申しますか、いかなる事故が起りましても、五億ドイツマルクまでを補償する、その中で、原子炉設置者等が具備すべき額については、政府がそのつど定めていくという内容でございまして、その金額は、一切将来の問題として残されておるわけでございます。従いまして、たとえば、その金額が一億マルクというふうにきまりますれば、残りの四億マルクについては、結局政府が支払わねばならないという内容になっておるわけでございます。それ以上の、五億ドイツマルク以上の責任については、原則としては打ち切られるという内容でございます。  それからスイスにつきましても同じような法案でございますが、ただ、金額は非常に低くございまして、三千万スイスフランということでございますので、約二十数億のファイナンシャル・プロテクションを要求し、それについては、その事態が起った場合に国が補償することできるという規定になっております。  以上、いずれも法案でございまして、今後変更も当然予想されるわけでございますが、その欧州十七ヵ国の加盟によってできております。EECがこの問題につきまして一つ協定案と申しますか、ドラフト・コンベンションというものを考えております。その内容としますのは、各国は、原則として千五百万ドル以上のファイナンシャル・ブロテクションを具備するような措置をとらなければならない、ただし、国内立法によってそのワクを変更することができる、ただし、その国内立法でそれを変える場合にも、五百万ドルを下ってはならないということでございまして、千五百万ドルと申しますのは、ほぼ英国の五十億円に相当するわけでございますが、そういう制約において各国制度を作っていただきたいということです。そのほかにも責任の制限の問題だとか、あるいは時効の問題、あるいは責任集中の問題ということが規定されておるわけでございますが、それが、もし日の目を見ますと、加盟十七カ国はそれを批准いたしますれば——批准を要することになっておりますので、批准いたしますれば、そのワクの中でしか立法なり何なりの措置はとれないということになりますし、また、そうでなくて、独自の国内立法をやるのであれば、結局批准が非常にむずかしくなるというふうな関係になるわけでございます。OEECのその条件につきましては、各国はそれ以上の措置をとることも可能であるということで、余地を残しておるわけでございますが、別に強制はいたしておらないわけでございます。  以上、はなはだ簡単でございますが、一応の御説明とさしていただきたいと存じます。
  4. 小金義照

    小金委員長 ただいまの説明について御質疑ございませんか。
  5. 岡良一

    岡委員 率直に加舎さんの欧米を回られた印象をお尋ねしておきたいと思うのでありますが、ただいまの御報告によりますると、原子炉設置者は、一応ある限度民間保険に加入しなければならない、しかし、原子炉事故に基く災害がきわめて確率が少いものであろうとも、かなり大規模な災害が予想されますので、国は、民間設置者がその損害賠償責任を果すために加入する保険以外に、国としても補償体制を持っておる、こういうふうに感じられるのでありますが、大体各国はそういう体制でおりますか。
  6. 加舍章

    加舍説明員 国の賠償責任を、はっきり法律その他の手段規定いたしておりますのは米国及び西独かと私は存ずるわけでございます。先ほど申しました英国及びスイスにつきましては、これは、その事態が起った場合に国会がその措置について考慮するというふうなことかと存じますので、はっきりそういうことを約束いたしておるわけではないと存ずるのでございます。それから、OEECは、そのほかのヨーロッパ各国の指導的な役割を演じようとしておるわけでございますが、それについては何も国の責任というものについては触れておらないと存じます。それから、より広い組織でございますウイーンの原子力機関におきましても、この問題を考えておるわけでございますが、いずれも現在開かれておりますコンベンションにおいて議論されておるわけでございます。その原案によりますと、国家補償について何らか統一的なものを持ちたいという希望は出ておるわけでございます。ただ、これがどういうふうになるかにつきましては予測を許さないものと存じております。
  7. 岡良一

    岡委員 私がお聞きしておるのはたとえば、今御報告スイスにしましても、英国にいたしましても、国が免責をされるということは言っておらないわけですね。ケース・バイ・ケースによって国が責任をとる用意がある何らかの予算措置を講ずる用意があるということを損害賠償規定の中にはっきり規定されておるかどうか、こういうことを聞いておるのです。それはスイスでも、英国でもうたわれておるのですね。
  8. 小金義照

    小金委員長 ちょっと加舎君に申し上げますが、岡君の質問要点はおわかりになりましたか。——つまり、損害賠償建前を聞いておられるのです。ですから、あなたの印象はどうだ、こういうことなんです。法的にはっきりしなくてもいいのです。たとえば、一次的には設置者責任を負う、その後に国が負うのだが、その点はどうかという質問なんで、前のことを繰り返さず、質問要点をつかまえて答えて下さい。
  9. 加舍章

    加舍説明員 お説の通り、一次的には原子炉設置者等責任を負うということは各国共通しておると存じます。それでまだ満たされない部分について国が何らかの面倒を見るかどうか、あるいはどういう形で見るかという点について各国は検討しておる段階かと存ずるのでありまして、私自身印象と申しましても、結局そういう客観的な事実以外に何ものもないわけでございます。
  10. 岡良一

    岡委員 英国の、たとえばウィンズケール事故には、邦貨にして約五億の金が国会の議決を経て支出しておるわけですね。これは、別にウィンズケール保険に入っておって、その保険金をおろして払ったものでない。国が出しておる。英国とすれば、先ほどおっしゃったように邦貨にして約五億円くらいですか、五百万ポンド程度保険原子炉設置者は入らなければならぬけれども、万一事故が起って、それがその限度をこえるような災害を第三者に与えた場合の賠償については、必要な賠償に要する資金英国国会が議決して支出することができるという用意を示しておるのではないかということ、それからまた、スイスの例を引かれましたけれども、なるほど、スイスは、この法律の上には国そのもの責任をとるという建前を明確にはうたっておらない。しかし、連邦損害補償傷害補償のために追加的に国が資金を出すことができるという規定を持っているわけです。そのことは、いわば、原子炉設置者は第一次的にと申しましょうか、それは民間保険等である限度がある。しかし、災害がそれ以上に及んだ場合は、国が国の資金を出してその災害賠償責めを二次的に負うという意思をはっきり示しておるのではないか、こういう点についてお回りになった御印象はどうか、こう聞いておるわけです。だから、法律上はっきり出しているか、いないかということではなくて、国の意思がどこにあるかということをお聞きしておるわけです。
  11. 加舍章

    加舍説明員 ウィンズケール補償問題につきましては、その炉が原子力公社の所有でございますので、公社予算で支払われたというふうに伺っております。原子力公社法の第五条によりまして、そういう責任公社自身にあるというふうに考えられておるわけでございます。なお、国家責任の趨勢と申しますか、大勢につきましては、結局保険その他の手段による補償金額と申しますか、損害賠償のための金額が今のところそう十分でないということで、各国はそれを補完する意味で何らかの措置を考えておるというのが大勢かと存ずるわけです。
  12. 岡良一

    岡委員 それから、アメリカの例なんか先ほども御報告にありましたが、特に大型炉設置の場合、いわゆるコンティナー一つの大きな要件になっている。それともう一つは、人口密度の問題ですが、お回りになって、具体的にこのコンティナーがあるかないかということ、あるいは人口密度がどの程度条件として、どういうふうに取扱っておりますか。
  13. 加舍章

    加舍説明員 お答え申し上げます。コンティナー有無につきましては、それが、たとえば保険によってファイナンシャル・プロテクションを具備する場合には、保険料率には大いに響くように伺っております。ただ、先ほど申し上げましたように、ファイナンシャル・プロテクションの要求される額につきましては、コンティナー有無にかかわりませずと申しますか、結局それには影響がない。ただ、米国の炉につきましては、コンティナーを有する炉がほとんどであるというふうに存じておりますので、あまり米国内では問題がないんじゃないかというふうに存じております。  人口密度につきましては、現在いろいろな方法によってファイナンシャル・プロテクションの額を影響のあるように加味しようということで考えられておるわけでありますが、平方根で開きまして、いろいろな方式が考えられておる状況でございまして、はっきりしたことはまだないわけでございます。
  14. 岡良一

    岡委員 関連して佐々木君にお尋ねしますが、今度いよいよ東海村に建設することに一応内定をしたコールダーポールの改良型は、コンティナーはないわけですね。
  15. 佐々木義武

    佐々木政府委員 ただいまのところは考えておりません。
  16. 岡良一

    岡委員 それから、これは今すぐではないかと思いますが、たとえば、一平方キロメートル、あるいは一平方マイル人口密度ですが、東海村について、たとえば半径三十マイルくらいの一平方キロ当りの人口密度は、調べて下さればすぐわかりますね。  それから加舎さんにお尋ねいたしますが、何しろ原子炉の問題は、どちらかと言えば、開発が進んで立法があとからついていくというような状態で、保険業者の立場からすれば、きわめて困難なたくさんの条件が出てくると想像されるわけです。しかし、保険業者は、やはり収益が大きな要件である限り、みすみす損を覚悟して加入を認めるわけにもいかない。こういうようなことになるわけで、保険業者とすれば、やはりある程度まで原子力開発に対して協力をしようという政治的な気持を持ってもらわなければならないと思うのです。こういう点、各国保険業者の気がまえはどういうものでございますか。  それから、かりに英国の場合、あるいはアメリカの場合、五百万ポンドといい、六千万ドルと申しますが、一体そういう心がまえの上に——それにいたしましても、保険業者とすれば、万が一ということであっても、原子炉事故に基く災害については、一応の統計的な確率がなかなか算定しにくいものではありましょうが、一応何らかの基準があり得ると私は思うわけです。こういうような点、具体的な数字があれば、お示しを願いたいと思うのであります。
  17. 加舍章

    加舍説明員 お答え申し上げます。保険業者協力気がまえにつきましては、各国とも、国内保険能力をあげましてはこれに対処しようということで、各国とも保険プールというものを作りまして消化に当ります一方、政府と密接な連絡をとりまして、保険で要求されますファイナンシャル・プロテクションをできるだけカバーしようという動きにあると思います。  それから、確率その他の点につきましては、お説の通り確率がまだ出ておりませんと申しますか、非常にわずかの確率しかないというものでございますので、各国プールは非常にこの点に苦慮いたしまして、米国では、保険料の六九%を被保険者勘定といたしましてリザーブするという制度をとっております。従いまして、もし十年間に全然事故がなければ、六九%は被保険者に返還するというふうな制度で、実質的な保険料の調整をやっておるわけでございます。  それから、欧州各国につきましては、そういう制度は現在のところ全然考えておりませんが、一年置きに保険料率を計算できるわけでございますので、その点は、徐々にある一定の確率と申しますか、料率に向って進んでいこうとしておるわけでございます。
  18. 岡良一

    岡委員 今十年というお話がありましたが、御存じのように、去年だけでも、広島でやはりいわゆる原爆症患者というものが七十数名も死んでおるわけですね。そういうわけで、十四年後にも相当な死亡者が出ておる。特に、これが遺伝的な影響などということになりますと、おそらく三十年くらいたたなければ結果が出てこない。さて、急性の白血症になったところで、そこひになったところで、あるいはまた、奇形児が生まれてみたところで、それが果してこの放射能の災害に基くものであるかどうかという認定は、現在の医学、現在の生物学の知識から見て、きわめて困難ではないかと思えるわけです。保険に入った場合、その保険時効は十年がいいのか、二十年がいいのか、三十年がいいのかということで、原子力災害保険というものは、一つの新しいケースとして考えられなければならないということになるわけですね。こういう点では、各国はどのようにこの問題を解決しようとしておりますか。
  19. 加舍章

    加舍説明員 お答え申し上げます。米国につきましては、時効は各州によりましてまちまちのように聞いておりまして、統一的なものはございませんが、欧州各国につきましては、一応十年という線が非常に多いわけでございます。OEEC協定案におきましても、原則として十年ということになっております。ただ、英国はこれを不満といたしまして、三十年という時効を現在審議いたしておるわけでございます。ただ、保険会社といたしましては、三十年の時効の分まで補填するということに非常に難色を示しておりまして、結局十年をこえる三十年までの損害請求につきましては、先ほどの五百万ポンドをこえる部分と同様、議会が再考する余地にゆだねたわけでございます。
  20. 岡良一

    岡委員 この原子力開発に伴う危険、いわば、保険に加入しなければならない責任というふうなものは、諸外国ではどういうものが数え上げられておるわけですか。たとえば、放射性アイソトープとか、原子炉とか、臨界実験装置とか、あるいは粒子加速器というようなものが入るだろうと思いますが、特に、これからはいわゆる廃棄物が出てくるわけですね。廃棄物なんかの取扱いは、日本はこれからやろうというわけですが、これは保険との関係はどういうことに諸外国でやっておりますか。
  21. 加舍章

    加舍説明員 米国におきましては、現在適用になっておりますのは原子炉のみでございます。法律では、そのほかの加工あるいは再処理等も含まれることになっておるわけでございますが、現在のところは現在の運営におきまして原子炉だけで十分であるというふうに考えておるそうでございます。欧州各国におきましては、原子炉のみならず、ほかの原子力関係施設及び輸送につきましても考慮いたしておるわけでございますが、その範囲、あるいはやり方と申しますものは各国ばらばらでございまして、特に輸送問題につきましては、完全に規定いたしております国は皆無でございまして、すべて問題を第三段階、今後の問題として処理したいというふうに考えておるようでございます。
  22. 岡良一

    岡委員 先般、私ども委員長その他同僚の委員の方々と、ジュネーヴで国際原子力機関事務総長のスクーリング・コール氏に会ったときにも、われわれが特に力説したのは、やはり国際原子力機関が国際的な再保険を作るということを強く力説したのでございます。先ほども御報告の中にありましたが、国際原子力機関について、各国はそういう方向にこれをブッシュするというような気がまえが見られましたでしょうか。
  23. 加舍章

    加舍説明員 欧州各国は御承知のように、OEECのもとでほとんど研究を進めておるという状況でございまして、IAEAにつきましては、加盟国も多いことでございますので、非常に困難ではないか、つまり、強力な、統一的な制度を勧告あるいは実施するということは相当困難が伴うのじゃないか、今後に期待するというふうな程度の答えが得られておる程度でございます。IAEA自身におきましては、これから検討するのだから、すべてこれからにしてくれということでございまして、それ以上のことは聞いておらないわけでございます。
  24. 岡良一

    岡委員 たとえば、今申し上げたIAEAスターリングコール氏は、三国間協定とか、あるいはユーラトム、またユーラトム米国との協定というようなものを激しく攻撃しているわけですね。こういうものができるから、事実上IAEAの存在は無意味になってしまうじゃないかといって、非常に憤慨して、公けの席上でこういうことを堂々と述べておるわけです。そういうことから、問題は、やはりOEEC加盟国、いわば先進諸国が、この原子力開発損害賠償責めをある意味において国際的な協定で持とうとすることは、そのブロックだけは原子力開発については、損害賠償についてもある責任が伴う形においてますます開発が進んでいく、一方ではおくれをとってこざるを得ないというような状態になってくるわけです。スターリングコール氏の主張は、当然こういう問題にもそのまま当てはまっておると思うわけなので、国際原子力機関が当然この問題について積極的にやるのだ、この間、古内大使のお話では、ことしの大きなテーマはこれだというようなことを言っておられたので、私どもも期待しておるわけです。  そこで、佐々木君にこの間お尋ねしたのだが、一体、この規制法の改正案で、金額の問題はどういうことになっているのですか。保険会社の契約金額の最高限度とか、あるいは国内における再保険の総額とか、国際的な何か保険業者の……。
  25. 佐々木義武

    佐々木政府委員 これは、この前にもお話しましたように、ただいまのところでは、国内について保険プールが結成されました場合に、その引受能力の算定をどういうふうにするかと申しますと、大体プールに参加する各保険会社の資本金及び資本勘定積立金の数パーセントを、責任保険並びに財産保険、両方合せて原子力保険に充てたいというふうな考えでおるようでございます。その額は、ただいまの日本の損保の各会社の資本金等から算定いたしますと、おおよそ十億ないし十五億程度のように聞いておりますけれども、これを海外に再保険するということになりまして、——これにはいろいろ米国英国等、世界各国においてそれぞれいたしますわけでありますが、その再保険をつけました際には、おそらくこの金額の数倍の保険金額になるだろうというふうに見られています。ただいまの段階では、おそらく民間保険プールが結成いたしまして、原子力研究所等がこれにすぐ加入するわけでございますが、この最高限は、おそらく今申しました千億ないし十五億の数倍という程度——財産保険も合せていますので、あるいは責任保険のみということになりますと、若干減額するかもしれませんが、その程度のことを考えております。
  26. 岡良一

    岡委員 そういう話し合いが、これは法律にはっきりとうたわれておる以上、やはり裏づけとしての政府側のはっきりした保証がこれに与えられなければならぬと思うのだが、この話は、はっきりそういう約定が取りきめられたわけですか。たとえば、保険協会とかなんとかいう団体と……。  それから、国際的な再保険の中に、とても簡単に入れるようにあなたはおっしゃっておられるが、私にはそうは思われない事実があるのです。その点はかけ合ってみられましたか。どの程度の打診をしておられますか。
  27. 佐々木義武

    佐々木政府委員 国内保険協会、損保協会との話し合いはどの程度まで進んでおるかという前段の御質問でございますが、これに関しましては、この前にもお話し申し上げましたように、前々から原子力委員の皆さん、特に有沢委員が中心になりまして、数回損保の最高首脳部の人たちとお会いしまして、最終的にはこういう法案を出すので、いつまでこのプールが結成可能であるか、その見通し等を最後に固めまして、その結果、保険約款等も、大体まだ最終的には役所の認可を得ておりませんが、内部的には固めたものもございます。それから、それに伴ってのただいま申しました引受能力等の点も検討中でございまして、特に、この法律案にありますように、公布後九カ月以内にこの法案が施行されるということになりますと、その間には十分プールの結成が可能であるというふうに考えておるわけでございます。  それから、後段の各国に対する再保険がそれほど簡単かどうかという問題に関しましては、これもそれぞれ損保協会の主たるメンバーの方たちが、あるいは支店を海外に持っておりますし、いろいろ従来からのコンビネーションがございますので、そういうルートを通じまして常時今まで折衝を重ねておりまして、その見通しも合せての金額の算定だと思っておるのでございますので、ただいまのところでは、それほどこの点に関しましては困難視をしておりません。  そこで、蛇足になりますけれども、それでは保険プール責任保険に対する各国の引受能力というものがどのくらいあるかと申しますと、米国では二つのプールがございまして合計六千万ドル、二百十六億、英国プールは一千万ポンド、約百億、西独が一千万マルク、八十五億、スイスが大体十億円というふうに、相当高額なプールが結成されております。
  28. 岡良一

    岡委員 この点、特に後段の、一体日本としてはどの程度保険プールが期待できるのかという点を、もう少し私ども責任のある御用意を承わりたいと思うのです。  それから、ぜひ一つこの際お願いをいたしておきたいのは、たとえば、故意あるいは過失等の事故に基くというようなことで、損害賠償責任が生まれてくるのでしょうが、御存じのように、一体原子炉事故が故意であったのか過失であったのか、一向わからない、おそらく燃料のある部分が溶ける、永久廃棄のような状態になって探索が困難だろうと思う、そういうことから、やはり保険の約定にしても相当きちんとしたものがないと、払うものと受け取るものとの間にいろいろ意見の食い違いが起ってくると、迷惑するのは第三者だと思う。それからその製造物にしても、たとえばいろいろな部品があるわけですから、そういう関連製造業者の責任というものも相当明確にあっていいと思うし、そういうような点で、保険の約定についても大体一つ原子力委員会としての方針があったら承わりたい。文書か何かでお願いしたいと思います。  それから野木君、この間まだ残っておった点、どうなっておるのでしょうか、法制局の見解というのは。
  29. 佐々木義武

    佐々木政府委員 ただいままで私申し上げましたのは、あくまでもこの改正法案に盛ってあります範囲のことを申し上げたのでありまして、従いまして、この結成する保険プールは、現在の保険法あるいは民法等を基礎にいたしましたその範囲内で、その解釈内でプールを結成するのでございまして、それほど原子力災害に対して特殊な性格を持ったというほどのものではございません。従いまして、あとで岡さんから御指摘がありました無過失の責任等は、今の民法では救済できないのじゃないか、そういうものに関してはどう考えるかといったような問題等、いろいろ新しい技術の進歩に従っての問題が、賠償範囲なり、限度の問題とか、いろいろございまして、そういう点に関しましては、この前からお断わりしておきましたように、ただいま加舎君から報告がありました。あるいはそういう報告等を基礎にして、原子力委員会の下に原子力災害補償の専門部会を作りまして、我妻栄教授が主になってやって下さっておりますので、それが固まり次第、あるいは原子力保険法あるいは国家補償法という名前——名前はどうなるかわかりませんけれども、そういう体系のものができるかもしれない、また、各国の例等にかんがみまして、あるいは新しい法案を作らぬでよいかもしれない、そういう点をいろいろ検討中でございますので、そういうものによって逐次考えていきたい。ただし、それは今度の国会にはとても間に合いませんので、できればこの次の国会等に提出いたしたい。ただ、その間何もこういうものに対して処置がないのかといいますと、各国でも代理的な措置としてとっている、従来の保険法に基いた保険プールというものの結成をはかるということであります。
  30. 岡良一

    岡委員 では野木さん、この間懸案となっていた点、一つ教えていただきたい。
  31. 野木新一

    ○野木政府委員 前会の岡先生の御質問は、原子力開発、発展に伴う新しい事態に関連した御質問でありまして、非常にむずかしい点をついておるわけでございます。まず、特別立法の点は、立法政策に属しますからしばらく別問題として、現行法の解釈上どうなるか、ことに、原子炉設置について、国が許可する場合、その許可された原子炉から事故が起って第三者が損害を受けたという場合に、国は許可したということによって何か損害賠償責任を負うかという点に関して、現行法のもとではどうなるかということを一言申し上げたいと思います。現行法のもとにおいて国が責任を負うのは、御承知のように、国家賠償法の要件に該当する場合に責任を負うわけでございます。その場合に、国がその許可を多少誤まって許可したというような場合に、許可を受けた者が許可を受けたということに基いてある事業をした、その事業をしている間に損害を生じたという場合におきましては、これは、私直接は扱ったことがありませんが、前にほかの関係で、たとえば、高圧ガスとか何か類似の場合にいろいろ問題になったことがあるそうでございます。このような場合におきましては、政府側としては、許可ということは一つの行政上の問題でありまして、許可を受けた事業によって第三者に損害を生じたという場合に、その第三者からすぐ国へ損害賠償の請求ができるかという点につきましては、そういうことにはならない。その説明といたしましては、許可というのは禁止の解除であり、許可を受けた者は必ずしも自分でその事業をしなければならないわけではありませんで、やはり独自の責任を負うてその事業を遂行する義務がある。従いまして、その結果生じた損害についても、許可ということから、直ちに相当因果関係を容認するわけにはいかないのではないか、あるいは、許可というものの性質として、その許可に基いた事業によって事故が生じた場合には、その損害者に直ちに国に対して損害賠償の具体的の権利を与えるものという、そういうような意味合いまで含むものではない、説明の仕方は多少ニュアンスがあると思いますが、いずれにしろ、結論としては、現行法のもとにおいては国が直ちに損害賠償責任を負うものでないというふうな結論に達しているようであります。そして、この点については、判決というようなものを私ちょっと探しましたが、短時間でございまして十分探すことができませんで、あるいは漏れがあるかもしれませんが、私自分で探したもの、あるいは他の同僚に聞いたところにおきましても、的確にそこに触れた判決はまだないようであります。しかし、学説などにおきましては、我妻先生は今言ったような見解をとっておられる。私時間がなくて、直接その原文に当ることができませんでしたが、私の同僚などの話では、そういうことを言っておりました。いずれにせよ、現行法のもとにおきましては、先生のおっしゃいましたように、直ちに損害賠償責任を国が負っていくという解釈は、私ちょっと無理じゃないかと思います。そういう法制をとるならば、やはり特別な立法が必要だ。いわんや、適法な許可という場合には、なおさらのことでございまして、現行法の解釈としては、今申し上げたようなのが大体通説的の見解ではないかと存ずる次第でございます。
  32. 岡良一

    岡委員 野木さん、その際に、私もう一つ前提を申し上げておったわけですね。それは、国と国との協定で、あるいは原子炉なり、またそれに伴う資材なり原料なりを入れる場合、国と国との協定では、これはできるだけ完全なものであるように、正確なものであるように努力する、しかし、にもかかわらず、完全である、正確であるということについての保証は相手国はしない。だから万一事故が起り、災害が生じた場合は、その責任は相手国はとらない、こういう、国と国との、国内法に優先する取りきめがあるわけです。こういう取りきめのもとにわが国が導入した原子炉というものは、従って、わが国の技術者が行って、たとえば原料の加工成型の現場に立ち会って、受け取るときまで、できるだけ十分な検査をしたとしても、それが果して完全であるか、正確なものであるかということの保証にはなりがたい、事実上なりがたいのではないか。そこで、言ってみれば、導入された原子炉なり、それにたく燃料なり、もろもろのものは、結局最終的には安全性が保証されないものである。しかも、原子炉設置民間人が願い出たときには、安全性を設置の許可上の一つの大きな要件として、そうして政府は安全なりと認めて許可をする、ここに一つの問題が起ってくるわけです。それ以後は、あなたの国家賠償法という、現行法によっても大体わかりましょう。ただ、前段にそういう経過をたどっておるということから、単純に、後段だけの説明では、私は、原子力開発を育てていこうという場合には、国としては少し責任が足らないのじゃないか。松前さんのよく言われる、いわゆる指導的な思いやりが国にあってしかるべきじゃないかと思うのです。そこのところはどういうものでしょうか。
  33. 野木新一

    ○野木政府委員 先生のお気持はわかったような気持がいたします。お気持といたしましては、まさにそういうお気持が起るのも無理ないと存じます。しかし、そのお気持の基礎に立って考えてみますると、そういう事情のもとにあるから、現行法のままではやはり原子力開発、促進上足りない点がある、だから、どうしても何らか措置を講ずる必要があるのではないか、そういう立法政策上の問題に発展していくのではないかと存ずる次第であります。ただ、解釈論といたしまして、今言ったような条約の規定があるということから、直ちに国が第三者の損害にまでも賠償すべき義務があるということに結びついてくるかどうかという点につきましては、やはり少し困難ではないかと存ずる次第であります。
  34. 岡良一

    岡委員 そういうわけで、私の個人的な見解かもしれませんが、日本人の持つ潜在的な科学的能力というものは、決してそう低いものではないと思うわけです。だから、この能力を国がもう少しあたたかく守り育てていくという方向に努力するならば、この原子力開発についても決して他国におくれをとらない時期がくるだろうと思う。これは石川さんにお聞きするのですが、ところが本能的な恐怖を日本は長崎、広島で持っている。だから、できるだけ安全なものを入れる、そして安全に運転をしてみせるという実物教育、東京のアパートメントの電気は原子力発電の電気でとぼっておるだろう、皆さんの台所ではその電気によってお料理がされておるのだという事実をもって証明してやるということ、これがおそらくこの本能を取り払う一番大きなきめ手である、しかし、同時にそこに至るまでには、国としても、やはり万一の場合には責任をとるのだという、頼もしい心づもりというものがはっきりされなければいかぬ、この二つがともども相待って、初めて原子力の研究、開発が進むのだ、こう私どもは政治的な感覚として思うわけです。今野木さんの御説明のように、いわゆる現行法でもなかなか容易にそこまでの踏み切りができがたいということになれば、当然、やはり原子力委員会としては規制法においてこういう全く当座しのぎの法改正をやるよりも、思い切った特別の立法措置を講ずるなりする必要があるのではないか。佐々木さんの御説明によれば、とりあえずと言われますけれども、民間原子炉といったところで、まだこれから先一年以内に運転をするわけでもないと私は思うし、しかも、一方では大規模な実用発電炉ができるというようなこともほぼ決定に近い状態報告されているというところでは、原子力委員会としても、国としても、先ほど申しました趣旨における原子力の研究、開発のための国の責任というものを思い切ってはっきりするような、特別の立法措置があってしかるべきだと私は思うわけですが、この点、石川先生いかがでしょう。
  35. 石川一郎

    ○石川説明員 ただいま岡さんがお述べになった事柄も考えております。ぜひそういうふうにいかなければならぬというふうには考えておりますが、まだ具体的な、どうしたらいいかということは考えておりません。研究中でございまして、同じような心持でございます。
  36. 岡良一

    岡委員 そこで、この改正案はきわめて形式的な、簡単なものであるようではありまするけれども、しかし、日本の将来の原子力の研究、開発を進める上におけるやはり重要な因子をも含んでおるわけです。そういう意味で、保険問題の権威である我妻先生なり、あるいは産業方面にもいろいろな要求があると思うし、原子力産業会議の代表の方なり、学術会議の方にも意見があると思うから、こういう方を呼んでいただいて、参考人の御意見を拝聴するという機会を作っていただいた上で、この法案の審議について私どもも国民に責めを果したい、こう思いますので、委員長一つよろしくお取り計らいをお願いいたします。     —————————————
  37. 小金義照

    小金委員長 次に、科学技術行政に関する件について質疑を許します。松前君。
  38. 松前重義

    ○松前委員 ちょうど石川原子力委員がお見えになっておりますのでお尋ねいたします。ただいま岡委員から御質問いたしましたことに対して簡単なお答えがありましたけれども、私は、この原子力の研究、開発の促進政策としては三つあると思います。まず第一に、人間を作らなくてはいけない、第二は、研究機関を充実しなければならない、第三は、これは基本的な問題でありまして、原子炉設置に関する基本方針ですね。この前も兼重先生に伺ったのでありますが、原子炉設置に関する基本方針というものがきまっておらない限り、ある程度の指導性のある基本方針がきまっておらない限り、原子炉の研究、開発等は不可能であると私は思う。ただいま岡委員が申しましたように、日本は原爆を食らった、従って、国民の中には原子炉コール原爆である、こういう誤まった認識が持たれておる。そのためにいろいろなトラブルか設置を通じて起りつつあるのであります。ですから、私は原子炉設置に関してはやはり小型の原子炉、すなわち、ゼロ・パワーに近いクリティカル・パワーの原子炉、このいわゆる教育用原子炉というものの設置問題と、それから研究用の、大体五千キロ、千キロ程度原子炉、あるいはまた一万キロ以上の発電用原子炉等を含んだ大きなパワーの原子炉、こういう大体三つの段階ぐらいに分けた、大まかな設置基準の基本方針がきまっていなければ、国民は、一体どういう条件が許可の条件であるかわからない、こういうことになるのでありまして、この辺の具体的な、原子力開発に関する大まかなところでけっこうです、原子方委員会も、もうできてから長くなりますから、皆様の方で大体お立てになっていらっしゃると思いますので、人材養成、研究機関の整備、あるいは原子炉設置に関する基本的な方針を一応大まかに確立して国民の前に明示して、あなた方は一つこういう方向に向ってお進みなさい、そうすれば、われわれは助けてやりましょう、また指導してあげましょう、こういう立場に立つのが原子力委員会の使命であると私どもは思うのでありますから、この辺についてどういう政策をお持ちであるか、この点をあらためて伺いたいと思うのであります。     〔委員長退席、赤澤委員長代理着席〕
  39. 石川一郎

    ○石川説明員 お答え申し上げます。今一番初めにおっしゃいました人の養成、これは非常に重要なことでございます。相当の種類の人を養成していかなければならぬことは御説の通りでありますが、いろいろの種類の人を養成していきたい、こう思っております。  それから、施設の問題でございますが、初めはちょうど松前さんあたりがお考えになったように、これはなかなか金もかかるし、それから、いろいろな種類の人も要るしするから、原子力の研究はできるだけ一カ所にまとめて、そこを充実して人も養成し、技術をみがかせるようにしていきたいという考えでわれわれは進んで参りました。これは、ちょうど皆さんが三、四年前にアメリカからお帰りになって、いろいろの御意見を御発表になったと同じような考えで参りました。しかし、それだけでは教育方面について——今の三番目の問題になりますけれども、設置の基本方針というのは教育用の意味でございますか。
  40. 松前重義

    ○松前委員 全般的です。
  41. 石川一郎

    ○石川説明員 動力用の問題につきましては先般、一昨年でありましたか、作りまして発表したものがございます。これはジュネーヴあたりの会議から、またいろいろ考え直してみたのですが、この大きなものにつきましては、非常に大きく変更する必要はないように思っております。それから、学校の教育用の問題につきましては、教育用原子炉設置でこれを発表し、この方針につきましては御存じでいらっしゃるかと思います。それから、研究用の問題でございますが、これは、まだ研究用としてどのくらいのものを置いたらいいかということはきめておりません。この研究用のものは、今のところでは原子力研究所に集中して、できるだけそこでやっていただく、しかし、関東に偏しますから、関西方面にもそういうものを置いてという考えを持っておりますが、それ以上のことはまだ決定をしておりません。
  42. 松前重義

    ○松前委員 私が申し上げた趣旨は、ただいま岡委員から言われたのに非常に関連しております。日本は原爆を食らったおかげで、原子力コール原爆という、非常に誤まった考え方に支配されておる向きが非常に多い。そのためにいろいろな神経質な動き民間に見られる。これに対する啓蒙宣伝、あるいは原子力の平和利用に対するところの理解を持ってもらうということは、私は原子力委員会の何といっても最初に着手しなければならない問題であると実は思うのであります。これに対して、一体どういう手を原子力委員会はお打ちになるつもりか、今日までお打ちになったか、まず、それから順序を立ててお伺いをしていきたいと思います。
  43. 石川一郎

    ○石川説明員 お答え申し上げます。民間方面に一般的にこれを官伝いたすことにつきましては、要するに、パブリック・リレーションをやるにつきましては、産業会議といろいろ話し合いをいたしまして、予算の点もございますので、あちらで主としてやってもらっております。なおまた、原子力研究所、あるいはまた委員会におきましてもいろいろフィルム等を作りまして、そうして、できるだけ皆さんに御了解願うようにやっておりますし、また、実は来月もほかに参るのでありますが、ほかからいろいろ話をしてくれと頼まれますときには参りまして、委員が別々に——一緒にそろって参ることはございませんが、いろいろお話し申し上げて、ただいま御懸念になったように、できるだけ皆さんにわれわれも原爆と原子力との関係その他につきましてわかるように御説明を申し上げております。     —————————————
  44. 赤澤正道

    赤澤委員長代理 この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。すなわち、ただいま本委員会で審査中の核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案及びコールダーホール型原子炉設置について参考人より意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 赤澤正道

    赤澤委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出頭の日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 赤澤正道

    赤澤委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  47. 赤澤正道

    赤澤委員長代理 質疑を継続いたします。松前君。
  48. 松前重義

    ○松前委員 ただいま原子力産業会議がそういう啓蒙宣伝に当っておる、こういうお話でありますが、あそこで作られたパンフレットその他は、私どものところには送ってきます。けれども、大衆の中には全然浸透しておりません。それでいいんでありましょうか。私は大衆のことを言っておるので、少数の、特定の人に対してパンフレットを配ったり、印刷物を配ったりすることを言っているのではないのであります。
  49. 石川一郎

    ○石川説明員 大衆に対しましては、昨年も参りましたが、たとえば熊本であるとか、福岡であるとか、大分であるとか、最近富山にも大阪にも参りましたが、やはり映画その他をもちましてわれわれもいろいろ講演いたしますし、また、原研からも行かれますというようなことで、大衆に対しての啓蒙運動を一緒になって話し合ってやっております。
  50. 松前重義

    ○松前委員 いろいろ努力されておるようですが、どうも、私は、現在日本の国民大衆は原子力と原爆とをまだ取り違えておると思うのです。それと同時に、また学者もやはりその傾向がある。果してこれが学者であるかどうか、原子力を御存じかどうか疑うのでありますが、とにかく、皆さん方のところにいろいろ進言されるであろう組織内にある学者の中にも、なお私はこの認識が間違っておられる方がおるような感じがして仕方がない感じがします。それほど、この問題は重要なのである。ここから出発しないと、これは何か、英国コールダーホール型を入れるということに大体腹をおきめになったということでありますけれども、その腹をきめられるにしても、置く場所はございませんよ。置く場所がありますか。あったら一つ具体的に科学的根拠その他をお示しを願いたいと思います。
  51. 石川一郎

    ○石川説明員 設置場所につきましては、まだ何とも言って参りません。あれは原子力発電会社の方で、こういうところに置きたいということがきまると、たとえば、こうして放射能に対する防御をして、こういうことが安全であるということをすっかりそろえて委員会の方に言って参るはずになっておりますが、これは発電会社の方の仕事になっておりまして、われわれまだはっきりしたことは伺っておりません。結論は伺っておりません。
  52. 松前重義

    ○松前委員 英国との間に契約を結ぶというようなときには、当然こういう原子力協定に基く契約でありますから、政府責任を持たなければなりません。責任を持つならば、この設置の許可は、すでにおろされたものであると見て差しつかえありませんか。安全性の立場から見て、設置の許可はおろされたものであると考えて差しつかえありませんか。
  53. 石川一郎

    ○石川説明員 まだ許可はいたしておりません。要するに、われわれはこれが安全である、あるいは、たとえばこれは東海村に置くといたしまして、どのくらいな安全性があるかということを確かめなければ許可はいたしません。
  54. 松前重義

    ○松前委員 許可が出るまでは、契約はなさいませんね。
  55. 佐々木義武

    佐々木政府委員 契約は個人の自由でありまして、これは政府関係ございません。ただ、その契約が政府の許可があった場合有効であるとか、それが不許可の場合には契約は破棄するとかいうようなことを会社対会社の契約の条項に書き込むということは、それぞれの会社の意思かと思います。従いまして、許可以前に契約を結んだら、その契約は無効だというようなことはないと考えております。
  56. 松前重義

    ○松前委員 法律家の御答弁としては非常にけっこうな御答弁だろうと思いますが、それはしかし現実の姿とは相当に私は違うと思う。そういうのは、やはり言いわけに過ぎないのであって、それは、やはり政府の許可が得られるという見通しがつかぬのに契約するばかはおりませんよ。それは一体ですよ。また一体となるくらいの責任を持たなければ、私は原子力開発というものはできないと思う。今のようなお気持が、私は原子力開発を阻止しておると思う。そう思いませんか。大体アメリカあたりでは、すでに民間からの出願があった場合においては、悪いところがあったら、それを是正して指導してやって、そして、これを勇気づけて、何とか早くやれというので、それを促進する傾向にある。契約は勝手になさい、場合によっては、おれは許可はしないかもしれない、政府がそんな心がまえでもって原子力の推進ができますか。私は、そういう態度では原子力行政は絶対に推進しないと思う。どうですか。
  57. 佐々木義武

    佐々木政府委員 政府の許可がない前に契約をしてはいかぬのかという御質問でありましたので、私はその質問に対してだけ法律的な解釈を御説明申し上げたのでありまして、別に、政府の態度をどうという説明ではございません。手続上は、それでも別に違法ではないという説明をしただけでございます。ただ、お話のように、それでは立地問題等を全然考慮せずにこの問題が進んでいるかと申しますと、決してそうではないのでございまして、たとえば、ただいま発電会社では東海村を一応候補地として予定いたしまして、そして一切の立地に関する調査を進めつつございます。風の問題、あるいは海流の問題、あるいは地震の問題等々、原子炉に伴う立地に必要な諸条件はもう精密に検討を進めつつございます。ただ、それがただいまお話がありましたように、申請があって許可すべきかといいますと、まだ申請はしておりません。予備審査の段階ですということを申し上げただけでございます。
  58. 松前重義

    ○松前委員 これ以上私は質問はいたしませんが、ただ、御調査になった結果というものは、一応皆さん方で御検討になるばかりでなく、一般に発表されるつもりですか。
  59. 佐々木義武

    佐々木政府委員 もうこの点は一切公開いたしまして、一つの秘密も残さぬつもりであります。
  60. 松前重義

    ○松前委員 その科学的な根拠その他について特に私は関心を持っておるので、できましたら、なるべく早く——まだ調査中々々々と言わないで、調査された科学的な資料を片っ端から一つ知らせていただきたい、こう思うのです。  それから、この前実は資料の提出をお願いしておきました例の原子力安全審査部会とかいうのがございましたが、それのメンバーと学歴、それから、原子炉をほんとにつぶさに視察してきた人がおるのかおらないのか、何名ぐらいおるのか、同時にまた、大型から小型に至るまでつぶさに世界の実情を見てこられた方、東海村を見てこられた方は知っておりますが、ほかのところです。そういう最近における原子力を中心とした彼らの経歴について一応書いていただきたい、こう言ってあるのですけれども、この資料はできておりますか。
  61. 藤波恒雄

    ○藤波説明員 私から御報告を申し上げます。実は、ここに経歴が出ておるわけでございますが、まだ御本人たちに確認することが残っておりますので、完結いたしておりませんが、これは至急完結いたしまして、お手元に書いたもので差し上げたいと存じます。外国原子炉を視察した方が九人ばかりおられますが、さらに、それをアルゴンヌとかブルックヘブン、オークリッジその他の炉の設置場所ごとに一覧表にいたしまして、お手元に差し上げたいと存じます。
  62. 松前重義

    ○松前委員 石川先生にちょっとお伺いいたしますが、先ほど来の私の言葉の片鱗で大体お察しいただいていると思います。それは、アメリカ原子力委員会と日本の原子力委員会とは実力が違うから、アメリカ通りにいかぬのだと兼重先生はおっしゃっておりました、そのことも私どもはわかります。あとから出発してアメリカ通りにやれるとは、私は思いません。しかし、アメリカのように進んでおらぬから、おくれておるから、これはよっぽど急いでアメリカにも追っつくように持っていかなければならないということだけは事実なんです。従って、アメリカ通りのようなことをやっても、必ずしも日本は世界に追っつくというところまでは私はいき得ないと実は思う。そこで、原子力委員会の、いわゆる行政の基本方針というものは少くとも原子力研究所だけでなくして、あるいは原子燃料公社だけではなくして、民間より生まれる、あるいはまた、教育界その他において生まれるところの原子力に関するもろもろの行動に対しては、むしろ指導的立場に立って、そうして足らざるは指導して補ってやり、これを促進せしめて——アメリカではこれを勇気づけると書いてあるのです。そうして、責任は全部原子力委員会が負うという立場でアメリカではやっておる。だから、それ以上の熱意と、そうして、監督的な立場でなくて、むしろ促進的な立場をもってこれを誘導していかなければならない。そうしなければ、ただ出てきたものを悪口ばかり言って、いろいろすべった、ころんだで、民間のわからない運動に動かされるというようなことでは——この間あたりもそうですよ。京都大学の原子炉が高槻ですか、あそこに置かれるであろうとか、置かれまいとかいう話の中に、隣の茨木の市長は、原子炉設置反対のスローガンだけで当選したじゃありませんか。ほかにも多少あるでしょうが、それで当選しておるのです。そういうふうな、政治にこれがからんで、そうして選挙運動にこれが利用され、投票を取るために利用されるという格好で、これが反対の運動になっているという日本の現状は否定できません。現に、科学技術庁の次官あたりは、反対運動のために自分でパンフレットなり、新聞を作って配っておられる。私の学校の原子炉に反対だとは言ってないが、反対のような空気なり、傾向にあることを聞いておる、こういうことを書いてちゃんと配っておる。だから、おれに投票してくれとは書いてなかったが、しかし、どうもそういうにおいがあとの方にちゃんとするのであります。そういうふうに、邪道に陥っているのが現状である。だから、こういう状態のままに放置していいのかどうか。やはり私は、これは原子力委員会がもっと指導性を持って、強力に、ほんとうに親切に、こうしてこうやればこうなるのだ、そうして、ここまでは絶対に安全だから国民は安心したまえ、このくらいの原子炉ならこの程度のところに置けば大てい大丈夫だ、それは、東海村なら東海村に今のコールダーホール型を置いて、これは安全であると確信をお持ちになるならば、この程度ならこれは安全だ、この程度ならこれで安全だ、その科学的根拠はこうだというふうに、それは詳しいところのものでなくとも、そういう国民に対する啓蒙宣伝というものがなければ、今度の地方選挙なんかでは、私は方々でその問題が起ってくると思う。きっと起りますよ。京都大学の原子炉なんか必ず起る。武山にも必ず起りますよ。見ておってごらんなさい。もうすでにその傾向が見えておる。だから、われわれは非常に心配しておる。だから、設置してはいかぬなんて消極的な表現ではなくて、この程度ならよろしい、危なくないのだということを、なぜ国民の前に明確になさらないのか、それをおやりになる覚悟があるかどうか、そうして、また指導的な立場に立って、親切に、そうして、なるべく早くこれらを誘導して、結論を得るようになさろうとお思いになっておるかどうか、この辺をお伺いいたします。
  63. 石川一郎

    ○石川説明員 お答え申し上げます。たとえば、今例に出ましたコールダーホールの問題のごときははっきりしたことを申し上げ得ると存じます。しかしながら、まだ未知のものが多いものですから、安全性をよけいとるということは多少あると思います。というのは、先ほど来お話のように、日本の国民が原爆によって非常に神経過敏になっておりますから、幾らかゆとりをとったものにして参りたいと考えております。なおまた、方々に置かれる炉につきましては、ある一つの基準を作ろうと考えて、せっかく研究中でございます。大体見当はついて参りましたが、まだ決定には至りません。これは未知のところが多いので、科学的にどうだということの言えない部分もございますけれども、現状においては、大体こういうことでいったらよかろう、こういういうことをはっきりと申し上げたいと思っております。  なおまた、親切にしろ、これはごもっともでございまして、われわれはやはり松前さんと同じように、できるだけ早くこれを日本のエネルギー源、アイソトープに利用していただきたいと思いますから、できるだけ親切に指導するように持って参りたい、こう考えております。
  64. 松前重義

    ○松前委員 私の申し上げたことの大体の趣旨は御了解いただいての御答弁のようでありました。けれども、やはり問題は、大型、中型、小型、三段階の大まかな分け方、たとえば、この程度のもの、こういう型のものについては世界の動向が大体示されておりますので、常識的に判断できると私は思うのです。そこで、実例もあることですから、その実例に即応して、やはり国民にある程度の安心感を持たせる行動を、原子力委員会はおとりになる必要があるのじゃないか。そうしないならば、東海村以外にはどこにも置けなくなってしまうおそれがある。原子力発電所をあそこに一つお作りになって、発電炉を全部東海村にまとめておしまいになるつもりであるかどうか。それならば一応話はわかるけれども、やはりあれはローカリゼーションというものが必要なのですから、これは第一段の問題として、原子力委員会で取り組んでもらわなければならない問題だと思う。  第二の問題は、親切に云々とありましたけれども、私らの経験によれば、これは個人的な問題になるけれども、私は公けの問題の第一発だと思うから申し上げます。まことに不親切です。不親切きわまります。安全審査部会は一体何と言いましたか。教授陣容が弱いからだめだ、何とかかんとか、すべったころんだと、いやがらせを書いております。学校自体を誹謗しておる。それが今度の入学試験に響いております。そこまで原子力委員会はしなくてもいいのじゃないかと私は思う。新聞にそれを堂々と発表する。ある学校を傷つけるにはそれが一番いい。それは、やきもちがそうさしたか、何がさしたか私は存じません。私はまことに不親切だと思う。熱意あるものが最初に出ていったら、必ず悪口を言われる。そういうセクショナリズムの強い日本において、そういうふうな態度はとるべきじゃないと私は思う。やはりその辺は原子力委員自身責任を持って、安全審査部会の学者たちに、そういう学校に対する露骨な批判までも——批判は批判として受けましょう。受けますけれども、教授陣容が足りないとか足りるとかいう問題は、こんなものは、しかるべく教授陣容を増すようにちゃんと計画しているのです。あるなら許そう、ないなら許さぬというのでなくて、なぜ教授をこのくらいふやさないか、承知しました、そうしましょうとくるのだ、そういう指導的な立場になぜ立たないか。われわれはそうしようと思っておった。それを頭からどうのこうの、それだけでもって批判している。われわれの言い分を一回だって聞きましたか。こういう立場で不親切な取扱いがなされているということはこれは、今後の原子力開発に対して同じにはなさらないだろう、われわれのところだからやられたのだろうと思うけれども、しかし、とにかく、今後の問題に対してこれは大へんな影響を及ぼすものです。こういう問題に対して、いかがでしょうか。
  65. 石川一郎

    ○石川説明員 専門部会の結論というものは、専門部会がやっただけのことでありまして、委員会の結論じゃございません。あれは読んでみますと、少し行き過ぎている点があるようにわれわれも感じております。そういうところは、われわれが責任を持ってきめるところは責任を持ってきめます。ただ、炉が安全であるかどうか、あるいは二、三の土地関係とか、そういうことは、先ほど申しましたように少し行き過ぎた結論が出ているように思いますが、原子力委員会としては、まだきまっておらないのですから発表いたしません。きめつつあるところであります。ただ、新聞記者会見で委員長が発表したとか何とかいうお話でございますが、これは委員会の結論ではございません。
  66. 松前重義

    ○松前委員 私が申し上げているのは、安全審査部会というものに対してどのくらいの発表を許されているのか。あのような結論になれば、まことに不親切どころでなくて、誹謗した結論になっているとわれわれは受け取っております。これは最初にやろうとするものが当然受ける受難の歴史の苦悶だと思っております。そのくらいのことは、われわれは甘んじて受けたいと思う。しかし、そういうことがないように、もう少し親切であってほしいということを感じている。ですから、一体安全審査部会に今後どの辺まで審査をまかされるのか。それらに対する内面指導、あるいはまた内部のやり方によっては、また再びどこかの大学——立教が出されたようでありますけれども、立教の大学の先生だけが審査するわけでもないのだから、いろいろまた御意見も出るでしょう。しかし、今度はさほどは出まいと思いますが、出ないように、私は立教の応援のためにやっているのです。私のところは別問題として、とにかく、今後教育刑原子炉、あるいは研究用原子炉等の設置に対して、もう少し親切な、そして指導的な工場をもって、学校あたりが出したら学校を傷つけないように……。熱意のあるものを傷つけておったら出てきません。しかし、私は戦いますよ。何も傷つけられたと思わぬ。今後も戦い抜こうと実は思っている。とにかく、こういう意味において、もう少し親切な行政をおとりになり、そして安全審査部会に対して、ある限度を画してある審査を委託される、こういうようなお気持はありませんか、伺いたい。
  67. 石川一郎

    ○石川説明員 今お話のように、少し行き届かない点があったかも存じませんが、それは委員会でなかったということだけは御了承願いたいと思います。親切に指導することは当然のことでございますから、お話の通りやって参りたいと思います。また、これから先、専門部会に対しまして出す諮問の仕方でございますが、これについても十分今後は注意します。その点は、たとえば、東海村のコールダホール型動力炉につきまして、先ほど局長が申し上げましたように、気象のこと、地下水の問題、地盤の問題、海水の問題、これらを調べなければなりませんが、これもできるだけ中立の方にということで、気象台にその費用を出しまして、気象台の方々に専門的に調べていただく、その結果をわれわれの方に持ってきていただいて、そして判断する、こういうふうにいたしたいと考えております。
  68. 松前重義

    ○松前委員 今の御答弁で満足いたします。満足いたしますが、この原子力行政のあり方に対しては、まだ初めてのお役所であり、初めての仕事ですから、多少のそごは私はあると思うのです。私は、何とかして一つ教育用原子炉を入れてみようとまっ先に考えて、準備して入れようとしたら、ああいう日にあったわけです。出願してすでに一年以上になります。出願したときには、教育用原子炉の購入その他設置に対する法律はなかったけれども、われわれはそのときすでに法律を作っておった。法律を作っておって、自分でそれを知っておりながら設置許可を申請しないということは、これは国会議員である私の立場と別々にこれを使い分けるわけにはいきませんから、知っておるから、私は全然そういう法律はないのにかかわらず出したのです。その様式もくそもあったものじゃない。何もわかっていない。それで、何度も、ああだ、こうだというわけで、お役所でも研究されたらしい。それで形式のごときものができて、それにはめて出した。安全審査部会はそういう経過を知らない。従って、原子力局が大体の形式をきめたけれども、安全審査部会の見る目では、これはまことにもの足らない内容だということに見える。その間の連絡がどういうことであったのか私は知りません。しかしながら、今後におけるこの行政のあり方というものは、ことに私学のようなものが申請した場合においては、これを傷つけないでもらいたいと私は思う。これは私学ですから、名誉を傷つけられると、やはり非常に影響します。ほんとうは名誉棄損で訴えてもいいくらいです。そういうことで名誉棄損とかなんとかが成り立つかどうか私は知りませんけれども、とにかく影響は非常に大きい。今後における原子力局と安全審査部会との連携については、もう少し緊密な連携をとってもらって、対立的な姿でなくて、安全審査部会から何らか原子炉設置許可申請書の内容について要求があるなら、その通りにやるか、あるいは必要でないところは削るか、何かその話し合いをつけてやってもらうというような格好にして、とにかく、安全審査部会が疑問と思うところ、あるいはまた彼らが知りたいところ、これらの諸問題についても、もう少し原子力局と密接な打ち合せを遂げられて、そうして、つまらぬ憶測やその他によって相手の話も聞かないで、すぽっと結論を出して新聞に発表するごときは、私はまことに今後の行き方として困ると思うのです。ですから、抽象的には、今まで申し上げたことに対してお答えがあったことで満足します。けれども、具体的にはもう少しそこに——各学校の先生というものは、何もそこで首を切られてもちっとも痛くないのです。言いかえると、審査部会は一つ責任がない。責任のない人が審査に当っておるというような格好ですから、首を切られれば喜んで首切られていくというような格好なものだから、無責任な結論が出得る可能性はあると私は思うのです。この点については、特に一つ気をつけてやっていただかぬと、今後迷惑する人が相当に出てくるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点、御答弁はもうよろしゅうございますから、一つお願いしたいと思います。
  69. 西村英一

    ○西村(英)委員 科学行政のあり方というようなことについてちょっと今話が出ました。あまり言うつもりはなかったのですが、ちょうどいい機会ですから、私から申し上げたいと思います。やはり私ら考えますと、科学技術庁は非常に新しい役所です。そこで、役所としての方向というか、こういうものをきめていくことが非常に大事なんです。ことに科学技術庁は許認可事項がありましても、科学技術の振興のためというのですから、ほかのお役所よりも一倍いろいろ親切にやらなければならぬと思う。指導的立場になければならぬと思う。今松前君の所論を聞いても、その点に非常に不満がある。私たちも、東海大学の出された申請に対する安全審査部会の答申を見ましても、あれで直ちに結論を出して公表していくということには、非常に割り切れぬ感じがしておるのです。  私は、ここでもう一つ、この問題とちょっと離れて、単に御注意しておけばいいと思ったのですが、委員会ですから申し上げます。昨年、技術士法に基いて技術士の採用試験があった。その場合に、私の友人のある人が試験官に選ばれてなった。技術士の登用試験の試験官をするという方ですから相当な方なんです。ところが、科学技術庁がその試験官を頼むという方に対する処置というものは——私はその友だちから言われたのですが、科学技術庁というものは最近できた役所ですけれども、これはなっておりませんよ、技術士の試験をする先生方に対する頼み方というものは、一片の書面で、しかもその書面は、見ると、至るところたくさんエラーがある、それもタイプライターで打ったり、ガリ版で刷って送ってきた、普通であれば、何か免状みたいに、あなたを試験委員に嘱託するというような、礼を尽してもいいのだが、ガリ版に刷ったものを送ってきた、しかも、その中はミスだらけだ、こういうことを聞いたのです。これは、こういう委員会の席上で言うべきことかどうか知りません。御注意はしたいと思ったのだが、今科学技術庁の行政のあり方ということでお話が出ましたので、一つ新しい役所でございますだけに、今後十分気をつけてやられることを私は希望いたす次第であります。答弁は要りませんから、どうぞ一つ御注意を願いたいと思います。
  70. 赤澤正道

    赤澤委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は公報にてお知らせいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十七分散会