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1959-02-13 第31回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十三日(金曜日)     午後一時三十分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 赤澤 正道君 理事 秋田 大助君    理事 菅野和太郎君 理事 前田 正男君    理事 岡  良一君 理事 岡本 隆一君    理事 原   茂君       丹羽喬四郎君    西村 英一君       櫻井 奎夫君    田中 武夫君       松前 重義君  出席政府委員         科学技術政務次         官       石井  桂君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   原田  久君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   佐々木義武君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    黒澤 俊一君         総理府技官         (科学技術庁調         査普及局長)  三輪 大作君         通商産業事務官         (鉱山局長)  福井 政男君         通商産業技官         (鉱山保安局         長)      小岩井康朔君         気象庁長官   和達 清夫君  委員外出席者         原子力委員会委         員       兼重寛九郎君         科学技術事務次         官       篠原  登君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  法貴 四郎君         通商産業技官         (地質調査所         長)      兼子  勝君         運 輸 技 官         (港湾局建設課         長)      佐藤  肇君         建 設 技 官         (地理調査所         長)      武藤 勝彦君     ————————————— 二月十三日  委員堂森芳夫君辞任につき、その補欠として櫻  井奎夫君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  科学技術行政新潟地区における地盤沈下の原  因調査に関する問題)に関する件      ————◇—————
  2. 菅野和太郎

    菅野委員長代理 これより会議を開きます。  小金委員長はお差しつかえがございますので、委員長の御指名により、委員長がお見えになりますまで私が委員長の職務を行います。御了承願います。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  この際、科学技術行政に関する件について質疑の通告がありますので、これを許します。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、技術庁長官が見えておりませんから、黒澤資源局長その他の政府委員方々に、新潟地方地盤沈下原因の問題について、若干のお尋ねをいたしたいと思います。  実は、先日、これは商工委員会からではありましたが、与党二名と社会党二名の四名が新潟地方地盤沈下状況を視察に参ったのであります。御承知のように、新潟地方は一番多く下ったときで年に五十センチ、一日に一・ニミリずつ地盤沈下をしておる。私、参りまして実際の状況を見せてもらったのですが、すでに工場へ海水が浸入をする、あるいは住宅の床下まで常時水が入っておるというような状態で、新潟地方は、この問題で大きな恐怖を受けておりまして、相当な問題となっております。私も参りまして、こちらで考えていたよりも実情が悲惨であるということで、実は驚いたわけなんです。そこで、新潟市の市民大会を十二月の十四日に開きまして、次のような宣言をいたしております。前後を略して、ちょっとその一部分だけ読み上げますと、「かくの如く日を過すならば市民生活、郷土の産業等一切の機能が壊滅する事は明白である。茲にわれわれ全市民は一部の利害関係にとらわれず地盤沈下原因即時発表ガス水汲み上げの即時停止を断行し一刻も早く沈下を防止すると共に対策予算の確保と単独法の制定を実現し恒久的根本対策を講ずる事を熱望するものである。」、こういった希望が述べられております。当委員会におきまして直ちに恒久的な対策等については結論も出ないだろうし、また、科学技術庁に対しこのことをお伺いすることは筋違いかと思いますが、この三つ市民大会における願いのうちで、第一の願いであるところの「何がゆえに地盤がこうして下っておるのかこの原因について即時発表してもらいたい」、こういう点につきまして、問題をこの点にしぼって質問を続けていきたいと思うのです。  実は、こういう新潟地方地盤沈下について、昨年の三月に科学技術庁資源局の中に新潟地盤沈下特別委員会ができて、最近まで黒澤局長自身委員長をしておられる。自来、約一年間その原因について調べて参られたと思うのです。ところが、昨年の六月に中間発表があったのみで、今日まで経過あるいは原因について何ら発表がなされていないのですが、それはどういう理由によるものか、またはまだそこまで到達していないのか、お伺いいたしたいと思います。
  4. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。  ただいま田中先生のおっしゃいましたように、昨年の三月に資源調査会の中に新潟地盤沈下特別委員会というものが設けられまして、私がその特別委員会委員指名されたわけでございます。これは、科学技術庁付属機関としての資源調査会でございますので、私はその資源調査会委員としての資格でそちらの方に指名されたわけでございます。それで、この原因はまだ何とも申せませんが、沈下事態はますます激しくなる傾向があるので、大至急応急策を講ずべきである、それから、なお、その原因調査そのものに対して、まだ十分の究明はできていないので、調査そのものに対しても、もっと努力をすべきであるということの中間報告を六月にいたしたわけでございます。その中間報告を提出いたしまして——それは資源調査会から科学技術庁長官あてでございますが、その調査報告に基きまして、閣議におきまして予備金から応急対策費調査費とを支出することが決定されたわけでございます。その金額は、御承知と思いますが、全部合せまして調査の方に約五千万円出たわけでございます。そのほかに応急対策費といたしまして、私どもの所管でございませんので数字ははっきりいたしませんが、防潮堤あるいはポンプというようなことで約五億円の工事がなされたと聞いております。それで、その調査費として追加になりました分は——それまでに観測井運輸省の手で山ノ下地区に掘られておりましたが、もっと深いところも調査したというので、山ノ下地区運輸省関係で千二百メートルの調査観測井を一本、それから、通産省の鉱山局の手で、大形地区と申しますところに二本と沼垂地区に二本、それだけの調査観測井をおろすということが決定いたしたわけでございます。その後、原因等につきましては既存の観測井観測記録、それから水準測量、あるいは重力測定等、そのほか今までございますガス井戸沈下状況等をそれぞれ調査いたしまして、その結果いろいろな説が出ております。そのおもな説をちょっと御紹介申し上げますと、まず第一が、海面の上昇によるのではないか、あるいは日本海沿岸が全般的に沈下しておるのではないか、あるいは新潟地方のみの局地的な地殻変動であるのではないか、あるいは新潟地区地殻変動ではなくして、沖積層自然圧密ではないか、こういうような、自然現象に関する説が四つ唱えられたわけであります。それから第五としまして、新潟港が昭和二十七年ごろから一万トンの船が入るように改修いたされましたので、そういう港湾改修の影響ではないかという説、それから、天然ガスを最近非常に増産しておりますので、天然ガスに伴う地下水のくみ上げ過剰によるものではないか、こういう説、大体この二つは人為現象でありますが、そういう説が出て参ったわけでございます。これらに対しまして、あるいは検潮儀記録、あるいは水準測量記録重力測定の結果、あるいは深井戸動き方——これはガスを掘っておる深井戸であります。そういうものの動き方、あるいは観測井による層別収縮量測定、あるいは地下水変化等をいろいろ調査して資料を集めておるわけでございますが、現在までのところ、自然現象ではこれほど大きな、年間五十センチあるいはそれ以上というような大きな沈下は、自然現象としては、そんなに大きなものは考えられない。あるいは三ミリとか、五ミリとかいうものはあるかもしれませんが、五十センチというような大きなものは、天然現象としてはちょっと考えられないので、多分人為現象であろうというところまではいっておりますが、それが港湾の浚渫に基くものであるか、天然ガスの採取に基くものであるか、あるいはそれらの複合の原因であるか、最近ではまた、うしろの方に排水機がつきまして水田を相当干田化しているところもございますので、そういう水田排水に伴う現象も多少伴っているのじゃないかというように、人為説といたしまして大体三つございまして、これのいずれが決定的なものであるかということにつきまして、まだそれぞれ説はございますが、みんなが一致している結論に到達しておりませんのでございます。今の新潟地盤沈下特別委員会等におきましても、一刻も早くその結論を出したいと思って努力しておるのでございますが、何分にも非常に問題は重要でありますので、軽々の推量に基いて、原因をこれだと言い切ることが、まだ現在の段階では少々むずかしいということと、それから、予備費でつきました観測井戸が大体二月の中、下旬から三月にかけて完成いたしまして、それの記録がそろそろとれてくるという段階になっておりますので、その結果を待ちまして、なるべく早く出したいというように一同考えているわけでございます。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 なるべる早く出したい、こういうことですが、今掘っておる観測井が三月あるいは三月ごろに完成する、その記録を見て、こういうことですが、すでにもう何本かの記録も出ていると思うのです。それだけでは、まだ確信を持って発表ができない、こういうことなんですか。
  6. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 委員の中には、もうこれだけとれれば十分だから発表してもよろしいのではないかという方もおられます。しかし、また、せっかく予備費がついて、今日の前でもう動こうというときだから、それを待ったらより確実ではないかという方もおられまして、今のところ、みなの判断で、もうしばらくということになっているわけでございます。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 どうも委員会故意結論をおくらしているのではなかろうか、こういうような危惧すら地元では持っております。先ほど申しましたように、私は商工委員会からではあったが、三月一日と二日の三日間、新潟地方を見せていただいて、二月一日の夜泊ったのです。現に私が宿屋で一晩寝ているうちに一・ニミリ地盤が下る、こう思ったら、私のような気の弱い者はちょっと寝つかれなかった。ましてや、そこに安住の地を求めている人たちが、そういう事態を前にして一日も早くその原因究明してもらいたい、こういう願いもっともであり、深刻であることはおわかりだろうと思うのです。ところが、昨年の十二月に、この特別委員会の各委員より、現在までの資料に基いた原因に関する所見を求めるということになったはずです。それは一月五日ごろには全部集まっており、おそらくその次の委員会の時期である一月の九日にその問題が、いわゆる集まった所見論文といいますか、これによっていろいろ討議されるであろうと考えておったところが、現在の委員長である安芸さんが一月十二日にベトナムとかへ行かれるということで、お流れになった、そういう事実はありますか。
  8. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 十二月八日に各委員から意見を書いて提出していただきたい、これは、皆さんに、発表しないということで、委員長である安芸さんが求めたわけでございまして、みなには発表しないということでとりまとめまして、一月の初めには大体集まったと聞いております。ただし、私もそれを見ておりません。集まったものを安芸先生が持っておられますが、まだ現在のところ公開されてはおりません。ただし、故意におくらしておるということは、まず——委員長でございませんから断言はいたしかねますが、そういうことはないと信じております。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 政府委員であるあなたが、この席上において、故意におくらしておるような形勢があるということは口が腐っても、首が飛んでも言えないと思う。だがしかし、安芸委員長が各委員から集まったところの論文というか、所見を、自分で握って外国へ行ってしまった。その間委員会が開かれないというようなことは監督庁としての立場から一体どうお考えですか。
  10. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 監督庁といたしましては、資源調査会は各委員会議で開いておるものでございまして、なるべく早く出していただきたいということは申しますが、特に何月何日までに提出せよということを申すのではございませんし、また、委員長が独断でおくらしておるということでもございませんので、大体所属いたします各委員の総意のもとにおきまして慎重を期しておるのかと存ずるわけでございます。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 聞くところによると、この委員会のいわゆる全体会議といいますか、こういうのは、本年に入ってから一度も開かれておりません。分科会というようなものが一回ばかり開かれたそうであります。これは、委員長である安芸さんが招集するということに多分なっておるのだろうと思いますが、ベトナムへ行って帰ってきて、またアメリカへ行った、こういうことで、委員長不在のゆえをもって招集できない、こういうことによって結論が出せない、従って、地盤沈下原因発表せられない、こういうことであるならば、先ほど申しましたように、たった一晩ではあるが、私新潟に泊って寝ている間に一・ニミリも下っておる。この恐怖感におそわれておる新潟市民に対して、どうお考えになりますか。そういう重要な委員長をしておりながら、重要な所見発表論文を私して外遊をして、そのために委員会が開かれないということであるなら、委員長をかえても開くべきじゃなかろうかと思うのですが、どうですか、
  12. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 ただいまのお話、新潟市民方々立場になりますと、まことにごもっともだと存ずるわけでございます。しかし、安芸委員長におきましては、出かけますときに、まあ二週間くらいのことであるし、その間、二月上旬あるいは中旬にならないと観測井が動き始めないし、委員各位もそれを大体了承されておられますので、二十日ごろに帰ってくるから、それまでの間は、片方も国連の後進地開発に関する会議でございまして、これも非常に重要なので、あちらに行って、こちらをやめるというわけではございませんが、人は一人なのでございまして、そういう判断アメリカへ行っていると思いますが、一月の二十日ごろには帰ってくるはずでございます。なお、全体の会議は開いておりませんが、観測小委員会はかなりひんぱんに開いておりまして、来年度掘ります新しい調査観測井等の構造、あるいは位置等につきまして活発な論議をいたしておりますので、審議が停頓しておるということではございません。あくまでも慎重を期して、なるべく早く結果を出しますようにと努力しておるわけでございます。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 そのアメリカへ行かれておる後進国開発何とか委員会ですか、それに安芸さんが適任者であって、国を代表して行くこと、これはけっこうです。私はこの特別委員会運営規則がどうなっておるのか知りませんが、少くとも常識で考えて、委員長事故あるときには副委員長がこれを代理するとか、何かあるはずなのです。もし、そういうことがなければ、委員長不在の間にどういうことが起るかもわからぬから、当然委員の中から剛委員長とか、委員長代理を定めていくべきである。現に本日も、小金委員長事故があるからというので、次の委員長代理の人をきめて委員会を開いておる。そういう手は打つべきじゃなかろうか。いたずらに、二月の三十日まで帰ってこないのを便々と待つ手がありますか。しかも、先ほど言ったように、一日々々として進んでいく実情を見たときに、アメリカへ行っておる人を、帰るまで持つという手はなかろうと思う。それが親切な行政と言えますか。
  14. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 お説ごもっともでございます。それで、委員長不在の間は、私がその留守を預かるようにとは言われております。ただし、留守を預かるようにということは、会議を開く、あるいは原因結論づけるということではないのでございまして、これは、委員長が帰ってくるまで慎重にやりたいから、それまでは留守を預かっておれということでございまして、原因その他の究明に関して、私個人のあれではないわけでございます。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 留守を預かるといって、それは一体何を意味するのかもわからぬと思うのですが、あなた自体は、いわゆる今日まで、各委員資料に基いての所見を述べた論文所見発表が、一月の五日ごろにはそろって、安芸さんの手に握られておることは御承知なのでしょう。ならば、私の留守の間に委員長代理を、こう言われたときに、あなたは、それを預かるということはやらなかったのですか。やらずに、ただ留守を頼む、よろしゅうおます、こういうことだけで、あなたは留守を預かっておるのか、一体留守中何をしようとしているのか。
  16. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 留守中に従来の経過等を説明せよということでございまして、なお、各委員から出ました論文は、各委員それぞれの、御自身の認証がなければ発表しないということになっておりますので、預かってはおりますが、密封してあるわけでございます。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 その密封した封緘を破り得る権限があるのはだれですか。
  18. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 安芸委員長でございます。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 委員長をかえるならば破れますか。
  20. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 委員長をかえるという権限資源調査会の方にございますので、資源調査会会長に聞きませんと、私ではお答えできないのでございます。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 だれに聞いたらいい。
  22. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 資源調査会会長でございます。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 すぐ呼んでくれ。
  24. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 資源調査会会長は、けさから出張しております。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 そんなことだろう。一体どこが責任を持ってやっているのだ。
  26. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 責任を持っておりますのは安芸委員長でございます。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 それなら、安芸さんが帰るまでは、実際は動かないのだろう。この所見を、直ちに封緘を破って、この席上において、この国会において発表できないか。
  28. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 封緘でございますので、私の権限にはございません。なお、安芸委員長は、あと一週間ほどで帰ってくるはずになっております。ただし、各委員が御自分で、その意見に書かれましたことを、ここで申し述べるということは各委員の御自由でございますので、それは、そういう手続になりますれば、各委員意見は聞けると思いますが、私も各委員が出しました書類を見ておりませんので、現在では申し上げることができないわけでございます。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 その委員長を選任するというか、任命する権限者はどなたです。
  30. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 資源調査会委員会議でございます。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 留守の間でも、あなたが委員長代理を仰せつかっているなら、招集権はありますか。
  32. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 招集権は、慎重にやるものだから、会議を開かないでよろしいということで、安芸委員長留守を預かっているのでございまして、もし、招集をこれからするということになれば、資源調査会会長の許可を得ないと、私にはできません。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 委員長外遊に当って、二十日で帰る予定が、あるいは二十五日になるかもわからぬ、三月に入るかもわからぬ。失礼な言い方だが、人間とかく塞翁が馬、あるいはあちらでどういう事故があるかもわからぬ。その間、もし——こういうことを言ったら悪いが、帰らなかったら、一生開かないのですか。
  34. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 そういうことはございませんで、もし長くなりますれば、また、非常に支障ができるという判定を資源調査会会長が下した場合には、あるいは電報をもちましても交渉いたしまして、委員長代理を作るということはあり得るかもしれませんが、現在のところでは、委員長が帰ってくるまで待っていいという、大体のそういう判断で出張されたわけでございます。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたね、留守を預かってくれと、こう言われて引き受けたときに、委員会を開かないということで預かるなんて、それは留守番にならぬです。かく申しておるうちにも現地は急迫した状態である。直ちにしかるべき手続をとって、委員長をかえて委員会招集し、その所見に基いて結論を急ぐという考え方はあるか。ぜひそうしてもらいたい。大臣はきょうどこにおられます。予算委員会ですか。あなたの上司の人に私はその答弁を求めたい。
  36. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 私といたしましては、資源調査会会長の方にそういうことを申しますが、学者のグループでございますので、指図というようなことではないわけでございます。あちらの方でそういうことを善処していただくというように持って参るべきだと存じております。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 資源調査会会長は出張中だそうです。大臣出席を求めたいと思います。予算委員会と一つ折衝していただきたいと思います。
  38. 菅野和太郎

    菅野委員長代理 速記をやめて。     〔速記中止
  39. 菅野和太郎

    菅野委員長代理 速記を始めて。  それでは関連して、櫻井奎夫君質疑を許します。
  40. 櫻井奎夫

    櫻井委員 ただいまの田中委員質問に関連をいたしまして、新潟地区地盤沈下の問題について質問をいたします。私の質問を、最終的には、やはり長官である大臣からの明確な、責任ある答弁が必要であろうと思いますので、私も、最終的にはやはり大臣の御出席を重ねて御要望申し上げます。  私は、先般の商工委員会におきましても、黒澤さん並びに鉱山局長等から、新潟市の地盤沈下の問題について、いろいろ御所信もお聞きしたわけです。その当時も、資源局長はなるたけ早い機会に結論を出して、中間報告の形でもこれをまとめ上げたい、こういうことを申しておられたわけでありますが、今日に至るも、先ほど田中委員質問の通り、じんぜん日を重ねて、この委員会の決定というものが延びておる。このことが、地元に非常に一種の疑惑を抱かせておるということは、ぬぐうべからざる事実なんです。しかも、そういうふうに委員報告が続々と集まりつつあるにもかかわらず、そのような重要な段階で、委員長である安芸さんがあっちに行ったり、こっちに行ったり、まあ、これは公用でしょうけれども、そういうことで、これを逆の面から見れば、何だかこの委員会結論の出るのを故意に延ばしておられるやにも見える。悪意に解釈すれば、そういうような点も非常に疑惑として残っておる。しかも、今田中君の質問に対する、委員長代理と称されるあなたの答弁も、これでは全く何のための代理かわからない。何らの権限もゆだねられていない。ほんとうに、何のための代理か、全然これは私ども理解に苦しむ。そういう委員会というものが一体あっていいのかどうか、この点も、私は多大の疑問を持つ。しかし、まず、それはそれといたしまして、今大臣がこられて、田中君の質問に対しては明確な答弁をいただけると思いますが、ただいま拝聴いたしておりますところによると、各委員論文というものは一応提出をされておるし、その委員方々所見というものは、この場所において発表なさることは御自由であろうというようなあなたの御見解でございますし、私も、それは当然であろうと思う。いやしくも、この国権の最高機関である国会において、あなた方の意見が述べられないというはずはあり得ないのであって、ここで私ども質問することについては、委員個人としてどのような所見を持っておられるかということは、はっきりと御答弁いただけるものと私は期待をいたすものであります。そういう観点に立ちまして、私は、ここに列席されておる方々は、大半が新潟地盤沈下特別委員会の有力なる構成メンバーの方々であろうと思いますので、こういう方々に対して、私は、一体この新潟市の地盤沈下原因というものを、今までの皆さん方の研究においてどのように把握されておるか、そういう点についてお尋ねを申し上げたいと思います。  御承知の通り、もうこれは申すまでもないのですが、現地においては、すでに非常に急激な変化が起きておるのでありまして、田中委員も言う通り、昨年度より、さらに速度を加えて毎日沈下しつつある。そこに居住するところの住民は、全く戦々きょうきょうとしておるというのが今日の実情であります。応急対策として、政府の方では昨年度予備費から五億何がし、また、本年度の要求といたしましては十億円近くのものを予定しておられるようであります。しかし、これはあくまでも応急対策でありまして、何らこれは根本的な解決にならない。たとえば、潮が入ってくるのを一時的にふさぐとか、排水が逆流するのをとめるとか、これでは対策工事としては何らプラスにはならない。ただ被害を食いとめておるというだけのものであって、全くこれは、私どもとすれば、たくさんの国費を使い、大きなむだをやっておるとしか思えない。ほんとうの対策というものは、やはりこのような応急対策を必要としないことが、私は、根本的なこの対策であろうと思う。そういう根本的な対策の結論を出すということがあなた方の双肩にかかっておる。私は、皆さん方の責任は非常に重いと思うのです。いろいろと巷間伝えられるところによると、この委員会に対していろいろな方面から圧力がかかっておるのじゃなかろうかと、これは疑惑ですが、そういう懸念もないわけではない。しかし、私は、ここに結集されておるところの方々は、日本においてももう最上のトップ・レベルの科学者であるし、専門家である。こういう方々は、その学問的良心に従っていかなる権力にも屈せず、自己の所信を発表されるのが当然であろうと思います。従いまして、私は、今日ここで皆さん方の新潟市の地盤沈下に対する御所見をはっきりとお伺いしたいと思うのであります。特に私がここでお聞きしたいのは、昨年度からいろいろな調査をやっておられる。特にボーリングというようなことで、山ノ下地区において四本かの井戸を掘さくいたしまして水準の調査をやっておられますが、そこで、昨年の六月二十四日に皆さん方がなさいました新潟地盤沈下の現況に関する中間報告、これは、資源調査会の内田俊一氏を会長とするこの調査会から、当時の科学技術庁長官の三木武夫氏にあててこの報告がなされておるのであります。これは非常に概括的な予備報告の程度であろうと思うのでありますが、この報告によりますと、こういうことが書いてある。  「新潟市及びその近傍の地盤高は海面上いくらもなく、図7のごとく海抜1m未満の地域もかなり広いのである。かりに現在の地盤高と現在の沈下速度をもってすれば、かなりの範囲が遠からず負の地盤高を示すものと推測される。しかも現在までの経過から見れば、沈下の勢はさらに加速されるかも知れないのである。」 途中を略しまして、  「現地の調査は、後に述べるごとく、水準測量以外にもいろいろ進められており、この調査が遅滞なく進行することは、今後ますます重要性を増すことと考えられるが、一方、沈下はどんどん進み、刻々被害が増大しつつあり、調査と並行して適切な対策処置をとって行くことは、ゆるがせにできないと考えられる。」 こういうことが結論的に述べてありまして、この新潟地盤沈下が一刻もゆるがせにできないということはこれは委員各位がみんな確認されておるところであろうと思うのです。  それから、続いて昨年の十一月二十五日、地盤沈下測定計画に関する勧告、これもやはり資源調査会の方から三木長官にあてての同じような報告でありますが、これによりましても、こういうことが書いてございます。  「一般的に言えば、わが国の場合、土地がたえず隆起するところは山地をなすことが多く、土地の沈降を続けるところは平地をなすことが多いい。そして隆起の特に著しい山地にはそこの地形、地質とも関連して、山くずれ、地すべりなどが起こり、沈降の特に著しい平地は低湿地をなしている。このような低湿地は砂、礫、粘土、有機質等の新らしい堆積物よりなる軟弱な地層で、その厚さは数十メートルから数百メートルに及んでいる。いろいろな理由、特に経済的な理由でこのような土地に大工業施設がみられ、さらに発展しつつある。工業に必要な用水がこのような地層の下部から採取され、その揚水量が過度となるに及べば、そのような地域の地盤は急速に沈下するに至る。同様の沈下現象は地下資源を多量に採取している地帯にも著しく目立ってきている。」 こういう調査会の御報告であります。そうすると、ここに言えることは、このくみ上げる水が過度となるに及べば、その地域の地盤は急速に沈下する、こういうことをはっきりと述べておられます。そうすると、やはりこの調査会の、新潟市周辺の地盤沈下というものに対する皆さん方の大体の結論も、地下水の非常に過大なくみ上げにあるということを、これは最大公約数として認めておられるというふうに私は解釈いたすのでありますが、黒澤資源局長のお考えはいかがでございましょう。
  41. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 私も、大体そういうことで間違いないと考えております。ただし、地下水の賦存するところ、その深さ等におきまして、新潟におきましては、委員の中に両説ございまして、天然ガスに伴う地下水であるという方と、戦争後の築港の浚渫に伴って吹き出す地下水によって起る問題であるという両説がございまして、大体現在のところ、両説とも強硬に主張されておるというところで、水の問題、それからその水に伴うヘドロ、あるいは粘土、あるいは砂かもしれませんが、そういうものであろうということは大体において一致しておりますが、その位置、深さ、働き等におきましてまだ一致しておりませんので、慎重に審議をしておるという段階でございます。
  42. 櫻井奎夫

    櫻井委員 鉱山局長の福井さんの御意見はいかがでございましょう。
  43. 福井政男

    ○福井政府委員 私は技術者でもございませんし、技術的な観点は全く意見を言う能力がございませんので……。
  44. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それではよろしゅうございます。地質調査所長の兼子さんの御意見はいかがでございましょう。
  45. 兼子勝

    ○兼子説明員 私は、科学者として申し上げます。水でも浅いところの水と深いところの水がありまして、浅いところの水は、くみ上げると大体地盤沈下を起すのじゃないかということは今までの例でもわかる。深いところの水に対しましては、私はそういった現象原因になるということについては、私はまだ疑っております。
  46. 櫻井奎夫

    櫻井委員 和達先生の御意見をお聞かせ願いたい。
  47. 和達清夫

    和達政府委員 私は、地下水を多量にくみ上げますと地盤沈下を起すと思います。新潟地区におきまして、ただいま資源局長は、浅いところの浚渫を行うための水と深いところと、両方あるというお話でありまして、もしも、浚渫した浅いところの水でありますれば、その付近が沈下します。これは常識で、深所からとりますれば相当広範囲に及びます。新潟をごらんになりましても、とても浚渫の場所だけの沈下ではございません。非常に広い範囲にわたっておる。その沈下の広い範囲にわたっておる場所が、またどういう人為的操作をしたところと対応しておるかということも常識であろうと思います。なお、山ノ下に数本の鉄管を挿入しまして、あらゆる深さの収縮をはかっております。それによりますと、浅いところはほとんど収縮が見られず、おもなる収縮は三百メートルないし六百メートルに出ております。これをもって見ましても、私は地下水くみ上げというものが地盤沈下を起すものとかたく信じております。これを見ましても、三百メートルないし六百メートルの深さから水を多量にとるということが、地盤沈下原因であると思うのであります。
  48. 櫻井奎夫

    櫻井委員 建設省の地理調査所長の武藤さんの御意見を伺いたい。
  49. 武藤勝彦

    ○武藤説明員 地下水を多量にくみ上げる場合には、土地が沈下すると考えております。私のところでは、従来から大阪、東京、そういうところの水準測量をしばしば繰り返してやっております。それによりますと、地下水を著しくくんだ場合には地盤が下っておるという事実をつかんでおります。それともう一つは、戦争末期及び終戦直後しばらくの間、東京の下町等でまだ工場が活動を始めなかったために、地下水のくみ取りをあまりやらなかった、こういう時期に、一時あの地帯の沈下がほとんどとまっておったのであります。しかるに、最近また工場の活動が始まるに従いまして沈下をしております。これらはどうも水と直接関係があるのではないかと考えております。従って、新潟地区のように非常に大量の水を地下からくみ出す場合には、当然下っても差しつかえないのではないか、こういうふうに考えております。
  50. 櫻井奎夫

    櫻井委員 いろいろ御意見を聞かしていただいてありがとうございました。特に最初の資源局黒澤局長の御答弁の中に、私は非常に納得しかねるものがある。それは今日最も沈下の激しいところは、いわゆるG5層と呼ばれる六百メートルのところに起きておるということは、今日データではっきり出ておるところであります。それを港湾の浚渫——なるほど港湾の浚渫も一つの原因でございましょう。しかし、それは先ほど気象庁長官も言われたように、かりに浚渫すれば、港湾地帯とか、あるいは特定の沈下ということは考えられます。しかし、今日の新潟市の地盤沈下というものはそんな局部的なものではない。これは図表によって幾らでも私はここに御説明申し上げることができる。特にG5層の開発が進んだ松原地区、内野地区、これはおよそ新潟港湾から三キロも四キロも離れておる。こういうところに今日著しい沈下現象が起きつつある。それをしも港湾の浚渫であるということは、これは全く牽強付会の説であるといわざるを得ない。学者として、あなたがそういうことをおっしゃるということについては、私どもはその学者の良心を疑わざるを得ない。それで、私が申し上げたいところは、今日新潟市周辺で掘っておるところのガスのくみ上げ量の格層別比較を見ましても、G3、G4、G4’、G5、これは、その層の深さによってこういう名称をつけておるわけでありますが、この中のG3というのは、全体の一五・五%、G4が二二・三%、G4’が二五・四%、G5に至っては三六・八%、こういう多量なくみ上げをやっておる。そうして、運輸省の第一建設局の調査によれば、G5層において一日六ミリメートルの沈下が見られておる。こういうことを、はっきり一つの資料として提出をいたしておるでしょう。こういう深い六百メートルの深層において地盤を変動さしておる原因は一体どこにあるとお考えになるか、地下水以外に何をあなたはお考えになるのですか。
  51. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 私技術者といたしまして、先ほどは委員会会議の席上で両説ございますということを申し上げたのでございますが、ただいま、また兼子地質調査所長及び和達気象庁長官、武藤地理調査所長のお三方にお聞きいたしましても、深層地下水の行動につきまして、二対一ではございますが、両説あるわけでございます。そして、なお会議の席上では、深いところの地下水関係なしと申される方々もございますが、私個人といたしましては、天然ガス地下水の採取ということも無関係ではあり得ないと思っております。しかしそれが全部であるかどうかという問題になりますと、まだ権威者の方々がはっきりしないときに、応用化学の私が、あまり私の個人の考えを申し述べることもどうかと存じますので、私、技術者といたしましては無関係ではあり得ないと存じておりますが、もうしばらく私は慎重にいたしたいと考えておるわけでございます。なお、その会議委員の中にも慎重説をとっておる方もございます。
  52. 櫻井奎夫

    櫻井委員 委員会として慎重になさるということと、これは別問題だと思います。その点は、田中君の質問と関連しておるので——ここにおられる皆さん方はすでに学者として論文を出しておられる方もあるでしょう。提出されたお方もあるでしょう。それを、委員会としては今委員長不在のために公表できないとおっしゃる。しかし、あなた方科学者として、学者として、ここに自分たちの御所見を述べることは自由であるというあなた御自身の表明があったために、私は委員会としての結論を聞いておるわけじゃない。皆さん方がそれぞれ専門の立場からどのようにこれを考えておられるか。特にG5層の急激な沈下というものは一体どういうふうにつかんでおられるか。
  53. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 G5層に関しては現在確実に稼動しておりますのが山ノ下地区の一井でございます。ここまできたものでございますから、通産省が掘りました大形地区、それからもう一つ沼垂地区でございますとか、これが動き出すのが目睫の間に迫っておりますので、それを見て確実な判断をいたしたい、私個人としては、そういう工合に考えておるわけでございますが、委員会といたしましても、それが動き出すまで慎重にしようということでございます。
  54. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私は関連質問でございますので、また田中委員から質問があって、それに続いて私も申し上げますが、建設省の地理調査所が水準関係等をやっておるわけでございます。ここに所長さんが見えておられるはずですが、このG5層の変動というものをどういうふうにお考えでございましょうか、御所信をお聞かせ願いたい。
  55. 武藤勝彦

    ○武藤説明員 水準測量の結果と大体並行していっているのではないかと思っております。ただし、水準測量の結果と比べますと、井戸の方で出てきている記録の方が沈下量は少いように思います。しかし、これにはいろいろ説明をつけることもできると思いますが、とにかく大体並行していっているのではないかと思います。
  56. 櫻井奎夫

    櫻井委員 従って結論的には、やはりG5層から、先ほども申しました三五・六%という多量の地下水をくみ上げておる。やはりこの地下水のくみ上げと沈下というものが非常に密接な関連がある、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  57. 武藤勝彦

    ○武藤説明員 私はそういうふうに考えております。
  58. 櫻井奎夫

    櫻井委員 恐縮ですが、先ほどの気象庁長官の御意見は大体こういう問題を含めての御答弁であったと思いますが、念のために、このG5層の非常に急激な沈下というものについて、もう一度御所見を承わりたい。
  59. 和達清夫

    和達政府委員 G5層は、今までの東京、大阪の地盤沈下に比べて、かなり深いのでございます。その土質の組成も変っております。しかし、組成は変ってはいるけれども、そこにはやはりこまかい粒から成っておるものも相当ありますので、G5層というところから水を多量にくみ上げれば、浅いところの層と結果においては同じような収縮を起すものと思っております。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣は今予算委員会において答弁中だそうでありますので、その点は省略いたします。  だがしかし、考えてみますのに、このような事態を前にしながら、委員長が、出てきた各委員所見に関する論文に封をしてしまったまま外遊する、こういうことは断じて許すべきじゃないと思います。同時に、そういうことによって委員会が開かれない、従って、日時を空費するというようなことは許されないと思う。そこで私は、こいねがわくば、京都へ資源調査会長は出張中で、月曜日に帰られるそうですが、帰られましたら一つ御相談を願って、代理委員長で開くなり、あるいは委員長をかえるか、そういうことまでは申しませんが、直ちに委員会招集していただく、こういうことを要請をいたしておきます。  先ほどいろいろと櫻井委員からも関連の質問がありましたので、重複する点については触れないようにしたいと思いますが、やはり問題は、そこにあると思います。実は、私先ほど申しましたように、二日間新潟へ参りました。御承知のように、現地の委員会委員長である第一港湾建設局長の藤野氏からいろいろと説明を聞きました。     〔菅野委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、その説明を聞いているときに私たち感じたことはまず、地盤沈下の速度と天然ガス生産の生産量とが比例しているということです。先ほど来G5層、すなわち、地下六百メートルのところが一番沈下の速度が大きい、こういうこと等に関連いたしまして、少くとも、天然ガスの採取のための地下水のくみ上げが無関係でないということは私しろうとでございますが、言えると思います。かりに、手に取って見ることのできるこのライターを一つとらえましても、議論をすれば幾らでもあります。どろぼうにも三分の理とかいって、たての両面のごとく、一枚の紙にも裏表がある。従って、ことに地下何百メートルのところです。満場一致をもって、そんな意見が出るはずがありません。ことに政策的といっては失礼ですが、そういう観点から発言があるとするならば、断じて私は一致した意見は出ないと思う。学者の良心に従って、より科学的な調査によって発表すべきが当然であると思うのです。  そこで、局長にお尋ねいたしたいのですが、二月、三月になれば今掘っておるところの試験井ができ上る、こういうことになるのだが、それができ上らなければ結論が出せないのかどうか。現在すでに十一本、八千七百万円の費用をかけて掘って観測を続けておる。それでまだもの足りない、こういうことであるのか。それならば一歩譲って、二月、三月に、たとえば通産省等が掘っておる試験井ができ上ったならば結論が出せるのか、一体いつになれば結論が出し得るのか、御明答をお願いいたします。
  61. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 ただいまの件は、試験井が掘れまして記録計をつけまして、その記録計が動いて安定になる期間がどれくらいかということが、今のところ、まだやってみなければはっきりわからないわけでございますが、そう長くないものと考えまして、山ノ下の場合には十日ないし二週間くらいであったかと思いますが、それからしばらく継続した記録がとれますれば、その記録は十分に役に立つようになると存ずるわけであります。なお、この記録がこれだけとれてもまだ足らないじゃないかという説も、あるときはあるかと思いますが、これは、そうそういつまでも記録不足ということで遷延することはできないと存じます。ただいま先生もおっしゃいましたように、満場一致ということに参りませんでも、そのときは当然何らかの形で報告が出るであろうと考えております。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 そのときとはいつですか。
  63. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 ただいま申しましたように、記録井が動き始めまして、信頼すべき結果が得られたときでございます。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 それは、一体試験井ができ上って、観測に入ってから何カ月後を推定しておられますか。
  65. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 過去の例で見ますと、山ノ下地区では二、三カ月で信頼すべきデータがとられておりますが、今度の場合にどうなりますか、これは場所も違いますので、はっきりしませんが、そのオーダーじゃないかと存じます。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 そういうことでやっておるうちにも、毎日進んでおるということなんですね。どうもあなたの答弁は、明確な約束といいますか、答弁を避けるような意思の上に立っての御答弁のように考えられます。少くとも、でき上ってから二、三カ月が今までの例から考えられるならば、本年五月、六月という数字は出てくると思う。
  67. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 物理的に計算いたしますと、そういうことになると存じますが、はっきりそうなりますかどうか、地下数百メートルのところでございますので、多分そういうことであろうとは存じますけれども、何月というように、今確実にできないのは私も残念に思っております。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど言ったように、手に取ってながめられるものでも、文句をつけようと思ったらつくのですよ。いかなる慎重な観測を行い、どんな緻密な試験を行なっても、文句をつけようと思ったらつくのです。従って、これではまだ不足であるといって、また井戸を掘る、そういうことを繰り返すことによって、いたずらに日時を費しているうちに、現実に地盤は下っておるという事実。私は、今直ちにでも出し得ると思う。それを出し得ないところに、あなた方官僚の何かくぎの一本抜けたところがあると思う。どうですか。
  69. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 慎重のあれでございまして、(「慎重過ぎるよ」と呼ぶ者あり)慎重過ぎるとおっしゃる向きもあるのでございます。しかし、これは私一人、あるいは安芸委員長一人で申すことではございませんので、学者の意見というものが相当異なりましても、そこの中に、おのずからまた別の問題がいつかは出てくると思いますので、そう長いことでなく、また先ほど申しましたように、物理的に計算してみますと、五月あるいは六月の候になると思いますが、そういうようなところでだんだんに解決の道に近づいていくかと存じております。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 私は兵庫県の出身なんですが、尼崎市がかつて同じような問題に悩んだことがあります。大阪府下といいますか、あの大阪湾に面したところが同じような運命に悩んだことがあります。ところが、幸か不幸か、終戦後ですが、あいにく工場がとまった。従って、地下水のくみ上げもとまった。同時に地盤沈下がぴたりととまったという先例もあります。また、今問題にしている中央の特別委員会とは別に、新潟地区においてこの調査のための委員会があり、いろいろな角度から調査をしておることは御承知の通りである。コスモス計画というのはどういうところから出たのかよく知りませんが、コスモス計画とか言っておるそうです。これで深さ二百メートル、二百六十メートル、三百八十メートル、六百十メートル、こういう四層を試験した結果、一〇〇%とは言えないが、まず、五〇%までは地下水のくみ上げによるものであるという結論を出しておる。おそらく、この五〇%という言葉は、六百十メートル以下の層を調べていないので、そういう言葉になったのではなかろうかと思うのですが、われわれ科学的な点についてはしろうとの者でも、今日すでに、時間にして二十何時間か三十時間足らず新潟の空気を吸っただけで、地下水のくみ上げが地盤沈下に無関係でないということは、はっきりと考えておる。それに何ぞや、今日まで慎重にやらなければならぬ。官僚のあなた方は、行政の上においては慎重々々と言いながら、一方においてはずさんなことばかりやっておるじゃないか。慎重と言ったって切りがある。僕は、しかるべき時期に早急に原因発表すべきだ、少数意見があるならば、少数意見をつけてよろしい、その上に立って——恒久的対策は科学技術庁の仕事じゃありませんから、関係のところにおいて、またしかるべき方法をもって検討していきたい、かように考えておりますが、いかがでしょう。
  71. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 何度も申し上げますように、いたずらに慎重というわけではございませんので、委員会におきましても、できるだけすみやかにその原因を突き詰めて、少数意見がございましても、皆さんの納得のいく形におきまして中間報告を、あるいは少数意見、あるいは相対する意見ということで発表することになると存じます。これはそう遠からぬ間だと思いますが、ただいま申し上げましたように、井戸ができ、メーターが動き始めるのがもはや目前に迫っておるというような状況もございますので、それを待って、はっきりとさせたいと存じておるわけでございます。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 せっかく掘った井戸だから、それの結果がわかるまで待ちたいというお気持はよくわかります。しかし、すでに櫻井委員からも、私からもるる申しておるように、少くとも五〇%はそれに関係があるということは、間違いないわけなんです。これは、あとでその実情をよく御存じの櫻井委員からも質問があると思うのですが、現在もうすでに、少くとも五〇%無関係でないということは、はっきりしておる。鉱山局長なり鉱山保安局長は、もうそういうことが常識的になりつつある今日、あなた方の立場からするところの対策、これについて、なおかつ特別委員会結論を待たなければ何もできませんか、お伺いいたします。
  73. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 ちょっとその前に。ただいまの六百メートルの井戸記録の件でございますが、このような深いところの測定を始めましたのは、世界でもこれが最初でございますので、その結果につきまして、さらに今後掘る井戸でそれをはっきり確かめるということが、皆の中で一致したところなんでございます。もちろん、現在の山ノ下はそういう動きを示しておりますが、なお、ほかの、今度通産省が掘ります、二月下旬ぐらいに動き始めるものの記録を得られますれば、なお確実になるというわけでございます。
  74. 福井政男

    ○福井政府委員 先ほど来田中先生櫻井先生のお説を承わっておりまして、私ども非常に同感にたえないところも多々あるわけでございますが、私の立場といたしましては、天然ガスの開発と地盤沈下とが結びつくということになりますならば、われわれとしてはいろいろ対策も考えなければならないわけであります。先ほど来いろいろ先生方の御意見も出ておりますし、また、特別委員会の方の関係の様子も御披露がありましたように、何ともまだ結論が出ていないときでございますので、はっきりしたことができないというのが、正直なところ私どもの悩みでございます。ただ、私どもといたしましては、将来かりに天然ガスと因果関係ありというような結論が出たということになりますと、あとを振り返って見まして、何年前にこういう手を打っておったらよくはなかったであろうかというようなことになっても申しわけない、こういうような気持で、私どもとしては仕事をいたしておるわけであります。そういう見地から、新しい井戸を掘りますことを取りやめますとか、あるいはまた、くみ上げについてスピード・アップしないように行政指導するとか、こういうことを極力やって参ったわけでありますが、一月に天然ガス鉱業会が自発的に、特定の地盤沈下の最も激しい地区の井戸を六十本採掘をやめるということを決定いたしましたのも、政府が強制的にそういうことができない立場でありますだけに、天然ガス鉱業会のそういう自発的な措置については、私ども非常に敬意を表しておるわけであります。そういうことで、直接どうこうということは私ども立場としてできないわけでありますから、行政措置によりまして、できるだけのことをやって参りたい、かような考え方でおるわけでございます。
  75. 小岩井康朔

    ○小岩井政府委員 私の方の関係の保安法、保安規則でありますが、まだ鉱害という点が明瞭にきまらないうちに、これらの法規を発動することは困難かと思いますので、現在のところ、私の方ではそれらの規則の適用につきましては、特に操業を停止するとか、一部やめるというような条項につきましては現段階におきましては考えておりません。しかしながら、科学技術庁特別委員会におきまして、現在の地盤沈下天然ガスの採取が因果関係あり、密接不可分の関係にあるんだというような結論が出ますれば、私どもも直ちに、必要な場合にはこれを適用いたしたい、かように考えております。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 鉱山局長なり、鉱山保安局長につきましては、後ほど櫻井委員質問があるそうですから、これ以上追及はいたしません。あなた方には、会おうと思えばいつでも商工委員会で相まみえますから、きょうはやめておきましょう。  そこで、黒澤局長にお伺いするのですが、あなたは今鉱山局長なり、鉱山保安局長の御答弁を聞いておられたと思うのですが、私この答弁が一〇〇%消化できません。しかし、二人の局長の答弁をそのまま聞くとして、いずれ、すべては今行なっているところのあなた方の調査にかかっておる、こういうことなんです。しかも、先ほど来申しておるように、一〇〇%とは言えないとしても、五〇%は関係がある、少くとも無関係であるということを言い得ないことはもう常識だと私は思うのです。今日天然ガスの果す産業的役割については、私も高く評価いたしております。だがしかし、そのことと、現に一つの地方が沈みつつあるということとは、これは別問題です。一日も早く結論を出す、少くとも現時点における調査の結果を発表すべきである、このように考えておるわけであります。そこで、一面翻ってガス業者の方を見ました場合、われわれといたしましては、もちろんガス業者——天然ガス鉱業会ですか、その方々ともお会いをし、その意見も聞きました。その人たちの言われるのは、ガスに関係があるという結論が出たならば、われわれはそれに対する措置には服しましょう、こういうことなんです。ところが、いろいろとガスではないという反論もあるようです。いわゆるガス業者から出されておる、ガスではない、ガスには無関係であるという意見に対して、何か重要な意見が出ておるか、あるいはそのことについて調査をするとするならば、どのくらい調査期間がかかりますか伺いたい。
  77. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 ただいまガスの方から反対意見として出ておる意見、ここにガリ版になって整理してございますが、そのガリ版のところをおもに申し上げますと、尼崎市におけるものは線路の沈下が工業用水の汲み上げであったということから、新潟地区においても、最初からガス水であるという含みで今日まで推移してきたうらみがある、しかし、それは場所が違うので、全部を同じに見るということはできないであろう、それで地下水の成分を調べてみると、相当補給が続いているようである、あるいはまた、地盤沈下問題を取り上げた当初は粘土層の圧密であるというふうに言われておったが、その圧密の現象を見ると、浅いところと深いところと違うのではないか、それからコスモス計画によって地下水の水頭が調査されたけれども、これは、はっきりとそういうことを結論づけるということは無理ではないか、それから、なお地質構造の問題等も別に考える必要があるのではないか、それから、地下の構造に断層があると思うけれども、その断層の形がまだはっきりされておらない、それから、埠頭沈下であるので、防波提突端のようなところが非常に下っておるけれども、それはガスを取っているところとはかなり場所が違う、あるいは重力の減少というようなことも言われているけれども、これも地殻の褶曲の結果であると考えた方がいいのではないか、それから、地殻の収縮運動が相当あるのではないか、それから、傾斜の問題もはかってもらいたい、あるいは信濃川と阿賀野川の旧河道のところで地下水を切断したので、ボイリング現象を起したのではないか、あるいは大河津分水の影響もあるのではないか、それから、一番下っているところは、今の埠頭沈下線を見ますと、沖合いの方にあるのではないか、海岸侵食等の問題をどう考えるか、  以上のようなことが、ガスの方から書類になって出てきたものでございます。こういうものにつきまして、現在のところ反論のできるものもございますし、それから、どうやって測定したらいいか、それがはっきりわからないものもございますので、それを全部しらみつぶしに結論をつけてからでないと、できないというようなことを言っておりますと、またいつになるかわかりませんので、大体において、この辺で見切って、早く結論を急ぐ——一刻も早くと申しますが、その程度の慎重さでいきたいというふうに考えておりまして、あくまで慎重々々ということで、今のところ出て参りました説全部を検討しておりますと、検討できるだけの科学知識の問題、あるいは計測器の問題等、これからかかるというものもございますので、そういうものは適当に見切るつもりで、決していつまでも引っぱるというわけではないわけでございます。
  78. 田中武夫

    田中(武)委員 今言われたのは天然ガス鉱業会の方から出された意見なんですか。それは一体だれが、学者が裏づけをして出されたのですか。そうすると、その学者はどういう人ですか。
  79. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 ただいまの意見ガス業者から出てきておりますが、しかし、資源調査会新潟地区地盤沈下調査委員会委員の中にも同様の意見委員がおられます。これは、やはり両方の意見を聞かなければならないわけでございますが、学者としての見地で申されておるので、業者としての意見ではないと存じておる次第でございます。ガス関係の方から推薦されております委員の方は、こういう疑いを持っておられるように思います。
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 最初調査に入るときに、調査計画をお立てになったのでしょう。そのときには、相当権威ある斯界の権威着たちが寄って基礎計画を立てられた。ところが、その後、そういったようにガス業界等からいろいろ意見が出てきた。すると、それを一つ一つ反駁するというか、それに基いての調査を進めていくというようなやり方をやっておられるように思うのですが、そうですが。先ほど全部の何はしないとしても、というようなことがあったと思いますが、どうもその点がおかしいのじゃないか。少くとも、地元では、政治的に委員会が運営せられているのじゃないか、政治的に結論がおくれておるのじゃないかという疑惑を持つゆえんではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  81. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 最初にこの関係の専門委員をきめますときに、専門家という立場考えましたのが地球物理の専門の方々、それから測量の専門の方々、地質学の専門の方々、それから、天然ガス実情に詳しい方々、そういう標準で選びまして、その方々会議に従いまして、——当時運輸省の山ノ下の井戸が掘られつつあったところでございますが、なお、さらに調査計画も必要であろうということになりまして、六月の中間報告になったわけでございますので、大体その当時のスケジュールに従って動いておるわけでございます。なお、ただいま私が読み上げました、ガスの方から出ました意見全部を聞くというわけではございませんが、これあたりも、大体観測井の沼垂及び大形地区が動き出しますと、相当程度解明が進むであろうと考えておるわけでございます。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 あとで、地元で一番実情のよくわかっておる櫻井委員から質問がありますので、私はこの辺で質問はおきたいと思います。ただし、これで終ったのではありません。先ほども言ったように、手に取って見るものでも、反駁しようとすれば幾らでも反駁できる。従って、私は、ある程度科学性を持つ結論をつければ、あとは政治的というか、結論をつけねばならぬと思う。そういうような問題等につきましては大臣から直接聞くことにいたしまして、その他の質問を留保いたしまして、櫻井委員に譲りたいと思います。
  83. 小金義照

  84. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私は、鉱山保安局長にお尋ねをいたしたいと思います。先ほど来るる申し述べられておりますように、この新潟市の周辺における地盤沈下の大きな原因は、地下水のくみ上げにあるのではなかろうかという多大の疑惑が持たれておるわけであります。あなたの答弁によると、これは、その調査会における権威ある結論が出るのを待って処置をするというようなことをおっしゃっておられるが、しかし、田中委員もしばしば申し述べておりますように、沈下は一日としてとまっていない。毎日沈下しておる。それなのに、今黒澤局長の話を聞いても、まだ二カ月先になるのか、三カ月先になるのかわからない。それの結論が出なければ鉱山保安局区長としての態度が明確にならないということは、一体鉱山保安法の第二十四条との関連でどういうふうになるのか。地元ではそれを待っておって、その間に不測の事態が起るとすれば、一体その責任の所在はどこにあるのか。特別委員会というのは審議機関でしょう。その特別委員会結論を出すまで、鉱山保安局として、その鉱害に伴うところの保安行政措買がとられないとすれば、一体地元はその責任をどこに追及すればいいのか。特別委員会にこれを持っていくわけにはいかないでしょう。その行政上の責任は一体どこにあるのですか。この点を明確にしてもらいたい。
  85. 小岩井康朔

    ○小岩井政府委員 保安法の大きな目的は、御承知のように四つあげてあります。一番大きいのは、もちろん人に対する危害の防止でありますが、その次に私どもが大切に考えておりますのは、鉱害の問題であります。ここに問題になりますのは、危害と鉱害の関係でございますが、危害は、御承知のように、今すぐ人間のからだがどうなるという点がございませんので、一応はずしますと、鉱害の問題になってくるかと思います。天然ガスの採取によりまして地盤沈下を来たすということが、今ははっきりわからない段階にあるわけでございまして、天然ガスの採取によりまして地盤沈下するんだ、従って、鉱害が起きたのだということかはっきりいたしますれば、鉱害として保安法、保安規則の適用ができるわけでございますが、天然ガスの採取によって起ったものであるかどうか、こういう点を今論議しているわけであります。これは御承知のように、ごく近いうちに権威あるところで結論が出ることになっておりますので、私どもといたしましては、ぜひともこの結論を早く出していただいて、適当な処置をとっていきたい、かように考えているわけであります。
  86. 櫻井奎夫

    櫻井委員 これは、鉱害々々とおっしゃいますけれども、人命にも関係があるのです。大へんなことです。あなたは現地に御調査においでになりましたか。これは、まかり間違えば何日何千の人命に関係してきます。すでに今日山ノ下地区においては海面より地盤が低いところがあるのです。一たび高潮があった場合に、そこに居住している人命を一体だれが保障するのか、何らの保障がないのです。従って、そこに居住している人が戦々きょうきょうとして、人命財産の問題だと騒いでいるのは、私は当然のことだと思う。そういう場合に、この二十四条に「鉱業の実施により、危害若しくは鉱害を生じ、鉱物資源若しくは施設を損じ、又はそのおそれが多いと認める場合において、必要があるときは、鉱業権者に対し、その鉱業の停止を命ずることができる。」と、はっきり明記してある。これは、はっきりそのおそれがあるではないですか。そういう点はどうです。特別委員会結論が出るまでそういう行政措置をしないのだと、あなたは言って、特別委員会責任を転嫁しておられるようであるが、かりに、その特別委員会結論が出て、あなた方が行政的措置を講じられる期間までの中間において、もし万一高潮が来て何千という人命が一夜にして失われたという場合、それは一体どこに責任があるのか。その責任の所在は特別委員会にはないでしょう。あくまでも政府でしょう。政府当局として、そういうものをいつまでもじんぜんとして待っておっていいかどうか、この問題について、私は明確な御答弁をお願いしたい。
  87. 小岩井康朔

    ○小岩井政府委員 御承知のように、保安法は鉱業法との姉妹法でありまして、兄弟関係にあるわけであります。従って、今お話のように、これは話が戻りますけれども、鉱区が出願される場合に、非常に大きく公益を害するというようなおそれがあれば、通産局長はこれを許可いたしません。それから、一たん許可いたしました鉱区でも、そこで鉱業を行いまして非常に大きく公益を害するという認定があれば、鉱業権の取り消しをしなければならぬということになっております。現在鉱業権の取り消しもやっておりませんので、その間の中間の鉱害の防止の関係については、保安法、保安規則で見るという一応の建前になっております。私どもは、もちろんはっきりいたしますれば、ぜひとも適当な処置をとりたいのでありますけれども、現在せっかく権威あるところで結論を急いでおられるので、その結論に従ってやりたいという考えを持っております。しかし、私ときどき申すのでありますけれども、もし、この結論が全然出ないということはもちろんございません。今資源局長のお話のように、早急に結論をお出しになるというような方向に進んでおられますので、もうしばらくお待ちを願いたいというふうに考えております。しかし、私の方は全然これを放置しているというわけではございませんで、やはり、私どもも個人的には、地下水なり、地下の鉱物の掘採の場合には、他鉱物などの実例でも、地表が動くということは考えております。もちろん、これが大きく動いた場合に鉱害の問題が起って参りますので、資源を採掘した場合に必ず起るということにはならないのであります。そこで私どもは、こういった点がはっきりいたしますれば、もちろん活動いたしますけれども、もし、そういった結論が出た場合にも備えまして、規則改正の検討は目下いたしておるわけでございます。
  88. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私は、その姉妹関係にあるとかいう法律の解釈をここでお聞きしているわけではない。その法を適用されるまでの期間において、もしも不慮の事態が生じた場合の最終的の責任の所在をはっきりしておいてもらいたい。どこに責任があるのか、この点を私は明確にお聞きしたいのです。
  89. 小岩井康朔

    ○小岩井政府委員 これがセーフティーの問題で起ったということであれば、私の方の責任になるわけであります。ところが、今お話し申しましたように、現在起っております新潟地盤沈下は、天然ガスのためであるという断定が遺憾ながらまだついてないために、私の方であるとも申せませんし、どこであるということもはっきりお答えができないような実情でございます。
  90. 櫻井奎夫

    櫻井委員 はなはだ無責任答弁であって、こういうことでは、一体市民生活の安全というものはどこが最終的責任を持つか。時の政府がそれを持たないで、これでは無政府と同じじゃないか。これは、特にこの保安法の発動権を握っておられるあなたに、私は直接の責任があるというふうに考る。ところが、結論が出なければ、その間は何もできない、その間に災害が起っても、それは運が悪かったとあきらめろ、こういうことになるのですか、それはどういうことですか。
  91. 小岩井康朔

    ○小岩井政府委員 現在私ども考えております範囲内では人に対する危害というものは、特別な場合、たとえば、暴風雨になって、水が低地に非常にたまったというような場合に、一応保安管理者の責任において退避をさせるなり、特別な方法をとらしておりますけれども、はっきり私どもの関係であるということがわからないうちは、われわれの責任であるということがはっきり申し上げかねるわけであります。もちろん、鉱業に全然関係のないというふうには考えておりませんので、特に人に対する危害の点につきましては、現地の監督部長にも十分注意方を指示しております。
  92. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 関連して。私は鉱山関係のことには全くのしろうとであるのでありますけれども、さっきからのいろいろな議論を聞いておりますと、どうも御当局の方で少し怠慢なように思われるのです。新潟地盤が刻々に沈下していっているということは、これは生きている現象なんです。新潟の町そのものも生きている。たくさんの人が生活していて、現実に生きている。そこで、かりに年に五十センチ沈むとすれば、月にまず約五センチ沈む。一カ月おくれれば五センチ沈む。三カ月おくれれば十五センチ沈む。それが相当広範囲な広さにおいて十五センチずつ沈んでいけば、その土地はそれだけ排水が悪くなる。非常に環境衛生が悪くなってくる。そうすると、今度はかりに六カ月間放置しておいたために、六カ月分、すなわち三十センチ沈んだ分は、これはもう一度持ち上げることはできないのです。そういうふうな水面以下に落ちていった地域が、それだけどんどん広がっていくという生きた現象を前にして、結論が出るまでどうすることもできないというふうなお話を聞いておると、これは全く歯がゆい話なんです。私は医者ですが、こういうふうな生きたものを相手にしていく場合には、試験的治療ということをやる。現に病名がきまらないときには、試験治療してみるのです。これらしいという見当がついたら、それに向って治療してみる。そして、その治療が非常に有効であれば、そのときに、やっぱりこれなんだという、一つの治療行為を通じて診断をきめるのです。今の場合だったら、大体の目標というものは、地下水のくみ取りにあるということが一応はっきりしているように、議論を聞いていると思えるのです。そうすると、そんな場合にはくみ取りをとめれば——沈下は一ぺんにはとまらないと思うんですよ。地盤に相当変動がきているから沈むので、とめたからといって即座には沈下はとまらないであろうけれども、しかしながら、とめてみれば、沈下の速度がだんだん少くなっていくということだけは、数カ月でもって私は結論が出てくると思う。こういうふうな措置をとることが、国土を保全する道であり、また、今のような鉱害から大都市を——新潟といえば、これは大きな都市です。大都市を守る道であり、また、それから出てくるところのいろいろな環境衛生上の不良化の状態から国民を守る道である。ひいては国民の生命を守る道にもなってくるのです。あなたのさっきの御説明を聞けば、人体もしくはその他に重大な災害を起すようなおそれがある場合には、鉱業権を停止することができるという規定があるそうですが、それは何どきでも発動できるのです。おそれがあるということは、これは、今のお話を聞いていれば、相当はっきり——それは認定はできないが、かもしれないということは、これはおそれがあるということなんです。だから、そのおそれのある場合には、鉱業権の停止ということは、これはできるはずです。そうして、とめてみても、二年たっても三年たっても、なおかつ引き続いて沈んでいくということであれば、これは無関係なものとして再びお許しになればいい。しかしながら、とりあえずこれを停止してみるということだけは、あなたの方でどうしてもこの際おとりになる緊急かつ必要な措置であるように私には思える。その辺について、あなたの御見解を承わりたい。
  93. 小岩井康朔

    ○小岩井政府委員 問題は、鉱害のおそれでありますが、鉱害のおそれというものは、その事実が今までにはないわけであります。たとえば、石炭の関係におきましては、地下採掘によって地盤沈下するということはかなりはっきりわかっておりますので、石炭鉱山保安規則には、地盤沈下の鉱害の点がはっきりうたってございます。しかしながら、残念ながら石油の点におきましては、規則の制定当時、地盤沈下という点が全然うたわれてないわけでございます。全く新しいケースに入るわけでありまして、過去に実例のない場合には、仮定でそこへ持っていって法を適用するということは、どうしても私どもの法解釈の範囲内には入ってこないという結論が出ておりまして、そこでちゅうちょいたしておるような次第でありまして、これがはっきりいたせば、別に問題はないわけでございます。
  94. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 それは、その範囲に入らないのでなくて、お入れにならないのだと思うのです。意識的にお入れにならないというふうな感じに、私にはとれる。なるほど、石炭は固体です。石油やガスは液体あるいは気体です。だから固体を掘れば、その部分だけより沈下しないのは当然です。しかしながら、液体、気体であれば、形はどのようにも変化するんだから、全体の広い範囲において影響があることは当然なんです。だから、石炭のような固体ですら地下相当の深さのところを掘れば、ああしてこそっと沈んで、池ができたり、沼ができたりするのです。これが気体や液体のような流動性のあるものを抜けば、なるほど一カ所へ集約的には結果は出なくても、非常に広い範囲にだんだんふえていくところの漸増的な影響が出てくるということは、これは鉱害の一つの別な形として、固体と流動体との形において、これははっきり想像できることなんです。そういうことがすでに現実に想像されて、そうして、多くの学者が——すべての学者の意見の一致を見なくても、委員会において半数以上の学者の方々が、どうもこれはそうだというふうに認定を下しておられる。そういうような段階になっても、なお決定的な結論が出るまでは、そういう法の適用はできないんだということは、あなたがしようとしないからできないのであって、私があなたの地位にいたら、一ぺんにぽんとやるんです。これはその人の考え方いかん、良心の問題、さらにまた、どういうふうに行政を動かしていくかという、ものの考え方の違いなんです。振子がまん中に立っている、それがこっちに振ったときに、ぐんと思い切ってやるか、倒れてしまってから、倒れたんだというふうな認定をするかということはものの考え方の違いだけなんです。だから、この際、あなたのなさるべきことは、やはり勇を持ち、断を持って、はっきりとそういうふうな結論を出す。それは財的にいろいろ大きな影響が私はあると思うのです。たくさんの天然ガスを採取している業者には重大な影響を与える。しかしながら、どのような重大な影響を与えようとも、一度沈んだものをもう一度持ち上げることはできないのです。死んだ人間を生かすことができないのと一緒であって、もう一度持ち上げることはできないのです。だから、もうどうしても復元することができないような重大な事態が起っているときに、いつまでも、あなたのように、結論が出るまでどうすることもできないという考え方をお持ちになっておっては、事態はどんどん進みます。だから、私は、この際、勇気を持って断固として行政に当られんことを望みます。私の関連質問を終ります。
  95. 櫻井奎夫

    櫻井委員 関連しまして。先ほどの保安局長のお話、地盤沈下の条項がないから適用できない、こういうことを言っておられますが、御承知の通り、保安法の第二章第四条の第七項、この保安に関する条項の中に「土地の掘さくによる鉱害防止その他の保安」ということが明記されておる。なおまた、保安法の二十三条において、「鉱業権者は海底、河底若しくは湖沼底の地下又は土地の掘さくにより鉱害を生ずるおそれ」あるときは云々というふうに、法文に明確に書いてあります。沈下ということはなくても、これは掘さくの条項に該当すりる。あなたはそれをやろうとなさらない。先ほどの岡本委員の御意見の通りだと思う。ちゃんとそういうことができるように法文でなっておる。それをあなたは、沈下という条項がないからやらない、こういうことを言っておる。これは強弁にすきない。こういう人命、財産の問題に関しておる今日において、結論が出ないから云々、法文にないから云々ということは、これは官僚の一つの答弁にすぎないので、あなたにほんとうにやるという気があれば、法律の上でもちゃんとそういうことができる。こういうふうに考えるのでありますが、あなたはその点はどうですか。
  96. 小岩井康朔

    ○小岩井政府委員 この「土地の掘さく」という観念でありますけれども、これらの点につきましても、単に保安局だけの解釈でなしに、法制局の方にも十分に御相談しておるわけでありますが、天然ガス、石油の中には、「土地の掘さく」という観念が入ってない、入らないという解釈をいたしておるわけであります。従って、私の方では、それらの解釈に従って行動を進めておるというような段階でございます。
  97. 櫻井奎夫

    櫻井委員 この重大な時期に、字句の解釈について法制局に一々お伺いを立てているというようなことであれば、これは何をかいわんや。  そこで、鉱山局長さんに質問をいたします。あなたは、新潟地区ガス業者が自発的に六十本の井戸を停止してくれて、非常な美挙である、あなたの方も感謝をしているというようなことを申されたわけでありますし、また、私どもも、ガス業者みずからそういう措置に出られた点については、これは非常にりっぱな行為だと思っているわけであります。しかし、六十本を何カ月にわたって停止なさるのかわかりませんが、とにかく停止するということになれば相当の損害を受けるわけです。せっかくそれだけの自発的な御意思があるならば、やはり国がいろいろ調査している方法に御協力を願うというふうに持っていった方が結論も早く出るし、全体計画としてもいいではなかろうか、こういうふうに考えるわけでありますが、今日この六十本の停止に際しまして、現地の第一建設局では、ある一定地区だけの六十本をとめても、データとしてこれを立証するには根拠が非常に弱いから、この六十本でなく、四十本でもいいから、あと二十本は科学的に調査のできる地点を選んでとめていただきたいということをガス業界に申し入れしているわけであります。ところがガス業界の方は六十本とめるのはおれが勝手にとめるので、ほかからいろいろ文句をいただく必要はない、こういうことを、私ども調査に行ったときもはっきり申しておられる。こういうことになりますと、六十本は何のためにとめられるのか、これは、だだっ子がだだをこねているような風景にしか見えないわけであります。ところで、監督官庁としての鉱山局立場から、せっかく業者が六十本の井戸をとめる挙に出ているのならば、やはり国の方でされている調査に協力させる方途を講じられる意思があるかどうか。すなわち、第一建設局が、六十本はとめなくても、その六十本の区域外の、あなたの指定する二十本ぐらいでたくさんだ、その方がさらに正確なデータができ上るのだ、こういうことを科学的調査の見地から申し出しているわけでありますが、業者の方はそれに一顧も与えていない。こういう事態に対して、両者の間に立って調整をなさる御意思があるかどうか、承わっておきたい。
  98. 福井政男

    ○福井政府委員 天然ガス業界が自発的にとめまして原因究明の努力をされることにつきまして、さらにそれ以上何らか広い範囲にとめるようなことが原因究明にどういう影響を与えるかということにつきましては、私まだ詳細に承知いたしておりませんが、ともかく、この原因究明の結果を一日も早く得るということが現在の事態から見まして非常に必要だと思いますので、いい方法があれば、それを実施するよう研究いたして参りたい、かように考えております。
  99. 櫻井奎夫

    櫻井委員 あなた方がなさるというのでなく、業者が自発的に現在とめておるのです。だから、せっかくとめるならば、それを調査に合せるように——業者が協力しないのです。今協力しないと言っておる。だから、とめるならとめただけの効果をもたらすように、調査に都合のいいようにとめさせる。業者との間に立って、鉱山局長としてこういうあっせんをなさる意思があるかどうか。あなたがとめるとかなんとかいうことは聞いていない。地元においてそういうふうに感情的に対立しておる。だから、あなたが鉱山局長として仲に立って、そういう調査の便宜をはかってやられる御意思があるかどうか、こういう点をお聞きしているわけです。
  100. 福井政男

    ○福井政府委員 原因究明の現地の雰囲気につきましては、最近は県、市、それから業界、建設局、こういった関係のところが全部相協力して実施いたしておるように私は承知をいたしておりまして、ただいま仰せのような点につきましては、詳細まだ承知いたしておりません。しかしながら、せっかく、現在相当の範囲にとめる計画を立てまして、一部実施いたしておるわけでございます。ただ需要方面との関係、そういった関係もございまして、全部がまだとまるところまで至っておりませんが、せっかくそういう犠牲を払いまして調査を進めるということになりましたので、それが十二分の効果を発揮するように、私どもできるだけの力をいたしたい、かように考えております。
  101. 松前重義

    ○松前委員 関連して。私は初めからこの問題について質問しようとは思いませんでしたが、思いついたことについて、また、ただいま質疑応答に対して感じたことを申し上げてみたいと思います。  三井鉱山におきまして、いわゆる地盤沈下が盛んに三池炭鉱付近に出現した。いわゆる、これは鉱害と称するものであります。これを三井鉱山の建設部長の森田工学博士が研究いたしたところによりますと、この鉱害は、坑道がこわれて天井が落ちて、上の方も、その地表面も一緒になってがたっと落ちた。こういうものではない。石炭を掘り出すときに水をくみ出す。その地下水がどんどん坑道の中に入ってくるのを外にくみ出す。地表の下にある地下水がだんだん減ってくる。そして、水圧がだんだんなくなって、大体水の多い地帯、すなわち、水脈に沿って沈下していくのであって、決して石炭を掘った跡がごそっと落っこって鉱害が起るのではないという説を唱え、実際的に坑道の中に入ってみても、とんでもないところへ沈下が起っておる。こういうわけでありまして、これは、もうすでに通産省では御承知のことであろうと思うのです。だからして、坑道の上が沈下するのではない。水がだんだんかれていって、そうして水圧がなくなって、水の多かったために水脈の上の方がどんどん沈下していく。だから、とんでもないところに沈下が起る。こういう現象であるということを断言して、彼はその内容を発表いたしまして学位をもらったのでありますが、これは新しい説であって、従来の鉱害に対する説をくつがえしたものであります。今承わっておりますと、片方はガスだから、片方は石炭だからというのではありませんで、両方とも水でありまして、明白にこの水圧が減ってきている。そうして、その水脈の流れに沿って、これが沈下していっておる、こう私は断定してしかるべきだと思うのです。有明海の沿岸とあの信濃川の沿岸の工合は、私は地質学者ではないけれども、ちょっとしろうと目に見ても、大体似たような工合ではないかというふうに私は想うのでありまして、今、尼崎のお話がありましたが、あの辺も同じです。大阪湾の近所も同じであると思う。淀川の流れからだんだん堆積してきたのだろうと思うのです。ですから、この問題は、今盛んに責任問題その他の応答がありましたけれども、これは早く手を打たなければならぬ問題だと私は思うのです。そうしなければ、これは大へんな問題になる。生きものだから、早く手を打たぬと、死んでからカンフル注射をしてもだめだぞとおっしゃるただいまのお話もまことにそうでありまして、これは、科学技術庁としては、すみやかに——理論が甲乙二論に分れておるとするならば、また第三の理論も発表されておるとするならば、それを明白にされる必要がある。委員長が旅行申であるからだめだというようなことは、これは、ただ言いのがれにすぎないのであって、あけるがよろしいかという電報を打てば、あけちゃいかぬと言うてこぬと思うのです。電報でなければ、電話でもいいのです。そのようにして、とにかく明日でもこれは一つ開封されまして、その内容をそのまま発表される必要があると私は思う。それで科学技術庁がどうであると断定されなくても、それだけのものが発表されて、そうして学者の意見がこのようであるということになるならば、大体大勢に従って、おそらく水圧低下によるところの沈下であるということは明白であります。通産省もまた、ほんとうは、こういうことを見越して、責任あるやり方をなさるべきなんです。すでに今まで鉱害と称して起った現象が、決して坑道の上の方が沈下しておるのじゃないのですから、これはよくごらんになって、森田建設部長も今三井の本社に来ておるそうでありますが、東京におりますから、いつでも呼んで、ここで聞くことができる。私は場合によったらここへ森田君も呼び出し、またその方面の学者も呼び出して、ここでやるよりほか方法がないのじゃないかという気がするのでありますが、願わくは一ついかがですか、科学技術庁は、電報でなくて電話の方がいい。私はもともと電話屋だからよくわかっておる。(笑声)電話をかけられて、あしたでも一つあのかたく封ぜられたあかずのとびらを開いて下さいよ。そうして発表して下さいよ。そうして委員さんたちが反対されるならば、それは国会の要求に応じてでもちっとも差しつかえない。それはあけてもらいたい。いずれあけなくちゃならぬものを、今あけちゃいかぬという話は私はないと思う。とにかく、早くこの問題を決定してもらいたい。これはあなた方にいろいろ答弁を求めようとはしないが、あかずのとびらをあける行動をおとりになるかどうか。
  102. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 私の独断では申しかねますが、会長と相談いたしまして——会長は月曜には帰って参りますので……。
  103. 松前重義

    ○松前委員 月曜に帰ってくるじゃ、いかぬのですよ。科学技術庁の権威の問題になりますよ。あなたが科学技術庁の権威を傷つけますよ。きょう内田さんに一つ電話をかけて、あしたは土曜ですから、午前中にでもあけて発表して下さい。そうすれば、私はおそらくこの問題は決定すると思う。もしもこれに反対のような結論が出たなら、私はその学者はどうかしておると実は思うのです。そうではないと思うのです。
  104. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 会長と相談いたしまして、会長の指示に待つことにいたします。
  105. 松前重義

    ○松前委員 いつ会長と相談されますか。どうもそこまで質問せざるを得なくなった。
  106. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 可及的すみやかに……。
  107. 松前重義

    ○松前委員 それはいかぬ。確実に、いつ。
  108. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 確実に……。向うが向うでございますので、泊っておるところはわかってはおりますが、電話では、向うがそこに居合せないということもあるかもしれませんので、なるべくすみやかにそういう工合に……。会長が帰ってくるのは十六日でございます。これは確実でございますが、それ以前に、なるべく早くということで……。
  109. 松前重義

    ○松前委員 夜は宿屋に泊っておやすみになりますから、(「どうかわからぬぞ」と呼ぶ者あり)そうでないかもしれぬが、内田先生は品行方正ですから、決してそういうことはない。だから、今晩宿屋に泊られたところをつかまえて、電話でおやりになりますか。そうして、もし安芸さんがニューヨークにおるならば、ニューヨークに国際電話をかけられますか。
  110. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 会長の指示に待つことにいたします。
  111. 松前重義

    ○松前委員 その行動をおとりになりますかと聞いておるのです。あなたは科学技術庁としての行政責任者じゃありませんか。あなたは何を言っておる。委員会には行政責任はありませんよ。委員会は勝手なことを言っているのです。そのために、あなたはそれだけの使命を帯びておるのですよ。彼らは学者として勝手な意見を吐けばいいのです。そこにあなたの根本的に間違っている点がある。あなたは、このために資源局長としておられるじゃありませんか。その発言はおかしいですね。
  112. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 ただいまのものは資源調査会安芸委員長に出たものでございまして、私に対して提出されたものでございませんので、私としてはいたしかねます。やはり、それは学者であるからというお話でございますが、学者であるだけに、学問を尊重して、会長の御意思に沿って行動いたしたいと思います。
  113. 松前重義

    ○松前委員 おそくすることが学問を尊重することらしいが、そういうことじゃ、どうもこれは困ったものだ。あなたは科学技術庁の当局者として、この点については行政責任を持っておられるはずですよ。だから、会長の許可をとることはもちろん必要でしょう。しかし、その間における事務的な連絡、そして最後の結末に持っていくのをすみやかに——すみやかどころじゃない、急速にこれをやる、これがあなたの責任じゃないでしょうか。学者は勝手なことを言って、何も科学技術庁から月給をもらっているわけじゃない。幾らやっておられるのですか。足代ぐらいしかやっておられないでしょう。そんな人に責任はありませんよ。勝手なことを言うだけです。勝手でもないかもしれない。責任ある言葉を言われるかもしれませんが、とにかく、あなたは直ちにそれをやりますか。
  114. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 ただいまのお話のように、学者は良心を持ってやっておりますので、その良心に間違いないと存じまして、私は電話をかけることも、もちろんいたすことはいたしますが、会長の指示に従って——この件は資源調査会のことでございまして、資源調査会は諮問されたわけではございません。資源調査会自分で取り上げた件でございますので、資源調査会の独自の意思の方に待つべきものだろうと思っております。
  115. 松前重義

    ○松前委員 あまり言いませんが、一つおやんなさい。すぐやらなければいけませんよ。科学技術庁の権威にかかわる。せっかくできた科学技術庁が、この大事な問題で何もせぬでどうしますか。やって下さいよ。この問題はそれだけにします。     —————————————
  116. 小金義照

    小金委員長 この際、連合審査会申し入れの件についてお諮りいたします。すなわち、ただいま大蔵委員会において審査中の物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一七号)及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四八号)は、本委員会といたしましては科学技術の立場からきわめて関係が深いように思われますので、この際、右の二法案について、大蔵委員会に対し連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。  なお、連合審査会が開会の運びになりました場合に、その日時等につきましては大蔵委員長と協議の上、公報をもっていずれお知らせいたします。     —————————————
  118. 小金義照

    小金委員長 次に、高碕国務大臣の所信表明に関連して、科学技術庁の組織の一部改正に関する説明を聴取いたしたいと存じます。石井科学技術庁政務次官。
  119. 石井桂

    ○石井(桂)政府委員 去る一月二十六日、二十一回国会再開とともに、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案が衆議院に提出されたのでありますが、本改正法案が提出されました理由は、第一に、科学技術庁の総合的企画機能を強化し、あわせて内閣総理大臣の諮問機関として設置が予定されている科学技術会議の発足に備えて、現在の機構を合理的に再編成する必要があるからであり、第二に、原子力に関する行政事務が急速に増大しつつありますので、原子力局の機構の整備強化をはかる必要があるからであります。  すなわち、本法案に規定されている科学技術庁設置法の改正点は、次の三点であります。  第一の改正点は、現在の企画調整局及び調査普及局を廃止し、これにかえて計画局及び振興局を新設することであります。現在企画調整局は、科学技術に関する基本的な政策の企画、立案に関する事務のような企画的事務のほか、関係行政機関の科学技術に関する事務の総合調整等の実施的事務を担当しておりますが、従来の経験より見ますと、ともすれば実施的な調整事務に労力がさかれ、基本的政策の企画、立案等の企画的事務が第二義的に考えられる傾向がありました。そこで、本改正案におきましては、この企画的事務を実施的事務から切り離すとともに、この企画事務と従来調査普及局において担当していた調査事務とを有機的に結びつけることによって科学技術に関する基本的政策の企画、立案が十分な体制において遂行し得るよう、計画局を新設しようとするものであります。新設される振興局は、企画調整、調査普及両局において担当していた実施的部門、すなわち、総合調整、研究推進、発明奨励等を担当することとしております。  第二の改正点は科学審議官の職務に関するものであります。すなわち、現在、科学審議官は、命を受け、科学技術庁の所掌事務に関する重要な方針の決定について長官を補佐することとなっていますが、これを命を受け、「科学技術に関する基本的な政策を審議するほか、」科学技術庁の所掌事務に関する重要な方針の決定について長官を補佐することに改めることとしております。これは科学審議官の職務のうち、その最も重要なものとして、科学技術に関する基本的な政策を審議することを明記することによりまして、今回の機構改革の趣旨にかんがみ、科学技術庁の総合的企画機能の充実のために、科学審議官の制度を大いに活用しようとする趣旨を明らかにするものであります。  第三の改正点は原子力局の次長を一人増員して二人とすることであります。これは原子力に関する行政事務が最近ますます増大して参りましたので、これを円滑かつ機動的に処理するため、原子力局に二課及び一監理官を増設する政令改正の措置、職員の増員を行う予算上の措置と相待って、原子力局の事務運営に万遺漏のないようするためであります。  主要な改正点は以上申し述べた通りでありますが、このほか、技術士に関する事務は科学技術振興の目的を有する実施的行政事務でありますので、これを官房から新設される振興局に移管することとしております。  以上、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、その内容を御説明いたしました。
  120. 小金義照

    小金委員長 以上で説明聴取は終りましたが、本件についての質疑は次の機会に譲ります。     —————————————
  121. 小金義照

    小金委員長 ただいま原委員より、さきの地盤沈下の問題について発言を求められておりますから、この際これを許します。原君。
  122. 原茂

    ○原(茂)委員 さっき、最後に松前先生から、むしろ注意的な懇切な、要望があったわけですが、はっきりしたお答えが得られたような、得られないような、非常に不満な御答弁だったわけです。しかし、それまでの質疑応答の中での二つに関しまして、一つは資源局長に、一つは保安局長に、念のためにお尋ねをしておきたい、こう思うわけです。  その第一は、資源局長にお尋ねいたしますが、先ほどの御答弁を通じまして、はっきりしたようでしない問題としては、業者の正反対の立場からするいろいろな申し立ての項目が述べられました。これを全部調査するというと、めどがつかないので、あと二カ月後くらいに結果のわかる、六百メートルに試掘しているその結果を見てから、こういうふうにおっしゃっていましたが、そのことは、要するにその結果が出さえすれば、今業者の羅列している反対の立場の幾つかの項目がありますが、これはその時限をもって調査する、それから後にするということは、もうしない、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  123. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 そこのところは、ちょっと私、まだ会議の席上でそういう話が出ませんので、何とも確定的なことは申し上げかねますが、委員会の席上におきましては、今やっておる試掘は、二月末から三月末にかけまして動き始めるということは確実でありますから、これはそれで大体いい。ただ、あとの説として出ておりますことは、どういう手段をもって確かめるか、その確かめ方自体についても、まだ自信のないところもございますので、調べなければならないものもあるかもしれませんし、どうしても調べる方法も見つからないというので、たな上げせざるを得ないものもあるかもしれませんが、それにつきまして、ただいまのところではまだその議論をいたしておりません。ただ、観測井が動くということは、これは非常にいい手がかりなのでございまして、これの範囲におきまして、——もちろん異論があるかもしれないけれども、第二中間報告というような形にまとめることになるだろうということだけは確実でございます。あと、それ以上しないかどうかということにつきましては、まだ現在のところ未確定でございます。
  124. 原茂

    ○原(茂)委員 先ほどの局長の答弁と、今の答弁とはずいぶん違っている。記録を見るとわかると思うのですが、それじゃ、時間があと半年であるか一年であるかわからないということになりかねない。現在まで、田中委員質問なり櫻井委員質問を通じて局長の言ったことを、これは大事だと思って、概括的に私もここに書いておいたんですが、大体五月ごろには出るだろう、こういうめどをつけるために、私自身特に注意して書いてみたんです。あなたの答弁の要約したものは、とにかく、いろいろと調査しようにも調査をする計測器までないようなものがある、それをまたこれから作るというのも大へんだから、少くとも二月、三月に動き始める試掘の結果を見れば、その結果だけで、あとのことは業者がいろいろに言ってきているけれども、そのことをそれからまた調査をしようなどとは申し上げません、こういうふうにはっきり言ったように私は聞いている。記録を見るとわかりますが、各委員も、おそらくそのように理解をして、今終ろうとしていたわけです。ですから、もし今あたなが答弁したようなことになると、われわれ全部がうまくごまかされて、多分五月ごろにはこれは結論が出るのだ、こういったにおいだけかがされっぱなしで、あとになると、ずるずると、いや、そうじゃないのだ、業者の言ったいろいろな反対の立場からの申し立ての中で、これも重要だ、これもまたやってみたいと思う、これもやればできるのだ、これもあと何カ月かたてば調査ができるから、その調査をやってみたいのだ、こういうようなことで言いのがれをする心配があるんじゃないかと思ったから、今お伺いしたわけなんです。案の定、あなたの答弁はそう言いそうな答弁なんですが、現在まで私どもに与えた認識から言うと、そういう言い方はおかしい。もう一度はっきりしてもらいたい。
  125. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 私個人といたしましては、先ほど申し上げましたように、おそらく、これで打ち切りになるだろうと思っております。しかし、会議でございますから、私が打ち切ると申しましても、私は一人の構成メンバーでございまして、私は、そのときにはこれくらいで打ち切りたいと申しますが、そのときに、まだあるということにならないとは申せません。しかし、私はなるべく早く決着をつけたいという工合に考えております。これは、おそらく委員会方々もそうだろうと思うのでございます。しかし、測定に三年かかるか五年かかるかわからないままでやろう、あるいは一カ月先かというようなことでは多分ないだろうと思うのでございますが、私個人はもうこの辺で、何と申しますか、今度のあれが動き始めましたときには、もう水かけ論を繰り返しても問題はあとへ残るばかりではないかと思うのでございます。(「中止してゆっくりやればいいんだよ」と呼ぶ者あり)事実上、そういうことだろうと思いますが、委員会自身は継続するだろうと思うのであります。
  126. 原茂

    ○原(茂)委員 資源局長個人の意見では、ここらで水かけ論はもうやめにしたい、こういうお考えだ。ところが、個人である局長というのが、実は行政当局のこの面においての責任者なんです。委員会がどんな答えを出そうが、どんな研究をしようが、そこをどこまで参考にするか、完全な答えが出るまで待とうとするかをきめるのがあなたなんだ。そこで、さっきの話ではありませんが、資源局長という立場にありながら、委員会安芸委員長の許可を得て封印を切るとか切らないとか言っておりますが、そのことも、あなた自身が封印を切って、学者の意見を参考にする必要がある。そういう立場をとられているから、われわれはぜひ封印を切って、その意見を明らかにしてもらおうじゃないか、こう言っておる。その委員会意見そのものがこの問題の決定をするものではない。委員会の出したいろいろの参考意見、学者の意見というものをどこまで参考にするか。ある程度まで、やはり時間の問題もあります。人命や器物の損傷をあるいは控えているかもしれない、目前に迫っているかもしれないというような、保安上の問題もあることからいっても、要するに、行政当局の責任ある立場から言うなら、どこまでの参考を聞いて、どこで一体これを打ち切ろうかということにならなければおかしいので、それをあなたがおやりになる立場にあるわけですから、科学技術庁という立場から言うなら、技術庁としての責任ある態度を、この際——この問題に関して終局的なものをお出しになる時期は、業者などがいろいろと申し立てていることはあるけれども、いわゆる資源局長立場では、はっきりと、二月か三月に試掘の結果が出る、それからまた二カ月なら二カ月を見たその結果で、あと業者の他のいろいろな申し立てについてはその後に調査などを進めないで、その結果だけで、とにかくこの問題に対する技術庁としての答えを出したい、出す、こういうふうな御答弁をお願いしたい。
  127. 田中武夫

    田中(武)委員 関連して。こうなると一言言わざるを得ない。実はまだ昼食をしてなかったので食事に行っておったのですが、どうも、あなたは岸さんのように両岸答弁をするにはまだそこまで偉くない。まっすぐな答弁をしてもらいたい。私があなたにお伺いしたのは、特別委員会のメンバーの一人としてのあなたに聞いたのではないのです。いいですか。科学技術庁資源局長であり、安芸委員長留守居役としての、委員長代理としての、局長であるところのあなたに聞いたのです。そのときの答弁から、おそくとも、私は五、六月ころに結論が出るものである、このように考えました。しかもまた、ガス関係者からいろいろと問題が出ようが、何回も手に取って見る物でも文句はつけられるのだ、いいかげんに切りをつけてやるべきじゃないか、あなたはそういうふうに答弁されたと思うのですが、いかがですか。
  128. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 科学技術庁資源局長としては、そうでございます。でございますから、資源調査会の方から、ただいま申しました第二次中間報告というものが出て参りましたときには、それに従って、科学技術庁としての処置は、それが出次第私の方で、事務的手続の時間はございましょうが、そういうことに運びたいと思います。それでよろしゅうございますか。つまり、三月末くらいまでに井戸が動き始めて、二カ月ないし三カ月たちますと、五月、六月に結果が出ますので、それに従って資源調査会の方から——資源調査会としては第二次中間報告かもしれませんが、それが出て参りました節、科学技術庁としての考え方をそれによって考えるということでございます。
  129. 原茂

    ○原(茂)委員 ですから、五、六月には資源局長、いわゆる科学技術庁立場としては、はっきりした、これに対する結論を出すということになっているわけですね。
  130. 黒澤俊一

    黒澤政府委員 結論と申しますか、措置をとるように……。(「結論が出れば措置が出る」と呼ぶ者あり)そういうことでございます。
  131. 原茂

    ○原(茂)委員 それから、保安局長にお伺いしたいのですが、先ほどの保安局長の答弁を聞いていますと、要するに、現在の保安上の措置をとるかとらぬかのデータが十分にそろっていない、データが出ないと、その措置をとるべきかどうか、ちょっと今のところでは考えられないんだ、こういう御答弁があったわけです。集約すると、そうなるのです。そこで私お伺いしたいのですが、今日まで保安局として、各山なりその他に対して保安上の措置をとられたことはたくさんあります。私の関係しているところでもずいぶんあります。その保安上の措置をとるときには、必ず科学上の十二分なデータが全部そろった後に、いわゆる保安法上の措置をとったものかどうか。そうでなくて、一〇〇%のうち何十%かのデータがそろったときに、ある程度の見込みをつけて保安法上の措置を講じた例をたくさん私は知っているのですが、そういう点は私の記憶が違っているかどうかを、まず伺いたい。
  132. 小岩井康朔

    ○小岩井政府委員 私の説明が十分でなかったかと思いますが、私が一番問題にいたしております点は、鉱害と一応表現いたしましたけれども、鉱害に二つありまして、公けの害、それからマイニングの鉱害、普通鉱害と表現しておりますけれども、二種類考えておりまして、新潟の場合は、今まで一応いわれておりますのは公けの方の公害、それがマイニングの鉱業の実施による公害かどうかという点が、今不分明になっておりまして、詳しい検討をしてもらっているわけであります。これが近いうちに出るというので、私どもは、鉱業によるもの、要するに、天然ガスの採取によって地盤沈下が起ったかどうかということがはっきりいたしませんうちは、鉱業の実施による公害であるという判定がつかなければ、法の、一切の私の方の政府という関係の出発ができない、こういうような状態にありまして、私どもといたしましては一刻も早く結論がほしい、こういうことでありますけれども、(「おそれがあればできるんだ」と呼ぶ者あり)「鉱害のおそれ」という認定になり得るかどうかという点なのであります。これは私の方の、先ほどもちょっと申し上げましたように、結論を待っていて、全然放置しておるというわけではございませんで、もし天然ガスのためであるという結論が出た場合に、すぐ戸惑うということではございませんで、そういう場合を予想いたしまして、規則の検討なり、いろいろの準備をいたしておるような次第でございます。
  133. 原茂

    ○原(茂)委員 多くの余分な説明は要らないのです。私の聞いたことを端的にお答え願えばいいのです。  そこで、時間もありませんから、私の方からもう一ぺんお伺いしたいのですが、マイニングの方の鉱害の場合、その場合には一〇〇%科学的なデータがそろわないと保安法上の措置はかって講じたことはないか、あるかないかでけっこうです。
  134. 小岩井康朔

    ○小岩井政府委員 一〇〇%のデータがなければ指示しなかったというような例はございません。
  135. 原茂

    ○原(茂)委員 今度のこの場合、一〇〇%のデータもそろっていないのですが、業者自身も、反対の陳情、あるいは意見の具申はしているけれども自分自身でもやはり何がしかの鉱害というものは是認をしている。その立場から現われた現象が、いわゆる六十本の休止というような、業者にとっては非常に大きな犠牲を払っている。感謝するほどの犠牲を払っているんだ、こう言う。学者の御意見も、少くとも私が今まで聞いた範囲では、半数ないし半数以上、あるいは半数より少いかもしれませんが、とにかく多くの学者諸君の御意見も、諸先生の御意見も、やはりマイニングの鉱害によるものであるという意見がすでに述べられておる。とすれば、パーセンテージは一〇〇%にはなっていないのだけれども、半数ないしは何十%かは、とにかくそれによる害が及んでいるのだということは言えると思う。業者自身もそれを暗に認めた態度をとっている。とすれば、先ほどいろいろ委員が申し上げたように、この際急速に、保安法上の立場からいっても、いわゆる当局の立場から言うならば、何らかの適正なる措置をここに講じようという態度に出ておくことが、私は妥当だと思う。もう一ぺん伺います。
  136. 小岩井康朔

    ○小岩井政府委員 私どもの方の局内でも、かなりそれに似た議論はございます。私の方で措置をとると申しますと、どんな措置をお考えになっておるかわかりませんけれども、私は大体二十四条みたいな条項が出てくるのではないか、そうしますと、はっきりわからないものに鉱業の停止なり——特にこれは大臣の命令でございますから、鉱業の全部または一部の停止をやるという場合に、せっかく権威あるところで検討しているさなかに、多少可能性がある、かなり可能性があるというようなところで、それが踏み切れるかどうかという点に、非常に大きい悩みを持っておるわけであります。そこで、大へん逃げるようでありますけれども、私どもとしてはせっかく権威あるところで、別途にわざわざ原因究明の機関ができておるのでありますから、ここの結論を待って、そしてすみやかに処置をつけたい。軽い処置、といってどの程度の処置かわかりませんけれども、かなり軽い、特に一部停止というのは、大臣命令の二十四条しかございませんが、こういう点につきましては、先ほど来話が出ておりますように、業界が自主的に目下やっております。しかし、こういうものをいつまでも自主的ということでなしに、官庁側から自主的にやれという場合には、やはりはっきりしたものが私どもとしてはほしいわけであります。特に大臣命令を、はっきりしない、可能性があるというだけで出すということになりますと、非常に大きい問題になりますので、私どもといたしましては結論を一刻も早く待ちたいという気持でございます。
  137. 原茂

    ○原(茂)委員 それではけっこうです。あと、通産大臣その他の責任ある立場から、これは一つ正式にまたお聞かせ願う以外にないと思います。ただ、保安局長も一々言いわけしておりますけれども、御承知のように、すでに業者自身もある部分は認め、学者もその意見が非常に多いということになれば、やはりそういうところでこの措置を、保安当局の立場から言うなら講じ得るはずだ。その前提になるのは、人命、人道上の問題、何といっても人に危害の及ぶものに関しては、一〇〇%でなくても、八〇%でなくても、七〇%でなくても、やはり措置をしなければいけない、事前に策を講じなければならぬという立場をとるのが、日本の国民のための政府の当然やるべきことだと私は思いますので、そういう立場から、あとになってまた当局の責任ある立場の人から伺いたいと思います。     —————————————
  138. 小金義照

    小金委員長 次に、科学技術行政について質疑の通告がありますので、これを許します。松前重義君。
  139. 松前重義

    ○松前委員 私は科学技術庁の政務次官に対して、この前保留しておきました質問をここに継続したいと思います。  政務次官は、昭和三十三年十一月二十五日発行の「政治と文化」という石井桂後援会の発行になりますパンフレットに、次のようなことを書いておる。すなわち、東海大学の原子炉の設置に当っては、非常に危険であるから、自分は反対であるというがごときことをあなたは書いておると言ったところが、自分は、反対の陳情はこのようなことである、また、学校側がこういうことを言っておるということを書いただけであって、自分が政務次官としての立場で、これにある判断を下したことはないということを明確に言われました。そこで、私はここにそれを持ってきた。こういうことが書いてあります。最後の結果として、その結果は概ね新聞紙上に報道されたが、左の通りである。即ち東海大学に教育用原子炉を設置することは原子炉それ自体は安全としても、管理状況及び周囲の状況では此の原子炉の安全性の確保は必ずしも十分であるとは認められない。即ち現在は此の原子炉の設置に対し、未だ最後の行政処分は取られていないが、許否の方向は判断されると思う。 これは否定されると思うということです。あなたは科学技術庁の政務次官ですよ。このことを明確に書いておる。しかも、  此のことを三木大臣が十一月十七日来朝の英国の原子力学者サー・ジョン・コッククロフトに話したら、英国でもそうだと笑っていた。このような、まことに皮肉った、何と申しますか、侮辱を、しかもこの原子炉の設置は拒否せられるということを、一応責任ある人がここに明確に書いておる。あなたは、こういうことができますか。
  140. 石井桂

    ○石井(桂)政府委員 この前の同じ金曜日でございましたが、松前先生から、お前は政務次官の地位にありながら許否を断定しておられるというお話がございました。私はそのときに、松前先生の方の陳情もいただいておりましたし、反対の方の陳情もいただいておりました、それを全部書きまして、ちょうどその当時原子力委員会の安全部会の答申が出たわけで、その答申がそこに書いてあるわけです。そうして、「即ち」というのは、二行ほど私の意見を書いたのですが、すなわち、まだ行政処分はやられてないが、まあ専門の部会でいけないということが言われているのだから、許否の方向だけは——いいというのと悪いというので正反対でございますから、方向だけは判断されると思うというて、あとは、逃げるようですけれども、そうでなくて、そういうふうに私は感想をそこへ書いたわけです。非常に侮辱しているようだとおっしゃいましたが、それは、実際にそういうことがあったものですから言いたのです。私は、やっぱり選挙で出ておりますから、演説会とか、いろんな書き物で選挙民に知らせるわけであります。そういうことで、実際に自分の気持を申し上げたので、別に松前先生の東海大学をどうしようという気持はなく、自分が思いついたことを書いたわけでございまして、断定する気持はちっともなかったわけであります。もし、お立場でそういうふうにおとりになられましたら、私はそれは用語の不注意だったと思います。
  141. 松前重義

    ○松前委員 あなたは科学技術庁の政務次官でありまして、大臣を補佐してこれらの問題を決定なさる重大な場所においでになる。原子力委員長の補佐官ではないかもしれぬが、現実的には原子力委員長の補佐官としておられる。その人が、すでに行政の方向を大体明示しておることは——大体行政の方向を明らかにしていますよ。あなたにそれだけの権限がありますか。しかもこの前は、あなたは、そういうことを言ったじゃないかと聞いたら、両方の議論を並べただけの話であって、参考のために出しただけであると言った。よく見てみると、ちゃんと書いてある。こういうふうに、許否されると判断されると書いてある。あなたが判断しているでしょう。あなたは責任を感じませんか。
  142. 石井桂

    ○石井(桂)政府委員 私は、松前先生にお言葉を返すわけじゃないのでございますが、第三者から見まして、松前先生の御主張はこうだ、反対の方の御主張はこうだ、そうして原子力委員会の安全部会の意見はこうだ、この三つを総合して読者が判断せられるという意味で書いたわけであります。しかし、それをお前が判断しておるのだとおっしゃるなら、私は用語がまずかったのだからということを申し上げたので、先生が、断定しているじゃないかとこの前おっしゃったから、私は、断定する気持はなかったということを正直に申し上げたのでありまして、別に先生の御非難に自分が該当するのを逃げようとしておるわけではございません。そうでなければ、私は何も先生のところの陳情の内容をすっかり御紹介する必要もないし、また、反対の陳情の内容をすっかり御紹介する必要もないと思います。事態を書きまして、そうして見る者の判断にまかせるつもりで書いたことが、やはり文章は非常にむずかしいものですから、自分の意思をはっきりできなかったことは私の不注意であると思います。それで、僕は決して作為があってやったことでないということだけは、一つお認め願いたいと思うのです。     〔「票を得たいという一念からでございますと言えばいいんだよ」と呼ぶ者あり〕
  143. 松前重義

    ○松前委員 作為がなかったか、あったかということは、お聞きになっておる方々判断にまかせるけれども、今岡本委員の言われたように言われるならば、一応われわれも同じ選挙をやっておるからわかります。しかし、今のように何かわからぬような、のらりくらりした答弁をして、自分にはその意思はなかったと言う。反対とか賛成とかいうことは、あなたに賛成してくれと求めておるのではないんです。あなたは科学技術庁の次官として、責任ある立場において、こういう行政の方向を、少くとも明示して、「許否の方向は判断される」と、こう書いてある。これはあなた重大な発言ではありませんか。あなたはその責任を感じませんかと言っておるのです。賛成とか反対とか、あなたに賛成してもらわぬでもいいですよ。
  144. 石井桂

    ○石井(桂)政府委員 責任を痛感いたします。
  145. 松前重義

    ○松前委員 痛感されるなら、どういう処置をとられますか。     〔「やめるよりしようがない」と呼ぶ者あり〕
  146. 石井桂

    ○石井(桂)政府委員 よく上司に相談をしてきめます。
  147. 松前重義

    ○松前委員 上司に相談するよりも、あなた自身として、もう少し自主的な立場においてどういうことを考えますか。
  148. 石井桂

    ○石井(桂)政府委員 よく考えまして、そうして自分の処置を考えたいと思いますから、どうぞおまかせ願いとう存じます。
  149. 松前重義

    ○松前委員 私は満足はしておりません。結果が出たら満足します。だから、それはまだ保留をいたしておきます。  そこで、今度は原子炉設置に関する基本的な政府の方針について、この前兼重原子力委員からお伺いをしたのであります。それで、高碕通産大臣はまだあまり詳しいことを御存じありませんから、私は原子力委員にお伺いをいたしたわけでありますが、この前、科学技術庁の原子力局長に伺ったこともあります。多分兼重先生に伺ったかもしれないのでありますが、アメリカの原子炉設置、すなわち、原子力研究の促進に関するやり方というものを、私の要求によってこの間印刷にしてわれわれのところに配ってこられました。私も、私の学校でそれを翻訳して持っておりましたが、そのやり方についていろいろ御質問をしてみたのであります。  大体アメリカのやり方は、この前もお話をしましたように、民間において原子炉の設置、あるいは原子力の研究等をやりたい場合においては、原子力委員会は、少くともこの原子炉設置と原子力の研究に関して、できるだけこれを推進するためにどうすればよろしいかという具体的な方向を授けて、そうして、それができるように、足りないところはどんどん補ってやって、しっかりやりたまえと言って勇気づけてこれを推進していくんだ、こう書いてある。私は、いわゆるこういう原子力のような新しい科学の開発、未開発の分野の開発というものは、やはりそういう篤志家を勇気づけなければ、とうていこの国全体の研究が動いていくとは思わない。監督行政であってはいかぬ。あれはいかぬ、これはいかぬ、あれは危険である、危険でないと言う。危険であれば、危険でないようにするにはどうすればいいか、具体的にどういう基準に立ってあなた方おやりになったらいいか、少くとも、あなた方は国民の前に明示しておく必要があると思うのです。その意味において、今後における正原子力行政のあり方というものは、このように、ほんとうに民間において乏しい知識、しかし、やりたいという、それを批判ばかりして、すべった、ころんだと悪口ばかり言うことなく、少くともそれを手取り足取りして、何とかしてそれを一人前にしてやりたいという気持を持ってお進めになるつもりであるかどうか。そうでなければ、私は新しい分野の開発はできないと思うのです。この基本的な心がまえについて、私は伺いたいと思います。
  150. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 この前のときににも申し上げましたように、私の気持としては、そういうふうにありたいと思いますし、実際にそういうふうにありたいと考える次第でございます。ただ、何分日本の原子力委員会、あるいは原子力局のスタッフ、また日本全体としてまだ経験が非常に不十分でございまして、アメリカの原子力委員会、あるいはそれのスタッフのように自分で原子力の開発をしてきたところと違いますし、また国情にも相違がありますために、その通りにできない現状であることは、残念ながら認めざるを得ない。しかし、これまでのところが、そういう、たとえば、原子炉を置きたいというところに対して、これはいかぬ、あれはいかぬという監督行政立場だけで言っておるかのような印象を与えたといたしますと、それははなはだやり方が適当でなかった。気持の上でそういうわけではございませんが、たとえば、今言われました、こういうふうにしたらいい、こういうふうにしてどうという助言のできるところまで、残念ながらまだ完全にはいっていないといわなければならぬのではないかと私は思っております。そこで、一日も早くそういうふうになれるように、現在のところ努力しておるわけであります。そういうことが完全なものに一度になるとは思いませんけれども、一歩々々それに近づくようにいたしたいと考えております。
  151. 松前重義

    ○松前委員 アメリカにしてもその他の原子力の進んだ国におきましても、少くとも私は、当初においては、やはり原子力に関する知識は非常に乏しい中に原子力の研究が始まったものであると思います。そうして、その行政機関が乏しいからこそ、その知識的にも乏しい、あるいは予算的にも乏しい中にも、民間あるいはまたその他のところにこういう希望があったならば、何とかしてそれを一人前にしてやりたいという気持を持って、またお互いに一人前になろうという気持を持って進んでくるところに、私は国全体が躍進している姿が現われてくると思う。そういう意味において私は申し上げております。     〔委員長退席、菅野委員長代理着席〕 私は、決して日本の原子力委員会アメリカの原子力委員会程度の知識と経験を持てということを言っておるのではないのです。お持ちにならないことはちゃんと知っております。しかし、それなりに、やはり私はアメリカよりももっと親切に、もっとほんとうに手取り足取って自分たちのできる範囲内において指導行政をやるべきであって、科学技術行政というものは監督行政であってはならないと思う。親切な指導行政であって、むしろ激励行政でなければならない、こういうふうに私は思うのですが、いわゆる精神的態度について私は御質問申し上げておるので、金のあるなしとか、学問的に実力があるとかないとかいうことを申し上げておるのではありません。もう一ぺんお願いいたします。
  152. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 御趣旨はよくわかりました。それで私の申し上げたことが、そういう金のないこと、あるいは経験の乏しいことだけが理由であるように響いたとすれば、これは私の御説明が不十分であったわけですが、そういう事実のために、かりに私どもがそういう奨励的、あるいは精神的な方法をとろうといたしましたときに、それに逆な影響と申しますか、さようなものが起る感じを抱くわけであります。それで究極においては、そういうふうにするための方法として、松前先生の考えておられるような方法と一致しないことがあるかもわかりませんが、精神において食い違いはないようなつもりで私は申しております。従って、これからあとのことでも、そういうような精神において進むということは申し上げることができると思います。
  153. 松前重義

    ○松前委員 そこで私は原子炉は方方に今度は設置されなければならないし、また、これを推進していかなければならないと思うのです。最近におきまして原子力船の建造という問題について研究を進めておられるようでありますが、原子力船を推進するのに必要なるエナージー・ソースとしての原子炉を——船の大きさにもよりましょうけれども、一万トンくらいならどのくらいの原子炉を据えればよろしいか、そうして、その原子炉はいかなる形のものであるか、どういうところにこれを設置するのであるか、その安全性は一体どうであるか、これらの基本的な問題について少しお漏らしをお願いいたしたいと思います。原子炉の設置に関しましては、実験用の小さな、いわゆるクリチカル・パワーの原子炉、すなわち限界パワーの原子炉、それからまた千キロから五千キロ程度の、いわゆる実験用の原子炉、あるいは一万キロ以上の発電用、あるいはマテリアル・テスティング・リアクター、こういうような三段階くらいに分けて考えますと、これらに対して、何らか基本的な原子力委員会としての設置に関する基準がおありになるか、これはこの前にも御質問申し上げましたが、あると思うのです。そうでなければ、民間は一体どうしていいかわからない。出していけば、すべったころんだと悪口ばかり言って、そうして、何かしら原子力委員会が別の委員会のごときものにふっかけて、その委員会人たち行政責任は全然負わない。行政責任のない人たちが、どっかの大学から出てきたといえば、それをすべったころんだと議論をする。それは別の大学の人で、無責任だと言えば語弊があるかしらないが、勝手な議論をする。勝手な議論をしても何ら自分には責任がない。そういうものによって原子力の政策を進められるのかどうか。あるいはまた、原子力委員会としての基本的な基準は、教育用原子炉、あるいは小さな研究用原子炉は大体どういう程度に置くのか。アメリカその他においても盛んに小さいものを置いておるようですが、大きなものも置いておる。そういうところの大体の基準を与えないならば、私は原子力船の建造のごときはほとんど不可能になると思うのです。だから、これらの内容につきまして、少し大まかでもいいのですが、基本的な方針を承わりたいと思うのです。と申しますのは、例の関西の原子炉にしても、この間茨木市の市長選挙をやったそうですが、市長選挙で当選した人は原子炉設置反対を唱えた人です。茨木市に原子炉を設置しようなんと言った人は一人もおりはせぬけれども、原子炉設置反対を唱えたら当選した。それだけではありますまいが、とにかく当選した。どこでも選挙ごとに原子炉設置反対を唱えれば、当選するか落選するかしらぬけれども、一応そういうことを言う風潮になっておる。そういう情勢は、実は私は憂うべき情勢だと思うのです。それをあなた方がいかにしてPRして、国民の中にある原子炉は危ないんだという印象を、しかるべき方法を講じさえするならば危なくないんだという基本的な基準を、明確な、確信ある態度をもって示さなければならない一番大事なときだと思う。原子炉開発ができるかできないかの境目だと私は思います。自分の学校の問題だけを言っているんじゃありません。これは不許可になってけっこうです。しかし私は、この問題は究明しておかなければならぬ基本的な問題だと思います。日本の原子力の将来にとって、このような風潮の中に政府はどうもぐらぐらして、少し声が高ければ右に動き左に動く、こういうような情勢において、ほんとうの科学的な確信を持った具体的な措置を講じない限り、国民はいつまでたってもこれは危ないものだ、やっぱりそうだろう、こう思う。そうすると何事もできません。今後原子炉は一つも設置できません。これを私は憂えるがゆえに、この御質問を申し上げているのであります。大、中、小と申しますか、教育用、研究用、それから発電用というふうに分ければ、それらに対してどういうふうな基本的な設置方針をお持ちであるのか。  ついでに伺っておきますけれども、何か見本市が芝浦の晴海埠頭にあるそうでありますが、あれには百十ワットといいますけれども、普通十ワット程度のもの、大体一キロ程度のものがすぐ出るでしょう。例のエーロ・ジェットの設置を許可されたらしい。しかも、あそこは見本市の人がすぐ横をずっと歩くところで、そういうところに私らは基本方針がないような気がして仕方がない。だから、これを伺うわけです。
  154. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 先ほどの原子力船に関係いたしましたことは、まだどういうふうにして続けていくかということを検討しておる段階でございます。実はそういう技術的な問題以外に、いろいろ前もって調査検討しておかなければならぬ問題がたくさんあることを私自身痛感しております。従って、原子力船をいつごろまでに建造するとかなんとかいうところまで進んではおりません。しかし、なるべく早い機会にそういうすべての問題が解決され、先ほども御議論がありましたように、百パーセントということが困難なこともあろうかと思いますけれども、一日も早くそういう問題が解決されることを望んではおりますが、現在そういうことについて建造の方針がきまるとかいうようなところまではいっていないのでございます。そこで、たとえば動力炉というようなことになりますと、御承知のように、ただいま原子力発電株式会社がイギリス型の実用規模の発電炉を輸入することを検討しておりますから、もしもこれの設置の許可申請が提出されますと、これは当然審査して処置をしなければならぬことでございます。そういうときの基本方針がどうかということでございますが、やはり安全性などは、安全審査専門部会などの意見も聞きました上で処置をいたさなければならない。非常に大まかなことを申せば、今個々のケース・バイ・ケースと普通に申しておりますようなことになるわけでございます。非常に出力の小さな教育用原子炉と大きな動力用の原子炉と、同じように扱うはずのものではもちろんないわけです。
  155. 松前重義

    ○松前委員 扱っているじゃありませんか。
  156. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 いいえ、同じではないはずだと思います。従って、教育用の原子炉に関する扱いについては内規のようなものを——局長から説明申し上げますが、そういうふうなことでやって、そのほかのものについては、個々の場合々々について、そのときに得られる最上の知識と判断を加えてやるという抽象的なこと以上に、今私はここで、こういうふうな方針でございますというふうには申し上げかねる次第でございます。
  157. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ただいま兼重原子力委員から御説明がございました点を補足いたしまして申し上げます。大型と申しますか、あるいは中小の扱いは、去年からどういうような採用の方法をやっておるかということでございますが、実は一昨年の十二月十三日の四十八回の原子力の定例委員会におきまして、この点は一応内規といたしまして、定例委員会としては決定をしてございます。それは、大学における教育研究用原子炉についての問題でございまして、この点に関しましては、一応大型のものと、いわゆる教育用の小型のものと、もう少し大型の研究用のもの、この三つに区別いたしまして、中型の教育研究用のものに対する内規は大体ございますが、大型のものに関しましては別途さらに慎重に検討を進める、こういうふうに考えているわけでございます。  そこで、御指摘のございました教育用に関しましてはどういうふうな配慮をするかと申しますと、まず教育用というものの範疇でございますが、出力にいたしまして大体十キロワット以下ぐらいの小さいものに限って、一応原子力教育用というふうな概念にしよう、それの目的が教育用に主として使われるものという範囲にいたしまして、その許可条件に二つございます。一つはもちろん規制法の諸条件を満たさなければ、幾ら小型であっても許可をしない、これは法律ではっきりうたっておりますから、問題ないことかと思います。第二点は、しかし、幾ら規制法で規制してあっても、いやしくも教育に使うものでございますから、その学校が原子力の教育指導をするに当って、十分なスタッフを持っていないところについて、許可することはおかしいのではないかというふうな大体内規をもちまして、根本的な態度としては主として教育用に用いられる小型原子炉については次の諸条件に適合する限り、その設置を認めるものとするというふうに、積極的な態度で、むしろ、先ほど松前先生からお話のありましたように、指導行政とまでは言わないにしても、来たものに全部けちをつけてけるという態度は毛頭ございません。むしろ、これを奨励して、原子炉に関する科学的、具体的な研究を十分したいということが根本態度でございます。そこで、その際規制法の諸条件を満たすものであるということが非常に問題でございまして、これは先ほど申し上げたように、大きい炉であろうと、小さい炉であろうと、炉である限りは区別はないのでございますから、それに関しましては先ほど申しましたように、四つの許可条件を——これはよく御存じかと思いますので省略させていただきますけれども、単に平和利用とかいうような条件だけでなく、やはり立地の問題がどうなっているか、あるいは炉自体は安全であっても、運転の管理能力がどういうふうになっているかという点を十分に審査した上で許可するのが法の定めるところでございますので、そういう点等をいろいろ検討して参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  158. 松前重義

    ○松前委員 私の質問の一部分を御説明していただいたようでございます。教育用原子炉、研究用原子炉くらいまでのところらしい。私は総合的に発電用原子炉までの広い範囲において、設置に関する政府の方針を伺っておるのです。けれども、それらのことはあとにいたします。ただ問題は、先ほどスタッフの話がございましたが、スタッフとは一体どういうものをスタッフだとおっしゃるのか。たとえば、安全部会が何か書いて出したものに、教授がいないというようなことが書いてある。ところが今の原子力に関する問題では、教授というものは大体原子力を知らない。私はそう思う。むしろ助手くらいが一番よく知っておる。新しい人が一番、原子力を知っています。勉強しています。古い人が原子力を知っているということには、私はならないと思う。原子力のスタートは同じですから、古い人も、一生懸命勉強すれば原子力については相当なエキスパートになるでしょう。新しい人もその出発点は同じです。そうであるならば、助教授であろうと、助手であろうと、講師であろうと、むしろその辺にほんとうに真剣に取り組んだ者がおるならば、その数が多ければ、それを私は認めるべきだと思うが、教授がいないとは一体何事であろうか。そういうようなことでスタッフだなんということでは、一体実力というものをどこで説明をされるつもりか、それを伺いたいと思います。
  159. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ただいま申し上げましたのは、ちょっと誤解があったかと思いますけれども、私は管理能力に関する技術的な能力の点を申し上げたのでありまして、これは原子炉規制法等の二十四条第三項に書いてございます。その管理能力に関して、おそらくただいまの松前先生のお話は、原子炉と原子炉の安全審査部会の答申をさしての御指摘かと思いますが、そうでございますれば、それは先ほど私が申しました教育スタッフ云々という問題ではなく、管理者の管理能力という面に対する御指摘でございまして、原子炉安全部会は、大学の教援のスタッフがその教育に任じるかどうかというふうな認定まで下す場では決してありません。またそういうことはやりません。それは原子力委員会として、内規で判断する一つの材料としておるわけでございまして、先ほど申しましたように、原子力委員会としてはまだそういうところまで判断しておらないわけでありますから、先ほど御指摘の点は、そうではなくて、あくまでも安全部会が答申を出しましたその中に、管理するためにはいろいろ原子炉に関する知識の深い人、あるいは健康管理等に関する経験者、いろいろセットもあろうかと思いますので、そういうセットが一体どのくらいで、何人くらいおればよろしいかという点が非常に問題でありまして、具体的に、ああいう小さい炉であれば、三人おればよろしい、あるいは五人おればよろしい、このくらいの人がおればよろしいというふうにきまっておりますれば別に議論のないところでありまして、先生その他の中にはそういう該当者はおらない、従って、不十分だ、こういうふうに断定できるわけでございますが、一体何人くらい必要であるかということまで、具体的にきめておりません。ただ、ただいまの推定から判断いたしますと、そういう管理者の数と申しますか、あるいは程度等に関しまして若干の不安があるというふうな認定でございます。
  160. 松前重義

    ○松前委員 大体わかりました。  そこでお伺いいたしたいのは、教授とかなんとかというものでなく、ほんとうに実力があるものという話でした。その辺のところは適当なところできめたいと思いますが、具体的にはまだきめてない、こういう話ですね。それならば、もしもどこからか申請があった場合において、それが適当でないと認めたら不許可にする、そういうふうな立場をとられるか、それとも、もしもスタッフが適当でないと認めたら、このくらいの人員をそろえなさいというふうに行政指導をやられるかどうか、そこを伺いたい。
  161. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 先ほど申しましたように、そういう点をあらかじめ定めまして、そして申請者側に申請しやすいように、あるいは事前に準備のしやすいようにするのが非常に親切でもあり、指導行政の趣旨に合致するものであろうと思いますけれども、ただいままでは、そういうところまで実は入っておらなかったわけでございまして、今後立地問題等に関し、あるいはそういう管理能力に対する定義、あるいは範囲、深さといったものに対しましても、一応の何らかの内規あるいは基準みたいなものを定めたいと思います。
  162. 松前重義

    ○松前委員 一言申しますが、今のことは非常に重要なことでありまして、それは何もそういうスタッフの問題に限らず、立地条件その他の問題にしても、いろいろ申請その他の内容についても、やはり許可とか不許可とか、先ほど政務次官が、大体不許可の方向にいくだろうというような、こういう無責任な、監督行政か何か知らぬけれども、いばった態度でなくて、こうすれば許可されるのだから、こうしようじゃないかという態度でいかれるかどうか、この点を一つ兼重原子力委員から伺います。
  163. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 先ほど申しましたように、そういうふうになりたいという気持は十分持っておりまして、現在もその努力を続けております。ただ、具体的にこういうふうな基準を作ること自体にまだいろいろ困難がございますから、そういうふうに近くなるであろうとまで申し上げる段階ではありませんけれども、そういうふうになりたいということで努力しておることだけは申し上げられます。
  164. 松前重義

    ○松前委員 どうも今の御答弁では満足できない。それならば今原子炉の設置に対して、たとえば、東海村から設置の申請があったとします。その場合、やはりそれだけの用意がないから許可されませんか。今の話ではそういうことになりますね。
  165. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 そういう許可申請がありましたときにはそのときの判断で、これならば大丈夫だという判断で許可することはあると思います。そこで、今度は逆に、これが最小限必要だ、これだけあればよろしいというだけの用意があるものについての判断はできるであろうが、あらかじめこういうふうにするというだけの用意がまだない。そこで、そういうふうになりたいと努力はしておるというわけでございます。
  166. 松前重義

    ○松前委員 私が申しますのはとにかく指導行政的におやりになる気持であるかどうか、はっきりしたデータをお出しになるとかならぬとかいう問題ではなくて、大体この辺ならどうだろうというような態度でおいでになるのかどうか、それとも、君らの出したのはどうも規格的に合格せぬ、これではだめだというふうにおやりになるのかどうか、そこのところです。
  167. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 そういう意味では、具体的な数字などがなかなか持てない状況でありますが、やり方としては、今松前先生のおっしゃったような方向でいきたい、またいくつもりでおります。
  168. 松前重義

    ○松前委員 これは単にスタッフの問題だけでなく、いろいろな設置の諸条件、これらを含めての話ですね。  大体これで今日は終ります。この次は、いわゆる安全性の考え方について原子力委員会の見解を一つ伺いたいと思います。何となれば、どうも今まで私は沈黙を守ってきましたけれども、これはこのままに放置したのでは、私はなかなか進まないと思った。やはりどこか一角を破っていかないと、国民も非常に不安な気持を持っているし、原子炉というと危ない、こういう気持でおります。これを何とかして一掃しなければならない。しかるべき方途、科学的方法によってこれを防御する方法あり、外国ではどんどんやっておりますから、その方法ありということを一応国民に知らせる、この必要が私はあると思うのです。これは原子爆弾のお見舞を食らった日本人としては無理からぬこととは思うんです。けれども、だからこそ、われわれとしてはそこに特段の、よその国にない原子力行政のあり方というもの、また熱意と指導行政というものはあるべきだと私は思う。少くとも、今政務次官のやられたような態度では、これはもう原子力の開発どころじゃなく、何でもかんでも反対でぶちこわしてしまう。科学技術庁の次官にしてはおかしな話です。人の悪口は別として、とにかく私はそう思う。そういう意味におきまして、ここに原子力のとびらを開くために安全性という問題、これが非常に大事な問題であるということは、先ほど来申し上げたように、国民感情としての不安感というものがある。これを何とかして合理的に除かなくちゃならぬ。不合理にただ押えつけてやってはいかぬ。こういう基本的な問題に対しても、この次に少しばかり御質問をしたいと思います。この次に質問を譲りまして、これで終ります。
  169. 石井桂

    ○石井(桂)政府委員 重ねて松前先生から、政務次官のごとくというようなことで例をおあげになりました。私も別にそのことを監督的な態度で片づける意味ではなかった。たまたまそこにそういうものが出て、私の用いる言葉の不注意から誤解があったことと存じますが、私自身も、そのことを監督的にすべて片づけるという意思は毛頭ありませんから、申し上げておきます。
  170. 小金義照

    小金委員長 次会は来たる十八日水曜日、午前十時より開会することにいたします。なお、その日の午後は試験研究所の視察にあててございます。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十三分散会