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1959-06-10 第31回国会 衆議院 運輸委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年六月十日(水曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 簡牛 凡夫君 理事 木村 俊夫君    理事 長谷川 峻君 理事 堀内 一雄君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 土井 直作君       宇田 國榮君    菅家 喜六君       小枝 一雄君    關谷 勝利君       高橋 英吉君    高橋清一郎君       羽田武嗣郎君    前田  郁君       三池  信君    伊藤卯四郎君       池田 禎治君    河野  正君       菊川 君子君    島口重次郎君       杉山元治郎君    楯 兼次郎君       館  俊三君    山田 長司君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 重宗 雄三君  委員外出席者         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  長         (警察庁保安局         交通課長)   内海  倫君         運輸事務官         (大臣官房長) 細田 吉藏君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         運輸事務官         (自動車局長) 国友 弘康君         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道常         務理事     石井 昭正君         日本国有鉄道常         務理事     吾孫子 豊君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 五月二十九日  委員石出博英辞任につき、その補欠として奧  村又十郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員奧村又十郎辞任につき、その補欠として  石田博英君が議長指名委員に選任された。 六月八日  委員川野芳滿辞任につき、その補欠として金  丸信君が議長指名委員に選任された。 同日  委員金丸信辞任につき、その補欠として川野  芳滿君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員菊川君子君及び中崎敏辞任につき、その  補欠として河野正君及び楯兼次郎君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員河野正君及び楯兼次郎辞任につき、その  補欠として菊川君子君及び中崎敏君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 五月二日  一、陸運に関する件  二、海運に関する件  三、航空に関する件  四、港湾に関する件  五、海上保安に関する件  六、観光に関する件  七、気象に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  日本国有鉄道経営志免鉱業所問題等)に関  する件     —————————————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより会議を開きます。  陸運に関する件について調査を進めます。  質疑通告がありますので、これを許します。堀内一雄君。
  3. 堀内一雄

    堀内委員 警察当局に質問申し上げます。最近トラック事故はますます多くなるような傾向にあるのでございますが、この事故防止に関して、前国会において交通法規改正を立案中であるというようなお話があったのでございますけれども、現在その交通法規改正に対する進捗状況、並びに特にこういう点を改正しようと思っておるというような点をまずお伺いしたいと思います。
  4. 内海倫

    内海説明員 道交法改正準備状況でございますが、御承知のように昨年、特にここ数年来交通事情も非常に変っております。その上、事故も非常に多発しておる状況にかんがみまして、当委員会あるいは地方行政委員会等でも、法改正の必要を要望されておりますし、われわれ事務的にも改正を要する点が相当ありまするので、本年に入りましてからその改正準備に着手いたしておるわけであります。  大体進捗状況から申しますれば、現在各種資料を集めますほか、各都道府県から法改正に関する意見を徴する。さらに目下各民間諸団体に対しましても意見を求める準備をいたしております。それらによりまして一応私どもの素案ができ上りました上で、関係各省とも折衝と言いますよりも、関係各省意見をとるという段階に入りたいと思っております。現在のところ、各県からの意見が大体集まっておりますので、これを勘案しながら、われわれの一応の事務的な案をようやく最近作りまして、現在警察庁内におきまして諸般検討をいたしておる段階でございます。  特に今度の道交法改正に伴いまして、私ども考慮いたしておりまする点と申しますれば、まず全般的に現在の法体系が、御承知のように占領中に制定せられた経緯もございまして、法体系としてはなはだ整備しておらない点がございます。そういう点で、現在の法律及び政令を一貫いたしまして再検討して法体系の整備をいたしたい、こういうふうに考えておる点が第一点でございます。  第二の点としましては、これは実際にでき上りましたものは、どうも法律という性格上なかなかむずかしくなるのでありますが、本来道交法というものは一般の国民あるいは運転する人、こういう人たちにわかりやすく理解される必要がありまするので、極力わかりやすい表現をとるようにいたすべく考慮をいたしておるのであります。  さらに内容に入りましては、交通事情が、制定されました当時と非常に変った点もございます。とりわけ在来道交法考え方の中に牛馬とかあるいは牛馬車などの交通をも考えて、そういうものの交通自動車交通相当一緒にして規定しておる関係上、いずれにも十分でないというふうな規定がかなり見受けられますので、この点につきましては、現状が圧倒的に自動車交通ということになっておる事態にかんがみまして、自動車交通を中心とする通行方法というふうな点の考え方を強く打ち出していきたい、こういうふうに考えております。  さらに歩行者の問題が相当大きな分野を占めておりまするので、法律の面でも、歩行者の点をその保護と、反面歩行者もまた守るべき事項は少くないのでありますから、そういう点を明確にしたい、こういう点で歩行者保護とまた歩行者の守るべき事柄についての規定を明確にしていきたい。  なお、先ほど申しました自動車通行方法及びその通行に関する制限などにきましては、各県からの意見も十分いれまして、さらに各有識者の見解及び関係各省意見をいれまして、十分実情に沿い得るような改正にいたしたいと考えております。  次の点は、現在の道交法はどちらかといえば、危険防止交通安全という点だけが強調されておりますが、同時にその裏にある交通の流れを円滑にする、スムーズに流すという問題も非常に重要な問題であります。この点の考慮を十分今度は払っていきたい、こういうふうにも考えておるわけであります。その他危険防止措置、あるいは安全等につきまして、各面の検討をいたしておる段階でございます。現在私どもの考えております点からは、以上のような点がおもなものになっておると考えております。なお、このほかにも相当今後関係方面意見を徴することによりまして、多くの規定を盛り込んでいかなければならぬものと考えておる次第であります。
  5. 堀内一雄

    堀内委員 ただいま大体の方針をお伺いしたのですが、実は委員会を通じて今日までの自動車事故の起る原因に関する調査資料をお願いしてあるのですが、それは現在どんなふうになっておりましょうか。
  6. 内海倫

    内海説明員 本委員会トラック問題とかその他で要求のございましたものは、一応そのつど提出いたしたはずでございますが……。
  7. 堀内一雄

    堀内委員 その事故防止の法案を作成する基礎として、今日まで発生した事故の統計などいろいろなもので御調査になっておることと思うのでございますが、そういうものがあったらそれを一つ将来なるべく早い時期に提出していただきたいと思います。
  8. 内海倫

    内海説明員 この法改正に伴いまして、現在私の方で十数種類にわたりまして諸般資料を収集いたしまして、大体材料としましては現在七、八〇%終了いたしておりますので、完了して印刷でき次第関係委員会にはお渡しするように考えております。
  9. 堀内一雄

    堀内委員 次に、この事故防止につきましても私は単なる法規ばかりでなく、施設とかまた自動車許可認可法規とかいろいろな点が関連があると思うのですが、そういうことについて運輸省との関連はどうなっておりますか。事務的な打ち合せ等についてお伺いしたい。
  10. 内海倫

    内海説明員 お説のように、事故防止と申しましてもひとり警察官を立てて取り締るということだけでは効果には限度があろうと思います。従いまして基本的な問題についても十分所管庁同士行政上の連絡はもとより、要すれば法律上の措置も必要な点があろうかと思います。これらにつきましては運輸省建設省——在来も事務的に十分連絡いたしておりますが、今度の法改正に伴いましても私どもの方でも申し上げるべき意見も相当持っておりますので、関係両省には実情をよく連絡いたしまして、もし建設省なり運輸省所管法令改正をお願いしなければならぬものがある場合には、そういうふうにお願いするというふうにいたしたいと思います。
  11. 堀内一雄

    堀内委員 私はただいま申しましたように、事故防止というても道路の建設から自動車交通許可認可、それから運転手そのものの取締りといったようなことに関連すると思います。一例を申しますれば、事故の非常に多くのものが居眠りといったことに原因するとすれば、それはやはり運輸省におけるトラック業者に対する許可認可云々というようなことが関連して、それが非常な過労になる、過当な競争になるというようなことからつい過労になるというようなことも起るだろうと思うし、また道路利用にしましても、運輸省において自家用自動車免許車庫というようなものが条件として入っておらない、従ってその自動車がみんな道路に置きっぱなしになっている、それでそうでなくても狭い道路がいよいよ狭くなって事故原因になるというような関係もあるようでございますので、そういうような点から、私はこの法令改正するそのときというようなことでなく、常に参省の間では緊密に連絡していただいて事故防止をするようなことが必要だと思うのでございますが、その点に関して運輸省において、まずこの自家用自動車免許に関する車庫の問題、同時にトラック業等の統制といいますか、許認可といったような場合において、過当競争にならないというようなことをどんなふうに考えて処置せられているか、自動車局長答弁を願います。
  12. 国友弘康

    国友説明員 現在営業用車におきまして事故の起りました原因の中で、今先生のおっしゃいました居眠り運転等は高い率を示しております。われわれといたしましても居眠り運転等事故が発生することについては極力防止すべく通牒もいたすし、指導もいたしておりますが、免許あるいは認可の場合の事業計画を審査いたしますときにも、そういう折り返し運転のやり方とかあるいは運行に関しまする委任乗務の履行とかそういうようなことを実施さしておりまして、事故防止には努めておりますが、今回本年度の事業監査を実施いたします場合にも、トラックにつきまして、ことに長距離線についてそういうような過労防止の面からの監査を積極的に進めていきたいと考えております。  それから道路利用を十分にするために、車庫等の問題があるわけでございますが、現在トラックにおきましては車庫届出をさせておりまして、これらについてそういう届出のあるものについて自動車の使用を認めているわけでありますが、店なら店のすぐ前の道路利用いたしましたり、夜間とめておいたりして、車庫が遠くにあります場合には、その車庫まで行くのを、あるいは車庫常置場所まで参りますのをめんどうがって道路にとめておくというような事例もございます。これらについては警察庁運輸省両方道路自体通行を十分可能にするような措置と、車庫も作るように励行させていく措置を両々相待って進めてきたいと考えている次第であります。
  13. 堀内一雄

    堀内委員 私は今の答弁をお伺いしても、やはり運輸省警察庁との間においてもっと密接にいろいろ連絡していただきたいというふうに思うのでありまして、たとえば自動車運転のバンドルが右側についているか左側についているかということは、やはりそれは追い越しといった場合の事故原因になるといったようなことも起ってくるだろうし、トラック運転手が二人で交代に操縦をするというようなことになりましても、そこにトラックの規格と申しますか、作り方の点等についても、よほど研究を要するというような余地が出てくるのじゃないかと思う。そういう点についていろいろ問題があると思うので、私は神風タクシー当局の非常な努力によってよくなったということを考えますときに、ぜひともこの神風トラックにも一そうの密接なる連絡のもとにやっていただきたいと思うのであります。  その次に法規施設の問題ですが、法規をいろいろ整備することは必要ですけれども、私は同時に施設において事故防止ということが非常にあるのじゃないか。一例を申しますれば国鉄等において、実は先日も運輸技術研究所というところに行っていろいろその問題を調べてみると、反射鏡などを非常に利用しておるというのですが、一体道路においても、屈曲点等において、ただサイレンを鳴らすということのほかに、私は反射鏡というようなものを利用してやったならば、そこに非常にいい結果が起きるのじゃないかということを考えておるのでありますが、その点において警察庁ではどんなことをお考えですか。
  14. 内海倫

    内海説明員 お説の通り、特に見通しのつきにくい交差点、こういうようなところは、お説のような施設を必要とすると私どもも認めております。現に各県におきましても、ごく一部でございますけれども、そういう点について試験的なものを兼ねて設置いたしておりますが、こういう点は非常に有効なようでございます。従いまして今後経費との関連を見合せながら、そういう特に私どもでは安全性と言っておりますが、そういうものの拡充強化はぜひともはからなければならないものと考えます。
  15. 堀内一雄

    堀内委員 なお私は、事故の非常に多くの部分が、追い越しというようなことによって起っておるというふうに考えておるのですが、従ってそれに対して追い越し禁止地帯であるとか、または駐車の禁止地帯であるとかいうような施設においても、まだまだ不十分の点があるのじゃないかと思うし、同時に私どもが今ここで質問するのは、近くおそらく来年度の予算というようなものにあなた方の方でそういうものを計上される場合も予想されておると思う。そういう意味から、一つ技術的な面においても、十分の検討をしてもらいたいと思うのです。ことに、これはいずれの方の所管になるか知りませんけれども、踏み切りの事故といったような場合において、一例を申しますれば、反射鏡といったようなものを利用することは非常に有利な条件になるのじゃないかと思うので、そういう点においてぜひとも一つ技術的といいますか、設備といいますか、検討をしていただきたいと思うのであります。  これで大体事故防止のことは終りますが、その次に私は、幸いに運輸省並び国鉄当局もおいででございますので、一つ関連してお伺いしたいと思います。それは、先般の国会運輸省においてターミナル法を制定したことは非常にけっこうのようでありますが、ただターミナル法を制定して、ターミナルを作るということ以外に、もっともっと一般的なサービス部面において、国鉄並び運輸省で十分考えてもらいたいと思うのは、由来国鉄停車場等におきまして、私線というか、そういうものに対しては、プラットホームが並んで、そこで乗りかえの設備がちゃんとできておる。今度は自動車についても、大きいところはターミナルか何かを作ってやるというようなことになるのでございましょうが、そのほかの各駅において、国鉄のお客がおりて、地方バスに乗って、それぞれのところに行くというようなときに、その人たちはもうほとんど雨にぬれておるといったような形のところが多いので、私はこうした部面において、ひとりターミナルといって大げさにやるだけでなくて、各駅において、鉄道おり口なりバス乗り口なりというようなところに、十分のサービス的な部面をして、雨が降ってもぬれないで乗れるというようなことを当然すべきものと思うのですが、そういうようなことについて運輸省としてはどんなふうに指導しておられますか、お伺いしたい。
  16. 山内公猷

    山内説明員 私が答弁いたすのが適当かどうかわかりませんが、バスにつきまして現在いわゆる市内交通におきまして御承知のような状態になっておりますが、漸次中距離輸送、都市から農村に行くバスにおきましては、そういった雨宿り施設あるいは簡易な停車場施設というものをバス乗車地帯につけつつあります。バスは御承知のように今までそういった輸送需要に追われてきておる段階でございますが、現在ではサービスを十分にする時代になって参りました。漸次国鉄におきましてもそういうように考えていかなければならないし、これは国鉄だけでなくて、バス全体がそういうふうになっていかなければならぬという趣旨で運輸省も考えておる次第であります。
  17. 堀内一雄

    堀内委員 この際、国鉄総裁もお見えでございますので、私は別段答弁は要りませんが、お願いを申し上げておくのですが、とにかく国鉄当局において今後停車場施設の改善のような場合におきましては、一般バスの旅客がバスとの連絡というような点において、ただいま申しましたような点をぜひ注意していただいて、単にターミナルを作るといった大げさの問題でなくて、改札口の改造とか、また雨宿りの廊下を作るというようなことで、単に国鉄ばかりでなく、業者にも負担させるような方法によってやることが必要だと思うのでありますが、ぜひともそういう点も考えていただきたいと思います。     —————————————
  18. 塚原俊郎

    塚原委員長 国鉄経営に関する件につき質疑通告があります。これを許します。高橋清一郎君、
  19. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 過般新潟支社ができて、皆様方の御好意に対しまして感謝申し上げて参ったのでありますが、支社ができたとなりますと、今後その系統部門拡充強化向上進歩が来たされるだろうという期待を持つことは言うまでもなかろうと思うのであります。ところがこれと逆行いたしまして、信越地方自動車事務所と申しますか、これが今後の動向いかんによっては改廃運命をたどらなければならぬのではなかろうかというような危惧の念を持たざるを得ない場面であることを非常に遺憾に思うのであります。そうでないと言われるかもしれませんが、関係者一同非常に心配しておる現象でございます。それに関連しまして御質疑申し上げさせていただきたいと思うのでありますが、十和田南営業所と申しますか、あの件でございます。原案によりますと、この営業所東北の方に移管せられるというようなことを聞かされておるのであります。これにつきまして御所見を承わりたい。
  20. 小倉俊夫

    小倉説明員 十和田東北地方の有数な観光地でございまして、ことに東北地方といたしましても非常に北に寄っておる観光地でございまして、あそこには国鉄経営バスが青森と、浅虫から毛馬内まで南北両方路線を持っております。これがただいまのところ二つに分割せられておりまして、直通の運転をいたしておりませんので、これはお客様に非常に不便をおかけするという見地からこれを統一いたしたい、こう考えておりますが、しかしそれによって新潟事務所を廃止するというようなことはちっとも考えておりませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  21. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 もう御存じと思うのでありますが、この十和田南営業所は、大体信越自動車事務所としましての経営実績と申しますか、業績と申しますか、これが勘どころの黒字の約四五%という非常な収益を上げて、事務所自体にとりましてもいわゆるドル箱だというようなことで、どんなことでも事務所のある限りは手放すわけに相ならぬというのが職員同士の一致した考え方であると聞いておるのであります。さきに、この前の委員会でございますが、長野県の下諏訪伊那でございますか、この営業所が、これは井岡代議士がお話しになったのでございますが、これを従来中部でありましたものを新潟へ持ってきて、そのかわり十和田東北だというような構想をお持ちであるということから出発しましたこの前の委員会におきまする井岡代議士の発言であろうと思うのであります。もう一度私はこの前の委員会関連しまして、この長野下諏訪伊那新潟には合併しないという御所存に御決意をお固めになりましたかどうか再確認したいと思うのであります。
  22. 小倉俊夫

    小倉説明員 長野県は私が申すまでもなく日本有数観光地でございまして、いろいろ地勢上バスが非常に発達いたしております。国鉄といたしましても幾多の路線を持っておりまするが、それがやはり統合した運営をせられるということが一番地元の方々の御利便になるということで、その運営の一元化をいたしたいということは考えております。しかし前にもいろいろ御意見もございましたので、そういう点は十分慎重に考慮いたしますが、これはいずれそういう国鉄自動車経営をいかにすべきかということにも触れます大きな方針でございますから、理事会決定を待ってその上で措置をきめたいと存じておるのでございます。それでこの件につきましてもいずれ理事会にかけるつもりでおりまするが、そういう際には今までの御意見等も十分披露いたしまして、理事会としての決定を仰ぎたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 下諏訪伊那新潟に持ってこようという方針はくつがえされ、十和田南東北へやるとなりますならば、当然信越自動車事務所改廃運命をたどらなければならぬと思うのであります。一応原案と目されておりますものは、十和田東北へやる、そのかわりに長野県の下諏訪伊那新潟へ持ってくるから、こういうようなことで線を進められたやに聞いておるのでございます。これが初志と違いましてこの二つはやはり元通りだ、十和田東北だとなりますならば、問題にならぬことになるわけであります。従業員一同も非常に不安におののいておる実情であることは皆さんもよく御存じのことと思うのであります。私はこういう従業員に不安をかもすようなことのないようにしてもらわなければならぬ、これは本論なのでございますが、何か機構いじりをしょっちゅうやっておるのでなかろうか。新潟鉄道監理局長は他に転出してしまい、首脳部更迭ごとにこういう話が出来てくるというような傾向にあるやに聞いておるのであります。まことにさびしい限りであると思うのでありますが、すでにこの問題も五、六年前に一度試みられたということを聞いておるのであります。十和田東北に、こういうようなことを聞かされたのでありますが、完全に失敗したということを聞いております。もう少しく腹を据えた、言い出したらどこまでもやるのだという腹がまえができませんままに——初志貫徹の意気に燃えてやっていただくのはけっこうでありますけれども、言い出したら聞かぬというだけの腹づもりでありますならば、私は御協力申し上げる場合もあろうと思うのであります。しかしそれも地元の、しかも裏日本につきましてはたった一つしかございません重要な事務所であるし、何で地元の者が協力申し上げるでありましょう。しかも先ほど申し上げましたように、支社ができ、大いに利用者がふえて事務所を拡大強化されるだろうというようなことが予定されております場面であるにかかわりませず、反対の方向に参るということは、これはほんとうにざっくばらんに言わしていただきますれば、どうかと思われるのであります。さようなわけでございますので、下諏訪伊那がそのままになりまして新潟移管はできないというような場面におきましても、やはり十和田東北へ移管させるのか、はっきりしたお答えを願いたいと思います。
  24. 小倉俊夫

    小倉説明員 十和田国鉄路線が南北に切れておりまして、北の方から休屋までが青森の営業所についておりまするし、休屋から毛馬内までが新潟の方についております。それで休屋でバスが中断されまして、北は北、南は南というふうに運転されておりまするし、乗務員もかわってしまう。お客様は子ノロ——休屋間は船を利用される方も多いし、あるいは休屋で一たんバスをおりられますから大したことはないと言えましょうが、やはり荷物の積みかえもいたさなければなりませんし、何はさてスルーに運転いたしませんと、この十和田一帯の観光バスとして全くおかしな運営を今まで続けて参ったのでございます。  それでただいま、十和田南線が新潟ドル箱だというようなお話でございまするが、国鉄としましてはどこの路線でかせいでもらってもいいのでございまして、いい路線がはずれたからその営業収支が悪くなった、そのために待遇を落すというようなことは一切考えておりませんで、やはりその土地土地の条件にかんがみましてもうかる路線もあれば損する路線もある、しかしながら同じ職員として働いている以上は待遇改善されれば全部同じでございます。それで私どもはできるだけ地元の方々のあるいは観光のお客様の御便宜をはかるのが運輸交通業者の第一の責務だ、こういうように考えております。それで十和田はそういうふうに一元化することは前々からの考え方でございまして、この際やはりスルーの運転をするのが観光地十和田として一番いいのではないか、こう考えておる次第でございます。しかしそれができましたからといって、新潟事務所をつぶすというようなことは、繰り返して申しますが、決して考えておりません。ただ、今の信越地方につきましては、さらにいろいろのお話もございますので、理事会にかけて、いろいろ地元の方々あるいはただいまの御意見、そういうのを十分御披露申し上げまして、理事会決定を待ちたい。こういうふうに考えておる次第でございます。
  25. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 十和田の件につきまして、いわゆる輸送の一貫、あるいはサービスの向上という点から考えて、これはやはり既定方針通りやったがいいのだというようなおぼしめしのように理解されるのでありますが、私が聞いていることは、冬季の場合、なるほど業務集中あるいは集中修繕と申しましょうか、そういうようなことからも関連しまして、原案通り進んだ方がいいというようなおぼしめしのように承わるのでございますけれども、ともかくあの辺は一帯に降雪期をどうするかというようなことを——こまかいことを私は申し上げませんが、とにかく従来通りが非常にいいのだ。一貫輸送を目途として、今の新計画に基きましても、場所はわかりませんけれども、ある地点からある地点に参ります場合に、全然逆にとだえてしまう。これは収益の点からしましても、またサービスの向上ということと関連いたしましても、全然問題にならないということを聞いておるのであります。やはり従来通り信越関係につかせていただくということが本則でなかろうかというふうに考えさせられるのであります。もし万一この動きを既定方針通りにやるとしますならば、反対の猛運動が展開されるであろうことを予見していただきたいと思うのであります。ともかく、ほかのなわ張り——これはお互いそうなんでありますが、ほかの地区のものを、営業所を自分の管轄に持ってきたい。これは皆さんのお立場としては、よほど大所高所から、大乗的な見地からいたします場合に、理屈の通る仕組みにしなければならぬ場合もございましょうけれども地元といたしまして、また私ども国会に席を置いております者の一員といたしましては、地元のそういった私鉄の縮小しなければならぬということは、これは決して望ましくないのであります。これは理屈の通ったことでございますから、やむを得ない場合もございましょうけれども、大して差異のないのに、ほんとうにただ機構いじりの改革だというようなことでは、私は理屈の通らぬことであろうと思われるのであります。二百七十名、三百名になんなんといたしまするこの人員でありますが、非常な心配をいたしておるわけでございます。なるほど、心配はかけない、事務所は廃止しないのだというようなお言葉ではございますけれども、長い間の職場を離れてまた配置転換をするというようなことを考えますならば、不安な気持に襲われることは、これは常識であります。その辺のこともお含み下さいまして、大きな、いい意味での向上進歩のない限りは、現状通りにお願いしたい、こういうことが私の本音でございます。さような意味におきまして、もう一度一つ理事会におきましては、十分当局といたされましても御検討おき願いたいと思うのであります。時間の関係で、十五分程度でしまえという委員長のお言葉でございますので、この程度にさせていただきます。いずれまた機会がございましたならば、意のあるところを率直に述べさせていただきたいと思います。終ります。
  26. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 私はただいまの高橋委員の御質問に関連してちょっと一分間ばかり質問をさせていただきたいと思います。それは下諏訪営業所でございますが、これは昭和八年にできてちょうど二十七年間、ずっと名古屋に所管をしておったのであります。従いまして今日機構いじりといいますか、その問題がありましてから非常に地元では騒いでおりまして、町村長も非常に心配をいたしまして、私どもにも陳情書をよこしておるようなわけでありまして、なお従業員諸君は非常に動揺して、今まで名古屋に二十七年も電話でしょっちゅう指示を仰いでおるのでありますが、どうしてもやはり名古屋管内にいたいということを非常に熱望しておるということを申し上げて、地方の事情をよくしんしゃくをしようという副総裁のただいまのお考えでございますから、これは高橋君の言う通りに、十和田湖それから下諏訪伊那、これはやはり現状維持で信越の自動車事務所に置くということにして、ああいう現業の第一線を動揺させないようにしていただきたいということを私からもお願いしておきたいと思います。
  27. 楯兼次郎

    ○楯委員 今の問題に関連して、社会党の私からも一言述べておきたいと思います。この問題は、過日わが党の井岡委員が非公式であったかと思いますが、国鉄当局に対して要請をしておいた問題です。これは私の記憶では、もう数年前この問題が起きまして、紆余曲折の結果一部を新潟に移管をして結論が出ておるはずだと思うのであります。特に先ほどから議論を聞いておりますと、十和田湖の一貫輸送のために青森の方へ移管をする、その見返りとして何も問題のない下諏訪を切り離すということは、全く先ほど来の委員のお話のごとく、これは機構いじりのために、私は問題をいたずらに紛糾させておる、こういうふうに考えますので、幸いまだ理事会にはかかっておらぬそうでありますが、理事会ではこういう害こそあれまさに得のない問題はあまりかまわないように、私からも要請をしておきたいと思います。     —————————————
  28. 塚原俊郎

    塚原委員長 次に国鉄経営、特に志免鉱業所の問題について調査を行います。  質疑通告がありますので、これを許します。河野正君。
  29. 河野正

    河野(正)委員 志免問題につきましては、今日まで再三再四本委員会におきましても審議をして参りましたので、私は本日は少くとも今回青山委員会を中心としますところの強行調査が行われ、それに基きまして起って参りましたまことに不幸な現象でございますけれども、あの紛争事件を中心といたしまして、ここに話をしぼって若干の質問を行い、当局側の卒直な御所見を承わって参りたいと存ずるのでございます。  すでに御承知だと思いますけれども、今回の青山調査委員会の現地調査の強行に基きまして、そしてまことに残念なことでございますけれども、死亡者が一名生じて参りましたこと、それからなおまた六日の不幸なる紛争事件を中心として、治療三日以上の診断書が出て参りました犠牲者が——もちろんその中には治療一カ月という二人もありますが、いずれにいたしましても治療三日以上という負傷者が百四名、それから軽微で一応治療だけが行われました犠牲者が八十四名、それを合計いたしますると百八十九名ということでございますけれども、これはもちろんただいま申し上げましたように、それぞれ記録に残った方々の統計でございますから、実質的にはそれ以上に上回る数字を示しておるというように私ども理解をいたしておるのでございますが、少くとも私ども国政審議に基きまする国有財産の問題をめぐってこのような多数の犠牲者を出し、しかもそれが新聞等でもいろいろ非難されておりますように、今度の強行調査ということが最も大きな原因であったといたしますならば、これは新聞でも取り上げておりますように、国民の財産を国民同士が争うということは砂川以上の悲劇だといっておるのでございますけれども、私どもも全くそういった感じを強くいたすわけでございます。  そこで私は、このような不祥事件を惹起いたしました責任者として、まず運輸第一に、国務大臣でございまする重宗運輸大臣に、こういった事態をどのようにお考えになっておられるのか、またどのような反省を持っておられるのか、そういった点をまずお尋ねを申し上げておきたいと思います。
  30. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 ただいまお話の中に死者一名というお言葉がございましたが、まことにこれは驚いておる次第でございます。こうして多数の負傷者が出ましたということはまことに遺憾なことでありまして、今後こういうことのないように十分注意する所存でございます。まことにお気の毒に存じておる次第でございます。
  31. 河野正

    河野(正)委員 ただいま大臣からきわめて敬虔なる表現が行われたことにつきましては私ども了といたしますが、問題は、今後こういった事態が再び起らないようにするということは——とりもなおさず今度の問題が新聞でも取り上げておりますように強行的に調査を行ったということが何と申し上げましても今度の事態の第一の原因でございますので、大臣が少くとも国務大臣として、国民の大臣として今後こういう事態が起らないように努力するということは、今後は話し合いによってこの問題を進めて参るという所信であるのかどうか、その辺のお考えを一つお尋ね申し上げておきたいと思います。
  32. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 今回の場合を考えますと、先ほども言葉が足りませんでしたが、組合が実力で阻止するということを言っておられましたので、違法な状態が生ずるおそれがあったので警察の出動をお願いしたのであろうと思います。どうかこういうことのないように、今おっしゃったような話し合いがよくできますることを期待しお願いする次第であります。
  33. 河野正

    河野(正)委員 大臣もすでに御承知だと思いますけれども、私どもは四月二十八日の当委員会におきましていろいろと、就任早々でございましたけれども新大臣に対して志免問題の今後の取扱いについて強い要望を行なって参りましたことは大臣も御承知だと考えております。今度の事態というものが、組合員が実力行使を行なって、そこでそれを排除するために警察官を介入せしめたのだというふうなお話でございますけれども、大臣もとくと振り返って考えていただかなければならぬことは、すでに御承知のように二十八日の当委員会におきまする審議の精神というものは、少くとも今日までの志免鉱業所民間払い下げ問題については世間でも非常に強い疑惑があるので、そういった疑惑を解く努力をしなければならぬということが、これが二十八日の当委員会において委員会皆様方から御決議を願いましたゆえんの点でもございますし、なおまたその委員会の席上におきましてもいろいろとそういった事情が強く大臣に申し述べられてそうして実は今度の調査が行われるということに相なったと私は思います。ところが五月二十三日大臣が岩国で新聞記者団の諸君に談話を発表せられております。それによりますと前大臣の決定事項でもあるので払い下げは必ずやるのだ、という強い方針を五月二十三日の岩国におきますところの新聞記者諸君に対しまする談話で表明をされておる。そういたしますと、大臣は組合が一方的に実力行使をやるということが警察官介入の最も大きな原因であるかのようなお話でございますけれども、もし組合員がそういった気持になるとするならば、大臣が四月二十八日のこの委員会の席上で国務大臣として責任ある御答弁をなさっておりますところの円満解決する、疑惑を解くという精神が少くとも五月二十三日岩国における談話におきましてはじゅうりんをされておる、こういった点を私は強く指摘をしなければならぬと思いますが、この点はいかがですか。
  34. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 私が旅行中に、できるだけ早く問題を解決することが望ましいということを考えておったのでありまして、なおここの席で、この前も調査はできるだけ早くやりたいということを申しておる次第でございますので、強硬にやるのだというような意思表示は自分ではしなかったというふうに考えておるのでありまして、そういう意味で私は申したのではないのでありまして、どこまでもその問題は解決することが望ましいのだ、それは早いだけいいのだというような意思表示をしたつもりでございます。
  35. 河野正

    河野(正)委員 円満に早い時期とおっしゃいますけれども、大臣も四月二十八日の当委員会におきまする審議内容を振り返っていただきたいと思いますが、その前提条件としては、世間の疑惑を取り除くということが前提になってすみやかに解決に努力するということになっておりますことは、私どもが今さらいろいろ大臣に、釈迦に説法でありますから、申し上げるまでもないと考えます。ところがただいま大臣からも御答弁がございましたように、強行する方針当局から示しておらぬ、しかし現実には一方的な強行調査が行われて、しかも先ほど申し上げましたように、とうとい生命をそのために失わし、あるいはまた二百名近い方方がそのために負傷しなければならぬ、このことは国民の感情としても、また今日までの国政審議、国会審議、委員会審議、こういった委員会で私どもが権威のある審議を行なった建前からも、私は了承をして参るわけには参らぬ。そこで、強行するという方針は示しておらぬと言われたにもかかわらず国鉄当局が強行されたということに対しては、どういうようにお考えになりますか。
  36. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 私はこのいわゆる千二百万トン、八百万トンという問題が起きましたので、これを早急に明瞭にした方がよいと考えたのでそれを強行するようなことになったのでありまして、これは初めからそういう意思であったことはこの委員会でも申し上げたつもりでおったのであります。  重ねて申しまするが、これは八百万トンと千二百万トンというものが一般に不思議に考えられておる数字でありましたので、私自身もこれはおかしいという考えから、ぜひ明瞭にした方がよいというので、一日も早い方がよいということに決定したような次第であります。
  37. 河野正

    河野(正)委員 もちろんそれは志免鉱業所は国民の財産であり、国有財産でございますから、その間の埋蔵炭量を明確にしなければ、これは国民に対して非常に大きな損失を与えるわけでありますから、そういうための調査が行われることにつきましては私どもも異論はございません。しかし、少くとも今日までの当委員会におきまする審議の内容というものは、精神というものは、それは八百万トンにしても千二百万トンにしてもいろいろ国民の疑惑がございまするから、そこでその疑惑を解くための科学的なあるいは技術的な調査でなければならぬということは当然のことであります。疑惑を解くためには、少くとも今度の調査というものが公正な立場で、白紙の立場で行われるということは、これまた今さら私どもが申し上げるまでもなく、常識的なことだと私は考えます。ところが、御承知だと思いますけれども、七日の朝日新聞によりますというと、八百万トンと見た実収炭量の確認に行くのだ、確認するために調査をするのだ、八百万トンについては自信があるのだというようなことを、責任ある、最も公正なるべき青山調査委員長が新聞記者団の諸君に談話を発表せられておる。そういたしますると、今度の調査というものは、要するに今日まで机上で出しましたその結論を、一応調査という名のもとにチェックする、その意味で今度の調査が行われた。これは筋書きを見ますと、たとえば私どもが社会党である、野党であるという立場からそういう理解をするのじゃなくて、ずうっと今日までの経緯なり筋書きをながめて参りますとそういう印象を受けざるを得ない、そういうことでの調査に対して、現場従業員やあるいは少くとも国政審議に参加する私どもは了承するわけにはいかない。私はこれは当然なことだと思う。そういう点について大臣はどういうふうにお考えになっているのか。
  38. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 私は、青山さんがそういうお考えを持っておられたということはよく存じませんが、国鉄総裁に実地調査は早くしろという命令を——命令じゃない、お勧めをしたような次第でございまするのは、先ほども申し上げましたように、第一回の分は坑道へ入っておられない。そういう意味から私はその疑惑を解くためには、りっぱな学者であってもやはり穴に入ってごらんになる必要があるのだろう、そしてわれわれがここで申し上げたことに対してぜひ調査していただきたい、穴へ入っていただきたいというようなことでお願いした次第でありますが、斯界の権威を集めたもので、その結論は権威あるということは青山委員会調査する予定であったのでありまして、八百万トンということは青山委員長が申しておられたのでありまするが、私どもはそれはしろうとであるかもしれませんが、どうしてももう一ぺん調査してもらいたいというふうに当時は考えておった次第であります。
  39. 楯兼次郎

    ○楯委員 関連して。私も過日この委員会へ出たのでありますが、今、河野委員の質問に対する大臣の答弁は肯繁を射ておらぬと思う。といいますのは組合側を非常に刺激をしたといいますのは、少くともこの前の委員会においてはいろいろな疑惑があり、それから埋蔵量でありますか、出炭可能量についてもいろいろ疑惑があるので、少くとも白紙の立場に立ってその疑惑を解き、かつ出炭可能量がどれだけあるという最終的決定を待ってから払い下げを再検討する、しかもこの前の委員会においては、まだ前の永野大臣から引き継いでおらないというようなことを大臣は答弁をされておるのです。それを先ほど河野委員が質問をいたしましたように、何が何でもその疑惑をはらんだまま断固として払い下げるのである、そういう心組みに立って調査を断行し行動されておったというところに組合側を非常に刺激をした原因があるというふうに考えておるわけです。この点どうですか。
  40. 十河信二

    ○十河説明員 お答えいたします。ただいま大臣からお話のように、青山調査委員会はそれぞれその道の権威者のお集りであります。われわれが詳細な資料を提供いたしまして、その資料によって、また現地から技術者を呼び出しまして技術者の説明を聞いた上で、その限りにおいては八百万トンというものはまさに確信があるということを青山調査団の方々は皆さんそう思っておられます。しかしながらもし実地調査した結果、新しい事実が起ってくればあるいは八百万トンより多くなることもあり、あるいは八百万トンより少くなることがあるかもしれない、調査の結果八百万トンを固執して動かさないという予断をもってかかるのではないということは、新聞記者諸君と会見した際にも、青山博士から明瞭に言っておられます。私も初めのうちは立ち会わなかったのですが、あとでは立ち会っております。
  41. 楯兼次郎

    ○楯委員 私の言うのは、少くともこの前の委員会では、そういう疑惑を一掃してその上に立って払い下げをする、しない、ということを決定をする、こういうふうに私どもはこの席において承わっておる。ところが委員会が閉会になりましてから今日までとられました運輸当局あるいは国鉄当局の態度というものは、たとい、八百万トンであろうと、あるいは千二百万トンであろうと、とにかく断固として払い下げをするんだ、それはあなた方が新聞あるいはラジオ等で言明をなさる言葉に現われておる。それではこの疑惑を解こうとして委員会で論議をされることが無になっしまう。しかも繰り返すようでありますが、重宗大臣は、前の永野さんからまだ引き継いでおらない、よく引き継いでから再検討をするということをはっきりここで言明なさっておる。そういうことであるにもかかわらず、翌日から既定方針通り断固としてやるんだ、これでは私は組合をことさらに刺激をして、自分たちのペースに持っていこう、そういう戦略といいまするか、作戦が行われているとというふうに勘ぐらざるを得ない。組合が怒るのも無理はない。なぜ一歩下って白紙とまではいかないにいたしましても、そういう謙虚な立場に立って疑惑を一掃し、あるいは採掘可能量が最終的には果してどれだけあるかという態度をとらなかったのですか。
  42. 十河信二

    ○十河説明員 払い下げをするという方針は、国鉄といたしましても決定いたしまして、政府の方針もその通りに決定していることであります。その点は変更する意思がないということは繰り返して申し上げてあるところであります。ただ世間で八百万トン、千二百万トンということが、何か非常な疑惑に包まれているというように考えられていると思いますから、その点を実地を調査して、なおこれを確めようということで調査に行った次第であります。
  43. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 ただいま申されました通り、私は当時まだ引継ぎを了しておりませんので、ここで委員会を終ってさっそく引き継ぎに参ったのであります。その結果がただいまそういうようなことになったのでありましょうが、国鉄に対しては一月十日に文書で譲渡を認めまして、現在は八百万トンか千二百万トンかの可採炭量が問題になっておる。そういう点が問題であるので、実地調査が必要であるということを先ほども申したように考えておるのであります。
  44. 楯兼次郎

    ○楯委員 大体八百万トン、千二百万トンといろいろあなたの方で言われますが、千二百万トンはあなたの方の資料によって私は言っておるんですよ。大体国鉄、政府が、三年前に、今までの出炭量を引いて千二百万トンとあなたの方がそういふ数字を出されておる。払い下げの時期になって八百万トンでは、これは国民として納得がいかない、こういうことです。  それから今運輸大臣は、八百万トンか千二百万トンかとにかく調査するとおっしゃいますが、千二百万トン出炭可能であっても、八百万トンとして払い下げるのかどうか。少くともその最終結果が出るまでは、一歩下って白紙の状態で調査をしなければならぬと私は思う。それをとにかくどれだけ結論が出ても払い下げるんだ、そういう態度で調査に臨むということは、組合が怒るのは当然だと思う。どうですか。
  45. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 私はそういうことを考えたことはありませんが、先ほど申しましたように、そういうことで問題があるので、調査をよくしてみよう、調査したその結果を待とうというわけです。
  46. 山田長司

    ○山田(長)委員 関連して。いずれ詳細な数字にわたっては、大臣にも総裁にも決算委員会で伺うつもりでおるのですが、きょうはそういう点でない面だけを一つお伺いしたいと思います。  実は昭和二十九年に、あの炭鉱に縦坑を作られるときに、この縦坑が完成すれば千二百万トンの可採炭量は間違いないのだということで、当時十九億の予算の捻出をしたと記憶しております。そういう点から勘案して、今までの払い下げについての価格がまだ未定であるようではあるけれども、実際から言うと、世間で言いふらされておるのは、価格が一応出ているような印象をわれわれは持っているわけです。そういう点で、今楯君や河野委員の質問等から勘案して、総裁はただ決定している、決定していると言っておるけれども、実際大臣のお話を今総合してみると、そういうことがさっぱり完全に意見の一致を見ていないように思われるのです。そういう点は、一体大臣と総裁との話し合いはどういう点で今までされておるのか、まことに不可解な点があるわけなんです。意見が全く不一致の点があるように感じられるのですが、もう一ぺん、大臣と総裁との意見の調整はどういう点でなされているのか、御答弁願いたいと思います。
  47. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 別に意見の相違はないと私は存じておりますが、そういう問題はまだきまっておらないように考えております。値段の問題とかいうようなことをおっしゃったようでありますが、そういう問題は全然きまっておらないのであります。
  48. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 関連してお尋ねしますが、この前四月二十八日にここで私は決議文を読み上げたのですけれども、その場合には、払い下げの問題は白紙に返すというふうに私は了承しております。出炭量の問題については、八百万トンと千二百万トンの二つに議論が分れておるから、それを調査させるという点についての決議文だと私は了承しております。そうして今払い下げの値段の問題が出ましたけれども、この払い下げの値段についていろいろ世間では誤解があるようです。大体あの志免炭鉱は、霞ケ浦の病院と大船の工場とあの志免炭鉱で、二十九年に八億七、八千万円で買っているはずです。そして今日世間に伝えられているところによると、約十億くらいで払い下げをするのじゃなかろうか、そういうふうなことがいわれておるのですが、一体その財産の評価をどこでやっておるのか、またそういう資料がもしあって、それを基準にして入札されようとしておるのならば、私はその資料をこの委員会にお出しをいただきたい、こう思うのです。一体どういうふうな値段に今日まで持っていかれようとしておるのか。
  49. 十河信二

    ○十河説明員 払い下げ価格について、世間であるいは七億が十億になったとか、十五億になったとか、二十億になったというふうな話が伝えられておりますが、これは全然事実無根であります。運輸大臣と私との間では、払い下げ価格は秘密にすべきものである、払い下げぎりぎりのときまできめないでおこうという話し合いになっております。従って、一度も払い下げの値段を報告したこともなければ、話し合いしたこともありません。払い下げの値段はどういうふうにしてきめるかということの研究は、委員会でやってもらっております。今日炭鉱に直接関係のある財産は一括してホスコルド方式によってやるのが至当である、直接関係のないもので払い下げするものは一つ一つ物件に当って、その時価が幾らであるとか、どの程度にいたんでおるからどの程度値段を引くべきだというふうなことを今計算しております。まだこれだけの値段で払い下げてよろしいという値段はきまっておりません。
  50. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 それなら御注意申し上げておきますけれども、とにかく昭和二十九年に八億六、七千万円で三つが買われたわけです。そのあと、今山田委員が言いましたように、あの縦坑を掘る関係やらで約十億くらいの金が入っておる。さらにまた私の承知しておる範囲においては、あなたの方があれを引き継がれてからモルタルの建物を七つか八つ建てております。そういう関係がありますし、それから縦坑の関係では、わざわざそのために工学博士の学位論文までとるような権威者があって今までやってきたのです。私が前々からこの委員会であなた方に質問しておることは、公正妥当に、一切のことをフェアに、議会が妙な疑惑に巻き込まれないように一つ正式にやってもらいたい、こういうことを申し上げておるのです。  それから、ただいま私は社会党の委員からの質問で非常に驚いたことなんですが、新聞では了承しておりますが、前大臣もあそこの山を見に行こうとしたことがあります。しかし私は、自分の予感からして、ああいう不測の事件が起るんじゃないかと思って、個人的におとめしたこともあるのです。ところが今度の場合には不幸にしてああいう事件が起って、死んだ者が一名、さらにまた非常に大ぜいなるところのけがをした人も出た。私はそういうことの実態を、どういうふうないきさつでああいうふうになったか、警察当局の報告を、この際労働運動なりああいう問題が起った場合にフェアにやってもらう、参考として、幸いにここに柏村君もおるようですから、御報告がありましたら、私はここで報告を聞きたいと思います。
  51. 柏村信雄

    ○柏村説明員 ただいま御質問の趣旨ちょっとはっきりいたしかねておるのですが、警察といたしましては、管理権と申しますか、国鉄当局が自分の管理権に基いて調査をなさるということでありますので、これに対しまして労組側は非常な抵抗をするという、これは言明もしておりまするし、そういうことで、実際に調査をする権限を持っている機関が調査もできない、そしてまた場合によっては暴行傷害等の事態も引き起すおそれがあるというようなことでありますので、こういうものを円満に目的を達成し、また両者の間にトラブルのないように——警察の目的は申し上げるまでもなく不法事案を完全に防止する、また起った場合には最小限度において静めるということが警察の目的でございます。従いまして、それに必要な措置を警察としてはとったという状況でございます。
  52. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 その内容はどうですか。けが人は何人ですか。労組だけ出たのですか。
  53. 柏村信雄

    ○柏村説明員 けが人は、警察側におきまして八十二名、組合員側においても八十数名というふうに聞いておりますが、詳細の点はさらに調査をいたしたいと思います。
  54. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 ちょっと私はこの際お尋ねしますが、志免炭鉱の払い下げの問題をめぐっていろいろ世上に議論が流れておる。しかし今総裁の話によると、価格の点については私と大臣との間以外には話をしておらない、こういうようなお話もあったようでありますが、あなた方のお考え方というものが私は少し解せないのです。もしかりにあなた方の考えていることが客観的に見て正しいことであったとしても、あの周囲の人が町ぐるみ村ぐるみこぞって反対をしておるこの事実についてあなた方が謙虚にどれほどお考えになったか。あなた方自身は当事者としてこれが妥当なりと思っても、第三者である者がこれに対して猛烈な反対をする、これをどの程度あなた方はごしんしゃくなさったか。あなた方も神でない以上はあなた方のやっていることが絶対不変であるということは私は断言することはできないと思う。ともすれば大臣であるとか総裁であるとか官僚たる地位の者が、自分のものを押し通そうとするためには、これに対する妨害があれば権力をもってしても、警察官を使ってでも排除する、そういうような権力一辺倒なやり方ではいけないのです。あなた方が人民に号令するのではない。主権は国民にあるのです。そういう謙虚な姿がどこにあったでありましょうか。たとえて言うならば、運輸大臣のごときに至っては軽率不謹慎のそしりを免れない。あなたは伴食大臣で、ただしてもらったのだからありがたいというならこれは仕方がないが、いやしくも一国の国務大臣として、あなたは閣僚として加判する以上は、永野護君から引き継ごうがだれから引き継ごうが、あなたは大臣としての権威をもってこれは払い下ぐべきものである、払い下ぐべきにあらずという、みずからの信念とみずからの政治家としての責任においてこれを行うべきである。前大臣から引き継いだからこれはやらなければならぬ、これは無定見、無節操きわまる政治家であると思う。そういうことはあなたの新聞談話を見れば明らかです。あなた方のやっていることはもうきめたんだから一定不変である、こういうことはないのです。幾多の内閣においても、閣議できまったことでも取り消したこともあれば変更したこともあります。やはりそれはよく国民の声を聞いて、ほんとうに実際を調査してみて、しかる後に聞くべきものがあるなら十分反省していくことが役人である者の務めです。もちろんこれは政治家にも当てはまることです。あなた方はきめたんだからこれを強行するのだ、こういうようなやり方で事に臨まれるならば、世の中に紛争が起ることは当然です。警察は出動を要請されたから行ったんだ、そうすると、日本の国民同士がなぐり合いをしてけがをして仕方がないじゃないか、そういうことは政治家なりあるいは公けの機関に奉仕する人々の言うべき言葉じゃないのです。あなたほどの人はもう少し謙虚にやらなければならない。かって森烙君のごとき人といえども、塔連炭鉱事件に連坐して幾多の問題を起したことは、日本に古き例がある。国有財産を払い下げるときには三思四思幾たびか考え直して国民に疑惑なきようにすることが当然の道であります。しかるところ、きめたんだからこれをやるのだ、私は繰り返しはいたしませんが、二十九年の行政管理庁の勧告、国鉄経営調査会の答申——なるほど当時は赤字であった、赤字であった志免炭鉱は今日黒字になった、経営事情がよくなっても払い下げなければならぬ、いわく国鉄は輸送に専念するためにこれをするのだ、これも一つの理屈でしょう。しかし一番最初問題が起ったのは国鉄の赤字をどうするか、運賃の値上りその他によって国民の負担にこれがかかってくるのだから、国鉄は本来の業務に専念をして、さようなものは整理しようというのが当時の行政管理庁の勧告であり、国鉄経営調査会の答申であったと私は承わっておる。それを新しき事態がきても、依然として方針が何年にきまったからこれはやるのだ。それではあなた方の考え方というものは、常に世論に耳を傾けるということはない、新しき事態の発生ありといえども、これに対して傾聴すべき誠意を示しておらないと言われても仕方がないのです。私は、この点について世上いわれておる問題は、総裁なり運輸大臣の——そういうことはないと言うかもしれないけれども、世間に伝わっておることは事実です。この事実を目をおおうということはできません。いわんやこの中には自由民主党の諸君もたくさんおるが、自由民主党の中におけるところの人々の発言を見てもさようなものがたくさん散見されるのです。これは危険きわまると私はいわなければならない。政府与党の中においてすらかような発言がいろいろ行われるということは、議会政治のためから見ても私どもは無視できません。そういう観点にあるときに当って、払い下げをいつにきめるのだ、大体どう考えてもあなた方は強行しようとしておる、自分の方針をどこまでも押し切ろうとする考え方を堅持して譲らないとしか受け取れないのです。その考え方は変りませんが、どうですか。もう少しこういう疑惑に対して、あるいは世論に対してもっと慎重に考えて、そして何月何日までにやらなければならぬという方針があるのかどうか。そのことについて運輸大臣なり国鉄総裁の所見をまず伺いたい。
  55. 十河信二

    ○十河説明員 私は何もがんこに固執しておるということではないのであります。問題が起ってから数年間世論に十分耳を傾け、そして国会内の意見あるいは政府部内の意見、政党の意見、各方面の意見を十分聞いた上でそれで達した結論であります。長い間かかって検討してきまった結論に対してこれはよろめいちゃどうもおかしいのじゃないかと思うのですが、何か新しい事実でも起ってあれすればそれは意見を変えることにやぶさかではありませんけれども、私たちは十分に検討してガラス張りで今までずっとやってきておるのです。何もやましいところはないつもりで自分たちは今日まで進んできておるのです。その点は一つ御了承を願いたいと存じます。
  56. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 大臣の答弁を求めますが、総裁に、いつまでに払い下げなければならぬという決心であるかどうか。そのことはどうですか。
  57. 十河信二

    ○十河説明員 六月一ぱいに払い下げの手続を完了したいという方針をきめまして、大臣の御了承も得ております。今のところまだその方針は変えていないのです。しかしながら、さっきからお話のありましたように、組合に対してもでき得る限り説得して、そしてそういう先般起ったような不詳事件が起らないように、ああいうことを繰り返さないようにという努力を今でも続けております。だからあなた方の方でもどうかそれに御加勢を願いたい。
  58. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 私も総裁と同感なんであります。できるだけ早くこういうことは問題を解決することが望ましい、こう考えております。
  59. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 総裁はそのつもりだとおっしゃっても世間でいろいろな疑惑が出て、そしていろいろな問題が提起されておることはあなたも否定しないのでしょう。私は清いのだというだけでそのものを消すということは、今日においては私は不可能ではないかと思うのです。いわんや国会の決算委員長は、あの発言は、あれは田中君個人であるとか、あるいはそういうことはどうであるとかということには、私は国会の権威からいって——国会の常設の委員長です。委員長みずからの発言を私どもは議員としてこれは無視できません。もし田中君の言動が誤まっておるならば、当然そういう国会構成上の重要な役割をなす委員長は罷免しなければならない、解任決議案を出さなければならぬ。しかしそれが事実でありやいなやということはわからない。現実であったならば、私ども国会の常設委員長の言というものは高く評価し、国会の権威のためにもこれを私どもは尊重せざるを得ない。しからずして田中君の言動はうそばかりだというならば、こういう人を国会の権威ある委員長に置くことは議員として断じて許されない私は清いのだ“何もないのだというだけでもって国民がおさまるでしょうか。かりにあなたに何らのやましいものがなかったとしても、そういう提起されておる姿というものはこれは打ち消さなければならない。いわんや個人の持っているものを個人が売るのではない、国民の財産である国有財産を譲渡するという問題については、私が繰り返して言うように、幾たびか幾たびか考え直してでもなおかつ懸念のなからぬようにすることがあなた方の務めである。そのことを私はお尋ねしておる。六月一ぱいには下げるという方針は今変える根拠はないという。あれだけの大きな事件を起したということは、その罪は那辺にあるか、いずれにあるとしても、起きた現実は否定できないのです。そういうことを無視して新しい事実というが、そういうときはよろめくというのではない。正しいことにはよろめいていいのです。警察官職務執行法を政府が下げたのはけっこうなんです。私はそういうことで岸さんが傷つくものでも何でもないと思う。やはり世論に従ってこれを下げたということはりっぱなものであって、悪いことまで強行しようということは、よろめかないということはいいことだという論拠にはならないのです。こういう新しい事態について考える道があるかどうか、考え直す必要はありませんか。その疑惑について、国会を構成する権威ある委員長の発言というものについて、私どもはこれを無視することはできない。そういうものについても、あなた方はそういう疑惑を一掃して、国民の何らの不安なき状態のもとにおいてこれを処理する、こういうように、少くとも冷却期間を置くとか、もっと、あなた方が可採炭量について調査しようとした以上は、疑義あるか、あるいは、そういう輿望にこたえたからであろう。そういうことをしておるときに、六月中に下げるんだ、そういうことはどうしても矛盾じゃないか、論理が合わないんじゃないですか。そうした上においてやはりこれを再三再四調べた結果、不動のものであるからやりますというなら、まだこれは少しはわかる。しからずして方針は変らないのだ、こういうことは世間に対する一つの形式、お義理でしている、そういうことではいけません、これは国民の財産です。そういうことはあなたのような人はもう少し真剣に考えて、この疑惑を一掃するということの誠意を披瀝なさることが必要ではないかと思うのですが、いかがですか。
  60. 十河信二

    ○十河説明員 世間のだれが言い出したか知りませんが、デマによりますと、私は某会社から六千万円金をもらったということになっておるのですが、私は六千万円の金をもらっておるようじゃこんな貧乏していないはずなんです。その事実は私自身が最もよく知っておる。私はこれをどういうふうにして解明するか、だれか裁判所にでも訴えてもらえば、そうすれば私は裁判所で公正な裁判、判決によってこれを明からにすることができるから、そういうことを御存じの方は、どうぞどんどん告訴なり告発なりをしていただきたいということを私は言っておるのです。これ以上に、もらってないという疑惑を解けといわれましても解きようがないのです。どういうふうにして解いたらいいかということを、もしうまい方法があれば、どんな方法でも、私は世論に耳を傾けており、いつでも、数年間耳を傾けて各方面の声を聞いて、その上で決定をして、さらに委員会を作って権威者にお集まりを願っているのです。その権威者の意見を聞いて、もう一度確かめて、慎重の上にも慎重にこの結論に達したのです。それでありますから、私はもうよろめく必要はないじゃないかということを申し上げておる次第であります。
  61. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 今、総裁はあなたのことだけ言われた。私はあなたのことを何も言っておらぬ。世間の疑惑ということは、たとえば、先ほど長谷川君が質問したけれども、払い下げの価格についても、あなたと運輸大臣だけであとは知らぬという。それじゃあなた方が指名されておる三社同士で懇談をして入札した場合どうします。これが一点。さらに世上に流布されておるものは、大体のラインとしてはあるところにきまっておる。A社にきまっておる。B社じゃそれに対して四〇%の石炭をもらって、混炭をして市場に出す。C炭鉱は鉱区をその二つのうちの一社からもらう、これはもう数年前から流布されておる。それは世間のことだから私は知らぬとあなたがおっしゃって、あなた自身が一銭一厘のやりとりはないとしても、そういうことは、ひいては結果的にさようなものが出てくるなら、国有財産を処理したときにおける不手ぎわということが出てくる。あなたは身に一銭もやましいことはないというが、あとから出てきたのであって、国民はぼやっとしておる、それだからわれわれはやっておる。あなた自身の疑惑は、清いからなんだといっても何にもならぬ。あなたがもし教育者であって、あなたの子供が悪いことをしたら世間に対してどうしますか。やはりあなたが清いだけではいかぬ。すべての人に対してそういうことがなからぬようにして、いわんや国有財産というものを処理する場合においてはこのことを考えなければならぬ。そういうことは私は訴えてもらったらよい、そういうことは逃げ言葉です。やはりこういうことはないのだということが明らかにならなければ——ガラス張りだとあなたはおっしゃるけれども運輸大臣と二人だけではガラス張りではない。局長も何も知らない。国会議員も何も知らない。ガラス張り、ガラス張りといっても、二人だけのガラス張りではいかぬ。ガラス張りというものは前とうしろからだけではない、上からも下からも見えるようなガラス張りでなければいかぬ。そういうことは自己満足ではいけない。あなたが清いからといって、ほかに何もないとはいえない。そういうことまで配慮があったらどうか。そういうことを聞かんとしておるのが私の趣旨です。
  62. 十河信二

    ○十河説明員 私のしゃべり方が悪かったからちょっと誤解があるようでありますが、値段がきまっておって運輸大臣と私だけ知っておるというふうに解釈しておられるようでありますけれども、そうでないのであります。値段はまだきまってないのであります。値段はぎりぎりまできめないでおこうじゃないかということを運輸省国鉄との間で話し合ってきめておるのであります。従って七億が十億になったとか十五億になったということはあり得ないことであります。  それから大会社の間で、三井、三菱、住友、この三社の間でいろいろな話し合いがあるというお話であります。そういうことが世間に伝わっておりますから、私は再三これらの大会社の社長さんにお集まりを願って、そういう事実があるかないか、無条件であなた方が願書を撤回しておられる、その間に何かある、こういう世間のうわさがあるが、そういうことがあるかないかということを確かめておる。それらの大会社の社長さんがそういう事実はない、こう言っておられますから、私はでき得る限りあらゆる方面の声を聞いてやっておるのであります。今のようなうわさがあるからわざわざ何回も社長さんにおいでを願って、そのことを確かめておりますから、私はないと確信いたしております。
  63. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 それでは私は重ねて申し上げておきますが、価格についてはきめておらない。しかりとするならば、衆議院の決算委員長は、少くとも五十億以下はびた一文も下らぬ、今、もし伝えられるようなことでいくならば、自動車一台一円で払い下げられる、これは田中君が言っておる。これが間違いならあなたは訴えられる。そういうことになったら、田中君の方が間違ったら、あなたは田中君を訴えなさい。そうして黒白を明らかにする。同時に私は、二大政党のもとにおいて自民党が責任をもって衆議院の決算委員長に推しておる田中彰治が誤まっておるなら議員として責任をとってもらう。当然これは公党の名において何とかとってもらわなければならぬ。しからずして田中決算委員長の言動が正しいとするならば、あなたは責任をとる。このことは私は明確に申しておきます。あなたがだれか訴えてくれればよいというなら、田中君の言動が違っておるならば、あなたが訴えて、そうして黒白を明らかにすることが国会、国民に対する疑惑を一掃する最大の責任であると思うが、所見はいかがでしよう。
  64. 十河信二

    ○十河説明員 私の承知する限りにおいては、田中委員長もそういうことを言ってないように思います。一円というのはあれは払い下げ価格をいろいろなものを、今まで自動車がたとえば備品であった。財産でなかった。それを財産に整理するということになった。そこで何か値段をつけなければ財産整理ができないから、かりに一円とつけてある。売るときにこれを一円で売るとはだれも言ってない。田中委員長もそういうことは言ってない。私はそう承知しております。それでありますから私は別にこれを訴えるとか何とか、そんな必要があるとは思えませんから私は訴えません。
  65. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 関連して、ちょっと一言総裁にお伺いいたします。当局の方では払い下げを強行するということをしばしば明らかにされ、今またそれが明らかになりましたが、さて当局が払い下げを受けるだろうと予定しておるところの会社では、今のような炭量の明らかにならない状態、それから現地があのような紛争をしておる現状においては、われわれは払い下げを受ける意思はないということを明らかにしていますが、今十河総裁意見を聞くと、六月一ぱいに払い下げを強行するようなことをおっしゃっておられるけれども、その払い下げを受けるであろうというその会社のそれぞれの諸君が、申し上げたように、炭量の状態、現地の状態等において、われわれはこれらが解決しない以上は払い下げを受けることはできない、受ける意思はない、こういうことを言っていますが、この辺の点を明らかにして、御存じで、六月一ぱいに払い下げができるというお考えですか。その点一つお伺いしておきたい。
  66. 十河信二

    ○十河説明員 私は現地から帰ってきて、まだ三井、三菱、住友の三社に何ら接触いたしておりません。それはなるべく労働組合との間に円満に話をつけたい、こう考えまして、そっちの方を今一生懸命に話を進めておりますから、それでわざとそれらの会社に接触することを避けておるのであります。それらの会社がどういう気持でおるか、今のところ私は確かには存じません。さようでありますから、会社はどういうふうに考えておるかわかりませんが、今のところ私は六月一ぱいに手続を完了したいという考えを変えていない。しかしながら会社はあるいは今のお話のようなことを言うかもしれない。それは今後会社と折衝してみなければわからないと思います。
  67. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 幾ら総裁が六月一ぱいに払い下げをしようとされても、一番払い下げ価格に重要な関係がある炭量が明らかにならないということを、払い下げを受けようという方では危惧するのが当りまえです。その点が明らかにならぬ。それからあの膨大な従業者の諸君があのような状態であれば、払い下げを受けてみたところで、その紛争それ自体を自分が背負わなければならぬということであるなら、これまた危惧するのは当りまえです。また十河総裁も、炭量も明らかにならない、従業者もあのような状態をそのままにしておるのを、ただ中央で書類の上だけで払い下げをして事終れり、けんかはお前の方で引き受けろ、炭量がどうであるとかこうであるとかいうことは、これは土の下のことだからわからないじゃないか、そういう無責任なことで、一体払い下げが完了できるとお考えですか。これは常識では考えられない。それは老いの一徹というものじゃないか。それでもあなたはこの責任をとることができますか。この点を明らかにして下さい。
  68. 十河信二

    ○十河説明員 大体青山調査委員会委員の中にも、あの調査委員会成立前にたびたび炭坑に入ってみて、実情を非常によく知っておられる方がだんだんおられますので、それらの専門家が現地の専門家、技術家から、図面や数字等で詳細に情勢の移り変りを聞いておられますから、それらの人が専門の方々でありますから、そういうふうに検討をせられれば、それは大体のなにがわかるのじゃないか。八百万トン、千二百万トンという違いは、歩どまりの見込みの相違でありますから、これは買手と売手とによっておのおの判断が違うのじゃないか。俗に山師といわれるくらいでありますから、そういう点はそれはいかんともすることができないのじゃないか、私はそのように考えております。
  69. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 今、総裁答弁されておること、そういうあいまいな考え方で、払い下げを受けようとするものが納得して、何十億の価格になるか、それは私もわからないが、その膨大な金を出して、払い下げを受ける道理はありません。そういうところから青山委員会調査をしても、なおかつ自分らの会社でもそれぞれ調査をして、その検討が一致した数量によらなければ、われわれは払い下げを受けることはできないと言っておるじゃありませんか。それをあなたは御存じでしょうが。そういう状態にあるのになおかつ青山委員会もできない。その払い下げを受けるという方の各会社の調査もできない状態。それで現地の状態はあのような状態。それを六月一ぱいにやろうということは、それはあなたの考えだけですよ。実際上そんなことはできません。だから労働組合の方でも調査をさせないと言っておるのじゃないじゃありませんか。それぞれ調査をしてもよろしいから、調査するについてはこういう状態で調査してくれという要請をしておるでしょう。その要請をいれて調査されて、それから払い下げをするのなら、なおかつ払い下げを受けようという会社がそれぞれ独自の立場から調査をする。その調査の結論が出たところで、初めて払い下げを受けるのが幾らでやれるのかということが出てくるのでしょう。そういう科学的の上に立たないで、それで今度六月一ぱいにやろうとか何とか言うところに無理があるでしょう。そこにまたいろいろな疑惑も問題もある。さっき池田君も言っておったが、これは十河総裁も聞いておられると思う。私は聞いておられると確かに思っておるが、たとえばAの会社が払い下げを受ける。するとBの会社に何億円やるということははっきりしておる。それから出てきたところの石炭の半分はわしのところに分けるということで談合取引をしておるということは明らかになっておるじゃありませんか。何なら私は言うてやります。明らかになっておる。そういうことは十河さんも知っておられるはずだ。そういう疑惑等もあるのだからそういうことを一掃すべきです。それから払い下げのできるような科学的調査の上に立ってどうするのか、しないのか。やはり誠実の上に立ってやるべきじゃありませんか。だから六月にやろうというあなたの考え方はそれは取り消しなさい。そうして青山委員会調査なり、払い下げを受ける会社の調査なり、そういうものを完全にやって、その上に立ってどうすべきか、また価格をきめるべきじゃありませんか。だからあなたの六月というのはお取り消しになるなら私は質問を終るが、あなたが六月をお取り消しにならないなら、私はなお追及して問題を明らかにします。どうです。お取り消しなさい。
  70. 十河信二

    ○十河説明員 先ほども私申し上げましたように、組合と話し合いをつけて、今お話のありましたように、組合でもわれわれの考えを了承してくれて、現地を調査することに協力をしようという傾向にだんだん進んでおるのであります。それゆえに私は組合の了承を得るように、組合が納得してくれるように、そちらの方を今せっかく努力しておるのであります。その方が片づきましたら、それから払い下げの会社の方へもその接触をいたしまして、どうするか、いつまでにやるかということをきめたいと思っておるのであります。今のところはさきにきめたなにをまだ変更してないけれども、それまでにそういうことができるものと見込みをつけておるというだけのことでございます。
  71. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 そうすれば労働組合の方とで調査協力のできるという組合の案をいれて調査を行うということについては、総裁はこだわらないでお互いの話し合いの上で解決しようというお考えですか。それでその調査等が完成して、初めて十分払い下げができるのかできないのか、その後に至って、その日にち等の問題なども、自分は考える、こういう意思ですか、どうです。
  72. 十河信二

    ○十河説明員 大体中央においては、組合とわれわれとの間でほぼ意見が一致するところにきておるのであります。それゆえに私はそう長くはかからぬのじゃないか、従って予定の通りいけるのじゃないかというふうに見込みをつけておるということを申し上げておる次第であります。
  73. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 その六月強行ということが非常に、たとえば現地調査の上においても、あるいはまた疑惑等の上においても、これが問題になるわけであるから、そこで調査の上についても、組合ともお互いに話がついて調査をやらす、それからさらに、さっきから私が言っているように、今の調査の状態だけでは、払い下げを受けようという会社が入札に応じないと言っているのですから、従ってあなたが幾らやると言っても、片方は海のものとも山のものともつかないものには応じられぬと言っているのですから、応じられるようにしなければ払い下げはできませんよ。従ってその上に立って考える。六月ということについて、自分はあえてこだわるものではない。——あなたがこだわるということになると、問題がおのずから残ってきます。こだわらないというところに私はすなおな問題が出てくると思うのですが、どうです。その点はあくまでこだわりますか。
  74. 十河信二

    ○十河説明員 私、幾らがんこでも、入札をしないというものを、させるわけには参りません。それはどうもやむを得ないです。ただ、今の見込みは大体それでできるのじゃないかという見込みをつけておるということを申し上げておるのであります。
  75. 山田長司

    ○山田(長)委員 ただいまの総裁のお答えを聞きますと、いかにも組合の中央部と話がついたよらな御意見のようですが、実は昨日組合の人と会ってみると、まだ全然話がついていないようなことを伺っております。そういうことを勘案してみますと、何か組合の分裂作戦でもあなたはとっておるような印象をわれわれは受けるわけです。今までの話を聞いてみますと、総裁がいろいろな疑惑があるならば、訴え出てもらいたいというような意向のようですが、あなたはなぜそれなら昨年の十月に大道無門という雑誌に——これは文京区関口台町二十三番地で発行されている時代思潮社の雑誌、執筆者は大庭秀雄という人ですが、あなたにも会っているという。公邸において受理された六千万円の問題について、じかに会って質問をしても明確には答えなかったけれども、とにかくあの顔の色から推して受理されていると思われる、こういうことを雑誌に書いて、大量印刷されて、これが各地に頒布されているわけです。こういうことが疑惑のもとをなしているものとわれわれは思うわけです。そういう点で総裁が訴え出てもらいたいというのじゃなくて、総裁みずからがこの雑誌を見ていないはずはないはずです。なぜみずからこれを訴え、当面の衝に立ち向ってやらないのですか。こういうことはおそらく国民の大きな疑惑を持つ原因になると思うが、どうです。
  76. 十河信二

    ○十河説明員 不幸にして私、その雑誌を見ておりませ。見ておりませんが、その雑誌にどういうことが書いてあっても、私はそれをそう気にする必要はない、さように考えております。
  77. 山田長司

    ○山田(長)委員 雑誌にどういうことが出ようが、新聞にどういうことが出ようが、あなたは気にしないと言っているけれども、これがやはり世論を作ると思う。だから一つ一つ処理すべきものはどんどん処理していって、しかる後に公明な立場に立ってこれを処理するんだということにならないと、——なおこの執筆者は当時の運輸大臣に会っている。運輸大臣は明確にこれに答えているということを実は大庭君がテープ・レコーダーで出しております。天下の世論を巻き起すような事態が一部にあるわけですから、そんなものはかまわないというならば、あなたはある人から見ればやはり事実であるから、これはかまわない、こういう見解をとられると思うのですが、どうです。
  78. 十河信二

    ○十河説明員 そういう世間のいろいろなことを一々気にして訴えておった日には、もう何十、何百という訴えを起さなければならぬ。私はそういうことに神経を使っておりません。
  79. 山田長司

    ○山田(長)委員 先ほど池田委員から、決算委員長の田中氏の言葉について総裁はどういう考え方を持っておるかということをただされましたが、総裁自身が何か武内礼蔵氏かなんかがこの払い下げを希望したときに、田中氏が中に入っておってそれを断わったことによるものであるというようなことが新聞に出ておりました。こういうことで総裁と田中委員長との対決をいずれしてもらわなければならぬと思っているわけです。たまたま昨日の朝刊を見ますと、福田幹事長が中に入って十河総裁と田中委員長と会談をするというようなことが新聞に出ておった。その結果、きのうの決算委員会理事会では、一応十二日前に総裁と田中委員長と会われては困る、こういうことできのうの理事会の結論が出たはずですが、やはり国民には解けずにおる問題として、田中委員長とあなたの論議というものが一応まだ残っておる状態のときなんです。その点について福田幹事長が仲裁の労をとるつもりかどうか知りませんが、田中委員長と十河総裁との会談は十二日前は見合してもらいたいと思う。一応このことを恐縮ですが明確にしておいていただきたいと思う。
  80. 十河信二

    ○十河説明員 私はそういう話を一向存じません。
  81. 山田長司

    ○山田(長)委員 存じないということではない。新聞にそう出て、福田幹事長が中に入ってといわれておるから、もし十二日前にその問題が出たとするならば、これを避けておいてもらいたいということを希望しておるのです。
  82. 十河信二

    ○十河説明員 だれがどういうことを言ってくるかわからぬ、どうするこうするということを一々お答えできないと思います。
  83. 山田長司

    ○山田(長)委員 だれがどういうことを言ってくるかということではないのだ。福田幹事長が言われてきた場合に一応避けてもらいたいというのです。あなたと田中委員長との論争は新聞に出ているわけです。その出ている最中に福田幹事長が中に入って、総裁と田中委員長とどっかで会談をすればますます疑惑が深くなるばかりです。それから委員会としてもこのことについて——この委員会でなくてほかの委員会であっても、一応会談をしたということになれば、疑惑がますます深くなって、いずれ田中委員長とあなたの対決をしてもらわなければならぬと思っているのですが、そのことはうやむやになってしまう危険があるわけです。だから福田幹事長のあなたに対する両氏対談の申し出がもしあった場合には一応避けてもらいたいと希望するわけです。どうです。
  84. 十河信二

    ○十河説明員 私は今、田中委員長と対談をするつもりはありません。ありませんけれども、どこで田中委員長と出っくわさぬとも限らない。それを対談をしたというふうな疑惑を起されると困りますから、だからそういうことの私の行動について、将来どういう人とどこで出つくわさぬとも限らぬのですから、今から出つくわしちゃいけな  いとかいうことをおっしゃられてもちょっとそれは困りますから、その点はお約束をいたしかねます。
  85. 山田長司

    ○山田(長)委員 私の聞いておることは、福田幹事長が中に入って三者会談をすることを十二日前は避けてもらいたいということを言っておるのです。今私が申し上げておることは、どこでどうなるというばく然とした先に行っての話じゃない。どうですか。
  86. 十河信二

    ○十河説明員 今申し上げた通り、私はそういうことをする意思はありません。しかしながらこれをお約束して、そうしていろいろまた疑惑を起されても困りますから、そういうお約束はいたしかねます。
  87. 塚原俊郎

  88. 河野正

    河野(正)委員 先ほど再三再四総裁からも大臣からも、もうすでに政府で払い下げをするということは決定されておるのだという言葉が使われておりましたが、このことはきわめて重要な問題でありますし、しかも先ほど大臣からも永野前運輸大臣との事務引き継ぎが終ったということでありますから、私はあらためてその辺の御所信を伺っておきたいと思います。それは今日まで政府で志免鉱業所の問題についてどういう決定が行われておるのか、これについてどの程度の御理解があるのか、その辺をまず承わっておきたいと思います。
  89. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 ちょっと先ほども申したようでありますが、この問題は一月十日の処理によって考えております。
  90. 河野正

    河野(正)委員 もちろん一月十日の方針書が出されたことは天下周知の事実でございますから問題ありませんが、その内容というものはどういう内容であるかということについて、大臣がどの程度の御理解をいただいておるのか、その辺の事情をお聞きしたい、こういうことです。
  91. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 あれ以外はないのであります。分離する、そして譲渡する場合には云々とあるだけなんでありまして、それ以上考えておりません。
  92. 河野正

    河野(正)委員 一月十日に出されました分離承認書の内容なり精神については重大な問題ですから、これが今日重大なポイントになっておるのですから、それで永野前運輸大臣からも詳細に事務引き継ぎを受けられたと思いますが、この中には明らかに分離という方針を了承するということが明記されておりますことも、すでに御承知の通りだと思います。大臣はしばしば——国鉄総裁も、払い下げの方針決定されておるのでその精神に従って進めて参りたいというようなことでございますが、いわゆる払い下げと分離ということが同一のものであるかどうか、そのことはきわめて重要でございますし、永野運輸大臣の一月十日の分離承認書の発行に当っても、その間の事情が私どもに対しましても詳細に示されております。その間の食い違いがあるのかないのか。少くとも今日の議会政治というものは連帯責任の上において行われておる政治でございますから、従って前運輸大臣の出されました一月十日の承認書という点については、当然私は現大臣が継承しなければならぬということになるかと思いますが、その間の点についてどういう御理解があるのか。さらに一つ御所信を承わっておきたいと思います。
  93. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 あそこにございますように、分離という問題は譲渡ということを意味するというように考えております。
  94. 河野正

    河野(正)委員 私の聞いておるのは、譲渡と払い下げとは同一ですかどうですかということです。
  95. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 競争入札という言葉が書いてあります。譲渡する際は競争入札によって行うということになっておるのであります。
  96. 河野正

    河野(正)委員 譲渡の方法としては競争入札によるほか云々ということになっておる。譲渡の方法競争入札である。ところが要するに分離方針というものは民間払い下げであるのかどうか、こういった点を大臣にお尋ねをしておるわけです。
  97. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 先ほども申したように考えております。前大臣のお考えもいろいろあり得るということであったのでありますが、どこまでも自分としては一月十日の文書通りにやっていきたいという考えなのであります。
  98. 河野正

    河野(正)委員 それはわかりますが、分離方針ということはどういうことを意味するのか、そういうことをお尋ねしておるわけです。
  99. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 前運輸大臣の言われました分離という意味には、今申しましたようにいろいろな公団案とかそういうものが考えられるということであったように聞いておりますが、そのことについて引き継ぎのとき別に問題もなく、一月十日の文書とただいま申しました通りにやっていこうということを前運輸大臣と引き継いだわけであります。
  100. 河野正

    河野(正)委員 まことに恐縮でございまするけれども、ただいまの答弁では理解できませんのでもう一度お尋ねいたしますが、要するに一月十日の分離承認書通りにやっていくということはどういうことをやられることですか、こういうことをお尋ねしておるわけです。
  101. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 それは「分離にさいしては、指名競争入札の方法による外、譲渡の方法等について十分慎重を期し、」と書いてあるのでございます。特に所属職員の処遇については、円満にやっていこうということが書いてあるのでございますから、御承知の通りだと存じております。
  102. 河野正

    河野(正)委員 その文書の内容については、私どもも一月から今日まで半年も検討しておるのですから、大臣が申されるまでもなく十分承知をしておるわけです。ところが分離の方針が了承されてその承認書が出されたわけですが、その分離ということはどういうことですか、こういうことを言っているわけです。方法としては競争入札その他がありますよ。
  103. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 指名競争入札の方法ということは、民間に払い下げ以外のことは考えられないという意味であるのであります。民間に払い下げる以外は考えられないことである。
  104. 河野正

    河野(正)委員 まことに恐縮でございますけれども、ただいまの私の質問の表現が悪かったのかもわかりませんが、必ずしも私の質問の通りに御答弁願っておらぬようでございますので重ねて質問いたします。方法等については競争入札その他があるでしょう。そういう方法によるということでございますが、その基本になる分離ということはどういうことを意味するのですか。分離ということがはっきり理解されずにいろいろやっておられるということについては非常に重大だと思う。そこで基本的な分離という方針を了承する、その分離ということはどういうことを意味するのですか、大臣はどういうふうに御理解になっていらっしゃるのですかということをお尋ねしているわけです。
  105. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 国鉄経営から離すということ、指名競争入札により譲渡する、分離にもいろいろあるでございましょうが、この場合の分離というものは、ただいま申しましたような指名競争入札による譲渡ということであります。
  106. 河野正

    河野(正)委員 どうも再三四再質問を重ねて恐縮でございますけれども方法としては競争入札その他があるでしょう。しかしその方法の前の分離ということはどういうことですか、そういうことをお尋ねしているわけです。     〔「解釈上の問題だから、はっきり答弁したらいいじゃないか、自分の解釈通り明らかにしたらいいじゃないか」と呼ぶ者あり〕
  107. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 分離とは国鉄経営から切り離すという意味でございます。国鉄以外のものにまかすという意味であります。
  108. 河野正

    河野(正)委員 そこで私がさっきからいろいろ御質問をいたしておりまする問題点も出てくるのでございますが、ただいま最終的にやっとおわかり願って大臣が御答弁下さいましたように、分離とはなるほど国鉄経営から切り離すことである、それには永野前運輸大臣からも言われましたように公社、公団方式もございましょう。あるいは民間に譲る場合もございましょう。そこで先ほどから、十河総裁や大臣は実に簡単に、民間払い下げが決定されておるので忠実に実行するのですとおっしゃるけれども、少くともいわゆる省内で決定されたことは民間払い下げが決定されておるわけではないのです。分離ということが決定されておるわけです。そこでこの一月十日の分離承認書が出ておるから、それを実現するということがあたかも民間払い下げだ、こうおっしゃるけれども、これはいやしくもただいま大臣が答弁されましたところによりますと、この一月十日の分離承認書の意思に反するということなんです。そうすると私は、大臣がそのような理解のもとでこの問題を今後進められることにつきましては、これは非常に重大な問題があると思う。しかも現地においては一名が死亡し、二百数十名が血を流さなければならなかった。しかも国民が国民の財産として、国有財産として非常に大きな疑惑を持っておるその中で、しかも今のような理解のもとで今後この問題を推進されるということは、私どもは単に野党だとか社会党だとかそういう立場ではなくて、国民の名においても許すことはできない。いかがでございますか。
  109. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 いろいろと申しましたが、分離という言葉は国鉄経営から離すということでありますと同時に、この場合には文書通り指名競争入札にする譲渡の意味であります。指名競争入札ということは民間に払い下げることであります。こう解釈しております
  110. 河野正

    河野(正)委員 大臣は、すでに今日までこの志免問題については三カ年有余の間運輸委員会、決算委員会、予算委員会等で審議をされた、そこで少くとも国政審議を尊重する、国会を尊重する、そういう建前から、当然今日までの審議内容については十分耳を傾けなければならぬと思う。しかも永野前運輸大臣はこの権威ある運輸委員会の席上においても、分離ということは国鉄経営から引き離すことであって、即民間払い下げを意味するものではございませんということを明らかにされておる。そういたしますと、今大臣がここで勝手な解釈をして、今日まで進めてきた一方的な民間払い下げを推進する裏づけにしようということになるとするならば、私は少くとも今日の大臣はこの国会審議、国政審議を蔑視したり軽視したりする意図がはなはだしいといわなければならぬ。そこで私は少くとも今後の問題については国政審議の内容なり精神なり、そういったものをもう少し十分理解をして処理してもらわなければならぬというふうに考えますが、いかがでございますか。
  111. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 仰せの通り十分審議しなければならぬと私自身も考えました。しかし永野さんとの引き継ぎにおきまして、やはりこの指名競争入札というものは譲渡を意味するものであるということについては一致した考えであったということを申し添えるものであります。
  112. 河野正

    河野(正)委員 これは私が言うのではなくて国会の議事録に残っているわけですよ。私が一方的にそういう所見を申すのではなくて、すでに国会の議事録の中に明らかに残っている。それですからその永野さんの委員会における発言は今日も生きている。そうすると結局現大臣と前大臣の意見が一致したということにはならぬでしょう。大臣は就任日浅く、国会でもこの問題についてさんざん審議する機会が少かったということで、大臣がこの問題に対してある程度認識が浅かったということについては私は了解いたしますが、少くとも今日そういう意見が出てきたのですから、そこでそういった問題を解決する努力を今後行う。これがこの問題の少くとも核心になっておりますから、従ってそういった問題が明らかになり解決されるまでは今後の一切の作業を中止してもらいたい。いかがでございますか。
  113. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 私はただいま仰せられましたことについて十分自分自身として検討しておったのであります。その他についていろいろと考えますことは、永野さんの━━━━━であったと考えられる節があるのであります。そういう意味でただいま私が申しますことは、今後は指名競争入札には……(「それは言い過ぎだよ、委員会での答弁は━━━━━ではないのだ」と呼ぶ者あり)そうであろうと思いますが、どうも━━━━━━━━━があったような節もある。
  114. 河野正

    河野(正)委員 今の大臣の委員会の発言というものはきわめて重大だと思うのです。もし大臣がこの委員会において発言したことが━━━━━である、そうすれば今後われわれは大臣の発言に対して全く信頼することができぬ。このことは非常に重大です。
  115. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 ただいまのは確かに間違いと存じまするが、━━━━━━━━━━━を持って、おられたようであります。
  116. 塚原俊郎

    塚原委員長 速記をやめて下さい。     〔記速中止〕
  117. 塚原俊郎

    塚原委員長 速記を始めて下さい。
  118. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 委員会で発言された永野前運輸大臣の御発言は━━━━━とは別問題で、私の言葉が足りなかったようでございますから、ただいまの言葉は取り消させていただきたいと存じます。
  119. 河野正

    河野(正)委員 そういたしますと、ただいまいろいろな新しい意見が出てきたわけでありますが——私は新しい意見とは思いませんが、少くとも大臣にとっては新しい意見でしょうが、そういう意見が出てきたので、そういったいろいろな疑問が解明されるまでは今後の作業は一切進めない、この点についてはいかがですか。
  120. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 その通りであるようでありますが、とにかく国鉄が今話し合いをなさっておる状態であります。運輸省はそれを期待して待っておる状態であります。(「さいぜんやる方針だと言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、それはおやりになることに対してもちろんそうであります。けれども、今話し合いを続けておられますので、その結論の出るのを運輸省は待っておるという状態にあるのであります。
  121. 河野正

    河野(正)委員 状態じゃない。今日国鉄当局がいろいろ話し合いを進めておるのは一月十日の分離承認書に基いて話を進めておるわけですよ。ところが一月十日の分離承認書の解釈の仕方においてお互いに食い違いがあるとするならば、当然一月十日以後の作業というものは中止しなければならぬ、こういうことでしょう。そうならなければならぬじゃないですか。——官房長、黙っておって下さい。
  122. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 ただいま申しました通りでありまして、その後、今国労と当局とのお話し合いが進行中でありますので、運輸省としてはそれを期待して待っておる状態なのであります。
  123. 河野正

    河野(正)委員 大臣はとにかく就任後日は浅いし、本委員会の審議に参加された機会も少いので、多少無理もないことは認めます。認めますが、私どもはさらに詳細にいろいろ今日までの委員会の審議の経緯その他を申し上げておるわけでありますから、この点については十分尊重してもらわなければならぬと思います。そこで、重ねて申し上げますが、そもそも今日民間に払い下げようという作業が、少くとも一月十日の分離承認書が運輸大臣から国鉄総裁に渡されて以後いろいろ進められてきた。ところが、もともとその核心である一月十日の分離承認書の内容そのものに対していろいろ見解の相違がある、理解の不一致があるということになるとするならば、当然その間の意見の調整をして、それを中心として作業を進めるべきである。これは常識ですから、私の話は筋が通っているでしょう。そういう内部調整がつくまでは一切の作業はストップさせなさい、こういうことです。意見の調整がされれば別ですよ。
  124. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 言い方が違っておりますが、一月十日の文書の解釈については異議がないのであります。(「異議があるのだ。あなたは今取り消したでしょう」と呼ぶ者あり)一月十日の文書のように進めることが——国鉄がそれを進めてくれることを期待しているわけであります。
  125. 河野正

    河野(正)委員 一月十日の分離承認書の内容について理解の不一致がないとおっしゃったが、先ほど大臣は何とおっしゃったですか。もし前運輸大臣がそういう答弁をしたとするならば、それは前運輸大臣━━━━━ですとおっしゃったじゃないですか。ということは、われわれ一歩下って、━━━━━だとしたところが、これは前運輸大臣がそういう発言があったということは事実でしょう。そうすると、今鉄監局長かどなたかが書いたメモを読まれたかどうかわかりませんけれども、そういうことにならぬでしょう。あなたのおっしゃることは支離滅裂していますよ。
  126. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 前大臣が仰せられたのは、そういう考えもあり得ると言っておられるようですね。そういう意味から先ほどから申しておるのです。あり得るという……。
  127. 河野正

    河野(正)委員 あり得るということはあるんでしょう。
  128. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 あるということじゃないと思います。
  129. 塚原俊郎

    塚原委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  130. 塚原俊郎

    塚原委員長 速記を始めて下さい。
  131. 重宗雄三

    ○重宗国務大臣 再三再四同じよらな質問を重ねて私は恐縮だと思いますけれども、しかし大臣から適切な答弁が願えないので、これはやむを得なかったんですが、もうすでに再三再四同じような答弁を繰り返して、大臣もあらあら御承知を願っているようなことで、われわれはそういう答弁では理解するわけには参らぬし、また大臣も本意じゃなかろうと思うんです。一々うしろから、横から、斜めうしろからメモをもらって答弁するようなことでは、私は大臣も本意じゃなかろうと思うんです。そこで、恐縮な言葉でありますけれども、もう一度じっくり運輸委員会の審議状況、内容等について勉強願い、そうしてもう少し自主性のある答弁をしていただく、こういうことで、大臣に対しますこの点についての質問は留保いたします。
  132. 塚原俊郎

    塚原委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時十分散会