○久保
委員 同僚議員の
質問でちょっとわかりにくいところを大臣にお尋ねしたいのです。今の天野
委員の
最後の御
質問のガソリン税の今回の値上げということは、巧妙なすりかえ——
運輸大臣の立場から、今の御
答弁でそういうすりかえはあまり好ましくないようにお考えだと思います。実際は私鉄業者のガソリン税値上げに対する反対を押えていくという
一つの布石ではないだろうか、こういう
見方も、うがった
見方ですがございます。そういう
見方は別としても、今回値上げしようとするその増収分に対しては、
先ほど来いろいろ
お話がありまして、安全運転、いわゆるサービスの向上というところに重点を置くというのだが、ガソリン税の値上げ等が今後確実に行われるということになりますと、私鉄
経営の中で占めるこの税金が大へん多いと思うのです。そういたしますと、
運輸大臣が今許可しようとしておる運賃値上げ分はガソリン税の方へいって、ガソリン税は道路の修築に使う。そうしますと、私鉄を利用する利用者大衆はちっとも自分の——
先ほどからの
運輸大臣の
お話を私は脅迫にとっているのですが、
運輸大臣の
お話は、安全運転ができない、危険な
状態にあるからそれで値上げするのだ、こういうことでありますが、危険な
状態はそのままで値上げされていくという、こういう問題が出てくると思うのです。極端な例かもしれませんが、あなたも極端な例を引くから私も極端な例を引いたのですが、こういうことでは利用者大衆は納得しないと思うのです。こういう点について、はっきりした今後の私鉄
経営のあり方、そういうものを着実に考えることが必要ではないだろうか。これは値上げを前提にして申し上げるのではなくて、今までの御
答弁の中では、そういうふうに持っていかれる危険が多分にあるということです。たとえばあなたのように値上げを是認しようという立場であっても、それは大衆を欺滿するものであるということになると思うのです。それからこの運賃値上げの問題は、私鉄、
国鉄にかかわらず、まず第一に
経営全体の問題ということと、利用者に対するPR、この二つに尽きると思うのです。
先ほどから出てきた問題はこの二つだと思うのです。まず第一にPRの問題ですが、あなたは
先ほどの御
答弁で、
会社経理の内容を真剣に検討して、反対を叫ぶ大衆は皆無にひとしい。こういうことをおっしゃられましたが、これは利用者大衆に対する、極端な言い方をすれば侮辱だと思うのです。というのは、なるほど
運輸大臣に対しては、私鉄
経営者は膨大な資料と努力を使って今日までその経理内容のPRをしたでしょう。しかしながら今まで
ほんとうに私鉄が、自分の
経営が自分が乗せて歩く旅客あるいは荷主に対して
ほんとうの奉仕の精神から出ているとするなら、
運輸大臣に訴える前に利用者大衆に訴えるのが
ほんとうだと思うのです。ところが残念ながらいまだかつてございません。わずかにあなたが大臣になられて、特別国会の直後どこかへ遊説に参られたときに、初めてあなたは
先ほどからの御
答弁の中にある運賃値上げの問題を言い出した。それから今度は帰ってきて閣議の中でそれを打ち消され、あるいは参議院選挙があるからそのあとにしようかという話があったり、最近ではいよいよ年末二十六日ごろにやるのだとか、そうじゃなくて一月ごろに持ち越すのだとか、閣議の中で時期は別途考えなければいかぬということになった。なるほど社会党の政審会に
お話をするのがまだできなくてという言いわけはありました。しかし、われわれの方へおっしゃる前に利用者大衆に私鉄
経営者がなぜ率直にそういう危険な
状態にあるならあると訴えなかったか。あなたの口からいつ何日という言明はございませんが、こういう新聞情報によればもう遠からない暁に、あなたは裁断を下して値上げしようとしているこの際、大衆が経理内容を知らぬ、これは考え直してもらわなければならぬことだと思います。そういう手順を踏んで、真に私鉄
経営が危険な
状態にあり、
経営全体も、それは乗客の面からいっても当然値上げだという結論に到達するならば、あえてわれわれは反対いたしません。さらにもう
一つ、反対するかしないかのポイントは
先ほども
質問の中にありました物価全体の問題、というよりは
国民生活全体の問題だと思います。ところが今までの
お話はおおむね私鉄
経営そのものだけにとらわれて今日まで論議し、構想を練られてきたと思う。非常に残念だと思います。これはまだこれから値上げするかしないかおきめになると思いますが、お考えのほどは大体わかりましたが、少くともおやりになるならなるという立場もあるでしょうが、そういう
一つのルールをとり、手順をとってやらなければいかぬたろう。さらに
先ほど館
委員の御
質問に対する御
答弁で、
会社の配当も再検討の要があります。さらに私鉄
会社の事業全体、いわゆる付帯の事業を含めた事業全体の
経営の再検討の要がございます。これはこれから検討してそれをはっきりしたい、こういうことですが、結局大衆にPRする場合に、この
会社経理の問題あるいは事業全体の問題を真に
運輸大臣として検討して、これはこうあるべきだというふうに結論をつけられないで、今までの御
答弁の中ではどうもそういうように分けられて、これから値上げは値上げで、今までの検討の結果やって、これから配当のことも考えましょう、こういうことであります。私は
会社の株主、それから利用者、
経営者、この
三つが集まっての
一つの事業であり、
一つのサービスだと思います。そうすれば今までの値上げは、なるほど今の資本主義を基調にした
経済下においては一割三分もやらなければそれは資金が集まらない、こういうことかもしれませんが、一割三分が妥当であるかどうかについても
運輸大臣そのものも疑問に思われていると思う。われわれも当然思っております、といって配当がゼロであってその
経営はいいのだというような極端なことをわれわれは今考えておりません。だからここは結局
経営者の立場で利用者にだけかぶせるという考え、これがどうかと思う。だから、むしろ今御検討願うとするならば、私鉄の運賃値上げを検討するとするならば、この配当問題、
経営全体の問題、そして利用者、こういう二つの面から考えて、両方にしわ寄せするならするということじゃないかと、理屈の上から私は思うのです。その手順が
一つもとられておらないように残念ながら今までお聞きします。それで結局
運輸大臣の
お話は次の一語に尽きる。脅迫なんです。結局、いつ事故になるかわからぬ、だからこの際運賃値上げをして設備を改善するのだ。なぜそういう
状態に今までほうっておいたか。監督官庁としてなぜほうっておいたか。なるほど
先ほど脳溢血の病気の話をしました。あした事故が起るかもしれない。そうすると必ず運賃値上げができません。そのときに私鉄
経営者は何と言いますか。運賃値上げができなくて設備が老朽化して、その結果こうなったということで、今度は盛んにPRすると思います。こういうものを許すことは私は断じてできない。だから、
ほんとうにあなたがおっしゃる
通り危殆に瀕しておるというならば、危殆に瀕しておる実態をわれわれにも、あるいは
国民大衆にも知らしてほしい。知らせないでおいて、配当はそのまま、事業形態はそのままで、
運輸大臣だけはなるほどと御了解になって、少くとも値上げしなければいかぬという結論をまじめにおつけになっても、何かガソリン税などの値上げにすりかえられたら、あるいはこれはうがったあまりいいうわさじゃございません、これはうわさですから気にとめないでもらいたいが、運賃値上げは、参議院選挙もあることだから、何か便利だろうといううわさも流れておる。そういうふうにもとられる。それは清潔な
運輸大臣のことではないでしょう。これは政党全体としても問題がありますので、慎重に検討されていくべきだと私は思います。
答弁は別にいただかなくともいい。ただそういう点を御注意いたたいて、
最後に
委員長に申し上げますが、私鉄運賃値上げについての全体の資料をわれわれに提供してほしい。どういう論拠があるのかわからぬ、新聞だけでは……。