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1958-10-23 第30回国会 参議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月二十三日(木曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   委員の異動 本日委員平井太郎君辞任につき、その 補欠として江藤智君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     永岡 光治君    理事            大谷藤之介君            松岡 平市君            矢嶋 三義君            竹下 豐次君    委員            江藤  智君            佐藤清一郎君            苫米地義三君            堀木 鎌三君            増原 恵吉君            松村 秀逸君            伊藤 顕道君            藤田  進君            八木 幸吉君   政府委員    国防会議事務局    長       廣岡 謙二君    防衛政務次官  辻  寛一君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁装備局長 小山 雄二君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    防衛庁航空幕僚    監部幕僚長   佐薙  毅君    防衛庁航空自衛    隊航空隊司令    空将      源田  実君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査の件  (航空自衛隊次期主力戦闘機の機  種選定に関する件)   —————————————
  2. 永岡光治

    委員長永岡光治君) これより内閣委員会を開会いたします。  本日平井太郎君が委員を辞任され、後任として江藤智君が委員に選任されました。以上御報告いたします。   —————————————
  3. 永岡光治

    委員長永岡光治君) それでは、これより議事に入ります。  国の防衛に関する調査を議題といたします。航空自衛隊次期主力戦闘機機種選定に関する件につき、前回に引き続き、調査を進めます。  本日は特に説明員として、航空幕僚監部幕僚長空佐薙毅君、航空自衛隊航空隊司令空将源田実君、技術研究本部開発官空将補盛義夫君、及び航空技術関係者として、航空幕僚監部技術部技術第一課長一等空佐高山捷一君の出席を求めております。ただいま出席されておりますのは、辻政務次官門叶官房長説明員として佐薙航空幕僚長出席されております。  それでは主として説明員に対する御質疑を願うことにいたしまして、御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 佐薙説明員に二、三お伺いしますが、昨年の五月防衛庁の要請で、在日米軍事顧問団から新戦闘機種について説明が行われたと思うのです。F—100、102、103、104、105、106とN—156Fと、こういうふうな機種についていろいろ説明があり、結論としてF—104Aが日本の防空に最適であろう、そういうふうになったと聞いておる、その点の真相を一つまず承わりたい。
  5. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 次期戦闘機につきましては、一昨年ごろから、いろいろ研究を始めておりましたが、いろいろ新しい戦闘機につきまして、詳しいことにつきましては米軍軍事機密事項が多うございまして、われわれなかなか入手することができません。それで米軍にいろいろの機種について、差しつかえない範囲において、いろいろ比較できる要素を説明してもらいたいということを、かねて航空幕僚監部から申し入れをしておりました。連絡はしょっちゅう米側としておりましたので、昨年の五月のなかばごろと記憶いたしますが、米側から差しつかえないだけの資料説明するということで、幻燈で各機種につきまして比較したものを説明してくれました。これはまだ当時機密程度は高うございまして、われわれが期待いたしたほど詳しいデータでなくて、きわめて簡単なものであって、そうしてこれは筆記してもらっては困る、ここで幻燈で見せるだけであるということで説明を受けました。これは各機種についての比較を簡単に説明を受けただけでございまして、米側から、特にどの飛行機を採用するようにとかどうとかということは一切ございません。われわれの知識を、ただ新聞とか雑誌とかで得ている情報でなくて、米軍資料として差しつかえない範囲において、一応、当時われわれが候補に考えておりますような飛行機比較をしてもらいたいということで、説明を受けたような次第でございます。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そのときの防衛庁側出席者は当時の増原次長、それとあなたも出ているわけですね、そういう方であったと思うのですが、そのほかにどういう方が出たか。それから顧問団側としては、空軍部長ハーディ准将以下数名が出られた、こういうふうに承知しているわけですが、その点詳細に承わりたい。
  7. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) もともとこの説明を受けますのは、航空幕僚監部の方から米顧問団空軍部の方に依頼してございまして、当日出ましたのは、私、それから航空幕僚監部で当時の防衛部長あるいは防衛課長が出ておりましたが、そのほかあと一、二名おりましたかどうか、詳しいことは記憶がございません。それから増原次長も、よく顧問団に定期的には行っておられまして、この席にもたまたま出ておられました。あともう一人、防衛関係でだれか一人おったと思うのですが、詳しいことは今記憶しておりませんが、その程度でございます。それから顧問団側は、空軍部長ハーディ准将以下二、三名の者がおりました。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 その際、米の実戦部隊である極東空軍は、F—100がよろしかろう、そういうような推薦があり、それから顧問団としては、F—104がよろしかろう、そういうような意思表示があった。そこで防衛庁としては、F—100にするか、F—104Aにすべきか相当迷ったけれども、その後米軍が統一的な考えをもって、結局F—104Aがよろしかろう、そういうことで推薦があったと聞いているわけですが、その点を明確にお答え願いたいと思います。
  9. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 米側の方からは、航空自衛隊が次にとります機種につきまして、これがいい、これにせよといったようなことを、正式には何ら意思表示はございません。ただ、米軍といたしまして、われわれも米軍の方に、次に採用すべき戦闘機について、いろいろ情報を個々に求めた場合はございます。その場合に、米側の方で、現に自分が知っている飛行機についてはこうであるというようなことで、たとえば第五空軍でありますならば、自分のところで現在使っている飛行機F—100はちょうど日本に来ておりますので、この飛行機ならこういうことであるというようなことで説明はございました。しかし、日本で採用する飛行機について、これがいい、あるいはこれにしろといったような積極的な示唆その他はございません。それから顧問団におきましても同様でございます。こちらから求める資料についでいろいろ説明をしてくれた、こういう状況でございます。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この米軍事顧問団から説明を聞いたことについて、私はもちろん、矢嶋委員とか、八木委員からも、防衛庁に対して再三質問があったわけです。にもかかわらず、防衛庁としては、一切そういうことはないと否定し続けて今日まできたわけです。特に八木委員からは、再三にわたってその回答を求めているわけですが、今日までないわけです。そこで、あなたの御説明で、昨年五月、軍事顧問団から説明があったということは、明確になったわけです。しかも米軍からは、指導的にこれがよろしかろうという意思表示はなかったけれども、これはあなたの意見ですね、そういうことはなかったけれども、とにかく軍事顧問団から説明を聞いたというその事実は厳然としてあったということは、ここで明確になったわけです。その点で、同じ防衛庁側で、長官とか防衛局長については、一切そういうことはないと否定し続けてきたわけです。あなたは正直に、事実そういうことはあった、けれども米軍からは別に押しつけがましいそういう指示はなかったと、そういう点がまだ明確でないわけですけれども、こういう点について、これは、あの九月二十六日の衆議院決算委員会で、あなたが証人として出席されたわけですね。その際あなたから答弁されておる、その答弁の一節に、こういう句があるわけです。「一昨年の五月、春、夏ごろから、次期戦闘機を何にするかということにつきましていろいろ研究をいたしております。当初私ども次期戦闘機として考えますのに考慮に置いておりましたものは、従来私どもアメリカ空軍からいろいろ技術援助、あるいは顧問団を通じましていろいろ援助を受けております。」云々のこういう報告があなたからあったわけです。こういう点から見ても、軍事顧問団からいろいろ説明を聞き、あるいは指導を受けたであろうことは、りっぱに成り立つ、そういうことは事実あった、こういうふうに私ども確信しておるわけです。今、あなたの説明で、このことが立証されたわけですが、そこで、今、防衛庁長官はおりませんが、この問題は、またあとで、長官を初め関係者に強くお尋ねしたいと思うわけですが、こういうことでまだはっきりしない点は、顧問団からは別に、これにしろ、あれにしろという意思表示はなかったということでありますが、ある程度何か示唆等はあったと思うのですけれども、そういう点はどうですか。
  11. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 顧問団の方からは、米側からは、どういう機種について、次期戦闘機として航空自衛隊が選べということは、一切申しておりませんで、あくまで私の方で、日本国情に合う飛行機を、日本防衛上どういう飛行機が要るかということについて、いろいろ要求性能その他を研究いたしました。そうしてそれに合うものをわれわれ考えたのでございます。それで、そ中で、自分の方で、自分要求に合う飛行機というものは、米空軍で使っている飛行機では、どれが一番これに合致するかということをいろいろ研究し、それを確かめるという意味においては、いろいろ連絡をしております。で、顧問団とは、常時この問題につきましては、この問題ばかりではございませんが、しばしば連絡をしておりますが、顧問団の方から格別な機種についての指示はございません。指示と申しますか、示唆はございません。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 あなたが、九月二十六日の衆議院決算委員会に、証人として出た場合に、次期戦闘機については、日本の将来の空の防衛に当って、どういうものが必要であるか、それからどういう要求性能が必要であるか、こういう点を十分に研究してきて、結論として、まずどういう要求性能が必要か、こういう点に基いて研究してきた、そこでF—104が要求性能に非常に近いと考えられたので、F—104Aを内内、候補に考えられた、こういうようにみておるわけですが、その結果は、先ほど私が申し上げた、軍事顧問団からの推薦である104Aと一致しておるわけですね。そういうことからも、防衛庁が、顧問団説明なりあるいは薦推を相当重視しておるのではないか、当然また重視したであろう、そういうことが察知されるわけですが、この点を明確にお伺いしたいと思うのです。
  13. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 私どもは、今も申し上げましたように、将来の空の防衛上、どういう要求性能が必要であるかということを、いろいろ検討いたしまして、それに基いて、現在米軍で使っております各種の新しい飛行機について、どういう性能を持っているかということを知らせてもらいたいと言って要求いたしました。そして米軍の方でこの程度のものなら知らせるといっていろいろ比較をさせられました中に、われわれの要求に合いますものが、米空軍で現在使い、あるいは近い将来使うという飛行機の中で要求を満たすものがF—104であったことでございまして、米軍の方からこれがいいから、お前の方でこれを使えというような示唆はございません。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 防衛庁は昨年八月永盛君を団長とする戦闘機調査団アメリカに派遣しておるのですが、その結果いろいろあったのですが、一つにはF—104には問題点があることがわかった。それからグラマン戦闘機については、試作機がわずかに二機しかないけれども、よい飛行機だ、非常にすぐれた飛行機だと聞いてきた。そこで永盛調査団が帰ってきてからいろいろ研究の結果、だんだんグラマンの方がよいことになった。こういうことがいろいろの、決算委会員その他の討議を通じて明確になっておるわけであります。  そこで伺いたい点は、F1F—1Fについては今申し上げたように試作機がわずか二機しかない。しかも一機についてはエンジン故障、一機については着陸の際大破してしまったということ、そういうようなこともはっきりなっておるわけですが、かつ防衛庁が買おうとしておるのはこのF1F—1FでなくしてG—98J—11ということははっきりしておるわけであります。これについては、一機の試作機もないわけです。こういう点を考えると非常に致命的な難点がF1F—1Fにはあったということはいなめないことだと思う。そういう点でどうにも納得できないわけです。今までF—104Aがほぼ決定的になっておった段階で、突如としてグラマンが出てきて、しかも試作機が二機しかない。しかも実際に買おうとするG—98J—11については、試作機が一機もないということ、何かそこの経過において不自然なものがある。そういう点を国民はひとしく疑問を抱いているわけです。そういう点について、私どもとしてもなかなか納得できないわけです。その点を一つ明確に願いたいと思います。
  15. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) まず最初に、昨年永盛調査団アメリカに参りますまでは、今お話のございましたように、私ども米空軍飛行機だけを対象にいたしまして、次期戦闘機候補機を探しておりましたところ、要求性能、特に要求性能の中で重視されましたものが、速力とそれから高度でございます、これは将来予想されます新式爆撃機あたりの飛行高度あるいは速度というものから日本の空を守りますのに高度、速力というものが非常に要求度の高いものでございますので、これを充足するものといたしましては104かないというふうにわれわれは考えております。しかしながら、私どもが当時入手できました資料と申しますものは、機密保持関係をもちまして非常に制限されておりました。それで、これだけではわれわれは飛行機の決定というものはできない、どうしても実際の飛行機を見、それからいろいろ実物を見、あるいは他の候補機についてもこれを検討する必要があるということで、永盛調査団アメリカに派遣されたわけでございますが、アメリカに参りまして実際に飛行機を各機種について飛行機工場あるいは実験航空隊、その他につきましていろいろ調査いたしますと、従来私どもが104が非常に知られておりました、あるいは新聞雑誌その他によって得ておりました情報とかなりいろいろ違う点がございます。それから技術上におきましても、いろいろ今までわれわれの知らなかった技術上の問題点がありまして、いまだに技術上の問題点で解決すべき点が残っている。実験が完了していない。そして最終的実験の終りますのが、本年の二、三月ごろまでかかるということがはっきりいたしました。一方そのときまでは、われわれは従来米空軍比較援助その他を受けております関係上、次期戦闘機といたしましては、米空軍新式戦闘機候補に考えておりましたが、永盛調査団が参りましたときに、われわれかねてから名前といいますか、飛行機は存在し、相当の成績をあげておるということを知っておりましたが、米海軍で開発しましたグラマンF1F—1Fという飛行機エンジンをかえましたものをエドワードという実験航空隊におきまして、米空軍の手で実験をいたしました結果、その飛行機が他の米空軍が使っております、すなわちわれわれが候補機と考えておりました飛行機と同等に、日本で将来使うべき戦闘機候補機の中に入れて考慮に入れたらよかろうという説明がありました。そのときに初めてわれわれが、米空軍で飛んでみて操縦性安定性あるいはその他の性能におきまして非常にいい飛行機であるということの説明がありましたので、調査団日本を出発いたしますときには考慮しておりませんでしたが、現地に参りまして工場も見、飛行機も見、あるいは説明を聞いて、そうして候補機に入れるようになったわけであります。それでグラマン戦闘機は二機しか試作機は作られておりませんが、この二機の試作機はもともと米海軍で正式に採用され、約二百機にわたって大量生産され、米海軍の母艦において現用されております飛行機の改良型でありまして、機体におきましては約六、七〇%の共通性を持ったもので、エンジン米空軍で開発いたしましたJ79というエンジンをつけて性能を改善したという飛行機でございます。実際に米空軍実験部隊のパイロットが相当回数乗りまして、その飛行機性能その他が非常によろしいということを申しております飛行機でありますので、私どもといたしましてはこれにも十分検討をしようということでいろいろ検討をいたしました。ただいまお話しありましたように、二機作っておるうちの一機が発動機故障で、一機は事故でこわしたということでありますが、一機は最近に私どもの得ております情報では、新しいJ79—7というエンジン交換をいたしますために交換作業をやっておりまして、その交換作業を終りましてこの十月には新しいエンジンをつけて試験飛行をするという段階になっておるということを聞いております。それからもう一機の飛行機は、本年の六月の下旬にフランスの視察団が参りましてその飛行機に乗りましたときに、操縦士の過誤と申しますか、着陸のために頭を上げて飛行場の中に、車輪をまだ出し切らないうちに、飛行場胴体着陸をしまして胴体の所をこすったので、これを工場に入れて直しておりますが、これも十一月には直るという段階にあるという、これは米軍からの正式の情報を得ております。こういうようなことでございます。グラマン戦闘機は二機しかございませんけれども、その前身でありますF1F—1という飛行機につきましては、すでに十分実験も終って、これが米海軍で実用されておりまして、その飛行機性能向上型として試作をされましたもので、それを米空軍におきまして他の米空軍飛行機と同等に飛行性能実験を実施して、その成績がいいという飛行機でありますので、私ども十分関心を持って調査しました。それは後ほど機会がございましたら申し上げますが、日本防衛上並びに特に国情、われわれが要求する飛行機性能を十分に、もちろんこれは満点の飛行機ではございませんで、米空軍あるいは米海軍が作りました飛行機は、それぞれ特殊の目的を持って作られておりますので、われわれが新しく初めて注文するという飛行機でございましたならば、日本の百パーセント要求に合うような飛行機を作ることになりますが、大体外国で開発されました飛行機をわれわれの日本に採用するという場合には、どうしても百パーセントわれわれの要求を完全に満たしておるというものはございませんで、どこかに特徴があり、どこかに欠点があるということは免れません。しかしながら、全般を広く検討いたしまして、そのグラマン日本国情に一番よく合うということを、私ども検討の結果結論を得ましたので、そのグラマンをよろしいということにわれわれ専門的な見地から結論を出しておるわけでございます。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いろいろ御説明があったわけですが、その二機の試作機については優秀であったということでありますけれども、また半面、わずか二機しかないということも厳然たる事実ですね。しかも、普通飛行機が完全に一人前になるためには、数千、数万時間をかけて試験飛行をやって初めてりっぱなものになる、そういうことも聞いておるわけです。ところが、わずか二機で、しかも十数時間の試験しかない、そういうようなことで、この結果を過大に評価しているのではないか、そういうふうに私ども考えられるわけです。一方F—104については製作機数は、まあ、あなたの方から出された資料によりましても、すでに三百機もできておるわけです。相当時間もかけて米軍の優秀であるという証明もある。そういうことで防衛庁としても、当初は104Aを支持してきたわけですね。そういう情勢の中であなたが本年一月アメリカに行かれていろいろ視察してきて、それから帰られてからF1F—1Fの線が非常に強くなってきて、かくして三月十五日に津島前防衛庁長官と、あなたと、担当の課長と三人でF1F—11Fを防衛庁として一応内定した。そういう経過も承わっておるわけですが、その間にどうにも納得できない不自然さがそこに当然考えられるわけです。この点一つ納得のいくように御説明いただきたいと思います。
  17. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) この二機しかない飛行機でございますが、この飛行機は、その前身でありますF1F—1という飛行機につきまして十分の実験その他が行われまして、米海軍におきまして現に実用されております飛行機性能向上型にすぎませんのでありまして、これにつきまして米空軍でただいま十数時間ということを申されましたが、私どもが実際に調査いたしました結果につきましては、そういう時間じゃございませんで、二機につきまして十分の飛行性能実験、すなわち、米空軍におきましていろいろ飛行機実験いたしますときに各段階がございますが、第四段階飛行性能実験を完了するまでの実験を完了しております。これは十数時間というものでなくて、私が本年一月に参りましたときには、約二百回程度実験を行なっておりまして、それに対する十分なる実験報告米空軍において作られております。こういうものでございまして、飛行性能実験につきましては十分なる実験が、わずか二機でございますが、前身飛行機と合わせられまして十分確信のある実験が、飛行性能についてはなされておるということでございます。それから先ほどの御質問で、私ちょっとお答え漏れをいたしましたが、エンジンが変っておりまして、今後積むと申しますか、J79—7というエンジンはまだ積んで飛んでいないということでございますが、これは後ほど専門家に十分に御質問願いましたならば、疑問の点が明らかになると思いますか、J79—3のエンジンからJ79—7のエンジンに変りましても、これは本体におきましてはほとんど同じものでございまして、性能を向上し、あるいは従来工合の悪かったところを改善したというものでございまして、これは現にF—104におきまして104Aから104Cにきわめて円滑にエンジンを、同じJ79の—3から—7というエンジンに順調に移り変って現在すでに米空軍で採用され、飛んでおる飛行機でございます。技術的に見まして、3型のエンジンから7型のエンジンに移り変るということは、もちろん若干の試験飛行を実施する必要はございますが、飛行性能から見て、決してよくこそなれ悪くなるものではないという確信が得られているわけでございます。  それから本年の三月の某日に、前防衛庁長官と私と、もう一人、三人でF11Fを採用することにきめて、そうして云々というお話がございましたが、これは防衛庁といたしまして、関係の参事官以上が集まりまして、いろいろ検討されましたことを申されていると一思うのでございますが、これが誤り伝えられまして、わずか三人で決定して云々というようにいわれておりますが、そういうものでございませんで、私が本年一月にアメリカへ参りまして、帰って参りましてから、しばしば防衛庁の幹部におかれましてもいろいろ検討をされて、そうして今の防衛庁関係首脳部において検討されたことでございまして、三人だけできめられたものでは決してございませんということを申し上げます。  それから、なぜ今まで104でわれわれが考えておったものがグラマンに変ったかという点につきまして御質問でございますので、この点につきまして説明をさせていただきたいと思いますが、F—104をわれわれが考えておりましたときには、先ほど申しましたように、要求性能のうちの速力、それから高度というものを非常に重視いたしましたので、米空軍の中に得られます候補機といたしましてはF—104しかないというので、われわれはF—104というものをわれわれの将来の飛行機として考えた時期がございますが、昨年の八月以降、いろいろ技術的にこれを実際に当ってみますと、いろいろ問題点があるということがわかったのでございますが、さらにこの飛行機をわれわれが選定いたしますときには、何と申しましても、その国情に合う飛行機でなければならないということが一番大事でございます。もちろん、要求性能を満たさない飛行機であったならば、これはどうにもなりませんが、問題は要求性能を満たす範囲におきましては、その他の要件といたしましては、国庫に合う飛行機ということを最も重視しなければならないわけでございます。  しからば、国情に合うということはどういうことであるかと申しますと、きめ手になりますものが私は二つあると思います。その一つは、日本の地理的条件に合致するということでございます。その第一の地理的条件と申しますのは、何分にも日本の国は狭うございまして、飛行場が大きさが限られておりまして、私ども航空自衛隊に入りましてから終始悩まされております問題の一つは、飛行場の大きさが短くて、これを拡張しようにも、なかなか拡張ができない、あるいは新しく長い飛行場を入手しようと思いましても、なかなか思うように入手できないということでございますので、また、飛行場の周辺にはいろいろ障害物、山、あるいはその他障害物も比較的近い、こういう日本の立地条件と申しますか、地理的条件において、最も使いやすい飛行機である、すなわち滑走路の短かい飛行機であるということが、日本において飛行機を選ぶ場合の一つの大きな要件になるわけでございます。私どもが当初104について資料を非公式な情報で得ておりましたときには、104の滑走路は比較的短かくて済むと思っておりました。ところが、実際にアメリカに行って調査をし、また技術資料に出ておりますのは、これは基本的な、あるいは試験飛行をいたしましたときの基本的な場合の滑走路の長さというものが性能その他に出るものでございます。しかしながら、実施部隊で実際に飛行機を使いますときには、実際の普通のパイロットが飛ぶためには、やはりある程度の余裕というものが要るわけでございます。それで実際にアメリカにおきまして104を使う場合に、どのくらいの滑走路が要るかということにつきまして、私が米国視察中に実際に実験航空隊あるいは104の部隊長となるべき人でありまして、現に104の飛行機を持ち、また、搭乗員を集めて訓練養成中の部隊長にも会って、実際にアメリカで普通のパイロットに使わせるために、滑走路の長さがどのくらい要るかということを聞きましたときに、これは104Aの場合につきましてでございまして、まだ104Cという飛行機はできておりませんので、104Aの数字でございますが、実施部隊で実際に104という飛行機を使いますためには、どうしても八千フィートの滑走路が要る。それからもう一つ飛行機が、これは航空自衛隊におきましても今まででも、ときどきあることでございますが、ジェット・エンジンで、空中でいろいろ操作しておりましたときに、あるいは何かの故障で、フレイム・アウトと申しまして、エンジンがとまる場合がございます。この場合には、あの104という飛行機は、非常に沈下率が大きくて、また滑走距離が、着陸のときの速度が大きいというので、その場合には、着陸が非常に困難になります。着陸速度も大きいので、この場合のことも考えると、一万フィートを必要とするという、ことを、私が104の部隊長となるべき向うのパイロットから聞いております。従いまして、われわれが飛行機を安全に使う、パイロットに安全に操縦させるという見地から考えますと、どうしても、104の飛行機を一般の部隊で使います場合には、八千フィートから一万フィート要る。ことに、これを夜間の、われわれは今後、今使う飛行機を全天候戦闘機として使用したいということにしております。米空軍は、104という飛行機を、もともと昼間戦闘機、デー・ファイターとしてこれを作りました飛行機でありまして、これをわれわれは全天候戦闘機として、夜間でも、天気の悪いときでもこれを使う、着陸させるということになりますと、F—86のときでもそうでございますが、F—86F、F86Dの場合には、どうしても夜間に使います場合には、滑走路の余裕を見なければならない。夜間の着陸は、昼間の視界のあるときの着陸と違いますので、そういうことを考えますと、どうしてもこの104を使いますときには八千フィート以上、すなわち八千フィートから、望ましいのは一万フィートぐらいの滑走路が望ましいのであります。ところが、現在航空自衛隊におきまして八千フィートの飛行場を持っておりますのは、浜松航空隊一つだけでございまして、その他の飛行場につきまして、これをいろいろ拡張しようと努力をしておりますが、非常に困難性がございます。また今後、現在米軍が使っております飛行場は八千フィート以上のものがございますが、これも日本の……。(「冗長だ、要点だけもっと簡単にいってもらわぬと時間をとってしまう」「一応聞こうじゃないか」「よく聞かなければ質問できぬ」「途中で制限しちゃいかぬ」と呼ぶ者あり)
  18. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 答弁を続けて下さい。
  19. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 滑走路の問題につきましては、今のように航空自衛隊は八千フィートの飛行場といたしましては浜松一つを持っておりまして、どうしてもわれわれは現在持っております飛行場でなるべく使える飛行機というものを選ぶことが一つの要件になって参って参ります。  グラマンの方はしからばどうかと申しますと、グラマンの方につきまして、これは私が実際に飛行実験を午前午後にわたりまして、見ております。また、米空軍のパイロットでたびたび試験飛行をしました。パイロット、一人ならず二人、三人のパイットに私は聞きまして、どれだけグラマンの場合に滑走路が要るか、あなた方でなく、平均のパイロットがどのくらい、要るかということを聞きましたときに、六千フィートという人と七千フィートという人と両方でございます。大体におきまして普通のパイロットが六千フィートないし七千フィートで着陸ができる。私が見ましたときは、グラマン飛行機はドラッグ・シュートと申しまして、104あたりはほとんど着陸のときにはうしろにパラシュートを引っぱって着陸して、速力をとめて、滑走距離を短かくするということをいたしますが、グラマンの場合はドラッグ・シュートなしに、短かい滑走路で着陸しております。このドラッグ・シュートを使う使わないということにつきましては、日本の場合におきましては、短かい滑走路を使いますときに問題がございますのは、夜間の着陸の場合と、それからもう一つは横風が非常に強いときには、ドラッグ・シュートを使いますと、そのために飛行機着陸してから急にかじを曲げられてしまって、横風が強ければ、ドラッグ・シュートを使っては着陸できない。現在のジェット機時代になりましてからの滑走路と申しますのは、大体一本の滑走路、長い滑走路を持っておりまして、昔のように十字型の滑走路は持っておりません。従いまして、風の強いときはドラッグ・シュートなしで着陸できるということが望ましいわけであります。この意味におきましては、グラマン飛行機はドラッグ・シュートを使わないで、比較的短かい滑走路で着陸できるということも確認しております。従いまして、第一の地理的条件という点におきまして、私は、104という飛行機は、全天候の天候の悪い、あるいは夜間に、普通のパイロットに、また飛行場が雨にぬれて、滑走路がぬれておりますときはさらにすべりますので、よけい要る、いろいろな点を考えまして、グラマンならば日本飛行場に適する飛行機である。104は非常に使うのに制限、あるいは使えない飛行場がたくさんできるということから、第一の条件は、ロッキードの方が落ちるということになるわけであります。  第二は、操縦性、運動性、安全性という問題でございます。この問題は、実際に操縦者が飛んでみませんとわからない問題でございます。あるいは事故の統計というものを見なければわからない問題でございまして、従来飛行機のいろいろ論議をせられておりますのを見ますと、ただ飛行機性能その他のよしあしをもって論じられているようでございますが、われわれが実際に搭乗員を養成し、搭乗員に任務を与えて飛行機を飛ばしますに当りましては、操縦性、運動性、またこれから来ますところの安全性ということを、きわめて重視する必要がございます。この問題につきましては、特に昨年航空自衛隊におきまして航空機事故が比較的相次ぎまして、私どもといたしましても非常に頭を悩ました問題でございます。今後飛行機を選びますにつきましては、十分この安全性の高い飛行機を選びたいというのが、私どもの切なる念願でございます。この点につきまして私は特に気を使いました。私は幸い米空軍の。パイロットがグラマン飛行機F—104の飛行機、あるいはその他の飛行機もいろいろテストしておりますので、実際飛びました。パイロットについて中正な意見を聞きまして、飛行機操縦性、運動性、それから来る安全性がどうであるかということを私自身いろいろ当ってきました。また、上の方の人についても、これに対する意図を聞きました。米空軍の、実際に両方飛びましたテスト・パイロットの申しますのに、F—104という飛行機は、すべての機能が非常に複雑な機能を持っておりますが、これは非常にすべてが満足にいくときには、すばらしいいい性能飛行機である。速力といい、上昇率といい非常にいい飛行機である。しかしながら、すべてのものが満足に動くということは、なかなか望みにくいことが多い。ことに先ほどのようなフレーム・アウトということが起きた場合には、なかなか日本ではこれは使えない飛行機である。と申しますのは、一面先ほどのような滑走路の短い点ということがございます。沈下速度が大きいという点もございますが、グラマン飛行機でございますと、沈下率が四万フィートぐらいからおりますときには、一分間に約三千フィートぐらいのスピードで落ちますが、ロッキードの飛行機でございますと、四万フィートぐらいからおりますときに約一分間に八千フィートぐらい、二倍ぐらいのスピードで落ちてくる。またエンジンがとまりましてからの滑走距離は、グラマンの場合には二倍ぐらいの距離が出ますが、ロッキードの場合にはフレームの距離が、たとえばグラマン飛行機の約半分であるという点で、問題はフレーム・アウト、すなわち空中でエンジンのとまりました場合には、まずロッキードの飛行機の場合には助からないので、パイロットはほとんど飛び出すほかはないということを。パイロットは言っております。これに比べましてグラマン飛行機でありますと、比較的安全に滑走路に飛行機を持ってくることが可能である。これは航空自衛隊におきましても、今まで何べんかF—86が空中でエンジンがとまりましてから、無事に飛行場着陸しているということでございますが、ロッキードの場合でありますと、まずパラシュートで飛び出すことを第一にせざるを得ないという状況でございます。としますと、この飛行機のパイロットの方は生命が助かりましても、高価な飛行機、またF—86でございますと、従来日本でもパイロットが飛び出すときに大体下にこの飛行機が落ちても、下の部落あるいは人家その他に危害がないことを大体見届けて、そうして飛び出す余裕をもって飛び出すことをやっております。104の場合になりますと、もうすぐ飛び出さなければならないということになりますと、従来パイロットが空中において飛び出すときでも、その点を考慮して飛び出して、下の人に危害のないように配慮をしておりますが、F—104の場合になりますと、もう下のことは考えておられずに飛び出す、飛行機はどこに落ちるかわからない。日本のように比較的人家の込んでおりますところでは、部外に及ぶ危害ということも、われわれは考慮に入れなければなりません。  また、その安全性という問題は、着陸速力ということが非常に関係をいたしております。ロッキードの飛行機は、きょう持って参りませんでしたが、翼が非常に小さいために、着陸いたしますのにも着陸速度が非常に大きい。この着陸速度の点におきましては、グラマンとロッキードとは大体二十ないし二十五ノットの速力差がございます。私ども実験航空隊説明を聞きましたときに、この点を特に強調しておりまして、着陸速度の大きい小さいということは、操縦者の操縦上に非常に大きな問題である。従って、この点をよく見きわめる必要があるということを説明を受けましたが、実際の数におきまして二十ないし二十五ノットの差がございまして、これが昼間の視界のないときの操縦ならまだよろしゅうございますが、非常に視界の悪いときの着陸操作と申しますのは、最近のジェット戦闘機におきまして速力が早いもの、しかも視界の悪いときには自分一人でおりられるものではありませんので、下からGCAというものでいろいろ誘導されております。そのときいろいろ電波の切りかえでハンドルを持ち変えて、そしてスイッチを切りかえる、いろいろの操作がございます。昨年航空自衛隊におきましてF—86のジェット戦闘機で事故を起しました中に、視界の悪いときに、天気の悪いときに、着陸時におきますごく短時間のおくれによって事故を起した。もうちょっと時間があれば助かったという者が助からなかったというような事故もございます。すなわち着陸速力が早いかあるいは着陸速度がおそいか。従って、夜間あたりでも、空中でジェット・パイロットが両手を使い、また手を持ちかえてやるいろいろの操作がございますから、こういうことが余裕をもってやれるかやれないかということは、非常に安全性と関係がございます。安全性すなわち操縦者の生命に関することでございますので、この点において操縦者が安心して、まず信頼して飛べるという飛行機を選ぶことが大事なわけでございます。この点につきまして、米空軍のパイロットの両方の飛行機を飛びました者が申しますのに、グラマン戦闘機は、実に信頼性のある、英語で申しますとオネストである。実に正直である。この飛行機操縦性、信頼性につきましては、この飛行機を飛んだだれもが、みんな非常に推奨している。すなわち、私どもが一番重視しなければならない、特にパイロットの生命とする飛行機操縦性につきまして、信頼のできる、安心して飛べるという飛行機が一番大事な点でございまして、この点については、日本のパイロットがこれを実際に確かめれば一番いいのでありますが、それができない状況にありましては、米空軍の実際に各種の飛行機を飛んだパイロットの実際の意見を尊重する以外にはないわけであります。私どもは一人ならず数人の両方の飛行機を飛んだ人から聞いて、そうしてこのグラマン戦闘機操縦性、安全性というものがきわめて高い。また、この事故の点につきましては、昨年の調査団が参りましたときにいろいろ技術上の問題があって、それに基いて事故を起しておるということを聞きましたが、しかしながら、その後におきましていろいろ事故対策を講ぜられ、飛行機の工合の悪いところは改善をされております。従いまして、過去においていろいろ事故のありましたことは、これは実験時代にある程度やむを得ませんので、これは別問題としまして、ロッキードの104が本年一月米空軍に採用されましてから、なおかつ重大な事故が起きております。その例を申し上げますと、三月に新しく初めて米空軍の一〇四部隊が編成されました最初の部隊長、非常に優秀な最初の部隊長が、普通の何でもない飛行のときに墜落して死んでおります。今のは三月でございます。二月には、ロッキードのテスト・パイロットが離陸直後になくなっている。六月にはロッキードのこれも同じテスト・パイロットでございますが、普通の着陸操作をやっておりまして、滑走路から二千フィートぐらい来たときに、何でもない非常に順調な着陸をしていると思ったときに落ちて死んでしまった。さらにことしの七月には、米空軍で、最近に新聞にも出ましたが、X—15という、宇宙飛行を実施いたします飛行機のテスト・パイロットに選ばれました米空軍における第一人者の一人でありますテスト・パイロットが104で飛んでおりまして、空中でエンジンがとまりまして、着陸できずに落ちて死んでおります。こういった米空軍におきまして、テスト・パイロットあるいはきわめて優秀な第一人者といわれるパイロットですら、免れ得ない事故というものが、正式に採用されましてから後において起っております。これは私ども新聞によって得ました致死事故の例を申し上げておるのでございますので、これ以外に致死事故に至らない事故とか、その他のものがあると思います。またロッキードの記事から聞いておりますところによりますと、—7というエンジンにつけかえましてから七回ぐらい事故が起きておるということを聞いております。すなわち、あの飛行機はすべてのものが順調に動いておるときには実にすばらしい性能を持つ飛行機でございまして、御承知のように世界高度記録あるいは世界速力記録というものを出しております。しかしながら、これもあの飛行機の機体の特殊性から起るところの、すなわち飛行機操縦性、安全性ということに関連いたしましては、飛行機の翼面荷重であるとか、あるいは揚抗比であるとか、最大揚力係数とか、失速速度であるとかいろいろ技術上の問題がございます。これらから、われわれ、操縦者にいろいろ研究させますと、この104の操縦性、運動性というものは、グラマン戦闘機と比べますと、どうしても落ちる。われわれ操縦者が飛ぶならば、やはりこのグラマンを飛ぶということを、航空自衛隊の現在のパイロットが、そういういろいろの技術的要素を検討いたしまして、検討した結果においてそう申しております。アメリカにおきましては、機種は非常にたくさんございますし、パイロットも五万数千人というパイロットを擁しております。その中からF—104というような飛行機に乗れますパイロットは、選抜しました優秀な戦闘機パイロットをこれに充てることができますが、日本におきましては、ほとんど大部分のパイロットが、主力の戦闘機としての飛行機に乗れなきゃなりません。すなわち、ごく平均のパイロットが次期戦闘機に乗るということになりますと、われわれといたしましては、安心して信頼のできる飛行機、操縦者が、これならば安心して乗れますという飛行機を選ばなければならない。この点がわれわれは、採用する飛行機を選択いたしますときの一つのきめ手である。要求性能を満たす範囲におきましては、われわれといたしましては、ここにきめ手を持たなければならないということを痛感いたしまして、私は調査に当りましたときには、そういう点に十分重点を置いて検討をして、私は、この飛行機ならば、われわれのあとについてくる若いパイロットを乗せる飛行機として決して間違いはないという確信を持って、あの飛行機推薦いたしましたわけでございます。  次の問題に入りますが、次の問題といたしましては、これは比較的な問題でございますので、これは絶対的な要素ではございませんが、次の問題といたしましては、一つは、なるべく広い範囲の用途に使える飛行機を選びたいということでございます。われわれが専門家といたしまして日本防衛を考えますときには、積極的に進攻するということでなくて、純粋に自衛的に日本を守るという場合におきましても、新しい新鋭の飛行機を二機種、三機種、できるならば四機種ぐらいの飛行機がほしいのでございます。一機種でこれを守るということは、なかなか困難なことでございます。しかしながら、私ども日本の国力を考えましたときに、たくさんの機種を持つことが不可能でございまして、せいぜい一機種しか持てないということになりますと、私どもといたしましては、なるべく一機種で、われわれが防衛上課せられております任務を広くできる飛行機を持ちたいということを考えるわけでございます。すなわち、同じ戦闘機におきましても、少くとも二機種戦闘機が要る。すなわち、要撃戦闘機と制空戦闘機、すなわち、非常に急速度に上って来襲する爆撃機を阻止する要撃戦闘機、あるいは制空戦闘機と申しておりますが、これは必ずしも今の飛行機ほど上昇性能を必要といたしませんが、相当遠くへ出て、そうして来襲する爆撃機あたりも阻止いたしますが、同時に敵の戦闘機あたりとも取っ組んで、これを阻止することができる、俗に制空戦闘機と申しておりますが、こういう戦闘機の二機種の組み合せがほしいのでございますが、それも戦闘機としても二機種くらいはほしい。さらに、われわれといたしましては、陸上自衛隊の戦闘に協力し、あるいは海上自衛隊の戦闘に協力する任務を与えられておりますので、これには地上攻撃を、陸上部隊の戦闘あるいは海上部隊に協力して、比較的いろいろの多岐な運動をしなければならないことになりますが、これには操縦性、運動性のいい飛行機を持たなければならぬ。また、偵察ということも欠くことのできないものでございまして、こういう任務にも適する飛行機、いろいろの任務を果す飛行機がほしいのでございますが、われわれとしては一機種しか得られないというときにおきましては、その一機種で、こういう飛行機がそういう任務を遂行することができるならば、非常に好都合でございます。この点は比較的な問題でございまして、しからばF11だけができて、F—104ができないかというと、決してF—104ができないというわけではございませんが、運動性その他から比べて、そういう任務を遂行する場合においては、F11の方がよろしいということになるわけでございます。  もう一つは、将来いろいろ航空戦の様相が変りまして、防空の任務に相当ミサイルというものが使われてくる時代が来ると思います。そういう場合におきまして、現在考えております非常に高高度に急速に上るという防空の任務は、相当誘導弾がこれを担当することになると考えられます。そうしました場合におきましても、先ほど申しました制空戦闘機、すなわち中高度から以下、あるいは陸上戦闘に協力し、海上自衛隊に協力し、あるいは偵察というような飛行機の任務というものは、当分長く残ることになります。従いまして、われわれがそういう任務に適する飛行機を選んでおきますならば、その飛行機も有人機として長く任務を遂行することができます。従いまして、長い目で見て非常に経済的であるということが言えるわけであります。こういうことは、これは私は絶対的な要素ではないと存じますが、比較的な問題といたしまして、他機種に比べて、このグラマンがそういう点においてはよろしい、こういう点がございますので、私どもが従来は、乏しい資料で104がよろしいと思っておりましたが、いろいろ実際のものについて、また、われわれが飛べないかわりに、米空軍のパイロットあたりに聞きまして、実際のパイロットの気持になって、どういう飛行機を選ぶかということについて選びました結果、われわれは次期戦闘機として、日本国情に合う飛行機としてグラマンの方がよろしい。  また、欠点がございます。すなわち、欠点といたしましては、先ほどから問題になっておりますように、これは米海軍米空軍で制式機として多量生産して採用する飛行機でないという欠点はございます。それからまた、生産をいたしますにいたしましても、米空軍あるいは海軍で量産をしておりませんので、生産に至るまでの時期が、よけい、ほかの生産されておる飛行機よりは、生産までに時間がかかる。あるいは補給面におきまして、従来相当米空軍から援助を受けておりますが、今度の飛行機米空軍で採用しておりませんので、機体に関しましては、補給面におきまして、日本側において自主的に努力しなければならないという点がございます。発動機は、これは米空軍で開発し、たくさん作られておることになっておりますので、発動機に関しては問題はございませんが、機体関係におきます部品につきましては、日本側で大いに努力しなければならないという点がございます。また、今度作ります飛行機は、日本側の要求によっていろいろ米海軍実験いたしましたF11—1Fそのものでございませんので、これに伴う実験をまだやらなければならない点も残っております。そういった不利な点もございます。  しかしながら、実際の問題につきましては、別の見方がございまして、われわれが外国でできました飛行機を、レディメイドで買ってきますと、これの実験研究とか、いろいろ中間において経験いたしましたことを、日本側において体験することができませんが、ある程度実験段階でこれからやるという飛行機の場合に、日本側からいろいろ関係者を派遣することによって、その飛行機の中間過程からこれが最終的になるまでのいろいろの実験研究について、米側の進歩したものを体得できるという利点もございます。しかしながら、これは付随的な問題でございますが、必ずしも欠点ばかりでなくて、非常にプラスの面もあることはございます。  そういったような欠点がございますが、先ほど申しましたように、すべての飛行機が百パーセントということは望み得ませんので、それぞれ一長一短がありますが、それらの中で、どこが日本にとって大事なところであるか、また長所と欠点とを比べ合わせてみてどうかということを合わせ考えて、私どもグラマンがよろしいということに決定をしたわけであります。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今詳細な御説明の中で、試験飛行については二百回と言われたのですが、時間にしてどのくらいですか。
  21. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) これは、その後の資料は私どもまだ入手しておりませんので、はっきりした資料は、なんでございましたら最近の資料米側あるいは会社側から入手することにいたします。たとえば、私どもが見ましたとき以後におきましても、先ほど申しましたように、外国の視察団が来ましたときに乗せたりいろいろやっておりますので、最近のはっきりいたしました資料はわかっておりません。それからもう一つ、申し落しましたが、私が参りましたときに実験航空隊で申しておりますのに、F11—1という飛行機の、すなわち米海軍で使っております飛行機と、それからグラマンの今のF11—1Fという二機しかございませんが、この飛行機と両方合わせまして、海軍で使っております—1の方が一万三千時間と私は記憶いたしております。片一方の方は、その当時約二百時間かそこらであったと思いますが、それを合わせまして、事故が非常に少いということを特に聞きましたことを申し添えておきます。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは回数については二百回であるけれども、時間についてはまだわかっていないと、これは非常に大事な要素がわからぬということは非常に遺憾なのですが、これは早急に資料として出していただきたいと思います。  今詳細な御説明によって各面の性能とか、あるいは地理的条件、パイロットの安全性、あるいは多目的、こういうような点を検討した結果、一応グラマンに内定したという説明は、非常に詳細にあったわけですが、そういうような各面についても時間を十分かけた試験飛行によって初めてそういうことが確認されると思うのです。わずか二百回くらい、しかも時間については明確にわかっていない。私ども承知しておるのは、わずか十六時間ぐらいと聞いておるわけです。しかも繰り返し申し上げるように、試作機について二機しかない。しかも、一機については着陸時大破し、一機についてはエンジン故障、そういう現実もあったわけです。そういう非常に困難な悪条件下に、大体この二百回くらいの試験飛行で、大体よろしかろうということで、しかも、事もあろうに、二百五十機とか三百機を一気に生産計画を立てると  いうことについては、非常に無謀ではないか、そういうことが当然に考えられるわけです。この点どうですか。
  23. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) ただいまの御質問にちょっとお答えいたします前に、前の御質問に対しますお答えでございますが、現在までに判明いたしております飛行回数が三百十八回、飛行時間にいたしまして二百四十時間ということでございます。それから今の、二機しかないという問題でございますが、これはその前身でありますF11—1という飛行機につきましては、これは十分な検討が尽されておりまして、本質的にあまり大差のない飛行機でございます。従ってこれは二機でございますが、これによって行われました実験は、基礎的な実験は全部一通り終っておりまして、これを米空軍において十分な調査記録、私には内容は見せてくれません。見せてくれませんが、私ども説明してくれましたときには、航空実験部隊におきましていろいろ実験しました資料について、そして正確な資料について説明してくれておりますので、また、われわれ飛行機の方の一般的従来の常識から申しましても、それだけの前身飛行機があり、それに対して発動機をかえて、すなわちJ65というエンジンからJ79—3というエンジンにつけかえて、飛行機実験するにつきましては、この程度実験があれば十分である。また今後航空自衛隊におきまして採用する飛行機は、さらにこれを—3のエンジンから—7にかえておりますが、これは—3のエンジンの改造型でございまして、このエンジンに改造されるということは、もう前から予定をされております。従いまして、米空軍におきまして私ども説明のありましたときには、このエンジンを—7にかえるということで、すでに説明を受けておりまして、—7にかわるからといって、全然別の飛行機になるのでなくて、むしろ従来悪かったところを性能を改善してよくなる飛行機であって、決してそこに不安があるということではないと私ども専門的な立場の者は考えております。なお、前例といたしまして、米空軍におきましてF—102という飛行機から106という飛行機に移り変りますときにおきましても、F—102から106に移りますときの試作というものは、わずか三機しか試作いたしておりません。F—102から106に移り変ってあと量産に移るという程度のものでございまして、この機数が少いということは、前提になります、基礎になった飛行機がどのくらい飛び、あるいは試験をされたかということに基くものでございまして、この機数の少いということは、私はそれだけをもって問題にすることはないと考えております。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは時間の関係もありますし、他の委員もお待ちかねのようですから、最後に一点だけお伺いします。  この新戦闘機種の決定について慎重に考慮しなければならぬ点がたくさんあると思うのですけれども、私は私なりに三つに要約しておるわけなんです。一つは、このミサイル時代に、しかも五年先になって有人機を購入するというようなことは非常に無意味であるという点が一つと、それから二つには、国防の基本方針にも民生の安定ということが強調されておるわけです。そういう点からも、ここに千数百億の血税が使われるということを十分考えなければならぬという点と、最後には、F—86Fでさえも今まで相当犠牲者が出ている。このF—86Fを完全に乗りこなせる。パイロットの少いという実情の中で、超音速のこのような飛行機のパイロットを養成するということは、非常に至難中の至難であろうと私どもは考えられるわけです。聞くところによると、西ドイツでは、まずパイロットの養成に最重点を置いて、新械種に置いてない、パイロットの養成に最重点を置いている、そういうことが順序ではなかろうか、こういうふうに要約して考えられるわけです。この点について、ごく簡単に要点だけをお伺いして私の質問を終ります。
  25. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 第一の御質問の、ミサイル時代になりまして有人機が無用ではないかという御質問のように拝察いたしましたが、これにつきまして簡単に申し上げますと、かりに有人爆撃機というものがどこでも採用されない、もう使われない、これが姿を消してしまうという時期になりましたならば、そして姿を消して攻撃に来るものが誘導弾だけであるというような時代になりましたならば、もちろん防空の見地からは、有人機というものは要らなくなります。これは大陸誘導弾でありますとか、IRBMというものに対しましては、やはり誘導弾をもってしなければ対抗できませんので、有人機をもってしては防空というものはできませんが、その場合におきましても、やはり一般の偵察でありますとか、あるいはこちらに来攻する進行兵力に対する防衛という意味におきまして、ある程度の有人機は要るということになります。しかしながら、まだ有人爆撃機というものが姿を消さずに、まだまだこれが相当長い間にわたって使われるという場合におきましては、どうしてもこれを防衛いたします、防空をいたしますのに、有人機もなければならない。すなわち将来におきまして、これを阻止するのに有力なものといたしましては、もちろんミサイルが重要な地位を占めてくると思います。誘導弾が重要な地位を占めると思いますが、しかしながら、誘導弾ではどうしてもできない場面がございます。と申しますのは、将来の防空は、今でもそうでございますが、すべてレーダーによって、レーダーに写りました映像によって、これが攻撃に来るものであると判断して、防御対策を講ずるわけであります。すなわち、今ならば戦闘機を上げているわけであります。ところが航空戦と申しますのは、一つは電波戦でもございまして、平時はそういうことはございませんが、戦時になれば、いろいろな欺瞞行為を実施いたします、いろいろ電波の、第二次大戦でございましたならば、飛行機からすず箔をまいて、飛行機がここにあるがごとく見せて、敵の戦闘機をおびき寄せて、実際は戦闘機がこれに向って攻撃するというような欺瞞行為、もう一つは、おとりの飛行機を使うことです。実際に飛行機を飛ばせてそうして姿をたくさん現わさせて戦闘機を上げさせる。そうして行ってみると、それはおとりの飛行機であってさがってしまう、戦闘機がたくさん上って、燃料がなくなって降りて来なければならねという弱点のときに本物が来る。それはすべてレーダーの上に光線でぽつぽつと現われたものを見て判断する。ところが、それでは実際にそれがおとり機であるか、あるいは実際に攻撃する飛行機であるか、あるいはすず箔のようなある欺瞞のものを空中でまいてやったものであるか、全然わかりません。それで誘導弾だけで防衛するという場合には、そこに出た電波で光が出ましたものを、敵であるか味方であるかを識別する手段を講じて、これは味方でないというときに出してしまわなければならぬ。そうすると、全然正体のわからないものに誘導弾をどんどん撃ち込むということになります。当ったか当らないか、あるいはこれがおとりであったのか何か一切わかりません。やはりこの誘導弾を使いますときにおきましても、有人戦闘機というものが出て参りまして、そうしてこの映像に写りましたものが何であるかという実体をつきとめなければ、誘導弾だけではるか遠距離にレーダーの映像に写ったものだけでもってミサイルで防御することはできかねます。やはり有人機というものが出て、要すれば空中の戦闘もするということが必要になっておりますので、有人爆撃機というものが現存する限りにおきましては、防空上、どうしても有人機というものが、将来におきましてもある程度のものがなければならないということになります。  次は経費の節減と申しますか、経費上の問題のお話がございましたが、この点につきましては、私どもやはり非常に考慮を払っておりまして、長い目で見て日本の乏しい財政におきまして、高価な飛行機を作るときに、どういう飛行機が一番いいか、経済的に見ていいかということを念頭に描いておりまして、その点から申しますと、先ほど申し上げましたように、長く使える飛行機であるということ、昔は戦闘機というのは二、三年ぐらいでどんどん交換いたしましたが、今後は一ぺん作りましたら八年、十年という長い生命を持たなければなりません。そういう先を考えて、なおこれが使える飛行機であるかどうかということに重点を置きましたこと、それからもう一つは安全性のことで、事故をたびたび起すような飛行機であったのでは、これは非常に高価なものにつく、従って安全性が高い飛行機ということは、経済性という面から見て非常に大事でこの点は十分に考慮に入れております。  次の問題は、F—86Fがまだ現在、F—86Fにおきまして非常に犠牲者を昨年あたりも出している、パイロットも少い、教育訓練に重点を置くべきじゃないかというお話しでございまして、これはきわめてごもっともなことでございまして、私どもといたしましても、その点に十分力を入れておりますが、将来のことを考えまして、この飛行機が実用機になります時代を考えますと、F—86という飛行機はどうも具合が悪い。どうしてもこの程度飛行機を持つことが必要でありまして、それなら犠牲者の点につきましては、私はこれが最も頭を悩まし、また今後こういうことのないようにしたいと心がけておりますことでありまして、その点から飛行機の選定に当りましても、最も安全性の高い飛行機を選ぶという点で考慮いたしておりますが、さらにパイロットの養成に当って、F—86Fでさえ犠牲者が出てるのに、将来の超音速の戦闘機の場合にはさらにパイロットの養成がむずかしいのじゃないかというような疑問がおありかと思いますが、これは米軍のパイロットが実際に確めましたところ、グラマン飛行機であるならば、これは大体F—86Fをこなせるならば、グラマン戦闘機は幾らでもこなせるということを、実際にテストした者から聞いておりますので、私どもグラマンのパイロットを養成いたしますのにさして困難性はないものと信じております。もちろん、教育訓練につきまして、現在のパイロットを十分に教育し、将来の超音速戦闘機に備えるような計画を立てて実施いたしております。この点につきましても、そういうつもりで十分な考慮を払っていきたいと思います。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 佐薙さんはめったにおいでにならないし、しかも、要職についておられるから、いろいろこの際伺いたいと思っておりましたが、時間がなくなりましたのでしぼって聞きますから、簡単にお答え願いたいと思います。あなたの御所見はこの間の衆議院の速記録でも見ておりますので、不十分なことは反問いたしますが、数をちょっと聞きますから簡単にお答え願いたい。まずお伺いしたい点は、今あなたが握っておられる航空自衛隊機種並びに機数、それと過去一カ年間における事故とその原因、それからどういう対策を講ずればいいか、この点について。
  27. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) ただいま航空自衛隊の持っておりますものといたしまして、実用機につきましては戦闘機におきましてF—86F、F—86D、輸送機につきましてはC—46を持っております。機数につきましては、F—86Fはいろいろな型がございますが、約二百九十四機ばかり持っております。それから86Dは現在のところ三十機でございます。C—46は三十五機でございます。これが実用機でございます。それから練習機といたしましては、ジェット練習機といたしましてT—33、これは約二百三十七機、プロペラ練習機といたしましてT—6が百六十九機、T—34初歩の練習機が百三十七機ございます。このほかにあと実験用の飛行機が三機種ぐらいに一機づつございます。  それから事故の状況でございますが、事故はちょうど昨年の春から五、六月、夏にかけまして、かなり事故が続きましたのでございますが、その後、事故対策に万全の措置を、予算的措置その他いろいろ講じていただきまして、効果も着々現れまして、最近におきましては、非常に航空事故の数は減って参りました。本年八月一日に一件ございました。それからごく最近に一件T—33でございました。次に、ジェット機で大きな事故と申しますのは一件ございまして、機材による事故といたしましては、八月に一人搭乗者がパラシュートでおりましたけれども、高度が低くて、不幸にして助からなかったということがございます。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 原因は。
  29. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 事故の原因につきましては、昨年度の事故につきましては、どちらかと申しますと、搭乗員自身に関する原因と思われますものが比較的多うございまして、これは、米空軍あたりにおきます多数の事故統計を見ましても、人的原因に起因いたしますものの比率が相当多うございます。昨年の航空自衛隊におきます事故も人的、これは本人の過失とか何とかいう問題ではございませんで、相当高度の技量を要し、あるいは着陸のときのいろいろな困難性という点がございますので、これを人的な過誤と申しておりますが、昨年度の事故におきましては、過半数は人的原因が多うございます。本年におきましては、人的原因の方は、教育訓練を非常にやかましく実施いたし、あるいはきめられた規則を非常にやかましく守る訓練を重視いたしました関係上、人的原因に基きます事故は非常に減りまして、どちらかと申しますと、機材に基きます事故になっておるようなわけでございます。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたは、先ほどから、主としてロッキードとグラマンにしぼって、るる御説明がありましたが、若干一方的な説明の点もあるやに私推察いたしますので、以下順次承わって参りたいと思います。  その前に、あなたはジェット機に今乗れますか。乗ったことがございますか。
  31. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 私は一回同乗したことがございます。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 同乗で、操縦はできませんね。
  33. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 私は、長い航空生活の当初におきまして、ちょっと操縦いたしましたが、あとは操縦しておりませんので現在は操縦しておりません。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さっき、あなたの所属部隊についての説明があったわけですが、その士気はいかがですか。高揚していますか。隊員の土気は。
  35. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 航空自衛隊の現在の搭乗員の士気は非常に上っております。訓練の状況、それからいろいろ任務を課してみましても、非常に成績もよろしいのでございます。また、昨年以来事故のいろいろの対策も講じられまして、現在は操縦者は相当安心し、士気は上っております。
  36. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ついでに承っておきますが、間接侵略並びに直接侵略に備える自信は空幕長として持っておられますか。
  37. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 現在、世界いずれの国を見ましても、一国で国の防衛を全うするということは、ほとんど不可能でないかと思います。日本におきましても、今航空自衛隊に予定されております兵力をもちまして、これが充実いたしましても、航空自衛隊単独で防衛を全うするということは、まず不可能に近いと思います。どうしても、よその国と協力した形においてやる必要がある。その意味において、私はもちろん、間接侵略は、これはあまり航空自衛隊関係ないと思いますが、直接侵略の場合におきまして、航空自衛隊として相当のところまでいけますけれども、これをもって完遂できるということはできませんで、やはり他の国との協力がなければ、完遂はできないというふうに考えております。
  38. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう意味において、あなたは新しい戦闘機種をお考えになっておる、こういうように了承してよろしゅうございますね。
  39. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) ちょっと御質問の意味がはっきりいたしませんが。
  40. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 と申しますことは、あなたは空の関係の責任者ですね。ところが、今の実力では単独でやれないので、国際的に協力して防衛していかなければならぬという事情だと認識しているというお答えですからね。従って、そういうものに即応するという角度から、今新しい主力戦闘機種として検討しているものですかということをお伺いしておる。
  41. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) もちろん、他の国と協力する、しなければ日本の空の防衛はできません。しかしながら、われわれが選ぶ飛行機といたしましては、自主的な見地から飛行機機種を選ぶというように考えております。しかしながら、前提としての、自力だけでやるというのでなくて、共同でやるという根本の観念は持っております。
  42. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうすれば、購入する飛行機アメリカに限りますか。アメリカ以外の国の飛行機は対象にいたしませんか、どうですか。
  43. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) これは、私どものちょっとお答えする範囲でなくなるかと思いますが、国際連合の一員といたしましての見地から、いろいろ問題が起り得ると思います。しかしながら、手近に協力する飛行機は、これはアメリカということが言えると思います。
  44. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従ってアメリカで作っている飛行機を主として研究されて、それ以外の国で作っている飛行機研究されていないと、かように了承してよろしいと思うが、いかがですか。
  45. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 日本が自力で、すなわちみずからの金で、そうして飛行機を買い、最後まで自力で維持していくことができるという状況におきましては、これは最も日本要求に合うような飛行機を買うことができると思いますが、遺憾ながら現在におきましては、日本におきましては、米国から、相互援助協定によりまして、相当いろいろ援助を受ける立場にございます。また、受けなければやっていけないということがございますので、今回の飛行機の選定に当りましても、やはり米国を対象にしてわれわれは考えております。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 基本方針としては、日米防衛体制を前提と考えておる、こういう答弁になると思うのですが、そういうことですね。
  47. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 先ほども申し上げましたように、さしあたり、すぐ国際連合なり集団防衛で実施いたします当面の協力します相手は、米国と考えております。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうなりますと、そういう前提に立つならば、アメリカとしては、アメリカ空軍あるいは海軍、軍部で現に採用しておる、あるいは将来採用するであろう飛行機を、今後日本が選定することを望むでしょうか。それらの観念とはまた別個に、全く日本が自主的に飛行機を選定することがより効果的とアメリカが考えるでしょうか。また、そういう共同防衛の立場に立てば、日本防衛を預かっておる皆さん方としては、現在アメリカが採用している、あるいは今後採用するであろうという飛行機を、運用あるいは補給という立場から採用した方がいいというお考えに立っておられますか。それらの点は全然考えずに機種選定についての基本方針を立てられましたか、いかがですか。
  49. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) アメリカ側といたしましては、日本次期戦闘機を選ぶ場合には、全く日本の自主的立場においてこれを選びなさいということを繰り返し繰り返し申しております。また、私どもといたしましても、日本自分の使う飛行機を選ぶ以上は、日本の、先ほどから申し上げましたような、国情に最も合った飛行機を選びたいということで来ておりまして、必ずしもこの飛行機米軍で大量に使われる、使われないにかかわらず、日本国情に最も合った飛行機を使う。しかしながら、その飛行機はもちろん米国で開発された飛行機である、あるいはたとえばエンジンのごときは、米空軍でも多量に使うというようなことで、もちろん米軍のいろいろ協力援助は受けなければなりませんで、でき上ったものは、全く米空軍なり海軍で現用しているものでなければならんという考えは、私は持っておりませんで、あくまでも自主的に、最も、日本の将来も考えて一番いい飛行機を選びたいということで選んでおります。
  50. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間がありませんから、それをあなたの意見として聞いておきます。F—86Fは二百四十一機あるわけですがね。これはアメリカでも採用されているのですが、最近このF—86Fの性能向上について、何かあなた方に米側から話があっているということを聞いているのです。また、メーカーからも、エンジンをこういうようにすればこういうふうに性能が上るという話があっているということを聞いておりますが、それをあなた方はどういうふうにとられておるか。先般新聞にも所見が出ておりましたけれども新聞紙上では不確かでありますので、あらためてここでお答え願いたい。と同時に、機種が内定して以来、ずいぶんと売り込みが行われているのですが、最近アメリカ機種製作会社から、どういう機種について、その後活発なるあなた方への働らきかけがあっておるか。それをどういうふうにあなた方、見ておるかですね。性能の面その他からお答え願いたいと思います。
  51. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 第一のF—86Fの性能向上に関しましては、私どもかねてから研究はいたしまして、いろいろ研究をいたしましたが、一つの手といたしましては、発動機交換するという手がございますが、これに関しまして適当な発動機もございませんし、また、これに発動機をかえて性能を向上いたしましても、もともと機体の設計が超音速に適するようにできておりませんので、それだけの金をかけて発動機をかえてやっても、金がかかる割合に、得るところの効果が少いということで、発動機をかえてやる性能向上ということは、断念をいたしました。  次に、今考えております、と申しますか、一つ研究問題になりますのは、今の飛行機のままに、ある一時的に性能を出させるためのロケット・エンジンを装備するという方法がございます。これはF—86Fを作りましたノースアメリカンという会社の子会社で作っております一つのロケットエンジンを機体につけまして、そしてあるとき、たとえば上昇するときに上昇性能をここで補うというような方法が一つございます。しかしながら、これはまだ米軍においても広く採用される趨勢のものでもございませんし、また、これを採用するために、機体の構造とかそれから、そのようなまだ深く実用化されておりませんので、今のところこれをすぐに採用するとか採用しないとかいうことは、きめておりません。ただ一応の研究としては考えておりますが、まだ実物が採用されておる状況でもございませんで、ただ研究の対象になっております。それからあと次は、性能向上といたしまして、現在の飛行機のままで搭載する兵器を向上いたしまして、すなわち従来は機銃でやっておりましたものを、空対空の誘導弾、すなわちすぐつきますものはサイドワインダーというものがございますが、こういうものによって性能を向上していく。これは現にアメリカからも供与されるということでありまして、これによってある程度性能を向上することになります。  次は、現在他の飛行機会社からいろいろまだ宣伝その他のことがあるということでございますが、現在いろいろ資料を一般に配布しておりますのは、F—102という飛行機についていろいろ宣伝資料を配っておるようでございます。この102は、当初私ども考慮に入れ、また昨年の八月に永盛調査団が参りましたときにも、一応候補飛行機として米側からも説明のあった飛行機でもございます。しかしこの飛行機は、その飛行機性能あるいは搭載兵器の関係、価格、それらの点から見て、この飛行機はもうすでに106というさらに高度の飛行機にかわりつつある飛行機でございまして、これを今から日本に採用するということは考えずに、比較的早く候補から落ちている飛行機でございます。
  52. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっとそこの答弁が不十分なので、繰り返して聞きますが、このF—86Fにサイドワインダーをつけると、そこで幾らか性能が上る。御承知のごとくこれは日本で国産されておりますね。一機が一億一千万円もしない。今度98J—11だと、約三億五千万円あるいは三億二千万円というようにもいわれておりますが、価格が約三倍になるのですね。それであなたの方では、このF—86Fに火器官制装置IFCSをつけることによってこの性能を引き上げることができるというようなことはお考えになりませんでしたか。そういう研究をしてみましたかみませんか。
  53. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) F—86FにFCS、すなわち射撃管制装置を、われわれの希望いたしますように改善いたしますことは、非常に困難なのでございます。と申しますのは、F—86Dというのがわれわれの希望いたします一つの全天候戦闘機でございますが、このF186Dにつけております全天候戦闘機のファイヤー・コントロール・システムではもう旧式になりますので、われわれはさらに新しいものを希望しておりますが、これはF—86FとF—86Dは同じFという番号がついておりますが、ほとんど違った飛行機でございまして、F—86Fに全天候戦闘機用の発動機をつけますのに、相当の変更をいたしております。従いまして、今われわれがここにいい射撃照準器があるから、これをF—86Fにつけるということになりましても、今のものにつけることになりますと、相当の改造を要しなければなりませんので、それだけの改造をすることは、かえってむだであるというふうにわれわれは考えております。
  54. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは非常に重要な問題に触れてきたと思うのです。全天候性要撃機においては、このFCS火器管制装置というのは、きわめて重要なものだと聞いておるのですが、この認識はいかがですか。
  55. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 最後のところがちょっと……。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 FCSですね、火器管制装置、これがどういうものであるかということは、飛行機、特に迎撃用の飛行機においてはきわめて重要なものだと思う。これはいろいろな電子機器を積むわけですね、科学の進歩とともに。これは昔は考えられないことで、これは非常に重要なことだとわれわれは本で読んでおりますが、それは間違いないかどうか。
  57. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) さようでございます。この飛行機におきましては、射撃管制装置がきわめて大事なものでございまして、これのよしあしによって、いろいろ空中におきまして、夜間でも、あるいは視界の悪いときでも攻撃であるか、あるいはどういう方向から攻撃できるか、あるいはどういう距離からどういうものを発射できるかということになります。これは飛行機においては人間の頭脳その他に相当するものでございまして、非常に大事なものでございます。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこでお伺いしたいのは、F—86Fが一マッハから一マッハ半、それから98J—11の新しい機種になると二マッハからロケットマッハ半ということですね。そうするとFCS火器管制装置は、三マッハ、四マッハ飛ぶのですから、飛行機のスピードがおそくても、優秀な火器管制装置をつければ、カバーできるわけですね。飛行機が早く飛んでいきますからね。そこで、私はさっき何を聞いたかというと、F—86Fを火器管制装置で性能を引き上げることは困難性があるということを答弁された、そのことは、98J—11についても同様に言えるんじゃないですか。98J—11にはどういうFCSをつけられる御予定ですか、何社製のどれをつける御予定でございますか。これはキー・ポイントになると思うのです。
  59. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) F—86Fに現在ついておりますFCSと、それから将来われわれが考えておりますFCSとの重量、容積その他については、いろいろ問題がございますので、F—86Fにそれではこういうファイア・コントロール・システムをつけたらすぐつくんじゃないかということは、機体改造その他重量、容積の問題がございますので、困難な点がございます。それからF1F——今度のグラマン戦闘機は、現在米海軍で使っております。これはどれをつけるかということにつきましては、約三種類ばかりの候補のものがございまして、それの比較検討、これにつきましては、相当米軍におきましても高度の機密がございましたが、大体われわれが選定するのに差しつかえない程度技術資料は、米軍からも提供になり、また、会社の技術者も日本に派遣されまして、一々、いろいろ詳細にこちらで当りまして、そうして大体98Jには、今後われわれが使う戦闘機には、こういうファイア・コントロール・システムがいいであろうということの検討を続けております。これは米海軍において、そのものそっくりのものではございませんが、大体それの基本になりますものは、現在すでに使っております。従いまして、これは98Jにつけて十分使えるという見通しがついているものでございます。
  60. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点は責任を持って答弁できますか。私はそこを一番突っ込んで研究したのですが、どこの国でもファイア・コントロール・システムを先にきめる、こういうんですね。そうしてそれは、電子機器が発達しているから、数が非常に多い、それから重さが相当の量になる、だから翼の広さとか、角度が問題になってくる。だからいかに機体が優秀であっても、FCSが優秀でなければ、迎撃戦闘機として勝負にならないというわけです。だからFCSのどういうものをつけるか、どういう型のものか、重量が幾らかということにつきまして、機体、エンジンというものを選定していかなければならない。ところが、あなたの答弁を聞くと、二機あるF11—1Fの改良型で7型エンジンをつける98J—11を購入することにした。しかしファイア・コントロール・システムについては、三種類くらいあるから、そのうちのどれかをという答弁ですが、まだきめていないのですか。きめておったら、何社のどういうものですか、承わりたい。
  61. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 大体候補に考えられます三種類の中に、それぞれの特徴がございます。それをいろいろ彼此検討……。
  62. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 きまっているのですか、きまっていないのですか。
  63. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 彼此検討いたしまして、われわれが現在考えておりますのは、エアロ13と、これの改良型ということに大体計画をしております。
  64. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今あなたがおっしゃられたエロア13、これはまだできていないのですね。98J—11という飛行機に、重量からいっても、それが大丈夫載るという実証を、どなたからあなたは受けて、それを信用しているのですか。私、非常に心配でありますから承わっておきたい。
  65. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) エアロ13にもいろいろ型がございます。それでエアロ13のものは、現在米海軍で実証をしております。われわれは、さらにそれよりも性能のいいものを要求しておりますが、エアロ13のものにも、あるものをいろいろ基本の形にそれをつけかえることによってできるようになっております。その重量、容積その他については十分資料を得ておりますので、これをグラマンにつけるわけでございますが、今飛んでおります二機のものにはやや容積が足りませんので、若干は機体の頭の部分を改造する必要がございます。これは、どの飛行機につきましても、たとえばF—104にいたしましても、現在E—104についている射撃照準器は、われわれが要求するものに合っておりませんので、それにわれわれが要求するものをつけるときには、機体の一部を広げなければならぬということが起って参ります。これは今後どの飛行機に使う場合でも、これは、今そのものをつけておる飛行機がございませんので、これをつける場合には、頭の部分に、これが入るだけの若干の改造は要します。
  66. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 将来重要になりますから、私、責任ある答弁をしていただきたいのですが、日本は主として百要撃機に重点を置いて採用しようと言っているわけですね。そうしますと、採用する飛行機の撃墜率というものが、一番問題になるわけですね。そうしますと、速度とか、あるいは高度の要素となりますこのFCS、ファイア・コントロール・システムのいかんということは、非常に重要なキー・ポイントになるわけです。それであなたが、今、エアロ13、これの改良型を乗せようとしていると言うのですが、そもそも98J—11の飛行機自体がまだできていないわけですから、それを改良してこれを乗せようというのですが、それを乗せてやった場合、撃墜率は何%と予想しておりますか。それがわからぬで、あなたは飛行機機種をきめられますか。御承知の通り、アメリカの軍部では、毎年各メーカーが、陸海空軍飛行機飛行場で一ぺん一ぺんテストして、撃墜率を実験しているでしょう。そうして、データをちゃんとこしらえているでしょう。米空海軍みなそれを持っているわけです。だからこの98J—11を買い、FCS、ファイア・コントロール・システムを入れるとすれば、あなた自身が研究したか、あるいはあなたのスタッフが研究したか、あるいは、責任あるアメリカの軍部から聞いたか。ともかくその撃墜率はどのくらいかということは知っておるはずです。この点お答え願いたい。
  67. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 射撃照準装置につきましては、われわれが米側から得ました資料につきまして、さらに会社の技術者を呼びまして、いろいろこまかく専門家が当って聞き、さらに会社から得ましただけでは信用ができないというと工合が悪いのでありますが、それを裏づけをするために、米軍側の意向を聞いて、そうしてこれこれのものが乗れば、大体この通りに考えるかどうかということも確かめております。従いまして私どもが選びますこのエアロ13という照準器は、まず日本が全天候戦闘機として使うのに一番適したものであると考えておりますが、その撃墜率につきましては、これは標準器だけが撃墜率をきめるわけではございませんで、すなわちこれにたとえばサイドワインダーをつけるといたしますならば、サイドワインダーの照準器と、攻撃方法とがかみ合って、その撃墜率がきまってくるわけでございますから、照準器だけでこれがどれだけの撃墜率を持っているというわけにも参りません。しかしながら、今の射撃照準装置の撃墜率は非常にいいということを、われわれは今ここで何%というようなことは申し上げかねますが、これに搭載するサイドワインダーあるいはロケットと併合して使いまして、高度の撃墜率を持っていることをわれわれは信じております。
  68. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは佐薙さんに答弁していただきたいと思うのです。私は、専門家にこの点をいろいろ聞いたのです。それから、あなたの配下のある人にも私は聞いたのですが、それを一番心配しているのですよ。やや軽率だったのじゃないかという、その表現は微妙だけれども、一番心配しているところです。サイドワインダーは、今度台湾海峡で米軍が使った、命中率七五%程度というのですね、そういうことが新聞に報ぜられて、真偽のほどはわかりませんが、あなた方それを採用する場合、サイドワインダーも使おう、それからこのエアロ13型も使おう、あるいは一方だけ使うことを考えていると思うのですが、そうした場合、一体どの程度の撃墜率があるかということを検討し、部内でそういう点につい意見が一致していなかったら、私は無責任だと思う。だから、ただ高度じゃわからぬですよ。一体あなたは、責任者として、内局に説明するときは、あなたは最高権威者で、責任者であるし、内局に説明する場合、あなたがその衝に当ると思うのですが、高度というものは一体どの程度と予想しておられるのですか。何十何%とは聞きませんよ。どの程度と考えておられますか。その点は、依然としてばくとしていると思いますね。
  69. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 今、どの照準器が何%、どの照準器が何%ということは、この席では私申しかねますが、今のサイドワインダーだけをとりましても、今お話しのございましたように七、八〇%の撃墜率を持っていることは実証されております。従いまして、それが十分にいろいろの方向から使えるという照準器でございましたならば、それと少くともマッチした撃墜率を照準器が持っているということは言えるわけでございます。
  70. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ちょっと速記とめてくれませんか。    〔速記中止〕
  71. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を始めて下さい。
  72. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いろいろお聞きしたいことはありますが、三分間で終ります。その一つは、サイドワインダーは、これは赤外線ホーミング、追尾式だというのですね。そうすると、このエアロ型13というのは、その型ですか。それとも、レーダーになっているのですか。どっちですか。
  73. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 私どもといたしましては、将来この飛行機に積みます誘導弾は、赤外線ホーミングを持ちました空対空の誘導弾のみならず、レーダーホーミングを持ちました空対空の誘導弾も合せて使用したいというふうに考えております。従って、照準器につきましても、その点を考慮に入れております。
  74. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これで質問を終りますが、その点は、非常に不十分です。不明確です。これは私は、無責任だと思います。時間があったらまたあとでやりますが、最後の質問としては、あなたは先ほど、ずいぶん長い間説明されて、その言葉だけ承わっておると、なるほどと思うわけですね。ところが、反面を考えると疑問が起ってきますし、衆議院決算委員会であれほど問題になったのを、どうして、あなたがそれほど自信を持って内局に説明して、内局から国防会議に出た問題が、どうして衆議院決算委員会であんなに問題になって、しかも、九月九日の衆議院決算委員会の、十四号の会議録を見るとわかりますが、川島幹事長が、防衛庁は疑惑を持たれているから、防衛庁の影響力のあるような委員会で研究してはだめだから、だから防衛庁を除いた委員会で、この機械の問題を国民が納得できるように究明する必要がある、こういうことを証人として述べて、そうして官房長官にそれを指示していること、これはどういうわけでこういうことになったとあなたは認識されているか。その点を、私は、飛行機に乗る方は、非常に御苦労でありお気の毒だと思うのです。こういう人の生命を十分守ってあげねばならぬ。親、子もある方なんですからね。この戦闘機械の問題が、国会並びに国民にこういうように取り上げられた現在、自衛隊の隊員に対してはどういう影響を与えているとあなたは判断されておられるか。河野総務会長の言葉をかりて言うならば、日本飛行機メーカー並びに学者、それから実際に飛行機に乗る人、こういうあらゆる階層の人々をもって構成する委員会で十分検討して、国民も納得する姿で、また、実際その飛行機に乗られる航空自衛隊の隊員の方々も安心するような形において、この新しい戦闘機種はきめるべきである、こういうことを、与党の河野総務会長は、与党内でも発言し、また、衆議院決算委員会でも証人として発言されている。これらの点について、あなたは十分尊重する必要があると考えられているかどうか。あなたは航空自衛隊員の長でありますから、お答え願いたい。
  75. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 第一の、この問題はなぜいろいろ決算委員会その他において取り上げられて問題になっているかということにつきまして、私もはっきりした、なぜこれほどの問題になったかということにつきまして、つかみ得ないのでございます。防衛庁といたしましては、先ほどから私が申し上げましたように、十分専門的な立場から、また中正的な立場につきまして、将来誤まりない飛行機を選ぶということに専念いたしまして、また防衛庁なり、また、国防会議の参事官会議におきましても、十分、非常によく勉強されて、私どもの申しますことを、ただそのままうのみにするのでなくて、十分検討されてきめられているものでございますので、それがどうしてあそこまで問題になったかということにつきまして、いろいろ外部の事情もございますと思いますが、外部の事情につきましては、私ども十分存じておりませんので、はっきりどうしてそうなったかということにつきましては明快にはお答えいたしかねるわけでございます。  第二の、航空自衛隊の、こういうことが問題になっていろいろ部内に対する影響その他はどうかという点でございますが、航空自衛隊におきまして、少くとも搭乗員に関します限りは、搭乗員の立場から、われわれが実際に将来乗る飛行機としてまあ航空自衛隊で、私どものところで、選びました飛行機のいろいろな状況などの説明を聞いて、その飛行機ならばみんなが安心して乗れるということの意思表示をしております。従いましてこれはみんなというわけではございませんが、相当広い範囲において問題になりましたときに、こういうことで飛行機が選ばれたということに対していろいろ関係者説明いたしましたときに、みんなそれぞれ納得しております。ただ、いろいろ新聞に出ておりますので、搭乗員以外の一般の人には、いろいろ誤解を与えておりますことは遺憾なことと思っておりますが、これにつきましては、いろいろ審議が終えまして十分実情を詳しく説明すれば、自衛隊一般に対しましてもはっきりした正しい認識が得られることと私は思っております。
  76. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 川島側の発言に対する見解は、防衛庁に疑惑がかかっているから防衛庁を除いて研究する必要があるということです。
  77. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) これは元来飛行機の、特に一人しか乗らない場合、輸送機のような場合には、これは多少違うかと思いますが、戦闘機のように一人のパイロットが、しかも戦闘任務をいろいろ困難な状況において実施するという場合には、やはり実際に乗る人の立場から、最終的にどういう飛行機を選ぶかということをきめられるべきであると私は考えております。従いまして、これが十分に通ぜられずに、ただ学者あるいは部内の専門家だけできめられるということは非常に適当でない。あくまで乗る人のほんとうの気持というものを十分しんしゃくされてきめられなければならぬと私は考えております。
  78. 永岡光治

    委員長永岡光治君) それでは、時間も経過いたしましたので、佐薙説明員につきましては、さらに午後質疑を継続することとし、午後は一時半から再開することにいたしまして、これにて暫時休憩いたします。    午後零時五十分休憩    —————・—————    午後一時五十七分開会
  79. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、航空自衛隊次期主力戦闘機機種選定に関する件について調査を進めます。  佐薙説明員に対する質疑を継続いたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  80. 八木幸吉

    八木幸吉君 質疑を再開するに先立ちまして、定刻すでに三十分近く政府の説明員並びに政府委員の方が、委員がそろっておるにもかかわらず、お見えにならなかったことに対して遺憾の意を表しておきます。  午前の伊藤矢嶋委員佐薙空幕幕僚長との質疑応答に関連いたしまして、二、三の点をお伺いいたしたいと存じます。第一点は、F1F—1Fの試験回数が三百十八回、試験時間は二百四十時間であるが、しかし、その性能等の内容については、秘密事項に属するから、十分承知をいたしておらぬ。ただ米国側の説明を信用して、それでF1F—1Fがよい、こういう結論を出した、こういうふうに私承わったのでありますが、そこで私伺いたいのは、こんなにアメリカ日本の方に、私たちは推奨だと思うのですが、先ほど幕僚長はF1F—1Fを考慮に入れたらどうかという説明があったという御言葉をお使いになりましたが、考慮に入れたらどうかというのは、やはり一種の私は推奨だと思うのですが、アメリカ側は、日本にこの戦闘機を推奨しながら、しかもアメリカ自体では、この飛行機を現在も使う気持ちもないし、将来もまた、これを自分の方の国で使う気持はない、その点にどうも私は納得がいかない。よほどいいものであれば、まあ、貸与目的という点もあるかもしれませんけれどもアメリカも同時に使うのがほんとうじゃないか、これを日本に推奨しながら、アメリカでこれを使わないということはF1F—1Fが、F1F—1の艦上戦闘機からだんだん開発、発展してきたものである、F1F—1は二百機以上も向うで現に使っている、その製作会社のグラマンは、海軍に対して相当今まで貢献した会社である、その会社がさらにこれを開発して、1Fを作ったけれども、他にすでに海軍では、ほかの会社のものを使っておるから、その会社の、端的に言って義理立てみたいに、日本にこれを推奨したのじゃないかというふうな憶測と申しますか、推測と申しますか、どうも自分の方で使わぬものを日本へ推奨したという点がよくわからない。その辺はどういうふうにお考えになるか、幕僚長に一ぺん伺ってみたいと思います。
  81. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) F1F—1Fという飛行機につきまして、試験の内容は秘密であって、あまり説明できない。従ってこれを信用しろというようなふうに考えられるようなお話しでございますが、これはもちろん、実験のすっかりこまかいデータあたりは見せてくれません。これはどの飛行機につきましても同様でございまして、実験成績のこまかいものを米軍で示すということはしておりません。しかしながら、ある程度米側で、この飛行機日本側に説明してもよろしいということになりますと、会社をして、会社が作っておりますいろいろのデータは十分軍の方で見て、この程度のものなら出してもよろしいということになりますと、会社をしていろいろ資料を提供させます。従いまして、私ども米空軍で実際に実験しましたその実験記録というものは、その最後のでき上りの数字だけしか説明を受けておりませんが、機体に関すること、その他いろいろのことに関します資料は、会社側からそれぞれもらっておりまして、十分検討をしております。これはどの機種につきましても、同様でございますが、グラマンについても、同様の手段を講じておりまして、昨年永盛調査団が参りました以降におきまして、逐次会社側から、こちらからも要求し、向うからも持って来ますが、いろいろ日本で作る場合、こういうふうにしてF1F—1Fに、エンジンを換装したものをこういうふうにしてやっていくということは、いろいろ説明を聞いております。それで米海軍で使わないものを使わないから、それを日本に使わせて、そうしてあれしようというようなふうに考えられないことはないというお話しでございますが、この問題に関しましては、これは米海軍がかりに日本側に対して推奨するというようなことがあるならば、これは別問題でございます。これは、実験航空隊米空軍の手で実験いたしまして、そうして飛んでみたところが、先ほども午前中に申し上げましたが、どのパイロットが飛びましても非常にいい性能飛行機である、しかも私ども考慮に入れておりますような飛行機と相並んで、防空戦闘機としてきわめて信頼性のある飛行機であるというところから、これも検討候補機の中に入れたらどうか、実際飛んでみて自信のある飛行機であるからということで紹介があった程度でございまして、決してこれを押しつけるというようなことは、これはいたしておりません。それで米国の飛行機はそれぞれ作りますときから、特殊な目的でもって、みな飛行機を作っております。アメリカ戦闘機で申しますと、新しい戦闘機にはF—100の番号をつけました機闘機が、御承知かと思いますが、F—100、101、F—102、103というのは脱落いたしましてございませんが、F—104、105、106というふうに、同じ超音速の戦闘機でも、そのように種類がございます。また現有されております100以下、80あるいは90台の戦闘機がございますが、将来機の超音速戦闘機で100をつけましたものは種類が多うございます。米空軍はある特殊の目的で、狭い幅でいろいろな飛行機を作りまして、その組み合せによっていろいろ使い方を考えるというふうにやっております。それでございますから、必ずしも米空軍でいろいろありますものはこの目的が非常に限定されている。ところが、たまたまこれは海軍の飛行機でございましたが、海軍の飛行機は母艦の上で使うということになりますと、あまり極端に幅の狭い飛行機を持つということになりますと、たくさんの種類の飛行機を小さな母艦の上に載せなければならないので、非常に不便でございますので、比較的母艦に積みます飛行機は、本来幅の広い使い方ができる飛行機ができております。そういう点がございまして、必ずしも米空軍で使わない、あるいは米海軍で使わないということから、これが米国で使わないから、日本一つ使わせてやろうというそういう気持があるのじゃなくて、向うの飛行機は大体それぞれ特殊の目的で作っておりますから、たまたま空軍では海軍の飛行機と目的が違っていろいろ作ってございます。従って海軍の、何と申しますか、広い角度でものを見なさい、こういう飛行機もあるのですよ、ということを紹介してくれた程度でございまして、決してこれを、アメリカで使わない飛行機で、せっかく作った飛行機だから日本で使えといったような日本に押しつけるような意味のことは全然ございません。この点ははっきり申し上げられます。
  82. 八木幸吉

    八木幸吉君 どうもこの目的別にアメリカ側は作っているので、日本の使う目的とは違う、こういう意味でF1F—1Fが大へんその目的に合致しているから選んだ、こういうお話しでしたが、これは雑誌の記事で、どの程度信用していいのかわからないが、今のF1F—1がマッハ級のものでないから、もっと速力の速いものをアメリカの海軍が要求をしておった。その要求に合致するようにグラマンでも相当いろいろ研究をしておったところが、たまたまF8U—1というのがアメリカの海軍で大量に発注されて、すでにその目的を相当達した。そのあとでたまたまグラマン社のF1F—1Fができたので、せっかくできたものであるけれども、それの使用先がなくて多少困惑の状態であったところが、日本とかスイスだとか、あるいはドイツとかいったようなところに次期戦闘機の問題が起きたので、どの程度の推奨かわかりませんが、たまたまこれを日本に紹介したというふうな雑誌の記事があるのですが、ちょっと、これはありそうに見えるのでございますが、今私が言った記事の最後のところは、想像の域を出ないのでしょうが、たとえばF8U—1をアメリカの海軍が大量に発注したというようなことは、これは間違いないかどうか。それからどうも目的だけでは、アメリカは全然将来も使わないということか、どうも私は納得がいかないのですが、なぜ使わないのかということを、もう少し端的に御説明いただきたい。この二点についてお伺いいたします。
  83. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) ただいまのお話しのF1F—1Fをなぜ米軍が使わないかということ、米空軍がなぜ使わないかということは、これはただいま申し上げましたように、米空軍はいろいろたくさんのF—100番号のついた飛行機を、当初から米軍の、これはいろいろ戦略的な目的などから要求を出しております。従いまして、たまたま海軍で作った飛行機で、空軍で開発したというJ79というエンジンをつけたやつが非常にいい性能で、一九五六年の十二月でございましたか、高度の世界記録を作ったり、あるいは速力も世界記録を作ったりし、非常にいい飛行機だというものが出ましたけれども、それがいいからといって、本来の目的に合う飛行機ではないから、米空軍としては、これを使う意思がないのは当然だと思います。それから海軍でなぜこれを使わないかということにつきましては、今F8Uのチャンス・ヴォート会社の飛行機との比較がございましたが、これは雑誌あたりには、いろいろチャンス・ヴォートの飛行機の会社と試作をして負けたもの、落第した飛行機じゃないかというようなことがあるいは言われたりいたしますが、これは私どもがいろいろ調べましてF8Uの飛行機F1F—1の飛行機とが試作をされ、そうして米海軍で採用されました年月というものをつぶさに調べてみますと、まず最初に、F1F—1の飛行機が最初に米海軍で採用されておりまする最初にこれが試飛行されましたのが一九五四年の七月であります。F1F—1の方がF8Uよりは先に米海軍から注文を受けて生産に移りましたが、この飛行機はJ65という発動機をつけておりましたが、このJ65という発動機性能はあまり推力が少いために、性能はマッハ1少し出るところぐらいで、そう高性能飛行機でございませんでしたが、次にF8U—1という飛行機は、これは一九五五年の三月に初めて試飛行をいたしました飛行機で、あとから出てきた飛行機でございます。このチャンス・ヴォート会社と申しますのは、これはグラマンと同様に、あるいはグラマン以上に、もっぱら米海軍飛行機を作っている会社でございます。それでこの会社の飛行機グラマンが出ましたあとに、11ができたあと試作され試飛行して生産されることになったのでありますが、問題のF1F—1Fといいますのは、8Uが出ましてからさらに一年たちました一九五六年の夏になりまして、ようやくとこれをグラマンの会社で一つ、これは海軍に使われるということなしに、広く最新鋭の戦闘機として米国のみならず各国にも一つ売り出そうという気持をもって開発し、アメリカばかりでなく、海外にもこれを輸出機としていろいろ企図しておったもののようでございます。それで米海軍ではどういうわけでこれを使わないかということを、私ども直接は確めておりませんが、F8Uの飛行機とはこれは時期的にいろいろ違っておりまして、一部新聞その他に書かれておりますように、グラマンとチャンス・ヴォートの8Uとの競争試作で負けた飛行機である。従って採用しないという意味のものではないと私ども確信しております。また、会社側にこれは確めたことでございますから、これは信用を必ずしも全幅におくことはできませんが、今も申し上げましたように、チャンス・ヴォートという会社は専門的に米海軍飛行機を昔からそれオンリーに作っている会社でございます。従ってこの会社にある程度の注文を出さなければ会社の維持はできない。ところが、グラマンの会社はこれは米海軍飛行機も作っておりますし、米空軍で使っている飛行機も作っております。それから同じ海軍ではS2Fとかその他の飛行機、それから一般用機も作っている、幅広く飛行機を作っている。それから会社維持のためにチャンス・ヴォートの会社には製作を必ず一つは持続させるようにやっている、こういれは会社側の説明でございますから、私ども何もこれをそのまま信用するわけではございませんが、これも一つの理屈はあるのではないか、こう考えております。
  84. 八木幸吉

    八木幸吉君 今私が申し上げた意味を少しおとり違えになったようなところもあると思う。私の申し上げたのは、F1F—1、それは最初艦上戦闘機として海軍が使っていた。その次にF8U—1とF1F—1Fとが競合して、1Fの方が負けたと、こういう意味で申し上げたのではないので、F1F—1の次にF8U—1が採用された。そのあとF1F—1Fができたが、さてやり場に困ったというようになっているが、その点も多少考慮の中に入ってないか、こういうことを伺ったのです。と申しますのは、今のお言葉の中にもあります通り、たとえばF8U—1のチャンス・ヴォートという会社は海軍専門の会社だから、会社の状態の悪いのを救ってやろうというので、何か一つずつ注文しているというような関係を現に肯定されたようなお話がありましたので、航空機の産業界を育成するというコンシダレーションが全然ないとは、アメリカとしても言い切れない。そこでF1F—1Fがかりに外国向きにできているか、あるいはアメリカ向きにできているか知りませんが、スイスやドイツや日本次期戦闘機を買わなければならないという場合に持ってこいとして、多少強くこれを推奨するということは、常識的に私は十分あり得ることだと、こう今の御答弁でも実は考えるわけであります。しかし、技術家の佐薙幕僚長にその点はあまり深くはお聞きいたしませんが、ただ一つ今の答弁で私が聞きたいのは、海軍はF1F—1Fをなぜ使わないか、その理由は知らぬ。これは私は、なぜ使わぬかということは知らぬじゃない、こういうわけで使わないだろうということの理由は、多少ご存じでなければならぬと思うのと、それから空軍がこれを使わないのは、その性能の上でアメリカ要求するところと合致しない、こうおっしゃいますけれども、相当優秀な飛行機であればあるほど、どの点が一体アメリカの目的に合致しないか、どの点が合致するのか、F1F—1Fをどういうふうに改良すればアメリカも使えるか、この点はもう少しアメリカが使わぬということに対して性能的に御説明がないと、アメリカは使わぬけれども日本ではよろしいということが、日米共同防衛体制においてどうも常識的に一番私の割り切れないところなんで、そこをもう少し、しろうとにわかるように一つ説明願いたい。
  85. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 米空軍で申しますと、米空軍は先ほど申し上げましたように、飛行機を作りますときに、兵術上こういう飛行機を持ちたい、こういうことで、ある要求性能を出して、それで飛行機を幾つかの会社に競争試作で作らせるというようなことに出ているようでありますが、今現に米空軍が、これは米空軍から直接聞いたことではございませんが、米空軍に、現在できておりますF—100系統の飛行機の特徴を見ますと、F—100は、これは最初にできました超音速の飛行機でございます。これはF—86を改良したものでございまして、これは超音速の方でも、初期になります。これはどちらかと申しますと、制空戦闘機兼爆撃が相当できるということを重視しております。で、そういうF86—Fをさらに高度にした飛行機ということであれを作ったように私どもは判断しております。その次のF—101という飛行機は、これは非常に足の長い、もともとこの飛行機は、遠くに足の長い戦略空軍の爆撃機が参りますときに、これを援護していく、爆撃機の援護戦闘機、戦略空軍の援護戦闘機として作らせるということの要求を出しまして、非常に足の長いことを目標にした戦闘機でございます。ところが、その後におきまして、戦略空軍戦闘機を随伴しない、戦略空軍の爆撃機は、大体単独で行く、非常に燃料を空中で補給して遠くへ行くので、戦闘機を一々随伴しないということで、必ずしも現在のF—101という飛行機は、本来考えられましたような戦略空軍飛行機の随伴戦闘機ということにはなっておらなくて、目的が変ったようでございますが、本来非常に足の長いことを目標にして作った戦闘機であります。それからF—102と申しますのは、これは米本土におきます全天候戦闘機として、先ほどお話がございましたある射撃照準器を中心にして、一つこういう飛行機を作ろう、それからレーダーを使いました空対空の誘導弾、そういうものの組み合せで一つ全天候戦闘機を作ろうというので開発しましたのが、F—102であります。F—103というのは、私は、どういう目的で作り、なぜ落ちたか、今はっきりいたしませんので省略いたしますが、次のF—104と申しますのは、局地高々度の制空戦闘機、英語で言うとポイント・インターセプトと申しておりますが、ある局地におきまして高高度に上って、そうして来襲する飛行機を阻止する。従って距離は短かくてもインターセプターであるという一つの用途をもって作らせた飛行機、これがF—104であります。それからF—105と申しますのは、どちらかといいますと、Fという戦闘機の標題はついておりますが、これはファイター・ボンバーと申しまして、地上攻撃あたりに相当重点を置いた飛行機になっております。搭載力その他も相当大きな飛行機であります。それからF—106は、これはF—102の改良型でございますが、さらにこれの性能を向上し、さらにこれに積む電子兵器が、アメリカで、御承知かと思いますがSAGEと申します地上警戒のいろいろレーダー組織ができておりますが、これと直結して、そうして能力を発揮するように飛行機を作らせておるというように、それぞれある特殊の目的で、飛行機を初めから要求して作っておるというのが、米空軍飛行機製作でございます。従いまして、今、海軍で作りました飛行機は、たとえばわれわれが要求しております速力とか、高度の要求性能がかなり合致しておりましても、これをすぐ米空軍で採用するということには、必ずしもいかないものと思われます。また、中に積んでおります兵器のうちの一部とか、あるいは製作のやり方とかいうものが、必ずしも機体の方につきましては、エンジンは共通でございますが、機体その他につきましては、必ずしもまだ米海軍空軍で一致していないところもございます。そんなようなところがございますので、私は、F11Fの性能がいいからといって、すぐにこれを米空軍が、いろいろ計画的にやってきました中に、急に取り入れるということはできないのではないか、これは多分に私の推測も入っておりますが、今まで研究いたしましたところでは、そういうふうに判断されます。米海軍でなぜこれを採用しないかと申しますことにつきましては、先ほど申し上げましたように、米海軍から直接まだこれを確かめることを実施いたしておりませんので、明確にここでお答え申し上げることはちょっとできません。
  86. 八木幸吉

    八木幸吉君 このセンチュリー・シリーズの性能についていろいろ御説明いただきましたが、アメリカの世界戦略の立場からいえば、おそらくそうでございましょう。しかし、今、日本の防空の責任は、大部分米極東空軍が持っているといっていいのだろうと思うのです。アメリカが、日本向きにいいF1F—1Fを極東空軍に、たとい百機でも、五十機でも作るという考えがないというのは、どういうわけですか。
  87. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 今のお尋ねは、F1F—1Fを米極東空軍日本で使わないかという御質問でございますか。
  88. 八木幸吉

    八木幸吉君 そうです。
  89. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) これは、米空軍の方は、日本におきます防空は、従来は米空軍が担当しておりましたが、逐次日本航空自衛隊にこれを移管していこう、少くとも米空軍が従来担当しておりました戦闘機による防空という部面は、日本側に移管するということで、逐次減らしてきております。現在だんだん減ってきておりまして、ごくわずかしかおりませんので、今さら米空軍が、日本防衛のために、特別にこの飛行機を注文して作る、そうして米軍として配属するというようなことはおそらくあり得ないことと考えております。
  90. 八木幸吉

    八木幸吉君 そこでこの点、アメリカの海軍がなぜ使わないかということはよくわからぬというお話しでありましたが、現在おわかりにならないでしょうが、アメリカの海軍がなぜ使わないかということをもう少し御検討いただきまして、あるいは会社などへお聞きになるなりなんなりして、次の機会に資料として御提出を願いたいと思います。  それから次に、もう一点伺いたいのは、先ほどのF1F—1Fを御選定になった有力な一つの理由として、安全性のことを非常に強調されました。同時にこの滑走路の問題についてもお話がありました。そこで、この間防衛庁の方からいただきました資料を読みますと、N—156F、これは滑走路が五千フィート、F1F—1Fは七千フィートになっておりますが、これは五千フィート、この方が短かくて、しかも値段は非常に安いと聞いておるのですが、これは一体どういうことでお省きになりましたか。
  91. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) このN—156Fという飛行機は、元来はT38という米空軍で超音速練習機として採用するという飛行機をさらに開発して、N—156Fにしよう、こういう飛行機でございます。従いまして本来の前身は、超音速練習機でございます。従いましてこれを戦闘機に改造いたしまして、戦闘機に使おうという場合に、私ども要求いたします要求性能に合致しない点がございます。すなわち速力、それから高度といったような点におきまして、必ずしもこれを満足しておりません。しかしながら、N—156という飛行機につきましては、ノースロップという会社が、一つの企図を持っておりまして、これはヨーロッパであるとか日本、あるいは極東の各国というような所で、飛行場の狭い所で、しかも比較的値段の安い飛行機を好むような所に使えるような戦闘機にしたいということから、いろいろ着想をこらしまして、そうして当初から、そういうヨーロッパあるいは東洋の国向けに一つやろうということで、いろいろ研究してやっておりますので、着想としては、私は非常にいいところもあると思います。従いましてわれわれも、滑走路が短かいということ、それから値段も安いということで、この飛行機にも、ある程度の関心は持たないわけじゃございません。しかしながら、何分にも要求性能において、練習機から開発いたしましたために、満たない点があるということと、それからこの飛行機は、まだ試作のT—38という飛行機は最近ようやっとできまして、本年来くらいに試飛行を実施するという段階でございまして、まだ実際に飛んでおりません。それから新しくできました飛行機で、発動機もようやっと機体の製作に間に合って、ようやくこの年末くらいに試飛行をする、N—156という飛行機になりますと、さらにこれを改造して戦闘機にしようというのであって、これも来年の中期以後にならなければまだわからない、どういう結果になるかわからないという飛行機でございまして、これこそ新しく作ります飛行機であって、そしてわれわれの要求性能を満たすか満たさないかということが非常に未知数の飛行機である。従ってこれを今の段階においてわれわれは次期戦闘機として最も適当であるということは言い得ないという点がございまして、これをこの候補の中から落していった次第でございます。
  92. 八木幸吉

    八木幸吉君 先ほど伊藤委員の御質問だと思うのですが、パイロットの話がございました。それでF—86Fに乗れる人であれば、F11—1Fには乗れるだろう、こういうことをアメリカのその通のくろうとが返事をした、それで安心をしているのだというような意味のお話がありましたが、F—86Fは最大速度は五百九十キロ・パー・アワー、片一方は二マッハというのですが、一体マッハよりはるかに下ったものに乗れるから、二マッハのものにもすぐに乗れるというのは、非常な私はこれは即断にすぎやせぬかと思うのですがどうでしょうか、その点いかがですか。
  93. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) この点は先ほど申しましたように、日本のパイロットが実際に乗って日本のパイロットから所感を聞けば一番いいのですが、これがなかなかできませんので、米軍のパイロットで実際に経験の深い。パイロットで、そしてF—86Fも飛び、F1F—1Fも飛んだ。パイロットに、F1F—1Fを飛ぶのにどういうふうにパイロットが従来の飛行機から乗り移りができるかということを私は確かめております。そのときにこれを飛びました。パイロットが、F—86Fを乗りこなせるようならば、容易に飛びこなせる。それから速力で非常に急激に変化しているようにお考えになりますけれども、実際は飛行機の、かりにマッハ二の飛行機でありましても、実際に任務を遂行しておりますときは、大体サブソニックと申しまして音速以下の〇、九とかそういう速力で飛んでおる場合が比較的多くて、いよいよ敵に向って行くときには、増速いたしましてマッハ二になりますが、ずっとマッハ二で離陸から着陸までやっていくというわけでは決してございませんで、空中の必要なときに至りまして増速をいたしまして、そうしてマッハ二にするということでございます。それで音速を突破しますときは、一つ飛行機のサブソニックから、低音速から超音速という移りかわりのときに、音波の衝撃を突破しますときに一つ問題点がございましたが、これがF1F—1Fにおきましては米国におきまして非常に研究いたしまして、エーリア・ルールという方法がございまして、中をしぼったこういうとっくりのような、コカコラのびんとよくいわれますが、この形をF1F—1Fは採用いたしました。それによりまして音速以下から音速を突破する一番むずかしい状態が比較的スムーズに移り得るということになっております。これは後ほど技術者がおりますので、技術者から、質問していただけば十分説明すると思いますが、104あたりは音速以下から音速を突破いたしますときに、急激に抵抗の増加というものがあって、その移り工合がむずかしいというようなことがございます。この飛行機に乗りまして、そういうエーリア・ルールを採用しました飛行機に乗って低音速から超音速に移るのは比較的容易である。これは航空力学的からも言えますが、今のパイロットの実際飛んだ人の偽わらざる意見でF—86Fを飛行機を飛びこなせる者ならば楽に飛びこなせるということを言っておりますことは、飛行機の機体の状況を見ましても、われわれもうなずけることでございます。
  94. 八木幸吉

    八木幸吉君 F—86Fを操縦できるパイロットであれば、音速までの速度ならいけるだろうということは、容易に理解できますが、それから超音速に変えるときには、ヒョウタンのようなものがあってうまくいけるはずになっておる。それから先はしかしまだわからないので、平時にはいい、敵に近く行くまではいいが、いざ戦闘するということになると、ちょっとわからない。それは理屈ではいいはずだというお話しなんですが、私はパイロット自体になってみれば、それを信用するかどうか非常にあやしいと思いますが、この点もしかし専門的なお話を伺っても、理解する能力がありませんから、この程度にいたしておきますが、二マッハ以上の速度の飛行機に乗れるだけのパイロットを、たとえば来年中に何人ぐらい養成できますか。
  95. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 来年中という御質問でございますか。
  96. 八木幸吉

    八木幸吉君 はあ。
  97. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) F1F—1Fに乗ります。パイロットを養成しますのは、この飛行機が実際にでき上りますまでに、計画的にいろいろ米国にも教官を派遣したり、それからこちらにおきますいろいろ教育準備施設を設けて、そうしてこの飛行機ができますまでに間に合うように教育しようということでありまして、来年すぐこの飛行機の。パイロットを養成するということではございません。当分の間は、先ほどもお話がありましたようにF—86Fの。パイロットをみっちり教育するということに力を注いでいくことに考えております。
  98. 八木幸吉

    八木幸吉君 ちょっと話が横にそれますが、パイロットとF—86Fのバランスの問題は、この前にちょうだいした資料では、三十三年度までになお五十機、機数の方が残る、人間の方では五十人足りない、こういうふうに承わったのですが、一体もう少し金をかけたら……。人は死ぬ場合もあるでしょうし、健康状態の問題もありましょうから、もう少し金をかけて、来年中は足らぬということでなしに、いつも二割なら二割余るぐらいにパイロットは一体養成はできないものですか。その理由は金が足りないのか、練習機が足りないのか、予算が足りないのか。あなたの方ではあり余るほど。パイロットを持っていたいというのが実情だと思いますが、その隘路はどこにあるか、それを端的に一つ伺いたい。
  99. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 搭乗員の数が思うように出ませんでしたことにつきましては、いろいろな要素がございますが、その一つの要素につきましては、われわれ早くから教育計画を立てまして、そうして所要の教育施設を拡充するということに努力をいたしましたが何分にも教育施設が、言いかえますと飛行場の施設がわれわれの思うように取得ができない、あるいはジェット機のための拡張が思うようにまかせない、あるいはもう一つ、現在浜松で戦闘機のパイロットの教育をしておりますが、その第二の戦闘機のパイロットの教育をする部隊を作ろうと思いましても、なかなか滑走路の拡張なり何なりできない。そのもう一つ前になりますT—33の練習にいたしましても、もう一つ分校がほしいということで前から土地の取得、施設の拡充ということをいたしましたが、これもいろいろな状況によってなかなか施設ができない。問題はこの教育施設がわれわれの企図いたしましたごとくできなかった。現在はT—33の教育は本校—第三操縦学校と称しておりますが、本校と、分校が宮崎県の新田原にできまして、並行して現在のところにおきましては、相当の数の教育施設を持つことになりましたが、86Fの教育施設につきましては、もう一つの施設がほしいのでございます。これが今やっと施設その他の関係が逐次整備して、これは第四航空団、現在松島におりますが、それが準備もだんだんでき上って、来年初頭からは教育が開始できるというふうなことで、一つの問題は教育施設あたりがわれわれの思うように開設し得なかったこと、もう一つはパイロットの淘汰でございますが、操縦過程におきまして。パイロットの適性が悪くて、そして学生教程中にふるい落す数が比較的われわれが予想いたしましたよりも多うございました。これは昔でございましたならば、比較的その点を甘く見て、どんどん上へ進ませましたけれども、現在におきましては必ずしも数にとらわれずに、粒のいい。パイロット、ジェット機に乗るのに適する。パイロットを出したいというところから、淘汰の率を相当厳重に実施いたしましたので、当初はわれわれが予期しておりましたよりも、パイロットに、上の方に進みます率が低うございまして、こういう点で所期の数を得ておりませんが、これも早期にパイロットを飛行機に乗せて、一応適性を早く見て、そしてむだに、途中まで操縦をさせてからやめさせるということのないように、早く不適性のものを見つけ出して、そして有効な教育をやっていこうというふうに教育方式をとっておりまして、逐次効果か現われております。そういう点がございます。それからもう一つは、操縦者の方はどちらかと申しますと、当初におきましては、第二次大戦当時まで乗りました旧パイロットがおりますので、これを比較的早い時期にパイロットの方に教育をして、そして操縦者とすることが割合に容易でございましたけれども、問題は、これに伴う整備員でありますとか、地上の諸支援施設とかいうふうなものが、必ずしも見合いません。で、整備員の方はジェット機の整備あるいはジェット機に積みますいろいろの各種の兵器の整備というものは、大戦前の経験者では工合が悪くて、全然新しく教育をし直すというようなことで、これに比較的時間がかかる。またこれの教育施設の方もなかなか思うようにいかなかったというふうな点がありまして、やはりこれとの見合い、バランスを見ていかなきゃならないというようなところがございましたために、86F操縦者がそう急速にはふえられない。やはりある時期を待たなければ、急速にふえない。最近はそのバランスが相当是正をされつつありますので、今後は比較的早く数多くの、従来より数多く出てくることになっておりますが、今までのところはいろいろアンバランスあたりもございまして、これの是正に時間がかかったという点がございます。
  100. 八木幸吉

    八木幸吉君 昨年の十二月の七日にいただきましたF—86Fに関する。パイロットのバランスの資料、それによりますと三十三年度では五十人、三十四年度では十四人足りなくて、三十五年度で初めて七人余る、こういう表になっておるのですが、この表の作り方に対しても、パイロット一人当りの航空機の機台の割り出しにも相当議論があると思うのですが、これは別としてしばらく数字をそのままいいといたしまして、三十四年度の年度中に十四人足らぬというのを、少くともパーに持っていく。足らぬのじゃなく、余るだけのものをぜひやらなければならぬ、こういう決心のもとに教育施設と、それから、搭乗員の選択の問題、給与やいろいろ体格その他の問題もありましょうが、それから整備員の問題、これは国防の要請からぜひこれを充足しなければならぬというのにはどうしたらよいのか、幾ら金がかかるか、非常に端的な話ですけれども、どうしてもパイロットをふやすということなら幾ら、金をかけたらできるか、また給与をどうしたらいいかというようなことを御検討になって、資料として私いただきたいと思います。  それから最後にもう一点伺いたいのですが、航空機に関してエンジンはいずれ何割かのスペアが必要だと思うのですが、F1F—1Fではなしに、F11Jのエンジンのスペアはどの程度が軍事常識からいって適当とお考えになりますか。
  101. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) エンジンのスペアをどのくらいにするかということは、将来の飛行機エンジンでありますから、まだ未確定でございますが、できますならば四〇%くらいは持ちたい、四割くらいのエンジンは持ちたい。しかしながら整備の状況、あるいはその他によっては、まだそれ以下でもすごし得ることも可能である。なるべく少くて回転をうまくしてやりたいと考えておりますので、少くとも最小限二割から四割くらいのエンジンを保有したいと、こう考えております。
  102. 八木幸吉

    八木幸吉君 軍の要請としては四〇%くらいはほしいが、財政的に見ていろいろ困難があれば二〇%でも辛抱はし得る、それくらいならよかろうと見込んでおる。こう言うのですか。
  103. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) さようでございます。
  104. 八木幸吉

    八木幸吉君 けっこうです。
  105. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと聞かして下さい。佐薙さんおそれ入りますが、もうちょっと聞かしていただきたい。さっき午前中にお答えになりましたファイア・コントロール・システムのエアロ13、これと私は他の本で見たんですが、あなたのところで考えているヒューズ社のMG3というファイア・コントロール・システムはF1F—1Fに乗せられない、ウエートの関係で、重さの関係で、そういうことを本で読んだんですが、このエアロ13とMG3の比較はどう考えておられるか。エアロ13の重さですね、それから価格、それから有効距離はどの程度のデータを持たれておるのか。今後の飛行機にとっては、これは私生命だと思いますので、今持たれておるデータを承わりたい。
  106. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) MG3といいますのは、私ども先ほど申し上げました三つの中の一つではないと思っておりますが、私どもが今まで考慮に入れておりますのは……。
  107. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 二、三の雑誌に出ておることを聞いたのですが、なければないでけっこうです。
  108. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 何かの書き間違いかと思いますが、なおほかに私ども考慮いたしました以外に、なおMG3があるかどうか、これは検討さしていただきますが、問題は今のお話しのように非常に重いようなものは好ましくない。なるべく軽量、容積も小さいということが望ましいのでございますが、また近ごろだんだん……。
  109. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 価格と有効距離ですね、どのくらい……。
  110. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 有効距離は、私今覚えておりませんので、即答いたしかねます。また、これはあるいは米軍におきましても非常にやかましい。ファイア・コントロール・システムにつきましては、非常にやかましくしておりますのでお答えできますかどうか……。それから現在私資料も持ち合せませんので、お答えいたしかねますが……。
  111. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは、重量と有効距離と価格ですね、それを資料として一つお出しを願いたいと思います。米軍との関係でどうしても発表できぬというならば、そういうふうにお答えいただけばよろしいです。それから、あなたがことしの正月ですか、米空軍参謀総長の招待で参られたのですが、衆議院の速記録を見ると、新戦闘機種とは全く無関係で、アメリカ防衛状況を視察に行っただけだと、こういうふうに衆議院で述べられておるのですが、きょうの説明では、新戦闘機種選定の角度から十分研究し視察されたようにお答えなさっていらっしゃるのですが、この食い違いはどういうふうに考えたらよろしゅうございますか。
  112. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 私がこの前決算委員会質問されましたときにも、私の今回の渡米のいきさつは、この前決算委員会で答弁いたしましたように、参りますときのいきさつは、この戦闘機調査には全然関係はございません。しかしながら、私が参りますに当りましては、調査目的といたしまして、新しい情勢に応じて、将来の日本の防空兵器体制というものをどういうふうに持っていくか、防衛体制並びに防衛兵器体制というものをどういう点に重点を置くかということで視察をしてこようということで視察個所、その他について申し入れをいたしまして、そうして今まで私どもが見たことがない、また一部の人しか見たことがない各種の実験研究施設あたりを見て参ったわけであります。その防空兵器体系というものに関連して、次期戦闘機も当然考慮の中に入る、従って私の視察の間にそういう意味において、できるだけ次期戦闘機についても考慮を払ってきたということは、この前の委員会のときに、私はそういう意味で申し上げております。決して今回の調査のときに無関心であったということは申しておりませんで、新兵器体系、新しい兵器体系ということに関連して、次期戦闘機もでき得る限りいろいろ視察の途中においてこれを見てこようということを述べております。
  113. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この前の速記録ときょうの発言とからは、エドワード基地がいろいろ出てくるわけですが、エドワード基地以外どこの基地を見られたか。それから主としてどの飛行機を見られたか。F1F—1Fはあなたがごらんにならなかったというようなことも、新聞などには出ているのですが、違うんで、主としてあなたが向うで見られた飛行機F1F—1Fは口頭で聞いただけだということなんですが、その真相はいかがですか。
  114. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 私が今回視察中に、たとえばエグリンという飛行場におきましては、これはやはり実験航空隊でございますが、米空軍で持っております新しい各種の飛行機を全部飛ばして、いろいろやって見せてくれました。先ほど申しましたF—100、エグリン飛行場にありますF—101、104、価、それからその他の新しい大型の飛行機、その他全部見ております。それからエドワード飛行場と申しますのは、これはカリフォルニアのロスアンゼルスの北東にあると思いますが、あそこに砂漠がございます。砂漠のところに作りました実験航空隊でございまして、そこで米空軍のみならず、米海軍飛行機も、米海軍の委託を受け一緒に実験するという空軍実験場でございますが、そこで飛行性能実験を主としてやっております。その他、私はF—104とF11—Fの両方の飛行機の飛行実験を実際に見せてもらいました。午前と午後にわたりまして、二回にわたってF1F—1Fの飛行実験を見ております。
  115. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その飛行性能実験を見られたというのは了解しました。ところで、私は一番の問題は、火器管制装置の実験というものがおえてなければ、実験は完成したということにはならないと思うのですが、この点いかがですか。
  116. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) これは飛行機として、われわれが実際に使用いたしますまでには、御説の通りファイア・コントロール・システムを装備いたしまして、実際にいわゆるウィーポン・システムとして、兵器体系としてこの飛行機がよいということを確認しなければなりません。しかしF1F—1Fにつきましては、飛行性能だけを米空軍のエドワードにおきまして実験しておりますが、その前身であります11は、これは実用機としていろいろ照準兵器もつけ、いろいろ実施しておりますので、これは全然未知の飛行機でなく、相当のところを解明できている飛行機であると私どもは理解しております。
  117. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこのところがわれわれには不安であるわけです。しかし水掛論は繰り返しません。そこで、次に伺うことは、あなたはアメリカから資料を持って帰られたというのですが、防衛庁当局から出していただいた資料を見ると、そのときどきでずいぶん違うのですよ。信用できないというわけです。業者から出た資料だということもときどき言われるし、あなたの方の軍機の秘密でなかなか出してもらえない。一部はメーカー関係のものであるということですが、あなたはアメリカの海軍あるいは空軍当局から責任あるサインのついたデータ、資料というものを持って帰られましたか、どうですか。それは本委員会から要求されたら出せますか、出せませんか。
  118. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 私が公式に受けました資料は、米空軍省から各種の、候補になりました飛行機比較をいたしました性能要目の比較の表をもらっております。これにはサインはありません。これは提出できるかどうかと申しますと、これは特に秘密の書類として私が受けてもらってきておりまして、これはこの席で提出できるかどうか、私は即答いたしかねます。
  119. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そのときにいただいた資料と、現在の情勢とはかなり変っているのではないか。たとえば具体的に言いますと、F—104C並びに102A、それらは、その当時ある程度秘密で、その後資料が提供されたそれから永盛団長のN—156F、さっき八木委員質問された飛行機、これは永盛団長の報告にも非常に注目に値すべき飛行機だと言っておりますが、木型ができた程度で、時期的に云々ということが書いてあります。ところが、それから一年以上経過しておりますから、そうなりますと、あなたが行った当時にいただいた資料は、今の段階では、もう一ぺん今の事態に立って検討しなければならないように質的に内容が変更されていると思いますが、いかがですか。
  120. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) これはものによりけりだと思います。飛行機と申しますのは、寸法は変りませんでも、そのつどいろいろある程度小改修あるいは改善をしておりますから、若干の、その当時に、私が二月に受けました資料そのままであるかどうか、若干変っているかということにつきましては、私はこの席で今何とも申し上げかねますが、ないとも申せませんし、あるともちょっと申せません。
  121. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこに私はちょっと不安があるのですが、当局者として今後十分検討していただきたいと思いますが、具体的に一つ伺いますが、あなた方のいただいている資料というのは、そんなに変るのですか。一つの例ですが、たとえばF—104、これが最も妥当だと永盛さんが出発されるまで、防衛庁が言っておったのでは、滑走路五千フィートだ、で、国会で答弁した五千フィートと思っていたところが、七千フィート滑走路が必要だということがわかったというようなことを、一度答弁したことがある。そしてこれに出た資料によると、約八千フィートと書いてある。きょうのあなたの答弁だと約一万フィートと言っておる。そんなにあなたがたがつかまれる資料というものは、五千フィートと一万というと倍ですからね、そんなに頼りないものだとすると、他にいただいている資料も、どこまで信用していいかなということになる、どんなものでしょうか。五千も、七千も、八千も速記録に出ている、あなた方から出た資料です。どのように理解したらよろしいのですか。
  122. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 最初の104の五千フィートにつきましては、これは昨年の当初、私どもがいろいろ研究いたしておりますときに、非公式に、これはおもに会社側とか、いろいろ出所は記憶しておりませんが、その時分にわれわれが得ました情報というものは、非常に楽観的と申しますか、非常にいい数字が出ておりました。これは非常にいい飛行機だと思っておりましたのが、永盛団長が参りましたときに、米空軍実験した数字から得たというのが、七千フィートであります。それから八千フィート申しますのは、その後私がアメリカにおきまして得た数字も大体これは八千フィートと記憶しておりますが、ごく最近におきましても、最近と申しますのは、八月ごろでございますが、ロッキードの会社の幹部が参りまして、在京しております幹部にいろいろ新しいF—104Cの資料についていろいろ資料の提出を求めましたときに、たとえば全備重量で、飛行機の滑走路の持続距離と申しますのは、一番いつ長く要るかと申しますと、全備重量で離陸いたしますときは、一番計算上長く要ります。この数字をたとえばF—104Cについて全備重量で離陸するときに幾ら要るかという数字を求めたときに、計算をいたしましたのが八千フィートであります。これは会社で確かめて、われわれの方で得た数字でございます。それから一万フィート申しましたのは、これは実施部隊で普通の。パイロットに使う場合に、計算上から出ました、これでよろしいという数字ではなくて、そのほかに天候の悪いとき、操縦者の誤判断から出る余裕を見なければならない。特に先ほど一万フィートと申しましたのは、空中でエンジンがとまって、早いスピードで降りてくるエマージェンシー・ランニングの場合にどのくらい滑走路が要るかということについて、そのとき一万フィートはないと不安ですよということをF—104の部隊長になる人が私に語った数字を、御披露したわけでございます。従ってそれぞれ前提が多少違うのでございます。
  123. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 数字を出すときは、単位というのが一番大事なんで、答えられる場合も、それからアメリカ日本に出す資料においても、またわれわれに書面によって出す場合にも、基準というものを明確にして数字を出さないと意味をなさないと思いますね。今後この点は十分注意していただきたいと思うのです。どれを信用していいのやらさっぱりわからぬです。この点は注意を喚起いたしておきます。  あと二点ばかりですが、これは新しい主力戦闘機種は統合幕僚会議の議題にはならなかったのですか、なったのですか。
  124. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 統合幕僚会議の議題にはなっておりません。
  125. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうすると、国防会議の六条によりますと、統幕議長は出席させられてそうして説明をさせることができると、こういうような規定になっているのですが、国防会議は数回にわたってこの問題を研究論議しているようですが、あなたあるいは林議長は、国防会議の議長である岸さんから出席を要請されて、直接何らかの説明をしたことがありますか。それともあなたが内局に説明するだけで、すべて国防会議との接触は、内局だけでやられましたか、いかがですか。
  126. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 私は防衛庁におきます専門的立場で大臣を補佐いたしますので、機種の選定に関し専門的事項について意見を申し上げまして、それ以後防衛庁におきます審議、それから防衛庁がこれを国防会議に移すということは、すべて内局におかれまして、大臣の直接の幕僚である職員が実施されております。もちろん、そういう会議に私も呼ばれてさらに説明をし、意見を述べたりすることは実施しておりますが、審議は大臣の直属の幕僚が実施され、さらにこれを国防会議の方に移すのも、一切内局において実施されておりますので、私は国防会議あるいはその国防会議における下の研究会というようなものには、一切私は出ておりません。
  127. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでさっきの質問と関連するのですが、与党の河野さんとかあるいは川島さんは、あなた方だけにはまかされぬから、だから学者とか、メーカーも含んだ機関で一応検討して、そうして議長である岸総理大臣の諮問に答えたい、参考意見に供したい、そうする必要があると、そういうことを述べられて、党は六役会議で方針をきめられておるわけですね。この点については、あなたは先ほどわれわれをオミットした形じゃ困る、実際に乗る者の意見を聞いてもらわなければ困る、ごもっともだと思うのです。そういう答弁をされたわけですが、今私が伺うことは、こういう新しい機種を国防会議で決定しようというような場合には、一応正規のルートとしてあなた方が内局に説明し、内局から出た参事官が国防会議に出て説明をし、そうしてこの質疑に答えるということとともに、国防会議の議長から専門であるあなた方の出席を許可されて、あなた方の参考意見を国防会議において聞いていただくということを希望しますか、しませんか、いかがですか。今後いかように国防会議というものは運用されるのがいいとお考えになっておりますか、あなたの見解を承わります。
  128. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 私といたしまして、現在まで実施されております段階におきましては、私どもの専門的意見を十分にその筋で聞いてくれております。従いまして、私はこれは上でどうおきめいただいてもけっこうでございますが、現在まで実施されております段階におきましては、私はあるいは専門的立場の者の意見、すなわち乗ります者の意見というものが十分に取り入れられて、またそれが上の方に通じているというふうに了解しておりますので、私は現在の段階において、直接私が述べなければならないという必要までは感じておりません。
  129. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで伺いますが、私、しろうとでよくわからないのですけれども、きょうあなたの方が主としてF—104のロッキードと、それからF1F—1Fのグラマン比較されて言われておりましたが、速度とか上昇率からいくと、F—104の方がはるかにいい、それから迎撃性能だけから考えれば、F—104の方がはるかによろしい、しかし滑走路とか沈下速度からいうと、グラマンの方がいい、価格の方ではこれはお答え願いたいと思うのですが、転々と変ったけれども、ロッキードの方では約七十五万ドル、グラマンの方は約九十八万ドル、さらに未開発であるから、これから開発費が要るというようなこと、それからアメリカが採用していないというような不利な点がある、それからN—156は、さっき八木君から話が出ましたが、永盛団長からの報告を見ても、注目すべき点があり、これは上昇率は実に三万と書いてある、滑走路は五千、それから安いという点もある。それからF—102にいたしましても、これは正面攻撃のファイアー・コントロール・システムを持っておるから安いとか、やや上昇率は一万五千程度だけれども、事故が少くて撃墜率が高い、なかなかしろうとではいずれがいいかわからぬというような資料が、われわれのところに集まっておるわけなんですが、それだけに慎重に検討していただかなければならぬと思うのですが、ここであなた方が一応内定しているという98J—11の、今あなた方がつかんでいる価格ですね。これは二百機作ると三百機作るとでは違うと思うのですが、かりに三百機とすれば、一機どのくらいかかるのか。それから開発費というものは、これは衆議院でも論議されましたが、大へんなものだと思うのですよ。F11は二機できているというのですが、これを98J—11に改良するわけですね。それから飛行性能から、次にFCSのコントロール・システムからいろいろやっていけば、生産段階に入るまでに、かなりの飛行機を作らねばならぬと思うのですが、おそらくそれはアメリカが持たんで日本で持つようになると思うのですが、それの見通し、それらの価格を入れれば今あなた方が一応内定した98J—11というのは、今日の時点に立って三百機作るとして、一機どの程度でできるという数字を持っておられるのか、お答えをお聞きしたい。
  130. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 価格の点についていろいろ御質問がございましたが、価格の点につきましては、もちろん私ども非常に関心を持ってはおりますけれども、価格のいろいろ評価、それからその他につきましては、防衛庁におきましても専門的に担当しておられるところがございますので、私がお答えいたしますよりも、専門に担当しておられる方にお伺いしていただきたいと思うのでございます。ただ、このファイアー・コントロール・システムにつきましては、これはどの飛行機を採用いたしましても、日本日本の、けさほどから申します国情から、全天候戦闘機というものがどうしても必要であるということになりますけれども、全天候戦闘機で、日本で使うファイアー・コントロール・システム等から、こういうものがほしいということになりますると、これはどの飛行機にいたしましても、新たに104にいたしましても、機体の一部を改装するなり、それについての実験も要るということになります。また、156にいたしましてももちろんでありますし、102も現在ついております。102は全天候戦闘機でございますけれども、そのままのファイアー・コントロール・システムでなくて、むしろ現在われわれが最も最新式であるファイアー・コントロール・システムでこれがいいということになれば、それに対するやはりある程度実験は要るということになります。価格の点については、一つ専門の方があられますので、その方に一つお願いしたいと思います。
  131. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) F11Fを今国産化いたしますと、三百機生産といたしまして九十八万一千ドルであります。ちょっと時期が変っておりますので少し内容的には——。
  132. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 開発費を含んでおりますか。
  133. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) 開発費は総額で二千五百万ドルでその中へ入っております。今空幕長が言いましたように、F—104の場合に、これを同じ全天候性のFCSを積むといたしますと、それを変えるだけでロッキードでは一万六千五百ドルかかる。三百機にいたしますと約五百万ドルそれを変えるだけでかかります。従って試験その他の費用は向うで全部持ちますから、開発費は全部で五百万ドル。従って開発費だけにつきましては、F11Fの場合、全天候戦闘機にいたしますと九十八万一千ドル、その中には二千五百万ドルが入っています。
  134. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 かなりの差があるわけですね。最後に伺います。それは佐薙さんこの前十月四日にマケルロイ米国防長官とお会いになって、日米間の安全保障問題に、儀礼的ですが話し合いをされているのです。で、あなたが飛行機を担当しているだけに、これはスピードがあるので、私いつも関心を持っているのですが、それで次の質問に答えていただきたいと思うのです。この午前中出ましたアメリカとの共同防衛体制という立場から、あなたスピードの航空の方を受け持っておられるわけですが、日米共同で武力行使をやる、集団的な防衛をやるわけです。共同防衛をやるわけです。それはある制限があると、その制限とはどういうふうに理解されておるか。まず、制限があるとお考えになっているか、ないとお考えになっているか、また、あるとするならば、どういう制限があるとお考えになっておるのか承わりたいと思います。
  135. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) ちょっと御質問の制限があるかないか、この問題はどうも航空幕僚長に対する質問として筋が違うようで、ちょっと御質問の意味もはっきり解せないところがございますが……。
  136. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 部下まで徹底していないと、飛行機はどこまで飛んでいくかわからんですからね。いつも私は心配することは、陸上自衛隊なら船に乗るとか何とかしないと動けないわけです。ところが、飛行機というのは、領空がありましてもどこからと境がないわけですから、そのときの勢いでは、事のないときに相当のところまで飛んでいくかもしれないし、また、日米協議してやる場合でも、共同作戦やる場合に、飛行機は隊員がはっきり腹に入れておかなければ、とてつもないところまで飛んでいくかもしれんと思います。それで今の自衛隊の置かれている立場から、日米の武力共同措置ですね、行使、それは無条件なのか、どういう制約があるのか、その点を伺っているわけです。どういうふうに認識されているか。
  137. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) ただいま航空自衛隊防衛力整備計画によりまして整備しておりますものは、防空戦闘機でございますので、おのずから任務、従ってまたその飛行機の能力から、自国の空の守りということに大体限定されます。もちろん、これはただ行きっ放しということになれば、どこにでも行けますけれども、元来防空戦闘機でございますので、おのずから能力の限度がございます。われわれといたしましては、米側と話し合いしましても、ただすみやかに、日本の空を航空自衛隊日本みずからの手で守るということに、整備の目標を置いていっておりまして、かりに何か武力行使のようなことがございましても、それをわれわれが受け持つということに考えております。
  138. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に。なぜ私は伺うかといいますと、河野総務会長が先月熊本に旅行されて、記者団の質問にこういうふうに答えられているのです。自分日本国の憲法から日本の自衛隊は要撃を主とした飛行機を選定すべきだと思う。そういう角度からいうならば、航続距離ということは、あまり考えんでもよろしい。今われわれ聞いた範囲内では、かつて僕は国防会議の議員の一人であったが、ロッキードの107あたりが最適だと思っていると、ところが、自衛隊の方はそれだけでなくて、航続距離の長いのみならず、若干攻撃性を持ったのを自衛隊はほしがっているのじゃないか、そこに議論の一番ポイントがある。これは憲法とも関連することで重大なので、国会で扱っているのだ……このことは間違いありません。新聞にその通り出ている、記者団会見でね、で伺ったわけですが、今の言葉はあなたどういうふうに防衛庁としては納得されますか、反駁されますか。
  139. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 実際の防空だけを考えましたときにおきましても、戦時の場合、先ほど午前に申し上げましたように、日本がかりに進攻を受けるというようなときに、いろいろ電波妨害とか、おとりとかいろいろ妨害を受けて、そしてレーダーでつかまえて、飛行機が上るという場合がございます。従って飛行機というものは一ぺん上りまして、すぐ燃料が足りなくなって帰ってくるのでは、非常に困るのでございまして、向うへ行ってみたところが、それはおとりの飛行機だったという場合には、しばらくでも長く滞空をして、そして次に本物が来るなり、あるいは次に来る目標をつかまえるといったような、なるべく滞空時間が長いということが望ましいわけであります。そういう意味におきまして、何も航続距離ということに限定されずに、滞空力が長いということが一つは望ましいわけであります。それからまた、将来だんだん空対地という誘導弾の距離が伸びて参ります。現在すでに爆撃機には空対地の誘導弾というものが積まれております。これが将来距離が伸びますと、爆撃する飛行機は、日本の本土に接近せずに遠くで空対地の誘導弾を放して帰ってしまう。従いましてわれわれといたしましては、なるべくそういう空対地の誘導弾の射程より遠くに出て、そして向うの搭載している爆撃機自体を捕捉、阻止する必要がございます。こういう点を考えますと、やはり将来防空戦闘機にいたしましても、距離が相当長いということが必要になります。従いまして距離というものが、なるべく長いということが望ましいわけであります。  それから攻撃力という点につきまして、何もこれは遠くいわゆる進攻的なことをするのでなくて、少くともわれわれが現在任務に与えられております、すなわち陸上自衛隊の戦闘なり、あるいは海上自衛隊の戦闘に努力して、ほんとうに進攻兵力があった場合に、それに対する自衛的防衛というときにも、これと協力して攻撃するだけの能力を持ちませんとならない。そういう意味の地上協力的な意味の攻撃のことを、できるならばこれは必要であるということで申しているわけでございます。
  140. 八木幸吉

    八木幸吉君 関連。今の矢嶋委員質問に関連して一点だけ伺いたいのですが、これは航空幕僚長としては非常に答弁は私むずかしい問題であり、この規定自体が私相当疑問があると思うのですが、心がまえを簡単に伺えばいい。それは、自衛隊法の第八十八条の二項に、防衛出動時の武力行使のことが書いてある。その武力行使の中に、「事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならない」こういう文句があります。この文句は実戦に臨んだ場合に、この項目自体が無理な私は規定だと思っているのですけれども、いやしくも法律になった以上は、これに対して大体どういうふうな心がまえを持っておられるか、簡単に一点だけ伺いたい。
  141. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) これも先ほど御質問にお答えいたしましたが、現在航空自衛隊で持っておりまする飛行機からいたしましては、防空でございますし、また、現在のF—86Fの行動能力からいたしましても、一ぺん上りましてから所要の高度に達しますと、そう長く滞空できるわけではございません。従いまして確実にレーダーでつかんで、これが敵性の飛行機であるというときに上って、そしてこれを阻止するということが、当面の任務でございまして、将来F11Fのような、あるいはその他の次期戦闘機になりました場合も、大体この距離が若干、先ほど申しました空対地の誘導弾の関係で伸びるとか、あるいはそれからレーダーの距離が多少よくなれば、それによって伸びるという程度でございまして、実際に敵の飛行機を捕捉撃滅いたしますにも、地上の警戒管制装置すなわちレーダーの協力をもってしなければなりませんので、単独に飛行機というものが活躍できるものではございませんで、どうしても地上の指導なり何なりによって動かなければならないということがございますから、おのずからそこに限度というものができてくるわけでございます。
  142. 松岡平市

    ○松岡平市君 大へん長時間にわたって詳細な御説明を願ったので、大体のことはわかりましたが、なお御答弁のうちで、あるいは質問がなかったために、この機会に明かにしなければならないと思うことが二、三ございますので質問させていただきたいと思います。  先ほど来、承わっておりますというと、大体いろいろ詳しい御説明もあり質問もありましたが、私の了解するところでは、少くとも昨年永盛調査団アメリカに出発する際には、防衛庁の皆さん方専門的な立場の方々は、まあ日本次期戦闘機としてはF—104である、こういうふうな一応の判断を持っておられた。それがアメリカに行って永盛調査団アメリカの現地において、国防省あるいはアメリカ空軍等からいろいろなデータを提供され、あるいは実際の飛行機の飛行状況を見てみたところが、そこへF1F—1Fですか、こういう日本に適当な、完全ではないけれども日本国情に合うという点から、非常にいいものをみつけて帰って来た。そしてそれをその後検討してみて、なるほどこれが一番いいということで、国防会議にそういうものを防衛庁日本次期戦闘機として決定してもらいたいということを申し出た、こういうふうに了解してよろしゅうございましょうか。
  143. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) その通り御了解願ってけっこうでございます。
  144. 松岡平市

    ○松岡平市君 そういたしますと、永盛調査団アメリカに行くまでは、日本では、あなた方としては、次期戦闘機としては、F—100かF—104というもの以外にはほとんど、たとえば今F1F—1Fですか、こういうものあるいは、N—156、あるいはF—102あるいはそれを改良されたF—106というようなものについては、ほとんど資料、知識を持っておらなかった、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  145. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 永盛調査団が出発いたしますころまでにおきましては、私どもが対象にして主として研究いたしましたのは、F—104、それからF—100でございますが、その前にすでにN—156につきましては、会社の者が日本に訪れましたときに、その構想の話がございまして、これもいろいろ着目すべき飛行機であるということで、  一応N—156につきましても考えてはおりました。またF—102につきましては、これはF—86Dに次ぐ全天候戦闘機でございますから、これも一応考えないわけではございません、考えないではございませんが、製作会社の関係とか、あるいはここに積みますいろいろ照準器の関係等とか、いろいろな点がございまして、まず候補の中には入れておりますが、そう深く対象にはしておりません。もちろん、候補として研究の対象には一応持っておりました。従いまして永盛調査団が参りましたときには、F—100、F—104、N—156、F—102あたりについても、一応広く調査してこいという腹案を持って出発しております。
  146. 松岡平市

    ○松岡平市君 先ほど来国情に合うという点から三つ、主たるものとして二つ、それから多目的性というものを追加されて三つおあげになりました。第一は地理的条件、第二は操縦、運動安全性、この二つを非常に重要な決定する条件として考えたと、104を少くとも永盛調査団が出発するときには、一応これでいくより仕方がないだろう、あるいはこれがよかろう、まあいずれでもけっこうですが、大体そういうふうに考えたということは、今おっしゃった通りでございますが、この場合にも地理的条件、操縦、運動、安全の正確については、非常に大事なことでありますから考慮に入れられたと思うのです。そのうち、地理的条件については、会社側なり、あるいはその他調査されたのでありましょうが、大体滑走路としては五千フィート内外のものでよろしいというようなことであって、地理的条件においては、まず差しつかえないとお考えになった。これは向うへ行ってから必ずしもそうでないということを発見して、非常に不適格な様想を呈してきた、こう理解いたしました。ただし操縦、運動、安全性ということについては、少くとも永盛調査団が出発する前に、先ほど御説明の中にもあったが、去年のうちにも相当すぐれたアメリカのパイロットがあまり無理な状況下でないのに何人も墜落して死んでおる、こういう事実はもうすでに知っておられたと思う。従ってこの機種を決定するということについて、この第二の要件において相当欠格があると、こういうふうには当時はお考えにならなかったかどうか。この点を一つ聞かしていただきたい。
  147. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 調査団が出発いたしますまでは、午前にも申し上げましたが、われわれが得ております情報というものが比較的限られております。十分な資料が得られませんので、どうしても現地に行って実態をつかまなければならないということで、調査団が派遣されました次第でございまして、先ほどの実際にこれを飛んでみたら、あるいは使ってみてどういう問題点があるかということは、これは米国におきましても、実際にこれを知っております者が限られた人でございます。日本に来ております者も、評判は聞いておりましても、実際のものをつかんでおらないというようなことがございまして、私どもは出発いたしますまでは、いろいろ技術的な問題点でありますとか、そういった操縦に関連する問題とかいうことにつきましては、十分把握できておらなかった状況でございます。
  148. 松岡平市

    ○松岡平市君 そうしますというと、先ほどあなたが104について例をあげられて、昨年の事故並びに今年になってからの累次にわたる事故、すなわち操縦安全性においてどうも憂慮にたえないというためにあげられた事故というようなものも、昨年の分についても、これはまあ永盛調査団が向うへ行って初めて詳細にわかったと、すなわち、地理的条件における欠格と同様に、この操縦安全性についての欠格も向うへ行ってすべてはっきりした、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  149. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 永盛調査団が参りまして、現在私どもが把握しておりますほど詳しくは、たとえば事故の具体的例でありますとか、それから操縦安全性につきましても、それほどまで詳しくは把握して、必ずしも現在われわれが持っております程度には把握しておりません。で、その後におきまして会社側からもしばしば日本に参りまして、そうしてこういう問題点、こういう問題点ということについて、いろいろ資料の提出を求め、質問をしたりして逐次資料を得ております。それから操繰の安全性等とつきましては、その後におきまして実際にこれを飛びました。パイロット、ことに私が実際にアメリカに参りまして、実施部隊で、その当事者からなまに説明を聞いてそうして確かめたものでございまして、永盛調査団以降、逐次これは明らかになってきたということでございます。
  150. 松岡平市

    ○松岡平市君 そうするというと、永盛調査団が帰ってきたときには、いまなお十分にはその地理的条件あるいは操縦安全性の条件等が必ずしも104は十分でない、むしろ不適当である、日本国情には合わぬというようなことは、それほど詳しくはなかった。で、あなたが行かれて、あなたが調査団よりもまたいろいろな場所も回られただろうし、さらにまた、あなたは任務の性質上非常な熱心な一応そういうことについての調査をやられただろうが、その結果大体こういうふうに明らかになった、こういうふうに了解してよろしゅうございましょうか。
  151. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 大体仰せの通りでございまして、永盛調査団が帰りました直後におきまして、この飛行機がもう不適格であるとかどうかということでございませんで、非常に問題点がある、今直ちにこれを採用してよろしいという太鼓判を押せない。もう少しいろいろこまかい技術的な問題、あるいは操縦上の問題とか、いろいろな問題を確かめなければきめかねると、この104につきましてはそういう状況でございます。一方、他の飛行機についても、さらにそれを詳しく突きとめようというので、かなり時間を要した次第でございます。しかし、これにつきまして最終的にこれならばもう間違いがないという一応の確信を持ちましたのは、私が、私自身がそういう確信を持ちましたのは、現実に向うに参りましたときに、できるだけ幅広く米空軍の実際に操縦した人、あるいはこれの運用に関係のある人あたりの意見をいろいろ機会あるごとに確かめました結論から、そういう確信を得た次第でございます。
  152. 松岡平市

    ○松岡平市君 これはもうあなたのおいでになる現在の立場、少くとも航空幕僚長という非常に重要な立場においでになることから、最後の決定ということについて、あなたが非常に重要な発言の力を持っていらっしゃるし、と同時にこれはもう第一の責任者であると私どもは考えますし、従ってあなたが永盛調査団調査してきたことでも決定しかねて、現地で非常に調査された、先ほど来その点につきましてはよく了解いたしましたが、そういうことであるためだけに、これは大へんあなたに私はお気の毒だと思うのですが、この機種決定について何かしらあまり思わしくない、率直に申しますれば、裏面に特別な関係、あるいは何かしら不愉快な、まあコネクションと申しますか、請託と申しますか、そういうものがあるやに、——これはだれであるということについては、一つもはっきりしておりません。私たちははっきりしたいと思いません。いろいろ巷間に流説は飛んでおります。決してあなたがどうこうというようなことをさしているわけじゃないけれども、何となくこのF1F—1Fというものを決定したことについて何か裏にあるのじゃないか、こういうようなことが、まあ一般に考えられておるように、特にあなたも出て、おられるから御承知だろうと思うけれども衆議院決算委員会等において、そういうことがまさにあるかのような言動を、委員会の委員自身の口から出ておるように、速記録等で私たちは承知しております。これは、あなたの名誉のためにも、大へん私たちは残念だと思っておりますが、そういう点をこういう機会に、私たちとしては十分あなたの名誉のためにも、そういう疑いは、あられもないことだということを明らかにしなければならぬと思います。あなたが今そういう立場においでになる関係から、たとえば102にするとか、あるいは104にするとか、さらにまた、今お聞きいたしますというとN—156だとか、あるいはさらに102だとかいうようなものが、それぞれの会社から、日本次期戦闘機として採用してもらいたいというようなことで、防衛庁にそういう申し入れをしてきた。そしてそういうことについては、調査もしておられたし、次期戦闘機としてどれかを採用されるということは、これはだれでも、アメリカの業者等も知っておったでありましょうし、従ってそういうことが繰り返し繰り返し申し入れ、あるいは依頼というようなことが書類で、あるいは直接会社のセールスマンなり、あるいは会社のさらに上位の責任者なり、さらにはまた、いろいろな実業界、政界等の人々があなたに向って直接、こういう機種を採用してもらいたいというようなことを、何らかの機会に申し入れたであろうと、こういうことはあり得るだろうと思うのです。その辺の事情について、この委員会で一つできるだけ詳細に、そういうことがこういう場合にこの程度のことをこういう人から申し入れがあったと、こういう話があったということをお話し願えれば大へん私仕合せだと、こう思うのであります。一つ率直にお話を願いたい。さらにまた、先ほどもちょっと矢嶋君の質問の中で触れられたけれども衆議院で、自分アメリカに行ったのは、向うからよばれて行ったのであって、この機種を決定するために行ったんじゃないというふうな意味にもとれるようなことが速記録に出ておるし、さらにまた、この委員会で、あなた自身ではないけれども防衛庁当局から、あなたが行かれたのは、向うからの前からの招請で行ったんであって、この機種決定のために行ったんじゃないというようなことを、政府委員から発言されたことがあったけれども、私は、それはなるほど行かれのは、向うの招請であって、永盛調査団のように調査のためにおいでになったのではないけれども、少くとも幕僚長として、空軍の第一の責任者として向うにおいでになって、やがてきめなければならぬ戦闘機機種を決定することについて、あなたが無関心であり得るはずはない。頼まれなくても、全力をあげて御調査になるということは、もうこれは当然なされなければならぬ任務であるとさえ私たちは考えておったのに、政府委員の答弁は、あなたが行かれたことは、いかにもこの戦闘機機種決定とは関係がないんだということを強調するような答弁をされた。そういうような関係から、何がなしにあなたがアメリカに行かれて、そして今あなたが言われたように、永盛調査団のときにはあまり決定されておらなかったけれども、あなたが行って、帰られてからこれが決定された。こういうこと、これはあなた自身もお認めになっておる。また、そうでなければならぬと私は思うのです。それを防衛庁の当局、政府委員たちが、それと関係がないというようなふうにも強調するような答弁をされたというようなことが、その辺の理解が大へんすなおにいかないと、こういう非常に残念な結果になっております。従って、あなたが行かれた経緯、これはもうはっきり一応そうだろうと思うけれども、どうして行ったのだ、行ったけれども、その際には先ほどあなたが一応お話しになりましたけれども自分が行くために、自分が目的としたことについてはこうであったのだ、それを全力を尽したのだ。その間に向うではまた向うで、いろいろ雑誌新聞に書いてあるところを見るというと、こちらへ来ておったセールスマンは、永盛調査団が行ったときあるいはあなたが向うへ行かれたとき、直ちに向うへ行って、アメリカで今度は激しい売り込み合戦をやったのだ、こういうようなこと等もこれは勝手に書いておる。あるいは推測して言っておられるのでありましょうが、そういうことがあるいは新聞に、あるいは最近では雑誌に、小説にまでなって載っております。こういうことが機種決定の上に非常にまあ残念な憶測でも残しておきますと、いずれに決定いたしましても、将来国家のためにも憂うべきことだと思うのです。大へん時間もおそくなりまして、終日の御答弁で申しわけございませんけれども、この機会に一つ委員会でその辺の経緯を、できるだけ詳細にはっきりお話し願えれば、大へん仕合せだと思います。
  153. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 最初のお尋ねは、この機種決定までの経緯におきまして、何かいろいろ外部とか、あるいはいろいろどういうふうにして調査をやったかという御趣旨のように承わりました。この次期戦闘機の決定は、単に航空自衛隊のみならず、日本の国家といたしましても、長期にわたるきわめて重大な問題であります。用兵上におきましてももちろんのこと、金額的におきましてもきわめて大事な問題であります。また、航空自衛隊あとに続く若い操縦者の生命にも、また飛行場周辺の大ぜいの人々の生命、あるいは財産にも非常に関係する重大なことでございますので、私はこの機種の選定に当りましては、全身を投げ打って最も正しい飛行機の選定をしたいということを念願いたしまして、この選定に当りましては、私といたしましては誠心誠意、また、他のいかなる圧力とか、それから外部からの働きかけ等、一切にこだわることなく、かかわることなく、全く私の航空自衛隊あるいは日本の長い将来にわたって悔いのないものを選ぶということに努力して参りました。従いまして私がこの機種を選定いたしますに当りまして、情報といたしましては、できるだけ広く外国の会社からいろいろ資料を持って参りますときには、それを十分に聞き、またその資料の正確であるか正確でないか、また、米空軍からの正しい資料も努めて受けて、そうしてあらゆる資料を十分に見比べて、そうして先ほどから申し上げました日本国情に合い、将来日本防衛のために残して悔いのない飛行機を選びたいというために、今日まで努力して参っております。私はこの問題に関しまして、外部の方々あるいは特にはっきり申し上げますならば、政界の方々には、私はほとんど面識がございませんし、そういう方々から一切のこの機種について、どういうものを選べとか、どの機種にせいということを直接はもちろん、間接にも一切私のところに来たことはございません。また、私の方から参ったことはもちろんございません。また、米軍関係にいたしましても、いろいろ個人的に意見は聞きますが、彼らといたしましても、一切どの飛行機をどうということなしに、日本飛行機日本国情に合った飛行機を選べということできておりまして、米側から、在日米軍関係はもちろん、私が渡米中におきましても、米国の関係者は繰り返し、繰り返し申しますことは、日本が選ぶ飛行機は、あくまで自主的に日本で選びなさい。アメリカの方においては、どの飛行機日本において選べということを決して言わないということを向うの高官、それから直接のこういうことに関係のある者も操り返して明言しております。従いまして、米側のいかなる方面におきましても、この機種の選定におきまして、いずれの機種をとれというようなことは一切ございません。また部外の会社関係、こういう方面からも一切この飛行機機種選定について、私に対して何らどういう飛行機にしろと、もちろん当初においてはいろいろ資料は持って参りました。資料を持って宣伝はございますけれども、私は一切、公的に、航空幕僚長として、航空幕僚監部の部屋において、私自身、あるいは役所の幕僚を一緒に従えて説明を聞くということであって、一切特別に情報を求め、あるいは自分の会社の飛行機を有利に宣伝なり情報を受けるというふうなことは一切しておりません。この点につきましては私ははっきり申し上げて、この機種の選定に関する限り、私の航空幕僚長として最大の、最も大きな使命でありますので、その点に間違いのないように最も正しく、最も強くやるという決心で今日まできましたことをはっきりこの席で申し上げます。  その次には、従いまして、現在におきましても、その後他機種の方からいろいろ宣伝文書なり、あるいは資料の配付とかその他がございます。これにつきましては、当初私は一応国防会議において内定されて、そうして準備を進められております場合において、私の段階においてこれを進めていくということは、いかにも、決定がぐらぐらしているものであり、いかにも根拠のない決定をしたようなふうに見られますので、私といたしましては進んで当初この説明を聞くということはいたしておりませんでしたが、いろいろこの問題がやかましくなって、むしろ進んで各機種のことを聞いた方が誤解を避け、あるいはさらに新しい資料があるということなら聞こうということで、防衛庁におかれても、先般すでに衆議院決算委員会にも報告されましたが、ロッキード社長その他と、われわれも出て話を聞き、それからその後他の会社からも説明を受けるときにはその説明を聞くということで、一応説明を拒否せずに、説明したいというものについては、説明を聞くという態度をとっております。しかしながら、われわれの今までのところにおきまして、いろいろの資料が出ておりますけれども、私どもの今までの決心の根拠をくつがえすような資料は、今までのところ出ていないという状況でございます。  その次は、私の渡米につきましての問題がございます。私の渡米がそもそも問題になりましたのは、昨年の九月に在日米軍の方から幕僚長に、アメリカに視察に行かないかと、向うから視察に招待の意思のあることを伝えられました。私といたしましては、いかにも自分から行くことはどうかと思っておりましたが、航空幕僚監部におきまして、たまたま毎年——これは陸上、海上、幕僚監部でも実施しておりますが、毎年一回、VIPという英語を使っておりますが、高級士官を相互援助協定によります費用によって、向うが招待していろいろ視察をすることがございます。たまたま、それを毎年年度末に実施することになっております。で、昨年そのことがそろそろ話題になっておりますときに、航空幕僚監部内におきましても、この際一つ幕僚長みずから行ってもらうのが、いろいろ誘導弾時代、新しい航空時代に入り、航空自衛隊の一応の基礎ができて、今後の発展のためにいろいろ新しいことを見てきてもらうことが望ましいから幕僚長どうですかという意向もあり、そういう意向なら一つ米側からたまたま申し入れもあったというので、それでは私も向うの招待を受けようということになりまして、防衛庁におかれましても、これを大体許可の内意を得ました。そこで、十月に米空軍参謀長から正式に招待状を受け取ったというのが経緯でございます。従いまして、九月ごろからこの問題が起りましたので、当初は永盛調査団が八月に行って九月の中旬に帰って参りましたならば、比較的早く機種の決定ができると、あまり問題にならないと思っておりますころに、この話が出ましたことでございまして、私の渡米の目的と申しますものは、この際アメリカに参りましたならば、新しい移り変りつつある航空の様相を十分に把握して、日本におきますこの防空体制というものを将来どういうふうに持っていくか。それに伴う兵器、技術その他の、これの用法であるといったようなことを十分見てきたいということで視察目的を立てまして、そうして視察個所その他を私が考えました。  前回私がアメリカに参りましたのは、航空自衛隊発足直後に、昭和二十九年の九月に渡米いたしましたが、このときは全く初めて戦後の新しいジェット時代の航空を見ますので、操縦教育でありますとか、整備教育でありますとか、きわめて初歩の段階のものしか見ておりませんので、この次には、今度参りますときには、高度のいろいろ向うの活動状況、あるいは研究開発の機関を見たい。また、在日米軍の高級幹部とも今日まで相当顔見知りができましたので、そういう人たちともなるべく多く合っていろいろ話をしてきたいということで、視察個所その他を選定して参ったわけでございます。従いまして、当初の発足におきましては、飛行機調査ということは関係がございません。しかしながら先ほどもございましたように、永盛調査団帰朝後、従来考えておりました機種に関しまして直ちに決定できない。新しい資料も入り、また、その後続々いろいろ会社側からもあとを追っかけてきていろいろな資料を提供する。だんだんいろいろきめにくくなる状況でございまして、長びきました。そういう状態でございましたので、私は、私の視察の途中におきましても、できるだけ新しい機種の選定にも関係ある事項について調査をしていきたい。あるいは大ぜいの人から話を聞いてみたいということからいたしましたことでございます。従いまして防衛庁政府委員の方のお答えになりました当初の経緯は、全く政府委員の述べられました通りでございます。ただ、長引きましたので、たまたまこの機会にできるだけのことをしていこう、こういうことになった次第でございます。調査の途中におきまして、新聞あるいはその他におきまして、私が一方の会社から非常なもてなしを受けたというようなことが書かれておりますが、かかることは絶対にございません。私がサンフランシスコに着きますと、サンフランシスコから私の渡米中ずっと連絡といいますか、英語でレポート・オフィサーと申しておりますが、レポート・オフィサーが、アメリカ空軍の大佐が参りまして、私の在来旅行中に専用の飛行機を提供されまして、サンフランシスコから視察個所を全部終えてサンフランシスコに帰って参ります間、全部この専用機で旅行しておりまして、私が旅行いたしました個所は、全部米空軍の基地でございまして、その専用機をもって米軍の専用飛行場着陸し、泊りましたのも米空軍の、ほとんど大部分が米軍の基地内に、各米軍の基地には、旅行者の高官を泊めますVIPクォーターというのがございます。大体全部米軍の基地に泊っております。旅館に泊りましたのは、コロラド・スプリングという米防空司令部のございますところは、十分な施設がございませんので、パトリジ大将と同じ旅館に泊り、そうして。パトリジ大将と、夜は招待を受けてそこに泊ったということで、一切この旅行中に業者は私どもの出入りいたしました航空基地その他には来ておりません。私が今回の旅行中に業者の人と会いましたのは、ワシントンに到着して、ワシントンの米軍飛行場に着いて、向うの参謀次長の栄誉礼を受けますと、すぐ向うでアレンジしてありました航空工業会のワシントンにおきます各社の代表者の昼餐会がありまして、これには米空軍の代表者も数名出まして、そのところで全員と一同に会って昼食をしたというのが、米国業者と接した唯一の会合でございます。それ以外におきましては、私の旅行中に米国の業者と接触いたしました機会はございません。ただ一つの例外は、最後に私がエドワードに参りましたときには、これはロッキードの104の方は、これは米軍飛行機になっておりますから、米軍の人だけは立ち会っておりますが、グラマン飛行機は会社の籍になっておりますので、海軍の実験機でありますが、そこにおったというだけでございます。そういう状況でございまして、私が渡米中に一つの会社から非常なもてなしを受けたというようなことは、全く事実無根のことでございます。その点もはっきり申し上げておきます。  大体、御質問のことは以上でございます。
  154. 松岡平市

    ○松岡平市君 そこで……。
  155. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 一言補足さしていただきたいのですが、特に私が今回、一月にアメリカに参りますときには、米国側にも十分その点を申し入れまして、私の今回の視察は、一切会社と関係なく、全く米空軍だけの視察に属し、会社関係と接触することを極力避けたいということで、米側の方も十分その意をくんで、旅行の日程なり、行動を配慮しておりますことを、つけ加えておきます。
  156. 松岡平市

    ○松岡平市君 よくわかりました。あなたが、永盛団長が帰ってきて、しかも大体それまで考えておった104というものはどうも採用しがたい、そして新しくF1F—1Fというようなものが台頭してきた、台頭という言葉はおかしいかもしれませんが、有力な候補になってきたが、未決定である。未決定なときに、あなたはアメリカにおいでになった。その際に、おいでになるならば、これは米軍の他の目的による招請であろうとも、あなたは、この問題について最後の決定をなるべく急いでしなければならぬという防衛庁の内部事情も当時あったわけでございますから、これをあなたが行って徹底的に調べること、最後の決定をあなたがなし得るだけの資料を集めてくるということは、あなたがおいでになるときの主たる目的であった。向うが呼んだのは、そうであったにしても、あなたがおいでになるときには、そういうことが非常に重要なあなたの使命として私はお持ちになるのが当然であったろうと思う。どうも常識的に考えてそうでなければならぬと私は思う。あなたは向うに行って、その使命を果しておいでになったような御答弁を先ほど来していらっしゃいますけれども、おたちになるときからそういうことは、防衛庁幹部といえども、皆、これはもう幸い行くのだから、あるいは行けないときめておっても、ぜひこの機会に行って、この問題を一つあなたが最後に決定できるだけの資料を持ってお帰り下さいということでなければならぬと思うのですが、それをそう言わないのはどういうわけですか。これが私たちにはどうも何かしらおかしい。その前に決定してしまっているなら、何もそういう目的をお持ちにならぬでもいいのだ。いやしくも、幕僚長がアメリカから招請されて行くそのときに、このことの最後の決定のキーをあなたが持っていらっしゃるわけなんだから、それが間違いなくあなたが一番初め言われたように、日本の運命にも関する事柄でありますから、これはもうあなたが自分みずから行って確かめてくるというようなことが、あなたがおいでになる私は非常に重要な目的でなければならぬと思うのですが、そういうふうにお考えにならずに済むようになった事情が明らかでない。先ほど来申し上げたように、そのときまで決定されない、しかも決定しがたい状況にある。そこのところの了解がつかないわけですが、どういうわけですか。少し説明の仕方が悪いのじゃございませんか。
  157. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 私の渡米につきまして、どういうふうに防衛庁政府委員がお答えになっておりますか、私よく詳しく存じませんが、当初招請を受けましたときの状況は、先ほど申し上げた通りであります。しかしながら、だんだん時期がたちまして、私が当初出発いたしますことを向うからあれしましたのは、こちらを十二月の末に立って、一月の初頭から向うを視察するということでございますが、国会の関係で、予算その他の関係がございますので、出発をおくらせまして、一月の下旬に出発いたしました。そういう状況におきましては、機械の問題がいろいろございましたから、私の渡米に対しましては、防衛庁としてもずいぶんと期待はしておったと思いますが、当初のあれは、調査団として派遣したのでないということで、何かこれがそういうふうに言われているのじゃないかとも存じますが、私が参りますことになって、出発当時におきましては私に、このことについてかねて十分見てきてもらいたいという意向は、十分あったものと私は考えております。
  158. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 佐薙さんに伺いますが、ただいまの松岡委員の指摘されたのは、私は全く同感です。さっきもちょっと触れたのですが、衆議院の速記録を繰ってみますと、あなたは最初、質問を浴びせられるときに、どこからか旅費をもらって行ったのじゃないかという角度からちょっと聞かれたものだからかもしれぬが、とにかく招待で行った招待で行ったのだといって、機種にはあまり関係のないように速記に載っておる。ごらん下さい。それから本委員会において、その点他の委員から二、三度にわたって質問があって、防衛庁政府委員諸君は、機種選定と、は関係がないという角度から明確に一二、三度答えておられる。それを聞いておっただけに、本日あなたがおいでになって、きょう質問して、ここに、微に入り細にわたる説明を聞いた。従って松岡委員もそれを指摘されたのだと思うのですが、私は全く同感だ、こういう意思表示をいたします。  最後に伺いたいことは、こういうことなんです。結論はこういうことなんです。学者並びに日本飛行機メーカー、そういう学識経験者若干を置いて会をこしらえて、委員会といっても何でもよろしい。そこで、今の時点に立って新しい戦闘機種検討する。その会合には防衛庁専門家もおいで願って、そしてその意見も聞き、そしてそれらの大体の意向を国防会議の議長である岸さんに、まあ苦しい言葉でいえば答申するといいますか、諮問に応ずるといいますか、参考意見を供するといいますか、そういう経過を経て機種を決定したい、これは赤城官房長官の今進められているところであり、また与党の六役会議の決定されたところです。これに快くあなたは応じられたらどうか、これが私の伺う結論なんです。理由をちょっと申し上げますが、それは先刻あなたは私の質問に対して、航空自衛隊員の士気に影響しておらぬかと言うと、あなたは一切心配ない、私の部下は私どもの言うことを一切信用して、そして安心しているというような答弁がありましたけれども、これは私は軽率な答弁だと思う。あなたの部下には、年配の人もおりましょうし、また、二十代の非常に若い青年もおるわけですが、この機械の問題がこれだけ新聞、ラジオで報ぜられるに至れば、自分らの命を託する飛行機ですよ。おかしいなあ、われわれが命を託して乗る飛行機を何か砂糖のように考えて、政治家があるいは商社が幾らか食いものにしておるのじゃないか、そんなことではいやだなあという気分を持つ隊員がおると思う。神経異常な隊員ならあれだけれども、普通の隊員ならそう思っていますよ。決してあなたの説明だけで納得しているはずはない。これはやはり疑問符を持っていると思う。また国民の納税者の立場からいえば同じことで千二百億もするものを、そんなことをしておるのは一体どういうことなんだ、まあ疑惑を持っておると思う。私きょうあなたにお目にかかって、非常に誠実な、りっぱなお方のように敬服しているわけなんですが、あなたがいかに述べようとも、過去の経過からいって、あなたの隊員並びに国民はクエスションマークを持っておると思う。私はある程度理解させるというか、鮮明しなければならぬと思う。ということはですね、ノース・アメリカF—100とロッキードF—104が永盛さんが行く前に確定的だったんですが、それが猛烈な競争があったわけでしょう。そうしてあなた方の所へ行けばよかったのが、それが猛烈に日本の政界に働きかけたから、ロッキードとノース・アメリカンか決定しかねている段階に永盛さんが行ったわけであります。永盛さんが行ったところが、急にグラマンになった。かつてはあなたの部下であった、今やめておる岡さんという人、あの人でも永盛視察団の団員の一人に予定されておったが、途中取り消されてやめておられたが、衆議院決算委員会の速記録を見れば、全然グラマンというのは、自分が去年八月十五日退職させられるまで、グラマンという名前を聞いたこともなかった。ノース・アメリカンとロッキードだけだった。それが半年もたたぬうちに、ころっとグラマンになったのは自分も納得できない。どういうデーターによってこうやったのか聞きたいものだということを証人として証言されておる、岡さん自身。そうして閣議で国防会議で内定して、その後衆議院決算委員会でああいう形で取り運ばれてきたということになりますと、普通の常識人だったら何かくさいなあ、だれかおかしなことをやっておるのじゃないか、いやらしいなあ、こういう感じを事の真否はともかくとして持つと思う。従ってその点は私はこの段階に来たならば、まあ通称赤城委員会といっておりますが、そういう所でもう一ぺん検討していただく方が、急がば回れで、かえってその方が早くていいのじゃないか。それをあなたが責任者である体面上から、なかなかそうは答えづらいと思うけれども、私は全責任を持ってやった、確信を持っております、部下も全幅を持って信頼しております、——それでは私はおおい通せないと思う。現実的じゃないと思うので、冒頭に質問をしたわけです。お答え願います。
  159. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 私どもは航空機種の選定に当りまする大臣の専門的補佐役でございまして、あとでこれをいかにきめられるかというのは、大臣あるいは政府機関において十分お考えになってきめられることでございますので、その間においてわれわれがふに落ちないことがありますれば、これはまた筋を通して意見を申し上げますれども、それがどういうふうに運営されますか、その他のことは、全く政府において十分考えておやりになることと存じておりますので、今のところ、これは政府あるいは大臣の方でおきめ願う通りにまかせて私はけっこうであると、こう考えております。
  160. 松岡平市

    ○松岡平市君 もう一つ最後に聞いておきたい。もう少し聞きたかったが、何だか順序が狂いましたが、先ほどから、まあ一応機種を内定して後に、今日いろいろ世間的にうるさくなってきたから、最近では進んでロッキードなどの代表者と会って説明を聞いておる、しかし、いまだ当初の気持をくつがえすに至るような何ら材料を得ておらぬ、こういうようなお話でありました。これから先新しいデータを持ってきて、そういうあなた方がきめられたことについて再考慮をしなければならぬというようなデータが現われれば、今日の段階でも、そういう場合にはやはり決心をくつがえすことがあるかどうか。もはや、この段階では、もう断じて決心はくつがえす必要がないとお考えになっているか。今からでもおそくない、万一新しい非常に有力なデータが別な所から出てくれば、これはやむを得ない、いさぎよくそういうものには再考慮を払うというふうにお考えになっているのか。そこだけ一つお聞きします。
  161. 佐薙毅

    説明員佐薙毅君) 先ほども申し上げましたように、私は航空自衛隊次期戦闘機を選ぶに当りましては、航空自衛隊全般、さらに日本の将来にとって長い目で見て、誤まりのない飛行機を選ぶということに徹底して考えをおいておりますから、万一ここに非常に変ったもので、従来われわれが調査してなかった範囲のもので、あるいは全然新しいものが出るということになりますならば、それは先ほど申しました目的のために、われわれはそういうものがありますならば、それを変更するにやぶさかではございません。しかしながら、今まで候補に選びました機種につきましては、われわれも今までのところ最善を尽して資料を得ることに努めておりますので、今までの機種について、われわれが従来考えておりました資料なり、考えの根底をくつがえすものが、今までの機種の中から出るということは、今のところ予期はしておりません。
  162. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 他に御発言もなければ、佐薙説明員に対する質疑はこの程度にとどめます。  次に、航空自衛隊航空隊司令空将源田実君が出席しておりますので、御質疑のおありの方は、お願いいたします。
  163. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 源田さんに若干お伺いいたしたいと思います。あなたがいまだにジェット戦闘機に乗られておられるということについては、その御精進に対して私は敬意を表します。文芸春秋十月号にも「誘導弾時代の航空自衛隊」という題目のもとに書いておられますが、私は敬意を払いながら読ましていただいたわけです。で、若干お伺いいたしたいと思いますが、まず今の時点に立って、日本が新しい飛行機を選定するということになれば、幾つか重要な要素があると思いますが、あなたとしては、最も重点を置くべき点は、どういう点にあるとお考えになっていらっしゃいましょうか。
  164. 源田実

    説明員源田実君) 現在の航空自衛隊に与えられておる任務を遂行するとしましては、われわれがまずその飛行機を使ってその任務を遂行できるということが第一の要素であります。その任務が遂行できるためには、その飛行機がわれわれの予想する時期において、予想するような戦闘状態において、必要な能力を発揮し得ることであります。こまかく言いますと、その飛行機の持っておる性能、またその飛行機の持っておる攻撃能力、また、これを十分パイロットが使いこなし得るという条件、こういうことになろうかと思います。
  165. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最近飛行機というものは、非常に科学の進歩とともに飛躍的に日進、月歩に発達して参り、ことに電子工学の発達とともに、飛行機に積むところの電子機器に非常に重大な要素が昔の飛行機と違って加わって参ってきた。ここに相当重大関心を払わなければ、飛行機そのものがうまく飛んでも実際において役に立たない、こういう電子工学の進歩時代らしい新しい重要な要素が起ってきたかと思うのですが、これらの点については、源田さんどういうふうにお考えになっていらっしゃいましようか。
  166. 源田実

    説明員源田実君) これはお説の通りでありまして、いかに飛行機がよくても、この飛行機の持っておるいわゆる兵器と申しますか、機銃であるとか、ロケットであるとか、こういうものをうまく誘導するいわゆるファイヤー・コントロール・システム、これがよくないと、どんないい飛行機も役に立たないと思います。
  167. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この問題また質疑に返りますが、一つ先に承わりたい点は、要撃用の飛行機と、それから攻撃用の飛行機というものは、相違点が幾つかあるでしょうが、どういう点が一番違うのか。また、日本が今採用するとすれば、いずれに重点を置くべきものか。また攻撃用も、偵察用も、地上協力用も、そういう兼ねるというような飛行機というものは、だんだん進歩して参ったこういう時代に、そういういわゆる多用途性の飛行機なんというものは、能率上価値あるものかどうかですね。この点私は疑点を持っているものなんですが、専門家としては、どういう御見解を持っていらっしゃいましょうか。
  168. 源田実

    説明員源田実君) 攻撃用の飛行機と要撃用の飛行機で最も大きな差異を生ずるというのは、第一に上昇力と思います。次に、攻撃用と、要撃用で違うのは、速力でありますが、これはまずそれほど大きなことにならないと思います。その次には持っておる搭載兵器が変って参ります。航法計器が変って参ります。こまかい点は別といたしまして、大きい点はそういう点だと思います。
  169. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 日本が採用するのはいずれに……。
  170. 源田実

    説明員源田実君) 日本は現在防空ということに限定されておりますので、もとより要撃用の戦闘機に重点が置かるべきだと思います。  その次の多用性という問題につきましては、これは一つ飛行機ですべてのことをやらせるということは、これは特殊な飛行機でない限り、必ずしも容易ではないと思います。しかしながら多用性の中の項目の選び方によって、これはある程度までは可能であります。というのは、敵の攻撃機を攻撃する飛行機、敵の戦闘機を攻撃する飛行機これは本質的には最も適当なものは別々になります。しかし、これは搭載する兵器の選択によってある程度両者を一緒にすることもできます。また、いろいろな日本に侵入してくるいわゆる船舶、艦艇こういうものに対しましては、搭載する兵器を変えることによりまして、また照準機に多用性を持たせることによって、これも比較的容易に変えられると思います。偵察機これは偵察するということになりますと、これは飛行機に対して今まで申し上げた以上の改造を加える必要があると思います。しかしこれもそう遠距離はできないと思いますが、ある限定された範囲内ならばできると思います。
  171. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 答弁、非常に明確で敬意を表します。そこで、その点さらに突っ込んで伺いますが、今日本で新戦闘機種を論ずるに当っては、日本の国家財政とも関係がありますが、要撃とそれから偵察と地上への協力、これを相当ウエートを置いて考えていると思う。もう少しウエートの置き方を要撃の方に置かなければ、さっき問題になりましたFCS、ファイヤー・コントロール・システムの優秀なのをくっつければ別ですが、そうでなければ、万一向うが来た場合になかなか要撃の任務を果し得ないのではないか、かように心配する向きがあるのですが、これはいかがでしょうか。
  172. 源田実

    説明員源田実君) インター・セプトに重点をおいてやりまして、さっき申しました偵察だけは別にしまして、地上攻撃の方はインター・セプトに重点を置いてなおかつできると思います。偵察は同じ飛行機をインター・セプトさせたりあるいは偵察させたりするのでなくて、同じ機種だけれども、もともと初めから若干の違った設計によらなければならない。これはカメラを積む関係上そういう工合になります。従ってインター・セプトに重点を置いても偵察機は必要であり、インター・セプトに重点を置けば、搭載兵器を、たとえばエアー・ツー・エアーのロケットを使うところを、エアー・ツー・グランドのロケットを使うということによって、飛行機性能を損じないで流用できると思います。
  173. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 きわめて明快です。私と大体同感です。次に伺いますが、今、日本飛行機の主力戦闘機は、やや時代おくれになっていますが、F—86F、今度新しく採用しようと予定されているのはF1F—1Fの改良型の98J—11、この二点についてちょっとお聞きしたいのですが、F—86Fを赤外線ホーミングのサイドワインダー、それとさっきからこれから飛行機で最もかなめになるとおっしゃいましたファイヤー・コントロール・システム、FCSを新たに装置するというようなことによって、性能を高める可能性はないかどうかということと、それから新たに採用しようとする98J—11にはどういうファイヤー・コントロール・システムをなさるようにあなたは了承されておられるか。それからその了承されているFCSの装置後におけるところの撃墜率、そういうものはどの程度専門家として予想されておられるか承わりたい。
  174. 源田実

    説明員源田実君) F—86Fにサイドワインダーをつけることは、その方面の設計者に詳しく当っておりませんが、あるいはできるかと思います。しかし、これの持っているファイヤー・コントロール・システムを大きく変えることは、あの飛行機のスペースの関係上非常に困難だと思います。しかしながら、現在持っているF—86Fのファイヤー・コントロール・システムを若干改造すれば、サイドワインダーを使うことは可能であると思います。F—86Fのこういうものによる性能向上ということは、飛行機そのものの性能は向上しません。ただ、それの攻撃性能が相当向上するということは言えると思います。F—86Fの性能向上として今残っている問題は、ただこれにブースターをつけて瞬間的な高速、あるいは瞬間的な上昇力を増すということは可能であろうと思います。これには若干の実験を要すると思います。次に、F—11Fのファイヤー・コントロールシステムについては、いろいろな研究が今防衛庁及び空幕で行われていると聞いております。しかし、私はその選定には入っておりません。もとより私の職務上入っておりません。しかし私は、われわれとしての希望をその関係者に漏らしたことはあります。しかし、その後どういう工合に進んでいるかは承知しておりません。また、このファイヤー・コントロール・システムによってどの程度の能力を上げ得るかどうかということは、今までよりは、86Fあるいは86Dよりははるかにいい成績を上げるであろうということは、ほとんど確実だと思います。しかしながら、それが何パーセントまで来た飛行機を落せるかということは、これはそのときの彼我の態勢及び彼我の搭乗員の練度、こういうものも引っくるめまして、これを今明確にお答えすることは困難であります。たとえ申し上げても、それは憶測にすぎないということになろうかと思います。このデータを出すのは、F11Fを採用して、あるまとまった部隊を作りまして、そこで訓練してみて、それでこれだけのところは確実につかみ得るということは言えると思います。しかしながら、それまでは、確実なところは申し上げられません。
  175. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 98J—11はあなたのお承知のようにF1F—1Fの改良型ではあるが、エンジンもいわゆる7型というのはできていない、実在の飛行機はまだ飛んでいない、こういう状況でありますが、新しい機種を考える場合は、ファイア・コントロール・システムはたくさんの電子機器を要します。重さも必要です。これを収容するところのスペースも要ります。そうなりますと、飛行機の翼の角度とか広さとか、そういうものが問題になってくると思うのです。だからFCSをどれを採用しようという、それと並行的に私は飛行機性能というものを研究考慮していくべきもので、しろうとですが、機体の機能を性能をやって、そしてあとでFCSを考えるというのは工合が悪いんじゃないか。並行的に考えなければならんのじゃないか。どの程度のこれが性能があるかということは、相当の実験をやってみなければ、性能とその具体的ないわば撃墜率なんかいうものは出てこないのじゃないか、かように私の科学的判断から思うのですが、いかがでしょうか。
  176. 源田実

    説明員源田実君) ただいまの点は、原則的にはお説の通りだと思います。現在のように非常に進歩した電子機械を使って戦闘する場合においては、まず電子機械と飛行機と並行して考える、あるいはむしろ電子機械の方を先行するというのが筋道であろうと思います。しかしながら、日本の場合においては、日本でもしこういう飛行機を、日本独自の設計によってやるとなれば、防衛庁のとられる態度は、当然その方向に向いたであろうと思います。しかしながら、これはアメリカなりよその国にある飛行機の中から、日本で生産するものを選定しようというのであって、この点はその原則通りには必ずしもいき得ないと思います。ただ、ファイア・コントロール・システムというのが、このF11Fの中に、この飛行機に対しては、このファイア・コントロール・システムはどういう工合に入っていくということは、あらかじめ予想がつくと思います。それに入り得る程度ならば、これを使った場合に特別大きな障害が出るとは考えられません。また、これがその翼の格好あるいは胴体に相当影響すると思いますが、翼の格好その他で、そんな大きな変化が出るとは私は予想しておりません。
  177. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に伺いますが、まあ、あなたは非常にパイロットから尊敬され私淑されておるようですし、あなたとしては多数のパイロットを預っているだけに、日夜心胆を砕かれていると思うのですが、F—86Fと今度新たに採用しようとする98J—11ですね。これは大体、何でしょうか。パイロットの操縦能力というのは、同じ程度で操縦できるものでしょうか。その難易は、いかようと予想されておられますか。
  178. 源田実

    説明員源田実君) パイロットが飛行機を飛ぶに当りまして、戦時は別としまして、平時最も注意するのは着陸であります。事故の大半は着陸時に起っております。着陸の難易ということは、非常に大きな問題でありますが、その大部分は着陸する速力の大小によります。そうしますとF—86、F—40、これは今二種類を持っておりますが、F—86、F—40で大体着陸前のファイナルのスピードが百四ノットであります。これは持っておる燃料その他によっても違います。百三十でもおりられます。で、地上に接地する場合に86Fで百十五ノット付近であります。これならば、86Fならば、今のところむしろ着陸そのものはT—37あの練習機よりかえってやさしいくらいであります。このF11F、これは今生で私の聞いておる範囲内においては、その接地する速力が百二十ノットと聞いております。大体百二十ノット付近、これは操縦者の練度、技量その他によっても若干違います。また、持っておる燃料の多寡によっても違って参ります。そうすると、これが着陸しようとして、そのファイナルに入った場合に、持つ速力は百四十から百五十であろうと思います。そうしますと、この飛行機着陸そのものは、86Fとその難易において大きな差はないと考えております。ただ、この飛行機を、今の操縦者が乗る場合に、この飛行機には86Fにない大きな相違がちょいちょいあります。最も大きな相違は、アフター・バーナーがついておる。しかし、このアフター・バーナーの操作というものは、そんな困難なものじゃなくてきわめて簡単なものであります。そのほか、いわゆる操縦面から見た場合に、大きな困難性を伴うものは今のところ予想しておりません。ただ、私はまだこのF11Fには乗ったことはございません。が、今まで六種類のジェットに乗っておりますが、一つのジェットから次のジェットに移る場合に、非常に大きな困難性を感じた飛行機はありません。もとより事前の準備を十分やれば、であります。従いまして、このF11Fに今の操縦者が移るとすれば、若干の地上訓練をやって、まずその大部分の操縦者が、少くとも86Fをこなし得る。パイロットならば、移れるものと思います。
  179. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの専門家としての予想を承わったわけですが、しかしその確率、プロバビリティについては、私もしろうとながら若干その心配の点があるわけです。それはなぜかと申しますと、たとえ改良型にしても、98J—11というのはエンジンから飛行機そのものができていないわけですから、あなたを含む日本人はおろか、アメリカ人も乗ったことがない飛行機なんですからね。それにいろいろな装備をした場合に、果してどういう状況かというものは一応その予想はできるけれども、その確率がどの程度かというのはわかりかねるのじゃないか。ことにその域に行くまでには、さっきあなた触れましたが、開発に相当の時間と費用を要するのではないか、その開発された飛行機を完全武装程度にしてテストしてみて、初めて性能その他が明確になってくるのであって、なかなか今断定しがたい要素を持っておるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  180. 源田実

    説明員源田実君) ただいまのエンジンが変っておるとこのために、飛行機としては全然別な飛行機であるというようなお話ではなかったかと思いますが、これは17は私の聞いておる範囲では推力は数百ポンドまさり、また重量がそれに応じて若干ポンドふえておるだけでございまして、こういう程度のものならば、これは今までのわれわれの考えでは、別な飛行機とは考えておりません。というのは、われわれが使っておるF—86Fでも、86Dでも、あの中にはもうしょっ中新しく新しく変ってきております。エンジンも変ってきております。86Fのごときは、機体において初め使っておった飛行機は翼の前にスラットがついておりません。そのスラットがついた飛行機に移るということは、このスーパー・タイガーと申しますか、この飛行機エンジンが—3から—7に変ったよりははるかに大きな変化であります。しかしながらこれはその飛行機として本質的に変っていないのであって、いわゆる1型、2型、3型という部類に属すべき性質のものと思います。従ってこの飛行機が今まで米国で二機実験されて、それで出た資料をもって次のこの17をつけた飛行機に大部分が適用できると思います。ただ性能が若干上るとか、燃料消費量が若干増すとかということは当然であります。しかしながら、基本的性格においては、ほとんど違いはないと思います。
  181. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなた方この任務の遂行並びに補給という角度から、日本航空自衛隊が採用しようとする飛行機は、アメリカの軍部で現在使用しておるもの、あるいは将来採用されるであろうそういう機種の方が好都合ではないですか、いかがですか。それはどういうふうにお考えになりますか。
  182. 源田実

    説明員源田実君) その点は今申されました通りに、アメリカ空軍が現在持っておるか、あるいはアメリカ空軍で採用したいときまった飛行機の方が、補給上、整備上は明らかに便利であると思います。しかしながら、その飛行機日本の地理的な情勢、あるいは日本の工業的背景とかそういうものと一応合わなければならないと思います。日本のとにかく特殊性に合ったものでなければ、幾らアメリカが採用しておっても、それをそのまま持ってくるわけにいかないと思います。
  183. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 アメリカはずいぶんいろいろと飛行機を採用し、また開発しているわけですが、日本の特殊事情をあわせ考え、しかも、アメリカが現在採用し、あるいは将来開発使用するであろう飛行機のどれがいいかということは、なかなか問題点があると思いますが、当面問題になっておる98J—11というのをアメリカは採用する考えがない。ところが、アメリカが採用する考えのない、まだできていない飛行機に期待性を待って日本が採用する、これを日本人としては、一般国民としては、どういうふうに受け取ったらいいのでしょうか、御説明願いたいと思います。
  184. 源田実

    説明員源田実君) この点については、アメリカ空軍ないしは海軍から私は直接何事も聞いておりません。しかしながら、これは私の想像でありますが、まずアメリカ空軍につきましては、これは防空だけにも数種類の飛行機を持っております。おのおのがその特徴を生かして使うようにしております。そうするとこの98Jでありますが、この飛行機がはまる場所がアメリカの防空計画の中にない、ほかの飛行機で全部カバーされる。たとえばこれが防空全体のカバーすべき仕事であるとしますと、ある飛行機によってここまでカバーされている、もう一つ飛行機でこちらからここまでカバーされている。ところが、11Fによってカバーできるものはここである、このまん中附近だけが防げるだけという場合には、この飛行機が一般的にうんとよくても、これは必要としないわけであります。従いましてアメリカとしては数種類の飛行機を持ってF11Fがやる仕事は、十分その間にカバーできる。従ってこれは必要ない、こういうことになろうかと思います。またアメリカ海軍、これは全然私は聞いておりませんからわかりませんが、やはりアメリカ海軍は海軍としてのそういう計画はあると思います。それに当てはまるところがない、そのタイミングもちょうど合わないというような関係があるのではないかと、これは想像であります。
  185. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこのところは、一国民としてちょっと理解しかねる点があるのですがね。時間がないですから、次の質問で終りたいと思うのですが、アメリカの海軍にマーフィー法というのがありますね。それから空軍にクッククレギー法というのがあるということを聞いているのですがね。飛行機の選定をする場合、ずいぶん慎重にやっている。何段階もやって、たとえ契約しても、飛行機を作ってみて工合が悪いと破約できると、そういう建前にもなっているというのですね。ところが日本の場合、昨年永盛団長が行くまでは、ノース・アメリカンのF—100とロッキードのF—104が猛烈な競争をしてせり合っておる。その以外には、飛行機の名前というのは、ほとんど幕僚監部の中でも話がなかったと、これは当時の幕僚監部におった岡二佐が衆議院で証言しておる。ところが、半年もたたないうちにひょこっとグラマンというのが出てきた。しかも、その飛行機は実体はない。しかも、アメリカなんかと違って、これを三百機も気前よくぽかっと注文する。でまあ私は部外者ですが、幕僚監部におった岡二佐さえどういうわけでそんなになったか理由がわからぬ、詳しく聞きたいものだというようなことを衆議院で証言されているわけですが、私は買い方が少し気前がよ過ぎるのじゃないかと思う。だからアメリカ飛行機メーカーがわんさと日本に押しかけてきて、正規ルートで航空幕僚監部の方々に説明するのみならず、これはちょっと蛇道だと思うのですが、日本の政界筋に昨年の秋から猛烈に働きかけがあった。これはもう天下周知の事実なんですね。で、こういう点国民はやっぱり納得しかねる点があるわけですな。また、それはあなたの部下の血気にはやる正義感の強いパイロットの諸君は、自分たちが命をかけて乗ろうとする飛行機をきめるに当って、内定したとかせんとか、金が動いたとか動かぬとか、待合で豪遊があったとかそういうようなうわさが出ているが、実に汚らわしいことだと忌ましく不快に思って重大関心を払っているのではないかと思うのですが、これらの点を私はどこまでも究明して、隊員はもちろんのこと、一般国民が十分納得できるように出直すべきじゃないか、その点明確にすべきじゃないかと思うのですが、パイロットのおやじ格としての源田さんは、最近のこの事態をどういうふうにお考えになっておられるか、御所見を承わりたいと思います。
  186. 源田実

    説明員源田実君) この飛行機が急に採用されました理由については、これは防衛庁関係の問題でございまして、私はその選定にはあずかっておりません。従って申し上げかねますが、こういうことはあり得ると思います。F—1OOJもしくはD、またF—104Aというものは、これは相当長い間論議されておりました、昨年の夏まで。しかしながら、この両者ともに、いずれも帯に短かしたすきに長し、ちょうどわれわれの欲するところのものがない。何かちょうどいいところのやつはないかという考えは、皆様が持たれておったんじゃないかと思います。それを、たまたま永盛調査団が行きまして、あるいはその前に知っておったかもしれませんが、行きまして、この説明を聞いてみた。そうすると、これがちょうどそこらに合っておるということは、あるいは言えるかと思います。ただ、急速にそれがきまったという問題について、これはもし日本試作していく飛行機であったならば、こんなに急速にきまることは全然ないと思います。実験段階というものは相当かかりますから、まず二年、三年は必ずかかると思います。しかしながら、この飛行機の決定は、その飛行機のすべての実験は、アメリカにおいて行われておるのである。また、その実験は相当程度進んでおる。その成績もよかったということは、これはアメリカ空軍の人の言うことをそのままこちらで信用すれば、その通りであります。従いまして、ちょうどいいものが、相当実験が進んでおったという段階において見つかれば、これが半年かそこらの間に、ある程度の決定をみるということは、特に不自然ではないと思います。  それからまた、今お話がありました私の隷下の者でありますが、これは、こういう問題について、もとより関心は持っておると思います。しかしながら、これは航空幕僚監部というようなところで妙なことがあるということは全然考えておりません。絶対に物事は正しくいっておるのだ、そして、そのままその決定に従えばいいのだ、こういう工合に考えておりまして、今これによって私の下の搭乗員あたりが、精神的動揺をしておるというようなところは全然ございません。
  187. 藤田進

    ○藤田進君 機種をきめる場合のみならず、いろいろな兵器を開発していき、これを最終的に決定する場合に、やはり過去のいろいろな実態というものを顧みながら、これに対応していくということでなきゃならぬと思うので、たとえば、この前のいわゆる第二次大戦のときも、あなたはどういう役割であったかわかりませんが、わが方の火器なり、あるいは戦法なりというものの意表をついてやってきた。たとえば本土空襲をやって当初問題になったのは、わが方は五百メーターないし三百メーターというものは、山の上に高射砲台その他を設置して待っていた。ところが、豊後水道の海面すれすれに入ってきた。末期になるというと、四十二口径の二連装、これまた五、六百メーターの山の上に置いて待っていたが、まあ一連の砲台群では、発射弾数、一回の空襲に二千発くらい撃っているけれども、一機も落ちないのみか、一機の損傷もない。それはやはり彼らは火器の意表をついて、射程の外にあった。全然届かない、たまが。むしろ、わが方が傷つくというようなことであったわけですね。あるいはシンガポールの空襲の場合でも、もう遠くに戦闘機が要撃に出てきていた。潜水艦の場合も、潜望鏡や、あるいは聴音機程度のものを持っていても、全然問題にならない。竹やりと機関銃よりもっと差がついていた。銀箔のテープを相当空中からまいて、どうも変なことをするな、考えてみると、日本にも電波探知機があると考えたらしいが、そんなものはなかった。急遽、電波探知機を考え出したけれども、真空管が悪いのどうのということで、なかなか間に合わなかった。こう考えてくると、たとえば機種をきめる場合、また、これが火器その他の装備を研究する場合に、やはり相対的にその戦力、操縦の技術において、火器において、戦闘機は、戦闘機性能、総合的な戦力というものが、攻撃してくるであろう飛行機との関係において優位に立たなければならぬのじゃないだろうか。相手の弱いところはどこにあるか、先方はどういうふうに来るだろうか、実戦の場合に、ある人たちは、そういう面において相当なやはり要求が兵器についてはあるだろうと思う。この点はどうですか。やはりそういう攻撃してくるであろう敵との関係において、わが方はどういうものでこれに対応していかなければならぬかということでなければならぬと思うが、どう考えるか。
  188. 源田実

    説明員源田実君) ただいまのことは、私も同感であります。これは用兵家として、ことに実施部隊の指揮官としましては、われわれが予想する将来性について、こういうところに欠陥があり、こういうところに備えなければならぬ、そのためには、こういう兵器が必要である、こういうことは私は必要なつど、これは道を通じて意見を具申しております。しかし、われわれの方は、自分で予算を持って自分で軍備計画をやる立場ではありません。従いまして、われわれの申し出た意見は、さらに大所高所から見まして、日本の財政規模とか工業力とか、その他の問題で、これが若干の修正をされる、あるいは相当な修正を受けるということは、これは覚悟しなければならぬと思います。その場合には、私たちは与えられた兵器によって、いかにしてこの欠陥を除去するかということについて、われわれはまた別個の努力をしなければならないと思います。端的に申し上げますと、この日本の防空ということに限定して飛行機を選定する場合に、理想的な案を求めれば、こういう機種には落ちつかないと思います。まず三機種ぐらいは必要になると思います。しかしながら、これは要するにアカデミックな研究であって、これが日本の持っておる国力というものと合わなければ、国力によってこなし得るものでない限りは、これはいれられなくても仕方がない問題である、こういう工合に考えております。
  189. 藤田進

    ○藤田進君 それはあなたのお立場からして、実戦の場を考えた場合に、こういうような彼我の関係において必要だということは、絶えずルート、ルールを通じておやりになるだろうと思う。そうなんですね。しかし、それが、ある程度の修正を受けたならば、その上に立って技術の練摩その他によってこれを補充していくことは、これは言われた通りかもしれないが、今内定されておるF11—1Fというものを考えるときに、これで引き受けて、あなた、やれますか、今の状態において。
  190. 源田実

    説明員源田実君) 防空ということは、ことにこの近代戦における防空は、非常に困難な問題であります。従いまして、F11Fを供給されれば、その数のいかんによらず、あるいはその他の支援兵力のいかんによらず、防空を完全にするということは、これは私今申し上げることはできません。F11Fを使用したならば、またこれに必要なサポート、支援兵力であります、たとえばレーダーでありますとか、あるいは指揮機関でありますとか、それから地上の施設であるとか、こういうものが、この飛行機を使うのに適するような装備をしていただく。また、この飛行機も、ある程度のここで具体的な数は申し上げかねますが、ある程度の数が必要である。それでまた同時に、正確な予想がつかなければならぬ、できるだけ正確な予想がつかなければならぬ、これは作戦の見通しであります。情報であります。こういうものが、完全にとは言いませんが、ある程度そろい、なおかつこれに関連する、いわゆる日本以外の方面の一般環境というものが、ある程度は予想に合うように動いていなければならないと思います。非常に抽象的でありますが、たとえば今ここに一千機なら一千機のF11Fを供給されたとしましても、日本ひとりだけでいかなる国に対しても完全にこれを守り得るということは、これはできないと思います。今、一般環境と言ったのは、そういう意味であります。
  191. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、F1F—1を、これが使えるようなときになっても、地上のいろいろな索敵関係兵器というものを整備していくとか、あるいはそれ自体のレーダーか何か知りませんが、触れられていないが、そういう一連のこの機種以外の整備をしなければ、やはり万全ではないとおっしゃるのですか。
  192. 源田実

    説明員源田実君) そうであります。それをやって、果して万点かどうかということは、これははっきり私が万点だと言って請負ったところで、実際の場合の結果によっては、どうなるかわからぬので、これを申し上げる私は価値はないと思いますが、しかしながら、そういうことをやれば、最善のところに達し得る、われわれの想像し得る最善のところまでやり得るという意味であります。
  193. 藤田進

    ○藤田進君 今どうですか、機種を決定する、それ自体もそうだし、先ほど申し上げるように、あなたもそうだと肯定されるように、これに対して火器を中心とする装備とか、そういうものをきめる際は、やはり攻撃してくるであろうものの想定のもとに相対的には劣らないということが必要だという考え方はどうかということについて肯定されたわけですが、今こういう機種をきめ、装備をするという段階になりつつあるわけですが、わが方に侵略をして攻撃をしてくるというものの想定、あなたのおっしゃる今の想定は、どういう飛行機を想定しておりますか。
  194. 源田実

    説明員源田実君) これは大体私はいわゆる中型程度のものではないかと思います。それが主ではないかと思います。
  195. 藤田進

    ○藤田進君 たとえば、その機種を言えばどういうものですか、今世上出ている飛行機の名前で。
  196. 源田実

    説明員源田実君) これは特定の国を一々あげるということはどうかと思いますが、大体双発ないしは四発のジェット機、まず双発程度のところ、あるいは単発のジェット機、こういう程度にお考え願いたいと思います。
  197. 藤田進

    ○藤田進君 まあ特定の国をあげなくても、特定の国が作って、アメリカがちょうど作ったものを日本が買うようなもので、機種だけでも知りたいと思ったわけですが、しかし、少くとも今訓練をされているかまえというものは、アメリカから攻撃してくるであろうということはお考えになっていないでしょう。頭からないでしょう、どうですか。
  198. 源田実

    説明員源田実君) それは考えておりません。
  199. 藤田進

    ○藤田進君 そうすればどこを考えているのですか、どこからも来ない。ということなら、必要はない。
  200. 源田実

    説明員源田実君) この点は御想像にまかせたいと思います。(笑声)あとは大体明白じゃないかと思いますけれども……。
  201. 藤田進

    ○藤田進君 想像すると韓国李承晩大統領が遂に李承晩ラインを侵したとか、あるいは竹島の問題に関連して案外来ないとも限らぬとも思われるわけですが、その想像当りますか。どうですか。
  202. 源田実

    説明員源田実君) これは李承晩に言っていただかぬと……(笑声)、私はわかりかねます。
  203. 藤田進

    ○藤田進君 あなたが今やはり国費の支援を受けて、日夜、まあ月月火水木金金かどうかしらぬが、訓練をされているそのかまえというものは、それでは李承晩のものはあるのですか、ないのですか。
  204. 源田実

    説明員源田実君) 現在航空自衛隊の航空総隊が明確な実力行動と申しますか、これは領空侵犯だけであります。これは北海道地区でやっておりまして、これは領空侵犯を阻止する、こういう任務であります。従って将来西部に総隊麾下の部隊ができれば、韓国の飛行機は当然対象になります。
  205. 藤田進

    ○藤田進君 どうなんですか、今の装備なりあるいは戦闘時における状態を想定しての訓練をやるということになれば、あなたの今言われたように、より明白であるが言えない、まあ想像にまかせるということなんですが、しかし、やはり訓練をし、装備をしていくということになれば、言うと言わないは別として、やはりこういうものが攻撃してくるであろう、領空侵犯をするだろうという一つの想定はあって、これに対してやっぱり諸般の防衛をする、それは言うと言わないは別として、そういうものはあるのか、全然そんなものはないのだ、言うも言わないもない、頭の中にそういうものはないのだということなのか、やはり一定の場を想定して、訓練なり装備なりするけれども、それはやはり言えないことだというのか、どっちなんですか。
  206. 源田実

    説明員源田実君) これは訓練そのものは、現在の世界の飛行機の水準を考えなければ、空軍の水準を考えてみれば、特に仮想敵国を想定しなくても、その訓練は可能であろうと思います。また領空侵犯というのは、何も敵意を持ってやるのではなくて、侵犯を阻止するというのは、敵意を持ってやるのではなくて、これにはその近辺におる国の飛行機が訓練の途上あるいはその他のことで迷い込む場合もあります。この場合は、航法を失敗して危険に陥る場合は、この領空侵犯に上っている飛行機は、これを安全なところに導くというような援助をやります。これが全然また敵意を持って来るということは、今のところ全然ないと思いますが、そういう場合にのみこれは実力を発動すべきであって、普通の場合は、いわゆる日本の領土の上空、領海の上空、この日本の主権を守るためにやっておるのであって、特別な近傍におる国がそういうことを、これは間違い上そういうことが起きると思いますが、入ってくるということは、将来とも全然ないということは言えないと思います。たとえば天候の都合で全然地上の位置を確認することができない。たとえば風が非常に強い、それで機上に積んでおるいろいろな計器が故障したというような場合にはこれは考えられます。そういう場合に考えるときは、一番近い国が一番そういう機会が非常に多い、こう考えるのが当りまえだろうと思います。
  207. 藤田進

    ○藤田進君 そういうカテゴリーがあるかないかをお尋ねしたのではなくて、そういう場合には何も火器もいらないでしょうし、導いていくということであれば。ですが今問題となっている機種決定については、実戦の場があるということをやはり想定して物事が考えられていると思うのですが、そういう場合に、さてだんだん煮詰めてくるというと、どういうものが攻撃してくるであろう、それはどういう火器を持っているだろう、操縦についての技術水準はどうであろうというような想定をして、これに対応する訓練なり、装備なりするんじゃないんですか。
  208. 源田実

    説明員源田実君) それはわれわれはもとより航空自衛隊のものでありまして、世界各国の飛行機がどういう趨勢にあり、どういう兵器を持ち、どういう練度を持っておるかということに関しましては、非常な関心を持っておるのであります。従ってそれによってわれわれの訓練はどういう工合に進めなければならぬかということは、必然的に出てくると思います。
  209. 藤田進

    ○藤田進君 だからその必然的というのは、あなたはおわかりでしょうが、こうして審議する以上は、私どももやはりわかりたいわけです。判断を下したいのです。それについて参考人としてはどういうものか、もう少しどこの国がいつどうということはわからないにしても、少くともそういう特定のものを想定して、これに対応する装備なり、機種なりをきめるということだけは言えるんじゃないですか。それは原則じゃないですか。
  210. 源田実

    説明員源田実君) 私は長官から受けておる命令で、どこを目標にしてやれということは全然受けておりません。従ってそういう判断は私よりさらに高い段階の機関において決定せられるべき問題であって、私に幾らお聞きになっても、私には申し上げられません。(笑声)
  211. 藤田進

    ○藤田進君 あなたはしかし、まあ長の立場にあるわけで、上官の方からどういうふうな訓練が必要であるかという指示を受けるのでありまして、受けていないとすれば、独自の立場でやはりおやりになるんじゃないのですか。
  212. 源田実

    説明員源田実君) 訓練のある項目、その限界、こういうものは受けております。しかし、これは何を目標にしてそれを何機落すようにやれ、こういうようなものでありません。
  213. 藤田進

    ○藤田進君 どういうものなのですか。その訓練の目標というか、指示があるはずでしょう。
  214. 源田実

    説明員源田実君) これは内容に深く立ち入ることはごかんべん願いたいと思います。しかし、その中の一例を申しますと、こういう天候、たとえば視界は三マイル、雨が降っている。雲の高さは百フィートある。あるいは三百フィートある。この場合にGCAの誘導によっておりる能力はこれだけである。また射撃をやれば、射撃の命中率はこういうところである。これは長官ではありません。これは私の方からやります。それで昼間天気のいい場合はどのくらいな訓練をやって、どの程度の航法能力を持たせると、こういうものであります。
  215. 藤田進

    ○藤田進君 それはあなたの独自のやはり指令でしょうが、長官の方はどの程度の指令をするんですか、訓練に対する態度。
  216. 源田実

    説明員源田実君) 長官からは、年間たとえば実施部隊の戦闘航空団ならば、その。パイロットは年間どれだけの飛行時間が必要である。昼間はどれだけ、夜間はどれだけ、射撃は大体どのくらい、それから無線航法がどれだけ、それから着陸のGCAが何回というような性質のものであります。
  217. 藤田進

    ○藤田進君 何だか聞いていてきわめてたよりないような指示のようです、が、それだけなんですか。ほかにないのですか絶対に。
  218. 源田実

    説明員源田実君) 今申し上げたのは、私ども全部は覚えておりません。項目はたくさんあります。しかし、そういう性質のものであります。
  219. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 他に御発言もなければ、源田説明員に対する質疑は、この程度にとどめます。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  220. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を始めて。  他に御発言もなければ、本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十三分散会