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説明員(
加藤桂一君) ただいま
政務次官から御説明がございましたが、さらに補足いたしまして御説明申し上げたいと思います。
現在の
郵便貯金の増加
状況についてまず一言申し上げたいと思いますが、国会におきまする
郵政大臣の御答弁の中では、九月二十日現在の増加高を御説明いたしたのでございまして、これは千百五十億円の
目標に対しまして三一%という実績でございましたが、その後だいぶ
郵便貯金の増勢が、やや攻勢に転じて参りまして、九月の月初から月末まで、九月一カ月間におきましては、昨年同期は七億四千百万円の赤字でございましたが、本年の九月は五億九千万円の黒字ということに変って参りました。また、十月一日から去る十月二十日までの増加高は、昨年同期が七十一億七千万円でありましたものが、今回は七十三億一千万円ということで、約二億近く増加して参ったというようなことで、十月二十日現在の四月一日からの増加高は四百二十一億四千万円でございまして、これは
目標に対して三七%、昨年の実績に対しまして七五%という
成績に相なっておる次第でございます。従いまして、もし今後これから先、昨年と同様な預払いがかりにあると仮定いたしましてみまするというと、八百六十億、七五%ということになるわけでございますが、しかし九月、十月の様子を見ておりますと、相当増勢に転じておりまするし、また伝え聞くところによりますれば、公定歩合の再々引き下げもあると、従って、それに伴いまして、銀行の預金金利の引き下げ等も問題となっておるというような
状況から勘案いたしまして、また消費性向も最近だいぶパーセンテージが下回ってきたというようないろいろな
状況からいたしまして、われわれといたしましては、少くとも、昨年は八七%の一千五億できたのでございますが、それに負けないほどの
成績をぜひ上げたいということでやっておる次第でございます。
次に、こういった
成績が悪いので、財政投融資の面において非常に困りはしないかという御
質問でございますが、これは
昭和三十三年度当初におきまする資金運用部の資金運用
計画は、
郵便貯金の預託見込み高一千百五十億円を含めまして、原資総額が二千九百三億円ということになっております。これに対しまする地方公共団体等融資
計画の総額は、二千四百三十七億円となっておりまして、差引四百六十六億円というものが運用の余力となっておったのでありまするが、その後、四月から七月間におきまして金融債、国鉄、日本不動産債券等に百七十二億円の追加融資が決定されましたために、運用余力は二百九十四億円となるわけでありまするが、他方、今年度への繰越金が三百九億円増加いたしましたので、結局、本年度運用余力は六百三億円となるのでありまするが、今後に予定されておりまする失業
保険預託金の払い戻し等のための支払い
準備金等といたしまして、さらに二百十二億円を保留いたしますので、現在におきまする資金運用の余力は三百九十一億円ということになっております。従いまして、
政府でいろいろの対策をやられるということになりますと、三百九十一億円では非常に窮屈になるということはもちろんございましょうが、現在、資金運用部の余力は三百九十一億円であるということになっている次第でございます。
次に、
農村方面が非常に
不況で
郵便貯金が非常に悪いという御
質問がございました。確かに現在は都市が非常に
郵便貯金はようございまして、
農村方面においては非常に悪い。これはもちろん北海道あるいは東北、それから長野、金沢、そういったような
郵政局におきまして一番
成績が悪うございまして、現在まだ北海道と東北におきましては、
目標に対しまして全然赤字でございます。他の
郵政局は黒字に転じたわけでございまして、これらの理由について、われわれといたしまして研究いたしてみたのでございますが、
郵便貯金預金者の約三〇%を
農村方面が占めております。これは最近四
年間の
豊作ということをうたわれておりまするが、反面におきまして、非常に耕耘機であるとか、いろいろそういったような電気施設といったような固定資産の購入費が非常に増加しておりまして、経済企画庁の調べによりますというと、固定資産購入費というものが四月が昨年同期に対しまして一一五%、五月一二八、そういうふうに非常にふえております。また、農家の家計費支出も大体一〇七%、一〇九%というふうに、昨年同期から見まするとふえている次第でございます。また農協方面におきましては、大体供米代金の金額をほとんど予約的に農協に入れさせまして、農家で必要とする支出につきましては切符を発行して、金券で渡すというようなことをやっている次第でございます。従いまして、
農村方面を持っておりまする
郵便局におきましてことに
能力がある有能な
郵便局長等の話を聞きますというと、
郵便局としていかに、どれだけ農協にいくものをそこから幾ら取り上げてくる。説得いたしまして、
郵便局の顔も立ててくれということでむしり取ってくるということに非常に骨を折っているのだという話もございましたようなわけで、なかなか
農村方面における
郵便貯金への
資金吸収という方面には相当骨を折っている次第でございます。
次に、もう
一つの
郵便貯金の振わない
原因といたしましては、非常に個人生活における消費性向が上っている。これが大体パーセントにいたしまして、昨年同期から比べますと一〇五%とか一〇六%というふうに消費性向が上っている。これは総理府統計局の調べでございますが、そういうことになっております。それからもう
一つの理由といたしましては、
横川先生からも御
質問がありましたが、各
会社におきまして社内預金というものが非常に最近盛んになって参りまして、これがために、まあ例を、神戸の川崎造船所の中には構内
郵便局があるのでございますが、そこで昨年一千万円というものを通常
貯金の払い戻しがあったわけでございます。これを調べてみましたところが、大体、川崎造船所で社内預金ができたために一千万円減った。それで一千万円も出されたのだからもう大丈夫だろうということでなお
調査いたしましたところが、まだその家族等を含めまして三千万円の
郵便貯金がある。従って、そういうものがおそらく今後払い出されるのではないかということを非常に
心配しておりましたが、そういうわけで非常に社内預金が活発であります。
また、これは余談になりますが、
郵政省の中に麻布
郵便局という構内
郵便局がございます。ここで先般もそこの外勤員の方々と私いろいろ懇談いたしたのでございますが、今まで
郵政省の中に、電電が一緒に
郵政省と住んで勤務いたしておったのでございますが、
郵政よりも電電の方の方が
郵便局としては非常にお得意であったのだそうでございまして、積立
貯金の方のお得意は電電の方であった。ところが、電電が向うへ引っ越されたために、今まで麻布局は毎回表彰を受けておったのが、非常に表彰を受けられなくなったということをいっておりましたが、現在、麻布
郵便局の管内、港区の管内におきましては、電電として残るところは電電の学園が広尾にございましたが、そこの先生方が唯一のお客であったということでございましたが、その方々が、先般電電公社は社内預金を始められたために、全部積立
貯金を引き下げられたので、今は
一つもないということを申しておられましたが、非常にその社内預金の増、それからもう
一つ郵便貯金の弱点と申します点は、
郵便貯金は各種
貯金を通じまして法人預金というものが約一%にすぎない
状況でございます。で、銀行の一般預金を調べてみますというと五九%、約六〇%が法人預金であります。相互銀行におきましても大体二五%くらいが法人預金である。結局、
郵便貯金というのは、ほんとうの個人が自分のへそ繰りを
郵便局へ持ってくるというだけの金である。従いまして、非常におかしな話でございますが、
貯金局の中でもいわゆる共済の
貯金局の支部がございまして、そこで相当の掛金が集まっておりまして、そういったものが常時二千万円ございますが、そういう金を銀行に預けておるわけでございます。これを
郵便局へ移したらどうかということを
考えてみたのでございますが、銀行では日歩二銭五厘の特利を払ってくれるわけでございます。これを年利に換算いたしますと、約九分近くになる、八分か九分で預かってくれる。従ってこれを三分九厘六毛の、あるいは定期にいたしましても
——定期にするわけにいきませんから、結局、通常
貯金となると思いますが、四分弱の
郵便貯金でやるということにいたしますと、職員へ四分五厘で貸し付けることができなくなる。こういうことになるわけでございますから、結局、
貯金局の中の金でありながら
郵便局へ預けられないという矛盾を生じておるわけでございまして、こういったような事情で非常に
郵便貯金が振わなくなった次第であります。非常に長くなりましたが一応……。