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説明員(
榎園光雄君) 先般の
委員会におきまして、東山地区タバコ耕作組合の設立の経過につきまして
調査をいたせというようなことで、私、総裁の命を受けまして現地へ行って参りましたわけでありますが、出発いたしましたのは、東北の水害のために、それらの
関係でおくれて参りまして、九月の三十日と十月一日、二日、三日間にわたりまして、現地へ参っていろいろな事情を
調査いたしたわけであります。
先般の総裁の速記録を見ましても、いかなる事情の
もとにおいて全員が一致して賛成したかと、こういう間のいきさつを
調査するというようなこともありましたので、そこいら辺を中心にしながら、他の問題につきましても
調査いたしたわけでございまして、その経過を
説明いたしたいと思います。
御
承知の
通り、東山地区タバコ耕作組合の設立に関しましては、先般の
委員会で小笠原
委員からいろいろ詳細なる
説明がありましたが、なおこの機会にいろいろな前提をお知りいただく必要がありますので、前提につきましてまずお話し申し上げたいと思います。
千厩の支局がございまして、その支局が管轄いたしておりますのは、気仙郡と東磐井都の両郡に、そのほか一関市と弥栄という町を管轄いたしておる支局でございますが、その中に耕作しているタバコの
種類といたしましては、在来種とバーレー種を作っております。バーレー種は気仙郡の方に耕作いたしておりまして、その他の東磐井郡並びに一関弥栄の地区は東山葉を作っているわけでございます。
それで、その地区にタバコ耕作組合を、新法に基く耕作組合を作るというようなことに
法律施行の結果なりまして、地元といたしましては、六月八日並びに七月六日、両日、現在のタバコ耕作組合長が中心になりまして、
法律の
説明なり、あるいは設立の協議会なりというものを持ちましたのでありますが、現在のタバコ耕作組合長がそのままの姿で発起人になるということは好ましくないのだ、これはどうしてもタバコ耕作者が世話人なり発起人にならなければいけないというようなことで、七月六日の設立協議会の席上におきまして、発起人が新しく選定されるまでの段階におきまして世話人というものを選んで、その方々が組合の設立のお世話を申し上げるという方法で進めた方がよかろうじゃないかということになりまして、次の機会にそれぞれの組合から世話人を出してもらうというようなことで、世話人を選定いたしておるわけであります。
その世話人の選定にいたしましても、地元の各部落に団長さんがおりますが、そういうような団長さんに諮ったり、あるいは総会を開いて決定いたした所もございますので、それらの世話人が勝手に
自分で出てきたというようなことではなくて、それぞれの
機関によって、耕作者全員の意思の同意がなくても、ある程度形式的なそういう総会なり団長会議を開きまして、世話人が選定されまして、七月十二日から八月の十日まで、四回ほど世話人会を開いているわけでございます。その世話人会におきましては、大体二十三名の世話人の方が選出されております。
それで、なぜ、正式の発起人会がスタートするまでお世話申し上げる世話人の段階で、四回ほ
ども会議を重ねたかということになりますと、先般御
指摘になりました東山の地区と東磐井郡の地区に
一つの組合を作るか、あるいは二つにするかという問題がほとんど議題の中心になりまして、なかなか議論が統一されなかったために、四回も開いているようなわけでございます。従いまして、最初の七月十二日に開きました第一回の設立の世話人会におきましては、当初やはり東磐井郡を
一つの組合にするという
意見が少かったのでありますけれ
ども、その後におきまして、いろいろ相談いたしました結果、中には九つの案、いわゆる東磐井郡を九つに切るというような案も世話人の段階で出たのであります。九つに分割するというのは、私
どもの方で、支局、出張所の区域の中にタバコの買い上げをする取扱所というものが設置されておりますのですが、そういう取扱所単位にいたしますと、九つになる。一応九つにやったらどうかというようなことで、世話人の段階で一応話がまとまりまして、その案を持ち寄りまして、私
どもの方の千厩の支局と、現在の、今までありました東山タバコ耕作組合連合会長、それから発起人の、世話人の議長さん、それぞれの方々がお集まりになりまして、協議いたしました結果、公社といたしましては、千厩の支局長といたしましては、できれば
一つの方がよろしいのですが、というようなお話は申し上げたのでございます。従いまして、そういう点につきましては、それじゃもう一回相談いたそうということで相談いたしました結果、先ほど、先般の
委員会で申されました四ブロック案というものを、一応試案としては出しましたのでございますが、東磐井郡をどういうふうに四つに具体的に分割するかという点につきましては、何ら具体的なものが出なくて、単に試案の程度にとどまったというようなお話でございました。
引き続きまして、一回、二回ありまして、第三回の世話人会におきまして、農協側の
意見といたしまして、発起人会は広く参加さしてもらいたい、それから総会は毎年開いてもらいたい、それから農協との連絡を緊密にしてもらいたいというような農協側の希望
意見の開陳も、第三回の世話人会においてあったわけでございます。
それから、第四回の世話人会におきまして――第一回の世話人会におきましてはいろいろ
意見がございましたので、その後どういうような実情になっているか、第四回の世話人会におきまして、その後の各組合の
意見を承わりたいというような議長からの御発言がありまして、それに対しまして、各世話人からそれぞれの
意見の開陳が出て参っておるわけでございますが、それを見ておりますと、まあ当初から東磐井郡に
一つの組合を作りたいという
意見は変らないのでございますが、その後中間におきまして、どうしてもブロック別に設けた方がいいというようなことで、団長会議などをお開きになりました結果、
一つにしようというようなことで、最終の世話人会においては、全員の賛成を得られたことのように聞いて参っておるわけでございます。従いまして、最終の世話人会におきまして、次の機会に発起人会を開きたいのだというようなことで、八月十六日に発起人会を開くというふうに決定いたしております。
その際に、かねて東磐井郡農業協同組合協議会長の名におきまして、新法に基く組合を作る場合におきましては、われわれ農協側といたしましても、非常に理想的な組合を作りたいというので、広く世話人として、あるいは発起人として、農協側の方からも参加をさしてもらいたいというような申入書も、かねて受理されておりましたので、八月十日の世話人会におきまして、その申入書に対する世話人会としての処置をどうするかというようなことを、議長は世話人会に諮ったわけでございますが、その際に、やはりこの際、組合を円満に、あるいは理想的な組合を作るためには、農協側からの申し入れも、この際、タバコ耕作組合の世話人会として受け入れるべきだというようなことになりまして、その人選はどうするか、人数を何名にするかということにつきましては、発起人は全部で三十名程度でよかろうじゃないか。従いまして、従来の世話人が三十三名でございますので、残りの七名を、農協側の方から発起人として正式に参加してもらいたいということになりまして、その人選は議長に一任ということに相なったわけでございます。
それを受けまして、議長は、東磐井郡の農業協同組合協議会長にその人選方を依頼いたしました。その人選されました七名を発起人の中に加入してもらいまして、八月十六日、第一回の発起人会を開催いたしまして、今まで数回開きました世話人会の結論を、発起人会におきまして再確認いたしまして、特別の地区承認申請がなされましたと、そういうのが現在までの段階でございます。
それから、なお、私が会いましたのは、そのほか東磐井郡の農協青年部の副
委員長をしておられます方にもお会いいたしましたが、その方の、東磐井郡一本化の反対の御
意見は、地域が広過ぎて、耕作者がむしろ多くて、どうもみんなの
意見が組合の運営に反映しないのじゃないかという点が一点と、それから東磐井郡に
一つの耕作組合を結成すると、その耕作組合の力が大きくなって、農協との事業の競合が行われるおそれがあるのじゃないか。具体的な例をあげて申し上げますというと、どうも、耕作組合が一本になりますというと、個々の農家の受け取る収納代金を、農協の
機関に預託しないで、普通の銀行、現地で申し上げますれば、東北銀行なりあるいは岩手殖産銀行等に預け入れが強制されるのじゃないか、というような御心配もあったようでございます。そういうような二点が、おもなる反対の御
意見でございました。
それから、なお、発起人会の議長さんにも、その後、そういうような農協側の反対の御
意見に対して、一体どういうふうにお考えなのですかということを伺ったのでありますが、まず第一点の、個々の農民の声が反映しないのじゃないかということ、人数が多過ぎるという点につきましては、それはなるほどそうだけれ
ども、新しい組合の予算書におきましては、各地区ごとに、年一回、それぞれの地区の耕作者が集合する機会を設けるつもりだ。しかも、その予算も新組合の予算書の中に計上しておるので、現在の旧各単位組合がそれぞれ集まる際に金を徴収する必要はないでしょう、というようなことを申されておりました。それから、なお、事業の競合なり、あるいは具体的な例として申し上げました収納代金の点につきましては、これは個々の農家が、
自分の受け取るタバコの売り渡し代金は、個々の銀行なり協同組合に対して預けてもらいたいというような、かねての意思表示がありさえすれば、貯金口座を振りかえるというような手続をとるんだからして、耕作組合自身が農民の意思を、耕作者の意思を無視いたしまして、一方的に銀行なり、あるいは農協等へ預け入れることはありません。それから、もう
一つの事業の競合、すなわち肥料の競合等につきましては、従来タバコ耕作組合がやっていたことをやるだけのことであって、農民の方が、耕作者の方が希望する場合に初めてそういうような取扱いをやるのだから、とてもそういうような必要は要らないのじゃないかというような御返事がありましたわけでございます。
そういうような事情でありまして、現地の耕作組合発起人の方の相談が一致されました段階におきましては、何ら公社は、先般の
委員会におきましても、公社の圧力はないというようなお話もありましたし、なお若干公社が、二つかあるいは三つ、もっとこまかく組合を作ってもいいというような指導をすればいいというお話もございましたけれ
ども、現地の支局長といたしましては、そこまでの指導はたしかにしておらないのでありますが、できれば
一つにしてもらいたいという指導をしたのは事実でございます。
それから、もう一点、まあ向うの方が、地区の組合を
一つにまとめ上げました理由といたしまして議長が述べておられます点は、農民の耕作組合の負担金が安くなるんだという点、これをやはり一番に
説明されておりましたのですが、従来は二十三の組合がございましたのですが、これらの組合の負担金を平均いたしますというと、約反当り千六百円くらいの
経費になって参っておりましたのですが、今回東磐井郡に
一つの組合を作りますというと、それが千百三十円程度になりまして、反当り約四百七十円負担が軽減される、こういうようなことからいたしましても、やはり
一つの組合の方がよろしいのだというようなことを
説明いたしておりました。なお、私も新しい予算書を見ましたのですが、確かにそういうような
経費の積算は一応行われておるわけでございます。
以上が現地での、いかなる事情の
もとにおいて発起人の方々が一致されて申請書を出されたかというような経緯のあらましでございます。