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1958-10-17 第30回国会 参議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月十七日(金曜日)    午後二時九分開会   —————————————   委員異動 九月三十日委員西川平治君及び亀田 得治辞任につき、その補欠として西 田隆男君及び島清君を議長において指 名した。 十月一日委員相澤重明辞任につき、 その補欠として天田勝正君を議長にお いて指名した。 十月六日委員阿部竹松辞任につき、 その補欠として松本治一郎君を議長に おいて指名した。 十月七日委員松本治一郎辞任につ き、その補欠として阿部竹松君を議長 において指名した。 十月十六日委員宗雄三辞任につ き、その補欠として上原正吉君を議長 において指名した。 本日委員高橋進太郎君及び小西英雄辞任につき、その補欠として後藤義隆 君及び松野孝一君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田畑 金光君    理事            阿部 竹松君            大竹平八郎君    委員            大谷 贇雄君            小沢久太郎君            古池 信三君            後藤 義隆君            松野 孝一君            海野 三朗君            島   清君            相馬 助治君   国務大臣    通商産業大臣  高碕達之助君    国 務 大 臣 三木 武夫君   政府委員    公正取引委員会    委員長     長沼 弘毅君    公正取引委員会    事務局長    坂根 哲夫君    経済企画庁長官    官房長     宮川新一郎君    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    通商産業政務次    官       中川 俊思君    通商産業大臣官    房長官     斎藤 正年君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君    通商産業省重工    業局長     小出 榮一君    通商産業省鉱山    局長      福井 政男君    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君    中小企業庁長官 岩武 照彦君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省繊維    局長      今井 善衛君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選下請代金支払遅延等防止法の一部を  改正する法律案内閣送付予備審  査) ○鉱山保安法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○鉱業法の一部を改正する法律案(内  閣送付、予備審査) ○軽機械輸出振興に関する法律案  (内閣送付予備審査) ○輸出入取引法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○小売商業特別措置法案内閣送付、  予備審査) ○経済自立発展に関する調査の件  (通商産業政策に関する件)  (経済計画に関する件)   —————————————
  2. 田畑金光

    委員長田畑金光君) これより商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  九月三十日亀田得治君が辞任し、その補欠として島清君が、西川平治君が辞任し、その補欠として西田隆男君が、また十月一日相澤重明君が辞任し、その補欠として天田勝正君が、また昨十六日重宗雄三君が辞任し、その補欠として上原正吉君が、また本日、高橋進太郎君が辞任し、その補欠として後藤義隆君が、小西英雄君が辞任し、その補欠として松野孝一君が選任されました。   —————————————
  3. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 次に、理事補欠互選の件についてお諮りいたします。  去る七月八日青柳秀夫君が委員辞任して以来理事欠員を生じておりましたので、本日その補欠互選を行いたいと存じます。また去る六日阿部竹松君が委員辞任し、翌七日再び商工委員に選任されましたが、その結果、さらに理事欠員を生じたわけでありますので、その補欠互選もあわせて行いたいと存じます。  この互選の方法は成規の手続を省略して、便宜その指名委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 御異議ないと認めます。  それでは理事上原正吉君及び阿部竹松君を指名いたします。   —————————————
  5. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 先ほど委員長及び理事打合会を開き協議いたしました結果、本日は、まず本委員会予備審査のため付託になっております法律案について、それぞれ提案理由説明を聴取し、その審議は後日に譲りたいと存じます。  なお、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案提案理由説明について、内閣総理大臣出席を求めましたが、総理大臣出席の有無がまだ明確でありませんので、もし総理大臣出席がなければ、本法案提案理由説明は後日に譲りたいと存じますので、この点御了承願います。  引き続き、経済自立発展に関する調査を行い、まず、通商産業大臣から通商産業政策について、次いで経済企画庁長官から経済計画について、それぞれ所信を承わり、そのあとで両大臣及び政府当局に対し質疑を行いたいと存じますが、このように取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 御異議ないと認めます。  それでは、まず、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案について説明を願います。
  7. 長沼弘毅

    政府委員長沼弘毅君) ただいま議題となりました下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明いたします。  下請代金支払遅延等防止法が制定されましてから二年余を経ておるのでございますが、この間政府関係機関におきましてはこの法律の積極的な運用に鋭意努力いたしまして、下請代金支払遅延防止等にかなりの効果を収めて参ったと存じております。  しかしながら、この法律運用に当りました従来の経験によりますと、下請取引を公正ならしめるとともに下請事業者利益を保護するというこの法律目的を達成いたしまするにつきまして現行法規定にはやや不備な点があることが感ぜられたのであります。特に最近のような景気後退期にありましては、親事業者景気後退による困難を下請事業者に転嫁しようとして行う不公正な行為の態様は非常に多岐にわたっておりまして、現行法規定では何としても取締りのできないというところが発生して参ったのであります。  従いまして、このような親事業者の不公正な行為防止し、下請事業者利益を一そう保護するためには、下請代金支払遅延等防止法を更に強化する必要があると考えまして、ここに本改正法案を提出いたした次第であります。  次に、本改正法案概要について御説明いたします。  その第一点は、現行法におきましては、親事業者のしてはならないという行為をいたしまして、不当の受領拒否支払い遅延、不当の値引き、不当返品、この四項目をあげておるのでございますが、これに対しまして、さらに不当な買いたたき、それから自社製品手持ち原材料等をむりやりに押しつける行為下請事業者事態の改善を要望いたしました場合に、これに対して親事業者が行う報復措置、この三つを新たに追加いたしたことでございます。  その第二点は、親事業者下請業者に交付すべき書面の記載事項でありますが、これは従来、給付の内容、すなわち何をということであります。それから下請代金——これに対して幾ら払う、こういう二点が記載事項としてあったのでございますが、これに対しまして、下請代金支払いの時期など、すなわちいつ品物を受け取っていつ支払いをするかという項目追加いたしたことでございます。  以上の二点が本法案の要点でございます。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたします。   —————————————
  8. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 次に、鉱山保安法の一部を改正する法律案  鉱業法の一部を改正する法律案  軽機械輸出振興に関する法律案  輸出入取引法の一部を改正する法律案  小売商業特別措置法案  以上五件について、それぞれ提案理由説明を願います。
  9. 中川俊思

    政府委員中川俊思君) 鉱山保安法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  今回提出いたしました鉱山保安法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨について御説明申し上げます。  鉱山保安法は、戦時中及び戦後における鉱山災害頻発状況にかんがみ、鉱山労働者に対する危害防止鉱物資源合理的開発をはかることを目的として、昭和二十四年に制定されましたことは御承知通りであります。この法律施行以来すでに九年有余を経過いたしましたが、この間において鉱山保安状況は漸次改善され、鉱山災害は逐年減少をみて参りました。これを石炭鉱山災害について見ますと、この法律施行後間もない昭和二十五年に比べて昭和三十二年におきましては、出炭量が三千八百万トンから五千一百万トンへと三五%も増加いたしましたのに対し、死亡者数は七百八十四人から六百五十三人と一七%の減少をみております。  しかしながら昨年秋から本年にかけまして、御承知のような坑内出水災害を初めとする重大災害が頻発いたしまして、多数の被災者をみましたことは甚だ遺憾とするところであります。政府といたしましては、従来とも鉱山災害防止には格段の努力を払って参ったのでありますが、これを契機といたしまして、中小炭鉱重点をおいた巡回監督強化と法規の厳正なる運用等徹底した鉱山保安対策実施をはかって参った次第であります。  従いまして今回の改正法律案は、鉱山災害防止重点をおいたものでありまして、保安を害するおそれのある侵掘行為および被害者救出について所要措置を講ずることができるようにするとともに、あわせて最近の社会情勢等にかんがみ鉱害防止について規定を整備することを目的とするものであります。  次に、本法律案要旨を御説明申し上げます。  第一は、鉱害防止につきまして、この法律目的中に明確化いたしますとともに、捨石、鉱滓の集積したもの等に関する鉱害防止義務を設けたことであります。鉱害防止につきましては、この法律保安に関する定義にもありますように、人に対する危害防止と並んでこの法律目的一つとして取り上げられてはおりますが、最近特に鉱害防止について一そう監督強化をいたす必要が痛感されましたのに対応いたしまして、この法律目的中に明記することといたしました。これに伴いまして、先般制定されました地すべり等防止法水洗炭業法とも関連いたしまして、捨石、鉱津の集積したいわゆるぼた山等につきまして、それらが鉱業権者の管理を離れ、ために危害または鉱害を起すことがないよう規制する必要がありますので、鉱業権者ぼた山等を他人に譲渡または放棄しても鉱山保安法上の義務を免れることができず、また鉱業権移転等に際しましては、ぼた山等に関する鉱山保安法上の義務を承継するよう規定したのであります。  第二は、保安を害するおそれのある侵掘があった場合に、保安のため必要な命令を出すことができるよう規定をおいたことであります。御承知のように鉱業権者鉱区外または租鉱区外侵掘する行為は、鉱業法違反行為として、当然鉱業法により取締まられるべきものであります。このため鉱山保安法においては、侵掘に関する保安について何ら規定するところがなかったのでありますが、現実に侵掘によりまして重大災害発生をみておりますので、鉱山労働者危害防止の見地から、鉱山保安法改正いたしまして、保安を害し、またはそのおそれがあるものにつきましては、原則として鉱山保安監督部長が、急迫の危険がありますときは鉱務監督官が、現地において、侵掘の停止、侵掘した場所の閉鎖等保安のため必要な命令を発することができるようにいたしたわけであります。  第三は、鉱山における被災者救出について必要な命令を出すことができるよう規定を置いたことであります。不幸にして鉱山労働者が落盤、出水災害等により坑内に生き埋めになりました場合において、中小鉱山の中には、資力不足等のため適切な措置が講ぜられない場合もありますが、かかる場合に、直ちに被災者救出のため、必要な命令を出すこととし、万一鉱業権者命令に従わない場合には、行政代執行法規定によりまして国がみずから、または第三者をして、救出作業を行わせることができるようにいたしたのであります。  以上が、この法律案要旨でありますが、鉱山災害防止のためには、この法律改正を行うほか、この法律に基きまして鉱業権者及び鉱山労働者順守義務等を具体的に定めております各鉱山保安規則につきまして、相当思いきった改正を行うべく、ただいま検討いたしておる次第であります。  何とぞ御審議の上、御賛同あらんことを切に希望する次第であります。  次に、鉱業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び法律案要旨について御説明申し上げます。  鉱業法は、鉱業に関する基本的制度を定めて、鉱物資源合理的開発をはかることを目的として、昭和二十五年十二月に制定されたものでありまして、この現行鉱業法骨子となっておりますところの鉱業権制度及び鉱業実施に対する監督措置等規定は、明治三十八年に制定された旧鉱業法規定をほとんどそのまま踏襲したものであります。従って、この鉱業法は、高度に発展し複雑化した現在の社会の実情に照し、相当検討を要する部分も見受けられるので、政府といたしましては、できる限りすみやかに鉱業法の本格的な改正をいたすべく、目下その準備を進めている次第であります。  ところが、最近に至りまして、石炭鉱山において重大災害が頻発いたしましたので、この災害防止のための法的措置について検討いたしました結果、別途提出いたしました鉱山保安法の一部を改正する法律案によってその予防措置を講ずることといたしますと同時に、鉱業法においても、さしあたってこれに関連する部分改正をいたしまして、極力災害発生防止するという目的のもとに、今回の改正法律案を提出した次第であります。  次に、本法律案要旨を御説明申し上げます。  第一は、鉱業権者が施業案によらないで鉱物を掘採したとき、保安命令に従わないとき等においては、その鉱業権を取り消すことができることとなっておりますが、その鉱業権取り消しをした場合は、その区域に取り消された鉱業権者がふたたび鉱業権を取得することを極力避けなければなりませんので、鉱業権取り消しがあったときは、取り消しの日から六十日間は、その地域に取り消された鉱業権と同種の鉱床の鉱物目的とする鉱業権設定出願があったときは、これを許可しないことといたしました。  第二は、通商産業局長が、鉱業法規定による命令または通知をする場合に、その相手方が知れず、または所在が不分明であって、命令または通知相手方に送達することができないときは、公示送達をすることができることとなっておりますが、この規定が適用される場合は限定されておりますので、この規定適用範囲を拡張して、鉱業権取り消しをしたとき、または鉱業権設定出願の不許可もしくは却下をしたとき等にも公示送達をすることができることとした次第であります。  第三は、最近、特に九州において石炭の盗掘について取り締りの強化が要請されておりますと同時に、鉱山災害鉱区外侵掘したところで発生するという事例も見受けられるに至っておりますので、別途鉱山保安法の一部改正を行うとともに、鉱業法の立場からも、これらの盗掘侵掘防止をはかるため、その罰則を強化することとし、また新たに、盗侵掘によって得られた鉱物を運搬、保管、有償もしくは無償による取得または処分のあっせんをした者に対しても刑罰を課することといたしました。  以上が、鉱業法の一部を改正する法律案の主要な内容であります。  何とぞ御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。  次に、ただいま上程されました軽機械輸出振興に関する法律案についてその提案理由説明いたします。  ミシン双眼鏡を初めとするいわゆる軽機械輸出は年額一億ドルをこえ、船舶を除く機械輸出の三分の一を占めるに至っております。しかもこれらの輸出は年々確実な増加を示し、今後の輸出拡大のホープと目されているのでありますが、このような目ざましい輸出拡大は、これらの軽機械中小企業主体とするアセンブル方式によって製造され、その工程に相当の人手を要することによって、わが国が極めて強い国際競争力を持っていることに負うものと考えます。  しかしながら、アセンブル方式をとっていることから、開業するだけならばほとんど設備らしい設備もなしにできるために、業界過当競争が著しく、輸出価格の著しい低落をみておるのでありまして、この結果当然得られるべき外貨をみすみす失っているという現状になっております。  また、中小企業主体とすることによって海外事情に対する知識はほとんどなく、めくら貿易に近い状況に置かれている上、このような軽機械輸出拡大に欠くべからざる海外市場への広告、宣伝活動もほとんど行われていないという状況であります。  このような事態に対しまして、軽機械輸出振興のために従来とられてきた方策を振り返ってみますと、過当競争防止のためには輸出入取引法中小企業団体法等の施策があげられるのでありますが、軽機械という特殊の商品について考えますと、不充分な面がなお存すると考えられますし、また軽機械品質向上ないし積極的な海外市場へのマーケッティングという観点については、ほとんど未開拓のまま残されてきたといって過言ではありません。  従ってここに従来の方策を補完し、軽機械輸出をさらに一段と発展させるべく種々検討いたしました結果、従来から特に問題の多かったミシン及び双眼鏡を当面の対象として、新たなる立法を要するとの結論に達した次第であります。  この法律案骨子は、製造業者登録制の採用と、輸出振興事業協会の設立という二点に要約されるのであります。  第一に、輸出向の軽機械及び軽機械部品について製造業者登録を行うことにより、メーカーらしいメーカーを育てていく基盤を作り、これによって軽機械品質向上を期するとともに、特に軽機械組立業者について過当競争が著しくなりました場合には、一時その登録を停止して新規開業を抑え、業界の安定をはかることにしたいと考えます。  第二には、輸出振興事業協会を設立し、これを中核体として、海外市場に対する調査、宣伝を活発に行い、同時に輸出向機械品質向上をはかりたいと考えております。これらはまさに輸出拡大のかぎとなるものでありながら国内における過当競争によって従来業界にその余力がなかったのでありますが、協会への負担金の納入によってこれを活発に行うことが可能になると考えます。  申し上げるまでもなく輸出振興わが国経済発展のための最大の要請であり、その中でも機械の占める重要性は次第に高まっているのでありますが、このような要請に当面応ずることができるのはまさに軽機械と考えるのであります。このような事情をおくみとりの上何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。  ただいま提案されました輸出入取引法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  現行輸出入取引法は、昭和二十七年八月輸出取引法として施行され、その後昭和二十八年八月輸出入取引法として改正されましたが、さらにその後三回の改正を経て今日に至っております。  御承知のとおり最近におけるわが国輸出は、国際的な不況の影響を受けて伸び悩みの状況を続けておりますが、原材料輸入依存率の大きいわが国にとりましては、輸出の伸張によってこそ経済拡大均衡が確保できるものであることは、いうまでもないことでありましてこの意味におきまして輸出振興わが国のまさに緊急事の  一つであります。しかるにわが国輸出が従来から過当競争のため、いろいろの面で問題を起してきたことは御高承の通りでありますが、輸出における過当競争傾向はますます激化し、そのため海外輸入業者わが国輸出品に対する不信ないしは輸入制限傾向が現われて参り、さらには関税引上げ等の動きを誘発しているような次第であります。このような傾向を是正し、わが国貿易の健全な発展をはかるためには国内経済の安定とともに輸出取引秩序の確立をはかることが何よりも必要なわけでありますが、現行輸出入取引法運用によっては必ずしも十分でないと考えましたので、このたび、この改正案提案いたした次第であります。  次に、改正主要点につきまして御説明いたします。  第一は、輸出品生産業者等協定締結範囲拡大であります。  現行輸出入取引法におきましては、生産業者等輸出すべき貨物について協定締結することが認められておりますが、そのような協定だけでは輸出における過当競争防止することが必ずしも十分でない場合もありますので、そのような場合におきましては独禁法、中小企業団体法等の他の法令による適法な共同行為をもってしても過当競争防止するに不十分な場合に限り国内貨物及びその原材料をも含めた協定締結ができるようにし、それでもなお不十分な場合におきましては、その貨物販売業者及び原材料生産業者等にも協定締結を認めるよう改正せんとするものであります。  第二は、輸出組合及び輸出入組合の事務の明確化並びに出資組合から非出資組合への移行の規定の追加であります。  現行輸出入取引法におきましては、輸出組合及び輸出入組合は、一定の調整事業と各種の協同事業を行えることとなっておりますが、これら組合の行う事業重要性にかんがみ、その事業内容を明確にし、さらにこれら組合のうち非出資組合限り法人税法上の非課税法人とするための必要な規定並びに出資組合から非出資組合へ移行できる旨の規定を追加いたしました。  第三は、貿易連合制度の創設であります。  貿易商社が連合して輸出入取引を行うということは、輸出入取引の秩序の確立という点からも、また、特に中小商社の健全な発展のためにも必要であり、かつ、有効なことでありますが、現行法令における諸制度をもってしてはいまだ十分でありませんので、このたびこれを貿易連合という名のもとに新しい特殊法人として認めることによりその助長をはかることにし、所要規定を設けました。  第四は、生産業者等に対するアウトサイダー規制命令の追加であります。  現行輸出入取引法におきましては、輸出業者等協定の場合と異なりまして生産業者等輸出すべき貨物についての協定に対しましてはアウトサイダー規制を行う規定を欠いておりますが、輸出における過当競争防止するためには、状況によりこれも行う必要がありますので、このたびこれらについてもアウトサイダー規制を行うことができるように改正することといたしました。  第五は、輸出業者登録制度の創設であります。  特定仕向地において特定貨物について輸出過当競争が行われているような場合においては、民間業者における自主規制等によりその防止をはかることが何よりも必要でありますが、同時に信用、経験等の不十分な新規の輸出業者が無制限に増加することを抑制することも必要であり、これによって初めて業界の自主的な規制も効果的なものとなることが考えられますので、過当競争の著しい特定仕向地特定貨物輸出する輸出業者について登録制度を創設し、登録を受けた者でなければ輸出できないこととするとともに登録に関し必要な法的措置を講じました。  以上が改正主要点でありまして、その他、これらの改正に伴う若干の修正を行なっておりますが、わが国輸出貿易の現状と特質にかんがみ以上の改正は、輸出における過当競争防止し、わが国輸出貿易の健全な発達をはかるため是非必要なものと考えられます。  何とぞ慎重に御審議の上すみやかに可決あらんことを切望いたします次第であります。  小売商業特別措置法案について提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  まず、提案理由について御説明いたします。  小売商業は、御承知のように国民経済上きわめて重要な分野を占めていることはあらためて申すまでもありませんが、全国百数十万の小売商業者の大部分はいわゆる零細小売商であり、その数は年々増加する傾向を示しております。このような結果として小売商業においては同業者間の競争はいよいよ激甚となり、加うるに百貨店等大企業の進出、購買会、消費生活協同組合等小売商以外の者の小売商業面への進出により経営の不振と不安定とに悩んでいるのであります。  政府といたしましては、かかる点に思いをいたし、中小企業団体の組織に関する法律運用により同業者間の過剰競争に悩む商業者に対しても必要に応じ調整事業を行いうる道を開くこととしたのでありますが、小売商業の問題は複雑多岐であり、業者の自主的な活動のみをもってしては問題の十分な解決を期しがたい点もあり、かつ、同業者以外の者との利害の調整をはかる必要もありますので、これらの点について特別な措置をとり得るよう、第二十六国会において小売商業特別措置法案提案いたしたのでありますが、第二十八国会において審議未了となりましたので、あらためて十分再検討を加えまして、この度本法案提案するに至った次第であります。  次に本法案概要について申し上げますと、第一に、会社工場等事業者の行ういわゆる購買会事業について、都道府県知事は、その事業活動が中小小売商の事業活動に影響を及ぼし、その利益を著しく害すると認めるときは、その事業者に対して、従業員以外の者に購買会事業を利用させることを禁止し、さらに必要と認めるときは、その禁止を確保するため必要な措置命令を出し得ることとし、これにより購買会事業と小売商の事業活動との調整をはかることとしたのであります。  第二に、消費生活協同組合は、現行消費生活協同組合法においては、行政庁の許可を受けた場合に限り、組合員以外の者の物品供給事業の利用を認めているのでありますが、この員外利用についての許可申請があった場合におきましても、当該行政庁は中小小売商の事業活動に影響を及ぼし、その利益を著しく害するおそれがあると認める場合には、許可を与えてはならないこととし、また員外利用の許可を受けていない消費生活協同組合が中小小売商の事業活動との摩擦を生ずる員外利用を行うおそれのあるときは、これを未然に防止するため必要な措置命令を発し得ることとしたのであります。  第三に、いわゆる小売市場につきましては、近年大阪、神戸、名古屋等の都市において小売市場間の過当競争が激化し、しばしば不公正な取引方法が用いられているのでありますが、小売市場内の小売商が共倒れとなるばかりでなく、市場周辺の小売商にも悪影響があり、かつ、消費者にも種々迷惑を及ぼすなど弊害の及ぶところが大きい点にかんがみまして、かかる小売市場の乱立の根源をなしている市場業者による過大な利益の収奪を抑圧するため、まず特定の市においては、市場業者の貸付契約について都道府県知事の許可を要することといたしております。また市場内小売商の不公正取引については、都道府県知事が公正取引委員会に対し必要な措置をとるべき旨の請求を行い得るようにするとともに、公正取引委員会の市場内小売商に対する不公正取引の中止の指示等不公正取引防止のための必要な規定を設けることといたしたのであります。  第四に、生産業者の直売行為、卸売商の小売行為等中小小売商の事業活動にかかる紛争は、種々の形態で各方面に見受けられているところでありますが、これらの紛争につきましては、その紛争の当事者からの申請があり、都道府県知事が中小小売商の事業活動の機会を確保するため必要と認めたときは、あっせんまたは調停を行うことといたしますとともに、必要があれば都道府県知事または主務大臣が積極的に紛争の当事者に対して勧告できることといたしまして紛争の解決に万善を期したのであります。  以上述べました通り、本法案は、小売商の事業活動の機会を確保し、小売商業の正常な秩序を阻害する要因を除去するため、購買会事業または消費生活協同組合等の事業の員外利用を調整し、小売市場業者にかかる規制及び小売市場内の小売商の取引を公正にする措置を定めるとともに中小小売商の事業活動にかかる紛争の解決をはかってゆくことを主たる内容としているのであり、中小企業団体の組織に関する法律の円滑なる運用と相まって中小小売商の経営の安定と向上とを期待するとともに、ひいては国民経済の健全な発展に寄与することを目的としているのであります。  以上が小売商業特別措置法案の趣旨でございます。何とぞ御審議の上、御可決あらんことをお願いいたします。
  10. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  11. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記を始めて。  以上で提案理由説明は終りましたが、これらの法案審議は後日に譲ります。   —————————————
  12. 田畑金光

    委員長田畑金光君) これより通商産業政策について高碕通商産業大臣かな所信を承わることにいたします。
  13. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 通商産業政策について御説明申し上げます。  最近の経済情勢をみますと、経済の調整過程は意外に長引き、現在のところ景気は停滞気味に推移しております。  輸出は世界景気の停滞を反映して伸び悩み状態になっており、最近低調に推移いたしておりますが、反面輸入が生産の停滞によってきわめて低い水準にあるため、国際収支は黒字基調を維持しておりまして、年度間では当初の予想を大幅に上回る黒字を計上するに至るものと考えられます。設備投資は、基幹産業の継続工事を中心としてかなり高水準を維持しているものの、最近の機械受注状況より判断いたしますと、今後はやや低下傾向をたどるものと思われます。消費のみは比較的好調を続けておりますが、産業の生産品に対する需要は依然として停滞状況にあり、各産業は引き続いて生産調整を実施いたしているにもかかわらず、在庫調整の終了は意外に長引き、その終了には少くとも年内一ぱいを要する見通しであります。このため物価は一時わずかの反騰をみたものの、その後は引き続き低迷を続けております。  このような経済の実情に対処し今後すみやかに経済の正常化をはかりますため、当面各産業の実施している生産調整の円滑な遂行を期しますとともに、特に経営難の著しい繊維産業や石炭鉱業等については過剰設備の買い上げ、輸入エネルギーの削減等業種の特性に応じた対策を講じ、また中小企業に対しては金融の円滑化に努力いたしておる次第であります。  本年度の下期におきましては、輸出、消費、財政支出等の需要面に若干の季節的な伸びが見込まれ、また公共事業費の繰り上げ支出や財政の散超による金融緩和の事情もありますので、これらの要因を手がかりとして今後における経済成長の契機をつかみたいと念じている次第であります。  以上の当面の施策とあわせてわが国経済が長期にわたって安定した発展を遂げますためには、わが国経済の特質に基く問題点とその解決の方向を把握して所要の施策を着実に実施していくことが何よりも肝要であり、従いまして今後の通商産業政策は、これらの問題点を具体的に解明しつつ、安定した経済成長を確保することをその基本とし、第一に、国際収支の恒常的拡大均衡確保のため、輸出振興を期しますとともに、第二に、貿易の長期安定的市場を培養するため、経済協力の推進をはかるものとし、第三に、経済の長期的発展を確保するため、産業基盤の強化と産業体制の確立をはかり、第四に、国民経済に占める中小企業重要性にかんがみ、中小企業の育成強化をはかり、第五に、世界的技術革新の趨勢に即応し、鉱工業技術の振興をはかりますることに、その重点を置かなければならないと存じます。  以下各項目ごとにその具体的施策の概要について簡単に申し述べたいと存じます。  第一は、輸出振興であります。今後における世界的な輸出競争の激化に対応し、わが国輸出の恒常的伸長と国際収支の長期的均衡をはかりますため、特に次の施策を重点的に推進する方針であります。  すなわち貿易振興の施策といたしましては、従来から実施してきた海外市場調査輸出商品の普及宣伝貿易あっせん、国際見本市等の諸事業につきましては、本年七月発足した特殊法人日本貿易振興会を中心としてその飛躍的強化拡充をはかりますとともに、今後におけるプラント輸出の促進を期するため、技術相談業務の画期的強化をはかるものとし、これが実施に当る中核団体の育成強化に努めたい所存であります。  また、わが国貿易における業種別、地域別の特質と実情に即応して、過当競争防止輸出振興をはかりますために、輸出業者または製造業者登録輸出振興のためのカルテルの認容、一手買取機関の設立の促進等を主たる内容とする輸出入取引法改正法案及び軽機械輸出振興法案を今回の臨時国会に提出いたした次第であります。  さらに輸出品品質、意匠の向上及び盗用防止、検査設備の整備等につきましても今後一段と努めていく所存でございますが、特に雑貨産業につきましては、これが実施に当る機構の整備強化をはかっていきたいと考えております。  第二は、経済協力の推進であります。現今、世界貿易における地域化傾向が高まり、かつ、後進国における外貨不足が依然深刻な段階にありますので、これらの国の経済開発に協力いたしますことは、今後におけるわが国貿易の長期安定的市場の培養、海外原料の安定した供給の確保、中小企業の海外進出等をはかる意味におきましてもきわめて重要であり、この意味において貿易振興対策と経済協力対策とは車の両輪のごときものといっても過言ではないと存じます。従いまして今後とも東南アジアを中心とする経済協力対策をむしろ貿易振興対策の一環として積極的に展開する方針であります。  すなわち、円クレジットの供与、延べ払い方式の採用等による資本協力につきましては、さきにインド及びアラブ連合に対して決定を見たのでありますが、今後さらにその他の諸国についても検討中であり、その際、対象品目の拡大等につきましても、あわせて考えたいと存じます。  また、技術者の受け入れ及び派遣、並びにわが国中小企業の海外進出のための体制を一層強化整備するほか、アジア産業経済調査及び海外投資のための基礎調査を徹底的に行うため、近く発足するアジア経済研究所の組織機能の拡充強化をはかる方針であります。  なお、本年度新たに設置を見たインド西ベンガルの海外技術センターの円滑な運営を期するとともに、今後さらにその他の地域にもその新設をはかっていきたいと存じております。  第三は、産業基盤の強化と産業体制の確立であります。わが国産業の対外競争力は、欧米諸国に比し、いまだかなり遜色があると考えられるのでありまして、この点、基礎産業、輸出産業、新規産業等の合理化、近代化をさらに徹底的に進めていきたいと存ずる次第でありますが、さらに、今後の産業発展の趨勢に即応し、エネルギーを初めとする主要基礎原材料の供給の確保とその価格の安定をはかることが肝要と存ずる次第であります。このため、今後におきましては、財政投融資の誘導的、補完的機能をより一そう活用するものとし、国民経済的に最も緊要度の高い産業部門へのその重点的投入が必要と存じます。  また、産業立地条件の整備につきましては、今後の経済拡大と近代化に果す役割の重要性にかんがみまして、これを強力かつ計画的に推進する必要性を痛感いたしておる次第でありまして、これがため、豊富かつ低廉な工業用水の確保をはかるため助成を強化いたしますとともに、道路、港湾、輸送施設等産業関連施設の飛躍的増強を期する方針であります。特に港湾につきましては、原油、鉄綱原料の輸入港、石炭の積み出し及び陸揚港の整備に重点を置くものとし、また工業用地の積極的な造成と工場の適正配置施策の推進についても考究する所存であります。  なお、工場排水に関する被害、紛争が、最近とみに問題化しており、早急に法的措置を講ずる必要があると考えられますので、今国会に工場排水法案提案いたしたいと存じておりますが、これに伴い、汚水処理施設の設置及び汚水処理技術の研究について助成措置を講じていきたいと存じます。  また、経済の安定的成長と国際競争力強化に資するためには、わが国経済の実情に照らし、産業界の自主的協調体制のより一そうの整備確立をはかることが必要であると考える次第でありまして、このために、不況カルテルの認可要件の緩和、合理化カルテルの認容範囲の拡大などを主たる内容とする独占禁止法改正法案を今国会に提案いたしております。  最後に、最近続出する中小炭鉱における災害防止するため、緊急事態における侵掘停止命令盗掘防止のための罰則の強化等を内容とする鉱業法改正法案及び鉱山保安法改正法案を今国会に提案いたしております。  第四は、中小企業振興であります。御存じの通り中小企業は、わが国経済上きわめて重要な地位を占めている反面、その規模が零細であり、かつその数がおびただしいため、絶えず経営の不安定に悩んでおり、また、その設備技術等においても立ちおくれておりますので、今後とも中小企業の特質に応じました振興策を適時適切に講じていく所存であります。  このためには、まず、中小企業の組織化によるその経営の安定をはかるため、中小企業団体法の円滑な運用をはかることが肝要と存じますが、一方、中小企業の生産性の向上と経営の合理化のためには、設備近代化助成制度の飛躍的拡充、公設試験研究機関の設備の大幅増強をはかりますとともに、府県の指導員の増強による中小企業に対する指導を一そう積極的に展開したいと考えております。  なお、当面経済活動が安定的上昇線に乗るまでの過程において過渡的に中小企業面に生ずる影響につきましては、すでに織機処理に対する予備費支出を行いましたごとく、金融面その他において適時適切にその対策を講ずる方針であります。  また、小売商業の振興をはかりますため、消費生活協同組合、購買会及び小売市場の事業活動の規制内容とする小売商業特別措置法案を今国会に提案いたしております。  第五に、鉱工業技術の振興であります。以上の諸施策を推進いたしますための基礎条件として鉱工業技術の画期的な振興が特に必要であることを痛感するのであります。御存じの通り、欧米諸国の技術進歩はまことに目ざましものがあり、わが国はこれに著しく立ちおくれていると存ずる次第でありましてこの際、官民力をあわせてその推進をはからねばならぬと存ずるのであります。  これがため、まず、国立試験研究機関の設備の更新近代化等によりその機能の強化拡充をはかり、産業界からの各種の要請に応じ得る体制を整備いたしますとともに、今後、最も緊急を要する電子技術、オートメーション技術、分析技術及び生産加工技術等の基本的かつ新規の技術の研究のほか、新たにエネルギー技術、汚水処理技術等の研究につきましては、各試験所の能力の総合的発揮に努め、迅速な成果を得て各界の要望に応じ得るようにいたしたいと存じます。  また、民間研究活動の強化のため、重要研究の実施についての助成を一そう強化し、あわせて研究成果の普及徹底及び企業化の促進に関し各般の施策を総合的に行い得るよう措置するものとし、特に、中型輸送機の研究試作については、その急速な促進をはかる所存であります。  以上により、今後における通商産業政策に関する基本的考え方と施策の概要を申し述べた次第であります。
  14. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 以上で通商産業大臣の所信に関する発言は終りました。  それでは次に、経済計画について、三木経済企画庁長官から所信を承わることにいたします。
  15. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 昨年来の総合緊急対策の実施によりまして、経済活動は過熱状態を脱し、国際収支の逆調を回復するなど一応着実な調整過程をたどって参りましたが、反面、世界経済の低迷や過去の過大な投資による影響を受け、最近の経済活動はいわゆるなべ底横ばいの状態を続けております。  すなわち、輸出は伸び悩み、鉱工業生産、出荷は停滞し、在庫調整も予定よりおくれ、ために卸売物価は依然下押し気味に推移し、企業経営の悪化も伝えられているのであります。  かように当面の経済動向は停滞を続けておりますが、下期に入って経済活動は、ある程度明るい要因を加えていくものと見られるのであります。すなわち、下期に入りますと、設備投資は上期より若干減少いたしますが、下期の消費需要は、季節性の影響も含めて、引き続き堅実な基調をたどり、ことに本年度の豊作による農家所得の伸びもありますので、上期に比べ約九%の増大になるものとみられます七輸出需要については、輸出振興に対する努力に加えて、若干の価格の上昇と下期の季節的な輸出上昇とをあわせ考えれば、通計上期に対し七%の伸びをみることも可能ではないかとみられます。ことに政府の財政支出による需要は、公共事業費の繰り上げ支出等もあって、下期には相当の伸びが期待できます。  このようにして総体としての需要増によりまして下期の鉱工業生産は上期に対し約七%近くの上昇となる見込であります。  かように本年下期の経済動向は逐次好転するものと予想せられますが、当面の経済活動はなお停滞下にあり、ことに繊維産業等一部産業にあっては停滞の度合いが著しく、また、雇用面についても悪化を極力防止することが必要であります。従いましてそれぞれの産業の実情に即しつつ、操短の指導、過剰織機の買い上げ、繊維原料や原油等の輸入削減その他所要措置を講じて参りましたが、今後とも適切な対策を講じてこの経済調整過程を乗り切るとともに本年度下期以降、経済活動の基礎を安定成長の軌道に乗せるため、経済発展の基盤の充実をはかって参りたいと存じております。  なお、明三十四年度の経済につきましては、予測上、なおかなり不確実な要因も多く、政策のあり方によって変化する事情も少くないので、さきに作成いたしました「経済見通し」におきましても、政策策定の手がかりとして大体の輪郭を描くにとどめましたが、今後の情勢の推移をいま少し見きわめた上で、この十一月頃、明三十四年度の「経済見通し」につき、さらに検討を加えて詳細的確なものを策定いたしたいと考えております。  以上、当面の経済動向と経済運営の態度につき一言いたしましたが、今後とも一そう各位の御協力を切望いたす次第であります。
  16. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 以上で経済企画庁長官の所信に関する発言は終りました。  これより通商産業政策に関する件及び経済計画に関する件について、大臣及び政府当局に対する質疑を行います。御質疑のある方は、順次、御発言を願います。
  17. 島清

    島清君 ただいま通商産業大臣の所信の表明並びに経済企画庁長官のあいさつ、この両大臣の所信に対する質問ということでございますが、私はこれは委員長理事の打ち合せによりまして、来週あたりから活発に質問をさしていただくという時間のスケジュールを組んでいただくことにいたしまして、きょうは通商産業大臣に、大臣みずから御指摘になりました繊維産業、石炭産業、この不況産業の頂点に立っておりまする産業のうち、なかんずく繊維産業の問題に限定をいたしまして、しかもまたそれもこの二、三の問題に限定をいたしまして、大臣の所信を承わりたいと思うわけであります。  申すまでもありませんが、私の御質問申し上げますることは、一々例をあげまして御質問を申し上げますると、優に五、六時間を要する問題でございますが、しかしながらまたこれを縮めて御質問を申し上げまするというと、一、二点にとどまるわけでございます。そこで私はそれを縮めまして一、二点に質問の要旨を集約をいたしてお尋ねをしたいと思うのであります。  私たちの見るところによりますると、繊維産業は設備の過剰によるんだ、そしてそれに基きまする政府の放漫政策、怠慢に基くものである、こういうふうに私たちは判断をいたしておるのであります。その理由といたしましては、政府は先年繊維五カ年計画というものをお立てになりましたが、しかしながらこの五カ年計画は二年を出でずしてその計画が達成をされておるのであります。その理由の最大なるものは、これは設備の過剰でございます。そしてこれが、生産が過剰になりますというと、操短をやらなければならないと称して、いろいろとそれらしいことはやっておりますけれども、しかしながら何にもこれは実効を伴っておりません。無意味なことをやっておいでになる。従いまして私はこの不況の対策に対しまして大臣がこの不況の原因がどこにあると思われて、さらにどういったようなこれに対する対策を講じてこられたか、そのお講じになりました対策はどういうような効果をもたらしておるのか、こういうことについてお尋ねをいたします。  さらに、最近企業の合理化というようなものが唱えられておりまして、そしてその企業の合理化という名前のもとに、その企業の中に働いておりまする労働者諸君の首切り、そして昇給の停止、労働者にとりましては、いかにも不況が労働者の責任であるかのごとくの処置で、企業内においてそのしわ寄せを受けておるような形でありますが、これからも企業の合理化の名において、いろいろと資本家本位のことがなされると思うのであります。そこで大臣は企業合理化というものをどのようにして御指導になろうとされておるのか、さらにまた今までにどういったような確信で、この企業の合理化を指導してこられたのか、こういうことについて御説明を願いたいと思います。
  18. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいま島委員の御指摘になりましたように日本の産業がすべて今日不況を来たしております。特に繊維産業は不況の急先鋒になっておりまするが、これは、繊維産業といわず、今日の不況の原因は、主として過大なる設備をした結果であると、私はこう存じますが、これは、御承知の、一昨年のいわゆる神武景気のために、相当将来消費が伸びるようになるというふうな見通しのもとに、見通しを誤まって大きな投資を設備の方にいたしました結果、設備は、三十一年に比較いたしまして三十二年度は大体六〇%強もふえておるわけでありまするが、これに対し、消費が伴っていないというのが今日の不況の原因だと存じます。特に繊維産業は、今日の不況となっておりますることは、これは、消費と、一番大きな面であるところの輸出方面におきまする動向が、世界景気の不調、一方、中共貿易の途絶、また中共の東南アジアに対する進出等が積り重なって、予期以上の消費の減退を来たしておるということが、繊維産業不況に一段の拍車を加えたことと存ずる次第であります。従いまして、これが対策といたしましては、どうしても現在ある設備の中で、不当に設備が増設されたと思うものにつきましては、当分これを操短をせしむると同時に、将来回復の見込みのないと思われるようなものにつきましては、政府といたしましても、できるだけ、財政の許す範囲において、これを援助して、買いつぶしをするとかいうことも講じていきたい、現に、紡織、織機のごときは、これをある程度買い上げるという方針をとっているようなわけであります。同時に、これが消費の方面におきましても、輸出方面の増進もしていきたい。また輸出が伸び悩んでおります原因等も、調べますというと、これはいろいろでございますが、一方繊維産業自体といたしましても、従前のごとき方法をもって、製品をもって、これを輸出するということには相当困難性があると思いまして、その方法につきましても、新しき市場の方におきまして検討いたしまして、新製品、新販路というものにつきましても、拡大すべく、今日、アメリカなり欧州なり豪州付近へも使節団を出しましてその調査をいたしておるようなわけであります。そういうような工合に、ある程度の過剰設備は、できるだけこれを整理し、一方輸出につきましては、これを増進する方針を講じますとともに、国内の消費につきましても、逐次これは振興していきたいと、こういうふうに思っております。  合理化に伴う結果、この不況を労働者だけにしわ寄せをする、いわゆる従業員にしわ寄せをするという結果にならないかということを、政府としては特に心配いたしまして、先般来、ある会社のごときは、これを合理化するというような方針をとったようであります。それに向いましては、書面をもちまして、合理化をすることはいいが、合理化の名前によって従業員を整理するということはやめてもらいたいということを申し上げたようなわけであります。しかしながら、今日不況になりました結果はどうだと申しますというと、その原因は好況であった、それがためにいろいろの施設もふやしたのでありますが、好況のときには、会社経営の人的要素を見ますというと、経営者というものと従業員というものと株主というものとが、この三つが一つの経営の主体になっているようでありますが、それで好況のときには、株主は腹一ぱい配当を取り、従業員は普通より以上の報酬を取り、経営者はより以上の賞与を得るというふうなことも事実であるわけでありますから、一応やはり不況になれば、株主もある程度配当を遠慮し、経営者も自分の取り前を遠慮し、従業員もある程度自分の収入は減るということを覚悟して、いわゆる三者が協力してやはりこの不況を乗り切ってもらいたいという考えでありまして、これをひとり労働者にのみ、あるいは従業員にのみ負荷せしめるということは断じてとらないように、行政指導をしていきたいと存じております。
  19. 島清

    島清君 ただいま不況克服のための企業合理化に際しては、そのしわ寄せをひとり労働者に転嫁することのないように指導していきたいという大臣の御答弁、非常に満足するものではございますが、操短の問題につきましては、もう操短というのは、私たちの常識的な判断からいたしますと、これは一時的なものでなければならない。しかしながら、通産省が操短の命令をお出しになりましてから、すでにもう一年以上経過をいたしております。一年以上経過をいたしておりまするけれども、しかしながら、何らその操短の効果がきてない。これは操短の方法にも悪い面もありましょうが、しかしながら、操短を命令しておりながら、操短の効果が出てきてないということになりまするというと、それは命令をして一カ月くらい経過すれば、大体操短の効果というものがどういうふうに表われてきているかということは、大体理解できるはずでございます。ところが、今も大臣が操短をやっていきたい、やっていかなければならぬでしょうが、操短をやらせる、そうして、それでなおかつ見込みのないものは買い上げるということなんですが、しかしながら、操短というのは、私のただいま申し上げた通り、一時的なものであると思う。一年以上も操短が続きまするというと、これはもう恒久的な、長い間の対策が私は必要になってくると思うのです。そこで操短というものを、大臣は一体一時的なものとしてごらんになっておられるのか、把握しておられるのか、それとも繊維産業に見まするところの一年以上のこの操短命令が、何の効果ももたらさずにずるずるときておりまするけれども、これを一時的なものとしてこのままの政策で乗り切れると思われているのかどうか、この点について所信を承わりたいと思います。
  20. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 従前の操短というのは、一カ月ないし六カ月すると大体の見当はつく、それで結論が出たのでありますが、今日の経済情勢の推移から考えるというと、逐次在庫品も減っているわけなんでありますが、現在の状態におきまして、すぐに現在、操短というものが永久的なものであるから、施策をどうこう加えるという時期までにはまだ考えておりませんですが、幸いに幾らかずつ在庫が減っているようでありますし、一方繊維産業というものをもう少し高度から見まして、そうして天然繊維、合成繊維等がどういうふうな状態にあるべきものだということを、将来これをどういうふうに導いていくべきものかということにつきましては、どうしてもここで結論をつける必要があると存じまして、最近に政府におきましては、繊維産業総合対策懇談会というものを作りまして、ここにおいて業界の皆さんの御意見を聞き、学識経験者の意見を聞いて、そしてそこで考えていきたい。そうしてその際に将来はどうなるだろうかというふうな点も考慮していきたいと存じておりますわけであります。だから、今さしあたりすぐに現在の設備はもう永久の過剰である、従って、ここでどうこうしなければならぬというまでは踏み切りはついていないわけなんでございます。
  21. 島清

    島清君 今大臣がおっしゃいました繊維産業懇談会でございますか、これはいつごろ発足いたしまして、そうしてそれはどのような機構で、どういうふうに運営されるのでございましょうか。そうしてその機構内のメンバーはどういったような階層の代表者の方々によって構成されておりましょうか。
  22. 今井善衛

    説明員(今井善衛君) 大体その懇談会はこの月末に発足いたしたいと思います。メンバーといたしましては、業界から約十人、学識経験者約五人程度を予定しておりまして、業界と申しますと紡績織機、それから貿易業者、そういう各団体の首脳者をもって構成したいと、かようにまあ考えておる次第でございます。
  23. 島清

    島清君 業界といいます場合には、労働組合などは入らないのが通説なんでございますけれども、労働組合なども入るわけなんでございますか。
  24. 今井善衛

    説明員(今井善衛君) 繊維関係の労働者の組合の代表者を一名入れたいと思います。
  25. 島清

    島清君 それはどういうような名称のもとに労働組合の代表が入ってこられるのでございますか。学識経験者ですか、それとも業界代表でございますか。
  26. 今井善衛

    説明員(今井善衛君) まあこの人は業界だ、この人は学識経験者だというふうに分けますと、その労働者代表というものは非常にむずかしいことになるわけでございますが、とにかく一人入ります。
  27. 島清

    島清君 今井さんは政治家みたいなことをおっしゃるので、やっぱりあなたたちの方の学識経験者であるとか業界とかワクをきめれば、やっぱりそのワクに制約を受けるのでございますね。ですから、そうなりますというと、あなたたちの考えておられることは、そのワク外にもし適当な名称がつけられないというならば、オブザーバーとか何とかいうことを考えておられると思うのですが、これは私は繊維産業労働者代表というふうにしてやっぱりおっしゃっていただかないと、労働者代表が大手をふってこの中に入っていけないのじゃないか。そうして協力の面が与えられないのじゃないか、そういうふうな憂いがあるわけなんでございますが、どうなんでございますか。
  28. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) これは発足に当りまして私が提案したのでありまして、どうしても従業員の代表というものを一人入れる必要があるということで、学識経験者と業界の代表というものも、天然繊維の方とそれから合成繊維の方、いろいろ業者がいるものですから、そういう人もやはり入ってもらってやったらいい、こういうことなんでございますから、しいて名前を言えば、学識経験者の中に労働代表の方も入っていただく、従業員の代表の方も入っていただくということをしてもいいと思いますので、しいてそういう名前をつけないでも、懇談会のメンバーとして、ただ組み立て方をどういう方面からとるか、こういうことでありますから、そういう意味で御解釈を願いたいと、こう存ずるわけでございます。
  29. 島清

    島清君 まあ大体そういう工合に了解をさしていただきまして、その懇談会の中には繊維産業の不況を乗り切るのにはどうしてもやっぱり労働者の協力が必要である。そこで名称のいかんにかかわらず、大臣と質問者でありまする私と意見が同一でございまして、必ず労働者の代表を入れてそうして不況克服のための懇談会を発足すると、こういう意味に了解をしておきます。  それで大臣にもう一点だけ、大臣から非常にすなおに御答弁いただいておりまするので、まあ大体ここらでとめようと思いますが、もう一点だけお尋ねをいたしておきたいのは、操短をおやりになりまする場合に、命令をされまする場合に、基本的な考え方でございますが、これは企業を防衛するために、乗り切るための一時的なものであるのか。操短をやりながらもなおかつ利潤を追求しなければならない企業の建前上、利潤を追求しなければならないというようなお考えで操短の指導をしておられるのかどうか、この点は御答弁にならなくても答弁は明らかなようではございまするけれども、後日その不況産業の対策をお尋ねいたしまする場合に、非常に重要になって参りまするので、この基本的な考え方を承わっておきたいと思います。
  30. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) それはもちろん利潤追求ということのために操短をするということは断じて許さないつもりでございまして、あるいは結果において今の損がいっているものをこれをある程度損を取り戻すということのために、結果はあるいは利潤追求と見られる点があるかもしれませんが、目的とするところは利潤追求ということになれば、さなきだにできるだけ数量を少くして値を上げたがるということは今日の資本主義経済の欠陥でございますから、そういうことのないように十分努力をしたい、そういうことは断じて許さないつもりでございます。
  31. 島清

    島清君 質問を、もっとお聞きしたい点もあるわけでございますけれども、きょうはこの程度にとどめておきます。そして提案をさしていただきたいと思うのでありますが、私はこの繊維産業の不況が政府の怠慢にもよると、こういうふうに大臣に御質問を申し上げたわけでございますが、それについては大臣みずから御答弁にはなりませんでした。そこで私は政府の怠慢であるというようなことが果して私の独善的なきめ方であるかどうかというようなことについても、さらに業界の諸君にただしておきたいと思います。さらにはまた、この不況産業を乗り切るためにはどうしなければならないかということについては、せっかく通産省におきましても業界に懇談会を発足せしめようというような折からでございまするので、本委員会においても、やっぱりその業界の意見を聞いてみる必要があろうと思います。そこで委員長並びに委員の皆様方にお願いをしておきたいことは、ただいまの質問はここで打ち切りまするけれども、どうかすみやかなる早い機会におきまして、業界代表を招致をいたしまして、そうしてそこで業界の実情と意見を聞かしていただくというような機会を作っていただきまするようにお願いを申し上げまして、きょうはこれで質問を打ち切ります。
  32. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ただいまの島君の御要望については、後刻理事会等を持ちまして、御希望に沿うように善処いたしたいと思います。
  33. 島清

    島清君 お願いします。
  34. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は通産大臣に三点だけきわめて簡単にお尋ねをいたしたいのであります。いずれも非常に当面の問題でありますので、特に本日御答弁を願いたいと思うのでありますが、まず第一は、船舶の国際入札の問題なんであります。日本の輸出に対します船舶の輸出重点策は私はここでちょうちょうを要すまでもないわけであります。この前経済基盤強化の問題の本委員会と大蔵委員会との連合会のときにも、私大蔵大臣に質問申し上げたのでありますが、この問題が実は最近具体的になる状況にあるのであります。というのは、台湾から最近金額にいたしまして二千五百万米ドル、一万トン級がたしか三ばいか四はい、その他全部で九隻ぐらいの国際入札が開かれんとしておるわけなんであります。台湾方面といたしましては、従来の日本との関係から、ことに日本の船舶技術という点につきまして、できるだけまあ日本に注文をしたいというような意向を内々私どもは実は聞いておるのでありますが、しかしこれはあくまでも国際入札なんでありまして、国際入札になりますと、むろん技術の点といま一つ大きな問題は、支払いの関係の問題なのであります。情報によりますと、イタリアあたりは非常な大幅な延べ払いをもって臨もうとしておるようなこともまた情報によって私ども知っておるのでありますが、この際、この膨大な船を日本が注文を受け取るということは、政府の考えております輸出増進に非常な役に立つことであるので、従いまして、政府としても相当な態度をもってこれは臨まなければならぬと思うわけであります。この際、大臣のこれに対する一つ所見を承わっておきたいと思います。
  35. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) この二、三年前は世界の景気が非常によくて、海運界がよかった結果、日本の船舶に対する注文は応じ切れないほどたくさんあったのでありますが、その当時の支払い条件を、今日不況になって船舶の注文が、減ってきておるときに、同様に持続することもできないわけでありますが、これは頭金を幾らにして、どのくらい延べ払いにするかということを今ここで標準的に申し上げることは大へん困難でありますが、ケース・バイ・ケースによって、あるいはある程度の頭金を取り、期間も相当長期に支払いの条件をきめる必要があると、こう思っているわけなのであります。  また、この延べ払いの際における輸出入銀行の金融の点等につきましても、これはできるだけ輸出入銀行の資金源をふやすことにいたしまして、従前、支払い金額の五〇%を輸出入銀行が持ち、五〇%を市中銀行にするとかいうようなこともあったようでありますし、あるいは、場合によると、これは輸出入銀行の負担額をもっと減すというようなことも出るだろうと思いますが、これは場合によれば輸出入銀行の負担額をもっとふやしていって、あるいは八〇%に対する民間の二〇%にするとか、それはケース・バイ・ケースで臨んでいきたいと、こう存ずるわけなのであります。ある程度延べ払いのことは実行いたしたいと思っております。
  36. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 経済人として長い間経歴を持っておられる通産大臣の今のお言葉は、私ども非常に信じまして、ぜひそういう方向で、この問題が具体化したときには一つ当っていただきたいと、こう思うのであります。  その次には、これまた非常な緊急の問題でありますが、第十四次船の問題の中に、例の鉄鋼船の問題があるわけなのであります。一説には、これが第十四次船の中に五はい、通産省といいますか、あるいは通産省が鉄鋼業者の要望を入れてと言った方がいいでありましょうが、五はいも何か作られるというふうに聞いておるのです。最近の情報によると、さらにこれが三ばいに減ったとかいうのでありますが、これは実際問題として通産省としてはどういう見解を持っておられるのか、これをこの際一つ明らかにしていただきたいと思います。
  37. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 私どもの考え方では、現在の船舶界が不況であるというふうなことにかんがみまして、この際に製鉄事業の合理化をする。今日まで運搬しております鉱石というものは、普通の運搬船を使っております結果、相当運賃が高くなりますものですから、これを専用船を使うことによって運賃がよほどセーブするのではないかということで、できるだけ私どもは、通産省といたしますれば、むしろ五はいなら五はい、できるだけよけい作ってもらいたいと、こう思っているのです。それは要するに、しかし一般の造船界と申しますか、船舶界の形勢等にもよることでありますから、もちろんその点はよく運輸大臣と打ち合せてやっていきたいと思いますが、私どもはできるだけ数をふやしていきたいと思います。
  38. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうしますと、今の鉄鋼船はまだ本ぎまりになっていない、こういうことに了承してよろしゅうございますね。
  39. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) その通りでございます。
  40. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それではさらにいま一点、これは全然違うのでありますが、政府が三十一億五千万ドルをぜひ一つ実現しようという点において諸般の施策をとられておるということはよく私ども知っておるのであります。それで各方面に、経験者を中心にいたしまして、いわゆる貿易使節団と申しましょうか、各その方面の権威者を出されて、だいぶ帰って来ておるようなんであります。幸いにいたしまして、東南アジアとか、あるいは中東方面は必ずしも日本の貿易が期待通りには御承知通りいっておりません、アメリカ等は最近非常に好転をしておるというようなことで、まあこれは単に自由世界だけでなくて、ソ連方面にまでも行って来られたのでありますが、ぜひ一つその貿易使節団の成果と申しましょうか、そういうことにつきまして簡単でよろしゅうございますが、これはいずれまたゆっくり局長からでもお伺いいたしますが、大臣が御報告を受けましたことにつきまして、この際ちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  41. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいま政府といたしまして、貿易調査団を出しておりますのは、豪州とアメリカと欧州でございます。これはいずれも——豪州は九月二十六日に立ちまして、この十月の月末に帰って来るわけであります。アメリカの方はこの月の七日に立ちまして十一月の末に帰って来ることになっております。ヨーロッパの方はこの二日に立ちまして十二月の初めに帰ることになっておりまして、まだ政府から出した使節団は帰っていないわけであります。
  42. 海野三朗

    ○海野三朗君 まず、通産大臣にお伺いしますが、貿易振興ということを非常に随所にうたっておりますが、中共との関係で岸総理がああいうことを言ったことは非常にマイナスじゃないか。百害あって一利ないじゃないかというふうに考えるのです。この点に対しては、通産大臣はどういうふうにお考えになっていますか。あるいはやる品物が足りないとか、あるいは貿易額が少いとかという理由であるとするならば、それは大へんな間違いであって、中共に対してはどういうふうに考えておられるのでしょうか。その所信を承わりたい。
  43. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 昨日来新聞に出ておりますアメリカの通信員が無責任なる放送をした結果、岸総理に非常な迷惑を来たしておるということは、御承知通りでございますが、こういうふうなことにつきましては、私はアメリカ自体においてもあまり問題にしませんし、中共においてはあるいはこれを政治的に多少利用するかも存じませんけれども、従前から中共のやっておりますことから申しますれば、ああいうふうな流言が流れるということは必ずしも有利ではないと存じますけれども、そんなにあれがために大きな変化を来たすとは私は存じておりませんですが、しかしいずれにいたしましても、ああいったふうな流言が出るということは、できるだけ誠意をもってこれを訂正するということをする必要があると存ぜられます。
  44. 海野三朗

    ○海野三朗君 この間四月の末に中共に私は行って参りました。その際に、天津に船が着いたのでありますが、天津に着いている船はイギリスの船ばかりなんです。日本の船は一そうも着いておりません。そうして中共の人間は岸信介の内閣は戦争をたくらんでおるということを公言しておりますね。一般に非常に悪いです。そのときも遺骨を持って行ったのでありますが、そのときの団長は自民党の佐藤清一郎君、副団長は私、至るところで岸信介の罪過をあげておるのですね。そうしてこれは結局中共に対しては同情がないのじゃないか、常にこれは戦争を考えているのではないか、こういうことを人民日報にも述べられておったのであります。こういうふうなものにおいては、通産大臣としてはどういうふうな一体お考えを持っておられますか、これを所信を承わりたい。
  45. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 委員長からも一言申し上げますが、今の大臣の御答弁の中に、無責任なるアメリカの記者の記事であるとか、あるいは流言などというお言葉で答弁されておりますけれども、本日の本会議におけるわが党の岡田議員の質問に対して、岸総理みずから、流言とか、あるいは捏造とかいう、そういうものではないということを明確に答えておられるわけです。ましてや、流言などということになってきますと、記者会見された岸総理自体の言葉の中にもこれはないわけで、不穏当な発言だと、こう見るわけで、もっと一つ慎重に、この問題に対しては高碕通産大臣としてもお答え願いたい、こう思うのです。
  46. 海野三朗

    ○海野三朗君 あなたのほんとうの信念を伺いたい。
  47. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいま委員長から御注意がありました点につきましては、私、失言いたしたと存じまして、流言ということは失言だと存じますので、これは訂正いたします。しかし誤解ということを起すことははなはだ遺憾でございましてこの誤解を解くということは必要だと存じます。  今、海野さんの御質問のことにつきましては、私は、中共側において、ときどき岸総理は、岸内閣は中共に対し戦争行為をするのだということをたくらんでおる、こういうふうに解釈されるような通信もよく耳にいたしますのですが、岸総理は国会においても再三弁明いたしております通りに、岸内閣といたしましては、断じて中共を敵として戦うというふうな考えはないということは、何べんも繰り返してこれはよく誤解を解くようにいたしたいと、こう存ずるわけで、今日現地においでになった海野さんが、そういうことを耳にされたということは、私よくお聞きして非常に参考になるわけでございますから、そういうことのないように、どうかこれは誤解を解くように十分の努力をしていきたいと、こう存ずるわけでございます。
  48. 海野三朗

    ○海野三朗君 このことにつきましては、中共では貿易を、日本に対する輸出入の貿易はもうストップしてしまい、そして西欧の方に盛んにやっておる。西欧のイギリスはどういうふうにやっていますか。イギリスはずるいです。イギリスははなはだずるい。ところが巧みに、天津に来ているのはイギリスの船ばかりです。そうしてほかの船は来ておりません。そのときに、私は帳面に控えてきたのでありますが、イギリスの会社だけです。イギリスの会社でちゃんと船を入れているのです。イギリスがどういうことをやっているか、そういうことを考えないで、ただ日本が、つまり国連で認めないから、侵略国と認めているから、そういうふうに認めるのだというような岸総理の弁明は、はなはだ当を得ないものと私は思うのです。そういうことに対するあなたの、財界人として今日まで来なすったあなたとしては、どういうようにお考えになっているか。そういうふうな場合に対処しては、非常に日本が損をする。昔、食物の配給の時代に、配給だけの食物を食べて死んだ人間がいる。そういう人間がいるのです。死んだ人間、判事でしたか、検事でしたか、配給のものだけを食べて死んでしまった人間がある。ところが、日本はそれでよろしいかということをよく考えてもらわなければならない。それで岸総理がああいうような言辞を弄するということは、はなはだもってわれわれは承諾できないことであるのです。それで、もしそれが誤まりである、私はそういうことを言わないということを言うているならば、岸総理は何ゆえにアメリカに向ってその取り消しを要求しないか。それは私はひどいと思うのです。そうして、その下に通産大臣としておられるところのあなたが、岸総理がそういうふうな悪いことがあったら、それを十分ためさなければならない。ためさずして、ただ、のほほんと通産大臣として勤めておられるのか、はなはだ疑いなきを得ないのです。私はそういう点に対して強くあなたに要望する。要望するということは、どういうことであるかといえば、中共に対しての態度、つまりそういうふうな態度、そういうことに対して、あなたはもう少ししっかりしてもらわなければならないと思う。
  49. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 私ども、海野さんと同じく、中共との貿易をどうしても一日も早く開始したいという熱意は持っておるのでありますが、しっかりした——微力で、力がなくては、はなはだ遺憾でございますが、十分努力いたす考えでございます。
  50. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 他に御質問もないようでございますから、本日の委員会は、これで散会いたします。    午後三時四十六分散会