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政府委員(柏村信雄君)
西田委員の御
質問に対してお答えを申し上げます。
この七月以来いまだに
解決しないこうした長期の
争議が行われる、これはまあいろいろ事情もございましょうが、その間におきまして幾多の
不法事犯が起り、また、人心に不安を与えておると、社会の秩序が乱されているということにつきましては、警察としては、もとより
争議そのものに
介入するということはないのでございますが、そうした
不法事犯、社会の秩序ということにつきましては、警察の責務として十分にその責務を果していかなければならないと存ずるのであります。ただ、この
不法事犯につきましては、先ほど
浜中管理官から申し上げていますから重複して申し上げませんが、暴行、
暴力行為、
住居侵入等を初めとしまして八十四件もの事件が発生をいたしております。これにつきまして、先ほど申し上げたそうでございますが、二十九件五十三名の者につきまして証拠を固めて検挙、送致をいたしておるような
状況でございます。ただ、このほかにも、いわゆるいやがらせ
事案等がございましてはっきりと犯罪にならない、あるいは犯罪になるにしても全くかいもくだれがやったかわからないような
事案も相当多く出ておるのでございます。これらにつきましては、もちろん警察として捜査を進めて参らなければなりませんが、夜間の投石であるとか、それも非常に計画的なものであれば、いろいろの角度からこれを検討することができましょうが、デモや何かが非常に先鋭化したような夜に、非常に興奮した気持から行われるものもあるのではないかと思いまするので、そういうようなことで非常に捜査上困難な問題がございます。しかしながら、この長い期間におけるこうした
争議の過程におきまして、先ほどお話のように、実際新手のいろいろなやり方が行われる、こういうことは、さらにまた、他の方にもびまんして参るおそれもあるわけでございまして、十分注意をしなければならぬと思うわけでございます。ただこういうふうに長期にわたる、しかも単に第一
組合、第二
組合の争い、
会社と第一
組合の争いというばかりでなしに、多数のものが応援に
争議に
介入して参るというようなことで、事態はさらに
争議そのものが悪化し、また、
不法事犯等も激化するということになっているわけであります。
警察といたしまして、あまりにも長期にわたりますので、それでも、これも先ほど申し上げたと思いますが、延べ四万三千名もの者を
北海道全域から招集をいたしまして、
苫小牧市に動員をしているというような事情でありまして、それでもなかなか手が足りないという
実情でございます。
苫小牧自体はわずかに定員八十八名でございまして、全道から引き抜いて動員をかけなければならない、そうでなければ事態の平静は期しがたいという
状況でございます。これにつきまして、一部にはまだ警察が非常にやってくれないじゃないかと、警察がなまぬるいじゃないかということがございますが、われわれとしては、先ほ
ども申し上げましたように、原則としてはできるだけ
争議に
介入しないと、なるべくちょっとしたいざこざくらいならばできるだけ双方の間において、かりにそれが
不法事犯になっても、そういうことを申しますとまた気が弱いと申されるかもしれませんが、多少の行き過ぎというものがあっても、そういうのに直ちに警察が
介入して措置をとるというようなことはできるだけ差し控えたい。どうしても双方の間においてこれを
解決していただくようにするというのがやはり
争議から起ってくる
事案についての私は常道であろうと思うのでありますが、しかし、あまりにもそれが激化して、
お互いの間、また、
一般市民というものにまで不安を及ぼすような事態というものが
考えられるならば、私はそういう事態であったと思いますが
——あると思いますが、そういうものについては、やはり警察は必要な措置をとっていかなきゃいかぬ。そういうことについて
現地の本部長も、慎重ではありますが、必要なときには断固として
実力を行使するという態勢をとっておるわけでございまして、私も本部長から詳細
報告を受け、木部長の現在とっております方針というものが適当なやり方である。ある方面からはなまぬるい、ある方面からは、そんなにせんでもいいと言う方もあるかもしれませんが、私は現在の段階において、
北海道の警察当局のとっておる措置は妥当な措置ではないかと思います。ただ、こういうような
事案が頻発する、法のワクをこえて非常な激越な
事案が多発するというような傾向というものは、これは見のがすことができない。そういう意味におきましても、私
どもは、警察の人員と申しますか、装備と申しますが、そういうようなことで警察が十分に活動できるようなことについても配慮されなければならないと思いますし、それに必要な法の整備ということも必要ではないかというふうに
考えておる次第であります。